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【光の陰には】能力者スレ【何時も闇】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/11(金) 16:36:06.99 ID:QvPdn0uI0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
•この世界は「多様性のある世界」です。
•完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
•弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
•戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
•基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
•書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
•描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
•他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
•「コテハン」は禁止の方向で!
•基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
•スレチなネタは程々に。
•スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
•基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
•国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
•他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
•時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
•特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
•あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
•全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
•能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
•エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1394737955/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/11(金) 16:54:46.14 ID:HmXYE6oM0
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/12(土) 02:04:25.15 ID:IXDUbqay0
>>1乙です!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/12(土) 02:04:34.97 ID:IQUtlqYeo
普通に>>1
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/12(土) 02:29:14.59 ID:uA4EcFPp0
>>1乙です!


前スレ>>998

……倒れた………?

………そーいえば、足全然パンパンやないわ……せやけど、………

……そ、その……心配かけて、すいません……今日はもう、……帰ります……

【その前後の記憶が、一切無いらしい。確かにもしトレーニングを済ませて寝ていたのなら、足がこんな状態ではないはずだと、】
【その方向から、自分が倒れたのだと納得する。……とは言え、自分は今まで、こうした日常生活で気を失う事なんて無かったし、】
【最近は多少の無理はしているが、それでも意識が飛ぶ程の物でもない。鍛えてある、栄養も、十分過ぎる程取っている。】
【"せやけど"に含まれた意味合いとは、そんな感じだ。貧血や其処らで倒れる程、自分はヤワではない……そう言いたかったのだろう。】

【然し、……彼女のこんな表情を見るのは、初めてだった。自分を、本気で叱ってくれている……自分の生半可な理論なんかより、】
【余程有り難い存在だ。だからこそ、反論を続ける前に一言謝って、それからもうトレーニングはしない事を伝えるのだった。】

【……と、ここでもう一つ。こればかりは気付くか気付かないかは、運によるのだろうが……】
【少年の口内が、若干、出血していた。その犯人は、前歯。例えば動物であれば、犬歯と呼ばれる部位が……若干、尖っていたのだ。】
【これも全部、痙攣が起きてから、の話。……彼女の推測は極めて正確だ、どうやら少年の身に、確かに何かが起きているらしく。】

【少年はゆっくりと立ち上がって、彼女の方を向いて、少しお辞儀をすれば、トボトボと、公園の出口へと向かって歩く。】
【……どうやら、もう大丈夫……と言うか、今は大丈夫であるらしい、少なくとも150m程は、既に歩いて行った。】

【不可解だ。……本当に、何が何だか、全く分からない。例えば、彼女が自分の顔を見た時に、若干怪訝な表情を作った事。】
【彼女が人物の心情を読み取る事が得意なら、少年だって同じ。僅かな心境の変化だって、そうそう見過ごしはしない。】

【街は未だ、明かりが付いている。こんな深夜になってもという事は、どうやら消えるという概念を知らないらしい。】
【6車線もある大通り。不意に、車のクラクションが鳴った。……5秒か、10秒か。随分と、長い。】
【然し歩行者には、関係ない。少年だって同じ、見向きもしないまま、自分の道を進んでいくのだ。】
【行き先はドコか、誰にも告げずに。……夜色に包まれ、やがて、彼もその身は溶け見分けが付かなくなってしまった。】


/この辺で〆お願いします!
/長い間ありがとうございましたー!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/12(土) 02:30:24.36 ID:cAUn/0wA0
前スレ>>999
「怖いのを残したまま生きてても、それは君が確かに存在してる証
――――生き方に答えなんて無いから、ボクにはちゃんとした事を教える事は出来ないけどね」

【生きていれば何かしら証を残す事となる。其れすらも無くなってしまえば、本当の死だ】
【無理に慣れようとして悪化したなんてのは笑い話にだってならないのだから、だったらよっぽど苦手で止まっていた方が良い】
【結局は、善し悪しなんて人次第。何が良くて何が悪いか何て――――生き方なんて、人次第】


「――――火だって何だって、危ない物だけど自分の思うままに動かせれば何にも怖くないからさ
君の力は、そんなのよりももっともっと強くて…………だから、きっと恐怖なんて無いんじゃないかな
でも少し安心したよ。君が全部の水を嫌いって訳じゃ無くてさ」

【根っから駄目という訳でも無い。少なからず己の操る其れだけは大丈夫ともなれば】
【安心したとの言葉はこの場合当てはまるのかは分からないけど…………それでも、喜んでいるのは確か】

【さて、浜辺で水の球を作り出し、少女に触れさせようとしてからどれ程経ったか】
【止めても良いんだよ。無理しなくても良いんだよ。言うのは簡単だ。当事者で無いのだから、慰めの言葉を吐けば終わり】
【けれど、其れをする事は無かった。急かすことも、声を掛けることも。今の少女に必要なのは些細な切っ掛けだから】
【――――自分の時間に合わせさせてあげるのが一番良い。誰かが何かを言って、早める事も縮める事も出来やしない】

【やがては、指先がコンマの時間でも触れる事が出来たなら】
【役目を終えた其れは少女から離れた位置で形を崩し、やがては海水の一部へと戻る事となろう】
【立ち上がり、少女の頭でも撫でてやれば。もう片方の手は、少しでも濡れた指先を拭ってやり】


「うん、見てた。君が触れる瞬間をちゃんと…………ね
ふふ、一時は無理かなとも思ったけど――――出来たみたいで、良かった
あれだけ怖かったのに、よく頑張ったね。偉い偉い」

【先までと変わって少女の嬉しそうな表情。最早感想を聞くまでも無いであろう】
【子供を褒めてやるのと同じ事。本人的には、友人を普通に褒めているつもりではあるが――――絵面的には、仕方ない】
【体調も顔色も戻ったならば、もう良いかななんて手を離し】
【――――気付けば、朝日が顔を覗かせ始めて居た。もう少しすれば完全に朝となろうか】
【目を細めて、その光を見遣ったならば――――】


「さて…………もう太陽も少しずつ見えてきたから丁度良い時間かな
じゃあ、鈴音…………ボクもそろそろ行くよ。また何時か、ね」

【普段通りの緩んだ笑み。そのままで別れの言葉を告げたなら――――不意に、“聖”の魔力が強くなって】
【気付けば修道女の背には純白の翼が生えているだろうか。バサリ、と一度羽ばたかせたならば辺りに舞うのは浜辺の砂達】
【その一度の動作でそれだけの風を巻き起こせるともなれば大体の力も予想出来よう】

【上空に舞い上がったならば、手でも振って見せて。最早声も届かなくなったならばそれが別れの挨拶代わり】
【日を浴びて純白の翼が輝いて。そのまま何処かへと飛翔すれば、その内修道女の姿も見えなくなるだろうか】
【軌跡を残すかのように天から舞い落ちるのは白い羽。その内の数枚が少女の横を過ぎていったのかは、分からないけれど】

/っと、この辺りでしょうか……!
/二日間のお相手、有り難う御座いましたですよっ!機会がありましたら、また是非是非!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/12(土) 02:46:28.76 ID:/cEJsqlL0
>>6

【“さわれた”という言葉が何度もこころの中を、あたまの中を、ぐるぐるぐるぐると廻って、バターになりそうなぐらい】
【それぐらい彼女にとっては大きなことだった、水に触れた。深さのある水に触れた。八年掛けて駄目だったものが、今宵、】
【もう治らないものなのだと思っていた。永遠に出来ないことなのだと思っていた。それなら余計に、嬉しさがどんどん湧いてくる】

できたっ、できたよう――、はじめてっ……、はじめて出来たっ!

【頭を撫でられればさらに嬉しさの爆発、ここまでくるとビックバン級だろう。本当に嬉しそうに、きゃあきゃあはしゃいで】
【さらさらとした髪を優しく撫でられるたびに蕩けてしまいそうに笑うのだった、――こんなに嬉しそうな人間、滅多に見ないだろうぐらい】

【きっと彼女には子供扱いぐらいでちょうどいい。よしよしと撫でられて喜ぶのを見れば、そんなことが分かるかもしれなくて】
【年下だと勘違いされているなら――それはそれで不都合でもないのだった。本人に言えば、少しぐらい拗ねたかもしれないけれど】
【出来た出来たと何度も何度も何度も繰り返す。頑張れたのは――何よりグリースのお陰だろう。ひとりじゃ、決して出来なかった】
【そもそも、ひとりぼっちで海辺を散歩しているだけだったならこんなことしようと思わなかったのだから――】

あ――うん、……ばいばい、グリース。またね――、

【はしゃいでいた目にきらっと眩しく朝焼けが燃える、そうしてようやくいくらか素に戻った頃に、声を掛けられて】
【急に落ち着き払ったように対応するのがおかしかった。それでも、きらきら光る瞳の眩さだけは誤魔化せずに】
【翼は――なんだか見慣れているから大きな反応もなかったけれど。ただ、そうやって去るのだということを、認識して】

【――ずいぶんと小さくなってしまった姿に手を振る、そうしてグリースを見送ったなら、朝焼けの砂浜にひとりぼっち】
【けれど寂しさなんて欠片もないのだった。ひらひら舞い落ちてくる白い羽根の変わり、きらりと舞い上がる黄緑色の燐光】
【貝殻入りの袋をしっかり回収して朝焼けもろくに見ずに急いで家に帰る。そうするのは、何より早く伝えたくって】

【(寝ているのを叩き起こしてまで報告したのだった。水に触れたのだと、“あの事件”以降初めて水に触れたのだと、)】
【(何度も何度も何度も告げて、そうして満足したらこてんと寝てしまう。子供か子猫みたいな様子だったけれど)】
【(ぎゅっと熊のぬいぐるみを抱き締めて眠る様子は、どうしようもないぐらいに“やり遂げた”顔をしていた、という)】

/おつかれさまでしたー!
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/12(土) 03:16:26.18 ID:IXDUbqay0
>>5

くっ…………!…………っ………………
……分かったならもう良い……道中、気をつけて。

【ゆっくりと冷静さを取り戻していく、はあっと息を吐いたなら何時もの顔に戻って】
【最後には少年に手を振ることもしてみせた、少年と別れたなら踵を返して自分も家路を急ぐ】

…………つい、熱くなってしまったな……、後で反省しなくては。
……それにしても、あれは一体何だったのか……

【帰り道、今日有った事を思い返していた、突然の発作に紅色の瞳】
【以前会った時にはそんな事はなかった筈、この間に何かが有ったのだろうか】

(……どのみち、今の私に出来るのは憶測を巡らせることだけだな……)

【夜風に髪を靡かせながら、彼女は夜へと消えていった】

/ありがとうございましたー!
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/12(土) 03:33:54.43 ID:bdC4Fnh/o
>>997

何だよそれ……俺だってマジメな事する時もあるんだぞ?
いや、仕事中とか、「意外と真面目に働く」ってよく言われるくらいで……あー、まあいいか。

……しかし、“らしくない”、か……。普段からよく言われるな……。「自警団らしくない」とか。
いや、だけどだな、普段から言われてるって言ってもさ……その「俺=セクハラ」みたいな言い方やめようぜ……!
自警団とかじゃなくても、一人の人間としてそれはちょっとどうかと―――

――ああそうだ。ベイゼといえばこの前……ってアブね、危うく言っちまう≠ニころだったぜ……
えーっと……確かこの辺に……あ、あったあった。
「セリーナには言うな」って言われたから、さ…………っと。

【処置が終わったなら、「サンキュ」と短いながらも感謝を告げて】
【それからまた、衣服を元に戻していく。その中で、ふと思い出した様な言葉。】
【けれど、その内容を言う℃魔ヘしない。代わりに、上着の中から一枚のカードを取り出して】
【何事か書き込んで差し出せば、可愛らしいファッション誌を読んでたぜ≠ニいう文字。】
【どうやら言うな≠ニ言われたから書いた=Aという事らしい。捻くれているというか、何というか……】

―――おいおい、歳の話は無しにしようぜ!
特にそのアラサーだとか、現実を突き付ける様な話は!
……いやほんと、直におじさんとか言われる様になるのかと思うとキツいから……――

――頼りなく見えるのかもしれねーが、頼られれば受け止めて見せるさ。
見た目と中身の違い―――“らしくない”ってのは、得意だからな。

【すっかりアイスになってしまったコーヒーを飲みながら、セリーナの様子を眺める。】
【リーダーとして気丈に振る舞ってはいても、彼女も一人の“女の子”なのだと、そんな事を思ったりもして】

…………わかった。俺もちょっとは向こうに知り合いもいるし、夜の国なら自警団にも多少は話が通せる。
だからその辺りは、俺からも掛け合ってみる。
やっぱり賭けみたいなもんだから……期待はし過ぎない方がいいんだろうけど。

――――今はこの賭けに勝てる事を願うしかない、か。
じゃあここは一つ、セリーナの勝ち運を信じるとするか!

【彼女に釣られる様に、笑いが零れる。】
【自警団には元よりコネクションがあるし、SCARLETには奇しくも二人の六罪王に関わって出来た繋がりもある】
【だからディハートも、セリーナと同じ様に賭けに出る事を選んだ。】

【コーヒーを飲み終えたのは、ちょうど彼女が立ち上がった頃で】

―――おいおい、怪我人に何させようってんだよ……
……ったく、仕方無いから付き合ってやるよ。その代わり、傷が開いたら責任取ってくれよな?

【何だかんだと言いながらも、笑いながらディハートは向かっていく。】
【そのままきっと、すっかり草臥れるまでトレーニングをしていくのだろう】
【迷いを振り払う様に、来るべき時に備えて。今はただ、力を蓄えるのみだ―――】



/お疲れ様でしたー!
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/12(土) 09:10:03.66 ID:+ryfmWS+o
>>1ぉっ

【民家の屋根の上】
【藍色の髪に、黒を基調とした服装。】
【見えにくいが、彼の腰には脇差しと、】
【緑の爪痕がついた缶のエナジードリンクを収納するホルスター。】


‥‥‥‥。


【何をするでもなく、佇んでいた。】


置きレスでおねあいしあーす
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/12(土) 10:11:31.50 ID:IgxJXZ3+o
>>1乙なのです!


>>1000

【左の拳を打ち付けた後、フレデリックはそのまま押しこむように盾を押す】
【無論、相手の硬直を狙ってのこと。だからこそ、盾を転移させる、という選択は】
【ただでさえ散見される隙を決定的にし、思わず前方へぐらりと身が揺れ――】

【ざくり、という音まではないが――大きな背中を、光の刃が焼き焦がす】
【これがただの刃なら能力で無効化もできようが、熱という要素が加わるとそうもいかない】

【部下ながら――と内心舌を巻く。しっかりと弱点を把握して作戦を立てている】
【盾を捨てた決断、そして見えはしないが攻撃後にすぐさま位置を変え】
【目の見えないこちらに場所を悟らせまいとする機転。思うより――余程、強い―!】

(……残り二手、ここに来て不利は私というわけか……!)
(驚いたぞ、マリア・アレンス…ッ!お前が此処まで出来るようになっていたとは、な……。)

だが……まだだ。確かにお前の行動は全て理に適った、最適の手ばかり……
今この時も私はお前の位置をはっきりとは特定出来ないでいる……それもまた事実。
――ならばッ!貴様の緻密な戦略の全てをッ!正面から打ち壊してみせようではないか!!
このフレデリック・シャリエールに授けられたカテドラル≠フ力……純粋な退魔に非ず―ッ!!

【咆哮の如く旗幟を鮮明にすれば、彼が為すのは――単純な接近戦での攻撃、ではなかった】

【カテドラル――その由来は古い。起源に至っては全く不明だが、ゼン=カイマに伝わる宝槍であり】
【刃には退魔を秘めているのも確かだが、同時に雷≠フ力も備えた武器なのである】
【そして所持者の魔力を利用してそれを増大させることも可能であり――彼は、その柄で地を叩き】

【直後、周囲に凄まじい雷鳴が轟き渡り、フレデリックを基点に、円状に雷撃が落ちる】
【その距離は5m。つまり両者にはまだ関係の無い距離だったが――如何せん、その落雷の量が多すぎる】

【まだ隙間から逃げられようが、次に4m地点に雷が落ちる。そうなると、逃げる合間はより細くなり】
【次に、3m――これ以上近くに落ちるともう逃げられない、離脱するかの選択は一瞬で決めねばならないだろう】


【――相手の場所を特定出来ないのなら、全域を攻撃する。確かに清々しいまでの力押し】
【だが、マリアならばやはり知っているはず。フレデリックの能力は――こと、雷に弱いのだ】

【スライム状に肉体を変化させるのはおろか、むしろ常人より非常に強く痺れと雷のダメージを受ける】
【これはカテドラルだろうが変わらない――つまり、己の被害も顧みない最大出力の四手目=z
【避けて様子を見るか、それとも仕掛けるか。最終局面の今、勝負は一瞬で決まるが――どうか。】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/12(土) 13:37:48.62 ID:VBwgdfDG0
>>11

【繰り返しになるが、彼女にはフレデリックのような決定力のある攻撃が少ない。手数も五手と少なく限られている。】
【その上敵は強大。一撃一撃が致命傷となりうる攻撃を有し、単純な膂力も自分をはるかに上回る。】
【この条件で敵に勝つには、綿密な戦略と意味を持つ攻撃・行動が不可欠。力不足は立ち回りでカバーするしかないのだ】
【故に全ての攻撃が、全ての行動が、無駄を一切省いた洗練されたものとなる。流れるように、細身だがしなやかで芯の強い躰を操る。】

【強い意志と、磨き上げられた戦闘能力と、瞬時に最適な道を導き出す判断力。―――これぞ、第三近衛騎士団の一員たる彼女の強さ】
【女性故に敵に比べて力で劣ることはままある。それでも彼女が敵に勝つ力を持つのは、偏に力の差をもひっくり返す戦略と機転の賜物だ】


(……戦略をも純粋な力で凌駕する、と……団長様らしい荒々しい発想で御座いますね!)
(ですが――――私とて簡単に倒されはしませんよ!)

【……そうだ。フレデリックには、彼女が持ち合わせていない純粋に強大な力を持ち合わせているのだ。】
【全てを凌駕しうる、説明不要の純粋な力。味方に付けば頼もしいが、敵に回せばこれほど恐ろしいものはない。】
【――かといって、どうしようもない、お手上げだと指を咥えて見ている彼女でもない。如何に強大な力だって、何処かに隙がある筈だ】
【その針の穴のような隙を衝いて活路を見出すことこそ、自分が勝つ道。上司に見せるのだ、貴方の部下はこんなにも出来るのだ、と!】


【雷が、円形状に落ちる。槍を中心に同心円を描くように、その半径を縮めて次々に落ちてゆく!】
【余りの轟音に耳鳴りが止まない。しかし、音に囚われてはいけない。―――集中力を一瞬にして極限まで高めて、音の情報を脳から遮断して】
【5m、4m―――今だ!瞬間、僅かな隙間を縫って駆け出そうとする、……―――が】

な―――っ!

【足を踏み出した瞬間膝がガクリと崩れるような感覚に見舞われてバランスを崩し、次の瞬間……僅かに隙間を縫うことに失敗して雷撃を受ける】

ああああああああああああああああアアアァアアァアアアアァアアァァアアアアア!!!!

【―――全身を襲う激しい熱と光と痺れ。痛みさえ凌駕して、五感全てが麻痺するような感覚に襲われる。】
【悲鳴がこだまし、そのまま草原に倒れ……それっきり、起き上がらない。否、起き上がれない。】

【フレデリックの攻撃に気力では耐えていたが、ダメージは確実に蓄積していた。本来なら立っていられないような攻撃を二度も受けていたのだから】
【それが今になって仇となった。最大限の集中力で隙間を掻い潜ろうとした瞬間に、膝が笑ってしまったのだ】
【恐らく僅かでもダメージが少なかったなら回避には成功していただろう。まさに紙一重、力が彼女の戦略を上回った―――】


――――ま……
……まだまだ……です―――!!


【しかし】
【それでも】
【―――まだ彼女は「参りました」とは言っていない!倒れ伏して起き上がることすらままならなくても、目だけはフレデリックの方を向いている!】
【このまま雷撃が止まねば、フレデリック自身も無事ではいるまい。そこに、ありったけの力で一撃を入れるつもりだ!】
【参りましたと言うのは、完全に動けなくなってから。まだ自分は攻撃できる―――!】

―――ハァ……ッ!!

【最後の雷撃が落ちて止んだ一瞬を狙って、マリアは倒れたままフレデリックに最初と同じ炸裂する光の球を右手に生み出し投げつける】
【それは最初の一撃と比べて小さく、放つ光も弱い。フレデリックに当たって炸裂したところで、軽い火傷を負う程度だろう】
【……これが、今彼女ができる最大の攻撃なのだ。最後の最後まで戦う意志を見せる彼女の姿は、フレデリックにはどう映るだろうか】

【―――この攻撃を最後に、マリアはもうその場を動かない。勝負の行方はどうなる―――】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/12(土) 13:38:36.51 ID:IQUtlqYeo
【水の国――とあるビルの屋上】

【そこには二つの影があった、一つはこのビルで働いている会社員のようだが酷くやつれていて】
【近くに落ちている手紙のような物や靴を見れば、――何をしようとしていたのかは一目瞭然】

「ククク……人間が嫌なら俺様が新たな道を作ってやァろう」

【もう一つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【傍から見れば自殺を止めようとしている勇敢な存在の様に感じられるが――】

「テメェーは自由になァれるのだよ、俺様の力があァればな……さァ、混沌の世ェ界へ行ィこうか、人間」

【その者にがっしりと掴まれ怯えもがく会社員の様子、そして混沌とした魔翌力を浴びせられている様子――】
【……何か良からぬことに利用されそうな気がするのは、きっと気のせいでなく】

/3時間位置いておきます
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/12(土) 16:57:58.62 ID:RxFTNr2/o
>>12

(――……当たったな…?そしてそのまま足音もない、が……)
(同時に参りました≠燒ウい……!まだ来るか、倒れてなおも、まだ……!)

ぬゥゥゥゥゥ……ッ!!この威力、十全はおろか攻撃の体制も整っていないな……!?
倒れたまま、例え微弱な針のようなそれでも尚挑むとは……それでこそ、だ
このフレデリック……久方ぶりに感動≠オたぞマリア…!

【――彼は、騎士団長はそう、槍を地に叩きつけたその体勢のまま、話を続けた】
【それほどの余裕がある、というわけではない。何故なら雷撃は】
【確実に彼自身の体を最大密度で穿っていたし、今も薄緑に透けた頬には稲妻がパリッ、と走ったところだ】

【ローブとt、もう純白とはほど遠い。火傷から滲んだ血液はそこかしこを汚していたし】
【背中に受けた一閃も熱を持ってひどく痛々しい。何より、目も見えていないのだ】

【そうなっても尚、彼は倒れない。槍を杖がわりにしているのも理由にはなるが】
【言うなれば彼の強固な――いや、頑固なまでの精神が足を支えているかのようで】
【彼は僅かな物音を耳で拾い、マリアの方に向き直る。そして小さいながら、にやりと笑い】

マリアよ……私はな、事前に己の五手目を決めていた。
どんな手か想像がつくか?拳でも、槍でも、術でもない…――。

参った≠ニ――そう言うつもりだった。いや、まさに今、その手を打とう。
お前の屈強な精神力、専守防衛のみに在らぬ技術……私も見習いたいものだ

……フッ、一つ言っておくなら、この『参った』は嘘でも妙な謙譲でもない
この私ともあろうものが、実のところ動くのは口と頭くらいなものでな
本来は雷撃も止めるつもりだったが……目と、それから初手の光球を受けただろう
あれで見事に時を失した。今さらになって反動が来たらしい……良い術を遣うな、マリア。

【――グラリ、とその巨躯が揺れて膝をつき、例の異様なガントレットをした左手が地面に触れる】
【強引な戦い方をするからこそ、そのあとの消耗も激しい。が、彼は暫く息を整えると】

【またゆっり、と身を揺らしながら立ち上がって、マリアの元に向かうだろう】
【目は見えないから、近づけば手探りで彼女を探して、手なりを見つければ、そこに触れ】
【施すのは治癒の魔術。戦闘中、さほどの術を使わなかったのが功を奏したのか】
【術を受け入れれば、手早く第一に折れた肋骨と周囲の治療が始まるだろう】

【――フレデリックはまた、静かだ。左手の装備からは尚も妙な魔翌力が漂っていて】
【そちらに関しては、彼はマリアには触れない位置に離してあって。ともあれ一先ず、手合わせは終了、だろうか。】
【】
【】
【】
【】
【】
【】
【】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/12(土) 21:20:18.76 ID:nD0ydtuTo
【聖徒某小広場】
【冬を終えて気候が暖かくなれば、その場は小さな憩いの土地となる。】
【──日向ぼっこをする者や、友人と談笑するもの。有象無象の日常だ。】
【そこに違和感があるとすれば──】


────すゥ‥‥


【──青年はぶら下がっていた。】
【何に? ‥‥‥‥徐々に生い茂っていく木の枝にだ。】
【説明すると、彼の足の裏がそのまま木の枝に張り付いていて。】
【まるで反転世界にいるような‥‥木の枝の裏に逆さにたっているような。】
【あろうことか、そのまま寝息をたてているのだ。】

【藍色の髪は逆立っているように見えるが、重力にしたがって地に向かっているだけである。】
【黒を基調とした服装は、不自然なほどになんともなくて‥‥】
【首もとに巻かれた朱色のマフラーも当然、ぶらりと垂れ下がっている。】
【──それが、彼に不幸をもたらした。】



『なにこの人ーーー!! 変なのーーー!』『おいマフラー引っ張ろうぜ!!』『せーの!!』
────ぐァッ‥‥‥‥あがッ‥‥‥ぎ、ギブッ‥‥‥‥



【近所のやんちゃなませガキドモにマフラーを捕まれ、ぶら下がられ‥‥】
【──ああ無情、顔色が徐々に青白くなっていく‥‥。】


/使い回しすいあせん

16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/12(土) 22:18:15.28 ID:VBwgdfDG0
>>14

―――勿体ない……お言葉で御座います……
……人々の為に力尽きるまで戦う―――……これが私の決めた……道で御座いますから……
……私は、……その道を……突き進むのみなので御座いますよ……!!

【あれが正真正銘最後の一撃だった。弱々しい光と共に小さな花火のように炸裂したマリアの攻撃は届いたのだが、とうとう彼を倒すことは叶わず】
【まだ戦う意志はある。瞳に宿る炎も消えてはいない。しかし、如何せん体がもう言う事を聞かず一ミリも動かない―――これで終わり、か】
【自分はもう倒れたまま動けない。一方のフレデリックはあれほどの手傷を負いながら、まだ立っている。……明白に、フレデリックの勝ちだ】

【彼女も既にボロボロだ。立っていられないほどの消耗はもとより、外見の傷だってなかなかに痛ましく】
【雷撃をまともに受けた体は酷い火傷を負い、槍の重い一撃を受け止めた脇腹は、ローブを脱がせれば内出血を起こして腫れているのが見える筈】
【その他、全身至る所に打撲による傷で、白い肌に青あざが出来ている。よくもまあ、この状態で倒れるまで動けたものだ……】

【「参りました」――――その言葉が喉元まで出かかった瞬間、彼女よりも早く口を開いたのはフレデリックの方だった。しかも、笑顔と共に。】
【向き直った彼が滅多に見せない笑顔を見せた時、マリアはいつもの優しい微笑みとは違う嬉しそうな笑みを見せていたのだが……きっとフレデリックは見えないのだろう】

……見習うだなんて、そんな……団長様の力は、十分過ぎる程で御座います。私など見習わずとも……
しかし、手本となれるならばそれは光栄なことで御座います。今後も期待に違わぬよう、精進致します……!

……ふふっ、お褒め頂き有難う御座います。良い術を遣えるようでなければ、大切な子供たちは守れませんから……


【「良い術を遣う」という言葉に満点の試験を先生に褒められた子供のような自慢げな笑みを浮かべるが、これもまたフレデリックには見ない筈。】
【マリアの珍しい表情を二度も見逃す羽目になった彼。今度彼女の微笑み以外の表情を見られるのはいつになるのだろうか……】

【一呼吸置いて、此方もフレデリックに告げる言葉がある。いつもの微笑みに戻った彼女は、ゆっくり彼に言葉を贈る―――】

―――この足が少しでも歩けるなら、この手が少しでも動くなら、まだ戦う……
……力尽きるか五手を過ぎるまでは、自分から「参った」など言うつもりなど毛頭御座いませんでした。

ですが、もう動けないので御座います。私も申し上げましょう……―――参りました、団長様。見事なお手前で御座います……

【以上を持って、騎士団長とその直属の部下の手合わせは終了。結果は引き分けという事で良いだろう―――】

【フレデリックの手がマリアの手に触れる。……屈強な彼を追いつめた人物の手とは思えない程に、マリアの手は細く柔らかくて】
【やがて施される治療を拒絶することなく受け入れる。他ならぬフレデリックのことだ、きっと治療の施術も信頼できるものに違いない】
【……此方はもう力尽きるまで戦った代償に体力も魔力も使い切ってしまい、彼に治療の類を施すことも出来ない。……そんな事がマリアには少し悔しかった】
【施術中、伏せたままのマリアはふと囁くような小さな声で呟く。それがフレデリックの耳に届いたかどうかは、彼女は知らない……】

……お慕い申し上げます、団長様。どうか、御無事で志を遂げられますよう……
―――私は貴方を信じ、付いて行きます。
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/12(土) 23:16:30.01 ID:MY4OdiKpo
【水の国・公園】

――――――ッ!!

【ガン、ガン、ガン――――と、三連続で金属音が響き渡る。設置されていた空き缶が派手に吹き飛んで、カラカラと地面を転がっていく】
【次。体を勢いよく捻りつつ真後ろへ跳び、空中で背後の空き缶に照準を定める。トリガーは間断なく引かれて、銃口から飛び出す緑色の光が夜天を切り裂いた】
【射出された魔力弾の数は最初と同じく三発。音速で飛翔したそれは見事、スチール製のターゲットを撃ち貫いてみせるだろうか】
【その後は中腰の状態で着地し、すかさず振り向いて前方に照準を合わせ直す。……暫くそこで静止した後、彼はゆっくりと立ち上がった】

(…………ダメ、か。少しは気分転換になるかと思ったが…………)

【――――前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁のメガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年だ】
【スーツに付着してしまった砂を払いつつ、青年は吹き飛ばした六つの缶を丁寧に集め始める。その顔に浮かぶのは、落胆の表情】
【彼が確認したのは缶の状態である。確かに全て当たりはしたものの、狙い通りに芯を捉えていたのは半分だけだったのだ】
【尤も、最初の三つは走りながら、次の三つは跳びながらの射撃だったことを考えれば、それだけでも十二分な射撃能力と言えるのだが……】
【それでも青年にとっては些か満足の行かない結果だったらしい。ふぅ、と溜息を付いた頃には、空き缶の片づけも終わっていて】

【青年は、右手に持っていた奇抜な形状の拳銃――――長大なストックと小さな砲身を組み合わせたような、アンバランスな見た目のそれをホルスターに戻すと】
【置いておいた鞄を拾い上げ、近場のベンチに戻って座り込むのだろう。運動した後だからという理由とは別に、やや気疲れしているようにも見えた】

【一応、剣呑な訓練風景を一般人に見せて怖がらせたりしないよう、青年は出来る限り人気のない場所を選んだつもりではあったが】
【これだけ派手に動けば否応にも目立つのは間違いない。例えば誰かに見られていたとしても、別段おかしくはない筈であって………】


/申し訳ない、予約です……
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/04/12(土) 23:22:41.51 ID:EgxSUPlN0
【とある都市・スラム街】

【夜であってもここには悲鳴や罵声や怒声が響き渡っていた】
【このような場所ではそのようなこと、ここに住むものたちは日常の一部としてだれも彼もが特に気にしはしない】
【だが、今一つだけここには異様な光景がある、それは一つの装甲車がこのスラム街に停車していることだ】

まったく、このような場所で取引をしろとか……彼らも危ない橋を渡るものですね
 ……はぁ、早く終わらせてしまいたいものですよ

【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【その装甲車の持ち主であると思われる男はそのようにして愚痴をこぼしながら装甲車の壁に背を預ける】

【男が愚痴でこぼした取引を行おうとしてここに来た、しかしなかなかその取引相手が来ない】
【これは囮調査だったのかとそのように思案しながらもやっぱり、待つことにしている】

ですがもしそういう事であったのならば……逃げるほかなさそうですね
 幸いにも足はありますし……そうならないことを願うばかりですが

【そのようの思いながら背中を装甲車から離して装甲車後部にあるハッチを開けて中に入っていく】
【そしてそのまま数秒たってから再び出てくる、その手に持っているのは飲料水だ】
【ハッチを閉めれば男はその飲料水を一気に飲み干して、その場で再び待つことになる】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/12(土) 23:37:43.84 ID:ReR234wko
>>17

「――今のは中々に面白い芸だったのだ!もう終わりなのかの?」


【パチパチ……と人気の無い公園に何やら拍手のような音が響き】
【青年に向かって、軽く小さな足音が近づいてくる】

【そちらの方向に視線を向けたならば】
【珍妙な格好をした、ちんまりとした体格の人物の姿を見る事が出来るだろうか】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【この小柄な人物は、先程の"文字"を記したまま彼に近づき】
【接近することに成功したならば、ベンチに座る青年から1.5m程離れた正面まで歩み寄り】


「鉄砲は何度も撃たれたことはあるがの、こうピョーンと跳ねて撃つ者は初めて見たのだ!」
「何かの?もしやこれが世に聞く"さぁかす"というものなのか?」


【膝を曲げてその場にしゃがみこみ、物珍しげに……どこかワクワクした様子でそんな文字を記す】
【どこかから青年の訓練風景を目撃していたのだろうか】
【それにしても少々ばかり的外れなで、どこか浮世離れした問いかけであるが】

【また、接近することに成功していなかった場合上記の言葉やしゃがむ動作などは発生しない】

/よろしくでーす!
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 00:07:56.29 ID:6mTrA7qto
>>19

……………ん?

【一息ついて、何か飲み物でも買うかと席を立とうとした青年の少し遠くから、ふと拍手の音が響いてきて】
【顔を上げてみてやっと、青年は自分が話しかけられていた事に気づく。声ではなく文字を使っての会話方法……心当たりがあった】
【前回は半分以上大男の姿のままでいた筈なので、少しだけ時間は掛かったが。青年は無事にその少女の名を思い出すのだろう】

貴女は……そう、シーナさんでしたね。お久し振りです……っと、直接顔を合わせた機会はありませんでしたか。
改めて、僕はアルフレド・フェリシアーノ。あのサンドワーム戦でお世話になった者です。その後、ご健勝でしたか?

………サーカスではなく、訓練のつもりだったんですが………そう見えました?

【かつて行われたサンドワーム戦で共に戦った者の中に、彼女は居た。……とは言っても、直接会って話をしたりはしなかった筈だ】
【こちらが覚えていたのは単に、この青年――――アルフレド・フェリシアーノが律儀というだけ。彼は久し振りだなんて言って礼儀正しく会釈するが】
【こちらは拡声器越しに一度名乗っただけで、あの混戦の中で互いに顔を見ていたかどうかすら怪しい。それを思い出すと、改めて名乗り直すのだろう】
【……それはともかく。シーナの言葉にアルフレドは小さく笑うと、先ほどターゲットの一つにしていた空き缶をひとつ取り出す】

――――――ふっ!!

【左手で空き缶を真上に放り投げると同時、アルフレドは右手で素早く銃を引き抜く――――先ほど使っていた、あの奇抜な外見の銃だ】
【よく見れば、銃身に『Kibrit』という刻印が成されている。これがこのハンドガンの名前であるのかもしれない】
【右腕を天に突き上げ、アルフレドは狙いを済まして引き金を連続で引いた。発射された風の魔弾≠ヘ天空へと飛翔して】
【空中にある空き缶を、三連続で撃ち抜くだろうか。三度の衝撃を受けた空き缶は高く高く吹き飛んでいって――――】
【……アルフレドが数歩分だけ右に位置をズラして、左腕を伸ばす。数秒後、その左手の中へと空き缶が帰ってくるだろうか】

(…………やはり、本調子とはいかないな)

【まぁ、ちょっとしたデモンストレーションのようなもの。地味な芸だが、シーナが楽しんでくれれば万々歳と言ったところだ】
【……本当ならその場から一歩も動くことなく、空き缶を手元でキャッチすれば完璧なのだが。数歩右にズレたのは、命中位置が僅かに右にズレた証拠】
【アルフレドの表情は少しばかり不服そうだ。やはり彼にとっては、これでも満足のいかない結果であるらしい】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/13(日) 00:14:39.61 ID:sIx/nMXBo
>>13
/再透過
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 00:28:52.51 ID:H0TF56tLo
>>20

「む?……むむぅ……」


【小柄な人物――魔術師シーナ・ゲルギルは、アルフレドの顔をじっと見つめる】
【レラの時もそうだったが、シーナは基本的に周囲の人間のことを余り覚えていない】
【視覚が特殊なのもあってか、こうして直接会ったり戦闘中強く印象を持っていたりすれば別だが】
【数秒、フードの下から彼の顔を眺めた後】


「……確かに名を聞いた覚えはあるのだ。顔はよく見てはおらんかったがの」
「うむ、私はいつでも元気いっぱいだぞ!」


【健勝か、という問いに対して無駄に元気な様子で胸を張る】
【胸を張ったところで女性らしい起伏など微塵も感じないが、どうやら元気ではあったようだ】


「む、違うのかの?それは悪かったのだ。今まで見てきた鉄砲使いは皆、地に足をつけて戦っておったからの」
「御主のような動きをする者は初めて見たから、曲芸か何かかと思ったのだ」


【謝罪する言葉を記すも、どこかちょっとガッカリとした様子も見える】
【サーカス……曲芸的なことを期待していたのだろうか。見た目通りというか、子供らしい好奇心であった】

【そんなことを言ったのも束の間、アルフレドが空き缶を放り投げ空中で打ち抜くという離れ業を見せる】
【シーナは突如として始まったそれに対して「おお!」だの「凄いのだ!」などと文字を記し、喜ぶ】
【やはりというか何というか、この技術を一種の芸と捉えていそうな風情である】


「やるではないか!そんなことを出来る者は初めて見……むむ?」
「……なんだ、随分と浮かない顔だの?私から見れば十分な技に見えたが、何か気に食わんかったのかの」

【空き缶を掴み取った彼の、少し不服そうな様子に首を傾げる】
【銃のテクニックに関して素人の彼女では何が悪いかなど判るはずもなく】
【今の芸当の何が気に入らなかったのか、と疑問げにそう訊ねた】

23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/13(日) 00:52:12.84 ID:6mTrA7qto
>>22

……それはよかった。
そういえばあの後も、例の神≠ニかいう男と戦ったという話もお聞きしていましたが……。
貴女はそういう活動に積極的に参加していらっしゃるようですね。どこかの組織に入っていたりは?

【精神的にも肉体的にも、アルフレド・フェリシアーノは夜凪レラより大人だった。覚えられていなくても別に怒った様子もなく、事も無げに受け流す】
【シーナが元気でやっていたと聞けば、軽く笑いかけて。正義組織の一員だから……というより性分の問題で、人の良い性格のようだ】
【それからふと思い出したように、アルフレドはひとつ質問を投げかけてみる。様々な場所で人を助けている割にフリーでいるシーナが珍しかったのだろう】

実際の戦闘では、地に足を付けて射撃できる場面ばかりではありませんからね。
確かに曲芸じみた技ですが……僕には他に取り得がないんですよ。魔術とか能力とかも使えませんし……。

【かちゃりと中指で眼鏡を押し上げて、アルフレドはいかにもな言葉を吐く。ある意味見た目通りというか、かなりの理論派のようだ】
【その一方……自己評価はあまり高くないらしい。能力も魔術も使えないとの台詞が本当なら、先程の魔弾≠ヘ武器の方の力ということだろうか】

あぁ………いえ。どうやら射角が数センチほど右上にブレてしまったみたいで。
……お恥ずかしい話ですが、仕事の方が少々行き詰っていましてね。これは気分転換も兼ねてのものだったんですよ。
十分な技と言ってくれるのは嬉しいですけど……この程度ではまだ駄目なんです。もっと、強くならなければ……。

【……手元に落ちてきた空き缶の僅かな凹み具合と射撃の感覚を思い返しただけで、射角のブレを冷静に推理できるというのも立派な才能かもしれないが】
【原因は精神的な要因だろう、とアルフレドは存外正直に告白する。……彼が本当に冷静だったなら、こんな小さな子にそんな話をすること自体しなかっただろう】
【まるで自分に暗示でも掛けるようにして、青年は小さく呟く。その表情は暗く、厳しい――――】
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/13(日) 01:15:40.03 ID:IrsZuUbCo
>>16

【フレデリックの魔術は、その性格を反映したように『強い』――傷が癒えるのも早いだろう】
【一分か、三分か。魔力を使い尽くす勢いでそれを進めたなら】
【やがて全身のアザも消え、骨も繋がり、次第に立ち上がる力も湧いてくることだろう】

……すまんな、やり過ぎた。お前も女だ、傷が残らねばいいが……、…?

ふン――馬鹿を言え、私はなマリア。お前を含めた騎士団の誰と比べても、劣っている。
技量や身体能力の話ではない……お前の言う道=c…それが私には希薄だ。
教会のため……その行動理念も、もっと幼稚な理由を隠すための言い訳なのかも知れん

……いや、忘れろ。とにかく、昔の私であれば皆より上に居ようともしただろう
私が騎士団長になったばかりの頃、善助を引き込み、単身遠征に向かい……
ひたすらに己の力だけで騎士団をまとめようとした私であれば……、……あぁ、そうだった

――櫻の国≠ネのだ。今回手合わせなどといった、その理由は。
まさにその善助を引き込んだときにも、橋姫退治でも足を運んだあの国……―。

【治療の合間、フレデリックが静かに語り始めるのは、少し前にかの国で起きた事件のことだった】
【とある集落が壊滅し、その元凶たる妖魔を討つ話フレデリックもそこに混じっていた】

【結果から言えば妖魔は討伐出来、その腕が今彼の左腕に有る武装であったりするのだが】
【その時の生き残りである子供が一人居て――その子が、後に本性を表した、と思われる妖狐に】
【不意を突かれて襲われて。つまり天涯孤独の身になった上で、自身も死にかけ】

【その子供はといえば、最終的にフレデリックや他の面々によって救出されて、今のマリア同様に魔術で治療したものの――】

あの時……妖狐が妙だと私が気付いて、誰の言うことも聞かずに奴を討ち取っていたなら……
……いや、そこまで言わずとも、もっと何か……あの子供を傷付けずに救えたのではないかと、珍しく迷った。

私はお前ほど子供が好きではない、嫌いでもないがな。だから、そんな迷いを持った自分が嫌になった
だから手合わせを頼んだのだ。目の前に掛かった霧を晴らす為……お前が相手で、良かった。
生憎と、目は塞がってしまったがな?……ふッ、お前は生きろよマリア

――無論、私とて死なん。次は希望の灯≠セが……そうだ、そのことでも話がある。
彼の地に先に赴いて欲しいのだ。使者、ではないが――先遣隊として。

このヴィンドのように戦いがあるやもしれん。が、可能であればそれは避けたくもある
だから、その調査としてな……他の面々――チップスやトマを始め、一部の者に命じようと思っていたのだ
お前にもそこに加わって貰いたい。必要が無ければ戦う事もないが……やってくれるな?

【この頃には治療も終了し、フレデリックはマリアの手に添えていた自らの右手を、その目元に当てる】
【数秒すれば火傷が引いて――あの鷲のような、カッとした強い瞳が姿を表し】
【彼女の意志を問うように、目を合わせようとするだろう。既に、表情に笑みは消えていて――。】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 01:20:42.85 ID:H0TF56tLo
>>23

「私は英雄にならねばならんからな!戦場に足を運んで日々名声を高めておるのだ!」
「UTとやらには前々から興味はあるのだが、どうにも縁はなくての」


【英雄になるために戦場に出ている。これがシーナがフリー様々な場所に足を運んでいた理由なのだろう】
【UTに興味があるというあたり、組織行動に忌避感がある訳ではなさそうだが】
【入隊するようなキッカケがなく、結局のところフリーのまま戦ってきているようだ】


「私としては、地面にへばりついておった方がやりやすいのだがの」
「御主のような技の使い手は色々と面倒くさそうなのだ」


【地を介して様々な現象を発生させるシーナにとって、跳躍しての銃撃は対処しづらい類の技術だ】
【交戦する機会があるかは不明であるが、したときの事を簡単に想定しながらそんなことを記す】


「まあ、他に取り柄がなくとも鉄砲が扱えるだけでも十分なのではないかの?」
「何も二つも、三つも技能を持てばよい訳ではあるまい」
「私も魔術は"地術"しか使えんが、それでも天才魔術師として名を馳せておることだしの!」


【シーナの場合は悲観しているという訳ではなく、特化していることを誇っているようにも見える】
【この娘からすれば、一点を極めるということは十分すぎるほど価値があるように写っているようだ】


「御主は随分と細かいことを気にする男だの?しかも気晴らしにすることがコレとは何とも……真面目なことなのだ」
「気分転換……気分転換のぅ、ふぅむ」


【シーナはアルフレドの言葉を聞いて、自身の胸の前で腕を組み何やら考え出す】
【気分転換、普通ならば強くなりたいという意図も汲んでアドバイスや模擬戦などを行うものだろうが――】


「――そうだ、甘味を食べに行くのだ!」
「そんな世界が終わったような暗い顔をしておっても何も始まらんからの」
「こういう時は美味い物でも食べてスッキリするのが一番なのだ!」

「よく覚えてはおらんが、以前世話になったようなのでな」
「今日は特別に私がおごってやってもいいのだ!小さな恩も忘れぬこの私の女神のような寛大な心に感謝するがよいぞ!」


【アルフレドの前にピョンと躍り出ると、その手を掴んでグイグイと引っ張ろうとする】
【マイペースというか、台風のような性格である】
【何か深い考えあっての行動なのか、ただの思いつきなのか。表情や声が見えないこともあってそれは非常に察しづらい】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/13(日) 01:50:26.02 ID:6mTrA7qto
>>25

英雄……ですか? ならねばならない、とは一体……。
あぁ、UTは良い組織だと聞いていますよ。以前ウチの隊長がリーダーの方とお話したことがあるのですが、芯の通った面白い方だったと。

【「英雄」というものに固執するシーナの行動原理に、アルフレドは純粋な興味を抱いたようだった。相手がまだ小さな少女であることを考えれば、尚の事】
【UTについてはある程度知識があるようで、さりげなく薦めてみる。アルフレドの所属するSCARLETとUTは、少し前に協力関係を結んでいた】
【つまりシーナがUTに入ってくれるというのは、アルフレドにとっても心強い味方がひとり増えるということと同義であって】

……貴女は地術の使い手でしたね。こちらにしてみても、遮蔽物を自在に作り出されたりすると厄介ですよ。
そうですね、一応射撃だけには自信があるのですが……どうも僕には、魔翌力はあるのに魔術というものの才能が全く無いようでして。
そこが少し残念なところです。……ちなみにシーナさんは、その魔術をどこで習ったのですか?

【移動しながら、跳びながら、あらゆる状況で精確無比な射撃を叩き込める――――長年の努力で身に付けたその技術は、確かにアルフレドにしかないものだ】
【しかしシーナの地術のように、ゴーレムを作り出したり地形を操ったりというのは彼にとっても厄介である。そういう場合の突破力のようなものが、自分には無い】
【幸いアルフレドには風≠フ魔翌力適正がある。せめて魔術が使えればいいのだが……口ぶりからして色々と試してみたらしいが、結局ダメだったらしい】
【ついでに、後学の為にとシーナに魔術について聞いてみるだろうか。まぁ、聞いたところで自分には無駄だとわかっているので、ほぼ興味本位なのだが】


……あぁ、ごめんなさい。変な話を――――って、ちょっ、ちょっと!?
わ、わかりました、わかりましたよ。ご馳走になります……。

【途中で自分が暗い顔をしていたことに気づいて、アルフレドは無理やり取り繕おうとするが……今回はソレよりもシーナの行動が早かった】
【いきなりの提案と同時に手を引っ張られて、彼は思わず転びそうになる。その勢いに負けて暗い気分も顔を顰め、青年は観念したようだった】
【一度シーナの手を離し、アルフレドは右手の『Kibrit』を低調に仕舞い込むと、ベンチに置いていた荷物を取ってきて戻ってくるだろうか】
【その後はシーナに大人しく付いていく筈だ。……余談だが、彼女がどこへ行くにせよ、彼は訓練に使っていた空き缶をいちいち分別してゴミ箱に捨てていくだろう】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 02:15:38.49 ID:H0TF56tLo
>>26

「うむ、英雄なのだ!世界にこの私、シーナ・ゲルギル様の名を轟かせる為にならねばならん!」
「UTの頭首、セリーナといえば今の世に名を刻む英傑の一人」
「私も良い噂はいくつも聞いておるのでな、先人に学ぶためにも一度は会ってみたいものだの!」


【言葉だけを見れば、英雄を目指す理由は非常に傲慢で幼稚な考えともとれる】
【しかし、自分を知らしめたいならば何故顔を隠し、このような回りくどい対話方法を取っているのか】
【自分の名を世界に轟かせる――何かそれを行う理由でも存在するのだろうか】

【UTに関しては正義心があって興味がある、という訳ではなく】
【英雄として名が知られるかの組織に学びたいという気持ちがあるようだ】
【"正義"でない以上、接触したとしても加入するかどうかは微妙なところかもしれない】


「私の術か?うむ、これは私の爺様から教わったのだ」
「もっとも爺様の術は難しすぎたので、私は私のやりやすいように弄らせて貰ったがな!」

【爺様。家族であろうか、それがシーナの術の師であったようだ】
【その人物は今ここにはおらず、事件の際にも顔を見せていない】
【保護者とはいえ高翌齢であれば様々な不都合もあるのだろう、余程のことがない限り会う機会はなさそうだ】

「まぁ、才能がないならばすっぱりと諦めるのが吉だとは思うのだ」
「特に魔術などは殆どが生来の才で決まってしまう技術だからの」

「短所を無理に埋めるよりも長所をトコトン伸ばす方が私は好きだぞ?」


【そんなフォローなのかどうか、何とも言えない文字を見せた後】


「うむ、素直でよろしいのだ!心が沈んでおるときはこうするに限る!」
「さて、御主はどんなモノが好きかの?」
「甘いものが嫌いでないならば、私のお勧めの店を案内してやるのだ!」


【ゴミを捨ててきたアルフレドの手を掴み直そうとし、成功したならばそのまま公園の外まで歩いていこうとする】
【男女が手を繋いでいる――といえば色気がありそうだが、そういった感情は一切ない】
【ただ同年代の友人にでもするかのように、意識もせずしている行動だ】

【手を掴む行動が失敗した場合「むー……」などと少し不服そうな文字を出した後に】
【前を先導して普通に歩いていこうとするだろう】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/13(日) 02:36:28.49 ID:6mTrA7qto
>>27

そこまで武勇を広めることにご執心なさっているとは……。
失礼ですが、何か大きな夢でもお有りで?

【シーナがUTという組織に拘る理由が、自分のような正義≠フ心に拠るものではないと気づくと、アルフレドは若干ながら残念そうにする】
【しかし不機嫌になったり無理強いしたりしない所は、流石に礼節が行き届いていた。……むしろ逆に、シーナの強い英雄≠ヨの拘りへ一層興味を抱いたようで】
【夢≠ネんて言葉を持ち出して、アルフレドは更にシーナへ問う。自分自身にその大きな夢≠ェあるからこその質問だが……答えるかどうかは勿論自由だ】

……うっ、そ、そうですか。
ウチはごく普通の中流家庭ですから、やはりそういうのは難しそうですね………。

【非常にありふれた一般家庭で育ってきたアルフレドに、シーナのような魔術の師など居ようはずも無く。そもそも才能自体が欠如しているのだから】
【やはりというか、無駄な質問だった。結局のところはシーナの言ったとおり、いま自分にあるものを精一杯伸ばしていくしかないのだろう】
【彼女がさりげなくフォローを入れてくれた事に気づくと、「ありがとうございます」とやはり律儀にお礼を言って】

大丈夫、特に甘いものが苦手だとかはしませんよ。
場所はお任せします……あぁ、けどやっぱり、自分の分は自分で払わせて下さい。

【警察官なのだから当たり前といえば当たり前なのだが、いっそ面倒な程にアルフレドは真面目だった。ゴミ箱まで行ってすぐ戻ってくると】
【小さな手がまた伸びてきていることを察して、今度は自分から手を差し出すだろうか。……女性は苦手な部類のだが、シーナぐらいの年齢なら流石に大丈夫らしく】
【同じく特に意識する事も無く、微笑ましいような気分でシーナへ返答する。後は手を引かれるままに、シーナのお勧めの店まで連れ立っていくだろう】
【……せっかく奢ってくれると言っているのに固辞してしまうあたり、本当に面倒なほど生真面目な青年だった】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 02:48:22.22 ID:jVLEzkdR0
>>24

【見る見るうちに体が回復する。痛みは退き、傷は癒え、尽きた体力が戻っていく……暫くすれば体を起こすことも出来るようになり】
【回復しつつあるとはいえまだ重く感じる上体を起こして、フレデリックに向き直る。……見れば、自分が負わせた傷とはいえ彼もボロボロだ】
【自身も早急に治療が必要な筈なのに、こうして彼女への治療を優先する優しさ。それを感じない程、マリアは鈍感ではない―――】


ふふっ……傷を気にしていては、騎士団など務まりませんよ。
己の身を削ってでも人々を護るのが、私の役目で御座いますから……それで傷付くなら本望で御座います。

―――?
“道”が希薄、で御座いますか……?
……

【……彼の言葉が引っ掛かる。道が希薄とはどういう事だろう。彼は強い信念の下に動いているのではないのか?】
【少なくともマリアには彼が信念において揺れる人間とは思えないのだ。抜群の行動力を持つのは、己の行く道を見据えているからではないのか?】
【―――その後の忘れろという言葉から察するに、深く追及するのは気分の良いものではないだろう。情報の深追いは止めておこう……】
【しかし、どうも彼の零した一言が引っ掛かる……】

【話はまだ続く。櫻の国で妖狐が村一つを壊滅させたという話――そこに彼が赴いていたのをマリアは小耳に挟んでいた】
【詳しくは知らない。だが、彼が子供一人を救ったという事実は伝わっており、……その事実が、マリアにとっては何よりも嬉しかった】
【身命を賭して小さな命を救わんとした姿勢。そんな彼の姿勢を誰よりも尊敬したのは、きっとマリアだろう……】

……団長様が櫻の国へ妖の討伐に向かわれたことは、小耳に挟んで存じ上げておりました。
しかし、そんな事があったとは……―――


―――私と戦うことで団長様の迷いが少しでも晴れたなら、私はそれで嬉しゅう御座います。
……今度は、迷わずに済みそうで御座いますか?

私は決して死にません。―――団長様のご命令で御座いますから。
ですから、どうか……迷わずに進まれますよう。

【もうすっかり体もよくなったマリアは、その両足ですっと立ち上がる。トントンと少し飛び跳ねれば、体に異常がないことも確認できて】
【――丁度フレデリックも目が開いた。鋭い眼光を放つ瞳を真っ直ぐ向けられると、こくりと一つ頷いて】
【返す目線、彼女のマリンブルーの澄んだ瞳は強い意思を反映するかのように負けじと強く輝いていた。】

―――謹んで、お引き受け申し上げましょう。
それで無用な戦いが避けられるなら、願ってもいないことで御座います。
このマリア・アレンス、己の真の務めは人々を戦火に巻き込まぬ事と心得ております。その為なら何なりと行いましょう……!


【―――さて本日の目的、即ち手合わせは既に終了した。最早此処に居る必要などないだろう】
【傷は回復したとはいえ、疲労は残っている。己の務めを果たすためには、常に万全の状態にしておかねばなるまい】
【話すべきことも話した。これ以上話すことが無ければ、マリアはフレデリックと共に宿舎へと帰ることになるが……】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 02:56:59.32 ID:H0TF56tLo
>>28

「夢……か、うむ、夢なのだ!私の名を世界中の人間に知ってほしい」
「私を見て誰もがシーナ様と呼び称える光景こそが、私の持つ偉大な夢だの!」

「今はまだ遠いが、いずれはきっと成し遂げて見せるのだ」
「これから続く天才魔術師シーナ様の活躍を、お主も期待しておってよいぞ?」


【ただ名声を求め、誰もがシーナを称える世界】
【それがシーナの持つ夢――"といっても間違いではない"】
【キッカケやその根源に存在する理由、それに関しては恐らくまだ訊ねても答えてはくれまい】
【これを聞くにはもう数歩、彼女に踏み込む必要がある】


「……む、本当に妙に真面目な男よの。御主、女に好かれんのではないか?」
「まあ私は心が広いからの?別に気にしはせんが、自分で払いたいならば好きにするがよいのだ」


【アルフレドの言葉に、何とも微妙な反応を示す】
【怒ったり機嫌を損ねたり、という事はなさそうだがいい気分という訳ではなさそうである】
【何はともあれ、そのままアルフレドの手を引いてシーナは街中まで歩き】
【「どれがいいかの〜」「あそこの店は新作が出ておるのか!」などと、一人ではしゃぎながらも】
【数分後、ある店の前に辿りついた】


「ここなのだ!私はここの"苺ぱふぇ"が大好物でなの!」
「その他にも白玉餡蜜とか、"ちょこれーとくれーぷ"とか美味しい甘味が沢山なのだ!」

「では、行くぞアルフレドよ!いざ出陣なのだ!」


【其処はピンク色の壁で派手な看板のついた建物だった】
【動物や花などのファンシーな飾りが幾つもついており、如何にも女子向けといった甘味屋である】
【年頃の男性であれば一歩引いてしまいそうな外観ではあるが】
【シーナは見た目通りに幼い子供のようにはしゃぎながら、店内まで案内していこうとするだろう】

【もし、それに応じた場合は店員に席に案内されるまで場面は進むだろうか】
【そうした場合は、シーナはアルフレドの対面の椅子に座りメニュー表を楽しそうにパラパラと捲り始める】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/13(日) 03:24:29.07 ID:6mTrA7qto
>>30

その年でそれだけ大きな夢を抱けるのは、素晴らしいことだと思います。
ええ、期待していますよ。貴女の強さは知っていますから、このまま努力していけばきっと、その夢も叶うと思います――――。

【明るく自分の夢を語るシーナを、アルフレドは楽しそうに眺めているだろう。全て聞き終われば、そんな風に希望に満ちた言葉を返す】
【……その夢を持つに至った理由≠ノついては語ってくれなかった。それに気づきはしたが、敢えて触れることも無く】
【そこまで行くとかなり突っ込んだ質問だ。興味が無いではなかったものの、アルフレドも大人しく引き際を弁えることにした】

……………………はっ、はははははははは。

【「女に好かれんのではないか」――――余計なお世話だ、と叫びそうになったのは内緒である。事実だからこその引きつった笑み……】
【一番痛い所をナイフで突き刺されたような気分であった。過去にこっ酷くフられた経験があったり無かったりで、実はその辺りの話題にはかなり弱いのだ……】

【……そんなこんなでいきなり急所を突かれつつも、アルフレドはシーナに付いて行く。例え途中で何度立ち止まっても、きっと怒ったりはしなくて】
【むしろ、いかにも年頃の少女らしい振る舞いを見せるシーナが微笑ましく感じられて、彼女のはしゃぎっぷりをニコニコと眺めているのだろう】


――――う、これは中々……。
りょ、了解しました。頑張ります……!!

【やがて店の前に辿り着くと、やはりというか可愛らしい外装に完全に気後れした様子。どこまでも堅物性分が抜けない青年だった】
【シーナが店の中へ案内しようとしてくれたのなら、それでもどうにか覚悟を決めて、気合の入った一言と共に出陣≠ニ相成るのだろう】
【こういう場で変に覚悟なんて決めるところから、そもそも間違っているのだろうが……それに彼が気づく日は、果たして来るのだろうか】

えっと……申し訳ない、こういう店に入ったのは初めてでして。どれを頼めばいいやら……。

【……それはさておいて、アルフレドは気後れはしても拒みはしない。店員の誘導に従ってシーナの対面に着席するはずだ】
【しかし、何を頼めばいいやらさっぱり分からない様子。特に好き嫌いはないと言っていたし、単純にオススメを紹介してやるのが良いかも知れない】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 03:45:52.43 ID:H0TF56tLo
>>31

【店内の客も、店員もアルフレドを除き全て女性であった】
【その為何やら珍しいものを見るような視線が幾つか伸びてきていたりはするが】
【何時までも観察するほどではなく、間もなくそれらは無くなっていくだろう】


「そうなのか?ククク……ならば仕方がないのぅ、シーナ様にお任せなのだ!」
「どれにしようかの〜……これにするか、む……これでもよいな」


【シーナは一人でフードの下で百面相しながらもメニュー表を見て】
【時間にして2分程度でそれをパタンと閉じると、テーブル端のスイッチを押して店員を呼び】


「ではこの"でらっくすすとろべりーすぺしゃる"と」
「"あーもんどびたーちょこけーき"を一つずつ頼むのだ!」


【等とボードに記して注文を伝える】
【何度も来ている店なのか、店員もこの奇妙な話し方に反応することはなく】
【注文を繰り返した後、去っていった】


「さて……あとは来るのを待つだけだが、何もせずに待つのは暇なのだ」
「暇つぶしにアルフレド、御主の話でも少し聞かせて貰うとするかの?」


【シーナは、アルフレドに向けてそんな言葉を板面に記した】
【暇つぶし――本当にそれが理由なのかは定かではないが、彼の話を聞きたいということらしい】


「あの巨大ミミズの戦いにおったということは、御主は自警団かSCARLETにでも属しておるのだろうが」
「行き詰まっておるとかなんとか言っておったが、組織で何か揉め事でもあったのかの?」

「何分、組織に属しておらんとその辺の事情はよくわからんのだが」
「私も何度か接触もあるわけだしの。今後の事を考えても無関係とは思わぬし、色々と知っておきたいのだ」


【中々に直球な質問だ。事情によっては話すわけにはいかないような類の】
【組織に所属していない以上、開示できる情報の方が少ないだろう。】
【色々知っておきたい、とシーナは言うが何が目的であろうか。やはり表情も声もないのでそれらから察することは難しい】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 04:28:25.62 ID:6mTrA7qto
>>32

【――――周囲の女性から飛んでくる視線に、内心冷や汗を垂れ流す。女性というのはやはり苦手だ】
【それを必死に押し隠しつつ、アルフレドはメニューを流し見るシーナを凝視する。……他にどこへ目を向けて良いものかわからなかったのだ】
【シーナがまとめてアルフレドの分の注文もしてくれた頃にはそれも収まって、ようやく一息付く。後は頼んだものが運ばれてくるのを待つのみ……】


………わかりました。
ただし………暇潰しにしては、少々重たい話になりますよ。

【鋭い――――と、最初に思った。やはり子供と思って侮れる相手ではない。こんな可愛い場所へ案内してくれた割に、突っ込んだ切り口で話を進めてくる】
【……別にシーナは敵ではないのだが、こうして何かにつけて相手を分析してしまうのは、一端の刑事≠ニしての癖のようなものであって】
【アルフレドは、かちゃり、とまた中指で眼鏡を押し上げる。これもまた彼の癖だ。何かを仕切り直そうとする時の――――】

まず、僕が所属しているのは自警団ではなく『水の国警察』です。同時にSCARLETにも所属させて頂いています。
揉め事……そうですね、そのようなものです。お恥ずかしながら、正確には内輪揉め≠ニ言わざるを得ませんが……。

……アサド・アル=アーデルという名前を覚えていらっしゃいますか?
その「巨大ミミズ」討伐作戦の指揮を執っていた人物で、先程も少し話題に出しましたが、僕の所属する『ヘイダル』という部隊の隊長を勤めている人です。

【最初にアルフレドが取った行動は、スーツの内ポケットから警察手帳≠取り出してシーナに開示することであるだろうか】
【そこに示された顔写真や所属部署名、間違いなく全て本物である。もっともシーナからすると、偽物も本物もわからないかもしれないが……】
【アルフレドは次に、「アサド・アル=アーデル」という人物の名前を出す。その討伐作戦で総司令官を勤めていた男】
【彼が『ヘイダル』という名前の特務部隊を率いて、シーナ達助っ人と共にあの巨大サンドワームへ挑んでいった……そういう流れだった筈だ】

【……まぁ、実際には少しトラブルもあったが。覚えているだろうか、作戦の途中にいきなり二頭目のサンドワームが現れたことを】
【これを受け、アサドは部隊の半数を率いてそちらへ対応。元々の討伐対象であった巨大サンドワーム戦の指揮は『ヘイダル』の副隊長へ移譲された】
【その副隊長こそが、このアルフレドである。彼の指揮とシーナ達の活躍が功を奏して、巨大サンドワームは見事討伐された。これが、あの事件の概要だ】

そして、これはニュースなんかでもやっていましたので、知っているかもしれませんが。
二ヶ月程前、そのアサド隊長が――――僕の所属する『水の国警察』の手によって逮捕されました。

これによって、あの日シーナさんと肩を並べて戦っていた『ヘイダル』のメンバーは……ほぼ全員が指名手配されています。
唯一、水の国警察所属の僕だけが、そこから逃れた形ですね……。

【――――そしてここからが、彼が「行き詰まっていた」と行っていた問題になる。小さく溜息を吐いた後、アルフレドは続けた】
【そのアサドは少し前、唐突に犯罪者のレッテルを貼られ、アルフレドが所属する水の国警察によって身柄を拘束されたのだ】
【もちろん……その逮捕劇にアルフレドが関与していないのは、苦渋に満ちた表情から容易に判断できるだろう】
【この影響を受け、アサドの仲間であった『ヘイダル』の面々もまた、重要参考人として追われる身となった】
【……これについてはつい先日、シーナと会った時の夜凪レラの様子から察せられたかもしれない】
【彼女は何か≠ノ追われていた――――アルフレドの話によれば、あれは恐らく自警団や警察に追われていたのだろう】

【アルフレドは、ここで一度押し黙る。もしここまでで何か質問があれば、何でも投げ掛けてみるのがいいだろう】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 04:48:14.96 ID:H0TF56tLo
>>33

【話を全て聴き終わるまで、シーナは口を挟むことはなかった】
【今語られた情報は、普通の人間ならば耳にしたであろう逮捕劇の顛末】
【その事件を初めて知ったシーナは、自身の顎に指を添える仕草をしながら】

(成程……レラがあんな態度をとっておったのはこれが理由か)
(それならそうと、先に言っておくがよいのだ馬鹿者め)

【心の中で、先日出会った友人の顔を思い浮かべて】
【「ふぅ……」と文字を表示させながら音にならない溜息を吐きだした】
【この時点ではまだレラと会った事は話さない】
【未だアルフレドが完全な味方であるかどうか判別出来ないからだろう】


「ふむ、ここまでは分かったのだ。戦場で立ち会った限りではおかしな点は見られなかったが」
「……まあ、無実の罪を押し付けるなど珍しい話でもないのだ。大方"何らかの思惑"とぶつかったという事だろう」

「無論、気持ちのいい話とも思わんがの」


【フードで隠されていて表情は窺いにくいが、少しばかり不愉快そうな気配がシーナから洩れる】
【それはアルフレドに対するものではない。『ヘイダル』の逮捕の原因、その根幹に存在するだろう意思に対するものだ】


「まだ話は続くのだろう?私に語れるだけ語るがよいのだ」
「――私の機嫌が傾けば、御主の問題に関わってやるやもしれんからの。存分に励むがいい」


【そんな言い方で、シーナはアルフレドの話の続きを求めた】
【このような事を語っている時点で、シーナはこの問題に関わる気でいるようだが】
【事情がそれを許さなければ、当然それも不可能になる】
【機嫌などといっているが、実際は「可能」か「不可能」かの二択だ】
【身内に情を傾けるシーナにとって、"友達"が関わっている時点で他人事ではないのだから】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 05:37:06.79 ID:6mTrA7qto
>>34

………まずは、ありがとうございます。こんな話に付き合って下さって………。

【赤紫色の視線を下へ傾けて、アルフレドは陳謝する。シーナの言の通り、決して聞いていて気持ちのいい話ではない】
【レラとシーナが出会っていた事を知らないアルフレドにしてみれば、どこにも所属しない身のシーナが真剣に話を聞いてくれるのがまず嬉しかった】
【一度目を伏せて、アルフレドはもう一度シーナを見やる。「続けますね」と小さく呟いて、話を先に進めるだろうか】

アサド隊長に掛けられた容疑は、能力者至上主義を掲げるテロ組織、GIFT≠ニ内通していた罪。
……これはまだ極秘となっていますので、出来ればあまり外部に漏らさないで頂きたいのですが。
実は昨年の十一月、『レイリスフィード学園』という学校に、そのGIFTの手の者が紛れ込んでいるという情報が齎されました。
流石に場所が場所ですから、子供達にとってもデリケートな問題ということで、極秘任務という形で潜入調査が行われたのです。

しかし、調査はうまく行きませんでした。調査に入った時には既に、物的証拠は殆ど持ち去られた後でした。
それどころかGIFTの構成員が現れて、逆に調査隊を罠にはめ、皆殺しにしようとする始末。その場はどうにか退けられましたが……。

――――これはつまり、その極秘調査の情報がGIFT側に漏れていたことを意味します。
この調査のことを事前に知り得ていたのは、調査を依頼した学園長と、調査を担当した自警団側の参加者のみです。
そのいずれかに内通者がいると考えられていたのですが………隊長は、その犯人として仕立て上げられたという訳ですよ。

【気分がいい話ではないのは、アルフレドにとっても同じ。まくし立てるように伝えた内容は、暗い陰謀に満ち溢れているように思えた】
【……ただ、仮にも極秘調査≠フ内容をシーナに伝えたことは、彼がシーナをそれだけ信用したということの証左でもある】
【それをシーナがどう受け取るかに関わらず、アルフレドはそこで一度言葉を切って、更に話を続けるのだろう――――】


/ごめんなさい続きますorz
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 05:37:52.96 ID:6mTrA7qto

もちろん、これは全て冤罪であると断言できます。その件の内通者は、必ず別にいると断言しましょう。
……しかし、物証が揃いすぎていました。黒幕≠ノしてみれば、隊長を犯人に仕立て上げるのは簡単だったでしょうね。

その捜査には――――SCARLET側より、僕ら『ヘイダル』の人間が派遣されていたんです。
名前は「夜凪レラ」。シーナさんと同じぐらいの背格好の少女です。もしかすると、あの砂漠で会われたかもしれませんね。
……忍者≠ナある彼女は、こと潜入工作に関しては子供ながらに目を見張る実力を持っていました。
調査に起用されたのもそれが理由だったのですが……今思えば、これも偶然ではなかったのでしょう。
『ヘイダル』のメンバーはその殆どが砂の国自警団の人間で構成されています。そして、あの調査捜査の主導は水の国自警団。
国内の戦力を使わず、わざわざ遠隔地の僕らが使われた……何かがおかしいと、あの時気づくべきだった。

【そしてここに来て、唐突にレラの名前が飛び出す――――アサドがGIFTと内通していたと言われる論拠となった事件に、彼女もまた関わっていた】
【水の国自警団主導の調査任務に、わざわざ異国の砂の国自警団からレラが派遣された。この時点で誰かが手を回していたのかもしれない】
【アサドの部下であるレラがその場にいたことは、アサドの罪を固める上でさぞ強力な証拠になったことだろう……】
【――――レラにしてみれば、自分が調査を引き受けた事が切っ掛けでアサドが逮捕されてしまったことになる。気負うのも、無理はないか】

長々とお話ししてしまいましたが、要は何者かが警察上層部に手を回し、冤罪で隊長を捕らえたということです。
僕が行き詰まっていると言ったのは、それです。事件から二ヶ月も経つのに、隊長の無罪を証明する為の証拠が未だ出揃わない……。

……部隊の中で動けるのは、今や僕だけ。隊長や皆を助けられるのは僕だけなのに――――時々、無力感に押し潰されそうになりますよ。
せめて、他の皆の無事だけでも確認できればいいんですが…………。

【そうして、アルフレドの語りは締められる。力無く俯いた彼は、机の下で拳を強く握った】
【レラだけではない――――このアルフレドにしても、自分の所属する組織が大事な仲間に償いきれない迷惑を掛けたことになる】
【かつてシーナと共に戦った『ヘイダル』の面々を、バラバラに引き裂いてみせた陰謀。それを誰が仕組んだのかは、まだ分かっていない……】

【……最後にアルフレドが零すのは、ごく純粋な心配であるだろうか。表情には色濃い悔しさが滲んでいるが、少なくとも表面上、悪意の色はない】
【もし、シーナがそんな彼を信頼できると思ったのであれば――――レラの話を、してやるべきだろう】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/13(日) 06:19:32.49 ID:H0TF56tLo
>>35-36

「…………」


【アルフレドの語る事件の内容を、シーナは黙って耳にした】
【去年の11月より連なる、自分の預かり知らぬ場所で起こっていた事件】
【"ある一点"を除くならば、シーナは関係ないと切って捨てることも出来るだろう】

【アルフレドにも、自警団やSCARLETにも義理はない。殆ど無関係の他人に過ぎない】
【関われば国が敵に回るかもしれない事件だ。英雄を目指すシーナからすれば利が少なすぎる】
【しかし――】


「……ふん、大の男が情けない顔をしおって。やっぱり御主は女に好かれそうにないのだ」
「正直のところ、会ったばかりのお主や、特に関心もない組織のあれこれ等私にはどうでもよいのだがな」

「私の友に――レラにあんな顔をさせたのがその下らん事件の糸を引く首謀者ならば」
「一人残らず、泣いて謝るまで叩き潰してやらねばならんのだ」


【――ただ一点、友を傷つけたというその理由だけでシーナはアルフレドの話に乗った】
【たった二度だけ会った友人に何故其処まで肩入れするのか、内情を知れば理解出来ないと口にする者もいるだろう】
【だが、シーナ・ゲルギルとは"そういう人間だ"。これ以外に説明すべき理由など存在しない】
【友や家族を傷つける者には容赦なく、苛烈なまでに感情を滾らせるのがこの少女であった】


「……数日前、草原でレラには会ったのだ。生憎と連絡を取る方法は知らんがな」
「ならば、他の者もどこかに身を隠して再起の時を待っておるのではないか?」

「楽観的と考えられるかもしれんが、悲観的になって根暗な顔をしておるよりも百倍マシなのだ」


【信頼、と呼べるほどアルフレドに心を許していないが】
【それでも現状レラを助けうる要素が目の前の男しか存在しないならば協力する】
【憎まれ口混じりの言葉でレラの事を話した後】


「この一件。天才魔術師、シーナ様が特別に手を貸してやるのだ」
「御主が事件を起こした阿呆共を引き摺りだす為に何が必要なのかはわからんのでな」
「"私に出来ること"を教えるから、よく考えた後相談に来るがよい」


【そう言って、シーナは懐から小さな紙を取り出すと】
【その上に袖の中に仕込んでいた黒い砂をサラサラと塗し、固定する】
【紙に記されていたものは――】


【「探知」・接地した物体や生物のみが対象。最大範囲約50m。対象の体重や身長などを知ることで個体の特定が可能】
【「造兵」・人間大のゴーレムを最大70体まで生成、操作が可能。10体につき1日の制作時間を要する】
【ゴーレムは人間の歩行程度の速度しか出ず、単純な動作しか出来ないが死を恐れず身体の30%を破壊されるか胸部のコアを破壊されるまで稼働する】
【「建造」・3階建てのビル程度までの建造物をその場の素材で生成可能。魔力消費が大きいため1日1件のみに限られる】
【「削地」・最大2km程度、軽自動車が通れる程の広さの地下トンネルを作り出すことが可能】
【最大で約一週間の制作時間が必要であり、また敵拠点に繋げる場合は高確率で発覚すると思われる】

【――シーナに可能な限りの術の範囲である。どれも遭遇戦ではまず使えない非常に手間の掛かるものばかりであるが】
【使い方を間違えなければ絶大な効果を発揮する「戦略級魔術」であった】
【これらを踏まえた上で、アルフレドの活動に際して協力できることがあるならば、内容によるがシーナは力を惜しまないだろうか】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 06:55:07.70 ID:6mTrA7qto
>>37

【何かの組織に入っている訳でもなければ、ただ単純に英雄≠目指しているだけで、正義を志している訳でもない】
【無論、過去に大きな事件解決に関わってくれた実績や、ここまで話してきて「信頼できる」と考えた、いわば刑事の勘じみた根拠はある】
【しかしそれでも、直接関係のない相手に全てを打ち明けるのはやはりリスクの高い行為だ。……逆に言えば、状況はそこまで進退窮まっていたということであって】
【そんなシーナが、この長い話を文句も言わず聞いてくれたことに、アルフレドとしても小さな引っ掛かりはあったのだが――――】

――――そうか、そういう、ことでしたか。
彼女は忍者≠ナすし、そう簡単に捕まることはないだろうと思ってはいましたが……良かった、本当に……!

【シーナの言葉を聞いて、その疑問も綺麗に氷解する。事前にレラと会って友達≠ノなっていたということなら、十二分に得心が行った】
【大きく見開かれた赤紫の瞳には、多大な安堵が浮かんでいるだろうか。ずっと探していた大事な仲間の無事を、ようやく確かめられた――――】
【……シーナの前でレラはしのび≠ニ自称していた。隠密行動のプロが本気で隠れたら、容易に見つけるのは不可能だ】
【自警団や警察側の追っ手と、仲間としてレラを保護しようとするアルフレド。そのどちらにも見つかることなく、レラはこの二ヶ月を過ごしてきたのだろう】

シーナさん、会った場所と彼女の様子を、出来るだけ詳細にお教え願えませんか。
彼女の行動パターンはある程度把握しています。今ならまだ間に合うかもしれない、一刻も早く彼女と合流したいんです……!

【アルフレドは必死の形相で、レラと出会った時の情報を教えてくれと頼み込むだろうか――――】
【もしそれが叶ったのなら、手帳とペンを取り出して、その情報を熱心に書き込んでいく筈だ。「ありがとうございます」と何度もお礼を言いながら】
【シーナがレラと出会ってから一週間ほど。まだ場所を移していなければ、恐らくシーナと出会った場所の近くにレラの拠点がある】
【単に保護できるだけではない、レラは優秀なしのび≠ネのだ。彼女の力を借りることができれば、捜査も進展を見せるかもしれない――――】

………そこまで、協力して頂けますか。
ありがとうございます、本当に――――これなら、行けるかもしれません。

【新たにボードに浮かぶ言葉と、彼女が取り出した紙に描かれる内容……それを見やって、アルフレドは心からのお礼を述べる】
【――――「行けるかもしれない」。その言葉の意味からして、既に何か作戦が浮かんでいるのかもしれなかった】

実は………重要な情報があると覚しきGIFTの施設に、前々から目を付けていたんです。
そこを襲撃して情報を手に入れられれば、決定的な証拠≠掴むことが出来るかもしれない。
ただ、何分ガードの堅い施設だ。僕一人では到底突破は不可能だと思っていたのですが……。
貴女の協力と、レラの協力。その二つがあれば、十分に勝算はあります――――!

【GIFT施設への襲撃。アルフレドはどうやら、今回の件の黒幕にGIFTの関わりがあると踏んで捜査を続けてきたようだ】
【そして、事件に関して何か重要な情報を握っているらしき施設を突き止めた。だが、警備が厳重で単独での突破は不可能に近い】
【しかし、「削地」で道を造るなり、「造兵」で戦力を増やすなり。シーナが提示した「戦略級魔術」があればそれも十分に可能だろう】

【アルフレドはメモ帳に何かを書き込むと、すぐにそれを破いてシーナに手渡すだろうか。そこには彼の連絡先が書かれている】
【シーナの連絡先も手渡してくれれば、数日のうちに使用して欲しい魔術についてアルフレドから依頼が来ることになるだろうか】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 07:22:35.84 ID:H0TF56tLo
>>38

「うむ、構わんのだ。私とあやつが出会った場所は――」


【アルフレドに問われれば、シーナは覚えている限りの情報を彼に伝える】
【未だ彼に全幅の信頼を置いているわけではないが】
【レラを救う手段に繋がるならばと、惜しむことなく文字を走らせる】
【無論、"何かあった場合"の備えとしてアルフレドの身体的特徴を記憶した上であるが――】


「利害が一致しておる限りは、御主の味方になってやるのだ」
「自警団やscarletの走狗になる気はないが、レラを蝕む奴らを蹴散らすまでは好きに頼るがよい」

「取る作戦は御主に一任するのでな、決まり次第私に"呼びかける"のだ!」


【彼の連絡先を受け取り懐に仕舞うと、シーナは再び袖口から砂を躍らせて】
【粘土のようにテーブル上でモゾモゾとこね合わせて小さな砂人形を創りだす】

【それはまるで、シーナを2頭身にデフォルメ化したような造形であった】
【シーナはそれを操作してテーブルの上をトコトコと歩かせて、アルフレドの前で止まらせる】


「その"みにシーナちゃん2号"の頭を、指で押しながら語りかければ私に通じるからの」
「私からは返事が出来ん一方通行だが、私を呼びつける時にでも使うがいいのだ」


【連絡用の小型ゴーレムのようであった。大きさは15cm、強度はプラスチックほど】
【日頃から持ち歩くのは面倒であろうが、数度の連絡用にどこかに置いておく分には不便はないだろう】
【返事が出来ない、というのはシーナが声を出せないことが理由であろうか】


「――っむ、暇つぶしというにはちと物々しい話になったが」
「丁度よく到着したのだ!ほれほれ、御主ももっと美味いモノを食べて笑顔になっておくがいい!」

「笑うものには福来る!万事を笑い飛ばせるようでないと、成功するモノもしなくなってしまうのだ!」


【そんな折に、先ほど注文していたスィーツがてテーブルに運ばれてくる】
【シーナの方には苺がたっぷりと入った特大パフェ】
【アルフレドには甘さ控えめで、細かく砕いたアーモンドの乗ったチョコレートケーキであった】

【食事をしているあいだは、あまり語ることもないだろう】
【もしこれ以上この場で立てる作戦などがなかった場合は、食事を終了した後解散する流れになるだろうか】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 07:49:31.70 ID:6mTrA7qto
>>39

ええ――――それで構いませんよ。正義なんて、他人に押しつけるものではありませんから。
この件が終われば僕らに構うことはない、貴女は「英雄になる」という自分の夢を追って下さい。

【利害の一致……完全に信頼されてはいないことは実感する。今回の事件の背景を見れば、当たり前と言えば当たり前のことだ】
【だが、それでいい。シーナにとってレラを救うのが第一であるように、アルフレドも戦力≠手に入れるのが第一なのだ】
【信頼されいなかろうが何だろうが、シーナの協力は得られた。後はただ、行動で示すのみだ――――】

あ、でもその後も、レラとは仲良くしてあげて下さいね。
自警団とかSCARLETとか、関係なく……友達≠チていうのは、そういうものでしょう?

【……最後に、こんな重苦しい話とは全く関係のない、レラの仲間としての囁かなお願いをひとつだけ付け加えて】
【自身の連絡先と引き替えに、シーナから渡された小型ゴーレムを受け取るのだろう。……「みにシーナちゃん2号」というネーミングに軽く笑いつつ】
【シーナにしてみても、この一件に関わらず、現職の刑事とのコネクションというのは将来役に立つものであるかもしれない】


わかりました、今はさっきの話のことは忘れますよ。……それにこのケーキ、意外と美味しそうじゃないですか。
それではお先に、いただきます――――。

【苦々しい話ばかりしてしまったが、ここが可愛らしい甘味屋の中であるということを忘れてはいけない。楽しむ時には楽しまなければ】
【……人が選んでくれた者に対して「意外と美味しそう」なんて冗談を飛ばせる程度には、アルフレドにも少々余裕が出てきたのかもしれない】
【フォークを手にとって早速ケーキを口に運ぶ。予想通り美味しい――――考え疲れたときには甘いものがいいなんて聞くが、まさしくその通りだ】

【食事の最中は、確かに話すこともないが……アルフレドは話題作りに、ふとレラの話題でも振ってみるかもしれない】
【年齢も生き方も大した共通点のない二人だが、唯一共有できる話題だ。普段の素行やら何やら、話そうと思えばいくらでも話すことが出来て】

【――――そんな風にしているうち、別れの時は来る。アルフレドは最後にシーナへ一礼した後、早速件の草原へと足を向けるのだろう】
【別れ際の表情は、きっと明るいものだっただろうか。ようやく掴み取った希望≠フ断片を心の内に、青年は次なる手≠考える――――】


/長々とお付き合い頂いてありがとうございました……!
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/13(日) 08:13:03.53 ID:H0TF56tLo
>>40

「勘違いしないでもらいたいが、別に私は御主らを嫌っておるわけでもないのだ」
「事件の黒幕とやらは唾棄すべき悪党だと思っておるがの」

「それにレラのことは勿論だが、SCARLETにも友はいるのだ」
「あやつの為にとも考えれば、もっとやる気も出てくるかもしれんの!」


【まだ会って間もなく、事件の内容が内容なだけに完全な信用こそしていないが】
【アルフレドや、組織全般に対して悪印象を抱いているわけではなさそうだ】


「ふん、意外は余計なのだ!私が勧めた店で不味い食い物など出る訳があるまい」
「ゆっくりと食べて英気を養っておくがいいのだ!」


【その後、レラの事を含めた囁かな雑談を交えながら甘味を平らげて】
【時間にして数十分だろうか。やがて別れの時は訪れ】
【シーナは「では、またの」などと簡単な挨拶をしたあと、小さく手を振って去っていった】


「――さて、久しぶりの大仕事だの。今から準備しておかなくてはならんのだ」
「ククク……待っておれよ名も知らぬ悪党め、シーナ様を敵に回したことを地獄で後悔させてやるのだ!」


【家のある森林の方へと歩みなが、物騒な言葉を一人ボード上に記す】
【未だ実態の見えぬ事件の真犯人。それと対峙することを思考しながらも帰路に着いていくのだった】


/朝までお疲れ様でした!
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/13(日) 08:34:33.99 ID:IrsZuUbCo
>>29

……案ずるな、大したことではない。私が教会の為に動くのは真実…。
ただ……その原理、とでも云うのか……自分でも、たまに曖昧になる

一度そのことについて考えた時、ひどく間抜けな答えが出たのでな
……とにかく、大丈夫だ。いずれ事が済めばお前たちに語る日も来よう
今は各自……全力で事に当たるほうが先決だ。……笑い話は、その後で構わんだろう?

【小さく、自嘲的な笑みが零れた。それも直ぐ拭うように表情を繕い】
【やがて櫻の一件を話し、彼女に『迷わずに済みそうか』と問われたならば】
【フレデリックはゆっくりと首を縦に動かし、やがて自分も立ち上がる】

【その場で軽く跳ねることも出来るマリアと違って、少々ふらついてはいたが――】
【取り敢えず、無事だろう。彼女が任務を引き受ければ『よし』と呟いて】

では戻ろうか……そういえば、例の櫻の件で土産がある
剣ヶ団子≠ニいうものだ。滅びた里の銘菓だそうだが……現存する最後の一つやもしれん
生憎と私は甘味は苦手だ、今回の礼として貰ってくれるな?

【――やがてヴィンドへ転移の術式で向かったなら、彼は件の団子を取ってきて、手渡すだろう】
【それはもう、多少強引にでも。騎士団員とでも、子供たちとでも食べろ、と】

【ちなみにこの団子、他国から求めて来るものが居たほど美味いとのことだが】
【反面、恐ろしくカロリーが高いらしい。一人で食べるなら、ちょっとばかり注意が居るかもしれない】
【もっとも態々それを言うフレデリックでもなかったし――きっと、彼女ならそうはしないのだろう】

【そうして手合わせの一幕は終わりを迎える。数時間後には、騎士団員に密命が下り】
【夜の国、希望の灯≠ヨの密偵としての仕事が与えられることとなるだろう】
【事はまた、動く。二箇所目の巡礼は果たしてどうなるのか、未だその先は夜の帳に包まれていた。】

/それではこの辺りでっ!延び延びになっちゃって申し訳有りませんでした&ありがとうございましたー!
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 11:26:59.57 ID:jVLEzkdR0
>>42

―――それが間違ったものでなければ、きっと人間の行動原理なんて単純だって構わないので御座いますよ。

元より私は貴方を信じ、全力を尽くすつもりで御座います。どうか、ご自身が正しいと信じられる道を進まれますよう……

【フレデリックが自分の問いに頷いたなら、マリアはふわりと安心したような微笑みを見せる。】
【もう一抹の心配もしていない。彼に迷いがないのなら自分はついて行き、己の出来る事を力の限り遂行して彼を支えるだけだ。】
【彼の行く道の先にある物が何なのかはまだ分からない。ただ、彼なら間違った道は進まないだろうと信じられる……―――】


まあ、お土産で御座いますか!ふふっ、有難う御座います。
きっと子供たちも喜びますよ。何なら騎士団の方々にも……

(……滅びた里の銘菓で御座いますか。……どうにかしてこの味を保存する方法はないものでしょうか……)


【―――やがてフレデリックも立ち上がる。ふらつく彼の躰を傍でそっと支えるような素振りも見せて】
【土産の団子には素直に喜ぶ。マリアとて一人の女性、甘いものには目がない……ならば、最早幻となった銘菓を贈られて嬉しくない筈はなくて】
【それでも二言目には子供たちの事が口に出るあたりは彼女らしい一面か。こんな彼女の事だ、きっと独り占めなんてする筈もあるまい】

【そして、二人は転移術式で宿舎へと戻る。改めて団子の現物を手渡されたら嬉しそうに微笑みを見せて】
【それから団子の一つを持って厨房に向かう。何をしているのかと言えば、その団子の作り方の研究らしい。】
【……やがて数時間後、試行錯誤の末にレシピは完成。幻の銘菓の作り方はマリアの手によって保存されることになった。】

【なぜそんな事をしたのか……それは、単に美味しい銘菓を幻の物にしてしまいたくなかっただけではない】
【……いつかフレデリックが助けたという子供にその団子を食べさせてやりたいのだ。故郷も親も失くした子供に、ただ一つで良いから故郷の形見を感じてほしいのだ】
【いつ何処でその子供に出会うかは分からない。ただ、生きている限り何時か出会うかもしれない……その時は、このレシピを伝えるつもりだ】


【―――数時間後、マリアを初めとした騎士団の面々は密命を受領する。少し休めば、各々動き出す筈で】
【この先彼女らを待ち受ける運命は、神のみぞ知ると言ったところか―――】

//こちらこそお付き合いいただきありがとうございました!また機会があれば是非!
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/13(日) 15:16:13.70 ID:sIx/nMXBo
【水の国――とあるビルの屋上】

【そこには二つの影があった、一つはこのビルで働いている会社員のようだが酷くやつれていて】
【近くに落ちている手紙のような物や靴を見れば、――何をしようとしていたのかは一目瞭然】

「ククク……人間が嫌なら俺様が新たな道を作ってやァろう」

【もう一つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【傍から見れば自殺を止めようとしている勇敢な存在の様に感じられるが――】

「テメェーは自由になァれるのだよ、俺様の力があァればな……さァ、混沌の世ェ界へ行ィこうか、人間」

【その者にがっしりと掴まれ怯えもがく会社員の様子、そして混沌とした魔翌翌翌力を浴びせられている様子――】
【……何か良からぬことに利用されそうな気がするのは、きっと気のせいでなく】

/10時頃に落ちますがそれでもよろしければ
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 18:50:50.59 ID:5/1XTrmX0

【白銀の都・イグナス≠ナの戦いから数か月―――GIFTによって甚大な打撃を受けた鉄の国≠ヘ、ゆっくりと復興しようとしていた】
【軍事を中心とした産業も安定した軌道に乗り、テロによって破壊された街並みも元に戻り始めている】
【首謀者である元SCARLET隊員のディック・ホワイト≠フ行方は未だ捜索中だが、人々の中から戦いの記憶が無くなろうとしていた】

【―――そんな時だった。】

【GIFT≠ヘ再び姿を現した………大陸の端から2つの部隊に分かれての大侵攻、その戦力は誰が見ても今までの中で最も強大だ】
【誰もが肌で感じた、雌雄を決する時≠ェ来たのだと………。つかの間の安穏とした日々は再び血と硝煙によって塗り替えられるのだと。】

【部隊の一つは以前も襲撃したアビス平原≠ヨと侵攻している、こちらは平原という事もあってか、鉄の国の戦車部隊が防衛に回る】
【隊列を組んで敵≠ェ来るのを待ち構える鉄の狩人たち、並みの戦力では近づくことも出来ず吹き飛ばされる事だろう………だが】

【―――敵≠ェあらわれた、その数はなんと戦車一台だ、恐らくは他の戦力は後方に待機させているのだろうがともかく今はそれしか見えない】
【千を超える戦車・兵器部隊と戦車一台………こんなものは赤ん坊でもどちかが勝つかは分かる。】
【現れた戦車の上には一人の男が立っていた―――そう、件の首謀者・W/ダブル≠アとディック・ホワイト≠ナある。】
【武装も何も持たず、ただディックは眼前に見える戦車部隊を見つめる………一方で鉄の国軍の方は「白旗でも上げに来たか?」と笑いすら起きている】

【ディックは何をするでもなく一度平原の頭上に存在する青空を眺めて息を吐く―――どこか感慨にふけるように。】

―――これで終わりだ。この国を取り巻く欺瞞も、全て俺が焼き尽くす。
ベアトリックスが何をするつもりかは知らないが………あくまで俺は俺の目的の為に動かさせて貰うとするぜ。

………見てるか?ハハッ………俺はもうこんなに腐っちまったぜ、まぁ仕方ない事だがお前と同じところなんていけそうにない
だが俺は―――お前が言ってたこの神からの授かりもの≠フ力で―――この国に革命を起こす………邪魔するものは、全て焼き払う≠ワでだ…!

起動しろ………焔の巨人・ムスペル=c……ッ!!


【ディックが手を掲げると―――彼の上空の空間が歪み、それが次第に何かの形を形成していく………それは巨人だ】
【騎士鎧のような真紅の装甲を身にまとった20m程のヒトガタで、背には蝙蝠のような黒い翼が存在している………GIFTの新兵器か?】

【見慣れない新兵器を前に、余裕綽々であった鉄の国軍にも緊張が走り―――戦車の砲身が一斉に巨人≠ヨと向けられる………!】
【数百を超える砲身を向けられて尚、ディックは不敵に笑う………そして。】


                            焼き払え


【この日、アビス平原の全てが燃え尽きた=z


//続きます
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 18:53:50.73 ID:5/1XTrmX0
【同時刻―――エルル鉄鋼山=z
【ここは鉄の国≠フ北東に位置する巨大な鉄鉱山で、数十年以上国の屋台骨を支えている場所である。】
【鉄の国軍の直轄管理地であり、国と国内の軍事企業が共同で管理運営をしている国内産業の心臓とも言える場所である。】
【採掘された鉄鉱石は隣接する製鉄所に運ばれて鉄鋼となり、国内全土へと送られており人の出入りも非常に多い。】

【だが、今宵はいつも以上に騒がしい―――なぜならここはGIFTのもう一方の部隊の襲撃先であるからだ。】
【鉱員や職員はすぐさまに近隣の都市へと非難しており、警戒態勢に入っているが鉱山という事もあり軍戦車部隊などは派遣できない】
【それは相手も同じ条件であり鉄鋼山襲撃は少数の部隊で行うものと判断し、ここに送られる防衛戦力は自警団を中心としたフットワークの軽い有志の部隊だ】

【何故この戦いの佳境の段階で資源施設を攻撃するのかは不明だが………相当の激戦になるとは予想される。】
【―――そして、鉱山入り口へのミサイル攻撃を皮切りに―――その時が始まった、GIFTの戦闘部隊の到着である―――。】

にゃはは、どうやらディックくんの方も始めたみたいだねー、まぁ亡き家族の為とはいえよくあそこまで愚直になれるものだ
いくら力で訴えかけたところでこの国を取り巻く環境なんてものは変わりはしないのにねぇ………まぁ本人が満足ならばそれでいいんだけどにゃー

さぁーて、僕は僕で愉しいパーティーを始めるとしようかにゃー………彼≠烽「い加減待ちぼうけしてるだろうし………フフ。

【そして少し離れた場所から始まった戦いを眺める人物が一人。】
【灰色のシニヨンヘアーの髪に紫の薔薇の髪飾りを差し、同じく紫の瞳をして口元から犬歯を覗かせており灰色のシャツを着て】
【全身を、背に金十字≠フエンブレム、右胸に髑髏のエンブレムの入った白いロングコートで包み込んでいる華奢な体系をした少女だ】

【ヘル・ベアトリックス=c……GIFTメンバーの一人でW/ダブルとも対等に接する謎の多い少女だ。】
【既に始まった兵士同士の戦闘をしり目に愉快気に独り言を放しながら、単身でゆっくりとした歩調で鉄鋼山の内部へと侵入していく―――】


『―――ッ!外部協力者の方々聞こえていますか!?鉄の国軍通信局のヴァイパー特務少尉ですッ!!敵のリーダー格が鉱山内部へと入りました!』

『こちらの敵部隊は我々に任せて追跡してください………ッ!何が目的か分かりませんがどうかご用心をッ!!!』

【一同に配布されていたインカムに通信が入る、今回唯一の軍から派遣された人物からだ。軍人らしくないおどおどとした人物だったが、まぁそれは今は関係ない】

【既に確認した者もいるかもしれないが、敵のリーダー格である少女が鉄鋼山の内部へと侵入した、戦力的にもフットワーク的にも外部協力者が追撃するのが有効だろうと判断したのか】
【そういった旨の通信と共に自警団の援護射撃があり、鉄鋼山へ入る道筋が確保されるだろう―――。】

//もう一度続きます
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 18:54:04.93 ID:5/1XTrmX0


【―――ベアトリックスを追って地下へ地下へと入っていけば、最終的に無数の鎖などで立ち入り禁止区域となっている場所に行きつくだろう】
【それを潜ってさらに奥へと行けば、開けた場所に出る………だがその空間は異様≠セった】

【広間の至る所には剣や槍など様々な武器が突き刺さっており、まるで戦場の跡のようである、さらに】
【その奥には無数の亡者のようなレリーフが掘られた巨大な門が存在している………そしてベアトリックスもその門の前で佇んでいた】

―――やぁよく来たね、中々面白い空間だろう?旧世界の文明の遺産さ………まだまだ世界各地にはこんな場所が多数眠っている
それらが目覚めれば………この世界の歪み≠ヘさらに大きくなり、多元世界の理は混沌へと進むことだろうにゃー。

あぁ………紹介が遅れたね、僕はGIFTメンバーの一人、白の女帝:ヘル・ベアトリックス≠ウ
とはいっても一人は依然会った顔だけどね………にゃはは、あの時の借りをしっかり返さないといけないにゃー。

まぁ何にせよ―――彼≠迎え入れる供物≠ニなっておくれよ、二人とも………?にゃはははははははははははは!

【振り向きナビゲートするように二人へそう説明すると自身の名と所属を告げて、淀みきった瞳を楽しそうに歪める。】
【同時に、ベアトリックスの背後に存在していた門≠ェ青白く発光し………ゆっくりと開いていく=c……!】

【瞬間、この周囲の空気が凍りつくように冷えていく………そしてベアトリックを中心として死気≠ニ形容できるような圧迫感が渦巻く】
【何か超常的な事が起きている―――このまま何が起こるかは不明だが、戦いは避けられない…!】

//これよりイベントを開始します!指定のフィールド又はこの文に返信してください!
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/04/13(日) 18:54:37.28 ID:sO0q8p81o
【エルル鉄鋼山――採掘場・入り口】
【巨大なその通路は、平時であれば鉱員達が忙しなく往復し、談笑しているだろう場所だ】
【トロッコの通る線路や、分配器。その他幾つもの重機や、運搬車がそこら中に止められているのが見て取れる】
【両脇には巨大なクレーンも存在しており、それが振り回されれば容易く地面は陥没するだろう事は想像に難くない】
【そして、その通路にあるのは、運搬車だけではなくて――】

「――うっしてめーらァ!! 金目の物は奪ってそれ以外は全部壊して此処から先は誰も通すなよー!!
んでもって、死にそうになったらとっとと他の連中見捨てて逃げる! あたしらの価値は死なないことにあるんだからよ!!
それが分かったらいつも通り散会! トラック部隊は何時でも動けるようにスタンバっとけ、合図はあたしが出す、他の奴らもだ!!」

【20名ほどだろうか。服装も装備もそれぞれバラバラ、咥えタバコの者まで居る、練度の低そうなその部隊】
【そして、その連中に対して声を掛けている女だけが、その中では多少練度の高さを感じさせる者で】
【ただ、それでも。ここにいる部隊の者達には、光るものが何もない】
【そこを満たしていた者達は、才能に恵まれぬもの、異能を持たぬもの、神に愛されぬもの】
【弱者、無能、無能力、クズ、ゴミ、無価値、無駄、無意味、不要、存在が害悪】
【――即ち、GIFTの価値観にとって、なんら存在意義を見出されぬ、人非人】
【クズの掃き溜めを束ねる、クズ山の王たる金髪緑目の女隊長の隊は、正式名称を与えられていなかった】

【それでも、あるものはその隊をこう呼ぶ。『最低最悪最弱、不死身のコジマ隊』と】

「――……あー……誰も来ないでくれよー、頼むっスよー……。
面倒くせえ……面倒……ッス、ガチ面倒なんで本気でやめてくれッスよー……」

【その隊の長たる、コジマは周囲の物品の位置関係を目に収めつつ、装備の確認を行っていた】
【武装は、手首に機械的機構を組み込んだグローブと、無数のスローイングナイフ、そして2振りの手斧といったもの】
【どうってことのない装備。どれもが高品質であっても、曰くつきであったりはしない】
【そもそも、そのようなものは取り上げられるし、持つことを許されない。それが、戦闘兵というものの扱いだ】
【咥えタバコで、紫煙を辺りに撒き散らしつつ、口からはやる気のない言葉を吐きながら】

「――Wサマ、嫌いじゃないッスけどねえ……。そろそろ、身の振り方考える時期かもしんないッスね……」

【金髪緑目のGIFTの女の、そのエメラルドグリーンの双眸だけには油断は微塵も存在していなかった】
【そして、女の僅かなつぶやきは、誰の耳にも入ること無く溶けて消えた】

/*シュトゥルムの方、よろしくお願い致します!!*/
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 19:23:58.50 ID:6mTrA7qto
>>45 >>46 >>47

【鉄の国・エルル鉄鋼山――――最下層】

へぇ…………なるほど、確かにすごい場所ですね。
多元世界とか理とか良く分かりませんけど、面白そうです。……見ている分には、ですけど。

【鉄の国軍部から召集された外部協力者として、その人物はここにやって来ていた。戦場跡じみた空間をなんとも物珍しそうに見回す……ひとりの少年】
【流行り物のシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸にはシルバーのアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツという服装に】
【それらの上に紺色のダッフルコートを着込んだ、どこにでもいる一般人のような少年である。ワックスで前髪を上げた茶髪も、洒落っ気はあるが場違いで】
【顔つきは幼く、体格もそう大きくない。黒色の双眸もいたって温厚――――地獄の扉の一歩手前のようなこの場所からは、少しばかり浮いて見える】

彼=H 供物=H ……それもそれで面白そうだ。
ベアトリックスさんでしたっけ。何のことか、教えてもらえませんか?

【無造作に生え揃った武具の林の中を歩いて、その少年……鳴子一颯はベアトリックスへゆっくりと歩み寄っていくだろうか】
【この期に及んで敵意はない。好奇心旺盛な学生じみた純粋な顔をして、一颯はベアトリックスへ質問を放る。答えるかどうかは勿論自由だ】
【一颯はその間も歩き続けるが、ベアトリックスの至近距離まで近づく事はなく。中距離程度の間隔まで近づけたなら足を止めるだろうか】
【……少年がニコリと笑うと、空間に変化が訪れる。満ち溢れる死気≠ノ混じって、銀色をした妖気≠ェ大気へと溶け出していく――――】

まぁ、何にしても――――正義の味方なんてキャラじゃあないですけど、ここでGIFTの戦力を削いでおくに越したことはない。
ここまで来たら後戻りも出来ませんしね。あの門から一体何が出てくるのか、興味はありますが……止めさせて貰います。

【濃密な妖気を纏った少年は、ふと背中に両手を回す。しゃらん、という小さな金属音と共に、両手に短刀≠ェ補充されるだろうか】
【一本は艶めく刃と質素ながらも細やかな細工が美しい短刀。もう一本は木製の柄に鍔のない刀身、いわゆるドスと呼ばれるものだ】
【その二本を逆手持ちにして、少年は構えるだろうか。相変わらず敵意はない――――しかし黒色の瞳には、小さくも鮮烈な殺意≠ェ浮かんでいる】

【―――― 一颯の方から動く様子はない。あの扉≠フ事も含め、まずは様子見と言ったところか。今宵の戦いの初手の行方は、ベアトリックスと】
【そして少年と肩を並べて戦うことになるであろう、もう一人の少女に託されることとなる――――】


/鳴子一颯です、よろしくお願いします!
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 19:38:02.86 ID:bRAJ4MSrO
>>48
//こちらこそです!!

【エルル鉱山───採掘場入り口付近の通路、コジマ等がいる場所から少し離れた場所】

「さて…来たのはいいけど、なにをすればいいのかなー…」

【そこに居るのは1人の少女、長く黒い髪に澄んだ蒼い目をしている。服装などは素早く動く事に適しているようになっているのが分かるだろう。】
【何の目的も無くゆっくりと歩いているようだが、警戒心だけはいつも以上な様子でしきりに周囲をキョロキョロと見る。】

【襲撃が行われるという場所に居るにも関わらず、少女は特に武装などはしていないように見えるのも少し浮いているだろう。】
【そもそも年端も行かぬ彼女が此処のように危険な場所に居ること自体、何かがあるに違いないということを指しているのか。】

「こんな所にきて思うのもアレだけど、やっぱり少し怖いなぁ…」

【少女はそちらから見てやや離れた場所にある重機の影にいる。今のところ大きな音でも出さない限りそちらに気づくことは無いだろう。】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/13(日) 19:38:52.33 ID:s0cmBDABo
>>45-47 >>49

【鉄の国、エルル鉄鋼山=z
【遂に始まった戦闘の響きを聞きながら、内部へと進んでいく人影があった】

…………“あっち”の方も気になるけど、今は目の前の事に集中するしかないわね……。

―――わかったわ。こっちは引き受けるから、責任持って敵部隊に対応して頂戴。
アイツには、私もちょっとした因縁があるから―――

【インカムからの声に応答するのは、銀色の髪をポニーテールにした少女だ】
【赤を基調としたドレスに西洋鎧を合わせた様な、所謂鎧ドレス≠身に纏って】
【背に担った長短一振ずつの剣を抜き放てば、鋭い蒼の瞳を前方に向け、尚も進んで行く。そして、辿り着くのは―――】


【エルル鉄鋼山 最下層・地獄門=z


【門の前に立って振り向いた彼女は、以前にもこの国で対峙した人物――ヘル・ベアトリックス。】
【ハッキリと彼女だ≠ニ認識すれば、蒼の双眸は更に鋭い輝きを得て】

面白い=c…?どこが面白いのか、全く理解できないわね。
私には、趣味の悪いアーティストの造ったオブジェにしか見えないんだけど?


――――っ―――!
……アンタが何を企んでるのか知らないけど、貸した分なら気にしなくてもいいわよ……?
寧ろ、もっと借りを作らせてあげる―――ええ、今度はもっと、キレイに斬ってあげるわ……!

【広間一帯を呑み込むかの様に、死気≠ェ広がっていく…………】
【何が起こるのかは分からない。けれど、それを止めるのが今、やるべき事。】
【――――故に、両手を強く握り直して、少女は駆け出す。】

――――ゼリシュ・フェーブス、容赦はしない――っ!

【もう一人、今夜、仲間として戦う少年には一瞥をくれただけ。特に何を言うでもなくて】
【一気にベアトリックスへと距離を詰める事が出来たなら、右手の長剣による逆袈裟の切り上げを放つだろう】
【斬れ味もそれなりにいいのだが、真に厄介なのはこの剣の性質、だろうか。】
【長剣・短剣共に、刃が“光の魔力”を纏っていて……詰まる所、死気≠ノ反する様な性質がある、という事で】

【―――何にせよ、これが戦いの幕を開ける最初の動きとなるか。】



/ゼリシュで御座います、お二人とも宜しくお願いしますー!
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/04/13(日) 19:50:10.50 ID:sO0q8p81o
>>50
【警戒心を露わに、女は淡々とインカムから聞こえてくる部下たちの報告に耳を傾ける】
【20人のコジマの部下は、全員何一つ秀でた点の無い者達だが、少なくとも最低限の仕事はできる者達だ】
【そして、その報告内容を確りと脳内で受け止めて組み立てていくコジマの頭で、状況の総図が組み上がっていき】

「はァ……ダルい。ダルいっスねえ――――」

【気だるい様子で紫煙を燻らせるコジマが、ゆるりと己の右腕を掲げていった】
【中指と親指が付けられた手の形は、指を鳴らす為のもの】
【心底うんざりした様子のコジマ、そして周囲には剣呑な空気が増していき、空間に殺意の重圧が満ちていく】

「――――侵入者を追っ払うってのは」

【ぱちぃん】【乾いた音が、鉱山に反射して響き渡った】
【直後だ。――重機の上を飛び越えて、何か小さな玉のようなものが少女に向けて投げ込まれた】
【それは、ピンの抜かれた破片手榴弾。爆風はそれほどでもないが、当たれば破片が酷いダメージを与えるもの】
【その存在に気づき、銃器の影から躍り出たとすれば、13の銃口と、7の切っ先が少女を向くはずだ】

「さーって、さっさと死ぬか逃げるかションベン漏らして気絶するか!!
好きなのを選ぶっス!! 因みにあたしは面倒な事が面倒ッスから帰ってくれりゃ一番良いんスけど!」

【轟音の中で、部下を盾にするような位置取りでふんぞり返ってそんな向上を名乗りあげるコジマ】
【兵士たちは皆、口元には下卑た笑みや、怯えた表情などを浮かべている。誰もが、どこにでも居るような十把一絡の無能力者】
【だが、異能がなくとも、武の才がなくとも、魔術が使えずとも。こちらには数が有る、策が有る】
【故に、戦う。足りない者達が、足りた者に牙を剥くために。無価値の一般兵達が、ギラついた20と1対の双眸を少女に向けていた】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 20:31:21.70 ID:5/1XTrmX0
>>49

やぁいらっしゃい、見ているだけ≠ネんてつれない事は言わないでおくれよ
事象というのは体感≠オてこそ真の意味で観測出来るんだよ………オーライかにゃー?

【現れた少年に対して一瞥すると、クスリと口元を緩ませて微笑む―――だがその淀みきった瞳からは不気味さしか感じない】
【異様な空間の中で呑気な少年の言動と振る舞いに対して少しふてくされるような口調になるが、結局はただの戯れだ。】

【次第に自分へと歩み寄る鳴子へと視線を向けたまま、ベアトリックスは手元に装着していた端末を操作する。】

さぁて、それはこの後のお楽しみだよ………その方が面白くないかい?
まぁでも君もどちらかといえばこちら側≠フ臭いがするけど―――その所どうなんだにゃー?

【敵意なく質問する鳴子に対してベアトリックスも友人に対して返答するように軽い調子で答えていく―――。】
【そして自分が放つ死気≠ノ混じるようにして放たれる妖気≠感じながら今度は自分から相手の素性について問いかける。】

にゃはは、それは残念だにゃー。
それならばこちらも抵抗≠ウせてもらうとするよ―――≪死の軍勢/ヘルタロイ=E毒=

【少年が臨戦態勢に入ったのを確認すると口では残念そうに話すがその実表情は愉悦に染められながら左手を少年に向ける】
【同時に二人の中間地点に白い瘴気が吹きだし、そこから紫色の液体を全身から垂れ流す白い軍服を纏った骸骨が召喚されるッ!】
【骸骨はそのまま鳴子へと接近し、身体から垂れ流す紫色の液体を浴びせようとするだろう―――これは毒≠セッ!】

【もし浴びれば浴びた個所の衣服や肌は焼けただれ、下手をすれば腐り堕ちてしまうだろう。】
【しかし骸骨の動き自体は非常にゆったりとしている、対処のしようはいくらでもあると言えるだろう。】

>>51

やぁ―――久しぶり≠チてところかな、ゼリシュ・フェーブス。
なんだぁ、この事象の素晴らしさが理解できないのかい?全く………興が冷めるよ。

―――それは愉しみだ、僕も前回以上に………愉しませてあげるよ<bッッ!!!!!!!

【鳴子とは違い最初から敵意を剥き出しにしてこたらへと接近を図るゼリシュを愉快そうに見つめながら身体を向ける】
【ゼリシュの接近による斬撃へはバックステップをすることで回避を試みるが、流石に早い、僅かだが右腰を切りつけられ鮮血が垂れる】
【そしてその剣の性質による痛みを感じたのか、「へぇ」と一言呟いてから血を拭って舐めとる。】

相変わらずやるねぇ………性質自体も厄介だし、やっぱり君は面白いにゃー。
そうだよ、もっと容赦なく来てくれ………出ないと僕も楽しくないからねぇッ―――!!!

『ドレッド・スカル=x転送―――ッ!!!からの〜≪ドラゴン・ウェーブ=窿bッ!!!!!!

【ゼリシュに対して賞賛の言葉を送りながら以前の戦いでも使用した2m程の巨大な白いカラーリングのガトリングを転送する】
【そしてそれを左右に振りながらゼリシュの周囲へと銃撃を放つッ!これは単に回避をし辛くしているだけでなく、床に突き刺さった剣や槍に弾丸を跳弾させて全方位から攻撃するのが狙いだッ!!】

>>ALL

にゃはは、楽しくなってきたねェ!!!でも本番はこれからさ―――さぁ門≠フ奥から来るんだ

封印された旧世界≠フ死の恐怖≠サのもの………影の悪魔・エウゴアトラス=\――ッッッ!!!!

【二人へと攻撃を放ちながらベアトリックスは門の向こう側≠ヨと叫ぶ、未だ門自体は少ししか開いていないが】
【その奥の虚無≠ゥら………複数の影≠ェ飛び出してきて、それが次第に一つの塊へとまとまっていく―――そして】

【影≠ヘそのまま10m程の異形の影の悪魔へと変化した………その気配、生物ではない別のナニカ≠セ………広間の冷気がより一層増す】
【これがベアトリックスの言っていた彼≠ネのだろうか?だがそんな事を考える余裕もなく影の悪魔≠ヘ巨大な両腕を振り上げて二人へと叩きつけるッ!】
【だがスピード自体はそれなりにあるが、攻撃モーション自体は読みやすい、回避は可能だろう】

【そして奥にある門≠ヘさらに開いていき、奥にある虚無≠ヘ一層空間を侵食しようと広がっていく―――ッ!】

//申しわけない遅れました。
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 20:32:28.96 ID:bRAJ4MSrO
>>52
【相変わらず少女はそちらに気づいてはいない。】

「……………??」

【指鳴らしの音と同時に何かが投げ込まれてくるのに気づくと、警戒しているのかそれから離れようと下がる。

「───………っ!!」

【瞬間、それが爆発する。半ば彼女の予想通りではあったものの、それでも驚きは隠せていない。】
【重機の影から姿を現す少女。既に警戒心はMAXで、魔力・能力などを見る目があれば周囲にそれが渦巻いているだろう。】

「これは戦うべき…なのかな?」
「とにかく、あまりよくない事が起こるのは確かだけどねぇ……」

【さすがにここまでの大人数とは予想してなかったのか多少怖気付くものの、ここで逃げたら負けとは心の片隅で思っているらしい。】
【相手は恐らく無能力者────しかし20+1対1となれば話は別。多勢に無勢というものである。しかし引こうとはしていない。】
【むしろ身の危険を感じ臨戦態勢に入ったのか、少女は自らの周囲に風を起こし始める。今のところこれを防ぐなどしなければ直接攻撃などは困難だろう。】

【──普段あまり戦闘を好まない彼女が、ここまで行動に出るのは珍しいかもしれない。ともかく『やる気』はあるようだ。】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/04/13(日) 20:44:48.05 ID:sO0q8p81o
>>54
「はン……能力者サマ<bスか」

【目の前で渦巻く風を見て、コジマはなんとも言えない表情をしつつ、腕を組んで頭を振る】
【一瞬目を瞑り、開いた後のエメラルドグリーンのその双眸は、ぞっとするほど冷たさを宿していた】
【口元に浮かぶ、冷たい笑み。掲げられた手が、また指を鳴らす構えを生み出した】

「――さーって。来る気ッスねェ?
だったらシンプルに殺っちゃうだけッス。テメーら!!
もう面倒だからちゃっちゃとミンチにしていいぞ!! 速く一服してーだろ!? やっちまいな!!」

【身も蓋もないその命令。そして、辺りに反響する――指を鳴らす音。それによって、行動が開始される】
【コジマの前に5名。後ろのトラックの上に4名、両脇に2名ずつ。AK-47というアサルトライフルを構えて兵士が立つ】
【そして、コジマの脇を固めるようにジェラルミン製の盾を持った兵士が2人。コジマの後ろにナイフ、刀剣持ちの兵士が5名】
【銃を持つ兵士が、それぞれタイミングも連携もてんでバラバラに適当に銃を構えて、適当な構えのままに、適当に銃爪を引いた】

「……あーもー、風が邪魔だし、そもそもお前ら狙いが下手だしよ……」

【轟音。AK47が駆動し、無数の鉛弾が空間に解き放たれて飛翔する。だが、起こす風で軌道が乱れ、中々想定通りには着弾しない】
【呆れた様子で、目の前でばら撒かれる鉛弾の集弾のバラバラさを見守るものの、コジマは後ろで淡々とタバコを減らしていくだけ】
【銃弾の命中精度は低いものの、一斉掃射という問題と、陣形が広がっている故の有利がある】
【しかし、弾切れまでなんらかの手段で耐えぬくか、異能で射撃手を倒しその間隙を縫うなど、対応策は決して存在しないわけではない】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 21:11:17.73 ID:6mTrA7qto
>>51 >>53

あぁ、申し遅れました。ぼくは鳴子一颯といいます。見ての通り、単なる一般人ですよ。
…………半分ほど、妖怪ってだけです。

【意外と話の通じる相手だ――――そんな風に考えつつ、一颯は機嫌を良くして名乗り返すだろうか】
【人間の容姿のまま垂れ流される銀色の妖気。自らを半妖≠セと付け加えると、一颯は体を半身に引いて構えを取る】
【同時に、妖気の溶け込んだ周辺の大気が不自然に蠢くのが感じられるだろうか。纏う妖気が手となって、風≠掴んでいるような――――】

本当に、「見ているだけ」で済めば良かったんですけどね…………!!

【同時、ベアトリックスによって白色の軍服を着込んだ骸骨が召還される。毒≠フ名の通り触ると危なさそうだが……その動きは、遅い】
【判断時間は一瞬。少年は近寄ってくる骸骨を大きく迂回するようなルートで走り出すと、そのままベアトリックスへ向けて一気に突っ込んでいくだろうか】
【この少年としては珍しい、接近戦の構え。もちろん骸骨に関しても放置はしない。ざわり、と空気が侵されたかと思うと】
【――――直後、走る一颯の足下に銀色の風が集約。一瞬の間を置いて、そこから銀風の帯≠ェ骸骨の両足首の裏を薙ぎ払う軌道で射出される!】

【銀の妖気が混ぜ込まれたこの風には、強力な斬撃≠フ属性が付与されちている。もし当たれば、両足首の裏側を刀剣で斬られたのと同じダメージを喰らうだろう】
【この斬撃効果によって足の腱≠断ち切り、動けなくするのが目的だ。もちろん、骸骨の体が予想外に硬かったり単に回避されたりすれば失敗するが】
【例えそうなったとしても、少しでも傷を負わせるなり単純に風圧で転倒させるなり、一時の足止めが出来れば十分】
【この試みがどういう結果になるにせよ、一颯は素早い身のこなしで骸骨を置き去りにして、そのままベアトリックスへ走っていく筈だ】


あれは…………悪魔≠ゥ!!

【その過程で、一颯は否応にも目にすることになった。門の奥から現れた影の悪魔≠フ姿を――――】
【エウゴアトラスと呼ばれた巨大な悪魔の姿に、一瞬だが一颯の意識は持って行かれる。……黒色の瞳は黒色の悪魔を、魅入られたかのように見つめて】
【だがさすがに、悪魔が両腕を振り上げた瞬間には正気に戻る。腕が落ちてくるのをギリギリまで引き付けて、すんでの所で真横に跳ぶことで回避】
【真後ろから余波が襲ってきて、一颯は思わず転倒してしまうが……打撲程度の傷だ。押し潰されるよりずっとマシで】

驚きました――――、
あれがさっき言っていた彼≠ネんですか………ッ!!

【すぐに立ち上がると、一颯はエウゴアトラスの腕に沿うようにして最短距離を疾走。妨害がなければ、そのままベアトリックスへと接近し】
【彼女へ問いを投げ掛けながら、そのまま足を止めずにベアトリックスの至近距離を走り抜ける。その途中、右手の短刀に全力を傾けて――――】
【漆塗りの柄が鈍い光を発した瞬間、一颯はすれ違いざまにベアトリックスの右肩を短刀で斬りつけようとするだろう!】
【剣ヶ里≠ニいう刃の名産地で鍛えられた短刀による一閃、その高い切れ味に肌が触れた場合、予想以上に深い傷跡を残していくはずだ】

(あの人は………ゼリシュさん、って言ったかな。さっきの一撃を見るに、十分頼りに出来そうだ…………)

【……この攻撃の成否に関わらず、一颯はそのままベアトリックスの背後へ回ろうとするだろうか。単に優位を取ろうと言うだけでなく】
【もう一人の仲間、ゼリシュとの挟撃を狙ってのことでもある。一度彼女へ視線をやると、少年は薄く笑うだろうか】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/13(日) 21:20:50.64 ID:1KXT9yLqo
>>53>>56

【当たりはしたものの、初撃は掠った程度。小さく舌打ちをすれば、斬撃の勢いのままクルリと身を回して】
【一回転したところで止まれば、一旦、バックステップで距離を取る】

フン……アンタに面白いとか言われたって、嬉しくないわね。
だって、後ろのその変なのと同じ評価でしょ?…………最悪だわ。

――――っと……brennen

【口の中で転がす様に呟く言葉。同時に、長剣の刃から魔力が溢れ出す】
【その魔力は炎となり刃を包み―――ゼリシュは、その場で回転切りを繰り出した】
【周囲から襲い来る無数の弾丸。回転という動きを加えられた事で広がった炎は、それらを呑み込んでいく】
【―――無論、それだけで全てを防ぐ事など到底不可能。手足や頬に緋いラインが奔るが、致命とは成り得ず】

っ…………!これは……影……?
――――何よこの化け物は……!やっぱり面白くなんかないわ……っ!

【虚無より出でた、影の悪魔。振り下ろされる豪腕に対し、ゼリシュは即座に走り出す!】
【寸での所で叩き付けを回避すれば、衝撃により体勢が崩れる、が……立て直しながら、長剣を振り抜いた。】
【刃が纏っていた炎が、エウゴアトラス目掛けて飛んでいく―――前回も見せた、飛ぶ炎の斬撃≠チ!】
【今回はそこに、光の魔力≠燉り込んで。相手が影ならば効果があるかも、と考えての事だ】

(半妖、ねぇ……私、妖怪に縁があるのかしら……)

っと……危うくアンタを放置するところだった、わ――――!

【そこからゼリシュは、ベアトリックスの方へと踏み込む。】
【繰り出すのは、左手の短剣による刺突だ。身体を前に倒しながらの、腹部の高さへの攻撃。】

【それから、一颯が向ける笑みに対して一瞬視線を向けて。ただ、こちらはニコリともしない】
【唯でさえ目付きが鋭い上に、戦闘の最中。真剣な顔付きになっている訳で……】


【――――門≠ゥら虚無≠ェ滲み出すにつれ、少しずつ、ゼリシュの影が、濃くなっていた】
【何かの予兆か、否か。そもそも、気が付くかどうかも分からない、些細な変化ではあったが……】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 21:54:16.98 ID:5/1XTrmX0
>>56

にゃはは、鳴子一颯か覚えておくとしよう―――できればサンプル≠ニして欲しいけどね
半妖か………これは中々興味深いデータが取れそうだにゃー♪

【相手が素性について明かすと合点がいったように一度頷いてから口元を歪めて大きく笑う。】
【それはまさに研究対象を見つけた、得物を見つけた狂った狩人そのものであり、視線と同時にベアトリックの死気≠ェ鳴子にまとわりつく】

【妖気、そして死気―――尋常ならざる力のぶつかり合いが空間へと侵食していく―――。】

僕の舞台は観客参加型だからね………諦めて愉しんでいってよ。
―――悪魔=B確かに形容するならばその呼び名がいいけれど、コレはいわば人々の死への恐怖が具現化したものさ

               だから………一筋縄ではいかないかもね?

【影の悪魔について説明しつつベアトリックスは再び鳴子の方へと視線を向ける。】
【毒を纏った骸骨は、鳴子が発生させた風の斬撃を足首に受けてそのまま足首を切断されて床へと倒れ、出現した時と同じように瘴気となって消えた】
【どうやら耐久、回避性能共に低いようだ。ベアトリックスにとってもあくまで足止めの為のモノとしか扱っていないのかもしれない】

さぁてね、アレが彼≠ゥ………それともこの後≠ノ来るモノかな―――?フフ。
っとぉ!!早いねェ!!!

【鳴子の問いに対して躱すようになんともおぼろげな返答をする、この後≠ニはまだこの門から何かが現れるのだろうか?】
【そして鳴子が放った斬撃はベアトリックを捉え、深く切りつけられた右肩口から鮮血が吹き上がってベアトリックは苦痛に顔を歪める】

【だが直ぐに口元に笑みを浮かべ、身を屈めるような動作をする―――その瞬間。】
【エウゴアトラスの腕が伸び、屈んだベアトリックスを超えてその背後にいる鳴子を鷲掴みにしようとするだろう。】
【もし捕まってしまえば、俗にいうエナジードレイン≠ニ呼ばれる力を使い、鳴子の生命力をそぎ取ろうとするだろう!】

>>57

やれやれ本当につれないにゃー、悲しくなってしまうよぉ。
旧世界の遺産だよ?この世の理の一端を解明する事の出来る素晴らしいオーパーツさ。

【ゼリシュの返答にガックリと肩を落としがら右手のガトリングを肩に担いでクスクスと笑う、今までのダメージを感じさせないように】
【回転切りによって周囲に突き刺さっていた剣や槍も同時に吹き飛ばされ、折れる。どうやら相当に年季の入ったものだったらしい】
【もしかすればこの影の悪魔≠ノ挑んだ者たちの遺品なのだろうか―――それは分からない。】

にゃはは、いーい反応だねい。だから君は面白いんだ。
―――それと、以前も感じはしたけど………どうやら君も僕や鳴子君のようなこちら側≠フ因子を持っているようだ。

この舞台でそれが引き出されるといいんだけどにゃー。

【飛ぶ斬撃はエウゴアトラスの腰部分へと命中し、その部分の影≠ェ塵のように消滅した………どうやら効果は抜群のようだ】
【一方でベアトリックスは、ゼリシュの身体に起こっている変化を感じ取ったようで一度眼を細めて笑う。】

にひ、そう焦っちゃ駄目だよ………もっと愉しまないかい?

                 ≪死の軍勢/ヘルタロイ=E撲=

【鳴子への攻撃の為にベアトリックスが身を屈めた事によって、腹部には命中せず短剣は背中の左側面に突き刺さる】
【一瞬苦痛に顔を歪めるがベアトリックスはそのまま前方へと転がって一度指を鳴らす―――するとゼリシュの背後に白い瘴気が湧きあがる】
【そこから現れるのは先ほどより一回り大きな骸骨の兵士、手には巨大な棍棒を携えそれをゼリシュの脳天へと背後から思い切り振り下ろす!】

//続きます
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 21:55:27.44 ID:5/1XTrmX0
>>ALL

さぁ―――ガンガン行こうか、大分虚無≠燉ャれ出てきて………皆気持ちよくなってきたんじゃない?
もうすぐ………あぁもうすぐさ―――にゃはははははは!!!

                ≪アンチフィールド・キャノン=窿bッ!!!

【体勢を立て直したベアトリックスはそのまま二人の頭上へと跳躍し、二人の中間地点へと向けてガトリングの銃口を向ける。】
【そして自身が纏っている死気≠砲身へと集約させ―――そのままその破壊≠フ力を放つッッ!】
【もし床に着弾すれば周囲に圧倒的な破壊のエネルギー波が発生し、突き刺さった武器を巻き込みながら二人へと襲い掛かるだろう!!】

【直撃は危険だ、エネルギーが着弾する前に対処するか、もしくは防御の体勢を取るしかないだろう。】

【戦いがさらにヒートアップする中で奥にある門は、ついに完全に開こうとしていて………そしてその奥に―――】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 22:03:50.80 ID:bRAJ4MSrO
>>55
「……能力者で、何か不都合でもあるの?」

【何処と無く面倒そうな態度を取るコジマに対してそう言い放った。】
【敵に言ってるとは思えない程の軽い口調である。】

「(ただこれじゃあ動くに動けない…どうしよう………)」

【弾道を乱す風により弾の雨から逸れている少女、しかし下手に動けば外した筈の弾に当たる危険性も無いわけではない。】
【───ただ攻撃をすることも攻撃を受けることもなく、そこにいる。】

「……」
「………これならどうかな?」

【しばらく考え込んだのち、少女はその華奢な右手を大きく振るう。】
【──すると同時に、吹いていた風が強まりさらに広範囲かつ強力な暴風が吹き荒れる。】
【弾を兵士もろとも吹き飛ばそうという作戦か。特にトラックの上にいる4人には被害が大きいだろう。】

【……それにしても、戦闘中にもかかわらず性格などは変わらずある程度平常心は保っているようだ。】

//レス遅れてすみません!
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/04/13(日) 22:21:58.99 ID:sO0q8p81o
>>60
「いんや――ただ、羨ましくて妬ましくてイラついてくるってダケっスよ――。
だからとっとと死んでくれねェッスかねー? 死んでくれりゃ多少スカッとするもんなんで」

【二本目のタバコをつまみ、ジッポで火を付けて点火。煙を体内に取り込んだ】
【ふぅ、と空中に紫煙を吐き出せば、エメラルドグリーンの瞳は鋭い敵意を孕んでいて】
【そんな女から、特筆する点は感じられないだろう。一定以上の練度を持つ、無能力者でしか無いのが、少女の前に居るこの女】
【ただ、それ以外の内的な面。精神的な面から来る、妄執にも酷似したその意思のどろりとした、陰湿かつ粘性の悪意】
【それが包み隠されること無く一直線に、少女に向けて向けられていた】

「――プランC」

【少女が風を吹き荒らしたその直後、コジマは指を又高く鳴らし声を発する】
【直後、兵士たちは直後に打ち方を止め、トラックの上の者達はトラックの後ろに飛び降り、退避】
【コジマの脇を固めていた盾の兵士は、コジマの前に飛び出してコジマとその後ろの刀剣持ちを守っていく】
【残りの前衛の兵士たちは、容易く体制を崩され、一時的に銃撃の群れは停止し、隙が生まれる、が】

「銃の連中は最初の手はず通りだ。格闘組前、さっきの打ち合わせ通り。Bな、B!」

【銃を持っていた兵士たちは、陣形が崩れた直後のコジマの命令に従ってそれぞれ全力で散会を開始した】
【重荷となる銃を捨てて、それぞれ重機の隙間や、クレーンの方へと移動していくその行動】
【一点に集中せずに、散会することでコジマ他前衛組のサポートに回ることを選択したようだ】
【アサルトライフルは捨てた為、彼らの武器はサイドアームであるオートマチックの拳銃と幾つかの手榴弾程度のもの。風をまとう限り銃撃は然程脅威ではないだろう】
【また、彼らは異能を無効化するすべを持たない。盾で防ぐか、避ける以外の対処法は持ち得ない、唯の人間たちの群れだ】
【数こそ脅威であるものの、冷静な対処をしていくことで、然程苦労すること無く各個撃破をしていくことは十分に可能であるだろう】

「――GO!!」

【コジマの声にしたがって、盾兵士の後ろから一斉にナイフを持った兵士達が駈け出した】
【5人が扇状に広がって、相手に迫っていく。彼らの練度は、鍛えられた唯の無能力者の兵士程度でしかない】
【だが、彼らが迫っていく最中で――周囲の重機の群れから、次第にエンジン音が響き始めていることに気がつくかもしれない】
【そして、軋む音を立てて二つのクレーンもまた、油圧ポンプを稼働させ始めていることにも】

【武器は、銃器と刀剣だけではない。此処には、重機と言う立派な武器が、そこら中に転がっているのだ】

【5人の兵士は、それぞれてんでバラバラの行動に出る。一番前の者が、まず相手のみぞおちへと我武者羅に右手のナイフをつきだして】
【もう一人は、精度が低いものの相手の足元に対してナイフを投げる。そして、同じようにもう一人が追従してまたナイフを足元に投げた】
【他の二人は、斜め左右から、相手の対応を見守り、それに対応できるようにナイフを握る手に力を込めている】

【その背後。この隊の隊長たるコジマはと言えば、目を細めて淡々と状況を認識。インカムから入ってくる情報を、脳内で整理して作戦を組み立てていた】
【コジマの仕事は、此処から先に相手を通さないこと。相手を殺すことでも、相手を倒すことでもない。上司の目的達成までここを死守するのが仕事だ】
【故に。勝利ではなく、敗北をしない戦いを。コジマの脳内で、目的達成の為の行動と、自己の生存の為のルートが、無能ながらに考えられていた】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/13(日) 22:40:12.91 ID:6mTrA7qto
>>58 >>59

【サンプル≠ニして値踏みされるような視線を受けても、一颯はやはり動じない。怒ることも嫌がることもなく、それを飄々と受け流して】
【それは纏わりついてくる死気≠ノ対しても同様だった。空気に浸透させた妖気を引き戻すことすらなく、涼しい顔で受け止めてみせる】

前に一度、悪魔≠ニやり合ったことはあるけど………なるほど。
人の、死への恐怖の具現体ですか。それはまぁ、なんとも――――、

【――――「相性が悪い」。そんな呟きは果たして、どちらに対してか。少年にとって相性が悪いのか、エウゴアトラスにとって相性が悪いのか】
【この鉄火場においても、少年にはおよそ恐怖というものが欠如している。唐突にエウゴアトラスの巨腕が迫ってきても表情一つ変えず対応できたのは、そのお陰だ】
【あんな巨大な腕に掴まれたら、エナジードレイン以前に骨格が歪んでしまいそうだ。妖気を大気へと流し込みつつ、一颯は前進する】

っく、…………!!

【少年にはあの風≠フ異能があるというのに……ここでは何故か、それを使わなかった。そのせいで完全な回避には失敗してしまうだろうか】
【掴まれはしなかったが指の一本が肩口を掠めていく。強烈な衝撃に加え、もしそれだけでもエナジードレインが発動するなら、生命力も削ぎ取られてしまうか】
【何にしても小さいダメージではない。それでもめげる事なく、一颯はもう一度ベアトリックスへ斬撃を加えようと疾走していって――――】

ぐ――――ああぁ…………ッッ!!?

【その行為が今回は裏目に出た。攻撃を加えるより先にベアトリックスは跳躍し、膨大な量の死気≠ェ収束していく】
【慌てて踵を返し、真後ろへと全力で走り込むも間に合わない。――――破壊≠フ砲撃が真後ろで爆裂する!】
【……その瞬間、周辺の爆風が急激に方向を転換するだろうが。一颯の妖気が風を掴み、その方向性を書き換えたのだ】
【その爆風を自分の背中≠ノ向けて一斉照射し、自らの体を吹き飛ばすことによって、一颯はどうにか範囲から逃れようとした】
【それ自体は英断だったが……いかんせん時間が足りない。少年の背中に吹き飛んだ武器の破片が突き刺さる光景が、ベアトリックスからも観測できるはずだ】
【飛び散る鮮血の量は、いくら半妖とはいえ無視できるものではない。受けたダメージは大きいが――――】

この先の光景も、見てみたい気はしますが。一応%Sの国の平和のために、黙って見ている訳にも行きませんね。

そっくりそのままお返しします――――――――――風切<b!!

【地面を転がる少年の周囲には……体を吹き飛ばす為に使った銀色の風≠ェ、まだ竜巻のように廻っているだろうか】
【――――叫びと同時、風は弧を描いて一颯の目前に集合する。最初に骸骨の足を切り裂いたものと全く同じ発動プロセスだが、大きさが段違いだ!】
【刹那、最初のそれよりも数十倍は巨大な銀風の帯≠ェ、獣の咆哮じみた風切音を引き連れてベアトリックスへと飛翔する――――!!】

【銀の突風は人間など容易く飲み込んでしまう程のサイズがある。もし巻き込まれた場合、斬撃効果によって全身を切り裂かれるばかりか】
【ただでさえ空中にいるベアトリックスだ。その強烈な風圧によって大きく上方向へ吹きとばされてしまうだろうか】
【もし着地の方法を用意できなければ、そのまま地面と激突して……その先は言うまでもあるまい】

【……無論、これらは全て直撃すれば≠フ話。最初と同じく「風を集合させた後で発射する」という二段階の発動方法のため、やや出は遅く】
【空中で方向転換できる手段があるのなら、回避は不可能ではない。……しかし恐ろしいのは、一颯が「お返し」と言った意味にこそあって】
【―――― 一颯はベアトリックスの攻撃を逆利用した。破壊のエネルギーと共に飛んできた武器≠フ数々を、あらん限り風の中へ巻き込ませたのだ】
【これのせいで直撃した場合の威力が引き上がるだけでなく、単純に避け辛くもなっている。この大技、ベアトリックスは対処出来るか――――?】


(…………この後に来るモノ、か)

【自身も大ダメージを負いつつ、代わりに大技を返した一颯……だがひとつ、この行動における大きな失策を挙げるとするのであれば】
【それは回避のために距離を取りすぎてしまったことか。いまこの少年は、開きかけた門≠フかなり近くに移動してしまっている】
【もし、門から攻撃が来れば――――非常に不利なのは間違いない。だというのに……少年はどこか待ちわびるように、門に注意を向けるのだろう】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 22:45:32.49 ID:iGTmNoQX0
【亥の刻を過ぎた頃。普段ならばこの時期であっても真っ暗と表して良いはずの時間で有るが】
【今宵、その草原は赤々と照らし出されていた。と言うのも、妖怪と人間との間で激しい諍いが繰り広げられていたからである】
【四方八方は火に囲まれ、所々では刀が刺さったままの骸やら、四肢を欠損させた亡骸やら】
【何とも酷い有様であるけれど――――未だ、争いは収まらず】


【風に乗った噂が広まるのは何とも早い物で、その争いの事は櫻の国の隅々まで届いた事だろう】
【人間であれば、もうちょっと時間を要するかもしれないが…………妖怪なれば、起きてから数時間の内に耳にする事だって珍しくも無い】
【或いは、その騒ぎの発端が妖狐――天鬼桔梗と呼ばれる妖怪であるとの噂まで耳にしているだろうか】

【そこかしこに転がる旗印を見れば櫻でも妖怪を退治する事に優れた其れであると分かるが】
【だが――――戦況はあまりにも劣勢。流石にこれ以上の死者は出せないと判断したのか、人間方の長は直ちに撤退命令を出して】
【己の身を盾にして、貫かれようと抉られようと倒れず。側近家来有志達を逃すために己が命を費やし】


「――――今日の方は思ったよりも長く持った様ですが…………そろそろ潮時、でしょうか
嘗ては力の有る大名だったとしても時が経ってしまえばちょっと力があるだけの人
…………ふふ。時間とは妖怪を強大にする事はあっても人間はただただ弱くしてしまうのですから酷いもの、ですね……」

【大小様々な妖気が入り交じる其処だけれど、一際“異質”な妖気が一つ】
【辿ってみれば中心部に――――見事な桜の木が生える場所に、1匹の妖狐の姿】
【この争いを巻き起こした人物で有り、辺りに倒れる無数の人々は無謀にも挑んだ者達の果てか】

【もし近づこうとするならば妖怪達の妨害こそ無いが、この妖狐の仲間と勘違いとした人間達による攻撃を向けられるかも知れない、けど】
【誰もが酷く疲労している現状。反撃をせずとも避ける事は実に容易。そのまま逃げしまったって追えるだけの余力も無いのだから、誰を傷付ける事も無く妖狐にだって接近できるはずだ】


「夜桜を楽しんでいる間に全部終わってしまいそうで――――少し、詰まらないですが……――――?」

【人々の熱気と辺りを包む焔の熱と。白い肌は仄かに桜色に上気をしており、体熱を逃がすかのように巫女装束の襦袢を緩めたならば】
【僅かに広がる素肌の面積は情慾を煽るかの様。桜の根元に腰を掛け、喉を反らして無防備に桜を楽しむ姿は何処か蟲惑的か】
【――――その状況を好機と見なした者が放った一本の矢。狙いはその額であって】
【辺りには守る者も居ないのだからまるで吸い込まれるようにして、妖狐へと向かって行くのだが】

【さて、此処で元凶たる妖狐を殺める手伝い――――即ち、矢を追うようにして攻撃を加えるか】
【それとも、身体能力が高ければ弾くことも掴み止める事も、或いは自身の身体で止められる事の出来る矢をどうにかするか】
【もし、その何れも間に合わなかったならば矢は少女を貫く寸前に四散する、とだけ加えよう】

【兎にも角にも、結果が何であろうとこの場に誰かが訪れたならば其方へと視線は変えられ――――それが、知った顔ならば。慕っていた相手ならば、表情だって嬉しそうに綻ぶはずだ】
【ゆらりと揺れるのは特徴的なその尻尾。紛いの表情と言う訳でも無さそうだけれど…………果たして、こんな状況で相手が喜ぶのかと問われれば、また別な話】


/予約でありますっ
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/04/13(日) 22:48:28.41 ID:Hq1Sz+az0
テスト
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 22:56:25.92 ID:bRAJ4MSrO
>>61
「つまりは無能力者の集まりってこと??」
「…あとそんなに簡単に死ぬつもりは無いけどー?」

【僅かな余裕を見つけて蒼い両眼をそちらへ向ける。】
【口調は相変わらずで今のところこちらにダメージは無いが防戦一方で相手の数にやや押され気味なようだ。】

「えっ、えっとぉ………これ!」

【鳩尾に向けてナイフを突き立てる兵士に素早く風圧弾を2,3発ほど放ち迎撃する。攻撃力はそれほどでもないが、足止めには十分であろう。】
【同時にその反動で後方に大きく飛び上がりつつ、足元に投げられた2本のナイフを回避。】

【異能使いといえど少女である。下手したらナイフ1本が致命傷になりかねない為、極力被弾しないようにしつつ隙を見て攻撃を当てて行く作戦らしい。】
【元々彼女にとって近距離はあまり得意でない間合である。後方にジャンプしてできるだけ距離を取るようにするという効果もあるかもしれない。】

【また近接攻撃に警戒してか、自分の近くに吹く風が強まる。これで接近が少し困難になるだろう。】

「え、エンジン音が……?」

【周囲に響き渡るクレーンのエンジン音に気づき、より一層警戒を強める様子の少女。】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/13(日) 23:07:56.66 ID:b72Z1ajxo
>>58-59

【やはり、光の力は効果覿面である様子。そこを突いて早々にエウゴアトラスを何とかしたいところだが……】
【しかし、これだけの大きさの相手ともなれば、一度しか使えない技を出すしかなく。】
【しかしベアトリックスもいるこの場では、そうもいかず―――】

オーパーツだとか、そういうのには興味無いのよ、私。
それから……私がアンタと同じ側だなんて、悪い冗談は止めてほしいわね……!

――――また、こいつ…………っ!

【素早く振り返れば、大柄な骸骨の兵士。前回腹部へ重い一撃を貰った、ゼリシュからすれば“イヤなやつ”だ。】
【振り下ろされる棍棒の一撃に、双の剣を交叉させ、防御姿勢をとるが……やはり、一撃が重い】
【強い衝撃が腕から全身に駆け抜け、身が沈みそうになって―――側方へと身体を逃がす】
【そのまま棍棒が地面を打ち砕き、飛散した破片が、肉を裂いていく。思わず眉を顰めながらも、ゼリシュは立ち上がって】

くぅ……、この骨、相変わらず鬱陶しいわね……!
骨なら骨らしく、大人しくしてなさい――――!

【あちこちから血を流しつつも、即座に骸骨を薙ぐ様に、長剣を振り払う!】
【唯でさえ脆い相手、そこに衝撃だけでなく、光の魔力も与えようとする攻撃だ……!】

ああもう……もうすぐもうすぐって、何がもうすぐ≠ネのかハッキリ言ったらどうなのよ!
―――って、アレは……!

【ベアトリックスの構える攻撃。見覚えのあるその技は、危険なモノだった筈】
【記憶が結び付いた瞬間、ゼリシュは動き出す。ベアトリックスが構える先、着弾地点から離れる様に飛び退り、】
【そちらへ向けて再び防御姿勢を取る。やがて死気≠ェ着弾し、破壊≠フ嵐が巻き起こる】
【先程も衝撃を受け止めた身体に、更に襲い掛かる衝撃。全身が悲鳴をあげる中……更に影が濃くなり、消えた】

【キツく目を瞑ったまま、全身に力を込めるその眼前。吹き飛んだ武器が迫る―――!】

く……っ……、あああああ!

【ガキィン=Aという音がした。】
【西洋甲冑の影を、そのまま立体的にしたようなヒトガタ。それが、その身を砕かれながらも武器を弾いたのだ】
【―――そして破壊が治まれば、ゼリシュは膝を突きながらも目を開き……ヒトガタが、そこに重なる様に消えていく】
【少しふらつきながらも、肩で息をしながら立ち上がれば、その目は再度、ベアトリックスを捉える】

はぁ……、はぁ……。
まだまだ……いく、わよ……!

【門に意識を向けはしたが、今はそれどころでは無い。左の短剣を鞘に戻せば、鞘ごと長剣に交叉させ、組み合わせ】
【そしてベアトリックスが地上へ下りるタイミングを見計らい、駆けるッ!】
【その中で、刀身から溢れ出した魔力が剣を包み―――形作るは光の十字剣。】
【きっと彼女も見覚えがあるであろう、ゼリシュの持つ技の一つで――】
【辿り着く事が叶ったのなら、ゼリシュは握り締めた十字の剣を、右薙ぎに振り抜く!】


【――――だが、その攻撃の成否に関わらず、その後にゼリシュは崩れ落ちる。】
【身体に蓄積したダメージはかなりのもの。晒した隙は大きく、ベアトリックスや、】
【或いは他の誰か≠ノとっては、狙いやすい事この上ない状態で……】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/04/13(日) 23:08:13.91 ID:jL9nlu00o
>>65
「――っは。磨り潰す、轢き潰す、押し潰すッスよ……!
能力者相手に油断とかすんじゃねーぞてめェら! 弱いんだから警戒して損ねえからな!!」

【後ろに控えるコジマは、にたりと笑みを浮かべながら部下たちに命令を叩き込み続ける】
【彼らは、コジマの命令を彼らなりに忠実に守る。案外にも、この女は人望がある様子で】

「が……ァ!」「ちィ、避けんじゃねーよダボが!!」「死んどけよおう、死んどけって!!」

【風圧弾が綺麗にみぞおちに入り、ナイフを突き立てた兵士が口から泡を吹いて崩れ落ちる】
【基本的にGIFTの戦闘兵は、無能力者ながらも中々の練度を誇る存在であることが多い】
【が、ここにいる者達は、その殆どが才能や実力、素行に問題の有る言わば落ちこぼればかり】
【不要な存在ばかりの、人材のゴミ集積場とも言えるこの部隊。一人一人を倒すのは、本当に容易いことだった】

「おらァ!!」「えいや!!」「とぉゥ!」「シャァィスァィ!!」

【当たらないとはわかりつつも、残った4人がスローイングナイフを引き抜き、少女に向けて投擲する】
【少女がそれに対して意識を向けた瞬間に、コジマが口元で何かを呟いて】
【ナイフの接近と重なるように、地響きが生まれる。そして――エンジン音は次第に少女の右から近寄っていく】

「――ミンチになれッス」

【少女の横合い、右から迫るのは――トラック≠セった】
【エンジンべた踏み、止まることのない一直線の最大加速。然程広くない故に最大速度はそれほどでもない】
【が、戦いにおいて車でひき殺そうとしてくるその意表を突いた行動、そしてそのサイズと勢いの持つ威圧感】
【それらは、十分に脅威。また、重量故に風で吹き飛ばすのはなかなか難しいかもしれない】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/13(日) 23:29:57.26 ID:anckfGkQo
>>63

【濃厚な死臭が立ち込める戦場の仄暗い灯りが、一筋の白銀を照らしだす】
【その白銀は一直線に妖狐の位置する桜の木へと向かっていって】

【時を同じくしてその妖狐を狙う一本の矢――白銀は、まずそれに突っ込んだ】
【白銀。ただの光にも思えるほど素早く動いていたそれは、素晴らしい毛並みをした大狼であった】
【2メートルほどもある尻尾を含めて、その体長は5m近くにもなるだろうか】

【しかしその姿は、迫り来る矢に飛びかかった折に人間と混じったものへ変化する】
【狼の耳と尻尾はそのままに、手足には鉄輪、服は身軽な薄布を纏った銀髪の女性だ】

――この矢は、儂の娘を傷つけようとしたその報いよ。

【彼女は空中で、なんなく矢を横から掴み取り――着地と共に矢を投げ返す】
【恐らく、その矢は出処である兵士の肩辺りでも貫くことだろう】
【そのまま相手が逃げるのならばそれでよし。そうでないなら、失せろ≠ニばかり】
【人が本能的に恐れる狩人の様な色を持つその瞳が、相手をぎらりと睨みつける事となる】

【そうして事が済んだなら――今度は、彼女。長尾銀狼は、くるりと振り返り】
【嬉しそうに表情を綻ばせる彼女とは裏腹に、柳眉を逆立てているのを見れば】
【何か怒っている、或いは別な感情を持っているのがすぐさま分かることである】

っ……何をしておるのじゃ、桔梗…!このような場所で……危険であろう?
速くこちらに……っ、……戻ってこい、桔梗や……!

【声をかけると同時に右手を差し出す。歩み出て近付けば、容易に取れる距離】
【もっとも――取れるのは懐も同様。それくらい、今の銀狼は無防備に過ぎて】

【――彼女も話には聞いている。先日から各地で暴れる妖狐の話、桔梗の一件を】
【襲うのは人も妖怪も、立ちふさがるのなら何でもと云うし、人を誘うのも上手という】
【まるで傾城の存在だった。銀狼の知る桔梗という少女とは似ても似つかない、恐ろしい存在だ】

【だからこそ、今日はそれを確かめるために来た。来て、それが事実であるらしいと直感した】
【この戦場が全てを物語っている――だから、銀狼の眉には怒りと同時に不安も浮かんでいるのだった】
【いつも飄々としていた彼女とは打って変わって、真剣に。なんとも言えない感情が、そこには渦巻いていた】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/13(日) 23:34:34.85 ID:bRAJ4MSrO
>>67
「……あれ、意外と弱いの?そんなに強くしてないのに………」

【風圧弾を数発喰らうだけで倒れ伏せる兵士、しかしだからといって緊張を緩めることは無いだろう。少なくとも残り19+1人は居るため。】
【その後兵士によって投げられたナイフも当たることは無く。】

【しかし、近づくエンジン音に気付いた頃には、それはすぐそこまで迫っている。】

「え、えええ…っ!?」

【クレーンに警戒していたからか、予想もしなかったトラックの突撃に慌てふためく少女。流石にそれを吹き飛ばすなど、まず不可能に近い。】

【───咄嗟の判断で風圧で自らを上に吹き飛ばし、間一髪で回避する。瞬発力とスピードはあるようだ。】
【上空に飛び上がった後はそのまま空中にとどまる。高度は10m程、近接が届かぬとも飛び道具なら当たる高度ではある。】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/04/13(日) 23:42:33.73 ID:jL9nlu00o
>>69
【兵士たちは、身体能力も技量も然程高いわけではない。銃の命中率も、ナイフの扱いも鍛えているものの一流では決して無い】
【二流と三流、それ以下の寄せ集めがこの部隊。居なくなっても誰も困らない程度の人材でしか無い存在だらけ】
【故に。少女にとっては大した攻撃ではなくとも、容易く倒される。意外と弱いのではない、『当然弱いのだ』】

「――ちィ、避けてんじゃねーってのッス!!」

【トラックを全力で回避する相手、空中に陣取る光景を見て表情を歪めるコジマ】
【5名ほどが隙間から飛び出してきて、オートマチックの拳銃を構えて銃爪を引いた】
【と言っても、威力が然程大きいわけではない上に、命中精度も大分低い。そして、その鉛弾の群れに追加して駆ける線があった】

「……引きずり下ろしてやるッス」

【そのラインは、女の右腕から伸びていた。グローブに装着されていた、ワイヤー射出・巻取り機構だ】
【普段は柱や壁などに突き立てて回避や移動に用いるそれだが、今そのワイヤーの対象は少女であって】
【ワイヤーの卓越した操作によって、少女の身体を巻き取りそのまま全力で地面に引きずり降ろそうとするつもりである】
【そして、地面にはトラックが2台と、タンクローリーが1台、ブルドーザーが二台スタンバイしている】
【仲間を轢かないように注意しなければならない為、全てが襲い来るわけではないが、地面に引きずり下ろし次第轢き潰すつもりだろう】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 23:44:52.48 ID:5/1XTrmX0
>>62

へぇ、やっぱりこの世界に進出している悪魔もいるにはいるんだね〜
おやおや………見かけによらず大胆な事をするみたいだけど、ちょっと遅かったかにゃー?

―――ッ!?

【爆風が消滅した後にベアトリックスはゆっくりと地面へと着地しようと落下する、自身が受けたダメージも大きく力も大半を消費したが十分だ】
【そうほくそ笑みながら地面に到達しようと―――ッ!その時鳴子が生み出した風の帯が後方から突き上げてくるッ!!】
【ベアトリックスは即座に構えたガトリングを連射し、風の流れを乱しながら剣や槍の破片を弾くが、完全には対処できずそのまま打ち上げられる】

【天井に打ち付けられ、無数の剣や槍を受け………全身から血を流しながら無気力に落下する、このまま決着か?否。】
【ベアトリックスが地面に叩きつけられる寸前でエウゴアトラスが腕を伸ばして彼女を受け止める―――。】
【右手の上で吐血をしながらベアトリックスはよろよろと立ち上がると………眼下の鳴子を見る。】


………にひ、にゃはははははひひひひひひひひひひひひ!!!!良いねェ!君は最高に愉しませてくれる!
鉄の国≠フ為なんてお行儀のよい事は言う必要はないよ!君も僕と同じなんだろう!?ただ愉しみたいだけさぁぁぁぁぁあ!!


【狂ったように笑いながらベアトリックスは全身から血を滴らせ震える―――そして鳴子の内にも感じた狂気を呼び覚まさんと語りかける】
【それに呼応するようにエウゴアトラスの胴体からバスケットボール程の4つの虚無≠フエネルギー弾が放たれ鳴子に降り注ぐッ!】

【この虚無≠フ力はあらゆるエネルギーを喰らい、破壊する―――それは人間の生命力とて同じことだ】

>>66

にゃはははははははははは!君も理解しなよ!この場では人でなし≠ノなればこそなんだよ!
きっと君も素晴らしいモノを持っている筈さ………!!

【骸骨はゼリシュの斬撃によって薙ぎ払われ、先ほどと同様にそのまま瘴気となって消え去った―――】
【そして、ゼリシュがベアトリックスに放った追撃の斬撃は、ベアトリックスがエウゴアトラスに受け止められた事により】
【エウゴアトラスの右脚を切裂き、そのまま消滅させ―――膝をつかせる事が叶った。】
【破壊の暴風が去り、鳴子との一連の駆け引きがあった後、エウゴアトラスの手に乗ったままベアトリックスはゼリシュに近づく】

【―――ドンッ、っと片足のエウゴアトラスが歩くごとに大地が揺れ、天井から砕けた石が落ちてくる。】

もうすぐ≠ヘもうすぐ≠ウ………でも、やはり君もまだ何かある≠謔、だなねぇ。

        さぁて―――もっと見せておくれよ、まだ出来るんだろう?

【そして接近がした後、エウゴアトラスの左手でゼリシュを左から薙ぐようにして壁へと吹き飛ばそうとするだろう】
【動作自体は遅いが………果たしてゼリシュは回避することが出来るか?】


//続きます
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/13(日) 23:46:34.74 ID:5/1XTrmX0


>>ALL

さあ、クライマックスだよ………にゃははははははははははははははははははははは!
エウゴアトラス=I!!全てを闇で覆い尽くすんだ!!!!にゃはははははははははははははははははは―――ッ!!!


                 そして―――どうやら来た≠謔、だね。


【ゼリシュへと攻撃を放った後、エウゴアトラスは門の前へと跳躍して移動し、二人へ向けて口を開く―――!!】
【そして口の内部から、影の集合体≠ニも言えるような漆黒の球体を出現させ―――発射する!!!】

【発射されるのは虚無≠フエネルギーの集合体、全ての生命と力を刈り取り無に帰す絶対の攻撃だ、直撃すれば………言うまでもない】
【そして、エウゴアトラスが絶望的な一撃を放った背後で―――門≠ェ開く………その奥には。】






                           【眼≠セ】


【門の向こう側≠ゥら巨大な眼≠ェこちらを見ている、瞳孔は細く、瞳は黄金に輝いている=c……全てを死へと誘うような魔眼=z
【それを直視してしまえば、身体が金縛りに合うように動けなくなってしまうかもしれない。】


【そして、眼≠フ中心部。即ち黄金の瞳≠フ中の細長い瞳孔=c……それが徐々に揺れ動き、次第に………人の形を形成している=z


【もはやこの先は何が起こるか分からない未知でしかない―――だが、影の悪魔=Aベアトリックス、門=Aそして眼=z
【これらすべてが直線状に並び、一網打尽にするチャンスも今でしかない………果たして二人はこの絶望的な状況を打破することが出来るのか!?】
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 00:03:21.02 ID:aQ05ooPi0
>>68
【――――肩を射貫かれた者の漏らす呻き。然れど其れでも逃げぬ辺り、力量の程も計り知れよう】
【当然だ。痛みだけで萎縮してしまう程に軟弱ならば妖狐に矢を放つことなど到底出来やしない】
【刃を抜き、新手に襲いかからんとするが…………身体が、動かない。直接交えずとも分かる程の力量差を、たった一睨みだけで感じ取ってしまったから】
【とても敵わない。選択したのは攻撃では無く逃亡で――――肩だけで済んだのが幸いと、直ぐに足音も遠ざかる事だろう】


「大丈夫ですよ、お母さん――――もう、危険なんて何にもありませんから
全部の妖怪を殺そうとする人達だって次々に亡くなっていますし…………もう、私達に危険なんてありませんよ?」

【攻撃は無い。他の妖怪からの其れも、当然の事く無い】
【――――母、と慕う相手だから。笑みだって嘘では無いし、戯れに攻撃を加える事も無くて】
【嘗ての少女ならばその手を取っていたのだろうし、こんな戦火の真っ只中に居たならば泣いて縋りでもしたのだろうが】

【銀狼の心情などを考える事もせず、浮かべたのは笑みだ】
【――――以前の自信なさげなものとも異なる。慕う相手にだけ見せていた物とも異なる】
【本当に、朗らかな其れ。年頃の少女と変わらぬ物で…………変貌する前の少女がそんな表情を浮かべて居たなら、きっと喜ばしい事だったのだろうけれど】
【態とらしく傾げた小首。“妖怪を殺そうとする人達”の亡骸を見遣れば、もう一度視線を戻して】


「それに――――私がこうやって作り出した場所です
だから…………危険なんて、ありませんよ。ね、お母さん
そんな事より、怖い顔をしないで一緒に桜を見ませんか?
優しいお母さんと一緒なら何でも楽しいですから…………。お酒だって、沢山あるんですよ。美味しい物だって――――だから。お母さん、何時もみたいに笑ってくれませんか?」

【隠す事も無く、この状況を作り上げたのは己だから己に危険が及ぶことは無いと告げて】
【狼、ならば分かる事。匂いだって変わりが無い。延ばした手が少女に触れたならば、肌の質だって気配だって変わりは無い】

【立ち上がり、自らも歩み寄ればその手を伸ばし。頬を撫でようとするが――――攻撃を警戒するならば、避けても可笑しくは無い】
【尤も、触れられたから痛みが生じるだとかでは無く。ただ純粋に、慕う相手に触れようとする行動】
【――――触れる事が出来たならば、手が片頬を幾度か撫でて】

【血の臭いが強烈に立ち込む場所で笑えなんて無茶な話だ。豹変した者と共に何時もより紅く染まった夜桜を楽しめなんて無理な話だ】
【余った手は、差し出されていた右手を握る事も無く。昔の様に、何時の日かの夜に背に乗せて貰う事をせがんだ時の様に袖を弱い力で引っ張って】
【こんな場所で無ければ。こんな事になっていなければ。何時も通り、平和で穏やかな夜であったのに】
【「駄目、ですか……?」最後に紡いだ言葉は、果たして銀狼をも謀る為の行動か、否か】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/14(月) 00:32:18.97 ID:LO3HAoCKo
>>73

【やはり、と銀狼の心中に苦いものが混じる。起こした事態、それそのものよりも】
【彼女の変わり様が――気弱で、優しい限りの幼狐であった桔梗という少女が】
【まるで人の死をなんとも思わず、同時に無傷でこの戦場に居ることが恐ろしくもあり】

【また、悲しくもあった。無論、それを抑えることの出来ない銀狼ではない】
【笑えと言われて笑うほどの余裕ばかりはなかったが、彼女が手を取らず、むしろこちらの頬に伸ばしたなら】

そういうことでは……そういうことではないであろうが……っ!
こんな場所に居て無事≠ネ者など居らぬことくらい…、……―――?

【銀狼は頬を一度触れられた折に、自らの右手で彼女の手を強引にでも取ろうとするだろう】
【取れたなら――それだけだ。強い力を込めるでもなく、何処かへ引っ張っていくでもない】
【妖怪の全てが理知的で冷酷ではない。特にこの狼は、些か子供に対しては甘すぎて】

【続く言葉、彼女の笑み。手を通じて分かる体温も、自慢の鼻で判別する匂いも】
【そして何より気配の一つを取ってみても、悲しいほどに以前の彼女と変わりがなく】

【その差異の無さが、言動が、何か虚空のように思われて、どうしようもなく空しさが込み上げ】
【怒らせていた眉が僅かに下がる。抵抗するでもなかったが、手が触れていればその震えているのが分かるだろう】

――儂は、酒も美味も要らんよ。桔梗……お主が居れば、儂もそれで良い
桜も見たい。じゃが、このような場所では無粋と言うものよ……マトモに鼻も効かぬでな

桔梗……儂と共に、瑚蝶という女の所に行こうではないか。其奴も妖狐……お主の仲間よ
今、儂はあれの所に居る。そこにも桜があるし、美味い飯も酒もあり、寛ぐことも出来よう
……だから、一緒においで…、…――いや。来てはくれないのか、桔梗…――?

【試みるのはささやかな説得。場所を変えてしまおうという、至極当然といえばそれらしい提案】
【その裏で銀狼が考えるのは他者に頼ることだった。自分の知る仲で、最も頼りになる相手】
【彼女の元に連れて行きさえすればなんとでもなるのではないか――そういう思惑が、ありもして】

【――だが、決めるのはやはり桔梗であった。そこを押しきれないのが銀狼の甘い所である】
【それに結局――彼女は小さく、笑いもした。どこか力ない、半ば諦めの見えるような笑み】
【他に何も要らない、という言葉が滲んだような――しかし伝わるかは全く不明な、快活とはとても言えない表情だった】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/14(月) 00:43:39.39 ID:YWY9W3vlo
>>71 >>72

【――――その時確かに、妖気が肌を抉り鮮血を散らす感覚があった。ベアトリックスが空中へと高く高く打ち上げられたこともまた、攻撃がほぼ直撃した証左】
【エウゴアトラスのせいでトドメの一撃とはならなかったが、相手にも大きなダメージを負わせられたのは事実だ】

楽しみたいだけだなんて――――まさか。そんなこと、ある訳ないじゃないですか…………ッ!!

【響き渡るベアトリックスの狂笑に……自分の中の何か≠ェ疼いた気がしたのは、この場の異様な雰囲気に当てられてのことだったのか】
【ただ楽しみたいが為だけにここへ来たわけではない。確かに鉄の国に興味があったわけではないが、GIFTの戦力確認と殲滅という目的は確かにあった】
【だから、楽しんでなんていない。――――顔に張り付いた歪な笑顔には自分でも気づいていて。その言い訳に説得力が無いことも、わかっていて】

【……虚無≠フ弾丸の飛来によって、一颯はそんな思慮を切り捨てる=B下手に迎撃に妖気を使って防御や回避が出来なくなっては命取りだ】
【また一颯は走り出し、自らの足のみで弾丸を回避するだろうか。……少年の疾駆は、最初と比べて明らかに速度が上がっている】
【それでも全弾回避することは叶わず、一発が胴体を掠めていく。それだけで生命力をごっそりと持って行かれ、一颯の顔面は蒼白になって】

くっ、風掴=\―――っが、ああああああああああああああああああッッッッ!!

【足下がフラつくが、ベアトリックスの叫びの意味合いを理解すればそうも言っていられない――――】
【負けじと叫んだ一颯の真上へ、異なる方向へ高速回転する銀色の竜巻≠ェ二つ、隣り合わせで出現するだろうか】
【一颯は躊躇わず跳躍し、二つの竜巻の中央に飛び込む。……これは二個分の竜巻の風圧とその回転力により、ピンボールのように自分を吹き飛ばす技だ】
【そうして、一颯の体が猛烈な勢いで上空へ吹き飛ぶのと――――影の集合体≠フ上部が、逃れきれなかった下半身を飲み込むのがほぼ同時だった】
【幸い足が浸かったのは一瞬で、部位が欠損するほどの傷にはならなかった。だがその一瞬で吸い取られた生命力は、一般人なら致死量――――】


そんなに………楽しませて欲しいのなら…………、


【――――鳴子一颯が半妖でなければ、そこで死んでいた。そして胸部から漏れ出す宝玉≠フ光が無ければ、その台詞は言えなかったはずだ】
【一颯の周りに銀の風が一斉に集約する。いや、今度は一色だけではない………斬撃を司る銀色に、叛逆≠司る紅色が混じり合って】
【少年の瞳の中に、人ならざる横長の瞳孔≠ェ浮かび上がる。妖怪としての力を最大限に引き出し、全ての力を強く強く圧縮する――――】
【強く強く掲げられた左手の先の三カ所へ、銀と紅の風は集約していく。そうして練り上げられるのは、三つの巨大な風塊=I】


そちらも相応に、ぼくを楽しませてください――――――ッッ!!!


【そこから放たれるものは、もう言うまでもないだろう。銀と紅とを纏った少年が、獣のように獰猛に笑いながら吼え叫び、左手を振り下ろすと同時】
【三つの巨大な風の帯≠ェ一斉に唸り声を上げ、悪魔もベアトリックスも門も眼も、立ちはだかる敵全てを引き裂かんと飛翔する――――ッ!!】

【さながらその光景は、巨大な獣の爪≠ェ振り下ろされるようだっただろうか。これは手負いの獣が全力で振り翳した、斬撃と叛逆の一閃】
【この攻撃には元々の強い斬撃効果に加え、紅獣の宝玉≠ノよって『受けたダメージを攻撃に上乗せする』効果が付与されているだろうか】
【直撃した場合の威力は絶大。悪魔も人間も器物も神秘も関係なく、局所的な天災じみた風はあらゆるモノを抉り取っていくはずだ】

【……だがその代償として、妖気を使い果たした上に眼≠まともに見てしまって動けなくなった一颯は、そのまま地面へ墜落して動けなくなる】
【この全身全霊の一撃――――届いたか否かを見届けようとかろうじて頭を上げた少年の顔には、やはり笑顔が張り付いているのかもしれなかった】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/14(月) 00:46:17.41 ID:B5Fjr6pco
>>71-72

アンタなんかと、一緒にしないで、ほしいわ……
私は、私よ……それ以外の何にも、なりはしない……!

【攻撃はベアトリックスには届かず、崩れ落ちた身体を起こす内に、エウゴアトラスがすぐそこにいて】
【一太刀浴びせたとはいえ、こちらとてボロボロだ。それでも瞳は闘志を失わず、真っ直ぐに見据えて】

言われなくたって……やって、やるわよ……!
ここで、アンタを――――あ、がぁっ!

【左手の薙ぎ払い。幾ら動きが遅くとも、反応が間に合わなければ意味がない】
【勢いよく壁に叩きつけられれば、体内の空気が一気に押し出される。】
【ズルリと壁から剥がれる様に、地に落ちる。漆黒の球体は見えているのに、脳が揺れたせいか動けない―――】

あ、あぁ…………――――

――――――ああああああああああ! !

【声を絞り出すと同時、ヒトガタが現れ―――ゼリシュに重なり、背中で翼≠ニなる……!】
【影が形作る翼。あの時≠ニ同じ、真っ黒な一対。大きく、強く、羽ばたいて】
【その身体を空中へと運び―――球体がその下を通り抜けていく】

【――――降り立つ頃には、ようやく身体も動くようになっていた。構え直し、向き直ろうとして―――】

はぁ……はぁ……、何が何だかわからないけど……まだま――――、だ…………

【――――見て、しまった。】
【全身の筋肉が、硬直したように動かない。】
【何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、何が現われようとしているのか。】
【何もわかってすらいないというのに、動けない。】
【もはや、ここまでなのか――――そう思った時に、声がした。】

《情けない事よのう……―――余が代わってやろうか?ほれ、体を明け渡せ―――》

――――っ……ざけんじゃ、ないわよ…………私はまだ、やれるのよ……!

――――――Flamme!

【声の主は、どこにもいない。ただ、妖気の塊がそこにあるだけで】
【けれどゼリシュは、その声に我を取り戻す。十字剣を構え、一歩を踏み出して】
【再度、翼が羽ばたく。一気に加速すると同時に、刃を火炎が包み―――】

【ありったけの力を込めて、放つのは突き。それと共に、燃え盛る火炎が打ち出されるッ!!】
【真っ直ぐに放たれる火炎の刺突は鋭く、その先に立ちはだかる物を穿たんとして突き進む。】
【それがどこまで通るのか、いや、そもそも通るのかどうかもわからない。】
【だが、これが今、ゼリシュにできる最善であり、全力であって―――】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 01:14:35.70 ID:aQ05ooPi0
>>74
「――――…………もう少し、早かったなら」

【その手を取る事は造作も無い。術を発動する事は無いし、強大すぎる妖気を得ていても膂力では敵わないのだから】
【言葉は、一度其処で途切れた。と言うのも、この場に居る二人に向かって数十の矢が一斉に放たれたからだ】
【恐らくは先程逃げ延びた者が伝えでもしたのだろう。この傷を見ろ、彼処に居る奴に作られた物だ。アイツを見ろ、あの狐に近いのに殺されもしない――――と】

【不意に、少女の妖気が高まった。人間であれば気が狂うほどに。弱い妖怪であれば、それだけで存在が消されてしまう程に】
【飛来する矢に対して一瞥。ただ、それだけ。其れだけなのに――――矢は、全て力の方向を真逆にして】
【やがて聞こえるのは人々の悲鳴だ。何人死んだか、何人重傷を負ったのか】
【人を傷付ける事は嫌だ。生かす為に力を使いたい。そんな言葉はもう過去の話】
【仇を為すならば殺す。己に関係無いならば情すら向けない。五月蠅い羽虫を叩き潰した所で、悲しさを覚える者が居ないのと同義】


「――――桜が、まだ蕾の時期だったなら。お母さんと一緒に瑚蝶さんの所に行けたかもしれません
ずっと前に、一度だけ会った事があるんですよ?とっても良い人で…………もしかしたら、何とかなったのかもしれませんね?
でも、もう行けないんです。この手を離せばそれっきり。きっとお母さんだってもう私から離れちゃいますから
不思議ですよね?強い力があれば、みんな離れていくんです。弱ければ弱いほど、みーんな慕ってくれるなんて。気付けば一人
此処で暴れている妖怪達も適当に“お誘い”しただけですから――――

…………お母さんは生まれ変わりって信じますか?」

【再び途切れた言葉。遠くで聞こえるのは人間達の声で――――仲間を制止しようとする叫びだろうか】
【その声も虚しく、一人の兵が刀を片手に二人を叩き切らんと走り寄るのだが】
【袖を握っていた手が、虚空を薙ぐ。次の瞬間には“龍”の式神がその者を喰らい、臓物の名残だけを残して姿を消し】

【まるで思惑を見透かしたような紡ぎ。責める様な口調で無いにしても――――もし、その言葉が合っていたならば。どんな感情を浮かべるだろうか】
【無理だと告げるのは冗談でも無い。こうして話して、別れたらもうそれっきりであると暗に告げており】
【失せた存在に興味は無い。血なまぐさい臭いが強くなろうとも表情を一切顰めず、談笑を楽しむかの様で】
【意味の異なる笑み。然れど、確かに其れも一つの笑みならば妖狐だってきっと嬉しそうに笑う】
【独りだと言い放った少女が、楽しそうに笑った】


「前に死んじゃった時、人間に殺されたとき――――もし、お母さんが色んな妖怪や人間に攻撃されて殺されちゃってたとしたら
その記憶が生まれ変わった今も残ってたとしたら彼らを許せますか?…………何て、訳の分からない話ですよね
もっと単純にお話しするなら、殺しに掛かってきた相手を許す事が出来ますか」

【突拍子も無い問い。生まれ変わりを信じるか否か。前世で己を殺した相手を今世で許せるか否か】
【脈絡も無い。訳も分からない話。――――でも、その問いの意味が少なからず少女の変わった要因の一つ】

【気付けば人間達も本格的に撤退を始めて居た。其れを妖怪達が追ったならば――――辺りは、火の盛る音と二人の話し声だけ】
【良い夜だ。良い風だ。良い気温だ。悲惨な光景で、酷い景色で、鼻が曲がる臭い。様々な概念が両立するこの場、生きて話すのは二人だけ】
【ゆるりと傾げた首は答え/行動を待つ様で。手を離さなければ、自身から離す事も無い】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/14(月) 01:25:11.26 ID:Gk0nVryr0
>>75

いいや、君は求めている筈さ!!狂気を!破壊を!にゃははははははははは!!!
ああ!!!!愉しませてみせるさ!!!!そして君の中の狂気≠呼び覚ませて見せるさ!!

にゃははははははははははははははははははははははははははは―――ッッ!!!


―――この力≠ヘ………まさか!?

【全ての生命を奪い去る絶望の一撃を放った後、ベアトリックは絶叫する。】
【狂いながら叫び、鳴子へと語りかけていたが―――その胸に眠る宝玉≠フ輝きを見て、顔を険しくする。】
【鳴子自身のダメージも予想していたものよりは低い、加えて影の悪魔≠ヘ攻撃後という事もあってもはや動けない。】

クッ………!!!!往生際が………ッ!?


【ベアトリックスはボロボロの身体でガトリングを構えて、鳴子へと標準を合わせるが、もはや既に遅い。】
【叛逆≠フ力を宿した絶対の紅き獣の斬撃によって―――影の悪魔≠イと切り裂かれ、胴体の半分は裂け、】
【エウゴアトラスもまた………体を構成する影≠ェ著しく消費され、原型を保てなくなっていた―――そしてそこへと】

>>76

ガ………ハァッ!!!…………く、クソ、僕は………まだ………まだだ
まだ足りない………ゼ、ゼリシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!

【ゼリシュが放った全霊の、最後の一撃である火炎が突き刺さるッッ!!!】
【全てを焼き払う火炎の一撃は、ベアトリックス、エウゴアトラス、そして門≠ヨと突き刺さり―――直後に大爆発が発生する!!!】

【弾け飛ぶ影=\――門=c……そしてその向こう側≠焉A門≠フ破壊と共に渦を巻くように消失していく―――。】


―――まさか、僕がやられるとはね。だけど………にゃはは、これで戻った=B


【全身を浄化の炎で焼かれながら―――ベアトリックスは最後まで狂気の笑みを浮かべ、そして完全に魂ごと消滅したのだった】
【後には塵も残らない、ただ持っていたガトリングのみが周囲の突き刺さった剣や槍と同じように、大地へと突き刺さった―――。】

>>ALL

【全てが終われば最下層には嘘のような静けさに包まれる―――眼≠熄チえていた。門と向こう側≠ニ一緒に消えたのだろうか】
【それと同時に最下層へと近づいてくる複数の足音が聞こえる、どうやら上≠フ部隊も役目を果たしたらしい。】
【一番先に現れたのは唯一の軍人、朱い長髪タルブラックのフレームの眼鏡の青年。にヴァイパー特務少尉だった】

【ヴァイパーは二人へと駆け寄るとそのまま膝をつく。】

『お二人ともご無事ですか?衛生兵!早く来てください!!!―――どうやら終わったようですね。
 上≠烽ネんとか退ける事が出来ました………これで鉄鋼山は完全に防衛したと言えるでしょう………しかし』


     『アビス平原≠ノ展開していた部隊は………謎の紅い人型兵器によって―――全滅しました。』

『新たな防衛網を作ってはいますが………数週間、もしくは数日で首都まで接近される可能性があります………
 まずはお二人も傷を治しに近隣の都市へと参りましょう………この場は私が残って指揮します、本当にありがとうございました』


【―――ヴァイパーからの報告は、嬉しいものばかりではなかった………アビス平原≠ノ展開していた部隊の全滅。】
【鉄の国軍選りすぐりの精鋭部隊を一気に失った影響は途轍もない、そして謎の紅い人型兵器とはイグナスでも確認された………。】
【もし希望すればこの兵器についてのわずかに残った映像データ資料も貰えるだろう、尤も】
【無数の砲弾を全て弾き、回避し、一瞬の紅い閃光で全てを焦土に変えた絶望的なモノでしかないのだが―――。】

【そしてベアトリックスの目的はなんだったのか、それは依然として不明だが、まずは傷を癒すしかないだろう。】
【戦いは続く………だが今宵の戦士たちにはしばしの休息を。】

//これにてイベントの〆とします!お疲れ様でした!
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/14(月) 02:05:45.24 ID:LO3HAoCKo
>>77

―――……生まれ変わり…?

【背後で――また何人もの人間が傷付き、そして瞬時に命を奪われるのが分かる】
【多量の血がベシャリと地に叩きつけられる音。濃密な血臭――死臭】
【怨嗟の声、うめき声。尽くが妖狐を呪うものであり、妖怪を厭うものであった】

【それも当然だ。人は己が絶対に敵わないと分かった相手には、総じて靡くか反発する】
【相手の外見があくまで少女なのだから侮りもしよう。必然的に恐れよりも苛立ちが勝るに違いない】

【そうして、また挑んでは死ぬのだ。背後にそれをひしひしと感じながらも】
【銀狼は決して桔梗から目を離さなかった。離してしまえば、弓に番えた矢のように】
【次の瞬間にはそこから居なくなってしまって、戻ってこないように思えたからだ】

【――徐々に語られる内容が、銀狼の頭のなかで少しずつ形を成していく】
【生まれ変わり。彼女が言ったその言葉が、とても残酷な意味を持つように思えてならず】

【ふと過ぎるのは彼女の姉であるちゆりのことであった。人と妖狐の、組み合わせとしてはあり得ない姉妹】
【死んだ時、殺された時。そんな言葉も脳内に追加されていくと、にわかに全貌が見えてくる】
【無論氷山の一角ながら――銀狼は思わず、目を伏せた。前髪がその目元を静かに隠し】

……儂は未だに死んだことが無い。狼として生まれ、今も妖かしとして生きている
だから、そんなことは想像も付かぬ……想像したくもないというのが本能よ

だがそれでも……死には、理由がある。殺しにも……もし、その理由が
獣の毛皮が欲しいからなどというような身勝手なものであったなら……
儂は、その相手を……殺すじゃろう。だが人間が事を起こすにも理由はある…!

――桔梗っ!こんな事を続けていては、ただいたずらに人間達を刺激するだけではないか……!
もう二度と……こんなことはするな…ッ!お前自身の為にも……!

お主とて分かっている筈…。今しがたしたことの意味も、行動自体も確かに本心なのじゃろう
躊躇いも無かったからな…?だが同時に……今のお前に以前の優しい心が無い、とも思えぬ…!!

……『無い』と言い切れるのか、桔梗。ならばどうしてこれ≠戻しに来た
壊さず、どこぞに捨てるでもなく、なぜそのままの形で届けに来た……?
儂が妖怪だからか?儂のことを母親と慕ってくれているからか……!?
違う…――違うはずじゃ、桔梗……!他の何も変わらず心ばかりは違うなどとは――!!

【『言わせない』――叱るにしては厳しすぎる瞳が、真っ直ぐに桔梗へと突きつけられる】
【言葉のさなかに取り出したのは翡翠の首飾り。両者にとって、最も思い出深い品に違いない】

【今日もまた神聖な力を持つそれは、傷一つなくうっすらと輝きを放っていて】
【一方で、手も離しはしない。桔梗もそうしないのなら、ひたり、とその手が濡れることだろう】
【雨ではない。キリリとした瞳から零れるのは、子を思うがゆえの激情だけではないということだ】

【――確かに、一度殺されてその記憶があったなら。その考えは理解できる】
【けれども、何故そうなったのか。もし今と同じような事をして、その結果殺されたのであれば――?】
【勿論真実は分からない。自業自得≠ニ言い切れるはずもない事は、銀狼も承知の上である】

【ただそれでも納得できなかった。全てが一緒の彼女が、性格以外全て一緒の彼女が】
【こと、優しい心の一点だけを失ってしまったなどとは思えない――それが、まず第一に発露して。】

/いい所なのですが申し訳ないっ、そろそろ眠気が厳しい物でして……
/可能であれば明日以降に持ち越しをお願いしたく思いますっ
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 02:09:38.82 ID:aQ05ooPi0
>>79
/いえいえ、こちらの我が儘にお付き合い頂いてかえって申し訳無いのですよ……
/持ち越しの方、勿論大丈夫ですっ!ただ、可能であれば15日火曜の午後10時半辺りからですと助かりますです……!
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/14(月) 02:14:03.00 ID:LO3HAoCKo
>>80
/でしたら火曜のその時間でお願いしたくっ!我が儘だなんてとんでもないですよ
/自分も楽しませて頂いてますので、はいっ!それではすみませんが、一旦お疲れ様なのです…。
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/14(月) 02:15:26.09 ID:YWY9W3vlo
>>78

ゲホッ……出来ることなら――――あの門≠フ先も、見てみたかったけど……。
……仕方ない≠フで認めます。あなたと話せて、戦えて。とても楽しかったですよ、ヘル・ベアトリックスさん。

――――さようなら。

【激突の衝撃で朦朧とする意識の中、しかと見届ける。宝玉の力と自身の力を合わせて放った獣の爪≠ヘ、見事に獲物の喉笛を掻き切ることに成功したようだった】
【続くゼリシュの炎によって焼き滅ぼされていく彼女へ、一颯は小さく呟いて。死に際の彼女にそれが聞き取れたかどうかは、わからないが】
【――――化け物≠フ双眸を心底楽しそうに歪め、少年はまるで同類でも見つめるかのような目で、ベアトリックスの最期を看取るのだろう】

(戻った=c……か。もしかするとあなたはまだ、ぼくを楽しませてくれるんでしょうか………)

【呼び出された悪魔は滅び、門は壊れ眼は消えて、その向こう側への道は完全に閉ざされた。少なくとも瓦礫の山と化した周辺は、そのような判断を強いるが】
【ベアトリックスの最後の言葉が、一颯の心に小さく突き刺さる。もしかすると彼女は、最期の時に何か≠やり遂げてから逝ったのかもしれない】
【もっとも、手掛かりなんて何一つない。だったらこれは、今考えても仕方ない≠アとなのだ――――考えを切り捨てると、一颯は新たにやって来た人影に会釈する】
【こちらはちょうど足を酷くやられて動けない状態だ。共に戦ったゼリシュの怪我も決して小さくはなかった筈だし、救援に来てくれたなら本当にありがたい】

【……そんな風に思っていたところへ、少尉の口からある報告≠ェ飛び出してきて――――】


……、………か。


【ぼそりと小さく呟いた言葉は……誰にも届くことなく風の中に消えていく。鳴子一颯はそのまま軍部の衛生兵に回収され、病院へ搬送される筈だ】
【半妖だけあって傷の治りも人より早い。少し経ってある程度傷が癒えれば、一颯は鉄の国内を暢気に観光した後、軍部へお礼だけ言って自国へ帰っていくだろうか】
【報奨金と一緒に『聖晶グランドクロス』という希少素材を受け取り、自身にとって毒である退魔≠フ力を持つソレを嬉々として持ち帰る姿が、なんとも印象的で】
【……それと、もう一つ。後学の為にと軍部へ申請し、『紅い人型兵器』についての映像資料も受け取って。少年が今宵の戦いで得たものは、その三つと――――】
【ヘル・ベアトリックスという存在が心中に埋め込んでいった、無数の言の葉。それら全てを後生大事に抱え込んだまま、少年は帰路に就くのだった】


/お疲れ様でしたー!!
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 02:16:54.83 ID:aQ05ooPi0
>>81
/そう言って頂けると助かるのであります……
/後でレスの方だけお返しさせて頂きますねっ!お疲れ様でありましたっ!
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 03:31:32.33 ID:aQ05ooPi0
>>79
【言葉は聞こえていた。確かに耳を通っていた。銀狼の感情だって分かっていた。確かにその意味も理解していた】
【ちゆりが大会で言って居た事。会えない、とは――――彼女の記憶を醒ます切っ掛けを少しでも減らすためか】
【早く殺してしまえば良かった。そうすれば大勢が死ぬ事も無く、きっと今日も平和だの一言で片付く日々が多くなっていた筈なのだ】
【其れが出来なかったのは…………彼女も又、人間だから。ピクリとも表情を動かさないが、情を持つ生き物だから。己の妹をどうして殺す事が出来るか】


「其れで良いんですよ。殺せば殺すだけ、人は私を殺そうと向かってくる。また其れも殺せば、どんどん増えて――――最後は、誰も居なくなっちゃうんです
次には妖怪達が私を邪魔と感じて殺しに来るでしょうけど…………所詮、直ぐに死んでしまう存在ですから」

【人の血は誘い水。繋がりを持つ者達が自ら歩み寄って来て、更に水を甘くして行く】
【触れずして殺める存在をどうしようか。視界に入れるだけで理を変えた存在をどうしようか。危惧した妖怪達だって、やがては殺し尽くす】
【そんな果てにあるのは本当に独りの世界だ。比喩でも何でも無い孤独な世界。だけど、今と変わりが無いならば――――それでも良いではないか】

【そして。銀狼の言葉を聞けば、クスリと嗤った。何処までも優しい妖怪だ。何処までも優しい母だ】
【――――だから。ほくそ笑んだ。妖狐とは誑かす生き物だ。妖狐とはそんな生き物だ】


「それに、今更止めた所で遅いんです。もう何人もの人達が私を殺そうとして―――― 一度起きた水面の波紋は、何処までも何処までも広がって行くのですから
お母さんはそんな人達からずっと守ってくれますか?一度に何百も何千も来る人達から私を守れる力がありますか

血に汚れた私をまた膝の上に乗せて撫でてくれますか。私を娘と呼んでくれますか?
…………私は妖怪であって、泥棒ではありません。ですから…………持って居るべきであるお母さんにお返ししただけですよ
私が作る血で、汚してしまわないように――――と」

【手に伝わる雫の其れ。何であろうか、その答えを見つけるのは早く】
【何時も何時も見放さずに身に付けていた首飾り。どんな時だって下げていたし、辛い事があればぎゅっと握りしめていた】
【――――あの夜。確か銀狼は涙を流していたか。そして、今宵もまた僅かに涙を流しており】

【不意に、身体を近づけて。柔らかな少女の身体が装束越しに伝わるであろうか】
【縋る様にしてのつま先立ち。少し、背が追いついたならば。紡いだままの手を離し、自分の頬を撫でさせて】
【細い指先が涙を拭い去ってやったなら次には装束越しに暖かな体温も伝わるか】

/続きますです……
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 03:32:08.68 ID:aQ05ooPi0

「お母さんだから、私に親切にしてくれたから、私の大好きな人だから。ふふ、他にも理由は沢山ありますけどね――――?
ねえ、ぎんぎん。もう、周りにだーれも居なくなって誰も見ていませんから。ちょっと、甘えても良いですか……?」

【言葉を切り、顔を近づければ。所謂、口吻。然れど数秒間だけ表皮が触れるだけの物、とは大きく異なって】
【無論、危険だと本能が囁いたならば咄嗟に離れる事は出来よう。否、寧ろ其れが正しいのだ】
【だけれど、もし侵入を許してしまったならば。其れから数秒間奇妙な体験をする事になるだろう】

【其れを続けて居る間に脳内に浮かぶであろう光景。数多くの死。里やらが滅び――――大人も子供も関係無く積み上がる骸】
【秘め事、耳を劈く様な悲鳴の幻聴。たっぷり十数秒経てば、最後に映るのは“姉”の姿で…………視界が紅く染まれば、意識も戻るであろう】
【支離滅裂な内容。きっと、前世の事。数百年に渡る長い長い映画を数秒で再生が終わる程の速度にまで早められたのだから、理解出来る方が可笑しいのだが】

【ただ――――所々では争いの場面が合った。きっとそれが前世で彼女を殺めようとした人々であり…………最後に映ったちゆりさえ見えていれば】
【また、今と同じ様に戯れで人々を殺したが故の報いを受けたのだと推理も出来るか。だから、銀狼の考えは極めて正解に近く】
【恍惚とした表情で唇を離したならば。味はどうであったかと問うかの如く嗤って見せて】


「ね――――ぎんぎん。皆さんが離れていって、ずっと寂しくて…………ぎんぎんだけはずっと一緒に居てくれますか?」

【其処に居たのは桔梗、では無かった。誑かすことに長けた妖狐。少しずつ、少しずつ銀狼の心に揺さぶりを掛けて感情を乱れさせる言葉/仕草の数々】
【相手が自分をどの様に見ているかと分かるからこそ付け入る其れは質が悪く。覗かせたのは嘗ての少女の弱々しさ】
【攻撃を加えぬ事から、好いている事は確かなのであろう。もう一度背伸びをすれば、再度食む様に口付けをしようとして――――】

【未だ情を捨てきれなかったならば、危険だ。拒むだけの意思がないならば、危険だ】
【妖狐とはそういった生き物。同性異性関係無く誘い堕とす故に恐れられる生き物】
【払う事も出来よう。この距離を利用して或いは攻撃だって出来よう。好機、同時に危機】
【――――とは言え、此処までは先ず一度目の口付けが成功して情報を流し込めていたならばの話だ。最初に何らかの行動を起こすことが出来て居れば、きっとまた別な方向へと話だって進む筈であり】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/14(月) 19:22:32.12 ID:LO3HAoCKo
>>84-85

【頭が痛い。少女の言うことは――銀狼にも、意味としては理解できる】
【殺せばそれだけ敵視される。尚も向かってくる全てを殺せば、確かに安全ではあるだろう】
【しかし――敵が居なくなった所で、きっとその時には誰もが彼女には近付くまい】

【『魔性の妖狐』としての烙印を押されてしまえば、一生死ぬまで――】
【それこそ人よりも何十何百、或いは何千年も先まで独り。そんなこと、銀狼であれば耐えられない】

っ……確かに、儂には何百何千の者を殺す力も……覚悟も、無い…!
所詮は狼よ……その点で云えば、儂は妖怪としてえらく下級……

……だが、お主を抱きしめてやることは出来る。
例え、桔梗……お主が血に汚れようとも、儂だけは一緒に居る……!
この身が真赤に染まろうとも……死んでもお主を離してはやらん…ッ!!

家族≠ナはないか……!血はつながらぬとも…お主は娘じゃ、桔梗。
……どうして、最初に儂を頼らなかった……。どうして話してくれなかった……!
そこまで想う心がありながら、どうして儂に、んっ…――!?

【だからこそ、銀狼はその手を離してしまいたくは――彼女を独りにはしたくはなかった】
【心中の全てを、命すら振り絞って吐き出すような語り口。今までにない、激しい物で】

【自然と涙も溢れていって、頬には何筋も跡を残し、きっと彼女の手も濡らしてしまうことだろう】
【ただの獣に涙はない――多分に人より優しくて、どうしようもなく甘いからこその涙であり】
【それはきっと、付け入る、とすれば最も容易い相手だったのに違いない】
【手を惹かれて頬を撫でて、逆に彼女に頬の水滴を拭われた――ほんの、少し後だった】

【――口付けを許したのは、その甘さ故だ。頭がパンクしそうな程に凝縮された情報が】
【まるで悠久の時を過ごしたかのような感覚が、傷付けられ、殺される感覚が】
【あの巫女が――天鬼ちゆりが見えて、終わった。やはりといえば――やはり、だった】

【理解し、絶望するまで数秒。どうして優しいこの娘が、悪しき妖狐の生まれ変わりなのか】
【いっそこの世までも呪ってしまいたくなるような、それでも変えようのない事実が、銀狼に降りかかり】
【ぼぅ、っとした所に声がかかる。背を伸ばした少女の唇が、銀狼のそれに近付いて――】

……一緒に居る。だから……だから、目を覚ませ桔梗……っ!
また共に話をしよう、桜を見よう、全て忘れて……頷くまで、離してやらぬ……!

【銀狼は――自ら桔梗に近付いた。ただし、口付けを求めてでは決して無い】
【抱きついたのだった。少女の手を解き、腕の内に少女を逃すまいと、抱きついた】
【甘ったれた答えには違いない、けれども――彼女には、他にどうする力も、案も無かった】
【かすれてしまいそうな声は、耳元で囁くより聞き取りづらい。聞こえた所で――きっと。】

【それでも何もしないなどという選択肢は、彼女には無い。もし、強引に引き剥がすのであれば】
【きっと桔梗には容易いことであろう。――もっとも、生半な力では動いてくれそうもなかったが】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 19:27:16.22 ID:mNNVJ8Tp0
【水の国・とある公園】

【春は色々なものが変わる季節。眠っていた動物や虫たちは動き出し、蕾は花開き、気温だって暖かくなっていく……】
【―――変わるのは自然だけではない。人間だってそうだ。学校、仕事……新しく変わる環境に胸を膨らませる人も多いだろう】
【今年もまた、大きな希望とすこしの不安とが混ざった感情を抱いて、人々は新しい環境へと飛び込んでいく―――】

―――えーっと、この公園を抜けて……、次の道を真っ直ぐ、か……
えへへ……制服、似合っとるかなぁ……?

【きっと此処にいる少女もその一人。まだあどけなさがいっぱい残る顔は嬉しそうに綻び、瞳は爛々と輝いている。】
【公園を歩く足取りは軽やか。地図を片手に、少し止まって道を確認しては歩き出すのを繰り返す。】

【黒く流れる長髪はまるで上質の糸のような艶とさらりとした風合いを持ち、春風が吹けばふわりと靡いて】
【くりっとした大きなブラウンの瞳、あどけない可愛らしさを持つ顔。白い肌に、ほんのり赤みがさす頬】
【成長期とはいえ、体つきはまだまだ華奢で幼さが残る。まだまだ大人と言うにはほど遠くて、年相応に小さい】
【纏う服は汚れ一つないピカピカのブレザー。真新しい服の生地が春の日差しに照らされて艶やかに輝く】
【首には緑色のネクタイ。親の手を借りずに頑張ったのだろう、少し歪んだ結び目から初めてネクタイを締めた苦労の跡が伺える】
【チェック柄のプリーツスカートから覗く足はすらりと細い。足元は白い靴下に黒い靴、これだってピッカピカの新品】
【右手には真新しい学生鞄。I.Kamiya≠ニ筆記体の刺繍が入った、世界に一つだけの鞄。】

……次はこっちか。えーっと、家から此処まで20分ぐらいかな……?
―――遅刻せんようにせな、あかんなぁ……

【尚も公園の中を進む少女。―――と、ポケットの中からぱさりと桜色のパスケースが落ちた。】
【……地図とにらめっこしながら歩く少女は、落し物に気付いていない。さてさて、この後彼女のパスケースはどうなることやら……】

//予約です!
//時間は入学直後の朝という設定でお願いします!
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/14(月) 20:46:53.44 ID:YWY9W3vlo
>>87

【………普段、学校へ向かう少女の足取りは遅い。子供の頃は早寝早起きの規則正しい生活が染み着いていたのだが】
【いつの間にやらそんな習慣も消え去って、起きる時間も登校時間もまばらだ。些細な理由で遅刻してしまうこともそれほど珍しくはない】
【不良≠セなんて呼ばれているとおり、少女の素行は決して良いとは言えない――――のだが、たまには不良ならではの方法が役に立つときもある】

行ってきます――――。

【そして今日もまた、少女の朝は遅かった。普通に歩いていたのでは間違いなく遅刻する時間帯に家を出る】
【だというのに、少女は悠然と歩いていって……道の途中、推奨された通学路を何の躊躇いもなく外れる。しばらくすると寂れた細い林道が姿を現すだろうか】
【登校時や下校時に寄り道ばかりしていたからこそ見つけられた、不良だからこそのショートカットルートというわけだ……】
【木々の緑が織り成す爽やかな空気に、遠くから聞こえる小鳥のさえずりが彩りを加える――――朝はいつも億劫だが、この道を通る時だけは好きだった】
【静かで落ちつているのも勿論、人気が全くないというのがいい。この少女にとって、他の生徒たちに混じって雑然とした道を行くのは、苦痛でしかないから――――】


………、……………。

【特にアクシデントもなく林道を抜け、その他にもあまり合法的とは言えないルートを使って、少女は数十分ほどのショートカットに成功する】
【これで遅刻はせずに済みそうだ。そんな事を考えながら、少女は手近な柵をひょいと飛び越して、公園内に踏み入ったのだが――――】
【……運が悪い、と思った。珍しく公園内に人がいる。しかも同じ学校の生徒だ。見つかると面倒なことになるかもしれない】
【普段なら、女生徒が落としたパスケースを落とそうがなんだろうが絶対に関わることなく、見つからないように公園を出て行くところだったが……】

―――――衣織!?

【ふと覗き見えた生徒の顔に、流石に驚愕する。結構大きな声を出してしまったので、殆ど普通に声を掛けたのと同じような構図になるだろうか】
【少女は一瞬口を押さえて「しまった」という顔をするが……とりあえずパスケースを拾い上げ、その少女へ――――神谷衣織に近づいていくだろうか】
【……友達≠ニいうものに慣れていないせいで、やっぱり微妙に接し方がわからない。故に話しかけた言葉は、若干ぎこちないように聞こえたかもしれなくて】

ひ、久しぶりね。
…………それよりあなた、まさかウチに入学したの?

【何はともあれ、黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服に身を包んだ、この黒髪の少女――――】
【二年生になった幸徳井佳乃の平凡な朝の一幕に、いま新たな風が吹き込んだのは間違いないことのようだった】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 21:36:51.72 ID:mNNVJ8Tp0
>>88

【尚も地図とにらめっこしながら歩き続ける。嗚呼、彼女は落し物に気づかぬままパスケースからどんどん離れていく……】
【このままならばきっと、学校に到着してから落し物に気づいて、失くした場所も見当がつかないまま慌てふためいていた所だろう。】
【……しかし日頃の行いが良かったのか、彼女はついていた。そのパスケースは、衣織がよく知っているあの人に拾われたのだから――――】

【聞き慣れた声で自分の名前を呼び止められると、びっくりしたように振り向く。―――そこに立っていたのは幸徳井佳乃、衣織の大切な友達だった】
【その顔を見るなり、衣織は驚き半分嬉しさ半分といった顔でぱたぱたと駆け寄る。ぎこちない反応もお構いなし、いつもの人懐っこい笑顔を向けながら。】
【佳乃のすぐ目の前まで駆け寄ったなら、まず真っ先に気づくのは彼女の着ている制服。学年の違いからネクタイの色は違うが、自分と同じ制服だ】
【―――ということはつまり、佳乃と同じ学校になったということだ。これがまた、衣織にとっては嬉しくて堪らなかった。】

えへへー、そうみたい!制服も佳乃ちゃんとお揃いやねー!
どう?制服、似合ってる?わたし、こんな制服に袖を通すの初めてなんやけど……

【佳乃に見せるように、ポーズを取りながら訊いてみる。よっぽど初めての制服が嬉しいようで、時々自分が着ている服の袖やらスカートやらを見ては目を輝かせている。】
【接し方が分からずに困ってた佳乃も、悪意や嫌味なんて一つもない純粋な笑顔を見せる衣織に触れられたら自然に接する事が出来るだろうか】

【どんなに対応がぎこちなくても本当は悪い人じゃないことは、衣織が一番よく知っている。だからこそ衣織は佳乃に人懐っこい笑顔を向けるのだ。】

これからは佳乃センパイやねー!えーっと、改めて宜しくお願いします!
……えへへ……センパイって言葉、一回使ってみたかったんやー……

さ、行こか!あんまりゆっくりしてると遅れてまうもんな!

【少しだけ改まって佳乃に向き直ると、その小さな体をぺこりと曲げてお辞儀。すぐに頭を上げると少し恥ずかしそうにはにかんで】
【それから佳乃の隣に移動すると、並んで歩き出そうとする。佳乃さえ嫌がらなければ、そのまま学校に到着するまで付いて行くだろう】
【道中他愛もない話をするもよし。衣織に入学の経緯やら訊いてみるもよし。登校中に友達と歩きながら一緒に話をするなんて、不思議なことではない】

【かくして、学校でも有名な不良が小さな新入生と一緒に登校するという変わった構図の出来上がり。誰かに見られたら噂になるだろうか?】
【「あの不良が、純粋そうな小さな新入生に懐かれてる」、と―――】

【―――そういえば、何か忘れていないだろうか。パスケースはまだ佳乃の手の中にある筈だが……】

//すみません、気付くのが少し遅れました……!
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/14(月) 22:18:53.32 ID:YWY9W3vlo
>>89

【見ているこちらが元気になってくる、明るく楽しい語り口。やっぱり人違いなんかではなかった。この女生徒は自分のよく知る、神谷衣織という少女だ――――】
【まさか友達≠ェ同じ学校へ入学してくるとは思わず、佳乃はかなり面食らった様子。皺の寄った緑色のネクタイを、何だか微妙な表情で眺める】
【……照れ臭いようなこそばゆいような、変な感じだ。決してイヤという訳ではないのだが、佳乃自身にもよくわからない感覚が襲ってくる】

…………衣織は中等部よね?
ほら、これ。落としたわよ。中学生になったんだからしっかりしなさい。

【とりあえず、佳乃は拾い上げたものを渡し忘れていたことに気づくと、それを衣織へ軽く投げ渡すだろうか】
【妙にお姉さんぶった台詞を口にする自分に、言った後で小さく驚く。またよくわからない感覚だ。何と言えばいいか、そう――――心配だった】
【衣織のような人懐っこい性格なら滅多なことはないだろうが、それでも。気にかけずにはいられない、というか………】

――――先輩、か。
そうね、後は歩きながら話しましょう。中等部には結構うるさい先生もいるらしいし。

…………あとその制服、結構似合ってると思うわよ。

【先輩――――衣織にそう言われて、そのおかしな気分に少しだけ、説明が付いたような気がした】
【こんな自分にも後輩≠ェ出来たのだ、と。その事にやっと気づいて、佳乃は小さく笑う。まさかこんな日が来るだなんて、思ってもみなかった】
【その笑顔を見られないように、佳乃は背を向けて歩き出すだろうか。軽く脅しをかけるような言葉で、少しだけ意地悪をして】
【――――さっき言えなかったことを口にして、そのまま歩き出す。一人でいるでも秘密の道を通っているでもないのに、不思議と楽しい気分だ………】


【さて………『レイリスフィード学園』は小高い丘の上に存在する。そこへ行くには当然、麓から坂道を登っていかなければ行けないわけで】
【通学バスも走っているが、佳乃はいつも徒歩でそこを登っている。この少女の性質≠ニ朝のバスの混み具合を鑑みれば、理由はすぐわかるだろう】
【そんなに長い道ではないし、佳乃自身も運動はかなり得意な方だ。特に苦になったことはないが……衣織はどうであるだろうか】
【まだそこそこ時間はある。佳乃は最初こそ普段通りの速度で歩くが、もし衣織が疲れるようなら、何も言わずに歩調を緩める筈だ】

それにしても…………うちは確かに大きな学校ではあるけれど、結構特殊なところがあるのは知ってるわよね。
なんでここに入学することにしたの…………?

【道中で佳乃から話しかけることはあまりないが、それでも衣織が話しかけてくれたのなら、ぎこちないながらも精一杯答えようとする筈で】
【ふと、珍しく佳乃の側からひとつ話題が振られるだろうか。衣織の入学のいきさつについて……最初から少し疑問に思っていたようで】
【とは言っても、佳乃としてもそこまで強い質問のつもりはない。どう答えるかは衣織の自由であるだろう】

(………………………。)

【……そんな会話の途中でも、登校中の生徒たちの視線は否応にも突き刺さってくるだろうか。衣織にも感じられるはずだ】
【ヒソヒソと何事か話し始め者もいる。佳乃にしてみればいつも通りの光景だが………衣織が隣にいる手前、若干表情は険しくなって】
【佳乃が一睨み利かせてやると、彼らも慌てて目線を逸らす。衣織がこれからどうなるかは置いておいて、佳乃の方はあまりうまくやれているとは言い難い………】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/14(月) 23:21:38.36 ID:mNNVJ8Tp0
>>90

あっ!わたしのパスケース!ごめんなさい……
せやな、わたしももう中学生やもん、もっとしっかりせな……

【投げ渡されたパスケースを受け取ると、今の今まで気づいていなかったらしく「なんで佳乃ちゃんが持ってるの!?」と言わんばかりにビックリしたように丸い目が大きく見開かれて】
【それから佳乃の言葉で自分が落し物をしていたことに気づかされて、反省半分佳乃への感謝半分といった微妙な表情を浮かべる。】
【口にするのは反省の弁。しょんぼりしている姿を見れば、まるでお姉さんに窘められた妹のよう。服だってお揃い、黒い長髪もお揃いだから外見も本当に姉妹みたい――――】


ふぇっ!?センセイ怖いのん!?嫌やなー……わたし、力任せに大声で怒るオトナって嫌いなんや……
おかーさんみたいに、優しくて何が駄目なのかしっかり教えてくれる人やったらええんやけど……

―――えへへー……

【やがて足並みを揃えて二人して歩き出せば、話も弾む。通学の途中の会話なんて他愛もない日常の一コマ、それでも佳乃と一緒なら特別な時間に思えて楽しい】
【初めての中学校、慣れない通学路、そんな自分の横にいるのは見慣れた大好きな友達。横にいる存在が、初めてのものへの不安を消してくれている気がする―――】

【佳乃の冗談めいた脅しにだって純朴な衣織は真に受けてしまう。少し心配そうな顔をしてみせるのも、佳乃にとっては思った通りの反応で微笑ましく感じるだろうか】
【それから「似合っている」なんて言葉を掛けられれば、心の底から嬉しそうな照れ笑いを見せる。制服一つでこんなに喜べるのもある意味衣織らしいか……】


【意外だろうか、身体能力に秀でた年上の佳乃と同じペースで坂道を上っているのに、衣織は息が上がっているような様子すらない】
【表情だってニコニコと笑顔のまま、疲れなんて微塵も見せない。実際、疲れていないのだ。】

【というのも、衣織はよく母・皐月のフィールドワークに付いて行くのだ。当然山だって幾度となく登ったことがある】
【流石に余りにも険しい山にはついて行かない(というより皐月がついて行かせない)が、それでもそこらの中学生に比べると体力がついている】
【見かけによらず、結構運動も出来るのだ。小学生の頃は運動会では主役になれたらしい】


うん?あー、おかーさんから聞いたことはある。能力は使ったらだめとか、編入する生徒も多いとか……

この学校って大学の付属校って知ってるやろ?
おかーさん、その大学のセンセイなんや!生物を教えてるんやけど、たまに高校にも覗きに来るって言ってたで!
せやから、わたしもおかーさんの勤める学校に入ろって思って……テストも頑張ったんやでー!

【入学した理由はごく単純。母親の勤める学校に通いたかったから。】
【皐月も入学に反対はしなかった。何せ皐月も関係者だから、レイリスフィード学園のことはよく知っている。】
【衣織は無能力者だから、学園の考えにも反することはないだろう。能力のしがらみさえ無ければこの学園は設備も環境も充実した学校には違いない】
【それに、何か問題があったら皐月が即座に反応できる。手の届く範囲に我が子がいるというのはこのご時世では何にも代えがたい条件だ】
【―――勿論、アサドからの警告は忘れていない。いざというとき、我が子を護るのは自分だと皐月は学園の動向に警戒している……】

【余談だが、教員の中で衣織の事が噂になっているらしい。理科の成績が唯一満点だった生徒がいる、と】
【他の成績は平均からさして離れておらず合計点数なら突出しているわけでもないが、殊に理科だけは完璧な答案だったらしく】


―――?
佳乃ちゃん……どうしたん?顔、怖いよ……
ほら、もっと笑った方が可愛いで!

【……普通に歩いているだけなのに突き刺さる視線。それが衣織には不思議で仕方がなかった。】
【どうしてみんな自分を、佳乃を、見ているのだろうか……そう言えば、佳乃の表情も険しい。何も知らない衣織は、何かあったのかと問う―――】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/15(火) 00:08:19.55 ID:mRGejJ2Eo
>>91

…………ま、そういうヤツもいるって事よ。あなたならまぁ、大丈夫だとは思うけれど。
あれから………皐月、さんは元気にしてる?

【――――厳しい先生がいるという話を、冗談だとは敢えて否定しない。毎日突っかかってくるようなガラの悪い教師はいない筈だが】
【これだけ大きな学校ともなれば、反りの合わない人間の一人や二人は必ず出てくるだろう。それはもう仕方のないことだ】
【まぁ、ちょっとした箴言程度のものである。敵を作ってばかりの佳乃とは違って、衣織のような天真爛漫な性格ならさして問題にもならないだろう】
【……そんな余計なことを言ってしまう程度には、衣織の事が心配と言うことであって。付け加えるように、佳乃は皐月の話を持ち出す】
【先生を「そういうヤツ」呼ばわりしているところを見ても瞭然だが、未だに大人を「さん」付けで呼ぶことには慣れていないらしい】

あぁ、そういうこと…………。あの大きな大学で働いてるだなんて、中々凄いと思うわよ。
………………たまに覗きに来るって、本当に? 

【学園の母体となっている大学の話は佳乃も知っている。直接顔を出したことはないが、数少ない知り合いからどういった場所かも聞いていた】
【水の国有数の有名大学だ。皐月が生物学者だったというのも初耳だったが、あの大学で教鞭を取れるほど優秀な学者というのも意外だった】
【………皐月が高校を覗きに来ているという話を聞くと、佳乃は少し顔をしかめて。嫌がっているというより、何か「ヤバイ」とでも思っていそうな顔だ】
【普段の素行の悪さはもちろんのこと――――佳乃の成績は蛇の如く地を這っているのだ。他の人間なら気にしないが、皐月にバレるのはどうにもバツが悪い………】

【どうにかバレないよう工作できないものかと無駄なことを考えつつ、佳乃は歩を進めていく。……そういえば、衣織に疲れた様子は見られない】
【徒歩通学の新入生は大体、この坂道に苦しめられるのだが。体を動かすのが好きな佳乃としては、衣織が自分についてこられるのが少しだけ嬉しくも感じて】


――――もう、知ってるかもしれないけれど。
私、この学園では不良≠チてことになっているの。それもかなり悪名高い、ね。

ねぇ、衣織。学外でこの有様なんだから、学内に入ったらもっと見られるはずよ。
今日だけじゃない。私と一緒にいたらいただけ、あなたは目立つことになる。
私のことをよく思ってない連中も沢山いるし、もしかしたら衣織に何か言ってくるかもしれないわ。

【……この辺りは、少しばかり汚い話。人を跳ねつけるきつい性格に加え、強力な能力を何の躊躇いもなく行使する佳乃は、この学園では異端者である】
【自分から名乗った覚えはないが、いつの間にか不良と呼ばれて。因縁を付けてくる者たちを返り討ちにしているうちに恐れられるようになっていた】
【佳乃自身、虐めやら何やらに荷担する筋の通らない人間へ自分から喧嘩を仕掛けたこともある。彼らだけが悪いわけではないが……】
【敵わないから黙っているだけで、佳乃のことを良く思わない人間は多数いる。一緒にいれば、衣織の方へ迷惑が掛かる可能性だってあって】

だから…………、 ………………。

【――――私に関わらない方がいい。「だから」の先に続けようとしたその言葉を飲み込んだのは……きっと、この少女が成長した証なのだろう】
【衣織がそれでも一緒にいてくれることを、佳乃は期待して、望んだのだ。他人相手にそんなことをするなんて、本当に何年ぶりだっただろうか】
【忠告のつもりだったこの話は、結局単なる事実確認に終わる。だからこの話をどう受け取って何を返すのかは、すべて衣織に託されていて――――】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 01:08:35.61 ID:oRr0XJ860
>>92

うん、おかーさんは元気やでー!また佳乃ちゃんの顔が見たいって言ってた。
今度遊びに来たら何か御馳走してあげようかって!
前に御馳走したのは佳乃ちゃんのお母さんで、中身は佳乃ちゃんとちゃうもんな。
一流の料理人顔負けのおいしさなんやでー!いっぺん食べたらきっと病みつきになるで!

【……そういえば以前佳乃が神谷家に来た時は、途中まで精神を支配していたのは佳乃の母である天限だった。食事をしていた時もそうだった筈。】
【となれば、佳乃本人は皐月の手料理の味を知らないのではないか……皐月は佳乃の味の好みは分からないが、今度は佳乃自身に手料理を味わって貰いたいと思っていた】
【そんな訳で「今度佳乃ちゃんに会ったら『今度遊びに来たら御馳走する』って言っておいて!」と母から託っていたらしい】
【皐月も衣織も不器用でぶっきらぼうだけど根は優しい佳乃の事を気にかけているなのだ。また気が向けば遊びに来てやって欲しい、きっと二人とも喜ぶはずだから……】
【食卓を囲んで料理を食べる。―――一人が好きな彼女にも、たまにはそんな時間があってもよいのではないだろうか……】


えへへー……おかーさんを褒められるって。何だかくすぐったい気分やな……
……わたしが入学したから覗きに行く回数も増やすかもって言ってた。

【勿論衣織は皐月の娘なのだから、自分の母親がどんな仕事をしているかは知っている。研究室だって覗きに来たことも何度もある。】
【だけど、こうして自分の母親の事を褒められると少しくすぐったい気分になって照れてしまう……】

【……佳乃には悪いニュースだろうか。衣織の入学を機に、学園の関係者としてだけでなく保護者としての出入りも多くなるらしい】
【こればっかりは仕方がない。母親はいつも子供の事が気になって仕方がないのだ……。見えないところにいると、ついつい心配してしまう。】
【しかし、学園に立ち寄るのは単なる親バカだけではない。先程も述べたように皐月は学園の動向に警戒している……】
【何か変化があった時にはいつでも感じ取れるようにアンテナを立てている。――――これも娘の為だが】



―――言うやつには言わせておけばええんや。
わたしは一向に気にせえへんよ。だって、佳乃ちゃんが悪い人とちゃうって、私が一番知ってるもん!
それにな、そんな陰口しか言えへんような奴と付き合うんはこっちから願い下げや!

堂々としてたらええねん。こそこそと陰口叩く奴は、結局陰でしかモノを言えへんから堂々とできへんやろ?
そんな奴、相手する必要なんて無いんや!


私は佳乃ちゃんの友達や!何があろうと、これからもずっと、な!
不良とか敵とか関係あらへん、佳乃ちゃんは佳乃ちゃんや。せやろ?


【―――やはり、衣織は衣織だ。あっけらかんと笑う彼女を見れば、きっと佳乃もその心が伝わる筈】
【佳乃と一緒にいるなんて理由だけで自分を目の敵にするような人間がいるのなら、そんな奴の言う事は放っておけばいい。】
【陰口なんて笑い飛ばして、きっとそいつの前で衣織はこういう筈だ。「佳乃ちゃんはわたしの大切な友達や!文句あるか!」と―――】
【それに、衣織だってそんな陰湿な人間に屈すような弱い人間ではない。体は小さくとも、心も体も強いのだ。】
【彼女の持つ明るい強さと分け隔てなく明るく接する優しさは、きっとどんな陰湿な人間にも負けない筈だ……】

【丘も大分登っただろうか。道半ばではあるが、ようやく校舎も見えてきた……】
【流石マンモス校、校舎もかなり大きい。これは校内で迷子にならないように注意しなければいけないなんて考えてみたり】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/15(火) 01:59:15.26 ID:mRGejJ2Eo
>>93

そう。なら、よかったわ。
……そういえばそうだったわね。天限さまったら気にもせず食べるだけ食べて、後が大変だったのよ……。

それじゃあ……「楽しみにしてる」って伝えておいてくれるかしら?

【確かに衣織の言ったとおりだ。前回皐月の食事をおいしそうに頬張っていたのは天限で、佳乃は口の中に残る微かな後味を感じた程度のものだった】
【佳乃から語られる天限の話は、敬うような響きがありつつも親しげだ。血の繋がっていない、種族すら違う二人でも、やはりそこには愛情≠ェ感じられて】
【流石にそろそろ変な緊張も解れて来たのかもしれない。口元を小さく笑みの形にして、佳乃は存外素直に気持ちを伝えるだろうか】

(………それは………ま、マズいわね………)

【経営団体を同じくする大学に在籍している皐月と、此度の衣織の入学。皐月がこちらへ顔を出す機会が増えるのは少し考えてみれば当然の帰結であった】
【ちなみに、かつて皐月に警告≠残していった男とこの佳乃とは数度顔を合わせた程度の関係だ。皐月が学園側を訪れる真の意図は知りえないが――――】
【何にしても不味い。良い意味で容赦なく人を叱ることの出来る皐月のことだ……普段の素行はともかくとしても、成績表を見られるのだけは避けなければ】
【……なんて、悪い意味で名が広まっている佳乃の場合、成績についてもダダ漏れの状態だ。皐月も衣織も知ろうと思えば非常に簡単。佳乃に抵抗の術は無い……】


私は私、か。…………ふふっ。

そう、だから――――何を言われてもあなたが悪いわけじゃない。私の友達≠ニして、ただ堂々としていなさい。
ただ騒ぎたいだけのバカはしばらく経てば何も言わなくなるでしょうし、汚い野次馬根性しかない奴は適当に無視してれば勝手に消えるわ。
でも、もしどうしてもしつこい奴がいた場合は………遠慮なく私を呼びなさい。誰だろうがブッ飛ばしてやるから。

………ありがとう、衣織。

【周りに何を言われようと、あなたはあなたなのだと――――衣織ならそう言ってくれるとごく普通に信じられた自分が、少しおかしかった】
【佳乃が佳乃であるのと同じように、衣織は衣織だ。彼女はきっと誰に何をされようが変わらないし、もし変わる事が会ったとしても、自分が守ればいい】
【今度はただ唇を吊り上げただけじゃない、普通の女の子のように楽しそうに笑って。佳乃は「だから」の先を書き換えて、衣織へと想いを伝えるのだろう】
【清楚な外見とは裏腹に、それこそ不良と呼ばれるのも致し方ないような粗暴な物言い。けれどそれが、いまここに居る幸徳井佳乃という人間のすべてだった】

【最後に小さくお礼を言って、佳乃はまた自分のペースで歩き出す。衣織ならきっと、自分についてこられると心から信じて――――】



【――――そのまま特に何も無ければ、二人は校門の前に辿り着くことだろう。中等部・高等部織り交じって、それぞれの生徒会役員が朝礼を行っている】
【やはり彼らも、一応挨拶はするものの、佳乃の事をぎょっとした顔で眺めるのだが……その中で一人だけ、驚きつつも佳乃へ無遠慮に近づいてくる者がいるだろうか】
【いや、近づくどころかそのまま話しかけてくるあたり、どうやら佳乃と仲の良い生徒らしい。……佳乃が露骨に「げっ」という顔をしたのが少し気になるが】

「……お、驚いた。本当に佳乃に友達がいる…………」

……朝っぱらから失礼な奴ね………。

【黒いブレザーに赤いネクタイ、腕には高等部生徒会役員≠示す腕章。その人物は佳乃と同じ、高校二年生の男子生徒のようだった】
【黒色の地毛を茶色に染め、前髪を上げた髪型。適度に着崩された制服――――まさしく今時の高校生≠ニいった風情の少年である】
【しかし外見とは裏腹に、顔つきは比較的童顔で背もそこまで高くない。黒色の双眸も温厚な色合いで、人を威圧するような雰囲気は無い筈だ】

「そっか、きみが佳乃の言ってた神谷衣織ちゃんだね。ぼくは鳴子一颯、佳乃の幼馴染なんだ。
 まぁ見ての通り無愛想な子だけど……悪い子じゃないから、これからも仲良くしてあげてくれるかい?」

【佳乃が紹介してくれないので、その男子生徒―――― 一颯は結局、自分で衣織へ自己紹介をするだろう。言葉尻にはまるで保護者のようなお願いを付け加えて】
【子ども扱いされたことへの強い抗議の視線が佳乃から飛んでくるが、少年は意にも介さない。幼馴染と言っていたが、どういう関係なのか――――】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 03:18:30.77 ID:oRr0XJ860
>>94

へへへ……分かった、伝えとく!

【楽しみにしているなんて言葉を聞けば、衣織は嬉しそうに頷く。どうやら手料理を食べてほしいのは皐月だけではないらしくて】
【衣織だって、佳乃が家に来るとなれば大いに喜ぶはずだ。もしかしたら衣織も佳乃に振舞うべく料理に挑戦するかもしれない……】
【裁縫と違って料理は上手く出来るかどうかは分からないが。―――それでも佳乃なら、何やかんや言いつつ食べてくれる気がするのだ】
【佳乃の素直な微笑みを見せば、最初っから緊張なんて無かった衣織はお返しとばかりにまたもにこりと笑顔を向けてみる。】
【こんな風に二人で笑顔でいられる時間は本当に楽しい。何の変哲もない通学路だって、楽しく思えてしまう……友達とは不思議なものだ】

【……もし皐月が佳乃の成績を知ったなら、佳乃の予想通りきっとその成績を我が子のように窘めるだろう。】
【学校内で一番恐れられている不良にも容赦はない。我が子の大切な友達なのだから、それこそ娘と同じように時には優しく、時には厳しく接する。(時にはと言いつつ実際は優しさが8割だが)】
【だが、安心してほしい。皐月の諫言は決して理不尽なものではないのだから。佳乃の事を想って優しく窘める言葉は、きっと心に突き刺さる物では無い筈だから】


へへっ……うん、頼りにしてる!佳乃ちゃんにかかれば悪い奴なんて怖くないもん!


【そう、衣織は衣織だ。誰に何を言われようが佳乃の友達であることもやめないし、持ち前の明るさを失うこともない】
【きっといつまでも佳乃の横にいて、一緒に笑っていられる。衣織の中にはそう思える確信に似た感情があった】
【佳乃の想いが確実に伝わったのは、衣織の顔を見れば分かるだろう。だって――――衣織はこれ以上ない笑顔を見せていたのだから】
【粗暴ともとれる言葉の中に隠しきれないほどの優しさ。佳乃が自分の事を想ってくれている、悪い奴から護ってくれる……それ以上嬉しいことなんて無くて】

【最後の「ありがとう」という言葉、滅多に見せないであろう楽しそうな笑顔。―――たったこれだけでも、佳乃が悪い人間ではないと信じるには十分過ぎる。】
【並んで歩き出す衣織。横にいる母と同じぐらい大切で頼れる存在が、衣織には心から嬉しくて仕方がなかった―――】

//続きます!
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 03:19:10.75 ID:oRr0XJ860


【やがて一行は学校に到着。流石にマンモス校なだけあって、校門は生徒が数えきれないほどいて本当に賑やか】
【朝礼を行う生徒会役員ですら驚かれるあたり、佳乃の不良っぷりは本物らしい……そんな生徒と一緒に登校した新入生は、果たしてどう思われていることやら】
【―――そんな中、一人だけ親しげに話しかける生徒がいた。】

……あの、えーっと……

【友達の友達とはいえ、初めて会った人物。しかも上級生とあれば少しオロオロするのも仕方がないか】
【佳乃に話しかけた男子生徒のことをまじまじと見つめて、二人はどんな関係なんだろうなぁと少し考えてみて】
【一颯が気さくに話しかけてきたなら、佳乃と喋っていた時とはまるで違う新入生らしい緊張した表情を見せる。】
【慣れていないであろう敬語も一生懸命使って喋る姿が、上級生二人には微笑ましく映るだろうか。】
【明るく気さくな彼女にも、こんな年相応に緊張するような可愛らしい一面もあるのだ……】

は、はい!えーっと、一颯センパイですね!よろしくおねがいします!
―――勿論です!佳乃ちゃんが悪い人じゃないってことは、わたしが一番よく知ってますから!

【最後の一言だけは自信満々に言い放つ。お願いされるまでもなく衣織は佳乃と仲良くするに違いないと、確信すら持てるような返事】
【最後にぺこりとお辞儀をする。これもまた、先輩への彼女なりの経緯らしい……】


【さて、中高一貫校とはいえ中等部と高等部の教室はさすがに別々だ。門まで来たならここでしばしお別れという事か】
【まあ同じ学校なのだから会おうと思えばすぐに会えるだろう。何なら次の休み時間に会いに行くことだって出来る筈】

あ、そうだ!お弁当持ってきてるんやけど、良かったらお昼になったら一緒に食べへん?
――じゃ、また後で!

【一緒にお昼を食べようかというお誘い。これだって学生生活の楽しみの一つだ。お弁当や学食だって、友達と食べれば美味しさ二倍】
【そして二人に軽く手を振ると、衣織は自分の教室へと向かう。――――かくして、衣織の新しい学生生活が始まった】
【この先何が彼女を待ち受けているのかは分からない。でも、佳乃と言う大切な友達がいる限り、どんな事だって乗り越えられる―――そんな気がする】


//ここで〆という事で、お付き合いいただき有難うございました!
//お返事に長時間かかってしまい、申し訳ありません……
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 15:52:47.34 ID:oRr0XJ860
//眠気に耐えて書いていた文>>95-96が自分でも気に入らなかったので、改訂版です!度々面倒な事をしてすみません……!

>>94

うん!分かった、伝えとく!
佳乃ちゃんのおかーさんも喜んでくれたなら嬉しいなぁ……

【楽しみにしているなんて言葉を聞けば、衣織は嬉しそうに頷く。どうやら手料理を食べてほしいのは皐月だけではないらしくて】
【衣織だって、佳乃が家に来るとなれば大いに喜ぶはずだ。もしかしたら衣織も佳乃に振舞うべく料理に挑戦するかもしれない……】
【裁縫と違って料理は上手く出来るかどうかは分からないが。―――それでも佳乃なら、何やかんや言いつつ食べてくれる気がするのだ】
【佳乃の素直な微笑みを見せば、最初っから緊張なんて無かった衣織はお返しとばかりにまたもにこりと笑顔を向けてみる。】
【こんな風に二人で笑顔でいられる時間は本当に楽しい。何の変哲もない通学路だって、楽しく思えてしまう……友達とは不思議なものだ】

【……もし皐月が佳乃の成績を知ったなら、佳乃の予想通りきっとその成績を我が子のように窘めるだろう。】
【学校内で一番恐れられている不良にも容赦はない。我が子の大切な友達なのだから、それこそ娘と同じように時には優しく、時には厳しく接する。(時にはと言いつつ実際は優しさが8割だが)】
【だが、安心してほしい。皐月の諫言は決して理不尽なものではないのだから。佳乃の事を想って優しく窘める言葉は、きっと心に突き刺さって傷つける物では無い筈だから】


―――――

【声を掛ける佳乃の顔が今まで見たことがない程綻んでいるのに気付いて、衣織もつられるように楽しそうな笑顔を見せる。】
【誰かが近寄れば野良猫のように飛び退くほど人を忌避していた佳乃が、自分と一緒にいて楽しいと思って、隣で笑顔でくれる―――そんな事実が何よりも嬉しくて、衣織は笑顔になるのだ】

へへっ……うん、堂々としてる!だって佳乃ちゃんがそう言ってくれるなら間違いないもん!
何を言われようがわたしはわたし、佳乃ちゃんは佳乃ちゃんだもんねっ!
それに―――わたしには、こんなに心強い友達がいるから。だから、絶対に大丈夫!

【佳乃から掛けられた「しつこい奴は誰だろうがブッ飛ばす」なんて言葉が、何とも頼もしく聞こえた。何だか頼れるお姉ちゃんが出来たような気分で】
【言葉の端々から感じられる佳乃の想い。自分を大切に思ってくれていると感じられるのが、何にも増して嬉しくて―――だから、心の底から彼女が友達で良かったと思える】
【最後の「ありがとう」という言葉、滅多に見せないであろう楽しそうな笑顔。―――たったこれだけでも、佳乃が悪い人間ではないと信じるには十分過ぎる。】
【並んで歩き出す衣織。横にいる、母と同じぐらい大切で頼れる存在が、衣織には心から嬉しくて仕方がなかった……】


//続きます!
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 15:58:32.73 ID:oRr0XJ860
>>94
【やがて一行は学校に到着。流石にマンモス校なだけあって、校門は数えきれない程の生徒で賑やかにごったがえしていた】
【門の前には生徒会役員が総出で朝礼を行っている。何の変哲もないこの光景も、中高一貫の学校となれば中高織り交ぜてなので役員の人数も多い】
【役員の背の高さだってピンからキリまで、最下級生と上級生が並べば頭一つ分の背の高さの違いがある。こんな所を見れば、此処が大きな学校であることも実感できようか】

【朝礼を行う生徒会役員ですら驚かれるあたり、佳乃の不良っぷりは本物らしい……そんな生徒と一緒に登校した新入生は、果たしてどう思われていることやら】
【―――そんな中、一人だけ親しげに話しかける生徒がいた。着崩した制服や染められた髪、まあよくいる今風の男子生徒だが】
【……生徒会役員だというのに着崩しているのは、いくら校則が緩いとはいえ口うるさい教師には「もっと模範になる格好をしろ」とか言われそうな気がする……そこら辺は上手くやっているのだろうか】
【そんな彼が開口一番に放った言葉が何とも失礼というか無遠慮なものだったので、衣織もおかしくってクスリと笑う。ああこの二人はこんな事を言えるぐらい仲がいいんだなって】

【それから例の彼は衣織に声を掛ける。知らない上級生、それも4歳も年上の異性となればいくら温厚そうな彼が相手でも明るく気さくな衣織も少し緊張してしまって】
【知らない先輩相手に緊張してオロオロしてしまう小さな後輩。慣れない敬語を頑張って使おうとする様子は、新入生らしい微笑ましさを感じさせるだろう】

……あの、えーっと……は、はい!えーっと、一颯センパイですね!よろしくおねがいします!
―――勿論です!佳乃ちゃんが悪い人じゃないってことは、わたしが一番よく知ってますから!

【あんなに緊張していたのに、最後の一言だけは自信満々に言い放って、それからにこりと微笑みを向ける。】
【「佳乃は悪い人じゃない」って誰が相手でも胸を張って言えるから、知らない先輩相手でも衣織ははっきりと告げる事が出来た。】
【―――こんな彼女なら、きっと頼まれるまでもなくこれからも仲良しでいてくれると信じられるだろう……】

【最後に一颯に向けてぺこりとお辞儀をする。目上の人には礼儀正しくしなさいと母親に教わったから、実践してみたのだが……まだまだぎこちない】


【さて、中高一貫校とはいえ中等部と高等部の教室はさすがに別々だ。門まで来たならここでしばしお別れという事か】
【まあ同じ学校なのだから会おうと思えばすぐに会えるだろう。何なら次の休み時間に会いに行くことだって出来る筈】


あ、そうだ!お弁当持ってきてるんやけど、良かったらお昼になったら一緒に食べへん?

【思い出したように一緒にお昼を食べようか誘ってみる。佳乃なら断らずに一緒に食べてくれるだろうか……母の作ってくれた手作りのお弁当も、きっと友達と食べれば美味しさ二倍になる筈】
【佳乃は何を食べるのか、いつもは何処で食べるのか……それはまだ知らないけれど。佳乃さえ嫌がらなければ、きっと衣織は昼休みに佳乃と一緒に昼食を摂るのを楽しみに授業を受けることだろう……】

じゃあ、またお昼に会おうな!えへへ……楽しみにしてるでー!

【最後に二人に軽く手を振ると、衣織は自分の教室へと向かう。まだ慣れない校舎、自分の教室にたどり着くのも一苦労……ようやく自分の席に着けたのは5分後だったとか】
【―――かくして、衣織の新しい学生生活が始まった。この先何が彼女を待ち受けているのかは分からない。でも、佳乃と言う大切な友達がいる限り、どんな事だって乗り越えられる―――そんな気がする】


【……その後の話。広い学内であんまり迷うものだから、後日衣織は佳乃に連れられて学内の施設を案内して欲しいと頼んだ。】
【その話はまた別の日という事になるが……まあ、学内で道に迷っている衣織を見つけたら声を掛けてやってほしい。】

//改めて、此処で〆です!有難うございました!
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/15(火) 19:29:27.61 ID:mRGejJ2Eo
>>97 >>98

天限さまは長らく眠っていたせいで、今の時勢のことを殆どご存知じゃないから。
会って話したあなたならわかると思うけれど、あの方は私達のことを――――人間の事を、本当に愛していらっしゃるの。
……時々ちょっとお茶目が過ぎて、身体を貸す私としては困る時もあるけれど。どうか仲良くしてあげてちょうだい?

【佳乃は少し機嫌を良くして、衣織に天限のことを語る。崇めるべき神としての視点と大事な母親としての視点が、何とも奇妙に融合したような語調だ】
【神谷親子との食事を楽しみにしているのは、佳乃にしても天限にしてもきっと同じ。どんな料理が出て来たとしても、腹を立てるようなことはきっとない】
【……二人揃って家事能力が皆無なところも一緒なので、大して手伝いも出来ないのは少し後ろめたいが。おもてなしを精一杯楽しむことぐらいは出来るのだ】

【その時、成績の件で皐月に怒られそうなことを考えると少し憂鬱ではあるが……そう思うこと自体、佳乃にとっては新鮮な体験であって】
【大人からの説教は何度も聞き流してきたが、「信頼できる大人」からの説教なんて経験したことがない。そんなもの、適当に聞き流すだなんてできるわけがない】
【怒られたならぶすっとした顔でふて腐れるかもしれないが、それも一言一句をちゃんと聞いているからこそ。自分を思ってくれていると理解しているからこそ、だ】


――――任せなさい。


【衣織を振り返ることなく、佳乃はそう一言だけ応える。武人としての誇りに賭けて、そして衣織との大切な友誼に賭けて、絶対に彼女を悲しませまいと】
【他人の事なんて気にせずに、自分の正義を強引に貫き通す――――佳乃はそういう人間だ。表情を見せず背中で語るような態度が、実にこの少女らしい】
【……他人を可愛いと思ったのは、これが初めてだったかもしれない。隣を歩く衣織の姿に、まるで妹が出来たみたいだと、「妹」である幸徳井佳乃は思う――――】


/続きます!
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/15(火) 19:29:55.75 ID:mRGejJ2Eo

【――――そんな佳乃も、どうやら幼馴染の前では調子を狂わされてしまうらしい。一転して不機嫌な様子に戻って、衣織と話す一颯を睨みつけているだろうか】
【そんなキツい態度の割に、二人の間の空気はとても安定していて。佳乃のツンケンした言葉を一颯がさらりと流すやり取りは、恐らく毎朝のものなのだろう】
【一颯がどうかはわからないが……少なくともいじけたような拗ねたような態度を崩さない佳乃を見るに、『腐れ縁』とでも表現するのが的確だったかもしれない】

「うん、よろしくね。こんなだけど一応生徒会役員だからさ、困ったことがあったら何でも言ってね?
 それにしても、本当に元気でいい子じゃないか。こないだ佳乃が嬉しそうに話してた通り――――いてっ!」

……あなたは予鈴前に生徒会の集まりがあるでしょう。余計なこと言ってないでとっとと消えなさい。

【一颯は緊張した様子の衣織を何も言わずに待って、少しばかりぎこちなさの残る挨拶にひとつも文句を付けることなく、優しい語調で返事をするだろうか】
【少しかがんで衣織に目線を合わせるあたりも、かなり人付き合いに慣れていることが伺える。佳乃の知り合いとは思えないぐらい礼儀正しい性格だ】

【……その後の佳乃の対応は、衣織にとって少し意外であったかも知れない。さらっと暴露話をしようとした一颯へ、佳乃はほんの少し顔を赤らめて蹴りを入れると】
【彼の両肩を引っつかんで無理矢理回転させ、背中を押して退場させる。人に触れることを極端に嫌う佳乃が、自分から誰かに触れている――――】
【やはりただの幼馴染でも、腐れ縁でも無さそうだが……残念ながら一颯はそれを語ることなく、「じゃあね、衣織ちゃん!」と軽く手を振って去っていくだろう】


さて………こっちもそろそろ時間かしら。衣織、良かったら――――あっ、いえ。
わかったわ、それじゃあ昼休みの時間になったら、中等部校舎の裏にある大きな木の前まで来なさい。
静かに食べられる場所をいくつか知ってるから、案内してあげるわ。

えぇ、それじゃあ後でね、衣織――――。

【そうこうしている内に、こちらも一旦お別れの時間と言ったところだ。衣織は入学したてでまだ慣れていないし、早めに行動するに越したことはない】
【……佳乃は慌てて取り繕ったが、どうやら同じことを提案しようとしていたようだ。佳乃は集合場所として、教室の窓からでも見えるわかりやすい目印を指定して】
【普通の生徒は知らない、特別な場所。衣織が喜んでくれそうな場所をいくつか頭に浮かべつつ――――二人の朝の時間は、そこで終わりを迎えることとなる】

【その後のことは割愛するが……佳乃の案内で色んな場所を回ってみたり、互いのお弁当を交換してみたり。きっとお互いにとって楽しい経験だったはずだ】
【新学期明けのその日。幸徳井佳乃のつまらない学生生活は、可愛らしい後輩の登場によって、また少し明るい色に彩られたのだった――――】


/遅れましたが、こちらこそありがとうございましたー!!
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/15(火) 21:05:46.23 ID:7ngC1+ke0
【街外れ――草原、残骸になった小屋の中】
【丸い月がしんと照らしこむ草原、さらさらと揺れて流れるその先端は、月光の薄ら白さに染め上げられて】
【少し前までは初恋みたいに赤かった月も今では通常の白さ、真円なのがいつもと違う特別さ、それだけだった】

月食なんて数分じゃあないか、他所の国なら見えたのかね……、行く金などないのだけれど。

【ざらざらと伸びる雑草の中に一点混じりこむ金色が揺れる、ぶちりと文句垂れる声は古書を捲るよう、かすれた音色】
【その直後にまさに紙を捲る音がして小さく舌打ちの音が続く、そうしてもう一度、紙を捲る音が続くのだった】

【――軽く巻いた金色の髪、淡くピンク色の交じり合う色合いなら、不思議と優しげな赤らみが溶けて】
【つんとつった勿忘草色の眼は幼さの残る顔に鋭い色を加えて煌く、口元は無意味に軽い舌打ちを繰り返して】
【淡い若草色を基調にしたワンピース、胸元に結んだリボンと、あしらった生成りのレースがひらりと夜風に揺れ】
【オフホワイトと淡いベージュのボーダー柄のソックスとミルクティー色のパンプス、足先は草の中に埋もれる】
【草に紛れるように座っているのはどうやら少女が一人で居るようだった。眩い月明かりにそうと影を延ばしては】
【同じように延びる雑草の影に隠れこむ。宝探しの宝物みたいに、その姿は隠れがちだった、けれど、】

……まあ見られたからいいかね、存外遠くに出ることになったのだけれど……、ま、たまには、

【――呟く声までは隠せないから、その存在に気付くのは、きっと、そんなに難しいことでもないはずだった】

【手元にあるのは小柄な少女の手にも余らないサイズの画板、見れば留められているのは原稿用紙が数枚ほどで】
【それを時折捲ったりしては乱雑に書かれたメモの確認をしているのだった、時折書き加えたりするのも、なんだか慣れていて】
【煮詰まった作家の息抜きみたいな光景、そう呼ぶには、少女はあまりにも幼かったけれど――なんて、少しだけ余談】

【街からいくらも離れたこの場所なら、月も、星も、何にも遮られないままで綺麗に見えて】
【今宵の満月を眺めようというならうってつけの場所だと言えるのかもしれなかった、――独り占めはできないけれど】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/04/15(火) 21:19:32.14 ID:fJT4RJMBo

【水の国――街中の大通り】
【普段は様々な目的を持った人々で賑わう場所だが――此度は何やら騒々しい】
【車道に目を向けてみれば、大型のトラックが歩道を守るガードレールに衝突していることがわかるだろう】

【事故の規模は大きなものでは無い。トラックの車体も原形を留めているし、巻き込まれた者もいないようだ】
【だが、集まった野次馬達の好奇の眼はそのトラックの前で何やら言い争いをしている2人の男に向けられていた】
【1人は運転手らしき30歳前後の男。肩を押さえて両膝を地面についている】
【もう1人の男はは50歳程度で、不自然なほど真黒な髪と顎髭をたくわえ、いかにも質のよさそうな濃紺のスーツに緑色の蝶ネクタイを締めている】

……お前は酒を飲んで運転をして事故を起こした。間違い無いな?

「ほ、本当にすいません!ここストレスがたまっててつい一杯……」

言い訳などいらん……お前は私が直々に処分してやる

【高圧的な態度で運転手を責めるスーツの男が右手を上げると】
【ガードレールに当たったまま停止していた無人のはずのトラックが何かの力に押されるかのように――或いは引きずられるかのように】
【運転手の男に向かってズズズ、とゆっくり動き出した】

「お、お願いです!な、なんでも、なんでもします……!どうか許して……!」

黙れ……お前が生きていたところで何の役に立つ?――私にとっても社会にとってもお前は必要のないカスだ

【運転手の男は腰が抜けたのか――その場から動けずにいる】
【このまま行けば、迫りくるトラックに押しつぶされることは間違いないだろう】
【スーツの男は、周りでざわつきながらも何もしない群衆に一瞥をくれた後】
【自身の安全のためか、先程より数歩だけ運転手の男から離れながら――近付いてくるトラックを見つめている】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 21:32:06.81 ID:NPmpSsvs0
>>101

「今日は――"ファイアの月"の日。
 ……なんて禍々しい赤い月なの……」

【使い古した白の鉢巻きに、柔道着のような民族衣装風の道着に身を包んだ褐色の少女が一人】
【藪の茂る小道を進む歩みを止めて、ふと夜の月を見上げて呟く】
【漆黒の短く束ねた髪はしかし、野宿の多い長旅のせいかやや乱れ、
 生活一式の重い荷物をせおったナップザックを背負う彼女は少々疲労している】

「"ファイアの月"の日は、不吉な事が起きる、って乳母が言ってたけど……
 本当ね。行けども行けども、宿どころか街が見当たらないじゃない!」

【少女はため息をつく】
【アテのない長旅をし、ひさびさにこの地方に戻ってきたというのに、
 あんの上、道に迷ってこの草原の頼りない獣道をさまよっているのである】

【その時だ】
【旅の少女は、澄んだ声のかすかな呟きを、風に交じって聞いた……】

「……だれか、居るの?」

【声のする方向を見れば、藪の向こうに残骸になった小屋が見える】
【その小屋は、不思議な事にその日の赤い月の光に照らされている】

「ん……女の子?」

【褐色少女は藪をかき分け、その廃小屋に接近する】
【彼女が見たのは、質素ながら美しく清楚に着飾った、一人の少女だった】

「あ……お……」

【余りに場違いなほど整った衣服と顔立ちに、息をのむ褐色少女】
【しかし、同時に警戒もする】
【なぜこんな、人里離れた草原の廃屋に、こんな女性がいるのだろうか、と――】

【褐色少女は廃屋の壁越しに金髪少女を見つめている】
【その距離は5メートルほど】
【ただ、金髪少女の手元にある原稿用紙が、ひらひらと風になびくのを見ている事しかできない……】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/15(火) 21:53:38.49 ID:7ngC1+ke0
>>103

【かりりとペン先が数枚の原稿用紙越しに画板を引っ掻く音がして、そのたびに原稿用紙の白が少しずつ消えていく】
【変わりに黒色が彼女の思考を形にしてみせて、ただ、ぐちゃらと記されたのは、きっと本人にしか分からないから】
【――さて、彼女が少女に観察されてゆうに数分は経っただろう。それで居て何のアクションもないのは、】

……いただきます、

【まさに気付いていない以外の何でもない。それどころか、食事なんて始めようとしている辺り、察しすら悪いらしい】
【良くも悪くも無警戒、もしも相手が敵意を持っていたなら――もう死んでいたんじゃないだろうかなんて、思わせるぐらいに】

【パン屋の袋から取り出したのはサンドイッチ、スモークサーモンとクリームチーズを挟んだ、ふわふわのパンのそれ】
【包装を剥がして一口と二口齧って咀嚼する、そのたびに挟まれたレタスがしゃくんしゃくんと軽い音を立てていて】
【対しておいしそうに食べていないのがきっと印象的なのだった。なんというか――作業、みたいに、きっと彼女は食べていて】
【不味そうにしているわけじゃないなら気にするべきでもないのかもしれないけれど、そんな、ちょっとした余談】

【膝に挟んだ画板と、膝に乗せたサンドイッチと、手に持ったサンドイッチと、傍に放置された空っぽの袋と】
【危ういのが放置されている袋だった。夜風にばさばさと揺れて、ほんのちょっとしたきっかけで飛んでいってしまいそうだったのが】

【――ほんのきっかけは存外早くに訪れた。ぴゅうと吹き抜ける風、がさりと音を立ててから、ぶわりと浮き上がった袋の挙動】
【ぱちくりと振り返った瞳が吹っ飛んでいく袋の白さを確認して――その直後に、袋が地面に叩きつけられるのが、不思議だろうか?】

まったく……、石でも乗せておくべきだったかね、次からはそう……、……、……うん、?

【見れば地面に叩きつけられた袋に纏わり付くのは勿忘草色の靄、それが風にも靡かないままで袋を地面に縫いとめて】
【画板にサンドイッチを置いてから地面に置いて立ち上がる仕草、ふらりと袋の傍まで歩んだと思えば、それをひらり、拾い上げ】
【じゃあまた食事に戻りますか、というところで。そこでようやく、少女は人の気配に――というより、視線に気付いてみせた】
【――ひらりと壁の向こう側を覗きこもうとするのはそのちょっと後である。そこに隠れたままなら、――すぐに、バレてしまうけれど】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 22:03:49.38 ID:NPmpSsvs0
>>104

「……あっ」

【廃屋の壁際まで接近したにも関わらず、褐色少女は声をかける事が出来ない】
【それだけ、金髪少女は何かを一心不乱に画板に書きつけていたのだ】
【そして、黙々と食事をしていく――長旅で野草などを食んでいた褐色にとっては、
 その食材が非常に美味しそうに見え、つい腹も鳴る……】
【やがて、いたずらな風が金髪少女の傍らにあった袋を飛ばす】
【彼女がそれを拾い上げ、こちらの気配に気づく、目が合う――】

「いやっ、違う、決して、覗いてたわけじゃ……わ、私はっ!」

【相手の清楚な雰囲気に呑まれ、褐色少女は声を上ずらせる】
【その時――】

【グゥゥゥゥ】

【と腹の音が鳴る。反射的に腹を押さえる褐色。】

「……道に、迷っちゃって。あの、この近くで宿、っていうか、町っていうか……
 食べ物屋さんというか……」

【なんともしまらない顔で、褐色少女はその視線の主に尋ねた】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/15(火) 22:24:45.41 ID:7ngC1+ke0
>>105

【――彼女を清楚と呼んでしまっていいのだろうか。彼女の本性を知る人間なら、誰もがそう思っただろう】
【よしんば清楚っぽく見えたとしてもそんなもの幻想でしかない。ほんの一時の、陽炎みたいな幻でしか――】

【何しろつんと拗ねたような瞳が悪かった。舌打ちをするのが癖というのも、中々に評価を吊り下げる要因になるし、】
【面倒臭いという理由で素の食パンを食事にすることが多いことや、何をしなくてもとりあえず読書だけはするということも】
【或いは洗濯だなんて面倒臭くて業者に頼んでいること、褒め言葉より悪態の方が多いこと、他にも、いろいろ理由になる】

つまり覗いていたのだろう、いつからだね、全く気付かなかったけれど……。

【拾い上げた袋をがさがさといわせながら畳む指先、鋭い瞳を余計に細めて相手を見る数秒、まるで睨んでいるようにも見えて】
【その実そんなつもりはあんまりないのだけれど――顔の造形のせいと言い切るには、いくらも彼女自身態度が悪いように思えた】

【(ちょっぴり無愛想なだけだと言うといくらか聞こえがよくなる。人馴れしていないのだった、まるで野良の猫のよう)】
【(噛み付く方法を知っていても擦り寄る方法を知らない子猫。きっと、そんな風に評価するのが、彼女にはお似合いだから)】

……街ならあっちだがね、一時間も掛からないと思うよ、特に悪路というわけでもなし……。
宿と店屋は知らないな、この辺りには無いと思うけれど……、……街に出るほうが早かろうね。

【――何しろこんな華奢な中学生ぐらいの少女が出て来ているのだから治安だっていいだろう、それなら、恐れることもなさそうな旅】
【あっちと指差した方向には確かに僅かな明かりが見える、距離も、なるほどそれぐらい歩けばたどり着けそうなぐらいであって】
【ただ街は知っていても宿と食べ物屋は知らないのだと言う。草原だらけのこの辺りに、それを期待するのは酷かもしれないが――】

二つも要らんから一つお食べよ、お口に合うといいのだが。

【ひらりと翻した背中、スカートがふわりと靡いて足のぎりぎりまでを覗かせる、そこにあるのは日を知らない肌の色】
【吸血鬼みたいに真っ白な肌はどう見たって不健康な色、数歩歩いて荷物の場所まで戻ったなら、取り上げるのはサンドイッチ】
【食べかけじゃないほうを差し出して首を傾げて見せるのだった。欲しいなら受け取ってしまうのがきっといいだろう】
【――それにしたってサンドイッチ一つで足りるというのもどうかと思うのだけれど。本人が言うのだから、遠慮は要らないはず】

どうせなら街まで案内しようか、もうすぐ帰るつもりだったのだし……、

【――噛みつくばっかりの子猫だけれど、擦り寄る甘さを知らない子猫だけれど、別にまるで不親切というわけでもないらしい】
【食べかけをあっさりと食べ終えてから画板を纏めだすなら、何より言葉の証明にするみたいに。そのうちに凛と立ち姿】
【それなりの距離でしかないから迷うことはなさそうなのだけれど、――まあ、話し相手ぐらいにしてやるのがいいだろうか】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 22:38:16.66 ID:Y0EoUZED0
>>86
【孤独、とは。きっと誰しもが独りで居たい時もある。然れど、数千と続けばやがて気が狂うだろう】
【語る相手も居らず常に独り。何処を見ようとただただ己の殺した者達ばかり】
【其れだって時の流れで風化してしまうのだ。誰も居ない世界。独りだけの世界。甘くて、悲しくて――――楽しくて】


「話して居れば…………私の事をどうにか出来ましたか?
確かにお母さんは私に色々と話してくれて、抱きしめてくれて――――慰めてくれた事でしょう
でも…………昔の私は、其れで静められません。それだけじゃ、どうにもなりません
――――…………些細な事じゃないですか。人を殺す事に悦楽を見出したのが、偶々お母さんの知り合いだっただけ
櫻の歴史から見れば、本当に些細な事です。今までの死者なんて、これまでの数に比べたら本当に少ない話で…………」

【この世は常に変化を続けて居る。近日其れが訪れたのが、偶々銀狼に近かった者であるだけ】
【誰しもが自分は安全な場所に居ると思って居るから――――実際に体験をすれば混乱するのだ】

【今までの事を考えれば、きっと心から慰めてくれた筈。体温を感じさせて、独りでは無いのだと思わせてくれたはず】
【――――でも。今の自分は納得出来ても、昔の自分は納得出来ない。きっと銀狼にすら危害を加えようとしていたから】
【そんな自分を理解して居たから、近づけなかった。傷付けたくないと寄らなかったから、何時しか戻れない所まで進んでしまった】

【初めて会った事もずっと昔の様な気がする。七夕の近くにあった時だって、首飾りを身に付ける事になったあの夜の事だって】
【どれもこれもが“良い思い出”だ。悪狐としてでは無く、天鬼桔梗として生きた今世の思い出】


「――――私が全てを忘れても、私がした事が無くなる訳ではありません
其れにね、お母さん。まだ…………まだ、足りないんです。血も悲鳴も全部足りないんです

…………本当に何処までも甘いんですね。だから、私は――――桔梗としてぎんぎんに会えて良かったと思います
まだ何も知らなかった頃、沢山救われましたから。貴女のお陰で、天鬼桔梗は寂しい思いをしないで済みましたから」

【抱きしめられても、抵抗は無い。この言葉すら、銀狼を惑わす為の物か否か】
【身長差。必然的に少女が見上げる形ともなろう。故に、その表情が――――嬉しそうな笑みが、見える筈だ】
【吐息を感じる程の距離。三つの国を渡った悪狐はその全てで権力者を陥れたなんて逸話もあるが】
【この妖狐はその血を引いていない。厳密には種族も僅かに異なるにしても…………又、人を陥れるだけの力は持っている】

【こんな場面に於いてもまだ引き戻そうとしてくれる銀狼の姿が、嬉しくもあり】
【――――然れど、その言葉は心を動かすことは出来ない。否、銀狼自身が一番分かっていた事だろうか】
【最早届かぬ所まで行ってしまったという事。認められるかどうかは、別としても】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 22:38:48.27 ID:Y0EoUZED0

「――――お母さん。私と一緒に沢山殺しませんか?
みんなみんな殺した後、私を愛してくれませんか。一人の娘として、一匹の妖怪として
それで疲れてしまったら寝て、起きたらまた繰り返し。お母さんの為なら何でも出来ます。お母さんになら何をされても良いんです

目を覚ましたから、私はこうして居られるんですよ?
ねえ、お母さん。私と一緒に来てくれませんか――――……?」

【妖美、とでも表すべきか。誘いの言葉は実に甘く耳を通るはず】
【それもそうだ。“術”が発動しているのだから。離れる事も無く、寧ろ自分を抱きしめさえする妖怪に対して悪へと転じる言葉を向けて居るのだから】
【密着するだけ妖気に当てられる。言葉を耳に通すだけ、理性が溶かされる。善も悪も曖昧にさせてしまうほどに】

【無論、その効果は相手によるのだろう。妖狐の事を何も思わぬ者であれば、心を揺らされる程度】
【しかし、情を抱いて居る者ならば――――それ以上の効果が出るか。言葉の通り、彼女の為にと数百の無実な人間を殺してしまうことも厭わない】
【それ所か、本能を擽るような囁き。悦楽すら覚える程の甘美な言葉に対して、未だ対抗出来るだけの意思を持てるか】

【想い人同士が行うような深い口付けが成功すれば、もうお終いだ。後戻りなんて出来ないし――――或いは、純粋に娘とは見れなくなる可能性もある】
【指先が這うのは首筋や、のど元。正に魔性。衝動を抑える理性を希薄にして行き、本能のままに行動させるかの様】
【それも仕方のない話。本来妖狐とはその様に誘う妖怪。身体も精神も距離が近ければ近い程に術の効果だって高まり、言葉に頷けばやがて銀狼だって人に災いをもたらす妖怪として――――…………否】


【仮に謀略に嵌まったとしても。そんな精神状態に陥ったとしても。――――頷く寸前、“首飾り”が銀狼に対して痛みを与える筈だ】
【どの生物でも痛みとは嫌う物。だが…………時には何にも勝る気付け薬となり、この様な状況であれば意識を正気に戻す事だって容易い筈】
【まるで、以前の持ち主である妖狐を否定するかの様に。偶然とは思えず、明確に銀狼を呼び戻すかの様に】

【尤も――――誘いを意思で断ち切る事が出来たならばそんな事は起きまい。何にしても、離れねば危険だ】
【その事は、きっと獣としての本能が告げる筈。再び術を掛けられる前に離れねばなるまいと警鐘を鳴らすか】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 22:43:57.14 ID:NPmpSsvs0
>>106

「ち、違う! 覗いてなどいないっ!」

【とっさに否定するも、鋭い瞳に、その威圧感のある態度……】
【褐色の少女の性格からか、鋭い言葉に半ば反発するかのように語気を荒げる】
【見れば相手は、自分と同じか、それより幼く見える外見だ。】

「……そうなの。ありがとう。1時間だったら、すぐね」

【たしかに、金髪少女が指さす方向に、ぼんやりと灯りが見える】
【しかし、集落とでもいえそうな規模、とても外来の客向けの店舗は期待できない】
【と、金髪の少女はこちらの事情を察してか、サンドイッチを手にし、彼女にお食べ、と言う】
【しかしそれを聞いて、褐色は目を吊り上げる】

「それには及ばないわ……。私、別にあなたから施しを受けるいわれはないもの」

【どん、と豊満な胸を張るが、どう見ても虚勢である】
【金髪の少女は道案内を申し出るが――】

「結構よ(グゥゥゥ)。私、他人と歩みを合わせるのが(グゥゥゥ)苦手なの。
 あの街の(グゥゥゥ)灯を目印に行けばいいのはわかっ(グゥゥゥ)てるわ。提案は、感謝するわッ(グゥゥゥゥゥ)」

【相手の凛とした態度に触発されるように、こちらも先ほどのような失態をとり返すかのように、
 ハキハキと返答を返すと、まるで高貴な者がやるような大仰な仕草で礼を返す】
【妙に形にはなっているが……その間にも腹の虫は盛んに鳴りつづけ、どうにもシマらない】
【くるっと振り返りさそくさと道を行こうとするが……】

「……ねぇあなた、ふと気になったんだけれど……その廃屋で何してたの?」

【画板をまとめているであろう金髪の彼女に、ふと足をとめ、気になって質問をする】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/15(火) 22:57:54.88 ID:jwpsr5Amo
>>78

【一撃を放ったゼリシュは、その眼でベアトリックスの最期を見届け、膝から崩れ落ちた】
【翼も何処かへ消えて、足元に突き刺した剣を支えにして倒れそうな身体を保つ】

【そして訪れるは束の間の静寂。然れど心の中は、彼女の意味あり気な言葉が支配していた】
【―――何を為そうとし、何を成したのか。一体、何が戻った≠ニいうのか。】
【そんな朧な思考をかき消す様に、足音がやって来る。先刻聞いた様な声が耳に届いて】

アビス平原…………ここに居なかったって事は、あっちに居たのは……。

【ヴァイパーの伝える情報に、ゼリシュは少し考えるような表情を見せる】
【思うのは一人の青年の事。止めてみせる≠ニ言った、彼の事だった】

【――――吐息と共にそれを中断すれば、疲労やダメージが一気に襲い来て……】

ああ……さっさと帰って紅茶でも飲みたいわ……。

【そんな呟きを残しながら、その場を後にしていく。今はただ、備えるしかない――――】



/遅くなりましたがお疲れ様でしたー!
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/15(火) 23:03:43.83 ID:7ngC1+ke0
>>109

【こちらの少女は中学生ぐらいだろうか。けれど、142センチと小さめの身長は年齢を危うくぼやかして】
【流石に小学生と見るには違和感もあるのだけれど――どうにも、いくらか幼く見えるだけの余地があるのだった】

ま、ちんたら歩いたらもう少し掛かるだろうがね。急げば40分ぐらいで行けるんじゃないだろうか、分からんがね。
……私が歩いた時は1時間掛かったよ、歩幅が小さいから仕方がないんだろうが。

【結局ものさしは彼女自身が掛けた時間ということになる。それで言えば、彼女は歩みが遅いほうだと言えて――】
【こんなこといっているけれど。少女の足次第では或いはもっと早く行けるのかもしれなかった、とは余談】

そうかい、じゃあ私がいただくよ。最初からそのつもりだったのだし……、

【――別に馬鹿素直に信じ込んでしまうぐらいに純粋な子ではない、どちらかと言えば、追及するのが面倒になったような】
【それなら自分で食べた方が早いと言う結論を出してしまったのは、きっと彼女の落ち度だったろう。二度目に勧めることがなくて】
【対して間も空けずにぱくりと齧ってしまうのだった。――目の前で食われるのは、いったい少女にしてみればどんな気持ちなのか】
【とろりとしたスモークサーモンとちょっぴり酸味のあるクリームチーズの相性の良さ。それを取りまとめるパンの器量の良さ】
【間に挟まれたレタスが口の中をさっぱりさせて全然飽きない味わい。結局、あっさりと食べ終えてしまうのだったから】

【(――ちなみに、彼女の胸元はひどく寂しげだった。手足の華奢なのを見れば、それは仕方のないことなのだけれど――)】

…………そうかい。じゃ、気をつけてお行きよ。悪路じゃないが、石ころぐらいは落ちているから――。

【ぐうと鳴るおなかの音、特にからかうでも追及するでもないのだけれど、その代わり、ずいぶんと反応は冷たくも見えるだろう】
【断られてしまっては仕方ないという風に――特にしょんぼりするでもないが――返してしまうのだった。ただ、ぱちくりと瞬いて】
【それでも気を使ってみせるぐらいの気持ちはある、送ってやるつもりだったのだし――別段、悪い感情を抱いているでもないから】

月を見てたのだよ、今夜は月食だと言うから。……見えたが大したものでもなかったな、もう少し見えると思っていたのだけれど。
他所の国ならもう少し見えたのだろうが――仕方ないな、遠出する金も気力もないものだから。あの程度で十分だったよ。

【――片付けてしまった荷物をぶら下げて答える、ここに居た理由なんて簡単なもの、それ以外の何物でもなくって】
【月食だと言うから月を見に来た――綺麗に見えるところを探して、街からこんな場所まで出て来てしまった】
【家に帰るのを思うと少しぐらい憂鬱にはなるのだけれど。こんな風に言いながら、存外満足していたりして――】

……――荷物も纏めてしまったし私はもう帰るよ、キミも行くんだろう、気をつけて……。

【――よいしょと画板の紐を肩に掛けなおす、そうして一拍置いたと思えば、やがて口に出したのはそんなこと】
【同じ方向を目指して各自別々に帰ろうかということだった。一緒に行かないという相手の言葉を前面に置いての、答え】
【(けれど少女も歩むなら、案内してやるというのを受け入れたのと対して変わらない構図になるのだろうと、予想できたから)】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/15(火) 23:32:08.55 ID:NPmpSsvs0
>>111

「むぅ……」

【目の前で片付けられていくサンドウィッチを恨めしげに見つつ……】
【そうこうしているうちに、金髪の少女は冷たい反応で彼女を送る】

「月を……?」

【今宵は、満月。しかし、ただの月ではない】
【月食とともにあらわれる不吉な予兆。褐色の少女の国にまつわる伝承では、
 赤い月は"ファイアの日"と恐れられていた】
【そんなものを見たいと思うこの金髪は、少々変わっている――】
【世間知らずの彼女はそう思うと同時に、どこか孤独にも見えるこの少女の憂鬱そうな顔に見入っていた】

「へぇ……。モノ好きな人もいるものね……。
 さて。"急げば40分"って言ったわね。
 鍛練だと思えばちょうどいい――。あの街まで、私なら20分で行ってみせるわ。
 今、そう決めたッ!」

【そう言うと、彼女は精神を統一し――心を、高ぶらせる!】
【能力は発動した! 彼女の足に炎が噴き出したのだ!】

「じゃっ、お先失礼するわ。道を教えてくれてありがとう。
 そっちこそ、暗闇に足を取られないことねッ……」

【足がメラメラと燃えているが、彼女の足は特に燃えたりはしていないようだ】

「名乗るのが遅れたわね。私の名はマリィ……マリィ・バーンゲート!
 人々の記憶から消えた"炎の国"を探す、火炎一族の末裔!」

【そう言い残すと、その火炎の能力もあるのか、ダン、と足をふみならすと、
 まるで車の急発進のように示された道の方へ飛び出して去ろうとする――】
【もしも声をかけるならば、断片くらいならば聞き取れるかもしれない】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/15(火) 23:53:49.82 ID:7ngC1+ke0
>>112

【「月を」。そう同じ言葉で返したなら、少女の国に伝わる伝承を知らないから、「何か?」というよな目をしたのだろう】
【普段ならともかく、今宵なら月を見たがった人は多いだろう。そんなことを考えるのだけれど、表面では無愛想なまま】

まあ……頑張っておくれよ、精々転ばないように。私はゆっくり行くから……、――ッッ、!

【ふわりと少女の纏うスカートが揺れる、その裾を画板越しの手で押さえて、ほんの僅かに目を細める刹那】
【20分――というのはとてもじゃないけれど自分では無理な速度、それならなるほど二人で歩くのは難しいだろう、と】
【先ほどの提案を断られたのもなんとなく納得して頷く、――その直後だ、その足から炎の噴出したのは】

【まず真っ先にびくんと体を強張らせて引いた。何より画板を庇った仕草があって、それから瞳は余計にじとりと伏せられて】

……草が燃えても知らんよ、

【――なんて、少しだけ嫌味っぽく言うのだから。まあ、彼女が個人的に火と言うものを好いていないだけ、なのだけれど――】
【とかく。本当に燃やしてしまわないのかは気になるところだった。これから帰る道すがらが燃えるのは、流石に困るのだし】
【草が瑞々しい今の時期ならある程度は耐えるだろうか。どちらにせよ――早く帰ってしまおうなんてこと、そっと考えているのだった】

これだけ月の明るい夜に足を取られるほど間抜けではないつもりなのだよ、……ま、気をつけはするがね。
キミこそ気をつけておいでな、まず……草を燃やさないように。大火事なんてなったら皆が困るのだし。

【体を引いたままの距離が埋まらない。そのまま――やっぱり草が燃えやしないかと気にしているのが窺えることを口にして】
【皆がとは言うけれど。そんなことになった場合真っ先に困るのは恐らく自分だろう、こんな草原に人影はあまりないのだから】
【消防に通報してやる手段もないのだし、――それならやっぱり彼女に気をつけてもらうしかないから、何度も何度も重ねて】

…………アンネリーゼ、

【急激に遠ざかっていく背中と炎の夜を舐めるような煌き、それに掛けた声は、ただ単純に少女の名前を示していた】
【それが聞こえるかどうかは彼女の耳の良さだとかに関わってくるだろう。それぐらい――その声は目立つこともなく、響いただけだから】

【――そうしてあっという間に誰も居なくなる。或いは、誰かが居たことだって間違いだったんじゃないかと思うぐらいには】
【はあと小さく溜息が零れて静寂、先に去った少女のいくらも遅れてようやく歩き出した足元、さくりと草を軽く踏みつけて】
【華奢な若い茎を押し倒しながら街へと向かっていって――結局、費やしたのはやっぱり一時間近くだったという】

/おつかれさまでした!
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/16(水) 00:11:08.45 ID:AmYQu9Xmo
>>107-108

なにを……っ!櫻の歴史など……それこそ些細な事ではないか…!
儂は…、……儂は狼…。世界の全ては家族のために回っておる
獣であった時も、今の姿になっても……お主のことが儂の全てで、ァ…――ッ!

【――違う、ちがう。お前の言うことは正しいけれども間違っている】
【銀狼が言いたいのはただひたすらにそれだった。ただ、少女がこちらを向いて】
【そして今までのことなんて全て忘れて、健気ににこりと笑ってくれたらそれで良かった】

【甘いのだ――当の少女に、妖狐たる桔梗に全く見抜かれたとおり、彼女は甘い】
【狼とは確かに家族を大事にする生き物だ。その点では、愚かしいとすら言えるかもしれない】

【自分には力が無い。先にだろうが、後にだろうが、話されてもきっと何も出来はしないのだ】
【それが自分で分かってしまっているからこそ、銀狼は悔しくて、同時に悲しくて】
【抱きついても尚、やはり涙が溢れてしまう。抑えようとしてもすすり泣きにはなってしまい】
【桔梗には、それがどう聞こえるのだろうか。うっとおしいのか、それとも――。】

【そこに込められた意味はどうあれ、紡ぐ言葉の残酷さが如何ほどであれ】
【どれ程、甘い銀狼と言えど――ものも言えないほどの慟哭が、胸を打って止まない】

……っ、あ……やめっ…、……くぅ、…、……桔梗……。

【――付け入るには、絶好だ。限りない情を持つがゆえに涙を流し、離すまいと抱きついて】
【術の対象としてこれほど容易い相手はない。僅かな時間が経つだけで、その瞳の色は濁り始め】
【年下で、小柄で、しかしそれでいて妖艶で。桔梗の色に当てられるように、銀狼の声が静まってゆく】

【『お母さん』と――そう呼ぶ声は、もう魔性だった。虚ろの中、じっくりと理性が蕩け始め】
【這う指先が肌に触れ、急所である筈の喉元に届いても尚、ぴくりと身を震わせるだけで】
【やがて魅入られたように向かい合う。これほど深く容易く術にかかるのも、その愛情の裏替えでこそあるが】
【あまりに、脆かった。やがて吐息がかかるほどに近づけば、ゆっくりと禁忌の口吻を交わそうと唇を――】



【否――パシンっ!≠ニいう音が周囲に響き、桔梗の頬には唐突な痛みと熱が走ることだろう】
【それはあまりに単純な拒絶の意志。平手打ちをしたのだ。銀狼が、空いたその手で、寸前に】

【もう一方の手には例の首飾りがあった。それは聖≠フ力を持つ呪具に他ならず】
【銀狼はぎゅっとそれを握りしめて――手は焼けているようだったけれども、目は醒めて】


―――……ぅ…、…ア、ぁ……!――ァァァァァァァァァァアアアアアアアアッ……!


【だが、そこまでが限界だった。僅かに距離を離し、拒絶はした。それだけなのだ】
【直ぐに絶望したのか、それとも術のせいで疲労したのか四つん這いに倒れこみ】
【髪飾りを持った手を、頭痛に苦しむように額にやった。――状況で言えば、首を差し出しているようなものであった】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/16(水) 01:00:12.83 ID:09+R/hjW0
>>114
【当の母と慕っている相手を堕としてしまえばもう心配事は無くなる】
【其れ所か、人の良い銀狼の事だ。こちらへと引き込んでしまえば人間達を――――対峙する妖怪達を操る事は遙かに容易となろう】
【国を壊す。全てを壊す。前世の己に関わった全てを呪い、殺し尽くす】
【――――――果てなんて、知らないのだ。前世の己は辿り着けなかったのだから。だから、今の私に託された】


「怖がらなくても大丈夫ですよ……?もう、何にも考えないで済みますから…………ずっと、一緒に居られますから――――」

【口付けをしようと。術を完成させようとして――――視界は、急に変わる。変えられる】
【久しぶりに体感した痛み。物事を理解するまでに数秒。…………再び視界に捉えた時には、母と慕う狼は倒れており】
【イレギュラー。今まで“お誘い”した妖怪達は悉く言葉だけで堕ちていった。抵抗する者達は、軽く撫でてやれば直ぐに従った】
【だから、油断しきっていたのだ。頬を叩かれるなど――――三千を超えた時の力を経る妖狐が、身体に触れさせるなど】


「――――…………ほうら、お母さん。もう、手を離しちゃったじゃないですか
私が貴女の全てなんて、結局は嘘…………ですよね?
私の事を慰めてくれたのも、私の事を抱きしめてくれたのも…………全部全部、貴女の子が死んでしまったから
その、肩代わり。私なんて女の子が寂しい夜に抱きしめて気を紛らわせるお人形と同程度なんです
自分の寂しさを紛らわせる為だけの物で…………私の事なんて、なーんにも考えてない
もし、私が本当に貴女の子なら――――きっと、こんな事をしなくても一緒に居てくれた筈ですから
本当に大好き“でしたよ”?長尾銀狼さん――――」

【連ねるのは心を抉るような言葉の数々か。身体は動かずとも、その耳は働いていよう】
【乱れさせる。考える力を失わせて、ただ絶望だけを与え続ける。そうで無くても――――本心から娘だと思って接してくれていたとしても】
【弱った現状で、どの様にして否定できようか。“解放された手”に集うのは妖気の塊だ】

【拒絶するだけの力があるならば、もう良い。このまま嬲り、絶望一色に染まる顔を見るのも楽しそうだが…………遠くの気配を察するに時間も長くは無い】
【だから、母を自分の手で殺めてしまおう。己の頬を打ってくれた母を、感謝の代わりとして殺してしまおう】
【――――妖怪一匹を殺めるには過ぎた力だ。跡形も残らない、の比喩では済まされぬ程に】
【柔らかな手をその頭に当てたならば、一気に解放しようとして――――…………?】


『――――阿呆。さっさとその手を退かさぬか、性悪狐め』

【寸前、腕は何者かに弾かれて虚空へと妖気が放たれる事となった】
【其れからの展開は実に短く。未だ銀狼が動けぬならば、その人物が銀狼の首根っこを掴んで更に悪狐と距離を取る事になろう】

【見上げて見れば。着物に身を包み、二振りの刀を腰に提げた女性が視界に映るはずだ】
【言葉短く『立て』とだけ告げたならば、銀狼の側に寄り添うようにして一振りを抜き】
【髪と同じく、鋭い白銀色。同じ妖怪なれば、この女が九十九神の存在である事は容易に察せるであろうし】
【――――運が良い、とでも表すべきか。強い“退魔”の力を持って居る事も分かるであろう】


『ちゆりに頼まれて来てみれば、これだけの数を殺しおって…………
――――剰え母と慕う妖怪まで利用し殺そうと言うのだから天鬼桔梗が呆れたものじゃ
ほれ、銀狼とやら。まだ意識は残って居るかの?』

【窮地に駆けつけたのだから、敵で無い事は明白。ちゆりの名も連ねたのだから、そうで無くてもある程度は信用できようか】
【まだ意識が残っているかと問うたのは、無事であるか否かの確認であり――――同時、コレより逃走をする故に着いて来られるか否かの確認である】

【身体が持たないならば、この九十九が背負うか…………それとも、回復するまでこの妖狐と対峙するか】
【流れる冷や汗。認める事が出来たなら、後者はあまりにも無謀であると悟れるかも知れないが】
【兎にも角にも、助け船に乗るか否か。どの選択を選ぶのも自由で――――どの選択を選んでも、終わりは近い】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/16(水) 01:43:11.09 ID:AmYQu9Xmo
>>115

【本当に思わずの行動だった。手の内の痛みに我を忘れて、突き飛ばすように】
【――娘だと、離さないと散々言っていた相手の頬を平手で打ってしまった】

【それは事実だ。何も持たない右の手が痛い。打つ方も痛いのだ、と】
【銀狼は何処かの村人が言っていたのを、獣の頃に聞いたような記憶がある】
【そんな事いまの今まで忘れていたし、当時もなんとも思わなかったけれども】

【『なんと痛いのか』――それを文字通りに痛感しつつ、掛けられる言葉に胸が苦しい】
【いっそ張り裂けてしまえば楽になる。ぎゅう、と心臓を鷲掴みにされるような言葉が降りかかり】
【その都度に何も言い返せなくて、真っ白な頭のなかで糸がぐちゃぐちゃに絡まるような】
【そんなヒドい感覚に苛まれる。吐かないのが不思議なほど、言葉の一つひとつが憔悴を誘う】

【きっとそのまま冷徹に、冷酷に言葉を続けたなら、それだけでもいずれ銀狼は死んだだろう】
【それ程に、深く心の奥底まで桔梗の術が侵食していた。或いは、甘さの全てがダメージとなったのかもしれない】

【だからその手が頭に触れて、そこに妖気が溜まっても彼女は動くことをしなかった】
【彼女の言うことは正しい。いっそこのまま殺されてしまった方が良いのではないか=z
【そんな考えすら浮かんでいたから――救援が来たのは、本当にギリギリのタイミングで】

ァ……誰、じゃ…?ッ、その刀、…退魔、は……止め―……くッ…!!

