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【あなたは】能力者スレ【好きですか?】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/06/14(日) 21:43:30.06 ID:xU0FFoxyO
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・新規の方から「誰が誰だかわからない」等の要望があったため、議論の結果コテハンは「推奨」となりました。強制ではありませんが、一考をお願いします
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1431794719/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/14(日) 22:47:04.98 ID:Cq3ItzAs0
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2015/06/20(土) 19:25:58.39 ID:TJYoW3Hjo
>>1乙です!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/20(土) 20:27:45.21 ID:sbskTTfB0
>>1乙、と言う!
5 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/20(土) 20:31:27.74 ID:NUbL3O9oo
/>>1乙です!!

前スレ>>995
あいよ、お互いに命は大事にしようや。じゃあな
(ムク……? なんか聞き覚えのある名前だな……)

【産まれた違和感は、今は気にする余裕もなく。スカーベッジは、ただ挨拶の身を返して歩を進めた】

前スレ>>997
【ふと、気付く。観察力にも優れているだろう、刑事たるアルフレドが自分に気が付かない理由】
【この少年だ。リチャード・トラヴィス。自身の雇い主。彼が、まるで自分の壁になるかのように】
【雇い主は彼なのだから、おかしいとまでは言えない。だが、なんとも言えない違和感を、スカーベッジは拭い切れなかった】


いやいや、足引っ張るのが怖いのはこっちこそだ。俺もGIFTなんてやばい組織を相手にする仕事は初めてでね……

【同じく、緊張の色が滲む言葉をイスラに返す。緊張は嘘ではない。正体がばれる可能性。GIFTと殺し合いになる可能性】
【背負うリスクだけ言えば、他のメンバーより上かもしれない。緊張も当然と言えた】

【カメラと共に、シューティンググラスの奥の鉛色の瞳が通路の様子を映し出していく】
【左右のドアのうち開いているものを一つ一つ覗いていくが、いずれも、もぬけの殻】
【非戦闘員の避難跡、という推測を立てる。しかし、その全てを調べる余裕はないようだ】

ん? 奥……ここか。なるほど、いかにもって感じだな……。実験室、ってやつか?

【開け放たれた機械扉を慎重に覗き込む。鍵のかかった大扉。盗賊にとっては、見慣れた光景だ】


了解だ。さて、誰かに出くわさないうちに、ここを調べておくとしようか……

【小声でイスラに返事をしつつ、スカーベッジは相変わらず音を殺したまま行動を開始した】
【灰色の瞳が、改めて部屋の中の様子を見渡す。目につくものが複数。どこから調べるか】
【奇妙な薬物。実験生物。カメラにもそれらが映し出されるだろうか】

【シュペアーは、実験動物たちがいる左側へと足を向けた。下手に刺激しないよう、ゆっくりと移動する】
【実験動物たちの方に視線を向けながら、移動するのは左手最奥のデスク。その上の資料の束を】
【ひっくり返しながら、その文面を読もうとするだろう。当然、カメラの向こうのイスラもそれを見ることになるはずだ】

【同時に、デスクの上を探り、奥の機械扉の鍵がないかどうか探してみる。いずれも、盗賊ゆえのなかなかの手際だ】
【周囲にも意識を配りつつ、普段通りの盗賊仕事をスカーベッジは実行していった】
6 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 20:36:00.10 ID:TJYoW3Hjo
>>前1000(ワザワイさん宛)

【――その場の誰もが息を呑んだ。管理人も、イスラも。平然と刺殺体を盾に攻撃を避ける"能力者"――同類の姿に】
【管理人は果たして何を思ったのだろうか。それは最早察することができない。先も述べた通り彼は非戦闘員なのだ――】
【死体を手に近寄ってくる子供の姿に恐れ戦いて動けない彼が、石突きでの殴打を避けられる道理はなく、瞬時に意識を失った】


「ワザワイちゃん……あなたは………。殺したり殺されたり、そういうことに何も感じないの?
 ――あ、いえ。えっと、とりあえずカードキーを回収して、コンソールを調べてみて。どこかにそれを挿す場所がある筈だから……」


【ぽつりと、イスラが漏らす。彼女も一応SCARLETの人間だ、ワザワイの姿に恐怖はしても戦くことはなかったけれど――】
【そこから先の疑問は、完全に私情であった。その歳で、"殺し合い"になんの感情も抱かないのか、なんて。無意味な問いだ】
【もちろんワザワイに答える義理はない。……イスラもすぐにそれに気づくと、仕事用の口調に戻って、ワザワイに指示を出すだろう】

【イスラの言うとおりコンソールを探ってみると、操作盤の下に細長い穴がある。そこがカードキーの挿入口で間違いない】
【男から奪ったカードキーを入れると電源が入り、周辺の地図といくつかの機能が画面に表示されるだろう。――かなり専門的で難解な内容だ】
【イスラに操作方法を聞いてみるでも良いし、何なら適当に弄ってみるでも良い。そこは、やはりワザワイの自由で……】
7 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/20(土) 20:37:50.52 ID:KwRdsvvdo
>>998

「構わんよ、初めからそういう事態を想定して常に人間一人引き連れちょるんじゃあ」

オマエが引き連れる側なん?つか、それさぁ
オマエ本人がくりゃあよかったんじゃねえの?……あ、そっかそっか!オマエはそれできなかったよな!いやワリィな忘れてたわ!


【先の言葉は一度ムクの口元までインカムを近づけながら発言してもらった後、付け直したフレッドが皮肉交じりの軽口を飛ばし始める】
【フレッドの軽口に対してムクはきっ!と睨んでおいて、一通り威嚇したら探索を続けるだろう】
【ちらほら見かける小部屋を一つ一つきょろきょろと目を動かして確認しながら歩いていくうちに作戦会議室に到着する】

【切断されたモニターのケーブルを眺め、地図と資料の方向に目をやった後最後にムクの方向に顔を向け】

―――……このモニター、中身覗けるかぁ?

「あいにく畑違いじゃのう、科学関係はあくまでかじっちょるレベルしか知らん」

そーか、かくいうオレも厳しい。ロボット動かすのなら得意なんだがなあ……
ま、そういう事ならとりあえずアナログ方式で調べてみるか?あの地図と資料の文字位なら……



「―――待てフレッド。……その紙の山辺りが『臭う』。化学薬品の匂いじゃのう……念のため"金剛"を付けてから手に取れ」


【―――横目でムクの忠告を聞いたフレッドは、くすり、と笑いながらパーカーのポケットから一組のグローブを取り出す】

【拳の所が赤い皮で覆われたオープンフィンガーグローブになっている他は銀色の金具で覆われた『籠手』のような性質】
【『金剛』―――かつて大山 無玖が少年時代に開発し作り方をその友人に教えたフレッドお気に入りの装備である】
【ちょっとやそっとの銃弾や爆発ならしっかりと手元を守ってくれるその籠手を装備したフレッドは慎重に資料を手に取ろうとするだろう】

【一方、ムクの方は多数の人間の残り香を気にしたらしく出ていった方向に少しずつ近づき始めている、そちらの方から何かが来てもすぐにフレッドに知らせられるようにだ】
8 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 20:51:29.18 ID:TJYoW3Hjo
>>5

【左側最奥部のデスク。上に置かれている餌や水の類に関しては調べる価値も無さそうな平凡なものばかりだ】
【となれば、シュペアーの狙い通り。必然的に、問題となるのは放置された資料の中身となるわけだが――】
【内容は専門的すぎてなんとも言えないものの、『GIFT Lab』、『レイリスフィード』と『ヒュドラ』という固有名詞が異彩を放っている】


「『GIFT Lab』というのは、恐らくGIFT内の研究機関のようなものなのでしょうね。
 この文面を見る限り……彼らはそこの子たちを使って、『ヒュドラ』の投薬実験を行っていた、みたいですね。

 ――それにしても、この『INFINITY』というのは一体……?」


【ぽつり、とイスラが呟いて、ひとつの推察を立てて見せるだろうか――――】
【彼らはどうやら、組織内に独自の研究グループを構えていたようで、ここで二種の薬物の研究をしていたようである】
【『ヒュドラ』――各種麻薬と併用して服用させることで、能力を"暴走状態"にすると同時、服用者の精神を錯乱させるという「能力者を壊す」ためのクスリ】
【例のレイリスフィード大学が作っていたらしいクスリだ。近場にある実験動物たちは、その投薬実験に使用されたのだろうけれど】

【ただ――"能力者"にのみ効力を発揮する『ヒュドラ』を、動物などに投与して何か意味があるのか?】
【その疑問を解決できるかもしれない手掛かりとして、この資料には、もう一つの"クスリ"の存在が示唆されている】

【――『INFINITY』。文面を見る限りでは、レイリスフィードとは関係なく、元々GIFT内で開発・研究していたモノのようだが】
【資料が歯抜けになっていて、それ以上の事が読み取れない。……この部屋をもっと調べれば、そのクスリについての情報も出てくるだろうか】


「……あ、シュペアーさん、それっ! それが多分『扉の鍵』ですよ!!」


【なお、それとは関係なく――"盗賊の勘"とでも言うべきなのか。シュペアーはいきなり"当たり"を引き当てたようである】
【資料の間に、何かカードのようなものが一枚だけ挟まっているのに気づくだろうか。どうやら"カードキー"のようだ】
【室内の大きな機械扉の横には、よく見るとカードリーダーがある――これで、次の区画へ進むことができるだろう】

【……ただ。実験室内には相変わらず人の気配はない。入り口から入ってくる様子も、奥の区画から戻ってくる様子もなく】
【もう少しこの実験室内を調べる時間もありそうだ。先に進むかもう少し探索するか、それはシュペアーの判断次第であるけれど、】


「どうしましょう、シュペアーさん。この部屋にはまだ情報が残っている可のう、性、も……あれ、シュペアーさ、ん?
 何か通信機の様子がっ、声も映像もっ、シュペアーさん、聞こえますかっ! シュペアーさ――――、」


【――シュペアーは。いや、スカーベッジ・トラーシュはそこで、別の事態にも注意しなければならない】
【インカムの音声に突如としてノイズが走るのだ。必死で呼びかけるイスラの声もむなしく、やがて遠くなって】
【ブツン、と。イスラとの通信はそこで完全に途絶してしまうだろうか。――もちろん偶然の故障とは考えづらい、十中八九ジャミングの類のはずだ】

【勿論、GIFTが彼のためにこんなことをしている訳がない。恐らく扉の奥の区画で、何かが起きているのだ――】
【この状況、スカーベッジとしては有利なのかもしれないけれど……進むにせよ調査を続けるにせよ、危険が高まったのは間違いない】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/20(土) 20:51:45.32 ID:sbskTTfB0
>>6
【気を失った管理人の白衣を剥いでちゃちゃっと動き封じて猿ぐつわを作ってくわえさせつつもイスラの言葉に答える】

「うーん、どうなんだろ?」
「リーベおねぇちゃんもそういう事言うけど良くわかんないんだよねー」
「でもあんまりしない方がいいんでしょ?」

【等と質問を笑顔で質問で返すこの少年、今でこそ姉にエスパスの名を与えられて割りと普通に生活しているもののそれまでは路地裏で追い剥ぎをしていたストリートチルドレンであり誰が呼んだか『犬神・ディザスター・ワザワイ』なんていう縁起の悪い極みみたいな名前で呼ばれていたのである】

「ととと、これかな?」

【奪ったカードキーを使ってコンソールを起動させる】
【『ザ・なんか格好いい機械』に感嘆の声を上げつつ適当に操作する】

「メインサーバーにアクセス…このカードの持ち主のIDで……」

【口に出しながらカードの所有者のIDのログを見ていく】
【そして個人的なスイーツの食べ歩きからワザワには理解できない言葉や数式の羅列、『クグツ』の設計図等も片っ端から写していく】
10 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 21:08:32.38 ID:TJYoW3Hjo
>>7


「……インカムの音響からも、まだ主だった動きは観測されていません。ムクさん、そちらはどうですか?」


【周囲を警戒し始めたムクに、アルフレドも情報を付け足すだろう。多数の人間の残り香だが――】
【やはりこの部屋には希薄だ。恐らく少し前に、研究員達がここから資料を持ち出して外へ出て行き、二人とすれ違いになったのだろう】
【であれば――今のところはだが、敵が戻ってくる様子はないはずだ。しばしここの探索に集中できそうである】

【一方、壁に掲示された資料だが……内容はどうやら、GIFTが追いかけている"何者か"の目撃情報をまとめたもののようである】
【その人物は主に水の国国内、"アトラヴェル"という街の周辺で確認された例が最も多いようだが……未だ確保されていないようだ】
【一度は追い詰めたが、確保に向かったGIFTメンバーを返り討ちにして逃げ果せたり、"別の何者か"の介入により逃がしてしまった例もある――】


「……どうやら、『鍵』と呼称されている例の少女のことのようですね。
 まだGIFTに確保されていない、というのは朗報ですが―――彼女を助けている"別の何者か"というのが、どうにも気になります」


【フレッドとムクがこれを知っているかは分からないが、事前に自警団の報告書に目を通しているか、アルフレドの説明を聞けば分かるだろう】
【資料と一緒に添付された、顔写真と身体的特徴。――これはGIFTが、マリオン・リヴァーズがずっと追いかけている"ある少女"の情報だ】
【全身真っ白で色素が欠如したような見た目の、十代前半らしき見た目。奇妙な『言語』と『歌』を使い、水を操る能力を持っているらしい】

【――ともあれ。この少女がなぜ『鍵』などと呼ばれて追い回されているのか、まだ自警団や警察にも謎な部分が多い】
【もしGIFTに捕まれば、どういう"使い方"をされるのか分かったものではない。まだ無事だと分かっただけでも収穫だが――】
【その少女を助けている"誰か"がいるというのは、警察官でありSCARLET隊員であるアルフレドも、初耳の情報のようだった】


【そして。それにフレッドが集中している間に……背後で微かな"物音"が響くだろうか。気づくのは、フレッドが先かムクが先か】


『――――う、うぉおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!』


【――次の瞬間。例の紙の山の下から研究員風の男が飛び出し、フレッドへ拳を振り上げて殴りかかる……!!】
【狙いは後頭部。ただ動きは緩慢で素人じみている――ムクを完全に見落としている迂闊さを見ても、恐らく戦闘員ではない】
【化学薬品の臭いは彼の白衣に染み付いたものだ。この男、戦闘の出来ない非力な"研究員"というわけである】
【……それだけならば、フレッドに掠り傷すら与えられまい。大体ムクに見破られて自棄になって飛び出すあたりがなんとも素人じみていて】

【しかし――もしそれで、フレッドやムクが油断してしまったならば、危うい。フレッドがではなく"別のモノ"が】
【ここは、GIFTの居城なのだ。出会う者のほとんどは"能力者"と見た方がいい。その点を二人が承知しているならば】
【この男の目的がフレッドへの攻撃ではなく、こっそりと後ろに突き出した左手、そこから噴射される"炎"にあることに気づけるだろう】

【炎の向かう先は、いま自分が埋もれていた紙束。捨て身の特攻でフレッドの気を逸らし、その間に何らかの証拠隠滅を図るつもりだ!】
【燃やしてしまわなければならない何か……見られてはまずい何か紙の山の中にあるのだ。守ることが出来れば、重要な情報が手に入るか――】
11 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 21:18:54.89 ID:TJYoW3Hjo
>>9

【『犬神・ディザスター・ワザワイ』については、残念ながらイスラは知らない。けれど――"その手"の想像することはできた】
【今は探索任務の最中だ。色々と思うこともあったけれど、イスラもそれ以上は追求しないだろう】
【ただ、「あんまりしない方がいい」という台詞には少しだけ安堵を見せ、「うん」と軽く肯定して見せるはずだ】


「えっと……ワザワイちゃん、こういうの意外と得意なんだね。
 ちょっと待って。そこのログ詳しく見せて。えっと、次はそっちを操作して……」


【それはともかく。意外にも手慣れたワザワイの手つきに驚きつつも、彼が引き出した情報をイスラが捕捉していく】
【ただし。持ち出されてしまった後なのか、残念ながら『クグツ』の設計図は見つからないだろう。その代わり……】
【イスラと協力してコンソールの機能をすべて引き出せたなら、この後の"目的地"と、二つの機能が明らかになるだろう】


「えっと……下の工場区画の先、大きな扉があります――どうやら≪研究区画≫みたい。
 何か機密情報があるかもしれないし、例の"端末"のプロテクトを外そうとするならそこそこ大きい設備が必要のはず。
 どちらにしても、かなり怪しい場所だね………ワザワイちゃん、次はあそこに行ってみよう」


【――まず。引き出した地図データから、下層の工場区画の奥に≪研究区画≫があるのがわかる。扉はここからの操作で解錠可能だ】
【かなり設備の充実した部屋らしい。奪われた端末を探すにせよ機密情報を探すにせよ、次はあそこを目指すことになるだろう】
【それに関連して、イスラの指示通りコンソールを操作すれば、その権限により周辺のセキュリティレベルを数段低下させることに成功するはずだ】
【危険を侵して管理室に突入した甲斐はあった。これによって、これから≪研究区画≫に入るにあたって襲われる確率は大きく下がる――】

【それから、コンソールにはもう一つ機能がある。ここから"警報装置"を作動させ、警報を鳴らすと同時に下の工場の生産を停止させることが可能なのだ】
【鳴り響く警報で工場区画にいた警備員の注意を逸らして安全に進むことができるし、『クグツ』による増援の可能性を絶つことも可能である】
【ただし下手に触ると、これから進む≪研究区画≫の中の人間に気づかれる恐れもある――これを使うかはワザワイの判断次第であって】


【いずれにせよ、ひととおりの操作が終わればもうこの部屋に用はない。他にめぼしいものもなさそうだ】
【地図データを見ていれば≪研究区画≫まで迷うことはないだろう。下層の工場区画の奥の方で巨大な機械扉が開いているのがかなり目立つ】

【もし"警報装置"を作動させていない場合は、まだこの区画に戦闘員がひとり残ることになるが……】
【そのまま隠れて≪研究区画≫に直行するか、念のため倒してから行くか。それもイスラではなくワザワイが判断することだ】
12 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/20(土) 21:30:10.37 ID:NUbL3O9oo
>>8
【餌や水にそれほどの価値がないとわかれば、早々に意識から外す。取捨選択も、盗賊には必要だ】
【手元の資料に目を走らせるが、こういったことは門外漢。ただ、それらの固有名詞は確かに頭に刻む】

だろうなあ。GIFTほどの組織なら、研究に専門機関を作ってももおかしくない
ここは『GIFT Lab』の研究施設ってことか……『ヒュドラ』といやあ、例のレイリスフィールド学園の事件で話題になったやつだったな

『INFINITY』ってのは、ちょっとこの資料だけじゃ足りないようだ……
ここが『ヒュドラ』の実験の為の部屋だってんなら、この資料が一緒の場所に置いてあるってのも妙な気もするな……

【ぶつぶつとつぶやきながら、スカーベッジは資料をいったん横に置いてデスクを再び物色する】
【と、幸運と自身の眼力が味方したらしい。懸念であった鍵は、不用心に放置されていた】

おおっと、どうやらそうらしい。こいつは幸先がいいな
これで、あの扉の奥を拝めるってわけだ。だが、シャルディさん。あんたの言う通り、ここにまだ何か残ってるって気もするな

時間は無限ってわけじゃない、さあてどうするか……――――!?

おいどうした!? シャルディさん!? ああ、まだ聞こえるが……いやダメか……
シャルディさん、おいシャルディさん!!?

【カードキーを拾い上げ、さてこれからどうしようかと思考を巡らせた矢先、それは起きた】
【ノイズ。こちらからも慌てて呼びかけるが、徒労に終わる。さすがに、この事態には戸惑いを隠せない】
【だが、やがてブツリと音がすれば、騒ぐのを止め。普段の盗賊の目になって、部屋を改めて見回した】

……期せずして、チャンス到来ってか
その分リスクも背負い込んだがな……原因は、あの扉の向こうかねえぇ……

さあて、ひとまずは……

【スカーベッジは、この事態を正確に把握する。好機であり、危機。監視は外れたが、完全な孤立だ】
【ともあれ、出来ることをせねばならない。まずは、今しかできないこと、すなわち盗賊仕事を始めることにする】

【まずは、カードキーをベストにしまい込み、資料の束をひっつかんで部屋の右側に早足で向かう】
【異変が起きなければ、右側の薬品を収めた棚に到達するや、まずは一番目立つ白い粉の詰まった袋をいくつかひっつかもうとする】
【成功すれば、それらをベストから取り出した袋に放り込み、それを腰に装着して落ちないように固定しようとするだろう。監視があっては出来なかった窃盗だ】

【続いて、資料を床に広げ、懐から取り出した携帯端末でその文面を撮影しつつ、手術台と右側の薬品棚】
【さらには、先ほどのデスク、とそれら酸方向に向けて、空いている手から錆び色のワイヤーを放出しようとするだろう】
【生き物のように蠢くワイヤーで、それら三か所を手探りに探ろうとするだろう。目は向けていない以上、探索の精度は悪いが】
【少しでも気になる感触があれば、ただちにワイヤーを巻き付けて物体を手元に引き寄せようとするはずだ】

【『INFINITY』の資料、あるいは本体。他の鍵。その他、薬品。何でもいい。何か有用なものを】
【盗賊らしい欲深さを反映した、一度に複数の場所への探索。その分、周囲への意識は散っている】
【果たして、成果はあるのか。知らぬうちに、スカーベッジの額には汗がにじんでいた】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/20(土) 21:32:22.29 ID:sbskTTfB0
>>11

「えへへ、褒められちゃった♪」

【そして二人でサクサクと作業をこなして施錠を解除する】

「さてっと、もう他に何かあるって訳じゃなさそうだねー」

【そういって最初にあやめた警備員のマシンガンを拾う】

「うー、ここで警報を鳴らしてもいいけど絶対に気づかれちゃうよねー、僕の他にも一緒に来た人達もいたし…ま、いっか♪」

【警報装置を作動させると他の増援が来ない内にとばかりに床をスケートリンクのようにツルツルに凍らせて全速力で目的地を目指す、工業区域の警備員が此方に気づくかどうかは運しだいである】
14 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 21:51:59.41 ID:TJYoW3Hjo
>>12

【孤立無援の状況――逆に言えばやりたい放題とも言えるか。スカーベッジのすべての行動を阻むものは何もなかった】

【まず、右手側最奥の棚。保管されている薬剤の瓶や袋には名称らしきラベルが貼られているのが読み取れるだろう】
【『ヒュドラ』と。棚の下の方にある粉や錠剤の入ったケースのうちいくつかには、その名称が残っていたが】
【そこから上の棚には、意味不明な数字の羅列が貼り付けられた薬物が多数。名前から効果が読み取れるようなモノは殆どない】
【それらも『ヒュドラ』と一緒に置かれているのだから、無関係ということはないだろうけれど……?】

【次に、三方向へ放たれたワイヤーだが――二方向からは"紙"の感触があるだろう。新しい資料だ】

【手術台の近くに落ちていたものには、今までと同じような情報に加え、"名簿"が同封されている】
【名前の頭には"被検体"の文字。資料を更に精査すると、彼らは全員レイリスフィード大学の関係者、それも『ヒュドラ』の売人だったようだ】
【成分分析を行うべき危険薬物を回収し、同時にそれを服用させる"実験動物"を同時に回収する。―― 一石二鳥、というわけか】
【また、被検体は全員無能力者のようだ。GIFTからすれば、彼らの命や尊厳などゴミのようなものに過ぎなかったに違いない……】

【――そして。足りない分の被検体はGIFT内から志願者を募ったようである。"戦闘兵"……文脈からして、正規のGIFTメンバーではない下っ端らしいが】

【次は右側の薬品棚から回収された資料。そこには、全てではないにせよ『INFINITY』の詳細が書かれているだろう】
【資料によると、『INFINITY』とは、元々GIFTで開発されていた"能力を発現させる"ためのクスリであるようだ】
【どうやらここでは、その『INFINITY』を改良するために『ヒュドラ』の技術が使えないかどうか検証していたらしい――】

【最後に、先ほどのデスクへ伸ばしたワイヤー。……紙ではない、もっと大きなモノの手応えがあるはずだ】


『――――ギ、…………シャアアァァアアッッ!!!』


【それは、今の今までカプセルの中に収められていたはずの"蛇"であった】
【そして更に妙なことに……スカーベッジが何か反応するまでもなく、ワイヤーに噛み付いた蛇は間もなく内側から"炸裂"して死亡するだろう】

【……改めて蛇の収められていたカプセルを見ると、不審な点に気づくだろうか】
【分厚いカプセルに、まるで機械で開けたように精密な"円形の穴"が空いている。ちょうど、あの蛇が通り抜けられる絶妙なサイズ】
【今までこんな穴はなかった筈である。またこの場にスカーベッジ以外の人間もいない。――となればこの蛇が、何らかの"力"を使って今この穴を開けたのか】

【蛇のカプセルの上部には、よく見ると『INFINITY』と書かれたラベルが貼られている】
【つまり――ここで行われていたのは、『ヒュドラ』と『INFINITY』を同時に投与する実験という訳だ】
【先ほどスカーベッジが回収した"意味不明な数字の羅列が貼り付けられた薬物"は、その二つを合成した薬剤であって】

【……ただし。今内側から破裂した蛇を見れば分かるとおり、能力を発現するケースはあったものの、副作用が余りにも強く】
【この実験は、残念ながら"失敗"であったようだ。回収したクスリも、あまり有益な使い方はできなさそうだ……】


/ごめんなさい、続きます!
15 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 21:52:37.05 ID:TJYoW3Hjo

【そうして、いよいよここで行われていた実験の全貌が明らかになった、そんな時。スカーベッジの耳に、わずかだが人間の声が聞き取れるか】
【声は実験室の奥、例の機械扉からだ。どこか慌てたような複数の人間の声――だがそれを詳しく確かめるまでもなく】


「待避急げ! ええい、『Lab』の連中は相変わらず鈍………っ!? 侵入者か!!」


【機械扉が開き、中からサブマシンガンで武装した戦闘員が一名と、研究者が数名顔を覗かせるだろう】
【戦闘員は即座にスカーベッジに気づき、胴体へ向けてサブマシンガンを発砲。銃弾の雨がスカーベッジへ襲いかかる……!】
【幸い銃弾の一発一発は周囲の器物を破壊するほどの威力はない。実験室内の障害物を使えば防御は可能なはずだ】

【また、この戦闘員は背後に研究員を複数名連れている。彼らを引き返させながらの戦闘となっているためか、いまいちスカーベッジに集中し切れていない】
【サブマシンガンの掃射は脅威だが、研究員を怒鳴りつけるために時折背を向けたりして隙は多い。うまくすれば一撃で倒せるか――?】

【――そして。スカーベッジがどう対応するにせよ、これでカードキーを使うまでもなく扉が開いてしまったわけである】
【戦闘員を何とかすれば、そのまま奥の区画へ押し入ることが出来るだろう】
16 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/20(土) 21:56:21.24 ID:KwRdsvvdo
>>10

連中の反応はあるか?だとよ

「反応は薄いのう。ワシらがこの場所に来る前にはすでにここを後にしちょったらしい、まだ慌てんでもええ」


【続けろ、という言葉に従いフレッドはしばらく資料を眺めるだろう】
【内容は『鍵』の少女の足跡をたどる記録、マリオンの事を知った後自警団などに足を運んでちらりと目を通した情報に一致する特徴】
【その少女の特徴を一通り見終わった所で―――フレッドはべろり、と下唇を赤い舌でなめずりながら呟く】


へぇ、これが『鍵の少女』……なるほど、マリオンじゃなくても欲しいと思うねえこれは
……いいじゃないか、そそるぜちょいとお近づきになってみてぇもんだ
「……フレッド!」
わーってるようるせぇな。そして気になる全然知らない第三者の助けとは……へぇ
ずいぶんな物好きもいたもんだな?そのお人よしぶりで身を滅ぼさなきゃいいんだが大丈夫かねえ?
『鍵』の少女……なにかを体に宿してるとかそういう事かね?貰った情報だけじゃあよくわからねえな?


【そんな風にしばらく資料を見続けている所で―――ムクの嗅ぎ取った化学薬品の匂いの元らしい人物と出くわすことになる】
【拳を握りこちらにとびかかってくる研究員の登場にまるで動じていない、緩慢にも見える動きでフレッドは振り返るとびっくりするほど冷静に、即座に観察を行う】
【まず間違いなく一発目のジャブで昏倒させられる。それはいい―――だが問題は勝ち目のない強襲をなぜ行ったか?という所だ】
【その疑問に行き着いた瞬間に彼が後ろ手にしている『左手』をちらりと見かけたと同時に―――両腕を顔の前に持っていきファイティングポーズを用意しながら】


「……フレッド、"させる"なよ」

へっ、わかってるっての……『全て』、『何一つ変わりなく』問題ねえよ。『資料はやらせねぇ』


【フレッドの取った行動は至極シンプルだった――――まずまっすぐこちらめがけて突進してくる研究員の顔面めがけて強烈なカウンタージャブを狙う】
【ほぼ鍛えていない非戦闘員の人間相手ならばこのカウンターだけで昏倒を狙える、問題はその後に行う『能力で何かを飛ばして隠滅を図る』意図の見えた攻撃】
【そちらもフレッドはすぐに見抜く、一発目が当たったか外れたかすら確認する事もないまま即座に、冷静沈着に対応すべく今まさに炎を噴射しようとしている左手に即座に反応】
【そのまままるで慌てるそぶりもなく研究者の左手めがけて力一杯にジャブをたたきつける事だろう―――ちなみに、当たると相当痛い、鍛えてなければそれだけで『へし折れる』かもしれない切れ味の拳だ】

【さらにダメ押しとばかりにムクも身をひるがえして紙束に接近、体当たりして崩しフレッドのジャブで逸れる予定の火炎放射の軌道からさらに遠ざけるために】
【それがうまくいったならば次の情報はムクが先に見ることになるだろう、フレッドが缶ジュースを買うよりも速やかに研究員を片付ける事が終わったならば、だ】
17 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 22:04:22.10 ID:TJYoW3Hjo
>>13

【警報装置が鳴り響く。"ビーッ、ビーッ"という甲高い音が、区画全体に響き渡るだろうか。管理室から出て下を見渡したなら、】
【慌てた様子の警備員が、別の出口から去っていくのが見えるだろう。床を凍らせて素早く通り抜けるという機転もあり、安全に通過できた】
【≪研究区画≫の扉ももう開いているだろうか。何もなければ、ワザワイはそのままその中へ突入することになるだろう――】

【――さて、≪研究区画≫の内部だが。まず目に付くのはその広さと、乱雑さである】
【あちこちわけのわからない巨大な機械で埋め尽くされ、テーブルの上は資料でゴチャゴチャの状態】
【そして――この部屋には人気がなく。ただひとりだけ、部屋の一番奥のひときわ大きなスクリーンの前でせわしなくキーボードを叩きまくっている少女がいた】


――――いっ、急がなきゃ、急がなきゃ………!!
あぁもう、なんで私ひとりに押しつけてみんな逃げちゃうのよぉ………!!


【黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、青いネクタイという学生服の上に、丈の長い白衣を着込んだ服装】
【癖っ気の強い紫色のショートヘアに、赤縁の眼鏡を着用して――頭には、金の十字架を模したヘアピンを付けている】
【目鼻立ちは整っているものの、白緑色の瞳は不安定に揺らぎ、しかも今は拠点襲撃という切羽詰まった状況のせいでみっともない涙目であった】


「………あれは、メリッサ・ハーレイさん、っていう子よ。
 元レイリスフィード学園の生徒で、マリオンに騙されてGIFTに引き入れられたらしいんだ。
 彼女は要保護対象に指定されてるの。情報を得るって意味でも、出来れば確保したいところだけど……」


【彼女については資料などで知っているかもしれないし、そうでなくてもイスラが大まかに説明してくれるだろう】
【メリッサ・ハーレイ。元学園生にして、今はマリオンの補佐のような立ち位置で活動しているGIFT構成員の一人だ】
【ワザワイが予めセキュリティレベルを落としておいたお陰で防犯装置が作動せず、彼女はまだこちらに気づいていない】
【その上、これは運が良いとしか言いようがないけれど――響き渡る警報が逆に彼女を焦らせ、注意を散漫にしていた】


「――――あ、あっ! ワザワイちゃん、彼女が操作している机の上っ!
 あのスクリーンに繋がれている端末、例の盗まれたっていうもので間違いないよっ!」


【そして、耳元でいきなりイスラの声が弾けるだろうか。……ワザワイはどうやら"本命"を引き当てたようだ】
【よく見れば、件の『奪われた端末』がスクリーンに接続され、画面には青色のゲージと「84%」という表示されている】
【それが"プロテクトの解除率"だと判断するのは簡単である。どうにか間に合った、というところだが――、】

【こちらに全く気づかない迂闊さが示すとおり、メリッサ本人に戦闘能力はない。ただし彼女の両隣には『クグツ』が二体、こちらに背を向けて立っている】
【見つかれば戦闘は避けられまい。先制攻撃を仕掛けて戦いを優位に進める、というのが一番妥当かもしれないけれど】

【端末のプロテクトも今すぐに破られることはあるまい。メリッサが気づいていない今のうちに、この部屋の中を軽く探索しておくというのも手か――?】
18 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 22:16:46.01 ID:TJYoW3Hjo
>>16

【咄嗟に敵わないと判断し、非戦闘員の身でありながら捨て身で突っ込んだ勇気までは賞賛しても良いかもしれない。……が、】
【いかんせん相手が悪すぎた。敵が実は二人いたという意味でも、フレッドの真の実力という意味でも、彼はあまりに運が悪すぎたのだ】


『…………ぶげッッ!!!!?』


【ある意味では、左手への一撃は無意味だったかもしれない。男は一撃目のカウンタージャブの時点で、半ば意識を喪失していた】
【最後っ屁とばかりに炎だけは発射するけれど、ムクが資料を崩したおかげで炎は地面を叩く。そこまでが、男の限界だ】
【"ベギリ"という嫌な音を自らの左手から聞いた時には全てが終わっていた。――自販機を蹴っ飛ばしたらジュースが出てきたような、そんな結末であった】


「……うすうす思ってはいましたが、フレッドさん、貴方は相当の手だれのようだ。
 素晴らしいお手前でした。ムクさん、僕とフレッドさんにもその資料を見せてください――」


【鮮やか過ぎる流れに、思わずアルフレドも賞賛の声を上げる。遠距離タイプの自分には出せない、俊敏で的確な動きだったと】
【……もちろん今はそんなことを言っている場合ではない。アルフレドもすぐに気を取り直し、一緒に資料を閲覧しようとするだろう】


「これは……先ほどの資料と同じ、『鍵』の少女に関する情報のようですね」


【二人が手に入れた資料を見たのなら、そこに書かれているのは――残念ながら、さっきの資料とほぼ同じ。例の少女の話である】
【同じく『鍵』を追っているカノッサ機関、ならびに"ガルマ=ハド=ラジャルード"という男に注意せよ、と書かれてはいるが……】
【カノッサ機関もまた『鍵』を追っている、という情報は既に自警団や警察にも行き渡っている。やはり新しい情報ではなくて、】


「―――『イクストゥム』? 『燃料』? これは、一体………」


【しかし。アルフレドの冷たい声が示すとおり、その項目の先には、こちら側がまったく知りえていない情報が記載されていた】
【研究用の資料なのか専門用語なども多く、解読には労を要するが――内容を要約するならば、こうだ】

【マリオン・リヴァーズが指揮する一連の作戦の最終目的は、『イクストゥム』という存在を手中に収めることにある】
【イクストゥムとは砂の国に伝承の残る"巨人"であり、一夜にして六つの都市を砂漠に変えてしまうほどの大量破壊兵器であったとされている――】
【そしてその運用には、コントローラーの役割を担う『鍵』と呼ばれる存在と……その兵器を稼動させるに足る膨大な『燃料』が必要である】
【『燃料』に関しては"K"によって補填予定であり、現状問題はない。『鍵』とイクストゥム本体の回収が急務である】

【――それ以上、詳しいことはわからなかった。後は独自のフォーマットで描かれた数式やグラフなどが並ぶのみで、解読不能だ】


「……まだ調査の余地は大いにありますが、これは大進展です、お二人とも。
 『鍵』とはどういう意味なのか、連中の目的はなんなのか……それが分かっただけでもありがたい。

 この部屋の調査はもう十分でしょう。どうやらその部屋の奥にまだ何かあるようです……気をつけて進んでください――」


【しばし考えに耽っていたが、やがてアルフレドが仕切り直すように声を掛けるだろう。敵の目的が分かっただけでも十分すぎる収穫だ】
【ともかく、次なる目的地も示された。この作戦会議室の奥に扉があり、道が続いているようだ。今までと同じ細い道だが……若干、造りが良いようにも見えて】

【ただ、いきなり飛び出すのはよろしくない。その場合、二人は苛烈な銃撃の雨を浴びることになるだろう……】
【……足音がするのだ。通路へ入る前にこっそり覗いてみれば、男が二人、こちらに向かってきているのがわかるはずである】
【先ほどとは違う、サブマシンガンで武装した戦闘員。あと数秒ほどでこの部屋に入ってくるだろうが、うまくすれば先手を取れるか――】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/20(土) 22:23:05.69 ID:sbskTTfB0
>>17
【男の娘は部屋に入るの姿勢を低くして気配を絶つ】

「メリッサさん?」
「あのなんか可愛そうな女の子?」

【なんと言うかあれは捨て駒なのかなーなんて思いながら状況を確認する】

「後ろにロボットが二体、あれが『クグツ』でいいの?かっこいー」

【そして頭だけ出してわりと遠くからだが周辺の機器や資料などを撮していく】

「それでいーねぇちゃん」

【もはやここまで略された、このフレンドリーさは姉譲りだろうか?】

「あそこでわたわたしてるメリッサさんは『動かなく』しちゃダメなんでしょ?」

【そうじゃなかったら楽なのにー、とかボヤきながらコソコソと周りの情報を送っていく】
20 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/20(土) 22:30:37.28 ID:NUbL3O9oo
>>14-15
【盗賊行為を阻むものはなく、スカーベッジは嬉々として盗みに興じる】
【まずは、棚の薬がヒュドラと知るや、それらを奪い取る。数字の羅列が記された薬物も同じく。意味は、生還してから調べればいい】
【盗賊らしい、見境のなさ。『ヒュドラ』との関連性があるくらいは予想できたが、それ以上の思考は時間の無駄と切り捨てる】

【さらには、自身の神経と接続されたワイヤーが新たな資料の存在を伝えてくる】
【引き寄せて確認すれば、これもまた有用な手がかりだった】

ヤクを売らせておいて、やばいと見れば薬と一緒に命も回収して実験体か……
さらには、自分のとこの戦闘兵まで……無能力者が自分たちの資源になれるんだから感謝しろ、程度に認識だろうなあぁ
ひっひっひ、きちんとえぐいねえぇ、GIFTさんも……

【にやりと笑いながら名簿を手元に置き、さらにもう一つの資料を確認。先ほどの『INFINITY』の正体】
【やはり、同じく薬品。ただし、能力者を壊す『ヒュドラ』とは逆に、能力者を創り出すというもの】
【相反する二つの薬を合わせて、新たな可能性を模索していたということか、と。その結論に達したところで、奇妙な感覚が手に伝わった】

お、おぉっ……!? なんだ、こいつあぁ!?

【最初に実験動物を見た時、まさか飛び出してこないだろうなという懸念が脳裏をかすめたが、それが現実となるとは】
【しかも、不可解な事態は続く。身構えた矢先、ワイヤーから感じる痛みは一瞬で終わり、蛇が破裂したのだ】
【面食らったスカーベッジの前に、恐ろしく精密な穴の開いたカプセル。自分にこんな能力はない。となれば】

――――なーるほど、二つの薬を一緒に投与して、発言した能力をさらに強化しようってとこか?
だが、この分だと動物実験の段階で失敗したみてえだなあぁ……
実際、成果はあったみたいだが。能力者ならぬ能力蛇ってか。面白いことなさるぜ……
能力を神からの贈り物って言う割には、人工的に能力造ろうなんて連中の教義に引っかからないのか、気になるが……

だがこの薬、こうなるとあんま使い道は……いや待て。もし、こいつを……
うちのクリーチャーどもや、廃の国の原生生物に使ったとしたら……?

【思いもかけず知った、GIFTの恐るべき研究の一端。能力を信奉する故、禁忌に足を踏み入れたか】
【それに対して、思考を加速させるスカーベッジ。早くも、これを自分たちの利益にできないかという皮算用】
【だが、それはあえなく中断される。機械扉の向こうから聞こえる、その声たちによって】

――――チイィ!!

【スカーベッジは慌てて行動を再開する。手に入れた薬品の固定を再確認し、撮影しきれなかった資料をベストの隙間にしまい込み】
【ワイヤーを引き戻して破裂した蛇の死骸を握ったところで、扉が開いた】

おおっと、団体さんでお出ましですかい……!!

【いつもの口調に戻ったスカーベッジが、自分へ向けられた弾雨を感じて咄嗟に飛びのく】
【盗賊の逃げ足で手術台の影に移動し、銃弾の雨を防ぐ。万事休す、と言うには早いか】
【見れば、非戦闘員という足手まといに気を取られている戦闘員。盗賊の眼力が、そこに隙を見出す】

【まずは、再び出したワイヤーを使って、射手たる戦闘員に先の蛇の死骸を投げつけようとする】
【彼がそれに怯めば、手術台の影から飛び出してスカーベッジは戦闘員に襲い掛かろうとするだろう】

【右手の肘から先をガラス片のブレードへと変換。スカーベッジの十八番】
【これを以って、戦闘員に斬りかかろうとするだろう。首筋から脇腹までを斜めに切り裂く、致命傷狙いの軌道】
【攻撃の成否に関わらず、スカーベッジは戦闘員の背後の研究員らに向けて脅しの言葉をかけるはずだ】

ちょいとごめんなさいよ白衣の旦那方。この奥、いったい何があるのか教えちゃもらえませんかい?
ついでに、案内も頼めるとありがたいんですが……いかがです? この場で全員ぶっ殺されるのとどちらか選んでいただけませんかねえぇ?

【凶悪な笑顔を貼り付けて、スカーベッジは研究員らに迫った】
21 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 22:37:40.54 ID:TJYoW3Hjo
>>19

【ワザワイの言う"ロボット"については、イスラから同意の声が上がるだろう。あれがまさしく『クグツ』であった】
【『クグツ』は細長い真っ黒な体躯に胸・腰・前腕・下腿の四箇所を金属製の装甲で覆った外見で、両腕の装甲に刃渡り80cmほどのブレードを装備している】
【≪カタ、カタ……≫と鳥類のように細やかに首を動かす動作が、顔面を丸ごと覆い尽くす巨大なアイカメラと相まって不気味な様相を呈していて】


「い、いーねぇちゃん!? ……ご、ごほんっ。
 うん、あの子は『動かなく』しちゃダメ。出来るだけ怪我をさせないように捕まえてくれる?」


【泡を食ったような、それでいて妙に高揚しているような声がインカムの奥から聞こえるが、流石にもうイスラも場を弁えている】
【あくまでも"お姉ちゃん"っぽく、メリッサの対処をワザワイに教えるだろう。普通であれば、怪我をさせずとっ捕まえるなんて危険なのだが……】
【メリッサ・ハーレイは、『クグツ』さえ無ければ素人だ。ワザワイの実力があれば難なく捕らえられるはずである】

【――そんな会話と平行して、続けられる探索のほうだけれど。この部屋の中には機械やら資料やら大量に転がっているが、流石に研究区画ということか】
【どれもこれも専門的すぎて意味不明なモノが多い。背の高い機械が大量にあるので、いざという時盾にすることはできそうである】
【ただ……部屋の隅に妙なモノが転がっているのが気になるか。半ば分解された小さなコンソールと、その周囲にケーブルやら何やらが散らばっている】


「情報端末? でもこの状態は――……? あ、あの、ワザワイちゃん、推測で申し訳ないんだけど……。
 私には、"プロテクトの掛かった端末をどうにか突破しようとして失敗した"……みたいに、見える。どうかな……?」


【それが何かは不明だ。けれどもし、イスラの推測が正しいのなら……このコンソールの中にはGIFT内でも、相当の機密情報が収められていることになる】
【少なくとも、メリッサ程度の権限では閲覧できないレベルのものだ。そして――ここで、よくコンソールを観察してみたならば】
【……横の部分に、何か"カード"を差し込めそうな場所があるのがわかるだろうか。いまワザワイが持っているモノ、試してみる価値はある、か?】



………………ッッ!? ひっ、だ、誰!? こ、子供!!?
GIFTの人じゃない――――し、し、侵入者ねっ!!?
こ、この端末は渡さないわよ…………!! 行きなさい、『クグツ』!!


【――しかし。残念ながら、もうそれ以上の作業を行っている暇はなさそうだ。流石にメリッサがこちらに気づいてしまったようである】
【怯えた小動物のように叫ぶと、こちらに二体の『クグツ』を差し向けて攻撃してくるだろう……!】
【『クグツ』の外観は既に説明したとおりだ。人型なので人間と同じ対処も出来るだろうけれど、頑丈さやパワーには注意しなければなるまい】
【加え、『クグツ』はブレードを装備している。近接戦闘型というわけだが、やたら素早い。足裏にブースターのようなものも装備しているようだ】

【――二体は瞬時にワザワイに到達する。右から来る『クグツ』は上半身、左から来る『クグツ』は下半身をそれぞれ狙い、鋭い斬撃を繰り出す!】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/20(土) 22:57:02.90 ID:sbskTTfB0
>>21
「ふぇ?」
「どぉしたの?」

【急にあわてるイスラの方に何かあったのかと思いながら話を聞く】

「えぇっと、あの人失敗しちゃってるってこと?」

【もはや哀れですらあるメリッサに心の中で手を合わせると此方に気付いたメリッサがキョドりながら『クグツ』をけしかける】

「あー、そぉいえばいーねぇちゃん!」

【垂直跳びでそれこそ曲芸のように天井に跳んで氷で出来た鎖を天井に食い込ませて体を捻って攻撃をかわす】

「僕の能力って『血塗れかき氷(ブラッティアイスエイジ)』っていうんだけどねー」

【そして『クグツ』に向かって両手をつき出すと共に先端に楔の付いた刺々しい鎖が捕網のように広がって『クグツ』を捕らえようとする】

「これであの『クグツ』にどうやって戦えば良いか教えて?」
「僕、生き物はいっーぱい『動かなく』させてきてやりかたわかるけどロボットは初めてだから!」

23 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 22:59:29.14 ID:TJYoW3Hjo
>>20

【戦闘員の方もさしもというべきなのか、片手だけでサブマシンガンを固定してスカーベッジへ乱射しつつ、研究員を気にする余裕もあった】
【まともにぶつかっていればもっと苦戦していたかもしれないが――やはり、運はスカーベッジに向いているのかもしれない】
【怯える研究員を怒鳴りつけて待避を命じ、もう一度"敵"へ振り返った時、目の前にグロテスクな"蛇の死骸"が――――、】

【「ぐっ!?」と唸り、思わず男はサブマシンガンをそちらに向けてしまう。まさにスカーベッジの狙い通り、これが致命的であった】
【突如出現する、奇怪なガラスの刃による一閃。相手がそんな"異形"だったなど戦闘員は知る由も無く、完全に不意を突かれ、】


『………、ご、ぷッ、……畜生、我々に逆らう愚か者なぞ………に…………!!』


【――戦闘員はここで崩れ落ちるだろう。最後の意地だったのか、倒れざまにサブマシンガンを奥の区画へ放り投げ、回収不能にするが】
【間もなく、彼は失血死する。残されるのは非力な研究員のみ。数だけはいるが、はっきり言って烏合の衆だ。少なくとも、肉体面は……】


『くッ……、ふざけるな! こんなところでアルフレッド様のご意思に背くぐらいならば――――!!』


【一番スカーベッジの近くに居た研究員の一人が、勇猛に吠え立てる。――『GIFT Lab』の非戦闘員であっても、GIFTの意思はそれだけ強いのか】
【殺したければ殺せ。そう言わんばかりに研究員は両手を広げてスカーベッジを睨む。残りの研究員達も、同じように――】
【それは強靭な意志の具現と取ることも出来るし、薄ら寒い宗教団体がこぞって奇行に出たようにも見えるかもしれない。しかし、いずれにせよ】

【――――"ソレ"を下したのは、スカーベッジではなかった】


くひッ、よーく言ったぜオマエラ。褒美に苦しませず葬ってやんよ。


【ひどく乾いた銃撃音が連続する。――研究員達の頭に残らず風穴が開き、全員血を噴出しながらその場に倒れ伏すだろう】
【その不愉快な声は、扉の奥からだ。もしスカーベッジが奥の部屋を覗いてみたならば、そこの様子が見て取れるはずである】
【扉の先は巨大なホール状の部屋で、天井からは無数のケーブルが伸び、あちこちに巨大な工業機械やカプセルが乱立し、内部はかなり雑然としている】

【そして。白衣姿の人間が大量に。今"始末"された者たちと同じ研究者だろう。資料やデータディスクを抱えて、大慌てで奥の扉から逃げ出していく】
【全員非戦闘員らしく、その表情は恐怖に塗れているが、避難の動き自体は統率が取れていた。……統率を採っているものがいたからだ】


オラ、テメェらチンタラしてんじゃねェ!! 一秒でも遅れた奴ァ今の奴らの二の舞だ、わかってんなァ!?
――――くひゃははッ、そういう訳だからよぉ、薄汚ねェネズミくん。こっからは……オレと遊んでくれねェかァ?

ひひひははは、ひゃあああああーーーーーーーーーーーッッははははははははははははははははァァァァアァァ!!!!!


【目を痛めそうに鮮やかな橙色の髪。長い前髪の隙間からは泥のように濁った青色の瞳を覗かせた、いかにも気性の荒そうな若い男】
【外見の方もライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装で、粗暴さの権化のような風貌】
【――マリオン・リヴァーズ。まさしく渦中のGIFT構成員その人であった】

【ここであの男と遭遇してしまったこともまた、スカーベッジにとって幸運だったのか否か。それは次の瞬間に決まるだろう】
【心底愉しそうにスカーベッジを睥睨すると、マリオンはさっき戦闘員が放り投げたサブマシンガンを拾い上げ――全身にフルオート射撃が襲い掛かるッ!!】

【狙いを全く付けない乱射だ。無闇に飛び出せば危険ではあるが、どうにも単調な攻撃。今は研究員を追い立てる方に意識を裂いているのだろう】
【幸い、あのサブマシンガンの弾は既にいくらか喪失しているはず。周囲には障害物も多い、それらの後ろに隠れて弾切れを待つのがもっとも安全か……?】
24 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/20(土) 23:12:21.46 ID:KwRdsvvdo
>>18

【わざわざインカムのカメラを外して自分の方向に向けると、大手を振ってその賞賛に応えながら彼は言うだろう】


―――クケッ、賞賛どうも……だがこのコンディションを保つのがまた結構キツイのよ
若い奴らと違ってもう伸びしろもほとんどねえし、技はもうこれ以上の会得はないだろうから後は『とっておきの鍛錬』でもやってみて
筋力やその他諸々をしっかり底上げしていくのが大事なんだなあこれが

「……ふん、じゃが、昔より少し脇が甘くなったのう、―――今の攻防だけでも二ヵ所、つけこめる場所があったぞ
昔以上のキレ、という事は流石にないか……まあええ、ぐずぐずしてねえで戻ってさっさと確認せい、次に進むぞ」

お?どうした?ちょいと機嫌が悪いじゃねえか。なにかよくない物でも見つけたか?


【相棒の辛口を手をヒラヒラさせて聞き流しながらムクに続いて次の資料を見直していくフレッド】
【書かれていた名前、特にイクストゥムという欄に目が行く―――ムクの手伝いを受けながらその内容をあらかた頭に入れたフレッドは】
【ケタケタ笑いながらムクの方を見て、ぱしん、とその柔らかな毛並に覆われた背を紙で軽くこづきながら軽口をたたくだろう】


……なんだぁムク?もしかしてお前……このお嬢ちゃんの事を『誰かさん』とかぶらせてるのか?
最上位の"古代兵器"、それを動かす力をもつ"女"……それを取り巻く腹黒い連中の"陰謀"、『オマエにとっても』聞きなれない響きじゃねえもんなぁ?
それともここに書いてあるカノッサ機関員も追っているって情報が気にかかるか?……お前いまだにあの組織の事恨んでんのな、いつまでも懲りずに……

「――――黙れッ!……昔からいちいち一言多いんじゃよテメェは……!
……先進むぞ、これに書いてあることが本当なら……この『鍵』に関する嬢ちゃんを助けるためにも情報は必要じゃろうが」


【どうも―――この情報を見てムクの心を刺激する何かがこの情報の中にあったらしい。ネガティブな感情を刺激するなにかが】
【それを理解したうえでフレッドはそのことをからかっているらしい―――なんというか本当に友達なんだろうか、有事の際は息ピッタリだが時折摩擦が起きるコンビだ】
【『鍵』の少女の境遇と立ち位置を知った上でどうもムクにとって彼女という存在になにか思う事があったらしい、カメラで見る限り愛らしい子犬らしからぬえらく張り詰めた様子が伺える】

【ともあれムクやアルフレドの言う通りここで調べるべき情報はすべて手に入れた―――先に進んでもいいだろうと判断した所で】
【殺気を感じフレッドたちが身を引くと、足音が聞こえ近づいて来る音がする―――危ない、勇み足をしていたらうっかり蜂の巣だ】
【息を殺しこの部屋に入ってくる瞬間を待つ、音の感じからおそらくあと4秒、3,2,1……】


―――地獄へウェルカム!!この暴力はサービスだからうんと味わってくれや!ウリァッ!!

「Blitz(稲妻よ)――――!」


【戦闘員が飛び出した瞬間、フレッドは突然彼らの目の前に飛び出して、こちらからみて左の男めがけて鋭い右ストレートを真っ向から顔面へと振るう!】
【顔面がひしゃげそうな威力だが、もう一つ、ムクの行動も侮ってはいけない―――彼はずっと小さい体躯を活かしてほぼ足先まで近づいたところで】
【右の男が味方のダメージに一瞬怯んだすきをついて電撃の魔術を放つ!詠唱を簡略化こそしているもののちょっとしたスタンガンよりもずっと威力はある、少しでも怯んだところに浴びれば昏倒しかねない!】
25 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 23:14:45.79 ID:TJYoW3Hjo
>>22

【イスラも、あまりこんなことを思いたくは無かったが……可哀想、というワザワイの評価は的確に思えてしまった】
【マリオンに誑かされてこんな慣れない場所で働かされ、得られた権限は微々たるもの。それでも……彼女にも譲れないものはあるのだろうか】


≪カタ――――、カタ………≫

           ≪カタ……、カタ――――≫


【剣戟を回避されたのを見るや、『クグツ』の単眼じみたアイカメラがワザワイを見やるだろう。何を思考しているのか、】
【生成された楔付きの鎖が襲ってきた瞬間、二体はまたバラバラに動き出す。――たった一回の跳躍。それだけだった】
【今まで殆ど必中だったワザワイの攻撃。その彼が放った鎖を、二体は猛烈な機動性でもって悠々と範囲外から逃れてみせるだろう!】
【この『クグツ』、さっき戦ったような戦闘員とは格が違う。これだけの機動力と的確な回避能力の出所は……】


「――え、えっと……今までウチで観測したデータによると、装甲の無い部分の耐久力はそこまで高くないみたい。
 見ての通り、胸と腰、両腕と膝から下――この四箇所には分厚い金属製の装甲がある。氷だけじゃ貫けないかも……。
 とにかくアイツらの"機動力"を落として、装甲の無い部位を狙い撃てれば――――!!」


【本来、イスラの役割は後方支援や情報面でのサポートで、こういった戦力分析は専門外だけれど】
【ワザワイから聞かれれば、「おねぇちゃん」として応えないわけにはいかなかった。必死で頭を回し、とりあえずの作戦を伝えるだろう】
【敵は近距離タイプ、しかも足裏のブースターで非常に高い運動性能を得ている。まずはそれを封じるのが急務か――】


≪カタ、カタ……≫          ≪カタ……、カタ≫


【――だがあまり話し込んでいる時間も無い。『クグツ』の一体が勢いよくワザワイに飛び掛り、ブレードを胸元に突き出す!】
【単調な攻撃だが、こちらは囮だ。一瞬の後、先に攻撃した『クグツ』の陰に隠れるようにしてもう一体が飛び出し】
【真下から滑り込むようにして、ワザワイの右脚を切り落とそうとしてくるだろう……!!】
26 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/20(土) 23:25:08.71 ID:NUbL3O9oo
>>23
【昔から幾度も繰り返してきた、右腕の刃に伝わる人を切り裂く感覚】
【戦闘員もさすがに、この場を任される一人けだけあって、その技量と余裕は賞賛に値するが】
【そこは、盗賊の悪運。先の蛇がいなければ、抜けられなかったかもしれない。しかし、たらればの未来は覗けない】

おっと、その状態で銃を渡すまいとするとは、見上げたもんだ。さすがはGIFT、人材に粒が揃ってますなあぁ
ひ、ひ……ご愁傷様ぁ……いつか地獄でまたお会いしましょうや

【放り投げられたサブマシンガンは即座に意識から外し、自らが手にかけた戦闘員からも視線を切る】
【だが、眼前の研究員たちもまた、この恐るべき組織の一員なのだと思い知らされた】

ほーう、こいつは驚いた。まさかアンタらみたいな研究員まで、そこまでの気概をお持ちとは
あたくしみたいな薄汚い盗賊には、高尚過ぎて理解が及びませんよおぉ……

ま、それなら仕方ねえ。お望み通り、あんたらの神様のところに送って差し上げると――――っとおおぉ!!?

【両手を広げて立ち塞がる彼らを見て、感心半分呆れ半分の声を漏らす。彼らから情報を聞き出すのは骨が折れそうだ】
【今は、何より時間が惜しい。ならば彼らを排除しよう、とした途端。またも驚きの声を上げる羽目になった】

……ためらいもなく、仲間を射殺しなさるとは。聞いてた以上のイカれっぷりですなあぁ……
あたくしも大概ゲスな男ですが、親近感通り越して引いちまいますよ……

(部屋は広いが、動き回るにはきつそうだな……その分、身も隠しやすいが)
(あの男相手に、さてどこまで出来るか……これ以上の収穫は無理か。ったく、余計な真似をしてくれやがって……)

【忌々し気に、スカーベッジは彼を――――話に聞いていた、gift】
27 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/20(土) 23:25:54.98 ID:NUbL3O9oo
>>26
/すみません、間違って途中送信しました……
/続きから書きますので今しばしお待ちを……
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/20(土) 23:32:02.15 ID:sbskTTfB0
>>25
「そっか!ありがとぉ!」

【そして突っ込んでくる『クグツ』を迎え撃とうと戟を構えるが…】

「へぇ…集団での戦いもできるんだぁ…」

【驚きはするもののそれは瞬時に観察へと置き換わる】
【今まで街の暗がりで積んできた経験、日の当たる場所で姉に教えられた知識】
【双方が頭の中で加速していく】

(機動力…目は一つ…ブースター…集団戦…メリッサさん…氷…鋼鉄…ブレード…)

(ブースター、機動力を奪うんならまずあそこを狙うべき…それなら…)

「UUUuuuuuHYYAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!」

【久々の戦闘中のシャウト、それと共に吹き荒ぶのは雪、否、ダイヤモンドダスト】
【ブースターの熱量を軽く越える程の超低温の猛吹雪その温度は-273度】
【メリッサを傷つけないようにかなり局地的な物にしたがこれでこの『クグツ』の機動力を奪えるか…】
29 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 23:32:32.54 ID:TJYoW3Hjo
>>24

【ムクとフレッドのやり取りに、アルフレドも少しばかり思うところがあった様子だが――ここでは突っ込んでこないだろう】
【何もこんなところで立ち話をしなくてもいい。ここを出てから話せばよいことなのだ。そう、必ず無事に戻って――】


『ぐ、ぅぉおおおおおおッッ!!?』

『なんッ――――クソが、舐めてんじゃね……がァァっ!!?』


【彼がそんなことを考えている間に、事態はまた素早く推移していた。まず左側の男が右ストレートで薙ぎ倒されるだろう】
【彼らはさっきの男と違って十分に鍛えられている。――それでもなお一撃であったのは、偏にフレッドの拳の威力の賜物で】
【そしてその威力が、見事ブラフの役割を果たした。続いて突撃してきた右の男の視線は完全にフレッドに釘付けとなり――】
【足元のムクを見逃してしまう。一人は脳震盪により、もう一人は全身に電流を流されたことによって、気絶することとなるが】


『ク、ソ……がァ!! 我らが、楽園の、ためにッ――――、』


【やはり彼らも戦闘員の端くれだ。不意打ちで倒されようとただではやられない。意地と憎悪が――男達に手榴弾のピンを引かせる】
【"自爆攻撃"というわけだ。倒れ伏す二人は、最後にフレッドとムクへ飛び掛って抱き付こうとする。それが成功した場合……】
【二人は至近距離で手榴弾の直撃を食らう羽目になるだろう。……命を賭す攻撃をこうも簡単に繰り出せるのは、GIFTの教義ゆえなのか――】

【――結果はどうあれ、そこで二名の戦闘員は戦闘不能になる。果たして二人は、それをうまく回避できるか否か】
【もし二人が「お、お二人とも、大丈夫ですか!?」というアルフレドの声に応えたられたならば――以下の通り、また奥へ進むこととなるだろう】



「……周囲の様子を見る限り、この辺りはGIFT構成員たちの私室のようだ。それも恐らく、かなり格の高い者達の部屋です……」


【やや後味の悪い結果だが、ともあれこれで当面邪魔者は居なくなった。また新しい敵が来る前に調査を続けるべきか】
【二人の無事を確認した後、アルフレドが奥へ進むよう誘う。そのまま歩き続けると、通路の左右に無数のドアが見受けられるようになるだろうか】
【彼の言った通り、この辺りはGIFTメンバーが寝泊りするエリアだったらしい。先ほどの二人以外は出払っているのか、今のところ人の気配は無いが――】


「……、待って下さい。通路の突き当たりにある部屋が見えますか?

 確証はありませんが、もしかすると―――あそこは、"マリオン・リヴァーズの私室"かもしれません」


【そうして。二人へ、今回の探索でも非常に重要度の高い情報が告げられる。根拠は――"刑事の勘"とでも呼ぶべきモノだったけれど】
【通路を一番奥まで進んだ先。あの部屋が本当にマリオン・リヴァーズの私室のだとすれば、かなり機密性の高い情報が得られるかもしれない】
【仮にそうでなかったとしても、こんな最奥部にある部屋なのだ。何かしら重要な場所に違いあるまい……調べてみる価値はあるはずだ】
【ただし、部屋のドアは硬く閉ざされている。当然鍵など持っていないし、場所の見当も付かない。となれば、】


「止むを得ませんね……戦闘員が戻ってくる可能性もありますし、鍵を探している時間は無い。
 見た感じドアはそれほど分厚くないようですし、破壊して突入できませんか?
 ただ、何らかのセキュリティが働く可能性はあります、注意してください!」


【少々強引な方法ではあるが、時間的余裕を考えるとその手しかなさそうである】
【もし素手で無理そうであれば、先ほど倒した戦闘員からサブマシンガンを奪って使えば破壊可能だ。しかし、アルフレドの言うとおり注意は必要で】
【――フレッドがドアを攻撃して破壊した瞬間。壁の両側から小型のガトリングガンが飛び出し、胴体へ掃射攻撃を仕掛けてくるだろう!】
【無論、すぐにそれを破壊してしまえば難は逃れられるが、危険には変わりない……】

【……目的はあくまで"室内に入ること"、それさえ達成できればドアを破壊する必要は無い。頭を使えば、銃撃を受けず内部に入る方法もあるか?】
【他に壊せそうなものもある。例えばガトリングガンの飛び出し口、巧妙に隠されているが僅かに窪んでいて、何かあることぐらいは解るはず】
【また、マリオンの部屋と"ちょうど隣接"するように、廊下の左右に別の者の部屋があり、こちらは扉を壊しても何も起きない。安全に入ることが可能だ】
30 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/20(土) 23:40:06.02 ID:NUbL3O9oo
>>23
【忌々し気に、スカーベッジは彼を――――話に聞いていた、GIFTメンバー・マリオンを見やる】
【彼の登場で、こちらの予定は完全に狂わされた。あの狂気の男相手に、果たしてどこまで対抗できるか】

薄汚ねえのは否定しませんが、あんたも汚さじゃ負けてませんぜ!!

【叫び返しながら、思考を必死に回す。こちらを睨む愉悦に満ちた瞳を、鉛色の濁った瞳で睨み返す】
【しかし、情け容赦なく、そして無軌道な乱射を前にしては、情けない声を上げて背後に下がり】
【障害物に身を隠すしかなかった。やがてあのサブマシンガンの弾も尽きるだろうが、そうなれば今度は彼自身が襲い掛かってくる可能性が高い】

――――なあ、あんた、マリオンさん!!? まずはこっちの話を聞いちゃもらえませんかい!?
あたくしぁ、外の連中に味方する気は端っからねえんですよおぉ!! ちょいとわけありでしてね!!
ひとまず、あたくしの話を聞いちゃくれませんかい!? なんなら、一緒にここに入った連中の情報をお教えしやすから!!

(あのイカれ男に話が通じるとも思えねえが……ここは賭けだ!!)
(ああしかし、あの性格じゃあ、組織に利があってもむかつくだの愉しくないだので、結局だまし討ちにしてくる可能性も……)
(ええいクソ、やっぱ面倒な相手だ……!!)

【とにかく、言葉だけは通じるのだ。試せることは何でも試す、自分のボスのやり口を踏襲する】
【持ちかけるのは取引。しかし、言葉が通じても話が通じるかどうか――――】
31 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 23:45:32.78 ID:TJYoW3Hjo
>>28

【「集団での戦いも出来るんだ」――と。ワザワイが発したその言葉に、イスラは軽い引っ掛かりを覚えた】
【今はなんだか分からない。けれど、ワザワイの次なる攻撃は確かに有効だったはずだ。超低温による機関部への攻撃】
【――――、しかし、と。そう言わざるを得ないだろう】


………させないッ!!


【攻撃のために、『クグツ』がワザワイへ突進した直後。局所的なダイヤモンドダストが二体に襲い掛かる】
【効果は十分のはずだった。しかし――二体の『クグツ』はそこで急停止し、無理矢理な機動で"後退"する……!】
【ただ流石に完全に逃れることは出来なかったようで、先に飛び出した方の『クグツ』は巻き込まれ、足裏のブースターが故障を起こして停止】
【少なくとも一体、機動力を削ぐことには成功したが。……今のは、単なるAIでは絶対に不可能な動きだ】


「――――そっか! ワザワイちゃん、メリッサさんだよ!!
 『クグツ』の開発者は他ならぬ彼女なの。……あの子が"能力"で、『クグツ』に指示を出しているんです!!」


【そこで、先ほどの引っかかりの正体にイスラが気づく。どうやらメリッサ・ハーレイという少女は、ただ守られているだけではないらしい】
【ワザワイがメリッサをよく観察すると、前髪に火花のようなモノが断続的に散っているのがわかるだろうか】
【GIFTに推挙されるからには彼女も能力者なのだ。"電撃"を操る能力――それによって電波のようなものを出し、『クグツ』を遠隔操作しているのだ】


≪カタ――――カタ……!≫          ≪カタ……、カタ、カタ――――≫


【再び『クグツ』がワザワイに急接近する。ブースターを失った方が真っ直ぐワザワイに突撃し、両腕を切り落とす機動でブレードを振るい】
【まだ無事なもう一体が瞬時に彼の背後へ回り込み、今度こそ両足を狙って突撃してくる。その場に立ち止まっているのは危険だ……!!】

【――しかしこの攻撃を凌げたならば、"突破口"も見えて来るはずである。『クグツ』攻略の本当の鍵は"メリッサ"だ】
【直接殴るわけには行かないが、彼女のメンタルが薄弱なのは見ての通り。要は彼女を、何らかの形で驚かせるか動揺させればいい】
【能力は往々にして術者の精神状態に強い影響を受ける。――メリッサに"隙"を作ることが、そのまま『クグツ』に隙を作ることに繋がるだろう】

32 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 00:05:09.93 ID:Ub4qhQg7o
>>26 >>30


くひゃはははははッ、そりゃあどーも!! 最高の褒め言葉だぜそりゃあ――――!!!


【猛烈な銃撃音が連続する。サブマシンガンはマリオンの狂気が移ったかのように、飽きもせず火を吹き続ける――】
【それに対し、スカーベッジは障害物に身を隠す。……もう幸運なのか不幸なのかわかったものではないが、身を隠したのはコンソールのよう】
【しかもかなり巨大で分厚く、ちょっとやそっとの銃弾で撃ち抜くのは不可能だ。たまたま飛び込んだにしては十分すぎる、】

【――しかし。スカーベッジが、今回の目的が探索であることを忘れていなければ。このコンソールにも"機密"が眠っている可能性がある、と考えられるか】
【よく観察するとキーボードの上部に電源ボタンがある。スリープモードで放置されていたようで、ボタンを押せば即座にモニタが再起動するはずだ】
【ただし、そこで電源を付けたとしても――個人認証を求められ、他の画面を見ることが出来ない。残念ながら情報は得られそうにないのだが】

【そこで、スカーベッジは気づくだろうか。キーボードの台の下の部分に何かスリットのようなモノがあることに】
【そう、ちょうど"カード"を差し込めそうな穴が――】


【スカーベッジがそこで、どう動くかに関わらず。やがてサブマシンガンの弾は尽きる】
【そして、研究員達の姿が見えなくなったことに気づくだろうか。あちらもようやく避難が完了したようであった】
【……よく見るとあちらこちらに死体が散らばっているけれど、それは逃げ切れなさそうと判断してマリオンが射殺したものである】
【更に彼は近場のコンソールを撃ち抜いて爆発させ、室内に火を放つだろう。死体ごと完全に証拠を隠滅するつもりだ――】


あァ? ――ひひッ、いいぜ。「大歓迎だ」っつったら信じてくれるか?
じゃあとりあえず武器を全て捨てて、服もすべて脱いでコッチに来い。本物のネズミみてェに這い蹲って床を舐めながらだ!
それが笑えたら話を聞いてやらんこともない。ひひはははッ、どうだ、いい取引だろ?


