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ここだけ不思議の新世界★13 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :安西レイカ / 音を操るへっぽこ探偵 [sage saga]:2013/01/14(月) 20:22:58.79 ID:F+EI3/Rp0
ようこそ、異能使いが存在するもう一つの世界へ


ここは超能力者や魔術師などが存在するもう一つの世界。
今は、度重なるテロや紛争、そして大国同士の戦争で世界は荒れ、いたるところに戦乱の傷痕が残されている、混沌とした時代である。
しかしそんな世界でも、人々は逞しく生きていくものだ。
あるものは学生として、あるものは賞金稼ぎとして、警官、会社員、傭兵、公務員。皆が皆、生きるために足掻き、時に笑い、時に泣き、怒り喜んだりしながら今を精一杯生きている。
このスレはそんな彼らの足跡を記した、一つの物語。


そしてあなたたちは、その目撃者にして当事者でもあるのだ。


ここだけ不思議の新世界Wiki
http://www50.atwiki.jp/tf141/

ここだけ不思議の新世界@掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/internet/16555/

※前スレ
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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714194866/

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

2 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:20%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/14(月) 20:37:21.13 ID:bZBZTjFIO
//>>1乙です

>>998
「床が・・・溶けていく!?」
「・・・ということはあの液は酸か何か何だろうか」

などと言いながら、少し遠い場所からリザードマンやエミリアとレイカの様子を見ている。

「・・・でもさっきのは聞いているっぽいなぁ」

再び右手にエネルギー球を作り出す。

「次はこれで・・・・えいやっ!」

そう叫ぶと球体を投げるように床にぶつける。
すると球体が4つの小さな球体に分裂する。
・・・そして壁や床で不規則に跳ね返っていく。
3 :安西レイカ / 音を操るへっぽこ探偵 [sage saga]:2013/01/14(月) 20:45:39.41 ID:F+EI3/Rp0
>>998

「なんてこった! 木星蜥蜴はエイリアンだったぜ!」

腐蝕体液が漏れ出るのを見て軽口を叩くが、内心はそれなりに気負っている。
射出は防いで見せたが野放図に毒液が広がったのは安西のミスだ。
――私がどうにかせねば。

「Стой(ストーイ/止まれ)!」

先ほどの勢いのまま後方に下がりながら、今度はリザードマンの眉間を照門の先に捉えた。
同じように二度撃ち、動きを止めたリザードマンにショック死せんばかりの轟音をかましに行く。
これほど音量を上げて制御するのは骨だ。額に浮かぶ汗の玉。

このあたりで、>>1000のクリオネによるアイアン・メイデン攻撃を確認する。
胸をなでおろす……には、まだ遅い。最後の力を振り絞りブン回される尻尾、飛び散る体液!

「блядь(ヴリャーチ/クソがぁっ)!

恐ろしげなロシアンスラングで叫び、彼女はコートを脱ぎ闘牛士めいて広げ、エミリアの前に立った。
これで飛散する体液のダメージを最小限に抑えながら、更に後退しようというのだ。
結果として液体はいくつか浴びてしまい。
肩や首筋に火傷のような痕が残り、服も少し穴があいて、豊満なバストが覗く。

「……ぬぁあーっ!?」

そして尻尾が彼女の足をかすめ、姿勢を崩しかけた――!!
4 :苅田 眞 [sage]:2013/01/14(月) 20:46:36.07 ID:tLbakcRDo
>>1
おつかれさまです!

>>998
「うっーわ、汚ね!」

喉から漏れ出した体液があたりに漏れ出すのを見て
思わず口と鼻を左手で押さえた。しかし武器を取られ
喉は撃たれのリザードマンに少し同情したくなってきた。

そんな事を内面思いつつも彼はリザードマンから距離を
少しとる。というより前に騎士っぽい人形がいるから恐らく
こちらにはかかってこないだろうが。

「けれど正当防衛だからしょうがないね!」

彼は落ちていたブーメランともう片方の手に大きめのブーメランを
作り出し、それぞれNとSにしてななめに傾け投げつける。
ブーメランはまっすぐに近い弧を描いてリザードマンをはさむところで
突然水平になり、そして超磁力によってひきつられ、風を切る加速の
音を鳴らしながら喉に向かう。

その姿はまるでブーメランのギロチン。だが切れるわけではなく、
当たればせいぜい首の骨が折れるだけだろう。
5 :シンラ・アマツキ :2013/01/14(月) 20:55:27.39 ID:y+UsJoUR0
>>999

「はは、ドラちゃんは賢いねぇ」

手を伸ばした先に、彼女は居ない
振り替えれば 仁王立ちの彼女

(僕より長生きねぇ、クララの方がよっぽど淑女だけれど)

「規則も 誇りも在るさ ましてや愛なんて 僕の存在意義でもある」
「まずは誇り。 僕は生命を無意味に奪うものしか殺さない。 生命が一つでも守られるなら、僕はエゴイストの怪物で良い」
「次いで規則。 僕は生命に優劣を付けない。 鳥も 豚も 牛も 人も みんな一つの命」

命の価値観は『1
6 :シンラ・アマツキ :2013/01/14(月) 21:06:28.90 ID:y+UsJoUR0
とぎれてら!

>>999

「はは、ドラちゃんは賢いねぇ」

手を伸ばした先に、彼女は居ない
振り替えれば 仁王立ちの彼女

(僕より長生きねぇ、クララの方がよっぽど淑女だけれど)

「規則も 誇りも在るさ ましてや愛なんて 僕の存在意義でもある」
「まずは誇り。 僕は生命を無意味に奪うものしか殺さない。 生命が一つでも守られるなら、僕はエゴイストの怪物で良い」
「次いで規則。 僕は生命に優劣を付けない。 鳥も 豚も 牛も 人も みんな一つの命」

命の価値観は『1
7 :シンラ :2013/01/14(月) 21:08:15.24 ID:y+UsJoUR0
>>6
続き......
『1
8 :シンラ :2013/01/14(月) 21:10:37.98 ID:y+UsJoUR0
>>7
/何故に途切れるぅ!?

『1

9 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/14(月) 21:11:09.66 ID:jxmE5UTwo
>>前1000>>2>>3>>4

レイカの銃撃が、再びリザードマンの頭蓋を叩く───
脳を破裂させんばかりの大音響に、それはもう一度体を捩じらせて。

「……危ない!」

尾による一撃を、エミリアは魔法の箒を呼集し、それに掴まる事で回避していた。
転倒しかけたレイカへ片手を伸ばし、彼女の名を叫びながら、その手を掴もうとする。

掴むのに失敗すれば、レイカは足元に出来た酸の水たまりの上に倒れ伏す──かもしれない。

それと同時、蒼香の魔力弾と眞のブーメランがリザードマンに直撃し──
屈強な体躯故、それぞれ致命傷には至らないものの、その一撃を以て、巨躯がアイアンメイデンの内部へと叩き込まれる!


「……終わった、かな?」

断末魔を上げて、アイアンメイデンの内部を尚も腐食させながら──やがてリザードマンは絶命して。
やれやれ、といった具合に、エミリアはローブやスカートに付着し、穴を開けた酸を見遣るのだった。
10 :シンラ :2013/01/14(月) 21:11:40.83 ID:y+UsJoUR0
>>7
/連投すいませぬ......


一人の人間よりも 二匹の鳥の方が 命は重い

だが、例外はある

「最後に、愛。 僕は奪った命を無駄にはしない」
「死体は妹が食べるし、身ぐるみは家族と生活する為の糧になる」

まるで、自分に言い聞かせるように
少年は 淡々と語る

「そして、歓迎する準備の答えもいっしょ」
「家には素敵な家族がいるの」

「僕の帰路を邪魔する者は、僕は何人足りとも許さない」

「後の判断は君に任せるよ」
「僕も最近、自分がわからなくなってきてるから」
11 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:小さな人形 [saga]:2013/01/14(月) 21:21:59.00 ID:XQGjRdPJo
>>9
「まぁこんなものね」

腐食していくアイアンメイデンを消し、リザードマンの死体を目につぶやく。
実際、多彩な攻撃手段を持つメンバーで良かったなと内心思うのであった。

「んじゃさっさと進もうよ」

展開していたドールを消し、一歩踏み出す。
12 :ヴラド・ドラクリヤ [sage]:2013/01/14(月) 21:23:23.98 ID:YxLrLNIBo
>>10
「ドラちゃん……?
 これでそなたは、ブッダの顔を三発殴ったぞ
 余の器の大きさはそろそろ測り終わったか?」

先程と比べ、彼女の目尻がつり上がっているような、そんな気がする
お前が無礼を働くのはもう三度目だ、彼女はそう叫びたいのだろう

小さくその肩は震え、この程度のことで彼女は我慢の限界を迎えそうだ

「……ふん、偉そうに
 だが、まあ、及第点はくれてやろう
 我が<正義>の敵ではない……としよう」

其の台詞をどの口が言うのか
そう言いたくなるような、そんな態度
彼の規則も、誇りの、愛も彼女は認めた、のだろうか?

「『酒の中に真実はある』
 余の国ではそういうのだよ、その言葉の真実は一献交わした後に測るとする
 そなたの家に案内すると良い、余を家に招く其の喜びを噛み締めながらな!」
13 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:10%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/14(月) 21:25:05.51 ID:bZBZTjFIO
>>9
「・・・終わった・・・の?」

絶命したリザードマンの様子を近づきながら見る

「・・・とりあえずこれで一件落着ね」

刀を鞘に戻し、眼帯の光が少し暗くなる
14 :安西レイカ / 音を操るへっぽこ探偵 [sage saga]:2013/01/14(月) 21:26:30.09 ID:F+EI3/Rp0
>>9

間一髪、崩れ落ちていくレイカの身体をエミリアの手が引っ張りあげる。
下方に目を凝らせば薬莢が酸の池に落ち、煙を立てながら崩壊していく所だった。
場馴れした探偵とはいえ、背筋がこごえるのを感じる。

「柔らかい手だ……ん、ありがとうな」

自分よりずっと小さく見える少女に助けられたからか、或いは手を強く握り合ったからか。
頬を桜色に染めながら、レイカはぼんやりした頭でお礼の言葉を紡いだ。

さて、安全な所に飛び降りて……リザードマンの死を確認。
ハンカチで汗、そして酸を拭い、使い物にならなくなったそれを投げ捨ててしまう。
できれば、早く清水で洗っておきたい所だ。

「ヤレヤレ、みんな大丈夫みたいだ。ダメなのは私のコートだけか……」

幸いコートの内側は濡らされていないようなので羽織り直す。しかし、買い替えは必須だろう。

「近くにはもうこれ以上いないようだが、油断は禁物だな。
 犬走りを右に行けば、下の層に行けるようだが……」

周りの安全を確認すると、酸溜まりを辟易した半目で一瞥しながら歩き出す。
リザードマンの死体には興味が無いというか、触れる手段がない。
15 :苅田 眞[ [sage]:2013/01/14(月) 21:31:18.33 ID:tLbakcRDo
>>9

「アイアンメイデンとかグロいなぁ・・・。アレ拷問器具だぜ」
引いた声でリザードマンの死体を見た。グロい。おそらく
あの攻撃を繰り出した人間は間違いなくドSだ。間違いない。

終わった。そんな事を思いながらまた再び金属探知機、
ダウジング棒を出す。なにがあるかはわからない。

「酸に気をつけて進みますか。」
16 :シンラ :2013/01/14(月) 21:36:33.79 ID:DxnOfTEw0
>>12

「ん...ダメかな、ドラちゃん。 我ながら可愛いと思ったのに」

どうやら、彼女は『正義』を掲げているらしい
少年に正義は分からない。 悪は分かるけれど、正義は難しい
故に 確固たるそれを持つ彼女に 少しだけ 尊敬の意を込めて

「じゃぁ、お姉様。これが 駄目なら他の呼び方を教えてね? 」

「でも、僕...お酒飲めるかなぁ……」
「まぁ、いいや。 行こうか 僕らのあったかいお家に」


此処から数分程歩けば
とあるマンションの一室に辿り着くだろう

少年は其所に彼女を招き入れ
笑顔で訪ねる

「お酒、ワインしか無いけど大丈夫? 」

本当に のむきらしい
17 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/14(月) 21:40:54.87 ID:jxmE5UTwo
>>11>>13>>14>>15

リザードマンを退け、一行は件の、キャットウォークのある部屋に辿りつく。
入ってすぐの位置に階段があり、そこから一階へと下る事が出来た。

「……地底湖、かな」「それと……扉…?」

高さ10m、幅も10m程の、正方形の部屋の壁面のうち、一辺は巨大な扉が占めていて。
その向かいには壁面自体が無く、洞穴に隣接していた──深い地底湖で、かなり奥まで続いているようだった。

「文字が書いてある──けど、読めないよ」「未知の言語……?ごめんなさい、力にはなれなさそう」

エミリアが扉の方へと歩み寄り、そこに刻まれていた文字らしき記号を見るけれど。
どうやら彼女には読む事が出来ず、首を振って扉を押してみる──どうやら、開かない。

【正方形の部屋、一辺には閉ざされた扉と、その反対に地底湖への入り口】
【加えて、石で構成された構造物の所々に、腐食した後と焦げ跡、そして赤い浸みがあるのに気付けるだろうか】
18 :ヴラド・ドラクリヤ [sage]:2013/01/14(月) 21:45:54.39 ID:YxLrLNIBo
>>16
「駄目だとは言っているだろう!
 余をからかっているのか、串刺すぞ!」

くわーっと、目を見開き怒鳴りつける
だが、小柄な彼女ではあまりに迫力にかけていた

「姉、と敬うか
 ドラちゃんに比べれば、それも悪くはない」

許可する、そう言って小さく頷いた頃には、マンションの一室にたどり着いていた

「嗚呼、ワインならば赤だろうな?
 余は赤でなければならない
 ワイン以外ならば、ビールかウォッカでも許そうではないか!」

フハハハ、と先程も聞いたような高笑い

そしてグラスを掲げ、その容姿には似つかわしくない大人びた笑みを浮かべるのだった

//すみません一旦落ちます
19 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/14(月) 21:52:36.28 ID:2qe8frGlo
 ある廃ビルの地下駐車場。そこはあるテロリスト集団のアジトだった。
 彼らは都市内での爆破テロを計画していた。しかしその情報が漏れた。

 当然公安機関か賞金稼ぎの出番だ。今回は傭兵達が先んじて乗り込んだ。
 仕事を受けた賞金稼ぎ達は三人兄妹で長男、次男、長女のチーム。
 しかし彼らが乗り込んだ時にはすでに、
 さらに先に仕事を終わらせていた個人ヒーロー"ホワイトバード"が仕事を終わらせていた。

 その後の話だ。ホワイトバードはテロリストの狙撃手一人をわざと生かし、
 彼には突入してきた傭兵たちに勝ち残れば見逃してやると約束していた。
 そして、テロリストの生き残りに自分のライフルを与え傭兵の二人を撃たせた。
 ややこしい話かもしれないが、ここで起こった事柄を簡潔に述べるとこうなる。

 結果はこうだ。一対三の戦いで最後のテロリストの狙撃手は死亡。
 そして次男と長女は毒の仕込まれた弾丸を食らって意識が朦朧としていた。
 傭兵チームの長男はここで今何が起こっているのか理解できない様子だ。
「状況を理解できないと君の弟と妹が死ぬよ。さあ、選択の時だ。」
 白鳥の発言、発声でようやく我を取り戻す傭兵チームの長男。
「ホワイトバード?リストに載っていたな。あんたヒーローだろ。
 この反応はただ被弾しただけじゃ説明がつかない。何が起こっているんだ?」
 弟と妹を心配する傭兵にホワイトバード、白鳥は笑みを浮かべながら答える。
「起こったんじゃないよ。起こしたんだ。テロリストに反撃のチャンスを与えてやったのさ。
 そして、彼は君達のうちの二人に毒針を仕込んだ弾頭のついた弾丸を当てた。」
 何も隠さずに正直に、しかも丁寧に状況と自分がした事を傭兵の長男に教える。
「何を言っているんだ?テロリスト制圧に来たんじゃないのか?」

「テロリストで遊びに来たんだよ。そこに君達が来た。だから君達も僕の玩具だね。
 さて、毒針に仕込まれた毒の種類までは教えられないけれど解毒剤の用意はある。」

「何だって?」

「たぁだぁしぃ…解毒剤は一人分だけしかないんだよね〜。
 人生は選択の連続だろう?世の中のそういう仕組を理解できるのが人間だ。
 君は弟と妹…どちらが大切かな?」

// 一人芝居ですが、解毒の手段を持っている人がいるならロールに変更します。
20 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:小さな人形 [saga]:2013/01/14(月) 21:53:24.43 ID:XQGjRdPJo
>>17
周囲を見渡した後、クリオネは地底湖の前まで歩き出した。

「こういう時こそ私の能力が役に立つよ」

するとクリオネの前に、クリオネと全く同じ容姿のドールが出現した。ただし、その姿はビキニの水着姿だ。
脚にはダイビングに使用するフィンを付け、ナイフを口にくわえている。

>>ALL
「私様子見てくるから」

そういったクリオネ自身は動かない。
動いたのはクリオネの隣にいる水着姿のクリオネドールだ。そのままクリオネドールは地底湖へ入り、周りの様子を見ながら進んでいく。
ドールは呼吸をしないので、地底湖が何処まで続いていても息継ぎなどせずに進むことが出来る。
入れない場所に容易に入ることが出来る、これがドール・マスター最大の利点の一つだ。

「操作に集中したいから後ろから襲わないでよねー。こっちに意識ほとんどないからおっぱい触っても気づかないけどね」

あははっと笑いながらその場でただ立つクリオネ。実際はまだこちらに意識があるが、地底湖の長さが数キロ単位であった場合その内すべての意識を向こうに渡さなければならない。
21 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:10%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/14(月) 21:54:54.65 ID:bZBZTjFIO
>>17
「・・・何だろうかこの部屋は」

周囲を見回す少女。

「・・・洞窟?」

足を洞窟の方へと。

「奥は湖に繋がってる?」

そして何歩か地底湖の方へ。
22 :苅田 眞 [sage]:2013/01/14(月) 21:57:33.05 ID:tLbakcRDo
>>17
(こんなところに扉と湖・・・。)

―あのリザードマンはどっから来たんだ?
ここで行き止まりならリザードマンはどっから出てきた。
あの扉か?

手を腰に当てながら、大きい扉、そしてあたりを見回す。
あるものは石の構造物、そしてそれについている焦げ痕と
赤い浸み。

(ん・・・?腐食・・・焦げ後・・・。これ本当に石なのか?)

眞は腐食、焦げ痕、赤い浸みがついた構造物に近づき
磁石を生成。ひとつずつ当ててまわる。
もしかしたら、この石の中身に金属らしきものがあるかもしれない。



23 :安西レイカ / 音を操るへっぽこ探偵 [sage saga]:2013/01/14(月) 21:58:45.75 ID:F+EI3/Rp0
>>17

やけに綺麗な形に作られた巨大壁で支えられる部屋に、深さを探っている内に沈んでしまいそうな地底湖。
異界めいた景色に気圧されながらも安西は先頭を進んでいき、未知の文字記号を覗う。

「……なんだろうな、これ。とりあえずスケッチでもしといた方が良いんじゃないか。
 他に同じのが見つかった時に照応するかもしれないから」

エミリアに対して提案しながら――レイカは生憎ペンを忘れたらしい――更に周囲を探る。
音感を高め、扉の向こう、はたまた湖の中に何かが潜んでいやしないか。

「このままではカギも乗り物も無いから、突破できそうにないぜ。
 ほらそこの床を見ろ。さっきの道みたいにちょっと溶けてやがる。
 本当に同じとするなら、こはさしずめトカゲ大神殿……ぞっとしねぇ話よ」

魔具迷宮の中では、どんな発想も突飛とはいえない。それでいて思案にハマると死ぬ。
無理なら撤退しなければならないだろうかと、レイカは考えかけていた。

>>20

「ヒューッ。どうしようもねぇくらいバストが平坦なあいつに見せてやりたいもんだ」

あいつ=クリオネが温泉でいじり倒したアレ。まあ、気付かないだろうが。
……真面目な話、有効な手がかりを得られるかもしれないので、そちらの方には注意を払っている。
24 :シンラ :2013/01/14(月) 22:01:01.90 ID:DxnOfTEw0
>>18

「はは、こわいこわい。 せっかく家族になったんだから、串刺しは勘弁だなぁ♪」

けたけた笑う少年
お姉様と呼ぶのだから、少しは敬意を払っているのだろうが

やはり、自分よりも小柄な彼女だ
凄みの迫力が、些か足りない


「ビールはお姉ちゃんのだから、だーめ」
「ウォッカも度数が高いからダメだよーだ」


少年が棚から取りだしグラスに注いだ、血液のようなソレは
本来、師匠である飲んだくれ女へと贈る予定だった物
故に、度数の高いウォッカ等は 用意していなかった


「はい お姉様のグラス」

と、中身の満たされた杯を手渡そうとする
酒の席の礼儀など、なにもしらないのだ


「んーと、この後は乾杯...だよね? 」

「じゃぁ、新しい家族になったお姉様にかんぱーい! 」


と、笑顔で叫び
杯を掲げた。
勝手に家族等と呼んでしまえば
彼女はどのような反応を示すだろうか......?
25 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/14(月) 22:10:38.69 ID:jxmE5UTwo
>>20

クリオネそっくりのドールが──どれくらい進んだだろうか、結構な距離を行っていたはずだ。
突如、無数の殺意と影がドールの行く手を阻むように現れる──

もし視覚を共有できるなら、それが数十匹にも及ぶリザードマンである事がわかる。
先程と同じ、緑色の皮膚をしたリザードマン。あれだけの屈強さを誇る生物が、水中に跋扈しているのだ。

ナイフ一本では太刀打ちするには厳しすぎる相手が、強靭な顎を以てドールの体を噛み砕かんと迫っていた。

>>22

反応した。方向は扉の方向──成る程、扉には金属が用いられている。
しかしながら、それにしては反応が強すぎる気もする。扉の奥に、何か待ち受けているのだろうか。

>>ALL

「……扉は開かないみたい」「何が書いてあるのかも、わからない」

木炭を取り出し、薄い紙に記号を写し取って、鞄の中へと放り込む。

「一度、体勢を立て直した方が良さそう……何が居るのか、はっきりしないし」

件の扉が物理的に堅牢な事は勿論、魔術的にも強固な防護術が施されている事を告げつつ。
「私が暫く……調べてみるから」「傭協へも報告しておくしね……思ったよりも、面倒な事態だって」
26 :ヴラド・ドラクリヤ [sage]:2013/01/14(月) 22:13:53.82 ID:YxLrLNIBo
>>24
「立場を弁えよ
 姉と敬うのは良しとする
 だがな、余とそなたが家族?」

ふと、彼女から表情というものが消えた
血色に輝く瞳は、濁りを増し
喜怒哀楽にくるくると変わっていた其の頬も力が消える

「余の家族は、余が愛したあの国の民だけ
 余は、余は……ヴラド…は」

血色に染まるワインがグラスに注がれていた
まるで、それは、捧げられた死の色

「……ッ!」

破裂音

飛び散るガラス、そして黒と赤が舞うように荒ぶる
床に、血色で描かれた魔法陣が展開し、其処より白木の杭がガラスを貫いた

そして其処に出来た大穴に、ヴラドは飛び込むように駆け込む

表情もなく、意思もなく
それは逃げ、ですらない

その場から消え去るように、グラスの中の赤だけを残し、ヴラドは消え去った

//〆ます
27 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:小さな人形 [saga]:2013/01/14(月) 22:17:30.79 ID:XQGjRdPJo
>>25
(あれは……無理ね)

リザードマンの群れを確認した瞬間に進むのは諦めてドールを消してしまう。
流石に水中戦が出来るほど高機能ではない。

>>ALL
「地底湖の奥はリザードマンの群れでしたとさー」

非常に簡潔に地底湖の情報を皆に伝える。
提案通り今回はここまでとした方が良いかもしれない。

「仕方ないね。今日は帰ろ……」

とりあえず扉の傍にいたメンツに合流する。
28 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:0%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/14(月) 22:22:01.79 ID:bZBZTjFIO
>>25
「・・確かにもう少し装備を固めてから行かないとダメだよねぇ」

少し苦笑する
そして眼帯の光が消える

>>27
「えっ・・・あいつらがいっぱい居るの?」

少し目を丸くして言う
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/01/14(月) 22:22:45.89 ID:DxnOfTEw0
>>26

「あはは...難しいなぁ、女の子は」

「んー ワインも無駄になっちゃったし、今日からもう少し良いヤツを置いておこっと」


「さぁ、片付け片付け......」


彼女を見送る少年は、寂しげで 然れど哀れみも交えたような視線を向けて
静かに片付けを始める

家族に見られるまえに片付けなければ、要らぬ心配をかけるから


「難しいなぁ、本当に 色々」
「クララ。 今の僕は君の望む世界を......」


冷たい声を ききつけるものは
居なかった

/お疲れ様したぁ!
/いつでも串刺しにきてくだせいっ
30 :メイザース :2013/01/14(月) 22:25:46.52 ID:fVAswUDmo
>>19
「――Miserum est arbitrio alterius vivere.
   (他人の判断に従って生きることはみじめである)」

白鳥や、他の二人の間に唐突に、一人の少年が現れた。
白い髪、白い肌、灰色の瞳、白いローブ。大凡色素と呼ばれる総てを抜き去ればこうなるだろうという印象を彼は与える。
大きなローブの胸元から覗くのはびっしりと刻み込まれた魔法陣であり、それらは時折わずかに赤い光を漏らしている。

「人生は選択の連続。良い言葉だ、そうだね? 白鳥君。
 ……君は、今彼らに選択をさせることを選択した。
 それは、そこに立っている三人組の長男君にとっては悪だが、あのテロリストにとっては味方だった。
 ――――肯定しよう、白鳥景介。君の在り方は、間違っているかもしれないが、僕は君のことを認めよう」

うずくまる二人の弟と妹を見ながら、しかし注意を払う様子は無く。
白鳥の在り方を正しいと肯定し、やわらかな笑いを浮かべる。
それは、この鉄火場には全くもってそぐわないものであって、この少年の雰囲気自体も此の場には似合わない。
だがしかし、知るものならば知っている。この少年こそが、世界を敵に回す世界の敵、円環の楽園の盟主、メイザースである事を。
しかし、少年はそんな事実などどうでもいいように振るまい、長男と白鳥の両方に、何かを投げ落とす。

「――――選択だ。
 白鳥は解毒剤は一つと言っているが、一つじゃあないかもしれない。
 しかし、君が白鳥の言うことを効いている限り、解毒剤は一つしか与えられないだろう。
 倒しても解毒剤は一つしかてにはいらないかもしれない。だが、挑まなければ弟も妹も何方かは死んでしまう。
 ……判断するのは君だ、照準を合わせるのも君だ、引き金を引くのも君だ。選択するといい、[ピーーー]か殺さないかを」

投げ落としたのは、S&W M19。
装弾数は六発で、確認すれば両方共しっかりと装填されていることが分かる。
要するに、運命を変えたいのならば自力で掴み取り、選択しろとそういいたい様だ。

「さて、景介。
 君の在り方は、間違っていない。僕は肯定する。
 だが、君の在り方に敵対するものはきっと多いし、此処から先君の敵になるものは多いだろう。
 君の在り方を貫くつもりなら、貫き通してみるといい。――選択だよ、選択」

互いに同じ拳銃を与え、何方が先に行動に踏み切るか、決断するか。
彼自身は手を下していないが。このまま何方かが選択をした時点で何方かはおそらく死ぬ。
だが、為したものはそれが正しいと信じて公道しただろうし、それをメイザースは否定することはない。
何方の意志が強いのか。それをメイザースは見たがっているのだろうか。
メイザースの周囲には、ここで死んだ人々の魂が、舞い踊っていた。
31 :安西レイカ / 音を操るへっぽこ探偵 [sage saga]:2013/01/14(月) 22:28:02.28 ID:F+EI3/Rp0
>>25 >>all

「水中にトカゲ男帝国、扉の向こうにメタル野郎だって?
 ……ふむ、音波攻撃で全滅する程ヤワじゃ無さそうだな。
 毒薬でも持って来れば……いや、後でコマルし、相当量が居るか」

水中に超音速の銃弾を叩きこめば砕け散るのがオチだが、今日は亜音速弾や消音器は無い。
かと言って少女の能力だけでリザードマン・ピットを壊滅させることは不可能だろう。
媒質が水とはいえ、クリオネの報告までが長い=遠すぎる。
更に、金属質の強反応というのも気がかりだ。

「仕方ないな、エミリア。……いい方向に考えよう! 今日は全員生き残った!」

撤退はさっき念頭に置いていたことだ。笑顔を作ることはできないけれど、周りを励まそうとする。
エミリアの提案を受け入れ後日またこの魔具迷宮を攻略するしかあるまい。
配管工や下水のネズミには苦労をしてもらうことになるが。

「生憎と打ち上げをやる金は無ぇがな。
 チクショウ、調査依頼として報酬は貰えるんだろうなぁ……?」

……最後に気になるのは、そんな事。
32 :苅田 眞 [sage]:2013/01/14(月) 22:32:04.65 ID:tLbakcRDo
>>25
「扉は金属製ねぇ・・・・。」

しかしこんなに強い反応示す金属は見たことがない。
あるとすれば磁性を帯びた鉄ぐらいだ。
それともその奥の物と扉が合わさってこの磁力なのか―。

湖にはトカゲがいっぱい、おそらくそこから出てきたのだろう。
さきほどのリザードマンに居所の疑問は解決できた。

「わけわかめ。壊れない扉にようはない、撤退にさんせーっと。」

手を上げて気の抜けた声で言った。


33 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/14(月) 22:33:19.71 ID:jxmE5UTwo
>>31

「……ある程度は貰えるんじゃあないかな?」
「当然、成功報酬の分は差し引かれるだろうけど…」

報酬の事も、万年金欠のエミリアにとっては結構な痛手だった。
溜息を吐いて、これからどうするかを思案する。また、薬でも売り捌こうか。

>>ALL

「湖の方も……そうなんだ」

肩を落として溜息を漏らす、やはり、当初の予想以上に骨の折れる迷宮のようだった。
件の文字を映した紙を広げて、どさりとその場に座り込む。

「私はもう少し残って、この扉を調べようと思うから……みんなは、先に帰っていて」

その、規則性の見受けられる文字とにらめっこをしながら、時折紙の隅に何かを書き込んで。
どうやら、解読を試みているらしかった。


リザードマンの存在、固く閉ざされた扉、そしてこの場に広がる血痕───
それらが何を意味しているのか、今は知る由も無かったが──果たして、何が待ち受けているのやら。

/
こんな感じの〆で、宜しいでしょうか……?
34 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:小さな人形 [saga]:2013/01/14(月) 22:42:34.17 ID:XQGjRdPJo
>>33
「結局収穫なし……帰って寝よ」

これじゃあ面白くもなんともないと言ったようにクリオネは踵を返し、部屋を出ていく。
いずれまたここに来るかもしれないが、今できることは無い。

「そう毎回クリアは出来ないって訳ね」

迷宮から出たクリオネはコンビニでお菓子を買って帰るのだった。

//ではこんな感じで。お疲れ様でした、またお願いします。
35 :安西レイカ / 音を操るへっぽこ探偵 [sage saga]:2013/01/14(月) 22:48:31.15 ID:F+EI3/Rp0
>>33

儚げな少女をその場に置いていく事に抵抗があったが、彼女は先程も自分で走れると言った。
現に、探偵は危機一髪のところをエミリアに助けられている。彼女は強い。

「護衛は必要ないかい? じゃあ、先に帰るからな。
 きっと長丁場だ、今度はパンの欠片でも有る事に感謝するかも知れんよ……」

ま、私がまた食べたいだけだが。と付け足して、彼女は来た道を帰って行くだろう。

「……そう言えば、あの魔法陣はまだ見えてるままなんだろか」

ちょっと不安だが……まあ、なんとかなるだろう。
否、なんとかせねば。今度こそ。女には向かない職業のプライドにかけて――。

/お疲れ様でした! たっぷり楽しみました、次回参加できるか分かりませんが期待してます!
36 :苅田 眞 [sage]:2013/01/14(月) 22:50:48.55 ID:tLbakcRDo
>>33
「おつかれさんです、じゃ先に上がらせてもらいます。」

エミリアに一声かけて、彼は元の道に戻る。
(いい暇つぶしにはなったな。でもあの扉の先には
なにがあるのやら・・・。)

もしかしたらお宝とかがあるかもしれない―。
想像をすればするほどわくわくするが開かないのじゃあ
しょうがない。

眞は名残惜しげに扉を見つつ、去っていった。

//お疲れ様でしたー、楽しかったです!
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2013/01/14(月) 22:50:51.56 ID:bZBZTjFIO
>>33
「・・・とっとと帰ろうかな」

迷宮を出て行く

「・・・ってそういえば道に迷っていたんだったぁ」

肩を落としたような声で呟く
そして彼女は再び帰り道を探すために彷徨うのであった・・・・

//というオチでした、あと乙
38 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/01/14(月) 22:55:58.20 ID:sfTDnkrHo
月夜。スラムに程近い路地裏のそのまた奥は、惨状と化していた。
建物と建物の間に空いた比較的広いスペースの地面には、紅い液体が溜まるほど溢れている。壁にもベッタリと飛沫が飛んでいた。
ブースター機構を取り付けた斧を持った男はその壁にへばり付く様に背を預け、違法改造された銃を腰に差した男は血に横たわる。
……どちらも、もう息は無い。

「――――。……さて、もう終わりだけどさ、フォール」

「あ?」

「何で、"女になってる≠フ?」

黒髪や中性的な顔はそのままに、上は黒いタンクトップ、下は上半身部分を腰で結んだ水色のつなぎ。そして骨格がモロに女となっている悪魔。
建設業に付いているんじゃないかと思わせる悪魔はケッケッケと笑い、曰く。お前が襲い掛かってくるのを待ってたんだよ、と。

先ほどまでICODへと電話を掛け、悪魔に疑問を問いかけた少年が、面倒だと思いつつ腰に差してあるデザートイーグルを抜き出し、
弾を一発浪費するまでにそうそう時間は掛からなかった。具体的に表すなら、0.7秒ほどだろうか。

少年は気分が良くなかった。射殺命令が出ていた犯人を[ピーーー]のはまだ良い、しかしそいつ等がやった事を思い出すと吐き気がしてくる。
只今額に大きな風穴を開けて倒れている悪魔に言われたことも相まって、すっかり憂鬱な表情だ。
こいつが余計なこと言わなきゃな……蹴り飛ばそうかと考えたが、今は女の身体をしている悪魔を蹴ることはプライド上出来ない。
……そんなこんなで、少年は近くの倒れたドラム缶に座り、一先ず悪魔が起きてくるのを待った。

表通りの人間は、銃声に驚くも触らぬ神に祟り無しのようで。しかし、少年が居るスペースへ通じる道を阻むものは何も無かった。
39 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/14(月) 22:58:42.24 ID:2qe8frGlo
>>30
「ホワイトバード…お前は何者だ!」
 その問いに対する返答は難しい。
「正義の味方だよ。立場上はね。」
 返答内容を考えるのも面倒だからそう返した。
「ふざけるな!!」白鳥に銃口を向ける傭兵チームの長男。
「でもでも、決断を急がないと二人共毒で死んじゃうよ?」
 楽しそうな声だ。そして弟と妹を交互に見て苦悩する傭兵。

 そこへラテン語の台詞が割って入る。
「Miserum est arbitrio alterius vivere.」
『誰だ!』
 ヒーロースーツの一人と傭兵の一人が声のする方向へ銃を向ける。

 が、メイザースが一通り語り傭兵チームの長男にS&W M19を投げよこした時に、
 先に銃を降ろしたのは白鳥だった。そして興味深そうに乱入者を見ている。
 傭兵は銃を慌てて拾い状態を手早く確認すると銃口を白鳥に向ける。

「ホワイトバード!解毒剤は本当に一つなのか!」
 もう興味の対象から外れた傭兵の長男だがゲームはまだ続いている。
「三つあるよ」白鳥の掌の中には三つのアンプル。「注射器は尻ポケットの中。」
 白鳥はテロリストの討伐に向かった傭兵が三人組なのも知っていたし、
 三人とも被弾すれば三兄妹に二つの解毒剤を差し出すつもりだった。
「面白い。この状況は面白いな。じゃあ問題を変えようか。
 適当にこのアンプルをいっせいに放り投げるよ。集中しろよ。
 運が良ければ二本回収できるかもしれない。」
 
 傭兵チームの長男に二本どころか三本の解毒剤が手に入る機会が訪れた。
 白鳥がアンプルを放り投げる前に白鳥を射殺、そのあとアンプルを回収すれば良い。
「集中はしてるさ。お前が解毒剤を放り投げる前にッ!!」
 傭兵チームの長男がメイザースの用意したリボルバーを白鳥めがけて速射した。
「お前が放り投げる前に、断末魔の叫びも上げさせず、即効で殺して回収すれば良い…」
 そうだったはずなのに…
40 :メイザース :2013/01/14(月) 23:06:20.40 ID:fVAswUDmo
>>39
「僕はサミュエル・リドル・メイザース。
 君たち傭兵や、正義の味方である君たちの敵――、世界の敵をやっている。
 まあ、肩書きを語るとすれば。円環の楽園の盟主という役割もあるけど。気にしないでくれればいい。
 僕をどうこうよりも、君たちにはすべきことが有るだろう。挑み、選び、戦うという役割が」

己が誰か、という事を淀みなく返答して返す少年。
この少年、考えなしに言ったわけではない。
言った所で、己が何一つ困らないからこそ、此のように己の存在を示すことが出来る。
要するに、余裕から来ている行動であることが理解できてもおかしくないが、この状況だ。
落ち着いていなければ、きっとそこまで考えることは出来ないだろう。

「――正しい。
 そうだ、それでいい。総てのアンプルを回収できればそれに越したことはない。
 素晴らしい判断。だが――少々性急すぎるきらいが有るね?」

速射をする傭兵の長男を見て、頬を緩ませて称賛の声色を漏らす。
だがしかし、少年は先程から全くとして態度を変えていない。
なんとなくだが、最初から結果を予感しているような、俯瞰的な態度が彼からは感じられる。
41 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/14(月) 23:17:46.07 ID:2qe8frGlo
>>40
 白鳥はメイザースに普通に歩いて近づいて行く。
「で、何か用かな?メイザースかぁ…聞いた事あるな。
 たしか円環の楽園とかいう組織関係の噂話だ。
 ロンドン襲撃に関わってるなんて話もある。」

 傭兵の長男は銃器の扱いには慣れていた。
 人一人殺したければ三発撃て。そのセオリーは正しかった。
 傭兵の長男は自分が発砲した三発の銃弾をその身に受けて、弟、妹よりも先に絶命した。
 間もなく後を追うように弟も妹も口から泡を吹き、痙攣しながら呼吸が弱くなっていく。

「可哀想に。俺が提供した選択肢に乗れば二人は生き残れただろうにね。
 まさか全滅してしまうなんて…。」
 造られた哀れみの表情。しかし目は笑っている。
「サミュエル・リドル・メイザース、君のせいで皆殺しになった。台無しだ。」
42 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/01/14(月) 23:28:30.76 ID:sfTDnkrHo
/>>38
/すいませんが、取り消させていただきます。誠に申し訳ありません
43 :メイザース :2013/01/14(月) 23:31:04.57 ID:fVAswUDmo
>>41
「彼は自分で決めて選択をした。
 それが、例え選択せざるを得なかった≠ノしろ、この結果は彼の為した結果さ。
 僕は、ただ彼と君に君が提示した以外の可能性を見せただけだ。それ以外のことはしていないよ」

目の前で死んでいく三人を見据えながら、穏やかなほほ笑みを崩すこと無く白鳥と会話を続けるメイザース。
彼は、命令したわけではない、こうしろと言ったわけでもない。
ただ、こうすることは出来るという可能性を提示しただけ。選んだのは紛れもなく傭兵だった。
与えられた選択肢を選ぶのではなく、自力で選択を生み出すことが出来る存在。
そんな存在こそ、メイザースは素晴らしい人間≠セと思っていた。

「……君達の苦しみは、僕が喰らおう。
 君達と同じものを産まぬように、僕は進もう。
 僕は、君たちを肯定する。――共に行こうか、友[レギオン]よ」

死した三人の前に膝を付き、三人から浮かび上がった白い霊魂を体内に取り込んだ。
小さく手元で十字を切り、いつも通りの悠然とした態度のまま、立ち上がる。
そして、振り向いた。

「君は、なぜ。
 他者に選択を強いるんだい?」

なんとなしの問いかけを、メイザースは投げかける。
死体が転がるこの場所で、まともな人間≠フように振る舞えるこの少年がまともなはずは無い。
穏やかさも、静かな思考も、柔らかな態度も。それら総てを替えぬままに、少年はそこに立っていた。
44 :メイザース [saga]:2013/01/14(月) 23:33:14.76 ID:fVAswUDmo
/*saga忘れてた……!*/
45 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/14(月) 23:43:34.32 ID:2qe8frGlo
>>43
「友?これらが?」
 白鳥の評価は"彼ら"でも"こいつら"でもなく"これら"である。
 メイザースの不思議な言動に好奇心をくすぐられる。
「ゲームの敗者だけれど、君は優しいな。
 噂の悪党とは少しイメージがぶれる。
 まあ、噂なんてそんなもんかな。」
 追い詰めたただの駒に優しさを示すその姿勢が特に興味深い。

 三人の傭兵の魂はメイザースの中へ…。

「選択を強いる?おれは誰に対しても何も強いちゃいないさ。
 自己保身に走れば逃げられる選択肢しか作ったことはないね。
 と・こ・ろ・が、そこに乗ってくる連中がいるから面白くてね。
 ていうか、白状すると乗ってくる事がわかってて試しているんだけれど、
 そうだな…強いて言うならば他人の決断力ってのを見ていたい。
 それだけさ。」

 今も白鳥の頭の中には目の前の少年を試す方法の思案しかない。
「クフフ…、君を試すには僕は君の事を知らなすぎる。」
46 :メイザース [saga]:2013/01/14(月) 23:50:11.41 ID:fVAswUDmo
>>45
「僕は常に肯定しているよ。
 優しいと君が思うならば、僕は君にとっては優しい人なのだろう。
 それでも、僕は世界の敵でありたいし、そのように振舞い、そのように有りたいと思っているんだけどね」

たはは、と苦笑交じりに首を傾げる姿は、どう見ても歳相応。
この少年が、ロンドンに流星を落とし無数の人々を殺し、橋を落とし、都市を破壊したとはとても思えない。
それらの印象は、彼から力というものがほとんどとして感じられていないことからも印象を強めさせられるだろう。

「逃げぬ者の方が個人的には好ましいけれどね。
 Per aspera ad astra.
 (困難を克服して栄光を獲得する)
 困難に挑まぬ者は、永久に人になれない。
 挑む者こそが、逃げぬ者こそが、人間≠ニなることが出来る。
 まあ、彼はどうやら力が足りなかったようだけれどね。そこだけが残念なところだ」

足元のS&WM19を拾い上げ、先ほどの傭兵と同じような動作で素早く銃を構え壁に一発。
洗練された動作は、まるで死した傭兵の生き写し≠ナあるかのようだ。
47 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/14(月) 23:59:48.58 ID:2qe8frGlo
>>46
 死んだ傭兵の全てが取り込まれたのか?
 ますます興味深い。

「誰が相手でも、世界相手だろうと敵味方なんて概念は僕には
 無意味だけれど…変わった選択をしたのだね、あなたは。」
 あなた?自分の口からそんな二人称が出てくるとは。
 しかし選択を迫る生き方は今更変えられはしない。
「クハハハ、選択肢をやろうか。
 ここで俺にホワイトバードの正体の目撃者として殺されるか、
 ここで俺に忠誠を誓って生き残るか…」

 自分の力量も顧みず、いや相手に敵わない事は承知の上で、
 それでもメイザースの首を片手で掴んで相手を試す。
「 服 従 か 死 か を こ こ で 選 べ ! 」
 第三の選択肢はここでは隠している。
48 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 00:06:08.14 ID:U24FHDgCo
>>47
己の首を締めあげられた上で、メイザースは表情を変えない。
態度を変えない、力を使わない、敵意を見せない。
ただ、相手の在り方を認めるように、浅く首を縦に動かした後に、口を開く。

「友達になろうか、景介。
 君のその不遜な態度が気に入った。
 君のその試す生き方が気に入った。
 共に、友として歩んでみる気はないかい、景介」

くすり、と笑いをこぼす。
己の生殺与奪を相手に握られたままに、メイザースは傲岸にも不遜にも笑わず、ただ自然体でそこに有る。
一瞬浅く息を吸い込み、目を細めて。

「――――世界を、試してみたくはないか。
 より大きな選択を、目の当たりにしてみたくはないかい?」

共に歩む事で得られる物を、相手に提示した。
一人で戦っていくだけでは、決して見られない世界を見せようと。
そう、メイザースは語っていた。
力を見せず、敵意を向けず。ただ、己の意志と言葉だけで、メイザースは相手と真っ向から向かい合っていた。
49 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/15(火) 00:17:25.12 ID:jVcVFOKwo
>>48
話を聞くと白鳥はゆっくりとメイザースを降ろす。
そしてしばらく見下ろすが…見下ろしているはずなのに、
相手を見上げている様な感覚に戸惑っていた。
落ち着かない。なんなんだこの少年は?

落ち着きを取り戻すためにも口を開く。
「世界を試す?僕の天秤の上に世界を置いていいのかい?
 それは…面白いな!」

 そして…、
「そして、悔しい話だが君は僕よりも人としての格が高そうだ。
 そんな有利な立場にいるのに僕のルールに乗るのかい?
 円環の楽園を僕に試させるつもりなのかい?」
50 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 00:23:52.02 ID:U24FHDgCo
>>49
「天秤に載せるのに、良いも悪いも有りはしない。肯定だ。
 ただ、その荷重を試すのに、君が耐えられるのならば――というだけさ」

手の痕が強く残る首を気にすることもなく。
少年は、そのまま相手の問いに、答えていく。
淀みなく、迷いなく。決して傲慢でも、暴虐でも無く、ただそう有るだけというシンプルさで。
それこそが。強さを叫ばず、己の存在を叫び上げずに、只己に化した役を達していく在り方。
その姿は、多くの人間が思い浮かべる悪の組織の首領≠ニは似ても似つかないもの。
だが、そうでなければ、恐らくメイザースの率いる円環に、多くの人が乗ることはなかっただろう。

「君の天秤は、今君より僕が高いと判断しただろうけれどね。
 存分に試せばいい。共に歩み、君が世界を敵に回す覚悟があるのならば。
 君の生き方の総てを、僕は肯定しよう。君は――正しい」

目を細めて、楽しそうに笑いながら。
最後まで相手の在り方を否定せず、相手が己らを試すことすら良しとした。
51 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/15(火) 00:37:00.95 ID:jVcVFOKwo
>>50
「一つだけ言っておく。
 天秤の皿に俺は乗っていない。」
 強がって見せるがさっきはたしかに白鳥が天秤の皿に載っていた。

 だが、それでも白鳥は自分自身が天秤でないと気が済まない。
「この僕の天秤の皿に乗るのか?
 僕に試されるのが我慢出来るのならば…
 …いいだろう、僕も重要な選択をしよう。」

 白鳥はメイザースに膝をついて傅(かしず)く。
 今はこの少年には敵わない。
 フィジカルな勝負では勝てるか?勝てないか?
 そんな事はどうでもいい。精神的に明らかに上を行かれている。
 それが今は我慢ならない。
「王すら審判させよ。ならば僕は君に仕えよう。」
 跪いた状態で一礼。それにしても高慢不遜な口状だ。
52 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 00:40:12.52 ID:U24FHDgCo
>>51
「――試せ、存分に。
 君の信じる正しさが其れなのであれば、君の其れを貫けば良い。
 世界の総てが君の敵になったとしても、世界の敵である僕は君の在り方を認めよう」

そうでなくては、と言わんばかりの笑顔を浮かべて。
メイザース、己に傅く白鳥を見下ろして、しかし直後。
同じ目線に膝をついて、視線を合わせて、こくり、と頷いた。
53 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/15(火) 00:43:17.28 ID:jVcVFOKwo
>>52
「これは敵わないわけだ…。」
 目を見て微笑む。
「じゃあメイザースの望みは?いくつかなら果たすよ。」
54 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 00:50:12.35 ID:U24FHDgCo
>>53
「僕が戦う時に、同じ場所にいてくれれば其れでいい。
 世界を試したければ、そこで力を振るうなり、選択を迫るなり、隙にするといい。
 ――ただ、円環の同胞となるにはね。少々の苦痛と、覚悟が必要となる。
 答えはわかっているけれど――、どうする?」

ローブの胸元を開き、びっしりと刻みつけられた焼印の魔法陣を見せつける。
焼印から赤い魔力の光が漏れだして、血が僅かに飛び散った。
す、と指先を差し出すメイザース。触れれば、神経を直接掻きむしるかのような激痛が感じられるはずだ。
恐らくだが、メイザースのそれとは格が違うとはいえ、似たような紋を刻む間、この苦痛は続くだろう。
それを覚悟して尚入りたいもののみが、円環に入ることが出来る。円環の者は、何らかの形で覚悟を決めた者達ばかりだった。
55 :白鳥景介(オールバックの青年)円環入会予定 [sage]:2013/01/15(火) 00:59:05.94 ID:jVcVFOKwo
>>54
「ククク…クハハハハ!
 俺が!俺が試されるとはな!
 だがそういう選択肢も大好物だ。」
 狂ったように笑っているが表情は正気。
「答えはYesだ!円環に入ってやろうじゃないか。
 ただし正義の味方は辞めないぞ。
 悪党どももからかい甲斐があるんでね。」

「悪を求める組織に悪でもない俺がいてもいいだろう。
 おれは全てを天秤に乗せる。承諾した!

 あ、場所は左胸の辺りが格好いいからそこでお願いねww」
 上着を自分で剥いで烙印を受け入れる意志を示す。
 
56 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 01:07:22.50 ID:U24FHDgCo
>>55
「――その意志、認めよう」

それだけ言うと同時に、メイザースが右腕を横に伸ばす。
目を細め、静かに魔力の枷を開き、己の力の一端を解いていく。
指先からほとばしる力は、一点に凝縮された、静謐なもの。
純粋無垢なまでに、強力かつ高密度な力≠ェそこには有った。

「Pallida Mors aequo pulsat pede pauperum tabernas regumque turris.
(青ざめた死は、貧者の小屋も、王者のそびえ立つ館も等しい足で蹴りたたく。)

 Ede, bibe, lude, post mortem nulla voluptas.
(食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし。)

 Misce stultitiam consiliis brevem, dulce est desipere in loco.
(僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい。)

 Vive memor mortis. Meus amicus.
(友よ死と共に歩め、悪徳と共に生きよ。)」

共に歩む者に、一度は口にする言葉。
通過儀礼の呪言を口にしながら、メイザースは白鳥の左胸を指先でなぞっていく。
その間も、筆舌に尽くしがたい激痛。切れ味の悪いナイフで神経系を直接えぐり、引き回すような苦痛を与えている。
しかし、呪文を口にしながら式を描くメイザースもまた、額から脂汗をにじませ、唯でさえ顔色の悪い顔を蒼白に染めている。
痛みを共にするのが、メイザースの覚悟。
白鳥が感じている痛みは、今この時点で、メイザースも感じていた。
数分の後に、術は終了し。凶悪なまでのメイザースの力も消え去っていた。

「――――君に与える名は、アモン。
 72柱の悪の一として、世界を試していくと良い」

片膝をついて、荒い息を吐きながら。
それでも柔らかい笑みを崩さずに、白鳥にそう超えを駆けるのだった。
57 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン [sage]:2013/01/15(火) 01:13:39.26 ID:jVcVFOKwo
>>56
「グギギガ、ぎゃああああ!」
 苦痛に絶えられず地面をのたうち回る。

 痛みに慣れるまで随分の時間がかかった。
「これが…。いや、この選択の代償が面白くなかったら、
 お前の大切な物を減らせてやる!糞ったれがあぁぁ!」
 荒い息遣いで立ち上がる。
「ふぅ…おい、メイザース。
 悪魔の事は詳しくないんだ。アモンてのは何者だ?」
 ようやく余裕を取り戻した彼は自分の称号を尋ねる。
58 :レオンハルト 【円環の楽園 No.1 バアル】 [sage]:2013/01/15(火) 01:20:54.18 ID:c2taowgWo
>>56-57
「ハッピー・バースディ・トゥ・弟くん
 プレゼントは、何がいいかな?」

それは、風とともに現れた
吹き荒れるソレが収まる時、そこには黒のスーツに身を包んだ優男
中折れ帽から覗く橙の瞳は、景介を見つめたまま離れない

「めでたいですねぇ、盟友殿
 新しい家族の誕生というのは……」

にやり、とそんな擬音が聞こえてきそうな程
笑みに歪み頬、柔和な笑みのはずが歪むという表現がピッタリに思えるだろう

「それにしても、盟友殿
 御体の調子はどうです?
 肩でも胸でも、膝でもお好きなものをお貸ししますが?」
59 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 01:21:54.77 ID:U24FHDgCo
>>57
「君は一回限りなんだけど、僕メンバー分全員これ経験してるから……。
 なんどやっても、なれないんだけどねえ。痛かっただろう?」

数分後には、普段と変わらない落ち着いた様子を見せるメイザース。
それでも、同じ苦痛をメイザースは味わっていた。
それも、今相手が激怒したような激痛を、一度や二度ではなく、自分で選択≠オて。
楽へと簡単に落ちない意志こそが、何よりものメイザースの強さなのかもしれない。

「ソロモン72柱の魔神の一つの名だ。
 人同士の不和を招いたり逆に和解させたりできる――君は相応しい悪魔だと思うんだけどね?
 いつか君が、君の定めに気がついたその時に。その紋は君に力を与えてくれる――かどうかはわからないけれどね」

悪を担う者に、悪魔の名を与える。
相応しき名を与えるのか、そうなりたいという願望の名を与えるのか、そうなりたくないという正逆の名を与えるのか。
それらは総て、受け取ったものが考えることだ。
どう解釈するかは総て、白鳥に託された。
60 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 01:25:12.32 ID:U24FHDgCo
>>58
「やれやれ、君はいつも急に現れる。
 ――やあ、レオンハルト、息災のようで何よりさ。
 では、少しばかり肩を貸してもらおうか。どうもまだ、本体に慣れていなくてね。
 やっぱり数十年か写身で生活していると、肉体が有る事に違和感を感じてしまうよ」

現れたレオンハルトに、手をひょこりと上げて挨拶。
リーダーや盟主というよりは、普通の友人の様に振る舞うが、メイザースは大抵においてそうだ。
そう振舞わなければならない事にならない限りは、常にメイザースは自然体。
契約後は常に体調が安定しないため、暫くの間レオンハルトの服の裾を掴んでおくことにした。
61 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン [sage]:2013/01/15(火) 01:31:58.03 ID:jVcVFOKwo
>>58
 レオンハルトの瞳を覗きこむと躊躇わずに言った。
「自殺をお願いするよ先輩。その目は死にたがりの目だ。」
 ふらつきながら軽口を叩く。
「もしくは一本のタバコがあればいいね。
 体調?最低だね。」
 そしてレオンハルトに言う。
「変なのが現れて気分も最悪だよ。クハハ…。」

>>59
「そっか。あんたも痛いのか。そいつはバランスが取れないな。
 儀式を弄って、入会希望者の間で痛みを分けたらどうだい?」
 笑いながら話す。
「アモンが司るは不和と和解か…面白そうだな。
 アモンの二つ名、立場は気に入ったよ。」
 ならば…
「こいつのいい所はもう一つある。ヒーロー稼業も続けられそうだ。」
62 :レオンハルト 【円環の楽園 No.1 バアル】 [sage]:2013/01/15(火) 01:37:26.18 ID:c2taowgWo
>>60
「貴方が必要としてくださるならば
 例え地の果てだろうと、冥府であろうと、風が通る場所ならば馳せ参じますよ」

レオンハルトはメイザースよりも随分と高い長身
彼に肩を貸すために、膝を曲げ腰を落とす
その針金のように細い腕がメイザースの腰へと周り、彼を支える為だけに使われた

「ふふふ、また貴方は年寄り臭いことを
 貴方に足りないのは、若い情熱ではないですか
 私と共に家族探し(ナンパ)にでも出かけてみるのも悪くはないのでは?」

>>61
「死にたがり?この私が…?
 面白いことを言う弟ですね」

きょとんと、本当に驚いたといった表情で景介の目を覗きこむ
だがすぐに、張り付いたかのような笑みに逆戻り

「私は、生きたくて生きたくて仕方がないのですよ
 だから、戦いますし愛します
 クハ、ハハハハハ、だってそうでしょう、こんなに素晴らしい家族に囲まれているのですから」

笑い声が周囲に響く
何が可笑しかったのだろう
彼の笑いは収まるどころか、更に勢いを増していく


「気分が悪い……
 ああ、もしかして弟ではなく兄が良かったでしょうか?
 お兄様、と言う雰囲気でもありませんし『兄さん』ですかね」
63 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 01:41:36.26 ID:U24FHDgCo
>>61
「なに、仕方がない
 これがある意味での僕のけじめだと思っているからね」

胸元の陣に指を滑らせて、くすり、と寂しげに笑む。
その笑顔は、これ迄浮かべていた底知れない笑みとは異なる、人間味を感じさせる笑だった。

「――そうだろう。
 でなければ、僕は君にこの名を与えなかった。
 選択し、測っていくといい。アモン」

>>62
「心強い。
 君もまた、君の悪を貫けることを祈っている。
 ……僕は君を殺せるかもしれないけど、殺したくはないからね。
 だからその生命は、僕が役を全うするまでは僕のものだ。だからそこまでは死なないこと。
 ジェーンから聞いたんだ。ガープが死んで、大分ふさぎこんでいる、ってね」

朗らかに笑いながらも、肩に体重を預けるメイザース。
構図だけを見ると、親子にも見えかねない体格差。
だが、それでもメイザースは対等の視点に立って物事を見ていた。思考的な高さ、である。

「若い情熱は、総て僕の目的に注がれているからね。
 世界を敵に回して、ひっくり返すこと。それが僕の若い情熱の行き先だ。
 もう随分と、そういう色恋からは手を引いている。今更、じゃないかな?」
64 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン [sage]:2013/01/15(火) 01:44:26.42 ID:jVcVFOKwo
>>62
 問答をするのも今は面倒だ。
「…、いやいや後輩なので弟でいいよ。」
 ただそれを伝えると釣られて笑う。
「クハハ…変わった連中だ。
 これが円環の片鱗なのか。
 ところであなたは?
 僕は第七悪魔アモン…らしいんだけれどww」

>>63
「メイザース…俺はあんたが気に入ったが、
 遠慮せずに測るぞ。それであんたはいいのか?」
 再び言葉の天秤を揺らせる。
65 :レオンハルト 【円環の楽園 No.1 バアル】 [sage]:2013/01/15(火) 01:54:30.32 ID:c2taowgWo
>>63
「盟友殿、貴方は盟友であって私の英雄ではないのですよ
 ……それは私が選択した
 私を貴方は殺せるかもしれない、それでも私は貴方にこの生命を渡せません
 貴方は悲しむでしょう、私如きの下らない命のせいで」

―――それは、許せない

悪の組織の人間の会話とは思えなかった
いや、彼らは世界の敵であって悪なのかは分からないが

「いやはや、お恥ずかしい
 兄を失ったのは初めてでしてね
 私のキャラに似合わず、泣き言の1つ2つを漏らしてしまいましたよ
 嗚呼、でも妹に甘える、というのは中々良いものですよ?」

恍惚
妹という単語が出るだけで、彼の表情はこうも変わるか、と言うほど
あの真面目な雰囲気を全て吹き飛ばし、馬鹿騒ぎのような騒がしさを取り戻した

>>64
「この組織の人間は何処か社会に馴染めないですからね
 少しばかり、はみ出した一面を持つのでしょう
 まあ、私の場合は其のような面は殆どありませんがね」

自慢気に微笑むこの男がこの組織の変態筆頭
家族狂いなどと称される阿呆だった

「私ですか?
 私は、序列第一位バアルの名を冠する者
 レオンハルト、と申します」
66 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 02:00:38.65 ID:U24FHDgCo
>>64
「構わない。
 君が測るのは、君の在り方だろう?
 ならば、僕はそれを認めるだけだ。僕は肯定をする。
 ただそれが僕の敵となるのならば、肯定した上で叩き潰すだけだからね」

構わないといって、己の敵になるのも良しといって。
その上で、認め、理解し、肯定した上で叩き潰すことを躊躇わないと語る。
そんな事を、当然のように普段通りの表情で言うのだから、この少年も大概だ。

>>65
「肯定しよう。
 君の選択は、君の在り方であり、それを曲げるのは君に対する冒涜だ。
 だが忘れないで欲しい。友を失えば、僕だって悲しむということを、きっと」

相手のその在り方を、メイザースは肯定する。
しかしながら、肯定した上で、容易くその生命を与えてほしくないとお願い≠した。
徹底的にこだわりぬいた末で、その生命を捨てて欲しかった。

「妹、ねえ。ジェーンは甘えさせてくれないだろう、あの子は辛辣だから。
 他の子も、結構ここの子は厳しい子が多いから。
 まあ、頑張るといい。それも君の在り方だから」

苦笑を浮かべて、メイザースは相手の肩から体を離して。
ふぅ、と浅く息を吐くと、歩き出した。

「――じゃあ、アモン、バアル。
 僕は、ちょっと散歩に出てくる。
 円環の在り方については――バアル、君に任せておく。
 ……じゃ、また」

一歩、二歩、三歩、散歩。
四歩目を歩み出すと同時に、最初からそこに居なかったようにメイザースは消えた。
残ったのは、吹きすさぶ冷たい風だけだった。
67 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン [sage]:2013/01/15(火) 02:03:16.35 ID:jVcVFOKwo
>>65
「序列は高いね。
 試し甲斐がある人と見た。
 でも、今日の僕は休息を選択するよ。」
 少しよろけながら立ち上がる。
「バアルのレオンハルト。覚えておくよ。
 ところでレオンハルトさんてブラコンのシスコン?」
 出た単語だけでならその程度の認識しか得られない。

>>66
「それはさらに面白い。
 ただ面白いだけじゃないなここは。ククク…。」
 その言葉を理解して笑う。
68 :レオンハルト 【円環の楽園 No.1 バアル】 [sage]:2013/01/15(火) 02:12:56.95 ID:c2taowgWo
>>66
「ふふふ、辛辣な妹が見せる一瞬の愛が私は好きなんですよ
 あれが欲しくてたまらないのです
 其のためなら、どんな無様でも晒しましょう」

離れいくメイザースの躰を支えつつも、送り出すように
腰に回して手をゆったりと解いていく

「在り方、ですか
 お任せ下さい、その点に関しては私は誰よりも理解が深いですよ?」

嗚呼、この男に任せたのが運の尽き
終始家族愛の単語が乱れ、二言目には家族、家族とまともな説明にはならないだろう

>>67
「序列など、この組織では意味を成しません
 強弱は有っても優劣はない、強いから役に立つわけでもないですしね」

私も序列が1であるだけです、と続け
情けない笑みを浮かべるだけだ

「ブラコン、シスコン?
 いえいえ、そうではありませんよ
 ただ、家族を愛するのは当然のことです
 そこの異常性は、全く持ってないです」

その後、円環の楽園という組織の説明をこの男が始めるが
家族、家族、愛家族、妹弟兄姉、父母

そんな言葉が飛び交うだけで、悪の組織の説明とは思えない
この話は、他の人間に聞くのが一番だろう

//すみません、そろそろ〆ませんか?
69 :白鳥景介(オールバックの青年)No.07アモン [sage]:2013/01/15(火) 02:18:11.16 ID:jVcVFOKwo
>>68
「面白い考え方だな。
 俺は…少し疲れた。」
 そう言うと前に倒れる。
// そうしましょう。
70 :GPM1/持ち物;ミニガン、西洋甲冑型ry [sage]:2013/01/15(火) 15:44:21.06 ID:28uSGdxGo
赤い霧が舞う
打ち捨てられた倉庫には化物が住むと言われていた
曰く人を引き裂き、曰く圧倒的な、曰く風呂を覗き見る

赤い霧が舞う
幾度ソレの正体を暴こうとした者が居たろうか
幾度ソレを殺そうと傭兵が集ったろうか

チリン…赤い霧と化す
生温い熱気の中に住まう化物。赤い霧の奥に佇む“甲冑”
背に巨大な金属製の箱を背負い、錆びたトレーラーヘッドに片膝を立てて黒いソレは座っている
眼下に在る何かを見つめ、右手1本で子供1人分以上の重さは有りそうな凶悪な銃を持って

「…いつもいつも、つまらん勝利を寄越してくれる」

チリン―――
眼下のそれに…いや、それらに語りかける
欠け、爆ぜ、肉塊と化して混ざって、血は流れず蒸発して、赤い霧と化した“人達”に
空薬莢が落ちる音と、嘆息に似た声だけを庫内に響かせて

「勝利を。より多くの勝利を…そしていつの日か、敗北よ来たれ」

ガシャン。
赤熱した銃身を肩に担いで、呟いた
71 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 15:49:57.43 ID:U24FHDgCo
>>70
「――敗北が欲しいのかい、君は」

柔らかな、落ち着いた少年の声が男の背後には立っていた。
地面にうず高く積もるひき肉の群れから、唐突に青白い霞のようなものが浮かび、男の背後へと飛び去っていく。
霞の行き先に立っていたのは、一人の少年。
白い髪、白い肌、白い瞳、白いローブ。
大凡色彩のようなものを尽く奪い尽くせばこうなるのだろうと思わせる少年だ。
ローブの胸元から覗くのは、びっしりと刻み込まれた魔法陣のような焼印が覗いていた。

ゆっくりと一歩ずつ歩みを進め、

「共に進もうか、友[レギオン]よ。
 君の死は、僕が生かす。無駄に終わらせる気は無いから」

少年に触れた霞が触れるつどに吸い込まれるように消えていく。
散歩をするように、悠然と。普通の少年のような表情で、隙を隠すことすら無く。
凄い銃だね、と感心するように相手の持つ銃を見てつぶやくのだった。
72 :GPM1/持ち物;ミニガン、西洋甲冑型ry [sage]:2013/01/15(火) 16:09:30.17 ID:28uSGdxGo
>>71
ギシリと音を立て、甲冑が緊張したのが一目で分かるだろうか
いつ近づかれた、いつ背後を取られた、いや、そもそも―――いつ入ってきた?
真白すぎる少年を見ていると、時間も、今自分が感じている何かすら失いそうな程……嗚呼、コレは知っている“識”っている

――恐怖。そう呼ばれるモノだろう。
振り返った先に居る、真白すぎる何かに自分は怯えているのだ。
嗚呼、何と愚かなのだろうか。嗚呼、何と浅ましいのだ自分は。
たった今敗北を望んだばかりなのに、たった今死を望んだばかりなのに。
今はもう、死にたくない何て…思ってしまう
生温い空気と、血生臭い空気の中で冷めきった無味乾燥な心に火が灯ったのだ

「く、はは―――」

甲冑の内側から思わず漏れた喉を擽る様な笑い声
そんな声を自身で聞いたのは、一体何時振りだろうか

「嗚呼、そうだとも。無意味な勝利より、満足して死に逝きたい。
 屍と成り損ねた俺の憐れな願い―――だった」

負けるものかと自然と膝に力が入る
大口径のガトリングガンを構え、少年へと向けて

「無意味な勝利も、無意味な敗北も、俺にとっては同価値。
 有意義な勝利と、満足な死こそが俺の願い」

「――――-お前は俺に、何を齎しに来たのだ?」

コレから先、生きろと言う貴方は自分に何を望むのだろうか
無意味なモノを作り続けろと言われる位ならばいっそ―――今貴方と戦った方が満足出来そうだ
だがもし、もし貴方が自分に“夢”を与えてくれるなら・・・・・
73 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 16:17:44.38 ID:U24FHDgCo
>>72
「有意義な勝利と敗北を与えてくれる大きな敵の存在を、君に教えに来たんだ。
 GPM1――読みづらいね、アダ名とかは有るのかな?」

君は、僕の友人とどこか似ているねえ、と穏やかに微笑みを浮かべて。
眼前に向けられているガトリングガンを前にしても、隙は見せたままで態度も変わらない。
魔力は感じられない、武器は持っていない、能力の発動の様子もない。
今、相手の前に立っている少年は、紛れもなく只の少年だ。
だが、その少年が、意志だけを携え、言葉のみで死を振りかざす相手に相対していた。

「僕の名は、サミュエル・リドル・メイザース。
 円環の楽園の盟主であり――この世界の、敵≠セ。
 もしかすると、僕は君に有意義な勝利と敗北を与えられる強い敵を齎すことが出来るかもしれない。
 ――――世界の敵に成る気はあるかい? GPM1」

銃口を目の前に、朗々と言葉を紡いでいく少年。
今引き金を退けばメイザースは死ぬかもしれない。だが、そんなことは気に留めない。
ただ、相手の在り方を肯定し、相手に手を差し伸べるために、メイザースはここに来ていた。
74 :GPM1/持ち物;ミニガン、西洋甲冑型ry [sage]:2013/01/15(火) 16:42:04.55 ID:28uSGdxGo
>>73
「ふん…俺が探し続けても、見つからなかったものを?」

名を知られている、と言う事はある程度は自分の事も知られているのだろうか
最近少し、暴れすぎていたのも有るかも知れないが。
尤も――この得物を目の前にしても未だ底を見せない者ならば、何が有っても不思議では無い気もするが

「ベリアル。無意味、無意義、無価値。それらしか見出せぬからこそ、そう呼ばれていた時期が有る
 尤も…過ぎた名だとは思うがな」

得物を向けるのが無意味だと分かると、ゆっくりと銃を上へ向け
ボッ―――と、上を向いた銃からの爆ぜる様な音の直後。銃口から文字通り火が噴かれた
マズルフラッシュと呼ぶには強烈すぎる炎が銃口から吹き出し、爆音以上の銃声が倉庫内に反響する
撃ち出された弾丸は真上の天井を塵すら残さず撃ち抜いて

「……カオスの権化。円環の楽園の盟主。悪魔の書
 く、ハハハ!」

笑い声が漏れ、溢れる。嗚呼、嗚呼なんと善き日であろうか
彼のカオスの権化が、彼の悪魔王が、自分に契約を持ち掛けてきたのだ
“敵を用意する”と
自分の望んだモノが其処に在る、自分が壊しきれるか不安なほどの“敵”が

「世界か…そうか、世界か!」

嗚呼、本当に…神に、いや悪魔に感謝しよう。この出会いに
身近に有った筈の、自分が求めて已まないモノを教えてくれた貴方に。それと戦う場を寄越してくれると言う化物に。
だが、目の前の少年は紛れもない悪魔…慎重に、慎重に……1つだけ、言葉を紡ぐ

「……今すぐにでも。退屈な天国から堕ちる準備は出来ている。」

酷く醜い、悪魔の如き笑顔が…甲冑越しに見えるだろうか
75 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 16:50:31.84 ID:U24FHDgCo
>>74
「ベリアル――丁度いい名だ。
 まだ、そこの席次は塞がっていない用だからね」

ローブの胸元を開き、魔法陣を見せるメイザース。
胸元の其処の内、いくつかの部分、72に分けられる魔法陣のいち部分は、他と違って存在感が薄い。
それは、ここの座の契約がされていないということであり、ベリアルの悪魔の席は開いていた。

「そこまで大層な人間でもないけれどね。
 ただ――君の覚悟を僕は見た。
 ……君の求める物が手に入ることを、祈っておくよ」

そう言うと、甲冑を外すようにとメイザースは言う。
指先からこぼれ出す魔力は膨大で、先ほどの少年とは別人に見えるほどだ。
力を使う必要があれば使うが、使う必要がない限りは全くとして振るわないのがメイザース。
要するに、先程までメイザースは力を振るおうとは欠片も思っていなかったということと成る。

「――契約には君に陣を刻む必用があるんだけどね。
 何処に刻んで欲しい? 君の好みの場所に刻ませてもらうけど」

刻んだ結果どうなるかは、メイザースの焼印を見れば分かる。
恐らく、凄まじく痛い。指先に集中した魔力の奔流を叩きこむのだから、当然なのだが。
76 :GPM1/持ち物;ミニガン、西洋甲冑型ry [sage]:2013/01/15(火) 17:09:03.86 ID:28uSGdxGo
>>75
「…………女だったら、色気が有ったのにな」

胸元を開いた少年…“少年”メイザースを見てポツリと呟いておく
甲冑の内側でクソがッとの呟きも漏らしたのが聞こえたろうか


「まぁ良い。今後はベリアルとも名乗らせて貰おう…
 GPMも元々、誰かが勝手につけた名前だ」

GPM、遠い過去に誰かに付けられた名前だが…それを誰が付けたかは思い出せない
そして1が居ると言う事は・・・・?


「刻印…成程、天から堕する者には必要なモノか」

頷く様にして頭を下げ、そのまま片膝を突いて
空いた左手で甲冑の兜の留め具を外す

「なら解りやすく、反逆者らしく、蔑まれる者らしく
 この顔へ。誰が見ても分かる様に刻み込むが良い―――」

痛みを、今日と言う感動を忘れない為に刻み付けて欲しい
その思って、痛みを覚悟し、甘受しようとする
その魔翌力の奔流を受ける時すら…口元に自然と浮かんだ笑みは崩れないだろう
77 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 17:14:36.72 ID:U24FHDgCo
>>76
「只の度胸試しと、覚悟の確認の為なんだけれどね。
 ただ、何時かこの刻印が役立つ時が来るかもしれない――多分だけどね」

くすり、とほほ笑みをこぼして。
相手が顔を差し出したのを見て、良い覚悟だと肯定をする。
右手をゆっくりと相手の頬に伸ばし、指先を滑らせていく。

「Pallida Mors aequo pulsat pede pauperum tabernas regumque turris.
(青ざめた死は、貧者の小屋も、王者のそびえ立つ館も等しい足で蹴りたたく。)

 Ede, bibe, lude, post mortem nulla voluptas.
(食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし。)

 Misce stultitiam consiliis brevem, dulce est desipere in loco.
(僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい。)

 Vive memor mortis. Meus amicus.
(友よ死と共に歩め、悪徳と共に生きよ。)」

皮膚に紋が刻み込まれていくだけだというのに、肉体総ての神経を引きずり出して引きちぎる様な激痛を感じさせるはずだ。
出産の痛みすらを超えるような、普通ならば生きている相手に経験しようもない、痛み。
此のような痛みを経験するような物事が有るとすれば、それを乗り越えることもなく死んでいるはずだ。
死を思わせるような激痛は――死を覚悟する事と、死を向き合うことを否応なくさせられる。
当然として、その痛みはメイザースもまた受けている為、声を漏らすことはないが額からは脂汗を漏らしている。
数秒後、紋を刻み終わればメイザースは片膝をついて、ベリアルを見上げながら笑を浮かべた。

「――よろしく、ベリアル。
 今日から、君も――世界の敵≠セ」
78 :GPM1/持ち物;ミニガン、西洋甲冑型ry [sage]:2013/01/15(火) 17:36:35.03 ID:28uSGdxGo
>>77
「ああ、だが俺にとっては良い気年になりそうだ」

自然と上がった口角。頬に触れられればその笑みに応じて微かに硬くなった表情筋の感触が伝わるだろう
詠唱の間、紋が刻まれる間、その笑みは取れる事無く。寧ろ―――

「が、ははははははははは!
 素敵だ!最高に素敵な景色だ!!こんなにも世界は赤いのに。こんなにも人の腹の内は臭いのに!
 たった1つの出会いで、こんなに世界が色づくなんて――――!!!」

歓喜する、甘受した。痛みを、刻印を。
コレから訪れるであろう悪行の全てを楽しむ為に
悪徳の為に悪徳を重ねる覚悟と、[ピーーー]為に[ピーーー]楽しみがごちゃ混ぜになって大きな笑い声が溢れて

「―――ああ、悪魔ベリアルだ。コンゴトモヨロシク。なんてな」

微かに消耗した体力。穿たれた刻印の下で未だ浮かぶ笑みを隠す様に…兜を付け直して
カシャン、と音を鳴らしながらその場に静かに立ち上がって見せるだろう。痛みも、何も無いかのように――
79 :メイザース [saga]:2013/01/15(火) 17:43:57.23 ID:U24FHDgCo
>>78
「――鮮やかな世界を君が見られるのならば、それは僕にとっても嬉しいことだ。
 悪性を僕は否定しない。世界が君の敵だとしても、世界の敵の僕は君と共にある。
 円環を歩むといい、ベリアル」

メイザースは、相手のように痛覚を知らないような振る舞いができるわけではない。
人並みに痛み、苦しみ、泣き、怒る。
だがそれでも、メイザースが、笑みを崩さずに有れるのは、偏に彼がそうあろうとしているから。
力よりも何よりも、メイザースの強さは、そこだった。

「君の勝利を肯定しよう、君の敗北を肯定しよう。
 君の人生が色めく世界を、僕が引き寄せよう。
 ――悪性の肯定が、僕ら円環の楽園の理だ。
 存分に悪を為せ、存分に欲望を振るえ。それが君の世界を作る」

にこり、と目元を細めて、その場でくるりとターンして。
腰ほどまで有る白い長髪がバサリと揺れて、次の瞬間には姿を消していた。
先程までメイザースが居た所には、とあるバーの住所が書かれた紙が置いてある。
皆の溜まり場だから、暇だったら遊びに行くのも悪くないかもね、と気楽な丸文字で書かれたそれからは、歓迎の意志が感じられただろうか。
80 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 20:33:19.11 ID:ABKq9mK0o
盛り場を遠く離れた教会の礼拝堂の長椅子に腰掛けて、上下を上質なスーツで揃えた少女は安堵のため息をついた。
何かに狙われているわけではない。いや、正確には賞金を懸けられている以上逃亡の身なのだが今現在に限って言えばそれに関する危険は考慮する必要はないだろう。
ではなぜこうも焦燥し差し迫る追手から逃れるかのように疾走して教会に駆け込んだのかといえば、それは少女自身にもわからない。
自分はいったいなぜここへ来たのだろう。幼いころは信仰を学ぶため日曜礼拝に訪れたものだが、それもとうに古びた記憶の一部となってこの時まで思い出しもしなかったではないか。
信仰心など欠片もないと思っていた。だというのにこうして十字を切って祈る自分はなんだ?天上を仰ぎ見た瞳を涙はどういうわけで濡らしているのだろう?

「……神の前には善も悪もなく、すべては神のために行われる。神のほかに真理はなく、神のためならば許されぬこともない」

かつて師の説いた神観は今も不生の芯となって自分を支えているはずだった。
ならばどうして心はこうも揺らいでいる。
そもそも何が揺るがしているのだろう、それすらも今の自分にはわからない。
懊悩する少女は只々掌を合わせて黙想を深めていく。
81 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 20:39:10.30 ID:U24FHDgCo
そこはとある地方都市の公園だ。
そこそこ人通りもある公園に、少し普段と違う光景が有った。

絵書きます、売ります
値段応相談、物々交換有り

そんな文言を掲げた看板の傍らに安楽椅子を置いて座る女が居た。
ハンチングを被って、左目をオレンジ色の髪で隠した姿は、どことなく繊細にも見える。
ダッフルコートを来た上にマフラーを巻き、膝にはひざ掛けというそこそこ暖かそうな様子。
そんな彼女の背にはキャンピングトレーラーを牽引するトラクターが停車している。
要するに、旅する絵かき、と言えるだろう。

ただ、問題だったのは――今現在絶賛居眠り中の彼女の停車場所だった。
夜な夜な飽きもせず周囲に騒音をまき散らしながら駆け抜ける迷惑な人間、要するに暴走族の溜まり場なのだ。
寝ている彼女は、近くで十数台の原動機がかき鳴らす熱い鼓動など気に留める様子も無く、そのまま居眠りをしていた。
このままだと、一悶着有るどころではきっと済まないことだろう。
トレーラーも相まって、状況はそこそこ目立つはずだが、状況からして普通の人が助けに入るのは難しいとおもわれる。
82 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/15(火) 20:43:22.06 ID:YZFBTYU30
「…アカン、寒い。」

店を一歩出ると、そこは冷気が支配する世界。
こんな寒さでは、客はおろか、ろくに出歩いている人すらいなのではないか…
こんな状態なので、いつもなら混んでいる店内にも客などおらず、彼女だけが座っている。

「…今日は早めに閉めて、コタツに籠もらせてもらおうかなぁ…」

暇を持て余した彼女は早くも帰って休むことを考えだす。
83 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 20:45:35.24 ID:U24FHDgCo
>>81
/*ちょっとこれ無かったことでー*/
84 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 20:51:24.83 ID:U24FHDgCo
>>80
ぎぃ

フェリシアの背後で、扉が軋む音がした。
こつん、こつんと靴底が床を叩く音が続き、長く長く伸びた影は明かりに照らされた部分を掘り進んでいく。
気づけば礼拝堂の十字架の前に立って、その影は少し首を傾げてくるりと振り返った。

そこに居たのは、一人の女だ。少女とは言えないが、熟女と言うには幼い外見は、年齢をぼやかしてしまう。
ハンチングを被って、左目をオレンジ色の髪で隠した姿は、どことなく繊細にも見える。
右腕にはスケッチブックと、それにくっつけられた色鉛筆。外見から、絵描きの類とおもわれる。

足音はフェリシアへと近づいていき、黙想を深めるフェリシアの前で止まった。
しかし、声が書けられることは無く、ばさりと何かを捲る音とかりかりと何かをこする音が続いただけだ。
音が止めば、礼拝堂は何の音もせず、静謐な空気を取り戻していった。

『泣いてる?』

顔を上げれば、スケッチブックに鮮やかなオレンジ色でそう書かれていたことだろう。
スケッチブックを突き出す彼女は、僅かに目を細めて、心配そうな表情を浮かべていた。
85 :シンラ・アマツキ :2013/01/15(火) 20:58:16.50 ID:d7/N2/2D0

「もっと、もっとつよくならなきゃ......」

とある街中
その路地裏

ゆらり、ふらりと、さながら亡者のような足取りで 闇のなかを彷徨くものが一人
亡者の瞳からは光が失われ、足取りはおぼつかず

一歩、また一歩と歩むたびに
頭部に飾られた猫耳が、力なく揺れる


「むーきゅー......」


そこを 一筋の冷たい風が駆けると
亡者は パタリと 膝を着く

それは 糸の切れた傀儡のように
受け身も 何もない 悲痛なものだった
86 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 21:03:43.55 ID:W6PcaktWo

店の門戸が控えめに叩かれたのは、丁度店主が惰眠を貪る想像を膨らませていたのと同刻の事だ。
かつん、かつん≠ニ、木の枠を叩くか細い音が、嵌め殺しのガラスに伝播して、何ともいえない共鳴を生み出す。

暫しの後、音の主は戸をゆっくりと引いて。隙間から頭、そして肩、足と、順を追って彼女の前にその身を晒していった。


「……こんばんは、今……良いかな?」「……薬を、買って欲しいの」

隈が引き立った不健康な目元、痩せて見える体躯、そして何より眼を引くのが──頭に乗せた三角帽子と、体を覆う茶色のマント。
長髪の金髪を寒風に流す、いかにも魔女然とした風貌の少女だった。

彼女──エミリアは簡潔に要件を述べて、店主の方へと歩み寄る。無愛想な面構えもあって、少しばかり高圧的に見えたかもしれない。

「……あ、押し売りなんかじゃなくて……不要なら、不要だって言って」

それに気づいて、彼女はまごついた様子で俯き、注釈するように抑えた声音で述べて。
きゅるきゅるきゅる=c…それと同時、彼女の腹の虫が、まるで性格を象徴するようなか細い音を鳴らすのだった。
87 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 21:04:06.33 ID:W6PcaktWo
>>86
>>82

/
志村安価安価!
88 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 21:06:02.61 ID:ABKq9mK0o
>>84
深く深く心の湖に溶け込んでいた意識は、扉の開く音でようやく形を取り戻し始めた。
うっすらと目蓋をあげて、16という年には似合わない疲れ切った笑顔を女に向ける。

「……あなたは、だれ?」

優しい人なのだと思う。そしてこんな時間にここを訪れるに相応しい敬虔な人なのだろうとも。
そんな相手の気遣いに応えないまま正体を探ろうとする自らの習慣が嫌になる。
いや、そうじゃない。ずっと嫌だったんだ。
怯えて暮らすことも、嘘をつくことも、誰かをこの手にかけることも。
溢れた涙の雫をぬぐって、今度こそ愛想のいい笑顔を作って見せる。

「こんな時間にどうしたんですか?」

見え透いた話の逸らし方だとは自分でもわかってはいるが、それしか思いつかなかった。
きっと優しくて敬虔であろう人は、こんな自分と関わるべきではないのだと、強く思う。
89 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:0%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/15(火) 21:10:49.85 ID:kvCG6lfIO
>>85
「・・・今日はいつも以上に寒いような」
「いくら氷の能力者といっても寒いのは寒いんだよなぁ・・・」

一人の白い服を着た少女が路地裏を歩いている。
彼女の髪は青く、背中には長い刀を装備している
そして左目には眼帯をつけており、そこからは淡い冷気が出ているような。
しかし寒い今の時期、気づく者は少ないであろう。

「・・・?誰だろう、あんなところに・・・・」

そして少年の方へと足を進める・・・・
90 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 21:13:00.57 ID:U24FHDgCo
>>88
『旅の絵描きさんやってるんだけど。
 あ、一応ペンネームというか、芸名みたいなのは、ナイト・スター・リリーって言うの。
 好きに呼んでくれればいいよ、あと私ちょっと喋れないから文字だけど、これくらいの大きさで見えるかな?』

相手の問いかけに、かりかりかり、と暫くスケッチブックに筆を走らせて。
それから、ばっ、とフェリシアの目の前につきだした。
旅の絵描きという、如何にも自由人と言った職業だが、本人のおっとりとした雰囲気も有って違和感はないだろう。
こんな感じ、と書き込んだ後に、ぱらりとスケッチブックをめくって暖色系の色鮮やかな森の絵を見せた。
森のイメージと言えば緑だが、そこに差し込む光と水のきらめきに重点を置いたのか、みずみずしさが前に来る。
相手の質問に、リリーは即座に答えるのは難しいため、くすり、とわずかに微笑んでから先ほど文章を書いたページを捲り筆を走らせる。

『ちょっとここの礼拝堂が綺麗ってことで絵を書きに来たんだけどね。
 そしたら、お嬢さんが泣いてたから。どうしたのかなーって。
 あと、腕でゴシゴシすると赤くなるから、ハンカチ、どうぞ?』

そう書いたスケッチブックを右手でつき出すと、左手でコートをごそごそしてハンカチを差し出した。
にこり、と相貌を崩して顔を傾ける姿は、どうにもお気楽にしか見えない。
91 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/15(火) 21:20:00.22 ID:YZFBTYU30
>>86
閉店時間より早く店じまいをしようと思ったが、そうは問屋が卸さないらしい。
来客とあっては接客業をしている以上無視するわけにもいかない。
…それにしてもこの寒い中出歩くとは物好きな…

「はいはーい、いらっしゃいませー!」

接客業お決まりのフレーズを口にしながら、注文を取る準備…ん?
…あれ?薬を買ってほしい?食べに来たんじゃないの?
どうやらこのお客さん、薬を売りに来たらしい。生憎自分は健康で、薬なら間に合っているのだが…
断るなら断ってもいいらしいので…

「…はぁ。薬…ですか。ウチは間に合ってますが…」

…と、丁重に断る。
それにしても…言い方が悪いが、先方のほうが、余程薬を必要としている気がする…
何せ、あの痩身だ。体は強くないだろう…
こんな調子で色々推測していると…あらま、お客さんは空腹のご様子。ならば彼女の本領発揮だ。

「あ、何か食べます?すぐ作りますよ!」

というわけで、気さくに声を掛ける。
92 :シンラ・アマツキ :2013/01/15(火) 21:22:19.37 ID:d7/N2/2D0
>>89

ぺたりと頬を押し付けるように 地面へとたおれこんでいた少年は
自らの元に寄ってくるような足音を聞き付けた


(人がきた... でも、殺して食べるような元気もない......)
(お願いしたら、分けてくれるかな......)

少年はピタリとも動かずに暫し思考し

少女がギリギリまで近付いてきたタイミングで顔をあげ


「こんにちは... ねぇ、もしよかったら」
「ちょっと... 首の辺りをかじらせてもらえない...かな? 」


と、力ない笑顔と共に 尋ね

「おねがい...あまりがいはないはずだから......」

今にも消え入りそうな声で付け足した


93 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 21:27:55.19 ID:ABKq9mK0o
>>90
「ナイト・スター・リリー……リリーさん、だね」

聞かない名前だ、と思ってすぐ芸術になんて興味がないから当然だと苦笑が出る。
見せられた絵をしばし眺めて、それから視線をリリーに戻す。

「上手なんだね、なんていうのか……暖かい絵だと思う。なんとなくだけど、あなた自身にすごく似てると思う。
きっとリリーさんには世界がこんな風に見えているんだね。……ありがとう、自分のがあるから」

上着の内ポケットから薄手のハンカチで改めて涙をぬぐって、しまい直す。
それから思い出したように口を開いた。

「あ、わたしここにいたら邪魔になっちゃうかな」
94 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:5%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/15(火) 21:30:23.88 ID:kvCG6lfIO
>>92
「え・・・えっ・・・・!?」

少年の予想外の一言に声が出ない。
驚いたような顔をして2,3歩後ろへ下がる。

「・・・吸血鬼か・・・何かなの・・・・・」

青ざめたような顔をして小さな声で言う。
そしていつ襲ってきてもいいように背中の刀の柄を握る。
95 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/15(火) 21:31:49.68 ID:RjjzPATh0
睦月、雨降る夜の路地裏にて人が二人。

一人は、壁にもたれ、痛みで気絶している男で。

独りは、呼吸を乱しながら、八つ当たりをしている女で。
傘も差さず、雨に打たれながら空を見上げていた。

「―――……感情を、持て余す、か
 全くもって今の私ね。ホント、嫌になる」

雨に濡れていることも意に介さず、ルーシェはすたすたと
表通りに歩みを進めていく。

行く宛など、何処にもないのに。
独り、愚かしいと口にして。一人、苦笑した。
96 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 21:32:49.30 ID:W6PcaktWo
>>91

エミリアは店主の言葉にがくりと肩を落とす、目に見えて落胆していた。
流れの魔女というのは、概して金欠か、あるいは拠り所を持たないもので。


「……え?」「でもわたし、お金……持っていないから」

彼女は思考をこれから、いかにして日銭を稼ぐかにシフトさせていった、そんな折の事だ。
眼をぱちくりさせて、彼女の方を見遣る。何せエミリア、無一文なのである。

「ありがとう……でも、ごめんなさい」

不意の申し出に対して遠慮しがちな声色で、やんわりと断るようにして、指先同士を絡ませながら俯く。
戸惑いを隠せない時の、エミリアの癖だった。以降、黙りこくりながら店主へと上目遣いの視線を送る──
97 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 21:38:17.11 ID:U24FHDgCo
>>93
『褒めてもらうと嬉しいかなあ。
 これでも、結構昔からやってるんだけど、絵で食べていけるようになったのは最近なんだ。
 世界は綺麗な所ばっかりじゃないけど、絵に書くものくらいは綺麗なものを書きたいじゃない?
 この世界にも、こんなに綺麗なものが有るんだなあ、って思ってもらえればそれが一番嬉しいんだけど――、難しいんだよねえ』

この世界が綺麗で暖かいなどということは一面では嘘ではなく、一面では真実だ。
この世界は、汚いと言う事もできないし、綺麗ということも出来ない。
綺麗と汚いが入り交じって、不幸と幸福の入り交じる灰色の世界だ。
でも、その中でも偏りは有って、そういう負の側面の人たちの助けになれるようなものが書ければいいと、リリーは書きつけてはにかんだように笑った。
さらりと左目を隠す前髪がずれれば、隙間から酷い火傷痕と義眼が覗く。
汚いだけじゃない世界を絵の中に閉じ込める理由は、この脳天気な女の過去にも有るのだろう。

『居てもいいよ。
 ただ、絵をかいている間はお話できないから、つまんないかも?』

フェリシアの問いに、そう書き返して、あー、と言葉にならない声を漏らす。
頭のなかで文章は組み立てられても、それを言葉にして吐き出すことが出来ない。
それが、リリーという人間だった。しかし、本人はそれを気にする様子は無く、月明かりの差し込む礼拝堂を描き始めた。
持っているのは、綺麗な色鉛筆一本で、それをスケッチブックの上で縦横無尽に走らせる。
次第に壁が生まれ、十字架が下がり、月の光が差し込んでいく。不思議なことに、一本の鉛筆であらゆる色が創りだされていた。

「んー、んー、あー、んー、んー♪」

楽しそうに、歌詞の無い歌を礼拝堂に響かせて。
リリーは静謐な礼拝堂を、どこか優しい空間へと紙の上で再構成しているのであった。
98 :シンラ・アマツキ :2013/01/15(火) 21:40:33.71 ID:d7/N2/2D0
>>94

「うぇ...? うー.... ? ちょっとちがう......」

少年は困り顔で答えた
雑談をする余裕など無く、今にも消滅の危機なのだ
少年曰く、力を強めるために能力を酷使しすぎたとのことで

ちなみに、少年は吸血鬼では無い
吸血鬼のように人の血を吸うわけではなく
人の生命力を喰らうのだ

故に、殺害せねば全てを喰いきれないのが現状なので
少年が語るとおり 害は無い


「刀に手をかけてもむださ...」
「今の僕に、君を襲う元気はないから」

まあ、あれば最初から地面になど這いつくばらないだろう


「おかえしは、するから... だめ かな...?」
99 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/15(火) 21:46:00.33 ID:YZFBTYU30
>>96
…あらら、余程薬を売りたかったのか?
明らかに落胆するお客さん。一体どうしてそんなに落胆するのか。
その答えを知るには、お客さん明らかの次の言葉で十分だった。…お金、持ってない。
つまり少しでも手銭を持ちたかったわけだ。きっと空腹なのも、ろくに食べてないからだろう。
こうなると情に厚い彼女は薬でも買ってお金をやりたくなるのだが…必要のない薬を買っても仕方ない。
しばらくして、彼女は
こんなことを言う。

「…あー…うん、お金はええよ。余りモンで良かったら出したるから…」

調理の際に使わなかった切れ端でも、ちょっとした料理なら訳もなく作れる。
勿論余り物なので料金は不要。
100 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:5%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/15(火) 21:46:21.30 ID:kvCG6lfIO
>>98
「血を吸わないなら・・・・」

しばらく黙り込んで考えているようだ。

ー数十秒後ー
「・・・うーん、じゃあ少しだけなら・・・・」

渋々と認めたようだ
刀にかけていた手を離し、下ろす。

「・・その代わり殺さないでよ」

そしてそう小さい声で囁く。
101 :和泉 晴彦 :2013/01/15(火) 21:48:56.98 ID:KeeZuyPAo
>>95
「そのままだと、濡れません?」
通りを歩いていたら、ふと視界の端に捉えた一人の女性を見つけて、声をかける。
この雨だというのに、傘も刺さずに身体を濡らして歩いていた。
「これ、使ってください」

女性に声をかけて足を止めされば、唐突にビニール傘を渡そうとする。
男の方は厚いジャケットと、それに付属する帽子を被っていて、ほとんど雨水を受けていない。

声をかけたのは、女性より少しだけ年が下に見える青年。
扱う敬語は、少々ぎこちのない部分がある。
102 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/15(火) 21:48:57.77 ID:DcPwk7fs0
>>95
そのような雨降る静寂をぶち壊しにしてくれたのは、傘をさしたスーツ姿の中年であった。

「大丈夫ですか!しっかりしてください!」

立ち去らんとする女の反対側から現れた中年は倒れた者を見ると駆け寄り
呼びかけても男の意識が無いのを確かめると

「そこの御嬢さん!救急車を呼んでいただけますか!」

雨に打たれて濡れていたが、そんなことはお構いなしに助力を求めた。
103 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/15(火) 21:49:27.67 ID:DcPwk7fs0
>>102
取り消しで
104 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 21:52:39.39 ID:ABKq9mK0o
>>97
「そっか。それじゃあもう少しだけ、ここにいさせてもらおうかな……」

短くそれだけ答えて、リリーの斜め後ろの長椅子に腰を下ろした。
彼女の言葉、ケロイドと義眼。リリーの歩んできた人生を垣間見てしまったような気がした。
訪れたのであろう凄惨な過去も有り触れた話なのだろうとどこかで醒めた目で見ている自分がいる。
もしもこんな自分が絵を描いたとしても、きっとこんなにやわらかくて暖かい絵にはならないだろう。
素敵な絵を描ける人というのはきっと内面から素敵な人なのだろう。
なんの確証もなく、だがそれが間違っているのとは思えない。
その答えはきっと自分には手の届かない遠くにあるということだけはわかる。

休みなく働くペン先を見つめながら、出来上がったら売ってもらおうと少女は思った。
105 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 21:58:24.49 ID:W6PcaktWo
>>99

「……良いの?びっくり」 店主の言葉に、エミリアの顔色は一挙にその明るさを増して。
顔を上げ、期待感に満ちた視線を彼女へ送った次の瞬間には、エミリアは手近な椅子に着席していた。

行動の速い奴である、事実この少女、食に関しては人一倍貪欲だった。だからこそ、店主の優しさが身に浸みる。


「……感謝の気持ちを込めて、エミリア……わたしの名前」
「職業は……見た通りだよ、魔女なんだ」「きみは…なんていうのかな?っていう、興味…」

依然、眉根は眠いとも不機嫌ともつかぬ皺を刻んだままだったが、言葉通り、声音はいくらかの柔らかみを帯びていて。
心なしか、頬も緩んでいるように見えた。そのままの表情で、彼女はきっと、店主の料理を待つのだろう。
106 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/15(火) 22:01:11.98 ID:RjjzPATh0
>>101

「…いらないわ、私は好き好んで雨に打たれて濡れてるんだから
 その心配りだけ受け取っておくわね」

独りが振り向けば、そこには青年がいた。

ぎこちなさげに話しかける彼に対して
冷たい視線と言葉を添えて、差し出された傘を払いのける。

「私、今ものすごく苛立ってるの
 あまり構わないでいただけるかしら?」

滲ませるのは、苛立ちの色。
顔が、目が、口が、言葉が、それを物語る。
それだけでなく、手に無造作に握られた何かもそれを強く裏付ける。

>>102
//また今度お願いします
107 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 22:01:39.88 ID:U24FHDgCo
>>104
「んー、んー、んー♪」

暫くの間筆を走らせ続けて、仕上げに幾つかの点を書き上げれば、絵は完成。
ピタリと音が止むと同時に、ほふぅ、と息を吐いて女は長椅子に体を横たえて、ぐぐと両手を伸ばして手をぶらんぶらんと動かしていた。
妙に稚気の溢れる様子で、お絵かきを楽しんだ後の子供にしか見えないが、フェリシアが居た事を思い出してそそくさとすまし顔で体勢を元に戻した。

「んっ!」

絵を見せる為、言葉は無いがにこにこした顔で、リリーはフェリシアに絵を見せる。
色合いは、石造りの教会であることから重々しいものになりがちだが、どこか雰囲気が柔らかい。
それは、天窓から入ってくる月光を浴びる床や、壁の光の朧気さなどから来るものなのだろう。
暫くフェリシアにそれを見せれば、リリーはぱたん、と次のページを開いて、何かを書きつけて付き出した。

『そうだ、似顔絵書いてあげる。
 折角可愛いんだから、もっと気楽に笑えばいいと思うんだけど』

そう言うと、一端スケッチブックを置いて口の端をぐい、と引っ張って笑顔を作る。
フェリシアの笑みの硬さを見抜いていたようだが、咎める様子は何処にもない。
ただ、いつも通りにのんびりと振舞っているだけだった。
108 :シンラ・アマツキ :2013/01/15(火) 22:01:43.77 ID:d7/N2/2D0
>>100

「んや! あーりーがーとー! 」

残りうる最後の力を絞り礼を述べたあとは
ジリジリと少女にはいより、首の辺りをがぶり

血を吸うわけではないので、チクリと刺すようなカミカタでは無く
虫歯の無い綺麗な歯で 歯形を付けるように噛み付くこと、約30秒

物理的には何も減ってはいないが、少女の命そのものである生命力を喰らったため
多少の気だるさや 目眩などが起こるかもしれない(個人差ありというやつだ)


「......ッぷはぁ」
「ありがとうね...えーと、お嬢様! 」

「僕の名前はシンラ・アマツキ。 君の優しさは忘れないよ」

お嬢さん...と呼び掛けたところで 言い方を変えたのは
前日、とある少女に 「次にお嬢さん等と呼べば[ピーーー]」、という脅しを受けたためだ


斯くして少年は改めて礼の言葉を贈り
にまにまと微笑んだ

人の優しさにあずかれたことが、とても嬉しいようだ
109 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/01/15(火) 22:10:29.45 ID:2dfAi33go
月夜。スラムに程近い路地裏のそのまた奥は、惨状と化していた。
建物と建物の間に空いた比較的広いスペースの地面には、紅い液体が溜まるほど溢れている。壁にもベッタリと飛沫が飛んでいた。
ブースター機構を取り付けた斧を持った男はその壁にへばり付く様に背を預け、違法改造された銃を腰に差した男は血に横たわる。
……どちらも、もう息は無い。

「――――。……さて、もう終わりだけどさ、フォール」

「あ?」

「何で、"女になってる≠フ?」

黒髪や中性的な顔はそのままに、上は黒いタンクトップ、下は上半身部分を腰で結んだ水色のつなぎ。そして骨格がモロに女となっている悪魔。
建設業に付いているんじゃないかと思わせる悪魔はケッケッケと笑い、曰く。お前が襲い掛かってくるのを待ってたんだよ、と。

先ほどまでICODへと電話を掛け、悪魔に疑問を問いかけた少年が、面倒だと思いつつ腰に差してあるデザートイーグルを抜き出し、
弾を一発浪費するまでにそうそう時間は掛からなかった。具体的に表すなら、0.7秒ほどだろうか。

少年は気分が良くなかった。射殺命令が出ていた犯人を[ピーーー]のはまだ良い、しかしそいつ等がやった事を思い出すと吐き気がしてくる。
只今額に大きな風穴を開けて倒れている悪魔に言われたことも相まって、すっかり憂鬱な表情だ。
こいつが余計なこと言わなきゃな……蹴り飛ばそうかと考えたが、今は女の身体をしている悪魔を蹴ることはプライド上出来ない。
……そんなこんなで、少年は近くの倒れたドラム缶に座り、一先ず悪魔が起きてくるのを待った。

表通りの人間は、銃声に驚くも触らぬ神に祟り無しのようで。しかし、少年が居るスペースへ通じる道を阻むものは何も無かった。

/使い回しですががが
/長く書き過ぎましたが、路地裏の奥でドラム缶に座ってる少年と近くでぶっ倒れている女が居る。といった感じです
110 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:5%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/15(火) 22:11:06.80 ID:kvCG6lfIO
>>108
「う・・・・うぐ」

噛まれている時ポケーっとした顔をしている。

「・・・で、終わりなの?」

噛まれた場所を軽く袖で拭うとそう言う。


「お嬢様・・・」
「私の名前は八剣蒼香(やつるぎ そうか)よ」
「・・・次いつ何処で会うか分からないけどよろしく」

そして軽く自己紹介をする。
111 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 22:11:54.89 ID:ABKq9mK0o
>>107
「お疲れ様。上手だし、それにはやいんだね。さすが絵描きさんだ」

まるで背伸びをする小さな子供のような仕草を好ましく思う。
突き付けられた絵の感想がどうしてもうまく言葉にならなかったことに申し訳なさを感じながら、ひとまずは笑顔とありふれた言葉でねぎらった。
そして提案自体よりも気楽にという言葉に内心で驚きながらも、

「わたしは、そんな……いいよ、モデルになるようなかわいい顔してないから」

適当な回答が見つからず、それも無難な理由をとってつけて返した。
本当に自分の容姿に自信がないわけではない。年相応の愛嬌はあるつもりだ。
それでも断ったのは暗殺者という職務が根底にあった。
それがどんな形であれここにいた痕跡を残したくないのだ。
112 :和泉 晴彦 :2013/01/15(火) 22:14:31.28 ID:KeeZuyPAo
>>106
「ああ、そうかい」
傘を受け渡す事を女性に断られれば、その手に握っていた傘を道の端へと投げ捨てた。
それに続けて冷たい視線や言葉を投げつけられれば、青年が浮かべていた笑いも消えてなくなり、目の前の女性を訝しげに細い目で見つめる。

「そっちが構わないでほしいって言うなら……お互いのためにも、関わらないでおきたいさ。
ただ、その男はどうしたんだ。どうして気絶をしているんだ?」
不慣れな敬語も無くなり、質問――と、いうよりは問い詰めようとする調子の言葉になる。
語調が強くなれば態度も強くなって、女性を警戒するような様子も感じられるだろう。
113 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/15(火) 22:15:31.37 ID:YZFBTYU30
>>105
おおう、早い早い。もう着席している。
手早い人やなぁ…と苦笑いをしつつ、調理の準備。
和服に割烹着という出でたちがよく似合う。
それにしても、料理を作ると言っただけであんなに表情が変わるとは…これは、料理の作り甲斐があるというものだ。

お客さんの名前はエミリアというらしい。魔女…?果たして何をしているのだろうか?