【――抜かれた退魔の力を持つ刀。九十九が持つそれは、この状況では頼もしい物】
【しかし銀狼に取っては今だ、尚も大事な娘を傷付け得る品≠ナあり】
【恐らく、言葉が漏れたのはそのことを言いたかったのだろう。しかし、いざ立ち上がってみれば】

【なんとまあ――その足の柔いことか。ふらりと倒れかけて、なんとか立つのが精一杯】
【そのまま僅かな沈黙があった。目元は既に暗く、俯いているから表情も見えない】

【一つだけ――血が、滴っていた。恐らくは唇を噛み切って、その出血だろうと推察できる】
【悔しいのか、悲しいのか、それとも怒りか憐れみか。どんな感情が渦巻いているかは銀狼自身にも理解できず】
【ぐるぐると回る思考の中、九十九神である彼女の言葉に小さく、銀狼は頷いた】

【逃げる。たった一言、一動作で済んでしまうものなのに、彼女の準備はひどく鈍い】
【手の握り直し、それを今度は口に加えて姿を変える。大きな白銀の狼の姿に――しかし】

【――その白銀は、何かが欠けていた。満月のようだった色は、長く海水に晒した木綿のようにまっさらで】
【首飾りを咥えたのは、こう姿を変えて逃げるためだったのだろうか?いや、或いは――】
【これ以上、嗚咽を漏らしてしまわないようにだったのか。その答えは本人にだって分からない】
【ただ―――そのまま逃走の体勢に入るなら、狼はそれに追従するだろう。妖狐に背を向けて、駆けてゆくことだろう】

【その後には点々と涙の後があったけれども――見届けるより先に、戦場の炎に飲まれて消える】
【あまりに儚く弱い、まるでいまの銀狼そのものの様な水滴は、ただ一滴が桔梗の足下に滲むだけと――そう、なるだろう。】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/16(水) 02:30:30.51 ID:09+R/hjW0
>>116
『生き延びれば名を伝えよう。死ぬ者に我の名を言った所で何にもならん
――――殴りたいならば後で殴らせてやろう。この阿呆は人間共を怒らせたようでな
たかが百、二百ではどうにもならんと何度も言っておるのに――――の』

【人間とは挫けぬ生き物だ。何度も何度も挑んで――――やがては、勝つ】
【だが、今回ばかりはあまりに分が悪すぎた。例え何百が一斉に攻めようと、ただ其れだけでは傷の一つも付けられぬ相手】
【故に、説得を試みたのだが…………無意味であったと語る表情は、何処か悲しげで】

【そんな事をしている間に、遠くから聞こえるのは怒号の数々。チラリとでも目をやったならば、此処に転がる骸達よりも遙かに多い人間の数】
【砲台、鉄砲、刀、呪符。たった一匹を殺めるには過剰で――――だが、これでも少ないほどで】
【きっと、傷の一つも付けられない。銀狼の様に、この妖狐に触れられる者も居ない。結末は極めて残酷なものだ。其れを止める事が出来ず、ただ見る事しか出来ないなんて状態も】


「また、賑やかになりそうですね…………
ふふ、童守さんと銀狼さんなら何人ぐらい殺せるのでしょうか?
負けないように私も頑張らなきゃいけません、ね」

『――――――…………阿呆が』

【全てが己の首を狙った者達。にも関わらず、楽しそうに嗤ってさえ見せ】
【数分もしない内に、此処は更なる激戦区――――否、一方的な殺戮場と化す】
【人間達は、妖怪であればきっと見境無く殺すから。これ以上この場に留まる事は危険である事は明々白々】
【弱っている今、果たして何人を相手に出来よう。万全な体勢だとしても、果たして何人まで相手に出来よう】

【――――意外にも。桔梗はどちらに対して攻撃をする事も無く】
【ただ、横を走りすぎるその最中、「首飾り、私の代わりに大切にして下さいね」と小さく紡がれた言葉】
【この場面でもまだ揺さぶるのか、其れとも本心か。何にしたって問い質すだけの時間は無いし、足も止められない】
【最後に見せた横顔は、嘗ての健気な笑みで――――直後、砲弾が着弾した事によって姿が消された】

【また、罪を重ねるのだろう。更に憎まれるのだろう】
【翌日には目を覆いたくなるほどの惨劇があっただとか――――九尾が何処からか降りて来ただとか】
【そんな話があったりするが、余談程度】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/16(水) 02:30:50.62 ID:09+R/hjW0
【九十九を追って果たしてどれ程の距離を走っただろうか。最早戦の名残は何も見えず、穏やかな時間が流れる森】
【荒い息を整え適当な木の根元へと腰を落ち着けたならば――――女性の姿は、見る間に少女の姿へと戻り】
【同時に、若干妖力も弱まる。謂ってしまえば戦闘時とで姿でも使い分けているのだろう】


『――――ちゆりと桔梗から話は聞いて居るよ。長尾銀狼。特に、後者からは良く聞かされておった
とても優しいだの、本当の母みたいだの…………まあ、色々と、の
その首飾りもな、彼奴は常に身に付けて居った。大事な母と、その実の子からの贈り物だから、と』

【深い溜息。その後、ポツリポツリと語られるのは昔話】
【銀狼が知るのとは、また異なった一面の少女。――――の筈なのに。変わりの無い何て可笑しな話】
【詰まりは表裏が無かったのだ。誰に対してもあんな様子で語って――――特に、母の話となれば嬉しそうに方って居たなんて事】


『くふ…………すまないの。つい、昔を思い出して、の。言った所でどうにかなる事で無いのは、良く分かっているのじゃが………
――――それで、誰じゃ、の問いであったかや
剣ヶ里で作られた妖刀、童守――――とでも言えば良いかの。生まれ故郷すら、桔梗に破壊され無くなったが

ちゆりにの、頼まれたのじゃよ。あの子の母を殺させるな、との。全く、あの狐に近づくのがどれ程苦労するかも知らずに易々と言いおって
…………そして、桔梗がまだ悪狐となる前にも一つ頼まれておってな。コレは些細な事ではあるが――――』

【剣ヶ里。最初に桔梗が壊滅させた里の名で――――なる程、なれば九十九の存在も頷けよう】
【強い退魔が宿った意味だって…………深く考えれば、名の意味だって】

【懐から取りだしたのは、ミサンガ。妖狐の妖気を僅かに感じ取れる事から、尾の毛でも用いて作ったのだろう】
【ひょい、と投げたならばそのまま視線を送って。“頼まれた”のはコレを渡す事だ、と】


『――――母にお礼がしたい、と相談された事があっての。適当に装飾でも送っておけと答えたのじゃよ
それから籠もりっきり。何をしているのかと問えば秘密だと答えられ。明くる日に呼ばれ訪れてみれば目に隈を作ったあやつからコレを渡して欲しい、との

――――思えばそんなのを突然口走るのも可笑しく、態々己では無く我に託すのだから変な話ではあったが
…………まあ、良し。今更思ったところで結果が変わる訳でも無い
着ける捨てるもお主に任せるのじゃよ。お主が何をされたのかは分からん。お主の心情がどの様に変わったのかも分からん
千切り憂さ晴らしをした所で、誰も文句を言いはせん
然れど――――泣いた所で何かが変わる事がない。其れはお主が一番分かっている事じゃろうて』

【もう、それは銀狼の物だから。どの様に扱ったって、構わないのだ】
【拾わずに捨ててしまったって――――憎くて憎くて、何度も千切ってしまったって】
【自分は誰にも言わないし、非難もしない。本当に、本当に――――嘗て娘だった者に送られた其れをどう扱っても自由】


『――――ま、良い。今夜は色々とあってお主も疲れたであろう
今宵は此処で眠り、朝になっから住処に帰れば良かろう。よもや、布団が無ければ眠れないなんて事もなかろ?
…………聞きたい事があるならば、退屈凌ぎにでも聞けば良い。分かる範囲でならば答えよう
尤も、お主にそれだけの余力が残されて居れば、じゃがの』

【酷い傷こそ無いであろうが、きっと精神が疲労して居るであろうから。今晩は寝ずの番を引き受けてやるから、眠っておけ――――と】
【軽い冗談でも織り交ぜたならば、視線を送り】
【――――問えば、何でも律儀に返すであろう。無論、それだけの気力も無ければ…………きっと、九十九から言葉は掛けない】
【そのまま朝が訪れ、どんな心情を抱こうが別れの時になるのは間違い無く】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/16(水) 10:18:56.79 ID:AmYQu9Xmo
>>117-118

【去り際、銀狼は桔梗の言葉に反応することも、そちらを見ることもしなかった】
【いや、出来なかったのか――とても、そんな余裕が有る状態ではなかったのだ】

【これから彼女は人も妖かしも大いに殺す。あの優しかった桔梗、まさにその人が】
【そして自分の事すらも除こうとした、利用しようとした。憤慨よりも――悲哀が強く】
【ただギリ、と首飾りを噛みしめるよう、小さく音を溢すだけであった】


【―――やがてどれほどか走り続けて止まったなら、流石に狼ともいうべきか】
【息の一つも切らさずに居たけれども、首飾りをちゃんと付けた辺りでガクリと座り込み】
【そのまま己の膝に顔を埋め、長く立派な尻尾も力なくだらりとしたままなのを見れば】
【今、銀狼がどのような状態にあるかは一目瞭然であろう。――枯れ果てたか、涙はもう、無かったが】

……、……童守…剣ヶ里の…?……あそこは、確か先日……そうか…。
苦労をかけてすまなかったの……ちゆりにも、その……良いように云うておいては……、…?

【『お陰で助かった』とは、言い出せなかった。まだ心の何処かで未練が残っているからだ】
【娘と呼び、母と呼ばれた相手。彼女から『助けられた』などと、言いたくなかった】

【それでも生き残れたのが童守のお陰というのは、しっかりと思っているらしかった】
【言葉にはしなかったし、動きも緩慢で小さかったが、それらしい意識は感じることだろう】

ミサンガ……?この糸は……いや、毛か?それに、妖力……そう、か……。
……そうか、桔梗がそのような事を…、……知らなんだ、そのような事

しかしあの娘らしい……なにも寝ずに作ることもあるまいに、のう?
まったく……儂などにはこのような、勿体無いくらいよ……。
……結局、手渡しすることも出来ずじゃ。何処か抜けた桔梗らしい…、……――。

【投げられたミサンガを受け取ると、その手の内に持って眺めるうち】
【また次第に声は震え、恥も何もなく浮かぶ涙を甲で拭い――】

【やがてそれで―本来そうするものではないが―リボンのように、銀色の髪を項の辺りで束ねた】
【手足には付けない。元より鉄輪なんていう無粋なものがあったし、何より銀狼は狼なのだ】
【普通に付けていたらあっという間にダメになってしまうだろうから。だから、彼女は髪に付け】

……寝かせてもらうよ。流石に……ちくと、疲れてしもうたのでな
それで、朝になったら一度帰る…。一族の者にも、何かと伝えておかねばならぬ故…。
童守よ……改めて、すまんかったな。ちゆりには……悪いがお主から、礼を言っておいてくれ…――。

【――その内、静かな寝息が聞こえてくるだろう。余程疲れていたに違いない】
【もし戯れに耳やら尻尾やらを突いても起きない程度には、銀狼は深い眠りに落ちていた】
【やがて朝になれば――それこそ朝日が見えるかどうかという辺りで目を覚まして】

【そして、また一度ばかり礼を言うと大きな白狼の姿に戻って何処か山野に駆けて行く】
【昨夜とは違って、もうそこには涙はない。朝陽を受けた銀の中に、ミサンガの微かな金色が光って見えた】

/最後の所で寝落ち申し訳ないっ!他でも何かと時間がかかってしまってもう……
/ですが良い区切りが付けられて、本当に楽しかったです!ありがとうございましたっ!
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/16(水) 20:43:40.20 ID:j55/UwdTo
【夜の草原】


【未だ寒気が抜けない夜の草原に奇妙な音が響いていた】
【ピッピッという甲高いモノと、それに応じるようにして鳴らされるガチャガチャという耳障りな音】
【それが耳に届いたならば、その発生源に視線をやることもあるだろうか】


「赤上げて!白上げて!白下げないで、赤下げるのだ!」


【それは180cm程の全く同じ身長で、銀色の全身鎧を纏った5体の人型】
【手にはそれぞれ赤と白の旗を持って、一糸乱れぬ動作で腕を上げたり下げたりを繰り返していた】
【頭部には目の位置に細いスリットの入ったフルフェイス型の兜を被っており、人相などを窺う事は出来ない】

【そしてその夜の旗上げゲームを指揮するのは、ちんまりとした体躯の人物であった】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【また、この人物の口には小さなホイッスルが銜えられており】
【リズムを取るようにピッピッと息を吹き込み鳴らしている。これで指示を出しているのだろうか】


「ふふふ……動作に不備なし、絶好調なのだ!」
「これならばあとは微調整だけで実戦投入できそうだの!」


【ローブの人物は、鎧達の動きを見ながら満足げに胸の前で腕を組んでいる】
【何かの演習であろうか?それにしてはどこかシュールな光景ではあるが……】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/04/16(水) 20:47:13.76 ID:nSE58fB/o
【水の国――街中の大通り】
【普段は様々な目的を持った人々で賑わう場所だが――此度は何やら騒々しい】
【車道に目を向けてみれば、大型のトラックが歩道を守るガードレールに衝突していることがわかるだろう】

【事故の規模は大きなものでは無い。トラックの車体も原形を留めているし、巻き込まれた者もいないようだ】
【だが、集まった野次馬達の好奇の眼はそのトラックの前で何やら言い争いをしている2人の男に向けられていた】
【1人は運転手らしき30歳前後の男。肩を押さえて両膝を地面についている】
【もう1人の男はは50歳程度で、不自然なほど真黒な髪と顎髭をたくわえ、いかにも質のよさそうな濃紺のスーツに緑色の蝶ネクタイを締めている】

……お前は酒を飲んで運転をして事故を起こした。間違い無いな?

「ほ、本当にすいません!ここストレスがたまっててつい一杯……」

言い訳などいらん……お前は私が直々に処分してやる

【高圧的な態度で運転手を責めるスーツの男が右手を上げると】
【ガードレールに当たったまま停止していた無人のはずのトラックが何かの力に押されるかのように――或いは引きずられるかのように】
【運転手の男に向かってズズズ、とゆっくり動き出した】

「お、お願いです!な、なんでも、なんでもします……!どうか許して……!」

黙れ……お前が生きていたところで何の役に立つ?――私にとっても社会にとってもお前は必要のないカスだ

【運転手の男は腰が抜け――その場から動けずにいる】
【このまま行けば、迫りくるトラックに押しつぶされることは間違いないだろう】
【スーツの男は、周りでざわつきながらも何もしない群衆に一瞥をくれた後】
【自身の安全のためか、先程より数歩だけ運転手の男から離れ―――ガードレールを押しつぶしながら近付いてくるトラックを見つめている】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/16(水) 21:01:52.53 ID:+el/jfWxo
【路地裏】

【何者かの発する細い呼吸音と、車輪の音が断続的に響いている】
【暗い路地裏の通路を移動する音の源は、一台の車椅子だった】

【かなり大型で頑丈な作りのものらしい、銀色の車椅子。そこには、身長2メートルを超えているであろう、大男が座っていた】
【薄汚れた灰色の作業着に黒いラバー地のエプロン、足には黒いゴム長靴。およそ、車椅子を利用するにはふさわしくない服装だ】


【角ばった顔つきに短めに切り揃えられた黒髪のその男の額には、面積を埋め尽くす巨大な一つ目があった】
【両目のあるべき位置には左が黒、右が青の義眼が嵌め込まれている。異形というべき姿】
【見れば、両耳は黒ずんで形は歪み、両手の親指も同様に黒く染まって細長くなっている】

【大男の口にはマスク型の人工呼吸器が装着されていた。細い呼吸音は、ここから生じていた】
【単眼の大男が、車椅子を押して歩く人物に語り掛ける。人工呼吸器を装着しているはずなのに、はっきりとした発音の声だった】


……今日は、収穫なしか。ご苦労オートマーダー、そろそろ引き上げよう

[ウィーン……了解、シマシタ]

【車椅子を押すのは、筋骨隆々、一つ目の男にも劣らぬ体格の男。黒いタンクトップに青みがかったニッカボッカ、足には黒い安全靴】
【『安全第一』と書かれた黄色いヘルメット。顔は、溶接作業用マスクで隠していた。マスクの覗き窓から冷たい鉛色の瞳が覗く】
【タンクトップから伸びるのは、無骨な鉛色の義手。車椅子のハンドグリップをしっかりと握りしめている】


【単眼の大男の言葉を受けて、義手の男が方向を転換する。表通りとは逆方向、路地裏の闇の奥へと】
【路地裏にあってもその異形は目立つだろう。あるいは、誰かと鉢合わせることもあり得るだろうか】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/04/16(水) 22:55:46.81 ID:EihQCA5O0
【とある都市・スラム街】

【夜であってもここには悲鳴や罵声や怒声が響き渡っていた】
【このような場所ではそのようなこと、ここに住むものたちは日常の一部としてだれも彼もが特に気にしはしない】
【だが、今一つだけここには異様な光景がある、それは一つの装甲車がこのスラム街に停車していることだ】

まったく、このような場所で取引をしろとか……彼らも危ない橋を渡るものですね
 ……はぁ、早く終わらせてしまいたいものですよ

【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【その装甲車の持ち主であると思われる男はそのようにして愚痴をこぼしながら装甲車の壁に背を預ける】

【男が愚痴でこぼした取引を行おうとしてここに来た、しかしなかなかその取引相手が来ない】
【これは囮調査だったのかとそのように思案しながらもやっぱり、待つことにしている】

ですがもしそういう事であったのならば……逃げるほかなさそうですね
 幸いにも足はありますし……そうならないことを願うばかりですが

【そのようの思いながら背中を装甲車から離して装甲車後部にあるハッチを開けて中に入っていく】
【そしてそのまま数秒たってから再び出てくる、その手に持っているのは飲料水だ】
【ハッチを閉めれば男はその飲料水を一気に飲み干して、その場で再び待つことになる】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/17(木) 02:41:54.84 ID:LuCaKF5v0
>>119
『――――あほう。お主の為故に寝ずに作ったのじゃろ
苦しい思いをして、嫌々と作った物を人に託す者など居らぬ。照れ臭そうに笑いながら受け渡しを願う者など居らぬ
…………こうしてお主の姿も見る事も出来なかったがの。泣くほど嬉しい――――とは異なった涙を見なかった事が幸いかや
くふ――。お主も話しに違わず随分と甘い妖怪じゃの。良い、良い。天鬼桔梗も喜ぶじゃろうて』

【捨てる事も無く、寧ろ大切な物を扱うように。手足では無く、長く保つようにと髪を束ねる為に使ったのならば】
【小さく、少女は笑った。彼処までしてまだあの妖狐の其れを身に付けてやるかと、まだ涙を浮かべてやるのかと】
【嘲笑では無い。ただ微笑ましく思ったのだ。命の危機にだって面しただろうに――――其処までしてやる姿が】

【きっと、妖狐では無く――――桔梗だって、喜んでいた事だろう。礼でも言えば、恥ずかしそうに首を振りながら適当に言葉を並べていたのだろう】
【でも、子供だから。結局はおずおずと甘えて、頭でも撫でてやれば嬉しそうな表情でも覗かせていた筈だ】
【――――筈、だ。もう、そんな少女は居ないのだから。嘗ての幻影は、触れる事も出来ない。ただ今までの記憶で構築した虚無】


『うむ。其れが良かろ。我等妖怪から見れば一日も数日も同じ。ゆっくりと休むが良い
休んだら――――――其処から考えれば良い。今の状態では良い考えも浮かばぬからの
…………その言葉も要らぬよ。我は謝罪の言葉を受け取る為にお主の所を訪れた訳では無い
ちゆりも同じ。礼を聞きたいが為に我を走らせた訳でもあるまい
――――眠れ。夢の中ならば今日の事も全て忘れられよう』

【やがて、寝息が聞こえてきたならば。邪魔もしないし、ただ夜空を見上げるだけ】
【最早無くなった故郷を思い出しているのか――――それとも、また別な事を考えて居るのかは分からないけれど】
【不意に感じ取った“鬼”の気配には刀を抜いて――――…………数秒後、カチンと音を立てて再度鞘に収めた】


『お主の願い通り銀狼は無事じゃよ。――――肉体的には、じゃがの
我が駆けつけたのも本当に一歩手前の時。何を話して何をされたのかは分からん
――――…………のう、ちゆりや。今日はまた一段と血に濡れて居るの
なに、理由は聴かんよ。大方、妖狐の手先にでも襲われたのじゃろ。…………それで、何か掴めたのかや』

【茂みの中より現れるのは妖狐と同じ紅白色の装束を纏った女性――――鬼、だ】
【一本の角。気配は既に人間の物では無く、完全に鬼の其れ。全てを赤く染めているのは無論血液で――――其れでも、乾き始めて居るのだから己の血は一つも無いと知れよう】
【九十九の言葉に返しながらも銀狼へと歩み寄って。汚してしまわぬ様にと掌の血を拭えば、そのまま頭を撫でるのだけれど】
【疲労困憊で眠っているならば、きっと気付かないであろう。何時もの様な能面の如き感情に欠けた表情の下。何を考えているのかなんて、分からないけど】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/17(木) 02:42:12.86 ID:LuCaKF5v0
『――――ほう、あの城を…………とな。なる程、の
彼処には実に多くの妖怪達が封印されて居る。桔梗の目的はそやつ等の解放であろう
自身に従わずとも、破壊の限りを尽くせばそれで良いのじゃからな。…………そう考えれば――――うむ

なに、心配は要らんよ。少なくとも今夜は我が銀狼の側について居る
朝になれば傷も癒えていよう。そうなれば――――後は我が居らずともどうにでも出来よう
しかし、妖怪の心配をしている暇も無かろうに。お主だって――――…………ま、良かろ』

「――――苦労を掛けますね、ぎんぎん」

【もう一二度、起こさぬ程度に撫でたならば。掌を離し、そのまま踵を返すのだろう】
【童守にはこれより先の事を伝え、再び居なくなる】
【最後の最後に紡いだ言葉は、或いは意識を僅かに擽るかも知れないが…………これは、定かでは無く】

【翌朝、目を覚ませば九十九はやはり変わらずに側で番をしていて】
【礼の言葉に対しては代わりに頷くのであろう。銀狼が行く前――――】
【「遠くない日に桔梗は封魔城にでも現れる」だなんて言葉を告げるが、何か返すも返さぬも自由】
【ただ――――銀狼なれば、知識も在ろう。その城には古来より封印されている者達も数多い、と。ならば謂わんとしている事だって察するのは容易か】

【じい、とその背を見送って、やがては自身も後にしようとするが】
【近づく気配に気付いたのは、その直ぐ後の事。小さい溜息と共に抜いた刃を向けた先には――――既に、抜き身とした其れを構える子供の姿】
【そこから先の事は分からない。誰が死んだとか、何がどうなったとか。定かなのは…………こうしている間にも、彼の妖狐は何かを企んでおり】
【それ故に犠牲者が増えて言って居る――――そんな事か】

/っと、こちらの方も遅ればせながらこれで〆させて頂きますっ!
/改めて、お相手して頂き本当に有り難う御座いましたっ!
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/17(木) 19:57:18.74 ID:CTl/jO8ko
【水の国郊外、倉庫街――――】

【そこは路地裏の隅の方に置き去りにされたような、廃墟じみた倉庫郡だった。敷地自体は大きいが、周囲の建物の陰に沈んでしまっていて殆ど目立たない】
【少しばかり周辺の事情に詳しい者なら、身を守るための当然の情報として知っていることなのだが――――ここはいわば、悪の巣窟とも言える場所だ】
【書面上にしか存在しない架空の人物によって管理されるこの錆色の建物達は、軒並みとある大きな組織≠フ武器庫として使用されている】
【不用意に踏み入ったが最後、捕まって二度と日の目を見ることはない……なんて物騒な噂も流れている場所なのだが――――】

「クソッ、なんだこいつらは!!」

「自警団の連中か!? いつの間にこんな戦力を…………!!」

【――――その実体がいま、少しづつ晒されつつあった。予想外の奇襲≠受け、倉庫からは蜂の巣をつついたように大量の兵士が飛び出してきて】
【そんな彼らに向かって次々襲いかかっていく無数の人影……いや、人ではない。全身を砂によって構成された、大柄な全身鎧】
【土の魔術で形作られたゴーレム≠ニ呼ばれる存在だ。数は優に三十体を越えようか、ゴーレム達は統制の取れた動きで敵陣を進撃していく】

【ただし――――何故か彼らは鉄パイプや棍棒などの原始的な武器しか装備しておらず、しかも相手の頭部などの急所を決して狙わず攻撃していて】
【そんな状態の相手に能力者≠スちがいつまでも押される訳もない。火球やら雷やらの不可思議な光が飛び散って、ゴーレムは少しずつ数を減らしていく】
【……そう、この倉庫にいる者の殆どは能力者だ。そして彼らは必ず、体のどこかに何らかの形で金十字≠フ紋章を身につけているだろうか】
【ここまで来れば察するのは簡単だろう。この倉庫は正しく、能力者至上主義を掲げるかのテロ組織・GIFTの拠点の一つであるのだった】


「てめぇがこの砂人形どもの操り主か!? SCARLETだか何だか知らねぇが、たった一人で乗り込んでくるたぁいい度胸だな…………!」

――――っぐ、あ………ッ!!

【………さて。異形と能力者が織り成す戦場と化したその場所にたったひとり、無能力者≠フ男が混じっていた】
【額から血を流して数名のGIFTメンバーと相対するのは、前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁のメガネを掛けた青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はジーンズと膝丈ブーツという服装。上半身や腰、太腿などにはポーチ付きのベルトを装備していて】
【左胸の上と腰の左右にはホルスターがあり、左胸には派手な金色をした大型拳銃が心臓を守るかのように吊り下げられているだろうか】
【ガギン――――と火花が散って、青年は両手に握った奇抜な形状の銃器で突き出された拳を受ける。人外の腕力に弾かれ、その体は大きく後退し】

(………まだ、まだだ――――もう少し、時間が掛かる。
 だが………クソ、予想していた以上に数が多い! 押し切られる前に何か手を………ッ!!)

【青年の肩口のストールがはためいたなら、左肩にある緋色の鷹≠フ紋章、『SCARLET』の証を目にすることが出来ただろう】
【更に、右肩には警察≠フエンブレム。両肩に異なる正義≠掲げた青年は、腕に走る鈍痛に耐えながら必死に考えを回して】
【……いかなる任務かは不明だが。どうやら正義組織の一員であるこの青年は、ゴーレム達を引き連れて単独でこの場所に襲撃を掛けたようだった】

【戦況は五分と五分。個々の戦闘能力ならGIFT兵が上だが、青年の指揮するゴーレム側も奇襲が功を奏して持ちこたえている】
【しかしそれも、今の時点での話。青年の想定した以上に敵の練度も数も上で、不利に陥るのは時間の問題だった】
【――――ただ、幸いというべきなのか。流石に怪しげな組織の溜まり場ということで、ここは以前から自警団などにもマークもされていた場所である】
【普段の静けさも相俟って、ここでの騒ぎはかなり目立っているだろうか。誰かが飛び込んで来たとしてもおかしくはない状況ではあるが――――?】


/ちょっとしたイベント的なものです、3人程度まで募集してみます〜
/ただ申し訳ないのですが、今回はGIFT側への加勢ではなく青年側へ加勢して下さる方のみの募集という形でお願いします……!
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/17(木) 21:54:41.60 ID:7a29E4xbo
>>126

【カツン=\―という足音が、不思議と騒々しいはずの倉庫に響き渡る】
【音源は倉庫の出入口の一つ。幾つかの目が捉えるだろうその姿は、女性の形をしていた】

【髪は朱。さらりと長く腰のあたりまで伸ばしていて、服は白い薄衣のような物を纏い】
【――些か、露出の多い衣装だけれども、それを気にする事もない彼女の瞳は、冷酷の一色】
【何人か見当たるGIFT≠フ人間、そして敵対するSCARLETの青年とゴーレム――】

……素敵ね、どっちも一緒に叩き潰せる<pーティだなんて。
私も混ぜてくれないかしら?独りの夜って、とても暇なの――ね、いいでしょ?

【両者を一瞥するやそう言って、彼女は髪を左手で払う。一瞬、首元に覗くのは】
【紛れも無く逆五芒星=\―カノッサ機関の紋章であり、そもそも彼女の左手には刀が在って】

【その刀は今さっき誰かを切ったとでも言うかのように、ひたりひたりと滴る血に塗れ】
【彼女はそれを無造作に上げると、冗談のような勢いで刃が振り下ろされ】
【それによって発生したいわゆる飛ぶ斬撃=\―血液で形どられたそれが、戦場の一角に斬りこんでゆく】

【――ただ、比較的攻撃範囲の広いそれが狙うのは明確な一勢力、とは言い切れない】
【主だった標的はGIFTのメンバーであったが、一部はゴーレムにも当たるであろう】

【首元の紋様、そしてこの攻撃。それらを鑑みれば、決して味方≠ナはないことは分かるはずだ】
【だが、この状況下で完全な敵≠ナはないこともまた確か。上手く誘導できたなら――。】
【ともかく、彼女は出入口から動いていない。誰が攻撃するにしろ、狙うことは然程難しくないだろうか】

/突撃ー!よろしくおねがいしまっす!
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/17(木) 22:05:55.89 ID:2dWb8l9Y0
【街中――道に面した廃ビルの屋上】
【――きらりと舞い散る光の欠片があった、受け止めてみたなら雪よりも暖かなのは午後の陽だまりのような光の粒子】
【もしも誰かが不思議がって空を見上げたなら――そこに見えたのは、背中の翼で空を自由に舞う、金糸雀みたいな、女の子】

……うーん、ミドナお姉ちゃんも、アルフレドお兄ちゃんも、居ないのよう。

【廃ビルの屋上にふわりと舞い下りる人影はきっと夜空にひどく目立っていた、何しろ、そこだけ昼間のように眩くて】
【音もないままに大きく広げた一対の翼、一際大きく羽ばたかせて――こつんと軽い音で、色褪せたコンクリに降り立つ姿】
【地に足を付けたと思えば翼が背中ではらはらと自壊していく、魔力の残滓を羽根の形にして散らすのは、どこか幻想的とも言えて――】

【――ふわふわと柔らかそうな髪は淡くクリーム色、ちいちゃな頭にはちょっぴり大きめのボンネットが被せられていて】
【真夏の青空と同じ色をした瞳はちょっぴり垂れたまん丸な形。右目の下には、毒々しい紫色をした蝶の刺青が刻まれて】
【真っ白のブラウスは装飾の過剰な仕上がり、ピンク色を基調にしたジャンパースカートには、たくさんの蝶とお城の柄が描かれ】
【短めのソックスと底の少しだけ高いパンプス、踝のところにリボン飾りをつけているのが、夜の風にひらりと靡いた】

【――女の子だった。それも、就学前なんじゃないかと思わせるぐらいに幼い姿、きっとこんな夜には不釣合いな純粋の色】
【腰に提げた鞄を漁ったと思えば、そこからキャンディを一粒取り出して……、もごりと、口の中に頬張って】

んーん、街の中で名前呼んで探すのもダメだし……、早く見つけないと――なのよ、

【かろかろと口の中でキャンディと歯がぶつかる涼しげな音、うーんと悩みながらフェンスに寄りかかって、片手が鞄を漁り】
【ぐるぐると布で包まれた小さな塊を取り出して見つめる数秒。ふわあーっと吐いた溜息が、ぼんやりと夜を揺らして】
【うなだれるような姿はきっと下からでも見えた。或いは、飛んでいるときから誰かがついてきていたとしてもおかしくなく】
【夜の中ではちょっぴり目立つ姿もしているから――いろんな方面から興味を惹いたって、きっと、誰も文句も言わないのだった】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/17(木) 22:10:47.80 ID:CTl/jO8k0
一人参加者様が来てくださいましたし、10時になりましたのでイベントを開始します
「今書き途中だから待って!」という方がいらっしゃいましたら仰ってください〜

あと今回の趣旨は目の前の敵をひたすらブン殴りまくる感じです
途中で眠気が限界になったり明日の為に寝ないといけないって事になった時は、お好きなタイミングで撤退してくださってOKですので!
そんな感じですので乱入も歓迎だったり〜
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2014/04/17(木) 22:11:18.22 ID:CTl/jO8k0
/誤爆ェ……
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/17(木) 22:38:01.07 ID:CTl/jO8ko
>>127

「がっ――――――!?」

――――ッ!!?

【青年へ更なる追撃を加えようと一歩踏み出した男だったが――――真横から唐突に飛来する、血の色をした斬撃】
【巻き込まれたのは男だけではない。周囲にいたゴーレムに加えて、青年と彼を囲っていたGIFTメンバー。その全員が巻き込まれ、複数人の鮮血が散るだろうか】
【……強い警戒状態にあった青年の方は咄嗟に体が動き、軽傷で済んだ。しかし数の利を得て油断していたGIFTメンバーの方はそうも行かず】
【三人ほどがあっと言う間に倒れ伏す。仲間が盾になって運良く助かった一人は、形勢不利を悟ってか尻尾を巻いて逃げ出していくだろうか】

あ、貴女は――――っ、来ます!!

【青年と女性とでは少しばかり距離が離れていて、顔まではまだ見通せなかった。敵か味方か、青年はそちらに近づいてそれを確かめようとしたが――――】
【両者がまみえようというその瞬間、真横の通路から複数の人影が現れる。明らかにこちらへ敵意を向けた四人=c…いや、それを人と呼んでいいものなのか】


                  ≪カタ、カタ、カタ≫ 
 ≪カタ、カタ、カタ≫

     ≪カタ、カタ、カタ≫            ≪カタ、カタ、カタ≫


【現れたのは……黒い人形、と表現するのが的確であろうか。カタカタと音を鳴らして鳥のように細やかに首を動かす、ひどく不気味なヒトガタだ】
【百八十センチはある細長い体躯に、胸・腰・前腕・下腿の四箇所が金属製の装甲で覆われ、背中にはバックパックのようなものを背負っている】
【何より目を引くのは、顔面を丸ごと覆い尽くすほど巨大な眼≠セ。ある程度機械に詳しければ、それが巨大なアイカメラであることも理解できるだろう】

【数は四体。しかし良く見ると、装備が二種類に分かれているのがわかるだろうか。仔細はあれど、大きく違うのはバックパックだ】
【うち二体はバックパックが非常に大きく肥大化しており、巨大な砲台を二門も背負っている。他の部位の装甲もかなり分厚く、いかにも鈍重そうな外見で】
【対照的にもう二体は、バックパックから翼のようなパーツが生えており、両腕に小型機銃を取り付けている。他の部位の装甲は薄く、明らかに機動力重視の形態だ】

「『バスター』と『フロート』……へへ、機動試験にゃちょうどいい!! やれええええええええッ!!!」

【四体の後方で叫ぶのは、つい先程逃げ出したばかりの男だった。どうやら武器庫の中から兵器≠引っ張り出してきたらしい】
【彼が叫びを上げると同時、まず羽根付きの二体が前に出た。ブォン、という小さな音と共に翼が光ったかと思うと――――】

【細い身体は糸に吊り上げられる人形のように空中へ浮き上がって飛翔体勢をとり、こちらへ向けて高速で突進してくる!!】
【女性へ向かうのは一体だけだ。左翼の先端を肩へ掠めるような軌道……もし光る翼に触れた場合、そこへ鋭い切り傷を負ってしまうだろう】

【……なお残り二体の異形だが、今のところ動きはない。しかし「キュイイイイン」という異音が、時間と共に高まっているような――――、】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/17(木) 23:25:33.99 ID:7a29E4xbo
>>131

【青年がこちらを向いたところで、その顔はよくは見えないだろう。生憎と、髪が邪魔だ】
【当人は相手のことなど今は眼中にないようで――迫る機兵をぼんやりと見たのなら】

速いだけで能のない攻撃……GIFTは何時からそんなに偉くなったのかしら。
少し……カノッサ機関≠ニいう存在を、ナメているんじゃあない――…?

【ゆらり――タイミングを合わせて、女性は右腕の刀を真っ直ぐに掲げ】
【一方でその他、全身はただひたすらに低く。倒れぬように左手は地につけるほどの低姿勢を取る】
【異様であった。髪もまた地を這い、艶かしく腹部の肌色が見える――構え、とも言えぬ格好】

【けれどもその力が本物であるのはすぐに分かるだろう。敵の異形が迫った、その瞬間】
【彼女はぬるりと滑るように前方へ進み出て、攻撃を避けつつ下方から刀を翼に押し当てんとし】
【それが叶ったならば、とてもつもない切れ味を誇るソレで撫で斬りにしようとするだろう】

【ちなみに、撫で斬りとはいったものの――相手の速度と角度によっては、翼すら切り落としかねない一撃だ】
【失敗にせよ成功にせよ、彼女は異形が上方から去ればぐねり、と身体を起こして周囲を見る】

【血は出ていなかった。だが髪が一房落ちていて、倉庫の地面にはらはらと舞い降りる】
【――その後の変化に何人が気付けるだろう。髪はやがて血液のように変化して、じわりと霧に昇華する】
【次の攻撃≠フ基点はまさにこの『霧』だ。これはやがて、目に見えるほどに膨張して朱い霞となり――】

軌道試験と言っていたけれど……もう一度言いましょうか?
あまり機関をナメるな≠ニ――それとも、行動で示さないといけないかしら
だったら、丁度良い…、……私があなた達を試してあげると言ったら、どう?

【言葉が終わるか否か、そのタイミングで霞は明確に三本の槍≠ニいう形を持ち】
【うち二本を待機中の二体へと、最後の一本を更に奥の男性めがけて撃ち放つ】
【勢いと威力は、生身の人であれば貫けるほどだ。が、もとより霞であるからか】

【切れ味や鋭さこそ凄まじいが、重さが無い。上手く鎧で弾ければ無傷ということも有り得るが――】
【――元より囮。そう言わんばかりに、女性は既に二体の異形へ向かって行こうと歩き出していた】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/18(金) 00:05:57.46 ID:ze4mHZKHo
>>132

≪カタ、カ、タ――――≫

【――――「ぎゃりっ」という小さな音を残して、羽付きと女性がすれ違う。一瞬遅れて、女性の傍らに一本の腕≠ェごとりと落ちるだろうか】
【機械故に女性の異様な雰囲気に呑まれないというのは大きな利点だったかもしれない。羽付きはアイカメラで刀を認識した瞬間、機械的な冷静さで身体を捻った】
【腕部の装甲を使ってガードしようとしたのだが……予想外だったのはその切れ味か。右腕の肘から先を斬り裂かれ、機銃付きの無機質な腕が地面を転がる】

ちっ、こんなモノを作っていたのか……!!

【一方青年の方も、低く地面に伏せることで攻撃を回避しつつ両手の奇抜な形状の拳銃を構え直し、すれ違いざまに魔弾≠雨のように叩き込む】
【ただ、羽付きの方が一歩素早かった。魔弾は下半身を抉って冷たい機関部を剥き出しにはしたが、こちらも女性と同じく撃破には至らず……】
【羽付きがそのまま離れていくのを見計らって、青年はとにかく女性と合流しようと近づいていく。……少しばかり、その顔に見覚えがある気がして】

僕は水の国警察のアルフレド・フェリシアーノと申します。どなたが存じませんが、とにかく、もしご協力頂けるのなら――――、

…………な、にッ!!?

【そして、青年――――アルフレドはそれ≠フ首元にある印を認識するなり、大きく目を見開くだろうか。どうして、こんな場所に――――?】
【近づこうとした足は止まり、知らず表情も厳しくなる。彼女が繰り返し告げるカノッサ機関≠ニいう単語もまた、疑いようの無い事実を示していた】


「なっ、お前カノッサ機関員か!? ふざけんな、どうしてSCARLETの連中とカノッサが一緒に………!
 お前こそ、俺達を舐めるなよッ!!」

【カノッサ機関員とSCARELTの人間が肩を並べて戦っている……男にはこの状況がそう見えたらしい。些か焦燥した表情で一歩後退し】
【ただ、相手はGIFT。つまり曲りなりにも能力者だ――――突き出された槍に対して右腕を突き出すと、白色のバリアのようなものが出現して槍を弾く】
【待機中の二体に関してもほぼ同様の結果だ。二体は直立したまま、胸部の重装甲を使って槍を弾き飛ばす。並大抵の攻撃では装甲は破壊できそうにない】

「俺達を試す!? ふざけるな、悪戯に混沌を広げるだけの貴様らと俺達では覚悟が違うんだよ………!!
 ――――吹っ飛ばせ、『クグツ』ッ!!!」

くっ――――後ろからも来ます!!

【男はアンジェルの言葉に激昴すると、四体の人形……『クグツ』と呼ばれたそれらに指示を出した。機関員と解っていて警告を出すあたり、青年もお人よしだ】
【同時、上空へ飛翔した羽付きの『クグツ』は旋回して二人の背後に。そして前方からは歪な機械音が連続して響き渡る……砲門を背負っていた二体の方だ】
【バックパックからアームが伸びて後方の地面へ突っ張り、踵部分の爪が展開して地面と人形とを固定する。非常に分かりやすい砲撃≠フ構え――――】
【それだけではない。羽付きの方も空中から両腕の機銃を二人に向けて構え直す。四体が何をしようとしているのか、想像するのは容易いだろう】

【次の瞬間……一体につき二門、合計四本の大砲がレーザー≠放射し、同時に羽付きが機銃を掃射。光と実弾の弾幕が形成される――――!!】

【幸い、アルフレドの存在でターゲットは分散している。機銃の方は狙いを付けずバラ撒いているようだが、女性に向かうレーザーは二本だけだ】
【レーザーの威力は……巻き込まれた倉庫の壁が焼き切れる光景から想像できるように、到底人体に耐えられるものではない。回避が最も無難だろうが】
【その為には勿論、後方からの機銃も厄介である。ただしこちらは弾数が多いだけで一発一発は拳銃程度の威力しかなく、狙いも比較的適当だ】
【その上、先程の女性の反撃で機銃の数はひとつ減っている。凌ぐのは決して不可能ではない――――】

【……女性がどのような対応をするにせよ、十数秒ほどで弾幕は止むだろうか。そうなれば、前の二体でも後方空中の二体でも、自由に反撃は可能だろう】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/18(金) 00:50:43.85 ID:kUuqZ0zMo
>>133

【女性の瞳が、朱色の髪の合間から青年を見る。空色の、とても綺麗な目をしていた】
【もしかすると見覚えがあるか――砂に塗れた二度の戦い、そのどちらにも居た人物とそっくりだ】
【ただ少し、いや凄まじい違和感はあるが。どちらにせよ彼女はすぐに視線を戻して】

……まずは向こうの煩いのを潰す、機関に取って軍事力を持つGIFTは邪魔だから。
貴方は……貴方の所は、その次。すぐには……殺さないであげるから。

【言うだけ言うと意識は戦地へ舞い戻り、全ての槍がほぼ無効化されたことを視認する】
【まあ、良い。そういうように向き合ったその時には、前後を挟まれた具合になっていた】

【――そう、意外と遅いのだ、この女性。攻撃の一瞬はすさまじい機敏さを見せていたが】
【接近は歩きであったし、全体的に緩慢で、ふと気付いた時には機銃のトリガーを引く音が庫内に木霊し】
【直後にレーザーがその身を穿たんと迫ってきて――数秒の間、光が女性を包み込む】

【その閃光が晴れたなら、目に見えるのは――人≠ニ、そう形容するべきなのかどうか――】

【彼女≠ヘ、その左肩から先を失していた。おまけに全身に機銃の弾が打ち込まれたようで】
【そこかしこから出血し、特に肩の当たりからは激しい水音と共に足下の血だまりが広まっていく】
【肌色にも朱が混じっていて、そのまま膝を付く姿は一見すると期待はずれ≠フ一言だが】

―――唯一つの目的しか無い貴方たちとなんか比べないで?
機関は……混沌≠ニは表層的なもの、そう思っている間は……意味も分からないだろうけど

でも……関係ないわね?だって、貴方は今日此処で死ぬんだから
わたしに串刺しにされて、血を吸われて、カラカラのスポンジみたいになって……死ぬんだから。

【言葉があった。唸り声のような叫びが周囲に響くと、欠けていた左腕が血液によって模られ】
【その血の左腕が足下の血だまりに触れるやいなや、多量の血液は先程のように状態を変化させ】

【周囲四体――その全てを狙って、血液が固まった巨大な刺のような物が迫ってゆく―!】
【今度は先程の槍と違って威力がある。血の量がイコールでダメージなのだとすれば】
【きっと、比較するのは意味が無いのだろう――鉄程度であれば貫けるそれを放った女性の姿は】

【既に真赤な血に汚れていて、よくよく見れば若干息が切れているようにも見えたけれど】
【やはり、健在だ。出血量から見て、怪我の具合からして、恐らく人間でないことは予測も付くことだろうが。】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/18(金) 01:28:04.31 ID:ze4mHZKHo
>>134

――――――!!!

【『クグツ』の攻撃に先だって、女性から声が掛かる。その声色を聞いた時点で……既に、嫌な予感はしていたのだ】
【朱色のカーテンの隙間から覗く空色を垣間見た瞬間、アルフレドの全身に冷たいものが走った。だがその正体を確かめるより早く、集中砲火がやってきて】

(………あの能力、それにあの刀………!!)

【腕や足に数発の弾丸を掠めつつ、アルフレドは咄嗟に倉庫の陰に隠れて難を逃れる。彼はそこでようやく女性の能力≠フ詳細を見るに至った】
【―――― 一度目は灼熱の砂漠で、二度目は青く輝く遺跡で。気のせいでなければ確かに見覚えがあった。……もちろん、偶然だと信じたい】
【だが多数の事件を超えて鍛えてきた刑事の勘≠ェその希望的観測を許さない。やはり、この女性は――――】

「だ、黙れ、化け物め! 俺達が戦うのは理想郷の実現のためだ――――表層だろうがなんだろうが、混沌なぞに頼る貴様らな……ど…………?」

【女性は確かに砲撃と機銃を全身へ浴び、致命傷を負ったはず。だというのに幽鬼の如く立ち上がるその姿……男はそこに、能力という言葉で語れない何かを見た】
【怯えるように一歩下がるが、やはり腐ってもGIFTの構成員。血液の棘が迫ってきた事で逆に平静さを取り戻し、今度は砲門を担いだ二体の『クグツ』の背中に隠れる】
【先程のバリアのような力、どうやら連発できないらしい。今度も装甲を使って防いでやろうという行為だったが――――男は、見誤った】
【一見して槍の時と同じ血の塊だったから、今度も大丈夫だと考えてしまった。……気づけば男は、『クグツ』の一体ごと串刺しになっているだろうか】

――――クソッ!!!

【「が……ふっ」悲鳴にもならない小さな声。次の瞬間には『クグツ』の機関部が爆発し、男の姿は爆炎と共に四散して、跡形も無く消える】
【残り一体の『クグツ』に関しても、破壊こそならなかったものの棘によって砲門が破壊される。きっともうあのレーザーは撃てないだろう】
【これで残るは三体――――いや、一体だ。主を失って一瞬硬直した空中の二体へ向けて、アルフレドは悪態を付きながら魔弾を発射。的確に翼を破壊する】
【二体はそのまま墜落して、地面との衝突で砕け散るだろうか。それを終えればアルフレドは、厳しい表情で女性へ振り返って――――】


貴女は、アンジェルさんですね…………!?
何故――――どうして貴女がここに!? カノッサに寝返ったとでも言うんですか!!

【先程の発言からして、彼女……アンジェルは敵ではない。まだ、敵ではないのだが――――それでも、アルフレドの語調は荒い】
【人ならざる姿に変貌を遂げた彼女を警戒するように距離を置いたまま、疑問と激情をぶつけるように吼えるだろうか。それにどう応えるかは勿論、自由だが……】

【……重要なのはそこではなかった。そんなアルフレドの後ろ、ゴーレムとの戦闘で半壊した倉庫のひとつから、新たに羽付きの『クグツ』が二体飛翔する!】
【先程と違い、両腕に機銃ではなく大型のブレードを取り付けた機体だ。二体は高速で飛翔して二人の真上に至ると、そこから急降下】
【素早く両腕を翻し、アルフレドと女性の胴をそれぞれ縦に切り裂こうとするだろう!! そして、それと同時――――】
【最後に残った砲門付きの『クグツ』のバックパックが大きく展開する。覗くのは無数の小型ミサイル……斬撃に続き、それらも耳を撃つ爆音と共に射出される!!】

【ヒットアンドアウェイの斬撃で足止めし、爆撃で全てを葬り去ろうという気だ。指揮していた男は死んだというのに、妙に息の整った連携】
【斬撃の方の威力もそこそこ高いが、やはりミサイルによる爆撃が厄介だろうか。無数のミサイルが直撃した場合、間違いなくただでは済むまい】

「………………」

【なお、この時――――よく目を凝らすと、少し遠くにある倉庫の屋根の上からこちらを見つめる白衣の女性の人影が見えるかもしれない】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/18(金) 02:06:30.82 ID:kUuqZ0zMo
>>135

理想郷の実現=c…素敵なお題目ね、死ぬ間際の一言にしては、とっても素敵。
でも残念、貴方にはそれは叶わぬ夢となったワケで……、…?

―――寝返ったなんて、冗談言わないで頂戴?
私は元から機関の人間……それこそ、十年以上も前からそうだもの
UNITED TRIGGERのお友達ごっこなんてもう終わり、私はとても忙しいのよ。

機関に忠を尽くすこと、それが今の私の行動理由……GIFTの殲滅も……
……そうだった、さっき言ったわよね?次は貴方を…――あぁ、もう。

【敵を屠ってもなお平然。かつての義侠に溢れた彼女とはまるで別人だ】
【その上――発現の内容はあまりに重い。だが、首元の紋様は確かに機関の物に違いないし】
【今もまた、先ほどの言葉を遂行せんと青年を正面に捉えて刀を握り――】

【――直後上方から迫るクグツの一撃をバックステップで回避、同時に言葉が途切れる事となる】
【傷は額を僅かに、それから胴の布を一部バッサリと切り落とされたが目立つ外傷はない】
【強いて言えば胸から下はほぼ肌色という状態になったが――全く問題は無い、というように】

【彼女、アンジェルはバックステップの姿勢から刀を両手に持ち、クグツに反撃しようとするだろう】
【狙う場所は胴部、加える攻撃は突き。切れ味は言うまでもなく、一撃の威力は素晴らしい物があるが、当たるかどうか】

【さらにはまた直後となるか。小型ミサイルが展開されたこと、そして対処より早く】
【視界の隅に白衣の女性が見えた気がして――だがそれで終わり。流石のアンジェルといえど】
【その人外ぶりを見せつけた彼女でさえ、あまりに大きなダメージを連続で負いたくはないらしい】

……斜め先の倉庫、屋上……貴方なら届くんじゃないかしら?
いいえ、届くに決まっていたわね。だって御大層に銃を持ち歩くんだから……ねぇ?

【――小さく煽るようにアルフレドへ言葉をかけたなら、アンジェルは槍としての形を失った】
【先ほどの血液を再集結。それを半球状に周囲一帯へ弾けさせる】

【すると、当然ミサイルには大なり小なり血痕が出来るはずだ。――後のことは、見たママを言うのなら】
【刀が迫るミサイルを尽く『追尾』していた≠ニ、そういう具合であった】

【原理としては血を操る妖刀が、それを求めて動いただけ。近づく端からミサイルを切り捨てるのだ】
【もっとも、それでも捌き切れないものもある。それらは直近で爆発するだろうし】
【そうなれば倉庫の一角に血しぶきが華を飾ることとなるだろうか】

【人の影を見れば、それでも尚、アンジェルが生きていることは分かるものの――】
【流石に疲労が大きいか。刀を地に指して、肩で息をしながら例の人影に視線を向けていた】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/18(金) 02:52:16.25 ID:ze4mHZKHo
>>136

何…………ッ!?

【……これは、誰だ。一瞬本当にそう考える――――会ったのは数回程度だったが、それでもアルフレドにだって人を見る目ぐらいある】
【数度の任務を共にした彼女はこんな人間ではなかった。血のようにドス黒い、冷たい表情。赤色の刃が自分に向く――――】
【アンジェルの実力と精神的な変貌ぶりをこれだけ見せ付けられて、まさか抵抗しない訳には行かなかった。アルフレドは眉根を潜め、両銃の銃口を彼女へ向けて】

――――う、ぐああッ!?

【アンジェルが先に動いたことによって、アルフレドは一瞬遅れて上空からの攻撃に気づく。咄嗟に後退するが少し遅く、胴体を浅く斬られ】
【更に続く爆発によって、その身体は大きく吹き飛ばされることになるだろうか。近場の倉庫の壁面に叩きつけられ、致命傷ではないにせよ全身に強い衝撃が走る】
【アルフレドを狙った羽付きの『クグツ』はそのまま上昇し、白衣の女性の下へと移動する。そして、アンジェルを狙った方はというと】
【……一番最初、アンジェルに翼での攻撃を仕掛けたものと同じだったなら、確実に殺られていたタイミング。しかし突き出される刀に対し、『クグツ』は身体を反転】
【ブレード付きの両腕を交差させて構えることでそれを防ぎ切る。硬度の問題で刃が一本ヘシ折れるが、本体の側に影響は無く。そのまま同じく女性の元へ移動した】

…………くっ………!

【ふらりと立ち上がったアルフレドは、アンジェルからの言葉を聞くと癪そうに唸って、両腕を真逆の方向へ構えて同時に発砲した】
【左のガトリングガンが散弾じみた速度で氷の魔弾≠バラ撒き、ミサイルを発射した最後の一体の『クグツ』の動きを完全に停止させる】
【――――同時、右のハンドガンから白衣の女性へ射出される風の魔弾=Bしかしこれは、羽根付きの『クグツ』がブレードで切り裂くことで失敗する】

「………………」

【白衣の女性は喋らない。距離が遠いこともあって、喋ったとしても聞こえなかっただろう。……ただし、背格好には特徴がある】
【体つきが全体的に少々幼いのだ。女性というよりは少女、子供とは言わないまでも大人とも言えない。せいぜい十代後半といった風情だろうか】
【紫色の髪に眼鏡、白衣の下は黒色のブレザーにスカート。ここから見えるのはその程度だが――――ふと、その少女が首を動かす】
【倉庫全体を見渡しているようだ。戦況は……ゴーレムは既に半数以上が撃破され、人数で言うならGIFT側が有利。だが少々、建物への損害が酷い】
【アルフレドの戦略だろうか。人員を傷つけるのを極力避ける代わりに拠点そのものを破壊しに掛かり、そちらの防衛に戦力を割かせるやり口だ】


「………ノッサ…………≠ヘ、渡さない…………」


【アルフレド一人であれば、このまま押し切って[ピーーー]ことも出来ただろうが……アンジェルの介入という予想外の事態で、場は混乱している】
【バチッ、と彼女の前髪から火花が散った気がした。すると各所で戦っていたGIFT兵や『クグツ』の軍団が動きを変え、撤退していくだろうか】
【残存戦力を鑑みればまだ十分戦えるが、これ以上は消耗戦。警察に踏み入られた以上、どの道この拠点は打ち捨てることになる】
【人員の被害も慮って、この場で戦う理由はもう無い……冷静にそう判断したようだ。少女は最後に、何故かアンジェルを強く睨みつけ、何かを口にして――――】
【二体の『クグツ』に抱えられる形で空を飛び、そのまま去っていくだろうか。……追うにしても速度が速すぎる。手負いの二人では追い切れるかどうか】


/すみません、続きます
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/18(金) 02:54:45.76 ID:ze4mHZKHo

………まずい………!!

【相手方のこの判断、アルフレドにしてみれば命拾いしたようなものだ。しかし彼は、何故か焦燥を浮かべるだろうか】
【懐から『W-Phone』を取り出して何かを確認すると……ふぅ、と大きく息を吐く。画面には何かの進行度のようなものが表示され、『100%』を示していた】
【この襲撃自体、何か目的≠ェあって行ったものだったのだろうが――――心底安堵したその表情からして、どうやらそれも無事達成されたらしい】

【――――となれば、残る問題はひとつだった】


アンジェルさん……僕はしょせん部外者です。しかしここは、警察≠ニして敢えて言わせて貰いたい。
――――『UNITED TRIGGER』に戻る気は?


【全身を血濡れにしたアルフレドは、最後にアンジェルへ銃口を向ける。今のところ撃つ様子は無いが、しかし赤紫の瞳は本気≠告げている】
【『UNITED TRIGGER』に戻れ――――そういうアルフレドの口調は、いわば自首を進める言葉だ。同時に、従わなければ捕らえるという事実確認でもあって】
【お互い消耗も激しい。どこまでやれるかはわからないが……アンジェルが尚もアルフレドを殺そうとするのなら、これは避けられない戦いなのだろう】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/18(金) 21:47:57.33 ID:LGfGq7TCo
【何処かの公園】


「やはり、何処かしらの組織に属しておった方が何かと都合がつくのかの?」
「ふぅむ……どうにも団体行動というものは好かぬのだが」


【公園のベンチに、ちんまりとした人影が一つ座っていた】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


「何はともあれ、考えるのは後だの!」
「一仕事終えて疲れたし、美味い物でも食べて腹ごしらえしたいところなのだ!」


【その人物の脇には何やら紙袋のようなものが置いてあった】
【袋に記されている文字を見れば、近隣に店を構えるケーキ屋のモノであると判るだろうか】
【フードの人物は、袋の中をごそごそと漁り】
【中から大きなシュークリームを取り出すと、小動物のようにはむはむと頬張り出した】
【甘いものが好きなのか、表情は分からないがどこか幸せそうな空気が漂っている】


【この奇妙な格好は、通りかかれば目に付くことになるだろうか?】
【もしくは、近くで何かが起こればこの人物が反応を示すかもしれない】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/18(金) 22:07:58.65 ID:XNCyg9Uco
>>139

おや、ストレンジャーですか珍しい

【伸びる声、背丈は一般的な女性のそれ】
【ロシアンハット、ポンチョコート、覗くストッキング、ロングブーツ】
【その全て一切が白色である彼女はその瞳も開かないで歩みを止める】
【先程までこの場に居たかどうか疑ってしまうようなその稀薄さはさながら霧のように】

【それこそ人でないような……異物感】

その技術、或いは魔術それとも能力でしょうか……
興味深い……失礼、隣に座りますよ?

【それの興味は「黒い粒子」へと注がれている】
【それは無表情のまま瞳さえ開かずに、されど人の内を見つめている】
【敵意はないしかし味方という訳でもない……傍観者】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/18(金) 22:25:15.89 ID:LGfGq7TCo
>>140

「"すとれんじゃあ"?何だそれは、知らん名前なのだ」


【急に掛けられた声、しかし意味が理解できなかったのか疑問を文字にする】
【幼げな体格やどこか古風な語り口相応に、横文字などには弱そうであった】


「うむ、これは地術なのだ!」
「簡単な構造ではあるが、ここまで綺麗に操れるのは世界広しといえども」
「この天才魔術師シーナ様ただ一人であろうな!」


【黒い粒子……地術というからには砂の類いであろうか】
【さらさらと、相手が読めるほどの速度で変化を続けるそれは】
【正確に文字を表し続けるところからかなりの練度であることが伝わるだろうか】

【世界広しといえどただ一人……というのは些か以上に自信過剰であるが】


「私の術に興味を持つということは、御主は魔術師か学者の類かの?」
「別に知りたいならば、秘匿しておるわけでもないし教えてやっても良いぞ?私の気が向く限りだが」


【フードの人物……シーナは、シュークリームをもふもふ食べながらそんな返事をする】
【彼女の異様とも言える雰囲気には気づいているのか、いないのか】
【現状は特に追求することもなく、平時の状態のまま接していた】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/18(金) 22:44:29.88 ID:XNCyg9Uco
>>141

部外者……おおよそそういう意味の言葉ですよ

【その言葉に悪気など一切ない】
【求められるままに答えを与える、自動人形めいた反応でしかない】

なるほど魔術師でしたか、しかし天才とは
……文明の起こりから今までそう語った人間は数多といます、貴方は本物でしょうか
まあ、だからといって死なない理由にはなりませんが

【黒砂、そのひとつひとつを緻密に操作し自分の思い通りのカタチへと変える】
【それこそ腕を動かし足を動かすのと同じように呼吸と同じように、ごく自然に】
【その技量に関していえば相当の使い手だろう】

おや?魔術師の類は自分の研究は秘匿するものだと思っていましたが
よろしいのですか?ある意味特許のようなものを私のような通りすがりに教えても
結果貴方が後悔したとしても私は責任は取りませんが?……まあ見せていただけるならば喜んで、ですがね

【鈍いのかそれともとぼけているのか】
【どちらでも些事か、と小さく息を漏らす】
【「ではよろしくお願い致します」と、続ける白い人は相変わらずの閉じたままの瞳】
【瞼の裏で何を思うか、その白色はそれさえも隠して……】
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/04/18(金) 23:06:50.55 ID:LGfGq7TCo
>>141

「部外者……のぅ、後の英雄たる私に向かって随分と大きな口を叩くものなのだ!」
「今はそう見えておっても、いずれ御主は認識を改めることになるであろうよ!」


【英雄――この小さな身体の中にどれだけの自信を持っているのだろうか】
【紡がれた「部外者」という言葉を少々悪し様に受け取ったのか】
【不服そうに口をへの字に曲げながら、尊大な雰囲気が漂う文字を流す】


「私の術は秘匿して一族で語り継ぐようなモノでもないからの」
「爺様の秘術ならばともかく、その"枝"であるこの地術を隠す必要もないのだ」
「むしろ、私を知らしめるためには広めたいくらいだの!」


【一般的な魔術師とは違い、情報の秘匿に関して頓着がない】
【"枝"、とは本家から別れた流派ということであろうか】
【何にせよ、シーナ本人に特許のような認識はなさそうである】


「私の術の根本は一つ――"地の理を知る"事なのだ」
「地を識り、干渉し、支配し、組み替える。これを私がやりやすいように改良したモノだの」


【そう言いながら、シーナはシュークリームを食べ終えた手で】
【懐から小さな赤い石のようなものを取り出すと、目の前の道に放り投げる】
【石が放物線を描き接地した瞬間――着地点を中心として】
【半径30cm程度の地面が分解され、粒子状になって石を中心とした繭のような形状になる】
【砂の"繭"は粘土のようにグネグネと形を変えて】
【数秒と経たぬ内に鷹のような形状の"ゴーレム"へと姿を変えて上空へ飛翔する】


「"理"を識り、それを魔力で操る。まあ、魔術としては珍しいものではないかの?」
「練度ではそこらの魔術師が束になろうと負ける気はせんがな!」


【ゴーレムは大きな翼で一度宙返りをしたあと、勢いを殺しながらも翼を畳みシーナの肩に留まる】
【術の仕組みとしては基礎的とも言っていいシンプルなものであろうか】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/18(金) 23:32:10.18 ID:XNCyg9Uco
>>143

ふふ……英雄の最期というのはどういうモノかご存知ですか?
まあ、深くは語りませんが……期待し過ぎないというのも大事ですよ

【尊大であるならば白は不遜か】
【英雄という言葉に少しだけ微笑みを浮かべる、嘲笑かそれとも……】

私の知る魔術師とはかけ離れている考え方ですね
同族の方々に狙われたりはしないのですか?宣伝するということは悪い物も惹き付けそうなものですが
いや、英雄になるならばそれさえも倒して然り……でしょうか

【大言壮語だとしても実力が伴うならばそれは真だ】
【枝葉と言おうとも関係はない、力は強ければ力としての体面を保つのだから】

【蠢くその力が、本物であるならば……然るべき道筋へと導かれよう】

ふむん……地脈、理ですか……
偽りの生命を生み出すとは、少しばかり驚きですね……或いは使い魔でしょうか
即席だとしても造形としては十分、仰るとおり技量は高いのですね

【羽撃く翼、その本来の土としての在り方とは掛け離れている姿】
【夜もあってかそれは黒い鳥にも見え、どこか美しく】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/04/18(金) 23:53:24.01 ID:LGfGq7TCo
>>144

「英雄とは輝かしい栄光を掴んだ者のことなのだ!」
「物語にも記されておるとおり、最期もそれは素晴らしいものになるであろう!」


【英雄に関する認識は隣の彼女の方が正しい】
【シーナの考え方はある種物語めいていて、現実味に欠けているようにも見える】
【この小さな身体で、顔も声も隠し何故英雄を目指すのか】
【ただの子供じみた憧れであろうか?それとも――】


「私の術は知られたところで何も問題ないからの」
「"こう来るだろう""そうするだろう"などという先入観は私にとって隙に過ぎんのだ!」

「それに悪い奴らが寄ってくるならばそれも好都合というもの」
「まとめて打ち倒して私の英雄譚の一頁にしてくれるのだ!」


【ローブの上から見ても起伏を感じられない胸を逸らしながら】
【そんなことを堂々と言ってのける。恐らく、フードの下ではドヤ顔を浮かべていることだろう】


「うむ、どうやらようやく私の偉大さが理解できたようだの!」
「もっとたくさん褒めても良いのだぞ!」


【自身の術が褒められたのが嬉しかったのか、上機嫌な様子である】
【尻尾でもついていれば、ぶんぶんと元気良く振っていたことだろう】
【シーナが指を一つパチンと鳴らすと】
【肩に止まっていたゴーレムは砂の粒子に戻り、ビデオの逆再生のように前方の抉れた地面へと戻っていき】
【数秒でまた先ほどと同じような道の一部に変わっていた。近くには、そのコアである赤い石が転がっている】


「――して、結局御主は何者なのだ?」
「私は名乗って、術まで見せてやったのだ。御主も同じだけ私に素性を教えてくれねば割が合うまい?」


【急に話題を切り替える。つまりは自己紹介しろということだろうか】
【確かに、現段階ではシーナは彼女の名前も素性も聞いていない】
【隣の女性に対して興味を抱いているのだろうか?それとも別の理由からくるものか】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/19(土) 00:03:19.90 ID:vX1oD/59o
【路地裏】

「ヘッキャアァーーッ!!」 [ぬわああああぁぁぁぁ!]

【――路地裏から大通りに向けて、いかにもチンピラと言わんばかりの男が吹っ飛んできた、ボコボコである】
【何事かと思って路地裏を覗いたとすれば(あるいは別の理由で)、そこには3人の人物が居るだろう】

【男を殴り飛ばしたのは、ガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

『……相変わらず元気ですね』

【その近くには、20代前後に見える女性が居て身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

{……あ、あの……助けてくれてありがとうごz} 「次はあんただぜェーッ!」 {ええええええええぶふぉあっ}

【そしてもう一人、ひ弱そうな男が居て――どうやらチンピラと何かあったらしく(財布を握っていたのでおそらくカツアゲだろうか)お礼を言おうとしたのだが】
【……あっけなく、緑髪の男によって大通りに投げ飛ばされるのであった】

「うゥ〜ん、イマイチ」 『……また自警団の方々とモメるのは面倒ですので治療してきますね』

【さて、大通りに被害者が2人居るとなれば、そこそこの騒ぎにはなるかもしれないが――】
【もし最初に路地裏から出てくる存在が居るとすれば、それは女性の方だろう】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 00:05:17.03 ID:DMu786u0o
>>145

……何を目指すにしても道には苦難が付き物です
英雄などを目指すならばより辛い道のりでしょうね、普通に生きた方が遥かに楽
……と言っても、恐らくは止まらないでしょうか

【愚かと人は言う、しかし歩んだ者にしか見えない光景もあるだろう】
【原動力がなんであろうと歩いてきた道程は本物だ、それだけは偽りの無い真実】
【英雄という存在に残る物があるならば、きっとそういう類のもの】

【幼き身がどれほどの苦難を耐えられるのか】

私は褒めるのは苦手なので、もっと他の優しそうな人に頼んでいただければ良いかと
その赤い石が起点なのですね……依代、か……式神の思想に遠くはない……?

【飽くまで機械的な白色は簡単にご褒美をあげるような人格を有していない】
【相応には相応を返す、入力されれば答えを返す……電卓のようなモノだから】
【本当にご褒美が欲しいならば褒められたいのならばやはり相応のモノを提示する他ない】

――――――――?
ああ、私ですか私はただの通りすがりですストレンジャーですよ
……冗談です、私の名前は白妙と申します以後お見知り置きを……素性は、そうですね
「傍観者」という事で許していただけますか?

【少しの空白はまさか名前を聞かれるとは思わなかったから】
【本気に思える冗談混じりに白はその名を告げ、その在り方素性は告げず】
【その表情が意地悪なモノに見えたのはきっと間違いではない】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 00:27:15.97 ID:AP69a3t3o
>>147

「そんなこと、御主に言われるまでもないのだ!」
「惰眠を貪っておる時間など私にはないからの」
「日々を精一杯生きて、夢に向かって邁進せねばならんのだ!」


【何処まで本気なのか……それを察することは難しい】
【人の感情を読み取る上で重要な、声や表情というものを隠しているという事もあるが】
【見た目と言動の幼さも、人が描く"英雄"という像からかけ離れすぎているが故に】
【大抵の者はシーナの夢を幼い空想と笑うだろう】
【白妙の反応は、シーナからすれば好意的とも取れる類のものであった】


「むぅ……なんとケチで可愛げのない反応なのだ!」

「式神……とやらはよく知らんが、人形の類であれば似たようなものではないかの?」
「生き物だのを作るのであればまた別物なのだ。飽く迄も形を似せて動かしておるだけだしの」


【擬似生命……という領域ではないようだ】
【赤い石――ゴーレムコアを中心に魔翌力を血管のように張り巡らせ】
【術者の操作、もしくは事前に設定された簡単な命令を実行するだけのロボットのようなものであった】


「白妙……白妙か!傍観者だのといったよく判らん役職は私の趣味に合わんが」
「この私を見定めた慧眼に免じて特別に名前を覚えておいてやるのだ!」


【相も変わらず妙に上から目線な物言いで、白妙の言葉に対して文字を走らせる】
【ヘンテコな言い回しではあるものの、悪意的なものは匂わせてはいない】
【どうやらシーナなりに、ある程度白妙の存在を受け入れたようであった】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 01:09:29.92 ID:DMu786u0o
>>148

人の生命はその個人だけのもの
ええ、別に私は止めたりなどしませんから、どんな結末であろうと傍観するだけです
差別も区別もなく……ですね、無論可愛げなど持ちあわせてはおりませんのでご了承を

【可愛げもなければ優しくもない】
【ただ虚空を見上げる白妙の横顔は月明かりを浴び、静かだった】
【物言わぬ彫像のような壊れそうな美しさ、触れる事は叶わない】

似たようなモノ……間違ってはいませんね
しかし世にある人形には独自に思考し学習し研鑽するような代物もいるのですよ
まあ知識程度に覚えていただければそれはそれでいいですが……

【「人形」……人のカタチを模したモノ】

未来の英雄に名前を覚えていただけるとは光栄です
ですが貴方が本当に英雄になった時は、その時は少し考えなければなりませんね

ええ、私にとっては英雄は天敵ですので……

【くつくつと静かに喉を鳴らし、来た時と同じように白妙はベンチから腰を上げる】
【夜に溶ける白はどこか幻想めいて、その境界を曖昧にする】

ふふふ冗談ですよ、冗談……夜もふけて参りました
私はそろそろ消えるとしましょう、それでは英雄さんまた会う時もお元気で健やかに

【春風というには少し冷たい、そんな夜だった】
【季節感は遠くならばこの出会いも夢幻かもしれない】
【いつかシーナという個人が英雄という人物になった時には、この夜の事を忘れるだろう】

【そんな一項の、出会いであった】

/夜も深いのでこお辺りで失礼いたします!ありがとう御座いました!
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 01:10:36.64 ID:AP69a3t3o
>>149
/お疲れ様でした!
/自分そろそろ寝なきゃいけないので、返レスは明日しますね!
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/19(土) 01:19:58.46 ID:5mQ86HI/o
>>137-138

【こちらの攻撃が先ほどのようには通らない。クグツは変わっていないのに、だ】
【となればやはり――そういう点の勘はすこぶる良いと見え、空色の瞳が白衣の女性に向いた】

【丁度、彼女もこちらを睨んでいる筈。となれば暫しは視線の交錯もあるのだろう】
【互いに何を思い、どのような考えを持っているのかは――果たして其処で計れるかどうか】
【ただ、アンジェルはといえば目を逸らすことはなかった。とうに息を切らし】
【また周囲への警戒も欠かしてはいなかったが、相手が自ら離すまでは、目は向けたままで】

【――だがやがては警戒の必要も、目を向けていた対象への注意も無くなって】
【相手の声は聞こえなかったが、妙な目線に一瞬、アンジェルは怪訝そうな顔をする】

【最終的に勝者はSCARLET≠ニなるのだろうか。戦局の変化に、刀を地から引き抜いて】
【くるりと周囲を見回せば、損壊こそすれまだ動きそうなゴーレムもちらほらと見え】
【また、見知った青年も尚健在。一つ息をついたかと思えば、彼女は不意に携帯端末を取り出し】

……――私よ、ケミッシュ……GIFT≠フ件で話があるから、調べて頂戴?
ええ……紫色の髪と、ブレザーの上に白衣……そうね、学生の制服に見えたけれど。
顔付きは少し幼い……そう…。情報に無いのなら、歩いて探してね?それじゃあ…――あら

【『まだ生きてたの』なんて、知っていたことを態々口に出しての挑発――やはりらしくない】
【青年の、アルフレドの方にようやく初めて向き直ったアンジェルは、様変わりという言葉が相応しかろう】

【以前は束ねていた髪を解き、手には血刀を握り、瞳は冷酷。表情も活きているとは言い難い】
【己に向いた銃口を見ても尚その態度は変わらなかった。あまつさえ、撃ちたければ撃て、などと】
【今にも言い出しそうな様相の程であり、或いは妙な恐怖すら感じるかも知れず】

UNITED TRIGGERに……戻る?それは何の冗談なのかしら、全然面白くないけれど。
私はカノッサ機関の一員なの。機関に忠を尽くし、世界を混沌に陥れる事が至上命題……。

……気になるのなら、聞いてみればいいんじゃない?
『UTは機関員を引き込んで正義の味方面をしていたのか』って……ね。
それじゃあ……アルフレド。銃を向けるのは、一発で殺せる相手だけにしておく事よ…――?

【――すぅ、とアンジェルの身が薄まったかと思うと、瞬時にその身は赤い血霧と化し】
【やがて風に流れて空に消えた。つまり、言うだけ言って安全にこの場から退散したのだ】
【といっても、言葉の内容にしてはやや手早い撤退――案外、消耗の程は相当だったのかもしれず】

【跡に残るのは多量の血の跡。もし、後々そのサンプルなりを摂取して計測したのなら面白いことが分かるだろう】
【その全ての遺伝子型が違う≠フだ。まるで数十人の血を混ぜてぶちまけたように、グチャグチャで】
【同時にこんな話も、アルフレドなら関連付けられるかもしれない――路地裏で頻発する、ミイラ化死体事件と、彼女とを。】

/お疲れ様でしたっ!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/19(土) 02:24:58.80 ID:LhLr0/ZUo
>>151

(ケミッシュ――――ブランデン・ケミッシュか!? あの六罪王ダグラスの手駒だというクローニングの能力者……まさか、アンジェルさんは)

【携帯端末の先へと送られる言葉が、アルフレドの脳内に強い引っかかりを残していく。そして同時に、最悪の推論もまた――――】
【……ダグラス・マックスウッドがブランデン・ケミッシュというクローン軍団を従えているという情報は、上司≠ゥら直接聞き及んでいた】
【所詮推測の段階だ、まだ断言は出来ない。……いや、正直に言えば、ただ断言したくないだけだ。『UT』の輪の外にいるアルフレドにだってショックな話なのに】

【変わってしまったアンジェルが、よりにもよってあの六罪王の味方になっているという可能性。考えたくは無かったが、もはや捨てきれる考えでもなかった】


……よもやUTに入る前から、貴女は機関員だったというのですか……!!
そんな事が――――くっ、ま、待て!! クソッ………!!


【本当なら、アンジェルが目の前で携帯端末を取り出した時点で発砲すべきだったのだ。だが結局、彼女が姿を消す最後の瞬間まで、アルフレドは撃てなかった】
【手が……震えている。アンジェルが悪≠フ側に付いてしまったという現実に打ちのめされたのもあるが、何より彼女から感じた『恐怖』が――――】
【アルフレドの人差し指を金縛りにかけていた。実際、得体の知れない血液操作を使う彼女相手にボロボロになった今の自分が歯向かって、勝てていたとは到底思えず】
【……アンジェルがその場から消えた後、アルフレドは膝から崩れ落ちた。残ったゴーレムを集めて倉庫内の探索なども行わねばならないが、それでも……動けない】


【青年が身体を駆け巡る『恐怖』と、冷酷な現実の重みからどうにか立ち直ったのは、それから数分後の事――――】


/続きます!
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/19(土) 02:31:30.52 ID:LhLr0/ZUo


……もしもし、情報の方は大丈夫でしたか?

『うむ、第一目ひょう≠ワではすべて取りこんだぞ。だがやつらのてったい≠ェ早すぎて、それいこうはダメだった…………』

【アルフレドは両手の銃を取り落として、変わりに『W-Phone』を取り出すと、その先の仲間と連絡を取るだろうか】
【……GIFT側を襲撃して戦力を引きずり出し、その間に仲間を倉庫内に潜入させてとあるデータ≠奪う――――陽動作戦。元々、今回の趣旨は時間稼ぎだった】
【敵側がこちらの意図に気づいていたかどうかは不明だが、とにかくこちらの挑発に乗らず早めに撤退を選んだせいで、最重要機密にまでは到達できなかったものの】
【――――それでも、及第点ではある。最低限入手しなければならかったものはこれで手に入った。後はこれを資料にまとめて、自警団側へ提出するのみ】

『それより、おまえの方はだいじょうぶか!? やはりたったひとりでは……!』

いえ、一人ではありませんでしたから。一応、ね…………。

【これでとりあえず任務達成といったところだが……精神的には強い敗北感が残った。原因はもちろん変貌を遂げたアンジェルの問題だ】
【電話越しに心配そうな声が掛かると、アルフレドは倉庫の壁にもたれて荒い息を吐く。地面に広がる多量の血には、少なからず自分のものだって混じっていて】

【止血などの応急処置を行う傍ら、ゴーレムへ指示を出して倉庫内に残った器物を調査させる。同時に、アンジェルの残していった血液も採取させておく】
【GIFT側もあれだけの手際だ、恐らく重要なものは全て処分されているだろうし、アンジェルにしたってどこまでの情報が掴めるかは解らない】
【――――ひとつ確実に言えるのは、この戦闘に勝者≠ヘ居ないということだろう。それぞれが身体に、心に傷を負わされて、静かに戦場から去っていくだけだ】

(………………、)

【アルフレドが心身に負った傷もまた、大きいが――――それよりも、これから更に負うであろう傷の方が、更に大きいかもしれなかった】
【……今回の作戦は、警察側に一切詳細を伝えず行った独断専行だった。確実に責任は問われる。それにこれから行う重大な裏切り≠思えば、最悪の場合】
【アルフレド・フェリシアーノは、職を辞することになるだろう。努力の末にやっと掴んだ刑事≠ニいう夢を失って、自分はまだ正義を掲げていられるだろうか?】

【そんな風に考えていた中……アンジェルが胸中に深く打ち込んでいった禍根の杭が、逆に彼にある決意≠させる――――】


(……僕はやはり、この道を行きたい――――)


【――――例え警察を辞めることになろうと、目の前で広がる悪の陰謀はやはり見過ごせない。アンジェルのことだって、放っておけない】
【今回の任務、決して一人では成し得なかった。ゴーレムを作ってくれた天才魔術師≠フ手腕に加え、結果的にだがアンジェルの力もプラスになっていた】
【他にも多くの人間に助けられてここまで来たのだ。もし彼らが、また手を貸してくれるのなら――――自分は正義として、SCARLETとして、立っていられる気がして】

先に合流地点へ移動していて下さい。早急に戻って情報を纏めましょう――――。

【あらかた事後調査も終わったころ、青年は脚に活を入れて立ち上がると、ゴーレムと共に帰路に就いて行く。『W-Phone』の先へと冷静な指示を飛ばしながら】
【こんなところでいつまでも倒れてはいられない。今度の件がどのような結末を迎えるにせよ――――ここからが、本番なのだ】
【アサド・アル=アーデルという尊敬する男の顔と、エドガー・ハーレイというかつての恩師の顔。それらを強く思い浮かべながら、アルフレドは去っていく】

【――――彼が入手した情報が、水の国自警団側へ内部告発≠ニいう形で通達されるのは、この数時間ほど後の事である】


/お疲れ様でした!!
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/04/19(土) 10:17:27.45 ID:GK/Wp6GG0
その日は生憎の雨であった
天気予報を確認しなかったのは自分の落ち度だが、春の天気はここまで変わりやすいのか
数時間前までは晴天真っ盛りな青空だったのに今はドス黒い雲に覆われて大粒の雨を降らしている

「ホント…! 運が悪いな…!」

その雨は身をジットリと濡らして体の中まで冷やしてくるの直に感じながら
白髪の少年は雨で人気のない路上を走り去っていた
石畳の路上が雨で濡れているこの洋風な風景は故郷とは違い、とても観光地としては風流だが楽しんでいる余裕もない

小柄で線の細い華奢な白髪の少年
雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる
薄手の灰色のコートを身に纏う
初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう

「雨宿りは…ここかな…!」

そこは公園というには少々寂しい、広場にポツンとある屋根つきのベンチだった
木でてきた素朴な休憩所のようだが、雨をしのぐのには十分だ

少年はその屋根の下に飛び込んで雨に濡れたコートをベンチの上に置く
少年も走りつかれたのか、赤く息の上がった体を落ち着かせるためにベンチに座る

雨脚はさらに強まる
にわか雨だと思うが、弱まる気配もない
そしてこの天気に出会い、雨宿りをする人物も少なくはないだろう
きっとこの少年のいる休憩所を見つけてやってくる人物がいても何もおかしくないはずだ
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2014/04/19(土) 14:27:40.96 ID:HLEHZOgu0
>>154

どうやら先客がいたらしいな。

156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2014/04/19(土) 14:30:19.06 ID:HLEHZOgu0
>>155
/あわわわ…誤爆
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 18:27:32.25 ID:AP69a3t3o
>>149

「それは方向性の問題だの。生物を作りたいか、戦う力を生み出したいか」
「私としては、賢い人形よりも硬くて強い傀儡の方が扱いやすいのだ!」


【どうやら、そういった存在を知識として理解していないわけではなかったようだ】
【シーナはそれを知った上で、高度な知能ではなく機能を取っていた】
【しかし、優秀な知能を持ったゴーレムも視野に入れていないわけではない】
【高度な自律行動が可能ならば、それはそれで戦術の幅は広がるのだから】


「天敵か――ならばしかと頭に刻んでおくがいいぞ!」
「英雄譚には好敵手が不可欠だからの!」
「御主が立ちはだかるならば、このシーナ様が全力を以て蹴散らしてやるのだ!」


【こちらは――冗談なのか本気なのかいまいちよくわからない】
【口元をニヤリといった具合に吊り上げながら返事を記すと】
【去っていく彼女の背中に小さく手を振って、残りのシュークリームに手をつけ始めたのだった】

/改めてお疲れ様でした!
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 19:01:14.78 ID:LhLr0/ZUo

【水の国・アトラヴェル、旧市街――――『アトラヴェル第三産業ビル』】

【街の更なる繁栄を願って造られたはずのこの場所が、その成長の波に取り残されてしまって、どのぐらい経っただろうか】
【今やこのビルには、その日暮らしで帰る場所のない貧しい者達ですら滅多に近づくことはない。寒さを凌ぐだけなら上等な場所ではあるが――――】
【『危ない組織が根城にしている』なんて噂が立って、実際に踏み入って帰ってこなかった者もいたなんて話が広まれば、当然のことだった】
【故に………この場所がこれだけの賑わいを見せたことは、本当に何十年ぶりかのことだったのだ】

『――――A班は引き続き逃亡者の追跡! B班、C班は各出入り口を固めろ!!』

『は、話が違うぞ! 私は………や、やめろ離せッ!! 私は自警団にも出資しているのだ、それを無碍に扱うなどっ………!!』

【金属同士がぶつかり合う甲高い音に、肥え太ったような野太い悲鳴。激戦の余波はきっと、建物の外にまで響き渡っていたことだろう】
【水の国自警団とGIFT≠ニが、内外で激しくぶつかり合う。その中心であり、最初の舞台となった場所が――――ここ。ビル四階の会議室だった】
【今回の会合≠フ直接の会場となった場所である。つい数分前まで、GIFTの構成員から彼らに出資していたその筋の重鎮までが一堂に会していたのだが……】
【自警団側の突入に気づけなかった彼らは既に半数が捕らえられ、残りは逃亡中の状態だ。故にいまこの場に居るのは自警団員たちだけだった】

【――――いや、ひとつ補足するとすれば、たったいまひとりの青年が部屋を飛び出していくまでは「自警団員と警察官」であったのだが】


「クソ…………ッ!!」

【悪態を付いて階段を上っていくのは、前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁のメガネを掛けた、怜悧な雰囲気の青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はジーンズと膝丈ブーツという服装。上半身や腰、太腿などにはポーチ付きのベルトを装備していて】
【左胸の上と腰の左右にはホルスターがあり、左胸には派手な金色をした大型拳銃が心臓を守るかのように吊り下げられている】
【そして本来、腰の左右に吊り下げられている筈の奇抜な形状の銃器。それは既に二丁とも、彼の両手の中で引き金が引かれる瞬間を待ちわびているだろうか】

【――――アルフレド・フェリシアーノ。水の国警察の刑事であり、今回の討ち入り≠ノ関する情報を警察内部から自警団に報せた人物だ】


/続きます!
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 19:04:54.68 ID:LhLr0/ZUo

【左肩にはSCARLETを示すエンブレム、右肩には水の国警察を示すエンブレム。シャツにきつく縫い付けられたそのどちらもが、今やひどく色褪せて見えた】
【アサド・アル=アーデル、そしてエドガー・ハーレイ。どちらも二つのエンブレムを象徴する男達で、同時に今回の事件のキーパーソンである】
【……エドガーがどこかでGIFTと内通し、アサドに濡れ衣を着せて不当な逮捕を行った。これがアルフレドが掴んでいる事件の概要で、自警団に伝えた内容だ】
【水の国警察から砂の国自警団への、重大な犯罪行為――――そういう認識で間違いない。これだけでも世論を揺るがす大事件であるが】

【このアルフレドにとっては、少し趣が違う。……彼にとってアサドは信頼する隊長であり、エドガーは新人時代に自分の面倒を見てくれた恩師≠セったのだから】

「(…………エドガー課長、貴方は一体――――、)」

【会議室を出たアルフレドは、階段を上りながら必死に頭を回す。彼が駆けつけた時にはもう、会合の会場にエドガーの姿はなかった】
【ビルは七階立てで、ここは四階である。逃げ場は上にも下にもあるが――――アルフレドが選んだのは上階だった】
【単純に逃げるのであれば下が妥当だが、そちらは自警団が固めている。自棄になって突撃するような考えの浅い人間ではない、より確実な方法を採った筈だ】
【――――上階に戦力を集中して立てこもり、屋上に救援が来るのを待つ。自分ならそうするし、自分を鍛えてくれた彼であってもきっとそうする】
【そんな確信にも近い刑事の勘≠ノ加えて、もう一つ……アルフレドに上階への道を選ばせた要因があった】


「(ここで、何をしていたのですか――――!?)」


【……血痕≠セ。上階に続く道なりにぽつぽつと、まだ真新しい血痕が滴っているのだ】
【先程までアルフレドも居たあの会合の場には、最近作られたばかりだと思しき血溜まり≠ェ出来上がっていた――――】
【あそこで激しい流血を伴う何かしらの行為が、誰かに対して行われていた……誰の目から見ても、そう想像するのは簡単だっただろう】
【血を流している本人が移動しているのか、それともその人物を誰かが連れていったのかはわからないが……この血痕の続く先に、恐らくは悪≠ェいる!】

【――――火薬の臭いと血の臭いが、ここが戦場≠ナあることを告げている。各階では今まさに、血で血を洗う激戦が繰り広げられているのかもしれなかったし】
【アルフレドと同じくこの血痕の意味に気づいて、彼と合流する形で七階≠ヨと向かって行く者が居たかもしれない】
【形はどうあれ。悪と正義という決して相容れないもの同士が、こうして同じ場所に集ってしまった以上は――――きっと誰もが、無事ではいられない】

【歪んでしまった正義。覆い隠された真実。三者三様の闘争≠フ世界の中を、能力者達の意志が鮮烈に駆け抜けていく――――】


/本日のイベントの冒頭部分になります! 防衛側の方は順次投下を開始してください!
/なお【BATTLE T】の方用の文はこの後すぐに投下しますので、こちらにレスは付けず少々お待ち下さい〜
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 19:09:54.27 ID:LhLr0/ZUo

【アトラヴェル第三産業ビル七階、『貴賓室』――――】

「……中の様子は、伺えませんね……」

【両開きの巨大な扉の前に、一同は立っているだろうか。ここに至った理由は様々だろうが、GIFTの退治という大儀だけはきっと変わらないはずで】
【階段からずっと続いていた血痕≠ヘこの場所で途切れている。それどころか、扉の前には一際多量の血が残されているのが分かるだろう】
【明らかに、この先に何かがある――――階下や屋上からは絶えず戦闘の音が響いてくるが、この扉だけが重たい沈黙を守り続けていた】
【少なくとも、聴覚から中の様子を割り出すのは不可能。そう判断して……聞き耳を立てていたアルフレドは、一行の方へ目を向ける】

「――――改めて、僕は水の国警察のアルフレド・フェリシアーノと申します。
 此度は身内の不祥事でご迷惑をお掛けしてしまい、謝っても謝り切れませんが……どうか今ばかりは、力を貸していただきたい。

 恐らくこの先に、首謀者であるエドガー・ハーレイがいる筈です。
 あの人は……いえ、彼は周到な男でした。罠が待ち受けている可能性もある……十分にご注意を」

【右肩に縫い付けられた警察≠フエンブレムが、彼が今回の件の首謀者と同じ組織の一員であることを如実に示していた】
【アルフレドは沈痛な表情で一礼すると、全員に注意を促す。「あの人」なんて言葉がふと漏れ出すのは、まだどこかで非情になり切れていないからか】
【……重たい表情と努めて感情を殺した声色から、彼とエドガーという男が知己の間柄だったのが三人にも推測できるかもしれない】

「準備が出来次第、突入します。何かあれば今のうちに仰って下さい」

【アルフレドはまだ固まっていない血を踏みしめて、取っ手に手を掛ける。中でエドガーが逃走の手立てを整えていないとも限らないのだ】
【あまり時間をかけてはいられない。最後に一度全員の瞳を覗き見て、彼は最終確認を取ろうとするだろうか】
【この先は正しく、渦巻く陰謀と謎の中心地……鉄火場と化したこのビル内でも、ここが恐らく最も危険な場所である筈であって】
【アルフレドに聞きたいことや確認したいこと、準備しておきたいこと。もしそんな何かがあれば、今のうちに備えておくに越したことはないだろう】

【ただ前述の通り、そう時間はかけられない。この問答が終わったなら、アルフレドは目の前の扉を開けるはずだ――――】


/こちらがVS主催の投下文となります!
/【BATTLE T】の参加者様はこちらにレスをお願いします!
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 19:18:37.83 ID:zTn/IBOE0
【六階・講演ホール】


【―――遠く、厚い壁に隔てられた向こう側。小さくとも阿鼻叫喚の4文字と分かる音が聞こえて来るのは、一体何故だろうか。】

【ここ講演ホールは未だ、戦場と化してはいない。集会でも行われている様な平常と同じ、静寂が保たれていて。】
【所狭しと並んでいる赤い生地の椅子は……正に圧巻、現在のGIFTの勢力を理解する事が出来るのだろう。】
【座ってみると、尚更驚く事となる。どの席に座っても、必ず、メインステージの全貌を眺める事が出来るのだ。】
【GIFTにあるまじき、極めて公平な姿―――然しまあ、早くもコレで、見納めとなってしまうのだろうか。】

【然し今日、この場で繰り広げられているのは、論争なんて生易しい物ではなく。……戦争だ。】
【より具体的に、明確に言うなら、"殺し合い"。……GIFT側も自警団側も、既に死亡者が出ている事は、言うまでもない。】
【然しだからと言って、彼らを悼むなんて行為は、到底許される者ではない。何と、余裕のない時代に生かされている事か。】


……〜〜〜♪ ………〜〜〜〜♪

【―――不意に、静寂を包んだ旋律が、一つ。極めて優雅で綺羅びやか、……隔たりが有れば、世界はこうも異なる物なのか。】
【女性というよりは、少女に近い、幼い響き―――それはメインステージから聞こえて来るのだから、直ぐに分かる筈だ。】
【真っ暗な舞台に、突然スポットライトが当たる。浮かび上がったのは、……一体、ドコの国の王女だろうか?】

【クリスタルの様に澄んだ、背中まで伸びた碧色のロングヘアーに、ターコイズが嵌め込まれたかの様な美しく蒼い眼、】
【青い華の装飾があしらわれた、若干薄めの水色に見えるドレスは……きっと、誰が着ても美しく見える筈で、】
【先程少女と表現した人物……顔立ちから言って、恐らく16歳程。……彼女が、今日の主演女優だ。】

【響き渡る旋律は、それでも講演ホールの隅から隅まで届く筈だ。恐らくは、そういう作りになっている。】
【もし此処、講演ホールに正義に生きる者が現れたのなら―――真っ先とは言わずとも、必ず、"舞台上の姫"の存在に気付く事になろう。】
【今宵の舞台は、如何なる物語を生み出して行くのか……そればかりは、誰もが知らない事だ。我々は、常に観客……であって。】


/こちらいぬかわです!シュネイ・シュトゥルムさんお願いします!
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/19(土) 19:23:09.07 ID:AP69a3t3o
>>160

「ふん――前にも言ったが、私は事件の黒幕とやらをぶっ飛ばすと決めておるのだ」
「改まって言われずとも、手の一つや二つ貸してやる」


【アルフレドの謝罪に対して返ったのはそんな"文字"であった】
【扉の前、アルフレドから一歩後ろの位置に佇む大男は】
【中に潜むであろう脅威を恐ることもなく、ただ堂々とその場に立っていた】

【その男……身長は190cm程であろうか、服の上から見ても分かるほど逞しい鎧のような筋肉を付けている】
【隆々とした身体を漆黒の法衣で包み、右手には巨大なバトルハンマーを持ち、背には長く厚い大剣を括りつけていた】
【そこまでは常人でもありうる格好であろうが、一つだけ異様とも言える要素が存在した】
【肩から生えており漫画のフキダシを思わせる"ボード"。その板上で黒い粒子が蠢き形を変えて】
【"一切声を発さない"この男の"台詞"を文字として表現していた】


「構わん、さっさと開くがいいのだ。こうしておる時間も勿体ないからの」
「何が来ようとも、このシーナ様が蹴散らしてくれるのだ!」


【大男――地術師シーナ・ゲルギルは、戦鎚を肩に担ぐようにして構えながらその扉が開かれる時を待つ】
【記す言葉は余裕だが、緊張感がないわけではない。得物を握る手を力が篭もり】
【いつでも動き出せるようにと周囲の"床"に魔力が薄らと流されていく】


【開戦の時はもう間もなく。これから何が起こり、舞台はどのように展開していくのか】
【それを知るのはこの先にいる首謀者その人だけであろう】
【友を傷つけた者を叩き潰すべく、シーナは"ゴーレムの中"で一層気合を入れて身構えていた】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 19:25:00.35 ID:+1PDzrUco
【一階&二階・エントランスホール】

【いつもだったら静かなその場所は、今日に限って以上に騒がしく】
【あちらこちらから野太い怒号のような物が飛び交う様はまるで動物園】



早く!早く逃げてくださいっ!
つ…捕まっちゃいますよぉっ!?

【二階にまで響き渡る声を上げて、避難誘導をしていたのは一人の少女】
【腰まであるクリーム色の髪の毛は声を上げるたびに激しく揺れ】
【ふんわりとしたローブも動きに合わせて激しく靡いている】

【そしてその誘導に従いながら死に物狂いで逃げる数人の中年の男達】
【その姿は宛ら闘牛のようである】

だ…大丈夫ですから!押さないで!慌てないで!

【少女のそんな声など中年達には届かない】
【中年達は自分たちが良ければいいの精神の元でむちゃくちゃな行動をしていた】
【こんな広いのにここぞとばかりに何故か押し合っているのだ】


話を…話を聞いてくださぁいっっ!!!


【言う事を聞かない中年達に大絶叫】
【少女も少女でこの中年達を逃がすのに必死らしい】
【だけど混乱する中年達の動きは止まらない。これは捕まるのも時間の問題か?】

【それにシズエはまだ気づいていないが、二階にも隠れているGIFTへの出資者が結構居る】
【差し詰めシズエの実力を疑い、事が収まるまで隠れていようと言った考えでもあるのだろう】


/シズエでございます!ヨーレレイさんのお方よろしくお願いします!





164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/19(土) 19:35:11.15 ID:VPZkn7Rpo
>>160

【ビル風は激しく、されど大きな音は立てずに吹き荒れるだろうか。まるで、獣が唸るそれにも近しく、低く。】
【それでいて勇猛さと切なさを兼ね備えた風は、渦中の建物を揺らす様に何度も何度も、高層ビルの間をすり抜ける。】
【一つの正義と、其れに纏わる幾つもの思案が、ぐるぐると渦巻いたこの建物を象徴しているのか、悲しさを孕んで、尚も。】

【目の前に居る男の胸中を、その全てを察する事は出来ないと、"彼女"はそう感じた。上司の、いや信頼する誰かの、裏切り。】
【それがこういう、最悪の形とも呼べる状態で露呈し、何よりその咎を追うのが自身であるという境遇―――きっと、辛くない筈が無い。】
【それでも尚、彼は、彼等は"エドガー"と呼ばれた諸悪の根源を追撃する事を決めた。重要なのはその覚悟の、決意の深さだろうか。】

【決意―――そう、決意だ。自分は今何故此処にいるのか。正義の組織を率いる人間だから?】
【それとも賞金稼ぎだから? 捕まっているアサドという人物が、かつて共闘した戦士だから? そのどれもが正しい。】
【だがそれ以上に―――"彼女"の胸中には悲しさがあった。原動力は悔しさだとか、無力感だとか、そういった物の方が大きいだろう。】


  ……でも、考えすぎても無駄、だよね。
  

【ぽつりと呟き女―――セリーナ・ザ・"キッド"は手元のリボルバー拳銃―――相棒の"弾"末魔に弾丸を、込めた。】
【信頼を置いていたかはともかく、正義を名乗る警察組織の内紛。そのトップに近い人物の、黒い一面を追うというこの任務。】
【仮にセリーナでなくとも、愉しいミッションでは無いのではないだろうか。きっと、銃を撃って剣を振るうだけでは、この戦いは終わらない。】


  ―――だからこそ、ハッキリ、させようよ。アルフレド君。
  別にアタシは、エドガーさんをよく知る人間でもなければ、貴方のように彼と関係を持っている誰かでもない。
  けど、彼は警察だった。それだけで、アタシ達が皆―――正義を掲げる人間なら皆、ある意味で関係者って言えない事も、ない。

  だからそんな、"不祥事"だとか、"迷惑"だとか、そういうのは止めよう。これはみんなの抱える問題だ。
  みんなで解決していく問題だ。彼がどうして、蛇になってしまったのか……その理由をきちんと、解明しないと! ね。
  謝ったり何かするのはそれから、それから! 今はタダ、死なない様に頑張ろう! ほら、案内係がそんな顔じゃ、不安になっちゃうよ!


【ガチャリ、と鈍い鉄の音を響かせて。セリーナは愛銃に弾薬を込め終わる。火薬を前から押し込み、ハンマーを起こす。】
【そしてもう片方の手では二対のガン・ベルトに備えられたもう一人の相棒、COLT S.A.Aに指をかけ、何時でも発砲出切る様にし】
【アルフレドが扉を開けるのならば―――突撃、と言うよりもゆっくりと一歩を踏み出す形で、前へと進むだろう。その先に待つのは――――】

/セリーナ・ザ・"キッド"でございます!
今夜はシーナの方、そしてブラックの方、主催者様、宜しくお願いします!
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 19:43:09.26 ID:d9H2S5qSO
>>161
【───少女が旋律を奏でる最中、ホールのドアがひどくゆっくり、かつ重々しく開く。】
【大きな扉から顔を覗かせるは、一人の少女。】

【それは少なくとも舞台の歌姫よりは幼く、このような戦場≠フ真っ只中に居ること自体かなり異質かもしれない。】
【彼女は黒く長い髪に蒼い双眸で、服装にも自警団などのエンブレムが張り付いている…という訳でもない。】
【そして武器らしい武器も持っていないように見える。】

「…………?」
(こんな時に………??)

【……………暗闇の中明らかに目立つ、そちらの存在にすぐさま気付いたことは言うまでもない。】
【少女は動くことも、攻撃することもなく、入り口からただそちらを見ているだけであった。】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/19(土) 19:47:26.93 ID:p/19rMhZo
>>163
出入り口の封鎖、了解

【服の襟につけたマイクに声を落とし、さっと周囲に藍色の瞳を向ける】
【そこはエントランスホール、このビルでおそらくもっとも人の出入りの多い場所】

各人出入り口の封鎖に急げ、虫一匹逃すんじゃない
また逃亡者の確保を、抵抗するなら"多少"傷つけてもかまわない

【その声にこたえるように散開する自警団と"火の国"の警察】
【最初の戦場となった四階会議室、そこから二、三階下のフロアであるこのフロア】
【そこではごった返す"重鎮"の姿】
【それを見て、先ほどの言葉を発した男は藍色の目を細める】

……

【男は一時的にこの班の指揮を任されている"警察"だった】
【その身には警察の技術で作られたそれだけで軽装鎧に匹敵する防御力を誇るコートを纏い】
【襟には"火の国警察"の所属を表す紋章、腰には一振りの銃剣を刷き、頭には古ぼけた軍帽を被る】
【また、その背には金属でできた箱を背負っている】

……

【自警団と警察が出入り口を封鎖し、時に逃亡者を確保する中、男は眼を閉じ、正面玄関前で突っ立っていた】

(脱出口となりえる箇所は……それに動員する人数……逃亡者の逃走経路……)

【そして男はある一つの情報を得、そしてすっと目を開ける】

……叫び声、年齢は……少女といった年の頃と憶測

【その叫び声、それは避難を促す声であり、また逃げようとしているわけでもない】
【よって推測されるのは……】

GIFTか

【男は腰から警棒を抜き、少女の居る方へと駆ける】
【現在援護要請をするには人数が足りない、外にいる人員はあくまで補助であるが、同時にビルから逃げ出した者を捕まえる最後の砦】

(GIFTには警察もかかわっているか……味方だと誤解してくれたらありがたいものだ)

【そう思いつつ、男は少女のもとへと駆ける】
【殺気も害意もない、そこにあるのはただただ使命感だけであった】

//ヨーレレイです
//シズエの方、本日はよろしくお願いします
//あと始まってそうそう少し返信が遅れてしまうかもです……
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/19(土) 19:56:23.62 ID:7mgluKxd0
>>160

【目の前の両開きの巨大な扉は、まるで待ち構えるかのようにずっしりと其処に在って】
【奥には何かを、確かに何かを感じるが、階段から続く血痕を追って来たという理由だけでそれを感じる訳ではない】
【長くこういった場所を潜った経験とも言うべき、謂わば第六感の様な物が働いて、奥からやって来るそれを主へ伝えていた】

【タイツの様にフィットした黒いバトルスーツ、下は濃灰色の軍服ズボン】
【それを纏うのは黒髪のオールバックに、口髭を生やした老人】
【バトルスーツ下のベルトに固定された軍刀の鞘は、既に刀身が抜かれていて】
【右手に持つシンプルな軍刀の刃は、鋭く静かに輝いていた】

うむ、よろしくお願いしますな、アルフレド・フェリシアーノ殿。
私は水の国国軍より参りました、ブラック・レッドライン少将でございます。
まあ……見ての通りのご老体ですが、足を引っ張らないよう頑張りますので。

【軍人らしい体格の良い肉体、バトルスーツである為にそれははっきりと分かる】
【しかしそれとは不釣り合いに優しく微笑む老人、何だかギャップというものを感じる】
【そんな表情のまま、ブラックはアルフレドに一言だけ伝えることがあって】

実は私、ミドナ殿という女性に頼まれましてな、あなた方の事。
なのでこうして応援に来た次第でして……と、詳しくは終わってからですな。

セリーナ殿とは初めてですな、今回はよろしくお願いしますぞ、頼りにしておりますので。
それに、美人と組めるとはなんと運が良いこと……来てみて正解でしたな。

…………さて、参りましょうぞ……!

【アルフレドが扉を開くと、ブラックは刀をゆっくりと構えた】

/ブラック中身です、皆さまよろしくお願いします!
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 20:05:09.35 ID:zTn/IBOE0
>>165

【自らの声帯を震わせていても尚、"歌姫"は遥か遠く、ゆっくりと開かれる扉の音を確かに聴きとった。】
【……同時、戦場の中響く美しい音色は、このホールに溶けて無くなる。……再び生まれた、静寂。】

【……確かに、彼女の反応は正しい。何よりこの少女は、一体何者なのか。全ての前提、正義か悪かさえ分からないのだ。】
【呆然と立ち竦むのは、無理もない。……然し一方舞台上のアクターの対応は、真逆。クスクスと、嗤っていて。】

【―――彼女の素性を知るには、この言葉で十分なのかも知れない。】


……こんにちは。"誰も入っちゃダメ"って、張り紙してあったでしょ? 何で入って来たの? ねえ?
………言い訳なんか、聞きたくない。アタシの舞台、止めちゃったんだから……責任、取ってくれるよね?

【彼女も同じだ。武器らしい武器を持っている訳でも無ければ、所属を示す何か印があるという訳でもない。】
【―――然し、彼女は戦える。自分よりも幼い少女に、少なくとも責任を取らさせる術は持っている。】

【責任を取ってくれるかの返事、YESかNOかに関わらず、……丁度少女から見て3m先位か、】
【先端が極めて鋭い氷の刺が徐々に形成されて……やがて、独りでに動き出す。】
【勿論、対象は手ぶらの少女だ。……急所ではなく肩を狙っている辺り、どう見るか。】

【……因みに、張り紙は確かにしてあった。"立入禁止"を、……異国の文字で書かれてあったのだが。】
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 20:05:36.07 ID:+1PDzrUco
>>166

【未だ逃げようとする数人の中年達は落ち着きを取り戻せていない】
【いつもなら腹の立つほど踏ん反り返っているのに、こんなときに限ってこの様】
【正直シズエ的にも全員逃がすのは無理かもしれないなんて思っている】

あー…じゃあ隠れてくださいっ!二階の小部屋に散って!
後から私が助けに行きますから!

し…信じてくださいよっ…。私そんなに弱くないですよっ!

【当初の計画では、自分と重鎮達を引き連れ警察たちを突破】
【そして自分だけ戻り、残っている物たちの救助】
【そこからまた苦戦している場所への応戦】
【そこまでを難なくこなすつもりだったが、どうやらそれは無理みたいと悟る】

は…早く隠れてっ!!

【案の定もたついている間にシズエの視界に駆けてくる男の姿が入る】
【中年達もそれに気づいたのだろう、それぞれゴキブリの様な速さで二階へと逃げて行く】
【第三者の目から見れば完全な喜劇だ】


(今回の任務…重鎮及び上層部の護衛。邪魔だと判断した者には危害を加えてもいい…)

【駆けてくる男が敵か味方かなんて関係ない】
【シズエにとっては命令をこなすのが第一、男はその進行の邪魔になる存在でしかない】
【よってシズエが下した判断は――――-】


ご…ご…ごめんなさいっ!邪魔です!

【消極的な態度とは裏腹に、両手から放たれる無数の糸】
【どうやら魔翌力は殆ど込められていないらしく、完全なる牽制目的の獅子おどしに過ぎない】
【だけど当たれば多少なりとも動きは制限されてしまうだろう】

/どうぞ御緩りとー
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 20:06:12.07 ID:LhLr0/ZUo
>>162

「シーナさん……先日はゴーレムをありがとうございました。あの後、無事にレラとも合流できましたよ。
 本当に、この状況を作り出すことが出来たのは貴女のお陰です――――後はこの扉の先の真実≠暴くのみ。どうか、よろしくお願いします」

【アルフレドは相変わらずの生真面目さでシーナに軽く一礼する。年齢差を考えればやや異様な光景だが、実際彼女には本当に頭が上がらない――――】
【先日の出会いの後、青年はシーナが手配してくれたゴーレムを引き連れてGIFTの拠点のひとつを襲撃。予想外の苦戦を強いられはしたものの】
【その場に偶然居合わせた闖入者≠フ手も借りて、どうにか本日の会合の情報を奪うことが出来たのだった】
【後はエドガー・ハーレイを確保して、全ての不正を暴くことが出来たなら。シーナの友達≠熕ーれて無実の罪から解放されることとなるだろう】


>>164

「あのセリーナ・ザ・"キッド"さんにそう言って頂けるのなら、本当に救われますよ。
 エドガー課長は、本当に良い方だったんです。一緒に今の腐敗した警察組織を改革しようと、大きな夢を語り合った――――。

 ……すみません、どうにも辛気臭くなってしまって。課長のためにも隊長のためにも、ここで全てにケリを付けましょう。
 全部が終わった時は――――また後日、改めて色々とお話させてください。……少々、お伝えしておきたいこともありますので」

【セリーナの激励を受けて、暗かったアルフレドの表情も少しだけ明るくなるだろうか。自分達をまだ正義≠ニ呼んでくれる事が、心の底から嬉しくて】
【今のエドガーは「本部長」だが、アルフレドは彼を「課長」と呼ぶ。そんな呼称一つとっても、彼にとってエドガーの存在がどれだけ大きかったか推し量れるか】
【ふっと軽く笑顔を浮かべ、アルフレドは取っ手を握る手に力を込めた。……アンジェルの事もセリーナに伝えなければならないのだ。ここでは、まだ死ねない】


>>167

ブラック・レッドラインさんですね。とんでもない、ご協力頂けるだけでも――――えっ、ミドナとお話になったんですか!?
まぁ彼女の事だから、しぶとく生きているとは思っていましたが……そうだ、色々愚痴を垂れ流したりしてご迷惑をお掛けしませんでしたか?
ミドナもこの件が片付けば、無事に自由の身になるでしょう。その時は彼女共々、お詫びとお礼に伺わせて頂きますよ。

【謙虚な態度で接してくるブラックに、アルフレドは恐縮したような台詞を零すが……ミドナという名前を聞いたなら、途端に血相を変えた】
【……妙に扱いが雑ではあるものの、安堵の表情は心配していた証だ。それから彼はブラックへ、まるで母親のように世話焼きな言葉を並べ立てていくだろうか】
【ともあれ、仲間の名を聞いたことで少しばかり緊張も解れたらしい。すると心中に残るのは、強い覚悟≠フみ――――後はもう、扉を開けるだけだった】


/すみません、あと二つ続きます……!
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 20:07:50.96 ID:LhLr0/ZUo

>>ALL

では皆さん、それぞれ武器の準備を。開けますよ――――!

【三人それぞれの意思を受け取って、最早アルフレドの胸中にも迷いはない。彼は腕に力を込め、一気に扉を押し開く――――】


【……そうして踏み入った部屋の内部は、比較的閑散としているだろうか。電気は付いておらず、大きな窓から取り込まれる月光だけが室内を照らし出していた】
【室内は入り口を中心として左右に広がっているような構造で、三人はまず部屋の中央に立つことになるだろう。中の様子は、まず右奥に木製のカウンターがあり】
【左奥にはデスクが二つと来客用の大きなソファーやテーブルが一式。壁一面は空の本棚で埋め尽くされており、僅かな隙間には絵画などが展示されている】
【天井には美麗な硝子細工のシャンデリアがつり下げられており、もし灯りが点っていたならさぞ高貴で美しく映ったことだろう】

【そして床には、いかにも高級そうな真紅色の絨毯が敷かれていて――――色が同じお陰で、ここだけは飛び散っているモノ≠ェいくらか目立ちにくい筈だった】

「…………な、………………ッ!!?」

【……アルフレドが思わず絶句する。気品に溢れた内装は、右奥のカウンターの椅子に座った人影を中心として、真っ赤な液体に犯されているだろうか――――】
【拷問部屋に成り果てた室内で微かに呻く……その男≠フ声。紫だった髪を赤色に染めて、頬は腫れて歯は欠け、両手の爪を全て剥がされた、そんな人物】
【事前に手渡された資料で、三人も確認していた筈だ。そしてそれはアルフレドにとって、絶対に見間違いようの無い人相であった】


「え―――――――――エドガー課長ッッ!!!」


【絶叫じみた声色で、アルフレドは男の名を叫ぶ――――変わり果ててしまった現アトラヴェル警察本部長、エドガー・ハーレイの名を】

【……それは誰の目から見ても、冷静さを欠いた行動だっただろう。それだけ彼にとって、エドガーという男が大事であったのかもしれないが――――】
【とにかく、血達磨になったかつての恩人を前にアルフレドが冷静さを失って、無警戒に部屋の奥へと踏み込んでしまったのは事実】

【彼には見えていなかったが、三人になら見えたはずだ。焦燥して走るアルフレドとエドガーとの間の空間が一瞬、ぐにゃりと歪んだ光景が】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 20:10:08.87 ID:LhLr0/ZUo



――――――ひゃァーーーーーーーーッははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
  ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははァァ――――――――――ッッッ!!!!



【絶叫の如く嘲笑じみた、いっそ咆哮のような嗤い声。そんな不愉快極まりない声色が部屋中に響き渡ると同時、最初の変化≠ェ訪れる】

【――――アルフレドの体に突如、太いサバイバルナイフが『生えた』。そうとしか言いようがない程に何の予兆もなく、青年の腹部に致命的な大穴が空く!】
【ナイフはそのまま独りでに浮遊して、腹部から引き抜かれる。そして今度は、まるで何かに弾かれるようにして、彼の体が大きく吹き飛ばされるだろうか】
【「かふ……ッ」という小さな悲鳴を最後に……アルフレドは大量の鮮血をまき散らしながら、入り口の外へと叩き出されてしまう!】

【……そして次の変化≠ヘ、三人の方へ直接関係のあるものだ。アルフレドの体が外へ消えていったのと同時、貴賓室の右奥の壁がべこりと隆起して――――】


          ≪カタ、カタ――――、≫  ≪カタ、カタ――――、≫

                                            ≪カタ、カタ――――、≫

     ≪カタ、カタ――――、≫            ≪カタ、カタ――――、≫


【……黒い人形、と表現するのが的確であろうか。カタカタと音を鳴らして鳥のように細やかに首を動かす、ひどく不気味なヒトガタだ】
【百八十センチはある細長い体躯に、胸・腰・前腕・下腿の四箇所が金属製の装甲で覆われ、背中にはバックパックのようなものを背負っている】
【何より目を引くのは、顔面を丸ごと覆い尽くすほど巨大な眼≠セ。ある程度機械に詳しければ、それが巨大なアイカメラであることも理解できるだろう】
【そんな人形が、実に五体。まず右腕だけが異様に肥大化した二体が轟音と共に壁を破壊し、右腕に機銃≠取り付けた残る三体が室内に突入して――――】

――――――――やれ、『クグツ』ッ!!

【――――三体はエドガーのいるカウンターを守るような配置で立つと、三人へ向けて一斉に機銃の掃射を開始する!!】
【ガガガガガガガガガ!! という爆音と共に放射される無数の弾丸、もし何の対策もとらず棒立ちしていれば、体中に風穴が空くことになるだろう】
【幸い、室内には器物が多い。一発一発の銃弾の威力は拳銃レベルのようで、手近な物品を盾にするだけでも十分に防御は可能の筈で】
【またこの掃射、三体の人形が銃撃を行ったまま腕を振り回すことによって成り立っている。その腕の動きを読めれば、恐らく回避も不可能ではない】

【そして――――これを凌げさえすれば、その人物≠ノ対応することも出来るかもしれなかった】


よォーーーーーーーーうこそクソッタレ共!! 早速だが死に顔晒して貰おうかァッ!!!


【嗤い、命じ、そして全てを見下している人物が、いつの間にか部屋の中央に立っている。部屋に入ったときには、確かに誰も居なかったのに――――】
【……橙色の髪を振りかざして心底楽しそうに一行を煽り、長い前髪の隙間からは泥のように濁った青色の瞳が覗く、いかにも気性の荒そうな男だ】
【外見の方もライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装で、まるで粗暴さの権化のよう】

【そして、首から下げられている金色の十字架が――――この男がGIFT≠フ一員であることを、何よりも如実に示している!】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/19(土) 20:32:13.86 ID:p/19rMhZo
>>169
……
(目標を捕捉、……銃弾なら届くが近接武器での攻撃はいまだ不可能)

【ごった返していた中年の隙間から見えた少女の姿】
【だが……】

……
(目が合った)

【こちらから見えるということは向こうからも見えるということ、事実男の藍色の冷淡な眼は彼女の目と合ったのだ】
【早速付近の中年共……おそらく重鎮に隠れるように命じている】
【さらにゴキブリのように逃げていく重鎮たちを視線で追う、その行先は二階】

(二階には多数の小部屋、通路は……吹き抜けに多数の渡り廊下があり転落の危険性あり、また道幅が狭いから相手が銃を持っていれば当然不利になるか)

【そう思考する、それは明らかな"隙"】
【そして目の前に意識を戻したところ、自身に襲い掛かってくる無数の糸】

ちっ

【小さく舌打ちし、抜かったと自身を責める】
【男は超人的な身体能力を持っているわけではない……だが、一応は警察だ】

……っは

【小さく呼気を吐き、斜め前方へと地面を転がりつつ接近する、それは柔道の受け身に近い形で】
【だが、とっさの緊急回避は左足に糸を数本受ける結果となる】
【また、緊急回避はまさしく緊急用、起き上がるまでにわずかな、しかし確実な"隙"が生まれる】

//遅れてしまい申し訳ありません……
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 20:32:47.75 ID:d9H2S5qSO
>>165
【───止まる旋律。そこに残ったのは静けさだけである。】


「えっ………?そんなの書いてたっけー…?」
「書くならもっと目立つところに書いてよ、それなら入らなかったのにー…………」


【そもそも入り口の張り紙の存在にすら気づいていなかった様子。】
【むしろそちらに対しての挑発のように受けられるかもしれない。無論、彼女にその気は微塵も無いが。】

【しかし、目の前に氷の棘が迫るのに気づくに時間はかからなかった。】


「っ……!?」


【突然、自らに向けて放たれたそれに驚く他なかった。すぐさま横に飛ぶように避ける。】
【────ただ、彼女も無力という訳でもない。基本的に攻撃さえされなければ積極的に牙を剥くことは滅多にない。】
【しかし売られた喧嘩は買う他ない。どちらかというと防衛本能%Iなものであるかもしれないが。】


「な、何なのー……ビックリするじゃない………!」


【『仕返し』と言わんばかりに負けじと風圧弾を1発放つ。これは着弾すると無数の小さな鎌鼬を拡散するタイプである。】
【狙うは足元。床にぶつけて破裂させる作戦か。しかし範囲はあるものの鎌鼬1つ1つはせいぜい切り傷をつける程度の威力。】

【先ほどまでは柔らかい歌声に包まれていたホール。此処で2人の少女による戦いの火蓋が切って落とされたのだった。】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/04/19(土) 20:38:50.95 ID:AP69a3t3o
>>164

「(こやつは……噂に聞く英雄、セリーナか!)」
「(うぅむ……このような状況でなければじっくり話でも聞きたいところだが)」
「(今は我慢せねばならぬのだ……)」


【かつて大会会場で観客席から見たことのある、今代の英雄の顔】
【いつか会えたなら、等と以前より考えていたが】
【流石のマイペースなシーナでもこのような状況で語りかけることはない】
【ゴーレム越しにチラッと視線を向けるも、少し肩を落とす仕草をしながらすぐに扉の方へと向き直った】

>>170

「ククク……御主も私の偉大さが身に染みて判ってきたようだな」
「礼は後でたっぷりとして貰うつもりだが、今は目の前の問題が先決だの!」


【彼の礼に対して、当然だと言わんばかりに胸を張り受け止める】
【相も変わらず存在で上から目線な物言いではあるが】
【内心レラの無事を聞いて少しホッとしていたりもする】
【それを察することは非常に困難だろうが……】


「むっ――――」


【室内に突入して目に映るものは、恐らく拷問を受けたであろう様相の人間の姿】
【これが"黒幕"の末路で、事件は戦を交えることもなく終結するのか】
【否――】


「――――不用意に飛び込むでないわ馬鹿者め!」


【――エドガーに拷問を施した人間がいるはずだ。】
【それを忠告する暇もなく飛び出す彼の背中に、しかし声を出さないシーナの言葉が届くはずもなく】
【瞬間、アルフレドの身体を貫くサバイバルナイフ】
【咄嗟に部屋の外に弾き飛ばされたアルフレドを追おうとするも、それを目の前の状況が許さない】


「チッ……耳障りな声で喚きおって!下らん玩具如きで調子に乗るでないわ!」
「この程度、シーナ様の前では木偶人形にも劣るということを刻み込んでやるのだ!」

/すみません、続きます……!
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/04/19(土) 20:39:30.99 ID:AP69a3t3o
>>175
【掃射される機銃。それに対して、シーナは先程から流していた魔力により二つの術を発動】
【まずは右方の床に干渉し、銃弾を遮る壁を形成する】
【即席であるが故に全てを受けきる事は出来ないが、それでも通常の弾丸であれば】
【破損しながらも多くをその場で塞き止めることが出来るだろうか】

【持続時間は5秒程度、先述通りの即席で防壁としての能力は然程高くはない】
【故に即座に次の行動――攻撃へとシフトする】

【シーナの足元の床素材が分解される】
【分解された素材は粒子状に変換され、周辺約30cm程度が砂地のように変化し――前方に向かい河のように"流れ出した"】
【その効果は"移動"。足を動かすのではなく、地面を動かし自身を輸送する異様の術】
【人体の動きに囚われず高速移動を可能とする其れは、例えるならば「ホバー移動」であろうか?】

【範囲はシーナの周辺であり、移動するに従い範囲もシーナの位置に合わせて変化し続け】
【通り過ぎた地形は元の床に逆再生のように戻っていく】

【人体の常識を無視した、身体を一切使わない魔力による高速移動】
【それにより一気に"対象"との距離を詰めようとし、接近に成功したならば】
【機銃を放つ人形達を薙ぎ払うようにして、回転動作を加えながら戦鎚を思い切り振り回そうとするだろう】

【大振りで前動作が判りやすく、それなりの身体能力や判断力があれば回避は難しくないだろう】
【シーナはこれを、機銃による攻撃の阻止、または1体でも行動不能に出来ればと考えて行っていた】
【ゴーレムの怪力により放たれる一撃、高さは人形の胴程度であろうか。直撃すれば、相応のダメージが伝わるだろう】


>>164>>167

【展開された防壁により、襲いかかる幾つかの弾丸を受け止める可能性がある】
【壁自体は何もしなくともすぐに消えるが、攻撃の際に邪魔だと思えば】
【ある程度のダメージを与えれば即破壊し取り除くことも可能であろうか】

【また、前方全体を防ぐようなモノではなく、飽く迄も機銃との間……右方のみを防ぐものである】
【範囲自体は然程広いものではなく、無視して通り抜けることも難しくはないかもしれない】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 20:46:44.76 ID:+1PDzrUco
>>173

【重鎮達は何とか全員二階へと避難してくれたらしい】
【今まで纏まりのなかった重鎮達が、今は気持良い程に綺麗に団体行動している】
【やっと足手纏いな者から開放されて、心の中では正直物凄く楽に感じていた】

(相手は一人...となれば何らかの能力者の可能性が高いです…)

【自分に向かってくる男はどう見ても単体】
【能力者が多いGIFT員に無能力者が単独で向かってくるなんて自殺行動に等しい事】
【となれば相手は相当な馬鹿か自信家な馬鹿、そして能力者といった三つの選択肢に絞られてくる】

(見た目からするに上記の二つっぽくはないですし…。となれば能力者ですか?)

【相手の冷淡な目。自分を射殺しそうなその目から察するに、きっと相手も馬鹿ではない】
【馬鹿だったほうが色々と助かるのだが、そう上手く事が運ばないことは嫌というほど知っている】


当たっちゃいましたね…ふふっ。

【さすがに全部が命中というわけには行かなかったが、数本は相手の左足に絡みついてくれた】
【牽制目的なのですぐに切れるのはシズエも重々承知しているし、これ自体で相手を拘束できたとは思ってない】


さぁて…逃がしませんからっ
お…おとなしくお縄を頂戴させてくださいっ!

【そして手から放たれたのはまたしても無数の糸】
【今度はそれ相応の魔翌力も込められていて、強度も上がっている】
【どうやらこれで相手を雁字搦めにして拘束して、身動きを取れなくするのが目的なのだろう】


(後は…あの中年さんと一緒に退路を作って……)

【シズエは抜かっている事に気がついていない】
【これは魔翌力がそれ相応に込められた糸。避けられれば自分にも大きな隙≠ェ生まれることに】

/いえいえ!ぜんぜん待ってないので気になさらないでください!
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/19(土) 20:51:05.02 ID:VPZkn7Rpo
>>162>>167

【シーナに対しては本当に初対面の為、セリーナも会釈をした後に『はじめまして!』と声を掛けるだろう。】
【尤も、急遽集まったメンバーだがゆっくりと自己紹介、という訳にも行かないようで、互いに目を配ったのなら】
【直ぐに警戒態勢に戻るだろう、そしてかつて一度は剣を合わせたブラックに対しては、矢張り軍属と言う事も意識して敬礼で返す。】


  アタシとブラックさんは一度手合わせしてるけど、そっちの―――シーナさん、だっけ。
  初めまして、きちんと挨拶をする間もなくて申し訳ないけど、今夜は背を預けさせて貰うよ!
  それからブラックさん、褒めても何も出ませんよー? 尤も、生きて帰れたらお酒の一杯は奢りますけど、ね。
  
  じゃ―――そういうワケで二人ともっ! アタシは後方支援専門だから、ガンガン前出て戦って――――

>>170-172

【なんて無責任な言葉を冗談交じりで言った、その直後だった。変化は訪れ、衝撃に身を貫かれる。】
【吹き飛ばされたアルフレド、視界に入るズタボロのエドガー、そして現れた"ヒトガタ"―――否、"敵"と呼称するべきか。】
【セリーナは慌ててアルフレドの怪我を確認しようと後方へ下がろうとするが、それすらも叶わないほどの"猛攻"が襲い掛かった。】

  
  アルフレッ――――――――!? チッ、これじゃあにっちもさっちも、いかないじゃないねぇ……ッ!!
  マズイよコイツは、アルフレドッ!! アンタ、死んだら赦さな―――――言ってる場合でも、ない、かッ!!

                                         ―――――――――――――――クソッ!! 

【セリーナは素早く身を翻し、前転を繰り返して銃撃の嵐から身体を護った。幾発かは脚部を通り過ぎて掠り傷となったが】
【それはそれ、銃撃戦ではもはやつき物という物。そしてこのセリーナ・ザ・"キッド"はまさにそのガン・バトルを主戦場とする人物。】
【残念だがこの障害物の多い広間において彼女を仕留める事は最初の一陣では叶わないだろう、そしてその代わりに一発の銃声が、響く】

179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/19(土) 20:51:32.40 ID:VPZkn7Rpo
>>170-172


                        騎士怪醒―――<"ティターン・アーマー">


【同時に、放たれた弾丸が空間で停止し―――召還陣が頭上で展開され、そのままセリーナの身体をすり抜けた。】
【足元まで透過されたそれが消えた、その瞬間に―――セリーナはセリーナで、なくなっていた。】
【召還された武装は"魔導鎧"―――魔翌力を人造的に生み出す魔道エンジンを背に積んだ、悪魔製の"自動装着アーマー"】
【太古の巨人族、強固な皮膚を持つ「タイタン」をモチーフとして精製された強固な外骨格に全身を包まれたセリーナは】
【見た目には、まさに"人造の悪魔"―――機械と、悪魔とを融合させたかのような不気味なシルエットと化す。】
【しかし"ソレ"は紛れもなく、ただの人間であり能力者ではないセリーナを"戦士"の次元へと昇格させる為の"武器"で】
【関節部分に、魔翌力が流れていく音が木霊する―――魔道エンジンの駆動音が全身を駆け巡る。】
【装着された事で使用者のパワー・防御力を大きく上昇させるその鎧―――外見こそ生物的なフォルムを持っているものの】
【魔翌力によって駆動するこの鎧はまさに、特殊な動力を有するとはいえ一種のパワード・スーツと呼べるだろう。】
【―――-尚、彼女が頭部に被っているテンガロン・ハットの影響で装着後の鎧にもその「形状」がきちんと反映されている辺りが】
【いかにも単純な"メカニック"―――機械機構を有するものでなく、悪魔の技術で造られた"魔導機械"である事を伺わせる。】

  
  ―――――――――それで。その悪趣味な人形"もどき"で『チャイルド・プレイ』の真似事を楽しみたいなら、ボウヤ。
  相手を選ぶって事を知りな、たかが9mm弱の拳銃弾如きでこの装甲を、セリーナ・ザ・"キッド"を倒せると、思わない事だ。


【強烈な魔翌力が吹き荒れて、弾丸を避ける為に隠れ込んだテーブルの陰からセリーナは、躍り出た。】
【魔導鎧が唸り、セリーナは構えた"弾"末魔を素早く3発、腰溜めのスタイルでファニング、連続ショットを放つ。】
【弾丸の嵐に晒されて尚、その弾丸を装甲で無理やりに受け止めつつ、つまりはダメージを率先して"負い"ながら、だ】
【放った二発の弾丸を牽制とし、銃撃を加える人形に対して攻撃を開始、其れに重なる形で"弾"末魔を構えた手とは別に】
【コルト・SAAを引き抜いて二挺拳銃<デュアル・スタイル>になって射撃を続行、今度はSAAの45口径による攻撃で残る一体を狙う】


  (う、くっ―――!! 拳銃弾程度の威力と言えど、この連続射撃の中でティターン・アーマーの強度がどこまで持つか……ッ!!)
  (このまま押し切られたらどうなるかは判り切ってる、上手く行かなくても鎧はすぐに蜂の巣だ、だからその前に―――ッ!!)


>>ALL(シーナ、ブラック)


  ―――みんなッ!! 言わなくても分かってると思うけど、本体はあのイケすかないクソッタレの人形遣いだッ!!
  銃使いの相手は銃使いが、そういうのがセオリーだと思わないッ!? とりあえず人形の相手は、負かされたから
  二人はGIFTの鼻っ柱をへし折ってくれると、おねーさんめっちゃ助かるんだけど―――どうか、なッ!?
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 20:55:42.43 ID:zTn/IBOE0
>>174

………―――何で? 何で避けるの?
……おかしくない? 悪いのは、完全にアンタでしょ?

【氷の刺を刺した瞬間、彼女の表情を見ただろうか―――目を見開いて、口をポカンとさせて。純粋に、驚いていたのだ。】
【"何故避けるのか"……生命に対する本能の叫びを、彼女は知らないらしい。自分の舞台を中断させたのは少女、】
【ならばどうして、その粛清を受けようとしないのか……その道理が、全くもって分からない様子だった。】


―――……あア。ァ。あ。アあ……

【床に着弾し、無数に広がった鎌鼬は、確かに彼女の足元を……厳密に言えば、膨らみを帯びたドレスを切り裂いた。】
【威力の低さが足を引っ張ったか。彼女自身にダメージが行く事はなく……然し、丸でそうであったかの様に、】
【嘆きとも呻き声とも付かぬ何かを発しながら、少女はその場に膝から崩れて行く。……コレが演技であるのなら、大したものだ。】


………、……―――がイちゅウガ……

【……彼女の眼、尋常では無い程に充血していて、更に全身が怒りに震える様子が見て取れるだろうか。】
【見ることが出来なくとも、彼女の心情は掴める……次に繰り出されるのは、全長5m程はある氷製の巨大なハンマーだ。】
【彼女から見て右から左へと振り払われ、……まあ威力は言うまでもない。軌道を正確に読みつつ的確に避ける必要が出てくるだろう。】
【接触してしまったとしても、その後に何とかして回避しなくてはならない。……害虫の様、身体全て潰される前に。】
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/19(土) 21:02:24.68 ID:7mgluKxd0
>>170-172

【開かれた扉、その先に見える部屋はいたって普通のVIPルーム】
【しかしそこに見えた人物は明らかに異様、そしてそこに広がる光景は異質】
【事前に渡されていた資料から、それが今回の目標であったことは直ぐに理解出来た】


【アトラヴェル警察本部長、エドガー・ハーレイ、確かにその人】

………………むう……これは………………………
どうやら、私は勘違いをしていたのかも知れませんな…………ぬっ……!?

【そう呟くブラック、もっと冷静に判断すべきだったと今思う】
【血痕が続いているなど"普通"の状況で考えられただろうか、と】
【思考を整理している内に、アルフレドが部屋へと入っていってしまった、不味いと思った時には声も間に合わず】

しまった……!アルフレド殿、危険で………………!?

【直後、アルフレドが貫かれた、それから隣を通り抜けてその体は外へと飛び出される】
【ぐっ……という圧し殺した声が歯を抜けて口から漏れる、あと少し早ければと】

【それでも救いに行く時間を与えずに 敵が出現する、奇怪な人形をその目に捉えた】
【それも五体、今アルフレドが抜けてしまったことも入れて、どう見ても不利な状況】
【人形の内の三体が一斉掃射を開始する、迫る弾丸の嵐……!】


【ブラックは刀を構え、咄嗟の判断で床を切断する、四角形の切れ目が一瞬にして作られた】
【そこにもう一度、軍刀を切れ目に突き刺し持ち上げる、絨毯を巻き込んだ四角形は、まるで紅い盾】
【一先ずはしゃがんだ姿勢のまま、弾丸をやり過ごそうとするだろう】


【そして現れる金十字の男、ブラックはそちらへと目を向けて】

若僧め…………自惚れが過ぎるのではないか……?
蛇の前の蛙が騒ぐとは、随分と面白い冗談だな。

【挑発的な言動をとるブラック、しかしその目付きは、正に鷹の様に鋭く】

【ブラックは一先ず、人形に視線を戻す、そして残っている床の石板を顔の付近まで、サッカーボールのように足で軽々と宙に浮かばせ】
【それを軍刀でバラバラに切断、破片を人形達に向けて発射した】
【スピードは充分、それでも威力は決して高いとは言えない】
【あくまで牽制、そし装甲が厚ければ弾かれてしまうかも知れない】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/19(土) 21:03:36.40 ID:p/19rMhZo
>>177
……

【一方の男もただのんきに待っていたわけではない】

(相手の行動は糸での拘束が主流……暫定……しかしおそらく普通の糸ではない)

【少女の口上の途中、男は立ち上がり、思考を走らせる】

(私ならすぐさま第二波……先ほどよりも頑丈な糸を飛ばし相手を拘束する)

【頑丈な糸が出せるのか、また糸に特殊な能力があるのかもしれない、少なくともあれだけの糸を出すのだ、さらにGIFT陣営、能力者である可能性は高いだろう】
【だが、未確定要素が多すぎる今は手出しができない、男は良くも悪くも慎重だった】

……お縄を頂戴するのは私の方なのですがね

【そして少女の口上に軽く突込みを入れつつ、自身へ飛んでくる糸に半身をずらす】
【ゆらりと、邪魔にならない程度に長い男の薄青色の髪が僅かになびく程度の間だった】

(糸の射出パターンは先ほどと同じ、私と少女の間に障害物は無し)

【思考している間にも無数の糸は迫る】
【そして糸がその男をからめとろうとしたその瞬間――男の手に警棒はない】

……

【その手に握られていたのは人の身長程はありそうな短槍――男をよく見ればそれは警棒が変形したものだとわかるだろう】
【自身に直線状に進んでくる糸……それを槍の穂先でからめとる】
【当然槍の穂先に糸が絡みつく――だが、その次の瞬間響いた小さな爆発音】
【いや、それは実際には放電音だった、小さな爆発音と勘違いするほどの高圧電流の放電音】
【人一人を余裕で気絶させられる放電で男は糸を焼き切ろうとする】
【また、その間にも左足の糸を右足で抑えて引きちぎろうとするだろう】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/19(土) 21:09:07.80 ID:/Z7Td2XFo
【聖徒某小広場】
【冬を終えて気候が暖かくなれば、その場は小さな憩いの土地となる。】
【──日向ぼっこをする者や、友人と談笑するもの。有象無象の日常だ。】
【そこに違和感があるとすれば──】


────すゥ‥‥


【──青年はぶら下がっていた。】
【何に? ‥‥‥‥徐々に生い茂っていく木の枝にだ。】
【説明すると、彼の足の裏がそのまま木の枝に張り付いていて。】
【まるで反転世界にいるような‥‥木の枝の裏に逆さにたっているような。】
【あろうことか、そのまま寝息をたてているのだ。】

【藍色の髪は逆立っているように見えるが、重力にしたがって地に向かっているだけである。】
【黒を基調とした服装は、不自然なほどになんともなくて‥‥】
【首もとに巻かれた朱色のマフラーも当然、ぶらりと垂れ下がっている。】
【──それが、彼に不幸をもたらした。】



『なにこの人ーーー!! 変なのーーー!』『おいマフラー引っ張ろうぜ!!』『せーの!!』
────ぐァッ‥‥‥‥あがッ‥‥‥ぎ、ギブッ‥‥‥‥



【近所のやんちゃなませガキドモにマフラーを捕まれ、ぶら下がられ‥‥】
【──ああ無情、顔色が徐々に青白くなっていく‥‥。】


/使い回しすいあせん

184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 21:15:13.50 ID:LhLr0/ZUo
>>175 >>176

玩具ァ? へぇー、中々言うじゃねえかデカブツ……だったら存分に試してみろやァ!!

【下卑た挑発がシーナへと飛ぶ。男が嫌らしく嗤って右腕を軽く振ると、それに呼応して『クグツ』と呼ばれた兵器の一体が動き出す】
【機銃持ちの『クグツ』へと、シーナが振り被った戦槌――――刹那、ガギン!という甲高い音を立てて、それに拳≠ェ拮抗するだろうか】
【受け止めたのは機銃持ちの方ではなく、先程壁を粉砕した右腕の肥大化している方だ。分厚い装甲に包まれた右拳の威力は、どうやらシーナの戦槌に匹敵するらしい】

≪カタ、カタ、カタ――――≫

【その間に、機銃持ちの三体の『クグツ』は散開。プログラムされた機械的な動きで陣形を組み直し、うち二体はセリーナとブラックの方へ移動して】
【残る一体はシーナの真横に回り込み、右腕の機銃を連射するだろう! 狙いは下半身が中心、機動力を落とそうとする狙いが垣間見える】


>>178 >>179

オマエ――――ひひ、ひゃははははははははははッ!! 面白ェ!! オマエ、セリーナ・ザ・"キッド"か!!
いいぜぇ、どうやら『UT』のリーダーサマは特撮ゴッコ≠ェお好きらしい……付き合ってやるよ、地獄の底までなぁーーーー!!!

【流石に、あの『UT』のリーダーの事は知りえていたようだ。男はセリーナの顔を確認すると高笑いをして、侮蔑に侮蔑を返す】
【機銃持ちの『クグツ』はセリーナの牽制に対して左腕の装甲を構えることで対処。ただSAAの銃声は最後の一体を捉え、左腕に大穴を空けるだろう】

≪………カ、タ、カタ≫

【残り二体はその間に、シーナとブラックの対処に移る。セリーナの目の前には左腕を損傷した一体が残り――――苦し紛れの連続射撃が、セリーナの胴体へと飛ぶ】
【……その時、セリーナが銃撃に気を取られず周囲への注意を続けていたのなら、気づくことも出来るだろうか。背後から響く小さな駆動音≠ノ】
【次の瞬間、バチッという小さな音を皮切りに――――先程男が現れたときと同じく殆ど予兆もなく、セリーナの背後に新たな『クグツ』が出現する!!】
【その装備は機銃ではなく、肥大化した右腕。この部屋には最初から、機銃持ちが三体と肥大化した右腕持ちが三体、合計六体の人形が存在していたようだ】

≪カタ、カタ、カタ――――!≫

【その『クグツ』はセリーナとの距離を詰められたのなら、その背中の中央を狙ってパンチを繰り出すだろうか】
【大きな機械の右腕で殴られれば、それだけでも相当なダメージがあるだろうが……「がしゃん」という鈍い音が、振り被った右腕の中から響いて】
【拳が当たるか当たらないかに関わらず、インパクトの瞬間に右手の甲あたりの装甲が開き、そこから大きな杭≠ェ勢い良く飛び出すだろう――――!!】
【いわゆるパイルバンカー≠ニ呼ばれる兵器だ。先程壁を粉砕したのもこれだろう。であれば、その非常に高い威力も計り知れるだろうか】


>>181

ハッ、オマエこそ面白い冗談言うじゃねェか。
騎士気取りの老いぼれはッ!! 家に帰って茶でも啜ってんのがお似合いだぜ――――!!

【年上に対する敬意の欠片も感じられない態度で、男はブラックへ吼える。それに呼応するように、二体の『クグツ』が動き出して】
【まず、パイルバンカーを装備した方の『クグツ』がブラックへ突進――――その背後へ付き従うように、機銃持ちの『クグツ』もブラックへ近寄って】
【前に出た方の『クグツ』が堅い装甲を使ってすべての破片を弾き飛ばした瞬間、背後の『クグツ』がその肩口に機銃を乗せ、乱射する!!】

【近接型が盾となり、後衛方が支援する。あの男が指示しているのだろうか、人形の割には良い連携――――狙いは胴体だが、果たして】


/続きます
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 21:18:11.56 ID:LhLr0/ZUo
>>ALL

「お、前は………ッ、マリオン・リヴァーズだな…………!? お前が………お前が今回の件の黒幕か!?」

【入り口の外から辛うじて顔だけを覗かせて、アルフレドがその男に吼えるのが見えるだろうか】
【……彼の付近には、既に多量の血溜まりが出来つつある。腹部を押さえて必死に止血しているようだが、少しでもその手を緩めれば確実に死に至る傷だ】
【そんなアルフレドが必死に睨む、マリオン・リヴァーズ――――もし自警団側から事前に説明を受けていたのなら、知った名前であるだろう】
【昨年に『レイリスフィード学園』という学校へ転校生と身分を偽って潜入し、生徒の勧誘などの裏工作を行っていたと思しきGIFTメンバーである】

そういうオマエはアルフレドとかいうヘボ刑事だろ? そこのゴミの教え子で、アサドの野郎の部下の。
――――なぁ、どんな気分だったよ? 大事な大事な隊長サマが目の前でとっ捕まって、その上尊敬する恩師に追い詰められた感覚はよォ!!

「貴…………様ッ…………!!」

【マリオンは口が裂けたように笑ってアルフレドを見下す。『クグツ』達が三人を足止めしているのを良いことに、そのまま部屋右奥のエドガーに近づいていって】
【彼を乱暴に椅子から引きずり倒すと、全員の目の前で顔面を踏みつけてみせるだろうか。その脚に力が篭もるたび、裂けた額から鮮血が散った】
【……エドガーが苦しそうに呻く。幸い、どうやらまだ生きているようだが――――味わわされている苦痛と屈辱は、想像を絶するものがある】
【そして彼が痛がる度、マリオンの表情は楽しそうに歪んで。弱者をゴミのように踏み締めて愉悦に浸る性格は、初めて表舞台に現れた時から何一つ変わっていない】

しっかし悪ィなぁ、オマエら。オレも出来れば存分に遊んでやりてェんだがよぉ、今日の所はそっちにばっか構ってる暇はねェんだわ。
………このクソ野郎から、色々聞き出さなきゃならねぇことがあってなぁ!!

『が……ご、ふッ…………!?』

【アルフレドに屈辱を与えて満足したのか、マリオンは三人の方へ向き直って言い放つ。多数の精鋭に包囲されたこの状況よりもなお、重要な用があるのだと】
【マリオンはエドガーの鳩尾へ一発蹴りを叩き込み、彼が苦しげに体を折り曲げるのにも構わず、髪を引っ付かんで無理矢理顔を自分に向けさせるだろうか】
【……エドガーのこの拷問じみた怪我も。もしかするとこの男が、その聞き出さなければいけないこと≠ニやらの為に付けたものだったのかもしれない】

【狂ったように白熱する青色は、たった一つの問いをエドガーへと投げ掛ける。その、内容は――――】


                   さぁ、答えるまで何度でも聞くぜ、エドガー・ハーレイ――――、


                        ―――――鍵≠、何処へやった?
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 21:20:21.25 ID:+1PDzrUco
>>182

…か……軽口を叩いてられるのも…今のうちですからっ!

【糸は相手に軽くいなされ避けられてしまう】
【だけどこれだけの量だ、先ほどと同じように少しばかりは相手を捕らえるだろう】
【そうなればまた糸を射出すれば良い】
【それを繰り返すたびに相手の動きを制限できるのだから】

【だけど、シズエは相手を甘く見すぎていた】

(え…?え…?何ですかアレ?警棒?違います…槍です…)

【次の瞬間シズエの目に入ったのは今まで見たこともない短槍】
【今まで相手が握っていた警棒とは似ても似つかない武装だった】

!?

【そして小さな爆発音が響くと同時に少女の思考も停止する】
【だってものの見事に全部の糸が破壊されたのだから】

………だったら――――

【相手が槍。すなわち近距離攻撃を仕掛けてくるならこっちにも策がある】
【自分が槍の範囲外に出ればいいのだ】

【そう思ったシズエは二階の渡り廊下に糸を括り付けて、体を宙に浮かせる】
【一本の糸で吊るし上げられる様はまるで蜘蛛】


(これなら…安全圏で相手を攻撃…出来るんです。多分)

【相手が拘束しにくい。そうなれば次は相手の拘束を諦めて、安全と思われる場所からの攻撃にシフトすればいい】

【だけどシズエはこの状態の致命的な弱点にまだ気づけていない。致命傷となりうる欠点に】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 21:27:22.62 ID:d9H2S5qSO
>>180

「……よけるよけないは人の勝手でしょー?」
「────とりあえず、口を聞かないようなら手加減とかはしないけど」

【───などと言いながら、無数に並んだ座席、その間の階段を降りて行く。】
【しかしそこには巨大な槌を振り回す少女。華奢な彼女にとっては当たれば一溜まりもない。】


「危ないっ……!」

「───……怒ってるの?これは…」

【軽い身のこなしでハンマーを回避、正確にはハンマーが届かない距離を保つ。同時に少女に向けてそう言い放つ。】
【如何にも憤怒しているそちらに対し、こちらは常に平常心を保っている。…といっても冷淡かと言えばそうでもない。少女故の何か≠ネのか。】


「───まぁでも……付き合って欲しそうだし、というかどうにかしないとねーこれは………」

【いくらか距離を取ったと見ると少女に向けて竜巻弾を放つ。】
【具体的に言えば直径1~2m程の漏斗状の竜巻を横向きにしたもの。先程のような鎌鼬は含まれていない、純粋な旋風だ。】
【弾速は遅くないが、距離も距離なので気づけば避けることは難しくない。】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/19(土) 21:36:07.02 ID:p/19rMhZo
>>186
……いたって真剣なのだが

【いってしまえば一応悪の組織にお縄を頂戴と言われるほど滑稽なことはないのだと思われる】
【そして拘束を振り払った男は槍を構える……が、少女は逃げるわけでもない、だが自身の視界から一度外れた】

蜘蛛女か……?

【確かに見た目は滑稽だろう、蜘蛛にしか見えないのだから】
【だが効果はてきめんである、槍というのは近距離から中距離に対応するものだが、その範囲から逃れれば何の役にも立たない】
【投槍というものも存在するが、この男の槍は投げやりにするには、重い】

(だが……)

【そういうと槍を警棒に戻し、腰に差す】
【――代わりに、腰に刷いていた銃剣を鞘から抜き取り、構える】
【銃剣と言ってもその銃剣は非常に刀身が長く、一目見ても剣だと勘違いしてしまうかもしれない、そのトリガーと弾倉さえなければ】

――警告する

【男は少女から銃の標準を少しずらしながら少しずつエスカレーターの方へと向かう】
【その中で、男は発言する――"警告"を】

ただちに武装を解除し投降せよ、そうすれば身の安全と危害を加えはしない
だが、もし反抗の意思があるとみれば……

【その瞬間、銃身が硝煙の煙を上げる――ポシュッという非常に小さい音を立てて、弾丸が射出される】
【だが、その弾丸は確実に少女の間近を掠める】

……多少危害を加えてでも取り押さえさせてもらう、繰り返す……

【無駄な警告だ、だが、警察はこれをしなければ攻撃を加えることはできない】
【本当に投稿するならそれまで、だが抵抗するのであれば……】

武装を解除し投降せよ、さもなくば身の安全は保証できない

【そういい終わると再び銃剣を構えなおす……今度は少女にしっかりと標準を向けて】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/19(土) 21:39:37.53 ID:p/19rMhZo
>>188
//発言ミス
//誤 ただちに武装を解除し投降せよ、そうすれば身の安全と危害を加えはしない
 ↓
//正 ただちに武装を解除し投降せよ、そうすれば身の安全を保証し危害を加えはしない
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 21:40:16.26 ID:AP69a3t3o
>>184>>179

「ふん――玩具を玩具といって何が悪いか皆目見当が付かんの!」
「すぐにその不愉快な声を、私に許しを請う哀れな泣き声に変えてやるのだ!」


【戦鎚を受け止められるが、その結果に怯むことなく行動を続ける】
【今打ち倒すべきはこの"拳"のクグツではない】
【仕留めるべき最優先目標はこれらを操作しているであろうマリオンだが】
【次に優先すべきは――】


「阿呆め、射手は戦士の陰で震えておるのがお似合いだったのだ!」


【――射手。散開し、横方へと回り込もうとするクグツであった】
【足元の砂を操作。打ち合わせていた戦鎚を身体ごと即座に離し、鋭い動作で機銃クグツに踏み込む】
【縦断が脚を掠め、また数発は足を穿ち血のように"砂を"ばら撒きながら】
【機銃のクグツを攻撃範囲に捉えたならば、勢いのままに戦鎚を振り降ろし】
【クグツを頭頂から叩き潰そうとするだろう】


「英雄セリーナのお願いとなれば聞かぬわけには行くまいな!」
「御主の武勇、噂に違わぬことを信じておいてやるのだ!」


【命中の成否に問わずシーナはそのまま機銃クグツの横を通り抜けようとする】
【向かう先はエドガーに拷問を加えるマリオンの元】
>>179でセリーナに掛けられた声が聞こえていたが故に】
【シーナはクグツの相手を最低限にして操者を討たんと迫る】

【マリオンへの接近が成功した場合、シーナは戦鎚の柄を両手で掴み】
【頭上で一度振り回して遠心力を加えた後、彼の頭部めがけて横薙ぎに叩きつけようとするだろう】
【命中するとは考えていない。ただ、対処させることでエドガーからマリオンを離させる事が目的だ】


【上記のクグツの横を通り過ぎる行動は、何らかの妨害があった場合成立せずその場に留まり】
【また、マリオンに対する行動もエドガーを人質にされるなどの妨害があった場合は途中で停止する】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 21:55:53.40 ID:zTn/IBOE0
>>187

コレね? お前が一生働いても買えない値段するの。
それをお前は今、台無しにした。 分かる? その意味が……

"私が付き合って欲しい"だなんて。 馬鹿も休み休みに言いなさいよね?
お前が付き合わないといけないの。アタシに。
避ける権利はないの。わかりまちた? ……ははは……

【兎に角根が張った様だ。確かに、洗練された装飾・デザインは、相当に美しく、】
【更に彼女のサイズにピッタリフィットしているという事は……オーダーメードなのだろう。】

【一般的な人間が、一生を働いても買えない値段。その話が事実かどうかはさておき、】
【少女が推測した、怒りに満ちていると言う心情は極めて正確で。】

【嘲笑ってしまえば、彼女はゆっくりと目を閉じて、暫くその場に佇む。】
【次第に、彼女の足元から水が湧き出して来るのが見て取れるだろうか……、】

―――ッ……

立入禁止を破ったのもお前。
アタシの舞台を勝手に中断させたのもお前。
大事にしてたアタシのドレスを切り刻んだのもお前。

全部、お前がやった。殺されるのは当然、……違う?

【暫くしている内に旋風が此方に迫ってきて、然し彼女は丸で避けようとはしない。】
【ありのままに受け止めれば、吹っ飛んで……舞台の奥、スクリーンにもなる壁へと激突した。】

【その際注目すべきなのは、先程から出していた水の様な物体だ。吹き飛んだ彼女と同じく、】
【……というかそれはオーラか何かであるかの如く、形状を保ちつつ一体となって飛んでいったのだ。】

【彼女が壁に打つかってズルズルと床に落ちてからは、グッタリとした様子、あまり動く様子を見せない。】
【然し先程のハンマーや氷の刺と同じ。彼女を取り囲む液体だけが、一つ、独りでに蠢いていた。】

192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 21:56:25.00 ID:+1PDzrUco
>>188

く…蜘蛛女?!…そ…そんなのじゃないですっ!
私は列記とした…えーっと。……神様の奴隷です!

【そこは普通人間と言うところなのだが、やはりGIFTの一員。普通とは少し違った答えを出した】
【男に人外と呼ばれて怒ったり、自分を神様の奴隷と蔑んでみたり】
【それらはきっと槍の間合いから離れているという余裕から来た物だろう】

(これで間合いは取れました…次は連撃で相手を拘束…が良いパターンでしょうか?)

【戦闘慣れしてないシズエは己の脳を必死でフル回転させる】
【相手が攻撃できないと知った今、考える時間も無駄口を叩く時間も全てが自由】
【風向きは完全にシズエの方へ向こうとしているのだから】


……は?

【男が自分を何とか攻撃しようと移動しているのを得意げな目で見ていたのも一瞬】
【次の瞬間男の手に構えられているのは遠距離用の銃=z

(あ…マズイです…)

【そしてシズエは糸の欠点に今更気がついた】
【一本ゆえに動きが上下に限定されていること、そして昇降が遅いということ】

なに言ってるんですか?私はそんな背信行いません。死んでも……絶対に――――――

【銃弾が横を掠めると同時にシズエは完全に吹っ切れた】
【だって男は投降と言う背信≠自分に持ちかけたのだから】


――――――貴方は異端者です。だから救ってあげます。すばらしい世界のために


【そこまで言ってシズエは糸を切った】
【結構な高さからうつ伏せの体制で地面に落下した。それも何の抵抗もなしに】
【案の定エントランスには嫌な音が鳴り響き、シズエも一切動く気配を見せない】

【まるで死んでいるかのように動かなくなったシズエ。完全に隙だらけ】
【だけど形容し難い何かがオーラとして禍々しくシズエの周囲に満ち溢れている】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/19(土) 22:00:42.30 ID:7mgluKxd0
>>184-185

【やはりか、突進する人形が破片を弾く様子を見てブラックは思う】
【一方が破片を弾き、もう一方が後方から機銃を乱射】
【敵ながら見事な連携、やはり操作する人物が居てこそのものなのか、となれば、セリーナが言った通り本体と思われる男を攻撃するのがベストか】

【ブラックは迫る弾丸を、今度は何とその軍刀で弾いてみせる……!】
【動体視力だとかそんなものではなく、人間の限界を越えているかのような速度、ましてや老人の動きではない】
【弾き漏れた弾丸が左肩の皮膚を掠るものの、血は僅かに滲んだのみ】


ではセリーナ殿!とりあえず奴らは任せました!
私はあの男を狙ってみましょうぞ……!!

【グッドラックとセリーナに一言言うと、ズボンのポケットから一本のサバイバルナイフを取り出して、それを人形へと投げる】
【狙うは近距離型と思われる人形の間接部、速度は先程の礫よりも速い】
【上手く突き刺されば行動を鈍らせられるかも知れない、セリーナへの今出来る分の援護で】

【それで一瞬でも人形が怯んでくれたなら、ブラックは脚に力を込め、マリオンへと一気に距離を詰めようとして】
【何より、エドガーがこれ以上傷つけらることは危険だと判断したのだろう】

最後に聞き出されるのは、貴様の方だ……!!

【上手く近づけたのなら、その軍刀でマリオンが髪を掴む方の腕へと斬りかかろうとする】
【剣の速度は確かに速い、それでも近づくまでの時間がある為、避けられる可能性も十分に有って 】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/19(土) 22:09:31.36 ID:VPZkn7Rpo
>>184

>>176にてシーナの展開した防護壁も活用しつつ、セリーナは被弾数を最小限に留めるべく射線を変え、移動する。】
【全部で五体居る"クグツ"の動向をそれぞれ、超人的な感覚機能を活かして把握。内、二体はシーナと交戦中、射撃タイプと殴打型。】
【その戦闘力は互角、と言った所か。少なくともパワーでは圧倒する程の差は無いと見て好いのだろう、そしてそれはセリーナも同じだった】

【三体居た射撃型の残り2体がセリーナと、そしてブラックとにそれぞれ別れる。残りは一体、殴打型が潜んでいる筈だが】
【ともかくセリーナが相手取るのは、先程ダメージを与えた一体であって、損傷はしっかり左腕に見て取れる。ならば、押し切れる筈だ。】
【セリーナは胴体に飛来する弾丸を避ける事無く"受け止め"、一瞬体勢を崩すがすぐさま、反撃の連続攻撃を叩き込むべく動いた―――!】


 ――――――――― "特撮ごっこ"、言いえて妙だ。けど、アタシはそれで結構だよ。
 確かにアタシは、マーヴェル・コミックやDCも好きなら円谷とか東映だって大好きな自他共に認めるヒーロー好きだ。
 ただね、ここで残念なお知らせ―――……くっ、"特撮"じゃあ常に……う、ぐうぅ……ッ!! ねぇ、知ってるかいヤク中君……ッ!
 
               
           ―――――――――"悪は倒される"って、決まりがあるんだ、よッ!

【衝撃が腹部を襲う。打ち消しきれないダメージがアーマー越しに、セリーナの内部を貫いた。だがそれでも怯まず。】
【"S.A.A"をクグツの頭部目掛け、撃ち放つ―――ハンマーが叩き起こされ、弾槽が回転し、精密なショットが空を舞う。】
【銃を持ったその一体を先ず確実に倒すべく、狙うは制御を担うであろうカメラの搭載されたヘッド・ショットだ。その射線に、ズレはない。】

【だが極限まで集中していた為もあってか、その第ニ陣に対しては反応が遅れる―――そうか、まだ"居た"のか……!!】
【セリーナは聴覚で音を聞き分けていたにも拘らず、身体を翻すその動作が遅れた為に、相手の接近を赦してしまうだろう。】
【そして振り返った矢先、此方へ目掛けて振り下ろされる巨大な拳と、その拳から漏れる僅かな機械音―――瞬間、回避―――!!】


  (なっ……!? この、どこからこれだけの数を召還して―――クッ、これじゃあキリがな―――ッ!!)

  ―――か、はぁぁぁぁ、んっ……う、くぅ……ッ!!
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/19(土) 22:09:40.48 ID:VPZkn7Rpo

【―――間に、合わない。拳は鎧を直撃し、衝撃でセリーナは吹き飛ばされる。が、これが功を成したのか―――】
【本命の攻撃であろうインパクト・バンカーによる連続攻撃だけはなんとか、避け切った。尤も、飛び出た杭は腹部を掠めた、が。】
【それでも直撃よりは幾分かダメージを抑えられたであろう、セリーナは接近戦を仕掛けてきたその一体に対してすかさず、反撃を試みる】


  ―――ちまちま、と……銃撃してたんじゃぁッ!! 片付きそうにないし、一気に決めさせて貰うよッ!!
 

【そう言い放ったセリーナは至近距離で"弾"末魔による射撃を慣行、しかし放たれるのは魔弾では、なく。】


               ―――番犬吠々<ケルベロス・マグナム>ッ!!


【密着した状態で打ち放たれた弾丸はすぐさま空中で停止、その場で蒼白い輝きの召還陣を、展開―――!】
【そして召還陣から取り出されたそれは―――銃、のような"何か"。否、そうとしか形容できない程の巨大な、武装。】
【拳銃と思わしき形状ではあるが、しかしそれでもグリップは驚く程大きく、なおかつ中心のシリンダーのサイズは、それこそ】
【通常のリボルバー拳銃とは比較にならないほどに巨大で、そして独特の存在感を放っている。装填される弾丸の大きさなど】
【大口径の特殊弾頭―――所謂、『スマートグレネード』等に代表される弾薬だ。なにより、このバケモノじみた拳銃の最大の特徴】
【それは銃身、つまりシリンダーから敵へめがけ真っ直ぐに伸びたそれ<バレル>が三つも、"三連装"に連なっている事だろうか。】
【西部劇にも良く出てくる、水平ニ連装のショットガンの上部に、もう一本のバレルを継ぎ足したかのような"歪"過ぎるフォルム―――。】
【銃身基部にはレリーフとして、地獄の番犬<ケルベロス>を模して精製された事を伺わせる彫像まで用意され。まさに、三つ首の砲身。】

【強烈なインパクトの銃器を両手で構え、そしてこの"至近距離"にて何の躊躇も無く、発砲―――否、それはもはや砲撃ッ!!】
【放たれた特製の大口径カートリッジ式マグナム弾は命中時には爆発を引き起こし、更には三発それぞれに付与された属性魔翌力による】
【追加ダメージを与える事になるだろう、今放たれた最初の一撃が持つ属性は"冷気"を纏いし氷の弾丸―――着弾時には爆発と共に】
【強烈な低音攻撃をもクグツへと与える事になるが―――果たして、回避されるか、それとも攻撃は通らないか―――ッ!!】
【どちらにせよ、セリーナも至近距離に居る為ダメージは間逃れない。だが、此方には強固な"アーマー"が存在する……ッ!!】
【この耐久力の差すらも計算に入れ、被弾を覚悟で攻撃を加えるこの躊躇の無さこそがセリーナの強さに繋がっているのかもしれない。】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/19(土) 22:21:39.31 ID:p/19rMhZo
>>192
ただの比喩なのだが……まあいい
……お前にとってGIFTは神か

【比喩を本気にとられて怒る姿は、見た目相応の少女のように思えた】
【そんな少女の神という発言を、否定はしない、肯定も、しない】
【思想は万別だ、それを否定する権利は誰にもない、矯正する必要はあるかもしれないが、今はその時ではない】
【神が奴隷を求めるというのもおかしな話ではあるが、男はそれを口に出すことはしなかった】

私は、神というものは信じていないのだがな

【少女が下りてきたとき、男はエスカレーター付近にいた】
【素早く一発だけ消費した弾倉を入れ替える】

(少女の糸の攻撃は厄介だ、近くにいれば避ける暇もない)

【男は歯噛みする、"火の国警察"が"水の国警察"への告発に自警団と協力姿勢をとった】
【民衆からの不信感をこれ以上募らせるわけにもいかないというのが、"火の国警察"の本音だろう】
【そして選出された鼻つまみ者の自分、……だが、まだ見捨てられてはいないようで】

("箱"……これがなければもっと行動も自由になるが……)

【男の背負っている鋼鉄の"箱"、それは警察から支給されたもの】
【極力使いたくはない、そう思いつつも銃剣を一度仕舞い、普通の拳銃を取り出す】

【少女は気付いているのだろうか、先ほどの銃剣の一発で射殺できる距離、実用射程は普通の拳銃に比べ短いことを】

私には神がいないから異端者もいない、救済も必要ない

【銃を構えつつ、不気味なまでに動かない少女と一定以上の距離を開ける】
【それは先ほどの糸の速度から割り出した糸を回避する余裕のある距離】

――素晴らしい世界は私にない
   私が今いるのも、目指すのも、ほの暗い、薄汚れた、汚泥にまみれた"楽園"だ――

【無表情で言葉をつむぎ続ける男は、いっそ無機物の人形のようにすら思える】
【だが、そこにいるのは確固たる意志を持った人間でしかない】

【銃の引き金を引くことはなく、ただ動静を、すぐに対応できるように見守っている】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 22:30:55.42 ID:d9H2S5qSO
>>191

「ふーん、へーぇ、すごいねー。───でも仕掛けてきたのはそっちだし、ベンショーする気は全くないけどねー」
「ケンリ?そっちが勝手に決めたものなんて聞くわけないでしょー」


【────そちらの言動が癪に障ったのか、一字一句全く噛まずに言い返す……というよりも完全に受け流している。】
【とはいえ表情は目が血走っているとか、顔が赤くなっているとかそういう事はない。これはこれで威圧感のような何かがあるかもしれないが。】


「とにかく、気に入らないならさっさとけりを付ければー?」
「───そもそもそれって全部原因はそっちでしょ?」

【と、半ば挑発にも聞こかねないことを言う。】
【「立ち入り禁止のことはもっと大きく書けば良かっただけ、舞台を止めたのはそちらの勝手、そしてドレスの件はそちらが攻撃してきたから正当防衛した」などと言いたいようだ。】
【なお口には出していないが蠢く液体に少し興味はある模様。】


「そこまで言うなら付き合えばいいじゃない……えいっ」

【言い終わる瞬間、後ろにジャンプしたかと思えばそのまま彼女の身体が空中に浮かぶ。まるで風に乗っているかのように。】
【同時に入り口の方から舞台の方に向けて、そちらから見れば向かい風が吹き始める。強風により多少行動などに難がでるかもしれない。】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 22:34:10.31 ID:LhLr0/ZUo
>>190

くくッ――――まぁ、悪趣味だってのは否定しねェがな。

【あれだけの銃弾を受けつつも、砂を散らしながらなお前へ進むシーナの姿を、マリオンは青色の瞳で睨み続けているだろうか】
【機銃持ちの『クグツ』へ振り下ろされる戦槌だが、残念ながら破壊にまでは至らないだろうか。腕の装甲を使って辛うじてそれを受け止める】
【ただしシーナの接近が早すぎたせいで、『クグツ』が防御のために機銃の付いた右腕≠使わざるを得なかった。砲身はひしゃげて、もう銃は使えまい】

だがよォ………悪趣味なのはお互い様じゃねぇか? オマエ――――いつまでそこ≠ノ引き籠もってるつもりだ?

【接近しようとしてくるシーナに対し、マリオンが発する言葉は……あるいはシーナの図星を突くようなものだったかもしれない】
【実のところ確信は無い。殆ど鎌をかけたようなものだ。ただ、先程銃を受けても散らなかった血、大男の外見とは裏腹のやや幼い語調――――】
【そういった些細な手掛かりら、マリオンはシーナの使っているゴーレム≠フ存在に、この短時間で薄々とはいえ感づいた様子だった】

≪カタ、カタ、カタ――――≫

【そしてマリオンがまた軽く右腕を振り上げると、シーナとマリオンとの間に拳≠フ『クグツ』が滑り込むだろうか】
【それによって彼女の接近を失敗させると同時、右腕を大きく振り被ってシーナの鳩尾へと拳を叩き込もうとする!!】
【また拳が当たるかどうかに関わらず、先程セリーナに使ったのと同じパイルバンカー≠ェ作動。単なる打撃に留まらない一撃がシーナに迫る――――】


>>193

ハン、『クグツ』共をセリーナが引き付けて、残り二人が本陣を叩くか――――。
いい連携だ。ソイツは認めてやるが――――甘ェんだよジジイッッ!!!

【ブラックが放ったナイフだが……これもマリオンの指示なのだろうか。近接型の『クグツ』の間接部へ直撃するより先に、機銃持ちの『クグツ』が盾になる】
【間接部に直撃したナイフが機銃持ちの方を転倒させるが――――この行動によってフリーとなった近接型の方が、マリオンとブラックの間に滑り込む!】
【『クグツ』は右腕の装甲を使って、ブラックの一閃からマリオンを守るだろう。……この一連の戦法、マリオンという男はどうやら、かなり知略に富んでいるらしい】

……言ってんだろうが、オマエに構ってる暇はねェってよぉ?

【その後マリオンは見下すようにブラックを睨むと、空いている右手でホルスターから拳銃≠取り出して、ブラックの右太腿目掛けて発砲するだろう!】
【ブラックとの間に『クグツ』がいて見通しが悪いと言うのに、片腕一本でとんでもなく精確な射撃。拳銃の扱いにも慣れているようだ】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 22:34:48.01 ID:LhLr0/ZUo

>>194

あァ、そうだな――――テレビの中じゃ、ヒーローって奴が悪≠全部ぶっ倒してくれるもんなぁ?
だがよぉ、そりゃ下らない物語の中だけの話で、ヒーローって奴が居ればの話だ。

だが――――この世界に、ヒーローなんて都合の良い存在はいねぇッ!!
それともオマエがなってみっか、えぇ!? いい年して夢見てんじゃねぇよババァ――――!! 

【マリオンの叫びに、SAAと番犬吠々<ケルベロス・マグナム>≠フ咆哮が重なる。銃撃後の隙を晒す『クグツ』と突き出したパイルを引き戻そうとする『クグツ』】
【双方共にそれを避ける手立ては無く――――数瞬の後、機銃持ちの『クグツ』は地面に倒れ臥し、パイルバンカーを装備した『クグツ』は跡形も無く破壊される】
【これで部屋に残った『クグツ』は残り四体。ただ、セリーナはシーナとブラックにマリオンを任せる選択をした……そのツケ≠ェ、ここで回ってくるだろうか】

あぁ、それと一個教えてやるよ――――、
人型をしてるからってアタマ≠ェ急所とは限らねぇんだなァ!! 吹っ飛びな、マヌケなガンマンさんよォォ!!

【シーナとブラックの元へは、パイル装備の『クグツ』が一体づつ付いた。となれば残る機銃持ちの二体は必然、セリーナを狙って動き出す】
【……いや、二体ではなく三体≠セ――――つい先程SAAの45口径に貫かれた筈の『クグツ』が、音を頼りにセリーナへ飛び掛る!!】
【それだけではない。シーナの元へ付いていた機銃を潰された『クグツ』もまたセリーナへ同時に飛び掛っていって】
【その二体の行動を支援するように、ブラックの所にいた『クグツ』がセリーナの足元へ機銃を乱射する――――三体同時の機動、対応できるか?】

【そして……二体が組み付けるかどうかに関わらず。二体がセリーナに近づいたなら、「ピッ、ピッ」という時間を数えるような音≠ェ聞こえてくるだろうか】
【数瞬の後――――二体のクグツが盛大に自爆≠オ、セリーナへ大ダメージを与えんとするだろう!!】


/変なところで区切って申し訳ない、もう一つ続きます!
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 22:36:59.31 ID:LhLr0/ZUo
>>ALL

『し、知らんと………何度言えば、分かる。私はすべて、お前に言われた通りにした筈だ………。
 アサド・アル=アーデルを捕らえ、彼の部隊が保管していた遺跡の発掘品を全てお前達に渡した――――、』

「……………課長………!」

【マリオンの瞳を真っ向から睨み付けて、エドガーは苦しげに呻きながら答える。痛々しく腫れ上がった白緑色の瞳には、まだ芯の強さが残っていた】
【――――しかし、このエドガーが警察本部長としての権力を使い、アサドを捕らえさせたのはどうやら事実のようだ】
【荒い息を堪えて、ドアの外にいるアルフレドが唸る。分かっていたことだが、心のどこかではまだ、違うと信じていたかったから――――】


あぁ、そうだなぁ。お前はよくやったよ。途中まではな。

だぁぁァァが――――ダメだ!! 鍵≠フ所在がわからない? いつまでとぼけてやがる、あぁ!!?
もう報告は上がってんだ、あの遺跡で自警団の連中が何か重大な発掘品≠発見したってなぁ!!

それがどうだ? テメェがアサドから奪ってきたモンはゴミばかり!! 壁面の響板? 磁性反応? 波長≠フ解析データ?
違う、違う違う違う違うッッ!!! アサドは持っていた筈だ、その波長の出所になっていた鍵≠!!!
それが無いだぁ? そんな言い逃れが通用するか!! 奴らからそれを押収したテメェが、意図的に隠したとしか思えねぇ!!

『ガッ………ぁああッ…………!!』


【エドガーの言い分を聞くなり、マリオンは狂ったように激昴した。彼がエドガーに激しい暴行を加えながら叫び散らす内容は、要約するとこうだ……】

【まずアサドが逮捕される数日前、彼はラズワルド地下遺跡≠ニいう場所でいくつかの発掘品を手にしていた。これが事件に密接に関わってくる】
【マリオン達GIFTの真の目的は、アサドの逮捕ではなかった。彼がラズワルド地下遺跡℃閧ノ入れていた、その発掘品にこそあったのだ】
【GIFT側はエドガーを使ってアサドを逮捕させることで、彼が管理していたその発掘品を押収。目的の品である鍵≠回収する、という手筈だったのだろう】

【――――しかし、アサド達が何か重要な発掘品≠手に入れたという情報がGIFT側に齎されていたにも関わらず、ここで誤算が起きた】
【エドガーがアサドから奪ってGIFT側へ差し出した発掘品の中には……重要な発掘品≠ニ呼べるようなものは何一つも無かったのだ】
【その重要な発掘品≠アそが正しく、自分達の探している鍵≠ナあった筈。調査の数日後に予兆なく捕まったアサドの側にそれを隠す余裕があったとは思えない】

【故に……鍵≠GIFTから隠すことが出来た人間は、GIFTより先に発掘品に触れる機会のあったエドガー・ハーレイを置いて他にはいない――――】

「(………………………………)」

【目の前で恩師が暴力に晒されているのに、何も出来ない。そんな無力感に押し潰されつつも……アルフレドは考える】
【……ここまでのマリオンの言葉が全て正しいと仮定するのなら、こちら側にとっても非常に重要な事実が二つ、判明したことになる】

【まず一つ。マリオンの口振りからして、GIFTはどうやらその重大な発掘品≠フ詳細を知らないらしい。これは僥倖としか言いようがないだろう】
【即ちその発掘品が、奇妙な歌を操る生きた少女≠ナあったこと……いま現在、これは正義≠フ側だけが握っている情報のようだ】
【そして、もう一つは――――エドガーがアサドに濡れ衣を着せて不当逮捕したのは事実。だが彼はその上で、GIFTに刃向かったということだ】

【エドガー・ハーレイは、果たして敵か味方か? その答えは……外道≠フ口から発せられた次の一言に、全て集約されるのだった】


――――いつまでも知らぬ存ぜぬで通ると思ってんじゃねェぞ!! こっちにゃテメェの大事な娘≠ェ居るってことを忘れんな!!!

201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/19(土) 22:39:38.89 ID:+1PDzrUco
>>196

何を言ってるんですか?神様は居ます。
誰がどう言おうと。居ますよこの世界に…
ううん…居なくちゃいけないんです。この世界だから

【今までとは一風違う少女の態度。溢れ出ているのは紛れもない狂気】
【常人ならばまずそこまで歪まないだろうといった程の狂気が確かにシズエを包み込んでいた】

(助けてあげなきゃ。導いてあげなきゃ。楽園に)

【男とシズエの空間に響くのはビチビチと言う何かが弾ける様な音】
【音だけならば小気味良いかもしれないが、発生源は動きを見せないシズエ】
【それだけでこの音は物凄く得体の知れない物へと姿を変えていっていた】



【そしてシズエは暫くの間の後に、ゆっくりと行動をとり始めた】

神は居る。異端者は貴方。救済するのは私。

【そんな事を言いながら、シズエは糸の切れた操り人形のようにのっそり起き上がる】
【見た所糸も何も出ていなければ、攻撃する様子もまだ見せない】
【それに相手のほうが今は有利な状況。それを理解しているからこそ下手に動けない】
【行動≠取るまでは相手の攻撃を受けたくないのだ】


貴方おかしいです…可愛そうです。どうしてそんな事言うんですか?
貴方だって思ってるんでしょ?幸せになりたいって。この世界はおかしいって
自分が救われない今≠ェおかしいって。

【そう言ったシズエの袖口から伸びるのは一本の赤い糸】
【先ほどまでの糸とは様子が違いダラリと地面に垂れ下がったまま動こうとしない】

―――――だから私が助けてあげます

【ドクンと脈打つように跳ねた赤い糸は、そのまま陸に揚げられた魚の様に暴れ狂い男の下へと伸びて行く】
【速度・挙動共に先ほどの糸とは違って不安定で不規則】
【そして何より糸≠ゥらは常識では考えられないほどの殺意が込められていた】

/すみません!次が結構遅れるかもです!
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 22:58:35.58 ID:zTn/IBOE0
>>197

……あっそ。もういい。飽きちゃった。

【次の攻撃に向けて、着々と準備を進めていたのであろう事は、意識せずとも理解出来た筈だ。】
【……然し、彼女は『飽きた』の一言。同時、生き物の様に蠢いていた水は、蒸発して拡散して。】

【ゆっくりと頭を一回転。大きくため息を付けば、そのまま。何事も無ければ、舞台袖へと姿を消す事になるのだろう。】

【何を言っても聞かない。直ぐに、逐一言い返してくる。少女は見た目以上に、口達者だった。】
【それは、回避能力の高さだってそう。刺もハンマーも、致命傷を負うどころか掠りもしなかった。】

【端的に言って、目の前の少女はおもちゃとなり得ないのだ。……彼女にとってこの場で行われているのは、殺し合いではなく、】
【……お遊び、に他ならない。それが結果的に、どちらか一方が死を導く事になろうとも、その考えは変わらない。】
【つまりは、子供たちが砂遊びにでも飽きてしまえば、他のボール遊びに移ってしまうのと同じ。何ら変わりない行動だったのだ。】


……じゃーね。害虫。

【空を飛ぶ少女を横目で見やれば、冷たい視線を送って、鼻で笑ってみせる。彼女とは、そう言う人間だ。】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/04/19(土) 23:03:00.77 ID:AP69a3t3o
>>198

「ほう――三下の割には中々に"鼻が利く"ではないか?」
「私の美貌を拝みたいならば、相応に奮って見せるがよいぞ小悪党め!」


【返す文字は殆ど答えのようなものだ。シーナは内心微かに浮かんだ動揺を殺し】
【天上から見下ろすような存在な口調をそのままに侵攻を続けた】

【マリオンとの間に割り込む"拳のクグツ"。シーナは「チッ――」と舌打ちを文字で記し】
【繰り出される必殺のパイルバンカーに対して行動をせざるを得なくなる】
【この距離で無理に"拳のクグツ"を抜けようとすれば、背を撃ち抜かれる可能性が非常に高い】
【セリーナに任せるといったクグツの相手だが、目の前の個体だけでも対処しなくてはならない】


「木偶人形風情が図に乗りおって、人形は人形同士踊っておるがよいわ!」


【砂の"河"を鋭くカーブを描くように操作。パイルバンカーは脇腹を抉り飛ばす結果となった】
【大量の砂が零れ落ち、与えられた衝撃により身体が大きく揺れて傾き】
【"内部のシーナ"はそのショックを奥歯を噛み締めながら耐えながら、懐から赤い小石を2つ程周囲に落とす】

【赤い石が、床に触れた瞬間――魔術が発動。周辺小範囲の床素材を粒子状に分解し】
【それらは石を中心として繭のように集まったあと、粘土のようにグネグネと形を変化させていく】
【時間にして数秒の現象。そこには地術師シーナの忠実な傀儡……"ゴーレム"の姿が在った】

【身長180cm程度の砂色の全身甲冑】
【頭には目線に細いスリットの入ったフルフェイスのヘルムを被った兵士を思わせる姿】
【それが二体、"拳のクグツ"に左右から襲いかかり腕や足を絡みつかせ拘束しようとするだろう】

【粗製であるが故、単純な命令しか聞けず武器も所持していないが】
【ただの膂力であれば成人男性以上のパワーを発揮する】
【主な狙いは右腕。肥大化した其れの付け根などに組み付こうとし】
【成功したならば――ゴーレムはその場で鉄のように"硬化"し、拘束具のような役割へと変質しようとするだろう】

【しかしゴーレムは生成が完了するまで数秒のタイムラグが存在する】
【その間にもう一度バンカーによる攻撃を繰り出された場合、シーナは回避を試み左腕を吹き飛ばされることとなるだろうか】
【人型のゴーレムを形成するために集中力を使っている事と、脇腹や脚を抉られたことによる行動性能の低下】
【それによって完全な回避は非常に難しい状態となっていた】


「(あと一手、二手か――玩具如きにこれ以上時間は取られたくないものだの!)」


【近くて遠い、中々縮まらないマリオンとの距離に若干苛立ちながらも】
【シーナは頭の中で戦術を考え、組み立てながらも地を通して伝わる情報を元に行動を続けていた】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/04/19(土) 23:04:54.10 ID:AP69a3t3o
>>203
/誤字
/【天上から見下ろすような存在な口調をそのままに侵攻を続けた】× 【天上から見下ろすような尊大な口調をそのままに侵攻を続けた】○
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/19(土) 23:07:32.89 ID:p/19rMhZo
>>201
君にはいる、私にはいない
君の世界にはいる、私の世界にはいない
君の世界には必要で、私の世界には不要

【男は理解する、彼女にとってGIFT――神は彼女にとっての全てであると】
【だからと言って不要な救済を与えられるほど理不尽なことはない】

(神の信奉者っていうのはどうしてこうも狂気に染まっているのでしょうか)

【そして、男にも"異音"が聞こえる】

(……水音……いや、トマトを裂くような……でも音が固い)
(だが一つだけ、少女は先ほどの糸とは違うう攻撃を仕掛けてくる……!)

【男はビチビチという何かの音、それを攻撃の予兆と察知した】

【そして、のっそりと起き上りながら物騒なことを発言する少女に銃を向ける】
【先ほどの銃剣とは違う、射程もある人を仕留める武器】

……神の存在証明は悪魔の証明と同じ、か

【彼女の目に見えている"神"は、男の目には見えていない】
【それは男が盲目なわけでもない、視界にうつるものは、人によって違う】

【男としては相手の出方を全て見てしまいたい、こっちから銃を撃てばそれはできなくなる】
【相手の手札を全て知らなければ、この男は負ける、少なくともこと武力においてはこの警察の男は弱いといえる】
【一般人と比べれば格段に違うが、それなりに戦闘経験を積んだ相手にはこのように慎重にならなければ勝つことはできない】

……さぁ、おかしいかおかしくないかは主観で決めるものではない……
だが、私は幸せになる価値はない、世界がおかしいのはいつものことだ、正常とは何だと問いかけたくなる
――自分が救われない"今"がおかしい?

【赤い糸――運命の二人を結ぶ伝承のあるそれ――に注視しつつ男は発言にこたえる――もっとも、ここでの運命とは何なのかは知らないが】
【拳銃を構えたまま男は答える】

私は一生赦されることはない、そして――

【そういうと男は一発、赤い糸の出ている袖口を狙い拳銃の引き金を引く】
【先ほどとは違い、ガウッという発砲音とともに射出されるのは弾丸、赤い糸を引き裂くために打ち出されたそれは運命の鋏とでも言おうか】

――私は赦されることを、救われることを良しとしない

【そしてすぐさま少女の周囲を周回するように回り始める】
【殺気にひるむことはなく、軌道、そして速度が不安定な"糸"の挙動を"観察"する】

【――世界には、『混沌の中の秩序』が存在する】
【たとえば石を五つ持って地面に投げる、それを何度繰り返しても同じ図形が生まれることはない、これが混沌】
【しかし、時に石は綺麗な五角形をなすこともある、混沌の中に芽生えた秩序】
【男はその挙動をつなぎ合わせる、混沌の中の秩序、僅かな秩序を少しずつ拾い上げていくように】

【だが、拳銃を撃ったことによる初動の遅れ、さらに不安定な速度の糸を観察し続けた代償か否か】

ちっ……

【男は、糸につかまった】

//いえいえお気になさらず
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/19(土) 23:18:55.87 ID:VPZkn7Rpo
>>190>>193>>198-200

【"クグツ"は任せろ―――そう、勇ましく叫んだは良い物の、矢張り一人で六体全ての動きを見切ることは、難しい様で。】
【視界に納める事も、細かな"音"で居場所を把握する事も、攻撃の方向を見切る事もできるが、"認知"と"動作"は別の事だ。】
【情報で処理できても、二つしかないセリーナの腕ではその全てを射線内に収める事が出来ない。同時に全てを消すのは、無理か。】


 (そう、全部を一斉に叩くのは―――……仲間も入り乱れてる以上、中々難しい。けど、数さえ減らせれば―――……ッ!!)


【一体ずつでも、確実に。叩く事さえ出来れば、どうにかなるのは間違いないのだ。セリーナは倒れた二体には目もくれず】
【残る四体の動向を測る。内二体の近接型がブラックとシーナを追っている、これではマリオンを叩く事が難しいだろう。ならば。】
【その四体をフィールドから消す為に、先ずは厄介な射撃型を片付けて広範囲攻撃を可能にする―――セリーナはケルベロスをリロード】

【一撃を撃ち終え、その余りの威力に焼付いて使えなくなった銃身から煙が上がる。重いハンマーをガキリ、と起こせば】
【シリンダーと共に三連バレルが回転―――ゴロン、と回って次なる銃身をセット、同時に弾丸もニ発目が新たに装填された。】
【そして射撃を重ねようとするブラックの方の一体めがけ、すかさず反射的に此方からカウンターの一撃を加えようと、するが―――】


  (なっ―――!? そんなっ、眼<カメラ>が破壊されたのに―――くっ、なる程"音"を拾ってるのか……ッ!!)
  (と言う事は、機能停止に負いこむ為には関節をブチ抜いてやらないといけない、ってワケだね……クソッ!!)
  
  ―――……ハン。ヒーローは居ない、だって? "マリオン"とか言ったかい、そこのボウヤ。
  "居ない"んじゃあない……アンタの視界には入らなかった、ただそれだけの事さ。
  ヒーローなんてのはね、どこにでもいるのさ。それを今からアタシが……アンタにッ……証明、して、やるッ!!



  そんなワケだから、さ。ブラックさん! それにシーナさん!
  アタシ、ちょ〜っとばっかし"ドカン"と吹き飛ぶけど―――――――――――――――――――――――――……
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/19(土) 23:18:58.87 ID:m3bw6TFq0
【街中――表通りに近い公園】
【薄らと月明かりを翳らせる灰色の雲、ぴかぴか艶めく星空は今宵、どうにも隠され気味で】
【その代わりみたいに頑張る街灯がちらちらと点滅していた、――それが照らし出すのは、ちいさな児童公園】

いただきまーす、……おなかすいちゃった。ご飯少なかったのかな……、

【ちっちゃなベンチがひとつと、古ぼけた滑り台と、猫の額ほどの砂場と、それがこの公園にある遊具のすべて】
【そのうちのベンチを占領している影がひとつあった、――すらっと伸びた艶髪は、それが少女だと教えているようなもの】

【ぱちんと手を合わせるちいさな音、それに続くのはがさりがさりと紙を掻き乱すときの、特有の音】
【ふらりと戯れ程度に揺らした足が地面を削る音が響く、――彼女の立てる音は、夜に滲みこむみたいに溶けて】

【――真っ黒の髪は二房の三つ編みを混ぜ込んだストレートヘア、それは今は後ろ側で適当に括られて】
【黒色と赤色、二色の瞳。オッドアイはまるで蛇みたいにまん丸で――それが、ぱちくりと時折瞬きを重ねて】
【胸元にたくさんのフリルとシフォンをあしらったワンピース、おなかのところを両サイド編み上げたデザインをしていて】
【ふっくらと膨らんだスカートの膝の上に置かれているのはサンドイッチ、だった。バゲットを半分に切って詰め込んだタイプのもの】
【レースの靴下と白色のパンプス、爪先はまあるく、靴底は厚く。そんな足先が、くらくらと適当に動いていたりして】
【右の耳にだけ付けられたピアスが時折夜に煌く、――あしらわれた宝玉から零れるのは、清く水の気配】

お家に帰ったら夜食作ろうかな……、ご飯足りてるかなあ、うーん……、
……朝ご飯を豪華にしようかな? どっちがいいんだろ、――おにぎりでも作っておこうかな。

【零れんばかりの野菜に苦戦しながら一口齧りとって、ごくんと飲み込んだなら、零れていく独り言の旋律】
【ぴんと跳ねたレタスの千切り、その先端を指先が整えるようにいじくって――また、ざくんと一口齧って、】

…………太っちゃうかなぁ、

【口の端についたドレッシングを指先で拭う、それから、ぺろりとほんの軽く舌先で舐めとって】
【「うあー」なんて声を零したりもするのだけれど――別段後悔しているようでもないなら、冗談みたいだった】

【――この通りの傍で休めるところと言えば限られていた、それなら、誰かがこの公園にやってくることだってありえなくはない】
【その場合はどうしたってこの少女が占拠しているベンチに相席、なんて形になるのだろうか。スペースは大いに空いていたけれど――】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/19(土) 23:19:15.71 ID:VPZkn7Rpo

>>190>>193>>198-200


【―――組み就か、れる。残りの二体が、銃を持った二体がセリーナに容赦なく組み付き、セリーナはそれを受け止める。】
【しかしそれでも尚、二匹に腕を押さえつけられながら、それでも負けまいと腕を伸ばし―――握り締めたケルベロスを、構え。】
【直線、この状況下、弾丸を浴びせる相手に対してたとえ一歩足りとも退く事無く、精確に精密に無慈悲な砲撃を、慣行―――!!】

【放たれたケルベロスの爆撃じみた一撃が、ブラックの方に居る射撃型へと直進していく、その間僅かコンマ秒だ。】
【着弾すればケルベロスの弾丸は爆発とともに"疾風"の属性魔力により付近へと暴風を撒き散らし、戦場を荒らすだろう。】
【だがそれにより、つまり強引に射撃を敢行した事により、セリーナは残る二体の自爆攻撃に晒されて―――刹那、爆発。轟音。】

【衝撃波がこの一室を襲うだろう。逃げようの無い爆風が吹き荒れて、轟音に建物が震える。煙が舞い、彼女の姿は見えなくなる。】
【もはやこれまで、か。だが少し待って欲しい。ケルベロスで一撃ずつ相手を仕留めていっても、弾丸の都合上三体しか倒せない。】
【しかし"この"爆発を用いて二体を―――邪魔な二体を、片付けられたなら。残る一発でまだ、もう一体を更に片付けられる、ではないか。】

【もし―――もし、仮にだ。この煙の中から"彼女"が出てくるのであれば―――――――あれば。そう、その通りだ。】
【セリーナは既に三体を仕留めた計算になる。暴風のケルベロスマグナムが命中していれば、四体の計算にもなるか。】
【そしてその計算の結果はどうあれ―――煙が晴れるよりも前に、まずは白煙を裂いてケルベロスの銃身が、そしてそれに続いて】


   ―――――――――――――――――……ほ、ら、ね……い、るんだ……。

                      ヒーロー……って、のはさ……きちん、と……いるんだ、よ……ッ!!


【ボロボロのティターン・アーマー。鎧が爆ぜ、アーマーが崩れ、中身のセリーが所々露出し、それでも尚。】
【セリーナは足を引きずりながらその姿を、ハッキリと現す。その様には執念の様な者も感じられるだろうか。】
【フラフラになった手でさらに、ケルベロスを構え、最後の一撃を撃ち放つべく、ブラックと交戦する一体に対して】
【精確に、発砲―――執念の一撃が、正義の炎を纏いし脅威の爆裂弾が、ヒトガタのクグツめがけて放たれるだろう!!】


  そんで、もって……ヒーローってのの辛い所は、さ……救える人間は、救わないといけない、って所で……ははっ……っ。
  はぁ、ハァ――――う、く……っ!! エ、ドガー!! アンタ、にも、話を聞かせて貰うよッ……!!
  娘さん、の……事も、アンタの、事も……アタシ達は……ッ!! 救いに、着たんだから、さッ!! 
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/19(土) 23:22:04.04 ID:7mgluKxd0
>>198-200

(ぬッ…………この人形、奴は恐らくこれらを手足の様に扱えると見た)
………………ッ……! やはり昔の様には動かないな……!

【ナイフはまだどちらの人形に当たっても良いものの、割って入り攻撃が防がれた事は自身の予想を越えていて】
【どころかカウンター攻撃さえ受ける始末、ブラックの太腿を容易く銃弾は貫く】
【歯を食いしばり、ブラックはどうにか立っていられる、それでもダメージは大きい】
【血は簡単に溢れだし、ズボンを朱色に染めていく】

…………ッ、爺と甘く見るなよ、赤子が…………!

【だがブラックは、刀を握り締めてもう一度、人形を攻撃するだろう】
【一瞬、刀身が蒼くうっすらと輝くのが見えるだろうか、その刃を横一文字に薙ぎ払う】
【攻撃自体は単純なもの、しかし刃の切れ味は先程の比ではなく】
【鋼鉄程度では紙のように斬れてしまうほど威力が上昇していた、能力の類だろうか】
【もし当たるなら、その深さにもよって一刀両断も可能な一撃だった】


【やがて聞こえてくる、エドガーとマリオンの言葉の数々、アサドの名、遺跡、そして鍵】
【ミドナから話を聞いていたブラックは、直ぐに内容を理解した】
【鍵、恐らく遺跡で発見された少女の事だろう、ブラックはそれを知っていた】
【鍵はやはり、今回の事件の鍵にもなっている、そしてGIFTはそれを探している】


(………………娘…………?そうか……!そういうことだったか………)
若僧、鍵を探している様だが……私ならそれを知っていると言ったらどうする……?
敗けを認めさせることが出来たなら、教えてやらんことも無いのだがな。

【だから此方に集中したらどうだとブラックは言う、尤も、鍵の存在こそ知っているが】
【どこにあるのかは知らない、だが敵の注意が此方に向けばと咄嗟に吐いた、半分本当の嘘だった】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 23:46:57.54 ID:LhLr0/ZUo
>>203

美貌、美貌ねぇ。
――――ソイツの体格から逆算して、それほど大きなヤツが入ってるとは思えねぇな。
顔がどうだかは知らんが……そのいちいち突っかかってくる直情的な性格といい。さてはガキだな、オマエ?

【ボードに表示される舌打ちの文字を愉しそうに眺めながら、マリオンは冷徹な双眸でシーナの一挙手一投足を見極めんとする】
【これだけ断定が早いのは、GIFT所属ゆえに様々な能力≠ノ触れる機会が多いというのもあるだろう。ただ、それにしても――――】
【ゴーレムの体格やシーナの性格から、マリオンはその真の姿に大まかなアタリを付けてみせる。この知能、本当に油断ならない相手だ】

≪カタ、カタ、カ――――タ――――――、≫

【先程セリーナ相手にも見せていたが、パイルを打ち出した直後は「パイルを引き戻す」ための隙が生じる。シーナはそこを見事に突いたのだろう】
【拘束というのも効果的だ。兵器とはいえ人型なのだから、間接の向きなどは全て人間に準じている―――― 一度絡みつかれれば、もう脱出の術は無かった】
【完全に動きを止めた『クグツ』。遠距離武器も持っていない、後は近づきさえしなければ、シーナの言うとおりただの木偶人形に過ぎない――――】

ひひっ……どれ、どんな生意気なツラが出てくるか、早速拝ませてもらおうか――――!!

【――――その時、マリオンがまた下卑た笑顔をシーナへ向けたことに気づければ、次の攻撃への対処も可能だっただろう】
【「ピッ、ピッ」というカウント音が冷たく響き渡る――――次の瞬間に『クグツ』は自爆し、飛び散る破片と爆風で近場に居るシーナへダメージを与えようとする!!】


>>206 >>208

う、ぉッ――――――!?

【爆風が吹き荒れる――――マリオンの知略を越えて、セリーナの意思と弾丸が戦場を駆け巡った】
【煙が晴れたなら、二体分の自爆攻撃を至近距離で受けてなお立ち続ける、ヒーロー≠フような女の姿がそこにはあるのだろう】
【……転がる残骸が、セリーナの攻撃の凄まじさを物語っていた。自爆で二体が消し飛び、疾風≠フ弾丸が最後の一体を吹き飛ばして】
【更にケルベロス≠ェもう一度唸って、ブラックと戦う近接型へと向かっていく……ギリッ、という歯軋りの音がマリオンの方から響いた】

バカが………強がりやがって!!
だったらもう一個教えてやるッ!! ヒーローだろうが何だろうが――――所詮人間は、死ぬ時は死ぬってコトをよぉ!!

【手駒を失ったマリオンは激昴すると、右手の拳銃をセリーナへ発砲する。その照準に容赦はない、弾丸が飛翔するのはセリーナの左胸、心臓だ――――】
【照準には一切のブレがなく。ただし引き金は憤怒の叫びと共に引かれて、逆にタイミングが解りやすいかもしれない。避けるでも防御でも十分可能なはずだ】

『が、ッ……………』

【……その攻撃の合間に、エドガーの瞳がセリーナを捉える。痛々しく腫れ上がった双眸は……不思議と、弱弱しさは感じられないかもしれない】


>>209

≪カタ、カ、カ――――――ガガッ≫

【ブラックが放った蒼色の一閃に対し、『クグツ』はまた右腕を使ってガードしようとするが――――その斬撃は予想以上に速く】
【そしてほぼ同時、セリーナの放った爆裂の弾丸が頭ごとアイカメラを粉砕。それで一瞬動きが止まってしまえば、もう軍刀を阻むものは何も無かった】
【――――胴体から真っ二つに両断された『クグツ』が、敢えなく全機能を停止するのがブラックにも見えるだろう】

………あぁ? 下らんハッタリかましてくれんじゃねぇか老いぼれ。
まぁいい……教えてくれるってんなら教えてもらおうじゃねぇか。どの道タダで帰す気はねぇしな。

だがよ――――それでこのゴミをオレが離すと思ってんならとんだ大間違いだぜ、ボケがァァッ!!!

【ブラックの言葉がマリオンに眉根を潜めさせる。喉から手が出るほど欲しい鍵≠フ話だ、少なからずブラックへ注意を向けざるを得ない】
【――――しかし、男も流石に冷静である。決してエドガーから離れようとはせず、セリーナに向けた銃口を次はブラックへと滑らせて】
【今度の狙いは脚などではなく腹部。内臓を直接傷つけることを狙って、鉛の弾丸が放たれるだろう――――!!】

【そしてそれがどういった結果を齎すにせよ、マリオンはブラックや他の二人には目もくれず、またエドガーへ向き直るだろうか】


/続きます
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/19(土) 23:47:35.42 ID:d9H2S5qSO
>>202
「………」
「────あれー?さっきの勢いはどこ行ったの?」

【煽りというか、冷やかしというか、そのような心情を含んだ口調と表情である。】
【それはまるで『飽きた』というそちらの一言の揚げ足を取るかのように。そして気づけば地面に降り立っている。】


「あとー、こういうこと言うのもアレかもしれないけど、わたしから言わせてもらうと害虫≠ヘそっちなんだけどね」
「まぁ、逃げる≠ネらもう二度と視界に入って来ないでねー。今まであなた程うんざりする人に会ったことないから」

【年端も行かぬ少女から放たれたとは思えない言葉である。ある意味これが彼女なりの『怒り』なのか『嘲笑』なのか。】

【言い返すかどうにかするなら、今の内だろう。】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/19(土) 23:50:14.73 ID:LhLr0/ZUo


>>ALL

『ぐ、ぅ…………貴様ッ…………』

――――メリッサ・ハーレイ。
稀代の天才少女なんて呼ばれてたか? それに天下の『レイリスフィード学園』で生徒会長やってたそうじゃねぇか。立派な娘だよなぁ?
実際、アイツは本当に優秀だぜ。 見ろ、そこらに転がってる『クグツ』共もオマエの大事な娘が造ったんだ……。

【エドガーが憎悪を込めてマリオンを睨むも、自身の圧倒的不利は何一つ変わらない。マリオンはぎょろりと目を剥き、そんなエドガーを嘲った】
【……マリオンはかつてレイリスフィード学園へ潜り込んだ際、エドガーの娘である『メリッサ・ハーレイ』という女生徒と接触を図ったようだ】
【ここまで言えば、もう誰の目にだって明らかだろう。エドガーがアサドを逮捕した理由は、GIFTの思想に傾倒していたからなどではない――――】
【――――何よりも大事な一人娘を、マリオン・リヴァーズという最悪の外道によって人質に取られていたからだ】


おぉっと、勘違いするなよ? オレ達はメリッサを拉致して無理矢理従わせてるワケじゃあねぇ。
あいつはGIFT≠ノ入ったのさ――――自分から進んで、このオレに従属してな!!

……ひひひ、はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!
可哀想になぁ、両親は無能力者だってのに偶然能力を持って生まれてきちまって、そのせいでお父様ともうまく行かなかったんだとよ!!
あの学園にゃあ、能力のせいで自分の居場所を見つけられないでいる甘っちょろいクソガキが腐るほどいるからなァ。
アイツを籠絡するのも簡単だったぜ? ………ちーーーょォっと優しくしてやったら、「マリオン様ぁ〜、マリオン様ぁ〜」ってよォ!!

――――なぁぁーーー、アトラヴェル警察本部長サマ。オレにゃあどうもわっかんねぇから教えてくれねえかなぁ。
仮にも正義≠フ中核にいる男の遺伝子がどこでどう歪んだら、あァーーーんな尻軽が生まれてくんだ?
……あぁわかった、オマエ獣姦趣味か。昔どっかの飼い犬にでも発情して孕ませちまったんだろ。
でなきゃあ口先だけの言葉に感涙までして、バカみてぇにワンワン尻尾振って付いて来ちまうワケねぇもんなぁ!!!

ひひっ、なぁどうだ、オマエらも傑作だと思わねえか!? 
ひひひッ、ひゃははははッ、ひゃァーーーーーははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッッッ!!!!!


【――――全員に向けて放たれる、聞くに絶えない悪意の塊。エドガー・ハーレイもアルフレド・フェリシアーノも、もはや閉口するしかない】
【何のことはなかったのだ。砂の国自警団も水の国警察も……アサドもエドガーも、そしてアルフレドも、ただこの男によって踊らされていたに過ぎなかった】
【正義≠ヘ、最初から歪んでなどいなかった。全てはこのマリオン・リヴァーズという外道によって、無理矢理に操られていただけだったのだ】

【マリオン・リヴァーズが嗤う……エドガーとアルフレドへ向けて。そしてこの場の三人へ向けて。この世の全てを、嘲るかのように】
【……男に従っていた六体の『クグツ』はいま、三人の手によってすべて破壊された。もはや迷うことなどない。後はこの黒幕≠――――討ち果たすのみ!】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/20(日) 00:11:38.46 ID:Sh5v86QJ0
>>211

───……。

【どうやら、追撃は無いらしい。ならば彼女は何事も発する事無く、やがて幕の闇へと姿を消すのだろう。】
【その表情は、子供染みた言い争いをするつもりはない……なんて言いたげな顔付きにも見えたか。】

【彼女の足音さえ聞こえなくなってしまえば、辺りは、再び静寂に包まれる。】
【……ではコレで終わりか、直ぐに帰れるのかと言えば、そうではない。世の中、そんなに甘くないのだ。】

【先ず第一に、恐らくその身体では開くのが精一杯であったであろう大きな扉、】
【───簡単には開かないのだ。例えばその向こうで、椅子が積まれているとかそういった具合、】
【不可能ではないが、一筋縄では行かない……。このホールには3つ扉があるが、全て、そう。】


………ケムリヲ カンチ シマシタ スプリンクラーヲ サドウシマス

【……それから、5分程経てば、今度はけたたましい警報音と共に、スプリンクラーが作動する。……誤作動かと思えば、それは違う。】
【確かに、椅子が炎上しているのだ。丁度正反対の方、広さもある故、直ちに問題がある訳ではないが……、】
【例えば、その煙を存分に吸い込めば、一酸化炭素中毒にも成り得るし、スプリンクラーがあると言えど、】
【吸い込まずとものうのうと過ごしていれば、火の手は案外早く回ってくる。……規模を、増大させつつ。】

【……こんな状況になればやっと、このホールが閉鎖的な空間である事に気付くのだろうか。】
【然しこの場から脱するルートは、案外多く、然しその殆どが発見しにくい場所で、】
【一番初めに目に付くのが、彼女が先程通った、舞台袖。今になっても姿を表さないという事は、】
【恐らく他の場所へと通じている……そう判断する事が出来る筈だ。】

【或いは、華奢である事、かつ風に乗って空中を舞える事が功を奏す場合もある。……大きめ通気口だ。】
【勿論人が出入りする場所ではないが故に、高さ6,7mの場所に付いているが……どうだろうか。】

【……逆に、強行突破、つまり扉をぶち破ってしまうと言うのもアリであろう。他にもあるのかも知れない。】
【全ては、少女の自由……但し、繰り返しになるが、あれやこれやと考えている程、時間はそう無い。】

214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/04/20(日) 00:22:46.83 ID:QX235i8Mo
>>210>>212

「――本当にグダグダとよく回る舌なのだ!」
「一度引っこ抜いてやらねばその減らず口は治らんのかの!」


【身体を前傾させ、乱暴に踏み込みながら激情を板上で示す】
【それはマリオンの言葉が確信を捉えていたからであり】
【シーナにとってそれは、神経を逆撫でするには十分すぎるほどの発言であった】


【拘束を終えた"クグツ"が動きを止める様を見て】
【トドメを刺す手間は要らぬだろうと取捨選択をし、通り過ぎようとするが】
【瞬間――マリオンの言葉と、不気味な電子音に対し脳に警鐘が鳴り響く】
【機械に疎いシーナでは、クグツが自爆するという点まで思考が到達することはない】
【しかし"何かある"という直感だけを頼りに、身体を丸め防御のような姿勢を取った】

【そして――爆発。ゼロ距離からの直撃ではないものの】
【それでも恐らく、人間一人を容易く吹き飛ばすに足る威力はあろう】
【シーナが声もなく爆風に飲み込まれ、大量の"砂煙"が――不自然なほどにまで周囲に散布され】
【シーナのいた周辺中範囲程度の視界が限定される事となった】

【あの距離で受けたのだ、まず無事ではいまい――と、普通の人間なら考えることだろう】
【しかし、マリオンは"シーナの正体"に殆ど勘付いている】
【ならば、この後"シーナが起こす行動"もある程度予測を立てることも難しくはないだろうか】


「貴様がどこの雌犬と乳繰り合っておろうが知ったことではないがの――」


【砂煙を破り、小柄な影が一筋の矢の如く疾駆する】
【腕には岩石のようなモノ――ゴーレムの腕が纏わりついており】
【その両腕で"先程のシーナ"が背に携えていた分厚い大剣を、刃先で床を削るような持ち方で握り締めながら】
【砂煙を抜けた時点で、マリオンや他の人間からもその姿を見ることが出来るようになるだろう】


「――貴様のような下らん人間が、私の友を傷つけた事は万死を以ても許されんのだッ!!」


【姿を現した人物は――身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【爆発の影響で身体は煤だらけ、肌には細かい傷がついており】
【"搭乗型ゴーレム"と"粗製ゴーレム"は完全に破壊されて砂に戻って散っていった】
【正体はマリオンの予想通りの小柄な子供。だが、その内には不相応なほどに燃える激情が滾っていた】

【マリオンの言葉で察しがついた。やはりこいつこそが"黒幕"であったのだと】
【エドガーの無事や、その娘のことなどシーナにとっては他人事であり"どうでもいい"】
【目の前の下衆のせいで友が傷つけられた、その事実だけでシーナの闘争心は燃え上がっていた】


「それ――たんと喰らうがよいわッッ!」


【"砂の河"による高速移動で生まれた勢いをそのままに、シーナは身体を捻って回転動作を加え】
【手に持った大剣を――思い切りマリオンに向けてぶん投げた】
【軌道は単純、対処も難しいものではないように思える攻撃であるが】
【シーナのこの攻撃は飽く迄も"囮"。意識を前方に集中させるためのモノに過ぎなかった】


【マリオンの左右、20cm程離れた場所の床が粒子状に分解し】
【ゴーレムのものと同様に人間型の腕が形成され……製造することに成功したならば、マリオンの両足を掴み拘束しようとする】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 00:28:51.51 ID:+zkfA9bqo
>>205

私達の神様は悪魔も救ってくださるんです。
そして等しく楽園の住人にしてくださる

【彼女の目に見えている物、それは本当に神なのか】
【はたまた神の名を騙るだけの醜い悪魔か】
【もしかすると少女にはそれ自体が何も見えていないのかもしれない】

だから私はそんな神様に従う。すべてを捧げて。すべてを許して
それが私を許してくれるから

【吹っ切れたときのシズエの行動はきっとシズエ自身もよく分かっていない】
【思うままに行動して、思うままに言葉を口にする】
【ある意味一種のトランス状態に陥っているのだろう】

【いつ元に戻るか分からない、まったくもってたちの悪い状態異常である】

そうですよ。自分が救われないのがおかしいんです
こんなにも頑張ってるのに誰も認めてくれない。
こんなにも尽くしているのに誰もそばに居てくれない
こんなにも大好きなのに誰も愛してくれない

それのどこがおかしくないんですか?

【少女から滲み出るのは真っ黒に染まりきった依存心】
【縋る物に縋り付き、自分の存在をそこで肯定する】
【今喋っているのは少女であり少女でない、自己中心的で邪悪に満ちた依存心の塊だった】


だったら―――――消えて


【跳ね回る糸は時間が経つごとに枝分かれして数を増す】
【そして何より込められている魔翌力が先ほどまでの物より数倍は強い】
【そのためか糸の根元は銃弾によりかなり細く弱くなったが、何とかギリギリで繋がっている】

私の痛み…貴方にもあげる

【糸が繋がった場所に小さな魔方陣が展開されているのが分かるだろうか?】
【回転しながら小さくなって行く魔方陣】
【これが完全に消えたとき、男には苦痛と出血を伴う傷が出来るだろう】

【対処するなら魔法陣が消えるまで。その間に何とかするべきだろう】


/本当にごめんなさい!遅れました!



216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/20(日) 00:42:32.73 ID:obvNelay0
>>210.212

ふ、この状況で本当にハッタリを言うとでも……?
だが教えるのは私が敗けを認めた時だ、そして、敗けるのは貴様だ。

【品の無い言葉を放つ男、それでも冷静な思考を乱さない】
【成程 厄介だ、しかし人形の無くなった今は好機、ここからが勝負】

【今のところ冷静な思考を保っているのはブラックも同じ、単純な狙いなら軌道は読める】
【弾丸を軍刀で捌くと、キィンという音が響いて】


【マリオンの言葉が耳に届く、エドガーの娘を利用してこの人形共を作ったらしい】
【更にマリオンは人質として、エドガーを脅し、彼をも利用した】

【他者を騙し、利用し、尚も暴言を簡単に吐き捨てるマリオンに、ブラックは心底腹が立っていた、軍刀を握る手に更に力が入る 】


…………貴様は、もはや人間ではないッ!!
エドガー殿 、貴方の無念、私達が今晴らしてやりましょう……!

【ブラックにとって 彼の無念は痛いほど分かるつもりだ、自分にも愛する娘が居る】
【だからこそ他人事の様には思えなくて、己の事の様な怒りを露にした】
【軍刀を構え、噴き出す血も構わずに脚に力を込める、マリオンの方へと一気に飛ぶ】
【その速度、電光石火とでも呼ぶのが正しい程の勢いだ】

ハアァァァッッッーーーーーッ!!!

【今度は色濃く、その刃が蒼に染まるのが分かる、全力を込めた一撃か】
【狙うはマリオンの両腕、肘から先を切り落とそうというものだ】
【両腕への斬撃は、相手にはほぼ同時の様に感じるかも知れない】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/20(日) 00:52:11.19 ID:rLkcL9CgO
>>213

「はぁ……なんというか、久々にイヤな気分したなぁー………」

【少女が居なくなったのを確認するとコロリと変わって疲れたような顔をしてその重々しい戸を開けようとする………が、何故か開かない。】
【このホールに入る時は、重かったもののそれを開けることは不可能ではなかったはずである。】


「あれ…開かない…………??」

【恐らく防音などの為か壁は分厚いであろう。まさに密室≠ナある。】
【そして騒々しく鳴り響く警報音。ふとホールを一望すると、そこには火の手を上げる椅子。】


「え………えっ………???」

【あまりの驚きに二度見か三度見はする少女。下手に風を当てれば当然火を煽ることになるため手を出せない。】
【だからと言って重いドアをぶち破ることは流石に厳しいかもしれない。】


(と、とりあえず出れる場所は無いの…………!?)

【誰もいないだろうが、明らかに焦ったような顔をしていることは言うまでもない。】

【────外に出られる場所が無いかと、真っ先に目をつけたのは舞台裏である。】
【舞台に飛び乗り、まずは上手の方からくまなく、かつ急いで調べていく。】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/20(日) 00:54:47.24 ID:WDaIxlHIo
>>215
……そうか

【否定も肯定もしない、が、その口調は冷淡なものになっていく】
【先ほどまではどこか、どこかあったぬくもりが冷め切ったように】

【神というものは超常的存在だけか、否】
【己の信ずる信念、それを神格化することで生まれる己だけの"神"も存在する】
【男はそれをわかっている――だからこそ男には"神"がいないのだ】
【男に信念がないわけではない――それが示すことは】

私は――

【そういうと再び銃を構える、赤い糸につかまった――銃弾で切断しきれないものを人力で切ることは男の膂力ではできない】
【刃物を出せばいいかもしれないが、そのために遠隔攻撃手段を捨てるのも愚である】

――神に従うという免罪符はいらない――

【パァンと、銃口がうなりを上げる、標準は少女の右腕の肩】

――神に捧げるという正当化は不要で――

【再び唸り声が響く、標準は少女の右足の付け根】

――許しという自己欺瞞に浸りはしない――

【三度目の咆哮、それは少女の右脇腹を狙ったもの】

【そして男が糸を狙い四発目を放とうとしたとき……】

……ジャムか

【金属の不気味で不快な音――それは男の銃が詰まったことを示していた】
【最悪の運、そうとしか言いようのないタイミングだ】

……

【男は、訴えかける少女の真黒な、タールのように重く締め付ける言葉を聞く――聞いた】

――見返りを求めてる時点で君は負けているんですよ

【全てに見返りがあるわけではない、むしろ見返りがあるのはほんの一部と言っても過言ではないだろう】
【男も見返りがほしくないわけではない、求めて努力をしたことは数えきれないほど】
【だが男は空回りして空回りして……そして――諦めた】

――生憎ですが、私が消えることは赦しになってしまいますから

【そのあきらめた男の折れない芯が皮肉にも、赦されず、救われるべきではないという信念だった】
【そして少女の語りはおそらく本人の意図しない結果を生み出した】

//続きますん
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/20(日) 00:55:00.04 ID:WDaIxlHIo
>>215
……っぁ…!

【男の無表情に浮かぶ僅かな苦痛の色、少し経てば傷のできた箇所に血を吸って黒くなった染みが生まれる】
【少女の語りは、奇遇なことに男の意識を意図からそらすことに成功したのだった】

(あの赤い糸は接触した対象に時間差で傷を生み出すシロモノか……!)

【苦痛、苦痛の中でも男の思考はクリアだった、いや、苦痛のおかげで苦痛と思考すべきこと以外の雑念が消えたというべきか】
【男の中で戦術が練られる、練られる、練られる】
【或る案は却下される、或る策は失敗しか見えず、或る手段は実現不可能だった】

……勝利条件を見失うな

【男は立ち上がり、そしてジャムった拳銃を少女に向けて投げつける】
【そしてその間に男は再び警棒を――槍を取り出し、構える】

【息は荒い、構えも時折ぶれる】

(私の役割は――それは足止め、そして重鎮の確保、出入り口の閉鎖)

【こうやって注意を一人にひきつければ――他の自警団員、そして警察は動きやすくなる】

(ここまでは一人でできるが……ここから先は一人じゃ無理か……?)

【それとも、と、男は――】

(この"箱"に頼るしかないか?)

【男は意識の外に締め出していた、"箱"の使用を視野に入れ始めた】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/20(日) 00:56:45.07 ID:4GU/cE40o
>>210>>212>>214>>216

【爆炎が晴れると同時、其処に現れたのはセリーナだけではなく、同じ様にボロボロに成った一つの正義、であった。】
【彼もまた護るべき物を抱える小さな正義。だがその中で、彼はより大きな悪意によりその身を呑まれ、そうして今、断罪の様に】
【このマリオンによって全てを明かされていた―――セリーナは空になったケルベロスを放り投げ、代わりに残り一発の"弾"末魔を構え】

  
  ――――――――それから、これもまた一つの……"お約束"だけどね、マリオン。
  悪役が何かを偉そうにペラペラ語ってる時ってのは、大抵が追い詰められたその時だ。
  つまり―――悪事をバラし、誰が一番悪かったのかを露呈させた今のアンタは……もう、手遅れさ。

  ―――ブラックさん!! シーナさん! 容赦はいらないッ!! コイツを……宇宙の外へと吹き飛ばしてやろうッ!!


【―――発砲。放たれた一撃は最後の召還弾となり魔方陣を展開、先程のケルベロスを呼び出した其れに比べても大きな其れは】
【何か強大な唸りというか、悪を赦さぬ正義の咆哮とでも呼ぼうか―――正に鉄槌とでも呼ぶのが相応しいような、轟音と共に出現する】
【蒼白い召還陣から降臨するように床へと舞い降りる巨大なボディ、とそこに連なる何発もの―――連銃身。いや、これはまさか―――。】




                       八首猛撃――――<ガトリング・ヒュドラ>

             
【―――見えるだろうか、その巨体が。】
【地面に展開された特大召還陣から、聳えるようにして現れたその火器は―――これは、何だ?】
【超巨大な魔道機械の胴と、そこから伸びた八本の金色の銃身。視界を埋め尽くすような巨大な重火器―――】
【召還された最期の武装は、長距離制圧射撃用の超・重機関銃―――通称・"ガトリング・ガン"。】
【獰猛な"ヒュドラ"―――伝説の魔獣を模した八つ首をモチーフとして生み出されたおどろおどろしい"魔界兵器"である】
【唸る魔導機械に搭載されたエンジンは、アーマーのそれよりも更に強烈で、ピーキーな性能のものだ。】
【召還と同時に壮絶な駆動音が戦場を揺るがし、全身を振動させる勢いで魔導機械の"回転"が行われる。】
【スーパーカーのエンジンでもこう五月蝿くはない。回転式連発銃につき物の空転が始まり―――銃身も吊られて、回転。】
【まるでカウント・ダウンをするかのように音がどんどんと大きくなり、回転速は上がり続ける、そして―――ッ】

【引き絞られたトリガーと共に、破壊の嵐が巻き起こった。瞬間、空間が破裂するほどの爆音が響く。】
【ヒュドラの首を模して生み出された八本の銃身は超高速で回転し、紫色の魔力弾丸を暴力的なまでの速度で撃ち出す!!】
【ガトリング・ガンそのもの――否、もっと強烈といっても過言ではない。放たれているのは魔力のカタマリなのだから。】
【本物の竜が暴れまわるかのように、彼女はガトリング・ヒュドラを振り回す――弾丸は一直線になど飛ばない。】
【悪意も、煙も、マリオンをも吹き飛ばすかのように凄まじい勢いで熱気と弾幕が張られ、銃身が鋭く焼け付いていく――。】

【まさに破壊の渦<ヴォルテクス>―――全てを破壊するために弾丸はこの1レスの間、吐き出され続ける―――!!】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/20(日) 00:58:05.14 ID:4GU/cE40o
/あっとごめんなさい!>>220ちょっと書き直しますごめんなさい!
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/20(日) 01:00:08.55 ID:4GU/cE40o
>>210>>212>>214>>216

【爆炎が晴れると同時、其処に現れたのはセリーナだけではなく、同じ様にボロボロに成った一つの正義、であった。】
【彼もまた護るべき物を抱える小さな正義。だがその中で、彼はより大きな悪意によりその身を呑まれ、そうして今、断罪の様に】
【このマリオンによって全てを明かされていた―――セリーナは空になったケルベロスを放り投げ、代わりに残り一発の"弾"末魔を構え】

  
  ――――――――それから、これもまた一つの……"お約束"だけどね、マリオン。
  悪役が何かを偉そうにペラペラ語ってる時ってのは、大抵が追い詰められたその時だ。
  つまり―――悪事をバラし、誰が一番悪かったのかを露呈させた今のアンタは……もう、手遅れさ。

  ―――ブラックさん!! シーナさん! 容赦はいらないッ!! コイツを……宇宙の外へと吹き飛ばしてやろうッ!!


【―――発砲。放たれた一撃は最後の召還弾となり魔方陣を展開。と、同時にそれ自体が防御壁としての機能を発揮。】
【放たれたマリオンの拳銃弾をも完璧なタイミングで防ぎつつ、先程のケルベロスを呼び出した其れに比べても随分と大きな其れは】
【何か強大な唸りというか、悪を赦さぬ正義の咆哮とでも呼ぼうか―――正に鉄槌とでも呼ぶのが相応しいような、轟音と共に出現する】
【蒼白い召還陣から降臨するように床へと舞い降りる巨大なボディ、とそこに連なる何発もの―――連銃身。いや、これはまさか―――。】




                       八首猛撃――――<ガトリング・ヒュドラ>

             
【―――見えるだろうか、その巨体が。】
【地面に展開された特大召還陣から、聳えるようにして現れたその火器は―――これは、何だ?】
【超巨大な魔道機械の胴と、そこから伸びた八本の金色の銃身。視界を埋め尽くすような巨大な重火器―――】
【召還された最期の武装は、長距離制圧射撃用の超・重機関銃―――通称・"ガトリング・ガン"。】
【獰猛な"ヒュドラ"―――伝説の魔獣を模した八つ首をモチーフとして生み出されたおどろおどろしい"魔界兵器"である】
【唸る魔導機械に搭載されたエンジンは、アーマーのそれよりも更に強烈で、ピーキーな性能のものだ。】
【召還と同時に壮絶な駆動音が戦場を揺るがし、全身を振動させる勢いで魔導機械の"回転"が行われる。】
【スーパーカーのエンジンでもこう五月蝿くはない。回転式連発銃につき物の空転が始まり―――銃身も吊られて、回転。】
【まるでカウント・ダウンをするかのように音がどんどんと大きくなり、回転速は上がり続ける、そして―――ッ】

【引き絞られたトリガーと共に、破壊の嵐が巻き起こった。瞬間、空間が破裂するほどの爆音が響く。】
【ヒュドラの首を模して生み出された八本の銃身は超高速で回転し、紫色の魔力弾丸を暴力的なまでの速度で撃ち出す!!】
【ガトリング・ガンそのもの――否、もっと強烈といっても過言ではない。放たれているのは魔力のカタマリなのだから。】
【本物の竜が暴れまわるかのように、彼女はガトリング・ヒュドラを振り回す――弾丸は一直線になど飛ばない。】
【悪意も、煙も、マリオンをも吹き飛ばすかのように凄まじい勢いで熱気と弾幕が張られ、銃身が鋭く焼け付いていく――。】

【まさに破壊の渦<ヴォルテクス>―――全てを破壊するために弾丸はこの1レスの間、吐き出され続ける―――!!】

/修正版です!
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/20(日) 01:16:49.13 ID:Sh5v86QJ0
>>217

【初め。重い扉を開き、彼女にスポットライトが当たっているのを目撃した筈。】
【これは何ら不思議な事はなく見えるが……然しだ。一体誰が、彼女に向かって光を放出したのか?】
【その答えは、……突然炎上した椅子の原因と一致する。】

【舞台へ踏み出した、その一歩目。……嗄れて老成した、男性の声が響き渡った。】


私めが、貴女をどうこうするおつもりはありません、
ドレスの件に関しましても、当方の非を認めましょう。
―――但し。お嬢様を、貴女は悲しませました。これからその一点に限り、執行致します。

償いきれない罪を、先ずは死を以って補いなさい。
……煙で意識を失う前に、この世で一番苦しい死に方とされる、―――焼死。
灰になるまで、我々は貴女を燃やし続けます。……必ず。

【例の彼女に比べれば、まあ理解が出来る様子。多からずとも、非を認めるのだという。】
【然し、それでも尚少女へ攻撃の手を進めるのは……この言葉を聞いていれば、自ずと明らかになる。】

【恐らく彼女は、絶対的な存在。何があろうと、彼女が思うままに、世の中は進んでいくし、】
【少なくとも"彼"はそうさせるつもりなのだろう。……だからこうして、態々危険な真似を犯す。】

【スプリンクラーが止んだ。……恐らくは、彼が止めたのであろう。】
【故に、火の勢いは従来よりも加速する事となる。……ホールの約8分の1が、今燃えているだろうか。】

【幾重にも設置された幕は、機会音を立てながら徐々に降りて行く。】
【立派な垂れ幕だ。潜り抜けようとしても、不可能ではないが、重くて中々スムーズには行かなさそうで。】
【つまりは、何処か目標を直ちに設定して進まなければ、後はないといった状況だ。】

【迷わなければ、問題はない。但し、何か目移りする物があって、悩んだのなら……、】
【その時点で、少なくとも先程彼女が進んだ道は、閉ざされる事となる。】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 01:19:48.03 ID:+zkfA9bqo
>>218

はい。

【シズエにとっての神様とはいったい何なのか】
【自分を肯定してくれる存在?自分を許してくれる存在?】
【それとも自分自身に無償の愛をくれる存在?】

【答えは全てがNO。自分が信じる神様はそんなちゃちな存在ではない】
【もっと莫大で広大で寛大。漠然としたイメージしか抱けないがきっとそう】

私は?

【そこまでいった男が何を言うのか、シズエは興味深そうに男を見つめた】

――従うことを怠れば貴方は永遠に罰から解放されない――

【弾ける弾丸はシズエの右肩を貫いて血飛沫を撒き散らす】

――捧げることを無碍にすれば貴方は不当な存在になる――

【次に打ち抜かれるはシズエの右足。これもまた命中しガクッと体制が崩れる】

――許しを乞わないならば自己を枯渇させることになる――

【三発目の弾丸もシズエの脇腹を見事に貫いた】


【男の撃った弾がすべて命中し、シズエは真っ黒な目で天を仰ぐ】
【痛みは生きていると言うことを実感させ、流れ出る血は死を近づける】
【不思議だけど、何故かシズエは幸せを感じていた】


負けた?まだ負けてない。まだ捨てられてない。まだ一人じゃない

【喋れば喋るほど血が湧き水のように溢れ出て来る】
【だけど男とは相反する思想のシズエは言葉を紡ぐのをやめなかった】
【そうしないと彼を正せない°Cがしたから】


/こちらもつづくます
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 01:20:12.20 ID:+zkfA9bqo
楽園にきてよ。だったらみんなが許される
誰も悲しまなくて傷つかない平和で幸せな世界に

【シズエがここまで躍起になるのは、男が赦されるべきではないと言っているから】
【どうしてもシズエは彼を赦される世界に連れて行ってあげたいのだ】
【それが自己満足。独善だったとしても】


まだ。まだまだ終わっちゃいけない

【撃たれた傷口から次々と生成される魔翌力の糸】
【これらは最初に使った糸と同じなのだが、シズエの血液で真っ赤に染まっている】
【用は偽者の赤い糸をシズエは作り出したのだ】


逃がさないし逃げられないし逃げちゃ駄目
分かる?この意味?

【虚実入り乱れる赤い糸。それらは制御されることなくあたりを跳ね回る】
【どうやら普通の糸をコントロールする気力さえもシズエには残っていないのだろう】
【となれば男の勝利はもう目の前である】


―――――

【倒れこんだままのシズエ。そして接近を阻む無数の糸たち】
【もはやシズエに任務の事など関係ない。】
【今はこの男をどうやって救ってあげれるか。すべてはそこに掛かっているのだろう】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 01:35:53.63 ID:LIeZHRRvo
>>214

ハッ――――出やがったなクソガキ! 予想通りクソ生意気なツラだぜ……!!

【砂煙の中から現れる小柄な少女を、マリオンは心底楽しそうに睨みつけて。憤怒にぶつかるのは、見る者の神経を逆撫でする狂笑】
【放擲された大剣に対して――――マリオンは懐からアルフレドの血に塗れたサバイバルナイフを取り出して、短い刃で見事にそれを受け止める≠セろうか】
【左手にナイフ、右手に拳銃。近距離と遠距離に対応した二つの武装、そのどちらも相当な熟練度のようだった】

友達ィィ? ひひ、ひゃはははははははははははッ!!!
いかにもガキが好きそうな理由だぜ、そんな下らんモンの為にこんな場所に紛れ込んだりするから――――、

【流石に左手一本では受け切れず、サバイバルナイフが弾け飛んで地面に落ちる。強い衝撃が左腕に走り抜けて、表情が歪むが――――】
【ぎょろりと目を剥いて嗤うと、マリオンは失速した大剣の柄≠掴み取るだろうか。「新しい武器をありがとう」とでも言いたげに、シーナを見下して】
【そして、異変≠ェ起きたのはここからだ。その足元に腕が現れた瞬間、バチッ、という音を残してマリオンの姿が消える=I!】

――――こういう目に遭うんだよクソガキィィィッ!!!

【一秒と経たないうちに彼が現れるのは、作り出された腕からは少し離れた、ちょうどエドガーの隣の位置だ】
【恐らくこれが、この男の能力=Bそれによって腕の拘束を避けたなら、マリオンはシーナの右肩と左肩を狙って拳銃を二連射する――――!】


>>216

なんだ、オレの数倍も生きてる癖にこんなことも知らねぇのか?
生憎、オレはこれでも人間だ――――そして世界にはッ!! その人間じゃない人間なんぞ腐るほど居るんだよォッ!!!

【心の底からの嘲笑がブラックを射抜く。肉体的には人間そのものであっても……この男の性根は、確かにおよそ人間のものではない】
【振り切られる渾身の斬撃にも、マリオンは目敏く反応するだろうか。やはりGIFTメンバーだけあって戦闘能力は高いのだろう】
【サバイバルナイフだけでは到底受けられそうも無い一撃だが――――その手には今、シーナが投げた大剣があった】
【それを地面に突き刺して斜めに構え、自分はその陰に隠れるように屈む。結果として、ブラックの一閃は大剣の上を滑るように受け流されるだろうか】

オラッ、お返しだ!!

【そして大剣の陰から、バチッという音が響けば――――マリオンの姿は次の瞬間、ブラックの真横にあるだろうか!】
【マリオンは新たなサバイバルナイフを取り出し、「お返し」の言葉通り軍刀を握る方の肘あたりを狙って突き刺そうとする】
【軍刀を握れなくして無力化するのが狙いの、実に賢しい一撃だ。能力≠フせいで攻撃も捉え難く、多少回避しづらいかもしれない】

【まるで瞬間移動≠ノも見える能力……だがもしかすると気づけるだろうか。マリオンの姿が消えて現れるまでに、ほんの小さく足音≠ェ響いていたことに】


/二つ続きます……
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 01:37:05.15 ID:LIeZHRRvo
>>220

ひひっ――――そいつはどうかなァ?
オイオイセリーナ、いいのかよ、そんな物騒なモン取り出して――――、

【全てを語り終えた悪役は、ただ退場するのみ。そんなセリーナの文言を……マリオンは何か、意味深な笑みで受け止めて】
【八首猛撃<ガトリング・ヒュドラ>≠ニいう名の新たな銃器が召還される光景を見ると即座に後退しつつ、下卑た台詞が零れ落ち――――】

【その直後―――――銃撃、銃撃、銃撃、銃撃ッ!! 破壊の嵐が部屋に吹き荒れ、全ての悪意≠吹き飛ばさんと迫る!!】
【マリオンはエドガーの元まで戻ると無理矢理髪を引っつかんで伏せさせ、カウンターの裏に隠れる。……木製の筈のそれが、魔弾を弾いて激しい金属音を上げた】
【流石に抜かりが無い……いざという時防壁として使えるよう、予め金属か何かを仕込んであったようだ。しかしそれにも限界はあって――――】
【猛烈な銃撃の嵐の中、カウンターも粉々に粉砕される。暫くして嵐が止んだのなら……何かに着火したのか、カーペットに火の手が回った地獄の様な光景が残る】

【それが吹き上げる黒い煙が、セリーナの攻撃が全てを破壊していったことを示していて――――】


――――こういうことになっても知らんぜ?


【……セリーナは二回目だろう。背後から、バチッという音が響くのは。もし振り返ったのなら、そこには血塗れになったマリオンが嗤って立っている!】
【カウンターを使って防ぎはしたが、全ては無理だったのだろう。体中のあちこちに弾丸を喰らった跡があるが、それでもまだ男は生きていた】
【そして――――左手に引き摺っているのはエドガー・ハーレイ。彼もまた銃弾をあちこちに受けている……マリオンが、彼を盾として使ったのだ】

いやぁ、心底羨ましいぜ――――味方≠イと吹っ飛ばしちまいそうな、そのバカみてぇな火力はよォ!!
ひゃァーーーーーーーはははははははははははははははははははははッッ!!!

【バチッという音が響いたかと思えば、エドガーごと彼の姿が消え去る。次の瞬間にはセリーナの真横に現れて発砲、右脚を撃ち抜こうとするだろう!】

【……これだけの傷を負っている状態なら、解りやすいか。マリオンの姿が消えて真横に現れるまでの間に、鮮血≠ェ数滴飛び散るのが見えるかもしれない】
【決して瞬間移動なんかではない――――これはもっと低位のモノだ】
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 01:40:19.47 ID:LIeZHRRvo
>>ALL

ひひひ、いいぜぇ!? もっと攻撃して来いよ!!
オレが死ぬのが先か、それともコイツが死ぬのが先か!! 試してみようってんなら乗ってやろうじゃねぇか!!

『ぐ、ガ――――ッ、』

【マリオンの負った傷は、早くも深いものだ――――狡猾な策略でどうにか持ちこたえているが、この状態ではそれも時間の問題だろう】
【先程からサバイバルナイフや銃撃に頼った戦法を展開している通り、攻撃力にも乏しい。三対一の状況を真っ向から覆せる程の実力を有している訳でもないようだ】
【……それを自分でも理解しているからこそ、マリオンは下衆な言葉と共にエドガーを振り回してみせ、一同へその存在を誇示する】
【彼という人質≠フ存在は、今のマリオンにとっては切り札に等しい。勝利するためには絶対に手放せないものだ――――】


――――オラどうした、もっとオレを楽しませてみろやぁ!!!


【そして叫ぶなり、マリオンは大きく後退。そして同時にポケットへ手を突っ込んで……ガチン、と、そこにあったスイッチ≠押し込むだろうか】
【次の瞬間――――頭上にあるシャンデリアが根元からへし折れて、勢いよく落下してくるだろう!!】
【セリーナの攻撃でかなり欠損しているが、それでも巨大なシャンデリアだ。直接押し潰される危険もあるし……このトラップ、それだけでは終わらない】
【――――天井から、ピアノ線のようなものが複数吊り下がっている。そしてその先端部分に、何かピン≠フようなものが結びつけられていて】
【シャンデリアを確認すれば、裏側に大量の手榴弾が接着されているのに気づくはずだ。落下時の勢いで手榴弾のピンが引き抜かれる仕掛けだったらしい】

【猶予はほんの数秒間……その間に三人がどのような行動を取るかに関係なく、その破片手榴弾≠ェ一斉に起爆する――――!!】
【爆破の勢いで周囲には細かいプラスチック片がバラ撒かれ、三人の体を貫こうとする。また、下にあるのがガラス製のシャンデリアというのも周到だ】
【火薬の爆裂は本来の手榴弾の効果に留まらず、シャンデリアを粉砕してその破片をも周囲へまき散らす……範囲は部屋の全域にまで及ぶだろう】

【……とはいえ、先も述べたとおりセリーナの攻撃の余波でシャンデリアはボロボロ。手榴弾もいくつか起爆してしまって、このトラップの効果はかなり弱体化している】
【マリオンのように出来る限りシャンデリアから離れるでもいいし、他の方法でもいい。とにかく、対処できないほどの攻撃ではない!】


『か……構うな、私は………ぐッ!』

【――――そして何よりも急務になるのは、マリオンからエドガーを引き剥がすことだろう。それさえ出来ればトドメの一撃を叩き込むことも出来るはずだ】
【それに関して一つ幸いといえることがあるとすれば、エドガーが『鍵≠フ在り処』というマリオンにとって重要な情報を握っているということで】
【急所を避けて攻撃を当てさせ、自分ではなく三人にエドガーを痛めつけさせる。そういう卑怯でおぞましい立ち回りはしても、そう簡単に殺すことはあるまい】
【エドガーもそれを解っていて、三人へ自分に構うなと告げるだろうか。その言葉通りに動くかは各々の意思次第だが――――】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/20(日) 01:44:26.44 ID:LIeZHRRvo
/アンカミス、>>220ではなく>>222でした……
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 02:11:34.50 ID:QX235i8Mo
>>226

「何――!くっ、小癪な抵抗をしおって!」


【投擲した大剣を受け止められ、拘束するために形成した腕もまた空を切る】
【そして、マリオンの異能に動揺する暇もなく】
【自身に向けられた銃口を確認した瞬間にシーナは、瞬時に足元の地面を操作し回避行動に移った】

【両肩を狙う凶弾。それに対し、シーナは身体を右方に沈みこませるように傾けて】
【ローブの端を掠らせながら直撃を避ける】
【しかし、直撃を避けたとはいえ本体のシーナは小柄で脆弱な存在だ】
【その矮躯は軽く後ろに吹き飛び、宙に舞う鮮血と奔る激痛に口元をギリ……と噛み締めた】


「(空間転移……いや、高速移動の類かの?)」
「(あのような小物にはふさわしい、みみっちい異能なのだ!)」


【瞬間移動――否、もっと別の何かであろうか】
【足音が聞こえる……接地している限り、周辺はシーナの探査範囲だが】
【情報が少なすぎて完全な形での特定は出来ない】
【しかし、セリーナの攻撃が通っている以上無敵の能力などではありえない】
【何らかの制約や条件が存在するのだろう。ならば――付け入る隙はあるはずだ】


「こんな苦し紛れの子供騙し如きで、このシーナ様を傷つけられると思っておるのか!」



【天井から爆散し、落下してくる無数の凶器達】
【まともに受ければシーナの小柄な身体で耐えられるものではない】
【しかし地術は防衛に長けた技能――前動作が判りやすい攻撃は然程驚異にはならない】

【シーナが足先でトントン……と床を叩くと、術者を囲うようにして形状が変化。簡易型のシェルターを創りだす】
【素材があまり頑丈ではなく、多くの魔翌力を練りこんだモノではない為、防衛力は高いものではないが】
【爆発の直撃を受ける、もしくはシャンデリアの直撃ではない破片程度であれば受けきることも可能であった】

【無数の破片が突き刺さり、ボロボロになったシェルターを解除するとシーナは空中に手を翳す】
【すると、先程クグツの爆発を受けた際散らばっていた"砂煙"達が誘われるようにして術者の元に収束した】


「構わず怨敵を打ち倒せとは天晴れな心がけだの!ならば――御主の望み通りにしてやるのだッ!」
「貴様が死に人質がいなくなれば、最早そやつなど雑兵にも劣るのだからの!」


【シーナは、砂煙を一本の矢のように組み替えると――エドガー目掛けてそれを射出した】
【そのまま直線で突き進めば、彼の身体をうち貫く軌道……だが】
【矢は空中で蛇のように姿を変えて、軌道をニョロリと捻じ曲げてエドガーを避け、マリオンの左腕に食らいつこうとするだろう】
【砂の自在性を活かした遠隔奇襲術の一つ"砂ニョロ君一式"】
【直撃すれば、鋭い牙が肉を食い破ろうとし激痛に襲われるかもしれない】
【また、能力により"短距離の移動"が行われた場合、シーナの操作によってある程度の誘導性能が生じる】
【中距離、ないしは長距離の移動が行われた場合誘導は追いつかず、この動作は行われない】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/20(日) 02:13:32.57 ID:WDaIxlHIo
>>224
……

【男はもう何も答えない】
【あきれ?あきらめ?怒り?悲哀?同情?】
【――男の目線は相変わらず冷淡なままで、人間が多からず少なからず持つ感情の鏡という役割は曇っているようだ】

……

【そして少女の答えに、男は言葉を返す】

――何かに従うくらいなら私は甘んじて罰を受けよう

【男の手が槍を落とす】

何かを捧げなければ認められないのなら私は永遠に不当であろう

【男が片膝をつく】

何かに許しを乞うてまで、私は私でありたくない――

【傷口を、片手で抑える】

【深い傷を負った状態で立ち上がる、その代償の出血は馬鹿にならない量】
【僅かの間立てていただけでかなりのものだろう】
【男にとって血がなくなることは恐怖であった、死が近づくからではない、思考できなくなるから】

……奇遇ですね、それだけは私も同じなのですよ

【男はここで始めて――笑みを浮かべた】
【ニヤァとした、嘲笑うような、愚弄するような、笑みを】
【"まだ一人じゃない"、かつて警察から努力の――失敗の――見返りとして疎外された男が、そんなことをほざくか、自分自身をあざ笑う笑みだった】

//続きます
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/20(日) 02:13:46.14 ID:WDaIxlHIo
>>224
……誰も傷つかない、悲しまない――そこで私は平和と幸福を感じられるのか
幸福は不幸との相対的な割合で――不幸がなければ幸福は感じられない
私は、そんな幸福を感じる幸せのない世界に行きたくはありませんよ

【幸福は絶対量で計れるものではない、相対量で計れる幸福を感じるには不幸が必要で】
【不幸のない、幸福の感じられない幸せは、はたして幸せなのだろうか】
【男は背中に背負った"箱"の鍵を解除する、すると"箱"がバラバラに壊れ、ガコンと、重い音を鳴らし床に"箱だった鉄板"が落下する】

[試作品A-0]……

【残った"それ"は一言でいうならレーザー銃と言えるか】
【――砲身が八本纏まっており、トリガーが存在せず、また全体的に太いという印象を除けば】
【それを、男は砲身とは反対側を右腕に嵌める――すると男の右腕を覆うようにコードや金属の固定具がはめられていく】

……頼むぞ

【そして、目の前に目を向ければ真っ赤な大量の糸】

――いいや、もう終わりだ

【そういうと男はそっと目を閉じる、膝をついたまま、シアンの海に、沈む】

私は鳥籠に入りたくないんですよ

【男の思考が回り始める、人間ではありえない異常回転】

イージスフィールド・マネジメント
≪絶対防衛、開始≫

【男の脳裏に仮想上の"エントランス"が構築される】
【そこには膝をついて動かない緑色の人物と、赤色の小柄な人物、その周囲を飛び交う深紅色の大量の線】
【計算する、糸の軌道、相手の思考状態からの精度の修正、エラーとリトライ、大量のミステイク】

――――

【男の右腕が動く――いや、その右腕の"装備"によって動かされる】
【――そして、右腕の先に装着された銃身から一条の熱線――それは糸の一本を狙いすましたかのように撃ち落すだろう】
【次、次、次、男は糸の行動を予測し、予測先に右腕の熱線銃からの熱線で撃ち落そうとする】

【エラーとリトライ、大量の混沌の中からただ一つ――少女を止める――無力化させる――瞬間だけをひたすらに計算する】
【糸を撃ち落す行動も、その一環にしか過ぎない】
【もしも、もしも隙が生まれれば、男はその銃身から唯一の実弾――麻酔弾を少女へ向けて打ち込むだろう】

【そんな中でも男の脳裏にあるのは――任務の事であった】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/20(日) 02:26:30.21 ID:4GU/cE40o
>>226-228

【ドルルルルルルル。エンジンの回転音が徐々に下がっていき、ヒュドラ<多頭竜>の咆哮が止んだ。】
【暴風雨の様な強烈な攻撃だったが其れ故、余りにも彼方此方を破壊し過ぎた様だ。そしてそれは、同様に】
【何とかして救うべき存在であるエドガーにも降り注いでいて―――『構うな』と、そう叫ぶ声だけが木霊して。セリーナは銃を、置いた。】


 (―――……どうする……! 人質は人質だ、向こうも殺す気はない筈、失えば手痛い存在……だけど……ッ!)
 (それはこっちにも"同様に"言える事……今ここでエドガーを失うのは余りに、余りに軽率……仕留めるか、否か……ッ!!)


【諦めたようにガトリング・ヒュドラを置くセリーナ。だがそれと同時に、振り返ったそこに現れた影が再び、姿を消して―――】
【刹那、真横に現れたマリオンに対して反応が遅れる。いや、そういうよりもむしろ、"抵抗できない"と表現するのが正しいか。】
【相手がどうあれエドガーは人質だ、これ以上滅茶苦茶な攻撃を加え続ける訳にはいくまい。放たれた弾丸が右足を容赦なく、貫く。】

  
  ――――ふ、ぁぁあぁぁ……ッ!! 、うくぅ……くっ、んっ……こ、の……ッ!! 外道がッ……!!

【残弾数ゼロの"愛銃"。撃ち終えて煙を放つガトリング。そして遂に膝を着いたセリーナ・ザ・"キッド"。】
【撃ち抜かれた脚部が悲鳴を上げ、ボロボロのアーマーが、割れたHUDが損傷状態をアラート<警告>で伝える。】
【アーマー内の残存魔力はもはやゼロに等しく、防御力も著しく低下。機敏に動き回る事など不可能に近いこの、状況下で。】

【―――更なる攻撃がセリーナたちを襲った。落下するシャンデリアと其処に視えるワイヤー、そして】
【聞き慣れた"カキリ"という、手榴弾のピンが外れる合図―――呻くセリーナが、なんとか手を伸ばしたのは―――。】
【瞬間、爆風。強烈な衝撃波が部屋を襲い、破片が彼方此方へと飛散する―――もはやこれまで、そう言ってもいい状況、だが。】

【―――爆風が晴れたそこに、聳えるのは巨大な"銃身"―――そう、先程撃ちつくしたガトリング・ヒュドラ。】
【勿論そこに弾は無い、だがそれでこそ、誘爆する火薬すらなくなった今の巨大重火器はまさに、一つのシールドとして機能し】
【セリーナを爆風からなんとか、護り切るだろう。尤も、それでも全てを防ぐ事は叶わない。最終的にはアーマーによって遮断して―――】


  ―――――――――――人質も、助ける。マリオン、アンタも……ブッ飛ばす。
  両方こなすのがアタシ達の勝利条件だ、エドガーさん……勘違いしてもらっちゃあ、困るね。
  どっちか片方だけ、じゃない……悪いけどアタシは欲張りでね、昔から強欲のガンマンで通ってるんだ……くっ、ううううっ!!


【―――ガトリング・ヒュドラの影。アーマーをパージ<解除>し、素の身と成ったセリーナ・ザ・"キッド"が、現れるだろう。】
【その手に握られた"愛銃"は一発足りとも弾丸が残っておらず、そして全身は余す所無く血塗れという状況で、それでも尚―――】
【彼女の瞳に宿る、その正義の炎が消え入ることは無い。爆発も、射撃も、人質も、何もかもを、受け止めてまだ立ち上がるだけの、覚悟】

【それこそがまさに、彼女の持つ最大の<弾丸>だろう。絶対に負けない。絶対に救い出す。その決意が、彼女を突き動かす。】
【エドガーさえ引き離せれば、攻撃を通す事が出切る。だが自分にはもう、それは難しいだろう。だからこそ―――そう、最初の通り。】
【"後方支援"に回るのだ。即ち、>>230のシーナの攻撃が、左腕を狙ったその矢がマリオンの悪意を貫く事を信じて、自分は――――】


  ―――その、転移の"能力"……血が、関わってるんだね?

【まだ弾丸の残っている最後の銃―――そう、Colt.S.A.Aを素早く引き抜き、得意の腰溜めスタイルで神速の―――抜き撃ち。】
【その弾丸が向かう先は、彼が恐らく"向かう"であろうその方向―――そう、血液が散っていったその、方向目掛けての発砲だ。】
【セリーナは彼の能力が単なる転移ではなく、血液を用いた何かである事を推測し、その血痕を辿る様に、弾丸を予め、軌道に配置!】
【彼が"逃げるであろう"方向目掛け一か八か、最後の賭けに出る―――だがそれこそ、まさに稀代のギャンブラーたるセリーナ、らしい】

【彼女に相応しい正真正銘のラスト・ショット―――正義の弾丸が悪を、貫くか、否か。】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 02:34:08.60 ID:+zkfA9bqo
>>231

罰を受ける…どうして?どうしてつらいことを選ぶの?

【神に従えばすべての苦痛から開放されると言うのに】
【少女には男の考えが理解できない】

誰かに正当だと認められたいと思わないの?

【捧げるだけで誰かに自分自身を認めてもらえると言うのに】
【少女には男の言葉が理解できない】

自分が自分じゃなくなるのが…怖くないんです?

【そして何よりも怖いことを男は平然と言ってのける】
【少女には男の全てが理解できない】

【男は少女にとってあまりにもイレギュラーすぎた】
【相反する?違う。全てが全く持って間逆なのだ】
【もしかすると世界自体全く違う世界なのかもしれない】

そう…です…か。ますます私には貴方が理解できないです
初めて…です。

【そこが共感できるならどうしてほかが共感できないのか。賛同してくれないのか】
【どうして首を縦に振ろうとしないのか】
【それが全く理解できない、いや流れ出る血がそれを遮るのだ】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 02:35:42.83 ID:+zkfA9bqo
>>231

悲しい…なんて悲しい…
不幸がなければ幸せがない?そんなことはありません
不幸がないからこそ幸せなんです。不幸は絶対的悪なんです

だから私は。私達はみんなを幸せにする。
どんな不幸を背負っても。いずれは楽園を作り出せる

【幸福を感じるのに不幸は不必要だと少女は言う】
【不幸は絶対的な悪であり、排除すべき存在】
【それらを達成するために、今は不幸を用いて不幸を消す】
【そしてこの世の永遠に続く楽園を作り出そう、そう思っている】





【少女にはレーザー銃が見えない。見えるのは天井だけ】
【だけど戦況が変わりつつあるのは、冷たくなり行くわが身で感じれる】
【これを覆す方法。それはきっともうどこにもない】


あぁ――――

【流れ出る血は少女を夢へと誘いつつある】

――――神様

【今までに少女が見たことのないそれはそれは幸せな夢へと】
【深い深い夢の世界へと】


……

【男の言葉ももはや霞んで聞こえてくるまでに意識が混濁してきた】
【もう何も感じれないし感じない】
【それは負けを意味するのか死を意味するのかはたまた両方か】


こんなに近くに…居たんですねぇ―――――――

【糸が綺麗に焼き尽くされて行くのが分かる】
【虚の赤糸も実の赤糸も、綺麗さっぱりと】
【そして何かが自分に向かって飛来してくるが、そのときに少女の意識はもうすでにない】

【麻酔弾の着弾の同時にビクンと跳ねる少女の体】
【少女の有様を一目見て理解できるだろう、男の任務は成功なのだと】

/この辺でいいですかね?
/待たせてしまって申し訳ないです!絡み乙ありでした!
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/20(日) 02:36:58.47 ID:obvNelay0
>>226-228

いいや、貴様は人間ではない……!人間が人間で在ることが何かを知らん!
だからこそ、貴様は赤子だと言うのだ……!!

【シーナの大剣を奪い、それで肘を狙うマリオン、ブラックは即座に構えた】
【軍刀を戻すのは間に合わない、ならばどうするのか、それは意外にも簡単で】
【いや、思い付くのは簡単でも普通はやらないだろう、ブラックは大剣の切先を"素手"で受け止めて】
【恐らく強化系の能力、表皮をも硬質化するそれは揺らめく蒼い焔】
【それを纏う彼の手のダメージは、突き刺さった箇所から血が滴るのみに留まって】

フッ…………!やはり口ほどにもない一撃だ!貴様はこんな老いぼれ一人も倒せぬ男!
私達とお前とでは決定的に違うものがある……!!貴様にそれは越えられんッ!

【挑発的な言葉を発し、尚も鋭い眼光を見せるブラック、肉体的には既に限界が近い】
【それでも膝を付かずに立っている、自分の傷など最早全く気にしていない】


【そして気づく、音だ、瞬間移動なんてものではなく、これには対処法がある筈】
【ブラックは試す、軍刀で床を滅茶苦茶に切り裂き、絨毯の埃、その下のコンクリートまで砂埃の様に細かく撒き散らして】
【視界が見えなくなる程ではないが、出来るだけ広範囲に撒く、空気の流れを見る為だ】


【後退するマリオンを見て、警戒を強化する、直後にシャンデリアが落下してきて】
【咄嗟に自身もバックする、シャンデリアの破片は両腕でガード、当然先程の様に蒼い焔を纏っていて】
【それでも打撃としては十分な苦痛を与えただろう、腕には小さく血が滲んでいた】


【だが、怯まずに進む、破片をグシャリと踏み潰しながらマリオンの方へ】
【エドガーの構うなという言葉を聞いてなのか、彼もろともマリオンを切り裂こうとする様な一撃を、マリオンの右側から薙ぎ払うように繰り出す、が】
【もしエドガーを盾にしたのならそれはきっと逆効果、ブラックは何と手の中で軍刀を360度回して】
【軍刀は自身の首の皮を掠るほどギリギリを通り抜けて、左側へと飛んでいく】
【それをキャッチして、障害物の無い左から斬りつけようとする技、狙うはマリオンの胴体】
【一秒よりも速いであろうそれは、右の攻撃に目を奪われれば死角からの一撃となる!】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 03:04:42.77 ID:LIeZHRRvo
>>233

………つくづく腹立たしい女だぜ、テメェは…………!!
だったらやってみやがれ、このクソアマがァア!!

『グッ…………がぁっ………!!!』

【エドガーを自らの手で傷つけさせられてなお、セリーナは折れなかった。その態度にマリオンは――――あの下卑た笑いではなく、怒りを露わにした】
【マリオンは当て付けの様にエドガーへ暴行を加え、彼女の精神を嬲ろうとする。……だがその間も、エドガーからの強い視線がセリーナへ向けられているだろうか】
【血で染まり、腫れて見えなくなっていくその両目には。小さくとも確かに、正義≠ニいう名の炎が宿っている――――】

ぐ、ッ………チィィッ!! 鬱陶しいんだよ、そろそろ死ねやァッ!!!

【マリオンの能力には血≠ェ関わっている……その推論は、ほぼ正しい。実際には血を操ってどうのという能力ではないのだが】
【迸る血の先に弾丸が飛翔していった刹那、何も無い空間から血≠ェ噴出する!! セリーナの神速の銃撃が、見事にマリオンの脚を捉えたのだ】
【そう、血――――それは正しくこの能力の正体を解く鍵≠セ。何も無い場所から飛び散る血は、そこに血を流す誰か≠ェいる証左に他ならない!】

【マリオンはそのまま転倒してしまうのだが……それでもお返しとばかりに、また銃を構えて発砲。セリーナの腹部へ、苦し紛れの弾丸が迫る!】


>>230

なんだクソガキ、話が解るじゃねぇか!!
いいぜ、こいつが情報を吐きたくなるようにもっと痛めつけてやってくれや……!!

【エドガーへ向けてある種冷酷とも取れる台詞を吐くシーナを、マリオンは大きく目を見開いて歓迎する。同類を見つけた、とでも言わんばかりに】
【どの道セリーナに転倒させられたせいで動けないのだ。射出される砂の矢に対し、マリオンは嬉々としてエドガーを差し出すだろうか】
【ただ致命傷にはならないよう、当たる部位が脚辺りになるよう体の位置を調整して。やはり死んで貰うのは困るということだろう】
【エドガーが痛みに絶叫する光景を思い浮かべ、マリオンは愉悦の笑みを浮かべて――――】

グッ――――がぁッッ!!? て、テメェッ………!!

【――――シーナの策略は、見事に成功する。厳密には軌道を変えた瞬間にマリオンも気づいて、避けようとしたのであるが】
【先程シーナの大剣を受けたときのダメージが、そこで効いてきた。大剣を受けたのも左手で、エドガーの首を掴んでいるのも左手だ】
【避けようと腕に力を込めた瞬間、ズキンと痛みが走って、マリオンは危うくエドガーを取り落としそうになってしまって】
【そちらにかまけた結果、シーナの攻撃には対処しきれなかったようだ――――左腕に"砂ニョロ君一式"の牙が突き立って、逆に自分が絶叫を上げそうになるも】

姑息な真似してくれやがるな、クソガキャァァアアアッ!!!

【なんと銃を放り捨ててまで、マリオンはエドガーの首を右手に持ち替えて堪える。これを離してしまったが最後、自分は負けると確信しているから】
【痛みの声を怒りの声に変えて、マリオンは八つ当たりのように左腕を振る。……その時、あの「バチッ」という音が鳴ったのに気づけたのなら】
【その左腕がただ振られたのではないのだとわかるだろう。一見、掌には何も持っていないように見えたが……実はそこに、サバイバルナイフが握られていた】

【つまりこれは、何らかの方法によって不可視≠ニなったナイフを腕の振りに合わせて密かに投擲する、不意打ちでの攻撃だ!!】
【狙いはシーナの腹部。当たれば深々と突き刺さってしまうだろうが――――しかし、この攻撃に気づくための予兆はいくつか存在するはずだ】
【マリオンの腕の振り方には僅かな違和感があるし、目に見えないとはいえナイフが風を切る音は消えていない。果たして対処できるか――――】


/二つ続きます!
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 03:05:14.47 ID:LIeZHRRvo
>>236

クソジジイが――――上から御託垂れ流しやがってッ!!

【刃を素手で受ける鬼気迫る気迫に押されるように、マリオンは口汚く罵声を浴びせる。それだけ追い詰められているということだ】
【シャンデリアの残骸を物ともせず突き進んでくるブラックに対し、男が出来る対処は少ない。エドガーを抱えたままでは素早い移動など出来よう筈もなく】
【ましてセリーナに脚を撃たれ、シーナに左腕は潰されている。故にマリオンは、懲りもせずエドガーを盾として使うしかなくて――――】

な………小賢しいマネを…………ッ!! クソがぁッ!!!

『ぐ………ッ!!!』

【右から飛翔する斬撃が、即座に左右反転する。かろうじて目で追う事は出来ても、ナイフも銃もないこの状況ではどうしようもなかった】
【咄嗟にエドガーを抱き込むようにして胴体へ引き寄せ、身体を後方へ逸らすが――――遅い。胴体に一文字の軌跡が刻まれ、多量の血が飛び散って】
【盾にされたエドガーにも被害は行くが、左腕が僅かに切れた程度の軽微な傷だ。斬られたエドガーの視線はブラックを賞賛しているようにも見えた】


どいつもこいつも――――ウゼェんだよぉおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!


【斬撃の激痛や他の二人から受けた傷が重なって、エドガーを取り落としそうになるが……そこは、この男にも執念≠ニいうものがあった。絶叫が響き渡り――――】
【――――その直後、バチッという音と共にマリオンとエドガーが消える。例の能力≠セが……ブラックが撒いた埃や煙が、そこで生きてくるだろう】
【塵が、不自然に左側へ移動する。その不自然な動きはブラックの真後ろまで素早く続いていって、その後大きく後退していくのがわかるだろうか】
【やがて三人から少し離れた場所に、マリオンはエドガーを連れて出現する。……そして、ブラックの背後に手榴弾≠ェひとつ置かれているだろう】
【数秒の後にそれは起爆し、破片と爆風を撒き散らす。至近距離で喰らえば当然危険だが――――ある事が読めていれば、きっと回避は難しくない筈で】

【即ち、自分や他の物体に『光学迷彩』を掛けて不可視化し、完璧に周囲へ擬態≠ウせる。そのマリオン・リヴァーズの能力が、読めてさえいれば!】


/続きます
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 03:10:54.82 ID:LIeZHRRvo

>>ALL

【人質を救い出そうとする三人の行動は、確かに的確だっただろう。だがしかし、この男の狂ったような執念もハンパではなかった】
【自分も大きなダメージを受けつつ、本当にギリギリのところで、マリオンは辛くもエドガーを守り切る。……ニィ、という狂笑が三人に向けられた】

『…………かま、わん…………』

――――ぁあ? おい、誰が喋っていいっつったよゴミ!!

【……その時。小さく、エドガーが何かを呟いたのが見えただろうか。「構わん」……先程三人へ告げた言葉が、また繰り返される】
【だがそれも容易くマリオンに察知されて、顔面に膝蹴りが叩き込まれる。もうどこが出血源なのかもわからないほど、顔を真っ赤に染めて】
【それでも尚、エドガーは呟きを止めようとはしなかった。腹を立てたマリオンは三人からの攻撃を回避しつつ、髪を掴んで彼を引きずり回す――――】

【……三人によってある程度マリオンがダメージを負い、かつマリオンの注意が最大限自分に引き付けられたその瞬間こそが、狙い目だった】
【血濡れの口元を晒して、エドガーが凄絶な笑いを浮かべるのが見えただろうか――――そして、彼は大きく吼え叫んだ】


『――――――構わんッ! とっとと撃て、アルフレド!!』


【――――銃声。次の瞬間、入り口から飛翔した魔弾≠ェ、空間に緑色の線を引く!!】
【強い風の属性を帯びた空圧弾≠ヘエドガーの腹部で炸裂し、その体をマリオンから大きく弾き飛ばすだろうか】
【……射撃の直前、マリオンは確かにそれを察知していた。だが、自分が直接弾を回避するのならともかく】
【ただでさえ三人から人質を守るのに精一杯だったところを、自分で歩くことさえ出来ない成人男性をすぐに動かして回避させる暇など、あるわけがなかった】
【予想外の方向から、予想外のターゲットを狙った射撃。ギリッ、という歯軋りと共に、絶叫が室内に響き渡る――――】

「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーッッッ!!!」

【……エドガーの体がマリオンから遠く離れて地面を転がったのと同時、青い顔をしたアルフレドが入り口から一直線に疾走してくるだろう!】
【ここまで完全に沈黙を保っていたが、この瞬間の為に力を温存していたのだ。完全に不意を突いて、マリオンはそちらに反応できず】
【――――アルフレドはエドガーへ半ば飛びかかるようにして覆い被さり、がっちりと身柄を確保する。これでもう、人質は使えない!!】


クソが――――あん時のガキといい、あの野郎の部下は大人しく死ぬって事が出来ねえのか…………ッ!!!

【こうなればもう、単純な三対一でしかない。戦力差は歴然――――マリオンは青色の瞳に強い憎悪と焦燥を宿し、能力を発動させるだろうか】
【バチリと電流のような光が彼の全身へ流れ、その姿が消えていく。光学迷彩……しかしこれも、悪足掻きでしかない】
【とっくに種は割れた――――不可視化≠ナきず飛び散る血でも、ブラックが撒いた塵でも、手掛かりはいくらでも存在する】
【直接姿は見えずとも、入り口から外へ逃れようとする黒幕≠フ無防備な背中が、そこには在る。それは間違いなく巨大な隙であった】

「皆さん、こちらは僕に任せて下さい!

 それより―――――――――遠慮は要らない!! そのクソ野郎を、全力でブチのめせッッ!!!」

【……三人がエドガーを取り返そうと手を尽くしてくれなければ、重傷を負ったアルフレドが動けるだけの隙は作れなかっただろう】
【アルフレドにしたって、あのエドガーの一喝が無ければ、既に満身創痍の彼を撃ち抜くのを躊躇ってチャンスを逃していたかもしれない】
【二人の刑事≠フ意地と、巨悪を前に各々の正義を貫いた三人の思い。それらが全て結実した今、もう次の攻撃を阻むモノはひとつだって存在しない!】

【アルフレドが思いを託すように強く、叫ぶ。全員満身創痍ではあるが、マリオン・リヴァーズは卑劣な策に頼らなければ弱い人間に過ぎない】
【故にそれを斃すのに、全てを吹き飛ばすような攻撃は要らない――――ただ各々の心≠フ全霊を乗せた一撃を、あの外道の背中に叩き込め!!!】


/次で〆にしたいと思います!
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/04/20(日) 03:14:59.17 ID:WDaIxlHIo
>>234
……

【男は銃身を降ろす、男の計算上、これ以上の作戦行動は不要だ】

≪状況終了≫

【そして、男の右腕から熱線銃が落ちる――その銃身は熱に耐えきれなかったのか歪んでいる】
【また男の腕も無事ではすんでおらず……】

……出血がひどい、このままでは死ぬか

【自身の右腕の惨状から目をそらしつつ、男は襟のマイクに話しかける】

――こちらヨーレレイ=スラー、GIFT構成員の少女を一人を確保した
出血が激しい、至急応援求む

【外に待機させている自警団員に応援を求める】
【通信の内容からわかるように鎮圧の応援ではなく、救護の応援である】


……つらいことから目を背け、認められたいために媚を売り、自分が自分であるとするために自分をへり下したくない

――私はひどく自尊心やプライドが高いだけの人間なんですよ

幸福だけ、甘い砂糖ばっかり舐め続ければ病気になるしかないのですよ

【応援が来るまでのわずかな時間、眠っている少女に男は、ヨーレレイ=スラーは語り掛けた】

【そして、救護班に少女を預け、男は再び鎮圧作戦の指揮に入ろうとした、が】

……っ

【貧血、そして右腕の惨状、それによって男の足が崩れ落ちる】
【幸い、すぐさま救護班の人員によって支えられたが、その時すでに男の意識は遠い彼方にあった】

――――すまない、すまない
――――私はお前たちを……
――――謝って赦してもらおうなんて思っていない
――――私は自身の罪を、背負い続ける

――――『   』、お前との約束は、私がしっかりと果して見せる
――――これは約束ではない、誓いだ


【その後、無事一階、そして二階の鎮圧作戦は完了】
【だが、その指揮を任された男は大量の失血と右腕の重度のやけどに加え反動によって右腕に大量に入った罅のため警察病院に1ヶ月近く収容されることとなった】

【男の入院生活というある意味戦闘よりも苦しい戦いはこれからなのかもしれない……】

//こちらこそからんでいただきありがとうございました!
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/20(日) 03:30:57.94 ID:4GU/cE40o
>>237-239

【―――弾丸が、"何か"を貫く。それはマリオンがエドガーに暴行を加え、精神的にセリーナを攻撃してきた直後の事。】
【ある意味で、此方にとっても苦し紛れの一撃であった事に違いは無い。だが、それでも尚、弾丸は確かに"何か"を撃ち抜き。】
【そしてセリーナはようやっと、マリオンの持つその"力"の意味を知る。現れた人形、用意された武器、そして転移―――そう、か。】

  
  そういう、こと、なら……話は、別だ……ッ!!
  (不可視の能力―――カメレオンかプレデターみたいに、透明になる事の出来る"力"ッ!!)
  (空間を行ったり来たりして消えてるってワケじゃあ、ない……相手は其処に確実に存在してる、ならッ!!)
  

【―――見切った。もはや何が起きたのかは口にするまでも無い。マリオンは決して、消えている訳ではないのだ。】
【で、あれば必ず、弾丸を届かせる事も可能な訳であって―――次の瞬間には、S.A.Aを放り投げ、尋常ではない速度で】
【愛銃、"弾"末魔のシリンダーをガチャリ、と取り外し―――真新しい、六発の弾丸と火薬が予め備えられたそれへと交換】

【余りに手馴れたその作業は、先程の抜き撃ち<ファスト・ドロウ>にも劣らぬほど、正に息をするような自然さで行われる筈。】
【一発一発を火薬の装填から始めなければいけないパーカッション式リボルバーにおいて、シリンダー構造を熟知している事は】
【現代オートマチックのリロードにも負けない速度を生み出す重要なファクターと成りえる―――そう。シリンダー自体を持ち歩くのだ。】

【予め弾丸が装填された回転弾槽を持ち歩いていれば、それを交換する作業だけで済む。】
【あとは、慣れでどうとでもなる―――勿論、その交換作業を瞬時に行う技巧は、相当な錬度を要求されるが】
【それでもセリーナはその場でやってのけた、そして息を吹き返した相棒により先ずは一撃、なんと相手の放った弾丸を―――そう。】

【マリオンの放った悔し紛れの一撃を、銃を構えた時点で弾道を見切り、其れに合わせて迎撃の射撃ッ!!】
【弾丸は"弾"末魔から超精密に放たれた魔弾によって撃ち弾かれ、空中で回転し、そのまま床へと虚しく転がった。】
【弾丸を弾丸で弾くと言う正真正銘の"業"を持って卑劣な一撃を制し、そしてセリーナは膝を突きながら尚、"弾"末魔を構え】


  ―――仮に見えずとも、音と匂いと空気の揺れる振動で、何かも、全部ッ!! 
  アタシには視える、そしてアンタがべっとり残したその血液が……ブラックさんの塵が、居場所を告げるッ!!
  (―――アルフレド。アンタの最後の一発、アレが無かったら……ふふっ、助けられた、さね。)

  

        さあ―――――――――――覚悟しな、マリオン。天罰<ジャッジメント>の時間だ。


【ドウ、ドウ、ドウドウドウ。無慈悲な5連撃が、火を噴いた。超高速で連続ファニング、左手がスライドしハンマーを叩く、叩く、叩くッ!!】
【引き絞ったままのトリガーは確実にマリオンの所在を捉え、そして睨み付ける正義の視線が悪を絶対に逃さんと、喰らい付くッ!!】
【放たれた五連撃は全てが一列となって、ワン・ホールショットの要領で一斉に飛び掛る―――マリオンを穿つべく、直進するッ!!】 
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/04/20(日) 03:38:36.18 ID:QX235i8Mo
>>237

「(――何かが、来るのだっ!)」


【この時点ではシーナはマリオンの異能の特定までたどり着いていない】
【しかし、自身に向かって腕を振る動作に加え"空気中の砂"を掻き分ける不可視のナイフ】
【それによって何らかの攻撃が向けられていると察するも、術で防壁を作るには致命的に時間が足りない】


「――っ!くぁっ……!」


【シーナの腹部にナイフが突き刺さる……いや、何かがおかしいと気づくことは出来るだろうか】
【脆弱な身体でありながら、腹にナイフを突き立てたままその場に立っているのだ】
【しかも、出血はしているものの本来あるべき夥しい物ではない】


【シーナが普段から袖などから砂を出すことがあるように】
【ローブの中にも相当数の砂を仕込んでいる。それを高速で収束し服を硬化】
【防御能力を高めたのだ――攻撃が見えないため、打点を特定できず広く砂を分散させており】
【ナイフを止めきる事は出来ず、小さくない怪我になってしまっているが――】


「(成程――これは、そういうことか!)」
「(私としたことが、思い違いで見落としておったのだ……!)」


【――透明のナイフが刺さったことで、マリオンの異能に気づくことが出来た】
【本来、地面を通して物体を探知出来るシーナは、視覚隠蔽の類とは非常に相性がいい】
【しかし、マリオンの異能を高速移動と勘違いしていた為に見落としが生じていた】
【心を掻き乱され冷静でなかったのも大きい。力を持っていてもやはり、実戦経験の浅い子供であることに変わりはなかったのだ】
【痛みを己の未熟さへの戒めとして受け止め、フードの下で一層怒りを燃え上がらせた】


「最後の最後で見せ場を作るではないかアルフレド――だが、言われるまでもないのだ!」
「元よりその外道は、完膚なくぶっ飛ばしてやると決めておったからの――!!」


【腹部を片手で抑えながら、今度こそ見失わないように探査の精度を跳ね上げ】
【入口に向かい逃げようとするマリオンの位置を捉えると――】


「年貢の納め時なのだ!己の所業、冥府で悔いるがよい――!」


【――マリオンの左右斜め前方30cm程度のの床素材に干渉。瞬時に粒子状に分解し、槍のような形状に組み替えると】
【その腹部目掛けて二本の砂の槍を勢いよく伸ばし、刺し貫こうとするだろう】
【シーナも消耗が大きく、身体の痛みで集中力が散漫になってきている為この術自体は然程強力ではない】

【しかし、今シーナは一人で戦っているわけではない】
【他の二人の仲間の技と合わせたならば、この事件に幕を引くに足る攻撃へと昇華されるだろうか】
【行動の成否がどうあれ、シーナはこの術を放った後片膝をついてその場に座り込む】
【腹部を抑える指の隙間からは、ポタポタと真っ赤な血が流れ出ていた】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/20(日) 03:59:12.70 ID:obvNelay0
>>237-239

【セリーナが捉え、発砲した先で何もない空間から血が噴き出す】
【種の分かった手品など最早恐れる事もない、分かったなら対処も十分に可能、そして】


【取った、刃からは確かな手応えを感じる、飛び散る血がそれを更にはっきりと伝えて】
【エドガーにもやや被害が及んでしまったものの、幸い大したものではなかった】
【エドガーに向けてだろう、『失礼』なんて台詞を呟く様子はいつものブラックで】
【例え姿が消えたとしても、塵が敵の動きを伝えてくれる、マリオンが出現した事を確認した後でも、手榴弾の回避には十分】

【片腕で後方に向けて手榴弾を弾き飛ばした、ブラックの背後でそれが爆発する】
【爆発音の後に、ブラックはマリオンに向けてこう言うだろう】

こうして種が分かれば、なるほど貴様らしい。
コソコソと立ち回るしか芸の無さそうな能力だ……全くもって下らんな。


【そして、マリオンの注意が逸れた今、エドガーの声を合図に入り口から魔弾が飛んだ!】
【アルフレドの勇気の行動によって、ついに人質は解放、敵に盾はもうない】

アルフレド殿…………ええ、任せてくだされ……!
……さて、今までの借りは、利子をつけて返さねばならんな…………覚悟して貰おうッ!!

【ブラックはマリオンに、弱者と化した奴に向けて軍刀を降り下ろす!】
【その背中を背骨もろとも横一文字に斬り裂こうとする一撃、当然容赦など無い!】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 04:11:23.19 ID:LIeZHRRvo
>>241 >>242 >>243


――――ぐッ、おおおおおおおおおおおおおおあああああああああああおッッッ!!!!!?