【これでようやく遠慮無しに戦える。そう言いたげな瞳で、マリオンはスカーベッジを見やるだろう。懐から拳銃を取り出すと】
【対話を求めてくるスカーベッジに対し、口元をナイフで引き裂いたかのような不気味な笑みを浮かべて、"取引条件"を提示するだろう】
【……あまりにもふざけている。もし仮にスカーベッジが本当にそんなことをやったとしても――目を見れば分かるはずだ】
【マリオンはスカーベッジと対話する気などない。それはあの男があまりに狂気じみているから、というのもあるのだが……】

【これがもし、路地裏でたまたま出会ったのであれば話も出来ただろう。しかし今回は、特例中の特例である】
【例え誰であろうが、GIFTの機密を覗き見た以上、容赦の余地はない。マリオンとしてというより、GIFTメンバーとして、そう動かざるを得ない】
【真っ当に対話を試みるには――――今回ばかりは、あまりにも"場所"と"立場"が悪すぎた】


オイオイオイ、どうしたよ? 早く出て来いよ!! オラ、怖くて動けねェならケツに火ィ付けてやろうか、ええッ!!?


【マリオンは吼え立て、スカーベッジの隠れているコンソール、その隣にあった大きな机に向けて再び掃射を開始するだろう!】
【あの拳銃もフルオートに改造されているようだ。そして"隣の机"という狙いは、意味のない行動ではもちろんない】

【全てではないが、幾つもの銃弾が"跳弾"してスカーベッジへ襲いかかるのだ……!】
【とはいえ、跳弾先まで計算して精密にスカーベッジを狙っているわけではないため、攻撃はかなり大ざっぱだが……】
【――スカーベッジがもしコンソールを調べる方に集中していた場合、それだけ危うい攻撃となるはずだ】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/21(日) 00:14:21.19 ID:Ui/zqDua0
>>31
【イスラの言葉にメリッサをより注意深く観察すると確かにパチパチと火花が散っていた】

「直接的な攻撃に使わないって事はそこまでの出力がないって感じかな、さながらあの『クグツ』はメリッサさんの手足って感じかなー」

【そしてちょうど自分を挟むように攻撃してきた『クグツ』の動きを読む】

(この『クグツ』、性能は凄いけど操ってる人のせいで宝の持ち腐れかも…単調過ぎて…)

【コンマ数秒、攻撃の当たるギリギリまで引き付けた『クグツ』の前からくる機体の頭を飛び越えるようにジャンプ、そしてその際に体重を乗せて後頭部を両足で蹴る】
【うまくいけば後ろの機体を巻き込んで倒れてくれるかも知れない】
【どちらにせよ今の内に】

「えへ♪始めはしてっ!メリッサさんでいいよね!」
「僕はワザワイ・エスパス!」
「ヨロシクネ!」

【と、何故かメリッサに対して親しげに自己紹介をする】
【そして…】

「じゃじゃ〜ん♪」
「コレな〜んだ?」

【取り出したるは先程奪ったカードキー】

「僕知ってるよ?メリッサさんってここで仲間の人からおいてけぼり食らったんでしょ?」
「ここで何もできずに捕まっちゃったら組織から居場所が無くなっちゃうかも、ううん、最悪追放…いやいや、組織の秘密を知る者は〜なーんてことになるかもね!」
「でもこのカードキーがあればその端末を解析することができるよ!やったね!」

【と、やたらと芝居かかった口調で捲し立てる】

「でも僕ぅ〜」

【おもむろに戟を振り回して近くにあった椅子を粉々に粉砕する】

「怖がりだから怖くってこんなに震えちゃって…」

【他にも椅子やロッカー等がひしゃげ、砕ける】

「このカードキーも壊しちゃったらどーしよー(棒)」

【と、ここで声にややドスを効かせて】

「今すぐこのこわ〜い『クグツ』止めてよ〜…じゃないと僕、カードキーも、端末も、メリッサさんも…コワシチャウヨ?」

【そして睨め付けていた顔をフッと子供っぽい笑顔に戻す】

「だからバンザーイしてお口あーんってしておいて?カードキー(これ)あげるから!」

【役者顔負けの演技と話術、脅迫】
【勿論これも嘘であり口を開けたらその瞬間に口に手を手首まで突っ込んで握り拳を作って顎を外すつもりだ、少なくとも能力を指向する程の集中力は残らないだろう】
34 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 00:30:46.49 ID:Or121cKoo
>>28

「(むぅッ!?捨て身で来るか!?こんなあっさりと自爆を選んでくるとは―――!)
いかん―――Geschwind(その身に早さを)!」

―――キャハハ!いい具合に頭沸いてらぁ!――――……退避ィ!


【爆音が鳴るよりも早く、ムクは己への速度のバフをかけるのを完了させた―――並外れた速度さえ出せれば】
【元々この身は子犬なのだ―――小さく速く、人間の手には捉え辛い体躯と速度、爆風の射程距離外まで逃げるのはたやすい】
【だがフレッドの方はやや完璧な対応には届かない―――抱き疲れるよりも前に背後に勢いよく跳ね、"金剛"を纏った腕でガードを固め―――】

【大きな爆音とともに捨て身の手榴弾が破裂―――フレッドの体が勢いよく爆風に押し上げられ、部屋の隅まで勢いよく跳ね飛ばされるだろう!】


「―――フレッド!!」

―――おう、心配すんな……っつぅ……あともうちょっと身を引くのが遅かったらマズかったかも、だが……
とりあえず死んでねえ、肩辺りがなんか熱いがとりあえず体は動くぜ、心配ねえ―――まだ進める


【―――パーカーの下のシャツ、その下には一応防弾・防刃・防爆仕様のインナーアーマーを着てはいるが】
【それに加えその足捌きと直感で即座にギリギリ有効射程距離外まで身を引くことが出来たという離れ業も組み合わせこそしたが】
【生きている、そしてまだ戦闘続行は可能であると自己申告してきた―――なんだこの男、軽く引くレベルで凄まじい『頑丈さ』が体に備わってる―――】

【服についた焼け焦げを払って鎮火させ、自爆を試みた敵を一瞥だけしたならばフレッドは先へと進むだろう】
【やがて辿り着いたのはずいぶんと重要な部屋―――アルフレドから告げられるフロアの推測はマリオンの部屋だとの事】
【その情報を受け取った所で、ふうん、とフードの下の顔ににじみ出るほど興味深そうな態度を見せながら】


……へぇ、何を根拠にマリオンの部屋と推測するのか……オレは宝物をしまっておく倉庫のドアかと思ったが
まあそれはわからねえがマリオンの部屋だとしたら……クケッ、それはそれでそそるねえ、あいつの私室にお邪魔して
主な女の趣味を読み取った上でからかうネタを用意できるってんならまあ、案外魅力的なお宝が眠ってる部屋だと思わなくもねえな

「……ふざけちょるのをいまさら咎めはせんがな、気を付けろ―――なにか火薬の匂いも感じ取れる
ただし『マリオンの部屋』だけじゃが―――ワシの言いたい事わかるか、フレッド」

……へん、まあなんとなく言わんとしてることはわかるよ?オレにだってそれくらいの冷静さはある


【指先でどこか不自然な位置にわずかな窪みがある事を感じ取りながら以上の台詞を言うフレッド】
【―――なにかシャッターのような開閉口みたいなものがあるように感じられる、ここから何か飛び出しそうだという事を感じる】
【続いてマリオンの部屋の扉に近づくと―――今度は何か耳を当てて音を聞き始めるだろう、10秒ほど聞いた所でドアから離れ、今度は隣の部屋のドアに耳を当てる】
【今度は5秒もしないうちに耳を離すと、ムクに手招きを行って近寄らせた後で、ややフレッドが身を低くするだろう】


―――よし、その位置から少し下がってなムク―――"MODE:02"……パワーチャージ、『黄金の……右』ィ!!


【突如、マリオンの部屋らしき所のすぐ隣の扉めがけ―――力任せにたたきつけるフレッド!】
【すさまじいパワーで隣の部屋のドアを破壊し、その中に入っていくだろう、そして隣接するマリオンの部屋のある方向の壁に手をつくと】


―――こーいうのが『急がば回れ』って言うんかねえ?ちと力技の過ぎる回り方で困っちまったがなあ!無駄ァッ!!


【再び力任せに拳を壁に叩きつけ―――なんと一撃で壁を破壊する!】
【タフネスもそうだが腕力もすさまじい、先ほど口にしてた"MODE:02"とかいう体術になにか関係しているのだろうか】
【ともあれ、この手段でガトリングガンの軌道をこれ以上ないほど強引に避けてマリオンの部屋の中へと侵入、ムクを引き連れ再び探索を続けるだろう】
35 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 00:32:15.88 ID:Or121cKoo
/レスミスです、>>34>>29ですね
36 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 00:35:53.26 ID:Ub4qhQg7o
>>33

【巧みな身体能力と見切りが、またしてもワザワイに『クグツ』を回避させる。メリッサが歯噛みするのがわかるだろうか】
【二体の『クグツ』は縺れ合って倒れ込む。これで、ワザワイがメリッサと話す時間は稼がれた――】


は――――? あ、あ、あなた、何言って………。


【怯えたように体を震わせ、メリッサはワザワイを睨んだ。……そして彼の言葉の意味が理解できず、黙り込む】
【それを理解できたとき――なんというか、面白いくらいに表情が変わるだろう。顔面蒼白、とはまさにこのことだ】
【万が一ここで掴まれば、マリオンに殺される。いや殺されるぐらいで済めばいいが、最悪の場合は、】

【――そんな考えを必死に振り払い、メリッサは首を振ってワザワイを睨みつけるだろう】
【こんな妙ちくりんな子供のおかしな甘言に誰が乗るものか。そう心の裡では叫びまわっているものの、】


ひっ!!? な、なっ、………!!


【インカムの奥のイスラもやや引いてしまうほどの演技。特に純粋な"暴力"での脅しに切り替えたのが的確だった】
【室内の物品がいとも簡単に粉砕され、メリッサはその轟音に怯えてまた一歩、また一歩と引き下がっていくだろう】
【可愛らしい笑顔が逆に不気味極まりない。アレは本当に私と同じ人間なのか――そんなことさえ考えてしまう始末】

【伸るか、反るか。その瀬戸際に追い詰められ、小動物のごとく涙を浮かべて体を震わせる憐れな獲物の決断は――、】


――――ああああああああああッッ!! うるさい、うるさいうるさいうるさい!!!
近寄らないでよ!! 私の近くに来ないで!! 消えて、消えてよぉぉっ!!!


【――バチッ、という強烈な火花がメリッサの頭部から散った。そして刹那、背後で倒れていた『クグツ』が再起動する!】
【いくらメリッサでも、要求を呑んでも碌な目に遭わないということだけはわかったようだ。そのまま、現実から逃げるように耳を塞いで絶叫】
【二体の『クグツ』は同時にワザワイに飛び掛り、無茶苦茶にブレードを振り下ろすだろう……!!】

【けれど。それがいかに"隙だらけ"の無様な行為か、ワザワイなら振り返らずともわかるはずだ】
【破れかぶれの自棄になって突撃させた二体の攻撃は精彩を欠き、足裏のブースターによる機動力もまるで生かせていない】
【加え、ワザワイと二体の『クグツ』とは少し距離が空いている。振り返って反撃するのに十分な時間もあるだろう】

【彼女の能力は直接攻撃に使える出力がない……というワザワイの推測は正しいが、厳密には違う】
【本当は、相手に触れればスタンガン程度の攻撃は出来るのだ。本当は従うフリをして、そっちで攻撃するべきだった】
【しかし――どこまでも一般人である彼女は、結局"恐怖"に勝てなかったのだ。それが、この無様な結果を生み出した……】


「ワザワイちゃん、チャンスだよ!! このまま『クグツ』を破壊して――――!!!」


【イスラが耳元で叫ぶ。彼女の言うとおり――今こそあの二体に全力の攻撃を叩き込み、この哀れな少女の幻想を打ち砕いてやる時か】
37 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 00:39:25.82 ID:TZiElmslo
>>32
ひ、ひひ……喜んでいただけて何より……

【マリオンの狂気はいよいよ高まり、それを反映して銃弾も飛び交い続ける】
【まずは自身の隠れた場所を確認する。コンソール。これなら、盾としてしばらくは持ちそうだ】
【と、同時に盗賊の眼力はそれを見逃さない。電源ボタン。そして、カードを差し込めそうな穴】

【意識はマリオンの方に向けつつ、スカーベッジはモニタを再起動させた。個人認証の画面が表示される】
【この状況下で、もう一つ当たりを引いたか……と、そこで乱射が一度止む】

【見れば生き残りの研究員たちは去り、残っているのは自分とマリオンと死体だけ】
【加えて、さらに射撃音。爆発音に熱。この場を徹底的に破壊するつもりらしい】

――――どーやら、洒落のセンスも一流のご様子で……
ええまったく、なんとも素晴らしい取引ですなあぁ。這いつくばるのは慣れてますんでね
そりゃもう、あんたを信じてお言葉通りに――――するわきゃねえだろ、このイカれ野郎があぁ!!!

【元より、ダメでもともとの賭け。当然、マリオンにその気はないことはスカーベッジにもわかった】
【身を隠したまま、スカーベッジも懐から拳銃を取り出し、銃口だけを障害物の影から出して手当たり次第に乱射した】

【スカーベッジが能力で作ったこの拳銃は、弾の代わりに屑鉄や錆び釘を撃ち出すもの。当たったとしても、致命傷にはなるまい】
【だが、スカーベッジが大量に体内に取り込んでいるゴミを弾倉とした拳銃、弾の制限は数千発以上】
【加えて、この部屋の惨状なら、弾に変換できる破片にも事欠かない。当たるかどうかは気にせず、とにかく乱射した】

(ちっくしょう、組織なんかどうでもいい狂犬、ってわけでもねえのか……!!)
(さすがにここまで侵入されて、侵入者と対話なんざそりゃ普通はしねえ……だからこそ、あの狂気に賭ける気だったが)
(そういうとこだけまともなのかよ、クソッタレ……!!)

ああ!? ケツに火ィついてんのはそっちだろうが!! 自分とこの施設の中に敵の侵入を許した時点でよおぉ!!

【言いつつ、右手で乱射、左手でコンソールにカードキーを差し込む。その段階で、スカーベッジは乱射を中断し】
【画面に表示されている情報に、携帯端末のカメラを向けて幾度もシャッターを切ろうとする。同時に、その情報を自身の目でも確認しようと】

【だが、そこにマリオンのフルオート跳弾射撃という曲芸じみた攻撃が襲い掛かる】
【さすがに、以前自分たちが戦った宿敵の一人、マーシャル・T・ロウのそれにははるかに劣るものの】
【コンソールに張り付く自分には、十分に脅威】

――――っがああぁ!! クソガキャアアアァァァ!!!

【その身を、複数の銃弾が掠め、貫き、盗賊の汚らしい血を辺りにまき散らす】
【だが、それでもまだコンソールから目を離さず、情報を引き出そうとするのは流石に盗賊か】

【同時に、マリオンへの反撃も試みる。どの道、この状況では精密な攻撃は出来ない。ならば】
【スカーベッジは再び、ワイヤーを伸ばした。ただし、今度は手ではなく肩や背中などから、何本も】
【数十本はあろうかというワイヤーの束が、スカーベッジとマリオンのいるこの部屋全体に伸びていこうとする】

【もし、止められることがなければ。スカーベッジは部屋の中の工業機械やケーブル、カプセルといったものに】
【手当たり次第にワイヤーを巻きつけ、コンソールに捕まって全身に力を込めて。それらを引き倒そうとするだろう】
【当然、重い機械などは引き倒せるものではない。手当たり次第に伸ばしたために、そういったものにもワイヤーは絡んでいた】

【だが、それでも何かしら倒せそうなものにワイヤーがかかっていれば。そのうちのどれかが、マリオンに襲い掛かれば】
【先ほどの説得よりは、まだ分のある賭け。盗賊は未だコンソールを横目で見ながら、必死の抵抗を試みた】
38 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 00:48:06.17 ID:Ub4qhQg7o
>>34


「フレッドさん! ………よ、余計な心配だったようですね。先に進みましょう――」


【自爆攻撃によって吹き飛ばされた際、フレッドの耳元で、アルフレドの焦燥の声が弾けるだろうか。流石にこれは不味い、と彼も思ったのだが】
【……この男、やはり"規格外"の何かだ。そんな風に思う。普段ならば驚くところだが、今はただ、それが頼もしい――】

【そして、ドアを目の前にしたフレッドとムクの選択は――あまりにも強引で、そして余りにも効果的な方法であった】
【「お見事です」とアルフレドから賞賛の声が上がるだろう。これにより、二人は完璧に無傷で部屋の中へ突入することとなる】


【さて――いよいよ正念場だ。室内はかなり広く、横に長い造りをしている。事務用の机や書類が納められた棚があるが……】
【目を引くのはそちらではないはずである。部屋中の壁に残された、ナイフで切り刻んだような跡。壁に掛かったダーツボードはスライスされている】
【それこそ、何者かが正気を失って暴れまわったかのような有様。極め付けに、部屋の端にはベッドではなく機械的なカプセルのような寝床があった】

【強いて言うなら――そう"狂気"じみている。アルフレドが息を呑むのがわかるだろう。あの男の雰囲気を、この部屋からはひしひしと感じる……!】


「おかしな様相ですが……機密保持のため資料を破壊したという風でもなさそうです。壁の傷は古いし、残留物が多すぎる。
 お二人とも、早速周囲を探ってみてください。きっと何かあるはずです――奴らにとって致命的な、何かが」


【アルフレドの声もいよいよ真剣みを増してきた。何が潜んでいるか分からない、警戒は十分に必要だが、それさえ超えられれば――】
【周囲にあるもので調べられそうな主要な物品は、例のカプセルはもちろんのこと、事務用机、棚にある資料類など。もう何もかもが怪しく見える】
【もし気になるのであればだが、他に床や壁なども調べてみても良いだろうか……?】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/21(日) 00:59:55.39 ID:Ui/zqDua0
>>36
【道化のように怯えるメリッサをさも面白い見世物だとばかりに鑑賞していると耳に届くイスラの声】

「りよーかい!」
「さ・て・と・♪」

【と、したなめずりをしそうな表情でメチャクチャに突っ込んでくる『クグツ』に向かって戟を構える】

「どんなに固くたってぜーんぶ凍らされちゃったら動けないよね?」

【『血塗れかき氷(ブラッティアイスエイジ)』能力の名であり、尚且つ追い剥ぎ時代のこの少年に出会った獲物がどのような運命を辿るが最も分かりやすい比喩】

「そんな」

【彼に狙われた獲物は】

「動きで」

【全身を凍らされて】

「この僕を倒そうなんて」

【戟で刻まれ】

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」
「UUUuuuuuuuuuuuuuHYAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!」
「無うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ理いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」

【さながら苺のシロップをかけられたかき氷のような『モノ』にされることち由来する】
【戟の乱打乱撃に超低温を乗せて放たれるラッシュ】
【二つの鉄人形は破損こそ殆ど無いもののブ厚い氷に閉じ込められるだろう】
【そして氷は絶縁体である…即ちは…】

「さてさてメリッサさん♪」
「お友だち…動かなくなっちゃったね?」

【ヒタリ…ヒタリ…】
【顔を綻ばせながらゆっくりと近づく、そしてその距離が0になった瞬間】
【少年はメリッサ(獲物)の頬から片目をペロリと舐め上げて言うのだろう】

「つ 〜 か っ ま 〜 え 〜 た っ ★ 」

「 も う 、ニ ガ サ ナ イ ヨ ? 」

【、と】
40 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 01:11:56.75 ID:Or121cKoo
>>38

【派手に風穴の空いた部屋からマリオンの部屋に上がり込むと、殺伐とした光景が視界に飛び込んできた】
【ムクが顔をしかめながら部屋を回る、壁やダーツボードに刻まれた無数の刃物の痕、そして―――寝具が通常と違い機械的なカプセルである事だけがまず頭に入る】
【心なしか重々しく部屋を回りながらムクは、その壁の荒れようを見ながら重々しく言葉を発するだろう】


「……剛の字連れてこんでよかったわい。なんというか……この『一目でわかる病み具合』、常人にはキッツイ光景じゃのう」

あいつ頭の中で暴れまわる寄生虫かなんかでも飼ってるのかね?おおよそ健康な状態とは思えない狂い方で気の毒だねえ
前に殴りかかったときはマジにキレたナイフって感じの暴力衝動の塊みてぇな奴だったのをよっく覚えてるしな、まあいい
ムク、俺はこのまとめられた資料とカプセルをちょいと調べてみるわ、オマエはほかになにか妙なものが眠ってねえか探しとけ、クジラックスの単行本でもあったらパクっとこうぜ


【ケタケタ軽口を叩きながらフレッドは机から資料を取り出して、1ページずつ資料をペラペラめくりながら、カプセルをその"金剛"を取りつけた手で探り始めるだろう】
【このカプセルがどういう意図で置かれているのか?寝具の代わりにこれがあるのはなぜか?前もっていくつか推測を立てながら探るだろう、無駄にいい笑顔で】

【一方ムクは、他になにか手がかりがないか、再びその魔翌力をも探知する凄まじい『嗅覚』を持って部屋中を探り始める】
【床や壁、なにか隠れていそうな場所などを嗅ぎ当てて、フレッドに掘り出してもらうつもりなのだろう、各自二人の部屋荒らしが始まる】
41 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 01:18:41.72 ID:Ub4qhQg7o
>>37


くッははは、そりゃあそうだ!! 違ェねえわ!!
だからさぁ、オレいま超ムカついてんだよ。端末をここまで持ってきた奴はもう原形も留めちゃいねェが、それでもまだ収まらねェ。

――テメェで発散させてくれよ、なぁぁあ!!!


【スカーベッジの言うとおりだ。この施設に潜入されている時点で、これはもう"負け戦"であり"撤退戦"なのだ】
【痛いところを突かれた形だが、マリオンはむしろ愉しそうに笑ってそれを受け入れる。――ぎょろり、と、濁り切った青がそちらを捉え】
【反撃の銃撃を、マリオンもまた物陰に隠れることでやり過ごす。そして弾幕が止んだ瞬間を狙い、左手にサバイバルナイフを持って突進――!】

【そこでマリオンは、銃弾を数発コンソールの"真上"に叩き込む。――この場所、地の利はあちらにあるという訳だ】
【何か要所となる部分を打ち抜いたのか、真上から大量の瓦礫がスカーベッジとコンソールへ降り注ぐ……!!】
【その場に留まり続けた場合、コンソール共々、文字通りの『スクラップ』に成り果ててしまうだろう。逃げなければ命の保障は出来ない】

【――しかし。反撃の乱射の甲斐あって、それより僅かに、スカーベッジがコンソールの画面を撮影するのが早いはずだ】
【自分でコンソールの画面を読み取る時間はないかもしれないし、マリオンを目の前にして悠長に写真を見るのも危険だけれど】
【画面の撮影自体は確かに"成功"している。携帯端末に保存された"機密"は、この状況を何とかした後でゆっくり閲覧すれば良いだろう】


オイオイ、なんだそりゃあ! 全身ワイヤーのびっくり人間ってか、ちったあ笑える芸もってんじゃねェか!!
だァが甘ェッ、こんな小細工でオレとやり合おうなんざ百年早ェんだよボケが――――!!!


【とにかく今は、目の前の"クソガキ"を何とかしなければ。突進自体はスカーベッジの抵抗により止められるものの、】
【敵も流石の身体能力だ。火事のせいで脆くなっていたこともあり、部屋中の器物が一気に倒れこんでくるが、マリオンはそれを恐れない】
【倒れ込む器物の動きを読み、最小限の動きで回避。倒れた際の細かい破片で肩や腕を裂かれはするものの、溢れ出る血すら意に介さず】

【一切後ろを顧みず、マリオンはスカーベッジへ今度こそ突撃する。距離が詰められたのならナイフを振り上げ――――――、】



「……がっ、おいッ、マリオンッッ!! 貴様ッ、早く私を助けろ!!」


【――そんな時である。室内に悲鳴じみた命令が響きわたるだろうか】
【どうやらスカーベッジの抵抗が、また別のモノを引き当てたようだ。逃げ遅れた挙句倒れた機材の下敷きになった研究者がひとり、必死で叫んでいる】
【マリオンの攻撃はそこで中断されるだろう。興が殺がれた、と言わんばかりに、マリオンはスカーベッジから注意を逸らさずそちらを伺う】
【普段ならば――――即射殺して終わりであっただろうけれど。ここでスカーベッジが引き当てたのは、ある意味あのコンソールよりもずっと、】


「そんなゴミにいつまで構っている! 物の優先順位もわからんのか、薄汚い"戦闘兵"崩れめ!!
 クソッ、なぜ私がこんな目に、貴様のせいだ! 存在する価値もない無能力者めがぁッ、いったい誰が貴様を能力者にしてやったと――」



      【―――、―――――ガガガ、ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッッ!!!!!!!!】


【フルオートの銃撃音。本来スカーベッジに撃ち込むはずだった弾を使って、マリオンは研究員の首から上の原型が無くなるまで射撃を続けた】
【目の前のスカーベッジから完全に目を逸らしてまで、マリオンは研究員を惨殺したのだ。――その背中は当然、隙だらけである】

【……"戦闘兵"。この言葉はさっきの資料でもほんの少し、出てきただろうか】
【果たしてその存在がGIFT内でどういう意味合いを持ち、どういう扱いを受けるモノなのか、それはまだ正確にわからないかもしれないけれど】

【けれど、これだけはハッキリわかるはずだ。……あの研究員は、マリオンの中の"禁忌"に触れた。何かしらの"引き金"がいま、引かれたのだ】
42 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 01:39:44.85 ID:Ub4qhQg7o
>>39

【――メリッサの精神的動揺を受け、完全に動く的と化してしまった『クグツ』。もはやワザワイの攻撃を止めるものは何一つ無い――】
【逃げる素振りすら見せず真正面から氷気を浴び、その上で戟が体に打撲を刻んでいく。いくら機械とはいえ、ここまで滅多打ちにされてしまえば】
【そして、全身を氷に覆われてしまえば、当然機能停止は避けられない。苺シロップというには白すぎる人口血液が、氷を彩っていた】

【これで、メリッサを守る盾は無くなった。次は直接本人に話を付けられる――】
【……はず、だったのだが。果たしてこれはワザワイのせいなのか、それともメリッサのせいなのか】
【イスラも完全にワザワイの豹変っぷりに呑まれてしまっていて気づけなかった。……残念ながら、ワザワイがメリッサを目にすることはない無いだろう】


「えっ―――あっ!!? め、メリッサさんが居ません!!」


【端的に言えば――ちょっとばかり怖がらせすぎたのだ】
【獣の様な叫び声を上げて自らの配下を切り刻む小さな狂戦士の背中を、何の覚悟も無い一般人は直視することすらできなかったのだ……】
【スクリーンの奥に"隠し扉"が開いているのに気づくだろうか。奥をが覗き込めば、それが緊急用のエレベーターだったとわかるだろう】
【メリッサはそれを使い、上層へ逃げていってしまったようだ。まさしく脱兎の如き逃走であった――――】


「……今回は、仕方ないね。出来れば保護してあげたかったけど、彼女を深追いするのは危険だし……」


【イスラが軽く溜息をついて、ワザワイにそう声を掛けるだろう。別にワザワイを責めている風ではない、ちょっとした苦笑いだ】
【ともあれ――メリッサが全てを捨てて逃げ出したお陰で、例の端末は無事回収できたことになる】
【後はワザワイがそれを持って脱出すれば、今回の任務は見事成功、ということになるのだが――】



【そこで、イスラがワザワイに「ちょっといいかな」と声を掛けるだろうか。何か、決意したような声色だ】


「ともあれ、これで端末は確保できました。――えっと、それでなんだけど、ワザワイちゃんにお願いがあるの。
 この拠点を脱出した後、すぐに自警団のトレーラーが待っていると思うんですけど……。
 すぐにそちらへは向かわずに、その場で待っていてください。すぐに"私服姿の小さな女の子"がそちらに向かいます。
 その子は私たちの仲間の一人……その子が、別の場所にある"SCARLET"のトレーラーの中へ案内します。それに、従ってほしいんだ」


【それは「おねぇちゃん」としてではなく、一人のSCARLET隊員としての願いであった。】
【……理解してもらえるかは分からない。けれど言うしかない。イスラはそこで言葉を切って、続けるだろう】


「恐らく……その端末の中には"レイリスフィード大学"が『ヒュドラ』という危険薬物を製造・販売していた証拠が詰まっているはず。
 ――我々自警団は、その端末の証拠を元に"レイリス大"を摘発するつもりでいます。
  用意してある自警団のトレーラーの中には大学関係者が居るの。彼らに端末を取り上げられてしまえば、また証拠を隠滅されてしまう。

 無能力者だとか能力者だとか――そんな無意味な抗争に、これ以上市民のみなさんを巻き込むわけには行かないんです。
 このままじゃ、ワザワイちゃんの大事な人だって、こんなおかしな人たちの争いに巻き込まれちゃうかもしれない。
 私達にはどうしても、この端末が必要なんだ。ワザワイちゃん、どうか協力して欲しいの、お願いします……!」


【――この一連の潜入作戦。水の国自警団はどうやら、"レイリスフィード大学"の言いなりになる気はないようである】
【"SCARLET"……本来砂の国の出身である『ヘイダル』の手まで借りて、彼らはここでレイリスフィードを追いつめる気なのだ】
【ここを脱出した後、ワザワイがもし先ほどイスラが指示した通りに動いてくれたならば――自警団は決定的な証拠を手にすることとなり】
【GIFTが襲撃してくるよりも先にレイリス大を検挙して、被害を押さえることが出来るかもしれない……そういうわけだ】

【ワザワイがこれにどう応えるか――それはわからない。そもそも言っている意味が理解できない可能性もある】
【けれど……イスラの必死さだけは、ひしひしと伝わってくるはずだ。自分の信じる"平和"の為に、この端末が必要なんだと――】
43 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 01:51:27.31 ID:Ub4qhQg7o
>>40

【まず、フレッドが机から取り出して読み始めた資料だが――違うか。これは資料ではない。"日記"だ】
【……いや、日記とすら呼んでいいものか。かなり古いもののようだが、昔のページはあらかた破り取られていて読み取れない】

【残っているページも僅かに存在するのだが――あまり、直視はしない方がいい】
【書かれているのはGIFTの"金十字"だが、色も筆跡もグチャグチャ。幼稚園児だってもうちょっとはマシなものを描くだろう】
【見ているだけで頭が痛くなりそうな……理性がおかしくなってしまいそうな、あの男の狂気の発現がそこにある……】


「詳しいことは解りませんが……療養用のものに見えますね、これは」


【そして、次にカプセルだ。これについてはアルフレドが先んじて推測してみせる】
【専門の施設にしかないような高度で巨大な機械だ。こんな設備があれば、確かに安眠は保障されるだろうけれど……】
【当然値段だって個人で買えるようなモノではない。わざわざこんなものに入って眠る必要は果たしてあるのか、】
【それとも、こんなモノを使わなければまともに眠ることも出来ないほどに――あの男の精神は"手遅れ"であるのか】

【――と。それとは別に、カプセルの下部のところに小さな収納スペースがあるのが分かるだろうか。もしそこを開いてみたならば、】
【中には錠剤が収められた箱のようなモノがあるだろう。薬物といえば、例の『ヒュドラ』が真っ先に頭に浮かぶかもしれないが……】
【錠剤の正体は全く違うものだ。箱の側面に成分表が書かれている。薬剤の知識があれば、これが強力な"精神安定剤"だとわかるだろう】
【たとえその知識がなくとも、錠剤を持ち帰って自警団員達に鑑定してもらえば、後で知ることができるはずだ】


「……こんなものではないはずだ。お二人とも、まだこの部屋には何かある筈です。もっと、もっと核心に近い何かが……」


【アルフレドが軽く二人を急かす。彼も少しばかり焦れているようだが――やや白熱したような声色は、それだけではない】
【ここに来て、彼の"刑事の勘"が何かを告げているのだ。まだこの部屋に、もっと重大な秘密が眠っていると】

【そして――ムクは気づくだろうか。例の刻まれたダーツボードの裏側から、ほんの微かな"異臭"がするのに】
【決してマリオンのものではない、品のいい香水の香り。ボードをどかした奥の壁、一見何も無さそうに見えるけれど――】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/21(日) 02:05:26.62 ID:Ui/zqDua0
>>42

「ありゃ?」
「ちょっと怖がらせ過ぎちゃったかな?」

【振り向いて脅しをかけようとしたがその標的は既に何処かへ逃げてしまっていた】
【そして届くイスラの声】

「ごめーん、逃がしちゃった…」
「あとでおやつのラムレーズンあげるから許してー、あっ、他の人には内緒だからね!」

【そしてその話を相槌を打ちながら聞き終える】

「りょーかーい!」
「僕もリーベおねぇちゃんを巻き込みたくないしっ!」

【言い終わると件の端末とカードキー、それと散らばっていた資料と氷を割って取り出した『クグツ』を二体、おまけに結局使わなかったマシンガをひとくくりにすると出口へと向かう】

「んしょ、んしょ」

【丁度ソリのようになっている氷塊にサンプルとしての『クグツ』や沢山あった資料を持っていき指定の場所で待つ】

「それとさぁ、いーねぇちゃん…さっきから僕のことワザワイ『ちゃん』って呼んでるけど僕は男の子だかんねっ」
「流石にちゃん付けは恥ずかしいよぉ///」

【この任務が終わればこのインカムも回収、そうでなくともリサイクルショップ行きだ、それまでおしゃべりも悪くないだろう】
45 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 02:09:50.22 ID:Or121cKoo
>>43

【見るに堪えないぐちゃぐちゃな色彩、幼稚園児以下の汚らしい絵をフレッドは暫くパラパラとめくって残るページをいくつか見るだろう】
【それを見たうえで―――彼は目をそらさない。特に苦しみも顔に浮かべることなく一枚一枚、絵になっていない汚らしい狂気の具現を―――読み古した雑誌のように彼は読み続ける】
【そして―――おおまかな内容を見終わった後で彼は―――くすり、とどこかうっすらとした笑みを浮かべる事だろう】


ふん……次はカプセルか、こんな感じの設備前に使ってみた事あったな、懐かしいぜ
ただ、それをわざわざ自室に作らせるなんて事はしなかったねぇ……それに、このクスリ……『ヒュドラ』ではねえようだな
これは精神安定剤だ、箱に成分表が書いている……それも成分を見る限りそうとう『ドキツイ』効果の奴だな、野郎、掘れば掘るほど不健康さが浮き彫りに出やがる

……まあ慌てんじゃねえアルフレド、オレだってこの部屋に隠れてんのがこれっぽっちとは思っちゃいねえさ
今ムクがほかになにか隠れてねえかを探ってもらっている、こいつの嗅覚ならまず何かは手に入ると思うが―――どうだ?

