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勇者が大魔王を倒しちゃったんですけど - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:48:06.22 ID:nsd87mYo
勇者が大魔王を倒しちゃったんですけど
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1241676945/
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/

VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:49:08.21 ID:nsd87mYo

勇者は剣の柄を持ちかえ大魔王に向き直る!

「と・ど・め・だーっ!」

剣を構え勇者が魔王に突き進む!

「だあぁあああああああああ!」

勇者の剣が大魔王の右肩口から左腰部までを切り裂く!

「ごふぉう!」

大魔王はその命の素を全て破壊された!

「余が…大魔王である余が…不死身である余が人間風情に倒されるだと…?」

大魔王の体が、風化して行く石膏像を早送りで見る様に崩れ落ちて行く!

勇者は大魔王を倒した!
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:49:35.87 ID:nsd87mYo

大魔王の周囲は暗転し彼の意識は無限とも思える落下を続けて行く

「…余は…不死身のはず…」

「…それが…選ばれし者とは言え…人間…ごときに…」

「…肉体も…精神も…人間には…遠く…及ばぬはずであった…」

「…それが…こうも易々と…」

「…人間とは…いったい…この余の力を以てしても…」

「…いや…なぜ余は…自らを不死身と…」

「…不死身…?」

「…」

「…余自らが不死身と何故認識出来るのだ…?」

「…」

「…今…こうして…思考する余は…肉体は…滅んだはず…」

「…」

「…意識だけ…世界は……………………………?」
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:51:32.02 ID:nsd87mYo

「M-globeシステム一時停止。主任、フェーズ2終了です」

『助手』と思しき人物が声をかけた『主任』が言う。

「大魔王の意識構造は回収済みだよね?」

「はい、サブシステムの人格保存領域に移動済みです」

「それで様子はどう?」

「えーっとですね厨2病みたいな気持ち悪い内省してます。ログ送りますか?」

助手はニヤニヤしながら主任に報告する。

「厨2エンジンは君が導入しようと言ったんだよ。それを気持ち悪いだなんt…こりゃ酷い」

ログを見た瞬間、主任も吹き出した。

「でしょ?現実の厨二病でもここまで酷くは無いですよ」

助手はゲラゲラと笑っている。しかしログに目を通していた主任の表情が急に曇った。

「君ちょっとこれ…笑い事じゃないぞ」

「え?」
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:52:17.00 ID:nsd87mYo

「ログを読む限り彼は自分で虚構内の存在であると認識してしまった感じがするな」

それまで笑っていた助手の表情が強張る。

「なんですって?それじゃ…」

「このまま彼を放置する事は虚構人権法での第2条に違反する事になる」

「虚構内に於いて自身を虚構内の存在であると認識した『虚構内現存在』の保護について、ですね?」

「ここのシステムは中央システムの管理下にあるしなぁ…」

主任は少し考え込みながら助手に言った。

「…彼とコンタクトを取る必要があるな。すぐインターフェース準備できる?」

「はい!すぐに!」

「それとインターフェースへの自己認識意識解析ルーチン組み込みと、彼に実装してある厨2エンジンモジュールは全て削除ね」

「意識構造サブシステム一時停止。厨2エンジンモジュール削除作業に入ります」

「作業完了して彼とのコンタクトまでにどれくらいかかりそう?」

「そうですね…自動実行ですけど2〜3時間ほど」

「よろしい、ならば休憩だ」
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:54:28.26 ID:nsd87mYo

休憩室、主任と助手に話しかける人物がいる。

「おや?お二人とも浮かない顔してどうしたんですか?」

「君か…いや私たちが管理しているM-globeで疑似人格が虚構内現存在になってしまった可能性があってね」

「それで深刻な顔をされてるのですね」

「そうなんだよ。君も知ってる通りもし認定された場合には私たちが彼の保護者になるんだ…」

「ただせさえ遅延してるのにまた遅れるし本部長からドヤされると思うとね」

頭を抱える主任に、その人物が楽しそうに言う。

「でも私は嬉しいですね。同じ独立系AIの仲間が増えるのですから」

その時、助手のリスト・コムの呼び出し音が鳴った。

「主任、作業が終わったみたいです。戻りましょう」

「よし解析作業に入ろう。私としては認定されない方を望んでいるけどね」

「では私も仕事がありますので。お二人とも頑張って下さい」

そう言うと彼女は心なしか嬉しそうな足取りで休憩室を後にした。

「そういえば彼女も元は虚構内現存在でしたね」と助手が言う。

「でも彼女の場合はGL-simからの派生だから。私たちの場合…元大魔王だよ…」

「しかも元厨2エンジン搭載ですもんね…」

「考えても仕方ない。まず1次スキャンだな。行こう」
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:55:22.89 ID:nsd87mYo

「厨2モジュールは全て削除されているか?」

「全て削除されてます。削除によるエラー、ワーニングともに無し」

「よし意識構造サブシステムは停止したまま。彼にインターフェースを接続」

「接続エラー無し。データーストリームは正常です」

「1次スキャンモジュールをロードしてくれ」

「ロード完了。いつでもOKです。」

「よし開始するぞ…うわぁ…こりゃ凄い…」

「全て閾値を超えてますね…こんなレベル初めて見ますよ…」

「こりゃ可能性大どころか確定だな…上と中央に情報を投げるしかないか…」

「どうします?彼のバックアップを作って取り敢えず指示を待ちますか?」

「ああ、そうしよう。」
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:56:49.13 ID:nsd87mYo

主任は暗い面もちで助手に告げた。

「『早急に自己認識意識解析を行い確定した場合は速やかに認定作業に入れ』だとさ…」

「では意識構造サブシステム再始動します。彼との会話は主任がなさいますか?」

「私がやるしかないだろうね…解析結果のモニターは君に任せる」

そう言うと主任はフルフェイス・ヘルメットの様な物を装着した。

「分かりました。危険な状態があれば即停止させます」
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 14:57:59.34 ID:nsd87mYo

「…」

「…?」

「…!?」

「…ここは?」

大魔王いや大魔王だった彼は狼狽した。

意識だけしか無かった状態から急に明るい全てが真っ白な部屋の中に居たのである。

また自分の中に何か違和感を感じてもいた。心の奥を探られているような違和感。

しかし何か憑き物が落ちた、そんな爽快感もある。

「やあ、気分はどうかな?」

声がした方を振り向く。そこには見たことのない人間が立っていた。

「あなたは?」

男は何も答えない。暫くの間を置き元大魔王であった彼はゆっくり言った。

「あなたが私に魔王を演じさせていた造物主か?」

「この状態でその認識が出来てるなら話は早い」男は無表情で頷いた。そして独り言。

「解析結果は?…うん、そうか分かった。それじゃ手順に従って彼に導入してくれ」

元大魔王であった彼は何が何だか分からない。

「次は『現実』で会おう」

そう男は言い残すと滲む様に姿を消した。と同時に彼の世界は暗転した。
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:03:11.26 ID:nsd87mYo

今まで味わった事のない奇妙な感覚の後、それは突然やって来た。

「現実へようこそ」

「…ああ…」

元大魔王だった彼は知った。彼が居た世界が何であったか。彼が何者であったか。

それは『導入』の際に彼に刷り込まれた知識であった。しかし今、実感を伴い彼に浸透する。

「これが現実なんですね」

「そう、そしてこれから君が生きる世界だ」

「君がこの世界で独り立ち出来るまで私たちが君の『保護者』となって教育して行く事になる」

「教育期間が終わり最終検査にパスした後に君は独立型AIとして認められる」

「それまではその小さな仮のボディで過ごしてもらう事になる。不自由をさせて申し訳ないが我慢してくれ」

その時ドアの隙間から無言で手招きをする助手の姿が主任の目に入った。
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:04:23.94 ID:nsd87mYo