【セリーナの五連射が一点集中し、シーナの砂の槍が無防備な胴体を狙い、ブラックの斬撃が背中を引き裂かんと迫る――――!!】
【その全ての攻撃が、マリオンの姑息な能力≠ノ惑わされることなく彼を捉えていた事は、この悲鳴から容易に想像が付いたはずだ】
【最後の悪足掻きとして、それぞれの攻撃に必死に身体を捻って回避を試みるが……全部を避け切るなど到底不可能だったのは言うまでもなく】

【大量の鮮血が飛び散って、ダメージの限界を超えたのか能力が解除される。呻き声を上げ、マリオンは仰向けにその場へ倒れ伏すだろうか】
【即死でなかったというだけで、放っておいても出血多量で死に至る程の深手を負っているのは一目瞭然。これ以上戦うことなど絶対に不可能であろう】


「エドガー、課長………ゲホッ、ご、ご無事ですか…………?」

『もう本部長≠セと…………何度言えば分かる?
 お前は変わらないな、アル。…………まず、自分の心配をしたらどうだ』


【部屋の端には、血塗れの刑事が二人。どちらもすぐに処置が必要な状態だが……それでも生きていることに変わりはない】
【――――GIFT勢力の撃退。エドガー・ハーレイの確保、ではなく保護。そして一連の事件に関する、たったひとつの真実の発見】
【三人は今宵、依頼された全てを無事に達成したのだ。残党は他の自警団員に任せて、後はこのビルから撤退するだけ。正義≠ヘ確かに、勝利を掴んだ――――】



/あと二つ続きます……!
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 04:14:12.81 ID:LIeZHRRvo



――――――ざァァんねぇぇぇぇんでしたァァーーーーーーーーーー!!!!!!



【……倒れたままのマリオンが、血の泡を吹きながらも断末魔じみた叫び声を上げるまでは、そんな風に考えることもあったかもしれない】
【刹那――――窓側に面した壁が粉砕され、夜風と一緒に巨大な機械≠ェ飛び込んでくる。それはマリオンの近くまで飛翔し、大きなアームで彼を回収すると……】

「ッ!? …………っが――――、はぁッ…………!!!」

【次の瞬間に三人の目が確認する光景は、エドガーの隣にいたアルフレドが、突如壁面まで吹き飛ばされていくものだったか】
【はたまた、黒いブレザーにチェック柄のスカート、青色のネクタイ。そんな学生服らしき服装の上に丈の長い白衣を着込んで】
【足、腕、頭部、胴体。それらを巨大なアーマーで覆い尽くし、右腕から伸びたワイヤーでアルフレドを打ち据えた、少女の姿を確かめるのが先であるだろうか】

『……め………メリッサ…………ッ!?』

…………黙って。

【メリッサ――――メリッサ・ハーレイ。紫の髪に白緑色の瞳をしたその少女は、驚愕の表情を浮かべる実の父親の方へ首を向けるなり、憎々しげに一言呟き】
【ワイヤーを収納し、巨大な機械製の腕を使ってエドガーを抱え込んでしまうだろう。そしてそのまま、窓から外へ素早く身を翻す】
【……どうやら、脚部のアーマーにホバリング機能か何かが付属していたらしい。彼女の体は地面に叩きつけられることなく、空中に浮遊して】
【それと同時に、その体に不自然な陰がかかるのが見えるだろうか。上空……いや、位置的には屋上か。そこに巨大な飛行艇のようなものが現れている】
【今回の会合に出席していた参加者を逃がすための、GIFT側の救援機だろう。既に逃走の手筈は整った、というところか……】


ひひ、ひゃはははははははははははははッ!! セリーナよォ………オマエ、さっきお約束≠ェどうとか言ってやがったが…………。
本当に、オレがオマエらに何の意図もなく、鍵≠竄轤ネんやらペラペラ喋ると思うかよ?

――――時間稼ぎ≠セよバカども!! こうして増援が来るまでのなぁぁッーーーーー!!!

【そして、最後に――――メリッサに抱え上げられながら、マリオン・リヴァーズは一同へ向けて喉が裂けるような笑い声を上げるだろうか】
【鍵≠探しているという目的を知られ、三人に返り討ちにされて。しかし後者はともかく前者に関しては、意図があったのだと男は言う】
【この男は弱いが、冷静で狡猾だった。高慢な言葉とは裏腹に自分ひとりで勝てるなどとは思い上がらず、端からメリッサの助けが来るのを待っていたのだと――――】


ひひっ……だが、あながちそれだけってわけじゃねぇ。死んだらそれまでのつもりだったが………よく生き残ったと褒めてやるぜ!!
お陰で面白い展開になってきやがった………!!


【そして、愉しげに――――本当に、愉しげに。口の裂けたような笑顔が月光に陰る。狂った叫びは鬨の声じみた勢いでもって、天高く吼え上げられる】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/20(日) 04:18:09.26 ID:LIeZHRRvo



さぁ、ルールは簡単――――鍵≠セッ! 騙して奪って殺して、誰よりも早く鍵≠手に入れろ!! 
鍵≠最初に手にした奴が、この世のすべてを手に入れる!! 単純明快愉快痛快、楽しいゲームの始まりだァッ!!

参加者はオマエら正義≠フクソッタレ共と、オレ達GIFT………それに、どうやらカノッサ機関の連中も動いてるらしいなぁ?
――――ひひっ、ひひははははははははは!!! どうだオイ、本当に面白いことになってきたと思わねえか!!!?



【鍵≠手に入れろ。それを手にした者が、この世界を穫る――――これはそういうゲームなのだと、マリオンは全員に向けて叫ぶ】
【――――何を言っているのか、理解できない。朦朧とした意識の中でアルフレドはそう思う。三人にだってそうだったかもしれない】
【鍵≠フ正体とは何であって、何に対する鍵≠ネのか? それがあれば世界を手に入れられるとは、一体どういうことなのか?】

【ただ、彼の言葉にはある程度の信憑性もある。シーナは前に直接この鍵≠ニいう言葉を聞いていた筈だし、他の二人にしても大きな正義組織の出身だ】
【もしかしたら、知っていたかもしれない。一月ほど前、砂の国の交易都市サフランに現れた神≠ニ名乗る男もまた――――】
【鍵≠ネるものを探していると、そう言っていた事を。詳細は不明であるが、それでもただ一つ、厳然たる事実として浮かび上がってくるのは】

【――――『GIFT』と『カノッサ機関』。二つの巨大な悪がそれぞれ、鍵≠ニいう名の同じ物を探し回っているという事だ――――】


くくっ………この話をしたのはオレの親切心みたいなもんだ。フェアじゃなきゃ勝負は面白くねぇからなぁ。
まぁ、好きに捉えてくれりゃいい。この話を信じるのも信じないのも、乗るのも降りるのも、全てオマエらの自由だ。

……だが、一つ言っておくぜ。オレ達GIFTは『無能力者』の存在を決して許さねえ!!
必ず鍵≠手に入れて、この世に蔓延るザコ共を一匹残らず駆逐してやっからよォ………楽しみに待ってなぁッ!!!
あばよ、また会える日を楽しみにしてるぜぇ? シーナ、ブラック、セリーナ、それにアルフレド…………。

…………ひひっ、ひひははははは、ひゃァーーーーーーーーーーーーーッッはッははははははははははははははははははは!!!!
ひゃははははははッッ、ひャァァッはははははははははははははははははははははははははははははァァァーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!


【月を堕とさんばかりの絶叫を残して、マリオンの姿は頭上へ消えていく。アトラヴェル警察本部長、エドガー・ハーレイを連れ去って――――】
【……程なくして、飛行艇のローター音が遠ざかっていく。もし三人にまだ余力があるのなら、後を追いかけることも出来るのかもしれないが】
【全身打撲に出血多量。体はもう動いてくれない。少なくともアルフレドは、ただ黙って恩師が連れ去られていくのを眺める事しかできなかった】

「………みな、さん…………脱出を……………っ」

【あの時と同じだ――――アサドが目の前で捕まった、あの時と。何も出来ずに打ちひしがれることしか、自分には出来ないのだろうか】
【そんな悔しさだけを糧にして、アルフレドは辛うじて声を上げる。頭に登る血ももう無くて、口を衝いて出たのは冷静な状況判断】
【……既に部屋には火の手が回りつつある。全員負わされた傷は決して小さくないし、一度部屋の外へ脱出すべきだと彼は言う】
【ビル内に残ったGIFTの残党も、既に先ほどの飛行艇や各々の方法で脱出した後であるだろう。自警団の手も空いた頃、救援はすぐにやってくる筈だ】

【――――彼らが欲しがる鍵≠ニは、結局のところ何なのか。手に入れれば本当に、全世界から無能力者を放逐できる程の力が得られるものなのだろうか】
【残された謎は、あまりにも多い。これから対応すべき案件も山のようにあるだろう。しかし、少なくとも】
【……三人は、ひとつの真実に到達した。それによって謂われのない罪から解放された者達が居ることも、また確かな事実であるのだ】

【だから今はただ、何も考えずゆっくりと休めばいい。二つの悪≠ェ織り成す新たな戦いに、備えるためにも――――】


/これにて本日のイベントは終了となります!
/お三方とも、遅くまでお付き合いありがとうございましたー!!
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/20(日) 13:26:20.74 ID:QX235i8Mo
>>244-246

【三人の攻撃が満身創痍のマリオンの身体を打ち、勝敗は決したようにも見える】
【しかし、咄嗟に行われた回避行動のせいで、致命傷には達しておらず】
【この悪党のことだ、倒れ臥していてもどのような手を隠しているかはわからない】
【シーナは油断せず、その命を絶とうと更なる術を練ろうとするが】


「これで終わりなのだ――――っ!?」


【瞬間、耳を劈くマリオンの絶叫と壁を突き破る巨大な機械】
【突如として発生した状況に、シーナは一手行動が遅れてしまう】
【目の前の機械を破壊し、悪党どもを仕留めるに足る術を練るには絶望的に時間が足りていなかった】


「こらーッ!逃げずに降りて戦え負け犬めが!」
「"鍵"だか"げぇむ"だか知らぬが訳の分からぬことを言いおって!」


【絶叫と共に夜空に消えていくマリオンらを、しかし地術師のシーナでは追えない】
【対空魔術も幾つかあり飛翔する手段も存在するが、現状一人で其れを行使し追ったところで】
【迎撃され撃ち落とされるのが関の山だろう。身体の傷も放っておけるものではない】
【シーナは悔しそうに歯噛みしながらも、悪党達を見逃すしかなかった】


「なんなのだ全く!まるで意味がわからんのだ!」
「どいつもこいつも私の知らぬところで好き放題しおってからに!!む〜〜〜!!!」


【シーナは腹の傷に砂を被せることで止血しながら、立ち上がると腹立たしげに床に向かい足をバンバンと叩きつける】
【子供らしいストレスの表し方だが、足が地に触れる度に凄まじい魔翌力が放出され床が崩れているので迷惑極まりない】
【シーナからすれば世界や鍵の存在など"どうでもいい"】
【世界や人々を救おうと戦う正義の味方ではなく、飽く迄も友人を傷つけた者を打ち倒しに来ただけなのだから】
【この魔術師の行動原理は"英雄になる"という夢と"身内のみに向けられる"正義感に終始していた】

【去っていく航空機を睨みつけ、一頻り暴れたあと】


「――癪だが、御主の言うとおりこれ以上ここにいても仕方ないからの。判ったのだ、さっさと脱出するとしよう」

「それにしても思い返すだけでも不愉快極まりない男だったのだ……」
「全く、どうやって育てばあのような人間になるのか想像もつかんの!」


【肩を怒らせながら、降りかかる炎や崩れた道などをまとめて地術で払いながら】
【魔術師シーナ・ゲルギルは今宵の戦場より離脱していった】
【余裕があれば仲間に話しかけ、特に以前より会いたかったセリーナとは英雄について聞きたいこともあったが】
【気分的な問題でも、状況的な問題でもそれは叶わず、何もかも上手くいかない歯痒さを感じながらも】
【建物を抜けて、家に向かい少しフラフラしながらも去っていくのだった】

【この自分勝手な魔術師が、世界を巻き込む大事件に今後どれだけ関わることになるのか】
【それが判るものは現時点では存在しないだろう】
【今はただ、今日のことを思い返しながら憤慨する、ちいさな子供がいるだけだった】


/お疲れ様でしたー!
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage sage]:2014/04/20(日) 15:28:07.57 ID:sSFmh5Ad0
>>244-246

【本の少しの間だけ 静かな時間が訪れる、ブラックは軍刀をビッと降って僅かな血を落とし】
【エドガー・ハーレイとアルフレド・フェリシアーノ両人の無事を確認、後はビルから撤退するだけだった、が】

……………………ッ!! アルフレド殿…………!?

【突如 壁を破壊し、得体の知れない機械がマリオンを回収する、その次にはアルフレドを吹き飛ばしてエドガーを】

【巨大な飛行艇がどんどん遠ざかっていく、当選空が飛べる訳でもないブラックは見ていることしか出来ず】
【唯一起こした行動といえば、端末で外の部隊に飛行艇を追跡するように指示しただけだろう、今はたったそれしか出来る事は無かった】


ぬぅ…………、"鍵"か…………やはり以前聞いた少女が関係しているのか……
だが、今はいくら考えても仕方がない……アルフレド殿の言う通り、先ずは脱出を急ぐべきですな。

それに悪い事だけではありません、奴等が鍵とやらを探しているという目的も分かりましたし、何よりアサド殿の不当な逮捕の事実も分かりました。
……ここからが出発点(スタートライン)なのかも知れませんな…………


【無事にビルを脱出出来たのなら、ブラックはシーナ、セリーナ、アルフレドの三人に感謝の言葉を伝えて】
【現場の処理もある、他の皆が帰ってから、ブラックは手配した軍用車に乗り込みその場を後にする】
【車内では鍵と呼ばれる何かの事、一連の事件の事、外の景色を眺めながら考えていて】

【それから暫くの間は、一日を書庫で過ごすような日々が多くなることは余談だろう】

/お疲れさまでしたー!
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/04/20(日) 20:48:41.39 ID:bLdHIN/oo
【水の国――街中の大通り】
【普段は様々な目的を持った人々で賑わう場所だが――此度は何やら騒々しい】
【車道に目を向けてみれば、大型のトラックが歩道を守るガードレールに衝突していることがわかるだろう】

【事故の規模は大きなものでは無い。トラックの車体も原形を留めているし、巻き込まれた者もいないようだ】
【だが、集まった野次馬達の好奇の眼はそのトラックの前で何やら言い争いをしている2人の男に向けられていた】
【1人は運転手らしき30歳前後の男。肩を押さえて両膝を地面についている】
【もう1人の男はは50歳程度で、不自然なほど真黒な髪と顎髭をたくわえ、いかにも質のよさそうな濃紺のスーツに緑色の蝶ネクタイを締めている】

……お前は酒を飲んで運転をして事故を起こした。間違い無いな?

「ほ、本当にすいません!ここストレスがたまっててつい一杯……」

言い訳などいらん……お前は私が直々に処分してやる

【高圧的な態度で運転手を責めるスーツの男が右手を上げると】
【ガードレールに当たったまま停止していた無人のはずのトラックが何かの力に押されるかのように――或いは引きずられるかのように】
【運転手の男に向かってズズズ、とゆっくり動き出した】

「お、お願いです!な、なんでも、なんでもします……!どうか許して……!」

黙れ……お前が生きていたところで何の役に立つ?――私にとっても社会にとってもお前は必要のないカスだ

【運転手の男は腰が抜け――その場から動けずにいる】
【このまま行けば、迫りくるトラックに押しつぶされることは間違いないだろう】
【スーツの男は、周りでざわつきながらも何もしない群衆に一瞥をくれた後】
【自身の安全のためか、先程より数歩だけ運転手の男から離れ―――ガードレールを押しつぶしながら近付いてくるトラックを見つめている】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/04/21(月) 11:11:06.64 ID:opf2mEUW0
>>244-246

【敗北の定義は人によりけりだ。敵を倒せなかった。敵に負かされた。人質を救出できなかった。】
【そのどれもが、誰かにとっての敗北で、もっと言えば勝利できなかった事を敗北とする人間も存在する。】
【掲げた勝利条件を満たせないのならば、即ち敗北だ、と。セリーナ・ザ・"キッド"とは、そんな人間だった。】

【真実の追求―――失敗。】
【エドガーの救出―――失敗。】
【首謀者マリオンの撃破―――失敗。】


                なっ……!? アルフレド、大丈―――……クソッ!!
 
           ―――――――――――――――マリオォォォォォォォォォォォォンッ!


【失敗。失敗。失敗。何もかもが、セリーナにとっての敗北を意味していた。目の前で起きた惨劇に、セリーナは有効打を撃てず。】
【生き返ったマリオン、時間稼ぎの戦闘、何もかもが彼の掌の上で踊らされていた"茶番劇"という真実、命をかけた戦いが無駄と化す瞬間】
【激痛とダメージ、出血で意識が朦朧とする中、行われた最後の1幕を食い止める手立ては無く。セリーナはただ、見過ごす事しか出来ない。】


   ……クソっ、クソっ、クソっ、クソッ!! ……なにが、『死なない様に』、だ……ッ!!
   こんな、こんな―――……無様な、終わり方なんて……っ!!
  何をやってるんだ、アタシは……ッ!! どうして気付けなかった、悠長に戦ってるあの狂人の真意にッ!!

  (―――見抜けていれば……少なくとも、エドガーだけは……畜生……ッ!!)


【―――慟哭。"弾"末魔が掌から零れ落ち、悔しげに拳を床に振り下ろすが、それすらもひ弱な程。】
【一体何が起きていて、そして自分に何が出来たのか。何もかもがうやむやにされていく中で、>>247の―――シーナの威勢の良い言葉と】
【そして>>248のブラックの言葉が脳裏に響く。そう、これは終わりではない、むしろここからが始まりなのだと。セリーナもやっと気付く。】


  ……ああ、そうさ。アタシは間抜けだ。けどね、マリオン。覚えておくと良い。
  アンタは……いいや、GIFTの連中は、本気でアタシを"怒らせた"んだ、覚悟しておきな。
  お約束が敗れただって……? なら見せてやろうじゃないかい。もう一つのお約束を、ね。

  『―――1度負けたヒーローは、もう二度と次は負けない。』マリオン……必ずお前を死刑台に送ってやる。


【"鍵"がどうだとか、残った謎の解析に関しても問題は残るが、この戦いは決して無駄ではなかったと確信する。】
【役者は全員、"生きて"いるのだ。誰一人として舞台を降りてはいない。だからこそ、此処で生まれた一つの悔恨は】
【やがて"リベンジ"と言う名の力となって、セリーナやシーナ、そしてブラックの背を後押しするだろう。そう、敗北は終焉ではない。】

【―――生きていればこそ。だから、アルフレドの言葉に従い脚を引き摺りながら、脱出を試みるだろう。夜空へと去っていくマリオンへ】
【弾の無くなった"弾"末魔を構え、カチリ―――と、空砲を放ちながら。次こそは、と誓いを立てて、セリーナは三人と共にビルを退去する。】
【なにはともあれ怪我が過ぎた様で、セリーナは病院に通う羽目になりそうではあるが―――尤も、この女の仕事にはそれが付き物であった。】

/大変遅くなりましたがこちらもこれで〆とさせて頂きます。
シーナの方、ブラックの方、そして主催者の方お疲れさまでした!
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/21(月) 19:30:17.58 ID:IBAk9rc4o
【魔海近くの泉のほとり――人里離れたその場所に、邪悪な気配があった】

「メディアット――"ベテアシードリノス"の調ォー子はどォーだ」 『大変順調でございます、ただ――』
「たァだァ?」 『……反対派が多数ということも有り、撤去作戦が進められているようでございます』 「……そォーか」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【また、執事のような格好をして眼がレンズな二足歩行のコウモリが、その者の隣に居る】

「まァよい……そォー易々と撤去さァれるよォーな作りじゃアねェーからな……」
「ククク……徐ォー々に徐々にィッ、俺様の魔ァの手を伸ォばす――混沌の素ゥ晴らしさは必ず通ゥじるだァろう」

【その者が右手で鷲掴みにしているのは、どうやらサラリーマンの様で、もう抵抗する元気もない……やつれた顔、脱がれてどこかに行った靴、その者の左手にある紙――】
【……どこで何をしようとしていたのか、何となくわかるのだが……一体何故、その者は役にも立たなそうなサラリーマンを持っているのだろうか?】

/短めのレスでテンポ良くor長めだけど置きレス・持ち越しの可能性大のどちらかでお願いします
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/21(月) 20:08:05.32 ID:PDsYWjoZo

【――――水の国・大都市アトラヴェル】

(結局、ここに逆戻りか…………)

【アルフレド・フェリシアーノは屋上の柵へ体を預けて街並みを眺めていた。広がる世界は無機質な銀色をしていながらも、人の活気に満ち溢れている】
【医者からは安静を言いつけられているが、病室にいると本当に気が滅入る。何せここは警察病院で、同僚の姿もちらほら見かけるのだ】
【まだ腹の傷も痛むが、それ以上に胃が痛い……今のアルフレドの立場はとんでもなく複雑で、睨まれるやら賞賛されるやら、本当に忙しなかった】

【――――アトラヴェル警察本部長、エドガー・ハーレイがGIFTと通じ、砂の国自警団の人員を不当逮捕した。そんな大スキャンダルが発覚して】
【それによってこの街がどれほどの騒ぎになったか、警察組織へどれほどの批判が集まったかは、もはや言うまでもない】
【ただしエドガーの日頃の行いが良かったことや、娘を人質を取られていたという事情もあって、比較的同情的な意見も多く集まり】
【積み上げてきた信頼は跡形もなく失墜してしまったものの、修復不能のどん底まで落ちることはなかった。それだけは僥倖と言っていいだろう】
【そこから少し経って、街に大きな混乱はない。一時的に機能不全に陥っているアトラヴェル警察に代わり、水の国自警団が治安維持に努めてくれているお陰だ】

(しかし、まぁ………お上も凄絶な嫌味を言ってきたものだ)

【そして、その逮捕劇の中心にいた当のアルフレドはと言えば――――独自捜査やら内部告発やらの背信行為を多数重ねた結果、沢山の敵を作ってしまったが】
【首都フルーソの本庁からこのアトラヴェル警察へ飛ばされてしまった代わりに、奇跡的に辞職だけは免れていた】
【しかもご丁寧に一階級昇進、部下を率いられる立場となって。……今のアトラヴェル警察の立場を鑑みれば、辞職の方がマシというような人事だ】
【街を歩けば白い目で見られ、酷い時は石を投げつけられることもある。そんな状態で部下をまとめ上げ、職務を執行しろと言うのである】
【――――因果応報。自分で滅茶苦茶にした組織は自分で立て直せと、そういうお達しな訳だ。まったく、とんでもない皮肉を噛まされたものであった】

………上等じゃないか。

【だがアルフレドにしてみれば、確かに辛いことは辛いが、反面嬉しい人事でもあった。元々自分で壊した組織をそのままにしておくつもりはなかったし】
【ここは自分が警官になって最初に配属された古巣であり、恩師であるエドガーと邂逅した大事な場所なのだ。それをそのまま放っておくことなど出来る訳がない】
【……それに。ここを立て直せない程度の実力では、かつてエドガーと語り合った夢=\―――警察全体の権威復興など、到底叶うはずがないのだ】
【アルフレドへ強い恨みを募らせるものも少なからず存在するが、幸いにも昔馴染みの仲間達や、自分と同じくエドガーを慕っていた者達だっている】
【志半ばで曲げざるを得なかったエドガーの無念とその意志を、自分や同士達はしかと継いでいかなければならない――――】


っと、少し長居しすぎたか。隊長たちが来るまでもうあまり時間もない。
皆が来たらどうせ止められてしまうだろうし、今のうちに調書を纏めてしまわないと…………。

【……どれぐらい黄昏ていただろうか。気付けばかなり長い時間風に当たっていたようだ。医者に睨まれる前に戻らないとまずい】
【それに――――今日は『ヘイダル』の面々が面会に来ることになっていた。ただでさえ全員騒ぎたがりだし、下手をすると自分まで病院を叩き出されかねない……】
【これからの事も考えると、そろそろ本気で胃薬をまとめ買いしておくべきだろうか。……そんな冗談を考えられる事が、いまは心から嬉しかった】

【人生で一番長い二ヶ月間を越え、多くの人間の力を借りて、アルフレドはやっとの思いで暖かな居場所を取り戻すことが出来たのだ】
【せめて退院するまでの時間ぐらいは、苦節の末に掴み取ったその幸せを享受していたって、バチは当たらないだろう】
【そうして久方ぶりに心からの笑顔を浮かべ、アルフレドは屋上から去っていく。尊い日常≠ヨと、帰還していく――――】


/続きます!
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/04/21(月) 20:11:17.63 ID:PDsYWjoZo

【――――以下は後日、アルフレドがSCARLET側へ提出した調書の要旨である】

【まず、今回の逮捕騒動の顛末について。警察側の不祥事が暴かれたことにより、逮捕されていたアサド・アル=アーデルの身柄は無事解放】
【同じく彼が指揮していた『ヘイダル』のメンバーも全員解放され、水の国全域に敷かれていた検問や指名手配も解除された】
【また、水の国側も砂の国側へ公式に謝罪し、一時緊張していた両国の関係もひとまず沈静化する形となった】
【GIFT側としてはおそらく、目的さえ達成できれば両国の関係がどうなろうがお構いなしだったのだろうと思われる】
【一方、当然ながら水の国警察側には批判が集中し、アトラヴェルの治安維持機能は一時低下中。暫くは水の国自警団側のフォローが求められる】

【――――次に、今回の逮捕騒動の黒幕であったテロ組織・GIFTの動向について】
【まずGIFT側の目的は、今年二月にアサド・アル=アーデルがラズワルド地下遺跡≠ナ手にしていた発掘品の確保であった】
【厳密には、その発掘品の中で最も重要と思われるもの――――奇妙な歌を操る生きた少女≠フ確保が目的であったと思われる】
【そこでGIFTはアトラヴェル警察本部長『エドガー・ハーレイ』を娘を人質に取ることで操り、アサドを強制逮捕。目的のものを確保しようとした】
【だがエドガーは最後の抵抗として、GIFT側が鍵≠ニ呼称するその少女を秘密裏に隠匿。GIFT側は情報を吐かせるため、エドガーを拉致していった――――】

【また、人質に取られたエドガーの娘・メリッサについてだが、彼女はレイリスフィード学園高等部の三年生にして生徒会長も勤めていた少女である】
【しかしGIFTの『マリオン・リヴァーズ』という男の言によれば、メリッサは既にGIFTの思想に毒され、兵器開発などに利用されている可能性が高い】
【なお今回の事件以降、彼女は完全に姿を眩ませており、学園側は混乱を避ける為に表向き休学という形で処理を行ったようだ】
【このメリッサがGIFTに加わったという件に関しては、生徒たちの不安を徒に煽らないよう、今後も部外秘として扱うのが妥当であると思われる】

【――――そして最後に、エドガーが隠匿した鍵≠ノついて】

【これについてはマリオン・リヴァーズ、ひいてはGIFT全体が捜し求めているという事実のみならず――――】
【三月に『カノッサ機関』を引き連れて砂の国の大都市サフランを襲撃した『ガルマ=ハド=ラジャルード』もまた、鍵≠探しているとの言葉を残しており】
【恐らく――――GIFTのみならず、カノッサ機関までもがこの鍵≠捜索している可能性が高い。今後は両組織の激突による更なる混乱も考えられる】
【幸い、両組織は鍵≠ェ遺跡の発掘品であるという以上の情報をまだ得ていない様子である。以降も鍵≠フ正体については外部に漏らさぬよう注意されたし】

【そしてこれからの方針については、拉致されたエドガーの奪還やGIFT・カノッサが今後行うであろうテロへの対策も勿論、必須となってくるが】
【最優先課題は、やはりこの鍵≠フ確保である。二つの組織よりも早く、エドガーが隠した少女の行方を探し出すことが求められるだろう――――】



【――――以上が、調書を通じて各正義組織へ通達される内容であるが】

【どの組織よりも早く鍵≠確保すること。この一点においては、GIFT・カノッサ機関の両組織にも多額の報奨金と共に依頼が提示されることになるだろう】
【そして……あのラズワルド地下遺跡≠ナの任務の折、GIFTとカノッサ機関の人員が偽名で救助隊に紛れ込んでいたという事実を、正義側はまだ知らない】
【それを考えれば、GIFTとカノッサに『鍵≠フ正体は生きた少女である』という情報が知れ渡るのも、恐らく時間の問題であろう――――】

【マリオン・リヴァーズは鍵≠ノついて、手にした者が世界を手にするとまで言っていたが、未だその言葉の意味するところは不明のまま】
【ただ一つ解っていることは――――鍵≠ヘこの世にひとつしかない。正義側かGIFTかカノッサか、それを手に入れられるのはたった一人の勝者≠フみだ】

【――――誰よりも早く鍵≠探し出せ。多くの謎を孕んだこの依頼は、こうして三つの陣営へと平等に通達されることとなる】
【平和な日常。能力者の楽園。混沌たる世界。鍵という名の天下の証≠ヘ、果たして何を望む者の手に渡るのか――――?】


/これにてイベント天下の証≠ヘ全行程終了となります
/参加者の皆様、本当にありがとうございました!
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/21(月) 22:12:02.36 ID:9NHEnVIqo
【路地裏】

……はっ、了解でありますお姉さま!…。しかし、鍵≠ニは……
『少女』……でありますか…?はあ、では特徴などは……はっ。
委細承知であります、アンジェルお姉さま。しばらく時間を……はい!

【――場所は薄暗い通りの一角。少女の、携帯での会話が響いていた】
【誰かが通りかかって声の主を見たのなら、まずライトブルーの髪色が目につくだろう】

【次いで藤色の瞳、そして戦闘服が特徴的。無論と言うか、拳銃も一丁所持している】
【加えて小型のハンマーまで持ちあるいているから、宛ら特殊部隊の一員だ】
【歳は10代後半というところだが――彼女は携帯をしまうと、ふと周囲に目を向けて】

……お姉さまの指示があったのであります。ですから、貴方がたのお相手は
また戻ってきてからということにして頂きたく思います。

大丈夫です、10日以内に戻りますから。ですので此処にいて下さい
……一応言っておきますが、私の結び目は特殊です。勝手には解けないのであります
では……食事は私≠ノ届けさせますから、静かにしていて下さいね?

【そう声をかけるのは自警団の男性だった。額からは血を流しているが、生きていて】
【手首、足首、猿轡や目隠し――完全に拘束され、少女は彼を牢屋に叩きこむ】

【この牢屋、ただ鉄格子の扉と1m四方の空間があるだけのフリー≠ネもので】
【やがて彼女は鍵をかけると、ふう、と息を吐いてその場から立ち去ろうとする】
【異様な光景を照らしだす月光は、少女の服の袖にある逆五芒星≠も暴いていた】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/21(月) 22:33:57.97 ID:xVnIIpBo0
【穏やかな月の光に照らし出される草原の一角】
【心地よい風が吹き、寒すぎず暑すぎずといった気候は正に月光浴に最適であろうか】
【虫達も鳴かず、在るのは静寂であって――――音らしい音といえば、時折草木の揺れる其れ程度】


「ん〜…………今日も疲れた……っと
流石にあの子達全員分のパンを焼くのは結構な重労働だよね
まぁ…………殆どはカログリアに手伝って貰ってたし、お陰でボクもお零れを貰ったから良いけどさ」

【其処を気ままに歩く一人の姿。纏うのは所謂修道着であって――――よく手入れのされた金色の髪が、月光を眩しく反射させていた】
【腰に提げた銀の双銃は何処か物騒な印象を与えるかもしれないけれど、その身形が修道女の其れなのだから不思議なもの】
【持った袋から漂うのは香ばしい匂い。焼きたてのパンの香り、であろうか。数ある中から適当に一つ取りだしたならば行儀悪く歩きつつ頬張ったり、なんて】


「――――――やる事も山積みだけど、偶には良いよ…………ね」

【ぽつりと呟いた言葉はまるで自分に言い聞かせるかの様で。手にしていたパンを、また一囓り】
【何を考えているのかは分からないけれど――――上の空、なんて事は無さそうだ】
【その証左として、もし誰かが近くを訪れたならば其方へと視線を送るし】
【話し掛けるならば立ち止まりもする。この時間に修道女が出歩いているなんて可笑しな話で】
【銃を抜いたりはしないものの、やがてはゆっくりと小首でも傾げる事だろう】











【森の中に存在する――しん、と静まりかえる朽ちた館】
【嘗ては賑わっていたので在ろう其処も今となっては実に寂しいもので、ただただ時に任せて風化していくだけ】
【――――の、筈だったのだけど。月も顔を見せない今宵、此処に二つの足音】
【佇まいに誘われてか其れとも戯れに入ってみたのかは分からないけれど、重々しい館の扉を開いたならば先ず目に映るのは】
【古めかしくも豪華な内装と…………二つの影、だろうか】


「何も見えず。何も求めず。朽ちて。消えて。名残すらも。やがては失せる」

『――――主様。そろそろ帰らねば皆が心配するかと思いますが』

「誘い。誘い。残るは闇。其れも無に飲まれ。尽きる蝋燭。未だ戻らぬ小鳥」

【一人は黒のドレスを纏った少女――――か。歳にすれば恐らくは十代の後半】
【暗がりの中でも目立つのは銀の髪。清んだ声で紡がれる其れは詠唱の様で、其れでも何かが起きる訳でも無くて】
【もう一つの存在はこれまた黒のローブを纏っており。フードを被っている故に顔は分からないが】
【声の質と身体の起伏からして女、か】

【主と呼ぶ少女に対して言葉を掛けても、ハッキリとした答えが返ってこないのだから悩み所だが】
【言葉を掛けた当の本人は大して気にした様子も無いのだから、何時もそうなのだろうと容易に連想させる】
【もし、誰かが扉を開けたならば。少女の深い蒼色の双眸が向けられる筈で】


「紡ぐ唄。忘却の詩。何れ人は思い出す。祖の過ち
満ちる。時は終わりに近づく。時計はまた零を指す」

【支離滅裂な言葉。その声でアリアでも紡げば美しい音色となったのかもしれないが、生憎訳の分からない言葉しか並べられないのが現状】
【無視して館の探索に移ったって構わないのだが――――明らかに異質な二人組を尻目に奥へと行ける者は、果たしてどれ程居るのか】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/21(月) 22:37:08.68 ID:KI63a+rdo

【―――ひゅう、と風が吹いて、彼女の金色の髪を揺らした。暖かさと冷たさの混ざり合ったような、緩やかな風だ。】
【季節は春を迎えていたが、夜間においてはまだ、寒気が肌を突付く。クセのついたショートヘアが、風に揺られて肌を撫でた。】
【彼女はどこか怪我しているのだろうか、痛々しげに足を引き摺りつつ、それでもゆっくりと歩いていた。両手には、何か荷物を持って。】

【身に着けた白いシャツは少量の血が滲んだ跡と、そして火薬か土埃かで薄汚れていて、その上に羽織った土気色のベストが】
【どこか田舎を思わせるような、ノスタルジックな雰囲気を生んでいた。先程から引き摺っている長い脚はダメージ・ジーンズで覆い】
【その先にはこれまた年季の入ったウェスタン・ブーツを装着し、何より彼女で特徴的なのは頭に被ったテンガロン・ハットだろうか―――】

【それはつまり、彼女が何者であるかを示す重要なファクターであって―――。】


  ふぅ―――……病院帰りに無茶して買出しも済ませちゃったけど、こりゃ結構な重症、だねぇ……。
  "アニー"に跨る事すら出来ないだなんて、ちょっとリハビリが必要になりそうかな、なーんて―――っ、痛っ!!
  いっ……たたた、油断するとすぐに痛むね、ちょっと力を抜けばこれだもんなぁ……はぁ、タクシーでも捕まえようか。


【―――腰元に備えた二対のガン・ベルトは更に、彼女が"何者"であるかを裏付けさせていた。】
【街行く人の中にはそのボロボロの姿を見て立ち止まり、ひそひそと何かを話して去っていく者も居るほど、つまりは】
【彼女が"ある種"の有名人である事を意味しており―――尤も、それも"記憶"が無い人間にはどう映るのか、分からなかったが。】

【普段どおりの"ガンマン姿"に、今日は怪我のせいか彼方此方に包帯やら何やら跡が残っていて】
【それでも尚、両手に抱えた荷物を離さず一歩、一歩と歩く姿はどこか哀愁すら誘うだろうか、少なくとも】
【今の彼女は華やかな"英雄"じみた雰囲気を纏うような、何時もの彼女とは少し違っていて―――とはいえ】

【矢張り疲れたのだろうか、ベンチを見つけると一度荷物を降ろし、深く息をついた。セリーナ・ザ・"キッド"、UTの創設者。】
【しかし今は激戦からの帰還だろうか、彼方此方怪我を負った状態で病院から飛び出してきたであろう事を想像させる様子で―――。】
【ふと、夜空を見上げる。痛む足を摩りながら『基地までまだ遠いなあ……』なんて、呟き。彼女は帽子を取って、椅子に腰を下ろした。】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/04/21(月) 22:58:35.36 ID:rVrKPazB0
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/21(月) 23:10:58.90 ID:mihBdXh80
>>256

【街行く人々は、思わぬ登場人物にはっと驚く。直ぐに有名人に会えた事の喜びと、それから服装がボロボロである事の理由とを、隣に居るパートナー、】
【友達やら恋人やらと共有してみる。それから『あの人がねー……』なんて他人事に語っては後にする、……彼女からは、多大な恩恵を受けているとも知らずに。】

【流れは、ありとあらゆる人々から構成される。先程の女子高生もそうだし、凛々しい顔付きのサラリーマンもそうだし、】
【或いはベンチに座り込んだ女性を、イヤらしい目でジロジロと見る老人もそうだ。……では、この少年は一体どうだろうか?】

【少し短めの艶やかな黒髪に、黒曜石の様に黒く、透き通った黒色の眼。】
【フードが付いた無地グレー色のパーカーを半袖に巻くって。襟元から流れる白い紐は、少年が動く度にブラブラと揺れ動く。】
【下に履いているのは、裾が少し広がった焦げ茶色のバギーパンツ。注視すれば、其れが迷彩柄である事に気づけるだろうか。】
【白を基調として、所々に青色と赤色のストライプが入ったスニーカー。シンプルながらも、中々お洒落な靴である。】
【耳には少しフレームの太い黒縁のメガネをかけ、背中には、黒色のショルダーバッグが斜めに背負われていた。】
【パーカーの袖から覗く腕に、目に見えて分かる程筋肉が付いている事を除外すれば、至って当り障りのない、普通の身形だ。】

【……普通であるからこそ、人の流れに溶け込む事が出来た。スマートフォンを片手に携えてしまえば、唯の帰り道を急ぐ学生だ。】
【然し彼女の眼にそれは、異質に映ってしまう事だろう……良く形状は似ているが、彼の右手の中にあるのは、確かにW-Phoneではない。】

【爽やかに笑うそろそろ良い年の俳優やら、大人の色気を演出する最近流行りの女優やら……冷めた目付きで見られるのは、さぞかし辛い事だろう。】
【街の至る所を覆って有り余る看板は、一体誰の眼に止まっているのだろうか。それは広告として、果たして本当に機能しているのだろうか。】
【然し自分は、確かにその一部に含まれていた。目の前にいる彼女とは、丸で異なる。悲しいまでに、コントラストが際立っていて。】

【―――詰まる所、見られなかった。相応に激しい傷跡も、きっと撲滅すべき対象との交戦によって生じた物であろうと。】
【その傷は確実に痛むが、その"痛み"と言うのは、自分が感じているそれよりも、遥かに明るい物であろうと……、】
【傷だらけの姿でも、今は彼女が眩しく見えた。だからこその、―――無視、通過である。目もくれず、ただ前を見て歩く。】

【……然しながら、何故逃げなかったのか、何故走らなかったのか、と言えば……詰まる所、彼女に。助けを、求めていたのだろうと、】
【呼び止めて欲しかったのだろうと、……結局は、そういう事になる。何と言うか、お年頃。彼は今、素直に人に物を頼めない時分にあるのだろう。】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/21(月) 23:33:08.42 ID:KI63a+rdo
>>258

【―――視線を感じるのはこれが初めてではない。セリーナとて田舎者だが、自分が有名人である事は理解していた。】
【子供から大人まで老若男女、色々な人間が自分を知っていてそして眼にし、だからこそ余り恥ずかしい姿は見せられないのだが】
【こうなってくると流石に恥ずかしいだの何だと言っても居られず、怪我した状態を衆知に晒す。だが、その中に見覚えのある影を見つけ】

【セリーナは視線を夜空からその、"見慣れた誰か"へと、ゆっくり移した。人が行き交う路頭の中途、彼は其処に居た。】
【混じる視線の中に一つだけ感じる、此方を避けるようなその瞳に彼女は勘付き、そしてとうとう少年が誰であるのかを、知り。】
【足早に去ろうとしていく彼を追うべく腰を上げようとするが、そこで恐らくは傷ついた脚に痛みが走ったのだろう。彼女は―――転んだ。】

 
  ねえ、君―――――――――痛っ!!


【声をかけようとして。静かに追いかけようとして、彼女は膝から崩れ落ち、ベンチの前に跪いた。】
【情けの無い事だが、ずきずきと痛む脚を―――凶弾に撃ちぬかれた脚を無理やりに動かして、彼女は立つ。】
【一度は転びながらも、もう一度立ち上がって彼を追おうとするその姿は―――少年に、どう視えるだろうか。どう思うのだろうか。】


  ま、まって―――待って!! 待って、そこの君―――ッ!!


【再び、『あっ』という声が漏れて、彼女は路面へと額を打ち付ける。二度目の転倒。】
【矢張りリハビリもなっていないこの状況で去ろうとする彼に、追い縋ろうとするのは難しかったか。】
【しかしそれでも、どれだけ情けない姿を晒そうと、彼女はもう一度、もう一度と手を突き、身体を持ち上げ、立ち上がろうと、した。】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/22(火) 00:05:37.28 ID:PlWRbrGM0
>>259

【何やら背後が騒々しい。訴えと共に響く、地面と身体が衝突する音は、聞いていて何とも痛々しい。】
【道行く人の流れは、この時ばかりは止まった。ひそひそ話は拡大し、若しかしたらスマートフォンで写真を収める人も居たのかもしれない。】

【彼女が叫ぶ"君"に該当する候補は、……すっかりギャラリーが出来てしまった、故に客観的に言えば、何十人といる。】
【が、その中でも立ち止まって振り返ったのは、―――たった一人だけ。……否、必死になって自分を追ってくれる彼女に見せたのは、】
【然しながら、裏切りの表情。"どうしてそんなに慌てているのか、貴女はあんなにも有名人であるのに"―――なんて言う、呆れだ。】


ちょっ……大丈夫かいな、もう………アレやろ、セリーナさんやろ……
……ほら、大会とかでも優勝しとる……ああもう、こんな身体やったら、寝とかなアカン……

荷物、持ったるから……いや、持たせてもらう、って言うべきやろか、ココは……

【少年は彼女を知っていた。―――と言うのは、一般人のレベルで。世界を股にかける組織であるUNITED TRIGGERを創設し、】
【更に水の国の大会でも優勝した経験を持つ、かなりの有名人……とまあ、この位だ。……彼女が如何に酒浸りの生活を送っているか、】
【如何に書類に埋もれた毎日を過ごしているかを―――少年は知らない。……知っている、べきなのに。】

【『何でこんな身体しといて、付き人一人も居らんねん……』と、聞こえるか聞こえないかと言った具合のレベルで呟いて、】
【先ずは彼女の身体を無理の無い姿勢に起こし、額の傷の具合をチェックして、それから負担であろう荷物を奪う様に取り上げる。】

【部外者にでも出来る、優しさ―――然しながら、今の少年には、それしか出来ない。それ以外の事をすれば、寧ろそれこそが、偽物なのだろう。】

261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 00:25:36.18 ID:AO47M8l+o
【半分の月が浮かぶ、夜の草原】

【風が吹き抜けて草木が揺れて、一面の緑の中を、ざわめきが駆け抜けていく】
【――――そんな中、岩に腰掛ける人影。その人物は、一つの音色と共にあった】

【フルート。奏でる旋律は澄んだ響きをもって、空へと昇る】
【どこか幻想的で、不思議なそのメロディは、誰に聴かせるでもなく、ただ奏でられたもの】
【―――人影が動き、音が止む。静寂が生まれて、またざわめきが駆けていく】

―――調子は、悪くないですね。
マスターの為にも、ワタクシが首尾良く事を行わなければ……

【それは、男。焦げ茶色の髪をした、黒いスリーピース・スーツ姿の男で】
【頭に乗せたシルクハットに、片手に持ったフルートと、特徴的な物は多いが……最たるは、そのどちらでもなく】
【――――――目元を覆う、白い仮面。怪しさ全開の、その一点である】

【何はともあれ、男はまた演奏を再開する。人気のない草原に、笛の音が響いていく】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/22(火) 00:31:15.09 ID:s/KknbZJo
>>260

【呼吸がまだ整わない。状態が良くないのは分かっていたが、これは入念なリハビリが必要か。】
【ともかく、今は倒れ付している場合ではない。探していた、ずっと安否を気にしていた、大切な仲間の影を】
【ようやっとその視界に納めることが出来たのだ、こんなところで躓いている訳には行かない―――立ち上がろうとした、その時。】

  (……笑われたって構うもんか。痛くたって、構うもんか……目の前に、君が、君がいるのに―――わっ!?)

  うわっ、ちょ……ね、こやま君……ッ!?


【―――数ヶ月ぶりに、その名を呼んだ。其れがこんな形であったのは何だか少し不思議だけれど。】
【それでもようやく、"彼女"と"彼"は合間見えることが出来たのだった。駆けつけたねこやまの手が、セリーナを支える。】
【おかげでなんとか立ち上がれたし、それに荷物まで運んで貰えて、其れは其れで良いのだが―――なら、何故なのだろうか。】

【彼がセリーナを見つけて尚、通り過ぎようとしたのは。そして、今になっても尚、セリーナに対しかける言葉の中に】
【"既知"の関係であった筈なのに、それを思わせる何かが大きく欠けている様に見えるのは―――何故、なのだろうか。】
【これではまるで、ねこやまにとってのセリーナは周囲の一般人と同じ程度の認識しかないように思えるが―――可笑しい。】


  ……ありがとう、おかげで助かったよ〜。ごっめんね、"久しぶり"なのにイキナリ、かっこ悪いとこ見せちゃってさ。
  荷物も、一旦その辺に降ろしてくれていいよ。その―――……少しでいいから、君と話がしたくて、声をかけたんだ。
  だって、ねこやま君ってばずんずん先に行っちゃうんだもん、怪我人にはなかなか厳しいよ、追い付くのはさ。

  でも良かった〜、ずっと姿が見えなくって、連絡まで取れないから本当に―――……心配、したんだよ。
  ただ……、ねこやま君。アタシの勘違いなら、それに越した事はないんだけど。

 

     ―――アタシは君の事を、"ねこやま君"、ってそう呼んでも……いいの、かな。


【疑問は早い内にぶつけておくべきだろう。セリーナにはそう思えて仕方が無かった。】
【彼は確かに、セリーナを助けてはくれたが、それでもこの反応ではまるで――――――――。】
【だから、その疑問を核心へと変えるべく。セリーナは容赦なく、質問をぶつける筈だ。君は私の仲間だよね、と―――……。】
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 00:48:50.61 ID:9V3k5eAY0
>>261

【半分には少しだけ惜しいお月様が空でぴかぴかと輝いていた、薄らとした雲すら掛からない夜空はまるで芸術品のよう】
【どんな作家だってこんなに美しいものを造れるのだろうか、なんてことはただの戯事、お遊びめいた思考の欠片】
【まあそんな思考も心の隅っこにあるかないか程度でしかないのだから、お遊び以上になるわけもなく――ふと、】

【耳に迷い込んできたフルートの旋律に惹かれるような足先は軽く軽く、どんぐりを拾い集める子供のよう、戯れの色で】
【それなら対して何も考えちゃいないのだろうと思わせるには簡単、――実際もそんな感じだったのだから、警戒なんてどこ吹く風】

こんばんは、

【さくりとした音で少女が足を止めたのは人物から数メートル離れた位置、その声はひるり吹く夜風の中を抜けて、きっと届くから】
【まるで鈴の音とよく似た声をしていた。涼しげなのに不思議と暖かで、ひとの声には不向きなようなのに、不思議とよく似合っていて】
【ざあと夜風を孕んだ髪をかきあげた左手の薬指に指輪が嵌められていた。所有して/されている証、そっと月明かりに煌いて】

それフルート? 楽器の名前ってよく分からないの、触ったことがないから――……、
女の子が吹いてるイメージがあるの、男のひとも吹くのね――? ……ううん、駄目って言ってるんじゃないの。

【夜の風に靡く黒髪は何か別のイキモノのよう、それだけ彼女のシルエットをちぐはぐに乱して、月明かりを受けて艶めいて】
【やっと風が止んで落ちたと思えばぐしぐしになってしまっているのだった。それを、後ろ手に直しながら、話し掛けることは】

【――夜空みたいに黒い色をした髪の少女だった。そのくせ肌は雪のように白く、手足など棒切れのように細く、華奢で】
【黒色と赤色のオッドアイは神様が部品を間違えてしまった様子。右の耳にだけ煌くピアスは、――どうやら宝玉をあしらっていた】
【オフホワイトのブラウスに結んだ緋色のリボン。もう少し暗めのトーンをした赤いジャンパースカートは丈の短いもの】
【それなら合わせたスカートはふわふわと柔らかそうな布地にたくさんパニエを詰め込んで、夜風でもあまり靡かないほど】
【すらっと細い足元はこげ茶色の薄いストッキングに包まれて、足元は底の高いパンプス、凡そ草原には不似合いなようだったが】

ねえ、わたしにも分かるような曲、吹いて。もうちょっと聞いてみたいな。

【――名乗りもなければ誰何もない、そんな気楽さは相手の目にはどう映るのだろう。ついと胸元のリボンに触れた手は、】
【そのうちに頬っぺたに移動して、一緒にかわいらしい風で首を傾げるのだった。分かる曲、だなんて漠然としたリクエストを投げて】
【楽器を知らないというなら曲もあんまり知らないだろう、それこそ王道な曲でも投げてやるぐらいじゃないと――きっと、分からない】
【もちろんリクエストを聞いてやらないという手もある。どこからか音に惹かれて集まってきた虫みたいな少女、でしかないのだし――】
【(それでも。聞かせてやるというなら大人しく聞くはずだった。それぐらいの礼儀は、きっとしっかりとしていて)】

【――相手の仮面にはまだ触れてこない。曖昧に開いたままの距離感が、きっと些細な警戒心の表れなのだった】
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/22(火) 00:55:05.12 ID:PlWRbrGM0
>>262

………―――どうでもええやん。俺のこと、なんか。

【捻って絞り出した答え。……結局は、拒絶だった。自分は今、リハビリさえ必要な彼女を支える一時的なヘルパーであって、】
【それ以下でも、それ以上でもない。その辺を行き交う人々と全く同じ、一般人だ。ならば少年の名前も、或いは二人は仲間であるかどうかも―――、】
【そんな事、どうでも良いのだ。俯いて、唇を噛み締めた表情、……どうやら本当に、断ち切ろうとする思いがあるのか、】


……今から、帰るとこやろ? ええっと、ゆないてっどとりがーの、事務所やろ……んー……

―――あー、こっちやこっち、ほな行くでー……

【両手に持っていた荷物を一旦左手に移して、スマートフォンを取り出した。未だぎこちなさを含んだ操作で導いたのは、事務所への最短ルート。】
【全てを振り切って、少年は一歩を踏み出すのだろう。確かにその方角は、帰り道へと通ずる。否、だが然し―――。】


その傷、どしたん……やっぱアレ、悪い人と戦って作ったやつなん?
……は〜……カッコええなあ……やっぱセリーナさんって、この世界のヒーローなんやなあ……

【世間話とやらで、茶を濁す。濁して濁して濁して、透明であった筈の存在を、見通せなくさせて行く。】
【無意識の衝動なのかもしれないし、或いは意図的な反動なのかもしれない。それは誰にも分からないが、然し今はそんな事どうでも良いのだろう。】

【彼女が一歩を踏み出すか踏み出さないかに問わず、少年は彼女にとって無理のない速度で歩き、そして一人で会話を進めていく。】
【否、歩く速度に無理は無かったが……果たして、どうだろうか。演技で全てをやり過ごそうとする、その本心を……見抜けるか。】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 01:23:46.20 ID:AO47M8l+o
>>263

【笛の音が止んだのは、声が掛けられる少し前の事。人の、或いは人ならざる者の気配を感じ取ったから】
【振り返った仮面の向こう、胡乱な光の色は、判ずる事は能わない。暗い影の中、ただ光ばかりがそこにあり】

――――特定の性別しかダメだ、という物は、そうありませんからね。
お察しの通り、これはフルート……ワタクシの“得物”ですよ……。

【得物=\――まるで武器を指すかのようなその物言いは、些か奇妙であろうか】
【しかし、その腕前を活かして糧を得ている、というのであれば、それも少しは自然でもあるか。】

【素性を問われなければ語らず、そして自ら問う事もまた無く。】
【―――仮面が隠さぬ口元に静かな笑みを浮かべ、淡々と男は紡ぐ】

マドモアゼル……いや、マダム。アナタがどれくらい知っているのかはワタクシには分かりませんが……
お客様のリクエストには可能な限り応えるのが、プロというもの。

――――いいでしょう。ワタクシの演想=Aとくとお魅せしましょう。

【ひょいと岩から降りたなら、男は彼女の方へと向き直り、フルートを構える】
【瞼を閉じ、息を吸い――――そして、奏でる。静かに、穏やかに。】
【響くメロディは、少しばかり、クラシックの様な音楽に興味があるならば知っている様な曲――】
【――と言っても、それを彼女が知っているかはまた、別な話なのだけれど】

【暫くの間、演奏は続く。そうして一曲を終えたなら、男は一礼をして】
【それから、「どうだったか」と言わんばかりに彼女の様子を伺うのだろう】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 01:40:46.82 ID:9V3k5eAY0
>>265

【振り返った先に立つのはどうにもか弱い少女の姿だ。けれど、そこに纏う濃厚な水の気配は或いは異常】
【それも仕方のないことだろう、その濃厚さの染み出すのは、耳元。ピアスにあしらわれた宝玉の欠片からよりなのだから】
【ただの少女が宝玉を欠片とは言え持つだろうか。それを考えたなら――微かに漂う人間以外の気配もまた、それを裏付けた】

えもの? ……ふうん、そうなの、

【“獲物”“得物”二つの単語が脳裏に過ぎって、消えていく。獲物ではない気がした、それなら、得物? そう考えて、】
【けれどこんな世界だから楽器を武器にする人間がいたっておかしくないだろう。そんな風に思考が動いたなら――】
【それを糧に生きているのかとか、気にせずに。緩やかにかしげた首で、納得したと示すのだった】

……ふふ、?

【それからくすりと僅かに零す笑い声、細めた視線は、なんだかくすぐったげに見えるだろうか。彼のその言葉に対して、】
【いつもちっちゃな女の子扱いばかりされているように思う。それだから、そうやって呼ばれるのは――少しだけ、新鮮な体験】
【それでも精々が高校生ぐらいにしか見えないのをマダムだなんて呼んだら――彼女が本当は二十歳だから、許されたけれど】

【(こんな時間に出歩くような顔をあんまりしていなかった。あどけなさの残る顔つきは、夜の中で見ると余計に白く浮き立って)】
【(華奢な身体なんて路地裏の闇に引き摺りこまれたら何の抵抗も出来ずに折られてしまいそう、だけれど、そう、宝玉の持ち主)】
【(アンバランスだと呼んでしまうのがきっと分かりやすいのだった。彼女は、そう、アンバランスにぐらぐらと揺れるよう)】

【――そうして演奏を聴いたのは数分間。時折色違いの一対を閉じたりして聴いていた演奏、過ぎた時間はあっという間なよう】
【ぱちぱちと手を叩いてみせるのだろう、ひとりきりだから対した音はしないけれど、きっと、気持ちぐらいなら届くはずだから】

ううん、たぶん……どっかで聴いたことあったと思うよ、なんだろ、テレビかな……、ちょっとだけね、知ってたみたい。
とっても上手だった。わたしね、普段音楽ってあんまり聴かないんだ……、だからね、上手とかってよく分からないんだけど……、
……上手だったって思うよ、とっても聴きやすかったもの。なんだろ、落ち着いて聴いていられた――。

【ふわと幼い顔を綻ばせて笑う、そうすると余計に幼く見えるとは余談だったが、告げていくのは純粋に相手を褒める言葉ばかり】
【曲自体はそんなに知ってもいなかったようだけれど、どこかで聞き覚えがある程度には知っていたようで――いちおう、リクエストも叶えられて】
【この様子だとまるで知らない曲でも同じように喜んだだろうとも思わせたけれど。ころころと鈴を転がす声で笑っていたなら、】
【本当に喜んでいるのだと伝わるだろう、ぺったりとあわせた両手を、ほんの僅かに頬っぺたにくっつけて、】

フルートってどうやって吹くの? 難しいのかな、金管楽器って、出せないひとは音が出せないっていうから――、

【さくんと一歩踏み出す仕草。今度の興味は、彼がたった今聴かせてくれた音楽、それを奏でていた楽器の方に動いたらしい】
【どうやってやるの?なんて尋ねながら少しずつ距離を詰めていくなら、それをよく見せてと強請るよう。許されるなら、ちょいと覗き込むから】
【もしよければ見せてやればいいだろう。まるで初心者の彼女には、音を出しているところだけだって、興味の的になるらしいから】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 02:24:58.56 ID:AO47M8l+o
>>266

【彼女より送られる賞賛の言葉を、極めて自然に受けていくその姿は、言葉の通り、正に“プロ”といったところか】
【日頃からそういった事はあるのだろう、という事は窺えようか。】
【とは言っても、決して無反応に受け流している訳でもなく】

今の曲は、かなりメジャーな部類の楽曲になりますからね……。
普段はあまり、こういった曲は演奏しないのですが、時折リクエストもありますもので。

―――しかし、ワタクシよりも上手な方など、いくらでも居りますよ。
この演想≠フ真骨頂は、他にあるのですから……

【演奏≠ニ演想=B音では分からない違いは、しかし、確かに異なる意味を持っていた】
【演奏≠ニは異なる、真骨頂。それを見せようかと構えようとすれば、彼女が近付いてきて】
【己の顔の高さに上げていたそれを、いくらか下げる。見えやすいであろう位置に持ったなら、色々に向きを変えたりもして】

簡単……という事はないかと思いますが、コツさえ掴めば難しくもないかと。
何事にも通じる話ではありますが――――やはり、練習が肝要かと。

吹く時は、この様な形で――――――

【少しばかりの説明をしたなら、男はまた、フルートを構えて見せる。】
【持ち方や、息を吹く時の口の形など……そんな事を言って、また、吹き始めて……】

【―――今度はきっと、知らない曲。それは音楽に詳しい人であろうと同じ事で】
【オリジナル曲、とでも言うものだろうか。どこまでも響いていく様な、そんな調べ――】
【――そのまま聴いていたなら、異変を感じるだろうか。風が吹いているのに、草木のざわめく音が、しない。】
【それからもう一つ。月が、丸々と膨らみ、満月の輝きを放っていた。】

【別に、草木が無くなった訳ではないし、半分程の月が見間違いだったとかいう事はない。】
【けれど、事実、月は丸く、音はフルートの他に無く。】

【――――少しして、調べが中断される。それと同時、ざわめきが帰ってきて、月がまた、細くなって】
【男はただ、笑っていた。「どうでしたかな?」とだけ、言葉を付けて。】



/申し訳ないのですが、眠気がちょっとあれなので持ち越しか〆かでお願いしたく……!
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 02:27:57.71 ID:9V3k5eAY0
>>267
/了解ですー、それですと、明日がちょっと来られるかが現時点で不明なので……
/申し訳無いですが、いろいろ見せてもらったりしてから別れたことにしていただけると助かりますっ
/レスのほうはこのあと返しておくので、お先に休んでくださいな、おつかれさまでした!
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 02:30:38.25 ID:AO47M8l+o
>>268
/了解です。では明日、こちらも〆をお返しさせていただきますー
/それではお先にお疲れ様でした!
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 02:42:50.79 ID:9V3k5eAY0
>>267

【そうやって飾らない彼の姿勢、賞賛されるのに慣れているのだろう、それなら、やっぱり上手なのだと彼女に思わせる】
【自然に聴いていられる音楽を奏でることがどれぐらい難しいものか。ひとつひとつの音の流れ、感触、全部組み合わせる難しさを】
【彼女はちいとも知りはしなかったけれど、その音楽が綺麗だったことぐらいは分かっているつもりだった。それぐらいなら、辛うじて】
【それでもあの技巧が出来るからすごいとか、そういった目線はどうしても出来なかったのだけれど――まあそれは、仕方のないこと】

そっかあ……、なんて曲? そんなに有名なら名前も分かるかも、……クラシック? ううん、聴いただけじゃよく分からないの。
音楽のひとってすごいよね、いろいろな曲を覚えてるんでしょう? ――わたしそんなにいろいろ覚えられるかな、どうだろ……。

音楽って聴きにいったことがないの、だからね、きっとあなたがわたしの中での一番だよ。もっと上手いひとは居るかもだけど――。
いいなあ、ちいさいころから楽器って本当に触ったことがないから、なんにも出来ないの……ほんとうになんにも、だよ。

【こんな自分にも分かるメロディだ、それなら名前だってどこかで聞いたことがあるかもしれなくて、それを知りたくて、尋ねる幕間】
【こうしてちょっとお願いすればすぐに条件に合致する曲が出てくるというのも凄かった。それを全部、覚えているということだから】
【すごいなあなんて本当に感心してみせるのだ、ふわあと吐いた吐息は、それだけきっと感嘆の感情を示していて】

【(彼女は魔術の勉強をしているのだった。一週間のうちの少なくない時間を勉強にあてて、いろんな術式を覚えているところ)】
【(目指す方向性はなんとなく似ているのかもしれなかった。いろんなものを、いつでも思い出せる位置に仕舞いこむ、その作業)】
【(数が多ければ多いほど偉いというわけではないけれど、引き出しの数が多いのは悪いことじゃない、はずだから)】

【ふあーなんて気の抜けた声が零れる、やっぱり練習が何よりなのだと当然なのだけれど、改めて知らされるようで】
【何か言葉を出そうとしたところで次の演奏が始まるから黙りこむ、今度はじいっと指先や口元を見ながら、それを聴くから】
【世界の異変には終ぞ気付かなかった様子だった。終わる頃には、またもや瞳をきらきらとさせて、彼を見て、】

【すごいだのなんだの言うはずだった。知らない曲だって、ぜんぜん退屈なんかじゃなくて、もっと聴きたいと思えるぐらいなのは】
【彼女にしてみれば珍しいこと、それぐらいに興味を持ってくれるのは、きっと、彼にとっても悪いことではないはず】

【――そのあとは、きっといくつかの質問をされたりするのだろう。指が疲れないのかとか、そんなどうでもいいことまで訪ねて】
【もし彼さえよければフルートを持たせてもらったりなんてするのかもしれない。もしそうなったなら、宝物みたいに大切に扱って】
【返却するまでおっかなびっくりだったのだろう。そんなことは、ただの余談でしかないのだけれど――】

【それなりの時間になれば彼女は帰るんだと告げるから別れることになるだろう、夜更かしの出会いは、そうして終わりを告げて】
【音楽にあんまり興味はなかったのだけれど――今宵の邂逅は、きっと、彼女にとって楽しいものになったはずだった】

/というわけで〆ておきます、ありがとうございました!
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/04/22(火) 11:51:09.36 ID:iPZaYeNW0
>>264


  ―――……、"どうでも良い"、か。


【"俺の事なんか"。寂しい言葉が二人の間に響いた。セリーナはハッキリとしたその拒絶に対し、口を閉ざす。】
【何と答えた物か考えあぐねているのか、それとも仲間であった筈の、純朴だった少年から飛び出た言葉に驚いているのか】
【向けられた投げやりなそれが胸を貫く。彼の言葉を繰り返す様にセリーナは呟き、小さな少年の背を後ろからじっと、見つめるだけだ。】


  ……うん。病院から帰る所! 院内のベッドも悪くは無いんだけど、やっぱり酒場の方が落ち着くんだ〜。
  まあ、そうは言っても今回は結構ハデにやられちゃったから、もう少しは通院する羽目になりそうだけど―――……
  それでも、君の言う通りアタシは、"この世界のヒーロー"ってヤツらしくてさ。ゆっくり休んでる訳にはいかないんだよね!


【気になる事は幾つかあった。何故、事務所の場所を覚えていないのか。携帯を取り出す必要があっただろうか。】
【先程の態度と照らし合わせて、"もしかしたら"という想いが胸に蠢く。セリーナはねこやまに対して此方も素知らぬ風に】
【本当に世間話でもしてるかのように、あえて"重要"な部分をずらして嫌味の様に『アタシは』ヒーローだからね、と返すだろう。】

【―――だが、そこから続く言葉はまた、少しニュアンスが違う筈だ。ゆっくりと歩きながら、セリーナは少年の背に言葉を投げかけた。】


  だけどさ―――ねこやま君。ヒーロー、って何かな。


【単純な疑問や質問とは、違う。もっと深い意味を孕んだ、それでいてまだ"彼"にとっての核心を着かない、そんな問いかけだ。】


  カッコよく敵を倒して、皆に英雄だって崇め立てられる。絶対に負けない強さを持った英雄。
  ヒーローって、そういう何かかな。ねこやま君は、どう思う?
  

【聞くべき事は他にもある。今までどこに居たのだ、とか。これからどうするつもりだ、とか。】
【だがそういった諸々を差し置いて、セリーナはねこやまにそんな言葉をかけるだろう。とても落ち着いた声で。】

/お返しさせて頂きます!遅くなってごめんなさい。
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/22(火) 15:13:27.70 ID:2w6ro2Kco
【聖徒某小広場】
【冬を終えて気候が暖かくなれば、その場は小さな憩いの土地となる。】
【──日向ぼっこをする者や、友人と談笑するもの。有象無象の日常だ。】
【そこに違和感があるとすれば──】


────すゥ‥‥


【──青年はぶら下がっていた。】
【何に? ‥‥‥‥徐々に生い茂っていく木の枝にだ。】
【説明すると、彼の足の裏がそのまま木の枝に張り付いていて。】
【まるで反転世界にいるような‥‥木の枝の裏に逆さにたっているような。】
【あろうことか、そのまま寝息をたてているのだ。】

【藍色の髪は逆立っているように見えるが、重力にしたがって地に向かっているだけである。】
【黒を基調とした服装は、不自然なほどになんともなくて‥‥】
【首もとに巻かれた朱色のマフラーも当然、ぶらりと垂れ下がっている。】
【──それが、彼に不幸をもたらした。】



『なにこの人ーーー!! 変なのーーー!』『おいマフラー引っ張ろうぜ!!』『せーの!!』
────ぐァッ‥‥‥‥あがッ‥‥‥ぎ、ギブッ‥‥‥‥



【近所のやんちゃなませガキドモにマフラーを捕まれ、ぶら下がられ‥‥】
【──ああ無情、顔色が徐々に青白くなっていく‥‥。】


/使い回しすいあせん
/返事遅れます
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/22(火) 19:25:19.82 ID:KuwZBFnmo
【街中 病院前】


「ぐぬぬぬ……何故怪我の治療に来たのに注射を打たれなくてはならん!」
「あんな尖ったものを……尖ったものを私の腕に……うぬぬ……思い出しただけで気分が悪いのだ!」


【病院から、奇妙な格好をしたちんまい人物が右腕を押さえながら歩いてくる】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


「だいたい予防接種など、万年健康のシーナ様には必要ないのだ」
「あの医者め……私の瑞々しい肌を傷つけたいだけの変態だったに違いない!」


【口元をぐぬぬとへの字に曲げながら、ボードに恨み言のような文字を走らせる】
【常人離れした会話手段に、顔をすっぽりと隠した怪しげな格好】
【近くを通りかかるものがいれば目に付くことになるかもしれない】

【また、近くで何か事件などが起こればこの人物が反応するかもしれない】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/22(火) 20:21:36.18 ID:RgLYscBdo

【中心に噴水煌めく小広場】

────はー‥‥。

【藍色の髪、肌色のセーター、学生服のような紺色のブレザー。】
【色白の肌に赤く長いマフラーを巻いた青年が、芝生の上木陰に座り、】
【缶の炭酸飲料を手に持って一息吐く。】

主人公になりてーなー。
男の妄想なんて好きな女の子を断崖絶壁の防御で守るところか、みんなに慕われる主人公になるかくらいだもんなー。

【呟くことは至極くだらないことである。】

──好きな女の子はいないから不器用でかっこいい主人公になりてーなー。
でも俺器用んだよなー‥‥。

【飲み干した缶を放り投げ、空中に浮いたそれに石を投げる。】
【からん、と音がなって缶はゴミ箱へ。】

──なまじ器用だから主人公の属性ないなー‥‥。

【人の夢とかいて儚いと読む。】


>>272は取り消しでお願いします
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/04/22(火) 21:52:46.75 ID:eFDiewRxo
【路地裏】

……はっ、了解でありますお姉さま!…。しかし、鍵≠ニは……
『少女』……でありますか…?はあ、では特徴などは……はっ。
委細承知であります、アンジェルお姉さま。しばらく時間を……はい!

【――場所は薄暗い通りの一角。少女の、携帯での会話が響いていた】
【誰かが通りかかって声の主を見たのなら、まずライトブルーの髪色が目につくだろう】

【次いで藤色の瞳、そして戦闘服が特徴的。無論と言うか、拳銃も一丁所持している】
【加えて小型のハンマーまで持ちあるいているから、宛ら特殊部隊の一員だ】
【歳は10代後半というところだが――彼女は携帯をしまうと、ふと周囲に目を向けて】

……お姉さまの指示があったのであります。ですから、貴方がたのお相手は
また戻ってきてからということにして頂きたく思います。

大丈夫です、10日以内に戻りますから。ですので此処にいて下さい
……一応言っておきますが、私の結び目は特殊です。勝手には解けないのであります
では……食事は私≠ノ届けさせますから、静かにしていて下さいね?

【そう声をかけるのは自警団の男性だった。額からは血を流しているが、生きていて】
【手首、足首、猿轡や目隠し――完全に拘束され、少女は彼を牢屋に叩きこむ】

【この牢屋、ただ鉄格子の扉と1m四方の空間があるだけのフリー≠ネもので】
【やがて彼女は鍵をかけると、ふう、と息を吐いてその場から立ち去ろうとする】
【異様な光景を照らしだす月光は、少女の服の袖にある逆五芒星≠も暴いていた】

/再利用ですがよろしければっ
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/22(火) 21:53:30.22 ID:PlWRbrGM0
>>271

【ヒーローとは何か。……かつての少年なら、答えるのは造作も無い事。それが彼を根幹から支える基板、揺るぎない信念であったから……だ。】
【悩む人も居るのだろうが、然しこの少年に取っては、余りにも容易い質問。考えるまでも無く回答出来る、―――筈だった。】


―――………。

【それでは一体何故、こうして静寂を保っているのだろうか。一体何故、地面を見つめ、唇を噛み締めたままで居るのか―――。】
【答えが未だ出来ていないという可能性。或いは、答えは完成していても、それを声に出して表現する事が出来ないという可能性。】
【以上の2点が考えられるが、それはどちらか、それとも―――。少年は、ゆっくりと振り向く。それから……セリーナの、足元を見た。】


……ああ、それやそれ、ヒーローはな、悪い奴らをボッコボコにできる強い人や。
ほら、子どものアニメとかでもそうやん。ええ人がイジメられとるところを、ヒーローがきて、……って感じやろ。

あー、ついでに言えば、アレやな。その倒し方も……ちょっとかっこええ風やったらもっとええなあ。
何か敵を落とし穴にでもハメて、ワーッハッハッハッて言われてもやな……しまらんわ、……うん………

【答えられない内に、セリーナから回答に成り得る一例を挙げられれば、直ちにそれに飛びつく。其処から、丸で空虚な話を広げていって……、】
【―――彼の心の中には、確かに原石が在った。毎日毎日欠かすこと無く磨き続ければ、それは七色に光煌めく宝石とも成り得る物だ。】
【然し彼が取り出したのは、勿論そんな高尚な物ではない。寧ろ、逆……と言うか、その辺の草むらに紛れていた石ころだ。】

【何故そんな事しか出来なかったのかと言われれば―――当然の事ながら、其処には理由があると言わざるを得ない。】
【一体何が起きて、一度は涙も見せたセリーナに対して、こんな他人行儀で接する様になったのか。一体何が起きて、彼は最も貴重な何かを失ったのか、】
【然しまさか、そこを通りすがるおっさんが教えてくれる訳でもなければ、……ましてや、少年が自分からペラペラ話し出す事もない。】
【誰も語らなければ、辺りを支配するのはただただ静寂―――、故に、空虚という存在は寧ろハウリングして、……嫌になる程、大きく響いた。】

277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/04/22(火) 21:56:59.88 ID:1aLMfMNeo
【夜の公園】
【中規模程度の広さを持ち、日中は人で賑わっているが―――この時間帯になると人影もなくなっていた】
【怪しげな数人の男達を除いて――】

んー、おかしいな……?確かここで金と情報を交換する約束だった筈なんだが
何で俺は君らに包囲されてるんだ?

【恍けたような声を上げたのは、中心に立つ男】
【歳は30前後か―――わざとらしい程にギラついた金髪を靡かせ、指には自己主張の激しい銀のアクセサリ】
【これまた派手なスーツと開襟シャツを身に纏うその姿は、一言で形容してしまえばまるでホストのようだ】

【そのホスト風の男を囲むように取り囲むのは、計5人の男】
【皆がナイフやら鉄パイプなどの武器を持っている。いかにもゴロツキといった風体だ】
【無防備で立つ男に向かって下衆な笑みを浮かべている】

ああ、成程。俺は騙されたってわけか
……まあダメ元だったからいいんだけど……なっ!!

【ホスト風の男は言葉を言い終ると同時に、地面を右足でダンと強く踏み込む】
【その瞬間、足元のコンクリート舗装が砕け、そこから勢いよく『泥水』が噴出した】
【泥水はウォーターカッターのように細い線となり、5方向へ射出され、5人のゴロツキの脚部を撃ちぬいた】

あーあ、せっかく大金を用意してやったってのによお

【ゴロツキ達は悲鳴を上げながら地面を転げまわる】
【全員息はあるものの、戦意は完全に喪失したらしい】
【ホスト風の男はこのゴロツキ達をどうするのか―――】
【人通りが少ないとはいえ公園の中。一部始終を誰かが目撃していても不思議ではないが―――】
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/22(火) 23:04:14.73 ID:xJ6kogo90
【森の中に存在する――しん、と静まりかえる朽ちた館】
【嘗ては賑わっていたので在ろう其処も今となっては実に寂しいもので、ただただ時に任せて風化していくだけ】
【――――の、筈だったのだけど。月も顔を見せない今宵、此処に二つの足音】
【佇まいに誘われてか其れとも戯れに入ってみたのかは分からないけれど、重々しい館の扉を開いたならば先ず目に映るのは】
【古めかしくも豪華な内装と…………二つの影、だろうか】


「何も見えず。何も求めず。朽ちて。消えて。名残すらも。やがては失せる」

『――――主様。そろそろ帰らねば皆が心配するかと思いますが』

「誘い。誘い。残るは闇。其れも無に飲まれ。尽きる蝋燭。未だ戻らぬ小鳥」

【一人は黒のドレスを纏った少女――――か。歳にすれば恐らくは十代の後半】
【暗がりの中でも目立つのは銀の髪。清んだ声で紡がれる其れは詠唱の様で、其れでも何かが起きる訳でも無くて】
【もう一つの存在はこれまた黒のローブを纏っており。フードを被っている故に顔は分からないが】
【声の質と身体の起伏からして女、か】

【主と呼ぶ少女に対して言葉を掛けても、ハッキリとした答えが返ってこないのだから悩み所だが】
【言葉を掛けた当の本人は大して気にした様子も無いのだから、何時もそうなのだろうと容易に連想させる】
【もし、誰かが扉を開けたならば。少女の深い蒼色の双眸が向けられる筈で】


「紡ぐ唄。忘却の詩。何れ人は思い出す。祖の過ち
満ちる。時は終わりに近づく。時計はまた零を指す」

【支離滅裂な言葉。その声でアリアでも紡げば美しい音色となったのかもしれないが、生憎訳の分からない言葉しか並べられないのが現状】
【無視して館の探索に移ったって構わないのだが――――明らかに異質な二人組を尻目に奥へと行ける者は、果たしてどれ程居るのか】









【――――魔物達の咆哮。其れが幾つも響き渡る草原】
【数匹の魔物と対峙しているのは一人の子供だ。手には一振りの刀を持ち、側には事切れた数体の魔物達】
【この子供一人で行ったのであろう。どれもが致命となる部位を斬られ、貫かれ。其れだけを見れば腕が立つ者だと直ぐにでも分かるのだが】


「――――…………く、ぅ…………」

【流れる汗。命のやり取りをする何て激しい運動をしている最中だから、という訳でも無く――――】
【子供の纏う和装にジワリと染み出る朱の液体。コレが原因であろう】
【幾ら刃を扱う能力に長けていようと、所詮はまだ子供なのだ。体力が追いつかず、ましてや集中力だって続かない】
【負った傷は死に至る程で無いにしても動きを大きく制限するには十分であって】

【だから、魔物達は得物が倒れるのを今か今かと待ち焦がれているのだろう】
【直接手を下さずとも、後数分もすれば勝手に崩れ落ちる事は明白。すべき事と言えば仲間を殺したこの者を如何に苦しめ、食い殺すかを考えるだけだ】
【――――バランスを崩し、揺れた小さな身体。その瞬間を、逃すことは無かった】

【それぞれの爪、牙を柔らかな身体に突き立て様として――――…………】
【もし、誰かが訪れたならば目撃するのはそんな場面。無くなろうとする一つの命に干渉しようとするならばまだ間に合うはずで】
【魔物達は目の前の存在にしか意識を向けて居ない。故、一気に蹴散らそうとも或いは子供のみを救って魔物達を威嚇しようとも】
【其れは全て自由な筈だ。何にせよ、時間は残されていない。決断をするならばこの瞬間である事は間違い無いのだけれど―――――】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/22(火) 23:43:46.08 ID:AO47M8l+o
>>270

【技術がどうだとか、難しい事を考えずにただ、あるがままを感じる事。】
【それはきっと、楽しむ為には大事な事なのだろう。音楽に限らず、様々な事に対して。】
【男はそもそも、評論家の様な人間を相手にする仕事ではなかったし、きっとお互い、それで良くて】

今の曲は、初めて人前で披露した曲でしてね。今でもこうして、楽譜を見ずとも奏でる事ができるのですよ。
曲名は、―――――。

―――全てを覚えずとも、譜面を見ながらでも構わないのですがね。
ワタクシは少し、人よりは記憶に自信があるものでして。

【世の中には、一度見ただけでその細部までを記憶できる、という人もいるという。】
【男はそういった中には含まれなかったが、少しばかり、記憶には優れていた】
【こと音楽に関してはそれが顕著で、幾つもの譜面が頭の中にあった。】
【――――だからどうだ、という話でもないのだが。】


【その後は、また彼女の言葉を聞いたり、質問に答えたり、そんな風に時間が過ぎていく】
【その間もずっと、怪しさを醸して仕方がない仮面は外さないまま。最後まで、そのまま。】
【そうして彼女が帰って行くのを見送れば、また岩に腰掛け、息を吐いて】

――――ルミネア様、ですか……。
ええ、ええ、ワタクシの方も準備はあらかた整ったかと。
……はい。それでは、そろそろ、ですね……。

ええ。我らが大願の成就の為……わかっておりますとも。
―――それでは、また……。




/遅くなりましたがありがとうございましたー!
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/23(水) 00:32:18.06 ID:aL5NpVE20
>>278

【グラリと小さな体が倒れようとしたその瞬間―――太陽かと見紛うばかりの白光が魔物の背後で閃き、光の球が魔物の一匹を目掛けて襲い掛かる】
【球が目標に当たれば、閃光を伴い炸裂するだろう。高熱を伴う其れは、回避されなかったならば間違いなくその灼熱で魔物を焼き焦がす筈。】
【同時に、闇夜も白昼のごとく照らす閃光は他の魔物の注意も引き付ける事になるかもしれない。それはつまり、倒れた子供から注意を逸らすことも意味して―――】


―――――下がっていなさい。


【そこからは神速の技だった。閃光に気を取られていたであろう魔物の隙を衝いて、一人の女性が疾風の如く子供の前へ移動して】
【倒れた子供を庇うかのように魔物の前に立ちはだかる。右手にはいつの間にか大きな盾が握られて、左手には白光の剣】
【マリンブルーの瞳は凛と仇為す魔物を見据え、ブロンドの長髪は頭に被った白い頭巾で隠れている。右の目元には泣きぼくろ】
【身に纏うのは修道着のような白いローブ。時折ゆったりとした布地の袖や裾が、風に揺れる……】

【さて、ここから為すべき事は一つ。この倒れた子供をこの窮地から救出する事だ……】
【かなりの数がこの子供の手で倒されたとはいえ、まだ複数の魔物が残っている。手負いの子を護りつつ複数の魔物を同時に相手をするのはリスクが高すぎるか】
【ここは全てを殲滅するよりも、如何に安全に低いリスクで窮地を脱するかにかかっている。―――幸い、自分は護る為の戦いは得意だ】


(……目を潰しましょうか。魔物といえど、視えなければ襲うことも出来ますまい……)
―――ハァッ!!


【視界を奪うべく、再び白熱の光球が魔物目掛けて放たれる。ただし、今度は魔物の体ではなく目を狙って……】
【直接当たれば勿論二度と目は使い物にならないだろう。しかし、当たらずとも閃光を直に見てしまえば太陽を直接肉眼で見たかのような感覚に陥る筈で】
【どちらにしろ、目潰しには最適の攻撃。複数の魔物が炸裂した光球を直接見ていたとなると、いっぺんに全ての魔物の目が効かなくなる訳だ―――】

【攻撃が彼女の意図通りに進んだならば、魔物達の目は当分見えない筈だ。――――今のうちに逃げよう。】
【彼女は子供を背に負い、素早くこの場を離れようとする。さあ、一瞬の救出作戦は成功するのか……】

【―――無事に子供を救い出して魔物を撒けたなら、傷に障らぬようゆっくりと子供の小さな体を草原に寝かせようとするだろう。】
【色々話したいことはあるが、まずは傷の手当てをしなければなるまい。倒れるほどの傷だ、体力だって相当に消耗している筈……】

……痛みませんか?傷は、大丈夫で御座いますか?じっとしていて下さいね、今手当てを致しますから……


//2時以降は持ち越しとなりそうですが宜しければ!
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/04/23(水) 09:03:00.01 ID:JkD7htTl0
>>276

【―――返事、と言えるだろうか。彼の言葉から発せられたそれを耳にした時、セリーナは素直にそう感じた。】
【ただ自分の云った事を繰り返し、それに便乗するだけの言葉。会話をしている様な気分にすら、ならない程に。】
【"こんな物"が、"彼"の言葉である筈が無い。"こんな物"が、"彼"の意見である筈が無い。なら、今此処に居るのは。】


  ……ふぅん。


【―――だから、セリーナが返す言葉もどこか冷たく、響くだろう。まるで、"返事をするのも嫌だ"と言わんばかりの】
【相槌にしても本当に他人行儀で、どこか彼に"呆れた"様な態度を見せる言葉。だがそこには、怒りや無関心だけでなく】
【どこか悔しさや、そして切なさも感じられるかもしれない。どうして、こんな会話をしなくてはならないのか、という……悲しみだ。】


【セリーナは脚を止める。彼が言いたい事を言えないのか、それとも言えるけど言わないのか、どちらかはまだ分からない。】
【けれども、このままUTに送って貰った所で、其れは本当に"送って貰う"という作業にしか成り得ないだろうと、そう判断した。】
【彼は恐らく、"UT"には戻れないとそう思っている。理由はどうあれ、経緯はどうあれ。彼はそう感じているから、距離を置いた。】

【―――なら、それをハッキリさせなくてはならない。セリーナはとうとう、核心を突いてしまう。】

  

  ―――UT所属のねこやま君っていうメンバーはさ。
  す〜〜〜〜〜〜〜〜〜っごく、純粋で、それでいて賢い、不思議な男の子。
  決して世間を知らない訳じゃあ無いのに、寧ろ色々と残酷な事を経験してきているからこそ、
  どんな悪人にも揺らぐ事無く正義を貫き、そして誰一人"殺す"事無くそれを完遂する、そんなメンバー。
  
  正直、アタシは"不殺"っていうのには疑問を感じてる。撃たなきゃいけない時は撃つ、っていうのが
  アタシのガンマンとしての吟じだからね。尊敬してる人は"不殺主義"だけど―――それには相当な覚悟と、そして
  とんでもない力量・技量が必要になってくる。生半可な道じゃないし、アタシにはきっと歩めない道だって、そう思う。

  ―――だけどねこやま君はそれを必死に貫いた。結果、どんな事があったかは知る由もないけれど
  それでもアタシは彼を心から尊敬してるし、その背中を押して応援し続けたいって願ってる。
  凄い子なんだよ、ねこやま君って。決して無敵の力を持ってる訳じゃない、敵をカッコよく倒す訳でもない。

  ―――だけど、彼はきっと、アタシにとってヒーローだ。だって、アタシに出来ない道を、彼は探ってるから。
  それってとっても、素敵な事だって思わない? やっぱり、ねこやま君は本当に凄いよ!


【―――まるで。此処にいない人間の事を話す様に。彼女はそんな事を話すだろう。そして、其れに続く言葉は―――。】   


  じゃあ―――"そこの"君。
  アタシは誰だと思う。セリーナ・ザ・"キッド"って、どんな人間だったっけ。
  世間一般のそれじゃない。君がアタシと"過ごした"時の感想から述べて。
  
  ―――アタシはしっかり覚えてる。じゃあ、君はどうだろう。


【―――残酷に、セリーナは目を逸らさず。ハッキリと、吐きだすだろう。】

/うおおおおおもうしわけございません!!
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/04/23(水) 11:01:33.23 ID:y5pE9kiP0
>>280
/申し訳ないです、丁度スレ違いに……また機会がありましたら是非是非っ
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/23(水) 11:20:51.56 ID:7zF+KAyWo
【公園】

【藍色の髪に色白の肌。肌色のセーターに学生服のようなブレザーを羽織り、】
【ブラウンのボトムスに、首元に長い赤色のマフラーを巻いた青年がいる。】

【彼の片手には棒手裏剣。前方10Mほど先に木の的。】
【腕をしならせるように放れば、緩やかな放物線を描き――】
【的に書いてある、線に突き刺さる。】

命中率は自負できるけど、これだと簡単に避けられちまうな‥‥。

【どうやら特訓中のご様子】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/23(水) 16:48:31.58 ID:q40i8jFU0
>>283
【ふらふらと、誰かが公園の中へ入り込んでくる】

調子にい……乗りゃあがってよお……ヒック……
ふざけんじゃあ、ねえぞオ……腰抜けどもがよお……

【一人の男だ。サンダルにジーンズ、白いTシャツというラフな出で立ち】
【ごわついた金髪を肩ほどまで伸ばし、無精ひげが頬と口周りを覆っている】
【極めて体格が良く、その筋肉は今にもシャツがはちきれそうな程に隆々としていた】

【そんな男の片手には、空になった酒の空き瓶】
【そして据わりきった目つきと、赤らんだ顔、覚束ない足取り】

【まだ日の沈まないこの時間から、既に酩酊しきっているらしい】

……おぉン? 何だ、誰かいやがる……
ほお、ほお、ほお……面白そうなこと、Oops、してるなあ……へへ……
おい。精が出るなあ、少年……ゲップ……誰かぶち殺してやりたい奴でもいるのか? ヘッヘッヘ……

【男は青年を見つけて、愉快そうに口の端を歪めた】
【それからふらつく足取りで近づいていって、大声で青年に話しかける】

/5時間前の投下なのは承知で突撃!
/もしまだ残ってらっしゃるようならヤリませんか?
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/23(水) 19:09:55.70 ID:DpZ5wm6no
【魔海近くの泉のほとり――人里離れたその場所に、邪悪な気配があった】

「メディアット――"ベテアシードリノス"の調ォー子はどォーだ」 『大変順調でございます、ただ――』
「たァだァ?」 『……反対派が多数ということも有り、撤去作戦が進められているようでございます』 「……そォーか」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【また、執事のような格好をして眼がレンズな二足歩行のコウモリが、その者の隣に居る】

「まァよい……そォー易々と撤去さァれるよォーな作りじゃアねェーからな……」
「ククク……徐ォー々に徐々にィッ、俺様の魔ァの手を伸ォばす――混沌の素ゥ晴らしさは必ず通ゥじるだァろう」

【その者が右手で鷲掴みにしているのは、どうやらサラリーマンの様で、もう抵抗する元気もない……やつれた顔、脱がれてどこかに行った靴、その者の左手にある紙――】
【……どこで何をしようとしていたのか、何となくわかるのだが……一体何故、その者は役にも立たなそうなサラリーマンを持っているのだろうか?】

/短めのレスでテンポ良くor長めだけど置きレス・持ち越しの可能性大のどちらかでお願いします
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2014/04/23(水) 20:04:47.34 ID:zDbsQmXlo
【夜の公園】
【中規模程度の広さを持ち、日中は人で賑わっているが―――この時間帯になると人影もなくなっていた】
【怪しげな数人の男達を除いて――】

んー、おかしいな……?確かここで金と情報を交換する約束だった筈なんだが
何で俺は君らに包囲されてるんだ?

【恍けたような声を上げたのは、中心に立つ男】
【歳は30前後か―――わざとらしい程にギラついた金髪を靡かせ、指には自己主張の激しい銀のアクセサリ】
【これまた派手なスーツと開襟シャツを身に纏うその姿は、一言で形容してしまえばまるでホストのようだ】

【そのホスト風の男を囲むように取り囲むのは、計5人の男】
【皆がナイフやら鉄パイプなどの武器を持っている。いかにもゴロツキといった風体だ】
【無防備で立つ男に向かって下衆な笑みを浮かべている】

ああ、成程。俺は騙されたってわけか
……まあダメ元だったからいいんだけど……なっ!!

【ホスト風の男は言葉を言い終ると同時に、地面を右足でダンと強く踏み込む】
【その瞬間、足元のコンクリート舗装が砕け、そこから勢いよく『泥水』が噴出した】
【泥水はウォーターカッターのように細い線となりながら5方向へ射出され、5人のゴロツキの脚部を撃ちぬいた】

あーあ、せっかく大金を用意してやったってのによお……

【ゴロツキ達は悲鳴を上げながら地面を転げまわる】
【全員息はあるものの、戦意は完全に喪失したらしい】
【ホスト風の男はこのゴロツキ達をどうするのか―――】
【人通りが少ないとはいえ公園の中。一部始終を誰かが目撃していても不思議ではないが―――】


/22時頃まで募集しますー
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/23(水) 20:25:09.65 ID:yv0X1Yjko
>>284


【突き刺した棒手裏剣をわざわざ取りに行こうとする直前。】
【自身を呼び掛ける、大人なのに拙い声。】

ンァ? ‥‥‥‥(なんだこの酔っぱらいは‥‥‥‥。)

【振り替えれば、ある意味当然のような。若干対応に困ったような反応をして。】
【酔っぱらいはいわゆるパンドラの箱。酒にかかれば誰であっても超気分屋に早変わり。】
【つまるところ、対応に間違えれば理不尽に怒鳴られると言う危険を伴っている――】

――うわ! 酒くッさ‥‥。

【――当然そこまで思慮するわけがない。近づいてきた男の臭いに思わず叫んだ。】
【嫌そうな表情で、首埋め尽くすマフラーで口元、鼻元まで隠し――】

人なんて殺さねーよ。つーかおっさんなんでこんな時間に出来上がってんだ。



288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/04/23(水) 20:38:06.13 ID:F52bGSuwo
【路地裏】


はァ〜…ッたくよォ


【一人の男が道端の木箱に座って深く溜息をつく】


腹減っている時に一々絡んでくるんじゃねェよ…


【綺麗に刈り上げられた側頭部、ツンと縦に伸びた金髪とその髪型は所謂ソフトモヒカン】
【両手の十指のうちいくつかにに填められた趣味の悪いシルバーリング】
【そして野山を舞台に巨大な骸骨が描かれた絵が刺繍されたスカジャン】
【男はまるでチンピラのような風貌だが】

【加えて異様な点が一つ】
【男の右腕からは数本の触手が生えていた】


「ぅ、ぁ……」「…っぐぁ、…」「………ぎ、ぁ」

【チンピラ男の腕から伸びる触手の先】
【其所には数人の男が触手に首根っこを絡まれて宙に吊り下げられていた】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 20:47:22.73 ID:q40i8jFUo
>>287
ウィ……へへ……
だってお前、それは玩具じゃあねえだろうがよ……ヒック……

【男は青年から三歩ほど距離を置いたところで立ち止まる】
【棒手裏剣の刺さった木を指差しながら、愉快そうに笑って】

知ってるぜえ、それはあれだろう、あの……
櫻の国だかにいる真っ黒なアサシン達が使う、道具だ
シュリケンとか言ったか? へへ……それで人を殺さないなら、何に使うってんだ? んん?

【泥酔している理由については答えず、面白がるようにそう尋ねた】
【酔ってこそいるが、それなりに舌は回っているようだ】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/23(水) 21:04:29.72 ID:ZUuvXcH20
>>281


――――………

【一体どうして、全員が全員、生前の"ねこやま"を褒め称えるのか。一体どうして、誰も軽蔑し馬鹿にしないのか。】
【……悪を正義へと転換させた経験があるだの、不殺を守り切りながら闘っていただの、……正直に言って、キツい。】
【のらりくらりと、ただ堕落した生活を送っていただけの方が、何と楽な事か。今の少年には、そうした逃避という欲求さえ芽生える。】

【然し、全てが彼を束縛していたと言う訳でもない。寧ろ、少年がユウト君と呼ぶ青年によって、UT事務所に連れて行ってもらったし、】
【更に言えば、自分はかつて、そこで活動していたのだと言う事も思い出していた。……再起を確実な物とするその機会は、確かにあった。】
【……あったが、然しそれを拒否したのは他ならぬ自分自身。……正当な理由を添えたつもりで、そのまま事務所を後にして。】

【然し自分がかつてUTに所属していた以上、そのメンバーでもあり創設者でもあるセリーナについて知っているのは、どう考えても当たり前の事……、】
【―――気付いたタイミングでは、時既に遅し。……事務所で眼にした物を何とか思い出しながら、彼女の素性を、推測する。……それしか無い。】


……ん、えーっと……ウェスタンなモノが好きで……ああ、酒も……あと、銃も……
………えっと、それから、……―――

【……が、何とかして取り繕ったのは、1点も貰えない回答。……と言うか、当然だ、そもそも少年は、彼女の事を何一つ知らないのだから。】
【じっと眼を見られたのなら、……少年は、視線を確かに逃した。自分の回答に、或いはこの状況に……とてもではないが、耐えられないらしく。】

【然し彼の様子は、知っている事を隠す演技にしては出来過ぎているし、偶然と偶然の重なり合いにしては余りにも不自然。】
【だとすれば、一度は彼女の頭をふとよぎった、とある可能性が―――より濃厚な存在となって、浮き彫りになってくるのかも知れない。】


291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 21:04:32.27 ID:w352dNTko
>>289


答えにくい質問をしやがるぜ酔っぱらい風情が無駄にマッチョな体躯しやがって‥‥。

【ぐぬぬと冷や汗浮かべながら、ぼそぼそと独り言を――】
【小さく息を吐けば、男に背を向けて的の手裏剣を抜き】

殺しの武器だが殺しに使うつもりはもーとーない。殺せる武器だからこそ色々役立つんだよ。戦闘の際はな。

【とんとんと手裏剣を手のひらで浮き沈みさせながら答え、】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 21:19:35.51 ID:q40i8jFUo
>>291

ハハッ、戦闘! ハッハッハッ、戦闘かあ!
カネ払って入る風呂の方じゃあねえよなあ!
戦うのかあ、少年! そうか、そうか、「お戦闘」の訓練中だったか、ハッハッハ!

【いきなり声のトーンを張り上げ、大声で笑い出す】
【何がそこまで面白かったのか、片手で腹を抱え、上体を仰け反らせる始末】

どれ、そいつが本当に役に立つか、いっちょ試してみろよ少年
そんな動かない的に投げるより、生身の人に投げる方が面白えだろう!

ほら、遠慮はいらねえよ
ちょっくらそのお手前、拝ませてくれよ、ヘッヘッヘ

【そう言うなり、男は大股で五歩ほど下がり、青年との距離を開けた】
【それから手の甲を相手に向けた形でひらひらと振ってみせ、「かかってこいよ」と身体で示した】
【明らかに挑発している。これを酔っ払いの戯れ言と流すか、本当に投げてみるか。青年の自由だ】

293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 21:26:47.53 ID:w352dNTko
>>292


おっさん酔ってるじゃねえか……、やめとけよ。俺は人殺しにはなりたくねーよ。

【この男は、体躯的にも「戦う側」の人間なのだろう。】
【その誘いにも乗って、避けられる、あるいは防げる、なんらかの対処をすると信じて投擲するだろう。】
【しかし今、男は酔っている。きっと注意力も散漫だ。】

つーか悪酔いしすぎだろう。目ェ醒ませよ。

【酔っぱらいのざれ言と受け取り、青年は男に近づいた。】
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/23(水) 21:31:53.13 ID:aL5NpVE20
>>282
//いえいえ、もう時間も遅かったですしお気になさらず!此方こそまた絡んで頂ければ!
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 21:44:13.24 ID:q40i8jFUo
>>293

何だよオ、酔っ払いだと思って馬鹿にしてやがんなあ
このロジョー様が、374回連続王座防衛のチャンピオン、ロジョー・オンザロード様がア
お前のような少年のへなっちょろいお手玉に、かすりでもすると思っているのかあ?

当たる訳がねえ、当たったら引退してやるよオ
くそったれがあ、どいつもこいつも、舐めやがってえ……!

【拳を振り上げ、がなり立てる男だったが、青年に諭されると調子を変えた】
【顔から一切の笑みが消え、眉と口をへの字に曲げて、天を仰いだ】

戦えぇ、俺と戦えよう! そして無様に負けやがれよオ!
そうすれば、俺はもう一度チャンピオンになれるんだ……あのベルトを巻けるんだ
だから戦えよオオ、うおおおおン! おああああアア!

【さっきまで底抜けに笑っていた大男が、今度は喚き始めた】
【それから青年の肩を掴もうとして、掴めればそのまま揺するだろう】

【ロジョー・オンザロード。それがこの迷惑な酔っ払い男の名前らしいが】
【何かのチャンピオンである等とメディアで報じられたことは一度もない】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/04/23(水) 21:47:33.31 ID:3GMaKtVC0
【風の国 広場】

――――商いは順調だが……世情が、何ともな……
やはり人間の社会と言うのは、落ち着くと言う言葉を知らないらしい……
……一面、だからこそここまで版図を広げる事も出来たんだろうが……

【分厚い筋肉質の肉体を暗緑色の皮膚で覆い、赤茶けた髪をもっさりと生やしている】
【何かの獣の皮革を材料としたらしいと思しき頑丈な半ズボンに、両腰に巨大な短斧(柄の短い斧)をぶら下げた】
【素肌を晒している上半身の、その胸元に焼きごてらしきもので魔方陣の様なものを焼きいれている、身長220cm程の巨人が】
【夜の帳の中、すっかり寂しくなってしまった広場の一角に腰を下ろしながら、何かを口にしている】
【左手の包みから取り出すそれは、巨人の体格に似合った何らかの大きな干し肉の様なものであり】
【それを口に放り込んで咀嚼すると、傍らに備えている、やはり大きな革製の水筒を傾け、一気に嚥下する】

……あまり乱れ切らん方が、商いがやりやすいのは事実だが、平穏になり過ぎても、チャンスが少なくなる……ままならんな……
少しばかり、魔海に引っ込んで時機を待つのも選択肢の一つか……?

【包みを元に戻し、側に安置してある、やはり体格相応のリュックの中へと仕舞い込み、グイッと口元を拭う】
【どこか考え込む様なその表情は、それでも巨体に似合う威圧感を感じさせて】
【所作の一つ一つが、その独特の重々しさと不思議に噛み合っていた】

……さて、腹ごしらえも済んだ事だ。今日の寝床を、探しに行くとするか……

【立ち上がり、丈夫そうな半ズボンをパンパンと叩いて埃を払い落すと、巨人はリュックを背中へと背負う】
【人気が少ない中にあって、ぼんやりと街灯に照らされるその巨体は、どうしようもないほどに目立っていた】
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 21:50:15.26 ID:w352dNTko
>>295

【対応を間違えた、のだろう。】
【理不尽とまでは言わない、怒鳴られている訳でもない。】
【だが、やはり、……誤った方向の対応をしてしまった結果である。】

な、なんの話をしてんだ‥‥??

【全く訳の分からないことで泣かれてしまい、表情が曇る。 】
【気づけば両肩捕まれてぶらんぶらんと前後に揺らされ、】

おおおお、落ち着け! お前は今もチャンピオンだぞ!?(?)

【精一杯のフォローは、青年自身も自分で何をいっているのかよくわかっていなかった。】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 22:02:07.28 ID:q40i8jFUo
>>297
【「お前は今でもチャンピオン」】
【その言葉を聞いた途端、男の動きがぴたりと止まった】

【青年からゆっくりと手を離し、よろよろと後ずさる】
【しかし三歩めか四歩めで膝の力が抜け、その重量級の身体が尻餅をついた】

おお、オオオ……俺が今でもチャンピオン……
俺が……チャンピオン、か……へへ……
そんな訳はねえ……そんな訳はねえんだ、知ってんだよ、そんなことはもう、とっくに……

阿呆なことを言わせちまったなあ、少年
もう酔いなんか醒めてんだよ。無理に酔ってるフリをしていただけだ
そうでもしねえと、なあ、馬鹿らしくって……

【地面にあぐらをかいたまま、傍らに転げている酒瓶を拾う】
【それを逆さにして、分かりきっていることだが、一滴もこぼれてこない様をぼうと眺めて】

少年も、強くなりてえのか?

【酒瓶に向けていた視線を、空の向こうへ投げながら、唐突にそのような質問を投げた】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 22:05:07.11 ID:w352dNTko
>>298


――なんっつーか、いろいろ事情がありそうだな?

【ようやく解放されれば、打ってかわってシリアスな空気。】
【尻餅ついてこちら見上げる男に、思わずそんな言葉を投げ掛けた。】
【宙に浮いた空き瓶に棒手裏剣を投げる。】
【鈍い音がして割れればきらきらと日光が反射する。】

そりゃぁ、強い方がなにかと便利だからな――急にどうしたんだよ?

300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 22:14:59.70 ID:w352dNTko
>>298
/返事おくれます!
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 22:22:12.61 ID:q40i8jFUo
>>299
【溜息と共に放った酒瓶は、青年の手裏剣に撃ち抜かれる】
【破片の一つがロジョーへ向かって飛ぶが、彼はそれを難なく片手で掴み取った】

別に、少年に話すようなことじゃあねえ
気ぃ遣ってくれるな、こんな落ちこぼれによ

【言いながら、破片を握った手を固く握りしめた】
【びきびき、と何かが細かく砕ける音がして、やがて男が手を開くと】
【ほとんど粉になったガラスが、さらさらと零れ落ちてきた】
【しかしながら、男の手の方はというと、全く傷ついていない】

なに。若いのが鍛えているから、ちょいと気になっただけよ
孫が宿題やってる姿を、ついつい気になって覗きにきたジジイってな心境か

しかしお前は妙に落ちついていやがるんで、俺の調子も狂っちまうや
酔っ払いを諭そうとしやがるし……俺の若い頃だったら考えられねえ
お前、本当はいくつなんだ? あん?

【と、青年の足先から頭まで、じっくりと眺め回して】

302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/04/23(水) 22:22:44.08 ID:U+7+4bkro
>>290

【罵倒する者がいるとすれば。仮に少年を貶す者が居るとすれば。それは大悪人か、救い様のない悪党だけだろう。】
【其れほどまでに、生前の彼は純朴で真っ直ぐな、芯のある人間であった。若さという弱点を抱えながらも、決してそれに甘えず】
【むしろ自らの中の甘さを否定する強さまで持ち合わせていた、そんな人物だったのだ。セリーナとて、彼を偉大だと感じていた程に。】

【―――そして心が通じ合ったからこそ。セリーナは彼が今、こんな返事しか返せない事に対し深い悲しみを覚えた。】
【恐らくは、"彼"もそうなのだろう。少し前までの自分がそうであった様に。アンジェルがそうであった様に。】
【そしてディハートが今現在、そうである様に。彼もまた―――……大切なものを、失ってしまったのだ。】


   ―――それから。好きな物はお金とバーベキュー、そんでもってバイクと映画。
   でも、アタシが聞いてるのは"そういうコト"じゃあ、ないんだ。ねこやま君。始めてあった時のコト、覚えてる?
   アタシは覚えてるよ。確かに君に対して、こう言ったんだ。


        『"酒飲みで酔っ払いの、歳が離れた姉"くらいに思ってくれれば』―――ってね。


   上司とか。部下とか。"元"上司とか。"元"部下とか。UTのリーダーとメンバーとか。
   そんなじゃない……そんなじゃ、ないでしょ。

   君とアタシは、もっともっと大切な関係だった筈だ。でも、そんな言葉が出てこない。何でだろう。



   ―――……取り繕うのは、もうやめよう。どうして……何があって、"記憶"を失ったの。ねこやま君。
  

【―――記憶の喪失。問題は其れ其の物ではない。何故、そうならば彼はそれを伝えないのか。】
【何故、もう一度セリーナを頼ってくれなかったのか。何故―――何故、一度も声をかけてくれなかったのか。】
【そして今も、まるで何でもない出会いであるかの様に、この邂逅を流そうとするのだろうか。悔しい。悔しくて仕方がない。】
【たとえどんな理由があったにせよ、彼女はそれを受け入れるだけの器を持っている。そして彼は、今までの反応から推測するに】
【自身がメンバーであった事や、セリーナと関わりがあったこと自体を認識しているのに―――何故、こんなに。セリーナは、そう呟いた。】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 22:23:28.10 ID:q40i8jFUo
>>300
/了解です、ごゆっくりー。
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/04/23(水) 22:31:29.38 ID:3GMaKtVC0
/>>296取り消しでー
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 22:38:46.20 ID:w352dNTko
>>301


【破片を見もせず難なく捉える。強靭な握力をもって握りつぶす。】
【さらに傷ひとつ付いていない……。】
【話さないのなら、彼は勝手に推測する。】
【男の発言を軸に――。】

――百戦錬磨の、達人級の実力を持つボクサーであり、己が拳に絶大なる自信を宿していたが……
敗北をきっかけに自暴自棄になっちまった……、そんなとこかな?

――忍はな、簡単なことで動じてしまったら重要な情報を逃しちまうんだよ。それと俺はまだ18歳だ、おっさん。

【くっくと喉をならすように答えて。】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 22:54:16.52 ID:q40i8jFUo
>>305

……人生ってえのは、あらすじにしちまうとえらく薄っぺらく感じるもんだな
まあ当たらずとも遠からず、言葉にしちまうとそんなもんよ。笑いたきゃあ笑えェ

【言った後、フンと鼻息を噴出させて視線を遠くへ向ける】
【あぐらをかいた膝の上に頬杖をして、口をへの字に曲げた】

しかしシノビ……シノビか
何だよ、やっぱりお前、暗殺者(アサシン)じゃあねえか
それなら十八程度で落ちついているのも頷けるな

正直に言え、今まで何人殺した?

【どうやら忍というものに対して偏見を持っている様子】
【少しだけ目を輝かせ、またあの愉快そうな笑みで尋ねた】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 23:03:01.58 ID:w352dNTko
>>306

言葉が多様すぎるんだよ。一文字に意味を込めすぎればそれだけ短くなっちまう。長く説明できる内容が、それだけで美徳な訳じゃないだろ。

【近からずとも遠からず、だが、概ね当たっているということか。】
【文字に起こせば薄っぺらく感じる、そんな自虐をフォローして……。】

覚えてねーや。なるべく殺さないようにとは心がけてるけど、死なせてしまったのは殺したと考えるしかねーしな……。意識的にではないけど……。
それに忍は暗殺者じゃない、情報を盗むものだよ。


【その偏見を、やんわりと否定して、】
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/23(水) 23:03:17.38 ID:ZUuvXcH20
>>302

…………。取り繕うって、何の話や……
……俺は、別に何も変わってへ……―――いや、もう、全部言うた方がええな。

俺な、その、UTに入ってから、ちょっとした後……、死んでもうたんよ。
まあ運が良くてな、拾ってもろて生き返って、今ココに居るんやけど……そん時に、記憶やらもろもろ飛んでもうてな。

ユウト君に、事務所連れてってもろた時、……まあ、実は、ちょっとだけ、記憶戻って来とって。
……その、ええ感じやったし、……このまま居らしてもらお、思ったんやけど……

―――死んだっちゅうことは、闘いに負けたっちゅうことやろ。
―――闘いに負けたっちゅうことは、……俺、弱い、っちゅうことやろ。

そんな奴が、UTのメンバーにおったら……それこそ、恥やろなーってな。

……まあ、そんな感じや。口だけ達者、中身が伴わへんアホやから、……俺は。
なんか、賢いとか大切な関係とか言うてくれとるけど……もっとええ人なら、他にもおるで。

……なんやったら、紹介してもええけど……

【生命を内包する存在が最も恐怖する対象―――それが、"死"であるのだとしたら。】
【実験的にその"死"にも等しい経験を与えると、人は一体、どうなってしまうのだろうか。】

【―――少年は全てを語った。記憶を失った理由。自分から彼女を頼ることが出来なかった理由。】

【戦闘においての敗北は、即ち死を意味する。そして敗者と弱者は、専ら一致はしないだろうか。】
【少なくとも少年はそう考えた。故に、……真っ先に、自分は、恥ずべき存在だとして。】

【そこから、様々な派生を繰り広げていった。UTにはこれ以上居座れないし、生前支えていた信念も……再構築を検討しなくてはいけない。】
【全てを変えざるを得なくなった今、……余りにも申し訳なくて、セリーナには顔向け出来ない。】

【兎に角、彼の今の行動原理は全て―――"死"にあるのだろう。その影響は結局、少年を内部から、粉砕し、崩壊させてしまった。】


……ほら、言うたやろ、……俺のことなんか、どうでもええって……
………まだ、夜肌寒いし……こんなトコ居ったら風邪引くで、………行こ。

【ゆっくりと向き直って、少年は歩き出す。……歩調は少しだけ、先程よりも早くなっていた。】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 23:22:44.04 ID:q40i8jFUo
>>307
【青年の言葉を全て黙って聞いた後、ロジョーは小さく口笛を吹いた】

お前、若いくせに中々含蓄のある言葉を吐くな

【忍について語る青年を眺めるうち、】
【彼の口の端が持ち上がり、何か合点したように何度か頷いた】

【すると、ぱんっ、と勢いよく膝頭を手で打ってから、男は立ち上がる】

……よし、お前気に入ったぞ!

ちょっと一杯付き合え。なあに、これも情報収集のうちだろう
良い酒場があるんだ、そこでちょっくら「先輩方」のお話でも聞いていったらいい
なに、心配するな。カネなら取らねえよ

さあホラ行くぞ、遠慮するな。ほら――

【急にそんなことを言い出したかと思うと、】
【男は半ば強引に青年の肩を抱き寄せるような形で掴もうとする】
【もし掴めたとしたら、それは生半可ではない力だ】

【どうやら、この18歳の青年を酒場に連れて行こうというらしい】
【もちろん、本気で抵抗すれば男も無理矢理には連れて行かないが、】
【少し嫌がる程度であった場合には、男は決して離そうとはしないだろう】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 23:30:42.22 ID:w352dNTko
>>309

ま、まだ飲むのか。つーか俺はまだ18歳だっつーたろう!

【困ったように潜めながらも、相手に肩抱かれるように捕まれ、】
【やんわりと抵抗するが、半ばあきらめた様子で従い、】
【何より、その先輩方が、何か役立つ情報を持っているならありがたい。】
【そんな考えで彼に付き従うのだった。】


/すいません、明日早いのでそろそろ寝なければ……、切るか置きかでお願いします……
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/23(水) 23:50:57.83 ID:q40i8jFUo
>>310

小難しい事やったり考えるのも結構だが、たまには突き抜けねえとなあ、少年

【青年が諦めたのを察すると、男は手を放し】
【高らかな笑い声と共に、青年の背中を勢いよく叩こうとする】
【叩けたのなら、きっと破裂音じみた音が響いて】

……しかしさっきのことだがよ、もし俺が酔っていなかったらどうしていたんだ
あのシュリケン、投げていたのか? そこんところが気になってしょうがねえ
ああ、別に無理に答えなくてもいいぜ。どうせ結果は一緒だからな

あのシュリケンには、一切当たる気がしねえ
何だったら、今度試してみるか? なあ?
いや、お前もうちょっとだな、ハングリー精神ってものを――

【そうして酒場までの道中、男はそんなことを好き勝手に喋りかける】

【……青年には悪いだろうが、着いて行った先ではあまり大した情報はないだろう】
【彼が連れて行く酒場には、何か後ろ暗い過去を持っていそうな人間ばかりが集っている】

【既に酒盛りをしている卓に入っていって、皆に青年を紹介するのだが】
【そこで得られる情報と言えば、せいぜいがトランプのイカサマの仕方とか、女を口説く上での必勝法だとか】
【そんな程度のものだ。むろん、それらは彼ら個人の狭い主観と経験に基づくものでしかない】

【情報よりも、安酒と得体の知れないつまみを飲み食いさせられるかもしれない】
【それでもその卓では、青年を話題の中心において、笑いが尽きることはないはずだ――】

/はーい、ここで切ろうかと思っていました。
/遅くまで絡みありがとうございました! また遊んでください!
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/04/23(水) 23:52:30.51 ID:w352dNTko
>>311
/お疲れさまでした、ありがとうございました!
/此方こそいずれ絡ませてもらいます!
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/04/24(木) 08:55:25.09 ID:/UbTPDQ50
>>308

【少年の足取りが速くなる。しかし、セリーナは一歩も動こうとはしない。】
【脳裏に走った衝撃―――UTの仲間が死亡していたという事実。其れを知れなかった自身の至らなさ。】
【そして何より、そういった経験を経て少年が一人、自分の意思で離脱を決意したという変わらない真実に―――打ちのめされて。】

【どう、声をかけたらよいのか。弱さを知って、自分に足りない物を知って、そして何かを諦めてしまった彼に】
【今現在も戦いを続け、そして当たり前とはいえ一度も死ぬ事等無く生きてきたこの女が、一体何と言葉を掛ければ良いのか。】
【死ぬ事が弱さと同等なら―――少年はどんどんと、前へ進んでいく。まるで、もう引き返せないと言う様に。だが、これで正しいのだろうか。】


  (―――良い、ワケがない。)

   ――――そう。そう言う事だったんだ。それなら、アタシのミスでもあるね。
   まず、仲間が死に瀕する危機に陥ってたのに駆けつける事すらできなかった事。
   それを、仲間が生き返ったと言うイレギュラーな事態が起きてやっと知りえた事。

   そしてリーダーのアタシが何も知らない間に……君が一度、酒場に来ていた事も含めて。
   何もかも、それはアタシの責任問題だ。まず―――……君には、謝らないといけない。
   ごめんなさい、ねこやま君。アタシは君の仲間失格だった。本当に……ごめんなさい。


【絶え間ない謝罪。セリーナは彼が振り返ろうと、振り返らなかろうと、深々と頭を下げるだろう。】
【そしてその言葉の次に彼女がとった行動は―――ねこやまの瞳には、一体どういう光景に映るだろうか。】
【彼女はテンガロン・ハットを地面に叩き付け、そして"公衆の面前"で―――なんと、自身の白いシャツのボタンを、外し始めた。】
【普通ならばあり得ない光景だ。だが、彼女は前面のボタンを全て外し、堂々とそれを開けて、序でに言えばジーンズの裾を捲り上げて】


   ――――ただ、悪いけど……後半の言葉には同意できない、かな。


【―――露にした肢体に浮かんでいるのは、とても女性の身体とは思えない様な傷、傷、傷の数々だった。】
【銃創は勿論切り傷や火傷のあと、打撲や骨折を多数経験してきた事を、激戦の中で幾度も傷ついてきた事を伺わせるその肉体は】
【誰もが思う様な"英雄"の、輝かしい何かとは違って映る筈だ―――この女は今まで、どれだけの数敵の攻撃を浴びて、苦しんできたのか。】
  

   ……口だけ達者で、中身も実力も伴わない。君の言う通りの人間が、今君の目の前に居る女その物だよ。
   この銃創はこの間GIFTの能力者と対峙した時に、鎧を貫通して撃ち抜かれた跡。痛くて痛くて仕方が無いよ。
   こっちの切り傷は―――忘れもしない五年前の事、仲間の一人に裏切られて戦った時、袈裟がけに斬られた跡。
   
   勿論、癒える傷もある。跡も残らず消える物もある。けど、どうやっても消えない傷だって戦ってれば負う事になるんだ。
   一度も傷つかずに戦い続ける事なんて、誰にも出来っこない。ましてや、生き残り続ける事なんて―――きっと、凄く難しい。
   アタシだって、きっといつかは銃弾の中で死ぬんじゃないかな。多分、死ぬまで銃を握ってる筈だからさ、アタシは。


   ―――じゃあ、そうなった時。アタシが死んだ時。アタシの墓の前で、君は言えるかい。
   『セリーナ・ザ・"キッド"は死んだ。死んだ奴はUT失格だ。こいつは何の功績も残せない弱者だった。敗者だから死んだ。』
   言えるなら、もう止めないよ。いや、むしろ今この場で、アタシにそう、言ってみろ。ねこやま君、言ってみろよ。

   ―――言ってみろッ!! 弱者はもうUTにいらないと言うならッ!! アタシだってUTにはいらない存在なんだッ!!


【半裸でこんな事を言うのは何かの冗談にしか思えないが。彼がどう反応するかは、分からなかったが。それでも。】
【セリーナはそう叫んだ。死んだ奴が要らないと言うなら。弱い奴がいらないと言うなら。ならば、自分も一緒だと。】
【誰もが傷つく。死ぬにしろ死なないにしろ、戦えば傷つく。だが、弱いから負けるのではない。強いから生き残れるのではない。】
【そんな事を伝えたいのだろう―――ねこやまに今一度、問う。UTのメンバーに必要な物は一体、何だっただろうか―――と。】

/ごめんなさい……!!
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/24(木) 19:18:26.95 ID:Hqj685AMo
【夜の公園】
【中規模程度の広さを持ち、日中は人で賑わっているが―――この時間帯になると人影もなくなっていた】
【怪しげな数人の男達を除いて――】

んー、おかしいな……?確かここで金と情報を交換する約束だった筈なんだが
何で俺は君らに包囲されてるんだ?

【恍けたような声を上げたのは、中心に立つ男】
【歳は30前後か―――わざとらしい程にギラついた金髪を靡かせ、指には自己主張の激しい銀のアクセサリ】
【これまた派手なスーツと開襟シャツを身に纏うその姿は、一言で形容してしまえばまるでホストのようだ】

【そのホスト風の男を囲むように取り囲むのは、計5人の男】
【皆がナイフやら鉄パイプなどの武器を持っている。いかにもゴロツキといった風体だ】
【無防備で立つ男に向かって下衆な笑みを浮かべている】

ああ、成程。俺は騙されたってわけか
……まあダメ元だったからいいんだけど……なっ!!

【ホスト風の男は言葉を言い終ると同時に、地面を右足でダンと強く踏み込む】
【その瞬間、足元のコンクリート舗装が砕け、そこから勢いよく『泥水』が噴出した】
【泥水はウォーターカッターのように細い線となりながら5方向へ射出され、5人のゴロツキの脚部を撃ちぬいた】

あーあ、せっかく大金を用意してやったってのによお……

【ゴロツキ達は悲鳴を上げながら地面を転げまわる】
【全員息はあるものの、戦意は完全に喪失したらしい】
【ホスト風の男はこのゴロツキ達をどうするのか―――】
【人通りが少ないとはいえ公園の中。一部始終を誰かが目撃していても不思議ではないが―――】


/22時頃まで募集しますー
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/24(木) 19:45:01.44 ID:mMsBzM80o
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】

/速度重視の練習をするので変な文章になっちゃうかもですが…
/そして12時までしか居れないですがそれでもよければ絡んでください!
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/24(木) 21:17:04.82 ID:fjSvpnLL0
【路地裏――その曲がり角で】
【暗がりの向こう側でひょっこりと揺れる影があった、それはどうやら道の向こう側を覗きこんでいる“誰か”の影で】
【何か明かりを引き連れているようなら――もしもその影に気付いた誰かのほうからは、その姿が見えたのかもしれない】

……あーん、見つからないのよう……、……うー、

【ついと手を伸ばす、その手の仕草に追随して動くのは、ちっちゃな顔をいっぱいいっぱいに隠し込むような、おっきな蛾のカタチ】
【午後の麗らかな陽だまりのような光で作られたそれは何らかの異能の発露だろう、それが、通路の向こう側をじんわりと照らして】
【お望みの何かが見当たらないことに落胆の声を洩らす、拗ねたように頬っぺたを膨らませる仕草が、闇の中には不似合いだった】

【――クリーム色の髪は頭の横で高く結い上げたサイドポニーテール、赤いシュシュとふわふわの髪がよく似合って】
【真夏の青空と同じ色をした瞳は少しだけの垂れ目、右目の下には毒々しい紫色の蝶――刺青が、刻み込まれていて】
【白色のブラウスに赤いジャンパースカート、兎さんの柄が描かれたスカートをへこませるのは、肩から提げた鞄の重み】
【短めのソックスと赤い靴のかかとが薄汚れた地面を叩く、それがかつこつと夜の中に、軽い軽い体重の音を響かせていた】
【ちっちゃな頭は大人の男の人なら掴めちゃうぐらいの大きさ、小柄すぎる体躯は、――そう、どう見たって、就学前ぐらいで】

レラお姉ちゃんにもっと聞いておけばよかったのよう……、そしたらね、きっとね、見つかってたわ……なの。

【そんな幼さがこんな場所をこんな時間に出歩いている違和感、それは迷子と呼ぶにはあまりにも堂々としすぎていて】
【寧ろ自分から入り込んだような気配で自信満々に歩くのだから、――自警団のヒトなんかに見せたら、駆けつけてくるような光景】

うー、おねえちゃーん? おにいちゃーん……、……おとどけものですよー! なのー!

【道の向こう側まで照らしに行っていた蛾が戻ってくる、それがくるりと女の子のちっちゃな頭の周りを一周回って】
【その明るさと大きな声とで少女の場所を辺りに知らしめるよう、それが、善人悪人、どちらに届くのかなんてきっと考えないまま】
【再びかつかつと歩き出す足取り、もしも誰かと出会うなら――、それは一体、どんなヒトなのか】
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/24(木) 22:01:26.56 ID:QtlNgUvG0
>>313

【ボタンが一つ一つ外されていく音は、喧騒を掻き分けて確かに彼の耳に届いた。信じられない行動……然し、そうである様にしか聞こえない。】
【……少年は立ち止まった。立ち止まったが、勿論―――振り返る事など出来ない。彼女の意図する所は全くもって分からなかったが、】
【然しそれはまあ、純粋な意味。……兎に角、今、自分は彼女を見るべきではないと判断して、】

【然し続く言葉が、こうであったのなら―――セリーナへと振り向けないその理由が、一瞬にして変貌を遂げるのだろう。】
【怖い。傷だらけの彼女の姿を見ることが、怖かった。勿論それは、グロテスクな物が苦手だとか、そんな単純で安易な事ではなくて、】
【……若しかすると、彼女がそんな姿をしている事を、受け入れたく無かったのかも知れない。……理想と現実の差、】
【もしそんな物が存在するのだとしたら、自分の理論は一気に破綻する。―――それを、何故か、拒んでしまって。】


―――……ありがとうな、セリーナさん……俺、……

……やっぱり、優しいんやな。こんな俺を、ここまで引き留めてくれる……思いもせんかった。
予習通りや。色んな人に、聞いて回ったんやけど……まあ、皆言うとったわ……うん、


―――……いっぺん死んでみて、……やっぱりな、いくら悪い人でも、殺すのは絶対アカン……っちゅうのは、変わらん。
せやけど、それと同時にな、……全く逆のコトも、考えるように、なってきとるんよ。

上手く言えんけど、何となく分かるやろ、……俺はな、もう、"ねこやま"や無いねん。……この名前使うの、申し訳ないくらいや、ホンマに。

【少年は又、事前に彼女についての調査を行っていた。前回は彼女自身が否定していたが、然し矢張り結果は同じ、】
【……UTのリーダーとして余る力量を持ち合わせている、という事だった。それも勿論、2つの意味合いで。】

【然し少年は、この事実を悪用した。―――つまりは、義理。自分がかつてUTの一員であったからこそ、こうした人情を見せてくれているのだろうと。】
【想像を遙か超えるその存在には、感服したと言わざるを得ない。……故に、"もし何処かに所属するのなら、こんな理想的な人がリーダーである所が良い"と。】

【もう自分は、ねこやまではない。あの、僅かな欠片一つ無く、一心に悪と向き合っていたその姿を……もう、再現出来ない。】
【言い換えるのなら、彼女が思う"ねこやま"は、既に、死んだ、と言う事。背を向けたままの目の前の少年は、言ってしまえば、ただの"そっくりさん"、で。】

【……と、彼は言う。不殺主義とは真逆の事をも視野に入れてしまっているとは、一体どういう事か。……それにしても、ココでいきなりの新情報、】
【まあありとあらゆる見方で解釈する事も出来るのだろうが、そもそも。―――語調も合わせて、少々、不自然ではなかったか。】

【と言うのも、少年は今、セリーナを拒み続けている状況にある。然し、自分がUTに相応しく無いと言う事を証明するのに、】
【弱いからという理由と、自分は変わってしまったからという理由、……一体どちらが、説得力のある説明だろうか。】
【初めの話が彼女に圧倒されてしまったが故に、急遽取ってつけた様な―――そんな印象を受けても、全く可怪しくない言葉では無かっただろうか。】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/24(木) 23:36:35.09 ID:erLf4YAt0
【穏やかな月の光に照らし出される草原の一角】
【心地よい風が吹き、寒すぎず暑すぎずといった気候は正に月光浴に最適であろうか】
【虫達も鳴かず、在るのは静寂であって――――音らしい音といえば、時折草木の揺れる其れ程度】


「ん〜…………今日も疲れた……っと
流石にあの子達全員分のパンを焼くのは結構な重労働だよね
まぁ…………殆どはカログリアに手伝って貰ってたし、お陰でボクもお零れを貰ったから良いけどさ」

【其処を気ままに歩く一人の姿。纏うのは所謂修道着であって――――よく手入れのされた金色の髪が、月光を眩しく反射させていた】
【腰に提げた銀の双銃は何処か物騒な印象を与えるかもしれないけれど、その身形が修道女の其れなのだから不思議なもの】
【持った袋から漂うのは香ばしい匂い。焼きたてのパンの香り、であろうか。数ある中から適当に一つ取りだしたならば行儀悪く歩きつつ頬張ったり、なんて】


「――――――やる事も山積みだけど、偶には良いよ…………ね」

【ぽつりと呟いた言葉はまるで自分に言い聞かせるかの様で。手にしていたパンを、また一囓り】
【何を考えているのかは分からないけれど――――上の空、なんて事は無さそうだ】
【その証左として、もし誰かが近くを訪れたならば其方へと視線を送るし】
【話し掛けるならば立ち止まりもする。この時間に修道女が出歩いているなんて可笑しな話で】
【銃を抜いたりはしないものの、やがてはゆっくりと小首でも傾げる事だろう】








【森の中に存在する――しん、と静まりかえる朽ちた館】
【嘗ては賑わっていたので在ろう其処も今となっては実に寂しいもので、ただただ時に任せて風化していくだけ】
【――――の、筈だったのだけど。月も顔を見せない今宵、此処に二つの足音】
【佇まいに誘われてか其れとも戯れに入ってみたのかは分からないけれど、重々しい館の扉を開いたならば先ず目に映るのは】
【古めかしくも豪華な内装と…………二つの影、だろうか】


「何も見えず。何も求めず。朽ちて。消えて。名残すらも。やがては失せる」

『――――主様。そろそろ帰らねば皆が心配するかと思いますが』

「誘い。誘い。残るは闇。其れも無に飲まれ。尽きる蝋燭。未だ戻らぬ小鳥」

【一人は黒のドレスを纏った少女――――か。歳にすれば恐らくは十代の後半】
【暗がりの中でも目立つのは銀の髪。清んだ声で紡がれる其れは詠唱の様で、其れでも何かが起きる訳でも無くて】
【もう一つの存在はこれまた黒のローブを纏っており。フードを被っている故に顔は分からないが】
【声の質と身体の起伏からして女、か】

【主と呼ぶ少女に対して言葉を掛けても、ハッキリとした答えが返ってこないのだから悩み所だが】
【言葉を掛けた当の本人は大して気にした様子も無いのだから、何時もそうなのだろうと容易に連想させる】
【もし、誰かが扉を開けたならば。少女の深い蒼色の双眸が向けられる筈で】


「紡ぐ唄。忘却の詩。何れ人は思い出す。祖の過ち
満ちる。時は終わりに近づく。時計はまた零を指す」

【支離滅裂な言葉。その声でアリアでも紡げば美しい音色となったのかもしれないが、生憎訳の分からない言葉しか並べられないのが現状】
【無視して館の探索に移ったって構わないのだが――――明らかに異質な二人組を尻目に奥へと行ける者は、果たしてどれ程居るのか】
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/04/24(木) 23:43:18.55 ID:+LqR8I81o
>>317

【―――また、記憶か。人が生きていく上でそれがどれほど重要な物なのか、セリーナはこの期に及んで痛感していた。】
【誰も彼もが、その記憶という名の脆くも決して崩れてはいけない重要な"何か"に振り回され、翻弄され、苦しめられていて】
【そしてそれはセリーナとて同じ事、自分が誰なのかをハッキリさせようと、彼女はついこの間に記憶を取り戻したばかりなのだ。】

【だからこそ、だが。一つの考えが浮かぶ。ねこやまの記憶も、復活させてしまえば良いのではないか、という物だ。】
【セリーナがそうであった様に、悩むくらいならいっそ―――そう考えるが、口に出す前に彼女はどうにか、思い留まった。】
【そういった方法ではきっと、この少年の抱える現状を打破する事には至らないのであろう。少なくとも、今のセリーナにはそう思えた。】

【ならば―――どうするべきか。セリーナはボタンを一つ一つ締めていき、もう一度声をかける。】


―――記憶って言うのは、人間を支える骨格みたいな物。
それを失うことは、確かにその人がその人じゃなくなる事にも、等しい。
アタシも幼少期の記憶を完全に失って"た"から、それがどれだけ恐ろしくて、そして
自分が誰だかわからない不安がどれ程の不安を産むのか……こう見えても、よく分かってるつもり。

だけどね、ねこやま君……記憶が人間を作るんじゃあ、ない。
経験した事や今まで見てきた景色が人格を形成するのにとても重要なのは間違いない、けれど
根っこの所っていうのはそうそう簡単に成り代わるものじゃない。それはつまり、人間の―――魂の在り処だ。

君は今まで"ねこやま"として過ごして来た十数年の記憶を失って、今はもう別人になってるのかも、しれない。
自分が殺されるような状況でも不殺を貫く"あの"ねこやま君はもう、いないのかもしれない。だけどね、いいかい。
君の魂は不変だ。もしそうじゃないと言うなら、想像して見ると良いよねこやま君。君が自分に嘘をつき続けるその様を。

―――これから生きていく内、君が路地裏で誰かが傷付くのを見たとき。君ならどうするかを。
ねこやまという記憶を失ったから、もう自分は正義の味方を志してた誰かじゃないから、助けないで見殺そう―――
そんな風に思えるかな。断言してもいい。君なら飛び出す。記憶があろうと、なかろうと。君は君で、君でしかないからだ。

―――アタシがさっきから褒め称えてるのは、"いつか"の君じゃないよ。
今の君も含めて、アタシが尊敬してる人物の一人は、確かに目の前にいる君なんだ、ねこやま君。
不殺を貫く勇気や、戦う覚悟や、戦う術を思い出せないのなら、それでもいい。UTに戻る気が無いのも、別にいい。


―――けどね。アタシは我慢なら無い。アタシの大好きな、アタシの尊敬する誰かが。
そんな"ちっぽけ"な理由ごときでいつまでもうじうじと悩み続け、そして自分を否定しているその様が。
―――我慢なら無いんだよ。正義がどうとか、そんなのは良い。ただ―――君は、君自身まで否定しちゃだめだ。


【無理をしてまで、UNITED TRIGGERに戻る必要なんて無い―――そんな事まで、この女は口にする。】
【だが重要なのは其処ではないのだ。彼女が言いたいのはつまり、ねこやまがねこやまを否定したがっているこの状況が】
【仲間だからこそどうしようもなく苦しくて、そして見ていられないのだと―――そういう事であった。まず、一人の人間として】
【彼に元気になってほしい。過去も現在も振り捨てて、そんな風に否定を重ねる姿を見たくない、それは可笑しい事だとセリーナは、告げた】


―――何もかも忘れても。まだ、君に戦う勇気と、決意があるのなら。
もう一度すべてをやり直せば良い、それだけのことじゃない。大丈夫だよ、ねこやま君。
アタシは25歳の、公衆の面前で服を脱ぎだす酔っ払い―――だけど君は、17歳の悩める青少年だ。

まだまだ、やり直すことなんて楽勝、楽勝! だから―――真剣に、向き合いな。
君が本当にどうしたいのかを、よく考えること。どうするべきか、じゃない。
君の魂が何て言ってるのか……"どうしたいのか"に、耳を傾けるんだ。
出来るかい。少年!
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/25(金) 00:23:16.18 ID:4GjPw1TAo
>>316

【―――確かに聞こえた。通常立ち寄るべきではない所である路地裏から、似つかわしくない幼い印象の声が。男は路地裏の横を通り過ぎた所で足を止め、振り返った】
【不良の溜まり場、事件の温床、狂人の住処―――兎に角マイナスイメージの言葉で語られるこの場所、しかもこの時間】
【もし何も知らず、そして抵抗する手段も持たない人間がその時間その場所に足を踏み入れようなら―――それは自殺志願者と思われても仕方が無い程だ】

……ったく、どこの怖いモン知らずちゃんだっての。

【そのような自殺志願者をこの男が無視する筈もない。人々を守る盾の証を肩に付けている以上、無用心な人々を守るのは使命でもあった】
【被っていた蒼いソフト帽のつばをキュッと上げ小さく息を吐くと、その男は路地裏へと足を進める】

……ん、―――んっ?

【―――ああ、やっぱり子供か。彼女の姿を紺碧の瞳が捉えれば、少しの安堵と共に息を吐く。……が、遅れて違和感が襲いかかってきたので彼女をもう一度凝視した】
【……あの明かりは何だろうか。このような夜、しかも路地裏でこの距離からハッキリ姿が見えるのは、あの蛾を象った明かりのお陰だろう。……だが、あれは何だ】
【加えて明かりで照らされる彼女の顔。子供―――なのだが、右目の下付近に紫の派手な刺青がある。……兎に角彼女の親は普通じゃないのだろう、と彼は思った】

【―――不可解な点はあったが、自分のすることは変わらない。兎に角路地裏を避けるように彼女に注意し、そして彼女の家へと返さなければならない】
【白シャツの皺を軽く手で伸ばして、灰色のジレの埃をパンパン、と払い服装を整える。下は群青のジーンズであり、シンプルな格好だった。少なくとも怪しさは無いだろう】
【白シャツの右肩にはSCARLETの紋章が縫い付けられて、彼の所属を表していた。首元の砂の玉のペンダントは濃厚な魔翌力を発し、蛾の放つ光を受けて煌めいていた】
【男は少しだけ戸惑いを籠めた声色で、彼女に言葉を投げかける】

あー……どうした嬢ちゃん。 こんな時間にこんな場所、しかも一人ってのはすげぇ危ない事なんだぜ?
変な人に襲われる前におウチに戻らなきゃな。 ……あ、俺は変な人じゃないぞ? SCARLET……って言ってもわかんねーか、まぁ……おまわりさん、的な。

―――お父さんとお母さんは何してたんだよ、子供一人にして……

【中腰になって彼女と視線の高さを合わせ、それから優しい声色を作って飛ばす。どうしても視線は、彼女のような幼い少女とミスマッチな刺青に集まってしまっていた】
【―――理由があったとしても、子供をこの時間に一人にすることは親失格の行為だ。少女に刺青を入れるくらいだ、碌でもないのだろうと彼は本音では思っていた】

/遅れてすみません、よろしくお願いします!
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/25(金) 00:33:13.29 ID:CjHmtEJs0
>>319

―――………。

【一言一句残らず、聞き取った全ての言葉を、脳内に落としこむ。それから、無理のない速度で、噛み締めながら解釈し理解していく。】
【彼女の話に、付け入る隙は無いのかと。"この後どう反論しようか"と―――そんな事を考えていたのだ。】
【然し完膚無きまでに的確、加えて途中で戻って来る必要は無いと聞かされれば決定的、少年の思考回路はその瞬間、クールダウンするのだろう。】

【否、停止したのは、その瞬間だけ。再びヒートアップしたのは、言うまでもなく……詰まる所、これは、ただのスカウトでは無かったのかと。】
【現時点では完全に自信を喪失しているとは言え、その辺を歩いているオバちゃんよりは闘える。その力を求め、ココまで来たのでは無かったのかと。】

【―――若しかすると、本当に……?】

【この音は―――ボタンを締めて行く音だろうか。どうやら、漸く向き直る事が出来る様だ。……それに今なら、足元を見る必要も、無く。】


セリーナさんは、何も悪くないんや、ただ、俺がな……
……自分の力も含めてな、……信じられへんのや、"今は"。
UTに必要なのは、そんなモンちゃうって、もう分かっとるんやけどな、……
………ホンマに、ごめんなさい。今は、力になれへんのや。……どうしても、な。

せやけど、……せやな、俺自身、何がしたいんかも良う分からんし……
……頑張って、考えてみる。……まだ、間に合うん、……やろ。


―――"全部、終わったら"な。また、お世話になるかも知れん……そん時は、よろしゅう。


【初めて、少年はセリーナの眼を見た。それから、少しだけ顔を俯かせる……矢張り自分の意思がまだ貧弱だと知って、】
【若しかすると、彼には時間が必要なのかも知れない。彼女の言う通り、自己否定から立ち直って、一からやり直す為の時間が。】
【結果的には、UTへの加入を断った。……然しその拒否の仕方は、言い方が悪いが、若干肯定的であって、】
【機会が巡り巡った、その時には―――と言う、可能性を残した返事だった。深々と、お辞儀を添えて。】

【―――ただ、その時の少年の眼を、身体の動きを見ていただろうか。否、別にそうでなくてもいずれ分かるのだろう、】
【少年はお辞儀をしたまま、身体を起こす所か、寧ろ崩れ落ちて行って―――そのまま、地面に倒れてしまったではないか。】
【呼吸はあるが、意識はない……本当に、ホッとしただけだと解釈すべきなのか……どうやらその症状は、気絶に相当する物であるらしく、】

【……然しまあ、セリーナが半裸になった事で、けしからんおっさんからゴシップ好きな女子高生まで、十人十色なギャラリーが出来ていて。】
【が故に、彼女と相対していた少年が、意識を失って倒れたとなれば、その瞬間の悲鳴は……それはもう、壮絶な物であった事は、言うまでもない。】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/25(金) 00:43:03.16 ID:/OOcNGgL0
>>320

【暗澹と立ち込める暗闇の中で、彼女はひたすらに異質だった。なにせ、ぽかぽかした陽だまりのような光を繰るのだから】
【もちろんそれだけじゃないだろう、どんな犯罪だって起こりうるこの場所で、どんな犯罪も知らないような純粋さで佇む姿】

【(だけど、子供のほうが残酷なコトをしてしまえるものなのだけれど。蛙を破裂させるだなんて、大人はまず考えない)】

【探している何かが見つからないことを嘆いて焦ってそんな現状を疎む、あーんだなんて声を出しているのはきっとひどく無警戒に見え】
【もしも訪れたのが悪人だったなら。ああいい獲物(カモ)を見つけたなんて、舌なめずりをするはずだったのだ】

【――けれど、訪れたのは正しく正義の徒だった。それがどれくらいに運のいいことだったのか。彼女に、教えたくなるぐらい】

あー? ……あのね。私ねっ? ヒトをね、探してるの! 友達に頼まれた、とーっても大切なことなんだから!

……う、お兄ちゃんはSCARLETのヒト?

【彼の第一声に返されたのは鬱々とした少しだけ悪い子の声音、やさぐれているというか――なんというか、気に食わない声】
【その理由は直後に告げられたまさにそれ。探し人をしていて、それが見つからなくって、焦る気持ちばっかりが空回りする】
【大切なことだし早く達成しなければいけない。だからこんな場所を出歩いているのだと言う理由にも聞こえるだろうか?】
【表情はひどく真面目なもの。けれど、こんな場所を恐れたりなんてしていないのが、まるで一目に分かるのが不思議だった】

【――そんな彼女の表情が分かりやすく変わる、“げっ”とか、きっと言葉にするならそんな風だったろうから】
【いかにも不都合あります!というのを表現してしまうのは幼いゆえの不具合だろう。つい→っとまん丸瞳が横へ逸れて、】

SCARLETはだめよっ、だめなんだからっ。“お姉ちゃん”にヒドいことしたの、知ってるんだからねっ……!
ぜーったい、なんにもおしえてあげない! 私はね、こんな場所も、こんな場所に居るヒトも、怖くなんてないんだからっ!

お兄ちゃんが居なくたってね、私ね、1人で大丈夫なんだきゃー!?

【にじりっと距離を置こうとしてしまうのだろう、それは、或いは予期しなかった反応だろうか。突っ張るような、言葉の抵抗】
【何がどうSCARLETが“だめ”なのかも彼女の中では秘密なこと。故に不思議は余計に不思議のままで残って、ややこしくなる】
【口の端と端に指を置いていーっと表情を形作る、そのまま踵を返す背中はひどくちっちゃくて、言葉はひどい強がりに思えるほど】

【――そんな体躯がずべっと斜めることだろう。それはあまりにも急で、けれど、近距離の彼になら対処できることかもしれなくて】
【足の捌きを失敗してバランスを崩したのだ。そのままなら間違いなく地面と仲良くぶつかるルート、蛾が慌てるようにばたばた舞って】
【これでどこが1人で大丈夫なのか。詰めの甘いのが年齢通りの甘ったるさ、お尻を隠してかくれんぼするような、微笑ましさだった】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/04/25(金) 01:02:47.07 ID:1uy1xpVOo
>>321

【UTはあくまで、民間の組織だ。むしろ企業に近い形態を取っていると言っても過言ではない。】
【そういった背景が生み出すフットワークの軽さや、柵に囚われない自由な風潮が良い方向に動く事もあれば】
【今回のケースに見られるように、強制力を持たないが故に参加を任意にするというデメ3リットもあるのは確かであって。】

【つまるところ、セリーナが彼に帰還を強要する事は出来ない。だからこそ、口説くしかなかったのだ。】
【しかしそうは言っても、彼が彼である事を見失っている現状、戦う気もない人間に参加して戦えと言うのも】
【セリーナには難しいし、それはきっと嫌な事故にもがりかねないだろう。だから、ねこやまが自分から参加を望むその日まで―――】

【―――待とう。勿論そのつもりでいたし、ねこやまの返事は肯定的であった。だからセリーナも油断していたのだが】
【まさか彼が、怪我をしていない筈の彼が崩れ落ちるとは思ってもおらず、彼女は一寸反応が遅れた。抱き止める事も叶わず。】
【倒れたねこやまに慌てた表情で駆け寄るも、此方もけが人だ。痛む足を無理やりに曲げて彼を介抱する様、その体を抱き上げる。】


   つっ、ううっ……ッ!! ね、ねこやまく―――大丈夫っ!?
   しっかり、息をして―――くっ、呼吸はあるけど意識が……ッ!!
   ┏救急車―――……いいや、そっちより"ウチ"の方が、早いか……ッ!!


【ぎりぎり、と脚部に激痛が走る。しかしそれでも、セリーナは意識を失った彼を背負い、負ぶさって。】
【そのまま半ば無理やりに―――なんと、腰に装備した"相棒"を引き抜いて、前面へとめがけてすかさず、発砲!】
【放たれた弾丸はバレルを通過するうちに魔力変換され魔弾と化し、そして空中で停止、青白く輝く召還陣を描き出した―――!!】


―――騎士怪醒<ティターン・アーマー>

【放たれた弾丸、展開された召還陣、そして陣がセリーナの肉体を透過したその瞬間―――】
【セリーナはセリーナで、無くなっていた。現れたそれは悪魔と機械を融合させたかのような怪物じみたシルエットの存在。】
【悪魔が産んだ召還銃、"弾"末魔に登録されている頑強な武装の一つが呼び出され、セリーナは瞬時にその武装を装着していたのだ。】

【かつて存在した巨人族、『ティターン』をモチーフとして生成された魔導鎧、言わば悪魔製のパワード・スーツを纏ったセリーナは】
【背中に搭載した魔力製造エンジンにより全身の間接へと魔力を送出、パワー・アシストを駆動させて軽がるとねこやまを担ぎあげる。】
【そしてそのまま、傷付いているであろう筈の足に負担をかけさせずに、アーマーによって強化された機動力で疾走―――UTへと、向かう。】

【悠長に救急車を待つより、近くに在る自身の根城へと担ぎこむほうが手っ取り早く、処置も簡単だ―――咄嗟にそう判断し。】
【彼女は酒場に着くと半ばドアを蹴破るような勢いで進入、そのままエレベーターへと向かって地下へと降りようとするだろう。】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/25(金) 01:16:55.46 ID:4GjPw1TAo
>>322

【―――少しだけ予測していたが、変わった子のようだ。……大の大人でさえ怖がる、狭く暗い路地裏。犯罪の温床と知らずとも恐怖の感情を持つだろう】
【だが、眼前の少女にはそのような感情がまるで感じられない。命知らずなその振る舞いは、彼を余計に心配させるモノだった】

人探しって……こんな時間に見つかるわけないだろ、フツーは寝てるぞ……。 
別に人探しするなとは言わないから、そういうのはお昼とか、人がいっぱい出歩いてる時にやるんだ。

【気になるのは、SCARLETと聞いた時の彼女の反応。その反応は悪党が取るようなもので、そこから察するに世間的には良くないと思われることをしているのだろうか】
【人探し―――とその反応は、関係があったりするのだろうか。彼女の反応が彼を心配させたり不思議に思わせる以上、そう簡単に離す訳にはいかなかった】

……SCARLETがお嫌いで。 酷いこと―――ってのは良く分からねぇけどさ、SCARLETは何も悪いことしてない人に酷いことしねーんだぜ?
―――お姉ちゃんが何したのかは……教えてくれないみたいだけどさ、SCARLETと聞いてやな顔したろ? 
それはもう、後ろめたいことでもあるんじゃないのか―――っとぉ……!! 

【―――予想されるは、彼女の姉が俗に言う悪党であること。そう考えれば、刺青も多少は納得がいく】
【幼い子には善悪の区別も分かりにくいと思えば、彼女からみればSCARLETこそ悪党なのだろう……と思われるだろうか】
【後ろめたい行為こそがその人探しだと軽く決めつけどうにか聞き出そうとするが、彼女は振り返って逃げようとしてしまう】

【一瞬強引にでも引き留めようかと思ったがそこまでする必要は無いと思い直し、路地裏から出すということだけ出来れば十分だ―――と伸ばしかけた手を止めた所で】
【……―――彼女の身体がぐらつき、明らかに転倒するビジョンが見えた。止めた手を再度伸ばして、彼女の手首を掴む形で支えようとするだろう】

【掴んで彼女が尻餅をつかずに済んだのならば、「本当に大丈夫かよ」と不安そうに零しながら彼女の姿勢を元に戻すだろう】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/25(金) 01:41:09.14 ID:CjHmtEJs0
>>323

―――……やめ………止めろ……止め……ッ……

【長い長いエレベーターを下っている間、何やら悲痛な叫び、……加えて、手足をバタつかせて暴れ出す。】
【彼が寝ている状態であるのなら、それを寝言と言うのだろうが、然しあの倒れ方は間違いなく、意識を失った物だ。】
【では一体、これは―――? やがて症状は徐々に激しさを増して行き……赤子のそれとは全く異なる力で以って暴れるのだろう。】

【パワード・スーツを纏っているのであれば、勿論大した事のない、制御可能な程度であろうが……、】
【果たしてどんな悪夢を見ているのか、……少年がこんなにも苦痛に満ちた表情を浮かべるのも、今回が初めての事なのかも知れない。】

【……そして症状は、ただ暴れるだけに留まらない。尋常では無い発汗と、更に、少年の眼。】
【一瞬だけ開いたその色は、真っ黒ではなく、"紅"。野獣にも等しいそれだ。】
【瞬きだとか、それくらいの間の話だ、故に確認出来たかどうかは、運にもよるのだろうか、……それとも、】


―――……ッ……ッ………ハアッ……ッ………

【……と、徐々に呼吸も安定して来れば、少年は次第に意識を取り戻す。……勿論、黒曜石の様に済んだ色をしていて。】


……また………あ、……ん………?

【自分は抱きかかえられて居るのだろうと言う事は、全身が伝える感触から分かる。然し目の前の……鎧という事は、男性だろうか。】
【助けてもらったのに違いは無いが……見に覚えの無い人物だ。然しまあ、乗り心地は快適、……それと、身を委ねる安心感もある。】

【びっしょりとかいた汗、取り敢えず一度、二度額をぬぐってみる。それから、ふーっと一息ついて、……矢張りもう一度、】
【鎧に隔てられたその向こう側を……何とかして、覗き込もうとするのだろう。……当然、無駄な結果に終わるのだが。】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/25(金) 01:42:21.47 ID:/OOcNGgL0
>>324

【――ああ駄目だ転ぶ。そういう思考が脳裏を廻る、どれだけ痛いかとか、どんな怪我をするのかとか、予測して体が強張る】
【そして何より恥ずかしいと思う。我武者羅に乱れたスカートが現在形でパンツを見せているかもしれないし、そんなところも】
【流れた視線が慌てたように羽ばたく蛾を見てどうにかできないの、なんて思った。違う、それは出来たのかもしれないけれど】
【もっと違う。どうせ転ぶならせめて被害を小さくするべきだ。何かしないといけない、じゃないと、もっとハズカシイことになる】

【ぶわっと彼女の足元に膨らんだ光が眩く辺りを照らし出す、そうして無数に生まれでたのは“羽根”だった。たくさんの、羽根】
【あるものはひらりと揺れて、あるものはふわりと靡いて、羽毛布団を切り裂いたみたいに、たくさんの羽根がふわふわと舞い踊る】
【その全てが淡くとも午後のお日様の日差しみたいな光を放つから、夜に慣れた中ではそれは眩しいのかもしれなくて――】
【――そんな羽根たちをくるりと柔らかく包むのは布のように薄く延びた魔力の塊、それは、まるで即席のクッションみたい】
【このまま転べばクッションにぼふり!と落ちる予測。ああ転ぶ――とぎゅっと目を閉じた瞬間に、けれど、衝撃は違うところから】

かッ……!

【ぐんッと体を引かれて一瞬腕や胴が痛む、反射的に零れた声はずいぶんと女の子らしさを失って、かわいげのないものだったけれど】
【恐る恐る開いた瞳が現状を理解するために動くのだろう。転んでない、手に何か触れている、――すぐに、現状を理解するのだった】

あ……、うー、なにようっ、こんなのしたってね、私、知ってるんだから!
SCARLETのヒトたちが……お兄ちゃんたちが“レラお姉ちゃん”を追いかけてるの、知ってるんだよ!

【掴んでもらった手を見て真っ先に“ぐぬぬ”と表情を歪ませる、それから、ぶんぶんとその手を振ってなんてみたりして】
【離してくれたならぎゅっと胸元の辺りに触れる。そうして、きッとにらみつけた表情は、垂れ目の彼女にはどうにも似合わなくて】
【さて零した名前は知っているだろうか。とかく、ぎりりと鋭く表情を尖らせる少女は、簡単には矛先を鎮めてくれそうにはなくて】

自警団のヒトだってそうなの、SCARLETも自警団も、ぜーんぶ!
そのせいでレラお姉ちゃんがどれだけ大変かって、知らないんでしょっ!?

【“彼女”と出会ったその晩、彼女は自警団に追われていた。そうして、味方にも追われるのだと言っていた――その手には緋色の鷹が居た】
【それなら眼前の彼だってそうなのだと思ってしまうには十分で。少しでも情報を漏らしたなら、彼女が捕まってしまうと思うから】

だからね、なーんにも言わないっ! お兄ちゃんの言うことなんてね、聞いてあげないの!
まだ帰らないもんっ、私ね、見つけるって約束したんだから……!

【お口にチャック、普段は取らないようなつんとした態度で対応する。その態度は、ただ純粋に“そのヒト”を守りたいからで】
【たとえば泥棒してきましたとか、そういう類の悪い子ではないのだろう。緋色の鷹に反応したのは、そういった理由からじゃなかった】
【ただ友達を守りたくて、理由は簡単で、純粋で、真っ直ぐで。――だからこそ強情を張るし、それが余計に面倒になるのだけれど――】
【光の蛾が女の子よりも前に留まってばたばたと鱗粉(らしき光の粉)を零しているのは、なんらかの威嚇みたいだった、とは余談だ】

【(その後ろでさっき作られた即席のクッションがはらはらと壊れつつあった。始めに、布部分がばらりと解けて)】
【(続いて羽根の一枚一枚がぱらぱら……と崩れて細かい細かい光の粒子になっていく。それが、夜の中どこか美しくて)】
【(ただの力のない幼子ではないことは証明できるだろうか。だからこそ、こんな場所怖くないと言い切って見せた――?)】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/04/25(金) 02:11:45.40 ID:1uy1xpVOo
>>325
/と、そろそろ終わりに近いと思いますが申し訳ないっ
流石に帰宅しないとマズイので一旦ここで止めさせてもらいます。
長くなってしまいごめんなさい!
明日の朝にすぐ返せると思いますので、もう暫しお付き合い頂ければ……!
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/25(金) 02:15:39.83 ID:CjHmtEJs0
>>327
/はーい!せっかくのネカフェなので……と思ったのでしたが、完全に蛇足でしたかね……(震え声)
/分かりました、ではおやすみなさい〜
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/25(金) 02:34:20.23 ID:4GjPw1TAo
>>326

【反射的に掴んで引っ張ったせいかその力は強く、幼い彼女には少しばかりか痛みを感じさせてしまったのだろう】
【彼女から漏れた声からその事に気付き、ぶんぶんと彼女が手を振れば男は手を解く】
【解かれた手はそのままソフト帽へと伸びて帽子を外せば、ぺたんこになった茶髪が露わになる。空いたもう片方で髪をボリボリと掻き、申し訳無さそうな表情を浮かべた】

ちょい痛かったか、悪いな……。でも幾ら暗いとは言ってもよォ、何もない所でコケる子を見て不安にならない筈が無いって訳だからさぁ。
兎に角今日の所はゴーホーム。……つーか、やっぱり嬢ちゃん「も」能力者なんだな。それも俺達を嫌う理由と関係したりして……。

【光の羽根が彼女を守ろうとした。彼女の意志が光を複雑な形に変えた。もしかすれば高度な魔術かも知れないが、能力者の線が濃厚に思える】
【能力者だから路地裏で襲われてもある程度安全だ―――と思う人も多いだろうが、彼は余計に心配になっていた】
【能力者故の油断というものはよくあることだ。自分は優れているという感情が彼女から恐怖心を奪っている―――という見方も出来る。だから余計に不安なのだ】

【彼女が声を荒らげて零した名前。―――レラ……? 彼は会ったことは無い人物だが、名簿で見た記憶がある。確か―――】

……ヘイダルの一員だっけか、確か。―――あ、ヘイダルって言えばアサド……!!
なんか拘束されてんだっけか……俺あの事件には関われなかったから良くわかってねーけど……。

―――GIFTとの内通容疑……だったな。俺はヘイダルの隊長さんがそんなことしてないとは信じているけどよ。
しっかし唯でさえ以前裏切ったヤツがいるんだから、そら敏感にもなるわな……。そんでヘイダルのメンバーも一緒に取り調べ……ってか?
あー、確か……えーと……お、これだ。 くそ下らねえメール出しやがってと思ったぜ全くよぉ。

【ディック・ホワイトの事件があった故に、アサドの取り調べは一層厳しく行われるだろう。そしてその部下にも影響はある。アサドの組織なのだから当然だ】
【これで彼女がSCARLETをよく思わない理由が解ったというものだ。レラにも厳しい取り調べが行われるということでの敵意だろう】
【―――と同時に、思い出したかのように彼は携帯、「W‐phone」を取り出し一通のメールを開く。「ヘイダルのメンバーが居たら捕まえておけ」というものだった】

【大分前に届いたメールだったが、彼自身は「俺等の仕事は盾≠ノなることだ、んなもん自警団にでも押し付けておけ」との考えの為詳しく読むこともなかった】

……良く分かんねぇけど、レラ……には可哀想だが仕方ねぇだろ。一緒に戦ってきた敵が実は敵のスパイでしたーなんてことになったら大変だし。
―――そもそも疑われるアサドが何やってんだって話だぜ……まぁ、どんな事件かすら把握してねぇ癖に何言ってんだって感じだけどよ。

……で、人探しってのはレラのことなのか? ―――あー、もしレラを見つけても捕まえないし安心していいぜ。
ちょい尋ねるくらいはするけどよ、仲間同士でいがみ合うのはもう懲り懲りなんだ。……だからホントにスパイだと断定できる証拠がない限り危害も加えないっての。

【携帯を仕舞って帽子を被れば、彼女の目的を確認する。同じSCARLETの癖に事件の中身を把握していないことに大雑把な印象を持たれるだろうか】
【元々SCARLETは、形態的には正義の意志を持った傭兵団に近い。砂の国と水の国という距離的な関係もあり、そこまで交流が取れていないのが実情だった】
【スカウト組ということもあり、どちらかと言うとSCARLETの中では情報から遠ざかっている。自警団出身の連中よりかは情報の量も届く速度も劣ることは間違いない】
【ロウの中ではスカウト組の自分は戦闘オンリーと割り切っていることもあり、そのような問題には積極的に関わろうという姿勢では無かった】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/25(金) 02:54:37.09 ID:/OOcNGgL0
>>329

【「そーだよ、痛かったんだから!」なんて言葉は手を離してもらったあと、ぷんすかと胸を張りながらのことで】
【それにしたってそんな仕草をするよ余計に子供っぽさがよく分かる、体型の未熟さ――大人が貧相なのとは違う、造形の違い】
【胸よりもおなかのほうが出ている体型。全体的に頭の大きくて手足の短い体型。表情もあってか、やっぱりただの子供でしかなくて】

【――それを半ば無意識にやってみせたのは、彼女がきちんと自分の能力(或いは魔術)の練習が出来ているということだろう】
【自分にどんなことが出来るのかをちゃんと分かっている――それなら少しだけ安心できるようでもある。少なくとも、無秩序じゃない】

【「かえんないもん」とやっぱり意地を張る、それぐらいに彼女にとっては、そのヒト探しが大切なことであるらしく――?】

……あんまり良く知らないけど。とにかくね、レラお姉ちゃんたちは何にも悪くないのっ、悪くないんだから!
お兄ちゃんたちのほうがどーかしてるんだよっ、だってね、レラお姉ちゃんの上司さんが、そんなに悪いわけないもの!

だってね、レラお姉ちゃんとは友達なんだからっ。

【ここまで業突張りなのにその細かなところを知らない。なんでそこまで信じるのかといえば、“ともだち”だから】
【やっぱり胸を張って堂々と言ってしまえるのは長所だとも言えたけれど、同時に短所でもあって】
【素直――だなんて言ってしまえば聞こえはいいのかもしれなかった。簡単に信じ込むし、そうしたらテコでも動かない】
【――とかく、この案件について彼女はあちら側だった。眼前の彼らの側ではないと、やっぱり改めて宣言する仕草で】

違うわっ、レラお姉ちゃんの仲間なの! 探してね、渡すものがあるんだから……、……ほんとう?
う……でもでもっ、お兄ちゃんが違うーって言ったってね、他のヒトが追いかけたんじゃ意味ないのよ!
私レラお姉ちゃんがどこに居たかなんて知らないっ、知らないんだから! だからね、聞いたって無駄なのよ!

【ぷんすこ、と吹き上がる蒸気でも見えそうだった。頬っぺたを赤く柔らかげに膨らませて、訂正しながら告げること】
【上手に出歩けない彼女のための伝書鳩。それが彼女の役割で、絶対に果たさなきゃいけないことで、頑張ること】
【――ぱちくりと丸くなった瞳が急に棘を失う、きょとんとした顔をするなら、そちらが素に近いのだろうと窺わせて】
【けれどすぐにだめだめ、と自分に突っ込んで。それでも、彼の言葉を全て信用しないわけでないのが――彼女らしく】
【ぷいっと目線を逸らしてしまった。そんな様子だと知っていそうなものだけれど――まあ、彼には必要のない情報か】

【――同じ組織なのによく知らないというのは、少しだけ不思議だった。けれど、それを責められないぐらい、彼女もまた何も知らない】
【ただ友達になった子が困っていて。助けを求められて、だから頑張る。それが友達に頼まれたことだから――ただ、それだけ】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/25(金) 02:56:18.17 ID:/OOcNGgL0
>>329>>330

/すいません、眠気がひどくなってきたので……後日に引き継いでもらってもよろしいでしょうか?
/いちおう明日は用事がない予定ですので、夕方頃には少なくとも待機していられるかなと思うのですが……
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/25(金) 02:59:01.83 ID:4GjPw1TAo
>>330
/すみません、次の返信は置きレスにさせていただくので今日はここで失礼します
/今日はどうもありがとうございましたー!
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/04/25(金) 08:57:49.82 ID:BPU+xgYd0
>>325

【抱き抱えた少年の身体を見る。異変という異変は外見からは見られないし、アーマーのHUDに表示された数値も】
【どこかに異常がある様には思えない、魔導機械のスキャンが可笑しくなっているとも考え辛いし―――であれば、"コレ"は何か。】
【『止めろ』という言葉、悪夢に魘されているかの様な声、苦しそうな息遣いと身心の痙攣、そこに重なったのは暴れて逃げ出そうとする力……】

【背部に装備した魔導機関が唸りを上げて、魔力を各所に充填していく。関節が駆動し、パワーアクチュエータが起動。】
【セリーナは暴れまわる少年の身体を抱き抱えながら抑え込もうとするだろう―――それ自体に問題は無いが、だとしても、だ。】
【この症状は一体何だと言うのか。まるで彼自身では無い"何か"が、彼の中に存在する"誰か"が暴れようとしている様にも見えるではないか。】

  
  (―――……ッ!! なに、この力は……ッ!!)
  (ねこやま君……君、なの……? いや、そうだとしたら問題だ、一体何が起きて……っ!)

  (―――……瞳……が……紅い――――!?)


【アーマーのディスプレイ越しに見つめるその瞳に、人間の持つ優しさだとか想いやりだとか、そういう理知的な何かは感じられなかった。】
【むしろそういったあれこれから解放された、素の身のままの、自由でそして恐ろしい怒りと本能がセリーナの全身を貫くだろう。野獣、か。】
【まるで獣としか言いようのない、その瞳の中に"ねこやま"という一人の少年は存在していなかった。ならば、今此処に居る"獣"は一体―――……】


  ……気が付いた? なら、良いんだけど。もう夜も遅いし、君は疲れてるみたいだから―――……一度、休んでいくと良いよ。
  大丈夫、いつも通り部屋は空いてるし、何より此処には"君"が過ごしてた部屋もちゃんと残ってる。
  もしかしたら、また記憶が少しずつ戻るかもしれないし―――……っと、そう言えばこの姿を見せるのは初めて、だっけね。


【―――暫くしてその症状が治まり、身体の調子も元に戻った後。セリーナはゆっくりと、少年に語りかけるだろう。】
【声で分かるだろうか、この鎧を纏った誰かは間違いなく、セリーナ・ザ・"キッド"本人である。その証拠に、頭部にはきちんと】
【テンガロン・ハットを被っていた事を伺わせる、帽子の形に沿う様装着されたアーマーを見る事が出来る。この鎧、どうなっているのか。】

【ともかく、何かが起きていたのは間違いない。だが、今は目を覚ました少年にセリーナは休息を取る様告げる。】
【当然だ、このまま街に返す事等UTの人間として出来まい。いつ、どこでまた"アレ"の発作が起きるとも分からないのだ。】
【到底安全な物には見えなかった以上、暫くは此処で様子を見るのが良いだろうとセリーナは考える。原因も探らなくてはならない。】


  ―――……ともあれ、君はこのままじゃ駄目だ、ねこやま君。
  色々と問題を抱え過ぎてる―――……今さっき起きた発作の事もあるし―――……
  ねぇ、ねこやま君。"また"って言ってたけど、今のは何度も……? だとしたら、これは余り良くない物かもしれないね。

  (―――参ったなあ。これは恐らく彼の出自に関連してる物だ。となれば……アタシ達以外に彼を知る人間を探す必要があるね。) 
  (彼の地元、彼の昔の仲間、彼に戦闘技術を教えた人―――何でもいい、彼の過去を探るのが最善、かな。)
  (……詮索は良くないけど。これも組織のリーダーには必要な事、だもんね。)
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/25(金) 18:54:52.58 ID:WqAyqLe6o
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】

/再利用…速度重視の練習をするので変な文章になっちゃうかもです
/&12時までしか居れないですがそれでもよければ絡んでください!
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/25(金) 21:31:00.15 ID:nT28snGPo
【魔海近くの泉のほとり――人里離れたその場所に、邪悪な気配があった】

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった、脚を組んで地面に座っている】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【また、執事のような格好をして眼がレンズな二足歩行のコウモリが、その者の隣に立って居る】

「ククク……さァ、入りなァ……どォーせ死ィぬなら、一発派ァ手にやァろォーじゃアねェか、なァ?」
{…………} 「テメェーの為に、もォてなしを用ォ意しィてあァるんだぞォ? ……ヒャハハッ!」

【その者が誘導しているのはどこかのサラリーマンで、躊躇しながらも踏み込もうとしていて……やつれた顔で素足なのが印象的か】
【誘導先は、空中に縦向きで立っている魔法陣。その続く先がどこなのかはわからないが】
【漏れだす空気の混沌としたそれは、少なくともまともな場所に繋がっていないであろうことを暗に示していた】

【その魔法陣の中に入るとどうなってしまうのだろうか、――そして何をもてなすつもりなのだろうか】
【それらがわかった時、――被害者の状態が無事である保障は、どこにもない。】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/25(金) 22:57:05.34 ID:CjHmtEJs0
>>333


―――……ん、……あ、ああ……帽子………セリーナさんなんやな……
……俺、セリーナさんにお姫様抱っこしてもらっとるんか……まあ、悪い気はせえへんけど………

【鎧の向こう側の顔は見えなくとも、確かにその声……それから後で気付く事になるが、テンガロンハット風の頭部も彼女を象徴する物だ。】
【間違いなく、セリーナ本人なのだろう。……まあだとすると、今自分は、女性に介抱してもらっている事になる。】
【別に悪い気はしないし、況してや男としてのプライドがズタズタになったという訳でも無い……ただ少しだけ、恥ずかしかった。】
【そういう意味で赤面している少年が、彼女の腕の中にちょこんと寝ている事になるのだが……まあ、どうでも良い話か。】

最近、こういうのようあるんよ……1日にちょいちょい、……今みたいな重いやつは、週1ぐらいやけどな……

………せやけど、あのな……何でもないねん……ほら、身体もピンピンしとるやろ……?
……しかも俺がココに居っ、………―――とにかく、俺、もう帰らなアカンし……

【発作は、瞬間的に意識が飛ぶのは一日に数回、先程の様に魘されたり暴れたりと言うのは、週に1回起こっているらしい。】
【どの医者が見ても、それは危険な状態だと判断する事になるのだろう……然し当の本人は、大丈夫だから心配するなと告げて、】

【ただ―――、一瞬だけ、口を滑らせてしまった。そんなの滅多にしない事なのだが、先程の症状の疲弊感による物なのだろうか。】
【"自分がここにいると"……と、ココまでの推測は容易だ。問題はその先、……彼は一体、いくつの秘密を抱えているのだろうか。】

【エレベーターは作動を終え、例のコンピュータがコレでもかと並んでいるあの部屋へと辿り着く事になるが、】
【然し少年はそのままセリーナから降りて、少々強引に帰ろうとするのだろう。……焦っている様にも、見えたか。】

【……だが、彼の機械音痴っぷりが功を奏したというべきか、常識的に考えれば分かるはずの上昇ボタンがどれか分からず、】
【中々苦戦していて。一つコレだと思って押したボタンは、緊急停止……もっとも、作動中ではないが故に、何も怒らなかったのだが。】

337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/26(土) 17:32:29.88 ID:oEftWCQmo
【魔海近くの泉のほとり――人里離れたその場所に、邪悪な気配があった】

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった、脚を組んで地面に座っている】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【また、執事のような格好をして眼がレンズな二足歩行のコウモリが、その者の隣に立って居る】

「ククク……さァ、入りなァ……どォーせ死ィぬなら、一発派ァ手にやァろォーじゃアねェか、なァ?」
{…………} 「テメェーの為に、もォてなしを用ォ意しィてあァるんだぞォ? ……ヒャハハッ!」

【その者が誘導しているのはどこかのサラリーマンで、躊躇しながらも踏み込もうとしていて……やつれた顔で素足なのが印象的か】
【誘導先は、空中に縦向きで立っている魔法陣。その続く先がどこなのかはわからないが】
【漏れだす空気の混沌としたそれは、少なくともまともな場所に繋がっていないであろうことを暗に示していた】

【その魔法陣の中に入るとどうなってしまうのだろうか、――そして何をもてなすつもりなのだろうか】
【それらがわかった時、――被害者の状態が無事である保障は、どこにもない。】

/他の作業やりながらなので少しレス遅れ気味になると思いますがそれでもよろしければ、ぜひ!
/20時頃まで置いておきます
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 19:57:18.09 ID:yp76USjko
【夜の国・某所】

【其処は希望の灯≠ニ呼ばれる、陸の灯台のような物が存在する平野であった】
【かつて異端の聖女がこの地に追いやられた後も信仰を続け、ついぞ奇跡を体得し】
【その業によって未来永劫消えない炎を木に灯し、それが今日まで続いている、なんて土地だ】

【現在では件の樹木は何層もの壁と櫓に包まれている。また、よくも悪くも人の性か】
【ありがたいものの側には何かと人数が集まってくるもので、周囲には教会やらもある】

【ただ、なにせ場所が場所。真っ暗闇を僅かに灯が照らすだけでは開拓もままならず】
【教会関係の施設ばかりが立派なだけで、地元といえるような寒村が他にある程度】
【後は腰丈ほどの草木が生い茂り、足元はジメジメとした半湿地となっていた】

【そして今宵――その各所で幾つかの戦火が散っていた。相対するはどちらも宗教の徒】
【一方はゼン=カイマに属し、また一方は諸派閥、ここでいう希望の灯≠ノ集ったものである】

【事の仔細としては聖地巡礼≠掲げるゼン=カイマの間者が、次の目的地であるというこの地――】
【つまり希望の灯≠フ事前調査として送り込んだらしい間者達が発見され】
【そのままなし崩し的に、薄暗闇の中での戦闘が勃発したと――つまりそんな事情だった】


【そんな中、一段と戦いの激しさが際立っていたのが人の居ない寒村≠ナあった】
【既に住民は逃げたのか、それとも廃墟だったのか。僅かに十数軒の小屋が存在するだけのこの場所は】
【小さな通りのような場所だけは均されているものの、家々の間や直ぐ外には草木がボウボウと伸びていて】
【そういった場所は遠く輝く希望の灯≠ェあっても真っ暗だ。足を入れれば吸い込まれる、そんな錯覚すら覚える程で】

【――その草むらに、一人、また一人と教会の騎士たちが文字通りに放り捨てられて≠「た】
【いずれも重厚な鎧やメイスを持ち、見るものが見ても一流と言えるような『神殿騎士』がまるで赤子の扱いだ】

【ではそんな所業をたやすく行うのは如何なる悪鬼羅刹だろう――ふと見れば、やはり人ではない】
【ローブの袖を破って露出させた両腕は灰とも紺とも付かない、強靭そうな肌の色が目に留まり】

【また、頭を見れば白いかぶりもの。角隠し≠ニいう、櫻の国で女性が婚姻時に付けるものだった】
【が、この相手は男性だ。しかしこの装備――腕の太さや、その先。手先指先の爪の鋭さを見て】
【加えてニヤリと笑った口元の歯列、それがズラリと並んだ刃物のように鋭いのを確認できれば――】


―――なんや、君ら弱いなァ!?団長さんに気ィ付けや′セわれたから
一体どんなバケモノ飼うてるのかと思ったら……カカシの方がまァだ役に立ちますわ
ハッ!それとも自分ら突っ込むしか能が無いんか?ほんならお笑いや……

あっしはゼン=カイマを護る者=c…その連中を率いる第二の頭…。
『石鬼・加賀屋善助』を知らんで攻撃しとるんなら、自分ら神の教えより
目ェと頭の使い方ァ……覚えたほうがエエんちゃうかなァ……?

そうやろ、キミ?ご大層な鎧着ても……その上から押しつぶせば意味、無いやんなァ?


【身長は、およそ180cmから190cm。加賀屋と名乗ったその男は、先ほど自分が叩きのめした一兵士に近寄ると】
【うめき声を上げる、その兜を片腕でひしゃげさせながら持ち上げて――ぶゥン!と放り投げる】

【恐るべき腕力だ。人を片腕で持ち上げ、握力で鎧を砕き歪め、遠目に見ていたなら分かるのだが】
【この男、体術も相当に出来ている。武装こそ無いが、紛うことなき鬼≠フ力を備えていた】
【彼――放り投げられた鎧の男性は、ガシャン!と大きな音を立てて家屋にぶつかり、崩れる木材の山に埋もれる】

【それを見届けた加賀屋は、再度周囲の薄暗闇に目を光らせる。かかってこいと言わんばかりだ】
【事実、幾つかの戦場でも彼の行動は極めて目立っていたから――誰かが駆けつけるのもそう遠くは有るまい】
【未だ散発的な事案。教会側が差し向けるのは自分たちの希少な配下ではなく―――。】

/こちらイベントの投下文です、皆様こちらにレスを頂ければっ!
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/26(土) 20:23:49.47 ID:3kEk89XBo
>>338

「――やれやれ、楽な仕事かと思ったら随分と面倒くさそうな奴がおるのだ」
「あのような馬鹿力相手では、雑兵をいくら投入しても無駄であろうな」


【ガシャン……!と、廃村にけたたましく響く金属音が鳴らされた】
【それは周囲にいる騎士達のような金属鎧に近い音であろうが】
【一層重厚に、地を砕くように踏み締められた其れは、音の主の存在感を強調する結果となるだろうか】

【もしそちらに目をやったならば、歩み寄ってくる異様な格好の男が視界に留まるだろう】

【その男……身長は190cm程であろうか、鎧の上から見ても分かるほど逞しい体格をしている】
【隆々とした身を砂色の板金鎧で包み、両手にはそれぞれ先端が太く膨らんだメイスを持ち、背には柄が長く巨大な戦鎚を括りつけていた】
【そこまでは常人でもありうる格好であろうが、一つだけ異様とも言える要素が存在した】
【肩から生えており漫画のフキダシを思わせる、淡く光を放つ"ボード"。その板上で黒い粒子が蠢き形を変えて】
【"一切声を発さない"この男の"台詞"を文字として表現していた】


「加賀屋とやら、貴様に別に恨みがあるわけではないがこれも仕事の一つなのでの」
「喜ぶがいい――今宵貴様をこのシーナ様の英雄譚の一頁に加えてやるのだ!」


【男――シーナは、足を前後に開き両手のメイスは】
【右手を前に突き出すように、左手は肩の上に担ぐようにして臨戦態勢を作る】
【重厚な見た目とはそぐわぬ、幼いともとれる自信に満ちた台詞】
【どこかチグハグでアンバランスな"戦士"が、加賀屋の前方に現れた】


【感知に長けていれば気づくこともあるだろうか?】
【シーナの足元からじわじわと魔翌力が地面に伝わり流れていく】

/シーナです、みなさんよろしくお願いします!
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/26(土) 20:34:56.16 ID:Zx1BHHYio
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/26(土) 20:48:38.92 ID:Ty18VVwlo
>>338 >>339

【――――がしゃがしゃという金属音が小さく、しかし素早く、雑然と生きる草むらの中を駆け抜けていく】
【地面に転がる騎士たちにもしまだ息があったのなら、粗暴ながらも悼むように彼らを見るひとりの女と目が合うこともあるかもしれない】
【希望の灯≠セなんてご大層な名前だからどんな場所かと思っていたら、希望だなんてとんだ嘘っぱちだった。走りながら女の脳裏に浮かぶのはそんな考え】
【女はそのまま寒村の中を走り抜け……騒ぎの中心にいる鬼≠フ姿を発見すれば、やや高揚した声色が男の方へ飛ぶのだろう】

ちょっと、そこのあんた。
随分ハデにやってるじゃない。あたしも混ぜてくんないかしら?

【背格好からして二十代程度。やや赤色の入った白髪に褐色の肌、ツリ目気味の双眸が特徴。それはそんな女であるだろうか】
【髪型は肩口までのセミロングだが、長い後ろ髪をたてがみのように跳ねさせた、かなり野性的なアレンジが加えられていて】
【同じく服装の方も、暗い赤色のチューブトップの上に、白色で丈の短いファー付きコートを羽織ったヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて大胆に生足をさらけ出した、何とも露出度の高いワイルドなものだ】
【耳には金のピアス、腰には上部に小さなリングがいくつも嵌まった鉄製の腰当て、両手にはバンテージと、装飾品から感じる印象はいかにも粗暴】
【ただ――――びしりと石鬼≠ヨ突きつける左腕のコート袖に刻まれたSCARLET≠フ紋章が、ゴロツキじみたその女の身分を克明に証明する】

……ま、イヤって言っても勝手に混ざるけどね。
あたしはミドナ、SCARLETのミドナよ。そっちは加賀屋だっけ? お互いそんだけ分かれば十分でしょ。 

【周囲に転がされた騎士達の存在によって、女の心には既に火がついていた。騎士達の仇を討つ、というような高尚な感情も全くない訳ではないが】
【これだけの数の騎士を鎧袖一触にする加賀屋善助という男の実力を燃料に、その心は燃えていた。女は軽く舌なめずりをして】
【なんとも強引な論法を並べて自己紹介をすると、野獣じみた凶暴な視線を加賀屋へ向けて一歩前に出る。加賀屋に害意があることは最早明白だった】

んじゃ、そっちのお二人さん! あたしは前に出るからよろしく!!
ふふふ、相手にとって不足ナシ――――ひっさびさに思う存分、暴れさせて貰うわっ!!

――――んじゃ、いっくわよおぉおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!

【女――――ミドナは、同じく加賀屋の前に立ちはだかる他の二人へ向けて大声を発し、前衛役を買って出ることを伝えると】
【体を半身に、引き絞られた弓のように助走の体勢を取る。同時……何かの能力だろうか、両腕が朱色の光のようなものに覆われるだろう】
【有り余る力と持て余してきた心の鬱憤をすべて両足に叩き込んで、女は派手に咆哮を上げ――――直後、全力で地面を蹴る!】
【そのまま加賀屋の至近距離まで近づくことが出来たなら、ミドナは右腕を振り被って加賀屋の顔面を殴り飛ばそうとするだろう!】

【朱色に輝く腕を見れば薄々察知できるだろうが、女の膂力は尋常ではない。能力の恩恵を受けた拳は岩にヒビを入れる程の破壊力がある】
【……とはいえ、まだ小手調べのような一撃だ。回避も容易であるし、加賀屋の並外れた腕力があれば防御も可能かもしれない】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/26(土) 20:51:13.67 ID:Ty18VVwlo
>>341
/書き忘れてましたがミドナです、皆様よろしくお願いします!
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/26(土) 20:54:05.82 ID:wSFUIyf0o
>>338 >>339 >>341

【―――がさ、がさ。草木を分ける音が夜の闇から響く。神聖騎士の援軍―――その到来を思わせる音かと思われたが、それにしては音が少ない】
【少ないというか、援軍なら複数人が集まって此方に来るのだから、草木を分ける音が何重にも重なって聞こえる筈だ。だが音から察するに、1人】

【近付くに連れて人の形が徐々に露わになっていく。最初にハッキリと見えたのは、緋色の鷹の紋章。―――神聖騎士ではないことと、そして彼の所属を示す証】
【やがて見えてくるは草木を鬱陶しそうに分け近付く男の姿。長袖の白シャツに灰色のジレ、そして群青のジーンズに青色のソフト帽】
【そしてようやく草の妨害から脱出すれば「ふぅ」と息を吐いて周りを見渡し―――この戦場で最も目立つ人物に紺碧の双眸を向けて、不敵に微笑んだ】

宗教関連は良く分かんねぇけどよ……神様ってのは暴力には目を瞑んのか?
―――正義の反対は別の正義なんて誰かが言ったモンだぜ……じゃ、俺も宗教チックに名乗らせて貰いますか。

どーも、不殺教のマーシャル・T・ロウ……ってね。争い事嫌いなんで帰って下さい……っても帰るわけ無いからコレ握ってんだけどさ。
―――……ちょっとだけさっきの会話聞こえたんだけどさ、目と頭の使い方だっけ?

【右手に握った赤の拳銃、その銃口でソフト帽の鍔を軽く押し上げ、左手の蒼の拳銃―――その銃口は加賀屋へと向く】
【マーシャル・T・ロウと名乗った男。言葉からどうやら不殺を信条としているようであるその男は、ぎょろりと目玉を動かし隅々まで状況を確認し、再度彼を睨んだ】

自分で言うが、目と頭に関しては結構自信有りでさ……テメェの為を思って言うけど、此処で帰った方が身のためだぜ?
―――なんか味方も居るようだし……ちょっと変なヤツと、同じ所属のヤツ。……つかアイツ、ヘイダルなのに普通に活動してるけど良いのか……?

【ぎょろりと見た中に、自分と同じく雇われたと思われる男が居た。加賀屋へと敵意を向けており神聖騎士では無さそうなら、恐らく味方だろう】
【淡く光を放つ"ボード"、そしてボートに描かれる台詞。少しだけ怪訝な表情でそちらをチラリと覗いて、苦笑いと浮かべたり】
【知っている顔を見たも束の間、軽く首を傾げるような動作をしたり。褐色の女性は自分と同じSCARLETであるが、この場にいることに少し疑問を感じていたのだが】

……ま、一応無駄だと解ってるけど聞いておく。 ―――俺達と闘うか、闘わずに帰るか。 出来れば後者が好ましいんだけど……ダメかな?

【来るなら此方も応戦する、というのがロウと名乗った男の体制。もし加賀屋が背中を向けたとしても、隙ありとばかりにトリガーを引くことは無い】
【不殺教―――と冗談交じりには言ったが、彼が不殺を貫いているのは事実だから。闘わないのが一番であり、故に今回攻めてくるゼン=カイマの敵として立っているのだ】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) :2014/04/26(土) 20:54:46.01 ID:wSFUIyf0o
>>343
/自分も書き忘れですが……ロウです、皆様よろしくお願いします!
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/26(土) 21:08:52.10 ID:dWQtuCai0
【自然公園――噴水のある広場】
【細い三日月が照らしこむ世界は少し前の時期と比べれば別世界のよう、ほだらかに暖かい風なんて吹き抜けて】
【花壇を見ればいっせいに花芽を伸ばしたパンジーやビオラ、カンパニュラの咲き乱れるカラフルさが溢れて】
【気のせいか噴水の水も薄桜色/黄緑色に染まっているよう――なんてところで、違和感があふれ出してくる】

うーん……、あ、こうかな……、……うん、

【ベンチの淵に座り込んでいる姿があった。噴水の側を向いて――広場の方に背中を向けて、ぺたんと正座で】
【ついと差し伸べるような手は時折指揮棒を振るうように動く、なんだか、水はそれに合わせ右往左往動いているように見え】
【感じ取れるものには分かるだろう、この場に満ちる水の気配を抱く魔力の濃さ。それが、その影を中心に溢れていることも、また――】

【真っ黒の髪を緩く三つ編みに結った少女だった。幾分アバウトに編んだ髪は、ところどころふわふわぴょんぴょんと自由に揺れて】
【黒色と赤色で艶めく一対二色の瞳は眼前の水の舞いを見つめるのに必死らしい、その水飛沫の先っぽまでも、視界の中に入れようとしていて】
【黒色のブラウスに黒色のジャンパースカート、おなかにおっきなベルトの飾りをつけたデザイン、裾にはパニエのフリルを零し】
【黒色のタイツから続く足先のブーツまでも同じ色、全部真っ黒色で統一して、それなら肌の白と右目の赤が余計に引き立つよう】
【ふらふらと揺らす左手の薬指には銀色の指輪が、髪の影から覗く右の耳元には宝玉をあしらったピアスが、それぞれ月明かりに煌いて】

ふぁ……、へっくちッ、!

【ふらふらと手の動きに合わせて躍る噴水の水、それをついーっと飴細工のように伸ばした、その瞬間】
【むずと鼻をくすぐった春の風、それが悪戯にくしゃみを誘発させて――びぐんと跳ねる背中、腕も空を掻くように揺れて】
【――となると。腕の動きと同期していたらしい水も大きく揺れるのだった、具体的には――大きな水の塊が、制御を外れて】
【まるで素っ頓狂な方向にすっ飛んでいく迷惑さ。やがて重量に従って、どこかに落ちるのだろうけれど――もしも誰かがそこに居たなら】
【直撃だってありえないことじゃない。傍に居れば水飛沫ぐらい浴びるかもしれないし、或いは、何らかの方法で防ぐことだって――】

【――とりあえず、その瞬間ぎゅっと目を閉じてしまった少女には現状が上手く把握できていない様子、誰に警告を送るでもなく】
【ぐしぐしと鼻の辺り、そのうち頬っぺたのほうまで擦っていたりして。噴水の水が真似するように動いているのが、ギャグのよう】
【もしも彼女のせいで濡れたなんてことがあれば、文句を言っても――誰も止めないし、許されるはずだった】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 21:21:39.98 ID:yp76USjko
>>339

――ンー?なんや、キミ……カッコばっかりの神殿騎士……?
いや、違うなァ。かといって面白大道芸人でも無いのはよう分かるわ
能力者=c――あえて形容するなら、キミはそれや

……そうは言うても、敵なんやなァ?ほな、殺すしかないんですわ
そういう命令≠受けてますさかい、うちの団長さんに、ねェ――!

【妙な相手だ――加賀屋はプレート・アーマーに身を包んだ男を見て、第一にそう思った】
【だが同時に面白い。人の身で、如何に大柄とはいえとてつもない重武装】
【脅威であるにせよないにせよ、その上での無声とフキダシ=\―。】

【にやり、と鬼の口元が歪む。単なる重装の騎士ではないと判断し、そして同時に】
【相手が魔術をも使う、内面と外面の一致しない強力な的であることも認識する】

【――彼は栄えある第三近衛騎士団の副団長だ。幸いにして魔術には知識と適正がある】
【それ故相手の足元を伝わる魔力を感知すると、即座に右拳を己の足元の地面に打ち付ける】
【すると僅かな地響きの後、まさにシーナの直下から数本の石柱が飛び出して】
【そのまま彼を鎧ごと叩き上げようとするだろう。まず間違いない――加賀屋の能力による攻撃だ―!】

>>341-342

――アハハッ!面白そうなんが来てくれたんやなぁ?
かまへんよ?ただし、この加賀屋にお相手願ういうんは……―ッ!

【丁度、タイミングとしてはシーナへの石柱攻撃の次あたり。新たに姿を表した粗暴そうな女性――】
【ミドナの事を視認して声を聞けば、楽しげに加賀屋は笑って返し】
【そのまま相手が突っ込んできたのなら、全く避ける仕草など見せもせず】

【バシィっ!≠ニいう強烈な衝突音を響かせながら、両手を重ねて渾身の右拳を受け止める―!】
【しかし、如何に鬼といえども限界がある。笑ってはいるが、明確に十数センチは後方へ押され】

【野太く筋肉質な腕もまた、攻撃を受けたことで僅かなしびれすら感じ――妙な汗が頬を伝う】
【人にして鬼に匹敵する力を持つ、女性。彼女もまた面白い、相手をするのはもはや義務だ】
【そんなようなことが加賀屋の脳内で完結し、ふと全身の筋肉を撓らせたなら】

【次に返すのは右足での蹴り上げ――ミドナから見れば左下方からの一撃だ】
【その威力はまさに岩をも砕き、人であれば胴を一発で完全に破壊するような凶悪なもの】
【それを無駄のない動きで仕込もうというのだから恐ろしい。容赦など微塵もないのだろう】
【攻撃後は、成功にしろ失敗にしろくるりと身を翻して数歩ばかり距離を取り――】

>>343-344

――なんや、なんやァ?今夜はSCARLET≠フ皆様がご大勢やなァ!?
『マーシャル・T・ロウ』……ようやく知っとる名前が出てきて安心したわ
もっとも知っとるだけやけど――相手にとって不足なし、いうんは分かる。

でも分かっとるんやろ?ならあっしは答えんよ、もう闘いは始まっとるんや
むしろ聞きたいくらい……アンタは何をしに来たんや≠チて……なァ?

【ミドナと僅かな距離を取って直ぐのこの態度。やはり、相当な自信があると見える】
【同時に引く気も無いのだろう。むしろこの暴れ方からすると、周囲の注意を集めたいようにも思えるが――】

【――さて、この段階でロウへの直接的な攻撃は無い。その分、彼はこの鬼を観察する余裕があるだろう】
【角隠しの装備、破れたローブ、強靭な肉体。――その肉体に、些か疑問点が顕露していた】

【先ほどミドナの攻撃を受けた両腕の前腕、そこに小さくはあったがヒビ≠ェ見えたのだ】
【出血はない。本当に、岩が衝撃を受けて歪んだようなヒビ――気付けたなら、幾つかの予想が出来るかもしれない】
【それが何とは言えないが、明確なヒント≠セ。流石に数秒もすると、加賀屋も動きを始め腕は見えなくなってしまい――】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 21:21:56.73 ID:yp76USjko
>>ALL

―――さァて!役者も揃った、舞台も揃ったッ!
この加賀屋の闘いぶりィ、君らの脳裏に存分に焼き付けたるわ…!
……ハ、ハッ…!勿論、神の御下へ行っても忘れられない位強烈に!!


    加賀屋謹製――『針地石=xの味をご堪能あれ、や――!!!


【言葉の直後、鬼は大地を踏みしめる。するとその僅かな陥没同時に家々の合間、暗がりの草むらで音がして】
【その数秒もしない後、何が潜むかもわからないソコから先端が鋭利に尖った石柱≠ェ飛び出して】

【それらはまるで意志を持つかのように、各三本ずつ三名の勇者へ――計9本もの石柱が迫っていく】
【もし回避せねば串刺しは不可避だろう――が、如何に暗がりからの奇襲とはいえ音≠ニいう前触れがあり】
【同時に石の攻撃は直線的で破壊も出来る。これもちょっとしたお遊びなのか――加賀屋は笑って、動かなかった】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/26(土) 21:48:19.71 ID:3kEk89XBo
>>346

「ほう――私を相手に"其れ"を使うとはな!よかろう……挑戦と受け取らせてもらうのだ!」


【シーナは直後に起こる現象を"察した"。それはこの男の術の特性が合致するが故のことだ】
【直下から発生しようとする無数の石柱に対して、シーナは魔術を発動し瞬時に移動。石柱群に空を切らせる】

【シーナの足元の地面に魔力を浸透、干渉し"分解"される】
【分解された素材は粒子状に変換され、周辺約30cm程度が砂地のように変化――前方に向かい河のように"流れ出した"】
【その効果は"移動"。足を動かすのではなく、地面を動かし自身を輸送する異様の術】
【人体の動きに囚われず高速移動を可能とする其れは、例えるならば「ホバー移動」であろうか?】

【範囲はシーナの周辺のみであり、移動するに従い範囲もシーナの位置に合わせて変化し続け】
【通り過ぎた地形は元の床に逆再生のように戻っていく】

【"砂"……地の理を識り操る特化魔術師】
【恐らく互いに取って相性が良いとも、互いに地を操る術があることを考えたならば悪いとも取れるであろうか】
【地術師シーナは砂を流しながら加賀屋に高速で接近を計る】


「ククク……児戯に等しいのだ!私を捉えたいならばその十倍は持ち出してくることだな!」 


【砂の河の軌道を湾曲させ、身体を流す】
【それによって奇襲する三本の石柱を見えているかのように回避することに成功した】
【否、"いるかのように"ではなく実際に知覚出来ているのだろう】
【魔術に対して知識のある加賀屋であれば、先の回避行動も含め察しが付くだろうか】

【しかし全てを読めるような万能な術では勿論ない。地の動き、予兆などを察せられるだけであり】
【対処できる現象にも限界がある。それを見極めたならば有効打に繋げられるだろうか】


【シーナは地面を流す人間離れした移動法で加賀屋に迫る】
【接近に成功したならば、前に突き出して構えている右手のメイスを以て】
【加賀屋の胸部を狙い刺突攻撃を仕掛けようとするだろう】


【鈍器であるが故に刺突といえど貫通力はない】
【しかし勢いがあり、一点を打ち破るように繰り出される其れは直撃すれば相応のダメージになるだろうか】
【一方打点をズラされることがあればそれだけで威力が激減する】


>>341>>343

「生憎だが、御主一人に任せておく気はないのでな!」
「私も前に出させてもらうのだ――せいぜい足を引っ張らんことだな!」


【ミドナの言葉に対してまれ口のような返事をする】
【排除しないということは邪険に扱う気はないようだが】
【シーナは言葉を取り繕うということがどうにも苦手であった】
【そんな傲慢ともとれる男の姿はいい印象には映らない可能性もあるだろうか】


「(向こうの者は……確か大会にも出ておったな)」
「(まーしゃるてーろー、噂で聞いたことはあるが、実物はどうかの?)」


【ロウに対しては向こうから面識はないが、こちらは顔や名前くらいは知っていたようだ】
【しかし現状シーナが何らかのアクションを起こす様子はない】
【状況によっては援護も出来るだろうが、今は個々に動くことになるだろうか】
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/26(土) 21:58:17.27 ID:xX/ED6f20
>>346>>347
【遠くまで見渡すことが出来ない闇、なれば。その存在は気配として感知出来たであろうか】
【正しく“聖”の其れであるのだけれど、人を守る――――と言うよりも、攻撃的な其れ】
【浄化の力、と表してしまった方が良いであろうか。悪しき存在なれば勿論。そうで無かったとしても、焼かれると思わせる程には強い】
【…………何て態々書かずとも、加賀屋ならば一度近くで感じた事のある気配であろうか】

【さて、加賀屋が石柱を放った数瞬後の事だろうか。僅かに聖が強くなったかと思えば、鬼に向けて放たれたのは二発の弾丸だ】
【暗闇の中でも正確に額を撃ち抜こうと放たれた其れはその者の戦闘力の高さを思わせる――――が】
【何か術が施された弾丸でも無い。更には副団長ともなれば避ける事だって難しい事でも無いであろうか】
【当たろうとも当たらずとも、その先の行動に変わりは無い】


「教会の死神、グリース・イムリンパルス遅れて登場…………ってね

ボクは櫻の国の妖怪に詳しくはないけどさ。…………ねえ、石屋。君が鬼だって事は忘れて無いよ?
前はメイドと君とで人数的にも不利だったけどさ。今日は他のみんなにも囲まれて大変だね
そのメイドだってあの調子じゃもう手助けにも来れないだろうから……
じゃ、寂しく君と団長サマの大好きな神様の所にいこっか。まぁ――――ボクと同じ様に殺しに殺した君達が其処に行けるか何て知らないけどさ」

【視界に収まる頃。見えたのは幾度かフレデリックの邪魔をしたその女】
【両手には銀に光る銃が握られており、女本人からは勿論の事その得物からだって聖の気配は放たれていた】
【――――数種類の武器に変化する事は以前の事で理解して居よう。兎にも角にも、味方では無く敵が一人増えたのは明確で在り】

【再度、もう一度放たれた弾丸。今度は心臓を狙ったが――――今は闇に紛れては居ない。狙う位置だって分かるのだから、先程よりも格段に避ける事も防ぐ事も容易くなっている筈で】

/グリース・イムリンパルス遅れながら参加させて頂きますっ!宜しくお願いしますですよー!
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/26(土) 22:08:03.66 ID:wSFUIyf0o
>>346

そりゃあ、不殺教なんだから不殺を広めに来たに決まってんだろ?
ま、広めるっつーより虐殺の限りを尽くす「不届き者」を捕える……ってカンジだけど―――……っち、来るか……!?

【観察する時間は確かにあった。目にも自信がある。だが視界は薄暗く、中々細部まで気付くのは困難であり、この時点ではまだその小さなヒビには気付けずにいた】
【草木が何かに擦れる音が大きく響けば、男は身構えて両銃のグリップに力を入れる。―――そして襲い掛かる石柱は3つ】

……―――行き成り3つも来るかよ、全くよォ〜〜〜ッ!!

【文句を言いながらも、右、左と続けて発砲。3つのうち2つを破壊し―――残り1つ。暗闇からの奇襲で僅かに反応は遅れるも、足が万全なら無理なく回避できる】
【つまり何が言いたいかというと、彼の足は万全ではないということ。右脚はかつて治らないとまで言われた傷があり、完治したものの筋力は未だ劣っている】
【ロウは右に躱そうとしたが、右足からの1歩目の反応がどうしても遅れてしまい―――左脇腹に赤い線が走った】

……っちィ……!! 都会の光が恋しいぜ……! 
―――でも見難いのはお互い様じゃねーのかッ!?

【加賀屋は頭に白いかぶりものをしていることもあり、比較的姿は分かりやすい。それを言うと自分も白いシャツなので分かりやすいのだが】
【兎に角ロウは脇腹に突如広がる痛みを唇を噛み締めて堪えれば、間髪入れずに弾丸を放つ。跳弾は使いにくい場所だ、直線的な弾丸を、見難い足元に向けて放つ】
【左銃から放たれた弾丸が、彼の右脛の部分に襲いかからんと唸る―――!!】

【弾丸を放てば、ロウは2,3歩距離を取ろうと下がるだろう。―――ミドナとは一度コンビネーションを取ったことがあるからこそ、今回は援護に回るという算段】
【彼女はどちらかと言うと接近戦を得意とするタイプであり加賀屋の意識も強くそちらに向くだろう。そこに銃弾を混ぜられれば一溜まりもない筈であり】
【此方を意識すればミドナ、そして彼女と同じく前に出たシーナ。2人を意識すれば暗闇を裂いてロウの弾丸が加賀屋を襲い、逆だと2人の攻撃を捌くのは至難の業だろうか】


>>348

【自分は全ての石柱を躱すことは出来なかったが、周りはどうかと一瞬視線を散らす。直線的とはいえ3発同時の処理は難しいかと、一抹の不安と共に】
【その中でシーナの回避方法は何とも個性的であり―――足を動かさずに躱す、という言葉では一見矛盾した事をこなしてみせたのだ】
【そしてそのように地形を操る―――ということは、ロウが苦手としている「跳弾の使いにくいフィールド」を帰ることが出来るのではないかと思いつき―――】

おい、そこの……シーナ、とか言ってたな!! なんかこう……銃弾でも壊れ無さそうな位の堅さのモン地面に作れねぇか!?

【思いつきと同時に直ぐ様叫ぶ。ロウの名前を知っていれば、跳弾使いということも分からないか―――との少しの期待を寄せて】
【兎に角知らなくとも、彼が言う事をシーナが出来たのならば、限定的ではあれ跳弾の使える環境が生まれる】
【暗闇で跳弾を使えるならば、厄介この上ない。銃声がした方向とは全く違う角度で襲い掛かる弾丸―――しかも暗闇で見えにくいと来れば、相当な邪魔者になるだろう】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/26(土) 22:12:54.53 ID:Ty18VVwlo
>>348

そっちはさっきシーナって言ってたっけ? ……アルの奴がなんか話してた気もするけど、まぁいいわ。
中々言ってくれるじゃない、そっちこそ足引っ張んないでよね!!

【もう一人の男の方にも同様に、背中越しに声を掛ける。先程耳にしたシーナという名前に少々聞き覚えもあったようだが……】
【少し前にシーナと共に戦ったあの眼鏡の青年ならいざ知らず、この女に彼の持つような義理堅さや誠実さは無いらしかった】
【掛けられる挑発的な言葉を受けてそれを思い出す前に考えを断ち切り、同じく挑戦的な言葉を返す。今のところは戦いしか頭にないらしい――――】

>>349

……ん、また誰か来た? よく分かんないけど、あたしはSCARLETのミドナよ!
敵対するなら来なさい、んで味方になるならあたしは前に出るから! そういうコトでよろしく!!

【新たに現れたグリースと名乗る女の声にも反応して、ミドナは三度声を張り上げる。わざわざ名乗り直したのは、律儀なのではなく自己顕示欲が強いだけだ】
【話しぶりからして加賀屋を敵と認識しているらしいが……敵になるならかかってこい、味方になるなら背中は任せる。ミドナが言うのはそんな言葉】
【敵だろうが味方だろうが関係ない、とでも言いたげだ。そこにはただ楽しそうな色合いと、豪放磊落な女の性格が現れていて】

>>350

…………って、誰かと思ったらロウじゃない。
いいのよ、あたしにはこう言うのが向いてんだから! 面倒ごとは全部アルの奴に任せてきたし!

【加賀屋の目前にいる手前振り返ることは出来ずとも、背後からした男の声には聞き覚えがあって。ミドナはまた大声でそれに応える】
【彼女の部隊の部隊長が逮捕されて二ヶ月、ミドナもその影響で指名手配されて散々な目に遭ったが……最近、ようやくそこから解放された】
【とはいえ、実際には中断していた仕事の引き継ぎやら各方面の対応やらで忙しいには忙しいのだが、この女は生憎頭が悪く】
【アル、というのは愛称だが、以前ロウと肩を並べて戦ったアルフレドという男のことだ。事後処理はすべて彼に放り投げてきたらしい】
【……久々に自由になって、派手に暴れたかった。ミドナがここに居るのは多分そういう単純な理由だったのだろう】


/続きます……
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/26(土) 22:13:38.24 ID:Ty18VVwlo
>>346 >>347

………っ、と! 中々やるじゃない、あんた!!
いけ好かないジジイ共の依頼で気乗りはしなかったけど、やっぱり受けて正解だったわ………!

【拳が真正面から受け止められて、ミドナはむしろ心底嬉しそうに唸った。金色の視線が加賀屋の顔面に叩き付けられる】
【拳を引き戻しつつ呟く言葉からするに――――ジジイ、というのは依頼元の教会側の人間たちのことなのだろう】
【こうして加賀屋達に敵対はしているものの、かといって彼女個人としては教会側の言葉も完全に信用している訳ではないようだった】
【この一連の騒動、どうにも単純な悪≠ニ正義≠フ構造ではない……頭が悪いこの女なりに、そのことを肌で感じていた】

ぐっ、これが鬼≠チて奴の力ってわけ…………上等じゃない!!

【左下方から迫ってくる蹴りに対し、今度はこちらがそれを受け止める番だった。ミドナが取ったのは加賀屋と全く同じ行動】
【朱色の両掌を重ね、右の蹴り足を真正面から受け止める。ずん、という重たい感触が腕を伝わり、殺しきれない衝撃がミドナを後退させた】
【だが、彼女の腕に怪我を負ったような様子はないだろうか。……力に関してはおおむね互角、といったところだろう】


はん、悪いけどあたし神サマなんて信じてないのよね。こっちもたーんと堪能しなさいっ!!

――――――――《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》!!


【その直後、ぞわりという直感と真下から響いてくる音とがミドナの脳内に警鐘を鳴らす。間を置かず迫ってくる石柱の切っ先――――】
【暗闇を見通すような能力はどうやら有していないらしい。方向の察知に少し手間取った結果、石柱が微かに脇腹を掠めて小さな裂傷を刻んでいくだろうか】
【そうして最初の一本を避けると、残りは両腕で真正面から受け止め、思い切りへし折ってしまう。ミドナはその断片をしかと握り込み】
【――――その口元がふと獰猛な笑顔を称え、次に闘志を帯びた大音声が上がった。聞き慣れない固有名詞は、自らの力の象徴!】

【女の両腕を覆っているのと同じ朱色の光が背中から発せられたかと思えば、それは刹那にして集約され形を成し】
【――――そうしてその背から伸び上がるのは、朱色のエネルギーで構成された四本の腕≠セ。自分の腕も合わせれば、腕の数は合計で六本】
【『腕を増やす』という、実に単純明快な能力。ゆらりと構える六本腕はさながら阿修羅の如く、そちらが鬼≠ネらこちらは鬼神≠ゥ――――】

どぉ――――――りゃあああああああああああッッ!!

【咆哮を上げ、ミドナはまず両手に持っていた石柱の断片を全力で加賀屋へ投擲。そして同時、その後を追うように加賀屋との距離を詰めようとするだろう】
【その両腕にあった鬼にも匹敵する膂力を忘れてはならない。石柱の断片は砲弾じみた威力を帯び、加賀屋の胴体めがけて飛翔する!】
【当たれば相当のダメージはあるが、軌道自体は単純。避けるのも防御するのもそう難しくはあるまい。これは所詮接近するまでの時間稼ぎだ】
【もし接近に成功した場合――――新たに増えた四本腕が唸りを上げ、加賀屋の両肩と両脇へ同時に拳を突き出すだろう!】

【もちろん、単なる殴打ではない。ミドナが両腕に纏っているのも朱色の光で、残り四本のエネルギーの腕も朱色の光で構成されている】
【……その全ての腕に、あの岩をも砕く膂力が備わっていると推測するのは容易いだろう。いくら鬼の体でも、四発全てが直撃すれば危険かもしれない】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 22:40:12.33 ID:yp76USjko
>>348>>349

【シーナの接近、それよりも早く加賀屋へ高速で迫っていくモノが一つ在った】
【それは鬼の額を貫く寸前で、当者が身を屈めたために物体を捉えず闇に消えるが――】

【それでも角隠し≠撃ちぬいて、落とした。顕になるのはその額】
【根本からバッサリと斬られ、尚も生々しく血の赤が滲む二本の鬼の角と】
【そして銀灰色の髪であった。目元も晴れて見え、ギラつく色が露わになり】

……困ったなァ、砂を使う妙な騎士さんのオマケが死神言うんは、ホンマに…!
いや……どっちもオマケ′セうんは失礼ですわ。改めましょ、今の言葉ァ…。
砂の騎士と教会の死神……どっちも全力で叩き潰すにふさわしい相手ですわ―!!

【接近するシーナとの距離、加賀屋はメイスが振りかかる直前で一歩自ら踏み込んだ】
【そして攻撃されるより早く己の左腕を繰り出せば、万全の威力ではないソレを先に受け止める】
【ピシッ≠ニいう音がする、が――加賀屋は笑んでいた。そして再度、足で足下の地面を踏みしめると――】

せや……そう、キミ……今言うたな、その十倍は持ってこい=\―って、なァ?
グリース――いや、姐さん。アンタにも味わってもらいたいんですわ
あっしのとっておき=\――三十倍、ですけどねェ?

     
      加賀屋謹製――…百石山=\ッ!!!


【――言葉の直後に、先ほど三本の石柱が現れたのとほぼ同じ要領で更に数が増え――】
【およそ、百柱≠ノも達するほどの鋼拳にも似た石柱群が出現し、シーナと更にその奥】
【グリースの位置する辺りまでの一帯を、下方から強烈に叩き上げようとするだろう】

【コレによってグリースの心臓を狙った一撃は僅かに逸れて胸の側面を傷つける】
【僅かに散るのは血液ではなく石片――石片―?その妙に気付けたなら、また戦略の立てようもあるはずだが――】

【ちなみにこの攻撃、発生は加賀屋の直近から徐々に、である。だからシーナは厳重な警戒が必要なのだが】
【グリースは回避さえ急げば難しいこともないだろうし、シーナも即座に離れればまだ回避の目はあった】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 22:40:21.97 ID:yp76USjko
>>350>>351-352

【加賀屋の角隠しが落ちた今、ロウから見て狙いは付けづらくなっただろうか】
【――いや、そうでもないはずだ。銀灰色の髪は希望の灯≠良く照り返して、むしろ目立つ】
【だが反撃の銃弾は届かない。これは全く不幸だったとしか言う他なく――理由は石柱群だ】

【ロウや、かろうじてミドナもそうだが――百石山≠フ攻撃範囲には入っていないものの】
【その防御能力は高く、グリースのものが掠める程度で終わったようにロウのものも一柱を砕くに終わる】

【一方で加賀屋はミドナに向かうと、その背後に出現した朱色のエネルギーを見て一層笑みを強くし】
【しかし臆すること無くパチン≠ニ指を鳴らす。すると、加賀屋の後方から再度石柱が出現し】
【それらは鬼を狙った石柱の破片を、伸長によってハンマーのように打ち砕く】

【――そしてこの新たな石柱群、脆くない。先ほどまでの物は成る程ただの石だ、砕くのも容易だろう】
【しかしだ。新たなものは光り、煌き、怪しい力を持っていた。背後に出現した数は――四ツ】
【ちょうどミドナの腕≠ニ同じ数。意趣返しに違いない、四ツ腕での攻撃が繰り出されたなら――】

――……金剛石♂]うんを知ってはります、ミドナはん?
キミらの間やとダイヤモンド=c…滅法固い宝『石』≠ナすわ
いうても衝撃には弱い。他の石に比べて見ればまだともかく……あァ、一回こっきりですなァ?

……でもねェ!一回耐えれば充分ですわ。同じ威力で迎撃が出来るのなら……別やけど

【そう、背後から出現した四本の石柱。透明感を帯びた輝きはまさしくダイヤモンドに違いない】
【価値にすれば如何程か――ソレを考えるより早く、迎撃に使われた其れは拳を受けて砕けてゆき】
【やがて先端が潰れてひび割れる。見た目をいうなら――バットの先にガラスの破片を埋め込んだような、凶器じみた外見か】

【加賀屋はその砕けた宝石の石柱群を、お返しとばかりにミドナの両肩両脇を狙って突き出させる】
【仮に直撃すれば物理的な衝突も勿論のこと、ささくれだった様な形状は斬撃も付与し】
【生身の拳で受けなどすれば皮膚がずたずたに裂ける事だろう。其れくらい、ダイヤは鋭く割れていた】


【――さてこの状況下、マーシャル・T・ロウができることは何もないのだろうか?】
【否だ。跳弾させるためのモノ――確かに石柱群では少々脆く、頼りがいがないものの】
【ではダイヤモンドではどうか?攻撃に使い、完全に意識が向いているダイヤを壁に見立てれば―?】

【何より、そう。加賀屋の意識は遠く未だダメージに繋がっていないロウよりも、近くのミドナに向いている】
【絶好の――奇襲≠フチャンス。ニヤリと嘲笑う銀灰の鬼は、両腕を組んで他の者達を見ているのだから】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/26(土) 23:09:05.20 ID:3kEk89XBo
>>350

「ふん、開口一番に頼み事とは随分と態度がでかい男だの!」
「だが今は非常時なので多少の無礼は見逃してやる、答えを言ってやろう――容易すぎてアクビが出るのだ!」


【態度がでかい、とシーナには言われたくないところであろうが】
【何はともあれロウの頼みには答える気があるようだ】

【周辺の地面に魔翌力を浸透させ干渉、加賀屋から約1〜2m程度離れた周囲に】
【時計のように円を描くような位置取りで、8つの小さな"石畳"が出現した】
【正確に言うならば、地面を岩石のように硬化させたのであり】
【サイズは半径20cm程度の小さなものだが、正確な射撃が可能ならば扱うことも出来るだろうか】

【しかし、加賀屋の背後にダイヤモンドの石柱も存在する為】
【シーナが出現させたからといって無理に使う必要もないだろう】
【状況によっては利用可能であるか?程度の認識が適切かもしれない】

>>353

「むっ……!これはまた随分と派手にやりおって!」


【単純な話だ、幾ら読めるといっても避け切れる範囲には限界がある】
【加賀屋を中心とした百の柱。しかも近接距離であるがゆえにまともに対処することとなる】
【シーナは敵の攻撃を察した瞬間、"何を犠牲にするか"を真っ先に選択した】

【シーナはまず自身の下から突き上げてくる柱を、背後に身体を流すことで回避するが】
【一帯を覆うほどの百の石柱、回避した先にもまた出現する】
【突き上げられる柱によって右腕が打ち据えられて、手に持ったメイスと共に千切れ飛び】
【衝撃によってその身体が大きく揺らがせながらも】


「調子に――乗るでないわ馬鹿者めがっ!」
「地術の美学というものを基礎からみっちり叩き込んでやるのだ!」


【ダン――ッとその場で地を踏みしめ大量の魔翌力が放出される】
【瞬間、加賀屋の左右前方三箇所の地表が砂のように分解され】
【それら剣のような形状に変じさせると、意趣返しの如く思い切り地面から突き出し加賀屋を突き刺そうとするだろう】

【狙いは左右はそれぞれ脇腹付近を、前方の剣は加賀屋の顔目掛けて鋭く突き出される】
【しかしこの内前方から伸びる顔を狙ったモノは、ある程度近づいた時点で"砂に戻り"】
【目を狙って粒子を拡散させようとするだろう。攻撃と見せかけた、目潰しによる妨害攻撃だ】


(しかし、あれは――私と似たようなものか?)
(いや、鬼……妖怪変化の類であれば身体が石でも不思議ではないのだがの)


【吹き飛ばされたシーナの右腕は、血液の代わりに石片をバラまいている加賀屋と似て】
【千切れた瞬間砂のようになって散っており、また、右腕のあった部分からも洩れているのは砂だ】
【その為、シーナは目の前の人物が"自分と同じような"傀儡人形である可能性を頭に過ぎらせた】

【シーナは消費魔翌力を上げ、地面を通した探査の精度を上げた】
【確証もないただの推察ではあるが、何かを見つけられるのではないかと】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/26(土) 23:12:24.30 ID:Ty18VVwlo
>>354

っ痛――――だ、ダイヤ!? そんなもんまで操れるっての…………!?

【硬い感触がミドナの四本腕に伝わって、表情が歪んだ。どうやらエネルギーで作られたこの四本の腕にも痛覚≠ヘあるようだ】
【攻撃が防がれたと察知したなら即座に後退。ゴチャゴチャと考えるのは苦手だが、こと戦いについてならば話は別だ】
【――――素手では不利。そう判断を下してミドナが六本の腕を腰当てへ動かすのと、金剛石の柱が迫ってくるのがほぼ同時だっただろうか】

こんの…………っ!! お返しって訳!?

【ギャリリ、という金属音が響く。六本腕のうち四本がそれぞれ腰当てのリングに指をかけて引き抜き、ミドナは敢えて一歩前進――――】
【先程加賀屋を殴ろうとした四本に短刀≠ェ補充され、柱を受けながら体を捻る。正面から止めるのは避けて受け流すことに徹した動きだ】
【……だが、流石に硬い。ミドナは小さく舌打ちする。彼女自身に傷はないものの、どうやら粗製乱造の短刀ではその硬度に耐えきれなかったようで】
【石柱を受けた四本中二本が、歪にねじ曲がったり刃が潰れたりして使い物にならなくなってしまったのがわかるだろう】

――――うらぁッ!!

【次にミドナは―――― 一瞬だけロウの方へ目線をやった後、加賀屋へ向けて猛然と突進。そして同時、使えなくなった二本の短刀を放擲する】
【狙いはまたも加賀屋の両肩……行動はつい先程とほぼ変わらない。いや、短刀は石柱のように重くもないので威力は当然低く、むしろ先程より低次元の攻撃だ】
【回避も防御もずっと容易。だがひとつ違うのは、朱色の光を纏うミドナ自身の両腕に拳銃≠ェ握られていることだ!】
【近寄ると見せかけて、ミドナは加賀屋へ肉薄する直前に急停止するだろうか。そして加賀屋の両太腿へ向け、両手の二丁拳銃の引き金を引く!!】

【直撃すれば――――そして加賀屋の体が人間と変わらないのなら、その両脚へ手傷を負わせて機動力を落とすことができるだろうが】
【この攻撃、どちらかと言えばロウへの支援という意味が強い。こちらで派手に銃声≠鳴らすことで、本命であるロウの攻撃を目立たなくしようという狙いだ】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/26(土) 23:19:27.27 ID:xX/ED6f20
>>351

「SCARLET?…………んー……あ。ステンが居る場所、だったかな?
ま、いいや。あっちの人とは別な教会所属のグリース。よろしくねー
今回は君達の味方だから――――うん。君を後ろから刺すなんて事も無いだろうから安心してよ」

【聞き覚えのある組織の名。ふと考えてみれば――――そうか。知り合いの所属していた組織の名だったか】
【そして連鎖的にその組織が作られた意味合いも思い出す。なれば、今宵女性は敵では無いのだろうと認識して】
【クスリ、と緩い笑みを浮かべながら返すのはこの緊迫した場面には合わないかも知れないけれど】


「…………でもね。君の後ろから撃ってるだけじゃ、ボクも欠伸が出るんだ
何より……彼と彼の上司サマには、ボクも自分の手でどーにかしたい位怒ってるんだよ」

【修道着を纏っていながら躊躇無く人を傷付ける事が出来るその人物は異常だ】
【――――ね? 小首を傾げれば、笑みのままに紡ぐ言葉だって何処か不気味で】



>>353

「もう一度改めよっか。叩き潰すのに相応しいじゃ無くて――――命乞いするのに相応しい相手、じゃないかな
…………しかし、ねぇ。たった一人でこれだけの人数を相手にするなんて流石副団長サマだね
でも、団長サマだろうが副団長サマだろうがボクの上司でも何でも無い。――――だから、遠慮も要らないよね?」

【確かに弾丸は掠めた筈だ。だが、何故血液が出ない?表皮を掠めるだけに留まったか――――?】
【否。確かに見えたのは石片だ。彼の行った百石山≠フ副産物でも無い様。ならば、一体何で在ろう】
【ヴァルゴを起動する事となったあの日、彼の能力の一部を見た。実際にその能力で手枷を付けられもした】
【――――石、であったか。代々伝わる石屋、であったか。彼自身が石であるのか、其れとも石の鎧染みた物でも纏っているのかは分からないが】


「生憎だけど。君のを一つ一つ味わってあげる程ボクも暇じゃ無いからね
所でさ。石屋っていうのは…………砕けた石をどうやって直すのかな?」

【考えた所で答えが出るわけでは無い。ならば、直接確かめるまで】
【こちらへと迫る石柱を然りと捉えて居るにも関わらず――――選択したのは、回避では無くその場で腰を低くする事】
【諦めた訳でも無かろう。ならば何故態々そんな危険な真似をするのか?】

【石柱が到達したと同時。勢い良くたたき上げようとした時と同じタイミング。その力を利用すれば、遙か上空まで跳躍して】
【無論、女の身体一つでは全ての衝撃をいなせる訳が無いのだ。下肢には痺れと鈍痛が生じるが、気にする暇は無い】
【取り敢えずは目的の一つ目。次に双銃を一振りの剣へと変えたならば、そのまま自由落下】

【――――先ずは仮定の一つを消す為の行動だ。彼に強い一太刀を入れ、その身体自体を調べる】
【自分の力だけではきっと容易に止められてしまうから。だから、落下の力も加えてしまえば…………幾ら女の其れとは言え、衝撃だって相当な物となろう】
【どちらにせよ止められてしまえば意味も無い行動。だが、もしも身体に――――狙った右の肩を叩ききる事が出来たならば。血では無く、再び石が飛び散ったのなら】
【集った者達との時間を置いた一太刀。休む暇すら与えない様に、と】


「いっ――…………せーのッ!!!」

【空気を裂く音すら、数瞬遅らせる速度。元より警戒していたならば避ける事は難しくは無いであろうけれど】
【鬼の懐に潜り込もうとするなんて危険な事。だけれど――――もし成功すれば、得られる情報だってきっと多いか】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/26(土) 23:23:16.53 ID:wSFUIyf0o
>>349>>351>>354>>356

こんなに大勢敵に回すなんてよォ、神様に見放されたんじゃねーか?
しかも近距離2人、遠距離が俺とそこのボクっ娘で2人とバランスも良いと来た……RPGならこのままクリア出来るパーティだぜッ!?

【更なる援軍に白い歯を見せれば、加賀屋に挑発的な言葉を投げかけて煽る。脇腹の痛みに耐えてまで余裕を演出するという、ロウ特有のバトルスタイル】
【薄暗い視界の中で、4人を相手にする―――相当眼を酷使していることだろう。更に酷使してもらうために、ミドナやシーナには目一杯暴れて欲しい】
【否、ミドナは言わずとも思いっきり暴れてくれるだろう。彼女自身が向いてる、と言ったように―――兎に角派手に6本腕を振り回す……となってくれればありがたい】

【ロウのミドナの6本腕が躍動するが、それでも加賀屋には届かない。自分が放った銃弾も簡単に弾かれたように、石を操る加賀屋の防御は堅い】
【それでも、散った金剛石の輝きが、ロウの頭に閃きを与えた。―――微かに溢れる笑みを、この薄暗い視界の中で捉えることは至難の業だろう】
【だが彼は確かに笑った。そして人差し指に力が篭められた。放たれた左からの弾丸その先は地面―――薄暗い中で煌めく、金剛石の欠片に向かう】

―――……どうやら神様は俺の味方らしいな―――!!

【あえて難しい床に散らばる金剛石を狙ったのは、訳がある。撃ち抜かれた感触だけで、その弾丸の材質というものは理解し難い】
【―――加賀屋はロウを知っている。ならば彼が跳弾使いという事も知っているだろう。そして床が地面では、跳弾が使えないことも把握しているかも知れない】
【その中で、通常跳弾でなければありえない軌道―――下から伸び上がるような弾道を放てば、相手を困惑させる可能性もあると考えたのだ】
【左脇腹の痛みに歯軋りしながら、微かな煌きを目印に飛ぶ弾丸。狙いはビリヤードの如く金剛石を跳ね上げ、再度足元―――右すねを狙うというものだ】
【ミドナの銃声のサポートを受け、弾丸はイメージ通りの完璧な角度で命中し、跳ね上がった金剛石は右脛に寸分の狂いもなく向かう―――!!】

【そして当たっても当たらずとも、銃声がしたのだから此方に意識が多少なり向く―――と予測して、先程から考えていた1手を見せんと右銃も唸った】
【兎に角、兎に角加賀屋の眼を疲れさせて欲しい。―――先程からのその一心の理由は、右の握られた紅い銃にある。物を燃やす弾丸を放つ力を持った、その銃】
【その事とこのフィールド、そして眼にどのような関係があるのか―――その謎が今、此処で露わになる。右銃から唸る弾丸は赤く輝き、闇を裂き飛来する】
【狙いは地面、しかも加賀屋の前方、3m程。そこに着弾したならば、弾丸は―――!!】

―――炎柱ショット<bッ!!

【弾丸は大きな火柱へと変化する。決して加賀屋の身を焼こうとする炎じゃない。だが暗闇に慣れ、酷使した瞳に急激な光―――此方を見ていたのなら、負担は大きいか】
【あくまでロウはサポート。この光は妨害と援護両方の役目を果たす。この火柱は3秒ほどで消えるが、間近で見た加賀屋以外には周りを照らし視界を一瞬広げる手段】
【そしてロウ自身にもその光は大きな恩恵になる。視界が広がり、シーナが出してくれた石畳の位置を完璧に把握し、瞬時に無数の跳弾軌道(ルート)を想定したのだから】

―――シーナサンキュー愛してるッ!! 待ってろ後で活用しまくってやるぜッッ!!

【大声で感謝を叫び、両手を突き出して構えた。炎柱が消えた瞬間から、此方の一転攻勢が始まると言わんばかりの笑みを浮かべていた】
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 23:54:18.92 ID:yp76USjko
>>355

【シーナの右腕が飛ぶ。それを見た加賀屋はにやりとしたが】
【直ぐに怪訝なものに変わったのは、当然その腕が砂と化して消し飛んだからだ】
【つまり――成る程、と。再度笑みが浮かんだけれども、少し意味合いが違っていて】

【その間にも反撃はある。三方からの砂の剣が己を貫こうと迫るのだ】
【しかし、剣は加賀屋に触れるとギギッ!≠ニいう音を立てて彼の表皮を滑り】
【その剣筋を綺麗に残すが血は出ない。まるで石を切りつけた様な反応で】


    …………………――、…………――…………、……。


【――もし探査をしっかりと行ったのなら、シーナはある反応を探り出せるだろう】
【彼らの足下、地面のした。そこに5mほどの大きな生命体反応があり――人に近い形をしているのを】

>>356

【――まず、ミドナの攻撃の前にシーナのソレが在ったことを記さねばならない】
【それというのも目潰しだ。加賀屋は両腕に剣の傷を負ったものの尚健在、最後の一つも振り払おうとしたが】
【砂と化したそれによって目論見通りに目を塞がれた。この事を前提として――】

【第一にミドナが放った短剣だが、これは加賀屋の両肩に傷を付けるだけで終わってしまった】
【剣ですら表皮に切り傷を付けるだけで精一杯なのだ。事実上、弾かれたと言って良い】

【更に拳銃を握って再度の接近を計ったならば――この頃にはようやく加賀屋も視界を取り戻し】
【近付いてきたミドナに、両手の鋭い爪を使って斬り掛かろうとするだろう。そのリーチは意外に長く】
【十指の先についた爪はそれぞれが短刀にも似た鋭さを持つ。が、攻撃の成否は問わず足を狙うのは予想外だったのだろう】

【強烈な銃声が響いて直後に両の腿を見たのなら、弾丸が食い込みひび割れた足が見えるだろう】
【確かに機動力は落ちるに違いない。だが距離は詰まっている――更に攻撃を加えようとするが――!】

>>357

【ドズ、ッ!=\―鈍い音が周囲に響く。グリースの体重、落下、様々な余勢を加えた一撃は】
【先程から負担を強いられてきた加賀屋の腕、肩――そのヒビに突き刺さり、やがては】
【ぐらぁ―と揺らいだかと思えば、その右肩から先が地面に落ちた】

【断面から分かることは、その肉体がほぼ完全に石≠ナ出来ているということくらいだろうか】
【断層のように色の違いこそあれ全て岩石だ。心臓の存在さえも怪しい作り】

【しかし、中々観察は許して貰えないらしい。腕が落ちても尚、加賀屋は容易に動いてみせる】
【懐にグリースが入って―例えば傷の様子だの、硬度だの、破片の採取だのも出来るだろうが】
【彼女を狙って加賀屋が繰り出すのは、背後に控えている捻くれた金剛石の一撃だ】

【触れれば内蔵を抉るような衝撃と、肉をボロ雑巾のように千切り飛ばす凶器の攻撃――】
【早々に避けねばマズい。しかし加賀屋の憔悴とダメージは確かなものとなりつつあり】

>>358

『―――馬鹿を言うなよマーシャル・T・ロウ。神がいつ加賀屋善助を見放した?
 その証拠はあるのかね。いや……無かろう?逆に問うが……神がいつ貴様の味方をした?

 ……ふン、証拠はどうだと反問するか?ならば貴様の行動がそれを示すだろう
 加賀屋善助の脛を穿ったこと……後悔するぞ。特に必殺の一撃を打ち込んだことは、な……
 奴の祖先を辿れば怪力無双の僧に行き着くともいう……その弱点こそまさに、しかし――。』

【声があった。鬼のそれとは似ても似つかない落ち着き払った男性の声だった】
【振り向けばはるかに遠く、百石山≠フ残った柱の上に彼は居た】
【艶やかな黒髪、180cmほどの背丈、純白のローブに背負った豪槍――誰か、分かるだろうか】

【――加賀屋の脛を狙った弾丸は、確かにそこを捉えた。ミドナの作戦が功を奏し】
【更にグリースの一撃が明確な隙を作った。その結果の一撃は――大きなヒビ≠生み出して】
【やがてそれは大腿に付けられた銃痕と繋がり、更に広がって胸元のものと合流し、腕の傷とつながれば】
【一挙にその全身がヒビ割れて、大きな声が崩落の音のように木霊して――加賀屋善助という像≠ェ崩れ去り――。】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/26(土) 23:54:51.41 ID:yp76USjko
>>ALL

――く、アハハハッ…!やるやないか人間のクセに!なァ!ねェ!そうでしょォ団長さん!?
 アンタ以来や、あっしがこの姿を晒すンは…――人間相手にッ…!!
 
 あっしら加賀屋の一族は代々石屋……石ィいうんは、転がっているものを細工するんやない
 もともとは岩盤ごと削りだして、そのまま遺跡や鳥居なんかを仕上げるモノ……
 人間と同じ姿でやるのはもっと後の事や……生き物としての本能は、そうやない。

 ……小さすぎるいう事やなァ、人間いうのは。そうは思わんかなァ
 思わん、て……?櫻の国やったら……『大は小を兼ねる』云うんですけど、ねェ――?

【――加賀屋という鬼の像が砕けた直後、言葉の木霊と同時に足下の地面が盛り上がる】
【まるで爆発が起きるかのような大地の鼓動は、即座にその場から離れなければ】
【そのまま上方へと吹っ飛ばされる恐れがあるほどで――遠くに居れば、土煙の中に見えるのは】

【異形≠ニ、そう表すのが早いだろうか。地獄絵図に登場する、腹が膨らみ背の曲がった餓鬼】
【それをベースとして、両腕には黒曜石の刃を備え、耳たぶはだらりと地を撫でるほどに伸びきって】
【無数の宝石をその余った肉にピアスのように身につけた、彼の顔は宛らしゃれこうべ】

【落ち窪んだ眼孔には瞳の色だけが煌々と光り、口元を見れば牙はまるでサメのもののようだった】
【屈んでいても3m――立てば5mはあるだろう。巨躯の原型≠ェ、そこには居て】

【やがてその原型、加賀屋という鬼は――両手の内に『十字架』を作り出す】
【ただしサイズが墓碑のそれと変わらない、つまり何十kg――100kgを越える様な代物であり】

【彼はそれを、まるで小石でも放るように易易と持つと、凄まじい音を立てて振りかぶり】
【まるで大砲でも撃つかのように、一人につき一つ、思い切り投げつけ始めるのである】
【直撃すればそれこそ墓碑≠ノは充分だ。避けても地面に打つかれば砕けた破片がその身を襲う】

【――では、何処に逃げればイイのか?それは――此処がどういう土地なのかを思い出せば良い】
【湿地、腰ほどの高さの草原。避け方は多種多様で、また加賀屋も少々狙いは乱雑だった】
【それというのもロウの作った炎柱のせいだ。目が眩んで狙いがブレてしまっているようだった】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/27(日) 00:28:16.77 ID:BoiR2VSEo
>>358

「そういう言葉はもう少し手順を踏んでからすることだの!」
「全く、"でりかしー"のない男は好かんのだ!」


【ロウの言葉に対して、シーナはそんな台詞を記して返す】
【見た目は板金鎧を纏った屈強な大男なのだが】
【台詞だけをみればまるで幼い少女でも相手にしているように感じるかもしれない】
【奇妙な会話方法といい、シーナは色々とチグハグな人物であった】


>>359-360

(これは、やはりそういう事であったか!)
(しかし……想像以上に――)


【――巨大。その点に於いては己と対照的ともいえる存在だ】
【それは目の前の"人形"とは比べ物にならない程の存在感を放つ物体】
【これが本体だというのならば、どれだけの驚異になるか】
【加賀屋が正体を現す前から、シーナは一人気を引きしめた】


「――やはり、そう来るか!ふん、先の傀儡よりも余程鬼らしい姿になったではないか!」
「ククク……退屈な捕物よりも鬼退治の方が、私の物語は数段盛り上がるというものなのだ!」


【下からせり上がってくる加賀屋の本体、それを察知していたシーナは即座に後退し】
【直後発生した爆発のような大地の鳴動を、腰を屈め左腕で顔を隠すような姿勢で耐え忍ぶ】
【事前に離れても元々が至近距離だ、ある程度の影響を受け衝撃が鎧を叩くが】
【多少怯む程度で、余波自体がダメージに繋がる事はなかった】

【そして姿を現した餓鬼の如き異形、シーナはそれを目にしても恐るどころか】
【一層奮い立ったかのような台詞を綴ると】


「そんな見え見えの攻撃で私を捉えられると思っておるならば、随分と舐められたものだの!」
「逃げずに出てきた度胸は買ってやるが、愚策であったとすぐに後悔させてやるのだ!」


【超質量の墓碑……直撃すれば板金鎧で守られたシーナとはいえ粉砕されるだろう】
【しかし狙いは甘く、前動作が判りやすいならば対処のしようはある】
【十字架を放り投げられた瞬間、砂の河を弧を描くような軌道に変化させ、大きく回り込むような形で十字架を回避した】

【着弾した際に幾つかの破片が鎧を叩き】
【胸の付近に強く当たったのか凹みが出来耐久力が減少するも、これくらいならばまだ行動に支障はない】
【シーナは足元の砂を一層強く流し加速、加賀屋との距離を詰めながら】
【鎧の肩甲骨付近に魔力を集中――現象を発生させた】


【シーナは左手のメイスを振りかぶるようにして構え】
【加速の勢いを載せながら叩き込――むのではなく、メイスを顔面目掛けて思い切り投擲しようとする】
【その瞬間にシーナの背中、肩付近の鎧が粒子状に分解され】
【"中の砂"と合わせて二本の太い、新しい腕が形成される】

【肩から生えた二本の砂の腕は、背中に担いでいた戦鎚を掴んで引き出すと】
【思い切り踏み込んで、勢いと力任せに加賀屋の腹部を強打しようとするだろう】

【移動する軌道は、加賀屋からみて左方を通り抜けようとするもので】
【通り抜けざまに横薙ぎに振るい叩き込むような動きになる】

【もし攻撃が成功したならば、シーナはそのまま加賀屋の横を通り後ろにまで流れていくことになるだろうか】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/27(日) 00:34:05.88 ID:DUm6EaIYo
>>359 >>360 >>361

づっ――――!
………はん、あんたら意外とやるじゃないっ!!

【シーナの目潰しのお陰もあって、ミドナの攻撃は無事成功。同時、迫ってくる加賀屋の両腕を残る二本の短刀で受け止める】
【長大なリーチ故に爪が短刀を回り込んで微かに腕に突き刺さるが、腕が使えなくなる程の傷ではなく――――】
【直後、グリースの一閃とロウの精密射撃による攻撃が加賀屋へ襲い掛かった。即席の四名ではあるが、ここには確かに強者が集まっているようだ】
【その事を実感して全員に賞賛の声を掛けると、ミドナはバックステップで大きく距離を取る。……右腕の石≠フ断面に強い違和感を覚えつつ】


………なぁるほどねぇ。マジモンの鬼だった、ってわけ。
いいわ、上等じゃないの――――鬼だかなんだか知んないけど、その無駄にデカい鼻っ面、思いっ切りブッ飛ばしてやるわ!!
それとそっちの騎士団長サマ、あんたもやるってんならまとめて相手になるわ、よ――――っ!!

【その違和感の正体が、巨躯の異形の登場という形で明らかになっても――――ミドナは一歩も引かずにそれを笑い飛ばしてみせる】
【何せこちらはもっと巨大なライオン≠ニやり合ったことだってあるのだ。今更引くほど肝が小さくもないし、むしろ面白くなってきたと心を躍らせ】
【――――阿修羅とは、いわゆる戦神≠フ一柱。その威容に酷似した力を持つこの女もまた、敵が強ければ強いほどに心を滾らせる質らしい】
【拳銃を腰当てに仕舞い込んで、新たに二本の短刀を補充。ゆらりと六本腕をうねらせて、『十字架』が投げ込まれる瞬間に体を左へ傾け――――】
【……だん、と地面が強く蹴られ、ミドナの体が矢のように躍動する。彼女の能力が及ぶのは腕のみ、この素早い走力は彼女自身の地力に他ならない!】

くっ――――ちょっと、借りるわよ………!!

【右側で十字架が弾け飛び、破片が飛び散った。だがそこは多腕能力の面目躍如というべきか、四つの短刀による四刀流≠ェ破片を次々に弾いていく】
【だが全ては避けきれず、脇腹に一発掠めてミドナの体が揺らいだ。そのまま体勢を崩して転倒し……ふと、小さく呟いて】
【ミドナはすぐさま体勢を立て直して走り出し、転倒の瞬間に見えたモノを自身の両腕を使ってすれ違いざまに掠め取っていくだろうか】
【……ごどん、という重たい音が地面を打つ。そこに転がっていたのは加賀屋にやられた騎士達で、ミドナが手にしたのは彼らが所持していたメイス≠セ!】
【それも、補充したのは二本。重騎士でも一本だけのそれを腕力任せに二つ持ち上げて、ミドナはシーナと逆側、加賀屋から見て右側から迫り】

でぇりゃぁぁああああああああああああッッ!!

【接近に成功すれば、ぶぉん、という重低音が風と共に飛翔。シーナと同時攻撃になるようタイミングを合わせ、二本の鈍器が加賀屋へ襲い掛かる――――!】
【まず右腕のメイスが左足の膝を。次に左腕が腹部を。それぞれが骨と内蔵を打ち据えんと連続して叩き込まれるだろうか】
【元々のメイスの重みにミドナの膂力が重なって、この攻撃の威力は岩程度であれば軽く粉砕してしまう程に高まっていることだろう】
【もはや短刀では歯が立たないと判断してわざわざ武器を持ち替えたのだ。いくら加賀屋が餓鬼≠フ本性を晒そうと、当たれば相当のダメージになる筈――――】
【不安があるとすれば、どうしても大振りになってしまうので攻撃後の隙が大きいという点だが……四刀流の短刀が、まだ背後に待機している】
【そちらを全て防御に回し、メイスで攻撃していく――――ミドナは全員の壁役として、異形と化した加賀屋相手に真正面から打ち合い≠挑む気らしい】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/27(日) 00:37:41.63 ID:K1U0yLnY0
>>359>>360
【初めて人を斬ってから今まで、果たして何度同じ感触を味わったのか分からないが】
【――――“コレ”は違う。骨を断った音でも感触でも無い。もっと堅い物に叩き付けた時の其れ】
【ジンと指先から肩まで痺れが伝わるが…………先ず見えたのは腕】
【腕……?確かに形こそは腕で在るが、実際は全く以て別な物にさえ思える。ただ、拾ってどうにかする何て時間も無く】


「ああ、もう…………!!これだから人間以外の相手は嫌なんだよね…………!!」

【どうするか。与えられた判断時間は一秒もない】
【これまで幾つもの死線を潜り抜けた身体が反射的に選んだ答えは剣を盾とする事だ】
【――――当然、それだけで防ぎきる事が出来るとは考えて居ない。ただ、つの剣に伝わった衝撃を回避の為の力とする故に】
【無傷での回避は選択から消した。結果としては、僅かに肉を削られながらも吹き飛ばされるという形に至って】


【――――今となっては吹き飛ばされた事が幸いか。原形の出現に巻き込まれる事こそなかった……が】
【身体を打った衝撃は早々抜ける物でも無い。ふと顔を上げればその通りの姿があって】
【追撃がこない内にとギリリと食いしばって立ち上がる。アレだけの大きさなれば生半可な攻撃は通らないで在ろうから】


「ふん――――随分と汚い姿になっちゃって
……ボクは人間じゃあ無いけどね。だらしないお腹の癖に嫌味だとしたら上出来だよ
それにねぇ…………何でも大きければ良いって物でも無いんだよ
ただ大きいだけの君には、その辺りの繊細さなんて分からないだろうけど――――さっ!!」

【今の状態はどうだ。骨は無事。断裂も無し。打ち身は在れど――――まだ、動かせる】
【良し。まだ、まだ大丈夫だ。だが…………アレに打ち付けられてしまえば、全く以て大丈夫では無い】
【先ずは回避。あの十字架に潰されてしまえば其れで終わってしまう事は明白だから】


「ったく、無駄に大きかったり馬鹿力だったり――――!!相手をするボク達の身にもなってよね……っと!」

【どんな凶悪な凶器でも正確な投擲で無いだけまだ良い。草原の中へと行けば、その十字架だって外させる事が出来よう】
【破片だって、全てとは言わずともある程度は草が遮ってくれるはずだから――――幾つかにその身を裂かれようとも、その場で待ち】
【その間に辺りを見るのは自身の武器があるか否かだ。武器と言えども、手にしている得物では無く…………“水”】
【時を経れば岩の形をも変え、溶かしてしまう。尤も古来から存在する一つ】
【在るならば、其れを操って幾つかの打開策も増えよう。無いならば――――仲間達に続き、己の手で攻撃するまでだ】

【――――今は、“目玉”を一つ潰す。元々視界の悪いこの場。更に瞳が一つだけとなれば、仲間達の攻撃も通りやすくなるか】
【何よりも、死角が増える。一撃で叩き伏せる事が出来ない相手ならば、小さく積み上げて崩すまで】
【右の目を狙った弾丸。加えて、其れはテナーに寄生していた彼の虫を用いて作り出した弾丸だ】
【魔力を奪うことに特化した其れ。相手は鬼だから、効果の程は分からないが――――単純に眼球という柔らかで神経の集った場所。もし、打ち抜ければどうなるか】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/27(日) 00:39:38.37 ID:IzsdiJ9ao
>>361

【チラリとシーナの方を見れば、予想にもしなかった返答で軽くむせた。190cmの大柄な男が何言ってんだ、と言わんばかりに直ぐ様返答を返す】

本気にすんなよ……なんだテメェホモかよぉ!?
手順踏むとかの問題じゃなくないっすかシーナさんよ……!!

【最初から薄々気付いていたが、シーナと言う人物は能力も性格も中々に個性的なのかも知れない】
【本当にホモならもう関わるのを止めよう、などと片隅で思いつつ銃口は加賀屋に向けたままで備えた。その後だ。別の方向から知らない声が突如響いたのは】


>>359‐360

【―――ゾクリ、とするものがあった。身体が勝手に声の方へと向き身構えた。本能が知っている。彼も相当危険だ―――と】
【加賀屋が放つ威圧感も相当であり、肌にその圧力を感じながらも挑発を重ねていたのだが、ローブの男の圧力もまた、空気をがらりと変える程の物を誇っていて】

……―――見なかったのかよ、アンタ。援軍も来て4対1……跳弾の使えない状況で、俺は加賀屋の能力を利用した。利用できる環境が偶然舞い降りた。
更にシーナのサポートも俺の能力と噛み合っていると来れば……ツキがこっちに来たと思うのも当然だろ……。
ある程度予想は付いてるが……―――テメェは誰だッッッ!! 名乗れこの野郎ッッッ!!

【実際に瞳で捉えれば、より肌にピリピリと伝わるプレッシャー。ロウが声を荒らげて名前を問う姿だけでも、脅威に思っているということが手に取るように分かるだろうか】
【―――その背後で、崩落の音色が響いた。加賀屋の笑い声と同時に、ロウは振り返る。そして知る―――神は決して、己に味方をしていたわけでは無かったと】

……―――〜〜〜〜〜ッッッ!? てめぇ……さっきの発言はそういうことかよ……!!
(しかも大地が盛り上がったせいで跳弾軌道(ルート)も考え直しってオイオイ……)

【―――生まれる異形は、最早人の形をしていない。自分を含めた4人をRPGのパーティだと表現したが、相手もまさにRPGのボスキャラのように?化してしまった】
【もはや数の有利などないに等しく、全身の毛穴から吹き出した汗がシャツを湿らせて不快感を残していた。唯一のプラス要素は、的が大きくなったことか】
【跳弾ルートは計算し直しだが、でかい図体のお陰で比較的多くのルートを想定することが出来る。問題は当たるかではなく、「効くか」なのだが】

【そうこう考えている内に、ありえないスケールの攻撃がロウを襲う。今度は左に逃げようと左足から始動するが、今度は脇腹の傷が開いて身体を麻痺させる】
【だが避けられないイコール死だ。何とかしてでも避けなければならない。……となれば、方法は1つ。ロウは両銃の銃口を合わせ、身体を捻り右を向けば―――】
【身体を後ろに倒すと同時にトリガーを引き、そして小規模な爆発が起こった。「弾丸が衝突した時、小規模爆発を起こす」という隠された能力は、緊急回避に使われる】

【自分の身体を焼き焦がす代わりに、ブースターの役割になり回避手段となる。そのまま草原に飛び込み、乱雑に生えた草木は軽くクッションの役割を果たす】
【回避には成功したが―――立ち上がって草木を分けて出てきたその姿は無残なものだった】
【服や肌は焼け焦げ、トレードマークの帽子は回避の時に吹き飛び十字架に潰された。ふらふらと不安定な足取りだが、構わず銃口を化け物へと向けた】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/27(日) 01:20:32.66 ID:TvZz7eEPo
>>361-364

『ククッ……お前たちは存外、マヌケだな?それとも底抜けの白痴か……
 どちらでも良いがな。確かシーナとか云ったか……其処の鎧の騎士。

 そしてミドナ、貴様とマーシャル・T・ロウのことは知っているぞ
 まさにその獅子……アリギエ≠倒したのは実に懐かしい記憶だ、そうだなミドナ?
 そしてグリース――久々じゃあないか。相変わらず不信心な面構えをしている

 ……貴様らは、何故鬼≠ェ神聖なる教会の守護を仰せつかっていたと思う。
 信心深さ故か、それとも珍しいからか?石工として有能だったから?
 
 ――全て否だ。コヤツを見つけ、退治し、人の姿に閉じ込めて引き連れたのは私だ
 強いから♂チ賀屋善助という鬼風情を守護の要として任命したのだ――
 この……フレデリック・シャリエールこそが、強いと認めたからな……ッ!!』


【――シーナの大槌が、ミドナのメイスがぼこりと異様に膨らんだ腹部を叩く】
【まるで水風船を叩いたような感触があるだろう。そして、破裂こそしないが――】
【確かに呻く声が上から響く。次いで投擲されたシーナのメイスが顔面に直撃し】
【大きくのけぞった加賀屋の膝を、更にミドナの連撃が襲う】

【元よりしゃがみ込むような体勢だった加賀屋だが――のけぞった上に膝を震わせて】
【まるで、弱い。あまりに打たれ弱い。緩慢で、図体ばかりの木偶の坊――。】


【一瞬でもそれを思うだろうか。いや、思わないほうが妙というほどのやられ具合なのだ】
【その隙を鬼は突く。突如として頭部を引き戻したなら、両腕を駆使し】

【まず右手でシーナを、左手でミドナを掴み上げようとするだろう。いや、つかめなくとも構わない】
【何故ならこの餓鬼の両腕には黒曜石の刃があり、腕を動かすだけで攻撃になるからだ】
【まるでペンデュラムの刃が迫るような大質量の一撃――これが、思うよりも余程早く】

【その上、餓鬼は毒を吐く≠フだ。叩きこまれた腹部の中身だとでも言うように、大量に】
【ドロドロとした緑色の粘液と取れるそれ――毒≠ヘ、腕での攻撃と同タイミングで】
【接近してきたシーナとミドナを襲い、体力を奪おうとするだろう。更には、僅かな酸性もあるようで】
【仮に毒を浴びてそのまま放っておくと、服はおろか皮膚すらも溶ける、なんて力まで持っていた】


【また直後、迫るのはグリースの弾丸。だがその効力は半減して届く事となる】
【理由は単純だ、撃墜されるからである――加賀屋の耳たぶ、大量の宝石がピアスじみて有ると記したが】

【その宝石群が輝いたかと思うと、色とりどりの極細の光線がレーザーとして射出され】
【宛ら対空砲のように寄生虫の力を応用した弾丸を削り、結果的に目を穿たれるものの――】
【その威力を減退させることに成功した、というわけである。しかし、この光線は防御用にあらず】

【当然、攻撃のための物であった。草原を逃げる、大いに結構】
【大味な攻撃が当たらないのなら無作為に周囲一帯を刺し貫くレーザーを放てばいいのだ】
【喰らえば――銃弾よりもダメージは少ないが、まず確実に肉体を貫通する威力を持つ】
【千枚通しで身体を刺されるようなものだ。それが草原を舞う死神を明確に追いかけて行って】

【このレーザーはまた、ロウへも同様であった。グリースに比べれば幾らか軽減されるものの】
【肉体の貫通を狙う熱線が何本も群れを成して、ガンマンである彼を貫こうとするだろう】


【――どうやら、単純な妖怪などではないらしい。それがどういう意味か分かるだろうか】
【明確な弱点が無いのだ。いや、あるとして――それが容易くは分からない】

【或いはアンデッドに近い力を持つのかもしれない。強烈な打撃は確かに決まった】
【しかし平然と反撃する力を持ち、光線を放つ魔力もある。何より、鬼というよりも餓鬼=z
【少々属性が異なるのかも知れなかった。だがこういう手合には大概コア≠ェあるもので――。】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/27(日) 01:21:25.59 ID:TvZz7eEPo

>>ALL

【カンカン!と加賀屋の足の爪が打ち鳴らされる。更なる攻撃の前兆であった】
【僅かな間、そしてさらなる地鳴りと――静まり返った戦場に呻く、亡者の声】
【低く耳を打つそれらは、やがて足を掴む手≠ニいう形で現世に姿を見せる】

【その肉体は石で出来ていた。まるでホラー映画のゾンビのように地中から這い出す石の子供だ】
【子供、といっても――まさに餓鬼=\眷属とでも呼べばイイのか、無数の手が生者を求めて這い出してくる―!】


『覚えているぞ……―私もこの業を使われた。生憎と、私には縋る手など届かぬから助かったがな
 
 ……櫻の国では、石≠ヘ様々な意味を持つ。単純な岩石に始まり、宝や珠……
 しかし大きな意味合いとしては食≠ナあろうな。米を表すと聞いている
 そしてそれを食い潰すものを穀潰しだなどというそうだが……そこから転じて

 ――彼の者らの名は石潰し≠ニ、かつてカガヤが言っていた。
 生者を引きずり込む無数の餓鬼の像……総数は、そう……一万石≠セったかな?』


【そう、餓鬼の像は全ての者の足下から迫り、肉に爪を立て、足首を掴もうと試みて】
【どこかが引っかかりでもしたのなら、ぐっと体重を掛けて地中に引きずり込もうとするだろう】
【生憎とこの周囲は湿地だ。寒村故、均された土地か家にでも向かえばまだ避けられるが】
【それでも尚、ゆっくりと這い出して追いかけてくる。数はとてつもなく、周囲にも波及し】

【遠く見えないどこかの戦場で足を掴まれたものが居るのだろう。悲鳴が響き、怨嗟の声が周囲に満ちる】
【希望の灯≠ノ照らされた餓鬼共は、無数の戦士たちをも襲っているのだ】

【――だが、同時にこれは責め時でもあった。何故なら、加賀屋の胸部――浮かんだ肋骨の奥】
【薄い皮の向こうが、僅かに銀灰色の光を放っていたからだ。心臓、とも思えないが】
【露骨といえば露骨な点。ただでは抜けない。それなら――どうするかは、四人の連携に委ねられていて――!】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/27(日) 01:55:41.90 ID:BoiR2VSEo
>>364

「"ほも"とは何か知らんが失礼なことを言われておる気がするのだ!」
「喧嘩を売っておるならば後で幾らでも買ってやるぞ"てーろー"!


【どうやら意味自体を理解していない様子であった】
【無垢な精神を持っているならばあえて知るようなモノではないだろうが】
【個性的、とも取れるこの魔術師の違和感は、この後すぐに氷解することになるだろうか】


>>365

「ぬっ――――」


(浅い……いや、手応えがなさすぎるのだ!)
(まさかこれは罠か――)


【打った瞬間感じた異様な感覚と、図体の割に余りにも脆弱すぎるように見える加賀屋の様子に】
【シーナは違和感を覚え、その瞬間が致命的とも取れる隙を生み出す結果となった】
【迫る腕を避けきることが出来ず、巨大な手で身体を掴まれる】

【身体を力任せに動かし外そうとするも、膂力に差がありすぎそれは叶わない】
【それと同時に、凶悪な毒液が頭から浴びせかけられ】
【回避することも出来ない状態のシーナは直撃を喰らうことになり、鎧や露出した頭が溶けて死――】


「――ああもう、調子に乗るな不細工な妖怪風情めが!」


【――瞬間、掴んでいたシーナの"感触"が霧散するのを感じるだろうか】
【鎧に包まれた大男は砂のようになって散っていき、小柄な影がストンと下に落ちた】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【ゴーレムの内部に潜んでいた地術師シーナ・ゲルギルの本体】
【先程とは対照的にちんまりとした姿の子供は、周囲に5つの小さな赤い石を放り投げ】


「貴様の狼藉許しがたし!」
「このシーナ様を怒らせたことを地獄で反省するがよいのだ加賀屋善助!」


【先程のように砂を操作し鋭い動作で後退しながらも】
【毒液を浴びたせいで随分と使い物にならなくなった"ゴーレム"の砂と】
【周辺に存在する地形を分解して作った粒子を放った"赤い石"を中心として収束、再構築する】

【それは5体の全身鎧を纏い突撃槍を構えた騎士達であった】
【先程の"搭乗型ゴーレム"に比べれば数段ランクの落ちる粗製ゴーレムではあるが】
【地面から不穏な気配も感じる今、質より量を取って形成の術を施した】

【5体の内、3体が加賀屋に向かい突撃を開始する】
【2体はそれぞれ、加賀屋の左右の足を縫い止めるように槍を構えて突撃し】
【1体はその体内の奥に見える"核"と思しき物体に向け跳躍し、勢いのままに突撃槍を突き立てようとする】

「チッ――思った以上に悪趣味な術を使いおるな!」
「やれ、我が下僕達よ!私に指一本触れさせるでないぞ!」

【残る2体は、シーナの足を掴もうと迫る無数の餓鬼に対して武器を振り回す】
【技術的に見れば拙いモノではあるが、ただ引き摺り込もうとするだけの餓鬼相手ならば対処は可能であろうか】
【ただそれも限界がある。この先もまだ戦いが続くのであれば決壊する可能性もある】
【「さて、どの手を使うか」などと、一人文字を記しながらシーナは思考を巡らせていた】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/27(日) 02:06:09.19 ID:IzsdiJ9ao
>>365

やっぱりフレデリック・シャリエール……ゼン=カイマのトップか……!!
見ろよこの惨状―――神聖騎士の死体がそこら中に転がるこの景色を。
人の命を奪うことは、その人の過去も未来も今も奪うことだ―――断じて許される行為ではない……!!

一番大切なものは絶対に他人から奪ってはいけないんだ……それを神とかどうとかごちゃごちゃ抜かして正当化しようとしやがってよォ……!!
―――奪おうとする者に俺は立ち塞がるぜ……カノッサもGIFTも奪う側だ。人々の平穏を奪い、命をも奪う。テメェらも奴等と同じ……同じ悪党だッッ!!

【激しい動悸、ふらつく身体。その中でも爛々と輝く眼光は紛れも無く生きていた。紺碧に灯る炎は、ダイヤモンドを優に超える堅さを感じさせる意志の現れ】
【爆発を浴びたせいか、今更になって脇腹の傷が効いてきたのか。全身が鉛に侵食されたかのように重い。其れでも2本足で確りと立つのは、此方にも意地があるからだ】
【―――ふらつく彼に段々と近付くレーザー。命中すれば簡単に彼の身体を裂くだろう。それを避ける体力も筋力も今はない。ならば先程の爆発―――も使えない】
【2回爆風を受ければ、次は立つことさえも危うくなるだろう。だからといって死を受け入れるわけにはいかない。方法は―――無いわけではなかった】

【シャツの中に隠していたが、首から彼はペンダントをかけていた。砂色の玉のデザインは隠れて見えないが、それは宝玉。幽幻の宝玉という代物だ】
【―――そしてそれが輝き、同時に濃厚で怪しげな魔翌力を拡散させる。彼を包む光、その中でロウは右の銃口を上へと向け―――ボソリと呟いた】

……お袋、俺を勝利へと導いてくれ。―――弾丸憑依 Slap=c…!!

【弾丸が唸る。と同時に彼の身体が急激に上昇した。見えただろうか。放たれた弾丸、その側面から一瞬巨大な腕が伸び、その手が彼の胴を掴んだ瞬間を】
【加賀屋が立ち上がった時の背丈に並ぶくらいの、大跳躍。直ぐに腕は消滅したが、その跳躍によりレーザーを飛び越える事に成功した】
【加えて加賀屋の追撃である地中からの攻撃にも対応できる。だがしかし―――落ちていく。落ちていく中で、ロウは確りと銃口を向けた】
【落ちれば落下の衝撃でしばらく動けないだろう。そして餓鬼の像がまだ残っていればロウは引き込まれていく。つまりこの落ちていく中でどうにかしなければ―――死ぬ】

【だが、ロウの瞳は絶望を感じさせなかった。紺碧の瞳は見開いて。その中に使命感の炎を灯して。そしてロウは静かに、そして段々と言葉を力強く放った】

……最初に言ったよな、眼と頭には自信があるってよ……―――これで終わりだ、加賀屋善助……
―――最後は俺の十八番だぜッッッ、喰らいな……人の皮を被った化け物がッッッ!!!

【見抜いていた。―――鬼の心臓が、其処にあると。威力は要らない、当てればそれで良い――これで何もかも終わりだと、ありったけの魔翌力を篭める】
【銃声が2発鳴り響いた。重い銃声だ。―――まず1発、右から。赤く輝く弾丸は地面へと衝突し、先程より巨大で激しい炎柱を放つ】
【用途は同じく、視覚を奪うため。―――そして2発
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/27(日) 02:06:56.87 ID:IzsdiJ9ao
>>368
/すみません、間違って途中投稿しちゃいました……少し待っていて下さい
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/27(日) 02:08:10.85 ID:K1U0yLnY0
「不信心な面構え?…………神サマなんてどうも思って無いんだからその言葉はボクにはあわないと思うけどね
ったく――――信者と狂信者は対称なんだよ。狂信者は信者には成り得ないし、其れは神サマの為じゃなくただの自己満足だ
こうすれば喜ぶだろうなんて…………君なんかに言ったところで、分からないだろうけどさ
――――ま、いいや。団長サマとのお喋りは後回しだ。…………そろそろ終わらせなきゃね」

【金の双眸は確かにフレデリックを見た。いや、睨み付けた記すべきか】
【其処に在るのは明確な敵意だ。距離さえ近いならば、今にも襲いかからんとする程の】
【――――しかし。今はそんな事をしている暇も無い。この鬼をどうにかせねば、後々が面倒な事になるのだから】

【弾丸のもたらした結果を見る暇は無かった。と言うのも、直ぐ様に自分に向かって光線が放たれたからだ】
【今度は範囲攻撃。そして今自分が居る場所は――――隠れるには最適だが、同時に逃げるには足場が悪いのだ】
【舌打ち。駆けるけれど、逃げ切れないことは分かっていて―――――】


「このまま逃げるだけじゃ埒が明かないや――――なら…………っ!!ぐ、ぅ…………!」

【右の足が貫かれる。側腹部が焼かれる。漏れるのは苦痛を堪える悲鳴で】
【この状態で歩くのは、殺してくれと言っている様なものだ。余りにも遅い歩み。素人の攻撃すら避ける事は出来まい】
【――――だが、まだ移動手段はあるのだ。他の種族を思わせるような、純白の翼がまだ有るのだ】

【戦闘に用いるには、少し力を使いすぎる。場所によっては、寧ろ被弾箇所を広めるだけにもなる】
【しかし…………今は、実に良い。広々とした場所。巨大な相手。そして、今自分は一人では無い】
【皆が全力を出している中、自分だけ小出しにして行くのは卑怯では無いか。死んだら、其の時はその時だ】
【――――元より、その為に作られた存在なのだから】


「次から次へとまるで大道芸でも見せるみたいに――――ッ!!」

【健側の足を捕まれるも――――気にせず、思いっきり踏みつけた。当然皮膚だって爪に持って行かれるのだが…………良い】
【もう、地面に足は着かない。背に生やした翼は、大きく。闇の中でも目立つような純白だ】
【再び現れた餓鬼を踏みつけ、その力で飛び上がり。バサリ、と羽ばたかせれば巻き起こる突風】

【これより行うのは突撃だ。人によっては捨て身とも表されるだろうか】
【全力で羽ばたき、その全てをぶつける。相性が良いのは銃でも剣でも無い。その力を無駄なく伝えられる――――ランス】
【ただの其れでは無い。洗礼を受けた力は並の聖では無く、又女自身の聖も合わされば種族によっては必殺の一撃とも成り得る物だ】


「一万だろうが一億だろうが、本体が一人なら十分ッ!!
どれだけ大きくも強くても、殺せるならそれだけで――――!!」

【その場所は胸部だ。相手の大きさから考えても、ただ走って跳んだだけでは難しい】
【何より、走るよりももっと速度を出せるのだから――――翼を用いた】
【その速度は正に電光石火と表せるか。それ程までに早く】
【餓鬼達が縋り付こうとするならば、ランスへと変えた己の得物で叩き落とそうとする。加賀屋が攻撃をするならば、回避だってする】

【だが、この速度。その全てを躱す事なんて出来やしない。羽ばたく毎に血の飛沫があろうとも気にしない】
【痛みが脳を焼こうとも、羽ばたくという単純な動作の支障には成り得ないのだ】


「殺せるなら、傷付けられるならそれだけでボクには十分――――――!!!!」

【皮膚を破り、胸骨肋骨があるならば其れ等を砕き。狙いをその銀灰色の光へと定めて】
【今、貫かんと――――否。そんな優しい物では無い。原形も無い程に砕かんと、渾身の一突きが放たれるが――――?】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/27(日) 02:09:58.54 ID:IzsdiJ9ao
>>365

やっぱりフレデリック・シャリエール……ゼン=カイマのトップか……!!
見ろよこの惨状―――神聖騎士の死体がそこら中に転がるこの景色を。
人の命を奪うことは、その人の過去も未来も今も奪うことだ―――断じて許される行為ではない……!!

一番大切なものは絶対に他人から奪ってはいけないんだ……それを神とかどうとかごちゃごちゃ抜かして正当化しようとしやがってよォ……!!
―――奪おうとする者に俺は立ち塞がるぜ……カノッサもGIFTも奪う側だ。人々の平穏を奪い、命をも奪う。テメェらも奴等と同じ……同じ悪党だッッ!!

【激しい動悸、ふらつく身体。その中でも爛々と輝く眼光は紛れも無く生きていた。紺碧に灯る炎は、ダイヤモンドを優に超える堅さを感じさせる意志の現れ】
【爆発を浴びたせいか、今更になって脇腹の傷が効いてきたのか。全身が鉛に侵食されたかのように重い。其れでも2本足で確りと立つのは、此方にも意地があるからだ】
【―――ふらつく彼に段々と近付くレーザー。命中すれば簡単に彼の身体を裂くだろう。それを避ける体力も筋力も今はない。ならば先程の爆発―――も使えない】
【2回爆風を受ければ、次は立つことさえも危うくなるだろう。だからといって死を受け入れるわけにはいかない。方法は―――無いわけではなかった】

【シャツの中に隠していたが、首から彼はペンダントをかけていた。砂色の玉のデザインは隠れて見えないが、それは宝玉。幽幻の宝玉という代物だ】
【―――そしてそれが輝き、同時に濃厚で怪しげな魔翌翌翌力を拡散させる。彼を包む光、その中でロウは右の銃口を上へと向け―――ボソリと呟いた】

……お袋、俺を勝利へと導いてくれ。―――弾丸憑依 Slap=c…!!

【弾丸が唸る。と同時に彼の身体が急激に上昇した。見えただろうか。放たれた弾丸、その側面から一瞬巨大な腕が伸び、その手が彼の胴を掴んだ瞬間を】
【加賀屋が立ち上がった時の背丈に並ぶくらいの、大跳躍。直ぐに腕は消滅したが、その跳躍によりレーザーを飛び越える事に成功した】
【加えて加賀屋の追撃である地中からの攻撃にも対応できる。だがしかし―――落ちていく。落ちていく中で、ロウは確りと銃口を向けた】
【落ちれば落下の衝撃でしばらく動けないだろう。そして餓鬼の像がまだ残っていればロウは引き込まれていく。つまりこの落ちていく中でどうにかしなければ―――死ぬ】

【だが、ロウの瞳は絶望を感じさせなかった。紺碧の瞳は見開いて1点を睨む。その中に使命感の炎を灯して。そしてロウは静かに、そして段々と言葉を力強く放った】

……最初に言ったよな、眼と頭には自信があるってよ……―――これで終わりだ、加賀屋善助……
―――最後は俺の十八番だぜッッッ、喰らいな……人の皮を被った化け物がッッッ!!!

【見抜いていた。―――鬼の心臓が、其処にあると。威力は要らない、当てればそれで良い――これで何もかも終わりだと、ありったけの魔翌翌翌力を篭める】
【銃声が2発鳴り響いた。重い銃声だ。―――まず1発、右から。赤く輝く弾丸は地面へと衝突し、先程より巨大で激しい炎柱を放つ】
【用途は同じく、視覚を奪うため。―――そして2発目、此方が本命。十八番と言うように、跳弾―――シーナが用意してくれた石畳を跳ね返り、炎柱をくぐり抜け】

【先程嫌というほど睨んだ「コア」へと独特の軌道で突き進む。想いを乗せて―――弾丸が闇を裂き、全てを終わらせんとした】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/27(日) 02:31:14.77 ID:DUm6EaIYo
>>355 >>366

へぇ――――強さこそ正義ってわけ。神サマなんて信じてる割に、存外あたし好みの人選じゃない。

……確かにあたしは頭は良くないけどね、ひとつだけ分かってる事は――――あんたらが気に入らないって事よ!!

【煽る様な言葉を飛ばすフレデリックの姿をちらりと確認して、ミドナは吼えた。燃えるような闘志と怒りに満ち溢れた声だった】
【フレデリックや加賀屋たちがこの巡礼の先にどんな未来を描いているのかは知らないし、教会の側が正義だとも思っていないが、しかし】
【明らかに危険≠セった。必要とあらばカノッサ機関だろうが異形の鬼だろうが従えて勢力を伸ばし、過激なやり方で理想を達成しようとする彼らは】
【……そう危惧する感情が三割ほど。残りはミドナ個人の感情として、いちいち上から言葉を叩きつけてくるあの男が、とかく癇に障る――――】


(――――何よ、こいつ)

【メイスから伝わってくる筈の、石を殴ったような硬い衝撃は無かった。ぼよん、というような弾力がミドナに肩透かしを食らわせた】
【飛来するシーナの攻撃も合わせて加賀屋は呆気なく劣勢に追い込まれる。膝へ叩き込んだメイスを引き戻しながら、ミドナは違和感に眉根を寄せて】
【考えるのは得意ではないが、それにしても妙だ。まさか異形と化した方が弱いなんてことはあるまいし、この程度で終わってもらっては自分も退屈だ】
【そんな分析と私情に基づいて十分に注意を払っていたからこそ――――ミドナはどうにか、次の攻撃に反応できた】

はん、そうこなくっちゃね…………!!

【ミドナの身体を掴み取ろうと迫ってくる左手。あの巨体に拘束されれば一貫の終わりと直感し、ミドナはそれの回避に全精力を注いで対応するが】
【腕の動きが予想外に早い。掌を避けられはしたが次いで迫ってくる腕を回避しきれず――――やむなく上段の二本腕で腕を正面から受け止め、微かに時間を稼ぐ】
【その間にメイスの柄を腕力に物を言わせて強引に地面へ突き刺し、堅く固定。その後先端の凸部を踏み台にして跳躍し、腕を飛び越してやり過ごす、のだが……】


ぐっ――――あ、ぁぁぁああああああああああああッ…………!!!


【……悲痛な叫びは、先程加賀屋の腕を受け止めたとき。黒曜石の刃が上腕の二本腕の何箇所かに風穴を空けたことによる激痛が原因でもあったし】
【その直後に迫ってきた毒の粘液を予期できず、緊急回避としてその二本腕で粘液を強引に振り払い、毒が腕を強く焼き焦がす激痛が原因でもあった】
【犠牲になったのはミドナ自身の腕ではなく朱色のエネルギー体の腕だが、先程判明したとおり、これにも普通の腕と同じ痛覚≠ェ存在しているのだ】
【――――両腕に刃を突き刺され、その上溶解液で生きたまま肉を溶かされる。その地獄の様な責め苦に耐える手段は子供のように泣き叫ぶことしかなくて】

【ミドナは涙すら浮かべて地面を転がる。やがて大きなダメージを受けた上段の二本は空気に溶けるように消え、それによってようやく痛みが収まった所に――――】
【息つく暇も無く、無慈悲にもその地面から大量の亡者≠ェ襲来。完全に地面に身体を密着させていたミドナは、成す術なく彼らの手に掴まってしまって】


/続きます!
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/27(日) 02:31:56.12 ID:DUm6EaIYo

あ、んぁっ…………!!
………こ、んの…………どこ触ってんのよヘンタイーーーーーーーーー!!

【危うく地面へ引きずり込まれる、というその寸前。ミドナは涙の溜まった金色の瞳を思い切り見開いて、またも子供のように叫ぶのだろう】
【断末魔でも助けを求める声でもない。この状況でなんとも暢気な、精神を落ち着けるための下らない台詞が放たれた瞬間……ミドナの周囲の大気が、歪む】
【――――ゴウッ! という爆音じみた音が響くだろうか。ミドナの身体……正確にはミドナの着ているコート≠ゥら、突如して猛烈な火炎が立ち上る!】
【周囲の草を丸ごと焼き払い、コートを着ている本人すらも火傷を負ってしまう程の爆炎。それが群がる亡者達を無理矢理弾き飛ばし、もう一度ミドナを自由にする】


………何度でも言わせて貰うわ。上等、よ…………。
一万だろうが二万だろうが、あたしの自由≠ヘ壊せない――――全員まとめて、空の彼方までブッ飛ばしてやるっての!!

【ふらりと立ち上がったミドナは、赤く腫れた掌を使って涙を拭った。腕の喪失時の痛みと今しがた負った火傷が尾を引いて、その息は荒い】
【だが……泣こうが喚こうが、その双眸に宿る陽光のような金色は輝きを失わなかった。遠く加賀屋の胸にある銀灰色を睨んで、四本の腕が朱色の光を強める】
【ミドナはゆっくりとした動きで残り一本のメイスを捨てた。腰当てにすべての手をやり、リングに指をかけて引き抜く。短刀を補充する動作だ】
【いや――――今回引き抜かれた短刀は、今までのものとは少し違う。動物の爪をそのまま短刀に拵えたような象牙質じみた色合いで、湾曲した刀身はやや短い】
【刃は鈍のように丸まって、いかにも切れ味が低そうな外見だが……その短刀の周りの大気は、先程のミドナと同じく陽炎≠ナ覆われていた】

あの戦いも、あんたの手の内だったのかと思うと癪だけど。
――――炎を操る『獅子(ヘイダル)』の力、使わせてもらうわ!

【すぅっと息を吸って、ミドナは覚悟を決めた。四本腕を眼前に持ってきて短刀同士をガキンと噛み合わせた、その瞬間――――彼女のコートから狂暴な炎が迸る!】
【フレデリックに向けて呟く言葉は、勇猛だが苦痛に満ちているだろうか。炎獅子の心臓の琴線≠練り込んだ炎を操る力、それが余りの出力に我が身すらも焼く】
【それでも、耐える。気に入らない連中に負けるのは癪だし、他の三人だっている。絶対に一歩も引くものか。……そんな決意を受けてか、立ち上る炎が形を変えた】
【己を薪にして燃える篝火のようだった炎が四つに分離し、ミドナの腕を滑って短刀へと集約していくのだ。ミドナは身体を半身に、炎纏う刃を軽く振って構える】

【――――炎獅子の心臓の琴線≠ゥら来る強烈な炎を、同じく炎獅子の爪牙≠ゥら作ったこの短刀を介することによって、一時的だが強引に安定させる】
【その行為がどういう結果を齎すのかは、加賀屋達にもすぐに解るだろう。ミドナが裂帛の気合と共に振り翳す、四本の腕の先を見れば――――】


                     《 荒 ~ 赫 怒( カラハ・デーヴァ・アグニ ) 》!!


【刹那――――四本の短刀の先に巨大な炎の刃≠ェ現出し、四本の豪腕によって周囲の亡者と加賀屋へ、連続でそれが叩きつけられるッ!!!】

【ミドナの腕が岩をも砕く一撃なら、炎獅子アリギエ≠フ爆熱の力を帯びたこの斬撃は岩をもバターのように切断する激烈な威力を誇っている】
【まず最初にその場で回転するようにして出来る限り多くの亡者を切り伏せた後、炎の刃は全ての腕を駆使して加賀屋の身体へ向かっていくだろう】
【直撃した場合、四方向からの斬撃が加賀屋の身体に四つの軌跡を刻む。……そしてその軌跡はすべて、その胸にある銀灰色の光の一点で交わるだろうか】

【仲間への支援として亡者を蹴散らしつつ、獲物に食いつく獅子のように加賀屋の全身を蹂躙せんとする炎の斬撃――――】
【使用中はミドナも少なからず炎に身を焼かれるリスクの高い一撃だが、威力は十分。果たしてそれは、この戦いに幕を下ろす一撃と成り得るか――――!】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/27(日) 02:39:57.18 ID:DUm6EaIYo
/アンカミス……>>355ではなく>>365です、失礼しました
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/27(日) 03:15:51.04 ID:TvZz7eEPo
>>367

アハッ!――ッ、ハハハハハ…ッ!!
 女の子やないか、えろうゴツイ鎧の下はといえば……握りつぶせそうやなァ?…ア?

【餓鬼らしいといえばらしい卑下た笑い。哄笑しながらも加賀屋は腕をふるう】
【逃した獲物は大きいのだ。餓鬼が迫るが、数の代わりに質はよろしくないらしい】
【ガラガラと端から砕けていくから――加賀屋はその手を、少女へと伸ばす】

【だがその目的は叶わない。予想外であったのは、回避を止めれば引きずり込まれる状況下】
【尚も攻めの姿勢を失わず、全力で挑みかかってきたこと――これが鬼の想像の上を行った】

【攻撃は受ける。どうせ大したダメージでもないのだから――この慢心も良くなかった】
【両足を縫われるように刺し貫かれると、そのまま胸の奥へめがけて槍が突きこまれる】
【肋骨がそれをわずかに邪魔するが――それはもうこの後、全く問題なく破壊されることとなる】

>>370

【空へ舞い上がったグリースに対しては、実に色とりどりの光線が幾度も狙いをつけて放たれる】
【元より対空砲のような力を持った宝石なのだろう。恐らく、翼の一部や腕なども貫くはず】
【それでも尚進み続けるのは正解だったに違いない。腕を伸ばして払おうとするが――】

【そのタイミングがシーナの兵隊が胸を突いた。これが致命的でこそ無いものの】
【やはり根幹に関わるものがそこにあったに違いない、腕の動きが鈍った隙にグリースが潜り込み――】


――――――グ、オッッ、ッ……ォォォォオオオオオオオオオオオオ……―!!!