「……怪しい匂いがするのは―――ここじゃのう、このダーツボードの所じゃあ―――ここが一番臭う、なにか隠れちょるぞ」

そうか。じゃあ―――その辺をさっくりと掘削してみっかねぇ!


【ダーツボードをどけたその先の壁、何もないと思われていたその壁の向こうが怪しいと判断するや否や】
【フレッドは再びその拳を握り、鋭いジャブを細かく刻むようにバチバチ壁にあてて、その位置の壁を上手く破壊しようとするだろう】
46 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 02:09:59.62 ID:TZiElmslo
>>41
あーあー、そりゃお怒りはごもっともだなあぁ、おい!!
どうせなら、完全に平静を失って怒り暴れるくらいまでいっときゃまだやりやすかったもんを、可愛げの欠片もねえガキが!!

発散してえのはこっちも同じだ!! 他の連中がどうだか知らねえが、てめぇみたいなのに出くわすなんざ
潜入した中じゃ俺が間違いなく一番の貧乏くじだろうぜ、ど畜生!!!

【口汚く罵り合う悪党と悪党。確かに大勢は彼らの負け戦だろうが、この男は正体を隠して参加したカノッサの手先】
【いわば、ここで潜入側が勝利したとしても報酬以外に実入りがないというハンデを背負っている】
【このままここでマリオンに殺されでもすれば、それこそ『スクラップズ』は大損だ】

【言葉と裏腹に愉悦を表情に浮かべるマリオンに対し、言葉通りに苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるスカーベッジ】
【乱射を止めた途端に、こちらへと駆け寄ってくる足音が聞こえれば、さらにその顔は歪む】

【さらに、それだけでは済まない。マリオンの恐ろしさはその能力もさることながら、あらゆる手段を厭わず、敵を追い詰める悪意にもある】
【そこに地の利も加わった結果が、自身に降り注ぐ瓦礫の山。『スクラップズ』がゴミに潰されて死ぬなど、何と相応しい死にざまだろう】

【が、それを黙って受け入れるほど殊勝な男であるはずもなく。端末の撮影に成功したならば】
【すぐさま、コンソールの影から飛びのく。携帯端末は、しっかりとベストの中にしまい込んで】
【が、やはりそれは遅かった。瓦礫の一つがスカーベッジの左脚の上に落ちる。骨の潰れる音がした】

――――っっっぐ……おおあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

【激痛。絶叫。スカーベッジは崩れ落ち、身動きが取れなくなった】

……っが、がぁあ……!! ……て、めぇらに言われたか、ねえよ……!!
なあにがびっくり人間、だ……てめぇらGIFT、の、頭の中の、方が……よっぽどびっくりだってんだあぁ……!!

【それでもなお、口は減らない。半ば意地だが、自身の意識を繋ぎ留めるためでもある】
【だが、この状況。火事による器物の脆さがもたらした決死の抵抗も、全てマリオンは回避していく】
【多少のダメージは焼け石に水。加えて自分は動けない。もはやこれまでか――――】

(!? 逃げ遅れ……ひひ、どうやらまだ悪運は残ってたか)
(俺の上に落ちたのが瓦礫だったっても、不幸中の幸いだ。この隙に……)

【背後から聞こえる悲鳴。そちらに視線を投げれば、声の主たる研究者が見える】
【ともあれひとまずは命を繋いだ。これ幸いと、能力を発動。自身がゴミと認識したものを操るスカーベッジの能力が、左足を潰した瓦礫へと侵食を開始する】

【しかし危うくそれを中断しそうになるほどの、特大の爆弾がこの場に投げ込まれた】

は――――!!?
(あのバケモンが戦闘兵……元無能力者だとおぉ!? あいつは、『GIFT Lab』で作られた人工能力者……!!)
(いやいや、やつの経歴は今はいい……覚えてはおくが、今はいい。問題は……)

(あんのクソ研究者、とんでもねえ地雷踏み抜いて逝きやがった!! 能力者至上主義のGIFTで無能力者の戦闘兵上がり……)
(どんな扱いを受けてきたかなんざ、想像するまでもねえぇ……で、こいつの性格上、それを絶対知られたくねえはずだ)
(今度こそ、こいつは……なりふり構わず俺を……!!)

【スカーベッジの肉体が、精神が、全神経が警告を発していた。頭部を完全に吹き飛ばされた研究者を忌々し気に睨む】
【自分の命を繋いだきっかけと同時に、更なる危機へと叩き落としていった男から、その視線を切ると】
【佇むマリオンの背後で、スカーベッジは全力で能力を発動させた。巨大な瓦礫の山が、潰されたはずのスカーベッジの左脚に吸い込まれていく】

――――――!!!!!

【無言の殺気と共に、スカーベッジが立ち上がった。その身体は、同化させた瓦礫で包み込まれ】
【瓦礫で出来た鎧に身を包んだ、大柄なゴーレムのような姿がそこに現れる。露出しているのは頭部のみだ】

【所詮は瓦礫。能力者の前では、大した盾にはならない。大きな衝撃を受ければ、容易く砕ける。加えて左脚のダメージもある】
【だが、それを押してでも、攻撃を仕掛けるしか道は残されていない。こちらに背を向けている今、なんとしても】

【声もなく、スカーベッジがマリオンへと疾走する。そのまま、瓦礫で包み込まれた重い腕を】
【全力で、彼に振り下ろそうとするだろう。が、左脚の痛みで、その動きはそう早くはない。対処は可能だろう】
47 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 02:18:53.57 ID:Ub4qhQg7o
>>44

【――画面の向こうで、イスラはきつく目を閉じて返答を待つ】
【本当なら、最初からSCARLETのトレーラーに来るよう指示を出しても良かった。けれど……ワザワイを騙すのは嫌だった】
【わかってもらえるかわからないけれど、誠意を持って踏み込みたかった。狂戦士じみた少年だからこそ、そうしなければと思ったのだ】


「――――っ! ありがとう、ワザワイちゃん……!!」


【そして返って来るワザワイの言葉に、イスラは心からの感謝を告げて。――これで晴れて、今回の任務は終了と相成った】
【幸い他のルートの者が敵を引き付けてくれているのか、帰り道では追撃も無いはずだ。指示通りに外に出て、トレーラーまで行くと】
【インカム越しではないイスラ本人がそこで待っていて、ワザワイを出迎えてくれるはずである―――】
【……「えぇえ!!? おっ、男の子!!? う、ううううう嘘でしょ!!?」というのが開口一番だったのは、ご愛嬌か】


「えと――そういえば、ワザワイちゃ……くん。インカムと『クグツ』は持って行ってもらっていいけど、あれも持ってきてない?
 ほら、例の『小型コンソール』! メリッサさんが開けなかったアレだよ!

 ワザワイくんの持ってる管理人用のカードキーがあれば、あれも閲覧できるはずなんだけど――――」


【さて―― 一息ついたところで、最後に。イスラからワザワイへ声が掛かるだろうか】
【少年は覚えていただろうか? メリッサと戦う前にワザワイが見つけた、カードキーを差し込めそうな『小型コンソール』のことを】
【あれの調査だけがまだ終わっていない。本命の端末自体は取り返したが……何か重要な秘密が隠れている可能性もあるだろう】

【もし、ワザワイがアレをこの場に持ってきていれば、それを閲覧することが可能となる】
【しかし持ってきていないのなら、ここで本当に任務は終了。イスラと談笑でもしているうちに、安全息へ辿り着くはずだ――】


/一応あと一レス分ありますが、ここで切るか続けるかはお任せします!
/参考までに一応、ここで続行した場合もその次のレスで終了の予定です〜
48 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 02:28:44.52 ID:Ub4qhQg7o
>>45


「――! そこに何かあるんですね!?」


【アルフレドが声を上げる。もしこの場に居たのが自分であれば到達できなかった"深淵"に、二人はたどり着こうとしている】
【フレッドの拳はパワーのみならずコントロールも一流か。"金剛"に包まれていることもあって壁はすぐに崩すことが出来るだろう】
【その奥には小さな空間があり、大きめのファイルが収納されていた。こんなところに隠されているからには――、】


【――早速開いてみたならば、中に入っているのがマリオンの"活動記録"だとわかるだろう。GIFT内部に向けた活動報告書のようだ】
【ただ……報告書には不自然に"抜け"がある。やはり最低限の隠滅は行われたのか、特に重要な部分は持ち去られてしまったようだが……】

【残りの記録によれば、マリオンが公に活動を始めたのは約五年ほど前。『GIFT ACADEMIA』を飛び級で卒業し、GIFTメンバーとして活動し始めた】
【……この『GIFT ACADEMIA』とは、文面からするに、恐らくはGIFTの教育機関のようなモノだろう。どうやらそこをかなり優秀な成績で卒業したらしい】
【そして彼の卒業から三年後――今からすると"二年前"。『ヒュドラ』の存在が発覚し、以降マリオンは"レイリスフィード大学"関係の工作を開始したようだ】

【それ以降の報告書を読み進めると、レイリスフィード学園に潜入して、「メリッサ・ハーレイ」を初めとする生徒数名をGIFTに引き入れたことや】
【その後「エドガー・ハーレイ」なる人物を脅迫してSCARLET隊員を冤罪で逮捕させ、『鍵』を奪おうとしたことなど――今までの凶行も記されているが、】



「…………、おかしい。なんだこれは? 不自然極まりない……!」



【アルフレドの呟きの理由が、二人にも分かるだろうか。――残された記録について、どうして考えても不審な点があった】
【それは、マリオンの"パーソナルデータ"について。報告書の上部には、GIFTメンバーの個人情報を記す欄があるのだが、】

【境目は、およそ"二年前"。マリオンが『ヒュドラ』を発見し、レイリスフィード関連の作戦を指揮し始めたその時だ】
【それより前の、マリオンが『ACADEMIA』を卒業してから三年分の報告書には、"パーソナルデータ"が書かれていた跡があるのだけれど】

【――それが、不自然に抹消されている。マリオンの年齢、出自、能力、顔写真などなど、そこにあったはずの個人情報が】
【あるものは真っ黒なインクで塗り潰され、またあるものはその欄が破り捨てられ、強引な方法ですべて"隠蔽"されてしまっているのだ……!】
【そして、"二年前"より先の報告書には――マリオンの名前が書かれているのみで、その他の情報は機密扱いとしてそもそも記載されていない】


【……現時点では、二人に詳しい事は分からないかもしれない。アルフレドに意見を求めてもいいが、彼だって真相が分かるわけではない】

【ただ、これだけは分かるだろう――全ては"二年前"】
【この部屋に残っていた狂気の残滓、マリオンが狂ったきっかけ、一連の作戦が始まった理由。……その時間軸に、全てが集約している】

【この時に何かがあったのだ。一連のレイリスフィード関連の作戦とも無関係でない、そしてマリオンの活動の"指標"となっている何かが】
【マリオンが全てのパーソナルデータを破棄しなければならなかった、何がしかの重大な理由。今は推測を立てるしかないが―――】


/続きます!
49 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 02:30:43.57 ID:Ub4qhQg7o

【そんな時であった。真上から"ピッ"という小さな電子音が響いたのに、二人は気づくだろうか】


「――――ッッ!!? 爆弾!? しまった………!!」


【――刹那、轟音が部屋中に響き渡る! 予め仕掛けられていた爆弾が"天井"を吹き飛ばし、大量の瓦礫が二人へ降り注ぐだろう……!!】
【何らかの細工がしてあったのか、単に時限式のものを仕掛けておいたのかは分からない。ただ、これは罠だということだけは確実だ】
【瓦礫で二人を生き埋めにしようとした、それだけではない。――この"爆音"は、仲間を呼び寄せるサインでもあるのだ】


「くっ……まずい! お二人とも、大丈夫ですか!? これ以上は無理です!!
 今はまだ表の陽動が機能していますが、こうなると時間の問題です、敵がこの部屋になだれ込んでくる前に撤退を!
 ルートはこちらで指示します、まずは瓦礫伝いに上層へ出てください! 急いで……!!」


【アルフレドの声色が変わる。この部屋に大量の戦闘員が流れ込んでくるなんてことになれば――いくらフレッドでも不利だ】
【二人が瓦礫に対処できていたならば彼の声を聞き届けることができるか。今ので積み上がった瓦礫を登れば、上層へ出られるだろう】
【半壊したドアに入ってアルフレドの指示通り走り続ければ、一番最初の正面廊下に出る。後は元来た裏口から外へ出るだけだが――、】


『居たぞ、侵入者だ!! 可能であれば捕縛せよとの命令だ、手足を叩き落して連行しろ――――!!』


【恐らくここが、今宵最後の関門だ。大きなブレードを装備した五、六人の戦闘員が一気に廊下になだれ込み、二人へと走り寄ってくる!】
【この数をいちいち相手にしていては、また別の敵が湧いてきてしまうかもしれない。この場合推奨されるのは――強力な攻撃での一点突破か】

【幸い、入ってきた時に見た通りこの廊下は"狭い"。最大火力を叩き込めば一網打尽に出来るだろう】
【例えそれができずとも、出口はもう目の前なのだ。何かしらの策を打って外に出さえすれば、自警団員が二人を拾ってくれるはずである】
【ここで拘束されてしまえば二度と日の目は見られまい。二人の自衛の為にも、情報を持ち帰るためにも、ここが最後の踏ん張り所だ――!!】


/長くなって申し訳ない、時間も遅いですので次で〆にしたいと思います!
50 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 02:50:50.33 ID:Ub4qhQg7o
>>46

【無防備に背中を向けたマリオン。――スカーベッジがここで"全力"を出す決断をしたのは、この上ない正答であった】
【彼が危惧した内容も全て合っている。"禁忌"を聞いてしまったスカーベッジをマリオンは決して逃がさないだろう】
【轟――と。瓦礫の巨人と化したスカーベッジが腕を振り上げ、マリオンへ振り下ろす。男は、最後まで動くことは無く、】

【――ジジッ、と。そんな音とともに、その姿が"掻き消える"】
【地面を砕くとてつもない音が、既に炎で半壊した室内へ反響するだろう。マリオンの行方は、果たして――】


…………、………。


【……居た。少し離れた場所で大の字にぶっ倒れている。ほぼ直撃したのだろう、全身血塗れの酷い有様だ】
【攻撃の瞬間にマリオンの姿が消えたのは、彼の力が"透明化"の能力だったからに過ぎない。――倒した、のか】

【能力者とは言っても、直接的な攻撃力の無い卑怯な能力。――だからナイフや銃に頼り、命を捨てて突撃しなければ、"本物"に追いつけない】
【人工的に作り出された程度の能力ではこれが限度なのだ。はっきり言えば、マリオン・リヴァーズは、弱い――】




―――、いギはッ、あび……ひハグ、ギヒひひ……、



【――ただ一つ、男に能力以上の"異常"があるとすれば。スカーベッジも半ば気づいていただろう。その、捩れ狂った"精神性"】
【満身創痍の体で、男は立ち上がる。痛みも傷も知らないみたいに、糸に釣られているかのような無理矢理な動きで、天を仰いで】



          ひひははははは、あヘヒはははァははははは、がッギギ、はィははッははははははは――――………ァアッ!!!



【それは、秘密を見られた怒りでは無かった。悲しみでも無い。憎しみでも無い。名状し難い何かが渦巻き瓦解し分解して空白を作り再度渦を巻く】
【口は引き裂け両目の焦点は合わず。この世総てを呪わんばかりの殺意は狂い果て狂い続けて存在意義さえ喪失し泥となって溢れ出す】
【この混沌たる白熱を"狂気"以外に何と称せばよいのか。今までスカーベッジが見た中で最も、筆舌に尽くしがたく凄絶に穢れた相貌が、向く――――】

【ゆらりと、そのままマリオンはスカーベッジへ歩いていくだろう。……殺すとか殺さないとか、そんなことは考えていない】
【そもそもあの体ではスカーベッジに攻撃を行うのさえ厳しいだろう。あそこで嗤っているのは、純然たる狂気の塊】
【禁忌に触れて発憤するどころの騒ぎではない。スカーベッジは運悪く、この男の一番深い"源泉"に踏み込んでしまったらしい―――、】


/続きます!
51 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 02:52:24.65 ID:Ub4qhQg7o

【――――その、刹那。戦いを遮ったのは二つの要因】


「……さん! シュペアーさん!! やっと繋がった……!
 その周囲はもう限界です、いつ崩れてもおかしくありません! それ以上マリオンに構っていたらあなたも……!
 出口まで火の手が回る前に、脱出して下さい! GIFTの戦闘兵たちも戻り始めています、お願い、急いで……!!」


【ひとつは、火事でジャミング装置が壊れたのか、イスラからの緊急通信だ。この場はもう保たないから脱出しろ、という旨】
【そして二つ目は、それを裏付けるように、天井から降ってきた大量の瓦礫だ――ちょうどマリオンとスカーベッジの間の位置に降り注ぎ、分断してしまう】


いひひアはははは、ッ、くひゃはっはははははは!!!
あの忌々しい無能力者どもの住処、レイリスフィード……叩き潰っ、証明して………や、が?
ぐぎっ、ひひっ……羽虫ども、無能力者――ぎひハハハッハ、はははぎぐあガアアハハハハハハハハはははィは――――……。


【向こうも本能的にそれを悟ったのだろうか。頭痛を堪えるようなひどい表情で、譫言を呟きながら、研究員たちを逃がした扉へ自らも消えていく】
【とにかく、もはやこれ以上の探索は不可能だ。成果も十分、ここはもう撤退するしかない】

【ここでスカーベッジが脱出を宣言したならば――涙声のイスラから連続して指示が飛ぶだろう。その通りに道を進めば】
【うまく敵を避けて外までいけるはずである。最初に来た裏口から出れば、路地の外にトレーラーが停まっているのが確認できる、けれど】


【……まだ、最後のモノが残っているか。例の写真に残された"秘密"】
【トレーラーに入ってからでは誰かに見られる恐れもある。一人で確認するならば、ここで開いてみるのが良いか―――?】


/こちらも次でラストになります!
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/21(日) 02:54:24.36 ID:Ui/zqDua0
>>47
【ややむくれた顔で自分の性別を勘違いしていた事で散々いじり倒した後に持ってきたその他諸々の中から『小型コンソール』とカードキーを取り出して手渡す】

「あー、今またちゃんって言おうとしたでしょー」

【等と言いながら若干崩れた髪型を直して右のサイドポニーにする】

「それと『クグツ』(これ)やっぱい要らないや、格好いいけど重いし…」

【と、言ってインカムだけたたんでポケットに入れると氷のソリが初夏の風に溶かされて地面に『クグツ』が転がる】

「あ、でも頭だけ貰っとこ!」

【そうして一体だけそのモノアイっぽい形状が気に入ったのか首をもがれて腋に抱えられる事となり残りの一体と首なし死体(元から生き物じゃないが)を戟の柄でつっつきながら】

「うーん、ここに置いといて変な人に持ってかれたら面倒だしいーねぇちゃん持ってって!」

【などとかなりの重量を持つ資源ゴミを押し付けつつさっき言っていたおやつのレーズも押し付ける】

【暫し愛しの姉の事などを喋った後に少年はこの国のお土産でも買ったあと帰路にたつだろう】

「また会ったらその時もヨロシクネ!いーねぇちゃん♪」

【なんて台詞を残して】

/ふひぃ、疲れた
/主催者様、参加者のお二方お疲れ様でございました
/とっても楽しかったです、いずれまた参加したいと思います
/お疲れ様でしたー!
53 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 03:16:02.65 ID:Ub4qhQg7o
>>52

【イスラは小型コンソールとカードキーを受け取ると、黙って作業を開始するだろう】
【……性別を勘違いしていた件がよほどアレだったらしく耳まで赤い。作業に集中しているのは照れ隠しみたいなものか】
【暫くして、ピピッ、という電子音。無事にカードキーが認証されたようだ。正規の方法でコンソール内の情報を開くことができたらしい】

【ただ――戦闘中に破損してしまったのか、二つあるファイルのうち一つは見られなくなってしまっていた】
【「仕方ないね」と告げ、イスラは素直にもう一つの方を開き、ワザワイと一緒に見ようとするだろう――】


「これは………GIFTの戦闘兵のデータみたい。
 コレを見るに、どうやら正規の『GIFTメンバー』と、GIFTの『戦闘兵』は完全に別格の存在らしいけど……。

 ……、あははっ。ワザワイくん、これハズレだったみたい。大した情報じゃないよ、こんな、の……」


【データの中身は、『あの拠点に勤めていたGIFT戦闘兵のリスト』のようだ。そしてイスラの言うとおり、文面からすると】
【この『戦闘兵』とは、正規のメンバーとは実力も待遇もまったく異なる下っ端のようである。……データから分かるのはそれだけだ】
【イスラの声に苦笑いが混じる。今更、果てしなくどうでもいい情報だ。こんなリストを引き当てたところで、いったい何の役に立つというのか――、】



          「――――、え?
 
                                『リチャード・トラヴィス』…………?」



【………イスラの様子がおかしくなったのは、そのリストの最後の方のページを見た瞬間だった】
【そこに『リチャード・トラヴィス』という名前が記されているのだ。――、この意味が、ワザワイにはわかっただろうか?】

【『TRAVIS』。以前から自警団や警察に出資協力を申し出ている大企業の名で、今回の潜入任務においても出資や情報提供等で協力してくれたはずの企業】
【そして、リチャード・トラヴィスとは――既に父に代わってほぼ全権を振るっている、『TRAVIS』の"次期社長"の名前である。けれど、】


【難しく考える必要はない。ワザワイは彼に直接会っているのだから。この潜入任務の一番最初に同席していた、あの"赤い瞳の少年"――――!!】


「…………え、あ! え、え、えっと!!? あっ、う、うん! いらない分はこっちで預かるからねワザワイちゃん!!
 ああっちがう逆でした!! えっとつまりワザワイちゃんが女の子でワザワイくんが男の子で…………??」


【――果たしてこれは、どういうことなのか。イスラは再び混乱の極みに陥ってしまって、ワザワイとまともに話が出来るのは暫く後だ】
【少年の"お姉ちゃん"の話をじっくり聞いてようやく落ち着いて、トレーラーはそのままワザワイを望む場所まで送り届けるだろう】
【彼が帰国する際は、"いーねぇちゃん"もこっそりお見送りに行くはずで。イスラにとっても、少年との出会いは決して悪いものではなかったのだ――】


【なんて……綺麗に締めるのは、もちろん数日後の話だ】
【今現在イスラを大いに混乱させている――最後の最後で見つかった最大の"不審点"について、】
【まるで計ったかのようなタイミング。ワザワイがしばらくトレーラーの中でイスラと話していたなら、一緒に見ることになるだろうか?】

【調査終了から三十分ほど後のことだ。全国放送にて『TRAVIS』が緊急会見を開き、リチャード・トラヴィスが沈痛な面持ちで記者団の前に立ったのは――】


/これにて右ルートは全行程終了となります……!
/最後の「緊急会見」についてはイベント終了後に後日談の形で投下しますので、今は気にしないで結構です!
/本日は遅くまで、本当にお付き合いありがとうございました!!
54 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 03:20:59.26 ID:Ub4qhQg7o
>>50
/かなり今更ですが訂正をば……
/「今までスカーベッジが見た中で最も――」のくだりですが,、「今までスカーベッジが見た『マリオンの表情の』中で最も――」が正しいです
/なんか過去の強制みたいな文章になっちゃってるのに気づきませんでした、申し訳ありませんorz
55 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 03:31:54.43 ID:TZiElmslo
>>50‐51
【手応えは、あった。確かに、この瓦礫の腕が、マリオンを叩く感触がした】
【相手の反撃も考えず、全力の一撃。確かに命中した、はず。されど、その姿が直前に消えた】
【どうなっている。床が砕ける轟音に一瞬顔をしかめ、必死に視線を巡らせれば、鉛色の瞳がそれを捉えた】

(……やった、のか? あれは透明になっただけで、攻撃をすり抜けたわけじゃねえようだが……)
(なるほど、だからナイフや銃を……戦闘兵時代の技術に頼ってた、ってとこか)
(いや、此処まで来て油断して、なんてのは洒落にならねえ、早くとどめを――――!!)

【確かに、マリオンという男は直接的な戦闘能力という点では、劣っていたのかもしれない】
【だが、それは自分たち『スクラップズ』も同じことだ。結局は、能力に頼り切っただけの盗賊】
【それを、自分たちは悪意と連携でもって補ってきた。ならば、彼は。マリオン・リヴァーズは】
【わかっている。奇しくも、似通った部分を持つ者として。その技術、そして狂気】

【恐らくは、自分が知ってしまった禁忌に基づくのであろう――――人にして人から逸脱した精神】

ひ、ひ……!?
なんだ、ありゃ……まだ立ちやが――――いや

おい、てめぇ……なんだ? なんなんだ、てめぇは――――!!?

【スカーベッジもこの世に蔓延る悪党として、多くの信じがたいものを目にし、または耳にしてきた】
【だが、眼前のそれは今までのどれとも違う。満身創痍の、10代の少年。眼前にいるのはそんな存在のはずなのに】
【およそ、人の言葉で表現しきれるものではない。混沌、狂気。それらですら、あれを現しきれそうにない】

【言ってしまえば、わけがわからない。そんな存在が目の前に現れた。一人の人間が、いったいどんな経験をすれば】
【どこまで狂い切れば、ああまでになれるのか。想像するまでもない、と自分で言ったが、実際は想像すら及ばないレベルの話だったのだ】
【それが今、人の形で目の前にいる。マリオンという男の表情に、双眸に、それらが凝縮してこちらを見ている】

【さらには、こちらへと歩を進めてくる。その段階になって、固まっていたスカーベッジもようやく身体の自由を取り戻した】

ひ――――ひぃっひひっひいいいいいいいい!!!
近寄るんじゃねえ、バケモンがあああああああああああああ!!!

【マリオン・リヴァーズの底の底を垣間見ることとなってしまったスカーベッジ。その叫びは、もはやこの盗賊自身も】
【マリオンの秘める狂気にあてられて、狂ってしまったかのようだった】

【だが――――またも、悪運が己を救う】

ああっ!? あ、あ……シャルディさん、か……!!
……らしいな、たった今危うく潰されかけた……おかげで九死に一生を得たが

ああ、わかった!! ここで生き埋めなんざごめんだ、すぐに逃げる!!

【どうにか、動揺を抑え込んで賞金稼ぎとして、シュペアーとしての演技を保たせながら通信に応じる】
【さらには、眼前に降り注いだ瓦礫。マリオンとの間に壁。やはりゴミには縁があるらしい。この場は、命を拾ったのだ】

(証明して=c…? 何があったか知らねえが、やっぱこの経歴に関わってんのかあの狂気は……)
(まったく、なんてえもんを生み出してくれたんだ、GIFTの連中は……!! あんなんが、『イクストゥム』を……)
(レギン様やダグラス・マックスウッドが使ったっていう巨人を手に入れたら、どうなっちまうんだ……!?)

【心中に湧き上がる戦慄を共に、スカーベッジは去っていくマリオンを見送ると】
【すぐさま踵を返して一目散に駆けだす。この非常事態に際して、左足の痛みも今は麻痺していた】
【イスラの指示に従いながら、必死に駆ける。走る。そして、出口が見えた瞬間。能力を解除して、瓦礫の鎧を置き去りにした】

【能力を見られるわけにはいかない。下手をすればここにきて正体がばれる】
【そしてもう一つ。手に入れた戦利品は、今確認しておかねば。トレーラーからは見えないだろう位置を確保しようとしつつ】
【スカーベッジは携帯端末の画像を確認する。いったい、そこに何が写っているのか――――】

/続きます
56 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 03:32:30.72 ID:TZiElmslo
(クソッタレ、こんな重傷までもらって……これだけで、帰れるかってんだ……!!)

【――――もう一つ。スカーベッジは画像を確認した後。それが何であろうと、ともかく平静を装いつつ】
【骨がいかれた左足を引きずりながら、凱旋とばかりにトレーラーにまで行き着くだろう】

【そこで、スカーベッジは盗賊らしい欲を出した。そう、トレーラーにいるだろう依頼主たちに】
【他に潜入した二人の成果を聞き出そうとして声をかけたのだ。左脚を引きずりつつ、トレーラーの荷台に寄りかかり】
【何かわかったのか、盗まれた端末は取り返したか、などといったことを。自分の報告はせず、傷の手当ても求めずに】
【トレーラーの中に入り込まないようにしつつ。彼らの成果を、彼らが何を知ったかを、自分の知らない情報を聞き出そうとした】

【その時。瓦礫の鎧を解除した用心深さは薄れている。しつこく、他の成果を、情報を訪ねようとするシュペアーを】
【もし――――もし、彼が。アルフレドが目撃したならば。気が付くかもしれない。この男の正体に――――】

>>54
/いえいえ、お気になさらず!!
57 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 03:35:51.61 ID:Or121cKoo
>>48>>49

おお、崩れた崩れた……なんだこりゃ、中身は活動報告書みてぇだな
ただしあからさまに飛び飛びだ、絶対見られてたまるかって判断された情報はいくつか省かれてるっぽいわ
『GIFT ACADEMIA』ってのは……能力者至上主義的なのを植え付けたりするための教育機関か?

「……あの"化石"共が……今なおそんな思想を後代まで残そうとしちょるとは腹立たしい連中じゃあ
ふん、で、二年前『ヒュドラ』の存在が発覚してレイリスフォードで工作を始めた、と……その際校内に所属しちょった生徒も引き抜いたようじゃのう
このメリッサ・ハーレイ、ちゅうのは冤罪で逮捕されたエドガー・ハーレイの子か?……おう、残念じゃが刑事の若造、奴自身の情報はほとんど抹消されちょるな」


【二人して取り出した報告書を囲みながらペラペラめくって内容を確かめてもやはり目につくのは2年前の表記だ】
【2年前―――カノッサに対抗して数年ぶりに新たな正義組織が生まれることとなっためでたい年であったと言えなくもない】
【ただ、そのあたりがマリオンに関係があったとは思えないが……もっと他に何か、彼の芯となる何かがそこにあったのだ―――彼の狂気に塗れたその『飢え』の起源となりうる情報が】


『GIFT ACADEMIA』の卒業後から2年前までにあったデータは全部消されてやがるな
あからさまだぜ、この間に『絶対誰にも知られたくない何か』が起きたって言ってるようなもんだ
二年前か……なにがあったっけな、とりあえずコイツを持って帰って後でゆっくりと考えよーぜ……ん?

【その直後、一瞬だった―――突如、電子音が耳に届いた直後に、天上の爆破、そして降り注ぐ瓦礫!】
【フレッドの判断も素早かった、左手で即座にムクを拾い上げた直後、彼を庇うような形で頭上に落ちてくる瓦礫のみを拳で精密に打ち抜く!】
【最も細かい瓦礫全てを払いのけるというわけにはいかなかった、背中や肩、足腰に突き刺さる瓦礫まではどうしようもない、だが】

……おう、今日もオレはどっこい生きてる、よろしくぅー、ってか?……うん流石にきついわ
あんまりボコスカ喰らうと、一応この老体だ……マジで死んじまうかもなぁ、そうならないようナビゲートを頼むとすっかね?