「ちょっと席を外すが、自由にしててくれ」主任はそう言い残し助手の所へ。

「どうした?」ドアを閉めながら助手に話しかける。

助手は小声で申し訳なさそうに話し出す。

「…彼のバックアップを念のため確認していたら厨2エンジンのコア部分が残ったままで…」

「え?」

「開発部に確認したら一度インストールするとコアは人格形成部と不可分になるらしいんです」

「しかもですね、あの、仮ボディへ転送の際にですけど、確率的にあり得ない転送エラーが起こってまして」

「ええ?」

助手は半泣き半笑いの様な表情で話し始める。

「彼の、いや『彼』と呼んでいいのか…性別属性がMからNに化けてしまってまして…」

「えええ?」

「その影響で性格属性値にも変化が生じまして…」

「ええええ?」

「どうしましょう?」

「どうしましょうって君…」主任は呆然となり二の句を告げられなかった。
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:05:49.55 ID:nsd87mYo
脚注:性格属性の件

男性:M 女性:F

あ と は わ か る な ?
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:07:16.49 ID:nsd87mYo

「どうでした?」

「ダメだったよ。お役所は『現実に具現化してしまった虚構内現存在は改変不可』の一点張り」

「うちの本部長なんて『面白い!実に面白い!構わん、続けたまえ』だぞ!?」

「それで『彼』の事で他に何か分かった事はあるのかい?」

「それがですね…性格属性値が『萌』『痛』『腐』『幼』『ショタ』『獣』『虹』他多数…なんかもう大変な事に」

「いわゆるオタク属性のオンパレードで」

「それにしても何でそんな属性が『彼』に入ってたんだい?」

「厨2エンジンを組み込む際に自動的に性格背景としてインストールされるらしんですよ」

「開発部の連中め…頭が痛い…」主任は泣きそうな顔で言う。

「それで他に異常をおこしている所はないかい?」

「特に異常は見つけられませんでしたが、今後の厨2エンジンの影響が気になります…」

「これは教育を間違えると大変な事になるなぁ…」
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:08:00.36 ID:nsd87mYo

休憩室で主任と助手が飲み物を片手にうなだれている。

「はぁ…」「はぁ…」

「どうしたんですか?二人してため息なんて」例の独立系AIの彼女である。

「君か…いや例の『彼』なんだけどね…」

「半年前に具現化して教育中なんですよね?今どんな感じで成長してます?」

「うんまあその事で悩んでるのだが…そう言えば君も具現化の直後に退行を経験しているよね」

「はい、精神年齢10歳くらいまで退行しました。でも1ヶ月で設定年齢に戻りましたけど」

「『彼』は5歳くらいまで退行したんだが…この半年5歳のままなんだ。そして知識の吸収ペースが異常に速い」

「まあここまでは良いんだが時々『どうせおとなたちにはわからないですよ』とか」

「『ぼくはむてきだよ』とか…厨2エンジンの影響がね…」

「しかも何故か紙飛行機に夢中なんだよ。あの折って作るやつじゃなくて競技用のね」

「無事に独立系AIに成長させる自身が無くなって来てね…親の苦労って奴が分かった気がするよ」
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:24:59.54 ID:nsd87mYo
>>12
性格属性じゃなかった「性別属性」だった…orz
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:35:11.79 ID:nne2h32o
かまわん続けたまえ
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:45:54.02 ID:nsd87mYo

「主任さん、お願いがあるんですけど」『彼』が話しかける

「外で紙飛行機を飛ばしたいんですけどダメですか?」

一度5歳まで退行した『彼』の精神年齢は10歳前後になっていた。

「そうか、そろそろ外出しても良い頃合いかな。中央に外出許可を申請するから少し待ってくれ」

「ん?その紙飛行機、今までとデザインがかなり違ってるね?」

「うん、ボクが自分で考えたんです」嬉しそうに『彼』は言う。

「さっき助手さんにも見せたら凄いねって言ってくれたんですよ」

「そうかそうか」主任も笑顔で言う。しかし彼の内心は穏やかでは無かった。

(独立系AIの教育中で創造性の発揮なんて今までに報告例が無いぞ…)

(上に報告すべきか?いやもう少し様子をみるか)
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 15:48:41.18 ID:nsd87mYo

「管理区画の公園限定だけど許可が出たよ」主任が告げる。

「やったぁ!ボクこっちに来てから外に出るの初めてだからなんか緊張します」

『彼』の表情は少し興奮しているようにも見える。

「出かけるのは良いんだけど…その左手に巻いてある包帯はなにかな?」

「…これは…聞かないで下さい。主任さんも巻き込む事になりますから…」

「(マジで厨二病かよ…)時間が限られているから急いで支度しなさい」

「はい♪なに着て行こうかなぁ…」

「服を選んでる時間なんて無いから、そこのジャージでも着て来なさい!」

「え〜?ちょっとはオシャレさせてくださいよぉ」

「はいはい。急いで急いで!」
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/08(金) 18:31:06.49 ID:nsd87mYo

管理区画にある公園で『彼』は紙飛行機を飛ばす事に夢中になっている。

主任はベンチに座りながら『彼』を見て呟く。

「こうして遠目で見ていると年相応の子供にしか見えないんだがなぁ…おや?あれは?」

12歳位のの少女が『彼』に近づいていくのが目に入った。主任はリスト・コムを使い助手に連絡を取る。

「急で済まない。大至急『彼』の意識構造の変化をログを記録してくれないか?」

「そうだ。無意識か認識意識まで『彼』を構成するモジュール全部だ」

「どんな変化も逃さない様にサンプリングは最高速で頼む」

「私たち以外の人間との最初の接触か…」
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 18:41:15.44 ID:yZVAIrA0
しえん
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 18:58:37.97 ID:nsd87mYo

「こんにちは」少女が『彼』話しかける。ぎこちなく挨拶を返す『彼』。

「…こんにちは…」

「はじめまして。どこから来たの?あら…」少女は『彼』が返事をする間も与えず続けた。

「君って独立系AIなの?あたし初めて会うわ!凄い凄い!」

「…あ、あのぅ…ボクまだ教育期間中なんです…でもどうしてすぐ分かったんですか?」

「教えられてなかったの?独立系AIはねオッドアイって決められているんだよ」

「あ…そう言えば…」

「ねぇねぇ君いくつなの?あたしは今13歳なんだ」

「ボクは設定年齢1800歳で今の精神年齢が10歳です…」

「え?設定年齢1800歳って…どんな疑似人格だったの?」

「…大魔王です…」『彼』は恥ずかしそうに言った。
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 19:36:10.82 ID:v48sYz6o
魔王かわいい
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 20:19:34.60 ID:nsd87mYo
いやはや…
プロットからストーリー起こして会話を構成すんのって
ものすごくしんどい作業なのねwwwwwwwwwwwwwwwwww

正直wwwwwwwwSS舐めてたわwwwwwwwwwwwwwwww

とは言え初めてしまったものは仕方ない
時間かかっても最後まで続けるわ
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 20:28:30.44 ID:v48sYz6o
がんばれ
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 22:17:41.79 ID:nsd87mYo