【彼女の一撃が強健な骨を打ち砕き、皮を穿ち、その内部の虚ろをむき出しにさせた】
【体内はほぼ空洞だ――ただひとつ、肉の繊維に包まれた鈍い光を放つ物体がある】
【石筍≠ナあった。縦に細長い、丸みを帯びた灰色の物体――心臓部とは、まさにこれに違いなく】

>>371

『……そうかね。それで、今更そのお説教を垂れて何になるのか説明してみろ。
 私が人の死の意味を理解せず、全く無意味に私利私欲で人を殺しているとでも言うのか?

 だとすれば……貴様はとんだ能無しだ。死んだものが偉いのか?尊いのか?絶対の正義なのか?
 違う≠ネらば…ッ!私を悪と断じる根拠が何処にあるのだマーシャル・T・ロウ…!!
 ――見ろ、あの人数をッ!私を信じ、神を信じ、ただ聖人を崇める人々の姿をだッ!!』

【遥か、遠く。希望の灯≠フ届くギリギリのラインに、無数の人影が現れていた】
【彼らは一様にローブを着こみ、首にはロザリオを下げている。つまり、敬虔な信徒――】

【それもゼン=カイマの、だろう。聖地巡礼が目的とすれば、これがまさに達せられたということなのだろう】
【数百、或いは数千か。亡者の届く範囲でもあるはずだったが、彼らには害はないようだった】
【それもまた、加賀屋善助が神を信じた証左であった。けれども――それはもう、どうでもよいことだ】

【ロウのはなった弾丸は、炎柱という目眩ましを糧により精密に、確実に心臓めがけて迫ってゆく】
【コンマ数秒の世界――鬼は、己の心臓に値する箇所をしっかりと真芯で捉える鉛球を見た】
【パキ、パキキッ…!=@薄氷がその存在を失っていくような音が、周囲に小さく小さく聞こえていて】
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/27(日) 03:16:25.10 ID:TvZz7eEPo
>>372-373

【手の内からするりと抜けたシーナに、攻撃こそ加えたが忌々しくも天使のごとく舞い上がるグリース】
【そして何より、己の機関部を撃ちぬかんとするガンマン――マーシャル・T・ロウ】

【彼らに比べて、最後の最後で加賀屋のミドナへの反応は甘かったと言わざるをえない】
【それは相手が思った通りの重いダメージを負ったからであり、ただの怪力であれば】
【それこそ餓鬼の相手ではないと踏んでいたからだろう。毒を浴びていたのも大きい】

【その油断が――僅かな火種を見逃した。火は大きく膨らんで行って、やがて獄炎と見紛う物に変化すれば】
【凄まじい勢いで周囲の亡者を声もあげられないほどに燃やし尽くし、征服し、打ち払い】

【同様に巨躯を誇る加賀屋善助の肉体と、半分に割れた石筍≠分断してゆく】
【やがて骨と皮だけであった鬼はその身を世界で最も強い火力で焼かれ始め、大きな火の塊と化す】
【――皮肉なのは、遠目にもこれが目立ったこと。傍目から見れば妖魔を砕き火を灯すという光景で】

【加賀屋の護るべき人々、ゼン=カイマの信者たちがこぞってその様子を見て祈りを捧げたことであった】
【あまりにも皮肉。信仰をいだき、あまつさえ近衛騎士団の副団長まで務めた妖魔の最後は】
【その身を焼かれ、その始終を信徒に見守られ、讃えられ、消滅を悦ばれるという――皮肉なものと、相成った】
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/27(日) 03:17:18.63 ID:TvZz7eEPo
>>ALL

【大勢は付いた。うめき声を上げていた無数の亡者は土塊に返り、加賀屋だったものは燃え盛る】
【しかしその火中に飛び込む姿があった。フレデリック・シャリエールである】

【彼はまるで炎を物ともしないように鬼の体内へ踏み入ったなら、切り刻まれ溶けかけた石筍≠】
【その手に掴んで、急ぎ火中を脱する。なにせ行動の場所が場所だ、何人かは『見える』に違いない】
【フレデリックの額、そこに潜む第三の瞳≠ノ――ミドナは、その獣の目を見たことがあるのだが。】


『――まだだッ!まだ加賀屋は死んではおらぬ…!奴の一族は長きに渡って力を継いできた
 それは宛ら水の滴りによって形作られる石筍と同じように、自然の芸術とも呼べる物だ…!

 ある伝説では……月光を数十年浴びた琵琶が、妖魔として姿を持ったともいう
 加賀屋もまた同様…。石筍≠ニいう原型さえあれば、魔力を注ぐことによって生き返る…ッ!
 死なれては困るのだ加賀屋善助……貴様は私がしっかりと持ち帰ッ――』

   
                      ―――失礼するであります。


【フレデリックの手中に収まっていた、終わりかけの石筍。それが不意に飛び出した人物によって奪われた】
【あまりに唐突で、まったく意識の外からの行動だったに違いない――あの騎士団長が、焦る顔が見て取れる】

【ではその人物とは誰か――知っているものも居るかもしれない。ライトブルーの髪色に、藤色の瞳】
【身にまとった戦闘服はドロで汚れきっていて、頬にも汚れが目立つ。手の内にはばらばらの石筍を持っていた】
【名はブランデン・ケミッシュ≠ニいう。あのダグラス――六罪王の部下、分裂を能力とする少女だった】

『……何のつもりだ、ダグラスの犬風情が…。今直ぐにそれを返せ、友人の部下とて容赦せんぞ』

ダメであります。こちらは私が命令に従って手に入れねばならないのですから。
 ですが助かりました、最初から暗がりの泥濘に姿を隠していたのですが
 騎士団長どののお陰で容易に入手することが出来ましたから。感謝、であります!

 ―――無論、ダグラス閣下の指令ではないのでありますよ?

『では誰だ…ッ!!私の邪魔をするように命じた不届き者は誰だと聞いているんだ実験物がッ!!
 ……貴様の独断でないことくらいはわかっている。さあ、答えを――』

 ―――言えません。お姉さま≠ニの約束ですので、それだけは。

【外野として――シーナもミドナも、ロウもグリースも、展開についていける者がいるかどうか】

【いや、居なくても分かるだろう。要するにライトブルーの髪の少女が騎士団長の信頼を裏切ったのだ】
【それも何らかの特殊な形で。だから青筋を立ててフレデリックは激怒し、身を震わせ】
【しかし一方で少女は言うだけ言うと草原に身を隠して信徒たちのほうへと向かっていってしまう】

【恐らく、群衆に紛れるつもりなのだろう。――悪いのは、人の目がこちらに向いていることだ】
【フレデリックが草原の全てを焼けば取り戻せるが、信徒を失うことにもなる】
【となれば――という苦渋の決断がフレデリックを突き動かした。四人の勇者へ視線を向けると】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/27(日) 03:17:27.62 ID:TvZz7eEPo
『……今日の所は、見逃してやる。私には責務がある……崇高な神の意志を遂行することも然り
 同時に我が部下たちを放っては置けぬ。マリアやチップスを拾ってやらねばならぬ…!

 次≠セ…!聖都スラウロット≠ナ、全ての決着をつけてやろう……!
 あの悪徳司教どもにも、貴様らにも……私にもだ……ッ!』

【―――それきり、彼はローブのマントを翻して――布が落ちきる頃には姿を消していた】
【得意の転移魔術だろう。あとで聞けばわかるが、他にも騎士団員が周囲四方で暴れていたらしく】
【その撤退に際して各所でフレデリックの姿が見られたという】

【つまり、彼はこの場に限ってだが撤退したのだ。負けを認め、引いたのである】
【加えて鬼の根源である石筍は奪われたもののほぼ破壊に成功し、抜け殻は骨格が残るばかり】

【……やがて諸君の元に伝令が来る。ゼン=カイマの者達は見えなくなった≠ニ】
【それがつまり、闘いの最後。鬼との闘いという一点で見れば、全く完全なる勝利であったが】
【最後の最後で蟠りの残る出来事があった。そして、次が明確に存在するというフレデリックの鉄の意志が】
【まるで夜の国を覆う帳のように、重苦しい暗雲のごとく立ち塞がっているかのようであった――。】

/これにて、当イベントは終了となります!
/後々締めの文章も投下しますが、時間も時間ですのでお返事はなくとも結構です!
/それでは皆様、突発的な開催にも関わらずお付き合い頂きましてありがとうございましたー!
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/27(日) 03:23:20.65 ID:IzsdiJ9ao
>>375‐378
/主催者様お疲れ様でした!楽しかったです!
/返信は今日の昼頃……?くらいにさせていただきます!多分!
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/27(日) 03:51:46.03 ID:BoiR2VSEo
>>375-378

「はっ、醜悪な容姿にお似合いの耳障りな笑い声なのだ!」
「だが――私に見蕩れておっては足元を掬われるぞ加賀屋善助!」


【数え切れないほどの餓鬼に、強力な膂力と特性を持つ鬼】
【シーナ単体では責め倦ねる相手であっただろうが、今ここにいるのは一人ではない】
【ゴーレム達が槍を突き立てると、それに続くようにして次々に繰り出される攻撃】
【グリースのランスに、ロウの弾丸、そしてミドナの炎の刃……いずれも必殺と呼ぶに相応しい技巧が加賀屋に突き刺さる】

【心臓部を断ち割られ炎上する加賀屋の姿を見やって「ふん」、と短くボードに文字を記すと】
【砂の騎士達の攻撃動作を停止させ、自身の元へと引き戻した】


【そして現れる騎士団長に、目の前で繰り広げられる裏切りの舞台】
【シーナはそもそも世情に疎く、騎士団の事についてもよく判っていない為】
【展開にはついて行けてはなかったが、頭の中で状況を自分なりに纏めて】


「つまりは貴様がこの鬼の主で、悪の親玉というわけだな!」
「よかろう、相手にとって不足はないのだ!」

「今日のところは見逃してやるから、聖都とやらで首を洗って待っておるがよい!」
「この天才魔術師にして、未来の大英雄シーナ・ゲルギル様が引導を渡してやるのだ!」


【転移魔術で消えたフレデリックに対して、ビシリと指を差し無い胸を張って堂々と宣言した】
【伝えるべき相手が既に場を離れている為、騎士団長に伝わることがない言葉だが】
【シーナなりの決意表明といったところだろうか】
【彼女の行動原理は、他者のような正義感や立場的なものではなく「自身が英雄になる為」という点に集約されており】
【こうした"大悪"との戦いはシーナとしては望むところだった】

【些か以上に不純な動機ではあるものの、今宵の出来事はこの小さな魔術師の闘志を滾らせる物であった】
【砂の騎士を地面に還し、赤い石――ゴーレムコアを引き寄せて回収すると】
【シーナは少し興奮したような足取りでこの戦場から歩み去っていった】

/お疲れ様でしたー!
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/27(日) 04:32:46.97 ID:K1U0yLnY0
>>375-378
【鬼の姿が消滅していく事を確認したならば。翼の巻き起こす風も次第に止み始め、後は血が滴るばかり】
【トン、と湿地に足をつけたならばそのまま膝を着いて】
【ダメージを無視していたが、無くなったわけでは無い。その分だけ反動だって強いのだ】
【痛みを堪えるかのように少しの間息を止めれば、後は全て吐き出して】


「流石に少し疲れた、かな…………――――これで終わるほど、世の中は優しく作られてないみたいだけど…………っ」

【そう、先ずは一人倒しただけ。本命はこの場所に居るのだが…………この状態では身体も満足に動かせない】
【上手く動かせない身体に対して悪態を吐いたならば無理にでも立ち上がり。得物を握りしめるが――――】
【貫かれた箇所からは、更に血が流れる結果となる。故に力が抜ければ、再度膝を着く事となり】
【直ぐ近くなのに。殺せるかもしれないのに、出来ないのが歯痒い。故に、それより先の事には干渉出来ず】


【仲間割れか。先ず、それが最初に抱いた考えであった】
【あの激怒の様子では想定していなかった出来事なのだと察するには容易だ。其れが何であるのか、其処までは分からないが】
【しかし――――あの時に見た、少女。ダグラスに対しての攻撃を自らの身で防いだ少女の姿を見れば】
【そしてあの資料と照らし合わせれば。カノッサが関与しているのだと、そこまで行き着くことは出来る】
【何故、態々其れを奪ったのか。ダグラス以外、誰の命令で動いたのか――――分からないが】


「そんな大層な場所じゃ無くても、何処でだって団長サマと決着をつけてあげるよ…………まあ、今はそれだけの余裕も無いんだけどさ…………」

【やがてフレデリックもケミッシュも居なくなったならば、大の字に倒れて】
【湿地で汚れようがお構いなしだ。懐から取りだしたのは一つの水晶】
【向こう側に人が移った事を確かめたならば、其れを持って居るのも怠くなったのか顔の側に転がし】


「ん、ボクだけど…………。疲れてる?そりゃ、命の奪い合いしてるのに疲れてない方が可笑しいって
ま、いいや。カログリアは居る?…………じゃあ他の…………えー、本当に君以外誰も居ないの?
痛くて痛くて死にそうなんだけど……ボク……

――――ああ、そうだ。代わりに報告しといてよ。加賀屋が…………うん、そう。あの時に会った妖怪
死んだのかは、分からないけど…………少なくとも、身体は壊したって。後はカノッサの人が出てきた事、かな
ダグラスの命令じゃ無いみたいだから、今一分かんないけど…………取り敢えず宜しく、ね」

【水晶を通しての会話が終われば、そのまま目を閉じて】
【一見すれば死にかけた人物。実際は、ただ疲れを取っているだけだとしても】
【ランスを維持するだけの力も無くなったか、最早最初の双銃へと化して居て。グリップの感触を確かめたならば、溜息】


「お姉様、ねぇ…………そっちはセリーナやUTに任せた方が良さそうかな
…………いいや。少し休んでから考えよっかな」

【頭の中の資料と照らし合わせるのも、今は億劫だ。やがて聞こえるのは小さな寝息】
【余程疲れたのかは分からないが――――後にグリースと同じ教会所属の者が回収に来たのだから、そう問題でもあるまい】

/お疲れ様でありましたっ!
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/27(日) 17:35:45.55 ID:n49V3x4qo
【魔海近くの泉のほとり――人里離れたその場所に、邪悪な気配があった】

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった、脚を組んで地面に座っている】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【また、執事のような格好をして眼がレンズな二足歩行のコウモリが、その者の隣に立って居る】

「ククク……さァ、入りなァ……どォーせ死ィぬなら、一発派ァ手にやァろォーじゃアねェか、なァ?」
{…………} 「テメェーの為に、もォてなしを用ォ意しィてあァるんだぞォ? ……ヒャハハッ!」

【その者が誘導しているのはどこかのサラリーマンで、躊躇しながらも踏み込もうとしていて……やつれた顔で素足なのが印象的か】
【誘導先は、空中に縦向きで立っている魔法陣。その続く先がどこなのかはわからないが】
【漏れだす空気の混沌としたそれは、少なくともまともな場所に繋がっていないであろうことを暗に示していた】

【その魔法陣の中に入るとどうなってしまうのだろうか、――そして何をもてなすつもりなのだろうか】
【それらがわかった時、――被害者の状態が無事である保障は、どこにもない。】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/27(日) 17:38:51.30 ID:DUm6EaIYo
>>375 >>376 >>377 >>378

はぁ、はぁ、はぁ――――ッ、ったく……相変わらずのじゃじゃ馬、もといじゃじゃ猫ちゃんなんだから……。

【シーナのゴーレム兵が、グリースの槍が、ロウの銃弾が。そして自らの炎の刃が加賀屋の身体を引き裂いた手応えを確と感じて】
【無数の亡者と地獄の餓鬼を噛み砕いた四柱の獄炎は、腕が振り切られると同時に鎮火していく。……それは如実に、ミドナの限界を示していた】
【誰よりも間近で炎の熱を浴びた彼女は、笑う表情とは裏腹にがくりと膝を突く。多量の汗と荒い息がひどく不愉快だが、今はどうしようもなかった】

あの眼は――――なるほどね。騎士団長サマ、やっぱりあんたも………。
いいわよ、加賀屋が起きたら伝えときなさい! いつでも掛かって来い、何度でもブッ飛ばしてやるって――――、

【ミドナは燃え盛る鬼へ祈りを捧げる信者達を、心底鬱陶しげに睨みつける。「何も知らないヤツがあたしとソイツの喧嘩に入ってくんな」……そう言いたげに】
【相手は曲がりなりにも人外だし、仲間であるフレデリックもいる。四人の同時攻撃は確かに強烈であったが、ミドナとしてはこれで終わりとは思っていなかった】
【フレデリックの額に第三の瞳が開き、部下を助けんと火中へ飛び込んでいく――――あれは炎獅子の瞳≠ゥ? ミドナは面白そうに笑い、その背を見送る】
【止める気は無い。加賀屋がまだ復活できると聞けばむしろ嬉しそうに笑って、フレデリックと加賀屋へ向けて威勢よく吼え叫ぶのだろう】
【……加賀屋やフレデリック達第三騎士団がやろうとしていることは脅威だが、かといって殺しは嫌いだ。なら相手が諦めるまで、何百回でもブチのめすまで――――】


………なっ、あんた誰よ!!
カノッサ機関――――!? ふざけんじゃないわよ、待ちなさい!! あぁ、クソっ…………!!


【その時突如として表れ、加賀屋の石筍≠奪っていったその少女――――ブランデン・ケミッシュのことを、ミドナは仲間から聞いていたが覚えてはいなかった】
【だが、フレデリックの口から飛び出した『ダグラス』という名は別。ラグナールを叩き潰した六罪王の事……あの街の救助活動に関わった彼女は決して忘れていない】
【故に。フレデリックはやはりカノッサと通じていた。そして六罪王ダグラスの部下が今、何故か独断でフレデリックを裏切って加賀屋の原型を持ち去った――――】
【それだけ推察できれば、ミドナの怒りに火がつくには十分。激昴して去っていくケミッシュの背に罵声をぶつけるが……既に追うだけの体力は残っておらず】
【彼女の姿が視界から消えると、ミドナは短刀を怒り任せに地面へ突き刺した。炎獅子の力が草を焼き、着火した炎がやりどころのない激情を虚しく代弁する……】

ふん――――その聖都とやらに行けば、今日の続きが出来るってわけ。
ジジイ共の味方をする気もないけど……いいわ。あんたらの企み、このあたしが……あたし達が、止めてやろうじゃない!!

【ミドナは去っていくフレデリックへ左手を突きつけて吼える。長らく飛び立っていた緋色の鷹≠ヘミドナの元に戻って久しく、フレデリック達を睨むようにはためく】
【――――転移術が発動すれば、その後に残るは静寂のみ。足元で燃える火に照らし出され、獲物を見据える鷹にも似た金色の双眸は爛々と中空を切り裂いて】
【しばらく経った後、ミドナは短刀を収納して自分の傷の応急処置に取り掛かる。他の三人の様子も伺って、傷が深そうなら手助けもしただろう】
【そして全てが終われば全員に軽く声を掛け、その場から去っていくのだが――――最後にその足は、自らが焼き滅ぼした鬼の亡骸へと向かった】

Hasta la vista

【……骨格に手を当てて眼を閉じ、まじないの様に呟かれるその言葉は果たして、どういう意味を込めたものであったのか】
【ともかく――――闇払う希望の灯≠ノて繰り広げられたミドナと加賀屋善助との喧嘩≠ヘ、どこか苦い後味を噛み締めながら幕を下ろすのだった】


/遅れましたがお疲れ様でした!
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/04/27(日) 18:37:57.41 ID:IzsdiJ9ao
>>375‐378

【空を落ちていく中放った2発の弾丸。技術と経験、そして想いを乗せた鉛弾が寸分の狂いもなく向かったことを確認すると、男は身体の限界を悟る】
【―――特大の火柱を放つために使った魔翌力は計り知れず、極限の集中で浪費した体力も相まって両手の銃は霧散した】
【……後はGOOD ENDを祈るだけ。ロウが出来る事はもう無いと、男は死に際の微笑みにも見えるような表情を見せ、そしてドシャリと地面に落ちた】
【全身に奔る鈍い痛み。四肢に力が入らないことが良く分かる。餓鬼が彼の足を掴んだのだが、ロウにはその感覚さえ解らないようだった】

【―――だが餓鬼の像は突如動きを止め、消え失せる。全員の攻撃が、想いが重なり砕いたのだ。砕いた先に見える勝利を、彼らは掴んだ】

……倒したは良いが……さすが……に捕まえるってのは無理だったか……ッごふぅっ……!!

【うつ伏せから立ち上がることは出来ないほどの満身創痍だが、何とか首だけは動かせたようで。爛々と燃え上がる炎が紺碧の双眸に映し出されていた】
【―――倒したのだが、ロウに純粋な嬉しさは込み上げてこない。ロウが求めたGOOD ENDはあくまでも殺さず捕まえること。不殺を貫くことは出来ずじまいだ】
【……そもそもこのような強敵相手に殺さずに捕まえようと考える事自体が甘いということは分かっている】
【それでもロウは。甘いと分かっていても、厳しいと分かっていても。どれだけ身体に傷を背負ってでも―――非現実的な最良の結果を求め続けていた】

【―――フレデリックが炎へと飛び込み、何かを取り出す。……自分だけだろうか。「加賀屋は死んでいない」という言葉に、少しの安堵感を覚えてしまっていたのは】
【そして更なる人物の到来。フレデリックが零したダグラスの犬―――という言葉から、どうやらカノッサ関係だろうか】
【ゼン=カイマとカノッサの繋がりを強く感じる発言に、怒りを強く覚える。だが身体はその怒りを表現する力もない。四肢が動かないのだから】

……聖都スラウ……ロット。……上等だコラ。どんな殺しも正当化出来ねぇ……それが俺の正義、Nonkilling≠フ精神……!!
―――俺がテメェ等全員の目ぇ覚ましてやるよ。テメェ等がどんだけ俺の正義を批判しようと……俺は俺の道を歩む……!!

……正義の反対は別の正義―――誰かが言ったモンだぜ。 ……スラウロットで証明してやる。テメェの正義を打ち砕き、お前が悪だということをッッ!!

【去りゆく大きな背中に、使命感、情熱、そして意地―――それらを含んだ言葉を、静かに―――そして力強く飛ばした】
【本当の闘いはスラウロットで決まる。フレデリックの鉄の意志と、ロウが胸に秘める不殺≠ニいう意地。勝敗は分からずとも、歴史に残る戦いになることは必至だった】

/遅れましたが改めてお疲れ様でした!
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/27(日) 19:40:04.53 ID:aTepF1lv0
【街外れ――海辺の砂浜】
【刃のように薄っぺらい月がきらきらと水面を照らす、そのたびに花の咲くような煌きが水面を彩って】
【僅かに濡れた砂浜も輝くなら、ちらちらと輝く世界、ステージの上を歩くような錯覚を抱かせて――】
【ぎしりと砂粒を押し潰す足音と続く足跡、点々と落ちたしるしは、誰かがそこに立つことを証明するかのようだった】

はあ……やんなるわ、書き入れ時が何よ、お仕事なんて暇なぐらいでちょうどいいのに……。

【後ろ手に組んだ両腕をふらふら揺らしながら歩く人影、砂浜に長く延びた影は、その性別を曖昧にするようだけれど】
【影を辿っていけばすぐに答えを見つけられる、肩を越す長さ、腰に届かない長さ、揺れる髪や華奢な腰が、示していて】

でも無意味に暇なのも嫌だわ、適度にやりがいがあるくらいでいいの。春先ぐらいが好きね、そうね、……。
……呑気にお花でも眺めてたいわ、薔薇園に行きたい。今度あの子でも誘って行こうかしら――……。

【日の沈んだばっかりの夜空の端っこみたいな紺色の髪、さらりと真っ直ぐに落とされた毛先は、一切の遊びもなく揃えられて】
【同じ色をした瞳は伏せられたり細められたりして海と空の狭間も分からない向こう側を見つめていた、時折、ほんの地面に舞い下りて】
【ちょっとした鎖なんかで飾られたカットソーにパーカーにミニのプリーツスカート。ひらりと引くのは、長く裾引くオーバースカートで】
【ボーダーの靴下は長めのもの、膝まであるようなロングブーツは、飾りの意味でのベルトがたくさん並んだゴツいもので】

【後ろで組んでいた手を体の前にやる、それなりに華奢な腰を抱きとめるようにして、ふっと溜息――ひとつ、夜に零して】

明日も明後日も仕事だなんて私のGWはどこへ行ったの? ねえ……、休みたいわ……植物園に行きたい……。

【その手が動いて顔に向かう。ぱっと顔を隠しこんで――その向こう側で盛大な溜息が聞こえたのは、気のせいでも何でもなく】
【指先が動いてちらりと覗いた瞳が砂浜を見下ろす、その先で――ちらりと煌いたのは紺色の魔力、咲き誇ったのはいろんな色のバラ】
【砂浜が緩やかに隆起する、薔薇を揺らしながら、或いは花弁を散らしながら。あるところは特に伸びやかで、あるところはぎゅっと萎縮して】
【――数分も待たずに作られるのは彼女の胸を越すぐらいの高さまであるような砂のお城。豪華なお城を模った、能力の欠片】

……働かないで城に住めないかしら。もちろん使用人もたくさんよ。何もしないで暮らしていくの。

【立派な砂のお城、曇った瞳の紺、零れたなんだか駄目な言葉、それを波音がざぁんと彩って、どこかへ流して行く】
【そんな夜の幕間、もしも誰かが訪れるなら――真っ先に視線を惹くのは、一体どこなのか】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/27(日) 21:25:26.41 ID:DUm6EaIYo

【某所・公園――――】

【がつがつがつがつ、というある種凶暴とも思える音が響いている。肉食獣が獲物を食い散らかすかのようなそれだ】
【大きな手で骨を押さえつけ、鋭い歯が肉を引きちぎる度に粘度の高い液体が飛び散った。ごくりと一度に嚥下される肉の量は、普通では考えられないほど多く】
【獅子の如き大口へ迎え入れられる獲物の断片は抵抗も出来ず舌の上を踊って、ソレに至上の愉悦を齎した。そんな一方的な蹂躙が数分ほど続いただろうか―――】
【がりっという音がソレの歯を伝わって、もう全ての肉を食い尽くしてしまったことを知覚する。無惨にも骨だけになってしまった残りカスだけが眼前に残った】
【そんな哀れな被害者を前にソレは一片の慈悲もかけず、ゴミ同然に骨を捨てた。やがて銀の瞳は次の獲物へと注がれ、じゅるりと無慈悲な舌なめずりの音が……】


――――衣のサクサク感に反して柔らかくも締まったこの肉! 歯を立てる度に肉汁が飛び散るこの感覚ッ!!
このスパイスの効いた味付けも良いッ、飲み物がなくても実に食が進む………それにこの、食べやすいよう絶妙に調整されたサイズもグッドッ!!!

うめぇ――――うめぇぇええッッ!! これだ、これこそが真の食事≠チてもんだ………!!!

【……などと実に紛らわしいセンテンスを並べながら、男は新しいフライドチキンを取り出して早速それに被り付くのだった】
【僅かに瞳を潤ませるほど食事という行為を全身全霊で楽しんでいるその男は、子供のように膨らんだ頬に反して非常に大柄な体格をしていて】
【褐色肌には鍛え抜かれた筋肉が隆起し、鼻が高く彫りの深い顔立ち。若干タレ気味の目にボサボサで手入れされていない黒髪が体格から来る威圧感を減じている】
【その服装は黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きしたもので、一見するとドカタか何かのよう】
【年は二十代後半ぐらいに見えるが、首にドッグタグが下がっている程度で殆ど飾り気はなく、少々無精そうな印象も受ける――――そんな男である】

ふー、しっかし流石に喉渇いたなぁ。コーラでも買ってくとすっか…………。

【ただでさえ異邦人じみた容姿が目立つ上、何やら身の丈程もある革製のケースも背負っていて、その上大量のフライドチキンが詰まった巨大な容器を抱えている】
【……男はいま、とんでもなく目立つ外見だ。それに本人は殆ど気にしていないようだが、この男は最近マスコミを賑わせている渦中の人物でもあって】
【公園ということもあって、周囲にそれほど人気がないのが本当に僥倖である。これで往来でも歩こうものなら決して小さくない騒動になっていただろう】
【そんな事情を、果たして少しでも自覚しているのか否か……暢気に間延びした声を上げると、男はチキンを頬張りながら近場の自販機へ向けて歩いていった】

【――――周囲に人気は少ない。だが、かといってゼロでもない。誰かが興味を持って……あるいは害意を持って近づいてきても、別段おかしくはないかもしれない】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/27(日) 22:01:44.82 ID:aTepF1lv0
>>386

【さてそんなプチ有名人な彼が自販機に旅立ってから数分のこと、長くても五分は掛からないと思うけれど――目を離したスキ】
【ふとコーラでも手に振り返れば、彼が元々座っていた場所に人影が一つ増えていることだろう。それは、さも当然という風に】
【はしたなく片足を持ち上げて靴を叩いたりなんだりしているようだった。そのたびに垂れてくる長い髪を、めんどくさげにかきあげて】

……あら、こんばんは。気にしないで、靴が砂っぽくてイライラしているだけなの。
ちょっと気分転換に海なんて行ったのが間違いだったわ、砂のお城をストレス発散に壊したのも悪手だったわね……。

【はたはたと手を止めないまま、呟くように投げる声は、高音の中に低音の混じる声。かわいげ、という点では点数の低いもので】
【何より女性だと言うのに太もものぎりぎりまでを露出しているのが――非常によろしくない。いや、よろしいのかもしれないけれど】

【浅い夜の時間の空とよく似た紺色の髪と瞳。少し釣った眼はなんとなく気だるげに伏せられていて、】
【ほんのりと日焼けした肌は健康的と言ってしまうと聞こえがいい。ただ、とってもじゃないけれど活発な類には見えなくて】
【鎖で飾られたカットソーとパーカーと、ミニスカートと、オーバースカート。全部黒色なのだけれど、オーバースカートだけは】
【裏地――おなか側だけが深い赤色をしていて。それが、ボーダーの靴下と膝丈のロングブーツ、ベルトがたっぷりついたのを飾って】
【まだ若い女性だった。片足だけ体育座りみたいにした足に顎を乗せて、ふらりと伸ばした手には、片方だけ脱いだ、ロングブーツ】

【――しばらく叩いていたのにやっと満足する結果が出たらしい。それをもぞもぞと履いて――ジャッと、チャックを上げて】
【「食事中邪魔しちゃって悪いわね」なんて軽口が投げられることだろう、彼女の存在を気にせず元の位置に座るなら、こちらも気にせず】

…………私あなたを知ってるわ、有名人ね。久しぶりのシャバの食事かしら、余計に邪魔しちゃって悪いわね?

【うふふ――なんて風に笑いながら小首を傾げてみせるのだろう。悪いだなんて、ちぃとも思ってない顔が笑っていて】

テレビで見たくらいだけれど……大変だったみたいじゃない、気になるわ、無実の罪だなんて。ドラマか映画みたいね。
どんな気持ちなのかしら? それとも、フライドチキンを美味しくするためのエッセンスでしかない?

【足を降ろせばついーっと伸ばす、ふらりと一瞬バランスを取るようにして、それから地面に足をつけたなら】
【つらりと尋ねてみるのは、やはりというべきか――そんなことだった。渦中の彼へ、単なるちょっとした疑問をぶつける結果】
【もしかしたら気分を悪くさせるかもしれない。きっと分かっているはずなのだけれど、ちょっぴり失礼に、尋ねてみたのだった】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/27(日) 22:41:13.24 ID:DUm6EaIYo
>>387

【自販機の前に立って、流石に脂ぎった左手を使うのは躊躇われた。右手一本で財布から小銭を取り出してボタンを押すというのは意外と難しく】
【端から見ると四苦八苦する男の姿はやや滑稽だったかもしれない。やたら大きな上背の反面、人を怖がらせるような厳つい雰囲気は無く】
【良く言えば親しみやすい、悪く言えば威厳がない。そんなマイペースな男は……振り返って新たに女性の姿がそこにあっても、大して驚かなかった】

…………気持ちはわかるぜ、姉ちゃんよ。
ちょっと歩いただけで靴に入るわ口に入るわ、街について服を払ったら山が出来てたりな。
俺も今は慣れたが、子供の頃はよく親にグチ垂れてたよ。

【男が披瀝する砂の話と女性がする砂の話は微妙に異なっているだろうか。水か砂かというだけで、海であることに変わりはないのだが】
【気だるげなのは同じだが、垂れ気味な銀の瞳。それが女性の体を面白そうに滑っていく。……太腿の辺りで「ほほう」という意味深な声が漏れたのはさておき】
【男はまるで遠慮することなく、女性の隣へどっかと腰掛けるのだろう。プルタブを開けてコーラを流し込んで、既に寛ぐ気まんまんの様相だ】

なんだ、よく知ってるじゃねぇか。その通り、ようやくマズい飯から解放されたばっかでよぉ………。
――――改めて、アサド・アル=アーデルだ。そっちは?

【ぶはぁと豪快に唸ると、男はこの二ヶ月の日々を思い返すように少し遠い目をした。やれやれ、と言わんばかりに首を振って】
【その鬱憤を新しく取り出したチキンへぶつけながら、男は自分をアサドと名乗って、当然のように女性の名を問い返すのだろう】

あぁ、俺もドラマか映画でしか見たことなかったよ。自分が巻き込まれるだなんて思いもしなかったぜ。
………ありゃあ地獄のような日々だった。汚ねぇ食器に筋張った肉、塩素臭い水に硬い白米。それが二ヶ月だぜ?
犯罪者に本当に更正を促したきゃあまず飯をどうにかするべきだな、マジで。健全な精神は健全な食生活に宿るってことよ。

………あ、良かったら食うか? どうせまだまだ有り余ってるし。

【やや不躾にも思える女性の質問も、アサドは大して気にした様子もなく応える。八つ当たりのようにチキンの肉を引き千切りつつ】
【……どこまで行っても、此度の騒動の感想の大半は食事に集約されるらしい。この分だと二ヶ月間、ずっと腹を空かせていたのではなかろうか】
【小脇に抱える巨大な容器にはまだまだ多量のチキンが入っていて、男は存外気前よくそれを女性へ差し出してみせた】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/27(日) 23:10:13.89 ID:aTepF1lv0
>>388

【そうして彼が自販機と苦戦する間、きっと彼女は靴の砂と格闘していたのだろう。髪をかき上げる手つきが、どうにもうんざりげで】
【見れば地面に薄らとここのものじゃない砂があった。砂場の砂――とも違う、海で磨かれた、ちいさな砂粒の集団が】

口には入んないわね、そこまでアグレッシブには遊んでないわ。砂のお城を踏み壊してやっただけ。爽快ね。
それこそ全部の鬱憤ぶつけてやったわ、ヒドくない? 私ね、GWがないのよ。ろくにないわ。明日も明後日もバイトよ?
それで何するかって農家の皆々様に野菜苗を売ッつけてやんの。世間は農家だけじゃなくて私たちにも感謝すべきだわ――。

【余談だけれど、彼女はごく平均的な体つきをしていた。細くもなく、太くもなく、ただちょうどいい塩梅の肉づきをしていて】
【胸元にはちょうどよく肉がついているのに、腰元はきゅっとしていて。そうかと思えば、太ももはむっちりと齧りたい具合】
【意味深な声には僅かに瞳を細めることで対応してみせた。そのすぐあとには、ブーツを履いて、降ろしてしまうのだけれど――】
【そんな体を見られることより盛大に溜息を吐かせたのは、スケジュールの黒さへの文句だった。本気で気だるい、という風】

それならそんなジャンクなものおいしいんじゃないかしら、どうしてジャンクであればあるほどおいしいのかしらね。
……ああ、煮物とかも好きよ。放置しておけば出来上がる辺りも好きね、対した手間の掛からない料理が好きなの。

材料寄せ集めて放置したら料理が出来上がる能力とかってないのかしら? どっかの料理屋なんかには居るかもしれないわね……。

相上天音。天の音って書くのよ、なんだか素敵でしょう? 私、偉くなったみたいだわ。

【刑務所の食事――といえば給食をもっとずっとレベルダウンさせたようなものが浮かぶ、それなら、そんなのご馳走みたい】
【細めた瞳で愉快げに笑ってみせた、続いた呟きは――女子としてある種切実な問題だったりするのだけれど、それはそれ】
【いちおうの言い訳みたいに煮物だとかも好きだと告げるけれど、中和……ぐらいは出来ただろうか。出来たと思いたくて】
【――ふらーっと背中を伸ばして天を仰ぐ、そうして零れた言葉は。“料理だるい”――多分、そう翻訳できるのだった】

【かっくんと揺らしながら戻す首、緩く立てた指は人差し指だけ、それで名乗り返す名前は、櫻のほうの響き】
【けれど青みがかる――透かせば青い――髪はそちらと違う。それなら混血だろうか、なんて薄らと思わせて】
【偉いわけもないそこらの一般人だ。それだけはどれだけ選ぶってみたって変わらない事実、あまりに確固な現実】

あら、そんなの大変ね。特にあなたには大変そうだわ、なんだかとっても――食事が好きそうだもの。
そんなにおいしそうに食べられたら見てるこっちまでおなか一杯になるわ、新手のダイエットみたい。痩せちゃうわね……、
……くれるの? そう、それなら……、……そうね、いただこうかしら。痩せすぎたら体に悪いものね。

【少し見ていただけで良く分かる、きっと眼前の彼は食べるのが大好きで。或いはそれを生きがいにしているのかもしれなくて】
【面倒臭ければ食べなくてもいい自分とは掛ける思いが違うはずなのだった。(まあ、力仕事の関係上食べるようにはしていたが)】
【見てるだけでおなかいっぱい――だなんて言っては居たけれど、好意はありがたく受け取るのだという。どんな心変わりかと思うけれど】

【(目の前でおいしそうに食べられてたらちょっとは興味も沸くものである。特に今は深夜、おなかの空いてくる頃合だから――)】

【――そっと差し伸べた手が彼の大きな手からチキンを受け取る。一度もう片方の手に移し変えたと思うと、指先を見つめて】
【分かってはいたが油っぽくなった現実を受け止めて――それから、「いただきます」と小さな声、はむりと隅っこを齧るのだろう】
【すぐ隣の彼がライオンみたいに食べるなら、こちらは小鳥みたいに食べる。くいと引っ張った肉片、思ったより大きなのがとれたりして】
【チキンを食べるときに良くある苦労はけれど些細なもの。会話にも、対した支障を与えるわけでもないようだった】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/27(日) 23:47:17.37 ID:DUm6EaIYo
>>389

なんだ………そっちもずいぶん苦労してるみてぇだな。
農家に苗を売りつけるって、んなバイト初めて聞いたぞ。確かに休み返上でやるにゃあちと地味だな、そりゃ。
せっかく綺麗なナリしてんだし、いっそウェイトレスでもやったらどうだ?

………まぁそう落ち込むな、俺もGWは無いに等しいからよ。
自警団ってのも元々割と激務だし………それにいきなりとっ捕まったせいで業務の引き継ぎも終わってねぇ。
上の方も報告書上げろだのなんだのうっせぇし………世間ってのは厳しいなぁ、姉ちゃん。

【女性の口から次々に飛び出す愚痴の雨が、アサドに「はぁー」と大きな溜息を付かせた。苦労しているのはお互い様のようで】
【農家相手に苗を売るなんて、確実に若い女性がするバイトではない。若干物珍しそうに感想を言うと、彼はさらっと女性の外見を褒めてみせた】
【……いつの間にか骨だけになっていたチキンの残骸を容器に突っ込んで、コーラを煽る。こっちもこっちで休み返上、それを思うと脱力感が襲ってくる】

相上天音、か。聞いた感じだと櫻の国の出身か? ……何にしても良い名前じゃねぇか、親御さんに感謝しとけよ。
ま、こういうのはたまに食うからいいんだよ。食べ過ぎると体に悪いし、それに太っちまうしな。

……おいおい、女なんだしそこはしっかりしとかねぇと駄目だろ。俺だって普段は弟が作ってくれるが、家に帰れない日はきっちり自炊してるしよ。
やっぱ普段は『家庭の味』ってのが無ぇと、なんつーかこう気合いが入ってこねぇだろ!

【容姿を褒めたかと思えば、やれ太るだのやれ女なんだから料理しろだのとデリカシーのない言葉が飛ぶ。……先程の発言に大した意味は無かったようだ】
【実のところ、その他の私生活はいかにも「独身男性の一人暮らし」といった風情のだらけきったものなのだが、食事に関してだけは人一倍拘りがある様子】
【……弟の話をする時だけ妙に力が籠もっていたのに、もしかしたら気付いたかもしれない。他の発言からも、随分と家族を大事にしている様子が伺えて】

【小鳥のように肉を啄む天音のことを満足げに見て、適当な性格の割に意外と可愛い食べ方するな、なんて思ったのは勿論口には出さなかった】
【アサドは一度立ち上がると、また自販機の所へ行って小銭を突っ込んでコーラを購入。戻って来るなりそれを天音へ差し出すだろうか】
【気が利くんだか利かないんだか――――ともあれ。類は友を呼ぶとでも言うべきか、この面倒臭がりな女性のことを男はどうやら気に入ったらしい】
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 00:08:53.81 ID:bG8mu6Iv0
>>390

園芸センターって知っている? 花屋をもっと地味にしたヤツね、花苗とか野菜苗とか土とか、いろいろ売るの。
そこでバイトしてるのよ、これからの時期は夏野菜の苗でてんてこまいになるわ、特にこのGWが山場なのよ。
ウェイトレスは昔やってたけど嫌になってやめたわ、あんなの向かないもの、時給は良かったけれど……。

あら、でもきちんと働いてもらわないと困るわ。路地裏のヤツラが出てきたり……なーんてしたら、とっても困るもの。
でもあんまり封をされても困るの、私の友達が……ふふ、こんな話あなたにしたら駄目かしら? 聞かなかったことにしてちょうだい。

【「コロシとかじゃないのよ」なんてわざとらしい言葉が紡がれる、のだけれど、そこにきっと嘘はないと分かるだろうか?】
【ぎりぎり法に触れるか触れないかというところ――娼婦――という立場の友達が居るのだった。それを、薄らを匂わせて】
【けれどあまり追及させるつもりもないらしい。両手をぺたんと合わせてお願いしてみるけれど、果たして通じるものなのか】

【――バイトについてはやっぱり気だるげなのだった。花屋よりも知名度は低いけれど――確かに、植物に関わる仕事】
【方向性も僅かに違う。花屋は苗をあんまり扱わないけれど、園芸センターは切花をあんまり扱わない、そんな住み分け】
【文句を言いながらやめないというなら、そういうことなのだろうか。花が好き――それが、彼女の嗜好の一端だったりした】

混血なの、母親が櫻。父親はどこだったかしら? 知らないわねえ……、ま、とにかくハーフなのよ。ハーフ。クォーターかしら?
そうねえ、太るのは死活問題だわ。でも……これからの季節はサウナみたいな場所で働くからいいんだけれど。プラマイゼロね。
寧ろ食べないとブッ倒れるから問題なの、花の仕事って可憐だと思うでしょう? 実体は全然違うのよ、過酷だわ。

年中水とか土に触るから手なんてガッサガサ、夏は暑くて冬は寒い仕事場、客は客で詳しい人ばっか……あと、虫だらけよね。

……女だって面倒臭いのよ、コンビニ弁当がもっとヘルシーで栄養が偏ってなくて美味しかったらそれのほうがいいわ。
なーんて……、こう見えてお金が必要なのよね。だから自炊せざるを得ないの、ひどい話だと思わない? 私は思うけれど。
生活費は同居人に出してもらっているの。私? 私はしなきゃならないことがあるのよ、だからバイトなんてしてんの――……。

【「櫻で暮らしたことはないわ」と返す言葉、ひらりと揺らした足と影、ついと動いた視線は、父親の故郷を思い出そうとするのだけれど】
【思い出せない辺り、疎遠か――何か理由があるらしかった。自分に流れる血が何分割なのかも分からないぐらいの、知識量】
【そしてさも大変そうに口に出すのだけれど。自警団なんて仕事の大変さと比べればきっと月とすっぽんぐらい違うだろうから】
【ただの怠惰――というかなんと言うか。それでもやっぱり花が好き。そうでなかったらやめてるわ、とか、思考の隅っこ】

あなたは弟さんと二人暮らし? 私は幼馴染と暮らしてるの。猫被った虎みたいな子でかわいげがないのよ、面白いぐらいに。

【料理する手間より買ってくる手間。さも当然とばかりなら、女らしさなんて或いはほとんど枯渇しているのかもしれないレベル】
【――かと思えば、そちらにも辞められない理由があるのだった。同居人にライフライン任せてまですることなんて、?】
【だるーんと溜息吐いたところに差し出されるコーラの入れ物。ぱちりと瞬いてから、「あらありがとう」なんて受け取るのだろう】

【(実のところは口周りを汚したくないだけだった。薄く施した口紅を落とすことになるし、なにより荒れるから)】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/28(月) 00:35:55.89 ID:tfi1koFho
【夜、暖かくなってきたと言えども吹く風はどことなく冷たい】
【季節の変わり目だからだろうか、道行く人々はそれを思いながら家路に急いでいるのだろう】
【街を見下ろせば灯りが眩しい、ホタルのような灯りのひとつひとつが人々が生きている証だ】

【人の生は続いている、ならば人の性も続くというのが必然だ】
【人の歴史は戦いの歴史と誰かが言った、生きる事は戦いだ、と】
【地図を開き今ままで戦いが在った場所を赤で塗れば簡単に赤い球体が出来上がる】
【何を犠牲にして一体どこまで向かうのか、繁栄という情熱はいつまで続くのか或いは絶えるのか】


【何にせよ、戦う事でしか人間は生きていられないのかもしれない】
【静かな森で「銀の刀」を振り続ける彼もまた、その中の一人なのだろう】

――――――――疾っ!

【空気を裂く音が甲高く響きやがて消える】
【刀身は月明かりを受けて艶かしくもあり、立ち上る白銀の輝きはさながら陽炎のよう】
【切先から柄尻まで全てが銀色の「刀」――――――――銘も無いソレは僅かに「退魔」の因子を散らす、立ち上る力は遥か天へと霧散する】

…………ふ、う――――――――

【緊張と脱力、拍動と呼吸、表皮の感覚……そのどれが欠けても戦いでは命取りとなる】
【後ろ髪だけ注連縄のように纏めた白髪の彼の動きはそれを識り、意識をしながら刀を奮う】
【時に切先の反りで突き、時に腹で横に薙ぎ払う……基本の修練】

……はーっ!…………一人だと所詮こんなもんか……
進歩してるんだかしてねーんだか……ま、基本に忠実ならいいんだろうけどさ
想像と実際は、まあそりゃ違う訳で―――――――独り言で解決するでもないけど

【額に流れる小さな汗、僅かに幼さを残す顔はどこか不機嫌そうだった】
【修練には2つの種類がある、1つは外部と競い合うという外面的な物と、もう1つはただ只管己の内に研鑽を積む内面的な物】
【言葉から察するに彼はこの所は後者の鍛錬ばかりのようで、実戦には遠い鍛錬に幾らか溜まる物があるらしい】

【力があるならば試したくなる、それは人間の性で】

鍛錬するには一番いい季節なのに全く精神衛生上よろしくないこった
いい加減適当な相手でも見つけて無理矢理鍛錬に引きずっちまうか…………
まー……そんな都合の良い話なんざねーよなあ……はー……アホらし、休憩しよ

【刀を地面に突き刺して、服の袖で汗を拭う】
【武器に親しむ人間が見たらば罵声さえ上げそうな扱い、当の彼は気にするでもなく】
【「よっこらせ」と地面に腰を降ろし夜空を見上げる、その瞳……赤と紫白に輝く目はどこまでも伸びる深淵を見つめている】
【佇む刀は相変わらず白い靄を滲ませながら夜の森へと流れてゆく】

【輝きはどこか眩しくならば傍らにある彼の姿も僅かながら伺えるだろう】
【瞳の違和か、「退魔」の輝きか、どれに誘われるでも……この夜は静かに開いている】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/28(月) 00:51:37.17 ID:sP4PGUSho
>>391

はー、そんなのがあんのか。農業にゃあ関わったことねぇから、その辺の苦労はなんとも言えんが……。
確かに、お前さんはあんま接客に向いてるタイプじゃなさそうだな。人前に出るより静かに花でも育ててる方が似合ってそうではあるぜ。
その点、俺なんかは見た目通りだろ? 何だかんだで俺には路地裏の連中とドンパチやってるのが合ってるし、仕事は全うさせてもらうさ。

……そういうわけで、その友達に伝えとけよ? あんまし派手にやると怖いお兄さんがとっ捕まえに行くってな。

【園芸センターなんて単語を聞いたのは初めてで、アサドは感嘆の声を漏らす。何せ彼の故郷はかなりの田舎だったので――――】
【旅商人や近場の農家と取引して野菜の売り買いぐらいはしたことはあっても、『センター』なんて呼べるほど巨大な施設は利用したことがない】
【夏野菜≠ニいう単語で一瞬目の色が変わったのは置いておいて……この男が天音のように花を愛でるようには到底見えない筈で】
【結局のところ、自警団員にしてSCARLET隊員という自らの使命を全うするしかない。そう言い切る彼もまた、何だかんだで今の仕事が好きらしかった】
【……少なくとも、法の外側へ片足を突っ込んでいるらしき天音の友達へ軽い牽制を入れる程度には。流石にその辺りは抜け目がない】

へー、櫻のクォーターか。奇遇だな、ウチの部隊にも櫻と砂のクォーターがいるんだよ。お前さんよかかなり年は下だが……。
……って、なんだ意外と運動してるんだな。それだけ苦労してんならむしろもっと喰え喰え、そんな細い身体じゃいつかガタが来るぜ!

実家が鍛冶屋なもんで、俺もちったあ気持ちも分かるな……冬はともかく夏場は、地獄みてぇな熱さの炉の前で仕事せにゃならんし。
集まる客も荒くればっかで怖ぇし、ホントこっちの気持ちにもなれって話だよなぁー。

【天音の紺色の髪を眺めて小さな同僚を思い返しつつ、アサドは本日何本目かのチキンへ被り付いた。これだけ食べても太らないのはやはり仕事柄か】
【その一方、天音も天音で体力勝負の仕事をしているらしく――――そうなると男はいらない世話を焼かずにはおれず、チキンの容器をそちらへ押し付けるのだろう】
【園芸職の意外な苦労に感心しつつ、アサドはふと実家の話を持ち出す。また180度毛色の違う話だが、彼の中では「暑い仕事」というとまず浮かぶのがソレだった】
【炉の前で鉄を鍛つ仕事……夏と言っても砂漠の夏である。この褐色肌は恐らく生来のものだが、かといってそれだけでもない。黒色の肌は砂漠で生きてきた証だ】

あぁ、ジャワードって名前なんだけどな。時間のない俺の変わりに色々と身の回りの世話を焼いてくれる、自慢の弟だぜ。
しかし猫被った虎って、確かに中々面白そうなヤツだな。それに生活費も出してくれるなんて相当良いヤツじゃねえか?

――――そんだけバイトして金集めて、しなきゃならないこと、か。良かったら聞かせてくれよ。

【同居人について問われれば、自慢の弟だなんて一切臆面もなく口にする。語調も何だか楽しそうに、どうやら随分可愛がっているらしかった】
【天音のおかしな表現に口元を緩めながら――――やりたい事、という単語が少し気になって、アサドは直球の質問を投げかけてみる】
【――――その筋では少し有名な話だが、アサドは意外にも金稼ぎに熱心である。自分も同じだったからつい興味が湧いて……といったところか】
【とはいえ、中々に踏み込んだ質問である。出来る限り深刻にならないようチキンを食みながらの質問、答えないなら答えないで特に追求をする気もなかった】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 01:19:19.44 ID:bG8mu6Iv0
>>393 

まあね、みんな大変なのよ。今の時期に遅霜なんて来たらじゃがいもだとか全滅するじゃない? でも、前もって知らなきゃ駄目なの。
天気予報とにらめっこして、「ああ霜なんて知らなかったよ」じゃ済まないし。虫に鳥、オジャマムシなんていっぱい居るし……。
みんな大変なのよね。私だけじゃないんだわ、……でも休みたいのには変わりないわよね、他人が大変なの見たって疲れは癒えないわ。

……そーね、伝えておくわ。あの子もあの子でちゃんとやってるみたいだけれど……捕まっちゃったらねえ、家計が。

【「大変よねぇ」なんて遠い目をした呟きは、やっとまともなところが見えたかと思う刹那。けれど、聖女の笑むようなほんの一瞬】
【次の瞬間には怠惰な女の顔に戻っているのだから。どうしようもないぐらいにこびり付いた思考回路、もう手遅れなのかもしれない】
【「私たちのために頑張って」なんてひらり手を動かす仕草と告げられる言葉。投げやりなようだが、存外本心でもあった】

【(平和じゃないのは疲れるから。ろくに出歩けない社会なんて面倒臭いし。平和を好むのなんて、そんな理由だったりもした)】

【すっと頬っぺたに触れる手の動き。そうよねーなんて呟く軽さは、――友達を心配してるんだか、自分を心配してるんだか】

へえ、奇遇ね。運命を感じちゃうわ、前世の姉妹か兄弟かしら? なーんて……、よくあることよね、ないことじゃないわ。
ビニールハウスの中は修羅の地よ、生半可に踏み込んだら洗礼を受けてぶっ倒れるの……運動量もそれなりね。
土って存外重たいのよ……でもあなたの仕事よりかマシかしら。チンピラ相手なんてごめんだわ、私。

あら、鍛冶屋なの? ふうん、へえ……、刀とか打つのかしら、あれは夏場は大変そうねえ……、暑そうじゃない?
実際暑いんでしょう、でも……きっと私たちより暑いわね、こっちは火なんてないもの。炎天下かビニルハウスかぐらいだもの。

【――つらりと連ねた冗談はなんだか真顔にも見えたから一瞬だけ分かりづらい、すぐに訂正するから、いいのだけれど】
【ビニールハウス――となると。夏場にちまちま熱中症で倒れる農家が居たりするらしい。トップニュースにはならないものの】
【気をつけるに越したことではないだろう。押し付けられたチキンは――曖昧に辞退して、残っている分を食んでいく】

【続いた彼の言葉、鍛冶屋というのは――なんとも暑そうなイメージが付き纏う。というより、年中暑い仕事のように思えて】
【それと比べたらこちらは涼しいぐらいなのかもしれない。行ったとしても、四十五度には届かない程度だし――暑いけど、】
【目の前にごうごう燃え滾る炎があるのとは話が違うから。凄いわね、なんて風な顔をして見せたことだろう。ぱちり、瞬いて】

あら、うちの虎柄の猫もいろいろ世話を焼いてくれるのよ。シャンプーなんかも買ってきてくれるわ、猫にしては便利でしょう?
ええとってもいいやつなの。何より人に世話をするのが生きがいでね、私なんか標的にされてかわいそうなのよ――。
便利だからいいけれど……あら、非道いこと言ったかしら? 私あの子好きよ、いい子だわ、とっても……ええ、とっても。

【自慢の弟――それと対峙するには、仲良しの幼馴染ぐらいじゃ足りないかもしれない。彼に比べて熱の篭り具合も少なく】
【それどこか付き合ってやってるのだと言うような言葉すら混じる。自分の体を一度ぎゅうと抱き締めるようにして――】
【すぐに冗談めかして解いた腕で頬っぺたに触れる。くすくすと笑いながら首を傾げたら、そんなことを言うのだった】

うちの母さんてば病弱なのよ。小さい私の世話も出来なかったぐらいにね、今も入院してるんだけれど……。
それの入院費やらを私が出してるの。親のことはね、流石にあの子には頼れないものだから――仕方ないわね。嫌でもなし。
足りないところは借金にして出してもらってるわ、……まあ最悪踏み倒せそうだから気楽よね。気楽だわ。

【はむと骨についた残骸みたいな肉をこそげて口に落とす、食べ終えればぺろりと唇を撫でる舌、ぬらりと赤いのが過ぎって】
【食べ終えた骨を宙ぶらりんにして黙る一瞬があるのだった。それから、彼が骨を置いている場所へ。そっと紛れ込ませ】
【――つまり母のためにバイトなんて気だるげながらやっているのだった。そういうことになるだろうか、軽く言った意味は】

【(それにしても。二人で暮らしているという生活費を出して、借金までさせてやるという、その同居人)】
【(先に言った“友達”は同一人物だろうか。お金のあるらしいのを思えば、きっとそうらしいと思えて――すこし、あやしい)】
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/28(月) 02:10:20.00 ID:sP4PGUSho
>>394

【まず最初にするのが友達≠ヨの心配ではなく家計の心配だというのだから、アサドは思わず軽く苦笑いをして】
【私達のために働けと言われれば、存外真面目な顔で「おう」とそれに頷いて見せるだろうか。治安維持とは突き詰めていけばそういう仕事だ】
【漠然と「市民」という郡体の為に動くのではなく、市民という「目の前の一個人」の為に仕事をする。自警団という仕事を、アサドはそう捉えている】

そいつは女だから、もしそうなら前世の姉妹ってことになるな。これでお前さんが忍法でも使えりゃ完璧なんだが。
単に暑いのには慣れてるが……蒸し暑いってのはそれでキツそうだな。土運びで腰が曲がるよりはチンピラに一発殴られる方がマシな気がするぜ……。

そうそう、主に刀剣類だな。『アーデル工房』なんつって、小さいけど割と名門だったりするんだぜ?
まぁ確かにキツイが、ビニールハウスの修羅場に耐えられる根性がありゃ意外といけるかも知れんぞ。給料もそこそこ良いし。
……まぁ、ちょっと砂の国の砂漠の奥まで行かなきゃならんから、バイトには向かんがな。

【暑いのと蒸し暑いのではきっと趣が違う。この男をビニールハウスに突っ込んだら案外、予想外の熱気に「慣れている」なんて言えなくなるかもしれない】
【それと同じで、ただただ単純に「暑い」というのも意外と辛いものである。冬場はもう少しマシだが……砂漠は年中暑いので、どの道一年中汗だくなのは変わりない】
【……そういえば、先程弟がいると言っていたが。アサドが自警団に就職している今、その『アーデル工房』とやらの後は誰が継ぐのだろうか】
【あるいは湧き上がるかもしれないそんな疑問を吹き飛ばすように、アサドは少しだけ寂しそうに故郷を思い返しつつ、天音に軽い冗談を飛ばして豪快に笑った】

おいおい、何か聞いてるとパシリみてぇだぞ。世話焼いてもらってんなら仲良くしねぇと……虎に噛まれたら冗談じゃ済まんぜ?

【天音は先程友達の話をしていたとき、家計がどうのと心配していたが……その事を思い出して、その「虎柄の猫」こそが天音の友達のことなのか、と思い当たる】
【話を聞く限りでは何とも酷薄な関係にも思えるが、しかしその悪口の端々からは深い縁も覗いている気もして。アサドはニヤリと意地悪そうな笑みを向けるのだった】


――――――……ぶっ、はははははははははははっ! おいおいマジかよ、こういうこともあるんだな世の中ってのは!!
あぁ、すまねぇ。別にお前さんを笑ったわけじゃねぇんだが……どうやら『前世の兄妹』は俺と天音だったのかも知れんぜ……。

【そして、何故だか――――天音が話してくれた病弱な母親の話を聞くと、アサドはいきなり目を剥いて驚愕の表情を浮かべ、その後思い切り吹き出すだろうか】
【笑ってはいけないことは解っているが、どうしても我慢できず。気持ちを紛らわせるようにチキンを骨ごと噛み砕いて、少しだけ遠くを見つめた】

……実はな、俺も似たようなもんなんだ。SCARLET≠ノ加入して世界中飛び回って稼いでるのも、そもそも自警団の仕事に就いたのだってソレがきっかけだよ。
母ちゃんと、それからさっき言った弟。俺の故郷で昔、酷い伝染病が流行った時期があってよ。二人ともそれにやられちまったんだ。
今じゃ弟はどうにか回復してるが、免疫が落ちてて病弱だし。母ちゃんは未だに寝たきりで、こっちも入院費やら治療代やらが嵩むもんでね。

幸い、ウチは危険な代わりに金払いはいいから、どうにか賄えてるが……友達同士とはいえ借金までするたぁ、そっちはどうやら大変らしいな。
うーん、腕っ節に自信がありゃあ自警団の依頼でも受けてみるのが手っ取り早いんだが……。

【そうしてアサドが話し出した内容は……本当に、運命だか何だかと呼ばざるを得ないような偶然であって。世の中というのは意外と狭いものらしい】
【病弱な弟に入院中の母親。実家の鍛冶屋を出てわざわざ金払いの良い自警団に就職したのも、もしかしたらそういう事なのかもしれなかった】
【故に、天音の話も到底他人事とは思えず。借金までしていると聞けば今までで一番真剣な顔になって、良いバイトでも紹介できないかと本気で頭を回し始める】
【……その同居人が本当に友達≠ニ同一人物なら、その人物は少々ながらアウトローな方向へ突出しているわけで。僅かばかりの憂慮がアサドの心に翳った】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 02:38:30.32 ID:bG8mu6Iv0
>>395

【それでも。仲の悪い二人というわけではないのだろう、ところどころに――そんな気配が窺えて、不仲ではないと思わせはするだろうか】
【けれど適度(?)に突き放している様子なのは少しだけ気になるのかもしれない。なんというか――ただ仲良しこよしではない、理由が】

忍法? ……忍法なんて使えたかしら、そんな覚えはないわね……、能力者ではあるのよ。砂のお城もそれで作ってやったの。
そうねえ、相当蒸し暑いわ。じっとりして汗が止まらなくなるの――お陰で日焼け止めなんて無意味よ、焼け放題! はあ……、

ふふ、私にも出来るかしら? それで足がよければ少しは考えるんだけれど……砂の国には通えないわねえ、遠すぎるわ。
それに、私夏って苦手なの。カラっと晴れててもジメっと晴れてても苦手なのは苦手だわ、秋口が好きなの――。

薔薇が一番綺麗に咲くのが秋なのよ。秋の薔薇は素敵よ、春の花よりも――ずっとずっと綺麗に、咲いてくれる。

【顎に人差し指の一本で触れる、分かりやすく考えごとをする仕草の真似事は、ただその実何にも考えてなんていなくって】
【砂の――というからにはその関連の能力者だろうか。軽く匂わせたなら、或いは、砂漠生まれの彼は興味を持つかも知れない】
【そして鍛冶屋でのバイト――というお話。やっぱりネックなのはその場所であるらしい、さらに言えば暑いのも苦手で、】
【それなら涼しいのが好き。その理由は薔薇の花。――ひどく夢見る少女みたいな顔で笑っていたのが、何か印象的だった】

そうね、虎に噛まれたら死んじゃうわ。飼い犬に……なんて言うけれど、猫も噛むものね。
たまには撫でてやらないと。特別の餌(ごはん)も用意してやらないとね、反逆されても大変だから――ふふ、

【友人を動物に喩えるお話、猫猫言うなら猫っぽい子なのだろうか。そんなことをふっと思わせるかもしれない言葉の端っこ】

あなたと私が兄妹? どうしてそう思うのかしら、私、……あなたみたいに正義感はないのよ。出来れば家で寝てたいわ――、

【いきなり笑われる。そんな状況に、彼女は少し驚いたらしい。釣り気味の眼が丸みを帯びて、困ったように瞬く刹那】
【ハンカチで指先を拭いながら尋ねるのだった。かつて血を分けたにしては――ずいぶんと、心持が違うものだと】

……あら、奇遇。あなたもなの? 大変よね、見舞いだって毎度毎度手ぶらで行くわけにも行かないし……。
それともあなたのお母様は砂の方に居るのかしら? それなら見舞いには行かなくていいのね、だから楽ってわけでもないけれど……。
うちのは生まれつきみたい、だからどこに行った思い出もないのよ、病院に付いて行ったぐらいかしら……、それぐらいね。

流石に花屋のバイトだけじゃね。けど大丈夫よ、あの子、困ってる人に世話してやるのが大好きなの。喜んで貸してくれたわ。
返すのも……どうにかなる、と思うわ。きっと……私のお友達ってば、存外優しい子ばかりなの。嬉しいばかりね。

【それから目がぱちくりと大きくなる、本当にそんな偶然もあったものだと――思いもしなかったから、余計に驚いて】
【ちょっとばかし零す苦労は溜息と一緒に。面倒臭がりやらしい彼女のことだからと思っても、そこに対した文句はないようで】
【虎柄の友達の話になると途端にこの態度だ。利用してやったとばかり――そのくせ、母親と同じぐらい考えていたりする、アンバランス】

腕っ節に自慢ねえ、私、自分の能力は好きだけど……、お生憎様ね、そんな物騒なことはしたことがないの。本当よ?
見てよ、地面にお花が咲くの、綺麗な能力(ちから)でしょう? まあ……だから薔薇が好きになったのよね。

【それから“とん”と地面を踏む足、そこから生まれるのは、紺色の魔力の波動――水をやったよう、地面に染み込んで】
【そこからふわあと芽吹くのは無数の芽、それが刹那に花芽を抱いて、魔力の染みた範囲に咲き誇るのは、たくさんの彩りでの薔薇の花】
【高芯咲き。カップ咲き。ロゼッタ咲き。色も白赤黄色ピンクと無数、存在しない青色や薄らと透けた薔薇まであって】
【もう一度地面をたんと叩くと、今度はもこりと地面が隆起する。もこもこもこ――やがて、たくさんの薔薇が咲いた小山が出来上がって】

【これがお城を作った能力。花を咲かす――なんて言ったが、メインは地面を隆起させた力であるのは間違いがないだろう】
【けれど彼女がそれを園芸の能力だと言い放ったみたいに、――それぐらいに、彼女は荒事と無縁なままで生きてきていた】

【(その“友達”の方は嗜み程度に関わっていたけれど――それは、いまは、関係のないお話のはずだから)】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/28(月) 02:44:30.18 ID:sP4PGUSho
>>396
/すみません、時間的にここらが限界っぽいですorz
/明日に持ち越すか置きレスにして頂けると助かります……!
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 02:48:36.03 ID:bG8mu6Iv0
>>397
/了解しましたー、それなら持ち越しにしていただけたら助かりますっ
/明日ですと夕方頃には待機してられるかなぁと思いますー、適当な時間に呼んでいただけたらっ
/ひとまず今日のところはおつかれさまでした! また明日よろしくおねがいしますー!
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/04/28(月) 02:50:32.54 ID:sP4PGUSho
>>398
/ありがとうございます、こちらも遅くても夜頃には確実に手が空くと思うので、都合の良い時間に返信しておきますね!
/お疲れさまでした、お休みなさいませー!
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/28(月) 20:06:28.56 ID:sP4PGUSho
>>396

薔薇か。俺にゃあ春の薔薇も秋の薔薇も何が違うかサッパリだが……ってか、花をじっくり観賞したことも殆どねぇや……。

【日焼けして自分のように真っ黒焦げになった天音を想像して、ちょっと吹き出しかけたのは秘密。確かにそういうのは少し似合わなさそうで】
【この男に花についての機微など解るわけがないことは一目瞭然だろう。薔薇だって名前ぐらいは知っているが、最後に実物を見たのは何時だったか】
【自分と花との接点といえば、せいぜいが山で食用花を摘んで食べるぐらいのものだが……流石に風情も何もないのでそれは言わなかった】

あぁ、砂の国の首都の病院にな。ウチの故郷はバカみたいな田舎で医療施設も整ってなかったし。弟と同居してんのもそこだ。
SCARLETに入った後は世界中に出張する機会が多くなって、帰れる時間もちっと少なくなっちまったが……でも土産には困らなくなったぜ?

……ま、今はとにかく生きててくれるだけで十分だよ。いつかちゃんと健康になれば、思い出なんていくらでも作れる――――。
なかなか良い友達を持ってるみてぇで安心したよ。それだけ人の良いヤツなら、ある日いきなり放り出されるってことはねぇだろ。

【母親と弟が居るだけでなく、アサドが自警団員として配属されているのもその砂の国首都だ。そこを拠点として世界中を飛び回っているのだろう】
【家に帰る時間が削れているという話は、どうも本気で寂しそうにしているが……それだけの苦労の甲斐あって、二人の面倒はどうにか見られている様子】
【それだけに天音の事情が気になったものの――――若干捩れている気もしないではないが、それでも天音とその友達の間には確かな縁≠ェ感じられて】
【アサドは安堵に胸を撫で下ろし、その反動なのか一気に二つのチキンに齧り付いた。……このペースだと、そろそろ残りの数も心配になってくる頃だ】

――――へぇ、こりゃすげぇな! さっき砂の城を作ったとか言ってたし、地面をどうこうする力だとは思ったが……植物も操れんのか?
確かに綺麗なもんだ、これで薔薇を好きになったってのも分かる気がするぜ。これだけ出来れば戦いとか関係なく一稼ぎできそうだな。

……しっかし、正直羨ましいぜ。俺は無能力者だからな、こういう人好きのする芸もねぇし、戦いでもコイツに頼らにゃ何にもできねぇし。

【魔翌力の波動を微かに感じ取って、アサドは足元へ視線を向けた。天音の能力、先程の発言から少しは当たりをつけていたのだが――――】
【紺色の浸透した地面から、色とりどりの薔薇たちが我先にと咲き誇る。咲き方にも薔薇の色にも詳しくないアサドだが、これを美麗だと感じる感性ぐらいはあって】
【わざわざベンチから降りてしゃがみ込み、、出来上がった小山へ指を伸ばして薔薇を突いてみたりする。この無骨な男も小さな薔薇畑の魅力に取り付かれたようだ】
【……その後、アサドは軽く溜息を吐いて背中のケースを叩く。世界を又にかけて活躍する男ではあるが……その実、彼にこういう特別な力は無いらしく】
【もし天音が魔翌力を探知する技術に長けているなら、そのケースとアサド自身からそれぞれ、ほんの微弱な魔翌力の流れを感じられたかもしれない】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/28(月) 20:36:29.58 ID:ccRc1z4Fo
【何処かの街 図書館】


「うぅむ、やはり今の武器では限界があるかの?」
「私が今以上に力をつけるためには……」


【人気も随分と少なくなった夜の図書館で】
【一人ポツンと、静かに読書をする小さな人影があった】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


「聖剣、魔剣……実に良い響きなのだ!」
「どこかに都合良く伝説の武器でも転がっておらぬものかの〜?」


【その人物は机の上に肩肘を付きながら、パラパラとページを捲っている】
【タイトルは「魔剣伝説 第3章」。ファンタジー小説の類であろうか】
【ボード上に「ふぅむ」や「うーむ」などと言った文字を蠢かせながら】
【淡い光を放つ蛍光灯の下で、何やら思案を続けていた】

【この奇妙な格好をした人物は、近くを通れば目に付くことになるかもしれない】
【また、館内は人気が少なく物音も少ないため】
【何かしら事件などが発生すればこの人物が反応するだろうか】
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 20:47:55.03 ID:bG8mu6Iv0
>>400

春の薔薇はとっても若いの、まだ何にも知らない生娘みたいにね、初々しい花が咲くのよ。
それに比べて、秋の花はお姉さま。ずっと物知り顔で、大人ぶって咲くの。
秋って涼しくなる時期じゃない、だから花も長持ちするのよ。とっても綺麗だわ。

もし気になるなら薔薇園にでも行って見ればいいわ、春と秋……同じ薔薇でも、全然違うように咲くんだから。

【ふふふと零れる笑みは、今までの笑みとはなんだか違っていて――もっとずっと、あどけなさを覗かせるというか、可愛らしいもの】
【まさしく好きなものについて語っているときのそれだ。或いは瞳すらきらきらしているように見える一瞬、僅かに眼を細めて】
【そんな提案をしてみせる――のだけれど、今まで花に興味のなかった人には。少しだけ、ハードルが高いことなのかもしれない】

そうね、大変そうだわ、SCARLET……、毎日忙しいんでしょう? 世界中を飛びまわるだなんて、私には……、
お土産に困らないのは羨ましいけれど――私なんて持って行くとなったらいろいろ悩むのよ、お菓子に花、本だとか……。
あなたの場合はいろいろ面白い話なんかも出来そうで羨ましいわ、私なんてね? 花屋でバイトぐらいしかしないものだから。

……本当に、いつか治ってくれればいいのだけれど。もっとお金を掛けたら……とかって、たまに思うの。
でも無理だわ、これ以上なんて作るのも無理なら貸してもらうのも無理。流石にね、頼るにも限度はあるもの――。

【きっと彼らは世界中のどこにでも仕事があるのだろう。あちらへ行って、こちらへ行って、どこかで誰かを守り続けて、】
【そんな暮らしはとても出来ないと思ってしまう。飛行機も船も乗ったことがないし、旅行だって、行ったことがない】
【いかにもひとつの街に引き篭もっている人間は、けれど少なくは無いはず。彼女はそんな一人で、たぶん、これから先も】

【――伏せた瞳は先のきらきらしていた色を思えば、少しだけ元気がないように見えた。そんな後悔は、いくらでも追いかけてくる】
【もっとお金を掛けられたら、もっといい病院に入れてやれたら、そんな、きっとどこまでもきりのないような思考の渦巻き】
【きっとあの子はどれだけ頼っても頑張ってくれるだろう。そう言う子だ。そう言う子、なのだけれど――だからこそ、止めてやらないと】
【ある程度で我慢しないといけない。ここが一般人とお金持ちの壁の麓、見上げたって向こう側には、行けないから】

なんでかしら、私の魔力……薔薇の形になるの。昔からそうだから、慣れたわ。友達にプレゼントしたり……ね。してたの。
そういう使い方ばっかりなのだけれど。……花束でも作れば売れるかしら? けれどね、私から離れると消えてしまうの。
よしんば売れても詐欺だかになるわ、そんなことで捕まるのは嫌よ、癪だから……ねえ?

あら、……でも無能力者(あなたたち)も少しだけ羨ましいわ、だって……、どんな生き方だって出来るみたいで。
こんな力があると、……なんだか、こうやって生きろって決められているみたい。でもね、他の子はそう思ってないみたいなの。
だから私だけね、生まれたときから全て決められている気がするの――……。

……きっと私よりあなたの方が強いわね。土運びより殴られた方がマシだなんて、私には言えない言葉だわ。

【魔力が薔薇の形になるという体質、手品でもするようにひらりと揺らした手の中に、気付けばふわりと薔薇の花が一輪あって】
【はいプレゼント――というのは言葉通りの風。その花をアサドへと差し出すのだろう、しっとりと落ち着いた、煉瓦色の花】
【それを受け取ったにしろそうでないにしろ、ベンチを降りるのを止めはしなかった。そうして、突っつくのを見ていて――】
【――突かれた花はふわりと揺れて、ちっちゃな魔力の燐光を零す。それがなんだか、おもしろいかもしれなかった】

【――お互いがきっとないものねだりをしているのだった。彼はこちらが羨ましいというし、彼女はそちらが羨ましいというなら】
【けれど駄々を捏ねる子供なんて見た目でもない。それなら静かに、ちょっぴりだけ、我侭を言うような――そんな、様子】

【(能力者の“親友”が二人居た。語り合ったことはないけれど――彼女たちがどう思っているのかは、知らないけれど)】
【(きっとそんな風に思っているのは自分だけだなんて思うのだった。ちょっとした思考の隙間に、落とし込んで)】

【それから冗談めかした言葉で終わらせる。自分なら、殴られるぐらいなら土運びを選びたいから――】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/28(月) 21:11:29.30 ID:tfi1koFho
【夜、暖かくなってきたと言えども吹く風はどことなく冷たい】
【季節の変わり目だからだろうか、道行く人々はそれを思いながら家路に急いでいるのだろう】
【街を見下ろせば灯りが眩しい、ホタルのような灯りのひとつひとつが人々が生きている証だ】

【人の生は続いている、ならば人の性も続くというのが必然だ】
【人の歴史は戦いの歴史と誰かが言った、生きる事は戦いだ、と】
【地図を開き今ままで戦いが在った場所を赤で塗れば簡単に赤い球体が出来上がる】
【何を犠牲にして一体どこまで向かうのか、繁栄という情熱はいつまで続くのか或いは絶えるのか】


【何にせよ、戦う事でしか人間は生きていられないのかもしれない】
【静かな森で「銀の刀」を振り続ける彼もまた、その中の一人なのだろう】

――――――――疾っ!

【空気を裂く音が甲高く響きやがて消える】
【刀身は月明かりを受けて艶かしくもあり、立ち上る白銀の輝きはさながら陽炎のよう】
【切先から柄尻まで全てが銀色の「刀」――――――――銘も無いソレは僅かに「退魔」の因子を散らす、立ち上る力は遥か天へと霧散する】

…………ふ、う――――――――

【緊張と脱力、拍動と呼吸、表皮の感覚……そのどれが欠けても戦いでは命取りとなる】
【後ろ髪だけ注連縄のように纏めた白髪の彼の動きはそれを識り、意識をしながら刀を奮う】
【時に切先の反りで突き、時に腹で横に薙ぎ払う……基本の修練】

……はーっ!…………一人だと所詮こんなもんか……
進歩してるんだかしてねーんだか……ま、基本に忠実ならいいんだろうけどさ
想像と実際は、まあそりゃ違う訳で―――――――独り言で解決するでもないけど

【額に流れる小さな汗、僅かに幼さを残す顔はどこか不機嫌そうだった】
【修練には2つの種類がある、1つは外部と競い合うという外面的な物と、もう1つはただ只管己の内に研鑽を積む内面的な物】
【言葉から察するに彼はこの所は後者の鍛錬ばかりのようで、実戦には遠い鍛錬に幾らか溜まる物があるらしい】

【力があるならば試したくなる、それは人間の性で】

鍛錬するには一番いい季節なのに全く精神衛生上よろしくないこった
いい加減適当な相手でも見つけて無理矢理鍛錬に引きずっちまうか…………
まー……そんな都合の良い話なんざねーよなあ……はー……アホらし、休憩しよ

【刀を地面に突き刺して、服の袖で汗を拭う】
【武器に親しむ人間が見たらば罵声さえ上げそうな扱い、当の彼は気にするでもなく】
【「よっこらせ」と地面に腰を降ろし夜空を見上げる、その瞳……赤と紫白に輝く目はどこまでも伸びる深淵を見つめている】
【佇む刀は相変わらず白い靄を滲ませながら夜の森へと流れてゆく】

【輝きはどこか眩しくならば傍らにある彼の姿も僅かながら伺えるだろう】
【瞳の違和か、「退魔」の輝きか、どれに誘われるでも……この夜は静かに開いている】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/28(月) 21:33:49.18 ID:sP4PGUSho
>>402

へぇ………まぁ、路地裏に入り浸りじゃ気も滅入ってくるしな。顔を出してみるのも悪かねぇか。
しっかし薔薇園かー、俺みたいなのが入って周りの奴を怖がらせたりしなきゃいいが……。

【薔薇を女性に例えて話す天音に、アサドはいまいちピンと来ない様子だった。この分だと女性関係の話題にはかなり疎いのかもしれない】
【だが、とにかく彼女がどれだけ薔薇が好きかというのは伝わってきて――――周囲一面すべてが薔薇、その中心に居る自分を想像してみる】
【……滅茶苦茶似合わない。まぁ、薔薇を見るだけなら癒されもするだろうが……薔薇園に来るような客層だと、アサドはかなり浮いてしまいそうである】

金、か――――矛盾してると思うだろうが、実は俺、金って奴が嫌いでね。
世の中にゃあ目の前の札束のためならどこまででも汚くなれる人間も居る。昔はよく、自分もそんな奴らと同じなんじゃないかって自己嫌悪に陥ってたんだがな。
母ちゃんや自分の為に金が必要なのは痛いほどわかるが――――取り憑かれんなよ、金に。

……なーんて、まぁ天音ならいらん心配だとは思うがね。そうして自制が効いてる内は大丈夫だ、きっと母ちゃんのことも友達のこともうまくいくさ。
それに世の中、堅実にやってりゃいつかチャンス≠チてのは回ってくるもんだぜ?

【ふと表情を翳らせて、アサドは呟くように言葉を漏らした。天音への忠告……いや、常日頃から自分自身に言い聞かせていることを、そのまま口に出したような】
【金を欲するのは決して悪いことではないが、目的と手段が逆転してはいけない。欲を出すのも良いことだが、一番大事なものを見失って溺れたら終わりだ】
【――――そんな事を吐き出した後、暗い気分を吹き飛ばすようにアサドは笑う。無根拠な言葉ではあるが、同じ境遇を思えば無責任には聞こえない筈であって】

はー、意外と不便なのな……。けどいいじゃねえか、例え金にならなくても、他人を喜ばせられる能力があるってのは本当に羨ましいぜ。
……おいおい、若ぇのに辛気臭いこと言うなよ。本当に人生を誰かに決められてる気がするなら、その誰かを探し出してブン殴ってやるぐらいの気概がなきゃあな!

能力者も無能力者も、強いも弱いも結局のところ状況によるんだと思うぜ?
俺だって、確かに自由に生きられてるのかもしれんが……お前さんが力を持って生まれたみたいに、俺も望んだ覚えもなくこんなデカブツになってたからな。
道端で迷子見つけて話しかけると、結構な確率で逃げられたり泣かれたりすんだよ。……ありゃあ割とマジで傷つくもんだ。
そういう時――――天音ならこうして薔薇を差し出してやれるだろ。そういう強さ≠ヘ、間違いなく俺にはないもんだと思うぜ――――。

【神様だか運命だか。能力者と無能力者の差というのは誰が決めているのだろう――――アサドもそれを考えたことは何度もある】
【かといって天音を本気で僻んでいないのは、無能力者の自分でもいつの間にやら小隊長にまでなって、ちゃんと誰かに頼ってもらえるのだと知っているからで】
【ある意味、この男は天音のいう「どんな生き方だって出来る」人間を体現しているのかもしれない。故に彼が天音に掛ける言葉もまた、そういう台詞だ】
【強いとか弱いとか、能力者とか無能力者とか。きっと一概にどちらが上だとはいえないのだと、アサドは気軽な笑い話を交えつつそんなことを考える】

【……天音から受け取ったばかりの煉瓦色の薔薇は、やはり致命的に似合わないのだが。少なくとも本人はそんなことに縛られず、楽しげに薔薇を揺らす】
【母親や弟のこと、戦い三昧の毎日の事。色々と苦労はあれど、天音と話すこの瞬間は全部忘れて――――もっと気楽に生きてみたらどうだ、と】
【説教臭い言葉なんかより、何よりもその暢気な姿が、アサドは天音へそう伝えているのだと如実に訴えかけていた】
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/28(月) 21:54:13.47 ID:8vuUOX+v0
【とある街のはずれにある小さな道―――】

【車一台通るのがやっとな幅の道、数時間に一本のバスが通る他は往来もあまり目立たない。時折車が一台、二台通るのみで交通量はかなり控えめのようだ】
【そこかしこにヒビや窪みがあり、碌に整備もされていないのが伺える。……まあ、こんなに往来の少ない道の整備は後回しにされても仕方がないのだが】
【しかし、この街から山の向こうの集落に通じる道はこの一本しかないのだ。この道を通るバスに乗る他には、山の集落へ向かう交通機関は存在しない……】

【この道の先にあるのは、山々に囲まれてぽつぽつと民家と小さな店が立ち並ぶ他は農地が広がるのみの、何とも「鄙びた」という形容が似合いそうな集落だ。】
【日が傾けば、もう外を出歩く人もいないような場所。当然だ、外には畑と既に閉まった店以外何もないのだから―――】



【さて……そんな街のはずれの道だが、一つだけバス停がある。前述のバスが唯一停まるのが、このバス停なのだ。】
【簡素な木造の待合室が時折風に吹かれてギシギシと軋むのが、何とも哀愁を誘う……最も、利用者によって手入れはされているので汚れは目立たないのだが】
【そんなバス停に、今し方本日最後のバスが到着。旧式のバスは悪路に鞭を打って走っているせいか、車体がかなりくたびれている……】

【そして、運転士がいつものようにバス停に誰もいないのを確認して、ドアを閉めて発車―――その時。―――バスの後方に、走る人影が……】


アア!!待っテ!待って下さイ!!行かないデー!!!

【走りながら、バスに向かって必死に声を上げる人影。……声の主は少女だろうか、高い声が山間に響き渡る。が、それも旧式バスのやたら大きなエンジン音にかき消されて】
【運転士の耳に届くことはなく、無情にもバスは行ってしまう。……これで今日のバスはお終いだというのに。】

……


―――アァ……

【途方に暮れたように肩を落として、待合室のベンチに腰を下ろす少女。遠くに響く、道の先を行っているのであろうバスのエンジン音が、余計に虚しい……】

【やや小柄で華奢な体格、落ち込んでいるせいか小さな体は余計に萎んでいるよう。ややタレ目で茶色い瞳は、途方に暮れたように宙を向く。】
【丁度十六・十七歳程の背格好か、大人とも子供ともいえないやや細身で華奢な身体に若草色のワンピースが良く似合う。ふわりと膨らんだ胸元には白いリボンのアクセント】
【頭には可愛らしい白色のキャスケット。足元の焦げ茶色の小さなローファーは、履き馴らされて適度にくすんでいる。】
【背には大きな鉄の箱。重さも相当の物の筈だが、この少女は軽々と背負っている……】


【さて、道を通ればこんな肩を落とした哀愁漂う後姿の少女が見える筈。】
【もうバスが無いことを知っているなら声を掛けることもあろうか、そうでなくとも一人で落ち込むこの少女を気に留める人はいるだろうか……】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 22:10:17.65 ID:bG8mu6Iv0
>>404

【「そうよ、きっと気分転換になるわ」、そんな簡単な言葉は、何より自分が彼の恰好を気にしないからというのが真っ先にある】
【背が高いのも、こんな時期じゃあまだちょっと寒いんじゃないかと思う恰好も、バイト先では割りとよく見る光景】
【怖がらせる――という心配には「そうかしら?」なんて目を向けたことだろう。私はそうは思わないけれど、というのを前提にして】

ええ、大丈夫……だと思うわ。あったら助かるけれどね、よっぽど他人から奪おうなんて思いはしないの。
“私が一番大人だから”……そう言う役割なのよ、私。私たちの中では、昔からね。……ああ、私、小さい頃は孤児院に居たの。
一緒に暮らしている子とはそこで出会ったわ、あと一人……もう一人友達が居るの。その子とも、そこでね。
大人は子供に見本を見せてあげないと駄目でしょう? 大変だったのよ、小さい頃は特に――あんな場所に居ながら演じるのはね。

そうね、チャンスが廻ってくるなんて思って生きていくわ。それがどんなチャンスなのかは、分からないけれど……。
前髪しかないんだから覚悟しておかないと。……でもね、私、存外今の暮らしに満足したりも、してるのよ?

【ふふと笑ってみせる仕草、続く言葉は、――なんだか少しだけ過去を覗かせて、細めた瞳の冷たい色が、少しだけ浮くようでも】
【まるで嫌な思い出ということをごまかしながら言葉に出したような――少なくとも、いい思い出でないというのだけ分からせて】
【それでいてこの場では必要以上に触れたりもしない。尋ねられたら別かもしれないけれど――そこは、彼に任せられる】

【気だるいなんて思いながらバイトして、家ではちょっとアウトローな友達と暮らして、最近結婚した友達も居たりして】
【友達同士でどこかに遊びに行ったり、食事をしたり。お金が入れば母親のために使い、時折母親と会って話をして】
【そんな生活はなんだかんだでお気に入りだった。チャンスをむざむざ逃す気はあんまりなかったけれど――来ないならそれで、と思うぐらいには】

【――彼が笑うのを真似するように微かに笑っていた。似た境遇の彼から貰う言葉は、きっと彼女に届いてくれたはず】

そうねえ……でもブン殴ったりしたら手が痛いわ、私の手って、そんな……人を殴るようにはできていないみたい。
それにそんな奴が居たらきっと神様ね。神様の言うとおり――だなんて決めたりするじゃない、神様の言うことって大事だわ。
だからと言って、全部言うこと聞いてやる義理なんてないんだけれど……そうね、好きに生きてやらないと。

【殴る側も手が痛いとはよく言う言葉、ぎゅっと握ってみた手は、確かに女の細腕でしかなくて、肉弾戦には向かないかたち】
【「まして神様なんて殴れないわ」なんてひょろりと言ってみるなら、――よっぽど嫌な思い込みというわけでも、ないらしい】
【それは逆らってやると思う気持ちが少しぐらいはあるからでもあって。或いは、そんな思考すらレールの上かもしれないけれど】
【今の自分で面倒臭くないことをする。そうやって生きたい――なんて残念なことを思うぐらいには、面倒臭がりだった】

確かにあなたなら逃げられたっておかしくないわね……、迷子って怯えてるわけじゃない、一人ぼっちだとか、そういう状況に。
そんな中あなたがぬうっと出てきたら。私が子供だったら泣いちゃうかもしれないわ……あなたって身長はいくつあるの?
……ふふ、そうね、あなたに出来ないことが私には出来るのかもしれない。でも、私に出来ないことを、あなたも出来るでしょう?

木に引っ掛けた風船を取ってあげる――だなんて、どうかしら。なかなか好感度の上がる行為だと思うのだけれど。

【ふむと顎に添える手、ちょっぴりだけでも考えてみた光景は、――たしかに、泣かれちゃうかもしれない様子を示していて】
【ちなみに彼女の身長は百六十二センチ、平均よりちょっぴり上を這う体躯、それに靴をプラスしているから、百七十ぐらいはあるのかも】

【彼の言葉を聞いていると不思議と前向きになれる気がした。彼の陽気な性格が――そんな性格の人が回りに居ないから、慣れていないのもあるが――親しみやすくて、】
【そんなところから向けられる言葉は聞きやすかった。生娘みたいに素直な性格はしていないと思うけれど、それでも、】
【彼が小隊長になれたというのも納得できる話だった。彼女がそれを知っているのかは、曖昧に不明なままだったけれど――】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/28(月) 23:16:29.93 ID:sP4PGUSho
>>406

孤児院……か。大人役ってのはよく分からんけど――――俺も昔っから弟の世話ばっか焼いてたが、そういうのとはまた違うんだろうな。
何にしても、ガキの頃から周りの面倒を見れるってのは中々出来ることじゃねえよ。昔苦労させられたんなら、今は逆にこっちが苦労かけてやりゃいいさ

……今の暮らしが楽しいってんならなおさら、心配の必要はなさそうだな。わざわざ必死に金かき集めて手に入れたモノが今以下ってんじゃ笑い話にもならん。

【その後不幸に見舞われたとはいえ、一応真っ当な家に生まれたアサドとしては、孤児院で寄り添った三人の子供達の気持ちは推し量れないものがあるが】
【何となしに――――天音のちょっとした表情の機微から、良い話ではなさそうだと判断する。それに彼にとって、重要なのは過去ではなく現在だ】
【昔どうだったかはわからないが、今の暮らしに満足しているという言葉が真実ならそれでいい。何だかんだで似たもの同士の相手だ、男は自分のことのように笑って】

ま、天音には平手打ちぐらいが向いてるかもな。それに神様なんぞの為に、その綺麗な手を痛めるのも馬鹿らしい。
相手が何だろうが遠慮するこたぁねえさ。……それに最近の神様ってのは、街やら人やら滅茶苦茶にブッ壊していくのがお好きらしくてな。
今度会ったら俺が天音の分もボッコボコにしておくよ。

【天音の手は、人を殴る為のものではない――――これだけ言葉を交わしてみて、アサドもそれには同意だった。ましてあの美しい魔翌力の薔薇を見せられた後だ】
【自警団というのは、正義≠ニいうのはきっと、こういう者を守る為にこそ存在する。相手が神だろうが何だろうが、この手を血に汚させてはいけないのだ】
【……まるで本物の神様を知っているような口調は、冗談なのか真剣なのか。世界中を飛び回っていると、あるいはそんなモノに遭う事だってあるのかもしれない】

そうだな、この歳でまた育ってるってことがなきゃあ百九十ちょいってところか。
木に引っ掛けた風船かぁ、そのシチュエーションにはまだ遭遇したことねぇや。最近のガキはどうも可愛げがなくてな。
あぁでも、職場で高いところにある資料を取ってやるぐらいはあるぜ? なんでかよく頼まれるんだよな……。

【天音とアサドとの身長差は概ね二十センチと言ったところか。素で百九十を超える背に、アサドもまた悪路を踏み越える為のやや厚底な靴の分をプラスして】
【迷子と出会って苦労した経験は結構あるのだが、逆に背の高さを生かして子供を助けたことは無いらしい。これもまた神様の意地悪なのだろうか……】
【仲間達からは重宝されているらしいものの、資料を取る為の道具として使われていると思うと心中は中々複雑である。アサドは不貞腐れるたように肉を食み】
【見方を変えれば、頻繁に頼まれるという辺りに彼の人望が染み出ている気もするのだが――――少なくとも本人は無自覚のようであった】


/すみません続きます……
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/04/28(月) 23:16:42.44 ID:sP4PGUSho


………っと、不味いな。ちっと休憩する程度のつもりが、楽しかったもんでつい長居しちまったぜ………。

【……そうしてまた新たに一本、アサドが肉を丸剥ぎにしたのと同時。ヴヴヴ、という無機質なバイブレーションがベンチの木板を叩くだろうか】
【すっと立ち上がって、緋色の鷹≠フ紋章が縫い付けられた腰元のポーチへ手を突っ込む。取り出されるのはレモン色をした小型の携帯端末だ】
【『W-Phone』なんて呼ばれているシロモノ――――よく見れば金貨(コイン)≠フ紋章を象った精緻なレリーフが刻まれている】
【――――先程の話を思い出してみれば、そのデザインは何とも恣意的だ。これもまたアサドが自分に掛ける戒めのようなものなのかもしれなかった】

悪い天音、俺はそろそろ行くよ。……実を言うとまだ仕事が残っててな。俺がここでサボってたことは秘密にしといてくれよ?
それじゃーな! 困ったことがあったらまた何でも言え、いつでも相談に乗っからよ!

【端末の画面を覗き込むとアサドは若干顔を青くする。もし天音にも画面が見えたなら、そこにはいかにも神経質そうな文面のメールが表示されていただろう】
【アサドはチキンを入れていた容器を潰してベンチ横のゴミ箱へ叩き込み、同じく空になったコーラ缶も自販機の近くのゴミ箱に放る。それが終わると天音に声を掛け】
【最後の一つのチキンを口に咥えて、一度大きく手を振ると忙しなく駆け出していくだろうか。……なんだか八百屋から魚を盗むドラ猫みたいな光景だった】


……ふぁあ、ひょれと――――おっとと。良かったら帰り道で風船引っ掛けた子供に出会えることを祈っといてくれ――――!


【――――そうして、公園の出口まで走った後。ふと思い出したように振り返って、口に咥えたチキンを咥えたまま大声を出すものだから危うく落っことしかける】
【それを危うく受け止めながら、部隊指揮の経験で培った獅子の咆哮じみた大音声でもって、天音へと何とも暢気な冗談が飛ばされるのだろう】
【全部言い終えると満足して、楽しげに笑った後で走っていく。子供なんだか大人なんだか――――でも、今宵ばかりは仕方がないのかもしれない】

【何せやっと自由を手に入れて、最初の出会いがこれだけ気の合う相手だったのだ。妙に幼いところのあるこの男がそれを喜ばない筈もなく】
【だからアサドが、何やら胸元に薔薇を刺した死ぬほど似合わない格好で走り回っていたと後日噂が立ったとしても、今日だけは許してやるべきだろう――――】


/この辺りでしょうかっ!
/遅レス申し訳ない、二日間ありがとうございましたー!
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 23:51:34.85 ID:bG8mu6Iv0
>>407

大人が頼りにならない場所だったのよ、寧ろ大人の全員が敵だった。信じられるのは同じ子供たちだけ、そんな中で――。
私がたまたまグループの中で年上だったってだけよ。一つだけね。それだけでお姉さん役をしなきゃならなかったの。
別に後悔してないし恨んでもいないわ、あの子達、悪い子じゃないの。……もしも会ったなら仲良くしてあげてね?

ええ、楽しいわ。毎日泥と汗だらけになって働くのがね、存外合ってるみたい。
たまにケーキでも買って帰ると「毒でも入ってるんじゃないか」って言われるの。そんなのだって――楽しいわ、不思議ね。

【――そんなことを言うなら、彼女の居たという孤児院。良くなかった以上、いっそ悪い場所だったのだと伝わるだろうか】
【そんな役割に据えられたのはある種の不幸だった。彼女は面倒臭がりだったけれど、それぐらいならと受け入れてやった過去】
【お陰で今でもべったり懐かれたりしているのだけれど――そこは余談。最後に、お姉さんぶった言葉を添えて】

【始めは休みがないだの愚痴っていたけれど――やっぱり自分でも好きだと認識があるなら、そんな言葉が紡がれて】
【些細な日常を少しだけ零して見せる。なんとなく――平和な様子でも見えるようで、和やかな一欠けらだった】

そういうものなのかしら。それなら平手の準備をしておくわ、それだって手が痛くなりそうだけれど……。
目の前にそんな悪神が居たら仕方ないわね。一発蹴りいれるぐらいじゃないと駄目そうだわ。誰かのために……なんて大仰だけれど。
あなたたちみたいにはなれないでしょうけれど、私、平和を乱されるのは嫌いなの。面倒臭いわ、そんなの――。

【「よろしくね?」なんて声は薄らと笑いなら零される。彼の言葉を半分冗談みたいに受け取ったような、それは軽いものだったけれど】
【まるで何も出来ない女の子とは違っていた。この力を何かを守るために使う日が来るのかもしれない。それなら、覚悟しておかないと】
【でも――できればそんな日は来ないほうがいいな、なんて思うのだった。怠惰な理由からだったけれど、彼女は平和を望むから】
【けれどそれが叶わないなら――彼らには頑張って欲しいもの。数秒置いてから、「がんばって」と言葉が付け足されただろう】

百九十……、そう、大きいわね。何を食べたらそんなに大きくなるのかしら? いろいろよく食べたのね――きっと。
今時の子供は怖いわね、私、あんな子達に関われないわ。本当に小さい子たちならいいんだけれど……大きい子はね。ちょっと。

それは……きっとあなたが頼みやすいからじゃないかしら。きっと取ってくれそうだもの、きちんとね。
私だってあなたが傍に居たら頼むと思うわ、脚立を持って来るより確実だし……取ってくれるんでしょう? そっちのほうが早いものね。

【告げられた身長はどこかで聞いたことがある、「大体百九十くらいかと……」なんて思いだされた声は、猫なで声の旋律】
【ああと思い出したのは。もう一人の友人たる少女が結婚したという相手のものだった。それで、少しだけ間が空いて】
【チキンをこんなにもおいしそうに食べる彼のことだから。いろいろなものをたくさん食べたのだろうなんて、子供に向けるみたいだけれど】
【子供は――本当に小さい子供ならとは言うけれど。かつて十歳前後のリーダーだったのを思うと、少しだけ謙遜したような、】
【(いや、それでも存外最近の子は駄目なのかもしれない。あそこに居た子供たちは、全員疲弊していたわけだし――なんて思考)】

【そして言うのは、――出会ったばかりだけれど、そこにあるのはちょっぴりの信頼のような。そんな言葉の一端】
【そっと首を傾げて、瞳を細めて、尋ねてみるのだった。きっと、それを頼む人だって、彼のことを信頼しているのだと】
【複雑らしい心中も分からないではないのだけれど――そんなに疎むよなことでもないんじゃないかと、部外者らしい思考】

/つづきますー
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/28(月) 23:51:46.03 ID:bG8mu6Iv0
……あら、そういえばもういい時間かしら? 私も……、ただの散歩のつもりだったのだけれど、長居しちゃったわ。
チキン、ごちそうさま。美味しかったわ、やっぱり夜中に食べるジャンクなものは美味しいわね――明日体重が増えてないといいけれど。

【そうして告げられる終わりの時間、そこでようやく気付いたように携帯を取り出した彼女は、現在時刻を把握して】
【ほわと吐いた吐息は気付かなかったとでもいうようなもの。それぐらい――彼との会話が面白かったという、裏づけでもあって】
【軽く笑いながら食事の礼も言う。それから――蒼褪めた彼の顔を見て、愉快だと言う風に、もう一度笑って】

ええ、内緒にしておいてあげる。お仕事頑張って、私たちのために? 頼りにしてるのよ、SCARLETさん。
……そう、それも頼りにしておくわ。困ったことなんて……ないほうがいいでしょうけれど。

【ひらりと揺らした手はあっさり共犯になることを受け入れた、にまりと少し悪戯みたいに笑ってみたのが、一瞬のこと】
【直後にはからかうようなものに変わって――刹那だけちらと見えた画面の文字列、けれど解読はならないまま、通り過ぎる】

あら、子供はこんな時間に出歩いてませんわよ――!

【――そうしてドラ猫みたいな彼が駆けていく、それから告げられた冗談、一瞬面食らったように瞬いたのだけれど】
【すぐにふと笑って返すのは、やっぱり冗談みたいなことだった。こんな時間に風船を持った子供なんて、――多分、居ないだろう】

【(本来なら、彼女からいくらも離れたら消えてしまうはずの薔薇が、今宵は不思議と長くそのカタチを保っていた)】
【(それは。それだけ本体が楽しかったということなのだろう、なんとなく、ただ消えてしまうのは惜しいと思ったような――)】
【(けれどそれにも限界があった。彼が眠って起きる頃には、その花は跡形もなく消えてしまって。けれど、今宵の出会いは嘘じゃないから)】

ふあ――、帰らないと駄目よねえ、もう少し遊んでいたい気分なんだけれど……、カラオケでも行こうかしら?
…………ああ、明日はバイトだったわ。それじゃあ無理ね、家に帰らないと――……、「あら、天音さん? こんなとこで会うなんて奇遇ですのね」

【誰も居なくなった公園。ベンチに寄りかかってぐうと足を伸ばす、そうすると、体中の血がぐるぐるしているのを実感できるようで】
【伸びを終えれば携帯を弄りながらなんだかぐちぐちと言っていた。今宵の出会いが楽しかったから、――なんだか帰るには惜しくって】
【あーと溜息なんて吐きながら立ち上がろうとすれば――後ろから声。振り返れば、公園のフェンスの向こう側に人影があって】

あら、お仕事帰り? このまま帰るのかしら。
「まあ、……今日は十分稼げましたので、もう帰ろうかと。……あ、そう、お酒買って来ましたの。奢ったげますわ」

【黒髪にグリーンアップル色の瞳の女。虎柄の猫――と呼称された人物は、コンビニの袋をがさりと見せたりして】
【軽口なんて叩き合いながら一緒に帰るのだった。そうして家にたどり着いたなら、きっと、一緒にお酒なんて飲んだりして――】
【やっぱりそれなりに仲良しな二人。そんな余談は、結構遅くまで続いて――翌朝、盛大に後悔したというけれど】

/おつかれさまでした!
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/29(火) 19:56:01.83 ID:8c6iW0mao
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】





【所変わって櫻の国――どこかの村境】


【ずるずるずるずる――何か重いものを引きずる音が、村の外から聞こえて来る】
【人口もそれなりの村があった。ここはその入り口で、隣町への道がまっすぐに伸びるのが見える】
【村の境には瓦屋根の小さな門があり、ずるずると引きずる音はその少し向こう側から聞こえて来るようだった】
【もし、そんな門の向こうを見たならば小柄な影が見えることだろう】

【その正体は精悍な顔つきの少女だった。デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳をしている】
【薄い緑色のTシャツの背には肉球があたいにもっと輝けと囁いている≠ニいう意味不明なフレーズが印字され】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】


お〜に〜く〜、に〜くにくにく、お〜に〜く〜


【音程というものをまるで無視した画期的な鼻歌を陽気に歌いながら歩いてくる猫少女】
【どうやら後ろには大きな塊があるようで、それがずるずると音を立てているようだった】


にゃは、誰かにご飯作ってもーらおっと!


【開きっぱなしになっている門をくぐる。くるりと身を翻すと、その大きな塊に目を向ける】
【視線の先にあるのは――立派ないのししだった。狩りでもしてきたのだろうか】

【声を弾ませると再びいのししの牙を掴み、人の多そうな場所へ向かおうとするのだろう】
【だが、もしも誰かに声を掛けられれば――彼女はきっと、そちらに意識を傾けるはずだ】

/12時までしか居れませんが…
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/29(火) 21:31:42.97 ID:FcErnrJU0
【とある街のはずれにある小さな道―――】

【車一台通るのがやっとな幅の道、数時間に一本のバスが通る他は往来もあまり目立たない。時折車が一台、二台通るのみで交通量はかなり控えめのようだ】
【そこかしこにヒビや窪みがあり、碌に整備もされていないのが伺える。……まあ、こんなに往来の少ない道の整備は後回しにされても仕方がないのだが】
【しかし、この街から山の向こうの集落に通じる道はこの一本しかないのだ。この道を通るバスに乗る他には、山の集落へ向かう交通機関は存在しない……】

【この道の先にあるのは、山々に囲まれてぽつぽつと民家と小さな店が立ち並ぶ他は農地が広がるのみの、何とも「鄙びた」という形容が似合いそうな集落だ。】
【日が傾けば、もう外を出歩く人もいないような場所。当然だ、外には畑と既に閉まった店以外何もないのだから―――】



【さて……そんな街のはずれの道だが、一つだけバス停がある。前述のバスが唯一停まるのが、このバス停なのだ。】
【簡素な木造の待合室が時折風に吹かれてギシギシと軋むのが、何とも哀愁を誘う……最も、利用者によって手入れはされているので汚れは目立たないのだが】
【そんなバス停に、今し方本日最後のバスが到着。旧式のバスは悪路に鞭を打って走っているせいか、車体がかなりくたびれている……】

【そして、運転士がいつものようにバス停に誰もいないのを確認して、ドアを閉めて発車―――その時。―――バスの後方に、走る人影が……】


アア!!待っテ!待って下さイ!!行かないデー!!!

【走りながら、バスに向かって必死に声を上げる人影。……声の主は少女だろうか、高い声が山間に響き渡る。が、それも旧式バスのやたら大きなエンジン音にかき消されて】
【運転士の耳に届くことはなく、無情にもバスは行ってしまう。……これで今日のバスはお終いだというのに。】

……


―――アァ……

【途方に暮れたように肩を落として、待合室のベンチに腰を下ろす少女。遠くに響く、道の先を行っているのであろうバスのエンジン音が、余計に虚しい……】

【やや小柄で華奢な体格、落ち込んでいるせいか小さな体は余計に萎んでいるよう。ややタレ目で茶色い瞳は、途方に暮れたように宙を向く。】
【丁度十六・十七歳程の背格好か、大人とも子供ともいえないやや細身で華奢な身体に若草色のワンピースが良く似合う。ふわりと膨らんだ胸元には白いリボンのアクセント】
【頭には可愛らしい白色のキャスケット。足元の焦げ茶色の小さなローファーは、履き馴らされて適度にくすんでいる。】
【背には大きな鉄の箱。重さも相当の物の筈だが、この少女は軽々と背負っている……】


【さて、道を通ればこんな肩を落とした哀愁漂う後姿の少女が見える筈。】
【もうバスが無いことを知っているなら声を掛けることもあろうか、そうでなくとも一人で落ち込むこの少女を気に留める人はいるだろうか……】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21:56:21.75 ID:eB9u52gTo
>>412

「むぅ……この辺りは本当に何もない田舎なのだ」
「仕事帰りに甘い"すぃーつ"でも食べておきたかった所なのだがの……」


【少女の居る待合室まで、パカラッパカラッという奇妙な音が聞こえるだろうか】
【その音はバスの来た道を辿るようにして、段々と近づいてくる】
【もしその音の方へと視線をやったならば、随分と奇妙なモノを見ることになるだろうか】

【それは土偶のようなずんぐりとした形状で、全身砂色の"馬のようなモノ"】
【短く太い足で地を蹴り、目の場所にポッカリと空いた穴から淡い光を放っている】

【そして、馬モドキに跨り操る小柄な人物がいた】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状の、仄かに光るボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


【馬モドキに跨った人物は待合室の前を通り過ぎようとしたが】
【一瞬、騎乗している小柄な人物が少女の方を向き、その姿を視線に入れると】
【「ハイヨー!」などと、ボード上に文字を記しながら馬モドキを急停止させた】


「――そこの者、そんな所で何をしておるのかの!」
「もう随分と暗くなってきておるし、そんな場所におったら危ないのだ!」


【フードの人物は彼女の姿が気になったのか、そんな言葉を投げかける】
【顔を隠し、怪しげな物体に乗っている人物……常人ならば関わり合いたくないような容姿ではあるが】
【文面を信じるならば、恐らく悪意のある接触ではないだろう】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !nasu_res]:2014/04/29(火) 22:07:39.15 ID:zgXnJv0Co
>>380>>381>>383>>384

【―――闘いは終わった。その結果が明らかになったのは、およそ半日後の昼である】
【今回の戦端は、ゼン=カイマ側の偵察とその発覚にあり、数は20にも満たなかったこと】

【しかしその20人相手に、対して希望の灯≠フ周囲に陣取る者達は300名以上が負傷し】
【同時に死者行方不明者も50を超えた。如何に他の聖地よりも人は少ないとはいえ】
【これがどれほどの打撃となったかは容易に想像できるだろう。ただ一つ幸運、といえるのは】
【戦士たちも闘いの最中に見ただろう教徒達が既に巡礼を終えた、ということだ】

【それはつまり、希望の灯≠ノはこれ以上の脅威が訪れる可能性はないということであり】
【また同時に――騎士団長フレデリックの言うとおり、次の土地への脅威が明確なものになる、ということだった】

【次の土地―聖都スラウロット≠フ教会は、全てが他とは比べ物にならない規模を誇る】
【騎士戦士、教徒、聖堂の数、聖人由来の品や墓碑、何より秘奥の術も多いという】

【言うなれば総本山というのが、その土地を形容する簡潔な単語であって】
【そして今、この土地にはゼン=カイマから逃げ出した何人かの司教が逃げ込んでいた】
【一部の人間には既に漏れている情報だが――彼らは神に仕える司教として、或いは人として】
【単純に罪と断じるには収まらない悪行に手を染めている者も居る。これは確かだ】

【しかし、それを排除しようとするフレデリックらゼン=カイマの一派が他の者にとっても脅威なのもまた事実】
【故に聖都の教派は巡礼を拒否。徹底抗戦に打って出ると早々に宣言し、ゼン=カイマもこれを受けることとなる】

【また、今回の戦闘では斥候として希望の灯≠攻めた第三近衛騎士団の副団長―】
【加賀屋善助が殉教した、ということが戦いの翌日にフレデリックより告知された】

【彼は鬼であったが改心し、その力を見込まれてかの立場に居た人物。即日、一部が喪に服し】
【彼の死を無駄にするなとばかりに、教徒たちは足早に次の――最後の巡礼地を目指すのだった】





『――だからさ、知らないって言ってるじゃないかフレデリック。
 大体僕が君の邪魔をする理由が無い。あの鬼とだって敵対した覚えはないしさ

 それにケミッシュくんもああ言ってるだろ?……いや、今は君が散々な目に合わせたから
 口はきけないけど……ともかく『知らない』って言うんじゃ、しょうがないだろ?
 だからさ、そんな怖い顔して後ろに立たな、ッ…ちょっ、危なっ……!』

……黙れダグラス。一介の芸術家から六罪王になって少しは意識も変わったかと思ったが
 その調子では『上司は部下の責任を全て受け持つ』という事も理解していないようだな?

 奪ったのだ……!我が腹心の部下を…その根源たる『石筍の宝玉』を貴様の部下がッ!
 クローンがやっただと…?家畜のように機関を盲信する小娘が
 例え千人居ようが裏切るなどあり得まい……!……嘘を吐いている事は分かっている

 ダグラスよ……お前が私の邪魔をしたとは言わん。だが犬には首輪を付けておくことだ
 ……貴様にくれてやったそのマント、一度返してもらうぞ。しばらくその足で歩いて考えろ
 私が生きて戻った暁には……貴様の答え次第でまた渡してやる――画や女ではなく、現実を見ることだな


【――教徒の一部が己の足で進み始めた二日後には、ゼン=カイマは正式に次の巡礼先を公開する】
【次の、そして最後の巡礼。軍勢にも似た歩みの戦闘には、フレデリックが常に居て】
【真白なローブを着込み、豪奢なマントと教典を身に付け、その背には豪槍を背負い】
【正面を見据える真っ直ぐな瞳は、何時に無く厳しい物であり――鬼気迫る物が、スラウロットを向いていた】

/遅くなりましたがイベントの〆となります。
/ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました!
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !nasu_res]:2014/04/29(火) 22:22:52.37 ID:WCxbmPfk0
>>78

【数週間後―――エルル鉄鋼山=z

【鉄の国を揺るがした戦いから数週間―――未だGIFTの脅威は消えていないものの、無事防衛の成功したここエルル鉄鋼山≠ヘ】
【鉱員の賢明な活動によりようやく瓦礫の撤去なども終わり、静けさを取り戻そうとしていた。】

【そんな中、全体の指揮を任されていた鉄の国軍のヴァイパー特務少尉は、一人最下層を訪れていた………。】
【理由はベアトリックスが一体ここで何をしていたのか、という事の解明である。幾重にも張られた立ち入り禁止のテープを掻い潜り】
【門≠ェあった場所へとたどり着く。】

………ふぅ、ここまで下りてくるのも一苦労ですね。それにこの不気味な雰囲気………さっさと終わらせて戻りたいものです
しかし一体あの女性がここで何をしていたのかを解明しなければ本部にも帰投できませんし………ハァ。

お二人の話だと門≠フ向こう側………虚無≠ニ呼ばれる空間から眼≠ェ現れたと聞きますが………それは一体。

【ぶつぶつと独り言を呟きながらかつて門≠ェあった場所へと歩み寄る、周囲には砕け散った剣や槍などが散乱しており危険だ】
【ヴァイパーは何の気なしにその破片の一つを拾い上げ、徹夜続きで隈の酷い自分の顔を眺める―――その時だった】

【一瞬、ほんの一瞬だが移りこんだ自分の背後に影のようなものが見えた…!慌てて振り返りホルダーから銃を引き抜く】


ッッ―――!?だッ誰だ!?いるなら出てこい!!!奴らの仲間か!?
オイ!!!返事をしろ!!!!!!!………いや、誰もいない………そもそも隠れられる場所なんてないし

気配≠ネんてものも、足音≠キら聞こえていないじゃないか。

【振り向いた先には何もない………ヴァイパーは震えながらも銃を下すと苦笑しながらも頭を振って自分を落ち着かせる】
【この鉄鋼山は事件後はずっと自警団の完全警備が行われていたんだ、そもそも誰かが入れるわけない】
【事件の前から誰かが潜伏していたとしても数週間この暗い闇の中で飲まず食わずなんて事は無理だろう………そう、普通≠ネら】

【ヴァイパーは息を落ち着かせると、出口の方へと歩き出す。】


やはり連日の無理がたたっていますね………ここは一端休むとしましょうか………ハァ馬鹿馬鹿しい。




いっその事報告をでっちあげてしま―――「よぉ器≠ソゃん、もう帰っちまうのか?」


【報告―――、エルル鉄鋼山にてGIFTが採掘していたと思われる鉱物を発見した】
【どうやらベアトリックスもこれの採掘が目的で襲撃したようである、用途は兵器の製造だと推測される。】
【GIFTの兵站状態の推測も含めてレポートを作成し、翌日首都本部へと帰投し提出する。以上 】
【送信者:ヴァイパー特務少尉】

//かなり遅くなりましたがこれでイベントを完全終了とします!改めてありがとうございました!


416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/29(火) 22:51:03.41 ID:FcErnrJU0
>>413

―――ハァ……
…………もうちょっと早めに来たらよかったナァ………
食い意地を張っておかわりし過ぎたのがいけなかったカナ……
あーあ……これからどうしようカ……

【無情にも行ってしまったバス。眼前にまだ見える赤いブレーキランプと客室の明かりは、どんどん遠くなっていく】
【思わず漏れる大きなため息。今になってもう少し早く行動していればと後悔するが、今になってあれこれ考えたところでバスは戻ってこない……】

【暫くそうやって肩を落としていただろうか。バスを逃したのは残念至極だが、いつまでも落ち込んでいる訳にもいかない】
【取り敢えず一夜を過ごす場所を考えなければ。こんな辺鄙な場所にいつまでも居たところでどうしようもないのだから】
【意を決して、立ち上がろうと前を向いたその時……―――遥か遠くから微かに馬の蹄鉄が地を刻むような音が近づいて来た】
【まあ、法律的には道路上を馬が走っても違反ではないのだが……この時代、馬に乗る人物なんて殆どいない筈】
【相当変わった趣味の持ち主か、或いは近くの牧場の関係者か……どちらにしろ、その足音は少女の興味を惹くには十分だった】


【―――やがて、その音の原因は此方に近づいて立ち止まる。】

【興味半分で目を遣れば、そこに居たのは――――何とも「風変わりな」という形容が似合う少女。それと、……馬、だろうか?】
【いや、生き物というには色々と奇妙だ。自然に存在する生物とは目の作りが違うような……。夜の闇に目から放たれる光はよく目立つから、すぐに「其れ」が馬ではないことに気づいた】
【奇妙と言えば、その上に跨る騎手(?)も然り。顔がフードに隠れてよく見えないが、肩口から伸びるボードがこれでもかと言わんばかりに存在感を主張していて】
【普通の人間ではないと主張するにはこれだけで十分のような……ともかく、奇妙としか言えない馬と人の組み合わせが、たった今自分の前で止まり、此方を向いている】


【……その人物は言葉を発さなかった。その代わりに、ボードの上に文字を記して此方に言葉を投げかけるのだ……】

【……自分にはスケッチブックに文字を書いて意思疎通を図る親友がいるが、この人物もそういう類なのだろうか。】
【ともかく、こうやって一人でいる自分に心配して声(?)を掛けてくれたのだから無視をする訳にもいかない。】


あー、……えーっと……好きでこんな所にいる訳じゃなくテ……
―――エヘヘ……実はバスに乗り遅れちゃったのでス。
もう今日はバスが無くって、こうして途方に暮れてるのですヨー……

【苦笑いと共に告げる言葉。何もこんな場所にすき好んで居る訳ではないと告げれば、此処に居る理由も納得してもらえるだろうか】
【……しかし、今はそんな事よりもっと知りたいことがある。―――勿論、目の前の小さな人物のことだ。】
【体格からして少女だろうか。なぜ一人でこんな所を通ったのか、その跨っている馬もどきは何なのか、その肩口に生えているボードな何なのか……興味は尽きない】
【……まずは名前を聞こう。自己紹介をして貰わなければ何も始まらない。】

えーっと……あなたは何という名前ですカ?良かったら自己紹介してほしいなーっテ……
ちょっとアナタに興味を持ちましタ。あ、変な意味じゃないヨ。でもアナタの事、いろいろ知りたいナ!

あ、私は黄春燕と申しまス!春燕は読みにくいし書きにくいので、つばめと呼んで下さっても良いですヨー!

【相手に名乗って貰うには、まず自分から名乗らなければいけない。此方も軽く自己紹介して、ニコリと微笑みを添える。】
【さて、問いかけに答えるも答えないも自由だが……春燕という名の少女は、ニコニコと微笑みながら答えを待っている。】
【……どこまでも純粋な笑顔だ。きっと悪い人物ではないとは感じられるだろうか……】

//すみません、遅れました……!
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/04/29(火) 23:06:46.99 ID:eB9u52gTo
>>416

「ふむふむ……なるほど、事情は判ったのだ」
「やはり田舎は不便だの……"ばす"も碌に通っておらぬとは驚きなのだ!」


【ここまでの道中で、周辺の田舎っぷりが身に沁みていたのか】
【騎上で腕を組みながら、口をへの字に曲げてそんな事を板に記した】


「む?……ククク、私について知りたいとは殊勝な心がけなのだ!」
「私は天才魔術師にして、未来の英雄シーナ・ゲルギル!」

「つばめ、というたか。欲しいならば"さいん"の一つもくれてやってもよいぞ?」
「きっと将来とんでもない価値が付くことになるだろうからな!」


【ふんぞり返って、起伏の見られない胸を張りながら堂々と書き記す】
【小柄で幼い外見には不相応なほどの自信】
【本人としては本気で言っているつもりだが、傍から見ると】
【まるで子供のごっこ遊びのように写ってしまうかもしれない】


「まあ、何にせよ互いを知るにしてもこんな殺風景な場所にいつまでも居る訳には行くまい」
「つばめよ、御主が望むならば特別に私の後ろに乗せてやってもいいぞ?」


【パカパカと、少し間抜けな蹄の音を響かせながら馬を待合所の方まで近づけ】
【小さな紅葉のような手を差し出して、つばめを誘う】

【もしシーナの手を取ったならば、そのまま手を繋いで身体を支えようとする】
【シーナの腕力で人間一人を引き上げることは不可能なので】
【乗る場合は、馬の横腹に付いている鐙(あぶみ)に足をかけて登ることになるだろうか】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/29(火) 23:39:25.06 ID:FcErnrJU0
>>417

ウンウン、そうだよネ!……ほら見テ、このバスの時刻表……一日5本しか来ないみたいだヨ。
ハァ……田舎を舐めてたヨ……

【シーナの言葉に、心底同意するように頷く。それもその筈、周囲は明かりの一つも見当たらないほどのド田舎で】
【宿を探そうにも建物すら見つからないのだ。このままでは真っ暗闇の中で野宿を敢行する他ないような状況だった……】
【いくら度胸がある人物でも、何にもない真っ暗闇の中の野宿というのは遠慮したいものだろう。何が起こるか分からないのだから……】

【まあ、そんな訳で余りの田舎っぷりに辟易していたのだが……思いがけず人が来たためにいくらか落ち込んでいた気分も晴れて】
【笑顔を取り戻した少女は、目の前の小さな人物に名前を聞いてみる。――――】

シーナ、だネ!ウン、覚えたヨ!
エヘヘ……自慢じゃないけド、ワタシは人の名前を覚えるのが得意なんダ。

フフッ……サインかァ……それじゃあ、後で貰っとこうかナ?

【予想外の来訪者に名前を尋ねると、自慢げに答えてくれたのだが……その様子が何とも可愛らしくって、春燕はクスリと小さく微笑む】
【まだとても大人とは言えない小さな体。その胸を精一杯張ってみせるのが、まるで大人の真似をする背伸びをした子供のようだ】
【もし自分に妹がいたならばこんな感じだったのかなぁと思ってみたのは内緒のお話……】


【続く話。さてさて、シーナは後ろに乗るかと訊いてきた。】
【―――これは正しく渡りに船だ。もう移動手段もなくて途方に暮れていたのだから、この話を断らない筈なんて無くて】
【心底有難そうに首を縦に振ると、感謝の気持ち一杯の笑顔を向ける。闇夜もぱあっと明るくなるような、とびっきりの笑顔―――】

本当ニ!ワァ……ありがとウ!

フフッ……シーナは困った人に手を差し伸べられる人なんだネ。
……本当にみんなに尊敬される人になるには、その心を忘れちゃだめだもんネ。

それじゃあ後ろに乗せてもらうヨ……よいしょっト!

【さて、乗ったはいいがどこへ向かうのだろうか。目的地はシーナ次第だが……】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/29(火) 23:57:57.56 ID:eB9u52gTo
>>418

「……本当か?本当に私の"さいん"を貰ってくれるのかの?」
「フフフ……よいぞ!つばめをシーナ様のファン第一号にしてやるのだ!」

「こんなこともあろうかと、前々から練習重ねておったからの!」


【第一号……と言うからには、本当にサインを誰かにあげたことなどないのだろう】
【シーナは口元を緩めて、どことなく嬉しそうな雰囲気を醸し出しながら言葉を記した】


「うむ!自慢ではないが、私は女神のように優しい"れでぃ"だからの!」
「未来の英雄としては、こうして小さな善行を重ねていくことも大事なのだ!」

「偉いであろう、褒めてもよいのだぞ?」


【優しい、尊敬される人格】
【……というにはシーナの性格は少々傲慢な方向に傾いているが】
【本人なりに色々と努力はしているようであった】


「では、私の腰にしっかり掴まっておるがいい!」
「結構揺れるからの、振り下ろされぬよう気をつけておくのだ!」


【つばめが乗ったことを確認すると、シーナはボードの背面に文字を表示させ注意を促す】
【そして間もなく、馬モドキは円柱のような足を器用に動かして】
【バスの去っていった方向へと走り出そうとする】

【目的地は、最寄りの街であろうか】
【深夜になる前に宿や交通機関などがある場所に到着しようと、シーナは馬を走らせて行こうとする】
【もし何事もなかった場合は馬上で会話をするか、もしくは道中を省き街の近くまで到着することになるだろうか】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 00:29:22.49 ID:WOsdufi70
>>419
ファン第一号ネ!フフフッ……そっかそっか、ワタシが最初なんだねネ、嬉しいナ!

―――ふふっ、偉いゾ!その調子で他の困っている人にも手を差し伸べてほしいナ!
そうやって困った人を助けて行ったラ、きっといつかみんなに尊敬される人になるカラ。……シーナはそんな人を目指してほしいナ。

【嬉しそうなシーナの様子を見れば、春燕も笑顔になる。小さなシーナの笑顔は、英雄というには少し可愛らしい物であったが】
【小さな英雄の卵の笑顔は、春燕の心を幸せにしたらしい。見れば、暗く沈んでいた春燕の表情はすっかり元通りに明るくなっていた】
【嬉しさから生まれる笑顔は見る者を幸せにする力があるらしい。こっちまで落ち込んだ気分が晴れて少し幸せな気分になるような気がする……】

【余談だが、サインを貰うというのは冗談ではない。小さな恩人がそれで喜んでくれるなら、それは春燕にとっても嬉しいことだ】

【努力は決して裏切らない。小さな事をコツコツと積み上げれば、気がつけば結構大きなものになっているなんてことはよくある話で】
【それは善行という点も同じ。出来る事でいいからコツコツと困っている人に手を差し伸べて、誰かの為になるようなことを積み重ねていけば】
【気が付いたら周りの人から尊敬される人になっている筈だ。――――願わくば、シーナにはそんな人になって欲しい。】
【今はまだ、ちょっぴり傲慢な所もある小さな英雄の卵だが。……いつの日か、本当に皆から尊敬される「英雄」になっているかもしれない】



【さて、春燕が馬っぽい何かに跨れば、シーナは早速それを発進させる。結構スピードがあるらしく、体で夜の涼しい風を切るのが何とも心地よい。】
【成程、このスピードなら街までそう時間も掛からないだろう。本当に、シーナと出会えて良かった……あのまま誰にも出会わなければどうなっていたことか】
【馬上で色々喋ると舌を噛む恐れがある。話したいことは色々あるが、宿に着いてからでも遅くは無い筈だ……】

【間もなく一行は街へ到着。煌々と光る明かりが、まだ町が眠っていないことを如実に示している。これならば空いている宿の一つや二つもあるだろう】
【春燕は手ごろな宿を見つけると、シーナの後ろから声を掛けてみる。】


―――ネエネエ、あの宿はどうカナ?

【丁度前方に、手ごろな民宿が見えている筈だ。木造のなかなか味のある建物で、かなり上等な宿のようだが……どうする?】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/30(水) 00:50:40.31 ID:c8v3w7teo
>>420

「うむ!私の理想は遥か遠く高い、英雄譚にある勇者だからの!」
「言われずとも、世界から喝采されるような立派な大英雄になってみせるのだ!」

「"ふぁん"第一号として、シーナ様の今後の活躍を見逃すでないぞ!」


【子供らしい憧れか、それとも根源に何か理由が存在するのか】
【シーナという幼い少女の行動原理は「英雄になる」というというものが基準になっているようだ】
【つばめに声(?)をかけたのは先ほど言った小さな善行というものか】
【それとも、彼女に対して何らかの要因で興味を持ったのか】

【何にせよ、態度は無駄に大きいが他者に邪険に接するようなモノではなく】
【つばめの言葉を素直に受け止めて、堂々と己の夢を語っていた】


【時間にしてどれほどのものだろうか】
【バスほどではないがそれなりの速度で道路を駆け抜けた馬モドキはやがて街へと到着する】
【シーナは速度を落とし、馬モドキを歩行させながらつばめの言葉を聞いた】


「む――うぅむ、悪くはなさそうだの」
「シーナ様が泊まるには少しばかりボロ臭いが、寛大な心で許してやるのだ!」


【彼女の言葉にそんな文字を記して返し、シーナは馬を宿へと近づける】
【この奇妙な姿は街中を歩いている時から衆目を集めているが】
【シーナ自身はそういったものを気にするタイプではないらしく、平常通りの偉そうなノリであった】

【民宿の前に止まった後、シーナは一度首を傾げるような仕草を見せ】
【ふと思い至ったように文字を走らせた】


「……ん?もしかしてつばめは、私と同じ宿に泊まるつもりなのか?」
「私としては面倒も省けるし、別に構わんのだがの」


【どうカナ?という問いかけに対して、そういった意味なのかと確認する】
【特に嫌というわけではなさそうだが】
【初対面の相手なのに警戒はしないのか?などといった意味合いも文面に含まれていた】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 01:04:16.91 ID:WOsdufi70
>>421

/すみません、此方朝が早いので一旦凍結さてて貰って宜しいでしょうか?
/明日も晩ならいつでもいますので、都合の良い時間を言って頂ければ!都合が付かないなら置きレスでも大丈夫です!
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/30(水) 01:20:10.99 ID:c8v3w7teo
>>422
/了解です、明日は19:00辺りには帰宅していると思いますので
/そのくらいの時間から再開できればと!
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 01:28:43.18 ID:WOsdufi70
>>423
//分かりました、では19時までに返しておきますね!我が儘を言って申し訳ないです、それでは一旦お疲れ様でした!
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/04/30(水) 13:10:35.23 ID:pTJSXRjG0
木材の床の軋む音と紙を捲る素朴な音だけが響く
床から天井まで山のように積み上げられた書物を抱えた本棚が見えるだけで数十とある
一切の改修工事も行わないのはこの素朴な雰囲気を保つためだろうか

ここは国立図書館の旧館だ
用意されている書物は古いものが多く、人が来ることも少ないがその人気のない雰囲気を好む人間もいるらしい
たった一人で本を読んでいるその人物も、その一人なのだろう

「…………」

ペラリペラリとページを捲る音は椅子に座り机に書物を重ねて置いている少年からだ
小柄で線の細い華奢な白髪の少年
雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる
薄手の灰色のコートを身に纏う
初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう

重ねられている本はどれも学校の勉学で使われるような参考書で、少年はそれをじっと見つめて読んでいる
時折折り曲げた指を唇に当てる―――考えるような仕草をしながら、その本を読みふけっていた

426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 16:52:57.44 ID:WOsdufi70
>>421

フフッ……ウン、応援してるヨ!だってワタシはファン第一号だもン!

【力強くシーナに掛ける声、「応援している」と言う言葉。シーナにはどう感じてくれるだろうか】

【理想は遥か遠くとも、一歩ずつ確実に歩みを進めればいつかは辿り着く。塵も積もれば山となるという言葉があるが、まさにその通りで】
【塵のような小さな小さな物でも、積み重ねれば山となるのだ。進む方向さえ間違わなければ、努力すればするだけ理想に近づくことが出来る筈だ。】
【「所詮は子供の夢」と鼻で笑う人もいるかもしれない。「そんな大き過ぎる夢は叶いっこない」と冷めた目で見る人もいるかもしれない。】
【――――でも、春燕だけは絶対にそんな事は言わない。きっと夢を追って成長するシーナを応援するだろう……だって、ファン第一号≠セもの】

【何故シーナが幼くして大きな夢を持ったのかは分からない。それでも、シーナの進む道はきっと間違っていない筈だから……】
【正義を志した一員として、それを応援しない筈はなかった。きっと彼女は人々を護る大きな力になる、そんな気がするのだ】



【余談だが、シーナと聞いて思い当たる節は結構あった。最近、様々な事件に出てきては悪と戦っている小さな少女がいるという話だが】
【その少女の名前がシーナだったはず。―――そう言えば、サンドワーム討伐の際も彼女の姿を見たような気がする。】

【一方のシーナは気付いているだろうか?たった今一緒にいる黄春燕という人物が、サンドワーム討伐の際に一緒に戦っていたという事を――】
【互いに会話を交わすことは無かったが、戦いの途中や後で顔ぐらいは見た筈だ。サンドワームに音撃鈴を投げ入れた少女と言えばピンとくるかもしれない】
【まあ、気付かなくても無理はないだろう。夜の闇の中で顔が判別しにくい上に、あの時とは服装が全く違うのだから】
【街の明かりの下で顔を見れば、気付くかもしれない。改めてはっきりと春燕の顔を見たら、シーナはどんな反応をするだろうか……】

【―――とまあそんな訳で、実は春燕とシーナは初対面ではないのだ。あの時一緒に戦った人物ならば、少なくとも悪い人物ではないだろうとは思えて】

ウン、折角だから一緒に泊まろうヨ!シーナは悪い人じゃないって知ってるかラ、大丈夫だヨ!

フフッ、今思い出したんだけどサ……シーナ、サンドワームを倒した時もいたよネ?
人の為に戦えるシーナなら、きっと悪い人じゃないって思えるヨ!

【問いかけに対して応える声には、ある種の信頼が内包されていた。シーナが春燕をどう思っているかは知らないが、少なくとも春燕はシーナを信用しているらしい】。
【人のために身を挺して戦えるような人物が、悪い人の筈がない。ならば、警戒する必要なんて無いだろう……そう思えるのだ】



フゥ……着いたネ!えーっと……
シーナ、改めて今日はありがとうネ!本当に助かったヨ!
じゃあそろそろ宿の中に行こうカ!

【一行は宿に到着。馬から降りると春燕は改めてシーナの方を見てニコリと微笑みながら声を掛ける。シーナは此処で初めて春燕の顔をはっきりと見る事になるだろうが】
【一目見れば目を惹くのは澄んだ瞳だろう。湧水よりも深く澄んだ瞳に宿るのは、どこまでも純粋な優しさ―――】

【(もう一つ余談だが、目の前の春燕という少女はSCARLETの一員だ。英雄というにはまだ未熟だが、春燕もまた人々の為に戦い奔走する人物の一人なのだ)】
【(普段は薬屋として病や怪我に苦しむ人々も助けている。――――シーナのファン第一号は、奇しくもシーナと同じように人々を助ける人物だった)】


【フロントで適当な空いている部屋をとると、早速部屋に向かう。内装は手入れが行き届いていて古さによる劣化や傷みを感じさせず、むしろ適度な古さが良い味を出している】
【まるで実家のような安心感を覚える落ち着いた造り。これならぐっすりと眠れそうだ……】
【部屋に到着すると荷物を適当な場所に置いて、あとはもう自由な時間だ。話をするもよし、食事に誘うもよし、風呂に入るもよし……】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/04/30(水) 19:24:26.65 ID:vX7qH+Txo
【公園】

「ヘッキャアーーッ!!」

【公園ではしゃいでいるのはガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

『……相変わらず元気ですね』

【それをベンチで見守るのは、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【……なお、先程男が公園ではしゃいでいると書いたのだが】
【その実態は、公園に入ってくる者に片っ端から喧嘩をふっかけて物理的に投げたりしているのだ】
【女性が、怪我をした者の治療をしているのが幸いだろうか……? 杖を当てて魔翌力を流し込むという方法なので、どうやら能力を使用しているようだが】

【もしこの公園にうっかり入ってしまった場合は喧嘩を売られる可能性が高いだろうし、こっそり忍び込めばまた別の展開が生まれるかもしれない】

/短めの文でぱぱっと一日or持ち越しや置きレス前提で普通に、のどちらかでお願いします
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/30(水) 19:34:04.77 ID:c8v3w7teo
>>426

【春燕の言葉を聞いて、シーナは記憶を探るように自身の指を額に当てる仕草を取る】
【サンドワーム戦の際は同じ戦場にはいたが、誰とも協力態勢を取っていなかったため】
【あの場に居た人物に関しては認識が薄い】

【だが、数秒考えた後何とか記憶の端に引っかかったのか】
【馬上で首だけ少し後ろに向けて、フードの越しに彼女の顔を確認すると】


「う〜む……確かにおった気が、するのだ?」
「あの時私が居た事を知っているのならばおったのだろうな……」

「――すっかり忘れていたのだ、許すがよいぞ!」


【ボードの背面にそんな文字を走らせた。悪びれる様子もない清々しいまでの態度である】
【「そうかそうか、あの時ののぅ」等と一人言葉を記しながら】
【一緒に泊まる理由に納得がいった様子で、首を小さく数度縦に振った】


「そうだな、私も朝から仕事をしておったからクタクタなのだ!」
「早く宿に入ってゆっくりしたいところだの!」


【春燕が下馬すると、シーナも続いて身軽な動作で飛び降りて足を地につけ】
【馬モドキの腹付近を手で叩く。すると、馬の身体は腹付近からサラサラと粒子状に分解を始め】
【あっという間に砂山のようになって姿を消した。知識があれば"砂人形"……ゴーレムの類だと察しが付くだろうか】
【シーナは砂山の中から赤い石のようなものを取り出して、懐に仕舞うと】
【春燕を伴って宿の中に入っていこうとする】

【シーナがこうも春燕に関わり、友好的に接しているのは彼女の優しい雰囲気が為せる技だろうか】
【春燕の澄んだ瞳をフード越しの"視点"で見ると、一層シーナの雰囲気が親しげに変わったように感じるかもしれない】
【顔をすっぽりと隠し、声すらも他者に聞かせないシーナとは対照的ともいえる存在であろうか】

【SCARLETに関してはシーナもある程度関わりが有り】
【また、組織内に友人も存在するため悪印象などは持っていない】
【ワッペンなどを見るか、もしくは話題の中に入ってくれば彼女をかの組織の一員として認識するだろうか】


「のだーー!!」


【部屋に入ると、すぐにシーナは布団を敷いてその上に奇妙な文字と共にダイブする】
【そして枕を抱きしめてゴロゴロと数度横に転がった後】


「ふぅ……堪能したのだ!さてつばめよ、これからどうするかの?」
「風呂にするか、それとも食事にするか、寝る……には少々早すぎる気がするしの?」


【枕を抱きしめて寝転がったまま、顔だけ上げて彼女にそう訊ねる】
【どうやらこれに関しては春燕の望む方向へと合わせるつもりのようであった】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 20:53:37.38 ID:WOsdufi70
>>428

ハハハッ!そっかそっか、忘れちゃったカ!別にいいヨ、ちょっと昔の事だから仕方ないネ!
人間は忘れる生き物だもノ、これから私の事を覚えてくれたら大丈夫ヨ!


【ニカッと笑って大丈夫と告げる。悪びれもしないシーナ、少しも嫌な顔をしない春燕……過ぎ去ったことをグチグチと言わない両者の関係が、何ともさっぱりとして心地よい】

【……忘れていても仕方がない。言葉を交わした訳でもなければ協力して戦ったわけでもないのだから。】
【かく言う春燕も、シーナの名前を聞いて漸く思い出したのだ。記憶の残渣から取り出した情報も、そう言えばシーナと言う少女がいたなぁという程度だった】
【ともかく、シーナが春燕の事を忘れていたことに関しては、咎める事も無ければ機嫌を悪くする事も無いから安心して欲しい。……自分も今の今まで忘れていたのだし。】


【目を合わせれば、シーナの雰囲気がふわりと親しげに変わる。それが嬉しくって、春燕はまた人懐っこい笑顔になって……そんな風にして、二人の距離感はぐっと縮まり】
【フードで表情が見えないシーナと笑顔をよく見せて表情豊かな燕。言葉を発しないシーナと明るい声で話しかける春燕。オセロみたいに正反対な二人だけれど、もうすっかり友達のよう】
【人懐っこくて明るい春燕の事を友達と思ってくれるなら、それはとっても嬉しいことだ……】


【なお、今の春燕はオフ。SCARLETとしての任務には就いておらず、今日は薬師として田舎の医師のいない地域などを回っていた。だからSCARLETのワッペンは着けておらず】
【任務に就いて居る訳でもないのにわざわざワッペンを見せびらかすのも変な話だから、シーナには自分がSCARLETの一員であることは伝えずじまいになっている】
【……まあ、隠すようなことでもないから、SCARLETの話になれば話すのだろうけど。】



(フフフ、やりたくなるよネ!……ワタシも小さな頃はあんな風にやってたかナ?)

【部屋に着けば、待ってましたとばかりに布団の上に飛び込むシーナ。戦いに身を投じる彼女の子供らしい一面を垣間見て、ちょっぴり微笑ましそうにクスリと笑って】
【やがて寝転がるのを堪能して満足げなシーナが何処に行くかと訊いてきた。―――うーむ、どうしようか】


……そうネェ……
じゃ、ご飯食べてからお風呂に入ろっカ!おなか空いちゃったもんネ、一杯食べよウ!

【―――という訳で、二人は食堂へと足を進める。食堂前を漂うふわりと美味しそうな料理の匂い……嗅げばきっと、空腹の二人には堪らないだろう。早く料理を食べたくなる筈だ……】
【席に着くと、和食洋食その他いろいろの料理が並ぶメニュー表に目を通す。空腹は最高のスパイスとは良く言ったもので、空腹の春燕にはどれも美味しそうに映る……】

―――ウーン、迷うなァ……シーナはどれが食べたイ?好きなのを頼んでネ!
……これも美味しそう、こっちも良さそう……どれにしようカ……


……よし、決めた!ワタシはヒレカツ御膳にしよウ!

【シーナの食べたいものも決まれば、春燕は給仕を呼び止めるだろう。さて、シーナは何が食べたい?】


(一気に料理が到着して食べ終わる所まで描写して頂いて結構です!)
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/30(水) 21:19:50.41 ID:c8v3w7teo
>>429

【口では大きなことを言っていてもやはりどこか見た目相応な幼さで】
【春燕と一緒に宿泊するとなった事で、まるで学生の修学旅行のようなテンションになっている】
【元より友好的な相手には悪く接しないシーナだが、話して間もない相手にここまで心を許すのは珍しかった】

【フードの下からどういう原理か彼女の顔を眺めながら、しばし返事を待ち】


「うむ、文句はないのだ!私も随分と魔翌力を使って腹が減ったしの!」
「この街の旅館など初めて泊まるから、何があるのか楽しみなのだ!」


【枕をポイッと部屋の端に放り投げて立ち上がり】
【ワクワクして待ちきれないと言わんばかりに我先にと食堂の方へと駆けていき】


「"いちごぱふぇ"は……むぅ、流石に無いから今日は我慢せざるを得ぬか」
「そうだの、では私は海老フライ定食でも頼むとするのだ!」


【席に着いたシーナは、メニュー表と数分にらめっこした後】
【「はんばーぐも捨てがたいのだがのー」などと言いながら、給仕に注文を伝え】
【やがて届いた二人の料理を、歓談しながらゆっくりと胃に入れていった】


【――――】


【――時間にして十数分といったところだろうか】
【食事が終われば、今度は風呂に向かう事になっているが】
【シーナはすぐには席を立たず、何やら少し考え込むような仕草を見せていた】

【シーナの"姿"を見れば、何を考えているか大体察しは付くだろうか?】
【頭の中で言葉を選んだ後、サラサラとボードに黒砂を走らせ文字を記した】


「風呂なのだがの……先に入っていて欲しい」
「私は少しばかり"準備"に時間がかかるのでな、一緒に着替えるわけにはいかんのだ」


【コツコツ、と自身のフードに軽く指を当てながら春燕にそう告げる】
【……どうしても、他人に顔を見られたくない理由があるのだろうか】
【フードは身に纏うローブと繋がっている為、これを脱ごうとすれば顔も晒すことになってしまうのだ】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 22:02:33.64 ID:WOsdufi70
>>430

【お互いに食事を堪能する。こうして二人で楽しくお話ししながら料理を堪能すると、なんだか妹が出来たみたいな感じがして】
【小さな友達がエビフライを美味しそうに頬張れば、春燕もヒレカツを一口二口と食べていく。美味しい物を食べて思わず零れる笑顔はとても幸せそう】
【他愛もない話と食事は笑顔と共に進んで、すっかり満腹。美味しい物を食べて腹が満たされた幸せというのは何とも心地が良い……】

――――
フゥ……御馳走様でしタ!
美味しかったネー……やっぱり美味しいご飯を食べれるって幸せだネ!
さて、お風呂に行こうカ。湯船にでも浸かってゆっくりと疲れを落とそウ!

【さて、食事が終われば今度は風呂。】
【今日は一日何処とも知らない田舎の家々を歩き回って、足が棒になるまで疲れきった……そんな訳で肩やら腰やら体の彼方此方が凝っている】
【一日の疲れも湯船にゆっくりと浸かって眠れば、翌日にはすっかり取れる筈だ。折角旅館に来たのだから、十二分にリラックスしよう……】

……?どうしたノ?早く行こうヨ!

【そんな訳で、浴場に向かおうとするが……何かシーナの様子がおかしい。何かを考えているような感じで、席を立とうとしないのだ】
【少し怪訝そうな表情でシーナを見つめる春燕。……やがてシーナが考えた挙句にボードで伝える言葉、「先に言って欲しい」とのこと】
【……別に、女同士なのだから着替えを見られた所でどうという事は無い筈なのだが。まあ、無理に一緒に行こうとは言わないけれど……】


―――うん、分かっタ。じゃあ、先に行ってるネ!……準備って何だろウ?何か秘密でもあるのかナァ……まあ、いいカ。

えーっト、タオルト着替えト……

【という訳で、春燕は先に浴場へ向かう。部屋に戻って背負っていた鉄の箱から着替えやらタオルやらと入浴に必要な物を取り出すと】
【抱えて更衣室に持って行って、服を脱ぐ。露わになる肌は白くて、体はまだまだ未熟で細身。SCARLETの一員というには少し繊細な、そんな感じ】
【脱いだワンピースを几帳面に畳んで下着と一緒にロッカーの中に仕舞い込んで、ハンドタオルを持って浴場へ……】

【……浴場は、平日という事もあってかがらんとしていた。シーナだってまだ来ていないから、旅館の大きな露天風呂を独り占めするのは何だか贅沢な気分】
【体を洗ってから、ゆっくりと湯船につかる。じんわりと温かい湯が体全体を包み込んで、一日の疲れを溶かし尽してしまいそう……】
【誰もいないから存分に足だって延ばせる。すらりと細い足を湯船の中で伸ばせば、疲れの溜まったふくらはぎや太腿も解れて何とも心地が良い】
【源泉かけ流しの温泉ということらしく、とても肌触りの良い湯だ。美容に良いとの効能らしいが、成程肌もすべすべになっているような気がする】
【……もっとも、春燕ぐらいの歳でまだ肌のつやを気にする必要は無いのだろうが。……女の子とは、肌の事に関してはこんな小さな事も気になるものだ】

【さて、そろそろシーナも入ってくる頃合いだろうか?大きな浴場に春燕が一人だけ、きっと心置きなくリラックスできるはずだ……】
【話をするならこんな心地よい露天風呂が一番だろう。きっと心身共にリラックスして会話も弾むのではないだろうか―――】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/30(水) 22:20:48.70 ID:c8v3w7teo
>>431

「うむ、すぐに行くから先にゆっくり浸かっておるとよいのだ!」


【そう記すとシーナは席を立ち、部屋には向かわず人気の無い物陰の方へと駆けていく】


「……よし、誰もおらぬな。我ながら本当に面倒くさいのだコレは」
「仕方のないことではあるのだがの……」

【暗く人目につかない階段脇の隅で、周囲に魔翌力を張り巡らせ厳重に探査を行ったあと】
【フード内部に仕込んだ防御術式を解除し――――】



【春燕が露天風呂に浸かって数分経った頃だろうか】
【脱衣場の方でテテテテッと軽い足音が響き】
【続いて絹擦れの微かな音が、耳の端に聞こえてくるかもしれない】


【そして間もなく入口の扉が開かれ、小柄な人影が浴場に姿を現した】
【身体にバスタオルを巻き、頭にもふもふとした虎のような帽子を被った少女だ】
【帽子を鼻まで隠すように深く被り、フードをしていた時同様に顔を窺う事は出来ない】
【体型など詳しい情報は、恐らくローブを着ていた時にご察しであろうが】
【身長に見合った幼さであったとだけ記せば簡潔に伝わるだろうか】
【肩にはやはりボードが生えており、板上を黒い砂がうぞうぞを動き回っている】

【少女――シーナは、春燕を見つけると湯船に向かい駆け足で近寄り】


「とりゃー!なのだー!」


【などと、文字を書き記しながら思いっきり湯に飛び込んだ】
【春燕とは離れた場所を選んではいるものの、盛大に撒き散らされたお湯が少なからず飛んでくるかもしれない】
【非常に行儀の悪い入り方ではあるが、本人としては元気が有り余っているがゆえの行動であろう】
【湯に浸かったならば、シーナは春燕の方を向いて「お待たせなのだ!」などとボードを台詞を走らせるだろう】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/04/30(水) 23:00:20.36 ID:WOsdufi70
>>432

【シーナが着替えの際に色々と苦労していたのは、春燕には知る由もない。誰も知らないシーナの苦労は、春燕もまた知らないまま……】
【……どうして着替えを見られたくないのか、どうして顔を見せようとしないのか……人には秘密の一つや二つ存在するものだが】
【シーナの場合はちょっと秘密が人より多いような気がする。様々な秘密を抱えたシーナは、一体どんな人なのだろうか?】
【まあ、無理に秘密を暴くつもりは無い。知る必要もないのに変に探りを入れて機嫌を損ねるのは此方としても嫌な事だ。】
【折角一緒にいて楽しいのに、些細な好奇心で台無しにはしたくない……楽しい時間は、楽しいままでいたいに決まっている】
【もしかしたら、いつかシーナの秘密を知ることになるかもしれないが……それは少なくとも「今」ではないのだろう】


【さて、春燕が湯船につかってから暫く……漸くシーナが来たようだ】
【体重の軽さを窺わせる小刻みな軽い足音が脱衣所から聞こえたなら、それがシーナとすぐに分かった。―――果たして、その予測は正解で】
【間もなくシーナはガラリと扉を開ける。―――幼い肢体に巻き付けたタオル、それと目深に被った帽子。浴場に帽子をかぶるというのは珍しい……というかそんな人普通はいない】
【なぜ頑なに顔を見せようとしないのかは気になるが、見せたくないものは仕方がない。此処まで隠されるとどんな顔なのか逆に興味をそそられるが……】


あ、シーナ!ここだヨー!って、……―――ヒャッ!?

【そんなシーナは、春燕の姿を見つけると元気よく駆け出して(浴場出かけるのは危険なのだが)、それからぴょんと湯船に飛び込む(これも危険な上に迷惑行為なのだが)。】
【元気が有り余る様子が、これまた子供らしい。……もし此処に多くの人がいたなら一斉に見咎められていたのだろうが、幸い今は春燕以外誰もいないからそんな行為も許される】
【多少飛沫が春燕の顔にもかかるがお構いなし。どうせ湯船に浸かっているのだ、少しばかり水滴がかかったところで何の問題もあるまい……】

もう、本当に元気なんだかラ!
フフフ、誰もいなかったんだから、ワタシも飛び込んだら良かったかナァ……
ワタシ以外の誰かがいた時ハ、飛び込んじゃ駄目だヨ?

【ちょっぴり小言を付け加えて、あとはもうお咎めなし。ゆっくりと湯船に浸かって二人だけの貸し切り露天風呂を堪能しよう……】
【シーナは美容などを気にするにはまだ早すぎるだろうか?湯の成分の効能は入れば直ぐに分かるほどのもので、きっとシーナの柔らかい肌も絹のように滑らかになっている筈だ】
【幼い体のシーナ、未熟で細いとはいえ割と色々と成長している体の春燕。……温泉に入って明らかになった体の差、こんな所も対照的な二人。】

【さて、一つだけ聞きたいことがある。さっきから気になって仕方がないのが、シーナの頭の帽子……なぜ風呂場にまで帽子を被ってくるのだろうか?】
【これだけは気になって仕方がない。これでは髪も洗えないような気がするのだが……】

―――ネエネエ、その帽子は脱げないノ?髪、洗えないヨ?
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/04/30(水) 23:12:29.36 ID:hsuKKkk+0
【鉄の国=\――近代都市】

【依然としてGIFTとの戦争は続いているものの、長すぎる戦いによって感覚の麻痺した人々は今までと同じ】
【否、今まで以上に活気を持って営みを続けていた………まるで目の前の現実から眼を背けたいかのように―――。】
【ここはその象徴の一つだ、以前から近代化されていたが数か月前より街の至る所で工事が行われ、高架橋がまるで血管のように張り巡らされている】

【より機能的に、より安全に………心の奥底に潜む恐怖心は都市を歪なモノへと変形させていっているのだ。】
【そんな建設中の高架橋の一角―――剥き出しになった鉄骨の上に立って、眩しく輝く街を見渡している人物がいた………それは】


『ユカイだなぁ………恐怖にかられ、絶望にかられ………そのちっぽけな心を囲い込むかのように砂で出来た城を作ってやがる
 やはり人間てのはこうでなくちゃな―――クク、しばらくぶりだが中々面白いように世界は回っているようだ』

        『さて、今度はどう動き………どう歪めるか………じっくり観察して決めるとするぜ。』


【その人物とは―――。】
【闇と一体化したような、襤褸切れのような赤と黒の混ざった全身を包み込む外套をフードまですっぽりと被り】
【顔は道化のような不気味な笑顔のペイントが紅く光っている黒い仮面で覆っており、四肢は漆黒の装甲で覆われている長身の人物】

【どこか世界に浸食するようなエコーのかかった声が響く―――この人物の存在に気が付く者はいるだろうか、もしくは】
【この人物が見下ろしている街の中に興味を引くようなモノがあるだろうか―――?】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/04/30(水) 23:25:58.29 ID:c8v3w7teo
>>433

「む、私もそれくらいは判っておるのだ!」
「ちゃんとぶつからないように、確認してから入っておるからの!」


【そう言いながら、シーナは首まで湯に浸かりその温かさを全身で感じる】
【帽子に生えたモフモフの毛が湿気を帯びて少々不快な感触を醸し出しているが】
【それも温泉の生み出す快楽の前には些細なもので、すぐに忘れて湯を堪能した】

【ゆらりと水面に波紋を浮かばせながら、軽く泳ぐようにして春燕の傍まで近寄ると】
【その隣で膝を抱えるようにしてちょこんと座る】
【並んでみると、年の離れた姉妹のようにも映るであろうか?】
【流石に親子というほどではないが、身体の成長具合には隔絶とした差が存在した】
【……当の本人は、特に気にしてはいないようだが】


「うむ?……う〜む、これはの……」


【春燕の問いかけに、シーナは言葉を少し詰まらせる】
【顔をどうしても他者に見せることのできない"事情"がある】
【誤魔化すことも拒絶することも簡単だ。しかし、彼女の優しさに甘えてしまったのか】


「……私が英雄になるその日まで、顔を見せることは出来ないのだ」
「私が私で在る為に今はどうしても、これが必要なのでの――」


「だから、髪は後で何とかするのだ。春燕は気にしなくともよいのだぞ?」


【言葉を暈し、明確に理由を告げないまでも】
【虚偽だけは混ぜることなく、事情の片鱗を文字として現した】
【英雄になることと顔を見せないこと、何の関係があるのだろうか?】
【むしろ、他者から認識されるためには顔や声を衆目に晒すべきなのだが――】


「――と、言う訳でこの話題は終了なのだ!乙女の秘密ということにでもしておくがよい」
「それよりも私としては、つばめの話を聞いてみたいところだの?」


【パン!と一つ手を鳴らして話題の転換。端は匂わせても全てを語るつもりはないようだった】
【これ以上追求しても、恐らく今より情報を晒すことはないだろう】
【シーナは春燕の方に顔を向けて】


「例えば、そうだ。何故御主が大ミミズの依頼など受けておったかとかも気になるのだ」
「私から見ればつばめは争い事とはほとほと無縁の存在に見えるのだがの?」


【質問を一つ、投げかけた。シーナからすると春燕は優しく温和な女性という認識であり】
【あのような荒々しい戦場など尤も不釣合であると考えていた】
【それゆえに、彼女が何故あの場に居合わせていたのか……それがシーナは気になっていた】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/04/30(水) 23:42:41.29 ID:PHcvlBu8o
>>434
【この国の名前に違わず、金属を歪に組み上げたような街並み。ここに住まう人々の感情をそのまま反映したかのような】
【そこに立つ襤褸を纏った人物、仮面のデザインも相まってあまりに異様なその姿は】
【この空間の中にあっては、むしろ似合いの存在のようにすら思えるかもしれない】


【そんな人物のもとへと響いてくる、乾いた足音。一人分。高架橋を踏みしめて近づいてくる】
【やがて、仮面の人物と同じく、鉄骨の上を渡りながら現れたのは、一体の人形だった】

【少し長めの茶髪に細面、丸い目。中肉中背の身体を白いシャツと青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカーに包んだ青年】
【そんな外見をしていた。しかし、人とは異なる質感の肌と、無機質な青い瞳。そして、服の上からでもわかる球体関節】
【それらが、それを生ける人形であると示していた。かしゃり、かしゃり、と乾いた音を立てて、人形は仮面の人物と一定距離を保って立ち止まる】


……誰だ。ここで何をしている

【抑揚のない、乾いた声音。敵意を滲ませているような言葉。しかし、瞳はやはり無感情なまま】
【仮面の人物の姿を、しっかりと視界に収めつつ、周囲を視界の端でそれとなく確認している】


観察する、とか聞こえたぞ。この気持ちの悪い都市が、そんなに面白いのか?

【眼下に広がる奇怪な形の都市を頭の動きで示しつつ、人形は問いかけた】
【視線は、眼前の人物から外さないまま】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/01(木) 00:03:20.92 ID:nCradpLm0
>>436

【鉄骨を歩く音が聞こえると、その方向へとゆっくりと頭を向けてカタカタカタと仮面の奥で笑う】
【纏っている外套のせいもあってか、この人物は本当に闇から這い出た存在のような厭な気配を全身から出している】

【生き人形からすれば、依然感じた底なしの混沌≠ニ同じような気配にも取れるかもしれないが………。】


『何≠チて、いきなりそんなコト聞くなんて不作法じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?
  まぁ人形≠ソゃんに何を言っても無駄かね?なぁ?ギア・ボックス′Nよぉ―――?』

『なんで僕の名前を知ってるんですかってか?さぁなぁ、俺も知らねーよ、だがな俺の概念≠ノオマエノ情報はある、それは事実だ
 もしかしたら前世で恋人同士だったのかもなぁ?なんて………ヒャヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!』


【ガンガン!と自身の立っている鉄骨を装甲で包まれた脚で叩きながら腹を抱えて笑い転げるような仕草をしている。】
【何を知っていて、何者なのか………まるで素性の分からないこの怪人=Bだが一つだけ確かな事が存在している―――】
【それは既にこの人物は青年の、ギア・ボックスの事を知り得ている≠ニいう事である…!】


『ああ面白いネェ………人が歪み、そして絶望し―――その先に生まれる混沌=c……それを演出するのが俺という概念≠フ意義だ
 だぁからぁよぉ、よかったらお前も一緒に愉しんでかねぇーか?前はどうだか知らねェが今の俺は気分がいいんだよ』

     『オマエノような青臭い人形野郎とだって愉しく遊ぶ事だって出来るんだぜぇ?ヒャヒヒャヒヒャヒ!』


【一言で言えばつかみどころのない、この人物の言動からはそんな印象を受ける。一貫性がなく、嘘か真かも分かりはしない】
【気が変わればすべてを無に帰すような―――底なしの混沌≠持った戯言≠セ。………何にせよ、何かしらの対応は必要だろう】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/01(木) 00:11:52.18 ID:OugyCd0U0
>>435

【問いかけに少し詰まるシーナ。やはり言い辛い事情もあるようで、答えを返すまでに僅かの空白を置いた……】

……そっカ。あんまりよく分かんないケド、どうしても顔は見せられないんだネ。
―――分かった。フフッ……じゃあ、いつか英雄になれた日が来たら、その時はワタシが最初に顔を見ようかナ!
だってワタシはシーナのファン第一号だものネ!

【きっと具体的には言えない理由があるのだろう、選びに選んだ言葉はかなり暈されていた。とても具体的とは言えない回答に、完全に納得したわけではないが】
【言葉に虚偽の色は無くて、きっと本当の事なのだろう。……誤魔化す事無く答えてくれたシーナの誠意に感謝して、春燕はパッと明るい笑顔を見せる。】
【今は見せられないのならそれで良い。代わりに、いつかその顔を見せてくれる日―――すなわちシーナの夢が叶った日に春燕に顔を見せて欲しい。】

【―――乙女の秘密とされてしまっては変に探る訳にはいかないなぁ、と苦笑い。同じ乙女として、踏み込んで欲しくない領域なんてのも弁えているつもりだから】
【もうこれ以上はシーナの秘密には踏み込まない。まだまだ秘密だらけのシーナだが、取り敢えず追究は此処まで―――】


【さて、ほんの端っこだけだけれどシーナに秘密を語ってもらった。今度はこちらが秘密を語る番だ……】
【投げかけられる質問は、あのサンドワーム討伐の時の事。―――話せば長くなるが、丁度いい。今は長話しても問題ない場所にいる……】
【自分が何故人々を護る為に戦うようになったか。その端緒が、あのサンドワームの戦いの中にあった―――】


―――ウン。実際ワタシは、元々は戦いなんて全く関係のない薬師だっタ。戦いで傷ついた人を治療することはあっても、自分から戦う事なんて無かったネ。

……ワタシには恩人がいるんダ。その人は路地裏で暴漢に襲われたワタシを助けてくれたノ。
その人は、人々を護るのが仕事だったノ。―――私の中では、あの人こそが英雄だったなァ……
強くて、カッコ良くて、優しい……そんな人だっタ。SCARLETっていう組織の人だったんダ。
あこがれちゃっタ。ワタシもあんな風になれたらいいなぁって思ったノ。

でもネ、ある日その人は変わってしまっタ。人々を護っていたはずのその人は、鉄の国を襲ったノ。
……もう、人を護るのはやめたッテ。……ワタシを護ってくれたその人は、今はもう人々を傷つける人になってしまったんダ。


―――――だかラ。


だかラ、もう護らなくなってしまったあの人の代わりに、私がみんなを護ることにしたノ。
サンドワームと戦ったのもそう。あの人の代わりに、私がサンドワームから人々を護る為に戦ったんダ。
……あの人が100人を傷つけようとするのなら、ワタシが100人護る。――――そうすれば、傷つく人はいなくなるはずだかラ。


【―――以上が彼女の話。……つまり春燕は、正義から悪へと変わってしまった恩人の代わりになる為に戦っているのだ。】
【恩人が人々を救わなくなったのなら、自分が代わり人々を助ける。――――サンドワームとの戦いは、その志の表れだった。】

【……シーナは気付くだろうか?今の彼女の話に当てはまる人がいるという事を……】
【SCARLETから離反した、鉄の国を襲った……この情報から察することの出来る人物が、たった一人いる。――――GIFTの幹部、『W』だ】


……ごめんネ?ちょっと深刻な話になっちゃったネ。エヘヘ……
あんまり深く捉えないでいいヨ。個人的な話だシ……
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 00:18:30.88 ID:lm1gGpmSo
>>438
/申し訳ない、明日仕事なのでそろそろ……!
/明日同じくらいの時間から再開できますか?置きレス移行でも大丈夫です!
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/01(木) 00:25:47.52 ID:OugyCd0U0
>>439
/了解です、では好きな時間にお返し頂ければ!此方は20時半頃には返せると思いますので!
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 00:27:33.23 ID:lm1gGpmSo
>>440
/分かりました、ではまた今夜よろしくお願いします!
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/01(木) 00:35:56.74 ID:ll17eIaso
>>437
【ゾワリ、と。肌が粟立つような感覚に襲われた。無論、人形の身体にそんなことが可能であるはずはない】
【つまり、これは己の魂が感じていること。魂に迫りくる、強大な何かだ】
【異様な外見もさることながら、この底冷えのする気配。以前、これに近いものを浴びた覚えがあった】

【そこへ投げかけられるのは、己の姓名。驚愕は、どうにか表に出さずに押し込める】

…………!! ――――。(落ち着け……!!)
少なくとも、不作法という点ではお前が人のことを言えるとは思えないけどね

概念=c…? 前世の記憶を引き継ぐとか、そういう話か……?
ハハッ、出会い頭にずいぶんきつい冗談をかましてくれるね。でも、もしかしたら割と近い段階で会ったのかもしれない
お前みたいな汚い口調と気味の悪い気配のやつに、一人心当たりがある。少し前に、消えた≠ヘずだけどね……

【響き渡る笑い声。狂気的な仕草。何より、初対面のはずの自分のことを知っている】
【先の、概念≠ニいう言葉も、嫌な連想を後押しする。あり得ることだ。あの蛇≠ナあれば、再び戻ってくることも――】


混沌≠ゥ……ますます、あいつにそっくりだよ。演出という言い方にしても、そうだ
そうかい、そりゃよかったな。その言いぐさからすると、今のお前になってあまり時間が経ってないんだろう?
出てきて早々、愉快なものに出会えるなんてついてるじゃないか

それは、魅力的な誘いだね。僕はここ最近ろくなことがなくて、愉しいことでもないかと探していたとこだ
ぜひお願いしたいものだよ。ただ……


その前に、その仮面を取って面を見せろよ

【仮に、仮面の人物の概念にこの人形の記憶が残っていたなら、その時の記憶と今の人形との間には、違いがあるはずだ】
【言動も気配も以前より鋭く、それでいて瞳は以前より冷たく乾いている】
【この怪人を前にして、以前の自分なら震え上がっていただろう。だが、今は心が冷たく固まっているかのようだった】

【それゆえに、だろうか。底の見えない混沌を湛えた怪人物の戯言≠ノ対し、人形は玩具≠ナ応えた】
【右手を素早く右太腿の辺りにやる。右手がその中にめり込む。引き出す。仮面の人物に向ける。ここまでの動作が、相当な速度で行われた】
【握られていたのは、銃口にボクシンググローブのついたちゃちな拳銃。ただのおもちゃだった】

【人形は、ためらいなく引き金を引いた。銃口から、グローブが飛び出す。銃口とワイヤーで繋がれたグローブ】
【怪人の顔面へと、まっすぐに飛んでいく。まともに受ければ、成人男性の殴打に匹敵する打撃を受けるだろう】
【これをもって、怪人の仮面を引き剥がすつもりらしい。つかみどころも見当たらないこの怪人相手に、果たして玩具が通用するのか――】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/01(木) 01:05:51.47 ID:nCradpLm0
>>442

【ギア・ボックスの返答により一層愉快気に震えながらケタケタと壊れたレコードのように笑う。】
【狂気=A単純だがこの怪人の事を表すのにこれほど的確な言葉があるだろうか―――まさしく狂気≠サのものなのだ】
【怪人は笑いながらも人形の方へと向き直り両手を広げる。】


『オヤオヤ、こいつは一本とられちまったぜ………ヒャヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!
 概念=c……それは存在の根源であり因果そのものだ、起源≠ネんて呼び方をする奴もいるがなぁ。』

『オォー、そいつは結構………となるとあっち側≠ノ詳細な情報と記憶は残っているってワケかい成程、成程。』

『消えた=H馬鹿を言うなよ―――秩序≠ニ混沌≠ヘコインの裏表………どっちかだけが消え去るなんてありえない事なんだよ』


【鉄骨の上を歩きながら、相手に説明するように、あるいは自分に対して確認をするかのようにそう呟いていく】
【もしこの怪人がギアボックスの連想する存在ならば、その存在は二面性≠ノよって確立されていたわけであるが、この怪人からは凶暴性≠オか感じない】
【―――表面の情報だけでは汲み取れない何かがこの奥に存在しているのかもしれない。】


『オマエの推理なんざ聞いてないんだが………まぁ当たらずとも遠からずって所か、だがなぁ―――
 同じ≠ナはない、そもそも俺≠ノとって形≠竍時間≠ネんてどうだっていい事なんだよ………。』

『アァ確かに………俺≠ノとって重要なのはいかに他者を踏みにじり絶望≠ニ混沌≠創造するかという事だけだ
 その点だといきなりお前のような壊しがいのある相手≠ノ出会えたってのは行幸だなァ、まぁお仲間に広めるなりなんなりしろや』


【怪人≠ゥら語られる事はギアボックスの推理を肯定し、あるいは否定する答えだ。同一の概念≠ナあり同一の存在≠ナはない】
【ただ言える事は、また新たな脅威≠ニ認識できるモノが現れた………という事のみである。】

【と、そこでギアの放った玩具の拳が怪人へと激突―――するが、同時に怪人の身体℃ゥ体がグニャグニャと揺れ動いて曖昧≠ノなる】
【そして次第に………夜の闇の影≠ヨと………溶けていく。】


『悪いが相方≠ェ呼んでるんでなぁ………ここいらで失礼させて貰うぜ、なぁにそう慌てる事はねーよ
 いっただろ?暫くはこの世界の歪み≠観察≠ウせて貰うってよぉ………それから身の振りを決めさせて貰うぜ』

『もしかしたらお前のお仲間になるかもしれねーなぁ?ヒャハハハハハハハハハハハ!んじゃ、お疲れちゃーん。』


        『ああそうそう―――これからは俺の事はこう呼べ………ヒドラ≠チてなぁ。』



【それだけ言うと―――ヒドラの蛇が絡み付くような気配は消えて行った………まさに幻影にでも惑わされたような出来事。】
【まだ情報は足りない………だが、これは紛れもない現実≠セ。】

//少し早いですがこの辺で、お疲れ様でした!
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/01(木) 01:23:47.98 ID:ll17eIaso
>>443
【魂が震える。眼前の奇怪な人物、その狂った笑いに覚える恐怖と嫌悪】
【だが、それは表出しない。人から人形に近づきつつある、今のギア・ボックスだからこそできる芸当だ】

根源であり、因果であり、起源……。少なくとも、お前が蛇みたいにしぶとい存在だということはわかったよ

あっち側=c…? 前のお前の記憶は、まだ残ってるのか……

ハッ、今度はこっちが一本取られたな。確かにその通りだ。どっちも、いつまで経っても消えずにいる

【相手のつぶやきに反応しつつ、脳裏に浮かべるあの恐るべき蛇の記憶。自分に最大の恐怖を刻み込んだ、最初の相手】
【確かに、近いものをこの怪人からは感じ取れる。しかし、それこそコインの表裏のごとく二つの顔を持っていたあの蛇と異なり】
【この怪人からは、見たままの獰猛な面しか伝わってはこなかった。その奥に何が潜むのか、今は知ることは出来ず】


聞いてない推理に、律儀に答えてくれてありがとう
形や時間がどうでもいいなら、いっそこっちに出てこないで来てくれれば、とってもありがたいんだけどね

――お前みたいなやつには何度か出会ってきたけど、その中でもお前はとびきりの狂人だよ
会ってすぐにそうとわかる、ってことは相当だ

ああ、遠慮なく広めさせてもらおう。そのせいで、出てきて間もないうちにたたき返される羽目になっても、文句は受け付けないからな

【吐き捨てる言葉は止めず、怪人の語る内容はしっかりと記憶にとどめ置く】
【まだ、その正体は判然とせず。しかし、またも世界に一つの脅威が示されたことだけは、確実であると理解できた】


【『パンチング・ガン』のワイヤーは、手ごたえを伝えることなく、そのままグローブを引き戻した】
【その身が崩れ、存在自体が曖昧になるがごとき様は、この怪人の概念≠そのまま表現しているかのようだった】
【鉄の国を覆う闇へと溶けて消えていくその影を、ギアは冷たくねめつけた】

そうか、そりゃ残念だ。面くらいは拝んでおきたかったんだけど
でも、また会う時はそう遠くはなさそうだな。楽しみにしとくよ

……ああ、お疲れ。仲間になったらその時はよろしく、ありえないだろうけどね
あばよ、ヒドラ

【その場から消失していく蛇の気配に、別れの言葉を吐きつけて。宵闇の中の幻影がごとき今の時間を、反芻する】
【『パンチング・ガン』を出した時と同じようにしまい込むと、生き人形・ギアは踵を返して立ち去った】
【新たなる狂気の到来を前に、無機質だったギアの瞳は輝いていた。暗い殺意の色に】

/了解です、お疲れ様でした〜!
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/05/01(木) 12:37:47.18 ID:cyIUe1CX0
木材の床の軋む音と紙を捲る素朴な音だけが響く
床から天井まで山のように積み上げられた書物を抱えた本棚が見えるだけで数十とある
一切の改修工事も行わないのはこの素朴な雰囲気を保つためだろうか

ここは国立図書館の旧館だ
用意されている書物は古いものが多く、人が来ることも少ないがその人気のない雰囲気を好む人間もいるらしい
たった一人で本を読んでいるその人物も、その一人なのだろう

「…………」

ペラリペラリとページを捲る音は椅子に座り机に書物を重ねて置いている少年からだ
小柄で線の細い華奢な白髪の少年
雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる
薄手の灰色のコートを身に纏う
初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう

重ねられている本はどれも学校の勉学で使われるような参考書で、少年はそれをじっと見つめて読んでいる
時折折り曲げた指を唇に当てる―――考えるような仕草をしながら、その本を読みふけっていた

その姿は勉学に勤しむ学生のようにも見えるがそうではないだろうと推測できる
本来この時間帯は学校に通うものだ、なにか訳ありの子かもしれない

そして、この図書館にテーブルと椅子は少ない
少年の近くにあるだけで他の席は広い図書館の反対側とずいぶん遠くにある
声をかければ気づくだろうが、集中しているのか少年から気づくことはないだろう
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 14:05:35.63 ID:Ewie+Bx9o
>>445

【古いというのはただそれだけで価値があるように思えるものだ】
【それが本であるならば尚更のこと、先人の偉大な智慧がそこにはあるように思わせるからだ】
【乾燥した空気にインクの匂い、そして埃……古書の倉庫とは正にここであった】

――――――――……

【人影はひとつだった】
【ここという場所に来たからには智慧を求めてきたからに他ならない】
【今両手に魔術関連の書籍を抱えてテーブルに掛けようとしている人物もまた、同じく】

【錆びれたような色合いのローブからは魔翌力の名残を感じるか】
【胸の起伏を見るに女性だがしかし同じ年頃の女性と比べればどこか「いびつ」】
【黙っていればそれなりという顔の造形はしかし可愛気という物は廃しているように毅然として】
【錆色の瞳と腰まで伸びた髪はどこか刺々しい、暗に「近寄るな」と示しているような雰囲気】

……これくらいでいいかな

【呟いてテーブルに書籍を乱雑に置き息を漏らす】
【しゃりんと揺れるのは手首に掛かっている銀色をした装飾と首に掛けた金色の弾薬】
【揺らめく魔翌力は彼女自身かそれとも装具からか、座椅子に掛けてまた一息】

――――――――

【そこから数十分は錆色の彼女は無言だった】
【ただただ書籍を読みふけり時折面白くなさそうに溜息を漏らす】
【そんな繰り返しが13冊目に達した時】

ねえ、あなた……さっきからそこにいるけどガッコウとか行かなくていいのかしら
ま、私が言えた義理じゃないんだけどね

【そちらに視線を向けずなんとなしに呟く声はされど確かに少年へと向けてのもの】
【彼女にとっては恐らくは暇つぶし程度の言葉、少年にとっては果たしてどうなるか】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/01(木) 14:25:57.61 ID:cyIUe1CX0
>>446
【彼の集中力はよっぽどのものだろう】
【近くに座ったその女性にはすぐには気づいていなかった】
【参考書に散りばめられた難問にぶつかり長考。そして解答を繰り返していたのだが】
【それで顔をあげた際に女性に気づいたのだった】

「あ………」

【少し驚いたが、それだけ】
【特に少年から声をかけることはなかった】

【だが、そのすぐ後に女性から声をかけられる】



【「学校に行かなくてもいいのか」という問い】
【不意を突かれたようなその問いに少年は思わず顔をあげて女性を再び見る】
【合わない視線だが、それでもその問いが自分に向けられているものだと理解するのには時間はかからなかった】

「え、えっと……僕は…その、学校には…行ってないんです…
家出して……今は仕事場で下宿させていただいてる身なので……お休みの日にこうやって勉強しに…」

【しどろもどろに答える少年、あまり人と話すことに慣れていないであろう内向的な印象が受け取れるだろう】
【そして家出という訳あり付だ】

【この少年の詳しい年齢はあまり見た目では分からない】
【童顔というか、あまりに中性的過ぎるのだ】
【背の低い高校生か、発育のいい小学生とも受け取れるような、とにかく子供っぽい】

【そんな人物に女性はどんな感想を抱くだろうか――――】


「あなたも……学校とか行ったことない人ですか…?」

【「言えた義理ではない」という女性の台詞に少年は聞き返してみた】
【同じ境遇なら少し親近感が湧くのだろうか】
【この人の年齢はは学生か、それとももっと大人なのか――――と、少し女性の顔や容姿を見ながら聞いてみた】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 15:14:37.57 ID:Ewie+Bx9o
>>447

ふーん、やっぱりそうなんだ大変そうね
家出なんて見た目の割に勇気が要る事するじゃない、親御さんと不仲なのかしら?
いや……思いつきの家出じゃないか、下宿までさせて貰ってるくらいだからよっぽどの事

【ひとつひとつ頁を捲る、その片隅で会話を続ける】
【思春期にありがちな家出という行動のその多くは未遂に終わる】
【それ自体は別段情けない事ではない、なんせ幼い身で家から離れるというのは覚悟が必要だ】
【なので途中で心折れ親に泣きついてもそれは子供の正当な権利でさえある】

【さしあたって少年はどうだろうか、肘を付いて頬を付いて少し見つめる】
【「白い髪」と「赤い瞳」……ある知人を思い出すがこの少年はあれのようにねじ曲がってはいないだろう】
【大人しそうな印象、だがその行動は裏腹】

行ったことが無い、じゃなくて行く必要が無いが正解よ
ちょっと特殊な家系でね生業に生きていたから世間で言う一般的な「勉強」は必要でなかったってだけ
例えばだけどパン屋を生業にしている家の子が魔術なんて習う必要が無いのと一緒よ、分かるかしら?

【彼女が言うのは最適化された人生、不必要な物は不必要と捨てるという単純な理論】
【語る姿は20代程度、されどどこか荒んだ……いや錆びたような姿】
【視線は無味乾燥なモノ、冷たさとは別の代物】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/01(木) 15:33:43.92 ID:cyIUe1CX0
>>448
「まあ……もう、帰ることはないですから…」

【正確にはもう帰らせてもらえないのだが】
【そんなことは口には出さないが、ただ目線を】
【ほんの少し目線と口調を落としながら答えるのだった】

(「二度と、■の■の前に■れないでくだ■■ませ――――■兄さ■。」)

【そんな過去の台詞をを思い出す】
【もう、僕は不要の存在なのだから気にすることはない】
【そうやって少年は落とした目線を再び女性へ戻した】

「そうなんですか……僕も行く必要なんかないんですけど…知識ぐらいはしっかりつけたくて…」

【「それに…」と少年は続ける】
【その眼差しは希望や、羨望にも近くて――――】

「ちょっと……羨ましいんです。学校って言う場が、友達とかそういうのがたくさんいると…羨ましいなって…」

【「あ、でもちゃんと友達は今もいるんですよ!」と付け足すが】

【学校に通えない人間がフェンスの向こうの同年代の少年少女に覚える感情としては普通だろう】
【一緒に遊びたい、一緒に笑いあいたいと願うその感情】
【そういう面ではただの子供だ、この少年は】

「……夢見がち…ですかね…すみません」

【きっと女性とは真逆なのだろう】
【少年の生きる道に不必要ではあるものだ】
【だが、それを無駄に拾おうとしているその行為は、女性にどんな感情を抱かせるだろう】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 17:56:47.62 ID:Ewie+Bx9o
>>449

(望郷……か、悲惨な話ね、お互いに)

【乾いた血のような瞳は「す……」と少年を見据えていた】
【過去の自分と少しだけ似通った所がある、ただそれだけなのに】
【その伏せた瞳を見て胸の中はしわくちゃになる】

常識はあって損はないでしょうね
……うん、多分損はない筈……ん?私って常識人の部類に入るのかしら……まあ、いいか

【項垂れる、もう本も読み終わって実りも特になかった】
【いつまでも唐変木な本にかじりつくというのも時間の無駄、だったら目の前の彼の方がまだ面白い】
【テーブルに「ぐてん」と腕を枕に頭を載せて下から覗き込むようにして彼の言葉に耳を貸す】

そうねー何か間違ってガッコウなんか行ったりしたら私もそうなってたかも
でももうこの歳で友達に憧れるってのも、ねえ?アンタも正直微妙と思うでしょ、いい歳した大人が「友達〜」なんてね
本音を言えば羨望は無きにしも非ずなのよ、でもそれを言って良い年齢ってのがねー……

【グダグダと話続ける彼女はなんというか駄目な大人の好例だった】
【身体を揺する度に揺れる髪、僅かに漂うシャンプーの香りはその内インクの匂いに飲み込まれる】

それで、よ……アンタはー……うん、その見た目なんだから夢見がちでもいいと思うわ
子供は好きに発言する権利があるの、誰かに遠慮するなんて損するだけじゃない実際?
どうせアンタの人生なんだからアンタの好きなように消費したって誰が文句を言うでもない

まーなんて言うか少なくとも……アタシは多少の我儘を言う子の方が好きよ

【無理をしたような笑顔、そんな空想】
【そんな年齢でそんな器用な事はしないでいい、見ているだけでイライラする】
【少年に対してではない少年がそうせざるを得なくした環境にだ、人間はいつだって身勝手だ】

【きっと自分の言葉は救いにはならない】
【でも、大勢の内の一人くらいは甘やかしてもいいと思った、それだけだった】

アンタ……名前は?私はカズネ、ヒトツギ・カズネ……魔術師

【身体を起こしもしないで名を問う】
【魔術師と名乗る彼女、胡散臭さで言えば間違ってはないとも思えるか】
【嘘か本当か、その判断さえも好きにすればいいと彼女は考えているだった】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/01(木) 18:48:24.92 ID:cyIUe1CX0
>>450
「そんなことありません」

【断ち切った】
【今までどこか常に不安が付きまとうような言動ばかりしていた少年だが】
【女性の言葉を、「いい年した大人が〜」という台詞を断ち切った】

「いつだって、人は誰かと一緒にいるべきなんです。
………一人ぼっちなんて、寂しいじゃないですか」

【それは少年の自論だ】
【孤独なんて寂しいものはあるべきではないと】
【友人だろうと家族だろうと恋人だろうと、何らかの形で人は誰かと、つながっているべきなのだ】
【その少年の意志は彼の生き様故だろうか】
【彼の瞳に揺るぎはない】



「………あんまり子ども扱いしないでくださいよ…僕はこれでも19歳なんですから…」

【なんだか子ども扱いされたのが嫌なのか、少しムスッとした顔だ】
【ついでに少し顔が赤かかったりする】
【意味合いはなんであれ、「好き」とか言われるのは慣れていないようだ】

【……やっぱり子供であるのか】


「僕の名前は岸織詩織、よろしくお願いします……カズネさん」

【微笑む顔は明るくて眩しくて】
【差し出された手は握手の意だった】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/01(木) 19:20:42.36 ID:iiQ7YRxgo
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】





【所変わって櫻の国――どこかの村】


【ずるずるずるずる――何か重いものを引きずる音が、村の外から聞こえて来る】
【人口もそれなりの村があった。ここはその入り口で、隣町への道がまっすぐに伸びるのが見える】
【村の境には瓦屋根の小さな門があり、ずるずると引きずる音はその少し向こう側から聞こえて来るようだった】
【もし、そんな門の向こうを見たならば小柄な影が見えることだろう】

【その正体は精悍な顔つきの少女だった。デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳をしている】
【薄い緑色のTシャツの背には肉球があたいにもっと輝けと囁いている≠ニいう意味不明なフレーズが印字され】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】


お〜に〜く〜、に〜くにくにく、お〜に〜く〜


【音程というものをまるで無視した画期的な鼻歌を陽気に歌いながら歩いてくる猫少女】
【どうやら後ろには大きな塊があるようで、それがずるずると音を立てているようだった】


にゃは、誰かにご飯作ってもーらおっと!


【開きっぱなしになっている門をくぐる。くるりと身を翻すと、その大きな塊に目を向ける】
【視線の先にあるのは――立派ないのししだった。狩りでもしてきたのだろうか】

【声を弾ませると再びいのししの牙を掴み、人の多そうな場所へ向かおうとするのだろう】
【だが、もしも誰かに声を掛けられれば――彼女はきっと、そちらに意識を傾けるはずだ】

/上下で別々の投下文です…!
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 20:31:05.31 ID:lm1gGpmSo
>>438

【シーナは、口を挟むこともなく春燕の語る事情を耳に入れた】
【恩人が百人を傷つけるならば、自分は百人を護る。そうすれば傷つく人はいなくなる】
【――そんな、"夢のような話"を聞いて】


「つばめよ、それは――」


【何かを、告げようとして。しかし文字として表すこともなく自身の中に封じ込める】
【下手な口を挟めば、彼女の志を穢す事になると感じたから】
【だから】


「――それはとても立派な夢なのだ」
「世界の皆が、つばめのような優しい娘であったならばきっと平和なことであろう」
「その恩人とやらがどのような人間かは知らぬが、いつかきっと御主の気持ちが伝わると思うのだ!」


【シーナは言葉をそう繋げた。しかし、これもただの世辞などではない】
【目の前の人間が、今まで見たこともないほどの慈愛の心を持っていることを理解して】
【この少女にしては珍しく、他者を認め応援するような台詞を書き記した】

【余談だが、シーナは基本的に自身の関わったこと以外の世情には疎く】
【先の言葉通り、春燕の恩人が「W」であることには気づいていない様子であった】
【むしろ、その人物自体この少女は知らない訳であるが……】


「謝る必要などないぞ、恥ずかしい話をしたわけでもあるまいしの」
「やはり戦場に来るものは皆、各々に立派な志を持っておるものだのぅ」

「私もつばめに負けぬよう、日々精進していかねばならぬな!」


【彼女の話にやる気を触発されたのか、胸元でガッツポーズのようなモノを取って】
【ニヤリと勝ち気に口元を吊り上げた】
【春燕とは方向性は違うが、目指す夢は互いに高く遠い場所にある】
【それを目指し進んでいくための燃料が、シーナの心に幾らか補充された気分であった】

【そんな事を話している内に、いつしかシーナの顔がポォっと赤く染まってくる】
【恐らく、少しのぼせて来たのだろうか。小柄な身体に見合って、長湯への耐性もまた薄い】
【「む……」などと無意識に文字を走らせながら、微かに息を吐きだした】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/01(木) 21:08:44.04 ID:iiQ7YRxgo
//12時までしか居れませんが>>452はまだ募集中だったり…
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/01(木) 21:35:07.84 ID:x0x8Vxb40
>>453

【大きな夢。とてもとても大きな夢。もしかしたら、手の届かないところにあるのかもしれない……そんな、春燕の夢。】
【小さな少女が志すには大き過ぎるかもしれないけれど、それでも春燕はかつての恩人のせめてもの報いとその夢を追い続ける。】
【……そうやって人々を護り続けてたら、いつか恩人も気付いてくれるかもしれない。そんな望みも心に秘めて――――】

【だからこそ、シーナの言葉が嬉しかった。余りに大きな夢を出来っこないと笑う事もなく、ただ心から応援してくれたのが嬉しかった。】
【そんなシーナの言葉に応えるかのように、春燕は嬉しさと優しさが混ざったような柔らかい笑顔を向ける。それからと告げる言葉は感謝の辞】
【こうやって応援してくれる友がいるのだ。―――友の期待を裏切るような真似は、したくない】

―――ありがとウ。エヘヘ……シーナが背中を押してくれたから、何だか勇気が湧いてきちゃったナ。

……世界中の人が、人の痛みを分かる人間になれたらいいのにネ。
誰かを傷つける前にサ、その傷つけようとしてる人の苦しみが分かるようになれバ……そうすればきっとみんな誰も傷つけなると思ウ。

私はネ、薬師って仕事を通して沢山の怪我人や病人と接してきタ。
苦しんでる人をもう山ほど診てきたノ。だから、痛みに苦しむ人の気持ちは誰よりもよく知ってル。
……だからこそ、ワタシは皆が傷つけられて苦しまないようにしたイ。

【紡ぐ言葉は、薬師……つまり、薬を調剤して投与することによって人々の傷を癒すことを仕事とする彼女ならではの物】
【きっと春燕の優しさはこの職業によって培われたのだろう。傷ついた人を癒し、元気にさせる……この仕事は、春燕の誇りだ】

【……無論、残酷な面も見ている。助からない命も幾度となく見てきた……現実はそう甘くないことだって知っている】
【それでも尚春燕は傷ついた人を癒し、傷つけられようとしている人を護る。――――揺るぎない決意と大きな夢を胸に秘めて。】



ワタシも負けないヨ!シーナが頑張るならワタシも頑張らなくっチャ!
エヘヘ……お互い夢は大きいけど、頑張ろうネ!

【ニヤリと笑うシーナ、それに呼応するように春燕が浮かべる笑顔は勇気と元気に満ち溢れていた。】
【誰からその元気と勇気を貰ったか?―――決まっている。隣にいる、夢を追う元気はもう一人前の英雄の卵だ。】
【シーナが春燕から夢を追う力を貰ったのなら、こっちだって元気を目一杯道を進む勇気を貰った。それはもう、十分過ぎるぐらいに】
【進む道の先は各々違えど、進むべき道は等しく長い。――――それでも、いつかきっと叶う日が来ると信じて】


―――あらら、ちょっとお顔が赤いネ。じゃ、もう上がろッカ!

【さて、そんな英雄の卵だが……どうやら長いこと話し込んだ所為で、温泉卵になりつつあるようだ。小さな体に長湯はまだきつかったか】
【あんまり長湯し過ぎて体を壊すといけない。もう十分体の芯から温まったし、そろそろ上がっても良い頃合いだろうか】
【……そんな訳で、春燕はザバリと湯船から立ち上がる。白い肌はほんのりと上気してうっすらと赤くなっていて、なんだか血の巡りも良くなった気がする】
【肌の表面だってとっても滑らか。温泉の効果は嘘ではなかったようで、美肌とでも言うべき剥いたゆで卵のようにすべすべ。】

【タオルで体に着いた水滴をさっと拭き取ってから脱衣所に向かおうとするが……そう言えば、着替える時に色々と手間取っていたシーナはどうするのだろうか?】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 21:47:27.33 ID:Ewie+Bx9o
>>451

ふーん……そこは譲らないんだ
寂しさを知ってるからかしら、正論だけど……ちょっとだけ気に食わないわね
まあでも、それもいいのかもしれないわ

【彼が何を知るかはカズネには分からない】
【寂しさをどうするべきか、それは個人の人生観によるものだとは思う】
【ただ寄り添う優しさもあってこそ人間だとも思うのだ、彼の瞳はそれを語るかのよう】

私より年下なんだから子供でいいのよちょろ甘だしね
それぐらいのバランスが一番よね、惑いながら生きるのが案外楽しかったりするし

【言葉に他意は無い、ただ僅かに顔を染める彼を見て微笑みが漏れる】
【純真というか分かり易いというか、その分生き難いかもしれないが彼のような人間がいても良いだろう】

何をよろしくするでもないけど、そう言っちゃうと悲しい……か
はいはいどーぞよろしくね、今後縁があるかは分からないけど案外別の土地で会うかもだし

【髪を払いながら身体を起こし差し出された手を握り返す】
【人の感触は久しぶりだった、それがどうにもこそばゆくて】
【自分にもそう思う事があるのだなと自嘲気味に微笑むのだった】

【もう読む本は無い、本に関しては別段実りは無くならば長居する必要もない】
【唯一の収穫は彼に出会えたということだけ、それが後にどうなるかは神のみぞ知る話だ】

/度々レスが遅れてしまい申し訳ありません!
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 22:01:24.62 ID:lm1gGpmSo
>>455

「うむ、どちらが先に夢を叶えるか競争なのだ!」
「つばめが私よりも早く夢を叶えたならば、一つだけ御主の望みを聞いてやろう!」

「無論、私の気が向くような内容に限るがの?」


【彼女の言葉に対して、突然そんなことを語りだす】
【深い考えや裏あってのことか……いや、恐らくこの少女のことだからただの思いつきであろう】
【進む方向が違い、互いに手を取り合って歩む訳には行かない夢】
【ならばどちらが先に辿り着くのか、競い合うのも一興ではないかと】
【ふとそんな考えが頭を過ぎって、それをそのまま文字に起こした】


「むぅ……私がこんなお湯などに負けるものか……」
「と、言いたいところだが……つばめがどうしても上がりたいというのならば」
「仕方ないから私も付き合ってやるのだ……!」


【負けず嫌いで素直じゃない言い訳をつらつらと並べて】
【茹だって少しとろんとした目をしながら、彼女に続いてゆっくりと湯から身体を上がる】
【シーナの肌などについては……元々幼い童女のような肢体であるため外見上然程差は見られない】
【肌が弱いのか、顔と同様に仄かに紅潮している程度であろうか】


【その後、二人で脱衣場に戻っていくことになるが】
【今度はシーナは別行動をとるようなことはなく、脱衣場に到着すると籠の一つを引き出し】
【中に入っていたローブをポイっと空中に放り投げると】


「そいっ!」


【と、掛け声を台詞で書き出しながら大量の砂がローブの中から吹き出し】
【シーナの周囲を繭のように隙間なく包み込むと……数秒程度経った後、砂は内部に向かい収束し"衣服"の中に吸い込まれていく】

【そこには最初会った時と同様に、ローブを纏いすっぽりとフードを被った姿】
【脱ぐ時は手間がかかるようだが、着る時は融通が利くようだ】
【「待っておるから早く着替えるのだぞ〜」などと記しながら、端に備え付けられた扇風機の前に陣取り】
【熱を帯びた頭を心地よさげに冷やしながら、彼女の支度が終わるのを待ち始めた】

【恐らく、着替えが終われば二人は部屋へと戻ることになるだろうか】
【道中何事もなければ、後は就寝することになるかもしれない】
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/01(木) 22:47:42.71 ID:x0x8Vxb40
>>457

ふふふっ……素直じゃないんだかラ!でも、そういう所がシーナの長所かもしれないネ。
だって、そうでしょ?英雄になりたいなら、他の人に弱気な所なんて見せられないもんネ!

【負けず嫌いだって悪いことじゃない。いついかなる時も弱気な所を見せずに強がって頑張る姿は、きっと英雄には不可欠な事で】
【何事にも挫けない強い心を持てば、きっと英雄にだってなれるはずだ。だから―――やっぱりシーナは、夢のヒーロー(ヒロイン?)に向いてると思えるのだ】

【……でもまあ、しなくてもいい痩せ我慢はする必要はない。長湯勝負をしていた訳でもないのだから、負けたと思う必要なんて微塵も無い。】
【素直に二人して湯船から上がれば、小さな手をつないで転ばないように歩く。なんだか姉妹のような光景……】

【すっかり上気して紅潮した小さな体が可愛らしい。細い足でふらふらと歩く姿は、およそ英雄という言葉が似つかわしくないような気もするけれど】
【そうして二人は脱衣所へと戻った。温泉で温まった体に扇風機の涼しい風が心地良い……風呂上がりの爽快感、これも温泉の醍醐味の一つ】

【今度は別行動という訳でもなさそうだ。一緒についてきたシーナも着替えを隠すなんてことは無くて、同じ脱衣所で着替える】
【春燕はごくごく普通に下着を穿いて、手ごろなゆったりめのシャツの上に部屋から持ってきた浴衣を着る……まあ、何の変哲もない着替えの手順だ】
【だが、シーナは違った。おもむろにローブを取り出して、放り投げて――――】


―――エッ!?


【着たというよりむしろ被ったと言った方が正しいだろうか。兎に角、頭から何処から出てきたのか分からない大量の砂を被って】
【それがすっぽりシーナの体を覆ったなら、徐々に砂はローブの中へと吸い込まれて……完全に収まればそこに居るのはローブを着たシーナの姿が。】
【あんまり風変わりな着替えだったものだから、春燕は素っ頓狂な声をあげてしまった。こんな着替え、見たこともない……】

【この間数秒。春燕はまだ、下着一枚しか穿けていないというのに……呆気にとられた春燕を横目にシーナは涼しい顔で扇風機に当たっている……】


【さて、それから暫くして春燕の着替えも終われば二人は部屋に戻る。特にアクシデントもなく、あとは既に敷かれた布団でぐっすり眠るだけ】
【寝る前のひと時、シーナとテレビを見ながらあの出演者の服が可愛いだとかあの俳優がイケメンだとかガールズトークに花を咲かせてみたりして】
【小さいシーナには、そう遅くまで起きたままでいるのも辛いだろう。きっと抗えない眠気の波が襲って来る筈だから、早めに消灯】
【きっと翌朝目を覚ませば疲れも取れているに違いない。ゆっくり休むとしよう―――――】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/01(木) 22:48:44.00 ID:eYarBAKJ0
【森の中に存在する――しん、と静まりかえる朽ちた館】
【嘗ては賑わっていたので在ろう其処も今となっては実に寂しいもので、ただただ時に任せて風化していくだけ】
【――――の、筈だったのだけど。月も顔を見せない今宵、此処に二つの足音】
【佇まいに誘われてか其れとも戯れに入ってみたのかは分からないけれど、重々しい館の扉を開いたならば先ず目に映るのは】
【古めかしくも豪華な内装と…………二つの影、だろうか】


「何も見えず。何も求めず。朽ちて。消えて。名残すらも。やがては失せる」

『――――主様。そろそろ帰らねば皆が心配するかと思いますが』

「誘い。誘い。残るは闇。其れも無に飲まれ。尽きる蝋燭。未だ戻らぬ小鳥」

【一人は黒のドレスを纏った少女――――か。歳にすれば恐らくは十代の後半】
【暗がりの中でも目立つのは銀の髪。清んだ声で紡がれる其れは詠唱の様で、其れでも何かが起きる訳でも無くて】
【もう一つの存在はこれまた黒のローブを纏っており。フードを被っている故に顔は分からないが】
【声の質と身体の起伏からして女、か】

【主と呼ぶ少女に対して言葉を掛けても、ハッキリとした答えが返ってこないのだから悩み所だが】
【言葉を掛けた当の本人は大して気にした様子も無いのだから、何時もそうなのだろうと容易に連想させる】
【もし、誰かが扉を開けたならば。少女の深い蒼色の双眸が向けられる筈で】


「紡ぐ唄。忘却の詩。何れ人は思い出す。祖の過ち
満ちる。時は終わりに近づく。時計はまた零を指す」

【支離滅裂な言葉。その声でアリアでも紡げば美しい音色となったのかもしれないが、生憎訳の分からない言葉しか並べられないのが現状】
【無視して館の探索に移ったって構わないのだが――――明らかに異質な二人組を尻目に奥へと行ける者は、果たしてどれ程居るのか】










【日々子供達の遊び場や家族の憩いの場として用いられる公園】
【――――けれど、今は時間も時間。子供達の姿は勿論の事人一人居ない。筈であったが】
【今宵は其処に備え付けられたベンチに座る姿が一つ。銀色の髪に、纏っているのは所謂修道服】
【膝の上とベンチの余った部分とに広げられているのは――――聖書と、ここ最近の事件が纏められた薄い雑誌】


「…………さて、そろそろ戻りましょうか……
教会をあまり長く空けている訳にもいきませんし…………」

【其れ等を全て閉じればふう、と小さな溜息が吐かれて】
【――――見上げた夜空。今宵の月は夜道を照らし出すには十分な光量】
【その上曇りの一つも無く星々も良く見えているのだから、良い夜であると言えるだろう】

【故に散歩等々に出ている者が居たって可笑しくは無いし――――】
【新たな来訪者の存在に気付けば敵意も警戒も無くそちらへと視線が向けられ、穏やかな笑みが浮かべられる事だろう】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/01(木) 23:11:27.09 ID:lm1gGpmSo
>>458

「うむ〜……私は誰よりも強くならねばいかんのだ……」
「誰より、も……」


【文字だけだが、どこかうつらうつらとした雰囲気を漂わせながら】
【意識しているのか、もしくは無意識下の中呟いたモノか】
【"強さ"というものに対しての貪欲な執着を匂わせていた】

【それは英雄という存在に憧れるが故のことか】
【それとも"誰か"を意識し、其れを越えようと考えてのことか】
【真意は今語られることはない。今後接触があったならば、もっと深く知る機会も来るだろうか?】

【何はともあれシーナは春燕に大人しく手を引かれながら】
【少し覚束無い足取りで湯煙漂う浴場から離脱していった……】


「ククク……いい声を聞けたのだ!」
「わざわざ派手に演出した甲斐があったというものよな!」


【扇風機に当たったことで、本来の余裕と取り戻してきたのか】
【顔を春燕の方に向け、口元をニヤリと緩めながら】
【悪戯を成功させた子供のように……いや、"ように"ではなく"そのまま"であろうか】
【楽しそうに笑い声を板上に記した】

【その後は特になにもすることもなく二人で部屋に戻る】
【TVに関しては余り見た覚えがなかったのか、出演者が云々よりも】
【番組そのものを物珍しげに見て、幾つか質問を投げかけたりなどをした】
【花より団子。シーナはファッションや俳優などには余り関心は無いようである】

【そうしている内にあっという間に時間は流れ、強い睡魔が襲いかかってくる】
【現状それに抗う理由はない。口元をしばしばとさせながら「そろそろ眠いのだ〜……」などと記し】
【食堂に向かう前に放り投げた枕を回収し、ぬいぐるみのように抱きしめながら掛け布団を被り】
【すぐにあどけない寝息を……初めて聴く事になる"声"であろうか……を立てながら就寝した】

【何事もなければ、夜が明けて翌日に移行することになろうか】
【シーナは眠りが浅い性質であるため、5時頃には起きてバタバタと部屋で騒がしく動き回り始める】
【その物音を聞けば、五月蝿さに目を覚ましてしまうことになるかもしれない】

【また、シーナが寝ているあいだに"何かあった場合"】
【自動防衛術式が作動し、シーナのローブから大量の砂が噴出し即座に本人も目を覚ますことになる】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/01(木) 23:41:42.14 ID:x0x8Vxb40
>>460

ワタシもそろそろ寝るネ。オヤスミー……

【一日動き回ったという事もあって、春燕もそろそろ眠くなってきた。そんな訳で一緒のタイミングで布団に入って、あとは幸せそうにすやすやと寝息を立てるだけ】
【宿のふかふかの布団に入れば、眠りに落ちるのも早い。二人はあっという間に寝付いてしまって、賑やかだった一室はすっかり静まり返った―――】

【――――そして、翌朝。】
【ようやく朝日が顔を出し始めるかというぐらいの時間、まだまだ窓の外は仄かに明るくなった程度なのだが小さな少女はとても元気なようで】
【パタパタと可愛らしい足音が春燕のモーニングコールとなったか。まだ掠れる目を擦りながら、大きな欠伸と共にゆっくりと部屋を見回して】
【ぼやけた視界にシーナの姿を捉えれば、寝起き特有の間延びした眠たそうな声でおはようの一言を告げる……】

……ン―――――オハヨウ、シーナ………
――――まだ五時半カァ……――――シーナは起きるのが早いんだネ……――――

【まだはっきりとしない意識をシーナの方に傾けて、とぎれとぎれに言葉を紡ぐ。……どうしてシーナはこんなに早起きなんだろう】
【もっとも、寝るのが早かったから寝不足という訳ではない。暫くボーっとしていたが、数分後にはのそりと布団から起き上がって】
【洗面台で顔を洗って目を覚ますと、浴衣からワンピースに着替える。淡い草色のちょっとお洒落な可愛らしいデザインは、春燕にはよく似合っている】

【鉄箱から半月型の赤い櫛を取り出して髪を梳かして寝癖を整えれば、髪の手入れも完了。ようやくいつもの春燕の姿に戻って】
【グーッと一回伸びをしてから、シーナの方を振り向く……】

朝ご飯食べに行こっカ!

【……シーナが朝ご飯を食べないなんてことが無ければ、二人は食堂に向かう。味噌汁や焼き魚の美味しい匂いが漂って、寝起きの空腹な体を刺激して】
【ぐぅとお腹が鳴るとちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめて、それから我慢できないといった風にテーブルに着く。―――間もなく運ばれてくる朝食を存分に腹の中に掻き込めば、またまた幸せそうな笑顔】
【ちなみに、朝食のメニューにもしっかり和食と洋食がある。春燕は和食を選んだようだが、シーナはどうする?】


【やがて朝食を食べ終えれば、そろそろチェックアウトの時間になるだろう。一晩を共にした二人だが、ここからはきっと別行動になる筈……】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/02(金) 00:10:51.39 ID:wrxV+FFDo
>>461

「おお、つばめも起きたのか!おはようなのだ!」
「英雄になる為には健康な体は必要不可欠だからの、毎朝早起きしておるのだ!」


【「寝ておる時間も惜しいしの!」などと文字を走らせながら】
【シーナは伸びをしたり手足を広げたりして日課の朝の体操を行っている】
【物音の原因はこれだろう。ぐっすり寝たことで昨夜までの疲れが全快したのか無駄に元気であった】

【こちらのファッションは以前と変わらず……これ以外を持っていないのか】
【飾り気の薄い白いローブに、すっぽりと鼻まで隠すように被ったフードといった風情だ】
【顔を隠さないといけないという事情により、使える衣装が限定されてしまうのかもしれない】


「む?そうだの、私もお腹が空いたのだ!」
「朝食は何か美味しいものはあるかの?私の口に合えばよいがな」


【春燕の言葉に素直に応え、彼女とともに食堂へと足を運ぶ】
【途中腹の音を鳴らす彼女をコロコロと笑いながらも、こちらも同様に和食を選択し】
【海苔や焼き魚……脇に置かれた納豆に、眉を顰めながらも】
【特に事件があるわけでもなく、朝食の時間は平和に過ぎていった……】


【――】


【宿の受付で精算を済ませた後、舞台は施設の前まで移行することになるだろう】
【シーナは小さな荷袋を背負いながら、春燕の顔を見上げるようにして立ち】


「気まぐれで手を差し伸べたつもりが、随分と長い付き合いになってしまったのだ」
「やはり一人で泊まるよりも、誰かと一緒の方が有益な時間を過ごせるものだの」


【口元を緩めて、フードの下でふわりと自然な微笑みを浮かべる】
【幼い身空で一人就寝するというのはやはりつまらないものなのだろう】
【少女はそんな感想を素直に文字にして】


「御主が救済の為に戦場を巡るならば、また会うこともあると思うのだ」
「その時はもっともっと立派で強くなったシーナ様を見せてやるからの!」

「だから――その時まで御主も健勝であるといいのだ!」
「別に戦場でなくても、寂しくなったら私に会いに来ても構わんからな!」


【そう告げると、シーナは宿の隅に小さな赤い石を放り投げる】
【すると、来た時の逆再生のように石を中心として砂が収束、変形し"馬モドキ"が姿を現した】
【馬モドキの鐙に足をかけ、フワッと身軽な動作で背に跨ると】


「では、さらばだ我が友よ!縁の巡り合せがあることを期待しておるぞ!」


【円柱のような太く丸みを帯びた足を動かしながら、馬モドキは道をゆっくりと走り出す】
【シーナは春燕の方に顔を向けて、ぶんぶんと大きく手を振りながら……やがて、街の中へと消えていった】

/長らくお疲れ様でした!
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/02(金) 01:02:38.38 ID:0RhsmeiW0
>>462

【二人が一緒にいるのも、ひとまずこの朝食が最後。一緒に食事したり温泉に入ったりなんて、楽しい時間はあっという間に過ぎていくものだ……】
【納豆は嫌いなのだろうか、ちょっぴり嫌な顔して目線を横に除けるのが子供らしくて微笑ましい。……自分も小さな頃は納豆があまり好きではなかったなぁと思いを馳せて】
【「好き嫌いしたら大きくなれないゾ?」なんていたずらっぽく笑いながら小言を加えたりもして、平和な食事の時間は流れていく―――】
【願わくば、世界中の人が笑顔でこんな平和な時間を過ごせるようになれば―――なんて】

【やがて残さず全て食べ終えると手を合わせて「御馳走様」と一言、朝の一幕はこれでお終い。】


【さて、此方も受付でチェックアウト。売店でちょっとだけお土産も買って、宿泊費を払い終えればシーナと一緒に玄関口を出る……】
【――――さらっと「宿泊費を払い終えれば」と書いたが、よく考えれば未成年二人、それも片方はまだ幼い少女が宿泊費を自己負担しているとは驚くべきことではないだろうか】
【薬師として薬を売ったりしてある程度のお金がある春燕はともかく、シーナは何処からそのお金を手に入れたのだろうか……?】
【……考えられるとすれば、様々な事件の報酬金か。未成年の二人は、見かけによらず何ともリッチな少女だったらしい……】


【さて、色んな事があったが……宿の前の道路で、とうとうお別れの時間。】
【微笑みを浮かべて春燕の顔を見上げるシーナ、持ち前の明るい笑顔でシーナを見る春燕。目を合わせることは出来ないけれど、顔と顔を見合えばきっと心に通じるものはあった筈】

エヘヘ……ホントだネ。一緒にお泊りするとは思わなかったヨー。
ワタシも、とっても楽しかったヨ!それに何より、――――いい友達が出来タ、ソレが一番ネ!

【たった一晩一緒に居ただけだが、すっかり仲良くなってしまった。その証拠に、ほら――――シーナも春燕もとても良い笑顔をしている。】
【バスを逃したことによる偶然の出会いではあったが、此処まで意気投合出来るとは。また一人春燕に大切な友達が出来た……そんな一晩だった】


―――ウン、また会えるのを楽しみにしてるヨ!今度会う時はシーナはどんな風になってるのかナー……フフッ、成長したシーナを楽しみに待ってマス!
ワタシも、シーナに負けないぐらいもっともっと頑張らなくっチャ……エヘヘ、競争だもんネ!

【―――告げられた言葉は自信にあふれていて、それでいてちょっぴり優しさと寂しがりな一面も覗かせて……本当にシーナらしいな、なんて思ってみたり】
【勿論戦場以外でも会いに行くことだってあるだろう。友達同士、またどこかに遊びに行くなんてことも考えてみたり……友達との時間を考えるのは、本当に楽しい】

【―――最後に、シーナは往路で乗せて貰ったあの馬っぽい何かを出現させ、跨る。……こう言っちゃ失礼かもしれないが、改めて見ると馬と言うにはなんともずんぐりとしたフォルム】
【こちらに顔を向けて、小さな手を目一杯振るシーナ。負けじと春燕もシーナの姿が見えなくなるまで手を振り続けて……やがて街の中へ消えたのを見届けると、次の目的地へと向かうのだった。】
【また会える日を待ち望みながら―――――】


//はい、其方こそお疲れ様でした!3日間有難うございました!
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/02(金) 20:07:03.66 ID:qt3cag4yo
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】





【所変わって櫻の国――どこかの村】


【ずるずるずるずる――何か重いものを引きずる音が、村の外から聞こえて来る】
【人口もそれなりの村があった。ここはその入り口で、隣町への道がまっすぐに伸びるのが見える】
【村の境には瓦屋根の小さな門があり、ずるずると引きずる音はその少し向こう側から聞こえて来るようだった】
【もし、そんな門の向こうを見たならば小柄な影が見えることだろう】

【その正体は精悍な顔つきの少女だった。デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳をしている】
【薄い緑色のTシャツの背には肉球があたいにもっと輝けと囁いている≠ニいう意味不明なフレーズが印字され】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】


お〜に〜く〜、に〜くにくにく、お〜に〜く〜


【音程というものをまるで無視した画期的な鼻歌を陽気に歌いながら歩いてくる猫少女】
【どうやら後ろには大きな塊があるようで、それがずるずると音を立てているようだった】


にゃは、誰かにご飯作ってもーらおっと!


【開きっぱなしになっている門をくぐる。くるりと身を翻すと、その大きな塊に目を向ける】
【視線の先にあるのは――立派ないのししだった。狩りでもしてきたのだろうか】

【声を弾ませると再びいのししの牙を掴み、人の多そうな場所へ向かおうとするのだろう】
【だが、もしも誰かに声を掛けられれば――彼女はきっと、そちらに意識を傾けるはずだ】

/上下で別々の投下文です…!
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/02(金) 20:57:36.55 ID:wOCaKoELo
【鉄塔】

【荒涼とした廃街に聳え立つ其れは、風化に身を任せるまま錆色に褪せていた】
【送電線の中継地点としての用途があったのだろうが、既に近辺に明かりを灯す家屋は無い】
【地上5階ほどの高さのその天辺、割合広めに取られた足場に立ち茫洋と月を眺める人影があった】

……どいつもこいつも、連絡もクソも無し……舐めとるんちゃうか?
連中揃って頭が沸いとるんや、蛆と嫁とで脳味噌腐りかけとるんやろ。いっそ死んでまえ

【肩口で切り揃えた白髪に漆黒の彼岸花を挿し、櫻式の喪服に身を包んだ若い男】
【周囲には青藍色の燐光が舞い、それが通常の人と一線を画す力の持ち主であることを示していた】
【手元の端末の画面を眺め溜息を零せばそれを懐に仕舞いこんで、男は再び月を仰ぐ】
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/02(金) 22:06:23.86 ID:rDglJzOX0
>>465

【――しゃんと鈴の音が鳴いた気がした、けれどそんな音がするわけないと思う一瞬、空耳かとも思うような刹那のこと】
【薄っぺらなお月様はろくに足元も照らしてくれない。それでも、障害物がないだけ見えやすい足元をもしも見下ろしたなら】
【或いはすぐに理解することになるだろうか。出所不明、なぜ聞こえたのかも不明なような鈴の音、その原因に】

……――ねー月彗、月彗ー? ねーったら、月彗ってばー、

【りんりんとした鈴の音とよく似た声が荒涼な大地を過ぎていく、両手をメガホン代わりにした声は、いつもよりも大きいけれど】
【ハウリングみたいなノイズが混ざるほど大きな声でもない、それなら夜風に紛れてしまいそうな――聞き逃してもおかしくないもの】
【けれど完全にスルーし続けるのが難しいのは、ずっと呼び続けているのもあるけれど。何より、彼女の纏うもののせいでもあって】

【死んでしまったような土地には違和感のある水の気配。滝の傍に佇んだときのような、しっとりと濃厚に冷たい水の気配がしたから】
【見なくても聞こえなくても“ナニカ”居るというのを分からせてしまう。それは、ちょうど彼の兄も同じものを持っているはずで――】

【――鴉みたいに黒色の髪は腰ほどの長さ、緩やかな三つ編みで編みこんで、頭のてっぺんを飾るのはリボン飾りのついたヘッドドレス】
【黒色と赤色の瞳はいつも通り蛇みたいにまん丸で艶めく、じいと見上げた様子は、或いは健気なようにも見えるようで】
【深い赤色を基調にしたワンピースは裾が大胆に開けて、その下のパニエを十分に見せるようなもので。ふりふりとした布地が覗き】
【半袖の代わりに嵌めたロンググローブ、左手の薬指でふっくらと膨らんだ異物感は、ただ、彼なら知っているものだから】
【荒れた風にはたはたと黒いケープを暴れさせて佇むのは少女がひとり、じっとりと目を伏せて――気付いてくれるのを、待っているよう】

【口元から降ろした手がおなかの辺りでうろつく、そのうちに両手を絡ませて、ぺったんこの身体つきは余計に強調されるよう】
【どう見たってお子様みたいな体型をしていたから。あどけなさの残る顔つきもあれば、余計にそんな思いは強くなりそうで】
【何が問題かって見上げてくるこんな少女が血は繋がっていないとは言え姉だったりするのだから。どんな気持ちなのだろう――なんて】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/02(金) 22:09:32.77 ID:VFdHHQlUo
>>464
/まだいらっしゃいますか?
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/02(金) 22:19:34.94 ID:wOCaKoELo
>>466

……チッ。噂しとったら嫁が来よった

【手摺に肘をついたまま見下ろした先にある姿に舌打ちをして、どうしたものかと思案するが】
【スルーしていても声が止みそうな気配がないのに根負けし、結局は億劫げにしつつもするりと手摺を乗り越えた】
【着地地点は鈴音の手前、手を伸ばせば触れられるような至近距離だ。当然のように薄い着地音の後、視線を送り】

人の名前ギャーギャー喚くなや、喧しい……どーもお久しゅう。お望み通りの月彗様や

【178cmの身長の成し得る限りで相手を見下ろす仏頂面は、相変わらずで有る事の何よりの証左だろう】
【基本的に不機嫌な性分でこそあれ見知った仲ならば誤差の範囲で柔らかい態度は、互いの関係性を思い出さない内が華だ】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/02(金) 22:32:49.34 ID:rDglJzOX0
>>468

【噂されていたなんてきっと微塵も知らないのだろう、そこに立つ人物は、そんなに地獄耳というわけでもなく】
【ひとよりちょっとでも優れているのなんて嗅覚ぐらいだった。それだって、あくまで個体差という程度に留まっていて】
【ひらりっと手すりを越えた身体、大丈夫だろうと分かっていたのだけれど――刹那、びっくりしたように瞳が丸くなっていた】

あ……、ううん、元気だった? ひさしぶり……、

【それでもやっぱり軽い足音にはなぜだか安堵するよう。いつも通りだって――きっと考えて、ふと緩んだ表情は】
【にっこりとすればやっぱり幼いのだった。そのうちに、まんまるな瞳を数度瞬かせて、尋ねた声は軽いけれど、大分暖かで】
【そちらが顔見知り補正を掛けてくれるなら、こちらはそちらのそれより幾分か多い補正を掛けている。初対面は――あんなだったし、】

セシルが心配してたよ、どこ行ってたの? わたしだって心配してたんだから、びっくりしちゃうじゃない――。

【おなかにぴったりくっつけていた手を離して片方だけで頬っぺたに触れるようにする、それから、ゆるうく首を傾げて】
【尋ねたのは――いっとき行方不明になっていた頃の話だろう。どこに――なんてお姉さんぶったように、そう問いかけてみせて】
【それでも責めるような色ではないのだった。その間に何をしていたのかって、知っていたけれど――そんなの、自分が言えるわけないから】

【(だって自分だって他人にひどいことをたくさんした。きっと同類なのだ、ほんとうは、しあわせになんてなっちゃいけないぐらい)】
【(やさしいひとが拾ってくれたから手に入れたとっても大きな幸せ。彼が優しかったから――義理でも姉弟になんてなった繋がり)】

こんなところで何してたの? さむくない? ……ううん、寒くないならいいんだけど……。

【それから両手を抱くようにする、その仕草はちょっぴりの寒さを覚えているようで、そうすれば、いくらも華奢なのが強調されるよう】
【こんなに細ければ寒いのも仕方ないことだろう。そんな感じで――ふわと零した吐息が白くないなら、まだまだマシなのだけれど】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/02(金) 22:52:05.90 ID:wOCaKoELo
>>469

……ご覧の通り、や。そっちも相変わらず、大層な服着とるんな

【様子を尋ねる言葉が返って来たのに若干の毒気を抜かれて、視線は相手の装いへ下りた】
【胸へ視線が行かないのが幸いだっただろう。そも無いのが常と思ってしまっているから、なのだが】
【兄とも思いたくない兄の面を否応無しにでも思い出せばあからさまに眉を顰めて、疲れたような溜息を零した】

別に……ちょいとふらついとっただけやわ、つうか一々構うなってあの阿呆に伝えとけ。
あと死ねってな……、……何や、色男にあやかりたいんか? 生憎やけど、化粧でもした方が効果は早いで?

【心配げにする相手に少しばかり狼狽えたような表情があった。それでも触れる手を払い除けはしなかったが】
【体温のないながら冷たいとも言えないその感触は、言うなれば植物の持つ温度にも似ていただろう】
【拾ってくれた、そこからの道を一度踏み違えて、再び違う誰かに救いの御手を差し伸べられて存在する類似点】

空気が澄んで、星が見えるから……それだけや。別に冷えてもおらん、が……、
……ああもうさっきから何なんやそッちは!? 擽っとうて堪らんつうか気持ち悪いわゾワゾワしよる!!

【人の温みを否応無しに間近に感じてしまう、どうにも優しく接される事に慣れない様子でやや声を荒げた】
【なにか、年下の存在を慈しんでいるような感じに思えた。その素因に気付かぬまま、不意打ちを喰らったような顔をしていた】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/02(金) 23:05:14.82 ID:qt3cag4yo
>>467
/います…けどごめんなさい。今からだと時間が厳しいですorz
/また次の機会にお願いします
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/02(金) 23:05:41.91 ID:rDglJzOX0
>>470

この間買ってもらったんだよ、新しいから綺麗でしょう? フリルだって、まだ潰れてないし……。

【元気らしいと視認したなら、無理に言葉で返事を貰わなくても大丈夫だった。それなら、洋服のことに移ろう話題】
【スカートの裾を摘んでひらひらとさせればパニエもふわふわとつられて動く、そうすれば足もまた露出することになって】
【太い――けれど細い太ももには靴下のラインと、それを止めるガーターベルトの金具。それが、ぴったりと寄り添っていた】

【――そんな風に自慢するのはきっと楽しげだった。春の麗らかさを真似てみたように、きっと朗らかな声をしていて】
【嫌味かもしれないなんて考えた風もない。そうしたなら、一緒にお買い物に出た様子すら、或いは想像できそうな――】

やあだ、そんなの伝えないよ――死んじゃったら困るもん、伝えてあげない。
……お化粧って苦手なの、上手に出来ないんだもん。音々ちゃんにやってもらうんじゃないと……、

【笑っていたのが少しだけ変わる、むうと頬っぺたを膨らませるようにするなら、そんなの嫌だよなんて、お断り】
【口が悪いのも慣れっこだった。ほんの少しの間でも、一緒に暮らしたりしたのだし――そんなところが、慣れに繋がって】
【だから。言葉を澱ませる一瞬がきっとよく目立つ。化粧は苦手――許されているのは、あどけなさと、素の顔立ちのよさ】

【幼いから基本的に化粧が必要ないのと、丸い瞳はアイプチなんて要らないし、長い睫毛はマスカラを必要としないし、他諸々】
【零した名前は些細な情報、誰かは分からなくても――化粧を任せるぐらいの間柄だと分かれば、いまはきっと十分だから】

もうちょっと街に近いところで見たらいいのに……ちょっとは明るいから、見えづらいかもしれないけど。綺麗だよ?
わたしはいっつもお家の庭で見てるの、ばらのお手入れとかしながら――そしたらね、この間。枝を切りすぎちゃって、……?

【こんなに荒れたところまで来なくたって。そう真っ直ぐに思ったらしい思考の欠片、そのまんまに言葉にしたなら、首をかしげ】
【それなら自分はどうしてこんなところまで出てきたのかと思われるかもしれないけれど。そこについては、思いついてもいないよう】
【お星様を見るなら彼女にとっての一等地は家の庭。森のすぐ傍だからか、とってもよく見えて――なんて、ひどい余談だが】

…………どうしたの。わたし何かした?

【――急に荒げられる声、びくりと華奢な肩が跳ね、突然に驚いて強張った指先が、がちがちに固められる刹那】
【僅かに身体を縮めるようにしながら尋ねるのだろう、伏せた眼はしょんぼりとした様子で――そっと、彼から視線は逸れがちになる】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/02(金) 23:19:42.78 ID:wOCaKoELo
>>472

せやから、……さっきから、その。やたら当たりが柔らかいんやけど、何なん

【相手が肩を跳ねさせたのが少々予想外だった、(主観で)そこまで強い口調でも無かったのだがと思案しつつも】
【思わず眉間に寄せていた皺を心持ち解き、感じた差異の理由を説明する声は、音を無意識に抑えていた】

何ちゅうかな……あれや、小さい子供を心配しとるみたいな……兎も角、あッちにはこそばゆう思ったゆうか……
あれか、ついに子供でも孕んで母性本能出とるんか? 他の男にそないな態度取っとると、アイツに勘違いされるで?

【誰かれ構わずそうしているのだろうかとも思って少し違和感を覚えた、少なくとも初対面ではこうじゃ無かったのだから】
【自分を「他の男」と位置づけたのもその違和感(というより見落とし)が原因であったのだが、未だそれには気付かぬままだった】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/02(金) 23:22:46.40 ID:VFdHHQlUo
>>471
/ではまた機会がありましたらばよろしくお願いします!
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/02(金) 23:33:52.04 ID:rDglJzOX0
>>473

【彼女の根底にあるのはきっと怖がりの性質だった。ほんとうはひとより臆病で、自信がなくて、おっかなびっくりで】
【そんな性質を優しく覆ってくれたのも、彼女の最愛のひと――ほんとうに、かれのおかげで、どれぐらい彼女は変われたのか】

……ふつうだよ? だって、セシルの弟でしょ……、なにか変だった? ……間違ってたかな、

【――いちおうとはいえ姉弟になったという意識があった。それなら、たしかに、少しだけは態度を軟化させた覚えもあって】
【それが何か変だったのかということに意識が向く、直接いいはしなかったけれど――二人の関係性、思い出させるよな言葉】
【強張っていた指がじわじわと元の柔らかさに戻っていく、そうしたなら、ケープ越しに身体を抱くようにして、ふと考える仕草】
【視線が横に動いていたのだろう。それから、「もっと違うのが良かった?」なんて尋ねたりもして、ちょっぴり拗ねたような目をした】

だってどっか行ってたの心配だったんだもん。本当に心配してたんだよ、セシルだって……ほんとうなんだから。

【“義弟がどこかへ行った”なんて言うのは、他人がどっか行ったのとはわけが違う。気にぐらいするよ、なんて風の言葉は】
【むず痒いと主張する彼の気持ちを分かりあぐねているような、そんな気配。優しくされたら嬉しいと思う性質だから――】

…………、ちがッ、違うよっ、ちが……違うもん、ちがっ……、……、
弟になったんだからっ……だからっ、……違うもん、そんなの――、たぶん、……。

【次に浮かべた表情、一瞬だけきょとんとして、それから顔を真っ赤にするのが、きっとよく目立つのだろう】
【色白の肌に血色の赤は良く映える。首のほうまで赤いらしいなら、慌てっぷりを余計に目立たせる、また強張った指先がぎこちなく】
【――心当たりがまるでないわけでないようなのが生々しかったけれど余談。ぶんぶんと首を振れば、三つ編みがばたばたと揺れて――】

【(胸をからかわれたらそうするようにおなかをぎゅっと両手で隠していた。隠された向こう側は、何の気配もなくぺたんとしていて)】
【(胸とどっちが出ているんだか分からないぐらい。こんな身体で子供なんて、果たして生まれた子が餓えないか心配になるぐらいだった)】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/02(金) 23:37:16.18 ID:Mz0ns6Vso
【深夜・砂浜】

【一人の剛健な男がそこに居た。髪は黒く、男性にしてはやや長い】
【服は純白のローブと、それから似合いの豪奢なマント。聖職者、だろうか】
【それにしては無骨だが――加えて、3m近い豪槍を直ぐ隣に突き立てており】

……ついに最後か。聖都スラウロット……最終にして最大の聖地…ッ!
加賀屋を失い、ダグラスも一時捨て置き、だがそれでもついに此処まで来た
あの司教共にも最早逃げ場はない…。必ずや、仕留めてみせる――。 

ふン……今更覚悟が足りないということも有るまいに
海に向かって独り言とは、自分でも思いがけぬほど歳を取ったか…――。

【――そんな声が誰かに聞こえるかは分からない。ざあ、という波の音があったし】
【それに今夜は風も強い。春と夏の境目の、ぬるい南風が吹いていた】
【明かりといえば三日月以下の小さな月灯りだけだったが――彼の姿は、いやでも目立った】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/02(金) 23:49:37.79 ID:wOCaKoELo
>>475

……、……ああ、そういう事な。

【やっと合点がいった。親類だからと言うことか、と。未だに少し的外れではあるのだが】
【その関係性に知識も薄く疎い孤児故の性質と、自己愛ばかりが強く他人からの情に恩を感じない末っ子気質】
【加えてこの性格であるなら尚の事、理解はしても不慣れそうな表情で、ただ嫌とも言いはしなかった】

弟……はー、成る程な。確かにそら義理の縁じゃそうやけど、……如何せん、歳がな。
だから一丁前に姉貴面しはってたんか。随分幼い義姉さんやな? 顔、タコみたいになっとるで

【あからさまに恥じらう相手の姿に、漸くしてやったとばかりに楽しげな笑みを浮かべつつ】
【相手の額を指で軽く小突こうとするだろう。それは、滅多に他人に触れないこの男に似合わぬ仕草で】

子供、か……そうやな。もし生まれたら、名付け親になってやってもええで?

【緩く笑んだまま軽く首を傾げ、そう告げるのは軽い気持ちと、いつかの誰かへの仕返しだった】
【自分の名前に不満を持った訳では無いのだが、相手の夫にこう名付けられた事を思い返してのこと】
【随分きれいな名を付けたものだと思う。きっと皮肉なのだろうと自嘲して、誤差の範囲でくすりと微笑んだ】
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 00:02:58.43 ID:r5eypROa0
>>477

【つんとおでこを突っつかれてぎゅっと目を閉じる、ほんの僅かに身体まで揺れて、ぺたんと地面を踏む足取り】
【それからあけた瞳は恨みがましく見つめてくるのだろう、なんてことを言ってくれるのか――という風に】

【(まだ子供なんて欲しくなかった。二人きりがいいというのも大きかったけれど、なにより、恐ろしくて)】
【(自分はちゃんと人間らしく生んでやれるのか、とか。ちゃんと育ててあげられるのか、とか。いろいろと悩むから)】
【(案ずるより……なんてことをよくも昔のひとは言ったもの。まさに彼女にこそ聞かせてやるべきだろう、とは余談だったが)】

う……、だって……、セシルの弟なんだしっ、ああ弟なんだなあって……、だからっ……、
それに勘違いなんてさせないもんっ、勘違いなんて出来ないぐらいだいすきだよ、ちゃんとわかってくれてるから……!

【お姉さんぶってみたのもそういうこと。いちおう立場として姉であるのを、頑張って果たそうとした結果がこれ】
【からかわれて。顔まで真っ赤で。つっつかれて。いいところなんてないけれど、悪い子でないのだけは確かだろうから】
【――思い切り惚気ても見せるのだった。精一杯だいすきだから、勘違いなんて出来るわけがないんだ、なんて超理論だったけれど】
【どまじめに言っているらしいから。そんなに好きなのだろう、彼のこと――よくもまあ、こんなに他人を好きになれるものだった】

……月彗が? 名付け親? ……なんで?

【ぷんすかしている様子だったのが急にきょとんとする、そうなれば、顔の赤いのもすぅっと引いていくようで】
【右目の血の赤が溶け出してしまったようだったのはだいぶ落ち着くことだろう、ゆるく首を傾げれば、三つ編みがゆらり揺れた】
【あまりに急に言い出されたことだから。驚いてしまったのだろう、予期していないことにはちょっぴり弱い性質、生まれつきだから】

セシルがいいなら、――……。

【まだそんなつもりはなかったのだけれど。考えがいくらか早いんじゃないかとは思考の裏側、口に出さないままで通り過ぎて】
【彼も名前を付けてみたかったりしたいのではなんて思う。もしもそうなったなら、一生懸命考えてくれるんだろうな、なんて思えて】
【そんな彼が納得するならば、なんて言うのは他人任せな消極的な肯定だったけど。真面目に考えたらしい一瞬が、そこにあった】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/03(土) 00:15:07.91 ID:Id8T9MvIo
>>478

ハイハイ、惚気話は腹一杯や。胃が持たれるっちゅうに……

【人を愛した事など一度もない、いつだって本気になったなられたは面倒事でしか無いのだから】
【上っ面だけで遊ぶのが好きだった。弄んで、苦しむ様を眺めて楽しんで、最後には括ってやった】
【そんな事ももうする事は無いと思いながらも、色恋を生業としたことがあった故の気怠さを抱いていた】

なんでって……別に。気紛れ。嫌ならええわ。……忘れな

【拒否される気配を感じれば一気に不機嫌になる顔が有無を言わさんとばかりのもの、勿論拒否権はあるのだけど】
【ただ自分の冗談と相手の反応から連想したことだった。意外さに驚かれていると気付いて、最後の言葉を付け足した】

……そんなほっそい体で産めるんか? もっと肉つけてからにせえな。
つうか、もっと遊んでからでええんとちゃうのん。そッちはまだ若いんやからなぁ。アレは兎も角……

【言い掛けて思い出す、黒い女の残した爪痕のような呪縛。これ以上、自分達が歳を重ねる事はないと言う事】
【枯れて朽ちゆく花が嫌いだった。それが先の見えないとはいえ永遠を手に入れたのだから、不平不満は無かったのだが】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/03(土) 00:21:16.79 ID:hImFxBn80
>>476

――――

【弧を描いた月から放たれる光は満月の時の其れよりも弱くて、辺りをはっきりと照らし出す事は出来ずにうっすらと影が見えるだけ。】
【よく晴れて星が綺麗な夜だ。上を見上げればきっと、雲一つない夜空に瞬く星が見える筈……そんな、素敵な夜。】
【夏も近づく八十八夜とはとある民謡の歌詞の一部。昼間はもうじんわりと汗ばむほどに日差しが暑くて、夏の気配も感じられるこの頃だが】
【夜になればまだまだ涼しい風が吹く。暑すぎず、寒すぎず、とても過ごしやすい夜……】

【そんな静かな夜の砂浜に、もう一人の人物が現れる……白砂をざりざりと踏みしめて、ゆっくりと其方へと歩みを進める白い人影】
【その人物はマリンブルーの瞳を持ち、ブロンドの長髪は頭に被った白い頭巾で隠れている。常に微笑みを湛え、右の目元には泣きぼくろ】
【身に纏うのは白いローブ。―――もう彼なら誰だか分かっているだろう。彼も見慣れているであろう姿でそこに居るのは……】


―――団長様ともあろうお方が、こんな所で独り言とは珍しゅう御座いますね。


【彼女は尚もゆっくりと歩みを進めて、やがて彼の横で静かに立ち止まる。その顔はいつもと変わらない穏やかな微笑みを湛えて】
【それから、その深く澄んだ瞳でじっと彼を見つめる。今一度意思を問うかのように目を合わせて、ゆっくりと口を開く―――】

……まだ私がいるでは御座いませんか。いえ、私だけでは御座いません……騎士団の皆様も、神を信じ貴方についてきた多くの民も。
皆、団長様の覚悟を支えているので御座いますよ。だから、どうか後顧の憂いなく前だけを見て進んで下さいませ……
それが貴方を信じた私の、皆の、願いで御座いますから――――そして、副団長様も。

【二人以外は誰もいない砂浜。寄せては引く穏やかな波の音と同じくらい穏やかで優しい声が、彼へと投げかけられる……】
【戦いで多くを失った彼。失ったものは大きいが――――まだ彼の後ろには多くの支えがいる事を、今一度気付かせたかった】
【覚悟を背負うのは、一人ではない。彼を信じ付いてきた皆もいるのだから――――】
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 00:31:04.49 ID:r5eypROa0
>>479

【そんな言葉にむっと黙りこむのを見れば、なんだかもっとお話したかったようにも見えるだろうか】
【あのひとについてのことならきっとどれだけでも喋っていられた。喉が涸れたって、きっと平気だって思えるぐらいに】

別に、嫌じゃないけど……、……嫌じゃないよ、だって、月彗が考えてくれるんでしょう?
そんなことしなさそうだもん、だからね、ちょっと不思議なの……、

……月彗だっておかしいよ、前よりずっと優しいみたい。

【きょとんとしていたのが少しずつ抜けていく、そうすればふわあと微笑むような表情だけが柔らかく残って、】
【彼女としては嫌なことでもなかった。ただ、あのひとがどういうのかって考えて、思考を留めた保留になっているだけで】
【――なんとなく思っていたことを口から零す、なんだか、自分よりも彼のほうが――変わったみたいだなんて、そっと】

…………じゃー月彗が何か奢って、おいしいもの! ケーキでもパフェでもいいよ、甘いものがいいなあ――。

【そんな表情がぱっと変わる、太れ→じゃあ奢ってなんて急展開、それでも彼女の中ではきっかり通った言葉だったりして】
【今から奢れというのか。それはそれで女子としてどうなのかと思うけれど――そんなのをしたって、太らない体質だったから】
【それに体重はもう何年も安定だった。そう決められているみたいに――ほんの誤差でしか変わらないのは、喜ぶべきなのか】

遊ばれたらそのひときっと嫌だよ、それにわたし、セシルが居るもん。他のひととなんて遊ばないの。

【――遊ぶとか、遊ばれるとか、好きじゃなかった。だから、と軽く流してしまう話題、結局は惚気で終わって】
【他のひとなんて要らないのだという。そしてそれが嘘でも強がりでもないのは、きっと一目で分かるぐらい、真っ直ぐで】
【顔に触れた左手の薬指で手袋越しに存在を僅かに主張させる銀の蛇。それが、きちんと誓いを立てたことのあかしだった】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/03(土) 00:39:57.90 ID:khubuP8Yo
>>480

……マリアか。お前も人が悪くなったな、何処から聞いていた?
まったく間の悪い……本来であれば、独り言など飲み込むのだがな。
加賀屋という腹心を失ったこと……思った以上に『大きい』のかもしれん。

いや……まあいい。お前の覚悟と意志、そして騎士団の者が
遍く志を共にしていること……それは疑いようのない事実だ…。

私の無茶な命に従って戦地で血を流したこと、剣を振るったこと
そして何より、教義の違わぬ者たちを攻撃させたこと……
……その全てに従ってくれたことを、今も……これからも誇りに思おう。

【僅かに振り向いただけで、フレデリックは再びその瞳を海に向けた】
【広い背中は無防備だ。一目で相手が誰かを知り、そして急所の全てを晒す】
【言葉だけではない――信頼の全てが、それで計り知れるだろう】

【――時に、彼女は六罪王ダグラスの姿を見たことがあるだろうか】
【彼はテレビなりで報道されるとき、常に簡素な格好とは合わない豪奢なマントを羽織っていた】
【それがまさに、今フレデリックの身に付ける物なのだが――関係性は明白だ】
【そのことを隠しもしないのは、以前に話したから、というだけではないのだろう】

信じる≠ゥ……難しいな、その言葉は。そして重い……実に重い。
ゼン=カイマ一つでこうなのだから、世界を背負う神とはどれ程まで尊い方なのか…。

……マリアよ、以前手合わせをした時に、私の行動理念が幼稚だと言ったのを?
あの時は語る気にもならなかったが……今となって、その気になった。
聞くか、それを。だが……失望するやもしれんぞ。私は偶像ではなく、人なのだと―。

【改めて、瞳は隣に立った彼女に向いていた。質実剛健、加えて信仰も厚い彼だ】
【弱気とも戯言とも違うが――とても珍しい感情が、ふと見えるように思え】
【もし、YESと答えるなら。彼はローブの奥にしまっていたらしい古いロケットを取り出して見せるだろう】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/03(土) 00:44:40.80 ID:Id8T9MvIo
>>481

……それなりに、色々あったからな。丸くはなったかも知れんが、優しいゆうのとはちゃうやろな

【思い返す自分の姿は其処に溢れる死の香りが無くなっただけで、他には然程変化していないと信じていた】
【無意識下では信じられないような変化も散見される事に気付きはせず、或いは、見ないふりをして黙認しているだけ】
【まずその時点で自分が変わっていると言うことに、存外鈍いこの男はきっと未来永劫気付くことはないのだろう】

あ? 奢れって? はー……まあ太れとは言うたけど、こないな時間から食うんかいな……。
アイツと一緒に食えばええやろ、……まあ、見てるとこじゃそない食えへんか。

【呆れたように言って周囲を見る、廃街に勿論そんな洒落た店もなくて、街まで降りるには遠い】
【夜に連れ回すのも後が怖いと思った。そして代替案もまた、どことなく彼女なら抑えてしまいそうだと思った】

ああ、遊ぶってそういう意味ちゃう。二人で自由にしとれって事、ガキ連れてはなかなか遊べんやろから。
そっちらのそういうアレは分かりたくもないけど嫌というほど知っとるからな、見せんでええ。見せんでええ

【子供を連れた家族というよりは、恋人同士のように遊ぶ時間をもっと取ればいいという意図を伝える。それは今だけなのだから】
【敢えて二回言いたくなる位にははっきりとした誓の証、それがなかったとしても理解出来る位のものはあって】
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 00:58:59.32 ID:r5eypROa0
>>483

でも前よりいいよ、前は……もうちょっと怖かったもん。

【ふわと柔らかく笑めば、その言葉に嘘がないというのがきっと分かる。今のほうがいいよ――なんて、優しげに】
【丸くなったのも優しくなったのもひっくるめての変化だ。それも、どうやら悪い変化でもないらしいなら】
【素直に受け取ってやるのがいいのだろう。だから、ただ静かに、それを受け入れて――】

こんな時間に食べるから美味しいんだよ、ホットケーキとか、プリンアラモードとか……、
月彗は甘いもの好き? 洋菓子より和菓子の方が好きそうだけど……、和菓子でもいいよ、だいすきだもの。

……セシルの前で甘いもの食べるの悪いんだもん。

【廻る視線を真似するようにあたりを見渡してみる、周囲は安定の廃墟で、なにもなくて、だれもいないなら】
【どう見たって甘いものにありつけそうにはなくて。少し唸ったあとに「今度でもいいよ」なんて言葉が付け加えられる】
【もしもとことこ歩くぐらいなら一度夜に戻ってから、とも思ったけれど。それは、なんだか拒否されるような気がして】

【――唇の前で合わせられる両手、少しだけ拗ねるように手遊びするなら、普段はどうやら我慢しているらしい】
【甘いものが苦手なひとの前で甘いものばっか食べるのもどうかと思って。そんな気遣いめいたもの、自分勝手かもしれないけど――】

ふぇ、……。

【勘違いした。それも悪い方向に勘違いした。再びきょとんとした顔、気の抜けた声がほんの僅かに零れて――】

……セシルもね、なんにも言わないんだよ。わたしね、ちょっと怖いんだ、ちゃんと出来るのかなって……。
まだ遊んでていいのかなぁ、それなら、それでいいなら、もうちょっと、遊んでたいな――……。

【ちょっとだけ気まずいように声が変わる。それでも、ぽつと零してみたのは、だいぶん自分のこと、心を開いているみたいに】
【いろんなことが恐ろしかった。自分は耐えたと勝ち誇ったように痛い痛い言われるのもそうだし、そのほかのこともたくさん】
【どうして皆はそんなに上手に出来るのかと思う――不安症なのは、やっぱり軽くなっても治るようなものではなくって】
【――ちょっとだけ逃避した。先延ばしでしかないけれど、今はまだこのままで居たいと、あのひとでなく、彼に宣言して】

【左手が反対側の肩に触れて、ほんの少し肩を小さくする。弱くなった言葉尻に添えるように、どこかか弱いようなその仕草】
【それからぺったんとおなかに触れて――(それでも、いつかと思えるぐらいには、その病気みたいなところは、良くなっていたから)】
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/03(土) 01:23:59.90 ID:Id8T9MvIo
>>484

こんな慈悲深いあッち捕まえて何言うとんのや、一応苦しめずに殺す方やったんやで?
……はー、後で何か送ったるから、今は我慢しとき。 察しの通り和菓子やけどええな、独断で決める

【どうしても食べたいらしい様子に根負けして、最終的に折衷案を出す程度には、やはり丸くなっていた】
【この時間に一緒に歩くというのは避けたかった。潔癖な思考、意外とも思われるのかも知れないが】

言わへんなら気にすることちゃうやろ。言わへん方が悪い。つうか言わんゆう時点であいつは然程考えとらんな。
せやったらそれに甘えてまえばええんとちゃうか? そっちが引け目に思ってどないするん? 全然構わへんやろ?
そっちが欲しくなった時にでも子作りに励めばええんちゃう……って何であっちがこんな説法せなならんのや……!

【割と思った事は口にする人間だと見ていた。特に欲しいと思う事柄に関しては、自分より貪欲な方だと思った】
【だからこそ悦那も苦労しただろうし、欲しがるからこそ可愛がったのだろう。自分が不具だからこそ面倒を見たのと同じで】
【無意識に新婚にアドバイスしていた事にひとつ溜息を付いて、ふと月を見上げる。それは、初めの頃よりもだいぶ傾き始めていた】

……そろそろ帰るわ、そっちも夜遊びは程々にしときいな。 ……じゃ、またな

【柄にもない別れの言葉を告げれば喪服の裾を翻して、月彗は廃街の中へと姿を消していく事だろう】
【柄にも無いのはもうひとつ、それは、出した折衷案をきちんと守った事だった。いつか着物を送った時のように、】
【後日館に届けられた大量の和菓子、羊羹や餡蜜の箱を前に、受け取った館の主が頭を抱えたというのは余談】

/この辺りで失礼します、お疲れ様でした!
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/03(土) 01:25:50.74 ID:hImFxBn80
>>482

ふふっ……筒抜けで御座いましたよ。全く、こんな誰もいない浜辺で呟かれては皆聞こえてしまいますよ……?
盗み聞きするつもりでは御座いませんでしたが……団長様の御姿がを拝見したもので、近寄ってみればあのような独り言を呟かれているのですから。

……きっと他の皆様も、貴方についてきたことを誇りに思っておりますよ。
貴方の命令に従えたのは、全て信あってのもので御座いますから……

【背中を見せるとはどういうことか。自らもまた戦いに身を置くマリアに、その事がどういう事か分からない筈は無かった……】
【100%の信頼を以て己を傷つけないと信じ、急所を晒す。全く警戒をせずに、自分を最大限信用して背中を預ける。】
【余程の信頼が無い限りは、そんな行為は出来ない筈だから―――それはきっと、無言の信頼の表現なのだろう】


【ラグナールの襲撃をはじめ、あれだけ世間を賑わせたダグラスだ。閉鎖的な環境と言えるゼン=カイマにもそのニュースは流れてきて】
【新聞やニュースでもその姿は幾度となく報道されてきた。―――当然、現在彼が身に纏うマントをダグラスが持っていたのも目にしている。】
【―――以前、ダグラスは彼の親友という話を本人から直々に訊いた。だから、二人の関係については世間並み以上には知っているつもりだ】
【……無論、その事実のみで信頼が揺らぐようなことは無い。彼が「とも以上の関係では断じてない」言ったのだから、間違いのない事実として受け取っている。】

―――そうで御座いますね。信じるというのはとても難しいもので御座います……
団長様には敵いませんが……私にも私の事を信じてくれる子供たちが居るので、信じられることの重さは理解しているつもりで御座います。
見返りも利害もなく、ただ「マリアさんなら私達の事を大切にしてくれる」って笑って言ってくれるんです。……嬉しいと同時に、時にはその信の重さも感じます。

……――――?
ああ、あの時の……団長様が忘れろと仰っていたので気には留めておりませんでしたが……

―――ふふっ……誰に向かって仰っているので御座いますか?
私の信じた団長様が偶像だとでも?――――断じて、そんな事は無いので御座いますよ。
誰が失望などするものですか!……是非、お聞かせ下さい。

【……ふと彼の表情が、瞳の光が、いつもの他を寄せ付けぬ剛毅さとは違う色を孕んだような気がした。垣間見える感情も、強い彼とは少し違うもの……】
【それでも、マリアは頷く。聞かなければならない。彼の心を知る為に……】
【――――マリアが信じていたのは偶像ではない。そんな行動理念を訊いただけで切れるような信頼なら、此処まで付いて来たはずがない。】
【彼の横で、彼の姿を見て、彼の心を信じて、付いて来たのだ。そんな彼女が話を訊くだけで信頼を裏切るようなことは、きっと有り得ないから――――】
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 01:45:15.94 ID:r5eypROa0
>>485

…………、……じゃあそれで我慢する。あんみつ食べたいな、あんみつ送って?
あとね、あとね、おまんじゅうと、くずきり――……、……まあ、なんでもいいよ。月彗が決めて。

【苦しめずに――なんて言われたら返す言葉がなかった、綺麗事を言える立場じゃないし、なによりも、】
【(自分は苦しめに苦しめてから殺すタイプだったのだから、何も言えない。そんなところは、彼以下で)】
【(そうじゃないと楽しくなかった――なんて理由を添えれば余計に猟奇的に歪む。彼女は、わるいこだった)】

【それから。そんなこと何にもなかったように挙げ連ねていく甘味の名前、最終的にはお任せということになるけれど、】
【そこらへんを取り入れてやれば喜ぶだろうというのは分かっただろう。決定の際に思い出せれば――少しは楽になる】
【とかく餡子は好きだし。甘いのも好き。それならなんだって喜んだから、まあ、所詮希望でしかなかった】

ん……分かってるの、大事なことはちゃんと言ってくれるよね、だから、……いいよね。
もう少しだけ……もう少しだけ、このままがいい。このままで居る。決めたの、……いまきめた。

……月彗も今度遊びにおいでよ、まだふたりきりだから、いつでもいいよ――。

【何にも言ってくれないところに甘える、そうだよねなんて考えて、瞳を伏せていたのを――少しだけ、上を見て】
【もう少しだけなんて我侭をきっと彼なら許してくれるだろう、子供みたいな自分の我侭を、いつも聞いてくれたからと】
【信用と、信頼と、預けて――うんと頷いてからおなかの手を離せば、ころりと変わる話題、そんな提案は】
【そこまで本気のお誘いではないけれど。行けば(少なくとも)彼女は優しく出迎えてくれるだろうから、好きにすればいい】

うん、ばいばい……またね。お菓子、楽しみにしてるから――ふふ、なにかなぁ。

あ……言わないでいいよ――待ってるから。

【帰るのだと聞けば緩やかに頷く、それから軽く手を振ってみて、――少しだけ、ハードルを上げるようなことを言う】
【にこにこしているのを見れば本当に楽しみにしているのだろう、それなら選び甲斐もあるというもの、きっと喜ぶから】
【後ろに手を回してスカートに埋める、最後に悪戯っぽく笑って見せれば、その背中を見送ることになるだろう】

【彼が十数メートルは進んだ頃に、彼女の気配がふつと消える。その身に纏う水の気配も、まるで嘘だったかのような消失】
【振り返ればそこにあるのは黄緑色の煌きだけだった。それは、寄り道もせずに真っ直ぐ帰った何よりの証拠になって】
【“月彗に会ったよ”なんて報告を家でするのかもしれなかった。それなら、“元気そうだった”と続けて――楽しげだったという】

【――送ってもらった甘いもの。やっぱり彼女はとっても喜んだのだと言う、嬉しそうに日本茶なんて淹れたりして、】
【いっしょにたべる?なんて尋ねたのは果たして頷いてもらえたのかどうか。どちらにせよ、喜んで食べるのには変わりなかった】

/おつかれさまでした!
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/03(土) 01:50:28.64 ID:khubuP8Yo
>>486

フッ、言ってくれる……だがお前にであれば、何を聞かれても恥ではあるまい
子供たちが、マリア…お前を信頼しているのも何となく分かる。
そういう気分≠セ、悪くない。今日くらいは、このままで居ようか

【小さな笑みが見えた。月光に映し出されるフレデリックの表情は】
【いつもと変わらず厳しい――言い方を変えれば、緊張したようなそれが主だが】

【ただこの時、今の一瞬。それに限っては、何か憑き物が落ちたようで】
【力強さを失わず、それでいて――そう、鉄に人の温度が通った、とでも云おうか】
【そういう色が見て取れるだろう。無論多くは語らないが――】

【――ふと取り出したロケットの蓋を開く。彼の手の中、そこには一枚の写真があり】
【切り抜いた物だろうか、ひどく古ぼけているが――大人の男女が写っていた】
【フレデリックはそのロケットを、まあ見ろとでも言うようにマリアへ手渡そうとして】


……―私がゼン=カイマに初めて足を踏み入れたのは、6つになるかどうかの頃だった。
表向きは……非常に信仰心の強い両親の勧めで神学校に入ったのだ
私はひたすらに勉学と信仰に励んだ。年頃になれば騎士団を志した

結果として私は栄えある騎士団に加わり……やがてその長ともなった
力あるものであれば人で無くとも引き込み、史上第三≠フ称号も勝ち得た
強引すぎるきらいもあったが、形だけであれば大司教とも成った……
……人の親であれば、それをさぞ喜ぶのだろう。栄誉だ、名誉だ、我が誉れだ、と…――。

【写真の二人は――となれば両親に違いない。どちらも黒髪、父は長身だ】
【集合写真を切り抜いたようなものだから顔までは分からないが、本も持っていて】
【恐らくそれが聖書だ、というのは想像に難くないだろう。信心深い夫婦――】

――だがな、事実は違う。私は捨てられたのだ、実に体よく、上手いことに。

我が父母は……私の能力を嫌った。悪魔が憑いたのだと言われた記憶も有る
ならば祓いでもすればいいものを、何も言わずに神学校へ全てを任せたのだ

結果……どうなったか分かるか?無論、私の扱いは酷いものだった
幸いにして当時のオズムンド司教らが手を差し伸べてくれたが、周りは違ったのだ
しかし父も母もそれを知ろうともせず……むしろ、世間には褒め称えられた

『大事な息子を神のお膝元で学ばせるとは』――と、な。
厄介払いが出来て名誉も保てる。タチが悪かったのは、今我らの追う悪司教らが
その名を使って人気取りをしたことだ。ただ神を信じるだけの父は牧師となった
子供を売って名を挙げて……そして更に奴≠ヘ増長したのだ。

やがて、我が父は司教となった。私の名声が上がると共に、奴は金を携えて登り詰めた。

……だが何より許せないのはな、私への扱いがどうのということではない
父は神など信じていなかったのだよ。なにせ母が亡くなった時、顔も見せなかったのだから
後で調べたら案の定だ、若いシスターを連れ込んでいた事が分かった。
そもそも……神を信じるものが、子を捨てるか?否だ、そうは思わないかマリア――。

【――ここで一度、フレデリックは言葉を切った。父母の存在、そして父方への憎悪】
【表情は然程変わらなかった。けれども、語調は確実に静かな怒気を孕んでいて】

【もしも彼女が司教――特に、以前ゼン=カイマで捕まった者達の事を覚えているのなら】
【その中に一人だけ、彼と同じ姓の司教が居たことが頭に浮かぶかもしれない】
【今、彼は逃げに逃げて聖都に居る。――うっすらとだが、彼の思いが見えてくるかもしれなくて。】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/03(土) 02:51:53.94 ID:hImFxBn80
>>488

【質実剛健で剛毅朴訥、千万人と雖も我往かんを地で行く彼だって、一人の人間。血の通った人の子なのだ。】
【だからきっと、そんな温かい表情を見せることもあるのだろう。―――彼がこの表情を衆目に晒すことは無いのだろうけれど】
【彼の笑顔に呼応するように、マリアもクスリと温かく笑みを見せる。……もっとも、マリアは彼とは違いいつも微笑んでいるから、笑顔なんて珍しくはないのだけれど】


【手渡されるがままにロケットを受け取る。……中の写真に映し出されたのは二人の男女、見たところ夫婦だろうか?】
【かなり色褪せていて、相当昔の物であることが伺える。彼がこんなものを大切にに取っておいてあるとは知らなかった……】

【そして語られる、そのロケットの中の人物のお話。そして、彼自身のお話。遠い昔の、重い過去……――――】

――――

【彼が話をしている間、マリアは一言も話さなかった。憤ることも嘆く事も無く、ただ静かに耳を傾けていた。】
【彼の口から紡がれる、知られざる重い過去。子を子とも思わぬ親の酷い仕打ち。そして無責任な周囲の偏見の目……】
【その後の彼の父の話。愛すべき妻が逝ったにも拘らず顔すら見せず、気に入った若い女を囲い、私腹を肥やし】
【その行動の全てに於いて神を冒涜しつくした外道の極み……―――怒りに心が打ち震えるのも無理はない。】

【そして、その外道の輩は未だ生きている。無様にも逃げ続けているが、それでものうのうと生き延びている。】
【―――マリアも知っていた。シャリエール……この姓を持つ司教、偶然ではあるまいとは思っていたがまさか実父だとは。】

【……そして今、彼は聖都にいる。そう、遠征の最終地点だ――――フレデリックの見据える先は、まさか――――】


……――――ひとつ、第三近衛騎士団のマリア・アレンスではなく捨てられた子供たちの親代わりであるマリア・アレンスとしてお話しさせて頂きますね。

団長様、……いや、フレデリック様。
貴方のお父上を恨む心は痛切に分かります。話を訊いて、当事者ではない私ですら義憤に駆られそうになってしまったのですから……
ですが、どうか――――どうか、心を「憎み」に支配されませぬようになさってください。

お父上が捨てても、手を差し伸べてくれる人は確かにいたので御座います。
捨てた挙句利用した外道もいれば、我が子でもないのに見守り育て続けたオズムンド司教様のような方も確かにいらっしゃったのです。
外道を憎むあまりに心を囚われて、その手で育ててくれた人の温かさや感謝の心まで忘れないようにして下さい。

それが、捨てられた子に手を差し伸べる親代わりの立場としての心で御座います。
捨てた親や家族を殺した仇を恨むよりも、自分を温かく助けてくれる人の事を想って優しくあって欲しい……私は、子供たちに常々そう説いているので御座います。



聖都でお父上に会われた時は、オズムンド司教様の顔を想い浮かべて下さいませ。
此度の戦いは、神の名を利用し汚す者を正す為の戦いなので御座います。私怨に駆られて本分を忘れてはなりません――――



【彼が見据える先は、間違いなく彼の父も含まれているだろう。当然、教会の歪みを正すならば私腹を肥やした彼の父親も正すべき者の筈】
【―――だが、個人的な感情に駆られないようにして欲しい。きっとフレデリックは強く父を恨んでいる筈……ならば私怨が暴走する危険性だってある】
【だからこそ、マリアは告げた。「憎しみよりも、恩を思い出せ」と……そうすればきっと、落ち着けるはずだから】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/03(土) 03:40:56.08 ID:khubuP8Yo
>>489

……分かっているのだ、心のどこかでは間違っている、と。
子が親を殺す……その事の重大さを知らぬではない

倫理、教義、道徳……全てを汚辱する行為であることは理解している
その上で私は実行を考えた時期もあった。大司教就任直後がそうだ

あの時、私は加賀屋に命じて地下牢に司教らを封じ込めた
どう処罰するか。全てを処刑するか、あの父と呼ぶのも忌まわしい男を
ただ一人だけ私の手で誅戮するか……しかしその時は来なかった。
幸か不幸か、侵入者によって司教の全てが助けだされたからだ

……今となっては、良かったと思う。大丈夫だ、私はやつを殺さない
引っ捕らえて権威の全てを剥奪し、永久追放にでもしてやるとするさ

【―――そう、存外に反応は浅い。いや、わかっていたとでも言うべきだろうか】
【父を憎むこと甚だしいフレデリックの侵攻、その真意。聡いマリアなら直ぐに察せたはずだ】

【そして、恐らくその考えは正しかったのだろう。事実、彼はそれも企てた、と言った】
【しかし心を改めた。文面だけ捉えてみるとあまりにあっさりとし過ぎていて】
【この場限りの大嘘で、実際は出会い頭に一刀両断と行くのでは、と思うかもしれないが】

【フレデリックの顔をちらとでも見れば、その疑念は払拭されるに違いない】
【笑っていたのだ。微笑でも、口角を上げたのでもない。控えめだが――純粋な笑顔だった】
【月灯りを海が照り返し、頬を映す。きっとこんな表情、誰に見せたことも無いに違いなくて】

そうだ……私とて人の子だ。此処に至るまで、ただ一人で育ったのではない
幼少にはオズムンド司教が、若くは騎士団の輩が、そして今は……お前が居る。
悪友と言うには過ぎた奴だが……ダグラスという男も、な。

……私は生憎と、人並みの感情表現も出来んような奴だ
だがそれでも人の温もりは理解できる。マリア、お前という格別の温もりも無論だ。

お前に言われると実感出来るのだ、不思議と――『独りではない』というのが、な
もう何度目かも忘れてしまったが……改めて礼を言わねばなるまい
きっとお前は謙遜するのだろう。だが私の気が済まんのでな……、…ありがとう、マリア。

【こんな言葉、実際に口にするのは何時ぶりだろうか】
【それも分からない、なんてくらいに不器用で口下手な礼≠言えば】
【傍らに突き立てた豪槍を抜き払い、その背に負って戻る道へと足を向け】

マリア。私が以前、子供たちの将来をお前に任せると言ったな
あれはつまり、私とオズムンド司教のような意味を込めていたつもりだ

未来を作るのは彼らだ。そして、その中から一人でも私のような人間が出てこないよう
守りの――そして彼らの要であるお前には死なれては困る。
……分かったら付いて来い、マリア。お前が風邪を引く前に戻らねばならんからな

【――此処に至る頃には、もう既に例の笑顔なんて言うのは微塵も伺えないけれども】
【さあ、と手を差し伸べる姿には陰りがなかった。月も全てを照らすようで】

【一方でロケットに関しては『捨ててくれ』という一言が添えられた】
【彼の中での決別を意味するのだろう。古く大事なものだが――どうするかは彼女次第だ】
【海に放ってもいいし、他人のものでもと仕舞いこんでも構わないだろう】

【どちらにしても彼の手を取ったなら、僅かな浮揚感の後に、景色が変わり】
【両者は戻るべき場所へ戻る事となる――これだけは必定の事実であった】

/遅くなって申し訳ない!時間も時間ですのでこんなかんじで〆どうでしょうか…!
/なんでしたらお返事は後ほどでも全く構いませんので!
/ともあれ、深夜にとても楽しませていただきました!ありがとうございましたっ!
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/03(土) 03:51:02.70 ID:hImFxBn80
>>490
//はい、ではもう遅いので返事は後ほどという事で!お付き合いいただきありがとうございましたー!
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/03(土) 13:32:14.66 ID:hImFxBn80
>>490

―――そうで御座いますか……全て分かっていらっしゃるのなら、これ以上私が言う事は御座いません。
お父上をその手で処断されないという選択……私はその大いなる英断を、心から賛同申し上げます。

ふふっ……たった今貴方の御顔を見て確信致しました。団長様、貴方は人として一番大切な事を知っている……
それを忘れなければ、きっと正しい道を行けるはずです。

【―――それは、きっと世界中の誰も見た事も無いような表情だった。微笑みすら滅多に見せない彼がマリアに向けたのは、控えめでも柔らかい笑顔で】
【虚偽も、打算も、諂諛も、奸心も、心の裏に何も存在しない何処までも純粋な笑顔。――そんな笑顔が出来るのは、真に人の愛を知り、人を信じる事が出来る者のみだから】
【その笑顔で確信した。――――彼はこの私を信じ、一切の虚偽無き言葉を送っていると。彼ならきっと己を、マリアを、裏切るような真似はしないと。】
【マリアもまた彼と同じように笑っていた。彼に向けるどこまでも温かくて優しい笑顔、それはきっと何物にも代えがたい信頼の表れ。】
【これ以上の言葉はきっと要らない。自分は彼を信じて支えるのみ――――】


……―――!

【そんな温かい笑顔を浮かべていたマリアだが、彼の次の一言が彼女をもっと笑顔にさせた。】
【「ありがとう」、この一言。それはとても慣れていない不器用なものだったけれど、心から送られた言葉。そんな優しい言葉がマリアの心に届かない筈は無くて】
【浮かべた満面の笑みは、何時もの優しい微笑みとはまた違う嬉しそうなものだった。まるで、夫に日頃の感謝の言葉を贈られた妻のような……そんな表情。】
【何時もなら「勿体無いお言葉で御座います」と謙遜していただろう……しかし今回は違った。彼の言葉を心から受け止めて、普段よりもっと素敵な笑顔を見せた―――】

いいえ、どういたしまして。ふふふっ………「ありがとう」で御座いますか。とても、とても嬉しいです。
……何だか照れ臭い気持ちで御座いますね。
そう、一人ではないので御座いますよ。私がいつまでも傍におりますから……

―――何処までも付いて参りますよ。
子供たちの為、人々の為、そして貴方の為に、絶対に死ぬものですか。
生きて、皆を護ります。だから―――どうか、貴方も死なないで下さい。


【そして、差し出された手を握りしめる。まるで彼の言葉に応えるように優しく、それでいてしっかりと―――握る手の強さから、きっと彼女の心も伺えて】
【最後に優しさの中に信念と信頼を孕んだ笑顔を見せて、マリアは彼と共に浜辺を去った―――】


【余談だが、マリアはロケットを捨てずに持っているらしい。捨てろと言われたがそう簡単に捨てる訳にもいかず大切にマリアのポケットの中に保管されているのだとか。】
【……捨てなかったのは何か理由があるようだが、果たしてマリアはそのロケットをどうするつもりなのだろうか―――】

//改めて、お付き合い頂き有難うございました!
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage saga]:2014/05/03(土) 18:03:12.90 ID:Id8T9MvIo
【路地裏】

【廃ビルの間を抜ける汚れた道は両側を高い建物に挟まれ、薄暗いながらもそれなりの広さを保っていた】
【所々に浮浪者の住み着いているらしきバラック小屋も見受けられ、座り込んで煙草をふかすみすぼらしい老人の姿もあった】
【そんな場所を進んでいく一人の男がいた。もっとも特に目的はないのか、時折小屋を覗いたり浮浪者と談笑しながら、だったが】

……さて、俺の住処もこの辺に適当に作るか。住民も良い奴らばかりだしな
昼寝してる間に死体遺棄事件だ何だ騒がれなきゃ何処でも良いんだよな……はぁ。

【癖のある黒髪、鋭い灰色の目、右頬に「牛の生首が乗った皿」の刺青を持つ三十代程の黒服の男】
【よれたスーツの懐を探りタバコの箱と聖マリア像の刻まれたジッポを取り出し、一服しようとして舌打ちをひとつ零した】

チッ……オイル切れか。誰か火貸してくれる奴はいないかね、っと……

【周囲を見回すも、先ほど会話していた浮浪者達からはだいぶ離れてしまっていた】
【男はぽりぽりと頬を掻いて再び溜息を零し、タバコの箱を懐に仕舞い込みつ立ち止まっていた】
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 19:52:32.63 ID:r5eypROa0
【海辺――岩陰に隠れた入り江】
【刃のような三日月が照らす場所には長い影が延びて、縦横無尽、神様の気紛れのような模様が地面に刻まれる】
【そこに海の水の反射光も混ざり込むなら、ある種幻想的とも言える光景。波の音が、静かに、けれど耳に心地よく――】

――――ッ!

【そこに地響きのような音が混じっていることに気付くのは誰か居るだろうか。同時、鋭く吐息の音もしている気がして】
【もしもこっそり岩の陰から覗く誰かが居たとすれば――真っ先に見るのは、ざんらと咲き誇り散り乱れる薔薇の花かもしれなかった】

【入り江の中は一面薔薇の花で満ちていた。色も、咲き方も、ひとつひとつがまるで違う、適当な種をばら撒いた結果のような光景】
【本来なら存在しないはずの真っ青な薔薇、虹色の薔薇まで咲いているのを見ればどこかおかしいと気付ける、さらにおかしなことは、】
【その薔薇はひとつひとつがぼんやりと薄らではあるが光を放っているのだった。それが、夜の中を様々な色で照らし出して】

【その薔薇畑を劈くように周囲に生えているのは土で出来た柱のようなもの。薔薇を飾りのように纏った、能力製の凶器】
【意識を向けて魔力を注いでやれば凶悪じみた棘がいくつも生え出る――それはまるで、薔薇の茎に生える棘の模倣のような】

はあ……、ダメよね、アサドは自警団の依頼を受けろなんて軽く言ってくれちゃったけれど……、
そんなの無理に決まってるわ、だって私、喧嘩すらしたことないもの。所詮無理だったのよね――、ええ、無理だわ。

【そんな光景の中に立っている姿があった。たった今棘まみれになった土柱の中、ざらりと髪をかき上げる仕草が見えて】
【聞こえて来るのは低い音の混ざった声――どうやら女らしいのだ、と。声やシルエットから察することもできただろうから】

【浅い時間の夜色、紺の色合いをした髪――温い夜にかいた汗に僅か濡れたのが、さらりと夜に零れるよう、揺らされて】
【少し釣った眼は髪とよく似た紺色の艶めき。そんな顔には薄らと汗をかいていて、髪を払えば、それを腕でぐうと拭い取り】
【パーカーを腰に巻いた恰好、半袖のカットソーに合わせたのは、ちゃらりと鎖で飾りのついた、アームカバーを嵌めていて】
【ミニのプリーツスカートに被せたオーバースカートがマントみたいに揺れる、――足元には、じゃらりとごつい飾りのブーツ】

ああ疲れた……、仕事するなんかより疲れたわ、明日は休もうかしら。
……よくもまあ皆々様そんなに依頼を受けるものね、そんなにお金が欲しいのかしら――。

【張り詰めていた空気――魔力の気配――が言葉と一緒にほつれていく、それと同時、地面から生えた土の柱もゆるゆると崩壊して】
【薔薇の花も萎れてから消えていくのだった。そんな緩やかな崩壊には時間が掛かるから、鍛練めいた気配だけは長く残し】
【ぶちぶちと呟いてみながら髪をかき上げて首の辺りを手で仰ぐ、それから溜息を一つ揺らして、ぐうっと体を伸ばす――】

【――海辺には彼女由来の魔力の残滓が多く漂っていた。さっきまで、ほぼ全力と言えるレベルで能力を行使していたのだから、それは必然とも言えて】
【けれどそんなのを意識していないようなのは、――言葉通り慣れていないらしいと見るべきか。誰の気を惹くなんて、想定外】
【本人は疲れたなんて愚痴って地面に刺しておいたペットボトルのお茶を飲んでいたりするけれど――どうなるかなんて、誰もまだ知らなかった】
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/03(土) 21:01:52.13 ID:gVrbjNY8o
【公園】

「ヘッキャアーーッ!!」

【公園ではしゃいでいるのはガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

『……相変わらず元気ですね』

【それをベンチで見守るのは、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

【……なお、先程男が公園ではしゃいでいると書いたのだが】
【その実態は、公園に入ってくる者に片っ端から喧嘩をふっかけて物理的に投げたりしているのだ】
【女性が、怪我をした者の治療をしているのが幸いだろうか……? 杖を当てて魔翌翌翌力を流し込むという方法なので、どうやら能力を使用しているようだが】

【もしこの公園にうっかり入ってしまった場合は喧嘩を売られる可能性が高いだろうし、こっそり忍び込めばまた別の展開が生まれるかもしれない】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/03(土) 21:48:18.90 ID:wO+Fybj3o
>>494

親子喧嘩で家を飛び出し、秘密基地に逃げ込もうとしたは良いものの、おかしな物を見て逃げ帰ってきた。
怖いので様子を見てきてくれ。ついでにこの部屋にしばらく匿ってほしい。
……まあ、気持ちは分からんでもないんですけどね。

【豪快な字体で「とにかく気に食わない」とプリントされたTシャツに、ショートパンツの軽装】
【サンダル履きの長い脚が砂を蹴る度、うなじの高さで結い上げた黒髪が揺れる】
【ぶつくさ不平を垂れながら、入り江に続く波打ち際を、少女は一人早足に歩いていた】

にしたってそれ、旅館の息子が宿泊客の可憐でか弱い女学生に頼む事ですか。
そりゃあ私は年上のお姉さんですが、もう少し男のコケンとか
旅館の息子ならではの奥ゆかしい諸々の気遣いとか、そういう……

【右手に持った警棒を手持ち無沙汰に振り回しながらしばらく進むと、ふと立ち止まる】
【潮のそれに紛れた、異質な匂い。この砂浜にあるべきでない、甘い花の香りを嗅ぎとったのだ】
【表情がにわかに緊張を帯びる。口を真一文字に引き結び、忍び足で近くの岩陰に身を寄せ】

……不審者? にしてはエラい可愛らしい格好なんですけど何あれ。女子力高っ。

【慎重に、入り江に佇む女の様子を窺う。その仕草は大分洗練されているが】
【いくら気配を殺そうと、喋り声が聞こえてしまっては無意味の一言に尽きる】
【残念なことに少女はよく通る声をしており、声量のほうも独り言のそれと呼ぶには幾分大きかった】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 22:08:49.19 ID:r5eypROa0
>>496

【ざららっと砂で出来た柱が崩れていくのは、さながらお話の中の景色のよう、それなりに画になるようなもので】
【ましてそこに花弁の散る乱舞の加わるのだから、景色としては中々だった。海から来る反射光も、いいように世界を彩って】
【そんな中に佇む女は場の雰囲気もあってかいくらか美しいようにも――見える、かも、しれない。ほんの少しだけれど】

あ゛ー疲れた……本当に疲れたわ、次に会ったら文句の一つでも言ってやろうかしら。
私が悪いのかしら? いいえ、私はきっと悪くないわ。悪いのは誰かしら、そうね――世界だわ――。

【ごくごくと飲んだペットボトルのお茶、ちゃぷんと水面の揺れる音が微かにして、冷た(かった)いのを頬に押し当て】
【数秒ほど黙っている間があった。さらさらと砂の崩落する音を覗けば波音しかしない一瞬、声の聞こえたのは、そんな頃】

あら……誰か居るの? 覗き見かしら、趣味が悪いわ。……まあ、見たって楽しいことはないでしょうけれど。

【ついと視線が向いた。夕方の終わったばかりの空の色、青みの残る紺色は、普段ならそれなりに鋭さを持ったりするのだけれど】
【疲れている今となってはだるーんとしていて。気迫がないというか、ずいぶん関わりやすい感じになっていることだろうから】
【とーんと言う感じに投げてくる声もどこか脱力していた。やる気なしというか、使い切ったあとというか、――そんな感じで】

【ふわっと落とした腰の仕草、お尻をぎゅっと受け止めて押し上げるのは、その寸前まではなかったはずの地面の起伏】
【あんな光景を見たあとなら、彼女が土系の異能力者だと気付かれているだろうか。それなら、そんな光景も理解できて】
【自分の能力で作った即席の椅子に腰掛けて――今度はペットボトルに不着した砂を払う手の動き、そっと場面に添えて】

私が女子力高いなら世の中の女子は皆女子力カンストよ――出てきたらどうかしら?

【相手の独り言にぽつっと返す言葉があって。それなら、自分はそんなに女子力で出来た存在じゃない、なんて返答】
【ミニスカートだと言うのに平然と足を組む辺りがきっとそれを示しているのだった。柔らかそうな素肌が零れて、】
【砂の椅子の中途にペットボトルをざぐん!と刺してから改めて声を掛ける、それは――姿を見せろと、軽いお誘い】

【もしもお誘いどおりに姿を見せたなら、「こんばんは」と軽い笑みが贈られることだろう。崩壊する世界の中で、女は一人笑っていた】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/03(土) 22:28:51.36 ID:h/J+sUW1o
【とある街の公園】

【雲が空を覆っていても風のない深夜。ある市街の中にある公園】
【遊具やグラウンドがあるような感じではなくただただ木々と芝が続いている】
【かと言っても広い森林公園と言うわけでもなく……最近の都会には多い】
【災害時や夏場の避暑に設けられた人為的な自然。その方が憩いの場として受け入れられやすい】

【園内をぐるりと一周するランニングコースの両側には等間隔に街灯が据えられていて】
【各所にある出入口の近くにはベンチが据えられており、その中の一つに近づくけば近づくほど】
【タバコの煙の匂いが強くなってくる。街灯と自販機の明かりにぼんやりと照らされたベンチには】
【煙草をくわえたまま横になっている男が居た。やたらに長い、脚や腕は余ったように地面に投げ出している】

…………ふぅーっ………

【黒髪をゆるく横分けのオールバックにしていて、とんがったような鼻、夜だというのにサングラスをかけている】
【服装はダークブルーの生地の三つボタンの細身のスーツ。ベストに黒いシャツ、黒い赤のネクタイ】
【靴も高そうな革靴で、単なるビジネスマンではなさそうな、気取った雰囲気が全身から煙草の煙とともに出ていた】

【関わりたくないだろうが自販機で飲み物を買いたいならば最低限の接近は不可避である】
【また、この禁煙の時代に公園で喫煙は良いのだろうかという疑問もある。職質がてら注意されかねない】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/03(土) 22:48:44.15 ID:wO+Fybj3o
>>497

【水面に揺らぐ月明かりに照らされ踊る、色とりどりの花吹雪。その中央に佇む女に見とれるのも束の間】
【こちらの存在に気付き、視線を投げかける相手に対し、反射的に顔を岩陰へと引っ込める】

(しまった、バレた────!)