【流石に己の消耗が見えてきたフレッドはムクを抱えたまま、指示通りの退却のルートを通り抜けるだろう】
【正面廊下まで若干よろめきながら、しかし可能な限り早足でその方向に進んだところで最後の難関が目の前に訪れた】
【数は6人、全員近距離武装―――全部相手にするのは面倒だ】


―――うじゃうじゃ出てきやがったな、ったく運が悪いねぇ―――仕方ねえ、アレやるわムク、下がってな
一対多の戦闘を想定して編み出したオレの最新の必殺技をご披露と行こうか

「もったいぶってないでさっさとやれ!―――勝ちたいんじゃろう?『全部』に!じゃったら切り札を切るタイミングだけは間違えるな!」


【フレッドの纏う空気が変わる―――これまでとはけた違いの威圧感が充満し始める空間】
【彼の使用する『ボクシング』、それはもう競技用のそれとは大きくかけ離れた何かと化していたその戦闘技術】
【リングの中ではなく、実戦の中で戦闘するために磨き上げられた技能、それも―――対能力者戦を想定して鍛え上げられたその技術】

【誰が言った言葉だったか。『高度に発達した技術は魔法と全く区別がつかない』という言葉が今日まで残っている】
【そしてそれは―――おそらくこのフレッドに対しても適応しうる格言なのだろう、とこれよりこの技を受ける『敵』はそれを思い知ることになるだろう】


ギアチェンジ、"MODE:03"……こんな所だわな。――――奥義≪鎌鼬≫


【突如、一瞬だけフレッドの姿が眼前から消えたように、数人の戦闘員たちは錯覚する事だろう】
【次に彼を感知するのは―――戦闘員たちのすぐ横を彼が『すり抜けて』いくのを目撃する瞬間だ―――その際、彼は各々の顔面、わき腹等に】
【壁も破壊し瓦礫さえも打ち抜く殺人パンチを一人につき一発打ち込み、壁に叩きつけて昏倒させようと狙う事だろう】


【上手くいったなら、後続のムクが見る光景は―――さながら真空の帯その物の動きを表現し、6人の戦闘員を一撃にて切り裂く『怪物』の姿となるだろう】
58 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 04:01:42.13 ID:Ub4qhQg7o
>>55 >>56

【幸いにも、出口の周囲に人気は無かった。瓦礫の鎧を解除した瞬間を見た者は、誰一人として居ない――】
【直前にインカムが復帰していたとはいえ、スカーベッジが自分の体を見下ろしてでも居ない限り、証拠は残らないはずだ】
【どうにか脱出成功――安堵の声を漏らすイスラから、トレーラーへ移動するように誘導があるだろう。もうインカムも外して大丈夫だ】

【そうして、いよいよ。さまざまなリスクを犯してようやく持ち帰ってきた情報を、開く時が来た――――】


【写真に映っているのは、作戦報告書のようだ。中身は、以前の活動内容と今後の狙いについて】
【以前のマリオン関連の事件のまとめのような内容に加え――マリオンは次に、いよいよ本丸の『レイリスフィード大学』を襲撃するつもりらしい】
【やはり、彼は"レイリスフィード"という団体を徹底的に潰す気のよう。……ただ、GIFTがレイリスフィードを憎むのは別に不自然ではない】

【次の襲撃場所が分かったのは良いが、それ自体はあまり真新しい情報ではない。しかし、】
【……ひとつだけ、どこにも伝わっていない情報が記載されている。あの狂気の炎が燃え盛る場所に存在するに相応しい、情報が】

【写真の一番下、報告書のページの一番下の部分。作戦指揮官の名前の場所に注目して欲しい】


   
                        【――――≪GIFT RULER≫、と】



【そんな謎の称号と一緒に、あの男の名前が……"マリオン・リヴァーズ"の名が付記されているのである――】

【詳細は不明だが、恐らくはGIFTの幹部を表す称号だろうか。確かに彼は今まで幾度もGIFTの作戦を指揮し、被害を与えてきたが】
【それでも、不可解な点は残る。彼は今までの襲撃において一度たりとも、自らを≪GIFT RULER≫などと名乗ったことは無い】
【それに、この資料。どうやらGIFT内部でも閲覧できる者が限られる相当な重要機密書類であるらしい。つまり――、】

【マリオン・リヴァーズが≪GIFT RULER≫であるという情報は、世間どころかGIFT内部にすらも、"意図して隠蔽されている"ということか……?】


/続きます!
59 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 04:02:41.85 ID:Ub4qhQg7o

【それは、別の話として。スカーベッジが取った行動だが、問題なく受け入れられるはずだ】
【誰も気づいてはいない。彼らにはまだ、スカーベッジが「危険な潜入任務を見事こなした賞金稼ぎ」に見えている】
【端末はワザワイ・エスパスにより回収されたため、全員に300万の報酬が支払われること。そして、他の者が報告した情報も】
【大体の情報は話してくれるだろう。そして自警団員達は、スカーベッジの傷の手当をしようとし、ついでに何があったのか聞こうとする】

【しかし当然――イスラとの通信が途切れていた間のことは、すべて"シュペアー・ミュール"しか知り得ない事であって】
【正直に報告してやるも、無視するでも良いし、適当に嘘をつくでも良い。いずれにせよ証拠は残らないはずで――、】


「――――ソイツを捕縛しろ! クソッ、何故気づかなかった!? シュペアー・ミュールは『スクラップズ』の人間だ!!」


【刹那。若く未熟で、しかし激烈な"獅子の咆哮"が空に響き渡るだろうか。――気づいたときにはすべてが遅すぎた】
【自身の至らなさと怒りがない交ぜになった凄絶な表情をしたアルフレドが、別のトレーラーから全力でこちらに走ってくる】
【たまたまトレーラーから出たところで顔が目に入り、ようやく思い出したのだ。必死に周囲へ呼びかけるが、自警団員達も戸惑いが勝って動けない】

【……逃げるなら今だ。路地裏に消えるでもいいし、自警団員の注意が逸れている今、運転手を排除してトレーラーを奪うことだってできるはず】
【もしスカーベッジがその場から逃げ去れば、アルフレドの憤怒を背後に聞くことになるだろう――まんまと騙された"正義"の、悔しげな咆哮を】


【――この任務最初の"幸運"を挙げるならば、それは『TRAVIS』という企業を偽装に使ったことか。発見が遅れたのは偏にそのお陰だ】
【スカーベッジがどんな形でその場を離れるかはわからない。しかし――いずれにせよ、彼もまた"ソレ"を目にするはずである】

【調査から三十分ほど後。自身が隠れ蓑に使った企業、その若き社長代理による『緊急会見』の模様を――――】



/最後はこんな感じでよろしかったでしょうか……?
/これにて左ルートはすべて終了となります、本日は長らくお付き合い頂いて本当にありがとうございましたー!
60 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 04:17:33.57 ID:Ub4qhQg7o
>>57

【あの突然の瓦礫の雨を、完全ではないとはいえ拳一つで裁いてみせるフレッドの技量には改めて、アルフレドも感嘆を漏らしたが――】
【すぐに状況を再認識し、彼が負った怪我まで計算に入れて帰還ルートを構築する。しかし最終的には――目の前の光景が立ち塞がった】


『逃がさねぇぞ! GIFTの教えに背く人間は、必ず、や――――?』


【状況は六対一。犬を入れても六対二だ。彼らも一応戦闘員の端くれ、余裕ぶっていたわけではないが、しかし油断がないワケではなかった】
【ほんの一瞬、襲い掛かるのが遅れる程度の、僅かな"慢心"。それが致命的だ。フレッドにとってソレは、それはあまりにも長い一瞬だったのだろう】

【――"風"が吹いた、ような。何をされたか分からない。そういう顔で戦闘員達はしばし呆然と立ち尽くしていた】
【いや……彼らは立ち尽くしてなどいない。自分が瞬時に壁に叩き付けられている事態を、「立ち尽くしている」としか表現できなかったのだ】
【遅れて激痛が、絶叫がやって来るだろう――昏倒した者は良い。だがなまじ強い為に気絶できなかった者達は、苦しみながら地面に這い蹲った】

【六人全員、KOだ。――アルフレドですら押し黙った。理性を取り戻して外へ出るよう促すのに、一瞬の時間を要す。それほどの"必殺"を、彼は見た――】



「お疲れさまでした、お二人とも。治療班も待機していますのでとにかくお休みになってください。
 ――他のお二方も無事です。例の端末もワザワイさんが回収してくれました。重大な情報も得られましたし、今回は大収穫だったといえるでしょう。
 最後に見つけたモノについては、まだ推察していくしかありませんが……きっと、なにかの"手掛かり"になるはずです。本当にありがとうございました」


【さて、そのまま元来た裏口から外へ出たなら、近場には最初に乗っていたのと同じ警察のトレーラーが停まっているだろう】
【中には警察の面々とアルフレドが待機している。……最初に同席していたほかの二人はいないようだが】
【アルフレドに聞いたなら、イスラは別のトレーラーに乗り換え、リチャードは別件があるとかで途中で離席したとのことである】
【ともあれ、これで今宵の探索は総て完了だ。成果は十分、主目的も果たされた。後日、300万の報酬が手渡されるだろう――】

【それだけ告げると、アルフレドは連絡があるとかで一旦トレーラーを降りる。――そこから先に起きることは、二人には関係の無い話だが】

【――マリオン・リヴァーズの"真意"はどこにあるのか。懸念事項がない訳ではないけれど、それはいま考えても仕方が無い】
【いまはこの場で休むべきだ。そうしていれば――警察の面々が急に騒がしくなり、車内に据え付けられたモニターを見つめ出す光景に立ち会えただろうし】
【画面に踊る"『TRAVIS』緊急会見"の文字と、中央に立つリチャード・トラヴィスの姿を捉える事ができるだろう。そして、】

【彼の口から確かに語られる、"二年前"という単語を、聞き逃すこともないはずだ――――】


/これにて正面ルートは終了となります!
/長々とお付き合いいただいて、本当にありがとうございました……!
61 :スカーベッジ・トラーシュ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 05:55:00.71 ID:TZiElmslo
>>58-59
【その時は、まだスカーベッジも用心深さを保っていた。故に、身体を見下ろしはしない】
【故に、気付かれてはいない。どうにか、悪党はボスから与えられた任務をやり遂げた】
【イスラへと丁重に礼を告げると、足を引きずって移動し始める。いや、その直前に】
【スカーベッジは確認する。撮影した、もう一つの機密。マリオンの過去に並ぶ、もう一つの】

(なんだ、こりゃあ……? レイリスフィールドを潰しにかかる、それはいい。今までの経緯を考えりゃ当然だ)
(だが、やつは……単なるメンバーじゃなかったのか? ≪GIFT RULER≫……元無能力者が、GIFTの大幹部……?)

【今まで集めた情報によれば、マリオンはこのような称号を名乗ったことはなかった。あの傲岸不遜な男が】
【元が無能力者であるというなれば、なおさらその事実を忘れようとひけらかしそうなものだが……いや、しかし仮に】
【戦闘兵上がりという事実が、GIFT内部に知れ渡れば。最悪、GIFT崩壊にすら繋がりかねないのではないのか】

(こいつぁ……どうする。どうすりゃいい……)
(成果以上に、こりゃ俺たちの手に余りますぜ……ボス……!!)

(――――ああ。私も同意見だ、スカーベッジ)

【その時。スカーベッジの脳裏で交わされた会話≠ヘ誰にも聞こえないだろう】
【廃の国の禁忌。此度の事件とはまた別の闇を発掘した、異形の盗賊どもが新たに手に入れた力によって、それは成された】
【そう、その男は見ていた。配下たるスカーベッジの目を耳を通して、ずっと――――】



【ともかく、スカーベッジはトレーラーへと戻り。未だ正体が割れていないのをいいことに、可能な限り情報を聞き出そうとするだろう】
【端末の奪還には成功。そして、他の二人が集めた情報。余裕がなく、気が付かなかったが】
【他のメンバーの片方はヴェンドゥラーで、もう片方が共にいた犬は水の国の遺跡で】
【それぞれと一戦交えていたことを今更になって思い出し、戦慄した。よくもまあ、ばれずにここまで来た、と】


【スカーベッジが聞き出せる情報の範囲は、聞き込みをした周囲の相手がどこまで話してくれたかによるだろう】
【奪われた端末の奪還成功と報酬の件は確実に聞けるだろうが】

【ワザワイが工場区画に潜入し、『クグツ』の生産ラインにてメリッサ・ハーレイに遭遇、戦闘の末に退けたこと】
【メリッサが端末解析に失敗したこと。端末の中には、レイリスフィールド大学が危険薬物密売に関わっていた証拠が入っていたこと】
【これをもって、"SCARLET"がレイリスフィールド大学を告発しようとしていること】
【同時に、メリッサ開けなかったもう一つのコンソール。その中にあった戦闘兵名簿に、自身の雇主であったリチャードの名前があったこと】


【さらには、フレッドとムクが得てきた情報。巨人『イクストゥム』と『燃料』の存在】
【『燃料』を補填する“K”なる存在。これらがヘイダルへ、ひいては正義組織へと伝えられたという事実】

【彼らがマリオンの私室に入り込んだこと。荒れ切った部屋とカプセルのような寝床。破られた日記に精神安定剤】
【それら全てを些事にしてしまうような、マリオンの活動報告書の存在。二年前から始まった活動と、それ以前の記録の抹消】



【スカーベッジが欲しがるこれらの情報。さすがに、全てを聞き出すのは難しいか。だが、スカーベッジは手当てを受けつつ】
【シュペアーとして調べてきたことを語ることで、少しでも聞き出そうとする。ここからは、シュペアーとして自警団へと伝えた報告だ】

【実験室で見た書類。レイリスフィールドにて『ヒュドラ』の一件に関わっていた売人たちの名簿があったこと、彼らが戦闘兵もろとも実験台に流用されていたこと】
【動物実験は、『ヒュドラ』と能力を発現させる薬、『INFINITY』とを同時に投与することで性能向上を目指すものだったこと】
【この実験そのものはどうやら失敗だったらしく、実験動物が能力を使用した直後に破裂して死んだこと】

【その後、実験室の奥でマリオンに遭遇し、戦闘になったこと。レイリスフィールド大学をマリオンが次の標的にしていること】
【これらを伝えつつ、質問を交えていくことで、上記の自分が求める情報たちを聞き出そうとしていくだろう】

【ただ二つ。マリオンの禁忌に纏わる情報は、その場では伏せた。同時に、実験室の薬品を盗んだことも】

/続きます
62 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 05:56:20.81 ID:TZiElmslo
【さて。報告と聞き込みが終わり際に差し掛かる。自身の報告は、正義組織や他の潜入者二人にもいずれ伝わるはずだ】
【必要な対価とはいえ、敵と情報共有とはまったく笑えない。そう考えていた矢先のことだった】
【怒号――――いや、咆哮というべき声が、空気を震わせた。弾かれたように、スカーベッジがそちらを振り返る】

――――ひひっ。とうとうバレちまいやしたか

【スカーベッジは素早く立ち上がり、やおら空中に手を掲げた。戸惑う自警団員たちから、距離を取りつつである】
【そこに、突如響いて来るプロペラ音。見上げれば、どっから飛んできたか黒塗りのヘリが一機。そこから降ろされる縄梯子に、スカーベッジは掴まった】
【すなわち、アルフレドの怒号は足元から聞くことになるだろう。吊り上げられていくスカーベッジを、ヘリから顔を出した男が引き上げて回収した】

【薄汚れた灰色の作業服、黒いラバーエプロンとゴム長靴、額に眼球が埋まった三つ目の男だ】
【アルフレドも見覚えがあるだろう。配下を回収しに来たその男こそ、『スクラップズ』首領、カニバディール】

――――久しぶりだ、アルフレド。自警団と共に盗賊仕事が出来るなど、もうない機会だろう。実に光栄だった
戦利品は山分けといこう。では、また会える日を楽しみにしている

【皮肉っぽくそういうと、異形どもはヘリで飛び去っていく。暗雲立ち込めるかのごとき、昏い空へと向かって】
【その直前。カニバディールは、空中よりアルフレドに小さな画面のついた端末を投げてよこそうとする】
【それをアルフレドが受け取り、調べれば。中に収められているのは、一本の動画データだった】

【再生すれば、現れるカニバディールの姿。先のヘリの中で撮影されたものらしい】
【スカーベッジの聞き込みの最中に用意したのだろう。そこには、カニバディールが自らの口で】
【先の報告でスカーベッジが自警団に伝えなかった二つの事実。マリオンが元戦闘兵であったことと、マリオンが≪GIFT RULER≫であったことを伝えるという映像が】
【アルフレドへ、ヘイダルへ、他二人の潜入者へ、正義組織へと向けた映像が収まっていた。映像の中のカニバディールは、簡潔にそれらを話し終えてから付け加えた】

敵である私の言葉など信じられんだろうが、今告げたことはスカーベッジが調べ上げた事実だ
自警団員の中にもGIFTに連なるものがいるかもしれん。故に、お前たちのみに向けてこの映像を残した

いいか、よく考えろ。この私が、お前たちの敵にして利己的な盗賊たる我々が、手にした情報をわざわざ敵に伝えているという、この意味を=@
私は、この一件にそれだけの危機感を覚えている。嫌な予感がする。ひどく嫌な予感が。この件を追うものは、立場に関わらず一人でも多かった方がいい、そう判断した
何としても、葬り去らねばならない。一連の事件に関わるもの全て、何事か起きる前に葬らねばならないんだ……!!

【そう語るカニバディールの表情に、額の単眼の奥に、本気としか思えない焦燥の色が浮かんでいる。そんな様子を最後に、映像は途切れるだろう】
【端末に入っているのはそれだけだった。そこから自分たちの足がつかないよう、工夫はしてあるらしい】
【だが、敵にまでこの情報を伝える。それだけ、『スクラップズ』もこの件に関しては、恐怖と焦燥を抱いているということだ――――】

/さらに続きます……
63 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/21(日) 06:00:02.99 ID:TZiElmslo
よくやったスカーベッジ。大手柄だ。しばらくは休養を取って傷を癒せ。褒美は後でたっぷりとくれてやる
ひ、ひひ……ボス、ありがたき幸せ……

【その後。飛び去ったヘリの中でスカーベッジに労いの言葉をかけつつ、『スクラップズ』首領、カニバディールは電話をかけ始めた】
【連絡先は機関本部。そこから、あらゆる伝手を頼って、カニバディールはある人物に何とかして連絡を取ろうとするだろう】

【その相手とはすなわち、No11荒狼騎士。機関で最も深く、この件に関わっているだろう男。もし、連絡に成功したならば】
【挨拶もそこそこに、カニバディールは彼にまくしたてる。たった今あった潜入作戦、そこで起きた一連の出来事を】
【今回の潜入と最後の聞き込みで、『スクラップズ』が手に入れた情報全て。余すところなく、No11に伝えられることとなるはずだ】

【ひいては、機関全体にも拡散することとなるかもしれない。禁忌をばらまかれたマリオンが自分たちに向ける怒りの大きさ考えるのは後に回した】
【こうして盗賊どもは、得た成果の大半を周囲へ敵味方問わずばらまいたことになる。通常、不利益にしかならないだろう行為】
【だが、盗賊としての直感が告げていた。この件は、自分たちの手に負えるものではないと。少しでも多くの力ある存在に拡散するべきだと】

【ただ一つ。スカーベッジが盗み出した、GIFTの危険薬物。それらが『スクラップズ』の手に渡り、廃の国に持ち込まれたという事実だけは】
【盗賊どもだけが知っていることとして、闇の中へ消えた。これが何をもたらすかは、まだ誰にもわからない】


【――――異形の盗賊団が、『TRAVIS』の御曹司、次期社長が開いた緊急記者会見をヘリの中で端末越しに見ることになるのは】
【この後、わずか数十分後のことであった――――】

>>59
/うまい具合にしていただいて、助かりました!! 楽しかったです、本当にありがとうございました!!
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/21(日) 11:56:16.94 ID:aDO60Vf1O
>>62
/一箇所、訂正しておきます
/マリオンが≪GIFT RULER≫であったことを伝えるという映像が
/→マリオンが≪GIFT RULER≫であり、その事実がGIFT内部ですら重要機密とされているということを伝える映像が
65 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/21(日) 16:35:20.59 ID:B/cySQp5o
【火の国 首都】

───さーて、と……やる事やったし、暫くは自由行動と
のう、大将、なんか食いたいもんでもあるか?
「──────」

【火の国で一番賑わう街を異様な二人連れが歩いている、誰も彼も目を合わせようとはしないが、それだけ不自然さの目立つ二人だ】
【一人は古めかしい学生服と学生帽、足首まで長いバンカラマントに下駄履きの少年。金髪に黒い縞模様のトラ柄の髪に、虎を模した面で目を覆っている】
【そしてもう一人は、隣の少年より遥かな大柄の背丈の男。全身包帯ぐるぐる巻きの上に、白い布の法衣を着ている】

何、気にしとるのか?
「──────」
そう思い詰めんとも上手くいく、心配すんなや ……今の所、あの研究所絡みに奴等の意識もいっとるじゃろ
GIFTかて一枚岩じゃあない、そいつを教えてやろうじゃないか

つーことで、なんか美味いもんでも食って精力つけようや、ここら辺は美味いもん一杯あるらしいからのう
「──────」

【ガイドブックとにらめっこしながら、男と共に歩く少年、男の方はと言えば何処を見ているのか話を聞いているのかもわからず、黙って少年について行くだけ】
【この二人の会話に出て来た単語に反応するのか、もしくは異様さに惹かれて声を掛けるか、それとも、前を見て歩かない少年にぶつかるかもしれない───そんな風に、彼等に出会う者はいるだろうか】
66 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 19:19:44.66 ID:Ub4qhQg7o

【『TRAVIS』の社長代理であるリチャード・トラヴィスは、あの『GIFT』と関わりのある人間である――】

【ワザワイ・エスパスによってその事実が暴かれたのと、ほとんど同時期のことであった。『TRAVIS』が記者を集め、緊急会見を行ったのは】
【もちろんこの放送は全国に流れている。今回の任務の参加者も、それ以外の人間も、自由に閲覧することが可能だ】


……まず、皆さまに悲しいお知らせをしなければなりません。
長らく病床に臥せっていた私の父親にして『TRAVIS』社長、シャルル・トラヴィスが、先ほど……病室にて、亡くなりました。


【沈痛な表情で記者団の真正面に立ち、リチャード・トラヴィスが最初に切り出した話題は、それだった】
【シャルル・トラヴィス……リチャードが表だって活躍するようになって以降、殆ど表に姿を現さなくなった『TRAVIS』の"現社長"である】
【そんな男が、病魔に冒され死出の旅に出た。――ということは自動的に、跡取りであるリチャードが、この瞬間"社長"になった、ということだ】


父はとても偉大な経営者でした。
しかし――本日。私は、彼が"父親として"偉大な人間では決してなかったことを、お伝えしなければなりません。
彼の生涯において最大の間違いを、私は……ボクは、息子として告発しなければならないのです。

――ボク、リチャード・トラヴィスは、以前"GIFT"に所属していました。


【ざわ、と記者団に戸惑いが走る。何を言っているのかわからないという顔で呆然とするもの、スキャンダルに嬉々として飛び込む者】
【混沌とした記者たちから口々に飛ぶ疑問の声を制し、リチャードは悲しそうに顔を伏せ、言葉を続けるのだった】
【一人称が"私"から"ボク"に変わっている。これは社長としての伝達ではなく、彼個人の事情が大いに混じった話なのか――】


『TRAVIS』を治める我がトラヴィス家は、完全な実力主義です。
二年前に社長代理の座に就くまで、ボクは一度も皆さまの前でご挨拶したことがありませんでした。それを不審に思っていた方もいらっしゃると思います。
ボクには優秀な兄が二人いました。兄達の優秀さはボクなどとは比べ物にならず、二年前まで次期社長の座は兄二人の間で競われていたのです。

……そんな中。当時、落ちこぼれの"三男"であるボクを、シャルル・トラヴィスがどう扱ったか。
トラヴィス家の一員として、こうして皆さまの前でご挨拶させて頂くどころか、父はボクを"居ないモノ"として扱い、虐げました。

そして――よほどボクが邪魔だったのでしょう。父はついに、ボクを売り払ったのです。
金になれば何でも良かったのでしょうね。いくつもの偽装を施し、一番金払いの良い組織へ――それが、あのGIFTだったのです。


【"二年前"に社長代理として推挙されるまで、リチャードが報道陣の前に姿を現したことは一度も無かった。それはゴシップ誌でも開けばよく目にする話で】
【それまでは、彼の二人の兄が次期社長候補として報道陣の前で挨拶しており、"三男"の情報は全く公的なメディアに露出しなかったのだ】
【しかし――その二人の兄は、リチャードが表に出てきたのと交代で一切顔を見せなくなった。何か"不審"であると、一部では噂されていたのだが】

【役立たずの"三男"であった自分は、父によって『GIFT』へと売り渡された。リチャードは全国へ向けてそのように申告する】
【これがトラヴィスという一族の闇なのであると、リチャードは告げる。他ならぬ父の手により、自分はテロ組織に売られてしまったのだと】


/続きます
67 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 19:33:59.22 ID:Ub4qhQg7o


そこから先は――敢えて詳細には語りません。ボクは完全に"トラヴィス"から放逐され、あの狂信者達の集団の中で地獄の日々を過ごしました。

――しかし、"二年前"のことです。これも父によって隠匿されていたようですが、言わなければならないでしょう。
兄達が、不幸な飛行機事故で亡くなってしまったのです。跡継ぎを一気に失った父は多いに焦り……ボクを、GIFTから"買い戻し"ました。
捨てた息子を今更呼び戻すのかと……正直、怒りもありましたが、あの場所に残り続けるよりはずっとマシでした。

そうしてボクは、父によって"次期社長"として鍛え直され――今こうして、ここに立っています。


【そうして――目を伏せ、肩を震わせて、リチャード・トラヴィスは全てを告白した】
【二人の兄が死んだことを機に、父親にGIFTから買い戻され、自分はここに居る。父が死んだ今だからこそ、その真実を言える】
【シャルル・トラヴィスは経営者としては最高の男だったが、父親としては最低の男だった。リチャードは悲しげに、父を弾劾した】
【……真に『TRAVIS』のことを思うのならば、こんな大スキャンダルは隠匿しておくべきの筈。それを何故、少年はこの場に開示したのか?】


ここからは、『TRAVIS』のこれからのお話をします。
兄が死に、父も死んで、"トラヴィス"はいよいよボクだけになってしまいました。それは悲しいことですが……。
これからはボク、リチャード・トラヴィスが……一族の最後のひとりとして、全力で『TRAVIS』を再建していく所存です。
今回、父が犯した過ちを全てお伝えしたのは、その覚悟の表れと思って頂きたい。シャルル・トラヴィスによる『TRAVIS』は、本日を持って終わりにします。

不可抗力とはいえ、一度はGIFTに所属していたような穢れた人間が"社長"になることに、抵抗を覚える方もいらっしゃるでしょう。
しかし――だからこそ、なのです。GIFTというテロ組織の教義に触れざるを得なかった、その経験があるからこそ、連中の危険性が分かる。
一度は悪に身をやつしたからこそ、正義の尊さを理解しているつもりです。この世全ての悪を、ボクは憎みます。

『TRAVIS』は今後、通常業務に加えて、より一層各自治組織への支援を強化していくことをお約束します。
この世界から悪を一掃するために、微力ながらお力添えしていくつもりです。

信じがたい方もいらっしゃるかもしれませんが、どうか、ご理解頂きたく思います。
……どうか。どうか――――よろしくお願い致します!


【リチャードは『TRAVIS』の今後を語る。彼はこのまま自らが"社長"となり、父の残した闇から『TRAVIS』を脱却させていくつもりのようだ】
【続けるのは遠大な構想、理想――GIFTという悪の組織に無理矢理放り込まれていたからこそ、それを誰よりも憎むことができるのだと】
【そう言って、リチャードは唖然とする報道陣を……カメラの奥の人々を、真正面から見据え。涙すら滲んだ表情で、最後は深く深く、頭を下げた――】


/もう一つだけ続きます……
68 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/21(日) 19:38:05.19 ID:Ub4qhQg7o

【――――、その後。爆発したように飛び交う質問と野次を捌いているうちに、時間切れという形で会見は終了した】
【暫くの間、ニュースはその話で持ちきりになるだろう。否定的な意見、肯定的な意見、そのどちらもが混沌として飛び交って】
【世論がようやく落ち着きだしたのは、一週間ほど経った後だ。元GIFT構成員という異色の経歴を持つ"新社長"に対し、世間からの反応は……】


【まず、『TRAVIS』の評価は低下したと言わざるを得ない。株価も下がり、ゴシップ記事は今までの倍以上にもなった】
【しかしそれは、経営に支障をきたすほどの混乱ではなかった。多少信用を失ったとはいえ、『TRAVIS』の力は未だ健在のままだ】

【また、リチャードが逮捕されたりすることも無かった。確かにGIFTの拠点から『リチャード・トラヴィス』の名は上がったものの】
【それだけではあまりに証拠が少なすぎる。公的な活動記録は無かったし、無理矢理所属させられていた被害者だと言われれば反論できず】
【何より……『TRAVIS』という企業の大きさと世界への影響力を鑑みても、あまり軽率に動くことはできなかったのである】
【それゆえ、ひとまず様子見を見つつ追加調査を続けていく――というのが、今回の件に関する自警団・警察双方の見解であった】

【最後に、それ以外の民間の評価。目に見えない部分での変化は――端的に言えば、あまり変化は見られなかった】
【元々の『TRAVIS』も、三男のリチャードが次期社長であることや、表に顔を出さなくなった長男と次男のこともあって黒い噂はあったのだ】
【大企業ゆえに信頼している者もいたが、怪しい企業として忌み嫌うものも存在した。そこへ来て、今回の会見の結果だが……】
【暗い過去を持ちながら涙ながらに新たな構想を語る新社長を賞賛する者も増えたし、白々しく信用ならないと評価するものも増えた】
【肯定派と否定派が両方とも同じだけ増えたような結果だ。世論は結局平行線となり、なあなあの内に事態は落ち着いていくのだろう――】


【――どちらにしても。今回一番ヘイトを集めたのは、リチャードではなくその父、シャルル・トラヴィスの方だ】
【結果的に彼は、父親の悪行を盾にするような形で"最悪の事態"を回避した。それを皮肉と思うか狙ってやったのだと思うかは、この会見を見た各人の自由だ】
【そう、世間の評価や世論の動きなど関係ない。これを見たひとりひとりが、どう思って何を考えるのか。それだけは、誰にも阻害されることはないのだから……】


/これにて今回のイベント策謀のただ中へ≠ヘ全て終了となります
/参加頂いたお三方、この度は本当にありがとうございましたー!!
/なお文中にも書きましたが、上記の内容は"全国放送"という形ですので、参加者以外の皆様も閲覧したことにして大丈夫です!
69 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/21(日) 19:56:09.87 ID:B/cySQp5o
/まだ>>65で募集してます
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/21(日) 20:23:44.34 ID:92nbc95j0
>>65

―――よぉ、そこのお二人さん………今夜は仮想パーティーでもあるのか?

【二人が歩いている道の一角、少し小洒落たダイニングバーのオープン席から声がかかるだろう】
【視線を向ければそこにいる人物がヘラヘラと小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら椅子にもたれ掛かっている】

【声をかけた人物は】
【緩いウェーブのかかった赤髪をオールバックにした淀んだ金と赤のオッドアイをした17歳程の少年だ】
【フードのついた黒いロングコートを細身にまとって、ジャラジジャラと貴金属を身体中に身に着けている】

なんてな、冗談だよ―――だから怒るなよ?
まぁなんだ、飯屋を探してるようだから一緒にどうかと思ってな、俺の奢りでいいぜ。

【ヘラヘラとした笑いを崩さないまま、自分が座っているテーブルの空いている椅子を座れよと言わんばかりに蹴る】
【しかし二人組に負けず劣らず怪しく、そして何より胡散臭い少年だ。無視して通り過ぎるのもアリだろう、このバーの食事は美味そうではあるが…】
71 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/21(日) 20:49:34.74 ID:B/cySQp5o
>>70
おう?───なんじゃい、お前

【歩いていた所に飄々とした声がかかり、ガイドブックから顔を上げて少年に顔を向ける】
【それに次いで隣の男も顔を向けたが、少年のように声を返したりはせず、不気味に佇むだけ】

……『ただより怖いものはない』言うじゃろ?いきなり名前もツラも知らん奴に奢る言われて座る奴がおるか
ちゅーより、胡散臭すぎじゃ己……あ、ワシらも似たようなもんか?
「──────」

【見ず知らずの人間に『奢る』なんて言われてホイホイついて行くような人間はいない、小学生だってそれくらい弁えている】
【おまけに相手がヘラヘラ薄ら笑いを浮かべているとあれば尚更のこと、後で何をされるかわかったものではないからだ】

【……とか何とか文句を言いながら、二人は少年の座るテーブルに空いた椅子に座る、全く台詞と行動が合ってないが、それでいいのだ】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/21(日) 21:03:12.96 ID:92nbc95j0
>>71

っと、ワリーワリーまだ名乗ってなかったな
―――俺はジェノ≠チて名だ、よろしくなお二人さんよ!

【二人が着席したのをみてジェノと名乗る少年は年相応の人懐っこそうな笑みを浮かべてテーブルに屈みこむ】
【そして二人の風貌を改めて見てから「好きなもん頼めよ」と何故かドヤ顔をしながら背後にあるメニューボードを親指でさす】
【どうやら酒のつまみからがっつりとした主食まで幅広い品ぞろえのようである。ちなみに少年は分厚いステーキにワインである(恐らく未成年飲酒である)】

声をかけた理由は他でもねぇ、お前ら今≪GIFT≫とかいう名前を出したよな?
それについて詳しく°ウえてほしいんだ、実は俺はこの世界の新入り≠ナな―――

できれば世界情勢なんかもひっくるめて色々と教えてほしいってワケよ、そんぐらいはいいだろ?

【新入り=\――というのはこの少年は異世界からの来訪者≠ニいう事だろうか?】
【とはいえこの世界ではそのような存在はさほど珍しくはない、来たばかりという割に随分とこの世界の通貨を持っているようであるという点以外では】

【だがこれでこの少年が二人組に声をかけた理由はハッキリした、後はどこまで§bすかという事だろうが…】
73 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/21(日) 21:30:46.03 ID:B/cySQp5o
>>72
【取り敢えずメニューをパラリと眺め、この国の名産品を使った御当地グルメを注文、二人分を少年が勝手に頼んで、店員を追いやる】
【それから、笑みを浮かべるジェノに応えるように、少年も口元にニヤリと笑みを浮かべた】

ほう、新入り≠ゥい……そんじゃ何も知らんち言うことじゃな
それにしちゃあ随分と金を持っとるようじゃのう?この世界の°烽……ま、ええわ

【新入り≠ニ聞いて、それはすぐにこの世界≠フ事であると勘付いた少年は、不自然な点を探りを入れるように意地悪く口にする】
【しかしすぐに『どうでもいい』と切って捨て、それからジェノの問い掛けに対して、「そうじゃのう」と呟き返す】

───GIFTっちゅーのは、なんじゃ、『慈善事業』かのう、言って見れば
世界から無駄なもん省いて、綺麗にしとう奴等の集まりじゃ、ま、言ってみりゃそういう『悪の組織』って奴かのう、まあ……分かるじゃろ?
「──────」

あー、あと世界情勢なんかワシ知らんし、どうでもええからのう
ああそう、『カノッサ機関』ちゅー奴等がおってのう、そいつらがやたらと張り切っとるのは知っとるよ。張り切りすぎて国が彼方此方ぶっ壊れてのう、情勢が変わり過ぎて追い切れんのが本音じゃ

【「ま、そんな所かのう」 そう紡いで、話は終わる】
【つまる所、この少年と男は『GIFT』という『悪の組織』の人間で、『カノッサ機関』という違う『悪の組織』が世界情勢を色々と引っ掻き回しているという事】
【とはいえ話したのはそれぞれの触りだけ、一つ一つにフォーカスして聞き込めば、それなりに話してはくれるだろうが】
74 : ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/21(日) 21:53:39.86 ID:+kw19Jp0o
【路地裏】

【色とりどりのネオン管輝く、雑踏の繁華街。その明かり入らぬ路地裏は欲望の数だけ存在する】
【スリルを求めて遊びに来た若者もそこへは立ち入らない。その理由をもはや改めて語る必要もないだろう】

―――――…………ハッ…ハッ……ハァァア……

【フェンスで仕切られた路地裏の一角は木箱が積まれて裸電球の明かりで薄暗く灯されている。夜になるとここに】
【ヤクの売人が現れる。珍しいことではない。数いる中の1人。2人ぐらい用心棒を連れて屯していた】

……フゥゥウウ…。値段は上がってるくせに質は落ちてるじゃァないか。ん?5年ってのはヨォ…長いもんだな。…な?

【木箱の縁に細く出した白い粉末をストローで鼻から吸い上げて、一呼吸して男は首をゆっくりと回した】
【整髪料でオールバックでまとめ上げた黒髪。コケた頬は角張った顔を強調する。東洋系の顔立ちだ】
【黒いシャツにスラックス。右腕にシルバーの時計、革靴。若くはない。トカゲのような見開いた目で当たりを見回した】

オレがブタ箱入ってる間にD.R.U.G.S.なんてモンを組織したところで終わってんだよ。とっくにな。な?そうだろ?