自分のことも知りたいと話すお客さん、もといエミリア。そういえば自己紹介がまただった。

「えーと、私?私は澪!大坂澪って言うんや!よろしゅうな!
この通り、料理屋をやっとるんや。ってそんなん見たら分かるか!」

笑いながら自己紹介を兼ねて挨拶。
気さくな性格と明るい笑顔は、彼女の一番の長所でもある。
料理はブリのアラを使った船場汁。
ブリのアラ、すなわち本来不要な部分を入れた汁物だ。
アラとは言え、魚のダシがよく出て味は十分過ぎるほど。
114 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 22:16:21.65 ID:U24FHDgCo
>>111
『可愛いと思うんだけどな。
 でも、嫌がる子を書くのは私も嫌だから、分かったよ』

相手の様子から、これ以上押すのは悪いと思い、引いたリリー。
そして、ぺらりと先ほど書いた絵のページに戻って、うんうん、と満足気に頷いていた。
その直後だ。ぎゅるぎゅると地面をのたくる獣の唸り声のような音が響いたのは。
音の出処は、あろうことかリリーの腹部。――そう、腹が減っていた。

「う……うあ……」

少し恥ずかしそうに目線を外して、どうしたものかといった様子。
そして直後に、また腹の音が響きわたっていた。
115 :シンラ・アマツキ :2013/01/15(火) 22:20:36.00 ID:d7/N2/2D0
>>110

「うん。 おわり。 血も吸わないしころさなかったでしょ? 」

まぁ、大抵の獲物は殺しているのだけど
今は元気も無いし
第一、優しい人間は殺さない主義なのだ


「そうか、そうかね。 じゃぁそーちゃんだねっ」
「ん。 また、すぐあえたら そのときはおかえしをさせてもらうよ」


116 :八剣蒼香【青髪眼帯の少女】[能力:氷結眼『フリージングアイ』(解放度:0%)]E:白銀刀 [sage saga]:2013/01/15(火) 22:25:49.46 ID:kvCG6lfIO
>>115
「そーちゃん・・・ねえ」
「・・・じゃあまた会えるといいね、そろそろバイトに行かないと駄目だし」

そう言うと軽く一礼して、何処かへと消えて行くのであった。

//という具合で終わりとしていいでしょうか
117 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 22:26:00.67 ID:ABKq9mK0o
>>114
大音量の咆哮が、あまりにも雰囲気に似合わなくて、いや似合いすぎていたせいか。

「……ふふ、あはははっ!ごめ、ごめんねリリーさん、なんか面白くって」

こみ上げる笑いをなんとか押さえつけながら、先ほどハンカチを入れた時とは反対方向の内ポケットに手を差し入れた。
どこにでもあるような市販の固形食糧を取り出し、

「こんなものでよかったら、食べる?」

笑っちゃったお礼じゃないけどね、と付け足して箱に入れたままそれを差し出した。
118 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/15(火) 22:26:07.03 ID:RjjzPATh0
>>112

「なぁんだ。その顔の方がお似合いね
 さっきのおどおどした顔よりよっぽど良いわよ」

警戒心を剥き出しにした青年を前に、思わず破顔。
にぃっと笑みを浮かべながらおどけた口調で

「さぁ、知らないよっと。酔っぱらって寝てるか
 "ちょっと"小突いたら動かなくなったんじゃない?」

ある種の自供。持て余した感情を紛らわすに丁度良い。
だから相手をその気にさせたくて――

「で、もし、"ちょっと"小突いたのが私だったらどうする訳?
 警察にでも突き出す?弱みでも握って強請る?
 正義のヒーロー気取りで、私を[ピーーー]?アッハハハ、どれでもいいわよ」

挑発。
119 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 22:31:50.72 ID:U24FHDgCo
>>117
「……っ……!」

こくこくこく、と赤らんだ顔で目線を合わせないようにしつつも、高速で首を縦に振って。
すばしっこい動作でフェリシアからブロック状の栄養食品を受け取ると、包装を剥く。
そして、もっきゅもっきゅと幸せそうな顔で固形食料を平らげていく。
両手でブロックを持って口に運ぶ動作は、何処か小動物ががって見える。

『ありがとう!
 お礼というにはなんだけど――これ、あげる』

全部食べ終わると同時に、かりかりかりと文章を書きフェリシアに見せて。
その後に、そそくさと手を動かして、スケッチブックから先ほどの教会の絵をちぎり取り、フェリシアに差し出した。
色鉛筆で書かれているはずなのに、油絵のような独特の質感も感じさせる、不思議な絵であった。
120 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 22:33:30.66 ID:W6PcaktWo
>>113

「……よろしく、ね?澪」店主──澪の溌剌とした笑みに、エミリアは僅かながら、口元を緩めてみせる。

指先をおしぼりで丁寧に拭いながら、煮える汁物の香りを肺一杯に吸い込んで、溜息を一つ。
澪の行動に感銘めいたものを抱きつつ、今は彼女の好意に甘える事とした。


途中、「……ノリツッコミ、面白いね」なんて、くすくすと含み笑いをしてみせる。
人相の悪い彼女が微笑を湛える様は、どこかシニカル──冷笑的でもあったけれど

「人相悪いから……ごめんね?こんな笑い方で」
それを察して否定する言を付け足す辺り、どうやらそれを自覚しているようで。
121 :シンラ・アマツキ :2013/01/15(火) 22:38:13.72 ID:d7/N2/2D0
>>116

「ばいばーい またねー」

少年も、少女を見送った後に
ふらふらとした足取りで帰路につく

あぁ、また食事の量が増えそうだ なんて考えながら

/ですな! 乙でした!
122 :和泉 晴彦/サイボーグ [sage]:2013/01/15(火) 22:39:57.30 ID:KeeZuyPAo
>>118
「どうも……それほど、嬉しくないけれどな」
女性の唇が笑いに歪むのを見て、眉間の皺を深くする。

「本当に知らないんだよな?」
知らないというのが本当ならば、めの前の女性は倒れた女性はこの気絶した男性とはなんの関わりの無いことになる。
それにも関わらず警戒を解けないのは、ようするに目の前の女性を信用していないからだ。


「誰がやったとしても、もしも君が『小突いた』のだとしても関係は無い。
ただ……俺は治療をするとか、あるいは救急車を呼ぶとか、その男を助けられるようにする。それだけだ」

「気絶者を一人から二人に増やしたくは無いさ――それとも、君がけが人の応急処置をしてくれる?」
挑発に、青年は軽口を吐いて答えた。
警戒はしているのだがどこかフワフワとしていて、『戦う意思』というものが薄いのであった。
123 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 22:40:21.52 ID:ABKq9mK0o
>>119
「これは、さっき描いてた……」

自分からお願いしようとしていたくらいだ、当然嬉しいのだがあまりに突然で困惑してしまう。
受け取って、少しの間見入って、それから再び逡巡。
リリーは旅の絵描きで、そしてそれで生活していると言っていた。
そんな相手の作品を安物の固形食品なんかと交換してもらうのは失礼というものだろう。

「そうだ、この絵はいくらなのかな?ちょうど手持ちにお金があるからここで払っちゃうよ」

またもスーツの内側に手を入れて、今度は財布を取り出した。
ちょうど手持ちの貯金の一部をこの国の通貨に換金したばかりだ、それなりのまとまった額が手元にある。
124 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 22:44:49.40 ID:U24FHDgCo
>>123
『じゃあ、3日分のご飯代位って事で……、1500円でいいよ』

代金がどれくらい、と聞かれて、僅かに考えた後に、予想以上に安い金額を提示した。
3日で1500円、一食250円の計算と成る。
まあ、貧乏旅人としては、そこそこマトモに食事をとっている部類と成るのだろうか。
先ほどの腹の音からすると、あんまり食べているようにも思われないだろうが。
125 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/15(火) 22:50:00.74 ID:YZFBTYU30
>>120
「ううん、ええんやええんや!
アンタが私をバカにしとるわけやないっちゅうのは見たら分かるよ!」

実際表面的な表情がどうであれ、彼女は顔を見ればどんな感情を抱いているか分かる。
これは魔法でも異能でもなく、小さいころから多くの客と接してきた経験の成せる業だ。

船場汁はすぐに完成した。簡単な料理なので、サッと作れるわけだ。
「はい、お待ちどう!
こんなんで良かったら、いくらでも作ったるからな!」

彼女は笑顔で船場汁を差し出した。
あたたかい汁物は、寒いこの時期に体を暖めるのに最適だろう、そう思って作った。
126 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 22:54:09.48 ID:ABKq9mK0o
>>124
提示された金額は予想をはるかに下回っていた。
たしかに三日に一度絵を描いて売れば食べていけるのだろうが、それでは食事以外何もできないし、素人目に見ても安すぎるというものだろう。
少し考えて、単純な解決方法を思いついた。

「ごめんね、ちょうど細かいのがなくって。だからこれで」

取り出したのは一万円札だ。
空腹の程度とどこか浮世離れした雰囲気から察するに、リリーも小金を持ち歩くタイプではないだろう。
ならばこれをそのまま押し付けてしまえばいい。一万でも安すぎると思うのだが、かといって札束を押し付けられて喜ぶ性格でもないだろう。
127 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/15(火) 22:55:42.77 ID:RjjzPATh0
>>122

「―――ッ!」

思いもよらぬ返答と反応に思わず息を呑む。
想像の斜め上の出来事に思わず、呆けてしまう。

「――……っく、ふふッ
 あなた、面白い事を言うのね。
 警戒してるくせに、どこか抜けた事言っちゃってぇ」

すたすた、と気絶した男へと歩み寄り
頭と顎をつかみ、捻じり、首の骨を折り、絶命させる。

「治療も、救急車も御免蒙るから"つい"殺しちゃった♪
 ここに放置したら邪魔だからどこかに捨てなくちゃ
 だから、あなたも手伝ってくださる?くすくす」

更なる、挑発。今度は目に見える形で、より鮮明に、鮮烈に。
にこやかな笑みが、どこか寒々しかった。
128 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 22:59:16.29 ID:U24FHDgCo
>>126
「――――!?」

ほわっ!?と言わんばかりの表情で、差し出された札を見て目を見開いた。
きょろきょろと周囲を見回して、いいの?いいの?と聞かんばかりな視線を送る。
そうして、暫く――数分ほど――迷った後に、恭しく名刺を受け取るように両手で1万円札を受け取った。

『あnの、いいの?
 こんな大金、あの、美味しいご飯たくさん食べれちゃうけど?』

きゅきゅきゅ、とスケッチブックに怒涛の勢いで書き込み、フェリシアに見せるリリー。
なんというか、お金の価値が食事で換算される当たり、この女の価値観が分かる。
129 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 23:06:16.24 ID:W6PcaktWo
>>125

「……ありがと、優しいんだね…澪」「って、感謝の気持ちを添えて」
「人付き合いは苦手……だから、人にこうされるの……とっても嬉しい」

差し出された船場汁と、澪の顔を交互に見遣って、恐らくは今日一番の、やっと上機嫌と取れる笑みを浮かべてみせる。
自ら豪語する通り、彼女は人と面と向かいあうのが苦手だった。嫌いではなく、高圧的な人間に対して、対等に出られない。
だからこそ、優しい人間には人一倍の好意を抱く──のだけど、口下手と仏頂面も相まって、そういう間柄には中々至れないのだった。


湯気に満ちた鰤のうま味と、白醤油の仄かな風味に鼻腔をくすぐられて、腹の虫が今一度鳴き声を上げる。
食欲をそそる香りに耐えかねて、「頂きます」と両手でお椀を手にして、ちゅるちゅると透明感のあるそれを啜る。

そして────


「………ごちそうさまでした」 ─── 完 食 ──

「おいしかったよ?薄味で……とっても繊細で、なんだか、澪の性格がわかるような……そんな味」

一瞬の出来事だった。それは飲み込んだと言うよりも、消失した≠ニした方が適切かもしれない。
人智を超えた速度で飲み干した上、おまけにお椀の中には綺麗に、鰤の骨だけが残されているのだった。

それはまさに魔法≠セった。
「女の子の秘密……だから、野暮な詮索はダメ」「だよ?」と、神秘性を醸すウィンクを添えて。
130 :和泉 晴彦/サイボーグ :2013/01/15(火) 23:08:30.22 ID:KeeZuyPAo
>>127
「何やってんだお前――っ!」
女性の動きを予測できなかった。
そして、目の前を男を見す見す殺させてしまった。

目の前で人が死んでも、慣れたようにほとんど取り乱さない。
目の前に人殺しがいる。それにもほとんど驚きはしない。
「ああ、クソッ……想像以上にイカれた輩だったか」
舌打ち。そして目の前の女性を鋭く睨む。

「うるせえよ、お前はもう喋るな」
「アンタは警察だとか……とにかく、その類の機関に突き出す。
逃げるなよ、目の前で犯行を目撃したんだ。お前みたいな奴を逃がしたくは無い」

怒りと戦意をあらわにする。
また、何度もうたれる舌打ちは後悔の気持ちの表れであった。
131 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 23:11:24.32 ID:ABKq9mK0o
>>128
「受け取ってくれるんならもうちょっと足したいくらいなんだけどね」

もしも自分が画商なら、スケッチブックごと買い取るだろう。
そうして庶民向け、それも中流階級に向けてプロモーションすればこれから先きっと人気が出るはずだ。
そうなればスケッチブックには、いやそこからちぎり取られた一枚の絵であっても今渡した額の数十倍になってもおかしくない。
もちろん、画商でも芸術通でもない自分が、いや、そうであったとしてもそんなことをするつもりはないのだが。

「この絵、大事にするね。ありがとう」

出会った時に見せた疲れなど陰も見せない元気な顔で笑って、受け取った絵を大事に抱えた。
それはありふれた、しかし唯一の心からの感謝の証だった。
132 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/15(火) 23:17:00.93 ID:U24FHDgCo
>>131
「ん!」

にこにこと、相手の感謝を受けて、お金を貰った時や、食べ物をもらった時よりも一番嬉しそうな表情を浮かべた。
そして、ぱたぱたと教会の人が礼拝堂に近づいてくる音を効いて、んー、と声を漏らした。

『こっそり入ってきちゃったから、私逃げちゃうね。
 またいつか会えたら、その時は一緒にご飯、食べたいな。
 じゃあね、フェリシアちゃん』

きゅきゅきゅとそう別れの言葉をスケッチブックに書くと。そそくさと準備を済ませる。
そして、窓際まで小走りで走って行き、窓を開けてよじ登る。
外に飛び出す前にぱたぱたとフェリシアに手を振ると、窓から飛び降りて小走りで走り去っていったのだった。

数分後、近くのパン屋で買ったサンドイッチをモグモグしながらトレーラーを運転する魔女が一人。
ぐるりとハンドルを回して夜の道を真っ直ぐに飛ばして。
んんー、と嬉しそうな声を漏らして、次の出会いを探しに行くのだ。
次に出会うのは、次に書くのは一体誰で一体何かは、きっと彼女にもわかっていなかった。

/*おつでしたー! 楽しかったのですよー!*/
133 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/15(火) 23:22:29.22 ID:YZFBTYU30
>>129
「へへへ、どうもありがとうな♪
…ほら、そんな顔も出来るやん!
悪い人とちゃうに決まっとる!」

改めてエミリアの笑顔を見る。こんな笑顔になれる人が悪いはずが無い。
どんなに不器用で口下手でも、顔が全てを語ってくれる。
エミリアの好意は彼女に十分伝わっている。
さ、あとは自分の料理を気に入ってもらえればいいのだが…
…良かった。美味しいと言ってもらえた。
料理人として美味しいという言葉が一番嬉しい。が…おかしい。いくらなんでも早い。
「はいはい、お粗末さま…って、えぇ!?もう食べ終わったん!?」

分量は少なくなかったはずだが…彼女は不思議そうに首を傾げる。
…しかし、女の子の秘密とあらば仕方ない。

「うーん、そうなん?秘密ならしゃーないな!」
134 :フェリシア【エンハンス】スーツ少女フリーランス暗殺者 ◆FelIcIA30U [sage]:2013/01/15(火) 23:22:58.98 ID:ABKq9mK0o
>>132
あわただしい脱走劇に手を振りかえして、少女は堂々と正門を開けて立ち去ることにした。
少し前まであんなに思い詰めていたのに、不思議なほどにすっきりした気持ちだった。
きっとあのやわらかくても暖かい絵描きさんに毒気を抜かれてしまったのだろう。
そう思うとすこし可笑しくて、自然と口元に笑みが浮かんだ。

/こちらこそ楽しかったです、ありがとうございました!
135 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/15(火) 23:30:22.05 ID:RjjzPATh0
>>130

後悔と義憤、敵意が綯い交ぜの顔は見ていて楽しい。
鋭い眼光に睨まれ思わずゾクゾクする。

うすら寒い笑みからの舌舐めずり。
これを待っていたと言わんばかりに湧き出る歓喜は
先程までの苛立ちをかき消すには十分だった。

「あら失礼ね。レディにイカれた輩なんて汚い言葉を使うものじゃなくってよ
 そんな顔しなくても、あなたの要望通りに警察にでも出てあげてもいいわ」

不意に青年の方へと歩み寄り、大人しく―――

「あ、気が変わっちゃった。やっぱりやーめたッ
 だから、私帰ってもいいかしら」

捕まるわけもなく、青年との距離を詰めた後
不意打ちのごとく脈絡無しに青年の顔に拳を振るう。
136 :和泉 晴彦/サイボーグ :2013/01/15(火) 23:40:54.49 ID:KeeZuyPAo
>>130
「もうお前とは話をしたくない。
……何かを話しても、無駄だしな」
言葉には苛々した調子があった。

「何がレディだよ……ッ」
悪態をつこうとした矢先、女性から不意の一撃が繰り出された。
不意打ちであったものの、警戒していたため反応する事ができた。
攻撃が直撃する前に二、三歩ほど後ろに下がって、相手の拳を避ける。

「そうやって、今度は俺を[ピーーー]のか?
……とことん、狂ってやがる。救えない奴だ」


//すみません。詳しくは避難所に書いたのですが、ちょっと時間の問題が……
//明日の予定があって、12時前後で話にひと段落をつけてもらえないでしょうか?
137 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/15(火) 23:45:41.52 ID:W6PcaktWo
>>133

「そ、秘密」 ある人間曰く、「Secret makes a woman woman.=Aなんちゃって」
……女の子は、秘密の数だけ可愛くなれるのだそうだ。

「…下手に探りを入れたら、呪われちゃう……かもね?」「……冗談、冗談だよ?くく、くくくっ……!」

そう言うエミリアの笑みが、一転不穏な──言うならばマジ≠フ状態になっていたような気がしないでもない。
口角を半月に吊り上げ、喉で高い笑い声を鳴らすそれはきっと、彼女の魔女としての一面なのだろう。


「……ねぇ、澪……折角だから、お礼させてくれないかな?」
「魔女らしいところ、見せてあげたいし……」「……それに、それに……澪の役に、立ちたいなって」

彼女の場合大喰らいで人見知りという特徴があったけれど、エミリアとて一端の魔女。
半ば伝統技能めいたその力を以て、一食の恩に報いたいのと、彼女と縁を深めたいのもあった。

「──Ill shrain=v

論より証拠と言わんばかりに杖を取り出し、謎めいた呪文を添えて軽く一振りすれば、
何と、店内にあるであろう掃除道具が一人で動き出し、軒先や厨房を掃除していくのである──
それも、埃が被らないよう、食材が晒されている辺りにだけは手を付けない徹底ぶりで、だ。
138 :矢嶋 ◆YaJiMaWRSg [sage saga]:2013/01/15(火) 23:51:32.10 ID:W6PcaktWo
>>137
/
×一人で
○ひとりでに浮遊し〜

でお願いします……!
139 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/15(火) 23:52:21.50 ID:RjjzPATh0
>>136
//すいません。雑談の方を見ていなくて返信遅れました
//避難所の雑談スレの方にも書きましたがここで凍結にします?
//それとも紆余曲折あって警察に引き渡されるという形にします?
140 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/16(水) 00:00:33.94 ID:RKskIdIH0
>>137
「そーか、秘密が多いほど可愛いんか…

…私、可愛くないんやろか…?」

エミリアの言葉を真に受けて、心配そうな顔をする。彼女とてこうして独り立ちしているとはいえ、年頃の女の子。そりゃ可愛さも気になるってもんだ。
しかし、冗談のつもりだったであろう言葉に一種の恐ろしさを感じたのは気のせいだろうか?

…まあ、些細なことだ。いちいち考えていても仕方ない。
そんなことより、エミリアがお礼をしたいと言っている。

「あ、お礼なんて別にええよ〜……って、あら…」

返事を待たずに、エミリアはそのお礼の魔法を掛けた。
するとどうだろう、掃除が勝手に行われていく。
掃除ロボットのルンバもビックリの効率の良さだ。

「…ほぇ〜…何や凄いなぁ…便利なもんや…」

彼女は目前の出来事に感心しきりの様子。
141 :和泉 晴彦/サイボーグ :2013/01/16(水) 00:04:32.71 ID:SNRUs7jwo
>>139
//時間の管理はこちらの責任です。凍結も次まで間があくといけないので、あまりこちらからはオススメできません。
//警察に突き出すというのも、申し訳ないですし、こちらのキャラクターを引き下がらせる事にします。
//折角戦闘などに行こうできそうな展開なのに、ブチ切りになってごめんなさいorz
//次のレスに返す方向で、フェードアウトします
142 :和泉 晴彦/サイボーグ [sage]:2013/01/16(水) 00:08:02.05 ID:SNRUs7jwo
>>141
//何度もすみません……
次の都合が分からなくても大丈夫ならば、凍結でお願いしたいと思っています
143 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/16(水) 00:10:57.62 ID:dSz81wkmo
>>140

「…………」「……ごめん、なさい」

その隣で、同じように真に受けてしまうエミリア。
一転顔を俯かせ、しょんぼりと肩を落とすけれど───

「…でしょ?って、自慢なのかも」「割と、伝統的な流派……で良いのかな……なんだ」
「最近は跡継ぎが全然いないらしくて……使っているのは…私くらい、なんだけど」

自らの術技に感心を示す澪に、調子を幾らか取り戻して言うのだった。


それから、「それじゃあわたし、そろそろ行くね……?」と、席を立ち。

ご飯、ありがとう。と改めて頭を下げてから、店を後にしようとするのだった。
どうやら彼女が居なくとも掃除道具達は健在で、今日の店じまいはきっと、いつもより楽に終えられる──はず。
144 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/16(水) 00:11:35.04 ID:MAPYIZGB0
>>141
//こちらが雑談を見ていなかったばかりに…申し訳ない
//こちらは来週までならいつでもおkなので凍結の方向でお願いします。
145 :和泉 晴彦/サイボーグ :2013/01/16(水) 00:13:33.68 ID:SNRUs7jwo
>>144
//ありがとうこざいます
//週末までなら何度か来れますし、また次もよろしくおねがします

//とりあえず、いったんお疲れ様でした
//俺の都合で迷惑をかけてしまってごめんなさいorz
146 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/16(水) 00:19:54.44 ID:MAPYIZGB0
>>145
//こちらこそお疲れ様でした。
//今日はおやすみなさいです。
147 :大坂澪(食事処みおつくし店主) :2013/01/16(水) 00:22:13.03 ID:RKskIdIH0
>>143
「へぇ、流派とかあるん?
そんなん全然知らんかったわ〜…」

知らなくて当然な気もするが…そんなことはさておき、彼女は不思議な魔法に興味津々だった。
もっと話を聞きたかったが…どうやらそろそろお開きのようだ。


今日は色々楽しかったわ、ありがとうな!
ほな、また来てな〜!」

店を後にするエミリアに声を掛ける。
また色々話が出来たらいいな、と思いつつ…

//では、ここいらで終わりにしましょう!ありがとうございました!
148 :エミリア/魔女兼魔術師 三角帽子に茶色のマント [sage saga]:2013/01/16(水) 00:32:14.38 ID:dSz81wkmo
>>147
/
はい、お疲れ様でしたー!
149 :縲主錐繧ら┌縺咲區縲丞錐蜑阪ッ縺励m :2013/01/16(水) 19:59:56.86 ID:YsmZ6Twp0
「ちくしょう! 頭が割れそうだ! どうなってやがる!? 」

日本 某町 路地裏にて
ひたすら、壁に頭を打ち付ける人間がひとり

「あぁ、寒いよ...どうしてだろう」
「しろーの...しろーのぬくもりだけじゃたりないのか!? 」


ふざけるな! ふざけるな!
路地裏に怒号を響かせながら、頭を打ち付ける彼は 半裸であった

上着に学ランを着込んでいるものの、腰より下からは何も身に付けていない

まぁ、丈のあっていない上着が、ワンピースのような要領で 危険な部位を隠してはいたが

この真冬の最中
靴も履かずに出歩くのは 如何なものか
150 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 21:13:22.10 ID:AIeu6yy4o
そこはとある地方都市の公園だ。
そこそこ人通りもある公園に、少し普段と違う光景が有った。

絵書きます、売ります
値段応相談、物々交換有り

そんな文言を掲げた看板の傍らに安楽椅子を置いて座る女が居た。
ハンチングを被って、左目をオレンジ色の髪で隠した姿は、どことなく繊細にも見える。
ダッフルコートを来た上にマフラーを巻き、膝にはひざ掛けというそこそこ暖かそうな様子。
そんな彼女の背にはキャンピングトレーラーを牽引するトラクターが停車している。
要するに、旅する絵かき、と言えるだろう。

ただ、問題だったのは――今現在絶賛居眠り中の彼女の停車場所だった。
夜な夜な飽きもせず周囲に騒音をまき散らしながら駆け抜ける迷惑な人間、要するに暴走族の溜まり場なのだ。
寝ている彼女は、近くで十数台の原動機がかき鳴らす熱い鼓動など気に留める様子も無く、そのまま居眠りをしていた。
このままだと、一悶着有るどころではきっと済まないことだろう。
トレーラーも相まって、状況はそこそこ目立つはずだが、状況から周りの人達は遠巻きにそれを見つめるだけだった。
151 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 21:28:24.63 ID:HZrRRqCBo
>>150

学ランを着て狐の面を被った少年、自称街を護る正義の味方こと朧風太郎は震えていた。
それはもう、ガチガチと歯を鳴らしてだ。というのも、割りと先ほどから公園を見張っていたから。
震えに呼応して、背負った日本刀もカチャカチャと小さく音を鳴らしていた。

その原因はその場所にあった。そこは暴走族の集会所と化していた。
最近では騒音被害も多い為、ここらでひとつ物申しに行こうと思っていたのである。
しかし、いざ向かってみれば絵描きと思わしき女性が居眠りをしていた―――。

「……………く、くかかっきき……さ、さささむ……」

物売りの途中で退去しろと言うほど、権利も横暴な善意も持っていなかった。
故に暴走族が今日は集らない事を祈りながら、その場所を見張り続けていた。
もし現れたなら、確実に一悶着あるだろうから―――その時は動かなければならない。

「げ、げっ……あいつらき、来たのかぁ、よよよっ……お、お姉さん、起きてににに逃げないかなぁ……?」

深緑の長いマフラーに口元を隠しながら、ガクガクと震えながら一人ごちる。
このまま何事も無く過ぎれば良いのだが。彼女が寝ている今、騒音について文句も言いに行き辛い。

ちなみに齢十六のこの少年、どこで見張っているかというと。
彼女の直ぐ側の大きな木の枝の上である。葉っぱに隠れて下からは見えないだろう。
152 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 21:40:23.41 ID:AIeu6yy4o
>>151
「――あンだ、あのアマ。
 のんきに寝てやがってよゥ、舐めてんのか置い、起きろ――」

一人のいきがったヤンキーが、寝ているリリーに気がついたのか、詰め寄っていく。
そして、胸ぐらを掴みあげ、がっくんがっくんと頭を揺らすと、しばらくして漸く目が開いた。
きょとんとした顔の女は、胸ぐらを掴まれたままで周囲をきょろきょろと見回して。

「う、あう……あ、あー……?」

ジェスチャーを交えながら口を開くも、口から出てくるのは意味を成さない音律だけ。
暴走族は暫く面を喰らった顔をしていたが、理解すると同時にばかにするように高笑いをし始める。

「あんた口聞けねぇのかァ。
 だったらヨォ、なんつーか、アレ?
 イケない事とかしほーだいっつーか、そんな感じだよなあ。
 おいおいー、まーくん、ちーくん! ちょいとこの女ボコして輪姦さね?
 頭可笑しいけど体は悪くなさそうだしよ――、きひっ」

口を利けないのを良い事に、下衆い発言を口にする男。
男は仲間を呼び寄せると、女の胸ぐらを掴んだまま、どこかに引きずって行こうとする。
安楽椅子にぶら下げていたカバンに女は手を伸ばすも間に合わず。

「あう……」

なんとも言えない表情で、そのまま茂みまで引っ張られていくことだろう。
1つだけ引っかかる点は、女の表情が恐怖ではなく、困ったなあという表情だったことだろうか。
153 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 21:53:35.25 ID:HZrRRqCBo
>>152

彼女の胸ぐらを一人の不良が掴んだ―――駄目だったか。
風太郎は震える身体を擦り、少しだけ摩擦熱で温かみを得る。

あの女性は抵抗する様にも見えない。もしかすれば恐怖で抵抗出来ないのかもしれない。
樹の上からでは彼女の表情は見辛いが、ばっちり不良の表情は見えた。
自分よりも弱いものを見て、愉悦に浸る下品な笑みだ―――ふぅ、と深呼吸をする。

「…………せーのっ、ほっ」

ぴょん、と樹の枝から飛び上がり宙を舞う―――自由落下に任せ、彼女と不良の直ぐ側へ。
落下の際、日本刀を抜いた。着地の瞬間、誰も彼もが驚愕する刹那、銀色のそれを振り下ろす。
目標は彼女の胸ぐらを掴む腕。刃ではなく、峰打ちだが骨くらいは折れそうでもあった。勿論、加減はしてるが。

「き、ききき狐仮面、ささささ参上っ!悪者どもめ、かかか観念しろ―――さ、さみぃ!」

日本刀を振り下ろした後、びしっと不良達に指を突きつけて高らかに宣言する。
彼らに前に立ちはだかるのは狐面を被った学生服の背の低い少年だった。

「お、おおおお前らな、そそそ騒音だけじゃなくて、か弱いじょ……じょじょ、女性にまでっ!」
「て、ててて手を出すなんて、小悪党も大概にしな、しないと、俺が許さないぞっ!?」

……寒さにやられている所為でまともに言葉を紡げず、いまいち締まりが悪いのだけど。
154 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 22:01:22.84 ID:AIeu6yy4o
>>153
「へへッ……、なあに痛くはしねぇ〜〜〜〜〜ッ!?」

茂みに女を連れ込みよろしくやろうとしていたが、直後にごきりと嫌な音がして腕を抑えて不良は飛び退った。
ドサリと尻餅をついてリリーはきょとんとした表情で、現れた少年を視界に収めて。
状況を見て、なるほどと一人で納得していた。

「だ、だれが狐仮面だァ!?
 ち……ィ、腕が逝ったじゃねぇかこの野郎がァ!
 ちーくんまーくん、殺っちまおうぜぇ!? なあオイィ!?」

現れた少年は、どう見ても小柄な少年で、体格に見合わない日本刀は逆に滑稽でしか無い。
腕を折られたヤンキーと、ちーくんとまーくんという二人のヤンキーの合計3人が、風太郎の前に居た。

「いい度胸じゃぁねぇか。
 だがなァ、この俺達、獲狗子狩婆[エクスカリバー]に喧嘩を売ったのが運の尽きだぜ!
 殺っちまうぞテメェ!!」

そう言うと同時に、三人のヤンキーはバイクから角材を持ちだして、一気に風太郎に飛びかかっていった。
武器は只の角材だし、ヤンキーは鍛えてこそいるものの、一般人。
風太郎の練度によっては、それほど脅威にはならない相手だろう。
155 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 22:13:44.42 ID:HZrRRqCBo
>>154

「あっ、やば、折った……ま、ままままぁ良いか」

日頃の行いが悪いのだから、仕方あるまい。
尻餅をついた彼女を狐面の向こうから見つつ、彼らに向き直る。

こちらは日本刀を持っているというのに、腕を折ったというのに。
まだまだ怒号を上げれる元気があるのには思わず感心してしまった。
本人、自分の体格や身長の所為であるとは露知らず―――。

「…………うー、寒い。やっとちょっと、まともに話せるかな」
「さ、さて……舌がちゃんと回る様になったから一つだけ、言っておくよ」

襲いかかる彼らの手に持たれた角材。その一撃、一撃をひらりと躱して。

「えくすかりばーとかだっせぇ。あと、バイクもそうだけど声がうるせぇ」

とん、と数歩彼らから離れる。女性の前に護る様に立って、片手で印を結んだ。
「――――『風遁・旋風弾』」と風太郎は呟く。黒の双眸が碧く煌めき、印を解いて掌を彼らへ向けた。

ぱんっ、と空気が裂けた様な音がした。瞬間、空間に歪みが見られた。
高圧縮の空気が為す歪とでも言うのだろうか―――それが3つ、不透明な球体が三人の胴体めがけて撃たれた。
精々、ボクサーのパンチ程度だが鳩尾に入れば悶絶ものだろう。
156 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 22:23:59.06 ID:AIeu6yy4o
>>155
「なァにィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」

飛びかかった三人が、声を揃えて吹き飛んでいく図は、最早何かのギャグかのような図。
しかし、騒ぎを聞きつけたのか、ずらりと暴走族達が集まってきた。
角材やら釘バットやら鉄パイプやら、お手軽系武器の万博博覧会である。
蹲って埋めきをあげる三人を尻目に、足を揃えて彼らが動き出した、その直後に。

ごうん。

という轟音と同時に、暴走族達の足元が陥没して、全員一斉にすっ転んだ。
足元が沼地の様になっているのか、足を取られて動けないようだ。
そして、またごうん、という音を立てて彼らの乗っていたバイクが全て転倒。
盗んだバイクやら、バイト代をつぎ込んで買ったバイクやらが傷だらけだ。

「うあー!」

んべ、と舌を出して立っていたのは、先ほどの女。
足元には、自然豊かな沼地の絵が即興で書かれていた。
女は不良たちを横目に、風太郎の肩をぽんぽん、と叩いて手を引いて走りだす。
キャンピングトレーラーに、外に出していた安楽椅子等を放り込み、看板を畳んでしまい込む。
カバンを肩に掛けてスケッチブックを取り出すと手早くペン先を走らせ、スケッチブックを見せた。

『ありがとうね!
 足止めも長く出来ないから、さっさと逃げちゃお?
 ココらへんの地理が詳しいなら、案内してくれると嬉しいから、助手席乗ってくれないかな?』

大きなトレイラーの鍵を開けて、ひょいひょいと器用に乗り込むリリー。
次第に暴走族を拘束する沼地が弱まってきていることから、そう長く足止めできるわけではないようだ。
157 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/16(水) 22:27:00.95 ID:J/Ed9+4ao
『奇怪!吸血鬼現る!?』

巷ではそういった噂が後を絶たなかった
ここ最近、深夜に街を出歩く人々に吸血鬼が襲いかかるという
いかにもありがちな、しかし死者がある以上現実味のある事件
既に最初の事件から1週間、4人が亡くなっている
手掛かりも無く、犠牲者が増える一方の事件だ
同時に、殆どの人間が自分とは関係ないと思っている事件
そういう縁の無い筈のーー事件だったのに

「クソッ!どこ行った!!」

そんな夜の街を辺りを見回しながら走る少年
人通りの少ない路地裏から人通りの多い大通りで
何かを探しながら走り回っている

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

さながら、大物を狙う怪盗をいつも追い続ける刑事だ
事実、彼はある者を追い続けている
ーー吸血鬼。
街を騒がす吸血鬼を、今彼は追っているのだ

「何処に消えたんだ...!!あの露出変態がッ!」

一体何を口走ってるのかーー、というツッコミは置いておいて
今現在、彼は前を向いていない
辺りを見回しながら、建物の上の方とかを見上げて走っている
現代社会におかずとも、人通りの多い道でよそ見しながら走る危険性
そんな事は語るまでもないだろうーー。
158 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 22:34:03.40 ID:HZrRRqCBo
>>156

「あ、ひとつじゃなかった。ふたつだったね……ごめん」

吹き飛んだ彼らに悪びれる様に頭を掻いて謝罪の言葉を。勿論皮肉だが。
それはさておき、更に雲霞のごとくわらわらと集まる暴走族達。
これには流石の風太郎も冷や汗を流し始めた。人海戦術もいいところだ。

刹那、轟音が鳴る―――なんだ、と目を見開いてその光景を見つめる。
見れば沼地が現れた、と言う表現で正しいのだろうか。摩訶不思議な光景だった。
バイクが軒並み倒れて、傷だらけなのは勿論、破損したりするのを見て少し「うわぁ」と声を漏らした。
どうでもいいお話ではあるが、風太郎少年はバイクに憧れている節があったり―――。

声に振り向けば、彼女は舌を出して不良たちを馬鹿にしていた。
足元に描かれた沼地の絵が不良たちの足を取る沼地に直結するのだと、風太郎は納得。
なんていうか、自分は要らぬお節介だったのかもしれない―――異能者であろう、彼女を見て苦笑した。

「えっ、あぁ、うん……わかったよ」

肩を叩かれ、素早く店仕舞いをして撤退する彼女に従う。
日本刀を鞘に仕舞い、リリーに続いてトレイラーの助手席に乗り込む。
最後に弱まって行く沼地を見て、「凄いなぁ」とつぶやいて――――。
159 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/16(水) 22:37:43.67 ID:pZXXi/5Go
>>157
殺人鬼は、あたかも猫のように気まぐれだ。
その言葉を少女が見事に体現し始めたのは、少女が殺人鬼クリスタルとなったときからである。

ニュースの一面に「またも……。4人潰死」なんていう記事が出ているにも関わらず、少女は外を出歩いていた。
何時もの事。しかしその行動は異常そのものといってよい。

「ふふーん・・・…♪」

しかもジャパニーズオニギリを食べながら満面の笑みを浮かべてうろついているのだから、例え少女が殺人鬼ではなくとも異常ではある。
大きな爆弾おにぎりをカプリと齧りつく。1歩歩くたびに、黒いローブと灰色の長いぼさぼさした髪がふわふわと揺れていた。
……意識は、完全におにぎりへと向いている。故、少年に気付くのも、ましてや彼を避けようとする気もなかった。

「……!?」

有無を言わせないぶつかった衝撃で、軽い少女は吹っ飛ばされてしまう。その際、丸いおにぎりもコロコロと転がっていってしまった。
おにぎりと同じく地面をゴロゴローと転がり、漸く片膝をついた少女が見たのは、地面の砂がびっしり付いたライスボールの成れの果て。
見るや否や、絶望感漂う表情でガックリとうな垂れた。そこに言葉は必要ないくらいに。

そして、少年の事はすっかり置き去りである。少女の頭は単純だった。
160 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 22:40:29.21 ID:AIeu6yy4o
>>158
トレーラーは整備点検がしっかりしているのか、ストレス無く走りだす。
トレーラー一台で女の一人旅というのは中々剛気だろうが、浮世離れした気配も有って違和感はあまりないだろう。
それでも、大きなハンドルを事も無げに扱う図は、少々面白い光景かもしれないが。

『さっき、助けてくれて本当ありがとう。嬉しいよ。
 でー、お礼というにはなんだけど、私も起きてお腹減ったし、お姉さんがご飯をおごってあげようと思うんだけど。
 やっぱり食べ盛りだろうし、ガッツリしたものがいいかな? 美味しいお店が有ったらそこ行くんだけど』

「んーあーんー♪」

歌詞の無い歌を歌いながら、リリーは道を大きなトレイラーで器用に走り抜けていく。
そして、運転中にスケッチブックに文字を書くわけにも行かない為、ダッシュボードに貼りつけた黒板に手を伸ばす。
運転しながら器用にその黒板に文言を書きつけると、角を曲がって行く。
特に目的もなく適当に走っているが、走る方向的に繁華街の方向が近いと言えよう。
161 :桜庭 真(目に光のない少年) [ sage saga ]:2013/01/16(水) 22:46:04.22 ID:fcGWnWve0
>>157
男のその前方に一人の少年が目をつむり、ヘッドホンにてを当てて歩いている
はたからみれば半分自殺行為のような物だが、これには目的があった
少年の異能の力で、今彼の近くにいる人間の意思が聞こえるのである
この力で、三年前に殺された家族の仇を探しているのである

時折聞こえる舌打ちや独り言。
恐らく何時間も歩いているのに情報が全くなく、苛立ちを隠せないのだろう。
おかげで只でさえ危ないのに更に歩き方が粗っぽくなっている
そして前方から歩いてくる男。しかも相手もよそ見をしながら歩いている
このまま行けば衝突するのは確実だ
162 :桜庭 真(目に光のない少年) [ sage saga ]:2013/01/16(水) 22:46:39.35 ID:fcGWnWve0
>>161
被ったので取り消しで
163 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 22:50:28.14 ID:HZrRRqCBo
>>160

一人旅、だろうか。やけに生活感が漂うトレイラーの中に興味津々である。
狐面を外して、あどけない顔立ちを晒す。年端も行かない少年だった。
碧くなった眼は鎮まり、黒く戻っていた。車内の暖気の為、緑色の長いマフラーを外して。

「いやいや、正義の味方として当然なこと―――って、良いんですか?」

今晩の夕飯を作り忘れたから、彼女の申し出はかなり助かる。
だけど助けた見返りとして要求しているようで。うーん、と少し迷っていたが。

ぐるるるー。

という少年らしい腹の虫が鳴った所で、観念した様だった。

「美味しい店……あんまり外食しないから、分からないんですけど」
「お姉さんの好きなお店で良いですよ。俺、結構食べちゃうから……」

あんまり高いお店は申し訳ないし、と言葉を濁す。
繁華街が近いなら適当に入っても問題ないだろうし、種類もあるだろう。
風太郎に任せれば優柔不断となって迷いに迷うのは火を見るよりも明らかというもの。

「ていうか、お姉さん。外で居眠りはよくないよ。ああいうのが来るし、風邪ひきますよ」

駄目ですよ、とはにかんだ笑顔で注意。狐面を手で弄びながら。
164 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/16(水) 22:54:13.80 ID:J/Ed9+4ao
>>159
「クッソ...!あの時の借りを...っと」

ドン、と決して軽くはないであろう衝撃と共に
少年の意識は上方向に向けられたものから下へ向けて
どうやら女の子とぶつかってしまったらしい、と
立ち止まっての状況確認で少年はすぐさま理解した
そして、ぶつかった少女へすぐに駆け寄る

「あ、悪い...大丈夫か?」

ここで少女を見捨てて自身の使命を果たすべきでもあったが、
彼女の手から落ちたおにぎり、それを見た少女の絶望的な表情
見てしまったら、そういう訳にもいかない

つくづく自分は甘い人間なのだと、心の中で自分に対して唾を吐きつつ
少女の目線に合わせるようにしゃがんでそう聞いた

「怪我とか...してないか?おにぎり悪かったな...」

彼の事を知ってる人ならびっくり仰天する様な
そんな優しい口調で話しかける少年
年上が苦手な彼だが、年下には少し優しいっぽい
砂の付いたおにぎりを拾って少女の安否を尋ねた
165 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 23:01:49.57 ID:AIeu6yy4o
>>163
『珍しい?』

んー、と声を漏らしながらニコニコと笑顔を浮かべるリリー。
言葉は持たないが、その穏やかな様子や、コロコロ変わる表情がそれらを補っていた。
車の中は、空っぽのペットボトルがドリンクホルダーに入りっぱなしだったり、ダッシュボードの収納スペースから沢山のお菓子が飛び出していたり。
本当にこの車一台で旅をしているのだという事が良く分かる様子である。

そして、風太郎の注意に対しては、うあうー、と声を漏らして苦笑をこぼすのみだった。

『じゃ、停められる場所探すねー』

黒板にそう書きつけると、黒板に更に追加で絵を書いた。
走る車と、アンテナのようなイラストを書くと同時に、僅かにその絵から魔力が漏れだす。
あー、と一言呟くと、慣れきったハンドル捌きで道を進んでいき、駐車場を発見。
車をバックで止めると、降りるようにジェスチャーを送る。

『さっき見えた中華のお店に行こっか。
 ご飯物でも麺でも肉でも魚でも好きなもの食べちゃっていいからねー。
 これでも今のお姉さんはお金持ちだから、安心していいよ!』

そう書いたスケッチブックを見せると、ごそごそと財布を取り出して、2枚ほどの万札をぴらりと見せる。
旅の絵描きであるリリーとして、万札が一枚以上ある事は奇跡といってもいい事だ。
ウキウキ気分な上、良い人に助けてもらって出会えたことが嬉しいリリーは、スキップしながら近くの中華屋へと入っていこうとするだろう。
少なくとも少女といえる年齢では無いというのに、なんとも年甲斐のない女である。
166 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/16(水) 23:06:53.67 ID:pZXXi/5Go
>>164
「ありがとう、お兄ちゃん。……うん……私は大丈夫だけど……」

ぶつかったのであろう少年に視線を向け、無意識にそんなことを吐きつつ再び首を動かす。その先には当然、砂塗れボールが。
少女の声はまさしく震えており、後一歩で泣きそうな感じだ。目もなんだか、虚ろになっている。
自分が大事に食べていたおにぎり。しかもほぼ食べてもいないと来れば、精神的ダメージは相当な物だろう。
今は"普通の少女≠ナある少女には、それにギリギリ耐えられるかどうか、そういった具合である。

「落ちたら0.3秒で食べなきゃいけないのに……」

……少女の故郷の風習は日本より10倍ほど厳しいらしい。
orzポーズから立ち上がり、しかしまだシュンとした表情でそう呟くと、おにぎりを拾い上げた。そのまま目線の高さまで持っていき、見つめる。
どうやらこの、見ようによって黄な粉のおはぎに見えなくも無いこれの処分方法を考えているらしい。
ふざけてなどいない。どっちかといえば、この食料は今日1日分のものなのでかなりヤバイ部類だろう。
……ぐるるるーと小さく、少女のお腹が鳴った。
167 :エリザベート・山下@チンピラ系女子。[PEACE of Fire] [sage]:2013/01/16(水) 23:06:58.42 ID:WxP4nuRVo
煮詰めたクラムチャウダーの様にぐちゃぐちゃな夜道を歩く。
溶け切った雪が凍える空気にぴちゃりぴちゃりと耳障りな音を放り出して跳ねる。
彼女────エリザベート・山下の事である────は、そんな中糞味噌に悪態を吐きながら煙を吐く。
右手の指に挟んだ煙草からチリチリと浮雲の様に煙が立ち昇り、夜の中に混ぜ込まれ、暗い夜を僅かに白くしている。
悪態の相手は、今日面接を行った脂ぎったステーキよりもヘビーな腋臭のおっさんであり、其の内容は耳を塞ぎたくなるような物だ。
「くそっ、トマトケチャップで窒息死してしまえ」等という言葉ですらまだ序の口だというのだから驚きだろう。
足取りをを止めること無く、緩慢な動作で煙草を其のふっくらとした唇に咥えると煙を肺の奥底まで回す。まるで己の内部を煙に犯させているようだ。
目に痛い真っ白な蛍光灯の灯りを避ける様に進むスピードを上げると、前方に十字路が見える。

「あーっ……むしゃくしゃする……」
まだ充分に長い煙草を火も消さずに吐き捨てる。ヂリヂリと赤い火が進んでいる道の左右を囲むビルの壁に打ち当たって落ちる。
その辺りにあった水たまりに落ちて、断末魔の叫び声を上げて、火は消えた。
ろくに左右確認することもなく、金髪を掻き毟りながら如何にも苛ついているという表情で十字路の向う側へと進んでいくのだった。

//wiki登録もしていませんが……
168 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 23:12:48.07 ID:HZrRRqCBo
>>165

「うん、珍しい。羨ましくもあるかな……。」

こうして自分の力だけで旅をして、生きていくのには強く憧れる。
今現在、風太郎は擬似的に一人で生きている。一人暮らしだし、ご飯だって自炊だ。
でも遠い地の親から援助を受けているし、生活に手は出さないものの近所に側近も住んでいる。
誰の監視もなく、一人でのびのびと自由に生きて行く―――それはなんと素晴らしい事か。

苦笑を零す彼女に馬耳東風か、と溜息。彼女のあの異能があるなら、大丈夫だろうけど。

駐車すると黒板に書かれて、次いで描かれたイラスト。車はわかるが、アンテナ?と首を傾げる。
肌で違和感を覚えた様で、風太郎は眉を潜めた。魔翌力を感知したのだろうが、それが魔翌力とは知らず。

「中華、好きですよ!え、えーっと……まぁ、有り難く頂きます。」

好きなモノを食べろと言われると遠慮がちに笑った。万札を2枚見せられても、やはり遠慮がちだった。
然しながら彼女の素振りを見るに、自分が気軽に食べた方が喜んでくれそうだと思って。

「まぁ、たまには悪くないかな―――って、待ってくださいよぉ!?」

トレイラーから降りて、好意に甘えようと決意して前方を見れば、リリーがスキップで中華屋に入っていった。
少年と位置づけられる年齢の自分や、同年代の女子ですらしないスキップに風太郎はひとり呆気にとられていた。
数瞬で我を取り戻し、置いてけぼりをくらった風太郎はやけにマイペースな彼女の後を困った顔で追いかけるのであった。
169 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 23:21:15.98 ID:AIeu6yy4o
>>168
『わくわく!』

なんやかんや有って席についたリリーと風太郎。
擬音を大きくスケッチブックに書いて、どん、と机に置く。
ふふふー、と満面の笑みを浮かべながら、きょろりきょろりと店内を見回すリリー。
まるで子供のような興奮ぶりだが、食事はリリーの趣味のため仕方がない。人と食べるのも特に好きなのだ。

『何食べるー?
 私も結構食べるから、遠慮しないで片っ端から頼んじゃっていいから!』

「うー!」

言葉を出せないため、ぶんぶんと腕を振って店員を呼ぶリリー。
一瞬店員は呆気にとられるも、やたらめったらに脳天気な様子を見れば、ふと笑いをこぼしてやってきた。
かりかりかり、と即座にスケッチブックに頼みたいものを書いて、店員に突き出す。

『五目炒飯と、青椒肉絲とエビチリと水餃子と焼き餃子と小籠包をお願いしますっ』

やたら気合の入った劇画調チャーハンのイラストを添えて注文をする。
そして、風太郎の方へジェスチャーを送り、好きなものを頼むように伝えるだろう。
170 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/16(水) 23:25:10.38 ID:J/Ed9+4ao
>>166
罪悪感を感じずにはいられない
お互いの前方不注意で起きた事なの態だから
自分だけが悪いという事もないが
目の前の少女の被害を見れば、なんとなく
加害者でなければならないような、そんな気がした
ついでに鳴り響く、少女の腹の音

「ごめんね、お兄ちゃんが何か代わりに買おっか?
何か欲しいものはあるかい?」

ここで少女を見捨てるほど少年は鬼ではない
普段とは180度違うような、知人が見れば抱腹絶倒する様な
そんな優しい口調で少女にそう言った
都合よく今現在財布の資金はそれなりにある
余程でなければ少女のある程度の要求には答えれるだろう

だが、肝心の吸血鬼の方は少しずつ気配が薄くなっていた
少年はその吸血鬼が近くにいると酷い頭痛を発する体質だ
先程まで、脳天を刺激し続けた頭痛は薄くなっていた
こうなっては今夜は追跡を中断するのはしょうがない
と、軽く当初の目的を諦める少年
今はとりあえず目の前の少女だ
彼女に謝らなければならないーー。
171 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 23:30:51.74 ID:HZrRRqCBo
>>169

擬音までスケッチブックに書く辺り、なんだか可愛らしい人だなと笑う。
子供っぽく感じるのはなんでだろうか。そのお陰で対して緊張もしていないのだが。
それにしても嬉しそうだなぁ、とじーっと彼女を観察していた――不思議な人を見る眼であった。

「えっ、あぁ、はい……じゃあ、俺も適当に注文します―――あぁ、俺が呼びますよ?」

ぶんぶんと腕を振って店員を呼ぶリリーと共に手を上げて「すいませーん」と呼んでみた。
ふと、彼女が言葉を紡げない事に漸く此処で実感する。それを掘り下げても良いのやら、悪いのやら。

メニューを見ながら目についたものを頼もうと、伏せていた視線を店員の方へ―――その前にスケッチブックに。

「………か、描くの速いですね。ていうか食べ過ぎじゃ……あぁ、えっと、じゃあですね」
「天津飯と、酢豚と、春巻き、あと焼き餃子二人前にしといてください」

食べ盛りの少年ではあるけど、彼女より多く食べれる気はしなかった。
注文内容が店員の口から繰り返され、間違いないと頷いた後、店員が厨房に行って少しして。

「自己紹介、してませんでしたよね。俺の名前は朧 風太郎って言います。」
「年は16歳、えーっと……学生、です。あと、お姉さんと同じく異能者って、やつ?」

軽く自己紹介して、コップに注がれている水をちびちびと飲み下していた。
172 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/16(水) 23:38:29.22 ID:pZXXi/5Go
>>170
先ほどはポロッと零れていってしまったが、おにぎりを包むラップはあるにはあった。
奇跡的にぐしゃぐしゃになっていなかったそれを広げ、おにぎりを包むことには成功したが肝心の場所は解決していない。
誰が見ても明らかにドンヨリとした曇り顔。今日の食事が脆くも崩れ去り、しょげずにはいられなかった。

しかし、少年がそうやって手を差し伸べると、途轍も無いスピードで少女は表情をぱっと明るくさせる。
当たり前だ。初対面の人に食事を奢られるのも嬉しいのに、一日分のそれを失った所でそんな話が舞い込めば、気分はもう絶好調である。

「本当!? じゃあ……あそこ!」

全く見ず知らず。少年が吸血鬼をおっているとは知らず、無邪気にそう声をあげた。元気良く指差す先は――――ラーメン屋。
少女がラーメン屋を希望するのも、ちょっと異色かもしれないが、少女はラーメンが大好きなのである。
「あそこ!」といった瞬間の声から滲み出るラーメン愛……いや、食事愛は少年にも伝わるだろうか。

「……ダメ?」

上目遣い。
勿論少女は意識してやっているわけではなく、単に少年のほうが背が高いので自然とそうなったのであるが。
先ほどの涙目がうっすらと残る顔で、小首を傾げて尋ねる少女。断られたときの事が思い浮かび、不安の色も表情に混じる。
173 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 23:39:50.28 ID:AIeu6yy4o
>>171
書くのが速いと言われて、なんとも言えないどや顔を浮かべるリリー。
表情が喋るごとにころりころりと変わるため、言葉がなくても何を伝えたいかが分かりやすい。
ある意味、言葉が喋れない故に、そういうふうな人間となったのかもしれないが。
傍から見ているとただ単に面白い人にしか見えないのかもしれない。

『風太郎君ね。
 私は、旅のお絵かきさんの、ナイト・スター・リリーって言うんだけど。
 歳は、ひ・み・つってことにしておいてくれると嬉しいな』

年齢については秘密にしておきたいようで、名前もどことなく浮世離れしていた。
しかし、先ほどお姉さんと言っていた所から、少なくとも風太郎よりは年上だろう。
外見を良く見れば、本当に年齢がよく分からない女である。
皺はひとつも無いが、少女というには何処か違う、なんとも言えない雰囲気を纏っていた。

『私は異能者じゃなくて――、んー、言っちゃっていいかな。書いてるけど。
 なんと、魔女なんです! ばばーん!』

魔女の所にきゅきゅ、っと大きくトゲトゲの吹き出しをくっつけてみるリリー。
やたらポップな文字がスケッチブックに踊っていた。
174 :朧風太郎 [sage]:2013/01/16(水) 23:49:46.23 ID:HZrRRqCBo
>>173

表情豊かとはまさにこの事だろう。ころころと変わる表情が興味深い。
風太郎自身、喜怒哀楽の表現が直ぐ現れ易い質なのだが。
それよりも彼女は表現力に優れている様にも見えた。

「ナイト・スター・リリーさん……じゃあ、リリーさんで」
「あぁ、じゃあ年齢は……はい、20歳くらいに思ってますね」

じーっと外見を凝視してみたが、年齢はいまいち掴みとれない。
とりあえず20歳と子供と大人の境界線辺りに設定しておいた。

少なくとも、自分よりも年上なのだろうけど……何か、不思議な雰囲気だった。
お姉さん、という言葉に当てはまる範囲外のモノだってありそうだなぁ、とか思いつつ。

「………ま、魔女?えーっと、あの、あれですよね、その、箒で飛ぶやつ」

少し驚いた様に魔女という単語に先の年齢と結びつけてみる。
そうすると魔女は不老不死なんて事も聞いたりするから―――お姉さん、すごいお姉さんなんじゃ。

感心しながら、再びリリーに視線を戻す。いや、でも子供っぽい感じがするからわけわからない、と苦笑して。

「んー、異能者って括りからジャンル分けするなら……俺も異能者じゃなくなる、のかな」
「俺はあの、あれです。忍者、わかりますか?実はあれだったり、します」

魔女と告白されたからには何か言わなきゃ、と張り合う様に出したのは忍者という事。
忍者という歴史の裏舞台の存在が表に出る事はない。彼の一族の掟では一応、忍であると口外してはいけなかったり。
175 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/16(水) 23:54:20.15 ID:J/Ed9+4ao
>>172
こんな子供が食べたいものを聞かれ、
てっきりファミレスのお子様ランチ辺りを想像したので
この子がラーメンと答えるのは少々意外だったが
指差す先のお店、見たところ値段はきっと大丈夫だろう
そして気が付けば自分も小腹が減りつつある事に気付く
ずっと吸血鬼追跡で走り回ってきたのだ
ちょうどいいし、断る理由もない

「分かった、じゃあ行こうかーーー。」

視線を少女に戻して、固まった
一切の比喩でもなんでもない
思考とか意識とか肉体とか精神とか魂とか
いろんなものが少女の顔を見て固まってしまった

上目遣い

少女のーーー顔、が
ただ、それだけなのに
たったそれだけなのに固まってしまった自分が情けない
およそ3秒程停止ーー、再起動
何とか身体に命令が行き渡る、「歩いて店まで行け」と脳内で反復する
同じ現象が怖く、少女から目を離しつつ歩き出す

「(...あういう子供の顔って久し振りだから、かな...)」

彼の見てきた子供は皆が目の死んだ子供ばかりだったのだ
少なくとも、戦火で自分に向けてきた子供の目は
新鮮なのか、少年には慣れていなかったのかもしれない

若干早足な気がするが、少年はラーメン屋に向かい
道中何もなければ、すぐにでも着くだろう
176 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/16(水) 23:59:44.91 ID:AIeu6yy4o
>>174
『うん。そうそう、でも私呪文唱えられないから。
 ちょっと風太郎君の想像する魔女とは違うかもしれないなあ。
 さっきも魔法使ってたんだよ? 駐車場探す時とかに』

そう書くとカリカリとダッシュボードの黒板に書いた絵を再現してみせる。
お絵かきで魔法を使うなんて、なんというか大分ファンシーなエズラだった。
そして、風太郎が忍者だという話を聞くと、目をキラキラさせてかりかり、と怒涛の勢いで文字と絵を書いて付き出した。

『アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?
 ダークニンジャソウルとか、ネオサイタマ炎上とかしちゃうの!?』

大分間違った忍者のイメージを問いかけつつ、妙に力の入った忍者のイラストも見せる。
速筆かつ実力が有るため、なんとも言えないのだが。
ドイツの忍者などゲルマン忍者くらいしか居ない為、忍者は憧れなのだった。
そうこうしている内に、二人の間に料理が次々と運ばれてきた。
手をあわせている絵と、上に文字を書いて、店員に突き出すリリー。

スケッチブックには、頂きます、という文字と、頭を下げるリリーが居た。

「あう!」

そして、橋を取る前に両手を合わせてまた頭を下げて。
箸を割って、小籠包を一つまみ。
れんげに小籠包を入れ、そこにタレを掛けて皮を齧り、中身を吸い上げる。
ほふほふとしながらも、小籠包を口に放り込み、幸せそうに目元をとろんとさせるのだった。
ほんとうに美味しそうに食べるのだが、実際此処の料理は美味しかった。
177 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/17(木) 00:10:14.72 ID:LWzFQauao
>>175
「……?」

良い、ともダメ、とも言わずラーメン屋に向かう少年。多分OKなのだろうが、少女はその背中を付いていきながら不審に感じる。
彼の身体が固まっていたのだから、不思議に思っても仕方ないだろう。しかし少年の場合、何か、別の物まで固まっていたような気がする。
何かあるのかな。今の時点ではそれぐらいまでしか考えられない。漠然とそう思いながら、彼の後を歩いていった。

「ご注文お伺いいたします」

「えーと、じゃあ私しょうゆらーめん大盛りで! ……お兄ちゃんは?」

偶然席が空いていた為、そこに通される少女と少年。メニューを取り、鼻歌を奏でながら喜々とした表情で選ぶ少女は、純粋そのものだ。
比喩ではなく、本当に。少女の意識は一方向にしか行かず、実際少女の周りには大勢の「結晶を持つ人間」がいるのだが、それすらも完全にスルーしている。
今はただ、食事を楽しみたいだけ。それしか頭に無い。先ほどのことも、少しは残っているのだが。

そして店員が来ると、満面の笑みを持ってそう口に出した。因みに大盛りは並の3倍。大抵の少女ならば食べきれない量だが、自信たっぷりそう言って見せた。
しかもおにぎりが消失した今、それすらも足りないなと思っている少女もいたりするのだから恐ろしい。
お兄ちゃんは何を選ぶんだろう。ちょっとそんなことを考えながら、サイドメニューのページを捲った。
178 :朧風太郎 [sage]:2013/01/17(木) 00:13:41.29 ID:L0l/p/yio
>>176

「さっきも?てことはアンテナ描いたのは、そういう?」

へぇ、と感心する。つまり彼女の魔法は描いたものを関連付ける魔法なのか。
そういえばさっきも足元に沼の絵書いてたし―――やばい、凄く興味深い。
描いた絵が魔法になる?そんなファンタジーは凄すぎるじゃないか、と人知れず眼を煌めかせていた。

「えっ、えっ?あぁ、はい、生まれた時から忍として、まぁ、訓練は……」
「って、そういう忍者じゃなっ―――ネオサイタマ!?どこ!?」

ニンジャなスレイヤーなお話なんて風太郎くんが知る由もなく、只々狼狽するばかり。
それにしても絵が上手いなぁ、と感心しつつも思わず突っ込み続けるのであった。

ややあって料理が来て、リリーがスケッチブックを店員に突き付ける。
いちいち、絵が感心を引く上に、発想が面白い。風太郎はそれを見ながら楽しそうに微笑んでいた。

「頂きます」と両手を合わせてレンゲを手に、天津飯へと側面を押し付ける。
熱々の白米の上に被せられた、とろみのついた餡に塗れたふわとろの玉子を割る。
餡と白米を混ぜ、レンゲの上に器用に盛ってから玉子を被せ――口内へ。

リリーに負けじと幸せそうな顔を浮かべていた。やはり、食べ盛りの少年。
それを合図に次々とレンゲから箸へと持ち替え、酢豚や焼き餃子と手を伸ばしていった。

「へゆうは、はんれまひょひゃんが、はびしへるんれふ?」
(訳:ていうか、何で魔女さんが、旅してるんです?)

もふもふ、と頬張りながら素朴な疑問。魔女ってなんだか城に引き篭ってるイメージだった。
怖いイメージなどはないが、あまり人目に付かず現れずのイメージなのである。故に、リリーはイメージと違うので、不思議であり。
179 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/17(木) 00:22:53.95 ID:5eKbTpxyo
>>178
こくこく、と小籠包を食べながら頷くリリー。
あふう、と溢れだした熱い汁に眉をしかめてぱたぱたと謎の手の動きをしている。
なんともシュールな図だが、しばらくして、焼き餃子を頬張りつつ、スケッチブックに書くのが面倒になったのか指先で空中に文字を書いていく。

『色々面倒だったし、お絵かきしたかったから気がついたらトレーラーに乗ってたの。
 これでも旅し始めてから10年ちょっとだから、ベテランなんだよー?
 あ、年は秘密だから! おねーさんにも秘密が大切なのだよ、むふふー』

左手で文字を書きつつ、右手で水餃子を口に運ぶ。
蓮華でひょいこひょいことチャーハンを口の放り込み、もぐもぐと動かして。
その度に目元を緩ませて、んー、と身悶えしていた。
普段のご飯が割りと倹約生活だったり、サバイバルに狩リをしている為、こういうご飯は本当に幸せなのである。

『風太郎君は、やっぱり悪の忍者を倒すために山奥の里から送り出された、伝説の忍者の末裔だったりするの?』

やたら派手な格好の忍者が、風を圧縮した球を叩きこむ図を書くリリー。
実は外国人であるとはいえど、日本のことは詳しくないわけではない。
要するに、ただ単に風太郎の反応が面白いためにからかっているだけだった。
180 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/17(木) 00:29:12.13 ID:3SneSvTpo
>>177
こんな時間に自分みたいな男とこんな子供が
なんて雑念を繰り広げて「あれ?これ客観的に見たら危なくね?」と
ちょっといろいろ危ない気がしてきた少年
職質とかされたらマズいと思いながら
ぎこちなく、何とか店内の席に付く

周りの視線が何故かいつも以上に痛い...気がするが目の前の子は違う
何というか、華やかだ
天真爛漫とはこういう子供に使うべきだろうと
...そろそろなに考えてるんだ自分、と深呼吸
やって来た店員に少女が注文し

「じゃあ、豚骨ラーメンの...同じく大盛りで
...食べ終わってからでいいんで、バニラアイス二つお願いします」

と、サービスにデザートも注文した
熱いラーメンの後に頂くアイスは例え冬場だろうと絶品だ
勿論、1個は少女の分
きっと彼女なら甘い食べ物も好きだろう
自分も甘いものは大好物なのだが、体裁とかいろいろな物が邪魔し
他人とこういう物を頂くのは久し振りなのだ

久々の甘い物だ、と内心喜びながらーーふと思い出す
少女が自分の事を「お兄ちゃん」と呼んだ事...ではない
自己紹介してないのだ、他に呼ぶ名詞があろうか

気になるのは、こんな時間に少女が出かけていた事実だ
吸血鬼事件ーーでなくとも、こんな時間に外出は珍しいと思う

「ねぇ、こんな時間に出かけて何していたんだい?」

すぐに来るであろうラーメンの待ち時間
少年は水を飲みながら、少女にそう聞いた

181 :朧風太郎 [sage]:2013/01/17(木) 00:37:28.35 ID:L0l/p/yio
>>179

「気がついたらって……10年、ですか。ベテランですね、そりゃ。」
「あはは、年齢はもう、聞きませんってばー、お姉さん。」

お姉さん、という言葉が少し意味深に感じられる様に笑みを浮かべて言う。
先ほどは20歳に設定したものの、今の会話から少なくとも+10以上と思ってしまう。
とはいえ実年齢を知るとなんとも言えなくなりそうなので、考えるのはやめにして―――。

焼き餃子を頬張りながら、彼女の仕草に注目してみた。
本当に幸せそうである。普段、あまり良いものを食べれていないのだろうか?
確かに一人旅であるなら、倹約が必要だし―――絵だって、売れ高には浮き沈みありそうだし。
そう考え始めると、奢ってもらうのも申し訳なく思えてくるが……。

「んぐっ、ごほっ、ごほっ――――ぷはぁ、はぁ、はぁ!」

自分とは似ても似つかぬ派手な忍者が風塊を叩きこんでいる図。
それに添えられた彼女の発現に思わず噎せて、水を流し込む―――ばたばた、と太腿を軽く叩きながら。

「ど、どどどんな発想ですかぁ!?て、ていうか忍者に悪も正義もありません……し……」

ふぅ、と一息ついて自分を落ち着かせる様に、もう一度水を飲んで。

「俺、落ちこぼれなんですよ。それと、故郷の伝統が嫌いなんです。だから、飛び出して来ちゃったんですよ。」
「あ、勿論許可取ってますからね……まぁ、そのお陰で”風”しか使えないんですけど。」

ぱくぱく、と酢豚の玉ねぎや人参を口に放り込んで。

「……誰の目にも映らない、誰も知らない所で腐りたくなくて。折角、凄い力を持ってるんだから。」
「この力で、虐げられる人々を助けたい……って、思って今に至るわけです。ヒーローって、格好いいじゃないですか」

子供らしい、無邪気な笑みを浮かべてレンゲを手に取り天津飯を頬張る―――少し、恥ずかしそうだった。
182 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/17(木) 00:43:05.99 ID:LWzFQauao
>>180
かしこまりましたー、と極めて事務的な言葉を残して店員は去っていく。
少女はその言葉に何も感じない。殆どの人間がそうだろうが、その言葉に何のありがたみもないからだ。
色々なことを考えているこの周りの人間、そして少年に対して、今は食べることに重点を置いている少女なら尚更だ。
食べることに重点を置いているのではなく、食べる事にしか重点を置けない。と言った方が正しいのだろうが……それはともかく。

「2つ……? もしかして私の分?」

そういえば食後のデザートを忘れていたな、なんて思いながら注文を聞いていた少女は、急いでデザートのページを開く。
幾らアイスが美味しいとはいえ季節は冬。2つ食べれば腹痛ぐらい起こすだろう。なのにお兄ちゃんは、2つ頼んだ。
そこから導き出された結果を、素直に口に出した少女。少年が肯定すれば、嬉しさやらなにやら混じった笑顔で、感謝の言葉を口にするだろう。


「私? ちょっとお散歩してたんだよ♪」

店内に漂うラーメンの香りに、思わず口調も弾む。それだけ待ちきれないというのが少年には分かるだろうか。
少女の言うことに嘘はない。街中を散歩しながらおにぎりを食べて、結晶持ちを見つければ路地裏に連れ込んで"取り出す"。
少女の中では極めて一般的な光景であるし、勿論その行動に何の疑問も抱いていない。
故に、なんでそんなことを聞くの? とでも言いたげな懐疑の表情で、小首を傾げながら少年を見つけた。

その十数秒後、彼の前にはトンコツラーメンが、少女の前にはしょう油ラーメンが、それそれ大盛りで注文どおり運ばれて来るだろう。
183 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/17(木) 00:47:55.05 ID:5eKbTpxyo
>>181
んー、んー。
とリリーは目を細めつつ、食事を口に運び。
静かに風太郎の話を聞いている。そして、全部聞いた後に、身を乗り出して頭を優しくくしゃりと撫でた。
んへへえへ、と不恰好な笑い声を漏らしながら、暫くいい子いい子と頭を撫でて。

『私は風太郎君に助けてもらったから、私のヒーローくんは風太郎君だよ。
 素敵で格好いい未来のヒーローくんには、ちょっとしたプレゼントでも、あげようかな?』

いつの間にかチャーハンや、小籠包など頼んでいたものを総て平らげていたリリー。
ずびし、と謎のサムズアップをした後に、穴が空くほどに真っ直ぐに風太郎を見据えて。
数分真正面から相手を見た後に、スケッチブックの新たなページを開いて、絵を書き始めた。

手は止まらず、ひたすらに時折風太郎を確認しながら筆を進めていく。
風太郎が食べ終わって一息ついた後くらいに、リリーは筆をホルダーに収めた。
そして、んあー、と疲れたような息を吐いて、絵を見せる。

そこに居たのは、恐らく10年くらい歳をとっただろう風太郎の似顔絵だった。
きりっ、と引き締まった顔に、格好いい狐面。
回りには、笑顔の人がいて――というような、風太郎にこうなって欲しいな、と思って書いたような絵。
それをスケッチブックから切り取って風太郎に差し出し、文章を見せる。

『素敵な君の10年後。
 皆のヒーローになれてたら、きっと風太郎君はもっと格好良くなってると思う。
 その夢、しっかり貫いてね。おねーさんも応援してるから!』

虐げられる人を助けたい、その言葉がリリーの胸を打った。
だから、分かりやすい目標にでもなるかな、と格好いい未来の風太郎を書いて渡したのだ。
前髪で隠された顔の左半分には、醜い火傷痕が有る。彼女もまた、もしかすると――。
184 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/17(木) 00:58:45.13 ID:3SneSvTpo
>>182
「あぁ、君の分も注文したんだ...ダメだったかな?」

もしかして、アイスがダメなのか
いくらラーメン後のアイス理論があろうとも
冬場は流石にまずかったのか、少しだけ不安に感じる
こういう辺り、少し気が回ってるような回ってないような
ちょっと心配そうな顔をしちゃっている

「散歩...ねぇ、」

少女の顔を見て別に疑う訳でもないのだが
近頃は物騒だ、誰が誰を殺して
誰が誰を狙い、誰が誰に狙われてるのか分からない
なんとなく、この子から感じる気配がない訳でもないのだ
少なくとも、「危ないものに片足突っ込んでる」程度に危ない気がするのだ

もっとも、目の前に運ばれたラーメンを前にそんなキナ臭い話はやめよう
せっかくの食事時だ、楽しまなくちゃ損だ

「ん...結構美味い...おいしいかい?」

ラーメンをすすりながら、少女に味の感想を聞いてみた
やはり、身に沁みるラーメンの味が何とも言えず聞いたのだ
185 :朧風太郎 [sage]:2013/01/17(木) 01:03:06.80 ID:L0l/p/yio
>>183

「まぁ、まだまだ修行が足りないんですけどね―――って、わぁっ!」

くしゃくしゃ、と頭を撫でられて顔を真赤にして両手を空中でわたわたとさせていた。
払いのけるのも違うし、一度落ち着く場所を忘れた手は微妙な位置で狼狽えていた。
くすぐったいのか、照れ臭いのか、あるいはそのどちらもだろうか。
頭を撫でられながら、どうしたら良いのか分からず口を少し尖らせてなされるがままに。

「ふぅ………はは、そう、ですか?うん、有難うございます……うん?プレゼント?」

穴が空くほど見られて、彼女の筆がスケッチブックに何かを描き始めた。
どうやら今回は速筆というわけでもなく、何かを描いているようだ―――暫し、待ってみる。
黙々と書き続けるリリーにちらちらと見られながら、風太郎も残った食事を終わらせる。

そして、何かを描ききって疲れた彼女が見せてくれたのは―――あまりにも、素敵な絵だった。
風太郎と思わしき青年。その周りには笑顔の人々。それは紛うこと無く、風太郎の理想でもあった。
そこに添えられた文字を読んで、思わず風太郎は照れる様な、少し涙ぐむ様な表情を浮かべていた。

「え、えへへ……うん、頑張ります。ありがとう、リリーさん。」

こうして面と向かって自分の行いを誉められ、認められ、応援されるのは中々ない。
ましてやこんなに素敵なプレゼントをもらうなんて―――。

ふと見えた前髪の裏、顔の左半分。酷い火傷痕は彼女が何かしらの゛傷”を負っていると思えた。
それに気づいた素振りを見せる事はない。それを指摘して、今の自分が解決出来るほど大物でもないのだ。

――――だから。

「リリーさんは旅人なんだよね。だから、この街にいつまでもいるんじゃないと思うけど。」
「この街にいるなら、いつでも俺を頼って欲しいな。なんでもいいよ、その辺を歩いてるの見つけたら、なんでも力になるからさ」
「例えば、デッサンの練習とか。俺、なんでもポーズしちゃったりするよ?だから―――。」

まぁ、なんだ、応援されたからには、頑張らせて頂くよ―――。



手を合わせて、「ごちそうさまです」と呟いて食事を終える。
風太郎の顔は実に幸福な表情だった。それは食事だけではなく、相対する絵描きの魔女のお陰だろう。
186 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/17(木) 01:15:00.60 ID:5eKbTpxyo
>>185
『ん。あと何日かは、此処らへん回って絵を売ってると思うなあ。
 今度は居眠りしないように気をつけるから、君もヒーロー活動に勤しむのだ!
 君がこの街の人を笑顔にしてって、笑顔にあふれた街をおねーさんは書きたいんだよ!』

この世界は綺麗なものだけでない、この世界の人は良い人ばかりではない。
だけど、綺麗なものは確かに有るし、良い人は今リリーの目の前にも居る。
だから、攻めて己の書く絵の中だけは、そういう綺麗なものを書いていたいと、そう思った。

ぱん、と両手を合わせると、会計します、美味しかったー!と書いたスケッチブックを店員に見せてお会計。
ぺこりぺこりと嬉しそうに頭を下げて、ぱたぱたと手を振って店を出て行くリリーは、やっぱりなぜか楽しそう。
寝床をさがさなきゃなー、と思いつつ、リリーは駐車場へと行き、身軽にトレーラーに乗り込んで。

『Let us, then, be up and doing, With a heart for any fate.
 (それでは、立ちあがり、行動しよう。いかなる運命のもとでも、精いっぱいに。)
 お互い、一生懸命頑張ろ。じゃ、また何時か、きっと風が私達を会わせてくれるよ。じゃーねー!』

空中にそんなお気楽な文言を書きつけると、リリーはエンジン音を響かせて走り去っていった。
トレーラーは、排気ガスとエンジン音だけではなく、上機嫌な歌詞のない即興の歌も残していった。
一陣の風が吹く。この出会いの風は、きっと素敵な絵を何時か書かせてくれることだろう――


/*おつでしたー! とても楽しかったのですようー!*/
187 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/17(木) 01:19:57.23 ID:LWzFQauao
>>184
「違うよ! アイス大好きだもん! ……ありがとう、お兄ちゃん!」

両手をブンブン振って否定を表現する。その後、エヘヘと笑いながら感謝を口にした。
冬にアイスを食べたことないということは無いし、むしろ暖かいものの後に冷たくて甘いものを食べると幸せな気持ちになれる。
そんな持論も有って、少女はアイスを食べることに反対しなかった。……どちらにせよ、好意には甘えるのだけれど。

少年がそんなことを考えてるとは知らず、少女はただひたすらラーメンが来るのを待っている。
そんな少女の気配に気付けた少年は鋭い。もっとよく気配を感じることが出来れば、少女からは濃密な血の臭いを感じることが出来るかもしれない。
もともとそんなことを気にするほど、少女は頭が切れるわけではない。だから血の臭いもそのままであり、それで賞金稼ぎに感付かれることもあった。
――しかし今少女が生きているということは、つまりは『そういうこと』なのであろうが――全くと言って良いほど、少女は無用心なのだった。

「うん、美味しい!」

少年よりも勢いよく麺を啜り、たちまち丼内の体積を無くしていく少女。少年の問いにも短く、最低限だけ返してまた啜り始める。
それだけ美味しいのか、お腹が減っていたのだろう。少なくともあの爆弾おにぎりよりは美味しいから、どちらでも至極当然の動きといえる。
満足げで純真な笑みは、そこらの少女と、何ら変わりなかった。

しかし箸の動きをピタッと止めると、少年に視線を合わせた。

「そういえばお兄ちゃん、何て名前?」

心優しい少年の名前を、聞いてみたかっただけのようだ。これも、普通の行動。
一般的にはそんなこと無いだろうが、少女としては自己紹介しあうのも感謝の一部だと思っていた。
188 :朧風太郎 [sage]:2013/01/17(木) 01:25:43.39 ID:L0l/p/yio
>>186

「ほんとだよ?居眠り、もうしちゃ駄目だからね。」
「約束するよ、俺はこの街を笑顔にしてみせるって―――っ!」

にっ、と少年らしい快活な笑みを浮かべて親指をぐっと立てた。
その言葉がどれほど難しいものか理解しているようで、していないのかもしれない。
だが彼のその心意気は本物であった――10年後、本当に成し遂げているかしれない。

会計の際、リリーに感謝の言葉を述べて、店員にも「美味しかったです」と口添えする。
嬉しそうな彼女の後に続いて、風太郎もまた微笑みを浮かべて付いて行く。

「うん、リリーさんも頑張って。また会いましょう。風を操るのは俺の専売特許だよ―――じゃ、また!」

トレーラーに乗り込み、空中に文字を画く彼女に笑みを返して。
上機嫌な歌を残して走り去った彼女を見送り、もう一度紙上の10年後の自分を見つめる。

『素敵な君の10年後。
 皆のヒーローになれてたら、きっと風太郎君はもっと格好良くなってると思う。
 その夢、しっかり貫いてね。おねーさんも応援してるから!』

―――――見てろよ、親父。

にししっ、と「ざまあみろ」と笑い声と共に呟いた―――上機嫌な彼もまた、鼻歌を残して帰路に着いた。


/おつでしたっ!私も楽しかったですー!ありがとうございましたー!
189 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/17(木) 06:20:25.59 ID:3SneSvTpo
>>187
あぁ、なんて可愛らしいのだろうか
自分は小動物が好きな所があるが、きっと通じるものがあるのだろう
子供にこういう顔をされるのは、そろそろ慣れても良い筈なのに
なかなか直視できない、どうも目を離してしまう

少女が食べ続けるのを見て少年もゆっくり頂く
こうやって、前にも食事をした気がする
あの時は年上の人だったようなーー。

「.....」

なんとなく、人が増えたと思う
自分の周りにいる人が、今までよりもずっと
こんな事、今まであり得なかったけど
自分の周りは随分変わったのだと、少女見ながら考えていた

「名前は紫音、紫乃咲紫音って言うんだ
君の名前は何なんだい?」

そういえば自己紹介をしていなかった
お互い名前を知らなければ、
「お兄ちゃん」という何ともむずむずする呼ばれ方をされても仕方ない
一度自己紹介したらもう大丈夫だ、と一見安心していたが

...だが、紫音は気付いていなかった
名前とお兄ちゃんを合体させた「紫音お兄ちゃん」という呼び方の存在を!
190 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/18(金) 14:59:03.51 ID:14vMzQP3o
>>189
視線を外す少年が不思議なのか、好奇に満ちた目で少年の視線を追う。
まさか自分が可愛いなどと思われているとは少女が知る由も無く、何かあるのかな、程度だが。
ちょっとその「何か」を探してみたくなったが、ラーメンが冷めてしまう。すぐにその考えを消去した。

「私はフレデリークって言うの! フレデリーク=ルヴィエだよ」

彼の名前を聞いてから、元気いっぱいに名乗る少女。
おにぎりだけでも相当にお腹が満たされていたが、ラーメンで更に腹が膨れ、かなり満足げだ。
そんなわけで、有り余るパワーが自己紹介に出てしまったらしい。他の客の迷惑にはなっていないようだが。

「よろしくね、紫音お兄ちゃん!」

案の定、少女は名前を聞けばその後ろにお兄ちゃんやお姉ちゃんをつけるため、彼はまだまだ安心できなさそうである。

「こちらバニラアイスでございます」

「一緒に食べよ、紫音お兄ちゃん!」

彼が食べ終われば、丁度よくアイスがやってくる。白い肌に涼しげな冷気、そして甘い香り。
少女は嬉しそうに、また頼んでくれた彼に感謝しているような、そんな顔で少年を見上げる。
……早く食べたいらしい。

/返しておきますッ!
191 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 15:08:22.26 ID:vngXsb+M0
>>136

「くすくす…心外だわ。私は至極真っ当。
 狂ってるだなんて言われたら傷ついちゃうなぁ」

女の顔には二つの感情が混じっていた。
からかう様な笑みと、偽りなき傷心が。

「自分の気持ちに素直になって、本能の赴くままに感情を剥き出す。
 それの何が悪いのかしら?規則、規律、法律、倫理?
 ぜぇんぶ、邪魔。そんなものに従ってたら窒息しちゃうじゃない」

不意打ちを避けた青年と相対する彼女は

「ああ、そうだ。一つ言い忘れたわ
 あなたを[ピーーー]かどうかはまだ解んない♪
 だって私よりも強そうだし、ね」

数歩下がり、姿勢を低くしながら、勢いよく突進。
狙いは、相手の体勢を崩しマウントを取る事だった。
192 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/18(金) 16:41:29.12 ID:pkJ4rWz3o
>>190
“紫音お兄ちゃん”
自己紹介した名前を使いつつ、
紫音にはむずむずするその“お兄ちゃん”という二人称
その合体で紫音の脳内の感情は言わずもがな
邪念に煩悩が変な思考がetc、etc...
それを抑えつつ、少々頭を抱える姿はフレデリークにはどう見えるのか

「あ、あぁ...よろしく、フレデリーク」

と、に、か、く
今は変な思考をシャットダウンし
フレデリークと一緒にこのデザートを頂こう
トルコアイスだったか何か忘れた、あの妙に粘性のありそうなアイスは
あれならば、多少溶けてもいい気がするが
残念、こいつはただのアイスクリーム
早く食べねば溶けてしまう

「そうだね、食べよっか」

コーンに入ってその上に綺麗な螺旋を描くそのアイス
一度口に入れれば、口いっぱいに広がる甘さと滑らかさ
先程まで食べていたラーメンのお陰でその冷たさが際立つ
店内の暖房とラーメンの熱さでちょっと暑い気分だったがこれがちょうどいい

「美味しいかい?」

そう、持ってるアイスクリームを見せてフレデリークに聞いてみた
ちなみに、甘いもの好きな紫音にはたまらない
十分に満足できる味だ
193 :和泉 晴彦/サイボーグ :2013/01/18(金) 17:01:19.17 ID:WYREoMBBo
>>191

「狂っているよ。
他人の意見なんだ。参考にしてくれ」
殺人者に対峙する和泉の態度は、冷めきっていた。

「『どうして規則を守る必要があんだ……』って……俺だって小学校の先生じゃないんだ。知らねーよ。
ただお前は間違っていると、俺は思っている。そういうこと」


「……怖いな」
自分より強そうな相手。と、言葉を投げかけられた。――本気で言葉にしたのかどうかは判断できないが……。
――にも関わらず戦闘を選択したのは単に愚かなのか、何か策略があるのか……。怖いという言葉の通り、恐ろしいと和泉は感じ、額の皺が深くなる。

「……っ」
相手の突進に合わせてカウンターのように、真横(人の腹の高さに)にへと左足を蹴り出した。
急な相手の接近を止めようという意味が大きい動きだ。
194 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/18(金) 17:10:35.79 ID:14vMzQP3o
>>192
「……どうしたの? 紫音お兄ちゃん」

確か、冷たい物を食べたときに起こる頭痛のことをアイスクリーム頭痛とか言ったっけ……。
自分の呼び名がそうさせているとはつゆ知らず、あのキーンとした痛みのことを考えている少女。
今目の前にあるアイスクリームを食べたらそうなるのかな、ではなく。頭の抱えている彼がそうなっているのではないかと考えているのだ。
尤も、両人ともまだ手をつけていないのだが。

そして、漸くそのコーン部分を手にとって。一口食べればバニラの甘さが心地よい。
少女は恐らく、今このラーメン屋で1番その甘さを感じている人間だろう。冷たさも、ラーメンの後には丁度よく火照りを冷やしてくれる。

「うんっ……美味しいなぁ……」

先ほどまでの元気が全てアイスに吸い取られたかのように、顔を緩めてニコニコと笑いながら答える。
幸せとは―尤も、この幸せは一時的なものだが―こういうことを言うのだろうか。真に少女はそう思う。思わなきゃラーメンにもアイスにも失礼だな、とも。

「……そういえば、お兄ちゃんは何をしてたの?」

急いで食べてしまった為に鼻にアイスがちょこんと付いてしまっているが、それを知らずに少女は尋ねる。
そういえばぶつかった時に彼は急いでいたらしい。あんなにゴロゴロと転がってしまったのだから。
急いでいた原因。今になってふと、気になってきた。
195 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/18(金) 17:30:06.49 ID:pkJ4rWz3o
>>194
何をしていたのか
この質問に紫音は少しだけ回答に困った
していたこと自体は簡単だ、すぐに説明できる
この夜中に街を闊歩する吸血鬼
己の欲求の赴くままに他人の血を吸い無力な人達から命を奪い取る
そんな吸血鬼と昔に一悶着あって以来、ずっとぶつかってきたが
久々にそいつが自分の前現れたので追跡していた
とにかく、腐れ縁の吸血鬼との再開
...と、いったところだ

だが、こんな事を馬鹿正直に子供に言う訳にも行かず
さて、どうやって誤魔化そうと考える
紫音はポケットのハンカチをフレデリークの鼻の元に持って行って
鼻の頭のクリームを拭こうとしながら

「...鬼ごっこ、かな?
...うん、俺が鬼をやっていたんだ」

何というか、ちょっと変な答えを返した
逃げてる方が鬼で追いかける方が人間
いろいろ逆転してしまっている
紫音は某泣いた赤鬼を思い出しながら、そんな曖昧な答えを返したり

なら、「じゃあ、逃げる子は何してるの?」という
至極真っ当な問いが飛んできそうだが、どう誤魔化そうか
視線を逸らし、「嘘が嘘を呼ぶ」という昔肝に銘じた言葉を思い出す
そんな彼の雰囲気からちょっとした違和感、そのぐらいは感じ取れるだろう
196 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/18(金) 17:44:11.77 ID:14vMzQP3o
>>195
「鬼ごっこ? ……追いかけなくて良いの?」

ハンカチで鼻を拭かれてようやく付いていたクリームの存在に気付くと、ニヘヘとちょっと恥ずかしげに笑って見せる。
少女は、笑うのが大好きだ。……路地裏に結晶持ちを連れ込む時であっても、少女は笑っている。
何時の笑いであっても、少女のそれは良い意味でも悪い意味でも、純粋なもの。今彼に見せている笑みも、間違いなくピュアなはにかみだ。

返って来た疑問は、彼の予想よりかは外れていた。
鬼ごっこは、当然鬼が他の人を追いかける遊び。彼が鬼なら、ラーメンを食べてないでその追っていた人間を追うべきだろう。
突然鬼が消えたとなれば、その人も心配するだろうし。普通の鬼ごっこだと思っている少女なら尚更不思議に思って。

しかもその不自然な視線の動き。何かおかしいなーぐらいの懐疑の目だが、それでも不審に思っていることは確かである。
頭の上に?マークを浮かべながら、少女はそう尋ねるのだった。
197 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 18:28:36.49 ID:vngXsb+M0
>>193

迫る青年の左足を前に、彼女は止まらない。
それどころか回避と攻撃を兼ねて、青年の右足側へと勢いよく前転。

「参考、ねぇ…。私の気が変わったら考えてあげても良いかな
 今のところは……そんな気になれないけどねッ」

もし青年が回避したとしても一向に構わない。
回避したのなら即座に立ち上がり、左の掌底で青年の顎を打ち抜かんとするだろう
198 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/18(金) 18:51:53.23 ID:pkJ4rWz3o
>>196
「う、うん...鬼さんは今夜は疲れちゃったらしいからねー...ハハ」

目を泳がしながら、フレデリークの問いに答える
その答えは意外と間違ってなかったりする
「1日1人、吸血するのはそれだけだーー...キャキャハッ!」
と、彼女は言っていた
食欲というより性欲で血を吸うあの吸血鬼
彼女と出会った時には既に吸血行為のさなかだったのだ
...だから、大丈夫のはずだ

「...もしかして、鬼さん怒ってるかも!
どーしよー!フレデリーク!鬼さん来るかもよ!」

立ち上がって、いかにも思い出し焦り出したようにそう言った
あの、吸血鬼は信用できない
どーせまた何処かで血を吸ってるかもしれない
少々強引か、半分嘘で残りは本当と夢と予想で構成されている虚言
あまりに自分に似合わない言葉を口にする

やはり、あの吸血鬼を追わなければならない
すぐにこの場を立ち去る必要があるが
その為にこの少女に恐怖を煽る言葉を言わなければならないのは
少々心痛いのは彼の優しさだろうかーー。
199 :和泉 晴彦/サイボーグ :2013/01/18(金) 19:16:54.55 ID:WYREoMBBo
>>197
「……と、お」
相手の突撃を止めようと繰り出した攻撃だが、相手に虚をつかれ、避けられてしまう。

「……うるせぇ。
元々お前は戯言なんか交わしたくない奴なんだよ」
気が変わったらどうこうとか、ハッキリと言えばどうでも良かった。
何を話しても無駄――そんな、気分なのである。

相手に意表を付かれてしまったのだから、こちらも相手の思惑通りに動くようでは負けてしまう。
和泉はそんなことを考え――相手を避けようと動き出すが、相手のいる正面ほうこうへと踏み出した。

突き出した脚をそのまま戻して、ルーシャを踏み潰すようにあるいは組み合うように進もうとする。
そのまま拳を突き出すには、お互いが近すぎる。
200 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/18(金) 19:51:44.95 ID:14vMzQP3o
>>198
「ふーん、そうなんだ……ええっ!?」

聞いたのは自分だが、結構淡白な返答をする。
元々少々の懐疑から聞いたことで、やはりアイスクリームの魔翌力に負けるようで。
そうしてちゃっかりコーンまで食べきったところで、鬼さんが来る! 何て彼が言うものだから、少女は目を見開いて驚いた。

「え、えーっと……じゃあ、もう食べ終わったから行こう? 紫音お兄ちゃん」

鬼。少女にとっては恐怖の対象であり、しかし世間からは少女自身がそう言われている言葉。
戸惑いながら、少女は少年の目論見どおり少し恐怖に駆られて店外へと少年を急かす。勿論それが嘘とは、全く思っていない。
鬼が誰だとかは分からないのだが、怒っている人は怖い。怖い人が怒っていたら、もっと怖い。
"少女≠轤オい純粋な発想だった。

支払いのことについては、一切口にしていない。つまり、「紫音お兄ちゃん、払ってね」ということだろう。

/遅れましたぁぁぁ・・・
201 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 19:55:21.17 ID:vngXsb+M0
>>199

「あーあ、嫌われちゃったわねぇ
 ま。どうでもいいけれど」

独り言。その言葉は何処にも向けられていない。

意表を突いたが、不発に終わり
逆にこちらが窮地に立たされかねない。

故に、一度大きく後ろに飛び退く。
仕切り直しである。そして、次の一手を打つのであった。

「さぁ襲いかかって来なさいな
 じゃないと私、まーたあなたの嫌がる事をしちゃうわよ?」

次の一手とは挑発であり、それはクイッ、クイッと動く右手でも為された
202 :朱里%浅葱【探偵と助手】 [sage]:2013/01/18(金) 19:59:55.85 ID:2OYCrU86o

がらごろ、がらごろとキャリーバッグの車輪が夜の街に響く。
それを力なく引くのは青いブレザーの少女っぽい”少年”だった。
青いショートの髪を揺らしながら、額に汗を浮かばせて―――。

『ちょ、朱里さん……キツい、キツいよ?なんでボクに持たせてんの?』

ブレザーの美少年こと浅葱は目の前を行く長身の女性に不満を投げかける。
すっと伸びた背中でその言葉を受け、振り向いた女性は大胆不敵な笑みを浮かべて。

「そりゃぁ、お前が助手でアタシより下の人間だからだろ?」
「ついでに言うと力仕事は男が……って相場は決まってるじゃん?がんばれぃ。」

紅いスーツの女性はサングラスを直しながら、ハイヒールを鳴らして先々と歩く。

『いや、ボクより朱里さんのが力持ち……だし……。』
『ていうか、これだけ思いなら結構着替えありますね……事務所燃えたから、そんなに残ってないと思いましたけど。』

「アタシの着替えと書類が少々入ってるだけだ。お前の男物の衣服は全焼した。」

『あれーっ!?ボクの着替えはー!?ていうかこれから先、女性物しか着れないんですか―――って、あぁっ!』

衝撃的事実に思わず両手を離して叫んだ。それが大間違い、此処は急な坂道の途中だというのに。
キャリーバッグは盛大に坂を下り、衝撃で開いたバッグの隙間から中身をまき散らしながら滑走する。
中身はそれはそれは可愛い衣服と下着の山。それの殆どが少年に貸し与えられるものとは本人すら知る由もない。

坂道の下、誰もいなければ良いのだけど―――いたら、暴走するキャリーバッグと下着に塗れる事になる。
203 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/18(金) 20:44:37.04 ID:pkJ4rWz3o
>>200
なんとか信じてくれたようだ
無垢な少女を、しかも私用で騙すのは割と真剣に心が痛む
悪いなフレデリーク、今度またアイスを食べよう

そう心で謝りつつ、「じゃあ、早く行こうか!」と、席を立って会計に向かう
最初の予想通り値段は良心的だった
紙幣1枚と小銭少々、随分安い店だ覚えておこう
当然、フレデリークの分も支払う
そのまま店の外へ行くだろう

「......ッ」

頭痛。
大脳だか小脳だか脳幹だか知らないがそんな所が圧迫される痛み
眼球が引っ張られ引き千切られそうな
そんな痛みが襲い掛かる
ーー、あの吸血鬼が近くにいる

「さ、さてどうするフレデリーク...?」

なんとか笑顔を取り繕って問い掛ける
しかしその顔は痛みに耐える苦悶の表情を覆い被さったものだ
少女の純粋な瞳からでも、彼の苦痛は伝わるだろう

/すみません遅れましたー!!


204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) :2013/01/18(金) 20:55:44.16 ID:WYREoMBBo
「俺は……俺に、お前を楽しませるために勝負する必要が無い」
自分の状況を言葉にして、高翌揚した気持ちを落ち着かせようとする。
――挑発に乗るつもりは無い。

ジャケットのポケットから、携帯電話を取り出した。
「これで警察に連絡する。……警官が到着するまでにどれくらいかかるだろうさ? 5分か、10分……あるいはそれ以上?
まあどっちにしろ、そうなればお前は不利になるな」
携帯の画面が点滅して、コールが始まっている。
勝負を楽しむ必要など、無い。この相手には勝たなければならない。

「ノリが悪くて悪いな……まあ、嫌な相手に当たったと考えて諦めろ。
それで……警官が来る時間より前に俺も倒すか、それとも逃げるか。どうする……っ」

言葉を切ると同時に、一歩大きく踏むこむ。
警官への連絡も本物だ。そして、やる気の無い態度を見せておきながら――不意打ちを狙う。
一瞬で戦闘へと意識を切り替えると、相手の腹部を狙って拳をストレートに突き出す。
205 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/18(金) 20:58:50.63 ID:14vMzQP3o
>>203
「また会ったら、一緒に何か食べようね!」

扉をくぐる時、少女は無垢な瞳でそう少年に笑いかける。
偶然少年と同じことを考えていたようで、今回は少女だけが口に出したようだが。
少年の嘘を見抜けず―見抜かないほうが良かったのかもしれないが―、そのまま店の外へと出た。

「鬼さんが此処に来るなら、私はもう帰るけど……お兄ちゃん、大丈夫?」

もともとこんなことになったのは自分の所為であるし、迷惑をかけるのは良くないと判断した少女。
そのまま帰ることを選択し、くるりと少年に背を向けて歩き出そうと考えていたのだが……少年の様子がおかしいことに気付く。
それは少し鈍いと言われる少女でも容易に気付けるもので、帰ろうとしたのを即座にやめて、少年に寄り添った。

「身体、何処か痛いの? 無理しちゃダメだよ?」

その声は、本当に心配している、少し震えたようなものだった。
206 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/18(金) 21:12:25.50 ID:pkJ4rWz3o
>>205
「あぁ...大丈夫だよ、心配しなくていいからね」

目線をフレデリークに合わせるようにしゃがんでそう言う
彼女を心配させたくない、紫音は心の中でそう思えた
もしこの状況をあの吸血鬼が見ていたのなら
自分だけでなくフレデリークも危険に晒される

頭痛の酷さから吸血鬼はまだ近くとは言えないが、
歩くぐらいのペースでこちらへ向かってくるのは分かる
おそらく、遠くて数百メートル
まだ人混みで見えていない筈だ、まだ間に合う

「...また、アイス食べようね。フレデリーク
それじゃあお兄ちゃん、鬼さんに謝ってくるよ」

ぽん、とフレデリークの頭に手を置いてそう言う
彼女を安心させるため、守るためだ
不思議と、痛みはあるのに辛くはない
私情に巻き込みたくない、守りたいと思ってるからか

立ち上がって、彼は人混みに向けて歩き出すだろう
ゆっくりと、優しそうな彼の顔は振り返って背中を見せる
彼の背中が見えなくなるまで、まだ少しだけ時間がある
話しかければ反応するだろう
207 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 21:28:34.92 ID:vngXsb+M0
>>204

「……」

軽薄な笑みが消え、険しい顔付きへと変わる。
興を削ぐような真似をされたのが原因だろう。

「―――……んなの、決まってんでしょ?
 先ずはテメエを倒すのよ―――ッ!」

口汚くなった言葉を吐き捨てるのと同時に
青年による不意打ちを受ける事となる。

距離的にも相手の踏み込みの速度的にも回避が間に合わない。
故に彼女は腹部をかばうように左肘で相手の拳を受ける。

「ぁ――――ぐぁあああッッ!!」

拳が肘を直撃した瞬間、嫌な音が路地裏に響く。
苦悶の表情を浮かべながらも必死に悲鳴をかみ[ピーーー]。

そして彼女は青年の顔へと手を伸ばしながら、力任せに青年の方へと倒れ込む。
狙いは一つ。アスファルトの地面に青年の頭を強く叩きつけ気絶させる事だった
208 :フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女) 殺人鬼クリスタル/円環の楽園66 :2013/01/18(金) 21:34:29.61 ID:14vMzQP3o
>>206
「……うん」

彼のその言葉で、不安は有るものの何とか了承した少女。
明らかに先ほどまでの彼とは違う。何かによって急激に痛み出したのだろうが……しかし彼は大丈夫と言う。
やはり何か有る。もう一度聞き出そうとするも、それは少女の頭に置かれた少年の手によって阻まれた。
暖かい手。……久し振りだった。

「……分かった……じゃあね、お兄ちゃん!」

背中を見せた彼に向けて手を降って、反対方向へと歩き出す。
どんどんと遠ざかっていく少年が気になったが、後ろは振り向かない。何か怖い感じがしたから。
あの少年が、脅威から遠ざけてくれたのかな、とも考えた。しかし、考えてもしょうがない。

今日は、人を路地裏に連れ込むのを止めておいた。殺人鬼はやはり、気まぐれだった。

/長い期間のロールお疲れ様でした!そしてありがとうございます!
/最後、自分がgdgdになったと思います、すみませんでした。
209 :和泉 晴彦 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:39:19.64 ID:WYREoMBBo
>>207
「普通は立場が逆か……どっちが悪者か……分かったモンじゃねーな」
拳を突き出しながら呟く。罪の意識は全くなかった。
不意打ちはそれなりに効果があったらしく、相手の焦りが読み取れた。

だが攻撃は寸前で読まれ、防御されてしまった。
「結構タフだな……おいッ」
不意打ち、一撃速殺。威力を重視し、本気での一撃を大ぶり気味に突き出したのだ。すぐには身体は戻らない。


それと、悲鳴をかみ殺しながらも飛び込む相手の気迫に多少押されたか……。
ガードが大きく遅れて相手の腕を受ける。

勢いに押され足元のバランスを崩し、狙い通り大きな音をたてて頭を地面に打ち付けた。
210 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/18(金) 21:44:10.19 ID:pkJ4rWz3o
>>208
「あぁ、また会おうな。フレデリーク」

最後に振り返って手を振ってそう言った
約束してしまった、また会うなんて
明日、下手したら1秒後に生きてるか分からないような男なのに
ーー、約束なら

「...守らなくっちゃな」

紫音は懐から一本のナイフを取り出す
それを振るう意味が、また増えた
生きる理由を拾いきれるほど、器用じゃないのに
切り捨てる、人生なのに


『キャハハッ、こりゃ若い女の匂いじゃん?
...さっき抱いてでもきたのかい、七っち〜?』
「その名で呼ぶな...耳触りだ、吸血鬼」

また会う日まで、約束を果たすまで
ーー生きる理由が、増えてしまった。


彼の夜は血の紅と鉄の匂いで更けていくーー。

/お疲れ様でしたー!!
/寝落ちすみません!絡みありがとうございましたー!!
211 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 21:49:22.60 ID:vngXsb+M0
>>209

路地裏にずしん、と鈍い音が響く。
どうやら彼女の思惑通りに事を運べたらしい。

「―――…ぁぐぅッ!……はぁ、はぁ……
 手こずらせちゃってぇ…最近はこういう事だらけ…痛ッ……」

肘の骨は砕けていた。それが証拠に肘の痛みが過度に自己主張をし続けている。
時間と共に膨れ上がる肘と、激痛。

その所為で青年への追撃もこの場からの逃走もままならない。
けれど、これで終わるとは思っていない彼女。

激痛に苦しみながら、非情に緩慢な速度で右手を青年の目元へと伸ばしていく。
狙いは―――言わずもがな、正真正銘の目つぶし。
212 :和泉 晴彦 :2013/01/18(金) 22:04:51.97 ID:WYREoMBBo
>>211
パチッ……と、電気のスパークする音が周囲に響く。
何事もなかったかのように視線が動き、目つぶししようと突き出された腕の動きを捉える。
そしてその右腕を青年の左腕が払った。

「ああ、くそっ……アスファルトは固ぇつうの!」
もう一度、電気のスパーク音。――地面に強く頭を打ち付けても無事な理由は、この電気にあるらしい。
不愉快な激痛に、大声で悪態を吐く。

それから地面に寝た体勢のままで、目の前の女性を左足で突き飛ばそうとした。
213 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 22:19:29.48 ID:vngXsb+M0
>>212

聞き慣れない音が産声をあげる時
彼女の右腕は振り払われ、突き飛ばされる。

今度は突き飛ばされた彼女が頭を打つ。
形勢逆転。正しくこの言葉が当てはまる。

「―――ァぐぁッッああっっ!
 …なん、で…?随分、と お早、…い、お目、覚…めね」

息も絶え絶えに紡ぐ言葉は、ただの強がり。
ダメージレースで詰み。警察の到着時間という意味でも詰み。

「――…かはっ。ど、ぅ?満足…かしら
 あなたの……思い通り、よ……」
214 :和泉 晴彦 [sage]:2013/01/18(金) 22:54:41.06 ID:WYREoMBBo
>>213
青年はゆっくりと立ち上がる。
三度目の――バチッという電撃音が響いた。

「早い目覚め――ああ、まあ……種明かしをすれば、俺は普通の人間じゃないんだ」
バチリ、バチッと電撃が鳴る。
「機械人間、つまりは『サイボーグ』っていう奴でな。
人並み異常に身体が頑丈なんだ。もちろん、頭をぶつけたぐらいじゃあ気絶はしない……っそ。何かおかしいぞ」

バチッと、スパークが止まらない。
「おい、冗談だろ……いくらなんでも頭をうっただけで……」
スパークは止まらない。
誤作動が起こっているのだ。立ち上がるのも難しくなって、壁に手をついてやっと立っている。

女性にすれば、少しだけ自由な時間ができたことになる。
青年にさらなる攻撃、あるいはとどめをさすこともできるだろうが、警察がこの場所に迫っていることも忘れてはいけない。
215 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 23:11:12.45 ID:vngXsb+M0
>>214

「あら、…それは、素敵だ事
 でも不良品の様ね…くすくす
 "多少"の衝撃ですぐに壊れかけてるわね」

目の前の青年の不調を目の当たりにして
軽口を叩きながら、よろめきつつ立ち上がる。

「さて、警察が来たとして。
 この状況、お互いあらぬ事を疑われそうね
 じゃあどうする?"ここには何もなかった"
 これでいいでしょう?と言うよりそれしかないわね」

彼女は青年に背を向け
ふらふらと覚束ない足取りで路地裏から逃げようと試みる。
くすくす、と笑いを零しながら。
216 :和泉 晴彦 :2013/01/18(金) 23:24:21.91 ID:WYREoMBBo
>>215
「……馬鹿か俺は、クソッ」
「メンテナンスをサボったツケか? へぼドクターめ!」
どれほど憎んでも、身体は全く自由が効かない。
「こういう時が、意地の張らないとダメだっていうのに……っ!」

「勝手にしろ……だけど二度と俺の前に現れるなよ」
「何処かで見かけたらなんであれとっ捕まえてやる。この……っ」

逃げる女性をただ見逃す事しか出来ない。
不甲斐なさから歯が折れそうなほどに強く噛み締める。
217 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:小さな人形 [saga]:2013/01/18(金) 23:26:43.68 ID:f36GDCf+o
「ちっ……最低……っ」

弱弱しい足取りで裏路地を歩くクリオネ。全身に傷を受け、特に左腕からの出血は指先へ伝わり地面へ滴り落ちている。
服もところどころ焦げていて、明らかに一戦交えてきた後と言った感じだ。
クリオネに今回依頼された任務は特定人物の捕縛。それが不可能なら暗殺であった。
任務は滞りなく進み、取り巻きを殺してあと一歩までは良かった。
だが、こともあろうか……

「ぐっ……自爆とか……何考えてんのよ……」

設置されていた室外機に腰掛け、ポケットから残りわずかの包帯を取り出す。
そう、今回のターゲットは自爆したのだ。追い詰められ、このまま捕まるならとあらかじめアジトに設置していた自爆用の爆弾のスイッチを押した。
何とか窓から飛び出したが、結果この様だ。

コートとワイシャツを脱ぎ、上に着ているものは下着一枚となる。
そうして最も出血の酷い左腕に包帯を使って処置をするが、全く包帯が足りない。
何とか左腕の傷に包帯を巻いたが、その他全身の傷は未だ隠せない。

裏路地で上半身裸の女が自分の治療をしている。
表の世界では見られない光景だが。
218 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/18(金) 23:36:27.92 ID:vngXsb+M0
>>216

青年の怨嗟の声を耳にして、思わず振り向く
それもニッコリとした笑みを添えて。

「ふふっ、じゃあねサイボーグ君。警察の対応は任せたわよ?」

憎たらしくも小さく手を振った後、体を翻して

「私ね、自由に楽しく生きていたいの
 だから他人がどうなっても構わないじゃない。
 と言う事であなたの言う事なんか聞いてあげない」

「私の気分がノれば、またね。サイボーグ君
 今度会った時に私を捕まえたければ万全に整備する事よ」

そして彼女は路地裏から姿を消す。最後に捨て台詞を残して
219 :九条 剛 E.手袋、斧 [saga]:2013/01/18(金) 23:45:15.20 ID:WmqgFdyB0
「やっべぇなぁ〜一体どこ行っちまったんだろ」

斧を背負った男が公園で地面を懐中電灯で照らし、歩き回っている
なにか探しものをしているようだ

「いくら退屈だからって銃で遊んでんじゃなかったぜ」

ボヤきながら探しものを続ける
220 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/18(金) 23:45:18.01 ID:EpKEjaACo
>>217
/*マダイマスカー?*/
221 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:小さな人形 [saga]:2013/01/18(金) 23:46:24.53 ID:f36GDCf+o
>>220
//居ますおー
222 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/18(金) 23:47:06.83 ID:EpKEjaACo
>>221
/*イマカラレスカクノデシバシオマチヲ*/
223 :白熊 佐助 :2013/01/18(金) 23:47:53.08 ID:1tLfJed0o
>>217
「情けねぇな・・・」
裏路地・・・俺は一人の女を見つける。
この女・・・その背中には円環の楽園の刻印が焼き付けられている。
コイツが、ロンドンでのテロ行為に便乗し、メイザースから“名前”を貰った新人ちゃんだ。
確か、貰った名前は“ムルムル”だったな・・・

「がっかりだぜ。ロンドン事変に参加し、メイザースから名前を貰った新人ちゃんがどんな奴か期待してたが・・・」
とは言っても、その地べたを這い蹲る意地は評価している。
だが、コイツは任務か何かに失敗しているようだ。
此処で奴を評価するのは逆に侮辱に当たるだろう・・・

「因みに俺には、治癒能力は持ち合わせていないぜ。悪いな・・・」

【クリオネを見下すように立つ男。】
【その頭には何故か鹿の角が生えた馬マスクを被っている】
224 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/18(金) 23:51:55.51 ID:EpKEjaACo
>>217
治療をしているクリオネの背後に、ひとつの存在感が有った。
その存在感の主は、すぅ、と手を伸ばしてクリオネの肩をぽんぽん、と叩く。
もし後ろを振り向いたのならば

『怪我してるの?』

と書いたスケッチブックが、クリオネの目の前に見えることだろう。

スケッチブックの主は、一人の女だ。
前髪を長く伸ばし顔の左半分を隠した変則的な赤毛のボブカットで、穏やかな雰囲気を持つ女。
服装はダッフルコートとチノパンという、どちらかと言うと活動的な雰囲気。
しかしながら、その雰囲気を中和するような要素が、手元のスケッチブックと純白の手袋だった。

スケッチブックをふるふる、と振って首をこてんと傾ける。
どうやら、口がきけない模様で、それゆえにスケッチブックで会話をしようとしているらしい。
視線からは警戒の気配などは無く、純粋に相手を心配している様子が伺えるだろう。
225 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/18(金) 23:56:23.51 ID:YmiET6r7o
>>219
「何かお探し物ですかぁ〜?」

不意に男性の背後で、夜中の公園には似つかわしくない、幼げで可愛らしい声が響いた。
そこに居たのは金色の髪と、ピンクまみれの魔女っ娘ルック。通常この時間帯には外で見かけることの無いであろう、少女の姿。

「もし良かったら、正義の名にかけてお手伝いしますよ?」

だって私、魔法少女ですし……と、理解不能な言葉を呟いて。少女は静かに男性の元へと歩み寄っていく。
226 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 00:04:39.59 ID:5LBbyhlOo
>>224
「ん……?」

包帯で腕を縛っているとふと肩を叩かれる。いつの間に……傷と治療で気が付かなかったようだ。
何やら文字で語りかけてくるが、何のつもりだろうか。

「……見ての通りだけど。健康体には見えないでしょ」

素直に怪我してますと言えないのがクリオネである。
どうやら口でコミュニケーションを取れないようだが、それに加えてなぜこんなところに居るのか。

襲ってくる気配はないが、すぐさま逃げられるように警戒する。
直ぐに攻撃してこない辺り、追っ手ではなさそうだが……
227 :九条剛【AMS局員】E.手袋、斧 :2013/01/19(土) 00:08:12.15 ID:/qNzMEKno
>>225
「ああ、銃の部品を落とし…えーと、キミ、能力者?
こんな時間にそんな格好でなにやってんの?」

振り返った男は、少女の格好の奇天烈さに驚き、
一体何をしているのかと逆に訪ねた
228 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 00:09:34.98 ID:SjJn5OM2o
>>226
『ちょっとなら、おねーさん傷治せるんだけどー、治していい?
 せっかく可愛い女の子なんだから、生傷残しちゃいけないと思うの』

きゅきゅきゅ、と色鉛筆をキャンバスの上で走らせて、くるりと回して相手に見せるリリー。
にこにこと相手に警戒させないためか、それとも天然なのか脳天気な笑顔を浮かべていた。
やたら面倒見が良い様子といい、こんな所に首を突っ込むところといい、要するに彼女は所謂お人好しだった。

(なあんか、張り詰めてる子だなぁ。
 よく見てたけど、うん。……なでなでしたい)

うずうずと右手が一瞬動くが、気にしない事にしたリリー。
どうにもこのような様子の相手は良く見てきたもので、どうにもおせっかいを焼きたくなる。
ついでに可愛いから頭を撫でたく成る。困ったものだ。
229 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/19(土) 00:17:54.99 ID:lIa6yuUlo
>>227
「……夜中なのに騒がしい人ですねー」

矢継ぎ早に言葉を投げかけてくる男性に、少女は若干呆れた視線を向けてため息をつく。

「大体、私が誰でどんな格好をしていても貴方には関係ないことです!」

そもそも私、魔法少女ですし……と、少女は再び理解不能な理論を展開しつつ、
どこからか取り出した魔法のステッキ(メーカー希望小売価格¥7800)に魔術でまばゆい光を灯して―――。

「……とにかく、お探しの銃の部品を見つけましょう」

そしてステッキを振りかざすと、公園の至る箇所で同じような光が輝き始めた。これで探し物はだいぶ見つかりやすくなったはずだろう。
230 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 00:19:39.50 ID:5LBbyhlOo
>>228
「はっ、今あった見ず知らずの奴に”じゃあお願いしますー”なんて言うと思う? バカじゃん」

目を細めながら目の前の女を見る。どういうつもりだろうか……治療と称して襲うか、それとも治療の代金に何を請求するか……
ともかく、今会ったばかりの女に傷を見せることはできない。
そう言いながらクリオネは治療を続けていく……が、

「ちっ……もう無い」

結局ほとんどの傷を塞げないまま包帯が尽きた。
しかしこの何やらお花畑娘に頼むのも……

「ちょっと、包帯とか持ってない訳?」

先ほど好意を罵倒で返したクリオネが、治療道具を持ってないか尋ねる。
普通は呆れて帰ってしまうが……
231 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 00:25:25.23 ID:SjJn5OM2o
>>230
『えへへへー』

苦笑混じりに、困ったような笑みを浮かべて首を傾げる。
包帯足りないだろうなあと思いながら治療を見守っていたが案の定目の前で包帯が尽きた。
やっぱりなあ、と思って居ると、クリオネが此方に治療道具が無いかを問いかける。

『持ってないけど、なんとかしてみる?』

かりかりとスケッチブックに文章を書きつけると、それを見せて。
直ぐに、カバンにスケッチブックをしまい込み、空中に色鉛筆を走らせた。
空間に立体的に描かれる絵の色彩は白で、布のような質感を描き上げていく。
それらの絵を、暫く書いてある程度の長さにすると、最後にNight・Star・Lilyとサインを書きつける。
すると、包帯のような絵がそのまま包帯になって、リリーの手の中にこぼれ落ちた。

「うー?」

ことばにならない声を漏らして、これでいい?とばかりに包帯を差し出すリリー。
触れてみれば、何の変哲もない包帯だったろう。
232 :九条剛【AMS局員】E.手袋、斧 :2013/01/19(土) 00:31:28.99 ID:/qNzMEKno
>>229
「あ、ああ、うん、その通りだ
悪かったな」

奇天烈な見た目と中身のマトモさのギャップに驚きながら
プライベートな質問をしたことを謝る

「おお、すげえ!明るい!
…あった!あれだ!」

少女の魔法(?)による明かりに驚嘆しつつあたりを見回し、
ベンチの下からお目当ての銃の部品を見つけた

「いやぁ助かったぜ、
今の明かりってすごいな、魔法ってやつか?」

少女に礼を述べ、
今の明かりのことを尋ねる
233 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 00:37:30.47 ID:5LBbyhlOo
>>231
まぁ普通は持っていない。クリオネも本当に持っていると思って聞いたわけではないのだが……
女は突然鉛筆を振り始めた。何事かと思い、若干の驚きと警戒を持って見ているとなんと何もない場所から包帯が出来上がったのだ。

「なっ……何これ」

さまざまな能力を見てきたが、これまた異質な能力だと思う。
絵を使って物を生成する能力なのか……?

