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【ミリマスR-18】舞浜歩の抱えたトラウマを上書きする話
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[sage saga]:2021/03/14(日) 00:24:31.41 ID:Xw+hWuzl0
日本の高校を出て東京に来てからは新宿のBDCに通い始めた、ということを最後に、歩が話を終えて大きく深呼吸した。もうすっかり日が暮れていた。一枚のソーサーの上に、使い切ったティーバッグがいくつも積みあがっている。
「歩、この話を知っている人はいるのか?」
「ダンスの話なら何人もいるけど……その……今みたいな話をしたのは、プロデューサーが初めてだよ。誰にも言えなかったんだ。誰にも言わず忘れちゃった方がいいと思ってて。忘れられたと思ってたんだけど、色々、思い出しちゃった……」
返答に迷った。さっき見せた異変は、心的外傷(トラウマ)の発露かもしれない。芸能界でも性暴行は水面下で起こっている。全て弾いているが、枕営業を暗に要求してくる者もいた。未遂であったとはいえ、目の前に性暴行被害者がいるなんて思いもよらず、迂闊に自分の思ったことを話すのは危険だった。
「大変な目に遭ってたんだな……。話してくれてありがとう。口外はしないから安心してくれ。だが、今すぐに俺からコメントをすることは控えておく。非常に重大なことだと思うから、とにかく慎重になりたい」
「……うん」
「それで……こういうことがあってもなお、ドラマのシナリオにはそのまま乗ろう、って言っているんだな?」
「うん。あんな傷が自分に残ってたってのも、さっき初めて分かったんだけどさ……イヤなヤツにイヤな思いをさせられて、そのせいで心の自由が失われるっていうか、そんなの……ごめん、うまく言えないや……」
「言わんとすることは分かるよ。過去の出来事に未来を狭められたくないってことだろ?」
「そう、そう! それだよ。さすがプロデューサーだな〜」
歩の声に張りが戻り始めた。ちょうど、渡したミネラルウォーターを飲み切ったところだった。
「それでさ……その、プロデューサーに、協力してほしいんだ」
「ああ、もちろん、俺にできるだけの協力をしよう。どんなことを?」
それから歩は一つの提案をしてきた。実際のベッドシーンを演じるにあたって問題のある行為や姿勢、シチュエーションを見つけて、それを乗り越える必要がある。ところが、現状ではフラッシュバックの引き金を自分でも把握できていないために、まずはそこを探るための相手を務めて欲しい、ということだった。自分の傷口に向き合って歩自身が辛い思いをするかもしれない。そう伝えはしたが、「向き合わなければずっとこのままだから」と搾り出すように呟いた歩の言葉が、決め手になった。
「ごめん、ワガママ言って」
「謝ることじゃない。ただ……どうしてもうまくいかなかったときのために、先方へ交渉を持ち掛ける準備だけはしておくが、それは構わないな?」
「そうならないようにしたいけど……仕方ないよね」
「そもそもの話なんだが……」
ついティーバッグを取り出し忘れた紅茶が、温かいのに渋い。
「俺が相手役をすることに抵抗は無いのか?」
「全く無いわけじゃないけど、頼むならプロデューサーしかいないかなって。そのー……まぁ、信頼してるし。好き、っていうか。あっ、ライクだからね! ライク!」
「分かった、分かった」
広げた両手をヒラヒラさせて首を振る歩の表情に、ようやくいつもの調子が戻ってきたように見えた。こうでなくては、と思ったが、目の前で照れ笑いを浮かべる彼女の精神に無残な傷口が残っているのだと思うと、どうにかして塞いでやりたかった。
「歩、夕飯食いに行こうと思うんだが、体調がマシになってるなら、来るか?」
プレッシャーのかかる話が終わって気が抜けたからか、急に空腹感が込み上げてきた。砂糖も入れないまま紅茶を飲み続けていたが、昼食を取ってからもう六時間以上経っていたのだから当然といえた。
「マジで? イエーイ! で、で、どこ行くの?」
「この間、他所の事務所のプロデューサーさんに、寿司屋教えてもらったんだ。『なみだ巻』っていうわさびの巻き寿司が美味くてな。歩を連れて行こうと思ってたんだよ」
わさび、という音を認識した瞬間、歩は目を細めた。あの青ざめた絶望を思えば、今の緩んだ表情を見られるだけでもホッとすることができた。だから、「もう成人してるんだからいいよね」と飲酒の許可をせがんできたのも、今日は快諾した。
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