【目を見開いて話しかけた売人は既に息絶えていた。喉にナイフが突き刺さり鮮血の水たまりをつくり壁に凭れる】
【用心棒の男たちも喉を掻き切られ鮮血を飛び散らせ、胸や腹部を何度も執拗に刺されて死んでいる】

75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/21(日) 21:54:27.88 ID:92nbc95j0
>>73

まぁ何も知らねーわけでもないが、やっぱり情報は自分で見聞きしねーとな
そりゃそうだ、財≠チてのはどこへいっても最も重要なモンだろ?集めるのはトーゼンだぜ。

物質主義者≠ネんだよ、俺はな。

【―――どうしてこんな大金を持っているかの説明にはまったくなっていないが、どうやらこの少年は金が好きらしい】
【確かに風貌を見てもいかにも成金か詐欺師のようである、だがそんな物質主義者≠ェわざわざ他人に食事を奢るのだろうか】
【それほどまでに二人組に対して興味が湧いた…という事だろうか。】

ほー、つまり綺麗好きの潔癖集団ってワケか。
しかし悪の組織ねー、さっきもニュースでやってたが各地で強引なお掃除をしてるみたいだな?

後は………カノッサか、こいつらについては多少は知ってるよ、本当に好き勝手やるオウサマ≠ェ何人もいるんだろ?
こいつらに主義とはかねーわけか?ないとしたらよくその体制で纏まってんな、組織というよりは集団≠チて感じだ。


―――んで、お前らはどんな祭り≠起こすんだ?

【少年の話に相槌を打ちながら頷いていたが、最後にグッと身を乗り出して囁くようにそう問いかける】
【金と赤のオッドアイを細めて口元に笑みをうかべながら………どうやらこのジェノという少年も、歪み≠持っている―――。】
76 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/21(日) 22:32:09.57 ID:B/cySQp5o
>>75
【ごくりと店のお冷を飲んで、テーブルにグラスを置く、この国は暑くて喉が乾く、新しい水を自分のグラスに注ぎながら少年は笑った】

かっかっか、そう言う割には食物で情報を買っとるじゃろうが

最近は掃除も進んでないみたいじゃからのう、ここいらで一つ、ワシらも本腰入れんとな
カノッサ機関みたいにただ暴れるだけで済めばいいんじゃがのう、ただメチャクチャやるだけのとは話が違うんじゃ
彼奴等は『世界に混沌を齎す』だの言ってぶち壊しまくっとるが、GIFTは違う、鉛玉をぶっ放すだけで済む話じゃあないんじゃ

それにしても中々鋭いのう己、本当に新人か?ん?

【カノッサ機関について、GIFTについて、詳しくは無いがそれなりにしっているようなジェノだが、それに対する考察が意外と的を射ていると言葉を漏らす】
【とはいっても、この少年もカノッサについて詳しい訳ではなく、ジェノの考察と同じ考察を持っていたというだけ、それをさも普遍の事実であるかのように言っただけだ】

───己が言ったカノッサの王=Aそいつは六罪王ちゅーてな、まあ概ね言った通り、好き勝手やる奴らじゃ、それだけ力がある言う事じゃが
で、こっちの方≠ノもな、知られちゃおらんが実は居るのよ、そのレベルのが

【身を乗り出して顔を近づけたジェノに、少年も顔を寄せて、答えを返す、周りの人間には絶対に聞こえないような、小さな声で】

『GIFT RULER』───その御披露目ついでに、どデカイ花火でも上げようかと思ってな

【ニヤリ、深く歪んだ三日月のような笑みが、仮面で表情の伺えない少年を印象付かせた】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/21(日) 22:54:00.54 ID:92nbc95j0
>>76

【お冷を飲む仮面の少年を尻目にジェノはワインぐらすを口へ運び、ゆっくりと飲み干す】
【空になったグラスを近くにいた店員へと渡しながらまた新しいワインを注文する、それでいて酔っている様子はない】
【風貌は少年だが、口ぶりといいそのままの情報だけで判断するべきではないかもしれない。】

まっ、そこらへんは臨機応変にな。
こっちに堕ちて≠ゥらロクに他の奴と絡んでなかったし、つい気が大きくなっちまったぜ。

そらそうだろうな、別の世界からもどんどん流れてきて掃除が間に合わねーだろ?
混沌≠ゥ―――俺は中々好きだがな、本来悪≠ニは単純な人の衝動から生まれる罪≠セからな

ああ、新人ちゃー新人だが………他の奴らとはちっと違うかな。
少し前に世界に空いた孔=A俺はその孔≠フ中から堕ちてきた果実の欠片≠セ。

【ジェノは椅子にもたれかかってグラグラと項垂れながらそんな事を話す。】
【しかしあまりにも断片的な言葉のみである、とはいえ通常の異世界人≠ニ定義するのは間違いかもしれない】

なんだよ、つまりお前も王≠セったわけか!ハハハハハ!こいつは傑作だな!
―――ッチ、だったら飯奢んなきゃ良かったな、オウサマなら金持ってんだろぉ?

だがまぁ………声はかけてみるものだな、俺みたいな奴でも愉しめるゴージャスな花火を期待してるぜ?

【「なぁ?」っと、眉を吊り上げてジェノも不敵に笑う。相手がGIFTの大幹部といえども怖じ気ないのは評価してもいいかもしれない】
【それだけ言うとジェノは満足したようで椅子の背もたれにもたれて夜空を見上げる、もう聞くこともないようだが】
【逆に仮面の少年から何か話題があれば応じるだろう】
78 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/21(日) 23:13:51.38 ID:B/cySQp5o
>>77
ま、楽しみにしておれよ、盛大なのを上げちゃるからのう
なんなら見に来てもええんじゃぜ?命の保証はしないがな、かっかっか

【不敵なジェノの言葉を楽しむように、ニヤニヤと笑っている少年だが、注文した料理が運ばれて来ると乗り出していた身を引く】
【それから、自分の料理と、連れの男の料理を分けて置き、連れの男の分の料理には食器をグサリと突き刺した───ある文化を知っているなら、その行動は供物に近いように見える】

……ああ、己は一つ勘違いしとるぜ、GIFT RULERなのはワシじゃあない。大将はこっちじゃこっち
「──────」

【そう言って、少年は料理を口に運びながら、隣の男に顔を向ける。先程から何も言わず動かず、人形のように黙ったままの男は、尚も黙っていて】
【それでいて、組織の幹部らしき格≠フようなオーラもない、見た目を除けば無味無臭の空気のような雰囲気の男、彼こそが件のGIFT RULERだと、少年は言う】

この事は内緒じゃ、どうせならサプライズで御披露目したいっちゅーのが人情ってもんじゃろ?わかってくれや

【そう言って、「しー」と指を立てて笑う少年、言い口は軽いがこれは紛れもなく重大事項だ、隠すのは当然だし、逆に言えば『売れる』情報でもある】

しかし、己の方も込み入ってるみたいじゃのう……ただの異世界からの迷子じゃあないか
いや───寧ろ、己『人』じゃないじゃろ?

79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/21(日) 23:18:51.88 ID:yjT0aZfd0

【とある病院。其処には日々数多くの患者が運び込まれ、常に病室に空きが無く】
【24時間体制で診療しているのだから昼夜問わずに人の出入りも激しい】
【――――そんな病院の中庭。普段ならばこの時間、患者も居ない筈なのだが……どう言う訳か、今宵は一人の子供の姿】


「そっか……もう外はそんなになってるんだね
僕も自分の足で外を歩いてみたいな……」

【ベンチに座り、指に止まらせた小鳥に語りかけ。歳は恐らく15歳前後であろうか】
【肌も透き通るように白く、髪も色素が抜け落ちたかのような純白。それなのに、瞳だけは血の様に紅く】
【――――アルビノ、と呼ばれる存在。実際、小鳥に言葉が通じている様な節も所々に見え】


「……うん。何時か一緒に色々見ようね
僕も、沢山友達を作って――…………」

【元より虚弱体質なのだろう。咳き込んでしまえば中々に止まらず、其れを見る小鳥は心配そうに小さな鳴き声を上げ】
【――――夜も遅い、と言う事もあり咳の音とて中々に響く。更にはこの病院、数多くのクスリも販売しているのだから旅の者達が愛用していたり、なんて事もある】
【少女の姿も闇に反して白なのだから、見つけやすいかもしれないけれど】










【――――昼間は活気を見せる街も、夜ともなればひっそりと静まり返っていて】
【そんな中、暖かな光が窓から漏れる店が一つ。扉には『OPEN』の看板か下げられている事からまだ営業時間内であろう】

【スライド式の扉を開けて中に入ったなら、先ず視界に入るのは店の内装】
【落ち着いた雰囲気の喫茶とでも表すべきか、カウンター席が主で他にはテーブル席が幾つかある程度】
【店の少し奥に置かれた掲示板には様々な事が書かれて居るようだけれど】


「いらっしゃいませ。初めての方……ですよね。ご注文の方はまだお決まりではありませんでしたか?」

【僅かに遅れて入店の挨拶をしたのは一人の女性だ】
【恐らくは二十代の半ば。穏やかな愛想の良い笑みを浮かべ、取り敢えずはとカウンター席の方へ着席を促すのだろう】
【素直に従うも良し、でなければ先ずは話を聞くのも良いのだろうが】
80 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 23:20:56.02 ID:VDw3Nm8no
>>60->>63>>66->>68

【さながら、『鎌鼬』が通り過ぎたかのごとき通路の惨状を見届けたムクは、全てを打ち終わり立ち尽くすフレッドの方に駆け寄る】
【否、『立ち尽くして』はいなかった……『鎌鼬』を打ち終わったフレッドは通り過ぎた先で片膝をつき、血が滲み始めているその足を抑えている】


……ふぃー、片付いたか……イッチチ、これ思った以上にヘビィな反動来るねえ……

「……一体全体どうしちまったんじゃあフレッド?今の技……どうして”トップギア”で打たなかった?
あんな足に負担のかかる大技、今の筋肉の状態で打てば―――そりゃそうなるじゃろう……もしかして貴様、それが出来ないほど衰えたのか?」

さぁてな……なんでだと思うよ?
せいぜい考えてみりゃあいいじゃねえか、おら迎えが来たぜ、とりあえずはあそこで包帯と杖でも貰っておくかね


【壁に手を突き反動で負傷した体を引きずりながらフレッドは最後に出入り口までなんとか辿り着くだろう】
【思いのほか負傷が激しくトレーラーにてすぐ手当てを受けることとなったが―――彼は「自分でできる」と言って器具をひったくり自分でその治療を始めることとなる】
【自分で手当てを行うと同時、ワザワイやシュペアーが手に入れてきた情報などを再度確認することになるだろう】

【ワザワイが持ち帰ったのは、今回雇ったはずのリチャードが"GIFT"の一員であったという事実】
【シュペアーが持ち帰った『ヒュドラ』と『INFINITY』の動物実験の結果、続いてマリオンの次なるターゲットがレイリス大である事などを得るだろう】
【それからほどなくして正体を暴かれ退散するシュペアー、否、スカーベッジの姿をムクは眉間に皺を寄せながら見上げ続ける事だろう】
【引き上げる男のその一目見たら忘れられそうもない異形の姿にも大変心当たりがあった―――≪No,29≫カニバディール、以前に剛太郎が戦った相手だ】


「……以前にどこかで見た顔じゃったか、と思うたが……やはりあやつら、以前剛の字と共に戦ったカノッサの手の者じゃったか
"GIFT"の秘密など知られても構わんし、奴らを利用してやろうと思って放っておいたが……ふん、決して気分はいいものではないのう」

その発想をするあたりお前も十分、悪党側だよなあムクよぉ
なるほどあれがカニバディール……マリオンに負けず劣らずの『逸材』と聞いているが
クケッ、叶うならばもう少し腰を落ち着けて話をしてみたかったねぇ……ん?おいムク見てみろよ、なんか特番っぽいのやってるぜ

/続きます!
81 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/06/21(日) 23:21:39.77 ID:VDw3Nm8no
>>80
【最後にその目に飛び込んでくるのは……つい先ほどその姿を見たリチャードの姿だ】
【今回こうして明かされた"秘密"を在ろうことか自分でしゃべっているではないか……父親によって"GIFT"に売られ、"二年前"に買い戻され】
【その後自分が社長の後継ぎとなり、そしてこれからは父とは違う会社を目指すという一連の会話、その全てを見たうえで―――まずムクは口に出した】


「……ワシはこの話を『信用できん』のう。今回のメンツがその情報を手に入れるその日のうちに自ら"GIFT"でしたと暴露するじゃと?
その上、戻ってきたのがマリオンの報告書と同じ"二年前"と来た。不幸な飛行機事故で兄が死んだから戻ってきた、のう……クサいな、何か引っかかるわい、あの社長の若造
本当は此度の一件でワシらがこの情報に行き着くのを悟り、暴露される前に自分で白状し悪感情を持たれぬよう印象操作した、ような気がしてならん」

へっ、『どっちだっていい』じゃねえか、そんなの……敵だったらまとめて潰し、味方なら握手で返す、それでいいじゃん
……ただまぁ本当だったとしたら潔い性格をしてるねえ、やっぱ正直な奴ってのは好感を持てるわ、『ウソツキ』としては耳が痛いねえ!
必要のないときはちゃんと正直に話をしてぇモンだわ!今後はちゃんと『オレは目的のためなら善人とすら手を組む悪人です』って名乗るか?キャッハッハッハッハ!!!


【―――ひとつだけ、ハッキリ言っておかなければならない。この『男』は決して正義の人間ではない】
【どこまで行っても我欲のために生きて、死ぬまでそう在り続ける類の人間であると。目的のためならば手段を選ばず『正義の味方』と手を組む事も厭わない、それだけの話に過ぎないと】

【―――だが、信じられない事にムク曰く、この男はそれでも『英雄』なのだそうだ。目的のために動いたついでに、これまで何人もの人間を助けてきた―――『救世主』の一人であると】

【to be continued…】
/では遅れましたがこれが最後のお返事になります!お疲れ様でした!
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/21(日) 23:46:48.92 ID:92nbc95j0
>>78

あぁ、何なら手伝ってやってもいいぜ?
俺が損にならない程度で特等席を用意してくれるってんならだけどな。

まー何にせよ愉しみに待ってるぜ、あんたらの祭り≠な。

【随分とあっさりと協力する姿勢を見せるジェノ、この少年は本当に気まぐれな思考の持ち主のようだ】
【とはいえ未だどこにも属していなく、目的も不明なこの少年を真に信用するべきではないのは確かだろう】
【そして食器を料理に突き刺す様子を顔を引き攣らせながら眺める。】

ってそっちだったのか!?てっきり従者かなんかかと思ったぜ。
―――成程な、こりゃ大層な花火が見られそうな気がするぜ………。

【そして紹介される隣の男こそがGIFT RULERだと教えられると身を乗り出して驚く様子を取る】
【改めて隣の男を眺めると、その奥にある不気味さを感じ取ったのか汗を一筋垂らして口元を歪める】

あー分かったよ、俺もそんな野暮な真似はしねぇよ折角の祭りなんだしな。

んじゃ俺はそろそろ行くわ、会計はこれで適当に済ませとけ、釣りはいらねーからよ
まぁ中々いい話が聞けたぜありがとな、またなんか面白い話や儲け話があったらよろし―――


【口止めに対しても本当に分かってるのかどうなのか適当な態度を取りながら立ち上がり】
【ポケットから大金の入った布袋を取り出して少年に向けて放り投げ、そのまま店を出ようとするが】

【相手の少年の最後の言葉にピタリと足を止めて、振り向く。】


―――へぇ、アンタも中々鋭いじゃねーか、何故わかった?
ていうか名前聞いてなかったな、名は?

【今まで見せた中でも最も狂気を持った笑みを浮かべながら二人組に視線を向ける。金色の右眼がギラリと光る】
【そして少年に興味を持ったのか、そんな問いかけをする。】
83 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/22(月) 00:06:02.20 ID:3akxr9hgo
>>82
ええ顔するじゃねえの、そーゆー顔が見たかったんじゃワシゃあ
……何、うちの身内にも似たような奴がいてのう、そいつに雰囲気がにてたから言ってみただけじゃ

【嘘か本当かはわからない、そもそもこの少年がジェノの事をどれだけ見抜いたかも不明で、もしかすれば本当に『ただ言ってみた』だけかもしれない】
【ただ、ジェノの狂気に満ちた顔を大層気に入ったようで、受け取った布袋をテーブルに置くと、少し溜めてから問いに答えた】

ワシゃあ虎我 刃山……そして大将の名は───

───大将の名はまだ無いんじゃ、なんせ『産まれてない』からのう、此の世にまだいないのに名前を勝手にワシが名乗る訳にはいかなかろうて、かっかっか

【告げられたその名───虎我と名乗った少年、そして彼が使える男、彼にはまだ名前が無く、まだ『産まれてない』という】
【だが、確かにその男はここに存在しているし、聞き返してもこの男が大将だと答えは返ってくるだろう】
【それでもしつこく聞くようであれば、「内緒じゃ」とだけ嘯いてしまう】

ま、気になるなら祭りに来てみろや、歓迎するぜ、ジェノよう
ここは火の国っちゅうてな、数ある国の中の一つじゃ、そしてこの火の国の街の一つ、『梵京』でワシらは祭りを行う
さっきも言ったが、命の保証はせん、それでもいいなら来てみる事じゃ、そーすりゃ自ずとわかる

84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/22(月) 00:23:34.60 ID:oiur9Ktu0
>>83

ッチ、乗せられたか―――虎我か、覚えたぜ。
ほぉ………俺と雰囲気が似てる奴が身内にいるとは、そりゃあアンタも苦労してそうだな?

【ジェノは少しばつの悪そうな顔をするが、それも含めて虎我の事を認め、そして虎我の仲間にも興味を持ったようである】
【そして冗談を言うと、今度は打って変わって年相応の無邪気な笑顔を見せる。】
【コロコロと表情が変わり、恐らく志向にも一貫性がない。確かに身内にいたら苦労しそうなタイプだ】

『産れてない』………か、少し前の俺と同じだな。
―――おーよ、大将さんとやらの産声も聞いてみてーし、見学だけでもいかせて貰うかね。

まぁ梵京とやらに行ったら声かけさせて貰うぜ、んじゃ本当にあばよ。

【『産れてない』という言葉に対して眼を細めて大男を眺め、その後に宙を仰いでぽつりと呟く】
【その後、虎我の誘いに結局適当に返しながらヒラヒラと右手を振りながら立ち去っていくだろう―――あくまで気まぐれまかせ、か】

【何にせよ、ジェノと名乗る少年はまたどこかで姿を現すことだろう………欲望が織りなす宴≠フ場に。】

//お疲れ様でした!
85 :??? ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/06/22(月) 00:27:50.08 ID:3akxr9hgo
>>84
/お疲れ様でした!
86 :ロゼッタ・上 天辰・下 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/22(月) 14:55:56.05 ID:syicLnWDO
 【路地裏】

【ネオンが灯りつつある大通りとは対称的な、薄暗い路地裏。陰惨な雰囲気が常に漂う場所を、1人の女が歩いていた】
【ゆるりとした衣服を着た、妊婦だ。妊娠期間も後半に差し掛かっているのか、腹は相当膨らんでいる】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をした彼女は、慣れた様子で路地裏を歩いていた。元より路地裏に住まう人種なのか】


…………習慣というのは困ったものね。つい、来てしまうもの
かと言ってやることもなし……。ふふ。“こういう趣味”のお客を探すのも、悪くはないかしら


【くつくつと女は笑い、重い腹をそっと撫でた。身重のせいか、その動作や歩き方は酷くゆっくりとしたものだ】
【武器も持たぬように見える妊婦。おまけに左手の小指には稀少であろうブラックダイヤの指輪がはめられている】
【路地裏の住民にとっては格好の獲物に見えるだろうが、さて──】



 【公園】

【まだ若い男がベンチに座っていた。顔立ちは東洋人のソレ──櫻の国の出身者だろうか】
【腰には一振りの刀。剣士か。服の上からだと筋肉があるようには見えず、どちらかというと優男のよう】
【ワイシャツにズボンというやたら質素な服装だが、その素材はそれなりのもの】
【先ほどからなにやら誰かと通話をしているようだが──】


はい……あ、TRAVISの会見ですか? はい、見ましたよ。はい
え? まさか、僕もGIFTメンバーじゃないかって?
まったくもう……わざわざ電話して聞くことじゃないじゃないですか

…………。……はぁ。それにそんなこと言ったら全国の次期社長が……え? はい?
な、なんですって!? え、僕にはGIFTに入る甲斐性も勇気もない?
ちょっ……それは酷くないですか? そんなんだからミス・クレーマーとか言われっ……ひぃ、ごめんなさい!!
あ、ちょっ、……ひっ、あ、あの、すみません、近くで爆発、ひぁっ! すみません!


【──ぶつん。通話相手を怒らせてしまったのか、あからさまな嘘をついて彼は電話を切った】
【はぁ、と深いため息が出る。その様子からして、電話の相手は彼の苦手なタイプだったらしい】

【そして……もしニュースや雑誌をよく見るタイプの人間であれば、彼の顔を知っていてもおかしくない】
【「天辰 櫻」 天辰警備会社の跡取り。雑誌の広告欄には会社PRのためか、凛々しい表情をした彼の写真がたまに載っている】
【更には数週間前──風の国の首都エルジオを襲撃した六罪王・アイン及びダグラスを退けた者の1人だと、ニュースでは報じられていた】
【いたの、だが……。当の本人はといえば、携帯電話片手にまたため息をついていた】
【仮に天辰 櫻のことを間接的に知っていたとしても、これでは「よく似た別人だ」と思われても、それはそれで仕方のない話だった】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/22(月) 19:30:40.72 ID:boJx61dU0
【最近は一気に夏めいてきた。じわじわと日差しも強くなってきて、これから本格的に暑くなっていくのだろう】
【日中の気温も汗ばむくらいに高くなってきたけれど、日が傾き始めると少しは暑さも和らぐ……そんな初夏の夕方】

【帰宅する学生の姿や夕飯の材料を買いに訪れた人々で、商店街は賑わう。人通りも日中よりも増えてきて】
【―――そんな商店街の通りを、道行く人々に紛れて一人の女性が深刻な表情で歩いていた。】

(―――ウチの大学が違法薬物を製造、か……。いよいよきな臭くなってきたわね……)
(この前は衣織が襲われて、今度は大学が違法行為を行っていて―――こんなに私達の周囲が危ういなんて、思わなかったけれど)
(……最後まであの子を護れるのは、私だけ。何があっても衣織だけは護らなくっちゃ―――)

(……こんな気難しい顔でお見舞いに行っても、衣織は喜ばないわよね。笑顔笑顔!)
(衣織に何か買って行ってあげようかしら。入院中なんて、きっと楽しみも少ないでしょうし……)

【鳶色の長髪は上質の絹糸のよう。深いブラウンの瞳は綺麗に澄み、深刻な表情を優しげな微笑みに変えて】
【夏らしい白いシャツに、すらりとした足にフィットした黒いロングパンツといった出で立ち】
【腰には黒色のポーチ。足には履き慣らされたスニーカーを履いている……そんな姿恰好】
【整った顔やすらりとした体躯からは若い印象を受ける。一方で、若い女性には似合わない落ち着いた雰囲気も纏っていて】

【そんな彼女はある洋菓子店の前で立ち止まる。ライトアップされたショーウィンドウには可愛らしい菓子の数々が並び】
【店から出ていく客がドアを開けたなら、何とも美味しそうなふわりと甘い香りのする空気が一緒に広がる。】
【此処は時折雑誌で取り上げられる程に有名な店。菓子好きなら名前ぐらいは聞いた事があるかもしれない。】
【店内は此処の菓子を買いに遠方遥々訪れたという人も。そんな訳で、誰かが雑誌に組まれた特集を見て訪れたというのは何ら不思議ではない】

(―――そうだ、ケーキにしましょう!あの子もきっと喜ぶわ!)
(さて、あの子へのケーキは何が良いかしら。甘い物は大好きって言うから何でも大丈夫なんだろうけど……)

 ……出来る事なら一番喜ぶ顔が見たいのよね……。うーん……―――――

【ショーウィンドウの前で悩むように唸りながら立ち止まり続ける彼女。】
【彼女を悩ませているのは他でもないショーウィンドウのお菓子達。色とりどりのお菓子はどれを買っても外れという事は無さそうだが】
【それでも一番子供が喜ぶものを選びたいのが母の情というもの。しばらく悩み続けるが、それでもまだ決めかねているようで……】

【―――此処は人通りの多い商店街という事を覚えているだろうか。】
【ショーウィンドウの前で突っ立っている彼女は、菓子選びに悩むあまりに流れる人を気に留めていなかった。――――ぶつかるかもしれないというのに】
88 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !蒼_res]:2015/06/22(月) 19:58:02.90 ID:XsKX0dMko
>>87

【女性がお菓子選びに夢中になっている、その隣。ほんの少し真横に注意を逸らしたなら、若干細まった路地があるのに気づくだろう】
【まあ、だからなんだ、という話ではあるのだけれど――その奥から、「お疲れさまでしたー」なんて声が響いてくるのが聞こえるか】
【その路地の横合、ちょっと見つけ辛い位置に小さな喫茶店らしき入り口がある。大きな雑誌には決して乗らないが、口コミで存在が密かに広まっているような、】
【良く言えば隠れ家的な、悪く言えばまったく目立たないカフェ。そんなみょうちくりんな場所から、ひとりの少年が顔を出した】


さーて……どうしよう、アイスでも買っていってあげようかな………。


【――袖のシャツに赤色のネクタイを締めて、学生鞄を持った身形の少年だ】
【顔つきは幼く、体格もそう大きくない。黒色の双眸はいたって温厚だけれど、前髪を上げた茶髪と若干着崩された制服は少しだけ派手か】
【といっても、あくまで周囲に威圧感を与えないレベルのお洒落であって……はっきり言ってしまえば、どこにでもいそうな高校生である】


――――あ、っと。ごめんなさい! ……あれ?


【バイト帰り、といったところだろうか? 少年は軽く伸びをしながら路地から出ると、すぐ隣にあるショーウィンドウを眺めながら方向を変え】
【……こちらもこちらで、疲れのせいで注意散漫だったようである。そのまま女性とぶつかってしまい、慌てたような調子で謝罪の声が飛ぶだろう】

【普段であれば、そこで別れて終わりだったのだが。少年は何か違和感を覚えたように、怪訝な表情で女性の顔を見つめ始めるだろうか】
【失礼なのはわかっているが……気のせいか、知り合いの誰かに似ているような。思い出せそうで思い出せない、微妙な間】
【とりあえずは、まあ。少年が正答に辿り着くよりも、この少年が自分の娘と同じ学校の生徒だと、女性がそう気づく方が早いかもしれない】

89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/22(月) 20:34:40.19 ID:boJx61dU0
>>88

【其処に路地がある事は分かっていた。でも、普段あまり人が通るような場所でもなさそうだから、特に気にも留めず】
【そんな理由で、路地から人が出てくる事を想定していなかった。しかし……結果的に人が出てきてしまう】
【女性―――皐月は、娘へのお見舞いも兼ねたお菓子選びに夢中になっていて、人が通る事に注意が回らなかったようで】
【ショートケーキか、はたまたモンブランか……そんな事ばかり考えていたら、急に予期せぬ軽い衝撃が肩を襲う】

―――あ、っ……す、すみません!

……、……えーっと、……私の顔に、何か……?―――あら、その制服……

【幸い転倒する程の衝撃ではなかったから、ぶつかった相手も自分もよろめくくらいで済んだようだ】
【1秒ほど間を置いて、漸く自分が注意散漫だった事と人がぶつかった事を理解した皐月。慌ててぶつかった方に向き直って】
【……視界に入ったのは、今どきの若い子らしい少年。娘より一回りくらい大きい年頃だろうか?】

【……そんな少年に、見つめられる。何か自分に心当たりでもあるのだろうか……あまり面識はない、筈だけれど】
【そう言えば、彼の着ている学生服らしき服に、見覚えがあるような……――少しの間を置いて、思い出す。この服は……】

―――ああ、衣織の学校の制服だ!どこかで見た事があると思いました!ネクタイが赤という事は、佳乃ちゃんと同い年かな?

【そう、娘の学校の制服だ。娘が着ているのは当然女子用の制服だけれど、学校を訪れた時に男子生徒の制服も見た事がある】
【保護者だから、ネクタイが学年色になっているのも知っている。赤という事は自分の良く知っている少女と同い年だろうか】

【……ところで、どうしてこの女性が一颯も良く知っている少女・佳乃の名前を知っているのだろうか。】
【佳乃の知り合いで、衣織という名前の娘が同じ学校に通っていて―――一颯も、そろそろこの女性の正体に気付くか】
90 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/22(月) 20:52:54.19 ID:XsKX0dMko
>>89

【性別も年齢も背格好も、まるで違う二人がしばし呆然と見つめ合う。端から見るとちょっと妙な光景だったかもしれない】
【とはいえこの少年は――"幼馴染"とは真逆に――人付き合いはかなり得意な方だ。このぐらいで物怖じしたりはせず、そのまま答えを探すのだが、】


――ああ! あははっ、こっちも思い出しましたよ。
神谷皐月さん、ですよね? 衣織ちゃんのお母さんの! 佳乃からよくお話を聞いてます。

えっと……初めまして。ぼくは佳乃の幼馴染で、鳴子一颯と言います。
いやぁ、いっつも佳乃がお世話になってるみたいで……。


【衣織、それに佳乃。それだけ知っている人間の名前が出れば流石に少年も気づいて、表情も明るくなるだろうか】
【あのコミュ障甚だしい幼馴染がいつも世話をかけている"後輩"の母親。確か、いつぞや家にお邪魔した時に彼女自身にもお世話になったとか】
【その辺りの一通りの話は少年も佳乃から聞いていた。……逆に聞き過ぎてちょっと耳にたこが出来そうなぐらいだったのだが、それはともかく】

【少年……鳴子一颯は改めて、懇切丁寧に自己紹介をするだろう。あるいは衣織から名前を聞いていたこともあったかもしれず】
【佳乃が聞いていたらコンマ一秒以内に殴り飛ばされそうな母親じみた調子で、ついでに本人に代わって皐月に日頃のお礼を述べて】


衣織ちゃんは元気ですか?
………あ、もしかして衣織ちゃんにお土産を? ここ、有名ですもんね。


【軽く衣織の様子を聞いてみる――のと同時に、一颯は自分と皐月がショーウィンドウの前でぶつかった意味を何となく察したようだ】
【一颯自身は別に甘味が好きというわけではないのだが。近場で働いていることもあってか、この辺りのことには色々詳しいようである】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/22(月) 21:32:44.72 ID:boJx61dU0
>>90

まあ、よくご存知で……!じゃあ、貴方が衣織の言ってた一颯くんかぁ……
此方こそ、娘がお世話になってます!「カッコいい先輩がいる!」って衣織が良く言うんですよー!

【こんな偶然があるだろうか。なんとなんとこの少年も、衣織の知り合いかつ佳乃の幼馴染だったのだ】
【名前を言い当てられると、驚いたように目を丸くして。それから挨拶を交わすと、母親らしい優しい笑顔になる】
【……しかし、我が子とそう年齢も変わらないのに、しっかりしてそうな子だ。歳の離れた自分への挨拶も丁寧で】
【何というかこう、学年に一人はいる「何でも出来る子」っぽい。女の子にもモテるんだろうなぁ……顔立ちもいいし。】
【おまけに人当たりも良い。衣織が一颯の事を「カッコいいセンパイ」と評するのも分かる気がする……。】

【で、そんな一颯に衣織の様子を聞かれる。衣織は元気か、と……そして、同時に皐月が此処に居る理由も察したらしい】
【一を聞いて十を知るとはこの事か。「皐月が此処に居る」という情報だけで、衣織へのお土産という事まで分かるとは】
【ただ、衣織が元気かという問いを聞いた瞬間に皐月が微妙な表情をしたのを、敏い一颯は気付くだろうか―――】

それが……――――衣織は今、大怪我を負って入院してるんです。
全校集会で言われたでしょう?「この学校の生徒が、帰宅途中に正体不明の生物に襲われた」って……あれ、衣織の事なんです。
背中を裂かれて、腕と足も骨折して……まだ、治るまでかかりそうで。表情は明るいし、心はすっかり元気なんですけどね。
車椅子や松葉杖があれば動く事も出来るくらいには回復してるんですけど……やっぱり、身体はそう直ぐには治りませんよね。

ケーキは、そのお見舞いで買って行ってあげようかなと思いまして。あの子、甘い物が大好きですから。

【……衣織が元気か、という問いには首を振らざるを得ない。こういう質問をするという事は、一颯は衣織が入院している事を知らないのだろう】
【あの大怪我で元気とは、とても言えない。いやまあ、心の方はすっかり元気なのだけれど……身体はボロボロのままだ】
【不意に飛び出した、深刻な情報。これを一颯はどう捉えるのだろうか。そして、佳乃はこの情報を知っているのだろうか―――】
92 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/22(月) 21:58:11.30 ID:XsKX0dMko
>>91


い、いやいや。そんなことはありませんよ。
滅茶苦茶モテまくってる友達がすぐ隣にいるので、せいぜいその引き立て役ってところです。


【人付き合いという点ではかなり秀でている少年だけれど――まかり間違っても、カッコいい、なんて言われなれてはない】
【「どこにでもいる平凡な少年」というのが自己評価だし、友達の大半にもそう思われている筈だ。一颯は困ったように苦笑し、眉根を寄せた】

【ちなみに、皐月と洋菓子店を眺めて衣織へのお土産かなと思ったのはほとんど偶然のようなものであった】
【ちょうど自分も、佳乃にお土産でもと思っていたところだったから。アイスの味でも聞こうかな、と携帯を取り出しかけていたところでもあり】
【……しかし。急に暗くなった皐月の表情をみるに。どうやら本当にお土産を買っていくべき相手は違ったのかもしれない、と一颯は思った】


――――、そう、だったんですか。
まさかとは思っていたんですけど………だから学校に来ていなかったんですね、衣織ちゃん。
化物………ぼくや佳乃ならともかく、衣織ちゃんを襲うなんて………。

あの、皐月さん。でしたらそのお見舞い、ぼくと佳乃も付いて行かせて貰えませんか?
佳乃の方もかなり心配してたみたいで、最近ずっとイライラしていて。安心させてあげたいですし、何より衣織ちゃんが心配ですから。


【佳乃ほど面識があったわけじゃないにせよ、衣織は一颯にとっても比較的身近な後輩だ。それが大怪我を負ったとは初耳で――、】
【しかし存外、少年は取り乱すことはなかった。最初こそ驚いたようだったけれど、すぐに冷静になって最後まで話を聞き遂げるだろう】
【……佳乃とは別の意味で、一颯もまた切った張ったに慣れている調子だ。まぁ、あのいちいち感情的な佳乃とずっと付き合っていたぐらいなのだから】
【彼女に代わって冷静に物事を分析したり、色々と手を回してやったり、そうして足りない部分を補ってやるのが鳴子一颯の役割だったのかもしれない】

【――とにかく、そういう事ならやるべき事はひとつ。即断即決とばかり、一颯は佳乃と一緒に衣織の様子を見に行かせて欲しいと皐月へ提案するだろう】
【もし賛同して貰えればすぐに佳乃へ電話をかける。やはり佳乃もこのことは知らなかったようで、事の成り行きとこの店の場所を伝えたなら】
【後は二人で衣織へのお見舞いの品でも選んで待っていれば、五分ほどで顔を真っ赤にした佳乃が店内に飛び込んでくることになるだろう……】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/22(月) 22:32:09.82 ID:boJx61dU0
>>92

ええ、此処1か月程学校もずっと欠席していて……ごめんなさいね、心配をおかけしているようで。
勿論お見舞いは大歓迎ですよ!貴方達が来てくれるなら、きっと衣織も喜びます!
病院に一人でいるのは何かと心細いものですから……ふふっ、元気を分けてあげて下さいな!