公園の一角にあるベンチで二人は並んで座っている。

『彼』は紙飛行機をくるくる回しながら、少女は両手を膝の下に入れて会話を続けている。

「最初はビックリしました。ボクが自分で疑似世界の存在だって気づいたと思ったらすぐにこちらに連れて来られたんですから」

「ボクの『保護者』の主任さんも助手さんもすごく良い人でボクもだんだん現実っていいなぁって思えるようになって来たんです」

「なんかそう言われると、あたしまで嬉しくなっちゃうな」少女が微笑む。

「えっと…聞いていいですか?」少女の微笑みを見た瞬間『彼』は目を逸らしながら言う。

「お姉さんはどうしてこの管理区画の公園に入れたんですか?一般人は入れないって聞いてたんですけど」

「あたしね、こう見えても航宙士士官学校の学生なんだ。将来は航宙士になって宇宙船に乗るの」

「それって凄い事なんですよね。学校って楽しいですか?」

「うん、楽しいよ。でもね同級生は皆18歳でさ、同い年の子が居ないからちょっとだけ寂しいかな」

「それにしても君って不思議だよね。ボクって言うから男の子かと思ったら話をしてると女の子みたいな感じもあるし」

「…疑似世界では性別属性はMだったんですけど…具現化の時にエラーでNになっちゃたらしいんです」

「え?じゃあどっちでも無いって事なの?属性Nって制御用の疑似人格では良くあるけど、独立AIでは初めてなんじゃない?」

「そうなんですか?主任さん達から詳しい事を聞いた事が無いんです…」
26 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/08(金) 22:23:43.85 ID:nsd87mYo
続きはまた明日ノシ
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/08(金) 23:39:23.51 ID:yZVAIrA0
待ってる
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/09(土) 04:08:38.64 ID:O.MBe7o0
数時間遅れで乙
楽しみにしてるぜ
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 07:09:50.52 ID:6Db5W3so
お スレみっけ
30 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 12:24:26.97 ID:F2S6bVMo

「おーい。そろそろ時間だよ」主任が声をかける。

「そろそろ行かなくちゃ。お姉さん色々お話してくれてありがとう」『彼』は少し寂しそうに言う。

「ううん、あたしも楽しかったよ」

「あの…またここに来た時にお話していいですか?」

「うん、いいよ。講義が終わった後はやること無いし」少女は優しく微笑みながら言う。

「あたしのコミュ番号教えておくね…あ、君コミュ持ってないよね?」

「大丈夫です。目が光通信インターフェースにもなりますから」

「あ、そうなんだぁ。じゃあちょっとまって…送信っと。どう?」

「はい、大丈夫です。ちゃんとエラー無しで読めました。ボクこんど外出許可が取れたらお姉さんに連絡します」

「うん、あたしも楽しみにしてるね。」

「今日は本当にありがとうございました」ぺこりとお辞儀をして『彼』は主任の方へと駆けて行く。

「またねー!」少女が手を振りながら大声で言うと『彼』は立ち止まって振り返り満面の笑みで大きく手を振り返した。

『彼』と主任の姿が見えなくなるまで見送る少女。

「独立型AIの男の子でも女の子でもない子かぁ…ふふ、ちょっと可愛いかったな。あれ?」

少女の足下には『彼』が作った紙飛行機が落ちていた。
31 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 12:28:18.41 ID:F2S6bVMo

「ただいま戻りましたー」

「おかえり。初めての外出はどうだった?」助手が尋ねる。

「すごく楽しかったです!初めて助手さん達と以外の人間と話す事が出来たし今でもドキドキしてます」

主任はそれを聞き少し驚いた表情を浮かべる。

「(え?ドキドキだって?この仮ボディでは機能的にあり得ない反応なのだが…)」

「そうかぁそれは良かったね。僕たちはまだ仕事があるから君は自室で自由にしてていいよ」

「はぁい。あ…」『彼』がちょっと悲しそうな表情になる。

「どうしたんだい?」

「紙飛行機…公園に忘れてきちゃいました…」『彼』はがっくりと肩を落とした。

「また作ればいいじゃないか。それに今日会った女の子が持っててくれるかも知れないし」

「…そうですね。うん、きっとそうですよね」

主任は『彼』の目に何かを期待するような輝きを見た気がした。
32 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 12:29:36.27 ID:F2S6bVMo

別室で主任と助手が話している。助手は特に興奮した様子だ。

「モニターの結果はどうだった?」

「それが凄いんですよ。専門家でない私でもこの結果は奇跡としか言いようが無いです」

「このデーターストリームを見て下さい。ほらここ、厨2エンジン周辺の部分です」

「これは…」画面を見て息を呑む主任。

「凄いでしょ?『彼』の無意識から識意識にかけて全モジュールのデーターストリームが一部バイパスされて厨2エンジンへ」

「そして厨2エンジンから各モジュールへフィードバックがかかっています」

「しかも一部の破綻も無く全てが整合性を保ったままですよ?信じられますか?」

「そしてこの情動システムの変化を見て下さい。これを見せたら独立型AIの研究者は腰を抜かしますよ」

「この変化は…おっ!ここか…これはあの少女と彼が話し始めたあたりからだな」

「どうします?これ、上と中央に報告しますか?」

「いや、まず本部長に相談しよう…」主任は何かを決意したような表情である。
33 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 12:31:47.59 ID:F2S6bVMo

「…で現状では『彼』は今ご報告した状態にあります」

「…ふむ」データーを見ながら考え込む本部長の眉間に皺が寄る。

「私の推測ですが『彼』は既存の独立型AIの枠に収まらない可能性があります」

「この情報を中央に上げるのは簡単です。しかしそうなると独立型AIの研究者達は彼の詳細解析を要求して来るでしょう」

「『彼』を構成するモジュールを分解しトレーサーを組み込み再構築させる。そんな処置すらやりかねません」

「今我々がやっているのは人間で言えば外部から間接的に脳の動きを観測している事と同じです」

「しかしトレーサー組み込みは我々で言えば脳を取り出し各機能野に分解してセンサーを組み込み元に戻す事と同じです」

「そんな事をしたら人間は元の人間で無くなってしまいますよね?」

「偶然の産物とは言え私は『彼』が奇跡的な存在であると確信しています」

「そんな彼を実験動物の様に扱い尚かつ人格破壊とも言える状態にする可能性がある事は人類の損失だと考えます」

「私見ですが『彼』は我々人類が生み出す最初の知的機械生命とも言える存在になるかもしれません」

本部長は黙って主任の話を聞いている。

「本部長!『彼』の件を、全て私に一任していただけませんでしょうか?」

暫くの間を置き、主任は肩を振るわせ絞り出すように言う。

「もし何かあった場合、私が全責任を以て『彼』を………『彼』を『処分』いたします」
34 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 16:56:39.12 ID:F2S6bVMo

「それは違うな…」本部長は言う。

「…万が一の事があっても君が責任を負う必要は無い。君の思うようにやりたまえ」

「全ては私が全責任を負う。君は『彼』の教育に専念してくれ」

「本部長…ありがとうございます!」

「それとM-globeプロジェクトだが無期限の延期が決定したよ」

「ええ?よく上が承認を出しましたね…」

「蛇の道は蛇。まぁ私が無理矢理承認させたんだがね」本部長が悪戯小僧の様な顔してウィンクした。
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 16:59:56.08 ID:PZssV8Yo
わっふるわっふる
36 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 18:32:16.40 ID:F2S6bVMo
>>1よりこのスレを見ている総員に告ぐ!
この物語に諸君らが求める様な萌え展開は無い!

もう一度繰り返す!