差し出される包帯。怪しいが、背に腹は代えられない。
流石にこのままだとマズイ。

「ん……」

空いている右手で包帯を取ろうとする。
初めから掴むのではなく、何回か指先で一瞬だけ触り、何もおかしなところが無いかを確認してからゆっくりと取った。
その姿はさながら猫だろうか。

いざ取ってみると、それは全く普通の包帯で使用するのになんら不便は無かった。
それを使いながら再び包帯を傷に巻き始めるクリオネ。

「……ありがとぅ……」

物凄く小さな、それも若干ふて腐れたような声で礼を言う。
普通は聞き逃すだろう。
234 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/19(土) 00:44:03.56 ID:lIa6yuUlo
>>232
「そもそも人を詮索しようとするなら、まずは自分のことを先に話すのが筋ですよ!まったくもう」

男性の言葉や態度に、少女はプリプリと苛立ちを募らせつつ。

「でもまあ、探し物が見つかってよかったです」

しかし男性が銃の部品を発見すると、気が緩んだのか歳相応の笑みを漏らした。人の役に立てたことが嬉しかったのだろうか。
続けて魔法のことを聞かれ、無い胸を張って得意げに。

「もちろん私、魔法少女ですから。魔法に決まってます♪」

そう豪語する。
235 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 00:44:58.41 ID:SjJn5OM2o
>>233
『包帯くらいならそれっぽく書くのは簡単だからね』

んあー、とちょっとどや顔気味の笑顔で胸を張るリリー。
本人としては大したことをしているつもりは無いようで、実際生み出したのも只の包帯だ。
しかしながら、包帯は写実的に書かれており、本物の包帯と寸分違わぬ質感を与えている。
と言っても、実際は包帯に見える魔法陣のような代物であるため、物質とはまた別のものなのだが。

「あー!」

にこにこ、と笑顔を浮かべて、耳聡く相手の礼を聴きとって嬉しそうにしていた。
他に怪我はない? とばかりに、クリオネの様子を確認するリリー。
他に治療する場所が無いならば、くしゃりとクリオネの頭を撫でようとするだろう。

『困ったときは助け合いなんだから、お嬢さんだって助けてーって言って良いんだから。
 もっと柔らかくしててもいいと思うんだけどね?
 そんなに眉間に皺ばっかり作ってると年取ったら眉間シワシワおばあちゃんになっちゃうよ?』

しわしわのおばあちゃんのイラストを添えつつ、ちょっとしたお説教。
本当に赤の他人が怪我をしている、という事だけで親身になれる、珍しい人間だった。
236 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 00:57:58.06 ID:5LBbyhlOo
>>235
「その得意げな顔がなんだかムカつくわね……」

包帯出したことを褒めた覚えは無いのだが。
どうやらこの絵はこの女にとっては自慢できることらしい。
最も、実際にすごい能力なのだから自慢することになんら不思議はない。

「ってちょっと、何すんの!」

いきなりこちらを覗き込んだかと思えば頭を撫でてくる。一体なんなのだろうか。
思わずクリオネは頭を振ってその手から逃れようとする。

「いきなり何すんのよ、全く……」

とは言ったものの、特に怒っている様子は無い。
もう一度やってきたら何を言うかわからないが。

「助けてーなんて言って本当に助けてくれるなら、この世は安泰でしょうね」

いつか似たようなセリフを聞いたことがある。
しかしクリオネには、嫌味なセリフで返すくらいしか出来なくて……

「キミだって何の酔狂か知らないけど、お人よし見たな事ばっかやってるとその内痛い目見るよ」

良い人、親切な人が得をするほどこの世は優しく作られていない。
そんな事、この女どころか誰だって知っているのではないのか。

237 :九条剛【AMS局員】E.手袋、斧 :2013/01/19(土) 00:58:49.29 ID:/qNzMEKno
>>234
「…ああ、そうだよな
俺はamsって会社で働いてる九条 剛(キュウジョウ ツヨシ)って言うんだ
何をやってる人なのか伺ってもいいか?」

だいぶ重要な部分を省き、簡潔に自己紹介をして
少女のことを尋ねる、どうやらかなり気になっているようだ

「ああ、助かった、お前のおかげだ」

「魔法少女ねぇ…
いろいろすごいな」

魔法少女という単語を聞き
イロモノだ、頑張ってるな、など色んな意味を含めたいろいろすごいという言葉を放つ
真意には気づかれないと位いいが…
238 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 01:04:38.86 ID:SjJn5OM2o
>>236
『でも、助けてって言わなくても助ける人は居るよ?
 ほら、私とか』

辛辣な言葉を吐く相手を、微笑ましげな表情を浮かべて見て。
押しが強いわけでもないのに、揺らがない独特の存在感でクリオネの前に居た。
そして、クリオネが痛い目を見る、と言えば苦笑を口元に作り。

『痛い目はもう見てるから、ある意味これは私の病気かもしれないね。
 汚いものをずっと見てたから、綺麗事を貫きたいなって、要するに私のわがままななんだ。
 わがまま言った結果で、痛い目見ても私が悪いんだから、仕方ないんじゃないかな』

ある意味で、とことん割り切った発想だ。
してやっている、とかそんな事を言わずに、自分の勝手でやっていると言うのは。
痛い目を見ている、との言葉の証明は、長い前髪の隙間から覗く酷い火傷痕で分かるだろう。
お人好しで、お節介焼きだが、世の中の暗い所をしらないわけでは無さそうだ。
239 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/19(土) 01:11:22.16 ID:lIa6yuUlo
>>237
「……ふぅん」

男性の言葉に対して、少女は訝しげに返事を返した。先ほどまでとは違う、やや慎重な様子で。

「私はリリアンヌ。見ての通り、魔法少女です」

聞かれたことだけを、簡潔に答える。その後の男性の言葉はあまり聞いてはいないようで、しばらく何かを考え込み。

「……ねえ、九条さん」

そして不意に九条を見つめると、意外な質問が飛び出した。

「amsって、どんなお仕事をする会社ですか」
240 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 01:16:07.07 ID:5LBbyhlOo
>>238
「キミみたいなのは特殊な例でしょ……」

多くの人は面倒事には関わらない。触らぬ神になんとかと言う奴だ。
実際、ここで傷の手当てをする前に人に見られたが、見て見ぬふりをされた。それが当然の反応。

「なんで……キミは……」

あの人と同じことを言うのだろうか。
何の得にもならない綺麗事を貫いて……

クリオネの顔に一瞬陰りが見える。
この女の言葉を聞いたからだろうか。嫌味を言う時とはちがう雰囲気だ。

「キミは……綺麗だね」

思わず出た言葉。顔に火傷を負う人に言うのは憚られるかもしれないが、クリオネはそう思った。
それは容姿に対して言ったのではない。

241 :九条剛【AMS局員】E.手袋、斧 :2013/01/19(土) 01:18:30.21 ID:/qNzMEKno
>>239
「そこ聞いちゃうかー」

頭を掻き、気まずそうに

「…軍事企業で傭兵とか派遣してる会社だな」

と言った、あまり言いたくはなかったようだ

242 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 01:19:53.93 ID:SjJn5OM2o
>>240
『いやはははー、照れるよ照れちゃうよー?
 おねーさん嬉しいぞー、でも、綺麗って言ってもらうよりは、笑ってもらうほうが嬉しいかなー?』

にこり、と笑顔を浮かべて、嬉しそうにしつつスケッチブックを見せる。
さらりと書いた簡単なイラストには、満面の笑みを浮かべるクリオネが居た。
文字だけでなく絵も加えることで言葉を喋れない分を埋めているリリー。
リリーが見たいのは、こういう笑顔で、そういう物を見たいからリリーはおせっかいをしているのかもしれない。
243 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 01:27:29.98 ID:5LBbyhlOo
>>242
「っ!?」

ドクンと一度脈が大きくなる。
自分の笑う姿など見たことが無いからだ。笑っていた時期は鏡なんて無かったし、何よりあの人にだけ見てもらえれば良かった。
自分は、こんな顔が出来るのだろうか……

「…………無理だって」

目を丸くしながらほぼ無表情で絵を眺めていたクリオネがぽつりと言った。
だんだんと、その絵の顔とは逆の顔をしていってしまう。

「そんな顔、出来ないよ。……やり方もわからない」

「そんなに笑った顔が見たいなら、表通りに行って慈善事業でもすれば? ここに居たって見れないよ」

何時もの嫌味な笑みを浮かべようとするが、どうにも上手くいかない。
244 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/19(土) 01:27:55.61 ID:lIa6yuUlo
>>241
「それってつまり……人を殺すお仕事、ですよね」

少女のものとは思えない、冷淡な口調。少女の心と言葉は完全に冷え切って。

「それなら私も、お話することがあります。実は私のお仕事って―――」

しかし、その体を包む輝きは、燃え滾るようにまばゆく、そして熱く。

「腐敗に満ちた愚図共を、ぶち殺すことなんです」

それは既に破裂する寸前だ。
245 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 01:32:16.85 ID:SjJn5OM2o
>>243
『慈善事業するには、声が無いしね、私。
 旅の絵描きさんとして、皆の笑顔を書きたいんだよね。
 だから、今の私はお嬢さんの笑顔が書きたいなーって思うんだ。可愛いしね?』

冗談めかした様子で、しかし真面目な目線で。
リリーは、もう一度ぽんぽん、とクリオネの頭を撫でた。
そして、スケッチブックのさっきの笑顔の絵をちぎり取って、クリオネに渡して。

『ちょっと目付けられちゃったみたいだから。
 また今度、お嬢さんの笑顔書かせてね!
 私、ナイト・スター・リリー。お嬢さんは?』

スケッチブックを見せつつ、何かを空中に書き付けていくリリー。
赤色が空中に踊り、曲線を多用したそのイラストは、焔か。
背後には、先ほどクリオネが戦っていたであろうグループの追手が来ている。
どうやら、リリーが此処で足止めをするつもりのようだ。本当にお人好しである。
246 :九条剛【AMS局員】E.手袋、斧 :2013/01/19(土) 01:38:30.86 ID:/qNzMEKno
>>244
「…まあ、その通…ッ!!」

言いづらそうに口を開くが、
相手の気配の急変を察して言葉を詰め
相手の姿の急変を見て驚き
少し時間を置いて考え直したのちー

「いや、違う、人を傷つける異形の怪物を倒す傭兵の集まりだ、
俺たちは人を傷つけることはしないんだ、うん」

必死に人を傷つけることはしないと語り、
相手をなだめようとする
247 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/01/19(土) 01:41:23.51 ID:5LBbyhlOo
>>245
「こんなの渡されても……」

困った顔をしながら、なんだかんだで受け取ってしまう。
そうしてとりあえずの治療が終わりそれをコートのポケットへ。

「私は……クリオネ。じゃあね、お人よしのリリー」

リリーが足止めしてくれるとでも言うのだろうか。
まぁそれならそれでいい。利用しようじゃないか。

「そうやってまたお節介してると死ぬよ。 また生きてたらねっ」

そう言ってクリオネは別の道へ走っていく。
追っ手から見えるように道へ入っていったのは、クリオネが意識しての事ではない。

貰った一枚の絵。
この絵はクリオネにどのような影響を及ぼすのだろうか。

//こんな感じで良いでしょうか
//ありがとうございました。乙です。
248 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 01:45:20.34 ID:SjJn5OM2o
>>247
「んー!」

意味のない音律を、返答として。
銃を構える数人の追手を前に、リリーが立ち上がる。
両手の手袋を外せば、量の手の甲と指には虹色の文様が有る。

数分後。

誰ひとり死ぬことは無く、しかし追手は皆気絶していて。
当の魔女はと言えば、いつもどおりトレーラーを運転して夜の街を走っているのであった。

/*お疲れ様でしたー!*/
249 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/19(土) 01:51:27.25 ID:lIa6yuUlo
>>246
「それ以上、何も聞きたくありません」

少女がそっとポーチから取り出したのは、2対の包丁。子供用の小さなもので、柄がピンク色の可愛らしいデザインの。

「だって貴方が何を言っても、私のパパとママは帰ってこないから!」

しかしそれは、先ほどまでの話だ。少女の魔力を浴びたそれらは、今や何十倍もの大きさに巨大化している。
刃の部分はより鋭さを増し、強度を高められた包丁は空中をゆらゆらと浮遊している。

「魔法警察遊撃諜報員、リリアンヌ。愛と魔法と束縛と、そして正義の名において……」

それはまるで、鎌首をもたげる大蛇のように。相手の隙を窺うように。

「AMS職員、九条 剛の断罪を執行します」

それは音も無く飛び掛った。巨大な2対の刃に貫かれれば、流石に命は無いだろう。

/すみません……なんかノリで戦闘にしちゃったんですけど、大丈夫ですか??
/無理そうならこちらが退却という形で締めますが……
250 :九条剛【AMS局員】E.手袋、斧 :2013/01/19(土) 02:09:57.59 ID:/qNzMEKno
>>249
「めんどっちーなぁ」

左手で頭を掻きながら右手で背中の斧を持ち、
面倒そうに包丁を見る

「戦うことしかできないやつの事もちっとはかんがえろよ!」

片手で軽々しく斧を振るい、包丁の先端にぶち当てる
そしてその反動を使ってもう片方の包丁の先端にも叩きつける
そして刃先のずれた包丁は九条を掠めながら横を通り抜ける

「俺だって戦闘狂いじゃあねえ…」

そしてポケットの中から閃光手榴弾を取り出し

「やりたくないは避けるぜ!」

ピンを抜いて放り投げられたそれは、
目に染みる紫外線の閃光を発した!

視界が正常に戻った時、
見えるのは自分以外誰も居ない公園で風に揺れているブランコぐらいであろう

//心遣いは有難いですが、眠いのでこっちで逃げさせてもらいます
強引ですいません、絡みありがとうございました
251 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/19(土) 02:32:23.53 ID:lIa6yuUlo
>>250
「戦闘狂いじゃないなんて、そんなの嘘ってわかります」

九条が取った、たった一度の動作。それによって弾かれた2対の包丁。一瞬ではあっても、彼が相応の使い手であることは明白だった。
いかにリリアンヌが興奮状態にあったとしても、その事実を見落とすほど彼女は愚かではない。

「私も貴方も、普通じゃない。こんな所でのうのうと生きることが許されるような存在じゃ、絶対にない!」

一瞬、間を取る。そしてその頃合を見計らったかのように投擲された手榴弾。リリアンヌは仕方無しに守りの姿勢に入る。

『魔法のちゃぶ台!』

瞬間、彼女の眼前に出現したのは巨大なちゃぶ台。それは頑強で強固な盾となり、全ての衝撃と光と、そして視界をシャットアウトする。

「これは……閃光手榴弾っ!……しまった!」

魔法を解除したとしても、全ては手遅れだった。そこにはもう、敵の姿など影も形も無い。

「……っ」

残ったのは、彼女の中にあるやりようのない怒りだけ。

「……知ってるわ。私はもう、狂ってる。正義とか断罪とか、良いわけをしても。本当はとっくの昔から……ね」

「私、どうすれば良いの。パパ、ママ……」

少女は涙した。歳相応に、大粒の涙を流して。

「ひとりじゃ、生きていけないよ……」

変わる世界。理不尽には、慣れたつもりだった。けれど、自身の変化には戸惑うばかりで。
胸の内から湧き上がる怒り。それは少女の心に、暗雲が立ち込めた夜のことだった。

/了解です。こちらこそ強引にすみません
/今回は絡んでいただいてありがとうございました!また機会があればお願いしますー
252 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 20:04:28.39 ID:5LBbyhlOo
突如、一夜にして現れ世間を賑わせるバベルの塔。あなた方は今その目の前に居る。
不自然な位置から雲がかかり、その頂が何処にあるのか全く分からない。
これまで何人もの探検家がバベルの塔に挑戦したが、いまだ成功者は無し……

その頂には一体何があるのか。
あなた方はそれが知りたくて来たのか、それとも面白半分か……

その門は木製の観音開きタイプの扉で、その大きな口は来るもの拒まずと言ったようだ。
中に何があるかわからない。
しかし、この場でメンバーの戦力を確認するなり、すぐさま特攻するなり、行動は自由だ。
いずれにせよ、この塔に入る入り口は目の前の扉しかない。
253 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 20:10:39.22 ID:ze3ku0Cp0
>>252

その高さが見当もつかないバベルの塔。それを入り口の扉に手を掛け見上げるのは
明るい色のショートヘアに長めのシャギー、顔に縁の細い楕円形の眼鏡を掛けた、華奢な体の年若い少女である。

「大きいなぁ…。」

うっかり人並みの感想を漏らしかぁっと赤面。
右手で扉を叩くふりをして、先ずはほかのメンバーの状況を横目で確認する。


/改めて本日は皆さまよろしくお願い致します!
254 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 20:14:37.78 ID:SjJn5OM2o
>>252>>他の参加者の方
(たっまにはお仕事しないと、美味しいご飯を食べたいしね。
 それに、一応魔女だし……、頑張らないと)

バベルの塔の前に、一人の女が立っていた。
厚手のジーンズに、ミリタリージャケットを着た、動きやすい格好であり両手には黒皮の手袋が有る。。
髪型は前髪を伸ばして顔の左半分を隠す変則的な赤毛のボブカットで、黒縁の眼鏡を掛けていた。
肩から下げたカバンにはスケッチブックと幾らかの飲み物と食べ物。

「んーあー」

高いなあ、と思いつつ、ふと言葉にならない声を漏らす。
スケッチブックを取り出し、色鉛筆をスケッチブックに走らせると、しばらくしてぽんぽん、とスケッチブックを叩いて注目を引く。

『ナイト・スター・リリーです!
 今日は皆さん、よろしくおねがいね! 私も頑張るから!
 皆無理しちゃダメだからね? 怪我したり気になることが有ったらおねーさんとか近くの人に相談すること!
 よろしくねー! m(_ _)m』

リリーそっくりのSDキャラクターがお辞儀をしているイラストを添えて、挨拶文が掲げられていた。
どうやら言葉を喋れないようだが、意思の疎通は十分そうだ。
255 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 20:14:44.84 ID:XaEGrQP40
>>252
「大きいなぁ・・・これなら楽しめそうだ」

塔の壁面に手を当ててつぶやいた
楽しそう、とのことから純粋な好奇心でここにきたのであろう
その眼に他人は映っていなく、塔しか見ていない
どうやら塔にしか興味は無いようだ

<皆様よろしくお願いします!
256 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 20:20:24.67 ID:jhwmlCxto
>>252
「……上の方、全然見えねぇな
 どんだけデケェんだよ、この塔は」

学生服に身を包む、その少年は呆れたような呟きを零す
ソレに合わせ雲に阻まれた塔の先へと視線を向け、その拍子に色素の抜けた白髪がふわりと揺れた

その言葉のトーンの低さとは裏腹に、その瞳は猫じゃらしを差し出された猫のソレのように
あちらこちらへと忙しなく動きまわり、落ち着きを感じられない

>>253-255
「おっと、今回のお仲間さん?
 俺、こういうの慣れてねぇんだけどさ、宜しく」

塔へと向けられた視線は、くるりと周囲を巡り
周りの同行者たちへと向けられた

先程の落ち着きの無さを見られたのが恥ずかしかったのか、頬を少し赤く染め
バツの悪そうに、髪を掻き乱した


//皆様、宜しくお願いします
257 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 20:21:56.99 ID:5LBbyhlOo
>>253>>254>>255>>256
今回の挑戦者はどうやらそこに居る4人らしい。
協調しようとする者、他者を気にかけない者、様々だろう。
だが、このバベルの塔を一人の力で最後まで攻略することは困難を極めるだろう。

門は静かに4人が入るのを待つ。
閉まってこそいるが、それは押せば簡単に中に入れる仕組みだ。当然鍵などかかっていない。
258 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 20:26:49.54 ID:XaEGrQP40
>>254
ぽんぽん、と何かを叩く音を聞いて振り返る
そこに居たのは一人の少女
足元から顔まで、軽く見渡すと急に表情が変わり

「こちらこそよろしく!」

と、満面の笑みを浮かべて手を差し出した
>>256
「ああ、よろしく」

といって手を差し出す。
先ほどの表情から一変し、明らかな愛想笑いだ
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage saga]:2013/01/19(土) 20:29:40.05 ID:ze3ku0Cp0
>>254-257

「あ…、チェカ・ロッシです。 どうぞよろしく」

スケッチブックにつられ、自分をぺこりと頭を下げる。独りだけ此方を向いていない人が居るが…まあいいか
自分含め、女性2人に男性2人。うち名前が分かったのは一人だけだが、まあこれだけいれば大丈夫だろうと
ざっと自己紹介を終えて、どうやら入口に一番近いのは自分らしく――


(ん、鍵掛かってない…)

「えっと、じゃあ開けますね…?」


後ろの3人に確認を取って、観音開きの戸の右側を片手でぐいと押そうとする
しかし先陣を切るのは怖いので、開いたまま「お先にどうぞ」と声と手で周りを促すだろう。
260 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 20:30:56.36 ID:ze3ku0Cp0
>>259
/おっと、名前ミス
261 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 20:31:25.39 ID:SjJn5OM2o
>>256
「んー!」

ぱたぱた、と無邪気に手を振って会釈をする女が一人。
少女と呼べるような外見でもないというのに、やたらめったらと活発で無邪気だった。
しかしながら、注意深いものが見れば最低限以上の警戒は欠かしていないことが分かる。

>>258
『よろしくねー』

そう言うと、黒皮の手袋は外すこと無く握手を交わす。
前髪に隠された向こうには、醜い火傷痕が見えるだろうか。
相手の雰囲気にどこか薄ら寒いものを感じつつ、それが杞憂である事をリリーは祈っていた。
ニコニコと浮かべた笑顔は、外見の微妙な成熟度とのアンバランスを感じさせる無垢なものだった。

>>257
(帰れるように、ちょびっとマーキングしておこ)

とてとてと扉に近づくと、扉の済に色鉛筆を走らせる。
小さな旗のイラストを書けば、暫くの間周囲に魔力のパルスを放つようになる。
戻る時は、この反応を辿っていけば分かる、というわけである。

『私マップ書くから、道に迷ったら私に聞いてね?』

ぽんぽん、とまたスケッチブックを叩いて注目を集めて。
チェカが扉を開けると同時に、リリーが先陣を切って足を進めていく。
周囲に目線を散らし、警戒を忘れぬままに、色鉛筆を握る手指に力を入れた。
262 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 20:36:21.72 ID:jhwmlCxto
>>258
「ああ、宜しくな
 握手はちょっと待ってくれ、両手使えないのはマズイだろ?」

優の愛想笑いは、あまり気にしていないのだろう
その優の表情よりも、その先にある塔の扉へと視線は向かう

「握手は終わったあとにでもやろうぜ
 ハイタッチでも良いけどさ」

>>261
「ああ、宜しく」

その無邪気に手を振る少女に、こちらも軽く手を振るう
警戒をしなければならないこの状況だが、少しだけ頬が緩むようなそんな感覚を感じる

「……良し、俺が頑張って守らなきゃな」


>>257>>259
「さて、と
 此処で喋っててもどうにもなんねぇし、進もうぜ
 先頭、俺でいいか?」

言うが早いか、やるが早いか
一歩、他の3人よりも前に出るとバベルの塔の扉を開こうと、手を伸ばした時
チェカがそれよりも早く、扉を開いた

「おう、宜しくなチェカさん
 俺は士狼、七瀬士狼」

チェカが開くその扉の奥へとゆっくりと警戒を緩めず、一歩踏み出した

263 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 20:40:33.01 ID:5LBbyhlOo
>>258>>259>>261>>262
門をくぐり、バベルの塔に足を踏み入れる一行。
待ち受けていたのはトラップではなく、石造りの小さな小部屋だった。所謂エントランスと言った具合だろうか。
エントランスの中央には石板が1つ。他には何もなく、石板の奥に1つの扉がある。

石板の文字は入ってすぐの所からでも見えるだう。

"希望の先に希望は無い"

トラップらしいトラップはない。
この先の扉を抜けてからが本番と言ったところだろうか。
264 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 20:44:27.13 ID:XaEGrQP40
>>257>>259
「行かないの?行かないのなら行くけど」

答えを聞く前に既に歩き出していた
答えなどどうでもいいのだろう。すでにその脚は塔のなかに入っている
>>261
彼にも火傷痕は見えたが、それに驚く様子は無い
先ほどの笑顔のままだ。
そのままリリーの後を追うように塔に入っていった
265 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 20:48:15.72 ID:ze3ku0Cp0
>>258>>261-263

(良かった、普通に良い人たちみたいだ…)

4番目に中へ。入ってみると予想外に狭い
石造りの小部屋――――他の人の邪魔にならないよう壁際に寄り
石版の文字をじっくり、2度、3度と読む。


「じゃあ、絶望があるのかな…」


単純に反対を考えればそうだろうか。むむと首を捻る
266 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 20:49:56.53 ID:SjJn5OM2o
>>263
中に入ると同時に、スケッチブックにマッピングをしていくリリー。
四角い部屋を書いた後に、そこに注釈を入れていき、作業は一分と掛からずに終わる。
ペンを手元でくるりと回して、眼鏡越しに目を細めて思考を巡らせる。

(この手の文言は、大抵ダンジョンのコンセプトとか、方向性を教えてくれるものだけど。
 どうなのかなあ、とりあえず覚えておいて損は無いよね?)

士狼が先に行くと言うのならば、とリリーは士狼の一歩後ろを歩く。
魔力をペン先に巡らせて、絵画で幻想を紡ぐ魔女は、道を歩み未知に挑む。

皆が扉を開けるその前に、懐から取り出した小さなメモにレーダーの様な絵を描き、空中に投げあげた。
魔力を周囲に放射し、敵性の存在や、生命の反応、魔力の気配を探索する。
この場に、4人以上の生命の反応や、リリー以外の魔力が有れば、そこは怪しいところだろう。

【リリーのメモ】
vエントランス:石版に『希望の先に希望はない』、扉が一つ
267 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 20:53:31.14 ID:XaEGrQP40
>>263
「希望の先に希望は無い・・・ねぇ。意味深な言葉だ」

そうは言ったが、特に考える様子はなく石版の奥に歩いていく
恐怖や不安等を感じている様子は無く、むしろワクワクしているようだ
>>262
「・・・うん。そうしようか」

思った以上にフレンドリーな態度に少しと惑う
今までであっては直ぐ殺してきた彼にとってこういう会話は初めてなのだ。
それも初対面の相手だ。戸惑わずには居られない
268 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 20:56:32.78 ID:jhwmlCxto
>>263
「……石板、か
 なんて言うか、拍子抜けだな
 次から本番って事なのか?」

石板の文字をなぞり、その文面を口にする

「"希望の先に希望は無い"…?
 なんだ、それ?」

続けて何度かそれを小さく頭の中で読み上げてみるが訳がわからない、と首を捻るだけ
うーんうーん、と唸ってみせるが何も浮かばないようだ

>>265
「希望の先に、絶望?
 希望を持ってるからその先で絶望するって事か?」

チェカの呟きに、視線だけをそちらに向けるように少年は返した
不安など感じない、とそう言いたげな満面の笑み

「……そうならないように努力しなきゃならないな
 大丈夫だって、前は俺が守るぜ?」


>>ALL
「なあ、此処でやる事なけりゃ、前に進みたいんだけど大丈夫か?」

少年は石板を超え、扉の前を陣取るように仁王立ち
他の3人を見渡すように、視線を向けた

「先頭は、他に誰もいないなら俺が続けていいか?
 罠探しとかはあんまりだけど、頑丈さなら自身あるんだ」

ポン、と自身の胸を叩き自信あり気に笑って見せる
扉に背を向けている、と言っても他の3人の同意があればすぐにでも扉を開き
懐の拳銃を引きぬき、警戒を緩めずその扉の向こうへと潜入するだろう
269 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 21:02:52.87 ID:5LBbyhlOo
>>265
石版の文字にどのような意味があるのか。
それはこの場で考えてみてもなかなかわからないだろう。そもそもそれらしい仕掛けなどがこの部屋に見当たらないのだ。

>>266
リリーのレーダーに反応は無い。少なくとも、この部屋に4人以外の生物が居ると言うことは無い。
部屋の中に見えるのは石版のみだ。

>>ALL
扉自体に仕掛けない。先頭の者が慎重に扉を開けるも、トラップが作動した様子は無い。
扉から先へ進むと、そこは大きな廊下になっていた。
床も壁も相変わらずの石造り。その廊下の先には上へ続く階段が見えた。あそこから第二階層へ行けるのだろうか。
ここから階段付近まで、まるで道を作る様に石柱が左右に並んでいる。石柱は右に3本左に3本で計6本見える。
さらに、廊下の左右には扉が合計4つ見える。右手前、右奥、左手前、左奥と、扉は綺麗に配置されている。
しかしながら、その全ての扉は大きな錠が付いているのが見えるだろう。それに加えて魔力的な結界も扉を守っている。

270 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 21:03:08.53 ID:XaEGrQP40
>>268
「じゃあ、先頭は任せるよ」

本音をいえば、先頭に立ってみたかったが安全とかも考慮すればこちらの方がいいか
軽く頭を下げる
271 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 21:04:52.97 ID:ze3ku0Cp0
>>264>>266-269


(うわ、絵、すごく上手…)


皆が周囲を警戒する間、リリーの描く絵を後ろから覗きこんでいたり。
どうも緊張感が足り無いようだ。そこに降りかかる士狼の声

「あ、ありがとうございます…ッ」

照れたようにそっぽを向く。しかしまだ先は長い


「あ、じゃあ私が殿(しんがり)を務めようかな…」
「……誰も居なければ、ですけど」

士狼の提案に。自分も手を挙げて発現
しかし他の意見があればそれに従うだろう
272 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 21:09:59.15 ID:SjJn5OM2o
>>268
『じゃ、士狼君が先に出るって事で。
 私、どっちかというと探しものとか、危険なもの探す方が得意だから。
 危険とぶつかったら、他の皆対処お願いできるかな?』

士狼の発言を受けて、リリーは先に出ることに同意した上で、探索は任せろと皆にアピールをした。
もとより、得意な方向性が戦闘よりもそちら側である為、今回の探索では主にスカウトやレンジャー役を買って出ようと思っていたのだ。
色鉛筆を石版の下に走らせて、マーキングをしている当たり、警戒といざという時の対策に余念がない。
得意でない探索をせず、対処に集中する事ができるかもしれない。

>>271
『じゃあ、チェカちゃんは後ろね。
 おねーさんは真ん中で皆の危険を探してるから!』

ビシッ、と敬礼をするリリーのイラストを書きつつ、にこりと笑顔を向けた。

>>269
(……錠は壊せるかな? でも結界があるから。
 壊して入ろうとすると、面倒なことが起きそうだね。
 扉の向こうに探査を飛ばせればいいんだけど――ダメ元で)

そう言うと、カバンから付箋紙を取り出した。
そして、付箋紙に耳の絵を書くと、四つの扉に貼り付けていく。
聞き耳の効果を付加させた付箋紙で、壁の向こうに生き物がいたり、何かが動いていないかの確認を取ろうとする。
もし、物音がするのならば、その部屋にはいる前には、十二分に警戒が必要だという情報くらいは得られることと成る。

また、階段の方向に意識を向けて罠がないかどうか、そちらも調べようとするだろう。

【リリーのメモ】
エントランス:石版に『希望の先に希望はない』、扉が一つ
エントランスの先の廊下:左右に二つ合計四つの扉、石柱が三本ずつで六本 扉には錠と結界
273 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 21:16:18.51 ID:jhwmlCxto
>>269-272
「おう任せてくれ、だから後ろは頼むよ
 あと俺頭使うの苦手だから、その辺りも」

優の言葉に冗談めかせたような、そんな言葉で答え通路の先へと歩みを進めれば
眼の前に広がるのは綺麗に並ぶ6本の柱と4つの扉
その扉にかけられた錠は確認できるが、魔翌力的な結界には全くといって良いほど、気に入っていない

「この錠前ってのは、壊せねぇかな?
 いきなり上に行くのはヤバそうだけどさ」

じーっと、錠前に視線を向けるが
彼にその手の感知能力はない、素人目で発見できる情報はあるだろうか?

274 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 21:22:38.44 ID:XaEGrQP40
>>269
「錠に魔力の結界か・・・面倒だな」

右手前の扉の錠を調べながら話す
このままでは扉を破壊することも出来ないし、出来ても罠がないとは限らない
しゃがみこんで、扉の下に隙間が無いかどうか探す
もしも隙間があれば、そこに記憶で再現した炎を流して内部に攻撃を試みるだろう
>>271
「わかった。じゃあ、僕は真ん中にいさせてもらおうかな」

最初は協調するきは無かったが、ここは自分の力だけでは突破できないと思い不本意だが協調することにした

275 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 21:27:20.25 ID:5LBbyhlOo
>>271
広い廊下だが、行き成り振り子の刃が出てきたりするようなことは無く、今の所安全だ。
後ろのエントランスからモンスターが出てくることも無い。
このまま直進しているだけで階段にたどり着けてしまえそうだが……

>>272
扉に近づいたならわかるだろう、各扉には番号が振ってあり、それが扉に書かれていた。
エントランスへの出入り口から見て、最も右奥が1、左奥が2、右手前が3、左手前が4となっている。
付箋によると、1番の扉の奥から足音がするのが分かるだろう。地面に足が当たる音が4回。
人型が2人居るのか、それとも1人が歩き回っただけか、それとも4本足か……
他の部屋からは何も聞こえない。だが、能力や練度によっては気づくだろうか、2番の扉の奥からは何も聞こえないが、探知自体を弾いている事に。

>>273
錠前は大きく、とても破壊できそうにはない。
見た所、鍵穴があるくらいだ。
ただ、扉に近づいたならわかるだろう、各扉には番号が振ってあり、それが扉に書かれていた。
エントランスへの出入り口から見て、最も右奥が1、左奥が2、右手前が3、左手前が4となっている。
見ると、1番の扉の錠前と3番の扉の錠前には鍵穴が無い。

>>274
扉に近づいたならわかるだろう、各扉には番号が振ってあり、それが扉に書かれていた。
エントランスへの出入り口から見て、最も右奥が1、左奥が2、右手前が3、左手前が4となっている。
しゃがみ込んでも隙間はほとんどなく、扉の近くの石造りの床が少し見える位だ。
だが、2番の扉の前で同じことをしても、石造りの床は見えず、黒しか見えない。
床が黒いのだろうか、それとも電気が付いていないのだろうか
276 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 21:30:02.34 ID:ze3ku0Cp0
>>272-275

「はい、任せてください。 私は防御に徹しますから!」

リリーのイラストにびしっと敬礼
消極的発言だが、後ろは守ると言いたいのだろう。


しばらく進むと扉が4つに階段が1つ。通路自体に危険はなさそう
探知については素人なので口出しできず
皆がそれらを調べている横、広間の端でうぅんと考えていたが


「あのー、二手に分かれてはどうでしょう」

「リリーさんと私が残って、七瀬さんとそちらの方が階段で上に向かうというのは…」
「べ、別に怖いからじゃないですよ…?」

小さな声でそんな提案
開錠に時間が掛かるなら、探索範囲を広げた方が良いと思ったのだ、と
一応言い訳もしてみる
277 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 21:33:08.34 ID:XaEGrQP40
>>276
「いい案だね。僕はここに居ても何も出来ないし」
278 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 21:33:27.94 ID:XaEGrQP40
>>277
途中送信です・・・無かったことにしてください
279 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 21:37:33.59 ID:SjJn5OM2o
>>275
(あっちゃあ……、厄介。
 一番目は対策取って開けると同時に攻撃当てればよしとして。
 二番目は、間違い無く危ない――ね? 探知弾くくらいに手の込んだ仕組みが有るなら何かあるのは間違いないし)

『迂闊に開けられないから、とりあえず手を分けようと思うの。
 今調べたけど、一番の扉は足音がしたから、多分何かいるから開けるときは気をつけること。
 一番危ないのは二番目だと思うから、これを開ける前は四人全員集まって対処しよ? 私が分かったのはこれくらいかな』

調べた結果、危険である事は理解できた。
その中でも特に危ない物をピックアップして皆に注意を喚起。
その後のチェカの声を聞き、振り向いて。

>>276>>ALL
『そうだねー、じゃあ私とチェカちゃんは下に残ろっか。
 上の探索をする人は、このメモを持っておいて。
 念じるとこっちに文字でメッセージを送れる仕組みだから、連絡は密にとること、良い?』

木戸と士狼に、小さく電話の絵を書いた付箋を渡すリリー。
これで念じることで此方に連絡が取れるように成る。
二人が上に行くなら、リリーはその場で、四番目の戸の結界の解除を試み始める。

(書き足しちゃうかなー? その前に探査を回そっか)

そう思考をめぐらし、結界の特性について検査しようとする。
そのまま侵入者の妨害だけであると判明したのならば、部屋の内側から出てくる物を一度弾く設定に書き換えようとする。
七色の色彩が、即興で結界の上に書き加えられていくだろう。
280 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 21:39:53.14 ID:XaEGrQP40
>>275
「隙間はなし・・・何も出来ないなぁこれじゃ」

顎にてを当てて考え込む
そんなところに聞こえた>>276の提案。ちょうどいい
>>273>>276
「了解。でも僕も頭はあんまり良くないんだ」

すこし申し訳なさそうに言う
学校とか、そういった類のものにはまともに行ってないし、頭を使うのは完全に他人に任せていたから知識も頭脳も無いのだ

「それとさ・・・どうする彼の提案。僕はいいかな、って思うけど」

チェカの方を向いて、ここに居ても僕は何も出来ないし、と付け足した
281 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 21:42:17.49 ID:jhwmlCxto
>>275
「一番には鍵穴がなくて……二番は?
 コレには鍵穴あるんだな……だったら
 ………――ッ!」

懐から黒塗りのダガーを引き抜いた
艶消しを施した無骨なそれを、自身の左人差し指へと向ける

掠るような一振りで、その指先からは血が滲み始める

『血液操作』
彼の有する異能、その指より滲み出る血液は2番の扉の鍵穴へと侵入
複雑な細工を必要としないならばその鍵穴に適合する様に変化し、そのロックを解除出来るだろう

>>276
「あー……その方が良いか?
 この鍵なら上手く行けば何とか出来そうなんだけどさ」

突然、指を切り裂き、わざと出血させると
2番の錠前に人差し指を突き立てるようなそんな体制
他の人間から見れば、それは異常行動に見えるだろうが……

>>279
「オーケー、了解
 まあ、強攻策なら後からだって出来るだろうからな」

リリーのその声に、錠前からその手を外す
指先の血もその瞬間固まるように止まり、錠前には血痕一つ残らない

「じゃあ、階段の方調べてくるよ」

先程取り出したダガーはそのまま右手に握り込まれ、交戦体制は維持されている
その体制のまま、ゆっくりと前方のみに意識を集中し進んでいく
後方は、仲間がいる、という信頼からだろうか
282 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 21:50:54.74 ID:XaEGrQP40
>>279
「わかった。なにかあったら連絡するよ」

最初の態度はどこへやら、いまではすっかりこの様だ

「それじゃあ、上は任せてよ」

そういって前へ進んでいく
士狼とは違い、武器や何かを取り出す様子は無く、旗から見れば無防備だ
283 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 21:54:00.39 ID:5LBbyhlOo
>>280>>281
2人は階段に近づいて行き、あと少しでのぼり階段に到達すると言うその瞬間、階段の目の前に結界が張られた。
直後、前方の床が一瞬にして消え去った。
そして、その消える範囲はどんどん近づいてくる。このままでは2人が立っている床も消滅するだろう。
前に飛ぼうにも、おそらく結界に阻まれて下へ真っ逆さまだ。即座に後退しなければ落ちるだろう。

消滅した床を除けば、そこは深淵の闇。
まさしく一寸先は闇と言った具合に真っ暗で、どこまで穴が続いているかわからない。

そうして床が消え去り、数秒後に結界は姿を消した。
だが、穴は相当大きく常識離れした跳躍力を持っていたとしてもギリギリだろう。
そもそもまた階段の前に結界が出てくるとも限らない。

>>279>>ALL
リリーが結界を何とかしようと術をかけた瞬間、階段の方で騒ぎが起こる。
見れば床が次々と消えていくのが分かるだろう。だが、ここまで床が消えることは無いようだ。
そしてその直後、リリーの目の前の結界はおろか、すべての扉の前にある結界がガラスが砕けるように粉々に砕け散った。
同時に、鍵穴の無かった1番の扉の錠がひとりでに外れ、床に落ちた。
これならば1番の扉の中に入れそうだ。
284 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 22:00:23.05 ID:ze3ku0Cp0
>>279-282


「行ってらっしゃい、気を付けて――」

(うぅ、本当に良かったのかな)

提案はあっさり可決。しかしチェカ自身は己の発言に自信があった訳でもなく
迂闊な事を言ったかとやや後悔。階段を上っていく二人を見送り
人気が減った1階に思わずぶるりと震えるがそうも言っていられない
頑張ろうと自らに発破をかけ


「そうですね…鍵の解除機構が戸の向こう側にあるなら、私の能力で…」

士狼の意見を思いだしそう言うと、チェカの肩口に人間の腕のような実体を持つ影が一つ現れる
金属の篭手に近い形で、関節部分には環(わ)のような物が嵌められていて

「五感を共有する事は出来ないんですけどね……えっと、この辺りかな…?」

1番の扉に近付き、一度消した腕を扉内部の座標地点に再び顕現させようとする
何事もなければ、扉の向こう側で金属の腕が、鍵のロックを手探りで解こうと試みるだろう――――とその時


「え、えぇ!? な、何事ですか!?」

消える階段、落ちる錠――扉に近付いていたのもあり、驚きの余り体勢を崩して
勢い余って1番の戸を押し開くような形になってしまう。果たして開くのだろうか
285 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 22:02:19.50 ID:SjJn5OM2o
>>283
「んあ!?」

言葉として意味を成さない声を響かせた後に、リリーは扉から即座に距離を離す。
扉から何が起きるとも限らないのだ。
そして、直後に目の前で砕け散る結界と、錠前が落ちる音を聞き、体を動かす。

(これ――、作品≠使うべきかなあ?
 対処は必要だろうし、うん、使うしか無いね)

思考を回した後に、全体に向けて注意を引くようにスケッチブックを叩く。
スケッチブックには、こう書かれていた。

『皆。今出来る限りの直ぐに放てる攻撃手段が有れば準備して。
 前衛の、木戸君と士狼君の後ろから私は攻撃叩きこむけど。
 チェカちゃんは、何かできることは有る?』

扉に警戒を向けた上で、リリーはスケッチブックのとあるページを破りとって構えていた。
何かとこのような状況に慣れているのは、恐らく彼女が魔女であることからだろう。
魔具迷宮などの探索をした事は初めてではないため、ダンジョンアタックの原則は忘れていない。
探索と隠密ができず思考のできない馬鹿は飢えて騙されて死ぬ、それがダンジョンを探索する上での鉄則だ。
286 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 22:04:28.61 ID:XaEGrQP40
>>283
「なっ・・・」

突然のことに驚き少し反応が遅れたがなんとか後ろに下がる

「上には行かせてくれないか・・・」

と思ったところで錠が床に落ちる音が聞こえた
287 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 22:09:09.06 ID:jhwmlCxto
>>283
「……落とし穴、トラップかよ!」

瞬間、躊躇いなく少年は後方へと飛び退く
その反応は先程、までの素人じみた動きではなく
数多くの修羅場をくぐり抜けているのだろう、一瞬の判断能力は高く感じられる

>>286
「おい、急いで戻ろうぜ!
 こっちで何かあったんだ、あっちもなにか起きてるんじゃないか?」

その声は、彼の横を通り抜けるの叫びだった
消える足場から逃げているのではない
残した2人の安否を心配し、自身に向く罠など思考に入らない全力疾走

>>284-285
「―――2人共、大丈夫か!」

階段の前方より、全力疾走でそちらへと向かう少年の姿が見える
何かしらの罠や仕掛けが作動するようならば、その勢いのまま飛び込むようにその前へと繰り出すだろう
288 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 22:09:41.76 ID:XaEGrQP40
>>286
//途中送信・・・
音の砲口をみればそこは一番の扉。まずはここへ行けということか
>>285
「わかった!」

軽く体に力を入れて、足を肩幅に開く。
腕を腰の辺りまで上げ、体制を整える
289 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 22:14:12.84 ID:XaEGrQP40
>>287
「お、おい!ちょっと待・・・」

自分の事など考えず、他人を助けようとする彼の行動が理解できなかった
それはともかく、今ここにいるのは得策ではないだろう。士狼に着いていく
290 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 22:15:45.89 ID:5LBbyhlOo
>>284
1番の扉はチェカに勢いに押され、あっさりと開いた。
意図したものかどうかは不明だが、結果的に1番の部屋に入ってしまう。
そこには1匹のトラ。
ただのトラではなく、額に赤い宝石のような物が埋め込まれている。
トラは侵入者を見つけると、その鋭い眼光であなた方を睨む。どうやら敵と認識したようだ。
一歩でも踏み出せば襲ってくるだろう。

>>285>>286>>287
チェカが1番の部屋に転がり込んでしまい、残りの3人が合流した所で、廊下の天井に近い所の一部がまるでジェンガの様にこちらへ崩れてきた。
さらにその穴の中から、一体の鷲のような魔獣が飛び出てきた。大きさは鷲の2〜3倍はあるだろう。人の頭ごと食べてしまいそうだ。
鋭い爪に、嘴、さらに羽の一部が刃の様になっているのが見える。明らかに自然の鳥ではない。
最も目立つのは、その魔獣の額に青い宝石のような物が埋め込まれている事だ。

空中で3人の様子を見ている。
明らかに警戒していて、少しでも動けば攻撃してきそうだ。
291 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 22:22:57.25 ID:ze3ku0Cp0
>>285-290


「痛たたた…」

あっさりと開く扉。雪崩れ込むように侵入したチェカは
固い床に肘をぶつけて、涙目で呻く

肘を擦りながらよろよろと這いつくばって起き上がると――――見つめる黄色い双眸


「…こ、こっちに来ちゃ駄目っ! トラがいます!」

反射的に外の3人に叫ぶ。顕現していた腕を近くへ呼び戻し、じりじりと後ずさって
空いた扉の前に立ち塞がり、外へ背を向ける形で仁王立ち。
ここに閉じ込められるのは厄介だが、味方が雪崩れ込んでくるのも不味い
慎重にトラの様子を窺う。

(あの頭の宝石、みたいなのが、弱点かな…)
292 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 22:25:43.47 ID:SjJn5OM2o
>>290>>291
(――ラフイラスト、波濤)

チェカの頭を乗り越えるようにして、ひらりと一枚の絵が虎に向かって飛んでいく。
そして、地面にその絵が落ちた瞬間だ。――爆発的な水流がその場で生まれ、虎を部屋の端まで押し流そうとする。
今使用したのは、リリーの描いた術式≠フ一つ。青色を基調とした大波のイラストだ。
と言っても、それほど時間を掛けて制作したものではないため、威力としては直撃を食らえば肋が折れかねない程度の水圧だ。
それでも、唐突に叩きつけられる水は、虎に対する牽制以上の効果は発揮できるだろう。

「ぃあ!?」

上から落ちてきた瓦礫から身を守るも、頭に瓦礫が当たり、こめかみの皮膚が裂ける。
ぴぴ、と周囲に僅かな血を散らし、リリーは一瞬目を細める。
上からくる気配に、リリーは即座に意識を向け、即座に両手の手袋を外した。
手袋の下の手には、虹色の雫のイラストが描かれており、指先の爪も七色のネイルアートを施されている。

『私が注意を集めるから。
 できるだけ、私の方向にあの鳥を追い込んで欲しいんだけど。
 どっちかお願いできるかな? もう一人はチェカちゃんの方を援護して欲しいんだけど』

そう手元で空中に文字を描き、木戸と士狼に飛ばす。
その後、鳥に警戒を向けながら、手早い動作で空中に水色と群青色を使いながら、角を強調した何かを描き上げていく。
やたらと冷たい印象を与えるそのイラストは、鳥にも警戒心をいだかせるかもしれない。
293 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 22:33:41.28 ID:jhwmlCxto
>>290-292
「任せろ、リリーさん
 チェカさんの方は俺が行く!」

通路を駆け抜けるその速度、勢いのままに瓦礫の雨の中を潜り抜ける
頭を守るように、掲げられた腕に瓦礫は深々と食い込み、各所から血が溢れるが深刻なダメージは受けてはいない

「こっち来ちゃ、駄目?
 ……んな事言ったって、アンタだって危ねぇだろ!」

腕より流れるその血液に精神を集中
まるで、その流れる血までにも神経が張り巡らされているかのように
流れる血は、その掌へと集結
その赤黒い固まりは両手のそれを合わせ、片手斧と姿を変え
その斧は野球の投手を思わせるオーバースローから放たれた投擲によってへと向かう
60cmはあろうかというその斧は、空中を回転しながら、真っ直ぐと疾走していった


294 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 22:35:05.91 ID:XaEGrQP40
>>290
上から聞こえる何かが崩れる音。上を確認する前に、まずその場を離れる
上から落ちてきたのはレンガ。それと鷲のような怪物

「ようやくダンジョンらしくなってきたじゃないか!」

ワクワクという擬音が聞こえそうなほど、生き生きとした表情になる
>>291>>292>>293
(あっちは虎か・・・)
声の方向へ首を動かす途中で見えた文字。
虎のほうへは彼が行ったみたいだし、それなら・・・

「・・・わかった。任せてくれ!」

その言葉と同時に鷲の背後に現れる炎
「炎の記憶」から再現された昨日。燃やすことは出来ないが、通常の炎と同じく熱い
295 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 22:38:58.46 ID:XaEGrQP40
>>294
×昨日○炎
296 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 22:42:16.03 ID:5LBbyhlOo
>>291
トラはじっとチェカの瞳を見つめながら喉をゴロゴロと鳴らしている。
まだ襲ってはこないものの、敵意をむき出しにしながらゆっくりと横移動をしている。
今はまだ飛び掛かってこないが、次の瞬間はどうかわからない。

冷静に部屋を見れば、部屋の一番奥の壁に何か書いてあるのが分かるだろう。
だが当然、こんな入口からでは何が書いてあるか見えない。
部屋を探索するためにはあのトラをなんとかするしかないだろう。

そこで、リリーが放った水がトラを襲う。
部屋の奥まで押し込まれるが、有効打にはなっていないようだ。
怯みもせず、水に対しても反応しないトラは普通のトラではないだろう。

>>292
リリーから離れた位置で旋回を続けていたが、その意味不明の絵を見ると旋回を止め、翼を羽ばたきながら空中で静止した。
その絵を見ていることは明らかだろう。

>>293>>291
斧の軌道は直線だった為、トラはその速さを生かし右前方に移動しながらそれを避ける。斧は、後ろの壁に突き刺さった。
この攻撃によって、完全に敵と認識したようで、トラはまず一番近くに居るチェカに襲い掛かる。
とはいえ、トラにトリッキーな攻撃が出来るはずもなく、直進からの噛みつきだ。狙うは首で、当たれば間違いなく死ぬだろう。

>>294
リリーの絵を見て静止していた魔獣は、背後の熱気を察知して即座に移動した。
流石に鷲をモデルにしただけはあってその速さは相当なものだ。
そのまま弧を描くように石柱を一度回った後、木戸に向かって羽を伸ばしながら突進してくる。
このまま動かなければ、刃になっている羽ですれ違いざまに腕を切られるだろう。
297 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 22:50:21.12 ID:SjJn5OM2o
>>294>>296
(――虎は丈夫……!
 あの鳥もマトモじゃなさそうだし、これは結構たいへん、かも?)

水流を食らっても怯みもしない虎を見て、眉間に皺を浮かべる。
しかし、そちらばかりに意識を向けるわけにも行かない。
絵を見て静止していた鷲の魔獣は、木戸に向けて襲いかかっていく。
タイミングを測りかねているリリーは、右手でイラストを書きながら、左手で違うイラストを追加で書き始める。

『作品名:雷針』

イナズマ模様を黄色で書いて、そこに作品名を書き加えて術式を完成。
かなりの簡易的なものであるため、普通のスタンガンを押し付けた程度のダメージしか無い術式だ。
しかし、完成と同時に空間を飛翔する雷撃は、速度だけは有る。木戸に襲いかかる鷲の背後から、電撃を叩き込むだろう。

その間も、角ばった青を貴重としたイラストは書き加えられ続けている。
通常の魔術師ならば詠唱をするように、リリーに取ってはイラストの創作こそが詠唱と同義であった。
右手で器用に雷撃の術式を何度か組み上げ、その場でストックしながら、鷲の動きを見守っていた。
298 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 22:50:47.14 ID:SjJn5OM2o
>>297
/*うわわう、ミスですすいません*/
299 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 22:51:09.63 ID:ze3ku0Cp0
>>292-296

睨み合うトラと人間。一秒が一時間に感じるほどの緊張が走り

覚悟を決めて一歩踏み出そうとしたその時、両者の間に
はらりと紙切れが落ちて――

「きゃあっ!」

立ち上る水流。怒涛の勢いで現れた奔流にぺたりと尻餅をつく
続いて飛んできたのは斧。しかし狙いは外れ、奥の壁へ。
それを目で追ったチェカの視界に、うっすらと文字のような物が見えた


(何か、書いてある…?)


目を細めるが、暗がりの所為か良く読めない。それに気が付くとトラが目の前まで迫っている。

士狼を待つ余裕は無い。床に転げたまま、顕現した右腕を全力で振るい――――


「はぁぁぁぁッ!!」

救い上げるような右アッパー。歯車のような輪を嵌めた鉄拳が、トラの下顎に向かい鋭く持ち上がる
額を狙わなかったのは――――咄嗟の勘。万が一あれを壊してしまったら不味い事になるような気がしたのだ
300 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 22:51:14.05 ID:XaEGrQP40
>>296
「うわっ・・・速い速い。あいつほどじゃないけど」

あいつ・・・先日たたかった不良風の男。いままでなんどか能力者、魔術師と戦ってきたが、その誰よりも速かった
それのおかげで、今はこれぐらいの速さなら見える
台風の記憶を再現。木戸を眼にして強風が吹き荒れる。突進の軌道をそらすことぐらいは出来るだろう
301 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 22:56:37.21 ID:jhwmlCxto
>>296>>299
「―――にゃろ、めッ!」

部屋へ走りこんだ勢い、そして投擲によって前方へ投げ出された全体重を付き出した右足一本で堪えると
その右足に渾身の力を込め、大地を蹴る
強引過ぎるその移動は、骨を軋ませ肉を引き千切る
だが、構うものか、とその速度は躊躇いを捨てた者が出す速度だった

「これでも、喰らってろッ!」

血の滴る右腕を虚空に振るう
弾けるように拡散する血液、血の滴が固まり空中で刃を形成
扇状に広がり、バラ撒かれた散弾のように虎へと降り注ぐ
302 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 23:03:30.50 ID:5LBbyhlOo
>>297>>300
襲い掛かる魔獣は突然の風でそのバランスと進行方向を乱す。
空中にいる魔獣は突然の風の影響を受けやすかった。
そこに来てリリーの放つ雷撃。通常であれば回避も間に合ったかもしれないが、バランスを崩れててはそれも不可能。
雷撃が直撃した魔獣は、一度木戸から離れ空中で止まる。
だが、その離脱した速度は、接近してきた速度に比べ明らかに遅く、効いているのが分かる。
もう一歩だろうか……

>>299>>301
チェカのアッパーをもろに食らったトラは後ろへ若干飛ばされながら体を横にした。
いくらなんでも飛び掛かる自分相手に素手のアッパーを放ってくるとはトラも思わなかったのだろう。
そして体を横にしたのが失敗だったのか、士狼の血の散弾銃がトラの全身に直撃。
アッパーを食らい、即座に回避行動に移れなかったのだ。
広い面積に攻撃を食らい満身創痍のトラ。2人の正面を向き咆哮を鳴らすも、即座に飛び掛かる力は無かった。
303 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 23:08:41.89 ID:XaEGrQP40
>>302
「効いてるね・・・あと一歩か
 こういう敵ってその宝石が弱点って良くあるんだけど・・・どうかな?」

かなりの効力をみて、言葉に余裕が含まれる
そして言葉の通り、額の宝石めがけて頭部に落ちていたレンガを投げる
304 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 23:14:22.03 ID:SjJn5OM2o
>>302>>303
「うあーッ!!」
(……おいで、相手を、してあげる……ッ!!)

空中に静止する魔獣。
風に煽られた上に、雷撃を食らって速度を落としている。
それを見て、あの速度なら対応できると判断したリリー。

『作品名:氷檻(コオリ)』

描かれていた青色のイラストは、氷だった。
頑ななイメージを与えるそのイラストは、即座にそのイメージ通りの現象を巻き起こす。
どちらかと言うと温かいイメージの絵が得意なリリーが苦手とする氷。
だがそれでも十分な書き込みを得たそれならば、魔術として完全な式の役割を果たすことが出来る。

周囲の壁や天井、床から氷の茨が生まれ、一気に魔獣に殺到していく。
触れれば、触れた所から魔獣を拘束していき、棘を体に突き刺し、巻つきながら魔獣をめった刺しにしていこうとするだろう。
楔を撃ちこむような拘束は、文字通りに相手を縛る檻そのもの。
魔獣の動きを邪魔する効果を発揮するだろう魔術によって、木戸の瓦礫の命中率も上がるだろう。
305 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 23:16:40.79 ID:ze3ku0Cp0
>>297>>300-301

顎を打ち抜く快音。チェカにその衝撃は伝わることはなかったが
よろめくトラから後ずさり、追撃の拳を叩き込まんとした瞬間
視界の隅に、彼の姿が目に映った

「七瀬さんっ――!!」


意味のない叫び。背後からの援護射撃に驚いての声だったのだろう
飛び退くとほぼ同時、血の散弾がトラの全身を隈なく襲う。
致命打となったのか、活発だったトラの動きが急に鈍った


「七瀬さん、っ! 危ないですから、退がって!」

しかし油断はできない。士狼を庇うようにして立ち塞がり、覚悟を決めて一気に接近
顕現させた金属の腕を持ち上げ、トラの首――正確には耳の裏側辺りに手刀を振り下ろす。

獣の脳を揺らす時には、ここを狙うのがいいと前に何かで見た気がしたのだ。
果たして詩の知識が間違っていなければいいが――――祈るように目を瞑り、飛び出た金属部分を、全力で叩きつける
306 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 23:22:45.38 ID:jhwmlCxto
>>302
「待ってくれ、チェカさん!」

彼女の手刀
その意味を理解も出来ず、ただがむしゃらに虎と彼女の間に割って入るべくその身を捩り
前に立つチェカの脇から前へ飛び出した

「今更遅いかもしれないけれど。[ピーーー]必要はないだろ!」

名前も知らない、初めて出会った、人ですら無い、敵の命であっても
それでも、この男は七瀬 士狼は躊躇い、歯を食いしばり、、まるで友との別れのように心を揺らす

―――救いたい

ただ、それだけが彼を動かす原動力
だがその行動は、きっと遅すぎる
チェカの手刀を止められもせず、ただ惨めに足掻くだけだ
307 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 23:23:13.68 ID:jhwmlCxto
>>306>>305へも
308 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 23:28:36.10 ID:5LBbyhlOo
>>303>>304
魔獣は氷の茨を避けていく。1本、2本と体を傾けながら避けるがその茨の数に対応しきれなくなり、とうとう翼に一か所刺さる。
そうなれば、動けなくなった魔獣に次々と茨が刺さっていき、その体を拘束しながら体力も削っていく。
最早投げられた石を避けることは出来ず、木戸の放ったレンガは額の宝石に直撃した。
音を立ててあっさりと砕け散る宝石。それまで僅かながらに抵抗していた魔獣は、宝石が砕かれるのと同時にストップする。
全身から力が無くなり、その体は光の粒子となって消えていく。
まるで、初めからそこに居なかったかのように……

>>305>>306
そのトラに抵抗する力は残っていなかった。
あっけなくその攻撃をもらうトラは、地面へと倒れこむ。
トラの額にある宝石が急速に輝きを無くしていき、やがてただの石となる。
さらには振れてもいないのにひびが入り、砕け散ってしまう。
トラは、光の粒子となってその姿を消す。
光の粒子の中から1つの鍵が出てきた。鍵には”2”と書かれている。
この部屋にはもう探索を邪魔する者はいない。
309 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 23:39:54.15 ID:XaEGrQP40
>>308
「やった・・・ね。向こうも終わったみたいだ」

扉の方をのぞけば、倒れこむトラが光となる瞬間。
案外早く終わったと思ったが、最初だし、と自分で納得した
あちらのトラのほうから何かが出てきたのが見えたので、その部屋の方へ向かってみる
310 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/19(土) 23:40:13.69 ID:SjJn5OM2o
>>308
「ふう……」

息を吐いて、術に巡らせる魔力を削ると氷も砕け散っていく。
即興イラストは、筆速が肝要だ。
並大抵でない集中力が必要となるため、気分が乗っていないとイマイチ感触が良くない。
まだ、リリーはエンジンがかかりきっていなかった。
向こうも戦闘が終わったようであり、そちらに歩みを進めていけば、2と書かれた鍵がある。それで理解できた。

(――、2と4は鍵穴が有った。
 っていう事は、2を攻略すると、3が空いて、3を終わらせれば4の鍵が貰えるのかな。
 どっちにしろ、2はマズイ気がするし、今みたいな行き当たりばったりはダメだね)

思考を巡らせると同時に、空中に文言を書き付け両手をぱんぱんと叩く。
皆の注意を引くと同時に、文章を見るように示すだろう。

『次から突入前に私が結界を貼るから、開けたら直ぐに防御を固めること。
 私の今作れる結界で、たくさん使えるのだと一回相手の攻撃を防いだら結界は消えちゃうの。
 だから、相手から何らかのアクションがあり次第、一回目をしのいだら即行動開始って事、できるかなみんな?』

部屋の中に探索術式を回しながら、次からは事前準備を欠かさないようにしようと、皆に呼びかける。
本当に皆のことを心配しているようであり、これ以上の怪我はさせたくないようだ。
311 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 23:41:10.06 ID:ze3ku0Cp0
>>306-308

「え、――――」

士狼の声に身を竦ませるも一歩及ばず。
鉄の手刀がトラの頸椎に喰い込む嫌な音が響く。

光が消えると、そこには獣の姿は影も形もなく
代わりにあったのは、2と書かれた鍵が一つ。


「……」




「鍵……」

顕現していた腕を消し、床に落ちた鍵を拾い上げるチェカ
士狼と顔を合わせることが出来ず、気まずい雰囲気の中
先程の光景を思いだし、奥の壁を見ようと部屋の隅へ足を運んだ。
312 :チェカ [sage saga]:2013/01/19(土) 23:43:50.08 ID:ze3ku0Cp0
>>309-310

「…はい」


リリーの文の呼びかけには一度だけ頷く
しかし注意は専ら部屋の奥へと向いているようだ。
313 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/19(土) 23:46:25.16 ID:jhwmlCxto
>>308>>311
「……悪い、チェカさん
 俺、邪魔したよな」

その言葉の通り、今の行動は自分どころか、チェカすらも巻き込み
被害を与えていたかもしれない行動
捨てきれない甘さ故か、彼の気質故か……

深く下げられた頭が鍵を拾う、チェカに釣られる様に急に上げられた

「……これで先進めるのかな
 えっと……その前にこの部屋調べてみるか?」

カッと急に上げられたその表情は強がって無理に笑っているように、その笑みは不自然
それを誤魔化すように、指先で頬を軽く掻いた
先程まで血の滲んでいたその腕は赤黒く薄く伸びた鉱石でも張り付いたかのように、その血を塞き止めている

>>310
「……了解
 戦力分けるのは危険かもな」

リリーの文章に、深く頷いてみせる

「ただ、階段の方
 あれも気になっちゃいるんだ、リリーさんなら何かわかるかもな……」

士狼は、階段付近で起きたトラップ
階段の前に現れた結界と抜けた床について3人で情報共有を行う

彼は魔術的な知識にかけるが、結界は目視によって確認できるだろうか?
出来るならば、その情報をリリーとチェカにも伝えるだろう
314 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/19(土) 23:50:00.59 ID:5LBbyhlOo
>>311
チェカが鍵を拾い、壁に近づくと書かれている文字が見えた。

"汝、一切の希望を捨てよ"

この一文では何を意味するのか解らない。
希望とは何を指すのだろうか。

部屋に他に目につく物は無い。

>>313
結界は誰が見てもわかるくらいに鮮明な物だった。
例えるならば、いきなり目の前にガラス板が出現した感じだ。いくら透明でもガラス板があるかどうかは見ればわかる。
だが、その結界は今は展開されていない為、見ることはできない。

>>ALL
これで、手持ちの材料は2の鍵のみ。
このまま2の部屋へ行くか、どうするか……
315 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 23:54:07.44 ID:XaEGrQP40
>>310
「わかった。でも、ちょっと無理してない?」

探索でも戦闘でも彼女は良く動いている
彼にとっては無理をしてくれる方がありがたいのだが、気を使った言葉をかける
これで少しでも信頼してくれれば色んな意味で都合がいい
316 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/19(土) 23:59:11.53 ID:XaEGrQP40
>>314
(今いけるのは普通に考えれば2の部屋だけ・・・でも)

このまま2の部屋に行って、また鍵を手に入れる。それがここを作ったものの思い描く普通のルートなのだろう
だが、あの階段にもなんとかすれば行けるのではないか。
恐らくここに居るのは能力者か魔術者かだ。あの大穴も何とかすれば超えられるかもしれない

「誰か飛べたりする人は居ないかな?」
317 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 00:01:20.84 ID:0egyHbLgo
>>312>>313>>314>>315
『とりあえずこの階層の攻略に今は集中しよ?
 後で術飛ばして結界とか、反応の確認もしてみるからさ。
 おねーさんに任せなさいってものさ!』

んっふっふー、と微妙にあるかないかの膨らみを張って、安心させるような態度を取る。
両手の五指からは魔力が漏れだしており、先ほどの手袋はこの魔力を封じるためだったことが分かる。
腕を動かすごとに、空間に虹色の線が引かれる図は、パッと見ではファンシーである。

そして、木戸にはずびしとサムズアップ。
まだまだ元気そうというか、適当というか。
それでも抑えるべき点を忘れていないのが、リリーだが。

(『希望の先に希望はない』、『汝、一切の希望を捨てよ』――か。
 ……希望、この状況での希望は、先に進むという点では、二の部屋とその鍵。
 んで、二の部屋は、詳細不明ですっごい危険な気配、か)

『皆、ストップ。
 二の部屋、希望じゃなくて絶望かもしれない。
 開けたら多分、マズイことが起こるかも。
 二の部屋に行かないで攻略する方法≠ェ、私達には必要じゃないかな?』

ぱんぱん、と手を叩いて皆の注意を引くリリー。
そして、自分がどう考えた結果、その答えに至ったのかを説明していく。
出来る対抗策はと言えば、鍵を開いた穴に捨てるくらいだろう。
もしそれが失敗したならば、どうしようもないミスになってしまうのだが。
318 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 00:03:37.52 ID:H/ty8q3g0
>>313-314>>316-317



「……汝、一切の希望を捨てよ」

壁には、またしても憂鬱になるような言葉が書かれていた


「――いえ、あたしの方こそ、勝手に先走っちゃって」

「ごめんなさい…今度からは皆さんの指示に従いますから」


目を合わせないようにして士狼に謝罪、返事を聞く前に逃げるようにして
扉から通路へ出る。

「飛ぶのは…ちょっと無理ですね。ごめんなさい」

「…あ、二番の鍵、ありました――――え? 部屋、入らないんですか?」

自分の能力は半径2m圏内でしか浮かせられない。飛行はまず無理だろうと首を振る
ついでに見つけた鍵を全員が見えるよう頭上へと掲げたが…
リリーの言葉に、思わず目を見開いた
319 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 00:08:27.14 ID:vrW7UiPMo
>>314>>316
「二の部屋に行かないで攻略する方法=c…?
 一足飛びに三か四へ行こうぜ、って事か?」

リリーの言葉に、不思議そうに首を捻る
階段へ行ってしまえば、とも思ったがそれは既に後回しと話が付いていた

「鍵穴がある四番だったら、コイツで鍵を作れるかも
 いや、魔法とかだったら無理だけどさ」

『血液操作』
先程血が斧を作り上げたように、その指先に赤黒い何かがじわりじわりと蠢くように集まり、簡単な鍵の形へと姿を変える

「ほら、古臭い鍵なら形さえあっちまえば開くからさ」

>>318
「……いやいや、さっきのは俺の我儘で
 本当にごめんな、もしかしたらチェカさんが……」

チェカの言葉に答えようと、口を開いたその時には自分の前からその姿は消えている
はぁ、と肩が揺れるほど深い深い嘆息

「……しくじったかな」
320 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 00:11:22.16 ID:1jOTF3pco
>>316>>317>>318>>319
2の鍵を持ちながら、その部屋に入るか議論する一行。
リリーが2の部屋は危険と考え、その後の行動に迷いを生じさせる。
このまま2の部屋に突っ込むもよし、一度初心に戻って探索をするもよし。
321 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 00:11:49.74 ID:AXmhz/HQ0
>>318>>317
「2の部屋へ行かずに・・・か」

自分ひとりでは出来ないが、周りと協力すれば多分できる
向こうへ渡れるのは自分だけだが何かあるかもしれない

「えーっと・・・あの穴の半分まででいい。なんとかして僕を飛ばせない?」
322 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 00:17:56.67 ID:0egyHbLgo
>>318>>319>>320>>321
『じゃあ、木戸君。
 ちょっと足場の絵を書くから、数分ちょっと待っててくれないかな?』

そう書きつけると、穴の端っこで絵を書き始めるリリー。
そして、士狼の発言には、右手で器用に文章を書きつける。

『私はこっちで準備を済ませるから、士狼君の鍵で開くか試してみてくれるかな?
 ちょっと、こっちの戸に予め結界張っておくから、私以外の皆はドア前で危険に備えること。いい?』

木製の桟橋を思わせる絵を穴から先に書きながら、リリーは一端手を離して四番目の戸に向けて歩いて行く。
戸に指を滑らせて、2,3分掛けてそこにKEEPOUT、となんともポップな感じの立入禁止のイラストを描き上げるリリー。
いいよー、とばかりに手をブンブンと振ると、そのまま空中に桟橋を作る作業に戻ることだろう。
10分もすれば、穴の半ばより少し先に行ける程度の丈夫そうな桟橋が出来るはずだ。
323 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 00:25:01.82 ID:vrW7UiPMo
>>320-322
「了解、リリーさん
 優さん、そっちも気を付けて」

四番の扉の前へと移動すれば、大きく息を吸い込むとゆったりと吐き出す
精神統一
鍵穴に流れ込むように注がれる自身の血液へ精神を向ける

その鍵の形式が、余程複雑でないのならば、鍵穴を満たす血液が適合する鍵を作り出しそれを解除するだろう

「……開いてくれよ」
324 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 00:25:35.02 ID:H/ty8q3g0
>>319-322


「…私は、どちらでも構いません。 皆さんの指示に従いますから」

己が意見を言うと碌な結果にならないのは先程証明済み、ここは素直に従おうと
俯いて、持っていた鍵をすごすごと引っ込める

「すごい…」

話し合いから一歩引いて、ふと見ると士狼の指から血で出来た鍵が生まれている
ぼそりと感嘆の声を上げ


「は、はひ!? ――――え、えっと、投げるだけならできますけど。」
「あまり無理しない方が…あ、危ないですし」

木戸の問いかけにびくりと竦み、戸惑いながらも返事を返す
これが自分に言ったのでなかったら、結構恥ずかしいが…

気が付けばリリーが新たに絵を描き始めていて
逃げるようにしてちょこちょことそちらへ近づく

「えっ、と、リリーさん。 …その、なんで4番からなんですか?」


調べる順番に何か理由があるのかと気になり、彼女の背後から小声で訊ねてみる
325 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 00:29:33.38 ID:AXmhz/HQ0
>>322>>323>>324
「うん。ありがとう」

橋の先まで歩いていき、そこでさっきの橋ができた記憶を再現する
そうすれば、残りの半分の橋が出来てわたれるようになる

「わたれるのは僕ひとりかと思ったけど、これなら皆で渡れるや」
326 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 00:31:48.96 ID:1jOTF3pco
>>321>>322
リリーが橋を作り終え、木戸がその橋を使って穴の中央辺りまで来ると、向こう岸に結界が出現した。
どうやら接近に反応しているらしい。
結界に精通しているなら分かるが、この結界は通常の術式ではなくかなり強固に作られている。

>>323>>324
鍵は割と複雑に出来ていた。
しかし、集中した士狼の操血能力によって徐々にその鍵の形を形成していく。
すると、カチッっと言う音と同時に鍵が開き、その錠は地面へと落ちる。
そこでトラップが出る訳でもなく、中に入れそうだ。
327 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 00:36:51.86 ID:AXmhz/HQ0
>>326
「渡れる・・・と思ったけどダメか」

いままで何度か結界を見てきたのでこれがかなり頑丈だとわかる
自身の異能じゃ破れそうにない
328 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 00:38:48.57 ID:0egyHbLgo
>>323>>324>>325>>326
グッ、と士狼にはサムズアップ。
書き上がった桟橋の出来を確認し、要所要所に補強の追記を重ねていく。
完璧に桟橋としての役割を、そのイラストは発揮していただろう。
満足気に額の汗を拭きとっているさなかに、チェカが此方に向けて話しかけてきて。

『希望の先に希望はない、って最初に書いてあったよね?
 それに、その二番の鍵が次に進む希望とも言えるし。
 汝、一切の希望を捨てよ、って言うのも引っかかったの。鍵が希望だというならば、その鍵を使わないことが希望を捨てるって事だろうし。
 じゃあ、二番にはノータッチで、他の行動を取るのがベターじゃないかなって。さっき私が魔法を使ったら、私の探索も弾かれちゃったしね、二番目』

リリー先生のなぜなに相談室ー!とポップに書かれたタイトルを揺らしつつ、リリーは解説。
一応の所筋は通っていなくもないが、当たっているかどうかは、不明である。
もしかしたら、そのまま二を開ける方が正しいのかもしれない。

『気をつけてね、木戸君。
 とりあえず、戸が開くかを試してから、そっちは渡ろ?』

と文字を見せるのだった。
そして、その直後に錠が落ちる。

『――結界はまだ発動中だから安心していいよ。
 この中で一番丈夫な人、戸を蹴っ飛ばして直ぐに引っ込んで。
 そこで何か来たら、直ぐに攻撃を叩きこむこと、オーケー?』

皆に確認をとるリリー。
OKが有れば、リリーもその場でスケッチブックを捲りながら、待機をするだろう。
329 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 00:49:18.12 ID:H/ty8q3g0
>>328

「開いた――――!」


「え、あ、はい、凄いです!」


かちりと音がして4番が開錠。思わず黄色い歓声を上げる
そのせいでリリーの説明も話半分しか見ていなかったようだ
何のために訊いたのだろう

一方階段は進展なしで


「蹴っ飛ばすんですか…あぅ…その…」


どうもリリーの蹴っ飛ばすという言葉に囚われているようだ
丈夫といってもチェカは“腕”しか顕現できないのだから

「…やめておきます。 」

結局先程のトラが文字通りトラウマになってしまい、役目を他の誰かに譲ってしまう
役立たずにもほどがある――――と自己嫌悪
330 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 00:51:43.98 ID:vrW7UiPMo
>>326
「……開いた、開いちまった」

ここまで上手くいくとは思っていなかったのか
その驚きから、手の中の鍵が零れ落ち、地面へと落下
軽い音を立て、地面を跳ねた

「一足飛び、ってか二段抜かし、みたいになちまったかな?」

信じられない、と言った表情で
ハハハハハ、と力無い笑い声だけが口から漏れだし

「ただ、解錠スキルって正義の味方として、どうなんだろう」

がっくりと、オーバーリアクションで肩を落とすのだった

>>327-329
「リリーさん、怪我に強いってんなら俺が行くぜ?」

腕に受けただろう瓦礫による裂傷は既に血液の膜によって防がれ
その血の膜は、薄い鉱石のように、鱗のように彼を守っている
傷の回復も、単純な頑丈さも、このメンバーならば彼が前に立つのが適任のように思える

流した血を計算に入れないならば、だが
既に彼の使用した血液の量は、限界量に近い量まで及んでいた
少年は笑ってみせるが、その顔色はこの塔に潜入した時よりも白を増している

「蹴っ飛ばして真っ直ぐ、で良いんだろ?
 背中は任せるよ、信じてるぜ皆」

血液によって生み出される次の武器は短槍
柄も何もない、唯の鋭利な棒と言った印象のそれを右に、左の腕は盾のつもりかその掌の部分だけ赤黒い膜は一層厚く重ねられている

大地を大きく蹴りだした左足、そして前蹴りのように突き出される右足
ソレが扉をこじ開ければ、そのままの勢いのまま、猪突猛進に部屋へと突っ込んでいく
331 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 00:54:09.92 ID:AXmhz/HQ0
>>328
「どっち道こっちは渡れないみたいだ」

結界をぽんぽんと触りながら話す
そして錠が落ちる音、それとリリーの言葉を聞いて戸の方へ向かう
332 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 00:58:26.68 ID:1jOTF3pco
>>327>>328>>329>>330
全員が警戒する中、士狼はその扉を蹴飛ばし、中へと侵入する。
……が、その警戒とは裏腹に魔獣どころか矢一本飛んでこない。

部屋は非常に暗く、視界が悪い。しかし、何も見えないほどではなく、部屋の最奥に宝箱が一つ置いてあるのが見えるだろう。
だが、部屋は奥に進むにつれて暗さを増していっているようだった。
宝箱周辺の床は何があるか全くわからない状態だ。
何やらその宝箱自体がかすかな光を発している様だが……
333 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 01:07:08.85 ID:0egyHbLgo
>>329
(もー、可愛いなあ)

もじもじするチェカを見て、昔懐かしい気分になって。
チェカの頭をくしゃりと撫でると、にこりと笑顔を浮かべて、謎のサムズアップ。
要するに心配するな、と言いたいようだ。

>>330
『無茶はしないでね。
 大分、血流してるでしょ? 後でがっつり治療したげるから』

任せて、とばかりにふんす、と気合を入れるリリー。
使用する作品を決定した上で、士狼の動作を確認している、リリー。
扉が開くと同時に中に躍り込む士狼に、あ、と言いかけるが、しかし止められない。
結界は入口部分に有るため、中に踊り込んでしまっては、結界の意味が無いのである。

>>331>>332
しかし、開いた部屋の中には罠一つない。
これは、と思いながら結界を解除し、中に入っていくリリー。
地面を這うようにして光の線を引くことを忘れない当たり、入念といえるだろう。

『開けたいのはわかるけど、開ける前に調べよ?
 うっかり罠があってあぼーん、とかは嫌だしね』

そう言って、宝箱を入念に、ついでに部屋全体に探査術式を巡らせていく。
334 :面倒が嫌いな真雄 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 01:09:30.79 ID:AXmhz/HQ0
>>332
「罠はなし・・・ってのが更なる罠を想像してしまうよ」

そういいながら空中に炎をともす
辺りを念入りに見回し、罠がないか見ながら宝箱の元へ

「怪しいな・・・光ってたのがいかにも調べてくださいみたいな」

触らずに宝箱の全体をくまなく調べる
335 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 01:09:47.76 ID:AXmhz/HQ0
>>334
コテミス
336 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 01:13:06.31 ID:H/ty8q3g0
>>330-333


「だ、大丈夫です! 怪盗紳士みたいで格好いいです、よ…?」


鍵を開けて何故か落ち込む士狼を懸命に励ますが
残念な事に言葉を選び損ねて、本人も半ば疑問形だ


「士狼さん頑張って! 背後は任せてください! …うぅ、」

「だって、心配ですよ…」


木戸の帰還を待って扉横に待機、その際リリーに頭を撫でられ
赤くなって反論。どう話がずれているようだが
ともかく思考を切り替えて、ぶち抜いた扉の隙間から奥を覗き――――


「今度は何にもなし? ……あ、」
「あ、アレ宝箱じゃあないですか! ――――って」

「見るからに怪しい…私でも分かります……」

ようやく見つけた宝(ツリバリ)にげんなりと肩を落とした
337 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 01:15:43.60 ID:vrW7UiPMo
>>332-335
「―――ラァッ!
 …………って、あれ?」

構えた左掌を前へ差し出し、その頭部を守るような形で部屋の中へ一歩踏み込んで行ったが
拍子抜け、と言った表情でそのまま固まった

てっきり、先程の虎を超える巨大魔獣が……と思っていたのだが

「と、このまま無策に突っ込むほど俺も馬鹿じゃないぜ
 此処で止まってれば良いんだろ?」

まるで『だるまさんがころんだ』
その槍と掌を構えた体制のまま、微動だにせず其処に留まる

引き返し、結界の中に戻る
その選択肢が、何故かこの男には無いようだ
338 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 01:18:58.37 ID:1jOTF3pco
>>333
リリーの探索によって、この部屋には自分たち以外に誰もいないことが解る。
いきなり暗闇からモンスターが襲ってくると言う展開はなさそうだ。
だが、その探索の術は一か所だけ探索することが出来なかった。
それは宝箱の中である。その宝箱の所で綺麗に線引きされ、その中を窺い知ることが出来ないのである。

>>334
見れば、宝箱は非常にボロボロで小汚かった。
鍵もかかっていない……と言うより鍵穴すらない。

>>336>>337
入り口付近で止まっていた2人なら気づくだろうか。
入り口の付近の壁……ちょうど部屋を出る時にちらっと目に入るかどうかの場所に文字が書かれてある。

"疑心は真なる光を失うか"
339 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 01:28:11.39 ID:H/ty8q3g0
>>337-338

(…………)

(――――気になる)

2人が入っていく中、チェカは士狼の背後を依然として見守り続けていた
しかし残念な好奇心は押さえられず、ぐぐぐ、と首を伸ばして


「…あ。」

その時例のアレを発見。思わず声を上げて首を捻る

「疑心――ぎしん、でいいんだよね――は真なる光を失うか。」


「あれ? 今度は希望とかじゃあないの…?」

これも言葉遊びの類なのだろうが、今までのものに共通していた“希望”が
ここには使われていない。その事に先ず疑問を持った。
340 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 01:28:16.18 ID:0egyHbLgo
>>336>>337>>338
『あやしいなあ……、これ。
 私の探索が通らないから、中に何はいってるかも分かんないし』

皆に、探査が通らなかったことを教えるリリー。
そして、入口付近の言葉を知れば、リリーは思考を巡らせる。

(――、要するに、警戒せずに開けるべきってことかな。
 鍵もかかってないし、これは即効で開けたほうがいいかもしれない)

『これ、罠かかってないかもしれない。
 誰か、度胸ある人がいたら、開けてもいいよ?
 士狼君は、無茶し過ぎだからちょっとストップで』
341 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 01:31:24.65 ID:AXmhz/HQ0
>>338>>333
(鍵穴はなし・・・どうするか)

腕を組んで考える。戦闘には慣れていたが、こういう頭を使うのに離れていない
鍵穴がないのは鍵がなくても開くのか、それとも完全に開かないのか
触って確かめたいところだが迂闊に触って罠でもあったら非常にまずい。
だからといってこれを放置するわけには行かない。


「何か分かったかな?」

とリリーに声をかける
342 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 01:32:31.66 ID:0egyHbLgo
>>341
>>340の発言通りに、この場所には危険は無さそうだ。
唯一何もわからないのは、この宝箱だけ。
だが、必要以上の疑心を抱くのは入口近くの文言通り良くはないかもしれない。
343 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 01:33:20.85 ID:vrW7UiPMo
>>338>>340
「……"疑心は真なる光を失うか"
 つまり、疑ってちゃ前には勧めねぇよ、って事か」

パリン、とガラスを砕き割ったかのような、破裂音が彼の右手より響いていた
その手の中の武器、赤く染まった短槍は塵のように地面へと降り注ぐ

ふう、と嘆息混じりにリリーへと視線を向ける

「わかったよ、突っ込んでばっかりだったのは反省してるって」

>>339

「迷宮も宝も人と一緒だな、手を伸ばせば届くんだ」

やれやれ、と肩を竦め
誰に向けたのかそんな言葉を呟けば、くるりと反転
背後のチェカの横を通り、部屋の外へと向かっていく

「悪い、ちょっと足取りも覚束無くてさ
 危険なのはわかってんだけど、頼んでいいか?」

確かに、通り過ぎた士狼の顔は青白く、精気を感じない
先程から使用している異能は、血液を消費しているのだろう
344 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 01:36:16.54 ID:vrW7UiPMo
>>341
「俺達は、もしもの為に控えておこうぜ
 って、突っ込んでた俺の台詞じゃないわな」

部屋からゆったりと出るように後方へ回る士狼はそんな事を呟きながら微笑んだ
その表情からは、不安や危険に対する緊張はほぼ無い

「……多分大丈夫、だと思うぜ
 やっぱり、最後はコレなんだよ」

自身の親指で胸を指し示すように、軽く振るってみせた
345 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 01:36:48.33 ID:1jOTF3pco
>>339>>340>>341>>343
入り口の言葉を信じて宝箱を開ける流れの一行。
あのぼろい宝箱の中には一体何があるのだろうか……罠か、それとも

今の所、時間をかける事によってトラップが作動すると言うことは無いようだ。
さて、この宝箱どうするか
346 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 01:41:31.51 ID:H/ty8q3g0
>>341-345

リリー曰く、此れは開けてもいいらしい
壁の言葉を読む限りそうなのだろうが、もう士狼にも無茶はさせられないし

ならば、と

「え、っと…良ければ私が――――」


中々懲りない性格のようで、おずおずと手を挙げて開封を提案。
掲げた右手の横には、先程見せた金属の右腕が顕現していて

「直接触れるのが危ないなら、私が――って思ったんですけど」
「これ、2mくらいしか届かないから。どうしても中には入らなきゃなんですよね……あ、」

「皆さん一応、外に出た方が良いんじゃないでしょうか…――」


開けるならば交代で自分一人が入る方が共倒れの危険も無いだろうと、
一足先に出て行った士狼を横目に、残る2人を手招きして呼び寄せる
347 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 01:45:18.21 ID:AXmhz/HQ0
>>342>>344>>345
「そんな文面が・・・なるほど。とりあえず僕は彼と一緒に後方で待機しておくよ」

文面からして、恐らくこのままあけたほうがいいのだろう
いくつか気がかりな点があるが、このまま杞憂で終わるだろう

「コレ、か・・・そうかもね」

不安や緊張をまったく感じない声を聞くと、自分まで不安や緊張が消し飛ばされる
自分には「コレ」が足りないのかもなぁと思いながら安堵した表情でそう答えた
348 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 01:46:53.99 ID:0egyHbLgo
>>343
『無茶は、ダメ!
 怪我して死んじゃったら元も子もないんだから。
 正義感が強いのはいいけど、何時か君の正義は君を殺すよ?』

プンスカ怒ったSDリリーのイラストを添えつつ、軽くお説教。

>>339>>345>>346
『よーっし、おねーさんがしっかりサポートするから。
 チェカちゃんが宝箱開けちゃおー?』

ぱんぱん、と背中を叩いてチェカを後押しするリリー。
自分はこの中でも特に打たれ弱い自信がある。
だからこそ、チェカのサポートに完全に専念しようと思ったのだ。

『一人だと心細いでしょ?
 だから、一緒にいたげる、女の子同士だしねー……、女の子って歳でもないんだけど』

一人にして何か有った場合どうしようもない。
その為、何かと探索向けな自分が補助に付くべきだろうと、リリーは判断していた。
349 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 01:52:28.01 ID:vrW7UiPMo
>>345-348
『頼む』
その言葉を使ったこの男は、拳すら構える気もないようで
のほほん、とリリーとチェカが宝箱へ向かうさまを眺めているだけだ

「悪かったって、リリーさん
 ただ、無茶と正義ってのだけはやめない」

悪びれる様子もなく、そんな事を口にするあたり
反省しているのかしていないのか、判断に困る所だろう

「やれやれ、怒られちまった
 リリーさんって優しいようでちょっと怖いな……」

そんな弱音を隣の優へとぼやくのだった
350 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 01:55:52.98 ID:H/ty8q3g0
>>347-349

「有り難うございます、リリーさん。 では私の後ろに…」

背中を叩く手が心強いが、見るからに防御力の低そうなリリーの事、
何かあっては取り返しがつかない。木戸が出て、リリーが背後についたのを確認して
文字通り手さぐりで、そろそろと金属の腕を浮かせて伸ばし


「いきます、ッ――」


壊しては元も子もないので、取り敢えず蓋を持ち上げようと
チェカとリリーの二人からぎりぎり2m先で、金属の腕がまるでクレーンゲームのように
ゆっくりと、慎重に、宝箱の上部に掴み掛かろうとする――
351 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 02:00:29.63 ID:1jOTF3pco
>>346>>348
さて、どうやら宝箱を開けることにしたようだ。
チェカがそのぼろい宝箱を開けると、中には光を発する玉が入っていた。
大きさは握りこぶしより一回り大きいくらいだろうか……

その光る玉を取ると、宝箱の蓋の裏に文字が書かれていた。
どうやらこの光を当てると見えるようだ。

”深淵の底で輝く光は、真実の希望を照らす”

空の宝箱を見ると、そこは真っ暗で一切光が入っていかない。
まるで光をそこで切っているかのようだ。そんな中でも光を維持していたこの光る玉。
どう使うのか……

>>347>>349
後ろからでは何をしているかよく解らないだろう。
ただ、チェカが光る玉を取り出した後なら、何やら光っているのが見える。
352 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 02:03:46.87 ID:AXmhz/HQ0
>>349
「ははっ そうだね。でも、そういうところが魅力なんだ・・・」

笑いながらそうつぶやいているが木戸の眼はどこか危ない雰囲気を発している
獲物をねらう眼、って奴だろうか。その眼でリリーを見つめている
353 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 02:06:59.12 ID:H/ty8q3g0
>>351

「開いた、開きましたっ!」

当然と言えば当然なのだが、今はそれだけでも嬉しくて
ぎぃという音に思わず、リリーの手を叩く様に握ってしまうだろう

光る球を金属腕で掴み、松明のようにして掲げるとふたの裏には例の文


「も、文字です、また暗号――――っ…、読みますね…えっと」

「深淵の底で輝く光は、真実の希望を照らす。」


「希望です、今度は希望――! …はぁ、何だか報われた気分……」


後ろの二人にも聞こえるよう、最後まで一息に読み上げて、ほっと溜息をつく
まだ終わった訳ではないのに現金な性格だ
354 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 02:08:15.83 ID:0egyHbLgo
>>349
「んあー……」

むー、と言いたいのか、憮然とした表情を浮かべるリリー。
当人もお人好しなのだが、他人のそれを見ていると危なっかしくて仕方がない。
特に、リリーから見ても、士狼のそれは、病的にすら見えるから。

>>350>>351>>ALL
宝箱を開けば、そこから出てくるのは、光る球。
そして、宝箱の裏を除けば、そこに書いてある文章が見えて。
文章を見てから、リリーが思考を巡らせていく。

(――深淵で輝く光、真実の希望……。
 あの階段に入れないのは、あの階段が真実の出口じゃないから?
 ……深淵で、輝く。あの穴に投げ込めばいいのかな)

『その希望、もう一回深淵に叩き落とす必要があるかも。
 とりあえず、それ持って階段の方に言ってみない?
 もしかしたら結界解けるかもしれないし、それが無いならどうするか考えればいいし』
355 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/20(日) 02:09:48.68 ID:vrW7UiPMo
//すみません、途中離脱いたします
  空気化お願い致します
356 :真雄 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 02:12:40.51 ID:AXmhz/HQ0
>>351>>353>>354
「やっと終わりが見えてきたかな?」

二人の言葉を受け、階段の方へ戻る
真実の希望・・・それが本当にただの希望だといいが。
357 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 02:15:14.10 ID:1jOTF3pco
>>353>>354>>356
光る玉を手に階段の方へと来た4人。
相変わらず穴は健在である。
その穴は、先ほどの宝箱と同じで光を吸収、あるいは無効にするような性質を持っているようで、どこまで穴が続いているか見ることはできなかった。
当然、底に何があるかなど分かるはずもない。
358 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 02:15:59.70 ID:H/ty8q3g0
>>354>>356

「あ、深淵ってそういう意味だったんだ…、リリーさん凄い……」


流石の推理力に舌を巻くチェカ。自分なら100年かかっても解読できなかった筈
目を見開いて絶賛する


「じゃあ運びますね。 慎重に、慎重に…――」

チェカが後退すると金属腕もそれに伴い、じりじりと外へ向かってくる
リリーを庇うにして、熱いお湯を運んでいるかの如く、一歩一歩慎重な足取りで
木戸に続き、階段のあった場所へ向かうだろう


>>355
/了解です、ここまでお疲れ様&絡みありがとうございましたっ
359 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 02:19:02.97 ID:AXmhz/HQ0
>>355
乙です
>>357
「まさに深淵・・・って感じだなぁ」

穴を覗き込み、そうつぶやく
炎をともそうかとも思ったが、それは無駄そうだ
360 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 02:20:00.03 ID:0egyHbLgo
>>357>>358
『――なるほど、やっぱり宝箱と性質似てる。
 その球、やっぱりこの穴に落とすべきかもしれない。
 この穴に何かしないと、多分次の階に進めさせてもらえないんじゃないかな』

階段の方にたどり着くも、様子が変わらないのを見て。
穴をじ、と見据えつつ、判断を皆に仰ぐ。
皆が良しと言うならば、チェカに言って宝玉を下に落とすことだろう。
361 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 02:23:39.52 ID:H/ty8q3g0
>>357>>359-360

「うぅん、やっぱり底は見えないですね…」

階段のあった場所まで行っても、光の玉を掲げても
底知れぬ闇はいまだ健在で。下を覗き込んで、ぶるりと震える


「もし落としちゃって何もなかった場合、どうすればいいんでしょうか…」

せめて紐でもつけられればな…などと考えるがそう都合の良い装備は持ち合わせておらず。
あったとして、そもそもこの玉に結ぶことが出来るのだろうか…

「でも、やるしかない、ですよね」

リリーの目を見て、決断したように頷き。
玉を掴んでいた金属腕を下に向け無骨な五指を、そうっと開く――――
362 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 02:32:55.55 ID:1jOTF3pco
>>359>>360>>361
チェカがその穴の底へと光の玉を落とす。ゆっくりと落ちる球……
それは、光を無効とする闇の中でも輝きながら下へと落ちていく。
そして、その光の玉が穴の底へと落ちた。
光に照らされ、穴の底の様子が見える。

そこには何と、魔方陣が描かれていた。
その魔方陣は青く光っていて、玉を落としたからこそ魔方陣の光が見えると言うものだった。

何より滑稽なのはその穴の深さである。
その穴の深さは何と、何の能力も無い小さな子供が落ちても怪我一つしない高さだったのだ。
照らされて初めてわかるその穴の正体。初めからその穴に落ちても死ぬどころか怪我一つしなかったという訳だ。
363 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 02:38:24.24 ID:AXmhz/HQ0
>>362
「・・・なんだいこれは。今までの苦労が馬鹿みたいだ・・・」

子供がほった落とし穴並みの深さの穴
そんなものに恐怖してたのかと思うとすごく馬鹿らしい
思わずはぁ・・・とため息をついてしまう
364 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 02:39:04.80 ID:0egyHbLgo
>>362
『さて、何が起きるか……。
 皆、警戒だけは忘れないでねー?』

そう皆に示しながら、リリーは穴に足を踏み入れていく。
魔法陣に向けて探査を飛ばし、魔法陣の保つ効果を読み取っていくだろう。
もはや落ちても問題のないことは分かっているため、術を解いて桟橋は消しておいた。
365 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 02:41:21.97 ID:H/ty8q3g0
>>362-364

光が落ちていくとそこには――――


「ひ、低い……低過ぎる」

「――――これ、罠じゃなかったのかな。 手、届きそうですよ…?」

実際に金属腕を伸ばして、底の魔法陣に触れるギリギリまで持って行ってみるが
やはり幻でも何でもなく射程圏内。拍子抜けして溜息すら出ない

「もしかして、上じゃなくて下がゴール? いやいやそんな訳…」

はっと思いつきを喋るが、今までの事から疑心暗鬼になっていて。
ううんと腕を組んで下の魔法陣を睨むも

「あ、待ってくださ…」

一足先にリリーが下に居て。慌てて己も続いて降下する
366 :GM:【バベルの塔〜第一階層〜】 [!nasu_res saga]:2013/01/20(日) 02:53:13.97 ID:1jOTF3pco
>>364>>365>>363
これこそが正解ルートだと判断し、飛び降りる。
直ぐに着地するかと思いきや、魔方陣の書かれた床をすり抜けてさらに下へ……

落ちていくとそこは……
第一階層の入り口とよく似た作りのエントランスだった。
しかし、近くの窓を見るとそこが2階だと解るだろう。
なんと、一階から飛び降りたら2階に来たのである。上を向いても天井で、どこから落ちて来たのか今となっては分からない。

すぐそばの壁に、エレベーターがあった。
どうやらこれで地上まですぐさま戻れるらしい。この消耗した状態で第二階層に挑戦しても命を落としかねない。
ここは撤退した方が良いだろう。

【バベルの塔〜第一階層〜 クリア!】

エレベーターに乗って地上へ出ると、そこは塔の入り口の横に出るだろう。
来る時は気が付かなかったが、こんなところにエレベーターがあったらしい。
続きた時はここから直ぐに第二階層へ行ける作りになっている。

ともあれ、今回のバベルの塔攻略は一旦ここで終了である。

//これにてGMのレスは最後です。ここまでおつき合い頂き、誠にありがとうございました。
//雑談スレの方にも挨拶と、今回のネタバレなどを書きますのでよければご覧ください。
367 :ナイト・スター・リリー [saga]:2013/01/20(日) 02:55:11.57 ID:0egyHbLgo
>>366
/*乙でしたーっ!*/
368 :木戸 優 [ saga sage ]:2013/01/20(日) 02:56:24.54 ID:1yYqGAxR0
>>366
<お疲れ様でしたー!楽しかったです
369 :チェカ [sage saga]:2013/01/20(日) 03:03:08.14 ID:H/ty8q3g0
>>366>>367>>368
/遅くまで進行及び絡み有り難うございました! とても楽しかったです!
370 :ヴェルナー :2013/01/20(日) 21:19:21.90 ID:2G4zWwvIO
「きょうは……ここまでっと」

暖房が効いた喫茶店の一角。ヴェルナーはテーブルに乗せたPCを操作しながら、いま書き上げたばかりの書類を保存する。
中身は仕事の報告書で、上司からせっつかれてようやく書き上げたものだった。

数時間の作業を終えて凝り固まった肩をほぐすと、彼はぬるくなり始めたコーヒーを手にして、中身をぐいと煽る。

「すみません、カプチーノおねがいします」

そして近くを通りかかったウェイトレスに追加の注文をすると、したての良い椅子に背中を預け、大きなため息を一つ。
窓の外に目をやると、数日前に降り積もった雪が道端に残され、寒そうに防寒着を着込んだ人々が足早に行き交っている。

店内はと言えば、それほど広くもない店は客でほぼ埋まっていた。
ヴェルナーの対面は数少ない空席で、もし新たな来客があればそこに通されるかもしれない。
371 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/20(日) 23:01:05.22 ID:LUucIVoro
連立された巨大なビル郡。その中の一つ、或いは複数が『魔法警察』と呼ばれる秘密結社の支部である。

「るんるんらー♪」

ただ、秘密結社といえども、そこまで物騒な組織ではない。現に廊下を行く可愛らしい少女は……

「あーあ、この前のAMS職員、殺し損ねちゃいましたぁー♪」

……前述の言葉は取り消そう。彼女は上機嫌で物騒な言葉を呟いている。

「……まあ良いですけど。どうせ任務外のお仕事でしたし」

少女は上機嫌な足取りそのままで、大広間に足を運んだ。
そこは談話室とでも言えば良いのか、食べ物や飲み物が用意されたテーブルと椅子が用意された室内。
その一つに、少女は座ってお菓子を貪り始めた。
372 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/20(日) 23:11:11.63 ID:6pR+7XtPo
>>371
身長2m超えの大男が地下駐車場に、
アンバランスな大きさのエンジンを搭載したカブを停める。

高校生だろう。それも平凡な学生でなく、髪型はリーゼント。
学ランは長ラン。いかにも族ですという刺繍入り。
昭和の不良のようである。

「ここに顔を出すのも久しぶりか…」
呟くと薄暗い駐車場かエレベーターで上のフロアへ。
談話室に入るとハンドポケットでリリアンヌに「よう」と挨拶した。
373 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/20(日) 23:19:09.50 ID:LUucIVoro
>>372
「わぁっ!詩音ちゃんだぁー!」

ティーパックを浮かせて沈めてを繰り返して、暇を持て余していた少女に降りかかった声。
彼女はそれに対して目をキラキラさせながら、小動物のように落ち着きの無い反応を返す。

「お久しぶりですー♪私の誕生日にクッキーを頂いて以来ですから……あれ?クッキーをくださったのはシオンちゃんでしたっけ??」

言葉の端々から窺えるいい加減な性格。しかしその様子を見るに、男性に対する行為は本物のようだ。

「……まあ、良いですよね。どっちも同じ方ですから♪それより一緒にお菓子食べませんかー?」

立ち上がって、少女は男性が座る席の椅子を引いて彼を待つ。
374 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/20(日) 23:26:41.35 ID:Ps/qXbb/0
>>370

//まだいらっしまいますかね?
375 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/20(日) 23:30:07.29 ID:6pR+7XtPo
>>373
「どっちだっけか?
 何にしても元気そうにしてるみたいだな。」
滅多に表情を変えない仏頂面の男が微笑んだ。

女子供は争いに巻き込みたくないが、
リリアンヌの力は本物だと認めている。
初めて出会ったの時はかばう対象だったが、
今は背中を預けられる仲間の一人になっている。

席を引いてもらって「ありがとな」と一言。
「俺も紅茶をもらえるか?」思い出したように頼んでみる。
席に着いてしまってからすぐに立つのも少し失礼に感じたのだ。
376 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/20(日) 23:38:45.84 ID:LUucIVoro
>>375
男性の言葉や態度の端々から感じる思いやりの念。少女は嬉しくなってとびっきりの笑顔を見せる。

「ふふふー♪それじゃ飛びっきり美味しい紅茶を淹れますねー!」

そう告げると彼女は鼻歌交じりでティーパックの入ったカップにお湯を注ぎ始めた。
ティーパックで淹れる紅茶に美味いも不味いも無いだろうに……。

「るんるんらー♪……そういえば詩音ちゃん、こっちに寄るの久しぶりですよね?今日は何かあったんでしょうか??」

ティーカップの中に広がる紅色。余所見をしていると味がどんどん濃くなってしまいそうだ。
377 :ヴェルナー :2013/01/20(日) 23:42:31.21 ID:2G4zWwvIO
>>374
/しばしはなれとりました……
/そして実はそろそろ寝ようとしていたり……もうしわけない
378 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/20(日) 23:46:46.61 ID:Ps/qXbb/0
>>377

//oh……了解です。おやすみなさい
379 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/20(日) 23:48:42.67 ID:6pR+7XtPo
>>376
「とびっきりか。それは楽しみだな。」
笑みを浮かべ机の上に両肘を置き掌を組む。

「寄った理由はちょっとした気紛れで調べたくなった事があってな。
 資料室にある裏社会の人間の名簿を確認するためさ。」
いつか出会った殺し屋の事を調べ直すのが今日の予定。
「気になる奴がいてな。
 俺の仁義に反した人物なら改めて潰す…。
 そのために寄ったのだが…。」

思い出したように改めて尋ねる。
「魔法警察の会議の予定はあったか?
 それとお茶…そろそろできてるんじゃないか?」
380 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 00:01:39.54 ID:73wA8KHXo
>>379
「なるほど、調べ事ですか。実は私もこの前、取り逃がしちゃった人が居て、その人を調べようと思って寄ったんですよー」

少女はふて腐れるように頬を膨らませて、ぶーぶーと文句を垂れる準備は完了したが……。

「……それにしても、詩音ちゃんの仁義に反するなんて……余程卑怯な手を使う人だったんでしょうねー」

どうやら彼女の興味は男性の用事に向けられたようだ。

「会議の予定は来週まで無いみたいです。ボスも引きこもってて相変わらず顔を見せてくれないですし」

「……というか、ボスの顔を見たことがある人って、魔法警察の中にもそう居ませんよね。詩音ちゃんはありますか?」

と、そんな風に他愛も無い話に花を咲かせようとしていたところで。

「えっ……わ、わわわっ!すっごく濃くなってしまったかも……どうぞ」

少女の元からおずおずと、茶色く濁った紅茶が男性の下へと運ばれた。
381 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/21(月) 00:08:56.50 ID:Vt5sXoao0
日付の変わった深夜のバー
月曜日のためだろうか、人の入りは少なく、店内には1人しか居なかった。

「なんでこんなにいないんだろうねえ、人」
カウンター席から、赤髪の中年がバーテンに言葉を投げかけた。

「明日があるんですよ。お客さんはどうなんですか?」
バーテンは少しばかり嫌そうに答え、義務的に質問を返す。
「それがね、休暇取れたからね
もう一杯飲むまでに誰か来たら、この嬉しさを分けてあげるよ。具体的にはお酒で」

「売り上げへのご協力、感謝します」
少し酔った中年と、冷たい青年バーテンの紡ぐ夜。
誰か、客の一人でも来るのだろうか……
382 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/21(月) 00:14:32.05 ID:O/kkMosjo
>>380
「卑怯…か。どうなんだろうな。
 まあ、有り体に言えば殺し屋ってやつだ。
 堂々と人に言える生き方じゃないだろうな。」
 濁った紅茶を「すまんな」と言って受け取ると口に含む。
 渋い…。甘い菓子があって良かった。

ボスについては鬼塚も知らない事ばかりだ。
「ボスとは会った事がないな。
 他の魔法警察官にも顔を合わせたことがない奴がいる。
 そう言うリリアンヌはボスと会った事はあるのか?」
383 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/21(月) 00:21:39.34 ID:g6HSAsQO0
>>381