【娘の大怪我。こんな事を唐突に告げれば、困惑するかもしれないとと思った。でも……この少年は違ったようで】
【驚きこそすれども、取り乱したりする様子はない。やはりこの少年は、どこか年齢らしからぬ落ち着きを感じさせる】
【この大人びた落ち着きは、一体どこから来るのだろうか。あまり他人の事を詮索するのは趣味ではないけれど、不思議だ】
【一颯の自己評価は低いようだけれど、彼の落ち着いた言動には先程からずっと感心させられている】

【佳乃と共にお見舞いに行ってもいいかという話には、当然快諾する。衣織も一人で寂しがっているだろうし】
【何より、親しい人が見舞いに来てくれたなら衣織も喜ぶに違いない。きっと、ケーキよりももっともっと喜ぶ】
【心配をかけている二人も、衣織の様子を見て安心して欲しいし……だから、断る理由なんてない】


【そうと決まれば、あとは佳乃を待つことになるか。買って行くケーキを二人で選んだりしながら】
【……佳乃が駆けつけると、いつもと変わらぬ笑顔を向ける。きっと心中穏やかでないであろう佳乃の心を和らげるように】

こんばんは、佳乃ちゃん。お久しぶりですね!―――……話は、一颯くんから聞きましたね?。
大丈夫ですよ、怪我はしてますがあの子の心は元気です!
ふふっ……こんなに心配してくれるなんて、あの子は本当に良い友を持ちましたね。

【……怪我をしたら、心配して駆けつけてくれる。これがどれだけありがたい事か……】
【優しくて、自分の事を大切に想ってくれる―――衣織が掛け替えの無い友達を得た事が、よく分かる】
94 : ◆A3Dw.QYNcc :2015/06/22(月) 22:34:28.32 ID:d1Sw22RuO
>>86
/再募集します
95 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/22(月) 22:57:26.89 ID:XsKX0dMko
>>93

【お見舞いの話を快諾して貰えたなら、一颯も軽く息を吐いて安心したような素振りを見せるだろう】
【先ほどは佳乃を安心させたいと言っていたが、やはり本人が衣織に抱いていた心配もそこそこ大きかったようだ】
【幸い衣織も、体はともかく心の方は元気だと言うことだし。もう終わった話、ここで自分が喚いたところで何も解決しないと少年は重々承知していた】


「―――――さっ、皐月さん! 衣織は元気なのよね!?
 一応大丈夫とは聞いたけど、コイツの言うことだし…………!!」


【……もちろんそれは、少年の方は、という話であって。店員の迷惑も考えずもの凄い勢いですっ飛んできた少女の方は、案の定の反応だった】
【一颯と違って生徒会の活動もないしバイトもしていないので、恐らく佳乃はもう帰宅済みだったのだろう】
【今は学校の制服姿ではなく、朱色と金色で山紅葉と銀杏の模様が各所に描かれた、少しばかり豪勢な浴衣姿だ】
【奇しくも、というべきなのか――この紅色の浴衣は以前衣織に貰ったもの。どうも部屋着で涼んでいた所に連絡をもらい、着の身着のまま駆けつけたらしい】

【"コイツ"扱いされて横で苦笑いしている一颯をよそに、佳乃は開口一番皐月へ衣織の安否を確認し】
【皐月本人の口から大丈夫だと聞けたなら、大きくため息を付いてようやく落ち着き、走ったせいで軽く乱れた浴衣を直すのだろう】
【その後は驚いている店員をひと睨みして追い払い、お見舞いの品選びに参加する。といっても洋菓子には詳しくないので、あまり力にはなれないが……】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/22(月) 23:20:11.89 ID:boJx61dU0
>>95

【何というか相変わらずだなぁ、なんて。ちょっぴり大袈裟なくらいに駆けつけてくれた佳乃を見て、そんな事を思ったり】
【不器用だけれど、衣織を心配してくれる事がよく分かる。だって、真っ先に容体を問うくらいなのだから】
【……それにしても、佳乃は一颯の事を信用していないのかしら。コイツと呼べるくらい親しいのだろうに……】

【ともかく、衣織の母である皐月の口から無事と聞けば、安心してくれたらしい。息を撫でおろす佳乃を見て、皐月も微笑んで】
【それから三人で衣織へのお土産を選ぶことになるだろう。三人寄れば文殊の知恵と言うし、きっと良い選択が出来る筈だ】

さて……―――どれがいいかしら。あんまり甘すぎたり匂いがあったりするのも、入院中だし良くないわよね……
となると、モンブランか……あるいはブルーベリーのタルトなんかも……お二人は、どれが良いと思います?

そうだ!一颯くんと佳乃ちゃんも、好きなケーキを選んで下さいな。貴方達の分も買ってあげましょう!
衣織のお見舞いに来てくれるのですから、お礼と思って下さいな。

【……どれが良いか、悩みは尽きない様子。色とりどりのケーキにあれやこれやと目移りしてしまう】
【途中で二人にも訊いてみる。年の近い二人なら、あるいは良い意見も聞けるかもしれない】

【あと、衣織に持って行く物とは別に、二人にもそれぞれケーキを買ってあげるつもりでいる】
【娘を心配してくれた二人への、ささやかなお礼。金銭的に学生よりもかなり余裕があるし、お金の事を気にする必要は無い】
【好きな物を選べば、きっと皐月は買ってくれるだろう。或いは遠慮されてしまうかもしれないけれど……】

【因みに、適当にケーキを選べばすぐ近くの大病院に向かう事になる。距離はそう遠くないし、徒歩で行けるくらい】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/22(月) 23:39:47.59 ID:aHPVnzoA0
【住人の殆どが寝静まった小さな街】
【美術館だとかそんな物が有るわけでも無い此処は特に悪人達の標的となる事も無く】
【強いて言うならば身を隠したい者、或いは旅の際に宿を見つける者が通る程度】

【さて、そんな場所に今宵は珍しい姿が一つ】
【街灯の下に置かれたベンチに座り、サンドイッチを摘んでいるのは――――一人の修道女か】
【腰に提げている二丁の双銃が何とも物騒ではあるのだけれど、特に殺気などを漂わせている風でも無く】


「――――ん〜……流石に徹夜での尾行は疲れたけど……まあ、何とかなったし別に良いかな……」

【辺りに出歩いている者も居ないのだから、必然的にその修道女の姿も目立って】
【手にしているのは数枚の書類。行方不明だとか何だとか物騒な文字が並べられ】

【何故こんな所に修道女が、と疑念を抱き話し掛けるのもただ何と無く近づくのも良いのだろう】
【――――兎にも角にも、気配を感じ取れば其方へと視線を向け】










【櫻の国。最早誰も訪れる事が無くなる程に朽ちた神社】
【普段ならば一つの気配も無い筈なのだけれど――――今宵は、其処から妖気を感じ取る事が出来て】

【石畳の階段を上ったならば、見えるのは風化した鳥居と小さな社であろうか】
【――――社の前に立つのは、巫女装束を纏い翡翠の首飾りを下げた一匹の妖狐】
【目を瞑り、手を合わせている所からして参りでもしているのだろう。然れど、廃れた場所に神も残るのかは疑問だが】


「…………」

【其れも終えれば、神社から去ろうとして――――新たにこの場に訪れた者と出会うとすれば、そのタイミング】
【耳と尾を立てて居る事から余程驚いている事も知れるだろうか。抱くのは敵意だとかでは無く、怯えた様な――と表すのが適切で】
【元より害意を抱いた者がこの場に訪れたのだとすれば少女にとっての不幸】
【或いは、漂って居た妖気に疑問に思って訪れた者だとすれば――――話はどの様に転がるか】
98 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/22(月) 23:59:31.97 ID:XsKX0dMko
>>96

【慌ただしい佳乃を横目で見つつ、一颯は「すみません、騒がしくて」なんて皐月に言うだろうか】
【それに対して佳乃が無言で睨みを利かせると、一颯は"仕方ないなぁ"という顔で苦笑して。のらりくらりと怒りをかわす】
【凹凸コンビ、といった風情だ。一颯の方はともかく佳乃の方は、幼馴染のことを面と向かって真剣な話をするような間柄とは思っていないらしい】
【佳乃にしてみればたぶん、"腐れ縁"といった認識なのだろう。……またぞろ、色々と素直になれていない結果という可能性もあるけれど】


「……いいの、皐月さん?
 じゃあ、そうね………私は衣織のお見舞いと同じものにするわ。どうせ洋菓子のことはよくわからないから」

…………、仕方ないなぁ、佳乃は。
えーっと、それじゃあ。すみません皐月さん、ご馳走になります。
じゃあぼくはあんまり甘くない奴がいいな。衣織ちゃんには、そうだなぁ………。


【お見舞いとは別に奢ってくれるという皐月の言葉――まず一颯が、真っ先に遠慮しようとしたのがわかるだろうか】
【しかし、それを佳乃がさっさと遮ってしまう。彼女も若干申し訳なさそうではあったけれど、結局は変に遠慮することなく即決してしまって】
【――やや、一颯が目を見開いたのが分かるか。あまり他人に、特に大人に甘えるタイプではない幼馴染の見慣れない姿に驚いたようだった】
【その後で付け加えるように苦笑し、一颯も遠慮するのはやめる。――色々と見て回った結果、一颯はモンブランを選ぶだろう】

【ただ――衣織のお見舞いの品に関しては、残念ながら二人からあまりいい意見は出ないだろう】
【一颯は普通の男子らしくあまり甘いものを好まないので、人気の店というのは知っていてもケーキの種類の方には詳しくなく】
【佳乃に至ってはそもそもこういう可愛らしい店に全く立ち寄らない。たまに食べても適当に和菓子をつまむ程度なのである】
【最終的には二人して、「なんとなく甘いものがいいんじゃないか」なんて何の役にも立たない結論に落ち着くだろう……】
【結局は、一番衣織の好みを知っている皐月の判断に委ねられる形。この辺りはまあ、色々と人生経験の足りない学生らしいと言えるのかもしれない】

【――そうして見舞いの品を選び終えたなら、後は二人とも皐月の後に付いていくはずである】
【一颯が荷物持ちを買って出たり、佳乃の足取りがやたら浮ついていたりと。"大人しく付いていった"と表現するには若干賑やかではあったけれど】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 00:31:57.51 ID:V+BE70I20
>>98

いいんですよ、たまには大人に甘えるのも……ね?
それじゃあ、二人はそれでいいのですね?後は衣織の分、か……―――そうだ!

【普段素直じゃない佳乃が、遠慮せずに素直に好意を受け取ってくれた。そんな事がちょっぴり嬉しかったり】
【だって、それは佳乃が自分に心を開いてくれている証拠でもあるのだから。幼馴染に対してすら素直じゃないというのに】
【娘の衣織共々、遠慮なんて要らないくらいに親しくしてくれる……これはきっと、特別な事】

【一颯も同じくケーキを選んでしまえば、あとは衣織の分。さて、どうしたものか……】
【どうやら二人はケーキにあんまり縁が無かったようで。結局自分一人で決めることになって】
【頭を捻った結果……前に食べたミルフィーユを気に入っていた事を思い出して、結局それに決めた】
【折角買って行くのだから、喜んでくれたらいいのだけれど……】

【そういう訳で、皐月は二人の分も合わせて一緒に買っていく。それぞれ別の箱に詰めて貰って】
【「さ、行きましょうか!」と二人に声を掛ければ、三人は揃って病院へ向かうだろう】
【夜道は賑やかなくらいが丁度いい。率先して荷物を持ってくれるなんて、流石男の子だなぁ……なんて感心したり】
【浮ついた佳乃の様子が微笑ましかったり……兎に角、二人の様子を見るだけでも退屈しない道中だった】

【さて、そうこうしている内に病院に到着する。ゲートをくぐれば、広いロビーに足を踏み入れる】
【総合病院として運営されている此処は、水の国内では最大級の規模を誇り】
【病気・怪我を軽重問わず様々な治療に対応できることもあり、多くの患者を抱えている】
【今日も院内は、入院中の患者や医師・看護師、そして見舞いの人々が多く行き交っている】

【衣織の病室は5階の505号室。皐月が二人を案内するから、迷う事も無いか】
【そんなこんなで、病室前。扉を開けたら、其処に衣織が寝ているベッドがある筈だ】
【さてさて、誰から病室に入る?一颯?佳乃?どちらにせよ、二人が入ってきたら衣織は驚くに違いない】
【因みに、皐月は二人が入った後に入るつもり。友人の顔を真っ先に見せて、娘を驚かせたいらしく―――】
100 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/23(火) 01:02:59.33 ID:nZByZ1upo
>>99

【歩きつつ会話する二人の高校生の姿は、皐月の目には楽しげに映ったか。一方が和服なのでちょっと奇妙ではあったけれど】
【相変わらず"人に触れられない"佳乃が――軽口を叩く一颯へ、自然に蹴りを入れたり肩をど突いたりしているのに気づいただろうか】
【……暴力を自然と言っていいのかは置いておいて。長年付き合ってきたからなのか、一颯であれば、佳乃は普通に"触れられる"ようだ】

【普通の友人関係とは若干赴きも異なるけれど……後ろから見ていると、仲が良い、ごく普通の学生同士に見えたかもしれない】
【多分これが、ずっと繰り返されてきた佳乃本来の"日常"なのだ。複雑な人生を過ごす佳乃も、ほんの少しは"普通"に恵まれていたらしい】


「皐月さん? どうかしたの? ―――ちょっ!!?」


【さて――大勢の人に賑わう病院内の様子に思わず顔を顰めた佳乃を一颯が後押しする一幕もあり、無事病室前に着いたならば】
【先に入ろうとしない皐月の姿に、佳乃は素朴な疑問を浮かべるだろう。……友達を驚かせてやるとか、そういう発想が浮かぶのはやっぱり遅い】
【なので、彼女の考えを真っ先に察したのは一颯の方だった。くすりと皐月へ笑いかけると、こっそり佳乃の背後に回り】

【大きな音を立てないよう、それでいて素早く扉を開けると、佳乃を強引に病室内へ押し出してやるだろう】
【表立って「先に入れ」なんて言うとまた変に緊張し出すかもしれない、そう思っての行動――が半分。残りは面白半分である】


「バカ!! 何するのよ―――……あー、えっと。
 い、衣織。入院してるって聞いて見に来てあげたわよ。……落ち込んでたりしてないわよね?」


やぁ衣織ちゃん、久しぶりだね。一応ぼくもいるよ。
ごめんね、もっと早くに来てあげられたら良かったんだけど……。


【顔を赤くして慌て出す佳乃だったが、結局その勢いのまま衣織に声を掛けるだろう。……やっぱり心配なものは心配らしい】
【その後に続く形で、一颯が呑気な調子で病室内に入っていくだろうか。両手のケーキの箱を掲げて、軽い調子で笑いかける】
【なんとも対照的な二人ではあったが――どちらも衣織を心配している点では変わりなく。同時に衣織の様子を伺うだろうか】

【そこに痛々しい治療の跡でもあれば、一颯は軽く目を細めるだけに留まるけれど、佳乃は露骨に顔を歪めるだろうし】
【もしも見た目にそれほど変化が無いのなら、とりあえずは。それぞれが安心した表情を見せるはずだ――――】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 01:09:39.99 ID:V+BE70I20
>>100
//すみません、大変良い所なのですがそろそろ落ちなければならなくなってしまいました……
//明日は19時以降なら何時でも大丈夫ですので、お好きな時間を指定して頂ければ!
102 : ◆Oo..Ykgy2o :2015/06/23(火) 01:20:51.16 ID:nZByZ1up0
>>101
/了解しました、こちらは明日なら夕方から居られるかと思います
/そちらのお好きな時間にお返し頂ければそのまま再開できるかと!
/ひとまずお疲れ様でした〜
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 16:47:21.89 ID:V+BE70I20
>>100

【誰か≠ェ半ば強引に病室に入れられると、片手で器用に本を読んでいた少女はふと其方に目を遣り】
【―――その誰かが佳乃であると分かって、まず少女は驚いたように円らな目を大きく見開いて】
【それから―――大好きな人が来てくれた事を心から喜ぶような、満面の笑顔を見せる】

「えっと、だれですか……――――え、佳乃ちゃん!?なんでここに!?
 ……わぁ―――会いに来てくれたんだ、嬉しいなぁ……―――えへへ、お久しぶり!
 
 一颯センパイも来てくれたんですね!いえいえ、来て下さるだけでも本当に嬉しいです!
 びっくりしちゃいました、急にみんな来るんですから……わぁ、ケーキまで!?」

ふふっ、みんなで選んで買って来たのよ!……衣織、身体の調子はどう?

「大丈夫だよー。包帯変える時とかはちょっぴり痛いけど、平気!」

【――どうやら落ち込んでいたりはしていない様子。表情や声色はいつもの天真爛漫な彼女その物で】
【皐月の「心はすっかり元気」という言葉が嘘じゃなかったというのもよく分かる筈】

【けれど、身体は―――さて、改めて衣織の身体を見てみよう。】 
【身に纏うのは薄緑色の病衣。シンプルで味気ないデザインだけれど、病衣だから仕方にと言えば仕方ない】
【その襟元から包帯が巻かれている胴が見えるだろうか。上半身に怪我でもしているのだろうか……】
【右足首はサポーターで固定されている。右腕にはギプスの上に三角巾で動かないようにしていて】
【怪我をしていない左手だけで、器用に本を開いて読んでいる。裁縫が得意なだけあって、手先は器用らしい】
【……一見しても体中に怪我を負っているのがよく分かる。痛々しくないと言えば、嘘になる姿―――】

【けれど、佳乃の心を痛めたような表情を見れば……衣織は心配しないでと言わんばかりに微笑む】
【1年前には見られなかった、少し大人びた表情だ。無邪気さの中に穏やかな優しさも感じるような】
【どことなく母親に似た、優しい微笑み。不安や心痛を和らげ、包み込んでしまうような―――】

「―――佳乃ちゃん、そんな顔しないで。ほら、わたしは元気だよ!
 折角久しぶりに会えたんだから―――いつもみたいに、わたしと一緒に笑顔でいてほしいな。
 えへへ……わたしはね、それが一番うれしいんだよ。」

【佳乃は知っている筈だ。神谷衣織という少女が、大切な人が笑顔でいる事を何よりも喜ぶという事を】
【自分の怪我を見て顔を歪めるより、自分の元気な姿を見て笑顔になって欲しい……衣織はそう願っている】
【大怪我をしたって、入院したって、衣織の本質は変わらない。そう告げるかのように―――】

【さて。積もる話もあるだろうし……ケーキでも食べながら、ゆっくり話に興じるのも良いだろう】
【家族の見舞いという扱いだから、時間は気にする必要は無い。怪我の事を訊いてみるか、それとも別の話題か……】

【(余談……衣織の言葉から櫻の国の地方訛りが消えているのは、標準語(?)環境に1年間いてそっちの方に慣れたから)】
【(知らぬ内に感化されていたらしい。今でも怒った時なんかはポロッと方言が顔を出すことがあるけれど……)】

//お返ししておきます!次に来れるのは7時くらいになりそうです……!
104 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/23(火) 18:35:26.60 ID:nZByZ1upo
>>103


うん。バイト帰りに偶然皐月さんと会ってさ、やっと事情を知れたんだ。
ケーキは皐月さんがぼくたちの分まで買ってくれたから、皆で一緒に食べよっか。

「……え、ええ。元気そうで安心したわ。それより、一体どうしてこんなことに――――、」


【面と向かって素直な笑顔を向けられて、照れたように一瞬押し黙った佳乃に代わり、先に一颯が言葉を続けた】
【ここに来るまでの経緯を軽く説明し、近場のテーブルにでもケーキの箱を置くと、ベッドの隣に手早く三人分の椅子を用意するだろう】
【とりあえず聞いていた通り元気そうな衣織の姿を認識して、佳乃が緊張を解いたのはさらにその後だったけれど――】

【手足の骨折に、背中を裂かれたのだったか。やはり、一ヶ月程度で完治するには深すぎる傷だったようだ】
【これがもし、佳乃や一颯であれば。佳乃には"神気"が、一颯には"妖気"がある。一般人よりかなり回復を早められるのだけれど】
【――改めて。自分の大切な後輩が、戦う力を持たない無辜の少女が、理不尽な悪意と力に飲み込まれたのだと佳乃は実感した】
【瞳に激情が宿る。佳乃は思わず一歩踏み出し……一颯が素早く佳乃の口を塞がなければ、そのまま犯人を問い詰めていただろう】


それで、衣織ちゃん。いきなりで悪いんだけど、何があったのか教えてくれないかな?
学校の周りの事件となるとぼくらにも無関係じゃないし……何より、見ての通りというか、佳乃は一応聞いておかないと収まらないだろうから。
……あ、安心してね。闇雲に「仇を討ってやる!」とか言い出すようなら、流石にぼくが止めるからさ。


【怒りにかられた幼馴染を抑え、先んじて彼女が一番聞きたがっているであろうことを、一颯は冷静な口調で衣織に問うだろう】
【ついでに今すぐにでも病室を飛び出して犯人を探しに行きそうな佳乃に釘も刺す。この対応の速さは流石に幼馴染といったところだ】
【……もちろん、これだけの大怪我を負わされた相手だ――思い出すだけでも怖い、ということもあるだろう】
【もし衣織がそういう素振りを見せれば、それ以上深く聞くことはない。何にせよ一颯は佳乃を視線で制して、着席させることとなる】


「………、わかったわよ。その怪我のことや犯人の話をここで詳しく追求するのはやめておくわ。
 それより退屈じゃなかった? 入院生活ってやること無くて困るのよね」

まあ、その辺はケーキを食べながらゆっくり話そうか。衣織ちゃんはこのミルフィーユがお気に入りなんだ?


【そして、衣織がどう答えるにせよ――その後の彼女の言葉と、自分よりよっぽど大人びたような表情を見れば、佳乃もどうにか落ち着くはずで】
【歪んだ表情は消え、代わりになんとなく憮然とした感じの顔に。笑顔でこそないものの……それはいつも通りの、幸徳井佳乃の表情だ】

【その傍らでまた一颯が動いて、テーブルやスプーンなど必要なものを用意し、全員にケーキを配るだろうか】
【衣織と佳乃にはミルフィーユを、自分にはモンブランを、もちろん皐月の分も。喫茶店でバイトしているお陰なのかずいぶん手馴れており】
【佳乃の方は何気ない世間話を衣織へ贈る。激戦に巻き込まれて――あるいは自分から飛び込んでいって、入院生活を送った経験は佳乃にもあった】

【……ちなみにだけれど。もし皐月が買ったのが衣織と佳乃と一颯の分だけで、自分用のケーキを買っていなかった場合】
【鳴子一颯というのは、こっそり自腹で買って確保しておくぐらいのことはする少年だ。その場合、皐月には一颯と同じモンブランが配られることになる】


/了解です〜
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 19:32:03.42 ID:V+BE70I20
>>104

【問われるのは怪我の事。こんなに酷い怪我だもの、その原因を知りたくなるのも無理はない】
【佳乃が怒ってこの事を問うているのは、自分を大切に想ってくれているから。それも分かっている】
【問われるままに、衣織は静かに言葉を紡ぐ。……あの時の事を思い出すのは、ちょっぴり辛いけれど】

「―――えっと……学校の帰りに、突然黒い獣に襲われたんです。
 真っ黒で、とっても大きくて、力が強くて……、……―――人の言葉を喋る、獣です。
 ……ヒトみたいな目や口も持っていました。毛は黒いけど、所々抜けていて……抜けている所の皮膚が、人間の皮膚みたいで……
 知能も持っていて、わたしを傷付けるのを愉しんでいたかのような感じでした。とにかく、普通の動物じゃなさそうで……。

 わたし、なんにも出来なくて……ただ抵抗も出来ないまま、背中を爪で引き裂かれて、腕も千切られそうになって…… 
 ……結局、お母さんと銀ちゃんに助けて貰って……―――あ、銀ちゃんってのは私のとっても大切な人です。
 でも、その銀ちゃんが私を助ける為に大怪我を負って……――――――」

【―――此処まで喋った所で、少女は押し黙ってしまう。……辛かったのだろう、大切な人が傷付いたのが】
【喋っている間、衣織は無意識に左手でぎゅっと佳乃の手を握っていた。―――きっと、心の底ではまだ怖いのだろう】
【この情報をどう捉えるか。そして、まだ深く追究するか。それは佳乃と一颯次第だ……】


【……もう、これ以上は話したくないのだろう。一颯にミルフィーユの話を振られると、其方に話題を転換する】

「はい、あのお店のミルフィーユはとっても美味しいんです!
 テストでいい点だったりしたら、ご褒美にお母さんが買って来てくれて……

 えへへ……佳乃ちゃんが来るまでは、ちょっぴり退屈だったかも。一人でベッドに居るのは寂しいな……
 でもね、今はみんなが居るからとーっても楽しいよ!」 
 
【ミルフィーユは大好物。とりわけあのお店のミルフィーユはご褒美で買って貰うくらいのお気に入りで】
【そんな大好物に加えて大好きな人まで傍にいれば、病室で過ごす退屈な時間がとっても楽しい時間に早変わり】
【退屈か、なんて佳乃に訊かれれば「皆がいるから退屈じゃない」と答える。これはきっと本音に違いない】

【ケーキを並べられると、四人で食べることになる。……皐月の分も抜け目なく買っている一颯に、皐月は目を丸くして】
【「なんて出来た子なの……一颯くん、衣織のお婿さんになってくれませんか!」なんて、半分冗談半分本気の言葉を言ってみたり】
【こんなに気が付く旦那さんなら、お嫁さんも幸せだろうなぁ……】

【ところで―――現在衣織は右手を怪我している。左手でケーキを食べるのにはどうにも苦労しているようで】
【先程までの優しげな笑みとは違う少し悪戯っぽい笑みを浮かべると、佳乃に甘えてこんな事を言いだす―――】

「……ね、ね、佳乃ちゃん!わたし、左手じゃ上手くケーキ食べられなくて……
 えへへ……だからね、佳乃ちゃんの手で食べさせて欲しいなー、なんて……」

【……そんな事を言って、口を大きく開けて佳乃の手で食べさせて貰うのを待つ。さてさて、佳乃はどうする?】

/お待たせしました!
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/06/23(火) 20:12:14.24 ID:Ej64HIhr0
【街の中心部にある国立の図書館、窓の多いロビーの一角】
【ざんざと降りしきる雨の音が分厚い硝子の中にまで聞こえてくる、いっとう大きな窓には雨粒が滝のように流れる】
【梅雨の長雨というよりは夏の通り雨のようだ――なんて考えて、漏らすのは、小さな舌打ちだった】

これじゃしばらくは帰れないかしらん……、……ま、別に構わないのだけれども。

【雨粒に冷える窓に触れてなぞる、温度差でわずかに汗をかいた表面にはつぅと跡が描かれ。退屈げに彼女は適当に子供のような落書きを描くと】
【続けて上にばってんを重ねる。それで外の景色に飽いたように振り返るかんばせは、あるいは背中から見ただけで分かったかもしれないけれど、】
【あどけなさを幾分も残すもの、だった。――高校生、あるいは中学生のぎりぎり。それくらいに見えて、ついでにいえば、不健康に細かった】

【毛先の方がくるりとまいた癖のついた金髪。毛先のほうは徐々にピンク色に染まって、毛先の方など明るいピンク色になって】
【あどけなさを残す顔はどこか拗ねた子供のよう。ひときわ瞳はつんと鋭く、勿忘草色】
【オフホワイトでロングスカートのワンピース。薄手のケープを羽織って、長い袖からわずかに覗く指先にはしっかりと、この図書館の本貸出袋が握られて】
【身長は百四十二センチ程度。靴も高いものでなく、それなら、子供と変わらないような身長で――】

もう少し何か読もうかね。

【なんて呟いて――本のあるエリアに戻ろうとしたのだけど。視線はふと、設置された自販機を見つめて】
【「今日は何も食べていなかった」なんて独り言ち、じゃらりと小銭を突っ込んで購入するのは、あたたかなトマトのスープ】
【それを手に取れば、一番大きな硝子窓の前に置かれたソファーに座り込んで――かちゅりと、缶を開けるのだった】

【――急で強い雨だった。彼女の他にも、足止めを食らってしまったような人は、多数見受けられ】
【帰るのを早々に諦め読書に戻った人もいれば、彼女のようにロビーにたむろするような人もいて。窓辺の彼女は、退屈げにぼうっとしていた】
107 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/23(火) 20:12:55.14 ID:nZByZ1upo
>>105

【衣織が話してくれる内容を、一颯は表情を変えず黙って聞き遂げるだろう。やっぱり辛い話になってしまったか……】
【対照的に、佳乃の表情は爆発寸前だった。衣織を傷つけた相手というのもあるし、一端の"退魔師"としても聞き逃せない話であって】
【手掛かりがない以上積極的に討伐に向かったりするのは難しいかもしれないが、注意しておくに越したことはない――】

【――、無意識に佳乃の手を握ろうとした衣織の手を、佳乃はまったくの無意識のうちに拒絶しかけてしまうだろうか】
【ただでさえ怒りで理性を見失っていたところ。彼女の他人の拒絶は"反射"によるもので、佳乃も意識していなければ防げないのだけれど、】


……そっか。ありがとう、話してくれて。
"大怪我"ってことは、その銀ちゃんって人も一応無事なんだよね? とにかく、最悪の事態にならならなくて本当に良かったよ。

「衣織は――いい友達と、いいお母さんに恵まれているわ。もし次があったら、もちろん私も……いえ。
 次なんて起こさせない。"武人"としての誇りに誓って、私があなたを守り通すから――」


【しかし今回は一颯が付いている。衣織の手と佳乃の手の間にさりげなく自分の手を挟み込み、三人で手を握り合う形になるだろうか】
【その状態で、一颯は先輩として、佳乃は友達として。それぞれ衣織に優しい言葉をかけるだろう――】
【一颯はもちろん佳乃も、そこから先を追及することはない。衣織に怖い思いをさせるためにここまで来たわけじゃないのだから】


「………三年生に進級したはいいけど、私もコイツも進学はしないつもりだし、こっちもちょうど暇なのよ。
 毎日ってわけにはいかないかもしれないけれど――あなたと皐月さんさえ良ければ、これからは学校帰りに寄らせてもらうわ」

こっちはまだ色々忙しくって、佳乃ほどの頻度じゃ無理かもしれないけど……ぼくも、たまには来させてもらうよ。いいかな?