【後悔してももう遅い。戦うか、逃げるか、二つに一つだ】
【先程の女の姿に、幻想的な──言うなれば人ならざる魅力を感じてしまった少女は、勘違いに勘違いを重ねていた】
【あの女はきっと魔界とかから何かしらの悪の組織の尖兵としてやってきた女幹部かなにかなのだ。だから女子力も高いのだ】
【とまあ、大体こんな具合に】

じゃあその貴女に敗北感を覚える私って一体なんなんです、ミジンコですか。
「女子力たったの5か、ゴミめ」とか言われちゃうんですか……ええいままよ!女子力勝負で負けたからってなんです!
貴女に新世界は渡しません!

【そうして意を決して立ち上がり、誘いに応じて岩陰から躍り出る少女。鈍く輝く警棒を腰だめに構え】
【足場の悪さもなんのその、恐るべき健脚で女目掛けて疾駆する……のだが】
【「ペットボトル持ってるし、座ってるし、そういうオーラとか無さげだし、ひょっとして勘違い?」】
【やる気なさげな相手の様子に今更気付いて、足を突っ張り急ブレーキ】

……えーっと、こ、こんばんはー。いやその、実はかくかくしかじかで……。

【何らかの能力の発露だろうか、稲妻めいた火花を纏った警棒を背中に隠すと】
【事のあらましを説明……もとい言い訳しつつ何とも気まずそうな半笑いを浮かべて、挨拶を返すのだった】
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/03(土) 23:09:10.41 ID:r5eypROa0
>>469

【引っ込んだ頭の動き、それが僅かに見えた気がしたなら、“やっぱり誰か居るらしい”という思いは確固になる】
【それでも別段責めないし攻めない、疲れているから――どうにも投げやりなのは、まあ、仕方のないことだったのかもしれないが】
【敵意がないらしいことだけは確実なこととして扱っていいだろう。よっぽどでなければ敵対しない――そういう、人物だった】

服なんて適当よね、そこらに転がってた奴よ。洗って干して山にした中から適当に選ぶだけだもの。
そこらへんで買った安い奴だわ、私ね、どこぞのブランドがどうとか興味無いの――残念だけれど、

【「新世界?」なんて呟きがそっと夜に溶けていく、世界なんて欲した記憶もないなら、何かの勘違いだろう、と、】
【けれど相手の続く動作、砂の地面を平然と走ってくるのを見れば、なんだか少し恐ろしくなる。神経が冷えるというか、そんな感覚】
【あれこれヤバいんじゃないかな――なんて思考があったのかは不明だけれど、右腕が緩やかに持ち上げられる、その仕草があって】

【その動きに追随するように。お尻に敷いた薔薇まみれの砂山から“にょっ”と一筋の刃めいたものが延びて――警告、】
【近づいたら危険なのだと言うことを知らせる攻撃性の発露、それは、ただ、相手に届くほど明確に攻撃するためのものではなくて】

【――足を突っ張って急ブレーキを掛けた相手を一瞬訝る目で見つめる間、きっと沈黙じみた無音がそこにはあって、】
【この人は危ない人なのか別にそうでない人なのか、疲れた体に鞭打つべきなのか、そうでないのか、それを考えるような時間】
【やがて投げられた挨拶と説明。それを聞いている頃には、にょっきり伸びた岩の刃も、すっかりと消失しているのだった】

あら……、それは大変ね。でも私は悪の幹部でも何でもないわ、ただのアルバイター。
GWも変わらずバイト続きで絶望しているけれど……、それだけ、本当にそれだけだわ――……。

【――遠い目をしていた。特に、GWも変わらず……という辺りで、“世界に希望などない”とでも言う風な目をして、】
【“疲れたし明日は特に休みたい”とでも言いたげなオーラがじわじわと洩れでていた、それが、どうしようもなく怠惰な気配を醸し出して】
【そんな様子を見せてしまうと女子力なんて遠くなるよう、なんというか――ほんとうに、女子力なんて枯渇しているような目】

……手っ取り早くお金でも稼ごうかと思ったのだけれど、難しいわね。全然できる気がしないわ。

【ざららっと砂が持ち上がっていく、そうしてカタチを成していくなら、やがてお尻の小山は立派な椅子みたいになっていく】
【背もたれあり、肘掛あり、足を置く場所まであって――それから漏らした「あ゛ー」なんて声、やっぱり女子力なんて微塵も感じず】
【呟いたのは――こんな場所で能力を思う存分行使していた理由なのだろうか。それでも、全ての意味を理解させるほどの量はなくて】

私ばっかり悪いわね、土でよければあなたにも椅子を用意したって、いいけれど……、?
良かったら一緒に休憩しましょう、私ってばくたくたなの。能力を使うのって、こんなに疲れるのね――知らなかったわ。

【「使わないから」】
【だるーっと一人気ままにくつろいでいたのが何秒続いただろうか、そのうち、相手だけが立っていることにようやく思い当たり】
【まあ座ったら……なんて言いかけてここが砂浜であるのを思い出す。それなら、おもむろに提案してみるのは、そんなこと】
【座り心地はあまり保障しない――とは余談。硬いし何より服が汚れる。まあ、乾いた土であるから、よっぽどではないけれど――】

【――大雑把でも疲れが取れるまで会話でもしましょうというお誘いだった。乗るのかどうかは相手次第、彼女の判断に任せられて】
【もしも断られるなら――不審者がしばらく砂浜でくつろいでる、ということになるのだろうか。害自体は、なさそうだが】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/03(土) 23:34:48.64 ID:avPut2UU0
【道の両脇に置かれた街灯が照らし出す深夜の街中】
【お世辞にも活気があるとは表すことが出来ないこの場所は、時間も時間故に住民の姿が一人も見えなくて】
【――――そんな場所に、よそ者の姿が二つ。そのどちらもが修道着を纏っているのだから、目立つ事は間違い無いのだけれど】


『……ふうん。まさか君が、ねえ。まっ、良いけどさ――――ボクが居ない間は任せたよ?
何て言わなくても君なら大丈夫だろうけど』

「――――――アンタにそんな事言われなくても仕事はキッチリこなすわよ
戦闘にしか能がないどっかの馬鹿と一緒にしないで頂戴」

【一人は腰に銀の双銃を提げた女。よく手入れの施された金の髪が、月光を眩しく反射させていて】
【もう一人は如何にも重そうな大剣を背負った女。日焼けとは異なり、生まれついての小麦色の肌。白髪が其れを一層強調させて】
【歳はどちらも同じ程か。其れにも関わらず、前者は緩い笑みを浮かべ、後者は如何にも鋭い視線を向けているのだから対照的ではあるが】

【後ろ手を振って去る背中を適当に見送ったならば、自分もその場を後にしようとするけれど】
【――――不意に気配を感じ取れば、其方へと視線は向けられて。同時、大剣の柄へと手が伸ばされるのだろう】
【敵意を隠す事も無く鋭く向けた視線。…………尤も、こんな場所に。それもこんな時間に修道女が出歩いているのも可笑しな話だ】

【先手を打つ事も無いから話し掛ける事だって可能だろうし、或いは同じ様に得物を手にして警戒するのも良いであろう】
【何で有ろうと、月光の下に姿を晒したならばピクリと眉も動いて】








【日々子供達の遊び場や家族の憩いの場として用いられる公園】
【――――けれど、今は時間も時間。子供達の姿は勿論の事人一人居ない。筈であったが】
【今宵は其処に備え付けられたベンチに座る姿が一つ。銀色の髪に、纏っているのは所謂修道服】
【膝の上とベンチの余った部分とに広げられているのは――――聖書と、ここ最近の事件が纏められた薄い雑誌】


「…………さて、そろそろ戻りましょうか……
教会をあまり長く空けている訳にもいきませんし…………」

【其れ等を全て閉じればふう、と小さな溜息が吐かれて】
【――――見上げた夜空。今宵の月は夜道を照らし出すには十分な光量】
【その上曇りの一つも無く星々も良く見えているのだから、良い夜であると言えるだろう】

【故に散歩等々に出ている者が居たって可笑しくは無いし――――】
【新たな来訪者の存在に気付けば敵意も警戒も無くそちらへと視線が向けられ、穏やかな笑みが浮かべられる事だろう】


502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/03(土) 23:58:59.41 ID:wO+Fybj3o
>>500

はは、あははははは……。

【怪訝そうな眼差しから微妙に目をそらして、喉の奥から乾いた笑い声を絞り出す】
【これではどちらが不審者なのか分かったものではない】
【ともあれ、こちらがこうして半ば襲い掛かるような真似をしてしまっても、積極的には仕掛けてこないのだから】
【目の前の女は危険な人物ではないのだろう、という確信に至り、少女は警棒をそっと腰のホルダーに戻した】

(でも、やっぱりコーディネートのコの字もないような私よりかは……)
(いや、この話題はもう止そう。話がどう転んでも虚しい事にしかならない気がする)

ごめんなさい、さすがに悪の女幹部は考えすぎでした。
そういうのは大分前に卒業したと思ってたんですけどね……。

……それは何というか、ご愁傷さまです。やっぱりバイトって何かと大変なんですねえ。

【女の人生に倦み疲れたような目付きを前に、吐き出しかけた女子力問答の話題を寸前で飲み込むと】
【所在なげに頬を掻きながら、ぺこりと頭を下げて謝罪。なるべく当たり障りのないよう返答する】

能力で手っ取り早くお金稼ぎ、というと……例の大会の開催の噂とかは無いですし、
となればやっぱり、自警団とかギルドとかに協力するようなアレですか?

【言葉足らずながらも、この物騒なご時世だ。女の呟きの意味を正しく理解できないほどには、少女は平和ぼけしていない】
【とは言え、「正義の味方」なんてものは彼女にとっては縁遠い存在だ。相手を見つめる瞳が、興味深げな色を帯びる】

……あ、ありがとうございます。

そこらへんは体と同じなんじゃないでしょうか。どんなにすごい能力だって、使わなければ鈍るものですよ。
腕がもう一本あるようなものだと思えって、うちのお爺ちゃんも言ってました。

【立ち話も何なので、という相手の申し出をありがたく受けてから、間を置かず造り出されるのだろう砂の椅子に】
【よっこらしょ、と、何やらこちらも女子力とはかけ離れた声とともに腰掛ける】
【服の汚れを気にする様子もさしてなく、能力を使うことには慣れているのか、そんな風に返し】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/03(土) 23:58:59.90 ID:xjNR61P0o
>>501

【静寂に佇む修道女、姿は僅かに見えるのみ】
【だがそれでも不思議と目を引くのは姿故かそれともゴシップ誌とのちぐはぐな組み合わせの為か】
【或いは彼女がただ普通の人ならば「通行人」は気にも止めず通り過ぎただろう】

協会……?ああ、いや教会か
不思議ねそういう服をした人はこんな時間には出歩かないと思ったのだけど
聖書に……大衆雑誌、なんてミスマッチ

【所々が煤けている魔翌力の名残のある錆びれたような色合いのフードローブ】
【胸の起伏を見るに女性だがしかし同じ年頃の女性と比べればどこか「いびつ」】
【黙っていればそれなりという顔の造形はしかし可愛気という物は廃しているように毅然として】
【錆色の瞳と腰まで伸びた髪はどこか刺々しい、暗に「近寄るな」と示しているような雰囲気をした彼女は躊躇いなく語る】

丁度いいかな、ちょっと隣に座ってもよろしいかしら?マザー……・失礼お名前は?
っと……先に名乗るのが礼儀よね、私はヒトツギ・カズネっていうの職業は魔術師
と言ってもマジシャンじゃあないけどね、最近まで俗世と離れてたから今の情勢とか知らないのよね

【首に掛けた金の弾丸のアクセサリを揺らし、薄らとほほ笑みを浮かべながら頭を下げる】
【どこか演技のようなそしてそれを隠そうともしない怪しさはあるものの敵意の類はない】
【魔術師の由縁と思われる6つの銀板を括りつけたブレスレットは輝いて、首を傾げるのだった】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/04(日) 00:11:54.38 ID:vABp15a60
>>502

【ばちばちと稲妻を纏う警棒というのも中々に恐ろしい、そんなので触れられたら――きっと、とっても痛いから】
【だから。誤解が解けたようなら喜ぶ限りだったりする。仕舞われたのを見て、それでやっと本当に安堵したように】

まあ、悪の幹部もいいかもしれないわね。収入がいいならちょっとは考えるわ、喧嘩は苦手だけれど……。
……無理かしらね? 無理かもしれないわね、戦えないって――致命的でしょう? きっとそうなんだわ。

はあ――、本当よね、どうしてたかがバイトなのに休みもないのかしら?

【そんな軽口を叩いてみせるのだった。悪の幹部も――なんて言ってみたところで、そんなコネもツテもないから】
【悪の秘密結社やらに就職するのは相当難しいだろうなとは余談。……まあ、そんなところにコネやツテがある人のほうが珍しいか】
【――能力の扱いに欠ける自分にはやっぱり無理だろうと判断して止めておくぐらいには、野望に燃えているわけでもないのだった】

【はーっと長い溜息が洩れる、マスカラでくるんだ睫毛を指先でちまちまと弄れば、指先に黒い欠片がくっついて――】
【はらはらと指先から擦り落としながら愚痴るのだった。「ひどい話よねえ」なんて、同意を求めてみるような声が続いて】

そうね、……SCARLETの人に勧められたのよ。手っ取り早くお金を稼ぐならってことでね。
でも私には難しいみたいだわ、喧嘩もしたことがないの。そういうのね、面倒臭いじゃない?

【砂の椅子に寄りかかればじゃりと僅かに砂の擦れる音、相手の言葉はなんら間違いもなく、真っ直ぐに正解を射抜いていて】
【勧められて興味は持ってみたが――という辺りだろう。あの能力の乱舞を見る限り、才能のないわけではないようなのだが、】
【如何せんこちらは戦いとは無縁の暮らしっぷり。頑張ったところで、常用するような人に敵うわけもなく――諦めの境地】

使う機会がないのよねえ、室内だと床、壊しちゃうのよ。そんなのいちいち修理してたらキリがないじゃない?
出歩くのもバイトぐらいだもの、危ないところには近づかないわけだし……これでも平和に暮らしてるのよ。

【相手の思ったとおりに作り出される椅子、高さもなんとなく調整されているなら、よっぽど座りづらいわけでもないけれど】
【やっぱり柔軟性に欠ける。座ってみると背中がざりざりするのも分かるだろうし、――立っているよりマシ、程度だった】

腕がもう一本ねえ……、慣れたら便利そうよね。一週間もあればだいぶ慣れそうだわ。

【能力を持つ現状が腕の一本増えた状態だと言うなら、なんだか無駄遣いしている――そんな気はしたのだけれど、】
【どこで活躍させてやればいいのだろう。面倒ごとは嫌で、疲れるのも嫌で、それなら――やっぱり腐らせるしかないのかも】
【肘掛に頬杖吐いて海を見つめるのだった。きらきらと煌く水面は、夜だと言うのにそれなりの明るさがあって――過ごしやすい】
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 00:25:27.63 ID:buQS6ugs0
>>503
「そう、ですね…………何処かの教会で務めているならば、あまり出歩く事は無いかもしれませんが…………
ふふ――――私の務める場所は、人が訪れる事も少ないのでこうしてこの時間でも出歩けるのですよ」

【頓珍漢な返し言葉。然れど誤魔化している風でも無く】
【まあ…………何と無し、この女性が所謂世間知らずである事は分かるであろうか。何しろ、警戒の色合いを少しも見せないのだから】
【よく言えば純粋、だけれど。場合によっては己の命を落としてしまう程に――――愚かな程に、人を信用している面があって】
【修道女という職。懺悔を聞き、人々を手助けするのだから其れで良いという者も居るかも知れないけれど。その優しさ故に命を落とす者だって居るのが世の常で】


「カログリア、と。そう呼んで下さい、カズネ
――――私も、似たような物で…………恥ずかしい話ですが、私が管理している教会では新聞も何もないので…………
時折、こうして情報を得ているのですよ。何が、どの様に動いているのか、と…………得られる情報の殆どに人々の死が関与している事は、悲しいですが…………」

【高名でも無い名。何処ぞの教会の本でも開けばその名が記載されている程度】
【決して明るいとは言えぬ事件の数々に対しては目を伏せる事から、その言葉だって偽りでも無い様で】
【救える命があるならば、一つでも多く救いたい。然れどその力は持っていない。だからこそ、歯痒い】

【閉じられた雑誌。その表紙には、ラグナ―ルの事件についてのまとめや櫻の国で起こった出来事のまとめ】
【そのどちらもこの修道女の知り合いが関与している――――とは、余談であって】


「――――それにしても、魔術師…………ですか?
様々な方々と話しては来ましたが、純粋な魔術師の方とは――――…………?」

【その動作の違和感には気付いたのだろう。でも、何がそう思わせるかまでは分からず】
【魔術師との言葉に対してか、或いはその違和感に対してか。小首を傾げれば、きょとんとした表情】
【それから数秒後の事。自分が持ってきた其れ等を隣に置いていた事に気付けば、いそいそと片付けて】

【やがて其れ等は全て女性の膝の上。微笑を浮かべてどうぞ、なんて言えば座る事を促すけれど】
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 00:37:42.99 ID:9jDX86TLo
>>505

へえ、そうなの……迷える子羊の云々って言うけど場所によりけりなのね
それとも信心の無い者が増えているのかしら?……失礼私には考える必要の無いことだったわ

【何時の時代も神に縋る者がいると思っていたがそうでもないのか】
【尤も自分にとっては神がいようといまいと関係の無い事、だからこそ立ち入る話でもない】
【長い髪を翻しながら腰を降ろす、月明かりは遥か】

カログリア……なーんだ貴方も私と同じってわけね
そして……相変わらず戦いは続いている、か……飽きないわね人間ってのは
私が神様だったらとっくに愛想を尽かして見捨ててる

【自分とは関係のないどこかの戦場で失われている生命を想うカログリア】
【残念な事に自分は他者の死は、縁の無い所の死はただの数字としか捉えられない】
【それを悲しいとも思えないのが、歯がゆい】

ラグナールに櫻……随分派手ね、それこそ火種はどこにでもあるって感じ?
ん……?魔術師といえばそうだけど……そんな珍しいかしら?
ああ、貴方の居る場所柄そうなのかもしれないわね宗教と魔術って微妙に仲悪いから

【カズネが修道女を珍しがるようにカログリアが魔術師を珍しがるのは当たり前なのだろう】
【かといって自分が特別という自覚もない、ただ生まれたままで成長しただけだから】
【魔術師がどんな物かと言われても……それこそ砲撃でも見せるようなアグレッシブな物くらいしか思いつかないのであった】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/04(日) 01:08:08.38 ID:U7rr50M9o
>>504

ですねえ。福利厚生もしっかりしてたら言う事なしです。私も就職考えるかも……喧嘩はそこまで苦手じゃないし。
ただ、アレは嫌ですね。TVの特撮モノなんかだと、悪の女幹部って大概露出の多い派手な服装でしょう。
ボンテージ……でしたっけ? とにかく、そういうの。

……まあ、戦闘が駄目でも研究員とか事務員とか受付嬢とかあると思いますし、多分大丈夫ですよ。

【「たかがバイトだから、って事なんじゃないでしょうか。……まあ、物によりけりですよね」】
【などと無責任な言葉を投げて、悪の組織談義を更に膨らます少女】
【Tシャツにショートパンツも十分露出度高いじゃないか、とは言わぬが花】
【こいつもこいつで至極適当に、気休めなのかなんなのか分からないような事をぬかす。悪の受付嬢とは一体……。】

【釣られて溜め息をこぼしつつ、ポニーテールの先端を弄びながら「全くです」と大いに賛同】
【実は最近遊ぶ金欲しさにバイトを始めようかと内心悩んでいたらしい少女だが】
【女のダウナーな仕種に労働意欲が削がれたらしく、もうしばらくはモラトリアムを満喫しよう、などと思考の端で考える】

ほへー、SCARLETって言ったらエリートさんじゃないですか。
そんな正義の味方みたいなひとにそう勧められたって事は、才能アリって事なんじゃないでしょうか?
まあ、気持ちはよーく分かりますけどね。喧嘩なんて自分から吹っ掛けるものでもありませんし。

【などと軽い調子で女をおだてる少女だったが、実際半分は本気のようだ】
【さしたる時間もかけず、崩れやすい浜辺の砂で、人が座れるだけの強度を備えた椅子を(座り心地は置いておいて)作るというのは】
【地味ながら凄い事だ、と考えたのだろう。これで全く使っていなかったというのだから、鍛えれば、とも】

ああ……それは確かに、不便ですよねえ。インドア派の人とかだと余計に。
……能力を使う機会。そうですねえ。ガーデニングやってみるとか、どうです?
花壇作りって意外に重労働ですけど、お姉さんの能力ならわりかし簡単にできそうですし。

【が、無理して危険に首を突っ込むような事を他人に求めるのも何だかなあ、と首を傾げ傾げ考えた結果】
【出てきた答えは、何だか突拍子もないものだった。まあ、危なくはないのだろうが】
【もっとも言い出しっぺ当人は良案だと思っているらしく、家庭菜園なら実用性もありますよ、等と呑気に続けて】

508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 01:10:39.33 ID:buQS6ugs0
>>506
「それもあるかもしれません――――でも。信徒であろうと無かろうと、救えるならば其れで良いと思って居ますよ
信仰は自由で…………信仰しているからこそ優先的に救われる、という世界もまた異なる様な気がします
全てが異なって居たとしても、命のみは全て平等ですから…………例え信心が無い方が増えたとしても、それだけはきっと変わらない筈です」

【神を否定したところで、この修道女は怒る事は無い。言葉の通り、信仰は自由。そして他国でもまた別な存在を信仰する人々が居るから】
【理解して、認めているからこそだ。そして誰であろうと命は一つだけ。だから。だからこそ、争いで散って行く事が悲しくて】
【死ねば終わりだ。其れにも関わらず、争いは絶えない。――――所か、日々激しさを増しているような気さえするのだ】


「そうてすね。これまでの歴史の中で沢山殺め、それでも同じ事を繰り返しているのですから……何とも、可笑しな話ですが
見捨てられても、まだ其処に命が残っているなら。きっと、また振り向いてくれる機会を作れるはずです
――――本当に神が、主が見捨てていたとしても…………まだ、私の命が続くなら―――――――……

――すみません。こんなに月が綺麗な夜なのですから…………この様な話をしていては気が滅入ってしまいますね」

【神が見捨てても、もう救いの手を差し伸べなくなっても。自分の命が続く限りは人々を救い続けたい】
【愚か。世を知らなすぎる。無意味な行為。様々な言葉を並べられようとも、その考えはきっと変わらなくて】
【その言葉を追えれば、不意に笑った。例え本心であったとしても、態々人に言う物でも無い】
【褒められたくてしている事でも無いのだ。ただ、自分がしたいからそうしているだけ。…………今までの言葉を忘れてくれとでも告げる様に、柔らかに笑んで】


「鉄の国等、本当に何時何処が戦場となっても可笑しくない事になっています
――――ですが、カズネの言ったその二件には私の知り合いが関与しているのでどうしても気になって…………

確かに魔術を否定する教会も存在はしています。でも……私の所属している教会は容認をしています
悪魔に対抗する術の一つとして魔術を専門に扱う方も居るのですが――――その…………余り、外を出歩く機会も少なくて
櫻の巫女やメイドの方等々様々な職種の方々と会っては居たのですけど…………カズネの様に純粋な魔術を扱う方は、教会の外では珍しくて――――
……そう言えば、カズネは何をしていたのですか?」

【悪魔に対抗。その言葉から分かるとおり、ただ人々を救うだけでは無いのだろう。悪魔を打ち倒すのも、またこの女性の所属する教会の役目】
【――――とは言え。この女性自身は戦闘能力が皆無と表しても良い事は、その動作の節々から分かるか】

【様々な者達と友人になった。そしてその誰もが、自分よりも遙かに優れた者達で】
【引き籠もりでも無いけれど。教会の外を出歩く事は本当に少ない。だから、今日この場で姿を見たことだって珍しく】
【言葉を続けようとしてふと浮かび上がる疑問。自分とそう歳が離れている様にも見えない相手が何故俗世離れをしていたのだろうか、何て事】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/04(日) 01:24:51.34 ID:vABp15a60
>>507

【はふうと気だるげに溜息を吐くような空気を波音が飾っている、そんな空気は、なんだか不思議と快いようで】
【少なくとも彼女にとっては心地よい状態だった。相手はどう思っているのか――そんなこと、考えてはいなくって】
【けれど。相手も気楽に過ごしてくれているなら、きっと彼女だってそれがいいのだった。――まあ、余談だ】

残業とか要らないわよね、残業代が出るならせめて許すけど……サー残なんて論外だわ。
……ああ、そうね、ああいう服着ないといけないのかしら? それならやめようかしら……、

私疎むほどじゃないけれど胸がないのよね。もう少しあったっていいと思わない? まあ、使わないんだけれど。

【あ゛あ゛あ゛と洩れる声、それなら――彼女のバイト先の残業事情が透けて見えるよう。もちろん? サー残がメインで】
【それから余計に気だるくなるのは服のこと。アレが制服だったりしたなら――どうしたってやる気がそがれてしまうから】
【そして椅子に寄りかかって胸元に触れる。分かりづらい服をしているか、まあ……Cぐらいだろうか。その膨らみの豊かさは】
【確かにもう少しあったって許されると思うレベルで。掌にちょっと余るぐらいでは、ボンテージの類は似合わないだろうから】

【――けれど、こんだけだうんとしながらでも、バイトをやめないというのが彼女だった。こんなに言うなら、やめればいいのに】
【そうならない事情があるのか、実際は口だけで本当はお仕事が好きなのか。それ以外かもしれないけれど――そこは、未だ不明なまま】

そうよ、喧嘩を自分から売るほど暇でも馬鹿でもないの。怪我なんてして御覧なさいな、病院代まで掛かるじゃない?
バイトに支障が出てクビなんてことになったら最悪よ、そりゃあ、賞金稼ぎみたいに生きていけば、バイトなんて要らないんでしょうけど……。
今の私には気楽に働けるバイト環境が一番お似合いだわ。命のやり取りなんてごめんなの、彼には悪いけれど――。

【そっと足を組めば太ももの柔らかそうなのが覗く、あんまりに気にしていない様子なのは、相手が同性だからという安心感か】
【考えれば考えるほどに勧められた道に進めそうにはなかった。それならやっぱりちまちま稼ぐしかないのだろうか、また溜息が落ちて】
【「才能ねえ、きっとないわ」なんて、煽てられても乗らないまま。そんなところまで、やる気のないままで――】

あら、うち鉢植えならたくさんあるのよ。ほとんど薔薇だけれど……、後はそうねえ、ハーブとかが育ってるわ。
私ってば緑の指の持ち主なの、適当に植えても育っちゃうから困るのよねえ――これも能力のせいかしら?

花壇は作ったことがないの、庭は無いのよ。残念だけれど……、そういう仕事でもすればいいのかしら。
ああ、園芸センターで働いてるのよ。でも花壇を作る機会はないわね、店の花壇をたまに植え替えたりはするけれど……。

【体を緩やかに前傾させる、肘掛に肘をついて、指を絡ませるようにして、その上に顎を乗せて――にまり、笑ったなら】
【既に実行済みですとでも言うような態度だった。あんなに薔薇を咲かせておいて、まだ育てるのかというのもあったけれど、】
【緑の指――植物を育てるのが上手い人のことを指す言葉。ひらりと揺らしてみた指は、ちょっぴり日焼けした色】

【――そしてバイト先というのも花関連だった。花屋をもう少し地味に広く浅くしてみたような形態の店、そこが彼女の仕事場で】
【けれどやることなんて花や草の苗を売ったり種を売ったり。花壇作りは――残念ながら、やったことがないから】
【「機会があればいいんだけどね」なんて言葉が続いて、締めくくられた。言葉のお終いを、ざあんと波音が彩って――】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 01:51:24.03 ID:9jDX86TLo
>>508

あら意外……そういう職の人って先ず「信仰」が第一とばかり思ってた
信仰するならば良ししないならば[ピーーー]……みたいな?でもそうじゃないのね

【思い浮かぶのが狂信者めいた何かというのは、随分と偏った考えだ】
【基本的に自分の工房に篭もりっきりの魔術師は存外そういう物なのだろう】
【そういった見方をされる側からすればたまったものではないが】

人の歴史は戦いの歴史、今更それを否定したら今の自分を否定することになるわ
救いがあるかは別の話としてだけどね……でも、アンタ……
……こう言うのも難だけどアンタの行いは尊いと思う、自分が窮地に陥って尚その考えを貫けるなら――――――――

【「それこそ聖人」とカズネは最後までは言わなかった】
【聖人とは英雄と同じと言っても過言ではない、即ち人から外れる事だ】
【そうなってしまえば……その末路は大抵が悲惨だ、そしてそれではあまりにも救いがない】

えっ!?何それアンタの知り合いが関わってるの?……ふーん、存外荒っぽい知り合いも居るのね
気になるなるっていうのはソレが理由なんだ、でも確かにアンタが戦場に居るってのは想像したくないし

……悪魔か、いっそそっちで滅ぼして貰った方がよかったかもね……ああ独り言よ独り言

【関与しているという言葉の意味が正義か悪かそのどちらであるかは聞かなかった】
【というよりも聞く必要もないか、こんな聖人めいた彼女があちらがわの人間と知り合いなんて有り得まい】
【仮にそうだとしたら大した役者だ、無論その知人の方が……という話で】

うえっ……何をしてたって……そりゃあね?
うん、遺跡発掘専門の学術的な魔術師かしら……ま、私の場合はちょっと尖ってて砲撃とかも得意だけどね
今はただの旅の渡り鳥よ……見聞広げの為の〜って感じ、ありふれてるでしょ?

【自分の素性、というか理由を聞かれるとはと少し狼狽えてしまった】
【別段大した事ではないけれど魔術師というのは根源的には秘匿する分野である】
【当たり障りない程度に言葉を選ぶ、でも今はそんな使命は持っていない……そうただの旅人】

【肩の荷に何があるかも定かではない流浪の民に他ならなかった】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 02:26:12.19 ID:buQS6ugs0
>>510

「勿論、信仰は私の中でも特に重要な位置にあります。…………ですが、其れを押しつけても独りよがりの他意味はありませんから
――――きっと、その方が世の中だって良くなるはずです。信仰も大切ですが、何よりも人を救うことこそが私には…………」

【狂信者については否定の言葉が無かった。即ち静かな肯定。信徒だって様々】
【押しつける者。否定するならば直ぐにでも殺そうとする者。結局は信仰している者達だって人間なのだ】
【どの様な思惑を持って居たって、不思議では無い】
【そして、その信仰よりも人々を救うことを優先としている。その考えは、信徒によっは顔を顰めかねない言葉ではあったが】


「それで、誰かを救えるならば。私はこの命が尽きるその時まで、貫き通します
例え私が死んでも救えるのなら、それで…………また、私も救われるのですから
――――人に言えば笑われてしまうのは分かっています。綺麗事、と罵られる事も理解して居ます。でも…………」

【銀、とは冷たい色だ。何処か近寄りがたくも思えるし、まるで刃物のような鋭さも持った色】
【それでも、この女性の銀色は暖かく。献身的とでも表そうか。過ぎた自己犠牲とでも例えようか】
【他者に理解して貰わなくても良いのだ。自分が正しいと思った事なのだから、笑われた所で考えを改める事も無い】
【――――ス、と細められた銀の瞳。何を幻視しているのかは分からないけれど、隣に座るカズネに向けた微笑は崩れず】


「荒っぽい、ですか。言い得て妙とでも言いますか…………
ですが、実際はとても優しい方々なのですよ。――――筈、なのです

私が行ったところで、足手まといになってしまう事は自覚していますから
治癒をする方々も間に合っている様ですから、私の役目としては…………こうして、時折情報を入れる事くらいしか…………
…………その口振りからすると、カズネは悪魔に会った事があるのですか?」

【荒っぽい。一部は確かにそうなのかもしれないとクツリ、と笑った】
【だけれど。もし、視線を逸らしていなかったら。僅かに表情が曇った事も分かるであろうか】
【続けた言葉といい、悪の側にもまた知り合いが居た事を告げる様。尤も、それを知ったところでこの場が何か変化する訳でも無いし、何よりも本当に一瞬の事で】
【カズネが悪魔に対して漏らした言葉は、聞き逃さなかった。だからこそ、“独り言”が気になって】


「遺跡……?――――カズネは凄いのですね。私は遺跡を見たところで何も分からなくて…………
その、本とかを見てもあまり理解出来ず…………

旅の渡り鳥とは随分と格好いい仕事をしているのですね?
いえ、とても重要な理由だと思いますよ?考え方が広がればそれだけ色々な事も分かりますから
ですが…………私の話なんかが、カズネの見聞を広げる少しの糧にでも出来るでしょうか?」

【そう学がある訳でも無い。だから、若干赤面して気恥ずかしそうに言えば改めて遺跡とやらのの凄さでも実感したのだろう】
【コホンと一度咳払いすれば仕切り直し。からかうかの様に告げれば、膝の上の雑誌へと視線を落として】
【そんな自分の話なんかが果たして何かの役に立ってくれるだろか――――特に、専門的な事を教えられる訳でも無く】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/04(日) 02:53:51.73 ID:vABp15a60
>>507>>509
/すいません、眠気がひどいのでお先に休ませていただきます……
/明日に持ち越していただけたらと思うのですが、明後日の朝が早いのであんまり時間は取れないかな、と
/なんでしたら適当にお話して切ったことにしていただけたらありがたいです、ひとまずおつかれさまでした!
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/04(日) 02:54:23.09 ID:U7rr50M9o
>>509

【先程の勘違いの際の機敏さが嘘のように、だらんと背もたれに身体を預ける少女】
【彼女もまた、忙しなく過ごすよりかはこうしてのんびりとしているのが性に合っているようで】

あー、どうなんでしょうねそこんトコ。ちゃんと定時に帰れるのかなあ。
怪人が一匹やられる度に見えないところで始末書書かされてるとかだったらやだなあ……。

あの服装はセクハラですよね。悪の親玉ってみんなああいう趣味なんでしょうか。
……胸、ですか。私はいいですね、これ以上は。今でさえクラスメイトによく揉まれますし、ありすぎても肩とか凝りそうですし。

【並々ならぬサービス残業への怨念を感じて、大変なのだなあ、と遠い目で頷きつつ】
【明日はわが身かも知れないと考えると、何だか寒気がするようで身震いを一つ】
【こちらも胸に手をやって、何やら思案顔で小さく唸り。「E……いや、D?」なんてぼやいている】

まあ、確かに。そういう職業のひとってぱっと見は華々しいですけれども、実際は綱渡りですもんね。
命もそうなんですけど何かと経費も掛かるそうで、純利益100%、って訳にはいかないらしい、とか。

バイトと両立するなんて、よっぽどの人じゃないと無理そうな感じ、しますよ。

【肩を竦めて、知ったような事を言う少女。結論としては、生半可な気持ちで手を出すべきではない、といったところか】
【実際、本当に才能だけでどうにかなる世界なのなら、SCARLETやUTがそこまで持て囃される事もないだろう】
【そういった世情に疎い少女にも、それくらいは分かる。冗談半分に言った手前】
【相手がもし乗り気になったらどうしよう、と若干心配だったようで、こぼす溜め息はどこか安堵したようなもので】

……えっ。マジですか? これは釈迦に説法ってやつでしたね、失礼しました。
でも、趣味が仕事ってのはちょっと羨ましいなあ……いや、そこまで打ち込んでる事があるわけでもないんですけど。

【次いで返された言葉には、意表を突かれたのかしばし目を大きく見開いて】
【どことなく得意気な相手の態度に、やられたなあ、とばかりに目元を覆い、大仰に天を仰いで苦笑い】
【仕事について散々に愚痴りながらも止めずにいるのは、ひょっとしなくても花が好きだから、なのか】
【──とは思ったものの、敢えて口には出さない】

ああ、申し遅れました。私、深山葵(みやま あおい)っていいます。
櫻の方から大陸にでてきて、今はこっちで学生やってます。
植物に詳しいお姉さんなら気付いたかもですけど、昔から名前と姓をもじったあだ名で呼ばれてまして……。
私は嫌だって言うんですけど、皆大抵は辛口だからぴったりだ、なんて言って取り合ってくれないんですよ。

……ですからお姉さんは、葵、もしくは葵ちゃん、でお願いしますね。

【「機会があればいいですね」、波音を聞きながら鸚鵡返しにそう言って、目を細めて屈託なく笑う】
【相手も汗が引いてきた頃だろうし、もうそろそろか。そんな事をぼんやりと考えて、思い出したように自己紹介】
【本人はしきりに呼ぶな呼ぶなと(どうやらフリではないらしい)言っているが】
【清流に咲く白い花──鼻につんとくる、最初にわの付く香辛料の名前は、成程この少女にはどことなく、しっくりくるかも知れなかった】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 02:56:39.68 ID:9jDX86TLo
>>511

――――――――……

【鋭い銀の瞳、卑しいように自分の瞳は錆びた色】
【別に後ろめたい事があるのではないが思わず目をそらしてしまう】
【微笑みさえもどこか胸を締め付けるように、思えてしまって……】

治癒役もいるんだ……れっきとした部隊って感じそりゃ時代の一勢力にもなるか
ね?悪魔ね、うん少し前に何の因果か出会っちゃってね……
でも結局その悪魔さえも善だか悪だか分かんないまま……まあ、もう閉じた話よ多分ね

【古くから教会が存在出来た理由は結局は組織として強いからなのだろう】
【弱肉強食の理論は例えどんな世界だろうとも適用されるものだ、原始的な世界ならば尚の事】
【そして天使でも例え悪魔でも同じ事なのかもしれない……物憂げに語る】

うーん……色々あってね、調査とかは現状ホソボソとやってるだけよ
それに格好良くなんてないわよ、だってそれは結局留まる枝を見つけられなかったってだけだから

ふふ、ばか言っちゃいけないわ現状の勢力についての事は多分貴方の方が知識が有るはずよ
善でも悪でもどっちでもいいわ、今戦いを起こしてる連中とそれに抗う連中……大雑把でいいから教えて欲しいかな
怪しいと思うかしら?確かにただの渡り鳥が知るべきじゃないかもね、まあその辺りは私にも考えがあるってことで許して

【くつくつと浮かべる笑み、貴方の価値は貴方が決めるのではないと】
【卑下するようなことでもないし何よりも善人という文字をそのまま人間にしたような彼女】
【その在り方は尊いのだと、カズネは言わずして語るのだった】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/04(日) 02:57:28.50 ID:U7rr50M9o
>>512
/では一応>>513のレスで締められるような感じにはしておきましたので、後はそちらにお任せいたします
/煮るなり焼くなりなんなりと……お待たせしてすみません、お疲れさまでした
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 03:30:38.14 ID:buQS6ugs0
>>514
「教会と一つの言葉だけでも、実際には沢山の組織が中にはありますから…………
その中で、私の属する教会は色々と分けられていて――――……いえ、これはまた何時かの機会にしましょう

終えた事ならば、深くは聞きません。ですが、もし困った時が来たならば――――微力ながら、カズネのお手伝いをさせて下さい」

【教会といえど、沢山の派閥も存在する。宗派の異なりもあるだろうか】
【その中でもこの女性の属する其処は、戦闘に長けた舞台も存在するのだが今宵は明かす事無く】
【代わりとして、もし困った事があれば何か手伝わせて欲しいと。無論、その言葉は悪魔に関しても含まれて居るのだろうが】
【それに限らず、多方面に於いて、だ。些細な事であろうと、この修道女は言葉通り力になろうとする事だろう】


「見つけられなかったと言うよりも…………まだ、その時では無いだけですよ
こうしてカズネと話す事が出来たのもまだ見つからなかったからで――――そして、自分の考えを広められる機会も出来て
カズネならば何時かは絶対見つかる筈ですから…………その時は、カズネの見つけた枝の話、聞かせて下さいね?」

【見つからなかったから、こうして今宵話す事が出来た。喜んで良いのか悪いのか、複雑な所だが】
【カログリア、という個人から考えれば間違い無く良い事なのだ。延ばして延ばして考えれば、人の不幸を喜ぶような其れにも似ているから口には出せないのだが】
【――――まだ、大人になりきれていない女。友人に似た存在が出来た事に対し、喜んでしまうのは無理も無い事か】

【何時か、カズネの探す物が見つかったときは。其れについての話を聞かせて欲しい、と】
【聞いた所で理解は出来ないのだろうけれど…………それでも、聞いてみたいのだろう】
【自分なりに理解してみたい。どうして彼女が、其処を選んだのだろう――――まだ見えぬ未来の話だが、些細な約束】


「そう、でしょうか?…………では、少しだけ胸を張ってみましょう
――――怪しいとは思いませんよ。それに、渡るためには少しでも風の情報を入れておいた方が良いと思いますから
私も、まだ多くは掴みきってはいませんが…………」

【やがて語られるのは、自分の知りうる事だけだ】
【ゼン=カイマ。フレデリックを始めとする者達による宗教についての争い。言葉のみで無く、実際に血が流れている事。――――対抗する勢力にもまた教会が在り】
【どちらが悪か、其れは分からない。或いは元より悪が無いのかも知れない。そう付け加え】
【その折りにカノッサが関係したラグナ―ルについても大まかに話したが、何処か表情が曇り。最後には友人伝で話を聞いている事で締め】

【櫻の方に関しては有る日を境に現れた一匹の妖怪が殺戮を繰り返している事】
【女も子供も妖怪も関係無く、戯れに殺す――――妖怪、というにも力を持ちすぎた存在】
【付け加えるのは、彼女は以前まで真逆の正確であった事。命を奪うことを拒絶して、人間と妖怪との共存を望んでいたこと】
【力を持ちすぎれば、害を与えすぎればやがては殺される対象だ。知り合いであったその妖怪が今まさに討伐の対象となっている事を告げ】

【其処からはGIFT、SCARLET、そして以前までカズネの居たUT等の勢力の話へと移るか】
【SCARLETを除き、他二つは接触した事が無く、実際にはどの様な者達が居るのかは分からないけれど。伝えた情報は確かであって】
【――――小首を傾げたのは、これで分かって貰えただろうか。そんな不安を誤魔化す為でもあるのだろう】
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 04:04:31.26 ID:9jDX86TLo
>>516

いつか見つかる……物なのかしらねえ、未だ懐疑的だけど
ま、そう言うなら適当に探してみるわ元よりそういう旅だしね、あればいいけど……

【未だそれは遠い、蜃気楼のようなものだ在るかどうかさえ定かではない】
【それでも目の前が暗いからといって歩みを止めるようではいけないのだろう】
【不安に苛まれながらも進むのが人生というものなのかもしれないのだから】

宗教か……歴史は繰り返すというか人間も相変わらず飽きないものねえ
さっきの話とまるっきりそっくり、教会も一枚岩ではない……ということかしら、ついでに機関連中も一枚噛んでるか
……ん?……ラグナールの時に何かあったのかしら、そういう表情をされちゃうと気になるわ、ね?カログリア?

【こちらの戦いはどうやら単純な組織対立ではないらしい】
【機関も関わっているとすれば相当に絡み合った状況、或いは機関が煽動か裏で手を引いているか】
【何にせよこの世の影に機関ありだ疑うまでいかずとも想像を膨らませる価値はあるだろう】

【彼女の話す折、曇った表情がやはり気になった】
【「友人」に関係しているかは分からない、ただかの戦いの事柄に関してはあからさまに違う】
【濁った瞳は内臓を見透すようにカログリアに向けられる、それは乾いた血の色にも似ている】

で、懐かしき故郷では妖怪騒動……と
まあ、そういう生き物だし仕方ないけど大き過ぎるなら修正が必要かもね……、役目は私じゃないだろうけど
でも元はそういう性格じゃないってのがまた……封じられていたのが露わになったか、反転したか
……それでその妖怪さんもお知り合いなのかしら、交友関係が随分手広いのね

【種族が違う者、それが元より人に害を成すならば摂理だ】
【そこには何の疑いもない……が、やはり何処かしらに異質さがある】
【所詮推測の域を出ないが、何が裏にあるやら……】

あとは……ま、それなりにってところかしら?セリーナがどう出るかは知らないけどね
ああ、ありがとカログリア十分過ぎる情報よ、枠がどんなのかは想像出来たし
お礼は思いつかないけど今度会った時にでも返すわ、期待し過ぎると損するかもだけどねっ

【入力された情報を処理する、機械的な動作】
【と、それは後でも出来る今は礼を返すのが正しい姿だ】
【しゃりんとアクササリーを鳴らし柔和に頭を下げる、ただその行動にも裏があるように思えるのは魔術師であるからか】
【淀んだ赤は、それだけ見れば乾いた血色で或いは凶兆なのかもしれないのだから】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 04:42:23.86 ID:buQS6ugs0
>>517
「カノッサが何処まで関与しているのかは、私にもまだ分かりません。友人から聞いたのみで、実際に行った事はありませんから…………
ですが、本当にカノッサが関与しているなら――――…………

友人の一人が、その場に居た、と。カノッサの方に居たとの話を聞いて
――――ただの空似の可能性だって十分有ります。実際に私が見たわけでも無いので、ただ思い込んでいるだけの可能性だってあります
だけど、私がその友人に受けとっもらった物がその手にあった…………となれば…………」

【今回の騒動。その口振りからして、自分の所属する教会はその勢力とは敵対しているのだろう】
【何処までが本当の事なのかも分からない。何処まで信じて良いのかも分からない】
【ふと、視線を上げてみれば。カズネの双眸が向けらた事に気付いて】

【心配、なのだろう。カノッサに居た事に対して憤りを覚えた訳でも無く、純粋に心配をしているのだろう】
【元より敵味方関係無く救おうとするのだ。なれば、友人相手となればそんな表情を浮かべるのも仕方ない話】
【その一件が書かれた雑誌を持って居たのも、少しでも情報を得るため。その場では何が起きていたのか、と】
【件の場所へと向かった同じ教会の友人だって、全ては話してくれていない筈だから】


「故郷――――?カズネは櫻の国の生まれでしたか
私も、その一件に関しては詳しくなくて…………ちゆりと呼ばれる巫女とも顔見知りではあったのですが、ある日を境に連絡を取れなくなってしまい、困っている所なのです
討伐しなくも済む他の方法を探そうにも、彼女が居なければ何も…………
――――ええ。一度だけ、会った事が。あちらは覚えているかも怪しいですが…………」

【妖怪の事ならば巫女が詳しいであろう。故に連絡を取ってどうにかしようにも――――肝心の相手が音信不通なのだから手詰まり】
【どうにかして殺される事だけは避けてやりたい。だが、その方法を知るであろう相手は何処に居るかも分からない】
【積もるのは焦燥感のみで】


「お礼を求めてした事では無いので不要ですよ。強いて言うならば、カズネのその言葉をお礼代わりとして受け取らせて下さい
…………さて。そろそろ良い時間でしょうか。教会で帰りを待っている子が一匹だけ居ますから……私はそろそろ失礼しますね
カズネ。どうか無理だけはしないで下さいね?
では――――また、何時か。それまで、お元気で」

【善意に対しての礼など不要である。どうしてもと言うならば、感謝の言葉を其れとする】
【――――最初から最後まで善意の塊。其処に漬け込む者に何時命を奪われても可笑しくない程に、だ】

【兎にも角にも、もう良い時間。立ち上がり、雑誌を薄い胸に抱えたならば向き直って】
【一匹、という表現からして帰りを待つのは動物か何かであろうか】
【最後には、カズネの安全と再会を願う言葉。告げ終われば、修道女の姿もやがては消え失せるのだろう】

/っと、眠気が強くなってきましたのでこの辺りで失礼させて頂きたく……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!また機会がありましたら是非っ!
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 05:37:18.99 ID:9jDX86TLo
>>518

敵である可能性もある……って事ね
何が目的かは流石に分からないけど……もし会ったらアンタの事伝えておくわ
お節介かもしれないけど、そっちの方がいいでしょう?何もしないよりは……ね

【優しさは虐げられている者にとっては幸いである】
【しかしそれは諸刃の刃に違いなく、カログリアの危うさはそこにあるのだろうと】
【……初対面の自分が考えて良い内容ではないな、と吐息】

生まれたってだけだから思い入れもそれほど無いんだけどね
妖怪には退魔師ね、だけど思い通りにはいかないものなのかしら……
そろそろ大きな戦いがありそうな気がするわ、どんな顛末を迎えるかは……分からないけど

【焦燥感は導火線に火が点いたようにジワリとしかし確実に這い寄る】
【待つだけしか出来ない彼女にとってそれはどれ程の毒なのだろうか】
【無実は苛むように、戦いは広がるだけ】

アンタってばどこまでも「まとも」ね、ホント凄い……
でも――――――こんな世の中だしそれくらいの人間が居たほうが帳尻があっていいのかもね
うん、じゃあねそっちもそっちで気を付けて聞く所によると教会っていうのも一枚岩ではないみたいだから

【自分とは丸っきり違う人種、共感を得るには未だ掛かるかもしれない】
【遠いということは即ち理解が届かないという事だから、自分の頭脳はこういう時には役立たずだ】
【ひらひらと掌を振り去りゆく姿に別れを告げる、優しいその背中に】

さて、方針はある程度は決まったから……また飛び立とうかしらね
………ふああ、でもその前に宿に行って寝るかなー瞼が重たい……

【この後、如何な戦地に身を投じるかはカズネの選択次第】
【だけど今は身体を休める、仮初の枝はどこにでもあるのだから】

/お疲れ様でした!
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 16:09:09.63 ID:HvfoZkDMo
【路地裏】


【タ、タ、と小走りで駆ける音が壁際で止まった】
【表通りから少し外れた路地裏の中、影に潜むようにして、彼は呼吸を整える】
【離れた所から誰かの怒鳴り声が聞こえて来るが――そんなことは知ったことではなかった】

【かさ、ひっつかんできた物を持ち上げる。封を切ると、中身を取り出した。甘い匂いが広がる】
【怒号とは逆方向に歩きながらそれを一口齧る。少年がもぐもぐ咀嚼しているのは、メロンパンだった】


……さすがにこれだけじゃ、お腹いっぱいにはならないかな


【パンの袋を握って小さくすると適当にぽいと捨てて、また一口齧る】
【路地裏に入る直前の少年を見ていたならわかるかもしれない】
【少年が行ったこと――それは紛れもなく万引き、というやつで】


……もうちょっと盗ってこようか


【一個目のパンを食べ終え、別の袋からメロンパンを取り出して、食べる】
【零れた独り言は、されど淀みがない。もしかすると常習化している可能性もあって】

【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた】

【そんな――暗い顔の少年は、口を動かしつつ路地裏を進んでゆく】
【彼の足を止めるとすればそれは一体――何なのだろうか】





【所変わって櫻の国――どこかの村】


【ずるずるずるずる――何か重いものを引きずる音が、村の外から聞こえて来る】
【人口もそれなりの村があった。ここはその入り口で、隣町への道がまっすぐに伸びるのが見える】
【村の境には瓦屋根の小さな門があり、ずるずると引きずる音はその少し向こう側から聞こえて来るようだった】
【もし、そんな門の向こうを見たならば小柄な影が見えることだろう】

【その正体は精悍な顔つきの少女だった。デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳をしている】
【薄い緑色のTシャツの背には肉球があたいにもっと輝けと囁いている≠ニいう意味不明なフレーズが印字され】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】


お〜に〜く〜、に〜くにくにく、お〜に〜く〜


【音程というものをまるで無視した画期的な鼻歌を陽気に歌いながら歩いてくる猫少女】
【どうやら後ろには大きな塊があるようで、それがずるずると音を立てているようだった】


にゃは、誰かにご飯作ってもーらおっと!


【開きっぱなしになっている門をくぐる。くるりと身を翻すと、その大きな塊に目を向ける】
【視線の先にあるのは――立派ないのししだった。狩りでもしてきたのだろうか】

【声を弾ませると再びいのししの牙を掴み、人の多そうな場所へ向かおうとするのだろう】
【だが、もしも誰かに声を掛けられれば――彼女はきっと、そちらに意識を傾けるはずだ】

/上下で別々の投下文です!
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 18:19:27.37 ID:HvfoZkDMo
//>>520はまだ募集中だったり…
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 18:39:46.35 ID:f4qfIxBso
>>520

【――何かが後方から猛スピードで接近してくる音が、気配が、するだろう】
【獣とか化け物とか、そういう類のものの様な気がするかもしれないが、現実は違っていた】

「ヘッキャアーーッ!!」

【それはガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

「飯だァァアアーーーーッ!!」 「そいつをよこせェーッ!!」

【少女に向けて一直線に走ってきた彼、下手な短距離走者なんかよりよっぽど速く、その速度で結構な距離を走ってきていた様な気がするがそれはともかく】
【もし少女にある程度(5m位)近づくことに成功すれば、そのイノシシに向けて飛び込んでくるだろう】
【……捕まえようとでもしているのだろうか、既に狩られた後のそれを】

【声も大きいし、気配も十分。対策法は幾らでもあるだろうし、カウンター(?)も容易だ】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 18:52:12.26 ID:HvfoZkDMo
>>522

【ずるずるずる――獣の轍を作りながら、彼女は歩いていた】
【この大きさならばある程度人がいなければ食べきれないだろう】
【イノシシと言えばやはり鍋だ。大人数に適した料理、作ってくれる人はいるだろうか】
【――なんて思考を巡らせながら】


――?


【ふと、人間のそれとは比べ物にならない程の性能を有する耳がぴくりと動く】
【上機嫌で緩んだ顔を疾走の音の方へと向けると、彼女は首を傾げるのだろう】
【ある程度男が接近してから、彼が放った言葉に不味い≠ニいう表情を浮かべ】


誰がやるかぁ――――ッ!


【飛び込んで来る彼の顔面目掛けて飛び蹴りを放とうとするだろう】
【その反応速度は尋常ではなく、軽く男の速度に合わせられているはずだ】
【速さだけなら、彼女が人間離れしていると感じるかもしれない】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 19:05:50.40 ID:f4qfIxBso
>>523

「だが残念だけどいただくz……ひでぶ!」

【それはそれはもう綺麗に決まる飛び蹴り。飛び込んでいたので余計に衝撃も強かった】
【空中で一回転しつつうつ伏せ状態で落下、顔の脇から血が流れていてピクピクしていてこれはマズい】

「――……くッ、やるなァーッ!」

【数秒経っての起き上がらず気絶したのだろうか……と思いきや、あっさり起き上がってきてこう言い放つのだろう】
【……少なくとも、マトモな人間ではないのは確かだ……身体的にも精神的にも、とにかくいろいろな意味で】
【彼は顔を右腕で一拭いすると、落ちていた前歯をとりあえず元の位置に差し込んで】

「でもよォー、そォーんな良い肉見つけたらよォー、普通食いたくならねェーかァー?」
「なァー、この位で良いからよォー」

【……そしてこの言い訳である。】 【指で示したこのくらいはおおよそ"四分の三"の量である、なんてやつだ】
【先程の蹴りを受けてもなお半分以上奪おうとしている様子だが……今のところ、強引な手段には出ない様子】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 19:08:42.28 ID:f4qfIxBso
>>524
/誤字です、「数秒経って"も"」です
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/04(日) 19:30:38.30 ID:ZwOgzNE1o
【夕刻――聖都スラウロット=z
【世界で最も、と称しても偽りのない聖なる地。その教会地区は酷い騒乱に襲われていた】

【事の発端は僅かに一人の侵入者だった。彼は堅牢な城門など】
【まるで象が石ころを一切気にせず道を進むかのようにして――さも当然のように】
【その内部、防衛の真っ只中に現れたのである。彼の名は、フレデリック・シャリエール】

【昼の国、宗教都市ゼン=カイマの大司教にして同都市の第三近衛騎士団の長】
【鉄の意志と頑強な肉体を持ち、知謀は深く、恐ろしいまでの槍の使い手であり】
【常日頃からの厳しい表情と艶やかな黒髪が特徴的な、30を手前にした男だった】

【簡略に事の次第を記すが――彼は防衛の只中に現れるや、強烈な術を炸裂させた】
【周囲一帯に雷撃を落とし、大砲やバリスタの類はこれもまた術で爆破した上】

【斬り掛かってくる僧兵は、その尽くを手にした宝槍・カテドラルの錆とした】
【あるものは胸を刺し貫かれ、またある者は胴と下肢を分断されて死に至った】
【やがて眼に入るもの全てが血潮に満ちると、彼は城門をも破壊し】

【これによって外部で待機していたゼン=カイマの騎士たちがスラウロット内部に侵入】
【混乱はより一層濃度を増し、各所で迸る血飛沫も何処が聖地かと疑いたくなる程になっていた】


【――格別、この状況の中で混乱し動揺したのは一部の司教たちであった】
【言うまでもなく、彼らは一度フレデリックによって捕まった悪司教≠ナある】

【彼らの罪状は重い。栄誉と責務を共に負うはずの彼らは、護るべき戒律を踏みにじり】
【酒食に耽り、女淫の業に没頭し、金を集め、清貧とは程遠い事をしていたのである】
【そもそもどうしてフレデリックという男が武力を持って各地を巡礼する≠フか、といえば】

【ハッキリ言って、彼らのような人間のクズ≠駆逐するためだった、というのが実際の所だろう】
【無論、悪者は彼らだけではない。各地には同じようなことをする人間が多くいるわけで】
【その全てをこのスラウロットに追い込む事、そしてそれを誅戮――いや、罰する事が】
【フレデリック・シャリエールという男の、執念にも似た行動理由であった】

【では何故そのようなことをするのか、その一点に限っていえば、分からない】
【彼は誰にもそれを語らなかったし、大方の人間は激情的な彼の血のせいだろうと言った】
【それが事実かもしれなかったが――理由を知るものはただ一人居るが――今は、関係ない】


【フレデリックの、そしてゼン=カイマの騎士たちの侵入によって戦乱は広がり】
【この自体を危惧していたスラウロットの司教・大司教らは能力者に指示を下す】

【命は司教の護衛≠ナある。場所はそれぞれ分かれていて、期限は戦乱が去るまで】
【同時にゼン=カイマの主力達に下された命は司教の誅戮もしくは捕縛≠ナあり】
【その衝突も既に秒読みと見て良いだろう。当の騎士団長もまた、一人の司教を求めて奥に進み―――。】

/こちらはイベント開始の投下文です。防衛側の方は投下をお願いします
/また参加者様がた、今夜はよろしくお願い致しますっ!
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/04(日) 19:31:53.56 ID:ZwOgzNE1o
【聖都スラウロット最奥部・副聖堂ベリエの鏡=z

【此処は大聖堂の左右に位置する建物の一つ。大聖堂での説法時や】
【その他、人が入りきらない際の収容所であったり、時には純粋な教会であり】
【また時として神学校の者達が学びを乞う場所でも有る。要するに、小さな聖堂だ】

【名の由来は神像――神の手にした、ロザリオ代わりの大きな鏡に有る】
【ベリエの鏡≠ニ呼ばれるそれは巨大な聖遺物であり、悪意あるものをふさわしい姿に映し出す】
【他教での浄玻璃の鏡≠フような力を持っている。いわば、教徒の心を試す鏡だ】

【その鏡に映る姿は『浅ましい豚』であったのだが――気付かず奥に逃げ込むのが一人】
【彼の名はゴッシュ・シャリエール≠ニいった。ゼン=カイマから逃散した司教だ】

【肥え太った身体は清貧など何のことかと言わんばかりで、ロザリオの輝きもどこか虚しい】
【ともかくかれはこの聖堂の奥、懺悔室に逃げ込んで内側から鍵を掛けたのだった】
【この場の護衛たるもう一人には『絶対に此処を通すんじゃない』と自分勝手に命令をし】
【格子の向こうから様子を見る――最低の男と言ってよかった。歳はたしか、もう60を超えている】


【一方でこの場に音もなく姿を見せる、もう一人の男が居た。手にした豪槍に黒い髪】
【白のローブは着たものの顔まで汚す返り血によって真っ赤に染まり、豪奢なマントはよく似合いだ】

【彼は――フレデリックは転移で此処に現れた。彼の得意の魔術だが、今日は少し様子が違う】
【小さく言葉を紡げば術を発動、内側から、邪魔が入らぬようにと強固な施錠の魔術をかけた】
【静かな様子だが、背はまだ彼女≠ノ向けたままだ。攻撃するか、それとも――判断は当人に委ねられた】

/対主催、グリースさんの方はこちらにレスをお願いしますっ!
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 19:31:55.77 ID:HvfoZkDMo
>>524

【クリティカルヒット――すた、と着地すると彼女は】
【机の上の汚れをきれいに拭き終わった後のような、満足そうな笑みを浮かべた】

【痙攣する男など全く気にしようともせず、少女は元の進行方向へと身を翻そうとして】
【何事も無かったかのように男が立ち上がると、その動きもぴたりと止まるのだろう】
【男に向けられるのはきっと、寝とけよとでも言いたげな、そんな視線】


そりゃ食べるために狩って来たんだから当たり前だにゃ
あんたにはあげないよ。横取りしようとしたしね!

――それ「この位」で指していい大きさじゃないにゃ!


【しっかりとイノシシの牙を掴みつつ、彼女は男の話を聞くのだろう】
【どうやら、はいと渡す気はさらさらないらしい】


今からあたいはこのイノシシを料理してもらいに行くんだにゃ!
あんたが料理できるならともかく、足の一本も絶対にあげないからね!

悔しかったら自分で―――にゃは、さては自分で捕って来れないんでしょ
だったらあたいから奪うのも無理な話だにゃ
あたいがこのイノシシを捕れたってことは、あたいはあんたより強いってことだからね!


【とかなんとか勝手な推測を並べつつ、少女は得意げに無い胸をふんと張るのだろう】
【無駄に張り合おうとしている辺り、男に劣らず彼女の精神面もかなり幼いようだ】

/ご飯食べてきます…!
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 19:48:17.65 ID:f4qfIxBso
>>528

「良いじゃあねェーかァー、俺腹減ると動けなくなる体質なんだからよォー」
「それにそのくらい食わねェーと腹も満ちねェーしよォー」

【つまりは"腹減った"と言うことなのだろうか、3/4でようやく満ちる位には大食らいな様子であり】
【下手に渡せば、全部なくなってしまいそうな、そんな予感さえする……危険なやつ】

「なんだよォ、俺だって料理くれェー出来るぜェー、まず出すだろ、焼くだろ、すると出来るんだぜェ〜」

【……そう言ってポケットから出したのは、明らかにそこに入る大きさでないバーベキューセットである】
【実際に料理が出来るとしてもおそらく丸焼きしか出来ない気がするのは、きっと気のせいでない】

「……うるせェー! だったら捕ってきてやるよ、なんか良い感じの奴をなァーッ!!」

【負けじと張り合う彼、ある意味胸囲はあるがそれはともかく……そう言うと近くの森の方に向けて駆けて行ってしまった……BBQセットを置いて……】


【……そんな男が消えた後に現れるのは、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

『……ぜェ……ぜェ…………あ、あの……すみません、先程……この辺りに……逆立った緑髪のアホ男……来ませんでしたか……』

【先程の男と違って息を切らした様子の女性は、そう少女に問いかける】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 19:51:45.45 ID:9jDX86TLo
【夜の帳が下りる頃】
【昼と夜のその境界が曖昧な時間は世界その物が不確かであるとされる】
【陰陽は別けられて然り、されど何事にも「例外」が存在する事の証明か】


【聖なる都の防衛なんて耳障りの良い話】
【そう魔術師は呟く、この世に確かな大義などあるかどうかさえ分からないというのに】
【無論それを確かめる為に今この場所にいるのだが……果たして】

―――――――そろそろかしら?
頭の良い人なら気が付く頃だし導かれた者なら見えてきても良い筈なのだけど
ああ、でも分かるように撒き餌でもしておいた方が無難だったかしら?

【場所は戦果の中心からは遠い、外れの場所】
【世に云う罪人をつなぎ止める施設はその石造りの堅牢さを静寂の中で示していた】
【唯一の進入路たる鉄門の前にその魔術師は欠伸をしながら佇んでいる】

表面をなぞるだけなら単純な内部腐敗の成敗だけど、実際関わってみないと分からないこともあるし
かと言って今回はやり過ぎかなあ……まあ、初めてだから許して欲しいってのはあるけど
あー……前言撤回よ撤回別に許してくれなくてもいい、だって神様なんて信じてないし

【煤けた色のフードローブを棚引かせる、姿は荒野に立つ煽動者にも似ている】
【胸の起伏を見るに女性だがしかし同じ年頃の女性と比べればどこか「いびつ」】
【黙っていればそれなりという顔の造形はしかし可愛気という物は廃しているように毅然として】
【錆色の瞳と腰まで伸びた髪はどこか刺々しい、暗に「近寄るな」と示しているような雰囲気をした彼女はいつか来るだろう人影を待つ】

在るのはただ人間がいて戦っているってだけ、でしょう?
……って司祭さんは牢屋の一番奥だっけ、鍵を付けてる筈だから逃げ出さないだろうけど
ついでに結界でも結んでおけたなら良かったけど出力を間違えて殺してしまっては意味はないし、あははこっちが本当の撒き餌みたいね

まあ、間違ってはいないけど――――――――

【魔術師が普段掛けている金の弾丸のネックレスに加えて一つ「鈍色の鍵束」がある】
【考えるまでもなくそれは牢屋までの全ての扉の鍵、目的とするならばこれの奪還】
【今はおらずただ牢屋の奥で戦火の音を耳にして震えているだろう司祭の命が今回の供物】

さ、て……とお喋りもここまでにしておきましょうか

【拍動は早鐘のように伸びてゆく】
【ブレスレットの6つの銀板は大きく揺れて呼応を始める】
【淀んだ瞳はただ真っ直ぐと現れる者のその意味を、見据えて】

/カズネであります
/エルヴェツィオさんの方、よろしくおねがいします
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/04(日) 19:55:56.35 ID:xNeROGVOo
【聖都スラウロット・教会地区――――地下区画】

【松明の光がぼんやりと全景を照らし出す、そこは大きな洞窟のような場所だった。ガコン、というエレベーターの止まる音がやけに大きく響く】
【不機嫌そうな女と冷や汗にまみれた壮年の男性がそこに降り立つと、一方は状況確認のため、もう一方は強い焦燥感から周囲を見渡した】
【いま二人が居る場所のすぐ後ろは、岩の壁をくり抜くように搬送用の無骨なエレベーターシャフトが上まで続いていて】
【エレベーターの到着地点付近は錆び付いた鉄板と心許ない鉄柵で補強されてはいるが、それ以外は全て未整備の岩肌が晒されている状態だ】
【現在地の周辺は比較的大きなホールのようになっているが、前方には天然の洞穴を加工した狭い地下通路がずっと続いている】

(………戦うとしたら、やっぱココかしら)

【厳粛な衣とは裏腹に底の浅い表情で何事かを呟き続ける司教の男を背に、冷静に戦況を分析しようとするその女は――――】
【やや赤色の入った白髪に褐色の肌、ツリ目気味の双眸が特徴の、背格好からして二十代程度だと思われる人物だ】
【髪型は肩口までのセミロングだが、長い後ろ髪をたてがみのように跳ねさせた、かなり野性的なアレンジが加えられていて】
【同じく服装の方も、暗い赤色のチューブトップの上に、白色で丈の短いファー付きコートを羽織ったヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて大胆に生足をさらけ出した、何とも露出度の高いワイルドなものである】
【耳には金のピアス、腰には上部に小さなリングがいくつも嵌まった鉄製の腰当て、両手にはバンテージと、装飾品から感じる印象はいかにも粗暴】
【しかし左腕のコート袖に刻まれたSCARLET≠フ紋章が、女の身分と戦闘能力の高さを如実に示しているだろうか】

「お、おい! 何をしておる、早く行くぞ!! いつまでもこんな所におっては騎士団の連中が………」

………守られてる分際でうっさいわよジジイ。ちょっと黙ってて…………。

【ここはスラウロット教会区画の直下に存在する地下通路だ。有事の際、教会幹部や司教などの位の高い人間を逃れさせる為に作られたといわれている】
【近代でもエレベーターが敷設されるなど、一応使えるようにはなっているが――――この平和の中において、整備の回数は決して多いとは言えず】
【行き先はスラウロットの郊外だが、そちら側の入り口もおそらく同じ状態だろう。錆び付いた入り口は鍵が無くても強行突破は容易だし】
【道はどうぞ襲撃してくださいとばかりの一本道で、迷うこともまずあり得ない。追いつめられた司教がこの道を使うと推測するのも簡単であって】

(さって――――歯応えのあるヤツが来てくれるといいけど)

【女は通路の先を睨みつけ、背中に手を回した。つい先日手に入れたばかりの、巨大な牛刀のような形状をした大剣の柄を握りしめる】
【――――この見え見えの逃避路を、あの第三騎士団の人間が抑えていない訳がない。このまま進んで隘路での混戦になれば、司教を守るのは難しい】
【ならば、まだ少しは広さのあるこの場所で迎え撃つべきだ――――そんな風に考えて、女は好戦的な笑顔を隠そうともせず臨戦態勢を取るのだろう】

【淡い炎に照らされる地下通路――――この場所が、『司教を逃がす』という本懐を数百年越しに果たすのか否か】
【それはこの女と、それと相対せんとする誰か≠フ行動に懸かっている。獲物を待ちわびる鷹のように、金色の瞳が暗闇の先を睨んで――――】


/こちらミドナです! マリアの方、本日はよろしくお願いします!
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 19:59:08.47 ID:buQS6ugs0
>>527
(豚、ねぇ…………子豚なら可愛げもあるけど、自分の命を第一に考える様なそれじゃあ、ね
教会からの命令じゃ無ければ棺桶にでも入れてどっかに放置しときたい位だけど)

【――――対象は見た目からして。その振る舞いからして何とも言い難い存在ではあったけれど】
【チラリと見えた鏡の中の姿に気付いたならば呆れた様な溜息でも漏らすのだろう】
【施錠の其れを止める訳でも無く、壁を背もたれ代わりに一連の流れを見遣って】


「団長サマは随分とお仕事に熱心みたいだね。見慣れた赤の色が其れを物語ってるみたいだ…………けど」

【奇襲を仕掛けるでも無く、掛けられたのはこの場に似付かわしくない明るい声――――否、彼に対して奇襲が通じないことは明白】
【女の其れだ。然れど腰に提げた銀色の双銃は又一人の戦士である事を示しており】
【修道着に、その得物。何とも物騒な格好ではあるけれど】


「さっき逃げていったお爺さん、名前…………なんだっけ。まっ、いいや
今更君に止めろと言ったところで意味が無いことは分かりきってるしさ
じゃあ、どうするか。ボクは与えられた任務をこなすだけだ。君を止めろってね
――――今から楽しくあのお爺さんとの関係を聞く暇も、態々君がゼン=カイマを率いて攻める理由を聞いてる時間もない
……時間がないのは君も同じ、かな。利害も一致するだろうし、ちゃちゃっと始めよっか。話なんて、その最中に聞けば良いんだ」

【腰から双銃を抜いたならば、銃口が向かう先はフレデリックの――――脇腹】
【金色の双眸が、じっと向けられて。クツリ、確かに女は嗤った】
【その言葉から引き金を引くに至るまで、数秒も無い。尤も、この場に攻めてくるのだから元より警戒はしているだろう】

【被弾の見込みが薄いことは承知の上。謂ってしまえば、警告も含めた最初の一手だ】
【要人を殺そうとするならば容赦はしない。まるで、銃声がそう告げるかのようで】


/グリース中身ですっ!宜しくお願い致しますですよー!
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 20:15:31.29 ID:HvfoZkDMo
>>529


にゃ、それはわかるけど……でもだからってあげられないにゃ!
あたいが捕って来たんだからね!


【空腹の辛さは誰だって知っている。故に意思がぐらりと揺らぎかけた】
【――しかし、やっぱり分けてやるつもりはないらしい】


えー、あたいもっとおいしいの食べたいにゃ
ただ焼くだけじゃ飽きるにゃ! つまんないにゃ!

……にゃは、精々頑張るにゃ!


【声、表情共に不満を滲ませるのだろう】
【まともに突っ込みもせずただ自分のわがままを垂れ流すあたり、やはり子供っぽい】

【嵐のように去ってゆく男を見送ると、寂しく放置されたBBQセットを一瞥し】
【男が返ってくるであろう未来を完全無視して、彼女はこの場から立ち去ろうとする】
【――が、数歩進んで彼女はまた耳を反応させた。誰か来る、それを察知して、周囲を見渡す】

【やってきたのは女性。こちらへと走ってくるのだから動く訳にも行かず、ただ彼女が口を開くのを待つ】


にゃ、来たよ。お肉がほしいって言うから自分じゃ捕れないんでしょって馬鹿にしたら向こうに走ってったにゃ


【問いを受けると温度の低い声でそう答えるだろう。現実は非情である】

/ただ今戻りましたっ
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/04(日) 20:19:03.41 ID:ZwOgzNE1o
>>532

―――ヤツの名はゴッシュ・シャリエール≠セ……。
グリース・イムリンパルス…――我が『最愛』の父上様だよ。


【言葉はグリースが銃弾を放ったほぼ直後に、彼女の右前方≠ゥら聞こえた】
【ふと銃弾の行く末を見遣ったなら、それは術の施された扉に痕を残していて】
【ここからは彼女の純粋な視力や、頭脳の回りの良さによるが――】

【フレデリックが瞬間移動したのだ≠ニいうことが早晩理解出来るだろう】
【それも今までのようなものとは違ってあまりに速く、精確で、音も無く】
【まさに『魔法のよう』な一瞬であった。彼は言葉を告げるや、左手の槍を上げ】


まさか貴様が奴の護衛とは思わなかったぞ、グリース…――!
我が歩みを止めてくれるな……私にはやらねばならぬことがある……ッ!


【言葉と共にその槍を突き出して、修道女を壁に貫き留めようとする】
【無論、腸-ハラワタ-ごと貫いて――だ。更にはその刃、既に強烈な雷をまとっており】

【少しでも喰らえば強烈な痺れが刹那にして全身を巡ることとなり】
【また避けて、先程までいた壁を見てみれば、見事に砕け散った石壁が目に入る筈だ】
【それほどの威力。真っ当に喰らえば一撃でノックアウトに違いない、必殺の技】

【――何時に無く、フレデリックは落ち着き払っていた。怒気を含んだ言葉もまだ蓋が被っているかのようであり】
【またもうひとつの違いを探すとすればその背のマントか。確か、六罪王ダグラスの着ていたものだ】
【彼が身に付けていた時は身なりや体格が見合っていなかったが――フレデリックには、実に似合い】

【魔術の素養の有るグリースであればそのマントから漂う転移術式≠フコードにも気付けるはずだ】
【つまり、それがどういう逸品かも分かるはず。どう行動するかは彼女次第だが――気は、絶対に抜けなかった】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 20:26:50.56 ID:f4qfIxBso
>>533

「そこをよォー、とりあえず食わせてくれよォー」

【そう言いながらイノシシを狙う姿は、許可が無くとも無理矢理奪おうとしている意思がみえみえである】
【……先程全力疾走で近づいてきたので腹が減っていたとか、そういう気がしなくもない】

「別によォー、食うだけなら焼けば十分じゃあねェーかァー」
「んじゃアーよォー、アウだアウ、アウなら飯作れるぜェ!」

【焼く以外の方法を問われれば、勿論人任せの方向に進む。やはり焼くしか脳がない様子】
【――――こんな調子で森の中に消えていった男だが、まさかどこかに行くとは考えてもいなかったらしく】
【もし居なくなっていたとしたら、この辺りでうるさく叫んでいたとか何とか】


『……ああ……やっぱり、そうでしたか……ご迷惑をお掛けしてすみません……』

【来たといった時点で迷惑をかけていないか懸念し、しかも当たっているのだから、あの男の普段の行動がよく分かる】
【……頭を抱えて"またか……"と思っているような、しかし表情は全く変化を見えず】

『…………彼、単純ですから……すぐに立ち去らないとまた来ますよ、早く逃げてくださ……』

【そんな言葉も虚しく、彼はどこかで狩ってきたダチョウを抱えて戻ってくるのだった】
【……本人曰く、"柵の中に居た"らしいので、間違いなく誰かが飼っていた奴であるが、無論本人は気にしていない】
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 20:28:07.56 ID:sD65NMDg0
>>530

【ブーツの音がゆっくりと辺りに響く、その音の主である男は女の前からやって来るだろう】

【シルバーブロンドの長髪を前髪も集めて一本結びにし、瞳は海の様なターコイズブルー】
【鎧は着用していないが、赤いラインで縁取った、袖のある上質な白いマント】
【下には金のボタンの白い修道服、それらを纏う男は伸長180以上はある25歳前後の男】
【その腰には、鞘に納められた一本の白銀に輝くレイピアが差してあった】

【やがてレイピアが鞘から抜かれると、銀の刀身が姿を見せる】
【それは触れただけでも切れてしまいそうな程に、鋭く輝いていた】

……退け、俺はその先の司教に用がある。
邪魔をしないのなら、俺も何もしない、しかし戦う意思を見せるのならば…………

【レイピアの切先が彼女へと向く、同時に一つの石ころがいつの間にか宙に浮いていて】
【刹那、石は音も無く一瞬で砕け、地面に当たれば砂の塊の様にさらに細かく砕け散った】
【男の持つ剣が動いた様には見えないが、動いた気配だけは確かに 感じられた だろうか】

こうなる。今の俺の剣を"見た"か……?
何もお前を倒さなくても、牢屋など破壊出来るという事だ、だからもう一度だけ言う……そこを退け。

【男の瞳は視界に捉えていない筈の、向こう側の司教を向いている様だった】

/エルヴェツィオです、よろしくお願いします!
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 20:45:16.76 ID:j88oSj/+0
>>531

【薄暗い洞窟のような地下通路。「秘密の通路」を絵に描いたような素掘りの通路は、何でも遠い昔に有事の際に司教を逃がすために作られたもののようで】
【その「有事」は数百年にわたり起こらなかったのだが……今まさにその緊急事態が発生して、この通路が本来の役目を果たしているのだ。】
【だが、当然この地下通路の存在は騎士団側も周知。此処を使ってくるというのも予測済みだった……だから今、此処に彼女・マリア・アレンス≠フ姿がある】
【彼女は地下通路の奥に待機していた。高確率で此処を通るだろうと予測して、司教を捕縛するつもりだったのだが―――果たしてその予測は大当たりだったようだ。】
【エレベーターが起動する音が聞こえ、やがて止まり―――二人分の足音が聞こえた。】

(さて、参りましょうか……――――)

―――

【―――その鷹の目は、間もなく対峙する敵を見据える事となる。地下通路の奥にゆらりと揺れる人影は、一歩ずつ其方の方へと近づいて行って】
【地下の洞窟然とした通路にコツコツと足音を響かせ―――やがて二人がその人影の正体をはっきりと目視できる距離になると立ち止まる。】

【その人物はマリンブルーの瞳を持ち、ブロンドの長髪は頭に被った白い頭巾で隠れている。右の目元の泣きぼくろが整った顔にアクセントを加え】
【身に纏うのは白いローブ。神聖な雰囲気さえ漂わせる純白の其れは、まさに聖職者に相応しい物。―――此方は着ている人物も服の神聖さに相応しい人物のようだが】
【露出の多い扇情的な格好の相手とは対称的に、此方は殆ど露出のない格好。地肌が見えるのは顔と手ぐらいで、他はすっぽりとローブに隠れている】
【肌だって褐色の相手と透き通るような白の此方で対称的だから、第三者が姿を見ると、それだけでも真逆の印象を持つかもしれない】
【共通点があるとすれば、二十代前後であるという事ぐらいか。それ以外は、立場も姿も何もかもが違う……そんな二人】

【―――ミドナは何か違和感を覚えないだろうか?今目の前に対峙しているこの女性……きっとミドナが幾度となく対峙したであろう所謂「悪」の人物には到底見えないのだ】
【凛とした雰囲気、穏やかで優しそうな表情、そして何より……――――瞳が、清水の如く一点の曇りもなく澄んでいる。】
【そんな彼女の姿を見て、正義の一員であるミドナは何を感じるだろうか。―――戦いの中で何か見えてくるものも、きっとあるだろう】


【相対する白い女はそっと二人に微笑む。そして、ミドナの瞳をじっと見つめて放つ言葉は―――】


きっと貴女は、私がどんな人物であるかもうお分かりで御座いましょう?
――――そちらの司教様の身柄をお引き渡し下さい。
その方は、許すまじき罪を背負われています。神職の身において神の名を穢し、あまつさえ私利私欲に浸る……この悪徳の数々、見逃すわけには参りません。
庇護するのであれば……――――力尽くでも拘束させて頂きます。

【彼女の瞳が、キッと司教を睨み付ける。ミドナの瞳を「鷹」と形容するなら、此方は仔を護る為に敵と対峙する雌獅子だろうか―――互いに強い意志を持った視線が交錯する】
【「力尽く」という言葉と共に召喚されるのは大きな盾と光の剣。右手に生み出された松明の光よりよっぽど強い光を放つその剣は、一気に通路内の光量を上げて】
【臨戦態勢と言う言葉が相応しいだろう、左手に盾・右手に光の剣を持った姿はまさに騎士と呼ぶに相応しい―――】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 20:46:55.65 ID:HvfoZkDMo
>>535

【――随分と物腰の柔らかい女性だ】
【先程の男が突き抜けていたために、彼女を見ると安心感を覚える】


別に取られてないから迷惑なんて思ってないにゃ


【それじゃ帰って来る前にあたいは行くにゃ――そう言おうとしたが、しただけに終わった】
【まだ数分も経っていないはずだ。山や森に行って帰ってくるのは彼と言えど不可能だろう】
【それに、そんなところにダチョウが生息してるものだろうか】

【少女は表情を変えず――ただしっぽをゆっくりと動かしながら思考するのだろう】
【柵の中、という男の発言で結論が出る】


……どうせ盗ってきたんでしょ。それ反則だにゃ!
それにイノシシとダチョウならイノシシの方が大物だよ!
反則じゃなくてもあんたの負けだにゃ!


【彼の闘争心を煽るように、彼女は言葉を並べていくのだろう】
【わかったらさっさと返して来るにゃ、なんて言葉で締めくくれば無邪気に笑って見せるだろうか】
【イノシシにまたがってゆらゆら揺れる様はわざわざ獲物を見せつけているようでもあった】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 20:48:17.28 ID:buQS6ugs0
>>534
【その名を聞けば、ピクリと眉が動き。続きを聞かずとも、其れだけで関係性を理解する事が出来る】
【シャリエール。まさか偶然でもあるまい。名の其れが一致する事も、彼がこの場に来たことも】
【――――今宵の目的は其れか。何時かの夜に捨てられたと聞いていたが…………合点も行く、か】
【あの司教の必死さも。絶対に通すなと――――そう、絶対にと付ける程の必死さ】


「そっ。豚のお父様と捨てられた化け物の団長サマか
…………お似合いな家族構成だ。仲良く、何て事は出来ないみたいだけどね」

【トン、と爪先で跳んで。僅かな助走を得たならばそのまま槍の一突きを避けるのだろう】
【ただの槍であれば、身を犠牲にしてでも反撃に転ずる事が出来る。然れど、其れは“普通”とは大きく異なるのだ】
【怪力だけならばやりやすいものを――――内心で舌打ちをしたならば、直後に壁を破壊する轟音が耳を通り】

【見ずとも、結果は分かる。一撃一撃が重い、重すぎる攻撃なのだ】
【加えて、纏わせている電撃に彼の身体の特徴。一手一手を慎重に選ばねば、直ぐにでも死が訪れる】
【打撃か、斬撃か。…………これまでの経験を活かそうにも、相手は異質だ。当てはまる状況なんて無く】
【強いて謂えば以前戦ったときの事が判断材料となる程度。双銃に魔力を流し込んだならば、得物は剣へと変化して】


「止めるな?無茶な要求だよ、団長サマ
ボクは君を止めろと命令されてる。だから、君を止めるし――――ボク個人としても、君を止める
君の愛しのお父様に合わせる訳には行かないからね

良かったじゃん。お父さんが生きてて。――――ロクでも無さそうな人だったけど
そんなロクでも無さそうな人だけど、今の君に会わせた所で何だか面倒事が増えそうだ
――――ゴッシュが居る事を知ってて君は態々此処に来たの?」

【一瞬の屈み。可能なれば、剣は団長の足元――――そこから、真っ二つにするかの様に振り上げられ】
【謂ってしまえば正中線を切り上げる様なものだ。マントの性質を確かめるか、或いは先ずは本人にダメージを与えるか】
【隙が出来たならば、マントを刻むか払い落とすかしてしまえば良い。そして、彼のような強者に隙を作らせるならば――――攻めねば、何も生めない】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 20:50:26.65 ID:9jDX86TLo
>>536

ようやく来た……待っていたわよ騎士さん

【ばさりとローブを翻す】
【だが月明かりに伺える表情に変化は見られない】
【それこそ盤上の出来事を見るような、部外者めいた傍観の顔】

あら……なんだ気が早いのね、騎士様っていうのはみんなそんな感じなのかしら?
どうせ司教様の命も、この感じだとそうそう長くはないだろうから少しくらいは付き合って欲しいわね
それに力任せに建物事壊すなんてエレガントではないし騎士道に反するのではなくて?

【思ってか思っていないかそう言いながらこれ見よがしに首に掛けた鍵束を躍らせる】
【これさえあれば全ての物事は単純に収まる、文字通りの「鍵」】

それとも何かしら?目の前に立ち上はだかるこんな女の子さえも打倒せないで?
それで建物ごと司教を始末して終わり、なんて情けない事でも言うのかしら……流石にそれはないわよね
仮に、良しとするなら即ち騎士としての義務を放棄した事になるんじゃないかしら……公明正大が騎士の誉れよね?

それは許されない事よ、騎士さん分かるかしら?

【大仰な話だ、加えて言うならば魔術師は騎士の在り方など識りはしない】
【だが大義の為に彼らは存在しているというのは、本からでも読み取れる……】

貴方は貴方でいる限り私をここで打ち倒さなければならない
その証を、貴方がここまで歩んできた理由を価値を示さなければならない義務がある
それを晒して初めて貴方はこの舞台の主役として物語に幕を降ろす事が出来る、簡単な構図よ

【銀板は鳴く、金切り音は高らかに闇夜に響く】
【枷を外す音だ封じてある姿を晒す音だ、空気を一変させて「銀の爪」は姿を現す】

【彼女の身長程度の大きさの銀色の爪】
【ふよふよと背中に面して佇むそれは無機質でありながらどこか生命的な鼓動を脈打ち】
【表面を覆う紫の魔翌力の名残りヴェールは陽炎のように彼の行く手を阻む、流れ出る魔翌力は視認出来る程に】

貴方に正しい力があるならば所詮私など障害にさえならない
そして―――――貴方が正しくないならば、私は高い壁となって貴方を阻むわ!さあっ、征くわよ!

【再度響く金切り声は「爪」が目覚めた証】
【その6つそれぞれが独立しつつ統率された獣の群れのように蠢く、纏う紫はどこまでも淡く】
【魔術師が腕を振るう指揮者のような動きの後で「爪」達は纏う魔翌力を固めて騎士へと放つ】

【都合6つの魔弾はそれぞれ頭、胴、右腕、左腕、右足、左足を目指し駆ける】
【若干の追尾性はしかし前に出るようにして避ければ関係などないだろう】
【ただ、「爪」の支配者たる魔術師にも魔翌力という名の力は備わっている事を忘れてはならない】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 21:04:52.56 ID:f4qfIxBso
>>538

『それなら良いのですが……いつもどこかで迷惑かけてばかりですので……』

【何となく安心した様子を見せる彼女だが、その内戻ってくる男とその言葉を聞いてまた頭を抱えることとなる】
【……よほど苦労していると見える、先程の少しの交流でもわかるくらい、傍若無人なのだから】

「えェー? とったかはしらねェーけど、とにかく狩ったぜェ〜」
『……彼女の言う通りです、ダチョウがこの辺りに生息しているわけありませんし、そもそも柵の中に居るのは飼われているはずです』

「良いじゃあねェーかよォー、食えるんだし」 『……そういう問題では……ああ……まったくもう…………』

【彼に倫理観というものは通用しなかった、食えるから問題ない、ただその一点張りだった】
【しかし、煽られればそれに面白いほど乗っかってくる。やはり闘争心が強いのだろうか】

「……いやいやッ、ダチョウの方が大物! イノシシなんて突進してくるだけじゃアねェーかァーッ」
「ダチョウは脚速ェーだけじゃアなくて、なんか蹴ってくんだよ! 気合で防御したけど痛かったんだぜェーッ」
「だからダチョウの方が良い感じって奴だァーッ! それに食えるから返さねェーぜェー」

【そう言って見せる腹部には、確かにダチョウに蹴られた痕。……何故平然としていられるのか】
【そして片手でダチョウを掲げて、それを見せつける。負けを認める気は無いらしいし、返す気もない。】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/04(日) 21:15:51.90 ID:ZwOgzNE1o
>>539

軽口は相変わらずのようだな……だが貴様の言の葉は所詮戯言≠ノ過ぎん
貴様が豚と称するあの男は、確かに我が目から見ても……
そして聖人の目で見てもそうらしい。……だが、生憎と私は違う

人の倫理に反しようが……大衆の理解を得られずとも……ッ!
私は変えるのだ、この教会≠ニいう構造……世界の仕組みを……な?


【壁を砕いて見ればそこに挽肉と化した修道女の姿は無く、血痕もない】
【すぐさまフレデリックは回避した方向に目を向けたが、生憎と早さでは相手に利が有る】
【双銃から変化した剣は、真っ直ぐにフレデリックの肉体を一閃するが――】


フッ……この程度だったか?グリース……イムリンパルス……、…?
最早痛みの一つも感じぬぞ…――この程度≠ナは、なァ―!!?


【――彼は両断され、ズレた口元でニヤリと嘲笑う。いつもの調子が戻った、と言わんばかりだ】
【その傷からは血液が漏れる事もなく――かといってスライムの緑色が覗くでもない】

【彼の傷口から見えるのは真っ赤な炎だ。アリギエの瞳、あれと更に強く同化したのだろう】
【となれば肉体そのものが炎と同じような性質を持ち始めた、ということに相違ない】
【――それでは、バケモノであることも間違いない。しかし彼からすればそれは瑣末な問題で】

【肉体と共に切れたマントの継ぎ紐を焼いて直せば、フレデリックの額には件の瞳がぎょろりと覗き】
【直後、小さな詠唱の声と共に凄まじい勢いで業火が出現、波のようにグリースへ襲いかかる】
【攻撃範囲はほぼ聖堂全域――無数の長椅子も吹き飛ばされ、施錠された扉の前で焚き木のように燃え上がる】

【強いて言えばその効果が及ばないのは上、ロウソクを灯すタイプの古いシャンデリアと】
【或いは他の器具を調整するための小さな足場があるが――そこならダメージも無いだろう】


ふゥ〜……中々、燃えてきたか…。質問に答えてやろうグリース・イムリンパルスよ

――その通り≠セッ!私はゴッシュという屑を追って此処まで来た!
本懐は……私という存在を利用して私腹を肥やした、背信の輩を殺す事に違いない

……だが、それは止めだ。私の部下……慈母の名を頂く者に諭されてな
我ながら笑いが漏れる――未だに、この私に少しでも人の心が在ったものかと。
それ故、そう……奴を捕らえ、死なぬ程度に罪を贖わせ、無一文で追放する……。

…――どう思うかね、グリース…?私刑としては実に寛大な申し出とは思わないか?
あぁ、無論だが……貴様は殺す。全力で、威信を賭して……どうした、終わりかね?ククッ…――。
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/04(日) 21:21:23.40 ID:vABp15a60
>>513

いつ攻め込まれるのかも分からないわけじゃない? きっと大変だわ、本当に……。
何しろ夢見も悪そうだわ。その辺りは何か対応してもらえるのかしらね? どうだか――。

権力振りかざしてって感じよね、それともアレ、個人的に着てるだけなのかしら?
……あら、別に肩は凝らないって言ってたわよ。“私の友達が”――存外平気ですって。

ふふ、邪魔でもなければ肩も凝らないってもう一人の友達――貧乳の子の前で発言してね、修羅場になったの。

【「殺し合いになるかと思ったわ」】
【悪の秘密結社もこうして考えてみるとあんまり良くなさそうな働きぶち、勝手に大変そうだななんて考えて、】
【もしも本人達に聞かせたら怒られちゃうのかもしれないけど――ただの雑談のネタだから、何に憚るということもなくて】
【――それから、そんな話を付け足した。ちょっとしたお話の飾りとして、そんないつかの過去の欠片を言葉にして】

【思案顔には「あら、よく見たらおっきいのね?」なんて声をかけたことだろう。目を細めて、からかうように笑い】
【「でも大きい胸には触り飽きたわ」なんて言葉で続いて言葉が終わる。残念ながら(?)大きさには餓えていなかった】

そうよねえ、病院だとか行かないといけないわけじゃない? 武器とかだって、手入れしないわけには……。
でも賞金やらは魅力よね、桁が違うじゃない? なんにもしないで誰かがポンとくれたりしないかしらね。

やっぱ無理だったのよね――、今度こそ諦めついたわ。はじめっから、本気じゃあなかったけれど。

【初めから本気ではなかったけれど――お金が必要だった。それも、たくさんあればあるほどいいという類の必要さだった】
【ちょっぴりぐらいは期待したところがあったのだろう。もしかしたら、なんて考えたところがあったのだろう、けれど、】
【そんな願望はこの会話で本当に壊れた。だけどそれは悲しむようなことでなくて、怪我人が増えずに済んだという受け取り方】
【そうしておけば喜ぶことに変わるのかもしれなかった。――そうして命を掛けるのは、もっと熱血な人がするべきだろうから】

でも仕事は仕事で趣味は趣味よ、全然やりたいように出来ないもの。利益を出さなきゃいけないわけじゃない?
私が好きでも売れない寄せ植えだとか作ったって駄目なのよ。人気の花集めて可愛らしくしたりしないといけないわけ。

【「大変よ、それって……」なんて物知り顔で口に出す、まあ――そんな大変さは、どこにでもあるものだろう】
【自分の好みが売れるとは限らない。まして花は生き物だから、適当に扱ってやるわけにもいかなくて】
【でもそれでもそんな花が好きだった。面倒嫌いの彼女がほぼ唯一好く面倒さ、それが花の世話だったりして――】

相上天音。いいわねえ、学生……私学校に行ったことがないの。ちょっとね、事情があって。
あら、……わさびちゃん? いいじゃない、ちょっと辛口なぐらいがちょうどいいのよ?

【あいがみあまね。こちらもまた櫻風の名前を返せば、続く話題は自分のこと、学校に行ったことがないのだ――なんて、】
【まあこの世界ではよほど珍しいことでもないだろう。事情があるというなら、無理に聞き出すことでもないような気がして】
【とかく今宵この場で説明されることはないはずだ。この緩やかな会話の中に、それはきっと、必要のないことだから】
【――わざわざ言わなければそのまま名前で呼んでくれたのだろう、とは、まあ、余談だったのだが】

……そろそろいい時間かしら。悪いけど私、帰るわ。それじゃあね、葵――。

【それからもぽつぽつと少しぐらい会話をした後だろう、そんなことを言い出すのは。ふと、携帯電話で時間を確認したと思えば】
【そういって砂の椅子から立ち上がる。相手にもおんなじことを促すと――砂の椅子は、ざららっと崩れだし】
【適当な挨拶を掛けてからきっと立ち去るのだった。その姿は、街のほうに消えて言って――薔薇の花一つ、あとには残さなかった】

/お返事が遅れて申し訳無いです……ではこれで締めということで、おつかれさまでした!
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/04(日) 21:24:27.21 ID:xNeROGVOo
>>537

「ひ…………っ! き、貴様! マリア・アレンスか!?」

………ふぅん、マリアか。あの堅物の団長サマの部下だからどんなヤツかと思ったら、意外と――――。

【――――やはり、来たか。そこまでは想定していたのだが、現れた人物の印象は女にとって予想と全く反するものであって】
【流石に相手はかの第三騎士団の人員、司教はその彼女の名を知っていたようだ。悲鳴と怒声の中にある響きを反芻し、女は軽く目を見開いて鼻を鳴らした】
【いかにも格式高そうな、従容とした立ち姿。マリンブルーの瞳は濁りのない海のようにも見えて、自然と女の視線はそこへ吸い込まれる】
【威厳の欠片もない、採掘されたばかりの原石のような金色が。マリアがそれを見て、どう思ったかは分からないが――――】

――――面白いじゃない!

「なっ…………き、貴様何をする! やめろ、その汚らわしい手で私に――――ぬわぁあああ!?」

【自身と全く対極に位置する相手を見て、女は率直な感想を述べて。それと同時、その両腕に朱色のオーラのようなものが纏われるだろうか】
【即時振り返ると、左手で司教の首根っこをひっ掴む。女は軽々と司教を引きずっていって、背後のエレベーターの中へと乱暴に放り込むだろう】
【そして転がされて頭をぶつけた司教がその場でうずくまったのを確認すると、エレベーター横にある錆び付いたレバーを降ろす】
【――――ガコン、という重たい音が響く。何事かと声を張り上げる司教を置き去りに、エレベーターの扉は閉まってしまうだろうか】

……あたしもさぁ、このジジイが気に食わないのは同じよ。
ここに来るまでもぎゃーぎゃーうっさいかったし、露骨にエロい目で見てくるし。悪徳司教って呼び名も納得だわ。

けど………あんたのとこの団長サマのことだから、捕まえたら殺しちゃうかもでしょ。それはちょっと、気分悪いし。
――――あたしはミドナ。SCARLETのミドナよ。そういう訳だから、コイツに手ぇ出したきゃあたしと遊んでもらいましょうか。

【いかにも清々した、という風に伸びをすると、女はマリアへ愚痴を垂れ流し始めるだろうか。真の悪≠ヘ目の前の女性ではないと、確信した上で】
【地位を利用して数多の罪に手を染めた悪徳の司教。女自身それに対して嫌悪感を抱いているようだし、司教を守るのが正義とも思っていないようだが……】
【――――SCARLETを名乗るに本当に相応しいのか疑問を呈したくなるような、灼け滾る視線がマリアへ向けられる】
【清純なマリアの視線と比較すれば歴然、悪人じみているのはこちらの方だった。正義も悪もなく、女はただ戦いを楽しもうとしていた】


さって――――じゃあ、早速始めましょうか。
あんたの正義≠ニやら、そのピカピカ鬱陶しい剣に聞かせて貰うわ――――!!

【――――そうして、ミドナと名乗ったその女は。金剛石で出来た大剣を大きく振り翳し、マリアへ一直線に突進する!】
【接近に成功すれば、全身全霊のフルスイングでマリアへそれを叩き付けるだろうか。狙いも付けずただ全力で振った軌跡は、おおよそマリアの胴体へ飛翔する】
【この大剣にはそれほど切れ味がないものの、重量と堅さから相手を挽き潰す≠アとに特化している。加えて――――】
【ミドナの両腕に宿った朱色の光。先程司教を片手で軽々と放った所を見ても分かるとおり、それは尋常でない膂力をミドナにもたらしていて】
【大剣の重量と堅さ、そして岩をも砕くミドナの腕力。三つの力が合わさったこの一撃、大振りで攻撃後の隙は大きいが、当たれば相当の威力になるだろう】

【……マリアの側の勝利条件は単純だ。ミドナを倒す倒さないに関わらず、エレベーター内にいる司教を引きずり出して確保すればいい】
【エレベーター横のレバーを上げて扉を開いてもいいし、ある程度強い攻撃があれば扉の方を直接破壊することも可能だろう】
【ただ――――その全ての行動を、ミドナは確実に妨害する。司教を守る為ではない、ただマリアと戦いたいがために】

【……正義のためでも悪のためでもない。ただ拳を通して語り合う≠スめに。ミドナの大剣が、いま戦いの火蓋を切って落とした】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 21:35:54.49 ID:HvfoZkDMo
>>541

【希薄な表情ながら女性が苦労しているであろうことは仕草や態度でなんとなくわかる】
【先程の男をアホ男呼ばわりしてはいたが……それは、単に仲がいいからだろう。多分】

【野生児である猫少女ですら窃盗は罪だと知っているようだが――男はあまり知らないらしい】
【女性が説得しようとしてくれたものの、それも無駄に終わってしまった】


イノシシの突進を舐めたら死ぬよ! イノシシだってめちゃくちゃ速いんだからね!
危なさでも勝ってるにゃ! 牙で攻撃されたら大怪我するにゃ!
それにイノシシの方がでかいにゃ!

食べたら手遅れになるにゃ。だから返しに行くにゃ!


【蹴りと牙での攻撃……どちらの方が危険だろうか】
【いや、そんなことは普通に考えればどうでもいいことかもしれない】
【でも彼女たちにとっては譲れない何かになるのだろう。きっと】


そうだ。あんたはどっちの方が大物だと思う?


【言い争っていた少女の顔が突然女性へと向けられるだろう。このまま二人で口論していてもキリがない】
【思いついた瞬間放たれた問いは、もしかするとこの不毛な争いに終止符を打つきっかけと成り得るのだろうか……?】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 21:43:19.85 ID:sD65NMDg0
>>540

【彼女の顔を見ても、鍵を見ても、男の表情は変わらない】
【此処に歩いてくる前から、既にその眉間には皺が寄っていて、険しい顔付きだった】


……今のそれは挑発のつもりか……?それとも、理解していないだけか……?
俺とお前の思考は根本から違う、俺は司教にさえ会えればそれで良い。

…………そして、今の俺は騎士として此処に立つのではない……
団長の友として、"戦士"として此処に居るッ!

【男の手からレイピアから離れる、当然レイピアは重力によって地面へと落下し、突き刺さる】
【しかし、直後にレイピアは光の粉となってそこから消滅して、跡だけが地面に残る】
【男の能力だろうか、それともこの剣の持つ効果なのか、今はまだ理解するのは難しい】

【だが直ぐに、それを解ける時間がやって来るだろう、女性の攻撃の直ぐ後に】

良いだろう!この剣が、貴様を屈服させる剣だッ!
手加減はしない……視力だけでなく、五感全てで良く視る事だ!!

【女性の魔力を感じながら、男は右手の人差し指を天へと向ける】
【それは女性の魔弾の発射とほぼ同時だろうか、それを合図にして、男も能力を発動させる】

この程度の力では、今の俺と『ペーネロペー』に届きはしない!

【男の背後に突如 甲冑が出現する、先程消えたレイピアを構えていて】
【フェンシングの防具の様に前面が網目になった冑、胴体は銀色の鎧に身を包む騎士の姿】
【脚はなく腰までの身体が宙に浮き、肩の側面と腰の前には風に靡く白い帯の装飾】
【恐らくこれはマインド能力、決して侮れる物ではない】

【騎士はレイピアを構えたまま、男の前へと飛び出す、すると騎士の姿が2つ、4つと瞬時に増えていき、最後には攻撃と同じ数の6つの騎士の分身が出現していた】
【分身のそれぞれが魔弾をレイピアで、素早く正確な動作で捌き、主を守る、何と分身は全てを弾き落としてみせた】
【しかしこの分身はあくまでも攻撃の為のもの、分身の三体が女性に向かって一気に突進する!】
【それぞれレイピアを構え、右肩、左肩、胸部へ向けて突き刺そうとするだろう、攻撃自体は単純な動きだが、その速度は決して遅くはない】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 21:55:30.77 ID:f4qfIxBso
>>545

「なるほど! どっちも痛いのは困るなァ〜、でもよ、ダチョウだって突っついてきたりもして頭かち割ってくるしよォー」
「だから! ダチョウ!」 「こいつはイノシシよりも足の肉がうめェーんだ、だからこっちの方が大物って奴!」

「だから、返す気はねェーぜェー!」

【怒っているというより、睨み合っているような表情の彼――というか、実際に睨んでいる】
【あの理由をこじつければ、この理由をこじつけて。もはや負けたくないが故の行動だった】
【……このままだと永遠に終わらない気がしてくる、そんな状態だった】

『…………えっ』
『……えーっと、ですね……』 「勿論こっちだよなァ〜……ちょ、ちょっとまって、それはやめ……グギャアアアアア!」

【心なしか巻き込まれたく無さそうなオーラを出していた女性は、話しかけられれば少しの間を置いた後……】
【……ポケットから取り出されるのは、謎のスイッチ。何やら裏面に小さな文字でグダグダ書いてあるが……異界の字の様で、読むことは困難である】
【そのスイッチを押せば、ヘケメトが断末魔を上げつつぶっ倒れて、ダチョウは地面に落っこちる】

『……そうですね、ご飯にしましょうか、胃の中に入ってしまえばどちらも一緒でしょう』

【そして……あからさまに、話を逸そうとしてくる。喧嘩両成敗と言うより、どちらでも良いという一般的な立場だった】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 22:01:14.58 ID:buQS6ugs0
>>542

「理解を得られずとも――――?
…………それは啓示を受けてかな。それとも、ただ君の独りよがりな考え?
救いとは何だい。宗教は、ただ戒めるだけの物なのかな。大衆が理解出来ない其れは古くから忌み嫌われた宗教となる…………そうじゃなかったかな、大司教サマ
君は自分の手で自分の神に泥を塗っているだけに過ぎないんだよ。…………困るのはボク等さ
宗派も派閥も違くても、同じ様に見られるんだ。ああ、あのフレデリックの居る教会か――――ってね
世界の仕組みは変わらない。世界の見方だけは変わる。何が、教会だ。剣と盾を手にして、何が救いだ。…………所詮君の革命は子供の我が儘なんだよ。フレデリック」

【手応えはある。確かに斬った――――が。其れだけだ】
【ダメージへと繋がった訳でも無い。予期していたことではあるが…………イレギュラーとしては、断面が焔である事か】
【――――否。良い、これで一つの戦略は練れた。彼に隙を作り出すのは苦労するが…………性質を紐解いたならば、少しは勝機も計算しやすくなる】

【瞳の性質はテナーの其れと似たような物だから理解して居る。威力の程は、滝壺に落とした時に身を焼かれた事で分かっている】
【だから、避けねばなるまいという答えを出すのにそう時間は掛からないのだ。炎に焼かれる訳にはいかない】
【では、何処だ。安全と断言できる場所は此処では何処にあるかと、視線を巡らせ】

【一度の跳躍。剣を壁に突き立てて。其れを支えとしてもう一度跳ぶが、僅かに遅れて足が焼かれる】
【――――その痛みで怯んだりしない所が、やはり戦闘慣れしている事を思わせるか】
【溶けかかっているであろう蝋燭を踏みつぶせば、ガシャンと音を立ててシャンデリアの上に着地して】


「痛みが欲しければ後でとびきりのをあげるよ。――――本当に、後悔する位のを
慈母の名?ああ、マリアか――――……で。君のその言葉を信じろ、と?例え誓ったとしても激情家の君が背信の輩とやらを実際に目の当たりにしたら殺しそうだ
後も先も考えずに此処を焼くような君じゃあ尚更ね

野蛮だなぁ、本当に。痛めつける事しか考えられない――――フフ、君らしくていいけど
自分の勝利を確信してるみたいだけど…………常に死なんて横に居るんだ。傲慢な事を言ったらあっさり狩られちゃうよ?」

【シャンデリアを繋ぐ天井の鎖を叩き切れば、共に落下するのだろう】
【斬撃では無く、重量による上からの叩き潰す事を目的とした物。もし、潰せずとも】
【落下の衝撃と共に辺りに飛散するシャンデリアの装飾やらが丁度良い目隠しとして機能してくれるだろうか】


「賭した威信、そのまま落として貰うよ。君の部下の加賀屋だってもう居ないんだ
――――ああ、盗まれたんだっけ?あのカノッサに。ラグナ―ルの時だって協力してあげてたのに……本当に何やってるんだろうね、ダグラスは
部下の勝手を許す程に緩い六罪王っていうのも考え物だけど、さっ!!」

【一瞬の溜め。とは言っても斬撃では無くテナーの瞳に宿った水の属性を剣に伝えるためだ】
【単純な其れが効かないならば、手法を変えるまで。決めての一撃を与えられる程までダメージを蓄積させるだけ】
【轟音の残響も消えた頃、フレデリックの右腕目掛けて剣は振るわれ】
【ピ、と先に当たるであろう水の飛沫が、ただの斬撃で無い事を知らせるか】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 22:11:29.33 ID:9jDX86TLo
>>546

そう、それでいい――――――――!

【何であろうと意志を通すならば戦わなければならない】
【騎士が騎士としてあるならば戦うべきであり、その姿こそ美しい】

貫き通したいなら、示せ!

【魔弾は墜ちる、だがそうでなければ面白くない】
【虚ろの騎士を見やり魔術師はようやく表情を変える、鋭い抜身の刀のように】
【それに呼応し「爪」は鳴くのだ、成すべき事を成す為に】

【2つの「爪」の表皮に亀裂が伸びる、最初からその姿であるのが正しいようにそれは開く】
【「爪」の根本の幅広い部分、外れた装甲を魔翌力で繋ぎ止めその内部には魔翌力を噴流する機関が露わに】
【2つは魔術師の腰元の左右に充てがわれ術者をふうわりと浮翌遊させる】

でも、その程度凌げないとは思わない事ね!
それとも私が女だからって手加減してくれてるのかしら!?嬉しいけど、でもお門違いよ!!
戦う理由があるならっ、先に目指す物も示しなさい!

【そも「爪」はその形が爪のように見えるから爪と呼称しているに過ぎない】
【根本的にそれ自体は魔導器か術具なのだ、それ故にその機能は魔術師の能力をブーストさせる事にある】
【術具の駆動音はさながらバイクのエンジン音のように甲高く……新たに姿を晒す】

狙いが分かり易い!私という壁はそれじゃあ崩せない!!

【新たに2つの「爪」の側面部が開き魔翌力を展開する】
【左右と胸部、覆うように前方に配置されるそれは盾の姿に相違なく】
【分身の攻撃を受ける、早くとも狙われるのが自分ならば守る箇所は限定される】
【計算さえ出来れば防御は造作ない、レイピアの切先と盾が触れれば大仰な音と光と共に防がれる】

次はこっち!凌げるものなら―――――――!

【右の盾は溜め込んだ魔翌力を圧縮しその爪先へと放つ】
【紫色をした魔翌力に刃は地面と平行に、その幅は3m程……障害たる石柱やらを裂き断ちながら騎士へと迫る】
【同時に左の盾は魔翌力を圧縮せずに、ばら撒く……こちらは牽制として魔術師の周囲へと迫る騎士の障害としての捨て石だ】
【戦いの中、術者の瞳はその一挙手一投足を見逃すまいと迷いなく騎士へと向けられている、何よりその心に何を宿しているかを求めて】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 22:20:18.75 ID:HvfoZkDMo
>>547

【少女は言い返したいのをぐっと堪える】
【本当はイノシシの方が食べるところがいっぱいあるとか何とか返そうとしたのだが】
【問いを投げたのは自分だ。女性が答えるまで、彼女は黙るのだろう】
【その間両者の視線がバチバチと火花を散らせていたのは言うまでも無いだろうか】


……こういう時ってなんて言えばいいんだっけ。あ、思い出したにゃ。……南無南無


【絶叫してぶっ倒れた男に黙とうを捧げるのだろう。意味はきっとわかってない】


にゃ、あんたご飯作れるのかにゃ? だったら作ってほしいにゃ!
普通に焼くのは勘弁してほしいな! 折角作ってもらうんだったらおいしいのがいいにゃ!


【話を逸らすことには――どうやら成功したらしい】
【代わりに少女は動物達を調理させる気でいるようだ。しかも注文付きという図々しさである】
【さて、一応BBQセットはあるものの、料理をする設備も材料も少ない】
【この難題を女性はどう切り抜けるのだろうか――】

【……まぁ、どうせこの少女のことだ。基本的な調味料で誤魔化せば案外どうにかなりそうではある】
【それに問題は動物を食べられる状態にしなければならないところにもあるか】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 22:35:09.90 ID:j88oSj/+0
>>544

【エレベーターに投げ込まれるような形で強引に函体の中に連れ込まれた司教。頭を抱えてうずくまる姿を横目にミドナを見据える】
【……露骨なまでに司教に対して乱暴な扱いをするミドナ。行動の数々にこれまでの恨みが滲み出ている……まるで鬱憤を晴らすような感じ】
【余程嫌がられるような事をしたのだろうか。ああいう類の輩は、護られていることに感謝もせずに、高い立場を笠に着て偉そうにするものだが】
【ミドナもそんな目に遭ったのだろう。首根っこを摑まえていた姿なんて、凡そミドナの方が司教を捕縛し懲らしめる立場のようだった……】


【やがて間もなく、エレベーターの扉は閉まる。取り敢えずはこれで函体の中に入れられた司教の安全は確保されたのだろうが】
【微かに扉の隙間から司教が喚く声が聞こえる。―――どこまでも騒々しい、煩わしい、気に食わない……】


―――奇遇で御座いますね。
私も、騎士団という立場でその司教を捕縛しに参ったので御座いますが……騎士団や神云々以前に、人としてその司教が許せないので御座います。
私利私欲に走った彼の下でどれだけの人が苦しんだか!その身に相応しくない高い立場を利用して姦淫に耽った彼の下でどれだけの女性が弄ばれたか!
正しき心を持った人ならば、彼が糾すべき人間であることはお分かりで御座いましょう……?


……もうご存じで御座いましょうが、私は第三近衛騎士団に身を置く、マリア・アレンスと申します。
ゼン=カイマに集う人々の守護を任されてた者として、人々を苦しませたその司教を赦すわけには参りません。
―――どうしても戦わなければならないのならば、此方も容赦は致しません!

【人々を護るという強い意志の下に戦う。司教が人々を苦しまるのなら、身を挺してでもその司教を捕縛する。―――戦う理由はその一つ。】
【烈火のごとく滾る視線、深海の如く澄む視線……対称的な二つの視線の交差を合図に、戦いの火蓋は切って落とされる。】


―――参ります!

【ミドナの突撃と同時に、盾が不思議な光を放つ。何色とも形容しがたい七色の光、月光のように優しい輝きを放つ其れは同時に魔力も感じさせるだろうか】
【やがてミドナが此方に到達する頃にはその光は収まる。マリアはその体の大部分が隠れる程の大盾を、丁度ミドナに対するように構える―――】

【マリアの胴体目掛けて飛来する大剣は、構えられた大盾に弾かれる。――――しかし、何かがおかしい。】
【あれだけの重量と膂力を以て攻撃したにも拘らず、盾に弾かれた瞬間「ガツン」といった衝撃音の一つも起こらなかったのだ。】
【いや、それどころか……実際に大剣を持ったミドナなら分かるだろうが、手応えの一つもない。確かに剣は弾かれたのに、僅かな反動すら無い。】
【まるで、物理的なエネルギーが全て打ち消されたような……そんな、不可思議極まりない現象が起きた。】


【―――さあ、今度はこちらの番だ。盾で弾いた直後に生まれるかもしれない隙を、みすみす逃すわけにはいかない!】
【ミドナの突撃のお蔭で、間合いは幾ばくも無い。こちらの光の剣も届く範囲にある……その短い間合いを騎士団の精鋭が利用しない筈は無かった】
【刃渡り1メートル強はあるかというその光の剣を一閃、大剣を振るったことで空いているであろうミドナの脇腹に叩き込む!】
【剣の一撃は高速ではあるものの横に一直線。だが当たれば灼けるような高熱による火傷と、鋭利な刃物で切り裂かれたような鋭い傷を負うことになるだろう。】
【回避するには簡単。剣の間合いを見切って直ぐに後ろに下がれば何の問題もない。ただ、一瞬でも判断を迷うと高速の斬撃が牙を剥くことになる】

【さて、盾を構えたままマリアはぐいっと前へ戦線を押し上げようとする。勿論エレベーターの方へと進むため……】


//すみません、途中でパソコンが再起動してしまって……!
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/04(日) 22:35:51.15 ID:ZwOgzNE1o
>>548

―――…そうとも。私の行動の全ては、まったく幼稚な独り善がりの結果だ
認めようじゃないか……私はあの父を殺すために何千の騎士を動かしたのだ。
だがなグリースッ!貴様は少々、私という人間を見誤っているのではないかな?

確かに、だ……私は父の死を望んだ。そして、その認識は改められたのだ
マリア一人のお陰か?否だ……この愚物にも声を掛けてくれる存在は他にも在る。
かつて肉親に捨てられ罵られた私を、今日の今まで見守ってくれた司教が居たッ!
人道というものを大いに外れてこそいるが、共に未来を語らう友が居たのだ……ッ!!

……教会は、残る。全ての膿は私が除く……全ての罪も私が被ろう。
聖地を血で染めた罪も、人々を恐怖に陥れた罪も私が被ろう。
死して尚も幽世で神が死んで贖え≠ニいうのなら、幾億回でも自死しようッ!

だがその結果残るのは、ただ純真なる者が信じ崇める神の教え……ただそれだけだ
それだけ残ればそれでいい。迫害される?白い目で見られるから何だと言うのだ?

そも神≠ニは――人間が良し悪しを定められるほどに低俗な存在ではない…ッ!!
貴様の認識も、宗教講義ももう終わりだ……今その口を塞いでやろう…――。

【あまりにも過激すぎる思考――人に理解を得るつもりなど、毛頭ないというその姿勢】
【やはり異端だった。狂信というのも、一般から見れば十分に異端であった】
【悪を取り除いた純真なる教会の存在を願うこと。そして、世界の目など彼らは気にせぬという思想】

【――あまりに独善的だった。全ての教徒が彼のような意志を持てるか――無論、否だ】
【ただそれを理解していることが余計に無情だった。気が触れているわけでは決して無いのだ】
【降り来るシャンデリアを槍で半ば切り落としながら、轟音を立てて跳ね除ける】
【炎の煙とその残骸とが見事に視界を塞ぐが――焔気を纏う彼の姿はよく見えよう】


ふン……!教会というのは所詮場≠ナしかない……
それも此処は悪逆の徒が居座り続けた都市の教会――燃やすくらいがちょうど良かろう?

――ククッ、見損なうなよグリース……!私は神に……マリアの名誉に誓っても良い
あの、自分の親だと認めることすら悍ましい男を殺しはしない……!
そう約したからな…――おっとそうだ、もう一つだけ言っておきたいことがあったんだよグリィー…ス……― ――  ―?


【言葉を放つのは隙。僅かに触れた水の飛沫に攻撃の気配を感じ取るが――彼は避けない】
【右手は槍を持つ、ある意味では攻撃の要だ。けれども彼は更なる攻≠選んだ】


     ……――――私のなァ…!!

        唯一無二の愚かなる親友を愚弄することは許さんぞグリィィィィィィスッッッ!!!!


【フレデリックは右腕への攻撃を好きにさせながら、左の拳を入れ替わりに彼女に叩き付けようとするのである】
【そこには人の手を象ったようなガントレットが装着されていて――喰らえば、威力は重トラックの衝突並】
【――とまで言うと流石に言いすぎだが、思い切り槍の柄を叩きつけられるのと同じくらいの衝撃を孕んでいた】

【その姿――人の眼にはまさに悪鬼。凄まじい形相で相手を睨めつけるのは、人には到底見えなかった】
【だがベリエの鏡≠ヘ彼を彼として、つまり醜悪でもなんでもない一個の人間として映し出す】
【これがどういう意味を持つのか――その純真さに、如何に混じり気がないかという、それだけなのだが。】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 22:44:22.49 ID:f4qfIxBso
>>550

【軽く煙が立ち込めていて……男は完全に伸びている。死んではいないようなのでおそらくは大丈夫(?)なのだろう】
【スイッチ一つで止められる辺り、本当に人間なのかどうかすら怪しいが――証明手段はどこにもない】

『ええ、いつも彼が狩ってきたモノやその他山菜等を調理してますので――簡単なものでしたら、作れますよ』
『……本当のところ、幾らあっても食費が足りないんですよね、時々傭兵等で稼がせていますが……すぐに無くなりますし』

【スイッチをポケットにしまいつつ、そう淡々と話す彼女――やはり、表情も感情も見えない】
【そして、そのポケットは一体どこへ繋がっているのだろうか、調理器具や水入りPET、そこら辺に生えている草、調味料入れサイズの空瓶等が出てきたではないか】

『ちょっと、ヘケメト起きてください――ご飯の時間ですよ、肉を加工しておいてください』 「ご飯!」

【……その言葉で復活した彼は、彼女から渡された刃物(と己の肉体)でイノシシやダチョウを切ったりちぎったり。】
【先程の口論は忘れたのだろうか、それとも切り替えが速いのか。ともかく、ヒャッハーと言いながら獣を肉に変えて行く】
【その隙に彼女が細かい調理を行ってゆく。おそらく、いつもこんな感じで食事をしているのだろうか】


【〜3分クッキングのテーマでお待ちください〜】


『……このくらいでどうでしょうか』 「やったー」

【その内、数品ほどの肉料理が完成するだろう。ちなみに先程の空瓶は、中に何も入っていないのに何故か塩やら胡椒やら七味やらが個別に出てくる不思議アイテムである】
【味付き焼き肉、炒めもの、鍋、……どれも普通の家庭にありそうな、平凡で素朴な料理だ。肉の種類はともかくとして……そもそも皿まであるとは一体どういうことだろうか】
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/04(日) 22:52:56.86 ID:mV9PQeB6o
【未明―――ある裏通り】

【誰も入ってない雑居ビル、潰れてシャッタの降りた商店。そんなものばかりの此処は】
【深夜になれば人通りもない。昼間も対して居ない。シンと静まり返った街】
【しかし、先ほどだけそれをふっ飛ばすぐらいの音。ブレーキがきしむ音とタイヤが擦れる音】
【衝突してはじけ飛ぶ音が立て続けに起こって静かに戻った。現場にはタイヤ痕とガードレールをグシャグシャにした】
【コレまたぐしゃぐしゃになったオートバイと、風に巻かれて飛んだ大量の紙幣―――油と血とがついた紙幣が散らばっていた】

【少し離れた、バスストップ。そこのベンチに1人の人物が座っている。】
【ドロやオイルで汚れた黒いスーツを着た、サングラスの背の高い男。背もたれに体を預けて】
【額から血が少し垂れている。頬にも擦り傷がある。そして彼の横にあるボストンバックの口は開いていて】
【グシャグシャの紙幣が大量に、無造作に入っていた】

………火ぃ、貸してくれよ

【男は火のついていない煙草をくわえていた。右手のライターをその辺に投げ捨てて、少し笑ったようにしゃがれた声で言った】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 23:09:59.26 ID:sD65NMDg0
>>549

随分と上からものを言うな、それはお前に語っても理解など出来はしない。
黙って鍵を渡して道を空けた方が懸命だと、俺は思うがな!

(あれを、どうやらアイツはあれを手足の様に動かせるらしい)
(俺の剣もそうして凌いだ、なかなかに厄介だな……)

【女性の持つ「爪」を改めて危険視する男、彼女自身が能力によって具現化させた物なのか、それとも何か特殊な道具なのか、思考を張り巡らせる】
【しかし考えるのは恐らく無駄だと、男自身も分かっているだろう、どちらにせよそれを貫ければ良いのだという答えを導きだして】
【女性の次なる攻撃、巨大な魔力の刃、それに分身を近付けまいとしてばら撒かれる魔力の弾幕】

【仕方なく今女性を攻めるのは中止して、迫り来る刃へと目を向ける】

……なるほど、確かに強力ではあるが……まだ我が能力の本来の力を見せてはいない!
本来俺の持つ能力は雷撃を自在に操るもの!これしきの攻撃など何の事も無いッ!

【女性に向かい合っていた騎士達は消え、それと同時に男の元に残っていた騎士達が紫電を帯びて発光し始める】
【三体はレイピアを胸元から天に向けて構え、攻撃の壁として刃の前に立ち塞がった】
【三体の持つレイピアに纏った紫電がそれぞれの刃に向かって凄まじい勢いを持って伸びていた、それは雷の壁とでも呼ぶのが正しいか】
【その壁によって威力を殺す、攻撃の魔力の幾らかは壁を通り抜けて騎士達が浴び、本体にも僅かだが目視出来る程度のダメージを与えていた】

ならば……!防げるのならば防いでみろ……ッ!この俺の剣をッ!

【だが男は怯まずに次なる攻撃を仕掛ける、一体の騎士が紫電を纏ったまま女性に突撃する】
【狙いは先程と同じ胸部、しかし先程と違うのは 紫電を纏っているからなのか】
【今度は弾丸の如き速度で迫る!更に何かにレイピアが突き刺されば纏っている雷を一気に解放させ、雷撃の小爆発を起こすだろう】
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/04(日) 23:13:56.30 ID:buQS6ugs0
>>552
「ああ、そうかい。その君を見守ってくれた司教が血肉の雨を降らせて教会を変えろと言ったならロクデナシだ
一人で罪を被れる程自分を偉大な男だと勘違いしてるのかな、大司教サマは

――――――アハハハハハハハハハハッッ!!!魂が擦りきれる程死んだって君が殺した一人の償いにすらならないんだよ!
何処ぞの救世主様みたく人間の罪を背負って昇天してみるかい?
君は今、神の善し悪しなんて人間が決められるものでは無いと言ったけど――――じゃあ、君の其れだって全部無意味だ
なる様にしてなってたんだよ。君のお父様を殺す為に今まで何人殺したかな?下らない理想のために一つしか無い命を幾つ終わらせたんだい
見誤ってるなんてとんでも無い。…………やっぱり君という存在が嫌いだ」

【考えの相違。正反対故に、理解出来ぬ事】
【これまでの罪を自分一人の身だけで償えるほど、己を高く見るな。落ちたシャンデリアの向こうにある表情は、きっと嘲笑うかのようで】
【剣はフェイク、本当の狙いは彼の焔を一時途切れさせる事にある。だが――――無傷で其れを行うなど不可能だ】

【死なない程度にダメージを受ける覚悟。其処から、反撃へと転ずる事が出来るだけの気力】
【意識が飛ばされない様に気を付ける事――――戦闘に於いてこれら全てに注意を払うのは至難の業】
【だが、出来なければ意味が無い。どれか一つでも欠ければ終わりなのだ】


【向かってくる拳は然りと見えた。幾ら機敏に動く事が出来ても、動作の最中であれば避ける事が敵わず】
【ならばせめて少しでも威力を和らげるようにと左手で止めんとするが、膂力はそう強い訳でも無い】
【結果。斬撃が通ったかどうかを見る暇も無く、壁へと吹き飛ばされる事となるのだろう】

【音を立てて崩れる壁は、受け身の失敗を告げており。ともすれば、死なずとも重傷である事は間違い無いのだが…………】
【其れは一般信徒ならば、の話だ。仮にも死神と呼ばれる女。其れで死ぬ事が無いのは、フレデリック自身も知っている事か】
【だが、煙が晴れた所で彼女の姿は其処には無く】


「五月蠅いな……ァ…………そんな大声出さなくても、十分、聞こえてる……って」

【気付けば、真逆の位置取り。即ち、フレデリックの背の方に姿を現して】
【壁に叩き付けられた衝撃が全て伝わる前に、転移をしたのだろう。其れでも逃しきれなかった衝撃は大きく、所々から血が滴っていて】


「仁義に燃えてる所、悪いけど…………さ…………
…………――――カノッサに居る、君の親友…………人を沢山殺したのに、よく友達だなんていえるね…………
ああ、そっか…………信徒じゃなければ関係無い、かな…………?」

【咳き込めば、床に散らばるのは鮮血だ。それでも尚、戦闘の意思は消えず】
【その手には剣――――では無く、一本の槍。彼の副団長の亡骸より作り出された其れは只の槍とは異なり】

【右腕の締めとばかりに、もう一度右の腕を狙って振られるのであろうが。斬り付けられれば今度ばかりは少し厄介か】
【火種たる肉体を、切り口を石化してしまおうというのだ。治癒の力を一時期に奪ってしまおうなんて算段】
【無論、其れが通じる確証も無いが――――やらずに判断するよりは、よっぽど良い】
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 23:15:56.11 ID:HvfoZkDMo
>>553


だったらお願いするにゃ! おいしいのお願いにゃ!


【「ごっはっん〜、ごっはっん〜」などと不協和音をまき散らしながら】
【彼女は適当な場所に腰掛けて料理が出来上がるのを待つのだろう】

【手伝おうという気は無いようだが――そのままにしておくのが吉だ】
【彼女に手伝わせた場合、作業時間が倍加するのはおそらくこの世の理で定められている】


おおー! うまそうだにゃ!!


【次々と作られていく料理。全てが並びきると、彼女は目を輝かせるのだろう】
【敷物も出していてくれたのならばそこへ、無いならやはり適当に腰を下ろし】
【箸やフォークなどもあればそれを手に持って――】


――いっただっきまーす!!


【そう宣言すると遠慮なく食べてゆくのだろう】
【時たま「おいしいにゃー!」とか叫びつつ、あっちこっちに手を付けてゆく】
【咀嚼する彼女の表情は、この上なく幸せそうなものだろう】
【その食べっぷりは目を瞠るものがあるが、彼には到底及ばない。あくまで常識的な範囲だ】

【……誰もが疑問を抱くであろう様々な事柄を無視しつつ、彼女は食事を進めてゆく】
【少女だけでなくもちろん二人も食事をするのだろう。それでもきっと、彼女はお腹一杯になるはずで】
【食べ終えたのなら大きくなったお腹をさすりながら、ごちそうさまでした、とそう一言零すことだろう】

/すみません、お風呂行ってました…
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/04(日) 23:23:08.15 ID:xNeROGVOo
>>551

………あんた、もしかするとあの団長サマ以上の堅物なんじゃない?
別に、コイツについてはあたしもどうだっていい。SCARLETとして、あたし個人として………殺されちゃうのは後味が悪いってだけ。
ただ真っ当に罪を償わせるだけだってんなら、喜んで引き渡してやっても良いぐらいよ。

【マリアが並べ立てる正論に、ミドナは却って呆れ返るように嘆息した。正義組織としてもミドナ個人としても、全く反論の余地がない】
【女性として、そして正義として――――正反対の二人ではあるが、根幹にある志はそう変わらないのだろう】
【……それでも、ミドナに戦いを止める気が無いことは明白。獰猛な笑みを浮かべ、言葉尻に「でもね、」と付け加えて】

――――カノッサ機関=B
言いたいことは解るわよね。あたしは別にあんたらが悪いとは思わないけど――――連中と関わってるってんなら話は別よ。

そこのジジイみたいな連中を裁くのはいい。けど……あんたらがあんな連中とつるんでまで押し進めた強引なやり方のせいで、傷ついたヤツが一杯いる!

【金剛石の刃を振りかざして、ミドナはそんな事を口にする。相手が同じ正義≠掲げる者であるからこそ、ぶつけたかった問答】
【思い出すのはラグナールの件だ。街が半分壊滅せしめられるのを間近で垣間見たミドナにとって、そこだけは絶対に看過できなかった】
【そんな思いの丈をぶちまけて、ミドナの全身全霊の大剣が盾と衝突するが――――防がれた、という実感すら沸かなかった】
【気付いたら、剣が盾に触れていた。その程度の感覚。攻撃そのものを全て無力化されたかのような感覚に、ミドナは眉根を潜めるが………】


マリア・アレンスッ! あんたが、あんたらがやりたい事ってのは、そこまでしなきゃいけない程のもんなわけ――――!?
《 阿修羅ノ御手( マハー・ハスタ・アスラ )》!!


【そこで怯んでしまうほどミドナも馬鹿ではない。光の剣が唸るより先に反撃が来ると察知して、叫びと共に能力≠ェ発動する!】
【腕に纏っているのと同じ朱色の光がミドナの背後で輝いて形を成し、それは一瞬で四本の腕≠フ形へと成形され】
【自分の両腕と合わせて、これで朱色に輝く腕が六つ。腕を四つ増やし、阿修羅の如き六本腕≠ノよる戦闘を可能とする能力――――!】
【その力が、脇腹に生まれた隙をカバーする。中段の自身の両腕と下段の二本が大剣の柄に添えられれば、ごうっと大剣が風を切った】
【二本から四本へ、単純計算で二倍の力が掛かった大剣はマリアの光の剣が届くより先にミドナの真横へ移動し、金剛石の盾となって剣戟を防ぐだろうか】

まだ――――話は終わってないわよっ!!

【その後、ミドナは大剣の持ち手を下段・中段の左側二本に預けると、戦線を押し上げようとするマリアに対して残りの四本腕を振るうだろう】
【行動は先程より単純、上段の左右と下段の右腕の計三本が盾の三カ所を強引に掴もうとする。全ての腕に常人離れした膂力が備わっているのは言うまでもなく】
【それに成功すれば、ミドナは両足を全力で踏ん張って盾を押し返し、マリアの進軍を真っ向から押さえつけようとするだろう!】
【そしてそれらが成功するか否かに関わらず、最後に余った中段の右拳が盾の中央へ全力で叩き付けられる、のだが――――】

【これら全てがうまく行けば、ミドナ自身の足腰の力に加え、岩をも砕く腕力が三本分も盾に加わることになる】
【こうなればよほどマリアの地力が強くない限り、ミドナを無理矢理押し込んで進むというようなことは出来ないと思われるが………】
【ひとつ心配なのはこの盾に宿る力の方だ。最後の拳の一撃も、マリアへの攻撃ではなくそれを確かめるためのもので】
【もしこの盾に物理攻撃を無効化する′果でも付いているのなら、このミドナの行動はどういう結果をもたらすのだろうか】
【盾を掴む力や盾を押す力すらも丸ごと無効化されてしまうのか。それとも、最後の拳の一撃のみが無効化されるのか……ミドナが確かめたいのはそれだ】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/04(日) 23:28:25.25 ID:f4qfIxBso
>>557

「アウの料理は旨いんだぜェー、これだけは譲る!」 『何を譲るんですか……』

【料理を目の前にして興奮気味な様子の彼、ちなみに敷物は出してくれなかった様子】

「ヒャッハー!」

【――なお、箸やフォーク等は"2人分"しか用意されていなかった、何故か、この男にそんなモノは必要ないのだ】
【どこの幼稚園児だと言わんばかりのワイルドな食べっぷり。消化吸収の速い腸。もしこれが常識の食事ならば世界は[ピザ]王国だろう】
【遠慮をしているのは、料理を作ったこの女性くらいだった、むしろ進んで細かい残りカスの処理をしている】

「食ったァーッ!」 『食器などは後で小川で洗っておきますので……ご心配なく』

【そんなこんなで食事が終われば、彼女は食器や調理器具等をやはりポケットの中にしまう】
【……質量保存の法則だとか大きさだとか、そんなモノを気にする様子のないそれは、中々便利なポケットである】

「あれ? で、なんで俺たち一緒に食事してたんだっけェ〜」 『…………はァ……』

【……そして、もはやこうなった原因を覚えていないのが、原因を作った張本人であった】
【わざと言っているわけではない、本気で言っているのだ。その表情は、間違いなくそうである】
【これには女性もため息を一つ。そして、いつも通りですね、と呟くのだった】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/04(日) 23:45:25.76 ID:ZwOgzNE1o
>>556

…――結構ッ!!私を馬鹿にしたければ好きにすれば良い……!
このフレデリック……己の愚かさを理解できぬ程の白痴ではない!

だが……旧態依然たる教会の下で人殺しを続ける貴様が
よくもまあ私などを口汚く侮辱できたものだな?それとも同族嫌悪か、えェ!?
共に人で無し≠セものなあ、違うかグリース・イムリンパルス…ッッ!!!


【嘲笑う声に対しての言葉は尚も対立。どこまで話しても和解など有り得ない】
【水と油なのだ。或いは共に山嵐とでも言おうか――もっとも、然程可愛らしい関係ではない】

【グリースの振るった刃は確実にフレデリックの腕を切り裂き、落とす】
【如何に強健な肉と骨の構成であっても、魔力で強化されたそれを止めることは出来ないということだ】
【そしてココからも想定の内であろう――傷口からは血の代わりに火が噴いて】

【恐らく、そのまま放置しておけば生えてくる、とまでは言わないまでも再構成出来る様子だ】
【が、早々とは成らない。フレデリックはガントレットをハメた左手で槍を拾い上げる】

【――しかし次の点がまずかった、グリースが転移の術を使う可能性を忘れていたのだ】
【てっきり受け身を取って銃撃でもしてくるかと思っていた。気配と声ですぐさま背後に居ると分かったが】
【ここで右腕を盾にして振り返ってしまったのは平生の癖だろう――傷口に、槍の鈍い刃が届くと】
【ピシリ≠ニいう音と共に、噴火のように赤々としていた腕の切り口から関節までが石化し】


ッ……な、ニィ……!?貴様まさか、その槍は加賀屋の物か……ッ!!
遺骸を武器にするなど……正気か――いや、違ったな…!!

死神≠轤オい狂気の持ち主だよ貴様は、グリース…――!
それでよくも人にどうのと言えた物だ――く、ククッ……よくダグラスを友と呼べるな、だと?
貴様などに分かるものかッ!あれは異常だよ、お前と一緒で一つにしか執着しない!

貴様が殺しという唯一つを生業にしているなら、奴は美学一つを追い求める異才だ!
殺しに躊躇いは無い!……だが人を殺せば、貴様の中ではその者は友ではないのか?
私はそうは思わん――もうお話しは終わりだグリース。一瞬で……楽にしてやろう…ッ!!


【右腕はもう使えない。なればと、フレデリックは左手の槍を一挙に短く持ち直し】
【まるで柄が2m以上も在るグラディウス――直剣の様に構えて、正面から胸部めがけて突き出した】

【当然のように、その刃には雷撃が在る。動かずに居れば心臓を穿ち】
【更には強烈な電撃を放って、即座に意識をロストさせる決殺の攻撃、という認識で相違ない】
【仮に後方へ逃げたとて――雷撃の奔流は同じ。避ければ、強烈な雷が周囲を襲うことになるだろう】


【――だが、そこには死角がある。周囲一帯ではない、上でも下でも、物陰でもない】
【想像はつくだろうか――いや、先に記したものを少々改めねばなるまい】
【物は言いようだ、物陰≠ノは違いない。そしてそこに逃げ込めたなら――危機は、機会に昇華する――!】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/04(日) 23:46:55.50 ID:HvfoZkDMo
>>559


おいしかったにゃ! ありがとうにゃ! そういや二人は何て名前なのかにゃ?
あたいはシルバーキャット――銀猫だよ!


【たらふく食べて腹も気分も満たされれば彼女は立ち上がる】
【そして底抜けの明るさで名を問うのだろう。ついでに自己紹介も済ませて】


細かいことはどうでもいいにゃ
じゃあお腹いっぱいになったし、あたいは修行しに行くにゃ!
にゃは、二人ともまた会おうにゃ! ばいばい!


【二人から名を聞けたならば、彼女は走り去ってゆくだろう】
【少し進んで大きく手を振ったなら、振り返ることもなく町の外へと消えてゆくはずだ】


……あれ、ダチョウ返したっけ。まいっか!


【そんなことを思い出したのは周りを木に囲まれた後のことだった】
【終わったことだからと割り切っていい問題ではないのだが――後の祭りで】
【やがてそんなことも忘れゆき、彼女はいつも通りの自然破壊という修行をするのだろう――】

【……余談。二人がその場に留まっていたのなら、農具を持った老人に追いかけ回される運命を辿るかもしれない】

/明日早いのでこのあたりで!お疲れ様でした!
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 00:06:45.34 ID:Vb3SKeMAo
>>555

(ち、浅い――――――――)

【双方の「爪」は攻撃の後に動きを止め背中へと戻される】
【魔翌力回路の修繕でも行っているのだろう「きぃん」という機械地味た音が】
【しかし騎士に聞こえる事はないだろう、理由は明白だ……その雷の高らかな声は全てを飲み込む】

理解出来るかどうかは貴方が決めることじゃない
でも、何故貴方はそこまでして戦うの……?――――――――

【「爪」の1つを先程と同じように盾へと変えて構える、が】
【その騎士の速度に展開速度はどう贔屓目に見ても間に合わない】
【されど防がねば致命打、ならば使える物は使うのが……彼女のやり方】

―――――――命と爪一つ……天秤に掛けるまでもない!……っ

【未完の盾を翻し騎士の攻撃を受ける】
【切先が触れれば膨大な衝撃がそのまま身を襲う姿勢制御もままならないままで後方へと飛ばされ鉄門へと背中をうつ
【これで直接の被害は抑えられたとしてしかしその後の雷撃が魔術師の身体を蝕むように】

……っ、ひっ……う……―――――――趣味の悪い……!

【身を揺さぶる衝撃に奥歯を噛み締めながら耐える】
【爆発の衝撃からか首の「鍵束」を留めたネックレスが緩んでしまった】
【それを魔術師は知ってか知らずか、めり込んだ身体を起き上げて再び対峙する】

(……技量差か、それとも潜った死線の差かな)
(なんにせよこのままじゃジリ貧は必死――――――やるなら盛大に、しかないか)

【不意に浮かべる自嘲的な笑み、結論はいつも同じだから】

【背中に一度戻した「爪」を再起動、内部欠損が残ってはいるが仕方ない】
【いずれにせよこの攻撃で砲身は焼き切れるのだから、遅かれ早かれという話だ】

目標をセット、プラン……デトネイター

【「きしん」という音は歯車が組替わる音】
【音の根源は2つの「爪」と魔術師から、組み上がるのは砲撃の為の魔術式】
【漏れ出る魔翌力は景色を歪ませる程の濃度、それを圧縮する機関たる「爪」と魔術師の右腕は赤く赤く熱を生み出す】

――――――――逃げるなら今のうちよ……生憎だけど火をつけたのはアンタなんだからね

【その反動は術者へと還るのは言うまでもない】
【組み合わさった「爪」はさながらガトリングのように回転を始め、やがて高速に火花を散らす】
【膨大な力は地上を照らす星のように、その砲身……口を騎士へと向ける】

【渦巻くモノが壁となる力ならば突き崩さなければならない】
【活路は如何なる状況であろうと在るはずだ、騎士たるならばその慧眼にて示せば良い】
【何よりも魔術師はそれを求めてここにいるのだから】
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/05(月) 00:09:37.51 ID:QQ5i1rEmo
>>561

「俺はよー、ヘケメトっていうんだぜェー、その辺でバトルしてるっていう感じ!」
『……私はアウと申します、あなた水の国の大会に参加したことありますよね、彼も参加していたので見ていました』
『まあ……彼は覚えていませんがね』

【どうやら名前を聞いて大会に居たという記憶が蘇ってきた様子の彼女は、そう確認の問いをして】
【何だかんだであまり上位に食い込めない都合もあって、直接手をあわせることは無く、その為】
【……覚えているのが第三者のみ、そういうことなのだろう】

「へェー、大会に居たんだ、まァーそれはどうでも良いぜェ、次はバトルだバトル!」

【そんな事お構いなしで好戦的な彼。ただ、腹が満ちているためか無理矢理襲ってくる様子はなく】

「ヘケケケ、修行は大事だよなァー、動かねェーと身体なまるしよォー、んじゃまた会おうぜェー」

【そう言って、最初に比べればまあまあ落ち着いた様子で彼女を見送ったのだった】


「さァーて、俺達もどっか行こうぜ……んゥ?」
「――ヘッキャアーッ! 逃げるぜェー、アウ!」 『……あなたが悪いんですけれど』

【――少しの間留まっていたのが悪かった、見事にダチョウの飼い主に発見されて追われることとなった】
【アウを肩車して、猛スピードで老人を撒くその姿はまごうことなき脳筋であった】

/お疲れ様でしたー
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 00:29:05.26 ID:Xzd4ybFf0
>>558

【光の剣は、金剛石の盾と化した大剣によって防がれた。……相手はSCARLETの手練、そう簡単には行かないのは織り込み済みだが】
【やはり、戦闘における隙のない動きは流石と言うべきか。腕が増えたと言えば良いのだろうか、新たに伸びた四本の腕は大剣をも軽々と扱った】
【単純な力は圧倒的に相手の方が上だろう。此方にはあのような大剣を振るう力は持ち合わせていない……】

【―――だが、此方にはその力も防ぎうる盾がある。戦う方法だって、いくらでもある。単純な力の差イコール戦いの勝敗ではない!】
【負ける訳にはいかないのだ。間違いを糾し、歪んだ司教に苦しんだ人々を救うためにも……手を伸ばせば届く場所に居る司教をみすみす逃す訳にはいかないのだ!】

―――くッ!

【―――しかし、近かった間合いが災いして盾を掴まれてしまう。】
【掴まれた盾は、「確かに固定された。」圧倒的な力を持って掴まれた盾は、間違いなく押し込もうとするマリアの体を止めるに至った。】
【しかし、その次の拳の一撃はやはり手応えが無いだろう。全力で殴ったのに拳に痛みすら感じず、ただ拳の動きだけが止められたような感覚】

【ミドナの予測通り、この盾の効果は「物理攻撃を無効にする」というもの。もっとも、これはこの盾の能力の一部なのだが……】
【しかし、盾を掴まれると確かにマリアは動けなくなった。これはどういう事を意味するのだろうか?】

【カラクリはこうだ―――何も物理的なエネルギーを無効化されているのは敵の攻撃だけではなくて、マリアの押す力も同時に無効化されているのだ】
【盾の持ち手を掴めば「持つ」ことは出来るが、持ったまま盾で相手を押し返そうとしても、押し返す力自体が無効化されるから動けない……】
【だから、掴めば固定されてしまう。……ミドナはこのカラクリを詳細に気づけるだろうか】


ただ、然るべき罰を受けて貰う……それだけで御座います。尤も、罰を受けさせるのは私ではなく団長様で御座いますが……
殺されるか殺されぬかは団長様次第で御座います。その者が死に値すると判断された場合は殺される……それだけですよ。

……団長様は、少し変わられました。
貴女にこんな事を言っても仕方ないので御座いましょうが……団長様は、少しだけでも人の「愛」の力に気付かれました。
……今の団長様なら、追放処分はあっても殺しはしない……そんな気がします。
まあ、貴女方は何の確証もない「気がする」だけでは到底許容できないので御座いましょうが……


――――つるんだ、ですって?
……断じてそんな事は御座いません!!団長様は確かにカノッサの方と個人的に$e友で御座います。
しかし、それはあくまで個人的な関係で御座います!団長様とダグラス様が親友であっても、ゼン=カイマとカノッサには何の関係もない!

……ッ!!
傷ついた方が多くいるのは承知で御座います……、……しかし、放っておく訳にもいかない!
放っておけば、やはり苦しむ人が多く出る!貴女方正義≠ヘ、目に見えて傷つく人がいなければ悪徳に苦しむ人々を見過ごしても良いというので御座いますか!

【ラグナールの件は、ゼン=カイマは関与していない。―――真実はどうであれ、マリアはそう認識していた。】
【実際、マリアを含めたゼン=カイマのほぼ大部分はラグナール壊滅とは無関係だった。―――そう、「大部分は。」】
【マリアはラグナールの件について詳細を知らない。実際に戦場にいたミドナは真実を知っているのだろうが……】

【盾を掴まれたことによって戦線は一時膠着したが……しかし、そのまま膠着状態に持ち込ませるわけにはいかない。】
【重い剣をたった二本の腕で持ち、三本の腕は盾を持つことによって塞がれ、一本の腕はたった今攻撃したことによって直ぐに此方の動きに対応できない……】
【つまり今の敵はこちらの攻撃に対応できない!マリアはそう予測し、一瞬の隙を衝かんとばかりに又もや光の剣で攻撃を試みる!】

【先程と同じ光刃一閃。盾を掴むことによって空いているであろう脇を目掛けて振るう……ここまでは先程と同じ】
【だが、今度はそれだけでは終わらない。いわゆる燕返し、剣を振り切ったと同時に腕を伸ばして切り返す二段攻撃を仕掛ける!】
【最初の斬撃を躱して安心しては、腕を伸ばすことによって間合いの伸びた返しの斬撃の餌食となるが、果たして……】
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 00:30:06.76 ID:0ytvFy/E0
>>560
「死神の二つ名らしく鎌にでもすれば良かったかな――――?
…………そして、ねえ。死んだ其れを武器にしているのは君も同じだ、フレデリック
良いじゃ無いか。こんな場所なら多少可笑しい方が見栄えも良くなる…………“まとも”な人間が居る場所でも無い

――――――――決めつけるな、馬鹿。生かす為に殺すんだ。他の人を生かす為に、お前みたいな存在を殺すんだ」

【石化の効果は確認出来た。ずっと続く物で無いにしても、この戦いの間だけ効果が有るならば其れで十分】
【珍しく、冷めた表情を覗かせて。 貴様が殺しという唯一つを生業にしているなら――――その部分から、確かに彼女はまた別な表情を覗かせた】
【嘗て見せた激情とも異なる…………まるで、冷酷な執行者。殺しをする時は、きっと浮かべて居るであろう表情】
【激情に対して向けられるのは静寂。入り込んだ音すらも無にしてしまう程の静けさ】
【槍を手に構える姿は実に落ち着いていて。滴る血はダメージの大きさを。口の端から流れる血は内臓が大きく揺らされた事を伝えており】


「意味も無く殺したならばボクの敵だ。次に、ボクがその人を殺す。殺された人と同じ様なやり方で、同じ死に方をさせてやる
ダグラスは殺しすぎた。君も、殺しすぎた。だから、ボクが――――…………」

【転移とて連続で使える物でも無い。ましてや、其れを専門とする訳でも無いのだから零の時間で展開出来る訳も無い】
【頼れるのは自分の力だけだ。焼かれた足は未だ痛むが、まだ走る事が出来る】

【避雷針の如く、槍を前方へと構え。防御は捨てた。長引かせるだけ不利になるのだから】
【あろう事か、横に薙ぐ事が出来ぬ様にと槍の柄でフレデリックの其れを抑えレールにするかの如く駆け】
【テナーの魔力で引き出した水によって、槍に伝わる電撃の流れを無理に変えるのだろう】
【まだ、扱えきれぬ代物。全てを無効化出来ずとも――――意識だけは、保っている】

【神経が焼かれるような痛みだ。否、実際に焼かれているのだろう】
【辺りさえ燃えていなければ、肉の焦げるような匂いだって僅かに嗅ぎ取れたかもしれないが】
【止まらない。駆ける。そして――――――――】


「意地でもボクが止めてやるッ!!フレデリック、ボクがッ!!お前をッ――――!!!」

【選んだのは、彼の直ぐ側に寄る事であった。強烈な一撃――――雷は、彼の弱点であったか】
【その強烈な一撃を己を巻き込んでまで放つとは思えない。ならば、安全地帯は…………?】

【槍は二度振るわれる。初手は、左の足の甲を貫くかの様に】
【狙いは簡単だ。次の一手、身を翻して避けるなんて事を防がせる為】
【では、二振り目は――――――――】


「大司教だろうが何だろうが、流れる血を少なく出来るなら無理にでもお前を止めてやる―――――ッッ!!!」

【逆手に持ち、引き上げる力をそのまま使うかのように狙うのは“額”だ】
【――――正確には、其処に収まっているであろう彼の生き物の瞳だ】
【テナーの其れと同じならば、きっと大きな魔力を持っている筈。もし、破壊して暴走させることが出来たならば…………否、この局面では貫いて石化だけでも十分か】
【もし、貫けたならば。槍に流れていた水が内に流れ――――破壊せんと暴れる、か】

【然れど必殺の一撃に等しい其れだ。二手とも決まれば、性質も合わさって威力は絶大であろう…………が】
【その分、防がれればこちらが一気に不利となる。チャンスに有りっ丈の力を叩き込むが、果たして――――?】

【決まろうが決まらなかろうが、電流に身を焼かれた事に変わりは無い。槍を支えとして、その場に立つのだが】
【ベリエの鏡≠ノ写された女の姿。フレデリックとは異なり、少し姿が変わっていて】
【――――と言え、数度見た事があるであろう翼を生やしたその姿だ。髪の色も、顔つきも幾分か異なるが……今は、関係無き事】
【体力と気力は削られど、警戒だけは一切緩めること無く見遣るが】
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 01:05:44.86 ID:HQVhRmei0
>>562

……確かに、俺が決めることじゃ無いかも知れない。
だが、お前に教える事でも無い。俺が用があるのは司教の奴らだけだ……!

【ここまで聞けば 何と無く想像出来るかも知れない、男は司教を捕らえる為だけにこの戦いに身を投じている訳では無いという事を】
【そしてその意志は、男の攻撃からも伝わって来るほどだろうか】

(取った……!やはり所詮は盾、俺の能力との相性を考えれば難しい敵ではない!)

【雷撃ならば幾ら頑丈な壁でも貫通が可能、それをこの一撃で改めて理解した】
【相手が吹き飛ぶのを確認すると、騎士の分身達は男の周囲で円陣を組むように浮いているだろう】
【いつでも分身を防御に回せる構え、やはり隙は最小限に留められていた】


数を撃てば当たるという考えか……!? だが少々単調過ぎるな……!
俺と貴様の能力とでは、スピードが違う……ッ!!

【「爪」による魔力の機関砲の様な集中放火、だが男は逃げずに正面から攻撃を受けようとする】
【既に何体にも増えている騎士の分身が、自身を主を守る壁として レイピアを振るい、真っ向から女性へと向かっていく!】

【やがて分身の数が少なくなってきたのなら、その陰から男、本体が女性に迫るだろう】
【防ぎきれなかった攻撃で至る所に傷を作りながらも、尚怯まずに進む】
【狙いはやはり鍵、ただ手を伸ばしてそれを強奪しようとするだろう】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 01:21:32.61 ID:D72LbkLTo
>>565

【――ナマクラ、と称しても良いだろう。その角は、槍の尖端は】
【缶切りがその役目を果たす最初の様な鈍い感触と共に騎士団長の足を穿つ】
【たちまち足首辺りまでが石化して、フレデリックの額から大粒の汗が滴り落ち】

【更に二撃目、短槍の切っ先は、懐に入ったグリースを――】
【それこそ眦も裂けんばかりに睨み下ろすフレデリックの、その額】

【強烈な火炎の力を宿した第三の瞳を、獅子が獲物を欲するように確実に捉えた】
【直後、眼球が石化。用を成さなくなった異物を排出するのが、彼の身体の無意識な反応らしい】
【ちゅぽん≠ニいう生々しい音を立てて石塊を吐き出すと一挙に熱気が周囲から消え】

っ……ぐ、ッ…おおッ…!!?く、あァァ……!
まさかっ…!この、感覚は……ッ…!!!

【次の音は、更に生々しい水音であった。フレデリックが凄まじい量の血を吐いたのである】
【確かに眼球の石化と排出は、魔力の暴走には繋がらなかった】

【しかし――腕を半ばまで失って石化し、足首にも同様の症状を負った今】
【先ほどまでは血液というものを炎としていたから循環は気にせずとも良かった、が】
【腕まで行って行き場を失った血液は――石化した腕の傷からも染み出し】
【やがて過剰に内蔵を滾らせ、それが無為に腸を荒らし――結果の、吐血だ】

【フレデリックは思わず一歩後ろに下がった。しかしそれがまた良くなかった】
【彼は無意識に己の肉体をいつものとおりに動かそうとする癖がある、というのは】
【先ほど、切り落とされた右腕で身体をかばおうとしたので理解できただろう】

【今回も同じことだ――いつも通りに力を込めて、筋繊維の柔らかさに頼ろうとして】
【そして、折れ≠ス。骨がなどと生易しいことを言えればいいが――やがて、その身体は倒れこみ】


【視界が揺れる。確かに攻撃されたが、僅かに二撃で此処までのダメージを負うはずがない】
【そういう固定観念が痛みと流血とで働きを失った脳内で鬩ぎ合い――】

【次にフレデリックが考えるのは、鏡≠ノ映った天使のような死神を】
【如何にして、殺すか。考えて見れば簡単な話だ――彼女を殺せばそれで問題は全て終わる】
【死神≠ネのだ。死を払うことは、人間の永遠の望みだったではないか、なんて】

【ぐらりと視界も思考も揺れるなかでフレデリックは左手の槍を握り直し】
【まだ動く右足と左腕を動かして、のそりと血を溢しながら立ち上がり】
【やがて、転移した。マントに仕込んだ多重の術式陣を利用して――彼女の後ろへ】
【そして槍を構え、真っ直ぐに狙いを定める。その背の左側、心臓の位置をしっかりと。】


グ、ぁ……ハッ、フフっ……!大司教とは……騎士団長とはなァ、グリース……!
誰よりも強くあらねばならんのだ……誰よりも弱い≠ェ故に……ッ!

死神≠゚……ウロウロと、私の周りばかり良くも彷徨いてくれたものだ
だがこれで、ようやく……貴様ともお別れというわけだな?
認めよう――鏡は、古の聖人は。私などより余程尊く気高い御仁の鏡は
貴様をそう#Fめたのだと……私は見放されたのだとも、な……ヒトと、して……!

……最早、教会の膿を断ずる事はおろか、父も殴れまい。だが貴様には一矢報いてやろう
私という一個の人間として……グリース・イムリンパルス――さらばだ。…ッ、…――?

/続きます!
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 01:23:57.09 ID:D72LbkLTo
>>565

【――そして彼は、槍を振り下ろす。しかしそれは彼女の左隣を掠めて床を打つ】
【2つの足音が聞こえた。教会の奥――そう、懺悔室に篭っていた奴の物がひとつ、それと】


……ほら、ね?貴方のもっとも憂うべき害敵……彼は、終わりよ?
 其処の人がやったのかしら、手足だけじゃちょっと心許ないものね
 だから私がこうして念押しに『一突き』……これで、安心でしょう?

『おっ、お、おお……おおっ…!まことよの!
 図体ばかりの悪魔も聖域ではついぞ勝てなんだか!いや素晴らしい、よくやった!

 ……あぁしかし、本当に大丈夫か?ワシは少し心配でな……それというのも、ホレ……
 コヤツはなにせ化け物≠ナはないか、そうであろう?
 まだ、そのぅ……ワシは向こうに居たほうが良いのじゃないかなぁ、と……。』

あら、そう?それじゃあもう一回……それとも二回がお望みかしら?
 大丈夫よオジ様、私が……――『アンジェル』がしっかりトドメを刺すのだから…――ね?


【もう一つが女性のものだった。ごく一般的な修道服、頭巾、ロザリオまで首にかけ】
【そして真っ赤な髪は腰のあたりまで伸ばしきって、次いで手には刀を持っていた】

【妖しい輝きを持つ刃は――振り返れば、グリースにはよく見えることだろう】
【一度ではない。三度、七度と何回でも。その回数だけ、フレデリックの肉体には傷が増える】
【背中から胸を貫く。肩甲骨を割り、分厚い筋肉の鎧はいとも簡単に屈服し】

【やがて10を超えた頃――ようやく無意味なまでの刺突が終わって、騎士団長は横ざまに倒れこんだ】
【表情は伺えない。うつ伏せに倒れこんだまま、腕と、足と、そして無数の胴の傷とから血を流し】

【一方で、きっとグリースも見知った相手だろう機関≠フ――もっとも今は紋章も無いが――女性は】
【刀を血煙と消し、媚を売るように老司教の腕に抱きついていた】

【その姿をベリエの鏡≠ェ映しだす。そこに移るのは、グリースの天使を模造したような姿でも】
【人間を人間として写したフレデリックのものとも、醜悪な豚とされたゴッシュとも違う】
【真っ黒い影≠セった。自在に姿を変える妖魔、悪鬼、或いは女郎――グリースの目には、どう映るだろうか】


『……い、いやぁ!何はともあれ、これで一件落着というわけだ……悪は滅びた!
 そうだな?ええと……グリーン君だったかな?グレイス?いや、まあ君のお陰だよ
 まさか助手を用意しているとは思わなかった≠ェ……さて、これからどうしたものかなぁ……全く。』


【困った息子を持ったものだ、いやこんな奴は知ったことじゃないな――捨て台詞はそれだ】
【司教はまるで全てが丸く収まったかのような顔をしていた。超えた顎の肉をパンパンに張らせて笑うのだ】
【その横で彼女は――アンジェル・ベルジュロンは、グリースを見て嘲笑っていた。舌を見せて、悪戯気に。】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/05(月) 01:37:44.80 ID:2mTQ0Y0to
>>564

(これは―――――なるほど、ね!)

【叩き付けた拳に手応えはない。だが盾を掴むことでマリアの進行は確かに止まった。……だが、そのまま力任せに押し返すまでには至らない】
【やはりこちらの力が悉く無力化されているらしい。だがそれなら、どうしてマリアは動かないのか。こちらから力が掛けられないなら向こうから押し放題の筈】
【一瞬の停滞の中で、ミドナの勘≠ェ答えを導き出す。盾に掛かる物理作用を、敵味方関係なく無条件に無力化してしまう――――そういう訳か】

はん……街ひとつ平気で半壊させるような六罪王≠ニ親友だなんて聞いて、おいそれと信頼できるわけないでしょうが!
それに本当にあんたんとこの団長サマがその愛≠チてヤツに目覚めてたとしても、それはそれで危険よ! 連中だって一枚岩じゃないんだから……!
ついこの間だって――――加賀屋のヤツがカノッサの連中の陰謀に巻き込まれたばっかじゃないッ!!

【ラグナールの件で起きた騒乱には、確かにゼン=カイマの騎士達は無関係だったのだろう。それに関してはミドナも異論はない】
【しかしこのままカノッサ機関の者と、それも六罪王と関係を結び続けていて、この先第三騎士団がカノッサの側に引き込まれない保証はないとミドナは考える】
【例え第三騎士団側がこのまま正義を貫こうと、何らかの形でカノッサ側に利用されることは十分有り得ると――――脳裏に過ぎるのは、つい先日の光景だ】
【第三騎士団副団長の加賀谷善助という男が、カノッサ側の何らかの陰謀に巻き込まれて本体≠持ち去られた。詳細は省くが、生死不明の状態であって】
【調べればすぐ判明するだろうが、ミドナは先日の聖地巡礼の折に加賀屋と戦った一人だ。カノッサの不審な行動を間近で目的しているからこその、これは警告≠ナ】

そっちこそ――――その悪徳≠裁くためなら関係ないヤツが傷ついてもいいっての!?
聖地巡礼だかなんだか知んないけど、いちいち強硬なのよ、やり方が…………っぐ、あっ!!

【六本腕をすべて使い切った間隙を突いて襲い来る光の一閃。このまま膠着していては対応は不可能だが――――ミドナは盾を持つ手を離さなかった】
【その代わり、大剣を持っていた二本腕を離す。支えを失った大剣は当然地面に倒れるが、構わない。ミドナ本来の武器はこれではない――――!】
【刹那、ガキン!! という鋭い音が剣の一閃を食い止めるだろうか。下段の左腕が腰当てから短刀≠引き抜き、それによって剣戟を弾いたのだ】
【同じように、中段の左腕にも短刀が握られて。二連撃を二本腕で防ぎ切る――――が、リーチが短く細い短刀では、大剣のように完全な防御は不可能】
【特に短刀の性質上、防ごうと思えば持ち手のかなり間近にマリアの剣が迫ることになる。そうなれば光≠フ効果は避けられない……ミドナの指が火傷で赤く染まる】

こんの、お返しよ――――!!

【……マリアは気づくだろうか。盾を掴むのに三本、剣戟の防御に二本。今回の動作は五本腕≠ナ行われて、あと一本だけ余りが出ていることに】
【即ち、先程盾を殴りつけたミドナ自身の右腕。それに注意を払う出来たのなら――――その右腕に握られた拳銃≠ヨいち早く対処出来たかもしれない】
【タイミングは剣戟の防御とほぼ同時。剣での攻撃のために突き出されたマリアの右腕を狙って、ミドナは躊躇わず発砲する!!】
【威力はごく一般的な拳銃弾程度で、そこまで高くはないが……マリアが動かなければの話だが、弾丸は剣を握る手首付近に着弾するだろうか】
【痛みで剣を取り落としてくれればそれで良し。そうでなくとも腕にダメージを与えて、マリアの剣戟の精度を少しでも落とす。そういう狙いだ――――】

【盾で頑強に守られたマリアでも、攻撃の瞬間は盾から腕を出さざるを得ない。そこを突いて敢えて盾を離さず、マリアが剣を振るう瞬間を狙っていたのだが】
【現在、ミドナの意識はマリアの剣戟や自身の攻撃の方に向いている。盾を掴む腕の方の注意は疎かだ……今であれば無理矢理引き剥がせるかもしれない】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 01:41:08.06 ID:Vb3SKeMAo
>>566

―――――――やっぱり近接を狙うわよね……

【五月雨を押し退けるように騎士達は突き進む】
【さながら真綿で首を締めるように一歩一歩と確実に、そして影から現れるのはかの騎士】
【ソレに対して微笑むのは錆色の魔術師】

確かにスピードは違うけど、威力は……上っ!!

【「爪」という砲身を強制的に解く】
【煙を吐きながら地面に転がる……だが重要であるのは砲身ではなく力の根源たる魔術師の腕】
【女性らしい細腕は今や渦巻く力を纏い「暴力」として権現していた】

この距離なら、外さない――――――!……

【例えるならば「竜巻」自然現象、災害に立ち並ぶ程の衝撃は拳から一直線に騎士へと向かう】
【それこそコンマ以下の世界でそれぞれが交差する……】

【が、魔術師の砲撃は騎士の脇腹を逸れるように放たれる直撃でないというだけで負傷はするだろうが】
【攻撃を逸らしたからには意味があり……騎士が鍵に触れたとて魔術師は拒絶する様子も見せないのだった】
【嵐が去った後のように、魔翌力の噴流は静かな物へと変わってさえいた】
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 02:17:16.12 ID:HQVhRmei0
>>570

【鍵を取った、しかし女性からのカウンターを食らう事にもなる、尤も直撃では無かった】
【脇腹を掠める竜巻、ダメージとしては致命傷とはいかない様な攻撃】
【鍵をその手に握り締めて、男は女性を見据える】

【恐らく今、騎士のレイピアは彼女の喉に向けられているであろう、それでも攻撃の気配は無く、止まっている】

…………どういうつもりだ……?何故、攻撃の手を止める……?
敗けを認めたのか、それとも道を空けるのか……?

【自分の手も止めたのはそれを聞きたいが為だった、勿論、その気になればいつでも斬りかかれるのだろうが】
【そうはせずに、女性の反応をただ待った、彼女は一体何の意図があってそうしたのか、と】

【余談ではあるが、今、彼の心には不安があった、女性やこの場に対してではない】
【他の場所で戦う同僚達が、何故か今だけ、急に心配になっていた】
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 02:24:26.41 ID:0ytvFy/E0
>>567-568
【狙いは―――――通った。捨て身にも近いその攻撃が通ったのだと確信できたのは、彼のその様からだ】
【斬撃も銃撃も意味を成さず、寧ろ昂ぶらせる以外効果がなかった攻撃。其れ等とは、大きく離れた反応】
【だが、安心はしていなかった。して居なかったが…………だから、身体が動くという訳でも無いのだ】

【彼の騎士団の長を務める者は、やはりただ者では無い。分かっていた事なのだけれど】
【――――先の一撃は、己の負担も重く。ましてや体格差、体力、其れ等全てに於いてはフレデリックの方が優に勝っているのだから】
【コレより先の戦い、勝敗は明白。最早先程までの機敏な動きなんて出来る筈も無いのだ。故、次に仕掛けられれば避けられず】
【焼かれた臓器から漏れ出た物か。赤黒い血が口と鼻より流れ、呼吸を阻害するも其れを拭う体力だって惜しいのが現状】


「………弱いのを、認めているなら…………頼れば、良かっただけだ、団長サマ
――――頭が、完全無欠の必要なんて、無い。もし、“そう”なら…………騎士団なんて、居ないで、君一人で居れば、良いんだ」

【自分の血に身体を汚す姿は、とても鏡に映ったその者には見えないけれど】
【今更もう一度槍を振るった所で何になろうか。確かに、相手のダメージは甚大だ。が、己のダメージだって引けを取らない】
【そんな状態で振るった所で、何になろうか】


「…………言ったでしょ。とっても凄い痛みを、あげる…………って
ハハ――――ボクも、今にも死にそうな位、痛いけど、さ…………

君をそれだけ痛めつけて、死神業を終えれるなら…………それも、悪くは無い、かな
ボクに魂ってのが…………あるなら、先に地獄で待ってるよ…………?
天国行って、話したい人も沢山居るけど…………無理、だろうし…………」

【長かった人生、楽しかった生涯――――とは言い難いけれど】
【人の生き死にに関わらないで済むならば、まあ良し。別れを告げておきたい者達も居たが…………教会を伝ってその内連絡も行くであろうなんて気楽な考え】
【これより先、子供達や他の人々を悪から守れる“死神”を続けられないのは心残りだが。きっと、自分の属する場所の誰かが代わりを務めてくれるだろうと】

【背後へ転移している事は把握していても、反撃は出来ない】
【代わりとして、人生最後の長い溜息を吐いて――――…………?】
【死ぬ、とはここまで苦痛を感じないものなのか?否、まだ現世に留まっているらしいと告げたのは彼の槍が横に落ちた事を確認してからだ】

/続きますっ
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 02:24:44.64 ID:0ytvFy/E0
「――――うん。ボクの方が、一枚上手だったのかな…………君はどう思う、アンジェル?
風の噂でさ…………いや、いいや……」

【嫌な事とは連続で起こるもので。一難去ってまた一難。窮地を救ったであろう者の姿を見れば…………あの書類の名と同じ者の姿だ】
【UTに所属しており、嘗てはカノッサの為に作られた存在だったか。その本性が目覚めたとの噂は、本当であったか】
【不味い。この状態で出会うのは、非常に不味い。だが、一度は死を覚悟した身なのだ。なら何処で死のうと同じか】

【抵抗出来ない。――――しない。フレデリックが戯れに斬られる事を止める事も無く】
【怒りでは無い。虚しさでも無いけれど。何とも言えぬ感情が浮かぶ。――――死神とは言え、戯れに殺す事を良しとしないのだ。それ故か、否か】
【傍らに転がってるであろう瞳を取り、その身体の近くへと転がしてやったならば二人へと歩み寄る】
【背に生やす翼。戦闘能力を向上させる為のものであるが、二人が其れを理解して居る可能性は果たしてどれ程か】


「そうそう…………色っぽいし優秀な助手でしょ?選んで正解だったと、思うけど…………
ああ、後……悪はまだ二人居るんだよ。危ないから其処を動かないでね?
――――誰か、って言うとさ」

【痛みを和らげ流血の量も減らし。それでも、到底フレデリックには敵わない状態――――だけれど】
【相手がゴッシュならばどうか。即ち、作られた拳はゴッシュの顎に叩き込まんと振られたのだ】
【当たれば割れるだろうし、自堕落な生活だけを送っていたならば到底避ける事も出来ない速度。苛つかせる言葉を吐けない程に砕ける事だった有り得ない話じゃ無い。理由なんて、戦闘中やむを得ずで十分だ】


「――――お前だよ、ゴッシュ。話は其処で転がってる団長サマから聞いた。これからお前の情報を探し出して教会の上にでも知らせあげるよ?
ボクってば優しいよね。“グリース”に殴られたとでも騒げば良いけど…………次はどうなるか、覚悟はしてね
…………で、さ。アンジェル。どうしてカノッサに下った君が此処に居るんだい
ゼン=カイマに忍び込んだあの時、君は――――ああ、フレデリックに思い出させて貰ったんだっけ。良いの?恩人にそんな事しちゃって
ま、良いや。其処の豚を屠殺場にでも連れて行きたいけど出来ないのが現状だし。…………アンジェル、遊び相手が欲しいなら相手してあげるよ」

【当たれば、拳から血が吹く。だけれど気にせず。――――ゴッシュに放った言葉は鎌掛けであろう】
【そけで血相を変えるようであれば実に容易い。然るべき機関に報告して、彼に血無き処罰を与えれば良いだけだ】
【例え顎を砕けたとしても、気が収まらないが…………良しとしよう。問題は、アンジェルの方だ】

【最早絶命しているかもしれないフレデリックを庇う理由も無い、が。ただ、彼女が気にくわないのだ】
【悪魔という存在が気にくわないのだ。実際に戦闘に至れば、どうなるか――――言わずもがな、彼女の圧勝であろうが】
【安い挑発。その真意、彼女が何を目的としてこの場を訪れたのか探る為】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 02:43:06.78 ID:Xzd4ybFf0
>>569

……やっぱり信用して貰えませんか。尤も、言葉で解決しているのならこうやって戦っているなんてことは無いのでしょうけど……ッ!

(―――……やはりカノッサですか。グリースといい貴女といいどうしてこうもカノッサが話に出てくるのか……裏で糸を引くのは何……?)


【先日の副団長である加賀谷善助がカノッサ側の手によって生死不明の状態のまま身柄(の一部?)を奪われたことはよく知っている。……他ならぬマリア自身が騎士団の一員なのだから】
【―――聖地巡礼における戦いのたびに、相対した敵が言うのだ。「カノッサとの関わり」という話題が、必ずと言って良いほど出てくるのだ。これはきっと偶然ではない……】
【裏で何か糸を引くものがある。そう考えた方が良いのだろう……敵からの警告は心に留める】

【―――が、司教の身柄の話となると此方も譲る訳にはいかない。捕縛し身柄を拘束するまでは、負ける訳にはいかない……!】
【教会の歪みによって苦しむ人々を救う為には、歪みの根本を叩かなくてはならない。そして、その歪みの根本こそが目の前のエレベーターに隠された司教なのだ!】
【人々を護るならば、戦わなくてはならない。戦い、勝ち、身柄を拘束しなければならない。―――それが、己の使命だから。】


……いいえ、傷つく人は少ない方が良いに決まっております。可能ならば、0にしたい……。
―――だからこそ、私がいるので御座いますよ。私の使命は人々を護る事……―――戦火から人々を護るのも、私の務めです。

【ミドナは知っているだろうか。此処までの聖地巡礼で起きた戦いで、非戦闘員の犠牲が戦闘の規模の割にかなり少ないという事を―――】
【―――戦いの裏で、マリアや彼女の直属の部下が動いていたのだ。可能な限りの避難誘導、建物倒壊の防止に奔走していた……】
【民が戦火に巻き込まれた時、今まさにマリアが持っているその盾で民を庇い救い出したこともあった。……敵に見つからぬよう秘密裏に行われたので表沙汰にはなっていないが】
【彼女とて教会の粛清の為ならばいくら市民が死んでも構わないなんて冷徹な人物ではない。むしろその逆で、傷つく市民に心を痛めて己の部下を使ってまで護っていたのだ―――】
【もう一つ、特筆すべき事……マリアは一度として人を殺めたことは無い。今まで排除した敵はすべて行動不能に陥っただけで、命まで取ったことは無い】
【あくまで「護る」為の戦いのみに専念するマリア。殲滅や断罪は行わない……】

//続きます!
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 02:43:55.89 ID:Xzd4ybFf0
>>569

【二度目の斬撃が、僅かではあるがミドナを切り裂く。―――なんて言えば仰々しいが、せいぜい指の火傷程度。これぐらいの傷で喚き散らす程弱いならば、自分は此処まで苦労していない】
【反撃とばかりにミドナも動き出す。―――先程の攻撃で大剣は自ら捨て置いた。あの大きな力による攻撃は恐らくないと踏んで良い】
【ならば、警戒すべきはもう一つの凶器。何らかの武器を取り出す筈……次はどんな武器を使う事になる?】


……銃ッ……!
―――ガッ……ァ……―――……!

【右手の動きに気づくのがワンテンポ遅れた。注意を向けた時にはもう既に銃は手に握られていて、銃口はこちらを向いていた】
【遅れたとはいえ気付けたのは不幸中の幸いか。咄嗟に狙われていたであろう右手をブレさせれば、弾丸は手首を掠めて、僅かに肉を抉り取って飛んでいく……】
【まともに銃弾を受けるのは回避したが、手首に傷を負ったのは間違いない。純白のローブに一条の赤い線が染まり、マリアは少し呻き声をあげる】
【―――しかし、剣を離すには至らない。血を滴り落として尚、剣はその手にしっかりと握られている!】


―――まだまだッ!!

【取り敢えず今は掴まれた盾をどうにかしなければならない。転送魔法を使って盾を一時的にこの場から離して再召喚するのも手だが、それでは隙が大き過ぎる】
【至近距離で盾が無い危険な状態に陥るうえに、召喚の際の隙は非常に大きい。この策は現実的ではない……ならば、盾を持ったまま引き剥がすしかない】

【銃弾が手首に傷を負わせた次の瞬間、ミドナの集中力が攻撃により落ちたその一瞬を狙ってまたも刃を一閃振り切り、盾を引き剥がそうとする!】
【それが成功したならば距離を取るように二歩ほど後ろに下がる。……銃を持つ相手に近すぎる間合いはあまりにも危険だ】

【今度は右手に光の球を生み出す。サッカーボール大の其れはやはり強い光と熱を放つ、小さな太陽のような球体】
【それをミドナの足元目掛けて一直線に放つ!動きは直線故に回避は難しくないが、回避のために最低限の動きしかしていなかったら命取りだ】
【―――ミドナに直接当たらなくても、地面に着弾すればその球体は強烈な光を伴い炸裂するのだ。球体だけを避ければ、爆風の餌食となるだろう―――】
【見切る為に球体を凝視するのも危険だ。太陽のような光を放つが故に、炸裂の瞬間を目視していれば強すぎる光で目が眩む可能性が高い】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 02:56:41.51 ID:Vb3SKeMAo
>>571

大凡の見当はついたから戦う必要も無くなった、じゃ駄目かしら?
勝ち負けはどうでもいい……っていうのは負け惜しみか、少し悔しいしね
そもそもキャラじゃないのよね……ああいう部類を守るのは

【一度冷めた目で剣先を見つめ肩を竦めながら溜息を漏らす】
【地面に横たわる砲身から白煙が昇る、語る彼女は最初の傍観者の顔に戻っていた】

ちょっと……いつまでそれを突きつけてるのかしら?
戦意喪失した相手にそれって紳士的じゃないと思うのだけど
それにいつまでも私の相手をしていていい身分じゃない筈だけど……。

【目の前の羽虫を払うようにレイピアの切先を叩く】
【機能不全に陥った「爪」達を見やって、仕方ないとばかりに目を伏せて】

戦いは貴方のかーち……だから早く目的の物を始末でもなんでもしてきなさいよ
司祭の命なんて知ったこっちゃないし、斬る斬られるもお好きにどーぞ
それとも何?私のこの態度が気に入らないのかしら……ま、分からないでもないけど

【手にした鍵に偽物はない使えばそのまま最奥の牢屋まで直通のようなものだ】
【ただ途中に何者かに伸された黒服の男たちが居るが、それが本来のガードなのかもしれない】
【尤も問いただしても彼女は喋らないだろう、そっちの方が面白いだろうからという碌でもない理由で】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 03:13:01.10 ID:D72LbkLTo
>>572-573

さあ……?でも、私が居なければ引き分けだったのじゃないかしら
 だって、普通の人間は片腕片足を失って生きていられるはずがないもの
 そもそも動けること事態、彼が相当イッちゃってるってことだけど……

 ……あらごめんなさい?私、今はグリースさんの助手だものね?

『ええと……うん?いや、まあなんだかよくわからんが……
 ……おおっ、そうであった。先ずは大司教殿に無事を報告し、ッナガ、ォ……!!?』

まあ、素敵なオジ様ったらこれじゃご飯も食べられないわね、可哀想。
 でも殺してしまうのはもっと可哀想だから……死に魅入られたことを神に怨むのはいかが?


【事は簡単だ――グリースの拳は、正確無比に薄汚い初老の顎を砕いたのだった】
【相手は歳も歳、フレデリックと違って努力の一つも全くして来なかった小悪党】
【まさか避けるなんて選択肢にも浮かばない。そも、拳を視認できたかも怪しいものだ】

【それで、顎を砕かれた老司教は床に仰向けに倒れ伏して血混じりの泡を吹き】
【歯も幾つかそこらに落ちていて、意識は容易く手放してしまっていた】
【肥え太って丸いばかりの手足を投げ出したその姿は、豚と言うのもまだ良い方で】
【どちらかと言えば解剖前の蛙のような――そういう滑稽さがあった】

【無論と言うか、アンジェルは拳の一撃など見切っていて、直前に側を離れ】
【倒れ伏した司教を見てクスリと笑い、戯れか、頭巾を彼の顔に掛けてやれば】


……あら、どうして私が此処に居るのか、って?
 それは不思議な質問じゃないかしら、グリース・イムリンパルス。

 だって私はカノッサ機関に忠誠を誓っているのだから……機関の目的は何かしら?
 そう、混沌≠ナしょう?それに面白い……ええ、人の欲望の臭いがしたものだから。
 もっと言うなら……私は機関に忠誠を誓っている≠フであって、六罪王に忠誠を尽くすわけじゃない。

 ……私ねグリース、とても良く出来た妹が居るの。私が言ったことは何でもやるわ
 路地裏を裸で歩き回れといえばそうするし、騎士団の鬼から宝玉を奪えと言えば持ってくる。
 ちょっと融通が効かないけれど、犬みたいに従順でとても素敵な妹が……ね?

そうそう、それと今、貴方は彼が……騎士団長様が私の恩人だと言ったけれど
 貴方は掘り出されたダイヤの原石が、果たして鉱夫に恩を感じると思うかしら?
 世に舞い出る踏み台にこそすれ、感謝だなんて片腹痛い……そうは思えなくて?


【アンジェルは悪戯な貌をして、それきりまともに口を利くでもなく】
【刀を収めた鞘を持ってふらり、ふらりと歩いた後――シュウ、と霧になって姿を消した】

【状況を乱すだけ乱してご帰還というわけだ。しかし別れ際、聞こえたかは分からないが】
【『きっとまた直ぐに会えるわ』と言っていた事も追記しておかねばなるまい】
【そうしてゴッシュが黙り、アンジェルが消えると、残るのは重傷のグリースと】
【この静寂だからこそ分かる程度の微かな息を繋ぐフレデリックと――そして、更に侵入者だ】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 03:13:13.84 ID:D72LbkLTo


「―――ああもう、退けよ!退けったら!どうせ君らじゃ何やっても無駄だろ!?
 中で親友が……僕が誰かなんて関係無いだろ!?ったく、邪魔なんだよ君らは!
 いつもいつも仕事してる時も邪魔ばっかりしやがってこの――リリア人形<b…――!!


【ガン!ガン!ガン!と扉が叩かれる。向こうで聞こえる声は若い男と僧兵らのものだろうか】
【やがて僧兵の声が収まると扉を叩く音が強まって――やがて、術が切れると同時に】
【ドガァン!≠ニ大扉がぶち壊されて、いくつかの影がグリースには見えることだろう】

【黒髪にボンテージ姿、両手には両刃剣を持った妖艶な女性の――像≠セろうか?】
【宙に浮いたソレは、知る人が見ればとある妖怪姫≠フ顔立ちと分かるのだが】
【今はそれはいい。周囲の群衆に紛れて息を切らし、その側に立つ人物は――】


「ハッ……ハァ……ハァ……ッ!……やあ、グリース…お久しぶり?
 それで……早速で悪いんだけど、さ…其処のデカいのは僕の親友で、間違いないよね…――?
 まだ困るのさ。…ほら、僕って友達居ないからね…、……大事なんだよ、とってもさ。」


/……と、ちょっと意味深そうな所で対主催戦を終わりにしてみたり!
/時間が時間ですのでお返事などは明日でもおーらいであります
/また詳しいことは舞台裏で、として……大変な長丁場、お疲れ様でしたー!
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 03:32:24.99 ID:HQVhRmei0
>>576

………………………………。

【男は分かったと言うような顔で、レイピアをクルリと退けて騎士は静かに消えていく】
【そして男の腰にある鞘を見れば、レイピアがいつの間にか納められているだろう、そう、このレイピア自体がマインドだったのだ】
【常に出現させた状態の為、普通の武器と見分けがつかないことを長所としていたのだった】


……俺はお前を信じて 先へと進む、今は誇りなどに拘る時じゃない。
だからこそこの先へと進む……此処でさようならだ。

【もう女性に視線を向けることはない、そのままずんずんと奥へ進んでいく】
【倒されていた黒服達も、今は道に転がる小石程度にしか感じてはいなかった】

【……それから、彼は司教の一人を渡されていた魔術道具で拘束するのだろう、ついでにその時の司教の手にはぽっかりと穴が空いていて、血が休み無く漏れている事だろう】
【司教を捕らえる時の彼は、凍てつく眼差しを向けていたという】


…………まだコイツ以外も居る、マリアと団長が心配だ……
神よ、どうか二人にご加護を…………

【星を見て、祈る、今の彼に出来るのはそれぐらいだった】

/この辺りでしょうか、ありがとうございました!
/長時間お疲れ様でしたー!
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/05(月) 03:42:29.32 ID:2mTQ0Y0to
>>574 >>575

そういう事、よ――――!!

【直撃とは行かないまでも弾丸が腕を掠めて、ミドナは小さく笑う。まだ小さな瑕疵ながらも、どうにかあの厄介な盾を越えることが出来た】
【だがマリアの方も一筋縄では行かない。光の一閃がまたも振るわれれば、ミドナは流石に盾を離して後退するだろうか】
【今はまだ浅い火傷だが、このまま接近して打ち合えばそれは確実に積み重なる。短刀を扱うミドナにとって、これ以上指に傷を追うのは避けたい】
【互いに距離を取って、一瞬の視線の交錯………これだ。この焼け付くようなやり取りの中でこそ、本当の意味で――――】

――――あんたの信念≠ヘ解った。こっちもこっちで、言うべきことは言った。
お互い抱えてるモンもあるし、これ以上言葉で話し合っても無駄よね。……こういう時どうすべきか、見るからにお堅そうなあんたにわかるかは知んないけどさ。

【ミドナはマリアの事を知らない。ただ澄んだ瞳やその言動から、彼女の掲げる信念の一端は十二分に感じ取ることが出来た】
【ミドナの方も、言うことは言ったつもりだ。カノッサへの警鐘と、第三騎士団の……厳密にはフレデリックの、強硬なやり口への怒り】
【マリアの右手に現れた光の球を見やって、ミドナは軽く上体を傾けて両足を開き――――そして、楽しそうに笑う】
【元々こういう性分なのだ。加賀屋の件でカノッサにここまで怒ったのだって、喧嘩≠フ果てに認めた相手が理不尽に奪い去られたことが大きい】
【ミドナは頭が悪い。言論を重ねて思考を深めるような繊細なことは出来ない――――光の球が射出された、その瞬間】


口で言って解らないことは――――拳≠ナ語ってみせろ、ってねッ!!


【――――ミドナは全力で地面を蹴って、走りながら向かってくる光の球へ自ら突っ込むように疾走を開始する!!】
【足元へ飛翔する球体を、ミドナはその勢いのまま飛び越すだろうか。そしてそのまま、マリアとの距離を詰めようとするのだが】
【その猪突猛進さが、この場面では悪い方向にも良い方向にも働いた。結果的に光の球体はミドナの背後≠ナ炸裂することとなって】
【お陰で目が眩むことはなかったが、ジャンプしたせいでまともに回避も出来ず。爆風に背中を焼かれてミドナの表情が歪む】
【……だが、逆に。ダメージと引き替えに爆風という追い風≠得たミドナは更に速度を増し、一気にマリアへと肉薄する!!】

でぇえーーーーりゃああああああああああああああッッッ!!!!

【そのまま、勢いと筋力を全て合わせた一撃を叩き込む――――というのがミドナのいつもの戦法だが、今回ばかりはそうもいかない】
【物理攻撃を無効化する盾……基本的に物理的な攻撃手段しか持たないミドナとの相性はこの上なく最悪だ。正面突破は不可能だろう】
【故に――――盾にぶつかる直前、ミドナはもう一度地面を蹴る。そしてミドナの両腕は、マリアの盾の上部≠掴もうとするだろう!】
【これに成功した場合、ミドナはまるで跳び箱でも跳ぶようにして盾を飛び越すことになる。そして同時、じゃぎん、と金属音が四つ鳴り響いて】
【残り四本の腕全てに短刀が補充された音だ。ミドナの体はそのまま盾ごとマリアの体を飛び越し――――すれ違いざまに四本の短刀が唸る!!】

【攻撃は二撃ずつ、二回に分けて放たれる。まずミドナの体がマリアの上を通り過ぎるタイミングで、下段の二本がマリアの両肩を切り裂こうとし】
【その後一瞬の間をおいて、ミドナは振り返らず上段の二本腕で真後ろへ短刀を投擲。二本の短刀がマリアの背中へと迫っていくだろうか】

【――――だが、この野生児じみた身体能力による攻撃。成功すれば確かに盾を越えて攻撃は出来るものの……代償もやや大きい】
【行動を終えた後、ミドナはマリアへ背を向けて着地することになる。着地後すぐには動けない、攻撃を凌げさえすればマリアが振り向く方が早い筈――――】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 04:15:31.06 ID:Vb3SKeMAo
>>579

信じるも何もありゃしないわ私は事実しか述べない
それに……引き際くらいは弁えているつもりよ、生き死にが目的じゃないから

【信じようとそうでなかろうと結果は同じだから弁明もない】
【今更言葉など不要だ、語る事で陳腐化する物……今のはそういう部類の話】
【騎士もそうなのだろう己の意志を言葉にはしなかった、騎士らしいといえば騎士らしいか】

拘る、ね……それがアンタの戦い方か
何も言わずに剣を振るう、高潔さ……という単語が正しいかは分からないけど
まあ……そうね、そういう答えも有りなのかもしれないわ

【しゃがみ込み「爪」の表面を優しく撫でながら去りゆく背中へと呟く】
【言葉は決して賞賛などではない、ただそういう男がいた事実を改めて述べただけ】
【ぱたぱたと風に踊るローブはひとつ頷いて】

……どうでもいいんだけど、私は責任取らないからね
ここで私と相対して時間喰った所為で他の仲間を助けられなかったなんて後になってから言わない事
だからとっとと要件済ませて他に行った方が無難よ、後悔っていうのはいつも後から迫るものだから……ま、知ったこっちゃないんだけど

【人影は牢屋に消えるのだろう、気遣いのような言葉をかけてしまったのは】
【自分に勝った相手への正当な報酬としての、要するに代償行為かな……と自分なりに解釈して】
【錆びた影はどこかへと消える、僅かに残る魔翌力の香りもやがては白昼夢のように無くなるのだろう】



それにしても……何か嫌な感じ、肌に纏わり付くような……目覚めてから私も色々と変わったけど、特に……第六感とでも言えばいいのかしら?
人から外れればそういう感覚が発達するのも仕方ないか、うーんしっかし……なんだろコレ……異種というか……
似ているけど、違う……?何にせよ少し気になるわ、まだ余力もあるし事後の情報収集と洒落込むのも悪くないわね夜は長いもの

【銀翼めいた「爪」は夜に揺れる】
【何かを感じているのは魔術師か術具か、或いはそれらは一体故に目覚めたままなのかもしれない】
【尤も後の事など誰も知らない出来事なのだから必然紐解く者も有りはしない、舞台の端の物語はその殆どが陽の目を見ないのだから】


/お疲れ様でしたー
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 04:26:26.01 ID:0ytvFy/E0
>>577-578
「全く…………七面倒だな、君は。自警団に行ったりUTに行ったり……カノッサに戻ったり
ちゃんと何処かに止まってないとその内飛んで行っちゃうよ?

――――君の言う妹なら知ってるよ。ダグラスに投げつけた槍に対して身を挺して守ってたからね
丁度良かった。馬鹿みたいに言う事を聞いてないで、自分の頭で考えて行動しろアホ。…………とでも伝えといてよ
あの子を見てると自分を見てるみたいでイライラしてくるんだ
で、其れを良い様に使う君も君だけどね
…………君と、ケミッシュ、無愛想なメイドに…………ベイゼ・べケンプフェンだっけ
お騒がせ四姉妹…………いや、一人は男らしいから三姉妹かな」

【一つは当たり、一つは空振り。今の状態ならば上々の成果か】
【何よりも耳障りな言葉を止める事が出来たのが大きい。純白の翼も徐々に紅く染まり始め、長くは持たない事を告げるかのよう】
【身体は酸素を求める。呼吸をするのすら面倒に思える程の疲労。…………でも、殺されねば死なない】
【まだ、倒れない。槍を握っても振るうことは出来ず、トリガーを引くにも其れまでに時間を要する】
【戦う事も出来ず、ただ軽口を言う事しか出来ないのが怨めしいが】


「…………セリーナが聞けば咽び泣きそうな言葉をしゃあしゃあと。何処までも性悪だね、君は
ボクは彼女みたく優しくは無いからね。生きたまま捕まえて説得する、なんて事は期待しない方が良いよ
戻れ、と言っても戻らないだろうから…………じゃあ、どうするかはもう分かりきった事だ
UTのメンバーにはお別れは済んだかい?皆して君を取り戻そうとするだろうけど――――ま、頑張ってね
特にセリーナなんてしつこそうだから斬っても斬っても切りが無いかもしれないけど」

【拳から滴る血を振り払い。去って行く姿を止める事も無く、見送って】
【命拾いとはこの事か。姿が消えるその時まで警戒が解かれず、やがて煙の如く消えたのならば】


「ダイヤの原石、か。団長サマもアンジェルも、どうしてボクと反りの合わないのはこう自分を大きく見てるのかな
――――いや、ボクが捻くれてるだけか。近々何か起こす気みたいだし…………皆に知らせるだけの余裕あるかな…………
…………ッ……。ここまで、良く持ったけど――――流石に、そろそろ限界…………か」

【消えた女性に悪態を吐けば、自分の翼も消滅して。ともなれば、これまでの反動が来る事となる】
【霞始める視界。だけれど、その足取りは一歩一歩とフレデリックへと向かい】
【銃口の先は彼のこめかみだ。この戦いに完全な幕を下ろす――――つもりだったが】


「いいや。…………何か、あのお爺さんの言葉聞いてたら…………萎えた…………
く……ふふ…………化け物、か。らしくないなぁ…………ボクも…………
人で無しで良い筈何だけど…………やっぱ………ヤ、だな…………」

【銃を下ろしたならば壁にもたれ掛かり、それからズルズルと崩れ落ちるのだろう】
【身体を擦らせた所には大量の血液。自嘲すれば適当に破片でも拾い、ゴッシュへと投げつけて】

【扉が破られたのは、その時か。血が抜けて白くなった顔を向ければ、小首を傾げ】
【ぼんやりとした頭では、声での判断すら時間が掛かる。漸く誰であるか理解したならば】


「ん…………其処で死にかけてるのが…………君の友達で間違いないけど…………
何を考えてるのか分からないけどさ…………何にしたって早くどうにかしてあげないと死んじゃうんじゃない…………?
団長サマが死んだところで、ボクは…………何か困る訳じゃ無いけど…………さ――……」

【ただ純粋に助けたいのか、何か企んでいるのかは知らないが。早く手当をしてやらねば死んでしまうかもしれないとだけ告げて】
【其れが最後の言葉となり、意識を手放した】

【生命の危機であるにも関わらず最後の最後まで意識を保っていられたのは死神たる由縁か】
【――――気を失った女を放置していた所で後に彼女の所属する教会の者が引き取りに来るだろうし】
【適当に運び出す等しても意識が無いのだから抵抗も無く。それ故、それより先の事は言葉通り流れ次第となった、か】

/今日は殆どフリーなので今の内に……!
/お相手頂き、有り難う御座いましたでありますっ!
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 04:32:54.87 ID:Xzd4ybFf0
>>580

言って分からないなら力で示せ、と。ふふっ……子供のような発想ではありませんか。ですが――――
――――此方も背負っているのもが御座います。生憎、闘いで負ける気は毛頭御座いませんよ!!

【マリアの背負っているものは大きい。ゼン=カイマの民、巡礼の為に付いて来た信徒……それらを全部背負って戦っているのだから】
【負ける訳にはいかないのだ。自分が負ければ、背負っているもの全てが傷つく。自分が折れてしまえば、彼らを護る者がいなくなってしまう!】
【自分だって精鋭の名も高い第三近衛騎士団≠フ一員だ。人々を護る為の力も持ち合わせているし、戦いに於いて負けるつもりもない!】
【相手が闘うのならば此方も応じるまで。戦い、勝つ―――己の信念を賭けて!】


【光の球はミドナの跳躍によって回避されるが、次の瞬間背後で目も眩むばかりの光を迸らせて炸裂する。爆風と高熱がミドナの体を襲う】
【が、それでもミドナは止まらない。それどころか、爆風を背に受けて加速。一気にマリアとの間を詰める―――!】

―――ッ!!

【そして、またも盾を掴まれた――!そのままマリアの上空に飛翔したミドナは、諸手に持った刃でマリアの肩を切り裂こうとする!】
【しかし、マリアとて容易にその攻撃を許す者ではない。刃が肩を掠めようとしたその一瞬、膝の力を完全に抜いてガクリとしゃがみこみ】
【立ったままならば確実に深手を負っていたであろう斬撃を、肩の肌を掠める程度のダメージに抑える……この咄嗟の反応は流石騎士団の一員と言ったところか】
【―――しかし、後続の攻撃が避け切れない!投擲された短刀は、しゃがみ込んだことによって本来の狙いより上部……―――両肩に突き立つ!】


――――ア……ァァ……―――ッ……!!

【またも純白のローブを鮮血が染め抜く。しかも、今度の出血量は先程の手首とは比べ物にならない程に夥しい……】
【心なしかマリアの吐く息も荒くなっている。かなりのダメージを負ったのは確実だ。しかし、苦痛に歪められた顔はそれでも――――前を向いていた】
【そう、まだ目は死んでいない!しっかりと前を見据えて斃すべき敵を捉えている!そして、その敵は今……隙だらけだ!】

―――ッ、……ハァァァアアアアアア!!

【痛む体に鞭を打ち、手負いとは思えぬ俊敏さで体を反転させつつ隙を見せているミドナではなくエレベーター目掛けて光球を放つ!】
【大きく生まれた隙を利用して聖の力を溜めたお蔭で、光の球も大きくすることが出来た。サッカーボール大だった先程の物とは比べ物にならない、一抱えはあるかという大きな球だ!】
【熱も爆風も段違い。炸裂をまともに身に受けようものならば岩壁に叩きつけられるようなすさまじい爆風。―――着地して隙だらけのミドナにエレベーターへの攻撃の妨害は叶うのか?】
【光の球がエレベーターに直撃すれば、ドアは間違いなく吹き飛ばされる。中に居る司教だって衝撃で気絶する可能性が高いが……】

【―――そして、此方も大きなリスクを負った。手負いの状態で打ち出した攻撃は己の身をも削る結果となって……かなり息が荒い。肩の出血もジワリと増えている】
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/05(月) 04:39:06.19 ID:2mTQ0Y0t0
>>583
/いいところで申し訳ない、そろそろ限界ががが(白目)
/そこまで長引いたりもしなさそうですし、置きレスの方に移動していただけると助かりますです……
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 05:00:26.68 ID:Xzd4ybFf0
>>584
//了解です!では好きな時にお返し頂ければ!此方こそ長々と申し訳ありません……!
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/05(月) 05:02:29.38 ID:2mTQ0Y0t0
>>585
/ありがとうございます、ひとまずお疲れ様でした〜!
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/05(月) 13:34:49.26 ID:Xzd4ybFf0
>>580

言って分からないなら力で示せ、と。ふふっ……子供のような発想ではありませんか。ですが――――
――――此方も背負っているのもが御座います。生憎、闘いで負ける気は毛頭御座いませんよ!!

【マリアの背負っているものは大きい。ゼン=カイマの民、巡礼の為に付いて来た信徒……それらを全部背負って戦っているのだから】
【負ける訳にはいかないのだ。自分が負ければ、背負っているもの全てが傷つく。自分が折れてしまえば、彼らを護る者がいなくなってしまう!】
【自分だって精鋭の名も高い第三近衛騎士団≠フ一員だ。人々を護る為の力も持ち合わせているし、戦いに於いて負けるつもりもない!】
【相手が闘うのならば此方も応じるまで。戦い、勝つ―――己の信念を賭けて!】


【光の球はミドナの跳躍によって回避されるが、次の瞬間背後で目も眩むばかりの光を迸らせて炸裂する。爆風と高熱がミドナの体を襲う】
【が、それでもミドナは止まらない。それどころか、爆風を背に受けて加速。一気にマリアとの間を詰める―――!】

―――ッ!!

【そして、またも盾を掴まれた――!そのままマリアの上空に飛翔したミドナは、諸手に持った刃でマリアの肩を切り裂こうとする!】
【しかし、マリアとて容易にその攻撃を許す者ではない。刃が肩を掠めようとしたその一瞬、膝の力を完全に抜いてガクリとしゃがみこみ】
【立ったままならば確実に深手を負っていたであろう斬撃を、肩の肌を掠める程度のダメージに抑える……この咄嗟の反応は流石騎士団の一員と言ったところか】
【―――しかし、後続の攻撃が避け切れない!投擲された短刀は、しゃがみ込んだことによって本来の狙いより上部……―――両肩に突き立つ!】


――――ア……ァァ……―――ッ……!!

【またも純白のローブを鮮血が染め抜く。しかも、今度の出血量は先程の手首とは比べ物にならない程に夥しい……】
【心なしかマリアの吐く息も荒くなっている。かなりのダメージを負ったのは確実だ。しかし、苦痛に歪められた顔はそれでも――――前を向いていた】
【そう、まだ目は死んでいない!しっかりと前を見据えて斃すべき敵を捉えている!そして、その敵は今……隙だらけだ!】

―――ッ、……ハァァァアアアアアア!!

【痛む体に鞭を打ち、手負いとは思えぬ俊敏さで体を反転させつつ隙を見せているミドナ目掛けて光球を放つ!】
【大きく生まれた隙を利用して聖の力を溜めたお蔭で、光の球も大きくすることが出来た。サッカーボール大だった先程の物とは比べ物にならない、一抱えはあるかという大きな球だ!】
【熱も爆風も段違い。炸裂をまともに身に受けようものならば岩壁に叩きつけられるようなすさまじい爆風。回避が叶わぬのならば大きなダメージを負うことになるのは間違いなさそうだ――】
【―――しかし、回避の余地はある。光球は、その大きさ故に先程の小さな光球より比較的速度が遅い。ミドナの驚異的な身体能力を以てすれば、隙を見せた状態からでも直撃を免れることも出来るかもしれない】

【いずれにせよ、「絶対に負けない」という意志を具現化したような強烈な攻撃。先程「拳で語る」とミドナは言っていたが、そんな彼女ならきっとこの攻撃に強い意志を感じることも出来る筈だ】
【清楚な外見、柔らかな物腰。―――しかし、内に秘める信念は外見とは裏腹に想像以上に強く固い。】


【しかし、此方も大きなリスクを負った。手負いの状態で打ち出した攻撃は己の身をも削る結果となって……かなり息が荒い。肩の出血もジワリと増えている】
【攻撃の成否の如何に関わらず、光の球を放った瞬間にマリアはエレベーターの方へと駆け出す。―――そう、ミドナはマリアを飛び越したことによってマリアを挟んでエレベーターと反対の位置に居るのだ】
【その上、もし攻撃が当たっていたならばミドナは爆風で多少なりとも飛ばされている筈。其処で生まれる隙も期待すれば、何とかエレベーターに到達できるかもしれない】
【マリアとエレベーターの間に現在邪魔をする人間はいない。この好機を逃すわけにはいかない―――】
【幸い、エレベーターとマリアとの間には距離がある。妨害の余地はまだあるだろう。さあ、マリアはエレベーターに到達することが出来るのか!?】

//すみません、少し差し替えさせていただきます!まだレスを書かれていないのなら此方の方でお願いします!
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 19:31:44.21 ID:0ytvFy/E0
【悪しき妖怪を封じる拠点の一つとして名高い封魔城】
【古来より封印され続けて居る妖怪も数多く、また封印している間は絶え間なく責め苦が続いているのだから封じられた妖怪も容易には抜け出せないのだという】
【つまりは、封じながらも滅して行く事が出来る合理的な手法。其れでも尚数百年を優に越えてもまだ滅びぬ妖怪が居るのだから、その並外れた実力も察する事が出来よう】

【さて、余談はこの辺りまでとして。一行が集うのは天守閣だ】
【他の城よりも群を抜いて高い其処は、まるで櫻を一望できるかのよう】
【何処かで異変があれば直ぐに察知できるのだろうし、或いはこんな事態で無ければ飽きる事無く景色を楽しむ事だって出来たことだろう】
【――――この場所に至るまで。否、城内に入る前から、物々しい雰囲気が漂っていた】

【と言うのも、ある日を境に本性を現した妖狐がこの城の姫を殺す為に手下を嗾けてきたというのだ】
【最初に記した通り、この場所には強大な妖怪達が数多く眠っている。もし、その封印が解かれてしまったら――――?】
【事態は迅速な解決を求められる。そして何より、封印の役目を務めるのはこの城の姫であり…………この城を支配する者の、唯一の娘だ】


「貴方方には多大な迷惑を掛けている事は自覚している。そして、大きな責任を負わせてしまった事も自覚している
だが――――だが。我が娘を…………琴音が殺されてしまえば、今以上に櫻の国に災いがもたらされてしまうのだ
今まで封じられてきた妖怪達も鬱憤を晴らすために方々で悪事を働く事だろう。そうすれば、無用な死者まで…………死ぬべきは無い、女子供すら皆殺しにされてしまうのだ

…………何より、妻に先立たれてしまった私には琴音しか残されておらんのだ
だから――――頼むッ!!一人の領主として、そして親として!!
あの憎き狐に我が娘を殺めさせないでくれ!
物心が付いた時から既に封印の任に就かされ、母も分からずに死に行く我が子を守ってくれ!!
呆れても良い、領主から外れろと言われれば喜んで降りよう。だが、どうか、どうか我が娘だけは――――!!」

【今よりもずっと昔に妻を失った領主には、件の姫のみが支えであり】
【――――封印の任を努める領主としては勿論の事、一人の親としての頼み事だ。高僧や陰陽師達を始めとして、この場に集った者達に対して土下座をする姿はきっと異様だ】
【妖怪退治に長けている筈の者が、これほどまでに人を集めている。となれば、今回の相手が如何に強力であるかも知れるというもの】

【頭を下げ、皆の反応を待っている間。誰よりも早く言葉を発したのは、隣で立っていた翁だ】
【外見だけで判断するならば歳は七十程か。穏やかな表情であり、まるで貫禄が滲み出ている様だけれど】


/後二つほど続きますっ
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 19:32:05.48 ID:0ytvFy/E0
『ほっほっ…………領主様や、顔を上げてくだされ。“翁”を封じる手助けをしたこの爺が微力ながら手助け致しましょうぞ
他の皆々も貴方に対して嫌な感情を持って集った訳でも無いでありましょう。そう深々と頭を下げていては、かえって困惑されるというもの
――――――それに、危険を顧みず直接戦って下さる方々なんて我等僧や陰陽の者達よりも遙かに優れている様ではありませんか
きっと、全てが上手く行きますぞ。そうですなぁ…………先に褒美の約束をさせて貰うならば、不肖この爺、生きて帰った際には姫様の美しい御御足にですな…………』

【放たれる言葉ば存外に巫山戯たもの。張り詰めた空気を少しでも和ませる為の物かは分からないが――――】
【しかし、“翁”を封じたとの話が本当ならば年齢は優に百を超えている筈だ。ならば、妖怪の類と考えられるし…………何より、その話が真ならば実に頼りになる存在となる筈】
【チラリと高僧達に視線を送れば、その視線を受けた側達も其れだけで何を言わんとしているのか解したのだろう。全てが天守閣から出て行き、いざ戦闘に備えて実に強力な結界を作り始めた】


『ほっほっほっ…………改めて見ればこれはまた姫様に勝らずとも劣らぬお美しい方々が多い様で爺は嬉しいですぞ
本来であれば、手でも握るなり腿でもさするなりしながら熱く爺の口説きを耳に入れさせて頂きたい所ですが…………今宵は、残念ながらそんな暇はありませんな

――――さて。端的に言いますと我等が張る結界でもそう長く九尾の者を閉じ込めておくことは出来ませんぞ
数時間持てば良い方。下手をすれば、先に僧達の命が失せる可能性も…………
詰まりは、なるべく早い決着を望んでいるのです。ある程度弱らせた所で、この爺がにっくき狐を封印の術を施した祠に叩き込みましょう
後は封印の最中で“翁”と同じ地獄の責め苦を受けてやがては滅びる筈
無論、貴方方で殺せると思った際には止めを刺して貰えると幸い…………然れど、決して無理だけはなさらぬよう』

【残った一行に対しては、最初こそ落ちそうなまでに頬を緩ませながら語っていたが】
【――――続く言葉は、至って真剣であった。結界は長くは持たない事。ある程度弱らせる事が出来たら、こちらで祠の中へと封印させる事。そして…………可能だと思ったならば、一行で滅して貰っても構わない、との旨】


『今までもあの九尾には二度三度来襲されておりますが、幸いに負傷者は出ても死者は出ませんでな…………
しかし、先日とっ捕まえて地下に閉じ込めた桔梗の手下の話では、今宵も確実に襲ってくるそう。ならば――――もうその様な事を出来ぬ様にする為、迎え撃つ覚悟
――――領主様からだけで無く、私からもお願いします。どうか、皆様のお力を』

【そんな言葉も終わった頃。一人の僧が焦った様子で入ってきて、「九尾を結界に閉じ込めた」と告げるのだろう】
【――――時は満ちた。コレを逃してしまえば、もうきっと次は無い】
【何時になく真剣な表情を向けたならば、促すかのように一度頷いて】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 19:33:50.15 ID:0ytvFy/E0
【老人に従って外に出てみれば、数多くの僧や陰陽師達が懸命に一匹の妖怪を結界に閉じ込めている、なんて様子が目に映るか】
【その対象は言わずもがな。月光を浴びて金色に輝く毛並みと大きな妖気とが合わさって、神々しさも感じられる程】
【――――閉じ込められた事に対しての怒りか、其れとも姫という対象を殺せぬ怒りか。何度も結界を破らんとするけれど】
【その都度結界を張る者達も対抗するのだから未だ結界は破れず。然れど尋常では無い力を幾度となくぶつけられるのだから、僧達も疲労の色合いが濃く見えて】

【そう長くは持たない、とは誰の目から見ても明らかであろう。僧達だって櫻の為に命を賭している。なれば、救うためには――――?】
【答えは簡単な事だ。この九尾を討伐なり封印なりしてしまえば良い】
【善狐ならばまだしも、相手はあの妖狐の手先とされる。何も気に病む事は無いだろうし――――何よりも、其れをせねば訪れる結果は最悪な物だ】


【――――新たに現れた一行の気配を察知したか、赤々と輝く九尾の双眸が向けられて】
【同時に、咆哮。大地を揺るがすほどの、と記したならばどれ程の声量かも想像出来よう】
【最早其れが一つの攻撃とさえ思える程だ。現に、何人かはその場で気絶してしまって、また何人かは瞬間的に発せられた莫大な妖気に耐えきれず同じく倒れてしまう、なんて状況だ】
【幸いにして誰かが死亡した何て事は無いけれど、それでもこのまま放っておけばこの場に集った者達が不幸な目に遭うことは確実】

【望まれるのは早急な解決。この危機を好機に変えるだけの強い力】
【まだ警戒を見せているだけなのか、九尾から仕掛ける事は無く――――先手を取れるチャンス、か】
【天守閣から事の結末を見るのは件の姫。心配そうな其れか、焦燥感を表す其れか、或いは無表情か…………其処までは、分からないけれど】
【これは民の命を賭けた殺し合い。開始を告げる鐘の音なんて、無くて】
【故――――誰が先に攻撃を仕掛けた所で、可笑しな事でも無い】


/以上がイベント開始の文になりますっ!皆様、今日は宜しくお願い致しますですよ!
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/05(月) 19:57:07.19 ID:D72LbkLTo
>>588-590

(憎き狐=c…か。まあ、それが人の眼で見た妥当な評価であろうよ)
(或いは妖魔から見ても、か。……それ見たことか、早くも四面楚歌の様相よ)
(古の項王ですら如何ともし得なかったのを、妖怪一匹でどう出来るのか……)

……どうにもさせぬ。横っ面を思い切り引っ叩いて
泣こうが喚こうがその愚を教えてやらねば、な……この長尾銀狼が。

【高僧、陰陽師、或いは選りすぐりの戦士も何人か。壮観な景色だ】
【大きなことに当たる前の凛とした空気を僅かに和ませる老人の言葉も耳に心地よい】

【その、耳――列席する中でただ一人、獣の耳をピンとそばだてる者が居た】
【名は長尾銀狼。胸と腰元と、それから下肢全体をカバーする程度の軽装で】
【装飾品は手足の鉄輪と、首元の翡翠の首飾り――そして何よりの特徴は】

【彼女の名前の由来であろう、長い尻尾だった。胡座で話を聞く間は】
【その尻尾を首の周りに巻きつけていて、しかし表情はキッと澄んだものだった】

とはいえ、先ずは目先の相手……九尾の狐とはまた、恐ろしい物を連れてきたものよ
本来の儂の力関係で言えば圧倒的な強者、一噛みするのもやっと……じゃが――。

【やがて外に出てみれば、話に聞く通りの凶悪極まりない妖魔の力】
【咆哮にこそ怖気づくことはなかったが、思わず全身が総毛立ち】

【――闘いの気配。鼓舞するようににやりと笑って、己の能力を開放する】
【すると長い尻尾が銀色の物が一本と、金色に光るものが三本――計四本の尾が立ち上がった】
【九尾であれば、その金色の毛と――それから全身に纏うオーラのようなものが】
【いわゆる気≠フ力だと分かるだろう。能力者で、狼の妖怪というわけだ】

【それを九尾がどう捉えるかは自由。だけれども銀狼は、どういう反応が返ってこようが】
【両手首の鉄輪を外して両手の拳に握り、ふぅー―と深く息を整える】
【自分は軽装だ、ダメージには弱い。相手の出方を先ずは見る――先手は相手と、そして戦友に譲ったのだった】

/長尾銀狼でございます!今夜は主催様、また皆様よろしくお願いします!
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/05(月) 20:03:19.26 ID:PMfZTaSDo
>>588-590

「ククク……心配いらんぬぞ領主殿よ!」
「御主の大切な姫君は、この天才魔術師シーナ様が見事討伐して見せるのだ!」

「討伐が成った暁には、私の偉業を櫻の国中に伝え聞かせるがよいぞ!」


【領主の言葉に応えるは、妙に高圧的で偉そうな口を叩く男性であった】

【その男……身長は190cm程であろうか、服の上から見ても分かるほど逞しい鎧のような筋肉を付けている】
【隆々とした身を漆黒の法衣で包み、右手には巨大なバトルハンマーを持ち、背には巨大な金剛石の剣を括りつけていた】
【そこまでは常人でもありうる格好であろうが、彼には異様とも言える要素が存在した】
【肩から生えており漫画のフキダシを思わせる"ボード"。その板上で黒い粒子が蠢き形を変えて】
【"一切声を発さない"この男の"台詞"を文字として表現していた】

【男は、次いで繰り出された老人の言葉に】
【「見る目はあるが、私を口説くには百年早いのぅ御老人!」などと、"男性が返すにしては"】
【妙に違和感のある文字を記しながら】

【彼の後に続き、やがて天守閣の外……件の妖怪が封じられている場所へと足を運ぶ】
【幾人もの術師に押さえつけられ、それでも下すことの適わぬ超常の存在】
【常人ならばその妖気だけでも耐え難いと思われる容貌に、威圧的に繰り出された破壊的な咆哮を目にすると】
【男――シーナは足を曲げ腰を落とし、戦鎚を両手で握り担ぐようにして構えた】


「ハッ、威勢よく吠えおるものだの獣風情が!」
「随分と暴れまわったようだが、私が来たからには貴様の命運はここで終わりなのだ!」

「幸い狐も捌いたことはあるのでな、殺菌した後狐鍋にして食ってやるのだ――――!」


【何とも言い難い口上を述べた後、シーナは即座に攻撃行為を開始する】
【足元の地形に魔力を流し――瞬間、異様な現象が発生した】

【シーナの足元の素材が分解される】
【分解された素材は粒子状に変換され、周辺約30cm程度が砂地のように変化し――前方に向かい河のように"流れ出した"】
【その効果は"移動"。足を動かすのではなく、地面を動かし自身を輸送する異様の術】
【人体の動きに囚われず高速移動を可能とする其れは、例えるならば「ホバー移動」に近い見た目であろうか?】

【範囲はシーナの周辺であり、移動するに従い範囲もシーナの位置に合わせて変化し続け】
【通り過ぎた地形は元の床に逆再生のように戻っていく】

【地の魔術による高速移動で、瞬時に加速を加えながら九尾に接近を図り】
【生じる勢いをそのままに、九尾へと真正面から戦鎚を叩きつけようとするだろう】

【加速からの渾身の一撃。直撃すれば、対人であれば必殺とも言える威力を有するが】
【単純な物理的ダメージしか見込めず、シーナ自身も人並み以上ではあるが怪力無双というわけではない】
【また、動きは恐ろしく単調であるため回避やダメージを軽減することも難しくはないだろう】
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 20:23:46.62 ID:Vb3SKeMAo
>>588>>589>>590

【その様子はブリーフィングというよりは懇願だった】
【一つの家族の、一人の娘を想う父の叫びは彼の持つ使命も相まって悲痛にさえ思える】
【拠り所たる命、失うには大き過ぎる……知らぬならば尚の事、彼の言葉は耳に残る】

――――――――……胡散臭い爺さんだ、あっちのが妖怪地味て見える
でも技術は有るし、統率のあるのかな……

【各種装備をその異色の瞳で点検し、動作を確かめる声の主の姿は壁際に】
【背もたれつつ、まるで気持ちを落ち着かせるように佇む】

【手袋、ブーツ、防衣と各種主力と軽装備】
【左右太腿にあるアタッチメント付きのベルトには銘の無い刀子】
【二の腕のホルダーにはいつだったか貰った札……のレプリカが数枚】

【そして腰に収めた「銀のナイフ」が燦々とした輝きを漏らしながら放たれる時を待つ】
【それはまるで迫る異形に呼応するような、討つべき敵を求めるような……或いはナイフその物が呼び寄せているのか】
【踊っているのでないならば踊らされているとして、ならばどちらが本当の所有者なのか……語るのはこの場ではない】

…………っと!奴さん早速殺気立ってやがる、肌に刺さる感じ
向こうももうやる気みてーだし……じゃ、顔見せに行かないと失礼だな

【「銀」を抜けば掠れる高い音が響く、銀とは即ち退魔の産物だ】
【それ故に今宵用いる得物としては至上の物に違いない、踊る白髪伸びた三つ編みを揺らしながら外へと歩む】
【その最中でさえもかの妖怪の威光とさえ言って良いような力は齎されて、やがて視界には異形が露わとなる】

――――――っつ、今日ほど感覚が鋭敏なのを恨んだ日は無い
ここのは封じられてるだけ未だマシ……アレなんて災害と同じだろ洒落にならないくらい目に痛い

【紫白のその瞳は異物故に余計なモノさえも読み取る力を持つ、今回の事など言うまでもなく】
【ただ、それでも白髪はどこか愉快そうに収める「銀」を光へ還す……眩い輝きの末に新たに姿を現すは「銀の大弓」】
【弓の表層には精緻な彫刻、宿すのは穿つ力……矢の代わりに刀子を番えればそれが当たり前のように「銀の矢」へと変わる】

本来の性能はオフで今は殺傷能力だけ……結界壊したら洒落になんねーさてさて狙うは、どこにするか……
(狐ってえと……力の根源は尾になるんだっけか、確かめるとしても先ずは牽制だな)

【ぴりぴりと纏う力は僅かばかりの「退魔」の因子】
【本来番えるべき矢を用いていないから威力が下がるが、それでも彼らにとっては脅威に違いない】
【引き絞る腕に震えはなく細める瞳は狩人の、射抜く為にその身体は在る】

…………他のヤツの攻撃の、影に合わせる

【遠い距離しかしこの瞳は逃しはしない】
【集いし仲間の攻撃のその隙間、九尾に意識があるかは分からないが空白を狙い】
【一呼吸の後にそっと矢を抑えていた指を離す、―――――――流れ出るは銀の一閃】

【流星を思わせるそれは九尾の持つ尾の一つ目掛けて放たれる】
【空を裂く音は魔を祓う為の詞として、今宵彼は宣戦を告げた】

/よろしくおねがいします!
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/05(月) 20:23:57.14 ID:2mTQ0Y0to
>>588 >>589 >>590

【封魔城・城外、結界内――――】

…………ふん。

【――――開口一番。不機嫌そうに鼻を鳴らすのは、黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服に身を包んだ少女だ】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的。漆で染めたような黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差す】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしており、艶やかな黒が歩くたび嫋やかに揺らいで】

【思い出すのはつい数分前の光景である。櫻の国の平穏のため……そして琴音なる娘のため、土下座までして嘆願する城主の姿】
【彼の姿は、まさしく父親の鑑のようなものであって――――複雑なものが心中に渦巻く。少し腹が立つような、それでいて救われたような】
【まあ、高僧や陰陽師達を率いる爺の発言に対しても思うところがないではないのだが……少女の不機嫌はあらかたそんな理由だ】

これが、九尾。
相手にとって不足無し、というところね――――。

【現在地は九尾の正面、距離は数十メートル程度。少し遠巻きから観察するように、少女は黒色の視線を向けている】
【眼前で膨大な量の妖気と怒気を振りまく大妖怪――――とりわけ妖魔の集まりやすい少女の故郷においても、これほどの大物に出会うことは希であった】
【村中から手練れを集め、陰陽術による罠をあらかじめ幾重にも張り巡らせて、数日掛けてやっと討伐……なんてこともザラだったが】
【今回ばかりは時間を掛けていられない。結界が途切れるまでの数時間が勝負だ。となれば、周囲の仲間たちの顔ぶれも一層気になってくるが……】

……………まぁ、悪くないわね。
改めて、幸徳井佳乃よ。あまり心配もしていないけれど……あっさり死んだりしないでよね。

【奇しくも全員何らかの形で知己の者ばかりであって、誰しも相応の実力者だったと記憶している。これならとりあえず、心配はないだろう】
【一度周囲を見渡して、少女は改めて名乗り――――黒い瞳を峻烈に煌めかせ、一歩も引かずに九尾の紅色の視線を受け止めるだろうか】
【間を置かず、九尾が天を切り裂かんばかりに吼え上げる。撒き散らされる威容と妖気が、しかし逆に少女の纏う不可思議な雰囲気を殊更に強調した】

白刃龍紋流、壱の太刀――――――、

【諸手に構えた一振りの薙刀が、しゃらんと腰溜めに構えられた。それは美しくはあるも長さは平均的で、巨大な九尾相手にはやや頼りなくも映るが――――】
【少女の纏う、空気を塗り替えるかのような神聖≠ネ雰囲気。それが刹那、彼女の心中を代弁するかの如く陽炎じみて燃え上がれば】
【突如として少女の体から純白の力が溢れ出し、薙刀に絡み付いていくだろう。鮮烈な退魔の力、強烈な聖の力を持つ神≠フ力が】
【その名は神気=\―――それが薙刀を中心として渦巻けば、そこには確かに美麗さと強靱さが同居して見えるはずだ】


――――『一矢』!!


【そして――――瞬時にして神気の光が薙刀を輝かせ、大きく横薙ぎにした軌道に沿って成形される光の刃≠ェ九尾の右前足へと飛翔する!】
【速さはそこそこ高速、大きさは横に二メートルと言ったところだ。直撃した場合、薙刀で深く横薙ぎに切り裂かれるのと同等のダメージを追うのみならず】
【神気の持つ浄化≠フ力が作用し、傷口周辺を強く焼き付けるような激痛が九尾を襲うことになるだろうか】
【まずは堅実に機動力を殺ぐ。少女――――幸徳井佳乃と仲間たちの戦いは、始まったばかりなのだから】


/幸徳井佳乃です、皆様よろしくお願いします!
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 20:39:42.53 ID:0ytvFy/E0
>>591
【此処に集った者の内一人が妖怪である事を悟ったか。――――妖怪?】
【赤々と輝く双眸を向ければ、低く唸って。人間で在るならば表情から読み取れようが、獣である九尾からは何も読み取れず】
【果たして、その表情の下で何を思っているのか。…………ただの障害程度の認識だろうか】
【其れは後に明らかになるであろう事。今は――――姫を殺す事を阻止しようとするこの者達をどうにかせねばなるまい】
【ただの妖気だけで無く、同時に神気を纏っている事からただの九尾とは異なる事を告げており】

【詠唱も術式も無くして放たれた一撃。ただの妖気の塊であるが】
【侮るなかれ、その威力は簡単に大地を抉る程の物。生身で受ければ骨が折れるでは済まないであろう】
【確かに速度も速いが――――銀狼なれば、避けれぬ其れでも無い。攻の後には必ず隙が出来る】
【九尾とて同じ事であり…………何よりも今は、ただ一人だけに注意を向ける訳にもいかないのだ】



>>592
【その視線が、シーナへと移された。人を見る、ただ其れだけの単純な動作なのに】
【視界に収まるシーナは全身に纏わり付くような妖気を感じ取れるであろうか】
【――――攻撃に合わせるかの様に、尾の一振り。渾身の一撃、確かに九尾の肉体に当たった筈なのだが…………?】

【何か、妙だ。まるで分厚いゴムの塊を思い切り殴りつけたのに等しい其れ】
【九尾の肉体がそれ程強靱に出来て居た、という訳でも無く…………魔力を感じ取れるならば、戦鎚と九尾との身体の間に“障壁”が作られたことに気付けるか】
【尾を振る、単純な動作一つ。それだけでその一撃を受けきるだけの物を作り出せるとなれば実に厄介】
【だが、同時に得られる情報が一つ。ダメージは殺せても衝撃は殺せないのだ、との事】
【流石に渾身の一撃ともなればグラリと身体を揺らすが――――其れだけでは終わらない。続けざまに尾を一つ振るい】
【当たったならばその威力たるや、丸太で打ち付けられたも同然。甲冑が良い防具ともなろうが…………果たして、その威力をどれだけ緩和出来るか】


>>593
【退魔の力を認識して――――そして、飛来する矢を視認して】
【その矢を弾くでも無く、避けるでも無く。口を大きく開けて“喰らった”のだ】
【なる程、実に獣らしい取り方。手は使えぬからと口を用いてその矢を止めたか】
【だが――――何よりも驚くべきは、この人数を相手にしても尚正確に矢の飛来を認識していた事だ】

【戦の真っ只中、己に向かう矢を全て認識出来る者などどれ程居ようか】
【――――九尾も万能では無いと知れるのは、その少し後の事。狙った尾を射貫く事は出来ずとも、その矢尻は肌を傷付けた様で】
【つ、と浮かぶのは赤の一線。咥えていた矢を噛み砕けば、其方へと見舞うのは―――――銀狼と同じ、妖気の塊か】



>>594
【全ての者に対処するつもりではあったが――――渾身の打撃を止め、矢を食い。そこまでが限界であった】
【確かに刃の存在は見えるが…………行動を起こすには、遅くて。前足を切断できずとも、確かに刃は肉を断ったのだが…………】
【可笑しいのだ。追撃の効果を示す其れが、発揮されていない。刃は足を裂き、機動力は削げたが――――物理的な其れのみなのだ】

【考えられる原因は幾つかあるけれど。――――幸徳井ならば、分かるか。九尾もまた神聖な其れを得ている事】
【妖魔たるその存在がその気配を持って居る事は、何処か可笑しな話だが…………現実なのだ。だから、浄化の力も無力化とまでは行かずともある程度殺せたのだろう】
【さて、これだけでは終わらない。お返しとばかりに放たれたのは薄い円盤状の妖気であるが】
【当たれば、切断。擦れば、切り傷。――――無論、切断して回避する何て方法もあるのだが】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 20:40:27.93 ID:0ytvFy/E0
>>ALL
【目の前に現れた者達を障害、として認識したのだろう。同時に、どうにかして排除しなければ目的の者の場所まで行けぬ――――とも】
【低く唸れば其の四肢に力を込めて。やがて放たれるは、鬼火だ】
【――――古来より妖怪達の用いる術の一つであるが、九尾が扱うともなればその火力も馬鹿には出来ず】

【岩が溶ける程…………とは言わずとも、その威力はまともに当たったならば肉を溶かしきって風穴を開けてしまう程】
【そんな焔の塊が物が数十と当たりを飛び回るのだから堪った物では無いが――――】
【避けられない訳では無い。軌道はそれぞれがただ直進するだけ。其れ故に、何らかの方法でその軌道を自身から逸らすなり、或いは鬼火事どうにかして消してしまうのも手だ】
【ただ無残に焼かれて終わるだけの者達ではあるまい。…………そして、その事は九尾も理解して居る様で】


【相手の数が多い。其れも、強者ばかりならば――――僧兵達の様にいなす事も出来まい。ならば、短期戦に持ち込むまでだ】
【扇の如く広げられた九本の尾。其処に集うのは莫大な妖気…………いや、神気か】
【何にせよ、次には更に強力な一撃が来る事は明白。其れに加え、この九尾は術式を作りながらも機敏に動くのだ】
【別な妖術だって扱う事が出来るし、前足後ろ足で殴りつけたり蹴ったりする事も出来る】
【その威力、鎧に身を包んだ重装の者であっても一撃で意識を奪う程の衝撃。生身で当たったならばその威力も侮れず】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/05(月) 21:07:31.60 ID:PMfZTaSDo
>>595-596

「ふむ――やはりこの程度では通用せぬか」
「獣とはいえ、やはりそこらの魑魅魍魎などとは格が違うということだの!」


(とはいえ……磐石な守りではないようだがの?)


【戦鎚の一撃を、"障壁"のような術で受け止められたことをシーナは知覚した】
【予想はしていたが、やはりこの九尾は尋常ではない力を有している】
【試しの為に放った戦鎚の、その結果から得られた微かな情報を頭に刻みながら】
【場面は次の一手へと移り変わる】

【攻撃の際生じた間隙。それを突くように繰り出される反撃の尾】
【こんな大振りな動作の後ではまともな人間ならば回避することは適わないだろう】
【しかしシーナは、先程も見せた"砂の河"による特異な術法によって】
【身体の状態に関わらず己を移動させることができる】

【瞬間的に地形を"後ろに流し"、シーナは尾ギリギリの範囲まで離脱】
【服の先を掠るようにして、殺人的威力を秘めた九尾の尾が通過していった】


「ほう、それが世に聞く狐火かの!」
「噂に違わぬ代物であるかどうか、私の護りを砕いて証明してみせるが良いのだ!」


【シーナは、離脱の勢いをそのままに更に1m程後退した後】
【おもむろに戦鎚を振り上げると、地面目掛けて力強く叩きつけた】
【その衝撃に合わせて周囲の地形に魔力が波紋のように広がっていき】
【瞬間、ぐらりと小さな揺れが生じたあと周辺に現象が発生した】

【それは高さ3m程の"無数の柱"。岩石のような硬度を持ち】
【人一人が後ろに隠れることが出来る程度の幅をしている】

【柱はシーナの目の前と、そして周囲に計10本程度出現し】
【自身に打ち出された鬼火を目の前に発生させた砂柱で受け止めると】
【焦げ目がつき若干破損した状態の柱に向かい、後ろから蹴りを加えて九尾めがけて高速で"撃ち出した"】

【それはさながら超質量の"砲弾"。軌道は単純ではあるものの、重く勢いの乗った一撃だ】
【また、着弾すると同時に柱は"破裂"し強い衝撃と共に砂を撒き散らし視界を阻害しようとするだろう】

>>all

【周囲に生み出された無数の砂の柱。鬼火ほどの威力となれば2度も受ければ砕け散るだろうが】
【裏に隠れれば一度であれば攻撃を防ぐ盾となるだろうか】
【また、持続力は大して強くはないため次のレスには自然と砂に戻り柱達は消えていく】】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/05(月) 21:11:27.60 ID:D72LbkLTo
>>595-596

……ふふっ、何か思う所でもあるのかや九尾殿?
儂は長尾よ……長尾銀狼。見ての通り狼での、今日は訳有ってお主を止める
次いでに気高いはずのお主をこうも駆り立てる娘子の事も聞きたいが……

――――先ずは落ち着いて貰わねばなぬようだのう…!!

【銀狼は小さく笑って唸りに応えると、先ずは飛来する妖気の塊を】
【その身をグッと――腕立て伏せをするような体勢にまで屈めて、回避する】

【そして直後に駆け出すのだが、合間に彼女はシーナの攻撃を眼で追っていた】
【一見して凄まじいパワーの攻撃だ。けれども、どうやらそのままダメージが通ったとも見えず】
【同じ妖怪だからこそ、その現象がどういうことかも理解でき】

おう鎧のッ!(>>597) そやつには魔力か妖力の類で刃≠使え!
強大な力で身体を覆っておるのじゃ――刺でも剣でも構わぬだろうからのう!

(…――さあ今度は……儂の番じゃのう、九尾どのよ――!)

【その攻撃を放った味方に助言となるかはともかく声をかけ、次いで銀狼も駆け出した】
【人であれば転倒するほどの低姿勢でも、半ば獣と変わらない彼女であれば】
【駆け抜ける軌跡が銀色の線に見えるほどの速度で九尾に向かって行けて】

【やがて相手の正面下方、場所にして頭部の真下に飛び込んだなら】
【増えた気の塊である尻尾を一本消費して、その力を両手の鉄輪に纏わせる】

【これによって純粋なパワー、骨や筋肉を支える耐力――それらを複合的に増進させ】
【更には自分がした助言の通りに鉄輪の周囲を痛々しい刺のオーラで包み込んだなら】
【速度を乗せて、九尾の顎を思い切り叩き上げようとするだろう】

【とは言えこの近距離だ。後に発生する鬼火の全ては避けきれず、自身の妖力も使って】
【ギリギリの回避を続けるものの髪を焼かれ、尾を焦がし――其処が攻撃後の隙と重なる事となる】
【距離はまさに眼前、そして隙を晒すというのは――此の状況では、些か拙いのは確かだった】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/05(月) 21:23:06.96 ID:5+/Hak2So
>>596

【剣ヶ里が壊滅させられた。そのことに同様が隠せなかった男が居た。左腰に刀を佩いた、袴に薄藍のインバネスコートの男―――中邑瑛月】
【一刀正伝唯刃流―――刀一本のみで能力者と闘うという意味が篭められた剣術流派だが、瑛月にとっての一刀≠ェ左腰の其れであり―――】
【それは嘗て彼が生まれる150年程前、剣ヶ里で造られた名刀であった。茜色の鞘に包まれたその刀、名を「御代櫻」と言う】
【嘗て“翁”を封じた名将が愛用していた、“破魔”の力を持つ「正櫻」。御代櫻が持つは減魔≠フ力。奇しくもこの二振りの刀、似ているのある】

……―――剣ヶ里を壊滅させた罪、武人にとってはより許し難い。……だが其れよりも。
―――封魔城を壊し、悪行三昧の妖怪共を放つことの方が許し難い……!!
SCARLET所属、中邑瑛月……いざ参るッッ!!

【そして今中邑瑛月は御代櫻の切っ先を九尾に向けて、かつての名将のように妖怪を封じんとする。濡羽色の瞳は岩壁を貫くように鋭く、奥に爛々とした光を宿していた】
【―――その瞳が、鬼火の単純な攻撃を見抜けない訳が無い。シーナのようなホバー移動にも見える上体の揺れが全く無い動きで右に避ければ、そのまま前進】
【―――瑛月は無能力者だが、彼には「武」があり、「技」がある。地を蹴るのではなく滑る≠謔、に見える独特の歩法で間合いを詰めながら、切っ先を下げる】

唯刃流四神の構え、朱雀―――……疾ッッ!!

【半身の状態で駆ける、否滑るように進む瑛月。切っ先を後ろに下げ半身で相手から見えないように隠すことで、間合いとタイミングを図りにくくする】
【―――そしてもし近付くことが出来たのなら、派手さや力強さは感じられないが恐ろしい程に老獪さを、技のキレ≠ニ完成度を感じさせる一振りが―――】
【妖狐の右前足を斬らんと切り上げる。もし妖狐の肌を御代櫻が裂いたのであれば「減魔」の力が働き―――微々ながら妖狐の力を一定時間削るだろう】

/遅れて申し訳ありません、瑛月中身です!
/よろしくお願いします!
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/05(月) 21:26:25.49 ID:2mTQ0Y0to
>>595 >>596

【飛翔する『一矢』の刃――――九尾は反応しなかった。いや、他の三人の存在が九尾の注意を引き付けたようだ】
【流石に手練四人が相手となれば、大妖怪といえど手が回らない部分もある。決して刃の通らぬ相手ではないと、それを確認できただけでもひとまず十分だ】
【……十分、である筈だったのだが。直撃した神気の浄化≠ェ発動しないという事実が、佳乃の心中を驚愕一色に塗り替えた】

な…………っ!? こいつ、妖魔の癖に…………!!

【神格≠持つ妖魔――――決してあり得ない話ではない。強大な力を得たもの、悠久の時を生きたもの。そういうものに神格が宿るケースはある】
【しかし邪なる妖魔がそれを宿している実物を、佳乃はこれまで一度も見たことがなく。神の力が神の力に打ち消されるという理に、暫し呆気にとられてしまう】
【自らの神気が通じない妖魔……初めての脅威を前に佳乃が我に返ったのは、円盤状の妖気を反射的≠ノ捉えてからだった】

白刃龍紋流、弐の太刀――――『二極』ッ!!

【焦燥の浮かぶ表情の割に、薙刀を構えるスピードは早い。行動そのものが早いのではなく、行動の初動≠ェ早いのだ】
【次いで発動した奥義によって神気が刀身へ一極集中し、神気の効果と強力な切れ味を薙刀へ付与。素早い切り返しが妖気を迎撃する】
【ぎゃり、という鈍い音と同時に妖気の刃は両断されるが――――ほんの微かな反応の遅れが、二つに割れた刃のひとつが左の肩口を掠める結果を齎す】
【……自分に対する怒りが佳乃を席巻する。佳乃が常時発動している『零露』という奥義、反射神経を強化するソレが無ければ危ういタイミングだった】

(神気が効かないのなら――――直接叩き斬るまで、よ!!)

【浄化が効かないのならば手ずから斬って捨てればいい。柄にもなく戦いてしまったが、たかが一手封じられた程度で幸徳井佳乃は退きはしない!】
【その決意を前進の力に変え、佳乃は一気に前に走り込んでいくだろうか。途中で九尾の発した鬼火がその身を襲うも、もはや構うことはない】
【薙刀を突き出すように構え、ひたすら前へ。発動したままの『二極』は刀身に神気を凝縮し続け、薙刀に触れられないモノ≠ヨ干渉する力を付与する】
【それを利用し、佳乃は全力で駆ける。向かってくる鬼火は根刮ぎ避けて弾いて切り裂いて、時にシーナ(>>597)の砂柱も利用し、決して足を止めない!】

は――――――ぁああああぁああぁッッ!!!

【無傷とは行かず、体のあちこちに軽度の火傷程度は負うものの、逆に言えばその程度だ。戦いはまだこれから、こんなところで躓いてはいられない】
【そうして前進していけば、佳乃はいましがた『一矢』で傷を付けたばかりの前足にたどり着くことになるだろうか。そして――――】
【疾走の勢いに、脚の力、腰の回転、両腕の膂力……そのすべてを長く持ち替えた薙刀へ乗せ、前足へ二度目の斬撃が叩き込まれる!!】

【真一文字の斬撃が向かうのはちょうど『一矢』で負わせた傷口だ。裂傷を一気に押し広げ、あわよくば前足の切断を狙う】
【加えて、薙刀には『二極』の効果で多量の神気が凝縮されている。九尾の持つ佳乃とは違う神気≠フ力のせいで浄化の力は発揮されないだろうが……】
【『二極』のもう一つの効果、薙刀の切れ味を格段に上昇させる効果の方は健在だ。直撃すれば相当の深手を負わせられる筈!】

【……ただし、強靱な筋力を持つ九尾の脚へ直接近づいたというリスクは当然存在する。薙刀の振りもダメージ重視で大きく、攻撃後の隙も同様に大きいだろうか】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 21:34:45.84 ID:Vb3SKeMAo
>>595>>596

(やっぱり大妖か、一斉の攻撃も……間隙を狙った一撃も捌いて尚……!)

【かくして矢は挫かれそして迫るその力は単純な物】
【古において神とは力であった事を語りかけるような暴力が眼前へと伸びる】

だけどオレだって、死線は潜っている―――――――!

【視認と理解と動作は連結だ、こと戦闘に於いてはタイムラグが無ければ無いほど好ましい】
【そしてそれは戦いの中でこそ研鑽されるスキルである、生と死のその境界にこそ在りしモノ】
【ならばただ攻撃を避けるには終わらない、刃は護り捌く為にあるのだから】

(化物退治の逸話……ち、もっと勉強しておくんだった)

【「銀の大弓」を光へと戻しその場をさながら夜に墜ちるように跳躍する】
【身なりの通りの身軽さからの移動は妖気の塊を危なげながら避ける、着弾の衝撃に身体は遊ぶように転げる】
【2,3と地面で受け身を取り先程まで自分の居た地点を見れば無残な姿……怖気を覚えるのも必然、されど――――――――】
【手に在る銀の輝きはまた一際輝いてその意志は鈍らない】

合わせるなら――――――!やっぱり刀か――――

【光源から引き出す一対の「銀の刀」は夜を分けるよう佇む】
【刀身は呼応しながら立ち上る「退魔」を空を白ける如く、銀影は……駆ける】
【相対する昏い火は万象を焼き尽くさんとしているよう、だが「銀」はそれを許しはしない】
【切先をすり合わせ突出したならば鬼火を左右に裂き絶ち割る、無理矢理に押し通る如く……残り火の中から現れるのはやはり白髪で】

【紫白の瞳は、夜に浮かぶ歪んだ月のようにどこまでも例え死の淵にあろうともそちらを見つめている】


【他の鬼火は突如現れた砂の柱で潰され、こちらの侵攻に有利】
【ならばそれは好機でありこれを突くより、他にない!肉薄への時間など僅かに満たない】
【刃は気高く吠え大妖の命を狩る為に、迫る――――――――!】

(狙うは、その尾――――――――!)

【大妖の顎を狩る人影、その攻撃の瞬きの後に額を踏んで高く翔ぶ】
【宙へと翻す身体はくるくると刃と共に回りながら目的の尾へと迫り、1つと2つと中腹を狙い切り刻む】
【切先に手応えがあるならば切った反動を利用して横へと跳び、切り抜けるならば大妖の後方へと通り、また翔ぶように距離を取る】

【一撃翌離脱、速力を活かす戦法が彼の持ち味だ】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 21:47:49.58 ID:0ytvFy/E0
>>597
【――――柱、という物陰。この局面に於いては実に良く】
【たったそれだけで鬼火の半数近くが虚しくも役目を果たせずに消えゆくことだろう】
【防御と同時の攻撃。死角からの其れ――――気付いては居たが、此処で幸徳井の作った前足の傷が功を奏す】

【即ち、振り向くための機敏な動きが若干阻害されたのだ。然れど、戦闘に於いてはその“若干”が命取り】
【衝撃を喰らえば対して“障壁”を。追加の効果を失せさせたならば――――本来破裂する筈だった効果をそっくりそのままシーナへと返される事となる】
【詰まりは、シーナに対して柱を模した妖力が飛来するのだ。避ける事が出来れば、良い。だが、避けたところで…………シーナの狙っていたその効果が、間近で起こる事となろう】
【さて、其れが何処かで爆発する寸前の事か。>>598による助言が聞こえていれば、或いは――――?】

>>598
【疾走するその間。焼かんと向かう鬼火の幾つかはシーナの作り出した柱によって防がれるか】
【――――他の者達と異なって武装を持たぬ、となれば。その四肢を使った攻撃か、妖術でも扱うのか】
【否、それを両方使うか?顎下へと潜り込んだ拳が、情報を伝えた。では、このまま噛むか…………?いや、間に合わない】

【選んだ選択は、打ち上げられる寸前にその場での宙返りだ。ムーンサルトに近い動きであり、顎を砕かんばかりの力を逃がす】
【…………棘による刺突は、どうにも出来ない。舌まで貫かれなかった事を幸いとする他に無いだろう】
【血を流せど、止まらない。…………落下の其れは、止められないのだ。再び銀狼は自身の下。だが、今度はその意味合いも異なり】
【叩き上げならば、まるで九尾のは叩き付けだ。回転したその力も用いて、銀狼を大地にへばり付かせんと振られる一撃は実に重く】


>>599
【――――銀狼に対しての攻撃の成否に関係無く、九尾は次の段階へと移っていた】
【続けざまに他の者達に攻撃する事で、この場を終わらせるのだ。だから、他の者へと視線が移るのは必然】
【この場に居るのは四人と記憶して居た――――筈、なのだ。では、チラリと視界に映った存在は何だ】
【防ぐ事よりも、攻撃を仕掛けてきた彼の方が数瞬早い。強烈な右の前足による打ち払い】

【其れを以てして弾き飛ばそうとするが…………その脚捌きを終えず】
【右の前足を斬られるのは二度目。相応に機動力も落ち、同時に痛みを耐えるかのような呻き】
【――――だが、安心は出来まい。左の前足が、今度こそ打ち払わんと振られたのだ。シーナの様な鎧を纏っている者でも無ければ…………骨を砕くほどの一撃、どの様に避けるか】

>>600
【佳乃に一度、そして瑛月に一度裂かれた足。嫌でも警戒が強まってしまうのは仕方ない事か】
【――――ただの妖怪と異なる所は、此処だ。身体を動かして避けるわけでも無く、傷を負った足が大地を搔く】
【それだの動作で――――佳乃の一閃を受け止める障壁が完成するのだ。彼女相手にこのまま腕を奮うのは愚かしいこと】

【ならば、“咆哮”だ。轟音たるそれは鼓膜を破っても可笑しくは無く、反射的に耳をふさげれば良いのだが】
【其れでも間近ならば肌を裂くような振動…………否、妖気も混ざれば身体の五感を失わせて行く様なその感覚に耐えられるか】
【肉体的なダメージよりも、心的ダメージの方が大きいその攻撃手段。三半規管を麻痺させるかのようだけれど、立てない程でも無い】
【ふらり、ふらりとでもその場から離れる事が出来れば更なる追撃の前に体勢も立て直せようが――――?】

>>601
【先ずは接近してきた瑛月と佳乃に注意を向けていたこと。これが幸いしたか】
【鬼火のもたらした結末を確認する事も無く、九尾は力を蓄えて】
【気付けば、もう既に遅しだ。止めるにしても、今は尾を使えない。ならば――――身を翻すか】

【然れど二度も斬られた足が此処で災いする。反射的な動きをするにしても、足が着いてこないのだ】
【少しでも身を動かせたことから尾の一本を切り落とされるなんて事は避けられたが――――まだ、落としきるには至らない】
【だが、蓄えていた神気が血液と共に其処から漏れている事を確認出来れば悲観する事でも無いのだろう。確かに、九尾の攻撃の手段は弱めることが出来たのだ】
【――――兎も角として。その尾を酷使すれば、再び鬼火が放たれるのだが…………今度ばかりは、少し大きい】
【避けた所で砕けた物が四散するのだから予測も難しく…………その場から大きく離れれば、或いは無傷でも済むか】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 21:48:15.72 ID:0ytvFy/E0
>>ALL
【集う神気。妖怪を滅ぼすだけで無く、人間をもいとも簡単に蒸発させてしまう程に】
【――――だが、まだ完成はしていない。この者達を沈める為にはこれだけの力では意味を成さない】
【だから、依然と神気は蓄え続けられており】

【増援も来たことから己の身一つでは厳しいとでも判断したか。揺らめく尾、すると――――】
【何処からか現れるのは白い鹿の集団だ。恐らくは、式神。九尾の妖気によって作られた其れは鹿と表すには余りにも過ぎた存在であるが】
【蹴りの一つで岩を砕く。噛み付けば大樹の幹さえ抉り、その角で突けば鉄板をも貫く。最早、一つの妖怪だ】
【先程までの鬼火とは異なる。それぞれが意思を持ち、一行に襲いかかるのだから苦も良い所だ】


【九尾を集中的に攻撃するのも手。先ずは安全の確保と式神達を破壊するのも手】
【其れ等の判断は全て各人次第。どちらを選んだって、強烈な一撃を受ける可能性があるのだから】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/05(月) 22:15:51.37 ID:PMfZTaSDo
>>602

「何だと――!?」


【今まで保っていたシーナの強気な態度が、ここに来て初めて崩れた】
【己の放った術を完全な形で無効化され、更にそのまま妖力として跳ね返される】
【"人としては"高位の術師であるシーナは、ここまで鮮やかな反撃を受けたことはなかった】
【幾ら生きたかも判らない九尾の大妖と、未だ20も数えぬ小娘】
【その間に存在する差を読み違えていたが故に】


「ぐ、ぁっ…………!」


【出来た事は、咄嗟に両腕を前に突き出し】
【衝突し、破裂する瞬間に自身の足元をバネのように跳ね上げダメージを軽減する事だけだった】
【シーナの機動力であれば、本来ならば回避することも可能だっただろう】
【しかし一瞬生まれた精神的動揺がその間を潰し、シーナの身体は大きく跳ね飛ばされる】

【数m吹き飛んだ後、足を叩きつけるようにして地面に着け】
【接地した瞬間に地術により衝撃緩和と停止を掛ける】
【妖力を受け止めた右腕は半ばから千切れ落ち、左腕は肉が抉れダランと垂れ下がっている】
【真っ当な人間であればショック死しかねない程に、無残な姿と化したシーナの身体から】
【夥しい量の"砂"が溢れ出していた】


「け、獣風情がやってくれたのぅ……!頭がグラグラするのだ!」
「この痛み、百億倍にして返してやるから待っておるがいい!」


【シーナは、再び先程の"砂の河"を足元から生成し九尾に向けて一気に加速し挑みかかる】
【そんな時に現れ出てるは白き鹿の式神。あの九尾が作り出したものだ、小間使いのような力量ではあるまい】
【増大した脅威に対して――】


「邪魔立てするでないわ三下風情が!」


【――急停止して脚を振り上げ、ダン!と地面を踏みしめ魔力を流す】
【するとシーナに向かって来る式神、また、近辺に存在する式神の左右の地面小範囲が粒子状に分解されると】
【それらは砂の槍へと姿を変えて対象を打ち貫こうとするだろう】


【進行方向を妨げる式神が排除できていた場合】
【シーナは再び九尾に向かい疾駆し、攻撃を仕掛けようとするだろう】

【その際に取る攻撃方法は、実に奇怪なものである】
【シーナの肩付近が、砂のように崩れて変形――二本の新たな腕が形成され】
【背中の巨大な金剛石の剣を引き抜くと、九尾の横を通り過ぎるような軌道を取りながら】
【尾の一本を狙い、凄まじい力で振り抜き薙ぎ断とうとするだろう】

>>598で受けた助言を、この攻撃には素直に取り入れ】
【金剛石の刃には"龍脈"と通した地属の魔力による"増幅"効果が乗っている】
【効果は単純、「威力の上昇」。接地している事を条件として限定的に使用可能なブースト魔術であった】

【また、先述の槍の魔術で式神を排除できていなかった場合は、上記の金剛石の刃による攻撃は行われない】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/05(月) 22:17:16.53 ID:2mTQ0Y0to
>>602 >>603

――――ッ、喧しいっ………!! 『三衣』!!

【自らの振るった『二極』の刃は、無詠唱の障壁に阻まれて届かず終わる――――が、佳乃の瞳は自身より素早く右足を切り裂いた瑛月の妙技を捉えていて】
【佳乃の攻撃こそ失敗したが、彼のお陰で相応に機動力は落ちたと見ていいだろう。ならば次に狙うべきは――――】
【その思考を遮って、九尾の咆哮が佳乃の耳朶を打ち据えた。あまりの大音量に咄嗟に薙刀を捨て、耳を塞ぐ方に集中するも】
【紛れて降り注ぐ妖気の波が、一瞬佳乃の意識を遠退かせる……だが紙一重で、佳乃の次なる奥義が発動するだろうか】
【『三衣』は体を神気の結界で覆う奥義。九尾が障壁で佳乃の攻撃を防いだのと同様に、聖なる結界が妖気をシャットアウトして佳乃を守った】

く…………っ、式紙!? どこまでも同じ手を………ッ!!
陸の太刀――――『六花』!!

【そうして咆哮を防ぎ切り、慌てて薙刀を拾い直して右足から離脱する佳乃だが………その表情は暫時、憤怒に塗れることとなった】
【妖気を固めて作り上げる式紙≠フ術――――腹立たしい程に自身の奥義と酷似していて。目には目をとばかり、佳乃は薙刀を中空へ突き出して奥義の名を叫ぶ】
【――――現れるのは、九尾が出したのとよく似た白色の鹿だ。数は三体、似てはいるがこちらは角が大きく肥大化しており、見間違うことはないだろう】

この鹿はこっちで引き付ける!
今のうちに攻撃しなさい――――!!

【神気を使うとはいえ、佳乃はあくまで人間だ。九尾のような大妖怪と違い、たった三体の同時召還でもかなり大量に神気を使用してしまうが……】
【今回ばかりは出し惜しみもしていられない。佳乃は残る四人へ向けて叫ぶと、三体の雄鹿と共に九尾の鹿へ突撃していくだろう】
【残る四名の行動の邪魔になりそうなものを狙い、雄鹿が巨大な角を全面に突き出して、捨て身の特攻を仕掛けていく】
【元来、一体一体が妖魔とも言える相手とまともにやり合えるほど佳乃の式紙は上等なものではない――――確実に数を減らすにはそれしかなくて】

【その傍ら、佳乃自身も自らに向かってくる鹿の攻撃を辛くも回避しつつ、その胴体に鋭い刺突を叩き込んで応戦するだろう】
【これらの行動全てがうまくいけば、佳乃単体で最大四体程度の鹿を減らせることになるが――――果たして】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/05(月) 22:17:43.85 ID:D72LbkLTo
>>602-603

(ええいッ…――そう来たか、やはり九尾は伊達ではないなッ!!)

【拳の先に在るはずの重い感覚がイヤに浅い。無論、その理由は直ぐに分かった】
【だがそれが以外だったのだ――なにせ、獣と言うのは基本的に宙返りなんていうものをしない】
【が、靭やかかつ身軽な狐ともなれば話は別か。或いは九尾なればこそのなせる技か】

【――ともかく銀狼は攻撃を外し、そのまま巨体に押しつぶされるかに見えた】
【だが…――!彼女はニヤリと笑って降り来る九尾の姿を見遣った上で】

く、ふっ……ちとこの銀狼を甘く見過ぎではないかのう、九尾どのや?
確かに儂は妖怪としてあまりに格下……それは確かじゃ。
だが所詮、お主が獣としては狼の足元にも及ばぬことを……そう、味合わせ≠トやろう―!!

【銀狼は時間経過で増えた気の尾と、元の一本――計二本を消費して自身に纏わせると】
【九尾の叩きつけに等しい降下のタイミングに合わせて、一挙にそれを解放する―!】

【多大な気の放出は、ただそれだけで銀狼の周囲を守る壁となり】
【同時に九尾に取っては爆発のような痛烈な衝撃波として襲いかかることだろう】

【とはいえ――これは実のところめくらまし。銀狼からすれば身を守れればそれで良いのだ】
【では、真の目的とは何か?――簡単だ、一度逃した獲物を二度も離すものか】
【狩りのプロである狼がそんな事を許すわけがない。――目的は、再度の顎への叩き上げに他ならない】
【ダメージは先の物に九尾の降下する勢いを加えた、というところ。無論、刺もそのままで】

【攻撃の成否を確かめるより速く、その後銀狼はタン、タンッと少々距離を取る】
【気は大方が霧散して尻尾も本来のものを含めて二本になってしまったが、尚も顔には余裕が見え】

……なるほど、今度は式神か。だが鹿を選んだのは失敗ではないかや?
それともこの銀狼を見くびってくれているのか……どちらか知らんが、愚策よな
どれ程力が強かろうが……狐を狩るより余程容易い相手に見えて仕方ないのう…――!

【残り一本の気の塊を更に消費すると、銀狼は自身の周囲に四体の狼を作り出す】
【毛並みは金。体格は一般的な狼と同じ程度だが、よく統制の取れた賢そうな顔をしており】

【やがて銀狼までもその身を元の大狼に化かしたならば、鹿の式神へとそれぞれが飛びかかっていく】
【九尾への攻撃よりも周囲の安全を重視したわけだ。仲間が危うければ】
【本体か気の分身かを問わず救いに駆けつけることだろう。その攻撃は原始的。爪と牙が主なものだ】
【喉元、脇腹、或いは足。式神の弱点が獣と同じかは分からないが――適格に狙って、行動を阻害しようとするだろう】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 22:24:13.77 ID:Vb3SKeMAo
>>602

全く……っ!頭の良いこったなあ!!

【着地し翻る際に銀は一際大きく輝く、刀は姿を失せ】
【彼の両手に握られるのはオベリスクを思わせる「銀の石柱」】
【その姿は文字通り破壊する為の攻城兵器の類、表層に刻まれた「破壊」の言霊は高らかに謳いあげる】

【ごうん、という音は開始の合図】
【「槍」の装甲が角に合わせて微かに外れ赤熱する炉心をちらち覗かせる】
【歯車の噛む音の後に「槍」は赤熱を帯びながらやがて赤嵐を纏い振るわれる】

―――――――っつ、相変わらずの暴れ馬だけど!
こんな場所だからこそ、調度良い!!有象無象の区別無しに、ぶっっっ潰す!

【肩に載せ構えた状態から身体をくるりと回しつつ槍を振るう】
【周りに現れた白き鹿を殲滅せんとするが、既の所で見知った者(>>605)の声を聞き、ならばと大妖へと全精神を傾注する】
【天に掲げた「銀の柱」は昂く昂くと叫ぶように唸りを上げ、主さえも焼き尽くすような炎熱の中振るわれる】

【狙うは先程の箇所、漏れ出る神気のその根源……傷口を更に抉らんと鉄槌の如く叩き落とさんとする!】
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/05(月) 22:28:09.58 ID:5+/Hak2So
>>602

【確かに肉を裂いた感触が両手へと伝わる。返り血が彼の右頬にかかり、武人中邑瑛月の鬼気迫る表情により凄みを与える】
【下から上へと伸び上がる軌道で御代櫻を振り切る瑛月に、遅れて飛ぶ左前足の一撃。白い長着、袴にインバネスの格好では防御にもならず、当たれば一溜まりもない】
【そして通常、攻撃の後には大きな隙が出来る。大きく振り切った後などは特にそうだろう。体重を乗せて振り切った一撃は威力は乗るが戻りは遅い、それは当然なことだ】

……―――っく、続けて来るか……!! 

【―――だが、それは一般の話。唯刃流独特の歩法、先程見せた滑るような動き。―――スピード自体はそこまで無い。だがその移動法は、流水のごとく自由自在】
【地面を蹴ったり踏みしめたりと言う作為的な力を殆ど使わず、殆ど体幹部の動作だけで自由自在の運動性・機動性を得て―――】
【そして足裏を地面と水平に保ったまま垂直に離陸させることで、重心を瞬時に移動させることができる。本能的動作から遠のいた走法は、驚異的な動きを見せた】

圧倒的力を持った妖怪だか何だか知らないが……―――無能力者でも貴様を倒すことは不可能ではない……!!
何故なら能力を持たずとも……「武」なら、技なら持つことが出来るから―――っだッッ!!

【人でも車でも何でも、急激な方向転換をする際には動きが止まる。だが「武」は―――瑛月は違った。一切の静止を見せず振り切った姿勢から瞬時に後退したのだ】
【それでも速さと破壊力を兼ね備えた人外の攻撃を完全に避けるまでは行かない。脇腹を軽く掠る程度に左前足が瑛月に触れたのだった。だが触れただけでも―――】
【コートや長着をボロボロに裂いて、彼の肌の表面を痛々しく抉る程の威力である。顔は顰められ、声も凍るほどの激痛が体中を駆け巡る】

―――……うぉおおおおおおッッ!!

【それでも表面を抉ったに過ぎない、動きには影響がなくただ痛いだけだ―――と言い聞かせ、眼を大きく見開いて吠え、結界内に溢れん気合を充満させた】
【彼は刀しか持たない。佳乃のように便利な飛び道具も持っていない。つまり彼は近付くことでしか相手に攻撃を与えられず―――此処で臆して退いては駄目なのだ】
【目の前にいる異形への恐怖心が無い訳ではない。あるからこそ鋭敏な反応を見せる。あるからこそ吠え、秘めたる情熱と使命感をより大きくせんとしていた】
【―――此処で攻めなければいつ攻める。式神を無視して、電流の如く走る痛みに噛み締めながら瑛月はまた進んだ。今度は左前足―――】

【両の前足を潰せば接近戦はかなり優位になると判断し、瑛月は先程放った振り上げの軌道を逆からなぞるように切り下げて左前足を切り裂かんとした】
【式神が彼へと襲いかかったとしても、瑛月が優先するのはあくまで九尾への攻撃。その攻撃的な意志こそが、何よりも九尾の脅威となると信じて】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 22:49:26.92 ID:0ytvFy/E0
>>604
【その槍、確かに式神を貫いて。意識は在れど命を持たぬ其れは、死ぬという概念が無い】
【だから、まだ姿を残したままでは在るが…………満身創痍といっても良い状態。シーナならば、問題無く己の作り出した道を行けるはずだ】
【更にはまだ健全な式神達も他の仲間の攻撃によって、シーナの行く手を阻む事が出来ず】

【金剛石の刃による斬撃。尾の半分を斬るに至る】
【注目すべきは、其れのもたらしたダメージ量では無い。傷口から流れ出る神気だ】
【そう、確かに今使おうとしている強力な一手を弱めており…………これがきっと、後に大きな意味を成すのだが】


>>605
【佳乃の式神は、近接を挑む者達にとって大きな手助けとなった筈だ】
【シーナを始めとする者達の侵攻を成功させる要の一つ。同時に――――九尾の式神達が、全てが全て佳乃へと注意を向けている訳では無い】
【容易くとは言わずとも、五体程は消滅させられただろうか】

【――――その成果、実に良い筈だ。何しろ其れ故に他の者達の攻撃を通じさせる手助けとなる…………が】
【まだ、最後の一体が居り。その角で以てして佳乃の腹部を貫かんとするが】
【見事、銀狼本人によってその式神も消滅するだろうか】
【傷の程は、本人で無ければ分からない。だが、致命ともなる一突きは確かに防がれたのだ】

>>606
【二度。如何に傷が浅くとも、二度同じ所を攻撃されれば一度の重い攻撃よりもダメージは大きくなる物だ】
【――――顔に掛かるであろう血の飛沫が攻撃の成功を意味するか。其れとも、耳を通る呻きが告げるか】
【いずれにせよ、然りとダメージは通った。ただの獣でさえ“噛む”という動作はとてつもない殺傷力を秘めている】
【この大きさの獣なれば、大人一人噛み砕くことは造作も無く。其れを封じたのは実に良い功績】

【さて、次に式神だが。佳乃と共に数多くの式神を消滅させる事が出来たであろう】
【そして、対式神との共闘者も救えた――――か】

>>607
【作り出すは障壁、であったが…………心なしか、その力も弱まり】
【最初に感じたであろう感覚はシーナと同じ、ゴムの塊を貫くかの様な其れだ】
【だが、構わず進んだならば――――次には、ガラスを砕くときに似た其れへと変わり】

【やがては、九尾の尾へとその穂先が到達する事となる】
【切断、こそ無い物の――――溢れ出る量は、更に多く。同時に血流の量だって、腰を染める程に多くなるのだ】
【攻撃の手段を失いつつある今、もしも表情があったならば浮かべるのは焦燥感か】

>>608
【確かに、瑛月の元へと式神達は迫っていたのだ。――――だが、其れ等は彼の二人に遮られる】
【或いは内の一匹が角の斬撃をしたかもしれないが、成否は分からず。何れにせよ、致命は負う事も無いであろう】

【斬撃の行方。左の足を斬ることが出来たのは、何よりも瑛月が一番実感できた事だろう】
【健全なのは後ろ足だけ。其れも、前の両足に負担が掛かったならばガクリと倒れそうになるのも仕方ない】
【――――だが。まだ止まらないのだ。まるで、瑛月と同じ様にこの九尾もまた強い意思を持って此処を訪れたかのように】
【結界を張る者達をどうにかしてこの場を離脱する方法だってあるというのに――――それを、しない】
【さて、反撃こそ無いものの、次の行動故に近場に居るのは危険では在るが…………?】
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/05(月) 22:50:59.11 ID:0ytvFy/E0
>>ALL
【一つ一つの攻撃。四足の内のどれかを切断したり、九つある尾の一本を切られたりした訳では無いけれど】
【如何にしてこの場を終わらせるか。一人に集中していれば他の者達にダメージを負わされる】
【全てに対して攻撃していれば、其れだけ注意も疎かになる。如何にして――――】

【…………九つの尾。其れ等に集っていた神気は、此処で解放される事となる】
【天に向かって放たれた溜めていた全ての神気。コレより先の伏線か?――――いや、違う】
【“今”の攻撃に用いる為の手段だ。天より降り注ぐのはまるで刃物の如く鋭く尖った幾本もの短刀】
【余程当たり所が悪く無ければ一本二本刺さったところで絶命には至らないが…………痛みは別だ】
【血流に従って内よりダメージを与える手法。刺さった数だけ多ければ多いほどに、その威力も増す】


【幻痛とも異なるのは分かりきった事だ。時間が経てば、内より肉がうっすらと裂かれて行くのだから】
【――――身を守るためか、九尾の近辺だけその数も多く、離れれば離れるほどに少なくなる】
【この術式には如何に九尾と言えどもやはり集中力を要するのか、続けざまの攻撃は無く。…………とは言っても、裏を返せば其れだけ高度な術か】
【他より多く刺さる事を覚悟で突き進むか、それとも短刀の雨が止むのを待つか】

【例え遠くから攻撃を仕掛けても、降り注ぐ短刀に阻まれる事だけは確かだ】
【最後の悪あがきにも近い。即ち――――この場で強い一撃さえ与えられたならば、この九尾も長くない…………とは】
【戦闘慣れしたこの場に居る者達ならば分かる事、か】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/05(月) 23:11:07.42 ID:D72LbkLTo
>>609-610

【分身とした気の狼たちと、その本体である銀狼自身とが駆け巡る】
【血は出ないが式神を喰らい、どうやら結果的に味方は守り切れたらしい】
【それぞれまた別に九尾との交戦でのダメージはありそうだったが】
【其処までは銀狼のカバーする範囲ではない。一先ず仕事終えた、さて――】

【無数の短刀が降り注ぐのはそんなタイミングであった。如何に獣とはいえ】
【幾度かの狩り≠終えた直後だ。特に自意識の薄い分身たちは攻撃をもろに受け】

【ドサリ、と倒れるより速く霧散してしまい、一方の銀狼も右腕に刃を受けた】
【直接傷を負うわけではないのが妖力――いや、神気を用いた攻撃という証左か】

【それでも離れていれば攻撃を避けるのにワケはない。飛び回って、様子を見る】
【どうやら自分の一撃は相手の顎を潰しているし、他の各々が上手いことやってくれているらしい】
【特に刃を持った数名の攻撃が顕著だ。良い、実に良い――銀狼は思わずにやりとした】

【なにも優勢だからではない。獣の鋭い瞳が見抜いたのだ、狐の見せる確かな隙を】
【そしてその疲労を―!となれば意を決して、銀狼は真っ直ぐに九尾の元へとかけて行って】

    
     ―――悪いがお命頂戴するちや、九尾どの。


【その身にはざくり、またザクリと短刀が突き立つが銀狼は止まらない】
【いや、止まれないのだ――勢いに任せて動いていないと、痛みで倒れてしまうから】

【だから獣の姿のまま、人の誰よりも速く駆け抜けて九尾のもとに行ったなら】
【2m近い体高に見合った大きな口で、その牙で大妖狐の喉笛を食い破らんとするだろう】
【跳びかかりざま、チャンスは僅かに一度だが――牙の一片でも触れたなら、ぞぶりと肉に喰らいつき】
【皮ごと肉ごとその喉元を血潮に染めんと、必殺の攻勢に出たのであった】

【しかも、だ。銀狼が食らいつくと同時に胸元の翡翠の飾りがきらめいて、その牙に聖≠フ力までも宿してゆく】
【他のものに比べれば相当に原始的で荒いやり口。決まれば良いが――さてしかし】

【――これもまた攻撃の成否は確かめる余裕が無い。痛みを忘れては居ないからだ】
【そのままタタッと駆けて距離を離してから半人の姿に戻るが、そのままがくりと膝をつき】
【そこでようやく相手の様子を目にするのだ。最も痛みが強すぎて――隙の多い、無様な格好でだったが】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/05(月) 23:13:00.43 ID:PMfZTaSDo
>>609

「ちぃっ――なんて頑丈な尻尾なのだ!」
「これでは毛布にしてもゴワゴワで気持ちよくなさそうだの!」


【全力を以てしても切断に至らなかった妖狐の尾に対し、よく判らない台詞を記しながら】
【通り過ぎた先で地面を回して反転、背後から疾走し追撃を仕掛けていこうとする】

【その行動に移ろうと、術式を起動させた瞬間に】
【九尾の切り札――天より降り注ぐ無数の刃が顕現する】
【近接距離に存在するシーナはその影響も非常に大きく】
【雨の如く降る痛撃の刃は、シーナの法衣を、肉を破り次々に突き立っていく】

【その様子は宛ら針鼠。夥しい量の神気の短刀を身体に生やし】
【上体をふらふらと揺らし衰弱の兆候を示しながらも、シーナは"そのまま突き進んだ"】

【強大な一撃に対しては防御能力に限界があるが】
【一本一本が弱く、痛覚に訴えかけるような攻撃に対しては、この術師は非常に相性がいい】
【全身鎧を纏っているような状態であるため、衝撃や貫通する攻撃ならばともかく】
【"短刀"ならば"シーナには到達しない"のだから】


「だがこれで一本……今度こそはいただきなのだッ!」


【砂を流し加速しながらも、シーナは刀身に魔術を付与し】
【今度は直前にぐるりと回転動作を加えながら、先程斬り付けた尾に再度攻撃を加えようとするだろう】
【しかし、シーナは今過度のダメージにより"力が弱まっている"為】
【回転動作で補っても威力が低下している可能性が高く、クリーンヒットしなかった場合半端な攻撃に終わるだろうか】

【そして攻撃の成否に問わず、動作を終了した瞬間】
【シーナの身体は砂のようになって崩れ落ち、周辺に砂煙を立ち上らせることとなる】
【もし九尾の視線がこちらに向き、内部を見抜くことが出来たならば】
【己の周囲に粒子を膜のように張り巡らせて短刀を防ぎながら、距離を取ろうとする"小柄な人影"を捉えることが出来るだろうか】

【地術師シーナ。その"搭乗型ゴーレム"は、過剰ダメージにより今の動作を最後に力を失い】
【砂のように散っていった。残るは脆弱な本体、それを見抜かれたならば窮地に陥る可能性も生じてくる】
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/05(月) 23:43:01.30 ID:Vb3SKeMAo
>>609

―――――――う、っし……!

【破壊の感触は焼け焦げた皮膚からも伝わった、放った多大な攻撃の後愚鈍な動作で「石柱」を抜き、光へと還す】
【一歩、下がるも疲労の色が伺えるのは用いた力の大きさ故と見て間違いない】
【古にあった武装を仮初と言えど振るうのだから仕方のない事、肩で息をする姿はそれを現す】

(でも……力全てを流せたってんじゃないか――――――――)
(……仕方ない、よ……な、こういう場面だし)

【大妖の力はしかし天上へと放たれやがて形を変えて降り注ぐ】
【降り注ぐモノ、その姿が自然と分かってしまったのは日頃から慣れ親しんでいるからだろうか】
【でもそれを幸いとは思えない、誰が好き好んでこの後に迫る窮地を予知するというのか】

【だが一方でそれは一つの道を示す、渦中にこそ得られる物がある……と】

7つ……組むには時間が掛かるし、しかも爆心地……ホント嫌な雨だ

【銀の光は小さくされどより強く輝く、同時に強まる「退魔」の奔流は潮のようにざわめくのだ】
【窮地に居て尚も心は穏やかだった、不思議ではあるがそうなのだから仕方ない】
【なによりこの身体は誰かの為に在る物―――――――痛みで誰かが救われるならば是非もない】

【苦し紛れに仰ぐ右腕にざくりざくりと短刀が突き刺さる】
【義手であれど適合性の高いそれは痛みをダイレクトに伝える、極まった依代だ】
【例えるならば血管に針を流し込まれる苦痛、異物が蠢く嫌悪感を……膝を付きながら、もう一つの掌の輝きを守るように耐える】

…………っ!……ち

【腕に留まらず肩や腿へと短刀は飛来する、防刃処置もそれほど意味を成さないようでまるで毒かと間違えるくらい】
【ただ……痛みと分かっている内はそう簡単には意識を手放さない、この輝きを成すまでは!】

………っ、このっ!くそったれ漸くだ、覚悟しろ戯け――――――――

【極光は唐突に爆ぜる白煙と見紛う流れは天に溶ける】
【白く透けるような刀身を宿した幅広の両刃剣は「退魔」の力を全面へと押し出した武装の1つ】
【剣は己の使命を果たさせろと微細に揺れ、喚く――――――――】

【剣の先を地面へと押し付けながら大妖の尾に向けて駆ける】
【土煙と白煙、流れ出る血の赤と退魔の為の白き刀身……仇なすは災い】
【痛みに剣を落としそうになりながらも耐える、瞳は変わらず……大妖の命を見続ける】

(どのみちここで決めなければ傍に居る仲間諸共お陀仏ってんだろ……)
(なら賭けるまでもないし、分の悪い賭けは嫌いじゃあ無いっ!!――――――――)

【振るう剣に技は無い、尻尾の根元を根こそぎ断とうとする単純な横薙ぎの一閃】
【されど秘めた力は極大の退魔、沸き立ち震える刀身は妖魔にとっては断頭台の刃にも等しい】
【「破邪の大剣」は揺れる白煙を纏め上げ更なる刃とし、敵たる大妖を刈り取る為に駆ける!】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/05(月) 23:43:38.97 ID:2mTQ0Y0to
>>609 >>610

【佳乃の掌に刺突の手応えが返って、雄鹿が中空に消えた頃――――銀狼の手助けもあり、仲間たちから式紙を遠ざけることには成功した】
【腹部へ突き出される最後の一体の角も高速反射≠ェ生き、薙刀の腹でギリギリ受け止める。勢いに負けて地面へ叩き付けられはするも、致命傷は負わず】
【すかさず反撃に転じようとして、狼が鹿を喰らい尽くす。銀狼の方へ軽く視線をやるが……性分と状況が、お礼の言葉を「……ふん」と鼻を鳴らす動作に変えた】

っ、この神気は――――!?