ぎぃ…、と音を立てて開くドアから姿を現すのは
白髪と痩せこけた頬、度の過ぎた目の隈が特徴的な薄緑のコートの男

「………静か、だな。」

薄暗い店内を見回し、適当に空いている席に腰かけた。
そして、バーテンダーに「ジントニックを一つ」と注文したのだった。

/気付くのが遅れました…すいませんorz
384 :稲荷屋甚六 [sage]:2013/01/21(月) 00:22:02.20 ID:g6HSAsQO0
//名前ミス!
385 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 00:27:20.06 ID:73wA8KHXo
>>382
「殺し屋さんですか。詩音ちゃんが気にするくらいですから、きっと凄腕なんでしょうね……」

紅茶やお菓子をそのままに、少女は男性の言葉に聞き入る。彼女にも何か思うところがあったのかもしれない。

「やっぱり、詩音ちゃんもボスと会ったこと無いんですね……」

男性の返事を聞いて、少女の声色がややトーンダウンしたように聞こえた。

「魔法警察官が何人存在するのかさえ、私たち諜報員は知らされてないですからね。私だって面識が有るのは詩音ちゃんとシオンちゃんを合わせて数人ですし」

実体の無い、魔法警察という存在。それに惑うのは外部の者だけでなく、内部の人間も同じかもしれない。
386 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/21(月) 00:31:34.94 ID:Vt5sXoao0
>>383
待ち望んでいた来客を見て中年は少しだけ落胆し、それ以上の喜びを得た。
麗人でないことが理由だが、話し相手になりうる相手が来ただけで十分な喜びである。
中年は2つほど隣に座った男に、訳知り顔で話しかける。

「静かなのは、今日が月曜だからさ
こんばんわ。こんな酔狂な時間にようこそ!」

日本語を流暢に扱う異国の顔立ちが、こんなに親しげに話しかけてくるのだ
少し、引かれやしないだろうか……

/問題ありませんよ
387 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/21(月) 00:37:00.69 ID:O/kkMosjo
>>385
「たぶん腕はいいんだろうな。
 というのも現場を通りかかったらそいつの仕事は終わっていた。
 ぶん殴ってやっても良かったが…」
こういう話題での彼の「ぶん殴る」はかなり物騒な意味を持つ。
「そいつのツラを見ていたら[ピーーー]気が無くなっちまったよ。」

 舌が慣れたか渋い紅茶でも乾きが癒えるようなってきた。
 カップの皿を取り、一口を口に含む。
「リリアンヌも何かあったのか?」
 事情を尋ね、ボスの話は少し置いておきながらも組織の事を考えてみる。
 詩音自身人の事は言えないが、独善をふりまく人間をサポートする組織。
 まずメリットが思い浮かばない。
388 :稲荷屋甚六 [sage]:2013/01/21(月) 00:46:26.36 ID:g6HSAsQO0
>>386

「………!」

初対面の男に親しげに絡まれ、思わず細い目を見開く。
一人でひっそりと飲もうと考えていた甚六にとってこれは予定外。

「……今日は月曜、だったな…もう月曜か
 だとすれば確かに酔狂な時間だ。お互い変わり者だな」

酔狂な時間。その言葉には共感できた。
週の初めに、薄暗いBarにて酒を煽る。
少なくともそれは週末の夜に行うべきことであろう。

「……言い忘れていたが、親しげに語りかけるのは構わん。
 だが、雰囲気をわきまえてくれ。酒に呑まれて騒ぐ歳でも無かろうに」

そして、注文したジントニックが提供され、それを口にした。
389 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 00:52:33.44 ID:73wA8KHXo
>>387
「ぶん殴る、ですか。そこまでその気にさせておいて難を逃れるなんて、どんな相手だったのか興味ありますね……」

男性の掲げる正義と、その強さ。それを少女が知らにはずがない。故に不可解。理に叶っていないと、少女は思うわけである。
しかしそれを問いただそうとするほど、彼女は子供ではない。否、子供だがそれくらいの分別はある。
詳しい理由は、聞かない方がいいのかもしれないと、少女は思い始めた。

正体不明、奇奇怪怪。組織内からでさえ、そんな風に評される人物。それが魔法警察の首領。

「実は私、ボスとは2度ほど面識があるんです。1度目は6年程前、私がここに引き取られた時で……」

重苦しい口調で、少女は言葉を零すように告げる。僅かに口ごもりながらも、ゆっくりと、紡ぐように。

「二度目は先日、任務完了の報告に行った時でした。その時、ボスと会って、でも……」

言葉を探すように、少女のこぶりな唇が揺れる。長いまつげを震わせるように瞬きし、言葉を振り絞る。

「あの人……6年前から、歳を取っていなかったんです」

吐き出すようにそう告げて、少女は不安げに男性を見つめる。男性は少女の言葉にどんな感想を持つだろう。
390 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/21(月) 01:02:58.33 ID:Vt5sXoao0
>>388

「おっと、これは失敬。仲間が見つかって嬉しいあまりつい
年甲斐もなく声を上げてしまったよ」

先ほどの絡み酒とは打って変わって、紳士然とした物言いに早変わり。
まあ、目の前の相手が老成した印象を与えるような人物であるためだろうか。
それとも、反省の意でもあるのだろうか。

「変わり者というのは否定しないよ。それくらいは判っているつもりだからね」

手にしているグラスを大きく傾け、中身を空にしてから。

「まあ、変り者の言葉として聞き流してくれて構わないけれども
顔に刻まれるような疲れは酒では洗い流せないらしいよ?
気休めの酒で抜けるものでもないだろうに」

同好の士として、要らぬ心配なのだろうが、そのような言葉をかける。
「あと、ジントニックもらえる?美味しそうだからね」
ついでに注文が入る。
391 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/21(月) 01:05:01.28 ID:O/kkMosjo
>>389
「殺人をやらされていた感じだったな。
 それから裏社会の人間だけを始末しているようだ。
 止めたほうがよかったかもしれないが…」
止める=病院送りである。

さてボスについての話で「歳を取らない?」と聞き返す。

詩音過去に出会った不老の存在を思い出しはじめる。
テロメア操作ができる異能力者、人外、魔術師…
そして自分自身である。彼は不老でも不死でもないが、
魔術を使える状態に変身すれば常に幼い少女の姿だ。

「この魔法の無線をくれたのがこの組織だっけか。」
肩に止めてあるマジカル・ポリス・ラジオを弄る。

「老化、或るいは成長を停める理由と手段があるんだろう。
 しかし不老の肉体が必要な立場というのも気になるな。」
392 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 01:17:40.06 ID:73wA8KHXo
>>391
「そういう事情でしたか。……やっぱりこの世界には、悪が蔓延りすぎていますっ!」

少女であっても、少女は、魔法警察。男性の話にショックを感じた、なんてことはない。
だがしかし、無感情で居られるほど達観していられるほど、彼女は大人でもない。
少女が纏う感情に、熱く燃え滾る怒りが。灰色に染まった暗雲のようにまとわり付く。

「私の魔法のメガネ、レンズを通して見た人間の情報が読み取れるようになってるんです。それであの人を覗いて見たら……」

瞬間、背筋に悪寒が走るのを感じた。やはり自分は見てはいけないものを見たのかも知れないと、少女は怯える。
レンズを通して見た情報。彼の外見は元より、肉体そのものに経年が感知されなかった。むしろ若返ってさえいた。

「……私はこれまで、ボスについて何も知らないことを疑問に思うことはなかったんです。でも」

それはとても抽象的で、曖昧な。

「嫌な予感が、するんです……」

少女の背後まで迫った、恐怖。
393 :稲荷屋甚六 [sage]:2013/01/21(月) 01:18:47.16 ID:g6HSAsQO0
>>386

一瞬にして、隣の人物が別人に思えた。
年相応の落ち着きのある声がそうさせたのだろう。

「ふん…顔に刻まれるほどの疲れを癒したくて酒を飲んでる訳じゃない
 傷つき、血まみれになった今日の自分を騙し、忘れる為に酒を飲む。
 …アンタも、そんな経験がある筈だ」

妙に饒舌な自分に苦笑した。

酒に呑まれる程飲んでもいないのに。
饒舌になったのはきっと、隣の彼が同好の士だからか。
いや、それだけでなく、復讐代行の依頼を終えた後だからと言うのもあるだろう。

「……俺も、同じものを頼む。」

ちゃっかり最初の一杯を飲み干していたらしい。
394 :稲荷屋甚六 [sage]:2013/01/21(月) 01:19:26.03 ID:g6HSAsQO0
>>386じゃなくて>>390です…安価ミスotz
395 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/21(月) 01:41:18.91 ID:Vt5sXoao0
>>393

「そんな経験ねえ……
年甲斐もなく女の子に声かけてフラれた時とか
酒場で騒ぎすぎて叱られたときだろうか……」

さっきのいい雰囲気が台無しである。
明らかに重さが釣り合っていないのだから。

「そんな思い出したくないことでも、意外と血肉になっているものでね
忘れたはずの思い出が、自分の足元を支えているもんさ。
自分の行いからは、良くも悪くも逃げられない。と言う訳だ」

向こうとは、真逆の意見を差し出す。
重い出来事でも、人は何かしらケリをつけなくてはなるまい。
気持ちよく忘れるくらいには……

そんなカッコのいい言葉を遮るように乱暴にクラスが置かれる。
バーテンが「猫被るなよ」と言いたげな顔をしていた。

396 :鬼塚詩音(リーゼントの大男)身体強化と変質 :2013/01/21(月) 01:43:28.19 ID:O/kkMosjo
>>392
「あいつとは拳を交えてから確認したい事も山ほどある。」
落ち着いたものだ。とはいえ強面で身体も大きいだけの17歳の少年だ。
器用な生き方も身に付いていないか、そろそろ身に付きはじめる年頃だ。
ティーカップを机に置くとリリアンヌの顔を見る。
「ありがとうよ。頼りにはしてるんだぜ?
 刺し違えるような事があれば後の事は頼む。」

「嫌な予感、か…。」
 リリアンヌの予感を信じて、席を立ち肩の無線に手をかける。
「マーチングオーダー、魔法警察シオン!変身ッ!!」
 大男の身体が虹色の光りに包まれたちまち縮んでいく。
 現れたのは警察官の制服を暴走族風にしたような衣装の小さな女の子。
「遠い未来を見るなら占いレベルだが、何もないよりいいだろう…
 何が起こるか…断片的な単語くらいは手帳に出るかも知れない。」
397 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 01:50:41.07 ID:73wA8KHXo
>>396
「……大丈夫、そんなことにはなりませんよ。だって私、詩音ちゃんがとっても強いってこと、知ってますから」

でも、ピンチの時は力を資しますから、いつだって呼んでくださいね?と。
いたずらっぽく少女は微笑んで見せた。心配していないわけではない。不安がないわけでもない。
ただ、信じている。信じてもらえる。二人の間にあるのは、それだけ。

「っわあ!シオンちゃん!」

咄嗟に、久しぶりっ!と声をかけて、しかし大事な話をしていたことを思い出す。

「……ふふっ!シオンちゃんの占いなら、何より心強いです!」

不安な気持ちは萎んでしまった。だって今の彼女の隣には、頼りになる仲間が。信じられる友が居るから。
398 :稲荷屋甚六 [sage]:2013/01/21(月) 02:00:18.35 ID:g6HSAsQO0
>>395

「くくっ…そりゃ平和で何より。とても愉快だろうな。はははッ
 失礼…日陰者の俺に、そんな経験が無いんでな
 もしよかったら語ってくれよ。」

ギャップと言うだろうか。
そんな経験のないそれは甚六にとって興味深いものだった。
故に、ほんの僅かな微笑が浮かぶ。

そして、甚六は平和で愉快な経験を引き出そうとした。
同時にアルフレドの、自分とは真逆の意見に対する答えを酒と共に飲み込んだ。

アルフレドの意見に対する言葉を持ち合わせていない故に。
だからこそ、この場に居る人間は違和感を感じるだろう。
399 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)特殊な警察装備と身体強化 :2013/01/21(月) 02:08:39.91 ID:O/kkMosjo
>>397
「リリアンヌのお墨付きなら心強いね。」
かえって弱体化しているようにしか見えない変身。
実際にフィジカルな暴力面ではかなり弱っている。
しかしこの姿の彼、いや彼女は強力な魔女の一人でもある。

「ポリス・ノートを…」
無線に指示を出すと警察手帳のような魔法アイテムが出てくる。
文章を綴り未来を問いかける事で結果を教えてくれる魔法の手帳。
その精度には100%は無いし、遠い未来であればあるほどに、
もしくは問いかけが抽象的であればその的中率は下がる。
「まずはリリアンヌの無事を尋ねてみよう。」
まずシオンは警察手帳に"リリアンヌは今後も無事か?"と書き込み。
浮かんでくる返答を待つ。

// 結果をお願いします。予定は未定でもこの先どうするかを曖昧に。 
400 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 02:15:55.00 ID:73wA8KHXo
>>399
「シオンちゃんの占い、私を見てくれた時はいつも当たってますからねー!」

手帳を覗き込むように、リリアンヌがそっと少女に寄り添えば。

「シオンちゃんの占いの結果なら、どんな予想でも私は信じますからっ♪」

手帳に浮かぶ、黒い文字。それは流暢な筆記体の綴りで。

『Death』

非常な少女の命運を、無慈悲にも叩き付ける。
401 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/21(月) 02:17:46.94 ID:Vt5sXoao0
>>398

「お望みならば語って聞かせよう。
さながら、風車に挑んだ騎士のように散った愚か者の話を
お代は微笑み1つで十二分」

中年は、それこそ吟遊詩人のように語り出す。
己の失敗談に少しばかりの脚色を混ぜた笑い話を。
けれども、目の前の相手の反応を見ながら。
少しでも楽しんでもらえるように……

話している内に、中年の顔に朱色が混ざっていった。
合間合間の酒がまわってきたらしい。

「っと。もっと話したい所だが、酔いが回りすぎたらしい
今日はこの辺にしておこう。ご清聴に感謝する」

カウンターで会計を済ませてしまうと、コートと帽子を引っ掴んで帰ろうとする。
去り際その顔は、少し物足りなさげでもあった。

//こんな感じで〆ですかね
402 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)特殊な警察装備と身体強化 :2013/01/21(月) 02:25:18.51 ID:O/kkMosjo
>>400
その死は確定していないが、日常よりは高い可能性として
"死"がでたのを見て流石のシオンもショックを隠せない。
「馬鹿なッ!いや、まだキーワードがあるはずだ。
 キーが、きっかけがわかれば避けられる未来だ…。
 それを引き釣り出す質問を考えれば良い!」

 シオンの実体が若者ならリリアンヌは実際に幼い。
 死なせてたまるものか。

「死亡回避のキーワードを。」手帳にそれを尋ねる。
403 :稲荷屋甚六 [sage]:2013/01/21(月) 02:27:31.75 ID:g6HSAsQO0
>>401

「…こんな若造の頼みを聞いてくれて、感謝する
 ―――とても良い夜だった。ジェントルメン」

最後の言葉を少々気取って。
アルフレドと同じように酔いが回った甚六は感謝の意を口にした。

事実彼の芝居がかった体験談を楽しげに聞いていたのだから
そして、小説を読んでいるかのように話に没頭できたから

「―――…」

アルフレドが去った後も、甚六は酒を煽る。
忘れたい今と過去と、遣り場の無い感情を誤魔化すべく。

/こんな感じで乙ですね
/遅くまで絡んでいただいてありがとうございました!
404 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 02:36:47.88 ID:73wA8KHXo
>>402
「……え」

英語が読めなかったわけではない。フランス出身のリリアンヌはフランス語と同じくらい、英語も堪能で。
だからこそ、言葉は出てこなかった。

自身の正義を追求する。それが魔法警察。他人に押し付けてきた善意が、いつか自分を滅ぼすかも、と。
そんな風に考えたことがないと言えば、それは嘘になる。だけど、自分は常に正しいことをしようとしてきた。そのつもりだった。
けれど、その結果がこれだ。自分の口角が引きつっているのを、リリアンヌは感じた。

「だ……だいじょうぶ、平気、です」

心配ないと、シオンに伝えたかった。微笑んで、平気と言いたかった。けれど、上手に笑えない。

『Bondage』

2度目の占いの結果。浮かび上がった文字。直訳すれば、「束縛」。リリアンヌの掲げる、正義そのもの。
405 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)特殊な警察装備と身体強化 :2013/01/21(月) 02:45:56.52 ID:O/kkMosjo
>>404
「安心しろ。この手帳はは確定事項なんて拾えはしない。
 用心していれば大丈夫さ。それに…」
 安心させたかったのだろう。
「それに、お前の事は俺が守る。
 リリアンヌ、お前は何歳になったっけ?
 もっと子供らしく…誰かに頼ってもいいんじゃないか?」

 そう言うと手帳を消した。
 消す前にもう一つ自分の無事を占っていた。

"scapegoat"...これはシオンの未来に書かれていた。
406 :魔法警察リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 03:18:54.05 ID:67D9hrkio
>>405
「シオン、ちゃん……」

二の句は告げず、無言で抱き付いた。自分以外の誰かの温もりが、やけに優しく感じられた。

(私、いつからこんなに弱くなったんだろう……)

産まれた瞬間から、体内に高い魔力を内包していたリリアンヌ。
同年代の子供と比べて、知能はそれなりに発達していた。
リリアンヌは可愛らしくない、子供らしくない子供だった。

「……っ」

それが今や、ようやく年相応といったところか。さえずるような泣き声を漏らす彼女は、大変子供らしい。

今は見栄も強がりもなく、ただ恐怖に暮れる幼子。
シオンが見据えるもう1つの結末の事など、彼女には知るよしもない。
407 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)特殊な警察装備と身体強化 :2013/01/21(月) 03:27:04.43 ID:O/kkMosjo
>>406
「未来は変えられる。
 変えられないならそれはそれで手帳が便利になるが。」

シオンはリリアンヌの頭に手を置いた。
「俺がいる。俺はお前の、仲間だ。俺の占いは外れるさ。
 外してやるさ…。」
自分自身にも言い聞かせるように呟く。

「大丈夫だ、何も問題なんてない。
 俺の予言はその程度のものだから、怖がらなくていい。」

// そろそろ眠ろうとおもいます。〆に入っていいですか?
 
408 :魔法警察 リリアンヌ [saga]:2013/01/21(月) 03:38:31.11 ID:WX0cBp2Io
>>407
「……ありがとう、シオンちゃん。もう、大丈夫だから」

か細い声で。しかし今度は微笑んで、そう告げることが出来た。
ただ、心細さを主張するように、リリアンヌは少女の手を握って離さない。

「ごめんね、もう少しだけ、こうしていさせて……」

体の震えは止まらない。恐怖は消えて無くならない。けれど。

「大丈夫、死なない。……死にたくないもの」

けれど、まだ生きている。その命が続く限り、リリアンヌは。

「それに、困った時はシオンちゃんも詩音ちゃんも助けてくれるもん……ね♪」

愛と魔法と束縛と、そして身勝手な正義を振りまき続ける。
それ以外に、生き方など知らないから。

/了解です。では、こちらはこのレスで終了とさせていただきます。
/今回は遅くまでお付き合いして頂いてありがとうございました。また次の機会もよろしくお願いしますね!
409 :魔法警察シオン(女リーゼントのロリ)特殊な警察装備と身体強化 :2013/01/21(月) 03:43:57.58 ID:O/kkMosjo
>>408
「守る?当たり前だ。」
少女の姿でその手を強く握り返す。
「何が起ころうと…守ってやるさ。」

この時、誰が誰をどう束縛するのかを確認はしていなかった。
しかし恐ろしい未来がそこにあろうと乗り越えようとする意志がある。

「気合い入れとけよ。良くない流れはあるんだからな。
 それでも俺は何があろうとお前を守るさ。」

// こちらこそお付き合いありがとうございました。おやすみなさい。
410 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 20:54:34.38 ID:SNop2V4Bo
「無駄。無駄死だな。
 一太刀すら、鉛弾一発すら打ち込めずに死ぬなど、無駄と言うに他ならん。
 ……軟弱だな、詰まらん」

風が吹く。
血の濃厚な香りを混ぜた、血だ。
そこは、第三次世界大戦以降に整備された、日本のとある地域の小さな町だ。
自衛隊の訓練施設としても使用されている、小規模な駐屯地。
能力者の部隊の構成の研究がなされていたのだが、その駐屯地は最早活気も、緊張感も失われている。
漂うのは、ただひたすらな空虚。無人の野を行くかの如くに、一つの影が血の海を引き裂きながら歩いていた。

風が吹く、。乱れる裾。乱れる袖。
だが、歩む影は揺らがない。雪が降ろうとも、地面が紅い雪で染め上げられたとしても。
地面に無数の紅葉が飛び散っていたとしても。死人に口無し、殺すまでは楽しいが殺せばもはやどうでもいい。
だから、足元にあるのは総て石礫と何一つ変わりはしない。違うのは形だけだ。
そして、もし何時か己が死したとしても、きっと己も石礫に成り下がるのだろう。
柄にもなく、女はそう思考して口元に嘲笑を浮かべた。

「――石礫になることなど、無い。
 勝てば良いし、私は負けん。……問題は、無い」

ちかりちかり。月明かりを補助するように、施設のサーチライトが点灯し、シルエットから夜闇のヴェールを引き剥がした。
そこに居たのは、何者か。黒い衣服の上に、白いフード付きマントと腰巻を巻いた、時代錯誤な魔術師とも思われる。
フードから覗く顔の作りは極めて怜悧で、かつ研ぎ澄まされた刃の様な緊張感を他者に否応なく感じさせる、そんな女だった。
照らされた大地には、数十人の自衛隊員の死体。麓の小さな村落には既に火が放たれている。
煌々と輝く麓を見下ろして、女は懐からトランシーバーを取り出し、通話。

「チームリーダーに通達。
 作戦行動は完了、総員退避。
 ……さて、誰かがこの騒ぎに気がつけば面白いんだが」

近くの戦車に飛び乗り、腰掛けながら。
魔術師然とした女は、雪降る血の海で月を見上げて佇んでいた――――。
411 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 21:14:19.23 ID:SNop2V4Bo
>>410
/*まだいますよーう*/
412 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 21:17:55.25 ID:LbvoFEQHo
>>410
『楽しみたいなら、俺とやるか?カラミティ・ジェーン・・・』
騒ぎを聞きつけた先・・・
俺の目に映るのは自衛隊員の死体・・・村落に放たれた火・・・
そしてその先には白いフード姿・・・
俺はその魔術師みたいな奴に心当たりがあった・・・
カラミティ・ジェーン・・・俺と同じ組織に所属する奴だ・・・
別名アスモダイ・・・四柱の一人・・・俺の目標でもある・・・
俺はその女に、焼印を使ったテレパシーを送っている。
俺が単身でカラミティ・ジェーンと喧嘩を売っても一瞬で返り討ちに合うだろう・・・
この自殺行為と思えるやり方には、一つの理由がある。

『軍事組織への攻撃・・・理由あっての行為だろうな・・・』
この騒ぎはカラミティ・ジェーンがやったものだ。
虐殺行為をやる奴なら組織に何人も居る。
だが、自衛隊員の死体もある。明らかに軍事組織へ喧嘩を売っている・・・
俺は組織への武力行使は理由が必要だと考えている。
とは言っても・・・簡単な理由でも良いし、自分の考えを押し付けてるだけだけどな・・・

【その男はNo.15のエリゴス。鹿の角が生えた馬マスクを被っている】
413 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 21:27:15.52 ID:SNop2V4Bo
>>412
『――お前が私の心を擽るというのならば、喜んで。
 と言いたいところだがな、今のところ≠ヘ円環の者を殺すつもりはない。
 目的を果たしてしまえば、後は知ったことではないがな。殺すさ』

動揺すること無く、懐から瓶を取り出してコニャックを喉に流し込むジェーン。
フードの奥から見える琥珀色の瞳は、静かなゆらぎを宿してそこに有る。
殺人に酔う殺人鬼のそれではない、賢者のそれとも取れるほどに、揺らぎのない瞳だ。

『能力者の部隊が有ると聞いてな、遊びに来た。
 ――奴ら、気概だけは確りしていたよ。
 泣き叫びながらでも、最後の一兵まで闘いぬいていた。
 ま、死ねば肉塊だ。死んでしまえば一兵まで戦っても犬死だがな。
 そう、私達も同じさ。ガープ……シモン・コランも、な』

ジェーンが戦う理由は、ただひとつだ。
戦いたいから戦う、それ以上でもないし、それ以下でもない。
強大な軍事組織であろうとも、それがジェーンの琴線を擽るのであれば、ジェーンは戦う。
それが、ジェーンの持っている決まりだ。
あらゆるものを踏みつぶして、視界に入らないものの怨嗟を受けて悪を背負わされても決して折れず突き進んだ女の、ルールだ。

『――悪人らしいだろう?
 善も悪も、どうでもいいがな。
 私は、私が最強に成るまで私の敵を斬り続けるだけだ。
 それ以上でも以下でも――無い』

佇む女は、無間地獄のような生き様を好んで選択していた。
最強に成るまで敵を斬り続ける、いつか切る相手が居なくなった時が最強だ。
きっと、世界のすべてが敵になれば、ジェーンは世界のすべてを斬り伏せようとするだろう。
それが、この女。ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウだ。
414 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 21:40:13.86 ID:LbvoFEQHo
>>413
『今のところ、か・・・』
目的を果たせば、か・・・
だが、何と言う態度・・・
コニャックを飲んでやがる。殺人によってるわけじゃない・・・
それより、気にかかる事がある・・・

『能力者の部隊・・・ロンドン事変に居た奴か?』
俺も探している奴が居る。
ロンドン事変に参加した、ユリアスとか言うイギリス人。
OHMDってイギリスのエージェント部隊だ・・・
だが、異能を操っている様な戦い方ではなった・・・
異能を使っていたのは俺に付いた奴だ・・・
そしてもう一人・・・

『ガープ・・・シモンを殺した奴は居たか・・・』
シモン・・・ロンドン事変で死んだ男の名前だ・・・
持ち場こそ違ったが、俺もあの場に居た・・・
何者かは解らないが、あのまま放っておくわけにもいかない・・・
415 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 21:42:32.85 ID:SNop2V4Bo
>>414
『知らん。だが、少なくとも。 
 あそこで生還できるような輩とは言えんな、直ぐ死んだ。
 どうやら、』
416 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 21:48:10.21 ID:SNop2V4Bo
>>414
『知らん。だが、少なくとも。 
 あそこで生還できるような輩とは言えんな、直ぐ死んだ。
 どうやら、OHMDからヒントを得た組織のようだがな、この世の中能力というだけなら十把ひと投げで何処にでも居る』

足元の死骸の海を見下ろしつつ、晩酌をして。
風に煽られてローブがばさばさと揺れるも、女は決して揺らがない。

『知らん。奴を殺したくらいの奴なら、少なくとも10分以上は持つだろう?
 全員直ぐ死んだなら、それはガープを殺したやつじゃないだろう。
 ……なに、気になるなら目に映る敵を全部殺していけばいい。そうすれば何時かガープの敵も取れるさ』

もとより、敵は全て殺すという精神の持ち主であるジェーン。
そのままの思考で、ガープの敵を探すなら、円環の敵を殺していけば良い。

『まあ、死んだ時点で人は肉だ。
 肉の敵を取るなど、ナンセンスだと思うがな』

どこまでも乾いた思考を持つ、ジェーン。
死生観についても、独特の感性を持っていた。
この死に対する在り方は、佐助にはどう移るのか。
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2013/01/21(月) 21:49:28.85 ID:iJKHFyGvo
面白そうなスレッドですね。
418 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 21:50:18.53 ID:SNop2V4Bo
>>417
/*初めましてー、
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/16555/1358508367/
上の方が雑談スレなので、気になったならみなさん色々教えてくれますよー*/
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2013/01/21(月) 21:51:17.19 ID:iJKHFyGvo
>>418
ありがとうございます
420 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 22:04:47.42 ID:LbvoFEQHo
>>415
『OHMDか・・・』
イギリスのエージェント軍団・・・
だが、あのエージェントではない。
ヒントを得た組織か・・・確かに、何処にでも居る組織だ・・・
俺は馬マスクを外し、タバコを咥える。

『目に映る敵か・・・悪いな、俺は殺すより、生かす派なんだ。
 あんたの言うとおり、死ねば物言わぬ人肉・・・
 だが・・・動物と違い、生きていれば色々な感情を表してくれる。
 生ける人間の苦痛、悲鳴、怒り、悲しみ・・・それは人によって個性を出す。
 その個性を目で見て、耳で聞くのが好きなのさ・・・』
我ながら下品な趣味だけどな・・・
だが、そんな行為を許すほどの相手とも思えない・・・
俺はそのテレパシーを送りながらタバコに火を点ける。

「ククッ、ハハハハハハハッ!!」
そのテレパシーを送り、俺はその悪趣味に酔いながら笑い声を出す。
カラミティ・ジェーンはどう思うのだろうか・・・
421 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 22:10:01.14 ID:SNop2V4Bo
>>420
「――好きにするといい。
 勝った者は、敗者を好きにしても良い、と思う。
 だから、お前が負けぬ限りお前が何を踏みにじろうと、知ったことではない。
 お前が生かして苦痛を見るのを求めるように、私は最強こそが全てというだけだしな」

とん。
と地面を踏む音がして、戦車から女が降りた。
後ろの戦車に蹴りを入れて退かすと同時に、女はゆっくりと相手に向かって歩いて行く。

「いい気概だ。
 やはり、円環の奴らは切り甲斐が有りそうな奴らばかりだな。
 ……決めたぞ。私はお前も殺す、だから私が殺すまでお前は死ぬな。分かったな?」

ゆっくりと歩いていたはずなのに、ジェーンは素知らぬ顔で佐助の傍らに立ち。
いつも通りの真顔で、笑い声を響かす佐助に向かって、死ぬなと言った。
殺すから殺されるまで死ぬな、なんとも自分勝手な発言だった。
422 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 22:25:14.77 ID:LbvoFEQHo
>>421
「・・・・・・・・・・・!!」
俺はその一瞬、カラミティ・ジェーンが近づいた時の記憶が一瞬だけだが・・・飛んでいた。
気が付けば俺は・・・笑い声を止め、一歩下がっていた。
そして足元には俺がさっきまで咥えていたタバコ・・・
落としたんだ・・・動揺して・・・
俺は威圧されたんだ。カラミティ・ジェーンに・・・
彼女が意図したかは解らない・・・
だが、俺が彼女に恐れているのも事実・・・
目標である理由、それはその強さだ・・・
俺はその強さに改めて恐れたんだ・・・
殺すと言って来た・・・

「あ、あぁ・・・」
俺はタバコを新しく取り出し、それを咥える。
凄いプレッシャーだ。未だ殺さないような言い方をしているが、後に戦うときが来るのか・・・
423 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 22:31:34.01 ID:SNop2V4Bo
>>422
「――恐れるな、恐れは力を鈍らせる」

アドバイスの様な言葉を吐き、ジェーンは口元を楽しげに歪める。
そして、ジェーンは琥珀色の瞳を細めて、拳を作り。

「少しじゃれてやろうか。
 殺す気はないが、骨の一本二本は覚悟して貰いたいがね。
 私に殺されたくないなら、殺されないように強くなることだ。
 そうすれば、お前の友の敵も取れるくらいにはなれるだろう」

どうやら、ジェーンは佐助と軽くやりあいたい様子だ。
殺意を欠片も向けることなく、ほほ笑みすらを浮かべて立っている女。
これから先の敵と戦うならば、ジェーンに気圧されているようでは演っていけない。
さすれば、ジェーンが殺す前に相手は死ぬかもしれない。
そう思うと、少し稽古くらいはつけてやろうかと、そんな気分にもなったのだ。
424 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 22:39:16.46 ID:LbvoFEQHo
>>423
「・・・・・・・・・!!」
確かに・・・恐れては力を鈍らせる。
俺はその声を聞き、タバコを捨てる・・・!!
そして・・・

「ブレイドクリエイト・・・プランA」
俺は二本のサバイバルナイフを召喚し、両手に一本ずつ手に取る。
そして、踊るように身体を二回転させ、構える。

「やるぜぇ・・・やるぜ俺は・・・!!」
勝てるとは思えねぇ・・・
だが、恐れて逃げていてはそれは相手に対して失礼だ。
だから俺は、戦う・・・!!少しでも抗ってみせる!!
カラミティ・ジェーンは稽古のつもりだろうが・・・
殺しのリストに加えてくれたんだ・・・
俺の実力を彼女に刻みこまねぇとな・・・
425 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 22:44:38.97 ID:SNop2V4Bo
>>424
「――いい気概だ、震えてながらも立ち上がって剣を抜く。
 その在り方は好ましい、この場で殺せないのが勿体無いくらいにな。
 挑んでこい、私も今からお前に挑む」

右腕を振りかぶり、ジェーンは構えを取る。
我流であるがゆえに、何処にも存在しないジェーンのみの型。
だが、どこまでも実戦を実践し、修行を積み重ね続けてきたジェーンにはその型が最高の型。
全身から高密度の魔力が漏れだして、周囲に戦意を解き放ち始めた。

「行くぞ」

一言、質実剛健にそう言い放ち、ジェーンは駆ける。
右拳を振りかぶり、佐助の前に移動し、顔面を殴り飛ばそうとするジェーン。
大したことはしていない、近づいて相手を殴りつける、それだけだ。
ただし、それらの行動の全てから無駄を削って、高威力と高速度というおまけが付いているが。

ジェーンは凄い必殺技を持っているわけではない、絶対の異能を持っているわけではない。
剣が使えて、魔力を持っている位で、それらを持っている人間は、世の中に五萬といる。
それでもジェーンがジェーンとして唯一無二なのは、それだけを極めて、それだけがそれだけで住まなくなったからだった。
426 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 22:58:52.92 ID:LbvoFEQHo
>>425
「うっ・・・!!」
顔面を殴ってきやがった。
簡単な技だが、持っていたナイフで両手がふさがって受ける手段が無くなっていた。
それに・・・無駄な動きを省いて速さと威力を上げている!!
俺はそれを見事に受け、派手に吹き飛ぶ・・・
だが・・・!!

「喰らえ!!」
俺は吹き飛ぶながらも反撃を試みる。
奴が拳に使ったのは右腕・・・
俺はその腕の伸ばし方、フォームを計算してナイフを左手でナイフを投げる!!
狙いは右足・・・!!殴った直後にその腕を伸ばすのは難しいはず!!
それに、威力を付けたパンチを放ちたいなら、足にもそれなりの力が必要の筈だ・・・
その直後に避けるのは厳しい筈だ!!俺はその隙を狙う!!

【右手には腕時計を付けており、彼が左利きだという事が伺える】
427 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 23:11:13.48 ID:SNop2V4Bo
>>426
「反撃か、上等だな。
 だが、甘い踏み込みが足りないぜー!」

己に向かって飛翔してくる、ナイフ。
それを見て、ジェーンは拳を振りぬいたまま、もう一歩踏み込んだ=B
右足にナイフが命中し、鮮血を拭き散らすが、しかしながら踏み込みが深かったため、却って傷が浅くなった。
動きに躊躇いがないという事が、ジェーンの傷を少なくし、次撃に即座に映らせる。
ジェーンの強い点は、攻撃力でもなんでもない。躊躇いの無さ、死を恐れない在り方が一番の武器だ。

「しァ――ッ!!」

その場で、ジェーンは転身。
真紅の軌跡を轢きながら、右足で高速の回し蹴りを堂に叩き込みに行く。
絶え間ない連続攻撃が、ジェーンからは放たれ続ける。
鍛えぬかれた肉体と精神が、よどみない行動を可能としていた。
428 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/21(月) 23:18:05.34 ID:g6HSAsQO0
雨が降る一月の夜空。
息を切らせながら路地裏の壁に凭れて、天を仰ぐ。

「はぁ、はぁ……つぅ!
 …ああ、どうしてこんな事になったのかしらね」

左肘の痛みを顔を歪めながら、追手をやり過ごす。
今日は厄日。内心毒づきながら、衣服が濡れるのも意に介さずに時間が過ぎるのを待っていた
429 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 23:26:27.59 ID:LbvoFEQHo
>>427
「チッ・・・!!」
殴られて吹き飛んだ後だと踏み込めない・・・!!
更に踏み込み、傷を浅く済ませた・・・

「・・・・・・・!!」
これ位は予想できなかった事か・・・!!
出来た筈だ!!俺の目標である人物だ・・・
これぐらいはやって見せないとな・・・!!

「うっ・・・!!」
奴は考える時間も短く、更に攻撃を繰り返してくる・・・!!
剣王としての勘って奴か・・・常に正解を選んで来る・・・!!
胴を狙って蹴りを放ってきた・・・だが・・・

「やらせはしないぜ・・・!!」
俺は敢えてガードをしない・・・
その左腕でガードをすれば、利き手が折られるだろう・・・!!
俺は敢えてノーガードで受ける事にした。
そして、吹き飛びながらも右手に残したナイフを投げる。
狙いはもう再度右足!!馬鹿の一つ覚えだが、色々な場所を狙っても奴に痛みは無いだろう・・・!!
それに、利き手とは逆で投げているんだ。スピードが落ちている・・・
だったら、同じ場所を狙ってダメージを蓄積させる!!
430 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/21(月) 23:37:21.02 ID:SNop2V4Bo
>>429
「――蹴りを防ぐか、上等、完璧!
 だが、貴様よりも上等で私は完璧だッ!!」

蹴りを相手に叩きこむも、腕を間に挟まれて威力を殺される。
それでも相手を吹き飛ばすが、そこで一つ覚えに相手のナイフが叩き込まれる。
蹴り足をは炊き上げることで、ナイフを吹き飛ばす。しかしながら傷が広がり、血を周囲に撒き散らす。

「――いい筋だ」

血みどろの地面に足をついて、ジェーンは楽しそうに笑む。
立つジェーンが、ゆっくりと拳を振り抜き、構えをとった。
ここから、勝負を決めに来る。そんな気配が、ジェーンからは漂っていた。
431 :彩鈴&彩楓/パーカー&コートの双子 [sage saga]:2013/01/21(月) 23:45:42.45 ID:FkZzNujAo
>>428
/
まだいらっしゃるでしょうかー……?
432 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/21(月) 23:47:08.35 ID:g6HSAsQO0
>>431
/いますよー
433 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/21(月) 23:52:55.61 ID:LbvoFEQHo
>>430
「流石だ・・・流石、俺の目標・・・」
胴・・・顔面・・・殴られた場所が痛む・・・
痛みが尋常じゃない・・・常人の蹴りやパンチは威力は知れてる・・・
だが、相手が相手だ・・・その一発がヤバ過ぎる・・・!!
次に受ければ・・・それに、彼女も次で決める雰囲気だ・・・
俺も・・・それに応えないとな・・・

「ブレイド・・・クリエイト・・・プラン・・・B・・・やるぜ・・・俺は・・・!!」
俺が召喚したのは一本の両手剣・・・
俺はそれを両手で持って構える。
奴が決めにくるなら、俺もそれに応える・・・!!

「行くぜ!!俺はエリゴス・・・切り込み隊長、エリゴスだ!!」
痛みもそろそろヤバ過ぎる・・・
何か仕掛けてくるだろう・・・だからって、様子を見るわけにもいかない・・・!!
それは相手に攻撃のチャンスを与える事を意味する。
速さと威力を兼ね備えたパンチか蹴りが飛んでくると言う事だ・・・
だったら俺は・・・捨て身で突っ込む!!
何もやらずに後悔するより、当たって砕ける!!
賭けだ・・・最後の力を振り絞り、俺は彼女に突っ込む。
そして・・・袈裟切りを試みる。
434 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage]:2013/01/22(火) 00:00:19.53 ID:a84T6CzOo
>>428

───ルーシェの聴覚の片隅にひとつ、微かな排気音が発生したのは、そんな折の事だ。
耳を澄ますと、それが急速度で接近しつつあるのがわかる、そして───


「こっ─────たぇろォォォオッ───!!」

次の瞬間、爆音と叫声を伴い、通りの角に突如として現れたオフロードバイクと、女性らしい痩躯のライダー。
路面の障害物を用いて飛び跳ね<求[シェの居る路地裏の角を後輪で蹴って=A彼女の居る方へと、方向転換。

──即ち、バイクで三角飛びという人並み外れた芸当を成し遂げながら。
ライダー──彩鈴は、単車の進行方向をルーシェの方へと向けた所で、彼女の存在に気付く。

ギアを落とし、ゆっくりとそちらの方へと接近したならば、彩鈴はきっと、どうしたの?と言わんばかりの動作で彼女の顔を覗き込むはずだ。
顔全体を覆うヘルメットにより、表情を伺い知る事は出来なかったが、抜けた仕草をする辺りから、恐らくは少女である事が知れた。
435 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/22(火) 00:01:20.23 ID:E98vwJzHo
>>433
「――アスモダイ。災害[カラミティ]の名は伊達ではないぞ」

名乗りを上げて、迫る佐助に相対するジェーン。
腕に魔力をねりこみ、練りこみ、そして練り込む。
圧縮して練りあげて、ただそれだけなのにその質量だけでもはや暴力。
一つを徹底的に極める事で、普通が異常に引き上げられる。
誰しもが、辿り着きうる領域を極めたのが、ジェーンという人間だった。

「――残念。止めたぞ」

佐助の袈裟斬りは――、振り下ろされない。
何が起きたか。
それは、佐助が握る剣を見れば、分かる。
刀身を伝って、赤い液体が流れ、地面の雪を溶かしていた。

そう、振り下ろす前に剣を掴み、勢いを殺していた。
停められる自身と覚悟がなければその行動は出来るはずがない。
血だらけの左腕で強く刀身を握りしめ、相手の土手っ腹めがけて、右拳を振りぬいていく。
純粋に魔力と身体能力と体捌きのみで成される攻撃は、シンプルだがそれゆえに強力。
436 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 00:13:36.34 ID:jSIqjieR0
>>434

遠くからサイレンの音が鳴り響いていた。
雨音に紛れ、響くソレは彼女の神経を削る。

「―――……いざとなったら自殺で死んだふりでも…」

自嘲気味に独り言を口にしたその瞬間、未知が路地裏に足を踏み入れた。

聞きなれない轟音と、見慣れないバイク
そしてフルフェイスの…少女だろうか。

「なぁに、そんなに物珍しいかしら…?
 くすくす。私は見世物じゃなくってよ」

少女の雰囲気から、少女は警察では、無い。
けれど正義を謳う輩かと警戒していて。
故に人を食ったような口調とは裏腹に、顔色は険しいまま。

それが証拠にルーシェは、壁に凭れながら
よろよろと立ち上がり、少女のバイクを奪おうと機を窺っていた。
437 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/22(火) 00:17:07.02 ID:w/hJCgQso
>>435
「・・・・・・・・・・・・・!!」
剣を受け止めやがった・・・
片手で・・・なんて奴だ・・・
いや、ジェーンにとって・・・捨て身の攻撃を止める事ぐらいは簡単な事なんだ・・・

「流石・・・だぜ・・・カラミティ・・・ジェーン・・・」
反撃・・・腹を狙った攻撃・・・
タダのパンチだが、奴は簡単なパンチに力を込めている。
ヤバ過ぎる身体能力・・・それだけじゃない・・・
魔力だ・・・魔力を込めているんだ・・・
避けられるはずも無い・・・俺は血を吐き・・・その持っていた剣を放す

「アンタの・・・殺しのリストに・・・俺は・・・相応しかった・・・か・・・?」
俺は血を吐きながらも、喋り続ける。
最後の力だ・・・俺はその残りカスの様な力を振り絞り、その言葉を残す。
苦しむ声を聞くって悪趣味を曝け出して・・・逆にこっちが苦痛を曝け出すとはな・・・

【最後の言葉を放つと、男は倒れこむ】

【だが、その男の眼は倒れるまで闘志に満ちていた】
438 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 00:24:19.47 ID:a84T6CzOo
>>436

かしゃり、とヘルメットのシールドを押し上げると、瞳の大きな、いかにも少女らしい顔が露わになって。

「ん〜?いやっ、ごめんねごめんねー?」
「そぉーんな暗い顔してるからつい、気になっちゃってさ」

快活な笑みをけろけろと零してから、改めて「何してるの?」と問い正して。

「……?」

それからふと、遠方からのサイレンの音にびくんと背筋を反応させて、周囲を見回すのだった。
どうやら彼女も警察へ警戒心を遣るような人種らしい、首を傾げながら、軽くエンジンをふかす。
439 :ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ [saga]:2013/01/22(火) 00:24:46.23 ID:E98vwJzHo
>>437
「――次は殺しに来い、殺しに行く。」

に、と歯をむき出しにして笑い、ジェーンは佐助を吹き飛ばした。
左手は骨が露出する程に引き裂かれており、手には力が入らない。
っく、と楽しそうに笑むと、倒れこんだ佐助を背負って。

「まったく、これだから――この世界は面白い。
 全部切ったら何が見えるのか、楽しみだな」

嬉しそうな声を、子供のようにはしゃぐめずらしい声を響かせて。
ジェーンは火炎燃え盛る闇から、消えるのであった。

/*乙でしたー!ちょくちょく安定しなくてごめんなさいー!*/
440 :白熊 佐助 [saga]:2013/01/22(火) 00:27:30.94 ID:w/hJCgQso
>>439
//乙でした。
441 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 00:33:22.51 ID:jSIqjieR0
>>438

「……見て、わからな……」

言葉を紡ぐその刹那、サイレンの音が先程よりも大きくなっていた。
近づくサイレンの音に警戒心を抱くのは少女も同じらしい。

(これは…好都合、ね)
(無理矢理バイクを奪う労力が省ける…わね)

にやり、と口元が半月に吊り上る。
不幸中の幸いとは正しくこの事か。

「ねぇ、お願いがあるの。……あなたのバイクに乗せてくれないかしら」

それは、お願いであり。それは、一種の脅迫でもある。
『――警察のお世話にはなりたくないでしょ』と言う脅し。
442 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 00:46:31.03 ID:a84T6CzOo
>>441

「あ〜っ、成ッ程ね?追われる身って訳、……あたしと一緒なんだね!」

脅し──だとは露ほども知らず、快活に、ルーシェの焦る様子を笑い飛ばしてみせる。
彩鈴という少女は、恐らくはルーシェの想像する以上に単純な人間だった。

「いいよ!」と快諾しつつ、彩鈴は顎でシートの後ろ側を示し、乗る様に促す。


乗ったならば、彼女は思い切りアクセルを絞った──かと思えば、恐ろしいほどの急加速をして。
風を切りながら路地裏から公道へ、跳ね上がりながら文字通り飛び出して=A街路を疾走し始めるだろう。
正気を保っていたならば、パトカーを1台2台程飛び越えたのが見えたはずだ。

「ははっ、今の見た見た──ッ?」

登場時の挙動から予測できた事だが、どうやらこの少女、運転がとんでもなく上手く、そして荒いらしい。
443 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 01:04:42.79 ID:jSIqjieR0
>>442

「……ッ!…ふふっ。あっはははは、あははッ」

少女の快活さに思わずつられて、笑いがこぼれた。
同時に気が抜けて、表情もいくらか柔らかくなる。

彼女は少女に促されるままにバイクに乗り、両腕を少女のお腹に回した。
肘の痛みが彼女を苛むが、そんな事で逃亡の機会を逃す訳にはいかなかった。

「――――――ッ!」

急加速にて、彼女の体が振り落とされそうになる。
けれど、石に噛り付くかのように、ギュッと少女にしがみ付く。

そして、走り抜けた先に在った景色はとても新鮮で。
スリリングな疾走に興奮し、痛みを置き去りにした彼女は興奮のままに叫ぶ。

「―――ええ、見たわよ!
 私たちがそばを通り過ぎた時の警察のマヌケ面ったら笑えるわね!
 このまま、突っ切っちゃいましょ?風になってるみたいで楽しいからッ!」
444 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 01:13:32.30 ID:a84T6CzOo
>>443

高らかに笑いながら、少女二人は街を疾走し続ける──
きゅるきゅると後輪を滑らせ、時にはドリフト気味にコーナリングをしてみたりして。
追跡をするパトカーを撒く為に、揚句反対車線を逆走し始める始末。


「それでそれで、一体全体──どういういきさつでこうなったのかなぁっ!?」

そんな最中、不意にルーシェの方、即ち真後ろを見て、彩鈴は問いかけを遣る。
前なんて、全く見ていない──にもかかわらず、天才的なセンスで対向車を右へ左へ、躱し続ける。

気付けば二人は峠じみた山道に入り込み、トンネルに突入していた。パトカーの音も、徐々に遠くなっていく。
445 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 01:27:18.27 ID:jSIqjieR0
>>444

街路から街路、そして山道へと移りゆく景色。
そこは人気も少なく、追手も徐々に消えつつあった。

「―――んーと、話せば長くなるから簡潔に纏めるとね!
 "つい"人を殺しちゃったからよぉ!まぁ、その時凄く苛立ってて、その憂さ晴らし!
 んで、サイボーグにそれを見られて!ソイツに肘の骨折られ、警察に追われ、で今に至る訳!」

冷めやらぬ興奮と、それに起因する微笑。
それらに呼応した声は、とても楽しそうに弾んでいた。

「私は私のルールに基づいて行動してる訳なんだけど 
 人はそれを狂人って呼ぶんですって。あなたはどう思う!?」
446 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 01:42:28.27 ID:a84T6CzOo
>>445

それから更に道を行き、いつしか路面は舗装のされていない、砂利道へと変わっていて。
樹の根や岩の転がる地面の上を、彩鈴は上手く車体を跳ね上げては、切り抜けていくのだった。

「つい、かぁ」「良いんじゃないかな!?」
「あたしだって、その時の気分で生かすか殺すか、決めちゃう訳だ───しッ!」

理由の大小はあるけど、人間なんてそんなものだよ、と、ルーシェの問いを笑い飛ばす。
気が昂っている時の鈴は、そうでない時の彼女を知る人間が驚くほどに、短絡的な性格をしていた。
目的の為に躊躇せず殺す≠サの点において、鈴とルーシェの間にはきっと、共通するものがあるのだろう。


「着いた──」「勝手に案内しちゃったけど、あたし達≠フ家!」
「怪我してるみたいだし、追手も諦めた訳じゃなさそうだし、時間つぶしにどうかなー、なんてっ?」

砂利道を、立ち入り禁止の表示を無視してある程度進んだ所で、鈴はようやくアクセルを緩めて、ブレーキを引いた。
静止した二人の先にあるのは、黒猫のペイントがされた、とてもヤ○トな4t車だろう、輸送用のトラックだ。
外見からは、特殊な点など一切見受けられない、至って普通のクロネ○ヤマトだった。

ルーシェに単車から降りるよう促してから、鈴も腰を降ろし、スタンドを立ててトラックの方へ歩み寄るだろう。
447 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 02:00:31.36 ID:jSIqjieR0
>>446

「そうよね!人間溜め込んでちゃ何時かパンクしちゃうわ
 自分のやりたいようにやって何が悪いのかしらね。
 世間体だの秩序だので、縛られ、従う。それが"マトモ"と言う奴の方が狂ってるわ!」

突発的な殺人を当然のように肯定されて、言葉にしない筈の考えさえも口にした。
その理由は、自分と似たような考えの人に出会えて嬉しいからであろう。

「――――私たち、友達になれそうね」、と小声で呟いたのも、その裏付け。

相変わらずのドライビングテクに感嘆している内に
彩鈴の家である某黒猫なトラックが小雨と共に瞳に映される、

「ええ、喜んで。こういう"家"って初めてでとってもワクワクしちゃうわぁ
 今日は厄日だと思ってたけど―――づぅ…ッ!」

子供のように無邪気にはしゃぎながらバイクから降りた。
その瞬間、興奮が少し冷めて。痛みが自己主張し始めた。

痛みに顔を歪めるルーシェは、左ひじを抑えながらトラックへと歩みを進めていく
448 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 02:15:05.22 ID:a84T6CzOo
>>447

「──どうだろ、お姉ちゃんがカタブツだし」

苦笑しつつ、トラックの方へ「お姉ちゃーん」なんて、気の抜けた声で呼び掛けてみるけれど。
反応は無く、首を傾げながらトラックの扉、シャッター状になったそれに手をかけて、がらりと開くのだった。

その内部には机や二段ベッドからパソコン、果てはカーテンで遮られる簡易シャワーに溶接器具、単車用の車止め器具等、
生活用品や単車の整備に必要なものを備えており、本来の箱≠ェ持つ殺風景さとは程遠い、雑多な雰囲気を醸し出していた──


「ホントはお姉ちゃんと一緒なんだけど、居ないみたい」
「だから、気兼ねせずゆっくり──って、大丈夫?」

当然の話だが、トラックである以上、室内に上がるにはそれなりの段差を超えて、荷台へ這い上がる必要があった。
それを危惧してか、彩鈴はルーシェの背後で屈み込み、彼女の脚を抱きかかえるようにして、介抱しようとするのだった。

ルーシェが荷台へと這い上がれたならば、彩鈴もひょいっと飛び上がり、彼女に追従するはずで──
449 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 02:31:14.26 ID:jSIqjieR0
>>448

「わぉ…これは、本当に"家"ねぇ
 下手したら私の家よりも生活感あるかも…」

無機質な箱の中身とは思えぬほどの生活空間。
それを目の当たりにして、思わず感嘆した。

「…全然、大丈夫じゃない。……何せ、肘の骨が砕けてるんだから。
 ――…さて、どうやってのぼ……って、ひゃあッ?!」

荷台に上がろうとした瞬間。
脚を抱きかかえられ素っ頓狂な声を出してしまう。

「―……びっくりしちゃったじゃない。
 ちゃんと、事前に言ってほしいかな。でも、…うん。ありがと」

素直に感謝する彼女は、彩鈴の手助けもあって無事這い上がれた。
そして、軽快に飛びあがる彩鈴を見ながら―――

「そういえば、私にも妹が居たわねえ…」、と独り言をつぶやく。
姉と言うワードに対して、思わず口から零れ出たようだ。
450 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 02:45:21.45 ID:a84T6CzOo
>>449

「……まあ、かれこれ数年、本当にここに住んじゃってる訳だからねぇ」

紆余曲折あったらしく、腕を組んでしみじみと、一瞬ながら、回想に浸る。
さて、ルーシェの腕に板でも宛がおうかと、包帯と適当な大きさのものを探しながら──

「──へぇー、妹かぁ」
「あたし達は双子だけどさ、年下の家族なんて居なかったから、ちょっと憧れちゃうなあ」

それにしても、本当に様々なものを置いている家だった──
例えば彼女が漁っている机の上には、無造作に拳銃と剣が置かれているし、
壁には丁度壁掛けの要領で大量の銃器、恐らくは本物のそれが納められている始末だった。


「そいえばさ、キミってそっち系≠フお仕事なの?暗殺者とか傭兵とかさ」
「いや、キミみたいな人だと大体そういう業界の人だって思い込んでたもんだから、つい」

思い出したように問い掛けるけれど、警戒心は皆無で、純粋な興味から来た疑問らしかった。
そも、ルーシェがそういう職種の人間を嫌悪するような人柄でない──と踏んでいたのも、あるのだけど。
451 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 03:15:31.60 ID:jSIqjieR0
>>450

改めて内側から"箱"の中身を見回す。
日常と非日常の混ざり具合は程よく、それらの境界線など無い様に思えた。

「んーん、違うわよぉ。私は、曰く"頭のイカれた"一般人よ。
 暗殺者や傭兵だなんて命がいくつあっても足りなくわ、くすくす」

砕けた口調で彼女は二の句を継ぐ。
こういう遣り取りは最近では弟や妹以外にした事が無かった。

「でも、価値観とかは"そっち系"かな。だから息苦しくて仕方ないね」


そして、次に語るのは姉妹の事。

「別に良いもんじゃないわ。四六時中「お姉ちゃんお姉ちゃん」って纏わりついて。
 やる事なす事がうざったくて仕方なかった…ああ、思い出したくもない」

憧れをぶち壊しにする様な、生々しい言葉を連ねて。
それでもまだ、言葉を連ね足りなかったようで――

「ああ、でも。あなたみたいに愉快で"私寄り"だったら…
 妹"だけ"は殺さずに済んだって思うなあ……うん。ごめん。忘れて」

ある種の郷愁と追想。言葉の端々から妹が疎ましかった事が見て取れて。
けれど、"if"と言う夢想を口にしたのは彼女なりの願望だったのかもしれない。

「きっと、姉妹が仲良く出来るのは幸せな事よ。あなたも、そう思わない?」
452 :彩鈴(&彩楓)/ライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 03:30:46.10 ID:a84T6CzOo
>>451

「いやー……あたしも大概、纏わりついちゃってるんだけどね」
「双子だからー…ってのもあるんだろうけど、いつも一緒」「考え方だって、殆ど同じ」
「だから、年の離れた姉妹の感覚っていうのは正直、あたしにはわからないんだよねぇ」

表情を苦めながら、彩鈴は言葉を継いで、手にした包帯を掌の上で転がす。
以前も、意思と目的を持って家族を殺した人間に出会った事があった。
彩鈴はいかなる理由だろうと、そういう人間を咎めない──何故なら、自分とて同類なのだから。

「そうだねぇー、どんな境遇だろうと……あたしはお姉ちゃんと居られさえすれば、十分幸せだし」

照れ笑いをしながら「……で、ものは頼みなんだけど」
「今日はお姉ちゃん帰ってこなさそうだし、一晩、あたしのお姉ちゃん代行してみない?」
「ほら、一日くらい、こっち系の妹を持ってみるのも悪くないんじゃなあい?」

……なんとも意味深な発言をするのである。

「いやはや、わたくし、暗殺者ながらプライベートは結構寂しがりなものでして」

彩鈴はオンオフの落差が著しい少女だった──例えば、仕事中以外は甘えたがりであるとか。
453 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/22(火) 03:48:00.33 ID:jSIqjieR0
>>452

(幸せ…ね。私の方こそ、憧れちゃうな……とても自分勝手だけど)

苦虫を噛み潰した様な表情の彩鈴。
嫌な思いをさせてしまったな、と言う自省も相まって少しへこむ。
けれどそれは、突然の提案にて塗り潰される。

「……へっ!?」

『今、何と言った?
 一日代理の姉?』

思考が、停止する。
次の句を口にするのは、少し時間を要した。
数分の逡巡の後――

「―――…くすくす。お安い御用よ。
 さ、私の胸に飛び込んで来なさいな。甘えんぼで寂しがり屋な妹ちゃん♪」

彩鈴の一日代理の姉を引き受ける事にした。
彼女の夢想が、思わぬ形で叶う形となるこの状況にて。
454 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/22(火) 20:33:35.33 ID:xv4ryYqQo
下が回収されていないゴミ袋の溜まり場で助かった
数秒前までいた雑居ビルの屋上からゆうに十数メートル
まともな受け身ができていなかったので、
そのまま地面に落ちれば足首、腰の骨がやられていただろう
だが、ノーダメという訳にもいかない

「.......、痛」

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

その少年は幾つかのゴミ袋の大の字に転がった状態からゆっくりと起き上がる


実に数秒前ーー。
彼はあるターゲットを追ってビルの屋上を駆け抜けていた
ターゲットに能力を使わせないように最大の準備をし、最高のシチュエーションで

ただ、運が悪かった
たまたま偶然起きた出来事で形勢逆転
隣のビルに飛び移るジャンプしていてロクに回避もできない時に攻撃を受け
そのままビルの間のゴミ袋の海へ落下

「ッ....また逃がしたか...」

そう口にする哀れな少年を見ていた人物はいるだろうか
街からそう離れていない場所
ちょっとだけ大通りから離れ、一般人が近道にも使うような道
ただのゴミ捨て場だ、珍しくもない
それでいて、悪人の蔓延ってもおかしくない暗い場所
子供か大人か、善人か悪人かーーいるのだろうか
455 :彩鈴(&彩楓)/ヘッドフォンとライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 21:37:42.85 ID:a84T6CzOo
>>453

ルーシェが承諾するのを見て、彩鈴はようやっと、頭を覆っていたヘルメットを脱ぐ。
萎れてしまった二つ括りの髪を指で簡単に整えてから、傍らに置いてあったヘッドフォンを、頭に被せた。

他意は無く、ただ年上の人間への甘え癖が付いているだけ──とはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。


「あ、でもでも、本当のお姉ちゃんはちゃんと居るんだから……そこん所、勘違いしないでよ?」
「あたしは彩鈴(ツァイリン)──今更だけど、よろしくねっ」

照れ隠しだろうか。途中、ぷいとそっぽを向いて、釘を刺すようにして言うけれど。
それが終われば表情はまた、それまで通りの無邪気なものへと移ろい、「えへへ」、と後頭部を撫でながら。

「それじゃあ──、遠慮無くっ♪」

なんて、嬉々とした調子で自らを受け入れんとするルーシェに抱き着こうとするのだった。
両腕で彼女の胴体へ、縋るようにして──彼女の左肘には、まだ手当を施していなかった。
にも関わらず、彼女の両腕ごと包み込むようにして抱擁しようとするものだから──場合によっては、左肘が締め付けられてしまうかもしれない。


/
お返ししておきますね!
456 :三門陽 [saga]:2013/01/22(火) 21:44:44.15 ID:E98vwJzHo
>>454
「よォ、無事かい? あんた」

ゴミ袋の山をかき分けながら、少年の首根っこを引っ張り引きずり出す男がいるだろう。
声色や態度は少々乱暴だったが、どことなくお人好しの気配を感じさせる。
もし、大人しくゴミ袋の中から引っ張りだされれば、その声の主が視界に入るはずだ。

裏地に虎柄の生地が見える改造学ランを来て、極限まで脱色したのであろうプラチナブロンドの長髪を後ろに撫で付けた青年だ。
身長は比較的高く、体も鍛えられているのか、近頃の不良によく見られる貧相な体躯ではなく、細身ながらもがっちりとした体系。
顔の造作はそこまで整っているわけでもないが、口元に浮かべる不敵な笑みや、案外にも童顔気味な目鼻立ちのお陰で愛嬌は有った。
なぜか首には真っ赤なマフラー、そうヒーローがするようなそれを巻いて、如何にもな不良は相手を見下ろしているのだった。

「あれか? なんつーか、ヤクザの抗争的なアレにでも巻き込まれた系男子か?
 ま、生きてるなら大事がねぇって事で運が良かったな。小事くらいにゃ迷惑喰ってるかもしンねぇけどよ」

けらけらと笑いながら、怪我とかねぇか? と青年は聞く。
面倒見がいいのか、服にまとわりついたゴミを払いながら、ビルの上を見上げていた。
人の気配を感じたのだろうか。パッと見、路地裏でよく見る自分の分もわきまえずに人を襲って返り撃ちにされるタイプに見える青年。
だがしかし、その手のヤンキーとは、どこか違うようなそんな雰囲気も感じさせるだろう。
457 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/22(火) 22:15:13.80 ID:xv4ryYqQo
>>456
「ん...あぁ、悪いな」

見知らぬ赤の他人にゴミ袋の海から助けられ
引きずり出された後に着ているコートに付着した土埃とゴミを自分も払いながら
少しばかり軽い礼を、彼は青年に言った
このご時世、お空から降ってきた男を有無を言わさず助ける青年
こんな物好きもいるのか、と青年の顔を一瞥する

「ヤクザとは違うし、殆ど縁がない...
少し人を追っていてな、少々手こずったんだ
あと少しだったんだが...惜しかった」

あそこで追っていたんだ、と屋上を指差しながら少年は言う
屋上でその誰かを追跡、
きっと昔のアクション映画さながらの追跡劇だったのだろう
その結果がこのゴミ袋への落下なら何と無く頷けるだろう

「そうだ、一応聞いておくか...お前、学ランを着た黒髪の女を知らないか?」

よく見かける場所とか、よく見かける時間を聞いてくる
だが青年には面識がないだろう、あっても街中の雑踏の中で少し見かけるか
見ても記憶が摩耗し、ないも同然だろう
しかし全くこの人物に覚えがなくとも
彼がその女性を追っているというのは理解できるはずだ

458 :三門陽 [saga]:2013/01/22(火) 22:23:58.61 ID:E98vwJzHo
>>457
「なぁに、気にすんな。
 親方空からガキが! って感じだが、見捨てるほど俺ぁ薄情でもねぇし」

あんだよ、とこちらの顔を一瞥する相手に、目を眇める青年。
童顔気味の為、そこまで凄みはない。
もとより喧嘩を売る気などもさんさらないという事もあるのだが。

「なんだ、アレか。
 ハリウッド的にビルからビルへ飛び移りながら走ってたわけだな。
 まあ、他人の趣味をどうこう言う訳でもねぇけど、とりあえず足元確認は気をつけるべきだぜ?
 俺もこの前全力ダッシュしてたら石ころに躓いて頭七針縫って死にかけたしよ」

そう言って、髪に分け目を作ってほれほれと見せる三門。
やたらと馴れ馴れしい&フレンドリーな男だが、これがデフォルトだ。
髪の分け目からは、大分生々しい縫合痕が見えるだろう。
他にも袖口から覗く肌や、拳などには刀傷や銃痕が有るのが見えるはずだ。
只のヤンキーにしては、普通の喧嘩ではつかない傷が多いと言えた。

「悪いが知らねェな。
 ……なんだ、悪人かい? だったら顔とか教えてくれりゃ俺ぶちのめしに行くけど。
 なにせヒーローだからよ、ヒーローな!」

悪人か、と問いかけるヤンキー。
この男、ぱっと見ではそういう方向性とは全く持って対極なのだが、自称ヒーローなのだった。
459 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/22(火) 22:47:21.49 ID:xv4ryYqQo
>>458
「そうそう、昔見た映画のマトリッ....じゃない、
俺のはミスではなく、ただジャンプ中の回避行動無理な時に攻撃を受けただけだ」

俺のミスじゃないと言い切るあたり強情なのかも
ただ、青年の傷を見ても全く痛々しく目を背けたりしない
もしかしたら服の下など、見えない所に似たような傷を彼も持ってるのだろう
ビルの屋上でジャンプでビルとビルの間を駆ける様な連中だ
傷を負っても不思議じゃない、彼はそういう稼業の人間だろう

「いや、悪人には違いない...己の快楽の為に人を[ピーーー]殺人鬼だからな
罰を下す目的もあるんだが...そいつと昔から腐れ縁があってな
この手で殺さないと気が済まないんだ」

と、懐からナイフを取り出す
使い込まれてるであろう日本製の片刃の小刀
綺麗に手入れされたそれは、その綺麗さ故に
血を欲するような、殺人を望む様な風格がある

「吸血鬼だ、お前は信じるか?」

彼はヒュンと空を切ってナイフの切っ先を何処とも言わぬ方向に向けて聞いた
ハリウッドの映画話から神話のような御伽噺に変わる
そういえば、巷で血を抜かれる事件が多発してるという
そんな不気味な噂話を聞いた事があるかもしれない
どうやら、その学ラン少女は吸血鬼なのだと
なんとも信じ難い話だ
460 :三門陽 [saga]:2013/01/22(火) 22:56:34.20 ID:E98vwJzHo
>>459
「――なるほどそりゃあ悪だ。
 だけどよ、一応俺ヒーローな分け、俺の前で殺すとかサクッと言わねーで頂戴や。
 とりあえずアレだ、見た目の特徴とか名前とか、情報教えてくれれば、俺も探しとくぜ。
 ヒーローだからよ、やっぱり悪人はぶちのめさねぇと」

なんとも頭の悪い発言をする男だが、なんだかんだでお人好しだ。
殺すと言っても、殺しはダメだ! と発狂して殴りかかるわけでもない。
そういう考えもあるだろうが、己の前では言わないでくれ、とやんわりと指摘する青年。
そして、悪人なら倒すのが自分のルールと決めている三門は、その殺人鬼についての情報を聞き出そうとしていた。

「ま、居るだろ、吸血鬼ぐらいよ。
 能力者だってそこらにはびこってんだぜ? 今更吸血鬼くらいで驚くかっての。
 俺なんてこの前野良ミミックに肉まんやって餌付けしてたしな」

吸血鬼、と聞いても特段三門は驚く様子を見せない。
肝が座っているのか、馬鹿なのか。きっとその両方だ。
少なくとも、肝が座っていて馬鹿でない奴ならばミミックに出会えば殺しにかかるかもしれない。
また、肝が座っていない馬鹿ならば怯えたまま逃げ出してしまうことだろう、そしてその後勝手に武勇伝をでっち上げる。
しかしながら、野良人外に肉まんを餌付けするのは、両方兼ね備えている馬鹿の中の馬鹿くらいなものだ、多分。

「本当に吸血鬼かどうかは別にしろ――物騒な話だなあ。
 こりゃ、やっぱり俺の正義の鉄拳で制裁するしかねェな!」

ばさり、と首に巻いたマフラーを靡かせて、割りと癇に障るどや顔をする青年。
全く物怖じしていない所か挑む気まんまんなのは、やっぱり胆力と馬鹿を兼ね備えているからか。
相手がナイフを先ほどから振り回していても、動じる様子が無いのもまた度胸があるからだったろう。
461 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/22(火) 23:13:13.83 ID:xv4ryYqQo
>>460
[ピーーー]、なんて事を言うなとの事
別に気にはならないが少し以外だった
ヒーローなのは構わないが、人殺しもせずに誰かを守れるのかと
そんな自分の歪んだルールのお陰で彼の言動に首を傾げつつ
情報提供なら構わないか、と

「情報ならやるよ、名前はアリサ、アリサ・エクルストン...だったか?
さっき言った様に学ランを着てる黒髪の女だ」

少年は続ける
活発そうな紅い瞳で八重歯が特徴的
一回り小さい学ランを着て自分の胸元を強調している
いつも楽天的で非常にうるさい女
...らしい、少年はそう言った
女の子が学ランを着ている時点で目立つのだ
主に男性向けなのか、その視線誘導的な着こなしがきっと目立つと思う

「あー、きっとお前みたいな男だと言いくるめられるぞ?
気を許してたら、血ィ吸われるかもな」

彼が単に鉄拳制裁という名の暴力行為に固執する人間なら
きっとその吸血鬼にも怯まないだろう
色んな意味でその吸血鬼に襲いかかる事ができるだろうが、この男は違う
お人好しの部分が何処かにある気がするからだ
ふとした拍子に、油断するかもしれない
相手は色仕掛け泣き落としを使う女だ
こんな下らない策に引っかかるような気がしてーー。

そういう所を指摘する辺り、この少年も何処かお人好しなのだろうか
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/01/22(火) 23:19:30.72 ID:jSIqjieR0
>>452

「はいはい、さみしがり屋の甘えんぼの彩鈴が言うと可愛らし、へくちッ…
 ――……うぅ、くすくす。締まらないわね…。私の、ルーシェ・ヴァ―ミリアンの、姉としての威厳ゼロね。」

顔を逸らしての照れ隠しの言葉は、何だか滑稽だったが
それ以上に締まらない自分の姿はそれよりも一層滑稽だった。

そして待ちわびていた様に彼女の体に抱き着く彩鈴。
きゅっ、と抱きしめられた時、最初に感じたのは左ひじの痛み。
柔らかな少女の感触も、少女のいい匂いも、苦痛に邪魔された。

「―――…づうッ!……くっ、はぁッ……
 …抱き着くのは、嬉しいけれど。順序があるでしょ?
 だから抱き着くのは、手当が終わってからよ…へくちッ」

やはり締まらない。とりあえず彼女は苦笑交じりに彩鈴に
当て木と包帯、痛み止めとしてここにあるだけの頭痛薬と、タオルを要求した。
463 :三門陽 [saga]:2013/01/22(火) 23:26:22.02 ID:E98vwJzHo
>>461
「アリサ・エクルストンな、おっけー分かった。
 ちょい待ちな、ケータイでメモるから」

そう言って、携帯を取り出すとその場で高速でフリック入力を始めて話をメモり始めた。
こりゃアイツにも教えとかねーとな、とぼやきつつも、三門は携帯のロックを戻してポケットにしまい込む。
見た目だけなら普通にこの地域でもたまに見かける程度に個性的な存在だ。
吸血鬼と言ったらやっぱしマントとかじゃねェのかねえ、と思考しつつ、紫音の言葉に耳を傾け。
がつん、と両拳を打合せながら三門は、だはは、と馬鹿っぽい高笑いを響かせる。

「残念ー、これでも案外硬派なわけよ俺は。
 一度決めたっけ女でも殴る主義だしな、相手が来るなら俺も殴るさ。当然な。
 殴ってボコして泣かせてそれでも更生しないなら、流石に手段は考えるけどよ。
 別に殺されさえしねェなら、献血くらい分なら血ぃくれてやってもいいけどなあ」

最後の発言に、この男のお人好しさが帰結していた。
なんだかんだで情を見せてしまうのは、この男の良い点でも弱点でも有った。
それでも、この男が自分の決めたことを曲げることはそう有ることでもない。
その甘さを抱えたままに戦うというのならば、三門はもっと強くならねば先に進むことは叶わないだろう。
強くならねば、この男はきっと遠くない未来に死ぬ。それでもきっと後悔はしないだろうが。

「てめェも気をつけろよ?
 ここんところ、円環がどーのとか、ドア開けたら二秒でドラゴンとか変な噂よく聞くからよ。
 俺なんざ腕っ節アレだけどお前どーみてもひょろいじゃん、肉とか喰ってんのか? 草食系男子とかガリになっから、肉食っとけ肉、あと筋トレな」

なんというか、脳筋発言を吐き出す男。
それでも、初対面の相手にここまで親身に対応する当たり、なんというか警戒心が薄い。
464 :彩鈴(&彩楓)/ヘッドフォンとライダースーツ [sage saga]:2013/01/22(火) 23:42:02.27 ID:a84T6CzOo
>>462

「ルーシェ……ルーシェ♪」 彼女の名を、リズムに近い抑揚を付けて連唱しながら、その背中へ手を回す。
「っていうか、自分で言った手前何だけどさーぁ……その、さみしがりの甘えんぼって、やめてくんない?」

お姉ちゃんと呼ぶのだけは、実姉……、楓に対してだけ、という事にしていた。
“楓のせい”とはいえ、他の人間を姉と呼ぶのは何だか、楓に対する裏切りな気がして──気が退けたから。
途中、ルーシェの余計な一言に対して上目遣いに睨み付け、口を尖らせるけれど、表情が苦痛に歪んでいるのを見て


「……あ、ごめんなさい───……っ、ほ、包帯と当て木と──頭痛薬だね?」

待ってて、と言い足してから彼女の体から一旦離れ、先程漁っていた机の方へ、慌てた様子で戻るのだった。

「え、えと……とりあえず、これでいい、かなぁ……?」

暫くしてから、幾分か気まずそうに視線を逸らしながら、彩鈴は一通りのものを傍のテーブルに置いて、
それから、ルーシェの左肘へ当て木を添えて、包帯を巻き付けていこうとする──
465 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/22(火) 23:43:53.59 ID:xv4ryYqQo
>>463
「話によるとあいつにとっての吸血行為って食欲よりも性欲に近いらしいから
献血程度で満足はしないと思う...が」

やっぱりお人好しだ、と少し笑う
先程までの堅苦しい表情が緩むのを青年にも見えるだろう
だが、彼なら安心できるだろうと何故か思えれた
お人好しには変わりない
血を吸って[ピーーー]吸血鬼相手に献血程度と許すのに
それでも、何故か彼を信用することが出来たのだ

「明日...1秒後に生きる事が奇跡って言われるような世界を見てきたからな
一応、それなりに頑張ってきたつもりだがな...こういう身体つきなんだ」

少し自分の身体を見てみる
腕から肩、腹から腰回りへ脚や足
やはり細い雰囲気だ、少々筋肉についてるだけの華奢だ
というか、体付きは女性っぽかった
引き締まった腹部から腰回りにかけての謎の曲線
男っぽさ、というものは彼の身体には向いてないご様子
あんまりジロジロ見てると“...なに見てるんだ”とツッコミが飛んできどうな

「そうだお人好し、まだアンタの名前聞いてない
俺は紫乃咲だ。紫乃咲紫音」

そう言って携帯電話を持ち出す
例の学ラン吸血鬼、その情報交換様だ
情報を集めても、伝えれなければ意味がない
466 :三門陽 [saga]:2013/01/22(火) 23:51:38.46 ID:E98vwJzHo
>>465
「ほォ……、まあなあ。しゃーねーわな、そう生まれついたもんはどうしようもねぇ。
 俺なんざ、何処にでも居る只のヤンキーだったってのに、今はヒーロー志望だしよ。
 世の中割りと何が起こるか分かんねぇぜ? いい方向か悪い方向かは分かんねぇけどな」

三門は、正真正銘普通にヘテロな性癖を持っている人間であるため、男に欲情する事は無い。
それでも、やはり細いなー、良く落ちて骨折らなかったな、とは思っていた。
しかし、じ、と見る視線の中にもいやらしさや挙動不審さが無いため、不快さはそれほど感じないはずだ。
全くもって、対照的な体格であった。

「三門陽。……あ、ヒーロー名乗るんだったらやっぱりコードネームとか決めたほうがいいのかね。
 そーだよ、マフラーしてヒーロー言ってんのに、三門陽なんて締まらねぇよなあ、じーちゃん付けてくれた名前だからバリかっけぇけどよ。
 ま、いいや。とりあえずよろしくさんー、って訳でメアド交換な、ほいほいっと」

手慣れた様子で携帯を弄り、互いの連絡先を交換しあう。
しかしながら、なんとなくでは有るが、正義の味方ではないような気がした。
その為、尾形と共に作っているメーリングリストに登録する事は、やめておいた。
467 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 00:02:26.88 ID:VtsheCp70
>>464

気まずい空気が彼女たちの居る空間に漂い始めた。

応急措置を受けてる間、テーブルに置かれた頭痛薬を
貪る様に掻き込み、噛み砕き、飲み込む。気休め程度だが、痛みが和らいだ気がした。

「これで良いわ…ありがと。………」

二の句が出てこない。余計なひと言が彩鈴の癇に障ったようで。
他人の踏み入って欲しくない場所に土足で踏み込んだ自分の浅慮が愚かしい。

気まずい。間が持たない。堪えきれない。
ルーシェはタオルで顔を隠しながら濡れた髪を拭き始め…。

「…………、ごめん。踏み越えちゃいけない一線ってあるわよね
 姉の代理って言っても所詮赤の他人だし、ね」

タオルに隠れて表情がよく見えないが、言葉には自嘲がにじみ出ていた。
要らないモノなら壊せたのに、彩鈴は気の合う少女だから壊したくなくて。
故に、彼女らしからぬ他人を配慮した言葉を口にしたのだった
468 :彩鈴(&彩楓)/ヘッドフォンとライダースーツ [sage saga]:2013/01/23(水) 00:19:55.83 ID:UnST6rqYo
>>467

……言い過ぎたろうか、鈴もまた、恐らくはらしくない心配をしていた。
「あ、ごめ……」似た者どうしだからこそ──だろうか、気に遣る部分も、気のせいか似通っているようで。

「──うぅん、気にしないで」「あたしは……一人で居る方が、ずっと嫌だから」
「それに、お姉ちゃんも大体そんな口調だしね?ルーシェが思っている以上に、軽口叩き合ってるからサ」

「嫌よ嫌よも何とやらーって、だから、あんまり気にしないで?」
付け加えてはにかみながら、ルーシェの動作を追従するようにして、鈴もタオルを手に取り、首を辺りを軽く拭う。
自宅という事もあって、鈴は雨の事を気にかけていなかったけれど、ルーシェの仕草を見て。


「そいえば…大丈夫なの?」「結構長い間晒されてたみたいだし、さっきもくしゃみ、してたじゃん?」
「服も乾かすなり、しなくちゃだし……あ、今暖房入れるね?」

壁に掛けていたエアコンのパネルを弄りながら、彼女の体をじろじろと見つめるのだった。
妙な意図がある訳ではなく、他に負傷した所はあるかであるとか、服装を検める意図を込めてのものだ。
「何なら、シャワー貸そうか?」件のタオルを首にかけながら、ちらりとルーシェの顔を見て、言った。
469 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 00:43:51.31 ID:VtsheCp70
>>468

「…うん。…ならもうしみったれた空気は止め……ね。
 彩鈴が許してくれるなら、気にするのは止める、よ…」

どうしてだろう?弱弱しく、しおらしい言葉ばかりがあふれ出る。
そして、顔を隠したタオル越しに映った彩鈴の微笑が綺麗に見えた。

「…ん、ありがと。シャワー、借りるね。
 あと、……体はあまり、大丈夫とは言えない、かも
 くしゃみもそうだし、路地裏逃げる前に白髪の陰険鎖野郎に痛いの貰っちゃったし…」

芳しくない顔色のまま、フラフラとシャワー室まで歩き、服を無造作に脱ぎ捨てる。
脱ぎ捨てられた衣服には、無数の血痕や裂傷が見受けられる。
そして、一糸まとわぬ後姿にも無数の傷痕が残っていた。

―――ザァァ、とシャワー室に水の撥ねる音が鳴り響く
無造作に熱湯を出して、熱湯を浴びながら壁に凭れかかる。
そんな状態が十分以上続いた。どうやら疲労がどっと押し寄せたようだ。
470 :彩鈴(&彩楓) [sage saga]:2013/01/23(水) 01:00:08.67 ID:UnST6rqYo
>>469

「うん、わかった──」「傷……やっぱり、他にも受けてたんだ、無理、しないでね?」

という言葉を添えて、乳白色のカーテンで遮られた簡易シャワーに向かうルーシェを見送ったのが、10分前。
その間に自分も体を乾かして、薄手のシャツとスパッツ姿に着替えていたのだけれど。


「……ルーシェ、ルーシェー?」「まだ上がらないのー?」

如何せん、遅い。ふと、先程の傷跡が頭を過る──まさか、なんて想像をしてみたりして。
一抹の不安を抱きながら、ぺたぺたと裸足でシャワー室の方へと歩み寄り、
「入るよ──」意を決してカーテンを掴んで、一挙にそれを捲るのだった。


「──って、大丈夫!?傷が痛む──のかな?それとも、熱?」

視界に飛び込んでくるのは当然の如く、壁面に体を預けるルーシェの姿。
彩鈴はその状況に眼を丸く見開き、咄嗟に湯を止めて、彼女の傍に屈み込む。

額に手を当ててみたり、他に目立った傷は無いか、視線だけで、彼女の体を軽く調べてみるけれど──?
471 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 01:18:51.97 ID:VtsheCp70
>>470

後ろ姿からも想像出来るようにルーシェの体は傷だらけであった。
無数の刺し傷、と一層深い傷を塗り潰す火傷の跡、打撲による痣。
逃亡の際に貰った、ありがたくも無い傷痕たちである。

「―――…ん、……ぁあ
 彩鈴?―――…どうしたの?私は、……だいじょ…ぶ…」

額に当てられた手は、熱湯とは別の熱を感じ。
彩鈴の耳には、彼女の苦しい息遣いが聞こえるだろう。

緊張の糸が切れ、興奮によるアドレナリンが切れた結果であり。
蓄積されたダメージが、どっと押し寄せた結果でもある。

「―――……かっこ悪いトコ、見られちゃったなぁ…」

もう少し、騙せると思っていた。けれど、騙せなかった。
現に彩鈴に心配され、世話をかけている。

「…もう、だいじょ…ぶ だから…」と強がって立ち上がろうとしても
立ち上がれず仕舞いであった。
472 :彩鈴(&彩楓) [sage saga]:2013/01/23(水) 01:36:54.46 ID:UnST6rqYo
>>471

既視感を覚える光景。楓とも、何度かかわした遣り取りだった。
強がるルーシェの姿を、彩鈴は知らず知らずのうちに、実の姉と重ね合せていて。

「全然、……全然、大丈夫じゃないじゃん……!」
「あたしたち、少なくとも今夜は家族なんだから──強がりなんて、ダメだよぉ──、ッ」

「恰好悪くても、今のルーシェはあたしのお姉ちゃんなんだから──……!」

見るに堪えない彼女の体に、ひどく表情を歪ませながら、背へそっと、腕を回して。
その貧相な体格からは想像のつかない程の力で抱え上げ、ベッドまで運ぶのだった──


「うーん……これ、ひょっとしなくても“お姉ちゃんだー”なんて、言ってる場合じゃなかったり……する?」
「その怪我じゃあ、今まで立ってるだけでも大変だったろうにさ……」

無事にベッドまで運べたならば、鈴は適当なバスタオルをシーツの上に敷いて、寝るように促すはずで。
「あ、何か要るものある?」彼女が安静にしたのを確認してから、やれ氷枕だの換えのタオルだのを漁り始めるだろう。

ふと漏れた、その呟きは、ルーシェを案じてのもの──だったのだけれど──?
473 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 01:54:17.55 ID:VtsheCp70
>>472

「―――……」

この遣り取り。以前にもあった事を思い出す。
そう、妹に命を助けてもらった一月の初めの出来事。
丁度その時、妹も彩鈴と同じ様に沈痛な面持ちだった。

「―――……ぁあ、嫌に……なる
 私、………何やってんだろ……、お姉ちゃ、…ん、失格、ね…‥」

口にした自己嫌悪と、一日限りの"妹"への謝罪と共に
彩鈴の痩躯からは連想もできない力で抱き抱えられ、ベッドまで運ばれる。
その時に熱とは違う、人の温かさを感じ取ったのは錯覚でないと信じたい。

「……そうね、水が欲しいわ。あと、……」

言い噤む。独りじゃ寂しいから傍にいてほしい。
他人を軽んじてきた彼女とは思えない言葉が喉につかえる。
けれど、顔色や瞳は――彩鈴が傍に居てほしいと訴えていた
474 :彩鈴&彩楓/パーカー&コートの双子 [sage saga]:2013/01/23(水) 02:11:55.67 ID:UnST6rqYo
>>473

「家族に失格なんて無いよ……そうじゃないと、あたしだって妹失格だしね…っ?」

姉妹二人、生活を共にしていた彩鈴だけれども──“姉”を介抱する経験というのは、初めてだった気がする。
ルーシェは実の姉でこそなかったけれども、そういういきさつもあってか、彼女は随分張り切っているようにも見えた。

「えっと、水だよね……」
「大丈夫大丈夫、あたしに任せてくれれば、風邪なんてあっ!という間だよ?ほんとだって!」

クーラーボックスから冷えたミネラルウォーターを取り出し、その他の物品を抱えて、鈴は再び、ルーシェの下へ。
ころころと喉を鳴らしながら乾いたタオルを手にして、ルーシェの濡れた体を、丁寧に拭っていってやるのだった。


「ん?ルーシェ…今、何か言った?」

途中、何かを求めるような視線に気付きこそしたものの、喋っていた手前、その意図までは汲み取れず。
「何か、欲しいの?」素朴な疑問を間の抜けた、それでいて気に遣るような、顰めた表情で投げかける。
475 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 02:25:51.06 ID:VtsheCp70
>>474

「くすくす…頼もしい、妹だこと」

息も絶え絶えながら、彼女は微笑む。
彩鈴の励ましの様な言葉と、張り切ってる姿に連れて。

『何か言った?』その言葉が出るのは無理もない。
眼で語るにはやはり年季が足りないし。解るはずもない。
自分の中でそう決めつけながら、内心解って欲しかったなとも。

だから、弱り切った今の自分の立場を使って
…顔を赤らめながら、体を拭いてくれる彩鈴に

「―――……添い寝、して。
 ……‥一日くらい、妹に甘えてたい……」

聞えるギリギリの声で。しおらしい口調で、甘えた。
476 :彩鈴(&彩楓) [sage saga]:2013/01/23(水) 02:44:45.77 ID:UnST6rqYo
>>475

──いつもの鈴なら、もう少し察しが良かったのかも、しれないけれど。
鈴は頬を染めてまごつくルーシェを見て、焦りすぎたかな、と、数瞬前の自らを省みる。

「……ごめんね?あたし、結構馬鹿だし──ちょっと、気負いすぎてたかも」

唇の隙間から舌先を覗かせ、えへ、とばつが悪そうに笑みつつ頭をぽりぽり掻いて。
それから、それまでの言動からは想像もつかないような声音で囁くルーシェに、
鈴はひどく驚いた様子で眼をぱちくりさせて、それから、にやけにも近い笑顔を湛えて、口を開く。


「あっれぇー?」「さっきまで甘えたで寂しがり、なぁーんてヒトに言ってたのは、どこの誰だっけぇ〜っ?」

茶化すような軽口、それでいて、鈴は不快感を与えないような快活な表情と、親愛を込めた声色をしていた。
ルーシェの伏せるベッドの上へ尻を落とす、ぼす、という曇った音と同時に、ルーシェの頭をそっと撫ぜて。

「まあ、大切な姉の──たっての願いっていうなら、断る理由は無いよねぇっ?」

これは余談だが──彩鈴、実姉が居る夜は、ほとんど毎晩彼女と添い寝をしていた。とても、人の事を言えた身分ではない。
鈴も、ルーシェの横に並ぶようにして足を置き、上体だけを浮かせた状態で彼女と向き合う──のだけれど。

「……あ、服、だったね」
そういえば、そうだ。思い出したように零してから、着られる?と、先程傍に置いていた鈴の寝巻を指差す。
着られない事は無いだろうが──小柄な鈴のそれは、身に纏うと幾分窮屈に感じられる、かもしれない。

477 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 03:02:27.96 ID:VtsheCp70
>>476

「〜〜〜〜ッ!…うるさい……これは、これ。それは、それ……なのッ!
 お姉ちゃんの、…いう事は絶対なんだからぁ……だから…その、…あの……」

ブーメランとはこの事か。
自分の茶化した言葉がそっくりそのまま返ってくるとは夢にも思わなかった。
思わぬ仕返しに、ますますドギマギして。何を言ってるか解らなくなる。

その果てに用いるのは姉と言う立場の横暴であった。

「一応着れるけど……窮屈。主に…、胸が。
 私の胸はそんなに大きかったかしらね?くすくす」

さっきの仕返し。絶壁の様な彩鈴に対しての、意地悪。
風邪で弱っている女とは思えぬ意地の悪い笑みを零していた。

そして、意地悪の後に彼女は上体を起こし彩鈴に抱き着く。
左肘の痛みで左腕は動かせないが、体を密着させて。
右腕だけ彼女の背中に回し、「…さいしょの、しかえし♪」と耳元で囁いた。
478 :彩鈴(&彩楓) [sage saga]:2013/01/23(水) 03:18:12.24 ID:UnST6rqYo
>>477

にやけた笑いでどもるルーシェを眺めていたのも、つかの間の話で──

「……んな!?そ、そそ、それは関係無いんじゃないかなぁ──ッ!」
「だ、大体仕方ないじゃん!動き回る仕事だから、無駄なものは付かない体質なのっ!」

不意の反撃に、今度は鈴が言葉を詰まらせ、弁解しながら、首を慌ただしく左右に振って。
無駄なもの、と言いながら、あからさまにルーシェのそれを羨んでいるあたり、判り易い性格と言うべきだろうか。

その隙をついて、ルーシェに真正面から抱き着かれ、耳元で囁かれた──その瞬間の事だ。


「ひぁうぅっ!?」
「ちょ、おねえちゃ……う、…ルーシェぇ……そ、それ……だめだってぇっ……!」

びくん、と背筋を一瞬痙攣させてから、直後、へなへなと急激に、体から力が抜けていって。
漏れる声は上擦った、どこか煽情的なもので──支えを失った体は、ルーシェの方へ、もたれるようにして傾いていく。

鈴は人並み外れて聴覚が良かった。それ故に、大音響や囁きに弱いという、いわば弱点を備えていて。
ヘッドフォンはそれを防ぐ為の措置だったのだけれど、こうまで接近されては、役に立つはずも無く──
479 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 03:31:24.84 ID:VtsheCp70
>>478

「…?……そんなに、擽ったいの?
 ―――…へぇ、耳元が弱いのね、彩鈴」

甘い誘惑――だなんて毛ほどにも思わず。
むしろ、子猫のじゃれ合いを思い描いていた。
だから、一瞬何が起きたのか解らなかった。

「くすくす…とても、良いことを知ったわぁ
 これから彩鈴を黙らせるには"これ"が一番ね」

弛緩した、いやどこか蠱惑的な表情の彩鈴を支えながら
彼女は彩鈴の体を優しくベッドへと運んでいき、同時に自分も横になる。
彩鈴の瞳には、意地悪ながらも、柔和で優しく微笑む彼女が映る筈だ。

「…もっと、甘えて良いかしら?
 一日は、……一夜は短いんですもの。ねぇ彩鈴」

きっとここまで甘えられるのは魅惑的で魅力的な彩鈴(いもうと)のせいだ。
だから―――とことんまで甘えようと心に決めた。
480 :彩鈴(&彩楓) [sage saga]:2013/01/23(水) 03:49:49.39 ID:UnST6rqYo
>>479

「……うぐ」 悔しげに歯を噛みしめて、少々ばかり悔しげに、ルーシェを見詰める。
けれどもこの、打ち解けた一時がどこか心地よくもあって、鈴はやがて、含み笑いをもってその表情を氷解させる。

彼女にされるがまま、互いに向かい合う形で横になって、赤面こそしているが、緊張した様子は無い。
こういう状況にありがちな心臓の高鳴りも、不思議と無かった。
それはきっと、ルーシェの事を他人としてでは無く姉と認識している事の裏付けで──

「──うん、ルーシェ……そのかわり、あたしも一杯、甘えちゃうからね?」

彼女の微笑みを、そっくりそのまま真似た表情で応じてから、鈴はもう一度、ルーシェの背中へ手を回して。
それから抱き寄せるようにして彼女に縋り、眼を細めながら、彼女の体に頭を埋めるのだった。
481 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/23(水) 03:58:47.91 ID:VtsheCp70
>>480

背中に回される手。そこから伝わる彩鈴の息遣いと体温。
それはとても、とても、甘くて、甘くて、甘くて。
痛みも疲労も全てを置き去りに出来るくらいに甘かった。

「――ええ、おたがい甘えあいましょ?
 だから……――――」

そして彼女は、彩鈴の温もりを肌で感じながら
彩鈴と同じように、頭を埋めて、抱きしめながら眠りに落ちるのだった。

―――……おやすみ、彩鈴 

//二日間に及ぶ絡みお疲れ様でした!
//とても楽しかったです!こんな夜分遅くまでありがとうございましたッ!
482 :彩鈴(&彩楓) [sage saga]:2013/01/23(水) 04:10:31.00 ID:UnST6rqYo
>>481

で、鈴はじっと、はにかむルーシェの顔を見詰めていた。
お互いの吐息が混ざり合う程の距離、呼吸をするその都度、全身に染み渡るような、安心感。
それは姉、彩楓と寝床を共にしている時の感覚に良く似ていて──

「──ルーシェ?」

問い掛けてみるけれど、返事は無い。彼女を抱く腕の力を、より一層強めて。
まどろみの中、言い知れぬ浮遊感に身を預け、鈴もやがてすぅすぅと寝息を立て始める───

「……ん、おねぇ…ちゃん」

その寝言が実の姉か、はたまたルーシェに向けられたものなのか──
──答えは誰にも、鈴にさえ、わからなかった。


/
お疲れ様でしたっ 僕も楽しかったです
長々とお付き合い頂き、こちらこそありがとうございますねー!
483 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/23(水) 05:45:55.54 ID:dy5ZW8kzo
>>466
「...名前は大切にしろよ、そう多く貰える物ではないからな...」

ふと、そんな事を呟く
それがどういう意味なのか、彼に分かるだろうか
呟いてる紫音自身も分かってはいないのだが
ただ、脳裏に浮かぶ誰かを
このネーミングセンスが無いのにとぼやきながら名前を考えてくれた人を
何処か、思い出していたーーかもしれない

そんな事を言いながら、紫音もメアド交換を終える
最近、メアドにいる人間が増えたなと
そんな事を思いつつ、携帯を懐にしまう

「じゃあ、また見つけたら連絡をくれ
うるさい女だ、すぐに見つかると思う」

そう言うと、彼は再び走り出そうとする
目的地は無く、ただ無差別に血を吸う吸血鬼を
止めなければならないから
これ以上の犠牲が増えないように

彼の背中が遠くなるまで時間がある
声を掛けるのなら今だろう


/返信遅れて申し訳ないです...!すみませんでした!
484 :大坂澪(食事処みおつくし店主)小春(勝手に居着いた幽霊) :2013/01/23(水) 20:45:40.89 ID:89uSpAVG0
みおつくし店内…
皿が、浮いている。料理が、勝手に運ばれている。

「何してんねん…」

疲れたように呟く店主の視線の先には、幽霊っぽい少女がいた。
幽霊と言っても霊感が無くても姿は見える、声も聞こえるという何とも幽霊らしくない幽霊だ。
姿格好もデニムのスカートにシャツと、浮いている以外はどう見てもただの少女。

{ひゃはははは!どう!?便利じゃない!?
お客さんの所まで行かなくても料理を運べちゃうよ!}
「アホ、お客さん怖がって逃げてまうやろ…」

幽霊のくせに、生きている店主よりよっぽどいきいきしている。
…もっとも、店主を疲れさせているのも他ならぬこの幽霊なのだが。

{ちぇー…せっかく便利だと思ったのにー…}
「ハァ…」

いつもより賑やかな店内。今客が来たらどうなるだろうか…
485 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/23(水) 21:03:18.57 ID:cgae18Puo
>>484

「あの―、開いていますかー?」

開いていてくれ・・・心の中で強く願う。
入り口には茶色いローブを着た長身の青年。間違いなく
今の時代ではめずらしい服装、そして彼の後ろにいる
通行人の好奇の目。どうやら逃げてきたらしい。

(って、浮いている―?)