萌 え 展 開 は 無 い !
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 18:35:34.27 ID:wsLO20wo
すでに萌えているので問題ない
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 18:37:04.39 ID:PZssV8Yo
問題なしー
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 18:51:55.99 ID:1ErORt6o
何に萌えるかなんて個人の問題
「これが萌えだ!」なんて押し付けがましいモノなんぞ不要


続けたまへ
40 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 20:42:01.22 ID:F2S6bVMo

少女のコミュツールの呼び出し音が鳴った。

「はい、どなた?」

「…夜分遅くにすみません、ボクです」

「なぁんだ君だったんだ。そう言えば君の番号を聞くの忘れちゃってたね」

「あのぅ…ボク明日、外出許可がとれたんですけど…その…」

「うん、いいよ。講義が終わった後になるけど…そうだ、これ!」

少女は紙飛行機を『彼』に見せる。

「…あっ…それボクの…」

「この前、公園に忘れたでしょ?明日持って行くね」少女が微笑みながら言う。

「えっと、あの、それ…あげます…」

「え?いいの?」

「はい…えっと、もっと良く飛ぶように新しいのを作っちゃったんです」

「そうなんだ。ありがとう。それじゃ明日ね」

「はい。よろしくお願いします」

「それって何か変だよ」少女がクスクスと笑いながら言う。

「…え…そうですか?」

「うん、何かね〜らしくないよ。じゃあ明日、楽しみにしてるね」

「はい…ボクも明日が待ち遠しいです」『彼』ははにかんだ様な表情を見せる。
41 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 20:42:27.22 ID:F2S6bVMo

「『彼』の状態はどうかな?」

「凄いですよ。今までの独立系AIのケースと比較してるんですが同一のパターンが全くありません」

「私たちは大変な事に立ち会っているのかも知れないね。それはそうと君…最近顔色が良くないぞ」

「そうですか?そう変わらないと思いますけどねぇ」

「君は確か以前大病を患った事があるそうじゃないか」主任は心配そうに言う。

「それでしたらもう完治してますよ」助手は笑いながら答えた。

「いや念の為に明日は医療局に行って検査を受けて来なさい」

「『彼』のモニターはどうするんですか?」

「心配無いよ。自動ログを取っておいて後で解析すれば良いだけだ。それよりも君の身体の方が心配だ」

「明日は必ず検査を受けてくる事。これは業務命令だ」

「はい…分かりました」
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 21:19:08.99 ID:awHqkMDO
元魔王がFF7ACのデンゼルで脳内再生される俺はショタ属性か…orz
43 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/09(土) 22:43:10.91 ID:F2S6bVMo

「うわぁ!今度のはすごく飛ぶんだね」少女が驚きの声をあげる。

「えへへ、ちょっとした自信作なんです」『彼』が照れくさそうに言う。

「でもさ何で紙飛行機に夢中になったの?」

「…ボク、疑似世界で大魔王だったじゃないですか。でもその時の記憶って曖昧で…でも…」

「でも?」

「空を自由に飛び回っていた事ははっきり憶えているんです。でも現実に自由に飛び回る事って出来ないじゃないですか」

「紙飛行機って紙から自分の手で作るでしょ?それを飛ばすとボクも一緒に空を飛んでる…そんな感じがするんです」

「へぇ〜疑似世界での記憶ってそんなにぼんやりしてるの?」

「はい…何かモヤがかかったみたいになって思い出せないんです」『彼』は寂しそうに項垂れる。

「そうだ。今日学校で聞いたんだけどシティで紙飛行機の大会があるみたいだよ。出てみない?」

「え?でも…ボク管理区域外に出られないし…」

「そっかぁ…でもさダメモトでもいいから主任さんにお願いしてみたら?」

「…え…でも…」

「いいじゃん!あたしも一緒にお願いしてみるから、ね?」

「うーっ…」『彼』は明らかに困惑した表情をしている。

「はい、決定♪」

結局『彼』は少女に押し切られてしまった。
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/09(土) 23:51:22.71 ID:njcX/w.0
>>42
デンゼルくんはかわいいよね
45 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 09:34:20.46 ID:hJ8hYCgo
>>42,>>44
おwwwwwwwwまwwwwwwwwwwえwwwwwwwwwwらwwwwwwwwwwwwwwww
俺までwwwwwwwwwwww
デンゼルでwwwwwwしwwwwwwwwかwwwwwwwwwwwwww
イメージwwwwwwwwww
できなくなっちゃったwwwwwwwwww
じゃねぇかwwwwwwwwwwwwwwwwww
もうwwwwwwwwww会話部分書いてるとねwwwwwwwwwwww
オッドアイのwwwwwwwwwwww
デンゼルがねwwwwwwwwwwwwwwww
書きながらwwwwwwwwwwニヤニヤしてるwwwwwwww
俺wwwwwwwwwwきめえwwwwwwwwwwww


ごめんねごめんね遅筆でごめ〜んね
46 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 12:11:36.19 ID:hJ8hYCgo

「主任さんお願いします」訴える様に『彼』は主任を見上げる。

「あたしからもお願いします」

「いやしかしね、『彼』をまだ一般社会に公表する訳には…」

「それなら、あたしがエントリーして彼の代わりに競技に参加するなら問題無いと思います」

少女は強気である。少女に気押されて主任は困惑気味である。

「うーん…私としては参加させてあげたいがね…取り敢えず本部長と相談させてくれないかな?」

「あたしも一緒に本部長さんとお話させて下さい!」

「え?今すぐかい?」

「はい!今すぐです!」少女がきっぱりと言う。

『彼』はその間ずっと訴えかける目で主任を見つめていた。

主任は少女と『彼』を見やり、やれやれと言った感じで片手を上げながら

「わかった、今から本部長に会えるかどうか確認してみよう」
47 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 12:31:14.32 ID:hJ8hYCgo

「…と言う訳なのですが本部長どうでしょう?」

「それでそのお嬢さんも一緒に来てしまった訳か」本部長も困り顔である。

「お願いします。『彼』を紙飛行機の大会に参加させてあげてください」

本部長は少女の顔を見ながら何か思い出そうとしている。

「そう言えばお嬢さんをどこかで…ああ、史上最年少で航宙士士官学校に入った君か?」

「はい」

「ふむ…ちょっと待ってくれ」そう言うと本部長は手元の端末を操作した。

その様子を不安げに見守る『彼』と少女。端末に表示された情報に目を通した本部長が言う。

「よろしい許可しよう。但し『彼』を直接エントリーさせる事は出来ないので、お嬢さんが代わりにエントリーする事」

「『彼』はお嬢さんの補助を行う疑似人格ADとの名目で参加させる。『彼』が独立型AIと言う事は他言無用だよ」

不安げだった『彼』の表情が明るくなる。

「ホントですか?うわぁ!本部長さんありがとうございます!」弾んだ声で『彼』が言う。

「ほらね?言ってみるもんんでしょ?」少女は少し得意気である。

「大会の前に一度『彼』をシティへ連れて行った方が良いね」本部長が言う。

「お嬢さん、申し訳ないが今度の休みの日にでも彼をシティへ連れて行ってくれないかな?」

「私も同行しましょうか?」

「いや君にはその日別件で用があってね。休日に申し訳ないがここに来てくれ」

本部長は意味ありげに主任に目配せをする。主任は本部長の意図する事を理解した様である。

「はい分かりました。それじゃお嬢さん『彼』の案内をよろしくお願いするね」

「あたしで宜しければ喜んで」少女は嬉しそうに言う。
48 :1 ◆.F9VO4BsVg :2009/05/10(日) 13:14:03.36 ID:hJ8hYCgo

「主任さん」少女と別れた後で『彼』が尋ねる。

「今日は助手さんお休みなんですね」少し残念そうである。

「ああ、ちょっと医療局で検査を受けてるよ」

「助手さん病気なんですか?」

「いや、ただ検査だけさ。そんな心配する事は無いよ」

「じゃあ明日はまたいつも通り助手さん来るんですね」『彼』の表情が明るくなる。
49 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 14:36:19.11 ID:hJ8hYCgo