【他の者の攻撃が九尾へ殺到する光景を前に、式紙の難をどうにか払った佳乃もまた一挙に追撃を掛けんと突貫するが――――】
【九尾の近場に到達した辺りだっただろうか。位置的に尾は見えないが、似ているようで相反する神気の流れは視ずとも瞭然であった】
【天空に打ち出される力の奔流――――次いで降り注ぐ無数の短刀の雨。それも九尾の生み出す短刀だ、ただ突き刺さる程度で終わらないのは明白!】
【この圧倒的物量を退ける為、一番手っ取り早いのは先ほども使った『三衣』だ。全身を纏めて覆うあの結界なら、短刀が突き刺さるのは回避可能……】

【……佳乃の状態が、万全であれば。『六花』という奥義で三体もの式紙を同時に使役した揺り戻しが、ここで襲ってくる】
【一度に多量の神気を使用したことで、佳乃は神気を使った奥義を発動できない。その上現在地は九尾の近場、タイミングは最悪と言っていいだろう】
【この大量の短刀の中では、見えるものに根刮ぎ反応してしまう『零露』の高速反射も逆に不利。万事休すの状況で、ふと目を閉じる佳乃の思考は――――】

【――――神気でも何でもない、佳乃自身の武人≠ニしての直感が、鋭く九尾の疲弊具合を捉える。これさえ越えればあと一押し、ならば手は一つのみ】


……………………く、うぅ、っ――――!!

【その時、九尾の目がこちらを捉えることがあったなら。薙刀を頭上で振り回して致命打となる短刀を弾きつつ、目を閉じたまま突き進む佳乃の姿が見られたはずだ】
【行動の根拠は二つ。この近距離で完全に待避するのは不可能であり、また短刀が降り注ぐとは言っても、九尾自身にまで降り注ぐことはないだろうと】
【即ち、佳乃が目指すのは九尾の巨躯の真下≠セ。このゼロ距離地点であれば九尾自身の体が傘代わりとなり、短刀は襲ってこないと踏んだ!】

白刃、龍紋流っ…………玖≠フ太刀――――――、

【その読みが正しいにせよ間違っているにせよ。九尾の真下に到達した佳乃は、全身に裂傷を追い、背中に何本もの短刀を生やした無惨な姿であるだろう】
【激痛で遠退く意識の中、佳乃は再度、今度はゆっくりと薙刀を頭上で回す。同時、一時消えていた神気の流れが佳乃の体を覆い尽くし】
【全てを燃やすかのような神聖さはやがて、神威≠ニでも称するべき圧倒的な威圧感となり、薙刀へと集約して――――】
【…………小さく呟いた言葉を置き去りに。佳乃は力強く薙刀を地面へと突き立て、そして全力で叫ぶ!!】


                     『九天』ッ!!!


【刹那――――薙刀を突き刺した地点を中心として莫大な量の神気が大地より呼び出され、真上へ向けて巨大な光の柱≠ェ立ち上る――――!!】
【九尾にしてみれば、真下から巨大な神気の槍で突き上げられるのに近い攻撃となるだろう。上空へと昇る勢いは昇竜もかくやと言うほどに強く】
【また大地の龍脈から直接引き出された多量の神気は、そのあまりの濃密さ故、妖魔以外の生物に使っても浄化≠働かせるほどのもの】
【直撃すれば腹部を灼かれながら上空へ勢い良く突き上げられるか、下手をすれば腹部に風穴が空くかもしれない】

【これだけの大威力攻撃、当たれば必殺の威力を有するのは間違いないが――――その為に払った代償も大きくて】
【光の柱の中央にいる佳乃自身にはダメージはないが、神気の奔流が背中に刺さった短刀を意図せず引き抜き、少なくない量の血が噴出する】
【傷は深い。その上、これは十ある『白刃龍紋流』の奥義のうち九番目。幸徳井佳乃の切り札のひとつであり、発動後の隙も取り分け大きい。もし反撃されれば……】

【さながら、巨大な龍神≠ェ天へと昇るが如く。残る四人の攻撃と重なるその顎は、果たして九尾を撃滅し得るか否か――――】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/05(月) 23:50:48.30 ID:5+/Hak2So
>>609

【「減魔」の力を秘めた御代櫻が九尾の左前足を赤く染め、傷口から「減魔」の素を注ぎ込む。恐れずに踏み込み放った一閃が功を奏する】
【両の前足を斬り裂いたことで機動力は格段に落ち、接近戦も大分仕掛けやすくなったと瑛月は判断する。―――つまり、ラッシュを仕掛けるなら今】
【力を篭めれば篭めるほど存在感を示す脇腹の痛みに耐えながら更に切り込まんとするが、視界の隅から式神が彼へと迫る姿】

…………っぐ―――!! 式神でこの威力か……!! 
何と恐ろしく、強大な力を持った妖怪―――「天鬼」の姓を持つだけはある……ということかッッ……!!

【大きく鋭い角を携えて猛然と突進し、荒々しく頭部を振り斬撃を繰り出す式神。痛みが彼の反応を鈍らせ、ギリギリの所で角を受け止めるのがやっとであった】
【瑛月は式神に押される形で、大きく後退を余儀なくされる。反応の鈍りがあり、力の入る所で受け止められなかったことが原因か―――】
【折角の攻めこむ機会を逃したと口惜しそうな表情を見せるが、結果的に九尾との距離を開けてしまったことは幸運であった】

……―――なっ、刃の……雨だとッッ!? 
っぐ……仕方あるまいッッ、唯刃流奥義―――双牙ッッ!!

【式神の角をいなして袈裟を振り下ろす。もし式神を消滅させられたのなら右手を柄から離し、左腰に佩いてある鞘へと伸ばす。倒せぬ場合は後ろへと退くだろうか】
【瑛月の視線と意識は上―――つまり降り注ぐ刃の雨にあり。右手が鞘を掴めば両腕が交差する形になり、その変わった構えのまま僅かに身体を沈身させた】
【刃の雨を引きつけ、そして―――全ての動きを出来るだけ同時に、部位ごとに動かすこと無く 全身を一体化させ―――所謂二刀流居合を空へと放つ】
【内から外への動き、其れも2本同時。両方の腕が左右対称の動きをする為に身体操作もかなりの難易度を誇る。それでも一切の無駄、予備動作もなく放たれた】
【金属音がけたたましく響き渡る。鞘と刀、二振りの刃が短刀を弾いていく。最小限の軌道で、自分へと降り注ぐ最小限の短刀を払いのける】

……―――っっ、グぅ……ッッ!! なんの……これ……しきッッ!!

【―――肌を裂いたのは一本だけなら上出来だろう。それでも今回は中々に深い傷だ。左脛を縦に裂き、痛々しく朱が漏れる】
【一瞬がくりと膝を付きそうになったその姿を見れば、痛みがどれだけのものなのかと言うことも解るだろうか。額を流れる汗が増した。瞳はまだ鋭さを失ってはいない】
【彼と同じく、九尾もまた満身創痍。4人もの猛者を相手に無傷で居られる筈がない。瑛月が斬り裂いた前足が機動力を奪ったように、3人の攻撃も九尾を苦しめている】

/すみません、続きます
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/05(月) 23:51:12.26 ID:5+/Hak2So
/続きです

【―――だからこそ、今しかない。激しい動悸を感じながら、瑛月は濡羽色の瞳を力強く開き、そして構えた。変則的で窮屈な構えから溢れる、闘争心と迫力】
【肘を畳んで腕を内側に捻り、相手に剣鋒を向けた状態で身体を沈め、蛇の如く睨み鋭い眼光を浴びせる】
【窮屈な構えを維持し、剣先を相手に向けたまま流れるような疾走で接近―――そして、左足が大きく踏み出された。……―――龍が、唸る】

【踏み出しと同時に末端部分の腕が回り―――その動きにピッタリと腰の回転、体幹の連動が付いてくる】
【意識的には、末端部分だけを動かしていた。其れでも、長年染みた唯刃流の動きが、「無意識」に体幹の連動を引き起こしていた。そして「無意識」は究極の脱力である】
【その脱力が威力を底上げし、そして全身を一体化させた動作が破壊力を生む。まだギミックは他にも残っている。身体最重量部の頭部を振り、重さを突きに乗せ―――】
【肘、肩の脱力と共に重力でやや打ち下ろし気味に放つことで更に威力を上げる。そして最後に―――極端に腕を折り曲げた構えの理由が残っていた】
【其処から放たれる突きは「回転」の力を兼ね備え―――うねりながら、更に変則的な軌道による見切られにくさも兼ね備えていた】

           ―――うぉおおおおおおおおおッッッッ!!! 一刀正伝唯刃流究極奥義ッッ……――――――――!!

                           龍   牙   崩   山   =@  ッ   ッ  ッ   !   !  !  

【さて、「龍牙崩山」を例えると何か。―――答えを言おう。実際の速さと真の速さを兼ね備えた其れは―――「ノーモーションで放たれる180km/時」……!!】
【―――様々な工夫に寄る威力の底上げに、変則的な軌道に、関節部27箇所の連結加速に、「回転」の力】
【音速を超える速さを持つ突きが―――龍の咆哮を唸らせながら腹部へとその牙を剥く。此れが唯刃流の全てを総動員した究極奥義「龍牙崩山」】
【だが勿論のこと、その究極奥義の代償は計り知れない。赤い蛇の大群が侵食したかのように、衝撃波による切り傷が右腕を襲い―――最早、肩より上に上がらない状態になるのだ】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 00:10:33.55 ID:07dXDc+V0
>>611
【――――牙の抉る先は、首……では無く、肩口だ。何れにせよ、甚大な傷に変わりは無いのだが】
【辺りへと撒き散らすのは鮮血だ。“聖”が作用したのか、双眸の“赤”が抜けて】
【まだ、動ける。前の足は断たれ、その歩みは最初の神々しさとは真逆に無様ではあるが】

【一歩歩く度にその身体は倒れそうになるけれど、其れでも距離を離した銀狼に近寄って】
【相手の姿を目にした頃、九尾は目前まで迫っていたか。開けた口、止めを刺すのかと思いきや】

「…………お母、さ……ん……?」

【そう紡ぐのは、あの声。悪狐では無く、桔梗として居た時の其れ。ジイと見遣り、可能ならば攻撃では無くその首飾りを咥えようとして】
【短刀が銀狼を避けるのは偶然か、それとも九尾の意思か】
【子狐の如く、血濡れの頬を擦ろうとしたが――――――叶わず。否、他の者からすれば膝を着いた銀狼に攻撃を加えようとしていた、と映っても不思議では無いその場面】
【もし、もし可能ならば。其れより先、九尾は銀狼から外したその首飾りを咥えたままの行動となる。あの日持ち主を拒絶するかの様に聖を発した首飾りを、しっかりと咥えたまま】

>>612
【――――銀狼から離れれば、其の攻撃を止めんと“黒の”双眸が向けられた】
【…………反撃では無く、選んだのは守りであった。だが、神気を使い切った後なのだ。如何にしてシーナのその強烈な一撃を阻む手があるだろう】
【またもシーナの攻撃を阻むのはあの忌まわしい障壁だ。だが――――今回は、シーナのその一撃が勝る】

【砕ける音。その手には、確かに尾を切断した感触が残ったはずだ】
【簡単な話。彼女が其れだけ優れていただけのこと。九尾と言えどもこの局面で全てを防げるだけの力は無い】
【――――そして、遠ざかる人影を視認しても。攻撃がある訳でも無く。静かに見るだけであった】
【まだ、倒れては居ない。妖気の一つでも放てそうなのに其れをしないのはどことなく妙と感じる――――かは、分からないが】

>>613
【――――文字通り、目の色が変わった頃からだろうか。短刀がその身を避けるようになったのは】
【………とは言え、それまでの刺さったという結果は変わらない。何より、必死で在ったならば気付かぬ事だ】
【こちらへと向かってくる姿は視界に収まっている筈、なのに。選んだのは反撃では無かった】

【もし、その口元に首飾りがあったならば。シャランと音を鳴らして――――どうじに、其れが“聖”を得ている事に気付けるか】
【既にシーナに一本切り落とされた尾。シャラン、シャランと音を鳴らせば…………交じるのは、肉の落ちる音】
【その一振りは二本を切り落とし、同時にそれだけ妖気も神気も失せるのだ】
【例え近くに着地しようとも――――歯を食いしばれば呻きを堪え、一瞥するのみなのだ】

618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 00:10:47.47 ID:07dXDc+V0
>>614
【佳乃ならば。巫女である彼女ならば、理解出来ようか。その技を軽減させたのも、また巫女の技の一つで在った――――と】
【思えば式神と良い、神気と言い単純に妖怪とは言い難い攻撃。九尾という存在ならば、その長けた妖気のみで十分だろうにも関わらず】

【――――そして。此処で技を軽減させたのも、また式神だ。大きな鎧武者の姿】
【龍を滅ぼす為では無い。その牙を、幾本かへし折る為】
【神話に残る存在を模した式神の刃の一振り、万全の時で在ればどれ程の威力であったのか】
【今の状態でも尚巨大な刀が大地を深々と割き、その龍に迫らんとしているのだから恐ろしいもの】
【特記すべきは――――その太刀筋に佳乃が含まれて居ない事か。そして、力勝負では龍神が勝利したこと】
【今の前足では満足に着地も取れぬ状態だ。身を打ち上げる衝撃に血を散らせ、大地に落ちたならば…………其れが、次の決め手となろう】

>>615
【大地に叩き付けられた今。身を起こそうにも、力が入らず】
【――――赤く染めて行くのは、己の血だ。もう、攻撃は捨てた。ならば後は全て防ぐ力に回すのみ】
【身体を起こし、黒の双眸が刃を見遣って―――――…………否、見えない】
【見切ることが出来ない。“障壁”は……?もう、使えず】

【結果として、銀狼とは逆の肩口を思い切り抉られる事となろう】
【必殺の一撃、まともに受けてしまえば最早どうする事も出来ない。斬られた箇所からしても、動く事は叶わず】
【如何に身体が大きく、血の貯蔵が豊富でも。ここまでの傷となれば最早動く事すらままならない】
【余程、大切な物か。咥えた首飾りだけは意地でも離す事無く。よろりと立ち上がれば、何かを告げようとでもするのだが】
【命乞いか。憎しみの言葉か――――?「彼女を信じないで下さい」の言葉だけが紡がれた】

【言葉を発したことに驚くか。或いは何を戯れ言をと嗤うか。そも、彼女とは誰か…………?】
【問い返したところで、答えは無いのだ。あるのは息を切らす其れと、無理にでも身体を起こそうとする動作】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 00:12:15.56 ID:07dXDc+V0
>>ALL

【一行の活躍により、弱り始めた九尾。妖力も次第に薄くなり、動きだって鈍り始め――――一つの動作の後、一瞬ばかり完全な静止を見せる事となる】
【戦いの場なれば、其れは確実に大きな“隙”だ。…………戦慣れしていた者が。機を伺っていた老人が、その隙を逃すはずが無い】
【打ち出すのは今の九尾に勝らずとも劣らずの妖気の塊。常人であれば、当たっただけで肉は溶け骨が砕ける様な其れ】
【――――次の瞬間には九尾の身体が吹き飛ぶ事となろう。その行く先は嘗て“翁”を封じていた洞だ】


【まるで叩き込まれた、と称するのが一番か。今となっては最早抗うだけの力も無く、其れでも這うようにして洞から出てくるのだが】
【施された“封印の術”が許さない。強い退魔の念が込められた鉄輪が先ず口枷の様に口を塞ぎ、続けて同じ鉄輪が手足に嵌められ自由を奪う】
【暴れども洞の中に続く鎖がジャラリジャラリと重々しい音を響かせるのみ。やがて臭い始めるのは肉の焼ける其れであって――――】
【見れば鉄輪の嵌められた箇所より立ち上る煙。その痛みが一層鎖の音を耳障りにするのだが、暴れるだけ体力の消耗が激しくなる事も事実】
【――――存外軽い音を立てて地に倒れたならば、後は鎖が収縮を始めて洞の中へと引き込む事だろう】

【続くのは生々しい血の跡。…………其れと、少しでも抗おうとする意思を示す爪痕だけか】
【洞に存在する闇の奥へとその姿も消えてしまったならば、聞こえるのは時間を掛けて閉じ込めた存在を滅する術式が発動した音だけ】
【痛みに呻く其れだって扉が閉じてしまえば聞こえなくなり―――――――同時、僧達の歓声が響き渡る事となる】

【一行を褒め称える者や生き残った喜びを分かち合う者。果てには褒美の期待をする其れや自分のお陰だと豪語する者まで居る。そんな状況へと変わったのだ】
【先程まで命のやり取りをしていたとは思えぬほどの賑やかさ。逆にいってしまえば、それ程までに緊張していたのだろう】


【息も整った頃だろうか。爺が一行の元へと近づけばそれぞれに一つずつ渡される事となる水筒】
【中身は疲労を回復させる水であり、飲めば傷は癒えずとも九尾との戦いで溜まった疲れぐらいならば取り除く事が出来るであろうか】
【無論、飲むのも飲まぬのも自由。強要される物では無い故にどの様に扱ったって良いのだが】


『皆様のお陰であの憎き狐を封じる事が出来ましたぞ。本当に、感謝しております
――――ほっほ。この爺も年甲斐も無くハッスルハッスルしてしまいましてなぁ…………いや、皆様のお陰で最後に一花咲かせる事が出来ましてな
――…………と、まあ。こんな老いぼれの話を聞いたところで退屈でありましょう。どうやら領主様と……姫・琴音さまが話したい事がある様でして
もし、良ければ会っては頂けませぬか。皆様は恩人、そして九尾めと直接戦った事でお疲れでもありましょう…………ですが、もし、良ければ……』

【――――依頼は終えた。だが、最後に領主とその姫に会って欲しいとの言葉】
【断った所で無理に引き留める事は無い。戦った本人達が一番疲労しているのは理解して居るから】
【だが、もしその言葉に頷いたならば舞台は爺に連れられて再び天守閣へと移動する事となるし】
【もし、断ったならば。家来達に案内され、豪勢な客室へと連れられる事となる】
【選ぶのは各人の自由。強制されるものでも無い。或いは、天守閣に至るまでの道中は爺が案内役故――――何か質問がある時に問えば、手短にでも返してくれるか】

/っと、少し遅い時間帯まで突入してしまいそうなのでもし眠気がある方は無理をなさらず……!
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/06(火) 00:37:28.87 ID:t5FDhRqro
>>617-619

【事は上手く行ったらしい。牙から伝わる直感的な感触に小さな充足を覚える】
【しかしその充足は一瞬にして砕け散る――ただ一言にして、世界が変わる】

【目の前には九尾が居た。顎は砕いてやったが、攻撃されれば一溜まりもない】
【その隙に打ち込まれた楔のように、最愛の少女の声が耳に届いたのだ】
【不意に首飾りの感触が遠ざかる。しかし九尾が咥えたのだと悟れば、抵抗もなく】

え、ぁ……?…ま、待て九尾……!お主っ、今のは…――!!

【――見れば周囲に短刀が振らない。思わずこちらから駆け寄ろうとするが】
【無理、であった。痛みによるダメージが大きすぎるのか、気を消費しすぎたのか】

【銀狼には目を見開いて九尾の行く末を見守ることしか出来なかった、が】
【その姿はどうだ?他の戦士たちへの攻撃も、先ほどと比べて――?】
【それに首飾り。あれを全く離そうともしないのは、一体どういうわけがあってのことか…――?】

【問い質そうにも、そういうことが出来る時間も余裕もありはせず】
【やがて倒れ伏す九尾の姿と、それを封ぜんとする翁の姿とを見届けることしか出来ず】

【洞の奥で藻掻き、逃れようとする大妖の姿も――銀狼には何も出来なかった】
【周囲が歓喜に沸き立っても、彼女だけ反応は薄い。目はずっと洞の方を向いていて】
【祝い酒のように疲労回復の水を渡されれば一応は口にするものの、耳も目も向く方向は変わらず】

【それでも、動かぬ訳にはいかない。釈然としないわだかまりを抱えたまま】
【銀狼は翁に従って奥へ向かうこととなるわけだが――ここで一つ、質問をすることとなる】

……のう、ご老公や。あの九尾は封じて……その後はどうするのかや?
別に……同じ妖怪だからどうという訳ではない。ちと、そのだな……気にかかったものでな
どうせ同い年くらいではないか、こっそり教えてくれても良かろう…?
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 00:38:33.27 ID:MTOGHLuho
>>617

「……少しばかり肝が冷えたが、見事成功なのだ!」
「ククク……宛らシーナ様の辞書に不可能という文字はないといったところかの!」


【砂をヴェールのように己の周辺に漂わせ】
【降り注ぐ短刀の雨を凌ぐのは先程から居た大男とは対照的な、ちんまりとした人物であった】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


【強大な妖怪の前で身を守る防具を失う……】
【大口を叩いていたが、九尾に余力があったならば死に直結する状況であった】
【幾多の戦場を潜ってきても、それでも未だ幼い童子に過ぎないシーナは】
【極度の緊張とストレスを息に乗せて大きく吐き出した】

【戦友達によって繰り出された数多の攻撃により衰弱しているが故であろうか?】
【九尾が自身に追撃を仕掛けてくる様子がない事を確認したがための行動だ】


【そして――爺の術により大妖は封印の洞へと"叩き込まれ"】
【奏でられる、血腥く凄絶な音と共に今宵の戦は終結を迎えることになった】
【封印され滅される事となる九尾に対して、現状ではシーナは"同情"などはしない】
【事情を知らない彼女からすると、大型の獣を狩猟しているのと然程違いはないのだから】

【死地から解放され、弛緩した状況に移行した場を見やり】
【シーナは地に赤い石を放り、それを中心として簡単な作りの人型ゴーレムを生成】
【金剛石の刃などの武装を回収させていく】
【そんな折爺から差し出された水筒を受け取り、口をつけて中の水を喉に通しながら】


「ほほう、姫様とな?それは願ってもない好機なのだ!」
「今の内に私の顔を売っておけば、夢に向かって一歩前進できそうだしの!」

「と、いうわけで私は行くのだ!案内するがよいぞ御老人!」


【爺からの提案を快諾し、従う意志を示す】
【「英雄になる」という夢の為には、貴い身分の人間に名を覚えてもらって損はない】
【そういった事を考えた上での行動であった】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 00:44:48.99 ID:72nnJqf+o
>>617>>618>>619

――――――――……

【力は失せた大妖の存在を未だ感じているのか未だ激しく震えたまま】
【己の内に昂ぶる「破邪」の使命を果さんと叫びを上げる姿、それこそが呪いではないかと】
【紫白の瞳はどこか悟ったふうに見下ろすのだった】

(……胡散臭い、か……アレは結局はどっちなんだ……)

【玻璃の瞳は本来は万象を観察する遺物】
【その一端さえも使いこなせないがそれでも最後の時に短刀が自分を避けたというのは認識出来た】
【同時に、そうだ「剣」はあの時鳴いたのだ……「聖」という同類と出会い】

【何よりもあの獣の瞳は理性を得たそれではなかったか】
【滑り付いたような違和感は拭えないまま、事は成される……獣は昏い虚ろへと飲むこまれる】

(……あの狐の子……オレのしたことは)

【歓声の中で一人佇む、流れる血にさえ気にも留めず】
【ふと気がついた頃には手渡された水筒、取り敢えずとホルダーの中に無理矢理押し込み】

……っと、どうせ暇だしことの顛末を見ていただけのお姫様と面を合わせるのもいいだろうさ
ほんっと……アイツならこんな戦いはもっと上手く立ちまわるんだろうけど……
……?えっと……アレ、アイツ……うーん……?まあ、いいか

【「大剣」を肩へと載せて案内されるがままに彼は向かうだろう】
【傷む傷、そこから想起される戦いを一人反省のように振り返る……そんな中でふと思い出した「誰か」】
【影は無いし姿も定かではない、ただ身体が記憶している想いが見せた幻影に過ぎないか】

【案内をする爺の背中を冷たく見据えながら、やがて着くであろう客間】
【綺羅びやかなのは慣れていないのか気後れ含めながら適当な場所へと腰を降ろす】
【ついでに未だけたたましく吠える「大剣」も壁に掛ける……首を傾げる彼、どうやら難があるようで元に戻らないらしかった】

623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/06(火) 00:53:28.58 ID:+setm9c2o
>>618

【自身が放った技の代償が右腕に重く伸し掛かる。音速を超えた反動として、衝撃波が彼の右腕を真っ赤に染め上げる】
【―――それでも龍の牙は、九尾の肩口を深く抉り―――結果的に大き過ぎる隙を九尾は作ることになる。封印できるほどの、大きな隙】

……っは、ハァッ……っぐ……!! ―――終わった……か……。

【その隙を見逃さなかった結果、九尾は翁≠ニ同じ洞へと吸い込まれることになった。―――つまり、我々の勝利である】
【一呼吸置いて歓喜の渦が周りで起こったが、瑛月自体は喜びを感じさせないような複雑な表情であった。痛みがまだ残っているから―――だけではない】
【最後に捉えた九尾の姿。「彼女を信じないで下さい」という言葉。―――頭の中で思考が渦巻くが、身を焦がすような痛みが考えを遮ってしまう】

(彼女―――とは……? 天鬼桔梗……天鬼といえば、ロウと同じく3位の天鬼ちゆり……関係はあるのだろうか……そもそも何故こんなことに―――)
(後は、長尾銀狼の反応と―――首飾りを頑なに離そうとしなかった事、か。あの瞬間だけ、暴虐の限りを尽くした妖怪とは思えない何かがあった……)

【刀を握ることすら危ういまでに消耗した握力で、なんとか刀を鞘に仕舞い左腰に佩く。爺から水を貰えば、「済まない」と言って喉を潤す】
【血はまだ完全には止まらないが、随分と楽にはなった。痛みも僅かながら収まり、動くたびにジンジンと痛みが強調されるということも無くなる】

……いや、隙を逃さず封じた貴方が居てこそ。あそこで決めてくれたからこそ、まだ私は生き延びている。
もう右腕が上がらないだから、次攻撃を仕掛けられていたら避ける術はなかったでしょう。
―――私にとっては貴方も恩人、水も先程頂いたこと……ッゲホっ、断る訳にはいきませぬ。

……ところであの九尾―――天鬼、桔梗……ですか。 「天鬼」と言う姓を持つ人物を持つ―――天鬼ちゆり……という人物がいます。
彼女と天鬼桔梗には、どんな関係があるか―――ということは……―――流石に解る訳も無いですよね。

【武人なら、恩には恩で報いる。故に瑛月は満身創痍ではあったが爺に対し首を縦に振った。そしてそのまま、天守閣へと足を進めるだろう―――】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/06(火) 00:53:36.23 ID:cCQVpz3wo
>>617 >>618 >>619

(――――式、神ッ!?)

【絶対的な聖≠フ柱の中心――――はためく黒髪から纏う制服まで、体全てが白色に輝いて見える程の神気の奔流の只中にて】
【突如現出した鎧武者の式神が、その巨大な刀で『九天』の神柱に挑んだ。断たれた白龍は死にはせずともその威力をいくらか減じ、九尾を生き長らえさせる】
【……先程の鹿の式神だけならまだしも。いくらかの大妖怪・九尾とは言え、これほど高位の式神を操れるものであるのか――――?】
【それに、佳乃の位置からでは見えなかったが……攻撃の直前、九尾が人語を解したようにも思えて。脳裏に走る強烈な違和感……だが、今は考える暇もない】

ッ、――――――あ、ぅっ!!

【まさしくこの九尾のような巨大な妖怪を倒すために作られた、この『九天』という奥義。強力ではあるものの、根本的に対空砲撃なのが玉に瑕だ】
【真上へのエネルギーは当然獲物を真上に吹き飛ばし、必然吹き飛んだ獲物はもう一度地面に落ちてくる。それに自分が巻き込まれては何の意味もない】
【佳乃は神気の放出を止めると、即座に薙刀を引き抜いて離脱。真後ろで九尾の巨躯が地盤と衝突し、生じる風圧が佳乃の身体を吹き飛ばす】
【元々負わされた傷に加え、『九天』による消耗もある。そこまでが佳乃の限界だ――――受身も取れず地面をゴロゴロと転がって、佳乃は仰向けに空を眺めた】

終わった、ようね………。

【全身を蝕む激痛が収まるまで、しばし息を整えた後――――佳乃は薙刀を杖代わりにして立ち上がる。他の四人の攻撃もあって、九尾はもう動けそうにない】
【その九尾の正体については些かわだかまりもあったが、この状態では何も出来ない。爺達によって九尾が洞の中へ封印される光景もただ黙って眺めているしかなく】
【洞の中で抵抗する九尾の姿を険しい表情で見届けた後も、佳乃はしばらくそのまま洞の方を睨み付けているだろうか。何か……思うところありげに】



【その後、佳乃はボロボロの身体にも関わらず、何故だか爺に齎された水筒を固辞。どころか近寄るなとばかりにガンを飛ばすことになるだろう】
【それは彼女元来の他人を決して寄せ付けない性格故、だけなのだろうか。何にしても佳乃は結局、体内で神気を循環させることで疲労や痛みをいくらか軽減させ】
【深手の傷には『木符』という治癒の札を貼り付けて、自ら応急処置を行う。……手の届かない背中の傷はわざわざ式神を作り出してまで処置させる始末であった】
【これで依頼は終了、この少女にわざわざ他人に会うなどという選択肢はない――――筈であったが。本当に珍しく、誘いには「行くわ」と短く返事をするだろう】

……あの九尾、妖魔の癖に巫女≠フ業を使ったわ。……どういうことよ。

【爺の誘いに乗り、薙刀を杖代わりにしたふらつく足取りで彼についていく佳乃だが……その道中、暗い面持ちで爺にそう尋ねるだろうか】
【……否、それは尋ねるというより尋問に近い調子であったかもしれない。何にしてもその言葉には真実味があり、表情は峻烈なものであって】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 01:13:39.71 ID:07dXDc+V0
>>620

「そうですなぁ…………例えば銀狼殿であれば、封じた悪しき妖怪を如何致しますかな
私であれば…………それこそ、時間を掛けて消滅させて行きますな。九尾相手では一瞬で葬ってやろうにもそれだけの実力の持ち主はそうそう居ない
酷な話ではありますが、“翁”と同じ手法ですぞ。四肢の動きを封じ、後は施してある退魔で弱らせて滅する
――――と、まあ。同じ状況を考えれば背筋が凍る思い。そんな話を聞いた所で気が滅入るだけでありましょう。領主様とお話する序でに銀狼殿の怪我を治せばいけませんぞ
麗しい女性の肌に滴る血は見ていて痛々しいですからな」

【背を向けたままにカッカッカと豪快に笑えば、答えを返した】
【一瞬で葬ってやれる相手でもない。だから、時間を掛けてゆっくりと消して行く――――ただ、それだけの話なのだ】
【四肢をあの鎖で固定し、虫に食わせながら消して行く。罪を償わせる意味もあるのだろう。誰か一人が戦わずに済むのだから合理的ではあるが】

>>621

「シーナ殿も十分にお美しいですが、姫様も負けじとお美しい方でしてな
あの御御足に触れる事が出来ればそれはもう至福の――――と語らっていたらまた領主様に叱られてしまいますな

…………ホッホッ。私の方からもシーナ殿のご活躍はお伝えしておきましょう
もしかしたら櫻の国の英雄として語り継がれるかもしれませんな。その時は是非ともこの爺が居たことも忘れないで居て欲しいものですぞ」

【そんな様子が微笑ましく思ったのだろう。領主も中々に有名な者だ】
【多くの妖怪を封じる此処を治めているのだから、其れも当然か――――】
【シーナの夢を大きく前進させる事は難しくても、小さな歩みの一つにはなれるであろう。そう、笑いながら言う姿は人々に好かれる妖怪そのものだ】


>>622
「そう、貴方の様な方であれば一度姫様のお姿を見ておくべきですな
様々な方々から求婚を迫られるも独り身を貫くその姿は正に孤高の花。ホッホッホッ、爺としては世継ぎを残して欲しい気持ちの方が強いのですがの
…………戦闘に長けたお知り合いでも居たのですかな?ほほ、美しい方ならばこの翁にも是非…………おや、今のは内密にお願いしますぞ」

【戦闘が終わればただの色ボケ爺。――――いや、そんな人間染みた所があるからこそ慕われているのか】
【妖怪と協力しようとする陰陽師や僧達などそう多くも無いであろう。だが、現に爺はこれだけの数の者を集めており】

>>623

「おや、嬉しい事を言ってくれるものですな。この爺、まだまだ生きる気力が沸きましたぞ
ですが……恩人、とはこちらの言葉。皆様方が命を省みずに戦ってくれたからこそ、今の我々が居るのです
――――改めて、礼を言わせて下さい

ちゆりに関しては話を聞いて…………いや、昔は共に悪しき妖魔を討伐したのでよく知っておりますぞ
彼女と桔梗の関係、ですか。話せば長くなるものですが――――それは、領主様とのお話を終え、身体を休めてからの方が良いでしょう。本当に、長くなります故」

【爺の其れは演技でも無い。心からの感謝であるのは、よく分かるか】
【――――何とかまだ生きている。いや、生かして貰った。自分たちはただ、自分の身を守る為の行動に過ぎなかったのだ…………と】

【ちゆりとの関係を聞かれれば、僅かに目を伏せた。ともなれば、あまり明るい話でも無いのだろうが――――詳しく話すには、時間が足りなすぎる。翌日にでも話そうかと告げて】

>>624

「佳乃殿、何か大きなお怪我をされてはおりませんかの。銀狼殿や姫様に引けを取らない美しい姿に傷の一つでも残ればこの不肖爺は――――…………
おや、ご立腹ですかな?一体何をそんなに…………分かっております。私も、其れを疑問に思っておりました
恐らくは姫様と領主様はその事も話そうとするのでしょう。私もまだ情報を持って居ない身故、どうにも答えられませんが…………」

【嘘、に見えるだろうか。彼は本当の事しか言って居ないのだ】
【だから――――その事は、自分も把握していない。その言葉だって真であり】
【…………これ以上迫っても、きっと何も出ない。佳乃ならば、察せるか】
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 01:13:51.90 ID:07dXDc+V0

【天守閣。心なしか、先程よりも天候が良くなり櫻の国の果てまでも眺める事が出来そうで】
【――――上座に居るのは、先の領主と…………濡烏色の髪を腰まで伸ばした女性だ。その者が九尾に命を狙われていた姫・琴音、と考えて間違いは無く】
【そして、縄で縛られ二人の前に跪かせられているのはボロ布を纏った女だ。この者が件の“閉じ込めた手下”なのであろう】

【辺りを囲んでいるのは僧や陰陽師…………では無く、家来達。その誰もが手には刀を持っているのだから物騒で有るが、相手が相手故に仕方のない話だ】
【――――領主が一行の存在に気付けば、険しかった表情も朗らかな物へと変わり】


「ん……?お……おお!!来て下さったか!!貴方方のお陰で娘の命も助かり――――何より、櫻の国に古の妖怪達が解き放たれずに済みました!!
心より感謝させて頂く!……ほら、琴音。お前も礼を言いなさい」

『皆様、本当に有り難う御座いました。櫻の国だけで無く…………私の命まで救って頂き、本当に何と礼を言えば良いものかと…………』

【清んだ声。慎ましく頭を下げたならば、この城の姫が改めて礼を述べ】
【だが――――ただ礼を言うだけなら後日でも良い筈。何故、九尾との戦いを終えた直後に呼び出されたのか】
【スッと琴音の視線は細められ、目の前で跪く妖怪へと落とされた。確かな威厳。まだ成人を迎える前であろうに、流石は一身で封印を守り続けるだけの事はあるか】


『――――そして。疲れているであろう事を承知の上で皆様をお呼びさせて頂いたのは…………今此処で縛られている妖怪を討って欲しいからです
本来で有れば、私達や僧達の仕事。ですが、あの桔梗が寄越したとなれば…………私達の手では容易に殺せる相手では無い可能性も高い故に
もしかしたらこうして俯いている間にも、隙を伺って私達を殺そうと目論んでいるのかもしれません
助けて頂いた手前、とても申しにくいのですが…………どうか、この妖怪を私達の代わりに討っては下さいませんか?
もし桔梗に“念”で今日の事を詳細に伝えられでもしたら、これから先の戦いが厳しくなる事は明白。どうか――――』

【呼び出された意味は簡単だ。この妖怪を自分たちの代わりに殺して欲しいのだ、と】
【なる程、確かにあの妖狐が送りつけたとなれば曲者の可能性は高い。家来達の安全も考慮して頼んだのだろう――――が】

【或いは何か妙だと思うだろうか。あの九尾はたった一匹で執拗に姫ばかりを狙っていたこと。そして、今まで数度の襲来があったにも関わらず今日も含め僧や家来達の死者は零】
【あれだけの力があったにも関わらず、零――――とは】
【こうして居る間にも捉えられた妖怪は姫を殺す事だって可能であるのかもしれないのに、しない事】

【いや、或いは九尾はただの捨て駒だったのかもしれないし、捉えられている妖怪は殺されるその瞬間を狙って反撃を試みているのかも知れない】
【兎にも角にも、捉えられている妖怪を殺すか否かは一行に委ねられている。爺は余計な口出しをする事も無く、側で見守っているだけ】

【やがてそれぞれに手渡されるのは首を切り落とす為の――――身体を刻む為の刀だ】
【振るか振らぬか。更に問い詰めるか、問い詰めぬか。――――不信感が積もって爺に、領主に、其れとも姫に刃を振るうことだって出来る】
【いや、もしかすれば一秒すら貴重な時間。問い詰めるだけの時間があるのか】
【…………一瞬ばかり姫より感じ取る事が出来た小さな小さな妖気に気付けるか、否か】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 01:41:25.30 ID:MTOGHLuho
>>625

「櫻の国の英雄か……うむ、実によい響きなのだ!」
「私も随分と遠くまで来たものなのだ、この調子ならばいずれは――」


【などと、声を出さず含み笑いするような仕草を見せる】
【明日には爺の居た事を忘れていそうな雰囲気であった】

【今宵の戦いは終わり、後は姫様に顔を見せて覚えて貰うだけ】
【簡単な儀式的な挨拶をして、互いの名を覚えるのだろう】
【……と、シーナは楽観的に現状を捉えていた】

【舞台は移り天守閣。先に顔を見せた領主と、そして姫君の姿を見たシーナは】
【「伝説の勇者様になった気分なのだ!」などとはしゃいだ様子の文字を走らせるが】

【姫が口にした内容を耳にし、そのきな臭い空気を感じ取ると】
【流石のシーナも今置かれている状況に段々と違和感を覚え始めてきた】

【この場で拘束されている妖怪を処刑しろ】
【思い描いていた情景とまるで異なる申し出に、シーナはフードの下で目を丸くして】
【差し出された刀を反射的に手に取ってしまうもそれから動かなくなった】


(何のつもりかの……安全性を考えておるのならば)
(先のように封印の術の一つも施すものではないか?……私たちに"殺させたい"のか?)

(それに、あの姫君から感じる嫌な気配が……どうも気に食わんのだ)
(しかしただそんな気がするという、だけで暴れるわけにもいかぬしのぅ)


【シーナは口をへの字に曲げると、手渡された刀をその場に置き】


「私は術者だからの、姫にはすまぬが刀の使い方は心得ておらぬのだ!」

「こやつらが暴れだしたらすぐに抑えられるようにはしておくのでのな」
「処刑は別の、適した者に任せるのだ!餅は餅屋というものだしの!」


【などと返答した。いわば"逃げ"の姿勢である】
【シーナは周囲の人間の様子をフード越しに見やりながら、その反応を窺う】
【――暴れだしたらすぐに抑えられるように。それは誰に向かうモノになるのか】
【それとも何事もなく、穏便に場は収まるのか】
【シーナは内心(面倒なことになったのぅ)などと考えながら、ローブの中から砂を出して己の周囲に漂わせていた】
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 01:54:06.57 ID:72nnJqf+o
>>625

孤高の花ねえ……

【「そういうのに限って毒があるんだ」と思わず口が滑りそうになるがここは敵地だ】
【危うい発言はここを出た後にでもすればいい、何が起こるか分からないそれだけは確かなのだから】

――――――と、爺さんオレだって口が滑りそうになるのを抑えてるんだからさ
そういう言葉を冗談でも言うなよな、今はそっち側にいてやれるけど本質的には殺人鬼だぜオレ

【好々爺たれど白髪の彼にとってその言葉はどこか良からぬ所に触れたらしい】
【本人さえも覚えていないというのにおかしな話だが、魂が叫ぶからこそ意味があるのだろう】
【大妖と対峙した時にさえ露わにしなかった明白な殺意、それこそ爺を慕う者達にとって怒りの対象となるような物が一瞬漏れでて】

【まあ瑣末か、なんて次の時には忘れてぼうっと「剣」を見ていたのだけど】


…………ああ、なんだコイツ……

【平身低頭とする主、とエルフェスが見ているのはもう一人の……そうあの姫】
【清いという言葉をそのまま人の形にしたような印象を受け、それは違うと本能が呟く】
【どうにも清すぎる、少なくとも自分という歪んだ生き物とはそぐわない】

【どちらかと言えば跪くあの妖怪の方にさえ親近感を覚えてしまう辺り】
【どうしようもなく異常なのかもしれない、何よりそれでいいやと思えるのが狂っている】
【意味の無い考えを巡らせる一方で話を半分で聞く、……やがてつまらなさそうに鼻を鳴らし】

……バカ言うのも大概にしろよ、そこのジジイだけでも十分な戦力だろう?
大体妖怪だろうがなんだろうが生きてる物を殺せない理由なんか無い、だったら雑兵だろうがそこの妖怪を殺せる筈だ

【溜息は大げさに、つまらないと示すように彼は言葉を続ける】

それを踏まえたら……そっちが手を下したくない理由でもあるんじゃないかって思っちまうのが道理だよな
[ピーーー]事が不都合、手を汚したくないってのが考えうる限り一番だけど……少なくともオレは気に入らないね
そもそもだ……捉えたって事は命を掌握したってこったろ?だったらその先の殺害も何ら苦難じゃないだろ、少なくともオレはそうだけど?

【傍から見ればそれは露悪趣味に聞こえるかもしれない】
【ただそのように見えて彼にとってこれは糾弾だ、理由も曖昧なまま殺害という罪から逃れようなどと】

【一際昂く「剣」が鳴いて「破邪」の気を漏らす、恐らくこの場全員にそれは感じ取れる筈】
【何よりも所持者であるエルフェス本人は何か合点がいったように小さく頷いていた】

んで実際のとこどうなんだよ「妖怪」さん達は、今のこの状況ってどうなんだ?
「姫様」はああいうふうに好き勝手いってるけどもさ、なんだったらオレがお前達の代わりにバラしてやってもいいぜ
今丁度イライラしてるしさ……本当自分でも不思議なくらいにさ

【差し出された刀は受け取らない意味のない意志のない殺害など御免被る】
【それならばここにいる全員を血祭りにあげた方がまだ健全と思える、今の状況はそれくらい狂っている】
【ただ声色には冗談をワンクッション含ませ、その上で極自然な流れで己の「大剣」の柄をそっと握っている】

……どうでもいいことだけどさ、櫻の国では妖怪と人ってのが手を取り合ってる土地ってのもあるらしいな
そんなことをどこかのちっこい狐が言ってたけども……だったら妖怪が一国の主になるってのもおかしくないのかね?

【曖昧な言葉はされど姫へと突きつけた刃に等しい】
【「大剣」は邪なる者に呼応する術具めいた力を持つ、それが鳴いたのだ……ならば理由は十分だ】
【先程まで敵地だからと気遣った自分はもういない、道理を曲げるくらいならばと戦いを選ぶ……それが自分の在り方だから】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/06(火) 01:58:08.59 ID:+setm9c2o
>>626

【爺の微かな瞳の動きを、瑛月の濡羽色の瞳は見逃さなかった。―――やはり何か深い理由があるのだろう。自分の想像をはるかに超えた何かが】
【話せば長くなる、という言葉からも複雑な話が想像できる。今の状態では話が頭に入りそうもないので、爺の言う通り身体を休めてからにしようと瑛月は思った】

【―――そして天守閣。あの髪の長い娘が姫なのだろう。上品な雰囲気を持ち合わせているし、囲まれていることから大事にされていることも解る】
【その目の前には、姫と対照的な印象を持つ、ボロ布を纏った女。一瞬可哀想だと思ったのだが、直ぐに彼女が“閉じ込めた手下”であることを察した】

……いえ、SCARLETとして―――そして櫻の国に生まれた侍として当然の事をしたまで。
この身朽ち果てるまで平和を脅かす者共と闘うと、右肩の緋色の鷹≠ノ誓ったのですから。

【姫と城主が礼を言い、瑛月は其れに言葉を返す。インバネスの右肩部分に付けられたSCARLETの証が、存在感を示していた】
【瑛月は待っていた。彼女が本当に伝えたいことは何かを。礼だけを告げに来た訳では無いだろう―――と内心では思いながらも、優しい笑顔を作って見せた】
【―――そして直後、その「本当に伝えたいこと」が姫の口から放たれる】

……―――成程、そういう事ですか。確かにあれ程の力を持つ九尾が送りつけた妖怪……用心するに越したことはないでしょう。
―――それにしても、不幸中の幸いですね。僧や家来達は一人も死んでないと聞きました。各地で虐殺の限りを尽くした九尾相手に、戦死者零……。
……それ程城主の家来や僧が優秀なのでしょうね。―――ああ、先程用心と言いましたが、その割にはこの妖怪に対する用心が甘い。

此方にも結界や縛術などをかけなければいけないでしょう。―――これだけの僧や兵がいながら、其処まで頭が回らないのは少し気がたるんでいるのでは?
―――良くそのような甘い考えで戦死者を出さずに済んだことだ……ああ失礼、少し言い過ぎですか。それでも姫様の安全のため、少々のご無礼、お許し下さい。

【ここまで口を回す彼も珍しい。だが強烈な違和感がした為に、はっきりとしない事が嫌いな彼は言わないわけにはいかなかった】
【皮肉を言うかのように、何かを探るかのように。まるで容疑者相手にカマをかける刑事のようで。瑛月は刀を受け取ると、眼球だけを動かし周りを見て、待った】
【率先して斬る姿勢ではないらしい。というのも、先程の違和感―――特に姫の上品な雰囲気に混じる怪しさがあった故にである】
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/06(火) 01:58:53.66 ID:cCQVpz3wo
>>625

………………。

【爺の軽薄な言葉に眉根を潜めつつ、佳乃は無言で返す。元より他人の表情から真意を読み取れるほど人と話すのに慣れては居ないのだ】
【ただ……依然として不信感は消えてくれない。それは単に爺へ向けるものというより、この一連の九尾戦そのものへの不信感、と言えばいいのか】
【それ以上追求する事もなく、その後佳乃は大人しく天守閣へと足を向けるだろう。空に近い場所から見える晴天は、佳乃の目にはどうにも煙って見えて……】

【領主と琴音の姿を見つけ、彼らが五人へ慇懃に謝辞を述べようとも、佳乃は終始無言を貫く。険のある表情も決して解れることはないのだろう】
【琴音と佳乃、同じ櫻の生まれで年の頃も近いとあって容姿は多少似てはいるが……この時は一際酷く、対照的に見えたかもしれなかった】
【そんな琴音からの頼み事――――差し出される刀。その二つを脳裏に刻んだ佳乃が何を思ってどう考えたのか。それは、次の行動が如実に語るだろう】


――――この茶番を仕組んだのは、誰?


【佳乃は刀を引っつかむと、憤怒を隠そうともせずそれを床板に突き立てるだろうか。そして同時、佳乃の体から多量の神気が噴出する――――!】
【治癒のために体内に循環させていた神気をすべて外へ押し出しただけで、攻撃能力は皆無のそれであるが……纏う雰囲気は完全に一変するだろう】
【先程『九天』を撃った際に僅かばかり見せた、神聖≠超えた神威=B常人であれば近づくことさえ出来ない程のオーラが、琴音や領主、家来達を威圧する】
【この天守閣を丸ごと聖域≠ヨと書き換えかねない勢いのそれは――――却って、姫から感じられる妖気の流れを佳乃以外の者にも判別しやすくするだろうか】

【……神気という聖なる力、妖気と相反する力を扱う佳乃が、例え微かであっても姫から流れる妖気を感じられないはずがないのだ】
【やはり今宵の騒乱、何かが決定的に食い違っている。もっと習熟した女性であれば真っ当な問答でそれを暴き出すことも出来たのかもしれないが……】
【生憎、佳乃はまだ十六の少女でしかない。肌を刺す違和感は直情的に怒りという形で放出され、その『誰か』を炙り出さんと聖≠フ空気を部屋中に満たすだろう】

【突き立てた刀の代わりに、佳乃は半身を引いて片手で短く薙刀を持つ。臨戦態勢とは言わないまでも、厳戒態勢であるのは間違いない】
【――――佳乃が全身から放つ神の怒り=Bそれは妖魔にとって確実に毒≠セ。……銀狼にまで被害が行く事を失念しているあたりがなんとも若々しいが】
【とにかく、例えそれが関係なかったとしてもこれだけ強い威容である。この行為が、場を動かす何らかのトリガーになり得るかもしれない――――】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/06(火) 02:08:03.79 ID:t5FDhRqro
>>625-626

……虫にか。……、…………――そうか、うむ……そうか。
あぁ……名高き姫君に会うともなれば確かに血はイカンのう、うっかりしておったわ

【爺の言葉に銀狼は俯きも高揚もせず、いつもの調子のままで答えた】
【心中では思うトコロもある。だが、場所が場所だ――弁えずに取り乱すほど】
【銀狼は子供という歳ではないし、答えも至極当然らしいものだった】

【やがて姫に合う頃には、銀狼は爪も収めて血を拭い、尻尾は肩掛けのように首に巻き】
【それでも少々仏頂面で領主と、姫――琴音の言葉を耳にいれていた】

(――…で、呼びつけた理由が手引きした妖怪の処刑依頼、と。
 
 ……随分だのう?手練ればかりのはずではないのか、封魔城は。
 あの爺に術をかけさせるなり、もっと上手い手も在るはず
 それに念≠飛ばされては拙いなどと……可能性があればとっくにやっておるわ)

儂の頭でまとめると、ちときな臭いというワケか……となれば此処は……。

【小さく声を漏らす。それが聞こえるかは分からないが――ともかく、刀を差し出されたなら】
【銀狼はそれを受け取って妖怪のもとに向かうだろう。そして、対象を一瞥し】

(九尾は執拗に姫だけを狙っていた……しかし今日まで誰も死んでいないという
 ……九尾が相手で誰も死なぬものか?仮に儂が100人居たとして
 まともに向かって行ったら果たして何人残るかも知れぬ大妖を相手に……?)

うーむ……元が狼じゃと、こういう時に知恵が回らぬから困りものよ
狐ならさぞ上手くやるのだろうのう。その点、九尾殿が羨ましくもあり……

……しかし、力に溺れるくらいならば儂はやはり狼で良かったとも思う
のう姫君。中々に謀りごとが得意なようじゃが、ちと儂は鼻がきくのでな
――臭うのじゃよ……同族、妖魔の香りがお主のもとから強く臭う。

それとも儂の思い過ごしかも知れぬ……せっかくじゃ、こやつにも検分してもらおうぞ

【刀を振り上げて、それから下ろす。太刀筋は下手だったが、この際それは関係ない】
【銀狼がめがけるのは捕縛された妖怪の首筋ではなく――拘束する道具の方だ】
【縄ならそれを切り、手枷ならそれを砕く。妖怪の力なら、それくらいは出来ようもので】

【――同時に言えば、これは明確な反旗でもある。妖怪たる銀狼は、佳乃(>>630)の神気にも】
【やや顔を顰めていたけれども、逆に妖怪という――身体能力の高さが役に立つ】

【恐らくこの場において、最も強く姫の妖気を感じ取れたのは妖怪かつ鋭敏な感覚を持つ銀狼】
【色々な疑問があった。そして自分なりの答えは出なかったから、じゃあこいつに聞こう、と】
【狼の妖怪はニヤリと笑って刀を下ろした――そんな次第で、事が終われば彼女は刀を放り捨てるだろう】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 02:28:51.53 ID:07dXDc+V0
>>627

【其れもそうだ。子供に殺させる訳にもいかんなと皆は笑い】
【領主とて、それは例外では無かった。無理強いさせる事でも無いのだ。元は己の実力が足らぬから招いた事】
【――――だが、その場に居る姫の視線だけは嫌に冷たかった。九尾の其れとは比べものにならない程の悪寒がシーナを貫くであろうか?】

【九尾も含め戦わずして実力を計れる者など多くは無いであろう。ただ一瞥だけで存在の強さを感じ取らせる者など、どれ程居よう】
【余りにも暗い暗い瞳。濁りきって奥まで見えぬほどに、だ】
【……まるで悪意の塊だ。其処等の妖怪とは比べものにならないほど深い闇。謂ってしまえば…………死の経験をしたならば其れに近い】

>>628
「こう見えても琴音は実に優秀な巫女でありましてな。戦うだけの力はありませんが…………妖怪の力を見抜く事にはずば抜けて居るのですよ
我々は人間を殺めた事が無くとも、多くの妖怪達は殺めた。無論、その中でも悪事を働く者達だけですが――――」

【そう、代々として妖怪の討伐を務めてきた者ども。民を怯えさせた一つの存在を討つ事に抵抗は無い】
【然れど――――姫が“警告”したならば話は変わる。この妖怪は貴方達の手に負えないから他の者に頼りなさい、と】
【…………青年の怒気にも似た其れを感じ取れば、誰もが固唾を呑むのはしかたない事だ】
【ただ一人――――うっすらと笑う姫を除いては、だが】

『其れだけ人と妖の仲が良い、という事ではありませんか――――?
何故、この場でその様な言葉が出るのかは、分かりませんが……』

【領主、家来は未だ妖気に気付けては居ない様子。だが、爺は何かに感づいたよう】
【悟られぬ様に動き、視線の先は姫】

>>629

「彼のSCARLETの方でしたか!ご活躍は聞いておりますぞ!
――――褒美の方を何でも…………と言うのは失礼ですな。私達に協力できる事がありましたら、何なりと言いつけて下され
救われた身、精一杯の努力でしかお返し出来ませぬ故に!」

【お世辞では無く、本心は。少なくとも、この領主は――――だが】
【姫の方は分からない。何を企んでいるのか、何を考えているのか…………表情さえも】

「いや、そう言われるとぐうの音も出ませんな
お恥ずかしい話、これまでの襲撃は其処の翁と僧兵達によって何とか何とか退ける事が出来たのです
全く…………幸運、としか言えないのが事実ですが。そして心配はご無用ですぞ
この家来達も私と共に数々の妖怪を打ち倒してきた者。そして皆様が集った今、この手下に為す術無し――――と、八方ふさがりとはこの事ですな」

【領主も又、翁と同じ様に嘘は語らず。――――では、怪しいのは一人だけ】
【姫、か。家来の誰かが動くわけでも無い。唯一異常な事を理解して居る爺だけは…………何かの術を準備しているのか】


>>630
【――――突如床に突き立てられた其れには、一同が身体を動かすことだろう。同時に刀の柄に手を伸ばす】
【身元を割られた者が取る行動とは異なり、単に身を守るための反射的な動きだ】

【対抗するかのように――――妖気が膨れあがった。最早、隠す事など止めたかのよう】
【一帯全てを魔窟へと変えんばかりの其れだ。九尾の持って居た物とは比べものにならない、と記せばどれ程の力かも容易に想像出来ようか】
【発生の元は…………?やはり、姫だ。領主達も漸く事に気付いたのか、姫から距離を離すも】
【コレだけの力を持った者。例え数キロの距離を離れようが意味が無いに等しい】

>>631
『ええ――――ぎんぎんの鼻が良い事は、私が一番理解して居ますよ?
…………ハハハハハ―――ー何処までも優しいのです、ねぇ?解いてあげるなんて』

【つい先程聞いたばかりの声。では、無く。佳乃の計らいによって姿を隠しても無意味だと悟った者の声だ】
【先に母と呼んだ少女の其れでは無く――――何時か、誘惑しようとした少女の冷たい声。妖狐の、其れ】
【そして、彼女の力を間近で見ていた銀狼が今はどの様な状況であるか理解出来るか。不味いのだ、非常に】

【拘束の外されたその者からは妖気など少しも無く。顔つきは、姫に似ている…………と言うよりも、姫そのものであり】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 02:29:29.15 ID:07dXDc+V0
>>ALL
「なーんだ。後もう少しで面白い所が見れると思ったのですが…………残念ですね」

【言葉を放ったのは――――“姫”だ。ただ、どうにも冷えた口調であり…………何よりも、最早隠す事も無くなった妖気がこの天守閣を包み始める】
【余りにも濃い妖気。否、濃すぎるのだ。下手な妖怪であれば其れだけで存在を消されるだろうし、人間であれば気が狂う】
【本能を刺激するかのような淫靡な物。同時に感じるのは様々な感情。恨み喜び怒り悲しみ――――全てが全て、ごちゃ混ぜとなってしまう様】
【尤も、この場に集った物は其れに翻弄される程柔では無いでろあうが…………領主や、家来達は別だ】

【荒い呼吸。必死に己の意思を沈めるかのように身を固め、冷や汗は床に大きな溜まりを作るほどの量】
【そんな者達を楽しそうに見ながらも、やがて“姫”の視線は一行の元へと戻って】


「皆さんを利用して邪魔な九尾も叩き込むことが出来て…………後は皆さん自身で本当のお姫様を殺して貰えればとっても楽しそうな事になったのですけど――――
ふふ。でも、こんな場面も楽しそうですよね。皆さん、ほら…………集中してないと可笑しくなっちゃいますよ?」

【先程まで捕らわれ居たボロ布の女に視線を下して見れば。其処に居るのは格好こそ異なれど確かに領主の隣に居た姫だ】
【では、今こうして語る存在は――――?特徴的な耳が生え、尾も生えて。以前見た事がある者ならば知っている存在】
【空狐の力を手にする事となった天鬼桔梗が、其処には居た】

【妖狐と言えば人を誑かすのに長けた存在。即ち、己の命を狙う存在――――九尾を邪魔だと感じていたが故に、姫の姿に化けて】
【後は自然な流れだ。姫を殺されてしまえば困るのは櫻の民。何も知らぬ領主は直ちに九尾討伐依頼を出す事となり、此処に一行が集められた】
【見事封印に成功してしまえば、次には英雄達を一気に悪役に仕立て上げてしまおうと】
【姫の姿を妖怪の使いへと化けさせ、後は成り行きだ。イレギュラーとしては――――妖気に敏感な者達であった事】


「まあ――――結局は結末はなーんにも変わらないのですが
そろそろ終わりにしましょうか。私も、もう飽きちゃいましたから――――」

【だが、些細な事だ。この空間事破壊してしまえば全てが終わる】
【歪み始める景色。床板もミシリミシリと音を鳴らし、この場に居る者達は肌が裂ける様な痛みを味わうか】
【当然だ。今此処にある空間を砕いて仕舞おうとしているのだから。現実では有り得ない話。だが、確かに空間という概念を破壊しているのだ】
【今から崩壊が始まろうとする…………その刹那。爺が姫を始め領主や家来、そして一行達に対して転移の陣を施して】
【この場に於いてもまだそれだけの力を使えるならば、この妖怪も相当な力を秘めている事に違いない。だが、何故転移を選んだのか】


『――――皆様。あの悪狐はこの爺が責任を持って冥土へと連れて行きましょう
長く生きる妖怪でありながら見抜けなかった愚をお許し下され。そして皆様、知らずとは言え姫様を殺めさせようとした事をお許し下され
もし、爺が桔梗を殺める事に失敗した時…………その時は――――』

【言葉は最後まで紡がれない。否、最後まで聞く前に転移が発動したのだ】
【気付けば先程まで九尾と戦っていた場所。その事に気付くと同時、天守閣の存在が失せていた】
【塵も無く、燃えかすも無く。まるでそんな物は端から存在しなかったかのように】
【彼は連れて行くと言って居た。ならば、最後に全ての妖気を使い果たして一つの存在その物を消してしまう程に強い術を発動させたのか】
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 02:29:48.33 ID:07dXDc+V0
>>ALL
【近くで起きた砂埃。見えるのは爺の顔で――――考えられる事は一つ。あの妖狐を殺せたのか】
【爺が口を開き、一行に声を掛けようとして】


「その時は、皆様で桔梗を殺して下さい。領主様、姫様。どうかご無事で――――
うわー、助けてくれー、殺さないでくれー。…………ふふ、そんな事まで言ってくれたら楽しかったのですが
生憎、何かを言う前に死んじゃって――――詰まらないですよね。本当に
翁程度を封じる事が出来ただけで私を殺せるとでも思ったのでしょうか?」

【だらりと下がる舌。砂埃が晴れた頃、爺の生首を持つ妖狐が其処には立っていて】
【まるで人形扱いだ。切り口から手を突っ込んだならばそのまま指を動かし、口を開閉させる】
【――――飽きれば、細い指が眼球を押し出し。無造作に放り投げられた頭は“ぐちゃり”と汚らしい音を立てて潰れる】
【爺の命を賭した其れすらも、ただの戯れに過ぎないのだと言わんばかりに死者を愚弄して】


「これでもう一つ邪魔が消えました。あの九尾の封印を解けるのは其処のお姫様では無く、ここで口をぱくぱくさせてるお爺さんでしたから
本当はこのまま皆さんを殺してしまおうかと思ったのですが…………何だかそんな気分じゃなくなったので止めますね?
それでは、死ぬのが嫌でしたら櫻の国から出て行って下さい。では――――」

【当初の目的は果たしたから後は何処かへ行ってしまおう。そんな巫山戯た言葉】
【言葉を掛けるなら。攻撃を加えるならば、この一瞬だ。これを逃せば、直ぐにでも妖狐は姿を消すから】
【――――――否。妖怪の概念すらも超えた妖狐に攻撃を当てる事が可能であろうか】
【どんな事を為そうとも、もう次で終わる事は明白であって】
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/06(火) 02:58:34.35 ID:MTOGHLuho
>>632

「――――!」


(なんなのだ、これは――!?)


【ビクン、と一度大きくシーナの身体が揺れる】
【此れ程までに濃密な悪意を浴びて平気でいられるような図太い人間ではない】
【むしろ内面は普通の少女に近いのだ。背筋に氷柱を突き入れられたかのような感覚を受け】
【咄嗟に魔術の向ける位置を"己の周囲"に限定し防御術式を組み立てた】

【生存本能に訴えかけられる"恐怖"】
【声もなく、表情も見れないため察せられる人間は殆どいないだろうが】
【フードの中では酷く引きつった表情を浮かべていた】

【その根源は恐らく、あの姫だ。きっと注意喚起する必要もない】
【あれほどまでにあからさまであれば、今宵の戦友は全員が気がつくはずだ】
【シーナは状況が動いた際に行動できるよう、魔力を練る】


【姫――否、空狐 天鬼桔梗が正体を表し、その口から語られる事件の真実】
【それを聴いたシーナは、微かに音を立てて舌打ちをする】


「随分と悪趣味な事を仕出かしてくれた事だの」
「昔から真相をぺらぺら喋る悪党は小物と相場が決まっておるのだ!」

「言いたいことが終わったならば、早々に冥府へ落ちるがよい!」


【天鬼の事は知らないが、先程感じた根源的恐怖から】
【九尾にも勝るであろう化け物であることは察しがついている】
【だからといって、端で震えているわけには行かない】
【シーナの目指すものは英雄、英雄とは、世界を脅かす悪に立ち向かう存在だ】

【故に、魔力を以て砂を変化させ――】


「ぐ、うぅ……――ッ!」


【――ようとした瞬間、空間が歪み全身に激痛が走る】
【意識が乱れ、構築していた術式が破綻したことで操っていた砂がその場で崩れ落ちていった】
【苦し紛れに届くはずもない手を天鬼に向かい伸ばすが】
【勿論何の意味も無く空を切り、爺によって発動した転移の術によって場面は九尾との戦場跡へと戻る】


「誰に向かって……そんな生意気な口を叩いておるのだ妖怪変化風情が……!」
「このシーナ様への口の利き方を教育してやるのだ……!」


【圧倒的力で天守閣を崩壊せしめ、強力な妖怪である爺を容易く屠ってみせた天鬼】
【自身の力の差を本能的に理解しながらも、それを認めるものかと奮起し】
【シーナは残る魔力を使い瞬時に術式を構築。天鬼の周辺を包囲するように無数の砂の槍を形成し】
【一斉に突き出すことで蜂の巣にしようと"悪足掻き"をする】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 03:04:46.93 ID:72nnJqf+o
>>627>>629>>630>>631


―――――――ははっ、なんだお前達も分かってんじゃねーか
そうそう茶番だよなこんなの、分かりきってる事だ……

【ここにいる全員を刺し違えてでも始末するつもりだった】
【だがそうでもないらしい、少なくともこの違和に気がついた者はきちんと存在して】
【それが今まで戦った仲間というのだから高笑いも溢れてしまうのは仕方ないこと】

だから気にいらねーんだよ

【凄む声と共に終ぞその、本来生まれ持っていた殺意を露わにする】
【ならば「大剣」は歓喜に震える―――――溢れる「神気」に呼応する如く、「破邪」は雄叫びを上げる】

>>632

―――――黙れよ、茶番は終わりだ

【破邪とは即ち邪なるを断つ物】
【ならば逆巻く妖気に飲まれそうな人々を元に戻す事さえも可能であるのは道理】
【古く剣を用いた者は何よりも正しさの為にそれを振るいいつしか剣はそれに応え始めた】

【エルフェスを中心に球型に展開される「破邪の領域」は領主や家来の届く範囲を飲み込みそれぞれに僅かな時間同化する】
【仄かに温かい白き輝きは、新雪のように儚くもあり……】


【場面は変わる】
【一瞬の内、流れるのは誰の想いか……】
【報われない道を選んだ人間の慟哭だろうか、その行いは尊いと知りながらも】
【時という平等は正しい速度で流れてしまう】


【或いは目の前の光景さえも夢ならば未だ救いはあったのかもしれない】
【好々爺、先程まで喋っていた彼は……その命を賭した行動さえも無意味にされた】
【――――――おかしい、自分はむしろ彼に対しては殺意をぶつけた筈なのに……なんて虫のいい話なのだろう】

【目の前の大きな力に震えるべきなのだろうけど】
【この衝動を、自分はどうやら抑えられそうにない……】

(剣じゃ、間に合わない……)

【意味の無い自責の念に襲われながらも戦闘という動作を身体は続ける】

でも、逃がさない――――――――
どこに逃げても追い詰めてその喉元に突き立ててやる、宣戦布告だ駄狐め
爺さんを、命を愚弄した事を……後悔させてやるからなあ!!

【掌握し「大剣」を散らす、新たな光から取り出すはいつか見た「銀の大弓」と「銀の太矢」】
【自分でも驚く程の手際の良さで番えられた矢は、かの大妖……いや超越者の喉元へと目掛け放たれる】

【動乱の中だとしても「紫白の瞳」はその者の死に姿を呪うように見つめる】
【「銀色の福音」は生命を愚弄する者に義憤を覚え、力を以って裁きを下す】
【主たるはそれらを纏め振るう、……空っぽの自分に唯一在った殺意を胸に】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/06(火) 03:16:35.36 ID:t5FDhRqro
>>632-634

……ほう…!となれば賭けでもしておったのかや、桔梗=c…!
鼻が良いと知って儂をこの場に居させた事……それとも単なる戯れか

まあ良い、どちらでも。……なんとなしには分かっておったことよ
何方にしてもこの城を破壊すること……そして九尾を手早く処理したいが為の策…ッ!
自分でやれることを他人にとは、随分と面倒くさがりになったではないか桔梗よ

【――ああ、謀られた。やはりというように歯を噛み合わせると】
【その膨大な妖力に汗が滴る。暑くはない、寒くもない、圧倒的な力の差で、だ】

【単なる人間とはまた違った尺度での物の感じ方だ――しかしコレで二度目である】
【それも一回目はもっと近かった。それ故か、銀狼は力に屈することはなく】
【真に姫≠ナあった人物を助け起こすと、かばうようにその前に立つ】

【恐らく此処に居れば皆殺される。だが自分なら、或いは――?】
【それならば可能性≠残さなければならない。真の姫たる彼女なら】
【少なくとも矮小な妖怪である自分よりは、という考えがそこには在って】

【やがて爺が前に出たならば、彼の言葉に一つ頷いて答えた】
【単純なYESでもあり、任せろという意味もあった。だが言葉をかけるより速く】

【空間の転移と消失。…――そして爺の無残な姿が人より早く銀狼には見えた】
【そも臓物をも見慣れた獣である銀狼だからこそ直視にも耐える、が――】
【気分が良くない、というどころではなかった。あの人のよい老人が今や玩具扱いだ】
【それも、覚悟は出来たとはいえ娘と呼んだ少女に――いや、空狐か】

(……儂では敵わぬ。そんな事は動かずとも分かる厳然たる事実よな
 だからこそ……今は雌伏、お主の罵声も甘言も全て聞き流すよ、桔梗…。)

>>635-639

……更なる一手など考えるでないぞ、死にたくないのであればな。

儂はあの空狐を良く知っておる。その上で言わせてもらうならば
とてもお主らの力で適う相手ではない……無論、儂も無理じゃ。
そればかりは認めねばならぬ…――今ばかりは耐えよ、良いな?

【キッとした真っ直ぐな瞳を桔梗に向けながらも、銀狼は諸氏にそう告げた】
【己の経験と現在感じる物、どちらで吟味しても勝利の確率は低いばかりで底がない】

【ならば、と、自分の覚悟を周囲にも求めた。殺す力がないのなら付ければいい】
【それまでは耐えるだけ――乾坤一擲という気持ちを持て、ということだった】
【そこまで深い意味を読み取らなくとも、二撃目は無駄だと伝わるはずで】

【やがて桔梗が去るまで銀狼はそうしているだろう。桔梗を睨む、それがただ一つの銀狼の動作であった】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/06(火) 03:26:49.89 ID:+setm9c2o
>>633

【全身の毛穴に突き刺さるような妖気。そして九尾が最後に零した「彼女を信じないでください」という言葉の意味を理解する。90%の疑惑が、100%になった瞬間】
【眉間に皺を寄せ、憎悪の瞳を突き刺すように睨みつける彼。一見全く動じていないようだが、吐く息は微かに震え、ごくりと喉の音が鳴る】
【恐怖心は確かにある。これだけの妖気と雰囲気、喩えるならば六罪王のような威圧感。嘗てコーネリアスは立っているだけで周りの自警団員を跪かせたと言うが】
【本物の天鬼桔梗が放つ雰囲気もそのような圧倒的な力を持っていた。だが瑛月は屈しない。屈するわけにはいかない】

……―――感付いたのは九尾を倒した直後からだ。確信したのは、貴様の姿を見てからだ。
周りがもう少し落ち着いた反応を見せたのなら、俺が止めを刺すふりをして貴様の首を斬るつもりだった。
―――この青狼≠完全に飼うことなど、誰も出来やしない……!!

【―――利用されたと言う怒りと、正義の為に、国のために、民のためにと言う使命感。それらが身体の震えを止めてくれた。痛みを忘れさせてくれた】
【瑛月は左腕で抜刀した。右腕は龍牙崩山≠フ反動で使えない。ならば左腕でと龍牙崩山の構えを取る。そして龍を放たんとした刹那―――】
【覚悟を秘めた爺の声が、龍の牙を止めた。爺一人で天鬼と闘い、瑛月たちを避難させるらしい。あれほどの覚悟を見せられたのなら、止めることなど出来ない】
【―――それが瑛月の甘さなのかも知れなかった。解っていたのだ、爺が殺される未来が。解っていたのに、止められなかった。彼の覚悟を否定する訳には行かなかった】
【転移が発動する。先程の戦場へと瞬時に風景が変わる。―――だが、その風景に写っているはずのモノが無かった。……天守閣が消えていたのだ】

【爺の姿が消えてから、直ぐに押し寄せる後悔の波。―――どうして止められなかったのか。解っていたのに―――と、歯軋りをして自らを戒める】
【其処に見えた、爺の顔。―――まさか、生きているのか……? と、期待を抱きかねない。だが同時に脳内で行われる冷静な分析が、生きている筈がないと言っていた】
【砂埃が真実を映す。爺の覚悟を愚弄する、妖狐の姿。―――瑛月が解っていた未来が、其処にはあった。一瞬期待してしまったこそ、募る怒りは余計に激しい】
【頭に憤怒が猛然と沸き上がり、殺気刀身に満ちて、寸毫微塵の隙も無く。瞳の鋭さは名刀を越える代物で―――怒りの炎が、濡羽色の奥で燃え盛っている】
【瑛月は自然と構えていた。構えは勿論―――龍牙崩山。左腕でも放つことが出来る。10工程の動きを7工程でするような速さと、単純な剣速】
【2つの速さを兼ね備え、更に予備動作を一切見せない動きは距離が近ければ近いほど効果を見せる。―――瞬時に距離を詰め、龍が怒りの牙を向ける】

―――天鬼桔梗……―――貴様には死すら生温いッッ……!!―――   龍   牙   崩   山   =@  ッ   ッ  ッ   !   !  !  

【刹那、巻き起こる風。―――龍牙崩山の威力を物語る、超音速の突きによる突風である。……―――瑛月の左手には、感触は無い】
【ただ反動で左腕が衝撃波に切り裂かれる感触しかない。つまり彼の怒りが、龍の牙が届くことは無かったということである。残ったのは痛みと、怒り、喪失感】
【―――左手の握力も潰えて、剣がカランと手から零れた。瑛月は振り返り、視線を本当の姫へと向ける。気絶していようと関係無い。言葉を彼女へと飛ばすだろう】

……姫。爺は国の為、兵の為、領主の為―――そして貴方の為に闘いました。―――私は爺が死ぬと解っていて止められなかった。とても悔いています……ッッ……!!
―――だから、爺の覚悟を、爺の意志を私が受け継ぎます。……天鬼桔梗を討伐する。そして櫻の国を守る。姫はどうかその日が来るまで、力強く生きてください。
……―――櫻の国に生まれた侍は、嘘など言いません。絶対に、爺の敵討ちをして―――平和を取り戻してみせます。……右肩の緋色の鷹に誓って。

【静かながら、力強い言葉だった。―――瞳には桔梗への憎悪や、自分への戒め、後悔……マイナスの感情がぐちゃぐちゃに混ざっていた】
【其れでも瑛月は感情を隠し、姫へと言葉を送り、誓う。―――桔梗を殺してみせると。だから力強く生きろと】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/06(火) 03:35:46.02 ID:cCQVpz3wo
>>632 >>633 >>634 >>637

【神気が作り出す聖域≠書き換えるように、強大な妖気の波が広がっていく。食い違っていた歯車が、ようやく嵌る――――】
【佳乃は負けじと神気を押し広げ、ただ在るだけで人の心を侵食する莫大な妖気に拮抗しようとするだろうか】
【それは佳乃自身の安全のみならず、正体を現したソレ≠ノ周囲の領主や僧たちが呑まれないよう保護する意図もあって】

…………そう、あなた、なのね。それだけ解れば十分――――、

【それにしても、この空間を塗り替えるかのような妖気――――今まで会ったどの妖怪と比較しても、余りにも桁が違いすぎる】
【いくら佳乃であっても、平時ならばたじろいでいただろう。だが今は……並べ立てられる醜い真相を理解したこの瞬間だけは、例外】
【体中に迸る憤怒は神気の量を引き上げ、その治癒能力とアドレナリンが痛みを消し飛ばす。天守閣中に飛散した神気は今、その女ひとりへ一点集中する】
【――――天鬼、桔梗。かつて幼馴染≠ゥら語り聞かされた内容とは全く異なる印象をひしひしと感じる……この妖魔は、とんでもない外道だ】

この、――――ッ!? 転移!? 待っ――――!!

【空間が撓み、そこに居る佳乃にもまた超常的な力が襲い来るが――――構わず薙刀を突きつける。空間を消される前に、こちらが奴を消せばいいだけとばかりに】
【だが佳乃が咆哮を上げて桔梗へと突っ込んでいくより先に、爺が動き出す。彼の転移が働かなければ、冷静さを欠いた佳乃もどうなっていたことか】
【爺の決死の覚悟を感じ取り、思わず佳乃が叫んだ声。それだけが天守閣へ置き去りとなって、共に塵と砕かれる――――】

【……そこから先の展開を見て佳乃が何を感じたかは、割愛してしまってもきっと構わないだろう】
【銀狼の発した忠言の正しさは、佳乃とて解っている。だが――――身を焦がす激情を抑えつけるには、やはり少女は若すぎた】


白刃龍紋流・襲打=\―――、

【憤怒に次ぐ憤怒は、却って佳乃の頭を冷静に戻す。ただあの妖魔を引き裂くことのみ、それだけに思考が切り替わって】
【佳乃は小さく、だが燃えるような感情の篭もった声で呟く。同時、佳乃の体と握った薙刀を薄い神気の結界が覆うだろうか】
【残る動作は単純。ボロボロの体に残った全ての力を両足へ叩き込み、桔梗へと疾駆――――何故か薙刀の間合いとしてはやや近すぎる距離まで接近し】
【――――振りかざす薙刀は中段。腰間接の回転、しなやかな腕力、疾走の勢いに体重。持てる全てを乗せて腰溜めから突き出されるは、最速の刺突!】
【渾身の力の乗ったそれは速く鋭く、常人であれば容易に防げるものではない。だが、相手があれほどの妖魔であれば――――】

――――――――『四境絶塵』ッッ!!

【……あっさり避けられるか防がれるかしてもおかしくはない。そこまで読んだ佳乃の二段構え≠フ攻撃が、聖なる力の奔流として桔梗へ迫る!!】
【薙刀の刺突は囮だ。叫びと同時に佳乃の体を覆っていた『三衣』の結界が勢い良く爆散、佳乃の全方位へ神気の爆発≠ェ撒き散らされるだろう】
【敢えて薙刀の間合いを捨てて踏み込んだのもこの為。神気の爆発には熱こそないものの、伝わる衝撃自体は本物の爆薬の爆発と相違ない威力だ】
【全方位というのも肝である――――薙刀を受けずに転移の術などで避けたとしても、油断して佳乃の近くに転移した場合は神気が容赦なく牙を剥くだろう】


『………天鬼桔梗。その理を逸脱した力――――あなたはそれで、一体何を成さんとするのですか』


【佳乃も消耗していて、必殺とまでは行かないが……至近距離で当たれば相応の威力はある。一矢報いるという意味では十分な一撃】
【――――それが当たるかどうかに関わらず。その後佳乃の口から漏れる言葉は、何かおかしなものであるだろうか】
【纏っている神威≠フ強烈な威容はそのままだが、その時確実に何かが変化する。ただ周囲を圧倒するだけだったものが、どこか包み込むようなものに――――】
【口調もまた佳乃とは思えない優雅なもの。それは恐らく、幸徳井佳乃ではない誰か=\―――彼女は天鬼桔梗へ、厳粛に問いを投げかけるだろう】
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 03:55:49.99 ID:07dXDc+V0
>>635

「砂遊びって、あまりした事が無いのですよね――――この様に作れば、良いのでしょうか?」

【ただ腕を薙いだだけだ。だが、それで十分であった】
【自身の身を貫こうとする槍をただの砂へと戻して。宙から流れ落ちる。戯れに一掴み擦れば、指の隙間からこぼれ落ちる砂を楽しそうに眺め】
【まるで無邪気な子供だ。翁を殺したことすらも罪と思って居ないのだろう】

【やがては砂をシーナに向かって放り投げたならば。其れは、まるで一枚の鉄板と化す】
【砂を扱うならば、その密度も直ぐさま理解出来るであろう。下手な金属よりもよっぽど堅い】
【それで叩き付けられたならば…………?痛い、で済めば良いのだ。全身を強く打つようなその衝撃を】
【攻撃が当たろうと、当たらなかろうと。「――――口の利き方がなんでしたか?」小さく微笑めば、言葉を並べて】

>>636

「殺したかったのでは無いですか?ちゃんと私は分かっていましたよ――――?
あのお爺さんは、ただ笑っていましたけど。嫌な人、ですよね。人が怒ってるのに、笑って話も聞かないなんて」

【太矢は喉を貫いたか――――?いや、二本の指で受け止めた】
【振り向くことも無く、ただ視線を他の処に向けながら。漸く視線を合わせたのは、矢を止めてから数秒後の事だ】
【何とも巫山戯た者だ。指の股に収まる矢を観察しながら言葉を返したならば、クツリクツリと嗤って】


「それとも、お爺さんが殺された事に怒りを抱いてしまいましたか?
――――なあんだ。やっぱり人間って勝手ですね。愚弄したとは言いますが…………もう、話す事も無かったでしょうから、関係無い――ですよね」

【矢の観察にも飽きれば、“お返しします”の一言。まるで紙飛行機を飛ばすかのような動作であったが】
【その速度、堅く張られた弦を目一杯に使って放った矢の速度と大差は無い。鎧すら砕き、中の者を貫き、後面をも砕き――――それでも止まらぬほどの勢い】
【二本の指で止めた事も、たった投擲という単純な動作で其処までの力を出せたことも。膂力の成せた技では無い。彼女の性質が、其処まで昇華させただけの事】


>>637
「――――随分と怖い顔をしてますね、ぎんぎん。何か嫌な事でもありましたか?
なーんて言わなくても…………大体は分かっていますが
あ、そう言えば…………もう一人の私の肉の味、どうでしたか?
彼女も私、私も彼女。何処でこう違ってしまったのでしょう、ね。貴女をお母さんお母さんと慕っていた子狐も今や洞の中
誰がそうしたのでしょう?…………ああ、その慕っていたお母さん達に、でしたか」

【銀狼を母と呼んだ声、幻聴でも無く。そしてこの場に居る妖狐も、確かに桔梗で在り】
【――――言葉を真に受けるならば、二人の桔梗が存在する事となる。九尾たる――――もう一人の己を殺す為にこの場に降り立った桔梗と】
【全てを壊すためだけにこの姫と成り済まし、内から掻き乱した桔梗】
【銀狼を母として懐いていたのはどちらか?…………言わずもがな、前者だ。まだ、同じ二人の桔梗には色々と深い関係があるのだろうが…………この場では、分からぬ事】


「それで…………最後に貴女を母と懐いている私を食べた時、どんな味がしましたか?」

【銀狼は妖怪の中でも実に賢い存在である事は理解して居る。だから選んだのは――――痛みでは無い】
【精神を傷付けて行くという攻撃だ。肉体の傷はどんなに酷くても何時かは癒えるもの】
【だが、言葉で作った其れは――――?冷めた目、優しさのみが欠けた桔梗の瞳が冷たく向けられ、小首を捻った】

641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 03:56:09.92 ID:07dXDc+V0

>>638
「そう、貴方がもう少し早く行動できていれば爺は死ぬ事が無かった…………分かっている筈ですよね
それを私への怒りへと変えて誤魔化しますか?未熟な自分の力を人のせいにして生きる人間は楽しいでしょうね?
――――さて、次はSCARLETさんで誰が死んでしまうのでしょう?それとも、裏切りが出るのでしょうか…………?
ね、どう思いますか。SCARLETの瑛月さん。貴方のせいで、親しい人が居なくなってしまうかもしれませんね――――」

【風が頬を撫で、質の良い毛を靡かせる。反撃の仕草も無いのは余裕の表れか――――届かないと、分かっていたからか】
【姫へ誓えば、僅かに涙が零された。意識は無くとも、慕っていた者の死は理解して居るのだ】
【…………いや、死に様を間近で見なかった事だけが幸運か。そう思う最中】

【妖狐からの“答え”は其れだ。お前にもっと力があれば、お前の決断が早ければ――――責め立てるかのような其れ】
【何よりも質が悪いのは、其れにはまやかしの妖術が含まれて居る事だ。そう、例え実際は異なれども…………本当にそうではないか、と思わせる程の力がある】
【跳ね返せるか否か、それは―――――瑛月次第だ】
 
>>639
【――――此処で、初めて術が使われた。一太刀目。まるで理が妖狐を傷付けられる事を嫌うかのように阻まれて】
【何かに衝突した時とも異なる…………謂わば、一点を超えればまるで腕の筋肉が全て弛緩してしまうかのよう】
【続けて、二太刀目。まるでその神気をも全て食らう龍の如く強い妖気だ。いや、実際に喰らっているのだろう】

【浸食、の表現が一番相応しい。楽しそうに嗤う少女の双眸は紅く染まり――――神気を辿り、着実に妖気は佳乃へと迫り行く】
【その全てが人間の体内に入れば、何が起きるか分かったものでは無い。人が人で無くなるかも知れないし、そもそも耐えきれずに崩壊するかも知れない】
【――――が。例え佳乃の目前まで迫ったとしても其れは止まる。いや、“止める”のだ】
【ただ遊びで脅したとでも言うのだろう。余りにも巫山戯て――――佳乃の正確を理解した上での行動だ】


「――――楽しそうだから、殺す。一度殺されたから、全てを壊す。何も無く無ければ…………それはそれで楽しそうですよね
成す為では無く、壊し尽くす為だけにこの力を使うのですよ」

【佳乃とはまた異なる人物。解して――――微笑みで返した。余りにもな内容だ】
【そして、現に其れを行えるだけの力を得てしまったのだから尚酷い。何を返そうとも――――コレが、最後】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 03:57:52.95 ID:07dXDc+V0
>>ALL
「私を九尾と同じ様に見ていたなら――――――――残念、ですね?
その気になればこのお城の方々も直ぐに殺せてしまいますし…………あの程度の結界で閉じ込められる筈も無い、と言う事は…………分かっている人だって居るのではないですか?」

【不意打ちをされた、にも関わらずだ。其処には髪の毛の一本も落ちていない】
【城に居た者達も全て簡単に殺せたとは嘘では無いのだろう。では、何故殺さずに態々こんな面倒な事をしたのか】
【答えは至ってシンプル。楽しそうだから、の他には無い。姫を殺して全ての妖怪を解放したところで自分に従わねば殺すだけ】
【――――いや、そんな事を言ったら全ての妖怪を殺す事になるかと嗤って】

【妖怪の枠を超えた存在。遊びにしては持ちすぎた力】
【外見こそ、ただの少女なのだけれど。その内に渦巻くのは櫻の壊滅を願う――――何とも何とも暗い感情だ】


「爺も死んでしまって、九尾もじっくりじっくりと消えて…………私の邪魔な人達は貴方方を除いてみーんな居なくなっちゃいました
此処で全部終わらせてしまってもつまらないですから――――また今度、会いましょう
次に会う頃はきっと、“あちら側”の入口とも繋げられるはずですから…………ね?」

【口角を僅かに上げたならば上品な笑み。こんな状況でさえ無ければ、可愛げのある無垢な少女に見えたであろうに】
【“あちら側”とは果たして何処を指しているのか。明言する事も無く、背を向けて歩き出せば】
【指先が撫でるのは虚空。其れより先に見える光景は…………正に異次元、か】
【上も下も右も左も無い様な世界。正に、暗闇の表現がピッタリで】
【臆する事も無くその中へと入って行けば――――所謂空間の裂け目は閉じて消えてしまい】
【あれ程まで大きかった妖気も同時に失せたのだから…………本当に、彼女はこの場を去ったという判断材料には十分】


【それから先。異常を察知した者達が駆けつければ領主や姫、家来の者達が倒れている所を発見し、同時に爺の骸も見つける事となる】
【――――勿論、一行が疑われる可能性は微塵も無かった。何しろ、皆のために命を賭してまで九尾に立ち向かったことは全員が知っているからだ】


【それから先の経緯を話すならば。負傷した者達は領主代行の命の下に櫻でも有名な治療処へと運ばれる事になるが】
【強制では無く、断る者が居るならば無理には止める事も無い。代わりとして、治療の費用として渡させる金はあまりにも過ぎた額だが】
【――――身体を張り、命を賭けたのだ。其処を貰う権利は十分な程にある】

【兎にも角にも、斯くして今日の依頼は完全な終わりを迎える事となる】
【本物の姫は命に別状も無く、封魔城はこれまで通り妖怪を封印する場として残るのだろう】
【其れまでの経緯、どの様に思おうとも、その結果は変わり無い】
【…………最後に言い残した入口とは何か。其れは何時の日か、嫌でも分かる時が来るのか】

/これにて本日のイベントの方を終了させて頂きたいと思います!
/時間も時間故、最後の反応はあっても無くても大丈夫でありますっ
/改めてのご挨拶は舞台裏の方で!この時間までのお付き合い、本当に有り難う御座いましたっ!
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2014/05/06(火) 04:18:45.17 ID:+setm9c2o
>>641

【背後から彼を嘲笑うかのような言葉が飛ぶ。彼の中に沸き立つマイナスの感情をより増幅させんとばかりに煽る姿は邪悪の化身にも見える】
【放たれる言葉に、瑛月は一言、視線を向けること無く返した。言葉は兎に角簡潔に、そして静かに。しかし命を懸ける覚悟と意志の強さを込めて―――】

……―――仇討ちだ。―――……貴様は俺が[ピーーー]

【抜身の刃を思わせる鋭い殺意は、妖狐へと視線を向ける必要も無く伝わる。心を揺さぶる妖術など例え桔梗がかけたとしても、一切瑛月の意志が揺らぐことは無く】
【中邑瑛月という一人の男が持つ芯の強さを感じさせる一言が、今の其れだと言えた。濡羽色の瞳は、本物の姫が零した涙を辿る】
【忌々しい桔梗の声にももう反応を見せず、妖狐が姿を消すまでずっと、涙の跡を見つめていた】

/途中参加でご迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした!
/楽しませて貰いました、どうもありがとうございましたそしてお疲れ様でしたー!
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/06(火) 04:23:11.91 ID:t5FDhRqro
>>640-642

……勘違いするなよ桔梗。お前はちと人間に毒されすぎておるな
儂らは……獣は生きるために他の生を喰らうのだ

単純に美味いからと肉を食い、あまつさえ調理などする感覚とはわけが違う
命≠サのものを頂くのだ……元はただの狐だろうに、それも忘れたか?
色呆けもここまで来ると哀れだのう空狐や。何時かお主も喰ろうてやりたいが……

……生憎と儂にも好みは在る。心根の腐った者の肉は、どれほど新鮮でも不味い
貴様の肉などはきっと馬糞よりも酷い味がするのだろうな

あぁ……今思えばちゆりの肉を食らった時と同じ思いだよ
優しい私の娘は……天鬼桔梗の肉はその点じつに美味かった≠ニも。
断言してやろうではないか、悪しき狐よ……!

【肉体についた傷はいずれ癒える。しかし心に負った傷はそうそう元には戻らない】
【桔梗がそこを突いたのだとしたら――銀狼の笑みは、一体何だ】

【これは逆説的な言い回しだけれども、肉体はどれほど鍛えても限界が存在する】
【それに対して心とは人の持ちようによってどれほどにでも形を変え、その強靭さは増してゆく】
【時としてそれが殻に篭もることに繋がるものも居るが、銀狼は既に傷を覆っていたというわけだ】

【睨む瞳にニヤリと『してやったり』なんて表情を付け加えれば、それが見送りの顔】
【空間の裂け目から覗く暗黒も、彼女の陰謀も銀狼には関係がない】
【ただ娘と呼んだ少女を取り戻す。そのための覚悟は、ひょっとすると誰よりも強いものかも知れず】

(…――あの九尾、悪狐は殺せたものをわざわざ封印させておったな
 果たして本当に戯れだったのか……その裏に何か意味が在ったのではないか?

 儂らをからかうため、じわりと己の優しさを殺すため……?
 ……違うように思えるぞ、この銀狼には。それにあの声、あの味……
 皮肉なことよな。言われて気付いたわ、あの九尾の正体というものに。)

大丈夫じゃ……儂も、首飾りもついておる。全てが通じずとも側に居るぞ、桔梗
それ故にもうしばしだけ耐えてくれよ…――儂は強くなって戻ってくる。

/イベント思いっきり楽しませていただきました!有難うございましたー!
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 04:40:35.78 ID:72nnJqf+o
>>637

(…………っち、んな事はわーってるよ……)

【声にはしないままされど納得はしていた】
【空間干渉ならまだしも先に見せたあれは空間支配だ、単語の違いは僅かでも本質は違う】
【元からある世界を崩すなどという埒外は、人の手によって始末出来るものではない】

でも、それなら倒したかたを学ぶさ
アイツが神に等しいならその殺し方を知ればいい、今までだってそうしてきたんだ

…………ああ、でもクソ……

【口では幾らでも言える】
【力の無い赤子のように喚くだけだ、強くあろうとしたのになんて情けない】
【絞りだすような声は後悔と未練と誰にも聞こえないような嗚咽】

【それが土台になるには未だ掛かるのだろう】


>>640

……くっ……――――――――

【児戯に等しい、とはこの事なのだろう】
【渾身の矢もまるで冗談のように受け止められそして返された】
【こちらの努力など微塵の意味も無いと耳元でささやかれるような、宣言】

【でも何よりも痛かったのは、中身の無さを指摘された事】
【疼くのは心の臓と自分の瞳……嘲笑うのは紫白の所有者】
【「銀」はもはや敵は遠いと判断したのかその威光を潜め自らあるべき場所へと還る】

「例外」め……

【常識の外に在る物を示す言葉】
【この世界に居るならば理に縛られて生きるのが常であるというのに、その「例外」だけには理は適用されない】
【目の前に一部広がる虚空に示す通り、かの「例外」は次元が違う】

……――――――それでも、それでも必ず始末してやるから首を洗って待っていろ

【だけど敵わないとそこで諦めてしまっては今まで積み上げた物が全て意味を失ってしまう】
【空っぽがどれほど恐ろしい物か識っているから、それだけはこの命に賭けても守らなければいけない】
【この身は元より誰かの為にある筈の写身なのだから】


――――――――あ……っと

【「あちら側」という単語の意味する所は分からないが良い事でないのは確かだろう】
【――――――そこでふと、いや漸く緊張の糸が緩んだのか、ぺたんと地面に倒れる】
【恐らくは戦闘の反動だろう、と……深淵の空を見上げる、つう……と流れたのは涙】

(情けない……でも、もう戦いは始まってる)

【今は身体を起こす力も出せない】
【それでも頭脳は動くのだから憎らしい……人間というのはどこまでも生き汚く出来ている】
【暫くは身体を癒す事に注力しよう、その後は……この地で成すべきを成そう……と、未だ昏い月へ呟くのだった】

/お疲れ様でした!
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/06(火) 05:21:54.44 ID:cCQVpz3wo
>> 640 >>641 >>642

『――――そう。あなたはまるで、物を知らぬ子供のよう…………その身に余る力は、いずれ自身を滅ぼしますよ』

【佳乃の中にいる彼女=\―――顕れたのはいつだったか。薙刀が振り切られ、奥義が発動した直後のことだった筈だ】
【これが本物の佳乃であれば……全霊の力も想いも、全てを理不尽に食らい尽くす絶対的な力を前に、口汚い罵声の一つでも上げたかもしれなかったが】
【不可思議な力で弛緩させられた腕に瞬時、神気が迸る。力の流動は繊細かつ効率的、一分の無駄もなく必要量の神気のみを余すところなく集約して】
【治癒の力で腕に活力を叩き込んだなら、彼女は決して動揺することなく薙刀を退くだろうか。告げられる言葉は無感情で、しかし少しだけ冷たい】

【同時に神気を侵食して妖気が迫ってくるも、対応は同様であるだろう。彼女は決して動じることなく――――】
【川の流れでも眺めるように、泰然と妖気を見据える。桔梗が本気で佳乃を侵す気がない事に気づいていたのかもしれない】
【――――必要以上の力を決して使わない、不干渉の態度。周囲を包むどこか暖かな威厳だけが、その正体へ近付く唯一の手がかりだった】


…………ッ!? わ、私は――――天限さま、どうして…………っ!!

【そうして桔梗との一合が終わると、彼女は……いや、佳乃は急にぺたんと地面へ座り込む。我に返って立ち上がろうとするが、体に力が入らない】
【その雰囲気はあの神威≠ヌころか、神聖さの欠片すら感じられないだろう。焦燥に駆られるかのような表情は年相応の少女にしか見えず】
【……体に力が入らず、神気が使えない。この事実がどういう意味かを理解したとき、少女の胸中へ突き刺さるのは最高の屈辱であった】
【自分は桔梗に成す術もなく弄ばれ、挙げ句彼女≠ノ――――佳乃が『天限さま』と呼んだ彼女に庇護されたのだ】

このっ、ふざけるのも大概に…………! 待ちなさいッ!! あなただけは………私が、私が―――――――――ッ!!

【もし今の佳乃に力があれば、すかさず桔梗へ切り掛かっていっただろう。だが彼女が佳乃の力を奪い去り、その無謀を強引に押し留めた】
【実際、去り際に桔梗の残す挑発的な言葉に簡単に我を失って、佳乃は必死で食い下がろうとする。それは紛れもなく蛮勇であり、若輩故の愚見】
【――――私が、斬り捨てる。あれだけ絶対的な強さを持つ桔梗相手にそんなこと、出来るわけがない。佳乃は神の力を扱うだけで、神ではないのだから】
【結局……その場には、手酷くプライドを叩き折られた無様な少女だけが残される。八つ当たりに暴れ回るだけの体力すら、優しく拭い去られた後で――――】


【――――桔梗にあれだけしてやられておいて、今更残った城の面々を疑う気には流石の佳乃もなれなかった】
【後日。佳乃は領主の計らいをはねつけることもなく、好意に甘えて大人しく治療を受け、提示される報酬も黙って受け取るだろうか】
【……それは最低の精神状態ゆえに「拒絶するのも億劫だった」というだけで、依頼完了から暫くは最高に不機嫌なままだったというのは容易に想像できよう】
【複雑に捻れた乙女心がひとまず元通りになるまでに、佳乃の担当医が被った心労は……彼の名誉のため、想像を絶するものだったとだけ付け加えておく】

【何はともあれ――――完膚無きまでに叩きのめされ、目の前で無辜の人間を蹂躙され。佳乃が桔梗にリベンジを誓ったのは言うまでもないが】
【それに加えてもう一つ。桔梗を追うための新たな理由とその覚悟を、お見舞いにやってきた幼馴染を追い返しながら、幸徳井佳乃は心中に刻むのだった】


(あんな女を――――――もうあいつに関わらせちゃいけない。
 また、恨まれることになるかも知れないけれど………天鬼桔梗。あの女だけは、やっぱり私が――――)


/主催者様&皆様、ありがとうございましたー!
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 10:20:20.27 ID:MTOGHLuho
>>640

「……私の術を"砂遊び"だと?貴様……私をどこまで愚弄するつもりなのだ!」


【己の放った術、それも即座に発動できる範囲では強力な部類の其れを】
【腕の一薙ぎで無力化され、剰え手慰みのような手軽さで再構築され放り投げられる】

【シーナは、金剛石の剣を持ったゴーレムを操作、横合いから砂の板に向けて放り投げさせ】
【中空で二つを衝突させることで、明後日の方向に弾き飛ばさせることに成功した】


「シーナ様への口の利き方を教育してやるといったのだ!」
「今に見ておれよ魑魅魍魎!次会うときは貴様を泣くまで叩き伏せて」
「砂遊びなどと侮辱したことを地獄で後悔させてやるわ!」


【歯をギリっと噛み締めながら、地団駄を踏みシーナは憤怒の感情を顕にする】
【内心の恐怖や微かに宿った絶望を打ち消す意味も込めて】
【敵わないと、天鬼からしてシーナの遊びが子供の戯れに過ぎない程度と認めてしまえば】
【その時はきっと立ち向かう心が折れてしまう】
【それを意識してか、それとも無意識的にか。怒り以上に自己防衛の色が強かった】

【まもなくして空間の裂け目は閉ざされ】
【シーナは武具を回収し、馬のようなゴーレムを生成すると】
【必要以上に留まること無くその場を後にしていく】


(まだ力が足りぬというのか……)
(これだけ戦って、強くなっても英雄の座はこんなにも遠い……!)


【だがそこに、当初あった何物をも恐れないといった強気の様子はなく】
【悔しげに顔を俯かせ、苛立たしさに身を焦がしながらも】
【今宵の戦――完膚なきまでの"敗戦"を、心に刻みながらシーナは去っていった】


/お疲れ様でしたー!
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/06(火) 11:46:13.36 ID:mQx2b6MWo
【魔海近くの泉のほとり――人里離れたその場所に、邪悪な気配があった】

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった、脚を組んで地面に座っている】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】
【また、執事のような格好をして眼がレンズな二足歩行のコウモリが、その者の隣に立って居る】

「ククク……さァっさと入れよ」

【その者が誘導しているのはどこかのサラリーマンで、躊躇しながらも踏み込もうとしていて……やつれた顔で素足なのが印象的か】
【誘導先は、空中に縦向きで立っている魔法陣。その続く先がどこなのかはわからないが】
【漏れだす空気の混沌としたそれは、少なくともまともな場所に繋がっていないであろうことを暗に示していた】

【その魔法陣の中に入るとどうなってしまうのだろうか、――そして何をもてなすつもりなのだろうか】
【それらがわかった時、――被害者の状態が無事である保障は、どこにもない。】

「入らねェーなら、先に死ィ刑囚共入ィれちまうぞ」

【――そう言えば、最近どこかの都市で大規模な脱獄があったそうで、奇妙なのは脱獄犯が一人も見つかっておらず捕まってもいないということ】
【そして、近くの茂みから出てきた囚人服の者共は、明らかに――顔も、体型も、間違いなく脱獄犯のモノ】
【サラリーマンと違って脱獄犯たちはとてもスムーズに魔法陣の中にへと入っていく、――】


---------------------------------

【公園】

「うーん、……こんなかんじでいいかなぁ……」

【ベンチに座っているのは、サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

【ベンチの脇には、市販のものでないクッキーの入った紙袋。そこから一つクッキーを取り出せば、彼はかじる】

「ぼくがよくても……だしね…………そう言えば、ナイフのちょうしなおったかな」

【かじった後にポケットから取り出されるのは、黒曜石のようで違う未知の素材で出来た折りたたみ式ナイフだ】
【それを開くも、ネジが緩んでいるのか何なのか。刃が異常に不安定で、少し振ればぷらぷらと揺れる状況だ】

【――ナイフを持っているのも危なっかしいし、クッキーの美味しい匂いは辺りに漂っている。誰がが釣られて来る事もあるだろうし、あるいは――】
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 16:44:31.12 ID:07dXDc+V0
【翁の死の悲しみに包まれる封魔城。見つかったのは、彼の首のみ】
【其れより下はどうしても見つからず――――いや、空間自体が破壊されたのだ。見つかる筈も無い、か】
【その日は妖怪の葬儀というには余りに大きな式が開かれることとなった】

【櫻の国のみならず、他国からも。そして人間も妖怪も関係無く訪れて居たとなれば彼の好かれ具合も理解出来るというもの】
【彼の死を理解し、目を潤ませながらも涙を零さぬ姫は、泣けばそれだけ爺も悲しむと理解してか】
【――――いや、瑛月から向けられたあの言葉が支えとなっているのだろう。そうだ、無駄死に何かでは無いのだ】
【彼は命を賭してくれたのだ、と。その事に気付かせてくれた瑛月には礼を言えずに終わってしまったけど。それでも、彼の姫は凛々しく振る舞っていた、との話は新聞等々で取り上げられるか】


【そして、葬式の行われるその城の天守閣。二振りの刀を腰に提げた少女が見下ろしていて】
【とは言え、式を見ている訳では無い。もっと別な場所――――九尾の封じられた洞を見つめて居たのだ】
【鋭い銀色の髪はまるで刃物の様。知る者がその姿を見れば、刀の九十九である童守…………その名が浮かぶか】


「エルフェスも銀狼も居ったのかや…………助太刀、しておきたかったがの
生憎九尾の命を潰えるのを今か今かと待っている妖怪達も居ったのでな、そうも行かず
――――ったく、最後の最後まで狸爺じゃの。確かに洞の中に入れれば安全ではあるが…………同時に抗えるだけの力も無ければ危険だというのに
ほれ、桔梗。さっさと出て来ないか。時はそう長く残されて居らんぞ……?」

【ちゆりから九十九へと与えられた任は、九尾が弱まった処に襲いかかって来るであろう妖怪を打ち払うこと】
【同時に、便乗して城下町等を荒らす者達を叩き伏せる事であった。溜息を吐いたならば銀の双眸はじっと洞へと向けられて】
【彼女が何時の日か洞の封印を破る事を思い、その場でただ見下ろしているのだろう】


650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga !red_res]:2014/05/06(火) 16:44:39.33 ID:07dXDc+V0
【――――洞の中。手足を鎖に繋がれた少女が其処に居て】
【狐の尾と耳。破れた巫女装束は、彼女もまた桔梗と呼ばれる少女である事を示しており】
【虚ろな目、何も話さず何も語らずではあったが。その手に持った首飾りだけは大切に握りしめているのだろう】
【滴り落ちる血液を止める術も無く、ジワリジワリと己を消そうとする退魔の痛みに耐える事しか出来ない日々】
【――…………本当にそうであろうか?洞の内部に溜まる始めるのは多くの“神気”だ】
【ゆっくりとではあるが、確実に膨れあがりつつある気配。封魔城でまた別な何かが起こるであろう日は、そう遠くも無いのだろう】


【城下町の中。九尾の様に強大では無いにしても、多くの妖怪達が攻め込んできたその場所】
【守りきったのは陰陽師達と先の九十九――――そして、桔梗の姉とされる人物か。額に角を生やし、強い妖気を纏う姿は巫女とは掛け離れて居るが】
【確かに、ちゆりで間違いは無く。妖怪達の骸に一瞥をする事もせずにその視線は暗い空へと向けられた】
【もう一人の桔梗が何をしようとしているのか感じ取ったのか。一休みなんて悠長な事は言って居られない】
【領主や姫からの礼も、剰え共に戦った者達からの言葉を受ける間も無く巫女は姿を消す事となる】



「――――そろそろ終わりですね。これで漸く地獄を現世に作り出せる、と言った所でしょうか
全てを壊し、全てを殺し…………全部。終わらせましょう」

『――――……楽しそうね、桔梗。とってもとっても楽しそうだわ。言った通りね?みんなが殺しに来るって。言った通りね、皆に恨まれるって』

【暗い闇の奥深く。次元の向こう側に見える炎を眺めるのは一人の巫女。彼女の言う地獄、か――――?】
【悪趣味な事に永遠と焼かれ苦しんでいる者達を見て楽しむかの様で、其処には何百匹もの妖怪も居る。コレが解き放たれるとなれば、正に地獄絵図ではあるが】
【――――そんな少女の元を訪れたのは一匹の悪魔だ。紅いドレスを纏い、金色の髪。ある意味では、事の発端を引き起こした人物でもあって】


「ええ、アリス。コレで良いのですよ。どうせ皆さんを殺してしまうのですから…………少しでも抵抗があった方が、楽しいと思いませんか?
これから先、もっともっと面白い事が起きますから――――楽しみにしていて下さいね」

【二つの邪悪な気配。其れより一歩後ろに立つのは、本を手にした小さな人物で】
【これから先に何が起きるかは分からないけれど。櫻の国にとって喜ばしくない事は確か、か――――】


/これをイベントの〆にしたいと思います。改めて、お付き合いして頂けた皆様への感謝をばっ!
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/06(火) 23:09:40.12 ID:07dXDc+V0
【森の中に存在する――しん、と静まりかえる朽ちた館】
【嘗ては賑わっていたので在ろう其処も今となっては実に寂しいもので、ただただ時に任せて風化していくだけ】
【――――の、筈だったのだけど。月も顔を見せない今宵、此処に二つの足音】
【佇まいに誘われてか其れとも戯れに入ってみたのかは分からないけれど、重々しい館の扉を開いたならば先ず目に映るのは】
【古めかしくも豪華な内装と…………二つの影、だろうか】


「何も見えず。何も求めず。朽ちて。消えて。名残すらも。やがては失せる」

『――――主様。そろそろ帰らねば皆が心配するかと思いますが』

「誘い。誘い。残るは闇。其れも無に飲まれ。尽きる蝋燭。未だ戻らぬ小鳥」

【一人は黒のドレスを纏った少女――――か。歳にすれば恐らくは十代の後半】
【暗がりの中でも目立つのは銀の髪。清んだ声で紡がれる其れは詠唱の様で、其れでも何かが起きる訳でも無くて】
【もう一つの存在はこれまた黒のローブを纏っており。フードを被っている故に顔は分からないが】
【声の質と身体の起伏からして女、か】

【主と呼ぶ少女に対して言葉を掛けても、ハッキリとした答えが返ってこないのだから悩み所だが】
【言葉を掛けた当の本人は大して気にした様子も無いのだから、何時もそうなのだろうと容易に連想させる】
【もし、誰かが扉を開けたならば。少女の深い蒼色の双眸が向けられる筈で】


「紡ぐ唄。忘却の詩。何れ人は思い出す。祖の過ち
満ちる。時は終わりに近づく。時計はまた零を指す」

【支離滅裂な言葉。その声でアリアでも紡げば美しい音色となったのかもしれないが、生憎訳の分からない言葉しか並べられないのが現状】
【無視して館の探索に移ったって構わないのだが――――明らかに異質な二人組を尻目に奥へと行ける者は、果たしてどれ程居るのか】







【未だ多くの人々で賑わう繁華街。酒に酔った者や様々な店の客引きの姿だって珍しくは無く】
【だからこそ、自警団の腕章を付けた者達も見回りをして居るのだけれど】

【さて、そんな場所に似付かわしくない姿が一つ】
【一切の乱れなく纏った軍服に、制帽。片目は眼帯で覆われ居て、藍色の髪――――と、そんな少女だ】
【外見からして如何にも堅物そうな其れであるが、特筆すべきはその自警団の腕章に付けられたバッヂか】
【“SCARLET”所属である事を示す物。なれば、この少女は見た目にそぐわず確かな実力を秘めていると考えても間違いはなさそうだが】


「最近はちゆ姉の様子も何だかおかしいでありますし…………グリース殿も相変わらずでありますから…………
むぅ、色々と忙しいでありますよー…………」

【そんな愚痴を零したならば、適当に視線を巡らせて】
【やがて止まるのは、一つのドーナツ屋だ。こんなナリでもやはり少女。自然と其れに目を奪われてしまうのは仕方のない事――――か】
【暫しの間迷った様な素振りを見せていたけれど、結局は其方の方向へと足が誘われてしまって】

【座るのは、外に備え付けられたテーブルだ。美味しいと評判のこの店は昼夜問わず賑わっており、座席が余って居る方が珍しい程】
【少女に興味を抱いたとしても、買ったドーナツを食べるためにしても。必然的に相席となる事は間違い無いであろうし】
【もし、少女の向かいに座ったならば。きょとん、とした表情で小首を傾げるのだが】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/06(火) 23:21:18.18 ID:t5FDhRqro
【日付をまで一時間を切った夜の公園、そのベンチ】

【昼も夜もそんな場所にいるのは大概暇人だ。恐らく今いる者もそうなのだろう】
【その手には新聞――『”清貧なる教会”の闇』、『九尾の獣封ぜられる』】
【他にいくつかの見出しがあるが今朝の物だ。彼女はのんびりと記事を眺めていて】

物騒だよなァ、ここンとこ……ま、今に限ったことじゃねーけど
UTの連中も何となく忙しねーし……やっぱ入らなくて正解だったなありゃ

つっても入った所で走れないんじゃ文字通り足手まといか……
……チッ、冷えてきたな…。こんなモン読んでねーで帰るかな

【――そう、『彼女』だ。バサリと新聞をおろして畳み横に放ると見える顔は女性の物】
【赤髪に勝ち気そうな表情――これだけで性格は何となく掴めそうなものであり】

【格好はといえば意外とカジュアル。裾長のトレンチコートに、下は白のニットという具合】
【もっとも一番目を引くのは彼女自身よりも、その側に出現する黒い鎧の人型≠セろう】
【流線型のフォルムをしたそれはふわりと浮いていて、大きな拳で新聞を掴むと】
【ぎゅっとそれを捻り、ゴミ箱へ放る。見事にシュートを決めると、女性はそれを見届けて立ち上がり】

【恐らく、そのまま帰るつもりなのだろうが――ふと立ち止まって、周りに黄土の瞳を向けたりもして】
【公園で新聞を読んだ後は夜の散歩ということらしい。なんとも、気楽な人間らしかった】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/06(火) 23:53:27.26 ID:q6pS2wFoo
>>652

【新聞を放ったゴミ箱の方でガサゴソと音がした】
【もし振り返れば、先ほどの新聞の捩りが無理やり戻されて、何者かの手によって開かれている】
【生憎、それが何者かはそいつが開いて読んでいる新聞が邪魔で分からない】
【背は高く、スーツと思われる地のトラウザーズと高級そうな黒い革靴の脚は確認できる】
【それと、風向きによっては新聞を持つ指の間に挟んであるタバコの煙の匂いを嗅ぎ取ることが出来るだろう】

……んだよ、やったら固く捻じりやがって……クソ、印刷擦れて読めないじゃんか

【しゃがれた声で小さくボヤいてページをめくる。目的のページがあるのか読むスピードは早い】
【ゴミ箱の横で、拾った新聞をジィーっと読みふけってしばらくした後、そいつは畳んで捻じり、同じようにゴミ箱に押し込んだ】

【ツバの寄れたハットを被った三つボタンのスーツの男。シャツは黒地に白ボタン。ネクタイはしていない】
【夜でも掛けたままのサングラスはダークグリーンのレンズで縁にブランド名が刻まれた少し古いタイプのもの】
【どう見てもビジネスマンではないがチンピラというほどでもなく、ホストと呼ぶには如何せん華がない】

【指に挟んだ煙草を口元に持って行き、先を赤く灯してふぅ、と長く細く。真上に向かって吐き出した】
【今度は下を向いては所在無いような仕草で顎を掻き、片手をポケットに突っ込んで、大股にゆっくりと歩き出したところで】
【正面の人物と目が合うことになる。尤も、彼の目はサングラスによってどこに向いているかは阻まれているが】
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 00:08:13.77 ID:MhHP/bhDo
>>653

……あー、っと……、…よう、一つ聞きたいんだが
街灯が在るとはいえ、サングラスしてて前……見えんのか?

いやさァ、俺の知り合いにもいっつもサングラスしてる奴が居て……
まあソイツはそうしてる理由が在るんだが……アンタもその口か?
……別に答えなくてもイイんだけどよォ…気になったんだ、ただそれだけ。

【―――なんていうのが、目が合ってから女性が口にした言葉の全てだ】
【サングラスを掛ける理由――というより、夜でも前は見えるのかというくだらない質問だった】

【もう少しさかのぼって描写するなら、まず女性は彼の存在には気付いていた】
【新聞を拾って読み直すくらい別にどうとも思わないし、まあそれはいい】
【何となくそちらに目が向いたのも自然な事――とはいえ、やはり目が合うと気不味いもので】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 00:41:19.93 ID:da23VXN9o
>>654

【煙草を右手の中指と人差し指で挟んだまま、口元でキープさせたまま】
【機能が停止したかのように男は沈黙していた。質問への返しを考えているのか】
【そんなことを訊かれて戸惑っているのか。それよりも反応の鈍いやつなのか、はたまた疑っているのか】
【十分すぎるほど三十秒をたっぷり溜めた後、男は口を開く】

見えなくは無い。昼間にかけるもんなんだから、昼のほうが見やすいに決まってる…


【しゃがれた声でそれだけ言って、また一服。……なんとも言いがたいむず痒い沈黙が両者の間に降りる】
【また、たっぷりと煙を吐き出した後、また沈黙を無視するように急に口を開いて】

ソイツも、こう言ってなかったか?『見え過ぎちまうよりも、見えないほうがマシだ』って…
もし、単に手配犯だから顔を隠してるなんて言ってたら…『三つ数えろ』でも見せた方がいい
いや…『汚れた顔の天使』の方がいいかな……

【手振りを加えて、口元を軽く笑わせながらジョークじみた口調でそう言い返す】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 01:13:43.66 ID:MhHP/bhDo
>>655

……あ、あぁそりゃまあ……ごもっともな答えだな。
てっきりアンタが未来から来たキリングマシーンかなんかで
それを隠そうとしてかけてるのかと思ったぜ。……、………………、……。

【『やべェ』という小さな呟きが聞こえるかどうか――重い沈黙だ】
【純粋な疑問だったのは確かなのだが、まさかこうなるとは、なんて感じだろうか】

【勝ち気な表情はそのままだったが、風が吹く以外に音もなくて】
【このままそっぽ向いて帰ってやろうかなんて思った頃、その沈黙が声で消える】
【そして語られる内容は少々興味をそそる物だった。だからか、彼女も口を開き】

さあ、どうだったか……でもアンタとあいつはよく似てる気がするぜ
古い西部劇を引き合いに出す所とか、そのヘラヘラした喋り方とかな?

……それで、アンタはなんでこんな時間に見えづらいのを承知でサングラスなんか?
『三つ数えろ』や『汚れた顔の天使』を見せるべき理由でもある、とか。
別にそうだったとしても、あいにくと私も正義≠チて柄じゃあ無い……何もしねーけどよォ
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 01:43:48.87 ID:da23VXN9o
>>656

夜中に勝手に出歩くようなマシンは優秀とは思えないぜ
人間離れした無機質な感じがするからロボットが不気味に見えるってもんさ

【上着のポケットから取り出した小さい筒状の携帯灰皿に吸い殻を入れて仕舞う】
【灰が指先についたのか少しの間、何回かソレを擦り合わせて気にしていた】

……そいつは驚きだ。生き別れた兄弟かもな。
ところでソイツはこんな目をしてたか?

【男はサングラスのフレームを片手で掴んで外した。二重だとかそういうところは置いといて】
【特徴的な白眼が綺麗に赤色でそこにくっきりと黒い瞳がある。名刺代わりと言わんばかりの唯一無二のもので】

…いつまで俺にこんな三文芝居やらせるんだよ…ったく
それに、その映画はサスペンスだ。両方にボガードは出てるけど、『天使』の主演はジェームズキャグニー…
確かに『天使』ギャング映画だけど大いなる眠りはフィリップ・マーロウの――――

【両手をポケットにつっこんで、目を泳がせたまま放っておけば映画の話をつらつらと話しだすだろう】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 02:05:50.02 ID:MhHP/bhDo
>>657

それもまたごもっとも、正論ばかりでまさに機械って感じだぜ
ついでに真面目くさった顔して喋ってくれりゃ一流俳優の仲間入りってトコだ
少なくとも目のメイクは必要ないワケだ……だろ、ロッソ?

【小さく笑いながら肩を竦めて両手を上げる。『はいはい降参』なんてジェスチャーだ】
【闇夜でも赤が目立つ瞳を見据えるこちらの――ベイゼの瞳も変わりなく黄土】

【強いて言えば格好が違った。以前言われた様な、少しカジュアルな物になっていたが】

おいおい、三文芝居は私のせいかよ。テメェで勝手に打ったんだろ
大体、夜中にサングラスした妙なやつなんてお前くらいだぜ?

……あぁ、分かったわかった。その内、ご丁寧な解説付きで
おすすめの映画を片っ端から見せてくれるって約束だな?
ちゃんと忘れないで覚えておくっての、これでもアタマは良い方だからな

ンなことより、だ……ここは野外劇場もない公園だぞ
草木も眠っちまう時間の風景より、もうちょっと見てて楽しいものが目の前にあるだろ?

【――ーと、ちょっとした皮肉と自己主張が強いのも相変わらずで】
【それでも何処かで再開を喜ぶ気持ちは有るらしい、笑みには嫌味なものが端も見えず】
【先ほどまで座っていたベンチに手をかけ体重を預けて『久しぶりじゃねェか』と声を続けた】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 03:05:53.01 ID:da23VXN9o
>>658

ビジネスマンを演じるのとなりすますのはワケが違うんだ。俺はムービースターになるより
金庫室に入るほうが向いてるね…ソッチのほうが訳無い

……そっちが、変に余所余所しいから顔でも忘れっちまったかと思ったさ
それか芝居口調が移るほど映画を見る暇があったのかともな
まあ…いい……まあ………サングラスに関しては…何も言えないか

【サングラスをかけ直して、なんとも座りの悪そうに口をもごつかせたが】
【そのなにか言い出しかけた文句は言い出す前に気化して消えてしまった】

俺と見ると内容が入ってこないって…前に言われたことがあるから気をつけろよ
……どの辺りが悪いのかは……未だにわからないから説明は出来ん

【映画の説明を延々とするため集中できないのはもう想像できてしまっているかもしれないが】
【深夜からか明け方にかけて次々と止めどなく見ていくという寝不足必死のサバイバルリバイバル上映会なのである】
【喋ったり黙ったりという映画とこの男の2つのペースに付き合わなければいけないため面倒くさいことこの上ないはずだ】
【この流れだと『名優ボガードマラソン』が敢行されることだろうが…まあ、それは別の機会】

…お前を見ていたら時間を忘れるよ。なんてストレートに甘い言葉?
それともハロウ、今日はシックな服装で君の赤い髪がとても映えているね…なんて方が良いのか?

【ニヤついた顔を浮かべたまま、彼もまた、ベンチに腰を掛けた】

…元気だった?俺はまあ……それなりに
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 03:31:31.84 ID:MhHP/bhDo
>>659

まさか。人間、自分がやった恥ずかしいことってのは大概覚えてるだろ
その時目の前に居たサングラス男を忘れるってのは、空から星を消すくらい難しいぜ?

【にぃ、と笑ってみせる姿は、間違いなく相手をおちょくるソレだ】
【随分と楽しそうでもあるのは――元来の性格もあるだろうし、他もだろうか】
【ともあれベンチに向かうのだが、駆けない辺り傷はそのままらしく】

別に良いよ、晩から朝まででも付きあわせてもらおうじゃねーか
どうせUTの……いや、居酒屋の用事が終わってからだからな
酒が入った後に映画が見れるんだ、内容なんて全部覚えてやるよ

……それと、言葉遊びも悪くねェが俺はストレートな方が良い
前とは違うチョイと渋くて男前な格好が似合ってて好みだ、なんてな?

【瞳を相手のニヤリとした顔に向けて言葉を返す。ただ少しだけ、表情が赤らんだ気もしたが】
【いかんせん此処は深夜の公園、街灯の明かりは十分な役割を達しておらず】

それなり?……それなら良かった。俺は、そうだな……ぼちぼち?
どっかの騎士団の頭ハッてる野郎に火だるまにされて入院したり
うたた寝してるところを正義のガンマンに覗き見されたり……あぁ、こりゃ秘密にする約束だった

……でもまあ、まだ生きてる。色々会っても俺なりにさ

/っと申し訳ない、そろそろ凍結の方をお願いしたく……!
/こちらは明日(今日)なら19時かそこらには来れるかな、と思うのですがどうでしょう?
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 03:52:01.67 ID:da23VXN9o
>>660
/構いませんよー!それではよろしくお願いします
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 03:53:11.82 ID:MhHP/bhDo
>>661
/申し訳ないです、ありがとうございます!それでは、今日の所は失礼しますっ!
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/07(水) 19:44:15.64 ID:y5mfgOfk0
【街中――児童公園】
【ビルの向こう側の地平線に薄らと緑色、夕焼けの残滓の残る空の色合い、夜になったばかりの公園は涼しく風が抜けて】
【子供の喧騒も消えたあとなら、聞こえて来るのはベンチの軋む音と――しゃらりと鈴の音のような、涼しい声色】

いいなあ、行きたいなあ……、セシルと一緒じゃ行けないもん、ひとりじゃないと……。

【ベンチに最大限まで身体を預けた姿勢、見てみればひとつだけ置かれた申し訳程度のベンチ、そこに人影があって】
【時折ふらふらと揺れるつま先の仕草は揺れる猫の尻尾のような、なんにも考えてない、ただの手慰みみたいなもの】
【どうやら何かのチラシを見ているようだった。うずうずとした笑みを湛えているのを思えば、何か楽しいことのようで――】

音々ちゃんも天音ちゃんも“あまいもの!”って感じの子じゃないもん、お酒のほうが好きみたいだし……。
誰か居ないかな……一緒に行ってくれるひと。居なかったら……どうしよう。ひとりで行くの? 怖くないかな……、

【はふうと零れる溜息が渦巻いて、うーんと背もたれに思い切り預ける背中、首をぐうと後ろまで伸ばしてみて】
【夜空の天蓋を見上げる視線は黒色と赤色のオッドアイ。ぱっちりしたのは、なんだか蛇と似ているようだった】

【――鴉より黒い髪は腰の辺りを過ぎる長さ、三つ編みで結わえたハーフアップで、耳元を露出させて】
【そうして見えた耳元には右にだけピアスが付けられていた。宝玉の欠片をあしらったピアス、それからするのは水の気配】
【赤色のブラウスに締めた黒色のリボン、きゅうと腰元を締めるコルセットのついたスカートは、段でフリルをあしらったもの】
【そんなスカートのぎりぎりまで延びた靴下の長さ、端っこを留めるガーターベルトの金具が、時折ちらと覗いたりもして】
【すらっと続いた足元はヒールの高いショートブーツ、けれどふらふら揺れる様は、大人びたというよりも子供じみていて】
【お行儀が悪い様子なのは少女だった。左手の薬指に指輪をしているのがちょっぴりおかしなぐらい、あどけない少女】

お店の感じとか全然分からないし……、表まで行って見てこようかなあ、怒られちゃったりして……、あっ、!

【ぎしりと一際ベンチを鳴らしたそんな瞬間だった。ひるりと吹き抜けた悪戯風、それは彼女の手から散らしをひったくって】
【遠くまで運んで行ってしまう、咄嗟に立ち上がったなら、がたこん!とベンチの悲鳴めいた音、夜の中に響き渡って】
【――それからぱたぱたと拾いに行くのだったけれど、もしかしたら、“そこに居た誰か”のほうが先に拾ってしまうかもしれないし】
【そうしたなら――そのチラシに書かれた文字を読むのは容易いだろう。キュートでポップな字体で書かれたのは、カタカナの数文字】

【“スイーツパラダイス”なんてそんな文字だったから――それと、店内らしき写真がいくらか載ったり、しているもので】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 19:50:32.33 ID:da23VXN9o
>>660

恥ずかしい……?別に大したことはなかったと思うけど…
ハッ! 星に名前をつけるほど初な嬢ちゃんには十分か?

【軽く挑発されたところでただでは引かずにちゃんとルールに則り、軽快に返すのは】
【根っこのところの性格がどこか少年のようで、両者に共通した一面があるからだろう】
【またそんなことも気軽に言える信頼の証でもあった】

ならまあ……やかましいのが居ない時にしてくれよ。リアルにOK牧場の決斗はお断りだ
UTのワイアット・アープは6発じゃ済まないだろうからな

【ベンチに浅く座り、脚を組んで。自分がイメージした映像で苦笑しつつ、そう話す】

俺も、ストレートな方がいい。…そう思う。けど、ただ『綺麗だ』って言うにはキザすぎるし、まだ足りない
でも…余計な言葉を継ぎ足すとダサいし……難しいな。…やっぱりムービースターは向いてない

【ベイゼの方を向いてそう話したらば反対の方、何もない宙に視線を飛ばして】
【顎に手をやって、親指の腹で所在無さそうに撫でながら何かをぼんやりと考えているようだった】
【勿論、表情の変化に気がつくのにサングラスは邪魔だったし、元々それほどの性格でもなかった】

そいつは大変だったな。大丈夫だったか?……勿論、後者の話
……冗談。まあ、無茶なことは………いや、まあ…別に俺がいちいち言うような事でもないか
俺も、色々…まあ、話せば長くなるし話せといわれても上手く説明出来ないからやめとくけど
……生きてるならそれでいいよ。何かが間違ってても、間違っちゃいない……はず


/遅くなりました。本日もよろしくお願いします
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/07(水) 19:57:09.75 ID:rSZJwHh6o
【路地裏】


〜〜〜〜〜♪


【一人の男が道端の木箱に座って下手糞な鼻歌を歌っている】

【綺麗に刈り上げられた側頭部、ツンと縦に伸びた金髪とその髪型は所謂ソフトモヒカン】
【両手の十指のうちいくつかにに填められた趣味の悪いシルバーリング】
【そして野山を舞台に巨大な骸骨が描かれた絵が刺繍されたスカジャン】
【男はまるでチンピラのような風貌だが】

【加えて異様な点が一つ】

【男の右腕からは一本の触手が生えていた】


「ぅ、ぁ………っぁ、…ぁ、ぁ…っ」


【チンピラ男の腕から伸びる触手の先】
【其所には二十代半ば程の女性が触手に首根っこを絡みつかれて宙に吊り下げられていて】

【女はせめてもの抵抗にと体を必死にバタつかせているが】
【触手の締め付けは一層強くなっていく】
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/05/07(水) 20:18:43.53 ID:Or4OwDP+o
>>665
【調子っぱずれな男の鼻歌に割り込むように、重々しい足音が響いてくる】
【吊り上げられた女の声は聞こえているだろうに、そのリズムに乱れはない】
【近づいてくるにつれて、細い呼吸音も同時に響いてくる。路地裏に反響する、不気味な音】

【やがて、角を曲がって音の主が姿を現した】
【身長は2メートルを超えているであろう。短く切り揃えた黒髪に、角ばった顔つきの大男だ】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、黒いゴム長靴を履いている】

【吊られた女性とモヒカンの男に向けられた大男の顔。両目は義眼。右が青、左が黒】
【額に眼球。面積を埋め尽くす一つ目。黒い瞳。じっとりと二人をねめまわす。値踏みするかのように】
【両耳は黒ずんで歪み、両手の親指も黒く細長い。モヒカンの男の触手にも劣らぬ異様な姿】

【大男の口には、マスク型の人工呼吸器が装着されていた。細い呼吸音は、そこから生じている】
【大男はモヒカンの男に視線を固定すると、ゆっくりと右手を上げ、作業服の袖を捲り上げた】


……こんばんは
邪魔をして申し訳ないが、その女を殺すつもりならば、死肉は私にくれないか

【言い終わらぬうちに、大男の右手がボコボコボコ、と気色の悪い音を立てて膨れ上がった】
【奇しくも、眼前のモヒカンの男の触手に似た能力。不細工な肉塊と化した右腕の先端が二つに裂け、そこに巨大な口が出現した】
【口の中には、ずらりと並んだ鋭い牙と赤黒く太い舌。呼吸器で使えない口の代わりらしい】
【モヒカンの男の返答を聞こうとせず、大男は右腕を吊られた女へと伸ばそうとするだろう。その肉を食いちぎるために】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 20:27:53.99 ID:MhHP/bhDo
>>664

ん、なっ……!……あぁもう、そうだよばーか
初めてだったんだからそりゃ恥ずかしいに決まってンだろ?

【大方、ベイゼ自身からすれば相手の困り顔でも見れると踏んでいたのだろう】
【サクッと返されえしまえばそもまた図星。だが其処で恥じらいつつも】
【いっそ認めてしまえるというのも、彼女なりに心を許しているという事だろうか】

【頬を少し染めて形ばかりに腕組みしつつも、やがて表情は元に戻り】

あそこはセリーナの知り合い……ちょいと気の荒いのも来るからな
上手いこと合わせるさ。俺だって自分のプレゼントであいつに脅されるのはゴメンだ

【ワイアット・アープと聞いてふと頭に浮かんだのはプレゼント――誕生日のそれだ】
【これも彼からアイデアを貰ってひどく喜ばれたものだったか。そちらを思い出して小さく笑い】

適当でイイよ。他のやつはどうか知らねーが……
俺は褒めて貰えれば、言葉が長くても短くても嬉しいもんは嬉しいしよォ
……『今日もいい男だ』って言われて、悪い気しねーだろ?

【彼に合わせるように自分も目線を宙に向ける。と言っても、何を見るでもなく】
【何となく視線を泳がせるだけで――言葉が続けば、その冗談に肩をすくめ】

胸ばっか見てたな。俺が寝てる間も起きてからも……まあ悪いやつじゃなかったし
その時は警告だけで済ませたんだが……男からしたら、そんなに気になるモンか?

ん……そうだな。生きてなきゃ、墓に向かって話しかけるなんて事になっちまう
返事も無ェし、面白くねーや。俺も簡単には死なない……けど
……お前も死ぬなよ?第一線に居るんだ、むしろ心配なのはお前の事だ
傷治して見せるのも、朝まで映画見るのも……約束、守れよ?

/いえいえ、こちらこそよろしくです〜
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/07(水) 20:43:07.24 ID:rSZJwHh6o
>>666


〜〜〜♪、………んァ?


【突然割って入ってきた足音にチンピラ男は思わず鼻歌をやめて】
【響く足音の主を探ろうと音源の方を見やる】

【そして大男をその視界に捉えると舐る様な視線で奇妙な風貌の相手を見据えた】


やァだよ、ヒャヒャッ!


【異形と化した大男の右腕が向かってくるのを視認すると同時に】
【自分の獲物を守るべくして触手が勢いよくしなり女性を依然として木箱に座りこんだチンピラ男の方へと寄せる】


いきなり人の晩飯に手ェ出そうとしやがって…

何なんだよ、おっさん…ヒャヒャヒャッ


【大男を睨み付けて気味悪く笑い飛ばすと】
【女性の首に巻き付く触手がきゅ、と収縮し】

【肉と骨が潰れる耳障りな音が路地裏に響いた】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/07(水) 20:55:23.15 ID:Or4OwDP+o
>>668
【こちらの異形を見てなお、舐めるような目つきで見返してくる】
【同類。そう感じ取れた。路地裏の殺人者。常道に外れた怪物】

おっと……ダメか? いいじゃあないか、別に死体にした後で用があるわけでもないだろう?


【ギョロリ、と一つ目を動かしてモヒカンの男を睨む】
【そこへ投げかけられたモヒカン男の言葉に、一つ目が細められた】

晩飯……晩飯、か。それはつまり、私の同類≠ニいうことかね……?

【こちらを笑いながら、ついでのごとく女の首を絞め潰す触手。人体をたやすく破壊する力】
【容易ならぬ相手。だが、退く選択肢は大男にはなかった。惹きつけられるものがそこにあったからだ】
【変形していた右腕が収縮していき、元の腕に戻る。その腕で、左の袖もまくり上げた】


同類に会ったのは久々だ。以前は、幾度となく会う機会があったのだがね
しかし、その時もその肉を味わうことは出来なかった……

おい、お前は同類の肉を味わったことがあるか? 自分と同じ、人肉を貪る者を食ったことはあるかね?
私はないんだ……味わわせてくれ。お前の肉で

【大男の両腕が、先ほどのように膨張した。二本の肉塊が、左右からモヒカンの男に迫る】
【先ほどと同じく先端が裂け、口が出現する。モヒカンの男から見て右の肉塊の口は、彼の右腕に食らいつこうとするだろう】
【その逆、左の肉塊の口は、先ほども見えていた太い舌をその奥から伸ばし、モヒカン男の左足に巻き付いて木箱から引きずりおろそうとするだろう】

【右の攻撃はおとり。左の舌での攻撃が本命だ。肉塊の動き自体は、そうたいした速度ではない】
【冷静に対処すれば、見切ることは可能だろう】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 21:19:50.53 ID:da23VXN9o
>>667

あっ、そう…。そうか…そりゃあ悪かったな

【そんなにすぐに認められるとは思ってなかったので少し戸惑った】
【しかしこれ以上、引っ張るのは趣味じゃないし何が起きるかわかったもんじゃないと大人しく引き下がった】

アイツだけでも十分だ……あんなもんは撃たれるよりも殴られる方が怖いしな

【あんなもんというのはそのプレゼント、バントラインスペシャルのことである】
【銃器の中でも鈍器としての性能は今でも上位に食い込まれているはずだ】

……俺は居てくれりゃあ、それでいいよ

【ポケットから煙草の箱とライターを取り出しながら何気なく言った】
【一本に火をつけて。ベイゼとは逆のほうを向いて煙を吐き出した】
【指に挟んだまま煙草とライターを仕舞いつつ、話を続ける】

ああ?……あー……まあ、そういうもんだよ。そういうもん
………まー…俺はそんなに…………やめだ。下らないぜ、こんなの

死ぬ気は無いが……まあ、色々とな…最近は色んな所で色々やってるが
んだろ…ソッチ側はどうもややっこしくてな…

【そっちというのは能力だとか正義、悪だとかそういうところのことだろう】
【彼のメインはその辺とは深くは関わらない事が多い。勝手が違う為、プラスにもマイナスにも行けてないようだ】

なあ、いつまでも此処に居るのも悪くはないんだけど…寒くない?…飲みに行こう
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/07(水) 21:37:34.96 ID:Zp59tKdv0
>>663

【夕暮れ時の街はそろそろ明かりが点る頃。日中はもう暑いぐらいだけれど、この時間になるとすこし涼しいくらいの風が通り過ぎて過ごしやすい】
【GWも終わって世間は日常に戻る。お勤めのお父さんや学校の子供たちは、きっと今日は昨日までの休みを偲びながらの一日だっただろう……】
【そろそろ下校時間や退社時間。何時もの日常を終えた人々はめいめい温かい我が家へと足を進め、通い慣れた家路を急ぐのだろう】
【この公園を行く少女も、きっとそんな何気ない日常の一幕を過ごした者の一人。誰もいない公園に、靴の足音が砂を踏みしめる軽やかに響く―――】

―――すっかり遅くなっちゃったなー……
先輩ったら、「作り方教えて!」っていっぱいアクセサリーの作り方聞いてくるんやもん……
悪い人じゃないんやけどねー……教えてあげたら、とっても喜んでくれるし……
……あんなに喜んでくれたら、こっちまで嬉しくなっちゃうよ。えへへ……

【黒く流れる長髪はまるで上質の糸のような艶とさらりとした風合いを持ち、春風が吹けばふわりと靡いてシャンプーの良い香りを漂わせる】
【くりっとした大きなブラウンの瞳、あどけない可愛らしさを持つ顔。白い肌にほんのり赤みがさす頬は、桃みたいに柔らかそう】
【成長期とはいえ、体つきはまだまだ華奢で幼さが残る。まだまだ大人と言うにはほど遠くて、年相応に小さい子供。】
【纏う服は汚れ一つないピカピカのブレザー。皺の一つもない真新しい服の生地が、まだ着てから日が浅いことを如実に物語る。】
【首には緑色のネクタイ。親の手を借りずに頑張ったのだろう、少し歪んだ結び目から初めてネクタイを締めた苦労の跡が伺える】
【チェック柄のプリーツスカートから覗く足はすらりと細い。足元は白い靴下に黒い靴、これだってピッカピカの新品】
【右手には真新しい学生鞄。I.Kamiya≠ニ筆記体の刺繍が入った、世界に一つだけの鞄。】

……えへへ、今度はとっておきのポーチの作り方、教えてあげよっかな。喜んでくれるかなぁ……

【尚も公園の中を進む少女。―――と、その時。ぶわっと一陣の風が吹けば誰かさんの声が聞こえて、それからパサリと足元に一枚のチラシが飛んでくる】
【不思議な声だ。季節外れの風鈴みたいな、とっても涼やかな声色……初めて聞いたような、公園の中によく通るとってもきれいな音色。】
【……慌てて拾いに行こうとする姿が見えたから、このチラシはきっとその人の物なのだろう。また飛ばされたらいけないとしゃがんで拾いあげて】

あ、えーっと……これ、あなたのですよね!

【やがてこちらの方へと拾いにやってきた少女に、にこりと笑顔を添えて手渡す。―――どこかの誰かさんとよく似た、明るくて優しい笑顔。】
【鞄を見れば、誰に似ているか察することが出来るかもしれない。そう、ちょっと前に一緒にお菓子を食べたあの人だ……目元だってそっくりで】

【余談だが、この少女は甘い物が大好きなのも誰かさんによく似ている。誘えばきっと喜んでついて行く筈だ――――】
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/07(水) 21:47:47.57 ID:rSZJwHh6o
>>669


ヒャッヒャッヒャ、どうやらアンタも俺と同じ…「人食い」みてえだなァ


【相手の額の目と元に戻っていく腕を交互にを眺めつつ】
【触手を揺らめかせて笑いながらそう言った】


ヒャヒャッ、俺も何度が似たような奴と会ったが…

食えた事ァ無いね…もっともアンタは食いたくも無いが、ヒャヒャヒャ!


【二つの肉塊の発生を確認すれば男は木箱から素早く立ち上がる】

【汚く笑うチンピラ男が肉塊に対しとった行動、それは回避ではなかった】


【まず、男は右腕をぐるりと捻る】
【それに合わせて触手がしなって女性の死体はその場から少し離れた場所へと投げ捨てられた】

【次いで今度は左腕も加えて両腕を迫りくる口と舌へ構えると】
【勢いよく両の掌から大量の触手が沸き上がる】
【元から生えていた触手も含めそれら全ての体積を合わせれば膨張した大男の両腕の同じかそれ以上の量で】

【触手たちは向かってくる口と舌を受け止めんと一斉に伸びて真正面からぶつかっていく】


ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!


【男のけたたましい笑い声と共に両掌の触手が更に蠢いて相手の肉塊二つを抑え込み押し切ろうとする】

/すいません遅くなりました〜
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 21:50:09.37 ID:MhHP/bhDo
>>670

【ふと思い出すのはプレゼント――の、実際の見た目のことだ】
【確かに実用的には見えなかった。聞くに外見だけじゃあ無いのだろう】
【ソレを持って迫ってくる酒場の主を思い描いて、思わず乾いた笑いが漏れ】

……そうそう、そういうストレートなのが俺は好きだぜ。

ま、意外とそっちは明けっ広げってワケでも無ェと……
はいはい、じゃあ又の機会にだ。…冗談だよ、OK。

【ニッ、と茶化すような顔を作れば、次の言葉には沈黙で応じた】
【何せ善悪だなんて言うのは今までいやというほど味わってきた身だ】
【機関にGIFT、UTにSCARLET――確かに、盗みというと畑も違うのだろう】

寒いな、うん。誘われた、って事は今日は財布の軽さは心配しなくてイイんだろ?
……それじゃ、早速行こうぜ。歩いてか?それとも、何時ものアレか?
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/07(水) 21:53:11.70 ID:y5mfgOfk0
>>671

【ひらりひらりと逃げ惑う紙切れを追いかけるのはずいぶんと難しいこと、下手な生き物を追いかけるよりも、難しくって】
【ぺたんっと地面を押さえた手を抜けて飛んで行く、ぴょんと踏みつけようとした足を抜けて逃げていく、そんな堂々巡り】
【やっときちんと追いついたのは――その紙切れが少女の手に渡った後のこと。ぜはあと吐いた息が、お疲れ模様】

ありがとう……、風で飛んでいっちゃったの、

【ふわあっと吐いた息で呼吸を整える、ばさばさになった髪の毛を一度払うように正して、首の仕草で微調整を重ね】
【唇の前で指を合わせるようにした両手の仕草、にこりと笑って小首を傾げる様は、きっとあどけない顔とよく似合っていて】
【もしチラシの内容を見たなら、内容までもこの少女に似合っているようだった。ケーキとか、いかにも好きそうで――】

【手渡してもらったチラシ、その代わりに教えたのは、どうしてこうなったかっていう説明――困ったみたいに、口にして】
【受け取ったら一瞥ちらりと眺めてからきちんと四つに畳み込む。爪まで使って、ぴっちりと四隅を揃えて、折り込んで】

一緒に行けそうなひとが居なくて困ってたんだ、わたしの周りのひと、そんなに甘いものとか好きじゃない感じだから……。
誘ったら来てくれるかもしれないけど、それじゃヤなの。どうせだもん、楽しんでくれるひとがいいよね――。

【すっかりと忘れていたけれど、肩から提げていた鞄によいしょと仕舞いこむ。これでもう大丈夫、飛んで行くことはないはずで】
【ぽんぽんっと鞄を叩く仕草をしながらそんな言葉を零すのだった、表情は――今度は苦笑というような、少しだけ困ったような、】
【こんな言葉はチラシの中身を見ていないとちんぷんかんぷんだろう、見ていたなら――なるほどと、理解も出来るだろうけれど】

【チラシを拾ってもらった、受け取った、そんな理由と他愛ない言葉を零した、それじゃあ、――サヨウナラ?】
【一瞬そんな雰囲気になったのが分かるだろう、彼女だってきっと立ち去ろうとしたはずで、それなら、引き止められもしないはずで、】

…………ねえ、甘いもの、好き?

【それを引き止めたのはどんな思いつきだったろうか。向けかけた背中、すっとした横顔を見せながら、ふと思案した内容の欠片】
【振り向いた顔は悪戯っぽくにまりと笑っているのだった。緩く傾げた首の仕草に合わせて、耳元のピアスが一度きらりと煌き】

【「良かったら一緒に行かない――?」】
【鈴の音のような声が甘く蕩けた気がした、泥沼の奥底にまで誘い込もうとするような声音は、いつもより幾分か低いもので】
【若い女の子なら甘いものが好きだろうという勝手な判断。まるで初対面だけれど――この際、それでもいいぐらい、行きたくて】
【(ひとりはなんとなく嫌だった。寂しいし、負けた気になるし、他諸々。それなら、少しぐらい無遠慮になって誘ってみたほうが、】

【そうして少女はどこかで見たことのある顔の少女に尋ねたのだろう、せっかく仕舞ったのに再び取り出したチラシ、広げてみれば】
【今度こそその内容を見せ付けるようにする――スイーツパラダイス。何度読んでもそう書いてある文字列、それだけで甘たるいイメージ】
【そこに行こうというのだった。値段も――学生にはちょっぴり高いかもしれないけれど、たまにの贅沢になら、という程度の値段で】
【「一緒に行こう?」という風にきらきらする瞳がちょっぴりズルい。真っ黒と真っ赤のまんまるは、潤むとそれだけである種武器になるものだから】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/07(水) 22:19:39.03 ID:Or4OwDP+o
>>672
やはりそうか……いや、久々だ。久々に同類に会った

【モヒカン男が笑えば、大男も笑う。食人鬼たちの笑いが交錯する】


そうかね、お前もか……
ふ、ふ。正直だな。お前は、食らう肉にはこだわるタイプかね?
私は悪食な方でね……好き嫌いはあまりしない主義だ

【モヒカン男の汚い笑いに対し、変えるのは大男の醜悪な笑い】
【今宵、ここに集うのは異形と邪悪。路地裏において、そういった相手は互いに格好の餌食と言えるだろう】


おいおい、粗末に扱うなよ。あまり傷つくと調理の時にやりにくくなる

【軽口を叩きながら、一つ目はしっかりとモヒカン男を捉えている】
【触手を操り、死体を素早く投げ捨てて戦闘態勢。そこから、こちらの動きに対処する】
【そこらのチンピラとは違うらしい。加えて、自身へ迫りくる彼の反撃は大男の予測も能力も上回っていた】


(手数も精密性も、彼奴の方が上か……こちらが上回るとすれば……)
一本の質量、かね

【モヒカン男の笑いの合間につぶやきを挟む。そこへ、触手が殺到する】
【膨張した腕、口と舌が触手に絡め取られる。押し切られかけた肉塊が急激に膨張し、さらに巨大化】
【抑えにかかっている触手を内側から押しのけようとする。さらに、その状態で大男は反撃も試みる】


【モヒカン男からは死角、大男の首の後ろに口が出現し、そこから舌が伸びたのだ。それが、大男の前面に回り】
【エプロンの内側から、肉切り包丁を取り出した。そのまま舌が振りかぶられ、勢いのままに横殴りに振り抜かれようとする】
【狙いはモヒカン男の右肩。触手を発生させている腕の片方を潰すつもりだ】

【大振りで、舌が包丁を取るまでにはタイムラグもある。見極められれば、反撃も出来るだろう】

/お気になさらず
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 22:26:43.02 ID:da23VXN9o
>>673

……オーラィ、そいつは良かった

【複雑な顔をしつつ、ぶっきらぼうに言った。不機嫌なんじゃなくて】
【今度はこっちが判定負けで引き下がったという感じ】

【吸いかけの煙草を携帯灰皿に押し込んで、蓋をキツく締めたなら】
【グッと伸びをしながら立ち上がった。軽くクビなんかを回して】

まぁね…金はある。そりゃあ…俺がなかったら仕事をサボってったこったな
生憎、意外と豆にシゴトはこなしてるのさ。…まあ、今日はクルマだけどね

……ちょっとした事情で、ロングドライブしてこなくちゃならなくてさ
2,3日もトバしてたらカラダがバッキバキで此処で休んでたんだよ。
窮屈すぎるんだよ……ったくシートも硬いし

【そんなことをボヤきながらいつものように勝手に歩き始める】
【ゆっくりとした大股の歩き方で付いて行けば公園のすぐ側、路肩に停められている】
【1台の青いクーペ。彼の趣味の通り映画に出てきそうな少し古めの車だ】
【だがやはり見た目と値段だけで選んだのか快適とは言えないような車内で】
【シートを倒してもこの体格の彼には確実に足りなだろうと思われた】

何処がいい?俺は…ビールがあって禁煙じゃない、足の伸ばせるトコなら何でも

【鍵を開け、運転席に乗り込む男。スタータを回す。エンジンの調子は良さそうだ】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/07(水) 22:27:11.45 ID:Zp59tKdv0
>>674

【チラシを手渡す折の一幕。ふとそのチラシの表面を見れば、そこに描かれていたのはお菓子のお店。スイートパラダイスなんて、甘いもの好きにはまさに楽園≠ンたいな名前】
【チラシを拾った少女の表情をじっと見れば気付くかもしれない。―――ちらりとそのチラシを見た時、これ以上ないってぐらいに目が輝いていたことを。】


【さて、チラシを無事に手渡し終えてから改めて少女の姿を見る。】
【薄暗いものだから、近くに来るまでは自分と同じぐらい(実年齢はちょっと上だけど)小柄な体格と印象的な声以外は何もわからなかったけれど、近くにくればその姿も良く見える】
【改めて見れば、可憐という表現が本当によく似合うあどけない少女。まるい瞳なんて、まるでうさぎみたい……おんなじくらいあどけないはずの自分が言うのは変な気がするけど】

うんうん、甘い物は誰かと食べた方がぜったいおいしいですもんね!
……一緒に、かぁ……

【ちらり、ちらり、……「一緒に行きたい人が此処にいますよー」とでも言いたげな目線。初対面の人にいきなり「連れて行って!」なんて言うのはあまりにもぶしつけだから口には出さないけど】
【様子を見れば、一緒に行きたいのは明らか。「甘い物はお母さんと裁縫の次に好き」と公言して已まない彼女、当然鈴音の言葉には敏感に反応した……】

【―――だから、鈴音の次の言葉を聞けばぱぁっと表情が明るくなったのもきっと頷けることだ。「一緒に行かない?」……この言葉が耳に入ったのと同時に、鈴音の言葉を食い気味にお返事】
【チラシを手渡した時とはまた違う、喜びが前面に押し出た底抜けに明るい笑顔。薄暗い夕暮れだというのに、まるで公園がぱあっと明るくなるような、そんな笑顔。】

いいんですか!勿論です、一緒に行きましょう!
えへへ……甘いものは大好きですよー!ふわふわのケーキが目の前にあったら、きっとダイエット中でも食べちゃいます!

【鈴音の勝手な判断は的を射ていた。若い女の子なら、というのは分からないが……少なくとも目の前の少女に限っては甘い物が大好き。】
【ショートケーキにモンブラン、タルトにパイ……甘い物は別腹とはよく言ったもので、きっと目の前にお菓子があればどんなものだって食べられてしまう】
【ただでさえ泥沼に片足を突っ込んでいるのに、さらに誘われてしまったならもう抗う術はない。甘い物好きの少女二人は、きっと食欲の赴くままに楽園に赴くことになるのだろう……】

【先程一瞥したチラシ、見せられるがままにまじまじと内容を見つめれば……ちょっぴり大人な背伸びをするお値段と、見るだけで食べたくなるお菓子と】
【それから、隣の少女のまあるい瞳。……もう、聞かれるまでもない。むしろ「一緒に行こう」と言いたいのはこっちの方で―――】


【そんな訳で、甘い物が大好きな少女二人はそのお店に向かう事になるのだろう。好きなものが一緒って事だけでこんなに意気投合できるのだから、人間って結構単純なのかも】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/07(水) 22:49:23.10 ID:y5mfgOfk0
>>677

【きらきらとした瞳が見えた気がした。それなら、初対面の相手を誘ってみたのは、存外そこから来る言葉だったのかもしれず】
【勝つことが分かっている戦いみたいな――けれど消化試合とは違うような――そんな不思議な感覚、ある種運命的とも呼べて】

【少女から大人に変わる瞬間、それを写真みたいに切り抜いた――眼前に立つ彼女は、きっとそんな印象を抱かせるだろう】
【毎日刻一刻と大人になっていく時期の、一番いい時間を選び取ったかのような、子供みたいで、大人みたいで、綺麗な時間】
【すらっとしているのに子供らしさの残る身体つきは、けれど、全体的に華奢に出来ていた。丸い肩も、首も、足も、ぜんぶ】
【(さらに言ってしまえば、胸元やお尻までも平坦だった。それも、子供らしいと言ってしまえば――少しは聞こえも良くなるか?)】

そうなの、でもセシルは甘いもの苦手だし、音々ちゃんはケーキ食べるけど、太っちゃうの嫌みたいだし……。
天音ちゃんは甘いものよりしょっぱいものの方が好き。でもね、みんなね、誘えばきっと来てくれるんだよ――優しいから、

【ううんと悩む視線、ついと下に落ちがちなら、きらきらした視線は顔の横を抜けていくよう、真っ直ぐ受け止めてくれなくて】
【なんだかんだ周りのひとは事情アリ。ひとりで行け!なんてことは言われないだろうけど、どうにも気が引ける有様で――】
【ほうと溜息がちな吐息、左手の薬指、蛇の模様をあしらった指輪をくるくると回す手慰みを繰り返して、もうひとつ溜息】

だ、か、ら――、…………ふふ、ありがとうっ。

【――そんなちょっぴり“あんにゅい”な様子は嘘だったらしい。すぐに悪戯っぽく変わる表情、釣り上げられた唇は三日月のかたち】
【まあるい瞳が細められれば月が欠けてゆく様を眺めているよう、刹那に笑みのかたちに変わって、したり顔、とでも言うような】
【“思い通りになった!”なんて思考の透けて見える顔なのだった。その返答を聞けば、恭しく大切なもののようにチラシを取り上げて、】

じゃあ行こう、この近くなの。歩いてすぐだから――、あ、わたしね、りんねって言うの。鈴の音って書いて、鈴音。
鈴音・シュトラウス。それがね、わたしの名前。……あなたは? なんて――、ねえ、わたし、名前当ててみようか?

きっと当たると思うよ、――わたしね、あなたの名前、知ってるみたい。

【ぺたんぺたんと畳んでまた鞄に戻す、それから――相手の手を優しく掴もうとするのだろう、触れる手は柔らかい暖かさで】
【しっとりとキメの整った肌質は吸い付くようで快い、真っ白なくせにシミひとつないのは、或いは羨ましいようでもあって】
【そのまま触れられたなら――公園の外に誘い出すのだろう。“こっちだよ”というようで、後ろを向いたまま、とてとてと】

“衣織”でしょう? ふふ、知ってるんだよ、わたし。

【瞳を細めて唇を笑ませる。悪戯ごとを企んでいるときの顔、悪戯が成功するかを眺めているときの顔、ごちゃ混ぜにした色合い】
【ちょっぴり蠱惑的な様子だった。そしてそれは、あどけない顔に不思議とよく似合って――かわいい花に毒があったような一瞬】
【初対面――だけれど繋がる縁がある。存在だけなら知っていた彼女へ、そんなサプライズじみた悪戯を仕掛けたのだった】

【さて。その手を取るにしろ、取らないにしろ、歩きだしたなら、目的の場所は十数分の位置にあって】
【入り口で食券を買えば中に案内されることだろう。ふんわりと甘い匂いの漂う店内、それだけでおなかの空いてくるよう】
【黒蛇の少女はルールの書かれた紙に一時視線を落としたりして――そんな場面に、なるだろうか】
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/07(水) 22:54:08.50 ID:rSZJwHh6o
>>675


ゲヒャヒャヒャヒャヒャ!

食うのも食われるのも美人が良いからなァ俺は、ヒャヒャッ


【大音量で不快な笑い声を路地裏に響かせて】
【男は触手を操作しつつ相手の挙動に注意を払う】

【突如死角から発生した舌によって包丁が取り出され男の右肩めがけて振りぬかれれば】

【男はそれに対応しようと回避に邪魔な触手を捨てるべく】
【両の掌と触手との接合部を切り離し左に跳んで距離を取ろうと試みる】


ヒャヒャッ…!――ッ!!!


【がしかし、大量の触手の切り離しに手間取ったのか一瞬、反応は遅れ】
【舌に導かれた肉切り包丁は男の右肩の皮膚と肉を掠めて切り取っていった】


痛ェ、痛ェなオイ…ヒャヒャッ!


【男は左腕で右肩を抑えて幾分か減衰した跳躍の勢いで転がりながらも右手を地面について】
【その場にしゃがみ込む体制をなんとかとって相手の追撃に備えすぐさま呼吸を整える】

【大男の変形した両腕に切り離された触手は簡単に押しのけられ、ドロドロと液状に溶けていった】


(少しは反撃、しねェとな…) 

ヒャヒャ、ヒャヒャ!


【右肩の痛みに気味の悪い笑い声は少し震え】
【地面についた男の右手に魔翌力が集中したかと思うと】
【集められた魔翌力は右手を離れ地面を素早く伝って大男の足元へと流れ込もうとする】

【もしも大男がその場に立ち止まっていた場合次の瞬間、数本の先端に口を携えた触手が地面から沸き上がり】
【大男の右足に食らいつかんとする。噛まれた時のダメージはさほど大きくなく相手を怯ませるのが目的だろう】

【魔翌力の地面を伝う速度はそれなりに速いが男と大男との間にはある程度距離があるため避けるのはそう難しくないかもしれない】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/07(水) 22:58:34.34 ID:MhHP/bhDo
>>676

クルマか……バイクのイメージが有ったから少し意外だな
でも、その方が夜道のドライブって感じで悪くない……

……にしても、お前もホント好きだよなァ…。
別に古くてシブいのがどうってわけじゃねーが、感心するよ
俺ならきっと座り心地抜群のシートを乗せたケイマンとか……いや。

【ちょっと予想外だったのは本当らしい。クーペを見るや、ひゅうと口笛を吹き】
【それはそれでなんて呟きながら彼に次いで車に乗り込んだ】
【ちょっと窮屈なのはベイゼも同じだ。寒いから別に、とも付け加えて】

ビールに非禁煙、足が伸ばせるトコ……曖昧だなァおい
でもまあ、それなら……面白そうなトコ、知ってるぜ。

【そう言って告げる場所は郊外の一角。本当に狭い、しかしクラシックな内装の店だという】
【あえて居酒屋とか、そういう分類をするならシガーバーなのだが】
【頼めばビールも様々なものが楽しめるし、店主が気まぐれで作る名もないカクテルやら】
【またちょっとお高いが、良いワインもある――ただし食べ物はチーズだけというニッチなバーだ】

【――そこに向かったなら、丁度人が引けたところなのか客の姿は見当たらず】
【五人がけのバーカウンターから離れた所に、樫のテーブルを囲んでソファがあり】
【小さな火の灯った暖炉とピアノの音が響く――案外洒落た店、というのが理解できるはずで】

/っと勝手にキンクリ風味にしちゃいましたが、そこはお好みで!
/車中は時間を取っても飛ばしちゃってもこちらはかまいませんです
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/07(水) 23:12:32.92 ID:Or4OwDP+o
>>679
ふむ、人喰いの多くはそういった嗜好だな。確かに女の肉は柔らかく上質だ
だが、それ以外の肉もやりようによってどうとでもなるものさ
お前のような、同類の肉だろうとな

【モヒカン男の大笑いに、大男は薄く小さな笑いを漏らす】
【相手も、こちらの挙動を観察しているのがわかる。ふざけた言動でありながら、実質は死闘】


【包丁での不意打ちは通る。だが、それに対抗する相手の動き】
【障害となる触手を躊躇いなく全て捨て去っての回避。的確な状況判断】

ふふ、ふ、ふ……!!
私としても、お前を痛めつけて必要以上に肉を削りたくないんだ
早いところ、私の食卓に並ぶ気になってくれればありがたいのだがね

【言葉を漏らす間にも、動きは止めず。一撃を加えた舌と、膨張した両腕を引き戻し、いったん元の腕に戻そうとする】
【巨大な肉塊を長く維持するのは、体力を削る。それを避けると同時、相手を観察する】
【押しのけた触手。締め付けの力は人体を破壊できるほどだが、対処できないことはない】
【溶解する姿。切り離した後は動かせない、と判断】


ぬぐ……!!

【大男の思考を、モヒカン男の笑い声と反撃が中断する。地面につけられた手から感じるのは魔翌力】
【自分とその配下には使えず、されど幾度も煮え湯を飲まされてきた。この男もまた、その使い手】

【舌と両腕を戻す間の隙、動きの鈍さが仇となる。襲い掛かる触手は、大男の右足を捉えた】
【肉が千切れ、鮮血が噴き出す。ダメージはそれほどでもないが、不意打ちを返されたことで動きが止まる。モヒカン男の狙い通り】

【巨躯がぐらつき、崩れかけたバランスを制御する。この瞬間、大男からの反撃はなく、モヒカン男から見れば隙となるだろう】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/07(水) 23:31:52.32 ID:rSZJwHh6o
>>681


ヒャヒャヒャヒャ、アンタ…俺以上にタチの悪ィ人食いだな

やっぱり、アンタにだけは食われたかねェや…ヒャヒャッ!


【咬みついた触手は本体の男と離れているためかやはりすぐさま溶け始め数秒しか効果を成さないが】
【男にとって反撃に要する時間は数秒もあれば十分であって】

【軽口を叩きながら男は右肩に当てていた左腕を横なぎに振るう】
【それと同時に左腕から数本のの太い触手が沸き上がり大男へと伸びあがっていく】
【触手は男を生み出した隙に乗じて攻撃するというよりかは、別の目的があるようで】


これ以上、無駄に戦うのも腹ァ減るだけだ…ちょっと大人しくして欲しいんだけどよォ、ヒャヒャッ


【大男の元へ辿り着いた場合その動きを封じようと胴体と両腕に絡みつき拘束しようとするだろう】
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/07(水) 23:32:12.73 ID:Zp59tKdv0
>>678

【初対面なのだから、鈴音のお話に出てくる「セシル」とか「音々」とか「天音」とかいう人の事を聞いてもちっとも分からないけれど】
【鈴音の様子を見れば、その人たちがとっても大切な人なんだなってことはよく分かった。だって、ぜんぶその人の事を想いやった言葉だったもの】
【「甘い物が苦手だから」「太っちゃうのが嫌だろうから」……―――ぜーんぶ、心遣いをした言葉。そんな事をさらりと言える鈴音は、きっと優しいのだろう】
【衣織は人の優しさに敏感な少女だ。だから、そんな鈴音の優しさに触れて微笑みを見せる―――】


【鈴音のいたずらっぽい表情、上手く行ったとばかりの笑顔。そんな鈴音の表情を見れば、衣織も分かっていたよと言いたげな笑顔】
【……衣織も衣織で、乗せられているなぁって分かっていたけど、だからと言って意地をはったら折角のお話が拗れて甘いお菓子が逃げて行っちゃう気がしたから】
【敢えて乗せられたんだよ、なんて負け惜しみみたいなことを言ってみる。もっとも、乗せられて悪いことをされたわけじゃなくて、むしろ楽しい時間のおさそいだったから何の問題もないけれど】


……鈴音っていうんだ。うん、なんていうかとっても似合ってます!
だって、鈴音ちゃんの声は鈴の音みたいですから。ちょっぴり不思議な声です……

……、……?

【名は体を表すと言うが、鈴音はまさにその通り。鈴の音だなんて、それこそ鈴音にはお似合いの名前。確かに人の声なのに鈴のような声、とっても不思議な声】
【シュトラウスなんて苗字は名前とアンバランスな感じ。まさか目の前の少女が結婚しているなんて思ってもいないから、まだハーフかなと位にしか思っていない】
【ただ、大切な人からもらった名前を口にする鈴音の表情はちょっぴり嬉しそうだった……そんな気がする。】

【続く言葉には、衣織は不思議そうな表情。確かに鈴音とは一度もあったことは無い筈だが……なんだか自信ありげな鈴音の顔を見れば、どうやら本当に名前を知っているみたい】
【そっと触れられた手、引かれるままに付いて行く。衣織の手だって、鈴音に負けないぐらい白くて柔らかい女の子の手。手をつなげば、きっと同じぐらいの温かさ】
【ただし、鈴音の手とちょっとだけ違うのは、指に絆創膏があることぐらいか。裁縫の時にうっかり針を刺してしまったなんて、ちょっぴりドジな一面】

【そして告げられた名前、本当に正解だから目を丸くする。超能力でも持っているのだろうか、なんて思ってみたり(……まさか超能力どころか魔法使いだなんてはつゆ知らず)】
【思いがけない縁があったことを、まだ衣織は知らない。好きな時でいいからネタばらしをしてあげたら、きっと衣織も納得したような表情を見せる筈……】

【……なにせ母親からは「友達とお菓子を食べた」としか聞いていないから、まさか目の前の少女が母親の言う「友達」とは思っていなかった。】

【そんなこんなで数十分。手をつなぎながら道を行けば漸く目的地に辿り着いて、勝手が分からないから鈴音がしたように食券を買って案内されるがままに店内へと誘われる】
【漂う香りは、きっと甘い物好きには堪らない。それこそパラダイスとでもいうべき空間が広がっているが、……当の衣織はやや緊張気味】
【……母親抜きでこんなお店に行くのは初めてなのだ。しかもやや高級な感じとなれば、緊張するのも無理はない訳で……おずおずと鈴音の方を見ている】

……えーっと……、その……
ルールとかマナーとか、わたし分からない……鈴音ちゃん、どうしたらいいですか……?

【軽く声を掛けてくれれば緊張も解れる筈だ。良かったら、この初々しい少女に色々と教えてやって欲しい……】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/07(水) 23:39:30.08 ID:da23VXN9o
>>680

荷物も色々あってさ…バイクじゃキツイ。それにロングドライブだと尚更だ
……ルックスは本物そっくりだけど…いや、ガワは本物なのかな
兎に角、中身は別のクルマなんだよ…何だからしらねーけどエンジンのパワーはあるし
クラッチがたまに滑るけど…まあ、近いうちに直すさ

【ハンドルを切りながらそうやって言う。確かに買うとなれば相当な高級車と同じぐらいのはずだ】
【幾らお金があってもレアで手に入らないということもある。要は盗難車ならマシな方で】
【側だけ本物の何かなんだろうか。それでもこの男からすれば十分なのであった】

【ハの字の髭の男から港でクルマを買った話をすれば直ぐにその目的地に到着した】
【適当な場所に停めて、男は店内へとノソノソとベイゼについていく】

……随分と…その……今度は俺が、意外だ
お前にこんな…洒落た所に連れてこられるとは思ってなかった
いや…悪いわけじゃないんだけどさ……ヌルいギネスがパイントで飲めるなら…

【自然とカウンタよりもソファに足が向いた。無意識に選択しないほどだったのでそれほど疲れていたのだろう】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/07(水) 23:39:49.19 ID:9LSaY1A80
【鉄の国―――近代都市=z

【首都近郊に存在し………主にIT産業によって発展を遂げたのがこの都市である。】
【その発展を象徴するかのように街は様々な色のネオンで輝いており、タワービルからは光の柱が上がっている】
【未だGIFTとの戦争は終結しておらず、むしろ激化する中で街中にも無人のセキュリティロボットが動き回っている】
【そんな街中で異彩を放つ人物が一人………存在していた。】

あぁ………GIFTからの依頼は完了した。約束の金額も既に振り込まれているようだ。
そうだな、では私はこのまま魔海≠フ方へと合流するとしよう、そちらのクライアント≠フ仕事は長引くようだからな

ではまた連絡する―――。

【その人物とは―――。】
【全身を深緑の甲冑で包み込み、頭部すらも一角獣のような角が付いたフルフェイスのヘルムで覆っており】
【赤い腰布にはグラディウスが一本差してあり、背には毛皮のマントと身の丈程もある槍を背負った180cm程の長身の男性。】
【男性は街の比較的高い場所の位置する場所で街の様子を見ながら通信を行っており、その中には物騒な単語も聞こえてくる】

【そしてこの近代的な街並みに相応しくない風貌、興味を引かれる者がいるかもしれない。】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/07(水) 23:43:52.38 ID:Or4OwDP+o
>>682
ふ、ハハハハハ……!! 人喰いの時点で、性質が悪いも何もあるまい
そう冷たいことを言うな、先ほども言ったがめったにない出会いなんだ
同類の肉がどんな味なのか、検証させてくれ。100グラムだけでも構わないから……

【ねっとりとした声音で語る大男、だがそのこめかみに脂汗が伝う】
【自分自身が食いちぎられるというのは、久々の経験。足の痛みがじわじわと襲いくる】
【そこへ、今度は量ではなく質重視の触手が襲い掛かった】

うお――手癖の悪い触手だ……!!

【大男は、再び触手に捕らわれた。太い胴体と両腕が巻き取られ、動きを封じられる】
【先ほどとは違い、一度に膨張させての押し返しには厳しい状況。それだけ、体力も使うし隙も出来る】
【ならば、食人鬼の面目躍如。大男の反撃は、噛みつきだった】


それには同意する、このままでは空腹がひどくなる一方だ
ここらで一度、味見を兼ねて腹ごしらえといこう

【拘束された大男、その首後ろの肉が再び盛り上がると】
【大男の頭を乗り越えるように、先の腕に近い形の肉塊となって出現】
【例えるなら、大型で口を持ったミミズか。それが、大男を絡め取る触手へと襲い掛かる】

【対処がなければ、触手を噛みちぎって大男を拘束から脱出させようとするだろう】
【だが、やはり肉塊の動きは早いとは言えず。かわすことは不可能ではない】
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/07(水) 23:50:59.79 ID:y5mfgOfk0
>>683

【そうしてふたりでとことこと歩く数分間、甘いものが食べられるとご機嫌な彼女は、きっと本当に子供みたいな顔をしていて】
【こんな時間に食べると晩ご飯が怪しくなってしまいそうだけれど――いいのだろうか。あんまり、良くない気はするけれど】
【それは相手にしても同じことだろうか。まだ夕方、晩ご飯前、それを考えると――ちょっぴり悪い子になったような、気分】

【そうしてたどり着いた店は。やはりかわいく装飾された店、ひとり、それも特に男のひとなら入るのを戸惑うような――】
【中から甘い匂いが零れてくる。中はそれなりの盛況、けれど席に空きはあるのだという。運が良かったと、言うべきだろうか】

えっとね……、普通のバイキングと同じみたい? 自分でお皿片付ければ、それでいいみたい。
わたしも初めてなの、変なのあったらやだなあってひとりで来るの嫌だったし……だから……、

――いっしょに来てくれて、ありがとうね。

【「衣織」と知っていた名前をもう一度口に出す、にっこりと笑えば、ルールの紙をそちらに差し出してやって】
【なるほど、特に難しいことは書かれてない。食べ残すなとか、そういった基本的なことが書いてあるだけで――それなら一安心】

お飲み物取って来るね、なにがいい? 衣織は先に食べたいもの持って来てていいよ――、

【――空いている椅子に荷物を置いて立ち上がる、そうして尋ねるのは飲み物の種類、そうっと首を傾げて】
【席に案内されるまでにドリンクバーコーナーも見えただろう。それなりにいろいろあるみたいだったから、我侭も許されるはず】
【伝えてやればそれを取ってくるだろう。何か食べ物を取りに行って――戻ってきたなら、それが机の上にあるぐらいには】

【そうして場面はふたりとも好きな食べ物を持ってきた後に移ろうだろうか。ちょっぴり狭い机の上にお皿を並べて、】
【ひたすらきらきらした目をしていたのが印象的だった。よっぽどあまいものが好きらしいと、窺わせて――】

【――食べ物はたくさんの甘いものと、それと少しの軽食。サンドイッチやスープ、唐揚げやポテト、それもいい匂いがするのだけれど、】
【やっぱりここに来たら甘いものだろう。ケーキにプチケーキ、プリンにババロア、ゼリーにシュークリーム、ぜんざいなんてものも】
【多種多様な甘味が並んでいるのはある種壮観。これを好きなだけ食べていいのだから――もう、甘味好き冥利に尽きるというか】

【いただきまーすと軽い声、お皿にいっぱい載せたケーキの上でフォークが迷うのは、和食ならばお行儀も悪いことだけれど、】
【この場だとなんだか許される気もして。そうして決めたのは、甘夏のタルト。さくっと生地を寸断して、ぱくりと一口――】

……あのね、衣織の名前を知ってたのは。聞いてたんだよ、皐月に……、何度か会ったことがあるの。
子供なんだって聞いたよ、ほんとうに似てるんだね、ふしぎ――なんだろ、お母さんと、とってもよく似てる。

【甘くて、酸っぱくて。全然くどくなく口の中に残るのは爽やかな味わい、おいしいと表情を蕩けさせる幕】
【ゼリーに包まれた甘夏の果実をフォークに刺して口に運ぼうとしながら――あっさりネタばらし、そんなことを言う】
【そのうちぱくりっと甘夏を口に含んで。ぷちぷちとした果実の潰れる食感、しばし楽しんで―― 飲み込んでから、】

わたしもお母さんに似てるのかなあ。わかんないんだ、ちいさいころって、そういうこと考えなかったから……。
……それともお父さんに似てるのかな? どうだろ、どうだったかな……、――ちゃんと似てるといいなぁ。

【ふと零すのは羨望めいた色合いの声。お母さんと似ているというのが、きちんと似ているというのが、どうにも羨ましくって】
【自分は果たしてそうなのかと考えるのだけれど――すぐにそうだと言い切らないのが、あんまり記憶が定かでないらしいのが、】
【なんだか訳アリらしいのだと伝えるには十分。結局は考えることを諦めてしまって、そんな希望で言葉は終わる】

……――ねえねえ、それなあに? おいしい?

【――そして次に興味を持ったのは、まさしくちょうど相手が食べているものだった。ケーキにしろ、軽食にしろ、そう尋ねて】
【おいしいと答えたら次にでも持って来るつもりのようだった。或いは、味見――なんてさせてやると、喜ぶのかもしれない】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/08(木) 00:01:54.55 ID:sVh3k+dno
>>686


いつも他人に食わせろ食わせろと言う立場だったけど…

改めて言われてみりゃァなかなか嫌なもんだなァ、ゲヒャヒャヒャヒャヒャ!

そんなに食いてェならさっき切り取った肉で我慢してくれよ、ヒャヒャッ


【左手が離れた右肩からは再び血が衣服を汚し滴り始め】
【先ほど自分から離れていった肉を指して言う】


(ん〜、拘束しようにも…やっぱ変形させて体そのものを武器にされちゃァやり辛ェな)
(なかなか、戦いの蹴りも付きそうにないしなァ、こうなりゃもう…)


【触手へと襲いくる肉塊を呆然と眺めていたかと思うと】
【男はまたもや触手と腕との接続部を切り離して】
【大男から距離を取りつつも放置していた女性の死体へと近寄る】

【拘束していた触手は容易く咬みつかれドロドロに溶けながらも咀嚼されていくだろう】


なァ、この際その触手とさっきの肩の肉、そんでこの死体からも少し肉やるからよォ

今回はここ等で止めにしねェか?


【突然の休戦の申し出】
【男は死体の腕を懐から取り出したナイフで手早く切り離し】


まァなんだ、何にせよ折角出会った同類だ…もう少し平和的にいかねェか、ヒャヒャッ!


【大男へと死体の腕を放り投げて敵意は無い、とでも言うように男は両手を広げて見せる】
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/08(木) 00:02:04.11 ID:c+4co5z1o
>>684

あぁ、バイクじゃ疲れるもんな……乗っててアレだし、分かる気がする
また直した時にも乗せてくれよ。乗り心地くらい悪くてもいいからさ
イヤってほど酒のんで映画見てから朝日でも……いや、捕まらないようにだけどな?

【また胡散臭い相手から買ったもんだ、なんて独り言も聞こえてくるだろうか】
【それもソレで、ベイゼには彼らしいと思えたし――用を足しているなら良いんだろう】

【生憎と彼女はバイクも車も運転は出来ない。少なくとも、挑戦したことも無く】
【見た目やら乗り心地やらは口出ししても、ハンドルさばきはなんとも言えず】
【時折揺れるのとまばらな夜景とを楽しみながら件の店へと向かい――】

……結構いいトコだろ?前に話した……プレゼントの時の、あのマフィアがな
此処の常連だって言うんで何回か話し合いに使ったことが有ったんだよ

つまみはチーズしかないけど酒なら大概何でもあるし、勿論禁煙だなんてとんでもない
ついでに店主も口が固くて腕は確か……金はお前が持ってるし、完璧だ
そんじゃ俺は同じのをチョイと冷た目にしてもらうとして…、…――乾杯の前に寝るンじゃねーぞ?

【彼がソファに向かう間にもう店主は店の奥に向かってしまって、ベイゼも反対側に腰を下ろす】
【革張りの一人がけソファは程よく固い。足は投げ出せるし、いい具合に暖かくて】

【喉越しよりも伝統を重んじたギネスが彼の前に、もう少し冷たい物がベイゼの前に置かれると】
【ベイゼは早速グラスを手にとって――心ばかりの乾杯を、と杯を上げた】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/08(木) 00:06:16.42 ID:gR7xOiTg0
【とある都市・スラム街】

【夜であってもここには悲鳴や罵声や怒声が響き渡っていた】
【このような場所ではそのようなこと、ここに住むものたちは日常の一部としてだれも彼もが特に気にしはしない】
【だが、今一つだけここには異様な光景がある、それは一つの装甲車がこのスラム街に停車していることだ】

まったく、このような場所で取引をしろとか……彼らも危ない橋を渡るものですね
 ……はぁ、早く終わらせてしまいたいものですよ

【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【その装甲車の持ち主であると思われる男はそのようにして愚痴をこぼしながら装甲車の壁に背を預ける】

【男が愚痴でこぼした取引を行おうとしてここに来た、しかしなかなかその取引相手が来ない】
【これは囮調査だったのかとそのように思案しながらもやっぱり、待つことにしている】

ですがもしそういう事であったのならば……逃げるほかなさそうですね
 幸いにも足はありますし……そうならないことを願うばかりですが

【そのようの思いながら背中を装甲車から離して装甲車後部にあるハッチを開けて中に入っていく】
【そしてそのまま数秒たってから再び出てくる、その手に持っているのは飲料水だ】
【ハッチを閉めれば男はその飲料水を一気に飲み干して、その場で再び待つことになる】
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/08(木) 00:30:01.85 ID:KGKfz2rJo
>>689

捕まらない。……俺を誰だと思ってるんだ?他はダメでも逃げるのだけは鍛えてある…はず…
ま、どうせ…路地裏サイコ野郎とっ捕まえるので、コレぐらいじゃ今どきどうとも言われないさ…

【政府機関のあるような警備の厳しいところじゃなければ免許の切符を切ってるほど】
【警官は人出が余っているとは考えらない。世の中的には良くないことかもしれないが】
【彼らみたいな人間には丁度いいぐらいである。…切符以前に別の用事で捕まる事になるが】

なるほど、マフィア映画の闇酒場みたいで雰囲気が…キマってる。隠し扉でもあったら完璧だな
ティーカップでウィスキーでも飲むか?……でも、今はスタウトで眠気をふっ飛ばしたい気分だな

【深く沈み込むようにソファに腰掛けて、ポケットから取り出した煙草に火をつける】
【テーブルの灰皿を手元に手繰り寄せて、軽く灰を落として。ライターと煙草の箱をテーブルへ置いた】

眠たくても寝れないタチなんでな…お前が居るなら寝れそうだが……もう暫くは寝かしちゃくれないんだろ
いや……嫌じゃないよ……マジで。

……ん、で。…何に乾杯するんだ?俺はムービースターじゃないから『出会いに』とか『君の瞳に』はナシだ

【灰皿の縁で煙草をキープして、男もグラスを挙げた。そのまま問いかけて】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/08(木) 00:36:19.14 ID:GMEBUBwFo
>>688
私はまだ言われたことはないが……
まあ、そうだろうな。食われるのが好きな人種などいまい。そうはな……

ほう、これをくれるのかね……

【モヒカン男の言葉に、いったん動きを止めて下に視線をやる。意識は相手から外さず】
【モヒカン男の垂れ堕ちる鮮血の音に、大男の舌なめずりが重なった】


(ただでさえ低い機動力を削られたのは痛い……)
(このまま続けて勝ったとしても、被害は小さくは収まらないだろうな……)

【肉塊の一撃は、空振りに終わる。切り離された触手には食らいついたが、そこで終わり】
【大男の口中で溶け崩れていく触手が、肉塊を通じてその巨躯へと吸収されていった】


……休戦ということかね?

【動くことなく、モヒカン男を観察する。女性の死体へ近寄り、その腕を切り離す。慣れた動き】
【放り投げられた腕を空中で受け止めて、大男はにたりと笑った】

……見た目に寄らず、そういう判断も出来るのだな
いいだろう。久しぶりの同類との出会いとこの肉を戦利品として、今日は終いとしようか

次会うことがあれば、その時はわからないがね……やはり同類の肉は魅力的だ

【口には出さないが、大男も決して余裕というわけではない。このまま戦いをつづければどうなるか】
【それは、お互いにわかっていたことなのだろう。大男は投げ渡された女性の腕を弄びながら、それを受け入れた】


……カニバディール。私の名だ。よければ、そちらの名前も教えてくれ

――縁があれば、また会おうじゃあないか、親愛なる同類よ

【指名手配所を読めば、その名と顔は載っているだろう。昼の国の一都市を占拠した、カノッサ機関構成員として】
【意識と視線は、モヒカン男から切らず。油断なく、大男は後ずさりして距離を取ると】
【素早く踵を返して大男は闇の内に消える。食人鬼同士の奇妙な邂逅と食らい合いは、ここにひとまずの閉幕を見るだろう】

/すみません、そろそろ時間がきついので、このあたりで……
/お疲れ様でした、ありがとうございました!!
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 00:38:17.21 ID:+UKw+W+q0
>>687

【きっと事情を話せば皐月は許してくれるだろう。友達と一緒にお菓子を食べに行ったと言えばきっと笑顔で「楽しかった?」と訊いて、それで終わる筈だ。】
【だって、皐月も女の子みたいに甘い物が大好きだから。甘い物を食べたい気持ちは、きっと誰よりもわかる筈だから……だから、帰りが遅すぎたりさえしなければ、きっと怒らない】

【独りでは入りづらいお店も、誰かと一緒に行けばたちまちとっても楽しい場所に変わる。誰かと一緒に居るだけで楽しくなれるのだから、やっぱり人間って不思議】
【人が一杯いる場所だって、誰かと一緒に居れば怖くない。盛況のお店の中、案内された席に一緒に行けばゆっくり席に座る。流石高級なお店、椅子の座り心地も良い。……気がする。】


……バイキングと同じ、ですか。なら大丈夫ですっ!
いえいえ、こちらこそ一緒に行きたいなーって思っていたので!えへへ……いっぱい食べますよー!

【差し出された紙に書かれていたルールは、きっと中学一年生にとってもそんなに難しいことではない。これならまあ大丈夫だろう、最低限のマナーは皐月にしっかり教えられているし】
【……ありがとうって言われたら、嬉しそうに笑顔を見せる。小さな事だけれど、感謝の気持ちと言うのはそれだけで人を笑顔にできる力があるものだ】

【そうして席に着けば、飲み物は何が良いかと訊いてくる鈴音。自分の分だけでなく衣織の分も取ってきてくれると……またまた触れられた、鈴音の優しさ】
【きっとこの優しさは甘えていい優しさだから、お言葉に甘えてとオーダーを告げる。我が儘と言っても特に鈴音を困らせるような注文もしない筈】

えーっと、じゃあわたしはオレンジジュースで!

【告げるオーダ−はコーヒーだのとオトナな飲み物じゃなくて、子供らしくジュース。甘い物は好きだけれど、まだコーヒーや紅茶の苦さの良さは分からないから】
【伝えるべき事を伝えれば、衣織はケーキを取りに行く。横には軽食もあったけれど、そんなものには全く目もくれずにまっしぐらにスイーツへと向かっていく……】

えーっと、えーっと……これもええなぁ……こっちもどないやろか……
……ああ、こっちも美味しそうや……あかん、決められへん!

【困ったように右往左往。どれもこれも美味しそうだから目移りしてしまって、まるで花から花へとフラフラ留まっては離れて移ろいゆくちょうちょのよう。】
【暫くして、ようやくお皿に食べたいものを満載して席に戻っていく……山盛りのスイーツはちょっぴり下品な感じだけれど、仕方がない。】

【こんな所だげお行儀よく、手を合わせて「いただきます!」と一言。それから待ちきれないとばかりにフォークで大好物のショートケーキを切り分けて一口】
【ふわふわのクリームと真っ赤な苺の程よい酸味と甘みが、口の中で絶妙に絡み合うと、心底幸せそうな笑顔。天にも昇るような、そんな感じ……】

―――皐月、って……鈴音ちゃん、お母さんに会ったんですか!?
……えへへ、似てますか?ちょっぴり照れちゃいます……お母さんは、わたしの目標ですから。
優しくて、いつでも私の味方でいてくれる……とっても、とても大好きな人です。


……きっと、似てると思いますよ。だって、子供は絶対に親に似る物ですから。

【訳ありって事までは分かっても、どういう訳であるかまでは分からない。でも、鈴音がちゃんと大切な誰かに似ているってことははっきりと分かる】
【其処に生きて存在するということは、親が自分を生んでくれたということ。もう会えないとしても、きっと自分には親の面影が残っている筈だから】

【―――そして尋ねてくるのは、衣織の食べているケーキの味。「おいしい?」と訊かれれば、「はい」としか言いようのないおいしさだったから】
【そのおいしさを共有してみたいから、端っこの一番クリームの乗ったところをそっと切り分けて、鈴音のお皿に乗せる。】
【「さっきの飲み物のお礼です!」と言葉を添えてニコリと微笑む衣織を見れば、きっと遠慮はいらないと分かる筈。】
【ショートケーキはオーソドックスなもの。だが、クリーム・生地から苺に至るまでこだわりぬいたものだから、そんじょそこらの物とはまるで違うハイグレードな甘さ】
【しっとりとした生地、コクのある濃厚な甘さのクリーム、酸味と甘みのバランスがこれ以上ないくらい最高の苺、それらが計算されたかのように口の中でハーモニーを奏でるのだから、きっと鈴音も唸らせるだろう】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/05/08(木) 00:40:45.90 ID:sVh3k+dno
>>692
/すいませんこちらも眠気が笑
/締めのレスは明日のお昼までには返しますので…
/カニバディールは絡んでみたかったキャラだったんで絡めてとても楽しかったです、お疲れ様でした!
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/08(木) 00:52:37.61 ID:c+4co5z1o
>>691

【――ロッソの声が漏れたのか、それともその顔を見てだろうか】
【店主は一度、ビールを置いて去る前にそちらを向いてにこやかに首肯した】

【何に対して、というのは無粋な疑問だ。隠し扉だろうが、闇酒場だろうが】
【或いは最高に「下品」なウィスキーの飲み方だろうが――関係無い】
【彼は何も言わず、またカウンターに行ってしまった。老齢のスキンヘッドの店主だった】

随分な自信をお持ちだ事で。……でも、それくらい度胸がなきゃ務まらねェよな
それじゃあ決まりだ。映画見て、酒飲んで、そのまま朝日を見に行くのも、な?

……別に、寝たかったら寝てもいいんだぜ。
置いて帰ったりしねーし……それに、お前にとっちゃ寝れるなんてラッキーだろ?
それも美女の膝枕付きとなりゃ安眠間違いなし、ってな!

【また随分と楽しげに言うものだ――まあ、実際楽しいのに違いない】
【その辺がまだまだ子供らしい。感情の沸点が低くて、それが手に取るように分かってしまう】
【――推理するに次の表情は悩み、だ。何に対して乾杯するか――10秒ほど経つと口を開き】

じゃあ……『明日に』でどうだ。俺達は死なないし、捕まらない
やることも沢山あって、全部明日……つまり未来にやるわけだ。…イイ感じだろ?

【にやりと満足気にそう言えば、またグッと杯を相手の方に近付けた】
【後は彼が手を伸ばせばカチンッ≠ニ良い音がするはずで】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/08(木) 01:01:02.77 ID:LNMYhh+00
>>693

【それならもしかしたらこちらのほうが許されないのかもしれない。どうしてかって、家では彼女が晩ご飯を作る係だから】
【遅くなると家のひとの空腹に直結する。それでも、彼なら許してくれるはずだから――なんて、優しさについ甘えてしまう】
【彼のことを思うならお土産話だって出来ない内緒の寄り道。晩ご飯はちゃんと作るから――もうちょっと待ってて、なんて、】

【分かったとひとつ頷いてから去っていく背中、ひらりと揺れるスカートはふわふわと柔らかそう、レースはケーキの飾りみたいに先妻で】
【やがて持ってきたオレンジジュースを机に置く、――自分の分はあったかいほうじ茶。これもまた机に置いて、出陣――】
【そのうちに戻ってきた手にはお皿と、たっぷりのケーキと。生クリームの多いのを選んでいる辺り、おなかが空いている、というべきか】
【わざわざ重たいのばっかり選んでいるようだった。それなら、すぐにおなかいっぱいになってしまいそうだけれど――?】

会ったよ、街外れのほうと、ケーキ屋さんと……、二回かな。お話してもらったの、ちょっぴりだけど……。
うん、似てる。どこがってよく分からないけど――ちゃんと似てるよ、そっくり。羨ましいぐらい。

……そうかな? ふふ、そうだといいな。

【甘夏のタルトをぱくぱくと減らしながら答えていく、会ったのはそんなに多い回数ではないけれど、きちんと覚えている】
【どんなお話をしたか、どんな顔をしていたから、緩やかに思い出しながら――そこに重なるのが、眼前の少女の姿】
【ちょっとした表情が似ているように思えた。親子らしく顔も似ているはずなら、ほんとうに、不思議なぐらい似ている親子】

【それから。きっと――なんて言われれば嬉しそうにするのだった。ほうじ茶を一口飲んで、口元には緩く暖かな笑みの色】

【(ほんとうは似ているなんてものじゃなかった。“彼女たち”はそういう風に出来ている、まるで鏡に映したように)】
【(父親にまるで似ない血筋。だから彼女は母親の若い頃の生き写し。違うところは――彼女には、時間がないということぐらい)】

【(その代わりに才能としては父親のものを多く継いだのだけれど。日進月歩練習中、練習が花開く日はいつになるのやら)】

わあ、ありがとう……、いただきます。……――ん、おいしい。後で貰ってこよう――、

【ぱあと笑顔が咲く刹那、貰った分を食べて――目元を綻ばせて笑う。自然と笑みの零れてしまうぐらいに、おいしかった】
【それは衣織の気持ちの分もあるのだろう。ただのケーキにしては美味しいように思えた、空腹のせいだなんて、思いたくなくて】

【ふわふわとしたスポンジ、けれど甘く柔らかなだけでないしっとりさは、それだけ歯に快くて。間に挟まった苺も、いい仕事をしている】
【じゅわっと溢れてくる果汁の甘酸っぱさと、種のぷちぷちした食感。それがふわふわとろとろと甘いクリームとスポンジの中、浮き立って】

学校の帰り? ……わたしね、学校行ったことないの。学校って楽しい? 面白い?
ドラマとか本とかで見るぐらいしか知らないの、学校って何するの? お勉強と、……部活?

お勉強はお家でしたことがあるの、セシルが……、んと、わたしの旦那さんが。学校の先生だったから……教えてもらってるんだ。

【お礼にってあげた甘夏のタルトの端っこ、それからふと尋ねてみるのは、そんなことだった】
【相手の格好はどう見たって学校帰りのように見える、鞄も――どこかの指定のものだろうか。よく分からなかったけれど、】
【――学校に行ったことがないというひとはこの世界では珍しくもないだろう。何らかの事情があるひとは、存外に多いから】
【それでも目の前にするとどんな風に思われるのか。純粋に興味で聞いているらしい顔、そこには特に後ろめたい感情もないようで】
【それなら。どんな場所かって、どんなことをするのかって、教えてやれば喜ぶだろう。本やテレビでは知れないことがあるはずだから】

【(お勉強すらしたことがなかったようなことを言っていた。“したことがある”とか、きっと普通はあんまり言わないこと)】
【(そうして出てくる名前がまたそれだ。誰?って思われそうな刹那、それに気付いたらしい訂正が付け加えられることになるのだけれど)】
【(まさかの“旦那”だ。この世界の一部には彼氏を“旦那”“夫”と呼ぶ人種が居たりするらしいけれど、どうやらそれとも違う?)】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 01:09:09.75 ID:+UKw+W+q0
>>696
//すみません、眠気&朝の都合でそろそろ時間が……!宜しければ持ち越し或いは置きレスと言う形にして頂ければ!
//自分は20時ぐらいには戻れる筈ですが、其方の都合はどうでしょうか!
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/08(木) 01:10:38.97 ID:LNMYhh+00
>>697
/それなら明日にしていただけると助かります!
/20時ごろで大丈夫ですよ、その頃に待機しておくようにしますねー
/ではひとまずお疲れ様でしたっ、また明日よろしくお願いします!
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 01:14:03.53 ID:+UKw+W+q0
>>698
//はい、ではそれぐらいでお願いします!それでは一旦お疲れ様でした!
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/08(木) 01:25:06.49 ID:KGKfz2rJo
>>695

……おいおい、マジで闇酒場ってことは無いよな?
このご時世に…外にGメンでも張ってたら厄介だぞ…

【テーブルを去る店主の背中をじっと眺めた後、ベイゼの方に顔を寄せて】
【少し声のボリュームを落としてそう言う。数秒後ニヤリと笑うから彼流のジョークなのだが】

セールポイントと言ってもらいたいね。このビールだって、『それなりに』なんて広告じゃ売れやしないさ
……オーラィ。覚えてるな?テレビとビールを用意して、煩いのはどっかにやる。大事なことさ

いや…寝るならシャワー浴びてちゃんとどっかで寝たい。…美女の膝枕も悪くない…最高だけどね
ソレだと……お前の顔がよく見えないしさ。そいつはちょっと寂しいね
……寝るのに見えないなんて変な話だけど…居てくれなくちゃ…さ。…なんだろ…まあ…

【記憶喪失の副作用(?)によって生まれる悪夢と気の置けない身分のストレスが主な不眠の原因である】
【純粋に居てくれさえいればいいという彼の言葉は最小限で最大に必須なことで膝枕とかよりも案外】
【手を握ってやるほうがこの男にとっては喜ばしい…まあ、何でも喜び半分、戸惑い半分。でも飄々としている】
【といういつものリアクションなんだろうというのは簡単に想像できることだ】

明日か……俺は…案外、一番欲しい物はそれかもしれない。……なんかさ、全部今日の続きに感じるんだ
……イイ感じだ。それに、『明日に向かって撃て』は一番好きだ

【また映画の話か。少しだけ出た、彼の無機質な本心の言葉はグラスの音で掻き消えてビールの泡とともに消えた】
【濃いビールを勢い良く飲んで、一息ついて。今度は煙草に手を伸ばした】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/08(木) 01:57:05.30 ID:c+4co5z1o
>>700

さあてどうだか……強いて言うなら前に来た時、俺は機関のNo.3だったし
相手のマフィアは今も現役で時々利用してるそうだぜ?

【つまりはそういうこと。顔を寄せあって、こちらも声のボリュームを落としていたが】
【ニヤリと笑うタイミングは殆ど一緒だ――お互い分かっての会話というのは】
【それも特別な雰囲気の中でというのは、自然と笑ってしまうものらしい】

なるほど、そう来たか……じゃあ何だ、横で添い寝でもしてやろうか?
つっても俺のほうが先に寝ちまいそうなのがアレだし……
……そうだ、お前のことなんだから、お前がどうして欲しいのか言ってみろよ

【こと睡眠に関しては、育ちだのの事情から困ったことがないのがベイゼだ】
【安眠への悩みだとかはあったことがないし、危険な立場というのもそうは無い】

【だったら、と悩みを巡らせたってどうしようもないわけで――結局うっちゃるように質問し】
【更にはビールのグラスを軽くなるのに合わせて、意識はそっちに移してしまって】

明日、あした……俺さ、最近友達が……そいつはもう結婚してるんだが
一緒に買い物したり、お茶したり……結構そういうのとか、楽しくてよ
こういう時が続けばいいのに、って気持ちもあって……好きだな、明日は。

……それじゃ、朝まで映画コーナーのイントロにでもしようか
お手柔らかに頼むぜミスター?初なお嬢ちゃんはまず俳優から知らなくてだな…――。

【なんて言葉を続けながら、同じようにビールをあおる。が、意外に減りが少なくて】
【別に苦いという顔でもないのを見れば、じっくり味わうつもりなのだと分かるだろう】

【幸いにして口直しの様なチーズも何切れか来たところだ、酒で舌の滑りもいいだろう】
【乗ってしまえば――これが案外貪欲に、本当に朝まで楽しむつもりに違いない】
【それでなくともこの一杯が尽きるまでは寝かせないはずであって――少しずつ、世間の隅でも夜は更けていった】

/……と、時間も時間ですしこんな感じでしょうか
/二日間に渡り楽しませて頂いて感無量なのです!お疲れ様でしたー!
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/05/08(木) 11:43:52.32 ID:MR5jDhBO0
「追え! そこの道を右に曲がったぞ!」
「逃がすな! 相手は坊主小僧だ!」

ハァ……ハァ……ッ!!

【走り抜ける少年がいた】
【その目線を遠くに向けて、走り続ける】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【薄手の灰色のコートを身に纏う】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【その背後を追いかけるのはスーツを着込んだ男たちだ】
【サングラスで目元を隠し、荒事の経験を雰囲気から匂わせる彼らは間違いなく危険な連中だろう】
【その彼らが、白色の少年を追っている】

まだ……ッ! 来るの……!?

【すれ違いざまにぶつかる通行人に謝る暇もない】
【背後から追いかけてくる追跡者は2、3人ぐらいだろうか】
【時々振り返っては持てる力を使い切ってまで走り抜ける】

【もうこの場所がどこかもわからない】
【どの道をどのように曲がったのかさえ、覚えていない】
【ただ、追っ手を振り切る。その一心で】

………っ…あぁッ…!

【そして、彼らと距離を離したところで少年は飛び込むように裏路地に転がった】
【放置されたゴミ箱と廃材に埋もれるように、身を隠すだろう】

【―――――その光景を、あなたは見ただろうか】

「クソッ! どこ行った!」
「この周辺にいるはずだぞ! 見つけるんだ!」

【そして、少年の追っ手がやってくる】
【覆いかぶさった廃材の中で少年は息を殺し、気配を殺そうとする】

【だが、不十分】
【見つかるのも時間の問題だろう――――そして貴方は、この場所に立ち会ったのだろうか…?】
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 18:43:09.18 ID:+UKw+W+q0
>>696

【戻ってきたら机に置かれていたグラス、中にはちゃんと注文通りにオレンジジュースが注がれていた。鮮やかな橙色、これで着色料を使っていないというのだから驚きだ】
【先にケーキを取ってきたから、まだ鈴音は戻ってきていない。先に食べてしまうのはなんだか無粋な気がしたから、鈴音が戻ってくるまで少しだけ待って】
【間もなく鈴音が戻っていくと、漸く食べ始める。太っちゃうかも?なんて憂いも今は全部どこかに追いやって、いつもより贅沢な甘味をいっぱい味わおう―――】
【(それに、衣織も太ることを心配するような体型ではなかった。体はまだまだ小さいけれど、すらりと伸びた足や体躯は母親譲りのしなやかな細身)】
【(膨らみかけの胸は、鈴音よりほんの少しだけ大きい。育ち盛りの十三歳、未熟だけどほんのり成長した体は全体的にスレンダーな印象)】

そっかそっか!―――あ、じゃああの時の「友達とお菓子食べて帰る」ってメールはもしかして鈴音ちゃんと食べてたんかなぁ……?
不思議な縁ですね。そっかぁ、お母さんと知り合いやったんか……
えへへ……お母さん、一緒にケーキ屋さんに行ったらとっても喜んでたでしょ?ケーキとか甘いもの大好きだから……ふふっ、お母さんの喜ぶ顔が思い浮かんじゃうなぁ……

【ショートケーキを切り分けては食べつつ、鈴音と皐月のお話を聞く。初対面だと思っていたのに母の事を知っているって、少し変な感覚】
【衣織の言葉から垣間見える皐月のメールの内容。会った回数は少ないけれど、皐月はすっかり鈴音の事を「友達」と認識しているようだ】
【女の子が一緒にお菓子を食べてお話すれば、きっともう友達になれる。……じゃあ、衣織も友達?】

【甘いケーキを食べて、それから見せる幸せそうな笑顔も親子で似ているのだから不思議。まるで皐月をそのまま小さくしたような、そんな印象】
【似てるって言われてぱぁっと浮かべる嬉しそうな笑顔。世界で一番大好きで、自分の目標でもある人……少しでも母のように優しい人になれたらいいなといつも思っているから】

【……本人は気付いていないようだが、優しさという面ではもうしっかり皐月から受け継いでいた。母の優しさを目一杯受けて育った衣織だから、皐月と同じ優しさが宿っていた】
【その証拠に、ほら――――分けてあげたショートケーキを食べて笑顔になった鈴音、その表情を見ている衣織はとっても柔らかくて優しい微笑みで満ちている】
【人が喜んでくれるのが嬉しい……そう思えるのはきっと、母から譲り受けた優しさのお蔭。衣織は気付いていないけれど、人として一番大切な所もすっかり皐月に似ているようだ―――】

//続きます!
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 18:44:12.35 ID:+UKw+W+q0

【お返しと貰ったタルトをフォークで突っつきながら、尋ねられたのは学校のこと。】
【制服姿の衣織を見て、学校のことに興味を持ったのだろうか。尋ねてくる表情は、別に学校に通っていないことに対するコンプレックスみたいなものも無くて、純粋なものだから】
【特に遠慮もなく始まったばかりの学校生活について語りだす。とっても楽しそうな表情を見れば、楽しく過ごしているのが伺えるようで―――】


学校はとっても楽しいですよ!
えーっと……一杯勉強して、それから部活して……それもあるんですけど、一番楽しいのは学校の友達といる時です。
昼休みにお弁当食べたり、放課後に一緒に遊んだりするんです。そんな時間が一番楽しいかなーって!
クラスで一番仲がいいのは、隣の席のアルシアちゃんかなぁ……いっぱいお話したら、すっかり友達になっちゃいました!
おっとりしててちょっぴり天然な感じだけど、とっても優しいんですよ!……わたしより胸が大きいのが羨ましいですけど。

クラスで一番仲がいいのはアルシアちゃんだけど、学校で一番仲がいいのは佳乃ちゃんです。
もうお友達どころじゃなくて、お姉ちゃんみたいな人なんです。不器用で不愛想だけど、優しくて強くて……いつも私の味方でいてくれるんです!
四つも年上だけど年の差なんて全然気にせずに一緒にいてくれる、私の大好きなお姉ちゃんです!

……佳乃ちゃんはもっと大人な感じです。わたしもあんな風に大きくなれるんかなぁ……

【告げるのは二人の名前、「アルシアちゃん」と「佳乃ちゃん」という人物。】
【もともと人懐こくて外向的な衣織だからまだ5月だというのにもう友達がいっぱい出来たようだが、その中でも特に仲が良いのがこの二人らしい】
【(……もっとも、佳乃に限っては入学以前から親しかった。暴漢に襲われているところを助けられたり、手袋をプレゼントしたり、佳乃の秘密に触れたり……)】
【(色んなことがあって仲良し姉妹みたいな関係になったのだけれど、それはまた別のお話。)】

【「アルシアちゃん」というのはクラスで一番最初にお話しした相手。そのまますっかり意気投合して仲良くなった、衣織の学校での友達第一号】
【本名、アルシア・フォーサイス。優しくてあらゆる行動が善意から来るのに、どこかズレていて全部斜め上の結果になる……そんな女の子。】
【お嬢様な見た目とおっとりした性格の持ち主だが、しっかり者の衣織と気が合ったらしい。―――正反対の性格とは、案外友達になりやすいもの】

部活はね、えーっと……手芸部に入ってます!
アクセサリーとか手袋とか作るんです。わたし、裁縫は大好きですから!えへへ……おかあさんの着てる服、わたしが作ったんですよー!

【……自慢げに語っているが、よく考えれば物凄い技術だ。皐月が鈴音に以前出会った時に着ていた服も、衣織が作ったというのだから……】
【採寸から縫合まで、全部プロ顔負けの完璧な仕事……。魔法や能力は無いけど、布と糸と裁縫道具があれば何でも作れてしまう、衣織の隠れた才能】
【その一種天才とも言える技術を、今は手芸部で余すところなく発揮しているらしい。手芸部に物凄い新入生が入ってきたと、上級生の間で噂になっているとか……】

ところで……
鈴音ちゃん、旦那さんって……もしかして結婚してるの?……すごーい……
(……わたしも将来結婚するんかなぁ。どんな人がわたしの旦那さんになるんやろか……)

【何が凄いのかはよく分からないが、とにかく凄い。だって、自分と大して変わらないぐらいの女の子がもう結婚しているのだから】
【自分はまだ母親の下で「子供」として庇護下にあるというのに、鈴音はもう結婚して家庭を持っている……その事実が、衣織の目を大きく見開かせた】
【……なら、衣織の興味もその「旦那さん」に向くのは当然のこと。結婚生活ってどんなのだろう?今度は衣織が鈴音に尋ねる番だ―――】

―――ねえねえ、旦那さんってどんな感じ?ケッコンって、幸せですか?

【衣織は「旦那さん」という存在を知らない。本来身近な「旦那さん」の例では父親がいる筈だが、以前に皐月が語ったように衣織には父親がいない……】
【だからこそ、興味を持ったのかもしれない。結婚とか、夫婦とか、よく知らないから……】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/08(木) 19:13:36.84 ID:LNMYhh+00
>>703

【太ってしまうのを気にしていないのはこちらも同じだった、だって、この身体は太ったりしないようにできていて】
【流石に食べた重量分は増えたりするけれど、いつの間にかいつもの体重に戻っている。それが、いつものこと】
【それがなければ薄っぺらの胸元にも希望が抱けたのかもしれないけれど。どうしたって、絶望がそこにはあって】

【(今年で二十一だった。それが、中学生の、それに、一年生に、負けていて、)】
【(けど救いなのは胸のリボンだとかでそれがあんまり目立たないこと。負けていることを、すっかり洋服で隠していた)】

うん、嬉しそうにしてたよ――お土産もくれたの、美味しかった。

【ふわあと笑う仕草、それからタルトの最後の一欠けらを食べ終えて、思い返すのはあの日のこと】
【貰ったミルフィーユは家で二人で食べた。安定してばらばらにしてしまった、だとかいうことは余談だけど――】

【――それから変わる話題、学校のこと。行ったことがないなら、上手く想像も出来ないこと、目をまあるくして聞いて】

お友達と……? ……衣織の学校は給食じゃないの? お弁当……、……そっかあ、お弁当――、
……アルシアちゃん? そっか、お友達なんだ、じゃあ一緒にお弁当食べたり、するの?

――そ、なんだ、……へえ、

【お友達とお弁当。それはちょっぴり予想外の答えだったのだろう、学校=給食のイメージ、それだったなら、イメージ外】
【ぱちくり、と瞬いた瞳の色合い、くすくす笑って尋ねる、お友達ならそうなんだろうな――なんて、思っていたのが】
【――ふとぴくりと止まった気がした。持っていたフォークがかちりとお皿を叩いて、それなら、その一瞬に何が起こったか】
【(胸の話だった。その言いぶりで、この無乳では、絶対に負けるだろう。中一に負ける、中一に負ける? 湧き上がる感情は)】
【(嫉妬羨望或いは殺意に似た何か。まるで蛇のように鎌首を擡げたところで、踵落としでもして無理に大人しくさせる妄想)】

佳乃ちゃん? ……そうなんだ、よっつ上。……それでもわたしより下かな、わたしね、今年で二十一なんだよ。
……見えないでしょう? 幼馴染の子と居たってひとりだけ子供扱いされるの、慣れちゃった。お酒も飲めないんだよ――、

【「だからお家で飲むの」――聞いた話から派生したお話、けれどそれは、驚きを生むものなのかもしれない、だって、】
【精々が高校生ぐらい――それなら、衣織のいう“佳乃ちゃん”と同じぐらいに見えるかもしれないのに、それは真っ赤なうそで】
【本当は成人済みなのだと言う。ちょっぴりのコンプレックスを混ぜた笑顔、少しだけ寂しそうなのが、印象的で――】

手芸部? ……手芸が得意なの? わたしもね、最近じょうずなんだよ――、そうなんだ、? ……すごいね。

【いちごのシフォンケーキ。今度手を付け出したのはそんなケーキ、ぱくと食べてはお話すること、そのうちににっこりとして、】
【そんなにっこりが言葉に変わる、丸い瞳は、きっと過去を想起してから――ふにと細められる、純粋な賛美と一緒に】

…………うん、去年のクリスマスにね、式みたいなことをしたの。ドレス着て、お船で空を飛んで――ご飯、たべて。
はじめて会った場所でしたんだよ、素敵だった――……、ふふ、今もね、お部屋にドレス、飾ってあるの。

【いっそう甘く笑って見せたのは、シフォンケーキを添えられた苺と食べたから――ではないだろう、もっと、ずっと、柔らかで】
【式みたい――というからには式そのものではないのかもしれないけれど。とかく、素敵なことをしたと伝わるだろうか?】

――わたしはまだまだ子供みたいだけど。あのひとはね、とってもとっても大人みたいなひとなの。いつだって、優しくて……、
わがまま言っても聞いてくれて。ぬいぐるみとかいろいろ買ってもらったし――嫌なことがあったら、すぐに抱き締めてくれるの。
すぐに飛んできてくれるんだよ、何度だって……、……見た目よりね、ずっと優しいひとなの。知ってるんだよ、わたし。

【彼女にも父親が居なかった、昔は確かに居たのだけれど――居なくなって、しまった】
【だから、あのひとと会って初めて父親に触れたし、旦那に触れた。あのひとのお陰で、いろいろ知ることが出来て】
【ほうじ茶を緩く飲んで唇を湿らせる、そうすればつらつらと零れていくお話、とっても幸せそうに見えたはず】

…………しあわせだよ、とっても。今まで生きてきた中で、いちばんしあわせ。

【――だから、そんなことだって言いきれた。一切の澱みもなく、自信たっぷりに、言い切ることが出来た】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 20:29:28.93 ID:+UKw+W+q0
>>705

【沢山喋った学校のお話。まだまだ喋り切れないほどたくさんの出来事があったけど、取り敢えずは一番話したい事だけをかいつまんだ】 
【学校で一番楽しいこと、学校で一番大切な友達。これだけでも、きっと衣織は一時間でも二時間でもお話をすることが出来る……】

はい、いつも一緒に食べますよー!
友達とおしゃべりしながら一緒にお弁当を食べるとね、美味しさも倍増するんです!

だからね、今食べてるケーキもきっといつもより美味しく感じてるのかなーって……えへへ

【ちなみに、衣織の通う学校は弁当だ。中高一貫の私立だから、きっと全員の給食を作ろうとしたらとてつもない量を作らなければいけないことになる】
【一応食堂もあるし購買で何か買うことも出来るから、絶対に弁当を持って来なければいけないってことはないけれど、衣織は皐月に弁当を作ってもらっている】
【やっぱり、母親の手作りのお弁当が一番美味しい。母の味とは不思議なもので、どんな簡単な料理だろうが高級フレンチよりも美味しく感じてしまう……】
【それを友達と一緒に毎日食べられるのだから、それはとっても幸せなこと。母と友達、大切な人たちに囲まれて衣織は生きている―――】

【―――可愛らしい鈴音の表情が、ちょっぴり怖くなった気がした。胸の話、衣織だってまだまだ小さいけれど鈴音なんて小さいどころの話ではなくて】
【恐らくアルシアには完敗だろう。だって、彼女は見た目(特に胸元)が中学1年生とはとても思えないような子だったから……】


【そして続く話。応える鈴音が告げた事実は、結婚していると聞いた時と同じくらい衣織を驚かせた。つぶらな瞳は、さらに丸く大きく見開かれて】
【なんとなんと、二十一歳らしい。―――どう高く見積もっても高校生がせいぜいなのに。ということは、自分よりも遥かに年上の人……!】
【自分と同じぐらい、或いは少し年上かなと思っていたのに、まるで見当違い。―――鈴音の姿を見てニ十一と見破れる人はそうはいまい】

に、にじゅういち!?えっ、……えっ!?じゃあ、私なんかよりすごい年上じゃないですか!
す、すみません!二十一歳とはつゆ知らず「鈴音ちゃん」なんて失礼な事言って……

【―――自分より八つも年上の人、そんな鈴音にちゃん付けは余りにも失礼。これでは「鈴音さん」と呼ぶのが妥当ではないか……!】
【慌てて非礼を謝る衣織。ペコリと頭を下げる姿は、申し訳なさが滲み出ていた……】

【そんな恐縮しきりだった衣織も、「すごいね」の一言に顔を綻ばせる。褒められて年相応に子供っぽく喜ぶ姿は、体は小さくとも色んな所で大人っぽい一面を見せる鈴音とは対称的】
【あどけない笑顔は、きっと心の底から喜んで生まれたもの。可愛らしい衣織の顔は、微笑みでさらにその可憐さを増す……本当に、笑顔の良く似合う少女だ】

――――

【丁度衣織も一つ目のショートケーキを食べ終わる頃。次のシナモン風味のマフィンに手を付けながら鈴音とのおしゃべりは続く―――】

【鈴音が綴るのは、衣織の幸せとはまた違った幸せのお話。大好きな人とずっと一緒になれる、女の子としてはきっと一番の幸せのお話、―――結婚。】
【……世界中の誰よりも幸せそうな顔だった。さっき食べたショートケーキのクリームよりもふわりと甘く蕩けそうな、柔らかくて素敵な笑顔。】

【言葉の端々から伝わる想い、その一つ一つが何よりも幸せに満ちていて温かい。】
【きっと全部本当のことなのだろう。わがままを聞いてくれるのも、色々買ってもらったのも、嫌な事があったらどこに居てもすぐに飛んできて抱きしめてくれることも】
【……そんな人と一緒になれたのなら、それはもう一番幸せなことなのだろう。あんなに自信たっぷりにしあわせと言い切れるんだから、きっと間違いない。】
【―――いつか自分にもそんな人が出来るのだろうか、未だ見ぬ未来の旦那さんに少しだけ思いを馳せて】

【ふと鞄から携帯電話を取り出すと、かしゃりと一枚鈴音の写真を撮る。それからたった今取れた写真を微笑みと共に鈴音自身に見せて】

―――とっても素敵な笑顔だったので、撮っちゃいました。えへへ……見て下さい、鈴音さん、とっても幸せそうな顔してるでしょ?
女の子をこんな笑顔にさせられるんだから、きっとそのセシルさんは素敵な人なんだなーって、私も分かります!
……鈴音さんの話を聞いてたら、なんだかこっちまで幸せな気分になっちゃいました!

……いつか、私も結婚するのかなぁ……わたし、いいお嫁さんになれると思いますか?
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/08(木) 20:48:01.01 ID:+E28CHnRo
【公園】

「今以上に力を得るためにはどうしたらよいものかの?」
「愛の力、友情ぱわー……むぅ、曖昧すぎてどうもしっくりこぬな」


【人気の少ない夜の公園で、ベンチに座るちんまりとした人物がいる】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


「何にせよ、このシーナ様がやられたままなど許せんのだ!」
「次会ったときは百倍返しで仕返ししてやらねばな!」


【そんな文字を走らせながら、手にドーナツを掴んで口を付け】
【ハムハムと栗鼠のように頬張り始める】
【何やら物騒な台詞を記しているが、小柄な体躯とドーナツを咀嚼する様子は幼い童子にしか見えなかった】

【もし近くを通りかかることがあったならば、この珍妙な格好が目に留まるだろうか】
【また、知覚できる範囲で何か物事が発生した場合それに反応を示すかもしれない】
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/08(木) 21:15:54.38 ID:LNMYhh+00
>>706

【どれだけでも話してられることがあるのはきっとしあわせなこと、そういうものがあると、きっと毎日が楽しくなるはず】
【彼女にとってそれは学校のことかもしれないし、母親のことかもしれないし、彼女にとっては――だいすきなひとのこと】
【おいしいお菓子があって、そんな話題をすれば、――楽しくないわけが、ないのだから】

そっかあ。わたしね、お弁当ってあんまり食べたことがないの……ううん、どっか行くときとか、たまに作るんだよ。
でも、そんなに毎日は食べないもの。……ちょっと羨ましいな、ひとの作ったお弁当なんて、コンビニのぐらいだもん。

お母さんのお弁当……懐かしいなあ、卵焼きの中に海苔が入ってるの。ぐるぐるの渦巻きになってて、……おいしかった。

【そうして紡ぐのはちょっとした自分のこと。お弁当を羨んでみる、そんな些細でかわいらしい嫉妬めいた感情】
【作ってもらったお弁当だと言うのが余計に羨ましかった。だって、彼女はいつだってお弁当を作る側、作ってもらう側でなくて】
【ふと思い返してみた記憶の中のお弁当。もうほとんど覚えていなかったけれど――思い出せたのは、それだった】

【きっと指先で丁寧にその身体をなぞったとしても、その身体に対した膨らみは見出せないだろう。彼女の身体は、それぐらい】
【起伏に恵まれていないお子様体型、おなかはぺったんと凹んでくれたけど、胸が凸ってきてくれなかった、かなしみ】

うん、まだ二十だけど……、六月でね、二十一になるの。もうお酒も飲めるから、あんまり変わらないけどね――。
…………いいんだよ、べつに。そんな風に呼んでくれるひと、あんまり居ないもん。

【お誕生日は六月のおしまい。それでも――新しく出来ることがないなら、なんだか楽しみ度は去年よりも低いよう】
【去年はやっとお酒が飲めるようになると楽しみだったものだ。実際お酒を飲んでみて、こんなものかなんて思ったりもしたけれど】
【頭を下げる様子に、逆にこちらが驚いたようだった。気にしないで、なんて声はきっとすごく優しくて、暖かなもの】

毎日毎日違うところが好きになるんだよ。昨日はすらっとした指が、今日は長い睫毛が、って……。
時間が経てば経つだけ好きになるの、だいすきになるの。不思議だよね、昔よりずっと好き――。

手が暖かいのも、声が低いのも、背中でくしゃっとした髪も、ぜんぶ好き。……でもね、それってね、
……わたしね、とっても運が良かったんだと思うの。だって、嫌いなひとと結婚してるひと、たくさん居るよ。そうでしょう、?
お金持って来てくれるから我慢してるとか。そういうのじゃないの、お金持って来てくれなくたって、どんなセシルだって、わたしはだいすき……――?

【ほうじ茶の入った可愛らしいカップ、唇を濡らすように舐めたなら、淡い唇を飾る艶めき、その後の笑みすら色合いを増すよう】
【嬉しげに視線を伏せれば長い睫毛がふわと揺れる、その向こう側に瞳の色合いを透かして――瞬く瞬間、特に長く顔の白に映え】
【毎日新しく好きになる。だから毎日始めて会ったときのようなどきどきが続いて、――だのに、疲れるなんてことはなくって】
【くうとほうじ茶を飲み干してカップを置く、カップの陰から見えた顔は、あどけないのに、大人びた、至って不思議なものだった】

【そうしてカップの淵を指がなぞる、ふと下ろした目蓋の天蓋、そうしているとしあわせな夢で眠っているかのような錯覚、きっと与えて】
【言い終える頃合だろうか、ふと相手が何かを取り出したよな気配。不思議がって瞳を開けてみると――かしゃり、】

【ひどく驚いた顔になったのが或いは予想外だったかもしれない。なんてことなく、彼女が写真を撮られるのが苦手なだけなのだけれど】
【終わった後に恥ずかしくなってぺたんと片手が頬っぺたに触れる、もう片方も頬っぺたに触れて、顔を覆うように隠してしまう】
【自分の顔を見たくないらしかった。指の隙間に見える頬っぺたは、すっかりと赤くなってしまっていて――】

…………――い、衣織ならきっとだいじょうぶ、……わたしだって、見つけられたんだもの、とっておきのひとを。

【じわじわと恥ずかしさが静まるまで何秒ぐらい掛かったろうか。やっと頬っぺたの手を剥がし始めたなら、顔の赤いのもだいぶ引いて】
【不意打ちで見せられやしないかとびくびくしていたのが子供みたいだった。それでも大丈夫らしいと見れば、手を膝に下ろして】
【なんにもなかったみたいな顔して――大人ぶった声でそう言うのだけれど、だいぶん手遅れだったりもして――】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 22:01:05.98 ID:+UKw+W+q0
>>708

ふふふっ……セシルさんはいつも鈴音さんのこんな顔を見てるんですよー!

【撮った写真を鈴音に見せれば、まるで熟れた林檎みたいに頬を赤くして顔を覆ってしまう。そんな風に恥ずかしがるのがまた女の子らしくて可愛いくて】
【さっきまでの大人っぽい雰囲気はどこへやら、その姿はまるで仲の良い恋人を種にからかわれた高校生あたりの少女みたいで微笑ましい。……そんな鈴音に親近感を持ったのか】
【年下だというのに、まるで同い年の友達と恋人のお話をしている時のように親しげな笑顔を見せる。年上なのに年上っぽくない鈴音に、衣織はすっかり懐いたようだ……】

【……それにしても、あんなにだいすきな人の事を滔々と述べる事が出来るのに、何を今さらそんなに恥ずかしがることがあるのだろうか……】
【自分の顔が見たくない?どうして?こんなに可愛くて素敵な表情をしているのに……こんな笑顔になれる人って、世界中を探してもそうはいないよ?】


【ようやく鈴音が落ち着くともう一度悪戯っぽい笑みを向けてみる。もう携帯の写真を見せることはないから一安心、鈴音は今さら大人びた表情を見せて】
【女の子の「先輩」として、大丈夫と一言衣織に告げる。「衣織も大切な人がきっと見つかるよ」って……そんな一言も衣織にとっては嬉しかったみたい。】
【だって、大切な人をちゃんと見つけられた鈴音が言うんだもの。幸せをつかんだ彼女が言うんだから、きっとその言葉は間違っていないのだろう】
【まだ恋もしたことが無い衣織、運命の人に出会えるのはいつになるかはまだまだ分からないけれど―――】

えへへ……鈴音さんに言われると、自信が出てきちゃいました!
まだ彼氏も出来てないけど……いつかきっと、大切と言える人に出会える、そんな気がします!



【さてさて、ケーキも大分食べ終えたところでもう一つ大事なお話が残っている。】
【もうすぐ母の日、日頃の感謝を込めて何かプレゼントをしようと思っているのだが……これがなかなか決まらない。】
【そんな折に、鈴音と一緒にこのお菓子のお店に連れて行ってもらった。―――そこで閃いたのは、何かお菓子をプレゼントしよう!ということ】
【衣織に負けず劣らず皐月も甘い物が大好き。きっとお甘いお菓子をプレゼントしたら喜んでくれるはず……衣織はそう踏んでいるらしい】
【でも、どのお菓子が良いか決めかねているのだ。どれをあげてもきっと喜ぶのだろうが、せっかくなら一番喜ぶものをプレゼントしたくて】

えーっと……鈴音さん!ちょっと相談があるんですけど……
もうすぐ母の日ですよね?だからわたし、おかあさんにプレゼントをしようと思ってるんです!
折角だから、ここでお菓子を買ってプレゼントにしようかなーって思ってるんですけど……
どれを買ったら一番喜ぶと思いますか?わたし、ちょっと迷ってるんです……


【そんな訳で、鈴音に相談。独りでは名案が思い浮かばなくても、二人なら良い案が思い浮かぶかもしれない】
【そういえば、鈴音はヒントになる情報を持っている筈だ。以前皐月と鈴音が一緒に洋菓子店に行った時、皐月が食べたケーキはミルフィーユだった―――】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/08(木) 22:25:08.15 ID:LNMYhh+00
>>709

【――実は知らないところで寝顔を撮られたりしているようだった、けれど、知らないなら恥ずかしがることも出来なくて】
【でも目の前で撮られたんだったら恥ずかしいし恥らう。どうしてだろう、なんだか照れくさいから、写真は好きじゃない――】
【いやいやと首を振れば長い髪がふわふわと靡く、そのたびに店内の明かりを艶めきで返して、よく手入れされているのが窺えた】

【それから少し後のこと。照れ隠しするみたいに髪をかきあげようとして――その途中で手が止まる、そんな、余談】
【なんてことない、ただ髪をハーフアップ――かきあげたい部分を後ろで縛っていたというだけのことで、ただの癖だったのだが】

【そんなところもまた子供っぽかったりする。大人びたとは程遠い――なのに、時折本当にお姉さんみたいな顔をする、不思議な子】

……素敵なひとに、会えるといいね?

【ほうじ茶をまた飲もうとして伸ばした手がふと止まる、今度は間違いじゃなくて、空っぽにしてしまったのを思い出して】
【「ちょっと取ってくるね」なんて言って立ち上がるのだった。それから、「衣織は何か居る?」だなんて、尋ねて】
【飲み物がそろそろなくなる頃だと言うなら頼んでしまっていいだろう。まだ大丈夫なら――大丈夫だと、返せばいい】
【どちらにせよ彼女は席から離れていって。ほんの少しの時間で、戻ってくるから】

【――それから少しの間場面は飛ぶ、お皿の上のたっぷりのケーキをあらかた片付ければ、それだけで大分おなかはいっぱいで】
【けど何かもったいないような気持ち、もうちょっと食べないと――なんて思える気持ち、新しいのを取ってこようか悩む素振り】
【抹茶のケーキも食べたかったしチーズケーキも食べたかった。プリンも食べてみたいし、なんなら唐揚げとかも――】
【――なーんて悩んでいたところに振られる話題。母の日――そういえばそんな頃合いだった、なんて、思考が動いて】

ここでお菓子を買っていくの? 入り口のケースにあったやつだよね? それなら……うーんと、
……ミニケーキのセットなんてどうかな、確かあったと思うよ、いろいろなケーキが入ってる奴。

ここに来たんだよって感じがしていいと思う、わたしならそれを買うかな――――、あ、

【ここでお土産を買っていくのだと聞いて。それならと考える思考、入り口にあったケーキの入ったケースを思い返して、】
【ふと思い出せたのはそんなものだった。いろいろなちっちゃなケーキが集まった、いかにもこのお店の大集合という感じのそれ】
【あれなんていいんじゃないかな――なんて言う、持ってきたばかりの、今度は凍頂烏龍茶を飲みながら、思案して】

皐月はこの間はミルフィーユを食べてたよ、好きなんじゃないかな――わたしも好きなの、さくさくしておいしいから――。

【そのケースの中にミルフィーユもあったのを思い出した。それなら、オススメの方向性もいくらか変わる、そちらのがいいかも、なんて】
【けれど向ける優しげな視線は。衣織が最後は決めていいんだよ、なんて感情をきっと篭めてあるのだった。押し付けるわけではなくって】

……そだ、食べてから決めたら? ミルフィーユ、さっき見たときあったよ……、わたし、食べようかな。

【かたんとカップを戻したタイミングで思い出す、ビュッフェのコーナーに、確かに対象はあったこと、そのことを】
【それならと提案してみること、味見して決めればいいじゃない――なんて、“どうかな”という風に、緩く首を傾げたなら】
【自分はそれと関係なく食べたくなる、お皿の上に最後ひとつだけ残ったミニケーキを一口で食べてしまったなら、ちろり、唇を舐め】

わたし取ってくるから半分こしよう?

【――そんなことを言うのだった。言い終える頃には立ち上がってしまうのが、少しだけ性急なようにも思えただろうけれど、】
【善は急げ? ――果たして善だといいのだけれど。いってきまーすなんて行ってしまう背中、引き止めるなら、今のうちだった】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/08(木) 22:44:36.10 ID:JbDTTeV7o
【本来であれば人気など一切ない廃墟】
【街から離れたところだからこそそこは寂れ灯りもない】
【静かさだけどゆるやかな風化だけが支配するような場所は今宵は鈍い輝きに照らされていた】

それぞれの器官の連携がいまいちとれてないのかしら……
最適化させるにはまだまだ時間がかかりそうね――――――――

【響く声は女性の物だ、ハッキリとした口調と声は強靭そうな姿を思い浮かばせる】
【時折窓から伸びる光に誰かが顔を覗かせたならば古いローブを纏った魔術師の姿が見えるだろう】

結局は経験を重ねるしかないか、そこんところは研究でも同じね
基本的にはトライアンドエラーの繰り返し……さながら砂の城を作るように

【部屋の中央でふよふよと浮いている銀の長板は淡い紫の輝きを洩らしている】
【拍動しているのは魔翌力でありさながら血管のようにドクンドクンと震えていた】
【その輝きの傍、フードの間から錆びた色の髪を伸ばす女性こそがその銀板の所有者なのだろう】

【フード故に表情は伺えないが思い出したように首を傾げる】
【揺れる髪、不適に笑う口元……どこかマッドサイエンティストの思わせる素振り】
【一際強く辺りを照らす紫の輝きは妖しく、響く高音は旋盤の音に近い】
【火花こそない物の銀板に満ちる力は周囲の空気を重くする程、外界に対しても魔翌力の残滓が紫色の霧として漏れている】

【足元を覆うような霧は何かを誘うよう】
【高濃度の魔翌力はそれだけで一般人には害を与えかねないし】
【同じ魔術師ならば惹かれるものがあるかもしれない】
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 22:57:06.29 ID:EULi7OzK0
【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【未だに滅しきれず、封印の中でじわりと存在を消さなければいけない者も数多い】
【何時もならば厳粛に門も閉じられ、関係者で無ければ叩くことさえ躊躇う程に厳格な雰囲気を醸し出しているのだけれど】
【今宵は、その門も開いていた。時折このようにして開門して、他の者達との交流も図るのだ。…………とは言え、気軽に訪れる者が殆ど居ないのが現状であるが】


【入れば直ぐ目の前に映るのは砂利を敷き詰め、所々には木を植えたりしたそんな、城の庭】
【良く手入れも施されて居るのだろう。彼の九尾と戦ったときの名残は未だ残ってはいるものの、其れを気にさせない程の美しさだ】
【そんな場所に、少女が一人。鮮やかな着物を纏い、濡れ烏色の髪を腰まで伸ばした存在】
【遠くからでも分かる程に凛とした気配は、この城に住まう姫であると悟らせるか。即ち、此処の封印を一身に担う存在だ】

【所謂お付きの者達であろう。鎧を纏い刀を腰に差すのは屈強な男達】


「――――分かっています。ですが、まだその時ではありません
彼女を殺めるならば、先ず確実に機を確かめるべきです。誰一人欠ける事無く終える。其れは無謀にも等しい言葉である事は理解しています
ですが、人の命は消耗品ではありません。全てが尊いものなのです」

【そんな者達から何か言われたのだろう。恐らくは、悪狐についての事だろうが】
【――――物怖じせずに返す言葉は、実に気丈な姫らしい。手にしている扇子より感じ取れるのは強い“退魔”】
【さて、門からもそう遠くない場所…………と言うよりも、門の近くで】
【声を掛けたならば側に居た者達が一斉に刀へと手を伸ばすけれど、姫の――――琴音の一声によってその動作も止められる】
【まだ二十歳前であろうに、確かに威厳を感じ取れるその姿。上に立つものにありがちな傲慢の態度とは程遠く】
【じい、と向けられた視線は相手の言葉を待つかのよう。何か訊ねる為に訪れたか、其れとも気紛れに訪れたか――――?】







【暖かな日が続く今日この頃。然れどその病院は昼夜問わず何時も患者が出入りしており】
【裏を返せば、それだけの者が通うほどに優れた場所か。怪我や病は勿論、呪い等々にも精通しているのだから不思議な話でも無いが】
【――――その、中庭。チョコレート菓子の入った袋を手にした乗った少女が居て】
【足が不自由なのか、座るのはベンチでは無く車椅子。汚れを知らない様な真っ白の髪と、額に生えた角】
【何よりも神聖な魔力を感じ取れるのだから、何も知らぬ者は少々近寄りがたい印象を受けるかも知れないが――――?】


「全く、教会の奴等もアホなのです。そしてちゆり達もアホなのです
私の足が普通通りだったら一回二回叩くほどにアホなのです
――――それにしても、グリースの馬鹿は遅いのです。今日は何か話す事があると人に伝えておきながら遅刻するとは…………白の翼を持つ者が呆れたものなのですよ」

【むっ、と頬を膨らまして一人愚痴る姿は歳相応】
【事情を知らぬ者が見たならば、少女が看護師か何かに叱られていじけている様にも見えてしまうか】
【本人はそんな事も知らずにただチョコレート菓子を食べており】

【もし、誰かがこの場を訪れたのならば。向けられるのは挨拶でも視線でも無く】
【「遅いのです、馬鹿。お前は蛞蝓なのですか。海に入って溶けて無くなれば良いのです」なんて罵倒だ。数瞬遅れて視線を向ければ、文字通り少女は目を丸くする事となるのだが】
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/08(木) 23:15:58.72 ID:gR7xOiTg0
【とある都市・スラム街】

【夜であってもここには悲鳴や罵声や怒声が響き渡っていた】
【このような場所ではそのようなこと、ここに住むものたちは日常の一部としてだれも彼もが特に気にしはしない】
【だが、今一つだけここには異様な光景がある、それは一つの装甲車がこのスラム街に停車していることだ】

まったく、このような場所で取引をしろとか……彼らも危ない橋を渡るものですね
 ……はぁ、早く終わらせてしまいたいものですよ

【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【その装甲車の持ち主であると思われる男はそのようにして愚痴をこぼしながら装甲車の壁に背を預ける】

【男が愚痴でこぼした取引を行おうとしてここに来た、しかしなかなかその取引相手が来ない】
【これは囮調査だったのかとそのように思案しながらもやっぱり、待つことにしている】

ですがもしそういう事であったのならば……逃げるほかなさそうですね
 幸いにも足はありますし……そうならないことを願うばかりですが

【そのようの思いながら背中を装甲車から離して装甲車後部にあるハッチを開けて中に入っていく】
【そしてそのまま数秒たってから再び出てくる、その手に持っているのは飲料水だ】
【ハッチを閉めれば男はその飲料水を一気に飲み干して、その場で再び待つことになる】
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/08(木) 23:28:39.84 ID:+UKw+W+q0
>>710

【またまた飲み物を取ってきてくれるらしい。使い走りさせてるみたいで少し申し訳ない気持ちだけど、優しさに甘えて今度は麦茶を頼んで】
【鈴音が席に帰ってきたら、鈴音のお皿の上にはシナモンのシフォンケーキの、大きめの欠片がちょこんと乗っかっていた。優しい鈴音へ、少しばかりの感謝の気持ち】

【鈴音のお皿も殆ど片付いたようだが、衣織も衣織で山盛りに盛ってあったケーキをまさに今全部食べつくし終わろうとしていた。】
【ケーキなんてほんとは味を楽しむもの。おなかいっぱいにケーキを食べるなんて事は滅多にないから、とっても贅沢な時間だった】
【バイキングと聞けば並べられる品々自体はそこまで高級なイメージは無いかもしれない、でもここはそんなのと全然違って】
【どれもこれも、単体で食べたとしても本当においしいと言えるものばかりだった。そんなのを食べ放題に出来るのだから、ちょっぴり高めのお値段もきっと元が取れる筈】
【―――ただ一つ、食べてしまったカロリーだけは天井知らずに高くなりそうだけれど。鈴音と違って衣織は食べた分だけ成長するし、食べた分だけ太ってしまうから……】

【そんな風にしてケーキを食べ終えてから、鈴音に一つ話題を振ってみた。母の日のプレゼント……今衣織が一番悩んでいること】
【以前皐月とお話しした時には母が子を想う気持ちを垣間見ただろうが、子供が母を想う気持ちだって負けてはいない。きっとプレゼントは衣織の皐月への思慕の情、その具現化】
【母を想うからこそ、「母が一番喜ぶものをプレゼントしたい」と悩むのだ。いつも自分を愛してくれる親に、たまには恩返しをしたい……そんな、子の心】

【そういえば、以前鈴音は「子供を持つのは怖い」と言っていた。―――衣織を見れば、子供とはこんなものと思えるだろう。愛情を注げば、こんな風に同じぐらいの思慕を返してくれる……】
【だから、きっとちっとも怖い事なんて無い。難しい事ではあるだろうが、子供は親から貰った愛を裏切りはしないから―――】


ミニケーキのセット、ですか。……小さなケーキがいっぱい、かぁ
色んな味が楽しめちゃいますね!いいなぁ、それにしようかな……

【……まず薦められたのはケーキセット。色んな味を楽しみたい欲張りな人のための、小さなケーキのアラカルト】
【それなら色んな味を楽しめるから、プレゼントする人の好みに関わらず喜んでもらえる筈だ。なるほど、名案だ……そんな訳で、候補の一つとして頭の隅に置いておいて】
【何かに気づいたような様子の鈴音を見て、どうしたのだろうと不思議そうな表情を浮かべる。「あ」の次に続く言葉は、一体なんだろう?】


―――ミルフィーユですか!
おかあさん、ミルフィーユが好きなんだ。知りませんでした……

……そういえば、たまに買って帰ってきて食べてたような……そっか、ミルフィーユかぁ

【次に挙げられたのは、ミルフィーユ。皐月が洋菓子店で頼んで、満面の笑みと共に食べたケーキ。……ミルフィーユを食べてたことを、衣織は知らなかったけれど】
【真っ先に頼んで食べたというのならきっと好物なのだろう。一緒に食べていた鈴音が言うのだから間違いない、やはり鈴音に訊いて良かった―――】

【優しい鈴音の表情、「あくまで選択肢を提示しただけで、衣織が好きなのをでいいよ」という心。やっぱり何処までも人の気持ちを想える優しいひと。】
【きっと、大人びた印象の源はそこにあるのだろう。誰かを心を想って、その人が嫌だと思わないようにする……それって、とっても難しい事だから】


……じゃあ、わたしもそうします!食べてからでも遅くないですもんね。

【―――薦められた通り、此処は食べて決める事にした。折角のバイキング、お土産の味見代わりに食べてみるのも悪くないだろう……】
【……なんてのは半分言い訳で、ほんとは自分もミルフィーユを食べたい気持ちもあるのだけれど。とにかく、折角だから食べてみよう】

【……本当に自然に、何の躊躇いもなく「私が取ってくる」って言えるのはきっと鈴音の優しさの表れ。大切な人といるだけで、人はこうも優しくなれるのか―――】
【お言葉に甘えて、衣織は「お願いします!」と一言告げて鈴音を待つ。やがて鈴音が帰ってきたら、待ちわびたようにミルフィーユを分けて貰う事だろう】
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/08(木) 23:37:47.36 ID:KGKfz2rJo
>>701

【笑っては見たものの、本当に裏の顔がある店なら少し笑えない】
【自らの身分を考慮すればそのほうがありがたいのだが、彼の中の一般的な常識が】
【違和感を感じてアレルギィ反応のようにピリピリとしている感じがしたので彼は椅子の背もたれにグッと寄りかかって】
【煙草を吸ってニコチンでソレをかき消した】

……・じゃあ、それでいい。それでいいよ。…な?お前が言ったんだから…
寝ようがなんだろうが別に構いやしないからさ……っとぉ、楽しみになってきたぜ…これはな

【ニィと笑ってビールを手にとったがこみあげて来た笑いが抑えきれない】
【あんなに初なヤツが流れに任せて相当なことを言っているのに気がついていないのか】
【冷静になってそれに気がつくのは酔いが覚めた夜明けか、それともその時まで気が付かないのかはわからないが】
【満足の行く結果が見られそうなのはほぼ確定しているはずだと男は考えて、珍しく暫くニヤニヤと大きめに笑い続けた】

ああ……。それでいいじゃないか。……それで。凄くシンプルで……
世の中ってのは運命と沢山の意思とで出来てるんだ。明日だってそうさ。…1番、強い意志ってのは
…やっぱ愛だと思うな。いや……まあ……だと、いいな…かな。

【苦いスタウトの味を舌の上で感じながら、鼻から気持ちのいい匂いが抜けた】
【店のムードに押されて少しキザに振る舞ってみたがアルコールのペースはいつもの様に早い】
【溢れんばかりに飲むだろう。つまみもそれほどないし酔いも回るのは早そうだ】

映画?何がいいかな……俳優は…どういう男が好みかってのが1番の話だし
いきなりゴッドファーザー観ても退屈だろうから…よし、ここで2,3本決めちまおう

【そうやって俳優はどうだ女優はどうだこっちの国はどうだといきいきと話す】
【時々脱線してレコードだの何だのともっと火がついたかのように話すため】
【このマニアに分野の話を振ったことを少しだけ公開することだろう。そのため、寝ることは無さそうだ】


/遅くなってすみません。こちらもコレで〆に致します
/ありがとうございましたー!又の機会も是非に!
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/08(木) 23:50:27.06 ID:JbDTTeV7o
>>712

【戦いの跡は名残というには余りにも凄惨だ】
【だがその中でこそ命は輝くのかもしれない、野にある花こそ美しいように……】

【封魔の城、そこは悪しき者共の墓場】
【そういった者達からしてみればその造園の美しさは逆に恐ろしいのかもしれない】
【ある種の禁足地めいた防人の城】

(……復興もそれなりに始まってるんだな)

【別段目的があったという訳ではない】
【ただ傷がある程度癒えたから今一度自分が戦ったこの地を見てみたかったというだけ】
【安心したいのか後悔したいのかそれさえも定かではないが】

【白い髪、後ろ髪は結ばずに今は伸ばしたまま揺らし】
【適当なズボンに適当なパーカー……全てが黒く髪とは対照的】
【身体のあちこち特に腕には包帯が大げさに巻かれているからにはそれは戦いの痕で】
【ぼんやりと見つめる瞳は常世以外を見つめているような赤と紫白】

(でも、元凶は未だどこかで生きて――――――――ううぇっ!?

【敵、埒外の力を持った何か……思い浮かべ惑う】
【霞んだ靄に頭を埋め尽くされながらぼうっと門扉の柱に手を重ねれば】
【何やら物々しい集団に先ず驚き漏れ出る情けない声、意識を散らしすぎだと内心呟いていれば】
【肌にざわつく「退魔」に目を細める……専心し根源を辿れば、集団に似つかわしくない者を見つけた】

【呼応するように鳴るのは白髪の彼が腰に掛けた「銀のナイフ」】
【意志さえあるような素振りはそれが通常の物ではないことを示していて】

/まだいらっしゃるならばっ!
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/09(金) 00:01:41.99 ID:lmwJm6mO0
>>714

【戻って来た頃にはお皿にケーキが増えていた。心当たりはないけれど、同じものを相手が食べていたはず――思い出せればそれで十分】
【ありがとうと笑ったことだろう、それをぱくっと食べれば、「おいしいね」なんて言葉を付け足して、満足げにしていたはず】

【ケーキでおなかいっぱい、なんて普通はまずないこと。デザートだけをたくさん食べるなんて、普段は滅多にしないことだから】
【だからこんなことはほとんど始めてのようなものだった。おなかの中いっぱいに甘いものが詰まっている感覚、それが不思議で】
【けれど美味しかったからいいかな――なんて思ってしまうのだった。まだ食べたいケーキもあるし、まだまだ、終わりたくない】
【ちらりと横目で見た時計はまだ大丈夫そうだった。それならあれも食べよう、これも食べよう、考えるのは、太らない特権持ちの余裕】

【――母親と、子供の関係をふたりは彼女に見せてくれる。親子の繋がりがどれだけ強固で暖かいものなのか、これ以上ないぐらいに】
【それは確かに彼女へ影響を与えることだろう、こんな風になれればいいのになんて希望も、きっと一緒に】
【ちょっとだけ――ちょっとだけ、いいなって思えたのだった。まだまだ怖いけれど、それでも、少しだけ見る目が変わるような】

【そうして戻ってくる、かたんと置いたお皿には苺をたっぷり載せたミルフィーユと、抹茶のケーキ。そこまではいいのだけれど、】
【他にも小皿にポテトと唐揚げを載せているのだった。――甘いものに飽きてきたと見える、というより、まだ食べる気なのか】
【上機嫌めいて笑みながら座れば、そーっと苦心する時間。ミルフィーユを綺麗に分断するなんて、中々に難しい芸当だから】

……はい、どうぞ。……――ちょっと汚くなっちゃった、ごめんね――。

【――結果は半分成功、半分失敗、そんなところだろう。よいしょと相手のお皿に載せるのは、ちょっぴり崩れてしまったかたち】
【特に綺麗に切れたほうを相手にやっているのだった。適当だったのかもしれないし、無意識だったのかもしれないけれど、――そんな余談】

ん、おいしい……。

【ばらばらになりかけたほうを自分で取った結果。まず一口切り取る時点でばらっとして、崩れ落ちる生地の層たち】
【それを何とか纏めて口に運ぶ、バターの香りがふわっと柔らかな生地は、さくさくしたところと、クリームでしっとりしたところの二つの顔】

さっき食べたけど小さいケーキも美味しかったよ、衣織の好きなほうでいいんじゃないかなあ……。
……きっと皐月は衣織の選んだものなら喜んでくれるよ。きっとね、そうなんだって思うの。

【ミルフィーユのさくさくした美味しさを確かめれば、後はどっちにするか悩むことになるのだろう、そんな苦労は】
【大変だって分かっているつもり。自分だってひとにプレゼントするときは、きっと、すっごくすっごく、悩む性質だから、その言葉】

【(それを分かっていても悩んでしまうのが臆病者なのだけれど。最善を選ぼうとしてパンクしがちな性質、まあ、余談か)】

【――あっという間に半分のミルフィーユを片付けてしまって摘むポテトのしょっぱさ、甘たるい口の中には快く】
【箸休め――もとい、フォーク休めにはぴったりの一品、なんなら分けてもくれるだろう】

……衣織はずっと学校に行ってるの? それならわたしより頭いいかも、わたし、ほんとうに最近なんだよ……はじめたの。
誰も教えてくれなかったし……いいかなあって思ってたの、だって、……要らなかったから。困らなかったの、ぜんぜん。

でもね、頑張ったら褒めてくれるから……頑張ろうかなって思ったの。単純だよね、分かってるんだ――。

【そんな風にポテトをつまみながら零す話題は、少し前のそれをもう一度繰り返すようで、少しだけ違う内容】
【さっきのが楽しいお友達とのことを聞く時間だったなら、今度は、ちょっとだけ退屈なようなお勉強のことを知りたがって】

魔術の勉強もしてるんだ。すごいよね、普通のお勉強も、魔術のお勉強も、教えられるんだもん――……。
昔は学校の先生をしてたんだって、でもね、今はわたしだけの“セシル先生”なの。

【ちらりと見る指先、塩粒と油の付着を確かめれば、紙ナプキンで拭う仕草。それから、余計に取った紙ナプキンでフォークを拭いだして】
【拭い終えれば今度はそれで唐揚げをもぐもぐとし始める。沈黙を避けるがてらに零していく言葉のかたち、なんだか惚気みたいになって】
【久しぶりのしょっぱいものは大層おいしいと見える。嬉しそうに細められた目元、笑うぐらいには――細身の癖、まだ食べられるらしかった】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/09(金) 00:51:03.84 ID:Xz76DUJp0
>>717

【さて、暫くして鈴音は戻ってきた。戻ってきたのだが―――お皿の様子が少しおかしい。どう考えても皿に載っているのはミルフィーユだけじゃない……】
【―――まだ食べるのか。それも、おなかには重いケーキを食べた後に、さらに重い揚げ物を……女の子の食欲と言うには少し多すぎる鈴音の食欲に目を白黒させて】
【衣織はカロリー的にも胃袋的にも分けて貰ったミルフィーユを食べるので精一杯だろう。これ以上食べれば、きっと夕飯を作って家で待っててくれる皐月の料理が食べられない……】

【そんなこんなで分けて貰うミルフィーユ、お世辞にも上手く切り分けてくれたとは言い難くて、少し不恰好な感じになってしまったけれど】
【それでも綺麗な方を分けてくれるから、やっぱり鈴音は優しい。そんな鈴音に衣織が文句を言う筈はなくて、笑顔で「ありがとう」と一言】
【それから、分けて貰ったミルフィーユを口の中に入れようとする。さてさて、このミルフィーユはプレゼントに値するものなのだろうか―――】

―――わあ。とっても、おいしい……

【たっぷりのバターが練りこまれた風味豊かなサクサクの生地と、濃厚なのにしつこくない絶妙な甘さのクリーム。それが口の中でいっぺんに混ざり合って】
【独特の食感と完璧な甘味が、衣織の顔を綻ばせる。どうやら試食の結果は上々、このミルフィーユならきっと喜んでくれることだろう……】

【ミニケーキのほうも良かったよと薦められるが、もう衣織の心は決まっていた。実際に食べてあんなに美味しいと思えたミルフィーユの方が、きっと母も喜んでくれる気がして】
【悩みに悩んだ母の日のプレゼントは、鈴音のお蔭で今ようやく決着の時を迎えた。きっと数時間後には、神谷家の中にて世界で一番幸せそうな皐月の笑顔が見られることだろう―――】


【このミルフィーユを最後に、衣織はあとは鈴音が食べているのを見てるだけ。中学一年生の女の子のおなかには、もうこれでいっぱいなのだろう】
【幾ら食べても何ともない鈴音が羨ましかった。……食べても食べても変わらない≒成長しないことに悩みがあるなんて知らないから】

……わたしも、そんなに頭はよくないですよ。学校のテストも難しいし……
でもね、生物は大好きです!なんていうか、生き物が小さなときから大好きでしたから!
生き物って、不思議だと思いませんか?だって、体の作りってまるで神様が作ったみたいに無駄なく機能的なんですもん!

……おかあさんの影響かなぁ……
もしかしたら知ってるかもしれませんが、おかあさんも生物のセンセイなんです。生き物の知識ならいーっぱい知ってるんです!
それでね、生物の事をいっぱい教えてくれるんです。えへへ……鈴音さんがセシル先生≠ネら、わたしは皐月先生≠ェついてるんですよー!

頑張る理由なんて単純でいいんです。わたしだって生き物が好きだから、それとおかあさんに褒められたいから……こんな単純な理由で勉強してますから!
おかあさんもそうですよ。ただ「生き物が好き」それだけの理由で大学のセンセイにまでなっちゃったんです!

【優しさと共に譲り受けたのは、生物の知識。生き物の事なら何でも知っている母親が近くに居たから、衣織も生物が好きな少女に育ったようで】
【女の子なのに、ナメクジもムカデもクモも怖がらない。毒が無い生き物なら何の躊躇もなく触れる事が出来る、ちょっぴり女の子らしくない一面】

【余談だが、衣織の入学後の試験結果が教員の中で話題になっているらしい。「一人だけ、生物の試験で満点を取った生徒がいる」、と】
【他のテストは平均よりちょっと上やちょっと下と、そんなに特筆すべき点数ではなかったが……生物だけは完璧な答案だったらしい】

【衣織はおしゃべりしながら鈴音が食べ終えるのを待つ。勿論待ちくたびれたりして嫌な顔をすることは無いし、嫌な思いもしていないのだけれど――】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/09(金) 01:16:22.62 ID:lmwJm6mO0
>>718

【あとちょっとだけ食べたかった、抹茶のお菓子が好きだというのもその要因。揚げ物は――完璧に、ただの蛇足みたいだけれど】
【ぱくぱく食べてるのを見てしまえばまあ大丈夫そうだと思わせるか。細いくせに存外よく食べる子なのだった、とは余談】

【(晩ご飯は自分だけ軽めにしようと画策していた。ご飯をちょっと食べればいいかなぁ、ぐらいに軽く考えていて)】
【(ちょっとおやつ食べてきちゃったのなんて言い訳の仕方まで考えていた。いちおう席を一緒にしていれば、なんて思って)】
【(ちょっとおやつ、なんて量でないのが問題だったが――これでちょっとなんて言ったら、ダイエッターに殺される)】

【(いや、まあ、食べても太らない時点で殺されるべき案件なのだが。そんなの、まるで気にしていなかった)】

おいしいよね。……わたしね、ミルフィーユってだいすきなんだ、いっつも上手に食べられないんだけど……。
汚くしちゃうんだ、難しいよね――、いつか綺麗に食べられるようになればいいんだけど。無理なのかなぁ、……。

【にこりとして無意味に首を傾げる仕草、うーんなんて考えるふりだけして、その実はほとんど何にも考えてない素振り】
【綺麗になんて言いつつ彼女のお皿の上はプチカオスが発生していた。やっぱり無理なのだろう、なんて思考は終わりを告げて】

【見られていても対して気にしない性質のようだった。しょっぱいもので口をリセットしたなら、結構大きなケーキに手をつけて】
【流石に初めより遅いペースだが確実に食べ進めていく、抹茶の仄かな苦味とクリームの甘味、上に乗った甘く煮た豆のほくほくさと】
【薄く削ったようなホワイトチョコの飾りが美しい反りを見せて。そんなケーキを、ひとりで黙々と減らしていきながら】

そっかあ……、……テストってあんまりやったことないの、たまにね、やるんだけど……たまにだから。
点数がいいと褒めてくれるんだよ、よしよしってしてくれるの――それにね、とっても喜んだくれるんだ。

生物……、生き物は好き、植物とか、お花も好きなの。友達がね、お花屋さんみたいなとこでバイトしてて――、
変わったお花の苗とかね、買ってきてもらうんだよ。それでね、お家の庭に埋めるの――咲いてくれない子も、多いけど。
家がね、夜の国にあるんだ。だからね、普通の植物って、あんまりちゃんと育ってくれなくて――。
……皐月も先生なの? そうなんだ――、大学の勉強って難しいのかな、難しいんだろうな……、わたしね、まだまだなの。

小学校の勉強してるんだよ、だからね、衣織のほうがきっと頭いいよ。わたし、馬鹿だもん……何にも知らないの。
――いいなあ、わたし、まだどれが好きかもよく分からないの。なんだろ、算数は苦手かな……意味分かんない。

【テストといえば嫌なものという印象のひとが多いだろう、けれど、彼女にとっては嬉しいこと。褒めてもらえることでしかなくて】
【問題を作るのもだーいすきな“先生”だったりするから、ちゃんと出来ることをさせてくれる。それと、頑張るのがその要因で】
【一瞬生物と言った意味を分かりかねたような顔をした。そういう科目に触れたことがないから、ただの生き物として受け取りかけて、】
【すぐに違うらしいと判断。それにしても――ずいぶんと遠いところに住まっているらしい。どうしてこんな街中にいるのか、少し不思議で】

【――まだまだお勉強は始めたばっかり、精々ここ数ヶ月の話でしかなくて、それなら、かなり最初の方をやっているのだろうと推測できる】
【一対一で教えてもらっているからそれでも早い方ではあるのだが。とりあえず“算数”(いまだに算数である)が苦手なのは判明していて】
【好きなのがはっきりしていればきっともっとお勉強も楽しくなるだろう、なんて思う。強いて言えば国語が好きかな、なんてぐらい】

【そんなお話をしている間にケーキがなくなる、たまにつまんでいたポテトや唐揚げもなくなって、ちょうどお皿は空に】
【大分冷めたお茶も啜り終えれば綺麗に食べ残しも、飲み残しも、零になる。それなら、ちょうどいい切れ間】
【帰ることになるだろうか、或いは、もう少しだけ時間もあるし――お話していくというのも、それでもいいはずだった】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/09(金) 02:12:04.43 ID:Xz76DUJp0
>>719

……おいしかったら、それでいいんじゃないですか?
だって、食べ方に拘り過ぎたら料理がおいしくなくなっちゃいますから。……堅っ苦しいところなら話は別ですけど
食べて幸せと感じて貰えるのが、きっと作った人には一番嬉しい筈ですから。
……だから、作ってくれた人に感謝して美味しく食べられたら、きっとそれでいいんです。

【テーブルマナーやドレスコードまで気にしなくてはいけないような店ならば、鈴音の食べ方は咎められるものになってしまうのかもしれないけれど】
【此処はバイキング。自分で皿に盛り付けて気軽に食べられるのがウリなんだから、きっと多少食べ方が汚くっても気にする必要は無い筈。】
【―――それがミルフィーユをパイ生地とクリームの塊にするようなものだとしても。たぶん、きっと、……恐らく、怒られはしないから大丈夫】

【さて、衣織は後は見ているだけ。いっぱい食べる鈴音を見れば、なんだかこっちまでおなかが膨れてきてしまいそうな食べっぷり】
【あんなに食べて苦しくないのだろうか。自分もあれだけ食べられるならもっと大きくなれるのだろうか。―――太るだけか。】

……えへへ、テストの点数が良いと褒めてくれるのはおかあさんもおんなじです。
だから、わたしは生物のテストが大好きです!いい点数とって、いつも褒めてもらうんです!

……へぇ……変わった苗かあ。おかあさん、変わった植物大好きだからその子のお店に行ったら喜びそうだなぁ……
―――ん?……夜の国!?すごく遠いところから来てるんですね!ここまで来るの大変だったでしょう?ここから夜の国まで、何時間かかるんだろ……


【夜の国といえば、衣織にとっては遠い遠い外国。行こうと思っても気軽に行けるような場所ではない、そんな認識】
【だから、鈴音が夜の国から来たことは驚きだった。せいぜい此処の周辺のどこかに住んでいるのかなーと思っていたが……まさかそんな遠くとは】
【―――だからこそ浮かぶ、移動手段はどうしたんだろうという疑問。まさか魔法でひとっ飛びなんて思いもよらなくて……】


大丈夫です!わたしもつい最近まで小学生でしたから、きっと鈴音さんもすぐに私に追いつけますよ!!
……算数……じゃなかった、数学はわたしも苦手です。抽象的で実感が湧きません……

【まだ「数学」という単語に慣れていない。つい2か月前まで今鈴音が頑張って勉強しているのと同じ「算数」を学んでいたから】
【……衣織も計算は得意ではない。分数とか小数とか、実感の湧かないものはどうもとっつきにくい……恐らくこの先虚数なんかが出てきたら頭を抱える事になりそう】
【二十一歳ならば、本来なら大学生。それこそ、今皐月が教えているのは鈴音と同い年あたりの学生なのだろうが】
【勉強を始めたのがほんの少し前の鈴音には、まだ小学生の勉強止まり。―――それでも、好きな人の指導ならきっと学力もぐんぐん伸びるのだろう。】
【生物以外で鈴音が衣織を抜くのだって、そう遠くない未来かもしれない。……生物の知識で衣織を抜くには、大学教授に勝てる力を持たなければいけないが】

//続きます!
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/09(金) 02:12:43.59 ID:Xz76DUJp0

【そして、ようやく鈴音は全てを食べきった。―――本当にあのお皿にあったものを全部平らげるのだから、鈴音の食欲恐るべし】
【ここが潮時だろう。お互いに皿の上にあるものは全部なくなったから、此処でお開きにしよう。―――あんまり母を待たせるのもいけないし】

……そろそろ帰らなきゃ、お母さんが心配するかな……

【「ごちそうさま」と手を合わせて、それから衣織はショーケースの方へと向かう。母へのプレゼントと今日のお食事の代金を払って】
【店の出口の前でくるりと振り返ると、改めて鈴音にお礼。ペコリと頭を下げて、それから友達に向けるのと同じ明るい笑顔を向けて】

えーっと、今日は本当にありがとうございました!お土産の相談にまで乗っていただいちゃって……
お蔭で納得出来るものを選べました。えへへ……喜んでくれるかなぁ……喜んでくれたら嬉しいなぁ……
また良かったら誘ってください!甘い物は大好きですから、誘ってくれたらいつでも飛んでいきますよー!
あ、これは連絡先です。たぶんメールすればおかあさんも返してくれると思います!
それでは、また会いましょう!

【ちょっと名残惜しそうに手渡した名刺っぽい紙切れ、そこに描かれていたのは衣織と皐月のメールアドレス、それと自宅の電話番号】
【寂しいとき、お話ししたいとき、その他諸々……用事がなくても電話やメールをしてくれたら、きっと二人は喜んで返す筈】

【とにかく、親と子の不思議な縁が生んだ出会いはこれにて一先ずの終幕。すっと右手を出せば、鈴音に握手して欲しいのだろう】
【最後にもう一度ぺこりと頭を下げて、それから衣織は母の待つ家へとサプライズプレゼントを抱えながら足を進めるのだった―――】


//こんな所でしょうか!二日間お付き合いいただき有難うございました!
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/09(金) 02:32:25.53 ID:lmwJm6mO0
>>720

そうだよね、おいしいって食べてもらえたら嬉しいもの……、ぜんぶ食べてくれたら、嬉しいなあ。
綺麗に……とかはどうでもいいの、一緒にご飯食べて、全部食べてくれて、そうしたらわたし、とってもしあわせ。

【――ドレスコードのあるようなお店にもきっと彼女は行ったことがあった、ただ、印象としては怖いところ、なんてイメージで】
【そんなお店にミルフィーユはまずないだろうから怒られるよなこともなかったのだけれど――フォークとナイフは、どうにも苦手】
【お箸が得意なのは櫻気質からだろう。非の打ち所もないぐらい完璧に箸が持てる子だとは、まあ、この場では余談だったが】

【(どっちかっていうと大衆的なお店のほうが得意。肩肘張らなくていい場所のほうが、どうにも心の休まるようで)】
【(そもそもお店で食事ということがあんまりない子だったから、気楽なお店であるほうが、楽しめた――なんて、)】

褒めてくれたらもっと頑張ろうって思うの、褒めてくれるからもっと頑張るの。単純だけど――、

……珍しいお花とか、聞いたことないお花とか、持って来てくれるんだよ。出たばっかりのお花とか……、
最近くれたのだとね、フランネルフラワーって奴がかわいかったの。お花とか葉っぱがね、ふかふかしてて……玩具みたいなんだけど。
真っ白なお花なんだよ、花弁の先っぽに緑色の模様があるの。でも、育てるのが難しくって――枯れちゃった。

【友達に花屋勤務が居るといろいろ新しいものが手に入っていい感じ、まあ結局商品だから、自分で買いに行っても同じなのだけれど】
【“彼女”の場合、鈴音の好きそうなものを選んでくれるから――大体はツボに嵌まって、とっても喜んでいたりした】
【――挙げたお花は最近で一番気に入ったもの。どこかからっとした国の花らしく、どうにも夜では育たなかったもの】
【残念そうに表情を歪めて――それから拗ねたように少しだけ唇を尖らせるのだった。まあ、仕方ないことなのだけれど】

【(だってお日様の差さない国で植物を育てようというのがまず間違えている。それで咲く花なんて、特別に誂えたものぐらい)】

ううん、遠いんだけど……遠くないの。セシルに魔術で送ってもらうんだ、帰るのもそう、……指輪にね、術式が書いてあるの。

【それからするねたばらし、まさか船や飛行機でどんぶらと来ているわけもないなら、その実体は存外あっさりしていて】
【見せた指輪が自慢げに煌いた気がした。黄緑色の光を瞳に宿す銀色の蛇の指輪。薬指なら――やっぱり、結婚指輪なのだろう】

そうかなあ、そうだといいな――、でもね、魔術の勉強もちゃんとしないといけないの。結構大変なんだよ――。
……でも、衣織とかは毎日学校に行ってるんだよね。それならあんまり変わらないのかな、わたしのほうがしてないのかも……。

【今までお勉強をしてこなかったから。毎日やるというのはまだあんまり根付いた習慣でなくて、時折サボりたくもなってしまうこと】
【ちょっぴり大変なのだろう、困ったように笑ってみせたなら――もう少し頑張らないと、なんて小さく呟いた】

【「ごちそうさまでした」という呟きを零す、それから手繰った鞄、膝に乗せて、肩に掛け】

ううん、こっちこそ急に誘っちゃってごめんね――うん、また、来ようね。楽しかったから――。
わあ、ありがとう……あとでメールするね、皐月のほうにもしないと。そしたら登録してね?

……ばいばい、またね。

【受け取った紙を見下ろす一瞬、こちらのを伝えるのは後でなのだと言う、それでもちゃんと教えてくれるはずで、】
【実際少しした後に二人のアドレスにメールが届くはずなのだった。桜の花の学名、それが彼女のメールアドレス】
【きゅっと握手してからその背中を見送った、その向こう側でひっそりと消える姿、まるで世界から脱落したよう】
【黄緑色の燐光だけを置き去りにして――あっさりと膨大な距離をショートカットした移動、次の瞬間には家の前に居るのだった】

/おつかれさまでした!
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 18:45:47.23 ID:7sKD2Kt+0
【魔海=E表層―――キスレブ地区】

【ここは魔海でも比較手に表層区域に存在するエリア、隅の方にはホビット系の亜人種もひっそりと住んでいる比較的穏やかなエリアだ】
【力強く立ち並ぶ木々の間からは月光が差し込んで、漂う魔素≠ノ反射して輝いている―――。】
【路肩には光り輝く特殊な草木も生え茂っており、幻想的な雰囲気を漂わせている………そう、普段はそうであった。】

【ドガガガガガガガガガガガッッ―――!突如として轟音が鳴り響く、本来は魔海≠ノ聞こえるはずのない装甲車≠フ音である。】
【その音が近づくにつれて、数十人に及ぶ戦闘服に身を包んだ兵士のような人間£Bが、我がもの顔で森を闊歩している】
【そして、ある程度開けた場所へと到着すれば………息を潜めるようにして兵士たちは立ち止まる。】


≪ガガ―――、所定の位置へと到着。これよりクライアントの指示通り、除染≠開始する………
 途中で介入してきた魔獣、亜人は全て薙ぎ払え………それがクライアントの要望だ、指揮―――が担当する≫


                   ≪では、オペレーション開始だ。≫



【その号令と共に兵士たちは装備していた銃火器を一斉に構え、引き金を引く………これは、火炎放射器≠セ………!】
【それにより、一瞬で燃え上がる森の木々たち、流石に魔海≠フ樹木とはいえ最新鋭の装備には到底敵わない。】

【一気に炎はエリア全体へと広がっていく―――途中で火に引き寄せられた魔獣たちが兵士に向けて飛び掛かるが兵士たちは軽やかな連携で応戦する】
【いくら表層の穏やかなエリアとはいえ魔海≠フ魔獣………常人では苦戦を強いられる筈だが、この兵士たちの練度は相当に高いようだ】

【騒ぎを聞きつけた亜人集落のホビット達は、自分たちでは対応できないと悟り直ぐに人間国家へと救援要請の知らせを放った。】
【人間国家側はこれに応じ、すぐさま自警団を中心とした部隊に魔素清浄化マスク≠装備させて送るが果たして間に合うか―――。】

【そうしている間にも炎はエリア全体を包み込もうとしている―――さて、この炎につられてまた違う<cmも現れるかもしれないが………】
【果たして―――?そしてこの武装集団の狙いは………?】

//それではイベントを開始します!邪禍さんの方よろしくお願いします!
//飛び入りでの参加も20時半まで受け付けていますー!
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 19:20:52.17 ID:6E8pP1CTo
>>723

【その方向は魔海の深層の方だった、明らかに人間が住む場所からではなかった】
【それは黒い黒い、漆黒の影だった――空を飛んでいた、けれど鳥でも飛行機でもなく】
【降り立つ位置は、燃え盛る木々の後ろ。しかしそこからでも十分に姿は見える】

「……人間共、今すぐこォこから立ァち去りな」

【それは全身真っ黒な毛に覆われている奥二重でコワモテ、エルフ耳で2mの身長の悪魔だった、頭部には二本の鋭く禍々しい赤い角を持っている】
【黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、首にはマフラーの様な長い紫色の毛を持ち、他にも所々に紫色や赤の模様や毛を持っている】
【鋭く赤い牙と同じく爪を持ち、手足や尻尾の先の方は紫色で、いかにも悪魔だと思わせる尻尾の先端には赤い棘がある】
【赤い棘は肩や手の甲、アキレス腱の位置にもあり、先端に赤い爪を持ち紫色の翼膜な黒い悪魔の翼を背から生やしていた】

「もォォオオう一度言ィおうかァ? いィや面倒だ……そォれに、そォの力は中々使えそォーだからな、一石二鳥ってとォころか」

【その悪魔もまた、悪だった――けれど、兵士たちを見つめるその眼は明らかな敵意を宿していた】
【そしてこの姿は……数えきれない程数々の様々な事件を起こし、人間に指名手配された悪魔、邪禍――それに間違いなかった】

「テメェーらホォビットがどォーなろォーと知ィったこっちゃアねェーが、魔ァ海は知ィったこっちゃアあァるんでな……」

【悪魔の姿が変化した――全身に迸る薄水色のライン、その色に変化した虹彩、エメラルドグリーン色の結晶に変化した爪、その全てから水の魔翌力を感じる】

「"剛翠晶の強水魔"、付ゥき合って貰うぞ……こォの土ォ地に人間が来ゥるのは"まァだ"早ェんだよ」

【その全身から吹き出すのは水の霧だった、但しこれはダメージ目的と言うより"消火"が目的であり】
【成功してもしなくても、兵士たちにその両手の爪先を向けて――圧縮水のレーザーを発射する】
【本数は8本(親指から出していない)で、一人一人の銃火器を持つ手の"肩"を狙っている。太さは数センチ程で、勿論実際のレーザーよりは遅い】
【範囲が狭い分圧縮されたそれはそこそこの貫通力を持っており、また横から触った場合は斬撃の様なダメージを与えるだろう】
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 19:45:27.40 ID:7sKD2Kt+0
>>724

【シュウゥゥゥゥゥゥッッ―――!という音と共に散布された水の霧によって周囲に燃え盛っていた火は鎮火していく】
【それと同時に悪魔の襲来によって一瞬間の空いていた兵士たちも気を持ち直し即座に悪魔へと銃口を集める―――だが既に遅い】
【斬ッ!!っと圧縮水のレーザーが放たれ、兵士たちの火器を持つ肩を穿つ………支えを失った銃火器はガチャンガチャンと地面へと落ちていく】


『糞ッッ!!!噂に聞いていた悪魔・邪禍≠ゥッ!!総員一時後退しろ―――ッ!後方部隊、掩護射撃!!!
                                         動きを封じろ―――ッッ!!』


【圧縮水レーザーを喰らった兵士達は肩を押さえながら素早く後退し、それを援護するかのように後方に控えていた兵士がライフルを悪魔に向けて掃射する】
【こちらも最新モデルのライフルだが、悪魔の肉体にどれほど通用するかは不明である―――とそこで。】

【何かが装甲車の上から飛び―――悪魔の頭上へと迫るッ!!暗闇に紛れるようにしてその姿は分かりにくいかもしれない。】


貴様が酒元が言っていた悪魔≠ニやらか………人間国家の中でも相当な賞金首として有名なようだが―――。
まぁ一石二鳥という訳か、悪いがこちらも仕事なんでな、狩らせて貰う=c……!


【飛来する影はそのように淡々と呟きながら素早く身を翻し、そのまま邪禍の額に身の丈程もある長槍を突き刺そうとするだろう!】
【前述した通り陰に隠れて見えづらいが―――対応できない速度でもないだろう。】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 19:45:45.66 ID:7sKD2Kt+0
>>724

【シュウゥゥゥゥゥゥッッ―――!という音と共に散布された水の霧によって周囲に燃え盛っていた火は鎮火していく】
【それと同時に悪魔の襲来によって一瞬間の空いていた兵士たちも気を持ち直し即座に悪魔へと銃口を集める―――だが既に遅い】
【斬ッ!!っと圧縮水のレーザーが放たれ、兵士たちの火器を持つ肩を穿つ………支えを失った銃火器はガチャンガチャンと地面へと落ちていく】


『糞ッッ!!!噂に聞いていた悪魔・邪禍≠ゥッ!!総員一時後退しろ―――ッ!後方部隊、掩護射撃!!!
                                         動きを封じろ―――ッッ!!』


【圧縮水レーザーを喰らった兵士達は肩を押さえながら素早く後退し、それを援護するかのように後方に控えていた兵士がライフルを悪魔に向けて掃射する】
【こちらも最新モデルのライフルだが、悪魔の肉体にどれほど通用するかは不明である―――とそこで。】

【何かが装甲車の上から飛び―――悪魔の頭上へと迫るッ!!暗闇に紛れるようにしてその姿は分かりにくいかもしれない。】


貴様が酒元が言っていた悪魔≠ニやらか………人間国家の中でも相当な賞金首として有名なようだが―――。
まぁ一石二鳥という訳か、悪いがこちらも仕事なんでな、狩らせて貰う=c……!


【飛来する影はそのように淡々と呟きながら素早く身を翻し、そのまま邪禍の額に身の丈程もある長槍を突き刺そうとするだろう!】
【前述した通り陰に隠れて見えづらいが―――対応できない速度でもないだろう。】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 20:08:57.08 ID:6E8pP1CTo
>>725

「ほォーう、俺様も有ゥ名になったな……」

【兵士たちの肩を穿った事がわかれば、一旦レーザーの発射を止めて】
【それと入れ替わるかのようにして放たれるライフル、幾ら"地の利を得た"悪魔といえどもまともに喰らいたくは無いのだろう】

「Crystal Shieldッ!」

【爪の形状が一瞬にして大きく変化する、まるでそれは盾のようで――ライフル弾をそれで受け止めようというつもりなのだろう】
【それでサポートしきれなかった手足の端の方へ飛んできた弾や、あるいは盾が砕けてから再生するまでの間に飛来した幾つかの弾は命中したようだが】
【その傷口から流れるのは、赤い血ではなく、黒くドロドロとした気味の悪い魔翌力だった――】

「……ちィ、周りに生ァやした方が良ォかったか」

【と、そう呟くが、一息付く間もなく何かが飛来するのを感じた――明らかに故意の何かだった、それはすぐに察知できた】
【素早くしゃがんで体勢を低くすることで槍による攻撃を回避、それと同時に地面を右手で叩いた】

「……俺様は人間の名前なァーんざ一々覚えねェ質だ、だァがテメェーのせェいで思い出ァしちまったよ」
「"やァはり"と言ィったとォころか、探索部ゥ隊とは違う怪しい"におい"がしィていたからな……そォいつが一枚噛ァんでるってとォころか」
「えェーっと、なァんだったかな、――そォーそォう、酒元とォか言ィう奴に伝えておきな……」

【すると、地面を叩いたその周辺からエメラルドグリーンの結晶が、次々と周囲へ雨後の筍よりも勢い良く生えてきて】

「――止ァめとけ、混沌の味ィ方である俺様を敵に回せば、いィずれ後ォ悔するぞ、とォなァァアアッ!!」

【扇状の範囲に広がるその結晶は、今目の前に居る者、そして兵士を下から突き上げ刺そうとするッ!】 【強度はやや丈夫な水晶と言ったところか】
【サイズは非常にばらつきが大きく、勿論大きなモノ程強力なのは間違いないが、逆に言えば小さな結晶ならば靴すら貫けないだろう】
【また、外側に行けば行くほど回避の猶予が大きくなる。うまく小さな結晶の位置に飛び込んだり、範囲外に逃げるなど、対策方法は幾らでもある】
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 20:31:58.92 ID:7sKD2Kt+0
>>727

自分の庭には入るなと言っておいて随分と人間世界で好き勝手やっているようだからな。
―――紹介が遅れたな、俺はコスモス・リッジリー=c……傭兵団・業/カルマ≠フ戦闘員の一人だ。

【槍が地面に突き刺さり、地面の一部が大きく抉れて吹き飛ぶ………その後それを放った主は軽く自己紹介しながら槍を引き抜く】
【その人物の姿は、月明かりに照らされて明らかになる―――。】
【全身を深緑の甲冑で包み込み、頭部すらも一角獣のような角が付いたフルフェイスのヘルムで覆っており】
【赤い腰布にはグラディウスが一本差してあり、背には毛皮のマントと身の丈程もある槍を背負った180cm程の長身の男性だ。】

【コスモスと名乗った鎧姿の男は、一度槍を振って土を払うと―――再び切っ先を邪禍≠ヨと向ける………!】


フン、噂にたがわぬ傲慢さだな―――。
酒元も俺もあくまでビジネス≠フ上で行っている事だ、貴様も金さえ払えば企てを手伝ってやらんこともない………が

今は敵≠ニいう事だ………。

【コスモスは後方の兵士にさらに後退するようにジェスチャーをしてから、再び地面に槍を突き刺して棒高跳びのようなアクションで結晶を回避しようと試みる】
【だが鋭く突き出した結晶の一つが右腕の装甲を抉り―――その奥にある皮膚をも切裂く………だがまだ軽傷だ。】

【後方の兵士たちは………コスモスの指示で素早く後退したため結晶の攻撃は受けなかったが、しばらくは近寄る事が出来ないだろう】


混沌=c……俺たちのように金という業≠ナしか動かない人間にそんな脅しは無意味だ。


【コスモスはそのまま空中で回転し、その勢いで槍を引き抜き………そのまま邪禍の頭上へと槍を叩きつけようとするだろう!】
【今回は回転の力もあってかスピードもそれなりに早い、注意が必要だろう。】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/09(金) 20:40:22.30 ID:mkVcSujQo
【路地裏】


【道路を走る車の音が聞こえて来る】
【建物に遮られた音はまっすぐに響いて来ず、まるで壁に隔てられた別世界からの音のようで】
【往来する人の数の差もそれを助長している。その証拠に、今起きている出来事にまだ誰も気付いていなくて】


「オイ! こいつ能力者だぞ!」
「でも弱そうだしやっちまおうぜ。ムカつく目ェしてやがるしよ」
「泣いて許してくださいって言えば半殺しで済むかもなぁ? アッハハハ!」


【三人ほどの男が少年を取り囲んでいた。いや、すでにいざこざの最中だった】
【男たちは派手な衣服を身を包みジャラジャラとアクセサリーを付けた――いわゆる不良という風貌で】
【彼らは少年に殴りかかったり拘束しようとしたりするが、全てかわされていた】


痛、っ……ああ、鬱陶しいな


【少年の方もかわすことに精いっぱいのようで、握られた黒い魔翌力の剣も振るわれることはなく】
【ついに顔への打撃を許してしまった。不良達の下衆な笑みがこの上なく深まったのは言うまでもない】

【真っ黒のボサボサ短髪、深淵を思わせるかのような漆黒の瞳は三白眼で、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】

【突破口を見出すべく不良達を睨むのだろう。その眼には雑念などなく――】






【時同じくして――また別の路地裏】


オオ――――ッラァァッ!!