ウィズが入り口で見たものは浮いている皿や料理。
空中に浮いている料理や皿達を見て、彼は客であることを
忘れ呆然と立ち尽くした。


486 :大坂澪(食事処みおつくし店主)小春(勝手に居着いた幽霊) :2013/01/23(水) 21:16:24.50 ID:89uSpAVG0
>>485
「あー…、もう閉店時間なんやけd{開いてるよ〜!!どぞどぞ〜!!}
「え!?」

澪の台詞を食い気味に、小春が出てくる。
戸口まで行き、お出迎え。…浮いてるけど。

{じゃ〜ん、自動ドア!ハァッ!}

後ろの引き戸が勝手に閉まる。もちろんこの幽霊の仕業。

{どうしたの〜?おいでよー!}

驚くウィズそっちのけで店を案内する小春。

「…お願いやから、もう少し静かにして…」

店の奥では、大坂が座っている。
もう店を閉めようとしたのに…この幽霊は仕事と疲れを増やすのだ…。
487 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/23(水) 21:36:00.38 ID:cgae18Puo
>>486
「・・・・・な!」

突然、まるで自動ドアのように閉まった引き戸に
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
ただの食堂に入ったがだけのハプニングの連続により

(な、何が起きているんだ―)

彼はものの見事に混乱していた。もはや食堂に来た
理由すら・・・とまではいかなくともそれでも食堂に行った
精神状況ではない。

「こ、これは一体・・・・。」

多少、冷静さが戻ってきたのか、大阪を見て一言。
冷静さが戻ったとしてもその目は定かではなく、揺れていた。
今、彼は食堂に何が起きたのかという事のみに思考が集中していた。
488 :大坂澪(食事処みおつくし店主)&小春(勝手に居着いた幽霊) :2013/01/23(水) 21:47:40.87 ID:89uSpAVG0
>>487
「え〜と…エラい賑やかな居候でゴメンな…
何か勝手に居着いた子なんやけどな、この通り元気すぎて…疲れる…」

店主は呆れたように言った。
居候と言うにはあまりにも落ち着きがない気がする。

「…ま、とりあえず何か食べる?せっかく来てくれたんやし…
あの子はな、幽霊なんやって。あれで死んでるとか信じられんわ…
ここの居心地がいいって住み着いたんやけど…」

つまり、元気な幽霊が小料理屋に居着いて、元気にはしゃいでいる、というわけだ。
489 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/23(水) 22:35:37.64 ID:cgae18Puo
>>488
「い、居候・・・。確かにちょっとお転婆なような・・・。」

彼女の様子から見て、なるほど、と納得した。確かに
毎日がこの騒がしい様ならここまで呆れるのも
無理はない。とはいえ

(楽しそうだな・・・。)
こんな騒がしいというのも、一度はすごしてみてみたい。

「え、ああ。すいません。あの、ところで店主というかそういう
人は・・・。」

ああ、幽霊か。なるほど。だからあんな皿や
ら料理が持ち上がっていたのか。それなら不思議
ではない。
そして落ち着いた彼に浮かぶ二つ目の疑問。
大人がいない。まさか、こんな少女がきりもり
しているわけではないだろう・・・。

「しかしずいぶん元気な幽霊ですね。」

幽霊という理由を聞いてここまで落ちつけるというのも
逆におかしいと思うが彼は曲りなりに魔術師である。
わりとこういう事には強い。

//すいません、途端の用事で遅れました・・・
490 :大坂澪(食事処みおつくし店主)&小春(勝手に居着いた幽霊) :2013/01/23(水) 22:55:31.44 ID:89uSpAVG0
>>489
「店主?ああ、ここは私がやってるんやで♪
一人で切り盛りしとるんや!」

多少自慢げに胸を張る澪。実際この店は彼女の自慢であり、誇りだ。
この店は弱冠16歳の彼女が一人で経営している。一人で何もかもをこなしているのだ。そこに従業員はいない。…居候ならいるが。

「どや、驚いたやろ?料理かて全部私の手作りやで!
まあ、一人やからこんな小さな店でも精一杯なんやけどなぁ…」
{だから手伝ってあげるっていつも言ってるじゃん!}
「アンタは邪魔しかせんやろ!」

二人で話しているのを見かけると、ここぞとばかりに会話の途中でも容赦なく割り込んでくる小春。

{いいじゃんいいじゃん!元気で何が
悪い!}

小春はふわふわ浮きながら楽しそうに言い放った。

{どうせ死んでるんだ、このくらい元気で丁度いいんだよ!}
491 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/23(水) 23:24:28.09 ID:cgae18Puo
>>490
「ひ、一人で・・・・。まさか。」

若干、信じられないというような目で大阪を見る。
自分とほとんど年齢が変わらないのにも関わらず
ここまでできるというのは感心を通り越してもはや驚愕の域である。

「料理も、すべて一人・・・。驚いたな。自分だったら
三日で投げ出しそうだな。いつから一人で?」

ウィズは笑いながら、しかしその笑いには多少の自嘲が含まれていた。
とはいえ多少なのでおそらく気づかないだろうが。
家出をした事を恥じる―それくらいの衝撃。
自分は一体、何をしているのだろうか―。そんな自戒に駆られた。

「しかしずいぶんと元気がいいな。死んでいる幽霊とはとても
思えない。でも、なぜここに・・・。」

むしろ、この幽霊のほうがよほどヒトらしい、そう思えるほどに。
492 :大坂澪(食事処みおつくし店主)&小春(勝手に居着いた幽霊) :2013/01/23(水) 23:42:00.84 ID:89uSpAVG0
>>491
「ずっと、一人…。
…ううん、ちゃうな。沢山のお客さんや近所の人、ここの商店街の人達…数え切れないほどの人に支えてもらっとる。」

確かに開業以来一人だが、この店は決して一人の力で成り立っていない、そう思っている。
来てくれるお客さん、親切にしてくれる商店街の人々…周りの人達に感謝の念を忘れない。

「この店を開けるのも、支えてくれる人のお陰やなぁ…」
{私は?}
「…何か私にしてくれた覚え、ある?」
{ごめんなさいありませんすみません}
「分かってるんなら聞くなや…」
{えへへ}
「何がえへへや、アホ」

幽霊と関西人の掛け合い。なかなか奇妙な構図だ。
幽霊の方は最早幽霊とは思えない存在感を見せている。

{私はね、楽しいところにいたいだけなの!
ここにいると、澪ちゃんと遊べて楽しい!}

小春の行動原理は楽しいかどうか。
…うん、やっぱり人間臭い。
493 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/24(木) 00:12:20.66 ID:vZbj3CgWo
>>492
「・・・・・・大切な人、か。幸せだな。自分はつい最近まで
知らなくてね・・・。」

静かに、耳を傾けた。まるで、自分自身に聞かせるかのように。
そして、しばらくの間、思案の海に入り込む。

おそらく、自分がここに来た頃にこの言葉を聞いたとしても
何も思わないし、むしろ強い否定をするだろう。
だが、今ならこの、小さな店主の言葉の意味が強くわかるのだろうか。

少しの間、目を瞑って自身を思い出した後、目を
開く。視界に入るは幽霊と関西人?の掛け合い。といってもウィズは関西人など
知らないのだが。

「ぷっ。」

思わず、彼はこらえきれず口抑えながら小さく噴出した。まるで長年いっしょにいた
友達のように、息がぴったりのように見えるのだ。
494 :大坂澪(食事処みおつくし店主)&小春(勝手に居着いた幽霊) :2013/01/24(木) 00:32:31.12 ID:i6kOOxF60
>>493
「そーか、大事な人がおらんかったんか…
大事なひとっちゅうもんはな、作ろう思うもパッと作れるもんやない…
長いこと付き合い続けてやっとその人が大事ってことが分かってくる。
で、そういうふうに時間を経た人との関係はなかなか切れへんのやな、これが人生にとって大事なことや。
安っぽい関係とは訳が違う。自分がピンチになったら助けてくれる。これがどれだけありがたいことか…」

人間関係を大事にする大坂は、その人間関係を知らなかったという彼に言い聞かせるように語りかける。
人の関係とは侮れないもので、思わぬ窮地に立たされた時、そばにいてくれる人がいるかいないかで人生は大きく変わってしまう。
支えてくれる人が多いのも、この人間関係を大切にしていたからだろう。

「…アンタも、そのうち分かる。」

{…だから、私とも仲良くしようね澪ちゃん!}
「…考えておく。」

小春のことも本当は好きだ。
彼女から貰う明るさは、落ち込んだ時本当にありがたい。
彼女も立派な…友達だ。
495 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/24(木) 01:06:26.02 ID:vZbj3CgWo
>>494
「ピンチになったら助けてくれる・・・か。」

そういえば、過去に自身がピンチに陥った時など、よく考えれば
少ないような気がする。だからこそ、人との繋がりが
あまり実感ができないのだろうか。
というより、当時、落ちこぼれであった自分はほぼ自身の力で切り抜ける
しか選択がないのだが。

「そのうち・・・か。」

今は実感は湧かないが、ここまで熱く語るのだ、きっと
侮れないものなのでもあるし、大切にすべきものでもあるのだろう。
なんて考えるとふと、考えが浮かんだ。

「あの・・・。まったく経営のケの字も知らない自分が言うのは
難ですが・・・。その、雇ってみたらどうですか、そこの幽霊さんを。」
496 :大坂澪小春 :2013/01/24(木) 06:58:24.46 ID:F90gsX1f0
>>495
「雇う…ねぇ…
考えてなかったわ。どないしよ…」

雇うということは頭に無かった。
そもそも小春は居心地がいいから、という理由で勝手に住み着いただけ。働くだなんて思ってもいなかった。

「どうする?」
{どうするって…働きたくないでこざる}
「ニートかアンタは…」
{ニートじゃないもん!幽霊だもん!}
「…ニート幽霊め」
{むーっ!私だって澪ちゃんのためになることをしようと思ってるんだよ!
…思ってるだけだけど。}
「ほらやっぱり。」
{やっぱりって何よやっぱりって!本当に信じて!
ぷりーず、とらすと、みー!}
「あーはいはい、信じますって。」

こんな楽しい会話を出来るというのは幸せだ。
友達同士のようなやりとりが出来る二人に、雇用関係は似合わないかも。
一通り澪とじゃれあった後、小春は澪への思いの丈を語る。

{雇ってもらおうなんて、おこがましいよ。
私はここにいて、こうやって澪ちゃんと遊べるのが一番幸せ。
お金もいらないし、仕事もいらない。ただ一緒にいられるだけで十分。}

彼女は孤独だった。自分が殺されてから数百年、彼女は人と友達になれなかった。
当たり前だ。幽霊なんて、普通は怖がってしまう。みんなと遊びたかったのに、みんな逃げてしまう。
…でも、ここにいる大坂だけは違った。
大坂だけは、私のことを友達だと思ってくれた。
それが嬉しくて嬉しくて、小春はここに居続けたのだ。

{だから、せっかくの提案だけどわたしたちは友達のままがいいかなーって。}
「…とまあ本人がこう言うとるから、私も雇うつもりはあらへん。
それに…雇っても働くか怪しいし。」
{お手伝いはするよ!毒味とか味見とか…}
「食ってばっかりやないかい!」

//すみません、1時ごろに突如DNSエラーが発生してサーバーに接続出来なくなってしまいました。
どうにか復旧させましたが、遅れてしまい大変申し訳ありません。終わらせたいなら勝手に終わってもらって構いません。
497 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/24(木) 22:27:20.17 ID:vZbj3CgWo
>>496
「本当に仲がいいんだな、ふたりとも。確かに、雇用とか
そういうのは似合わないな、すまなかった。」

ウィズは先ほどのやりとりを見て、笑いながら
手のひらを顔あたりまであげた、俗にいう「ごめんなさい」
のlジェスチャーである。

羨ましい―。

十数年生きている中で自身はこういう明るい友達みたいな
関係はなかった。なにせ、そういう事を考えているような
余裕などないし、なにより「普通ではない」という偏見の目で見られていた。
しかしどうだ、この幽霊は、偏見をもたない、友人がいる。

「しかし本当に、まるでテレビで見る芸人のようだな。」

先ほどの漫才みたいな会話を見て、何気にツッコミやらボケが
全部噛み合っていることになにげなく驚いているのであった。
498 :大坂澪小春 :2013/01/24(木) 22:46:32.17 ID:F90gsX1f0
{えへへ、いいのよいいのよ!
やっぱり砕けた関係の方が気楽でしょ?だから私はこのまま働かな…}
「ちったぁ手伝おうっちゅう気は無いんかい!」
{だから味見をですねー…}
「あーもう!またそれかい!」

幽霊も関西人に感化されるのか、ちょくちょくボケてくる。
大坂もいちいちそのボケに付き合う。
二人の関係は友達以外の何物でもない。
そう言えば一つ肝心なことを忘れている気がする。
「…で、君はどうしてここに来たんや?
なんか焦っとったように見えたけど…」
499 :エリア [saga]:2013/01/24(木) 22:52:44.92 ID:bUPgeYc0o
「うう、ひもじい……」

ここはどこかの夜の公園
冬の夜風は冷たく、それは一人の、年端もいかなそうな、
小さな背丈の女の子の身体を震わせる
肩ほどまでに伸びた金髪のそれは、星々の小さな光を受けて控えめながらも輝き、
そこに人がいる証になるかもしれない

女の子は、近くにあったブランコに、ふらりと倒れこむようにして座り込む
静かな公園に、ブランコの振れる音と腹の虫が響き渡った
500 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/24(木) 23:03:34.54 ID:0Chd5LvNo
>>499
「ふむ?」
作業服の女性が通りかかる。

こんな時間に公園で一人の女の子。
見たところ、近くに保護者らしい大人は見当たらない。
厳しい家庭なら締め出しというきついお仕置きもあるものだがその類か。
しかしこの季節にそんな虐待を行う家庭もなかなかあるものではない。
素性は考えない事にした。何にせよ子供が一人で居るのは危険だと判断。

公園に入って少女に近づいていく。
「君、こんなところでどうしたの?迷子?」
501 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/24(木) 23:09:22.98 ID:vZbj3CgWo
>>498
「そうだ、そういえば・・・。」

彼はふと思い出したような表情で顔を手に当てて
少しの間考えた後。

ああ、そうだ。確か好奇の目に晒されるのに
ここに一時避難にきた事をいまさらながら思い出す。
突然の手動というなの自動ドアやら勝手に皿が動いているやらで
すっかり目的を忘れていた。

ちなみに彼の服装はローブに杖と、どうみても現代人が
するような格好ではない。

「腹が減っていることを忘れていた。」

相槌をうち一言。というより食堂に来たなら
食べなければなんというか申し訳がない気がするし
どうせだからいただいてしまおうという魂胆である。
502 :エリア 多分ただの子ども :2013/01/24(木) 23:12:36.76 ID:bUPgeYc0o
>>500
少女の恰好はマフラーにコート
また手袋を身につけている
ところどころ泥などの汚れが見られる

そして声をかけられて、10代に届いているかどうかもわからないような、
そんな幼い顔を女性に向ける
しばらくして迷子かと問われて

「違う、私はずっと一人なの……
おなかが空いちゃって、力が出なくって……」
苦笑いを浮かべつつも、その目はどこか悲しげにも、
なにかを期待しているようにも見える、かもしれない
503 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/24(木) 23:19:27.19 ID:0Chd5LvNo
>>502
孤児?
何にせよ空腹を訴えている少女とこんな屋外で話し込むのも宜しくない。

「買える家が無いなら…
 とりあえず、今は温かい所で温かい物でも食べるか?」

さて、戦闘知能意外は鳥頭な頭脳をフル回転させて何処に
誘うか考えてみる。案外簡単に思いついた。というより視界に入った。
公園の向こうの住宅の向こうにスーパー銭湯が見えた。
服はともかく、身体も洗えるし食事もとれる。
504 :大坂澪・小春 :2013/01/24(木) 23:21:13.10 ID:F90gsX1f0
>>501
「あはははは!そーか、腹が減ってたんか!」

本人が空腹と言うのだから、料理人として何か作ってやるのが道理か。
とりあえず手軽な一品物でも、と調理を始めた。
作っているのはダシを利かせたお吸い物と、鰆の西京漬け。
白身魚に味噌のコクが絶妙に絡んだ西京漬けは、それだけでも飯が進むだろう。

「はい、どーぞ!さっと作ったモンやけど、良かったら食べてや!」

{お茶もどうぞー}

意外な所で気が利く小春。
大坂の手が回らないところをフォローする。
505 :エリア 多分ただの子ども [saga]:2013/01/24(木) 23:25:46.65 ID:bUPgeYc0o
>>503
「え……、本当に? 迷惑じゃない?」
ずっと力なく座っていたブランコより飛び降りて、
着地に失敗して顔に泥をつけつつも、
定まらない足取りをなんとかして女性のほうへ向けて、ゆっくりと歩きだしながら
尋ねるその口調は、どことなく申しわけなさげである
506 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/24(木) 23:31:20.97 ID:0Chd5LvNo
>>505
少し考えてからエリアの顔を見て微笑み頷く。
「気にしないでいいぞ。
 ここで見かけたのも、会ったのも何かの縁だと思う。」

「その歳で遠慮するな。
 いや、でも知らない大人にはついていかない方が良いともいう。
 どっちが正しいのだろう…よし、道中で考えよう。」
独り言を混ぜながら話し「ついてくると良い」と手を差し出した。
507 :エリア 多分ただの子ども [saga]:2013/01/24(木) 23:38:32.43 ID:bUPgeYc0o
>>506
「本当!? ありがとう!」
さきほどまでの、どこか陰りが見え隠れしていた表情が一転、
晴れ渡った、年相応の子どもの笑みを浮かべて、大きく頷く少女
そしていつの間にか女性の目の前へと歩いてきていた

「知らない大人についてっちゃダメ……?
でもお姉さんは優しいから大丈夫だよね?」
警戒はまったくしていないように見える
無邪気に首を傾げてそう尋ねる

そしてごく自然の流れて差し出された手を握った
508 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/24(木) 23:44:47.92 ID:0Chd5LvNo
>>507
「優しい…そう言ってくれるのは嬉しいかな…。」
 街灯の並ぶ夜道。
 ここは再開発が進んでいる地域なのか夜も明るい。

 二人で手をつないで歩く。
「そうだ…何処に行くか行ってなかったな。
 わたしはスーパー銭湯を選ぶつもりだったが、
 君は他に何処か行きたい所はあっただろうか。」
509 :エリア 多分ただの子ども [saga]:2013/01/24(木) 23:51:18.97 ID:bUPgeYc0o
>>508
「そうだよ、だって見ず知らずの私にそんな提案をしてくれるんだもん!」
この少女はきっと、お菓子で釣られるようなタイプなのだろう
女性の手をしっかり握りつつ
そして行きたいところがあるかなんて言われて

「ううん、銭湯でいい!」
大きく首を横に振りつつも、
あれほどまでに元気のなかった少女が、
今ではスキップまがいのことまでしようとしている
510 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/25(金) 00:02:24.63 ID:7Jbd0MZco
>>504
(これが・・・さっと作った物・・・。)

料理を見てウィズは驚愕をした。
それはもう目を見開いてしばらく動きが止まるほどに。
というのも、イギリス人ゆえの粗雑、いわば手抜き
料理ばかり作って食べてきたウィズにとっては、この大阪に
とっては手軽の一品だとしても、彼のとっては手の込んだものすごい
料理と思ってしまう。

「しかし味噌は初めてだな・・・。」

律儀なのか、しっかり手をあわせた後、多少、不器用な箸使いで西京漬けを
箸で切って、口に運ぶ。基本的に粗雑な料理などで
済ませたあたり、和食には慣れていないのだ。

―!なんだ・・・これは・・・。これが・・・サっと作ったもの・・・。
バカな・・・。

作る料理に衝撃を受け、目を見開きながら食べるという
あまりにも不気味な表情になっていることには彼は気づかない。
その後、白米を口に運ぶ。白米の淡白さと味噌の甘さが
絶妙に絡み合う。

「うまい・・・。これがサっと作った物なのか・・・。」

その言葉には凄まじい驚愕、感嘆などが入り混じっていた。
511 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 00:04:45.39 ID:f5ZciXDgo
>>509
「そうか。食事を先に済ませるか?
 それとも冷えた身体を先に温めるか?」
視認できる所にあるだけあってもう銭湯についた。
食堂の看板を通り過ぎれば正面厳寒があり下駄箱が並んでいるのが見える。

------------------------------
提供されている軽食は、
 カレーライス \400-(トッピング一品100円)
 五目炒飯 \450-(ラーメンとセットで800円)
 オムライス \450-
 丼もの \500-(カツ丼600円)
 うどん・そば \300-(トッピング一品50〜100円)
 ラーメン \400-
 ソフトドリンク \150-
 生ビール \400-
 つまみ類 \150- 〜 \400-
 ソフトクリーム・フラッペ等デザート \200-
 等々… だそうな。
------------------------------

番台に「大人一人、子供一人」そう告げてロッカーの鍵を預かる。
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/01/25(金) 00:12:01.04 ID:miU9Q+7Ro
>>511
「うーん、どうしよう」
と問われて考えていたなら、目の前にはその銭湯

「先に温まりたい……、かな?」
手は離さずに小さく首を傾げつつ、そう答える少女
513 :大坂澪・小春 :2013/01/25(金) 00:20:36.75 ID:9w3u6ib+0
>>510
「へへっ、気に入ってもらえた?
どや、なかなかのモンやろ?」

彼の反応から察するに、好評だったようだ。
…多少オーバーリアクションな気もするが。
それでも自分の料理を喜んでもらえるのだから、料理人冥利に尽きる。

{お茶も美味しいでしょ!?}

…お茶はただの緑茶だ。小春が何かをしたというわけではない。
なのに、何故かお茶ごときで大坂と張り合っている。
514 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 00:25:52.80 ID:f5ZciXDgo
>>512
「じゃあ、そうしようか。」
番台から向かって左側「女」と書いてある暖簾を一緒にくぐり、
服を脱ぎ桶を借りてバスタオルも巻かずに奥のドアをひらく。
そして身体を洗おうとシャワーと水道のある列に歩いて行く。


ここで少し湯に浸かりながらエリアの身の上話でも聞いてみようと思った。
「そういえば君の名前は?わたしはボルテックスだ。」
今更な話だが最初は自己紹介。
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/01/25(金) 00:35:11.47 ID:miU9Q+7Ro
>>514
「うん」
着ていた服を脱ぎ、真似て桶を借りて、
そのまま女性についていく

そして特に苦戦することなくさっと身体を洗い、
女性を探して、お湯に浸かる

そして浸かりながらも、

「私? エリア
今日は本当にありがと、ボルテックスお姉ちゃん」
これまたボルテックスのほうへと近づいていき
516 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/25(金) 00:37:45.85 ID:7Jbd0MZco
>>513
「なかなかどころじゃない、イギリスじゃ1年に食べられるか
食べられないかのレベルだよ、これは。飲み物まで
料理を引き立てるとは、信じられない発想だよ。」


あまりのうまさに箸と熱弁がとまらない。それに、
お茶の苦さも料理の味を引き立ててていて心地がよい。
オーバーリアクションとはいうが挟む、焼くなどの単調な料理を
食べ続けた舌にこの料理はあまりに新鮮なのだ。

そんな事をしているうちにあっという間に容器は空となった。
相当うまかったのだろう、尋常ではない食べっぷりである。
517 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 00:39:36.15 ID:f5ZciXDgo
>>515
 アリアに遅れて湯船に浸かる。
「礼はいい。寒かっただろう?よく我慢したね。
 ところで答えたくなければ答えないでいいが、
 どうして一人なのだ?ご両親は?」
518 :大坂澪・小春 :2013/01/25(金) 00:47:49.14 ID:9w3u6ib+0
>>516
「イギリス?あー…」

イギリスと言われて彼のオーバーリアクションを理解した。
和食の繊細な味は、恐らく初体験だったのだろう。

「どうやった?日本食ってなかなか美味いやろ?」

食べ終わった彼に問いかける大坂の顔には、少し自慢げな笑顔。
それにしてもこんなにベタ褒めされるとは、食文化の違いというのはなかなか興味深い。

{お茶は!?お茶も美味しかったでしょ!?}

…お前はまたそれか。

「さて、片付けもせなアカンな〜…」

間もなく、大坂は食べ終わった食器を片付け始める。
519 :エリア お姉ちゃんは誤植 :2013/01/25(金) 00:51:53.93 ID:miU9Q+7R0
>>517
「家族……」
しばらく黙りこみ、そして意を決して

「戦争で……、殺されちゃったの……」
うつむき、呟くように
その目は涙ぐんでいる
520 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 00:56:36.48 ID:f5ZciXDgo
>>519
「そうか…聞いてしまってごめん。」
浴槽の中で肩を抱き寄せる。

「じゃあ、この先の行く宛はあるのか?
 先も縁という言葉を使ったが、それがあるならわたしの店に来るか?
 金物屋をやっている。少しだけ手伝ってくれたらそれで十分だ。」
521 :エリア 多分ただの女の子 :2013/01/25(金) 01:01:56.93 ID:miU9Q+7R0
>>520
行く当てと問われて、

「えっ……、いいの?」
抱きしめられつつも、うるうると目に涙を目に貯めた顔だけを、
ボルテックスに向けて
522 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 01:10:34.23 ID:f5ZciXDgo
>>521
「構わない。仕事も覚えておけば大人になってから役立つだろう。」

エリアに対して親切にしているのは贖罪のためだろうか。
ボルテックス。異界の覇王。歩く死と破壊。覇道そのものが彼女だった。
その虚しさを悟った時、彼女は本物の王道を求めて異空間から来た。
だが、今まで壊してきた物、殺してきた人々はもう帰ってこない。

「部屋は貸そう。仕事も教える。それに普段は好きに生活すればいい。」
涙目の少女から少し視線を外す。いたたまれないのだ。

「温まったら、食事にしよう。」そう言って彼女から少し離れた。
523 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/25(金) 01:12:17.66 ID:7Jbd0MZco
>>518
「向こうとは大違いだ、この国の料理は本当に
細かくて美味しい。なにより多彩だ。」

興奮が収まらないのか、多少早口になっている。
その度合いは飯のまずさに積年の恨みじみたものが感じられる
ほどの熱弁、彼の食文化に対する苦労と哀愁すら
感じられる。

そしてそれは飲料にも同じこと、ただ味気ない水や
ジュースでは料理の味を損なわれる、という事を彼は強くわかっていた。
それゆえに

「もちろんだとも、お茶も美味しい。ただの飲料だがすっきりした苦さが
料理の味を引き立てている。向こうではせいぜい水だよ。」

飲料に対してもこのこだわりっぷりである。まずい料理で有名な
場所から来たわりにはあまりにも凝りすぎている。

「向こうじゃ兄の作った手作りの料理ですら薬品の味、飲料は
試験管に入った謎の溶液じみている・・・。」

どうやら飲料に対しても色々と苦労したらしい。
524 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/25(金) 01:17:07.82 ID:635SETWt0
月明かりの夜に、自室のベランダにて

「―――……ふう、長い事家を空けてたのね
 ……合わせる顔がないわね、くすくす」

随分と自分勝手だな、と内心苦笑。
他人の事を思いやると言う感情を持て余し家を離れる事数週間。
その感情に、ある程度のふんぎりをつけた様に見える。

/すいません、回線の不調で遅れました…
525 :エリア 普通の女の子は仮面を被るもの :2013/01/25(金) 01:18:54.56 ID:miU9Q+7R0
「大人……、うん、きっと役に立つ
だって、技術なんだもんね」
大人、といわれて一瞬だけ詰まった気がした
そんなボルテックスの事情など知る由もなく、
無邪気に見える笑顔で悲しさや邪念を内に閉じ込めて、そして

「……本当に、本当に、ありがとう!」
ここは笑ってお礼を言わないと行けない、そんな気がしたのだ
そして、そんな笑顔を向ける
526 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 01:25:26.02 ID:Ku30t7M2o

ずるるる―――麺を啜る音が公園に響いた。
多量の湯気をまき散らす、冬の寒空の下でカップ麺を啜る少年。
彼はベンチに座りながら幸福そうな顔で麺を頬張るのであった。

「んくっ……ふぅ、見回りの後のラーメン最高……」

男は黙って豚骨。汁を舌先を火傷しない様に飲み下しながら、一息つく。
この学ランの少年はどうやら、自警団じみた事でもしているらしい。

傍らに置かれた日本刀と狐面が彼のトレードマークの様である。
ずれた緑色の長いマフラーを直しながら、それらを脇目にカップ麺に夢中であった。

齢十六の子供。学生服の彼が公園のベンチで、日本刀を持っているというのも中々不審者だろうか。
527 :シンラ・アマツキ :2013/01/25(金) 01:29:06.73 ID:x1Pn7jn30
>>524

(ベランダから声がする...)
(綺麗な声 僕の好きな声)

(......るーしぇ? じゃないや、おねーちゃん? )


からからと 音を立てつつ開く窓
ふらふらと 寝ぼけめを擦り迫る影


「あ、やっぱり」

懐かしい背中を見つめ、笑う影
懐かしいと言えるほどの付き合いでも ないというのに

「おかえり おねーちゃん? 」
「ずいぶんと遅かったんじゃないの? くららが心配してたよ? 」


影は、怪物は 女の背後で にまにまと笑った
心配していた 帰って来ないのでは と不安にもなった

(おねーちゃん、くららの話だと 命を狙われたっていってたしね)


しかし、精一杯の笑顔で帰りを出迎える
それが、頼りない兄たる 化け物(じぶん)の役目...と異形は自負していた
528 :大坂澪・ :2013/01/25(金) 01:29:30.87 ID:9w3u6ib+0
>>523
話を聞くにつけ、彼の食に関するこだわりと苦労が伝わってくる。
何というかまあ…ロクな物を食べてないな、と。

「ははは…そら大変やったなぁ…。
ま、日本の料理は多種多様でバラエティあるから、飽きへんと思うよ!」

ならば、そんな彼に日本の料理はうってつけだ。
割烹料理から家庭料理、屋台の軽食に至るまで、全てが変化に富んだ味覚で満ちている。

{お茶もね、色々あるんだよ!
急須で淹れるお茶はもちろん、抹茶は粉末だから料理に応用出来るの!
日本はペットボトル茶もとても優秀で、どのメーカーもお茶には本気を出してるのよ!}

何が小春を駆り立てるのかは分からないが、お茶の知識量が凄い。
お茶にはお茶の奥深さがあるということだろうか…
529 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 01:29:38.67 ID:f5ZciXDgo
>>525
「…?」
ボルテックスも戦闘においてが殆どだが多くの人々と関わってきた。
そんなボルテックスの勘が彼女自身に何かを告げようとしている。
疑念が少し表情に現れて、エリアにそれを見られたかもしれない。

しかし、気にする事ではない。知将でなく猛将の性分も自分自身、
ボルテックス自身に気にする事は無いものだと告げたのだ。
「エリア、温まったらそろそろ食事にしようか。
 何を食べるかは考えた?
 エリアがまだ温水浴を楽しみたいなら、わたしは湯あたりする前に先にロビーで待つが。」
530 :エリア ふつうの女の子に一歩近づいた女の子 :2013/01/25(金) 01:35:27.03 ID:miU9Q+7R0
>>529
「ううん、私も一緒に行く!
何食べようかな……」
色々考えていても食欲にはかなわない
今の少女の頭の中は食べ物のことだけだ

大きく首を横に振り、そして湯船から出ようと
531 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/25(金) 01:39:45.98 ID:635SETWt0
>>527

月に想いを馳せる――と言う訳では無かったが
月夜をぼんやりと眺めていた彼女を振り向かせたのは

「……こんな遅くまで起きてたの?
 ホント、いけない子。良い子は寝なさいな」

家族である弟の声。

無邪気な笑みに思わず安堵しながら
シンラと目線が合う位にまで腰を落とし

「…それは、悪い事をしちゃったなぁ
 ごめんね。踏ん切りがつかなかったから帰るのが遅くなっちゃった」

言葉を紡ぎ終えると共に彼女は、シンラに部屋に戻るように促す。
勿論彼女もいっしょに部屋に戻るのである。

532 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 01:40:53.64 ID:f5ZciXDgo
>>530
二人は脱衣所に戻ってからボルテックスはエリアの髪を少し摘む。
「そうか、ところでエリアは髪…綺麗だな。
 きちんと乾かしておかないと。」
ドライアーを使う洗面台に硬貨を投入する。
「髪が濡れたままだと、この季節だ。風邪を引くぞ。」
そう言ってエリアにブラシをわたす。
533 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 01:48:42.43 ID:f5ZciXDgo
>>526
公園内にはリア充カップルもたっぷりてんこ盛り。
リア充の佃煮でもできそうなくらいいる。
恋の花咲き乱れる男女、たまに男x男、女x女。
夜の公園とはそんなものだったか。

深夜の稽古をしている賞金稼ぎや武術オタクに、
健康のためにと遅めのウォーキングをしている壮年男女もいる。
まあ、公園とはそういうものだろう。


「お花、買って下さい。綺麗なお花ですよ。」
あまり通らない声で精一杯大きな声を出して花売りをしている少女もいる。
534 :エリア ふつうの女の子に一歩近づいた女の子 :2013/01/25(金) 01:50:58.92 ID:miU9Q+7R0
「そうかな? 目立つならわかるけど……」
髪を褒められてか、ちょっとだけ赤くなる

そしてブラシを受け取り小さくお礼を言い、
髪の手入れをしながらも、

「お姉さんも、髪綺麗だと思うよ?
ううん、髪だけとは言わない」
ちらりとボルテックスを見て
535 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 01:56:05.80 ID:Ku30t7M2o
>>533

「……………はぁ〜〜。」

ずるずる、と一人寂しく麺をすする。
恋愛沙汰とは程遠い存在だと自負する風太郎は彼らを眺めていた。
羨ましいという気持ちがなくはないが、それ以上に他のことに夢中だった。
だから決して羨ましいという事はない。ないのだが、風太郎は深い溜息をついた。

とはいえここは公園。そんなお花畑な人間だけではないのだ。
老若男女、多種多様な人間が居る―――その中に一際目を引いた、少女。

花売りとは些かどうなのだ。この息さえ凍てつきそうな季節、花を売るとは。
それもこの深夜。まるで絵本のお話の様に、翌朝には事切れてしまいそうだ。

「なぁ、なんで花なんて売ってるんだ?」

だから、なんの気なしにカップ麺を平らげた少年は近づき、話しかけた。
狐面と日本刀を片手に怪訝そうな顔つきで、だ。
536 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 01:59:55.38 ID:f5ZciXDgo
>>534
「あ…あぁありがとう。その、えっと、えーっと、仕度ができたら食事にしよう。」
顔を真赤にしながら礼を言い「軽食屋の前に牛乳でも飲むか?」
この手の話は少し苦手らしい。
「いや…食事をとるならそこでドリンクを頼めるのか。
 えっと、えっと…。」
537 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/25(金) 02:01:27.59 ID:7Jbd0MZco
>>528
「これ以外にもあるのか・・・。」

さっきからずっと驚きっぱなしなせいか
今回の反応は薄い。というよりは何かを思案
しているような、そんな感じである。

(帰りにでも和食の料理本でも買っていこうか・・・。)
自分でも作ってみるか、そう思ったのである。

「お茶を料理にも・・・。いやはや、発想力が桁違いだ
よく思いつく。」

紅茶風味というのはお菓子でよくありそうなものだが、料理に
使うというのは聞いたことがない。
日本の食文化には驚かされるばかりである。

さて―
一息ついたところで彼はローブから懐中時計を取り出して、時間を
見る。話込んでいたり料理を食べていたりでかなり日がくれている。

「今日は美味しい料理をありがとうございました・・・。ところで
代金は・・・。」

よく考えればメニューを見て注文しなかったので代金がわからなかったのだ、
彼は。

538 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 02:04:20.12 ID:f5ZciXDgo
>>535
「薔薇は一輪200円。」
質問に対する答えになっていない。
「お兄さん、買ってくれるの?自分用?プレゼント?」

なぜ花を売っているのかの質問への答えになっていない。
539 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 02:09:06.40 ID:Ku30t7M2o
>>538

「え、えーっと……買う、よ」

ぐっ、と押し切られた感がある。思わず買うと言ってしまった。
学ランの内ポケットから財布を取り出して、二百円を取り出して。

「………自分用、にしといてくれ」

悲しいかな。プレゼントする相手が思いつかなかった。
家族にあげようにも一人暮らしの身。結局自分のものだった。

「って、違う!いや違わないけど!だからなんでこんな時間に薔薇なんて売ってるのさ!」

二百円を差し出しながら質問に答えろと詰問。
どう考えてもこの寒い中、深夜に花売りなんておかしいと思い。
540 :エリア ふつうの女の子に一歩近づいた女の子 :2013/01/25(金) 02:09:25.52 ID:miU9Q+7R0
>>536
「本当だよ? お姉さんは色々と揃った美人さん
結構男の人にモテるでしょ?」
ぱっと見無邪気な笑みでそんな話に持ち込もうとする少女

「私はお姉さんが飲むなら飲もうかな……
お姉さんはここで牛乳飲む?」
今度は自分から尋ねてみる少女
541 :シンラ・アマツキ :2013/01/25(金) 02:13:51.37 ID:x1Pn7jn30
>>531

「えへへ...でも良い子はおねーちゃんを出迎えてあげられない」
「それに、ぼくらは出会った日から わるいこじゃない」

妹は 眠っているのだろうか
純粋な 優しい 怪物(じぶん)の怪物(いもうと)は
良い子と聞いて、そんなことを思いながらも
促されるままに一歩二歩と下がり 室内へ

......

長身の姉と目線が合う
出会いの日と競べれば 些か潮らしく話す姉
少し 照れ臭くなり そっぽを向いてしまう辺りが 「頼りない」と呼ばれてしまう所以だろうか

然れど 頼りない兄も 時には 勇気を出さねばならない
少しでも 踏み込まねば 家族といえど、絆は深まらないから

「ねぇ、おねーちゃん」
「貴女の弟として くららの兄として」

即ち 家族と して

「二つだけ聞かせて?」


「......踏ん切りって、なにかあったの? 」
「くららが言ってた、人間に襲われたって話......は関係無い、かな? 」


姉が 帰って来ない理由 を 少年は考えた 日がある
姉が帰らなくなって 三日目から

ま い に ち
まくらが、ぬれた

出先で手負いとなったのか
出先で命を失ったのか

...自分達を枷だと感じたのか
......人を喰らう自分達が嫌いになったのか
ーーーーー家族ごっこを 終わらせてしまいたくなったのか

今 姉が家にいる という事実を差し置いて
少年の小さな胸のうちに 募っていた

ーーー【失う】
ーーー悲しみや
ーーー寂しさ
ーーー不安に
ーーー恐怖

ーーーが

目に見えぬ 怪物 となり 胸のうちの 小さな心を 『蹂躙』し

その瞳から 少年は 涙という 心の鮮血 を 流す

まるで ヒト の ように

そして 二つ目の問を なげ かける


「おねーちゃん、は また いなく な...るの ? 」
542 :大坂澪・小春 :2013/01/25(金) 02:15:40.64 ID:9w3u6ib+0
>>537
「代金?あー、えーっと…」

思い付きで作った料理。メニューを見れば分かるだろうが、この料理はメニューには無い。
ならば当然値段設定もしていなかったわけで。

「…うーん…どないしよ…
…もうええか!ツケやツケ!その代わりまた来てや!」

お代よりも、また料理を食べに来て欲しい。大坂はそう告げる。

{今度はこぶ茶も用意するよ!}

飲み物係も新作に意気揚々のようだ。
緑茶だけがお茶ではないーとでも言いたげに。

「それじゃ、またいつか!」
{また会おうね!}

二人はほぼ同時に別れ際の声を掛ける。
543 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 02:20:41.48 ID:f5ZciXDgo
>>539
「お花買ってくれてありがとう。大切にしてあげてね。」
螢子は白薔薇の一輪をコサージュ風に細工して風太郎の胸に飾った。
「お兄さんは花売りの意味を知らないの?」
不思議な生き物を見つめる様な目で風太郎を見る。

そこに見知らぬ悪趣味な蝶ネクタイのおっさんが近づいてきた。
『螢子ちゃん探したよ。今日はいいだろ?本番やってみようよ』
「本番無し、オーラルだけ。」『5万円、いや十万でどう?』
「本番無し、オーラルだけ。」
そんな会話をしている。

『はいはい、君は邪魔だよ、買い物は終わったんだろ?』
蝶ネクタイは風太郎にしっしっと手をふる。

『売り物は旬のうちに売っておくほうが儲かるよ。
 そうだ。おじさんは螢子ちゃんが大好きなんだ。
 マンションを買ってあげよう。毎月のお小遣いもあげるよ。』

//戦闘展開でも、日常展開でも受けますの。どちらがお好みでしょう?
544 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 02:23:58.28 ID:f5ZciXDgo
>>540
「も…ももももももてッ?!」
人差し指を重ねながら…
「そ…そんな事無い…と…思う…。」
言いながら落ち込むように肩を落とす。

「きゅキュ牛乳を飲みましょう。」
落ち着けボルテックス、素数を数えるんだ状態である。
545 :シンラ :2013/01/25(金) 02:27:30.96 ID:x1Pn7jn30
すいません、凍結おねがいします......!
546 :ウィズ・カーパー [sage]:2013/01/25(金) 02:27:52.72 ID:7Jbd0MZco
>>542
「ツケか・・・。」

ウィズは苦笑いをした後、再びローブをまさぐって
手帳を取り出し、ボールペンで書いた。なかなか几帳面である。
そして手帳をしまった後

「ええ、また食べにきます。こんなにうまい料理とお茶があるなら
何度でも。」

心からそう思うさ―。彼は微笑みながら答えた。

「では、また。」

ウィズは声に、手を振りながら答え、店を出た。

//長い間おつかれさまでしたー、たのしかったです!
547 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 02:29:16.83 ID:Ku30t7M2o
>>543

「う、うん――――……えっ?」

受け取った薔薇を見て、まぁたまにはいいかと微笑む。
薔薇の花なんてじっくり鑑賞する機会もないし、部屋に飾ろうかな、と。

次いで、彼女の言葉に首を傾げた。「花売り」の言葉の意味?
風太郎はそういった隠語は知らなかった。故に、目を丸くするだけ。

後ろからやってきた中年が下品な声で少女に話かける。
風太郎はそのやり取りを聞いて―――流石に察しはついたという所か。

「………あー、花売りってそういう意味なんだ。知らなかったなぁ」

「おじさん、悪いけど帰ってよ。悪いけど、発見したからには見過ごせないんだ」

――――俺はこの街を護るヒーローなんだ。

風太郎はじっと蝶ネクタイの中年を見上げて言う。
華奢で小柄な、あどけない顔の少年。それでいて一気に雰囲気は凛としていた。


/どっちも好きです!なので流れに身を任せますが!
548 :大坂澪・小春 :2013/01/25(金) 02:33:34.27 ID:9w3u6ib+0
>>546
//お疲れ様でした!長々と駄文に付き合っていただきありがとうございました!
549 :エリア ふつうの女の子に一歩近づいた女の子 :2013/01/25(金) 02:34:58.68 ID:miU9Q+7R0
>>544
「ふふっ、そう?
影でお姉さんを狙っている男の人、実は結構いそうだよ?」
少女は自分の本性が垣間見えることになっても気にしないことにした
どうせ今隠し通しても、一緒に暮らすとなれば、いつか表に現れるだろうから

開き直って、無邪気というよりは、小悪魔が入った笑みを浮かべる少女

「じゃ、牛乳飲もう?」
なんて言いながらも、ボルテックスの手を引こうとする
550 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 02:40:28.44 ID:f5ZciXDgo
>>547
蝶ネクタイは風太郎を無視しようとも考えたが"応えてやった"という
傲慢な態度で『見過ごさないとこの手の子達は飢えて死ぬだけだよ』。
嘲笑いながら風太郎の義侠心を否定する。
『わたしは気に入った女の子を囲える、囲われた女の子はわたしに養われる。』
得意げな顔で朧風太郎に近づいてきた。
『いいじゃないか。あの娘、可愛いだろう?
 で、可愛い子が好きなわたしがいるわけだ。
 何処かに不幸があるかね?

 女の使い道も知らない童貞は…そうだな。
 おじさんが教えてあげよう。一緒に螢子ちゃんを嬲らないか?
 最初は嫌がっても、どれもこれも自分から腰を振って喜ぶようになるよ。』
蝶ネクタイの男はニヤニヤと笑いながら風太郎を誘う。

// うひょひょ
551 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 02:44:42.33 ID:f5ZciXDgo
>>549
「狙う…そういうのは、なんだかな。
 もっと心で繋がれるような殿方が…」
途中まで言ってるうちにエリアに手を惹かれる。
「あ…まいったな。」
 手を引かれ連れて行かれる。
番台に「えっと…牛乳二つ」とつげ二人で牛乳を飲む。

 その姿勢は二人共同じで…
552 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/25(金) 02:48:14.86 ID:635SETWt0
>>541

「………」

弟の見た事のない表情に、気圧された。
今まで溜め込んだ寂しさを剥き出しにした様な表情に。

「…関係、……あるわね」

口を開くのに、苦労した。
どうしてこんなに重いのか。
きっと、それは自分に非があると自覚してるから。

「正直に言うとね……帰り道のクララの沈痛な表情が痛ましくて辛くて。
 私はそれに胸を痛めた。同時に、私はその感情を持て余してた。」

「自分勝手に生きてた私にとって、それはね。足枷で…縛鎖の様なモノだった。
 その重みと繋がりに耐えきれなかった。
 鳥に足枷が在ったら、紐で括られたら飛べないでしょ?つまり―――」


――家族ごっこを終わらせたかったの。


口ぶりは普段の軽率なソレではなく。何かを後悔している者のソレ。

感情を持て余し、家を離れ、街で暴れまわり、警察に目をつけられ。
けれど、それだけで終わらなかった逃避行は彼女に二の句を継がせる。

「けど、ね。それは選ばない。」

自由の利く右手で、シンラの髪をくしゃくしゃと撫でて

「だって、そんな辛そうな顔してる弟や妹の顔なんて見たくないもの
 だから――踏ん切りをつけた。『私が、貴方たちの前からいなくならない』ってね」

/大変遅れました…orz
553 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 02:48:22.28 ID:Ku30t7M2o
>>550

風太郎には難しいことが分からない。
世界にどれほどの飢えた人間が、不幸な人間がいるのかも大雑把にしか知らない。
だから目の前の中年が言う言葉が正しいのかどうなのかも断定もできない。

「………おじさんの言う事は至極真っ当かもしれないね」

「おじさんが金持ちで、援助するっていうならとても素晴らしいことだと思うさ」

「けどさ、それの見返りにその子を滅茶苦茶にしていいって言うのは……なんか、違うだろ」

回り回って、その行為は少女を不幸にしていると言う―――風太郎は下唇をかみしめて。

「大体、この国にはそういう人を保護する施設があるじゃないか」

「おじさんみたいにクズじゃない人間だって、引き取り手にいるじゃないか」

ぶつぶつ、と自問自答する様に――――ぐっ、と日本刀を握る手に力が篭る。

「二度も言わせないで、おじさん―――さっさと、汚い尻まくって帰れってば、外道」

お節介だと思う。偽善と言われればそうなのかもしれない。
だけど風太郎は感情の向くままに自分の正義を貫く事を決めた―――最後通告、と中年を睨んで。
554 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/25(金) 02:50:12.12 ID:635SETWt0
>>545
//了解です。一応レスはかえしておきます
//今日はおやすみなさいです
555 :エリア ふつうの女の子に一歩近づいた女の子 :2013/01/25(金) 02:51:28.55 ID:miU9Q+7R0
>>551
「ふふっ」
相変わらずと小悪魔的笑みを浮かべつつも、

「姿勢は気にしない気にしない……」
とりあえず姿勢は気にしないことに
556 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 03:02:23.70 ID:f5ZciXDgo
>>553
『滅茶苦茶?面倒くらいみるさ。
 ケツの青いガキが何を言っても世の中には届かない。
 だって…君も子供だろう?駄々をこねても世界は変わらない。
 別に螢子ちゃんに無理強いはしないさ、なあ?螢子ちゃん?』
 蝶ネクタイの中年は花売りに同意を求める。

「花は一輪200円。秘密のサービス以上はしない。」
少女の答えはこれだけ。

『もうね…焦らされるのにも飽きてきたんだよね。
 成長した螢子ちゃんもいいけれど、幼いうちに青い果実を味わいたい。』
中年はニヤリと笑う。なんせ客として螢子との関係は長い。螢子の性格を少しは知っている。
『吉井武則…それが俺の名前だが、少年はなんという?』
螢子の心を少しずつ削り取りへし折る材料に風太郎のような正義の味方は打って付けだ。
557 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 03:08:19.19 ID:f5ZciXDgo
>>555
「と…ととりあえず服を来て食事にしよう。
 そんなに値もはらないから社交辞令抜きで好きなだけ食べていい。」
しどろもどろ、かつて別世界で恐怖と畏怖と畏敬の象徴だった彼女も、
こちらの世界では一人の異能使いの一人でしか無い。

ここで自分を支えていたのが自分の力だけだった事を思い知らされながら、
それでもとにかく、エリアに食事を提案し、自分の空腹にも気付く。
「ふむ、ラーメン定食に唐翌揚げかな…。」
軽食店で食べ物を選びはじめる。
558 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 03:14:32.42 ID:Ku30t7M2o
>>556

「汚い大人って多分こんな時に使う言葉だろうな……。」

「そうさ、俺が駄々こねても世界はちょっとしか変わらない。」

「けど、そのちょっとで良い―――なぁ、キミはそんな生活を望んでるの?」

もっとありふれた普通の、真っ当な生き方というものがあるんじゃないか。
風太郎は振り向いて、淡々と答えた少女に語りかけた――それは、無意味かもしれない。

だが、我慢ならなかったのだ。同じ子供である彼女がそういった世界に生きている事が。
目に見える人間が不幸であるなら、全力で救いたい―――そう思い、再び中年を睨み。

「変態だな。おじさん、碌な死に方しないよ。」

「俺の名前は朧 風太郎……見ての通り、ただの高校1年生、じゃないけどな。」

――――――手に持った日本刀を中年の眼前へと向ける。

「………帰れ、って言っただろ。」

片手は鞘に手をかけられており、その気になれば直ぐに抜刀出来る。
後ろに佇む少女は一体何を考えているのか。むしろ、何も考えられない心なのだろうか。
沸々、とやり場のない怒りが湧いてくる―――兎にも角にも目の前の中年が”邪魔”だ。

559 :エリア ふつうの女の子に一歩近づいた女の子 :2013/01/25(金) 03:23:05.12 ID:miU9Q+7R0
>>557
「あっ、服……」
完全に失念していた様子である

「本当に!?
……でも大丈夫?」
心配しているのは、恐らくお金であろう

少女もまた、孤児となって生きて行くためには手段を選ばなかった
裏社会を生き抜いて来ていたのだ

しかし運命のいたずらによって、
少女は“少女として”、信頼できる相手と巡り会えたのだ
少女は無条件で自分を受け入れてくれるボルテックスに、心の中で感謝した
しかしそんな少女は、彼女の闇を知らない

「から揚げ……」
から揚げと聞こえて、目の色を変える少女
560 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 03:29:52.67 ID:f5ZciXDgo
>>558
堂々と右手をかざす吉井武則。
『面白い話をしてやろうか。ある犯罪心理学者の研究成果がレポートに残っている。
 未成年者の証言能力についてだが、人相を正確に覚えている児童は殆どいない。
 ガキの証言じゃ何も立証できないんだよ。それにわたしがやっているのはただの商談だ。
 その太刀を抜いたら、きみの人生が終わるだけだよ?ひゃはははは!』

対して俯きながら呟く螢子。 
「こんな仕事…したくてしているわけじゃない。
 市民権を買うためにしているだけ…。」
561 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 03:34:30.09 ID:f5ZciXDgo
>>559
眼の色を変える少女の様子を見てクスっと笑う。
「唐翌揚げが好きなのか?
 じゃあ、唐翌揚げと…ご飯か麺を腹に入れておくといい。
 穀物は大切だぞ。あと野菜も欲しいな。」
軽食コーナーで唐翌揚げ三人前をとりあえず。
「飲み物は何にする?あ、わたしはビールを貰うが。」
それから適当に見繕い相談し色々頼み始めた。

562 :エリア :2013/01/25(金) 03:43:31.46 ID:miU9Q+7R0
「ご飯がいいな♪、サラダは任せるよ」
待ち遠しそうな表情を浮かべつつ、
ボルテックスにそう言いつつも、
飲み物のほうを聞かれて

「飲み物は……、りんごジュースが飲みたい!」
と続けて提案してみる少女
563 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 03:44:56.93 ID:Ku30t7M2o
>>560

「―――――あぁ、そう。」

なんだって大人は難しい言葉を使って子供を虐げるんだろう。
研究成果、証言能力、俺の人生が終わる。馬鹿げたお話だった。

背後で少女の呟きを聞いた。それだけで風太郎の向かうべき道は決まる。
彼女がやめてと言っても、無理矢理にでも目の前の中年を退かせた少年だ。

その彼女が「嫌だ」と言ったなら―――風太郎に迷いは皆無だ。

「おじさんの知らない世界もあるんだ。世界の誰もが知らない一族だっているんだ。」

由緒正しき”忍”の末裔。今も認知されることなく、ひっそりと確かに存在する秘境。
その山奥から抜けだして来たこの少年にとって、中年が言う人生の崩壊など大したものじゃない。
謂わば法の外の存在となる道もあるのだ―――「視野が狭いね」と嘲笑して。

「俺の人生が汚い大人の所為で終わるなら、その程度だし……大体、だ!」

「したくない事、なんで無理矢理しなくちゃならないんだ。嫌なら、嫌で良いんだよ。」

「そんで、俺は子供だからおじさんの言ってる事は分からないや。とりあえず、これは抜かないけど。」

突きつけた日本刀は唯の脅しだ。人殺しは風太郎にとって嫌なこと。
だから風太郎は日本刀を下げ、狐面を被る―――そうして狐面の奥、黒い眼が碧く輝く。

「『風遁・旋風弾』―――吹っ飛んで、帰れ!おっさん!」

捻る様に繰り出された右の掌。そこから発されたのは濃縮された風圧。
それを一直線に中年の脇腹めがけて放つ。直撃すれば、一般人であるなら肋骨に二、三本は覚悟するべきかもしれない。
564 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 03:53:38.52 ID:f5ZciXDgo
>>562
「りんごジュースか。いいな。わたしもそれにしようかな。
 すみませーん。アップルジュースとビッグアップルを。」
ビッグアップル?と店員が首をかしげる。
「カクテルです。リンゴにウォッカ。リンゴ杯でもいいですから。」

なるほどと店員は納得し、りんごジュースとりんごカクテル。
そしてコールスロー、唐翌揚げ、ピラフ等が席に運ばれてきた。

「エリア。
 君は自分の居たい場所が見つかるまでうちにいていい。
 とりあえずは今日の出会いに乾杯しよう。」

ビッグアップルの満たされた杯を前に差し出す。
565 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 04:03:16.44 ID:f5ZciXDgo
>>563
吉井武則は右手を前に10m位だろうか。
そのくらいは後方に吹き飛ばされると着地する。
『超能力か。いや、魔法?なんだかわからんが。
 ここで通報をして、警察がそれを受ければわたしが被害者だね。
 異能を持った少年に襲われてまーッす。タスケテー(笑)』

この変態親父、何らかの力学的な異能を持っている。

周囲の公園の客がざわついてきた。
逃げる者達、寄ってくる者達、そして吉井武則の右手には携帯電話。
『もしもし。一一〇番ですか。いま異能の若者に襲われていまして…。』
どこまでも汚い手を使う。目の前のエロオヤジはそういう人種らしい。
566 :エリア :2013/01/25(金) 04:03:19.18 ID:miU9Q+7R0
「こうして誰かと何かを食べるのは、いつぶりだったかな……」
りんごジュースを手に取りながらも、しんみりと
こんなに優しくされたこと自体、いつぶりだったか……
この光景が夢ではないのか、まばたきすれば覚めるのでは
そんなことを考えて、頬をつねってみると、痛みを感じる

「夢じゃ、ない……
うん、今は、その言葉に……」
りんごジュースを手に取り、
そして同じようにりんごジュースを前に出す
乾杯である
567 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 04:09:48.38 ID:f5ZciXDgo
>>566
「食事はいいものだ。ただ腹だけでなく心が満たされる。
 値は安いが、なかなかいけるぞ。
 食べたいものが他にあったら言ってくれていい。」
もう何かを詮索するのもやめておこう。
眼の前に居る人物とはゆっくり知りあって行けば良い。
ボルテックスはそう考えはじめた。
568 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 04:16:32.72 ID:Ku30t7M2o
>>565

「ばーか、忍法だよ―――あぁ、もう!うざったいおっさん!」

「勝手に通報しろ!そんで、警察呼べばいいよ!全員相手してやらぁ!」

面倒な中年だと、苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべた。
あれは何らかの異能を有する面倒な人種だ。厄介にもほどがあるだろう――。

次いでキレた様に大声を上げて中年を睨む――感情のままに怒りに身を任せ。

とはいえ、周囲のざわつきや集まってくる人々に冷静さを取り戻す。
ここで怒りのままに暴れても仕方ないのではないだろうか。それこそ、中年の思うツボか?

「………なぁ、集まってきた人達。俺が悪いのか?この女の子が身体を売るのは、当然のことなのか?」

「アンタらと同じ人間だ、かつてそうだったように子供なんだ―――なぁ、子供だからって何で虐げられなきゃならないんだ!」

悲痛な叫びが公園に鼓弾する。沸々と湧いた怒りは言葉となって吐き出されていた。
大人が子供を圧制する。如何しがたい圧倒的な力で―――それを看過するのか、と集まる人々へ語りかける。

それで誰も彼もが動き出す事を願ったわけじゃない。だけど、この公園にいた人間は真っ当な人だっているだろう。
恋人がいるものは、他人の大切さを知っている。散歩中の老人は子供の尊さを知っている。

なら、誰かがきっと――――狐面の奥の瞳が潤む。悔しい、という気持ちが大きくなって行く。
569 :エリア :2013/01/25(金) 04:16:58.90 ID:miU9Q+7R0
>>567
「うん、心が満たされる食事って、幸せ……」
頬を緩ませながら、唐翌揚げを頬張る少女
よほど、唐翌揚げが好きなのだろう、少女の取り分の唐翌揚げは、
みるみるうちになくなっていく
そしてピラフなども食べ終えて、


「ううん、もう満足、ご馳走
本当にありがとう、お姉さん」
手を合わせて、そしてそれからお礼を言う
残ったりんごジュースを飲み干しながら
570 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 04:29:51.54 ID:f5ZciXDgo
>>568
ある女性が口を開く。
「えっと…えっと…」しかし何も言えない。

ある男性が口を開く。
「俺はお前らがいきなり暴れだしたのしか見てないんだが。」

ジョギング親父が問う。
「そもそもあんたらの喧嘩の理由がわからないんだが。」

健康志向の主婦が言う。
「痴話喧嘩じゃないかしら。若いっていいわね〜」

朧風太郎が何を言ったかよりも重要なのは周りに問いかけたかどうかだったようだ。
野次馬がどんどん集まってくる。朧風太郎も螢子も、そして吉井武則も衆目の中。

そこにパトランプの光とサイレンが近づいてくる。
「はいはい〜、退いて下さいね〜。能力者に襲われている人って誰ですか〜?」
吉井武則はニヤリと笑う。
あやふやな証言しかできない公園の利用者しかいないここでは彼は身の潔白を否定されない。
571 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 04:32:20.38 ID:f5ZciXDgo
>>569
「値段の割に良いスナックだった。」
こちらも食べ終えて、飲み終えて席にもたれる。
「エリアの部屋を造らないといけないな。
 広いほうがいい?」
572 :エリア :2013/01/25(金) 04:37:16.73 ID:miU9Q+7R0
>>571
「ううん、そんなに広くなくていいよ
広くても、きっと使いこなせないと思うから」
首を横に振ってそう返しつつも、

「お姉さん、部屋作りで手伝えそうなことってある?」
手伝う気満々の少女がそう尋ねる
573 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 04:40:04.09 ID:Ku30t7M2o
>>570

「―――――――そうか。」

全て一から十まで説明しないと、理解してくれないのだろうか。
いや、説明したところで理解しようともしてくれないのかもしれない。

簡潔に述べたはずだ。この少女が身体を売る事が正しい事なのかと。
目の前の男がそれを強要していたとも聞き取れない事もないだろう―――。

「ごめん、なんか大騒ぎになった。このままじゃ、俺はともかくキミが危ないな。」

はぁ、と風太郎は溜息をついた。この場をどうやって切り抜けようか。
言葉巧みに中年は自分に罪を被せるだろうし、あの警官たちも信じてしまうのかもしれない。

「…………一度だけ、一度だけ言う。」

「その男がこの子の身体を汚そうとした。この子は生きる為に仕方なく許容する。」

「それを止めただけだよ―――何か、悪いのかよ……俺は?」

先ほどとは一転して、声のトーンが下がった。殆ど、諦めている様にも聞こえる。
ただもう一度だけ、説明し、聞いてみようと思った―――警官にも聞こえる様に。

その上で駄目だったなら。それはもう、”やりたいことをする”しかないだろう。そう、風太郎は決意する。
574 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 04:41:25.20 ID:f5ZciXDgo
>>572
ふむ、部屋づくりに必要な作業と言われても、
一軒家を無理やり改造して店舗と工房を確保しているくらいだ。
「住宅を工房にしているから荷物の運び出しくらいだな。
 一応三階建だがどれがいいだろう。見に来るか?」
575 :エリア :2013/01/25(金) 04:45:18.09 ID:miU9Q+7R0
>>574
「自宅を工房に……」
と聞き暫し思案したかと思えば、

「うん、見に行っていいなら見てみたい」
と言い頷いた
576 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 04:59:08.59 ID:f5ZciXDgo
>>573
螢子が風太郎の服を掴んで首を横に振り…
「ううん、いいよ。ありがとう。あとは自分で…」

螢子が最後まで言う前に風太郎の言葉が公園内に響き渡る。

警官 『ん?あの少年の言った事を裏付ける証人は?』
公園の連中 『いません。…いませんけれど』

証言1
『そういえば手を出したのはそこの少年が先ですが、その前におっさんが少年に何か言ってましたよ。』
証言2
『あの…その…その少年が女の子に変に触れたのは見たことがありません』
証言3
『螢子ちゃんは俺の嫁!ペロペロさせてなるものか!常連はお前だけじゃない!』
証言4
『あ、僕も異能なんですけれどね、能力の発動はおっさんが先でしたよ。
 何か使ってから少年に話しかけてたのをはっきり目撃してます。』
証言5
『そこの少年はその少女と待ち合わせした風ではありませんでしたね。』

吉井武則『へ、へえ〜。ただの娼婦かなって思って買いに来たんだけれど…。』

螢子が名前をいう「吉井武則 弁護士 子供は二人…。愛人が二人いる。」

警官『えっと…えと?何この面倒くさい通報は?』
577 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/25(金) 05:02:22.85 ID:f5ZciXDgo
>>575
「いや、工房を改造して自宅にしたんだ。さあ、いこうか?」

案内された工房は確かに工房だった。
倉庫のような見た目にクレーン。
しかしその中に四角い不思議な区画がある。

「部屋だ。」

部屋らしい。
578 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 05:13:42.68 ID:Ku30t7M2o
>>576

さて、面倒くさいことになってきた―――風太郎は空笑いした。
とはいえ事態は良い方向に転んでそうな気もした。
中には何だか常連なんて単語も聞こえたが。とりあえずそいつには睨んでおく。

「この国は子供を売ったり買ったり、良かったんだっけ?おまわりさん。」

そして、後ろで聞こえた情報に少しほくそ笑みながら、風太郎は中年に話しかける。

「ふーん、おっさん、弁護士なんだ。それで、子供は二人で、愛人も二人……。」

「まぁ、なんでもいいけど。アンタの子供が可哀想だよ―――さて、と。」

警官に向き直り、風太郎は狐面の奥で笑いながら―――。

「おまわりさんはどっちを信じてるのさ。いたいけな子供か、そんな子供を食い物にする大人かさ。」

あきれ果てた声で尋ねる。今、少しずつ事態は好転している。
なら、なんとか―――切り抜けられるか?
579 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 05:24:32.54 ID:f5ZciXDgo
>>578
睨まれた常連は逃げていく。
とはいえ風俗なぞそんなものだ。

童顔の警官は大きな口を開けて答える。
『人身売買は国連で人権に対する罪に抵触する。
 こいつは統合政府推進連盟の加盟国でも有罪になるなぁ。
 どの加盟国でも国際法に乗っていれば、則っていれば有罪だぜ。
 日本国は日本国政府を維持するか、統合政府に入るかで揉めてるが、
 どっちに入っても人身売買は有罪なのさ。』

吉井武則は反論する。
『う、売り買いするんじゃねえよ。
 ただ、囲うだけだよ。良い女ぁ見つけたらそうするもんだろう?』

失言が出た。
580 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 05:30:56.26 ID:Ku30t7M2o
>>579

「大人みたいで、こういう揚げ足取りは嫌いだけどさ。」

馬鹿を見る眼だった。風太郎は大きく溜息をついて。

「囲うって表現はアリかナシで言えば……ナシ、だよね。」

「それってつまり、監禁とか軟禁になるんじゃないの?」

やれやれ、と首を横に振って―――。

「大体、いい年したおっさんが子供に手ぇ出すなよ……。」

ぼそり、と荒くなった語調が出た。汚物を見る眼で、中年を見上げて。
581 :蛍子(花売りの薬師)金属質生成 :2013/01/25(金) 05:37:11.88 ID:f5ZciXDgo
>>580
吉井武則は歯ぎしりしながらそして叫ぶ。
「ガキがぁあああ!!」
速度操作の異能を使ってせめて目の前の糞ガキを潰そうと突撃する。

警官は「しまった!」と銃を抜くが遅い。

吉井武則の拳は朧風太郎の"居た"場所を確実に右拳で射抜く。
582 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 05:47:26.15 ID:Ku30t7M2o
>>581

逆上した大人が拳を振るう―――異能を載せた、凶器じみた拳を。
だがそれが決定的となっただろう。中年の言った言葉はブーメランの如く戻ってきた。
その拳を奮ってしまったなら、人生が終わる―――。

「―――――『風遁・風障壁』ッ!』

だがその拳も風太郎に届くことはなかった。ただ殴るだけなら、敵ではない。
いかに速度をあげても、目に映る速度なら―――対応可能というもの。

風太郎の声と共に風の壁が身体の全面へと展開される。
ぼよよん、と擬音を鳴らしそうな光景が広がっていただろう。拳は風のクッションに押し戻される。

「見苦しいなぁ。おじさんみたいな大人には、なりたくないな―――『風遁・風鎖縛』」

全面に展開した風の壁を変化させて―――不透明な風の鎖として中年を捕縛しようとする。
縛られれば、ちょっとやそっとの力じゃ解けはしない。そうなれば、後は警官に任せて。
583 :小寺京太郎(童顔の優男)ミサイル生成 E:BerettaM92FS,FNM249 :2013/01/25(金) 06:07:36.56 ID:f5ZciXDgo
>>582
事は終わった。

「犯罪者の捕縛、検挙にご協力ありがとうございます。
 まじ、ぶっちゃけ、感謝します。」
刑事の敬礼。小寺刑事から朧風太郎への敬礼。ヒーローの格の上がる出来事。

吉井武則、法的には監禁も軟禁もしていないが螢子が言うような男でもなかった。
女、女、女、女を口説き、それよりも騙し、時には上手く手駒にも使っていた、
ハニートラップの使い手で思った以上の悪党だったらしい。国益を左右できるほどのジゴロ。
螢子を狙ったのも特殊なニーズを満たすための駒揃えに過ぎなかった。

「朧さん一日だけあなたを拘束させていただきます。しかしあなたはすぐに釈放されます。」
公園での乱闘と傷害事件の加害者として拘束し、無罪を約束する司法取引だ。
「経歴に不名誉な点、我々ICODがつけましたので別の名誉を付与いたします。」

「任意同行願えますか?情状酌量の分もつければあなたは無罪ですので。
 その、面倒くさいでしょうけれど最高裁判所に一旦来ていただきたいのです。」

螢子が風太郎にしがみつく。
「この人…なにも悪い事してないよ!」
小寺幸太郎は螢子に「それを説明しにいくだけさ。」と告げた。
584 :朧風太郎 [saga]:2013/01/25(金) 06:21:24.87 ID:Ku30t7M2o
>>583

「ったく……はぁ、スッキリした。」

心底スッキリしたと伸びをして一息ついた。
狐面の裏で安堵の表情を浮かべ、肩を落として。

そうして風太郎は警官の言葉に―――小首を傾げていた。
とりあえず、としがみついてきた少女に向き直って。

「えっとね、自分の身体は大事にしなきゃいけないと思うんだ。」

「それとね、嫌なことは嫌って言って、拒否してやればいいんだよ。」

ごそごそ、と学ランの内ポケットを探りながら―――。

「そういう法的なこと、俺は子供だからわかんないんだ―――ってことで、やーだよ。」

「適当に処理しといて。うん、じゃ、俺は明日も学校あるんで……とりゃっ!」

んべっ、と舌を出して取り出したるは煙幕玉。それを床にたたき付けて、辺りは色とりどりの煙に包まれる。
煙幕が消える頃、風の様に風太郎はその場から消えていた―――まさしく、朧の如く。



「……なんで俺、あのおっさんに名乗っちゃったんだろう。警察が高校までこられたら、転校せざるを得ないじゃないか。」

そもそも正義の味方たる自分が顔を隠している意味がないなぁ、なんて事を夜空を飛びながら笑う。
朧風太郎は誰に縛られることもなく、ぷかぷかと風に乗せられて空の向こうへと消えて行った―――。


/お疲れさまです!強引ですいませっ
585 :蛍子と小寺 :2013/01/25(金) 06:29:55.51 ID:f5ZciXDgo
>>584
小寺京太郎が驚く。
「煙幕か?!面倒も無いだろうに…」
 煙が晴れたその場で苦笑してタバコに火をつける。

螢子は迷う。
「嫌な仕事の方が…お金は多い。でも…」

スポットライトの当たる人物もその他も思い思う所を残してこの現場から去っていく。

小寺京太郎と吉井武則は仲良くパトカーに乗って本庁に向かっていく。
今日の居座古座、大騒ぎはこんなところだろうか。

//いえいえ、楽しいロールでした。
586 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 20:05:18.56 ID:IX5yX35xo
夜の公園。街灯こそ点いているが、やはり薄暗い。そんなところに、キャスケット帽を被った少女は居た。

「……」

ベンチに深く腰掛けて、俯いている。よく見ると、腕は脱力して膝に置かれていた。
端的に言えば少女は寝ているわけで。寝息こそ聞こえないが、近くに行けば容易に分かることだろう。
肘掛には、まだ湯気を立てるココア缶が置かれている。近くにある自販機にも、同じものがディスプレイされている。
つまり、少女はココアを買い、一口飲んだところで急な眠気に襲われて寝た。……そんなところだろうか。
とはいえ、詳しいことは少女にしか分からないのだが。

少女が寝ているのは不思議ではない。朝から夕方まで、淡々と占いをしていたのだから。
偶然昨晩夜更かしで寝不足の少女、何でこんな時に限って……と心中で呟きながら何時もの無表情で趣味の時間を終えていた。
そして今、その疲れが押し寄せてきた。偶然の産物だ。

「……」

起きる気配は無い。このままでは朝までグッスリお休みタイムだろう。コートを着ているとはいえ、下半身はスカート。風邪を引くに違いない。

しかし、少女は静かな寝息で、ただ静かに睡眠をとる。
587 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/25(金) 20:26:00.46 ID:O9MkUsZJo
>>586
「……おーい、アンタ
 こんな所で寝ちまったら、色々危ねぇぞ」

ふと立ち寄った公園のベンチ、目に入ったのはそれに座る少女
ただ座り込んでいるだけかと思えば、そうでもないようで
お目当てであった自動販売機の缶コーヒーを購入したあと、ゆったりと近づいてみたが
どうにも彼女、こんな場所で眠ってしまっているらしい

「あー……っと
 こういう場合は……どうすりゃいいんだ?」

どうにか起こそうと、声をかけてみるが
ぐっすりと眠る少女は、声をかけただけで起きるだろうか?

いい案が浮かばず、彼女が起きなければこの少年は頭を抱えるしか無い
588 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 20:38:17.58 ID:IX5yX35xo
>>587
「……」

少年の問いかけに少女は答えない。やはり熟睡しているようで、眉1つ動かさない……。
と思えば突然の大きな声に身体が反応したのか、ピクリと体を僅かに動かすと、首がコクコクと動き出す。

「……ん……」

と、小さく声を出すものの、まだ起きている訳では無さそうだ。
少女の過去の中でも、上位に入る働きを見せた今日。その疲れも、時間に比例して溜まっている。

しかしながら、起きてはいないが起きかけていることが分かるだろうか。
もう少し声をかけるか、身体を揺らすか……どちらかすれば、確実に目を覚ますだろう。
589 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/25(金) 20:43:56.87 ID:O9MkUsZJo
>>588
「……起きなかった自分を恨んでくれよ」

大きな嘆息の後、不吉なそんな言葉をつぶやいた少年は
自身のポケットに突っ込まれていた缶コーヒーを手に取った

この季節にキンキンに冷えきったその缶が掴む指を冷やし痛いほどだった
余談だがこの少年過度の猫舌で、この手の飲料は冷えてなければ飲めない

その冷えに冷えきった缶コーヒーを徐々に彼方の頬へと近寄らせていく

「すまん、これなら起きるだろ」

そして、彼女が急に動き出さない限りは痛いほどに冷えた缶が彼女の頬に接触する
590 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 20:56:24.13 ID:IX5yX35xo
>>589
「―――……ひゃっ!?」

外気と同じほどに冷やされた缶コーヒー、その温度は少女の意識を覚醒させるのには十分すぎて。
十分"すぎる"冷気は、更に少女にあられもない声をあげさせた。……少女と交友のある者なら信じられないほど、年頃の少女らしい声で。
暖かいものであっても、感覚が過敏になっている頬に当てられれば同じ結果になっていたであろうが。

「ん……寝てた……?」

しかし、その数秒後には言葉少ない何時もの少女となっていた。呟くように、自分に問う。
少女としては、疲れが溜まっていたことは自覚していたがまさか寝るまでとは思っていなかった状況。
寝始めたのは夕方だった為に寝ていたのは確実なのだが、今一度事実確認をするためにそう呟いた後、近くに居たその少年へと視線を向けて。

「……寝てた?」

と、全くの無表情で、小首を傾げて問いかける。
まだ少年が起こしてくれたとは思っていない。……初対面の相手にそう問いかける辺り、寝ぼけているらしい。
591 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/25(金) 21:05:45.57 ID:pOXwEywYo
『悪く思わないでねーっ☆
今夜...ちょっと溜まってるし...』

〜〜〜

「....っ、く」

頬に触れる小さな氷の雫
刺すような冷たい空気に追い打ちをかけるような雪が降る
その痛みに近い寒さが地面に倒れていた少年の意識を呼び戻した

無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

「っ...、痛」

刺されるような痛みの走った首筋に手を当てる
触った感触では首の後ろに二つほどの小さな穴が空いていた
歯が抜けたような、今までそこにあったものが無くなる嫌な感覚
薄く血を流すその穴の場所を手の感覚で意識する

「...ぎょ、...『凝固』」

少年がそう言うと、ひとりでに血は固まりだす
ピキピキと音を立て、紅い宝石のように首の後ろの傷を塞ぐ
それで一安心して、脚を立てて立ち上がろうとするが
そうすると、再び少年は地面に背中から倒れこんだ

「クッ....そ、...んあ....」

思うように全身の力が入らない
力の入れ方を、思い出せない
そもそも、チカラって、入れ方ってーー。
少年の思考が、まとまらない

顔が青白く、少年は頭痛と自身の視界の黒点と焦点の合わない歪み
呼吸が荒く、小刻みで冷や汗が溢れ出す
よくある貧血の症状だ
何があったのか、この薄暗い路地で少年が貧血で倒れていた
592 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/25(金) 21:07:46.86 ID:O9MkUsZJo
>>590
「寝てたな、ぐっすり気持ちよさそうに
 起こすのが心苦しいぐらいには」

冷えに冷えた缶コーヒーをポケットに引っ込めるとやれやれ、といった具合に肩をすくませる
言葉ではこんな事を言っているが、この暗がりでもわかる
彼の表情は心底ほっと安堵しているようだ

「アンタみたいな可愛い女の子がこんな場所で寝てたら、どうなるかわかったもんじゃないぜ?
 治安が特別良いって訳でもねぇし
 何か公園に用事でもあったのか?」

この言葉とともに、彼女に了解も取らずベンチに座り込む
彼方が座る場所からは一人分ほど距離を開けているとはいえ、初対面には近いと感じさせる距離だった
593 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 21:23:05.48 ID:IX5yX35xo
>>592
「そう…………えっと……!」

何処か腑抜けた声でそう返し、問いに答えようとして―――外の冷気に、やっと完全に目が覚めた。
自分の隣に座る、1人の少年のほうへと首をバッと動かし、そして直ぐに元の真正面へと、またバッと戻す。
……状況は一瞬で理解できる。起きていたと言う記憶は有るからだ。この少年が自分を起こしてくれたのだろう。
しかし問題は、初対面の相手に馴れ馴れしくしているような、自分の言動だった。

それは普段の少女では有り得ないような行動で、少女としては何となくそれを隠したくなって。
そして取った行動は、ポーカーフェイスのままでやり過ごすことだった。先ほどからと同じ表情で、同じ口調で。
……幸いなことに、少女はデフォルトで無表情だった。


「……ちょっと仕事っていうか、趣味の関係で疲れちゃって。……起こしてくれてありがとう」

素直にそう言って、軽く上半身を傾ける。礼をしているのだろう。
少年が座り込んでいる所は些か少女と近かったのだが、少女がそれを気にする様子はない。
気にしてもしょうがない所もあるし―無論、変な事をしてきたら即刻タロットカードを引き抜くつもりだが―、初対面でも有るし。
そういえば、初対面なのに口数が多いなぁと、目の前の少年に思った。
594 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/25(金) 21:40:12.01 ID:O9MkUsZJo
>>593
「どういたしまして、根を詰め過ぎんのも考えもんだな
 まあ、そんな事言えるようなもんでもねぇけどさ」

無表情の彼方とは対照的に、ヘラヘラと軽薄な笑みを浮かべるその少年
先程、彼女の頬に宛てられた缶コーヒーのプルタブを持ち上げ
カポッと軽快な音を立て、呑口を広げる

「っと、名乗ってすりゃいなかったな
 俺は士狼、七瀬士狼
 唯の学生、って所だな」

よく見れば、彼が身に着けている服はこの近くの学園の制服のようだ
595 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/25(金) 21:49:20.38 ID:AOSe8D0Wo
>>591
色々と用事があり、路地裏を歩いていた女性。
「……人が?」
そうして歩いていると、路地の途中で人が倒れている。
倒れた人物の前で立ち止まると、首を左右に曲げて周囲を確認した。

「大丈夫、ですか?」
トントン。と、倒れた人物の肩を軽く叩きながら、安否を確かめる声をかけた。

「生きてはいるみたいですけれど……」
呼吸はしているのだから、生きているだろうと考えた。
さらに観察してみると――なるほど、顔色が青い。発作的な病か何かを連想する。
「どうしましょう?」
助けを呼ぶべきところかもしれないが、女性は倒れた人物の返事を少しだけ待つことにした。
596 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 21:54:04.84 ID:IX5yX35xo
>>594
「根を詰めたと言うか、寝られない状況だったから」

コーヒーのプルタブを開ける少年と偶然同じタイミングで、少女も傍に置いてあったココアを手に取る。
中身が温くなっていないか確認して、多少冷めているがまだ暖かいことを認めるとそのまま一口、喉に流した。
ココアと共に一日の疲れも取れていくようで、少女は満足げだ。無表情で。
尤も、一時的な休息に過ぎないし、やはりお風呂に入らないと本当に疲れは取れないのだが、それは良しとして。

「士狼、よろしく。私は彼方――」

少年の自己紹介に返すように、少女もまた名を口に出す。
そう言えば、何度となくこの制服の学生は見たことが有る。……と言うか、自分のテントに来たことがある。
思い出した少女の頭に一瞬、こうなる前の中学生の自分が過った。僅かに頭を振って、その考えを打ち消す。
……自分は、元の自分に戻れない。そんなことを思った。

自分も職業を言おうとしてその答えに詰まる。無職……というよりは占いをしてるし、しかし自分は占い師ではない。
占いが出来るだけで唯の一般人である少女は、何とか良い答え方を見つけようとし―――。

「――……占い師……もどき」

ちょっとだけ、自分の語彙力のなさを悔やんだ。
597 :七瀬 士狼 [sage]:2013/01/25(金) 22:05:10.05 ID:O9MkUsZJo
>>596
「占い師…?
 クラスで聞いたことあるな……テントの占い屋、とか」

くいっとコーヒー缶を傾け飲み干すと、彼女の顔を伺うように視線を向ける
この視線も声も先程とは打って変わって、自信無さ気に萎んでいた

間違っていたら失礼かな、等と言い終わってから後悔の念が襲ってきたのか

「あー…いや、えっと
 そうだ、一つ占ってくれよ……って疲れてるんだっけ?」

取り繕うための話題で、更にドツボに
ハハハハ、と笑って誤魔化してはみるが、この少年は随分と焦っている様に思えた
598 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/25(金) 22:06:28.49 ID:pOXwEywYo
>>595
誰かの、声───が、
近く。から、聞こえ──る。
叩──、かれ。た

「ん....っ、あ....」

僅かに、近くに聞こえた声と
たたかれた肩に顔を歪ませるように少年は反応を示す
しかし、思考は底のない壺で海の水をすくうように
何度思考しようと不毛で上手くいかない
断片的な思考が、無意識の空を飛び回るのみ

女性には少年が反応を示せる程度の症状だと分かる
しかし、これが重度の貧血かはわからないか──?
ただ、少年が虚ろな声で呟く声は聞こえる
思考は当然、瞳も閉じて。震える身体で

「...だ、独、りは。...や、.....」

風が吹けばすぐにでも倒れそうな細い腕を曇って星も見えない空へ向ける
周りの気温で冷たい綺麗な指先の2、3回何かを掴む様な仕草
まるで、その空に誰かと握手する様ないるような
ただ、何か、誰かを欲するように
手を握るように、倒れたまま空へ向けている
まるで、その手を握っていた人を思い出してるように

もちろん、少年と初めて会う女性には何のことか見当もつかないだろう
ただ、この少年が孤独を恐れていることは伝わってくる筈だ
599 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 22:14:39.74 ID:IX5yX35xo
>>597
「……、一応、テントで占いしてるけど」

自分の事かは知らないが、……いや、確実に自分のことだろう。
この辺りでテントを張り、占いをしているのが自分しか居ないというのは、町を歩き回って既に掴んでいることだったからである。
それにしても、高校生の間で話題に上がるくらいだったとは。占いは、高校生ぐらいの年代の人の心を使いやすいのだろうか。
そう考え、自分も同じくらいの年齢だったことに気付き、気分だけが落ち込んだ。少年からでも、僅かな顔の曇りが分かるだろうか。

「……ん、良いよ。簡単なものなら」

場を取り繕うと必死な彼に、少女は僅かに微笑みかける。
無理しなくても良いよ、そんな心が言外に含まれた表情の次に、ポケットから取り出したのはカードの束。
使い古されているが未だ傷一つ入っていないそのカード群がタロットカードだと、少年には分かるだろうか。

次に始めたのはシャッフル。ただタロットカードの特性上、上下もバラバラにする特殊な切り方だ。

「……なんか占って欲しいこととか、ある?」

手の中でカードを複雑に運動させながら、少女は尋ねる。
600 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 22:28:09.16 ID:IX5yX35xo
>>598
/雑談でも申し上げた通り、自分も用事が来そうなので打ち止めということにしておきましょう。
/占って別れた、ということにしておいて下さると幸いです。乙でした!
601 :彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式 :2013/01/25(金) 22:28:36.27 ID:IX5yX35xo
/>>600
/安価間違えた!>>598>>597です!
602 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/25(金) 22:29:12.67 ID:AOSe8D0Wo
>>598
「 過呼吸でしょうか?」
一つ一つ状況を確かめていく。
その動きはゆったりとしていて全く緊張感が無いのだが、どこか慣れた様子があった。
「出血……これは違いますか
あとは外傷も無し……ええと、大丈夫ですから、焦らないでゆっくりと呼吸をしていて下さいね」

「ちょっとだけ、失礼しますよ。動かないでください」
許可がおりるのは待たずに、少年の脚の下側に板のようなものを差し込んだ。
「頭は引くしておいて下さいね……」
応急処置のつもりでやっているのだ。
血行不良による脳に行き渡る血の減少が原因の貧血ならば、頭を低くし血を落とさせる事で、楽になる可能性がある。

「楽になりましたか? これでダメなら、すぐにでも救急車を呼びますけれど……」
倒れた人物の顔が見える位置に座り込む。
相手を心配しつつも、表情には笑顔が浮かんでいた。
603 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/25(金) 22:44:33.23 ID:pOXwEywYo
>>602
「ん....ありが、とう...」

女性の適切な処置が良かったのか少しずつ少年の顔色が回復してきた
心なしか、意識も戻り言葉も聞き取れる
無意識のうちか、少年の顔は少し笑顔に見えた
明るい笑顔はそれこそ性別を忘れるような微かに明るいものであった
事実、少年の顔はどこか女の子にも見えるように整っているからか

数分後──。
思考がゆっくり整う
視界がはっきりし、焦点が合いだす
手の先から足先の神経が生き返るような感覚
頭が少しずつ冴え渡る
少し瞬きをして、目と少し首を動かして辺りを確認
すぐに女性と目があった

「君が...助けてくれたのか...?」

まだ少しだけ息が、荒いともいかないが少し強い
だが、それでも落ち着いたようなトーンで女性に語りかけた
ちなみに、「君」と言っている辺り女性を年下と思ってるのは秘密

「救急車は結構です...そ、その...ありがとう」

上半身だけでも起き上がろうと
寝たままの体勢では失礼だからと思ったのか腕で支えて上半身を起こす
少しだけ無理をしているようにも見えるが
ただ、自分を助けてくれた好意に少し恥ずかしいのか
女性から目を背けて、目線を合わせず言っている
年相応の少年のようだ。こういう事態には慣れてないのかもしれない
604 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/25(金) 22:54:37.39 ID:AOSe8D0Wo
>>603
「貧血ですかね……ちゃんとご飯を食べてます?
成長期なんですから、ちゃんと食べるものは食べとかないと、ダメだと思いますよ」
青年に回復の兆しが現れれば、その傍に座る女性も安心した様子を見せる。

「…………………」
相手が動けないのをいいことに、整った顔を観察する。
性別は――どちらだろうと、悩むような綺麗な顔であった。

「ええ……まあ、一応は助けたことになりますね」
当たり前の事をしただけです。と、小さく微笑んだ。
「どういたしまして。……寒気はありませんか?」

「あ……しばらくは寝ていて下さい。
すぐに身体を動かすと、ショックを起こすかもしれないので」
説明して、起き上がろうとする青年を止めようとする。
静止は絶対というものでなく、無理矢理にでも起き上がろうとすれば、女性の静止は振り切れるだろう。
605 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/25(金) 22:58:31.18 ID:3ey/H2KO0
「困ったなあ……」

公園のベンチで呆然としている中年がいた。
コートに手袋、帽子付なのでそれなりに暖かそうに見えるものだが、顔は暗澹としている。
家の鍵を失くして、帰宅難民化しているためであった。
こんな年になって、このありさまである。

「鍵は閉めたんだけれどもなあ、どこに仕舞ったんだか……」

ナイスミドルといった風情の男性なのだが、今日はその背中も小さく見える。
とはいえ、鞄の中を探索してみても、何かあるわけでも無く、ベンチで困り果てていた。
606 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/25(金) 23:09:42.55 ID:pOXwEywYo
>>604
「た、食べるものは一応...多いぐらいで...」

彼の年齢は女性の予想でも17か18歳ぐらい
事実、そのぐらいの年齢だ。食べる量もきっと人生で1番多い年代だろう
そのくせ随分細い身体である。
引き締まった腹部なんて、必要な臓器や筋肉以外ないのではなかろうかと

「だ、大丈夫だ...このくらい日常茶飯......っ」

寒気なんてないことも無い
まだ身体がだるく、全力ダッシュでもしたらふりだしに戻りそうな
万全の体力ではないが、何故か無理をしていた

「っ....く...」

そもそもこの女性の笑顔が直視できない
前もあったが、どうやら自分は“こういう”顔には弱いのかと
どうにも目を合わせれない、不思議と顔が熱い気もしたが

だから無理して立ち上がって即立ちくらみだ
すぐに横の壁にもたれかかった
その時女性には何かが少年の首の後ろにあるのに気付くだろう
縦に並んだ二つの小さい紅い宝石のようなものがあるのを
それが何か傷口を塞いでる物ともすぐに分かるかもしれない
607 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/25(金) 23:21:09.17 ID:AOSe8D0Wo
>>606
「そう、ですか。
でしたら……もう少しメニューにこだわるべきです。
いくら食べても、栄養に偏りがあるとダメですから」
目の前の人物に視線を向ければ、細い手足や胴体が意識しなくても視界に入ってくる。
ただ、それは細すぎた――思わず、口を割いてため息が漏れた。

「日常茶飯事ですって……自慢になりませんよ」
その少年の言葉には呆れたようだ。それと同時に、不安そうな色が再び濃くなる。

「ほらほら、言った通りじゃないですか」
くらんだ少年の身体に手を回して、地面に座らせようとする。
「今度また倒れたら、その時は貴方を捨ててそのまま帰りますからね」

首の裏に何かあることには気がついた。
なにかが、とてもおかしいとは感じたが――特別、本人に尋ねるようなことはしない。
ただ、少年が首を壁にぶつけないように、動きには気を使う。
608 :シンラ :2013/01/25(金) 23:27:06.22 ID:d6SdsL5t0
>>552

――家族ごっこを終わらせたかったの。

重みと繋がりに耐えきれなかった

足枷で…縛鎖の様なモノだった

一言 二言 三言

心に突き刺さる言の葉に
涙を流し 首を項垂れる

否定は──出来ない

勝手な家族ごっこを始めたのは自分であり その重みと繋がりに幸福を感じ、縋り付いていたのもまた自分
次いでクララの涙に心を打たれ、姉とは反対に失うことに恐怖を覚えたのも自分

鳥である彼女と 亡霊である自分の価値観の相違


鳥に足枷を掛ければ、飛べなくなるのは当然の事
されど、亡霊の如き自分には足枷が無ければ 地に足を着けることすら叶わない

だからといって 鳥を縛り付けることは許されないのだ
けど、それでも、少年は叫びたかった。 行かないでくれと、しかし涙に溶かされた舌は上手く廻らずに
ただ、えぐえぐと息を漏らすことしかできはしない

『けど、ね。それは選ばない。』

不意に、自分の頭に柔らかな何かが置かれ
くしゃくしゃと 掻き乱すような 乱暴であり 優しい感触
先ほどまで、ベランダに居たその手は 冷たく 心地が好かった

『だって、そんな辛そうな顔してる弟や妹の顔なんて見たくないもの
 だから――踏ん切りをつけた。『私が、貴方たちの前からいなくならない』ってね』

その言葉を聞き 少年は 涙に塗れた 小汚い顔を上げ
小さく 首を傾げて 若干 不自然な 笑みを 浮かべ
倒れこむように 彼女の足元に 縋り付くように 抱きしめようとする

───それはさながら 足枷のように

「お゛ね`ぇぢゃぁん!
 あ、の゛ね、てがつべたいひとっで、こころが、あ`っだがいんだっで!
お、ねぇ ぢゃんのではつべだいよぉ…とっでもづべだいよぉぉぉぉ…」

とある手の冷たい男から得た情報だが。改めて間違いでは無いと認識する
だって彼女の手はとても冷たくて 彼女の存在は とても暖かかったのだから
609 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/25(金) 23:37:57.67 ID:pOXwEywYo
>>607
「あ、ホントすまない...、ちょっとここ数日忙しくて...
...それと、その身体は生まれつきだから」

食べる時はちゃんと食べてるのらしいのだが
どうやら何か事情があって、多分精神的な何かがあるのかもしれない
するべき何かがあって、それをしなければならないと
何かに追われていたのなら、無理はないかもしれない
生まれつきと言われたら、普通に羨ましいかも
女性でもそうそういない身体のラインの持ち主だ
ただ、あまり見られたくないのか少年はコートを翻し、体を隠す

首を後ろの傷は自然にできるだろうか
まず不可能だろう、何者かに付けられた傷だ
しかも、まるで噛みつかれたような──。

「ありがとう...いや、その...すまない」

何度聞いたかわからないが、少年はそう言う
ただ、彼の顔には一瞬に淀みもない
その場を適当にあしらう──、何て事はないようだ
本当に感謝しているようだ

「あ、そうだ...一つ聞きたいんだけど...」

床に座り込んで、そんな事を言い出した
少年は女性の方を、相変わらず目は見ずに目線を外しつつ
何か言いたいことがあるのか、少し言い出しにくそうにそう言った

610 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/25(金) 23:53:14.14 ID:AOSe8D0Wo
>>609
「いいえ、私に謝られても困りますよ」
言葉を選びながら、続ける。
「忙しいのは貴方の勝手ですが、身体を壊して道端に倒れるのはやめて下さい」
忙しい――そんな理由で、片付けようとする少年の言葉には、あまり嬉しくなさそうに、表情を微かに歪めた。
「自分をおかしくしてまで、何かをするむていうのはそもそもに間違いなんです」

「太りにくい、って奴ですか? 羨ましいですね……」
傍に座る女性もスタイルは悪くないのだが、これを維持するには其れ相応の苦労があるのだ。

「……首の後ろ。怪我してますけど?」
穏やかな口調で、少年に言葉を投げかける。
――なんとなく事情は分かるが、とぼけてみる。

「はいはい。……感謝してくれるなら、今度からは身体を大切にして下さいね」
言葉の誠意は感じる。だからこそ、もう二度と道に倒れてまた同じように誰かにお礼を言うなんて事をして欲しくない。
次も誰かが助けてくれるとは、限らないのだ。

「なんです? ……答えられることならば、答えますよ」
611 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/26(土) 00:07:45.69 ID:30CDfHwzo
>>610
首の後ろ、そこを指摘され思わず手が伸びた
無意識でその傷を隠すように
少年もこれには何やら今までとは違う目の逸らし方
目を泳がせて、誤魔化そうとしているのか


「あ...これはちょっと前の木の枝で怪我してな!
別に変なことは一切...!」

ちなみに、この街一帯にはとある噂がある
若い男女の血を吸う吸血鬼の噂を
夜の街を駆け抜ける吸血鬼少女──あくまで噂話だが

「いや...全然対したことじゃないんだが...
俺が気ィ失ってる間に俺が何か言ってなかったか...?
寝言とは違うけど...喋ってるとか...なにか」

無意識で何かしていた気がする
誰かを探していた気がする
手を伸ばして、現状を否定していた気がする
深い闇に落ちるのを、必死に抗って

そんな気がしたのだ
恥ずかしい寝言の一つや二つ、あった気がしていたから
事実、あったのだが
その内容を、女性は覚えているだろうか──?
612 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/26(土) 00:16:49.43 ID:NlNdPgoro
>>611
「……それだけ元気ならば、もう大丈夫でしょうか?」
ふふふ、と笑顔を作る。

木の枝でできるような傷では無いと、簡単に分かる。
が、それ以上に問い詰めたりはしない。
誤魔化したいというなら、誤魔化したくなるような理由がある訳ことになる。その理由まで聞かねらばならない必要が、リリアーナには無かった。

「ええ、何か話していましたよ……聞き取る事は出来ませんでしたけれど」
顎に手を当てて、少し前の事を思い出そうとする。

「……あれは確か、手を空にあげて何かを掴もうとしていた。の、でしょうか?」
613 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/26(土) 00:35:00.73 ID:bzBjobdp0
>>608

足枷で縛られた鳥も悪くない。
何故なら、より遠くに飛びたければ足枷の鎖を伸ばせば良い。
何より帰る場所と家族はきっと、彼女にとっても寄る辺になるだろうから。

それが、彼女の出した結論だった。

「…心があったかい、か。私、そんな事言われた事が無いから
 照れちゃうわ……。ごめんね、シンラ。涙で押し潰されそうになるまで
 放っておいて…。」

眼差しも、雰囲気も。
弟たちへの申し訳なさと、自身の不甲斐なさが滲み出て。

それは彼女のズボンに弟の涙が染み込んでいくのと同時に。

「――…ダメで、自分勝手で、他人の気持ちなんて考えた事の無い
 女だけど…そんな私でもあなたたちの姉で在り続けても、いいかしら?」

ここまで弟たちに心配をかけた、駄目な姉。
自分の事しか顧みない、愚かな姉。
そんな姉が今、他人を顧みて、他人の為に心を痛め。
それを良しとして、受け入れて。初めてこの子達と一緒に居たいと願う。
614 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/26(土) 00:36:04.00 ID:30CDfHwzo
>>612
「あー...そうか、やっぱり....」

少年は軽くその頭を抱えて言う
何と無く、そんな感じのことをしていた気がしたからだ
もう会えることのない人を
あの高い空の向こうにいる人に
一瞬だけでも、その面影が見えてしまったのだから
届かずとも、思いだけは──。

「...寂しかった、と有り体に言えばそうだったのかもな
昔は二人だったが、今はもう独りで生きてきたからな...」

年齢的にようやく大人の面影が見えるかもしれない少年だ
そんな彼が昔二人だと言えば、この少年は当時子供に違いない
大切な家族だったのだろう、それを抑え生きてきた
それが今回の貧血で意識を失う──軽く、死ぬ瞬間も何かを思い出したのだ

「...あなたは、隣を歩いてくれる人はいるのか...
...俺は、分からないんだ」

誰が隣にいるのか
誰の隣を歩いていいのか──。
615 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/26(土) 01:05:02.71 ID:NlNdPgoro
>>614
「独り……ですか」

優しい表情のまま、笑顔を消して少年に向き合う。

「私は……そんな風に人を大切に思った事はありません。
だから、隣に人がいる嬉しさも、その人が居なくなる悲しさも知りません」
はぁ。と大きなため息を漏らす。白い吐息が、空をまう雪に掻き消される。
「そんな私に聞いても、ダメですよ」
慰める言葉も、綺麗な言葉も言わない。
ただ、思うところを全て正直に答える。それがリリアーナの与えられる答えだった。

「……確かに、隣を歩いてくれる人はいませんでした。
でも……私、だれかの隣を歩いてみるのは結構やりますよ」
歩調の遅い人に合わせてみたり、遅れている人を助けてみたり。――そんなのが好きだから、なんでも屋を名乗っているのだ。
「歩いてくれる人と、歩いてあげる自分じゃ意味合いは変わってしまいますが……隣に誰かがいるから、さみしくはありません」
慰めの言葉に変わりに投げられるのは、これが限界。
少しでも少年の助けになればいいが、空虚な戯言と受け取られても仕方が無いと思っている。
616 :シンラ :2013/01/26(土) 01:22:22.35 ID:WPrQHKID0
>>613
 
姉の衣服に涙が染みようと、けっして離そうとしない少年の姿は
 一家の長男として実に頼りなく どちらかといえば愛玩用の小動物のようで
 
『――…ダメで、自分勝手で、他人の気持ちなんて考えた事の無い
 女だけど…そんな私でもあなたたちの姉で在り続けても、いいかしら?』

 そんな彼が、頼れる とっても頼りがいのある優しい姉に対し
 姉をやめることなど許すはずもなく。 彼女の問いかけに 無言で刻々と相槌を打つと
 しばしの沈黙とともに 呼吸を整え

「おねーちゃんは、ぼくらに家をくれた…。 人間らしい生活もくれた。 駄目なひとなんかじゃないよ・・・。
 他人の気持ちを考えたことがないなら、家族で練習をすればいい…
 ぼくたちは他人じゃないんだから…。 ぼくのことを傷つけたっていい
 ちょっとだけならクララを泣かせても許してあげる…。姉として、ここに帰ってきてくれるなら、それだけで、いい」

 間を置きながら、短い間隔でしくしくと泣き声が混じりながらも
 少年が、必死に紡ぐ家族への言葉。 次いで、またいっそう泣きそうになりながらも、新たな思いを吐き出した

「それに、だめなのはぼくのほうなんだ…
 おねーちゃんが喜ぶと思って金塊を持ってきたのに、偽物だったし…
 価値はたったの50円しかなかったの…
 おかねと死体(たべもの)を持ってくるのが、ぼくのおしごとなのに…」

 そう、呟きながら、少年は涙目でポケットをまさぐり
 そこから、小さくて 不恰好な 金色の指輪を取り出した
 
 それは愚者の黄金と呼ばれる鉱石で出来た出来損ないの指輪
 本来なら硫黄のような異臭を放つそれ、今はどういうわけか、自宅の洗剤と同じ香りを放っているのだが
 やはり指輪としてはお世辞にも綺麗や可愛いとはいいがたく

評するならば ただの 金の色をした輪っか とでも言おうか

少年はそれを申し訳無さそうに掲げ

「せめて女の子が喜ぶようなかたちにしようとしても…
 じょうずにできないし…。こんな、駄目な弟でも、だめだめのぼくでも家族で居続けて、いいのかな…? 」

 と、改めて問う
 自分で自分を評価し、また泣きそうになりながら…
617 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 01:39:13.07 ID:D1TKZ5TDo

「…………あっ、えっ?」

帰路に着く途中、近道をしようと裏路地を通り抜けようとした。
人通りも少ないので、誰かにぶつかることもない。つまり一石二鳥だ。
彼女は盲目、大通りや人の賑わう場所を移動するには気を張らなくてはいけない。

だがそれが今夜は偶然にも不幸を引き起こすきっかけとなった。
この辺りを徘徊する浮浪者は徒党を組んで、犯罪に手を染めていた。
盲目のシスター、ベアトリス・セイクリッドが通った路地裏には偶然にも彼らがいた。

『シスターさん、俺らを救ってくれよぉ』

ひひひ、と薄汚い声が幾つも響いた。白杖をついた彼女の眼が見えないのを知ってだ。
何人かの男の手が彼女の肢体に触れる。修道服の上から弄られていた。
ハーフアップにした長い金髪に腐臭の混じったごつごつした手が触れる―――。

「あっ、やぁ―――あの、私から離れてください……っ」

やめて、やめてください――そんな悲痛な声が響く。目が見えない彼女にとって、それは恐怖でしかない。
紅い包帯が巻かれた右腕を庇う様に、身を縮ませて”暗闇”の中、震えていた。
618 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/26(土) 01:43:02.22 ID:30CDfHwzo
>>615
「悲しくない...って、何言ってるんだ...
そんな事じゃあ、生きている意味もないじゃないか...!」

珍しく、感情的に言ってしまった
おかしかったから──。
生きる以上楽しい事悲しい事もある、それを乗り越えることで
人は一歩一歩と成長するのに
このままでは彼女は一歩も前に進めない


ある人物を思い出す
鏡を見るように、誰かと過ごしている何処かのオトコノコ
そして、その誰かを失ったオトコノコ

その時の感情を──。
この感情は誰もが持つものだ
生き物である以上、なくてはならない

それを持たない彼女はどうしようもなく───。

「君は人だよな、実は心を持たない傀儡でも
電池で動く機械人形なんかじゃないよな...」

少年は女性の顔をまっすぐ見た
伝えなきゃいけない事がある
彼女を見捨てれない
この感情がなかったら、いつまでたってもこの人は───笑えない。

寂しさとは楽しさの裏側だ
彼女が寂しさを知らない限り、楽しさを知ることもないかもしれない
自分みたいに、遅れているような人物に合わせる人生じゃ───。

少年は彼女の細く綺麗な手を
自分の両手で包み込むように握ろうとするだろう

「君が人であるなら、そのさみしさを知らなきゃいけないだろ...君を助けたい
君を放っておけない

だから────。

俺が教える。俺がさみしさを、人といる事の楽しさを」

別れる辛さを共に歩く喜びも何もかも
俺が、教えると──彼はそうまっすぐ言った
619 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 01:50:49.08 ID:zOxC1DKCo
>>617
「おうおうようよう、テメェ等いい度胸してンなァ!?」

そんな粗野で粗暴な声が響くと同時に、彼女に手を伸ばした浮浪者の頭にごしゃりと石が叩きこまれた。
浮浪者やチンピラと代わりのない、即決の行動だが、そこには誇りがあった。
即ち、自分の正しさを信じてそれを貫くことを躊躇わない結果の、暴力だ。
己の内から来るものに正直という点では、今ベアトリスを組み敷いている男たちと大差はない。
だが、その正直さは今現在、ベアトリスの側について、男たちの敵となっていた。

(――よっし、不良どもボコって見つけたとおりだ。
 細かいことは後だがー、まずねーちゃんを助けねぇと)

思考を回し、金髪オールバックに学生服のヤンキーはその場で姿を消した。
空中にオレンジの軌跡が描かれると同時に、ベアトリスの首根っこが引っ掴まれ、担ぎ上げられる筈だ。
もし男たちが邪魔をするなら、風切り音の混ざる拳の乱打が顔面や腹部に叩き込まれることとなる。

「今から俺はテメェらをボコる。
 理由は、俺が正義の味方で、テメェ等の行動がムカつくからだ。
 俺とねーちゃんが目撃者だからよ、さっさと沈んでお縄に付きなァ!!」

住人近い浮浪者達に、一人で啖呵を切るヤンキー一人。
風に真紅のマフラーがなびき、ばさりばさりと音を響かせていた。
620 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 02:05:37.77 ID:D1TKZ5TDo
>>619

このままでは慰み者にされるのは確実――ぞくり、と背筋に悪寒が走る。
”慣れている”としても、神にも等しいL.M.Gの上層部以外になど。

そこへ荒々しい声が響いた。押し付けられ、男達の吐息がかかる距離での出来事。
その刹那、掴まれていた腕が解放されうめき声が聞こえて、目の前の気配が消える。

『ぐぁっ!?じゃ、じゃまするな兄ちゃん―――ひ、独り占めしようってのか!?』

仲間がやられたとして、徒党を組んだ浮浪者達は三門を囲む。
その数は5人。1人で立ち向かうには不利と言える。それに、彼らにはナイフがあった。
女性の衣服を切り裂き、叫び声をあげられないように喉元へ突きつける為の凶器―――。

「あっ、あぅ……その……。」

担ぎあげられて、状況を理解したのかベアトリスは困った声を漏らした。
急な浮遊感に驚いたが、今の自分に為す術はないと黙りこんでいた。

『ワシらの楽しみを、横取りすんじゃねぇねぇぞぉ!!』

血走った眼で老齢の男達はナイフを青年に向け、走りだす。
5人同時のその刺突を―――ベアトリスは感じたのか、「逃げてください!」と担がれたまま叫ぶ。
621 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 02:15:05.88 ID:zOxC1DKCo
>>620
「――よっと、ほれ。
 コレでも羽織って下がってな、寒いだろ?」

ベアトリスをよいしょ、と地面に降ろして学ランと内側に着ていたスカジャンを背中から羽織らせた。
両手には、拳部分に砂鉄を詰めた特注のグローブを嵌め、ごつん、とぶつけ合わせる。
背後から叫ぶベアトリスに、はは、と苦笑を浮かべて。

「ヤッパの一本や百本でびびってたらヒーローなんざやらねェってのよ!
 下衆で外道なテメェ等は、俺の鉄拳一本で十分だわな! コンクリートは冷たいぜ、とっと頭冷やしやがれェ!」

五人同時の刺突は、当たらなかったわけではない。
だが、直後に正確に5人の顎を撃ちぬく拳が、ほぼ同時に放たれる。
足捌きと高速動作でナイフは掠り服を引き裂き、鮮血を飛び散らせるも、突き刺さることはない。
突き出されたナイフの隙間を縫い懐に入ることで追撃を防ぐと同時に、フックの軌道で拳を振り抜き、意識を刈り取ろうとした。

「ヒャラァッ!!」

目の前の一人には、全力で頭突きを顔面に叩きこもうとする。
能力なのか何なのか、オレンジ色の流星の尾の様な加速を得て、額を鼻にめり込ませるように振りぬく三門。
命中すれば尾骨が陥没しかねない程度の威力はある。

動作のすべてが洗練されていない。
しかしながら、果てしなく力強く、そして躊躇いがない戦闘法は、センスというものを感じさせるものだ。
622 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 02:26:58.30 ID:D1TKZ5TDo
>>621

「あ、あの―――……っ」

見えない眼が口惜しい、と唇を噛んだ。
猛々しい彼は自分の為に戦ってくれて居る――なのに、自分は何も出来ない。
いや、出来るのだ。この右手さえ解放すれば。だが、ベアトリスは……。

『―――――ぐ、ぁ』

ナイフを恐れることなく真っ向から攻撃を繰り出した青年。
鋭利な刃が彼の衣服を引き裂き、少しばかり肌を裂いて血しぶきが舞う。
僅かにそれが数滴、ベアトリスの頬に落ちて彼女は悲壮な表情を浮かべていた。

『わ、ひゃ……うわぁぁぁあああ!』

『ま、まて!ワシも、うひゃああああ!』

青年に立ち向かった浮浪者の何人かは意識を飛ばした。
ある者は最初の顎を撃ちぬいた拳撃で泡を吹いて、ある者は頭突きの直撃をもらって血泡を吹いて。
残る数人も彼の強さに恐れ、浮浪者仲間を見捨てて逃げ去って行く。

呆然と事が終わったのであろう、その光景を感じながらベアトリスは青年を見上げていた。
いや、確かに彼女の眼は塞がれていて見えないのだが―――彼女の瞼の裏には確りと青年の姿が思い浮かんでいた。
623 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 02:34:59.94 ID:zOxC1DKCo
>>622
「――逃げんなボケが!!
 仲間じゃねェんかよ、仁が無けりゃ義も無ェとか、ガチ屑だぜ!?
 あー……ッ、もうちっくしょ、全員お縄は無理だったかよ」

逃げ出す残党も掃討しようと動いたが、ベアトリスの存在を思い出した。
踏み出した足を、ずん、と地面に抑えつけるように逸る感情と肉体を押さえつける。
逃げた奴らは何時か会ったら顔を二倍のサイズに腫れ上がらせてやると決めつつ、後ろを振り返り。

「んで、怪我とか無ェか? ねーちゃんよ」

にかり、と笑っているだろうと分かるくらいに、呑気で人懐っこい態度で、相手に話しかけた。
ちょいと待っててな、こいつら縛っとかねぇと、と言いながら腰のベルトポーチから荒縄を取り出して浮浪者達を簀巻きにしていく。
なんともシュールな光景だが、逃走を防ぐ為にはしかたのないことである。
落ちているナイフなども確りと回収し、浮浪者達は端のほうへ転がしておいて。
携帯を手慣れた動作でいじると、警察に連絡しておいた。

「……寒っ、とりあえず警察呼んどいたわ。
 どーも、この時期物騒みてェでマッポもてんやわんやみてぇでよ。
 もう暫く掛かりそうだが、寒くねぇかい? 俺の汗くせぇスカジャンとりあえず被せたけどよ」

うっひゃー、と吹き抜ける風を前に、馬鹿っぽい叫び声をあげる三門。
なんだかんだで誰にでも甘い男は、相手が寒くないか自分を棚に上げて聴いていた。
624 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 02:45:01.38 ID:D1TKZ5TDo
>>623

「あっ、はい……別に、怪我はありません。」

少し、髪に匂いがついた気もするが、彼女に怪我はなかった。
とはいえ汚物の様な彼らの手に弄られたのは彼女にとって苦渋でしかない。
思い出しただけでも背筋に嫌な汗をかきそうだった―――。

手慣れた様に浮浪者達を縛り、ナイフを回収し、警察へと連絡する青年。
その光景を感じながら、ベアトリスは何か自分も出来る事があるならばとオロオロしていた。
結局、何も出来ないまま全て三門が終わらせてしまって、少ししゅんとしていた。

「大丈夫、です。寒いのは慣れていますから……それに、汗臭くなんてないですよ。」

にこり、と前に立っているであろう彼に微笑を向けた。
寒いのは慣れている、といいつつも自身の身体を抱いている事からやはり寒いのかもしれない。
自分で抱きしめた腕が彼女の豊満な胸を修道服の上から強調していた――そりゃ、襲われるだろう。

「あの……助けて頂いて本当に有難うございます。まさに神のお導きですね、貴方にも神にも感謝します。」

姿勢を正して、綺麗に青年へと身体を傾けさせた。顔を上げて、聖女の様な柔和な微笑を向けて。
少し照れた様に、被せられたスカジャンから香る男臭い匂いに戸惑いながら―――。
625 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 02:54:41.79 ID:zOxC1DKCo
>>624
「いっやね、百メートルなんか目じゃねーダッシュっぷりだったからよ。
 もー、汗だっくだっくでな。気になんねぇなら良いけど」

相手に見えないというのに、オーバーな身振り手振りでコロコロ表情を変えながら話す三門。
誰とも知れない人間の叫び声を聞きつけて躊躇いなく駆け出す当たり、筋金入りのお人好しか。
またの名を馬鹿とも言うが、どちらも事実だからどうしようもない。
初心という訳でもないが、なんとも実際豊満なバストが視線にチラつき、目線をズラす。
見ているのが相手からは見えないとは言えど、それを良い事にジロジロと見るのは三門には失礼に思えたのだ。

「なんにせよ、間に合ってよかった。
 これで事後とかだったら俺あいつら生かして置いた自信ねェからな。
 男だったら自分の本気でぶつかってなんぼだってのに、たくさん集まってよって集ってなんざ格好悪いだろうによォ」

面子やら、格好わるいやらの言葉が出るのがこの男。
綺麗に頭を下げる相手を見て、その手の反応には慣れてないのか少々うろたえてしまう。

「あーっと、おう。
 神様がどうとか難しい事とかはわけんねぇけどよ。
 胸張って生きていける奴にはきっと良いことあるからよ、あんまり気にすんじゃねーぞ? こういうことはよ。
 んで、夜歩きは気をつけること。俺が幾らヒーロー見習いだからって、皆々助けるなんて無理なんだからさ」

頭をぽりぽりと書いて、気恥ずかしそうに笑みながら。
相手に、柔らかい態度で説教をしていくのであった。
626 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 03:09:41.42 ID:D1TKZ5TDo
>>625

「まぁ、そうでしたか―――ふふ、ヒーローみたいですね。」

「そう思うと、多少汗臭くても嬉しい香りだと思います。」

ダッシュで走って助けに来てくれる。それはどんなヒーローなのだろうか。
純粋に彼が自分の悲鳴を聞いて助けに来てくれたことが嬉しかった。
この深夜、わざわざ物騒な事に首を突っ込もうなんて人間―――あまり、居るものじゃない。

「あのまま、襲われていたら……そう、ですね。私も気が気ではなかったでしょう。」

布に巻かれた右手を左手で握りしめて、困ったように笑う。
任務ではないのに、危うく人を殺めてしまうところだった―――と、内心少しヒヤヒヤしていた。
無闇に人を殺めてはいけない。”許可もなく動くな”と先日キツくお灸を据えられたところなのだ。

「えぇ、そう……ですね。良い事があります。神はきっと私を救ってくれますから……。」

「はい、以降気をつけます。少し、不用心でしたね……えっと、ヒーロー見習い、なんですね?」

ヒーローの様だ、と言った矢先。彼はヒーローを目指していた。凄い人だ、と顔を綻ばせた。
きっとこの人は真っ正直に生きて、全力でその道を目指しているのだろう―――眩しい人だ、と笑う。

「お名前を聞いても宜しいでしょうか?お礼もさせて頂きたいですし……あっ、私が先に名乗らないとですね。」

「私の名前はベアトリス・セイクリッドと申します。L.M.Gにお世話になっております。」

再び深々と礼をして、名乗る。確りと自分の所属する組織も添えて。
彼はL.M.Gを知っているのだろうか。素晴らしい組織で、彼の様に悪を打ち砕く神の如く機関。
その末端である自分は未だに上手く悪――即ち異端を自分の意思で殺めれないのだけど。
627 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 03:18:54.71 ID:zOxC1DKCo
>>626
「そそ。どうせ力があるならよ、真っ直ぐ使いてぇじゃねぇのよ」

グローブをごつごつとぶつけ合わせながら、だははと馬鹿っぽく笑う男。
余計な迷いが無いからこそ、最高速的価値観を持ちあわせて行動できる。
馬鹿は馬鹿だが、その馬鹿を強みに変えられる馬鹿が、これだった。

にしても綺麗なやっちゃなー、と脳内でなぜか関西弁になりながら、ベアトリスの精緻な顔に一瞬目を奪われて、視線を外した。
別に女慣れしていないわけでもないのだが、清楚な女という者は殆ど知らない。
その為、なんとも調子が狂ってしまうのである。

「ん、ベアトリスな。
 俺は三門陽。所属は――特にねぇな、ダチと一緒にヒーローやってるよ。
 つっても、殆ど自警団みたいなもんだけどよ。路地裏回ってヤンキー退かして、売人ボコって警察呼んでって感じだから。
 んで、L.M.Gってなんだい?」

相手の自己紹介を受けて、此方も名前を名乗る。
所属組織は無く、何の後ろ盾も誰かの思想も無く、己の考えと意志だけでヒーローをやっていた。
そして、発言や態度から分かる通り、この青年全くの一般人だ。戦闘力は有るが、この世の様々を欠片も知らない。
なにせ、ある程度荒事や物騒に巻き込まれる能力者なら知っていてもおかしくない組織の名を、知らないのだ。
628 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 03:33:21.58 ID:D1TKZ5TDo
>>627

「えぇ、本当に。悪しき事に使えば、救われませんから。」

全くその通りです、と微笑みながら肯定する。そうだ、力は良き事に使わなければいけない。
そうでなくては救われないのだ。青年の言う事は至極真っ当であり、自分もそう思う。
とはいえベアトリスが本当に正しく力を使っているか――それは、どうだろうか。

なんとなく、強い視線を感じて一瞬小首を傾げた。
何やらほんの僅かだが凝視された様な――唇に指を添えて、何かついているのかと探る。
そういえば先ほど、浮浪者の血飛沫が頬に飛んだが。拭き取れていなかたのだろうか。
頬に少し、紅い筋が残っていた――が、彼女は気づかないのか、適当に頬を拭い捨て置く。

「三門さん、ですね……まぁ、ヒーロー。良いですね、素晴らしいです!」

「貴方のその行為は私達、L.M.Gに通ずる所があります……貴方も、きっと救われます。」

宗教じみた言葉ではあるが、ベアトリスに悪意があるわけではない。純粋にそう思っているのだ。
彼の行いは彼女と同じく正義の名の下に執行される。彼もまた、救済されるべき人間だと感じて。

「Licht Marionetten Gericht……略して、L.M.Gです。難しく言うと独立司法機関兼地方自治団体ですね。」

「どういう組織か、と言われると……そうですね、自警団と変わりないです。」

「三門さんの様に悪とみなした”異端”を処罰するんです。私は末端なので、あまり自由に執行できませんけど……。」

自分達と同じように悪、つまり異端を裁くであろう彼に親近感が湧いているのか。
なんにせよ彼女は柔和な笑顔を浮かべて、彼に説明する――その笑顔はとても幸福感に包まれた、良い笑顔だが。
629 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 03:44:58.46 ID:zOxC1DKCo
>>628
救われる、との言葉にん?と三門は疑問を覚えた。
なにせ、三門は己を不幸と思ったことがない、能力に覚醒して以来何かと命をねらわれたり本当に死にかけたりしているが。
それでも、三門は己に能力が覚醒したことを疎んだことも無いし、それを後悔したこともないのだ。
だから、にへら、と緩んだ笑みを浮かべながら、口を開く。

「たまにうめー飯食えて、友達と馬鹿やって、一日楽しかったーって言って寝れりゃそれで十分幸せでよ。
 俺、十分幸せだから、別に救われなくてもいいんだぜー? なんせ、ヒーローだかんな!」

三門は、殆ど普通の少年だ。
能力がくっついて、並の同年代の中では最下層クラスに勉強が出来ないタイプなだけ。
普通の生活を送ってきた男は、普通からほとんど普通になった時点で、日常という幸福を強く認識していた。
ただ生きて、笑っているだけで三門は幸福なのだ。既に救われている男を救う術は無い。

「――処罰ねェ。
 どーも、小難しいことは分かんねぇけど、要するにヒーローまみれのチームって事でおっけーな訳だな。
 ま、俺は俺でもうびっしりばっしりグーパンで悪をぶん殴るんだけどな!」

L.M.Gについて聞いた上で、それで満足する三門。
後ろ盾を求めようとしない在り方は、無欲なのか馬鹿なのか、両方だ。
630 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 03:53:30.17 ID:D1TKZ5TDo
>>629

「そう、ですか。ですがこの先、何があるか分かりません。」

「今から善行に務めていれば、そのもしもの時に……と、考えましょう?」

その時になってからでは遅いのです、と静かに、それでいて力強く言う。
彼女自身、神に祈り始めたのは”そうなった”時からだった。
だから今が幸せと言う彼が羨ましいと思う――この数年、幸せと感じた事など……。

「そう思って貰って構いませんよ。三門さんの様に悪い人を退治するんですから。」

「ふふ、私も許可さえ降りればグーで殴ったりします。あまり、暴力は好きじゃないんですけどね。」

ヒーローまみれ、という言い方はおかしいがベアトリスには同じことだと感じた様だ。
確かにL.M.Gを盲信する彼女にとって、そこはヒーローだらけの組織だろうけど。

そういえば、と地面に取り落としたであろう白杖を探し始める。
目の見えない彼女は地面に膝をついて、両手で地面を叩いて探す――メガネを落とした人みたいだった。

「……あっ、その、私の杖はどこにありますか?」

こうして探さなくても、聞けば良かった――そう気づいたのは少し経ってからだった。
ベアトリスは照れ笑いを浮かべて、三門へと白杖の在り処を訊ねる。
631 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 04:02:13.74 ID:zOxC1DKCo
>>630
「俺はアレだからよ、考える前に殴ってるっつーか……。
 こう、アレだ。こいつ悪いやつ! って思ったら容赦しねぇから、いや、あったま悪いのはわかってるんだけど。
 さっきのああいう奴らみたいなの見てるとど〜にも骨の一本二本はぶち飛ばしたくなっちまうのよなあ」

正義感、というかなんというか。
筋の通らない奴、仁義を通さない奴という者が嫌いだったから、それらを倒す行動を取るのが三門。
要するに、法律がどうこうではなく、人間として許せない輩が三門の敵だった。
だからこそ、警察などにはなれないのだ。法律関係なしに私刑を下すのだから、当然だ。