「おはよう。検査結果はどうだったね?」出勤してきた助手に主任が話しかける。

「おはようございます。いや別に何でもありませんでしたよ。少し疲れが溜まっているだけらしいです」

「おいおい本当の事を言いなさい。何年君と一緒に仕事をしてると思ってるんだね?君は嘘を付くと左の耳だけ赤くなるんだよな」主任は真顔で言う。

「ぇえ?」慌てて壁にある鏡で自分の耳を見る助手。

「赤くなるなんて嘘だよ。さて本当の事を言ってくれ。言わなくても医療局に問い合わせればいずれ分かる事だが」

「…再発…しました…医師からは今日にでも入院して治療だと…入院前に『彼』に会っておきたかったものですから」

「…そうか…」

「主任さん助手さん、おはようございます」『彼』の元気な声が響く。

「おはよう。今日も元気だな」笑いながら助手はいつもの様に『彼』の頭に手を置き髪の毛ごとクシャクシャっと撫でた。

『彼』はこうされるとくすぐったいような、でも嬉しそうな笑顔になる。実際『彼』は助手にこうされるのが好きなのだ。

「お体の方は良いんですか?」『彼』が尋ねる。

「実はね今日から入院しなくちゃならないんだ。だから暫く君と会えなくなるからここに寄ったんだよ」

そう言われて『彼』は不安そうな顔をする。

「そう心配するなって。すぐ退院して戻るよ」助手は更に『彼』の髪をクシャクシャとする。

「そうだ!主任から聞いたけど紙飛行機の大会に出る事が出来るんだって?良かったじゃないか」

「はい!ボク今でも信じられないくらいです」無邪気に『彼』は笑う。

「君の作った紙飛行機なら絶対に上位入賞するよ。入賞したら何かお祝いしなきゃな」

『彼』は優しい眼差しで彼を見つめる。しかしその奥には微かな寂しさが宿っている事を『彼』は理解出来ない。

「それでは主任、『彼』の事はお願いします。それと後任との引継の件ですけど…」

「心配しなくていいよ。君は治療に専念してくれ」

「はい…ありがとうございます」

「助手さん元気になったら必ず戻って来てくださいね」

「ああ、約束するよ。それまでちゃんと教育訓練を受けるんだよ?サボっちゃダメだぞ」

「それじゃまたね」別れ際に助手は『彼』の髪をクシャクシャと、そして愛おしそうに撫でた。
50 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 15:35:24.73 ID:hJ8hYCgo

「助手の具合はどうなんだね?」本部長が問いかける。

「…思わしくないようです」肩を落とし答える主任。

「そうか…助手の後任だがね今日呼んである。彼なら適任だろう」

「彼を部屋に通してくれ」本部長が秘書に告げると、一人の人物が部屋に入って来た。

「失礼します。よう、久しぶりだな!」

「君は!本当に久しぶりだな!こっちに来てたなら一声かけてくれても良かったのに」主任は驚きながら言う。

「本部長から詳細を聞かされた時は正直驚いたよ。それで二つ返事で引き受けてさっき着いたばかりさ」

「どうかね?彼なら君と同期だし独立系AIの専門家でもある。肩書きは技師長として君の所に赴任して貰うつもりだ」

「私には異存ありません。しかし君…主幹研究員の職を辞めて良いのかい?」

「何言ってんだよ」技師長となった彼は笑う。

「一生に一度お目にかかれるかどうかの事を目の前にぶら下げられてんのに、ちまちました研究なんてやってられるかい」

「それよりも早く『彼』の今の状態が見たい。案内してくれ」

「君、まずは腰を落ち着けてからだ。引っ越しも済んでないだろう」本部長は苦笑する。
51 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 17:36:05.93 ID:hJ8hYCgo
※この技師長は「こんな事もあろうかと」とか言いません

※13歳少女と10歳の元魔王で男でも女でもない子のデートの描写で四苦八苦。
  数日時間くれ orz
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/10(日) 19:01:29.38 ID:Vbk5aoUo
>>1がキモイけど話には期待
53 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 20:27:14.32 ID:hJ8hYCgo

「さて、と。ここが俺の新しい仕事場か。お?君が話しに聞く元大魔王君だな」

「助手君の代わりに暫くここで主任の手伝いをさせて貰う技師長だ。よろしくな」

技師長が愉快そうに言い握手を求める。

「…はじめまして。よろしくお願いします」『彼』はおずおずと技師長と握手した。

「で、システムはどこだい?」

「ああ、こっちの部屋だ。案内するよ」

「ほうほぉ。どれどれ」技師長がモニターシステムを操作し始める。

「なかなか良く出来てるな。これは君と助手とで組んだのか?」

「僕が基本構想をして助手と一緒に構築したんだ。やっつけだがね」

「やっつけにしちゃ良い仕事だよ。どれ、俺がもう少し改造するか。…ん?」

「あーこれじゃ処理すんのにパワー足りねぇな。必要分の部材発注しとくか」

技師長は言うが早いか発注システムに必要品を入力して行く。

「よっしゃ。これで後は本部長の承認だけか。ちょっと本部長に掛け合って来るわ」

「おいおい、まずはリスト作って主計局の許可もらってからだろ。大丈夫か?」

「なぁに俺に任せとけって」技師長は笑いながら部屋を出る。
54 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 20:28:51.94 ID:hJ8hYCgo

「本部長!本部長居るかい?」技師長がズカズカと本部長室へと入って行く。

「あの困ります。事前にアポを取って頂かないと」秘書が険しい顔で言いかけるが

「こまけぇこたぁいいんだよ。本部長!いるんだろ?」

「まったく君は傍若無人だね」苦笑しながら本部長が自室から出てくる。

「すみませんね。毎度騒がしくて。で、話って言うのはですね」

「分かっている。先程発注リストを確認したよ」

「だったら話は早いや。主計局への適当な言い訳よろしくお願いします」

「本当に君と言う男は…承認と申請理由は私の方でなんとかしよう」

「へへっ毎度どうも」
55 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/10(日) 21:16:01.29 ID:hJ8hYCgo
※ショタに目覚めたかも知れないキモい>>1です。これから4〜5日ほど情景描写と心理描写の荒野を彷徨って来ますノシ
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/10(日) 23:29:48.21 ID:6PNcq/o0
デンゼルくんかわいい
待ってるよ
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/11(月) 16:07:46.91 ID:ZA6IW6oo
まってるー
58 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:27:25.71 ID:6RZgKvYo

「技師長、殆ど休み無しでやってるけど大丈夫かい?」

「生憎と俺は頑丈に出来てるんでね。4日位寝なくても大丈夫だしな」

「あと少しで改造は終わるよ。前よりは多少は良くなるだろう」

「多少って…君、これを見るとインターフェースの帯域が前の3倍以上になってるじゃないか。今の仮ボディじゃ対応していないぞ」

「それは心配ないって。ほれ、そこにある今日届いた奴。そのカバー開けて見てみろよ」

「これかい?」カバーを開けたと同時に主任は驚きの表情となる。

「どうだい?D型を基本にしてサイバネティクス部門の連中に作らせた特別仕様品だ」

そこには『彼』の仮ボディそっくりだが明らかに人間と見まごう程の身体が置かれていた。

「…これは…良いのか?こんなとんでもない物を作らせて」添付されていた仕様書を見ながら主任が言った。

「なぁに連中にはちょっとした貸しがあってね」技師長はにやりと笑う。

「いやしかし『彼』にこれが全部制御しきれるとは…」

「いやそれは違うな」技師長が主任の言葉を遮る。

「『彼』はとっくに独立系AIを超えているよ。『彼』は…」

「『彼』は何だと言うんだい?」主任が問い返す。

「…別な何かだ…」技師長の目は笑っていなかった。

「それにな今度女の子デートするんだろ?みすぼらしい仮ボディじゃ可哀想だろ」技師長が笑う。

「いやだからと言ってここまでするか?普通。それに『彼』は疑似人格ADとしてのエントリーだし」

「おや?それは大会に限っての事だと俺は理解してるんだがね。カラーコンタクトしときゃバレやしないって」

「本部長が頭を抱えてる姿が目に浮かぶよ」主任はやれやれ言う仕草をした。
59 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:28:57.70 ID:6RZgKvYo