【突如として火柱が立ち昇るだろう】
【同時にこんがりと焼けたチンピラが数人、壁や地面に叩きつけられて気絶した】
【発生地点には拳を掲げたまま静止するひとつの影があることだろう】
【辺りを覆う熱気の中、その人物は火竜じみた獰猛な笑みを浮かべていた】

【男性にしては長めの髪は不揃いで所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は襟を立てた薄手で灰色のミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――そんな、気迫に満ち溢れた青年】

【ジャケットの右胸部分には緋色の鷹≠ェあり、彼の所属を明確に示している】
【そして今の青年両腕には――真紅のガントレットが装着されていた】


うっし! お前ら全員連行な!
にしてもこりゃあ……やりすぎちまったか?


【携帯端末で仲間と連絡を取った後、青年はひとつ伸びをして】
【チンピラ達が生きているか、つついて確認しようとするだろう】
【仲間が来るまでの間――彼はそんな感じで暇そうにしているはずだ】
【ここを通ろうとすればきっと、彼らにぶつかることだろう】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 21:01:45.15 ID:6E8pP1CTo
>>728

「ククク……テメェーは、自ィ分の庭を荒ァらす輩をたァだ指を咥えて見ィている事が出ェ来るとでェも言ィうのかァ?」
「他ィ人の庭なァーんざどォーでも良い、だァが自ィ分の庭は良ォくねェ――至ィ極単純な原理だ」

【――先程ホビットがどうなろうと知ったこっちゃ無い、そう言っていたが、つまりは庭のアリとその巣が多少荒れても問題ないのだ】
【けれど、庭自体が荒れれば流石にわかるし、気にする、この悪魔はあくまでも庭に入った荒くれ者を追い払おうとしているだけだった】

「まァー、世界に混沌が広がれば……俺様はこォの地で無ァくとも力を大ォォいに発揮できる」
「そォの時まで待ァてばテメェーを見ィ逃してやっても良ォいぞォ?」

【そしてこの庭を護ろうとする理由も単純だった、自分の力の為だった――魔界の奥深くに拠点が有るのも、間違いなく力の為】
【――いつ魔海がこの悪魔の所有物になったのかはわからないし、そもそも自称所有者の可能性が高いが】
【その傲慢で欲深い性格だからこそ、彼らに立ちはだかっているのだろう――】

「ククッ、傲ォ慢で何が悪い――まァー、テメェーの言ィう"ビィィジネス"の心得くゥらい俺様も持ォっているがな」
「たァとえ正義の糞共だァろうと相応のモノを出せば味ィ方しィてやる、まァー――こォこを荒ァらしている以上、テメェーに対しては並の報ォ酬では動かんがな……」

【結晶は破壊不能な程丈夫ではない、突破されてもおかしくは無いが――分断できたのは大きいか】

「脅しじゃアねェ、警告だ――いィずれ混沌が世ェ界を包むのだァからな……ッ!」

【軽傷とはいえ脚部にも銃弾を受けていたため(よく見ると少し治り始めているが)、その速めの攻撃への対策は回避ではなく防御の方が良いと判断】
【先程の結晶の盾を右腕に生成、頭部への叩きつけをそれでガード――かたいもの同士がぶつかり合う、高い音が"二つ"響いて】
【――悪魔の右腕の関節が一つ増えたような気がした、けれど自由に動かせる関節ではなかった】

「――腕の一本程ェ度、問題ねェ」

【先程負った怪我から吹き出るドロドロの魔翌力の一部が空へと噴射される、そして一気に膨張したかと思えば大粒の雨のように降り注いでくる】
【防ぐのは容易いし"肉体的"ダメージは皆無だが、それに触れた場合――身体に混沌が蝕んでくるだろう】 【精神が脆ければ、それで狂ってしまう恐れもあるが――】

【それによってコスモスが怯むか否か、確認する前に左腕から生やした結晶の刃で斜め上から下へかけての角度で斬りかかってくる】
【狙いは胴体で、切れ味は真刀等より低いがその分太さが有るので、油断できない】 【強度は先程の結晶と同一だ】

【この行為の成功の是非に関わらず、悪魔は立ち上がりつつ翼を用いたバックステップをとる】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 21:21:25.56 ID:7sKD2Kt+0
>>730

それが傲慢≠セというんだよ、悪魔………。
フン、偉そうなことを言う割には随分と慎重な行動を取っているようだな、てっきり自身で混沌≠生み出すのかと思ったぞ
先ほども言ったがこれは仕事≠ネんでな、見逃して貰う必要はないんだよ。

【槍を振り下ろす瞬間に、ヘルムの隙間から鋭い眼光で睨み付けるような威圧を放ちながらそう言い放つ。】
【そう、彼らを動かしうるのは金≠ナしかない、故に相手の主義や思想などにとやかく言うつもりもないし、靡かない。】
【なので彼ら、傭兵団業/カルマ≠烽ワた、引き下がることなく邪禍の前に立ちはだかるだろう。】

ほう、それは意外だな………まぁ互いに結局は利益でしか動かんという事だ。
それはこちらも同じことだ、貴様は再三こちらの依頼遂行の邪魔立てをしてくれた、タダでは応じん。

【他の兵士たちが介入できないのはコスモスに流れ弾が当たる可能性、また、コスモス自身の戦闘スタイルにも起因しているようだ】


それならばそれでこちらとしては商売繁盛で嬉しい限りだがな………!


【邪禍によって放たれた混沌の雨≠その身に受けて一瞬だが舌打ちと共に身体が沈み込む………どうやら効いたようである】
【そこへ放たれた胴体への斬撃をバックステップすることによって回避しようとするが―――混沌によって鈍った身体では回避が遅れた】

【ガキンッ!という音と共に装甲が砕け―――先ほどと同様に傷は浅いが出血し、地面へと血が滴り落ちる。】


やってくれるな………!それに体格の割に良く動く………まずはそれを止めさせて貰おうか!!
                                      暗蟲呪縛/ゲノン・テイル=c……!!


【コスモスが念じながら右手を邪禍へと向けると、邪禍の着地点となる場所の地面から無数のムカデや蜘蛛などの蟲≠ェ現れる!】
【そして数万対にも及ぶ蟲≠フ大群は邪禍へと絡み付いてそのまま動きを封じようとするだろう!】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 21:46:24.49 ID:6E8pP1CTo
>>731

「ククク……だァれが俺様は混沌を運ばないと言ィった……今は混沌の為の土ォ台作りって奴よ、考え無しに暴れるだけじゃア無ゥ駄ってモノ」

「そォの準備の邪ァァ魔になァるんでな……ひィとまず、テメェーには帰って貰おう」

【――眼光がほんの少しの間だけぶつかり合ったような気がした】
【けれど、この悪魔が発するのは威圧ではなかった、まるで休火山の様に穏やかな邪悪だった】

「そォれに、俺様の庭を荒ァらされると言う害に見ィ合う利ィがねェーかァらな、追ォい出されるのもやァむ無しって奴よ」

【普段はもっと過激だとか騒がしいとか、そう言う印象が強いと、彼と敵対したモノはそう言っていたが――】
【……土地条件なのかなんなのか、そう言った感じはあまりせず、しかし何となく内部に秘めているような気もして】
【その象徴が、この悪魔の血液と思わしきナニカだろうか――なお、地面に落ちている血液も先程の雨と同じ効果を秘めているが、蒸発した分効果は薄い】

「そォれが例え混沌を運ぶもォの、或いは求むモノだァとしィてもなァ……!」

【それは着地後の事だっただろうか、辺りから無数の蟲たちが湧き出てきたのは――】
【一気に追い払うにしても、それによって生まれる隙は少なくない、けれどこのまま何もせずにいれば、勿論】

「……ちィ、数が多ォいな……一気に吹ゥき飛ばすなァら纏めた方が……いィや……」

【――その姿はあっという間に蟲で埋もれてしまう、当たり前の結果だった】
【僅かな隙間から湧き出る黒い煙の様な悪魔の魔翌力は気になるが――"今は"隙だらけ、そう見えるだろう】
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 22:07:20.01 ID:7sKD2Kt+0
>>732

成程、混沌創り≠ニいう点においては頭がそれなりには回るというわけか………。
ああ………こちらもそろそろ支障が出るレベルだ、そろそろ終わりにさせてもらおうか………!

【大量の蟲≠召喚しつつ槍を一度振って構えなおしながら悪魔に返答する―――。】
【そこに見えるのは完全なる殺意=c……確実に相手の命を取ろうと言う宣言にも思える気迫だ。】


フン、随分と広い庭だな………クライアントの話では貴様の庭≠ノは貴様も知らない。
大層なモノが幾つも眠っているようだがな―――さっさと庭の穴掘りにでも精を出したらどうだ………?


【先ほどから出てくるクライアント≠ニいう言葉………彼ら傭兵団の雇い主、の事でだろう―――。】
【そして眠るモノとは………?確かにこの魔海≠ヘ未だ人間の手が全く付けられてない謎の地域、ナニカ≠ェある可能性はある。】
【ともすれば前回の魔獣騒動も含めてそれを探すことが彼らの目的なのだろうか………?】


さぁてな、俺たちにとっては混沌≠セろうがなんだろうが………その時≠ノ合わせて生きるだけだ。


【無尽蔵に這い出てくる蟲≠ヘあくまで普通の蟲だ、恐らく呪術か何かで使役しているに過ぎないだろう】
【つまり一匹、一匹の力は途轍もなく弱い………だが見て分かるようにこの大群だ、それは身を封じるだけの力を持っている。】


さて、何か考えがあるようだが―――待つ時間はないんでな、終わらせて貰おう………!


【コスモスは槍の切っ先を邪禍≠ヨと向けると、一度腰を落としてから疾走ッ!!】
【そのまま凄まじいスピードと勢いを持って、邪禍へとまとわりつく蟲≠吹き飛ばすほどの威力で胴体を一突きしようとするだろう!】
【が、これだけの勢いを持った一撃だ、同様に大きさ隙も生まれるのは言うまでもない。】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 22:40:06.48 ID:6E8pP1CTo
>>733

「ククッ……不ゥ確実な庭を掘ォり返すなら、確実な可ァ能性をアテにすゥる」
「混沌とォは"可ァ能性を封ゥじ込めねェモノ"だ、……そォの可ァ能性を掘ォり返した方が"得"ってモノよ」

「あァ……もォしテメェーが魔海の埋土品の資料をもォってるなら、勿論高く買ァってやっても良いがな……」

【――結局、この悪魔は自分の為にしか動いていないような、けれどそうだとすると何かが引っかかる様な、そんな気がした】
【伊達に傲慢な性格な訳ではないようで、その完全な殺意ですらむしろ軽々と受け止めてしまっていて――】
【先程追い出すと言った相手に対して、取引を持ち掛けてくる始末だった(もっとも、その口調は明らかに破談前提なのだが)】

「グ……ゥッ!」

【蟲によって視界すら封じられていた、いや、今受ける体勢を取っていた――つまり、見えていたのだ】
【では、攻撃が見えていたのにも関わらず、大した防御も回避もしなかったのは何故なのだろうか】
【――考えられる理由はやはり、蟲のせいで動きが封じられていた、それが大きいと思われたのだが】

【血の代わりに宙へ軌跡を描くヘドロの如き邪悪な魔翌力――槍に付いても不具合は起きないが、拭き取るのは少々面倒か】

「……あァ……俺様は知ィってるぜェ、借方貸方はちゃアーんと合ァわせる必要がある……帳ォ尻合わせって奴をなァ……」
「誰かが損をすゥれば誰かが得する、混沌の世ェ界だってそォれは変ァわらねェ……WinWinなァんざ稀よ」

「――こォの腕、こォの腹、そォのた銃痕……今は俺様の支ィ出と負ゥ債でしかねェが、今、そォれらは打ゥち消されるッ!」

【―― その一突きをまともに受けたというのによく喋る、しかも何故か"余裕"を見せていた】

【そう言えば、蟲たちの様子がおかしいような――そう、先程邪禍に纏わり付いていたそれらは吹き飛ばされたり、或いはそのままのも居るが】
【その殆どがおかしかった、元の使役者に歯向かってきたのだ――しかも、ほんの僅かに強化されているような、混沌を微量宿しているような、そんな香りがする】
【但し、後から向かってきたモノに関しては変化がない、つまり、この悪魔が蟲に術か何かをかけた、あの混沌の魔翌力で逆に支配した、そうとしか思えなかった】
【やってくることも同じだ、纏わり付いて動きを阻害する――なお、この節の描写は"悪魔の支配術"が効いた場合のみであり、効かない場合は変化がない】

【この悪魔の使役の術が効いても効かなくても、胴体からつらら状の結晶を生やしつつ、それに吹き出した魔翌力をコーティングして攻撃するだろう】
【手法としては最初の結晶生やし攻撃の単発版で、悪魔の身長が216cm程、しかし角度がやや下向きなので胴体の上の方が実質的な狙いとなるか】
【ただの結晶に比べれば強度や威力が増しており、また、表面に水分を持っているので反撃が滑りやすいと言うおまけ付きだ】
【その代わり最初に水が噴き出してくるのだ、例え当たっても痛くも痒くもない、しかしそれが攻撃の合図でもあるので――読めれば、その後が楽だろう】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/05/09(金) 23:02:52.81 ID:7sKD2Kt+0
>>734

フ、結局は庭≠ニいいつつも自身の庭≠把握しきれていないわけか。
可能性………まさか悪魔≠フ貴様からそんな事を聞き出せるとはな、これは中々面白い。

それは別の機会だな………今は貴様に倒れて貰うとしようか………!

【悪魔の言葉の真意………そんなモノを考えていたらそれこそ悪魔の思うつぼだと考えているのか聞く耳は持たない】
【最後の言葉を終えた後でさらに槍に勢いを増してそのまま突進する―――ッ!】

【槍を受けられるとコスモスはそれを素早く引き抜いて、付着したヘドロを払うように二度ほど槍を振るって後退しようと―――】


フン、悪魔は暴利が売りなんだろう?そんな奴とはなから貸し借りの話なんぞするわけが………ッ!?
貴様………呪文/スペルを上書きしたのか………?随分と器用なマネも出来るようだな!クッ―――!!!!


【後退しようとした瞬間に自身が使役し悪魔へと放った蟲たちが一斉に自分へと迫ってくる…!流石にそれは想定していなかったのか】
【蟲たちに纏わりつかれ、舌打ちをしながらもがいている矢先に氷柱のような結晶が胴体へと放たれる………ッ!!】

【コスモスは間一髪で身体をよじって回避するが、右の脇周辺に氷柱が突き刺さり、先ほどまでとは比べ物にならないダメージを負ってしまった】
【苦痛に顔を歪めながら氷柱を引き抜くと、そのまま蟲を振り払いながら後退する―――。】


糞………俺としたことがぬかったか。やはり純粋な魔≠ノこの場で相対するのは相応の準備が必要という事か。
除染率は40%………クライアントの要望通り………とはいかないがこれ以上は今後のフェイズ進行に関わるか………。


―――悪魔≠諱A今宵は貴様の要望通り引いてやる………このエリアを燃やし尽くすだけ≠ェ依頼ではないのでな
………だが、今後も我らのフェイズ遂行を邪魔するようなら………本腰を入れて対処させて貰うぞ。

まぁ………それとは別に、貴様自身が我々に依頼をするのは自由だがな、何にせよ………また会おう。


【息を整えながら状況を分析し、今後≠燗・まえ、この場の指揮官であるコスモスはそう決定を下すのだった。】
【確かにこれ以上この場で戦えば邪禍≠烽ウらに力を増していくし、さらに魔獣の数も増えてくる。賢明な判断だ。】

【そして傭兵団の、自身の行動指針だけを伝えると、他の兵に素早く撤退命令をだして離脱していくだろう………もし追おうとすれば装甲車から砲弾が飛んでくる】

【どうやら今後も魔海≠ェ騒がしくなりそうだが………一先ずは戦いは終わったのだった。】


【余談だが、この出来事を期にこの地区の亜人の間では邪禍≠信奉するものが出てきたとかでないとか………。】

//それでは時間も遅くなってきましたしここで終わりとしたいと思います!お付き合いありがとうございました!
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/05/09(金) 23:06:48.98 ID:ZF24afS/o
【水の国――街中の大通り】
【普段は様々な目的を持った人々で賑わう場所だが――此度は何やら騒々しい】
【車道に目を向けてみれば、大型のトラックが歩道を守るガードレールに衝突していることがわかるだろう】

【事故の規模は大きなものでは無い。トラックの車体も原形を留めているし、巻き込まれた者もいないようだ】
【だが、集まった野次馬達の好奇の眼はそのトラックの前で何やら言い争いをしている2人の男に向けられていた】
【1人は運転手らしき30歳前後の男。肩を押さえて両膝を地面についている】
【もう1人の男はは50歳程度で、不自然なほど真黒な髪と顎髭をたくわえ、いかにも質のよさそうな濃紺のスーツに緑色の蝶ネクタイを締めている】

……お前は酒を飲んで運転をして事故を起こした。間違い無いな?

「ほ、本当にすいません!ここストレスがたまっててつい一杯……」

言い訳などいらん……お前は私が直々に処分してやる

【高圧的な態度で運転手を責めるスーツの男が右手を上げると】
【ガードレールに当たったまま停止していた無人のはずのトラックが何かの力に押されるかのように――或いは引きずられるかのように】
【運転手の男に向かってズズズ、とゆっくり動き出した】

「お、お願いです!な、なんでも、なんでもします……!どうか許して……!」

黙れ……お前が生きていたところで何の役に立つ?――私にとっても社会にとってもお前は必要のないカスだ

【運転手の男は腰が抜け――その場から動けずにいる】
【このまま行けば、迫りくるトラックに押しつぶされることは間違いないだろう】
【スーツの男は、周りでざわつきながらも何もしない群衆に一瞥をくれた後】
【自身の安全のためか、先程より数歩だけ運転手の男から離れ―――ガードレールを押しつぶしながら近付いてくるトラックを見つめている】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 23:37:53.88 ID:6E8pP1CTo
>>735

「ククッ、"浅い層"の事ィ情なァんざ知ィらんよ」

【――その言葉は、この広い魔海の中、自分は深層に住んでいるのだから遠く離れた場所を完全に把握していない】
【ならば自分の周りの事情はどうなのか――? そんな意味が有るような気がした】
【もっとも、この悪魔はあまり興味を抱いていないような気もするが……どちらにせよ、この悪魔が今後も邪魔になるのは容易に想像が付く】

「俺様は"可ァ能性のカタマリ"だァからな、――テメェーらとは"次ィ元そのモノが違う"んだよッ! ディィィィイイイメンションがなァァアアーーッ!!」

【流石にダメージが堪えてきたか、言葉に荒っぽさが戻ってきたようで――】
【けれど、やはり言っている事は先程と変わらない、自分への高い評価であり……だが、その内容は人間の枠とは大きく違っていた】
【そもそも、どちらも事実を簡単に確かめられるような内容でもないし、確かめる方法すら不確かであるのは明白だった】

「ヒャハハ、飼い主から聞ィいてなァかったのかァ? そォれとも指ィ名手配書の読ォみ込みが甘いか……んゥ? 書ァいてあったっけ、まァー良ォい」
「俺様は召ォ喚士ッ! つゥまり、モノを支ィ配すゥる"力"ァッ!! そォれを持ォつッ! こォの結晶の刃は魔ァ物と融ゥ合して得ェられたモノよ」
「……そォんな俺様が、小ォ蟲程度を振ゥり払えない理ィ由がねェな……もォっと強ォ力に支ィ配さァれてたら突破に時ィ間がかァかっただァろォーがな、ヒャハッ」

【――このセリフを、後方によろめきつつ挙句の果てに木にぶつかりながら言うのだから、迫力が失せるというもの】
【そう言えば、刺した位置的に心臓の安否が心配されるが――その刺し痕から見えるのは、ただただ深い混沌だけだった】

「……おォっと、テメェーに気ィを取られて、雑兵共を蹴ェ散らしつつ頂くのを忘れてたが」
「テメェーらが帰るなら俺様も引ィいてやろう、"ヤーツァタウン"の様ォ子を見ィに行く予ォ定が有ァるのでな……」

【元々この悪魔は、彼らの殺害が目的ではなかった――魔海から追い出すのが目的だったのだ】
【もしこれが別の場所ならば、殺害や支配を積極的に行っていた可能性もある、その点で言えば都合が良いか】

「勿論……まァた来ィたら、そォの度に俺様が邪ァ魔を入ィれてやァる」
「魔ァ海は俺様の力の源ッ! せェっかく好立地を手ェに入ィれたのに荒らされて魔ァ流が乱れたら困るんだよ、そォれに"漬物"の具ゥ合も悪くなるかァらな……」
「まァー、勿論ッ! 俺様は心がとォーっても広いが、庭荒らしを見過ごせる程優しくはねェ……そォーいう事だ、糞がッ!」

【――結局、悪魔が彼らを追うことはしなかった、ただ、その後寄り道でもしていたならば傷を押さえて飛んでくるのだが】
【幾らこの土地は力がみなぎるといえども、肉体を持っている以上、傷を負えば(治癒力も上がっているが)当然、最悪肉体が死に至るのだ】
【当初の目的を果たした以上、また追い出す羽目になりそうな予感がしていても、深追いするのは得策でないと(魔海から出たら傷も致命的なので)判断したのだろう】

「……ちィ……まァた肉体がヤァバイな……浅い層じゃア治ィ癒が追ォいつかねェか、一旦戻るか」

【そう言うと悪魔は地面に生成された魔法陣の中にへと消えていったのだった――】
【なお、最初に生やした結晶はしまうのが面倒だったのか放置されていた、けれどいつの間にか無くなっていた、多分周囲の者共が回収して金にでもしたのだろう】
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/05/09(金) 23:38:44.93 ID:6E8pP1CTo
/>>737に抜けました、>>736お疲れ様でしたー
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/10(土) 01:52:22.52 ID:K3x7u+6po
【本来であれば人気など一切ない廃墟】
【街から離れたところだからこそそこは寂れ灯りもない】
【静かさだけどゆるやかな風化だけが支配するような場所は今宵は鈍い輝きに照らされていた】

それぞれの器官の連携がいまいちとれてないのかしら……
最適化させるにはまだまだ時間がかかりそうね――――――――

【響く声は女性の物だ、ハッキリとした口調と声は強靭そうな姿を思い浮かばせる】
【時折窓から伸びる光に誰かが顔を覗かせたならば古いローブを纏った魔術師の姿が見えるだろう】

結局は経験を重ねるしかないか、そこんところは研究でも同じね
基本的にはトライアンドエラーの繰り返し……さながら砂の城を作るように

【部屋の中央でふよふよと浮いている銀の長板は淡い紫の輝きを洩らしている】
【拍動しているのは魔翌翌翌力でありさながら血管のようにドクンドクンと震えていた】
【その輝きの傍、フードの間から錆びた色の髪を伸ばす女性こそがその銀板の所有者なのだろう】

【フード故に表情は伺えないが思い出したように首を傾げる】
【揺れる髪、不適に笑う口元……どこかマッドサイエンティストの思わせる素振り】
【一際強く辺りを照らす紫の輝きは妖しく、響く高音は旋盤の音に近い】
【火花こそない物の銀板に満ちる力は周囲の空気を重くする程、外界に対しても魔翌翌翌力の残滓が紫色の霧として漏れている】

【足元を覆うような霧は何かを誘うよう】
【高濃度の魔翌翌翌力はそれだけで一般人には害を与えかねないし】
【同じ魔術師ならば惹かれるものがあるかもしれない】
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/05/10(土) 11:25:03.52 ID:LJO8gn6z0
「追え! そこの道を右に曲がったぞ!」
「逃がすな! 相手は坊主小僧だ!」

ハァ……ハァ……ッ!!

【走り抜ける少年がいた】
【その目線を遠くに向けて、走り続ける】

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【薄手の灰色のコートを身に纏う】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【その背後を追いかけるのはスーツを着込んだ男たちだ】
【サングラスで目元を隠し、荒事の経験を雰囲気から匂わせる彼らは間違いなく危険な連中だろう】
【その彼らが、白色の少年を追っている】

まだ……ッ! 来るの……!?

【すれ違いざまにぶつかる通行人に謝る暇もない】
【背後から追いかけてくる追跡者は2、3人ぐらいだろうか】
【時々振り返っては持てる力を使い切ってまで走り抜ける】

【もうこの場所がどこかもわからない】
【どの道をどのように曲がったのかさえ、覚えていない】
【ただ、追っ手を振り切る。その一心で】

………っ…あぁッ…!

【そして、彼らと距離を離したところで少年は飛び込むように裏路地に転がった】
【放置されたゴミ箱と廃材に埋もれるように、身を隠すだろう】

【―――――その光景を、あなたは見ただろうか】

「クソッ! どこ行った!」
「この周辺にいるはずだぞ! 見つけるんだ!」

【そして、少年の追っ手がやってくる】
【覆いかぶさった廃材の中で少年は息を殺し、気配を殺そうとする】

【だが、不十分】
【見つかるのも時間の問題だろう――――そして貴方は、この場所に立ち会ったのだろうか…?】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 11:58:23.08 ID:FEnR/2Jyo
>>740
【追われる少年。追う男たち。何かの物語の冒頭と見間違えるかのような光景】
【少年が逃げ込んだ先は路地裏。隠れる場所は確かにあるだろう】
【だがそこは、暗闇の入り口でもある。目と鼻の先に異形どもが蠢く領域がある】

【果たして、男たちが躍起になって少年を探しているその場所に現れた男は】
【表通りからではなく、路地裏の奥から現れた】


ひっひっひっひ……どうなさったんです、旦那方……
何やらただ事ではないご様子で……

【下卑た気配を漂わせる声。現れたのは、くすんだ鉛色の髪をオールバックにした男だった】
【髪と同じく鉛色の瞳。両耳と口元を飾る鉛色のピアス。にやついた口元から覗く舌の周囲にもびっしりとピアスが】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベスト。迷彩柄のズボンに黒く厚い軍用ブーツ】
【追っ手の男たちは見覚えがあるだろうか。ある盗賊団の一味としてしばらく前から指名手配されている犯罪者。それがこの男だった】


どなたかお探しですかいぃ? なら、そこの……
廃材の中にいる御仁が、探し人なんじゃあぁありやせんか?

【にやにやと笑いながら、ピアス男は少年が隠れている廃材へと近づいていく。ふざけた態度ではあるが、周囲への警戒は決して怠っていないかった】
【男たちや少年が行動を起こさなければ、ピアス男は廃材を跳ね除け、少年をその場に引きずり出そうとするだろう】
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/10(土) 12:17:36.84 ID:LJO8gn6z0
>>741
「ん………貴様は……まぁいい、我々は警察ではないからな…この際構わん。貴様、白髪の少年を知らんか」
「年齢は十代、赤い瞳に整った顔立ちの少年だが……写真はこれだ」

【男のすぐ近く、廃材の下からわずかに息を飲む声が聞こえる】
【もしこの指名手配の男性が廃材にいた少年を見ていれば特徴が一致する】
【差し出された写真もこの廃材の少年だろう】

「もしこの少年を差し出せば金は約束しよう。現金で500万、すぐに……だ。」
「だから何か知っていたら……廃材だと?」

【男たちが集まり廃材に目線が向かう】
【数にして5人徐々にその裏路地に集まってきた】

「貴様、この廃材の中に誰かいるのか?」

【追っ手の一人が怪しげに呟く】
【裏路地の男を信用しきれていないのだろう、適当な偽者を突きつけられて金を巻き上げられては敵わない】
【だが、その廃材をどけていけば、その顔が見えてくる】

【追っ手には見えず、犯罪者の男からだけ見える角度】
【あと一枚の廃材を除けてしまえば全員に見えるところで、少年と目が合った】


………………。

【少年は声を出さない】
【出せば本当に追っ手に捕まってしまう】
【赤く火照った顔から察するに、走って逃げる体力ももうあまりないのだろう】

【ただ、懇願するようにその犯罪者の男を見つめていた】
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 12:48:44.83 ID:FEnR/2Jyo
>>742
ひっひっひ、そいつぁありがたい。こんなところで警察や自警団の旦那方とドンパチやるのは御免被りたいですからなあぁ
白髪の少年、ですかい。どれどれ、ちょっと拝見……ははぁ、女性と見紛うばかりのお顔立ちで……

【写真を覗き込んだピアス男の笑みが、ますます邪に深まる。横目でちらと廃材の奥を見やる】
【白髪。整った顔立ち。まず間違いない。追われているのは彼だ】
【追っ手の男たちに一度向き直り、下卑た笑みを浮かべて言葉を並べる】


ほおお、500万……太っ腹なこってすなあぁ……
(おやおや、こりゃまたゾロゾロと……さあて、どうしたもんか……)

【わずかな時間、ピアス男が思案する。彼らの様子。必死になって追っていることはわかる】
【差し出してやれば、500万。確かに手に入るだろう。だが、裏の事情がわかっていない】
【この場でただ差し出すことが得策か。ピアス男は親玉譲りの利己的思考で結論をはじき出した】


ひぃひひひ……いえね、廃材の隙間から、誰かの目が見えたんですよおぉ……
ええっと、少々お待ちくださいな……

【再び、ピアス男が廃材に向き直る。ピアス男が背中に背負っていた大きなリュックが、追っ手の男たちの視線から廃材を一瞬だけ隠すだろうか】
【ピアス男はリュックを降ろして地面に置くと、廃材をどけはじめる。いかにも、奥深くまで探しているように大げさな動作で】
【その一方で、ピアス男の足が軽く小突いた。すると、リュックのファスナーが音もなく一人でに降り始めた】

【ピアス男が大げさな素振りで廃材を漁ることで、リュックの動きから男たちの目を逸らそうとしているのだ】
【やがて、リュックのファスナーが降り切れば、そこから何かが這い出すように現れ、ピアス男の影に隠れた】

【それとほぼ同時に、ピアス男の鉛色の瞳が奥の少年を捉えた。こちらに向けられる憐れみを誘う瞳】
【にたり、とピアス男が笑う。あるいは、追っ手の男たちが相手だったほうが、はるかにましだったと少年に思わせるかもしれない】
【ピアス男が手を伸ばす。廃材の奥、少年へと。そして――何かを掴むようなふりをして、少年に触れることなく手を引き抜いた】


ほおら、これが――っと、おやあぁ?

【ピアス男が廃材から抜いた腕をその場に晒す。そこに掴まれていたのは、人間の生首だった】
【ごつごつとした厳つい顔つき。毛髪のない頭に、頭頂部へ向けて捻じ曲がるように何本も生えた、鋼鉄製の角】
【太い鼻筋に、縦に並ぶ形で並んだ三本のボルト。首にはまった鉛色の首輪。だらしなく開いた口。生気のない瞳】

【写真の少年とは似ても似つかない、男の生首がピアス男の手からぶら下がっていた】


――ああっと申し訳ない、あたくしの勘違いでございました……
気持ちの悪いもん拾っちまったなあぁ、ったく……500万ゲットかと思ったのによおぉ……

誠に申し訳ない、旦那方。しかし、こうなるとこの写真の御仁、路地裏の奥に逃げ込んだのかもしれやせんぜ
何せ、奥に行くほど入り組んでますからね。隠れる場所はいくらでもありまさぁ……

【右手に持った生首を廃材の上に放り投げつつ、ピアス男が追っ手の男たちに向き直ってまくしたてる】
【追っ手の男たちが鋭ければ、わかるだろうか。少年の位置からなら、見えたはずだ】
【先ほど、ピアス男のリュックから這い出たものが、この生首だということを。廃材の中に手を突っ込み、引き抜いてから晒す一瞬のうちに】
【ピアス男は、この生首を掴んでいかにも廃材から取り出した、と言わんばかりに見せつけたのだ】


【ピアス男は追っ手をごまかそうとしている。少年を引き渡さないつもりらしい】
【追っ手の男たちに疑われていることをわかった上での行動。正直なところ、急場しのぎの策】
【相手がうまくだまされてくれるかどうかは、ピアス男にとっても賭けだった】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/10(土) 13:04:53.07 ID:LJO8gn6z0
>>743

…………………。

【モウダメダ】
【追っ手の男は間違いなく金を準備する。嘘偽りなく、この場で小切手だって準備するだろう】
【僕を捕まえるためなら。その三倍の金だって用意できる】

【そして、この怪しい男も】
【誰かはわからない、知らない人だ。だが、この人は僕と目が合っている】
【写真の自分とここにいる自分が同一人物だと、気づく】

【もう、終わりかと――――少年はあきらめるように目を閉じた】

「ここにいるだと………な!」
「な! 何だそれは! そんなものと間違えるな!」

【声、追っ手の男たちの声が少年に希望を与えた】
【怪しげな男が差し出した、別の生首】
【男が庇ったのか、と思考する】

「しょうがない……班を二つに分ける。路地裏と表通りの捜索だ」
「了解です」

【手がかりが無いとわかればもう用は無いのだと言わんばかりの態度】
【怪しげな男を無視し、廃材の横を通り抜けて数人が路地裏へ走っていく】
【残りの連中は再び表通りに走っていった】




【そして数分としないうちに廃材周辺は、静寂に包まれた】
【少年の嗚咽だけが、聞こえる。 そんな路地裏に】

「ありが……とう、ございます……! 本当……に…」

【廃材からわずかに覗く顔は涙でぐじゃぐじゃに歪んでいるの】
【もう周りは安全だろう。声をかければ廃材から出てくるかもしれない】
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 13:18:33.47 ID:FEnR/2Jyo
>>744
【少年が目を閉じる。ピアス男の表情はそれを見ても変わらず】
【賭けは成功。追っ手の男たちが焦燥していることもあったのだろう。見事に騙されてくれた】

ひっひっひ、いやいや本当に申し訳ない……
路地裏はどんなもんが落っこちててもおかしくないですからなあぁ……
っとと、見つかることをお祈りしてますよおぉ……ひひひ……


【自分を素通りし、追っ手が二手に分かれて消えていく】
【男たちの態度を気にする様子もなく、ピアス男は鉛色に光る舌をうねらせながら彼らを見送った】

【様子を見ることしばし。少年の泣き声が響いて来れば、ピアス男がそちらへと視線を向ける】

ひひ……ひひひ……いやいや礼には及びませんよぉ……なんせ……
あの方々より、あたくしらの方がずっと性質が悪いでしょうからねえぇ……
なあぁ、ブレインデッド?

[ど、ど、同意する]

【無機質な声がした。この場にいるのは、ピアス男と少年のみのはず】
【これは、そのどちらの声でもなかった。少年からは見えるだろうか。廃材の上に投げ出されていた、先ほどの生首が】
【ふわり、と空中に浮かび上がった。先ほどまで生気のなかった瞳は、ピアス男と同じ鉛色に輝いている】

【無機質な声の主は、この生首だった。生首は、空中を滑るように移動すると、ピアス男の横に並んだ】


それで? 何の事情があって追われてるんですかい? お疲れでしょうが、話してくださいな
事と次第によっちゃあ……さっき捕まってた方がよかった、と思うことになるかもしれませんがねえぇ……ひひひ……

【そう、確かに周りは安全だ。だが、目の前にいるのは少年にとって新たな脅威に成り得る存在】
【獲物を求めるように指を曲げ伸ばししながら、ピアス男は廃材の奥の少年に語り掛ける】
【横の生首ともども、欲望にぎらついた醜悪な顔で】
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/10(土) 13:52:49.15 ID:LJO8gn6z0
>>745
えっと………コホン。

【咳払い、とりあえず気持ちを落ち着かせて廃材から体を出した】
【体は埃まみれですっかり汚れているが、追っ手から逃れたという事実を思えばお釣りがくる】
【ポンポンと体をはたいて少年は口を開いた】
【ついでに涙を拭きながら】

【目の前の男と生首】
【さっきとは状況はほとんど変わらない気がするが、怖気ついてはいけないと】
【正座の状態から少し背筋を伸ばして】

あの人たちは僕の実家で勤務している殺し屋です。
僕は、一族に取って不要の存在と認定されて追われているのです…

【追っている人間はピアス男から見ても普通の人間ではないとは感じたかもしれないが】
【それも殺し屋。勤務というからには専属の連中なのだろう】
【少年の言う「一族」の】

命を、狙われているんです
公にせず秘密裏に処分するのが目的なんです

【警察ではないと、追っ手の男は言っていた】
【少年の言葉を信じるか否かは別にして、怪しいのは確かかもしれない】

「御三家」というのをご存知ですか……?
櫻の国に存在する悪魔祓いの一族です…僕はその一族から勘当された身なんです

【「御三家」自体は耳にしたことはあるかもしれない】
【一族の内情はともかく、その一族が「海無」「陸月」「岸織」の三つで構成された
悪魔祓いの名家ということ。】
【そして、数年前に「海無」の一族からまだ幼い少女をリーダーに祭り上げたということ】
【よっぽど俗世から離れていない限り、この程度の情報を知っているだろう】

【勘当されて、命を狙われる】
【何かただならぬ理由が感じ取れるだろう】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 14:26:34.70 ID:FEnR/2Jyo
>>746
【その全身を現せば、少年はいかにも華奢に見える身体】
【汚れきってはいるものの、意識ははっきりとしている様子】
【涙目になったその顔からは脅威らしい脅威は感じられない】
【ならば、なぜ追われていたのか。何か、重要な立場にある人間か。ピアス男の脳裏を思考が埋める】

【そこへ、毅然としてこちらに向き直る少年の声が飛ぶ】


殺し屋たあ、穏やかじゃありませんなあぁ……しかも、ご実家の……
ははぁ、身内の方にお命を狙われていなさるんで……難儀なお話ですねえぇ……

[ど、ど、同意する]

【先の男たちを思い返す。只者ではないことは感じ取れたが、予想は当たっていたらしい】
【この場で戦闘に持ち込まなかったことは正解だった、とそう思いつつ】
【興味は、少年の「一族」の話へとシフトする】


公にせずに……? 貴方の存在が、表に知られたらまずいってことですか?
まあ、あの旦那方は堅気には見えませんでしたが……おっと、あたくしに言われたかないでしょうがね、ひひひ……

「御三家」……? ええっと、確か櫻の国の……なんだった? ブレインデッド

[あ、あ、悪魔祓いだ……そ、そ、その道では、め、め、名家で通っている……]

おーおー、そうだったそうだった。例の妖狐の件で、櫻についちゃあボスが調べてたからなあぁ
ええ、確か「海無」に……「陸月」に…――?

[き、き、岸織……]

そうそう、岸織だ、岸織。で、神寄とかいうトップをその三つから祭り上げるとかなんとか
今は海無から出てるんだっけか、神寄が

ちょいと調べりゃ、ここらの情報は掴めるくらい名の通ったとこですよねえぇ……?
そんなとこが身内の命を狙うたあ、スキャンダラスなお話じゃねえですか

あんたは、その三家のどっかから……っと、まだお名前を聞いてませんでしたなあぁ
あたくしは、卑しいゴミ漁りのスカーベッジ・トラーシュってもんです

[ブ、ブ、ブレインデッド……]

【裏世界の犯罪者であるからこそ、情報は重要だ。世間に出回っている情報程度は、調べ上げている】
【「御三家」についても、この男たちは知っていた。櫻の国には、浅からぬ因縁がある相手もいる故にだ】
【未だ疑問は解消されないが、少なくとも少年の身元はわかった。さらに突っ込んだ質問に移る前に、まずはこちらから名乗りを上げる】

【少年が、もし指名手配書を読んでいれば、ピアス男の名前は憶えがあるかもしれない】
【昼の国で都市一つ占領した異形ども、カノッサ機関の手先として活動する盗賊団『スクラップズ』のナンバー3】
【表の世界でその名を轟かす「御三家」に対し、裏の世界でわずかながら名を広めた者たち】

【要は、札付きの悪党どもである。少年も警戒するだろうが、それは覚悟の上】
【ピアス男と生首男は、少年を逃がさぬように立ち位置を調整し、さらに詳しく事情を聴きだそうとする】
【何とか、この状況を自分たちの有利に働かせられないか、と】


しっかし、勘当したならそれで済ませりゃいいものを、わざわざ殺し屋まで……
どうにも解せませんなあぁ。ただでさえ櫻の国は、おっそろしい妖狐が大暴れしてて大変な時期でしょうに……

【じろじろ、と少年を値踏みするように眺めるピアス男。反応を伺っているのだろう】
【少年がどう答えるか。あるいは、逃げ出そうとするか。下手な手出しは、あるいは「御三家」と敵に回すかもしれない】

……それで、アンタこれからどうなさるおつもりで? いつまでも逃げ続けるにしたって限界ありますぜ
何か宛てでもおありなんですかい?

【間を空けて、さらに探りを入れる一言。取り込む、とまではいかずとも、何かしら利用できるかもしれない、と】
【ピアス男は、そう考えている。生首は、黙って浮かぶばかりだ。だが、双方とも少年から目を離さず、かつ周囲の警戒も怠っていなかった】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/10(土) 14:43:50.92 ID:LJO8gn6z0
>>747
僕の名前は……岸織、岸織詩織……です

【その名前は御三家の一つ、岸織だった】
【だが、その名前は決して有名ではないのだろう】
【元神寄にして、唯一無二の男性。御三家のトップ―――現神寄の海無の一つ前の神寄】
【そんな事実はほとんど世間に流れていない故に、ただの一族の人間としか認知されないだろう】

【自己紹介相手の男を、詩織はよく知らない】
【裏の世界に通じる知り合いはいても、彼はその世界をほとんど生きていないのだ】
【だから、目の前の男はただの「怖そうな人」と思える】

【問題は隣の生首なのだが――――。】

……………。

【胸が鼓動を強くする】
【エンジンの回転をあげるように、リミッターをはずすように】
【全身をめぐる血液の量を、感じているのだ】
【その理由を、詩織は知らない】



悪魔祓いのほうは、大丈夫です。雪乃ちゃ………今の神寄は、とても才能に恵まれていますので

【その目はどこか遠くを見るような】
【羨望とも受け取れるような、寂しい目】
【まるで、彼には何も無いような】

帰る家は……あるには、あります
お世話になっている人はいるのですが……

【間違いなく危険なのだろう】
【少なからず詩織の容姿は目立つ、下手すればすぐに居場所は特定されてしまう】
【そんな不安が、頭をよぎっていたのだ】

…………。

【放浪の旅は慣れている】
【寂しくて、辛い旅だ。】
【でも、今の自分には避けては通れない道なのかも知れない】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 15:11:47.21 ID:FEnR/2Jyo
>>748
はあん、岸織のお方で……
失礼ながら、お名前は初めて聞きましたな。まあ、状況を鑑みれば、その辺も事情があってのことなんでしょうが

【さすがに、そこまで詳しい事情は知らなかった。彼が前代の神寄であったことなどは】
【岸織の人間、と聞いて神寄の座を争奪の末、敗北したのか、などと邪推はしていたが】


【こちらの名前を聞いても反応は薄い。追われていることを考えれば、知らないのも当然か】
【しかし、ピアス男は少年の違和感をわずかながら感じ取っていた。横に浮かぶ生首に対しての何か】

(なんだあぁ……? 殺気も何も感じねえが、どうも……)

[ぬ、ぬ……]

【少年の内側に起きる幽かな変化、はっきりとわかりはしなかったが】
【とかく、こちらの反応は抑えた。表に出すことなく、言葉をつづける】


ほほお、それが今の神寄のお名前ですかい……
(見覚えがあるぜ、そういう目は……ひひ、名家ってえのもいろいろだなあぁ……)

おっとそりゃ失敬。まったくの宛てなしってわけじゃないわけですか
ですが、その相手にもいずれ危険が及ぶかもしれませんぜ……あの分じゃ本家の皆様、諦めそうにないでしょおぉ?

ひひ……そうですなあぁ、こうしてお会いしたのも何かのご縁
もし、どうしても行き場がねえ、ってことになったら、ここにおいでくださいな

【ピアス男は、ゆらりと歩み出す。路地裏の空間の端、先ほど少年が隠れていた廃材があった場所の向かいの辺りだ】
【そこに、マンホールがあった。古びて錆びきった蓋のマンホール。打ち捨てられたゴミに覆い隠されるように】
【ピアス男が蓋に触れると、蓋から取っ手が飛び出した。蓋の一部を押すと、現れる仕組みらしい】
【取っ手を掴んで引く。蓋が持ち上がり、そこに下へと続く梯子の一部が顔を出した】


……あたくしらみたいな立場のもんが使う、いわば地下通路ってやつです。ここを降りて、ずっとまっすぐ
そうすりゃ、しばらくは隠れられる場所が見つかりますよ
ま、そうそうこんなとこに隠れる気にはならないでしょうが、ご一考を……ひひ……

【にやりと笑うと、ピアス男は梯子に足をかける。生首男もそれに続こうとする】
【とても信用に値するはずもない自分たちの言葉。だが、切羽詰まっている彼なら、こうして逃げ道の候補を与えてやれば】
【いつか、飛びつくことがあるかもしれない。そうなれば、自分たちの領域に引きずり込むことも可能と成り得る】

【ピアス男が、首を表通りの方に傾ける。そろそろ、ここを立ち去るべきだと、そういう意味だろう】
【追っ手が去ってから時間が経った。あるいは、戻ってくる可能性もある。そう忠告したのだ】
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/10(土) 15:46:14.87 ID:LJO8gn6z0
>>749
【目の前のマンホール】
【一見、とても判別できないような隠し通路】
【今の詩織にはありがたい存在なのかもしれない、だが】

………すみません、助けて頂いた身でとても申し訳ないのですが…。

【肉を求める野獣の口】
【牙を研いで今か今かと待ち続ける罠に見えて――――】
【詩織が踏み出す一歩目が、前に出ない】
【信じられなかったのだ、目の前の男が】

【その心情は詩織の表情からも察することができるだろう】


………今はまだ逃げます。
彼らと出会ったのは家からかなり離れた道端なんです……きっと、まだ居場所はわかってない…と思うので…

【あくまで逃げることを選ぶらしい】
【コートのフードを目深にかぶり、詩織は立ち上がった】
【その足取りはまだ不安げで、少し震えているが】

【それでも、目はまだ生きていた】

すみません、スカーベッジさん、ブレインデッドさん。ありがとうございました

【そういいながら、表通りに目を向ける】
【まだ、追っ手は見当たらない】
【今のうちに身を隠して走り抜ければ公共交通機関を使いどこへでも行ける】

【確認ができればぺこりと頭を下げるだろう】
【引き止めなければ、道に飛び出すかもしれない】
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 16:01:41.93 ID:FEnR/2Jyo
>>750
いやいや、お気になさらずに。あくまで、他にどうしようもなくなった場合に、って提案ですよおぉ
心に留めておくだけでもしておいてくださいな

(ま、そう簡単にゃいかねえな……何、今回の情報だけでも収穫だ)
(地下通路も直でヴェンドゥラーに繋がるもんじゃねえし、何が来たところでうちのボスなら食い尽くす)

【彼の判断は、正しいと言えるだろう。この男たちは、どこまでいっても悪党だ】
【信じられないのは当然、ピアス男もそれは織り込み済み。今は、毒を仕込んだ逃げ道候補を一つ、与えたというだけでいい】
【少年の表情を眺めながら、ピアス男をそう考えていた】


ふうむ、それならまだ逃げる余地はありそうですなあぁ
痕跡は残さないようにお気を付けて……そのお姿、失礼ながら目立ちますからね

【立ち上がる彼を見送る形で、二人の異形もマンホールの下へと降りはじめる】
【彼の瞳の生気を、獲物とみなすかのような邪悪な気配を漂わせながら】


お礼には及びませんよおぉ。それでは、お気をつけて

[し、し、失礼する……]

【こちらへと頭を下げて、道へと飛び出していく彼の背中を見送った直後、二人は素早くマンホールに飛び込んだ】
【蓋を閉め、梯子を下りる。その先にあるのは、暗闇の中に伸びる細い道】


……さあて、ボスに報告しに行かねえとなあぁ。うまくすりゃあ、面白いことになるぜ
急ぐぞ、ブレインデッド

[り、り、了解した……]

【二人分の声と一人分の足音が反響し、やがて消え去っていく】
【この邂逅が果たして何らかの意味を持つことがあるか、それはまだ未知の領域だ――】

/このあたりで締め、でよろしいでしょうか?
/お疲れ様でした!
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/10(土) 16:08:19.49 ID:LJO8gn6z0
>>751
/ありがとうございましたー!
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/10(土) 20:27:17.24 ID:gVdDKinoo
【魔物とは一体何なのだろうか――】
【凶暴だったり強かったりすれば魔物なのだろうか、いや、ならば猛獣も魔物なのだろうか】
【不気味な造形をしていれば魔物なのだろうか、いや、深海等の生き物だってそうである】
【ならば、この世界とは住む場所が違うモノなのだろうか、いや、だったら何故我々が会えるのか】
【それならば、人間に仇するモノが魔物なのだろうか、いや、そうとは限らない】
【――元々定義なんて有って無いような"魔物"という単語は、今日、更に揺らぎを見せるだろう】


「皆、今日は依頼を請け負ってくれてありがとうございます」
「僕はこの依頼の担当者の"居捨塚 一郎(イステツカ イチロウ)"です、宜しく頼みます」
『僕はその弟の"二郎"です、宜しく頼みます』

【自警団の一人が指定した集合場所に時間通り〜少し遅れる程度に辿り着いたものは、この言葉から始まる】
【――集合する理由は簡単だ、自警団が依頼を出し、あなた達はそれを請け負った】 【――通りすがり、の可能性も無くはないが】

【もっとも、その依頼の内容は少々奇妙だった――「植物の伐採」なのだから】
【例えそれが毒を持っていたとしても、能力者を雇うほど伐採が困難な植物なんて、一体どこにあるのだろうか】

「これに乗ってくれれば近くまで送っていきます、8人までなら乗れる車種ですのでスペースはご心配なく」

【――――車は街中を走り、郊外・森・山を通って、とある山の頂の近くまで辿り着くだろう】
【コンクリートではないものの綺麗に整備された道が前後にあるこの場所は、近くに村が見えるか否かというところで】
【車はそこで止まる――ここまででおよそ一時間。なお、現地に自力で向かったものはここでの合流となる】

「ここからは徒歩じゃあないと行けないので、皆さん降りてください」

【ここから先の道は整備されているものの車では通れない、その場所で車は止まり、降りるよう促してくる】

「……本当はこの道にそって山頂へ向かいたいところなのですが、あそこに見える村が厄介でして」
「何故か伐採に激しく反対していて、もしそれが目的と知れれば……病院送りです」 「……既に弟の"三郎"が犠牲になり全治2ヶ月の重傷を負いました」
「知られなくとも、どうもやけに最近村人が"好戦的"になっていて……無事通れる保証が無いんですよね」

「ただ、情報を集めたいので村には二郎が向かいます――なので、」
「もし自分も向かって情報を集めたいという方がいらっしゃれば、彼に付いて行ってください」
『有用な情報が得られれば、伐採非参加でも報酬金をお渡しします……通常の半額となりますが』
『勿論、情報収集の後に伐採に向かっても構いません、上記報酬とは別枠ですので』

「――村を通らないで山頂に向かうルートは、僕が作りますのでこちらに」

【そう言い、一郎は道を外れるか否かという所まで移動する】
【木々が生えていて、高低様々な草が生え揃ったその道は、もはや道ではない。体力は消耗するものの安全性が高いのは確かだ】

【村を通るか、獣道ですらない場所を通るか、――選択は、自由だ】


/これがイベント開始文となります
/それでは、御三方よろしくお願いします
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 20:44:59.22 ID:FEnR/2Jyo
>>753
【自警団からの不可解とも思える依頼。山頂の植物伐採】
【外部から戦力を集ってまで、これを決行しようとしている。裏に何かあることは、想像に難くなかった】

ギア・ボックスです
こちらこそよろしくお願いします、お二方

【時間通りに到着していたその青年は、出迎えた自警団関係者であろう兄弟に頭を下げた】
【いや、青年の姿をした人形、というのが正確だろう。そう、そこにいたのは一体の人形だったのだ】

【少し長めの茶髪に細面、丸い目。白いシャツと青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【人とは異なる質感の肌と、無機質な青い瞳。服の上からでも存在を誇示する、四肢の球体関節】
【中肉中背の身体を動かすたびに、かしゃかしゃ、と乾いた音がなる】


【居捨塚兄弟が乗車を促せば、ギアはそこにするりと乗り込んだ】
【山中に到着するまでの間、その人形の瞳は無機質でどこか冷たい光を湛えたままだった】
【あるいは、今回の件の裏にあるものを見極めようとしているのか】

【やがて、車が停車する。促されるままに降車すれば、整備された街道の上、向こうに僅かに姿を見せる山村】


全治二か月……穏やかじゃないですね
そこまで反対するには、何か理由があるんでしょうけど……

(説明では、生態系を破壊しかねない植物、ってことだったけど……)
(自警団側の説明しか聞いていない現状じゃ、判断を下すのは難しいか)

【人形の身体の内側に宿る、人の魂でギアは思考する。伐採に強烈に反対する村。押し切ってでも伐採しようとする自警団】
【今は、自警団側の依頼を受けているとはいえ、闇雲にそれに従っていいものか】
【騙されたことは、幾度もある。ここ最近の出来事にこともあり、生き人形の魂は疑念の色に染まっていた】


……わかりました。僕は、二郎さんについて、村に情報収集に向かいます
報酬も、それで構いません
(人形の姿じゃ、怪しまれるかもしれないけど……どうしても、確かめなければ)

【獣道を切り開こうとする一郎を見送り、生き人形ギアは山村へと足を向けた】
【まずは、二郎と共に村に入り、住人と接触を試みるだろう】

/ギア・ボックスです。よろしくお願いします
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sagesaga]:2014/05/10(土) 21:00:15.15 ID:rdf+M6Eco
「―――いっつも自警団の依頼には世話になってるが……こりゃまた変な依頼もあるもんだな……」

【……この言葉は、自警団が定期的に出す『依頼』を金稼ぎにと受けた男が、ついつい零した言葉である】
【なんせ、『植物の伐採』。今までカノッサやGIFT等危険な組織に絡んだ依頼は多々有ったものの、こんな依頼は初めてだ】
【というか、依頼のランクを下げてもこんなものを目にしたのは初めてだった。伐採など、普通ならばその辺の業者の仕事なのだから】

【―――普通ならば、である】


「宜しくな、一郎。そんで二郎。俺はライラ。ライラ=フェルンストレームだ。
 ……本当に植物の伐採だけなんだろうな……、ちょっと心配にもなってきたぜ……」

【彼らが自己紹介すれば、気さくに挨拶を返し此方からも自己紹介する男が1人】
【魔女が被るような大きな紫色の帽子を被り、同色で縁には金色の刺繍が施されたローブを羽織る】
【そして手に持つのは、男の身長ほどもある大きな木製の杖―――まるで、おとぎ話の魔法使いのような格好のその男】

【自警団が能力者に依頼するような植物。普段なら強大な敵相手に不敵に笑っているこの男だが、内容が内容だけに少しだけ不安な様で】
【とは言うものの此処まで来て行かない訳にもいくまい。大丈夫大丈夫と自己暗示を掛けながら車に乗り込んだ】


「……全治2ヶ月、か。自分らにとってマイナスになる植物の伐採を反対してるってよ、何かの洗脳術でも受けてんじゃねーのか?」

【車を降り、その危険な村を遠目にチラリと見ながらハァ、と溜息をついてそう言う男】
【……洗脳とは行かないまでも、何かしら手を加えられている可能性もないわけではない。やはり、随分きな臭い話だ】

【さて、村に話を聞きに行くか植物を伐採しに行くかだが。男は植物の伐採を選ぶだろう】

「口下手な俺が行っても事態が悪化するだけだろうしな……。それなら俺は伐採に行くぜ」

【そう言って、一郎の側につく男。どうやら自身が口下手なのは自覚しているらしい】
【それにこのヘンテコな服装だ。こんな格好でその好戦的な村人の前に出たら、どんな反応をされるかわかったものではない。懸命な判断、だろうか?】
【兎に角、男は植物を伐採するルートを選んだ。このまま無事に伐採が終わればいいが、無事に終わるわけがないのは理解していた】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/10(土) 21:01:17.12 ID:rdf+M6Eco
/おっと失礼しました。ライラ=フェルンストレームです。よろしくお願いしますー
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 21:02:57.82 ID:GtG+rJkbo
【路地裏】


【道路を走る車の音が聞こえて来る】
【建物に遮られた音はまっすぐに響いて来ず、まるで壁に隔てられた別世界からの音のようで】
【往来する人の数の差もそれを助長している。その証拠に、今起きている出来事にまだ誰も気付いていなくて】


「オイ! こいつ能力者だぞ!」
「でも弱そうだしやっちまおうぜ。ムカつく目ェしてやがるしよ」
「泣いて許してくださいって言えば半殺しで済むかもなぁ? ヒャハハハ!」


【三人ほどの男が少年を取り囲んでいた。いや、すでにいざこざの最中だった】
【男たちは派手な衣服を身を包みジャラジャラとアクセサリーを付けた――いわゆる不良という風貌で】
【彼らは少年に殴りかかったり拘束しようとしたりするが、全てかわされていた】


痛、っ……ああ、鬱陶しいな


【少年の方もかわすことに精いっぱいのようで、握られた黒い魔翌翌翌力の剣も振るわれることはなく】
【ついに顔への打撃を許してしまった。不良達の下衆な笑みがこの上なく深まったのは言うまでもない】

【真っ黒のボサボサ短髪、深淵を思わせるかのような漆黒の瞳は三白眼で、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】

【突破口を見出すべく不良達を睨むのだろう。その眼には雑念などなく――】






【時同じくして――また別の路地裏】


オオ――――ッラァァッ!!


【突如として火柱が立ち昇るだろう】
【同時にこんがりと焼けたチンピラが数人、壁や地面に叩きつけられて気絶した】
【発生地点には拳を掲げたまま静止するひとつの影があることだろう】
【辺りを覆う熱気の中、その人物は火竜じみた獰猛な笑みを浮かべていた】

【男性にしては長めの髪は不揃いで所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は襟を立てた薄手で灰色のミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――そんな、気迫に満ち溢れた青年】

【ジャケットの右胸部分には緋色の鷹≠ェあり、彼の所属を明確に示している】
【そして今の青年両腕には――真紅のガントレットが装着されていた】


うっし! お前ら全員連行な!
にしてもこりゃあ……やりすぎちまったか?


【携帯端末で仲間と連絡を取った後、青年はひとつ伸びをして】
【チンピラ達が生きているか、つついて確認しようとするだろう】
【仲間が来るまでの間――彼はそんな感じで暇そうにしているはずだ】
【ここを通ろうとすればきっと、彼らにぶつかることだろう】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/10(土) 21:07:25.40 ID:BYtG3yo20
>>753

ああ、宜しく頼む、一郎君に二郎君。
俺はUT所属のミハエル・ガーナランドだ、他の皆の足は引っ張らない様に注意しよう。

【時間通りに集合場所に到着し、担当者の一郎にそう自己紹介する男が居た】

【それは、アシッドグレイの肩まで伸ばした長髪に、海の様な碧の瞳】
【黒いネクタイを締めた白いワイシャツに黒のスラックスという服装の、身長180近くの男だった】


【車が止まれば素直に降りて、二人の説明を聞く】
【何故か伐採に反対する村人達、そしてその抵抗は激しく、犠牲者が出ているという】
【どうやらどちらのルートから進むのかは、情報を取るか、安全を取るかという選択肢の様でもあるらしかった】
【ミハエルは少し考えてから、『うむ』と小さく呟いて、答えを出した】

俺は村の道を選ぼう、勿論、危険は承知の上だ。
何故そこまで村人が反対するのか、それに、まずは少しでも情報が欲しいからな。

【そう言って、ミハエルは二郎に付いていく村からの道を選ぶだろう】

/舞台裏で書き忘れていましたが、ミハエル中身です
/よろしくお願いします!
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/10(土) 21:47:16.14 ID:gVdDKinoo
>>754

「ギアさん、ですね――」 「少々変な依頼ですが……本日はよろしくお願いします」

【数刻の間、一郎の言葉が詰まったような気がした、恐らくは目の前に居る存在が人ならざるモノからだろうか】
【しかし、多少驚いた程度のようで、すぐに事務的なようなそうでもないような返事が帰ってくるのだが】

『ええ、"老若男女問わず"、皆からボコボコにされたらしく……理由は我々にもまだわかりません』
『ですが、――何かが異常である事、それだけは三郎から聞くことが出来ました』

【反対する理由は自警団側も把握できていない、だからこその情報収集なのだろう】
【今わかることは、あの村は"異常"である、ただそれだけで――依頼主が本当に正しいのかは、まだ不明瞭なのも確か】


>>755

「……大丈夫です、依頼の文言通りです、ただ……"我々の手には負えなかった"植物の文言が付きます……四郎の話によると、串刺しにしてくるとか……」
「自警団ネットワークを利用してもその植物に関する情報は全く無く……周辺の村が反対していると言う悪条件もあり、中々厳しい状況です」

【かね依頼通りの内容だろうか、但しそれは未知の植物であり、話からすると攻撃もして来るようだ……そして情報が殆ど無い、それは厄介だろう】
【周辺の村が異常であることも改めて付け足され、――幾つかの悪条件が重なった結果、お手上げ状態となっているようだ】

『……洗脳、ですか……ありえますね』
『となると、植樹した犯人も居るはずですが……それも村人からの情報を得るしか無さそうですね』

【結局情報が不足しているのだ、村人が自分の意志で反対しているのか、それとも意図せず反対する羽目となっているのか】
【それを確かめるためにも、より詳しい情報を得てあの植物の謎を解明するのも、自警団の仕事――なのだろう】


>>758

「UNITEDTRIGGERですか、それは心強い――自警団も結構お世話になっていますから」

【一郎は軽く笑みつつそう返事をして――そして、車を降りる場面まで移る】

『我々としても情報が欲しい所ですね――』
『……実のところ、この依頼は元々自警団宛のモノなんですよ』
『あまり快く思っていない団体からの依頼でしたが……実害がある以上、動かざるを得ませんので』

【どうやらこの依頼は"元々は自警団宛の依頼"だったようで、しかし自警団では対処できない為"依頼をこなすための依頼"をしたのだろう】
【そうなってくると、ますますどちらが正しいのかわからなくなってくるが――実害があるのは確かだった】

//ここから続くレスでルート別れます
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/10(土) 21:47:39.02 ID:gVdDKinoo
>>754,758(村組)

『皆様ありがとうございます、三郎は1人で行って重傷を負いましたので……心強いです』

『村までは数100mほどでつきます、……皆様気をつけてください』
『既に一部の村人がこちらを発見しており、少々怪しんでいるようですから……』

【二郎は道にそって進んでゆく、それに付いて行っても行かなくても、村には容易く辿り着けるだろう】
【――村の風景は、本当にどこにでもある田舎の村……農村の一つでしかなかった】
【山を切り拓いて作られた田んぼや畑、木製の質素な家、井戸、小動物――】
【農作業に励む老人たち、嫁いできた者たち、少ないながらもわいわい騒ぐ子供たち】

【ただ、何か――何か、違和感を覚えるかもしれない】
【些細な事で始まったとある老人たち喧嘩、最初は口喧嘩だったのにいつの間にか殴り合いになっていた】
【その上、お互いやけに俊敏でしかも良い勝負。喧嘩が終われば何だかスッキリして仲直り】

【まあ、これだけなら"武術に長けた老人が2人居る"だけで済むのかもしれないが……ひとまず、村人とコンタクトを取るべきか】


>>754


子供A「わーい、人形さんだー」 「ねーねー、遊びに来たのー? お花あげるー」

【村の中に入るか否かの場所に辿り着いたとしたら、ギアの元に一人の女の子が駆けて来る、それは無邪気な子供そのものであった】
【そう、植物に起きている異常なんて"知らない"か、もしくは"どうでも良い"、そんな、ただの子供だった】
【――女の子が渡してくる花は、確かに自警団の言う通りカビが生えたかのように黒ずみが見られて】
【勿論、周囲の植物だってそう。但し、全部ではないし――"若木以外"の木や"多年草"の一部は無事である】

母A「ああ……こら、お客さんに失礼でしょ! どうもすみません」

【そんな子供を止める母も、やはり普通だ――そう、異常なんて何も無い普通の農村としか思えないほどに】

母A「こんな辺鄙で何も無い所に来るなんて珍しいわね、何か用でも有るのかしら?」

【ギアに問いかけてくる母親。その間、子供はギアの周りで騒ぐ騒ぐ。子供特有のキンキンとした高い声は、耳を痛くするかもしれない】


>>758

老人A「ふぉっふぉっふぉっ、若い客人たちじゃのう……どうじゃ、そこの君、1杯飲んでいかんか」

【もしミハエルが村の中に入ったとすれば、先程まで喧嘩をしていた老人の片方が話しかけてくるだろう】
【勿論、あちこちに傷やら痣やらがあるのは言うまでもなく、それなのに元気で――何となく、若々しい】
【手には湯のみ。お湯が入っており、どうやら緑茶(見た目は)のようである……ただ、その飾りとして浮いている葉っぱは怪しかった】

老人A「なに、遠慮はいらんよ……美味しい草が今日も一杯採れたんじゃから、どんどん使わねば損よのう」

【それは異常のある植物だった、どう見ても本来黒い斑点のある植物ではない、けれどこれには有る】
【この村人たちにとって、異常な植物は異常ではないのだろうか――それとも、また違う理由なのか】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/10(土) 21:53:14.37 ID:gVdDKinoo
>>755

「ではライラさん、よろしくお願いしますね」
「山頂まではこの獣道を使って向かいます――急ぎませんが、はぐれないでくださいね」

【一郎が山頂に向けて歩きだせば、道無き道に獣道が出来てゆく。そのおかげもあって、草が絡まるとかそういう事は起きないはずだ】
【普通の体型の彼が歩いただけでそこまで道ができるとは思えなかった、けれどその理由は単純】

「なるべく歩きやすい道にしますよ――僕はこういう場面でしか役立てませんからね」
「エナジーコロンで得たこの"道でない所を獣道に出来る"能力……」
「……道無き道を道にする、って言えば聞こえがいいですけどね、開拓班の先頭を歩くって結構怖いんですよ」

【――そういう能力だったのだ、彼の持つそれは、獣道を作り出すだけのモノ】
【とりあえず彼の後をしっかり追っていれば、10分程度で山頂に着くだろう】


【とある山の頂――】
【本来は何も無いただの頂だった、人が立ち入るような場所でもなく、そうする理由もなかった】
【しかし――今日この時は違っていた、何故ならばそこに伐採すべき対象がいるのだから】

「……あれです、あれが依頼の植物です」

【それは確かに植物だった、樹だった――見た目は少々変わっている】
【高さ5m、直径も平均5m。無数の根が絡まり合っているかのような見た目で、枝・幹・根のいずれもが深く鈍い赤茶色だ】
【肉厚のシソの葉の様な形の葉っぱが枝から幾つも生えていて、その色はかなり深い緑色である】
【その周りの空気はどうも黒ずんでいて、周りに生える植物の多くは黒カビが生えている様な、所々が黒ずんだ見た目である】

「二郎も少し触れていましたが……元々この依頼は自然"愛護"団体からのものだったんです……が」
「僕たちの手には負えず、やむなく能力者を募った――という感じですね」

【――勿論、微動だにしない。】
【眺めているだけなら本当に一ミリも動かず、少し傷をつけたり葉っぱをちょっと毟るくらいならやはり反応しない】
【本当にこれが自警団の手に負えない植物なのだろうか、疑問に思えてくるくらいだった】

「……先程自然愛護団体からの依頼と言いましたけれど、それに関係することです」
「もし能力などでこの辺りの自然を乱した場合、彼らから猛烈な批判を受けるでしょう」
「彼らを怒らせてしまえば報酬金も減らさざるを得ません、あくまでも自警団を介して彼らから報酬を受け取るという形なのですから」

「……少々の被害は仕方がないと思うのですがね……我々としても過激な彼らの依頼は請け負いたくなかったのですが」
「貧困・食料不足の原因と判明した以上、放ってもおけず……すみません」

「……まあ、こういう話は置いておきましょう、早速頼みますよ、ライラさん!」

「そうですね、四郎の情報によりますと的確なカウンターをしてくるそうですが……実際はどうなのでしょう、……か……ッ!」

【一郎は木に向かって石ころをおもいっきり投げる、すると――】
【別のところからその軌跡を遡るかのようにして枝の先端が勢い良く伸びてきて、一郎を串刺しにしてしまうのだった】
【幸い急所は外れていたようで、一郎はその枝を無理矢理引き抜いてから遠くへ避難し、応急処置を施す】
【……その植物に眼がある訳はない、何かしらの刺激に反応して"加害者"の位置を探っているのだろうか】
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 22:14:40.12 ID:FEnR/2Jyo
>>755
ライラさん!! ご無沙汰してます!!
ヴェンドゥラーの時は本当に……いや、積もる話は依頼の後の方がいいですよね……

【魔法使いのような姿を目にしたギアは、彼に一声かける。自分の命の恩人の一人ともいえる人物】
【あの騒動以後、互いに受けたダメージが大きく会えずにいたが、再びこうして肩を並べる時が来たことは、喜ぶべきことだった】
【だが今は、任務の最中。まずは目の前のことに集中せねばならない】

ライラさん、どうかお気をつけて……

【獣道へと向かうライラへと声をかけて、ギアは村へと向き直った】


>>758
初めまして、ミハエルさん。ギア・ボックスです
僕も、UTに所属させてもらっています。お会いするのは、初めてですね。挨拶が遅れてごめんなさい。今日は、よろしくお願いします

【同じく、UTだと名乗りを上げた男にも、ギアは軽く頭を下げて挨拶を投げる】
【顔を知れないメンバーもいる、UTも大きな組織になっているのだな、などと考えながら】
【二郎、ミハエルと共に、ギアは踏み込んでいく。謎の渦巻く、山村へと】


>>759
【一郎の反応には、特に気にした様子も見せない。この姿を見れば、無理からぬこと】
【改めての挨拶に、笑顔を共に会釈した。表情は、人間のものと大差ない】

それは、また……確かに、異常ですね……あの村にも何かが起きている、ということかもしれませんね

【まだ、判断には早い。まずは、調べられることを調べてからだ】
【カムフラージュ用に、と用意しておいた行商人の装いと商品を詰めたカバンを手に、進んでいった】


>>760
こちらこそ。状況が状況です。一人での行動はなるべく避けましょう
――すでに、ですか。わかりました。なるべく怪しまれない範囲で、気を付けます

【いきなり、相手の警戒心を煽るような行為を避けるべく、二郎について街道を進む】
【眼前に現れた村の光景は、ごく一般的な、牧歌的とすらいえるほどのものだった】
【人々の営み。行商人として旅していたころから、幾度も目にしてきたものだ。だが、何かがおかしい】

(喧嘩……って殴り合い!? あんな老人たちが、ちょっと止めない、と……?)
(なんだ、あの動き……明らかに、只者じゃないような……)

【脳裏をよぎる思考が、子供の声で中断される】
【子供の相手は、何度もしてきた。自然と笑顔が浮かび、屈んで子供と視線を合わせる】

こんにちは。わあ、ありがとう!! 遊びにきた、のとはちょっと違うかな?
(この花……!! 聞いた通りの症状だ……)

【女の子には、自然な対応を崩さないように努めつつ、眼前に早速現れた異常に意識を向ける】
【受け取った花にも周辺の植物にもみられる異常。黒ずんだカビのような何か。しかし、老木などの時間を経た植物は無事】
【異様な光景への疑問は、さらに重なる声に中断された】


あ、いえいえ、とんでもないです。元気なお子さんですね
実は僕、行商人でして。旅の最中で、ここに立ち寄ったんですよ。物見遊山みたいで、失礼ですが……

【騒ぐ子供に笑顔で声をかけつつ、ギアはやってきた母親に話しかける。子供の甲高い声には、慣れたものだ】
【にこやかな笑顔を崩さず。しかし、情報を聞き出す一手も仕掛けなければならない】


……ところで、さっきあそこで喧嘩があったみたいですが……大丈夫だったんですか?
すぐに収まったようですけど……

【すっ、っと向こう側の老人へと視線をやって、母にそう聞いてみた。いきなり植物のことに切り込むのは避けた】
【見れば、どこか若々しさすら感じる老人たち。彼らに起きている変化が、手がかりと成り得る、と踏んでの問いだった】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/10(土) 22:28:35.04 ID:rdf+M6Eco
>>754>>758-759
「よぉ、ギア。んで、ミハエル……だったか? 今日は宜しく頼むぜ。
 ……っつっても、お前らは村に行くんだったな。怪我しねーように気をつけろよ!」

【自分とともにこの依頼を受けたのは、1人は見知った顔。そしてもう一人は初対面だがUT所属ということで信頼できる人物のようで】
【しかし多分依頼者である彼らの兄弟であろう三郎がボコボコにされた事実。それはギアとミハエルとは別れ山頂へと急ぐライラに、そう軽く警告をさせるのには十分だった】

「……お前ら何人兄弟なんだよ……、まーそんな事はどうでも良いか。
 とりあえず、その植物をさっさとぶった切れば良い……『とりあえずの』目標としてはこんな感じだな?」

【兎に角、この依頼には情報が少なすぎる。それならば村に行く3人が重要となってくるのは紛うことなき事実だが】
【同時に、最初から伐採を行う此方も情報を集める義務が有るだろう。勿論闘いながら、だ。難儀な依頼に、目標を設定しながらも少し苦い顔をして】

>>761
「此方こそ、よろしく頼むぜ。
 ―――ほー、道無き道を道にする、か。先頭は怖いよなー……確かにリスキーっつか、何というか」

【改めてそう挨拶して、鬱蒼と草が生えた山道に、舗装とは行かないが確りとした道が出来ていく様子に少しだけ目を見張った】
【一郎の気苦労は何故だか共感できる。そんな能力を持ってるだけで危険な開拓班の先頭にされてしまうのだから】


「……でけーし……なんか、不気味だぜ……」

【十数分後、ライラはその異様な樹にまたも目を見張っていた。樹といえば幹は茶色いはずだが、この木、全てが錆びているような赤茶色】
【それにこの空気だ。件の「黒ずんでいる植物」は、やはり此処から発生しているらしい。魔力は……どうだろうか?】
【ぴくりともしない様子に、また違った違和感を覚えながらもライラは一郎の話を聞き続ける】

「自然愛護団体、なー……。ま、要は被害をこいつだけにしておきゃいい訳だろ?
 ―――だったら、コイツの出番だな」

【ライラの能力――魔法は比較的広範囲に散らばる物が多い。つまり普通の魔法ならば、周りにも被害が及んでしまい報酬金が減る】
【ならば、と取り出したのは杖。ライラが杖を少し捻り、引き抜けば……其処から出てきたのは白銀の刃。少し前に手に入れたものを加工した、仕込杖だ】
【この刃から放たれる魔法――「M/」ならば、一点に攻撃を集中できる。柄が歪なその刀を我流の構えで持ち、「樹」との戦闘に備える】

「―――――― 一郎ッ!!   ……とりあえずはアイツの情報集めか……。
 
   S  2  /    W i n d   S l a s h  ! ! ! 」

【石を投げた一郎に対する、直前に彼が言った通りの唐突なカウンター。ライラはその様子を見送ることしか出来ず】
【しかし一郎は自身で応急処置を施しているあたり、大丈夫なようだ。ならば自分に出来るのは、樹を倒すこと右腕のブレスレットが淡く発光する】
【詠唱をすれば、目前に現れる魔法陣。それを刀で斬ると、その太刀筋から二枚の薄い三日月状の物体が勢い良く発射される】
【薄緑色のそれは所謂鎌鼬。ゆるいカーブを描きながら、樹の幹中程へと飛んで行く。当たれば、少し深めの傷がつくだろうか】
【それでも動きは直線的であり、叩き落とすのも、先ほどのカウンターを見れば可能だろう。まずは、木の力を見極めようとしているのだった】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/10(土) 22:41:43.54 ID:BYtG3yo20
>>759-760

【二郎の言葉の通りに、辺りを警戒しながら進む、特に何もなく村には着いたが】
【ここからが本番、ここから真に気を付けなくてはならない、そう自分に言い聞かせていた】

……うん……………………。

【到着したが何もない、長閑でとても普通だ、其処らの田舎にある村と変わらない】
【逆にそれが不気味でもあった、ここに何かがある筈なのだから】

>>762

そうか君がギア君か、初めまして、これからよろしく。

【同じUT所属というギアに、ミハエルも礼儀正しく挨拶して】
【その後に、『心強いな』と小さく、彼に向けた言葉を漏らすのだった】

【さて、先程もだが、ここに何かが有る筈とミハエルはずっと考えていた】
【そういった先入観もあってか、いや例え無くても目に留まった老人達の喧嘩】
【何処かに違和感はある、まずはそれを見つけることかと考えていると、老人の片方がミハエルに話しかけてきた、これはチャンスになるだろうか】

……ああ、そうだな…………一杯頂けますかな……?
(俺としては、これは余り飲む気になれないが……)
(仮にこれに何か毒があるとしても……飲むのは少し、それに慎重にだ)

【一旦湯飲みを受け取り、老人にありがとうと感謝の言葉を返す】
【しかし、直ぐに飲もうとはしない、先ずは話を聞いてからと決めていた】

しかし、怪我をしている様ですが、大丈夫なのですか?

あと……不思議な葉ですね……ここで採れる特産品か何かで……?
私、どうもこちらの方には初めて来たので良く分からないのです、宜しければ教えて頂きたいのですが?

【先ずは様子見程度に、会話は此方から出す情報はなるべく少なく、相手から聞き出せる情報はなるべく多く、それを意識して】
【初めて来たと言うのは勿論嘘、いや、この村に初めて来たというのは本当だが】
【あくまでも無知な旅行者を演じようとするだろう、表情には現れないように細心の注意も払っていて】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/10(土) 22:43:00.42 ID:/7iWF6hF0
【街外れ――蔦に覆われた廃墟の庭】
【さぞ金持ちの家だったのだろう、見渡す限りの庭は、けれどどうしようもなく荒廃していて】
【ぽってりと肥った月が照らし出す世界は、誰も手入れしてやらないことから来る、荒れの蔓延る庭の風景】

…………――ふう、

【そんな中できらりきらりと舞う燐光、それはきっとある程度の距離からでも目を惹く様子、まるで妖精の舞い踊るような錯覚】
【それが魔力の煌きだと気付くのは対して難しくないだろう、ひたひたと水が溢れ出すように冷たい魔力が、場を彩っていて】
【魔法陣や術式の残骸の中に佇む影はライトアップされた夜桜のようによく目立つ、――微かで、か細くて、ひどく華奢な影だった】

【夜に見た鴉の羽根のように黒い髪が月明かりに煌く、赤くつまみ細工の花で飾ったヘッドドレスが、黒い中に咲き誇って】
【黒色と赤色の瞳は少しの疲労を湛えて潤む、ぐしっと拭ったおでこには薄らと汗が滲んで、僅かにぺったり髪がくっついていて】
【和袖のワンピースは肌の白に良く映える黒色の布地、腰にはきゅっと赤いリボンを帯のように締めて、造花の飾りがあしらわれ】
【ひらりと別れた裾から零れるように詰め込まれているのはパニエの柔らかさ、ふりふりとスカートをまあるく膨らませて】
【赤黒ボーダーの長いソックスと底の高い編み上げサンダル、くるぶしできゅうっと絞ったリボンの尾っぽが、ふわりと揺れた】

ふにゃあ……疲れたあ、何時間ぐらいやったかな――、――いちじかん? ……そんなぁ。
もっとしたと思ったのに……。……もうちょっとしなきゃ駄目かな――、……でも疲れちゃったし……。

【魔術を行使していた証がはらはらと花弁のような形で崩落していく、桜色に黄緑を混ぜ込んだ色合いは、なんだか桜の花弁にも似て】
【それなら少しまえの時期を見ているような美しさ――と言えたかもしれない。少女にしては多い魔力量は、不思議だったけれど】
【――その理由を探ったなら、或いは気付くかもしれなかった。少女の耳元で煌く正体、宝玉の欠片をあしらったピアスの存在に】

【(それは湧いたばっかりの清い水の気配、滝の傍で佇むような清涼感をその場に無尽蔵に吐き出し続けて)】
【(或いはこれこそ誰かを引き寄せる種になるのかもしれなかった。間違いなく、ただの少女の持てる逸品ではない)】

あ……いい匂い。モッコウバラかな、手入れしなくても咲くんだ……。

【庭の真ん中に設置された嗄れた噴水、そこにちょんと纏めてあった荷物、そこにふらり寄ったなら、ペットボトルの水を取り出して】
【こくこくと飲む傍ら――ふと気付いたのは甘い香り、視線を向けた先には、白く咲き誇る無数のばらの花の様子】
【彼女はすんと鼻を鳴らして楽しんでいて。噴水に腰掛け脚を揺らす彼女は、まだしばらくはここに居る予定のようだった】

【(魔術の練習をしていたようだった。それなら、わざわざこんな場所でと思われるかもしれない綱渡り)】
【(“ただこういう場所が好きなだけ”――だったのだけれど、ずいぶんと怪しいことに変わりはなかった)】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/10(土) 22:58:04.16 ID:gVdDKinoo
>>762

子供A「やったー、そのお花、大事にしてね! ――あれ? 遊びに来たんじゃあないの?」

【その後は、なんでを連呼したり自己完結したりと、とにかく元気で騒がしい状態だった】

母A「いやぁ、むしろありがたいわ、わざわざ立ち寄る人なんていないから……」
母A「まあ、大したものも売ってないし、宿なんてないけれど……ゆっくりしていってね、行商人なら商売しても問題ないわよ」

【"皆お金いっぱい持ってるからね"――と、付け足して。だがそれは話と違うのではないだろうか】
【依頼によると「貧困が広がっている」、そんな状態のはずなのだ、つまり儲かっているはずもない】
【辺りには収穫された晩春の野菜たち(黒ずみ有)がある、夏野菜も黒ずみがあるもののすくすくと成長している、つまり農家は休業していない】
【――ただ、村から野菜やら何やらが出荷された形跡なんてどこにもない、道中にもいなかった、それも事実で】

母A「喧嘩? ははは、日常茶飯事だから大丈夫よ! 私も毎日殴り合いしてるわ! と言っても、喧嘩が増えたのはここ数年の事だけどね」
老人B「そうそう、あやつとはいつも喧嘩しとるし大丈夫じゃ、良い山菜たくさん食べとるからのぉ、――なんなら君と手合わせしても良いぞい」

【突然会話に割り込んでくる老人B。勿論、喧嘩をしたため怪我や痣があるが……本人は、気にしていない様子】
【それどころか、ギアに対して手合わせをしても良いと言ってくる始末。――確かに、村人は好戦的な状態だ】

>>764

老人A「ふぉっふぉっふぉっ、この位の怪我、あの老人Bの奴からいつも貰っとるわい」
老人A「ってあやつ……あぁ、まぁた人の話に割り込んで……もう一発殴ってくるかの」

【――確かに好戦的だ、いつもの様に怪我を貰っている事を平然と言っている上に、再戦まで企てている】

老人A「おや、この葉っぱが珍しいかのぉ? この模様のある植物は凄ーく身体に良いんじゃぞぉ、採れ始めたのは数年前位からじゃったかな」
老人A「ほれ、わしももう70……80だったかの? そのくらいになるが、食べ始めたらもう若々しさが戻って腰の痛みも取れて最高じゃ」

【頼んでもいないのにいきなり上半身を裸にして、そのしょうもない肉体を見せつけてくる老人】
【筋肉の衰えも少なく――見た目的には60代といったところのこの老人、心どころか身体まで若々しい様子】
【しかし、腰の痛みならまだしも……たかが草一つでここまで若さを取り戻せるのか? ――甚だ疑問である。思い込みの可能性もあるが……?】

『……そのお茶、毒自体は無さそうです……ええ、私の"能力"による判定が正しければ、おそらくは大丈夫かと』

【なお、お茶に毒は入っていないようだが……もし飲んだとすれば、マトモなお茶で無いことを知るだろう】
【……妙に味が濃いのだ、ただ単にお茶っ葉を入れすぎたとかそう言う味ではない】
【素材そのものの味が強いのだ、葉っぱだってそう――とれたてのほうれん草だろうと、この強さには勝てないだろうか】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/10(土) 23:00:36.10 ID:gVdDKinoo
>>763

【――その樹の周辺からは魔力らしいものは感じられない、ただ何となく空気が宜しくなく、居心地が悪いのは確かだ】
【そう、まるで"薄煙"の中に踏み入れたかのような悪い空気。その原因は間違いなくあの樹と思われるが――】

「こ、この位の怪我……大丈夫です、……ライラさん、なるべくサポートはしますが……期待しないでください……すみません」

【根や幹の太さは最大50cm程度だろうか、一郎はまだ細めの根先を受けたため致命傷には至らなかったようだ】
【しかし……応急処置である程度出血は治まったものの、痛みも強く、戦闘をするには少々厳しそうな状況である】
【ここからは実質ほぼ一人での戦いとなるか――それも、動物ですら無い未知の相手の、だ】

「ですね……彼らは自然を護るためなら……元から住む人々を追い出そうとする連中ですから……」
「……出来れば、被害はなるべくそれだけに留めて頂けると助かりますが……大丈夫です、……少々の被害は誤魔化します」

【――本来の依頼主も依頼主でかなり過激な団体の様だ、自警団が"渋々"受けた理由もこれだろう】

【己に向けて飛来する鎌鼬、その樹が飛び上がって避けるとかは勿論出来るわけがなく……】
【しかし、まるで鎌鼬が"見えている"かのように伸びるしなる2本の枝は、自身に深い傷を受けつつもそれを破壊するだろう】
【また、その2本の枝は"鎌鼬の軌道を辿る形で"ライラの方に向けて伸びてくる――なお、鎌鼬の出発点以降は完全に直進方向へ進む】

【位置的には腹部辺りの高さに攻撃が来るだろうか、まともに受ければそこそこなダメージを負うのは一郎が証明している】
【しかし、先程鎌鼬によって深く切れているので破壊は通常よりも容易いだろうし、"なぞる"のだから予想し易い軌道とも言える】

【そう言えば、鎌鼬の軌跡が何となく見やすいような気がした――そこだけ黒色が僅かな間減ったからだろうか】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/10(土) 23:06:30.75 ID:YTrSJ2vno
>>765

【ざく、ざくと雑草を踏み分ける音が響いた】

――こんばんは。

【魔翌力に惹かれたのか、どこか覚束ない足取りで現れた「彼」は、少女を視界に捉え、挨拶した】

【少し癖のついた、炎のような澄んだ緋色のショートカット、ガーネット色に輝く瞳】
【薄灰色の丈の大きいやや薄手のトレンチコートを羽織り、黒い長ズボンを穿いている】
【袖からは紅い甲殻が覗き、足は猛禽を髣髴とさせる異形と化している】
【首には竜をかたどったペンダントを提げていて、額に傷があるのか包帯を巻いている】
【背中には、魔翌力を帯びた「竜の翼」と思われるものが生えている】
【そんな格好をした、14、5歳程に見える少年だ】

きれいだね、さっきの。
お前がやってたの?

【「さっきの」とは、少女が作り出していた燐光のことだろう】
【明らかに人間ではない彼だが、少女は何を答えるだろうか】

/よろしくお願いします!
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/10(土) 23:21:22.61 ID:FEnR/2Jyo
>>766
うん、ありがとう。大事にするよ
そうなんだ、旅の途中でね……

【途中で投げ出したりすることなく、笑顔で子供と話をしつつ、意識は周りに向けたまま】
【やはり、違和感はぬぐえない。見た目は普通、だからこそ異様】

そう言っていただけるとありがたいです
おお、本当ですか! それは、商売人として腕が鳴りますね

(――いきなり現れたよそ者の行商人に、商売してもいい? お金もいっぱいあるだって?)
(依頼の内容と食い違いが多すぎる……何が起こってるんだ、ここで……)

【目だけを動かして周りを見れば、畑に広がる黒ずんだ野菜たち。農家は機能している】
【だが居捨塚兄弟の話や道中の様子を思い返せば、野菜をどこかへ出荷した様子もない】
【ならば、あの黒ずんだ野菜を彼らは自分たちで口にしている、ということか】


ハハ、元気なんですねここの人たちは。ここ数年で……そうですか
っと、これは失礼。余計な心配をしたみたいですね

――お、やりますか? 行商人と言っても、多少の荒事の経験はありますよ
でないと、このご時世旅なんて出来ませんからね

【わずかの思考の後、ギアは割り込んできた老人の手合わせの提案を受け入れた】
【この状況、村人と和やかな会話をしているだけでははっきりとしてこない】
【ならば、彼らのやり方で踏み込んでみる。山頂へ向かったライラと一郎のこともある。ここは巧遅よりも拙速と判断し】
【もらった花を脇に丁寧において、身構えて見せた】


……では、もし僕が勝ったら。皆さんがどうしてそんなに景気がいいのか、教えてくれません?
行商人としては、とっても興味があります

【向こうでミハエルと二郎が話しているのを横目で見る。植物については、向こうが探りを入れているらしい】
【ならば、こちらは依頼内容との食い違いに踏み込む方を取った。露骨に突っ込んだ質問、相手の不興を買いかねない】
【だが、彼らの好戦的な状態を思えば、殴り合いに持ち込んだ方が活路を見いだせる可能性もある】

【――問題は、相手が自警団員を病院送りにするレベルの戦闘能力を有している可能性があること】
【下手をすれば、こちらがやられる。だが、後手に回っても埒が明かない。ギアは、賭けに出た】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/10(土) 23:23:43.90 ID:/7iWF6hF0
>>768

【綺麗な庭だった。綺麗に敷かれた煉瓦や、洒落た鉢、半分ほど朽ちてしまったトレリス、それにこの嗄れた噴水も】
【人間が存在していた頃だったならもっと美しかったのだろう。植えられていた草も、おおよそ半分ほどは枯れて、もう半分は野生化】
【おおよそ園芸種とは思えない姿になっていたけれど、力強い。或いは、ひとの手が掛かっていない今こそ、美しいというひとも居るのかも】

いい匂い……、いい子ね、ひとりぼっちなのに咲いてるの。

【――荒廃してしまった庭先だけれど、たくさんの花の香りが満ちていた。真っ白なモッコウバラに、早く咲いてしまったラベンダー】
【噴水の傍でごっと一塊になって咲いているラベンダーを足先で突っつく、ひらりと揺れる紫色に咲う花が、美しいなら】
【ぽつと話し掛けている姿はひとによってはおかしく見られるものだけれど。そんなの気にせずに、そうしているのだった】

【さくりと雑草の踏み潰される音、反射的にすいと細められた瞳は若干の警戒を纏う、向けた視線は、真っ直ぐして】
【だあれ?と尋ねるように傾げた首の仕草で瞳が瞬く、少しだけまあるくなれば、――なんとか、思い出してくれたよう】

ああ……、……魔術の練習してたの。

【知っている姿なら警戒も弱くなる、きょとんといつもみたいにまあるく戻った瞳が瞬いて、返すのは正直な言葉】
【それから宝物を見せてやるように緩く開く掌で光が煌く、桜色と黄緑色の燐光――魔力が、するすると生きているように蠢いて】
【やがてしゅるりと竜――違う、蛇のような形を取ってうねるのだった。それから、魔力の蛇は彼女の掌の檻からぴょいと飛び出して】
【すぐ傍の地面に水の落ちたような波紋を生んで消えていく。あとに残ったものは何にもない、ただ、魔力の微かな匂いだけを置いて】

だいぶ上手になったんだよ、それでもまだまだだけど……。もっと上手になって、強くなるの、わたし。
強くなってね、行きたいところがあるの。だから、もっと、ずっと、強くならないと――……。

【じりっとお尻を動かせば布地が軋む、半分だけ見せた背中、少しだけお行儀の悪い座り方をして】
【空っぽの噴水に手を突っ込む――、すると、見えない向こう側で水の魔力の気配がするのだった。静かに、】

……だからひとりで練習するの、ずっと付きっ切りで教えてもらうのは、大変だからね。

【「わたしじゃなくて」――そう呟く顔が薄く笑んでいるようだった、横顔しか窺えない今、確かな表情は見えないけれど】
【少なくとも、前回の邂逅でそうだったように――彼が人間でないとか、そんなこと、彼女はちっとも気にしてくれないままで】

【(だってそもそも自分が人間じゃないのだから。ひとのそんなこと気にしているような場合では、ないのだった)】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/10(土) 23:32:29.98 ID:rdf+M6Eco
>>767
「―――魔力はない、か」

【魔力が有ればどうという話ではないが、魔法使いであるライラにはどうしても魔力とか魔素とか言うものが気になってしまう】
【とりあえず、魔力は感じられない。魔法使いは自分一人だけだ。……しかし、誰かがこれを操っている可能性というのもあり得るかもしれない】
【……しかしこの悪い空気である。何かに包まれているような、少し不快とも取れる気分だ―――】

「任せとけ。俺はカノッサ機関ハンター・ライラ=フェルンストレーム……こんな樹、あいつらに比べれば大したことねーよ。
 
 オーケイ……サンキューな、一郎!」

【……肩書は放っておくとして、一郎が戦線から離脱しようとライラは樹から集中を切らそうとしない。その眼は、既に「ハンター」の眼だ】
【広範囲に広がるかもしれないライラの魔法に対し、フォローをしてくれるという彼。しかし炎系の魔法は自重したほうが得策だろう】
【一郎に軽く感謝を述べると、一層強く柄を握った】


「やっぱり同じ軌道で来るんだな……っと!」

【鎌鼬をなぞるように襲いかかる2本の枝。勿論それは織り込み済みなのだが、如何せんその速度は早い!】
【魔法に頼りっきりなこの男、精神力こそ強靭といえるだろうが身体的にはそう大したことはない。故に反射神経も常人だ】
【横に飛んで避けるものの、一本の枝が脇腹を掠めた。かすり傷だが……一郎の事を考えるともう少し深く切れれば大怪我だ。気をつけなければと気を引き締める】


「  M  3  /  !  !   M a g i c   W a v e   S l a s h  ! ! ! 」


【そしてその枝が過ぎ去ったのなら、次は此方の番だ。同じようにブレスレットが光り、目前に純白の魔法陣が現れる】
【それを刃で縦一文字に斬れば、その剣筋通りに出てくるのは「Wind Slash」のような三日月型の物体だ。しかし、色は純白で更に先ほどより2倍近く大きい】
【一直線に飛んで行くのだが、当たった際の結果も違うものだろう。切断する力も強まっており、更に相手を後方へ吹き飛ばす力も働く】
【……だが、破壊できないと言うわけではない。もう少し枝が集まれば、ブロックも可能だろうか】

【―――ライラは考える。鎌鼬が飛んで行くと同時に黒色の空気も少しだけ切り裂かれ、薄まったような感じがして】
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/10(土) 23:49:59.26 ID:YTrSJ2vno
>>770

練習、か。
大変だな、どっちも。

【よいしょ、と少女の隣に腰掛ける】

久しぶり、かな?
元気そうでよかった。

【足元のラベンダーやモッコウバラと少女を交互に眺め、呟くように言う】
【ふわりと漂う甘い香りが、少年の鼻をくすぐった】

強く、か。
オレも、強くならないとな。

【手を握り、ほどき、額に手を当てる】
【その表情は、少し焦っているようにも見えた】

行きたいところ?
何かあるの?

【顔だけ少女に向け、尋ねる】
【強くならなければ危険なところに、少女は用があるらしい。こんな――少なくとも見た目は――か弱い少女が、なんのためだろうか】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/10(土) 23:55:52.76 ID:BYtG3yo20
>>766

……………………。

【思わず呆気にとられる、これが若い不良だとかのやることならまだ分かる】
【しかしそれが70〜80の老人だというのならば話は別だ、明らかに不自然だ】

(……数年前……か、ここで何かあったと考えるのが自然か……?)
へぇ、そうなんですか、この黒い模様が…………
……おお、これはまた随分とお若く見えますな。

【この葉に何か効果があるのか、いや正確にはこの黒点のあるものには何かあるのか】
【又、ミハエルは、この任務の本来の目的である植物の伐採に向かったライラの事も、同時に心配になっていた、やはりただの植物ではない様だ】
【それは二郎の言葉を信じ、一口お茶を飲んでみて改めて確信する事】

なるほど……なかなか独特な味ですね。ここの人はいつもこれを……?
(分析系の能力とは助かる、が、これは一体……)
数年前と言いましたが、ここらで何かあったのでしょうか?

それにここに来るまでにも黒ずんだ植物を幾つか見たのですが、これは一体何なのでしょう?

【もう一度丁寧に質問する、ギアの方から聞こえてくる話から察するにこの村の住人は皆好戦的らしい】
【……どころか、ギアもどうやらそれに乗る気の様だ、相手の力が未知数な以上、戦うのは避けるべき、そう止めに入りたいが、彼にも考えがあるのだろう】
【我慢して、彼らの様子を伺おうとする、万が一 命の危険になったのなら、その時こそ止めに入ろうと、そうも考えていた】

【しかし、やはりこの黒い何かが現れているものに好戦的になったり、健康(?)になったりの原因があるのだろうか…】

774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/11(日) 00:02:41.42 ID:9UyayaXg0
>>772

【お行儀悪く座っている隣に座られる、そうすれば彼女は少しだけ、スカートの布地を気にしたような素振りをして】
【ふわふわと猫が毛繕いするみたいに整えるのだけれど――正直あんまり、変わったような気もしないものだろう】
【それでも満足は満足らしい。再び噴水の中に手を突っ込んでいるから、何事かと見てみるなら――】

大変じゃないよ、楽しみだもん。強くなってね、デートに行くの。連れて行ってもらうんだ、約束したんだよ。

【――噴水の中に水が張り始めていた。けれどそれは薄らと桜色/黄緑色をしている水で、それならただの水とも違うもの】
【少女の魔力の色と同じならやっぱり彼女由来のナニカ。からからの噴水の中を、ゆっくりと染み渡っていく色合い】
【溜まっていた土ぼこりが、枯れた葉っぱが、久方ぶりの水に驚いているように揺れていた。それもやがて、水面の奥に消えて】

連れて行ってもらって――おんなじ景色を見るの、今のわたしには見られない場所。でもね、いつか見るって決めたんだ。
おんなじ景色を見て、きっとおんなじことを考えて、おんなじ言葉でお話するの。だからね、――強くならなくっちゃいけないの。

【デートの約束――なのだと言う、けれどおかしなことは、どうしてデートに行くのに強さというステータスが必要になってくるのか】
【こんな世界だから危ない場所はたくさんある、それはそうなのだけれど――そんなところに行くのだろうか、なんて思わせて】
【思いを馳せる横顔は夢見て咲くお花のような初々しい色合い、可愛らしいとも言い換えられて、微かに赤い頬っぺたが白肌によく映えた】

戦いとかにはね、もう興味無いんだ。昔から、危ないことをしたいわけじゃなかったし……、
……だから一緒に行けちゃったらそれで満足なんだ、ただそれだけのために強くなるの。不思議でしょう?

【にこりと湛えた笑顔が彼を見つめる、甘く柔らかに蕩ける表情は、熟れすぎた苺を齧ったときのような、生温い温度】
【暴力的に酸っぱかった過去を忘れてしまったような色合い、それは、きっと彼とは違う方向を目指しているんだという宣言に似て】
【ばじゃりと水をかき混ぜた両手のその左側の薬指で煌くもの――蛇をあしらった指輪――を見れば、なんだかその甘さも理解できるようだった】
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/11(日) 00:26:09.79 ID:BFTZTckCo
>>774

でー、と?

【一瞬、少年の頬が赤く染まる】
【そういえば以前会ったとき、父がどうとか言っていたような気がする】
【父親とは、やはりそういう関係なのだろうか。そんなことを考え、慌てて振りほどく】

でも、なんでそんなところに……
いや、否定したい訳じゃないけど、なんで?

【時折目を逸らしながら尋ねる。少女の甘い笑顔は――自分へ向けられたものではないとは分かっているが――少年には刺激が強すぎた】

776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 00:29:30.29 ID:nrQrsPS4o
>>769

老人B「そうそう、みーんな元気なんじゃよ、若いもんには負けてられんからのう!」
老人B「よぉし、その気概じゃい! 早速いくぞ!」

【老人Bは、ギアが身構えたのを見れば――先手必勝とばかりに、ギアの懐目掛けて飛び蹴りをして来る】
【老人だからといって甘く見ていると、そこらの成人男性と変わらぬパワーに驚かされるかもしれないが――】
【逆に言うと、能力やら何やらは持ち合わせていない一般人として見れば問題はないか、力があればさほど問題はない】
【しかし老人でこれなのだから成人はもっとパワーが有るのだろう、それらから寄ってたかって暴力を受ければ、自警団員もたまったものではないのは予想がつく】

老人B「ふぉっふぉっふぉっ、良いぞい、わしに勝てたら景気の秘密を一時間語ってやろう!」

【そして、取引にも快く応じる老人。確かに好戦的だが、心の景気も中々よろしいようで】
【――そう、こんな辺鄙な村なのに、その住人は皆生き生きとしているよな、そんな気がするのだ】

母親A「ちょっとー! 皆! 珍しめの喧嘩よ、観戦するなら今のうちよ!」

【母親Aがそう大声を上げれば、母親BやC、D等がわらわらと出てきて……いわゆる野次馬である】
【勿論この声はミハエルの方にも響いてくるだろう、――村人は、例え外部の者がであろうと、ちょっとした喧嘩や戦いで動じない様子】


>>773

老人A「ふぉっふぉっ、少なくともわしゃあ毎日朝昼晩飲んどるよ! 村人に出すと喜ばれるぞい」
老人A「――そうじゃのう、この黒いてんてん付いた植物が生え始めたのが数年前の芽吹きの時期だったんじゃ」

老人A「最初は、本当農作物が売れんなって困って……怪しい植物を食べるわけにもいかなかったんじゃが」
老人A「たまたま立ち寄ったらしい御方が、食べても大丈夫だと言ったんじゃ――恐る恐る食べたらこれが美味しくてのう、あっという間に広まったんじゃ」
老人A「皆して食べてたら半年ぐらいで皆元気溢れてのう、しかも健康になってお肌もつやつやになってのう、ついでに喧嘩は挨拶代わりになったんじゃよ」

【この植物の異常の原因は、自警団に伐採を依頼された植物……樹で間違いないようで】
【村の人々も、最初は異常な植物を避けていたようだが――食べてみたら、意外と美味しかったらしく】
【――それどころか、元気が溢れて健康になってお肌もつやつや、一体どこの通販番組の謳い文句なのだろうか】
【ともかく、食べ続けると何かしらの影響があるのは間違いなく……好戦的になった原因は、異常植物である可能性が無くもない】

老人A「あの御方はこれを"山頂の樹の恵み"と言っておってのう」
老人A「おぬしも一度拝んでくると良いぞい、ついでに"黒い粉"の採集もしてくれるとありがたいんじゃが」

『……よほどあれは村人たちから重要視されている様ですね……しかし、黒い粉とは……四郎からは聞いてませんが……』
『…………あれ? また騒がしくなって……喧嘩ですかね、……ってギアさん!?』

【そして、樹を伐採する事に反対しているのも、この異常な植物が採れなくなったら困るからなのかもしれない】
【そう、彼らにとってこの異常な植物は"恵み"――あの食欲を減退させる黒ずみは、むしろ恵みの証でしか無かった】

【……こちらで会話をしている間に始まっていた喧嘩に驚く二郎。下手に応戦すると乱闘になる恐れもあるが……】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 00:29:47.13 ID:nrQrsPS4o
>>771

「では……私は村の方からの情報が届いたら……お知らせします」

【更に傷の手当をしつつそう言う一郎、手に持った小型携帯機は大方二郎と繋がっているものと思われる】


【伸ばした枝はもう戻ることがなかった、若干邪魔になるかもしれないが――少しぶつかった程度では反撃してこない】
【枝が身体を掠めた時、その内部に魔力を宿していたことに気付けるだろうか――】
【それは明らかに魔界の魔力だった、恐らくは樹皮によって魔力が外に漏れ出さないようになっていたのだろう】
【では、樹の周りを包むこの黒い空気は、魔力でないならば……一体なんなのだろうか】

【しゅる、しゅる、――攻撃の予感がした、その樹は攻撃の軌道を"見た"】
【先程より大きいとかそんな比較は要らない、ただ、その攻撃からどの様にして己を護るか、必要なのはそれだけ】
【無数の枝や根がその刃に対する盾と攻撃となるが――1m程の距離は進んだだろうか、その程度斬ってようやく破壊された様子】

【ライラはその地面が急に盛り上がってくる事に気が付くだろうか、そして次の瞬間、一本の根が突き出してくるのだ】
【二回目の攻撃でその位置を把握したのだろうか、それともより大きな力は出処をわかりやすくしたのだろうか】
【どちらにせよ、本数が減ったとはいえ先程の枝よりも幾らか太い、その分威力も増しているので注意だ】

【素早く的確に、攻撃を辿って外敵を撃退する――ただそれだけ、しかしその性質故に下手に攻撃出来ない】
【自警団側もカウンター主体であることは把握できていた、だがカウンターを防ぐ術がなかったのだろう、一郎の様に】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/11(日) 00:33:32.42 ID:52Fn3W2X0
【静まりかえった森の中。――――その中にひっそりと存在する教会】
【外装は蔦が這っていたりと如何にも打ち捨てられた様に思えるけれど】
【…………中から漏れる仄かな光と、澄んだ声で紡がれる賛美歌とが確かに未だ人が住んでいる事を告げていて】

【扉を開けたならば、先ず目に映るのは割れたステンドグラスとまだ破壊される前のラグナ―ルを描いた美しい絵画であろうか】
【並べられた長椅子には少しの埃も積もっていない事からしっかりと管理されているのだと察する事も出来よう】
【説教台へと視線を移したなら、其処には一人の女性が居て】
【銀の髪は鋭く思え、同じ色の瞳は何処か冷たくも見えるか。修道着に身を包むその姿を見れば、彼女が唯一この教会を管理している者であると知れて】


「――――教会に何かご用、でしょうか…………?
何かお手伝いが必要でしたら、力をお貸し致しますが―――?」

【賛美歌も変わった頃。来訪者の存在に気付いたならば、其方を見遣って】
【教会に何用かと問うけれど…………その口調は、決して責めたり疑うような其れでは無く】
【寧ろ、優しく問う様な言葉。ただ物珍しく見えたから訪れただけ。或いは旅で疲れたら宿を探し居て――――そんな言葉であっても、女性は歓迎するのだが】







【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないでありますよ……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】

779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 00:42:26.35 ID:nrQrsPS4o
>>777
/すみません、ちょっと抜けたので

【――やはり、刃が通った後は空気の色が晴れた、すぐに戻ってしまうが】
【先程の攻撃よりも時間は長かった、どうやらこの黒い空気は攻撃によって一時的に晴れるようである】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/11(日) 00:47:16.89 ID:9UyayaXg0
>>775

【いつかその身体にあった蛇の輪っかは右手の薬指だった、それだって、婚約指輪を嵌めたりする指なのだけれど】
【それと同じデザインの輪っかが嵌められているのは今では左手の薬指、それなら、あの日の関係の捩れたのを窺わせる】
【けれどそれは捩れすぎたかたち、見ようによっては真っ直ぐにも見えるぐらい――ぐねぐねに絡まった、愛情のかたち】

そう、デート。

【そっと零した笑顔はたくさんに花弁を抱いたばらが開いた一瞬のよう、あとからあとから、“しあわせ”が零れてくるようで】
【本当に楽しみにしているらしいのが窺えた。いつになったら行けるのだろうと焦がれて、焦げついてしまいそうな笑顔の色合い】
【だのに浮付いた瞳の奥では何かがしんと褪めていて、ただ浮ッ付いた希望だけがそこにあるんじゃないらしいと、示して】

【(まだまだ時間が必要だった。だって自分は強くないから、もっと、もっと強く、もっと、ずっと、強く――ならなくっちゃ)】
【(守られるだけじゃいけない、ただ守られるだけじゃなくて、隣を一緒に歩きたかった。そうして、一緒にその場所を見たかった)】
【(だから――少なくとも自分だけは守れなくちゃいけない。我侭を言うなら、“彼”を守ることも出来るぐらい、強く、)】

なんで? なんでだろ……、おいしいベリーが生ってるの。それをもう一回食べたいのも、そうだけど……。
……わたし、ずーっと守られてばっかりだから。だからね、もう大丈夫だよって、見せてあげたいの。
守られるだけの子供じゃないって、分かって欲しいの。……たまには、優しく守ってほしいけど――、

いっしょに歩けるんだよって。後ろに隠されるだけじゃなくて、となりで、いっしょに、歩いて行けるんだよって。教えたいの。

【――気付けば噴水にはたくさんの水、不思議な色合いを湛えて揺れる水面が、きらきらと月明かりの明るさを映しこんで、煌いて】
【ふわと魔力が流し込まれる、そうすると――そろりそろりと、起き上がってくる水面の隆起、やがては“にょっ”と水面を飛び出して】
【“蛇”だった。水で出来た、蛇。それが、何匹も何匹も飛び出して、淡い魔力の燐光を引いて、踊る。それは夜に輝かんばかり】
【噴水の真似事だった。本物とはちょっぴり違う、けれど見方によっては本物よりも美しい、手作りの噴水ショー】

だからね、そこじゃなくてもホントはいいんだよ。でもね、とってもおいしいベリーが生ってるから、そこがいいの。

【「……見てみたいなあ」なんてほうと吐く吐息、どんな場所かなんてもう何度も夢見たけれど】
【彼が綺麗だって言うなら綺麗なんだろう。それなら期待だって高まってしまう、噴水のように踊る水の蛇を見上げて、恍惚と】
【瞳を細めるのは別段自分の成したことへの感動でもなんでもない。ただ、見たこともない場所に過度の期待を寄せた、表情の残滓】

【(けっきょく最終的に選んだ理由が“おいしいたべもの”という辺りが子供っぽかったのだけれど。少しだけ雰囲気を壊すような、)】
【(けれどあどけなさの残る顔にはそれがよく似合うのだった。高校生ぐらいに見える容姿、実年齢は今年で二十一、まあ気にしないのがいい)】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/11(日) 00:53:56.12 ID:GR5hiFnEo
>>776
素晴らしい!! 健康は何にも代えがたい財産ですからね
ええ、お願いします!!

――――クッ!!!
(この力、明らかに老人にレベルじゃない……!!)

【一切の躊躇いなく喧嘩に臨む老人。さらには、先制の一撃】
【どうにか腕をクロスさせてガードするが、飛び蹴りを受けた腕がビリビリと痺れる】
【人形なので、しびれを感じているのは魂であり、人形の身体は軋んだだけではあったが】

【しかし、この老人としては並外れたパワー。若い人間なら、さらにすごいのだろう】
【自警団員が病院送りにされたのも納得がいく。同時に、村人たちが伐採を拒んだ理由も想像がついてきた】


(彼らに起きてる変化、彼らはこれを植物による恩恵だと考えている……だから、伐採を拒んだってことか)
(でも、数年前から突然……あんなものが、自然的に発生するのか? いやこの世界ならありうるかもしれないけど……)
(どうも、裏がありそうだ。その一端だけでも、つかめれば――!!)

言質、取りましたよ!! では、行きます!!

【思考は渦巻き、表に出すのは最小限に留めつつ、周りに目をやる】
【どこか生気に満ちた彼らの瞳。よそ者の自分とすら、喜んで喧嘩を始める】
【あの植物がもたらす効果は何なのか。この一戦が、その手がかりとなればいいが――】


【思考しつつ、ギアはミハエルと二郎へと目をやり、幽かに頷いて見せた】
【ここは大丈夫、と合図したのだ。下手に彼らも加わっては、乱戦になる恐れもある】
【それに、自分が注意をひきつければ、何かを探れるかもしれないし、住人の口もさらに軽くなる、かもしれないという希望的観測もあった】

【いや、今はとかく、早めに終わらせて情報を引き出すことに集中しよう。ギアは、老人へと向き直った】

【踏み込み、と共に反撃の一手。右手による掌底を老人の腹部めがけて繰り出す】
【荒事はそれなりに経験してきた、というだけあって、常人よりは早く正確】
【視線は老人から逸らさずに、ほぼ手加減抜きの一撃を放った】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/11(日) 00:56:42.89 ID:0p3kI3rXo
【夜は深い、静寂はそれだけで孤独を誘う】
【街の灯りから遠ければそれは尚更のこと】

季節の巡りも早いものですね……桜は去って次は緑
緑の次は……――――――といった所でしょうか?

【月明かり差し込む森の中で歩みを進める女性がいた】
【白磁のような透き通る肌、流れる髪も同じように美しくはあるが消え入りそうな白色】
【顔や身体の造形もまるで「こうあれ」と望まれたような人類の美意識を形にしたような……造り物地味た完成度】
【きちんと呼吸はしてはいるがそれさえもただその姿が正しいから便宜上しているに過ぎない印象を与える】

【態々揃えたのだろう衣服達、ロシアンハット、ポンチョコート、ストッキングにロングブーツ】
【その一切もやはり白く……病的で、およそ自然の中にいるべきとは思えないそんな女性】

移ろいゆくものですから何を惜しむでもないですが……

【傍らに生える巨木にそっと手を当てて群がる葉を見上げる】
【『白い光』がふわりと掌から浮かんで樹へと流れ消える、何を感じてから彼女は小さく頷いて】
【「ほう」なんて息を漏らす、どこか演技じみてはいるが造形故か美しく】

どこか寂しく感じてしまうのは、私がどこか壊れているからでしょうか……?

【頼りない言葉は独白だからだろう】
【柳の下にでも佇んでいそうな消え入りそうな彼女はどこか力なく項垂れて】
【背負う月明かりを受け静かだった】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/11(日) 00:56:43.80 ID:3s245plHo
>>777

【一郎の言葉に「頼むぜ」と短く返し、刃を構える。この樹、やはりただの樹ではない】
【傷を付けられた時に感じた魔力はこの世界とは少し違う感覚がした。ならばどこの世界の物か―――容易に検討はつく】
【魔力を内包した樹、そしてそれを覆うように纏わりつく黒い空気。……とても嫌な予感がする。自分もそうだが……村に行った3人もだ】


「―――これは……ちょっとヤバイかもだぜ……ッ!!」

【「Magic wave Slash」が樹にどれほどのダメージを与えたのかは分からない。少しでもダメージを与えていればいいのだが―――】
【しかしライラに休む暇はない。カウンターといえば正々堂々枝が真正面から迫ってくるだけだと思っていたが、どうやら違うようで】
【地面が隆起し、其処から太い根が突き出してくる。咄嗟にステップしてその根を避けようとするものの、右脚に縦一文字の傷が付き、血が流れる】
【―――これだけで諦めるほど、ライラは柔くない】

「んじゃ、自警団がもみ消してくれることを願って―――行くぜ!

 W  2  S  1  /  !  !     I c i c l e   B o m b e r ! ! ! 」 

【周りに被害が及ぶような事はできない。しかし、躊躇っていては何時迄もこの樹との戦闘は終わらない】
【水色の魔法陣を刃で断ち切り、出現したのは水色の球体だ。それが放物線を描いて樹へと飛んで行く】
【速度も遅く、対処は容易だろう。だがこの球体……もっと言えば薄氷が破壊されれば、中から出てくるのは無数の氷で出来た苦無のような刃だ】
【それが、樹の方向へと放射状に発射される―――周りの植物にも被害は及ぶだろうが、直撃すれば大部分はその樹へと飛んで行く】
【あの黒い空気で攻撃が予測されているのなら、中から出てきた苦無に対処は出来ないだろうと、そう踏んで】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/11(日) 01:04:33.95 ID:6jECWZWr0
>>776

【ギアと老人との戦いが始まったのなら、そこに居た母親の女性が叫ぶ】
【次々に出てくる人々、あっという間に野次馬が集まればミハエルもそれには驚かされて】

(どうやら、悪い人達なわけではなさそうだが……力が有り余っているとでも言うのが正しいのか……)
(それに たまたま立ち寄った人……か、一体誰なのか、それも気になるな……)
山頂の樹の恵み……ですか、それに黒い粉と、ふむ…………

【数年間食べて副作用は無いのか、それも気になるが、何よりここに来た人物も気になる】
【何故こんな得体の知れない物について知っているのか、聞けば聞くほど謎が増えていくみたいだった】

ああ、二郎君、今はまだ様子を見るんだ、きっとギア君なら勝てるさ。
それよりも、山頂に向かっている一郎君達に繋いでくれ。
そちらの様子はどうだと、そこにある樹は一体どんな物なのだと、勿論、此方からの報告出来るだけの情報も伝えておこう。

【二郎の肩を叩いて制止するミハエル、話にあった山頂の樹であろうそれはどんな物か、通信を繋いで聞いてくれと頼むだろう】
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/05/11(日) 01:10:13.60 ID:R+hcoqZNo
>>782
【夜の森に、静かな白い光が登っていく。その幻想的な光景と、女性の言葉の直後】
【鮮烈な閃光――フラッシュが焚かれ、パシャリとシャッター音が響き渡った】
【その閃光の出処たる女性の正面から、かさりかさりと草を踏みながら近づく存在が有った】

「――別に、寂しく感じたっていいんじゃねェの?
ってか、こんな時間に森にいるとか、気をつけたほうが良いぜ、姉ちゃん。
俺だから良いけどよ、夜の森にゃ何潜んでるか分かったもんじゃねェんだから」

【暗闇に浮かび上がる、光り輝く人工的なライムグリーンの瞳が、先ず最初に見えただろうか】
【そして、月明かりの元へとその目の持ち主は歩みを進めていき、その全貌を写しだした】

【服装は、森を歩くのに向いているだろう細身のカーゴパンツとエンジニアブーツ、上は薄手のマウンテンパーカーと言うもの】
【全体的にカーキを基調とした目立たない格好で、腰に巻いたベルトポーチは内容物でパンパンに膨れあがっている】
【肌の随所には傷跡が目立ち、特にライムグリーンの右目の傷跡は瞳が失われるだろうほどに酷い裂傷と銃痕が残っていた】
【髪は白骨のような白髪をワックスでガチガチに固めて逆立て、更にスプレーで固定した中々ロックな髪型で】
【触れれば切れるような、カミソリのような印象を抱かせる――危うい雰囲気の青年だった】

【しかしながら、敵意を表出させることはなく、それどころか相手を心配するような言葉を口にしてみせる辺り、お人好しなのかもしれない】
【首から下げた一眼レフのカメラを手に持つと、空に向かってレンズを向け、シャッターを切るのであった】

「……生きる事なんざ分かれと移ろいの連続だろ。
寂しく思うのは間違っちゃないが、それを引きずってたら何もできなくなっちまう。
去っていくものに思いを馳せ過ぎたら、きっと過去に取り残されちまう。そう思うんだわ、俺はな」

【ファインダーを覗きながら、青年はシャッターを切り続け】
【淡々と己の言葉を吐き出していく。外見と雰囲気こそ人を寄せ付けないものかもしれない】
【だが、口を開いてみれば、案外親しみやすいタイプであるかもしれなかった】
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/11(日) 01:14:11.49 ID:BFTZTckCo
>>780

おいしい、ベリー?
ふーん……?

【なんだかピンとこない妙な表情を浮かべる。理由としてはなんだか説得力が弱い】

【しかし続きを聞くと、ようやく腑に落ちたようだ】

守る、か。
オレも、みんなを守って、許してもらえるくらい強くならないとな。

【ふう、と息をつき、蛇に触れようと手を伸ばしかけ、やめる】
【そのときの表情は、どこか悲しいような、辛いような、複雑なものだった】

【ふと見上げると、すっかり月が昇っていた】

もう夜も遅いし、この辺で終わりにしよう。
またね。デートに行けたら、その時の話を聞かせてほしいな。
それじゃ、さよなら。

【噴水から降り、翼を広げ、飛び上がる。風で草花が揺れ、香りを舞わせる】
【少年の影はみるみるうちに小さくなり、やがて見えなくなった】

/お疲れ様でした!
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/11(日) 01:29:30.10 ID:9UyayaXg0
>>786

そうだよ、綺麗な桜色で……全然酸っぱくなくて、甘くって。それでね、じわあって魔力を感じるの……。
もうちょっと食べたかったなあ、言ったら取ってきてくれるかな……、……――ううん、

今度行くんだからいいよね。我慢――我慢しよっと。

【“今度”。それがいつになるのかなんて分からないけれど、今日明日の話ではないし、今年中、とかそういう話でもないだろう】
【だいすきな彼に追いつくにはきっと年単位、それでも、少なくない才能があるなら、恵まれている方なのだろうけれど――】

【(勉強というものに触れてこなかったツケ。効率のいい方法とか何にも知らないで、ただ、言われるままにやっているだけ)】
【(もっと自分で効率のいい方法を見つけられたらいいのだけれど――それも、きっと、もうちょっと先の出来事になるはずだった)】

【だから楽しみにしているぐらいでちょうどいい。それがモチベーションになるなら、きっと何よりだから】

強くなりたいなあ……、いつになったらなれるんだろ。このままお勉強頑張ったら、なれるのかな。
……怖いね、なんか。だって、――わたしの上限がどこかなんて分からないんだもん、ここかもしれないし、すぐそこかもしれないし。

本当はもう強くなれないのかもしれない。そうやって考えたらね、すっごく嫌なの。そうしたら、わたしの夢、叶わなくなっちゃう。
一緒に行けないなんてそんなの嫌、そんなの……。……――がんばるしかないんだよね、分かってるの、ちゃんと。

【きちんと座りなおして膝を揃える、靴下に包まれた膝は華奢で、ぱたぱたと動くのを見ると、なんだか玩具みたい】
【ちょっぴりだけ憂うように目蓋を降ろしかける、ほんの少しだけ零した弱音は、ただ、すぐに自分の言葉で振り払う】
【行きたいのは変わらないのだから。それなら頑張るしかない、守ってもらって行くんじゃ、“意味がないんだから”】

帰るの? ……わたしもうちょっとここに居る、休憩できたし……、もう少しだけ練習して行くの。
ばいばい、またね、……お話できるといいな、いつになるのか、まだわかんないけど――。

【きょとんと瞬く仕草、緩く首を傾げれば長い黒髪がふわあと揺れて、微かに響く、無数の髪の擦れる音色】
【月が高くなっても帰らない悪い子、もうちょっと練習していく――なんて言い訳、揺らした爪先をじっと見つめて、口にして】
【よいしょっと立ち上がる、それと同時にざあと落ちる背後の水蛇、まるでただの飛沫みたいになって、噴水の中に落ち込んで】

【ちいさくなる姿を途中まで見送って――視線を逸らす、その頃には華奢な身体から、びしゃりと濃厚な魔力があふれ出して】
【もう少しだけ、もうちょっとだけ、そんな風にずるずると頑張って――帰る頃にはくたくただったなんて、まあ、余談か】

/おつかれさまでした!
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/11(日) 01:34:45.98 ID:0p3kI3rXo
>>785

「――――――――っ!?」

【小さく鋭い光は閉じたままの瞳にも深く焼きついたのか手で覆う】
【まさかこの場に人間がいるとは思わなかった、この光は人造のそれだ】
【とすればこれはカメラだろうか、この時間こんな場所に奇特な者がいるものだ……とそれは自分も同じか】

「……仰っている事はご尤もですが初対面の人間にカメラを焚くのはどうかと」
「感覚器が鋭いので、チラつきが収まりそうにありませんよ……どうしてくれるんですか」

【分り易く眉をハの字に曲げ肩を竦める】
【目を瞑ろうとも視えてはいるのだろう、困った表情は男性へと向けられている】
【台詞の通りどうしてくれるんだと言わんばかりのそれ】

「それに、夜が危ないのはそちらも同じですよ……」
「埒外の化物でもいたらどうするんです?或いは私がそうだとして、その右目と同じように左目もするかもしれませんよ?」

【抜身の刀のような印象、とは違った言葉あべこべとはこの事だろうか】
【フラッシュは頭の中でまだちらついて、腹いせ混じりに男性に近づいて……】
【割れ物のような白い指先を伸ばし右目元へと触れ撫でようとする、浮かべるのは少しいたずらな笑み】

「―――――――まあ、面白くなさそうな事はしないですけど……」
「それにしても何時の戦火の名残ですか、その、右目は」

【職業がカメラマンだとしてもその傷は似合わない】
【ただの趣味と考えるのが妥当だろうか、なんて無感動のまま無表情】
【拒絶もなかったのならばサラサラとした指先は慈愛も無しに撫で続ける】
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 01:41:15.70 ID:nrQrsPS4o
>>783

「なるほど……この樹が齎す恵みが大事で……黒い粉、……んじゃ、この黒色で煙たい空気は…………まだわからんけど……」

【なるべく攻撃の余波を受けないような位置で二郎と連絡をとっている一郎、――"粉"?】
【勿論見えるようなモノでも無いし、地面やら何やらに粉が降り積もっている様子もなく……まだ信憑性に欠ける情報だった】

【上に長い樹であれば先程の一撃で終わっていたのかもしれない、この幹や根の集まった様な形状は修復や防御に便利なのだろう】
【自警団が一度交戦しているのだからその傷があってもおかしくなかったはず、けれどそれには無かった、つまり治っていたのだ】

【その幅故に一度に切断することが難しい、その上反撃は妙に的確――】
【だが、その的確さが仇となる事なんて、この樹は考える事も出来なかった、あくまでも"反射"なのだ】

【このくらいの速度ならじっくり正確に撃ち落とす、そう言わんばかりに伸びる根は結構な太さで――そして、それは球を一突き!】
【―― 一突きすれば勿論薄氷なんて破壊できる訳であって、中から飛び出してくるクナイの如し刃も受けることとなる】
【流石に枝や根を伸ばすのは間に合わなかった様で、次々とそれが刺さり……葉が散り、一部幹等が破壊され、だいぶ形が崩れる】
【どうやらこの樹、クナイが飛んできた方向に沢山の敵が居ると勘違いしたようで……まるでハリネズミの様に枝が無数に伸びるが、これはライラには当たらないだろう】

【その氷のクナイが残っていた場合、それが僅かずつ黒色に変色しているようにみえるだろうか――空気の黒色の成分なのか、或いは樹から滲み出るそれなのか】
【それの軌跡の黒色も結構剥がれて、戻る速度はダメージのためか遅くなっている】

【伸ばした枝が当たらなかったとわかると、その樹は初めて周りに魔力――己が持つ魔界の魔力を辺りに放出し始める】
【かと言ってカウンターを仕掛けるわけでもない、位置を把握できてないのだろうか――ただ、何かが起こる、それは明らかだった】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 01:41:46.22 ID:nrQrsPS4o
>>784

老人A「あぁ、山頂の樹は恵みの源なんじゃ、それでな、黒い粉は山頂の樹の周りで掃除機かけると手に入るんじゃが……」
老人A「その粉を花にかけると、この黒っぽいのが出来るのが生える良い種が出来るんでのう、この村の農家は皆使っとるんじゃ」

【老人は語り好きとはよく言うが―― 一応村とはいえ電気は有るのだろう、事実畑でない所を掘り返すと電線が出てくることも有る】
【まあ、一つ問題が有るとしたら、この周辺に発電所なんて存在しないことと、その電線が出てくる所が見当たらない辺りか】

『掃除機で吸うと入手できる粉ですか……ミハエルさん、わかりました……ここは落ち着いて少し連絡してみます』

【花にかけると種が出来ると言う事は、その粉はきっと花粉か何かに違いないだろう】
【そうだとすると、異常が起きる前から生えていた植物……ある程度成長した樹木や多年草の一部、それらが被害を受けていない理由も自ずと見えてくる】

『……もしもし……一郎、……っておい、大丈夫かよ…………おう……なるほど…………』
『でな……うん……これがこうで…………その樹の……んで…………』

『…………はい、山頂の樹の写真が届きましたので……お見せしますね』
『今現在、一郎は早々とリタイアして……ライラさん一人で戦っているという状況のようです』
『攻撃の軌道から外敵の位置を探っているらしく……そして、反撃です。辺りの空気の色は老人の仰っていた粉の可能性が高いと伝えて……あ、決着が付いたみたいです』

【小型携帯機によって映しだされる写真は、確かにライラが今戦っている樹の姿である】


>>781

老人B「ムッ! なかなかやりおるな、若いの!」

【ガードされる飛び蹴り、そこから老人とは思えぬしなやかさで体勢を整えて】
【だが、流石に内輪の喧嘩だけでは培えなかった技術がある、両腕でガードしようとするも僅かに及ばず】
【グエッ、と一声上げたかと思えば……その場に仰向けになって倒れたのだった】

老人C「ふぉっふぉっふぉっ、良い腕をしとるのう、約束通りノびてるあやつの代わりに言うがのう、景気が良い理由は単純じゃ、良い取引先が居るんじゃよ」
老人C「この黒ずんだ植物の良さを教えてくれた御方がのう、この村で採れた野菜を買い取ってくれると言う話を持ちかけて……わしらはOKを出したわけじゃ」
老人C「わしは長老! ……の家の隣の斜め向かい辺りに住んでおるんじゃが」
老人C「長老の家の裏にある小屋の中の変な絵においしい野菜なんかを入れると、お金が出てくるという素晴らしい仕組みなんじゃよ」
老人C「別に野菜にかぎらずとものう、極端な事言うと適当なゴミを入れても少しばかしは出てきたりするんじゃ」

【感染していた一人の老人が前に出てきて――変な絵に野菜を入れる、その時点でおかしいのだが】
【どうやらその変な絵を介して、"あの樹と何か深い関わりのある者"と顔も合わせず知らない場所と取引をしているようで】
【輸送コストが皆無に近い上に、日常生活で出るようなゴミですらキャッシュバック対象となれば……それは景気が良くなるという話だ】
【非常に安定した収入、その源があの樹で――例え他の村がどうなろうと知ったこっちゃない、もしかすると反対している他の村も"ある意味買収されている"のかもしれない】
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/05/11(日) 01:45:32.72 ID:R+hcoqZNo
>>788
「悪ぃね。シャッターチャンスは逃さねぇタチなんだ。
迷惑かけたなら謝るからよ」

【相手が困った様子で、こちらに非難の言葉を投げかける】
【ついついシャッターを切ってしまったものの、迷惑をかけたことに関しては申し訳なく思っているようで】

「なァに、左目潰れた場合の対応策くらいはとっくのとうに講じてるのさ。
右目潰されたんだからよ、左目潰されることくらいありえなくない事はわかるしな。
それに、俺は逃げることと生き残る事に関しちゃ自信がある。そういうのが出たならとっとと逃げ出すさ。
……ってくすぐってぇんだけど、オイ」

【己の目元に指を伸ばす相手、イタズラっぽい笑みを見て、そういう奴かとなんとなく納得をする】
【女が男の目元を触れるほどに近づけば、きっと見えるだろう】
【右頬の裂傷や、首元や袖口からも覗く幾つもの傷跡が。そして、目元をなぞれば、ザラリとした傷の感触が】
【右目を良く見れば、その質感は限りなく生の瞳に近く再現されているものの、イミテーションのようなものであることが分かるかもしれない】
【しかし、タダの義眼ではないようで、相手の動きをその右目は追い続けていた】

「……2年前だったかね。駈け出しの頃にカノッサの奴とやり合ったんだよ。
そん時に銃弾食らって思っきしぶっ潰されちまった。……ああ、っとちょいと手ェ触るぞ」

【青年にとっては乗り越えた物事でしか無い為、特段言いよどむこともなく傷についての顛末を口にして】
【青年はおもむろに左手を相手の手に伸ばし、人差し指で軽く相手に触れるだろう】
【もし触れることが許されれば、一瞬ぴりりとした感触が皮膚から感じられ、フラッシュの影響は無くなることだろう】
【青年の右目と左腕は失われており、それをアートマンで補ったもの。右目と左腕であれば、意識せずに即座に能力を用いることが可能となる】
【今回行ったのは、相手の神経系に情報干渉をする事で、相手の受けたフラッシュの影響を緩和する事だった】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/11(日) 02:05:21.33 ID:3s245plHo
>>789
「……『粉』? 樹の粉っつったら……花粉か?
 ……いや、粉だったら地面に積もってなきゃ可怪しいよな……。じゃあ、微粒子とか……クソ、何なんだよこれは!」

【この黒い空気の正体が掴めない。コレはこの樹の秘密を探る上で非常に拙い展開だとライラは思う】
【耳に入った一郎の言葉に想像を膨らませるが、正体は謎のまま。少しずつ、焦りが見え始める】

(……やっぱり、アイツが知能を持っているんじゃない。あくまで反射……だから「Icicle Bomber」には対応できなかった。
 反射する条件は……大方、この黒い空気だろうな……。)

【ライラの予想は当たった。樹自体に知能はなく、攻撃も反射で撃ち落としているだけだと】
【そしてこの黒い空気は樹に反射させるために一役買っている……それなら、この黒い空気が無くなれば反射も出来ないのではないだろうか?】
【氷の苦無が黒く変色する。―――もしや黒い空気か樹の魔力は、他の物を黒く染めあげる能力を持っていたりするのか?】
【考えを張り巡らせる。それと同時に樹が周りへと魔力を放出し始めて―――拙い、とライラには直感で分かった】

「一郎! 気をつけとけよ……!

  S  3  /  !  !   B i g   W i n d   B l a d e ッ ! ! ! ! 」


【後方で待機する一郎へと声を掛けながらも、緑色の魔法陣を刃で断ち切り、出現したのは先程の純白の衝撃波と同じくらいの大きさの風の刃だ】
【それが一直線に樹へと飛んで行く―――スピードも早く、尚且つ切断力も高い。そして……その風の余波が黒い空気を吹き飛ばすかもしれない】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/11(日) 02:14:30.99 ID:GR5hiFnEo
>>790
光栄ですよ!!

【叫び返し、飛び蹴りからと見事な着地を前にする、しかし、その瞬間が隙でもあった】
【ガードをギリギリすり抜けて、右の掌底が老人にめり込む感触。確かな手ごたえ】
【どうにか倒すことに成功した。息の出来ない人形の身体で、息をつくような動作をする】


フゥ――……あ、ありがとうございます……危なかったですけどね……
取引先……なるほど、その人がこの村の現状の立役者ってわけですか……

え、長老さ――っと、そうですか……ハハ……
……絵の、中……? ――それは、本当に素晴らしい。完成されたシステムですね
(その植物をもたらした人物が、この状況の黒幕か……絵の中に、野菜やゴミを入れる……?)
(明らかに普通じゃない……能力者か、それとも悪魔や妖怪の類……?)

【驚きを賞賛に変換し、老人に笑顔を向けて、自分が倒した老人の心配までして見せつつ】
【ギアは発覚した異常な取引、背後の買収の可能性を仲間に伝えるべく動いた】
【最初に受けた飛び蹴りの感想などを、表面上は和やかに吹聴しつつ、ミハエルと二郎の元へ歩み寄ろうとする】

【接近に成功すれば、今老人から聞いた謎の絵について二人に伝え】
【次いで、その絵があるという、長老の家の裏にある小屋、そちらの方角へと目を向ける】
【その絵を見れば、何らかの手がかりになるかもしれない】

【だが、その絵がいわば村人らの生命線。さすがに、それに下手に近づけばどうなるかわかったものではない】
【どうすべきか――二郎とミハエルに目配せしつつ、ギアは思案する】

【あまり長居するのも危険、ライラたちのことがばれたらまずい】
【意を決したように、ギアは視線を件の小屋へと向け、いかにも興味深いと言わんばかりの表情で歩き出した】
【村人の前を通り過ぎるように。そのまま行ければよし。止められても、この隙を二郎やミハエルがついて、小屋にたどり着いてくれれば――】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/11(日) 02:17:23.81 ID:6jECWZWr0
>>790

なるほど、つまり育つ前の植物にだけ影響を与えるのか……
……ん、繋がったか……?……ふむ、これは…………

【どうやらライラ達は無事らしい、それを確認出来たのなら安心した様で】
【ならば此方も心置きなく情報収集に徹する事が出来るというもの、ミハエルはギアの方へと視線を向けた】

……どうやら向こうも終わったらしい、これで新たな情報も手に入るな。

……しかし、何と可笑しな絵だ、これも調べる必要が有りそうだ…………
やはり本人に聞くのが一番近いか……?まあ、とにかく行ってみる価値はあるだろう。

【そして戦いの後、新たな老人が伝えてくれた情報、長老の持つ奇妙な絵によってこんな生活があるらしい】
【となれば、この後の行動は誰にでも分かるだろう、当然、長老に話を伺うつもりだ】
【誰でも良い、村人に長老の家が何処にあるのかを聞けば、そこへと向かうだろう】
【小屋を先に調べるのが先か、長老に話を聞くのが先か、それは二郎に任せるのだろう】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/11(日) 02:22:59.22 ID:0p3kI3rXo
>>791

「写真のひとつくらいは構いませんけど……」
「世に出すのはおやめくださいね、きっと良くないことが起きますというか起こしますので」

【有無を言わせぬ微笑みに少し荒々しくなる撫でる指】
【下手に怒った素振りではない分静かな迫力というものがある】
【というか実力行使めいた言葉は、多分そのままの意味なのだろう】

「戦いを生業にするなら仕方ないでしょうね、自己責任です」
「それでも痛々しくはありますが……、あら?こういうのはお嫌いですか?」

【にやり、としながら指を離す……僅かな白い光は鱗粉にも似ていた】

「へえ機関とですか、それはまた難儀な話です……失って得られた物があればいいですが」
「ん……特異な能力ですね、ですが私に利かないとは思いますこんな姿ですが人間ではないので」

【怯えがちだが触れた手を拒む理由はない】
【ぴしりとした感触が背を這うように、されど彼の能力が人間限定ならばその効果は果たされない】
【どこか申し訳なさそうに伏し目がちで】
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/05/11(日) 02:32:35.75 ID:R+hcoqZNo
>>795
「はいよ。俺は悪人以外に世に出すなって言われたらきっちり守るタイプだ。
そこんところは安心しときな」

【相手の静かな様子、微笑みながらも来る威圧をするりと交わす青年】
【外見や雰囲気相応に、中々場馴れしているのだろうか。胆力はそこそこのものがあった】

「割りと感覚鋭ェんだよ、能力のせいもあるけどよォ」

【相手のイタズラっぽい様子に僅かに眉間にシワを寄せながら、目元を己の指でなぞり直した】
【うー、とうめきつつ一瞬身体をぶるりと震わせて、カメラのレンズを外してポーチにおさめて】
【残りのパーツも分解すると、手際よくそれらを仕舞いこんでいった】

「……ま、割りと中々出来ねぇ経験では有るよ。
あー、人間じゃないか。じゃあ神経系の仕様とかも人とは違う感じ、ってこったな?
解析すりゃ別だろうがな、されたくねえだろ?」

【己の右目から一瞬ライムグリーンの燐光をチラつかせて、苦笑する】
【人でありながら、人とは異なる気配と不吉の気配を合わ持つ青年は、相手が人ならざる事をしっても特段動揺することはない】
【逆にこちらも申し訳ないような様子を見せながら、後頭部をぽりぽりと掻いてなんとも言えない表情をした】
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 02:37:53.55 ID:nrQrsPS4o
>>792

【風の刃が己に向けて飛んでくる、この黒い空気はどうやら空気中を漂う粉とかそう言った類の何かというのは正しい様で】
【その余波を受けた空気の色が明らかに変わった、黒色も煙たさも失って代わりに他の場所に飛んでいって】
【そして、迫る刃は一応認識できていたようだが……ガードは今までよりも緩く、先程の純白の衝撃波よりも大きくその身体を切断してゆく】

【漂う魔力が一気に枝に、幹に、根に、変化する――但し本体とは繋がってはおらず、まるでミサイルのように発射される】
【つまりは全方位に対する無差別攻撃。大小様々なそれは、大きい物は当たりどころによっては危険だし、小さいものも油断は禁物】
【但し、狙いは一切ない。この周りのどこかに外敵が居る、先程迎撃できなかった敵が大勢居る、準備してたらでかい刃当ててきた奴も仕留める、】
【見えない、何も見えないわからない、それなら……広範囲に攻撃すれば良い】

「こ、これは……大事な道具を犠牲にしてで……もッ!」

【勿論一郎にも飛んでくる。……ようやく傷の痛みがマシになり、サポート体制に入れそうになった矢先の出来事だった】
【咄嗟に持っていた道具を振り回し、幾つかは弾き飛ばせたが……駄目だった、獣道を作れるだけではどうにもできなかった】
【その際弾き飛ばしたミサイルの一部はライラに向かうそれの一部に命中、勢いを落とす】

【――よく観察しなくとも、この樹の修復力は中々のモノである】
【例えば斬られた部分は最も近い己のどこかと接合しようとしているし、傷も徐々に治っていく】
【攻撃が回復に追いつかないほどのスピードではないが、下手に攻撃の手を休めると余計な体力を使う恐れがある】
【だが、明らかに黒色の空気の色が薄くなってきている――吹き飛ばした分が有るにせよ、これは弱っている証拠だろうか、このまま畳み掛けるが吉かもしれない】

【何より、山頂に続く道の遠くの方に沢山の人影が見えるのだから……】
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 02:40:25.97 ID:nrQrsPS4o
>>793-794

老人C「そうじゃろう、あの御方の絵お陰でこの村はこんなにも元気になったんじゃからな」
老人C「見るだけならタダじゃよ、中に何か入れて出てきたお金は村の物じゃがのう、門番もおるから誤魔化せんぞい? ふぉっふぉっふぉっ」

【村人が共有している、そして彼らにとっての自慢の物、そんな理由もあってか見るだけなら構わないとギアへ言って――流石に警備は居るようだが】


老人A「そうじゃのう、あの粉で出来た種じゃないと駄目なんじゃ、じゃから樹も植え替えておるんじゃ」

『そうですね……小屋……一度見てみる価値はありそうです、あ、すみませーん、ちょっとお聞きしたいことが……』

【通りすがりの村人に長老の家を尋ねれば、なんとも気さくにあっさりと答えてくれるだろう――】
【その場所は村の中央の一番大きな建物。そこへ向かったとすれば、確かに裏には4畳一間程度の小屋があり、入り口に2人の青年が立っている】

『一応長老に話を通して……ん、何かが降ってきましたね』

【突然村に数本の樹の枝や根の一部が落ちてきた、それはまるで隕石のように地面に刺さって……】
【深く鈍い赤茶色をしたそれらが一体何であるか、この村の住民は良く知っていた】

子供A「あー、これ山のてっぺんの木のやつ!」
母親A「ここに飛んできたということは……まさか、誰かがあの樹を……!」
老人A「大変なこっちゃ、村人皆集めて山頂に向かうぞい!」 老人C「まさかとは思うが、この若者たちも……ええい、まずは樹を護るのが先じゃ!」
『お、お二方……マズいです、伐採中であることを感付かれたようです……!』 『ちょっと待っててください、緊急用の麻酔爆弾がどこかに……ああ、出てこないっ』

【飛んできたそれは山頂の樹のモノだった、飛んでくるということは飛ばす原因がいたということ、村人はそれをよく知っている】
【――幾ら力が有るといえども、自警団をリンチ出来るほど強靭な村人が大勢押し寄せたらどうなるかは……容易に想像がつく】
【どうにかしてこの動きを止めなければ、あるいは押し寄せる前に逃げることを可能としなければ、次に目が覚めるのは病院のベッドになるかもしれない】
【しかし、ここで伐採部隊であることを実質的に明かすのもリスクが非常に高いし、何より門番や長老までもが山頂に向かっている。小屋の情報を安全に手に入れる機会でもあった】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/11(日) 02:48:18.83 ID:0p3kI3rXo
>>796

「それならばよし……です」
「――――――手慣れていますね、カメラマンさん」
「知識としては知っていますがなるほどそういう風に持ち運びするのですか」

【物珍しくカメラを分解し片付ける様子を見つめる、といっても変わらず目は閉じたままだが】
【その手際の良さはやはり彼が長年扱っているからだろう、2年の間に培ったのかそれともその前からなのか】
【何にせよ技工は疑うまでもない、か】

「機微を理解していただき感謝します、お気持ちだけで十分です」
「そもそも治らないという訳でもありませんし……お気になさらないでいいのですよ?」
「ところで……その目と腕は治したりはしないのですか、この世界広しならば治癒術もあると思いますが」

【内側を覗くのは構わないが覗かれるのはよろしくない】
【他人におどろおどろしい自分の中身を見せては精神にどんな損害があるか分かったものではないし】
【申し訳なさそうな彼は、心底見た目に似合わず優しいのだな……と、クスと笑ってしまった】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/05/11(日) 02:57:06.72 ID:R+hcoqZNo
>>799
「カメラマンっつーかな、写真も撮るってのが正しいよ。ジャーナリストなんだよ俺ァ。
んで、俺の場合はそこら中走り回ってるしよ、こういう分解できる機種を選んだってわけ」

【ジャーナリスト。情報をつかみとり、情報を広める事を生業とする職業】
【そして、カノッサなどを追っている辺り、彼の取材とはどういうものかは容易に想像がつくだろうか】
【ベルトポーチから再度カメラを取り出して、わりと詳しく解説をするあたり、やはりプロではあったようだ】

「いやな、俺のせいで迷惑かけたからさ。そこんところはそりゃ気にするだろ、当然。
……治せるっちゃ治せるんだろうがな。でも、これは俺にとっちゃ教訓みたいなもんなんだよ。
ヘマして目と腕無くしちまった事を忘れねえ為に、むしろ俺はこのまんまでいい、と思ってるよ。
それにこれはこれで結構便利なんだ、特に命の取り合いになったら上手く活用できるし」

【割りと自分の過失を気にするタイプの青年。責任感と自責心が強いタイプなのだろう】
【優しいというよりは、過失や失敗を有耶無耶に出来ない人間、というのが一番正しい形容なのかもしれない】
【そして、相手の問いに答えつつ己の右目を左腕で覆い隠してみせる青年】
【次の瞬間、硝子が砕けるような音を響かせて、左腕と右目が消失した】
【がらんどうの眼窩と、肩から先を失い垂れ下がる左腕。その歪な姿は、醜悪ですらあったろうか】
【苦笑を浮かべつつ、己の異能を再発現。左腕と右目のあるべき場所≠ノライムグリーンの閃光が収束する】
【1秒立つ頃には、先ほどと全く変わらない様子の右目と左腕が顕現していた】
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/11(日) 03:01:28.78 ID:3s245plHo
>>797

「―――よしッ、コレで……――――――な、ッ!!!!」


【やはり微粒子か――――――攻撃もヒットし、ライラの予測が確信に変わろうとしていたその時だった】
【放出されていた魔力が樹に収束する。そして―――ミサイルか何かの如く拡散。最後の大技を出してきたのかと思う暇もなく】
【一郎の弾き飛ばしたミサイルがこちらへと向かうミサイルに当たるが、それも一部。避けようとするものの―――此処で、脚と脇腹の傷が行動を遅らせる】
【結果、ライラの体にはミサイルが次々と着弾するだろう。まるでボクサーのストレートを何発も浴びているような強い衝撃は、ライラの意識をたやすく揺さぶっていく】
【内臓のダメージにより血反吐も吐くライラだったが―――しかし】

「くっ、そ……!! まだ、まだだ……!!」

【ライラはミサイルを受けて尚、立っていた。服はボロボロになりながらも未だその形を保っている】
【―――今ライラが持っている刃を貰った際にこれまた譲り受けた布が威力を発揮しているのだが、それはまた別の話】
【樹も、自分も未だ倒れていない。まだやる気かと思うが早いか、ふと視線を横に向けると其処には明らかにこちらへと向かってくる人の影】

【最悪のシナリオを予想する。アレがもしや、ギア達を倒してきた村人であるならば―――好戦的な彼らに、今の自分が立ち向かえるわけがない】
【ならば自分は、どうすればいいのか。答えはすぐに出た】


「テメーを今すぐぶっ倒す……この魔法もおあつらえ向きだ……!

 S  4  !  !  !    W i n d   B l a d e   J u d g m e n t ! ! ! 」


【樹の自己修復が完了しない内に、とライラが出した魔法。4つ分の魔力は、それぞれ緑色の4枚の刃を創りだす】
【先ほどのような三日月形ではない。それはまるで、罪人に死の裁きを下すギロチンのようで。それがライラの後方から、一気に樹へと襲い掛かる!】
【「Judgment」の名を冠すだけ有って、切断力は高い。今の樹なら、本当に切り倒せてしまうかもしれない】
【この大技も、ライラの残存魔力が少ないことを意味している。コレで樹が倒せないならば―――覚悟を決める必要もあるかも知れないが】
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/11(日) 03:12:47.52 ID:0p3kI3rXo
>>800

「ジャーナリスト……それでカメラなんですね」
「真実を配給する奉仕者、見た目は少しばかり派手ですがギャップ?があっていいのでしょうねきっと」

【絶対などないこの世でひとつの基準を見出す為の職】
【それだけならばいいが彼の場合は相手が大きい、ああ……なるほど】
【その力は何の為と思ったが真実を成す為なのだろう】

「残念、私なら治せるのに……」
「でも、例え治したとしても偽物では意味がありませんよね」
「それに教訓は赤の他人が奪っちゃいけないものです、貴方は不便さを愛しているようですし」
「それなりに今の状況を楽しんでいる……ですね?」

【例え醜かろうと彼は生きているのならば関係はない】
【それを受け入れる事に痛みはないし、彼の生き様を尊く思う】
【思うにその人の痛みはその人でしか癒せないのだ、自分が入る余地など有りはしない】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/11(日) 03:13:05.15 ID:GR5hiFnEo
>>798
まったく、僕もあやかりたいもんですよ

え、見せてもらえるんですか!? っと、ハハハ、こりゃかないませんね……

【表面上はあくまで和やかに。しかし、警戒は怠らずに】
【だが、そこまで簡単にはいかず。やはり警備は存在する。その見張りを、気絶させる必要もあるいは出てくるか】


ええ、二郎さん。一度探りを入れて――ん……?

【他の村人も、拍子抜けするほどあっさりと場所を教えてくれた】
【それだけ、盗まれない自信があるのか。と、そこへ落ちてくる樹木の破片。村人たちの顔色が変わる】


(…………!! ライラさんが、伐採を……)
(――動揺を表に出すな!! あくまで、驚いたフリだけしていればいい!!)

じ、二郎さん、山頂の二人に連絡を!!

【こちらへと疑惑の目を向ける村人たち。一瞬硬直したが、彼らの関心は瞬く間に山頂へと移り】
【一斉に、山へと動き出す。村人総出での出動。彼らにとっても異常事態というわけだ】

【絶好のチャンスではある。今なら、件の絵を見に行ける。だが、同時に大ピンチだ】
【このままでは、山頂の二人が危ない。どうするか。ギアは、両方に備えた】


(建物の影に隠れて――『スライムボール』!!)

【ギアは素早く民家の影に移動すると、脇腹に右手を突っ込んだ。能力が発動し、引き出された右手に握られているもの】
【それは、十数個のスーパーボールだった。それを、村人の走る方角の地面へと叩きつけた】

【スーパーボールが不規則に跳ねながら、ギアの意志を反映して、山頂へ向かう村人たちの背を追う】
【村人たちに命中すれば、スーパーボールは破裂し、粘着性の液体となって彼らにまとわりつくだろう】
【これによって、少しでも動きを鈍らせようという算段。だが、何かに擦り付けるなり洗うなりすれば、落ちてしまう】

【これを放ったのが自分だとばれるのも、時間の問題。ボールを放てば、成果を見ずにギアは動く】
【絵があるという、小屋へと。ここが、山頂の植物に次ぐ、元凶なのかもしれないのだ】
【時間との勝負。ギアは村を駆け抜け、小屋へと飛び込み、中のものをその眼で確認しようとするだろう】
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/11(日) 03:20:40.42 ID:6jECWZWr0
>>798

そうだな、長老に確認だけでも取っておいた方が…………何だ……?

【突如、何かが降ってくる、良く見ればそれは枝や根の一部らしかった】
【とするなら当初の目的は達成出来たという事か、しかし今はまだこのまま帰る訳にもいかない】
【そう、まだ此方の小屋にあるという不思議な絵が残っているのだ】

落ち着いてくれ、今、この状況は巡ってきたチャンスだ。
取り合えず、小屋の内部を調べよう、出来るだけ手っ取り早く。
警備が手薄となったこの時でしか、隅々まで調べる機会など与えられないだろう、だからこそこれはチャンスなのだ。

【そうして、早く小屋を調べる様に言うだろう、門番が居なくなるなど普通ではまずやって来ない機会なのだ】
【ならば今の内に出来る限り調べておいた方が得策だと、皆の意識が彼方へ向いている今こそチャンスだと、そう伝えているのだろう】
【勿論、その最終的な判断は二郎に委ねられているのだろうが】
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/05/11(日) 03:22:55.06 ID:R+hcoqZNo
>>802
「奉仕者、って程のもんでもないけどさ。真実を暴くことで世界を変えられると思ってんだ俺。
悲劇を知らなければ誰も動かない、苦しんでいる人を知らなければ誰も手を差し伸べない。
だからこそ、それを知らしめる。悲劇に対応する力を募るために、手を差し伸べる人を作るために。
世界を変える手段が、俺にとっちゃ報道だった、ってだけだよ」

【知らないことには誰も動けない、誰も助ける行動には移れない】
【だからこそ、助けて欲しい人がここにいる、ここに悲劇が有ることを世界に知らしめる】
【それによって、悲劇の救済を求めていく。それこそが、谷山の求める真実の使い道だった】

「治さないことに意味があるのさ。この傷から学んだことはたくさんある。
それを無かった事にするのは、俺にァ出来ねえよ。
……それに、そうだな。お前さんの言うとおりだ。辛いしキツイが、それなりに今は楽しいよ。
苦難や不便に挑むのは嫌いじゃない。ハードルは高いほうが挑みがいがあるってもんさ」

【にやり、と気取りきれていない気取った笑みを浮かべる青年】
【己の傷を指でなぞりながら、強い言葉を口から説いていく】
【その言葉は淀みなく、嘘が微塵も含まれていない真実=@の言葉だったことはわかっただろう】
【ふと思い出したように青年は時計を見て、一瞬空を見上げて】

「そろそろ俺は帰るわ。今日も昼から取材なんでな。
……元Justice。ジャーナリスト、谷山基樹だ。……またどっかで会おうや、んじゃな。気をつけて」

【くるりと踵を返すと、ひらひらと手を振って振り返ること無く、青年は森の外へと向い歩き出すのだった】
【その足取りは強く、そして迷いはかけらも無かった】

/*お疲れ様でしたーッ!*/
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 03:41:46.49 ID:nrQrsPS4o
>>801

【流石に植物でも大技を出せば疲れるのだろう、少しの間……反応が酷く鈍っていたように感じられた】
【その上辺りの黒い空気もかなり薄くなってしまっていて、通常は反応できるような攻撃がもはや見えていなかった】

【樹が悲鳴を上げることは無かった、いや、そもそも上げることなんて初めから無理だった】
【ギロチンの如き刃が一枚その幹を縦断すれば木の粉も散れて、けれどまだ繋がりが残されていた】
【この複雑に絡み合った構造は、一部が切断されても修復を容易にしていて……】

【そう、一枚ならばどうにかなったのだ、しかし刃は後三枚も残っていた】
【葉っぱが衝撃で辺りに散れて、完全に繋がりを失った枝や幹も落ちて――パサリ、ドサリ、そんな音が幾つも響き渡る】
【二枚、三枚、四枚、――樹は一枚命中する度にバラバラになっていった、通常の樹に比べたら細い幹、群れても耐え切ることが出来ず】

【――この状況、今までなら反撃してきたはずである、けれど今は何もしてこない、かと言って魔力を出すわけでもない】
【やはり動物に比べたら酷くわかりづらいが、これは伐採に成功したと言っても良いのではないだろうか――】

「……れ、零郎…………こ……こちら……一郎…………おそらく、伐採に……成功と、思われ…………しかし状況が……応援を…………」

【一郎の持っていた携帯連絡機から大きな音が響いてくる、『村人が一斉にそっちに向かっています、2人とも直ちに逃げてください!』と】
【それを受けて一郎はリーダーと思わしき人物に連絡、成功報告と応援を頼む、彼はダメージが重く立ち上がることすら出来ないようだ】

母親B「居たわよ!」 青年A「ああッ、恵みの樹がバラバラに!」 青年B「生かして帰すものかッ!」

【道の先から見える影は少しずつ大きくなっていて、頂上の様子がかろうじで見える辺りでこういう叫びが上がる……速く立ち去らなければ危険であることは間違いない】
【ただ、一部の影は村の方に引き返していったようだが――早急に引き返す必要がありそうだ】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 03:43:21.05 ID:nrQrsPS4o

>>803,804

『ああっ、しまった麻酔爆弾は車の中に置いて……ギアさんっ、はい、今すぐ連絡しますッ!』

【カバンを焦りながら漁っていた二郎は、急いで小型携帯機を取り出すと……最大音量で、一郎とライラに向けて避難指示を出す】
【その叫び声は村人にも聞こえている可能性があった、けれど焦っていてそれを気にする余裕はなかった】

母親A「っ、何よこれ! べとべとして……んもうッ!」 母親C「ちょっと、何あたしになすりつけてんのよ!」
老人C「このっ……あっちからじゃ、仲間がいおった! ええい、一部戻れェッ! 生かして帰すなッ!!」

【山頂へ向かっていた村人の一部にスーパーボールが命中。必然的に後方からの攻撃となったため、気付いた時には既に当たっていた】
【勿論当たれば気が付く、老人Cは一部村人を引き戻し……ギアに向けて追いかけさせる】
【ギアに向かってくる人数は6人。特に脚が速いのは母親AとCだ、捕まれば勿論タコ殴りにしようとしてくるし、その小太りな体格故のパワーに要注意だ】
【また、この流れでミハエルも相当怪しまれた様子――母親Dがオタマを持って接近、それに成功すれば殴りかかってくるだろう、距離が有るので対処は楽】

『お、おおおお落ち着いてますっ、確かにチャンスですっ!』
『でも長居すると三郎の二の舞いです、素早く調査して速く帰り……一郎とライラさんはもしかしたら怪我をしている可能性も有るので、回収する必要があることも……』
『え? もしもし、何、一郎……え、応援呼んだ? わ、わかった!』

【ある程度の距離と戻る判断までの猶予があったため、鍵のかかっていないその小屋に入る事は叶うだろう】

【窓もないその小屋の中は非常に質素で、絵以外はほぼ何もなく――いや、絵と言うよりこれは魔法陣だ、床いっぱいにそれは広がっていた】
【繋がる先がどこなのかは首でも突っ込まなければわからないが、突っ込んだ時にどの様な副作用が出るかは勿論未知数だ】
【ただ……ゴミを突っ込んでもそれに見合ったお金が出てくるならば、人間だって換算出来てしまう可能性は――高い】

【それからは、"におい"がした――混沌とした空間の……異質なにおいだった】 【そう、それこそ人間が住むべき場所でない……例えば、悪魔が住まう様な】
【――やはりこれは人間の仕業ではない、あの樹を植えて、異常な植物の味を覚えさせ、そして確実な売上を確保できるルートを設置し更に依存させる】
【非常に地味で目的も読みにくい作戦だが、この村の住民に高い力を持たせ利用する、その辺りが理由としては妥当か――だがその真実は定かでは無い】

【それにしてもこの魔方陣……指名手配されている悪魔「邪禍」が使っているものとよく似ているような……】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/11(日) 03:58:53.72 ID:3s245plHo
>>806

「よしっ……クソ、見つかったかッ!!」

【ギロチン刃が4枚全てヒットし、樹がバラバラになると同時、一郎の携帯から響く大きな声】
【ギア達が倒されたのかは定かではないが、予想は殆ど当たっていた。村人が大挙してやってくる!】
【そして村人と思しき影が見え、あの「恵みの樹」とやらが倒されたのを見たのだろう、声が上がる。……あの様子だと、自分の帽子も見られたかもしれない】
【ここまで来て激しくヤバいと思い始めるライラ。前述の通り、今の状態で村人数十人と戦えば三郎のようにボコボコでは済まないかもしれない】

【逃げる。それしか方法はない!】

「嗚呼っ、クソ! 行くぞ一郎! 逃げるんだよぉぉぉぉぉ!!!」

【まずは自分の帽子やローブ、杖を『ゲート』に放り込む。帽子を見られたとしても、未だ顔までは割れていないだろう】
【彼らが獣道を発見し、そして自分たちを発見したとしてもある程度言い訳は出来るかもしれないと、そう踏んで】
【そして一郎を担ぎ上げ、すたこらさっさと一郎が作ってきた獣道を引き返そうとする】
【成人男性を担ぎ上げるのは困難であり、尚且つ怪我をしたライラ。しかし火事場の馬鹿力か、ある程度の速度で獣道へと向かっていく】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/11(日) 04:00:41.79 ID:0p3kI3rXo
>>805

「――――――それが苦難の道だとしても貴方は続けるのでしょうね」
「人は愚かだというのにそれでも人の善性を信じ、……報われない」
「ですが、貴方のような人間が少しくらいいてもいいのではないか、と私は思います」

【世界は悲劇で満ちているが多くの人にとってそれは画面の向こう側の出来事でしかない】
【共感は生まれないし感傷など有り得ない、だからこそ彼は戦うのだろう】
【彼の「報道」という剣が折れぬ事を祈って】

「お強い人、だけど弱さというのは誰にでもあるものです……」
「早く見つけなさい、貴方の弱さを受け入れてくれる誰かを……そうすれば貴方はもっと強くなれる」
「人は罪業を背負えば背負うほどに鮮麗されるモノなのですから」

【真実は時に残酷だ、だが残酷だからこそ真実だ】
【彼が戦う相手は形の無い悪、きっといつかその大きい壁が押しつぶしてくるやもしれない】
【傷は抱えるものではなく訴えかけるものだから、いつか彼の痛みを理解してくれる人も必要になる】

【それを他人である私が望むのはどうかしているのだろうけど】
【壊れているのだからそれだって問題はない筈だ】

「以外と忙しいのですね、ええそれでは谷山さん……私は白妙は息災を祈っております」

【強い足取りはそれ故に外れた時に手痛く返るようで危うい】
【でも迷いがないならばそれも受け入れるのが彼の強さ、ならば捧げるのは祈りで良い】
【報われぬ者には祈りを……静かな夜に捧げるのだった】

/お疲れ様でした!
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/11(日) 04:16:32.42 ID:GR5hiFnEo
>>807
【状況は刻一刻と変化していく。焦燥にかられ、周囲に意識を向ける余裕がなくなる】
【ここにきて、自分たちも山頂の伐採チームの仲間だ、ということがばれそうだ】
【だが、こうなっては仕方がない。このまま、押し切る他ないだろう】


(こっちに6人……!! 分が悪いな……)
『フリーズ・ミニカー』!!

【ギアは即座に反撃に映る判断を下す。両手を腹部へ。突っ込んで、引き出す】
【握られているのは、二台のミニカー。こちらへと向かってくる二人の母親に向けて、地面を走らせる】

【能力によって、ギアの意志を反映し、ミニカーは二人の母親の足元へと向かっていくだろう】
【距離が近づけば、ミニカーは車体から強烈な冷気を噴出し、二人の足を攻撃するだろう】
【機動力を削いで、少しでも時間を稼ぐ狙い。うまくすれば、転倒させられるかもしれない】


【先頭の二人を潰せば、後方も混乱するか。いや、狂戦士状態の村人相手には期待しないほうがよさそうだ】
【ならば、確認をして速やかに脱出。ミニカーの成果を確認すれば、すぐに踵を返して小屋へと向かう】

【質素な小屋に踏み込めば、人形の鼻を通して魂の感覚に訴えてくる、異臭】
【村人の様子、この空間の混沌、全てが人ならざる者の仕業だと訴えてくる】
【小屋の床を埋め尽くす絵の正体は、魔方陣。元凶たる者が用意したのだと、確信できた】


これ……カールと一緒に指名手配されてた、確か……
悪魔、邪禍……!! 黒幕は、悪魔か……!!

【かつての旧友、今の怨敵も名を連ねている手配書。幾度となく見た。ゆえに、知っていた】
【手配書の中で唯一、人以外の身で凶悪犯として認定されている存在。その名は邪禍。各地でのテロにも姿を見せては】
【その場を引っ掻き回していったという、恐るべき悪の使徒。彼が用いるという魔方陣と酷似したものだった】


……放置していて、ろくなことになるとは思えない
小屋ごと、破壊しましょう!!

【即決。追っ手がかかっている状況で、迷う時間はない、と判断】
【ギアが、またも身体に両手を突っ込み、引き出す。取り出されたのは、ガトリングガンだ】
【小屋から出ると少し距離を取り、ギアは小屋に銃口を向ける】

【ミハエルと二郎が承諾し、小屋から離れれば、ギアは引き金を引くだろう】
【銃口から連続して発射されるのは、弾丸ではなく花火。ギアのおもちゃ武器の一つ、『花火ランチャー』だ】
【本来は音と光による牽制用だが、至近距離から小屋に向けて連続して放てば、小屋を焼き落とせるはず】

【これを破壊でき次第、すぐにここから離脱する。ギアは、そう考えていた】
【背後から迫る村人たちが、それを簡単に許すとも思えないが――今は、すべきことを。ギアは必死に集中を切らさないよう努めていた】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/11(日) 04:24:34.67 ID:6jECWZWr0
>>807

……っ、ギア君、十分に注意してくれ!
とはいえ、俺にもか……やむを得ないな、少しの間黙っていてもらおう……!

【母親であろう女性が近付いてくる、しかしわざわざ接近を許すほど甘くもない】
【スラックスの背後のベルトに、予め引っ掛けておいた銃、M9の麻酔銃を引き抜き構える】
【そのまま一発、女性の胴体の適当な箇所を狙い撃ち、眠らせようとするだろう】

持ってきておいて正解だったかも知れないな、でなければこうはいかん。

……だから落ち着け、俺としても長居するつもりはない。
聞けば彼方の方には応援が来るようだな、それならば一先ずは安心だ。

【それから小屋へと突入し、異様な内部を目の当たりにする】
【見たことのない魔方陣がそこには広がっていた、ここに来てから驚かされる光景ばかりだと苦笑いを浮かべるが、直ぐに冷静な思考に戻して】

今回の事件の原因とはこれか、これが在ったからこそか……
…………この小屋に火でも放つか……?それが手っ取り早い方法だと俺は思うのだが……と、ギア君も同じ考えとはな。
俺に異論はない、それがベストだと思う。

【そう言ってギアの提案に賛成するだろう、一時撤退するよりも、何か起こる前に今この場で消してしまった方が得策だと、ミハエルはそう考えていた】

812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/11(日) 04:42:44.16 ID:nrQrsPS4o
>>808

「す、すみません……あ……ま、マズいです、……もう影があんなに大きく……」
「あの獣道……は、……実は解除も……できます、通った後解除して、……時間を……稼ぎますから……」

【ライラが一郎を担ぎ獣道を戻っていったその幾らか後、村人たちは頂上にたどり着いていた】
【しかし通った後の獣道は既に消されていて、一体どこから逃げたのか――あっちの方に下ったような、違うような】
【こんな感じの格好の奴だ、とにかくどこかに居るから探せ! あ……ああ……樹が……死んでいる…… 頂上は一気に騒がしくなっていた】

【火事場の馬鹿力による逃走、服装の変化、獣道の消去、様々な好条件は重ねられたものの……】
【手分けして捜索を始めた村人の一人が2人を発見、大きな声で他の村人を引き寄せる】
【ただ、この状況になる頃はおそらく車までたどり着けるはず。鍵は一郎が持っているので、入ることは容易い】
【しかし入ったところでもたもたしていては車を取り囲まれてしまう、それはそれでマズいが……】

「ま、間に合った……五郎の部隊だ……!」

【と、このタイミングで応援の車が駆けつけて……出てくる数人の男、そして村人たちに向けて撃ち込まれるのは"麻酔"――】
【村人大虐殺なんてすればそれこそ顰蹙どころの話ではない、だが動きを止める必要がある――】
【ライラも一郎も、車を運転できる状態ではないと判断すれば、その男のうちの一人が車に乗り込んで……元の集合場所まで急いで戻ろうとするだろう】

>>810

母親A「待てぇぇぇええええ!?」 母親C「ちょっと、何すっ転んで……つめてぃあああああ!」
村人A「ちょっ、なにしてるんすか! 速く追わないと……!」

【それはもうただただ追いかけて殴る事しか頭になかった異常な母親達だ、冷気を受けて怯めば、バランスを崩して転倒】
【流石に前の者が転べば一時的に動きはとまるか、後に続く四人の村人たちは一旦立ち止まることとなる】

『破壊ですか……私も賛成です、指名手配犯と関わりがありそうとなると……良い予感はしません』
『破壊したら速く車に乗り込んで逃げましょう、多勢に無勢、ヘタすると樹よりも厄介ですから……!』

【二郎は小屋から脱出、そうすればおそらく小屋は赤い炎に包まれて――やがては魔法陣も何もが焼け落ちるはず】
【もうすぐそこに村人が迫っていた、転んだ母親たちに構わず追ってきた4人、そして後から戻ってきた何人か――先程の母親2人が転んだおかげで若干の時間は稼げたか】
【――ふと空からヘリコプターがやってくる音がした、見上げれば確かに存在していて】

『六郎ッ! 助かった、速く引き上げてくれッ!』
『こちら二郎、一郎、大丈夫か、こちらには六郎が駆けつけてくれた、そっちはそっちで逃げて貰って構わない、以上!』

【そうして下ろされる救出用のカゴにしがみついたり乗ったりすれば、この窮地はひとまず脱出できるはずで――】
【少々狭いがヘリコプターに4人、ぎりぎり乗れなくもない、後はこれで元の集合場所まで戻ることが出来るだろう】

>>ALL

【最後は村人による脅威もあったが、当初の目的である"植物の伐採"と"反対の理由・情報収集"はうまくいった】
【ライラが傷つけた周りの木々等は……現場に居合わせた一郎が、あれは伐採した植物がやったと必死に説得し、何とか減額を免れる】
【騒ぎが落ち着いた頃、伐採した樹木を回収し――研究などが行われ、またその一部を報酬として受け取る権利を3人は得るだろう】
【――報酬金もそれと同時に渡される、ライラには100万、ギアとミハエルには50万。】
【その後、野菜の供給も安定するようになり、貧困や野菜不足は解消され――今日も、サラダが美味しく頂ける。】

/時間も遅いのでここで〆たいと思います! お疲れ様でした!
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/05/11(日) 05:19:30.53 ID:6jECWZWr0
>>812

【ヘリコプターから下ろされたカゴにしがみつき、村から脱出する】
【そのまま撤退する四人、植物の伐採も上手くいった様で、残した仕事も無いだろう】


……初めてだったが、今回は君という人間を存分に見させて貰ったよ。
君はとても強い、俺なんかよりもずっとな……
それじゃあ、これからも同じUNITED TRIGGERの仲間として、よろしく頼む……!

【帰りのヘリで ミハエルはギアにそう伝えるだろう、これからもよろしく、と】

【元の集合場所に戻ったのなら、先ずは皆に感謝の言葉を伝えて】
【それからネクタイを締め直して、歩き始める】
【やっぱり緑茶よりもコーヒーの方が好みだ、なんて台詞を呟きながら】

/主催者様、ギアの方、ライラの方、ありがとうございましたー!
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/11(日) 10:41:52.56 ID:GR5hiFnEo
>>811
はい、ミハエルさん――ってそっちにも……!!
おお……さすがです!!

【ミハエルの側へ向かった村人が、一瞬で昏倒する。射撃術もさることながら、冷静な対処】
【味方に彼のような手練れがいることを頼もしく思いつつ、眼前の自身の攻撃の行方を確認】


>>812
(よし……!! 今のうちに……!!)

【彼らが怒りに我を忘れていたことが幸いしたか、『フリーズ・ミニカー』は見事、村人たちの足を止めてくれた】
【残りの村人がひるむ隙に、小屋へと急ぐ。魔方陣が描かれた悪魔の小屋へと】


>>ALL
ええ、おそらく山頂の木と共に、黒幕が残していったものに違いないでしょう
――では、行きます!! ミハエルさん、二郎さん、離れてください!!

【躊躇うことなく、引き金を絞る。派手な音と極彩色の光を放ちながら、花火が乱れ飛ぶ】
【立て続けに小屋に命中。本来命中精度は低いが、目の前の動かないものを狙うなら別だ】
【やがて、小屋と魔方陣が焼け落ちれば、それに代わってプロペラの音が聞こえてくる】


救援!! 助かった……!!

【『花火ランチャー』を能力による異空間に素早くしまい込み、ギアはカゴにしがみついた】
【背後に聞こえる村人たちの罵声を尻目に、ギアの身体が地面から引き剥がされる。そのまま、小さなヘリの中に身体を押し込んだ】


>>813
こちらこそ、貴方と初めて共闘できたことを、嬉しく思います
いえ、そんな……ありがとうございます、ミハエルさん

はい――これからも、よろしくお願いします

【ヘリの中で話しかけてくるミハエルに、ギアは笑顔で答えた。仲間からの言葉。嬉しさは確かにあった】
【だが、瞳の奥に僅かな陰り。自分が抱えている闇。これをそのままにして、UTを名乗ることが出来るのか】
【いずれ、話さなければならないことだ。わかってはいる。だが――】

【やがて、集合場所にたどり着けば、改めて全員に感謝を述べる。共に戦えて、良かったと】
【後は、魂の疲れをいやすべく、帰路に就く。これからのことを、考えながら】


【ひとまず、依頼は成功した。黒幕が悪名高き邪禍と思われる以上、自警団側を信用して正解だった、のだろう】
【ライラもうまくやったのだろう。その後の経過を聞き、報酬も遠慮なく受け取った】

【あの村がその後どうなったのか、そして悪魔・邪禍が何を企んでいたのか……それだけが心残りではあったが】
【それを調査するのは、また後のこと。今は、休息の時を過ごした】

/最後の最後で……申し訳ありません……
/主催者様、参加者の皆様、お疲れ様でした!!
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagesaga]:2014/05/11(日) 11:27:39.76 ID:3s245plHo
>>812

「はぁ……はぁ……あ、危ねー……」

【山頂から滑り落ちるように獣道を引き返し、発見されたのか誰かの声がよく響いて、そして、車へと入った所で例の五郎の部隊が到着した】
【怪我もそうだが、此処まで引き返して来た際の反動が車へと乗り込んでから襲ってきて】
【ゼェゼェと息を切らしながら、其処でライラの意識は途切れたのだった】


【数日後、入院も短期間で終わったライラはしっかりと報酬金、そして樹木の素材を受け取るだろう】
【ギアとミハエルの話では、指名手配犯である『悪魔』、邪禍があの異変に関わっていたらしいが……詳しいことは分からず】
【それでも今は、傷を癒やそうと休息に務めるのだった】

「……やっぱ野菜は、見た目も中身も綺麗な方が良いぜ……」

/主催者様、参加者の皆様、お疲れ様でした! そしてありがとうございましたー!
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/11(日) 22:32:40.01 ID:GR5hiFnEo
【路地裏】

【断続的に響く、細い呼吸音。重い足音。不吉な気配】
【狭い通路を、何者かが歩いている。澱んだ空気を掻き分けながら、ゆっくりと】


【やがて、少し開けた場所に出る。降り注ぐ淡い光に照らされたその男は、異形と言うべき姿だった】
【身長は2メートルを超えているであろう。太い四肢に角ばった顔つき。短く切り揃えられた黒髪】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し、黒いゴム長靴を履いている】

【両目は義眼。右が青、左が黒。額には面積いっぱいに広がる黒い瞳の一つ目】
【両耳は黒ずんで歪み、両手の親指も黒く細長い。口元は、マスク型の人工呼吸器で覆われている。呼吸音の発生源】


【ギョロリ、と一つ目を回転させて周囲を見回す。他者の姿がないことを確認すると、また歩き出す】
【向かう先、汚れきった石壁のそば。その下の地面。錆びた蓋で閉じられたマンホールがあった】
【一つ目の大男がそのそばに屈みこみ、蓋に触れる。小さな音と共に、蓋から取っ手が飛び出した】

【大男がそれを掴んで持ち上げると、地下の暗闇への入り口が口を開ける】
【もう一度周囲を確認すると、大男は下へと降りていこうと巨躯をその中へ押し込もうとする】

【誰かがここに訪れれば、その姿は嫌でも目に付くことだろう。同時に、この男が指名手配されている犯罪者ということも、気付くかもしれない】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/11(日) 23:00:16.83 ID:ZvJT3UgZ0
【とある都市・スラム街】

【夜であってもここには悲鳴や罵声や怒声が響き渡っていた】
【このような場所ではそのようなこと、ここに住むものたちは日常の一部としてだれも彼もが特に気にしはしない】
【だが、今一つだけここには異様な光景がある、それは一つの装甲車がこのスラム街に停車していることだ】

まったく、このような場所で取引をしろとか……彼らも危ない橋を渡るものですね
 ……はぁ、早く終わらせてしまいたいものですよ

【黒い中折れ帽に黒いスーツに黒いネクタイ、黒いコート】
【黒髪でショートカットである】
【その装甲車の持ち主であると思われる男はそのようにして愚痴をこぼしながら装甲車の壁に背を預ける】

【男が愚痴でこぼした取引を行おうとしてここに来た、しかしなかなかその取引相手が来ない】
【これは囮調査だったのかとそのように思案しながらもやっぱり、待つことにしている】

ですがもしそういう事であったのならば……逃げるほかなさそうですね
 幸いにも足はありますし……そうならないことを願うばかりですが

【そのようの思いながら背中を装甲車から離して装甲車後部にあるハッチを開けて中に入っていく】
【そしてそのまま数秒たってから再び出てくる、その手に持っているのは飲料水だ】
【ハッチを閉めれば男はその飲料水を一気に飲み干して、その場で再び待つことになる】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/11(日) 23:05:23.27 ID:9UyayaXg0
>>816

【――その後ろで小さく“こつん”と音が鳴いた、ふと瞬くような気配は、きっと相手の姿を認めてのもの】
【それはちょうど、彼のおっきな身体がぎゅうぎゅうに狭いところに入り込もうとした一瞬、ちらりと視線の隅を過ぎった気がして】
【けれど何より目立つのはそんな音や気配じゃなかった。それよりもずっとぶちまけるような、濃ゆい水の魔力が喧しく】
【滝の傍に佇んだような冷たさ/涼しさを体験するような――そして、それはそこに居るのが誰なのかを教えてくれるようだった】

カニバディール?

【こつんともうひとつ鳴く音色はどうやら足音だった。控えめに一歩二歩と近づいて来る音が、きっとひとつきりの視線を吸い寄せて】
【よほど警戒すべき人物でもないが安心していい人物でもない、たまたま争わないという一点で利害が一致しているだけの、ひとがたは】
【至極平和な色で鈴の音が尋ねてくるのだった、スカートをひらり揺らして、なんにもなければ、彼の傍に立って――】

…………だいじょうぶ? 詰まってない?

【スカートを一度調えてからしゃがみ込む、何か見えないように隠し込むのは手に持っていた四角い鞄、それが視界を遮って】
【覗き込むようにしながら――そんなことを問いかける。(だって見えた姿は巣穴にもぐりこもうとしてお尻の引っかかった兎みたい)】
【手助けが必要な状態かどうかを気にしたのだろう、きっと大丈夫なんだろうとはどこかで思いながら――緩く、かしげる首】

【黒色の髪は曖昧に編まれた三つ編み、きっちりしていないアバウトな結い方は、風の吹くたび柔らかそうにふわふわと揺れて】
【ちょんと被ったヘッドドレスから垂れるばらを編んだレース、右の耳にだけ付けられたピアスを飾るような、隠すような、曖昧さ】
【チェック地のワンピースは腰元をコルセットで締めて、特別ふんわりするスカートにはたっぷりのパニエの気配、まあるく膨らみ】
【ボタンのいくつか留められた胸元は残念な高低差、すらっと伸びる足の華奢なのを見れば、仕方のないことでもあるようで】
【ころんと爪先の丸いパンプスはかかとの分厚いもの、それが、ハの字を描くよう、ちょんとかわいらしく揃えられていて――】

【かっちりと四角いかたちの鞄を摘む両手にはレースの手袋、そんな片手が戯れのよう、ひらりとそちらへ伸ばされて】
【どう?とばかりに首が傾げられるのだった。もちろん、取ってやる義務なんてものはそこにない、ただの暇つぶしのような】

こんばんは、ごきげんよう。

【そうしてにこりと笑ってみせた、路地裏には似合わないような明るい笑顔――けれど、真っ直ぐすぎるということもない色合い】
【こんな世界をうろつくことが違和感のようでそうでない現実、それは可愛らしい花に毒があったときの気持ちときっと似て――】
【伸ばした手が取られるにしろ取られないにしろ、相手の返答を待つために黙りこむ間があるはずだった。そんな空白を、生温く澱んだ風が、通り抜けて】
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/05/11(日) 23:41:23.74 ID:GR5hiFnEo
>>818
【ピクリ、と巨体が反応した。見られた。相手によっては、消す他ない】
【自分の能力なら、この状態からでも反撃は可能。まずは相手の正確な位置】
【そこまで思考したところで、大男の感覚に触れたのは覚えのある魔力の流れ】

【滝壺のごとき激すら思わせる、そんな魔力の持ち主で、己の名を呼ぶものなど、一人しかいない】

……鈴音か

【呼吸器をつけているにも関わらず、違和感のない発音】
【戦闘態勢を解き、ゆっくりとそちらに額からの視線を投げた。少なくとも、すぐさま攻撃せずともいい相手】
【控えめな足音もまた彼女らしく。発せられた声は、穏やかと言えるものだった】

【彼女が接近してくれば、それに任せ。カバンを絶妙の位置に置いてしゃがみ込んだことに対しても、何をするでもなく】
【こちらを覗き込むような仕草と問いかけ、初めて遭遇した時はこういうやりとりをすることがあるとは思いもしなかった】

【首が傾げられれば、人工呼吸器の奥でわずかに口元を緩める。詰まってはいなかったが、わずかながら手こずってはいた】
【変わらず可憐に整えられた服装、己にはおよそ無縁な世界の装い】
【だが、そこから伸ばされた手は、まぎれもなく自分へと向けられていた】


【「すまないな」と呟くと、無骨な右手で軽く彼女の手を取った】
【梯子をゴム長靴で蹴るようにして、ヒラリと地上へ這い上がる。彼女の手には、ほとんど力はかからないだろう。戯れには戯れの返礼】
【すぐに華奢な手を解放し、マンホールの蓋を閉めた。鈍い音と共に、地下への入り口は覆い隠される】
【向き直れば、輝く笑顔。路地裏には合わない光景。だが、彼女も表通りばかり歩いて生きてきたわけではない、それをもまた感じさせた】

ああ、こんばんは。ご健在のようで何よりだ

【沈黙を破って発せられるのは、彼女ほどとはいかずとも穏やかな部類】
【凶悪な指名手配犯には、およそ似つかわしくないものだった。呼吸器が邪魔をして、笑顔を返すことは出来なかったが】
【所詮、己の笑顔など醜悪な異形のもの、かえって都合がよかったかもしれない】


どこかからの帰りかね? お前ならば、路地裏を近道にしても無事に帰れるだろうな

【巨躯を路地裏に屹立させて、世間話のように。つくづく、妙な間柄だなどと思いながら、異形は言葉を発した】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/11(日) 23:56:27.91 ID:52Fn3W2X0
【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【未だに滅しきれず、封印の中でじわりと存在を消さなければいけない者も数多い】
【何時もならば厳粛に門も閉じられ、関係者で無ければ叩くことさえ躊躇う程に厳格な雰囲気を醸し出しているのだけれど】
【今宵は、その門も開いていた。時折このようにして開門して、他の者達との交流も図るのだ。…………とは言え、気軽に訪れる者が殆ど居ないのが現状であるが】


【入れば直ぐ目の前に映るのは砂利を敷き詰め、所々には木を植えたりしたそんな、城の庭】
【良く手入れも施されて居るのだろう。彼の九尾と戦ったときの名残は未だ残ってはいるものの、其れを気にさせない程の美しさだ】
【そんな場所に、少女が一人。鮮やかな着物を纏い、濡れ烏色の髪を腰まで伸ばした存在】
【遠くからでも分かる程に凛とした気配は、この城に住まう姫であると悟らせるか。即ち、此処の封印を一身に担う存在だ】

【所謂お付きの者達であろう。鎧を纏い刀を腰に差すのは屈強な男達】


「――――分かっています。ですが、まだその時ではありません
彼女を殺めるならば、先ず確実に機を確かめるべきです。誰一人欠ける事無く終える。其れは無謀にも等しい言葉である事は理解しています
ですが、人の命は消耗品ではありません。全てが尊いものなのです」

【そんな者達から何か言われたのだろう。恐らくは、悪狐についての事だろうが】
【――――物怖じせずに返す言葉は、実に気丈な姫らしい。手にしている扇子より感じ取れるのは強い“退魔”】
【さて、門からもそう遠くない場所…………と言うよりも、門の近くで】
【声を掛けたならば側に居た者達が一斉に刀へと手を伸ばすけれど、姫の――――琴音の一声によってその動作も止められる】
【まだ二十歳前であろうに、確かに威厳を感じ取れるその姿。上に立つものにありがちな傲慢の態度とは程遠く】
【じい、と向けられた視線は相手の言葉を待つかのよう。何か訊ねる為に訪れたか、其れとも気紛れに訪れたか――――?】






【廃墟――――人が足を踏み入れる事の少ない其処だけれど、今宵は悲鳴が響き渡った】
【声色が一つだけで無いならば、複数の者達が傷付けられたのか。最後に断末魔が響いたかと思えばそれっきりで】
【――――――例え敏感で無くても、その付近には瘴気が漂っている事を感じ取れるだろうか】
【さて、瘴気が漂うとなれば……魔族が居るのか、或いは魔道具や其れに等しい物が在るのか】


「――――5人で襲ってきたのはいいけれど、虚しいお話ね。私を殺すと意気込んできたのに、貴方達が最後に見ているコレは何かしら?
……ふふ。折角生きながらえさせてあげているのだから、声くらいは出せる筈なのだけれど」

【廃墟の中。紅いドレスを纏った一人の少女が、身体を赤く染めながらも立っていて】
【…………近くに転がっているのは男女の骸。全て首が無くなっており、ならば無くなった其れは何処に在るのかと問われれば】
【直ぐ近く。埃の積もった棚の上に陳列されていた。どれも絶望的な表情を浮かべて居るが、時折瞬きをしたり口を動かしたりする事から、奇妙な事にもまだ生きているらしく】


「自分の身体をこうやって見れるなんて、初めてでしょう?
――――――さっき、あれだけ散々喋っていたのだからもう言い残した事は無いわよね
それじゃあ…………“お休みなさい”」

【パチリ、と鳴らした指。応じるかの様に棚が炎上したかと思えば、並べられた其れ等も直ぐに焼け爛れ始め】
【…………悲鳴こそ無い。感覚を無くされていた事が、せめてもの救いか】
【やがては髑髏5つが其処に並べられている事となるのだけれど――――】

【新たにこの場に踏み込んだ存在に気付いたならば、クスリと笑いを漏らして】
【「今晩は。良い夜ね――――」そんな巫山戯た言葉と共に、小首を傾げるけれど】




821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 00:01:53.51 ID:EP3K5w4Q0
>>819

【名前を呼ばれれば「そうだ」と返答するように細める瞳、それはにこりとした笑顔にもきっとよく似て】
【存外綺麗な音で言葉が帰って来たのに違和感を覚えたようだった、少しだけ、瞳が丸くなっているようにも見え】
【指先がちょんちょんと自らの口元を突く、それから続く口の仕草、「それ」と示すなら、】

どうしたの?

【そう尋ねるのだろう。それはある種「そんなで出歩いていいのか」というのを訪ねる様子にも似て、傾げられる首の角度】
【頭を落っことしそうに華奢な首はいつからか巻かれる包帯もなくなって自前の白さが満ちていた、そこに這う黒髪が不思議と生々しく】

【差し出した手が取られる、それからひらりと舞うような動作は、その大きな身体からは少しだけびっくりするような軽さ】
【思ったよりも軽い感触で済んだことを或いは感謝しているのかもしれなかった、変わらず華奢な手には、彼の身体は大きすぎる】
【手袋越しでも柔らかなことと暖かいことぐらいは伝わっただろう、あまり触れ合った記憶もないなら――はじめて生きていると証明したみたいに】

ちょっとね、お散歩してたの。表通りより、静かなところが歩きたいなって――、
――お家は夜の国だよ、ここからでも歩いて帰れるだろうけど……、きっとね、何ヶ月も掛かっちゃう。

そんなに留守にしたらセシルのごはんも作れないもんね、だから魔術でさっさと帰るよ。

【“ちょっと”“おさんぽ”。この場をうろつく理由としてはそれは不適切だった、――あくまで、表の世界での話だけれど】
【多種多様な犯罪者が跋扈する場所でこんな華奢な少女などただの餌のよう。けれどそうなってないのは――彼女だって全うじゃないから】

前も言ったっけ? セシルに帰るための術式を用意してもらってるの、だからどこからでもすぐに帰れるんだよ――。
もう眠たいときとかは便利なの、すぐにお家の前につくから、歩いたりしなくていいし……。

【ついと自らの左手に映ろう視線、手袋の向こう側に銀色の煌きを見透かすようにして、告げるのは始めての言葉】
【別れた後の彼女が振り返った瞬間には消えている理由だった。徒歩で帰るよりも安全な道を用意してもらっているのだと、】
【どこか自慢げな様子にも見えたかもしれない。子供が大切な玩具を自慢するような、きらめきを瞳に載せて】

カニバディールは? 何してたの、こんなところで……、怪我してるの? 病気?
出歩いていいのかな……、倒れちゃうよ。おっきいんだから、誰も運べないよ?

【それからひょこりと起こす身体、彼よりも三十センチはちいさな体躯、それでも靴の分を合わせただけマシと言えて】
【もう少し靴の低いものなら、四十センチは違っていただろう。そうだったとしても、何が変わるでもないけれど――】
【すっくと背中を伸ばせば、身体の前に四角い鞄を提げて。見上げる視線の仕草、大人と子供ぐらい違うなんて、ぼんやり考えて】
【やっぱり“あのひと”よりおっきいかなと思う思考の欠片、からかうように告げてみて――、その身体を案じるようなことを、言ってみた】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/12(月) 00:15:11.84 ID:Aoh73M8Lo
【――戦局がようやくの落ち着きを見せ始めた頃】

【ゼン=カイマの本陣に、一人の大男が届け≠轤黷スという報が入る】
【彼は紛れも無く騎士団の、そして教徒の長であるフレデリック・シャリエールに他ならず】
【しかしその身は傷だらけで呼吸も浅く、まさに瀕死の重傷であったという】

【傷は――右腕と左足首、それぞれの先を失い、魔力の量も大幅に減退し】
【何より逞しく鍛え上げられた胴には、10ヶ所以上もの貫き傷があった】

【――直後、何人もの癒者が治癒の魔術を用いてなんとか露命をつないだものの】
【胴の傷だけは呪われたように癒えることがなく、予断は許されない】
【後にこの傷は、在る目撃証言によってアンジェル・ベルジュロン=\―】
【つまりカノッサの手先に落ちぶれた者の手によるものだと分かるのだが、それは別の話しか】

【また彼を連れてきた存在にも問題があった。類まれな美貌、黒髪、整ったプロポーション】
【そして頭部の角と背の翼と、服装はボンテージという過激なモノであったと言い】

【見たものの中には『かつての六罪王リリアではないか』という声も上がるなんて様相だったが】
【彼女はフレデリックを本陣に届けるやいなや消えてしまって、確かめる術は全く無かった】
【また同じ時、その様子を眺める細身の男が目撃されており――そのシャツは血で所々汚れていたという】


【一方でゼン=カイマ、スラウロットどちらにとっても今回のキーとなった司教達だが――】
【第三近衛騎士団の勇士たちが奮戦したことによって、そのほぼ全てがゼン=カイマ側に捕縛され】

【唯一逃げ延びた――これは騎士団長が担当した――ゴッシュ・シャリエールという老人も】
【戦場となったのだろう副聖堂で顎が砕けた状態で発見・保護されたという】

【しかし彼の運命は悲惨だ。他の司教――つまりかばってくれる者がいなくなった為】
【今回の惨禍は汝のせいであるという旨の弾劾裁判を受け、またその罪の書状を公衆の面前で読み上げられ】
【砕けた顎のせいで反論をすることも出来ず、肥えた身体では逃げる事もままならず】
【司教という地位を剥奪され、教会からは追放され、ついでに行き着いた街で盗みをやって捕まったともいう】

【他の司教たちも数日後には同様にゼン=カイマ側で裁かれ、僧門からは永久追放となった】
【殺されないだけマシなのだ、とは彼らの誰一人として思っていなかったに違いないが】
【怨もうにも一騎当千の騎士ばかりが周りに居ては、唾を吐くことも出来なかったという】



【かくして、ゼン=カイマの――フレデリック・シャリエールの率いた聖地巡礼は目的を果たした】
【武力衝突ばかりではあったが、ようやくその一勢は元の土地へと戻りつつある】

【彼らを率いた当人は生死の境を彷徨い、宝槍カテドラルも所有者の鑑の如く刃は鈍り】
【それでも、純真な祈り―時には狂気とも取られるが―それを持った者だけが、数多く残ったのだった】
【此れを以って、彼らの旅はひとときの休息となる。僅かな時を置いて、ゼン=カイマへと戻るのだ】

【また道中では、フレデリック・シャリエールに代わり北方騎士団長のアレクサンデルが大まかな指揮を執り行った】
【彼は以前、聖地巡礼の反対主流派だったのだが――終わって尚も頑迷な人ではないらしい】
【かつては副団長加賀屋に脅されるような一幕もあったが、彼のお陰で穏健に事が進んだのも確かであり】

【加えて彼はいくつかの事実を公表した。ゼン=カイマの行動にはいくつかの理由があったこと】
【汚れたものを燻る事、その粛清と改革、全教徒への清貧と神の教えの尊さへの意識を高め】
【同時に、そこにはフレデリック個人の理由――復讐≠ェあったことも、共に公表される】

【最後の事実に関しては、彼は譲らなかった。例え第三近衛騎士団の誰が反抗しようとも】
【これがアレクサンデルという男の意志の示し方であり、細やかな復讐でもあり】
【そして敬意を表す方法でもあった。猪突猛進、激情型と信じていたフレデリックが、醜悪な父を前にして尚】
【彼を殺さず――彼がやったのかは知らないが、顎を砕く程度で済ませたことへの、敬意だった】
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga !red_res]:2014/05/12(月) 00:15:53.56 ID:Aoh73M8Lo
【まあ、もっとも…――小さな安穏など、すぐに姿を消すこととなるのだが】

【――数日後・ゼン=カイマの付近にたどり着いた騎士、そして教徒たちは驚愕する】
【何故か。それは至極単純で、ひと目で分かる理由――…崩壊≠ェ待っていたからだ】


『あの……お姉様。よいのでしょうか、こういうことをダグラス様に言わず……
 それに此処はフレデリック様の土地であります。もし罰せられれば…――』

「機関の目的は世界の混沌=c…それを思えばなにか問題が有るのかしら?
 フレデリック・シャリエール、ダグラス・マックスウッド……。
 前者は既に倒れているし、六罪王サマには何も言わせない。……ねえ、ケミッシュ。」

『我々が忠誠を誓うのは機関であって六罪王ではない……と、言うことでありますね。』

「……フフッ。貴方が私の命令に従って盗ってきた石鬼の本体、役に立ったわね?
 まさか本人も……自分の護るべきだった都市を潰す事になるとは思わなかったでしょう…――。」


【―――先見の者が見たゼン=カイマは、既に単なる廃墟≠ニ化していた】
【無数の聖堂も、鐘楼も、図書館も。郊外の一部を除いた全てが大破壊の憂き目に遭った】

【原因はひどく単純なものだった、怪物だ。都市一つ潰すような化け物が其処には居た】
【灰色の体表、大小三本の大角に加えて両腕にはぎらりと黒い刃が二振り】
【耳たぶはだらりと垂れてその全てに綺羅星の如き宝石が無数に連なりを見せ――】

【そして、腹はぼこりと膨れ対照的に手足や首は異常に細い。――バランスで見れば、だが】
【言うなれば餓鬼≠フような者が、ゼン=カイマの跡地とでも言うべき場所に陣取っていたのだった】

【ある者が見れば、それが誰だか分かるだろう。そして、あたある者が見れば】
【何故彼≠ェそこに居て、雲をも衝くような巨躯に変貌を遂げたのかも】
【多くは断片的にであるけれども――アンジェル≠ニいうワードで想像できるものも居るかも知れなかった】

【―――その者の討伐命令が宣旨されるのは更に数日後のこととなる。が、これはまた別の話】
【聖地の巡礼は終わり、究極的な終焉もまた近い。混沌の世に、クスリという女性の笑い声が響いていた】

/遅くなりましたが聖地巡礼其之参、イベントの最終的な締めの文となります
/参加者の皆様には改めて感謝致します。ありがとうございましたっ!
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/12(月) 00:38:53.38 ID:3Cu1z+Q/o
>>821
【細められる瞳は、己の醜悪とはどこまでも対照的に。まっとうな人種ではないにも関わらず、綺麗な瞳】
【こちらの発音に彼女が驚いたのを見て取れば、すっと右手を掲げて掌を彼女に見せる】
【そこに口が生えていた。大男の能力による肉体の増殖。身体のどこかに口を生やして、そこから声を発していたのだろう】

【さらに、続く言葉は己の有様。見知った相手なら、当然気にするところではあるだろう】
【細い首筋に巻き付いていた包帯がなくなった彼女とは、またも対極であった】

……以前話したヴェンドゥラーでな。目論見は成功したが、敵の一人に銃撃されて喉を潰された
幸いにして、活動にそれほど支障がない程度には回復したがね

【手短に述べる事情。その敵、あの不殺のガンマンが目の前の彼女と関わりがあるとまでは知らないまま】
【細い呼吸音が、間断なく。だが、一つ目の生気は衰えることもない】


【彼女の身体に不要な負荷をかけることは避けられた。そういえば、その手に触れなどしたのは初めてのことだ】
【大男が柔らかさと暖かさを覚えたのなら、彼女には固さと冷たさが伝わっただろうか】

なるほど。静けさを求めるなら、確かに良い環境だ
……ああ、そうだったな。しかし、ならばずいぶんと遠出を――ほう。いや、初耳だよ
いつも煙のように消えていたのはそういうわけかね。セシルさんも、便利な魔術をお持ちだ

彼とは、変わらず仲睦まじいらしい。うらやましいね

【自慢げな彼女に、感心した様子を見せる。事実、かなり使い勝手のいい魔術に思えた】
【だがそれは、家に帰るという誰もが行うことに使われている。荒事から離れた彼らには、きっとふさわしいのだろう】
【互いに過去を抱え、互いに支え合う夫婦。己には無縁な世界がそこにあった】
【だが、羨望などは抱かない。己は望んでこの闇の中に沈んでいるのだから】


私は、見回りだよ。何分、敵の多い身の上だからな。仲間と交代で、活動範囲を巡回しているというわけだ
怪我は怪我だが、世界は私の傷が癒えるのを待ってはくれない。悲しいことだがね
心配は感謝する。仲間に、私でも引きずっていけるような力持ちもいるから、大丈夫だ

【少しからかうような色合いの彼女の言葉に、こちらは至極まじめな回答】
【先ほどまで、神経が鋭敏になっていたから故か。自分よりずいぶんと低い位置にある彼女の目を見ながら】
【ギョロ、と動く一つ目は、普段の剣呑な色を抑え込んでいた】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 01:06:20.38 ID:EP3K5w4Q0
>>824

【はじめて見せてもらった能力の欠片、驚いたように丸くなる瞳は、彼のその能力の残滓をきちんと見届けて】

わあ、……どうなってるの? 何か持つときとか、不便じゃない? なんだろ……わあ、

【静かにしている――かと思えばそうでもなかった。まあるく見開いた目で重ねていく質問、それはちょっぴり無遠慮なよう】
【そのうち自分の掌もじっとり見つめたりするけれど当然そこに口なんてものはない、寧ろ、手袋のせいで素肌すら窺えないのだけれど】
【能力なのか、と尋ねるような視線があった。どう答えたにしろ――そのうち、納得したように「そっかぁ」なんて呟いたりするのだった】

銃撃……、……、そう、だいじょうぶなの?

【――彼を心配するのは世の中から見れば間違えているのかもしれない、街を襲うようなひとを心配するだなんて、あまりにも、】
【“普通”とか“平和”からは離れていくようで。でも、何度か会話を交わした“不思議な知人”。何も心配しないのはひどい風に思えて】
【けれどこうして出歩いているならよっぽどひどいというわけでもないのだろう。それならちょっぴり安心、――きっと安心】

【(銃撃、と聞いたときにあからさまにテンションが落ちたようだった。しゅーっと伏せた視線は、元気がないように横に逸れて)】
【(こわいものを見るかのようにちらりとその喉を窺う、そこに銃創を見出してしまったなら、きっともっとずっとテンションは低くなって)】
【(何にもなければそのまま緩やかに元気を取り戻していくはずだった。どちらにせよ、一時的にテンションの低くなるのには変わりがなく)】

来る時も魔術で送ってもらうの、いっつも大変かなって思うんだけど――そうじゃないと、出かけるの、たいへんでしょう?
船とか飛行機で来るわけに行かないもん、夜の国ってだいすきだけど、ずーっと夜なの、飽きてきちゃうし……。
……たまに日向ぼっことかしたいもん、夜になっちゃうとあっちでも変わらないけどね。でも、こっちのほうが知り合いが居るかもだから。

【予め登録された電話番号にしか電話できない携帯電話のよう、制限された便利さは、けれど、彼女にはちょうどよくって】
【遊びに行きたいたびにお願いするのも少し気が引けるのだけれど、そこは適当に出たり出なかったり、調整しながらお願いしていて】
【でも時折お日様が恋しくなる。たまに公園だとかで日向ぼっこして、うとうとしているのを見かける――だなんて余談だったけれど】
【なんだかんだ今の暮らしで楽しんでいるようだった。にこりっと笑って見せたなら、指を伸ばした左手、手袋をついと抜き取って】

仲良しだよ、カニバディールが思ってるより、きっと、仲良しなんだから。

【上機嫌なように指輪を眺めるのだった。とろりと目元を綻ばせて――そんなことまで言って。よほど自信があるらしい】

そっかあ……、……よかった、知り合いで。そうじゃなかったらきっと、わたし、今頃違ってたよね。
だって縄張りなんでしょ? わたしだったら知らないひとが居たら嫌だもん、逃げちゃうけどね――、

……わたしね、ひとと縄張り取り合うのが嫌でいっつもひとにあげてたの。だからね、喧嘩とかあんまりしなかったんだよ。

【「いい子でしょ?」なんて冗談めかす言葉が続く、ふわりと笑って見せた顔は――不思議とひんやりと冷えていて】
【そうして零す過去の一欠けらは。彼女がこんな場所に居たのだという証拠でもある、それでも、せめて平和めこうとしたような残滓】
【しあわせな今じゃない、伏せた過去のお話――少しだけ違和感があるようだった。咬みつきたがりな彼女は、いつの頃のお話なのか】

【(一時期荒れていた頃以外はせめて全うにしていたものだった。誰にでも目を伏せて、縮こまって、すぐに道を譲って)】
【(すこしでも嫌なことがあったらすぐに逃げ出す。そうして誰も居ない隙間みたいな場所を見つけて、そこでなんとか生きていく)】
【(どこかに定住しなかったなら、誰とも仲良くなんて出来なかった。そもそも、こんな世界で仲良しこよしだなんて――難しくて)】
【(ひとりぼっちに弱い彼女の暮らせる場所じゃなかったとは余談。それでもそこしかなかったから、離れられなかったことも)】

【(そしていつかは好んで沈んだ場所だった。水面に撒いた餌みたいにおびき寄せて、逆に喰ってやる)】
【(それしか知らない子供みたいに繰り返して、泥の地面で眠る。そんな暮らしは、或いは彼のものにも近かったのか)】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/12(月) 01:54:47.31 ID:3Cu1z+Q/o
>>825
【そういえば、手札を見せるのはこちらも初めてだった、と思い至り】
【このグロテスクな有様を見てその反応、むしろこちらが面喰いかけた】

……お察しの通り、私の能力の一端だ。掌以外にも出せるし、物を持つときはひっこめられる
見てくれは悪いが、なかなかに使える力だよ

【無遠慮ともいえる言動に気にする様子は見せない。自分の掌を見つめるさまは、少し可笑しくすら思えた】
【口が閉じて溶けるように消え、もとの無骨な掌へと戻る】


……余計なことを言ったな。気分を害したなら、詫びよう
こうして出歩いているんだ、今は平気だとも

【彼女と同じく、奇縁だと感じていた。互いに味方ではないが、敵とも言い難く】
【知人。強いて言えば、そうなるのだろう。自分のような救えぬ悪党に、心配するような言葉】
【表情には出せないから、言葉と声音で小さな気遣いへの感謝を示した】

【喉に銃創は見当たらない。能力を用いて、傷は消したのだろう。内部の気管までは、そうもいかなかったらしいが】
【彼女のテンションが下がってしまえば、余計なことを口にしたと少し後悔が鎌首をもたげた】


行きにも使えるのか……交通機関いらずだな
ああ、それは私にもわかるよ。私も今は昼の国に居を構えているが、いつも太陽の下では飽きがくる
いや、地下や路地裏にいるほうが多いかもしれないが

知人に会えるというのはいいことだな。私の知人は多くが穏やかではない間柄だ、うらやましい限りだよ

【魔術の詳細までは効かず、しかし彼女が満足していることは伝わってくる】
【セシルさんもことあるごとにでは大変だな、などと思ってもみたが、愛する妻のためなら喜んでやっているのだろう、と思い直す】
【年中日の光が降り注ぐ地にいながら、お天道様を拝む立場にない自分とは、やはり対照的だ】

【彼女が講演で過ごす場面には、おそらくこの先出会うことはないだろう。彼女の笑顔、手袋を抜き取る仕草すら様になっていた】


……そうか。なら、よかったよ

【嵌められた指輪。共に生きる証。綻ぶ目元。見つめる一つ目の澱みをものともせず】

――ああ、おそらくはそうだろうな。穏やかではない事態になっていただろう
少なくとも、足の下はそうだな。我々の領域だ。地上はその限りではないが

……そうかね。その結果、お前が今を生きることが出来ているのなら、悪い判断ではなかったかもしれないな

【彼女の表情、先とは違って低温のもの。今の己と同じ、闇色の残滓】
【大男は、彼女の過去を知らない。詮索しようとも思わない。違和感はあれど、自分の知る彼女は、今の眼前の彼女なのだから】
【泥の中を這いずるような暮らしは、自分にも仲間にも覚えがあるものだ。言葉にはせずとも、察せられて】

――昼の国のゼン=カイマ、櫻の国の妖狐騒動と、世界は相も変わらずだ
お前の過去は知らないが、お前の今が幸福であろうことは知っている。それが、永く続くことを祈ろう

【今現在、特に危険であろう場所の名を口にしたのは、あるいはこの異形なりに彼女ら夫婦を心配してのことだったかもしれない】
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 02:28:51.27 ID:EP3K5w4Q0
>>826

【グロテスク――というなら、そんな光景何度見ただろうか。じゅうじゅうと肌の煮えたぎる人間など、飽きるほど】
【面白かったけど面白くなかった。誰彼同じ反応、肌のぶつぶつ沸き立つ瞬間なんて、本当に楽しかったのは最初の数人だけだった】
【そんなわけで耐性ならいくらかあるのだった。流石に、手に口が生えている光景――というのは、ものめずらしかったらしいのだが】

そっかあ……、ご飯食べながらお話してもそれなら平気だね、その場合はお行儀いいのかな、悪いのかな……。

【自分の異能とはまるで違う性質、やっぱりひとによって違うのだと再確認するようだった。いろんな色合いに分かれる異能の性質は、】
【どうしてこんなに多様性があるのだろう。たとえば植物がひとつひとつ違うように、みんなみんな違う色の花が咲くのが面白い】
【――頭のいいひとならもっとよく考えることも出来ただろう。けれど学校に行ったこともない彼女には、それぐらいが限度だった】

ううん……いいの、わたしが勝手に苦手なだけだから、――。
……――撃たれたことがあるんだ、……うん、それだけ……、……それだけだから。

【指を互い違いに組ませる仕草、しゅんと伏せた視線はそのまま地面を這いずって、ぐるぐると行くあてもなく彷徨った】
【悲しげなのになぜだか笑う、にっこりと――それから、ふらりと頭を揺らす仕草で、言葉を打ち切った】
【これで終わりということだろう、あんまり言いたくないと――そう告げるみたい。手を下ろせば、鞄の中身がかたりと鳴いた】

そうだよ、だから最近、あんまり電車とかって乗ったことがないの……、昔からね、あんまり使わなかったけど。
どっか行くときは大体歩いちゃうんだ、あんまり遠いと嫌だけどね――車には乗れないの、酔っちゃって。

昼の国に暮らしてるの? それなら真逆だね、すっごい遠いから……こうやって会うの、不思議な感じ。
……昼の国は日焼けしちゃいそう、遊びに行くならいいけど……ずうっと住むのは、わたし、やだなあ。
お日様っていっつもだと疲れちゃう、なんだろ、明るいのって嬉しいけど……眠たくなっちゃうの、疲れちゃうみたい……。

【確かにそんな魔術があるなら電車だとかは要らないだろう、街中に出てきた後に使うならともかくとして――それだって、】
【対して遠出したりもしないなら要らないもの。適当な距離なら歩けてしまうし、ちょっとした長距離だって、歩くのに慣れていたから】
【――昼と夜、真逆の国に暮らすふたり。本当なら出会う可能性も低いはずなのに、どうしてかこんなに不思議な縁が繋がって】
【こんな場所でちょっぴりお話を交わす仲になった奇跡、それからふらっと零した言葉は、別段悪口を言うつもりでもないのだけれど】
【日焼けしちゃう――というのは女の子にとっては死活問題と言えるのだろう。その分彼女の暮らす夜では、そんな心配要らなくて】

喧嘩ってね、ずっと嫌いだった。今もあんまり好きじゃないよ、だってね、怖いもの――怖いでしょ、怖いんだよ。
怒ってるひとって苦手、怒鳴り声とか聞こえるとね、身体がぎゅってするの。息がね、上手に出来なくなるの。

ずっと逃げてた、でもね、逃げてた時の方がいい子だったな――、そのあとはね、悪い子だったから。

【ふらりと身体が振れる、かたんと踏んだ足元で鳴る音、ひらりと返した身体を預けるのは、薄らと汚れの積もった壁】
【そうしているのが心地よいという風に瞳を細めて――そうするのは、ちょっぴりずつ自分のことを明かしていく準備をするようで】

/短く出来なかったので続いちゃいます……
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 02:29:56.46 ID:EP3K5w4Q0
>>826>>827

……わたしね、本当はカニバディールとおんなじだよ。誰かに追いかけられて、捕まえられなきゃいけないひとなの。
それぐらいのことしたんだもん、……最近やっと分かるようになったの、ひどいことしたんだって、わるいことしたんだって。

でもね、あの頃は誰かに構ってもらいたかったの。誰かが通り過ぎちゃうのが嫌で、それがすごく寂しかった。
だからね、通り過ぎる前に咬み付いたら。みんなわたしのことを見てくれるから、それがね、うれしかった。

……本当はしあわせになんてなっちゃいけないんだと思うの。それぐらいひどいことをしたの。でも……セシルが、優しかったから、

【ぽつぽつと紡いでいく言葉の羅列、それはかつてを懺悔するようにも似て、ただ、償いからすら逃げ出す臆病者】
【今のしあわせが引き裂かれてしまうのが恐ろしかった。何をしたのかは理解したけれど、償うことがひどく恐ろしかった】
【悪い子だとわかっているのに、だのに、悪い子だといわれたくない我侭。誰かにそういわれたら、自分が決まってしまいそうで】

【――“さびしさ”が心を毀した、とんでもない高さから叩き落した鏡をさらに踏みつけたように、ぐちゃぐちゃに荒らされて】
【誰かと接点を持ちたくて、ただ寂しくて、――歪んだ心は誰かを害することを選んでしまった、それしか方法がないと思いこんだ】
【そんな彼女だったから、優しくしてくれるひとを見つけてしまえば後は早かった。“さびしい”のを埋めてくれるひとを見つけたなら、】
【――今こうして話していられる。言葉より先に咬み付くこともなく、昔の行いを反省できるぐらい、まともに戻れた】

【(でも、地面に額を擦り付けて赦しを乞うほどの後悔ではないのだった。割れた硝子が綺麗に戻らないのとおんなじように)】
【(一度毀れてしまった心は綺麗に戻れない、くっつけた跡、刻んだ皹は、すぐにまた割れてしまいそうな脆さで、そこに居座るのだった)】

/そしてすいません、そろそろ眠気がひどいので、後日に引き継いでもらうことは大丈夫でしょうか?
/一応明日でしたら用事はないはずなので、夕方頃には待機できていると思うのですがっ……
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/12(月) 02:32:51.20 ID:3Cu1z+Q/o
>>828
/了解しました、こちらもそろそろ危なかったのでありがたいです
/こちらも夕方からなら待機できると思います。いったんお疲れ様でした!
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 02:39:54.87 ID:EP3K5w4Q0
>>829
/それなら夕方ごろにお呼びしますねっ、ひとまずおつかれさまでした!
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/12(月) 19:20:39.88 ID:3Cu1z+Q/o
>>827>>828
【彼女の能力がどういう効果をもたらすかは、知るところだった。人の身を溶かし焼き尽くす力】
【それに慣れているなら、驚きが少ないのも道理だろう。裏の街道ではこの程度、日常の光景なのだから】

面白いことを考えるな……私は、食う時はそれに集中してしまう性質だから、そういう機会はあまりなかったが
ふ、ふ。まあ、行儀がいいとは言えないだろうよ

【能力に限らず、この世界はあまりに多種多様だ。あらゆる要素が複雑に混じり合い絡み合う】
【カノッサ機関が動かずとも、すでに混沌の渦の中にこの世界はある、とすらいえるかもしれない】
【同じく、まともに学校に通えるほどまともな半生ではなかったカニバディールも、理論的な詳細までには行きついていないが】


……なるほど、トラウマか。知らぬこととはいえ、すまなかったな

【地面へ吸い寄せられるように下がりのたうつ視線を見ながら、一言それだけ告げた】
【彼女の過去に何があったのかは知らない。闇の中にいた経験があるなら、そういったこともあるだろう、と察しはした】
【哀しげな笑みを目にすれば、それ以上追及することはない】


我々も公共の機関は使えない。電車など、もう十数年以上は乗っていないな
我々は専ら車だが、乗り物酔いとは難儀なことだ。移動魔術は、便利というより必須か

まったくだ、互いに真逆の位置にいながら、よく遭遇の機会があったものだよ
ああ、あそこはいつも暑いからな……日焼けを嫌うなら、居住は避けるべきだ
……ああ、私も日光を常に浴びるのは少々苦手だ

【まごうことなき昼の国の出でありながら、太陽を浴びるより暗闇に潜んでいた時間の方が長かった自分自身に】
【あまりに今更な自嘲を内心で漏らす。元より人に仇なす犯罪者、彼女の苦手との言に気にしたりはしない】
【この奇跡的ともいえる繋がりに比べれば、気にするようなことでもなかった】


そうだな。恐ろしいとも。怒り、戦う者たちは常にそうだ

【自分とて、悪としての道のさなかで多くの恐怖を味わわせられてきた。その怖さ知らずして、ここで生きてはいけない】
【しかし、汚れきった石壁に身体をもたせ掛ける彼女からは、それ以外の感情を感じさせた】

【彼女の言葉を、カニバディールは黙って聞いていた。形の歪んだ両耳が、彼女の言葉を拾っていく】
【償い。生まれついての邪悪として生きてきた己には、到底望めぬものだった】
【自分の罪を自覚した上で、しかし手にした幸せを失いたくない。その葛藤】

【彼女に過去、そうさせた何かは、彼女の心を砕いた。心は、一度入ったヒビをもとに戻せるほど簡単なものではない】
【今は、彼女の伴侶がそれを支えているが。こうして心の内が漏れ出している以上、未だヒビはその心を蝕んでいるのだろう】


……私は、物心ついた時にはもう身勝手で残忍な悪党だった。お前のように、さびしさから凶行に及んだわけではない
自ら償うつもりもなければ、悪党であることを辞めるつもりもない。いつの日か、地獄に落ちるその時までな
その時が来れば、粛々と受け入れる覚悟はしている

自らが許されぬことをしたことを自覚している点は同じだが、お前は私とは違ってこれ以上罪を重ねるつもりはないのだろう
ならば、続く限りはその幸せをかみしめておくことをすすめるね
過去は変えられず、お前もそのことで苦しみ続けるのなら、それはどうすることも出来ないことだ

過去が無理なら、今と未来に目を向けろ。幸いにして、お前には共に歩む伴侶がいるのだろう
別に幸せを壊さずとも、彼と共にそのわだかまりをどうにかする方法を探すことくらいは、出来るのじゃあないかね

……無理をして、慣れないことをするものではないな。都市一つ潰した極悪人が、何をほざいているのやら……

【生まれついて持っていたこの能力。これによって、カニバディールは物心ついた時から邪悪だった】
【食えば食うだけ、糧となった命の怨嗟の声が聞こえる。ずっとずっと、この声と、この恨みと、共に生きてきた】
【その重さを知った上で、悪の道へと走った。己の意志で。だが、彼女は違うのだろう。ならば、償いと幸福を同時に追求する資格くらいはあるのではないか】

【長々と語った後で、ついと視線を外して自嘲した。なんだこれは。己のごとき、罰しかいらない悪党が、何を言っているのか】
【どうにも、毒されすぎた。呼吸器の奥の表情は、そんな己を戒め、今一度己の進むべき血みどろの道を見据えようとしていた】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/12(月) 19:49:16.14 ID:VyEA9dIzo
【とある国の自警団本部――】

『ええ、確かに……依頼は……成功致しました……ええ…………』
『……ええっと、はい……え? 周りの植物がボロボロ?』
『すみません、それは……あの樹が……勝手に壊したもので……ええ…………』
『…………ええ、はい、……ですから、伐採時の被害でなく……元からああなってたんです…………』
『……はい、わかりました、……はい、失礼します』

【包帯をあちこちに巻き、松葉杖を突きながら二郎の様子を見る一郎。どうやら報告のためにわざわざ一時退院したようだ】
【そして、今回の依頼の大元である"植物愛護団体"へ電話をしているのは二郎である】
【成功報告と、ライラの攻撃による周囲への被害を何とかかんとか誤魔化し――そして、報酬金をきっちり振り込んでもらう】

「…………うまく、……誤魔化せたか、二郎」 『ああ、樹に押し付けといたから多分大丈夫だ』
「すまんな、情報集約の仕事も有るっていうのに」 『なーに、兄弟が遠慮しててどうすんだって話だ』

『……ただよ……なんつーか……植物愛護団体ってケチなんだな…………』
「そりゃあ、……お前…………ただの愛護で……金が入るか……っつーの……天下り先でもあるまいし……」

『……しかし……まさか邪禍が関わっているとはな』 「ああ……やけにおかしい……樹だと思ったが……」
『こうなると、他のどこかにもわかりにくい何かを仕込んでいそうだな……』 「……調べる必要、……ありそうだな」


【――――数日後、村の様子を見に行った五郎・六郎ペアは奇妙な光景を目にした】
【あれほど明るく活発だった村人、その姿が一つも見当たらないのだ】 【それどころか、家すら無くなっていて】
【そう、ここは本当に街だったのか、それすらも疑わしいくらいまで……"なにも無くなっていた"のだ】

{……邪禍は確かサンヴェスト盆地の一角の村を無くした経歴が有る……これもその時使った能力なのか…………}

【村の様子が落ち着いていたならば、あるいは"樹の回収作業"に支障をきたさないか、それを見に来ただけだった――】

【一応、樹の回収作業には問題ない、――彼らの部隊が、辺りに散った樹の一部や残っていた樹の根を掘り起こし回収する】
【アレほどぼろぼろになり死んだと思われていた樹は、既に断面から新しい息吹を吹き出していた――】

【そしてそれらは研究機関に送られるとともに、今回依頼を請け負ってくれた三人へ報酬として受け取る権利が送られてくる】

【その際、この樹の正体が何であるかもわかるだろう――】
【とある青年は言った。"これ、しってる、……めずらしいの" その青年と関わりのある研究者に話は伝わった】
【あの樹の名前は"シードリノス"――別名"豊養樹"と呼ばれ、異世界にしか存在しておらず、そこでは天然物が絶滅を危惧されている】
【花は咲かせず根等でしか増えないが、便宜上花粉と呼ばれる非常に細かな粒を生成でき、それはあらゆる雌しべと受粉する性質を持つ】
【受粉すると、その植物からなる実や種は非常に栄養が豊富になり、またそれから生えるモノも同じくそうなるのだ。但し、この特殊状態は遺伝しないらしい。】

【但し。豊養樹に"受粉先に黒斑付与"なんて効能はない。確かに色は鮮やかで濃くなるが、見栄えに問題は起きないはずなのだ】
【それに、好戦的になるとか身体能力が異常に高まるとか、そんな効果もない。――そもそも、樹の色も通常の豊養樹とは違っていた】
【研究者の結論としては、"魔界で育った豊養樹か、あるいはその性質を持つように改造されたそれが、何らかの理由で持ち込まれた"】
【――これなら、邪禍と繋がる。】 【持ち込んだのか、改造したのか、どちらにしても邪禍の力があれば可能なのだ】

【そしてここ数日で得られた性質も幾らか知ることが出来る。それらはもし素材を受け取った場合、教えてもらえるだろう】

【……結局、邪禍は何が目的だったのか。伐採されたからと言って村を回収した理由は。――謎はまだまだ有るが、いずれ解明されるに違いない】

/一昨日のイベントの後日談です、改めてありがとうございました!
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 19:52:52.21 ID:EP3K5w4Q0
>>831

【あの頃は自分が何をしているのかも分からなかった、ただ寂しくて、ただしあわせになりたくて、ただ誰かと居たくて】
【ほんの一時だろうと“出遭えば死ぬ存在”として生きた。そうでもしないと、誰かと一緒になんて居られないと思って】
【人間だった水溜りの傍で独り言を繰り返しながら眠る、頭を切り落とした人間だったものを抱き締めて何かを語らう、繰り返し】
【そうでもしないとやっていけなかった。でもそれはきっと言い訳だし、甘えだし、同じぐらい苦しいのに我慢できたひとは居るはずなのだから】

わたし……、……わたし、きっと、地獄にも堕ちられない。死んじゃっても死ねないんだよ、……わたし、人間じゃないんだ。
死んじゃってもまた目が覚めるの、何もかも嫌で辞めたかったのに、そのたびに目が覚めるの。何度もね、死んでるんだよ。
恋人“だった”ひとに二回も殺された。自分で何度も死んだし、いろんなひとに殺された。それでもね、わたし、ここに居るの。

【「ひとに化物だなんて言う資格ないんだよ」】
【冷たく汚れた壁に預けた背中がずりずりと落ちていく、少しだけ捲りあがるスカートは、けれど何にも見せないうちに地面に触れて】
【ぺたん、とお尻で座り込む。こんな場所に座るのを嫌がらないのは――やっぱり、なんだか、普通のひととはきっと違っていて】
【自嘲するように笑みを浮かべる、彼の能力は確かに化物染みているのかもしれないけれど――本物の化物に比べたら、きっとまし】

うん……、……もうしないよ、きっとしない。寂しくないもの、世界にひとりじゃないって、分かったの。
……いい、のかな、それで……わたし、今のままで生きてていいのかな。普通にしてて、いいのかな……。
……――でも、でも。わたし、今のままがいい……、毎日しあわせに暮らすの、このまま……このまま、生きていきたい、

……セシルにも言ってないんだ、きっとばれちゃってるけど……、セシルはきっと知ってるけど。でも、言ってない……。
言わなきゃ駄目なんだよね、分かってるんだ……、言わないと、……そうじゃないと、きっと、一緒に歩くなんて言えないよね……。

【もうしない、それが今の考えだった。よっぽど何かがあったりしたら、違うかもしれないけれど――少なくとも今のままでは、】
【寂しくないなら必要がない。何よりひどいことをしたのだと理解も出来た。時折にじり寄ってくる罪悪感に唇を噛み締めるぐらいなら】
【ぎゅっと噛み締めた唇が痛んで目の奥が熱くなる。じわっとあふれ出してきた涙は、目元にたっぷり溜まって、きらきらと揺れ】
【それを掌でぎゅっと拭い取る、――“彼”はきっと言ったところで態度を変えないで居てくれる、それを信じているはずなのに】
【自分が悪い子だったと言う現実を伝えるのが恐ろしくて保留にし続けてきた、そうやって、ずるずるとずるをし続けてきた】

…………カニバディールになら言えるかもしれない。きっとおんなじ極悪人の、あなたになら。

【ざりと壁に預けた頭で髪の擦れる音がする、そうして見上げる、曖昧な方向――ただ薄汚れた壁の向こうに空が見える】
【四角い鞄をお尻の横に置いて、膝を抱える。ぎゅっと――どこかへ行っちゃわないように、大切なように抱き締めて】

聞いてくれる? たのしいお話じゃないよ、上手にお話できるのかも分からない、……きっと、おもしろくないお話。
ううん、無理やりだなんて言わないの。暇だったら……、……暇だったら、ちょっとだけね、付き合って欲しいな。

【――“いつか”は言えなかった。せっかく準備してもらった場面で、たいせつなところで、言葉がぐちゃぐちゃに紛れてしまった】
【それからずっと逃げ続けている。あのひとに真実を伝えるのはそれぐらいに恐ろしくって、(失望されるんじゃないかときっとどこかで考えている)】
【だから。その練習というのもあるのかもしれなかった、一度誰かに話してみて――その具合を確かめたがるような、そんなお願い】
【自嘲気味な表情に視線を合わせる、じっと見つめる真っ直ぐな視線は、いつもみたいな子供ぽさを喪った、つめたい色合い】

【もうちょっと付き合って欲しいとお願いする、けれどそれは無理やりじゃない。彼女の言うように、あくまで“お願い”でしかない】
【付き合ってくれるというならちょっぴり彼女の過去が知れる、そうでないなら、きっと話題が変わるか、そこで帰ることになる】
【どちらだって彼の指先次第だった。神様の言うとおり――なんて大仰なものじゃない、ただ、彼の一言で場面は決まるから】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2014/05/12(月) 20:38:40.10 ID:3Cu1z+Q/o
>>833
【絞り出すような声と共に、彼女の身体が落ちていく。数多の血と穢れを吸い込んだ地面に】
【漏れる言葉は、驚くに値するものだった。死んでも[ピーーー]ない。死にたくても[ピーーー]ない】
【彼女の歩んできた道は、悪党の想像を飛び越えるものだった。この世界では、己の創造など何の意味もないということか】

――死んでも[ピーーー]ない、か。むごい話もあったものだ。私が言えたことではないが

【彼女のことを深く知らないのは当然。知人であってそれ以上ではない】
【だが、彼女の笑みの内側にある思いがどれほどのものか、彼女の過去に何があったのか】


……いいか悪いかは、お前自身が判断を下す他ないだろう。残酷かもしれないがね
お前自身がそれを望んでいるなら、そのために行動するといい

そうか、セシルさんには……私も、彼ならば感づいているだろうと思うよ
……お前から聞かせてもらうのを、待っているのかもしれないな、彼は

【唇が歯に押しつぶされ、その瞳からあふれ出るもの。淡い光がそれに反射して】
【罪におびえ、今が失われることに覚える彼女の姿は、とても化け物などには見えない】
【あの日、月光の下で出会った彼女の伴侶ならば、きっと受け入れることだろう】
【だが、そう簡単な話でもないらしい。心は、自分自身ですら知りがたいものなのだ】

【零れ落ちる言葉は、意外にも思えた。暗く染まっているであろう虚空を見つめる目を、一つ目で眺める】
【膝を抱えて座り込む様子は、あまりに儚くすら思えた】


――見回りも、ほぼ終わった。時間はある
聞こう。楽しくない話など、慣れているさ

【短く、そういった。彼女の過去の一端、彼女が満足するまでそれを聞く、という姿勢を見せた】
【思えば、同じ悪としての立場の知人。貴重な繋がりと言えるかもしれない】

【話くらいは、聞いてもいい。練習台として役に立つなら幸いだろう、と似合わぬ思考に浸りながら】
【近くの壁にその巨体をもたせ掛けて、カニバディールは彼女が口を開くのを待った】
【彼女の怜悧な瞳を、暗く濁った単眼でまっすぐに見つめ返して】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/05/12(月) 21:08:26.29 ID:lL3xl7OVo
【夜の公園】
【中規模程度の広さを持ち、日中は人で賑わっているが―――この時間帯になると人影もなくなっていた】
【怪しげな数人の男達を除いて――】

んー、おかしいな……?確かここで金と情報を交換する約束だった筈なんだが
何で俺は君らに包囲されてるんだ?

【恍けたような声を上げたのは、中心に立つ男】
【歳は30前後か―――わざとらしい程にギラついた金髪を靡かせ、指には自己主張の激しい銀のアクセサリ】
【これまた派手なスーツと開襟シャツを身に纏うその姿は、一言で形容してしまえばまるでホストのようだ】

【そのホスト風の男を囲むように取り囲むのは、計5人の男】
【皆がナイフやら鉄パイプなどの武器を持っている。いかにもゴロツキといった風体だ】
【無防備で立つ男に向かって下衆な笑みを浮かべている】

ああ、成程。俺は騙されたってわけか
……まあダメ元だったからいいんだけど……なっ!!

【ホスト風の男は言葉を言い終ると同時に、地面を右足でダンと強く踏み込む】
【その瞬間、足元のコンクリート舗装が砕け、そこから勢いよく『泥水』が噴出した】
【泥水はウォーターカッターのように細い線となりながら5方向へ射出され、5人のゴロツキの脚部を撃ちぬいた】

あーあ、せっかく大金を用意してやったってのによお……

【ゴロツキ達は悲鳴を上げながら地面を転げまわる】
【全員息はあるものの、戦意は完全に喪失したらしい】
【ホスト風の男はこのゴロツキ達をどうするのか―――】
【人通りが少ないとはいえ公園の中。一部始終を誰かが目撃していても不思議ではないが―――】


836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 21:19:10.22 ID:EP3K5w4Q0
>>834

【薄汚れた地面は吹き溜まりの埃だけじゃない、食べ零した何かの残骸や、薄くこびり付いた血の気配を漂わせて】
【ぺたん、と座り込んだ身体をふんわり包むスカートの綺麗な布地とは対照的、どちらの様子も目立たせるのだった】

慣れちゃった、……でもね、そのたびに死ぬほど苦しいんだよ。死ぬんだから、当然なんだけど……、
……痛いし、苦しいし、辛いの。何度も、何度も……、……それが、嫌――、でも、

……――わたしが傷つけたひとの分だけ、苦しい目に遭うの。そういう罰なんだよ、……きっと。

【そっと立てた二つ並んだ膝小僧、指先を揃えておいた手袋の両手、伏せた視線は、終われないことへの苦しみではなく】
【何度も訪れる終末めいた苦しみへの悲哀なのだった。いっそ痛みも分からなくなる機能でもあればよかったのになんて思うぐらいには】
【人間じゃないくせに変なところだけ人間めいている。嫌がらせなのかと自分を創った蛇(ひと)に、聞いてみたくもなったけれど】

【――それでも、ただ理不尽に涙するわけじゃない。自分の中で理由をつけて、納得しているようなのだった】

うん、……我侭だけど……、我侭なんだけど、っ……、……わたし、普通の人間(ひとたち)みたいに、生きてみたい、……。

……そうかな、……そうだよね、きっと、分かってるよね。……わたしが、言えなきゃ、いけないんだ――。

【前向きなのか後ろ向きなのかがちょっぴりよく分からない、せっかく前を向いているのに、後ろから髪を引っ張られるような錯覚】
【そして髪を引くのは恐れとか臆病とかの悪い感情、自分の中にたくさん居る、こわがりな自分が邪魔をしてくるのだから】
【けれどそんな自分に反抗できるようになったのがここ最近のことだった。“あのひと”に会ってから、変われたところ】

……ありがとう、ごめんね、……どこから話そうかな、一番最初からだと長くなっちゃうから……、……わたしがここに、戻って来たときの話かな。

【じぃっと見つめていた視線が逸れる、そうして自分の寄りかかるのとは逆側の壁を見つめたなら、「長くなるかも」なんて告げ】
【座りたいならそうしたほうがいい、なんてことを目線で伝えるのだろう。もちろん、それをしなくても、しても、どちらでも良くて】
【真っ白な舞台のような膝の上で指先が動く、じりじりと言葉に迷って……お話の出来を決める始めの部分、悩むのも仕方のないこと】

わたしね、元々ここに居たの。お家もなくて、お父さんもお母さんも死んじゃって、友達もいなくって、ひとりぼっちでここに居たの。
昔のことだよ、もう、五年とか、六年とか、前の話。それでね、やっぱり寂しかったんだ、だって、誰の世界にもわたしが居ないから。
……わたしが消えちゃっても誰も困らないって分かってたの。それがね、嫌になった。十六の頃かな、嫌になって……、

ここをね、出てみたの。はじめて会ったひとがね、すっごく優しくしてくれた……、……それでね、好きになっちゃったの。そのひとを。
わたしのこと好きって言ってくれた、愛してるって言ってくれた、結婚しようって――言ってくれた、言ってくれたんだよ、嘘じゃなくて。
……――でも嘘だった。別の女が出来たから、わたしは要らなくなったの。だから、二回殺された。そのまま、そのひとは居なくなった。

【昔は普通の子供だった。両親が居て、友達が居て、けれど、そんな日常はある日壊れてしまって】
【いろいろあってこの場所にたどり着いた。そうして暮らして、そのうちに勇気を出して、――そうして平穏らしきを手に入れた】
【嘘だったのだと言う、贋物だったのだと。――悲痛な表情が幼い顔に満ちる、ぎゅっと膝を抱き締めて――】

それでね、また、戻ってきちゃった。誰にも関わりたくなかったし、誰の世界にも居たくなかった。消えちゃいたかった……、
……そのまま死んじゃいたかったんだ、わたし、……でも、死ねなかった。だからね、ずっと、ふらふら歩いてたの。
ごみを食べるのも嫌だった、美味しくないし、……地面で寝るのも嫌だった、いやな夢ばっかり見たもの。でも、それしかなかった。

【元から家も何もない子だった。ただその身ひとつで表の世界へ出向いていって、こっぴどく裏切られて、なにもなくて】
【ちょっぴり手に入れた気のした財産染みたものもあっさり奪われた、そうして、着の身着のままで路地裏の闇に逆戻り】
【何にもなかったし何にもしなかった。ただ無気力で、ただ無意味で、悲しみとも怨みとも分からない感情の中でぐるぐるかき混ぜられて――】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/05/12(月) 22:03:56.95 ID:Qw17fcHFo
【水の国郊外の警察病院のそばにある静かな公園】
【約一か月ほど前アトラヴェルで起きたGIFT構成員の一斉摘発】
【それは無事に終結した――警察の権威は失墜した程度で済んだのは幸か否か】
【しかし、民間人に伝わってはいない多大なる謎を残して終結したと知っているのは果たしてどれほどか】

……

【この男はどちらだろうか】
【公園のベンチに腰掛ける病衣を纏った男、藍色の瞳に薄青色の長髪】
【その右腕はギプスでがちがちに固められ、首から吊り下げていた】
【おそらくは先の一斉摘発で骨を折るかしたのだろう、一か月も経っているのに、と思うかもしれないが】
【だが男は長身の身体をベンチに預け、暖かな日差しをゆったりと受け、砂場や遊具で遊んでいる子供を静かに眺めている】
【そんな男は、ふと見慣れた人影が視界に入ったことに気付く】

……ニケ?

【男が視線を向けた先には一人の女性が立っていた】
【ニケと呼ばれた女性の来ている制服は"火の国警察"の制服】
【その女性は男の元へ近寄り、少し言葉を交わしA4の紙の挟まれたクリップボードを渡し、去って行った】

そろそろ火の国の方へ戻らなければなりませんか……

【男は誰に言うわけでもなくクリップボードに挟まれた資料をめくりつつ嘆息する】
【警察病院のそばの公園で病衣を着ていることからもわかることだが、この男は警察官である】
【それも、火の国の警察の、だ】

【もしかしたらこの静かな公園で突如騒ぎが起こるかもしれない】
【そうなったら男は警察官であるがゆえに介入しなければならないだろう】
【また、男と既知の仲であるというのなら話しかけてもいいかもしれない】

【ただ、アトラヴェル第三産業ビルで起きたGIFT拠点襲撃任務に従事したと思わしき男は、公園で静かに体を休めていた】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/05/12(月) 22:21:54.87 ID:3Cu1z+Q/o
>>836
【あまりに多くの穢れを時間と共に吸い続けてきたのだろう地面】
【スカートを境界線に、奇妙なコントラストを描き出す。だが、紡がれる言葉は、この場に溶け込むほどに暗かった】

……とても、想像できるものではないな
死は最後の救いとも成り得るものだが、それすら取り上げられ、あまつさえそれを幾度も味わうとは

罰か……そうだな。私もいずれ、犯した罪の分、罰を下されることは決まってる

【あまりにも、あまりにも深い悲しみの色。苦痛は消えず。ただ終わらない終わりを繰り返す】
【彼女が作られた存在だとまでは知らないまま、己の中で割り切りをしていることはなんとなく察する】
【言葉の最後に、ポツリと己の背負う定めを漏らし、今は相手の話を聞くべき時と自分を諌める】


……我侭なのは仕方あるまい。自分のために生きるのは至極当然のことだ

こればかりは、お前の口から伝える他ない。そうしてこそ、意味がある

【自分自身に足を引っ張られる。心とは本当に難儀なものだ】
【それでも、そこから脱することが出来るのは己だけ。世界はかくも残酷。今も昔も変わりはせずに】
【それでも彼女は、彼と手を取り合って歩き続けている】


【そこからは、黙って聞くことにする。彼女の過去。長くなるかも、という言葉と彼女の目線を受けて、すっと音もなく腰を下ろした】
【それでも、彼女を少し向こう側から見下ろすような形になるのだろうか。こちらへと飛んでくる声を、その態勢で咀嚼していく】
【冒頭に迷いながら、口火を切る昔語り。孤独な始まり。闇の狭間に。罪を重ねていたころだろうか】

【暗い生に嫌気が差し、踏み出した光の先。誰かの中にいたい、という誰もが抱く根源的な願い】
【そして、邂逅。先の、恋人だった人、だと察する。嘘でなく、言ってくれた。自分では真偽の判断は出来ないが、彼女は信じていた】
【だが、それは裏切られる。ほかに大切な人が出来た、と。あっさりと、途切れてしまった】
【殺された。撃たれた、というのはもしやここか。口には出さずにそう思った。この世界では、珍しい話ではないかもしれない。だが、やはりあまりにむごい筋書】

【生まれは、光の下。しかし、それを奪われ。再び踏み出して、それも失い。その顔を悲痛に彩る記憶】


【死にたくとも死ねず。表にも戻れず。悪夢の中でさまよう生涯。この間にも、罪を犯したのだろう】
【彼女の歩んだ道はあまりに悲しく。しかし、聞き手は悪党でしかなかった。全てを聞き終えた異形の男は、深く息をついた】

……私は悪党だ。その男に何か言う資格はないし、お前に安易に同情するようなこともしない
その話を聞いて、お前の苦しみを想像は出来ても、理解はできない。同じ経験をしたわけではないのでね
そも、相手のことを考えるようでは、悪党などやってはいけない

――だが、その死ねない生を今まで歩き続け、ようやく今を掴んだという事実はわかった
同類の極悪人として言わせてもらうなら……やはり、お前はお前の我侭を通した方がいい
お前もよく知っての通り、それだけの闇に沈んだものが浮かび上がれることなど、ごくごく稀だ

お前は、セシルさんと共にそれをつかみ取った。せっかく手にしたんだ、大切にしておけ

【結局、行き着くところは自分に置き換えた言葉にしかならなかった】
【この男は利己主義者だ。めったに手にできないものを手にしたなら、自分なら離さない。ただ、そう言っただけ】
【悪党は、他人を救わないし救えない。話を聞いて、自分本位な答えを返す。それしかするつもりはなく】
【また、それで精一杯だった。殺し、壊すことにかけてはそれなりの力を発揮できても。そうでないことには、あまりに無力でしかなかった】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/12(月) 22:54:16.92 ID:YEFdMrDb0

【――――一つの都市に存在する図書館。古今問わず様々な本が並べられており、その書架の数は実に膨大】
【例え幼少の頃から此処に住もうとも、一度や二度の人生では読み切れない程の数…………と記せば、想像も出来るか】
【そんな場所と言えども、常に開門している訳では無い。流石にこの時間ともなれば職員達も去っている筈なのだけれど】
【…………不思議な事に、気配が二つ在った。其れも、敏感な者であれば外からでも感じ取る事が出来そうなものだ】


「闇の中。広がる波紋。止まぬ雨は何時か朱に変わる。病を拡げまた雨は続く」

【図書館に入ったならば、先ず一人の黒いドレスを纏った少女が映るだろうか。暗がりの中でも目立つのは銀の髪。きっと、其れだって存在を際立たせる】
【不思議なのはふよふよと身の回りに幾冊もの書物を浮かべさせている事だ。自身の手には、一冊も収まっておらず】
【宙に浮かぶ内の一冊を手に取り、適当に開けば其れだけで満足したのか閉じて再度浮かべさせる何て事を繰り返しており】
【魔術の類であると理解するのはそう難しくも無い筈だ。――――そんな事も飽きたのか、最後の一冊も終えてしまえば戯れに細い手を縦に一振り】

【その動作一つで書物達は本来収まっているべき場所へと飛んで行くのだから不思議なもの】
【――――自分たち以外の新たな来訪者の存在に気付いたのは、其れ等全てが収まり終えてからか】
【髪と同じ銀の双眸が――人によっては冷たくも思えるその目が、真っ直ぐと向けられる事となり】
【少女から何か問う事は無い。だからこそ、かえって不気味にも思えるだろうか】

【――――何故この場所に居るのか。何をしているのか。咎めるも咎めぬも、その者の自由】









【深夜の森の中。この時間帯ともなれば、所謂悪に染まった者達も活発に活動を始めるのだけれど】
【今宵その道を歩くのは二つの影。一人は銀の髪を持ち、同じ色の双眸の女性。纏う物は修道着であり】
【もう一人は、顔を隠した――――体型からして、男であろうか。腰に提げている刀は実に物騒な印象を与え】
【何度も修羅場を潜った者ならば、その刀が“使い込まれている”事にも気付けるか】


「――――そうですか。その様な事が…………何とも、怖いような…………
他の方々が犠牲になる前に、どうにかしてその方を止める事は出来ないものでしょうか」

『ええ、ええ。全く怪しからん話ですよ、ええ。しかも非力な女性ばかりを狙うのだから何とも質が悪い
ほら、お姉さんも戦い慣れていないでしょう?その動きを見ればあ分かりますよ。いやね、だからアッシが少しの間お姉さんの護衛を勤めさせて頂こうかと思いやしてね』

【…………近頃、辻斬りが問題となっている事をどれ程の者が知っているだろうか】
【弱い女性や子供のみを狙った犯行だというのだから実に卑劣】
【そして、何を隠そうその犯人が修道女の隣を歩いている男であり――――修道女が人当たりの良い性格をしいるのを良い事に、漬け込んで】
【今宵の獲物を定めたのだろう。人気の無い森の奥へと誘い出した次第である】

【仮に、辻斬りの話を知らずとも。隠しきれない殺意が滲み出ている事は、戦い慣れている者ならば直ぐに分かる事。其れが修道女に向けられて居る事も】
【舌なめずりをして、今にも襲いかからんとするけれど。さて、この場に訪れるのが善か悪かは分からないが――――…………】
【通りかかれば、刀の柄に手を伸ばした正にその場面となっている筈か】
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 23:08:33.36 ID:EP3K5w4Q0
>>838

それでね、最初は誰も殺したりしなかったよ。……そんな価値もないなって思ってたの。そんなの、意味がないって。
……覚えてるよ、最初に殺したひとのこと。何人かで話し掛けて来てね、……わたしの服、脱がそうとしたの、

ほんとうに嫌だった……嫌だったんだよ、だって、わたし、はじめてじゃなかったけど……、違ったけどっ、
そんなっ……、知らないひとになんかあげたくなかったからっ、嫌だって言ったのに、やめてくれないから……!

……――だから、殺してやったの、全員、ばらばらに切り刻んで殺してやった。

【――最初のうちはそれで良かった。茫洋とした暮らしに浸っていればよかった、それを赦されなくなったのはいつのことか】
【こんな場所だから下卑た人間がたくさん居る。たまたまそれに出会ってしまって、それが嫌で逃げ出すためには、】
【はじめはただの偶然だった。運が悪かったとも言えるし、それだけなら誰か、同情してくれるひとだって、居たのかもしれないけれど】

……そしたらね、「たすけて」って言うの。わたしなんかに、いい年した大人のひとが、這い蹲って……、……。
何度も、何度も、死ぬまで助けてって言いながら死んだの。――嬉しかった、だって、こんなわたしが必要とされて――、
そっか、って。……こうやって誰か殺せばいいんだって。そうしたら、わたしなんかでも、――必要とされるんだって。

【思い出すだけでほんの僅かでも笑みが零れる、地獄絵図みたいな状況の中で、あの口から零れた言葉がどれぐらい嬉しかったか】
【間違えていると分かっていてもよっぽどの衝撃だったのだ。こうすればいいんだ!と思った心は、暗雲の中に一筋差した光のように】
【そこが始まりだった。間違いの始まり、けれど彼女にしてみれば生きるための行動、ただ誰かに、必要とされたかった動機】

…………だからね、たくさん殺したよ。途中で気付いたの、“怜司”に似た人間を殺した方が嬉しいんだって。
だから眼鏡のひととかたくさん殺した。助けてって言ってくれないとつまらなかったからなるべく苦しいようにした。

【あとはころころと転がり落ちていく最悪の道すがら、ふっと方向転換するにしたって、怨んだ人間を殺す妄想に浸ったというぐらい】
【誰かはきっと分かってくれるだろう、そんな世界に突き落とした人間、初めて愛して、初めて憎んだ人間――だいすきだったひと】
【何度も殺す妄想を繰り返して楽しかった。それだけが生きる意味になった。けれど、】

……同じ場所に居たら捕まっちゃうって思ったの。だから、いろんな場所に行った。水も火も地も行ったし、他のところも行った。
ぜんぶ歩いて行ったよ、遠かったけど――捕まっちゃうよりマシだった、だって、まだ、言われたかったの。

……それでね、一昨年の秋に風の国に行ったんだ。神殿に行ったの。……お父さん、みたいな、匂いがしたから――。

【捕まったらそこで終わりだった。きっと人間は自分を赦してくれない、それぐらいなら分かっていた、と覚えている】
【だから逃げた、いろいろなところに行って、隠れて殺して、それを何度も何度も繰り返して――ある日、“そこ”にたどり着いた】

/続いちゃいますっ
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/12(月) 23:08:48.29 ID:EP3K5w4Q0
――そこに居たのはお父さんじゃなかったけど……おとうさんだった。……そこに居たのがね、セシルだよ。
……始めはね、怖いひとかなって思った。氷の彫刻……みたいなひと。でもね、ぎゅって抱き締めてくれて……嬉しかった。
ほんとうにうれしかったんだよ、ひさしぶりだった、……でもね、セシルも最初はわたしのこと、裏切ったんだ。嘘、吐いたの。

連れて行ってくれるって言ったのに連れていってくれなかった。……でもね、次に会ったときは、ちゃんと約束守ってくれた。

【もう二年も前のことだとは思えないぐらいに記憶がくっきりと鮮やかに残っている、初めて見た瞬間の、ぞっとするような気持ち】
【死んでしまったお父さんととってもよく似ているひとだった。だからお父さんだと思って、間違えて、だのに抱き締めてくれた】
【今度零す笑顔はさっきよりも幾分か明るい、砂漠の中でオアシスにたどり着いたような――枯渇した心に一滴もらった、ひとの体温】
【――でもそれも始めは嘘吐きから始まった。それならどれだけ絶望したことだろう、――でも、そんなところを不問にしたのは】
【何より次に会ったときにはきちんとしてくれたというのがある。(それに、突っ突いて機嫌を損ねるわけにもいかなくて)】

夜の国のお家に連れて行ってくれたの、そこでね、一緒に暮らしてくれたの。たくさん迷惑掛けたけど、そのたびにぎゅって……してくれて。
それが嬉しかった、だからね、もう殺さなくてよくなったの。セシルがぎゅってしてくれるたびに、わたし、嬉しかったの――。

【彼もまさか殺人鬼を拾って帰っていただとは思わなかったろうけれど――結局、拾ってもらったことで彼女の心は救われた】
【何より寂しさから繰り返していたのだから、寂しくなくなれば/満たされれば、それをする理由も意味も見失って】
【ぎゅうと膝を抱き締める、それはいつか抱き締めてもらった腕を再現するような優しさで、ふと気付けば、笑っていた】

……セシルが居なかったら、きっと今でも同じことしてた。きっと悪いことだって思いもしなかったし――。
だからね、セシルのおかげなんだよ。ぜんぶぜんぶ、セシルのおかげ……、セシルが見つけてくれたから、わたし、……。

わたし……、……やっぱり、セシルに、言わないと……。

【――何人も殺した腕で縋りついた、彼はそんな汚れた手でも掴んでくれて、こんなところまで引き摺り上げてくれて】
【そんな優しい彼だから――だからこそ、言わなきゃいけないんだと、改めて理解する。今度は、自分が頑張る番だと】

分かった、ううん、分かってたのかもしれない、……わたし、やっぱり、ぜったい誰にもあげたくない。
どんなひとに頼まれたって少しもあげたくない、わたしのもの、わたしが手に入れたもの……誰にだって、

……――うん、ありがとう、……悪いひとなのにね、なんでだろ、……話聞いてくれて、嬉しいな。

【自分のことに置き換えてから話してくれる言葉は余計に説得力を増すよう、それは自信のない彼女の言葉を引き出すには十分で】
【やっぱり誰にもあげたくなかった。わたしのもの、わたしだけのもの、――それを再確認できるなら、できないよりはずっとマシなはず】
【“いいひとだね”とは言わなかったけれど。言いたいことは大体そんなかたちをしていたのだろう、ふと笑んでみせた顔は】
【なんだかすっきりした様子で――心の底から感謝の気持ちを、きっと、向けているのだった】
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/05/13(火) 00:04:39.91 ID:59Cpc7Fio
>>840>>841
【彼女の語る光景は、故郷の地下に存在したクラブで幾度も目にした】
【興味がなかったから、加わることは一度もしなかったが。転がり落ちるきっかけになるには十分すぎることはわかる】

【時折相槌を交えながら、聞き続けた。転落のきっかけ。路地裏で日夜起きる凶行の一幕】
【分岐点は、彼女に選択肢を与えないまま迫り。悪党の命を生贄に、彼女は悪の道へ誘われた】
【自分の初めての殺しは、地下クラブの殺人ショー。己の身体の中で、手にかけた者らは今も恨み節を呟き続けている】
【怨嗟の声を子守唄にして生きていた自分にとっては、大したことではなかった。だが、彼女にとっては、歪んだ天啓だった】


【相手の命乞いは、彼女の望みを満たし。誰かを求めて誰かを殺す、狂気の権化へと変貌した】
【つくづく、その時の彼女に会わずに済んだことは、僥倖と言わざるを得ない】
【この小回りの利かない巨体は、酸性液体の的にされていたことだろう】

【語り継がれる彼女の罪。確かに、悲惨な生い立ちを言い訳にするには重すぎるのだろう】
【“怜司”。相手の男の名前。自分の中で、その男を何度も何度も殺していたのだろう。身代わりの命を生贄に】
【愛憎入り混じる、と言う言葉では足りないほどの。それだけが、生きる意味になったほどの】

【だが、彼女は出会った。逃亡先での邂逅とは、変わった馴れ初めもあったものだ、などと考えつつ】
【歩き続け、殺し続け、風の吹く国で。己にとっては、忌まわしき記憶との決着の地で、彼女は出会った】


【一度は、裏切られ。しかし、戻ってきた。父に似た相手。陳腐な言葉だが、運命的と言えるほどの出会い】
【夜の国へ行った彼女は、そこでついに安息を得る。彼の抱擁は、鈴の音にとってどれほどの救いだったのだろうか】
【自らの膝を抱く彼女の腕が、その温もりを思い出させているのだろう。戻ってきた笑顔が、それを証明するようで】

……他人の馴れ初め話に聞き入るのは初めての経験だ
お前の言う通り、面白い話とは言い難かったが、耳をふさぐ気にもならなかったよ

……身内以外に礼を言われたことなど、いつぶりだろうか
役に立ったなら、幸いだよ

【自分の想いを再確認し、顔を上げて前を見据える。聞き役に徹しただけではあるが、そのきっかけになれたのなら】
【そこまで考えて、あまりに似合わない思考に辟易する。自ら望んで悪となり、彼女と違って今も罪を重ね続けている身の上で】
【そう、己の旧友を裏切った。その身を撃ち抜き、浚い、いたぶった。その自分が、何をしているのか】

【だが、すっきりした顔で感謝さえにじませる彼女を見て。何とも言い難い、不可思議な感情】
【もし自分が、この能力を持って生まれなかったなら……やめよう。あまりに無意味だ】


――そろそろ、手下が心配しそうだ。名残惜しいが、お暇しよう
数少ない知人に久々に会えて、嬉しかったよ。それではな、鈴音。縁があれば、いずれまた

【ゆらりと巨体が持ち上がった。こちらが放った言葉も、まぎれもない本心】
【暗い道を歩き続け、これからもそうであろうとする肉屋にとって、彼らとの縁は貴重だった】
【彼らのこの先の役に立てたなら、それはそれでいい。悪党ではなく、彼らの知人としてだ】

【別れの言葉は、以前会ったときにも使った陳腐なもの。いつ死んでもおかしくない身の上としては、そのまままた会おうとは言えず】
【彼女が何か言えば、それへの返答を最後に。大男はマンホールの中へ去るだろう。今度は、身体を能力で細長くしつつ、引っかからないように】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/13(火) 00:28:49.23 ID:4RdDarTd0
>>842

【嫌なことはたくさんあった。寧ろ嫌なことだらけだったとも言える思い出、楽しかったのなんてほんの瞬きするような刹那だけ】
【死んでしまった人間に興味など。――なんてことはなく、実際はお人形遊びみたいに、再利用していたりもしたのだけれど】
【一方通行でお話をする、ぎゅっと抱き締めて眠る、そうしている時も、……思い返してみれば、少しは楽しかったように思う】

【けれど、そのどれもが欠けていたら風に行かなかったかもしれない。そうすれば、或いは彼とも出会えなかったかもしれない】
【それを思ってしまうと、あの頃も必要だったのか、なんて思う――そうだとしたら、神様はきっと意地悪なんだ、とも】

【(そう、神様は彼女にとっていつだって意地悪な存在だった。真っ白い蛇のすがたをした神様、あの蛇(ひと)は)】
【(最期の瞬間まで別の女の名前を呼んで逝ったのだと言う。目の前にわたしが居るのに、いつだって別のひとを見つめていた)】
【(それが羨ましくて、憎たらしくて、でも、だいすきだった。少なくとも、彼のくれた名前を使い続けるぐらいには)】

……ね、おもしろくなかったでしょ。でもいいの、……おもしろくないのに聞いてくれて、ありがとう。
セシルはわたしのために頑張ってくれたんだから、今度はわたしが頑張らなくっちゃ。……そうだよね、そうなんだよね、

…………自分がしたことだもんね、ちゃんと、言わないと。

【そうして重ねる御礼の言葉はよっぽど感謝しているようだった、こんなお話を聞いてくれて――本当に、ありがたくて】
【ぶっつけ本番で行うより練習できたほうがきっと気楽になる、まして臆病な彼女のことだ、それをしてくれたのは、ほんとうに】
【怖がりなくせにいくらか前を向けた。その瞳には、さっきとは違う、少しの勇気めいた色が散っていて――月明かりに、艶めく】

うん、……今日はありがとう、少しだけね、楽になれた――気がする。
わたし頑張ってみるね、だいじょうぶ、きっと、だいじょうぶだから……――。

……――またね。今度もどこかで、お話しよう。

【大丈夫だと重ねれば勇気が出る気がした、そういいながらふらりと立ち上がれば、後ろに回した手でスカートの汚れを払い落とし】
【彼があえて言わなかったことをわざと口に出す、“また会おう”とあまりにも真っ直ぐ告げるなら、この奇縁の途切れないようにと】
【――まだお話したいと思えるのだった。ふらりと揺らした手が、少しだけ名残惜しいように揺らいで――見送る、】

【――見送るにはいくらか見てる感が強かった。覗き込みながら「だいじょうぶ?」なんて尋ねてしまったりもして、】
【それでも大丈夫らしいと見れば「ばいばい」の言葉と一緒に、その姿はふつりっと夢か幻だったかのように消えてしまう刹那】
【きらりと立ち上るように残るのは黄緑色の魔力の燐光、――彼女の言葉を信じるなら、転移の魔術。あとには、何も残さずに】

/おつかれさまでした! ありがとうございましたー!
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/13(火) 00:39:53.40 ID:59Cpc7Fio
>>843
……何、かまわないさ

【人に歴史あり。全てのみ込んで、世界はただあるだけ】
【彼女が鈴の音で礼を告げたなら、返す言葉は短く。後は、何か言う必要もないだろう】

【彼女の瞳を変わらず濁ったままの単眼でちらと見る。秘められた勇気の色は、己がその一助となったものか】
【腐臭漂う自らの道に、このようなことがあろうとは。かつては、想像だにしなかった】


……ああ、そうだな。また――

【だいじょうぶ、と言い聞かせる彼女に、同じ言葉をかける資格は己にはない】
【ただ、彼女があえて口にした一言に、やはり短く返すだけ】

【す、と手を上げて今宵の別れを告げ。居場所たる闇の奥へ沈む】
【覗き込む彼女に、「問題ない」と返したその姿は、引き延ばしたように細長かった】
【最後の一言と共に、霧消する姿。術式の高度さに感心すら覚える】
【ただ立ち上る魔翌力の残滓だけが、その存在の証左。それすらも、消えて】

【マンホールの蓋を伸ばした腕で締めれば、薄汚れた地下道を歩き出す】
【忌むべき世界へ。自らの意志で】

/二日にわたるお付き合い、ありがとうございました!
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/13(火) 18:05:45.31 ID:Oj9zkK8xo
【某国・とある小高い山の上】

【ちょっとしたベンチや遊具、トイレなんかも在る物見台の一角――】
【遠く昼の国までを望む場所に一人の男が腰を下ろしていた】
【身体は大きく、恐らく30代前後。髪は黒く、長く、艶やかで】

【格好はというと、ひと目で宗教関係者だとわかるようなものだった】
【白いローブに豪奢なマント、首元にはロザリオも覗いていたが】
【茫洋と何処を見ているかもわからない瞳には、渦巻く沼のような色が有り】

…………、……―――全滅≠ゥ……。

【――ぼそりとそんな呟きが風に乗る。目の方向からして、思われるのはある事件】
【此処の所、世間を騒がせ続けたゼン=カイマが壊滅したという、アレだ】

【何でも巨大な餓鬼のような化け物が出現して、建物のことごとくが踏み潰されたとか】
【しかし一方では孤児院の子供たちは助かっただの、奇跡的に死者は居ないだの】
【真偽も分からない報道が飛び交っていて、実態が掴めないのが本当のところだ】

【そこまで思い至れば、この聖職者らしい男の身分も何となく想像出来そうだが】
【さて、果たしてまずこのような場所に人が来るか――日は既に、地平の彼方に沈みかけていた】
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/13(火) 19:26:13.75 ID:H6OrVziL0
>>845

【沈んでゆく日に照らされながら、一人の男が彼の背の方から声を掛けるだろう】

…………よォ、もう良いのか……?

【シルバーブロンドの長髪を前髪も集めて一本結びにし、瞳は海の様なターコイズブルー】
【鎧は着用していないが、赤いラインで縁取った、袖のある上質な白いマント】
【下には金のボタンの白い修道服、それらを纏うのは身長180以上はある25歳前後の男だった】
【男の瞳には今、彼と同じように複雑な色が混ざり込んでいて】

……こんなこと言うのも何だが、アンタが無事で本当に良かった。
俺も含めて、マリアや他の奴もきっとそう思っている筈だ。

…………だが、一体どうしてこんな事になったんだろうな………………

【この男も ゼン= カイマの壊滅を、それを聞いた時からずっと心の中で考えていた】
【何故こうなってしまったのか、それだけが頭から一時も離れなかった】

【それでも空はいつもと変わらず、月と交換する太陽がゆっくりと沈んでいく】
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/13(火) 20:38:20.12 ID:zJhAWxZ2o
【路地裏】


【道路を走る車の音が聞こえて来る】
【建物に遮られた音はまっすぐに響いて来ず、まるで壁に隔てられた別世界からの音のようで】
【往来する人の数の差もそれを助長している。その証拠に、今起きている出来事にまだ誰も気付いていなくて】


「オイ! こいつ能力者だぞ!」
「でも弱そうだしやっちまおうぜ。ムカつく目ェしてやがるしよ」
「泣いて許してくださいって言えば半殺しで済むかもなぁ? ヒャハハハ!」


【三人ほどの男が少年を取り囲んでいた。いや、すでにいざこざの最中だった】
【男たちは派手な衣服を身を包みジャラジャラとアクセサリーを付けた――いわゆるチンピラという風貌で】
【彼らは少年に殴りかかったり拘束しようとしたりするが、全てかわされているようだった】


痛、っ……ああ、鬱陶しいな


【少年の方もかわすことに精いっぱいのようで、握られた黒い魔翌力の剣も振るわれることはなく】
【ついに顔への打撃を許してしまった。不良達の下衆な笑みがこの上なく深まったのは言うまでもない】

【真っ黒のボサボサ短髪、深淵を思わせるかのような漆黒の瞳は三白眼で、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】

【突破口を見出すべく不良達を睨むのだろう。その眼には雑念などなく――】






【時同じくして――また別の路地裏】


オオ――――ッラァァッ!!


【突如として火柱が立ち昇るだろう】
【同時にこんがりと焼けたチンピラが数人、壁や地面に叩きつけられて気絶した】
【発生地点には拳を掲げたまま静止するひとつの影があることだろう】
【辺りを覆う熱気の中、その人物は火竜じみた獰猛な笑みを浮かべていた】

【男性にしては長めの髪は不揃いで所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は襟を立てた薄手で灰色のミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――そんな、気迫に満ち溢れた青年】

【ジャケットの右胸部分には緋色の鷹≠ェあり、彼の所属を明確に示している】
【そして今の青年両腕には――真紅のガントレットが装着されていた】


うっし! お前ら全員連行な!
にしてもこりゃあ……やりすぎちまったか?


【携帯端末で仲間と連絡を取った後、青年はひとつ伸びをして】
【チンピラ達が生きているか、つついて確認しようとするだろう】
【仲間が来るまでの間――彼はそんな感じで暇そうにしているはずだ】
【ここを通ろうとすればきっと、彼らにぶつかることだろう】
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/13(火) 20:51:33.88 ID:Oj9zkK8xo
>>846

……要因など幾らでも思いつく。思い上がった我々への神の鉄槌か……
或いは深い人の業が成した災禍なのか…。

だが、な……全てまとめてしまえば、私のせいだエルヴェツィオ
善行だ、教えを浄化するためだなどと舞い上がり……その結果だ…。
……私一人で済めば良かった。私が死ぬだけであれば、覚悟も在った
マリアとの約束は破る事になるが……こうなったのは私の不徳だ、まったく全て。

【――掠れた声だった。振り向くこともせず、二日前には音を出すのも】
【難しかったような状態であった彼は、ギリギリ聞き取れる程度の声色で答えを言った】

【アンジェル・ベルジュロン――エルヴェツィオはその名前を聞いた事が在るだろうか】
【フレデリックが手を加えた、元UTの少女だ。そして、先日スラウロットで彼を襲ったのは】
【警戒していたグリースではなく、まさにそのアンジェルであり】

【また同様に、崩壊したゼン=カイマでもその姿が見られた、なんて報告も在る】
【その大きな要因も含めて、もしも聖地の巡礼なんてしなければ――彼が言うのは、そういう事だった】


【――ただ、早とちりしてはいけないのは、彼の声がまだ折れ≠トはいないことだった】
【確かに低い声だ。全てに絶望した人間は、きっとこういう態度と声で話すに違いない】
【しかし…――エルヴェツィオの知る騎士団長がどういう人間だったか。まず、忘れてはいけないのはソレだった】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/13(火) 21:46:42.39 ID:gBt9JJae0
【昼の国・ゼン=カイマ郊外】

【この郊外から遠く都市の中心部の方を見れば、つい先日までは大きな教会の聖堂や塔が望めていた。伝統的な建築物は遠目から見ても綺麗な物であったが】
【―――今は全てが消えた。そう、全て。何もかもが無くなり遥かに望めるのは地平線、それと未だに暮れなずむ空に立ち昇る煙の数々……たったのそれだけ】
【何もかもが瓦礫と化し、跡形もなく潰された。―――そう、先日の事件≠ノよって――――】

【奇跡的に此処ゼン=カイマの片隅だけは壊滅には至っていないようだ。唯一と言って良い程、郊外のこの場所のみ建物が現存している……】
【人々も此処に避難しているようだ。残った聖堂や大きな建物に集うのは、不安や悲嘆に満ちた表情の人々……理不尽な暴力に苛まれて、皆顔色は暗い】
【そんなゼン=カイマ郊外の一角を、ある女性が駆け足で道を行く……―――】


(―――……あの子たちは……無事でしょうか…………!)
(…………全部、グリースの言う通りになりましたね……私は護る為に戦っていた筈なのに、結局何も護れなかった……―――】

【その人物はマリンブルーの瞳を持ち、ブロンドの長髪は頭に被った白い頭巾で隠れている。右の目元の泣きぼくろが整った顔にアクセントを加え】
【身に纏うのは白いローブ。神聖な雰囲気さえ漂わせる純白の其れは、まさに聖職者に相応しい物。―――尤も、今は至る所が己の傷から滲み出たであろう血痕で汚れていているが】
【身をすっぽりと覆うローブ、その下からちらりと見える地肌も傷だらけで痛々しい。見るからにまともに動ける状態ではないのだが、それでも彼女は駆ける――】
【首元に掛かったロザリオは走る彼女の体の動きに合わせて揺れる。――姿を見れば修道女のような印象を受けるだろうか】

【表情から伺える感情は憂いと焦り。何かを探しているらしく、心配そうな表情で辺りを見回して駆けては止まりを繰り返す。】
【……そんな風にして何かを探すので頭が一杯の彼女。走っているというのに碌に前も見ていないせいで、誰かにぶつかるかもしれない】

【この宗教都市が壊滅したという事実は全国に知れ渡っている。都市一つが丸ごと壊滅したのだ、そのニュースは全国に驚きを齎したらしい】
【わざわざ壊滅したゼン=カイマを訪れる人がいるとすれば、それは修道女か、人々を救助しに来た者か、あるいは……】
【壊滅した都市の片隅、果たして其処に出会いはあるのだろうか―――】、
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/13(火) 22:05:17.94 ID:zJhAWxZ2o
/今からだと持ち越し確実ですが>>847はまだ募集中です…
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/13(火) 22:37:00.81 ID:nqI3F/UP0
>>848

【報告にはあった、アンジェルという少女がこの惨劇を起こした容疑者だということを】
【そしてその少女が騎士団長、つまりは彼を瀕死にまで追いやった犯人だということを】
【グリースとフレデリックが戦った、という話は聞いたが、その決着を不意討ちという形で終わらせた女だと、それは騎士道を重んじていたエルヴェツィオにとっては赦し難い行為であった】

……ッ…………………………。

【フレデリックから発せられる、聞くに耐えない声と言葉、それを聞いたときにエルヴェツィオは無意識の内に拳を強く、数日前に切ったばかりの爪の痕がつくほどに強く握り締めていた】
【団長をこんな姿にしたアンジェルという少女が憎い、それもある】
【しかし今は、何よりも、自分の目の前に居るこの男が憎かった、惨めで 小さくて とても弱く見えていた、だから……】

……ふざけんなよ…………

何でそんな事を言うッ!? アンタが死んで良いわけがねェだろッ!!
マリアと約束したってんならそれを守る覚悟だってあるはずだろ!! それとも嘘を約束したって訳か!?
アンタがこの巡礼を否定するなら、それに付いてきた俺達は何だったんだよッ!!?

【勢い良くフレデリックの胸ぐらを掴むだろう、そのまま引っ張って無理矢理にでも立たせる筈だ】
【エルヴェツィオはフレデリック以上に直情型で、だからこそ彼をこうして立たせる】

いつもみたいに偉そうな口利いてみろよ!フレデリック・シャリエールッ!!
テメェの心が折れてないなら、焔がまだ灯ってんなら!俺を全力で殴ってみろ!!!

【まだフレデリック・シャリエールの心が残っているのなら、殴ってみせろと彼に叫んだ】
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/13(火) 23:03:59.14 ID:QEKD6ihB0
【――――深夜まで営業している喫茶店。その、テラス】
【味も良く、値段もそう高くない其処は日夜問わずに客の出入りが多く】
【この時間になって漸く落ち着き始めるのだけれど。今宵は外に設けられた椅子に二つの奇妙な存在があった】
【そのどちらもが修道着を着た女性であって、特徴的な其の衣服から女達が所謂修道女であると理解するまでそう時間も掛からないか】
【奇妙な点を挙げるとするならば、先ずこの時間に出歩いている事。次に、一人が銀色の双銃を手にして――――もう一人は、大剣を壁に立てかけている事か】


「うえっ?!ちょ、ちょっと待ってよー……エイプリルフールはもうとっくに過ぎてるんだからそんな悪趣味な冗談は止めてよね……」

『冗談なんかじゃ無いわよ。ほら、此処にだってちゃんと書かれてるの読めるでしょ?
ゼン=カイマ崩壊する――――って。アンタがどう思ってんのかは知らないけどさ』

【その内の片方――金色の髪を持った女が小洒落たテーブルに広げるのは新聞だ】
【デカデカと書かれた見出し。其処には、彼のゼン=カイマが崩壊したとでも書かれていたのだろう】
【其れを見て、紅茶を吹き出さんばかりに驚いたのは銀髪の女。咽せたのか、激しく咳き込めば暫しの間を置いて】


「あー…………ほんとだ。あんまり詳しい事は書かれてないけど――――――えー…………」

『まっ、アンタが何を考えようがアタシにはどうでも良い事だけど。自分勝手な行動は程ほどにしといてよね
フォローしてる方も大変なんだし、何よりアタシ達の役目がそう表立つのは好ましく無いんだから』

【『それじゃあね――』その言葉だけを残せば片方は立ち去ってしまって】
【さて、残された修道女であるが。知る者が見たら、珍しいとでも言いそうなまでに真剣な面持ち】
【腕組みをしながら小さく唸れば、テーブルに広げられた新聞へと目を落としているけれど】

【――――他にも、櫻の国の事や鉄の国の事。ヴェンドゥラーの事等も載っており】
【新聞と、小難しい顔をした修道女。そして、腰に提げられた銃と――――……話し掛ける物好きは、果たしてどれ程存在するのか】





【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【未だに滅しきれず、封印の中でじわりと存在を消さなければいけない者も数多い】
【何時もならば厳粛に門も閉じられ、関係者で無ければ叩くことさえ躊躇う程に厳格な雰囲気を醸し出しているのだけれど】
【今宵は、その門も開いていた。時折このようにして開門して、他の者達との交流も図るのだ。…………とは言え、気軽に訪れる者が殆ど居ないのが現状であるが】


【入れば直ぐ目の前に映るのは砂利を敷き詰め、所々には木を植えたりしたそんな、城の庭】
【良く手入れも施されて居るのだろう。彼の九尾と戦ったときの名残は未だ残ってはいるものの、其れを気にさせない程の美しさだ】
【そんな場所に、少女が一人。鮮やかな着物を纏い、濡れ烏色の髪を腰まで伸ばした存在】
【遠くからでも分かる程に凛とした気配は、この城に住まう姫であると悟らせるか。即ち、此処の封印を一身に担う存在だ】

【所謂お付きの者達であろう。鎧を纏い刀を腰に差すのは屈強な男達】


「――――分かっています。ですが、まだその時ではありません
彼女を殺めるならば、先ず確実に機を確かめるべきです。誰一人欠ける事無く終える。其れは無謀にも等しい言葉である事は理解しています
ですが、人の命は消耗品ではありません。全てが尊いものなのです」

【そんな者達から何か言われたのだろう。恐らくは、悪狐についての事だろうが】
【――――物怖じせずに返す言葉は、実に気丈な姫らしい。手にしている扇子より感じ取れるのは強い“退魔”】
【さて、門からもそう遠くない場所…………と言うよりも、門の近くで】
【声を掛けたならば側に居た者達が一斉に刀へと手を伸ばすけれど、姫の――――琴音の一声によってその動作も止められる】
【まだ二十歳前であろうに、確かに威厳を感じ取れるその姿。上に立つものにありがちな傲慢の態度とは程遠く】
【じい、と向けられた視線は相手の言葉を待つかのよう。何か訊ねる為に訪れたか、其れとも気紛れに訪れたか――――?】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/13(火) 23:11:30.24 ID:Oj9zkK8xo
>>851

【エルヴェツィオがフレデリックの胸ぐらを掴みあげたのなら】
【彼は抵抗すること無く、そのまま立ち上がる事となる。ただひとつ】
【その安定しないのは左足の足首から先を失ったままであるからで――】

【――それでもしばし黙して話を聞けば、フレデリックはのそりと身体を動かして】
【左腕を後ろに引くと、言われたままに思い切りエルヴェツィオを殴りつけようとする】
【手加減は無い。鍛え上げた身体の全てを込めた、豪腕の一発であり】

……ああ、そうだ。最初は彼女に嘘を吐いて、私は戦場に赴いた。
私一人が死ぬことなど何でも無い……ソレで事が済むならば、とな

だがまさに……そのマリアに教えられたのだ。私は独りではない、と
彼女も、お前も、そしてお前の言う『俺たち』……教徒の全てが私の背に乗っている。
分かっている、全て……私の我が儘に付き従うお前たちの尊さも……ッ!