「んあー、そっか。目ェ見えねぇのな。
 ちょいと待ちな、探してくっから」

そう言うと、三門はぱたぱたと走りだして。
周囲を暫く駆けまわった後に、ベアトリスの肩を軽く叩く。
相手が反応すれば、相手の手に白杖と暖かな缶の感触が押し付けられるだろう。

「さっき警察がもうちょいで来るつってたからよ、事情聴取とか付き合えるかい?
 とりあえず、俺もボコしちまったから聴取されるんだけどよ。
 ……んっはァ、ココアはうめぇわ。寒いしな、今日」

ぷしゅ、とプルタブを開けてココアを飲む三門。
相手に押し付けたホットの缶も、中身はココアだった。
632 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 04:14:30.97 ID:D1TKZ5TDo
>>631

「男らしいんですね。それでいいんだと、私は……えぇ、思います。」

「それが彼らの様な人達の為でもあるでしょう。私刑は法では許されませんけど……。」

ふふ、と微笑したその笑顔は彼を肯定するものだった。
法では禁止されているし、それが道徳常識としてあまり良いコトでないとも思う。
だがしかし、彼女はそれを良い事であると思う―――こうして、自分はたった今助けられたし。

そうして、白杖を探しに辺りを駆け巡る青年。その後ろ姿に「ありがとうございます」と礼を述べて。
立ち上がり、好意に甘えたまま暫く彼を待っていた――すると、一度肩を叩かれて。そちらを向けば、手に白杖と温かい感触。

「ひゃっ……あら、良いんですか?すいません、有難うございます……ふふ、優しいですね。」

「大丈夫です、特にこの後は予定ありませんので。三門さんが悪い、とされるわけには行きませんから。」

びくっと一瞬驚いて白杖と缶を受け取る。冷えた手にじんと染みる温度が、彼の優しさを表している様な気がして。
頂きます、と呟いて口にする。ココアの温もりが胃に落ちてまたじんと染みる。
頬を桜色に染めて、彼女は両手で缶を握り微笑んでいた――良い人だなぁ、としみじみと思って。
633 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 04:20:00.39 ID:zOxC1DKCo
>>632
「120円ぽっちでこんなに感謝されると嬉しいわ。
 普段なんてよ、いっつも文句言われてっから、なんかサンキュな」

にはは、と照れたような笑い声を浮かべる。
優しいと云われるのは慣れていない、自分からネタにする分にはいいのだが。
普段は路地裏のヤンキーをどかしたり、売人を倒しても感謝されることはない。
だからこそ、ベアトリスのその小さな行動に対する感謝は、染みた。

「ん、サンキュな。
 っとと、来た来た、ちぃと待っててなー」

ふぁんふぁん、とサイレン音が近づいてきて。
パタパタ、とサイレン音の方へと走って行き、数分後戻ってきて。

「話ツケてきたから、このまま帰っていいってよー。
 ってな分けで、なんか無駄に待たせちまってすまんかったな。
 ベアトリスは――教会の人だろーしどっかの教会までならぱっぱと送っちまうけど、どーする?」

三門いわく、道を教えてくれればすぐだ、とのことだ。
何らかの移動手段を持っているのだろう。
634 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 04:36:12.40 ID:D1TKZ5TDo
>>633

「値段の問題ではないのです。三門さんの気持ちが、嬉しいのですから。」

「文句ばかり言われるなんて……大丈夫です、素直になれない人が多いだけですから。」

だからそう気にする必要ありませんよ、と付け加えて笑い声に微笑で返す。
とはいえ彼がそう気にする様な性格ではなさそうだが―――。

「あ……は、はい。」

サイレンの音が近づき、おそらく警官がやってきたのだろう。
付いて行こうと思ったが、待っていてと言われて言われるがままに待つことにした。
一人、彼らに説明するために走って行く三門の背中を送り届け、ベアトリスはココアを口に含んでいた。

「はい、小さな教会ですが……私が、開いております。えっと、お気持ちだけ……と言いたい所なんですけど。」

「折角助けて頂いたのにまた襲われる事になるかもしれませんし……お言葉に、甘えても良いでしょうか?」

ベアトリスの現在の住居は教会だった。それも、彼女が開いている小さな小さな教会。
司祭が不在のまま、取り壊されそうになった所を彼女が買い取り、機能させていた―――。

三門の言葉に甘える事にした彼女は、深々とまた礼をして好意を受け取った。
635 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 04:40:13.81 ID:zOxC1DKCo
>>634
「ん、任せときなー。夜も遅いし、外は寒いしな。
 こういう日はぱっぱと帰って布団入るべきだかんな」

そう言うと、相手の手を取って、こっちこっち、と引っ張っていく。
力はそれほど強くもないが、しかし遠慮しすぎるということもない。
しっかりと先導する程度の力で相手を引いていき、公園近くの駐車場にたどり着く。
ちょい待ち、と言えば数秒後にはエンジン音が響き、周囲の空間にどるんどるんと音が反響していた。

「さって、ヘルメットはベアトリスがつけとくか。
 こっからどっち方向とか分かるかい、あと二ケツが心配だってんなら、ここに一旦バイク置いて徒歩で送るけども」

どう見ても、バイクの後ろに乗るには慣れていなさそうで。
大丈夫かと心配に思った三門は、乗れるかどうかを問いかけた。
636 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 04:48:54.26 ID:D1TKZ5TDo
>>635

「本当に、寒くなりましたからね……ぁ、有難うございます。」

寒いという単語に反応して少し、震えてしまった。耳の奥が少し痛くて。
ふと、手を引かれて先導される――なんとなく、気恥ずかしくなってしまう。
そのまま黙りこみながら、ベアトリスは駐車場まで手を引かれ歩いて行く。

「……大丈夫ですよ。ここからですと、徒歩では少し遠いですし、申し訳ありません。」

「それに、何度かは乗った事ありますし―――えぇ、大丈夫です。」

本当に何度かであるが、バイクの後ろに乗った事はある。
後天的の盲目ゆえ、バイクという存在もどういう風に乗るのかも知っている。
だが、眼が見えなくなってから後ろに乗る事を経験した――その時は、少し恐ろしかったが。

「それに、三門さんに捕まっておけば大丈夫だと思いますし。」

それ以上にこの寒い中、わざわざ遠い道を彼に送らせるのが申し訳なかったのだった。
637 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 04:53:54.92 ID:zOxC1DKCo
>>636
「ん、大丈夫ならいいや。
 じゃ、ちょい待ちな――フリーク・キッチン!」

ぱん、と両の手を叩く三門。
ばさばさ、と紙がこすれ合うような音が響き、そして消える。
んー、と声を漏らしながら何かを確認し、納得したのかバイクに跨る。

「ほいよ、後ろ乗ってくれや。
 いちおーハーレーだから、結構後ろ乗りやすいと思うぜ?
 動き出したらかっちし掴んどいてくれよな」

そう言って、ベアトリスが背中を掴むのを待っていた。
静かに異能を発動し、バイクに星形の文様を浮かべておく、三門。
肩を掴み、後ろに乗ればバイクは動き出すだろう。
不思議なことに、最初の加速以降地面を走っている音がしない。
風を切る音はしても、バイクが揺れないというのは、不思議な感覚だったろう。なんらかの手段で異能を用いて、振動を減らしているようだ。
638 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 05:03:45.79 ID:D1TKZ5TDo
>>637

三門の声の後、何か不思議な音がした。
神のこすれ合う様な音……彼が一体何をしているのか、分からない。
小首をかしげながら耳を澄ませていたが、結局分からずじまいであった。

「はい、それでは失礼します―――よい、しょ。」

横乗りになって、確りと三門の背中を掴む。
三門がこちらが乗ったのを確認すると、バイクは動き出した。
最初の加速時、少し慣性が怖くてぎゅっと服を掴んでしまう―――。

だが、不思議なことにそれ以降は走る音がしないし、振動もほんの僅か。
それがなんだか逆に怖くなる。とはいえ、通常時よりもましではあるのだが。

「…………んっ。よいしょ……んっ―――――ッ!」

不安になったのか、何度か体勢を立て直して、掴む位置を変えたりしていた。
手が滑って抱きつく形になったり、胸があたったり、それに気づいたのか慌てて背中にしがみついたり。
静かに走行されているにも関わらず、少し騒がしい後部席であった。

傍目から不思議な光景かもしれない。絵図的にはヤンキーの後ろに聖女が乗っているのだから。
639 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 05:08:58.75 ID:zOxC1DKCo
>>638
「う、お……ッ? いやいやいやいや、ちょっとあの、いや。
 ……なんつーか、怖いのはわかっけど、あんまり密着しないほうがいいんでないかい。
 ま、安心できるならそれでいいんだけどよ」

後ろで騒がしくしている、ベアトリスに意識を持っていかれる。
色々と当たったり、いい匂いがする気がしたり。
清楚って凄い、改めてそう思った、みたいな感じだったが、なんだかんだで教会へと近づいていく、三門。

「ちょいと揺れるから、しがみついときなー。
 んじゃ、着陸しまーっす、ってな」

そう言うと、次第に速度を落として、どす、と一瞬衝撃が来ると同時に、バイクは停止。
そう、着陸と言っていたとおり、三門のバイクは空中を浮遊して走行していたのだった。
ほふぅ、と息を吐いて、ベアトリスの教会を視界に入れる。
640 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/26(土) 05:20:01.06 ID:D1TKZ5TDo
>>639

「すっ、すいません……丁度いい場所が、分からなくて……。」

確かにあまり密着するのは良くないだろう―――慌てて、離れて。
結局、彼の腰に手を当て、上体だけは離したままという面白体勢に落ち着いた。

「はい―――きゃっ!」

「………つ、着きましたか?なんだか、飛んでるみたいでしたね……?」

まるで着陸した様な衝撃に声を漏らした。まさしく、飛んでいたのであるが。
ゆっくりとバイクから降りて、ヘルメットを外して三門に返却する。
汗で乱れた髪の毛が、少しだけ彼女のイメージとはかけ離れた妖艶さを纏っていた――。

「本当に、重ね重ね有難うございます。送ってまで頂いて、何とお礼を言ったらいいのか……。」

「また、お会いしましょう。何時でも訪ねて来て下さい。お礼に、料理をごちそうしますよ―――それでは、おやすみなさい。」

にこり、と笑みを向けて最後に一礼―――敷地内なら白杖を使わなくても容易いのか。
慣れた足取りで教会に向かい、ドアに手を掛ける。未だエンジンの音がする方向へ、最後に振り向いて小さく手を振った。

ドアが閉まり、小さな教会の中から暫くすると機嫌の良い聖歌が聞こえて来たとか―――。


/お疲れ様ですっ!お付き合いいただいて感謝です!ありがとでしたー!
641 :三門陽 [saga]:2013/01/26(土) 05:23:09.63 ID:zOxC1DKCo
>>640
「おうー、じゃあ今度漬物でも持って遊びに行くかね。
 んじゃーなー!」

ぱたぱたと手を振ってベアトリスを見送って。
聞こえてきた聖歌をバックミュージックに、三門は夜の街を爆音で駆け抜けていくのであった。

/*乙でしたのよ!*/
642 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/26(土) 10:19:22.87 ID:NlNdPgoro
>>618
「何を――」
強い感情を突然見せて、その思いを強く込めた言葉を投げかけてくる少年。
その勢いに押され、言葉を挟むこともできない。

言葉には嘘は無い。
ただ、運が無かったのだろう。
嫌な家庭に生まれ、知り合いやよく話す人はいても、友達は居なかった。
それと、自分は一人で生きていけた。それが耐えられないものではなかった。それだけだ。

そんな自分にとっての 『ごく当たり前なこと』 を、少年の熱い言葉に当てられれば、自分は歪なのかもしれないと考えさせられる。
「人形でも、傀儡でもありません。
ただ単にそういう人に出会えなくて、別に居なくても今日まで生きてこられた。それだけです……」
寂しいとか嬉しいとか、思った事がない訳ではない。
ただ目の前の少年のような深い悲しみを味わった事が無いだけだ。


「馬鹿を言っているんじゃないですよ」
助けたい。そんな優しい言葉を少年は投げかけてくれたのに、これから私が話そうとしているのは、冷たい言葉。 ――悪いことをする。と、心の奥底で考えた。

「誰かを守るだとか誰かを救うというのは、自分を自分で守れるようになって初めて口にしていい事なんです」
目の前の少年は誰かを守るには幼すぎて、誰かを救うには傷が深すぎる……。
その癖に、決意が強すぎる。今のこの少年ならば、自分を捨ててでも守るべきものを守ろうとするだろう。

「貴方は傷を負って、路地裏に倒れていた。私が偶然通りかからなかったら、どうするつもりだったんですか?」
私では無く、物取りでも通りかかればどうするつもりだったのだ、と。

「首の裏の傷だってそうです……素人が見ても、木の枝が刺さったなんて言葉は信じません。
事故でもありませゆ。その傷は、不自然すぎます。
そして、貴方はその傷の理由を隠している。人に話せないようなことで、傷を負うようなことをしているって事です」

「そんな危なっかしい人が 『守る』 だなんて口にしても、その言葉を信じられますか?」
感情は見せず、ただ優しい表情で少年に問いかける。
643 :クリオネ 人形使い [!nasu_res saga]:2013/01/26(土) 18:38:40.41 ID:WqxoTVpuo
「はぁ……まったく」

依頼を終えたクリオネは、公園のベンチに座る。

今回の依頼は、私立学校の警備。最近不審者がうろついていると言うから雇われたのだ。

警備を増やし、さらにはその警備をしている人が能力者とあっては不審者も出てこない。

そこで、不審者を捕まえる為に学校の生徒として紛れ込み、警備をしていた。つまり、今クリオネは制服を着ている。

案の定、現れた不審者をを捕まえたクリオネはその日のうちに任務完了。

しかし、あまりに抵抗するものだから思わず少しやってしまった。着ている制服には少しだけ返り血が付いている。それに加えて……

「仕事の後の酒は美味しいっ」

どこで買ってきたのかもわからないチューハイの缶を片手に休んでいる。

返り血の付いた制服を着て、チューハイの缶を持つ女の子が公園のベンチに座っている。どう考えてもクリオネの方が不審者だ。


//気長に待ってます。
644 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/26(土) 19:50:43.56 ID:bzBjobdp0
>>616


何故ここまで他人を想い、縋るのだろうか。
昔の彼女ならばきっと、考える前に力任せに振り払い、相手にしなかった。

けれど今この部屋にはやるせなさで胸が一杯の自分がいる。
嗚咽交じりの弟に思いの丈を吐かせている愚かな自分がいる。

堰を切ったように、弟は胸の奥底に溜め込んだ思いを口にして。
その言葉を一字一句、相鎚も交えながら、脳裏に刻みこむのだった。

「――…そんなの、駄目の内には入らない。
 自分の事だけじゃなくて妹と、身勝手な私を思い遣って、気遣って。
 その結果が何であれ、駄目だなんて言わせない」

「だから、家族で居続けて。――と言うよりも私があなたたちの家族で
 居させて欲しい…かな。一度ね、家族というモノを持っちゃうと
 独りで居るのは寂しいものよ」

「独りは確かに自由で、束縛されず、楽しいものよ
 でも、独りが家族や親友の繋がりを知ったら…もう、離れる事は出来ない。
 だって――その温かさを知ったら、手放せなくなるでしょう」

足元に縋るシンラの頭を二度撫でる。
そして「指切りしましょ?」と、耳元で囁くのだった。

その言葉は―――家族としての繋がりを誓うものだった。
645 :大坂澪 :2013/01/26(土) 20:09:06.53 ID:QM9E4p3v0
>>643
「…ん!?」

帰路途中、明らかに異様な格好の少女にギョッとして振り返る。
一般人には普通の反応だろう。
…しかし、何か見覚えがあるぞ…どこで見たっけ…
…あ!思い出した!あの温泉の時の子だ!
兼ねてから会おうと思っていたんだ…
あの時の懐かしみも込めて、声をかける。

「お〜い!元気にしとった〜!?私のこと覚えとる〜!?」

そう言えば色々あったなぁ…自分のそっくりさん人形とか即席演奏会とか…
現在の彼女の物騒な格好が少し気になるけど、とりあえず会ってみよう。
646 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 20:16:14.98 ID:WqxoTVpuo
>>645
「ん……?」

声をかけられ前を見ると、見知った顔があった。

以前、旅館で話した澪だ。店に行くと言って別れたが、機会が無くてそれ以降会っていなかった。

「覚えてるよ、澪」

脚を組んだまま、缶を持った右手を上げて挨拶をする。

相変わらずの取っつきやすい声だ。自分もこんな相手だからこそあの時は話が出来たのだろう。

「久しぶりだね、どっかの帰り?」

それにしても良くこんな格好をしている状態で話しかけたものだ。
647 :大坂澪 :2013/01/26(土) 20:26:18.11 ID:QM9E4p3v0
>>646
周りの視線が若干痛いが、まあいい。
積もる話もあることだし、気にしないでおこう。…気になるけど。

「わ〜、覚えてくれとったんやなぁ…ありがとう!
今は買い出しの帰りや〜。」

店の調味料が切れたので、買い出しに行っていた。その帰りに見かけたということだ。
…それにしても、その妙な格好が気になる。
物騒な事件に巻き込まれたのだろうか…といらぬ心配で表情を曇らせる。

「なぁ…その服どないしたん…?何かあったんか…?」

いかにも心配そうな声で、恐る恐る問う。
聞かない方がよかったかもしれないと心配しながら…
648 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 20:45:31.53 ID:WqxoTVpuo
>>647
「そりゃあ覚えてるよ。何せ、私と話す人なんて限られてるんだからね」

笑いながら缶チューハイを飲む。

実際、クリオネは対人関係が希薄だ。学校に行ったことも無い為、つい最近まで友達と言うものが一人も居なかった。

暗い性格という訳ではないのだが、どうにも機会も無いし根本的にクリオネの性格が悪い。

「これ? これは依頼でひと悶着あってね……って勘違いしないでよ。今回のは真っ当な依頼だから」

「聞いてよ。学校の潜入警備に行ったんだけど、不審者があろうことか私を襲おうとしたんだよ。笑えるよね」

さっそく人の心配とは、相変わらずのお人よしだ。

制服の血の付いた部分を持ち上げて怪我など無い事を見せる。

しかし、血の付いた部分はスカートなので、そこを持ち上げると……
649 :大坂澪 :2013/01/26(土) 20:56:36.44 ID:QM9E4p3v0
>>648
「警備ってアンタ、ガードマン…あれ、それを言うならガードウーマン…?まあええか、とにかく警備員しとったんか?
そら大変やなぁ…話聞いてる限りでは無事なようで良かった良かった!」

良かった、どうやら無事らしい。
ほっと胸を撫で下ろした次の瞬間…
「…って、にゃっ!?ストップ!ストーップ!」

すっ頓狂な声を上げて制止させようとする。
それは危ない。危な過ぎる。ただでさえ変な目で見られている自分たちの立場が危うくなる。

「わ、分かったから!無事なんは分かったからそれは止めて!」

顔を真っ赤にして必死に止める。
まだ社会的に死にたくない…
650 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 21:03:14.54 ID:WqxoTVpuo
>>649
「まぁ何でも屋だからね。依頼されれば警備員だろうとなんだろうとやるよ」

この仕事を大変だと思ったことは無い。依頼の内容で難しい難しくないはあれど、ほかの仕事を知らない為に比較することも出来ない。

知ったとしても今更転職する気にもならないが。

「……え?」

急な静止の声に手を止める。

一体どうしたのだろうかといった顔をするクリオネ。なぜ焦るのかよく解っていない。

「どうしたの?顔を赤くしてそんなに慌てて……まぁ怪我なんてしてないって言うのは分かってもらえたみたいだね」

スカートから手を離す。どうやら澪の社会的地位は守られたようだ。



651 :シンラ :2013/01/26(土) 21:07:01.78 ID:RVj1f4740
>>644

「そうだよね...ひとりぼっちは、僕もきらい......」

再び撫でられた心地好さと 優しい姉の労いの言葉は
もはやくしゃくしゃになりはてた少年の心を落ち着かせ

こくりこくり と 首を曲げさせた


「ゆびきり...約束だね...
くららが起きたら、あの娘とも、ね」

と、耳元で囁かれた言葉にたいして呟き
小さくか弱く 冷たい手のひらを彼女へと差し出し

「ゆーびきりげーんまん...
うーそついたら 針千本...は可哀想だから......」

「......なんかすごいののませるからね!
ゆーびきった! 」

と、一方的に 指をきり
冷たい手と手で、新たな繋がりを 結ぶのだろう......

おそらく、見た目相応の体力しかない少年は
指をきりおえるとどうじにこときれ、眠りについてしまうのであろうが......
652 :大坂澪 :2013/01/26(土) 21:12:42.36 ID:QM9E4p3v0
>>650
「ふぅ…と、とりあえず無事で何よりや!」

冷や汗をかきながらも、何とかなったようだ…
…何というか、世間体を気にしない人なのか世間知らずなのか…
どちらにせよ、公衆の面前でそれはいけない。

「…さて、話は変わるけど…」

とりあえずこの話から離れよう。そんな念もあって、ある話を切り出す。

「…あの時約束しとったシチュー、どないする?
せっかく会ったんやし、この際どうや?」

以前、シチューの作り方を教えて欲しいと言われたことを、ずっと覚えていた。
また会う時は、教えてあげようと思っていたのだが、果たして先方はどうだろうか…
653 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 21:20:05.86 ID:WqxoTVpuo
>>652
「シチューね。もちろん教えて貰うよ」

そう言うと立ち上がり、残っていたチューハイを飲み干す。

そのまま右5mほど離れたゴミ箱に綺麗に投げ入れる。

「澪は料理が上手いからね。期待してるよ」

流石にシチューと称して野菜の水煮を作るなんて真似はもうしたくない。

あの時に食べた澪の料理は非常においしく、自分もこんな料理を作れたら良かったのにと割と本気で思ったものだ。

そして自分で作った料理を食べるのは自分ではない。

このまま澪が店に行くなら大人しく付いていくだろう。
654 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/26(土) 21:26:17.94 ID:bzBjobdp0
>>651

「そうね、約束ね。」

シンラの年相応の小さな指と
彼女のすらっと伸びた指が絡み合い
やがて、一方的に切り離される。

「くすくす…期待しないでおくわ。…『ゆびきった』」

月明かりの差す暗い部屋にて新たな繋がりが生まれた。

以前の様に細く直ぐ切れそうな細い繋がりではなくて。
以前よりも太く直ぐには千切れない繋がりとなり絡み合う。

約束を交わした直後に眠りに落ちたシンラ。
そんな姿に目を細め、自室から毛布を引き攣り、持ち運ぶ。

「―――……あーあ、可愛い寝息を立てちゃって…くすくす」

彼女の手に握られた毛布をシンラの体に被せてから
その毛布に潜り込み、シンラの後を追う様に眠りに落ちたのだった

/これで…〆かな?
655 :大坂澪 :2013/01/26(土) 21:30:18.59 ID:QM9E4p3v0
>>653
「よっしゃ、ほな決まりや!行こか!」

快諾となれば話は早い。早速自分の店に向かう。
シチューは本来自分の専門である和食では無いが…まあ、それでも料理人だ。人並以上には作れる。

しばらくすると、落ち着いた佇まいの日本家屋が見えた。看板には「食事処みおつくし」と流麗な筆文字が書かれている。…もっとも、自分が書いたわけではないが。

「さ、着いたで〜!どうぞ遠慮なく入って入って〜!」

中に入れば木で出来た素朴なインテリアが目に入るだろう。
これは澪のお気に入りで、机も椅子もぬくもりがある木の方法
が良いと思っての選択だ。
いらぬ飾りが無い分、落ち着きのある空間が出来上がっている。
656 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 21:35:31.24 ID:WqxoTVpuo
>>655
「へぇ、良いところだね」

素直な感想だった。外観の品の良い佇まいもさることながら、この目にうるさくない落ち着いた内装が居心地のいい空間を演出しているように思えた。

こんな事ならもっと早く来て、ちょくちょくここでご飯を食べればよかったと思う。

「店は結構繁盛してる訳?」

店の中央辺りに歩いて行き、色々と眺めながら聞く。

良い料理を作る澪の店だ。きっと繁盛しているのだろうが。
657 :シンラ :2013/01/26(土) 21:46:39.01 ID:n+cQPl4B0
>>634

眠りに墜ちた少年は 暖かな安心感に包まれる
大切なものはより深く より重くなったというのに

クララの涙を見てから 心に縛り付いていた 失う恐怖という呪縛は 不思議と和らぎ
目覚めるころには 優しい繋がりに 融かされてしまうのだろう


これで、明日も 明後日も
少年は 少年として 生きられる


「えへへ...おかねがいっぱい......
おにくも いっぱいだぁ......」

ーーーHappy end ...?

/ですね! 長期間にわたる楽しい絡みをありがとうございました、そしてお疲れ様です!
/お体にお気をつけて!



658 :大坂澪 :2013/01/26(土) 21:47:39.17 ID:QM9E4p3v0
>>656
「へへへ、ぼちぼちやなぁ」

本人はぼちぼちと謙遜するが、実際料理の美味しさに加えて澪の親しみやすい人柄のお陰で、店は結構な盛況だ。
それでも澪はお客さんとの一対一の対応を疎かにはしない。個人経営の店においてお客さんとの繋がりは大事だ。
一人一人とのきめ細やかな対応は、チェーン店には絶対に真似出来ない。

「さ、そろそろ作ろか〜。シチューなんやけど、クリームシチューでええか?」

クリームシチューである理由は大したことではない。ただ本人が大好きなだけだ。

「よっしゃ、準備出来たで!」

本人愛用エプロンを着て準備万端、いつでも作り始められるよ、と。
659 :ルーシェ・ヴァーミリアン [sage]:2013/01/26(土) 21:54:36.31 ID:bzBjobdp0
>>457
//お疲れ様ですー
//何だか駆け足気味になって申し訳ないッ
660 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 21:54:58.37 ID:WqxoTVpuo
>>658
当然と言えば当然だろうなと思う。あの味で、さらには店主の人の好さ。十分に繁盛する条件がそろっている。

これからはたまにここへ来るのも良いかもしれない。

「クリーム? 何でもいいわ、シチューなら」

残念なことにクリームシチューがなんなのか知らないようだ。

クリオネの中ではシチューはシチューであり、クリームなんとかやらビーフ何とかというものは無い。

「私も準備できたよ。とりあえず切ればいいんでしょ?」

そうしてクリオネは一本のサーベルを右手に生成する。

このサーベルは羽のような軽さと鋼鉄の強度、そして鉄をバターの様に切る切れ味を持っている。

これならどんな食材でも真っ二つだ。前回の二の舞にはならない。

クリオネは自信ありげな顔をして澪の指示を待つ。
661 :大坂澪 :2013/01/26(土) 22:04:45.63 ID:QM9E4p3v0
>>660
「ちょっ…大丈夫?それまな板まで切れたりせんか…?」

見るからに鋭利そうな刃物。だが…
いささか鋭利過ぎる気がする。この店のまな板は大丈夫だろうか…

「よし、ほな始めていこか。
人参・ジャガイモ・玉ねぎ・マッシュルーム・ベーコン・鶏肉と必要なモンは用意した。」

調理場には種々の材料が並べられている。
どれも市販の、ごく普通のもの。

「まずは、肉類やな。ベーコンと鶏肉を炒めよか。
目安は…せやなぁ、焼き目が付くぐらいまでや。」

必要な指示を出すと、あとはやってみ。と促す。
料理は自分で作ってナンボというわけだ。
662 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 22:16:08.56 ID:WqxoTVpuo
>>661
「切ろうと思えば切れるけど……平気よ、加減はするから」

そうして食材の並べられる台所へ立つ。

肉を炒めるとのことだが、まずは切らなければならない。

(……どうしよう。どの位に切ればいいの?)

サーベルを片手にまた板の上にある鶏肉を眺める姿はシュールだろう。

「とにかく、食べられる大きさなら良いのよね」

サーベルを器用に使い、肉類を四角にカットしていく。

しかしやり辛い……人を切るのとは勝手が違う。クリオネは猫背になって肉に顔を近づけながらゆっくり慎重に刃を入れていく。

何とか切り終えた肉を見ると、ほぼ全ての肉が同じ大きさ且つ真四角に切られていた。意外と几帳面な性格なのかもしれない。

「とりあえず、これを使えば良いのよね」

フライパンくらいは知っている。油を敷かずにフライパンの上に肉を乗せ、コンロのつまみを全開にしてそのまま眺める。

当然、こまめにひっくり返すなどする気配は無い。
663 :エリア 一応猫かぶり少女 [saga]:2013/01/26(土) 22:29:41.47 ID:jTR0An+Qo
>>577
「身近にクレーンを見る機会なんて、
いままでなかった……」
しかしこれからは、見飽きるほど目にすることになるだろう

「ね、ね、入っていい?」
ボルテックスのほうにもう一度振り向いて
664 :大坂澪 :2013/01/26(土) 22:35:35.26 ID:QM9E4p3v0
>>662
「指を切らんようにな…気ぃ付けるんやで…」

慣れていないのが見て取れる。刃物の扱いは慣れているのだろうが、それでも心配そうに見つめして。
そして…漸く出来上がってようだ。
その肉を見た澪は…

「何これwwサイコロステーキみたいやww」
思わず吹き出してしまった。こんな鶏肉見たことない。
四角い鶏肉。何ともシュールな…
それでも十分食べるに値する大きさだし、問題はない。
むしろ、問題があるのは炒める方だった。

「アカンアカンアカン!!バター引いとかな!フライパンに焦げついてしまう!」

強火は問題ないのだが、油も敷かないとは…これは後片付けが大変そうだ。

「…ちょっと手本見せたる。よう見ときや。」

フライパンを預かると、バターを一片サッとフライパンに転がす。
そして、肉を溶けたバザーに絡めるようにして炒める。
手慣れたもので、満遍なくバターに馴染んだ肉は、小さく焦げ目がつくほどに出来上がった。

「よし、ほなおさらいや!肉を切るまでは良かった…
問題は炒める時!ここでまず、油なりバターなりをフライパンに塗る!
で、強火で炒める!炒めるってのはじーっと見てるだけやないで!こうやって箸で油に絡めるように焼くんやで!」

フォローを忘れずに、丁寧にアドバイス。

「さて、次は野菜やな…すぐ煮るんとちゃう、野菜も炒めるんや!
炒める方法はさっきと同じ!さ、やってみ!」
665 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/26(土) 22:42:47.66 ID:5zTtm/M8o
>>663
「あのクレーンは前の工房の持ち主が使っていたらしい。
 便利だから修理して使わせて貰っている。

 わたしはそんなに大きな金属加工はしないが、
 それでも金物は金物だからな。結構重いんだ。」
高価な工作機械を買える程はまだ稼いでいないので工房内は広い。
造りかけの商店街のルーフとそこそこの工具があるくらいか。

屋内にプレハブ住宅をそのまま建てられそうなくらいガランとしている。
「もちろん、入ってくれ。
 ところで部屋はきちんとしておいた方がいいな。」

そう言いながら奥へと進んで行く。
建物を奥まで抜けると廃材置き場もあるようだ。

業務用の机から仮設住宅のファイルを一冊取り出し持ってくる。
666 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/26(土) 22:48:53.44 ID:jTR0An+Qo
>>665
「へぇー」
しばらくクレーンを見上げ眺めた後に、
ボルテックスを追って奥へと進む
廃材置き場のほうもちらりと目をやったりしながら
667 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 22:51:15.69 ID:WqxoTVpuo
>>664
「な、なるほど……」

どうやら炒め方に問題があったようだ。

そもそも、炒める時に何かを敷くなんてどこで習うのだろうか……。ともかく、澪がすぐさまバターを入れてくれたため大事には至らなかったようだ。

(なるほど炒める時は転がしながら炒める。そして火は強いほど良いと……)

澪のアドバイスを頭に入れながら先へ進む。

次は野菜を炒めるそうだが、これまた切り方の指示が無い。

先ほどの肉の切り方を何やら笑われたが、ダメとは言われていない。野菜も同じ切り方でいいのだろう。

「さっきコツは掴んだよ、楽勝だね」

またも猫背になって顔を近づけながら切るが、スピードは先ほどよりも早い。

用意された野菜類は人参・ジャガイモ・玉ねぎ・マッシュルーム。これらを先ほどと同じように全て綺麗な立方体に切る。

しかし、玉ねぎは途中でばらけてよく解らない切り方になる上、マッシュルームはその小ささをさらに立方体に切った為、1つ1つが非常に小さいものとなってしまう。

それがおかしなことだとは気付かずに、それらを炒めようとする。

同じ失敗はしない。フライパンにバターと野菜を入れる……すべて同時に。

そして火を全開にし、箸で転がしていく……

言われた通りやったので、間違いは無いだろう。


668 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/26(土) 22:57:49.22 ID:5zTtm/M8o
>>666
工房を突き抜けた廃材置き場。

その右手にはフォークリフトが停めてあり、様々な鉄屑が積まれている。
中には廃車まであり、ひょっとしたら動く物も残っているのかもしれない。

左手に住宅用のコンテナがあった。
「まずはエリアの部屋をどこに置くかだな。
 一応約十平方メートル、六畳と呼ぶらしいが
 それがスタンダードな一人部屋のサイズらしい。
 狭いと感じるなら、増築してみるが。」
669 :大坂澪 :2013/01/26(土) 23:04:38.97 ID:QM9E4p3v0
>>667
「うんうん、今度は出来とるな!」
(相変わらず四角いけど…)

…やっぱり四角か。肉も四角だったから正直予想はしていたが…
まあ、シュールだが問題があるわけでは無い。
炒め方も、今度は大丈夫なようだ。…それにしても、二回目には難なくこなすとは。
飲み込みの早さに驚きつつも、次の指示。

「炒めるのは概ねよし!…ごめんな、野菜の切り方言うてなかったな…
別にあれでもええけどマッシュルームはスライスするように、玉ねぎは形にこだわらず一口大な。ジャガイモと人参はあれでええよ。
次は、今炒めた野菜や肉を煮ていこか。
水は鍋に入れた具材が丁度水に全部浸かるくらいまで。
煮る時の注意やけど、いくらはよ食べたいから言うて、強火にしたら絶対にあかん!
あくまで弱火でじっくり、これが最大の注意点や。ええな?」

アドバイスをするだけすると、やっぱりあとはやってみよう、のスタンスだ。
670 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/26(土) 23:06:28.50 ID:jTR0An+Qo
>>668
「ううん、私子どもだし、それで十分」
あくまでも今の自分は子ども
言い聞かせながらのそんな一言であった
首を横に振りつつ、そう返す少女
671 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 23:14:28.94 ID:WqxoTVpuo
>>669
澪の反応から自分は失敗していないのだと分かる。

やれば出来るではないかと密かに自信を付けていく。

「わ、わかったわ……」

とはいえ、やはりおっかなびっくりで作業を進める。クリオネがこうも慎重になるとは。

次は煮る工程のようだ。クリオネが以前シチューを作った時は、この工程だけをやってあの人に出して大笑いされたものだ。

底の深い鍋に今まで炒めた物を全て入れ、指示通りの分量で水道から直接水を入れる。

そうして再びコンロへ。炒める時は強火で良いのに今度は弱火だという……何が違うのかよく解らない。

「ねぇ、強火の方が早くいっぱい火が通るでしょ? なんでしないの?」

コンロの火を先ほどよりも小さくし、澪に聞いてみる。強火の方がより火が通るはずだ。

クリオネは弱火がどの程度か分からず、先ほどよりも火が小さいと言う理由でコンロのつまみを真ん中あたりまで持って行く。所謂中火か。
672 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/26(土) 23:16:06.77 ID:5zTtm/M8o
>>670
「そうか。」
ボルテックスの目にはエリアの顔が何か言いたげな表情にも見えた。

「とりあえずはこのコンテナをエリアの部屋にしよう。
 少し手間をかければ後で変える事もできるさ。
 今日はあたしのベッドを使うと良い。
 家具は明日選びに行こう。」
金属屑なら腐るほどある。再加工する手もある。
お金が無いのである程度は自分で作ってしまうのが良い。
しかし、木製家具の方が都合の良い物も結構あるものだ。
673 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/26(土) 23:25:55.28 ID:jTR0An+Qo
>>672
「でも、本当迷惑じゃない……?」
この場に及んでも尋ねるのは、
よほどの心配性なのか、別の理由からなのか

言いたかったのはこのことであろうか……?

「家具選び……、明日が楽しみ」
なんてぽつりと呟いたりしながらも、

「うん、わかった
お姉さんのベットということは、お姉さんと一緒に寝るってことだよね?」
少女にとっては、一応の確認という意味合いでのこの質問であるようで
実際、表情には曇り気一つ見られなかったりもする
674 :大坂澪 :2013/01/26(土) 23:28:37.34 ID:QM9E4p3v0
>>671
「はい、あくまで弱火な。」

すぐに火を弱める。

「弱火には理由がある。
お肉には、コラーゲンが含まれてるんやな。
これがじっくり時間をかけて煮込むことによってゼラチンになるんや。
そんでゼラチンになった組織のおかげで、シチューにピッタリの柔らか〜いお肉になるってわけや。
逆に、強火で煮込んでまうと、組織が急に変質して、固くなってまう。」

煮込みながら、弱火の理由をレクチャー。
何事にも理由はある。急ぎ過ぎるといい結果は出ない。

「…ん〜、もうええかな。見てみ、玉ねぎが透き通ってきたやろ?
ちょうどこのくらいが煮込み時間の目安や。
そしたら次、一旦火を止めてからルーと牛乳とホワイトソースを入れる。ええな?一旦止めてからやで!
余計な熱を取ってからもう一度煮込むんや。」

ホワイトソースと牛乳は必要量だけ取ってある。
分量を間違えないように、という配慮だ。
675 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/26(土) 23:37:03.27 ID:5zTtm/M8o
>>673
「考えるのはあまり得意じゃないんだ。
 ただ、偶々公園のブランコで一人ぼっちの子供と出会った。
 そしてたまたまあたしは土地土地を持っていた。
 気になった事があって、できる事があったからそうした。」

ここまで言うと一人で笑い出す。

「あははは!この性格のせいで昔ある人によく叱られたよ。」
とある部下の叱責も今はない。それが少し寂しい気もする。

「わたしは工房のソファで寝るよ。
 実はわたしがこの辺りに移って来たのは最近の話なんだ。
 この工房も営業はしているけれど、同時に未だ準備中。
 住居も同じ状態でね。どこに何を置こうかも迷っている段階。
 エリアも考えるのを手伝ってくれる?」
676 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 23:38:06.52 ID:WqxoTVpuo
>>674
どうやらこのつまみの位置は弱火では無いようだ。直ぐに直されてしまう……

「そ、そうなんだ」

澪の事細かい説明に驚いてしまう。

その知識の深さもさることながら、説明する澪が饒舌で生き生きしているように見えたからだ。

と、そうこうしていると火が通ったようだ。澪が新しい3つの材料を持ってきてくれる。

「分かってるわよ、そんなに言わなくても」

やたらと火を止めてからを強調するからつい素直にわかったと言えないクリオネ。

火を止め、その直後に持ってきてくれたルーと牛乳、ホワイトソースを同時にドバっと入れる。

(って言っても余計な熱って何? 必要な熱もあるってこと? んー)

温かい料理なのだから熱に弱いわけがない。そんな謎理論を頭の中で作りだし、結局火を止めてから約10秒後には再びコンロに火をつける。

これで完成だろうか。ワクワクしながら鍋を見る。
677 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/26(土) 23:43:26.81 ID:jTR0An+Qo
>>675
「あなたみたいな人は、私にとっては珍しい人だったの
相手に大きな対価を求めなかったり、
打算的な付き合いを求めようとしないから……」
聞き終えてから、そう返しつつも、
突然笑い出したことに首を傾げる

「ダメ、疲れが取れない
だから一緒に寝ようよ?」
と誘ったりしつつも

「うん、私にできることなら
必要ならお金の工面だって、なんとかしてみせる」
見た目が10歳前後なのにお金のことに触れたりしている
678 :大坂澪 :2013/01/26(土) 23:49:09.98 ID:QM9E4p3v0
火を消しながら
「その様子やと、一旦火を止める理由が分かっとらんみたいやな!
市販のルーには、小麦粉が含まれとる。
この小麦粉は、鍋の温度が高いと膜を作ってしもて、ルーが溶けにくくなるんや。
せやから、鍋の温度を下げて溶けやすいようにしたるんやな。」

しつこいようだが、何事にも理由がある。
火を止めるか止めないかでも味は大きく変わる。

「…ん、もう加熱してもええかな?
あとはしばらく待つだけや!」

十分に置いてから、火を付ける。あとは待つだけだ。
何はともあれ、完成までこぎつけそうだ。
679 :大坂澪 :2013/01/26(土) 23:50:14.60 ID:QM9E4p3v0
>>678
/安価忘れ>>676
680 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/26(土) 23:51:55.40 ID:5zTtm/M8o
>>677
「珍しいか。そういうものなのかな?
 すまない、さっきのは思い出し笑いだ。」

そう言って首を鳴らす。

「それもそうだな。ベッドは二人で使うか。
 あと、子供がお金の心配をするものじゃないさ。
 どうしても気になるなら先も言ったように、
 少し仕事を手伝ってくれれば良い。
 危ない真似はさせないから大丈夫だ。」
681 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/26(土) 23:55:17.21 ID:WqxoTVpuo
>>678
またもミスをしたようだ。すぐさま火を消されてしまう。

「なるほど……っていっても余計な熱なんて言われても分からないわよ」

澪から視線を外し、口を尖がらせる。熱なんて目に見えないものをどうしろと言うのだ。

だったら数分の間冷蔵庫に入れるとか言うほうが分かり易い。

とはいえ、何とか形にはなるだろう。これも澪のおかげだ。

クリオネは今か今かと鍋を覗き込んでいる。
682 :エリア [saga]:2013/01/27(日) 00:00:53.38 ID:9Z67c9xlo
>>680
「うん、だってこんな時代だもの」
少なくとも少女が会ってきた大人に、
そんな心の広いような人間とは出会っていないと見える

「私も寂しくもなくなるし、一石二鳥!」
ニコニコとそういう少女

「どんな仕事だって、頑張る
期待にも応えてみせる」
少し気負ったりもしているらしい少女
683 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/27(日) 00:04:54.56 ID:oXjIgs+6o
>>682
「そっか。"こっち"もそうなんだな…。」
いついた場所が良かったのか商店街の空気が
この世界の標準だとも思っていたが違うようだ。
「そろそろ眠る?」

// そろそろ〆ますか?
684 :エリア 猫かぶり少女 :2013/01/27(日) 00:08:04.12 ID:9Z67c9xlo
>>683
「……こっち?
お姉さんってもしかして、遠くに住んでいたの?」
少しだけ気になってか、そんな質問をしてみたりしつつも、

「うん、眠る前に子守唄とか唄ってくれると、
ちょっと嬉しいけど、無理は言わない」
ダメ元で、そんな提案をしつつも、
もう眠ると言い出す

//了解です
685 :大坂澪 :2013/01/27(日) 00:08:15.11 ID:O+k584wP0
>>681
「ははは…ちと難しい質問やな。
余計ってのは文字通り必要ないってこと。
ルーが溶ける適温ってのがあって、それ以上になると、ルーが溶けにくくなる。せやから余計と言われるんや。」

なるべく疑問を残さないように、説明を怠らない。
教える側にとっては当たり前でも教えられる側は知らないのだから、当たり前と言って見過ごしてはいけない。
あと…冷蔵庫の役目は「冷やすこと」ではなく、「適温(摂氏5度程度)」で保存すること」だ。
そこにアツアツの鍋なんかそのまま入れたら駄目。

説明しているうちに、5分ほど経過した。そろそろ頃合いだろう…

「…よし!もうええやろ、完成や!
どや?私が手伝ったとはいえ、自分で作った料理や…食べてみんか!?」

自力で作った料理。これほど美味しいものは無いことを知っているので。
澪は、食べてみないかと強く勧める。
686 :ボルテックス(豊満な日焼け美女)商店街の金属工房店主 :2013/01/27(日) 00:11:52.82 ID:oXjIgs+6o
>>684
「子守唄か、昔聴かされていた物を覚えているかな…?」
自信無さげにエリアの手を取り寝室のあるコンテナに入る。


ボルテックスはベッドの中でうろ覚えの子守唄を歌いながら、
エリアを寝かしつける前に先に静かに眠りに入ってしまった。
// ではそのように。お相手感謝します。
687 :エリア 普段は猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 00:17:59.64 ID:9Z67c9xlo
>>686
「うん、すごくなつかしい……
こもりうたなん……て……」
ボルテックスにくっつくような形で、
子守唄を聞きながら、静かに眠り込む少女であった

//こちらこそ、お疲れ様でした!
688 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/27(日) 00:21:09.24 ID:pGEW5fJ7o
>>685
「ふーん……私にはまだわかんないよ」

澪はそれを見ただけで分かるのだろうか……経験のなのか。

実際、店をやっている位だから経験値は豊富なのだろう。

「もちろん食べるわ。美味しくないと意味ないし」

と、そこで皿はどこにあるのだろうかと周りを見る。

調理器具はあるのだが……
689 :大坂澪 :2013/01/27(日) 00:33:22.49 ID:O+k584wP0
>>688
「よしきた!ほな一緒に食べようか!」

用意周到なもので、深めの皿近くに用意していた。
料理屋だもの、心配せずとも皿ならたくさんある。
皿に手作りシチュー・茶碗に炊き立ての白米を盛り付け、律儀にお盆に載せてテーブルまで持っていく。

さあ、出来はどんなものだろうか…
「ではでは、いただきます!」

これまた律儀に手を合わせると、苦労作を頂く。

…よく出来ている。火加減を間違えなかったお陰で肉や野菜が柔らかく、口当たりが良い。
四角い具材は見た目シュールでも、返って一口大で食べやすい。

「…うんうん!ええ感じや!これは美味しい!」

出来がよかったためか、完成までこぎつけたためか、表情がほころぶ。
690 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/27(日) 00:39:23.69 ID:pGEW5fJ7o
>>689
クリオネも澪にならって席につき、シチューを一口食べる……

「……おいしい」

これは我ながら見事な出来だろう。分量などは全て澪の指示通りに作った為、澪が味付けしたに等しいがそれでも嬉しかった。

初めて料理らしい料理を作ることが出来た。

「その……ありがとぅ」

素直に礼を言おうと思ったが、その語尾は小さくなってしまった。慣れない事をするとこうなる。

「これで、笑われないで食べてもらえるよね……」

スプーンを口に入れたまま、思わず微笑む。
691 :大坂澪 :2013/01/27(日) 00:51:39.22 ID:O+k584wP0
>>690
「へへへ…せやな!
これだけ出来たら立派に胸をはれる!」

にかっと笑いかける。
かすかな微笑み。「おいしい」という言葉。それだけでも教えた甲斐があったというものだ。
澪が料理を作る理由とはとどのつまり…この笑顔が見たいから。
美味しい料理を食べた人の幸せそうな顔。それだけで十分。
礼なんてちゃんと言えなくても大丈夫。感謝の気持ちは十分に伝わっている。

「これなら大切な人に食べさせられるやろ!」

…そう。このシチューは大切な人に食べさせたいと言っていた。
これならばきっと…その人に笑ってもらえるだろう。
692 :大坂澪 :2013/01/27(日) 00:51:54.56 ID:O+k584wP0
>>690
「へへへ…せやな!
これだけ出来たら立派に胸をはれる!」

にかっと笑いかける。
かすかな微笑み。「おいしい」という言葉。それだけでも教えた甲斐があったというものだ。
澪が料理を作る理由とはとどのつまり…この笑顔が見たいから。
美味しい料理を食べた人の幸せそうな顔。それだけで十分。
礼なんてちゃんと言えなくても大丈夫。感謝の気持ちは十分に伝わっている。

「これなら大切な人に食べさせられるやろ!」

…そう。このシチューは大切な人に食べさせたいと言っていた。
これならばきっと…その人に笑ってもらえるだろう。
693 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 01:00:14.87 ID:dlEOgXvn0
「寒いよう……今日は何も食べれなかったよう……」

近頃の寒波の中、廃ビルの隅でうずくまっている少年がいた。
何かの覆い布を寒さしのぎに何重に巻いて、シーツを被った幽霊のようなものだが、
寒さに震える様からはそうとは言えないのは明らかである。

「明日のために今日は寝なくちゃ、ええっと、こういう時は何をすればいいんだっけ……」

そういって始めたのは頭の中でネズミの数を数える作業。
しかも、数えるうち「美味しそう……」と涎を垂らす始末。
このような静かな夜に何か救いはあるのだろうか
694 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/27(日) 01:00:44.75 ID:pGEW5fJ7o
>>692
「うん、澪のおかげだね」

……とここでクリオネは今日の自分の言動を振り返る。今の言葉といい、あまりにもらしくないかも知れない。

これが商店街の魔力なのか。あの狐の時もそうだった。

「これなら間違いなく食べさせられるよ。絶対喜ぶ……絶対……」

嬉しさの中にどこか悲しげな一面を見せてもう一度スプーンでシチューをすくう。

食べてもらいたい。今度は変な野菜の水煮じゃないちゃんとした料理を。

「少なくとも、前に作ったアレよりは喜んで貰えると思うしね」
695 :大坂澪 :2013/01/27(日) 01:12:40.99 ID:O+k584wP0
>>694
「いやいや、めげずに最後までやってこそ、完成したんや。
これは、アンタの料理や!」

作る側が素直にアドバイスを聞いてこそのこの料理。
これでいろんな人が喜んでくれるなら、何よりだ。

「へへっ、これでバッチリ喜んでくれるはず!大成功や!」
「大切な人が誰だかは知らん。
それでも、その人に想いは届くはず…な!」

見知らぬ人のことをどうしてこうも断言出来るのだろうか、自分でも分からない。
…それでも、きっと。もう一度、今度はちゃんとした料理を作ってあげられる…
そんな気がして、へへっと微笑む。
696 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 01:13:19.81 ID:Cnhyn2xio
>>693

轟音―――少年の居る廃ビルの一室の壁が弾け飛んだ。
圧倒的な衝撃を以て粉々に砕かれた壁の破片が辺りに飛散する。
幸いにも少年とは反対側の壁だったため、破片は少年まで及ぶことはなかったが。

砂煙が晴れると、少年は部屋のど真ん中に倒れる男を発見するだろう。
その男は完全に気を失っているのか、口の端から血筋を垂らしていて―――。
どうやら、壁を突き抜けて飛んで来たのは男らしい。それなら、確実にぐちゃぐちゃになってそうだが。

「―――ったく、これだから頑丈なヤツは嫌いだよ。ここまでされなきゃ気絶しねーんだからよー。」

数秒して、男が突き抜けて来た壁を潜り抜けて現れたのは、背の高い女だった。
朱いなスーツに朱いポニーテールの髪、それに朱いサングラスと何処まで朱が好きなんだという女。
ぷらぷら、と拳を振りながら朱いハイヒールで倒れている男を踏んで―――。

「あちゃー、生きてっけどギリギリだわコレ。まぁいっかー……おーい、浅葱、早く来いよぉ。」

髪を少し掻きあげて、耳から頬にかかる片耳装着型のイヤホンとマイクに語りかける。
どうやら通信中らしいが――そうして、隅の方に何かを見つけたのか視線を飛ばした。

「…………あ、ここの住人?メリークリスマス、季節外れのサンタさんだよ。」

ひらひら、と手を少年に向けて快活な笑顔を向けていた―――至極、滅茶苦茶な状況と言えよう。
697 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/27(日) 01:19:20.56 ID:pGEW5fJ7o
>>695
「そう……私の料理」

ふふっと少し嬉しそうに笑う。久しぶりに笑った気がする。

ここに来ると気分がいくらか休まるような気がした。

「うん、ありがとね」

今度はちゃんと言えた。同時に食べ終わり、席を立つ。

これはどこで洗えばいいの?と食器を持って台所をうろつく。

一応洗い物はしなきゃダメと言う常識は知っている様だ。
698 :大坂澪 :2013/01/27(日) 01:28:14.20 ID:O+k584wP0
>>697
へへへ、笑ってくれた。
「ありがとう」言ってくれた。
こんなに嬉しいことは無い。ああ…良かった。

丁度同じく食べ終わると、食器を厨房まで持っていく。

「あ、ええよ別に。洗い物は一辺にちゃちゃっとやれるから♪」

何事もなかったようにテキパキと食器を洗う。
何、二人分など大したことは無い。普段は十数人分を一度にやっているのだから…
699 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 01:29:01.87 ID:dlEOgXvn0
>>696
「へ?」

ネズミ数えの作業から意識を戻して、覚醒に持ってきた少年が目にしたのは、
穴の開いた壁、笑いかける人間、寝ている人間、流れる血。

血である。赤黒い血液。わずかに鉄臭い香りが少年の鼻に届き、
飢餓の一心がすべてを埋め尽くした。

刹那、覆い布が宙に舞い、その中から人間には有るまじき触手のようなものが飛び出し、
倒れる男をつかんで、少年の方に引き寄せる。

「メリークリスマス!今日のごはんをありがとう、おねえさん!
食べていいよね?これ、食べていいよね!」

男の皮膚に流れる血をすすりながら、少年は心からの笑みを返す。
飢えた身には、肉なら何でも食用に値するように見えた。
笑っていても、人食い希望やら、腕が触手とか、問題は山積なのだろうが……
700 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 01:38:34.48 ID:Cnhyn2xio
>>699

「あー……?なんだ、お前……ガキの癖にカニバる趣味かよ。サンタさんドン引きだわ。」

末恐ろしいなぁ、と溜息をつきながら、足元の男の血を啜る少年を見下ろした。
やれやれ、と頭を軽く左右に振って、朱里は男の首根っこを捕まえて持ち上げた。
必然、少年は食事を中断される事になるだろうが―――。

「おい、クソガキ。お前、人間やめる気か?人間は人間食っちゃぁいかんのだよ。」

「つーことで没収。ひもじいならその腕、食ってろ。焼いて衣つけりゃ天ぷらじゃね?」

大体、人の獲物食うなよな―――ぶつくさ、と呟きながら肩にぐったりした男を担ぐ。
数瞬、考えた様な表情を浮かべて。女は口をへの字に曲げて溜息をついた。

「わりー、ちょっと言い過ぎた。カニバるなってんのに、自分食えっていうのも酷い話だったわ。」

「よし、少年。おねーさんが好きなものを奢ってやろう―――だから、コイツは諦めてくれな?」

勘弁な、と口の端を釣り上げて笑う。兎にも角にも仕事の依頼品を喰われちゃたまったもんじゃない。
それに、廃ビルに飢えた子供を見捨てるほど、鬼畜な性でもなかったようで―――。
701 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/27(日) 01:41:29.60 ID:pGEW5fJ7o
>>698
「そう? ならいいけど」

ここであっさり引き下がるのがクリオネだ。無理に自分がやるなどとは言わない。

「よかったらまた教えてよ。今度は他の料理をさ」

今回教わったのはあくまでシチューの作り方であって、料理の基礎を教わったわけではない。

つまり、ほかの料理は相変わらず全く作れないままなのである。

そう言って、店を出ようと出入り口の方へ向こうとした時、

(そういえば血がついたままの制服で澪の店に入ったけど、他の奴に見られたら面倒になるね)

自分は構わないが、澪の店に迷惑がかかるのは本意ではない。

そうした思考の後、突如クリオネの制服が……消えた。

細かな光の粒子が広がったと思ったら、それと同時に見えるのは純白の下着……ではなく、白いフリルが付いた黒い下着だった。

細い体に小さめだが形が綺麗な胸。一部の人からは人気の出そうな体だ。

この制服は、クリオネの武具生成の能力で防具扱いで作ったものだったのだ。

「んー、どんな形だったかな……」

そういうと、先ほどまで来ていた制服と同じものがクリオネの体の周りに出来ていき、綺麗な制服を着たクリオネが出来上がった。

「それじゃあね、澪。今度、料理を教えて貰うのとは別に、客として食べにくるよ」

片手を軽く上げながら、澪つくしを出ていくクリオネ。

必ず目的を達成し、この料理講習を無駄にはしまいと心の中で誓うのだった。


//すごく楽しかったです。ありがとうございました。
702 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 01:57:08.14 ID:dlEOgXvn0
>>700

「お腹がすいた。肉なら人もネズミも変わらないよ?」

カニバるの意味を図りかねて居たが、エサを取られて少し不機嫌さを返す。
胃の中の血が、少しだけ頭に力を与える。

「ぼくトカゲじゃないよ、それにこれ食べてもおいしくないから」

血のお蔭で、今日は生きてゆけると確信したらしく、エサに未練が消えて敵意も消える。
それに、目の前の女性の提案が、これまた心を捉える。

「諦める。諦めるから、ウサギ食べたい!」

言うが早く、触手が蠢いて手の形に戻り、数瞬で何の変哲もない右腕が現れる。
そんなびっくり人間ショーよりも、好きなものと言ってウサギが出てくるのだからこの少年の生活がしのばれる。
加えて、格好はサイズの明らかに合わない汚れたシャツに、サイズの合わないジーンズといった、現地調達仕様。

//遅くなりました
703 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 02:09:08.79 ID:Cnhyn2xio
>>702

蠢く触手の様な手に苦い顔をした。どうやら、それが原因か―――?

「………人間の肉だけは、食っちゃ駄目なんだよ。」

理屈で言っても理解されないだろう、と溜息混じりにそう言っておく。
それに彼の言動や、衣服から見るにどうにも酷い生活を送っているらしい。
朱里は「ウサギが食べたい」と言う彼の言葉に大きく溜息をついて―――。

『はぁ、はぁ……朱里さん、ふっ飛ばしすぎ……ですよ。』

「おっせぇ到着。んで、コイツ頼むわ―――アタシはこれから、このガキ世話してくるから。」

『えっ、えっ、えーっ!?ま、また僕が後処理ですか……またですか……。』

階段を駆け上がって、息も切れ切れに辿り着いた青いブレザーの少女、否、少年に男を投げつける。
女子高生の制服を着た少年は女よりも随分と身長が低かった。更に中性的な顔立ちだった。
彼が女装趣味なのか、それとも無理矢理着せられているのかはまた別のお話―――。

さて、文句を言いながら男を受け取り呆然とする浅葱を無視して―――朱里は少年に近づく。

「んじゃあ、ちょっと飯食ってくるわ。浅葱、お前は適当に宿探しとけよ―――うし、行くぞ少年。」

がしっ、と少年を掴んで先の男と同じように担ぎ上げようとする。
担ぎあげれたなら、朱里は何の躊躇いもなく―――先ほど空いた壁の穴から、地上までダイブするだろう。
704 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 02:23:46.86 ID:dlEOgXvn0
>>703

「へえ、教えてくれてありがとう!これからは人は食べないようにしておくよ」

触手というよりかは、これまでの過去と無常識のせいなのだが、今は語る必要がない。
それよりも、食事にありつければ何だっていい。
でも、躾けられたわずかの事が不意に現れて、

「初めまして、おねえ……おにいさん、あの、えっと……うわっ!」

現れたもう一つの姿にあいさつをしようとするが、次の言葉を考えているうちに引っ掴まれて抱え上げられる。
急な事だったため、言葉を出すことができなかったのだが、着地したならば


「ねえ、さっきぼくウサギ食べたいって言ったけど
おねえさん、ウサギよりおいしいもの知らない?
ぼく、ネズミとかイヌとかしか食べてないから」

と、焦点のずれた質問を投げかける。
つまりは今まで生肉で食いつないでいたという次第である。色々人として問題であった。
705 :大坂澪 :2013/01/27(日) 02:24:33.36 ID:O+k584wP0
>>701
「うんうん、何でも教えたる!」

嬉しそうに色々教える、と約束する澪。
実際、教えを顧うたら間違いなく丁寧に教えるだろう。

さて、そろそろお開きだ。帰ろうとするクリオネに手を降りながら、「また来てなぁ!」と一言。
次の瞬間、下着が露わになったのが見えて…
…服が元通りになっている。
帰り際に手品を見せられた気分だ。

…改めて、帰り際の挨拶。

「うん、また来てな!今度は私の料理、食べさせたるから!」

今度は彼女の本業を披露したい…そう思いながら、今日のところは別れるのだった。

//お疲れ様でした!こちらこそ楽しかったです!
706 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 02:38:11.80 ID:Cnhyn2xio
>>704

『あっ、はじめまし―――朱里さん、無茶しすぎですって!』

対して、浅葱もまた少年に返答しようとしたのだが既に時遅し。
一人、廃ビルの中で男を抱えた華奢な少年は溜息をついていた――。


「うーっし、着地するぞー!そうだなぁ、これなら4:6ってところか―――よいしょぉ!」

一方、急激な速度で落下する朱里は少年を小脇に抱え、着地しようとしていた。
謎の比率を呟いて雄叫びじみた掛け声を上げる――刹那、朱里の空いている腕が廃ビルの壁を貫いた。
速度を殺す様に、二の腕が下方向に外壁を削り取っていく。少し速度が緩まった頃には地上まで数メートル。

そうして腕を離して、衝撃を殺す様に軽やかに着地する――ふぅ、とやや面倒くさそうな表情を浮かべて。

「ウサギとかイヌとかフツー食わないもん食うとか、サバイバルな人生じゃないか。」

「フツーの人間はそういうもんは食わないぞ。人間が食う肉はアレだな、ウシにブタにトリ……まぁ、たまにウマとか?」

特に牛肉は美味いぞ、と唇の端を浮かべて―――少年を抱えたまま歩き出す。
廃ビルの直ぐ側に停めてあった、朱いフェラーリの助手席に少年を放り込み、朱里も運転席へ。

「まぁ、今日は大サービスだ。光源氏のごとく、お前の食を満たしてやろう。んじゃ、しゅっぱぁ〜つ!」

クラッチを踏んで、ギアを動かして――アクセルを踏み込んだ。慣れた手捌きで急発進するフェラーリ。
ぐん、と明らかなスピード違反な速度をだして夜の街を走る。向かう先は朱里のみが知る―――。
707 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 02:53:30.63 ID:dlEOgXvn0
>>706
「『もるもっと』から逃げてきたばっかでお金も何もなくって
イキモノみんな食べてただけ。そういうことをサバイバルっていうの?」

着地までの一連の行動の内、少年の心中は驚きばかりであった。
ごはんをたべさせてくれるといったひとが、ビルから飛び降り、壁を砕いて速度を落として着地する。
驚くしかない。
さらに、よくわからない赤いものに押し込まれて動き出したら、なおさらである。
その割には、物珍しそうに見渡すだけで、恐怖を感じるわけでもないのだが。

「人間はあんな大きい生き物を食べるの?1人じゃ食べきれないよ?」

動き出した車の中で、世間知らずの少年は触手で自分とシートを固定する。
シートベルトを知らないが故である。

「光源氏なら知ってるよ!かわいい女の子をもっときれいにするんでしょ!」

慣性を肌に感じながら、無邪気に少年は会話を続けていく。
708 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 03:06:32.78 ID:Cnhyn2xio
>>707

「…………あー、そう。お前、そういう存在なわけね。」

「まぁ、人間らしい暮らししてないヤツの生活はサバイバルって言うんだよ。」

あちゃー、とハンドルを切りながら片手で頭を抱えた。
実験体で、逃げ出して来て、一文無しの身寄り無しとみた。
それに一般常識も欠如している―――厄介なガキ、拾ったなと少し舌打ちした。

「全部食うわけじゃねーよ。好きな部位をちょっとずつ食べるんだよ。」

「――――お、器用だな。でも、そこの紐あるだろ?それで身体を固定するんだぞ。」

あまり車の通らない直線的な夜道を疾走する。どうやら朱里にはスピード狂の様だ。
少年にシートベルトの締め方を教えつつ、愉しげにドライブを楽しんで―――。

「そう、自分好みにだ。アタシの好みとしては可愛い服が似合う少年なんだけど―――まぁ、浅葱で間に合ってるわ。」

「…………よっし、ここだ。はいはぁーい、ちゃっちゃと降りて着いて来な少年。」

乱暴に車をドリフト気味に店の前に停めた。駐車場なんて知ったこっちゃないあたり、かなりの傍若ぶりである。
車のキーを外して、指先でくるくると回しながら降りる――向かう先は目の前の”焼肉屋”。
店外に居ても、中から臭う空腹を攻撃する様な良い香りが風に乗って二人に吹き荒れる。
709 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 03:27:20.74 ID:dlEOgXvn0
>>708
「わかった、つまりぼく『サバイバルなう』なんだ!」

左に体を持って行かれる感覚を味わいながら、新しい概念に触れたことを喜ぶ。
そのくせ『〜なう』を知っているのが少し疑問だが。
まあ、なんというか知識の範囲がおかしいといったところだろうか。

「好きな部位?選べるんだ……にんげんってぜいたくだね。食べたいとこしか食べないなんて」

教えられたとおりに普通の手を使ってシートベルトを締めながら、少年は少し暗い顔をする。
生きてゆくために、食べ物かよくわからないものを飲み込んだり、生き血を啜っていた身には遠い話だったから。
羨ましいような、それ以外に色々と正負の入り混じった複雑な感情が出たり入ったり。

「ぼくは、かわいいかなあ……?」

答えるよりも先に、自分のことを考えてしまう。
そうこうしている内に、車が止まる。
少し悪戦苦闘したものの、降車に成功し焼肉屋の香りを味わうことに成功する。
当然大興奮でついてゆく、その姿は小動物か何かであった。血を吸うようなけだものでもあるが。
710 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 03:41:47.77 ID:Cnhyn2xio
>>709

「”サバイバルわず”になるように頑張れってば……」

なんでそんな最近の言葉遣い知ってるんだ、と思いつつ突っ込んでおく。

「人間は贅沢だよ。かといって、贅沢が悪い事でもない。」

「まぁ、基本的人権のうんたらかんたらだ―――まぁ、好きな様に生きればいいけど。」

少年がどんな食生活を送っているのか、大体の見当はついていた。
だから少年が贅沢についてどう考えてるかも多少は理解を示せていたはずだった。
だが、それはどうしようもない。生き方の違いだが――兎に角、今晩は教えてやろう。

「あ?まぁ、可愛いんじゃないか。アタシのモテカワメイク術をもってすれば誰でも可愛くなれる。」

「キャッチコピーは『ブサイクは隠せる!』だ―――はぁい、店長やってるー?」

少年の疑問に回答しつつ、補足として更に可愛く出来ると豪語していた。快活に、笑いながら。
がらがら、と店の扉を開いて大声で店長を呼びかける。そこは小じんまりした、小さな焼肉屋で。
店内にひしめき合う客の間から、店長であろう中年が現れる――軽く、世間話を交わして席へ向かう。


通された席は店内がよく見える座敷だった。丁度タイミング良く、数分前に客が出て行ったらしい。
どん、と座席に座り込んで朱里は少年にメニューを渡す。そのメニューには分かりやすく、写真つきで商品がのっていて。

「適当に頼め。名前が気になったら頼め。ついでに頼む時は2人前ずつ言え。」

「大声であっちのオッサンに聞こえる様に言うんだぞ―――はい、復唱。」

朱里はスーツの胸元から煙草を取り出し、口に咥えながら少年に命令するように言った。
サングラスを外せば、鋭利な目つきが現れた―――それでいて、何処か優しげな不思議な黒い瞳だった。
711 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 04:05:05.59 ID:dlEOgXvn0
>>710

「『サバイバルわず』になるよう、ぼくがんばるよ!」

どうがんばるのかという部分を欠いているのだが、その意気込みに偽りがないのも事実なわけで
結果として、生きる希望を与えることに繋がってゆくのだろうが……

「ぼくはぜいたくの前に生きなくちゃだし、『もるもっと』に権利があるなんてわからないから
もし『サバイバルわず』になったら、わかるのかな?」

何の引け目も無く、自分を取り巻く環境を口にする。
傍から見れば確かに異常なのだが、少年には日常である。だから今が非日常。

「そっか、かわいいんだ……」

なんとなく、嬉しそうな表情をする
一緒に焼肉の匂いでヨダレもたれるが。

「今度会ったら、ぼくをもっとかわいくしてくれる?」

ふと口に出た言葉だった、証拠に「気にしないで」とすぐになかったことにしようとしているのだから。
そのくらい、食べ物か人物に惹かれたか。

さて、焼肉屋に入り、メニューを眺めて説明を聞いて、大きい声で繰り返す
「適当に頼んで!気になったら頼んで!二人分頼む!おじさんに届くように!」


不満そうに口をすぼめるが、間髪入れずに注文を入れる。
骨付き肉と、種類も量も多い盛り合わせのセット×2である。
どう見ても、少年と女性の食べる量ではないが……

「もっと大きな肉だと思ってたのに……」

それでも、ちょっと予測と外れて残念そうな顔を見せていた。
712 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 04:18:50.83 ID:Cnhyn2xio
>>711

「おう、後悔しない人生を歩もう――――だな。」

「お前はモルモットじゃないし、考えて行動する生きてる人間だろう?」

「”サバイバルわず”の状況ってのは、お前の今の生活がガラリと変わった時だよ。」

苦虫を噛み潰した様な顔でそう答える―――イチから少年に人間のあり方を教えるには途方も無い。
きっと、少年の日常は自分達の非日常。それを教えこむには骨が折れるにも程がある。
今日、このまま食を満たしてやってその後はどうする?困ったな、と頭を掻きながら。

「ガキは童顔で可愛いヤツは少年少女の区別がつかないからなぁ……。」

「いいさ、また会えたら次は”衣”をなんとかしてやろう―――ま、今日の所は”食”だ。」

くつくつ、と笑いながら可愛くしてくれと言った少年にOKを出す。
メイクだけじゃない。可愛く服までコーディネイトしてやろうと大胆不敵に笑っていた。

「よし、よく言えた―――だけど、残したら磔刑に処するからな?」

あまりにも多くの量を頼むので溜息をつきながら忠告しておく。
食べ物を残すという気概は許さない性格である。頼んだからには全て平らげろと言う。

「大きい肉を一気に食べるより、ちょっずつ好きなだけ食べる方がいいんだよ。足りないなら、好きなだけ頼めばいい。」

「つーことで、”頂きます”だ―――ほら、焼いて行くぞ。生で食うなよ?アタシが良いって言ってから食え。」

肉を数切れ網の上に乗せれば、じゅーっと心地良い音が鼓膜を揺さぶる――次いで、鼻孔をタレの匂いが擽る。
数分ほど網の上で熱せば、赤い肉は茶色く変色する。朱里は片っ端から焼けたものを少年の取り皿に乘せて行く。
ついでにタレをつけて食べるんだ、とレクチャーしつつも、朱里もまた肉を頬張っていく―――。
713 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 04:39:47.78 ID:dlEOgXvn0
>>712
生活が変わる。それはどれほどの期間と手段を経るのだろうか
人としての在り方から作法まで。きっと努力以上の何かが必要になるだろう。

「ころも、服の事だね!ありがとう!おねえさん。きっとかわいくしてよ!」

これでまた会ったときに、話すことができた。
もしかしたら、次はもっとまともでないかもしれない。
だからサバイバルの先を見せてくれる存在との縁をただ失う訳にはいかなかった。

「大丈夫。最近食べ物が少なかったから、イノシシ半分くらいなら食べられるよ?」

半野生のイキモノと化しているいるため、食いだめができるらしい。
もしかすると、右腕のせいかもしれないのだが。

「そっか、いまはぜいたくができるんだね!今だけにんげんだ、やった」

なんというか、履き違えたセリフだが、少年が自身の認識を人間としていないことだけは判る。
そんな、細かいことは、肉の焼ける音の前ではすべてが無意味だが。

「はーい!『いただきます』」

焼けていく肉を注視し、寄こされた肉を食べる方法に困るが、
フォークを持ってきてもらって事なきを得た。
そして、言葉が消えた。生肉に手を付けることはしないが、乗せられた肉は5秒も無く口に入る。
ペースはほとんど落ちず、盛り合わせの一つが消し飛んだ。
714 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 04:53:57.94 ID:Cnhyn2xio
>>713

「まぁ、なんだ……任せておきな。」

次に会う時、彼は一体どんな生活をしているのだろうか。
もしかすれば犯罪に手を染めてでも、まともな人生を歩もうとするのかもしれない。
その先を知る事はないが、自分のあずかり知らぬ所まで面倒は見切れないと言い聞かせて。

「食い溜め、ができるって……あっはっは、野生じみてるじゃねーか。」

「あぁ、今は贅沢できるんだ。つーか、お前はちゃんと人間だぞ?」

先ほどから自分を人間だと認識していない少年に怪訝な顔つきをする。
人間扱いされてこなかったのだろうか―――それでも、彼は人間だろうに。

「…………てんちょー、盛り合わせあと3つ持って来てくれ。」

即座に消えて行く肉。余りにも早い食べる速度に思わず呆気にとられてしまう。
少しずつ自分も食べるが、それ以上に少年の食べる速度に圧倒されて中々ぱくぱくと食べれない。
忙しなく彼の皿に乗せる作業と自分の口に肉を運ぶ作業に少し苦戦しつつも、追加オーダーを取る。


「うわー、よく食ったなぁ。二人で5万超えは最高記録だわ……やれやれ。」

―――やがて、少年の腹が満たされた頃には朱里は既にグロッキーになっていただろう。
少年の胃袋と彼女の胃袋では如何しがたい差があるのは明白だった。

伝票を見ながら驚いた顔の朱里。財布が軽くなるのは覚悟していたが、これまでとは―――浅葱に怒られそうだ、と苦笑する。
715 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 05:08:31.56 ID:dlEOgXvn0
>>714
お前は人間。なんと心に響く言葉だろうか。
人は人の中でこそ人たり得ると聞くが、少年がその体現であった。

「食べられるときと食べられないときがあるから、食べるときはできるだけ食べないといけないんだ
だから、にんげんとして、いっぱい食べるよ!」

その結果がこれである。
顔色の悪そうな女と裏腹に、最後の肉をこともなげに平らげた少年。

「こういうときは、ありがとう、だっけ?」

財布のことなど一切気にしない少年は、満腹の幸福感を全身に湛えていた。
幸せの権化といった態である。
716 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 05:22:47.07 ID:Cnhyn2xio
>>715

「あぁ、食え食え。好きなだけな―――ま、それで最後みたいだけど。」

ふぅ、と出てきた腹を撫でて一服。一息つきながら、少年を眺めていた。
良くも悪くも純粋な思考の持ち主。生きる事に必死な、人間だった。
何処と無く、自分の助手――つまり、浅葱と似通った所があると煙で輪を作りながら思い。

「そうだ、ありがとうって言うのさ。気にすんな、お姉さんの努めだ。」

「よーっし、満腹になったなら行くぞ―――アタシにゃ、仕事が残ってんだ。」

実のところ、浅葱にほっぽり出して来たが依頼を請け負った途中である。
朱里の職種は”探偵”。あまりそれらしくない、業界では探偵というより便利屋と呼ばれているが。

レジでカードを切りながら、「やべー、怒られるわ、これ。」とニヤニヤしながら呟いていたそうな。


「そういや、名前聞いてなかったよな。アタシの名前は朱里って言うんだよ。探偵やってる。」

「会いたくなったら―――ほら、名刺やるから電話してきな。暇だったら、飯食わせてやる。」

店を出て、車の前で振り向いて名乗る。ついでに職種の書かれた名刺を差し出す。
残念なことに、事務所は最近燃え尽きた為、現在は車で野宿の身なので名刺に乗っているのは携帯電話だ。
固定電話の書かれた箇所がマジックで黒く塗られている辺り、ずさんな性格と見える。

「ついでにこれやるよ、うちの助手の寝袋だけど―――どうせ、野宿なんだろ?」

ぽいっ、と車のトランクから大きめの寝袋を取り出して投げ渡す。
寒さを凌ぐには十分な暖かさを約束する、野宿には必須な代物である―――。
717 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。 [sage]:2013/01/27(日) 05:44:56.16 ID:dlEOgXvn0
>>716
「でも、今のぼくにはありがとうと言うことしかないから、言わなくちゃ」

「お腹いっぱいになったよ、ありがとう」

幸せそのものから、少しだけ寂しさを滲ませたまま焼肉屋を後にする。
もちろん、女の後に続いてだが。

「なまえ……」

言葉に詰まってしまう。自分の個体名称などモルモットには知る必要もなかったのだから。

「おねえさんはじゅり……ぼくは……アノマニス、かな?」

匿名を意味する言葉を聞き違えた程度の名前が今の少年の名前だった。
誰とも会話をしていなかったし、名前を与える存在も無かった。

「これは失くさない。焼肉のために」

名刺のズボラさなど気に留める様子もなく、大事そうにポケットにしまいこむ。
少ない接点だ。嫌でも失くさないように努めることだろう。
加えて放り投げられた何か。大きいのでとっさに触手で受け止めたのだが。

「寝袋……寝れるの?」

検めてみると、人の入れる空間を見つけて、証明に成功する。
大喜びして、試しに入ってみたりもした。

当然出た後で、ありがとう、ありがとうの乱舞しかできないのが悲しい限りであった。

「もうすぐ夜明けだから、今日の夜の食べ物を探さなくちゃ。またね」

少しだけ目を潤ませて、名残惜しさを前面におしだして、
少年、もといアノマニスが暗がりの中に消えようとするのだった。

//こんなところで〆させてください。
718 :朱里&浅葱 [saga]:2013/01/27(日) 05:58:03.11 ID:Cnhyn2xio
>>717

「アノマニスか――――まぁ、今日はゆっくり眠りな。」

「少なくとも廃ビルの床よりは、マシに眠れるだろうさ。」

ありがとう、ありがとうと言葉を繰り返す少年によせよせと手を振る。
本当に同情し、救いたいと思うなら面倒を見てやる必要がある。
それを食を満たし、寝袋程度を与えたくらいで―――感謝される筋合いはない、とそっぽを向いた。

「あぁ、またな。次会う時は”サバイバルわず”……達成してるんだぞー?」

中途半端にしか助けてやれない不甲斐なさが、なんとも言えなくて。
んーっと伸びをして―――ひらひら、と手を振って闇に消える後ろ姿を見送る。

『あの、何時になったら帰ってくるんです?ていうか、目覚しませんよこの人……っ!』

フェラーリの車体に寄りかかりながら、煙草に火を点けた。その時、通信機が鳴る。
ボタンを押して、受信許可すれば耳元のイヤホンから助手の悲痛な声が聞こえて来た―――。

「まぁ、そいつは置いといて。ごめんな、浅葱!お前の洋服代消えたから、女装したまんまで宜しくな。」

――――耳元で助手の更なる叫び声が聞こえた。


余談ではあるが、数万ほどであるが、少年に与えた寝袋には潜んでいたそうな。
それが浅葱のへそくりなのか、朱里がそっと忍ばせておいたのかは――また別のお話だろう。


/お疲れ様でした!長くなってしまった、申し訳ありませんっ!楽しかったです!
719 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/27(日) 12:50:15.93 ID:J6aJ8x8IO
>>642
「確かに俺は馬鹿だ、学もないし俺みたいな人間が君をを助けるなんて、ふざけた事を言うぐらいな
けれど、君みたいに空っぽの心が何かで満たされて欲しいって気持ちはよく分かるぞ」

人生の師の存在も深い悲しみも負う事もない
ただの友人も、暖かい家族もない
これがどれほど空虚で、空っぽかは理解している
既に体験をしているからだ、例え手に入れても自ら手放したから
だから、理解できる

「俺には友達なんていなかったけどさ、最近増えたんだよどういう訳か
そいつがいるお陰でなんか変わったんだよ...表現しづらいけど、面白いんだ」

話が通じて、お互いびっくりしあって笑いあってまた会おうと言う
たったそれだけで、何かが変わった

「君は俺を助けてくれた。だから、俺も助けたい
君を独りにさせたくない...シンプルで分かりやすいだろ?」

本当に馬鹿だ、意味はめちゃくちゃで女性の感情を理解してるのか
馴れ馴れしいし、自分の意志をしか言っていない
だが女性の思うように、彼は自分の決めた事は貫く
それが正義と感じ、実行すべきと思うならそれを実行する

「君の言うとおり、危なっかしいってのは本当だし、否定もしないよ
この傷もついさっきあった荒事のお陰だよ」

俺も信じて貰えなくても当然かな、と
少々目を伏せ自虐的に呟く
自分の歩んだ道の代償だ、と
誰かを助ける事が出来るなんて幻想、奇跡だと
そんな風に自身の過去を呪っていた
720 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/27(日) 15:25:25.46 ID:xG1XQbBQo
>>719
「ええ……貴方がシンプルと表現する考え方は、私にもよく分かります」
感謝 あるいは お礼 と、表現されるだろう気持ち。優しい人ならば、必ず心にあるだろう。

「ですが、それもある意味では貴方の勝手な押し付け。
犠牲の精神に、等々の対価で答えよう。というのは優しさでもありますが、同時に犠牲の美しさを無くします」
お礼をしてもらいたくて、人助けをしたのではない。
ただ、助けたいと思ったから助けたのだ。その気持ちに、なんとしてもお礼を返されたいというのは……嬉しいけれど、複雑な気持ちも払拭できない。

「だから、というわけでもありませんが……どちらかがどちらかを助けるという事では無く、お互いに助け合おう。というのはどうでしょう?」
それが、彼女が納得できる距離。
もらい過ぎす、与えすぎず。少年に約束できて、一番だと考える距離だ。

「貴方に助けが必要な時は、私が助ける。
そういう関係ならば、私が貴方を信頼するのも難しくありませんから」
どうでしょう? と再び呟いて、首を傾げる。
721 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/27(日) 16:28:02.89 ID:AQGf1N69o
>>720
「なるほどね...そういう考え方もあるのか...」

てっきり言語道断、ダメだと言われそうな気がしていたので
この女性の答えには少し意外な気持ちだった
一方的な、自己満足の救済に未来はない──、そんな言葉を何故か思い出す
相互理解、その言葉の意味を思考する
少年は握っていた手を離し、腕を組みながらそう言った

「いや、何というか...悪かったな。
君の気持ちまで考えていなかったから...」

昔から人からの好意は返さないと気が済まなくてさ、と
頭をかきながら、少し微笑を交えて呟く
女性の行動が彼女の親切な好意に見えたらしい
恩返し精神と思えば至極真っ当ではある
が、これには彼の過去が絡んでいるので詳しいのはまた別の話
しかしこの感情も所詮は彼の中の「私」の感情
「公」の為に「私」を[ピーーー]彼には脆弱で儚い感情に過ぎない

「そういえば、助け合う相互理解の前に名前も聞いてなかったな...
俺は紫乃咲、紫乃咲紫音だ」

今頃思い出すように女性にそう言った
気が付けばこの自己紹介のような名乗りを最近多くしてきた気がする
自分の他人との交流が増えてきた結果だろうか
孤独だったはずの自分が変わってきた気がする
そう思いながら、右手を前に出す
握手するという意味だ──。言わずとも伝わるだろう
722 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/27(日) 17:16:29.39 ID:xG1XQbBQo
>>721
「はい、私はそう考えます」
少年に、気持ちが伝わった。
そう考えると嬉しくて、笑顔を作った。

「本当、私の酷いですよ。私のこと、中身が空っぽみたいな言い方をしたんですよ。
……そこまでは酷くないつもりですよ。確かに他の人に比べて、そういった体験が少なかったかもしれませんが……感情だって、ちゃんとあるつもりです」

「名前ですか……ちょっと待ってください」
コートのポケットから、一枚の紙を取り出し、手渡す。
取り出したものは彼女の名刺だ。名刺には彼女の名前や連絡先。生年月日などが書いてある。それを見れば彼女の連絡先が書いてある。
職業は……なんでも屋ということになっている。
「連絡先は仕事用ですけれどね、ちゃんと確認するようにしておきます」

「よろしくお願いしますね」
そう話せば、差し出された少年の手を握り返す。
723 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/27(日) 17:40:29.82 ID:AQGf1N69o
>>722
ぎゅっと握手
握った彼女の手はなんとなく暖かく、人の暖かさを感じた
自分みたいな冷たく空虚ではない

流石に言い方が悪かったなと
いくら過去に学校に3ヶ月しか通ってないから
と、学がないのは言い訳にはならないか
それに対人の会話術も勉強しておく必要があるかもしれない
反省、と紫音は心の中で念じておく
それ以前に女心と言わずとも、他人の感情を理解する努力
それはどうしたという神の声の如きツッコミは無視しておく

「リリアーナ...ね、よろしく。何でも屋とは意外だな...この時代は普通か?
お察しの通り、俺は危ない職業だしどこかで縁が...」

ここで硬直、停滞
名刺の一文を読んで紫音固まってしまった
何処かとは言わずもがな、生年月日である
女性の年齢は化ける、前に学習していた筈だ
見た目では...とても...

「歳上...だと....」

名刺とリリアーナの顔
二三回目線の往復を繰り返す
直後、「歳上にタメ口使ってごめんなさい」的な台詞が飛び出すだろう
過去にも同じことを指摘されたが、彼は歳上の人物が苦手である
過去に縁のあった歳上さんにいい人がいたようないなかったような
そんな理由でだ、立ち上がってリリアーナに頭を下げる紫音が出来上がる筈だ
724 :リリアーナ(魔法剣職人/なんでも屋) :2013/01/27(日) 19:06:21.77 ID:xG1XQbBQo
>>723
「手が、なんだか冷たいですね。 ……やっぱり貧血なんでしょうか?」
紫苑の腕の冷たさが気にかかる様子を見せた。
その手を温めるように、ギュッと握る。

「しおん……シオンですね。私も、お名前を覚えました」
しおん、紫苑……と、二度ほど復唱した。


「一応、家族は私の事をリリーと呼んでいました。
貴方は……是非、その名で呼んで下れません? なんだか、その方が嬉しい気がします」

「なんでも屋なんて言えば聞こえはいいですが……内容はお察しの通りです」
ニコニコしながら、そう言い放つ。
「こんな時代ですから、これでも需要があるんですよね」

「と、年上ですけれど……なんですか、どうでもいいじゃないですかそんなこと」
年下に思われていたのは、嬉しいことではない。
激怒したり不愉快になるほどではないが、怒りを作ってみせた。

「さて。紫苑さんは、もう一人で歩いても大丈夫ですよね?
私は少々用事があるので、これで失礼します。それでは……そのうち連絡を下さいね」
小さく少年に手を降って、その場を立ち去るのであった。
725 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/27(日) 19:21:47.50 ID:AQGf1N69o
>>724
「リリー...リリー...う、うん...よ、よろしく...お願いします...」

歳上の女性をこう...軽く呼ぶのには慣れていない
特にまだリリーとは出会ったばかりだ
唇がムズムズする感覚、きっと彼には今汗のエフェクトが写っている
本人がどう言おうとやっぱり苦手なのだ、慣れないといけないと思う

「あ、あぁ...大丈夫ですよ、なんとか」

さっき立ち上がっていたが立ちくらみもない
思考は冴え渡り、運動神経に問題はない
予想以上に回復は早かったが、念のため能力で血液量を増やしておく

「あぁ、また今度」

そして立ち去るリリーに手を振った
彼女の姿が見えなくなり、少し深呼吸
冷たい空気が肺に満たされて身体が心地よく冷えていく
そこで、ふと考察。

「...割とふつーに手ェ握ってたりしてたな...俺」

出会ったばっかりの女性に何してるんだ俺
急激に思考が熱を増して回転していく
先程の貧血なんて夢のよう、なんか高血圧にまっしぐら
数秒後には、割と顔赤くしてうずくまってたりするのは...また後々の話

/絡みありがとうございましたーっ!!
726 :【外見66歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 20:54:58.07 ID:tGb2YVgwo
【公園】

車椅子に腰掛けた老人は、星空を眺める。
両の腰には細い剣と長い銃身の銃が2つずつ。

老人の体からは古い血の香りが漂う。
どこか虚ろに、老人はいつまでも星空を眺めていた。
727 :エリア 金髪蒼眼の猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 21:16:34.37 ID:NFCgNge2o
>>726
特に目的があったわけではなかった
ただなんとなく、足を運んでみただけであった

見たところ10歳にも満たないように見える、
そんな幼い少女

きっとあるはずのブランコのほうへと足を向けていたのだが、
なにか香りを感じて立ち止まる

そして香りに導かれるようにして、歩き出す少女
つまりは老人のほうへと歩いている
728 :【外見66歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 21:20:24.34 ID:tGb2YVgwo
>>727
何者かの気配に敏感に反応した老人は、反射的に左腰に手を当てた。
剣と銃に触れ、枯れ枝の様な指で冷たい金属をなでる。

視界に入ったのは、少女だった。
「こんばんは、お嬢さん」
にこりと、好々爺のような笑みを浮かべる。
危機感を抱かせない、温和な笑みだ。
729 :エリア 猫かぶり少女 :2013/01/27(日) 21:28:57.30 ID:NFCgNge2o
「……こんばんは」
感じていた香りが血の匂いであることに気づいたのは、
つい先ほどの事

微笑まれて、とりあえずのところ悪意はないと判断した少女
ゆっくりとした、妙に落ち着き払った足取りで、老人の車いすの、すぐ近くへとやってきた

そして老人を真似てか、星空を見上げてみてみることに
730 :【外見66歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 21:33:26.28 ID:tGb2YVgwo
>>729
「星空はいつ見ても飽きない。まるで宇宙自体がうごめく生命のように、不思議で、複雑で、華麗だ」
 独り言のような調子で老人は呟く。

「とはいえ、お姫様はもう眠る時間だ。こんな夜にこんな場所に一人なんて、何をされても文句は言えまい?」
 くつくつと喉を鳴らし、老人はからかうように笑う。
731 :エリアの人 [saga]:2013/01/27(日) 21:38:33.52 ID:NFCgNge2o
>>730
「……わからない、私は綺麗としか感じられない」
少女もまた、ぽつりと呟く

「おじいさんは、私になにかするの?」
にっこりと笑みを浮かべて
それを老人へと向ける
732 :【外見66歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 21:42:16.55 ID:tGb2YVgwo
>>731
「私が君にかね? はは、悪い冗談だ。私は正義の味方だよ」
 くすくすと笑みを浮かべる。体からは古い血の香り。
 そして、正義の味方にしてはふさわしくない、徹底した武装。
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2013/01/27(日) 21:44:45.95 ID:NFCgNge2o
>>732
「正義の味方? おじいさんが?」
きょとんとした、不意を突かれたような表情を浮かべている少女
それでもとりあえず尋ねてみる

武装や血の香りなどからは、恐らく想像もつかなかったのであろう
734 :【外見66歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 21:49:01.82 ID:tGb2YVgwo
>>733
「そんなに不思議そうな顔をしなくても良いじゃないか」
 至極残念そうに老人は呟き、思いついたように笑みを浮かべた。
「もちろん、ヒーローになる時はこんなに老いぼれた格好ではないよ」

 目の前の老人が、音をたてて変化してゆく。皺の刻まれた皮膚がなめされ、枯れ枝のような指は肉がつき始める。
 少女の目の前で、老人は急速に若返っていた。
735 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 21:53:09.86 ID:NFCgNge2o
>>734
「不思議なものは不思議だもの」
開き直りつつも、

「あ、おじいさんがおにいさんになってく」
その様をじっと見つめながら、
しかし驚いた様子は見られない
736 :【外見66→26歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 21:58:28.32 ID:tGb2YVgwo
>>735
 老人の皺は消え去り、肌は滑らかさを帯びる。 
 曲がった背筋も矯正されたのか、車椅子から立ちあがった青年は身長180センチほどの、すらりとした外見だ。
 金髪をなでつけた彼は、にこりと人好きのする笑みを浮かべる。

「あまりこの姿になるのは好きではないんだがね。ヒーロー『ごっこ』をするときはこの格好さ」
 白衣を纏った青年は、そういった。少女が驚かないことに一抹の不安を覚えたため、警戒は怠らない。
737 :きょーすけ [sage]:2013/01/27(日) 22:02:43.35 ID:28sBxxqGo
「うう・・・・・。とれない・・・。」

一面が夕焼けの光で、橙色に染まった公園に
幼い子供の声が聞こえる。

「たかいよぉ・・・。」

まるでピエロがかぶる帽子をかぶった幼児が、
大きい木の前で鳥の帽子がかかった枝に必死に手を伸ばしていた。
しかし、枝は意地悪な事に幼児より少し高いところ。届きそうだが、届かない。

子供の声も少しずつなくなり、カラスが夜が来ることを知らせるように、甲高い声で
鳴いていた。
738 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/27(日) 22:15:10.08 ID:Cnhyn2xio

「一日の働きを終えたわたしに、やすらかな憩いの時を与えてくださる神よ。」

「あなたに祈り、感謝します。きょう一日――――――。」

街中の小さな教会で柔らかな、澄んだ声が響いた。
その声の持ち主は十字架の前で膝をついて、神に祈っていた――。

ハーフアップにした金髪が少し開いた窓から吹く風に揺れる。
それを気にする事もなく、盲目の修道女ことベアトリス・セイクリッドは祈り続けていた。

「………ふぅ、今日はあまり波風の立たない一日でしたね。」

特筆すべき問題もなく、一日が終わる。ベアトリスはそれに少しだけ微笑する。
立ち上がり、少し着崩れた修道服を直しながら、白杖を取り自室へ戻ろうと―――。


/ひとまちでございまする
739 :大神 恭子 :2013/01/27(日) 22:23:08.37 ID:xG1XQbBQo
>>738
最低限の音だけを響かせながら、教会のドアが開く。
教会という厳粛な場所に踏み込むのだ。其れ相応の態度で望まなければいけない。

「――ベアトリス・セイグリットは……」
女の声が教会の中に響き渡る。
声の主は、この教会にいる一人のシスターを探していた。

「……貴方が、ベアトリス?」
声の主は、白杖を持った一人の人物に気がついた。
そして、カツカツという足音がベアトリスに近づいてゆくだろう。
740 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/27(日) 22:28:00.41 ID:Cnhyn2xio
>>739

「あ、こんばんは――――は、はい?」

自室へ戻ろうとする足を止めて、開いたドアの方向へと振り返る。
閉じた目ではなく、耳を澄ませて何者かの存在を確認する。
声の主は察するに女性だろう。それに、何故か自分の名前を知った。

「ベアトリス・セイクリッドは私ですが……あの、どちら様でしょう?」

相手を安心させる様な笑顔を向けて、名を訊ねた。
近づいてくる彼女の足取りに少しだけ、何故か緊張感を背中に走らせながら。
741 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 22:28:17.79 ID:NFCgNge2o
>>736
「完全にお兄さんになっちゃった」
ほんの少しだけ、驚いた様子を見せつつも、

「おじいさんは本当はお兄さん……?」
不思議そうな顔をして、そう尋ねる少女

「ヒーローごっこ……?」
首を傾げる少女
なぜごっこなのか、と疑問に思ったのだ
742 :【外見66→26歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 22:32:35.40 ID:tGb2YVgwo
>>741
「体だけは若いが、中身はただの老いぼれだよ」
 老成した笑みを浮かべ、男は言う。
「過去に縋りつかなければ、おびえて夜も眠れない、哀れな老人だ」
 自嘲気味に男は笑う。

「本物のヒーローからみれば、私はヒーローではない。むしろ悪役なんだ」
 勤めて冷静に、男は呟く。
「自分がやりたいことを、やりたいようにやっているだけ。はは、子供と一緒だ」
743 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/27(日) 22:33:05.54 ID:oXjIgs+6o
ボルテックスは満員電車が苦手だ。
男性と身体を密着させるのが嫌なのだ。
しかし今日は商店街の電機店やPCストアでは取り扱って
いなかったPCパーツを購入しなければならなかかった。
そこで全身甲冑である。

職務質問で呼び止められた回数十二回。
これはこの時代だと多いのかすくないのか。

>>737
最近は夕方から夜にかけて子供を公園で目撃する事が多い。
心配になって近づいてみると泣いている事に気付く。
「童(ワラシ)よ。こんな所で何を泣いている?」
巨体が屈みこんできょーすけに話しかける。
744 :大神 恭子 :2013/01/27(日) 22:38:28.08 ID:xG1XQbBQo
>>740
「お前が……そうか」
盲目なベアトリスがどれほどの感覚を持っているか分からない。
もし相手の容姿を見ることができたなら、一目で年下であると分かったことだろう。

「俺は大神恭子。お前と同じ、異端審問官だ」
足音はベアトリスの前で静止した。
そして、ベアトリスの笑顔には何の反応も見せずに言葉を続ける。

「この教会をL.M.G.の拠点として使用したい。という要請が本部から来た。
何か、問題はあるか?」
その口調はぶっきらぼうで、聖職者というよりは不良者である。
745 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 22:40:41.63 ID:NFCgNge2o
>>742
「中身、じゃあ本当はおじいさんなんだ」
なんとなく納得したように

「怖いことでもあったの?」
怯えるということはなにか恐怖を感じているのだろう
そんな子どもらしい短絡的な考えであった

「悪役? どうして悪役だと決めつけるの?」
血の香りを除いては、そんなにこのユニフォームが悪そうにも見えずに

「やりたいようにやっているだけ、そうなんだ
でも、自分がやりたいこともできない子どももいる気がする」
どこか遠くを見つめるようにして
746 :きょーすけ [sage]:2013/01/27(日) 22:45:17.17 ID:28sBxxqGo
>>743
「ぼくのぼーしが・・・。」

ぐぐもった声を出しながら、枝にかかった
鳥の形をした帽子をさした。枝はきょーすけより少し高く、取れそうにない。
表情も、あと少しで届きそうなのに・・・という悔しさの表情で涙をためている。

涙で目がぼやけているのか、ボルテックスが全身鎧などという
奇抜な格好をしている事に気づいてはいないようだ。



747 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/27(日) 22:45:48.21 ID:Cnhyn2xio
>>744

声の感じからは年齢が判別し辛いが、とりあえず若いと判断する。
とはいえ自分とそれほど変わる事もない。それどころか、何処か威圧感があって。

「そうでしたか……大神さん、ですね。同じ異端審問官の方が―――。」

―――どうして私を訪ねて来たのでしょう。
その言葉が出る前にベアトリスは大神の言葉に明らかな戸惑いを見せた。
この小さな教会をL.M.G.の拠点とすると言う。何故、この場所なのかと。

「……いえ、L.M.G.の方々が決定した事なら、私は喜んで従いましょう。」

「ですが、何故この教会を?私の、末端の小さな教会など……。」

内心を言えば、実の所あまり気が進むわけではなかった。
漸く、修繕も大方終わり一人の空間として安らげる場所を得たのだ。
全て自分の給金から成し遂げたものであり、安眠の場所を拠点とされるのは複雑な心境だった。
748 :【外見66→26歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 22:46:07.85 ID:tGb2YVgwo
>>745
「あぁ、そうさ。半世紀前に死ぬはずだった亡霊だよ」
 ほんの少しだけ、星空を眺める。
 
「……昔、数えきれないくらいの罪を犯したんだ」
 人を殺したことはもちろん、『火種』を、『暴風雨』を生み出して数多の人間を間接的に殺したことを、彼は悔いていた。

「私は何百人も殺してきた。そんな男がいまさらヒーローになって、何が変わる?」
 にこり、と悲しげに男はほほ笑む。

「あぁ。私はそういう子供を殺してきたんだ。少年兵を、無抵抗の市民を、逃げる女を」
 ぎり、と歯を食いしばる。
「だから私は、罪から逃げるためにヒーローごっこをしているんだ」
749 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/27(日) 22:50:19.52 ID:oXjIgs+6o
>>746
立ち上がると低い枝に帽子を見つける。
「これか。大切なものなんだな。
 今度からは気をつけるんだぞ。」

それにしても帽子が手の届かない所に行くとは。
風にでも飛ばされたのかな、等と考えながら、
帽子を取ってあげるときょーすけに差し出す。
750 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 22:53:07.43 ID:NFCgNge2o
>>748
「……」
幽霊と聞いて、ユニフォームから数歩分離れた気がする

「……そう、なんだ」
想像だにしない方向へと、話が進んでいる
少女はそんな気がしていた

こんな時、なにか言葉をかけるべきなのだろうか
そんなことを思っても、言葉なんて思い浮かばずに
その代わりに

「どうして、罪を犯したの?」
ユニフォームのことをなにも知らない少女
故に、そんな質問を投げかけてみることにした
751 :【外見66→26歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 22:57:37.02 ID:tGb2YVgwo
>>750
「もちろん、比喩だよ。私はまだ、生きている」
 くつくつと、自嘲気味に笑った。

「……私は軍人だった。当時の私は、軍人なんて心のない、ただの殺人兵器になれば良いと思っていた」
 ぽつぽつと、男は語りだす。
「命令だった、と言えば言い訳になる。私は私の考えを貫くために、殺しつくしたんだ」
 そして男は、首を振った。

「すまない、こんな話をしても楽しくはないな。こんなに良い夜は、もっと楽しい話題が似合う」
 暗い雰囲気を振り払うように、男は言う。
752 :きょーすけ [sage]:2013/01/27(日) 23:00:15.62 ID:28sBxxqGo
>>749
「ありがとー!」

宝物を見つけた冒険家のように、きょうすけは
頬を赤くそめながら受け取った。そしてその後、目に
溜まった涙をふき、もう一度ボルテックスを見る。

「わぁー、ロボットだ!アニメみたい!」

きょーすけとボルテックスの身長は歴然。
高い身長を見上げて、目を輝かせた。まるでアニメに出てきたヒーローを見るような、
羨望と感動に満ちた目だ。
753 :大神 恭子 :2013/01/27(日) 23:02:01.78 ID:xG1XQbBQo
>>747
「ベアトリス・セイグリット。そっちの事情については組織の方から聞いている」

「西洋においては多くの力を所有しているL.M.G.だが、この地方での勢力はまだまだ成長していない。
今後の勢力拡大を図るうえで、丁度良い位置にこの教会があった。と、いうことなのだろう。
俺に聞こえてきたのはそれくらいだ。詳しいことは分からん」

「決定とお前は口にしたが、それは違う。
要請――つまりは、彼らが 強く願い出ていることだ」
口調の荒い大神も、L.M.G.の本部に居るであろう人々は 彼らは と比較的丁寧な言葉で呼ぶ。
「決定ではないのだから、お前に不満があるのならば、拒否をして構わないそうだ」

戸惑うベアトリスの表情を、真っ直ぐに見る。
いまのところ表情は凍りついており、何も浮かびあがっていない。
754 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/01/27(日) 23:03:32.20 ID:NFCgNge2o
>>751
「……びっくりした」
きっと幽霊が苦手なのであろう

「……そうだったの、
じゃあきっと、おにいさんはヒーローになれると思う」
ユニフォームの目を見て、そう言い放つ少女
少女の目に、揺らぎも曇りも見られない
755 :【外見66→26歳】ユニフォーム・エクスレイ :2013/01/27(日) 23:07:11.07 ID:tGb2YVgwo
>>754
「はは、そうであれば良いな。あぁ、そうであれば、とても良い」
 くつくつと笑みをもらし、男は言った。

「さて、私はそろそろ失礼するとしようか」
 車椅子を折りたたんで持ち上げ、青年は踵を返した。
「そうだ、忘れていた。私はユニフォーム・エクスレイという。縁があったら、また会おう」
 男は歩き出した。


//お相手ありがとうございました。そろそろ時間的にz厳しいので失礼します―
756 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/27(日) 23:08:21.13 ID:oXjIgs+6o
>>752
きょーすけが嬉しそうにしている様子を見てヘルムに隠された顔が微笑む。
「男の子は強くならないとな。あまり泣くものじゃないぞ。」
そう言って横顔を包むように頬に触れる。

「ロボット?アニメ…わたしはボルテックスという。
 童子の名はなんという?」
757 :エリア 猫かぶり少女 [sage]:2013/01/27(日) 23:09:54.05 ID:NFCgNge2o
>>755
「うん、縁があったらまた、ユニフォームおにいさん」
と返して、少女もどこかへ歩き出した

//こちらこそありがとうございました、そしてお疲れまでしたー
758 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/27(日) 23:13:40.59 ID:Cnhyn2xio
>>753

「は、はぁ……なるほど、それなら仕方ありませんね。」

納得した、と言わんばかりに苦笑を浮かべていた。
ぎゅっと赤い布に巻かれた右腕を抱きしめて―――。

「決定では、ないと……そう、ですか……。」

決定ではないのだから、要請なのだから拒否してもいいと彼女は言う。
確かに命令とは彼女は言わなかった。本部からの強い願いならば―――。

否、本部からの要請であるなら彼女にとっては命令にも等しいものだった。
彼女の立ち位置は非常に酷いものであり、L.M.G.内では彼女が妄信的であるのは有名。
一部の者は彼女を”道具”として扱う者すらいる。それを享受するほどに、L.M.G.に全てを捧げていた。

「………いえ、大丈夫です。この場所を拠点として扱うというなら、それに従います。」

「私にはそれ以上の喜びなどありません。そう、本部にお伝え下さい……。」

きゅっと口を一文字に締めて断言する。戸惑いの表情は掻き消え、妄信的な思いが現れる。
事実、ベアトリスが要請を拒否していたなら彼女は酷い扱いを受けていたのかもしれない。
完全なる組織の下僕であり、道具である彼女に意思の主張は許されないのであった。
759 :きょーすけ [sage]:2013/01/27(日) 23:23:48.50 ID:28sBxxqGo
>>756
「うん!わかった!」

白い歯を見せながら、腹底からの大きな
返事。帽子を取ってくれたのが、まるでアニメ
から出てきたようなロボット。これで興奮をしないはずがない

―つめたいけど、なんだかあったかい

「ぼくはきょーすけ!あれ?ぼるてっくすさんロボットじゃないの・・・?」

あれ・・・?ロボットじゃないの?
760 :大神 恭子 :2013/01/27(日) 23:30:13.26 ID:xG1XQbBQo
>>758
「『突然ですまない、なんとか頼む』 という話であった」
淡々と言葉を述べる。ベアトリスを見る目は鋭い。

「そうか、分かった。本部には私から伝えておく」
言葉の他に、小さく頷いた。

「………………………」
僅かに沈黙を作った。内容は読み取らせないが、何かを考えている。
それはベアトリスの事なのか、あるいはまた別の事なのか……。

「お前の了承は得られた。だから、今日から俺はここに住むことになる、よろしく」
表情はピクリとも動かず、よろしくの挨拶をするのには 不釣合いなものであった。
大神の身軽さを考えれば、本部も断られるとは考えていなかったことが伺われるだろう。

「部屋はいくつあるんだ?」
大神の首が左右に動いて、教会の中身を見渡す。
教会の内装などは把握していないのだ。
761 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/27(日) 23:37:14.13 ID:oXjIgs+6o
>>759
「きょーすけか。良い名前だ。」
さて目の前の男児を騙してしまうのも気が引けるし、
何か期待されているらしいなら夢を壊すのも同じく。
どう答えたものやら少し考えてしまう。

少し考えれば答えは簡単に出た。
「えっと、我輩は…じゃなくてわたしは…
 機械を自在に操る超人ボルテックス!!」
異能を発現。両腕を機械化し外連味のある砲を構えポーズを取る。

自在は言い過ぎである気もしたが、こんなものだろう。
何の事はない。ほぼ正直に答えてもあまり変わらない話だ。
762 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/27(日) 23:37:24.81 ID:Cnhyn2xio
>>760

「………いえ、問題ありません。ありがとうございます、大神さん。」

そう、問題ないのだ。この身は急な話にも対応できなくてはならない。
そう返答しておきながら、突き刺さる視線が何故か痛かった。
目の前の彼女は自分を睨んでいるのだろうか―――?

「……………え、と?」

沈黙―――数秒であるが、相手が黙り込んだので小首を傾げる。
しかし、直ぐにも大神が口を開いたのでベアトリスは口を噤んだ。

「は、えっ、きょ、今日からですか!?わ、わかりました……。」

「………見ての通り、小さな教会なのでそれほど部屋はありません。」

「今、空いている部屋は私室に使えるものが5つ、大部屋が2つ……ですが。」

拠点として使うには、人が増えるにつれて増築を行わなければいけないだろう。
今日から住む、という大神の言葉に戸惑いながらも内装の説明をしていく。
763 :染毬鵺 湯乃美 /浴衣をきた少女 :2013/01/27(日) 23:47:21.87 ID:f7FX+7KS0
「くっそ... ふざけんな、しね...しね......」

「火が岩に弱いとかきいてねぇから...ちくしょ、どこのワンピ信者だよ...... しねっ」

「なんで蜥蜴のくせに岩石ヘビにかてないんだよもぉ! 」



深夜の路地裏

浴衣をきた少女が、ゲームボーイ(初代)で遊んでいた


「あー...腹立つわぁ。 もう岩を操る能力者探しだして殺してやりたい」
「私の 蜥蜴を殺した仇にしてやりたい」


ぶつぶつと 何かを愚痴りながら 体育座りのような体勢でゲームをしている

それだけの なんとも絡み辛い絡み待ちである


「ていうかDS の方が絡まれるだろじぇいけい... しね... みんなしね......」



764 :きょーすけ [sage]:2013/01/27(日) 23:48:41.88 ID:28sBxxqGo
>>761
「すっげー!かっこいー!」

―ほんとうにロボットだ!すごい、ほんとうに
いるんだ!ゆめみたい!

機械の腕を見て感動の歓声を上げる
きょうすけ。憧れていたものが本当にいるという
その事実に大興奮。

―でも、ゆめじゃない!