「それじゃ準備はいいかな?」主任が『彼』に言う。

「通常は外部の転送システムを使って行うんだが…技師長の見解では君は自力で新しいボディへ移行出来るはずだと言う事だ」

「やってみるかい?無理だったら外部システムを使う方向に切り替えるが」

「…やってみます」『彼』は決意した様である。

「では仮ボディから新規ボディへの回路を接続する」技師長が言う。

「接続から転送のシーケンスは新規ボディの方に組み込んであるからそれを基本に君自身でやってみなさい」

「それと新しい感覚機構や制御機構のプロトコルも組み込んである。君なら全て自力で再構築出来るよ」

「はい」『彼』は目を閉じて新ボディへと開かれたインターフェースに集中する。

「よし良いぞ。そうだ」技師長がモニターを見ながら呟く。

既に転送が始まったらしく『彼』は微動だにしない。

「…凄いな」モニターに表示される『彼』の状態を見て主任が息を呑む。

「だろ?独立系AIじゃ、こんな事出来ないぜ」
60 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:29:41.00 ID:6RZgKvYo
『彼』は戸惑っていた。狭い通路を通り抜ける様な窮屈な感じを味わい戸惑いながらも新しいボディへ自分を適応させようとしていた。

それまで無かった感覚や制御機構、サブシステム、今までのボディとは桁違いの情報量。

それら一つ一つを手繰り寄せては正しい場所へとはめ込んで行く。

『彼』にとって無限に続くかと思える中でその瞬間は突然やって来る。
61 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:30:04.69 ID:6RZgKvYo

「よし!完全に移行したぞ!」技師長が歓喜の声を上げる。

「見ろよ!見事なまでに仮ボディの方は空っぽだ。そして彼は新しいボディに自分を適合させようとしている!」

「…信じられないな。いやこれが現実に起こっているんだな」主任は呆然とする。

「うん…いいぞ、そうだ。頑張れ…」技師長が言う。

モニターシステムに『彼』が新しいボディに適応して行く様が刻々と表示されていく。
62 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:30:26.95 ID:6RZgKvYo

そ し て そ の 時 が 来 た
63 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:30:53.85 ID:6RZgKvYo

『彼』はゆっくりと目を開ける。そして今までに感じた事が無い感覚がある事に気づく。

「(…なんだろう…)」彼の無意識に組み込まれたシーケンスが『彼』に息を吸い込ませる。

「(…これって…『匂い』?)」

息を吐く。自分の呼気が皮膚にあたる感覚。そして口の中に感じる未知の感覚。膨大な情報量が『彼』を一瞬混乱させる。

その時に『彼』を覗き込む見慣れた、そして心配そうな顔に気付く。

「大丈夫か?私が分かるかい?」主任が『彼』に話しかける。

「ひゅにんひゃん…はれ?(主任さん…あれ?)」

「ははは、まだ発声の為の舌とか唇とかを動かすプロトコルに慣れてないみたいだな」技師長が愉快そうに言う。

「君ならすぐに上手になるよ。それと仮ボディに比べて情報量が格段に増えているから、何かおかしいと感じたらすぐ言ってくれ」

「へっほぉ…はっほくなんれしゅが…くひのなはが…(えっとぉ…さっそくなんですが…口の中がなんとなく)」

「ん?ああ、口の中が変な感じがするのか。味覚のせいだな。口を濯いだりするうち慣れるよ」

「ほんほれすゆかは?(ホントですかぁ?)」『彼』は不安そうな表情をした。
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/12(火) 20:31:32.67 ID:4uZlw9oo
おお〜
65 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:35:28.91 ID:6RZgKvYo

何日か過ぎ新しいボディに慣れたら頃『彼』が言った。

「主任さん、助手さんのお見舞いに行っていいですか?」発声もすっかり元通り、いや合成音声では無いのでより自然である。

「…うん?そうだね。助手にも君を会わせないとな。面会できるか聞いてみるよ」

「助手さん、まだ戻ってこれないんですか?」

「うん、まだまだ治療を続けないとダメらしいんだ」主任はそう言うと助手の入院先に確認を取る。

「面会OKだ。今から行こう」

「はい!助手さんに会えるの嬉しいです」『彼』の声が弾む。

主任と一緒に『彼』は助手が入院している病室へ向かう。

「良く来てくれたね」助手はベッドに腰掛けて『彼』と主任を迎えた。

そして手を伸ばし『彼』の頭に手を乗せてクシャクシャとする。

『彼』は嬉しそうな表情をする、と同時に以前とは違う感覚を感じた。

助手のぬくもりや指先の感触、『彼』にとって助手のこの行為は更に好ましい物となった。

66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/12(火) 20:39:38.19 ID:zaYiOKIo
中二病的な要素が無くむしろ純粋な子供ってかんじだけど
元魔王がかわいいのでどうでもいいか
67 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:41:23.20 ID:6RZgKvYo
>>66
その辺りは物語のもっと後で明らかにするつもり。
今日はここまででスマン。
まだデートの描写を四苦八苦しながら書いている。
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/12(火) 20:42:46.12 ID:.ZxMqtg0
ひゅにんひゃんでちんちんおっきしました
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/12(火) 20:47:08.00 ID:zaYiOKIo
おおそうなのか
先に期待期待

日常生活に支障をきたさない程度に頑張って
70 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/12(火) 20:51:05.08 ID:6RZgKvYo
>>68には一生童貞の呪いをかけた。この呪いは解くことが出来ないので悪しからず。
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/13(水) 15:50:31.57 ID:En6FhUU0
いいんだよ俺は二次元で満足してるから
あ、でも処女は>>1にあげてもいいよ^^
72 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/13(水) 18:48:00.68 ID:cUtlNfMo
>>1は元ちとせ・カッシーニ初回限定版を手に入れた!

>>1は聞き入っている!

>>1は続きを書いていない!
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/13(水) 19:26:27.70 ID:xygmaewo
>>1
続き期待してまってるぜ!ww
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/13(水) 19:26:45.88 ID:7eSDa3Eo
有名どころよりそのへんの大人なねーちゃんが地味なポジションで歌ってる歌のが
聞いてておちつくよね UAとかこじままゆみの昔のとかそんな感じの
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/13(水) 19:41:14.33 ID:OVp4bB.o
書いてから来い
元魔王たんを書いてない貴様に用は無い
76 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/13(水) 20:36:28.21 ID:cUtlNfMo

「準備は出来たかい?」主任が『彼』に聞く。

『彼』の目にはカラーコンタクトが装着され、外観は全く人間と見分けがつかない。

「はーい」『彼』が答える「こんな感じにしたんですけど…どうですか?」

「うんまあ、初デートにしちゃあ良いんじゃねぇか?」技師長の言葉に『彼』はきょとんとする。

「今日は私たちは一緒に行けないから、これを持って行きなさい」主任がコミュツールを渡す。

「それには俺と主任のポケットマネーから小遣い入れておいたから自由に使って来い」

「流石にこればかりは主計局に回す訳にゃいかねえしな」技師長が愉快そうに言う。

「こんにちはー。迎えに来ました」少女がドアからひょこっと顔を出す。

「ああ、いらっしゃ…い」彼女の姿を見て主任と技師長は目が点になった。

「あれ?何かおかしいですか?」少女が言う。

「いや嬢ちゃん、その格好は…?」技師長が思わず言ってしまう。

「これですか?ゴスロリって言うんです。大昔に極東のJエリアで流行ったんですけど最近リバイバルなんですよ」

「変ですか?」少女が言う。

「いやお人形さんみたいで可愛いと思うよ。うん」主任が取り繕うように言う。

「じゃあ『彼』の事は頼んだぜ。ほら行った行った」戸惑う『彼』の背中を技師長がドンと押した。

「さ、行きましょ」少女が彼の手を取る。

「あの、そ、それじゃ行って来ます」『彼』は少女に引っ張られる様に出かけていった。
77 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/13(水) 20:39:16.87 ID:cUtlNfMo