……その上で私は自分が情けないのだ!あの小娘如きにしてやられたこと…――
とうの小娘を今の怪物に仕立てあげた私自身の業と言うものがッ!!

【風が吹き、フレデリックのローブがバサリと揺れる。その向こうには】
【肘先を失した右腕も見えた。どちらも本来、能力の活用で治せる傷だ】

【しかしそうしない理由があった――エルヴェツィオなら、それも分かるはずだ】
【フレデリックは誰よりも自分に厳しい男。なれば、この多大な失敗の責任は】
【敢えて不便を受け入れ、傷を時に任せるのが彼なりの贖罪――と、そういう訳か】

エルヴェツィオよ……貴様らにはまだ付き合ってもらう。
私と共にゼン=カイマに来いッ! 最後の巡礼の地は彼処を置いて他に無いのだ

例えそこに居るのが、あの加賀屋善助の成れの果てであろうとも……
……旅は行きて戻りし時まで終わらない。征かねばならんのだ、ゼン=カイマに
そして全てを打ち払ったなら……十字架一つから、やり直せば良い。……文句は無いな?
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/13(火) 23:19:36.64 ID:43fbqHij0
>>852

【コッコッコッコ―――そのような金属的な足音を響かせながら、路地の奥の方からそのカフェへと向かってくる人物がいる】
【その人物は、修道女の前で立ち止まると無表情のまま見下ろす―――。】



御免、その方グリース・イムリンパルス%aとお見受けするが―――?



【その人物は―――。】
【サラサラとした銀色のショートボブヘアに、狐の耳のような形をしたサークレット型アンテナ】
【眼には紫色のレンズの暗視ゴーグルを装着しており、胴は白銀の薄い装甲で覆われ白い外套がそれを包み込む】
【両手は白手袋、脚は胴と同じく白銀の装甲で覆われ腰に双剣を差した身長160cm程の細身の女性だ。】

【まるで騎士≠フような風貌のその女性は無機質な声で問いかける―――敵意も、何も感じない雰囲気のままで。】
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/13(火) 23:42:13.09 ID:QEKD6ihB0
>>854
【――――直ぐに答えが返って来る事は無い。人によっては居心地の悪い静寂とも表せるのだが……きっと、女性はその様には感じない事か】
【嗚呼、教えもしないのに自分の名を告げる事が出来る輩は大体面倒な手合いだとその沈黙の内で舌打ちでもしており】
【銃を手にするか、そのまま何事も無かったかのように新聞でも読み耽るか。…………出した答えは、紅茶をもう一啜りする事で】


「…………ご名答。ボクはグリース・イムリンパルスだけど……おっかしいなあ
君みたいな知り合いが居た覚えは無いけどさ?」

【向けられた銀色の双眸は何処か鋭くて。緩んだ笑みに似合うような、似合わぬ様な】
【銀色の双銃は未だ腰に提げられたまま。確かに指はカップに絡んだままだけれど――――状況が状況なれば、其れだって立派な撹乱用具へと昇華する事は誰にでも悟れるか】
【銃を手にして警戒しない理由は色々有るけれど、大きな理由は二つ。隠しているのか分からないが、相手から敵意を感じる事が出来ない点。…………嫌、その他の事すら読み取り難いか】
【もう一つは場所の考慮か。万が一に備えて銃声一つ響かせれば客は逃げるだろうか、相手の行動次第では間に合わない事も考えられる。何より、全員を安全に――――なんて事は出来ないから】


「それ、で。ボクに何のご用かな?紅茶が欲しいなら驕るだけのお金はあるし、甘い物が食べたいならちょっとだけ厳しいけど食べさせてあげる事も出来るけど
…………女子会のお誘い、でも無さそうだよね。何より――――一方的に名前を知られてるとあんまり心地良い気分じゃ無いや」

【「此処、座る?」なんて小首を傾げながら暢気に示すのはテーブルを挟んだ向かい側の席だ】
【然れど、隙を見せないような動き。自分の名を一方的に知られているのは好ましく無い――――なんて言うけれど】
【この女とて聖人では無いし、寧ろ路地裏に生きる様な者達に恨まれている事もある】
【そして…………最近では、フレデリックが団長を務めていた彼の騎士団の者達にだって知られている事だろう。ならば、実に厄介か】

【誘いに乗るのも断るのも自由だ。どちらを選んだって、次に紡がれる女性の言葉に耳を傾けるのは間違い無いのだから】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/13(火) 23:54:38.34 ID:nqI3F/UP0
>>853

【フレデリックの一撃がエルヴェツィオに重く響く、顔面に受けた衝撃で彼の身体が後方へ僅かによろめく】
【それでも踏ん張って立っていた、足を失ったフレデリックを支えるために】
【そんな一撃を受けた彼の顔は、腫れて赤くなりながらも笑顔であった】

ッ……ハ……ハハハハハッ……元気じゃねぇか…………
間違いなく、いつもの団長だ、眠気は覚めたみたいだな。

【彼の性格、長年共に騎士団の仲間として過ごしてきたエルヴェツィオには勿論分かる】
【殴る拳が右でなかった時点で、ローブの中が見えなくとも既に気付いていた】
【だからこそエルヴェツィオは思う、仮にフレデリックが自分を否定するのなら、その分彼をどこまでも肯定してやろうと】

俺はアンタを情けないなんて思わない、アンタは今、生きている。
生きているなら希望なんて幾らでもある、やられたなら倍にして返してやれば良いだろう。
俺の知っているフレデリック・シャリエールは、しぶといぜ?

【フレデリックの団長としての、いや、それ以前に友としての言葉】
【共に来いと呼ばれたのなら、返す言葉など決まっている】

来い……か………………
当然だッ!エデンへの道でも冥界の底でも、何処までも付いていってやるぜ!

分かってる、アイツを……加賀屋を"救う"のが俺達に出来ること、俺達がやるべきこと!
…………俺達は聖職者なんだ、そうだろう……?フレデリック大司教よォ……?

/明日早いのでここで持ち越しをお願いしたいのです……!
/明日は遅くても8時頃には来れると思います、なのでその時には舞台裏で声を掛けますので!
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/14(水) 00:00:25.76 ID:3HC10RAH0
>>855

【鋭い眼光を向けられて尚崩れない鉄面皮、まるで感情そのものを封殺しているかのような―――。】
【暗視ゴーグルを付けて瞳すら見えないその顔からは真意はおろか表面的な喜怒哀楽も汲み取れないかもしれない。】
【そう…ともすれば内面がどのようになっているか≠ネど当人しか、否当人すら………】



第三騎士団¥椛ョ………フレデリック・シャリエール直属、トマ・ベラールと申す。



【「………これでこちらの要件は理解しただろう?」】
【そう言いたげな沈黙が数秒流れた後、相手が差した向かいの座席へとゆるやかに移動して座る。】


―――もちろん、拙者とて余計な騒動や怪我人が出るのは好ましくない。
                            故に時と場所は弁えているで候………、そう。




                         以前までならな



【ガンッ!!!】
【突如としてグラスや新聞の乗っていたテーブルが宙に浮きあがる、それは目の前にいるトマと名乗った騎士が右足で蹴り上げたからだ】
【かなりの力で蹴られたのかテーブルはひしゃげて建物の屋上程の高さで回転している、その間に。】

【トマは既にグリースの眼前へと力強く踏み込んでおり、そのまま右の拳をグリースへ向けて放つッッ!!】
【いつの間にかその両手には、魔力を纏った茶色のグローブが装着されており、そのおかげか椅子をそのまま貫き地面を砕くほどの威力を拳は持っている】
【仮に拳を防御した場合、装着された茶色のグローブは表面がやすりのようになっており、衣服と皮膚を抉られてしまう可能性もある。】
【とはいえ既にグリースも警戒はしている、いかにトマのスピードとパワーが凄まじく、不意を突いた一撃でも対応する事は可能だろう。】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/14(水) 00:11:55.49 ID:qABQIMe2o
>>856

侮ってくれるなよ、これでも20年以上教会に身を浸しているのだ
そこらの小僧小娘と同じように何時迄も傷を舐め合う真似などするものか

……だがエルヴェツィオ。貴様の言葉、しっかりと覚えておくぞ
全く不思議な物だ……この愚物の下にお前といい、マリアといい……
よく出来た傑物ばかり集まったのだから。これも神の思し召し、という所か…――?

【にやり、とフレデリックの顔が歪む。巌のような表情が笑みに変わる】
【彼の言葉に偽りはない。高く評価する部下たちが付いてきてくれる】
【それほど頼もしく、心強い者もない――孤独なフレデリックだからこそ】
【彼らも気持ちと言うものが最も嬉しいものなのは、表情一つで察せられるだろう】

うむ……加賀屋は既にその意識を保っては居るまい。
恐らくはあの小娘、アンジェル・ベルジュロンが支配≠オているはずだ

そうなれば我らも使命は、やはり軛を解き放ち加賀屋を救う≠アと…。
……エルヴェツィオ。私はその為に、少々向かわねばならぬ場所が在る
『その時』までには必ず戻るが……その間は、お前に騎士団の指揮を任せたい

なんてことはない……取り乱すものを叱りつけて、毎日聖書でも読んでやればいい
風紀を保ち、関係の無いものに迷惑をかけるな。何か有れば私のせいにでもしておけ

……その上で、私が戻るまで騎士団を……教徒たちを確実に守れ
一人の弱者も余すこと無く拾い上げ、飢えさせること無く生かせ。
困ったことが有れば他の騎士団員や、北方騎士団長のアレクサンデル……アレに任せれば良い。

【『やれるな?』と、フレデリックは彼に尋ねかけた。目元だけは実に真摯だ】
【騎士団を――ひいてはゼン=カイマから付いてきた教徒全てを護る。重い任務、だけれども――。】

/了解であります!自分もその頃には来れますので集まり次第、って感じでしょうか。
/それでは今日の当たりは此処でっ。一旦、お疲れ様でしたー!
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/14(水) 00:22:47.33 ID:dsfic0/00
>>857
【テーブルが蹴り上げられたその瞬間には動かない。動き出したのは、重力によって落下を始めた瞬間だ】
【カップを掌へと乗せたならば足へと力を入れて。踏み込みも出来ないこの状態では明らかに自分が不利だ】
【力比べをしようものならばその後が怖い――――何よりも、手に嵌めた其れが不気味だ】
【ただ拳の怪我を防止する為だけの機能とは到底思えない。ならば、出来る限り触れない事が好ましい、が】


「――――全く…………団長サマと言い君と言い、どうしてソッチの人は此処まで血気盛んなのかな」

【頬が掠れ、薄く血が滲み始めるけれど顔が無くならなかっただけ良しとしよう】
【狙うは、カウンターだ。この不安定な体勢で相手に有効打を与えるとするならば、その力をそのまま与える】
【腕を振ったならば――――横を通り過ぎるその時、中身の入ったカップを顔面で叩き割らんと打ち付けようとする事だろう】

【ゴーグルが目に入る事を妨げるだろうけれど…………数瞬の隙を作れれば良い】
【離れるだけの時間があれば良いのだ。獲物を手に取る、その時間さえ作れれば】


「あのさぁ…………確かに君の名前は分かったけど、だからって急に遅いかかって来る事は無いんじゃない
――――団長サマの仇討ちのつもり?…………それとも、ゼン=カイマが崩壊した憂さ晴らしをボクでしようとでも思ったのか――――なッッッ!!」

【丁度そろそろテーブルが落ちてくる事だろうか。その様子を視界に収めていたならば】
【…………地面にぶち当たる寸前に、跳び蹴りだ。無論、その行く先はトマとなろう】
【テーブル自体にそこまで重量がある訳でも無い故に、全身を打たれた所で戦闘不能には陥らない筈だ】
【――――いや、トマのスピードがあれば避ける事も出来るか。その拳で砕くことだって、不可能では薙いであろう】
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/14(水) 00:48:26.12 ID:3HC10RAH0
>>859

【相手の返し、カウンターがトマの顔を直撃し顔、特に鼻の周囲が斬れるが動じる様子はない。】
【口から血の混じった唾液を吐き捨てながら変わらず無機質な表情のままで頭上に注意しつつ相手を見る。】
【相手の挑発めいた言動にも律儀に答える。】



これでも大分抑えている≠ツもりでござるが………まだ足りんか。
仮に全てを表≠ノ出せばこのままこの街全てを灰にしてしまいそうで候―――。



【グリースがとび蹴りによって放ったテーブルを、トマはそのまま正面から動かず、右の手の甲で道路側に弾き飛ばす】
【先ほどテーブルを蹴り上げた際もそうだったがその見かけに反してとんでもない力を持っている、恐らく何かの術式ではあろうが】
【テーブルを弾いた右手からはじんわりと血が垂れるが―――トマは一度振るのみで痛みを現すことはない。】

【まるで戦闘用のマシーンだ―――これはグリースとも通じる部分があるかもしれないが。】


団長は関係ない。これは拙者自身の抑えても抑えきれない憤怒≠ノよっての行動。
ゼン=カイマ≠、救うべき人々≠ェ集っていたあの場所を、破壊し奪った全ての要因≠刈り取る事………!

貴様やカノッサ―――そして騎士団≠竦ル者自身を含めて全て≠セ………!

―――目覚めろ、蒼対の双剣・グラゴニニヨル<bッ!!!目の前の死神≠滅するッッ!!!


【グリースの言葉についに見せる素顔―――それは行き場のない異常なまでの怒り=z
【騎士団ではなく罪のない教徒たちの住む場所を狙う卑劣=Aそしてそれを起こさせた@v因たる全ての要素。】
【そう自分を含めた騎士団にすら向ける底なしの憤怒≠ェ彼女を覆っているのだ。】

【だが教会≠ゥらすれば騎士団にいて七つの大罪の一つを体現しうる彼女はただの異端でしかない、もはやどこにも救いはない。】


【トマはそのまま両腰の剣を引き抜く―――刀身は蒼色で金属光沢は殆ど無い対の双剣だ。】
【これはトマが風の国・大聖宮ヴィンド≠ノて聖都派閥の刺客から奪った戦利品だ、もしかすれば見覚えがあるかもしれない】

【トマは双剣を構えるとそのまま再び高速でグリースへと肉薄、そのまま腕を交差させて鋏のように二つの刃で首を取ろうとするだろう】
【刀身には何時しか圧縮された海水が纏われており切れ味は見た目よりはるかに鋭い、対応には注意が必要だろう。】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/14(水) 01:16:33.22 ID:dsfic0/00
>>860
【――――彼女の行動理由を耳に入れた頃からだろうか。僅かに、女の雰囲気が異なった】
【……否。その表現は誤りか。何も知らぬ一般人からすれば確かに“僅か”ではあったが、戦い慣れた者からすれば“大きく”変わったとも感じ取れるだろう】
【長い長い溜息の後、その手に握られていた銃は一振りの剣と化して。睨む、では無く。ジ、と見つめるその視線は先程までの緩んだ其れが取り払われ居た】


【もし、彼女の双剣に纏わせた海水に何かの術が施されていないならば。ある意味では、この修道女が持つテナーの瞳と実に相性が良い】
【水を操る力を秘めたその瞳。確かな者が使ったならば強大な武器ともなろう。だが、未だこの女は全てを使いこなせて居らず】
【自らの首を断たんとするその刹那の時間に干渉は出来ない。だから、先ずは守りに徹するべき――――なの、だが】


「――――子供の我が儘で首を狩られる程死神も落ちぶれちゃ居ないよ
君達がもたらした結果だ。自分達の我が儘で、自分たちの住む場所が無くなって――――…………当てつけに全てを刈り取る?
そうさ、自分たちが“救うべき人々”にしか目を向けていなかった結果だよ。他を弾圧してまで、血を流してまでしようとしてたんだ
…………それが神サマの教えかい?私を信仰しない者は殺しても良い――――って」

【剣を斜めに差し入れれば、其れを支えとした。首の皮が斬られ、海水も染みこむならばチリチリと焼ける様な痛み】
【滑れば滑るほどに、皮から肉へと食い込み始めるのだが――――?】


「…………巫山戯ないで欲しいな、トマ。余りにも稚拙な子供の我が儘だ
アレだってもしからしたら君達がしていた別な未来かも知れない。改革だとか、革命だとか――――
自分たちの場所が攻められたら自暴自棄になって激怒かい?君達も同じ事をしていて――…………剰え、仲間をも取り除こうとしてるのかな、君は
――――――良いさ。相手して欲しいなら相手をしてあげるよ。君と全く関係の無いこの場所で、君がされた事と同じ様に無力な人を巻き込むように
全部全部同じ様にして相手をしあげようか、トマ」

【頸動脈に触れる寸前、強烈な膝が腹部へと放たれる事だろうか】
【其れより先。海水を操れるならば、其れを刃としてトマ自身の身体を斬り付けるし――――出来ないならば、剣の“腹”で思い切り側頭部を叩き付けんとするのだが】
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/14(水) 01:48:40.05 ID:3HC10RAH0
>>861

【肉薄する瞬間に相手の雰囲気の変化≠感じ取るが、それを振り切るようにしてさらに加速する。】
【圧縮海水は術式で作られたものであるが、創りだされた後はただの海水≠セ、故に相性は最悪だろう。】
【否、そもそも第三騎士団の団長であるフレデリックと同等かそれ以上の相手、相性以前の問題でもあった―――。】

【刃はグリースの剣によって阻まれ、動脈の手前という位置でそれ以上動かず拮抗する。】



我がままだと―――!?
嗚呼………そんな事は理解しているでござる!この戦いにおいて不穏分子以外の者も傷つくと!
それは違うッ!拙者は………拙者たちは………ガッ!?



【グリースの言葉に一瞬気を取られた瞬間―――腹部に強烈な肘が入り、胃液を吐きだしながらトマは二歩、三歩と後退する】
【刃は届かず………死神≠ヘ健在………そしてテナーの瞳によって操られた海水は一気にトマに逆に刃として襲い掛かり、全身が切り裂かれる】
【ガクン―――っと膝をついて全身から血を流すトマ。そう、相性以前、絶対的な力量差が二人の間には存在していたし】
【そんな相手に愚直に前方から攻めるのは―――無謀≠ナあった。】


そうだ―――我々も戦いの中で人々の大切なモノを奪っていったで候。
だが、そうした人々も含めて救う∴ラの場所がゼン=カイマ≠セったのだ!そこに信仰は関係ない!


何故………なぜ、その場所が―――その場所がなくなれば救いを求める人々はどこに行けばいいッ!?


≪聖炎・エレア=竅\――ッッ!!!斧槍・ランツクネヒト¥「喚………!!



【もはや自己すらも見失い絶叫しながら鮮血をまき散らし立ち上がる。そして全身に纏われるのは碧い炎=B】
【この戦いを行う際に背信した司祭たちを裁くためとはいえ人々を傷つける事に躊躇ししていたトマにとって】
【ゼン=カイマ≠アそが心の主柱、ゼン=カイマ≠ウえあれば自身らの罪で傷ついた人々にも手を差し伸べることが出来ると】
【そう考えていた彼女の精神はもはや高潔な騎士としての精神も、状況を理解する意識すら残ってはいなかった。】


【そして振り上げられるのは身の丈もある斧槍=\――、それを再び愚直にグリースへと振り下ろす。】
【グリースであろうと地面であろうと激突すれば碧い爆炎≠ニ衝撃波を辺り一帯に放ち巨大なクレーターを作るだろう】


【とはいえ―――先ほどの二回を通してトマが冷静さを失っている事の理解とトマのスピードへの慣れもしているだろう】
【そして全身から血を流しながら満身創痍で放ったこの一撃、決着は必然だった。】
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/14(水) 02:13:16.34 ID:dsfic0/00
>>862
「場所は場所でしか無い。それ以上でも、それ以下でも無いんだよトマ
その場所が無かったらもう救いの場所は無いのかい?――――そんなんじゃ、君はただの張りぼてだ
ゼン=カイマと一緒に壊れれば良かったんだ。……でも、君はこうして此処に居る。そりゃそうだよね。君だって一つの生き物なんだから
――――救おうと思えば瓦礫の山の上だって救えるんだ。救うのに必要なのは場所なんかじゃ無い、救いたいという気持ちなんだよ
今の君が持つ“壊したい”とは全く逆だ。…………理解して居るつもりで終わってるんだよ。したくないから、“つもり”で終わらせてるんだ」

【――――この一撃を放たせては不味い。自分一人で逃げようにも、他の者達は逃げ遅れるのは分かりきった事だ】
【だが、膝を着いていた事が幸い。今度は、こちらに踏み込むだけの余裕が出来ていたのだから】
【放つ前に。地面に触れる前に、トマを止めるその手段は…………?ああ、そうだ。させなければ良いだけの事だ】
【振るという動作を中断させれば良いだけの事なのだ。最も単純で、最も難しい答え】


「何処に行くんじゃ無い。君達が行って、救ってやれば良い
…………君達は救うべき場所でただ待つだけなのかい?歩いて行ってあげた方が多くを救えるさ
そしてみんながみんな動ける訳じゃ無いんだ。みんなが日の下を歩ける訳じゃ無いんだ
本当に救いたいなら、君から寄るんだよ。場所が無くたって誰かを守る事は出来る。…………そうだろう。悪者だけが自由に動けるなんて卑怯じゃ無いか

――――カタッ苦しい話は終わりだよ。ボクは君を止める。其れをさせたら、今度は君がこの街の悪者だ。ゼン=カイマを壊したのと同じ様にね
団長サマもまーた怒って面倒な事になりそうだしさ。だから――――――君を、止める。トマ」

【振るうべきは刃では無い。彼女の命を絶つ必要は無いのだから】
【逆手に持てば大きく踏み込んで――――“振り下ろす”という動作に合わせるかの様に、剣を“振り上げる”】
【狙うは額だ。砕かずとも良い。顎を撃ち抜かずとも良い。…………数瞬だけ意識を途切れさせれば、その攻撃も止められるだろうから】

【彼女の武器を扱う速度は実に速い。ならば、反する力を叩き付けてやれば其れだけダメージも大きくなるであろうと考えて】
【――――彼女を止める一撃。この街まで破壊しかねない其の一撃を止める為の攻撃が、今放たれて】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/14(水) 02:38:09.75 ID:3HC10RAH0
>>863

ぐ………貴様に………何がッッ!!!
五月蠅い―――五月蠅い五月蠅い五月蠅いッッ!!!拙者は、私はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



【雪崩れ込んでくるグリースの言葉に、血が滴るほどに唇を噛みながら苦しそうに呻く。】
【やがて耐えきれなくなったように斧槍を振り下ろす―――わかってはいた、これは逃げだと、恐怖から逃げる行為だと】

【大切なモノが奪われ、その原因が自分にあるという罪悪感と恐怖から逃れようと言う逃避行為なのだという事は理解していた。】
【だが―――トマの心は耐えられなかった………元々胸を痛めつけながら行っていた巡礼≠フ先の結果だったから。】


             【ガキィィィィィィィィィィィィィィィッッ―――ンッッ!!!】


【激しい金属のぶつかり合いの音が響いた後―――、トマの斧槍・ランツクネヒトは宙を舞い………そして遥か後方の地面に突き刺さった】
【そして数瞬した後………燃え上がるように碧い炎≠ノ包まれ消失した。】


【トマはというと、全霊を乗せた一撃が弾かれ、全身の力が抜けたのかそのまま地面に倒れこむ―――。】



救えるのか………拙者に………。
もはや、何を信じ、何を道しるべにすればいいか分からない私に………誰かを救う事が………あ。


【トマは血と共に、涙を流しながらそううわ言のように何度も呟いてからガクリと意識を失った。当たり前だ、血と魔力を使いすぎた。】
【さて、後始末≠ヘグリースの自由だ、これから先にまた立ちふさがる事になるかもしれない相手、ここで終わらせる事もできる。】

【何にせよ―――此度の戦いは終わった。カフェの店員も既に逃げ出し、顛末を見ていたのは月≠フみである。】


//お疲れ様でした!
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/14(水) 03:00:38.87 ID:dsfic0/00
>>864
「――――知らない。君の気持ちは、何も分からない
そうやって耳を閉ざすからそうなるんだ。目を閉じていたから、こうなったんだ
…………結局救って欲しかったんじゃないのかな?君も。そんな場所が壊れたから――――まァ、もう良いっか」

【その身体が地面へと倒れる前に、片手で支えてやって】
【死んだ者も怪我をした者も居ない。…………ホッ、と小さく安堵の吐息をしたならば気の失せた身体を横たわらせて】
【死神らしくも無い行動だ。そのまま撃ち抜くなりすれば良いのに、する事も無く】
【代わりとして取りだしたのは一つの水晶玉。向こう側に見えるのは、また別な修道女であって】


「誰かを救うという事を導にすれば良い。――――ボクには出来ない事だ。でも、君なら不可能でも無いよ
…………ん。ああ、カログリア?悪いんだけどちょっと怪我人を見つけてさ
うん。治してあげてくれない?場所は――――」

【次にトマが目を覚ましたならば。辺りの惨状はそのままであったけれど、身体の痛みも無くなっている事だろう】
【痛みだけでは無い。傷も、確かに無くなっているのだ】
【通りすがりの者が治癒したのか、それとも死神と呼ばれる彼女が命を奪う事も無くそれ所か治癒まで…………?】

【誰が見ていた訳でも無い。だから、答えは当事者しか知らぬ事】
【何故殺さなかったと恨もうがどの考えを抱こうが――――もう、本人は居ないのだ】
【直ぐにでも太陽は登るであろう。傷が癒えた状態ならば、何処にだって行くのには不便は無い筈だ】

【気付けば、ポケットにでも紙切れが一枚入って居る事だろう】
【並べられた数字。調べれば何処かの教会の物と分かるが――――ゼン=カイマに属していた物では無い】
【ならば自然にグリースの所属している場所と行き着くか。何かあれば連絡すれば良いと言わんばかりの其れをどう扱うのか。其れは、トマの自由であって】

/お疲れ様でありましたですよー!
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/05/14(水) 15:42:51.54 ID:38vRA9kE0
【そこは日の光すら拒絶される闇】
【人々の雑踏が立ち入れない、忌むべき場所】
【路地裏と呼ばれる場所には、一人の少年が座り込んでいた】

ハァ……ハァ……

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【薄手の灰色のコートを身に纏う】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【息が荒く、赤く染まった頬はまるで激しい運動後のようだ】
【壁にもたれてその息を整えようと休息中に見える】
【だが、顔を隠すように目深くかぶったフードを見る限りそれだけではないようだ】

まだ……追ってるのかな……

【そう、目線をあげながら呟いて表通りの様子を伺っている】
【だが、すぐに顔を潜めた】

【その目線の先には黒服で身を固めたサングラス姿の男たちが数人】
【辺りを見回している】
【まるで誰かを探しているように】

どうしよう……ふさがれてる……

【彼の様子は表通りからも見えないことはない】
【この怪しい男たちに追われている――――、それぐらいは察しがつくだろう】
【そんな少年に、貴方はどうするのだろうか――――?】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/14(水) 19:20:20.28 ID:J8EuBi1eo
【路地裏】


【道路を走る車の音が聞こえて来る】
【建物に遮られた音はまっすぐに響いて来ず、まるで壁に隔てられた別世界からの音のようで】
【往来する人の数の差もそれを助長している。その証拠に、今起きている出来事にまだ誰も気付いていなくて】


「オイ! こいつ能力者だぞ!」
「でも弱そうだしやっちまおうぜ。ムカつく目ェしてやがるしよ」
「泣いて許してくださいって言えば半殺しで済むかもなぁ? ヒャハハハ!」


【三人ほどの男が少年を取り囲んでいた。いや、すでにいざこざの最中だった】
【男たちは派手な衣服を身を包みジャラジャラとアクセサリーを付けた――いわゆるチンピラという風貌で】
【彼らは少年に殴りかかったり拘束しようとしたりするが、全てかわされていた】


痛、っ……ああ、鬱陶しいな


【少年の方もかわすことに精いっぱいのよう。握られた黒い魔翌翌翌力の剣も振るわれることはなく】
【ついに顔への打撃を許してしまう。不良達の下衆な笑みがこの上なく深まったのは言うまでもない】

【真っ黒のボサボサ短髪、深淵を思わせるかのような漆黒の瞳は三白眼で、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】

【突破口を見出すべく不良達を睨むのだろう。その眼には雑念などなく――】






【時同じくして――また別の路地裏】


オオ――――ッラァァッ!!


【突如として火柱が立ち昇るだろう】
【同時にこんがりと焼けたチンピラが数人、壁や地面に叩きつけられて気絶した】
【発生地点には拳を掲げたまま静止するひとつの影があることだろう】
【辺りを覆う熱気の中、その人物は火竜じみた獰猛な笑みを浮かべていた】

【男性にしては長めの髪は不揃いで所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は襟を立てた薄手で灰色のミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――そんな、気迫に満ち溢れた青年】

【ジャケットの右胸部分には緋色の鷹≠ェあり、彼の所属を明確に示している】
【そして今の青年両腕には――真紅のガントレットが装着されていた】


うっし! お前ら全員連行な!
にしてもこりゃあ……やりすぎちまったか?


【携帯端末で仲間と連絡を取った後、青年はひとつ伸びをして】
【チンピラ達が生きているか、つついて確認しようとするだろう】
【仲間が来るまでの間――彼はそんな感じで暇そうにしているはずだ】
【ここを通ろうとすればきっと、彼らにぶつかることだろう】
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/14(水) 20:13:21.80 ID:l7C+gNI70
>>858

ハハッ……団長からそんな台詞が出るとは意外だぜ。
だがな、マリアや他の奴は俺も認めるが、俺は自分が優れているなんて思っていない。
寧ろ俺が此処に立っている事の方が不思議な位さ、それも皆と肩を並べようとして必死こいた結果だ。

【フレデリックと同じ様に、エルヴェツィオもまた孤独だった、大切な家族が急に消えてしまった時は数週間部屋から出なかった事さえある】
【今の彼の髪の長さはその時からだ、それももう10年以上も前の事だが】
【あの時を忘れない為に、髪の長さはずっとそれでキープしているのだ】

【騎士団に入ったのは父親の精神を受け継いで、そして何より悪を裁く為だった】
【この前、スラウロットで捕らえられた司教の中には手に穴の空いた者が居た、それはエルヴェツィオが捕らえた司教だ、その穴は家族を見殺しにした奴に対しての、彼なりの裁きだった】
【殺さなかったのは 感情を必死に抑えた結果だろう、これからも多くを救う為に、自分の個人的な感情だけで命を奪い騎士団に居られなくなるのは嫌だったからだ】


……お、おい団長…………俺なんかに任せて良いのか……?
俺よりも適役はいるだろう……それでもか……?

【フレデリックの視線から、彼が本気である事が伝わってくる、それでも俺なんかが……という気持ちがどうしても残る】
【しばらくの間 沈黙する、頭の中で考えに考え抜き、出す答え】

……分かった、友の頼みだ、絶対に守ってみせると約束しよう。
だが、お前も約束してくれ、第三近衛騎士団の団長はアンタなんだ。
…………必ず戻ってこい……!破ったらさっきの拳を100倍にして返すからなッ……!?

【そう言って、海の様な瞳を揺らがせながらフレデリックに微笑んだ】
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/14(水) 20:35:48.21 ID:qABQIMe2o
>>868

フッ……馬鹿を言えエルヴェツィオ、お前以外に適任は居ない。

マリアは専守防衛……人を率いるのではなく、護る事に秀でている。
トマ……あの者は騎士だ。人前に立つ、というタイプでも無い
そしてチップスは戦闘の世界に生きる男よ。他に有力な者は居ない、となれば……

……私は、お前の中に自分の写し絵のようなものを時折感じる。
孤独と努力……人が本来持つ純粋な強さを、お前は確かに持っている…。

【エルヴェツィオの事は、共に騎士団という場所で切磋琢磨した仲だ】
【よくよくその性情は知っていたし、彼の事情もまたよく知っている】
【その上で合理的にも判断した結果だった。信頼に足る騎士、そして友として…―。】

【彼が申し出に答えれば、フレデリックはにやりとしたまま首を縦に一度振って】

お前の言葉、決して忘れんぞ?……そして、頼りにさせてもらうとしよう
……他に適任は居ない。その事、よくよく忘れてくれるなよ

それに……あぁ、戻ってくるとも。私を誰だと思っているのだ?
このフレデリックが、一度でも敵前で逃げたことがあったか?
……フフッ、任せておけエルヴェツィオ。ほんの少し、遠出するだけだとも――。

【彼と目を合わせた後、フレデリックはバサリとその背のマントをはためかせ】
【次の瞬間には得意の転移魔術が発動して、彼の姿は失せていた】

【――エルヴェツィオなら、術式の軌跡を辿って行くことが出来るかもしれないが】
【その先は風の国。詳細にどこまで、というと全く分からないものの】
【塵や風になってしまったのではない事は確かで――最後の表情もまた、笑みであった】

/この辺りで、お疲れ様でしたー!
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/14(水) 20:42:16.74 ID:J8EuBi1eo
/>>867はまだ募集中です…
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/14(水) 22:14:01.33 ID:ZJphWY+Jo
【草原】


「ふんっ!せいっ!とぅりゃーー!!」


【夜も更け、人気も薄らいだ草原地帯で何かが風を切る音が鳴っていた】
【音を聴く、もしくはその"光景"を目撃することがあったならば】
【それを鳴らす正体を見つけることが出来るだろうか】

【その"人物"……身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【腕には体格と不釣合いな程に逞しい、石像のような装甲が張り付いており】
【その腕で身の丈ほどもある金剛石の剣をしかと掴み、身体をくるくると回しながら遠心力任せに振り続けていた】
【それは剣術と呼ぶには余りにも原始的で、ただ力任せに暴れているようにしか見えないかもしれない】


「……むぅ、やはりしっくりこんのだ!」
「やはり誰かに師事したほうが良いのかの?剣の使い方などさっぱり判らんしのぅ」


「しかし生兵法は怪我の元とも言う、悩ましいところなのだ〜……」


【やがて、飽きたように剣を地面に突き立てると】
【巨大な片刃剣の峰に身軽な仕草で飛び乗って座り、顎に指を添えて何やら思案する】
【不器用な得物の使い方から察せられるであろうが、剣技の類は習得していない様子であった】

【この妙な格好で剣に座る人物の近くを通りかかったならば、その姿が目に留まることもあるだろうか】
【また、近辺で何かが発生すればこの人物はそちらに注意を向けるかもしれない】
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/14(水) 22:38:07.18 ID:dsfic0/00
【深夜の森の中。この時間帯ともなれば、所謂悪に染まった者達も活発に活動を始めるのだけれど】
【今宵その道を歩くのは二つの影。一人は銀の髪を持ち、同じ色の双眸の女性。纏う物は修道着であり】
【もう一人は、顔を隠した――――体型からして、男であろうか。腰に提げている刀は実に物騒な印象を与え】
【何度も修羅場を潜った者ならば、その刀が“使い込まれている”事にも気付けるか】


「――――そうですか。その様な事が…………何とも、怖いような…………
他の方々が犠牲になる前に、どうにかしてその方を止める事は出来ないものでしょうか」

『ええ、ええ。全く怪しからん話ですよ、ええ。しかも非力な女性ばかりを狙うのだから何とも質が悪い
ほら、お姉さんも戦い慣れていないでしょう?その動きを見ればあ分かりますよ。いやね、だからアッシが少しの間お姉さんの護衛を勤めさせて頂こうかと思いやしてね』

【…………近頃、辻斬りが問題となっている事をどれ程の者が知っているだろうか】
【弱い女性や子供のみを狙った犯行だというのだから実に卑劣】
【そして、何を隠そうその犯人が修道女の隣を歩いている男であり――――修道女が人当たりの良い性格をしいるのを良い事に、漬け込んで】
【今宵の獲物を定めたのだろう。人気の無い森の奥へと誘い出した次第である】

【仮に、辻斬りの話を知らずとも。隠しきれない殺意が滲み出ている事は、戦い慣れている者ならば直ぐに分かる事。其れが修道女に向けられて居る事も】
【舌なめずりをして、今にも襲いかからんとするけれど。さて、この場に訪れるのが善か悪かは分からないが――――…………】
【通りかかれば、刀の柄に手を伸ばした正にその場面となっている筈か】







【――――一つの都市に存在する図書館。古今問わず様々な本が並べられており、その書架の数は実に膨大】
【例え幼少の頃から此処に住もうとも、一度や二度の人生では読み切れない程の数…………と記せば、想像も出来るか】
【そんな場所と言えども、常に開門している訳では無い。流石にこの時間ともなれば職員達も去っている筈なのだけれど】
【…………不思議な事に、気配が二つ在った。其れも、敏感な者であれば外からでも感じ取る事が出来そうなものだ】


「闇の中。広がる波紋。止まぬ雨は何時か朱に変わる。病を拡げまた雨は続く」

【図書館に入ったならば、先ず一人の黒いドレスを纏った少女が映るだろうか。暗がりの中でも目立つのは銀の髪。きっと、其れだって存在を際立たせる】
【不思議なのはふよふよと身の回りに幾冊もの書物を浮かべさせている事だ。自身の手には、一冊も収まっておらず】
【宙に浮かぶ内の一冊を手に取り、適当に開けば其れだけで満足したのか閉じて再度浮かべさせる何て事を繰り返しており】
【魔術の類であると理解するのはそう難しくも無い筈だ。――――そんな事も飽きたのか、最後の一冊も終えてしまえば戯れに細い手を縦に一振り】

【その動作一つで書物達は本来収まっているべき場所へと飛んで行くのだから不思議なもの】
【――――自分たち以外の新たな来訪者の存在に気付いたのは、其れ等全てが収まり終えてからか】
【髪と同じ銀の双眸が――人によっては冷たくも思えるその目が、真っ直ぐと向けられる事となり】
【少女から何か問う事は無い。だからこそ、かえって不気味にも思えるだろうか】

【――――何故この場所に居るのか。何をしているのか。咎めるも咎めぬも、その者の自由】
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/14(水) 23:05:19.77 ID:qABQIMe2o
>>871
/まだいらっしゃいますかー?
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/14(水) 23:09:23.26 ID:0sWFeTx+0
【街中――児童公園】
【満月に一歩足りないお月様が夜空の天蓋でぴかぴか光る、辺りに散らした星屑は、いつもよりいくらか少なくて】
【明るい中に隠れてしまったのだろう、それが、街中だと余計に少なく見えて――大分、寂しいような感覚】
【星よりも月よりも明るい街灯の下に人影がひとつあった、それはちょうど、水飲み場の辺りで――】

や――、……うぐ、どうしようこれ……、濡らしちゃったあ……。

【――困惑した声がふわりと夜風に零れる、風に乗る声色は鈴の音とよく似た涼しげなもの、不思議に金属質なのがよく響いて】
【摘み上げたスカートの裾がいかにも重たげに垂れる、ぱたぱたっと滴り落ちる雫を見れば、言葉の意味を無理やりでも分からせるよう】
【片方の手が頬っぺたに触れてへばり付いた髪の毛をざらりと退かす、それから犬のように振った首の仕草、たくさんの飛沫が散った】

【――黒色の長い髪をした少女。すっかりと濡れ鼠ななら、ぺったりくっついた洋服がその華奢さを教えてくれるようで】
【黒色と赤色のオッドアイが困惑に揺らぐ、目元の潤んでいるように見えるのは――きっと涙じゃなくて、被った水のせい】
【黒に程近いこげ茶のワンピースに乗せた生成り色のレース、胸元に咲いた赤色のリボンも、今宵はじっとりと濡れそぼって】
【長いソックスとヒールの高いパンプスの足元はどうやら無事なようだったが。そんなところだけ無事でも、きっと何の意味もない】

どうしよう……、こんなので帰ったら聞かれちゃう――、濡らしちゃったなんて、そんなぁ、……。

【もしも誰かが見ていたなら、どんな状況だかも分かるだろうか。ふにふにと弱音を洩らす声、夜の中にふわふわ揺れる原因】
【――まず水を飲もうとしていたらしかった。悪かったのは蛇口の緩さ、ちょっぴりでたくさんの水を出す仕様】
【知らなかったから思い切り水を被ってしまった。なんとか水を止めたところが、ちょうど冒頭部分で――】

うう……、……。

【膝丈のスカートをぐぎぎと捻って水を落としてみても現状が変わるわけでない、ただスカートのポケットを漁ってみたなら】
【ずざーとハンカチを引き摺りだすのだけれど。それさえ濡れているのを見れば、すっかり意気消沈した様子だった】
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/14(水) 23:09:49.17 ID:ZJphWY+Jo
>>873
/1時くらいで持ち越しになっちゃいますけれど、いますです!
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/14(水) 23:22:50.09 ID:qABQIMe2o
>>871>>875

【夜更けの草原地帯、小さな人影の側を何か≠ェ通りかかる】
【銀色の線――流星にしては小さかったし、人にしては早すぎて】
【それが何なのか分かるのは、その直ぐ側を通りかかる瞬間だろうか】

【…――狼≠セった。体高2mにもなろうかという、尻尾の長い狼だ】
【毛並みは白銀。これが微弱な光源にひかって見えた、ということらしく】

―――おぉう、どこかで見た顔……いやその板切れよなっ!
お主アレであろう?先日封魔城≠フ一件に居たであろう?

いや偶然よ……儂の事、覚えておるかの?
ほれ、九尾相手には魔力だのを纏わせた刃でかかれと言うた…――。

【しかし驚くべきはもっとその先だ。狼は通りすがりに相手を確かめると】
【急ブレーキをかけつつ変身≠キるのである――耳と尻尾はそのままに、人型へと】

【――両手足には鉄の輪。胸元を薄布で覆い、ハーレムパンツと呼ばれるものを履き】
【他はなんとも露出の多い――もとい、動きやすそうな格好の獣人は】
【確か長尾銀狼≠ニか言ったか。覚えていればそれはそれで良いだろうし――】

【で、なければ突っ込みどころも多い。耳はともかく、その尻尾は実に長く】
【2m程はあろうかという銀色の尾は、マフラーのように首周りに回していた】

/わーい!というわけで突撃ー!よろしくお願いしますですっ!
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/14(水) 23:43:10.81 ID:ZJphWY+Jo
>>876

「……うむ?」

(ここいらでは見かけん犬だの)
(しかし、あの毛並みどこかで見たような気もするのだ……)


【小柄な人物……地術師シーナ・ゲルギルは、知覚範囲に存在する獣のようなモノに気付き
【思案を止め、顎に添えていた手を斜めに地面に突き立てた剣の峰に触れさせて】
【足をぶらぶらと揺らしながら、白銀の狼をフード越しに"視界"に入れた】

【最初は珍しい獣が近寄ってきたのかと見ていたが】
【距離が接近するにつれて、それがどこかで見たような気がするという感覚に変わっていき】
【そしてそれは……間もなくして確信へと昇華される】


「……おお、思い出したのだ!御主はあの時おった獣人か!」
「こんな寂れた場所で会うとは、中々の偶然だの!」


【シーナは変身した銀狼を見て、すぐに以前共闘した人物であると思い出す】
【座っていた剣からピョンと飛び降りると、二本の足で地に着き】
【彼女の元へと小さな歩幅で近寄っていこうとする】

【共闘関係に合っても相手の顔を忘れることの多いシーナだが】
【戦闘中関わり合っていたり、特別目に付いた理由などがあれば基本的に記憶している】
【この場合は――】


「勿論覚えておったのだ!このシーナ様の記憶力を甘く見るでないぞ!」


(あの触り心地の良さそうな尾、以前から気になっておったからの!)


【――モフモフ的な理由であったのだが。】
【フード越しであるため判りづらいが、首の向きなどから"視線"は】
【顔や露出度の高い格好ではなく、尾の方に向いているのが察せられるだろうか】
【この少女は身内が獣人なためか、こういった類には友好的なのであった】
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/14(水) 23:57:58.35 ID:qABQIMe2o
>>877

うむ、やはりあの時のお主で正解のようだのう!
最初は巨躯の騎士かと思うておったが、まさかハリボテとは……いやいや

……ま、何はともあれ久しいのう。互いに健康なようでなによりじゃ
あの時は最後も……悔やんでも悔やみ切れぬ結果に終わったからの。
ちとあの桔梗には私縁も在る故、次の備えて体作りの途中だったというわけじゃ

【『かくいうお主もそんな所かや?』と金剛石の剣を眺めて言うと】
【ふと気付くのはその目線。自分の尻尾に向いているのが分かるとしゅるりと解き】

ほうほう、シーナ様……のう?そう言えば名は告げておったかや?
儂の名は長尾銀狼。見てそのまま、尾の長い銀の狼ゆえ、な……ほれほれ〜…?

【名乗りをしながら、器用に尻尾を動かしてシーナの方に先っぽを伸ばす】
【ちょうど手で掴めるくらいの高さと位置。ゆらゆらと動くさまは、まるで猫じゃらしのようで】

【――そう、銀狼とて鈍感ではないしソレ≠フ経験も勿論、あった】
【相手の目線の意味は分かっていると言うように誘いつつ――もし手を伸ばせば、さっと尻尾を上にやり】
【それでちょっと遊んでやろうというのだ。さらさらの銀毛は、月光を受けてきらりと輝いていた】
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/15(木) 00:17:45.33 ID:ge8IAAoU0
>>874

【満月でなくとも綺麗に光る夜の空、星屑の足りなさを補って有り余るほどに】
【そしてそのような夜空の街中を歩く一人の人物】

【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星があるがそれをうまく隠している】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

【そのような格好の男、彼はどことなくぼおっとしているように見える】
【そんな彼がふらりと歩いて到着したのはこの町にあるひとつの公園だ】

 さて、今日もうまいアイディアが浮かばなかったな
 ……はぁ、いかんなこれは本当に

【適当にそのような独り言をポツリと言えば、辺りを見渡した】
【あたりを見渡して何もないかと思えば、違い明るい街灯の下に人影が見えた】

 おや、私よりも先に先客がいたかね、だがなんだ?
 なにやら動いていないようだが?、――見に行ってみるか

【そのような心配をしてから、あの人影の人物を見に歩き出していく】
【そして近づいていけばだんだんとその人影正体がわかってきた、その正体は一人の可憐な少女であった】
【そしてその少女はどうやら服などを水浸しにしてしまっているようだ】

 おやおや、そこの少女よどうしたのかね、そのように水浸しになって

【彼は心配しそのように言いながら少女に近づいていく】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 00:23:34.97 ID:6nph63jso
>>878

「うむ!私は野望の為に、倒さなくてはならん輩が幾らでもおるからな!!」
「日々の精進は欠かさぬようにしておるのだ!」


【「あの狐の妖怪めも、今度会ったら絶対に泣かせてやるのだ!」と】
【絶望的な状況の後とは思えないほどに、戦意溢れる台詞を記していた】

【板上に走らせている口調や、戦闘中に敵へと立ち向かう様子を見ていたならば】
【無駄に自信溢れるこの少女の性格が、ある程度掴めてくるであろうか】


「そうなのだ!巷で噂の天才魔術師、シーナ様とは私のことよ!」
「長尾銀狼……うむ、長尾よ!未来の英雄たる私の名をしかと胸に刻んでおくがよいぞ!」


【小さく幼い身体に見合わぬ、尊大な台詞で銀狼の名乗りに返し】
【起伏を感じられない胸を逸らし、手を腰に当てる仕草を見せつつも……】


(む……むぅ……?)


【……尻尾が揺れる度に、それに合わせて首の向きは誘導され】
【手を伸ばせば届きそうな距離で行われる戯れに対して、本能的な反応を示す】
【"猫じゃらし"の例えそのままに、まるで子猫のように片手を少し上げて】
【掌付近をぷるぷると震えさせながらも、飛びつきたい衝動をなけなしの理性で押さえ付けていた】

【幾ら尊大な性格といえども、友好関係を築いていない相手に対し】
【いきなり身体に飛びつくほどの無茶はしない。現状はギリギリのところで行動に移すことはなく】
【首を数度横に振って"煩悩"を振り払おうとしながらも、会話を続行しようと試みる】


「……そ、そういえば御主は体作りの途中と言うておったな?」
「この先、何をするつもりだったのだ?」

「私一人ではどうにも行き詰まっておっての、何か良い修練方法があれば教えるがよいのだ!」


【尾先にチラチラと熱い視線を送りながらも、銀狼に対してそんな質問を投げかける】
【話題の転換で意識を逸らそう……という目的も存在するが】
【修練に行き詰まっているというのは本当の事である。後ろに突き立ててある大剣も、シーナの体格からすれば不相応な代物であった】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/15(木) 00:30:04.60 ID:nM5BcGRc0
>>879

【夜景を指して「御覧、あれが社畜の星だよ」なんて冗談を言えそうだった、それぐらいに、地面にも天蓋にもたくさんの星】
【ただの街中で見るのがもったいないぐらい、遠くの――たとえば街外れた小高い丘から、なんて見下ろしたら綺麗なはずで】
【もちろん服を濡らしてしまってしょんぼりとする彼女にその綺麗さが見えるはずもない、見ているのはワンピースのッソばかり】

【買ってもらったのはだいぶ前だが着たのがはじめてだった。いわゆる積み上げていた服、罪服――なんて言うのかは知らないけれど】
【クローゼットを引っくり返して着てきたものでわざわざこれだ。そりゃあしょんぼりもするだろう、とは少しの余談】

……色移りとかしないかな? 色抜けないかな……、大丈夫かな……。
どうしよう、ハンカチ濡れちゃってるし――、拭くものなんてもう持ってないし、

【取り出したハンカチからぱたっと水が滴る、それを悔しげに絞る幕間、華奢な掌で虐めるように絞り上げて】
【ぱんっと広げてみれば濡れそぼったスカートよりかいくらかましな様子、それでぐしぐしと顔を拭って――ふと溜息】

【心配ごとだらけだった。このまま帰ったら怒られるとか、服の色が落ちるとか、最悪このまま風邪を引くとか】
【一番切実なのがひとつめな辺りに少女の性格が窺える、次点が風邪、喚いてはいたが色抜けについてはそんなに切実でもなく】
【まあ大丈夫だろうという油断、それがどうなるのかはこの場ではどうでもよくって、後日に分かることだから】

……何よ、……――、暑いから水浴びしてたのっ、最近暑いんだもの、夏なんて来なくたっていいのに……。

【うじうじと悩むところに掛けられる声、ぴくりと反応する肩は折れそうに華奢で、服のぴったりしている今はそれが余計に目立つ】
【ぴったりと服が肌にへばりついても起伏を見出せない胸元はまあ置いておくとして――気持ち悪げに胸元に引っ付く布を摘んだなら】
【明らかに嘘だろうという言葉を返すのだった。水浴びするなら少なくともこんなごっさりとしたワンピースではしないだろうし、】
【――投げられたボールを見つけられなかった子犬みたいな目をするはずがないのだった。どうしようと不安がる時の瞳、煌かせて】

…………拭くもの持ってない? わたしのハンカチ、濡れちゃって使えないの。

【そうやって数秒ほど視線をそっぽに向けていたのだけれど。ひるりと吹き抜けた風が、存外夜の中では冷たくて】
【きゅっと身体を縮こめる仕草、ううとまた小さく唸って――ちろりと向けた視線、拗ねたときの子供にも或いは良く似るもの】
【――そうして尋ねるのがタオル類の有無なのだった。何か持っていれば提供してやれば喜ぶだろう、そうでないなら、】
【「そう……」なんて、存外しょんぼりしてみせる様子が見られるはず、なのだった】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 00:49:08.88 ID:EKEbc2Zeo
>>880

(…――なるほどのう、何となくじゃがこの娘の性情が分かったのじゃ)
(決して悪い人間でもなければ、単に高圧的な性格というわけでもなし……)
(食いついて≠アないのは意外じゃったが、そこまで子供でも無いわけだのう?)

そうかそうか、お主もその成りで色々と大変な生き方をしておるのう
儂がそのくらいの時などは野山を巡って遊んでおった記憶しか……っと

いかんのう……この歳になると昔話ばかりが出そうになるのじゃ
我ながら良くない癖じゃの。……ほう、未来の英雄とは…覚えておこうか、しっかりと。

【――ちなみに、パッと見た限りでは20代前半か精々そこらだ】
【しかし言葉遣いや会話の内容、それに獣人という要素を加えれば】
【何となく、こちらの人となり――もとい獣となりが分かろうというもので】

【よしよし、と暴れ馬でも宥めるような態度で彼女に接するのも】
【どこか手慣れた、母親っぽさというか、そういう物が感じ取れて】

ふーむ、修練方法のう……といっても、儂は見ての通り狼じゃ
草原を全力で駆け巡れば自然と身体は鍛えられるし、武器は使わぬ
強いて言えば拳法なんぞを習えれば良いのじゃが、師と言うのはそうそう転がっておらぬでな……

……まあお主の場合、どう見ても武器と体格が見合っておらん
きらきらと見栄えの良い武器であっても扱いが不得意では宝の持ち腐れと言うものよ

それでも尚、それを使うというのなら……2つに割って小さくするとか
でなければほれ、最初は大きな騎士のようであったろう?
あの姿で鍛錬を続けてみたら良いではないか。天才魔術師=c…なのであろ?

【これもちなみにだが、もう少し案は出た。『魔法で軽くしろ』とか】
【『剣じゃなくて杖として使ってみたらどうだ』とか――これが結構具体的なものばかりで】
【やはりと言うか、見た目と実年齢は一致しないに違いないことが確かになる】

【――それと尻尾はまだ時折動いている。むしろさっきより距離を詰めていて】
【毛先がちょこちょことシーナの頬を擽ろうとしたり、手の甲を撫でようとしたりもして】
【誘っている――というよりも、銀狼自身が楽しみ出しているように見えた】
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 00:54:36.10 ID:6nph63jso
>>882
/そろそろ落ちなくてはいけないのですが、持ち越しよろしいですか?
/本スレ再開でも、置きレスでも大丈夫です!
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 01:01:34.81 ID:EKEbc2Zeo
>>883
/オッケーでございますよ〜!私はどちらでも良いのですが
/明日、明後日と空いておりますので、本スレ再開が良いかなぁと。
/勿論そちらの都合も在るでしょうしそれ次第、ということで!
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 01:04:48.60 ID:6nph63jso
>>884
/了解です!当方19:00頃には帰宅しておりますので
/そのくらいの時間にはお返ししておきますね〜。では、おやすみなさいませ!
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 01:06:32.74 ID:EKEbc2Zeo
>>885
/時間の方、了解です!ではまた明日の19時頃にっ
/お疲れ様でした&お休みなさーい!
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/15(木) 01:18:23.72 ID:ge8IAAoU0
>>881

【うじうじ悩んでいたところに声をかけたらしいとそのように思った】
【ぴくりと反応した少女に驚かせてしまったかと少々苦笑する】

 おや、暑いからといってそのような格好で水浴びをするのはないと思うのだが
 ――ふむ、まあそう言うことにしておこうか

【少女の言うことは嘘だと彼は見抜いたがそこまで深く言わないでおく】
【その少女から見つめられれば不安がる瞳を見て少しばかし背中がむずがゆくなるが我慢して】

 そうだな、拭くものか……ふむあいにくと持っていないのだが
 ……この白衣で拭いてみるかね、なにちゃんとタオルなどの代わりを務められるくらいには使えるさ

【拭くものがあるかと聞かれて彼は自分の白衣の中を探してみたが見つからずに】
【ないといってからの少女の反応に少々情けないような気がして白衣を脱いで少女に拭くものとして渡す】
【彼が言ったとおりその白衣はタオル類の代用をはたせるほどに使える、さらにその白衣の中には何も入れてないため存分に拭ける】
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/15(木) 01:29:17.29 ID:nM5BcGRc0
>>887

【そうして振り返った先は見知った顔――だったように思う、たしか、一度、どこかで会ったような――】
【――けれどそれには気付いているのか居ないのか、しゅんぼりとテンションの下がったままの少女の視線は、ずっと下がり気味】

……いいの、こういうのが好きなの。タオル持って来るの忘れちゃっただけなんだから……、

【嘘――というより嘘の域にすら達していない言葉だった。あからさますぎるというか、ネオンの矢印付きで設置された罠のような】
【それよりもっと可愛らしいもの、誰にも害にならないものだが――強いて言えば、彼女自身が風邪を引く可能性があるぐらい】

【――不安めいた視線が少しずつ色合いを変えていく、理不尽に怒っているような子供の色、八つ当たりみたいな色合いは】
【(白衣嫌いなだけなのだけれど。わざわざ親切に話し掛けてくれた彼へと向ける視線ではないような刹那、むうと頬っぺたを膨らませ)】

いいよそんなの……、……色落ちしたら付いちゃうもん、それに、濡れたの着て帰るの? 風邪引いちゃうじゃない。

【最初は驚いた顔をした、まさか拭くものとして白衣を推奨されるとも思わなかったらしい、完全に予想外というよな顔をして】
【すぐにふるりと首を揺らす、そうすれば湿った髪と乾いた髪がばらばらさらさら、お互いが好き勝手に揺れて、ぶつかって】
【色落ちしたら――なんて言うけれど。タオルならともかく、服みたいなもので拭くのは気が引けるのだろう、ついと視線が伏せられて】

そんなに寒くないし――濡れてるからいいよ、とりあえず絞っちゃお……――。

【渡されそうになった白衣は断固拒否の姿勢だった、自分が風邪を引くわけないなんて思っている――わけでも、ないのだろうけど】
【他人に風邪を引かせるよりはいくらかマシ程度の思考、結局、差し出されたそれを受け取ることはないまま】
【ふらりと返す踵、向かう先はたったひとつ設置されたベンチで――ぱたぱたと滴る水が、足跡みたいに続いて】

【数歩歩いたところで気付いて止まる、それからスカートを捲り上げて纏めて、ぎううっと絞って――それを数度繰り返し、】
【スカートがシワシワになったところで不機嫌めいた顔をするのだった。むうと結んだ口元が、いかにも不満げなもの】

あっ――そうだ、……できるかもっ、

【――そんな表情をしばらくしていたのがふと変わる、ぴこんと生まれた電球の錯覚、ばたりっとスカートを一度叩いて揺らし】
【それが重力に従って落ちる頃合に魔力を注いでみせる、――すると、服の濡れた部位が淡く桜色/黄緑色に煌いて】
【そんな光景を見れば上機嫌に顔が変わる、ふわあっと手を揺らすと――ぞろりと、まるで誘い出されるように生まれる揺らめき】

【――身体が水で出来た泥鰌ほどの細さの蛇。それが、服のいたるところから、ぞろぞろぞろと生え出してくるのだった】
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/15(木) 02:06:27.16 ID:ge8IAAoU0
>>888

【その少女の顔を見ればどこかで見たような感じの少女ではあったがあいにくと彼は忘れているように見える】
【少女が気がついていないのは幸いなのかどうなのかはわからないが】

 ふっふっふ、だとしたら君は相当な変わり者だね、ただまあこのようなことをするのならタオルを持ってくるべきだったね
 いや忘れていたのなら仕方ないか

【嘘の領域にすらなっていない嘘の言葉、それが嘘だとわかっていてついついからかいたくなってしまう】
【彼としては少女が風邪を引こうと一向に構わない、所詮は他人なのだから】

【そして少女が不安めいた視線が少しづつ色合いを変え、理不尽に子供のように八つ当たりの色合いなって】
【でも彼はそのようになっても特に気にせずに少女に接する】

 ふむ、この白衣は色落ちしないように作ったのだがなぁ。
 濡れたものをわざわざ着はしないさ、第一私が風邪を引くことはめったにないさ、なんせ体調に気を配ってるからね

【少女の疑問に際して特に気にもすることなくつらつらと答える】
【そのように答えて少女の視線が伏せられて、彼は少女が気が引けるのを察した】

 それが強がりかもしれんが……まあ君がそれでいいのならそれでいいのだろうな

【少女の寒くないという発言が彼には強がりと思えたのだろう、違うかもしれないが】
【受け取らずにいる白衣を一旦自分のところに戻すが、いつでも渡せられるように着はしないままで】
【少女が向かう先を男は先に見たそこはここに一つだけあるベンチであった】

【そこからスカートを捲り上げてから纏めて絞る様子をつぶさに観察しながら歩いていく】
【不機嫌めいた顔も彼がはきっちりと見ており、やはり使ったほうがいいのではと思った】

 やはり白衣を使ったほうがいいの…では?

【そのように提案しようとして、彼は少女がやることを見た】
【魔力が現れるのきっちりと観測して、少女がやっていることをまた観察して】
【体が水でできた蛇がぞろぞろと生え出しているのを見て、このような方法を思いついたのかと感心した】

/と、すいませんそろそろ眠いので持ち越してもよろしいでしょうか?
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/15(木) 02:24:45.74 ID:nM5BcGRc0
>>889

【ぞろりと服から生えていく無数の蛇たち――といっても、その細さをみれば、泥鰌か鰻かその程度にしか見えなく】
【格好良さという点では零点に近かった。というより、寧ろ服の布地から生える無数の蛇という絵柄は存外気持ち悪くもあって】
【にゅろにゅろっと生えればそのうち尾っぽが抜ける、そうすれば彼ら(?)は地面に落ちて――ぱっちゃん、と地面に消え】

【頭の中に抱かれていた銀の鈴、その音を最後にひとつ鳴らして、気配を消すのだった――何らかの、能力の発動なのか?】
【すっかり乾いて一トーン二トーン明るい色合いになった服を見て上機嫌にする少女を見れば、きっとそうなのだと思わせるのだけれど】

【(そう、そういえば彼女の見につけるもの。耳元のピアスは宝玉の欠片、それだけでだいぶおかしい/目立つものなのだけれど)】
【(それが濃厚に水の気配なんて漂わせているのだった。それなら、彼女がこんな芸当を出来たのも、納得できるような――)】

……ほら、白衣なんて要らなかった。良かったあ、これで怒られない――、良かったああぁ……。

【ひらりっひらりとスカートの裾をひらつかせて身体を返し返し確かめる、見えるのは元通りに乾いた服の現状ばかり】
【それを見たくてやっているのだから当然なのだけれど――ふわふわの布地を確かめるように手首から先を埋めて、安堵の吐息】

【(子供じゃないんだから服を濡らして帰るなんて怒られるものだと思っていた。いま思うのは、泥汚れじゃなくて良かった、なんて)】

どう? こんなに綺麗になったよ、元通りでしょ――、ふふ、これで風邪も引かないで済むし……っくしゅん!

【虚空にぴしりと手を伸ばしてから見せ付けるワンピースに黒髪、そのどちらもが濡れていたのなんて嘘みたいにさらりと揺れて】
【自慢するときの子供と同じ目をしているはずなのだった。きらきらとして、自分のアイデアを自慢するように――しばし、】
【そうしてスカートをひらひらさせていたのだけれど、そのうちに零れるひとつのくしゃみ、寒そうに身体を抱いて】

【“おかしいな”なんて顔で身体を抱くのだけれど、当然だろう。水はどうにか出来ても、冷えた体温をどうにかする異能(ちから)はなくて】
【すっかり身体が冷えてしまっていた。抱いた腕はひんやりと冷たく、夜のほんの風邪にも鳥肌の立つ気配】

へくちっ……、……う、……ごめんね、風邪引いちゃいそうだから帰るの……。

【両手で咄嗟に口を押さえたくしゃみ、ぶわっと広がる後ろ髪が、彼女のシルエットを曖昧に大きく見せる、擬態のような一瞬】
【くしくしと鼻の辺りを擦りながら紡ぐ言葉があった、――どうやら、帰宅することに決めた様子で】

白衣ありがとね、気持ちだけ貰っておくの――……。

【なんて言い置く、頬っぺたに手を当てながら言う顔に嘘は窺えなくて、それなら感謝しているというのは本当らしい】
【「またね!」と言って歩き出した背中が段々遠くなっていって――見えなくなる瀬戸際、きらりと零れる一筋の魔力】
【建物の隙間に見えなくなった姿を隠すようにふんわりと黄緑色の魔力の燐光が一筋舞って、辺りからひとの気配が消えた】

/すいませんっ、明日だとちょっと来られるかどうかが不明なので……お待たせしちゃうのも申し訳ないですし
/おつかれさまでしたということで締めさせていただきますっ……ありがとうございました!
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/15(木) 02:29:55.43 ID:ge8IAAoU0
>>890

/はいでは後日〆投下させてもらいますね
/お疲れ様でした
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 19:26:08.92 ID:6nph63jso
>>882

【シーナは態度が尊大で見下したような言動を取るため】
【一見気難しそうにもみえるが、ある程度見極められれば非常に単純な性格である】
【この少女の性格が掴めてきたならば、接し方も自ずと判ってくるだろうか】


「そう遠くない未来、世界中の者達が私の名を知ることになるだろうからな!」
「今のうちからしっかり覚えておいて損はないと思うのだ!」

「御主が望むならば、私の"ふぁん"第2号に任命してやっても良いぞ!」


【口元をご機嫌そうに緩めながら、そんな発言を記す】
【接した時間が少ないにも関わらず、随分と友好的な雰囲気を漂わせている】
【相手が獣人であることも理由の一つだが、銀狼が母性的な態度を見せているのも大きいか】
【見た目の幼さに見合って、"そういった"要素には弱そうである】


「うぅむ……最初は私もゴーレムに乗ってやっておったのだがな」
「あれはあれで私自身が振るうよりも大雑把な動きしか出来ぬから、発展性がないのだ」

「英雄伝説にあるような"必殺剣"でも編み出せたらと思うておったが、難しいものだの」


【ゴーレムに乗って振るっている時も、力任せに叩きつけるようなものが主流である】
【以前見た剣士の真似事のようなことも可能ではあるが】
【半端な技術を使うよりも単純な膂力で戦ったほうが効率的であった】
【ゴーレムの場合、「ラジコン操作」のような形式になる為】
【技術を「体得」している剣士などにはどうしても数歩劣ってしまうのだ】

【銀狼の提案を幾つか耳にして、一分ほど思案した後上記の言葉を走らせ】
【腕に付けていた岩の装甲を砂へと分解して散らして、頭を片手でポリポリと掻く仕草を見せ】


「ふぅむ……薄々は思うておったが、やはり短所補うよりも長所を伸ばすべきかの」
「元より武術の類はどうも性に合わぬし、アレは今のままでも十分かもしれんな!」

【と、結論を出した】
【最初に言っていた通りに「生兵法は怪我の元」】
【武器を使わないわけではないが、武術に関しては現状維持でいいのではないかと判断したようだ】

【……こんな会話をしながらも、揺れる尻尾へと向ける意識は未だ薄らいでいない】
【一層距離は近づき、挑発的に誘うその存在に】
【シーナはそわそわと身体を揺らし、口をへの字にしながらも耐えていた】


(うぬぬ……こやつ、もしや遊んでおるのか?)


【頬や手の甲に触れるとまでいけば、さしものシーナもその意図に勘付く】
【耐えている理由は彼女の負けず嫌いの気が触発されているためだ】
【不快なわけではないが、差し出されれば素直に受け取れない……そんな幼い意地であった】
【……それもどこまで保つか、不安なところではあるが】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 19:46:35.53 ID:EKEbc2Zeo
>>892

ほほう……そうまで言うなら覚えておかねば損であろうなぁ
『世界中の民が羨む英雄シーナ様』、とでも言ったところか。

……よし!折角じゃ、儂をお主のファン第2号とやらにしておくれ
今から大英雄の知り合いになれるとは、いやはや……今日は付いておるのう!

【恐らく、元来の気質が近い――互いに元気ハツラツ、なんてタイプだからか】
【銀狼からは娘のような年頃の相手でも、友のような接し方がぴったりで】
【少々好奇心や面白みもありはしたが、ファンにもなりたいと申し出る】
【少なくとも嘘や、バカにしたような態度は皆無だ。にこり、とした笑みも明るくて】

ははあ、なるほどのう……確かに大味な攻撃は時に有効じゃが
常にとなると取り回しが悪いと言うわけじゃな。……ま、であればそうだの。

……しかし、それであれば鍛錬するのは長所、つまり魔術というわけであろう?
確か以前も砂≠使っておったが……その道を極めるのはどうじゃ。
生憎と儂は魔術の方はからっきし故、上手いこと助言は出来ぬのだが……

【もっと精密に動かせるようにだとか、複数のものを同時に手早くだとか――】
【そんな言葉を、先ほどの提案と同じように続けてゆく】

【実際、シーナの魔術がどの程度なのかは銀狼には分からないし】
【そもそも魔術自体、原理もよくよく理解していない。だから助言となるかは分からないけれども】
【ちょっとした指針にはなるはずだ。特に後者は『九尾と戦った時の儂のやり方のような』と口添えもした】

【ちなみにその戦い方は、気≠ナ創りだした無数の狼を使役するというものだったのだが――】

【――その間にも、尻尾の動きはもっと大胆になってゆく。毛先で擽るのも場所が尽きれば】
【今度は背後に回って首筋を突付いたり、足首の辺りを撫でてみたり。】
【遊んでいる、というのは直ぐに分かるはずだ。語る最中、楽しそうな瞳の色が】
【自身の尻尾の動きを追っているのが、きっとシーナの目にも留まるだろうから】
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 20:14:28.73 ID:6nph63jso
>>893

「ククク……よいぞよいぞ、最近の私は絶好調なのだ!」
「長尾よ、ふぁん第2号としてシーナ様の今後の活躍を見逃すでないぞ!」


【こちらも彼女の言葉を悪意的には捉えず、素直な賞賛として受け取った】
【己への自信が強く浮かぶ言動に違わず、褒められたり認められたりすることを好むようだ】
【……悪い人間にコロッと騙されそうなチョロさにも見えそうであるが】


「砂の魔術を極める……それは私が常々取り組んでおったところだが」
「其れを以てしても、未だ打倒できぬ相手が無数におるのが現実なのだ」

「極めるにしても方向性……そうだの、やはり"決定力"が必要やもしれぬな」
「友人からの助言で必殺技の一つも編み出しておるが、これはこれで用途が限られておるしのぅ」


【本来地術は「援護」や「妨害」に長け、それ以上に地形操作や兵の創造などを始めとした】
【戦闘が開始する前段階で有利な状況を作り出す事を得意としている】
【その為、向かい合って始める遭遇戦のような形式の場合どうしても、火力面で劣る面があった】

【低い火力を補うための戦鎚や大剣などの武器であったが、それも伸ばすことは難しい】
【どうしたものか、と悩んだ矢先に銀狼の助言が耳に届き】


「御主のやり方?ふむ……確か――」


【当時の戦闘を思い出す。確か彼女は、無数の眷属のようなものを使役していなかったかと】
【そう思い至ったシーナは】


「――成程、数で攻めてみるのはよいかもしれんの!」
「都合良く使っておらんかった機能もあることだしの、これを練習してみるのもいいかもしれんな!」


【と、何か思いついたのか嬉しそうな雰囲気を出しながらそんな台詞を綴る】
【どうやら彼女の助言が何らかの形で有効に働いたのか】
【ローブの中に吊っていた、大きな動物の牙のような物体――笛、であろうか――と取り出し手に持ちながら】
【「あとで試してみるのだ!」と、元気いっぱいに言葉を記し、ペコリと小さく頭を下げるが……】


「うぬ……うぬぬぬぬ……」


【……並行して行われていた尻尾による"攻撃"。徐々にエスカレートして首筋などを狙ってくるそれに】
【シーナは身を捩らせながらもじっと耐えていたが、それも限界に達し】


「――もう我慢ならんのだ!」
「先程から黙っておれば調子に乗りおって、もう許さぬ!御主の毛並みを根元まで逆立ててやるのだー!」


【会話を投げ捨てて、尻尾に向かって小さな身体で飛びかかろうとするだろう】
【成功したならば、シーナは尻尾に抱きつき……しかし言葉通りに逆立てるような真似はせず】
【そのモフモフさを確かめるように手で撫でてみようとするだろうか】

【失敗し、回避などをされた場合】
【勢いよく前に出たこともあってか、シーナは地面に向かってベターンと倒れ込むことになるだろうか】
【幸いにして地を操るエキスパートであるためダメージは最低限だが、見た目としては顔面から思い切り地面にぶつかる様子になり】
【非常に痛そうにも見えるかもしれない】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 20:36:37.39 ID:EKEbc2Zeo
>>894

うむ、伝聞に新聞、風のウワサに街のニュース、色々とチェックせねばのう!
早い所『儂は早くからあの者の公認ファンだった』と話せる日が来ると良いのじゃが…――。

……ふむ。のうシーナよ、英雄とは即ち最強……というわけでもあるまい?
打倒できぬ敵が居るのは当然の事。問題は如何に上手く立ちまわるか、じゃ
殊更、人の持つ最大の武器はココ≠ナ有るとも言うが……お主はどうかの?

【ココ=\―と言って指さしたのは額のあたり。詰まり頭脳、知恵のことだ】
【何も全てを倒す力が英雄の証ではない。銀狼なりの考え方を伝えたまでだが、さて――】

ほう、決定力のう……砂で、となるとやはり砂嵐なんかじゃが……
……相手に上手いこと砂を食わせて、内側から破るとか。
いや、流石に今のは下衆い気がするのう……地を裂く、なんてのも格好良さそうじゃ

(……うん?笛≠ニはまた……術のための道具、かの。)

【ちょこちょこと上げる他の案も、アイデア程度に止めておけば良いだろう】
【その最中で彼女が数で攻めるというのを採用し、しっかりと頭を下げたなら】

【『なあに構わぬ』なんて言いながら、満足気に首を縦に振った】
【得てして傲慢だの高圧だのというのは人への気遣いを忘れがちだが】
【彼女に関しては全くそういう心配は要らないらしい――そういう、勝手な満足への首肯だった】

―――ハッハッハ!やれるものならやってみるが良いぞシーナよ!
だが儂とて百戦錬磨の狼よ……そこらの獣と比べられては困るのう…!

【やがて彼女が飛びかかってくれば、流石に此処は避けるような事はせず】
【尻尾に抱きつけば、さらりと流れるような毛並みが暖かく彼女を包むだろう】

【それに、なんといってもその長さ。しゅるりと動けば、シーナの身体をくるりと回り】
【腰だの胴だのの辺りを一周して支えながら、好きにしろと言わんばかりに巻き付いた】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 21:04:07.96 ID:6nph63jso
>>895

「うぉっ!何をするのだ、離せ……いや、離さなくても別によい、かの?」
「むむむ……しかしなんという生意気な毛並みなのだ……爺様の其れとはまた違った趣があるのだ!」


【尻尾にぐるりと巻き付かれれば、その瞬間反射的に抵抗しようとするが】
【その行動に敵意がないことを直ぐに悟ると、されるがままに包み込まれ】
【何やら憎まれ口のようでそうでないような台詞を走らせながらも】
【その表面を毛並みに沿って梳くように手で撫でようとするだろう】


「ふむ、長尾よ。私に知恵の有無を問うのかの?」
「天才の名は伊達ではない、頭の出来もそこらの魔術師と比べてもらっては困るのだ!」

「それに頭を使っておるからこそ、こうして戦うための術を考えておるのではないか?」


【尻尾に丸め込まれながらも、少し遅れて彼女から掛けられた言葉に返答する】
【短絡的な傾向ではあるものの、無策で挑むような蛮勇でもない】
【未だ拙い点は多いものの、シーナはシーナなりに知恵を使おうとはしているようではあった】


「うむうむ、何はともあれ一人で悩んでおるよりは随分と進展した気がするぞ!」

「砂を食わせる……というのは絵的に私の気分が悪くなりそうなので却下だがの」
「数を増やすという案は良いな!少しばかり、新しい術法を練ってみる事にするのだ!」


【毛皮の感触を全身で味わうために、身体をくるくるとローリングさせながらも】
【シーナは再度銀狼に対して礼を述べた。何はともあれ、修練の方向性は定まってきたようである】
【傍から見ると子供が尻尾にじゃれついているような光景にしか見えず】
【世界を脅かす強大な敵に対抗する術を考えている様子には窺えないが……得てして人は見かけによらないものである】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 21:28:12.15 ID:EKEbc2Zeo
>>896

フフフッ、儂はこれでも毛並みにだけは気を使っておるからのう!
なにせ狼の見どころは瞳と牙、そして何よりこの銀の毛じゃ
……時にお主、最初から獣人相手でも気にしておぬようじゃったが
その爺様≠ニいうのは、ひょっとすると……?

【自慢の毛並みを好きにさせつつ、ふと気になるのは彼女の言葉端だ】
【爺様の其れ――つまるところその人物も獣人なのでは、と思ったわけで】
【獣人、というのはそれだけで珍しいものだ。銀狼は純粋なそういう種族ではないものの】

【やはり気にかかるというのが正直なところなのだろう】
【――ちなみに、手で梳いた毛は水を流すようにサラサラと指ざわりが良くて】

……ほほう、そういうのであれば次に共闘する時が有れば
それはそれは楽しみにしても良いと……そういうことだのう?
まあ良いよい……狼の言葉一つが役に立ったなら重畳じゃ

ところで……話は変わるのじゃがのシーナ、あの九尾の時の事よ。

色々と事情はあるのだが、妖狐…――桔梗≠ヘ儂の娘の様な子でな
近頃酷い暴れようじゃが元は心優しい気弱な子であったのよ
必ず何か訳がある……あの九尾が、その優しい心の部分で在ったようにも思えた

……いや、すまんのう急に妙なことを言うて。
ただ一つだけ覚えておいて欲しいのじゃ……アレは訳も無く人を殺めている訳ではない、と。

【そんな、少しだけ真面目な様子で事を伝えれば――最後には笑って誤魔化した】
【けれどもシーナなら気付くだろう。恐らくその桔梗、銀狼にとっては余程大事な存在なのだと】
【勿論どう答えるかは自由だし、急なのも確か。直近の問題でないのもそうだった】

【――その後も、しばらく尻尾でシーナを遊び、或いは遊ばれつつすると】
【彼女が遊び疲れてしまうより前に、折を見て尻尾をするりと離して彼女を下ろし―。】
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 21:48:24.21 ID:6nph63jso
>>897

「うむ、私の爺様はトラ族の獣人なのだ!大きくて強いのだぞ!」
「確かに御主の毛皮も中々だが、やはり爺様の其れとは年季が違うかもしれぬな」

「今後も心地よい毛並みを目指して精進するがよいのだ!」

【銀狼の質問に対する返事はイエス。やはり、爺様というのは獣人種であったようだ】
【祖父が獣人ならば、シーナもまたその血統にあるのであろうか】
【フードを被り、他人に頑なに見せようとしない素顔とは"そういうモノ"なのか】
【その真実を知る者は、現時点では極限られた数人だけであった】


「…………」


【シーナは、銀狼の話をしばし言葉を紡がずに耳にする】
【目の前の人狼は、あの"怪物"の親のようなものであり、今となっても心配している】
【その気持ちは、シーナとて理解出来ない話ではない】
【他者を無償で救う正義の味方ではないシーナだが】
【友人や身内に対して降りかかる厄災には、全力で立ち向かう気性である】
【しかし】


「だからといって、加減などしてやる義理はないのだ」
「奴は相応の報いを受けねばならん。そうでなくては納得できぬ者が幾らでもおる」

「そもそもそんな余裕のある相手とは思えんしの」


【拒絶、とも取れる返答である】
【シーナはあれがどれほどの驚異であるか、正確に知っているとは言えないが】
【あの場に立ち会い、目撃しただけでも許されるべき存在とは認識していない】
【人の縄張りで人の定めた法を踏み躙ったのだ、それに値する罰が必要であると】


「――だがまあ、あやつが私への数々の無礼を心から謝るのならば」
「シーナ様の女神のような温情で、命だけは見逃してやらんこともないかもしれぬの」

「それに、長尾の言葉が真実であるのならば、奴を真に裁けるのは御主だけであろう」
「悪戯の過ぎた子供は甘やかすものではない、尻が腫れ上がるまで叩いてやるとよいぞ!」


【口元をニィ、と吊り上げながらもシーナはそう続けた】
【少々冗談めかした言い回しではあるが、銀狼の気持ちが伝わったと考えてもいいのだろうか】
【その後は特に実りのある言葉は記さずに、尻尾から外されるまでその感触を堪能していた】
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 22:11:49.36 ID:EKEbc2Zeo
>>898

おお、やはりそうであったか!しかしまさか、トラとはのう……
何となくお主のイメージにぴったりな気もするぞ。
きっと、さぞ良い爺様なのだろうて……一度お目にかかりたいものじゃ

……ふふっ、分かったわかった。もう何百年か年季を入れてやるとするかのう

【獣人の系譜とあればやはり、とは思うがあまり穿ちすぎるのは銀狼の質ではない】
【それと聞けば、まずは爺様とやらに会える日を楽しみにするに止め】

【やがて変わる話の内容と、シーナからの答えという方向に話は移る】
【そして、回答は厳しいものだ。けれども銀狼は微笑のままに話を聞き】
【結論に至れば小さく頷いて、また口を開き――】

うむ、お主の言うとおり。あやつは越えてはならぬ一線をとうに越えている
ことの凄惨さや残酷さは他に例を見ぬほどなのは、儂もよく分かっておるつもりじゃ

……だから、先ずは頬を引っ叩いて目を覚まさせてやらねばならん
そのことだけ分かっておいて欲しかったのじゃ。殺して退治するだけが答えではない、と。
すなんな、つまらぬ事を言った。……それと、先に礼を言っておこうかの

【こちらもにやりと返してそう締めくくりながら、銀狼はシーナを解放し】
【また自分の首のあたりにくるりと巻けば、ふと空の月に目をやった】
【もう大分暮れてきた。ちょっとしたお話しの積りが、意外と時が経つのは早いもので】

ふむ……それでは、儂はそろそろどこぞに寝床でも見つけに行くかのう
未来の英雄も休まねばなるまいし、他に無ければこの辺りで別れとするかや、シーナ?
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/15(木) 22:35:13.92 ID:6nph63jso
>>899

「構わぬよ、私としては相談に乗ってもらった恩もあるしな」
「身内話の一つや二つくらい、快く聞いてやるのだ!」


【彼女の話に特段機嫌を損ねた様子もなく、当然のことのようにそう応えた】
【口は悪いが、気を許した相手にはそれなりに優しいのがこの少女だ】
【本心としては相手の事を知れて嬉しいという気持ちも、多少ではあるが含まれていた】


「しかし、私はこう思っておってもな」
「次の戦場で立ち会う私以外の戦友は、奴を容赦なく殺めに行くだろう」

「……もしあやつの目を覚まさせてやるつもりならば」
「その時の"立ち回り方"は、よくよく考えておくべきだろうな」


【「言うまでもない事だろうがの」と、こちらも締めくくり】
【尻尾が外れれば、少し名残惜しげにその先端を視線で追うもすぐに立ち直って】
【彼女の顔をフード越しに見上げながら】


「そうだの、私もそろそろ眠くなってきた頃なのだ!」
「明日からはまた、野望に向けて邁進せねばならぬからな。今日は早めに寝て英気を養うのだ!」


【シーナはそこまで告げると、懐から赤い小石のようなものを2つ取り出し】
【自身の後方にポイッと放る。その小石が接地した瞬間、その周辺小範囲の地形が粒子状に分解され】
【小石を中心として集束。砂の繭のような型を作ると、それは粘土のごとくグネグネと変形し】
【数秒と経たぬ間に、そこには埴輪のような姿のずんぐりとした"馬"と、180cm程の砂色の全身鎧が生まれていた】

【馬型ゴーレムの腹付近に下がった鐙に足をかけ、スっと慣れた様子で背に跨り】
【鎧ゴーレムに金剛石の剣を拾わせて隣に従わせると、銀狼の方を振り向き】


「ではな!また会う時まで元気にしておるがよいのだ!」
「次は"さいん"の一つもくれてやるのだ〜!」


【板上に台詞を綴った後、軽く手を振って馬を走らせる】
【円柱状の妙な足をパカパカと動かしながらも、ゴーレムに乗った小さな地術師は草原から去っていった】

/お疲れ様でしたー!
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/15(木) 23:36:44.03 ID:EKEbc2Zeo
>>900

……任せておけ、これでも伊達に百余年も生きてはおらぬ。
もしもの事が在ったとて、その覚悟も無しにああいう事は言わんよ

…――それではのうシーナ。お主の活躍、まこと楽しみにしておくちや
またどこかで会えばその時はまた……っとそうそう
お主の爺様に、狼の妖怪がよろしく言っていたと伝えておくれ。

【砂の魔術――ゴーレムを作り出して、その場から離れ行くシーナにそんな言葉を告げ】
【軽く手を振って見送ると、銀狼もまた姿を大狼の其れに戻し】

【来た時と同じように月光を受けて銀色の輝きを放ちながら、草原の彼方に消えてゆく】
【その姿は、きっとシーナの目にも留まるはずだ。よく目立つ白銀の線として。】

/お疲れ様でございましたー!
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga !美鳥_res]:2014/05/16(金) 19:34:45.42 ID:m0wvS0OHo
【魔海近くの泉のほとり――】

「…………さァて、そォろそろ今ォ日の作ァ業だ」

【その泉から飛び出して来る黒いナニカ、地面に降り立てば形を成して――】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者の姿となる】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

『邪禍様、御報告が御座います』 「ほォう……」
『先程、ベテアシードリノスが伐採されました――どうやら、植物愛護団体からの依頼を請け負った自警団が能力者を雇ったようで御座いまして……』

「ヒャハハ、魔ァ豊養樹は魔ァ界原産な上、弱点をこォの世界の住民は知ィらねェはァずだ、そォー簡単に伐採は……あ゙ァ?」
「……ちィ、仕ィ方がねェ……あァの辺りの村一帯全部を確保しィたかったとォころだが……今あァる分だァけ"回収"だァな」

【その者の側に飛んでくるコウモリ、放つ言葉は明らかに人間のそれと全く一緒であり――つまり、普通のコウモリではない】

「でェてこい、"ネオバークド"――寄ォり道しィつつ、近くから回収だ」

【その者の眼の前に現れる魔法陣、そこからいづる闇は形を成して行き――そう、先程、泉からこの者が出てきた時と同じように】
【成す形は、ピザ屋等が用いる出前用の屋根付きバイクと似たモノ、但し鳥の顔や翼を持ち、黒い羽毛で覆われている――鳥バイク、だ】

【そう言えば、最近――とある山の頂に生えていた奇妙な植物を伐採すると言う依頼を自警団が出していて、それは昨日能力者たちによって達成されていた】
【植物の名前は……確か、別名"豊養樹"と呼ばれる魔界原産の樹、"シードリノス"――それが魔界の土地に合わせて変化したモノ、だったか】
【その事件には指名手配犯の"邪禍"が関わっているとされ、この者の顔はそれにそっくりであり、使っていた魔法陣も同じである】

/時系列は、5/12(月)のPM7時頃です。
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/05/16(金) 19:40:22.78 ID:m0wvS0OHo
/いやん、色ついてますけどイベントとかじゃないです
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/16(金) 20:17:16.06 ID:R/2hhmGLo
【公園】

【人並みまばらなこの時間帯。街灯の明かりが夜色を小さく切り取り、公園内にぽつぽつと残る人々へ帰路の在処を伝えていて】
【日が落ちるまでの喧噪もすっかりなりを潜め、いいかげん静寂の支配する頃合いである。冷たい月明かりは着実に世界から音を消してゆく】
【しかし、まだこの二人の間には――――和やかで長閑な、暖かな日だまりの空気が流れて続けていた】

おじいちゃーん! はやく、はやくっ!

【甲高いはしゃぎ声の主は、ぱっちりと大きな茶色の双眸と抜けるように白い肌、散らばるそばかすが特徴的な少女であった】
【パサついた金髪を二本の三つ編みおさげにして垂らし、少女の一挙手一投足ごとにぴょこぴょこと楽しく揺れる】
【服装は深い青色のドレスと白いエプロンを組み合わせたエプロンドレス。袖口やスカートから覗く手足はか細くて頼りないけれど】
【一秒ごとに目まぐるしく変化する表情、何かあるたび大げさに動く挙措。それらはとても活発で、体格からくる不健康な印象を見事に吹き飛ばしている】

「これ、そんなに急ぐと転んでしまうぞ。もっとゆっくり歩いておくれ」

【そして悠然とその後を追うのは、ウィングカラーシャツの上にジレ、下はスラックス。金色のアスコットタイを締め、シルクハットを被った紳士風の老人だ】
【刻まれた無数の皺、オールバックにした長めの白髪、立派に蓄えられた口髭と顎髭。そんな外見からするにおおよそ六十は越えていそうであるが】
【腰はぴんと伸び、全体的にかなり恰幅も良い。そして右腰にはレイピア、左腰にはマインゴーシュと呼ばれる短剣をそれぞれ吊り下げているだろうか】
【二本の剣を携えて堂々たる歩調で往く。その姿に決して弱々しいものはなく、むしろ騎士じみた威厳すら感じられるかもしれない】

うふふっ、だってこんなに大きな公園、初めてなんだもの!
見たことないものがいーっぱい………あっ、あのお遊具はなにかしら?

「ふぅ…………単なる散歩だと言うに、おまえは元気じゃのう。
 …………おっと、あぁサラ、待ちなさい! そんなに走ると――――」

【元気よく老人をせっつく少女――――年齢差や二人のやり取りからして、祖父と孫という関係でどうやら間違いなさそうだ】
【少女は木陰の道をずっと奥まで駆けていき、時折振り返って笑顔で祖父を待つ。老人もまた髭に隠れた口元に柔らかい笑みを浮かべ、やんちゃな孫を追う】
【そんな微笑ましいやり取りが数度、続いただろうか。少女は老人に先んじて少し開けた場所に出ると、周囲を見渡し】
【近場に子供用の遊具が多数据え付けられた一角を見つける。中でも少女が目を輝かせるのは大きなジャングルジムだ】
【少女は老人の制止も聞かず、そこへ向けて走っていくのだが……老人の忠告も空しく、少女は石ころを踏み抜いてすこんと転んでしまうだろうか】

【ぐらりと体勢を崩す少女――――このままでは地面に頭をぶつけてしまうだろう。下は芝生なので大怪我はしないだろうが、相当に痛そうだ】
【とはいえ、少女がこのまま転んでしまうとはまだ限らない。慌てて駆け寄る老人が間に合うか、あるいは他の誰かが先に少女を助けるか……】
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/16(金) 21:02:59.32 ID:kB3leUDXo
【海岸】

【夜を更に濃くさせるように雲は分厚く、雨が降り出しそうな灰色を帯びていた】
【海はダークブルーの濃い色をしていたが波は穏やかで、遠くで航行するタンカーの影が見える】

【海沿いには一本の舗装された道路があるだけで、民家はなく野山とバス停と待合室が1つある程度】
【しかし、最終便はすでに行ってしまっていて他にクルマも人も通る影は無さそうだった】
【街頭が等間隔にオレンジ色のリズムを生む。道からそれてすぐと道路わきに1台クルマが止まっていた】

【砂浜に降りる階段の直ぐ横に停められた青のクーペは少し古い映画で見るような古臭いモデルで】
【ヘッドライトの明かりはつけっぱなしでステレオから音楽がエンジン音に紛れてかかっていた】
【天気さえ良ければそこは最高のビューポイントだし、砂浜もさぞ楽しめる場所なはずだ】
【ドライバーはボンネットの上に座って、ホタルのような明かりを灯して、煙草を吸っていた】

【黒い三つボタンの細身のスーツ、黒いネクタイ、白いシャツ。背は高く、体重は反比例しているようだ】
【風が吹くたびにネクタイと上着がはためいた。男は気にすることもなく煙草の煙をはいてしまう】

【特徴的なのは黒い髪でもなく、とんがったような鼻でもなくその目で白眼が赤く、瞳は黒と不気味であった】
【もし、毎日どんな小物であっても手配書を欠かさず見るような職業か趣味かであるならば】
【それがある義賊まがいの指名手配犯の特徴と合致していることに気がつくやもしれない】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/16(金) 21:04:38.76 ID:UhGoYr2Eo
>>904

【ボッ――と、突然近くで爆発するような音が起こるだろう】
【いや、爆発したのは明らかだった。それは二人の視界の端が明るくなるであろうことからもわかるはずで】

【爆炎というよりは純粋に炎だけが出現したようだった】
【強い炎は地面を焼くが、しかし他を一切焦がさず――それを背にひとつの影が飛び込んでくるだろう】

【男性にしては長めで不揃いの髪。所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は襟を立てた薄手で灰色のミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――そんな、気迫に満ち溢れた青年だ】

【彼の腕には真紅のガントレットが装着されていたが――次の瞬間にはもう消え失せている】
【能力の一種だろうか。ともかく少女へと急接近した彼は、転びかけの少女を抱え上げようとするのだろう】
【猛スピードでの行動だが、直前で加減したのか痛くはないはずだ。代わりに少し熱いかもしれないが――】

【成功したなら、いわゆるお姫様だっこの状態になるよう少女を抱きながら口を開くだろう】


ふいー、間に合ったか! 痛いとこは無いか、譲ちゃん
はしゃぎまわるのはいいけどよ、ちゃんと周りを見なきゃだめだぜ

あんた、この子の保護者……だよな
たまたま目に留まったからよかったが、手を繋ぐとかして気ぃつけてやれよ?
もう夜も遅いんだからどんな危険があるかわかったもんじゃあねぇしな


【とまぁ、いきなり説教くさい台詞を吐く青年。なぜ彼がここまで注意するのか――】
【それは、彼のジャケットの胸にある、緋色の鷹を見ればわかるかもしれない】

//12時頃に落ちるので持ち越し確定ですがそれでもよければ絡みませんか!
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/16(金) 22:02:21.97 ID:R/2hhmGLo
>>906

――――ふわっ!?

【少女に一連の目まぐるしい視点の変化は捉え切れなかった。急に体勢を崩して地面が近付いてきたと思ったら、】
【次の瞬間にはいつの間にか体が上を向いていて、見知らぬ青年の顔が見える。それはその程度の認識で、体に少しだけ感じる熱の理由などわかるわけもなく】
【大きな双眸は視線の先の橙色を数秒間、呆然と見つめていたが――――ようやく事の顛末を理解すると、いきなり黄色い声を上げるだろうか】

わぁ、すごい! お兄さん、いまのどうやったの!?
炎が、炎がどばぁって! それでお兄さんがびゅーんって――――、

「………おぉ、これは助かった。すまんの、見ての通りやんちゃな子でな………」

【抱えられたままの状態で少女はばたばたと手足を振り回して興奮するが、青年が少女を取り落とすほど強い力ではないはずで】
【その頃には老人の方も追いついてきて、少女と青年の様子を確認するだろうか。孫が無事であることを確認すると、ほっと胸をなで下ろし】
【軽い会釈と共に礼を述べると同時、少女と同じ茶色の瞳が鋭く光って青年の姿を観察する。一瞬だけ剣呑な雰囲気が漂うが――――】
【胸元に緋色の鷹≠見つけるとそれも解けて、表情にも明るさが戻るだろう。浮かぶ微笑は少女に向けるものより些か不器用だが、そこには確かな安堵がある】

「ほほう、その若さであのSCARLETの所属とは中々………今はパトロール中かね?」

すかーれっと!? まあ、すてき! お兄さんは正義の味方なのね!?

【老人が感心した様子で青年へ話を振る。一方、少女の方はSCARLETの名を聞くなりまた興奮し始め、瞳をきらきらと輝かせ】
【星が瞬くような満面の笑顔を見せつつ、矢庭に青年の首へ手を回してずいと顔を寄せようとするだろう】
【いっそ鬱陶しいぐらいに人懐っこい少女である。このままだと頬にキスでもされかねない勢いだ】


/気づくの遅れてすみません、よろしくです!
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/16(金) 22:12:26.58 ID:S/RJ7Hfj0
【図書館――窓際に面したテーブル】
【頁を捲るぱらりとした音、ひとの微かな息遣い、蛍光灯の白さに照らされた室内には、それが満ちていて】
【ときおりアクセントのようにひとの足音が混ざりこんだりする、――けれど基本的はしんとした、涼しい空気】

はにゃあ……疲れたよう――、

【そんな中に“ぱたん”と本を閉じる音がして、ぎしりと椅子の軋む音――見れば、机にだらしなく投げ出す両手が見えて】
【この机に他のひとが居ないのをいいことに好き勝手しているようだった。投げ出した足も、ぱたぱたと揺らされて】
【エクトプラズムでも見えそうな様子だった、机の上に並べた本を退かして、冷たい木のテーブルに頬っぺたを押し付けて――】

帰ったらちゃんと聞かなくちゃ……、それで、ノートちゃんと読み直して、確認してみて……。

……――明日でいいかなぁ、

【頬っぺたと机をなかよしこよしさせたまま今まで読んでいた本を適当にぱららっと捲る、けれどその目は文字のひとつも追いかけずに】
【魔術について書かれた本であるらしい。あんまり難しいことの書かれていない、どちらかと言えば初心者向けのもの】
【それでも精一杯らしい彼女の様子を見れば、彼女の扱う魔術の腕前も、或いは予想出来るようで――】

【――黒色の髪を下の方でゆったりと纏めた髪型、細かい金糸で柄の入った赤いリボンで結んでいる、その赤が黒によく映えて】
【黒色と赤色の瞳を縁取る睫毛は真っ黒で長い、あどけなさの残る顔は――少女の年齢を、十五か十六か、その辺りに見せて】
【黒白を基調にした丸襟のワンピースは膝丈で、レースで編んだタブリエをくるりと巻いているのが、お淑やかに見え】
【ボーダーの靴下とまあるい爪先のパンプスを履いているなら、足首の華奢なのがとってもよく目立つようだった錯覚】

……また一緒にお買い物行きたいなあ、今度は何買おう。お洋服と、お靴と、それから、それから――……。

…………あー疲れたよう、休憩行きたい……本戻さなきゃあ……。

【足をふらふらさせていたのがぴったと止まる、そうして呟くのは現実逃避めいた独り言、にんまりと笑みの零れる一瞬の表情】
【――まあそれもすぐに終わってしまうのだけれど。現実に向き合わされたなら、しーんと溜息を零して、気だるげな仕草】
【それでも頑張って身体を起こす――その仕草の傍らで、窓から差した月明かりが彼女の右耳元、きらりとピアスを輝かせ】

【(どうでもいいけど独り言が大分うるさいのだった。ほんの近くに誰も居ないから注意されていない、というだけでしかない状況)】
【(誰かが遠くから聞きつけて注意しに来るかもしれないし、彼女がキープしている本数冊に用事があるのかもしれないし、ともかく)】
【(窓辺のこの席に誰かが訪れる可能性は――きっと少なくは、ないのだった)】
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/16(金) 22:31:17.23 ID:xvtUFsLK0

【昼の国・ゼン=カイマから少し離れたとある町】

【この町から遠くゼン=カイマの中心部の方を見れば、つい先日までは大きな教会の聖堂や塔が望めていた。伝統的な建築物は遠目から見ても綺麗な物であったが】
【―――今は全てが消えた。そう、全て。何もかもが無くなり遥かに望めるのは地平線、それと未だに暮れなずむ空に立ち昇る煙の数々……それと、尋常ならざる大きな鬼≠フ影】
【何もかもが瓦礫と化し、跡形もなく潰された。―――そう、先日の事件≠ノよって――――】

【そんなゼン=カイマを望める町の、とある家屋の中。其処には子供たちが十数人、それと二十歳前後と思しき女性が一人―――】

【二階建ての少し大きめの建物だが、手入れは行き届いていて外観は美しい。子供が遊べるぐらいの広さの庭だって、可憐な花や刈り揃えられた芝が可愛らしい雰囲気】
【庭では数人の子供達が遊んでいたのだろう、遊具が転がっている。もっとも、今はもう日も暮れて外に出て遊ぶ子供はいないのだが】
【無駄な装飾は無い素っ気ない造りはかつてのゼン=カイマの壮麗な建物とは比べ物にならないが、白亜の壁は汚れ一つなくて月光を青白く反射させている。】
【中に入れば、ふわりと料理の匂いが漂っていることに気付くだろう。空腹ならば、カレーの香辛料の香りが空いた腹をきっと強烈に刺激する筈……】

(………私は護る為に戦っていた。その筈なのに、結局街も何も護れなかった……―――)
(結局誰も護ることが出来ず、こうして避難生活を強いさせるようになってしまった……何とも情けない話で御座いますね。)
(―――それでも。それでも、この子達だけでも無事で本当に良かった……―――)

【子供たちに囲まれたその人物はマリンブルーの瞳を持ち、ブロンドの長髪は頭に被った白い頭巾で隠れている。右の目元の泣きぼくろが整った顔にアクセントを加え】
【身に纏うのは白いローブ。神聖な雰囲気さえ漂わせる純白の其れは、まさに聖職者に相応しい物。着ている人物そのものの雰囲気も相まって、与えるのは清廉な印象】
【しかし、身をすっぽりと覆うローブの下からちらりと見える地肌は傷だらけで痛々しい。見るからにまともに動ける状態ではないのだが、それでも彼女は立って歩いている――】
【首元に掛かったロザリオは、思うように動かない足を引き摺って歩く彼女の体の動きに合わせて揺れる。――時折バランスを崩しそうになるあたり、余程痛むようだ】

【小さな建物の内に響き渡るのは子供の声。都市が一つ丸ごと壊滅して避難しているというのに、その声は憂いを一つも感じさせない明るい物で】
【廊下をとことこと駆け回る姿だって元気一杯。どうしてこのような苦境の中で、これ程までに明るく強かでいられるのか……】

―――ほら、あまりはしゃいで物を壊すんじゃありませんよ!もっと静かに遊びなさいな!

「はーい!……あ、おかあさん!そろそろおかあさんの『ともだち』がくるじかんだよ!まえにおてがみだしてたひと!」

……あら、本当。もうこんな時間……

―――(……あの人は来てくれるのでしょうか。手紙はちゃんと届いたので御座いましょうか……)


【この町にも、災禍を免れた人が避難しているらしい。そんなこの町を訪れる人がいるとすれば、それは司教や修道女か、人々を救助しに来た者か、あるいは……死神か】
【尤も、死神が首に鎌を掛けるべき人は此処にはいない。命からがら難を逃れた人々と、その人々を受け入れた心の広い町民たち……そんな人々の命は、きっとあの死神の目標ではない筈】

【―――死神を招き入れたのは、他ならぬ此処に居る女性だ。】
【何かの手違いが無かったならば、とある教会に一通の封筒が届いた筈だ。会って話がしたい、私はこの町の一角にある家屋に居る……という内容の手紙。】
【文末にはM.A.と書かれたサイン。―――きっと、受取人には誰のことか分かってくれる筈。】
 

【若し、来てくれたのなら。きっと出迎えるのは元気な子供たちの笑顔と、手紙の差出人のやや傷の目立つ姿……】
【十数人もいれば性格や表情もまちまちだが、どの子供も心から暗い表情をしてはいない。――――それはきっと、十分な愛を誰かから受けた証。】
【きっとそんな子供たちを見れば、闘っていた彼女≠フもう一つの姿が浮かび上がるだろう。彼女は、子供たちは、貴女を白い家の中で待っている――――】

―――お待ちしておりました。
「あ、えーっと、いらっしゃいませー!」『……そういうときに言うのは、いらっしゃいませじゃないと思う。』

//予約ですー!
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/16(金) 22:46:34.46 ID:20dLZP9xo
>>908
/まだいらっしゃいますか?
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/16(金) 22:47:56.40 ID:UhGoYr2Eo
>>907

【少女が暴れようと、青年はしっかりとその体勢を維持するだろう】
【見た目通り鍛え上げられた肉体はちょっとやそっとでは揺るぐことはなさそうだ】


どうやったって……うーん、難しいな……
こう、ドカンと地面をぶっ叩きゃあ炎が出てくんだ。後は勝手に跳べる
ま、気にしなくていいぜ! 譲ちゃんが俺と同じ能力の持ち主じゃない限りな!

――っと、そうらしいな。だが元気なのはいいことだぜ
だが元気すぎて骨が折れるんじゃないか?


【……それは恐ろしく適当な説明だった】
【表現力か語彙の少なさによるものなのか、どちらなのかはどうでもいいことだが】
【彼の言葉からして能力なのだろう。それだけわかれば、後は訊いても栓無きことかもしれない】
【同じ能力に出会うことなどそうそう無いことなのだから】


おう、正義の味方だぜ。駆け出しだがな! っとと、落ちないでくれよ?
そうそう、やること無くなっちまったから散歩がてらパトロールしてたとこだ
涼しくていい夜だから外に出たくなっちまってよ。二人もそんなところか?


【顔を寄せられても焦ることはなく、近くなった距離で見つめられれば、彼もニカっと笑ってみせる】
【別段鬱陶しそうにする素振りはない。ただ、いつまでもこの状態はよくないと思ったのか】
【しばらくすると少女を降ろそうとするだろうか】

/新キャラなので不安定になるかもですが…よろしくです!
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/16(金) 22:56:01.09 ID:S/RJ7Hfj0
>>910
/あなたの後ろに居ました!
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/16(金) 23:00:20.21 ID:387JYi+q0
>>909
【――――カツンカツンと歩く音。腰に提げた銀の双銃は、実に物騒な物だけれど】
【その所持者が修道着を纏っているというのだから可笑しな世の中だ。その動きにだって見る者が見たならば隙が無いと直ぐに分かるのだが】
【…………この様な場所では、関係の無い事だ。元より今日は手紙を見て訪れただけであり、どの道罪を犯していない者達を死神の鎌で裂く必要も無いのだ】

【パン屋で適当にパンを購入して、食べ歩きする姿。行き交う人々に声を掛けられれば、緩んだ表情で言葉を交わす姿】
【どうにも裏で人を殺める其れとは程遠く、十八の歳を満喫する一人の小娘と称しても問題は無いのだが】


「さって……と。M.A.――――で、こんな場所ともなれば…………まあ、心当たりは一人だけだしね
だったら血の臭いをさせて行く訳にもいかないし…………今日なのは都合は良かったかな」

【パンが入って居た紙袋を丸めれば何処を見る事も無く後ろへと放り投げるのだけれど。偶然か、狙ったのか。軽い音を一つ立てたならば、其れはゴミ箱の中へと吸い込まれていって】
【腰に提げていた銃も今や衣服の下。と言うのも、この場で見えるようにして歩くのもどうかと思われたから】
【さて、家の中へともう少しだけ歩を進めたならば――――……会うのはこれで三度目、か】
【一度目は戦い、二度目は海辺で話し。そして、三度目は此処だ】
【軽い調子で近づいたならば「やっほ」なんて緩やかに手を振ったりでもして】


「うむ、苦しゅう無いぞ……なーんてね。元気そう――――って言って良いのか分からない状態だけど、少なくとも“アレ”に巻き込まれてないみたいで安心したよ
…………手紙をくれたのは、マリア……君で良かったよね?話がしたいって書いてたし、あの後だし…………気になったから寄ってみたよ」

【所々に見える傷の痕。歩行からして、未だ何らかの傷が癒えていない事は明白だ】
【だが、確かに生きている。ならば今は其れを喜ぶべきかと笑って見せて】
【――――次には、側に居た子供へと視線を落とす事だろう。クスリと小さく笑んだならば両の手でそれぞれの頭でも撫でてやり】


「いらっしゃいませっていう事はボクにでも尽くしてくれるのかな、おちびさん?
…………んー?ボクはいらっしゃいませでも嬉しいよ?
さて、と。どうしよっか、マリア。久しぶりに結構歩いてきたから、長話になりそうだったらちょっと座らせて貰えると嬉しいかな」

【最初に挨拶をした子供はそのまま頭を撫でて、突っ込みを入れた子供は頬でも軽く突いて遊ぶのだろう】
【尤も、此処に訪れた理由は見失っては居ない。マリアが態々手紙を寄越した程だ】
【あの事件についてでも話すのか、それとも団長と戦った事でも責めるのか。或いは、気紛れに話したかっただけか】
【――――分からない、けれど。何れにしたって直ぐに帰る必要も無いであろう。可能ならば、上がらせて欲しいとでも告げて】

/宜しくお願いしますですよー!
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/16(金) 23:25:28.88 ID:R/2hhmGLo
>>911

ほえー、よくわからないけどすごいのね………。

「世話を掛けるな、青年。昔から好奇心旺盛でな、こうしてたまに外に出るといつもこうで困っておるよ」

【ざっくばらんとした青年の説明を、少女はわかったようなわかっていないような、感嘆の溜息を漏らしつつ聞いて】
【……結局理解できなかったようで、「とにかくすごい」という結論に至る。瞳の輝きは止まるところを知らず青年を見据え続けるだろうか】
【老人の説明通り人並み外れた好奇心の持ち主らしい。ふっと漏らす苦笑からは随分と手を焼かされていることが想像できるが、存外まんざらでもなさそうで】

「うむ。今夜は心地よい風が吹いておったでな、この子と少し散歩に出ていたところよ。
 ……と、そういえばまだ名乗っておらんかったか。
 改めて、儂はヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダムという。先程は孫を助けてくれてありがとうな」

「わたしはサラ=マリー・ド・ノートルダム! うふふ、長いけど素敵な名前でしょ?
 よかったら『サリー』って呼んでくださいっ☆」

【冷ややかな夜へふと身を踊らせてみたくなったのはこの二人も同じだったようだ。老人は少女が抵抗せず青年の腕から地面に降りたのを見届けると】
【仕切り直すように名乗りつつ、シルクハットを取って恭しく一礼してみせるだろうか。慣れていないのか少しばかり動作は固いが、言葉にある誠意は本物で】
【その後に続き、少女もまたスカートの端をついと持ち上げて名乗る。こちらは何だかこなれていて、もう少し年が上なら優雅さも感じられそうだった】

ねぇねぇっ、お兄さんのお名前は? さっきの力ってどこで身につけたの?
正義の味方って何をするの? やっぱり悪者をやっつけたりするのかしら?

【『サリー』というのはきっと愛称だろう。初対面の人間にいきなり愛称で呼ぶことを求めるあたり、実にこの少女らしくて】
【そのような性格ゆえ――――サリーが懲りずに目を輝かせて青年を質問責めするのも、ある意味仕方ないことなのかもしれない】
【そんな様子を眺めつつ、ヴァレリーは後ろで苦笑している。いざとなればヴァレリーの方でうまく諫めてくれるだろうし、別に無理に答えなくても良い筈だ】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/16(金) 23:30:16.02 ID:20dLZP9xo
>>908

「―――――――お嬢さん、思考に沈むのはよろしいですが場所を選びませんか?」

【その静かな声は染み入るように耳へ入るだろう】
【唐突に脈絡なく、ともすれば司書の注意とも思うようなタイミングで】
【少女が声に振り向いたならばしかしそこに居るのは全くの別】

【白磁のような透き通る肌、流れる髪も同じように美しくはあるが消え入りそうな白色】
【顔や身体の造形もまるで「こうあれ」と望まれたような人類の美意識を形にしたような……造り物地味た完成度】
【きちんと呼吸はしてはいるがそれさえもただその姿が正しいから便宜上しているに過ぎない印象を与える】

【態々揃えたのだろう衣服達、ロシアンハット、ポンチョコート、ストッキングにロングブーツ】
【その一切もやはり白く……病的で、およ常世にいるべきとは思えないそんな女性】

「ここは……なんでしょうか、『そういうコト』をする場所ですから」
「魔術の勉強ですか?――――――身に入らないのならば一度手を休めてみてはどうでしょう」

【やんわりと差した指は周りにいる人間を示している】
【要するに勉学や朗読の為の施設という事、彼らの邪魔をするのは少しばかりよろしくない】
【かといって少女の目的も似たようなものなのだろう、行為自体が建設的かどうかは別の話として】
【淡い新雪のような笑みを浮かべながら、諭すように掌でそうっと頭に触れ撫でようとするのだった】

/よろしくお願い致します!
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/16(金) 23:45:56.78 ID:S/RJ7Hfj0
>>915

【はにゃーっと気だるげな吐息が洩れていく、それはたくさんお勉強をしたあとの疲労感とかがぎゅっと詰め込まれたもので】
【すっかり素っ頓狂な方向にずれてしまったノートをずりずりと引き摺り戻す、頑張って纏めたつもりだけれど、どうだろう】
【まだまだ未熟な自分にはちゃんと自分の考えたことが合っているのかすらよく分からないのだった。そんなところ、少し残念で】

【それをまたぱたんと閉じる左の手元、薬指できらりと煌いたもの――銀色で、蛇のかたちをしていて、輪っかで、まあ、指輪なのだが】
【とんとんとノートを机に叩いたところで、ふと声がして――ひどく素な顔色、ふにっとした顔で振り向いたなら、】
【見えるのは白色。或いは紙よりも、雪よりも、雲よりも真っ白の、女性。黒の混ざり込む自分の白さとは違う、あまりに純粋な白さに】
【一瞬もっときょとん……としてみせるのだった。けれど、それもそのうち、ようやく意識を現世へと引き摺り戻して】

あ……、ごめんなさい、持って来た本全部終わったから気が抜けちゃって……、

【しゅんと眉を下げて返答するのだった。そんな様子を見れば、わざとではなかったのだろう――そして、凡そ悪い子にも見えなくて】
【それなりに分厚い本を片付けはしたようだった。見れば右の掌、机に接する面がシャーペンの芯で薄らと汚れていて】
【よっぽどきちんと勉強してた光景も或いは見たかもしれない。そんな開放感、無意識だったのだ――なんて、言い訳】

そうなの、普段はお家で教えてもらうんだけど……ずっと教えてもらってるばっかりじゃ悪いから。
たまにね……ひとりで頑張ってみるんだ、まだまだだけど――強くならないと、いけないから……、……わっ、

【問われたことにはそうだと返答する、さっきより幾分か落とされた声のトーンは、けれど鈴の音のような声。耳によく聞こえる声質で】
【たまにの自習時間なのだと言う――ずいぶんと根をつめていたらしいから、それなら何か理由がありそうだ、と思えば教えてくれて】
【なんだか強くならなければいけないらしい。――直後に撫でられびっくりして丸くなる瞳、ひどく平和めいた色合いとかたちのそれ】
【強くなる――なんてあんまり似あわないように見えるのかもしれなかった。けれど、その瞳は真剣で、(今は驚きの最中にあるけれど)】

……じゃ、じゃあわたし休憩行くから準備するねっ、本戻してこないとだから――、

【少し慌ててしまった瞳が恥じたように表情を変える、かたん……と椅子の音で立ち上がるなら、その手を振り払うようにも似て】
【嫌な顔はしなかったが、あんまり撫でられ続けるのも――という感じ。悪い感情を覚えたわけではないらしいのだけれど】
【放っておけば机の上に点在している本を纏めて抱いて行ってしまうだろう、鞄とかが置きっぱなしだから、また戻ってくるだろうけれど】

【ただ静かにさせることだけが目的じゃなかったなら――或いは、彼女に興味を持ったりしたなら、その場で待っていれば】
【休憩に誘われるということもありえるだろう。寧ろ、なんだか人懐こい子のようだったから。誘ったりしても、アリかもしれず――】

/おねがいします!
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/16(金) 23:55:09.13 ID:xvtUFsLK0
>>913

ふふふっ……本当に、よくお越しくださいました。
……ごめんなさいね?用事があるのは此方なのに、わざわざ呼び付けるような形になってしまって……
私一人で其方に赴いて、子供達から目を離す訳には参りませんから――

【グリースを家の中へ招き入れると、手を振ってくれた彼女に此方も軽く手を振って応じてみる。軽いやり取りが、やっぱり友達のよう】
【浜辺以来、これで会うのは三度目か。手紙を無視することなく尋ねてくれたグリースの顔を見れば、マリアは旧友に会ったかのようににこりと顔を綻ばせる】
【聖都でもフレデリックとグリースが闘っていた聖堂のすぐ近くで戦っていたのだが……その時は会うことは無かった。こうして顔を合わせるのも久しぶりだ】
【グリースの言葉から伺えるのは、マリアへの心配。身を案じてくれていたのが嬉しくて「ご心配をお掛けしました」という言葉と共に微笑んで見せる】

【こうしてグリースを呼び付けるような形になってしまったのには理由がある。グリース自身も新聞やこの町を訪れる道中で見かけただろうが】
【ゼン=カイマは壊滅した。それは即ちマリアの居た教会も破壊されてしまったということを意味する……ということは子供たちを保護していた施設も、だ】
【奇跡的に子供たちは全員無事だった。しかし、居場所を失った……ということで、マリアはこの町の空いた家屋を間借りして子供たちを集めている】
【教会に居た時はマリアが戦いに赴いていた時も他の修道女が面倒を見てくれたが、壊滅した今となっては散り散りになってしまって頼れるものがいない】
【……そんな訳で、今はマリア一人が子供たちの面倒を見ているのだ。当然ここから離れる訳にはいかなくなってしまった……だから、無礼を承知でグリースを呼んだ。】

「あ、えーっと……?はい、わたしはあなたにつくします!」
『……ティア、それは君にとって尽くしているつもりなのかい。……』

【撫でられた少女――名前はティアという――は無邪気そうな笑顔を見せて、そのまま懐いた猫のように小さな体をグリースの元に寄せる】
【見たところ10歳にも満たない彼女には尽くすという言葉の意味もよく分かっていないらしく、……そうやって身を寄せるのが彼女なりに「尽くして」いるつもりなのだろうか】
【ツッコミを入れた少年はマットという名前、此方は利発で無表情な子なのだが、頬を突かれるとまんざらでもないような表情。……実はこうやって親しげにされるのが嫌いじゃないらしい】


……本当に、長い距離を歩かせることになってしまって申し訳ありません。
さ、私の部屋にでも案内しますから付いて来て下さいな。此方で御座いますよ!
何か飲み物が欲しいなら、ありあわせの物なら何でもお運びしますよ。あ、何なら私の作ったカレーも食べます?子供たちの口に合わせたのでちょっと甘口で御座いますが……ふふふっ

【さて、話が逸れかけたが本題はグリースと話すこと。子供たちと遊んでもらうのも勿論悪くはないが、まずは一番大事なお話をしなければいけない】
【玄関で立ち話するのもなんだから、とマリアはグリースを引き連れて自分の部屋に向かう。……口では元気だがやはり足が痛むらしく、時々よろけるのが危なっかしいが。】
【玄関から続く廊下を真っ直ぐ抜けた突当りがマリアの部屋。ドアを開ければ、中は白い壁と木の床、調度品は机と椅子とベッドだけ……まあ無駄なものが一切ない殺風景な部屋だ】
【座るとすれば、ベッドの上か木製の椅子か、木の床に直接か……それはグリースのお好みで】

お好きな所に腰掛けて下さいな。……折角お越しいただいたのに碌におもてなしも出来なくてごめんなさいね。
ふふふ……久しぶりにお会いしたというのに、教会は無くなってしまいますし、私は傷だらけですし……本当に情けないです。
でも、まだ生きておりますよ。ちゃーんと、あの時の約束は護っているんですからね!
……グリース。貴女も無事で本当に良かった……―――
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/05/16(金) 23:58:13.92 ID:sEUWYT3K0
【鉄の国―――エルル鉄鋼山・近郊=z

【数週間前にGIFTによって襲撃され大きな打撃を被ったエルル鉄鋼山であったが、鉱員や自警団員の働きによって機能を回復させようとしていた】
【鉱山関係者は昼も夜もなく働き続け、一刻も早く国の各生産工場へ資源を運ぶことを再開させようと努力していた。】
【ここはそのエルル鉄鋼山から山伝いに少し行った先にある高台、そこには鉱員や運送業者の為のバルが存在している。】
【どこか古びて取れかかった看板は人のいない鉱山地帯では非常に目立つ、鉱山関係者はその中で日々の疲れを癒すのだ。】
【そんなバルの隅で一人で座っている人物が一人―――。】


いやぁ、ようやくこれで一段落できそうです………ええ、残念ながら地獄門≠フ残骸からは何も出てきませんでしたが。
戦況は………そうですか、未だ首都圏内で小競り合いが続いているという事で。

それに、昨日は昼の国≠ナも大きな騒動があったとか………これはまた世界が戦乱に飲まれる予兆ですかねェ
まぁそれならば我が国も儲かっていいのですが―――おっと失礼致しました、少し軽率な発言でした。
………いえいえ、私は何も変わって≠ネどいませんよ、まぁ世界がこんな状況では少しばかりハイになっていますが………フフ。

それでは明日の便にでも乗って一度帰投します、失礼します大佐―――。


【その人物とは―――。】
【朱い長髪を一つに結んで垂らし、切れ長の黒い細目をしてメタルブラックのフレームの眼鏡を付けており】
【濃い緑のシャツの上に黒いネクタイ、灰色のストライプの入った真っ白なスーツを着て】
【白い革靴を履いた身長180p後半の、右眼≠ェ長い前髪で隠れている飄々とした口調の細身の青年である】
【携帯端末を使ってどこかへと連絡をした後―――ほぼ冷めてしまっているコーヒーを口にして満足げに喉を鳴らした】
【泥だらけになっている鉱員がビールを片手に騒いでいる中、この青年はかなり異質だ、注意を引くかもしれない―――。】
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 00:02:52.07 ID:UIMfnw2vo
>>916

「初級の魔術……ですか、ふむん……珍しい立ち位置の方のようで」

【何の気無しに本の背表紙を見ればそれは魔術を紐解く書物】
【この齢で魔術の門を叩く理由、首を傾げるのは自然の事】

「はて『強くなる』……ふうん」

【言葉と瞳、偽りがあるかどうか語る必要はなく】
【だからこそ疑問が浮かぶ、こんな少女が何故力を求めるのか……と】
【平和に学園生活でもしていたほうが遥かに絵になるだろうし健全だ、しかし少女の方向性は真逆と言って良い】

『―――――ああ……お気をつけて、近頃は夜鬼も多いと聞きますから』
『まあ所詮人殺しには変わりありませんが……と?……あら、忘れ物……』
『取りに来るでしょうけど、はてさてどうしましょうか』

【滑らかな所作で掌を引き、どうやら少女に不気味に思われてしまったのだろうと無表情のままに少しばかり落ち込む】
【仕方なし、と自分もどこかに消えようかと思いふと視線を落とせばそこにはあの少女のものであろう私物がちらほらと】
【どうしたものだろうとでも言いたげに嘆息、数秒考えガサゴソとそれらをまとめてカバンに詰め始め】

『入口くらいにまでは持って行ってもバチは当たらない筈です……』
『最悪司書さんにおあずけすれば良いだけですからね、なんてこうしている間に戻ってきたり――――――――』

【割れ物を扱うような手つきで品々を収める】
【他人の私物なので極力見ないように『目』を瞑り、一個一個とカバンの闇へ隠す】
【そんなものだから地味に時間がかかって或いは少女が戻ってきてしまって】
【どこか犯罪者めいた行動をしている姿を目撃してしまうなんてことも……なきにしもあらずでして】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/17(土) 00:07:49.10 ID:IIxcaG3go
>>914

【人は歳を取るにつれ丸くなってゆくものだが――二人の雰囲気はかけ離れたものだ】
【もしかするとこの老人も昔は少女のようにはしゃぎまわっていたのかもしれねぇな、なんて考えて】
【その姿を思い浮かべようとするも……堂々たる佇まいからは幼き姿を想像できなくて、止めた】


ああ、すげえぜ。そこいらのチンピラを10人まとめて吹っ飛ばせるくらいにはすげえ
いいってことよ。たまにってんなら尚更だ。はしゃぎたくなる気持ちはすげえわかるぜ


【能力がどこからきて何故使えるかなど、青年は知る由もないし理由を求めたこともない】
【ただその豪快さは気に入っていて、便利だから使用している】
【そんな不思議な力に人が惹きつけられるのは無理もない話だろう】

【困っていると口では言いつつも、まんざらではない表情を浮かべる老人】
【おそらくいつものことなのだろう。外に出る度にこうであることは予想に難くない。ならば心配など不要か】


ヴァレリーに……サリーだな
俺はアーシャ。アーシャ=ランスキャットってんだ。よろしくな!


【二人の自己紹介に、青年――アーシャも名乗りを返すだろう】
【余談、サリーの挨拶に彼は僅かに感嘆の表情を浮かべていたことだろう】
【なかなか様になってるぜ、なんて言いつつ、彼らの服装などから裕福な家なのだろうかと思考してみたりして】


えーっと、何だったか……そうそう、能力だな!
これは俺にもわかんねぇ。気付いたら使えるようになってたしなぁ
でも後から使えるようになるヤツもいるって聞くから、サリーももしかしたら使えるようになるかもしれねぇな

で、正義の味方だけど――サリーが言った通り、悪者をやっつけるのが仕事さ
サリーやヴァレリーが悪いヤツに何かされそうになったらいつでも呼んでくれよ
いつでも飛んで行ってぶっ飛ばしてやるからよ!


【律儀にもアーシャは少女の質問に答えていくだろう。答えになっているかどうかは、よくわからないが】
【正義の味方に関しては、彼は胸を張って自慢げに語ることだろう】
【どうやらSCARLETの隊員であることにそれなりの誇りがある様子で】

/すみません。明日も早いのでこの辺りで落ちます…
/明日は恐らく7時頃に来れると思いますので、そちらが可能ならばその時間から再開ということでいいでしょうか
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2014/05/17(土) 00:11:21.71 ID:TY5HAtn20
>>920
/はい、その時間でOKです〜
/ではまた明日、お休みなさいませ!
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 00:19:28.52 ID:F1S9gDg80
>>919

行きたいところがあるの、何年掛かったって、ぜったいに、行きたいところ。
そこに行けたらね、いいなって……そのためにはね、強くならなきゃいけないの。

今のままじゃ駄目、もっとずっと、自分だけじゃなくて、ひとも守れるぐらいに。

【珍しい――珍しいものなのだろうか、それは少女にはよく分からなくて、曖昧に首をかしげる仕草を見せただけ】
【どうして――と疑問がるような表情を見れば存外緩い基準で教えてくれるのだった。なんでも、行きたいところがあるのだと】
【けれどそれは今のまま、守られるだけの立場じゃいけない場所なのだと……少しだけ、しょんぼりとした顔を見せて】
【それでも瞳までもしょんぼりはしていない。前向きに頑張っているところなのだろう、そんな特有のきらめきを瞳に乗せて】

【――そうして足音が本棚の向こう側に消えていく。そのうちに気配も分からなくなって、ただ、前のような静寂が帰ってくる】
【時折本棚の向こうから聞こえる足音は彼女のものだろうか、それさえも分からない幕間、残されたのは純白の女性だけ】

【だから。彼女の私物を鞄に戻してくれるという行為を邪魔する者は居なかった、ただ、女性の手のままに自由にされて】
【ノートと筆箱とその中身が主なもの。キャンディも転がしてあったが食べた形跡はなく、それならルールもきちんと守られて】
【本の形をした鞄にちょうど詰め込み終わる頃――かつかつと足音が戻って来て、ひょこりとあらわした姿は、やはり彼女のもの】

あれ……、…………あれ?

【もう居なくなってしまっているものだと思った人影が消えていない。それが一つ目の「あれ」で】
【二つ目はどう見たって鞄に手を突っ込まれている現状。始めに“きょとん”としたのが、次で訝しげになって】
【テーブルから少し離れた位置で立ち止まってしまうのだった。見れば、丸い瞳はじとりと伏せられていて――怪しんで、いて】

えっと……、……、

【けれどよく見れば机の上が綺麗になっている、うずたかく積み上げられた消しゴムのカスは流石にそのままだろうけれど、】
【そこは流石に出した本人にやらせるべきだろう。だから一先ず置いておくこととして――まずは、】

【この“何をしているのか”尋ねる目で見つめてくる少女に現状を説明してやるのが先だろう、恐らくは――】
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 00:29:47.97 ID:UIMfnw2vo
>>922

【キャンディなんて歳相応に可愛いものだ、と和やかに】
【何に納得してか頷きながらも作業は続いてそして――――――――】

「―――――――ああ、なんという」

【悪いタイミングという物は確かに存在するのだ】
【鞄に手を入れたまま白い女性は硬直する、弁明すべきか黙って荷物を渡すべきか】
【正直どちらをしても無駄な気がする】

「……その、なんでしょうかきっと貴方は勘違いしていると思うのです」
「そもそも私自体荷物に価値を感じないといいますか……あの、お返ししまね?」

【手渡しで返すのは、なんだろうか避けられるような気がして】
【なので鞄をそっと机に置いて2,3歩下がり「どうぞ」とばかりに鞄を明け渡す】
【清廉潔白の身を示せた気は全くしないが現状出来るのは……これくらいだろうか】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 00:31:08.72 ID:/TbN2j770
>>917
「別に良いよ。あの一件でボクも少しだけ長い休みを貰って暇してたからさ
ま……普段色々と動いてるのに、急に何もしなくなると何だか退屈でねー……最初はぐうたら寝てたり仲間と遊んだりしてたんだけど
みんな仕事に戻ったらボクは暇人だしね。丁度良かった…………って、所かな

それに子供なんてあっちにフラフラこっちにフラフラで何処に行くか分かったもんじゃ無いから…………うん。ボクが来て正解だったのかも」

【子供達の前だから嘘を吐いているのか、それとも本当の事なのか。其れは同じ教会に属する者しか知り得ない秘密】
【――――そんな事を言っても。例えマリアが自分から向かうと言った所で、其れを制してグリースから向かう事となったであろうが】
【そして…………この場でゼン=カイマや騎士団について問わないのは、子供が居る場ではあまり好ましく無いかと判断したからだ】
【この前戦闘を行ったトマについても聞いてはおきたいが、その時間は後で幾らでも取れる。先ずは再会を喜び子供と少し戯れる時間かと考えて】


「あはは……頼もしいねぇー……。じゃあ君がもっと大人になって綺麗なお姉さんになったらボクの助手にでも就いて尽くして貰おうかな
君も一緒に手伝ってくれるかい?んー…………お給料は、びみょーだけどさ
ま、この話は後々!ちょっとマリアと色々話しておかなきゃいけない事があるからね」

【からかう様に少年と少女、その両方へと声を掛けたならば最後にもう一撫でしてやって】
【身を寄せてきた少女を無下に引き離すような真似はしない。満足するまでそのままにさせてやるだろうし、切りが無いならば頃合いを見て優しく離してやる筈だ】
【少年の方は少年の方でこれまた面白く。素直で無い、という事では無いのだろうが――――「ほら、約束」なんて言葉で少女と共に軽く抱いてやるのは迷惑か否か】
【一頻り触れ合ったならばマリアに続くような形になるのだけれど】


「なに、ボクが好き好んで来たんだ。本当は飛んできても良かったんだけど…………あの後じゃあ、何が居るか分からないしね
ん、じゃあ折角だし後でカレーと何か飲み物でも貰おうかな?
外からでも良い匂いがしてたから余計お腹が空いてさ。――――っと」

【空を飛ぶときには強い“聖”を纏う事となる。戦闘に於いては大きな利点であるが…………それ以外の時は、己の存在を目立たせるなんて一面もあるのだ】
【この事に関してはマリアも理解出来る事であろうか。同じ性質では無くても、似たような其れを持って居るのだから】

【そして、元より昼食に誘うつもりであった…………けれど。此処で食べさせて貰えるならば幸いと嬉しそうに頷いて】
【フレデリックやマリアと戦闘していた修道女とは大きく異なる一面が見れるか。――――戦う場所で無ければ、こんなものだ。あの浜辺で会った夜と同じ様】
【マリアの歩みが危なっかしい所を見れば、「しょうがないな……」なんて呟き。不意に、行く道を遮るかのように立ち止まったかと思えば、背負い上げて】
【大した距離で無いにしても、やはり危ないものは危ない。強く拒めば降ろすだろうけれど、口先で拒む程度ではそのまま部屋の中へと運んで――――ベッドに腰を掛けさせるように降ろす事か】


「確かに君は傷だらけだし、ゼン=カイマは壊滅しちゃったけど…………でも、生きてるなら其れで良いよ
墓石と話してたってつまんないのはよーく理解してるつもりだからさ」

【そのまま事が進めば、向かい合うように床に座って】
【屈託無く話すのは、敵同士――――とは思い難いか。クスリと嗤いながら話すのはブラックジョークでも何でも無いけれど】
【生きていて良かった、とは本心なのだろう。胡座を搔きながら言葉を紡ぎ…………それでいて、マリアの最後の言葉には可笑しそうな表情を見せて】


「ボクは死神なんて呼ばれてるんだからそう簡単には死なないよ
それにさ…………マリア。騎士団の一人である君がボクの無事を喜んでたら不味いんじゃ無い?団長サマと戦った事を知らない訳でも無いんだろうから
――――まあ、でも…………嬉しいけどさ

そんな事より、君がボクと話したいというからには…………きっと、あの事だよね。ゼン=カイマが壊滅した事
それに関してはボクも全くと表現して良い程情報は持って無いけど…………」

【そう、敵対関係である事は忘れてはならない。だから、心配されるなんて可笑しな話しなのだが…………自分だって、マリアの事を心配していたのだ】
【そんな矛盾に気付けば苦笑を漏らしながらも言葉を続けるので有ろうが】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 00:42:44.84 ID:F1S9gDg80
>>923

【全身に纏う白色のように潔白なはずの女性に注がれる視線のなんと疑惑の色か。何も知らないなら、仕方ないともいえて】
【そのまま鞄からすっと離れる女性、それでも訝しげな視線は変わることはないまま、今度は鞄と女性とを何度も往復して】
【そのうち。どちらにせよ確認しないことにコトは動かないらしいと理解する、幸いにも女性は逃げる素振りを見せないから――】

【(まあ、その時点で潔白であると証明してくれているようなものだったのだが――)】

【――こそこそっと鞄に近寄って中身を確かめる、それでも少しは気遣うような素振りでもあった。あまり堂々としなかったというか、】
【少しは信用してくれても居るようだった。けれど悲しいかな初対面、確かめないでいられるほどは――善人では、ない様子で】

ぜんぶある……、

【まるで死刑宣告の瞬間みたいな数分間、そのうちにぽつりと零れた言葉、彼女の口から潔白を証明してくれる言葉】
【鞄を漁って、キャンディの一粒まで確認して、最後に物陰に隠すようにしながらお財布を確かめて。その結果がこれだ】
【全部あるどころか机の上のものまで入っているなら増えているぐらいだった。いちおう、それから彼女は鞄を肩に提げて――】

……いれて、くれたの?

【そうすれば机の上には消しゴムのカスの山だけ。にちにちと練って遊んだのだろう、小高い山は凝り固まって】
【持ち上げれば持ち上がる様子。まあそんなのはどうでもいいのだ、問題は、きまずーく表情を強張らせる少女のほう】
【潔白だと理解した。(或いは未遂だったのかもしれないけれど)それを疑ったのは自分だし、――ぐると思考が回って、】

…………お茶奢るから――あの、……ごめんなさい……。

【どちらにせよ何もされてないならこちらは被害者じゃない。寧ろこの場合の加害者はこちら、被害者はあちら】
【少女の淡い色合いの唇から零れだした言葉は、ナンパにしてはずいぶん奇抜なお茶のお誘いだったことだろう。ぺこりと頭を下げて、】
【二度目の謝罪。頭を上げれば、怒られる寸前の子猫みたいな顔が女性を見つめることだろう、恐々と、見上げて】

【――どうだろう。疑われても一緒にお茶を飲むだけの大人的余裕があるなら、受けてやれば彼女は満足するだろうし】
【そうして一緒に時間を過ごせばきちんと弁解できる可能性もある。悪いお誘いではないはず、だったけれど――】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 00:56:48.19 ID:UIMfnw2vo
>>925

「ええ……取りに来ると思いましたので」
「潔白を証明する為に敢えて言うならば、所有物に興味はなかったので」
「それに欲しければもう少し上手くやる……でしょう?」

【人間を形取っているのだから欲はそれなりにある】
【けれども他人を貶めてまで欲しい物は無いと言い切れる、それくらいには稀薄なのだ】
【金銭に関しても同じく、必要以上はやはり要らない】

【掌には何も無いとグーパーを繰り返す】
【無表情のままの動作はどこかのゼンマイが狂った人形のよう】

「疑うのは道理だと思いますので、謝らなくても良いですよ?」
「……まあ、お茶に誘う事で貴方の気が済むならば喜んでご一緒します」
「ただし、ですが私が気の利いた会話が出来るとは思わないでくださいねこの通り無個性なもので」

【個性はないかもしれないが奇抜ではあるかもしれない】
【どこか間の抜けた或いは達観したような台詞と異様なまでの白さ】
【真夏に降る雪のような、噛み合わなさは少女の提案をこくりと頷いて受け入れるのだった】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 01:10:23.21 ID:F1S9gDg80
>>926

【彼女の言葉に少女の顔がぐぬと歪む、――そう、こんな世界だもの、本当に欲しいひとはもっと上手くなる】
【まさか鞄に手を突っ込んでいるところを見られるなんて三流、こんな世界では、寧ろそんなひとは珍しい側】
【なんにもないと見せられる手をじっくりと見つめてしまう。やっぱり何にもないと確認すれば、変わる表情は】
【今度は際限なくしょんぼりとしだしてしまうのだった。犬猫だったら尻尾も耳もしゅんと垂れてしまうぐらい――】

【(蛇ならどうしただろう。地面にぺったりと伏すだろうか、まあ、それぐらいしょんぼりとしている様子だった)】

じゃあ……、じゃあ、せめてお茶だけでも……、……ほんとうにごめんなさい、――、
……今日はお買い物して帰ろうと思ってたからお金持ってたの、だから、……だから……、

【或いは泣き出してしまいそうに潤むまあるい瞳、満月から滴りそうな一滴は、雨と呼ぶにはあまりにも足りなくて】
【精一杯の曇り空、というぐらいだろうか。ぐるぐると真っ黒の雲を敷き詰めた空のような、不穏な色合いで満ちて】

【――たまたまお金を持っている日だったのだと言う。それなら多少警戒心の増すのも仕方のないはず、そんな言い訳を】
【ぽつぽつと紡いでいたのだけれど、ふと視線が横に逸れる。横に逸れて、少しだけ押し黙ったと思えば――】

……――でも、ひとの鞄弄ってるのも悪いよ……。

【――そんな言葉がぽつり。それは少しだけの八つ当たりみたいな、あなたも悪いんだよ、なんて言いたい気持ちの表れ】
【お互い悪いということで両成敗、それがきっと、一番平和な道を歩くことで――もちろん、純白の彼女さえ良ければ、だけれど】

図書館から少し遠くってもいい? お気に入りのお茶屋さんがあるの。そこで……、

【さらにそこから数秒が立った。気まずい空気の帳が降りようとした頃だろうか、彼女が再び口を開く頃合は】
【図書館に据え置かれた自販機――かと思えば、存外きちんとした茶を奢るつもりのようだった。そんな提案】
【まだこの図書館に居たい用事でもあれば伝えてやればいいだろう、そうすれば、自販機の――という形式になるはずで】

【(噛み合わない様子なら、彼女にもあるのだった。どうも人間の姿をしているくせに、ひとと違った気配がするというか)】
【(華奢な少女の姿で欠片とは言え宝玉を持つのも、その様子に拍車をかける。なんだか、ひとから外れてしまった気配)】
【(――ひとに紛れて暮らしているナニカ。少女の姿は、そんな印象を抱かせるのかもしれないのだった)】
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 01:41:37.92 ID:UIMfnw2vo
>>927

「ああ、いえ無理に誘っていただかなくても大丈夫です」
「貴方がそこまで心を痛める必要はありませんから、泣いてしまう必要なんてもっとありませんよ?」

【泣かせるつもりなんか無いというのに彼女の瞳には雫が溜まっている】
【感情の付随する涙、恐らく合理的であるならば必要のない機能……故に美しい】
【神様も罪作りなものだ、こんな不完全で美しい存在などそうそういないだろうに】

「……ふふ、まあそうですねお互い様です」
「これ以上の話はやめましょう、どっともどっちでオシマイです」

【日和見か、それでも笑顔が守れるならそれでいい】
【笑顔も自然に浮かばない自分でもそれくらいは望んでも罰は当たらない】

「遠くでも構いませんよ、私には時間が山ほどありますので……」
「それこそ貴方がご迷惑でなければ喜んでご一緒させていただきます」

【出会ってから一度も瞳を開かないまま、さも当たり前のようにコクリと頷いて案内されるままに付いてゆく】
【視界は無い筈なのに一歩に迷いは無く行き交う人の波にぶつかることもない、まるで全てが視えているよう】
【そしてその閉じられた瞳だが、何よりこの少女へと向けられていた】

【例えるならば『冷たい瞳』】
【ただあるがままを視て、だからといって何をするでもない観測の視点】
【そこに感情は付随しないし観察対象を利用する作用など存在しない……筈の、装置】

【『宝玉』なんて大層な物を観測出来るか分からないが淡いながら感じたのか】
【隣でも背後でも歩き付き従いながら「貴方も大概稀有ですね」と小さく呟くのだった】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 01:41:48.20 ID:dC+T5z5Q0
>>924

【暫くグリースに体を寄せてたティア、尚も無表情のまま目だけは嬉しそうに細めるマット。やがて最後にひと撫でしてもらったなら小さな手を振って各々の居た部屋に戻る】
【……子供とはしばしば本質を見抜くもの。見ず知らずのグリースにここまで懐いたのも、きっとグリースの心が決して悪い物では無いと幼いながらに感じ取ったからであろう】
【まさか、死神だなんて仰々しい二つ名を持っているとは思うまい。……実際、今のグリースは死神だなんて名は似合わない気さくなお姉さんなのだから】


【痛む足を庇いながら廊下を歩く。手負いの身にはそこまで距離は無い筈の廊下も長く感じられる……―――と、不意にグリース立ち止まって】
【一体どうしたのかと疑問に思った次の瞬間、ひょいとマリアの体が浮き上がる。―――ああ、危なっかしい自分を心配して背負ってくれたのか】
【そのままグリースの背に身を預けると、拒むことも遠慮する事も無くただ一言「ありがとう御座います」とだけ告げて。……あまり広いとは言えない少女の背中も、なぜかとても安心できた】
【―――やっぱり、温かい。グリースの背中から感じる体の温もりは、まぎれもなく人間の物……武器と言うには、体も心もあまりにも温かい。】

【そうして部屋まで背負って貰って、ベッドに降ろしてもらう。グリースも向かい合うように座れば、きっと本題のお話に移ることだろう】

……不味い事なんてあるもんですか。人間が友の無事を喜んで何が悪いので御座いましょう……?

―――その通りで御座います。今日私が貴女をお呼びしたのは、他でもないゼン=カイマ壊滅の事についてで御座います……
……少し長い話になりますが、どうかお聴きくださいませ……

……聖地巡礼を終え、私達はゼン=カイマへと戻りました。―――そんな私達を待っていたのは、崩壊した都市と鬼≠ナ御座いました……
全てが破壊され、蹂躙されました。……愕然としました。一体何があったのか、と……今でも詳細は鬼≠ェ街を破壊したということぐらいで御座います。

……いや、こんな事はどうだって良いので御座います。
私は青ざめました。―――街の教会に残した子供たちが巻き込まれたのでは、と……。何より大切な子供たちが、……
嫌な予感が何度も胸をよぎりました。怪我をしているのではないか、いや、最悪の事態もあるのではないか……
何度も何度も愛する子供たちの死を考え、その度に身を引き裂かれるような不安と苦痛を感じました。……

……幸い、子供たちは全員無事でした。先程グリースが突いていたあの子、マットが皆を率いて避難していたのです。
―――私は直ぐに避難した子供たちの元へ向かいました。皆の元気な顔を見た時、私はどれだけ安堵したか……
その時になって、私はグリースの言っていた言葉を思い出しました。貴女はこう言いましたよね?「死は一人の物なんかじゃない」と……

……グリース。貴女の言っていたことが今になってよく分かります……
私の大切な子供たちが死の危険に晒されたからこそ、はっきりと分かります。―――死≠ェ与える悲しみや苦しみは、何よりも大きいと……
一人死ねば、それだけで多くの人を苦しませる―――子供たちの死を思って、私が苦しんだように。


……街、教会、施設……私達は多くの物を壊され、失いました。
でも……まだ皆生きています!子供たちも、私も、こうして生きています!まだ一番大切なものは失っちゃいない!

街が壊れたなら、また作り直せばいい。でも!命は奪われたが最後、二度と取り戻すことは出来ない!
……そんな当たり前のことを、漸く気付いたのです。

だからこそ、貴女に頼みたいことが御座います。
どうか、鬼≠私と共に倒して欲しいのです。じきに鬼の討伐命令が出されることでしょう……その時に、力を貸してほしいのです。
一番最後まで残った、一番大切なもの=Aこれ以上壊されない為に……―――お願いします。
まだ間に合います。沢山壊されたけれど、まだ一番大切なものは失っていないから―――

私は護る為に戦います。神だとか、信仰だとか、そんな崇高な理由じゃなくて……ただ、私の一番大切なものを護る為に。
だから……どうか、一緒に闘ってください。

【言葉の中に刻まれた苦しみや不安、そして安堵。皮肉にも、最愛の子供たちが死と隣り合わせになってようやく気付いた事実】
【深く、頭を下げる。今度こそ、一番失ってはいけないものを失わない為に。一番大切な者を護る為に……】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 01:58:37.19 ID:F1S9gDg80
>>928

【昔から泣き虫な性質だった。いっそ関係無い場で涙が溢れたことすらある、感受性が強いのかもしれないという予想】
【だからといっては何だが、こんな場面になると泣きたくなる。自分が明らかに悪くって、相手がそれを許してくれて】

…………うん。

【まして自分の発言まで受け入れてくれるのだから。これは、もう、お茶だけでは済まないように思えて】
【あの店に行ったらケーキでも勧めようと思うのだった。あのお店のケーキはとってもおいしいから――なんて、考える】
【そんな思考はこんなしょんぼりとした中でふわっと暖かい色を持つ、――自分が見つけたおいしいものを自慢したい気持ち】

【(子供っぽいのも彼女の性質だった。どうにもふわっと子供らしさでほどける仕草、あと一歩格好良くはならなくて)】
【(キャンディを転がしながら“勉強を終わらせて舐める”のを楽しみにしていたことからも、きっとそれが窺える)】
【(ちょっと彼女の予定とは変わってしまったけれど――これも、世界が持っている魔力の一端だろうから)】

なら良かった……、……、嫌じゃないよ、わたしが誘うんだもん。嫌なんかじゃ、ないよ……。
……――あなたこそ、わたしと行くの嫌じゃない? 怒られても仕方ないこと、したんだよ――わたし……、

【机の上に取り残されていた消しゴムのくずの山を持ち上げて近場のごみ箱にぺっと捨てる、それで後片付けはおしまい】
【それじゃあと図書館を出ることになるだろう、話すのは――こつこつと歩むその最中、一階へと降りる階段の道すがら】
【そうやって道沿いに歩いて、すぐに図書館から出ることになる。そうすれば夜風の爽やかに抜ける夜の景色、ひどく明るいのは】
【お月様がまんまる肥っているからだろう。街灯は控えめなのに明るい夜の景色、つうと伸びる影が淑やかに地面を黒く染めて】

【――道中はぽつぽつと会話でもしながら歩くことだろう、会話が途切れれば、少女の方から些細な話題を振って】
【言葉の途切れてしまう間はあんまりなかったはずだ。最近暖かいとか、そんなことばっかり――どうでもいい雑談めいたものだったけれど】

【やがて辿りつくのはちょっとした裏路地にあるお店、見た目はこじんまりとした個人経営のカフェという風で】
【「ここなの」なんて紡いでから扉を押せば“からん”と小気味いいベルの音階、いらっしゃいませという言葉が続いて】

おいしいのはね、小豆と抹茶のケーキと……ベリーのミルクレープと、……あとね、グラタン。
でも、どれもおいしいと思う……、多分、だけど――、

――なんでもいいよ、お詫びだもん。好きなの食べて、飲んで……、ね。

【窓際の席に案内されるだろう、そうすれば、壁側と店内側、女性の座りたいほうを窺うようにしてから、ちょんと座り込む】
【女性がどちらでもいいなんて言うなら壁側を選ぶだろう、壁と机との狭い隙間に挟まって、鞄を空いた椅子に置けばメニューを取り】
【そちらに見えるように差し出しながら――そんなことを言うのだった。彼女的オススメを、教えてあげて】

【メニューを見れば様々なものがあるのが分かるだろう、夜なんてお酒まで出しているようで、それ専用のメニューもあって】
【カフェらしくケーキや軽食からパスタなんてお食事もいろいろ、それっぽいものなら大体一通りはある、という店で】
【彼女の言うとおり好きなものを選んでしまっていいだろう、今宵の彼女はお金を持っているようだから――きっと、遠慮なんて要らなかった】
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 02:23:42.12 ID:UIMfnw2vo
>>930

「基本的にあるがままを受け入れるしか私には出来ませんから、怒ったり嫌がったりはしません」
「例え貴方が筆舌に尽くしがたい罪を犯そうとも、私は何か思う所はありません……」
「過去に罪がろうとも……ね、考えても仕方ないですし……」

【極まった受け身、白色とはつまりは何色にも染まるという事】
【姿形はそのまま白い彼女の性質をなにより表したものだったという話】
【月明かりが淡いならば白色は僅かに暖かみを帯びるのだろうか】

「……なかなかに素敵なお店ですね、こういう小さいお店の方が私は好きですよ」
「なによりも静かなのが良いです、雰囲気とでも言えばいいのでしょうか?……あ、では私はこちらに失礼します」

【相変わらずの閉じられた瞳で店内をそこかしこ見つめる】
【どことなく嬉しそうに見えるのはきっとお店の雰囲気が良いからだろう】
【暖かな灯りは僅かばかり血色を良くする】

「そうですね……久しぶりに小豆と抹茶のケーキでもいただきましょう」
「櫻の味も最近は離れていましたし、丁度良いです……あとは温かい紅茶をください砂糖とミルクで」

【ほろ苦くもあるケーキ、うんこれにしようと小さく頷く】
【ついでの飲み物はやはりケーキに合うだろう紅茶、素朴だがそれでも満ちたりる】
【自分の注文が終われば「貴方はどうしますか?」と顔を覗き尋ねる】
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 02:23:59.66 ID:/TbN2j770
>>929
「鬼、鬼…………か。ボクには鬼の知り合いが二人居るけど――――ん、まあ。一人は知り合いと言って良いのかも分からないし、副団長サマだから君もよく知ってるであろう人だけどさ
厄介な存在なんだよねー……。何せその内の片方は大きさだって相当だったしさ。でも、ゼン=カイマ一つ壊したとなるともっと大きそうだ
――――アンジェルも近い内に会う事になるって言ったけど…………」

【破壊したのが鬼、か。思い返せば櫻の鬼であった加賀屋と戦ったのもそう昔の話しでは無いのだ】
【あの時、フレデリックを斬り付けたアンジェルがあの場に居たのは偶然で有ろうか。否、或いは――――】
【考えるにしても、まだ材料が少なすぎた。然れど、“鬼”が行ったと知れただけでも大きな進歩か】


「…………ったく、君もトマも変に真面目なんだから。トマ何て君達騎士団も含めてゼン=カイマ壊滅に関わったのを全部消してやる何て言ってたしさ
ま、そういった考えが出来るだけマリアはトマよりも明るいのかな
言っちゃえば、死んだ人は其処で何も考えれなくなっちゃうからね。でも、残された人はそうじゃ無い
生きて、背負って行かなきゃいけないんだから…………結構、面倒だよね。死ぬのも生きるっていうのも
――――でも、子供達が死ななかったなら何よりだよ。…………うん。君も、失わずに理解する事が出来たんだ。不幸中の幸いって言えば良いのかな」

【マリアが言葉を続ける中、口を挟む事も無く聞いていたけれど】
【終われば、なる程とでも言いたげに一度頷いて。――――騎士団の一人、トマの名が出たのも偶然では無いのだろう】
【続けた言葉は果たして信じられる物かも分からないが…………構わずに、言葉を続けて】
【彼女の口から“頼みたいこと”の内容を聞いた時で有ろうか。僅かに、表情が曇った】
【――――ともなれば、余り好ましい事で無いとも理解出来よう】


「――――さっきも言った通り、一応はボクの所属する其処と君の所属してた其処は敵対関係だ
ボク個人として助けてあげたくても簡単に頷く事は出来ないし…………命令が無ければ、下手に動けない
ボクの……と言うか、ボク等を指揮する人ならきっと許可してくれるだろうけど――――頭でっかちの“上”が拒否したら動けないんだ
自業自得だ。もっと報いを受けてから助けてやれー……なんて、ね
突き詰めた話、ボク等の教会にはあまり害が無い事だから不干渉かもしれない」

【其処で一息吐くのだけれど。未だ、頭を下げたままならばその額に迫る人差し指には気付く事が出来ないか】
【――――最後まで気付けなかったら、ピンと少しばかり強く額が弾かれる筈だ】
【まるで顔を上げろ、と言わんばかりに。痛みに顔を上げたならば、先程の曇った表情も無くなり。代わりに、微笑みが見える事か】


「だから…………“死神”は協力できない。教会の判断無しには動けないんだ
でも、グリース・イムリンパルス個人としては協力するよ。ボク個人として動く事に関して、教会に否定はさせない
何より、子供達を傷付けさせる訳にも行かないからね
――――そんなカタッ苦しい頼み方なんて止めてさ。笑いながら“一緒に戦って下さい”で良いんだよ
友達、何でしょ?じゃあ、それらしく頼んでくれれば良いんだ。そうすれば、“ボクが”そのお願いを聞いてあげられる」

【この死神の立ち位置は難しい物だ。教会から命を受けて暗躍するのだから】
【作られた意味からして、命令が無ければ下手には動けない。余り派手には出来ないのだけれど】
【“死神”では無くグリース個人としてならば別だ、と。余りにも屁理屈詭弁だけれど…………友人だからこそ、助けてやりたいといった気持ちも有るのだろう】
【サラリと揺れる金の髪。小首を傾げれば、ジイッとマリアを見るけれど】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 02:36:26.32 ID:F1S9gDg80
>>931

【ほんの僅かに肌の白色が褪めた気がした、それは相手の言葉の――罪があろうとも、という部分に反応したように見えて】
【結局彼女は何の言葉も返さなかったけれど。いっそ怪しくも見えたのかもしれない、何かしらの罪びとであるかのような】
【けれど彼女はなんにも教えてくれないから分からない。口をつぐんでしまって――どうでもいい話題を、振るだけだった】

とってもいいお店なんだよ、食べ物もおいしいし、お店のひとも優しいし、……、……。

【自分のお気に入りを褒められるのは嬉しいものだ、それに倣って上機嫌になる少女、ふわりと笑った笑顔があどけなくて】
【さっきまでのしゅんとした様子と比べればこちらのほうがよく似合っている。幼さの残る顔には、とってもかわいらしいから】
【――そんな表情がふと止まる。そういえば彼女は見えているのだろうか。視線を感じるけれど――大丈夫なのかって、】

【視線が目に向いているのだった。それなら、相手にも感づかれるかもしれなくて。もし感づくようなら、それを尋ねるようなら、】
【「だいじょうぶ?」なんてことを尋ねるかもしれなかった。今までを見る限り、不便はしていないようなのだけれど――】

わたし……わたし、ベーコンとチーズのホットサンド……、わたしも紅茶、ロイヤルミルクティー……、じゃあ、

【顔を覗かれれば、そっと彼女を窺っていたのがばれそうで肩が跳ねる。それから慌ててメニューに向ける視線、】
【何度か来ているようだがまだメニューを暗記、或いは“いつもの”は決まっていない様子、うんうん悩んで】
【少し悩んでからやっと決めたのはホットサンド、それもド定番の――おいしいのは確か、間違いのない一品】

【それからお店のひとを呼ぶのだろう。そして二人分の注文を告げて――店員さんは、お冷を置いて去っていくから】
【残されるのは二人だけ、そうなると、また彼女がそっと口を開いて。掛ける言葉、そっと鈴の音の音階は】

……わたしね、りんねって言うの。鈴の音って書いて鈴音、……苗字はシュトラウス。

【名乗り――という事は相手にも名乗ってほしいということでもあるだろう。机を動く指、描くのは自身の名前】
【鈴、音、ひとつひとつ書いてみせるのだった。そして告げる苗字は、なんだか名前とは雰囲気が違う、異国の響き】
【薬指の指輪を確かめていれば納得も出来るだろう、既婚者――異国のものと結婚したのだろうと、予想が付けられるから】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 03:12:20.55 ID:UIMfnw2vo
>>933

「……はい?……ああ、すいません余計な心配をお掛けしてしまったようで」
「大丈夫ですよ、ただ片目を開けたままだとバランスが悪いかなと思いましていつも閉じているんです」
「昔の話ですが……私の左目をとある人物に譲りましてね……貴方相手ならば別に大丈夫ですかね」

【ぼんやりとメニューを見ていれば不意に聞こえる「大丈夫」なんて声】
【自分に対しての言葉だと気が付くに少しかかってから、申し訳なさそうに伏せてからつらつらと言葉を並べる】
【『目を譲る』なんて埒外の話を当たり前のように、言い終えてからそうっと開くその右目】

「隠す物でも有りはしないですが……」
「……しかしそういう貴方も、鈴音さんも中々珍しい物を宿しているようですが?」

【透き通った紫の玻璃とでも言えばいいのか】
【瞳と言えど輝きは人の外に在る物、造形物のような美しささえあり】
【そしてそれは深淵を覗くように鈴音という少女を見つめている】

「それにその指輪にシュトラウスでしたか?……もうご結婚しているのですね」
「あ……失礼しました私の名前は白妙です、以後お見知りおきをお願いします」

【『特別』という言葉は恐らく彼女の為にあるのだろう】
【『力』に『縁』そして自分という異質と噛み合ってしまう『例外』】
【紫白の瞳を持ってしても鈴音という少女の全容はつかめない、ピンボケでも直すように目頭を抑え頭を振る】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 03:21:52.17 ID:dC+T5z5Q0
>>932

―――トマ様が、そのようなことを……?
(……全て壊してどうするので御座いますか。人を護るべき貴女が残った物までその手で潰して、何になるので御座いましょうか……)
(―――残った物をどうにかしてでも守るのが務めである、貴女が……)

【――確かにグリースの言葉はにわかには信じがたい。義に篤い彼女が全てを潰すなどと早まった行動を起こすとは考えにくいが】
【今はその言葉の真偽を確かめる術もない。正しいか正しくないか分からない情報について口を挟むほど、マリアは愚かではない】
【……が、どうも嘘を言っているような素振りではない。―――どうしたのだ、何故彼女はそのような極論に走ってしまうのだ……】
【一つ失ったからって、全てを失ってしまうような真似はしてはいけない。―――少しでも残っていれば、やり直せるのだから】


【―――グリースの曇る表情を見て、マリアも「やはりか」と言った風に下を向く。……実際、無理を承知で頼んだのだから】
【立場を気にする必要のない今はこうやって家に招くなんてこともしているが、本来は敵対している関係……そんな人に助けを求めるのは無理な話】
【敵対しているゼン=カイマが崩壊して壊滅寸前となっているのに、それを助ける義理なんて無いに決まっている。―――考えてみれば当然の話】
【落胆したように下を向くマリア。仕方がない、こうなれば我が身一つだけでも愛する子供達のために戦うしかない……そう決心しかけた、次の瞬間】

――――!

【不意に額を弾かれる軽い衝撃に頭を上げると、――――失望しかけた瞳に飛び込んできたのは、友の微笑み。しがらみも何もかもなくした、純粋な】
【……そう、余計なしがらみを全部何処かに放り出したグリースの姿がそこにあった。金色の瞳は自分の目をしっかりと見てくれていた。】
【死神だとか教会だとかそんな話は一切抜きにして、グリース個人として。己の友として協力してくれる……そう、告げてくれた】

【―――そうだ。最初っから難しく考える必要なんて無かったんだ。】
【私はマリア・アレンスとした大切な子供たちを護る為に闘う。グリースは、私の友として共に闘ってくれる。―――誰にも文句は言わせない】
【改まって頼む必要もない。ただ、困った時に友を頼る……そこに、互いの立場とか協力する理由とかが入り込む余地なんて無い】
【ならば、己の為すべき事は一つ。―――】

ありがとう御座います。ふふふっ……ああ、そうですとも。私は貴女の友達ですもの、ね!
じゃあ、グリース……――――私≠ニ一緒に闘ってくださいな。これは私からのお願いです。

―――貴女と一緒なら、きっと大切な人を護れるから。


【―――もうマリアの顔には何のしがらみも存在しない。神とか信仰とか関係なく、ただ大切な人を護る為に友と一緒に闘う……それだけだ】
【いつしかマリアの顔にも微笑みが生まれていた。友の気持ちが、とても心地良かった……】

【さて、そんな大切な話も終わった所で、そろそろグリースも腹の虫がなる頃ではないだろうか。】
【―――丁度友人は貴女の為にカレーライスをいるが……さあ、どうする?】
【因みに、廊下を出てダイニング(十数人分が着席できる椅子と長机を見れば、ダイニングと言うより食堂と言う言葉が似合いそうだが)へ向かえば】
【其処には既に温かいカレーライスが用意されている。少し不恰好だけれど、ちゃんと盛り付けされている……】
【気の利いた子供たち(具体的にはティア)が用意していたらしい。優しいお姉ちゃんに何かしてやれることは無いかと考えた末がこの行動らしく】
【「おかあさん」の分と合わせて二つが、向かいとなる席にそれぞれ用意されていた。ダイニングの影には、小さな子供の姿が二つ……冷蔵庫の陰に隠れてテーブルの方の様子を窺っている】

「―――尽くすってこういう事なのかなぁ?」『……間違いではないね』
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 03:39:00.38 ID:F1S9gDg80
>>934

バランス……?

【――バランスが悪いから両目を閉じる、というのを始めて聞いた。だから、少しどころかいくらかきょとんとしてしまって】
【鸚鵡返しの言葉が疑る色で通り過ぎていく。それで言えば自分だってオッドアイ、いくらかバランスも悪いはずだなんて考えて】

え、でも見えてるんだよね……、……譲る? 病気とかで――、?

【不思議なことばっかり言う女性(ひと)だと思った、お財布泥棒の容疑を掛けてしまった以降、はじめて普通に話す感覚】
【猫がニャーでかわいかったとかいう中身のない雑談でなくて。きちんとする会話、何かを生み出したりする行為を】
【網膜移植とかは聞いたことがある気がした。それならその類なのだろうか、けれど、眼球ごと移植――だなんて聞いた事ないと】
【頭の横とかに浮かべるはてながぴょこぴょこと増えていく、やがて開かれる瞳、ツクリモノめいて美しい色合いに、一瞬見惚れた】

あ……、……その目。見たことある、えっと、どこだっけ……。

【――ふと既観感が鎌首を擡げる、宝石みたいに美しい瞳の色合い、片っ方だけの色合い。どこだっけ……と頭を悩ませるしばし】
【急だったから上手く思い出せないのだろう。彼に出会ったのは夜の暗がりの中ばかりというのもある、いくらも記憶は不確かで】
【教えてやれば納得もする。放っておけば思い出すかもしれないし、そこは女性次第、きっと任せられて】

……珍しいもの? わたし……“ふつうだよ”。

【そうしてあっさりと嘘なんて吐いてしまう、普段は緩くベールを掛けるみたいに隠している、というのもあったけれど】
【なんだかその瞳は見透かされているようで、気まずい。ついと嘘を吐いてしまったのも、凡そそれが原因とも言えて――】
【普通の女の子は宝玉なんて持たない。普通の女の子は人間じゃないモノの気配なんてしない。普通の女の子は――】

【(普通の女の子は、右の血色の瞳の中にそれこそ血で刻んだ禁術の残骸なんて持たない)】

【(それは些細な欠片だった。もう術式としては見出せないぐらい、ぼろぼろに崩れたかたちの残骸)】
【(けれど。魔術に詳しいひとがよっぽど注視すれば、術式だったと気付けるぐらいの、ちいさなな断片)】

【視線が逸れた。深淵すら覗きこむ瞳を覗き返すのは荷が思い、どうやら深淵の向こう側の住人にはなれない様子で】

白妙……、……白妙は、なんだか、その、……少しだけ不思議みたい。あ――悪い意味じゃないの、なんだろ、神秘的?

【それでも目の前の相手を無視し続けることなんて彼女には出来ない、ちらりと戻ってくる視線、紡ぐ言葉は】
【その瞳の視線の原因を尋ねるような、そんな色合いを持つ。机の上でぺたりとあわせた両手が、所在なさげに遊んで】
【指同士をぺったりつけて、人差し指だけ互いにくるくるしたりしていた。机の下では、きっと足も。ぴったり揃えたまま、ふらついて】

……目をあげたって、なんで――?

【――蛇の匂いがした。かつて人間に禁断の知識を与えた、悪魔とも呼ばれる、気高く美しい存在の匂い】
【けれど彼女はそんなに尊い血筋の者じゃない、もう少しだけ低俗な末裔、けれど、同時に零れる神聖な香りは、櫻でいう神様のもの】
【蛇の神様の子孫。特に神様に愛された子。それが彼女の正体、彼女を人外たらしめる、或いは呪いとも呼べる、神様の寵愛のかたち】

【(櫻に住まっていた白い山楝蛇の子だ。たまたま信仰を集めて神に成り上がった存在と人間の、その末裔)】

【尋ねたことは気弱な風で存外いきなり確信めいたものに触れようとする言葉、ちょっぴりおっかなびっくりの色を窺わせて】
【無理に尋ねたいことでないのは伝わるだろう。不都合でもあればだんまりしてやればいい、きっと感づいて別の話題を振ってくれるから】

/すいません、眠気がひどくなってきたので、後日に引き継いでいただくことは可能でしょうか?
/明日は用事がない予定なので、起きさえすれば待機していられると思うのですが……
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 03:58:47.04 ID:/TbN2j770
>>935
「ん、了解――――良いさ。大船に乗った気持ちにはさせる事が出来ないけど…………少なくとも、此処の子達と君を乗せる船程度には成れる
戦ってあげるよ。その“鬼”とやらでも、別な存在でも…………ボクが銃も剣も手にとって、ね
――…………嗚呼。君の大切な人を守れるように精一杯頑張らせて貰うさ」

【元より戦うために生まれてきた存在だ。嫌な事でも無いのだ】
【そして、個人的にゼン=カイマには気になる事も多々残って居る。友人の手助けをして、真相に迫れるならば其れも良いか…………なんて】
【再度顔を上げたマリアの言葉には満足そうに頷いて、いとも簡単に承諾してしまう事だろう】
【教会の仲間達が聞けば小言を言いそうだが…………小言だけで、告げ口をする者は一人も居ない。そう確信して、信頼しているからこそ頷けたのだ】


「トマについては…………君が直接話してあげた方が良いかもね。でも、気を付けなよ?
今はどうか分かんないけど…………少なくとも、ボクと会った時は色々と“不味かった”からさ
まー……愚直過ぎたのかもしれないね、彼女も。団長サマも堅物でトマも堅物で…………ふふ、マリアから何か言ってやってよ」

【態々近日出会った騎士団の一人の話をするのは、マリアの心配をしてか】
【戦闘に発展したとは明言しないものの、マリアならばその口振りから察する事も出来よう】
【――――暫し、沈黙。何も真面目な話しに移ったからでは無い】
【カレーの良い匂いが、鼻腔を擽ったからであって…………急に立ち上がったかと思えば、再びマリアを背負う事だろう】


「さって、話もまとまった所でカレーカレー!腹が減っては戦は出来ぬって言葉もある位だし食べよっか!
ってな訳でレッツゴー!
えーっと…………匂いはこっちからかな…………?」

【戦闘に於いて、五感は重要である。優れた嗅覚もこの時は無駄に高性能に発揮されて】
【――――場所を教えられずとも、くんくんとカレーの香りを辿ってダイニングへと辿り着く事だろう】
【まるで犬の様とでも表すか…………其れはさておき、マリアを椅子に降ろしたならば自分も座ろうとする――――が】
【此処でもまた気配を察知する其れが発揮されて。子供達二人の存在に気付いてそのまま近寄る事だろう】


「綺麗に盛りつけ出来たね?ボクもお腹が空いてたから丁度良かったよ――――
どうせだし、一緒に座ろっか?ボクの膝に一人マリアの膝に一人…………は危ないから
ま、椅子でも持ってきてさ」

【――――この死神とて、教会所属。そして、子供達と触れ合う機会が少ない訳でも無いから】
【この子達の動きだって、何と無く分かっていたのだろうか。誰がしたのかと問わずにも、少女と少年を褒めてやれば】
【二人をいっぺんに抱っこして、戻る事だろう。その膂力に驚くべきか、隠れていたつもりであるのに見つかった事に驚くべきか】


「で、マリア。この子達も一緒に座らせて大丈夫かな?
ほら、ご飯は多くで食べた方が美味しいって言うよ…………ね?」

【フラリとする様子も無く、抱えたまま問うて】
【「ね?」の所ではまるで子供達二人に同意を求める様だ】
【承諾が得られたならば、好きに座らせるするなりするのだろうが――――?】

/っと、申し訳無いのですが眠気かそろそろ限界でありまして……
/恐らく本日も同じ時間に待機できると思うのですが、持ち越しの方は可能でしょうか……?
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 04:21:29.85 ID:UIMfnw2vo
>>936
/はい、大丈夫であります!
/レスが遅く申し訳ありません、明日は12時〜17時まではいられますのでよろしければその時間帯にお願い出来ますでしょうか?
/置きレスでのロールでも当方は大丈夫ですので、そちらの都合の良いように判断してくださいまし!
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 04:52:21.90 ID:dC+T5z5Q0
>>937
//すみません、此方が寝落ちしてしまいました……はい、では15時、16時辺りには返せるかと!
//長引かせて申し訳ありません、それでは一旦凍結という事で!
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 05:14:37.29 ID:UIMfnw2vo
>>936

「生きる事が病気ならば強ち間違いではないですね」

【赤子が産まれた時に泣き喚くのはこの世界に堕ちた絶望からだとどこかの誰かが言っていた】
【なるほどならばこの世の生もある意味では病気、苦痛の部類で間違いはない】
【その痛みの中でさえ格差は生まれ価値観は千差万別だというのだから世というのが如何に業が深いか……】

【淡々と言葉を続ける、普通の感覚ならば『瞳』を譲るなんて事はそうそう出来はしない】
【しかし白妙はそれが自然だとでも言うように感情の起伏無しに伝える】


「ああ……あの子も大概色々な所に出没しますし」
「たまたま遭遇したというのも十分有り得ますね、ご迷惑をかけていなければ幸いですが……」
「今頃は……きっと櫻で修行でもしているのでしょうね……」

【繋がらないならばそれでいいのだろう】
【ただ『彼』とだけ述べて、後は知らないと……まるで放任主義の親のような丸投げ】
【きっと白妙という存在は親しい間柄の人物こそ冷たく対応してしまうのだろう】

【証拠にもならないだろうけど、瞳は硝子めいた冷たさをより色濃く示していた】


「普通とは『特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること』を示す言葉ですよ?」

【溜息は鈴音の嘘を識っている証拠だった】
【伸ばされる指先は陶磁器のように滑らかに絹のようにするりと空気を抜けてやがて鈴音の頬へと触れるだろう】
【かといって特殊な術などは無い、ただ単に触れるだけのそれ以上の意味はない】

「嘘は罪ではないです、私は貴方のそれを認めましょう……」
「しかし奇跡みたいですね……それだけの代物を背負ってそうして正気でいられるなんて」
「陳腐な言い方ですが本当に奇跡としか言えません、或いはそうあるべくして……」

【ぺたぺたと冷たい素肌で触れたのならば言葉の後満足してそっと手を戻す】
【肌で直接触れたならば白妙という存在が人ではないと鈴音にも直感的に理解出来るだろう】
【人形が人間のまね事をしている言葉にし難い嫌悪感と共に……】


「譲った理由ですか、そうですね……それが一番自然だと思ったからですよ」
「腹を空かせた野良犬に気まぐれに餌を上げた経験は?私の行動はそれと全く同一です」
「――――――――と、そろそろ料理が来る頃ではないですか、鈴音さん?」

【白妙の行いは『奉仕』ではなく『捨身』の部類】
【どうしようもなく自分に価値を感じていないからこそ可能な所業、それをやはり気に留めるでもなくつぶやいて】
【思い出したように頼んだ料理の姿を探す、暗い話はきっと鈴音も好まないだろうから】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/17(土) 11:46:05.90 ID:F1S9gDg80
>>940

生きること……、?

【――さっきから首をかしげてばかりだった。いつかの自分ならば賛同できた言葉だろうか、生きることすら病気だと】
【いつかみたいに何もいいことがないんだと絶望していた頃なら――けれど今は違う、今では、生きることは楽しいのだと知って】
【なんだかんだ日常をのんびり過ごしているのだった。でもそれはきっといいこと、彼女みたいな人間以外にしあわせが廻ってくるぐらい】
【世界に余裕があるってことに違いなくって。それなら――精一杯に受け入れるのが、きっと、彼女に出来ることだから】

……ちょっとね、うちのことに巻き込んじゃったの。でもね、ちゃんと手伝ってくれて……、
わたしが我侭してただけ。最後はね、解決したんだけど――、そっか、櫻に居るんだ。

……――わたしね、櫻のほうの血なんだよ。行ったことは、ないんだけど……。

【「行ってみたいな」と告げた言葉、それからこくりと冷水を飲んで――喉と唇を潤す。ちろりと舌先が唇の雫を拭って】
【“彼”との関係を少しだけ述べる、言葉は自らのことへと続いて、少しだけ羨むような目をしたことだろうか】
【――そういえば、白妙も櫻のほうの味を久しぶりだなんて言っていた。それなら何か関わりのあるひとたちなんだろう、なんて考えて】

う……、……ひ、ぅ、

【ほうと吐かれた溜息でうそがばれているのを知る、悔しげというか顔を歪ませる刹那、そこにひたりと手が触れて】
【ぎゅっと目を閉じる仕草で身体が強張る、それでも頬っぺたのふにと柔らかいのは変わらず、あたたかいままでそこにあって】
【真っ白な肌は或いは彼女の白さにも似るのかもしれない。血管の透けるような白さ、色のない存在(アルビノ)にも似て】

…………だいすきなひとが、こっちだよって、おしえてくれたから。

【やがて恐々と開いた眼がついと手の触れるほうへ動く、まんまるな瞳、飴玉みたいにころりとしたのが手を追いかけて】
【もうしばらくもすれば分からなくなるだろう術式の残骸までもが蠢くのだった。それが、気付いてしまえば顔には違和感となって】

【(けどそれ自体は彼女を害するものではない。同時に彼女を害するものであるけれど、“彼女”を護って“彼女”を傷つける術)】
【(蘇りの禁忌に触れた罪を分け合った存在はもう居ない、ただ彼女の耳元で煌いて、神様のちからを時折分けてくれるだけに成り下がった)】

【――機関謹製の悪意の卵まで背負って狂ったのは過去のこと、生まれた雛はどこかへと巣立って、暗がりの中を連れ出してくれたひとがいた】
【正気へと戻れた理由はほんの些細なことだった。ただ手を引いてくれるひとが居たということ、とっても簡単だけれど、とっても難しいこと】

……でも、犬に餌をあげるのとは違うみたい……、……だって、目なんて、あげたら、……。
白妙は困ってないみたいだけど――犬に餌をあげるのとは違うもの、……わたしにとっては、違うの。

【犬に餌――と白妙は言うけれど、そんなに瞳というものは軽いのだろうか、それがよく分からなくって】
【おなかを空かせてきゅんきゅん鳴く犬に、ごろごろ擦り寄る猫に、餌をあげた経験なんて何度もあった、悪いことかもしれないけれど】
【結局何の解決にもならないことかもしれないけれど――ほんの気紛れで餌付けされるのがどれだけ苦しいか、分かってるはずだのに】

【彼女の言葉はちょうどいいタイミングを貫いた。もとよりケーキとホットサンドだ、対した時間の掛からないメニューたちであって】
【現れた店員さんがことりとテーブルに皿を置くのは言葉のほんの少しあとのこと、それと、暖かい紅茶もきちんとやってきて】
【ちいさなティーポット。ミルクと砂糖を添えて――添えられたティーカップにはかわいいお花の柄が、描かれていた】
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 16:16:52.11 ID:UIMfnw2vo
>>941

「あれはただのお人好しですからね、きっと貴方との事も迷惑とさえ思っていないでしょう」
「なので貴方がもし後ろめたい思いを持っているならばそれは筋違いというものです、気にしないように……ね?」

【なるほど僅かな既視感は恐らく『彼』が視たからなのだろう】
【同じ瞳だから離れていようとも繋がりは存在する、何が起きたか詳細な事は分からないが】
【誰かと関わりを持つという事はそこから生じる利益と不利益を受け入れるという事だから、彼もそれは承知の上だろう】


「指輪の相手、ですかね……なんとも幸せな事でしょうか」
「残滓……力に……支えがあるというのは本当に尊い事です、大切に生きてね」
「それを得られないで朽ちてゆく人はこの世に沢山いるから、貴方はそうならないよう……」

「と、まあ……お料理を食べましょうか?」
「綺麗ですね、食べるのがもったいないくらい……」

【仄かに香る白い湯気、少し似合わないような気がする花がらのカップは琥珀色の液体がゆらゆらと揺れていた】
【映る白い姿、その瞳は次にケーキへと移って……雲間に太陽が覗くようなほんの僅かな微笑み】

「……仰る通り、気まぐれな施しは相手を滅ぼすのは知っております」
「しかし同時に滅びてしまうのは施された側の弱さではないかと思うのです」

【砂糖とミルクを入れかき混ぜながらぼうっと呟く】
【琥珀は白と混ざり合って我々の知るミルクティーの色へと変わる、混ざり合ってしまったものはもう戻せない】
【例えばそれは気まぐれに与えた瞳と本来の身体が混ざる事と同じように、不可逆性を帯びている】

【何が呪われるでもないけれど】

「―――――――あら、存外美味しいですねこのケーキは」

【すう、と通したフォークはやんわりとケーキの肌を削る】
【口に運んで粗食をすれば満足そうに頷く、人間のような動作に見えるだろうか】
【違和感はあるものの取り繕いで楽しんでいる訳ではない、その証明】
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 17:11:34.94 ID:dC+T5z5Q0
>>937
本当に……本当に、ありがとう。グリース、貴女が友達で本当に良かった……

……愚直すぎるが故に道を誤る、か。
ともあれ、私の同僚がご迷惑をお掛けして申し訳ありません。……ええ、一度お話をしておかねばなりませんね。

ああ、その団長様の事ですが……貴女に伝えたい事があります。団長様の変化について……

貴女も見ていたでしょうが、団長様ご自身も瀕死の傷を負いました。―――胴を貫かれた傷は、呪いのように治らないそうです。
しかし、落とされた右腕と左脚……団長様ならば治せるはずの傷も、そのままにしているのです。
何故だか分かりますか?―――「教会の浄化などと舞い上がり大切な事を見失っていた己への自戒」だそうです。

そして、もう一つ。―――団長様は、もう「死を以て罪を償わせる」ことはなさらない筈です。
もう人間の死は一人だけの物ではないという事を理解されています。他ならぬ団長様ご自身が、私や騎士団の皆様、ゼン=カイマの人々と繋がっている事に気付かれたから……

……グリース、貴女ならきっと「誓いや言葉だけでは無意味」と言うのでしょう……ならば、証拠もあるので御座いますよ。
ご存知ですか?―――聖都の戦い以降、犠牲者はたったの一人も出ていないのですよ。
断罪されるべき司教は多くいました。……その全てが司教という地位を剥奪され永久追放されましたが、誰一人として殺されてはいないのです。
ゴッシュ=シャリエール……初めは団長様がその手で殺すおつもりだった醜い司教も含めて。―――尤も、彼はその後も罪を重ねて今は牢屋におりますが。
死でなければ償うことの出来ない罪などそうそうない……それを、理解して下さったのでしょう。

―――貴女は変わられた団長様の事をどう思いますか?「それでも倒すべき存在だ」と思われていますか?
和解しろとは言いません。ですが、少しだけでも良いから次に団長様に会ったときはその真意を確かめて下さい……

……エルヴェツィオ様から伺いましたが、団長様は只今騎士団の下にはいらっしゃらず「鬼を倒すために為さねばならぬ事がある」と遺して何処かへと向かわれたそうです。
―――その時に団長様不在の騎士団の指揮を頼んだエルヴェツィオ様に命じられたのが「一人の弱者も余すこと無く拾い上げ、飢えさせること無く生かせ。」だそうですよ。ふふふっ……

【フレデリック・シャリエール。グリースが追い続けた永遠の敵は、確かに変わった。―――聖都の戦い以降犠牲者が出ていないという事実が何よりの証左】
【彼を変えたのは、他でもない彼と繋がっている人々。マリアであり、騎士団の面々であり、ゼン=カイマの人々であり……多くの人の繋がりだ】
【死神の鎌が他人に死を齎す者に差し向けられるものだとすれば、今のフレデリックは―――】

【勿論彼が過去に多くの命を奪ったという事実は変わらない。それを根拠に「フレデリックは死を以て償うべき」と判断するなら、それを否定することは出来ないが……】
【ただ一つ言えるのは、今のフレデリックはきっと必要な犠牲と人の命を切り捨てるようなことはしないという事。―――でなければ、あんな命令はしない筈だから】

//続きます!
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 17:14:38.75 ID:dC+T5z5Q0
>>937

―――……ちょっ、うわっ!?な、何で御座いますか!?
……あ、ああ……カレーで御座いますか。ビックリさせないで下さいな……

―――ふふふっ……グリース、なんだかワンちゃんみたいです。そうそう、そっちで御座いますよー……♪

【不意にグリースが立ち上がる。急に立ち上がったもので何事かと驚いている内に、今度は手負いの自分の体を背負われるもんだからさらにビックリ】
【一体何があったのか。―――簡単な話だ、カレーの香辛料の香りがグリースを刺激したらしく、一緒に食べようという事らしい】
【いざ背負われると、マリアもなんだか楽しそう。こうやって背負ってくれるのが嬉しいようで、グリースの後ろでマリアは子供のような笑みを浮かべている】
【いつも子供たちの母親代わりとして頑張る彼女の、珍しい一面。きっと彼女をそんな顔にさせるのは、友達がそこにいるから―――】

【そんなこんなで、マリアの案内一切なしでグリースはダイニングに辿り着く。彼女の嗅覚恐るべし……だが、いつもは戦いに用いられる五感もこんな楽しい利用法なら大歓迎】
【ダイニングにはどういうわけか既にカレーが盛り付けられた皿が二つ並んでいた。子供たちの微笑ましい心遣いに、マリアはくすりと微笑んで】
【椅子に降ろしてもらうと、グリースも座……らない。何かに気付いたように立ち上がって、冷蔵庫の陰に近寄れば―――】

「うわ!みつかっちゃった!」『……むぅ。こんなにすぐにばれるとは……』
「えへへ……おねえちゃんにつくしました!あのね、ティアががんばってよういしたんだよ!」『……僕も手伝ったじゃないか。というか八割方僕がやって、君は皿を運んだだけ……』
「こまかいことはいいの!―――うわっ!?」『……や、やりますね……』

【こんな小さな子供たちが気配を消す術など持ち合わせている筈もなく、グリースでなくとも隠れているのがバレバレだったのだが……当人たちは完璧に隠れたつもりだったらしい】
【真っ先に見つかれば、悪戯っぽい笑みを浮かべる子供達。優しいお姉ちゃんに褒められれば、今度はもっと嬉しそうに笑って見せる……子供にとって、褒められるのはとても嬉しい事】
【ひょいと抱えられると、ティアはグリースの腕の中でいつもより高くなった目線にはしゃぐ。マットも表情こそ崩さないが、楽しそうな感情は隠しきれずに口元がにやついている】

【忘れてはいけないのは、この子供達は孤児であるということ。―――実親がいないという境遇にも拘らずこんなにも表情豊かでいられるのは、きっとマリアが本当の母親のように愛を注いでいるから】
【思いやる心や優しさは、きっと彼女らが「おかあさん」と慕うマリアから受け継いだもの。きっと皿に盛り付けられたカレー二人分も、その心の表れに違いない】

【子供たちと一緒に食べようかという提案、勿論それをマリアが断る筈もない。愛する子供と大切な友達に囲まれて食事が出来るなら、それは本当に幸せなこと】

ええ、勿論大丈夫で御座いますよ!ティアもマットもお姉ちゃんととお話したいでしょう?

「うん!いっぱいおはなしする!」『……折角ですから、僕もご一緒させて頂きます。』

―――決まりですね♪さ、頂きましょうか!

【やがて子供達も下ろしてもらう。ティアはグリースの隣、マットはマリアの隣に座れば、待ちきれないとばかりにマリアは簡単に食前の祈りを捧げて】
【グリースも食べる用意が整ったなら、早速食べ始める。その時のマリアの顔ときたら、きっとグリースが今まで見たことが無いような幸せそうな笑顔だった……】

【カレーはマリアが言っていたようにやや甘口。きっとマリアが子供たちを想って作ったのだろう、手作り感満載の其れは優しい美味しさに満ちていて】
【一流の料理店とはまた違った美味しさがあった。母の味とはきっとこの事を言うのだろう……親の居ないグリースに、この温かい味はどう感じるのだろうか】
【(ちなみに、子供たちはグリースが訪れる前に既に食事を終えているからカレーは食べず、代わりに冷蔵庫からオレンジジュースを取ってきて飲んでいる)】

//以上です!非常に長くなってしまい申し訳ないです……手短にお返し下さっても大丈夫ですので!
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/05/17(土) 18:06:51.98 ID:TY5HAtn2o
>>920

わぁ、お兄さん強いのね………! おじいちゃんとどっちが強いのかしら?

「……それはわからんのう。少なくとも儂は火を出したりは出来んがね」

【ぱぁっと相貌を輝かせ、サリーは青年と祖父とを交互に見やる。青年の言うとおりはしゃぎ盛りのサリーに遠慮の二文字は無い】
【そんな様子に軽く溜息を吐いて、ヴァレリーはつとシルクハットに手をやって意味深に目線を隠す。しかしながら、腰に下げた二本の剣が伊達ということもあるまい】
【この老人も少なからず戦闘能力は持っていると思っていいだろう。それがいかほどのものかは、うまく韜晦されてしまったが……】

うふふ、お名前もとっても素敵! それじゃあ『アーシャお兄さま』ってお呼びしてもいいかしら?
いいなぁ、サリーも火を出してお空を飛んだりしてみたい!

「ほう、これは中々頼もしい。カノッサやらGIFTやらで昨今世間も荒れておるし、よろしく頼むぞ。
 ……しかし、SCARLETの活動というと世界中を飛び回ると聞くが。君はどんな仕事をしておるのだ?」

【『お兄さま』なんて大仰な呼称には、サリーがアーシャに抱く敬愛の念が見て取れる。彼の言葉を一切疑いもせずそのまま受け取って】
【赤い靴をかつかつ鳴らして地団駄を踏んでみたりするも、当然ながら何も起きない。サリーは悔しげに空を見上げ、頭の中で先程のアーシャの動きを追想する】
【一方、ヴァレリーはアーシャの威勢の良い言葉をどこか楽しげに受け取った。アーシャを見る目はなんだか昔を懐かしむようであって】
【興味本位からか、ふとそんな質問も飛ぶ。SCARLETについて興味があってのことか、はたまたアーシャの自慢げな口調が気になってのことか】
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 18:19:46.37 ID:dC+T5z5Q0
//すみません、あまりにも長すぎるので>>943-944は取り消します……ややこしい事をして申し訳ないです!
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 18:30:32.05 ID:dC+T5z5Q0
>>937
本当に……本当に、ありがとう。グリース、貴女が友達で本当に良かった……
……愚直すぎるが故に道を誤る、か。ともあれ、私の同僚がご迷惑をお掛けして申し訳ありません。……ええ、一度お話をしておかねばなりませんね。

ああ、その団長様の事ですが……あまり上手くは言えませんが、団長様は変わられました。
きっともう、以前のように信仰の為ならば命を切り捨てるなんてこともなさらない筈です。……なんて、言葉で言うより実際に見た方が早いですよね。
―――鬼の討伐の際、きっとグリースは団長様と会う事になるでしょう。その時は、どうか団長様の今の心をお確かめください。

……二つ、いいことを教えてあげましょう。聖都で捕えた司教は地位を剥奪され永久追放されましたが、誰一人として殺されてはいないのですよ。
あれだけ憎んでいたゴッシュ・シャリエール……団長様のお父様でさえも。
そして、「一人の弱者も余すこと無く拾い上げ、飢えさせること無く生かせ」と私達に命じました……―――これは、事実です。

【フレデリック・シャリエール。グリースが追い続けた永遠の敵は、確かに変わった。―――聖都の戦い以降犠牲者が出ていないという事実が何よりの証左】
【勿論彼が過去に多くの命を奪ったという事実は変わらない。それを根拠に「フレデリックは死を以て償うべき」と判断するなら、それを否定することは出来ないが……】
【ただ一つ言えるのは、今のフレデリックはきっと必要な犠牲と人の命を切り捨てるようなことはしないという事。―――でなければ、あんな命令はしない筈だから】

//続きます!
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 18:33:20.11 ID:dC+T5z5Q0
>>937

―――……ちょっ、うわっ!?な、何で御座いますか!?
……あ、ああ……カレーで御座いますか。ビックリさせないで下さいな……

―――ふふふっ……グリース、なんだかワンちゃんみたいです。そうそう、そっちで御座いますよー……♪

【不意にグリースが立ち上がる。急に立ち上がったもので何事かと驚いている内に、今度は手負いの自分の体を背負われるもんだからさらにビックリ】
【一体何があったのか。―――簡単な話だ、カレーの香辛料の香りがグリースを刺激したらしく、一緒に食べようという事らしい】
【いざ背負われると、マリアもなんだか楽しそう。こうやって背負ってくれるのが嬉しいようで、グリースの後ろでマリアは子供のような笑みを浮かべている】
【いつも子供たちの母親代わりとして頑張る彼女の、珍しい一面。きっと彼女をそんな顔にさせるのは、友達がそこにいるから―――】

【そんなこんなで、マリアの案内一切なしでグリースはダイニングに辿り着く。彼女の嗅覚恐るべし……だが、いつもは戦いに用いられる五感もこんな楽しい利用法なら大歓迎】
【ダイニングにはどういうわけか既にカレーが盛り付けられた皿が二つ並んでいた。子供たちの微笑ましい心遣いに、マリアはくすりと微笑んで】
【椅子に降ろしてもらうと、グリースも座……らない。何かに気付いたように立ち上がって、冷蔵庫の陰に近寄れば―――】

「うわ!みつかっちゃった!」『……むぅ。こんなにすぐにばれるとは……』
「えへへ……おねえちゃんにつくしました!あのね、ティアががんばってよういしたんだよ!」『……僕も手伝ったじゃないか。というか八割方僕がやって、君は皿を運んだだけ……』
「こまかいことはいいの!―――うわっ!?」『……や、やりますね……』

【こんな小さな子供たちが気配を消す術など持ち合わせている筈もなく、グリースでなくとも隠れているのがバレバレだったのだが……当人たちは完璧に隠れたつもりだったらしい】
【真っ先に見つかれば、悪戯っぽい笑みを浮かべる子供達。優しいお姉ちゃんに褒められれば、今度はもっと嬉しそうに笑って見せる……子供にとって、褒められるのはとても嬉しい事】
【ひょいと抱えられると、ティアはグリースの腕の中でいつもより高くなった目線にはしゃぐ。マットも表情こそ崩さないが、楽しそうな感情は隠しきれずに口元がにやついている】

【忘れてはいけないのは、この子供達は孤児であるということ。―――実親がいないという境遇にも拘らずこんなにも表情豊かでいられるのは、きっとマリアが本当の母親のように愛を注いでいるから】
【思いやる心や優しさは、きっと彼女らが「おかあさん」と慕うマリアから受け継いだもの。きっと皿に盛り付けられたカレー二人分も、その心の表れに違いない】

【子供たちと一緒に食べようかという提案、勿論それをマリアが断る筈もない。愛する子供と大切な友達に囲まれて食事が出来るなら、それは本当に幸せなこと】

ええ、勿論大丈夫で御座いますよ!ティアもマットもお姉ちゃんととお話したいでしょう?

「うん!いっぱいおはなしする!」『……折角ですから、僕もご一緒させて頂きます。』

―――決まりですね♪さ、頂きましょうか!

【やがて子供達も下ろしてもらう。ティアはグリースの隣、マットはマリアの隣に座れば、待ちきれないとばかりにマリアは簡単に食前の祈りを捧げて】
【グリースも食べる用意が整ったなら、早速食べ始める。その時のマリアの顔ときたら、きっとグリースが今まで見たことが無いような幸せそうな笑顔だった……】

【カレーはマリアが言っていたようにやや甘口。きっとマリアが子供たちを想って作ったのだろう、手作り感満載の其れは優しい美味しさに満ちていて】
【一流の料理店とはまた違った美味しさがあった。母の味とはきっとこの事を言うのだろう……親の居ないグリースに、この温かい味はどう感じるのだろうか】
【(ちなみに、子供たちはグリースが訪れる前に既に食事を終えているからカレーは食べず、代わりに冷蔵庫からオレンジジュースを取ってきて飲んでいる)】

//以上です!ややこしい事をして申し訳ないですが、>>947-948にお返事ください!
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/05/17(土) 20:04:54.54 ID:F1S9gDg80
>>942

【「それならいいんだけど」と彼女は呟いた、ひっそりとささやかな声で――ふと、安堵するような声色だったことだろう】
【巻き込んでしまったしひどいことも言ったように思えた。それなら一度くらいちゃんと謝っておくべきだろうか、そんなことを考えて】
【とりあえず今宵は――こんな不思議な出会いとおいしい軽食を楽しむべきだろう。だから、彼のことはそっと忘れるようにして】

……うん、大事にする。誰にもあげない、わたしだけのもの……、とっておきの、たいせつなひとなの。
とってもやさしいひとなんだよ、だから、白妙も会ったら分かると思う――、わたしにはもったいないぐらいのひとだって。

ん――、おいしそう。

【こちらの紅茶は既に白の交じり合った深い色合い、もう戻れないより、はじめっから白と交じり合って生まれた運命】
【ちょっぴりのお砂糖を入れてふわりと香りを確かめる、綻んだ目元はご機嫌色、おいしそうだってきっと細められていて】
【こくりと頷いた、彼がどれくらい大切かって話し出せば止まらない言葉の始まり、けれどそれをなんとかかんとか終わらせて】
【「いただきます」と囁いてミルクティのカップに唇を寄せる。そっと飲んだ一口は、じんわりと暖かく、ほのかに甘くって】

そう……そう、かもしれない。一度優しくしてもらったらね、また優しくしてもらえるかもって思っちゃうの。
誰もそんなことしてくれないのに、期待しちゃうの……、きっとね、わたしが弱かったからなんだ。そういうの、……。

……――強いひとならきっと平気だったんだろうね。でもわたしは、はじめみたいに戻れなくて……。
覚えちゃったの、ひとが暖かいんだって。だから、――前みたいなひとりぼっちが、とっても嫌なものに思えたの。

【それから添えられたお手拭でちょいっと手を拭く、そして取り上げるホットサンドはしっとりずっしりと重たくて】
【切られた断面から覗くチーズの蕩けた様子とてらてら光るカロリーの煌き。ベーコンの赤らみも、油でじっとりと濡れておいしそう】
【齧れば“かりっ”とかすかな音でパンが噛み切られる、とろんとチーズが糸を引いて、つうと垂れ下がる淡い糸が揺れ】

【きっと自分は滅んでしまう側だった。たった一度の気まぐれを運命だと信じてしまって、いつまでも待ってしまう弱さ】
【破滅しながらでも信じるのがやめられなくて、無理に断ち切られたら痛くて、泣き叫んで、壊れてしまう/しまった過去】
【でも今は――ちゃんと導いてもらえて全うに戻れたはずだった。微かに残骸みたいなものは窺えるけれど、それは日常の邪魔をしないから】

おいしい? よかった、わたしも好きなんだ、それ。

【つうと指先でつまみあげて口にやる、もぞもぞと固まった糸を食べるのは、なんだか芋虫みたいにも見えるようで滑稽】
【一通り済ませばにこりと笑うのだった、自分が好きなものを褒めてもらえる嬉しさ――きっと子供みたいに瞳を、煌かせて】

/いちおうこちらにもお返ししておきます
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/17(土) 20:05:31.19 ID:IIxcaG3go
>>945


ヴァレリーの言う通り、手合わせしてみなきゃわかんねーな
レイピアと……もうひとつの剣の二刀流か。珍しいな
強いってんなら闘ってみたくなるぜ。いつか機会がありゃ勝負しようぜ!


【見た目通り血気盛んなこの青年、強いと聞けば、手合わせしてみたくなるものらしく】
【だが見境なしに勝負を挑もうとするような人物でもないらしい。いつか、という言葉で片付けてしまって】
【レイピアと直剣の二刀流も興味を惹いた。紳士的な風貌に相応しいその二振り。振るわれれば、どれほどに強いのだろうか】


ああ、構わねーぜ。実は自分の名前、あんまし気に入ってないんだけどな
アーシャって女っぽい気がするし、キャット……猫ってのも合わねぇだろ?
済まねぇな。担いで跳ぶこともできるけどよ、熱いし乱暴だしでいいこと無いからなぁ

おう! 任せときな!
仕事か……今はまだパトロールくらいしか無いんだよな
砂の国でスカウトされてまだこっちに来たばっかりだしよ
ま、そのうち活躍してやるさ。緋色の鷹を背負うからにはな


【表情を曇らせることもなくさらりと言う辺り、特に気にしていないのかもしれない】
【サリーの願いを叶えてやりたかったのだが、ガントレットを装着するために腕が塞がり、どうしても乱雑になるようだ】
【代わりに別の形で、とも思ったが、能力以外で跳ぶ方法など思いつかず断念してしまう】

【どうやらSCARLETに所属して間もないらしい。仕事と言っても、まだ雑務くらいしかすることがないようだが】
【それでも、所属している場所に誇りを持っていることは濁りのない口調からも察せられるかもしれない】

/すみません、めっちゃ遅れました…
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 20:09:21.81 ID:/TbN2j770
>>947-948
「さあ、ね。確かに君が言ったように団長サマは変わったのかもしれない
確かあの時に言ってたっけ。君に諭されたから――――だとか
元は団長サマの親、ゴッシュを殺す事が目的だった。その為に何千もの人達を動かしたんだ。彼の口からはそう聞いてたよ

…………其れを罪と認めて、自分の身一つで償えるだなんて思ってたんだから迷惑な話だ
教会の名前一つだけで全部が同じ組織だと思ってる人は少なくは無い筈だよ。…………彼の行動は、もしかしたらボク達の所属する教会にだって影響するかもしれないんだ」

【スッ――――と冷めた瞳への移り変わり。彼女がしつこくフレデリックに関わってたその理由の一つ】
【自分たちの教会の名を背負って、と言った意味合いも含まれて居るのだろう。無論、其れだけで占められている訳では無いが】
【然れど…………幾ら罪と認めていても、自分一つで償える其れでは無い。その考えを抱いて居るからこそ、口調だって冷淡だ】


「――――ああ。ゴッシュを殺す暇は無かっただろうね。ボクと戦った直後、アンジェルが団長サマを何回も斬り付けたんだから
何かする前に倒れてたし、そもそもゴッシュの姿を見れていたかも怪しい
…………まあ、そのヨボヨボゴッシュも苛々としたから顎を叩き割ったけどさ。同じ人で無し同士の僅かな義理ってやつかな
マリア。幾ら君が何と言おうとも、ボクは彼を許さない
君はボクの知らない彼の部分を沢山知ってるんだろうけど…………ボクだって、その逆なんだ」

【確かに、この場にはグリースでは無く死神が居た。マリアと初めて会った時の様な、金色の髪と双眸を持った死神が】
【何を言われようとも、彼の団長を許す事は出来無いのだと。冷めた言葉がただただ告げられて】
【彼と話した所でその感情が変わるのかは未だ不明だ。まだ分からぬ未来の話】
【そして――――ゴッシュの顎が砕かれていた事は、マリアならば知っているか】
【其れを行ったのは何を隠そう彼では無く、此処に居るグリース本人であった。何処か笑みを浮かべていたのは、ゴッシュの性格を思い出して、醜悪なその顔を打ち抜いた感触を思い出したからか】
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 20:10:10.14 ID:/TbN2j770
【尤も、其れより先は負ぶってダイニングまで行くのだから必然的に話も途切れるであろう】
【後にまた説いてみるか、其れともフレデリックと会う機会があった時に彼女の心情が変わる事を祈るか】
【――――子供達の前では、その話の続きも少しばかり難しいだろうけれど】


「よし、そうと決まれば早速――――っと」

【祈りも終わればガツガツと食べ始めて。腹が空いていたから、といった理由も勿論あるのだろうけれど】
【何よりそのカレーが美味しかったから、スプーンを止める事無く口に運ぶのだろう】
【一人で作った物や子供の為に仲間達と作った物とは大きく異なった味わい。カレーが無くなるのだって、直ぐの事で】
【親の存在は知らない。正しく記すならば、肉親は一人も居ない――――彼女を此処まで育てた親の代わりの様な存在は居るけれど】
【結局は、彼女自体が作られた存在なのだから。この様に食卓に着くのも、久しぶりの事】


「――――…………うん、美味しかった
所でさ、ティアやマットは将来何になりたいの?やっぱりマリアの様な感じの人?」

【食事の楽しみ方だって人それぞれだろうけれど。グリースの場合は、人と談笑しながら食べる―――――事よりも】
【どちらかというと美味しい物を黙々と食べる其れに近いか】
【食べ終え、食器を片したならば再び椅子に戻り。問うたのは、子供達の将来だ】
【マリアに愛情を注いで貰って育っているのは誰にでも理解出来るであろう。だから、“マリアの様な人”と答えが返って来ると考えるのも必然か】
【何にしたって、無垢な子供が目指す物は聞いていて面白い。ティアとマット、二人に問いを投げれば二人に視線を向けて】

/少しだけ時間が出来たので今の内にお返しさせて頂きますねー
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/05/17(土) 20:20:16.30 ID:vQ3sqLOgo
【公園】

「――ヘケケケ、俺の勝ちだなァーッ!」

【ここでは先程までちょっとしたバトルが行われていた。一人はチャラめの青年で、】
【もう1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

「もォー少し弱めがよかったかなァー、でもこれ以上手加減したら運動にならねェーしなァー」

【結果は見ての通り。余裕綽々の筋肉男、そしてチャラめの青年が地面に伸びている――青あざだらけで】
【……チャラめの青年の取り巻きがムチャシヤガッテという顔をしているのは、きっとそういうことなのだろう】

『……治しておきますね』

【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

「あァー、腹減ったなァー」

【――女性がチャラ男に杖を当てて治癒魔法をかけ始めれば、暇そうな筋肉男の腹が一つ鳴るのだった】
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/17(土) 20:29:49.81 ID:IIxcaG3go
//次スレですー!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1400326087/
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/17(土) 20:50:40.51 ID:SSiRz1Ero
>>950

「ふっ、言うのう。自慢ではないが儂は元軍人でな、そこそこ出来ると自負しておる。
 ――――まだまだ、若造には負けんよ」

【細長いレイピアと堅牢なマインゴーシュ。見る限りでは古風な決闘者のようなスタイルである】
【そして浮かべる笑みは、今までのように柔和なものではなく。餓えた狼のような荒々しい視線がアーシャへ飛ぶだろうか】
【肌が粟立つような闘気……無論、ヴァレリーも今この場でやり合う気はない。それも一瞬のことで終わるのだが】
【元軍人という肩書きも恐らく嘘ではあるまい。本当に闘うとなれば、相当の苦戦を強いられそうだ――――】

そうかしら? サリーはとっても可愛らしくていいと思いますけれどっ。
それよりもそれよりも! アーシャお兄さま、本当に飛べるならぜひ――――、

「これ、サラ。あまり激しく動いては体に障るでな、やめておきなさい」

えー! でもでも…………うぅ、はぁーい。

【仮にも年上の男性をそんな風に称すのは失礼な気もするが、サリーに悪意はない。心の底からアーシャを可愛いらしいと思っているみたいで】
【担いで飛ぶことも出来る、という言葉を耳聡く聞きつけると、その後の言葉はそっちのけにアーシャに迫っていくのだが……】
【ヴァレリーがぽんとサリーの頭に手をやってそれを諫める。……不満そうにばたつかせる手足は、普通の人よりずっと白くて細い】

へぇー、お兄さまは砂の国からいらしたのね!
そこからこんな遠くの場所で来て、困っている人を助けるなんて………うふふふっ、ますます素敵☆

――――ねぇねぇ、お兄さまはなんで正義の味方なのっ?

【結局、それに関しては大人しく引き下がるが――――好奇心は尽きることなく。過剰なぐらいの憧憬の視線が飛ぶと】
【上目遣いでまた新しい質問が投げかけられる。なんだか変な質問だが……どうしてSCARLETに入ったのか、と聞いてみたいのだろうか】
【子供らしい素朴な疑問だ。アーシャは随分と緋色の鷹≠背負うことに誇りを持っているようだし、きっとその理由が気になったのだろう】
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/17(土) 21:31:15.70 ID:IIxcaG3go
>>955

【強い闘気――老いてなお、いや、ますますと言うべきか】
【肌が粟立つようなそれを受けて、しかしアーシャは口元を歪ませるのだろう】


軍人か。俺もついこの間までは傭兵をやってたんだ
あんたのように訓練された技術は無ぇが――腕っ節なら自信はあるぜ
ま、本当に機会があれば、だな。あんたも、サリーの面倒見てやらねぇとだし
怪我も無茶も、出来ねぇだろ?


【ヴァレリーの笑みが飢えた狼なら――彼のそれは、強大な敵へ立ち向かわんとする、勇者の笑み】
【ぞくりとさせるものではなく、気迫と熱量を以てして周囲を鼓舞するような、そんな笑みだ】
【爛と光る炎の色の瞳は、老兵へとまっすぐに向けられるのだろう】
【……最後の問いは彼なりに気を遣っての発言なのだろうか】


やめろぉぉぉ……むず痒いったらありゃしねぇぜ!


【可愛らしい、そんな感想を聞けばアーシャは勘弁してくれとでも言いたげに髪を掻くのだろう】
【名前が合っていないのは特に気にしてないが、そう評されるのは不服なのだろう】
【そんなこんなで乱れた髪をさらに乱していたのだが、ヴァレリーの一言にぴたと動きを止め】


……身体、弱ぇのか?


【サリーに向かってそう短く問いを投げるだろうか】
【先程もたまの外出と言っていた。もしかするとその理由が、ここにあるのかと予想して】
【デリカシーが無いのはこの男の性分である】


そうだな――特に理由なんて無いぜ?
ただ、ずっと傭兵やってたからな。正義の味方をやってみるのも悪くねぇと思ったのさ
ま、場所が違ったって俺は俺が正しいと思うことをするだけだ。楽しけりゃそれでいいしな!


【SCARLETに入隊するくらいだ、正義の心はあるのだろうが――その理由はほとんど無いに等しかった】
【だが、やはり彼に迷いはない。自分の直感を信じ、それに結果を付いて来させる】
【彼はきっと、そんな性格なのだろう。人によっては呆れるかもしれない。愚直と言っても過言ではないだろう】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 21:59:51.82 ID:dC+T5z5Q0
>>951

……そうですか。やはり、赦してはくれませんか。

【返ってくるのは冷めた言葉。何処までも冷徹に突き放すように語る、フレデリックへの許容できない感情。】
【これ以上マリアが言葉を紡ぐことは無かった。言葉で訴えた所で、きっとグリースには届かないから】
【きっと何らかの決着がつくとすれば、それは後日の話。どんな形での決着になるかは、神のみぞ知る所】
【ただ一つ、独り言のように紡ぐ言葉。相容れぬ二人を互いに大切に想う女の、やり場のない感情】
【友としてグリースを慕い、部下としてフレデリックを慕う。二人の無事を同時に祈る、矛盾した感情】
【どうしようもない思いは口に出されることなく終わる。……二人が分かり合える日は、幻想なのだろうか】
【答えは数日後に出る筈だ。ゼン=カイマでの最後の戦い―――様々な因縁に終止符が打たれるとすれば、きっとその時】

【会話は此処で途切れる。さっきまで話していたのが死神だとすれば、こうして自分を背負ってくれるのは大切な友としてのグリースの筈で】
【此処からはいつもの調子に戻ってくれることだろう。―――子供たちに冷たい死神の姿を見せる訳にもいくまい】

【四人揃って席に着けば、手作りのカレーを食べ始める。マリア自身は自分で作ったカレーだから特に何かを感じる訳でもないが】
【グリースは気に入ってくれたらしい。食べる手は止まることなくあっという間に食べ終えれば、きっと満足してくれたのだろう】
【流石にマリアはグリースほど食べるのが早くはない。自分のペースで食べながら、二人の子供とグリースの会話を聞いていることだろう】

【子供たちに問われたのは己の将来の話。訊かれればまずティアが元気よく応え、続いてマットが心に秘めた夢を語る……】

「えーっとね、わたしはしょうらいおかあさんみたいな人になりたい!
 ―――あのね、おかあさんはわたしたちのヒーローなんだよ。わたしたちのためにたたかって、まもってくれるの。
 この前おっきなオニにおそわれそうになった時も、マットがれんらくしたらすぐにみんながひなんしたところにかけつけてくれたの。
 ……いつかわたしも、だれかをまもれるひとになりたい!」

『僕の将来、か……僕の夢は、医師です。
 ……病気や怪我で苦しんでいる人がいるなら、無事を神に祈るんじゃない。僕が行って治してやるんだ…… 
 僕は特別な能力がある訳ではないから、お母さんみたいに誰かを護ることは出来ない。―――でも、戦えなくても誰かを助ける事は絶対に出来るんだ。』
 
【ティアは膨大な魔力を秘め、魔術師しての才能の片鱗がある。10歳にも満たないのに既にマリアと同じ光の魔法を(微弱ではあるが)使えるのだ】
【成長すればきっと大きな力を得る事になるだろう彼女、その力の使い道はきっとマリアと同じ。誰かを護ることの出来る人になるのが、彼女の夢……】
【人間は大きな力を手にすれば力に溺れて非道に走る可能性もある。―――しかし、ティアの純粋な瞳を見れば、彼女は道を誤らないと確信できる筈】
【目標となる人がいつも傍に居るから、正しく成長できる―――十数年後、きっと何処かで人々を護る為に闘う成長した彼女の姿を見られるのだろう】

【一方のマットは無能力者。しかし同世代の子供たちに比べて遥かに頭脳明晰で、学問に関しては誰にも引けを取らない。】
【そんな彼が誰かを救う方法を考えた結果、医師を目指すことになった。―――そう、戦えなくても幾らでも誰かを助ける道はあるのだ】
【―――頭脳もさることながら、彼には「自分の手で」物事を成し遂げられる強い意志の力がある。誰かを頼るのではなく、自分で達成しようとする力がある】
【救いの手を差し伸べるのは信仰や神ではない、自分なのだ。――――そう言い切る彼の瞳は、力強く輝いていた】

【夢を語る二人の姿を、マリアは目を細めて見ていた。立派に夢に向かう二人の姿が何よりも嬉しかったから……】

【さて、そんなお話をしている内にマリアも食べ終わる頃合い】
【―――マリアもグリースから遅れること数分、きれいに全部食べ終えれば食器を片付けようとする―――が、やはり痛む足が仇になる】
【お揺れる皿を持ち上げようと手を持ち上げれば、走る痛みに体がぐらりと揺れる。……放っておいても微かな呻き声を漏らしつつ立ち上がって何とか皿を下げることは出来そうだが】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/17(土) 22:07:12.73 ID:8SFtsCAvo
【海岸】

【夜を更に濃くさせるように雲は分厚く、雨が降り出しそうな灰色を帯びていた】
【海はダークブルーの濃い色をしていたが波は穏やかで、遠くで航行するタンカーの影が見える】

【海沿いには一本の舗装された道路があるだけで、民家はなく野山とバス停と待合室が1つある程度】
【しかし、最終便はすでに行ってしまっていて他にクルマも人も通る影は無さそうだった】
【街頭が等間隔にオレンジ色のリズムを生む。道からそれてすぐと道路わきに1台クルマが止まっていた】

【砂浜に降りる階段の直ぐ横に停められた青のクーペは少し古い映画で見るような古臭いモデルで】
【ヘッドライトの明かりはつけっぱなしでステレオから音楽がエンジン音に紛れてかかっていた】
【天気さえ良ければそこは最高のビューポイントだし、砂浜もさぞ楽しめる場所なはずだ】
【ドライバーはボンネットの上に座って、ホタルのような明かりを灯して、煙草を吸っていた】

【黒い三つボタンの細身のスーツ、黒いネクタイ、白いシャツ。背は高く、体重は反比例しているようだ】
【風が吹くたびにネクタイと上着がはためいた。男は気にすることもなく煙草の煙をはいてしまう】

【特徴的なのは黒い髪でもなく、とんがったような鼻でもなくその目で白眼が赤く、瞳は黒と不気味であった】
【もし、毎日どんな小物であっても手配書を欠かさず見るような職業か趣味かであるならば】
【それがある義賊まがいの指名手配犯の特徴と合致していることに気がつくやもしれない】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/17(土) 22:24:07.79 ID:SSiRz1Ero
>>956

「………うむ、若いのにわかっておるではないか。儂ももう少し若ければ無茶も出来るが――――今はサリーもおるでな。
 君なら大丈夫と思うが、ゆめゆめその心がけ、忘れるでないぞ」

【ちょっとした冗句のつもりでふっかけた闘気は、燃え立つような気概として跳ね返ってきて。ヴァレリーはそれを心地よさそうに受け止める】
【あちこちに皺が増え、頭髪も白ずんで。それでもなお衰えないものを、この老人は確かに持っているのだろう】
【本当に――――その機会≠ェ訪れないことを願うばかりだ。そんな言葉は口に出さずに飲み込んで】

うふふっ、アーシャお兄さまはやっぱり可愛らしいわっ!
心配しないで、サリーはこの通り元気いっぱいだから☆

「やれやれ、おまえというやつは………体に響くと言うておろうに。
 あぁ、その通りじゃ。これは少々複雑な病気を患っておっての、今は安定しておるが」

【髪をかき乱すアーシャの姿に、くすくすと心底楽しそうな笑い声が漏れる。いつの間にか『可愛い』の対象がアーシャの名前から本人の方に代わっているが……】
【――――サリーは体を翻し、バレリーナのように軽く踊ってみせるだろうか。それに合わせて三つ編みが舞い、スカートがふわりと持ち上がる】
【そのシーンだけを切り取れば健常のように見えるものの……それは一時の安寧に過ぎないと、ヴァレリーは小さく告げる】

「ほっほ、君はなかなか面白いのう。儂の若い頃に少し似ておるわ。
 正義だなんだと高説垂れられるよりよっぽど耳心地よい。自分が正しいと思ったことが正しい、それが真理じゃと儂も思うよ」

うぅん、やっぱりよくわからないけど、とにかく素敵だわ!
サリーはひとりじゃ外も出歩けないけれど………お兄さまがいればきっと安心ね!

【サリーへの返答に真っ先に反応するのは、当人ではなくヴァレリーの方であるだろうか。彼は何故だか楽しそうに笑って】
【再び、アーシャを通して昔を顧みるように。この分だとこの老人も、軍人時代はかなり破天荒な兵士であったのかもしれない】
【他方、正義の味方なんてわかりやすい言葉は使っているのは、きっと正義≠ェ何であるかを理解していないからであって】
【サリーは結局、やっぱり何だかわからないけど格好いいというおかしな結論に落ち着くのだった】
【――――何にせよ。弱くて幼いサリーからすれば、正義の味方のアーシャは間違いなく救いであり、憧憬の対象なのだろう】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 22:41:48.04 ID:/TbN2j770
>>957
「――――君ならなれるさ。だってマリアにそっくりだもの
……じゃあね、ボクと約束しよっか。君が大人になる前までに百人を救う事が出来たら、好きな場所に連れて行ってあげるよ
他の国でも、遠い所でも何処でもね。君が行きたいと思ったところなら何処でも連れて行ってあげるから…………頑張ってね」

【その魔力の片鱗を感じ取ったのだろう。マリアの下で育てば、カノッサに向かう心配もないであろうから】
【交わしたのは約束だ。子供に言い聞かせる様な其れでは無く、対等な者として扱うもの】
【――――少女が百人の数を救うには、どれ程の時を必要とするのかは分からないけれど。少なくとも、グリースだって生きていればまだ現役で居るだろうから】
【戯れの契りでは無いと、子供ながらにも理解出来るであろう】


「……マット。君の考えは確かに良いと思うよ。誰かを守るには傷付けたりしなきゃいけないけど――――治すのに、其れは要らない
救う方がよっぽど尊いんだからね。ボクも色々な場所を見る機会はあるんだけど、何処でだって医者の数は不足してるんだ
…………ふふ。ボクが怪我をしたら、安く治療してね?」

【――――異能を持たない者は、持たない者なりに貢献する方法なんて様々有る】
【一つは、マットの夢でもある医師だ。異能で治療する事は可能であっても、其れが出来ない場面も多々存在する】
【ならば、その時はやはり脳に蓄積された知識と技術とが必要になるのだ】
【この子ならきっと良い医者となれるだろう。根拠は無くとも――――言い切れるだけの自信はある】


【マリアが食べ終わったのを確かめ、横目で見ればその通りの姿だろう】
【「ほら、無理しなくていいよ」何て言葉と共に、横から皿を取って洗い場へと持って行ったならば戻って来た――――のだが。その手に乗せられているのは水晶だ】
【子供達の目線では見えないだろうが、マリアなら其れに映った者達が慌ただしく動いている事が分かるか】


「じゃあ、その夢を目指すには先ず君達がマリアを助けてあげないとね
身近でお世話になってる人から助けて、どんどんと拡げていけば…………きっと、沢山の人を救える筈だからさ
――――マリア。そろそろ時間だ」

【子供達に向けたのは、先ず母親代わりであるマリアを助けてやって欲しいとの言葉だろう】
【その言葉も終われば、視線はマリアへと向けられて】
【――――水晶に映っていた場面。つまりは、そういう事だ。何処かの危なっかしい現場にお呼びが掛かったのだろう】
【もう、時間だから帰らねば。――――そう、告げるが】
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/17(土) 23:11:26.36 ID:IIxcaG3go
>>959

【くるりと回る少女の身体。軽やかな動きは、むしろ元気いっぱいな女の子で】
【しかしその裏には病気という事情があると言う。彼女の明るさは本来の気質もあるのだろうが――】
【空元気もそれを助長しているのだろうか、なんてつい邪推してしまうのだった】


ったく、敵わねぇな

なるほどな。見た感じ元気そのものだが――病気、ねぇ
そういうことなら、サリー、ヴァレリーの言うこと、ちゃんと聞いてやれよ?
無茶をするなとは、俺は言わねぇけどよ

大体のことは笑えば何とかなるしな! ダラッタッタ=\―ってよ


【もはやどう反論したところで説得力はない。溜め息をひとつ吐くと、彼は乱れた髪を軽く整えて】
【病気について詳しくないが、サリーにそう忠告しておくのだった】
【――とはいえ、無邪気に動きまわる時間が限られているとわかると、強く言えなかったのだが】
【最後の意味のない掛け声のようなものは――彼の合言葉かなにかか。恐らく気にしなくてもいいだろう】


だろ? 難しいこと考えるのは苦手だしよ
ごちゃごちゃ考えるよりも、そのほうがよっぽど気楽ってもんだぜ

はは、ありがてぇ言葉だな。明日からまた頑張れるってもんだ
しっかり安心しておいてくれよ! 街の平和は俺が守る――なんてな!


【正義の形――それは人によって違う物なのだろう。なら深く考えたところで意味のないこと】
【それすら考えているかどうか怪しいが、とにかく直感に頼るのみの、ひたすらにシンプルな思考】
【それが正解かどうかは――考えないようにしよう】


うし、じゃあ俺はそろそろ戻るぜ
じゃーな二人とも。身体には気をつけろよ!


【最後までカラッとした態度のまま、軽く手を振ればアーシャは夜の公園から去ろうとする】
【引き留めることがなければ、そのままどこかへと消えてゆくのだろう――】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 23:29:51.45 ID:dC+T5z5Q0
>>960

「えへへー……そうかな?おかあさんみたいに、なれるかな?
 うん、やくそく!ぜったいにがんばるから、―――だから、たくさんのひとをたすけたら、おねえちゃんといっしょにりょこうする!やくそくだよ!
 ぜったいにかなえるんだから!」

【交わした約束は、きっと小さな子供との戯れのものなんかじゃない。同じ誰かを救うために戦う者としての、対等な約束】
【百人なんて、とても大きな数。これだけの人を救うにはどうすればよいだろうか……ティアには人を助けるための道も時間もいくらでもある】
【きっとティアはその約束を忘れないだろう。だから―――どうか、約束が果たされるその日まで生きていて欲しい】
【戯れに約束したのではないのなら、グリースだってその約束を容易に破ってしまうのは許されない筈。】
【―――だから、この小さな少女が立派に育ち百人目の人を救うその日まで、生きて見守って欲しい。】


『救う事が尊いかどうかはよく分かりませんが……僕の手で傷が治り誰かが喜んでくれるのなら、それが一番嬉しいです。
 ……ええ、お母さんのご友人とあれば安くしましょう。―――死ななければ、僕がどんな怪我でも治します。』

【―――マットの目指す道は、長く険しい荒れた道。きっと生半可な志では上り詰めることは出来ないだろう】
【しかし、それでも良い医者になれると言い切れるとしたら……その根拠は、無表情な顔の裏に秘めた強い意志なのだろう】
【各所で戦いが起こり、その度に戦った人や巻き添えを食らった人が傷つく。―――そんな人々を救えるのは、戦う為の能力ではなく治す技術だ】

【マリアの「人を想う優しさ」を受け継ぎ、それぞれの形で自分の夢として昇華させる子供達。形は違えど、人の為に自分の出来る事を考えるというのは皆同じ】
【この場には現れなかったが、他の子供たちもそう。マリアの手によって育まれた優しさの種は、きっと様々な形で芽を出すことになるのだろう】


【――立つのに一苦労しているマリアの為に、グリースは皿を取って持って行ってくれた。頼んだ訳でもないのにこうやって心を遣ってくれる……】
【こんな風に自分に優しくしてくれる訳を尋ねれば、きっとグリースは「友達なんだから当然だ」と明るく笑ってくれるのだろう。―――その優しさが、本当に嬉しかった】

【……が、洗い場から帰ってきたグリースがその手に持っていたのは水晶。移るのはあわただしく動く人々……ああ、グリースはそこに赴かねばならないのか】


「うん!―――じゃあ、百人たすけるやくそくのひとりめは、おかあさんだね!えへへ……のこり99人だよ!」
『――分かりました。出来る事からやっていって、いつか沢山の人を救えるように……僕も頑張ります。』

もう行くのですね。―――グリース、今日は本当にありがとう。
子供たちのために戦ってくれると約束してくれて、私はどれだけ嬉しかったか……
ではまた近い内に、今度はゼン=カイマで。―――子供達とも約束したんです、絶対に生きていて下さいな。

【呼び出されたのだから、引き留める訳にもいかない。名残惜しいが此処でお別れ、次に二人が会うのはきっと戦場と化したゼン=カイマ】
【グリースはまた修羅場へと赴くのだろう。―――友として、マリアは心から無事を祈っている。約束したんだ、生きて帰って来いと】
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/17(土) 23:47:42.15 ID:SSiRz1Ero
>>961

――――うんっ! だらったった≠ヒっ!

【アーシャが心配してくれているのだとわかると、サリーは嬉しそうに笑う。ここでアーシャと出会えたことだって、サリーには奇跡みたいに映るのだ】
【掛け声の意味はわからずとも、聞いていると何となく元気が出てくるような気がして。サリーはプレゼントを貰ったようにそれを口の中で何度も繰り返す】
【そんな孫を微笑ましく思ってヴァレリーが優しく頭を撫でてやれば、それに応えるように「えへへ」と小さくはにかんで】

「そうとも、考えても答えが出んことなぞいくらでも転がっておる。
 正義を掲げる以上、思想の壁にぶち当たることもあろうが――――この先何があろうと、素直に自分に従うことじゃ」

まぁっ、とっても頼もしいわ!
あぁ……久々に外に出たと思ったら、遠い砂の国からやってきたこんな素敵なお兄さまと出会えるなんて!
これって偶然なのかしら? うふふ……運命を感じるわっ☆

【箴言のようなヴァレリーの台詞。果たしてそれは長年の経験からの言葉であったのか、あるいは別の意図のある言葉であったのか】
【含むところありげな声色に、しかし虚偽や欺瞞はない。老兵から若き勇者に贈った心からの言葉であることだけは、きっと間違いはなくて】
【………そんな重みのある言葉を、サリーの黄色い声が上書きしていく。赤らんだ頬に手を当ててきゃーきゃー騒ぐ様子は、可愛らしいような危なっかしいような】
【単なる偶然の出逢いにここまで夢を見てしまうのも、病気であまり外にも出られない生活を送っているからなのだろうか?】

「ああ、ではなアーシャ君。また他愛ない話が出来る日を――――心から楽しみにしておるよ」

あーん、もう行っちゃうの?
うぅ、しょうがないわよね………ばいばい、お兄さま! またぜったい逢いましょうねーっ!

【ともあれ。ヴァレリーはアーシャと同じく後腐れなく、サリーの方はかなり残念そうに――――反応の違いはあれど】
【アーシャがSCARLETとしての掲げる誇りを知った二人が、去っていく彼をわざわざ引き留めることはないのだろう】
【最後にサリーがぶんぶんと元気良く手を振り、「ぜったい、ぜったいよーっ!!」と念を押して。少女と老人は、いずれも楽しそうにその背を見送る――――】


/お疲れさまでしたー!
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/17(土) 23:50:52.22 ID:IIxcaG3go
>>963
/お疲れ様でしたっ!
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/17(土) 23:58:11.30 ID:/TbN2j770
>>962
「――――任せといてよ。ボクだってそう易々とは倒れたりしないからさ
どうせ生きるなら寿命一杯生きてみせるさ。…………ティアと約束もしちゃったからね」

【ティアと約束した手前、簡単に死ぬ訳にもいくまい。マリアも子供達も悲しませる訳には行かない――――だから】
【生きてみせよう。人として生まれた訳でも無いこの身を案じてくれる者が居るならば、長く生きてみせよう】
【教会に生きる武器、兵器。そんな存在だけれど――――それでも、どんな戦火に巻き込まれても生き延びてみせよう】


「じゃあね、マリア。そんな言葉が無くたって――――ボクは、グリースだ。心配ご無用だよ
ティア、マット。マリアを頼んだよ?」

【コレが最後となり、もう暫くは撫でてやれなくなるか。二人の頭を撫でればそんな事がふと浮かぶが】
【死ななければ良いだけの話しなのだ。とても簡単な事――――死ななければ、また会えるのだ】
【次は何時になるのか分からないが…………必ず、その時は来る】
【子供達に対して頼んだよ、と言うのは良くある話しだけれど。冗談めかした其れでも無いのだから、やはり友人を気遣う子供達を頼りにして居るのだろう】


「その内、暇が出来たらまた来るよ。今度は何かお土産でも持ってね」

【クスリ、と小さく笑ったならば。今日は、其れが最後に交わした言葉】
【ユラリユラリと手を振って見せたならば外へと出て――――やがては、その姿も人混みへと消えて行く事だろう】

【大剣を背負った修道女がもう一人の修道女を殴って説教していただとか、銀髪の修道女がその様子を見て苦笑を浮かべていただとか】
【街中ではそんな話しが聞こえたかもしれないが…………其れは何れグリース自身の口から語られる事だろう】
【兎にも角にも、対立組織の中にある不思議な友達関係。共闘の約束と、子供との約束と】
【果たして死神たる彼女が会った事は幸か不幸か分からないが――――少なくとも、友人としてのグリースがもたらした其れは良い方向へと転がる……か】

/二日間、お疲れ様でありましたっ!
/この後少しばかり出掛けなければいけないため、申し訳無いですがこれにて失礼させて頂きます……!
/お相手、有り難う御座いましたですよー!
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/18(日) 00:33:44.88 ID:m8UlpvMK0
>>965

「うん!」『……任せて下さい。』

【母の友達の頼みとあっては断れまい。優しい二人の子供たちは、任せてくれと言わんばかりに頷いて見せる】
【……優しい二人の事だ。きっとこれからも約束通りに、大切な母親代わりのマリアを助けるに違いない】
【これで暫くはお別れだ。少しの間会えなくなってしまうが……なに、また会いに来てくれる日は来るだろうさ】

【そう、生きてさえいればまた会える。お互いどんな境遇になろうとも、生きてさえいればまた何処かで会えるから】
【だから、約束だ。グリースも、マリアも、子供達も……この先待ち受けているであろう波乱にも、誰一人として欠けることなく生き延びる、と】
【そして、全てが終わればまた子供たちの元に来て頭を撫でてやって欲しい。きっと子供達も喜ぶはずだから……】

ふふっ……どんなお土産を持ってきてくれるのですか?楽しみにしておりますね……
では、また会える日まで―――お元気で!
「またきてねー!」『……楽しみに待ってます。』

【最後に一言交わせば、あとは子供達と共に手を振ってグリースの後ろ姿を見送るだけ。―――やがてその後ろ姿も人ごみに紛れたなら】
【三人とも玄関から家の奥に戻る。―――マリアは子供たちに痛む体を支えられて、自分の部屋まで連れて行ってもらったとか。】

【グリースはマリアや子供達と色んな約束を交わした。……きっとグリースならその約束を守ってくれるとマリアは信じている】
【―――今日の出来事がそれぞれにどのような影響を齎すのかは、まだ分からない。でも、きっと悪い風にはならない……そんな気がする】

//はい、其方こそお疲れ様でしたー!度重なる遅レでしたが、お付き合い頂き本当に有難うございました!
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/05/18(日) 14:25:29.73 ID:WGvZg5HFo
【公園】

「――ヘケケケ、俺の勝ちだなァーッ!」

【ここでは先程までちょっとしたバトルが行われていた。一人はチャラめの青年で、】
【もう1人はガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

「もォー少し弱めがよかったかなァー、でもこれ以上手加減したら運動にならねェーしなァー」

【結果は見ての通り。余裕綽々の筋肉男、そしてチャラめの青年が地面に伸びている――青あざだらけで】
【……チャラめの青年の取り巻きがムチャシヤガッテという顔をしているのは、きっとそういうことなのだろう】

『……治しておきますね』

【もう1人は、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】

「あァー、腹減ったなァー」

【――女性がチャラ男に杖を当てて治癒魔法をかけ始めれば、暇そうな筋肉男の腹が一つ鳴るのだった】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/05/18(日) 16:52:35.62 ID:WGvZg5HFo
>>967
/あと1時間くらいで切ります
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/18(日) 18:06:09.16 ID:uPQat4ULo
【聖徒某小広場】
【冬を終えて気候が暖かくなれば、その場は小さな憩いの土地となる。】
【──日向ぼっこをする者や、友人と談笑するもの。有象無象の日常だ。】
【そこに違和感があるとすれば──】


────すゥ‥‥


【──青年はぶら下がっていた。】
【何に? ‥‥‥‥徐々に生い茂っていく木の枝にだ。】
【説明すると、彼の足の裏がそのまま木の枝に張り付いていて。】
【まるで反転世界にいるような‥‥木の枝の裏に逆さにたっているような。】
【あろうことか、そのまま寝息をたてているのだ。】

【藍色の髪は逆立っているように見えるが、重力にしたがって地に向かっているだけである。】
【黒を基調とした服装は、不自然なほどになんともなくて‥‥】
【首もとに巻かれた朱色のマフラーも当然、ぶらりと垂れ下がっている。】
【──それが、彼に不幸をもたらした。】



『なにこの人ーーー!! 変なのーーー!』『おいマフラー引っ張ろうぜ!!』『せーの!!』
────ぐァッ‥‥‥‥あがッ‥‥‥ぎ、ギブッ‥‥‥‥



【近所のやんちゃなませガキドモにマフラーを捕まれ、ぶら下がられ‥‥】
【──ああ無情、顔色が徐々に青白くなっていく‥‥。】


/使い回しすいあせん
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/05/18(日) 18:53:01.91 ID:ptlrybeDO
>>967

死ね

【そこにいる全員の首を剣で切断して殺した】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/05/18(日) 18:56:53.57 ID:ptlrybeDO
>>969

死ね

【そこにいる全員の首を剣で切断して殺した】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/05/18(日) 19:41:40.21 ID:ptlrybeDO
なんでからんだのに無視するの?
せっかく来たのにひどいスレだ
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/18(日) 20:01:42.08 ID:8+1ZVfoK0
>>972
>>970-971>>1に書いてあるこのスレのルールに反しています

『・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。』
加えて相手側のキャラクターを相手の承諾無しに殺害するのもマナー違反です。
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/05/18(日) 20:08:16.32 ID:ptlrybeDO
ふせげばいいじゃん
こんなのも対処できないとかざこすぎ
へたくそ
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/05/18(日) 20:52:26.87 ID:ptlrybeDO
このスレはざこしかいないのか
首切られたくらいで死ぬとかありえない
新規にやさしくないから滅ぶね
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/05/18(日) 21:45:40.99 ID:FZu5Rrkwo
>>969
/まだいらっしゃいますでしょうかー?
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/18(日) 22:45:14.67 ID:G7PzkNvN0
【森の中に存在する――しん、と静まりかえる朽ちた館】
【嘗ては賑わっていたので在ろう其処も今となっては実に寂しいもので、ただただ時に任せて風化していくだけ】
【――――の、筈だったのだけど。月も顔を見せない今宵、此処に二つの足音】
【佇まいに誘われてか其れとも戯れに入ってみたのかは分からないけれど、重々しい館の扉を開いたならば先ず目に映るのは】
【古めかしくも豪華な内装と…………二つの影、だろうか】


「何も見えず。何も求めず。朽ちて。消えて。名残すらも。やがては失せる」

『――――主様。そろそろ帰らねば皆が心配するかと思いますが』

「誘い。誘い。残るは闇。其れも無に飲まれ。尽きる蝋燭。未だ戻らぬ小鳥」

【一人は黒のドレスを纏った少女――――か。歳にすれば恐らくは十代の後半】
【暗がりの中でも目立つのは銀の髪。清んだ声で紡がれる其れは詠唱の様で、其れでも何かが起きる訳でも無くて】
【もう一つの存在はこれまた黒のローブを纏っており。フードを被っている故に顔は分からないが】
【声の質と身体の起伏からして女、か】

【主と呼ぶ少女に対して言葉を掛けても、ハッキリとした答えが返ってこないのだから悩み所だが】
【言葉を掛けた当の本人は大して気にした様子も無いのだから、何時もそうなのだろうと容易に連想させる】
【もし、誰かが扉を開けたならば。少女の深い蒼色の双眸が向けられる筈で】


「紡ぐ唄。忘却の詩。何れ人は思い出す。祖の過ち
満ちる。時は終わりに近づく。時計はまた零を指す」

【支離滅裂な言葉。その声でアリアでも紡げば美しい音色となったのかもしれないが、生憎訳の分からない言葉しか並べられないのが現状】
【無視して館の探索に移ったって構わないのだが――――明らかに異質な二人組を尻目に奥へと行ける者は、果たしてどれ程居るのか】







【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【未だに滅しきれず、封印の中でじわりと存在を消さなければいけない者も数多い】
【何時もならば厳粛に門も閉じられ、関係者で無ければ叩くことさえ躊躇う程に厳格な雰囲気を醸し出しているのだけれど】
【今宵は、その門も開いていた。時折このようにして開門して、他の者達との交流も図るのだ。…………とは言え、気軽に訪れる者が殆ど居ないのが現状であるが】


【入れば直ぐ目の前に映るのは砂利を敷き詰め、所々には木を植えたりしたそんな、城の庭】
【良く手入れも施されて居るのだろう。彼の九尾と戦ったときの名残は未だ残ってはいるものの、其れを気にさせない程の美しさだ】
【そんな場所に、少女が一人。鮮やかな着物を纏い、濡れ烏色の髪を腰まで伸ばした存在】
【遠くからでも分かる程に凛とした気配は、この城に住まう姫であると悟らせるか。即ち、此処の封印を一身に担う存在だ】

【所謂お付きの者達であろう。鎧を纏い刀を腰に差すのは屈強な男達】


「――――分かっています。ですが、まだその時ではありません
彼女を殺めるならば、先ず確実に機を確かめるべきです。誰一人欠ける事無く終える。其れは無謀にも等しい言葉である事は理解しています
ですが、人の命は消耗品ではありません。全てが尊いものなのです」

【そんな者達から何か言われたのだろう。恐らくは、悪狐についての事だろうが】
【――――物怖じせずに返す言葉は、実に気丈な姫らしい。手にしている扇子より感じ取れるのは強い“退魔”】
【さて、門からもそう遠くない場所…………と言うよりも、門の近くで】
【声を掛けたならば側に居た者達が一斉に刀へと手を伸ばすけれど、姫の――――琴音の一声によってその動作も止められる】
【まだ二十歳前であろうに、確かに威厳を感じ取れるその姿。上に立つものにありがちな傲慢の態度とは程遠く】
【じい、と向けられた視線は相手の言葉を待つかのよう。何か訊ねる為に訪れたか、其れとも気紛れに訪れたか――――?】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/05/18(日) 22:56:07.54 ID:krJf8E61o
>>976
/うわわわ、すいませぬ。全く確認してなかったです。
/せっかくお声をかけて頂いたのにすいません、当方明日朝が早いために今から絡むのは至難でして……。
/改めてすいませぬ……。(再三に渡る謝罪)
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2014/05/18(日) 23:03:22.98 ID:FZu5Rrkw0
>>978
/了解しました、お気になさらず!
/また機会があればよろしくです〜
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/05/18(日) 23:21:44.69 ID:goVsOtm/0
【街外れ――川沿いに生えた木の根元】
【しゃらしゃらと水の流れる音が聞こえて、はらはらと流れてくるのはどこからか、薔薇の花弁であるらしい】
【微かに甘い香りを水辺に添えて。川沿いに聳える荒々しい大木の根元、ごつごつと隆起した根っこに腰掛ける影にまで、それを届けた】

…………おや、月が大分傾いている。

【まるで微かな影だった、華奢でか細い姿は、けれど妖精や精霊と見紛うにはずいぶん平凡な人間らしい気配を纏って】
【ばらりと開いたハードカバーの本の頁は手繰った指先に押さえつけられて夜風に揺れたがる、先っぽだけがひらひらと揺らいで】
【いつの間にか垂れていた髪の一部をかきあげれば、ひどく細い首筋がすらりと月光に映える――吸血鬼のように色白な、素肌】

【――紡いだ糸のように整った金色の髪は先端にピンク色を暈したような不思議な色合い、それが毛先のほうだけくるりと緩く巻いていて】
【つんと釣った眼にあどけなさの残る顔。勿忘草色の瞳のすぐ間を、疲れたように指先がやわく揉み解して――】
【白色のワンピースは膝を通り越す長さのスカート、腰元をきゅっとリボンで絞ったなら、余計にふわふわしたのがよく目立って】
【羽織ったケープは深い赤色、垂らされたままのフードには、天蓋から落ちてきたらしい木の葉が一枚、引っかかっていた】
【きちん、と揃えたつま先はかかとの低いパンプスをはめ込まれて。それを戯れめいてぐうと伸ばせば、浮かんだ靴がぺたんと鳴いた】

軽く散歩でもして帰るかね……、あんまり運動をしないのも、早死にしそうなものだし。

【呟く声音は古書の頁を捲ったときのよな、どこか擦れた響きを持って。年頃の少女にしては落ち着いた声をしているのが印象的で】
【足に続いて腕や背中を伸ばせばどこからか“ぱきぱき”なんて音がする、日頃の運動不足を喚かれているようで、小さな舌打ちがひとつ】
【手元の本にするりと栞を挟んでからぱたむと閉じる、それを小脇に抱えて――立ち上がるのは、142センチほどの小柄だった】

【――中学生ぐらいの少女。こんな夜に出歩いているには少しだけ違和感のある、幼い造形はきっと夜によく目立って】
【街外れの人気が少ないところ、というのもある。もしも少女を見つけ出したなら、きっと、目に留まる可能性は低くない】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/05/18(日) 23:28:25.34 ID:ptlrybeDO
>>977>>980
首きられてしぬと復活できないざこしかいないから手加減してやるありがたくおもえ
【全員の半径100メートルの範囲に当たるとぜんぶ壊れるたくさんの一個10メートルの巨大隕石が音速でふってくる】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/18(日) 23:41:18.13 ID:wHiGks9Wo
>>977
【封魔城。この櫻の国の歴史の中でも闇の側を語るなら、外せない場所の一つであろう】
【強大な妖怪たちをその身の内に飲み込み、幾年月を経て討ち果たさんとする砦】
【他者との交流のために開かれるとはいえ、迂闊に踏み込めないのは当然だろう】

【だが、今宵そこを訪れる存在があった】


――ごめんください

【乾ききった、平坦な声だった。それに前後して聞こえるのは、砂利を踏みしめる足音と】
【訪問者が歩くたびにその身から漏れる、奇妙な音。かしゃ、かしゃ、かしゃ、と。無機物が擦れ合うような音】
【先日の大規模な戦いをもってしても、侵すことのできなかった神聖さの中へそれは現れた】

【それは、一体の人形だった。人形が、一人でに動いている】
【見た目は、ほぼ人間の青年のもの。少し長めの茶髪に細面、丸い目。中肉中背。白いシャツの上に青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【そんな外見をしていた。しかし、人とは異なる質感の肌と、無機質な青い瞳。そして、服の上からでもわかる球体関節】】

【歩くたびに聞こえる乾いた音と共に、それらが彼を生きた人形であると示していた】


【屈強な門番たちに武器を向けられ、多少たじろぐ様子を見せるも。瞳の奥の無機質さは変わらず】
【そこへ放たれた声は、人形とはあまりにかけ離れた澄み切った声だった】
【見上げれば、一目でこの場の主とわかる、威厳に満ちたその姿。しかし、ここで萎縮するわけにはいかない。人形には、そうするだけの理由があった】

……不躾な訪問をお許しください。僕はギア・ボックスというものです
ここで起きたという、妖怪との戦いについて伺いたいことがあってきました
今、この国を荒らしている妖狐と僕は、関わったことがあるのです。どうか……聞かせていただけませんか
ここで何があったのか

/まだいらっしゃいましたら、もしよろしければ……
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/05/18(日) 23:48:51.93 ID:ptlrybeDO
>>982
うわばかだ、隕石のなかにつっこんでくとか
【ふってる巨大隕石たちにまきこまれてぐちゃぐちゃになる】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/19(月) 00:05:06.89 ID:lCPPhe1N0
>>982
【――――向けられた双眸は何処までも漆黒。然れど、闇に飲まれた物とも大きく異なった色合いだ】
【幼いながらに確かに自分の意思を抱いて居る。此処を治めるのに相応しい器とでも表そうか】
【側に居た者達も、たった一声で制されるのだからこの少女がこの城に於いて、どれ程重要とされているかも理解出来よう】


「…………アヤカシとも異なる、絡繰りの様な存在なのですね。ギア・ボックス
櫻は疎か、この城の外にも出たことが無い私にはとても珍しく映ります」

【「退きなさい」の言葉は、側に居た者達へと告げられたのだろう。それぞれが数歩下がりはするものの、鋭い眼光は生き人形の一挙一動を見逃す事も無く】
【僅かに浮かべた笑み。そんな中でも緊張を取り除かせようとでもするのだろうか。――――畏まる必要は無い、と言葉の外で伝えるかの様】
【其方へと改めて向き直ったならば、僅かに口を閉ざして。何と言えば良いかと迷っているのだろう】
【――――己も、その場所に居た訳では無かった。妖狐に捕らわれ、殺されようとしていた所を九尾討伐に訪れた者達に救われたのだから】
【何が起こったのかは把握している。だが、自分の目で見ていた訳では無く――――……】


「そんな事はどうでも良い事ですね。妖怪が居れば人間も居る。櫻の外では、もっと多くの種族が居るのでしょう
――――妖狐、というと。桔梗の事…………ですね

私が分かっている事ならば、貴方に伝えましょう。此処で起きた事も、繋がる事も。桔梗とは縁があり…………ちゆりとも。天鬼の者達とも、縁がありましたから
ですが…………私が先ず、貴方に問いましょう。関わった事があると言って居ましたが…………貴方は、桔梗の事を何処まで知っているのですか?」

【“私の何を知っている”。ちゆりと、桔梗とが言った言葉。――――そして、今は其れが問われた】
【あの悪狐の何を理解して居るか。あの妖怪と何を話した事があるのだろうか。そんな意味を含んで】
【勿論、何を知らないと答えたって構わないのだ。否、知る為に来たならば…………その答えが、一番良いのか】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/19(月) 00:37:52.96 ID:SN6Xws9vo
>>984
【見つめ返す、青い瞳。彼女の深い漆黒を前にしてはただ飲み込まれるばかりだっただろう】
【外見は幼い少女。だが、その内面は計り知れない大きさ。一声で制される側仕えたちがその印象を裏打ちする】
【だが、生き人形には飲み込む唾はもはやない】

……お見苦しい姿でしたら、申し訳ありません
強いて言うなら、元人間ということになるでしょう

【自分を射抜く幾重もの視線をひしひしとその身に感じつつ、ギアは立っていた】
【人形は汗をかかない。内面の魂は、この場の張りつめた空気に揺らめいていたが、それを表にはしなかった】
【彼女の見せた気遣い、言外の意志表示。その器の大きさが窺い知れる】

【強張っていた人形の身体は、少しばかりほぐれた。しかし、その凝り固まったような無表情は動かなかった】


……ええ、世界には本当にいろいろな存在がいます

――はい。天鬼桔梗さん、彼女のことです
ちゆりさん、とも。彼女とも、顔見知りです。僕の命を救ってくれた一人です

ありがとうございます。貴重なお時間をいただき、感謝します

【深々と、頭を下げる。かしゃり、と乾いた音がまた響く】
【そこへ投げかけられた問いは、その体勢のまま人形の動きを停止せしめた】
【二人ともに、それを言われた。何も返せなかった、その時が脳裏に交錯する。しばし沈黙。それから、身を軋ませて面を上げた】


……正直なところ、何も知らないに等しいです
初めて会った時の桔梗さんが、術を使ってまでちゆりさんを探していたこと
ちゆりさんは、桔梗さんに見つけられれば桔梗さんが外に出られなくなると話していたこと

――今は、桔梗さんは櫻の国で大勢の人や妖怪を殺していること
今の桔梗さんに一度会って、とてつもなく強大な力を持っていることも知りました

……実質、彼女たちの事情は何も知らない、部外者です
ですが、知らずにこのままでいることは、どうしてもできませんでした
ただ、自分の中の何かに、決着をつけるために、僕はここに来ました

【淡々と、言葉を紡ぎ出した。生き人形はやはり無表情だった。あるいは、もう表情を作れなくなりつつあるのか】
【呼吸音もない。息ができないから。人のように体を震わせられない。筋肉すらないのだから】
【ただ、魂の導きに従って、ここに来た。彼女たちのために、などと言うつもりはない。己の中の何かにケリをつけるため、その手がかりを求めてきたのだと】
【生き人形はそう語った。目だけは、眼前の彼女から逸らすことなく】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/19(月) 01:19:02.33 ID:lCPPhe1N0
>>985
「――――では、ちゆりの存在は今更説明する必要もありませんね
貴方が初めて会った時の桔梗は、恐らくは天鬼の桔梗でしょう
…………桔梗は、元々は妖怪として生まれた訳でも無いのです。謂わば、転生した存在の様なもの
前世の彼女もまた、多くの人や妖怪を殺めた存在。――――其れも突然に、と言った具合ですから私もまだ把握していませんが」

【ふう、と吐息。急にこの様な言葉を紡がれたって、何も分からない筈だ】
【――――語っていた本人も、その事は自覚していたのだろう。だからこそ、言葉が途切れたのだ】
【何を話すべきか。何を伝えるべきか。彼が妖狐の事を知らぬ様に、この少女は彼の事を知らない】
【何処までを伝えて良いのか。何処までを伝えるべきなのか】


「殺生石の存在は知っていますか。昔、強大な妖怪が死の間際に四方八方に散らせた物です
近寄った者全ての命を奪う――――そんな呪いの込められた石

先程、桔梗は前世で多くを殺した妖怪が転生した存在、と伝えましたね
その妖怪が死の間際に散らせたのも、また殺生石だったのです。その時に作り出した物は妖怪が孵化する卵とでも表しましょうか
己を殺した者達に復讐するために、殺生石を散らして転生の機会を窺っていた
殆どがちゆりによって破壊された筈だったのですが…………破壊されずに孵化してしまった物。其れが、桔梗――彼女です」

【悪狐の転生した存在が桔梗。死の間際に作られた殺生石から生まれた存在】
【妖怪として生まれた訳では無い――――とはこの事か。作られた存在と表すのに等しいが】
【だが……初めて青年と会ったときの妖狐は、偽っている様子も無かった。心の内から平和を望むような善狐】
【人を傷付ける事を嫌い、例え敵であっても決して殺める事は無い――――今とは、正反対の性格だ】
【続ける言葉が、その理由を説明するかの様で】


「何故、前世で散々命を奪った彼女が転生した後に善狐として存在していたのかは分かりません
――――元より今の桔梗……空狐とは三千以上の時を経た善狐のみが成れる存在。そう、悪狐では無く善狐のみが成り得る存在なのです
前世で何が起きたのかは分かりません。何故、前世でも突如として殺しを始めたのかも分かりませんが――――今は私の知りうる“桔梗”のみを話しましょう

ちゆりの言って居た意味は二つ有ります。一つは、前世の彼女を殺めたのはちゆり本人であるから
彼女が側に居れば居るほど…………長く接している間に前世での出来事を思い出し、悪狐としての性が目覚める事を危惧していたのでしょう
あの様に見えても妹として可愛がっていたのですから

もう一つは……天鬼が代々封印している妖怪の事。ちゆりが天鬼家へと戻れば、桔梗がその封印を受け継ぐ事となります。洞窟の奥深く、溶けぬ蝋燭のみが照らし出す場所
――――元々彼女は危険な存在。そして、人とは比べものにならない程の妖力も持って居る
他の者達は其処に目を付けていたのでしょう。爆弾を抱えた妖狐も其処に閉じ込めてしまえば、数百年の時は優に封印を続けさせる事が出来るだろう、と
…………今となっては、その様になっていた方が良かったのかも知れませんね。多くの者達が犠牲になる事も無かったのですから」

【ちゆりが会えないと言って居た理由。そして、桔梗が姉を探していた理由】
【例え悪狐の性を持って居たとしても、自分を姉と慕ってくれる桔梗を洞窟の奥深くに閉じ込める事は嫌ったのだろう】
【だから、自警団に入って転々としていた。――――あの日、青年に見せた冷たい視線の色合いも何と無く理解出来たか】
【理由も分からず口出しをするなと。妹である、桔梗を光が差さない場所に閉じ込めさせる事などさせない、と】
【――――今となっては、その方が櫻にとっては良かったのだから皮肉な話しだが】


「さて、貴方の意思を鈍らせるような言葉かもしれませんが…………貴方の接した桔梗は――――優しかった桔梗は、まだ確かに居ます
人を殺めることを嫌っていた妖狐は、まだ…………言ってしまえば、善狐と悪狐。今は二人の桔梗が存在している事になります
人格が、では無く。存在が、文字通りに二人が同時に存在しているのです」

【唐突な言葉だ。青年を闇に陥れようとした妖狐だけで無く――――嘗て会った、心優しい少女もまだ存在しているだなんて】
【しかし、可笑しな話し。ならば真っ先に駆けつけ、事態を収めるように努めていても良い話なのだが…………】
【その事を告げる琴音の表情も、何処か暗くて】
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/19(月) 02:17:09.60 ID:SN6Xws9vo
>>986
転生……

【流れ込んでくる言葉、予想をはるかに上回る真実を飲み込むことに精一杯で】
【まず漏れ出たのは、その一言だけだった。人ではなく、妖怪ですらなく】
【その存在を何と呼べばいいのか。彼女の声が途切れる間、その沈黙だけでは思いつくこともなく】
【また、彼女も自分を知らぬがゆえの沈黙だということまで、想いを馳せる余裕もなかった】

殺生石……初めて聞きました
呪いの石……どれほど昔かは知りませんが、今に至るまで呪いが持続するほどのもの、ということですか……

その、桔梗さんの前世の妖怪が、その殺生石を作り出した存在だと言うことですか
死に際に、自分の呪いを卵として散らして、来世での復讐を――相当な執念ですね

【どうにか、己を落ち着かせて彼女の言葉を確かめるように拾い上げて繰り返していく】
【強大な妖怪が死に際に放った呪いの卵から生まれ出でた。確かに、転生したとしか言いようのない出生だ】
【しかし、やはりあの日出会った少女がそんな大妖の生まれ変わりだとは今もって思えなかった】
【その考えを肯定するかのように、話は続く。更なる絶望と希望を秘めた話】


【ギアは、しばらくの間言葉を発することが出来なかった。彼女の前世、そして今。彼女の存在に纏わる不明瞭な点】
【彼女たちですらわからないなら、自分にわかるはずもない。それよりも、その後。ちゆりのあの冷え切った視線の理由】

【すべて、妹のように愛した桔梗のためだったのだ。それを告げることすらできず。その苦悩は、想像することさえ出来ない】
【ちゆり自身が前世の彼女を討ち果たしたというのなら、そう昔のことではないということか。それともちゆり自身も悠久の時を生きているのか、そこまではわからない】
【だが、自身が斃した相手が蒔いた呪いの種子。そこから孵化した桔梗を妹とした理由】
【先の、殺生石を壊したのもちゆり自身という話と併せて考えれば】

(壊す前に、孵化していた。生まれ出た桔梗ちゃんを見て……殺せなかった、ってことか……)

【そこまでは、何とか想像を、思考を行きわたらせた。己で殺めた邪悪な妖怪の転生体を、己の妹とする】
【そうするからには、それだけの理由があったのだろう。すなわち、孵化した彼女は、自分が最初に知った彼女であったゆえ】

【あの純真で優しかった彼女を、再び魔道へと落とさないために、会わなかったのだ】
【さらに言えば、天鬼家という封印を司る一族の存在。ちゆり自身がいくら愛そうと、桔梗が危険であることに代わりはなく】
【同時に強大な妖力も持っている。危険分子の排除と封印の持続。一挙両得、と言ったところか】

【ここが、神聖な場所でなければ崩れ落ちたかもしれない。それほどの衝撃】
【どうにか、足の震えを抑え込む。だが、それで精一杯だ。最後に姫が呟いた言葉には反応できなかった】
【そのほうが、多くの犠牲が出ずに済んだ。あまりにむごい事実は、ただギアの魂の中を乾いた音を立てて転がって行った】


――――!?
二人……二重人格、でもなく存在が……?
あの、それはどういう、いやそれよりも……彼女が、二人いるというのなら
僕が最初に会った桔梗さんは今、どこに――?

【息つく間もなく、さらなる真実。ギアは、無機質だった瞳を初めて驚愕の色に染めた】
【いったい、どういうことか。前世を思い出した結果が今の桔梗というのなら、二人存在する、などということがあり得るのか】
【そうした尽きぬ疑問をまずは押しのけ、ギアは尋ねた。善狐としての、彼女の居場所】
【今現在、この状況下で姿を現していない、ということ、そして琴音の暗い表情。少なくとも、動けない状態にあるのだろうことは察せられて】

【その居場所を琴音は知っているのか。生きているのか。まずはそれを聞こうと、逸る気持ちを抑えて尋ねた】
【更なる、恐るべき真実が待ち受けていることは、ギア自身どこかで察知しながら】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/19(月) 03:12:42.22 ID:lCPPhe1N0
「世の中は偶然で出来て居る。全ては必然である。――――私には、どちらの言葉が正しいのかは分かりませんが
偶然ならば、其れを決める神なんて碌でもない存在で…………必然ならば、其れを決めた時の流れというのは何とも残酷なものです

転生を行ってまで滅ぼしたいのか。そうしてまで行う理由など、私には考える事が出来ませんが――――
その答えなど、桔梗の中でしか収められていません
問い質す事も、書物で調べる事も出来ない話。…………いえ、或いは人外ならば知る術が有るのかもしれませんが
――――外を知らない私には、その事を調べる方法も分かりません」

【神道でも仏門でも無い。だから――――神を批判したところで、誰かが咎める事も無いのだ】
【天鬼とどれ程にまで親しく付き合っていたのかは分からないが、少なくとも封印に関する事やちゆりに関する事を話せる程度には】
【…………考えようによっては、あの変人染みたちゆりから話を聞き出している程度には親しいのか】

【前世の妖狐が殺戮に及んだ理由。その事は若しかすれば人ならざる者ならば知っているのかも知れないと告げるが】
【其れは確信めいたものでは無いし、誰が真実を知っているのかも分からない。自分が伝える事が出来るのは“今”だけなのだ】
【悪魔か妖怪か、其れに似た存在か。前世の彼女と交流を持つ者も、早々多くはあるまい】


「考えられる事は幾つかありますが…………何処かで破壊されずに残って居た殺生石が、役目を果たさんと生まれた事が一番大きいでしょう
元は一つの妖怪が母体。善狐である桔梗の行動、考え、記憶も全て伝わっていた筈です

どちらが本物かと問われれば、どちらも本物である。其れが答え。どちらも桔梗であり、どちらも前世は悪狐であった――――と
憂うとするならば後から生まれた――――今この国で暴れる桔梗が、前世の力を色濃く受け継いでいる事
先に生まれた桔梗など及ばない程に大きな力を…………私の腹心であった爺を、まるで玩具の様に遊んで滅ぼせるだけの力を持っている事」

【――――悪狐と善狐。偽物だとかの概念は無く、そのどちらもが紛れも無く桔梗】
【もしかすれば、悪狐が二匹生まれていた存在も否めないという事】
【そんな事になっていれば、今以上に櫻の国が壊れる可能性が高かったであろうし――――その二匹が手を組んだ暁には、正に悪夢】

【だが、同じ桔梗であっても悪狐たる方が力を受け継いでいる様。“爺”の名を出した時には、握り拳を作っていて】
【激情こそ見せない。だが――――その者の死は、少女にとっては何よりも辛いものだったのだろう】
【尤も、其処までは察せようともそれから先までは分からず、同時に問わない方が良い場面でもあると理解出来るか】
【まるで感情を押し殺している様なのだ。小さく揺れる拳が、其れを伝えるかの様で】


「――――…………貴方が最初に会った桔梗は、明確な場所をまだ掴めていません
ただ、一番可能性があるとすれば…………其処に見える洞です。悪狐か謀り、陥れた場所
九尾がこの場所に来襲した。その話は聞いていますね?――――その九尾こそが貴方の初めて会った桔梗であったと、九十九から話を聞きました
その話を鵜呑みにする訳にはいきませんが…………そう思わせる節も幾つかあるのです

そして、彼女の封印された洞は元は大妖を滅ぼす為の場所。四肢を拘束し、時間を掛けて存在を消していく様な場所です
……………………その封印を解く者も、最早居ません。私が死ねば、封印は解けますが――――同時に、他の洞に閉じ込めた者達の封印まで解く事になってしまう
彼女一人の為にそのリスクは大きすぎ、そして其れすらも悪狐の謀りならば詰みとなってしまうのです
九尾ならば、直ぐに滅びる事は無いかと思いますが…………逆に其れが、痛みを長引かせているだけの結果となっている可能性も否めません
――――方法は模索していますが、やはり……まだ…………」

【新聞等でも各国に伝わったであろう話。封魔城に襲来した九尾が、その場に集った者達によって無事封印された事】
【――――然れど、其れは悪狐の謀りであったのだと。その後は桔梗が姿を現し助けに来てくれた一行に牙を向けた事】
【今は洞に封印されている九尾こそが善狐たる桔梗である可能性が高い事】
【――――その洞に施された封印を解く術が、未だ見つからぬ事。隠す事無く、全てを伝え】

/っと、申し訳無いですが持ち越しの方大丈夫でしょうか……!
/今日の午後十時から十時半には再開出来るかと……!
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/19(月) 03:15:12.44 ID:SN6Xws9vo
>>988
/了解しました。こちらも、その時間でしたら来られるかと思います
/それでは、いったんお疲れ様でした!
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/19(月) 03:18:36.70 ID:lCPPhe1N0
>>989
/有り難うございますですよ!お疲れ様でありましたっ!
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/05/19(月) 19:21:41.38 ID:oNtqtMdqo
【路地裏――】
【以下にも小悪党と言わんばかりの男が、何者かに顔面を掴まれて持ち上げられていた】

「……ククッ、俺様に敵うとでェも思ったのかァ?」

【持ち上げている者、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「遊んでやっても良ォいが、俺様は今、"アビスゲート"の足ァりねェ材料を探しているんでな……」
「他の地ィ域に植ゥえていた"ベテアシードリノス"まァでもがどォんどん伐採さァれている……いィや、そォれ自体には別に問題はねェーが」
「まァー、もォー少し待ァって貰いたかったってとォころよ……混沌の為にはな……材料の質が落ォちるんでな……んゥじゃ、"一旦"くゥたばっておォきなァァアアッ!」

【その者は男を掴んだまま跳躍し、そして男を地面に叩きつける――響くは、鈍い音。散るは、新鮮な血液。】
【これは間違いなくクリーンヒットだろう、常人ならば良くて脳挫傷、最悪死に至っている恐れすらある】

【その者の顔は、大小様々な数々の罪によって指名手配されている悪魔、邪禍に非常によく似ていた――】
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/19(月) 20:18:50.01 ID:SN6Xws9vo
>>988
僕にもどちらが正しいかなんてわかりませんし、神様や時の流れを今更責める気にも……
どっちにしろ、目の前の事実は変わらないですから……

人ならざる者……外の世界でも、自分から会おうと思ってそう簡単に会える相手ではないですよ
どう調べればいいのか、なんてとても……
(外に出たことがないのに、これだけ事情を知ってる……天鬼の家とは、相当密接な関係、なんだろうか)

【魔を封ずる城の主ですら、恨みを向ける神にも、ただ流れるばかりの時にも、今更何が言えようか。部外者たる人形ごときに】
【琴音が疑問を向けた闇の中の真実だとて、無力な己に出来ることなどあるのか】
【乏しい伝手を頼って探し回れば、あるいは可能性はあるかもしれないが、それでわかるなら彼女らがとっくにやっているだろう】

【故に、人形にも今≠ノ目を向けることしか出来ない。彼女が天鬼の事情をこれだけ知っている立場にあることや】
【今わかっているもう一つ、二人の桔梗についてのことに思考を巡らせることしか出来ない】


……つまり、彼女らはそれぞれ別々の殺生石から生まれたんですね
元が一つだから、僕が善狐の桔梗さんと会ったことも知っていた――比喩ではなく、二人同時に存在する。その意味はわかりました

後の方の桔梗さんとは、僕も会いましたからわかります。その力が、どれほど恐ろしいものかは――
(腹心……この間の戦いで、城側に戦死者が……)

【同じ大妖から転生した二体。まさに、どちらもが桔梗≠ナあるのだろう。それが善狐と悪狐に分かれたというのは】
【なんと感想を述べていいか、わからぬ事態。二匹の悪狐、という更なる悪夢の可能性すらあったというが、今この時も、十分な惨状】
【それが証拠に、眼前の彼女は握りしめた拳を震わせていた。気圧されるほどの威厳を持つ彼女が】
【爺≠ニいう人物は、きっと彼女が心許せる数少ない存在だったのだろう】

【何も知らないくせに。そんな言葉が胸中に浮かび、人形は彼女の震える手に何かを問いかけることはなかった】


洞……? ええ、ここで起きた一件については、報道もありましたから……
ここに来たのが、あの桔梗さん――!? その九十九の方は、僕は知りませんが……可能性はある、ということですか

――つまり、この城の本来の目的たる妖怪の封印と消滅のための場所
現状、誰も死せずに彼女だけをこの封印から解く方法は見つからず、このままいけば、彼女はこの中で……

【事ここに至っては、驚くほど冷静に生き人形は事実を受け止めた。彼女が語ってくれた、全てを】
【悪狐が暴れ回り、善狐は封じられ、ただ犠牲者が増えていくばかり。この中で、自分にできることなどあるのか】
【あるとすれば、あの悪狐を討ち滅ぼす一助となるべく、また戦いに身を投じるくらいか。いずれ、悪狐との決戦が起きることは目に見えている】


……話してくださって、ありがとうございます。知りたかったことは、知ることが出来ました
知ったところで、僕に出来ることなんてほとんどないということも……

ただ、悪狐と戦う時が来て、貴女方がそれを主導するなら、僕の参戦も許してはもらえませんか

【だから、現状己が出来るだろうことを口にした。それでも、あの強大な力を前にしてはどれほどの足しになるかわからないが】
【まだ可能性のあることではあったから。す、っと洞に向けられた人形の瞳はやはり、無機質としか見えないだろうものだった】

/お返ししておきます
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/19(月) 22:08:51.96 ID:lCPPhe1N0
>>992
「――――彼女と戦えば、死ぬ……その結果だけで済まない可能性があります。寧ろ、その可能性の方が大きいでしょう
腕も足ももがれ、動く事も出来ない中で行われる地獄の責め苦。死ぬ事も出来ずに数百年以上も続く其れ
彼女ならば、嬉々として行う事でしょう。或いは悪趣味な見せしめとして扱われるかもしれません」

【淡々と語られるのは、冷たい現実だ。あの妖狐であれば、殺さずに屈辱を与えたまま生かす事は造作も無い事だと】
【抵抗出来ない様に身体を抉られ、死ぬ事も出来ないままに悠久の時を迎える】
【――――余りにも冷たい口調だ。だが、忠告の意味を含んでいるのだから其れも当然】
【其れで怖じ気付いたならば戦うべきでは無いのだ。恐怖は其れだけ実力を鈍らせ…………桔梗相手ならば、致命的ともなる】

【答えがあろうと無かろうと、暫しの間が置かれて。「しかし」と紡がれたのは数秒後の事】


「それでもまだ覚悟が鈍らないのでしたら、私は貴方を歓迎します

これ以上櫻の国をあの妖狐の好きにさせない為にも――――これ以上、命を散らせない為にも
何よりも、その意思を抱いたまま参戦してくれる方は心強いのですから
力も、確かに必要です。ですが…………何よりも必要なのは、折れない意思

あの妖狐を滅するという気概です。それが無ければ、きっと無力にも等しいでしょうから
――――ギア・ボックス。貴方はそれだけの覚悟がありますか?」

【先程とは、打って変わった様子。穏やかな口調と共に訊ねられるのは彼の覚悟】
【本当に、それだけの意思を抱けるだろうか――――困難に砕けないだけの意思を持つ事が出来るか】

【無かったとしても非難は当然される事では無い。その戦いは、強制では無いのだから】
【この問い掛けが今宵で尤も大切な意味を含んでいて。開門の時間も終わりに近い。だからこそ、最後に問うたのだろう。彼の心を】
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage saga]:2014/05/19(月) 22:17:38.56 ID:Uvy0t4bAo
【黄昏時・とある隠れた入り江にて】

【潮騒の音が耳に心地よく、暮れなずむ夕日が目に焼き付くような一幕】
【細い崖道を行かねばたどり着けないこの地は、ちょっとした観光スポットである】
【いま、まさにという夕日と――それから朝日とが、実に綺麗に見え】

【そしてかつては海賊の隠れ港だったとか、今でも危うい取引に使われるとか】
【そういう噂と、妙な人気とがあるこの場所なのだが――】

フッ……ふふふっ、わざわざ呼び出すんだからどんな仕掛けかと思ってみれば
こんな玩具みたいな罠で誅滅¥o来ると本気で思ったのかしら?

あの団長サマといい……宗教信じてる人って、バカしか居ないのねぇ…――?

【――数日前、近隣の街にこんな札が立てられ、ちょっとした話題になった】
【『某月某日何時其処にてアンジェル・ベルジュロンを待つ―騎士某』】
【つまり、ちょっとした敵討。それも抜け駆けのようだが――結果は、ひと目で分かるだろう】

【入り江には夕日の明かりとは違う朱がじんわりと滲みを広げていて】
【その中央にはぷかりと浮かんだ血染めのローブ。もっともやがてはそれも沈み】

【残ったのは、その手に汚れた刀を持つ朱色の髪の女である】
【露出した肌と――首筋にはカノッサ機関を表す逆五芒星≠フ刺青が覗く】
【返り血を浴びた姿は凄惨とも妖艶とも言えず――気配を感じれば、そちらに空色の瞳を向けた】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/19(月) 23:01:41.54 ID:SN6Xws9vo
>>993
【想像した。四肢のない自分を、晒し者にされた自分を、死ぬことも許されない自分を】
【そこまで考えて気が付いた。自分は死んでいる。とっくの昔に】
【たかが人形一つ、今更地獄を恐れることなどあろうか。それよりも】
【無力のまま終わることのほうが、よほど恐ろしい】

【冷たさすら感じる彼女の言葉はしかし、見ず知らずの自分への忠告というやさしさも含んでいるように思えて】
【それほどまでに、あの妖狐は恐ろしい。彼女の言うことが決して比喩や誇張ではないことが、一度対峙したギアでもわかるほどに】

【だが、それでも。すう、と顔を上げれば、先に彼女の声が飛び込んできた】


――ありがとうございます

覚悟は、あります。どうあっても、あの妖狐を斃さねば僕自身が納得できません
どんなリスクを背負おうとも……僕はあの妖狐を[ピーーー]ために、全力を尽くします

【彼女の穏やかな口調に、返ってきたのは。やはり、乾いた声だった】
【確かに、覚悟ではある。困難を前にして、折れない意志はそこにあった】
【無機質な青い瞳は、まっすぐに彼女を見つめ、声音は乾いてはいるがはっきりとしたもの】

【もっとも重要な問いかけに、確かな覚悟をもって答えた。だが。その瞳の奥】
【昏い。たった一点、わずかではあるが。本人も気づかないほどではあるが、昏かった】
【覚悟と共に、意志と共に。昏い殺意の光を灯して。そのすべてがこの人形の内に宿る魂】

【だが、目はやはり逸らさない。生き人形は、覚悟はあると。彼女の目を見て、そういった】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/05/19(月) 23:31:44.11 ID:lCPPhe1N0
>>995
【――――ただ勢いに任せて言った言葉でも無い。その事を確認したならば、小さく頷いて】
【あの妖狐が次に何時大きな事を起こすかはまだ分からないが…………きっと、そう遠くも無い筈】
【また多くの者が死に、ただ戯れのだけに惨殺される許す事の出来ない殺戮】


「分かりました。では――――その時が来たら、貴方の力もお借りしましょう
ただし。その内の闇に飲まれる様であれば…………貴方もまた、危険な存在と成り得る
ギア・ボックス。怒りや殺意は確かに力を高めてくれますが…………その後に訪れるものは、殆どが悲惨な結果です
その事だけは、忘れないで下さい」

【瞳の奥に宿された感情も、漆黒の双眸は見抜いたのか。――――だが、本人が自覚していなければその言葉とて耳に留まる様な物でも無い】
【あくまで警告だ。彼の心情は知り得ないのだから、その警告すら正しいのか分からないが】
【それでも――――危うさを秘めたその目を見て、言わずには居られなかったのだろう】

【頃合いを見計らったように家臣の一人が琴音の側に近寄れば、何やら耳打ちをして】
【返した言葉は、時刻の確認。――――気付けば、もう門を閉じる時間だ】


「――――何れ、櫻のみならず各国の方々の協力も求める形で依頼を出すかと思います
彼の悪狐討伐に関しての事を

…………その時まで、どうか無事で居て下さい。決して闇に飲まれる事が無い様に――――」

【其れが、今宵の別れの言葉。やがては家来の一人が青年に近づき、門の外へと案内する事だろう】
【今宵の言葉が果たして何か生み出すのかは分からないが。ゆっくりと門は閉じられて】
【――――その最中。扉が閉まる前に、頭を下げた琴音が見えたかもしれないけれど…………だから、何が起きる訳でも無く】

【九尾の存在。妖狐の存在。悪狐と善狐。――――未だ、明確には見えずとも】
【無情にも時は流れて行き…………やがては、何時の日か桔梗が大殺戮を行うその日が訪れる事だけは間違い無い】

/っと、この辺りでしょうか!お疲れ様でありましたっ!
/お相手、有り難う御座いましたですよー!
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/05/19(月) 23:56:31.00 ID:SN6Xws9vo
>>996
はい。全力を尽くします
……以前、同じことを友人に言われました。闇に飲まれるな、と
肝に銘じておきます。ご忠告、感謝します

【全てを見透かすがごとき黒い瞳。まだ理性は残っている。彼女の言葉を意識の中に留めようとする】
【――その警告が正しかったことは、恐らくは遠からずわかることになるだろう】
【この人形は、すでに背負っている。悲惨な結末へと繋がる道へ、進まざるを得ない宿命を】

【だが、それは今は本人も含めて誰も知らず。告げられたのは、今宵の終わり】


……はい。その時が来れば、きっと馳せ参じます
その時まで、この意志を折りはしません

【深々と頭を下げると、生き人形は踵を返し。進み出た家来に続いて、立ち去るだろう】
【門を出れば、案内してくれた家来に頭を下げる。頭を上げれば、門がまさに閉まるところだった】
【こちらへと頭を下げた琴音を最後に、門は閉じる】

【ゆっくりと振り向いて、乾いた足音と共にギアは立ち去った】
【自身もまた、暗闇の閉ざされた道のりを歩んでいく。その先に、果たして妖狐はいるのか。今はわからない】

/二日間のお付き合い、ありがとうございました!! お疲れ様でした!
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/20(火) 10:11:13.13 ID:Lygg31F00
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/05/20(火) 10:11:26.36 ID:Lygg31F00
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2014/05/20(火) 11:22:35.70 ID:zsXBLUJZo
埋めです
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
QB「冷静に考えると魔女まどかの規模が地球レベルじゃ収まらない…」 @ 2014/05/20(火) 11:04:32.50 ID:plNmN7Fa0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400551462/

モバP「おい」バッ @ 2014/05/20(火) 10:49:47.24 ID:VJmuTErco
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400550577/

春介「あたしのパパは女なんだ。ママも女だけどね」 @ 2014/05/20(火) 07:15:15.62 ID:pObsRQfbo
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少女「ただの居候です」 @ 2014/05/20(火) 06:05:04.45 ID:43HFqyG10
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海江田四郎vs千早群像 @ 2014/05/20(火) 04:53:24.78 ID:yp+3eLlL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400529194/

sisTar Blueberry  @ 2014/05/20(火) 03:46:30.81 ID:EjU5M4Bto
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喜多見柚「とらいあどぷりみゅず!」渋谷凛「かわいい」 @ 2014/05/20(火) 01:55:44.71 ID:m7N/0nrso
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男「うちの猫が死んだ」 @ 2014/05/20(火) 01:38:30.84 ID:WXLYWeAX0
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