しかし、なによりそれが、夢じゃないということに
熱に拍車をかけていた。

「すっげー!こんどはへんしんしてみて!」

無茶な要望その2。さぁ、どう切り抜けるだろうか
無垢な子供の夢を守りぬけ!超人ボルテックス!
765 :大神 恭子 :2013/01/27(日) 23:49:34.37 ID:xG1XQbBQo
>>762
細く張り詰めている大神の目。
その状態が、長いこと続いている。そもそも元が鋭い目つきのようだ。

「……気にするな、なんでもない」
小首を傾げたベアトリスから、視線をそらす。
その瞬間だけ、なにかに戸惑ったような表情を見せた。

「そう、今日からだ。共同生活をする以上、これからは力を合わせてやっていくことになる。
力が必要なら、遠慮なく話してくれ」
有効的な言葉だがその響きは変わらず、威圧的な調子だ。

「そうか、分かった。部屋は要らない。
私はここで寝る。狭いところは嫌いだ」
766 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/27(日) 23:58:20.77 ID:Cnhyn2xio
>>765


「え、えぇ……わかりました。」

気にするな、と言われてベアトリスは頷くしかなかった。
一瞬、何やら戸惑った表情を感じ取った。それは果たして、気の所為だったのか。
ベアトリスはやはり小首を傾げてしまって―――。

「………有難うございます。お心遣いに感謝します。」

「大神さんも、遠慮なく不便があればお申し付けください―――。」

肌に刺す様な威圧感が少しベアトリスの心を揺さぶる。
彼女が言葉の裏に何かしら隠しているのではないかと疑心さえしてしまう。
それほどに威圧され、少し臆病になってしまっていた―――。

「えっと……それでは、お布団をお持ちしましょうか?」

「その、床や椅子で寝てしまっては疲れもとれませんし………。」

流石にこの聖堂で寝転んで睡眠を摂るのは宜しくないと思ったのか。
ベアトリスはそう提案して、大神の返答を待っていた。
767 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/28(月) 00:05:29.64 ID:mXMF3oJM0
>>763

「レベルが足りないな。トキワの森で修業してくるんだね」

通りがかりの紳士が、アレな発言を投げつける。
少しは遊んだ世代らしい。

「ネズミでやらされるよりずっとましだろうに。文句を言える立場じゃないよ」

768 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/28(月) 00:09:27.13 ID:vwSuLRDuo
>>764
「変身?!」
早くもピンチである。

機械との融合ならできる。
融合した機械を変形させる事もできる。
が、そんな物が公園の中にあるわけない。
させる事はできてもする事は不可能である。

というより大丈夫だろうか。
この試練を乗り越えたら今度は空を飛べとでも言われそうだ。
嗚呼、どこかにヘリコプターでも路上駐車していないものだろうか。

いやいや、無断借用はできないか。等とどんどん嗜好が明後日の方向へ。

「きょ…きょ、巨大ロボがあってだな、それが変身するんだ。
 …秘密…基地にあってだな。また会えたらいつか見せてあげよう。」
これで乗り越えられるのだろうか?なんだか涙がにじみ出てきた。

とにかくこの話題を逸らせてみる。
「きょーすけの特技はなんだい?
 かけっこが早いとか、実はもう逆上がりができるとか。」
769 :利場 誘 :2013/01/28(月) 00:17:02.15 ID:Gu7jwPj60
「今日も仕事ですよーっと」
瓦礫の山を登りながら呟く。すると、
「ご主人!!3秒後に瓦礫の山が崩れます」
そう聞こえると、3秒後に本当に崩れる
770 :染毬鵺 湯乃美 /浴衣をきた少女 :2013/01/28(月) 00:17:24.50 ID:8ls2w4+E0
>>914

「うっせー、こっちは蜥蜴一匹縛りなんだよー」

「ひたすらに堅くなる虫野郎なんてとっくに燃やしつくしたわっ」


ぶつぶつ
紳士に視線さえやらずに
ゲームボーイ(初代)をみつめながら答える少女


「急所あたれっ...くそっ......」
「岩雪崩とか升かよくそめ......」


「あ、そういえばおじさんて岩とか操るひと?
なぐっていい? 」
771 :大神 恭子 :2013/01/28(月) 00:19:54.94 ID:gs7/SP23o
>>766
「その目……やはり辛いのか?」
言葉に遠慮の調子は無い。スバリ、と疑問に切り込んだ。

「そうだな、お前はシスターの役割をしっかりとしてくれ。
俺は……人に教えるとか、そういうのは苦手だ」
困った事を相談しても良いと言われれば、すぐに一つ相談事というか、仕事を頼んだ。

「その代わりに、教会の修理回収とか家事とかは、俺に任せてくれていい」
威圧的で、ぞんざいで、乱暴な大神の口調はそのままだが、言葉の内容は相手を気遣うものであった。

「寝るのは椅子で構わない……しかし、余っている布団があるなら、貰いたい」
772 :利場 誘 :2013/01/28(月) 00:24:23.13 ID:Gu7jwPj60
「あららー。大丈夫ですかー?ご主人?」
笑いをこらえながら俺を心配する少女、
「あのね、クーマちゃん、こういうことは、早めに言わなきゃだめなんだよ?」
と言うが。あいつの言う答えはわかっている
「だって、言わないほうが面白いじゃないですか」
・・・いくら俺にしか見えないからって、コレはきれるべきだな
773 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/28(月) 00:25:34.01 ID:mXMF3oJM0
>>770
「縛りを加えるのもいいけどねー
楽しめないとゲームしてる意味ないよね」

鞄を地面に置き、壁に背中を預ける紳士。
でも話題はゲームである。

「ほのおわざ以外にたいあたりとかあるでしょ?
それで倒せるくらいまでレベルを上げればいけると思うけれど

あと殴るのはやめて。おじさんけんかきらい」

ひょうきんな様子を見せる紳士。
だが、左足で地面を抑えている。
774 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 00:27:20.01 ID:PPsQIvoEo
人で溢れる大通り。多くの店が並んだその一角にある建物。
シンプルな、けれど決して質素ではないその店内で売られているのは鮮やかな輝きを見せる宝石たち。

「良いお買い物をしたザマス」

そんな店内から出て来たのは、豪奢な衣服を身に纏った、恰幅の良い女性。

「……良いカモだな」

そしてそれを見つめるのは、ウェーブのかかった赤毛を揺らす少女――だろうか。
薄汚れた衣服を纏った彼女は、人混みにまぎれるようにして徐々に女性に接近していく。
通りに停められた車のドアが開く。それに乗り込もうと女性が身を屈めた瞬間、少女はそれに向かって走り出した。
775 :利場 誘 :2013/01/28(月) 00:30:44.83 ID:Gu7jwPj60
「・・・とりあえず消えろ」
クーマと言う少女に命令するが、
「お前が消えろ」

「・・・」

すげーウぜーだろ?コレが俺の異能なんだぜ?笑っちまうだろ?
「ふ・・・」
「笑うなキモイ」
「・・・」
776 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/28(月) 00:31:12.56 ID:Idf1nizeo
>>771

「………確かに、不便ではありますね。といっても、全く見えないわけではありませんから。」

「私の異能を発動すれば、その時だけは見えますし……それに、これは私の罪に対する罰ですから。」

――――だから私は受け入れています。そうベアトリスは呟いてにっこりと柔和な笑みを浮かべていた。
それは端から見れば諦めているとも見えるかもしれないし、悟っているとも見えるだろうか。
異能を発動すれば見える、と言う彼女が何故異能を発動し続けないのかは彼女自身が語ろうとはしなかった。

「ふふ、大神さんも一度、人に教えを導いてみてはどうですか?見えてくるものもありますよ。」

「ですが、私もあまり人に教えを説くほど確りしたモノは……持っていませんけどね。」

お任せ下さい、とその豊満な胸を張って承諾する。親しみ易く、慈悲深い彼女は正に聖女である。
盲目でありながらこの小さな教会を一人、機能させていたベアトリスは市民からも人気があった。
熱心に毎日祈り、懺悔に来る者もいた―――どうやら、彼女はそういった事に長けているのかもしれない。

「…………! は、はい! 有難うございます!」

目の見えない自分を気遣って発したであろう言葉に感激したのか、頬を緩めて笑う。
先ほどまで威圧感に圧されていた彼女は漸く、緊張が取れたかのように―――。

「来客用に布団なら、沢山ありますので―――ふふ、たまに近所の子供たちがお泊りしに来たりするんですよ。」

少しお待ち下さい、とベアトリスは布団を取りに一度聖堂を出た。
その動きは既に教会内を把握しているのか、盲目でありながらも壁などにぶつかる事ないスムーズな動きで―――。
777 :染毬鵺 湯乃美 /浴衣をきた少女 :2013/01/28(月) 00:39:52.84 ID:8ls2w4+E0
>>773

「......喧嘩嫌いならわかんないかなぁ」
「焔を操る能力者と対峙してさ?
いきなりそいつがいきなりいきなり体当たりとかしてきたら興醒めだぜー?」

わかってねーなぁ......
と、呟くも
ゲーム画面はトキワのもりに変わっていて


「まぁ、私も喧嘩は嫌いだけどさ
私がもとめてるのは一方的な暴力なんさー
あー、おじさんが焔を操れて女の子からの暴力に喜びを感じるキャラに進化しないかなぁ」


かくいう蜥蜴野郎は画面のなかで着々とレベルをあげ

画面は再び ジムリーダーのいとめやろうとのバトルにかわり

「......ひっかきも体当たりもいまひとつじゃねぇかぁぁぁぁあ! 」


と、悲鳴にもにた怒声を上げながら紳士を睨み付け


「おっさん... このまちのわるそーなヤツ全員呼ばれるのがいやだったら
一発殴らせなさいよ

このまちのわるそーなヤツは大抵、私の知り合いだから、まじで」
778 :利場 誘 :2013/01/28(月) 00:41:37.97 ID:Gu7jwPj60
「お前俺の異能だよな?」

「異能と言う言葉で私を独占すんの?キモッ!久々なキモい大賞いただきましたー」
と、拍手をする、まったく、こいつの相手をするのはいやだな無視するか
「あ、ご主人」
無視だ無視
「10秒後に鉄柱がおちますよー」
「そういうのを早く言えっつうーんだよぉおおおおおおおお!!」
779 :きょーすけ [sage]:2013/01/28(月) 00:43:21.02 ID:PsYFuhjio
>>768
巨大なロボが変身するという壮大な餌。もちろん結果は。

「え、ほんと!じゃあこんどそれみせて!」

さらなる期待に心を躍らせる少年。その声に含まれた期待と
希望は今までの比にならない。

―すっげぇ!きっとト〇ンスフォーマーみたいに変形するんだ!

少年の夢と希望、そしてノルマは高い。それもやたらに。
巨大ロボが実際に変身しているとき、少年は何を思うのだろうか。

「とくぎ・・・んーと・・・。」
しばらく頭をひねらせて、小さく唸った後
「これ!」

おもむろにさきほど取った鳥の帽子をかぶる。
帽子をかぶった途端に、帽子が輝き、光がきょうすけをつつむ―。
そして現れたのは、頭に鳥の帽子、そして手は翼、足は逆関節と、
完全に鳥になりきった・・・というより鳥の着ぐるみをかぶったきょうすけであった。

780 :大神 恭子 :2013/01/28(月) 00:51:07.06 ID:gs7/SP23o
>>776
「そうか……すまない、嫌なことを聞いた。
だが、不便な時は隠さずにそう伝えてくれ。……なんとかする」
不便に感じているか、どうかを確かめたかっただけなのであまり深くは踏み込まない。
それに大神は、視界は失っていないものの片目を失っている。――理解はできなくても、なんとなくベアトリスの感情を感じられるように思えていた。

「遠慮をしておく。 ……俺の話は笑い話にもならん」
ベアトリスの提案は、無表情で受け流した。

「よろしく頼む。……教会には、お前みたいな人が一番必要だ」
1000人の凡人の言葉よりも、1人の聖女の言葉で人々は動く。
ベアトリスは、まさにその 聖女 の素質があると言えるだろう。

「……いや、当然の事だ」
相変わらず視線が鋭いままだが、それは睨みつけるような鋭さから、遠くを見据えるような瞳に変わっている。
そして、それだけ威圧感が緩むだろう。

「――いや待て、案内さえしてくれれば俺が取りに行く」
盲目とは信じられないようやスムーズな足取り。
だが、目の前の人物は間違いなく盲目の女性なのだ。それを歩かせるのは、良いことではない。
781 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/28(月) 00:57:11.92 ID:mXMF3oJM0
>>777
「でもさ、勝ちたいなら興醒めでも勝ちに走るのも仕方ないと思うんだけどな
だって勝てないと次に進めないでしょ?」

懐かしい音を耳にする。
骨董品レベルのゲームだ。若いむすめさんがやっているとなれば眼福とも思う。

だが、自分の発言の間違いが飛んでくる

「え!?ノーマルって相性悪くないんじゃないの!?」

それとなくスマホで確認してみて

「殴られるのは勘弁だけれど、申し訳ない。
おじさんも何分むかしのことで……
困ったときはレベルを上げて物理で殴るっていうじゃないか!」

中の人含め勘違いしていた事を素直に詫びる。
ついでに、よくわからないセリフも混ぜて。

「でも、君に殴られるなら町中のワルを叩きのめすほうが楽かもしれないな
おじさんはきれいな子に手を出す趣味はないから」

さらに口説き文句なセリフを投げつける。

782 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/28(月) 00:58:24.84 ID:vwSuLRDuo
>>779
急場は凌いだようだ。
ただ、見たところ目の前の子供は幼すぎる。
商店街まで一人で来させて良い物だろうか。
「ふむ…」もう、子供はうちに帰る時間だし送ろうとも思っていた。
その時にでも保護者に金物工房に来てもらう約束をしても良い。
「ああ、見せてやる。
 でもお父さんかお母さんと一緒にくるんだぞ。」


さて目の前の男の子が見せた"特技"に驚く。
「きょーすけも能力者だったのか…。」
ぽかんとしている。この世界では戦争とも犯罪とも疎遠なボルテックスは
異能者の数を少なく見積もっていたが、居るところにはやはり居るものだ。
見た目は鳥のようだが「ひょっとして飛べるのか?」
今度はボルテックスが期待をしてしまう。
783 :染毬鵺 湯乃美 /浴衣をきた少女 :2013/01/28(月) 01:09:00.69 ID:8ls2w4+E0
>>781

「なら魅せてやるよ......
レベルアップしまくりの体当たりをさ......」

画面のなかでは ピシャッとなにかが沈むような音をあげて
蜥蜴が49回目の瀕死に陥り
糸目が49回目のどや顔を披露し

少女が死苦の 怨念を背負いながら
ゆらりと立ち上がり


「うん。 わたし可愛いから不良は呼ばない」
「そのかわり、可愛いわたしに手をあげるなよー? 」


にこり と微笑み
相手の言葉を嬉々として受け入れ


「アイム...マイム...メイク......!
筋肉増強...ゆのみちゃんの戦闘力が58万になったぞうっ 」


ごきごきと不穏な音を響かせ
増大した右腕を掲げ


「ゆのみちゃんの攻撃!
ゆのみあたぁっく! (物理)」


男の腹部を狙い 容赦なく降り下ろす
49回の 汚い花火をあげた蜥蜴の仇を討つために!
784 :きょーすけ [sage]:2013/01/28(月) 01:19:15.14 ID:PsYFuhjio
>>782
「うん!」

笑顔で、まるで遠足を楽しみにしている子供のように
うなずいた。
といっても恭介は孤児院暮らしなのだが。

「のーりょくしゃ?」

聞いたことがない単語らしく、わからないと言いたそうな顔でひとひねり。
パタパタと腕を羽ばたかせると、恭介はさも当然のごとく
浮いた。どんどん高度は上がっていく。どうやら本当に飛べるらしい。
幼い子供に能力者なんという単語は聞き慣れない、というより聞いたことが
ないものだ。
785 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/01/28(月) 01:20:15.51 ID:mXMF3oJM0
>>783

「いや……」

自分の発言で自分が首を絞めていることは容易に想像がついた。
そして、幾度となく眼前が暗くなったことも理解がいった。

「手は上げないけどね……」

ひきつった笑いが、紳士の表情に張り付く。
どう見ても大変危ない状況と気づいたらしい。

「戦闘力5の市民だからね……」

ゴミ同然の紳士が、逃げようと走り出そうとして
拳が腹部に吸い込まれる前に、

「護身用に仕込んだ罠がうっかり発動しても仕方ないよね!」

左足をどけると、複雑な図形が光を発しており、数瞬の後そこから石と土の入り混じった柱が飛び出す。
護身用の罠である。
これで拳が止まれば、紳士は全力で逃げ出すだろう。
786 :染毬鵺 湯乃美 /浴衣をきた少女 :2013/01/28(月) 01:30:21.34 ID:nykZZmJM0
>>785

幾らレベルを上げても、ノーマルタイプはノーマルタイプ
岩なんざ砕けないし、鋼を殴れば拳が痛い

「戦闘力たったの5か...ごみめ...キリッ
 じゃねーよぉ! この痛めた拳をどうしてくれる!?
 トレーナーに背中をみせていいのか!? 
 伝説でもないくせに逃げるのか駄目親父ー!」

逃げ出す親父の背中をなくなく見送りながら
現実でも駄目な親父一人倒せないノーマルタイプに絶望し...


「ちっきしょぉ...どうやって勝てばいんだよ岩たいぷぅ...」

がしがしと 岩の柱を殴りながら、一晩を明かすのであった

「次にあったら水ぶっ掛けてやる...
 いろはすぶっかけてやっからなまじで...」

と、後日から少女はいろはすを携帯するようになったとか

/辛味ありおつでしたぁ!
/ぶっれぶれでもうし分けない!
787 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/28(月) 01:34:56.28 ID:vwSuLRDuo
>>784
「ふしぎな力を持っている人が のうりょくしゃ だね。」

ところで世の中には面白い現象がある。

 空 飛 ぶ 変 質 者 は い な い 。

厳密に言えば居る。飛行能力を持った異能者にだって犯罪者は居る。
彼らは存在するが、闇の住人は気楽に空を散歩できないようである。

「そんな事ができるなら、一人でも遊びに来れそうか。
 でも最初は保護者と来てもらった方がいいな…。」
空飛ぶ幼児を見ながら独り言を呟く。

しばらく飛行を眺めてから全身鎧を脱ぎ捨てる。
「もう降りてきなさい。」流石に全身甲冑で保護者には会えない。
「家まで送っていくよ。」甲冑の素材となった金属片は屑籠に捨て、
そこにいるのはウェーブヘアの浅黒い肌と栗毛の美女だった。
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/01/28(月) 01:51:03.25 ID:yV334r+sP
>>774
まだ居ますかねぇ……?
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) :2013/01/28(月) 01:52:42.72 ID:PPsQIvoEo
>>788
/まだギリギリ居ますよー
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/01/28(月) 01:57:51.05 ID:yV334r+sP
>>789
/何時くらいまでおkですかね?
791 :きょーすけ [sage]:2013/01/28(月) 01:58:09.26 ID:PsYFuhjio
>>787
「ふしぎな・・・ちから?」

どうやら自身の力を不思議、本来はもっていないものとは
理解していないらしい。まぁ、それもそのはず、まだ世界を広く知らない
幼児であるし、能力も能力、ただのかわいらしいファッションとしか思われない。

「うん、わかった!」

ボルテックスの目の前を目標に、静かに、パタパタと翼を羽ばたかせながら
滑空し、着地。

―おお、ぱいろっとだ・・・・

ロボットから出てくれば即ち、それはパイロットに他ならない。
ロボットと思い込んでいたがゆえの解釈である。
恭介は帽子を脱いで、能力を解除すると、ボルテックスを
自身の住んでいる孤児院にへと送ってもらった・・・。

//こんな終わり方で大丈夫でしょうか・・・
眠気が限界なので落ちます、ありがとうございました
792 :ボルテックス(全身鎧)商店街の金属工房店主 :2013/01/28(月) 02:00:55.78 ID:vwSuLRDuo
>>791
挨拶もそこそこに。
施設育ちだというのは意外だったがきょーすけを送って自分も帰路につく。

// いえいえ、もう随分と良い時間です。
// こんな時間までお付き合い下さってありがとうございました。
793 :霧崎 ◆gDTYF1szXU :2013/01/28(月) 02:01:36.98 ID:PPsQIvoEo
>>790
/その気になれば9時くらいまで居られるかと
/それでそちらが問題なければロールできますよー
794 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/28(月) 02:35:22.84 ID:yV334r+sP
>>774,793

その婦人をターゲットとして、つけ狙っていたのはその少女だけではなかった。
そして、その同等の行為をしていた女はその少女より先に走り出していたのである。

必然、早く到着するのは赤毛の子ではない。金髪金瞳の女。齢は18前後と見える。右目にはシンプルなモノクルが掛けられていた。
数秒早く、婦人の元にたどり着いたその人、ファンタジックな物語に出てきそうな制服姿の少女は

「あー、うん。止まって」

と声を張り上げる。
なんザマス?と振り返ろうとする婦人。それを待たずして矢継ぎ早に言葉を連ねる彼女。


「あんさん○○元帥の夫人さんじゃないですかねぇ?
そうそう、確か。A級戦犯扱いされてませんでしたっけ……!」

刹那、その価格にして100万ドルどころではない乗用車は包丁に捌かれる魚のようにいとも容易くバラッバラにされてしまったのだ。
眼の前で崩れ落ちる車体、それを見て仰天した夫人は尻餅を付き、そして彼女の言葉の意味を理解して、言霊一つ一つに怯え始めた。

少女にとって、人が邪魔で現場で何が起きているか少し見辛いだろう。
しかし婦人は確実に足を止めて居る。ちょっかいを出すのには苦労はしない、かもしれない。
尻餅をついた拍子に少しばかりは装飾品の類が転がっていることもある。

//ちょっと書くのに時間かかってしまいました、あまり早くないけど良ければお願いします
795 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 02:51:29.84 ID:PPsQIvoEo
>>794
いつの間にか出来ていた人だかり。その中心にいるのは勿論、先ほどの恰幅の良い婦人と、そして得体の知れない金髪の女性。

「……獲物を横取りされるとは、思ってなかったな」

人だかりに紛れて、赤毛の少女は呟く。その口調から読み取れる感情は怒りではなく、呆れと、そして感嘆。
外の世界に出てから色々な物を見聞きしてきた少女だったが、しかしこんな光景に立ち会うことは偶然とはいえ初めてのことだった。

「まあ、いいや。目的の物だけ手に入れば、それで」

とはいえ感心してばかりはいられない。彼女にも、目的がある。ある物を、この女性から奪うことだ。
そっと、気配を悟られないように恰幅の良い女性の背後に移動して死角に潜り込んで、後は奪うだけ。
口の開いた鞄から飛び出した荷物。その中の一つ――様々な情報が入力されているであろう携帯端末に、少女はそっと手を伸ばした。
796 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/28(月) 03:10:48.49 ID:yV334r+sP
>>795

「敗戦国のご夫人が、よくもまぁ平然とお買い物……ですか。
 どこでも買えるような石っころじゃなくて、特産品でも買えば思い出の一つにでもなったというのに」

呆れたなぁ、という表情。わざとらしく両手を軽く上げて、鼻で笑う。

「A級はどうなるか知ってますよネ?マ、市民の前ですから言葉にするのハ、避けてあげマスけド」

夫人もといA級戦犯の彼女の母国風の訛りを加えて語りかけた。聞くのハ久しぶりでショ?と添えて。
少女はズレかけたモノクルをちょいっと向きを修正した後、左の耳元に人差し指と中指を当てる。

「こちらNC所属、識別番号LA19229420のレゾナンス。××国の▲▲夫人の身柄を確保。
 ガードマンとドライバーは無力化した。輸送車両の手配を要請……了解。荷物は全て回収しておく」

どこから取り出したか、手には手錠。かちゃ、かちゃと夫人の手首にそれを嵌める。

「これでよし。えーと、荷物……っと」

携帯か、これは必須だなぁと呟きながら同じく、手を伸ばす。
少女は丁度死角に居る。故、まだ彼女はその存在にはきづいていない。
とは言え、しかしこれ以上少女は手を伸ばしてしまうとモロに手が見え、しまいにはぶつかる。それは避けたいところだが、さて……
797 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 03:31:27.98 ID:PPsQIvoEo
>>796
(やばいな、気付かれるか……?)

タイミングとしては最悪だった。しかし、ここで目的の品を奪わねば機会は永遠に失われる。
少女は依頼主については詳しく聞かされていないが、目の前にいる金髪の女性と敵対関係にあることは間違いないだろう。
つまり、ここで金髪の女性に携帯端末を確保されては困るのだ。そうなれば報酬は得られないし、最悪依頼主からだって命を狙われかねない。
故にやるしかない。最悪は百も承知。しかし、背に腹は変えられない。

「機機械械」

コロン、と金髪の女性のすぐ前で空き缶の転がるような音がした。それは金属製の円形の物体。
安全用のピンを取り外されたそれは、与えられた衝撃に反応して、激しい音と光の衝撃を周囲に撒き散らす。いわゆる――閃光手榴弾。

「悪いね、こいつは頂くよ」

それが果たして金髪の女性にどれだけ効果があるかは分からない。しかし、敢えて一瞥もせず、少女は駆けて行く。
その手のひらには、小型の携帯端末が握られているが、果たして逃げ切れるだろうか。
混乱に陥った群集の影を跳躍で飛び越え、彼女は路地裏に逃げ込もうと画策する。
798 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/28(月) 04:01:10.82 ID:yV334r+sP
>>797

手を伸ばし、あと少しで届く……その瞬間鼓膜を引き千切らんとするレベルの爆音が炸裂した。
視界は眩い光によって白黒の見分けも覚束無い、耳もまともに聞こえない。ヘレン・ケラーがどんな気持ちだったか今ならわかる気がした。
うへ、と呻きながらばったりと倒れこむ。

――しまった……そりゃ正規軍以外にも欲しがる連中は居るわなぁ

「ま、モノホンの目が使えなくてもまだ眼はあるからネ」

そうつぶやくと、彼女のすぐ近くが青白いブロックノイズのようなものに包まれた。
数秒すると筒状な……2Lペット程度のサイズ、赤い円柱形の物が現れたではないか。
3つ程形成するとそれらは独りでにバシュンと飛び上がり、周囲を見回す。"人の眼"のようにぎょろっぎょろっ、と。
それは瞳孔の開ききった彼女の眼とリンクしていて、薄気味悪さを感じさせる。

「っ……あれか、補足した。追尾開始。無力化した後奪還する。
 こりゃ路地裏の迷路かな。古典的だけど追尾難しいから好きじゃないっ――」

まだ14、15くらいの子じゃないか、さもしい世の中になったもんだね、とぼやきを交えた。


……少女にロックオンを掛けた円筒形のそれは推進時、正面から見るとX字をしているように見える。
それらは一体どのような技術を使っているのか……縦横無尽、ジグザグとした軌道を描きながら追尾していく。

『嬢ちゃん、わるーいことは言わないからそれを返したらどう?』

今はただ、少女を見失わないように追いかけっこをしているだけであり、"まだ"危害を加える気配というものは見受けられない。
799 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 04:24:50.83 ID:PPsQIvoEo
>>798
「……あれを受けて追い駆けてくるってことは」

迷路のような路地裏を疾走する少女と、そしてそれを追う金髪の女性。
見る者によっては、彼女たちのその姿は戯れる姉妹のように映っていたかもしれない。

(もしかすると、ボクと同じ……かもね)

そして少女も同じく、この不自然な状況を遊戯の如く楽しみ始めていた。
自分と同じように力を持つ者。これまでの生活でも、何度か遭遇したことはある。
しかし、追う状況、追われる状況となると話しは別だ。先ほどまでの深刻な考えはなりを潜め、
今や少女の心音は始めての出来事にご機嫌なリズムを刻む有様だ。

(……誰にも邪魔されない場所が良いな。どこか広場のような)

鼓動の高まりに比例して、思考もどんどん鮮明になっていく。
頭の中にインプットした地図が、目的に合致する地点を検索する。
地元の人間ではないが、しかし目的の場所はすぐに見つかった。

「付いて来てよね?」

少しペースアップしただろうか。少女とは思えない速度と軽快な動きで、裏路地を駆けて行く。
そして辿り着いたのは、人気の無い廃工場。古びた機材やらが残されたままのそこは、少女にとっては力を行使する為の最良の環境だろう。

「……まさか撒いたなんてことないよね。少し遊び相手になって欲しいんだ。付き合ってよ」

物が散乱した工場内。静まり返った世界の中心で、少女の声と息遣いだけが空気を揺らしている。
800 :800 [800]:2013/01/28(月) 04:38:38.28 ID:9a9+mdGAO
800
801 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/28(月) 05:04:10.84 ID:yV334r+sP
>>799

さて、知覚も戻ってきたことだ。そろそろ自分自身も少女を追う事にしよう。
よっこらせっと立ち上がり、伸び。

「全く、最近の業者は小さい子にまで武器を売りつけるようになったのか、戦争屋が聞いて呆れ……いや」

――違う。

ここ一帯の地形は把握している。普通、ただ逃げるのなら迂回した後大通りまで出るはず。
しかしこのまま行くのなら行き止まり、あそこはどうだったか……そう、数年前に廃業になって打ち捨てられた工場。
誘っている、ということか。戦え、と。つまり彼女もまた異能操る者、と。兵器を誰かから頂いたのではなく、生成なり別の方法で手に入れたか。


「厄介だね。見つけ出して尻の一つは叩かないと……
 あーもしもし。後少しで到着する?なら夫人の身柄任せた。重要資料をパクられたっぽいからちょっと行ってくる」


「さて……目的はどうだか……見極める」

わざわざ後を追う必要はあるまい。場所がどこか検討は付いている。最短ルートで行くのみだ。
802 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/28(月) 05:04:41.14 ID:yV334r+sP
//続き

数分後。

廃工場という戦闘にうってつけの場所に入場してきたのは言うまでもなく、彼女だった。
魔改造を施したCBR1000RRで、壁を突き破っての搭乗だった。
大量のガラス片と粉塵とくたびれた木材を辺りにまき散らしながらドスン、と着地してみせる。

「……何がしたいのかね、お嬢ちゃん」

ガホッ、とヘルメットを取ると、丁寧にグリップに掛ける。そこのところは律儀だ。

「言わなくてもわかると思うけど……それを渡したほうがいいよ」

これは、戦闘を避ける事は難しいか……
めんどうだ、はよ返せやゴラという気持ちあれば、片方で久方ぶりの戦闘に高翌揚している気持ちもある。
しかし、相手は15程度。歳で油断してはいけないというのは分かるが、負ければ伍長からやり直せと言われそうだ。

「でないと、実力行使で取り返すよ?」

口調は穏やかだった。乱れていた髪を手櫛で軽く整えると、ふぅと一息。

しゅいん、しゅいん、ふしゅーとした、普段あまり聞かない方な音が聞こえてきた。
803 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 05:20:26.01 ID:PPsQIvoEo
>>801-802
「お嬢ちゃんはよせって。それにそっちだって言われなくても分かってるだろ?」

挑戦的というには、余りにも純粋な眼差しだった。まるで玩具を前にした幼子のように。
やや熱っぽい好奇の視線が、金髪の女性の全身を見据える。

「さっきオレを追い駆けてきた奴、アレってお姉さんの能力でしょ?とっても興味があるんだ」

やや高い少女のような声。興奮で上擦りそうなそれを必死に抑え付ける。理性との戦い。
ポケットに隠した振動ナイフ。それを落ち着かない仕草で握り締めては、また離す。

「本当はね、さっきのケータイ返しても良いんだ。だけどそれだと、お姉さん本気で戦ってくれないだろ?」

だからさ――と呟くと、右手に握った携帯端末がズブリと音を立てるように、その手の平に飲み込まれていく。

「だからこれは、オレを満足させるまで返してあげないんだ」

無邪気な笑顔を浮かべて、ポケットの中で握ったナイフの柄。今度はそれを――離さない。
そうして少女は駆け出す。先ほどまでとは違う、逃走ではなく接近の動作。右手に握り込んだナイフを構えて、金髪の女性に飛び掛る。
804 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/28(月) 06:00:43.73 ID:yV334r+sP
>>803

「ならば……少年、でいいかな」

この手合いは、幼少期に心的ストレスが多い子に良く見られるような気がする、経験則だ。
そして彼らは話をしても止まりはしない場合ばかりということも知っていた。

「全くもってその通り。詳細は、『ひ・み・つ』だけど」


……消えてしまった携帯。あーあ、と言った表情を見せたが、実際返してくれるわけがない。
戦って奪い取るしかやはり手立てはない。

「満足させるまで、ね……なら、相手して上げます。ローティーンの過ちは叱って正すものです」

存外、走行速度は速い(とは言っても流石に自分よりは下か)。
ナイフがどのような性能をしているか(唯のナイフでないことは明らかであろう)、まずは窺う必要があるか……

「いや、そんな(窺う)必要はないね」

かけ出した少女の手前、丁度両者を二分する位置。
"あの"兵器が、唐突に左右の壁の穴を潜り抜け、顔を表したのだ。バシュン、バシュンとふたつのそれは少し細く、青白いレーザー状のモノを射出した。
それらは水平に並んでいて、一本は腰、もう一方は胸辺りにぶつかるよう配置してある。
このまま直進すればそれのどちらかにぶち当たるであろうし、もしそうであれば足を止めさせるには調度良い程の電撃によるスタン攻撃にさらされる。

「近づかせないよ。有利な間合いを保つのが戦いのセオリーだからね」
805 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 06:21:15.83 ID:PPsQIvoEo
>>804
「出たなお邪魔虫」

能力者同士の本格的な戦闘。アン・スコット・マクミランにとって、それは始めての経験。
だからこそ、立会いはどうして慎重にせざるを得ない。人にとって未知とは恐怖であり、危険そのものであるから。

「お前を待ってたんだ!おもしろそうだから」

故に人は気軽に未知へと飛び込むことは出来ない。それは勇気の問題ではない。身を守ろうとする本能がそうさせる。

近付かせない。女性はさっきそう言った。その判断は初見の相手との戦闘においてはある意味正しく、そしてある意味間違いだ。
接近を許さないこと自体は間違いではない。ただ、その範囲が狭すぎた。

少女か少年か。とにかくそれは――飛んだ。胸を刺す光を放つ、兵器に向かって一目散に。
腰の辺りを狙っていた一方のレーザーを跳躍することで回避し、そしてもう一方は――。

「オレを満足させてよ」

差し出した、振動ナイフ。不規則に揺れるその刃が光と衝突する。一瞬、両者の視界を光が覆った。
ナイフの強度で、果たしてレーザーを弾くことができるかどうか、それは分からない。
ただ、もし少女の跳躍を止めることが出来ずに兵器が捕獲されるようなことがあると、それはとても面倒な事態になるかもしれない。
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/01/28(月) 13:08:17.65 ID:8flgkZWSo
>>805

「私としては避けたかったけどね!この戦いで得をする人は居ないから」

能力者の類いとの戦闘は幾度も経験がある。WW3中は前線に赴いていたのだから当然ではあるが。

「だから、早期に決着をしないと……」

一度自分で壁をぶち破っておいて言うのもあれだが、この建物は大分痛んでいる。
元はトタン張りの粗末なもので、剥がれたところに申し訳程度の木材が打ち付けられている、といった具合か。
焼夷弾だとかアホみたいなものは投げないだろうが、それでも自分の能力との相性は最悪。最低限建造物を支える鉄鋼にはヒットさせてしまないようにする必要がある。

……機敏だね。
何をしようとしてるかは判らないけど、近づいてくるならそれもまたよし。

「もう一個あるんだよ」

彼女の真後ろからスラスターの火を灯した"それ"が飛び出してきた。
"それ"は、今まさに捕縛されようとしているもう一方を、撃ち落とそうとピンク色のビーム攻撃を仕掛けた。

「肉を切らせて〜って奴。知ってるでしょ?」

爆散したとしても本来それはそういう目的に作られた物でないから、グレネードより少し多く破片が跳んだりする程度だろう。
無傷で敵の戦意を削ぐのは難しい。行動不能なおかつ死なない程度にするのが後々楽になるのだが……
807 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/28(月) 19:32:22.52 ID:KWL2gp6yo
>>806
「そういうやり方も……あるんだ」

あと10pで手が届くという距離で、桃色の閃光が兵器を貫いた。軽い苛立ちを覚えて舌打ちをしようとも、もはや手遅れで。
せめて急所を守ろうと、少女は体を丸め両手を盾にするように前へと突き出した。
瞬間、響く爆音。それと共に発生した衝撃波が、空中で身動きの取れない少女を襲い。
そして成す術も無く背中から床に墜落した少女に、続けて金属片の雨が降り注ぐ。
きゃあっ――と可愛らしい悲鳴が短く反響した後、周囲は再び静寂と、ビニールの焼けたような嫌な臭いに包まれた。

「……今のは結構驚いたけど、でもまだ終わりにはしないよ」

そう言って立ち上がった少女は、口の端から血を滴らせながらも笑みを浮かべた。
身体に食い込んだ金属片。傷口から滲んだ血液が衣服を赤の水玉模様に彩る。
ふらりと覚束ない足取りで数歩前に進んだ少女は、やはり力尽きてその場に倒れこんで――。

「――終わりにはしないって、言ってるだろ」

工場内に放置された古びた機械、ベルトコンベアーと呼ばれる類の大型の機械に手を伸ばすと。
ズプッと音を立てて、それはサイズの大小を関係なしに少女の体内に体内に飲み込まれる。
それに続いて傷口にめり込んだ金属片も同じく、じっくりと味わうようにして体内に取り込んでいく。

「……ふう。あんまり美味しくは無いけど、お姉さんの力の一部だと思うと、悪くはないかな」

少女は再び立ち上げる。今度は淀み無い、力強い歩調で――前に。

「ボク、俄然興味が出てきちゃった。だから、もっとお姉さんのことを教えて」

はにかむような笑みを浮かべて、少女は標的を見据え。そして靴を脱ぎ捨てると、呟く。

「お姉さんの色んな姿、ボクに見せてよ」
808 :シンラ・アマツキ :2013/01/28(月) 23:31:58.66 ID:CrtKb0020
とある街にて 雨がふる
街道で 雨に打たれながら 少年は思う


季節がら空から落ちる水は冷たくて
それを浴びた者達から 根こそぎの温もりを奪っていくから


奪われたものはみなせかせかと駆けあしになり
暖かなおうちにかえっていくのだろう

でも 空はそれが哀しくて
また、しくしくと独り 泣いているのかも知れない


「寂しいなぁ、キミは......
だから、あのおねえさんに付きまとうのかな......」


傘もささずに 雨に打たれる少年は
はたからみれば さぞや怪しかろう

しかし、周囲の雨よりも冷たい視線さえ気にせずに 少年は
ただただ、雨雲をみつめているのであった


809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/01/28(月) 23:52:09.83 ID:CrtKb0020
>>808
取り消し!
810 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/29(火) 00:15:02.35 ID:mGQeF96Xo
>>780

「えぇ、その時は必ず―――ふふ、そう謝らないでください。」

少し照れた様な、常に浮かんでいた柔和な笑みとは種類の違う笑みが浮かぶ。
段々と大神の性格を把握してきた事で、自然体になりつつあるのか。

「そうですか……大神さんなら、私よりも厳しく教えを説けると思うのですけど。」

「私はどうしても人を甘やかせてしまいますし……。」

ベアトリスは厳しく教えを説く事が苦手であった。罪を犯した者を咎める事もだ。
懺悔に来た者達にどうしても全てを許してしまう―――大半はそれでいいのだけれど。
中には彼女の甘さに漬け込む人間もいるのだ。だから、裏切られる事も多々ある。

「…………大神さんは優しい方ですね。」

それだけ言うと、にっこりと笑って頭を下げた。
『これから宜しくお願いします。』と深々と礼をして―――。

「ん……じゃあ、宜しくお願いします。一階の――――。」

一度、断ろうとも思ったが。彼女の好意に甘えようと立ち止まり、布団のある場所を教える。
大神が戻ってくるまで、にこにこと歓喜の色が差した表情で椅子に座り待っているだろう。
811 :大神 恭子 :2013/01/29(火) 15:34:51.51 ID:J5J9iB6IO
>>810
「そんなつもりは無い……が、分かった。気をつける」
大神は、指摘されるほど謝罪の言葉を口にしているとは思っていない。
しかし、そう指摘されればそれを素直に飲み込む。

「それに、俺の話は偏るからな」
大神は確かに異端審問官という聖職についているが、ベアトリスと違ってシスターではない。
そのために、人に教えるほどの知識は持っていないのだ。
「甘いとか、厳しいとか……そういうことは、あまり気にしなくて良いと思う。
お前のその自然な優しさが、何より一番多くの人を救う。俺はそう思う」

「……優しさだけではどうにもならない時は手伝うよ」
人々に教えを説く。と、いうのは極力避けたいらしい。
ただ、本当に必要ならば力を貸す。という言葉に嘘は無い。

「………………………」
優しい方。と言われれば、言葉も僅かな表情の変化も消えてなくなり、しばらく沈黙する。
全ての感情を閉ざしたかのような沈黙だが、普通ではつくれない完全な沈黙を見れば、大神がその言葉に大きな影響を受けているのだと分かるだろう。

「……迷惑をかける」
感情の薄い表情のまま、言葉だけを投げかける。

「分かった、すぐに戻る」
ベアトリスに教えられた通りに、一階へと歩みんで行く。
――初めて歩く場所な事もあっね、少しだけ時間をかかったが、そのうち布団を両手に持った大神が戻ってくるだろう。
812 :フェルネス [saga]:2013/01/29(火) 20:10:19.43 ID:IN8mCShio

廃屋の軒先で、じっ、と空へと視線を向ける。陽の沈んだ濃紺色の空には、雨が降り注いでいた。
ベンチに腰掛けたまま退屈そうに足を左右するのは、中学生程度の歳と見える少年である。
紺色のパーカーに、カーゴパンツ。ごく有り触れた格好に加えて、やや中性的ではあるものの、特筆すべきところのない容貌。
強いて言えば、碧と赤の二色の瞳が若干眼を惹くかも知れないが、──とりたてて特徴と言えばその程度。

「この時間ににわか雨とか、──ツいてねーの」

溜息が一つ、雨音に紛れて消える。雨に濡れるのは好きでないので、今日はここで一夜を明かす事になるのだろう。
退屈な一日に終わりそうだな、と考えて、少年はまた小さく溜息をついた。ぼんやりとした眼を、周囲に向ける。

「うーん……」

──それとも、誰か無聊を慰めてくれるような人物がやってくるだろうか。淡い期待を表すように、ぶらぶらと脚が振れる。
フードを被り、ぼんやりと辺りを見回す少年の姿は、歳のせいもあって傍目に見たら迷子かなにかに見えるかも知れない。
果たして少年の淡い期待が成就することは、あるのだろうか──。
813 :シンラ・アマツキ :2013/01/29(火) 22:15:46.14 ID:4q7Dfw090
とある街にて 雨がふる
街道で 雨に打たれながら 少年は思う


季節がら空から落ちる水は冷たくて
それを浴びた者達から 根こそぎの温もりを奪っていくから


奪われたものはみなせかせかと駆けあしになり
暖かなおうちにかえっていくのだろう

でも 空はそれが哀しくて
また、しくしくと独り 泣いているのかも知れない


「寂しいなぁ、キミは......
だから、あのおねえさんに付きまとうのかな......」


傘もささずに 雨に打たれる少年は
はたからみれば さぞや怪しかろう

しかし、周囲の雨よりも冷たい視線さえ気にせずに 少年は
ただただ、雨雲をみつめているのであった

814 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/29(火) 22:49:54.65 ID:Ftvu73iEo
>>813
ふと、一人の男は立ち止まる
黒いシルクハットを深くかぶっていて、黒い皮手袋、そんな男

すれ違う人々の視線が、一か所に向いていることに気づく
視線を辿れば、そこにいたのは一人の少年


「傘、いりますか?」
ただ一言、そう問いかける
815 :シンラ・アマツキ :2013/01/29(火) 23:04:51.64 ID:v0VSxylI0
>>814

「わ、ありがとうございます
でも大丈夫。ぼく あめとおはなししなきゃいけないから」

「だから、傘はいらない。雨を拒絶しちゃいけないから」


少年は 初対面の自分に優しくしてくれた男に
礼を述べた。小さな微笑みを添えながら


「おにいさんも、もしよかったらあめにはなしかけてあげてくれないかな? 」

「このこ...なかなか返事をくれないから」
816 :シンラ・アマツキ :2013/01/29(火) 23:04:59.58 ID:v0VSxylI0
>>814

「わ、ありがとうございます
でも大丈夫。ぼく あめとおはなししなきゃいけないから」

「だから、傘はいらない。雨を拒絶しちゃいけないから」


少年は 初対面の自分に優しくしてくれた男に
礼を述べた。小さな微笑みを添えながら


「おにいさんも、もしよかったらあめにはなしかけてあげてくれないかな? 」

「このこ...なかなか返事をくれないから」
817 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/29(火) 23:11:49.29 ID:Ftvu73iEo
>>816
「そうですか、
でしたら風邪を引かないようお気をつけて」
口元は心なしか微笑んでいるように見える気もする

「雨の返事は、私のような人間にも聞こえるので?」
そんな風に質問してみる男
818 :シンラ・アマツキ :2013/01/29(火) 23:22:17.24 ID:v0VSxylI0
>>817

「えへへ、気を付けるよ。 優しいんだね、おにいさん」

「うん。 ぼくには返事をしてくれないけどね、おにいさんみたいに優しい人なら 返事をしてくれるかも」


と、雨に打たれる地面に視線をやりながら語る少年


「そういえば、名乗るのを忘れてたや
おにいさんにも 雨にも」


「ぼくの名前はシンラ...優しい人には名乗るようにしてるの
よろしくね? 」


水溜まり 男 交互に眼を写し
ついで、シルクハットの男へと手を伸ばす
どうやら、握手を求めているようだ
819 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/29(火) 23:30:51.79 ID:Ftvu73iEo
>>818
「優しい、ですか
それはきっと、私の職業柄なのでしょう」
かつてに比べれば、確かに丸くなった、そんなことを一人思う

「空は私を常に見つめている……
優しくなかった時の私も、きっと空は知っているのでしょう」
傘を閉じて、空を見上げる
その瞳がどこを見据えているのかは、シルクハットのせいで判断しかねる

「シンラ、記憶しました
よろしく、シンラ君」
閉じた傘を持つ左手に、杖を移して、
そして左手同様に黒い皮手袋をした右手を差し出しながら
820 :シンラ・アマツキ :2013/01/29(火) 23:40:56.65 ID:v0VSxylI0
>>819

「うん。よろしくね!
でも、そっかぁ、昔のぼくの事も知っているから、返事をくれないのかな......」

彼の手を握りかえす少年の右手は 弱々しく
昔の自分 のくだりで僅かに震え
それを誤魔化すように、言葉を紡ぐ

「ねぇねぇ、職業柄優しいって、おにいさんなにをしてるひとなの?
せんせーとかかな? 」


僕と雨に教えてよ
と、付けたし
小首を傾げた
821 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/29(火) 23:51:18.34 ID:Ftvu73iEo
>>820
「そう思うと、空ほど残酷で恐ろしいものはないようにも思えてきます
どれほど悔いを改めようと、無かったかのように振る舞おうとしてみても、
空はすべてを見通しているのですから」
妙に言葉に力がこもっている気もする、
それをフォローするかのようにこう続ける

「しかし、そう思うことで後悔の記憶を刻み込むことができるのもまた事実
それと向き合い、逃げずに付き合っているなら、
大丈夫なのではないでしょうか」
言い終えて、少年の手から自分の手を離す


「いえ、マジシャンです
故に人や子どもとも、接する機会が多いのです」
と男は言う
822 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/01/29(火) 23:57:09.88 ID:mGQeF96Xo
>>811

「そう、なのでしょうか――――……ふふ、そうですか。」

自然な優しさが多くの人を救う、と言われて一瞬考え込んだ。
その数瞬の表情の翳りは彼女の心の闇が見え隠れしたものだった。
誰彼となく救える事に、大神に言われた事に対して疎ましく思った訳ではない。
ただ、自分が何時になれば救われるのか――その一点において、黒い感情が密やかに嗤う。

「頼りにしています。言葉だけではどうにもならないことも、ありますしね……。」

憂うように眉をひそめれば、ベアトリスは頬を掻いて苦笑していた。
優しさだけではどうにもならない、というのはつまるところ力の行使に繋がる。
そうなってしまうのはベアトリスとしては望ましくない。少しばかり、複雑ではあるが――。

沈黙に余計な事を言ってしまったのだろうか、と少しばかり困惑してしまう。
両手の人差し指を小さく突き合いながら、自身も沈黙に徹していた。


「おかえりなさい。適当に布団を敷いてしまいましょうか。」

「えっと、それでは今晩のところはお休みになられますか?」

遠路はるばるこの教会まで来たのだから、と提案してみる。
眠れない、というのならば話に付き合うし、紅茶のひとつでも作るだろうが――。
823 :シンラ・アマツキ :2013/01/30(水) 00:03:05.96 ID:2H5kw3pN0
>>821

「むむ......急に難しい話になったなぁ...
でも どんな時でも空が僕らを見てくれるなら
きっと それだけで僕らは独りじゃないんだねぇ
でも僕らがそれに気付いてあげられないから、空はこうして 泣いてるのかも」


「空は残酷で恐ろしい
それでも受け入れてあげなきゃね」

空と自分の過去を 内心で照らし合わせながら
少年は相槌を打つ
自分は残酷で 恐ろしい怪物
そんな自分を優しいといってくれる人達がいるのだから
自分も 孤独な者達を受け入れたい
そう 心から思う


「ほへー...まじしゃん......
なんかみせてっていったら、すぐにできるのかな?
それとも有料......? 」


824 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/30(水) 00:18:25.38 ID:t+fC9r97o
>>823
「確かに、身近なものほど気付きずらいといいますからね」
と相槌を打ちつつも、

「そう言われれば、私も常に拒絶するわけにもいきませんね」
本当言えば、空にそこまで負のイメージを抱いているわけでもなかった
しかし、少年と語らっていて、ふと立ち止まって空を見上げてみれば、
空はどこまでも黒く、冷たく、そんな負のイメージにふさわしい光景であっただけのこと

「お金を払う価値がそれにあったか
それは当人達が決める、そんな方式です」
と言いつつも、

「しかし、今日はもう遅い
私もそろそろ、行かなければならない
またいつの日か、縁があればシンラ君に
マジックを披露する日が訪れるかもしれませんね」
と言うと、傘をさして、少年にすれ違うようにしてまた歩き出す
すれ違った時に、一瞬、男の瞳が見えた気がする

血ほどに赤く、しかし暗い、そんな瞳が

//そろそろ限界なのでこのあたりで
お相手していただきありがとうございました!

825 :シンラ・アマツキ :2013/01/30(水) 00:27:20.55 ID:agPZz2lu0
>>824

「うん。楽しみだ、とっても楽しみだよ
 また会おうね、マジシャンのおにいさん
 次に会うまでにはお空とお話できるようにしてあげるから」

 去り際に見えた男の瞳
 その瞳に、過去の自分が 幾度となく浴びた鮮血を見出しながら
 自分の全てをしるであろう、空に、今一度問い掛ける

「あのおにいさんも、もしかしたらキミが会わせてくれたのかな? 」

 無論、変わらず返事はなく
 ただただ、空からは冷たい雫が 涙のように毀れるのであった

/ういうい! 
/こちらこそお相手ありがとうございました!乙です!
826 :クレール・ST& ◆R1bE9/uWPE4L [sage]:2013/01/30(水) 05:03:29.35 ID:qip2ZTu+P
>>807

彼女は右目側に装着されたモノクルに手を伸ばし、丁度良い位置に合わせた。

人の血が飛び散る様とは、あまり慣れたくないと以前思っていたものだったが……
やはり今となっては何も感じないか。人間の適応力と言うのはどうしてこうも高いのだろう。

自らの意思で行った事だ、構えてはいたとはいえ、手足と同じように動かせるそれだ。少しばかり痛みがリンクしてしまうか。ピキン、と頭痛が走る。
存外あっけない。大口を叩いていたわりにはもう倒れたか。
これ以上戦われてはあちらの命が少し危うい。所詮はまだ子供ということか……大人げなかったな。

「その傷じゃ、あまり長くはないよ。早いうちに白旗をあげたほうが……」

そこいらに落ちていた機械や金属が消えた、いや違う取り込んだか。
……ああ、聞いたことがある。金属を自在に扱う能力だとか、鉄ずくに命を吹き込む力だとか。
その類いだろうか。すべからくそれらは兵器に転用される事を鑑みると、彼女もまたそうするのだろう。

ーー焦るな、相手は何をしてくるか分からない……

機械が主食なのか、今の少女は被弾前と変わらない、いやそれ以上には健康体に見える。

「困ったちゃんだ……命の保証は出来ないね。私はあまり器用じゃないよ」

殺さずに止めることは出来るだろうか。
最近ぬるま湯に浸かっていたから、あまり殺さない自信がない。
最も、それ以上にこちらがやられる可能性もあるが……

対処を誤ると不味い。何が起きるか分からない現状、迂闊な行動は控えるべきか。
ブラウスのボタンに手を掛け、上から二つほど外した。外しておかないと、激しく動いたときは胸が苦しくなるからだ。

ーーまた罪を繰り返す、か
827 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/30(水) 06:08:14.82 ID:VmfRd4SGo
>>826
「まだまだ余裕だみたいね、お姉さんは」

一歩、二歩と数えるように。確実な足取りで、ゆっくりと。思考を纏めながら、前へと進む。
女性の戦法は基本的に待ちの一辺倒。こちらから仕掛けない限り、動きはないだろうと分析する。

「ボクは結構、ギリギリなんだけど」

相手が自分の方から仕掛けないのは、それだけ自身の応用性や対応力に自信があるからだろう。
長年の経験によって養われた、1対1の戦闘における絶対的な自信。少女にはまだ持ち得ない、絶対的な差。
この隔たりを埋めることは、そう簡単ではないだろう。いま戦場に立って彼女と相対する少女自身が、それを一番よく理解している。
理解している。だからこそ――。

(でも、楽しい……なぁ)

自身の前に聳え立つ壁。圧倒的なまでに深く、そして遠いその距離。
費やした時間、すり減らした命。ふたりの間に存在する、本来なら超えようの無い溝。
それを超えた瞬間を想像して、少女は胸を高鳴らせる。もしかしたらそれこそが、自身の命の意味。己自身の価値かもしれないと。
そう期待する。この戦いがアン・スコット・マクミランにもたらす存在意義を。彼女は今こそ勝ち取る。

「ふふふふ…・…あははははは」

勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。勝ち取る。

それは本能。自身を確立しようという強い意志。それが少女を突き動かす。無鉄砲で、しかしひた向きな。
少女の抱える欲求。巨大なそれに焚き付けられる様に、赤毛の少女は再び女性の元に向かって突撃する。
828 :大神 恭子 :2013/01/30(水) 14:14:41.92 ID:5jqGU8y5o
>>822
「お前は、お前らしくすればいい」
ついさっきの大神の言葉から、一部分だけ引き出し、強調するように言った。
本当に伝えたいのは、そこなのだ。

「すまない……出会ったばかりの俺が、気安く言えた事ではなかった」
ベアトリスのその――ベアトリスから受ける印象とは違う翳りを見たからか、すぐに謝罪の言葉を口にした。
その気持ちを伝える時は、感情をあまり見せていない大神にしては、表情が内心をよく表していた。
顔は伏せ目がちになって、言葉の調子も弱くなって自分の気持ちを伝えようとしている。

「やはり……お前は優しすぎるのかもしれないな」
ベアトリスの複雑な内心を、ハッキリとではないが感じ取り、口を開く。
「悩むな……と、言ってもダメか。 でも、苦しくなるまで悩みすぎるような言葉をしないでくれ。 そうなると俺が動く意味がなくなる」
ベアトリスに比べれば、大神は物事に踏ん切りがついている。――それでも、やはり進んでしたいことではない。

「………………」
「当然の、ことだ」
短い言葉で沈黙を打ち切った。 その口調は、どこかぎこちなかった。


「いや……俺がやる」
長椅子の一つを選んで、寝床に設定し始める。
「こんな時間だったのか? そうか……今日はもう休んだ方が良いか……」
長旅の疲れをどうこうは言わないが、確実に蓄積してもいる。 ゆっくりとする時間も必要だろう。
「明日からは忙しくなるかもしれんしな、俺はもう休むことにするよ」

829 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/30(水) 20:23:36.53 ID:os/bvQb6o
ポツポツ、と闇夜の空から冷たい雫が落ちてくる
弱弱しかったそれは次第に勢いをましてきた
街を歩く人達も小走り気味で街を歩き出す
小粒とは言い難い雨が降り出して人々の数は少なくなっていた

「天気予報...確認しとけば、良かったな...!」

その街並みを走る黒と紫、その二色を想像させる人物が走っていた
無気力そうで虚ろな夜の様な黒い瞳
口調や雰囲気から男性のようにも見えるが
一見女性にも見間違うような中性的な整った顔立ち
そこそこ使い古された女性物の黒いコート
身長は年齢の平均レベルで比較的細身な身体つき
首や耳を隠すぐらいまで伸ばし紫の髪が印象的で
コートの袖から覗いている両手首に
「禁忌」と小さく刻まれた腕輪をした少年だ

降り続く雨に少し嫌気がさしながら街を走り続ける
傘も何もないがこのまま雨にお気に入りのコートを濡らされるのはかなわない
何処か雨宿りは出来ないかと思っていたのだ
しかしなかなか良い場所も見つからない
この時間に見ず知らずの人物を入れてくれる都合のいい家なんてない
ただの見ず知らずならまだしも、自分の職業がアレだ

「...しょうがない...あそこでいいか」

視界に見えたのは教会だ
少年は宗教に詳しくはない、これが何の宗教かはわからないが構わなかった
街中にあるそこは不用心にも誰でも敷地内に入れるように門が開いていて
少年はその教会の扉のそばへ走って行った

「何とか...一安心か」

教会に入らずともこの扉の辺りは良い影になっていた
少し冷えるが、雨をしのぐには十分だ
少年は安心したようにゴン、と音を立てて扉にもたれかかった
830 :エリア 金髪碧目の少女 :2013/01/30(水) 21:53:20.83 ID:mMWtyM/K0
>>829
「また雨……」
雨雲で遮られた夜空の向こうの星に思いをはせながらも、
街の人々に紛れて小走り気味で歩きだすのは、
10歳に届くか届かないかほどに幼く見える金髪碧目の少女

少女もまた、傘を所持していない今この時に
降り出した雨に、軽い苛立ちを感じていた

この姿を利用して他人の家に雨宿りさせて貰おうとも考えるも、
近くに人のいそうな民家は見つからず

そんな中で偶然教会を見つけて、自分のツキに感謝しながら、
教会へと駆け込むことに

少年の存在など知る由もなく……
831 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/30(水) 21:58:43.74 ID:HHz6oLZ/o
とあるバーでカウンターに突っ伏している女が一人。
置いてあるグラスから見て酒を飲んでいる様だが……

「はぁ……私はいつまで」

言葉は最後まで口から出ることは無く、その心の内で処理したようだ。
バーテンは未だそんなクリオネを気にかける事は無く、グラスを磨いている。

それもそうだろう。倒れるほどに飲んでいるわけではない。
さほど強くも無いカクテルを2杯飲んでいる程度なのだ。

平日の客の少ないバーは最近クリオネが良く出没する場所だった。
832 :アラン [saga]:2013/01/30(水) 22:08:40.99 ID:WxwXzUKx0
>>831
「失礼。隣、いいかな?」
 
 適当に切って櫛を通しただけのぼさぼさの髪を手で撫でつけながら、全身黒づくめの男が声をかけた。
 よれたコートに、疲労のせいかいささか落ち窪んだ眼窩。眠たげに大きくあくびをすると、返事も待たずに席へと腰かける。
 はなから返事など期待していないのか、あるいは寝ぼけているのか。どちらともつきかねるぼんやりした面持ちのまま、男はマスターへと声をかけて注文を告げる。

833 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/30(水) 22:14:12.74 ID:os/bvQb6o
>>830
雨が一段と強くなった
雨音が周りの音を掻き消して風を吹かす
濡れた肌にこの冷たい風は厳しい

「寒っ...」

少年は思わず腕を組んで雨の次は風でもしのごうかと
教会の扉を軽く開けて中を確認してみたり
中を見たところ留守のようだ
静かな教会内なら雨風両方しのげるかと
そう思ったら視界に動くものが見えた

それは小さな女の子だ
金髪碧眼の小柄な女の子
小さな女の子はどうにも慣れていない
前にあった少女を思い出す

「...君も、雨宿りかい?」

その金髪の少女にふと、声をかけてみた
無意識のうちに普段とは似合わぬ優しい声だったのは言わずもがな
834 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/30(水) 22:15:30.51 ID:HHz6oLZ/o
>>832
「答える前に座るなら聞く意味ないでしょ」

隣に座る男を、相変わらずカウンターに伏しながら見る。
このバーでわざわざ隣に座ってくる奴がどんなのか見る為だったが、どうにもごく普通のお客では無いようだ。

「新手のナンパなわけ?」

少しだけ顔を上げて残っていたカクテルを飲み干す。
赤い色のカクテルはクリオネの髪の色と同じ。
マスターに適当に頂戴と無茶ふりをしたらこれが出てきたのだ。名前は聞いていない。

もう一杯頂戴とお代わりを頼む。
今日三杯目のカクテル。マスターは未成年の飲酒にケチをつけるようなことはしなかった。
835 :アラン [saga]:2013/01/30(水) 22:21:00.63 ID:WxwXzUKx0
>>834
「ふむ……たしかにそりゃそうだ」

 これは失敬、とどこからどう見ても悪びれていない様子で肩をすくめる。
 くせ毛なのか、はねた後頭部の髪を片手で何度も撫でつけながら、運ばれてきたグラスを手にする。

「そうしたいところはやまやまだけれど、いまのおれのツラからしてそうもいかんだろう。
 もしそのつもりなら明日にでも出直すさ」
 
 眼窩の黒ずんだくまを示して、鼻で笑う。
 ジャックダニエルをグラスに注いで、薄い琥珀色の液体をしばらく眺めた後、アランはグラスを手にして口をつけた。
 まず小さく一口。ついで、二口目は大きく喉を鳴らしてごくりと嚥下すると、ほっとした様子で大きなため息をつく。

「久々の酒だ」
836 :エリア :2013/01/30(水) 22:25:50.86 ID:mMWtyM/K0
>>833
誰かが自分に声をかけてくる
それなら……

「うん、突然大雨が降り出してきて……
おにいさんも?」
首を少しだけ傾げて、そう尋ねる
無垢であることを装うことを、一人決める

ちなみに、少女は肩から大きめのポーチをぶら下げている
837 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/30(水) 22:30:24.08 ID:HHz6oLZ/o
>>835
「あははっ、それはそれでいい顔だと思うけどね」

笑ってアランに答えてみせるが、その笑いはどこか乾いていた。
普段ならもう少し元気に笑うのだが。

「久々ねー、私は最近飲む頻度が増えた気がするよ」

先ほど頼んだ赤いカクテルがカウンターに置かれる。
赤い液体はどこか血に見えなくもない。

「例えばさ…………例えば、目的があって戦ってるはずなのに、いつまで戦い続ければいいのか分からない時ってどうすればいいんだろうね」

なぜあったばかりの男にこんなことを言っているのだろうか。
酔っているから? その場の雰囲気?
いや、そのどちらでもなければ、同時にどちらでもあるのだろう。
838 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/01/30(水) 22:34:53.83 ID:xPuBkVomo
どこにでもあるような坂道。真っ直ぐなのだけども、結構きつい勾配だ。
そんな坂に徒歩で挑もうとするおっさんが1人。

「……こんな時に限って車が無いとはなぁ……」

寒い冬だというのに、そのおっさんの格好は黒いジャケットと七分丈のカーゴパンツ。
顔だけ見れば男臭さがあるものの結構男らしい顔つきだというのに、その服装と今持っている紙のバッグで台無しになっている。

「……つーか、コレ重……ッ!」

その両手に握られた紙製バッグの中身は、レトルト食品や缶詰、ペットボトルの飲料など様々だ。
両手で総重量20kgは有ろうかというものをきつい坂を上りながら持っているおっさんは、幾ら毎日トレーニングしているとはいえ息が上がってくる。
しかしそれは家の大事な食料。見捨てて自分だけ帰るなんて勿論持ってのほか。自分を元気付けようと下がっていた腕を強引に持ち上げて―――。

「……お、軽くなった? ……コレは、俺が重さに慣れてきたということか! アッハッハ!」

紙のバッグの底が重さに耐え切れずに破れ、物理的に軽くなっているのに男は気付かない。
―――嗚呼、色々なものが坂道から結構な速度で転がってくる。一番下を通り過ぎる人は、それらに対処しなくてはいけないだろう……。
839 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/30(水) 22:37:29.53 ID:os/bvQb6o
>>836
「軽い雨なら良かったんだけど、見事の大降りだからな...」

あいにく近くに宿屋はなかった
少年は人探しをしていたのだが、
がむしゃらでなく場所を選んでしようと思う
自分とは違うだろうが、彼女にも何か用事があって出歩いてたのだろう
そう思っていると...再び冷たい風が2人に吹きつけた

「寒っ...中に入るか?ここよりは雨風をしのげるだろ...」

そういうと青年は教会の重い扉を開けながら先に入っていう
青年の言うとおり、中なら雨風をしのげる
入ってすぐ礼拝堂だが、脇に暖炉も見える

こんな寒い日だ
十字架を眺めながら暖炉を使うぐらい罰は当たらないだろう
突き刺すような寒さがしてるので、きっと暖かい暖炉の存在は重要だろう
あの暖かさがなければ、わりとしんどいだろう

「...重そうだな、俺が持とうか?」

目についたのが少女の持っている大きなポーチ
中身は少年には全くわからない
ただ、なんとなく彼女の身の丈に合わない物なので重い気がしたのだ
840 :アラン [saga]:2013/01/30(水) 22:38:57.66 ID:WxwXzUKx0
>>837
「そう言ってもらえれば幸いさ。すくなくとも労働の証拠だ」

空になったグラスにジャックダニエルを注ぎ直し、こちらは疲れ切った笑みで答える。
ぼんやりと揺れる水面に視線を落とし、どこか遠くを見つめるようにもみえるが、もしかしたら朦朧とした意識でまどろんでいるのかもしれない。

「あまり飲みすぎないほうがいいよ。若いんだろ?」

まあどれほど飲んでいるのか知らないけどさ、と付け足す。
そして煙草の紙箱を取り出して口に銜えると、

「ふむ……目的、か」

煙草いいかな?と。見ず知らずの女性からの自分に対する問いかけに、ほんの一瞬だけ目を細めて。
アランはマッチの箱を手にして、やや思案するように目を閉じる。

「人によるから何とも言えないけれどね。
 おれならきっと突っ切ってみるかな。それが必要だと、そうするべきだとおもったからこその目標なわけだから。
 その途中でなにか別の目的がみつかればそれもよし。そうでないなら、満足してしまうか、たどり着くまで」

 なんていってどこにもたどり着けないこともあるけど、などと笑うと、アランはまたグラスに口をつける。

「すまない。おれは解決策をあたえたり悩みを解消させてやれるほど大人じゃない」
841 :エリア :2013/01/30(水) 22:48:21.77 ID:mMWtyM/K0
「……寒い」
今日はそれほど服を着込んでいるわけでもなく、
加えて服には水が染み込んでいて、思わず震えるが

「うん、お言葉に甘えて……」
雨にうたれたせいか、はたまた計算の上か、
ふらふらと歩きながらも少年を追う

「ううん、大丈夫」
ポーチを持つといわれるも、大きく首を振って
都合が悪いのかもしれない
842 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/30(水) 22:51:40.95 ID:HHz6oLZ/o
>>840
「ふーん、立派なお仕事でもしてるんだ」

顔を上げたことでようやく男の顔をまともに見た。
なるほど、お仕事をしているだけあって疲れている様子。
やりたい時にだけ仕事をする自分とは違う。

「余計なお世話だよ。酒に年齢なんて関係ないし」

敢えて反発するように、その言葉の後にまた一口グラスを傾ける。
そういえば初めて酒を飲んだのはいつだっただろうか……

「突っ切るね……」

既に突っ切っている。最早後戻りなど出来ないほどに。
別の目的と言うのも無理な話だ。これはクリオネの今生きている理由にもなっているのだから。
希望を知ってしまうと言うのも問題なのかもしれない。

「別に……わざわざどうも」

答えを期待していたわけじゃない。
じゃあなぜ言ったか。誰かに言いたかったのかもしれない。

これが、以前サクヤが言っていた人と関わった故の弱さなのだろうか。
きっと数か月前の私が今の私を見たら笑うだろう。

「大人かどうかなんて重要なことじゃないよ。大人だからって悩みを解決できるなんてことはないし」
843 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/30(水) 23:06:33.77 ID:os/bvQb6o
>>841
「ふーん...」

何か大切な物でも持っているのかな
この年の子供だ、大切なオモチャでも持っていて不思議じゃない
このご時世亡くなった親の形見の一つや二つ
持っていても不思議では、と思ったが彼女の両親がいないという証拠はない
そう思って自分は随分悲観的なのだと今更ながら思う

教会内は視界にこそ困らないが、外の悪天候も手伝ってかなり薄暗かった
それなりに使われていないのか椅子には薄く埃もある
風でガタガタと音を立てるステンドグラスが不気味な雰囲気を漂わせせている
不気味に放置された十字架に磔にされた誰かさんがこちらを見ている気もする
ホラーの様な怖さも十分だ、よく出来たお化け屋敷レベル
だが少年は平気そうに暖炉へ歩いて行った

部屋の脇にあるレンガ製の赤い暖炉
中にはまだ薪は残っていて近くには燃やすための新聞紙とライターがある

「ちょうど良かった...ライター持ってなかったんだ」

ジュッと音を鳴らして新聞紙に火をつけて薪の中に投げ込んだ
待つこと数分、火は少しずつ燃え広がって十分な明かりと暖かさを発する

先程までこの教会に満ちていたくらい怖い雰囲気はすっかり消え去っていた
844 :アラン [saga]:2013/01/30(水) 23:14:35.46 ID:WxwXzUKx0
>>842
「ただの税金泥棒のおなかまさ。たまに給料分働いただけだよ」

自嘲するように鼻でせせら笑って、銜えた煙草をピコピコと揺らす。
半ば事実だった。やらないときはとことんやらないのが、この男の生き方だ。

「おせっかいだったかな?」

美容にも体のためにも飲みすぎはよくないと思うがね、などとまた余計なひと言を付け足す。
そういうくせに自分はそろそろ一瓶あけようかというほどに、ボトルの中の酒が減っている。

「そそ。ただまあ疲れちまったならとちゅうどっかで休むべきだろうけど。
 おれなんかはアテもないし、目標だって残念ながら人間やめても到達不能な領域だ」

失礼、とマッチを擦る。
燃える燐の香りを肺いっぱいに吸い込んでから、煙草の穂先に火をともした。
ちろちろと赤く明滅する穂先。そこからくゆる紫煙をぼんやりと見つめながら、

「そりゃそうだ。ただなんだ、おれよりもっともっとまともな奴なら、答えぐらい出せるんじゃないかと思っただけさ」
845 :エリア :2013/01/30(水) 23:15:01.02 ID:mMWtyM/K0
>>843
ポーチの中身には触れようとしない少女

途中立ち止まって、ポーチを漁ったりして
何かしていたようだが、すぐにまた歩き始める

幽霊とか出てこないよね……

内心、雰囲気に恐れを抱きつつも、
なんとか暖炉のほうへと辿りつく

「明るい、あったかい……」
濡れた服を乾かすわけでもなく、なにげに少年のすぐそばまでやってきていた少女
さりげなく少年にくっつこうとしている
846 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/30(水) 23:25:59.03 ID:HHz6oLZ/o
>>844
「なに、お役人な訳?」

流石にまだ自分の顔は割られていないだろうが、あまり自分の事を話すのもマズイ。
それに何より、今未成年が飲酒している訳で。

「他人を気にする暇があったら自分の事を考えた方がいいね。私はそうやって生きてきた」

結局、今自分がしようとしていることも自分の為なのだ。
あの人を救うと言いつつ、それは自分の為。
あの日無くした光を取り戻すための

「キミも何か目標があるんだ。到達できないって言うのは、どんな目標か気になるね」

頬杖を付きながら横目でアランを見る。
その顔は面白い話でもしてくれないかという期待も秘めている。

「まともかまともじゃないかなんて、誰が決めるのさ。どんな狂人だって、本人からすればまともかも知れないし」

自分は、自分の事を悪だと思ったことは無い。
どんな時でも自分が正しいと、そう信じてきたのだから。
847 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/30(水) 23:32:00.39 ID:os/bvQb6o
>>845
「あったけー...服も乾くかな」

少年は問題なく暖炉に火が着いたのを確認すると、その場にしゃがみこんだ
燃えた明かりに悴んでいた手をかざして熱を取り戻す
時折、自分の濡れたコートを確認しているようだが大切な物だろうか
少年の着ている古いコート
近くから見れば女物である事が分かったりするかも

「...?どうしたんだ?」

さりげなくくっついてきた少女に首を傾げて言う
まだ寒いのだろうか、2本ほど薪を投げ込んでおく
正直、こういう場面でどうしたらいいのか紫音にはわからない
この見知らぬ女の子をどうすればいいのか
きっと世渡り上手な人間は良いセリフの一つや二つ言えるのだろうか
あいにく自分にそんな技術も持っていない
少しキョロキョロして何をいうか考えた結果

「...寒くないか?」

少女の手を握るように手を伸ばしながら少年はそう言った
こんな当たり前のセリフしか言うことができなかった
そんな自分に少々ショック受けてるという事は秘密である
848 :エリア :2013/01/30(水) 23:41:04.64 ID:mMWtyM/K0
>>847
「……おにいさんはおねえさんになりたいの?
それともおにいさんに見えていただけで、実はおねえさんなの?」
コートを見て、そう尋ねる少女
遠まわしに女装趣味があるのかと言いたいのかもしれない

「寒い、服も冷たい……」
あの時少女は傘を差していなかった
震えながらもそう言いつつも

手を握りながらも、さらに密着しようとしてくる
そのうち抱きついてくるかもしれない
849 :アラン [saga]:2013/01/30(水) 23:46:46.68 ID:WxwXzUKx0
>>846
「そんなもん。まあ軽度の汚職とかに足突っ込んでるから真面目とは言えないけど」

さらりと爆弾発言を口にして、空のボトルを持ち上げついか注文をする。
クリオネの外見からおおまかな年齢を察したのか、つまりはべつに飲酒など意にも解さないということらしい。

「あんまり自分のことは気にしたことがないんだよなぁ……いやまあ、自分のためには生きているんだけど」

どう説明したものか、と。顎に手をやって考え込む。
確かに自分のために生きてはいる。仕事をするのも何もかも、自分のためだ。
自分が自分らしく生きるために。それが目標ではあったが、そのために『自己を使いつぶして他を守る』こともやむなしとするのは自分のためなのだろうか。
結局自分が満足できれば、それは自分のためか?

「そう愉快なものでもない」

とりあえず答えに窮した自問は横において、

「おおざっぱに言えば世界平和みたいなもの。正確には、悪性因子を摘み取って、世界が荒れないようにするのが精いっぱいなのだけど」

つまらないだろう?と頬を掻いて、紫煙を吐き出す。

「世間一般にお任せするしかない。ちなみに残念ながらおれはイカレた側だと思う。周りが見ても、きっとそういう」

850 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/30(水) 23:55:58.98 ID:os/bvQb6o
>>848
「あー...これは大切な人が着てた物なんだ
今その人がいないから俺が着てるんだよ」

俺は一応男だからな、あと女装じゃない!と付け加えて少年は言った
コートは見たところ随分使い込まれててかなり古い
少女の目ではわからないだろうが、現在生産中止されたレア物だったりする
あと、性別は男性だが少年の顔はそれなりに整っていて
荒れていない綺麗な肌は女性を思わせる物だったりする

「本当に冷たいな...暖炉の火だけじゃ...
って、何抱きついてるんだ!?」

少女の手や服は本当に冷たくて
ちょっと触れただけで壊れそうなぐらい儚かった
抱きつかれた事に最初は驚いたが、こんなにも脆い子に触れると忘れてしまう
気恥ずかしいのとかよく分からない感情がいろいろ入り混じる

「まったく...少しだけだぞ。俺が座ってる間だけだぞ
お前を背負って動くのは疲れるからな」

抱きついてきた少女にそう言いながら
少女の頭に手をポンと置いた
こんな心地よく暖かい暖炉から動く予定もなく
結果としてずっと暖炉の前に座るわけだが、それが彼の優しさだと思う
851 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/30(水) 23:57:58.21 ID:HHz6oLZ/o
>>849
「ふふふっ……」

アランのセリフを全て聞き終えたクリオネはつい笑いをこぼしてしまう。
割かし真面目な話の最中だったので気を悪くするかもしれないが、クリオネはそんなことは一切気にせず、

「キミはキミで矛盾だらけだね」

目を少し細めてグラスを揺らしている。
目線は揺れるカクテルへ行き、その言葉はアランだけに向けられているものではないのだろう。

「悪を無くすと言いつつ、汚職に足を突っ込む役人。その上、イカレた部類の人間……」

「世界平和なんて無理っていうのはこの際おいておいて、そんな男が世界平和を願ってるなんて笑えるよ」

人によっては激怒するだろうか。自分の目標をこうも言われたのだから。
しかし、そんな矛盾もアランの中で様々な出来事があった上で出来ているのだろうと言うことも、同時に解っていた。
口にはしないのだが。
852 :エリア :2013/01/31(木) 00:09:24.40 ID:2P+8wA5Z0
「大事な人なんだね……」
うとうととしながらも、言葉を紡ぐ少女

「あり……がと……」
この一連の行動にも目的があった、しかし今は
人に相手にされやすく、見捨てられることの少ない、
この子どもの体に感謝しつつも、
動きを止めて、少年の恐らく膝の上で安らかな眠りについた

しかし眠りについただけで死んだわけでもないので、
衝撃などで簡単に目覚めてしまうが
//このまま〆か続行かはお任せします
853 :アラン [saga]:2013/01/31(木) 00:12:19.16 ID:a/A9Wrxx0
>>849
「よく言われる。矛盾しないとお前は動けないのか、ってね」

クリオネの笑いは気にしていない様子で、大仰に肩をすくめて見せる。
フィルターすれすれまで燃え尽きた煙草を灰皿に押し当てて、新しい一本を口に銜えると、届いたボトルをつかんだ。
封を切ってグラスに流し込み、頬杖をついてぼんやりと手にしたグラスを揺らす。
そして、煙草に火をつけていないことに気づいて、緩慢な動作でまぅっちを取り出した。

「たちのわるいジョークみたいなものだろうね」

 目を伏せ、煙草の燃え殻を灰皿に落とす。
 やつれた横顔に浮かぶのは、怒りではなくどこか苦悶するような、それでいて無感情な能面。

「それでも、平和であってほしいとおもうよ。祈るぐらいの権利は悪人にもある」

854 :紫乃咲紫音:雰囲気だけの素人殺し屋 [sage]:2013/01/31(木) 00:22:25.31 ID:JP50Hibko
>>852
「どういたし...っておい!」

ころっと少女の意識は眠りの中へ落ちてしまった
よっぽど疲れていたのだろうかと思ったが一体どうしたものか
暖炉から動くつもりもなかったが、これじゃあ本格的に動けない
どうしようか、と少し思案に更けたが

「(...ま、こういうのも悪くないかもな)」

その時彼の見せたのは、普段見せない優しい
彼が過去によって塗りつぶされてない顔だったのかもしれない
パチパチと、薪が燃え火花を散らすのを見ながら
彼女が熟睡するのを待っていた


数時間の後、少女が目覚めたら既に少年の姿は無く
代わりに枕と毛布、一枚の書き置きがあった
『人の膝の上で予告も無しに寝ないように
あと、毛布ぐらいはかぶれ──、用事があるから先に出る。紫乃咲紫音』
ぶっきらぼうで短い文ではあるが、心配してくれていたのだと文面から感じる
最後に書かれているのはきっと名前だろう

ステンドグラスからは僅かに朝日が覗いていた──。

/申し訳ないですっ!眠気がヤバいので無理やりかもしれませんが〆させて頂きました!
855 :クリオネ 人形使い [saga]:2013/01/31(木) 00:24:29.86 ID:wLqBKulZo
>>853
「まぁ良いんじゃない。自分がそれで良いならそれで」

人の評価など意味が無い。
結局は自分がどう思うかだ。

「世界平和なんて考えたことも無かったよ。私は、戦っているのが普通で比較対象なんてなかった」

だから自分の生まれを不幸と思ったことは無い。
他の生まれを知らないのだから、うらやましいと思うことも無かったのだ。

「……もう行くよ、久々にダーティーなおじ様と話せて楽しかったよ」

そう言うと、カウンターに代金を置き立ち上がる。
ふわりと揺れる赤い髪とコート。
そのまま流し目でアランの方を見て

「またね、お互い生きてたら」

余計なひと言を追加してバーから出ていく。
またね、とは言ったが次会うときは殺し合いになるかもしれない相手だ。
それが、自分の選んだ道。

//申し訳ありませんが、明日用事があるのでここで〆させてください。
//お疲れ様です、ありがとうございました。
856 :アラン [saga]:2013/01/31(木) 00:35:50.14 ID:a/A9Wrxx0
>>855
「そうだな。自分がどうか、だ」

戦っているのが普通。その一言に何か思うところがあるのか、ほんのかすかに目を細める。
が、余計な詮索は無用だろう、と自制を利かせ、立ち上がった少女の背を見送るように視線を動かす。

「こちらも楽しかった。またな」

小さく手を挙げ、戸の外に消えた少女の言葉を反芻する。
生きていたら。あれに何か意味はあったのだろうか。
考えても無駄か、と結論を下し、アランは一人でグラスを傾ける。

/駄文にお付き合いいただき感謝感謝。おつかれさまでしたー
857 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/31(木) 18:18:24.09 ID:bekmlMjPP
>>827

「これでも一応、一端の軍人だからね。今では前線から引いているとは言っても」

そして、そこそこ経験はあるし、実力もそれなりにはつけていると自負している。謙遜する気はない。
少々上から目線の考え方、見方になってしまうが……
しかしそれら、オーラや貫禄、雰囲気が敵を武者震いさせ、闘争本能を表に現させるのも事実。
それを戦場の生き物は、求める。

戦好きは、何でも犠牲にする……叔母の言っていた事が、今ならわかる気がした。
世界は変わらない。自分もまたその世界に生き、同じく変われない。
目の前の少女と同じように、今は軍人として、戦場でアイデンティティーを確立させているのだから。

「難しいな……」

……これ以上考えても埒が空かないね。止めておこう。
今は、戦いに勝つ事だけを考えなければいけない。

次はどの武器でいくか。ざっくりと形状を思い浮かべ、具現化させていく。後は記憶と共に効率の良い形状とシステムが勝手に、いや無意識に構築される。
左腕周りの空間が歪んだ。バチバチと火花を散らしながら、3DCADを形成していくかのようなあからさまな表現と共に。

……ロード完了。生成されたのは大柄な攻防一体のシールド。下部にはビーム発振機を持ち、それそのものが銃、剣両方の役割を果たす。
ビームソードとは言っても、実体剣との鍔迫り合いは可能だし、重量がな いと言うことと基部の関係上リーチが長いということを除けば同等であると考えて良い。
さらに、シールド自体遠隔操作が可能、円筒型のそれ(子ビット)のマウントラックとしても働く。
A.M.Destroyer's Edge とでも今は名付けておこう。兵器の名前は中二臭いくらいが格好がつく。

「白兵戦はあまり得意じゃないけど……かかっておいで」

刃に質量は無くとも、シールド自体はあまり軽くはない。振り回すには右手で支えてやる必要がある。
勿論それ専用のグリップも備えているため、保持力そのものに問題はない。
発振部より、粒子ビームによる刀を生み出して、身構えた。
858 :霧崎 ◆gDTYF1szXU :2013/01/31(木) 18:24:18.96 ID:elCwE0Euo
>>857
/すみません、A.M.Destroyer's Edgeってどんな形状の兵器でしょう?
/ちょっとイメージが付いていかないので、参考画像的なものがあると助かるのですが……
859 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/31(木) 18:46:02.05 ID:CPEjG9vvo
>>858
//ぶっちゃけるとアームドアーマーDEでググると出てきます……名前まんま出すのもあれかと思ったので
// ttp://www.gundam.info/topic/8077
860 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/31(木) 19:09:32.58 ID:elCwE0Euo
>>857
俊敏な、しかしどこか違和感のある我流の動き。武術や戦術を誰かに習ったわけではない少女は、
戦闘において「効率」という言葉をまだ知らない。
故にその動作は理性によって最適化されたものではなく、感情や本能そのまま。言うなれば少女の習性そのもの。
それには訓練を受けた兵士とはまた違った戦いにくさがあるだろう。ただ、それも相対する女性には通用するまい。

「ふふふ……行くよ」

ならば何処かで不意を付かなければならない。相手が想像を膨らませる、更にその先で。

「機機械械」

呪文のように呟く言葉。その真意を知るのは、少女ただひとり。
女性の間合いまで、あと数p。その距離まで高速で詰め寄った少女は、ここに来て始めて身構える。
両手足を床に着き、その身を低く屈めるように。それは狩猟の構え。肉食獣が獲物を狙う際の、狩猟の構え。

>>859
/参考画像ありがとうございます!お手数お掛けしましたー
861 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/31(木) 19:51:47.94 ID:bekmlMjPP
>>860

見た所では鬼ごっこでもやっているかのようなそれだが、やはり闘争心は紛い物でも無さそうだ。

「ちょっと痛いかもね……」

こちらはスピードで劣る。能力での強化も少し難しい。
近づかれ過ぎると防戦一方で辛いか。

頭上に呼び出したのは20程度の小型の使い捨てビット。どちらかというと自爆兵器であり、ある程度の誘導起爆を自身の意思で行える。
とはいえ、そこまで大きくもないそれだ。金属を取り込んで体力回復ができる(まだ確証はないがそれっぽい行動は見られた)のも踏まえると足止めで精一杯。
これだけ出すと脳の負担が……性能は抑え目にしてみたのだが。

「それでも十分っ」

それらほぼ全てを地面に誘導させ、杭のように撃ち込む。
彼女と少女の国境線を引くように。それはマキビシ、いや地雷。
四つん這いということは地面を走破して接近するつもりかという推測と、保険。

獣は罠を持って捕らえるべきだ。
862 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/31(木) 20:16:49.89 ID:elCwE0Euo
>>861
少女の行く手を阻むように、ふたりの間に打ち立てられた罠の数々。これらを超えて女性に接近するのは容易ではない。
遠距離・中距離間での牽制。そして高速の移動手段を持たない少女にとって、その攻略は不可能といって良いだろう。
……先ほどまでの少女であれば。

「ッがあ!」

全てを飛び越える、跳躍。恐らく女性からすれば、それは十分に予期することが出来たであろう行動。しかし――。
しかしそれが超高速であったなら、どうだろう。少女の両手足。指先、手のひら、足の裏に。埋め込まれた機械仕掛け。
彼女が取り込むのは、性質。そしてそれを、己の体に適応する奇奇怪怪な異能。その名も『機機械械』。
回転する。その身体と一体化したベルトコンベアーが、力強く床を踏みしめ巨大な推進力を少女に与える。

まるで弾丸のような。そうとしか形容し難い勢いと速度をもって、少女は真っ向から罠を突っ切ろうと試みる。
女性までの距離はほんの数メートルといったところ。果たしてその間合いを詰めることは叶うだろうか。
863 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 20:23:21.61 ID:rqUDhpngo
廃屋の軒先で、じっ、と空へと視線を向ける。陽の沈んだ濃紺色の空には、雨が降り注いでいた。
ベンチに腰掛けたまま退屈そうに足を左右するのは、中学生程度の歳と見える少年である。
紺色のパーカーに、カーゴパンツ。ごく有り触れた格好に加えて、やや中性的ではあるものの、特筆すべきところのない容貌。
強いて言えば、碧と赤の二色の瞳が若干眼を惹くかも知れないが、──とりたてて特徴と言えばその程度。

「この時間ににわか雨とか、──ツいてねーの」

溜息が一つ、雨音に紛れて消える。雨に濡れるのは好きでないので、今日はここで一夜を明かす事になるのだろう。
退屈な一日に終わりそうだな、と考えて、少年はまた小さく溜息をついた。ぼんやりとした眼を、周囲に向ける。

「うーん……」

──それとも、誰か無聊を慰めてくれるような人物がやってくるだろうか。淡い期待を表すように、ぶらぶらと脚が振れる。
フードを被り、ぼんやりと辺りを見回す少年の姿は、歳のせいもあって傍目に見たら迷子かなにかに見えるかも知れない。
果たして少年の淡い期待が成就することは、あるのだろうか──。
864 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/31(木) 20:46:35.08 ID:xqRvMljyo
>>863
「む……」
雨は嫌いではなかった
その空より流れ落ちる雫は、生きとし生ける者達に、様々な恩恵を与えてくれる
理解はしている、しているのだが……

「さすがにこうも出かける先々で雨に出くわすとなると、
自分が雨男である可能性も、考慮すべきでしょうか」
街より外れて……、廃屋が街の中にある可能性もあるのだが
ともかく気まぐれで足を運んでみれば、それを見つける

黒いスーツを着て、黒い革手袋を身につけて、
シルクハットを深く被った、そんな男は、
黒い杖と傘をそれぞれの手に持ち、
雨宿りの目的も兼ねて、廃屋へと足はこぶことに
865 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 21:04:50.92 ID:vRuD5A1vo
>>864
少年の視界に入ったその男は、シルクハットを深く被って、黒いスーツの身を包んでいた。黒尽くめだ。
黒は好きな色だったけれど、黒一色の姿は何となく怪しく見えて、彼はすっと眼を細める。──どうやら、こっちに来るみたいだ。
何となく、──面白そうだ。彼はそう考えて、ゆっくりと口を開いてみせた。

「何か、用? ──ここ、俺が使ってるんだけど」

態とらしく口を尖らせ、二色の瞳は男を見据える。得体の知れない男からは、一体どんな反応が返ってくるのだろうか。
それは一人でぼんやり過ごすよりは、随分と有意義な余興と思えた。
866 :クレール・ST・レゾナンス [sage]:2013/01/31(木) 21:12:51.01 ID:bekmlMjPP
>>862

「無限軌道……」

なるほど、あの時ベルコン取り込んだのはそのためか。
驚いたな。地雷も機能しない。

そして、Wこの攻撃は迂闊だW。
しかし、そこに強いポイントがあった。
これを受けるだけなら正面からソードを突き立てれば殺せる。
だが私が殺さないと言うことはわかっている。なかなかどうして、憎い奴だ。

「なら、受け止める」

75º程度にシールドを構える。
180º突っ返すのは骨が折れるが、しかし15º程度のベクトルを変えるのならばそこまで大きな力を必要としない。

来い。

//3回くらい文が消えて心折れた……短いけど許してくだせぇ……
867 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/31(木) 21:13:10.20 ID:xqRvMljyo
>>865
「なに、少しばかり雨宿りがしたいと思いまして
そう思っていた矢先に、この廃屋を見つけたものですから」
目元はシルクハットで隠されているが、口元の動きはわかる
落ち着いた、しかしどことなく冷たさも併せ持った、そんな口調
表情までは、読み取りづらいものがある
詫びることもせずに、そういう

と同時に、傘を閉じる
廃屋にいた、一人の少年
これはこれで面白い、そう思えた

868 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/01/31(木) 21:29:40.22 ID:elCwE0Euo
>>866
眼前に構えられた盾。

「良いのかなぁ」

勢いはそのままに、それに向かって少女は突進していく。そして――。
ズンッ――と。少女ひとりを受け止めただけとは思えないような重々しい音を立てて、彼女の推進は終結する。
盾に張り付き、その上に密着して立つ少女の肉体はそのまま。

「こんなに美味しそうなの、もらっちゃってさ」

ズブリと、溶け出し飲み込むような音を立てた。

/トラブルは仕方ないですねー
/ちなみにこのまいくとアンは盾まで飲み込んでしまう予定です
869 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 21:32:08.39 ID:vRuD5A1vo
>>867
あくまで落ち着いた捕らえ所の無い返答に、少しだけむっとしながら、「ふーん、」と小さく相槌を打つ。
目許は相変わらずシルクハットに隠されており、その表情を窺い知ることは難しい。──これでは、面白くない。

「俺さ、退屈で退屈ですっかり気が滅入ってるんだよね。
  ──ここ使うんなら、何か面白いものを見せてくれよ」

がしがしと髪を掻き混ぜながら、少年はそう言った。
ここ使うんなら、とは言っても別にこの廃屋が彼のものである訳でも無いし、特別何か権限がある訳でも無い。
反論は、容易だろう。──それを知ってか知らずか少年は、こうも付け足した。

「知ってる? 退屈は人を殺す、って言葉。……このままじゃ、俺もなんか殺しちゃいそうなんだ」

うっすらと笑みを浮かべるその姿は、年相応の幼さを多分に残している。
赤と碧の二つの瞳ばかりが、相手の反応を静かに窺っていた。
870 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/31(木) 21:42:20.65 ID:xqRvMljyo
>>869
「ふむ……、殺されるのはごめんだ
あなたの血肉となる代わりに、簡単なマジックでも一つ、催しましょうか?」
口元がにやりと歪む

口調こそは変わらないものの
少年の提案に乗ることを決めたらしい男
そのほうが、自分にとっても有意義な時間が過ごせる
そんな気がしたのだ


871 :クレール [sage]:2013/01/31(木) 21:51:07.10 ID:CPEjG9vvo
>>868

"少し"だけ、衝撃が走った。何故だ、何故ここまで少ない……
その答えは単純明快だった。

ああ、分かった。私とは熟相性の悪い相手だった。
機械ならいくらでも取り込めるのか。こちらは幾らでも生み出せる、しかしその分相手は強化される。困り者だ。

――A.M.DEはしょうがないあげるよ……しかしロハではないよ。

「動けないだろうからね。ある意味、捕まえたと言ってもいい」

2つの子ビットを分離展開、こちらから見て遥か前方にビームのスタントラップを設置。
そして左腕からA.M.DEをパージ、まだ触れられておらず生きている推進機、それを全力で吹かした。

成功すれば、距離を離しながらダメージ与えることも不可能ではない。
トラップが角度計算もしていない完全な勘、急ごしらえの為、引っ掛かるかどうかはまた別だが。
872 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 21:56:49.07 ID:vRuD5A1vo
>>870

「──…」

意外そうに、少年の眉がぴくりと動く。
まさか相手が、殺す、という言葉を本気にするとは思わなかったのだ。──所詮子供の稚拙な冗談だろう、と。
きっとそんな解釈がなされる物だろうと思っていたから、男の提案は望外の幸運と言えた。
冗談だと思われたなら、それはそれで良かったのだが──殺すのも、慣れてくれば退屈なのだ。

「殺すなんて、本気なわけないじゃん。……けど、」

不機嫌を装い心にも無い返答をするものの、その声音は弾んでいた。
冷たく様子を伺うような彼の瞳にも、天真爛漫な輝きが差し込んだようにも見える。つまりは、やはり子供ということなのだろう。

「マジック、マジックは見せてよ」

ベンチの上に座り直して、男の動きを待つ。マジックというものがどんなものなのかは、はっきりとは知らない。
先刻とは一転、男を見上げる彼は、すっかり興味津々といった様相であった。
873 :霧崎 ◆gDTYF1szXU [saga]:2013/01/31(木) 21:58:19.23 ID:elCwE0Euo
>>871
/度々申し訳ないのですが、再度質問させてくださいー
/このトラップ、発動すると結局どうなるのでしょう?
874 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/31(木) 22:02:42.02 ID:xqRvMljyo
>>872
「おや、ご冗談でしたか
しかし、このご時世ですからね」
口調にはやはり変化はない
しかし、冗談として流すこともできなかったのは、
男の台詞に現れている

「いつも私が催す、ごく普通のマジックか、
ちょっとしたゲーム形式のマジックであれば、用意できます」
マジックを二通り用意する、と言い出す

/一旦飯落ちします
申し訳ない……・
875 :クレール [sage]:2013/01/31(木) 22:03:38.70 ID:CPEjG9vvo
>>873
//あっ。描写雑すぎでしたね……そのままなにもしなければあなたから見て遥か後方へ吹っ飛ばされて、触れるとビリビリするネットみたいなのに引っ掛かります
//ずれると当たらないけど壁にぶち当たるかもしれないです
//もっとも、飛ばされなければそんなことは起きません
876 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/01/31(木) 22:03:57.90 ID:nbvxs3vIo
どこにでもあるような坂道。真っ直ぐなのだけども、結構きつい勾配だ。
そんな坂に徒歩で挑もうとするおっさんが1人。

「……こんな時に限って車が無いとはなぁ……」

寒い冬だというのに、そのおっさんの格好は黒いジャケットと七分丈のカーゴパンツ。
顔だけ見れば男臭さがあるものの結構男らしい顔つきだというのに、その服装と今持っている紙のバッグで台無しになっている。

「……つーか、コレ重……ッ!」

その両手に握られた紙製バッグの中身は、レトルト食品や缶詰、ペットボトルの飲料など様々だ。
両手で総重量20kgは有ろうかというものをきつい坂を上りながら持っているおっさんは、幾ら毎日トレーニングしているとはいえ息が上がってくる。
しかしそれは家の大事な食料。見捨てて自分だけ帰るなんて勿論持ってのほか。自分を元気付けようと下がっていた腕を強引に持ち上げて―――。

「……お、軽くなった? ……コレは、俺が重さに慣れてきたということか! アッハッハ!」

紙のバッグの底が重さに耐え切れずに破れ、物理的に軽くなっているのに男は気付かない。
―――嗚呼、色々なものが坂道から結構な速度で転がってくる。一番下を通り過ぎる人は、それらに対処しなくてはいけないだろう……。

/使い回しですが......
877 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 22:18:25.73 ID:vRuD5A1vo
>>874
相変わらず感情の計れないような口調で、答えが返ってくる。
彼からの提案が無ければ、本当に能力を使っていたところだ。とはいえそんな意気は、さらさら見せず。
あくまで冗談だとばかりに肩を竦めて見せれば、未発達と思われる彼の体躯に本当に人を殺す力があるとはとても思えない。

「ゲーム! ゲームがやりたいな」

ゲームという言葉の意味は、識っている。ただ、経験したことは無かった気がする。
──だから少年の返答は、早かった。
逢ったときそうしていたようにベンチの上で脚をぶらぶらと動かして、これからの展開に眼を輝かせている。

/それではこちらも風呂に入ってきます……!
878 :霧崎 ◆gDTYF1szXU [saga]:2013/01/31(木) 22:28:11.77 ID:elCwE0Euo
>>871
少女の体長を上回る程の巨大な盾。しかしそれが、不思議なことに少女の中へと取り込まれていく。

「ぷはぁ……あんまり好きじゃないけど、こういう時ばっかりは極上の味に思えるねーって、うわわっ!?」

しかし、それが完了するかしないかの内に、推進器が放った勢いによって、少女の身体は軽々しく吹き飛ばされ――ない。
体は一瞬だけ空中に浮遊したものの、次の瞬間にはまるで重力を思い出したかのように。
ズシリと、空気ごと揺らすような着地音。それは即ち、少女の重量そのものが瞬間的に増加したことを示していた。

「あっぶないなー。本当にお姉さん、抜け目ないんだから」

恐らくそれは、取り込んだ金属の性質――その重量を自身の肉体に付与した結果だろう。
単純な話だ。推進器の出力を少女の重量が上回ったというだけ。

「さすがのオレでも、あのトラップをまともに喰らったら危なかったかもねー」

危機を一つ脱して余裕が出てきたのか、少女は暢気な口調で話を続ける。
そしてその傍らで、再び構えた振動ナイフ。それを……。

「さて、そろそろ頃合だし……反撃されないうちに終わりにしておこうかな」

やはり飲み込み、その性質を肉体に反映させる。震える少女の指先。その一本一本が危険な鋭さを持つ振動ナイフとなって。
そして大きく振りかぶった右腕を、金髪の女性に向けて振り下ろそうと画策する。

>>875
/了解です!助かりましたーと言いつつ受けなくてごめんなさい……
879 :ベルム 黒ずくめマジシャン [sage]:2013/01/31(木) 22:43:11.34 ID:xqRvMljyo
>>877
「よろしい、では……」
ポケットより取り出すは、一組のトランプ
ケースからカードを取り出して、それをばら撒く

そしてばら撒かれたカードが輝いたと思えば、
廃屋の内装が、トランプで構成された迷宮と化する

少年は、この迷宮の十字路に立つことになる
壁はすべてトランプ、そして男の姿も消えていた

「どんな手を使っても構いません
スペード、ダイア、クローバー、ハートのそれぞれの1を
探してみてください」
そんな声だけが聞こえてきた

/というわけで、戻ってきました
880 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/01/31(木) 22:47:00.60 ID:UYgFOnpko
>>876
坂の下で「きゃあ!」と子供の悲鳴がする。
そのすぐ後に何か固いものが落ちる音。
気をつけて耳をすませば自分の荷物が転がって行く音も聞こえる。

下りには逃げていく食料と鼻血を出して倒れてる女の子。
881 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/01/31(木) 23:02:39.80 ID:nbvxs3vIo
>>880
「……ん? ―――…………あぁぁぁぁぁぁっ!」

上機嫌で坂を上って行く男だったが、下で聞こえる子供の悲鳴に思わず振り返る。
そこで気付いた、紙袋が段々と軽くなっていく現象の正体。荷物が坂をすべり行き、下で溜まっているのを見た男は絶叫した。
もしかして下で倒れている子供は、自分の荷物にぶつかって……やばい。これは色々な意味でやばい。

瞬時に判断し、紙袋の底を手で押さえて、まるで出前のように坂を下りていく。
いくつか荷物を蹴っ飛ばしたような気がするが、気にしない。第一は子供が鼻血出して倒れていることだ。

「……お、おい。大丈夫か、お嬢ちゃん」

とりあえずは車の往来の邪魔にならないように落ちている荷物を蹴って道端へと寄せ、続いて倒れている少女に声をかける。
それで反応が無ければ、とりあえず頬をぱちぱちと軽く叩き、反応を確かめるだろう。
882 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 23:08:07.54 ID:vRuD5A1vo
>>879
ポケットから取り出された一組のトランプが、あっという間に中空に舞った。
雨音ばかりの廃屋の側でバラまかれたトランプのカードが、輝きを放ったのを見たような気がした。
──そして音は、次第に遠ざかっていった。

「……っ」

四方には、一つずつ道が開かれていた。それ以外の選択肢を封鎖するのは、トランプの壁。
先刻までの男の姿はどこにも無く一瞬言葉を失うが、それが彼の“マジック”であると、理解するのにそう時間は掛らなかった。
予想外の展開に驚き、そして直ぐに意気軒昂と腕に力を込める。──これは、なかなか、おもしろそうだ。

「よし、やってやろうじゃん」

少年は、どこからともなく聞こえてきたあの落ち着き払った声に従い、歩き出すことと決めた。
とはいえ何の指針もなく、手がかりも無い。当てずっぽうに、目の前の道を意気揚々と進むばかりである。
果たして首尾よく、四つの記号を見つけることは出来るのだろうか──…?