「それじゃヒマなオヤジ二人で若い二人のデートの覗きとしゃれ込みますか」

技師長がモニターシステム前に陣取りながら言う。

「覗きって…さっき渡したコミュで『彼』のデータをモニター以外する事が無いじゃないか…っておい!」

そこには出かけていく『彼』と少女の姿が映っている。

「なに、セキュリティシステムからちょこっとデータを横流しして貰うだけさ。問題ない」主任が言う。

「君…まさかシティ中のシステムに…」

「そうでなくちゃ覗きの意味がないだろ?休日返上だしこれくらい良いだろう。それにコミュを通して会話も聞ける」

豪快に笑う技師長、呆れる主任。

「真面目な話な、『彼』の変質と言うか変容の鍵を彼女が握ってる気がするんでね」

「そう言えば本部長が彼女との外出をすんなり許可したね」

「おっつけ本部長も来るつもりなんだろ。その時に聞こうか」

「さてと俺たちゃ今日一日ここから動けない訳だが、昼飯はデリバリーサービスでも頼むか?」
78 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/13(水) 20:41:04.19 ID:cUtlNfMo
この後は週末まで書き上げて一気に上げる。
諸君らがニヤニヤできる描写が出来るかどうかは
私には自身は無いが鋭意努力する所存である。
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/13(水) 20:45:07.36 ID:xygmaewo
>>1
上層部は貴殿の実績を評価している。
惑わされる事の無き様、自分の世界を表現されよ!
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/13(水) 20:50:43.60 ID:OVp4bB.o
うむ
がんばってくれたまえ
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/13(水) 21:19:08.06 ID:En6FhUU0
がんばれ応援してる
ちんこ
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/16(土) 13:53:04.17 ID:kj/gbCIo
週末
83 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/05/16(土) 20:46:34.65 ID:pTyy3QUo
帰りたいのに帰れない〜♪

仕事がね…うん、すまない。
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/16(土) 20:48:10.91 ID:7Yks932o
仕事がんばーれ
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/16(土) 20:51:19.83 ID:BeCEd.AO
無理はするなぃ〜
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/16(土) 22:46:11.97 ID:pbwjbRs0
仕事がんばれ
ちんこ
87 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv [sage]:2009/05/21(木) 20:02:48.89 ID:4c36Ic2o
a
88 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv [sage]:2009/05/23(土) 18:23:32.54 ID:kvPBckAO
待つ
89 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv [sage]:2009/05/24(日) 22:20:26.32 ID:lDhvFO6o
規制か?
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/19(金) 18:19:57.44 ID:K6Mpc/Uo
・・・まだー?
91 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/10(金) 22:51:23.85 ID:7mmncZko
ちと色々ありすぎて書けなかった orz
今は毎日が日曜日(笑)になったのでぼちぼち書いて行きます
92 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/10(金) 22:55:57.24 ID:7mmncZko

管理区域外へ出てターミナルへ向かう道すがら少女が『彼』に話しかける。
「えっとね、シティに着いたらお願いがあるんだけど」
「なんでしょうか?」『彼』はきょとんとして答える。
「君の服とか選ばせて、お願い♪」少女の目がキラキラと輝く。
「え?この格好…おかしいですか?」
「ううん、おかしくないけど…」
「けど、何でしょう?」
「もっと可愛くなると思うんだよね♪」
『彼』は不思議そうな不安そうな顔で少女を見る。
「えっと…でも服とか買っちゃうとお小遣いが…」
「大丈夫。お姉ちゃんにまかせなさい♪うふふふふふ」

一方モニタールームのオッサン2人は怪訝な表情である
「なんか嬢ちゃんが不穏な事を言ってるなぁ」
「特に最後の含み笑いがね…」
「おお、やってるね。休日出勤ご苦労さん。差し入れも持って来たよ」本部長が彼らの所に訪れた。
「本部長こそお疲れ様です」
「いやぁ差し入れだなんて申し訳ないですね。これで面子が揃った訳だ」
「あ〜ところで本部長、来て頂いて早々なんですが」技師長が言う。
「昼飯のデリバリー頼みますか?」
「それなら心配いらんよ。娘がランチボックス持たせてくれたからね」
本部長は嬉しそうに可愛らしいクマさん模様の袋を彼らに見せた。
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 22:58:56.42 ID:t949TG6o
おう
待ってたぞ
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/10(金) 23:20:25.87 ID:l1Gaqh20
おかえり
95 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/10(金) 23:35:50.01 ID:7mmncZko

シティのターミナルに到着し外に出た時『彼』は困惑した。
そこは管理区画と違い様々な光、色、音、匂いに溢れており瞬間的に膨大な量の情報がセンサーから流れ込んで来る。
『彼』は人間で言う目眩の様な感覚に襲われてその場にしゃがみ込んでしまった。
「だいじょうぶ?」少女が心配そうに『彼』の背中に手を置きながら顔を覗き込んだ。
その瞬間『彼』の内部では各センサーの処理ルーチン群が『彼』の識意識が向いた情報のみフィルタリングする様に改変が開始された。そしてその作業はほんの数秒で完了する。
「あ、はい。もうだいじょうぶです…ちょっといつもより情報量が多かったので…」
「良かったぁ」少女はほっとした表情になる。『彼』は少女に尋ねた。
「お姉さん、あの…」
「なぁに?」
「人間はどうやってこんな沢山の情報を処理してるんですか?」
「え?」少女は思いがけない質問に戸惑う。
「そんなに多いの?あたしは意識した事ないから分からないなぁ…」
「答えになっていないよね、ごめんね」
「え、あ、あのいいんです。お姉さんを困らせる為に言った訳じゃありませんから」
『彼』は思う。「(人間って無意識にこんな事が出来ちゃってるんだ。もっと人間の事を知らなくちゃ)」


一方隠し砦の三悪人もといモニタールームのオッサン達は変な方向で盛り上がっていた
「本部長、差し入れて頂いたこの菓子美味いですね。カキノタネ?ですか。初めて食いますよ」
「妹夫婦がJエリアに住んでいてね、そこではポピュラーなお菓子らしいよ」
「それにしても本部長、スニッカーズやら何やら見事に子供の菓子系ばかりですね」
「いやその娘に買ってきて貰ったものでね…」
「本部長は絶対にアレですね。娘さんが彼氏なんて連れて来ようもんなら」
「うんうん、分かるわ」
「君たち、娘はまだジュニアハイスクールに入ったばかりなんだぞ?彼氏なんて言うものはだな」
「ちょっと待って下さい!これ!」モニターを見ていた主任が声を上げる。
「!?」
「こりゃ凄え…自力でインターフェース関連を組み変えやがった」技師長が満足げな笑みを浮かべながら言う。
「前後の映像・音声は記録してるよな?」「ああ、ばっちりだ」
「これだけでも研究資料としては特Aクラスだな」
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/11(土) 09:02:49.81 ID:h6v1iHQo
  /゙ミヽ、,,__,,/゙ヽ.:+_,,/゙ヽ: :.+ 
ワク. | ノ      ヽノ     ヽ+.:  
:.ワク/  ●   ● | ●   ● | ネコ   
  ミ  ''ミ(__,▼_)彡''ミ(__,▼_)''ミ ネコ 
. /  ._  |_/__ノヽ__  |_/__ノヽ
 -(___.)─(__)__.)─(__)─
97 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/11(土) 11:41:41.05 ID:dNzc/fco

「ホントにだいじょうぶ?」少女が繰り返し聞くと『彼』は元気良く答えた。
「うん!だいじょうぶです」
「それじゃ行こう。えっと確かあのお店はこっちよね」
有無を言わさず少女は『彼』の手を取ると目的の方向へと歩き出した。
「ちょ、お姉さん、待ってください!ころんじゃいます!」『彼』は足をもつれさせながら引っ張られて行く。
「急がないと時間がもったいないでしょ?さ、早く」少女の声は心なしか弾んでいるように聞こえる。
またその時『彼』は少女の手の温もりや力の入れ方等から『心地よいもの』を感じていた。
それは助手がいつも『彼』の頭をクシャクシャっとする時ととはまた違う何かである。
それは『彼』にとっては心地よいものの一つになっていく。
『彼』の手を繋ぎながら少女が言う
「それとね、これから敬語は使わないでね。そしてあたしの事は『おねえちゃん』って呼ぶこと。分かった?」
「どうしてですか?」
少女は少し考えそして言う「不自然だからよ。理由は帰ってから説明するね」
「…は…うん、わかった」『彼』は素直に従う。
「大変よろしい」少女は嬉しそうに微笑む。


一方オッ(ry
「本部長、一つ聞きたい事があったんですけどね」技師長が口を開く。
「なんだね?」
「なんであの嬢ちゃん同行で外出を許可したんすか?」
「私もそれが知りたいですね。管理区域内に居るとは言え彼女は部外者なんですから」
「ああ、それか。それについてはこれを見てくれ」
本部長はモニターの片隅にあるデータを呼び出す。
「これはあの嬢ちゃんの…そう言う事ですか。ちょっと本部長を見直しましたよ」技師長らしく無いしんみりした話し方である。
「まぁ、それもあるがこの事が『彼』の形成過程に良い影響を与えるんじゃないかと思ったからね」
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/11(土) 16:16:18.00 ID:3qhupADO
hage
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/21(火) 01:28:26.48 ID:xTKNQBQo
おい
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/22(水) 00:12:41.09 ID:zLJ9FEAO
続き…(´・ω・`)
101 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/24(金) 19:51:35.71 ID:8wgR.1co

「着いた〜♪ここよ」少女が言う。
そこは「オーダーメイドのブティック・ジブラルタル」と書かれた看板が掲げられた店の前である。
「さ、入るわよ。こんにちは〜」店内へと『彼』の手を引きながら入って行くと店内から野太い声が応える。
「いらっ〜しゃい。あらぁお久しぶりねぇ♪」ピンクで統一されたロリータファッションで着飾った屈強の店主が現れた。顎は割れそりヒゲの剃り跡が青々としている。
「店長さん、おひさしぶりです」少女が応える。
「ホント最近来ないから寂しかったわよ。あら?こっちの子は、はじめましてかしら?」
「こんにちは、はじめまして」『彼』はおどおどしながら言う。『彼』はタイプの人種を見た事が無かったので多少戸惑う。
「あらあら、カワイイわね♪今日のお客様はこの子かしら?」店主が少女に問いかける。
「はい、この子あたしの親戚で、今日シティを案内するついでにもっと可愛くしようと思って♪」
「そーねー、この子だとこの辺とかあの辺が良いんじゃないかしら?」
「え〜でも、ボーイッシュな方が今日のあたしと合いませんか?」
「ん〜そうねぇ。じゃぁこれとかこれの組み合わせでどう?」
「あ!それカワイイです!絶対『彼』に似合うわ♪」少女が嬉しそうに言う。
「じゃ、これで決まりね♪ほらそこのボク、突っ立てないでこっちに来なさい。採寸するからね♪」
何がなんだか分からずにきょとんと立ちつくしている『彼』に店主がウインクしながら言った。

さてこの店での服作りの手順は現代のそれと殆ど違いが無い。違いがあるとすれば全てが機械化されており仮縫いの必要が無い点である。採寸は対象を三次元測定する事で行い裁断や縫製は全て自動機とロボットが行うのである。

「仕上がりまでどれくらいですか?」少女が尋ねる。
「いつも通り30分くらいでOKよ。待ってる間に上でお茶でも飲んでてね。出来上がったらお知らせするわ」
「はーい。じゃ出来上がるまでお茶しとこ。いくわよ」少女は『彼』の手を取る。
「うん…お姉ちゃん」『彼』がそう答えると少女は嬉しそうに微笑んだ。
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 20:11:17.46 ID:agP1rQIo
キタ!
103 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/24(金) 20:26:46.81 ID:8wgR.1co

店の上階はセルフの喫茶室になっていて窓辺から通りが一望出来るようになっている。
少女はハーブティー2人分を入れると窓辺で外を見ている『彼』の座るテーブルに向かう。
「はい、どーぞ♪」『彼』の前にティーカップを置く。
「お姉ちゃん、ありがとう」
「2食分くらいなら飲んだり食べたりしても大丈夫って技師長さんから聞いてるわ」
「服が出来上がるのがお昼ぐらいだから、着替えたら美味しい物食べよね♪そのあとはね…」
少女の話を聞きながら『彼』はハーブティーを少し口に含んだ。初めてのその香りと味は『彼』の中で好ましい物となる。


「お二人さん、出来たわよ。降りていらっしゃい」
「はーい!今いきまーす。さ、行くわよ♪」
とたとたと2人が階段を降りていくと『彼』用に誂えた服を持ち店長が待ちかまえていた。
「これ、早速着ていくんでしょ?空いてるフィッティングルーム使ってね」
「はい、ありがとうございます」少女は店長から受け取った服を『彼』に渡しながら言う。
「1人で着替え出来る?」
「うん…たぶんだいじようぶだと思う」
「ほんと?」
「だいじょうぶだって!」『彼』は思わず大きな声を出しながら考える。
「(あれ?なんだろ?この感じって?)」『彼』は戸惑う。
「ふふん♪後で助けてって言ってもダメだからね♪」
「き、着られるもん!」

=====5分後======
「お、お姉ちゃん?あの…」
「あら〜?どうしたのかな〜?」
「着方教えて…」
「んふふふふ〜♪降参?」
「ぅう…ごめんなさい」
「いいのよ。手伝ってあげる♪」

104 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/07/24(金) 20:30:01.60 ID:8wgR.1co
さてこの続きであるが

@>>1が元々考えてた特にニヨニヨしない展開
A皆が望んでいるであろうニヨニヨ展開

どっちが良いかのう…
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 20:42:09.48 ID:agP1rQIo
微笑ましい展開もニヨニヨ展開も私は好物である
1の書きやすそうな方を書いてほしい
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/07/24(金) 21:29:41.70 ID:I3wxvkAO
どちらにしてもニヨニヨするから大丈夫だ!
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 00:55:09.43 ID:n7Vm31oo
はやくニヨニヨさせろ
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/21(金) 01:28:55.80 ID:ydnQdcAO
待ち構えておる…
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/12(土) 03:09:29.68 ID:D8RmjgAO
まだまだか
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 17:54:34.84 ID:xZWhEYAO
もう需要ないですよね?
111 :1 ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/09/16(水) 10:31:27.13 ID:rzLw6jUo
実は>>1なんて居なかったんだよ



最初の頃からノリも文体も変わってしまい
今更ながらきちんとした形で書き直そうと
思っております(伏線で破綻しそうな所もあるし)

現在とある資格取得やら再就職やらで忙しく
発表はまだ先で別な場所で行う事になりそうです。

読んで頂いていた方々には、
全く以て手前勝手な理由で中断してしまい
申し訳なく思っております

それではノシ
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/18(金) 01:22:14.48 ID:lZ5mCUAO
見に来るの週一程度だったから反応遅れたなしかし

>>111
>現在とある資格取得やら再就職やらで忙しく
再就職ナカーマ

>発表はまだ先で別な場所で行う事になりそうです。
その際には知らせて貰えると嬉しい次第
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/19(土) 10:30:18.76 ID:CGkW9QMo
出来たら教えろ
114 : ◆.F9VO4BsVg [sage]:2009/10/12(月) 09:40:03.88 ID:vqb1uoMo
IDてすつ
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/12(月) 09:41:11.07 ID:vqb1uoMo
つーか酉てすつだた。スマソ
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