/お待たせしました!
883 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/01/31(木) 23:13:16.47 ID:UYgFOnpko
>>881
頭から落ちれば誰でもやばい。
怪物とはいえ人型である。
「余所見をしていたら何かに足を取られて…
 頭がくらくらするわ…」

同時に人型とはいえ子供、意識はあるようだ。
危険な倒れ方をしても身長も体重も無いためか、
今回は大事故と呼べるほどのものではないようだ。
「何が起こったのかしら?おじさまは?」
884 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/01/31(木) 23:15:50.24 ID:xqRvMljyo
>>882
前に歩き出したなら、トランプの壁に描かれているのは
すべて数字の描かれていない、スペードの記号のみが描かれている
しかし、これらはただの壁

しばらく歩いたなら、分岐点にぶつかる
右と左に道は分かれており、右の壁にはスペードの13の絵柄が
左の壁にはスペードの12の絵柄が描かれている
885 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/01/31(木) 23:24:30.72 ID:nbvxs3vIo
>>883
「……」

何かに足を取られた、と話す少女。男には分かる。その何かが。……詰まる所、それは自分の落とした缶詰だろう。
少し冷や汗が出てきたが、少女が話すことが出来ているということはそこまでの事故ではなかったようだ。
とはいえ、自分の落し物が原因で鼻血を出させてしまったというのは事実であり。

「……あー。多分、俺の落とした缶詰に足取られたみたいだ。……ごめんな、お嬢ちゃん。
 ほら、鼻血でてるからコレで拭きな」

正直に話してティッシュペーパーを渡すことに決めた。少女が見渡せば、周りには大量の缶詰やら何やら。
男は苦笑いをしているが、その言葉にふざけた気持ちは込められていないことが少女に分かるだろうか。

ティッシュペーパーを少女が受け取れば、男は辺りに散らばる荷物を見てどうしようかと思案し始めることだろう。
886 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/01/31(木) 23:39:15.80 ID:UYgFOnpko
>>885
「鼻血?やだ、本当に?」
受け取ったティッシュで鼻の下を吹いて、
筒状に丸めたティッシュを穴につめる。
「おじさま、気をつけてよね。」
怒っているようだ。そりゃそうだ。

大量の落とし物をみて呆れてもいた。
「缶詰に殺されたらかなわないわね。」

拾うのを手伝おうと何個か拾い始める。
腹は立っていても、大量の落とし物は通りの邪魔だ。
「おじさま、この荷物の袋はあるの?」
887 :クレール [sage]:2013/01/31(木) 23:40:17.12 ID:bekmlMjPP
>>878

「どうやら、甘く見すぎていたようだね……」

相手はかなり本気で来てるようじゃないか。正直舐めていたよ。
確か、NUには優秀な医者が居たね。体が真っ二つになっても冷凍パックしとけば1時間以内なら蘇生可能だったっけ。
なら、腕の一本くらいいいかな。痛いだろうけど、我慢してもらおうかな。

――能力の万能さには驚いたけど

「爪が甘い。まだ少年の域だね……」

そこで堂々と切り下ろそうとするから、抜けられる。
彼女は、自身の指全てを"牙"を変化させた。有線のワイヤーアンカーや接近兵器としても、もしくは切り離し無線の機動砲台にも刃にも。
呼び出すだけではない。少年と同じく、しかし制限有れども能力を用いる事は容易なのだ。
ラーメン構造の建造物。鉄骨は縦横無尽に連なる。そのなかで最も近くのそれに右手の指全てを飛ばして取り付き、ワイヤーを回収。建造物の方が重いのは世の摂理。ワイヤーを回収すれば引っ張られるのは本体の方だろう。


「一点攻勢とはこの事」

しゅたっ、と音を立てながらH型鋼の上へ着して見せた。
あー、肩外れそ……と呟いた時肩は本当に外れていたわけだが、生々しい音を立てながら無理矢理嵌め込んだ。
少々痛むが、致し方あるまい。背にはらは変えられん。

「しかしこの廃工場、大分緩んでるねぇ」

僅かに宙を舞っていた使い捨てビットを、鉄骨のジョイント部分へ突撃させ、ボルト周りを飛ばす。準備は完了した。

「予想通り。うーん、いくら合金の固まりでも、どうだろうね?」
888 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 23:40:25.83 ID:vRuD5A1vo
>>884
左右を固める壁面には、スペードの記号が描かれている。四つの道のそれぞれが、四つのスートに対応していたのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えながら、歩く。雨の音を聞きながら廃屋に腰掛けているよりは、よっぽど心が弾んでいた。

「んー、……?」

歩くこと暫く、スペード一色の通路に変化が見られた。右には13、左には12の文字がそこにはあった。
必然的に、どちらかを選ぶことになるのだろう。顎の辺りに手を宛てがって、少し考える。
──とはいえ、これだけでは考えてもどうしようもない気もして、彼の中で結論が出るのはすぐだった。

「数字大きいし、こっちだろ」

単純な思考を経て、その先に1の数字を期待しながら、彼は右の道を歩み始める。

/すみません、そろそろ凍結をお願い出来ますか……? 都合が悪ければ中断ということでも大丈夫です
889 :ベルム 黒ずくめマジシャン [sage]:2013/01/31(木) 23:44:06.11 ID:xqRvMljyo
>>888
スートに沿って作られた、4つの趣旨のことなるトランプの迷宮

また分岐点にあたるわけだが、それはまた別のお話

//一時凍結の件了解です
お疲れ様でした!
890 :フェルネス [saga]:2013/01/31(木) 23:46:46.89 ID:vRuD5A1vo
>>889
/ありがとうございます、それではまた後日宜しくお願いします!
891 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/01/31(木) 23:53:25.46 ID:nbvxs3vIo
>>886
「ごめんな、お嬢ちゃん。
 あ、俺は葉月だ。お嬢ちゃんの名前は?」

男は真剣ながらも、相手が少女ということも有って苦笑いしかすることが出来ない。
その少女の頭を大きな手で軽く撫でて、少女の名を聞いた。
というか何故気付かなかったのだろうか。男はそう考えるが答えは出ない。
その原因が自分が調子に乗っていたから、だなんて男には到底考えも付かないものだろう。

「いやぁ、全くだ。結構重いものも有るからなぁ……本当にゴメンよ。
 ……袋? ……穴を手で塞いで持てば、何とか持っていけるんだけどなぁ……。

 ……お嬢ちゃんは何か持ってないかい?」

道に転がる缶詰の中には、パイナップルなどの大きな缶詰もあった。
もしアレが少女に当たっていたら……などと思うともう一度謝らずにはいられない。少女が腹立っているのも当然だ。

袋、と聞かれると紙袋以外に無い。一応先ほどの要領で「蕎麦の出前持ち」をすれば何とかいけるが、持ち手を使うよりはるかに疲れるのは確実だ。
自分も拾い始め、情けないと思いつつも少女にそう尋ねた。
892 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/02/01(金) 00:06:26.42 ID:oN3O744Ro
>>891
頭を撫でられると打撲のあとに葉月の指が当たる。
「痛いじゃない!
 クララよ。ニックネームじゃなくて本当の名前。」

穴空き袋を見てため息をつく。
「紙袋じゃ、縫い合わせる事もできないわね。」

ここでクララに一つの案が浮かんだ。
「スカートって風呂敷の代わりになるかしら。」
そう言ってスカート横のフックを外す。

放っておくと、人通りのない坂道。
怪我をした少女がおっさんの前でパンツ一丁になりそうだ。
893 :霧崎 ◆gDTYF1szXU [saga]:2013/02/01(金) 00:10:27.07 ID:tQZUzH3co
>>887
「げっ……避けられた!」

詰めの甘さはご愛嬌。経験の少なさ故、どうしても隙は生まれるものである。
ようはその隙が命取りのなりさえしなければ、問題ないはずだが――。
しかし、女性がもたらした工場の崩落、落下する鉄骨の数々。この状況はもはや、絶体絶命と言う外ないだろう。

「……そういうなりふり構わないところ、結構好きだぜ」

乱暴な言葉遣い。この場面で、しかし少女は思いのほか冷静に呟く。

「こっちも丁度、試してみたい技があったんだ」

無邪気な笑顔。純粋な興味。そして体中に出現した、無数の砲門。そこから放たれるのは――。

「Ver.Destroyer」

無差別に向けられた閃光の数々。それが自身目掛けて落下してくる鉄骨を次々と貫き、そして破壊していく。
ショットガンのように収束された光撃。至近距離用にチューンナップされた光は上方にいる女性までは届くことはないだろう。
それは少女の危機を救い手を差し伸べる閃光、光の盾。そして、もはや少女でもある。

「……あはははは!良いね!最高だよ、これ!」
894 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/02/01(金) 00:17:56.55 ID:QN/QIE5Eo
>>892
「あ、あぁ。ごめんごめん。……ん、クララちゃんね。よし覚えた」

そういえば缶詰に足を取られてすっ転んだのだった。頭をぶつけているのも当然だ。
慰めるつもりがまた怒らせてしまった。生憎男は、こういうときの対処法を謝る以外に習得していなかった。

「だな……。さて、どうしようか」

やはり出前持ちするしかないのか。
しかしあれをして坂道を登れば、かなり体力を消費するのは明白であって。
しかも両手が塞がれてしまう為に咄嗟の出来事に対応できなくなってしまう。それは拙い。

しかし、今は袋を下ろしているためになぜかスカートを脱ごうとしている少女には対応することが出来た。

「……ちょ、ちょっと待った! そこまでしなくて良い、大丈夫! 一応方法はあるから!」

声を上げてその手を止めようとする。……人通りが少ないとは言え、それは流石に拙いだろう。
というか、そんな子と一緒に居る所を見られれば、自分の社会的地位も危ない。家庭内の地位も危ない。

無事に自分の地位を守りきることが出来たならば、先ほどのように袋の底を押さえて袋を持つだろう。

「じゃあクララちゃん。本当に悪いんだけど、落ちてるものをこの中に入れてくれないかな。
 ……本当は自分で入れたいけど、手が塞がってるからさ」

そこで断られれば、男になす術は無い。
895 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/02/01(金) 00:28:06.98 ID:oN3O744Ro
>>894
目の前の男、どうやら悪人ではなさそうだ。
それにしても不器用すぎる。

小さく呟く。
「人間の寿命なんて長くて80年くらいでしょうに…」
この不器用さは葉月だからか、男だからか、人間だからか。
死ぬまでこうなんだろうなと思うと怒りもおさまってきた。

「いいわよ。葉月おじさま。
 それから坂が終わるまでなら少しだけ持ってあげる。」
頼みを聞き、そこに提案を重ねた。
重い物は下、軽いものは上。葉月の持つ袋に荷物を入れていく。
そして缶詰を幾つか抱えた。
「さ、行きましょ?」
896 :クレール [sage]:2013/02/01(金) 00:32:51.71 ID:EyQBFVxFP
>>893

「やり過ぎたかとも思ったけど、やっぱりそうねるよね。じゃあ、疲れるか骨材が無くなるまで、行こうか」

量産したビットを腐敗したボルトにぶつけ、爆破、さらにまた別のそれを爆破させ方向を少年の方へと向け、鋼材の弾幕を張る。後1分もしないうちにほぼ丸裸になるか。古びたトタンもぼろぼろ崩れ落ちては光に焼かれる。
"右手"は紐で吊るされた人形をを操るかのように世話しなく動き、"左腕"は特段動いている気配もなく(トタンや鋼材だったものやらで見えるかどうかは別問題)。

「この建物が大きくて助かったよ。地盤は若干軟弱なようだけど。
ん、さっきの地雷はもう用済みだね、他のビットの操作の邪魔になるかな」

地面にめり込んだビットを全て爆砕する。しかし、それは地下40cmに連続した穴を開けた程度で局面に影響はない。
現状、鋼材が高度2mちょいのところで全て消失し続けているだけだ。

右手のワイヤーで鋼材を掴むとぶん投げる。2200kgのそれが槍のように少年へ飛ぶ。
897 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/02/01(金) 00:40:04.36 ID:QN/QIE5Eo
>>895
「……ん、なんか言った?」

クララの小さな呟きは、どうやら男の耳に入らなかったらしく。
聞き返してクララがなんでもないやら言えば、男は気のせいだと思うだろう。細かいことを考えない人間だ。
……それでクララがもう一度その事を言っても、「難しい言葉を知ってるな」なんて言いながら笑うのだけれども。

「おお! クララちゃんは優しいなぁ」

じゃあお言葉に甘えて……、と手にかかる重さに耐えながら提案を受け入れた。その声はまるで子供のように嬉しそうな調子だ。
手が塞がってなければまた撫でていただろう。先ほどのことをすっかり忘れている。

そして歩き出す。坂は傾斜こそキツイが短めだ。楽々踏破できるだろう。
……と、男はその途中、ふと気になったことをクララに尋ねる。

「そういえばクララちゃん。何で1人で歩いてたんだい? クララちゃんみたいな子が1人だと危ないと思うんだけど……」

クララはお世辞でもなんでもなく美少女だ。
自分にはそういう趣味はないが、世界は広い。身を案じての質問だった。
898 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/02/01(金) 00:50:14.09 ID:tQZUzH3co
>>896
「へへへー!そっちはそろそろ弾切れだよ、お姉さん」

特に進展無く、鉄骨に向けて光を射出し続ける連続作業。それに対して若干飽きが来たのか、少女の興味は鉄骨よりも女性自身に向かう。

「ねえねえ、どうするの?鉄骨が無くなったら――ってもう、危ないなぁ」

高速で飛来する鋼材。少女はそれを正面から受けることはせず、射出位置を調整することで閃光を側面にヒットさせて軌道を逸らす。
戦闘開始時と比べても、その動きや判断は確実に進歩している。彼女がこの戦闘で得た経験地は非常に多いということだろう。

「ほらほら、どうするの。オレを満足させなきゃ、これは返せないよ?」

それは気まぐれか、何かの罠か。少女は一度体内に取り込んだ携帯端末を右手の手の平に乗せて女性に見せ付ける。
899 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/02/01(金) 00:57:11.32 ID:oN3O744Ro
>>897
「いいえ、何も?
 ちょっとした独り言。大した事じゃないわ。」
相手によってはこの失言は命取りにもなる。
自分もやはりまだまだ子供なのかとこちらにも呆れる。
身体の大きなうっかりさんを笑えはしない。

両手で抱えられるくらいだけ手伝う事にした。
「お散歩が好きなの。
 こんなに時間が経つのが早いなんて思わなかったわ。」

身に迫る危険という物が元々深く理解できていないようで、
呑気な返事を返す。身を案じての一言だと気づくのに数秒。
「心配して下さるの? わたしは大丈夫よ。 ありがとう、葉月おじ様。
 超能力みたいなものを持っているから、逃げるだけならなんとかなるわ。」
これは真実の全てではないが、嘘ではない。

缶詰は重そうに持っているがそれでも捕食者だ。
900 :クレール [sage]:2013/02/01(金) 01:09:35.40 ID:EyQBFVxFP
>>898
彼女の足場とそれを支える鋼材だけはしっかりと残っていた。Tの字のように。

「そうだね、後数本しか残ってないね……(けどこれでいい)」

ひたすら一本一本、右手のワイヤーを以て正確に投擲していく。
しかし、パターン攻撃に対する反応性が非常に鋭くなっているな。獣の反射神経のようだ。

時間稼ぎはもうお仕舞い。到達した。

「牽制は無し。これで終わらせる」

少年の足元から唐突に5本の閃光が走った。
"左手"のワイヤーアンカーから射出されたトラップ用のビーム。5本はそれぞれの四肢に加え胸を接触するように配されていた。
気づいてはいなかったようだ。しばらく前から射出し、足元まで進行していたと言うのは(伏線有り)。

「油断大敵って言葉。いい加減覚えなよ?」
901 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/02/01(金) 01:09:46.85 ID:QN/QIE5Eo
>>899
「……ま、ならいいんだけども……」

やはり大事にはせず。日本人の気質なのもあるだろうが、それに加えて男は面倒臭がりだった。
仕事の時こそ大真面目に働くが、オフなんてこんなものある。

「へぇ、散歩かぁ。……俺の嫁……陽向って言うんだけど、ソイツも散歩好きでな。
 『散歩してると時間を忘れる』なんていってたなぁ……」

両手いっぱいに抱えて坂道を上る少女に改めてお礼を言いつつ、自分の1番近くに居る少女のような36歳を思い出して笑う男。
歳こそ離れているが、この少女とあの36歳は何処か似ているような気さえしてきて。

「……あー、クララちゃんも能力者だったりするの?
 ま、どういうものかは聞かないけど悪用しないでくれよ」

その言葉を聞くだけでは、男には少女が「唯の能力者」にしか聞こえない。
よもやこの少女が捕食者だなんて想像もしないわけで。一応、治安維持組織の一員として注意をしておいた。
それにしても、軽い注意程度のものだが。

やがて、2人は坂道を上りきるだろう。

「やーっと上りきった! ……ありがとう、クララちゃん」

一言少女にお礼を言うと、手の上に乗る紙袋を差し出した。持っているものを入れて、ということだろう。
今までも重かったのだが、少女の腕の中にあるものが加わったら・・・ということは一切考えないようだ。
902 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/02/01(金) 01:18:37.01 ID:oN3O744Ro
>>901
「奥さんがいるのね。 家族がいるのは素敵ね。
 何処かで出会うかもしれないし、出会ったかも知れない。
 大切にしてあげてね。」
ようやく笑顔を浮かべた。

「わたしは悪い事はしないわよ。」
人は殺さず、死体を義兄から譲り受けている。
遺体損壊は法的には罪だが自然には裁けない罪だ。

さて荷物の心配がある。
このまま穴の開いた袋に何か入れたら裂けてしまうのではないだろうか。
「どういたしまして。ねえ、思ったんだけれど、いいかしら。
 どこかで少し買い物を増やして袋を貰えば良いんじゃないかしら?
 例えば…コンビニエンスストア?お願いしたら大きな袋にしてもらえるわよ。」
903 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/02/01(金) 01:26:12.27 ID:tQZUzH3co
>>900
「えへへ、え……?」

一際まばゆく輝いた閃光。それを自分自身が発生させたものではないと認知出来たのは、もうしばらく後だった。
とっさのことに少女は、なにコレ?と首を傾げるばかり。危険であることは理解できても、どうしようもないと気が付いたのだ。

「油断大敵……か。覚えておくよ」

もはや少女の感情の中には、恐怖よりも巨大な興味が居座っていた。自分が、そして彼女がこれからどうなるのか。
今の彼女の関心はそれだけだった。
904 :葉月(ガッシリしたおっさん) -Bored Bright- E:M1911A1 :2013/02/01(金) 01:35:58.26 ID:QN/QIE5Eo
>>902
「勿論。妻を大切にしない夫なんて夫婦失格だからね。
 ……にしてもクララちゃん、小さいのに深い事言うね。……いや、まぁ当たり前のことなんだけどさ」

18年付き添う伴侶だ。今更自分から手放すなんて有り得ない。ハハハ、と軽く笑いながら少女に言う。
そして、やっと笑顔を浮かべてくれた少女に此方も笑いかける。やはり、相手が笑ってくれると此方も気分がよくなる。

「それなら良いんだけどね。
 ……ま、クララちゃんみたいな子が悪い事なんてしないとは思うけども」

もしこの少女が本当に犯罪者だったら自分は捕まえることが出来るのだろうか。男は少し考えて、やはり考えないことにした。
悪い考えはいけない。どちらにせよ今は良い子だ。ならばそのまま知らないほうが、自分にとって有意義。
……知らぬが仏とは、よく言ったもので。

その提案を聞くと、男はうーん、と考える。確かにコンビニでおつまみでも何でも買えば大きい袋を貰えるだろうが
それはそれで店側が困惑するかもしれないな……などとあらぬ心配をする。しかし、この紙袋じゃ危ないことに間違いはない訳で。

「そうだなぁ……じゃ、コンビニで何か買うことにするよ。……するめか、やっぱり……あぁでもジャーキーでもいいかも……。
 それじゃクララちゃん、またどこかであったらよろしくね!」

早く代えの袋を用意しないと、何時紙袋が裂けて荷物が落ちるかも分からない。そして、この少女には迷惑を掛けられない。
そんなわけでそうして別れの挨拶を言って足早にコンビニまで駆けていく男。その脚は能力を使っているためか結構速い。

……結局代えの袋は用意できたが、家に帰って妻が見たものは、傷だらけの缶詰やレトルト食品のパッケージで。
男がお叱りを喰らうのは言うまでもない。

/もう落ちるかもしれないのでこの辺で。
/絡みありがとうございました!
905 :クララ(ブロンド美少女)ミミック :2013/02/01(金) 01:41:59.08 ID:oN3O744Ro
>>904
「さようなら、おやすみなさいおじ様」
簡単な挨拶を済ませると、駆けていく葉月を見送る。

「わたしも早く帰らなくちゃ。
 お兄様とお姉様が心配しているかも。」
クララも先の坂を少し下り帰り路についた。

// 了解です。
// お相手ありがとうございました。
906 :クレール [sage]:2013/02/01(金) 01:47:33.63 ID:EyQBFVxFP
>>903

鋼材は全てデコイ。そちらに集中させれば、まず目先のことに頭がいくようになるから。反射だけでは策略は見抜けない。
左腕は動かしていていないが左手は動かしていないわけではない。対比として"右手"でワイヤーアンカーを操っていたと描写。アンカーを出していないなら左手と書く。
足場に固執したのは左手のワイヤーを裏から這わせるため。
少年の頭上で全て鋼材が炸裂していたのも幸いした。光と爆煙で自らの視界を狭めた。
最後に、怪我の功名だが列に配置したビットが有ったこと。地下の侵入のサポートになった。重いだのは口から出任せ嘘八百。

「暫く、完全に麻痺して動けなくなるかな。多分能力も一時的に死ぬよ。ま、四肢だけにしといてあげるから」

バチン、という電撃音と共に少年はぶっ倒れてしまうことだろう。
しかしそれも10分程度のことだ、後遺症は出ないと思われる。


暫くしないうちに彼女は右手のワイヤーで地面に下った後、回収。指は元のそれに戻る。とはいっても多少傷が入っているが。まぁそんなもの慣れっこである。

ひょい、とそこらに落ちていた携帯を拾い上げるとポケットへ投げ込む。生憎ジップロックとかは持ち合わせていなかったもので。

「約束通りこれは頂くよ。で、何か言いたいことはないかな?」

パンパン、と制服についた埃やら砂やらを払いながら尋ねる。
907 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/02/01(金) 01:59:43.76 ID:tQZUzH3co
>>906
「……一本取られたね。こういうのに慣れるには時間がかかりそうだ」

膝立ちのような態勢で、少女の動きが止まった。落胆の色を隠せない声音が、ほとんど崩壊しかけた工場内に響く。

「それなら、最後に1つだけ聞きたいんだけどさ――」

女性を見上げて、戦闘中と変わらない悪戯っぽい笑顔そのままに。

「レーザー兵器がどうやってレーザーを射出するか、知ってる?」

意味ありげな言葉を投げかける。その真意を汲み取ることが、果たして女性には出来るだろうか……。
908 :クレール [sage]:2013/02/01(金) 02:20:08.76 ID:EyQBFVxFP
>>907

羽根状の小型ビットを適当に作り、体の周りをふわふわと漂わせる。これに天使の翼でもあれば可愛らしくなるのに、そこまでは融通が効かないから困る。

「さぁ、どうだろうねぇ。通常の光と違って拡散しづらいってくらいかな。後は媒体をもってして出力をあげることができるとか。詳しくは知らないけど」

なぜわざわざそのようなことを教えるのだろうか。

「じゃ、私はお暇しようかな、[ピーーー]気なんてしないし」

踵を返し、奇跡的に多少の粉塵を被った程度ですんだCBR1000RRのほうへ向かおうとするであろう。
909 :霧崎 ◆gDTYF1szXU [saga]:2013/02/01(金) 02:30:13.96 ID:tQZUzH3co
>>908
「……そっか。それなら別にいいや」

案外すんなりと、少女は引き下がった。その質問には、ひょっとすると意味など無かったのかもしれないし――。

「ちぇっ……今回は見逃された形になるのかな。不服だけど、まあ十分楽しめたから良いや」

もしかすると、何か重大な意味が込められていたのかもしれない。どちらにせよ、少女は自分からそれを語るつもりは無さそうだ。

「じゃあね、お姉さん。また今度、遊んでよ」

背中を向けた女性に、投げかける別れの言葉。砂埃がかかった鼻先をくすぐったそうに擦って、やはり無邪気に少女は微笑んだ。
910 :クレール [sage]:2013/02/01(金) 03:02:56.19 ID:EyQBFVxFP
>>909

足をとめ、先程奪還した携帯の状態が如何なものかと確認しながらひとり呟く。

「まぁ、今の私は戦う事しか出来ない。そしてそれ以外に関しちゃからっきしだからね。君が何が言いたいかなんて分かんないよ。ヒトは、人の思ってる事なんてわかりゃしないんだ」

分かるのは後に肉の塊となる敵の"思考"だけなものだ。

「それじゃ、さよなら。次はこんなさもしい場所では無いところで会えると良いね。
君がどう思っているかは、また別だけど」

ヘルメットに手を掛け、頭部に被せた。
そして軽く手を振りエンジンを始動させる。若干調子がよくないようだ。
911 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/02/01(金) 03:19:32.36 ID:tQZUzH3co
>>910
「次に会う時は公園のベンチでアイスでも食べながらお喋り……なんてどうかな。ボクはお金がないからお姉さんの奢りだけどさ」

軽薄な口上と平行して、女性に奪われた物と同じ携帯端末が、少女の右の手の平に具現化されていた。

(お姉さんに渡したのが本物で、こっちがダミー。中身は丸々コピーしたし、これでも構わないよね)

これで2つの組織が得る情報はイーブン。あとは彼女の組織と少女を雇った組織、どちらの情報処理能力が上かだけ。
だが、それは少女にとってどうでも良いことだった。今回の仕事は旅に必要な資金を得るための、単なるアルバイト。
どっちが勝ってどっちが負けるか。そんなことには端から興味はない。今回の収穫と言えば、彼女に会えたことだけだろう。
そういえばまだ、名前を聞いていない。別れる前でよかったと、一息ついて安堵する。

「ねえ、お姉さん。ボクはアン・スコット・マクミランていうんだけど、お姉さんの名前は?」

戦いの後だというのに、何だか気の抜けた言葉。余裕ぶっているのか、それとも元々こういう性格なのかは謎だ。
912 :クレール [sage]:2013/02/01(金) 03:44:03.06 ID:EyQBFVxFP
>>911

「はは……今の時期にそれ厳しいから、せめてそのシチュは春が来てからね」

DEのビームキャノンがほぼ完全にコピーされていたんだよなぁ、まぁいいや。
半導体の塊なんてγ波に晒せばどかん、さ。
携帯は回収した、これで戦犯の足を掴むのに役立つ。
一応先輩の戦争屋としての威厳(そんんそのあったところで役には立たないが)は保てたか。代償は凄い疲労。

「クレール。クレール・ST・レゾナンス……STが何を意味するかは非公開。北欧連合空軍所属、階級は准将」

アン、ね。忘れはしないよ。最も……いや。

「暖かくなったら、また会おう。それじゃ」

そう言うと、来たときとは正反対、ゆっくり丁寧なハンドリングで発進した。
913 :アン・スコット・マクミラン [saga]:2013/02/01(金) 04:10:48.55 ID:tQZUzH3co
>>912
「ST……」

それにはどんな意味があるのかは分からない。
少女が思い付くのは精々「S:凄いT:たい焼き」とか「S:鹿のT:角」とか、その程度が関の山。
そうこうしている間に女性は立ち去って行った。また何処かで会えればいいな、と。そんな風にふんわりと、少女は思った。


「ああ、そうだ。さっきの質問の答え。レーザー兵器がどうやってレーザーを射出するか、だけどさ……」

誰も居なくなった工場内。彼女の言葉を聞く者は居らず。

「レーザーを直線で射出するには、光を内部で収束させる必要があるんだ」

それは特に、誰かに向けて語られているわけでは無いだろう。

「だから内部で反射させる。鏡みたいに光を反射させるパーツが組み込まれていて、それがレンズまでレーザーを導く。つまりね――」

グンッと、勢いをつけて急に立ち上がる。そんなことをするものだから、少女は立ちくらみに襲われて。
これでは格好がつかないと苦笑いする。そして気を取り直して。

「つまりレーザー兵器を丸ごと飲み込んだボクには、レーザーなんてまるで効かないってこと」

少女の全身が、ほんの数秒だけ瞬いた。それは目の錯覚かもしれないし、そうではないのかもしれない。

/ということで、こちらのロールは終了です!
/数日もの間、お付き合い頂きありがとうございましたー
/またチャンスがあればどしどし絡ませて頂くので、その時もよろしくお願いしますねー!
914 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 21:37:56.98 ID:QN/QIE5Eo
「―――離せ葉流ッ! 俺はもうこの衝動に耐えられねぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」

「お前は『耐える』ということを知らないのか……ッ!! 早く行くよ、フォール……ッ!!」

夜更けのとある商店街。と言ってもまだ深夜ではないため、ある程度の人は居るのだが……その中に、ギャアギャアと煩い1人と1匹が居た。
1人の方は、また年端も行かない少年。いたって普通のジャケットにカーゴ。ちょっと長めのフード付きローブが特徴と言えば特徴だろうか。
1匹の方は黒いドラゴン。……と言っても、それはデフォルメされたどちらかと言えば愛らしいデザインで、黒い翼をバッサバッサと羽ばたかせている。

そして彼らが何をしているかといえば、飛んでいこうとするドラゴンの脚を少年が掴み、丁度その力がつりあって動いていない状態だったりする。
ドラゴンのキラキラした目の先には――――――頑固親父が店主を務める、店先で販売するタイプの焼き鳥屋。

「あの親父の出で立ち……1本位サービスしてくれるだろうよ! だからその脚を掴む手を離しやがれ!」

「どう考えてもサービスしてくれなさそうな硬派なおやっさんでしょ!? 今日は諦めて早く帰るんだっ……てっ!」

多くも少なくも無い通行人が、彼らを避けるように通っていく。問題の店主は、まるで我関せずの様。
焼き鳥の香ばしい匂いがドラゴンの鼻を通り、食欲も活性化。少年も 最後の力を振り絞るかのようにグッと脚をつかむ。
……結果的に両者は全く動かない。

誰か、馬鹿馬鹿しい彼らを止める者は現れるのだろうか? 辺りには、焼き鳥の香りがふわりと拡がっている――――。
915 :三門陽 [saga]:2013/02/01(金) 21:45:23.05 ID:a6+Sz+Oio
>>914
「うるっせーな、テメェら!」

そんな、粗暴な声が少年の背後から響き渡る。
その声の主は、所謂ヤンキー、所謂不良、所謂札付き――そう呼ばれる類の人種だ。
恐らくブリーチか、エタノールか何かで極限まで脱色したのか、鮮やかにきらめくプラチナブロンドの長髪をオールバックにしている。
服装は、普通の学生服……に見えるのだが、裏地には虎と竜の刺繍が入っているし、丈がボタン3つ分程長い。
首には、そこだけやたらと目立つ、風になびく真っ赤なマフラー。なんというか、見るからに不良、路地裏で能力者にボコボコにされているタイプの外見。
そんな青年が、大股でがしがしと少年と悪魔に近づいていき――、直後。

「おら、二人共きっちり分けて喰いな。
 一人一本ずつな。後が食いたきゃ、自分で買うこと。オゥケィ?」

二人の口に一本ずつ、焼き鳥もも(たれ)を放り込んだ。
当人も口に鶏皮の焼き鳥(たれ)を食べている辺り、どうやら買い食いらしい。
二人の口に焼き鳥を放り込んだのは、恐らくうるさかったからだまらせるためだろう。
如何にも暴力に訴えてきそうな外見の青年は、案外平和主義だった。
916 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 22:02:35.11 ID:QN/QIE5Eo
>>915
「!?」
「な、なんだぁっ!?」

同時に驚く、案外仲の良い1匹と1人……長いのでコレからは2人としよう。そんな2人が同時に視線を移す。見るからにヤンキーな奴がそこにはいた。
2人は一瞬で今何が起こっているかを理解し、同時に逃げようとする。―――が、少年がその手を離すことは無い。

「お、おい葉流! は、早く離しやがれッ!!」
「こっちのほうが逃げやすいでしょ! 早くこっちに来てよ!」

などとまるでコントの様な押し問答を続けているうちにヤンキーは近づいてくる。しかし2人はその場から動けない。
少年も、近現代の学園ドラマを見ていたことがあった。丁度目の前の彼のようなヤンキーが、日夜暴虐の限りを尽くすそれを。
一体何をされるんだろう。グーパン? 腹パン? それとも―――。嫌な予感が、2人の頭を過る。そして。

「「!?」」

2人の口へと同時に押し込まれる棒状のモノ―――この香ばしいタレの香りは間違いなく、あの焼き鳥屋の焼き鳥。
それを押し込まれて十数秒後、ドラゴンの脚を掴む手を離した少年もそのドラゴンも、大人しく鶏肉を味わっていた。
ドラゴンの方は、翼で串を押えつつ空中に留まりつつ焼き鳥を食べるという高等テクニックまで見せている。

「―――あー、あの。え、えっと、ありがとうございました?」

一足先に焼き鳥を食べ終えた少年は、そのヤンキー(?)に一先ず感謝する。
しかしどんな言葉を言えば良いのか分からない為、語尾が上がり調子である。ドラゴンは喜々としながら焼き鳥を貪っていた。
917 :苅田 眞 [sage]:2013/02/01(金) 22:04:02.25 ID:awpJgERMo
太陽が出ている頃には多くの人が出入りしているであろう
トンネルの内部は今や橙の光に満たされていた。
それと、何かが細かく蠢くような音とともに。液体が
撒かれるような音と共に。

「いまいち調子が出ないなー、今日は。」

学生ズボン、そして半そでのYシャツを着た、黒髪の
青年がひとつ呟いた。見るからにこの時間帯にいれば補導されるような
外見だ。
あたりには青と白色のペンキが置いてあり、
そして砂鉄が乱雑にぶちまけられていた。

トンネル内部は、もはやこの青年の画用紙と化していた。
床、壁、天井にはまるで水を連想させるような細かい
水色の破線がバラバラに見えて、実は均等に張り巡らされ、
破線の先端には、飛沫をイメージさせるかのように白色の
砂鉄がぶちまけられていた。
さながら、トンネルの内部はもはや海底トンネルである。

このトンネルはスラム街と一般の町と繋がるもののひとつ―のうちの
目立たないトンネルだ。夜になれば、一般の町側からはいい具合に
隠れるという。つまり、物騒な人間が、隠れながら安全な町に
戻る際にはなかなか好都合。
この時間帯なら、ぽつりぽつりと、仕事が終わった人が
ここを通ってもいいのだが…。
918 :三門陽 [saga]:2013/02/01(金) 22:10:01.41 ID:a6+Sz+Oio
>>916
「ま、気にすんじゃねぇよ。
 俺も腹減ってたしよ、二本余計に買う位大したもんでもねぇさ」

ひらひら、と手を振って気にすんな、と言うヤンキー。
片手に抱えた紙袋の中には、まだ10本以上の焼き鳥が入っている。
それをひょいひょいと口の中に放り込んでは食べていく三門。
健啖家であるようで、なかなかいいペースでおやつを食べ終えていく。

「腹減ってると気ぃ立っちまうからなあ。
 俺も腹減ってるとついつい苛ついちまうし、そこの不思議なまものの気分もわかるぜ?
 うめぇか……って聞くまでも無さそうだわな、げははッ!」

自分の分の串を全部食べ終えると、串を束ねて一息にへし折った。
それを紙袋に放り込むと、近くのゴミ箱を確認。
くしゃりと纏めて空中に投げあげて、綺麗な動作で蹴りを入れて飛ばす。
すると、すぽん、と割りといい精度でゴミ箱にホールインワン。っし、と小さくガッツポーズ。

なんというか、外見こそ気合の入ったヤンキーだが、表情や態度は只の気の良い兄ちゃんであった。
919 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 22:26:46.76 ID:QN/QIE5Eo
>>918
「なかなか良い兄ちゃんじゃねぇか!! 葉流なんか焼き鳥1本くらいであんな必死に……」

遅れて完食したドラゴンは、串を口で器用に操りながら上機嫌な様子。
少年の愚痴を言おうとしたのだが、それは少年の右ストレートによって中断させられる。
ぴゅーんと吹っ飛ぶドラゴン。少年は一瞬の内にドラゴンの口から串を抜いていたらしく、それと自分の串を合わせてゴミ箱に放り捨てた。
仲が良いのか悪いのか。

「フォール……あのドラゴンの名前ですけど、一度言い出したら聞かないんですよ……。
 フォールのことだから、1本と言わず10本くらい食べちゃいますよ。前科もありますし……で、払うのは勿論僕で」

少年は、ハァとため息をつきながら彼に言葉を返した。もう一度、お見苦しい所をお見せしましたと頭を下げる。
彼の言うとおりだ。そして少年もドラゴンの気持ちが分からないというわけではない。
しかし焼き鳥屋を過ぎる度に少年の財布から金が無くなっていくのは、ドラゴンに分かって欲しいところだった。

「え、えっと……い、良い人なんですね」

何か話しかけようとして、戸惑いながらも出た事はそれだった。
見た目は不良なのに、何て事は言える筈も無く。しかし、それが無くても微妙に失礼である。
だが、少年は悪気が有ってそう言った訳ではない事は、立ち振る舞いから明らかだろう。
920 :三門陽 [saga]:2013/02/01(金) 22:34:53.56 ID:a6+Sz+Oio
>>919
「あれだな、ワガママ野郎か。
 一片思い知らせてやりゃいいじゃねーか。
 ぶん殴って、そこらに簀巻きにして放置しておきゃ、ちょいと頭冷やすだろうよ。
 甘くしてるとダメだぜ? 優しさと甘さは別でよ、きっちり筋通して、カタに嵌めてやんねェと。
 お前が面倒見てんだからもうちょいとガチで行ったほうがいいと思うぜ」

うんうん、と頷きつつ、やたらと過激気味ながらも筋の通ったアドバイスをする男。
暴力を振るうなとも言わないし、怒るなとも言わず。
むしろきっちり怒ってやれ、と言える辺りまともな感性だ。
優しさは、あえて怒ることが出来るが、甘さは怒ることが出来ない。
そして甘いままだと甘やかされる人は、駄目になる。それが三門の持論。
だからこそ、三門は他人に優しくはするが、甘くすることはない――訳ではない。なんだかんだでこの男は甘いのだ。
それでも、只々甘やかすのは、人のためにならない事は間違いないと思っていた。

「ん、そりゃー当然よ。
 近所で評判の正義の味方見習いの三門君ったあオレのことだからよ!」

ずびし、とどや顔で謎ポーズを取り、数秒後に気恥ずかしそうに素知らぬ顔で普通の体制に戻る三門。
因みにポーズのキレは妙に良かった。ただし往年の特撮ヒーロー的ノリのポーズだったが。
随所から何かと馬鹿っぽいオーラと、お人好しっぽいオーラが出ている為、やはり目付きが悪くとも不良っぽくとも怖くはない。
921 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/02/01(金) 22:37:04.64 ID:ZzbVFMiuo
>>888
右に真っ直ぐ進む、しかし壁はまたスペードの記号一色である
しばらく歩いてみたなら、また分岐点にぶつかることに

そのまま真っ直ぐ進むこともできるが、
そこから左に進むこともできる

左に続く壁には12の絵柄が
そのまま進むなら、すぐそこの壁に描かれている絵柄は9

目印となりそうなものは、それだけである
922 :大坂澪 (食事処みおつくし店主 疲れ気味) :2013/02/01(金) 22:37:12.90 ID:TxYnMVQ00
「あう…流石に仕事明けに買い出しはキツいわ…」

紺色のスカートにお気に入りの深緑のコートを着込んで道を行く少女。
普通ならこんな時間に彼女のような歳の子が出歩くのは危険かもしれないが…
彼女はもう仕事もする社会人。買い出しも空いた時間にするしかない。

「…えーと…塩切らしてたっけ…後は何やろ、買っとかなあかん物は無かったっけ…」

ブツブツ言いながら歩く。…が、仕事の疲れもあって、少しボーっとしている。
果たしてこのまま歩いて声をかけられたりすると、反応できるものか…
923 :大坂澪 (食事処みおつくし店主 疲れ気味) :2013/02/01(金) 22:37:26.02 ID:TxYnMVQ00
「あう…流石に仕事明けに買い出しはキツいわ…」

紺色のスカートにお気に入りの深緑のコートを着込んで道を行く少女。
普通ならこんな時間に彼女のような歳の子が出歩くのは危険かもしれないが…
彼女はもう仕事もする社会人。買い出しも空いた時間にするしかない。

「…えーと…塩切らしてたっけ…後は何やろ、買っとかなあかん物は無かったっけ…」

ブツブツ言いながら歩く。…が、仕事の疲れもあって、少しボーっとしている。
果たしてこのまま歩いて声をかけられたりすると、反応できるものか…
924 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/01(金) 22:40:57.80 ID:ucCafdlUo
>>917
「なにこれーっ?アートってやつ?キャハっ!」

トンネルの入り口からなんとも黄色い声が飛んできた
明るい、場を盛り上げるような心地よい声にも聞こえるし
または、他人の思考に入り込むような不快な声にも聞こえる
意思を持った無邪気な子供に近いかもしれない
そんな明るい声はステップと鼻歌でクルクルと回って少年へと歩いてくる

それは、踊る少女だった
背中の中程まで届く光沢のある美しい黒髪
紅い色の輝く、まるで見ていると引き込まれそうな瞳
口から時折見える八重歯が彼女に活発な印象を与える
ボタンを二つ程開けた身体のサイズより一回り小さい学ランを着用し
そのお陰で豊かな胸元や引き締まった腰回りなどのラインが一目で分かる
きっと目線に困るような、そんな少女

きっと上機嫌なのか、辺りを見回す鼻歌とトンネルアート(仮)
ステップだけじゃ飽き足らず、ついでにバク転して近づいてくる
その姿はなんとも不気味だが
ある程度近付くと少年の方向を向くように向きを変え

「これ君がやったのー!?凄いじゃんっ!」

逆立ち姿勢で先程と変わらぬ抑揚で喋る彼女もすごい技だと思うが
そんななんとも不思議です不可思議で不審な少女はキラキラと笑顔で少年に話しかけてきた
──。非常に怪しい、いろいろと
925 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 22:51:02.64 ID:QN/QIE5Eo
>>920
「いや、度々ぶん殴ってますし、簀巻きにしてますし、後足置きにしたりもするんですけど……」

「―――俺様はそんなことじゃへこたれねーってか!? キャッキャッキャッ!」

と、絶妙なタイミングで帰ってきたドラゴンに罪悪感やら何やらは一切無いようだ。
そんなドラゴンに、彼の言うとおりもう一発殴ってやろうかと考える少年。しかし日々の生活から、体力の無駄だと分かりきってしまっていた。

しかし、彼は不良らしくないなぁと考える少年。
自分に向けたアドバイスも、不良らしい暴論ではなく、しっかりと筋は通っている。その手段は如何としても。
自分達に向けて焼き鳥をくれたことが1番不良らしくない、優しいお兄さんらしいことだ。彼は不思議である。
その性格と、服装とのギャップに、思わずクスリと笑ってしまった。

「三門さんですね……正義の味方……見習い? ヒーローみたいなものですか?
 ……あ、僕は葉流と言います。ICODに所属しています。よろしくお願いしますね」

「そして俺様はフォールだ! よろしくな三門! キャッキャッキャッ!
 俺様の記憶の中の良い奴リストに登録しておくから感謝しな! キャッキャッキャッ!」

彼が取ったポーズは、まさに「ヒーロー」そのもので。彼も、日夜悪を裁くヒーローになるのだろうか。
少年はヒーローの存在を肯定も否定もしていないが、彼みたいな人物がヒーローだったならば……。それはそれで良いと考えて居たり。
自然と、顔も綻んでくると言うものだ。

対してドラゴンの言葉は横暴で、全く少年と逆といった風だ。それでも、ちゃんと良い奴リストの中には入っているらしいが。
その上から目線も強烈なもので、少年は1回握り拳をドラゴンの頭に落としてからすみませんと小さく謝るのだった。
926 :三門陽 [saga]:2013/02/01(金) 22:58:17.94 ID:a6+Sz+Oio
>>925
「そーそー、ダチと一緒にヒーローやってんのよ。
 割りと物騒に巻き込まれたりするけどよ、結構ガチでやってんだぜ?」

ごそごそ、とポケットに両手を突っ込む三門。
手を引き抜けば、両手にはグローブが付けられていた。
と言っても、普通の拳を保護するためのものではなく、拳頭部分には砂鉄が詰まった部分が存在している。
拳を固めることで拳に来る衝撃を殺しつつ、コンクリート並の強度を拳に与えることが出来るという中々強烈な代物だ。
ある程度以上に喧嘩に慣れた人間が使えば、文字通りの凶器になりうる物体だった。尚、通販で二万千円(税込)だった。

「ICODなぁ……、良く分かんねぇけど、葉流とフォールはヒーロー的なあれって事でいいのか?
 ま、よろしく頼むぜ、賑やかで面白そうだしな」

なぁに、気にすんなと、鷹揚とした態度で、謝る相手に言う三門。
そして、ICODを良く知らない辺り、やはり頭が悪いやら、能力者としての常識がないのだろう。
そして三門は。にしても、すっげーいきものだなあ、とおもむろにフォールの尻尾を鷲掴みにしようとする。
好奇心旺盛な小学生男子のような振る舞いだが、まあ精神年齢はそのくらいだろう。
927 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:5体 [saga]:2013/02/01(金) 22:59:56.85 ID:v0RFsB6Ao
「そこまでよっ!」

威勢の良い女性の声が、街の特設ステージで響く。
ちらほらと子供などの観客が見る中、ステージに立っているのは5人の少女。
怪人役の男に対し、5人の少女が戦うステージショーのようだ。

「ぐえっへっへっへっへ。この世を無気力に変えてやるー」

怪人は両手を上げて大げさに笑って見せる。
どうやら怪人の目的は世界を無気力にしてしまうことのようだ。
そうはさせまいと、

「や、やらせる訳には行かないわ」

中央に立つ赤い髪の少女が、ややぎこちない感じでセリフを言う。
他の4人はキリッとした顔をして真面目に演技をする中、おそらく主人公であろう少女は少し恥ずかしそうだ。

「みんな、行くよっ!」

「yes!!」

中央の赤い髪の少女が音頭を取ると、それに合わせてメンバーも同調。
その後、舞台の照明が5人の少女に集められ、さらにはどこからともなく光が出現した。
くるくるとポーズを取りながら位置を変えていく5人。
気づくと、全員の衣装が徐々に変わっていき、それぞれ5色いずれかの衣装を身にまとっている。

「闇の力のしもべたちよ!」

「さっさとお家に帰りなさい!」

「「「「「5人はプリキュア!!!」」」」」

観客に見えるように決めポーズ。
だが、顔を赤らめている人物が一人。中央の赤い髪の少女だ。
目線がやや下で泳ぎ、時折恥ずかしそうな顔とも悔しそうな顔とも取れる表情をしている。

(……な、なんで私がこんなことをっ)

先日クリオネに入った依頼。
それは、舞台劇の手伝いだった。
クリオネの能力を知っている数少ない人物からの依頼で、無下にも出来ずに依頼を受けた。
エキストラで人形を出してほしいと言う話のはずだったのだが……

(騙されたっ……!!)

結局、罠にはめられたクリオネは一人で舞台に立ち、その他の登場人物を人形で賄うことになってしまった。
観客から見れば5人のヒーローと1人の悪役で6人の芝居だが、人形を喋らせているのはクリオネ。
自分が喋るような感覚で操作する為、クリオネにとってこれは一人芝居なのだ。

芝居の出来は悪くない。
衣装は華やかで、アクションも超一流。主役が恥ずかしがっていることを除けば良い劇だ。
928 :苅田 眞 [sage]:2013/02/01(金) 23:03:20.86 ID:awpJgERMo
>>924
「アートっていうよりはグラフィティってやつだな…。っておう!」

こんな夜中に黄色い声など響くはずはない、ましてや
創作中に人などこないと思っていた矢先、不意をつかれ、つい驚いた。
思わず、横のバケツを蹴ってしまいそうなくらい。

「おいおい、こんなトンネルで踊るとか随分と物好きだな、いや、そもそも
こんなトンネルに来ること自体が物好きか。まぁ、褒めてくれるのはうれしいけどさ。」

波線が描かれた壁に寄り添いながら、彼女に一言。そこには恥ずかしさが
一割といったところ。彼も年頃の男であるし、このような見所が困るような服装だと
いかんせん動揺が隠せない…とはいえこんな夜に来るのだ、ただの人間ではないことぐらいは
眞自身が一番よく知っている。

「で、なんだい?ただ自分の落書きを背景に踊りにきたんかい?」
929 :フェルネス [saga]:2013/02/01(金) 23:08:35.02 ID:4a6uelblo
>>921

相変わらずのスペード一色を、少年は進んでゆく。いい加減この景色も見飽きてくる頃だ。
そろそろ見つかれば、良いのだが──、と。

「──また、かよ」

12と9。少年の前に現れたのは、またもや二つの分岐点であった。
進展なのか、振り出しなのか。それすら彼には判然とせず、少し乱暴な手付きで頭を掻いた。

「12はもういいよ、さっきもあったしな。──うん、」

数字は一応目印になるものの、その意味が判らないのでは茫洋と歩いているのと対して変わらない。
当初のやる気は次第に減殺、どこか不満げな表情で歩き始める。
そのまま進み、9の数字を確認し、また首を傾げながら、直進。

/お待たせしました……! 今日も12時くらいまでになってしまいますが、よろしくです。
930 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 23:13:12.34 ID:QN/QIE5Eo
>>926
「へぇ……凄いと思います、ヒーローって。
 自分の正義を貫くって、凄く大変なことだと思いますから……」

そう良いながらも、出てきたグローブにおっかなびっくりの少年。
アレで殴られたら痛いで済まないだろうなぁ……とか、あ、でもフォール用には良いかも……とか。
総合して少年が思ったことは、カッコいいの一言に尽きる。
自分はどちらかというと遠距離が得意だったりするのだが、彼は見るからに近接戦闘型だろう。あのグローブも、間違いなく補助道具。
拳銃はずるいかなぁ、などと心の隅で思っていた少年にとって、彼は憧れる対象だった。

「そうですね……治安維持組織です。簡単に言うと」

「ヒーローと同じ様なもんだな、キャッキャキャ……うおあっ!? な、何すんだコノヤロー!」

確かに、非常にかいつまむとそんな感じになるだろうな……と思う。
しかし違いは報酬だろうか。少年達は給料をもらっているのに対し、彼らはどうなのだろうか。有名なヒーローはスポンサー料を貰っているというが。
そしてそれは、少年がヒーローを凄いと思う理由だったりする。『ほぼ無償で』正義を貫く。並大抵の事では無いだろうから。

尻尾が掴まれ、そこまで高笑いを続けていたドラゴンも仰天。なぜならそんなこと、葉流にさえもされた事が無かったからだ。
離せー! と言いながらもがくが、所詮中学生相手に釣り合うレベル。彼ならば押さえ込めるだろう。
少年はそんな光景を見て、フォールに良い薬になるんじゃないかなとニコニコしながら見守っている。
931 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/01(金) 23:16:24.81 ID:ucCafdlUo
>>928
「うっふっふ...今日のあたしは機嫌がいいのだーっ!」

クルクルと逆立ち&片手で回った後、
ぴょんと後ろに飛んで足で立つ体勢になる
うーん、と身体を伸ばす動作をしながら少年の方を向いた
彼女の身体を伸ばす動作が同時に胸を張るようになるので
彼女の豊かな胸部が言わずもがな言わずもがな

まるで酔ってるのか何処か高翌揚しており
顔も僅かに赤くなっている様に見える

「面白い事してる人間見つけたらいじくりまわすのが礼儀でしょーっが!」

キャハハッと彼女独特の笑い声をあげて少年に近付く
これだけなら、ただのタチの悪い酔っ払いで済んだかもしれない
いい感じに酔いが回って見かけた少年に絡んできたのだろう
そう思うはずだ。
──、彼女の匂いに気付くまでは


薄く鼻をつく鋭い匂い
何処か不快感があり、同時に少年の思考を透き通らせるには十分だった

“血”の匂い
熱く、躍動していただろう血液の匂いが彼女から放たれていた
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/02/01(金) 23:18:48.29 ID:ZzbVFMiuo
>>929
通路を進むと、数字が刻まれた、しかし分岐点ではない壁が存在する
13 11 9 7 D 3 T
12 10 G 6 4 A
このように、数字が刻まれている

さらにしばらく進んでみれば、また分岐点
まっすぐ進もうとすれば、すぐそこの壁には5の数字が描かれている
左に進もうとすれば10の数字が、壁に
右に進もうとすれば11の数字が描かれている
933 :三門陽 [saga]:2013/02/01(金) 23:25:24.67 ID:a6+Sz+Oio
>>930
「俺なんざどこぞの一般市民レベルだしなァ……、でもなんつーか、そういう組織?
 そういうの、向いてねぇだろォし、てか入れてくれねえだろうしなあ。
 ま、コツコツ頑張るさ。幸い元ヤンっつーか、現在進行形でヤンキーやってるけどよ、そのお陰で路地裏の奴ら退かすのとか楽なんだぜ?」

ちょっと凄むだけでホイホイ退いてくのなぁ、とメンチを試しに相手に切りながら笑う。
目つきは元からあまりいいわけではないし、体格は大分良い。
それらの事情と合わせて、妙に胆力はあるため威圧感を加えれば大抵の不良は引いてくれるだろう。

ICODや組織に対する思いは有りそうだが、入れそうになさそうだ、と思っているようだ。
現に、本人もヒーローを始める前までは、バイクで夜な夜な暴走行為に耽っていた。
前科、という程ではないが、その手の組織に入るには、彼風に言えば、筋が通ってない、イケてないのだ。

「てめェはちぃっと人に迷惑掛けすぎだよなァ?
 人に迷惑かけられる側の気分を味わっておくのも悪くねぇんじゃねェ?」

尻尾を掴んで、振り回す三門んは、フォールのその叫び声を聞いてニヤニヤと笑い。
どうやら、ちょっとばかしお灸を据えてやろうという心づもりの模様。

「月に変わって――とは言わねぇが、ちょいと月までぶっ飛んでみるか。
 じゃーなー!」

そう言って、おもむろにフォールから手を離す三門。
だがしかし、フォールの体には違和感が有ったろう。
具体的に言えば、背中に星形の大きなシールが貼り付けられている。
そして、そのシールが鮮やかなオレンジ色に発光すると――天まで届けとばかりに、超加速されてフォールが夜空に打ち上げられるだろう。
数秒すれば加速は止むが、その速度も勢いもジェットコースターなど波ではなかったことだろう。
934 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/01(金) 23:38:35.54 ID:ZzbVFMiuo
>>927
「うわ、懐かしい」
特に目的もなく――、あるとするなら自分に利益をもたらす人探しの旅か
ともかく街をふらついている時に、それを見つけた

容姿は10歳にも満たないように見える、
そんなどこから見ても見た目は幼い姿の少女

懐かしさに連れられて、気付けば子ども達に紛れていた
主役を除けば、お人形さんのように可愛らしい印象を受けた気もしたが気にせずに、
子どもの頃を思い出しながらも、子ども達に紛れて劇を楽しむことにした
935 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 23:41:29.61 ID:QN/QIE5Eo
>>933
「そうですかね……? 上司の人は親切ですし、三門さんだって試験に合格すれば……」

そこまで言ってもう一度彼の服装を見直すと、合格すれば絶対入れてくれるとは言い切れず。
口をもごもごと動かすしかない。自分的には彼が強ければぜひとも入ってもらいたいのだが。

「なるほど……ッ……た、確かに楽そうです……頑張ってください……」

彼の目つきに気圧され、思わず「ひっ」と情けない声を上げそうになる少年。
必死で堪えて息の音だけに止めるも、彼からは堪えた様が丸見えだろう。ドラゴンは心の中で、情けねーなーなどと自分のことを棚に上げて思っている。
……しかし、ここは能力者の居る世界。能力持ちの不良も居るだろうし、果たしてメンチと威圧感だけで路地裏を闊歩できるものなのだろうか。

その答えは、直ぐに明らかになった。

「あぁ!? ……キャッキャッキャッ! 何されようが俺はへこたれねー……うごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

手を離されるまではいつも通りの強気な態度だったのだが、離されてからは一変。
……というより態度も何も、いきなり加速して夜空へと花火よろしくぶっ飛んでいったのだから態度も何もない。
十数秒後、べしゃりと地面にへばりついたドラゴンは目を回していた。急な加速で意識まで持っていかれたのだろう。

少年はドラゴンのことなど眼中に無く、ただ何があったのかと目をパチクリさせながら彼を見上げている。
何がどうなったとでも言いたげだ。……尤も、それはドラゴンのほうが1番聞きたいことだろうが。
936 :三門陽 [saga]:2013/02/01(金) 23:48:38.35 ID:a6+Sz+Oio
>>935
「ひゅ――、ちいせぇからよく飛ぶかね、とは思ったが。
 こうまで派手に飛ぶタァ思ってなかったなァ、オイ」

けらけらけら、と楽しそうに笑い声を響かせる男。
なんとも不可思議な加速を生んだ原因はこの男と見て間違いない。
地面にへばり付くドラゴンを鷲掴みにして持ち上げると、ぶんぶん振って意識を戻そうとするだろう。
そして、もし意識が戻れば。

「――これに懲りたら、あんまり人に迷惑かけるようなこと、すんじゃねェぞ。
 分かったか?」

と、いい笑顔を浮かべながら微妙に凄んでそう一押しして。
振り向けば、なんとも言えない顔でこっちを見る、葉流。
なにか有ったのか、とばかりな表情と態度で、三門は目線を真っ向からぶつかり合わせてみた。
要するに、メンチだった。
937 :フェルネス [saga]:2013/02/01(金) 23:48:46.97 ID:4a6uelblo
>>932

「(本当に、こっちであってるのか……?)」

自信も根拠も無かったが、それでも進んで行く。──今度の景色は、先程とは多少異なっていた。
いつの間にか早足となっていた歩みを止めて、数字の並んだ壁面とにらめっこ。

「なんだ、これ」

そこには一から十三の数字。そのうち幾つかの数字は、○に囲まれていた。
ここに存在するということは、何かしら意味がある筈なのだろうが──…
じーっ、と、ひたすら数字を凝視しながら、考える。しかしながら、頭を使うのは余り得意ではなかった。

「──」

結論は、容易く出そうに無かった。
そうして数分後。出来るだけその数字群を憶えるようにして、彼は歩みを再開する。
得るところがあったのかどうかは、彼の表情を──苦々しげなその顔を──顧みれば明らかである。

「……。一に近いのは、五のはずだろ……?」

段々と不安は増していくが、しかし、先程の手がかりからして、一応進歩はしているのだろうと自分に言い聞かせ。
彼は、直進の道を選んだ。相変わらずの調子で、彼は進んでいく。
938 :苅田 眞 [sage]:2013/02/01(金) 23:55:27.09 ID:awpJgERMo
>>931
「でも創作活動の邪魔はしないでほしいなぁー、ひとりで
作るのが楽しいんだから、出来上がったら見てほしいね。」

揺れるふたつの山、目が潰れる…そんな予感に駆られたからこそ
ひたすら目を逸らしながらぶっきらぼうに一言。
といっても彼女の言動からして自身の気持ちを考える可能性はほぼ皆無である。

(これだから酔っ払いは…。)

心の中で大きくため息をつきつつ、どうこの少女を追い払って創作を続けようかと
考えている途中、とても自身には馴染み深くない、不気味な匂いを感じ取った。
鉄の匂い。ここまでならいいだろうが、この少女から発せられるものはあまりにも
熱い物。

「なんだか、鉄臭いな…。」

気づくだろうか。繭を潜めながらつぶやいたことを。
ここはスラムと町をつなぐ場所とはいえ、こんなに大胆に匂いなど
つけて歩けるのだろうか。そんな疑問がよぎると、明るく踊っている少女の
明るさが、底なしに不気味に揺らぐのを感じた。

939 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/02/01(金) 23:56:30.17 ID:ZzbVFMiuo
>>937
そしてさらに直進すると、次は壁の隙間という隙間に、
ぎっしりと2が敷き詰められている

2が敷き詰められたような通路をしばらく歩くと、
また模様が元のスペードの記号に戻る

しかし、大きな変化が一つだけ

丁度模様が元に戻ってしばらく歩いた先に、
それは浮かんでいた

道はしばらく続く、これはその途中に浮かぶカード

クローバーの1という記号が描かれたカード
940 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/01(金) 23:59:24.26 ID:QN/QIE5Eo
>>936
「……うぐ……ハッ!? おいテメェよくも……」

流石にブンブンと振られればドラゴンも目を覚ます。
鷲掴みにされていることに気付き、それが彼だと気付くともう反撃を開始しようとする。
しかし振りほどくことは出来ないし、逆に笑顔の中に潜む凄みにコイツでさえも怯み。
「うぐぐ……」と呻いて少ししょんぼりした顔を見せるほか無かったのだった。
このドラゴンにおいてその顔は珍しい。普通に反省したようである。

「……ひゃっ!? ……え、えーと……もしかして三門さん、能力者だったり・・・…します?」

目線が合い、先ほどは耐えていたものの今回は無理だったらしく声が出てしまう。
必死に立て直そうとコホンと咳き込み、先ほどの詳細を聞いてみることにした。
アレは間違いなくただの物理現象では無いだろう。つまり彼の何らかの能力だったりする可能性が高いと踏んだのだ。
941 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:5体 [saga]:2013/02/02(土) 00:02:23.85 ID:uiwZkA5lo
>>934
(ま、また人が増えた……)

新たに来た観客を一目見て一瞬目が合う。
ただでさえ恥ずかしいのにこれ以上観客など増えないでほしいものだ……
しかし、舞台に上がる前に監督に言われたことを思い出す。

”観客の子供と目があったら手を振ってやること”

監督は舞台裏から見ている。
ここで言われたことを守らないと後で何を言われるか分からない。
クリオネは目があったエリアに対し、左手で軽く手を振る。
若干ぎこちない笑顔を浮かべながら……

「さあ、ここまでよっ! 怪人ヤルキナイーン!!」

エリアから視線を外し、再び劇を再開する。
怪人を指さし、お決まりのセリフを吐いて必殺技のシーンだ。
ヒーローものは大抵変身後の必殺技で勝負がつく。

「プリキュア! バーニング・ストライク!!」

「プリキュア! プリズム・フラッシュ!!」

「プリキュア! エメラルド・カッター!!」

「プリキュア! サファイア・インパクト!!」

クリオネ以外のメンバーが派手なエフェクトと共に必殺技を思い思いに放つ。
数の暴力に対抗できない怪人はボロボロだ。

「「「「みんな! とどめの一撃を応援してあげて! さあ、一緒に”プリキュア頑張れー!!”」」」」

4人のメンバーが観客に呼びかける。
そうして観客の皆はそれぞれ一緒にがんばれーと応援を開始した。

「み、みんなありがとう!みんなのパワーが私に伝わってくるわ」

開き直ったのか、先ほどよりかはスムーズにセリフが言えたクリオネだがまだためらいがあるようだ。

「とどめよ! プリキュア! レインボー・ダイナマイトエクスプロージョン!!!」

ドカーンと言う音と共に輝くエフェクト。
怪人は吹き飛び、舞台から消える。

「み……みんなのおかげで怪人をやっつけることが出来たわ。ありがとう。」

「これから、プリキュアと握手したいお友達は握手会に参加できるからこっちへ並んでね」

と、舞台横にあるテーブルを指す。
ここへ並べばプリキュア(=クリオネ)と握手が出来るぞ。
挨拶をした後でクリオネは仕方なくテーブルの元へ行き、子供たちと握手をしていく。
942 :ベアトリス・セイクリッド [saga]:2013/02/02(土) 00:02:47.20 ID:rYOTUOA3o
>>828

「心得ました、有難うございます。」

「気安くだなんてそんな……なんでも、仰って下さい。」

にこり、と頬を緩ませて頷く。自分らしくとはなんだろうか、と思いながらも。
大神の言葉に考える所があったのか、これからの課題を見つけた様で嬉しそうだ。

謝罪の言葉を口にする大神に申し訳なさそうに取りなす。
ベアトリスは少し慌てた様に、笑顔を浮かべていた。

「優しすぎる……かもしれません。わかりました、大神さんを頼ります。」

「悩み易い人間です。自覚しているのですけどね……大神さん、宜しくお願いしますね?」

でも、無理は為さらぬ様に。そう付け加えて改めて頼ると伝えておく。
誰も彼も進んでやりたい事ではないはずだから―――大神に全てを押し付けるつもりもないが。

続く沈黙が打ち破られ、ベアトリスは大神の言葉に苦笑して―――。


「わかりました―――えぇ、もう随分と夜更けで。明日も早くから動きますし、休みましょう。」

「それでは大神さん、また明日。私も休ませて貰いますね。おやすみなさい、良い夢を。」

明日もまた”任務”が有った。そう大したものではないが、L.M.G.からとなれば万全を期さねばならない。
ベアトリスは広い聖堂で就寝につく大神に一礼し、私室へと歩き出す―――長い廊下で、立ち止まり。

顎に手を当て、嬉しむ様な、困った様な――それでも、新たな生活を享受し、これからに期待を得た様だった。


/すいません、お返しします!ここらで〆ましょう!お疲れ様でした!
943 :三門陽 [saga]:2013/02/02(土) 00:05:03.66 ID:LcU2pRIQo
>>940
「反省したならいいんだ、ほれ葉流。
 フォール返すぞ」

そう言うと、何処かうなだれているフォールを渡す。
大分ぞんざいな扱いだが、これで大分お灸は据えられただろう。
必要以上にするつもりは無いようで、それ以上何かをする様子はない。

「あー、そうそうそう、俺能力者な。
 つっても、大分最近目覚めたばっかでよ。
 全ッ然扱いとか慣れてねぇんだけどな。それでも結構頑張って練習してるところなんだが」

案外簡単に能力者だと認める三門。
しかしながら、素人であると認めているし、喧嘩慣れしていても能力者に良く見られる裏社会慣れ――悪く言えばスれた気配は、無い。
一般人が唐突に異能に目覚めるという事も無いわけではなく、そこから人生が変わることも少なくはない。
それでも、前向きに能力と付き合っている三門は、かなり救いのある部類だったろう。
944 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 00:10:49.19 ID:yCnHPnoXo
>>941
(吹っ切れない人が一人だけ……?
おかしいな、おかしいな)
身体は子どもしかし心は本質的には大人な少女
裏でなにかあったのかな?なんて思いつつ

そして手を振られて、無邪気な笑顔を作り、振りかえす
無邪気な笑顔を作っているという矛盾っぷりは、
ほかの子ども達の無邪気な笑みと比べると、微妙な笑みの時に目つきの違いといった
そんな部分で、どうしても浮き出るものがある

「ガンバレー、ガンバレー」
子ども達に合わせて、少女も応援を開始する
ただしやる気のなさが棒読みに現れている

「握手会かー、実際のところは演じている人との握手会なんだよね
それ以前に、これ無料だよね?」
昔、なにか買わないと握手させてもらえない、そんなことがあった気がして
でも結局並ぶわけなのだが
945 :フェルネス [saga]:2013/02/02(土) 00:13:02.33 ID:qQHucvuDo
>>939

「うげ、なんだこれ……。」

唯の数字とは言っても、ぎっしりと敷き詰められたそれは中々に不気味な様相を呈していた。m
状況の変化を嬉しく思いながら、或は不気味に思いながら。なおも歩みを進めていけば、元のスペードが再び姿を現した。
「なんだ、また元通りか──」そう溜め息をつきそうになって、そして少年は、一つの大きな変化に気がつくのであった。

「──! まず、ひとつっ」

クローバーの一。
探し求めて居た四つのスートのうちの一つ。彼は直ぐさま駆け寄って、それを手にする。

「あとは、三つだな!」

とはいえ、なぜスペードに囲まれた空間にクローバーがあるのか、ニに敷き詰められた空間は何だったのか。
その謎は依然として判然としないのだが──進展具合に不安があっただけ、喜びは大きかったらしい。
またもや一転、右手に確りとカードを持ちながら、少年は歩みを再開するのであった。

/すみません、また凍結か省略をお願いします……!
946 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/02(土) 00:13:58.13 ID:0XTRWsx9o
>>938
「ふっふー...そーさくかつどーね...いいねーっ!
今私と趣味合いそうな人からの電波でいい感じの作品思いついたっ!...キャハッ!」

何が思い付いたのか
今の彼女の様子じゃあ、ロクなものは思い浮かばないだろう
ただ、そんな思考はどうでも良かった

彼女の匂いは確実に血液だった
女性特有の香水の匂いに混じって確実に少年の嗅覚に届く
両手を水平に、まるで独楽の如くグルグルと
上機嫌な女はニヤリと笑ってそう言った
少年を見て、呟く

「いい感じの──モデルも」

ふと、彼女の口の中に見える
他とは違って少しだけ伸びている八重歯
妖艶な唇と──舌。
たったそれだけで、何かを
それだけのキーワードで一種のとある御伽噺の生き物を連想させる

「とーーっても、美味しそう──...だし」

ペロリと、彼女は自身の唇を舐めた
唇についていたようにも見えた、紅い“それ”は何だっただろう
まるでご馳走を前に舌舐めずりをする動物のように
必死にも我慢しているようにも
無邪気な、悪趣味な冗談にも
彼女の笑みはどういう思考なのか
ただ、磔にされそうな程鋭い視線が少年を射抜いてるだけ
947 :ベルム 黒ずくめマジシャン [sage]:2013/02/02(土) 00:15:24.90 ID:yCnHPnoXo
>>945
少年の暇つぶし……、その行く末はいかに?
とりあえずここまで

//了解、お疲れ様でした!
948 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:5体 [saga]:2013/02/02(土) 00:21:34.79 ID:uiwZkA5lo
>>944
クリオネは順々に握手をしていく。
子供たちが嬉しそうな笑顔を浮かべて握手をして手を上下に振ってくる。
子供たちは特に何も持っていない。
物販の購入者だけが握手会に参加できるという訳では無いようだ。

「応援してくれてありがとう……」

本来なら語尾は「……」ではなく「!」が正解だが、正直ここまでやった時点で上出来だろう。
何とかこちらもにこやかな顔を作って子供たちを失望させないようにする。

(全く……裏世界に生きて、敵に回すと厄介極まりないと恐れられた私がこんなっ)

列を消化していくと、先ほど手を振った女の子が来た。
順番は最後で、この子の後ろにはもう誰もいなかった。

「お、応援ありがとう。キミの声援が確かに聞こえたよ」

(やる気のない声援がな)

裏の声は聞こえないようにするも、若干目に出ていたかもしれない。
それ以前に笑顔がぎこちないのだが。

「キミもプリキュア好きなのかな?」

一言くらいはテンプレ以外の事を喋ってやれ。
これも監督の指示だ。
949 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/02(土) 00:21:47.65 ID:zES5M4hHo
>>943
「あ、どうも……ありがとうございます」
「……」

適度にお灸が据えられたようで、少年の方は嬉しそうに笑みを浮かべている。
自分では何度やっても全くと言って良いほど反省している所が見られなかったため、これはかなり嬉しいのだ。
ドラゴンはといえば器用に体操座りのような姿勢をして少年の手の上に乗っかっていた。
これは本当に反省しているようだと確信した少年は、飛び上がりたい気分でもある。

「そうなんですか……えっと、まぁ、僕も能力者なんです。半ば強制的にされた身ですけど」
「俺が葉流のピンチの時に救ってやったんだよ……」

しかし、ドラゴンの声に覇気が無い。何時もの勢いがないのに少しだけ心配し始める少年。
それはともかく、少年はそう言って自分も能力者であることを簡単に明かす。あまり重要ではないと思っているからであるのだが。

……あまり彼が能力者とは思えない。そう言っても一般人に見えるわけじゃないが、普通のヤンキーに見えてしょうがないのだ。
それは、やはり彼が殺人などの行為を行っていないからだろうか。それとも、能力に目覚めたことを、通過儀礼の1つのようにでも考えているのだろうか。
少年は、その特殊な感じが無いことにとても惹かれる。こちらはと言えば、人生が変わったと言っても過言ではないのに。

「……あの。三門さんは自身が能力者である事をどう考えてますか?」

そして、そんなことを聞いた。
950 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/02(土) 00:22:56.65 ID:zES5M4hHo
>>949
最後の行の「そして」→「だから」です! あまり関係ないですが訂正しておきます!
951 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 00:27:38.58 ID:yCnHPnoXo
>>948
「聞こえた? 嬉しいな♪
声援が一人増えると、プリキュアもより強くなるって言うしね」
あのやる気のない声援を聞いているのなら、
今の少女の、若干ねこなで掛かったこの口調を聞いて、こう思うかもしれない

猫を被っている、と

「でも、もし声援がなかったら、プリキュアはどうなっちゃうんだろう?」
半分は純粋な疑問でもあった、違う意味で
ついでと言わんばかりに、そんな質問をぶつけてくる

「うん、だって魔法が使えるでしょ

952 :エリア 猫かぶり少女 [sage]:2013/02/02(土) 00:30:01.41 ID:yCnHPnoXo
//途中送信申し訳ない!

「私はプリキュアみたいな魔法なんて使えないし
憧れっていうのかな?」
見た目にしては妙に……

「ねえねえ、ところで握手ができるプリキュアっておねえさんだけなの?」
口調を崩さずに、続けて尋ねてみることに
これもまた、半分は純粋な疑問によるもの
953 :三門陽 [saga]:2013/02/02(土) 00:30:55.21 ID:LcU2pRIQo
>>949
「なるほどねェ……、俺はそーだな。
 前金無くてよ、ちょいと治験のバイト行ったっけ、寝て起きたら使えるようになってたわけよ。
 変な薬打たれたりしてた見てぇだから、ちょいとどんなもんか気になるけど、今ん所やたら腹減る以外問題ねぇしよ」

お前も大変なんだなあ、としみじみとした表情で葉流を見る三門。
話を聞けば、なにやら色々怪しい物事に関わっている気配はビンビンとしている。
しかしながら、本人がそれらを全く来にしていないため、あっそう、で済まされそうな軽い話で終わっていた。
実際問題、本人も能力に目覚める前も後もそうそう人間性も変わっていない。
そして、相手の質問には、んー、と一瞬思案して。

「なんか理由があんだろうよ。
 俺が能力に目覚めたのは、これから先俺が能力を使う必要があるから目覚めたんだと思う。
 だったらよ、精々胸張って誇れる使い方してェじゃん? その方がカッケーし。ま、そんな感じよ。
 怪我だってしたし、命は狙われるし、色々変わっちまったけどよ、別にどーなろーが俺は俺だしな。
 そりゃ血が緑色とかになったとか、鱗が生えてきたとか、目が増えたとか、腕が増えたとかなら、ちょっとどーしよか悩むかもだけどな」

自分なりの意見を、朗々と紡ぎ上げていく。
能力に目覚めたのは、きっと何か必要になる運命が待っているだろうから。
そして、折角目覚めたんだから胸を張れる格好いい使い方をしたい。
それくらいが三門が能力に対して思っていることで、そう思った結果がヒーロー活動だ。
考えなしなのか、それとも気丈なのか。実際はそのどちらも兼ね備えているのだが、どっちにしろ、普通すぎるぐらいにこの青年はただのヤンキー≠セった。
954 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/02/02(土) 00:39:37.44 ID:uiwZkA5lo
>>951
(なんかさっきと声が全然違う……)

一瞬目を細めるが、ここで

「何、猫かぶってんの? キモッ」

といつもの様に煽るわけには行かない。
あくまでも今はプリキュアなのだ。笑顔、笑顔。

「み、みんなの声援が無かったら……きっと負けちゃってたわ。だから、今日の勝利は私たちだけじゃなくて、みんなの勝利でもあるんだよ」

こんな感じの答えで良いのだろうか……

(は? バカじゃん。勝ったのはプリキュアでしょ。プリキュアだけの勝ちだよ。てか台本で勝つって決まってるんだから勝つに決まってるでしょ)

「キミは魔法が使いたいんだ。大丈夫、魔法はみんなの心の中にあるんだよ。キミも、心の中には魔法があるんだよ」

(……何言ってんだか)

エリアの手を強く握り、熱弁っぽく喋る。
アドリブだが、こんなことを言っておけば失望はさせないだろう。

「ほ……他のメンバーはちょっと用事があるのよ。だから私だけ。……他のメンバーが良かったかな?」

実は疲れるから早々に消してしまったなんて言えない。
955 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/02(土) 00:43:30.02 ID:zES5M4hHo
>>953
「ど、どんなバイトなんですかそれ……と言うか能力が使えるようになる薬って……」

彼の話は軽かった。内容的にはかなり重苦しいものだと思うのだが。
思ったことを率直に突っ込む少年には、しかし軽く済ませてしまう彼が羨ましく。
自分は、この能力を持ったことを軽く済ませているのだろうか、何て思ったりもしてしまう。

「……」
「……? 葉流?」

彼の境遇と自分の境遇が殆ど被っていたのだから、少年は彼の意見に対して考えずにはいられない。
と言うか、彼の意見は自分が能力者となった時の意見とそっくりだった。
貰ったこの能力、どうせ使うなら胸を張って誇れることに使いたい。彼と少年とで、その誇れることが違っただけ。
相手はヒーロー、此方は治安維持。大方同じ様なものだが。
とすれば、自分も彼のような"普通の少年≠ネのだろうか。……そう考えると、少し違うような気もしてくるけれど。

「……お話、ありがとうございました。 ……それじゃ、僕達は帰りますね。さようなら!」

今日は似たような人と出会って、その人の意見が聞けただけで少年は満足だった。ついでにこの悪魔のしつけも。
彼が止めなければ、少年は手にドラゴンを乗せたまま帰っていくだろう。 顔は、満足げな笑みだった。
956 :三門陽 [saga]:2013/02/02(土) 00:50:42.25 ID:LcU2pRIQo
>>955
「おう、じゃーなー!
 あ、これ俺のメアド! 葉流なら俺たちのメーリングリスト登録してもよさそうだしよ!
 ってことで、悪人の情報とかよろしくッ! 俺とかダチもばっしばっしやっからよ!」

びゅう、と風が吹いて、名刺のような長方形の紙がオレンジ色の軌跡を描いて葉流の手元へ。
それは、恐らくPCで作成したと思われる手作り感満載の名刺だ。
白い厚紙に、
職業:ヒーロー見習い、宇宙飛行士志望、高校生
名前:三門陽
その他もろもろ、連絡先などが書いてあって。
色とりどりの星マークが名刺の上では乱舞していた。
その紙を相手が受け取ったのを確認すれば、三門も近くに止めたバイクのエンジンを掛けて、爆音を響かせながら走り去っていくことだろう。
957 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 00:52:26.24 ID:yCnHPnoXo
>>954
「ふーん、そうなんだ」
一瞬素っ気ない口調となる少女
というのも

(……ちょっと面白そうなこと思いついたかも)
もしもプリキュアに無関心な子ども達だけを集めたら、
それでも淡々とショーを続けるのだろうか

そして、それを世のプリキュア好きの子ども達に見せてみれば、
少しは夢の破壊につながるだろうか

そんな光景を、純粋に見てみたくなった少女であった

「そっか、心の中に、誰も彼も魔法があるんだー
いいこと聞いちゃった♪」
お腹を抱えて大笑いしたかったのをこらえて、
また猫なで声を作り出す少女

今の自分はあくまでも少女、それを忘れずに行動しなければ

「うん、エメラルドカッターって叫んでたプリキュアがいいな
ダメだったら気にしないよ、うん、気にしない」
なんども連呼するのは、自分に言い聞かせるためだろうか
それすらも本音かどうかはわからないわけだが
958 :葉流(悪魔を連れた黒髪の少年) -And Devil- E:レイジングブル,デザートイーグル :2013/02/02(土) 01:02:55.68 ID:zES5M4hHo
>>956
「う、うわっ……と。 ……こ、これは……」

風に乗ってやってきたのは、いかにも手作りという感じの名刺のようなもの。
しかし折角出来た知り合いの物、無駄にするわけには行かない。勿論大事に取っておく。

「さようならー!」

振り返ると、バイクにまたがり今まさに発車しようとする彼の姿。
そして少年は彼の姿が見えなくなるまで手を振っていたのだった。

―――

「やっぱり焼き鳥だけじゃ物足りねー! 早く帰って飯食うぞ飯! キャッキャッキャッ!」

「……」

やはり反省したのは演技だったか。そう思うが早いか、少年はドラゴンに向けてデザートイーグルの銃口を向ける。
パンッと乾いた音が響いた。

/お疲れ様ですー!
/昨日ロールしたとはいえ何日かのブランクがあって上手く文章がかけませんでした、すみません……
/絡みありがとうございました!
959 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 [saga]:2013/02/02(土) 01:02:58.44 ID:uiwZkA5lo
>>957
(この女……絶対裏でなんか考えてるね)

クリオネは裏で鍛えた眼でエリアの二面性を漠然と読み取る。
だが、今の立場でそれをどうにかするわけにもいかない。

エリアの、もう一人のプリキュアを見たいと言う申し出。
話しの流れからなんとなく予想は付いたが、正直勘弁してほしい。
ちらっと横目で監督の方を見る。お願いだから止めてくれと……
が、希望とは裏腹に監督は腕を組んだまま深く頷く。

(は!? 出せってこと!?)

冗談ではない。そう思いながらも、一応は正式な依頼。
クライアントを無視する訳にもいかず、

「わ、わかったわ。おーい、ミントちゃーん」

舞台袖へ向かい手を振りながら呼びかける。
本当はそんな所に誰もいないのに。

「はーい」

わざわざ舞台袖の隠れた場所に人形を作り、こちらへ歩かせてくる。
緑のフワッとした髪の毛にすらっと高めな身長。そしてメンバーの中で最も胸が大きい。

「あなたが、私に会いたいのかな?」

優しい声で、癒しを体現するかのようなプリキュアだ。
膝を曲げてエリアに話しかける。
960 :苅田 眞  [sage]:2013/02/02(土) 01:04:34.53 ID:ky6hBCpko
>>946
「うーん、なにを考えているわからないけどさ・・・。」

鋭い視線、八重歯、血液。どれもこれも穏やかな人間がする
ものではない。というより、これは古の御伽噺によく出てくる吸血鬼を思わせる。
と、なるとこれは間違いなく厄介ごとを運び込む存在だ。
だが―それが自分には、まるで神の贈り物でさえ思えた。

「鉄の匂い振舞って、八重歯で、自分をそんなものほしそうに
見ているなんてお前、吸血鬼みたい類だよな。」

普通の人間ならば、ここで正体など推し量らず、話題をずらしながら
少しずつ終わらせるように仕向けるだろう。だが、生憎彼はそういう性格ではない。
むしろ、彼はおどけるような表情で言い放つ。まるで油に火をつけるかのように。

「トマトジュースじゃ我慢できなくなったたちかい?」

それは、もはや煽っていると言っても過言ではない。
地雷があれば、それを積極的に踏み抜く。それが眞という愚者だ。
961 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 01:12:08.08 ID:yCnHPnoXo
>>959
(ワタシハコドモダヨ
……ま、端から似たような環境に立たされた人までだましきれるとは思っていなけど)
考えていても、実行に移す手立てが思いつかない
と同時に、今自分の目の前にいるクリオネのぎこちなさから、
なんとなく自分に近く遠いものを感じ取る

だからどうするわけでもないのだが、あくまでも今は子ども

そして、高めな身長のプリキュアがやってきたのを見て、
いろいろと考えを張り巡らせる少女

「うん、せっかくだから
なんだかプリキュアっぽいおねえさんだね」
ぎこちなさが一切見られない態度を見て、クリオネとこっそり比べて
ただ場慣れしているだけなのかな、と今は思う
962 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 [saga]:2013/02/02(土) 01:21:11.14 ID:uiwZkA5lo
>>961
『プリキュアっぽい? ふふっ、私たちはみんなプリキュアよ』

ニコニコと笑いながらエリアに目線を合わせて言う。
人形を介してならちゃんと演技ができる。
今までの潜入任務はほとんど人形でやっていたからこっちは慣れたものだ。

『今日は楽しんでもらえたかな? 私たちみんな頑張ったのよ』

クリオネ本人は黙って立っている。
とりあえずはこのミントの人形でやり過ごそう。

(……なんか私だけプリキュアっぽくないみたいな言い方ね。いや、別に良いんだけど)


//紛らわしいので、人形に喋らせているセリフは『』にしてあります。
963 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 01:35:40.78 ID:yCnHPnoXo
>>962
「そっかどこか遠い場所で戦うプリキュアたちが
私達のところまでやってきたんだよね」
はっ、とした様子……、を作り上げて
あくまでも、基本は無邪気な少女、の設定である

演技力にはそれなりに自信がある
おかげでいままで生きてこられたのだから

「うん、楽しかった
プリキュアはこうやって人前にも立たなきゃいけないから、大変だね」
楽しむ、ということは、
これはショーである前提で会話を進めても問題ないと考える少女

「見世物のために徹底的に潰されちゃった怪物さんは置いておいて……
あれ、おねえさん、どうかしたの?」
なにか言おうとして、硬直しているように見えたクリオネに声をかけてみる少女
これが人形劇であることまでは、さすがに気付かないわけだが
964 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 [saga]:2013/02/02(土) 01:46:03.07 ID:uiwZkA5lo
>>963
『それはよかった。私たちプリキュアは怪人をやっつけるのと同時にみんなに夢を与えることもしているのよ』

『それに、プリキュアはみんなのヒーローだからみんなの前に出ることは苦痛じゃないわ』

プリキュアを見た子供たちが少しでも夢を見てくれればいい。
と、台本についていた設定集に書いてあった。

「え?」

ミントに興味があると思って気を抜いていたクリオネは一瞬素で答えてしまった。
これは失敗、すぐさまプリキュアモードになってエリアに答える。

「ごめんね、次の戦いについて考えていたのよ」

(いや、次なんてないわ。……っていうかミントで満足しておきなさいよ)

クリオネもエリアに目線を合わせてぎこちない笑顔を作って見せる。
965 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 01:57:34.80 ID:yCnHPnoXo
>>964
「夢……」
ほんの少しだけ、素に戻る少女
主に口調が素に戻っていた

が、すぐに口調を元に戻す
「ヒーローって、やっぱりすごいや
私には、絶対に真似できない」
心より、そう言い切る少女

「次の戦い……、じゃあ、またどこかで出会えるかもしれないんだ」
戦いと公演を同じに考えての一言であった
そして、にっこりと、子どもらしい笑顔を作り出して、

「じゃ、握手しよ?」
でもなんだかんだで、
結局クリオネに握手を求める少女であった


……ならなぜミントを呼んだのだ
966 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 [saga]:2013/02/02(土) 02:03:56.58 ID:uiwZkA5lo
>>965
(やっぱり……この女はこっちが素か)

先ほど感じたエリアの二面性。
それが核心に変わるが、だからどうということも無い。
今はこの猫をかぶった少女に笑いかけるプリキュアだ。

『そうね、誰にでも出来る事じゃないかもしれないわ。だから私たちが戦うの』

戦う役目は引き受けるといった言い方で、エリアに答える。
あくまでテンプレのセリフだ。

「え、ええ。またこの街に怪人が現れたら、その時は必ず会えるわ。その時はまた応援してね」

エリアが差し出す手に応じて握手で返す。
ミントは出し損なのだろうか。しかしあの時出さなければ監督に後で小言を言われるだろうし。
967 :エリア 猫かぶり少女 [saga]:2013/02/02(土) 02:16:47.80 ID:yCnHPnoXo
>>966
(うーん、調子でないや)
どこまで仮面をかぶり続けても、
どこに穴があるかはわからない

ついうっかり、穴を開けてしまうこともある
しかしどうであれ、今日のところは一人の観客
観客であるなら、最後までそれを付きとおすだけ

「じゃあ、任せちゃう」
……それはある意味、今自分が生きている世界でも言えることか

「うん、その時が来たら」
そして手を離す

「プリキュアがこんなすぐ近くでみられるなんて、今日のところは二人も見られたのは私ぐらいかな?
いい夢を見させてくれて、ありがとう」
そしてどこかへと歩き出す
ステージを降りたあたりで振り向き、もう一度だけ大きく手を振った

いい土産話と、面白そうな人と出会えたこと
今日も実りある一日だった、なんだかんだで少女にとってはそんな気がした

//頭がぼんやりしだしたのと、ネタ切れが近づいたのでこのあたりで
絡み感謝です、そしてお疲れ様でした!!
968 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/02/02(土) 02:25:06.55 ID:uiwZkA5lo
>>967
「うん、見てくれてありがとう。また見に来てねー」

手を振ってエリアを見送るクリオネ。
エリアが見えなくなると、プリキュアの人形を消し、一気に力を抜く。

「あー疲れた……」

首を曲げ、プリキュアでは考えられないような動きで体をほぐす。
監督の方に向かって行き、報酬を貰ってさっさと帰ろう。

「確かに受け取ったわ」

報酬の入った封筒をポケットに入れ、踵を返して帰ろうとする。

「ちょーっと待った、クリオネちゃん」

呼び止められるクリオネ。まだ何かあるのだろうか
仕方なくだるそうに振り向くと

「えーっと次の公演なんだけどね〜」

(は? まだあるの……?)

戦えプリキュア、戦えクリオネ。
君達の戦いはまだまだ始まったばかりだ。

次回:未定

//こんなネタロールに付き合ってくださりありがとうございました
//お疲れ様です。
969 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/02(土) 05:06:53.33 ID:0XTRWsx9o
>>960
「キャッハッハ!君は面白いねーっ!ちょっと違うが朴念仁だ!」

キャッハッハ!と不快な笑い声が続く
心の内側を踏み荒らす様な笑い声は少女が落ち着くまでしばらく続く
この地雷まで踏み抜くものと言わんばかりの少年がたまらなく面白いのか
笑う際に少女が見せた鋭い視線は何だったのだろうか

「そうそう!トマトジュースなんてゲテモノじゃあ、満足できないのよーっ
1番は年端もいかぬ純潔な女の子の血だね!」

まるでその女の子がそこにいるのかと抱きしめるように腕を動かしたり
そして続ける──、2番目は年端もいかぬ男の子が良いと
再び、少年を見た
少年が年端もいかぬ年代かは微妙だが
3桁単位で生きる吸血鬼の前では赤子同然だ

一歩、足が前に出た
少年に向けて歩き出す一歩が
口から見える八重歯を舐めながら

「ところで──、君の味はどんな味だろうね?」

ふと、そんな事を言い出した
少年がいかに鈍感だろうと、流石に気付くだろう
970 :苅田 眞 [sage]:2013/02/02(土) 20:05:10.26 ID:ky6hBCpko
>>969
「トマトジュースがゲテモノ・・・ねぇ。まぁ、事実だしね、
アレ塩分相当入っているらしいし。」

(まさか、モノホンか。)
魔法などもあるこんな世界だ、吸血鬼というのはいてもおかしくは
ない。だが、実際に会えるとは想像もしなかった。
溢れ出るものは恐怖ではなく好奇心。とはいえ実際、吸われたくは
ないが。

「なるほど、自分はその年端もいかぬ子羊か。生憎、最近は油物ばかり
食べているんでね、吸血鬼が吸ってもギトギトで美味しくありませんよっと!」

とかく、このトンネルから出たほうがいいだろう、相手の能力は
未知数。ゆえにこんな狭い場所ではいかんせん戦いづらいし、不利になる可能性がある。
眞は右手に磁石のくの字のブーメランを生成、それを迫り来る吸血鬼(仮)の足元を狙って
投げつけ、出口に向かって走り出す。


971 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/02(土) 20:33:31.48 ID:0XTRWsx9o
>>970
「えーっ!待ってよーッ!!食べる気なんて無いからさッキャッハッハ!」

曲線を描いて飛んでくるブーメランを視界に入れ、少年を追いかけるように駆ける
その時、トンネル故に四方八方から照らされできた自身の影を見た
トン、と軽く彼女は自分の“影を踏みつける”
変化は目に見える速度
ギュルギュルと粘性の物質がねじ曲がるような音をたてて変形を起こす
不定形でありながら、意思を持った生き物のように変化した

それは黒い『人形』だった
無数の目に腕の代わりの細長い触手
時間とシチュエーションもあり、一層不気味に見える
人型とはとても言えないそれは大きく触手を動かしてブーメランの盾となった

「けっけーっ!あたしっていつも皆に逃げられるのにさーっ!
君も他の連中と一緒かよーっ!キャッハッハ!」

ブーメランの直撃で大きくよろめく『人形』を尻目に少女は飛び跳ねる
吸血鬼ならば、見た目の年齢なんてアテにはならないが彼女はどう見ても若い
走る早さ自体は少年と同等か、それ以上か

ブーメランの軌道は見ていない
『人形』を振り切って大きく円を描き
後ろから少女を狙える事も不可能ではない

ただ、気になるのは彼女の言葉
「他の連中と一緒」
ただ、それだけにどれ程の意味があるか
彼女の真意なんて理解できない
顔面に張り付いたような笑顔が彼女の意思を隠している
ブラフかそれとも──。
972 :苅田 眞 [sage]:2013/02/02(土) 20:54:51.50 ID:ky6hBCpko
>>971
「トンネルから出たら相手してやるよ、それまでは
我慢しろ、約束するから!」

走りながら振り向けば黒い人形と自分を追ってくる吸血鬼(仮)
この分の速さなら彼女が自分を見失う事なく、いっしょにトンネルから
出れるだろう。

(……ほかの連中と一緒か。)

なるほど、吸血鬼と思えば普通は逃げるだろう。まぁ、自分も
現に逃げているのだが。
だが、自身が襲われているのは恐怖とは違う何かというのがわかる。
なんというか、身体から何かが湧き上がるのだ。昂ぶる何かが。

走る青年の駆け方は必死さを感じさせず、むしろ鬼ごっこをしているかのような
大胆の腕の振り方、そして走る力強さを感じさせる。
見えるだろうか、青年の顔が、少しだが、笑っている事を。
973 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/02(土) 21:11:56.07 ID:0XTRWsx9o
>>972
「相手ぇー?吸わせてくれるの?
それとも押し倒してもいいのかなっ!いいのだっあー!!」

ニヤッとベクトルは違う気がするが彼女も子供らしい
彼と同じく心底楽しそうに
間違いない。まさしく、鬼ごっこだ

心の何処かで彼女には違和感があった
こいつは他とは違うのか、と
今までの連中と違う
あの男と──、同じ部類の人間か

ぴょーんと跳ねて、大股のスキップで走ってほぼ同時にトンネルを抜け出した
ザッとアスファルトに着地して少年の方を向いた
遅れて彼女の呼び出した不気味な『人形』がトンネルから彼女を追う様に出てきた
彼女は少年の方向を向いて、口を開く

「ねェ...君にはあたしがどう見える?」

変人?不審者?それとも、吸血鬼?
どう見ても、おかしいヒトでしょ?
と、両手を広げてそう言った
まるで、今までとは違う変化を求めるように
今までとは違う何かを求めるように
974 :苅田 眞 [sage]:2013/02/02(土) 21:53:21.44 ID:ky6hBCpko
>>973
「自分はまだ14だって!」

眞も同じくそのまま大股で走りぬけ、滑るかのように
静止して、そのまま吸血鬼(仮)と向き合う。
走った所為か息が荒い、達成感に満ちた荒さだ。

突然の質問と自嘲に、眞はクックック・・・と堪えるような
仕草をした。まるでいまさら何を言っているんだと
呆れるように。

(―おかしいだって?それは自分もだよ。でも、いいじゃないか、変わってるってさ。)

「えーとね、一言で言うなら変態かな。いきなりそんなシリアスなんかに
なられても気の利いた言葉なんかでねぇよ。」

いとも簡単に本音をぶちまけた。というより、この少女が突然こんな事を言ったとしても
こういい返すしか他にない。なにせそれ以外に形容の仕様がないのだから。
白い歯を見せながら、彼女にとっても、自身にとっても今、重要なことをひとつ問う

「で、どうするんだ?遊ぶのか?さっさと決めないと明けるぞ。」

右手にはさっき投げたブーメランが。空は、薄く黄色かかっていた。
975 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/02(土) 22:09:57.97 ID:0XTRWsx9o
>>974
「キャハ」
「キャハハッ!」
「キャッハッハキャッハッハ!!!」

笑う、ひたすら笑尽くす
喉や肺が潰れるのではないかと思うぐらい
この少年は、自分を変態と
“化物以外の名で呼んでくれた”
その答えに、思いもよらぬ感情が湧き上がった
名も知らぬその感情が、果てもなく──。
果てもなく──、嬉しいのか

「ん──?朝...なの?
朝...嫌い。肌がヒリヒリする」

と、落ち着いた口調に変化した
打って変わって、周りと反比例に暗くなった
薄くなった空を睨みつけて、ツンと
一転、テンションが落ちている
さっきまでの天真爛漫(?)とは訳が違う
本当に吸血鬼の様だ、日光が嫌のようだ
少しだけ、後ろに下がった
トンネルの影だ、申し訳なさそうに言った

「ごめんね?君の血で遊びたいけど...
吸い付くしたいけど...」

ちょこんと、影の中で体操座りだ
急に弱々しくなるのは何処か俗にいうギャップ萌えというのだろうか
寂しそうな紅い目で少年を見た
976 :大神 恭子 :2013/02/02(土) 22:45:21.73 ID:q/6K+qVSo
ここは街中にある古い教会。
礼拝堂としての役割はもちろんのこと、人に食事を振る舞ったり、貧しい人を保護したりもしている。人々の救いの場所。
――これからはL.M.Gの拠点としての役割を持つことになるのだが、それは関係者のみが知る話だ。

季節は冬だが天気は雲の少ない晴れで、日の光が暖かい。
教会の正面で箒を担いだ女性が、埃を掃きだしている。

顔の半分を布キレで隠している。
露呈した半部の顔からのぞいている片目は、教会の聖職者にしては刃物のように鋭く尖っている。
977 :ベルム 黒ずくめマジシャン [saga]:2013/02/02(土) 22:53:29.00 ID:yCnHPnoXo
>>945
しばらく歩いてみれば、再びぶつかる分かれ道
右に続く道、近くの壁に7の文字
左に続く道、近くの壁に8の文字

しかし、前へと道は続かない
代わりに、歩むことを阻むその壁には
クローバー、ダイア、ハートの絵柄がそれぞれ刻まれている
978 :苅田 眞 [sage]:2013/02/02(土) 23:18:31.60 ID:ky6hBCpko
>>975
「変態って言われて喜ぶとか随分変わってるな、お前―ってどうした?」

笑い続ける少女を見て、疑問そうに首をかしげた。なぜ、こんなに
も嬉しそうなのだろうと。
そして、微かな光が、地面を少しずつ染めた時に、彼女は豹変した。

(なるほど、いままで多少、疑っていたが本当の吸血鬼だ……)

「吸うのは勘弁してほしいな。遊ぶのはいいけど。
あ、そうだ。どうせ落書きがあるんだしさ、またここで待ち合わせね?」

そこらへんの壁に寄り添いながら、親指でトンネルの
向こう側をさした。あそこまで派手な落書き
ならすぐわかるだろう。

「また、いつか・・・さ。」


979 :アリサ・エクルストン:マイペース吸血鬼 [sage]:2013/02/02(土) 23:35:12.03 ID:0XTRWsx9o
>>978
「うん...ごめんね?」

日の光ですっかり落ち着いた彼女
目を伏せて小声で喋る彼女は何処かで小動物っぽくて
後ろに手を回したりして、恥ずかしそうにしている
その格好で恥じらいがあるのだろうか
元気だったさっきまでがあまりに夢のようだ

吸血鬼故か何故か、とても不思議な子に見えた

「...アリサ。」

ポツリと、小さく呟いた
風にも掻き消されてしまう程
時折聞こえる車の音でもかき消されそうな
弱々しい声だが、確実に少年に声を届ける
目はしっかりと、紅い瞳は少年に合わせて
心を射抜くように、そう言った

「アリサ・エクルストン...私の名前。
また、遊んでよ...?」

首を傾げて少年にそう伝えた
約束なんだから、と
最後にキッと、子供っぽい顔をアリサは少年に向けた
980 :苅田 眞 [sage]:2013/02/03(日) 00:35:58.07 ID:vz55QASno
>>979
「・・・・・・。」

先ほどとは打って変わっての静かな様子。
もしかしたら、本性はこれなのかもしれない、そう思えて
しまうほど。

「アリサか・・・。オレはシンだ。苅田 眞。」

子供っぽい顔のアリサに対し、ニカっと、まるで
悪戯っ子が悪いような笑顔で返す。
その目は、一切も曇る事もなく、ただただ、新しい
友達ができた、その輝きを帯びていた。

「あ、やべ。そろそろ親が起きる時間だわ。
じゃあな、いつかまた!」

朝日を見て、彼は焦りながら、アリサに手を振った後、
必死な勢いでトンネルの向こう側にへと行ってしまった。

//遅くなってすいません...
981 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/02/03(日) 00:36:51.12 ID:uiEh4CNc0
>>976
まだいらっしゃいますかねえ?
982 :大神 恭子 :2013/02/03(日) 00:38:42.32 ID:HEYb/pARo
>>981
//まだ居ます。今からでは1〜2時間しか時間がありませんが、それでもよければ
983 :アルフレド=オランジュ:少し魔術ができる普通の人。 [sage]:2013/02/03(日) 00:44:18.18 ID:uiEh4CNc0
>>982
//それでは、おねがいします。

そのような陽光うららかな中、一人の少年がやってくる。
清潔さを少々欠いた格好で、少し薄手のダウンベストを着ている。

「ねえ、ここでご飯食べられるって聞いたんだけれど、ほんと?」

掃除している女性に、何のためらいもなく聞いた。
鋭い眼光や、人を寄せない雰囲気も何も無いように。
984 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち [sage]:2013/02/03(日) 00:45:09.82 ID:uiEh4CNc0
>>982
//それでは、おねがいします。

そのような陽光うららかな中、一人の少年がやってくる。
清潔さを少々欠いた格好で、少し薄手のダウンベストを着ている。

「ねえ、ここでご飯食べられるって聞いたんだけれど、ほんと?」

掃除している女性に、何のためらいもなく聞いた。
鋭い眼光や、人を寄せない雰囲気も何も無いように。
985 :大神 恭子 :2013/02/03(日) 01:02:47.40 ID:HEYb/pARo
>>683>>684
少年に声をかけられて掃除の腕を止めた。
箒を縦に持って、声をかけてきた少年の方へと視線をうつす。

教会は様々な形で人々への寄付を行う。
食事というのもその一つの形だ。
だだし、寄付できる量にも限度がある。もしも教会に全ての人を助ける力があれば、この世から貧富の差は無くなることだろう。

だが、貧富の差はなくなっていない。なぜなら、教会の寄付する力に限界があるからだ。
ご飯を食べさせるのには、お金がかかる。何時でも誰にでも関わらず食事を与えていれば、教会が傾いてしまう。

さらにこの教会は改装中で、非常に資金が厳しい。
そのため、寄付にかける力は大分抑えているところなのだ。

大神は辺りを見渡して、この少年との会話が誰かに聞かれていないか確かめた。
「……建物の中に入って」
冷たい調子で、少年に教会の中へと導こうとする。
986 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち [sage]:2013/02/03(日) 01:13:35.75 ID:uiEh4CNc0
>>985
「はーい」

そっけない返事にも、無邪気な様子で応じる。
これでも、歳だけ見れば中学生だが、振る舞いは小学生のそれであった。
並びに、社会常識や人の振る舞いについての知識が欠落しており、
改装中の協会に乞食のような真似をするに至ったのだ。

「今日は天気がいいから、外でお話しすればいいのに」

事情を掴み損ねている少年は、向こうの意図を全く理解していないという寸法。
それでも、中に入ることには変わりないのだが
987 :大神 恭子 :2013/02/03(日) 01:27:21.02 ID:HEYb/pARo
>>986
「……」
無垢な少年の相手はやりにくい。
無表情のまま教会の中へと歩いてゆく。

「一つだけ約束をしてもらう。
ここにくれば、ご飯を食べられるとか、そういう話は貴方はだけの内緒にして」
教会に来ればご飯が食べられる。 そんなイメージはつけられたくない。
何の努力も苦労もしない浮浪者に限って、そういう話にはすぐに食いつく。
そういった人に救いを与えるというのには、資金の問題もあるが、なによりも神の教えからズレてしまう。

「そう、約束できる?」
大神は、寄付を受けた人に必ずこうした約束をするようにしている。
約束を破って、少年に情報を伝えた人物が居るようだが――このあどけない少年をどうしても見捨てられず、かといって寄付を受けている人間に誰かを助けている余裕もなかった。――今回は見逃すことにしよう。
988 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち [sage]:2013/02/03(日) 01:43:52.42 ID:uiEh4CNc0
>>987
すたすたと歩きながら、投げかけられた問い。

『ここで受けた行為を人に伝えずにいられるのか?』

間を置かず、少年は答える。

「いいよ。ごはんをくれるなら何されても文句はいえないもの
話さないだけでごはんがもらえるなららくちんだね」

少年は食事にありつくことの難しさを実地で理解していた。
少しばかり異能が有ったところで、食物を得るのは簡単ではない。
つまるところ飢えを満たせるなら、なんでもできるのだ。例え、人の血肉を口にすることも。

「でも、ごはんを貰えるのはいいけど、なにか『みかえり』を求めないの?
ごはんくれた人は、だいたい『みかえり』をしなくちゃって言ってたから」

教会が無償の奉仕では無く、ギブ&テイクの存在と勝手に思い込んでいた。
少年の僅かな経験から導かれる思考の結果なのだが……
989 :大神 恭子 :2013/02/03(日) 01:56:49.91 ID:HEYb/pARo
>>688
「約束ができるというならいい。少し待っていて」
歩調を早めて、教会の奥へと一人で進む。
大神の言葉の通り、待つことになるだろう。


少し時間を開けて、大神がパンとスクランブルエッグを持ってくる。
「食べて」
テーブルがないので、適当な板を教会の椅子に乗せた簡易テーブルを使うことになる。

『話さないだけでご飯が貰える』 『ごはんをもらえたら、みかえるが必要なのか?』
その、どちらの言葉も少年には不釣り合いなものに感じていた。
「見返りだなんて、考えなくていい。
大したことは、してあげられないんだ」
少年の側に居て、少年の動きを見守っているだろう。
990 :エミリア/気弱な魔女 三角帽子に茶色のマント [sage]:2013/02/03(日) 02:06:16.02 ID:/K+fgRG2o

三次大戦が幕引きを迎えて、もう5年以上になる。
徐々にではあったけど、確実に、過去の出来事として受け入れられつつある戦争だった。
けれどもその爪痕は、未だあちこちに残されていた───そう、平穏を取り戻した、日本の中にすら。



…さむい。
心許なげにそう漏らして、エミリアは目の前でちろちろと火の粉を舞わせる焚火へ、縋る様に手をかざす。
自分以外に、動く影は何も無かった。夜空に視線を移せば、色とりどりに煌めく綺羅の星空。
かつては雑居ビルだった廃墟の壁に背を預けて。白い呼気を、大気へ蕩けさせるように溜息。

大戦によって人の消えた、とある田舎街だったもの───ゴーストタウン。
弾霞で崩落し、管理者を失って、植物の蔓や草花に覆われた建物の狭間で、エミリアは野宿をしていた。

旅の途上、どうしてもここで夜を過ごす必要性があったらしい。
不本意──もとい、怖いから嫌≠セったのだけれど、致し方無かった。


「……誰か……居るのかな?なんて、言ってみたりして……はぁ」

覚悟はしていたけれど、やっぱり心細い。
冗談めかして周囲に呼びかけてみるけれど、直後、来るはずも無いか──
──と、自嘲混じりに二度目の溜息を吐くのだった。
991 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち [sage]:2013/02/03(日) 02:13:50.15 ID:uiEh4CNc0
>>989
「ごはんくれるなら、いくらでも待つよ!」
いかにも楽しみといったようすで、帰りを待っている。

そして、待望の食物がやってくる。
テーブルに乗った食事は、久しぶりといったところか。
それまでは、買ってもらったコンビニ弁当や菓子パンれべるだっのだから。

「もちろん!」

言うが早く、食事にとりかかる。
パンを口に運び、スクランブルエッグに手を伸ばす。。
作ってもらった、といううれしさは、ただの料理をよりおいしくする。
あっという間に、皿の上は空になり少年の満ち足りた笑顔が残った。

「おいしいごはんをありがとうございました。で、あってるよね?」

食べ終えた後で、少し言いよどんだ言い方で感謝を述べる。
感謝することにあまり慣れていないようであった。

「みかえりはいらないんだ……
じゃあ、僕は何もおねーさんにできないのかな?」

純粋なのだが、世間ずれした言葉。
見守る女性への感謝の表し方を欠いているに等しかった。
992 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/02/03(日) 02:18:07.64 ID:relThsqio
>>990
すっかり遅くなってしまった。
とある依頼の帰り、少し遠くの町まで出る必要があった為、こんな時間に歩いているクリオネ。
普段はあまり来ないこの捨て去られた街を通っていると、一つの火が見えた。

「こんなところに人……?」

この街は捨て去られて久しいはず。
今更こんな場所に誰がいると言うのか。

気になってその火に近づいていくクリオネ。
近づいて来れば、その焚火の光でクリオネの姿が見えてくるかもしれない。
漆黒の闇の中、真紅の髪をなびかせて歩いてくる一人の女性が。
993 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/02/03(日) 02:23:18.05 ID:relThsqio
次スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1359825705/
994 :エレミア 金髪蒼眼の女性(大人エリア) [saga]:2013/02/03(日) 02:28:41.78 ID:mmmWbLfXo
>>990
人のいない場所、そこでなら子どものふりをする必要もない
したところで、誰かが自分に語りかけるわけでもないのだから

暗闇で廃れた街に、金髪碧目の、
整った、幼さの見受けられない顔立ちの女性は、
物思いにふけるために、このような街までやってきた
幽霊が出るかもしれない恐怖よりも、そんな目的のほうが勝ったからだ

しかし、焚き火の火を見て、人の気配を察する

「こんな時間に、私以外にも人……?」
火に引き寄せられるようにして、歩きはじめる女性
やはり光で、姿を確認できるようになるかもしれない
995 :エミリア/気弱な魔女 三角帽子に茶色のマント [sage]:2013/02/03(日) 02:33:23.55 ID:/K+fgRG2o
>>992>>994

「────ッ」

よもや本当に人が現れるとは、露ほども思っていなかったらしい。
予期せずして沸いた足音に思わず言葉を詰まらせて、喉の掠れる音を鳴らす。
ざくざくと草木や砂利を掻き分ける靴音が、ひどく恐ろしい。


「───う、う……ごかない──……、で……」

暫くの後、音の正体であるクリオネとエレミアがエミリアを視界に収めた、その時。
彼女は魔導書を開き、顔を蒼白にして、慄いた様子で縮瞳した眼を二人の方へと向けているのだった。


「……て……あれ?きみ、いつか……の」「それと……………えと、どなた?」

「あの、その……まさか、敵じゃない……襲いに来たんじゃ、ない…よね?」

相手の一方が多少面識のある女だった事も、エミリアにとって十分に予想外の出来事だったらしい。
魔具迷宮で同道した事を思い返す、あの時、それなりに優しくしてくれた女の人──彼女の記憶には、そうある。

依然、呆然としながら相手の方を見詰めていたけれど──瞳に宿る恐怖は、その色合いを薄くさせていくのだった。
996 :大神 恭子 :2013/02/03(日) 02:42:45.52 ID:HEYb/pARo
>>991
「……もう少し、落ち着いて食べたらどうだ」
空腹なのは分かるが、喉をつまらせてはいけないと注意をした。
「ああ、感謝のしかたはそれで合っている」

「今回だけだ、毎日お前を食べさせるような力はどこにもない」
笑顔の少年へとむけるには、非常に辛い言葉である。
大神の言葉の調子も微かに重くなっていた。
「腹が減ったからといって、甘えてここには来るな。……その時は追い返す」
目の前の少年は、この世界を生きていくには幼く、一人で生きていくの難しいだろう。
例えばそんな少年でも、救うことは出来ない。
少年が立ち上がるのを手助けする。というのが限界なのである。

「空腹で、本当にどうしようもなくなった時は……その時は、死ぬ前に来い」
手助けはする。怠慢ではなく、その人が本当に頑張っているのにどうしようも無い時に立ち上がる手助けをする。――それが、大神が寄付と定義しているものだ。

だから、今回のように少年へご飯を与えるのも特別なのである。
始めてのときは、教会というもののあり方や大神の考え方知ってもらうために、特別に許可をすることもある。

「生きる希望を失わない。そうなることが、俺への『見返りに』になる」
997 :クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 [saga]:2013/02/03(日) 02:43:03.60 ID:relThsqio
>>995>>994
歩いて行くとこれは予想外、1人かと思ったら2人目が居るとは。
何やら怯えられている様だが、そんなにガラが悪く見えるのだろうか。

「は? 襲う?……襲ってほしいなら襲うけど」

エミリアに近づいて行き、少し前かがみから上目使いに見る。
その口元は若干吊り上っていて、この状況を面白がっている様だ。

「……っていつかの魔術師じゃない。どうしたのこんなところで」

この前、安全確保が重要とか言いながら自分が罠にかかりそうだった間抜けだ。
クリオネにとってはその程度の認識しかなかった。

もう一人の女には見覚えが無い。
どこかで似た気配を感じたことがあるが、気のせいだろうか。
998 :大神 恭子 :2013/02/03(日) 02:44:27.41 ID:HEYb/pARo
>>991
//すみません、眠気が辛くなってきました
//打ち切りか、また後日に続きということでお願いさせてくださいorz
999 :エレミア 金髪蒼眼の女性 [sage]:2013/02/03(日) 02:52:32.05 ID:mmmWbLfXo
>>995
本当に人がいた
見知らぬ人間が、そこにいた
咳払いを一つして、長年の修練によって編み出した、
人当りがよさそうに見える愛想笑いを浮かべて、柔らかな口調を作り出す

「私はあなたを襲いません、
必要性すらも見受けられませんから」
自分を偽り、語りかける

「それで、なぜこのような時間にこのような場所に?」
魔導書を所持していることから、相手はそれなりの手慣れと推測
一定の距離を空けて、続けて問いかける

>>997
どことなく、いつぞやの少女の面影を残す、そんな顔立ちではあるが、
あくまでも、この前の少女は見た目は少女であった

しかし、その二面性は似たようなものがあるようで
クリオネに対しても一瞥する
1000 :アノマニス(触手):右手が触手になる。以上。寝袋持ち [sage]:2013/02/03(日) 02:58:06.75 ID:uiEh4CNc0
>>996
「よかった。『かんしゃ』が伝わらないかと思ったから……」
心配や、その他慈しみある感情を受けたことは少年にも理解がいった。
世間を知らない分、人の機微に鋭くなっているのだろうか。

「大丈夫!今日はたまたま捕れなかっただけだから、
ただおなかがすいただけではここには来ないって約束できるよ」

ここに来たのも、教えてもらったが故。
このような考え方のしっかりした人間に出会えたことが少年の人格に良い影響を与えよう。

そして、今日最初で最後の教えを受けて、少年は思い立ったように右手を椅子の1つに掛ける。
と同時に右腕がほどけ、触手が姿を現す。
触手が伸び、さながら棒高跳びのように少年を扉まで飛ばし、右腕に戻った。

「わかった!ぼく、がんばって生き続けて、『サバイバルわず』まであきらめないから!
もし、そうなったら、今日のごはんの「みかえり」をしに来るから!待っててね!」

そういって、勢いよく扉を開き光溢れる世界へ飛び出して行った。

//こんなところで〆でしょうか
予定より遅れてしまって、すみませんでした
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       lヽ、  /  Y    ,! ヽ-‐‐/          l
.     =@>‐'´`   l   ノ   ヽ_/          ノ:
      ,ノ      ヽ =@           _,イ:
    '.o  r┐   *   ヽ、 ヽ、_     ,..-=ニ_
    =@   ノ       ノヽ、,  !..□ /     ヽ
     ヽ        .ィ'.  ,!    ハ/    、   `!、    七夕に…
      `ー-、_    く´ =@    /     ヽ  
         ,!     `!  l              ヽ、__ノ    このスレッドは1000を超えました。もう書き込みできません。
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ここだけ不思議の新世界★14 @ 2013/02/03(日) 02:22:07.85 ID:relThsqio
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【安価】主人公「まどか☆マギカオフライン」 ★47【コンマ】 @ 2013/02/03(日) 02:05:37.61 ID:QHWuwOU+o
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Cheap viagra @ 2013/02/03(日) 02:02:57.18 ID:J2So6WyG0
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去年百合フラグたったスレたてた者ですが、 @ 2013/02/03(日) 01:52:39.57 ID:bGCJzMTn0
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【咲-saki-】京太郎「偽神殺しの俺」【安価】 @ 2013/02/03(日) 01:44:27.59 ID:80SDIPVa0
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妹「好きですよ、姉さん」 @ 2013/02/03(日) 01:34:20.90 ID:m4HW4v3i0
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【グロ注意】あずさ「SAW」 @ 2013/02/03(日) 01:23:06.19 ID:sGfSSgwD0
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モバP「凜とありすって仲悪いのか?」 @ 2013/02/03(日) 00:51:46.82 ID:Qm6VheOp0
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