【年頃の女の子には、やっぱり入院生活は退屈だったみたいで。うんうんと妙に実感の籠もった感じで佳乃は頷くと、そんなことを言うだろう】
【ぎこちないけれど軽く笑い、これからも遊びに来るよなんて告げる。どうせ暇だったところだし、衣織が元気でいられる手助けができるなら本望だ】
【一颯の方も同じ事を言うだろう。勉強から開放された身でまだ動き回っているというのも、ある意味では彼らしいのか】

【……ケーキを食べつつ。「いやいやいや、ぼくなんかじゃ」と皐月の台詞に大慌てで対応する幼馴染を、白けた目で見ていた佳乃だったが】
【衣織からのお願いを聞くと目を丸くして、しかし拒絶することは無く。若干恥ずかしそうに立ち上がると――今度は別の視線で一颯を睨みつける】


……はいはい、仕方ないなぁ。
皐月さん、衣織ちゃん、ぼくちょっと飲み物を買ってくるよ。待っててね。

「え、ええと………じゃあ、はい。衣織、口、開けなさい…………」


【衣織と皐月に見られるだけでも恥ずかしいのに、一颯にまでこんな柄にも無い姿を見られては後でからかわれるのは確実だ――】
【佳乃の眼力に負けるように、一颯は一旦席を外すだろう。特にリクエストが無ければ、何かケーキに合いそうなジュースでも適当に購入しに行くか】
【そうして、完全に一颯の姿が見えなくなった後。佳乃は……震える手を衣織へ伸ばし、ケーキを食べさせてやろうとするだろう】
【……さすがに、「あーん」とか言うのは無理だったようだ。慣れないことをしている自覚は多いにあって、顔が真っ赤である】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 20:53:33.49 ID:V+BE70I20
>>107

【二人の言葉に、衣織は小さく頷く。―――守ってくれるという佳乃の言葉に、どれだけ心が救われたか】
【無力でちっぽけな自分だけど、こんなにも自分の事を想い、護ってくれる人が居る。――これが、どれだけ有難い事か】
【―――でも、「ずっと護ってもらうばかりじゃなくて……自分の身を護れるようになりたい、自分も皆を助けたい」とも思う】
【自分はいつも護られてばかり。自分を護る為に大切な人が傷付く。そんなの、嫌だ―――わたしも、みんなを助けたい】
【襲われて以来、そう願う心が芽生えて衣織に大きな変化を齎しているのだが……その話は、今はまだ語られることは無い】


ええ、いつでも来てくださいな。きっと親しい貴女達が来て下さるのが衣織にとっても一番嬉しいでしょうし……

「ほんと!?うんうん、いつでも遊びに来てね!どうせ本を読むくらいしかする事もないし……
 一颯センパイも勿論大歓迎です!えへへ……これで、毎日楽しくなるなぁ……」
 
【二人がこれから病院を訪れてくれると告げると、衣織はぱあっと表情を明るくする。勿論、拒否なんてする筈もなくて】
【病室で過ごす長くて退屈な毎日が、楽しい毎日になる。それだけで、きっと元気も湧いてくる。】
【皐月も親しい二人の訪問を笑顔でOKする。―――こうして、退屈な入院生活に楽しい彩りが加わった】





【さて、衣織のお願いだけれど―――照れながらも、拒否する事なくちゃんと聞き入れてくれるのが嬉しい】
【他の人がこんな事を佳乃にお願いしても、間違いなくこうは行かないだろう。ある意味親しい衣織の特権かもしれない】
【と言う訳で……一颯が無理やり(?)退場させられると、衣織は顔を真っ赤にする佳乃にケーキを食べさせて貰う】

あー、……んぅ―――……えへへ、なんだかいつもより美味しい気がする。

【恥ずかしがる佳乃とは対照的に、衣織はとても嬉しそう。リスみたいに頬張って、あどけない笑顔になって】
【……そんなこんなで、一颯が帰ってくるまでは食べさせて貰う事になる。それ以降は皐月が慣れた手で食べさせることになるが】


【……そして、食べ終わった後。】
【不意に衣織は「―――お母さんや佳乃ちゃん、一颯センパイに、話したい事があるの」とぽつりと切り出す】
【辛さや恐怖の色は無いけれど、少し真面目な表情。なにか言いたいことでもあるのだろうか―――】
109 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/23(火) 21:26:05.28 ID:nZByZ1upo
>>108

【皐月と衣織が嬉しそうに笑ってくれて、二人とも満足そうに頷くだろう。特に佳乃の方は少しばかり楽しそうだ】
【衣織を助けたいという気持ちももちろんあるけれど、こうして友達の所へ遊びに来て、佳乃だって楽しくないわけがないのだから】
【一颯はやや遠巻きに、二人を微笑ましげに見つめるだろう。彼の方も暇を見つけては訪ねてくるようになるはずだ】


「そ、そう――――なら、良かったけれど。
 まったくもう、恥ずかしいことさせてくれちゃって………仕方ない子ね」


【美味しそうにミルフィーユを頬張る衣織の姿に、戸惑いがちだった佳乃も若干相好を崩してみせる】
【ぶすっと不機嫌そうなフリをして目を逸らすが……口元が笑っているのを見つけるのはとても簡単なはずだ】
【仕方ない、という言葉は本来一颯の方の口癖だ。あまり好きな台詞ではないのだけれど、今回ばかりは楽しげに聞こえて】

【――――、佳乃が軽く目を見開いて、様子が変わったのはその直後のことである】
【ふわりと部屋中に柔らかな"神気"が漏れ出し、雰囲気ががらりと変貌する。二人ならば、それが"誰"なのかはすぐにわかるか】


『………本来、出る幕ではないのでしょうけれど――わたくしも、心から安心いたしました。
 衣織、これからもどうか体を大切に。あなたが傷つけば、色々な人が悲しんでしまいますから。
 これぐらいしか、わたくしには出来ませんが……佳乃共々、あなたのことも見守っております。
 皐月も、ご無理をなさらないでくださいね。日々を壮健に過ごして末永く娘を守ってやるのも、母親の勤めと思いますから』


【様変わりしたのは一瞬のことである。佳乃と繋がったもう一人……癒しの神、天限。佳乃に体を借りて顕現した彼女は】
【佳乃の代理と自分自身の意志、両方の意味を込めて、そっと衣織の頭を撫でてやるだろう。痛々しい姿の衣織を前に、やや口惜しげに――】
【彼女は以前、みだりに人界には関われないと言っていたか。きっと、自身の治癒の力で衣織を治してやることもできないのだろう】
【今はただ、心を込めて精一杯笑いかける。それだけやり終えると皐月にも一言挨拶をして――天限の気配は消えていく】


【……天限が完全に引っ込んだ後。まだちょっと恥ずかしそうに佳乃が衣織へケーキを食べさせてやっていると、そのうち一颯も帰ってくるか】
【全員分のジュースを渡し、ケーキを食べ終えるまで適当に雑談でもしていたところで。ふと、一颯は何か真剣なものを察して居ずまいを正す】
【佳乃も怪訝な顔はするが、衣織を止めたりはしない。彼女が言いたいことをすべて言い終えるまで、静かに聞いているはずだ――】
110 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/23(火) 21:36:32.97 ID:Ht2JmXjCo
【ドラクレア島】

【南方の孤島である此処には幾つもの不思議な点と、そして場所が存在する】
【その中の一つが"無人の古城"だ。恐ろしく大きな城であり、内部には無数のトラップと】
【そしてグールを始めとするアンデッドが彷徨いている――らしく】

【今日もまた、その正門は開かれていた。奥は暗く、薄ら寒い空気が垂れこめていて】
【――そのすぐ横。窓にも思える通用口から、唐突に大量の水が流れ落ちる】

【城にも雨樋や排水機構があるのかもしれない。ただ今回、その排水に居合わせたなら】
【水だけではなく、真っ白な塊がそこに混じって地面に落ちるのも目にすることだろう】

うぅ……っ、…………。

【それが何かといえば、若い女性で。白の将校服に、外套、それから軍刀やらを引っ提げて】
【その頭髪は溶岩のように赤黒い。左目に眼帯を付けているのも目立って見えた】

【――簡単にまとめると、こうだ。いわくつきの古城から、妙な格好の女性が"排除"されて】
【そのままぐっしょりと濡れた身体を地面に横たえていた。もっとも意識はあるようで】
【顔に張り付いた髪を邪魔そうに拭いながら、よろよろと――ゾンビのように、起き上がるのだった】
111 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/23(火) 22:18:53.78 ID:izV3bCZJo
>>110
【ゆらりと起き上がる女性の耳に、複数名の足音が聞こえてくるだろうか】
【暗闇の向こうから現れた彼らは、排水と共に女性が投げ出された音を聞いてやってきたらしい】

【全員が迷彩服に黒いベスト、黒いブーツに身を固め、腰やベストに刃物や銃器などを装備している】
【島の物資や生物を採集していたらしく、それらを保存していると思しき容器やポーチも装備の中に見て取れる】
【まるで全員が同じ人間であるかのように、ぴったり同じ動き、同じ歩幅、女性の姿を確認すれば一斉に立ち止まる】

【彼らの先頭に立っている男、やはり後ろの者たちと同じく、迷彩服にベスト、重装備】
【ただ、足に履いているのはブーツではなく黒いゴム長靴であった】

【身長2メートルを軽く超えているであろう大男だ。角ばった顔つきに短く切り揃えられた黒髪】
【黒い瞳の両目に加え、額に面積を埋める巨大な単眼が埋まっている。異形、と形容すべき存在がそこに立っていた】

【その異形の男が、じっとりとした視線を眼前の女性へと送り。その三つ目が驚いたように見開かれた】


――――お前は私を知るまいが。私はお前を知っている
ゼン=カイマの一件以降、噂を聞かなくなったから、幽閉されたか隠居でもしたかと思っていたが
こんなところで何をしているんだ? AB

この不気味な島の中で、さらに異質なあの城に何の用があった?
以前の悪行のことで追い立てられて、ここに身を隠しでもしたのかね?

【不躾にそんな言葉をかけてくる大男。その間も、背後に控える男たちは一言も口を利かず、ひたすらに佇んでいる】
【殺意も敵意も見られない。ただ、大男の警戒と困惑の混ざったそれだけが感じられるだろうか】

【彼女がもし、指名手配書や昼の国のニュースなどを見ていれば、眼前の男が指名手配されているカノッサ機関構成員であるとわかるかもしれない】
【男たちは一定の距離を保ったまま、ただ彼女を見ている。何かを仕掛けてくる様子は、今のところはない】

/まだおられましたら、よろしければ……
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 22:22:43.37 ID:V+BE70I20


>>109

【口では仕方なくやっているように言ってるけれど、表情は不機嫌そうなつもりでいるようだけれど】
【佳乃と親しく接する衣織には分かっちゃう。ほんとは楽しいって思ってくれている、って】
【素直じゃないのも、本当は優しいのも、良く知っている。そうじゃなきゃ、甘えたりなんてしないもの】

【―――ふと、佳乃の様子が変わる。いつか感じた事のある、しんと空気が澄むようなこの感じ】
【姿形は佳乃とは全く変わらないのに、まるで別人のような……そんな雰囲気。勿論二人はこれが何なのかを知っている】

「――――佳乃ちゃんの、おかあさん……ありがとうございます。
 私が傷付けばみんなが悲しむ、ですか……―――そうですよね。早く元気になって、みんなを安心させなくちゃ!」

勿論です。衣織を護るためにも、私が元気でいないと―――最後にこの子を護れるのは、私ですものね。

【笑顔と共に撫でられると、衣織は目を細める。……治して貰えなくたって、想いが伝わるだけでも十分だ】
【その優しい手つきに心が和らぐのは、彼女が癒しの神であると共に一人の母でもあるからなのだろう】
【子が傷付くのを悲しみ、無事を祈る。神でも、人でも、母である限りその想いはきっと変わらない―――】


【……何か思う事でもあるかのように、話を切り出した衣織。皐月もその言葉に耳を傾けて】
【紡がれるのは衣織の想い。そして、襲撃後彼女の体に起きた、ある異変=\――】

あのね……化け物に襲われてから、ずっと思ってた事があるの。
お母さんも、佳乃ちゃんも、一颯センパイも、銀ちゃんも……本当に沢山の人が、私の事を護ってくれる。
でも、……でも、それだけじゃ、ダメって思ったの。大切な人が私を護る為に傷付くのを、見てるだけなんて―――

でね、ずっとずっとそんな事を思ってたら……――――みんな、見ててね。



【……そう言って、左手を前に翳すと―――】
【――――ベッドの前、三人の後ろ。其処に居たのは】
            【―――先程まで居なかった筈の黒鉄の鎧を着た女性の姿=z


【間違いない、これはマインド能力だ。しかし――――衣織は何の力も持たない無能力者だったはずだ。】
【襲われたのがきっかけになって、覚醒したのだろうか。もう一度左手を翳すと、鎧の女性の姿は消えて……】
【―――衣織の話はまだ続く】

……あれが「マインド能力」っていうものって事は、知ってる。
あの人≠ヘ、わたしの思うままに動くの。それに、まだ詳しいことは分からないけど、たぶん強い力を持ってる……。
でも……―――わたしには、力の使い方が分からない。どう扱ったらいいのか分からないの……

……佳乃ちゃん、一颯センパイ。―――わたしは、この力をどう使ったらいいの……?

【少女は、護る力を手に入れた。けれど……その力の使い方が分からず、突如生まれた力に戸惑っている様子だった】
【―――佳乃や一颯は、それぞれ強い力を持つ。それ故に、力の使い道も知っているかもしれない……】
【だから、二人に問うた。「この力は、どう使えばいいのか」――――】
113 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/23(火) 22:34:19.30 ID:Ht2JmXjCo
>>111

【ゆらりと起き上がる最中、女性はおもむろに軍刀を引き抜いて】
【ザンッ! と目の前の大地に突き立てる。抜身の刃は厚く、うっすら血糊も滲んでいて】

【恐らくは、相手が誰かを感じ取っての気付けだったのだろう】
【濡れた髪を掻き上げれば、俐発で強気な空色の右目が大男を睨む】
【――ただ、感情という物に敏感な男であれば、気づけるかもしれないが】
【視線に交じるのは怨恨ではない。まるで何か――相手が誰かを、見定めるようなそれであり】

……カニバディール、だったかしら。
随分と"私"の事を知っているようだけど、あなたも相当な有名人よ?
六罪王でもないのに、かなり手広く大掛かりにやってるらしい、ってね。

それで……質問に応えるのは簡単だけれど、情報は価値を持つわ。
聞きたければ対価を用意することね。私自身の事にしても
この城に何故着ているのかについても……それとも、腕尽くで聞いてみる?

【ひどく凛々しかった。まだ青さはあったが、何処か吹っ切れて子供らしさが消えていた】
【背も、見れば170cmほどはある。真っ白な衣服もあって、強気な姿勢も板に付いていて】
【言葉に嘘や、時間稼ぎの様な意味は無いと分かるだろう。】

【聞きたければ、代わりに何かを用意しろ。――相手が複数でも、怖気づく様子はない】
【自信があるのか。それとも虚勢か、或いは不気味な切り札でも持っているかのようだった】

/居りますよ〜、よろしくお願いします!
114 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/23(火) 23:02:58.31 ID:izV3bCZJo
>>113
【軍刀が鍔を走った瞬間は、全員がわずかに身構えたが】
【それが大地に突き立ったのを見れば、ひとまずは引く】

【こちらを睨む空色の視線に単眼からの昏い視線を合わせ、彼女をじっと観察する】
【印象通りの強い色の瞳の奥に、恨みや敵意の類が見て取れないことには、やはり少し困惑していたが】

知っていたか。ああ、私がカニバディールだ
それなりには派手にやったからな。六罪王や最近元気なGIFTに比べれば、ずいぶんこじんまりとやっているつもりなのだがね

ほう……たった今、汚水と一緒に吐き出されたとは思えない冷静さじゃあないか
そう刺々しい言い方をしてくれるなよ。短い間だったとはいえ、元同僚だろうに

それにお前とて、あれほどのことをしでかしておいて、この上さらに機関に立て付くようなコウモリ染みた真似をする気もないだろう?

さらに言えば、現状だけを見れば、この危険な孤島で数少ない言葉が通じる相手だ
いきなり腕尽くでかかるような真似は、お互いにとって損だと思うね

【異形たる自分を前にしても凛として立ち、はっきりとした態度で当然と言えるだろう要求を突きつける彼女に対し】
【のらりくらりとそれをかわすような、ふざけた物言いを並べ立てる異形。だが、その三つ目だけは鋭さを保ったまま彼女を見ている】

そうだな、そのずぶ濡れのままで体調を崩すのもなんだろう。防菌処置を施したタオルでも提供しようか?
金が欲しいなら払うし、我々がここのジャングルで集めた物資もある

それで不満なら、そうだな……今お前が吐き出された古城
あそこにもう一度挑戦する気があるなら、我々が手助けする、というのは?

【所詮は、機関員の言葉。指名手配の盗賊の言葉だ。どこまでまともに聞いていいやら】
【だが、全くの出鱈目を言っているわけでもないらしい。彼女は、どう判断するだろうか】

/よろしくお願いします!
115 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/23(火) 23:10:45.03 ID:nZByZ1upo
>>112

【もう、ただ守られているだけなのはイヤだ――そう告げる衣織を、佳乃は少し複雑そうに、一颯は神妙な顔つきで見つめる】
【……佳乃には、その気持ちが分かる。誰かを守る為に戦うのは素晴らしいことだと彼女も思っている。けれど、】
【衣織は、進んで"悪"を叩き潰すような荒事向きではないと佳乃は思う。何よりも――優しい彼女には、自分の血の味も他人の血の味も知らないでいて欲しい】
【それが正直なところであった。せめて何かしら強い力があれば、話も変わってくるかもしれないが――――、】


…………! これは………。

「なっ――――――!!」


【直後。二人は気配を感じて一斉に振り返る。その場所には今まさに、新しい"力"が顕現していて――】
【"マインド"……二人ともその存在は知っている。通常の能力と違い術者と分離して現れるのが特徴的な、強靱な力の象徴たるビジョン】
【衣織がそれに覚醒したという事実に佳乃は絶句し、一颯は深く考え込むような表情を見せるだろうか。どちらも一様に、しばらく押し黙って】

【結局――先に動いたのは一颯の方。しかしそれは、彼独特の落ち着きのなせる技ではなく】
【もっと別の、複雑な感情と背景によるものだ。いつになく真剣な顔付きで、一颯は衣織に語りかけ始めるだろう……】


………衣織ちゃん。いまきみは驚いてるだろうし、怖いだろうとも思う。逆に期待だってあるかもしれない。
実はぼくもね、元は無能力者だったんだ。だから気持ちは分かるよ。そういう観点で、言わせてもらうけれど――――。

何のために使うか、どうやって使うか、そんなのは後だ。まずは"力を制御"しなきゃならない。
むかし、ぼくが得たのは"妖気"だった。――桜出身なら『妖怪』は知ってるよね。ぼくは小さいころ、妖怪に取り憑かれて"半妖"になったんだ。
……ぼくは覚えてないけど、取り憑かれた当初は滅茶苦茶暴れたらしい。それを取り押さえたのは他でもない、佳乃だったんだけど……。


【そこから先は独白だった。佳乃も何事か言おうとしたようだが、まだ考えがまとまらないようで。その代わり、沈痛な面持ちで幼馴染の声を聞く】
【妖怪に取り憑かれ、半妖となった――衣織とは少し違うけれど、一颯もまた、後天的に能力者になった人間であり】
【生まれたときから能力者だった佳乃の口からは咄嗟に出てこなかった意見だ。力の制御方法を覚えろ、と一颯は強く言うだろう】


きみの場合は、妖怪みたいな"邪"の力じゃないはずだから、そこまで心配はいらないかもしれない。
――でも能力を持つっていうのは、常にナイフを持ち歩いてるみたいなものだ。
使い方をちゃんと弁えないと自分も他人も傷つけちゃうことになる。特に能力っていうのは、感情に反応しやすいからね。
慣れないうちは、ほんのちょっと怒っただけで能力が暴発して他人を脅かす、なんてことにもなりかねない。

………いまのぼくに言えるのは、このぐらいだ。
もし衣織ちゃんが、その力を"何か"に使いたいって思うなら尚更。ちょっとずつ慣れていかないといけないだろう。
だから、とりあえずはだけど。その力をどう使うかを決めるには、まだ十分猶予がある――。
最低限そのマインドを乗りこなせるよう練習しながら、周りのみんなと一緒にゆっくり考えていけばいいよ。


【まずは、能力を暴発させないよう訓練することが必要だ。これからその力を何に使っていくのか、それは今すぐに決めなくてもいい】
【周囲と話しながら、ゆっくり折り合いをつけていけば大丈夫だ――と。これが現状での、一颯としての結論のようであった】


/ごめんなさい、続きます!
116 :鳴子一颯・幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/23(火) 23:11:33.35 ID:nZByZ1upo


「……………、当面の方針としては、私も一颯の意見に賛成だわ。
 その上で、私もちょっと考えはあるけれど―――その前に。皐月さんは、どう思うの?」


【そして、一方の佳乃も、一颯の話を聞いているうちにどうにか自分の考えがまとまったようである】
【最低限、マインドの特性を知って制御する方法を学ぶ必要がある。そこには同意した上で、もう一つ踏み込んだ意見もあるようだったが……】
【それを言う前にまず、皐月の表情を伺うだろうか。娘の体に突如能力が宿ったことを"母親"がどう思うのか、佳乃には未知数の領域だったから】

【……ちなみに。もし三人の母校である『レイリスフィード学園』に相談していれば、力を表に出さず封印していく方向で話は決まっていったはずだが】
【佳乃も一颯も共通して、安易に学園の方針通りのやり方は提示しないだろう。この先どんな形で落ち着いていくにせよ、少なくとも――】
【衣織が望んでいるのは、自身の力や将来の可能性から目を背け続けることじゃないはずだ。二人は何となく、そう思っていた】
117 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/23(火) 23:16:28.99 ID:Ht2JmXjCo
>>114

……まあ、そうね。現状で機関と敵対する気は無い、それは確かよ
あなた達の行動を許容するかと言われれば、それは違うけれど。
私自身の目的は、機関には無い。……利害は、一致するみたいね

【『元同僚』と言われた時には微かに表情が歪んだが、態度は変わらない】
【あくまで打算的に、合理的に。感情に物を言わせない行動だった】

【続けて相手が"対価"を並べると、数秒ばかり沈黙して思考をまとめる】
【物資、金銭、そして――探索の手伝い。それを聞くと、軍刀を引き抜き】
【シャン、と風を切って血を払いながら、城門を刃先で示し】

……お言葉に甘えて、挑戦の手伝いをしてもらいましょうか?
中はトラップとアンデッド、それに妙なのが何体が居るわ。

一部は城としての居住空間だけれど……上に行くほど、迷宮よ。
とりあえずアンタには、城の中腹部分にある教会の所まで…――。

【即ち『先に行け』という事、らしかった。ある程度の情報は相手に与え】
【自分は相手の裏切り、逃亡を阻止するために後から向かう】
【やり口は冷徹だ。――しかし問題なのは、彼女が『教会』と口にした直後】

【――城の壁面。恐らくは三階、四階に当たるような箇所が爆発で吹っ飛ばされた事だった】
【内部からの物だ。他に誰か、この城の秘密を暴こうとする者が居るのだろうか】
【流石に女性の視線もそこに向けられたが――再度、大男を睨んで。『行け』と指示するのだった】
118 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/23(火) 23:35:25.13 ID:izV3bCZJo
>>117
それはよかった。知っての通り、機関はすでに十分すぎるほど敵を抱えているからな
ああ、それはそうだろう。許容してほしいとまでは言わないさ

今が、この島にいる間だけ、利害が一致すればそれで構わない
(……その赤髪と雰囲気は、どうにもどこぞの誰かを思い出して気分がよくないがな)

【この島でいつぶりかに見たあの塔を思い起こし、湧き上がりかけた私怨は胸の内に飲み込んで】
【お互いに、あくまで打算。利用し合う、という方向に落ち着いたようだ。その点に関しては、似たところがあるのかもしれない】

【こちらの提案が、ひとまずは受け入れられれば。醜悪な笑みを深くして答える】

トラップにアンデッド……噂に聞いた通りだな。だが、それ以外にも、か……一筋縄ではいかんらしい

城の中に居住空間と迷宮と教会……ずいぶんと愉快なところじゃあないか
ああわかった。ならば先に行かせてもらうと――――む?

【彼女の冷徹とも取れる言い分には、むしろ当然と頷いて見せる。同時に、自分とて後ろから斬りかかられるつもりはない、と】
【心中でそう漏らし、彼女の言葉を聞きつつ城を見上げる】

【と、突如として起こる爆発音。大男の背後の者たちも一斉にそこを見上げる】
【まさに今、話していた中腹に当たる場所だろうか、そこが吹き飛ばされた。何が起きているのか、当然この場ではわからない】

【だが、流石にその程度で怯むほど、異形どもも柔ではない。彼女の視線を受けて、ひらひらと手を振って見せると】
【背後の男たちに手で合図する。すると、男たちが一斉に動き出し、大男の背後に整列し】
【一糸乱れぬ行進で進み、そのまま大男の背中に吸い込まれていった】

【そう、十数人の人間が、異形の体内に引き込まれるように消えたのだ。能力によるものか】
【だが、そのことについて触れることはなく。男たちが全員姿を消すと、一人残った異形の大男は歩を進める】

(さて……何が出てくるか)

【警戒は最大に、しかし些かもためらうことなく。大男は正面から古城へと踏み込もうとするだろう】
【門を潜り抜け、扉の向こうに入り込んだ大男を、出迎えるのはなんだろうか――――】
119 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/23(火) 23:47:32.47 ID:Ht2JmXjCo
>>118

【城に入ってすぐは、やや狭い廊下が続く。道の両側には時折頑丈な木の扉があったが】
【破壊された様子や、その中を除けばなんてことはない、単なる兵舎であり】
【或いはちょっとした生活空間であったことが分かるだろう。――つまり、ここは無視だ】

【またこの廊下にはグールが"居た"らしい。そのいずれも、真新しい傷を受け】
【物によっては首を飛ばされて、倒れていた。だから、今は邪魔をするものはなく】

【廊下が終わると、一気に天井が高くなる。吹き抜けだ。しかし陽の光が届かないせいか】
【壁面で不気味に揺れる松明の火を持ってしても、左右に何が有るかはうっすらとしか分からないだろう】

【左には、手狭な階段が。右を見ればもっと豪奢で大きな、大理石の階段が見える】
【また、更に奥を見ると岩がくぼみになっており、そこに大きめの鉄檻と】
【それを果てしなく上から吊り下げているらしい鎖があった。――エレベーターにも似ているが】

【この檻は左右、手前から奥へと計6個ほどもある。錆びていたり、檻の鍵が壊れていたり】
【何かと問題は有りそうだったが、すぐ横のレバーを動かせば上へと行けそうで】

(……見た目の割に頭が切れる。能力も、最初は何かと思ったけれど)
(あれだけの人数を創りだして動かせる程となれば……警戒は、絶対ね。)

……さっきは右の、大きな階段から行ったわ。
何階層か真っ直ぐ上に行けて、必要なら踊り場から各フロアに進めるわ
その先には舞踏会場があったけれど……その先は、なんとも。

さあ、さっさと行きなさい。後ろからいつでも心臓を刺せるよう
武器は構えておいてあげるから。……進み方は、任せるわ

【――此処からはカニバディールの方針次第だ。左右どちらかの階段か、檻か】
【それとも別な道を探しても良いだろう。明らかなのは、右なら障害が少ないだろうということであった】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/23(火) 23:58:34.19 ID:8zZgLRjv0
【街と街を繋ぐ、長い坂道。上の街は商業が盛んであり、下の街は宿などが多く存在する何て特徴があり】
【――――道には多くの街灯が設置はされているものの、流石にこの時間ともなれば人通りは疎ら】
【そんな中、目立つ存在が一人。制服を纏う所から、女学生であると見て取れる】
【歳は恐らく高等部の1年生だとかが妥当。ポニーテールに纏められた明るい茶色の髪は、どことなく活発な印象を与え】


「はぁ〜……全くもう、一人暮らしは大変だよ……
いやいや、私はまだ寮に住めてるから良いのかもしれないけど

それでもやっぱりルームメイトは居ないし、なーんかテレビに話し掛ける人達の心境も分かる様な……っと」

【抱えているのは沢山の食材が入った紙袋。その一番上に置かれた林檎がグラグラと揺れていて】
【位置を正そう、としたのが最初の過ち。思わず屈んだ所で、其れは紙袋から落ち坂道をコロコロと転がり始め】


「あっちゃー……こんな時に拾うのもめんどくさ――――おっ……おオッ?!」

【次に、手を伸ばして重心を前にズラしたのが第二の過ち】
【当然、坂道なんかでそんな事をすれば前に前にと身体は進もうとするのだから――――結果として、転ばぬ様にと足は坂を駆けて下り】
【加えて重心は紙袋を持つが故に前に置かれたままなのだから、最早自力で止める事は不可能】


「ちょッ?!どいてどいてーっ!!!やっぱ退かないで、誰か止めてーっ!!!」

【勢い良く坂を下る少女。ぶつかれば怪我をせずとも痛い思いをする事は間違い無く】
【止めてやるか、不幸にも衝突してしまうか。或いはそのまま見送るだとか――――それは、この場面に出会したもの次第なのだろうけれど】













【路地裏。日々諍いが絶えることは無く、常に新しい血が古い血痕を上塗りしていると言い表しても良い其処】
【今宵も又罵声が飛び交って居るのだが――――奇しくも、その内の一つに女の声が混じって居るのが聞き取れるだろうか】
【もし覗いてみたならば、其処には修道女が一人居る事が知れる筈だ。攻撃的な赤色の髪――――その表情は、見るからに不機嫌である事を表していて】


「はァ?あんまり巫山戯た事ばかり言ってるとアンタの頭かち割るわよ
大体にしてね、アンタ等が束になって掛かってきたところでアタシには傷の一つも付けられない事位分からないの?

アタシがこうして優しく言っている間にさっさと――――チッ」

【大柄な男数人に対して、女が一人。多勢に無勢、所では無いのだが……女は勝ち気な態度を崩さず】
【それが癪に触れたのだろう。男の一人が殴りかかろうとするのだが――――展開はあっという間】
【殴りかかったはずの男が気付けば地面に顔を強く打ち付けていて、さらけ出した後頭部を思いっきり踏みつけられる、なんて状況】
【其れを見た残りの者達は恐れを成したか、慌てる様にしてその場から逃げ去ってしまい】


「ちょ、待ちなさ――――アアアアア!!もう!!アンタのせいで他の奴等全員逃がしちゃったじゃないの馬鹿!!」

【他の者達を取り逃がした苛立ちを気絶した男に全てぶつけることとなる】
【――――端から見たら異様な光景だ。何しろ、修道女が男を踏み続けているのだから】
【声を掛ければ鋭い視線が向けられるし、関わりたくないからと静かに通り抜けようとすれば肩を掴まれる】
【――――この場面に遭遇してしまったのが不幸。逃れる術は無く】
121 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 00:06:34.94 ID:mtoDlfe3o
>>119
【まずは辺りを見渡し、すぐさま襲い掛かるものがないと知ると、進みだす】
【廊下の途中にある木製の扉の奥を、最初の一つ二つは開けて覗いていたが】
【中が兵舎と知ると、後はそのまま突っ切っていく】

【グールたちの死骸には、幾度か視線を投げてはいたが。彼らが受けた傷、飛ばされた首などを見て】
【おそらくは、あの軍刀の仕業か、と判断し。だとすれば、やはり彼女の腕前は落ちていないらしいと認識する】

【廊下の先、吹き抜けを見上げる。額の単眼は夜目も効くが、この暗さではさすがに全ては見通せない】
【まずは見える範囲のものを確認していく。階段が二つ、そしてエレベーターらしき鉄檻】
【上へ行く手段はいくつか候補がある。さてどうすべきか】

ふむ……ならば右は、障害は少ないというわけだ
だが、得るものが少ないということでもある……ああ、無論目的は上の方だろうが

ふ、ふ。それは恐ろしい。気を付けねばな
――――先の爆発のこともある。初手のリスクは避けておくか

【そういうと、巨躯を動かしてカニバディールは右の階段へと歩を進めようとするだろう】
【大理石の階段を踏みしめ、手早くかつ警戒しつつ、階上へと昇って行こうとする】
【途中の踊場から、各フロアの様子を伺いつつ。まずは、彼女が一度到達したという舞踏会場を目指すだろうか】
122 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 00:26:57.72 ID:+hPCCVcfo
>>121

【右の階段へ進んだのなら、階段の中央を行くのは避けるべきだ、と背後から告げられることだろう】
【踊り場に進んで階段の真中を見れば、微かに石が浮いていて。更にその直線上の壁を見れば】
【そこも色が違っていた。一体どんな仕掛けだったかは、考えたくもない】

【各フロアについては、やはり居住空間。或いは武具防具などの備蓄庫らしく】
【埃を被った赤絨毯が惹かれた廊下と、堅固だが壮麗な造りの戸が並んでいた】

【――が、暗闇に目を凝らせば亡者たちも見える。何より、何処かで仕掛けが動いているのだろう】
【カチ、カチ、カチ。歯車の動く音が、否が応でもトラップの存在を考えさせて】

【だが、それも無視すれば良い話。階段はそのまま上へ、上へと伸びており】
【真っ直ぐ進めばすぐに件の舞踏会場へと辿り着くだろう。しかし、その扉は燃えていて】
【内部を覗けば、壁には先程の物と思われる穴が空いていて、光が広く差し込んでおり】

……私の後に来た奴がやったみたいね。
元々は、無駄に大きいゴーストが居たんだけど……明かりにやられたのかしら?
それとも何か、もっと別の手段で……―。……だとすれば、面倒ね

【この部屋の赤絨毯は、燃えていた。爆発の余波か、下手人が火の使い手なのか】
【その火炎を抜けるのは用意だ。奥には更に上へ向かう螺旋階段が見て取れた】

【――だが、不用心に部屋に入る事は危険を招く。所々に燻る火炎は】
【カニバディールが部屋に入れば、"火矢"と化してその巨体を貫こうとするからだ】

【火が物理的な硬さを持った、矢。高度な魔術であり、そしてやはりトラップであった】
【幸いにして指向性は無い。回避か叩くかすれば、簡単に対処できるものだったが】
【下手に動けば、それだけ探知の"網"に絡まることになるだろう。慌てればその分、数多くの矢が迫るのだ】

【どちらにせよ魔術の技。攻撃に対応し切れば、発生源の炎は自然と消え去り】
【部屋は静まり返る事だろう。また必要に応じてだが――部屋の両脇、壁側は堀になっていて】
【いささか淀んでは居たが、水もあった。それを用いるという手も有るには、あった】
123 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 01:01:16.20 ID:mtoDlfe3o
>>122
【背後からの忠告には素直に従う。壁と足元の浮いた石を見れば】
【この城が侵入者に対して容赦がないらしいということが否が応でも悟らせられた】

【フロアの奥、居住空間には知れ程の興味は引かれなかったが、備蓄された武器防具や】
【赤い絨毯、壮麗な戸などには、思わず盗賊としての食指が動き掛ける】

【だが、さすがにその欲望のままに突っ込むほど、異形も愚か者ではない】
【闇の奥に見え隠れする亡者たちに、耳に響く歯車の音】
【何より、背後に突き付けられた切っ先。異形は、途中のフロアには視線を投げるだけにとどまった】

【階段を上り切れば、扉を焼かれた舞踏会場が目に飛び込んでくる】
【差し込んだ光に三つ目をわずかに細め、彼女の言葉を聞く】

先の爆発はこの近辺か。何者かは知らないが、相応の手腕の持ち主らしいな
さて、そのゴーストがどういう性質のものだったかはわからないが……後者と考えておくのが無難か

少し待て。まずは、確かめてみるとしよう

【何か別の手段、とすればそれは能力か、魔力を用いた何かか。燻る炎を眺めつつ、異形は袖をまくり上げて左腕を露出させた】
【警戒に越したことはない。女性の前で能力を晒すリスクはあるが、ここは確実に】

【異形の腕が膨れ上がり、巨大な肉塊と化す。太く長く、不細工な粘土細工のようになったそれを】
【自分たちに先んじて、部屋に入り込ませようとするだろう。必然、それを探知した炎の矢たちは】
【肉塊状態のカニバディールの左腕を、立て続けに貫くこととなるだろう】

ぐ、ぬぅ……!! 火、いやこれは、矢か……!!
後続を通したくないらしいな……魔力の流れも感じる……魔術、それも高等な……

【左腕から伝わる痛みに顔をしかめるが、肉の盾の防御力が多少はダメージを軽減する】
【と、その左腕から複数本の肉の触手が伸び、両脇の堀へと向かおうとする】
【到達すれば、触手が先端に空いた穴から水を吸い上げ、部屋のあちこちにある炎に向かって水をまき散らそうとするだろう】

【失敗してすべての炎を受けたとしても、致命傷には至らないだろう。痛みに耐えつつ、異形は左腕の操作に神経を傾けた】
124 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 01:21:24.18 ID:+hPCCVcfo
>>123

【火矢の魔術は、一般的な人間なら刺し貫いた上に火傷を負わせる危険なものだ】
【10発も受ければ死は免れない。――だが、それが能力による"デコイ"なら話は別】

【左腕を伸ばした肉塊とその職種に反応して、室内には赤い閃光が飛び交うが】
【いずれも所詮は線での攻撃。仮に爆発でもすれば別だったろうが】
【水を周囲に散らされれば一気に火勢は衰えて、部屋は焦げ臭さで一杯になり】

見た目は悪いけど、便利な能力だこと。
アンタを連れてきたのは正解みたいね、それは認めざるを得ないわ

……さっ、次に行きましょカニバディール?
その腕の怪我が無事なら、だけど。なんなら、休憩を取っても良いわよ

【不気味だが見事な手腕に、大男に賞賛の声を掛ける。鋭い視線も】
【幾分か和らいでいるように思えるだろう。――しかし、それを感じ、考えるより先に】
【カニバディールには一つ、"干渉"が入る。それは脳内に直接響く、ノイズのような"声"であり】


カニバディール…――あの御方から、名前は聞いているわ。
 信心者……。治療の成果は上々というところかしら?

 …――私はあの御方の部下、半不死の四人の、一人。
 アーグ様から奇跡を授けられた貴方に、忠告をしておいてあげる
 これ以上先に進まないことよ。私の邪魔をせず、その小娘を殺しなさい?
 さもなければ…――おおよその所は、想像が付くのではなくて?


【『治療』『半不死』、そして『アーグ』。この声は、恐らく将校服の彼女には聞こえて居ないのだろう】
【唆すような、眼に見えない選択肢が不意に現れたのだった。裏切れ、戻れ】
【――実行するかは、彼次第だ。ノイズのような音は、既に聞こえなくなっていた】
125 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 01:55:22.96 ID:mtoDlfe3o
>>124
【防御の上からでも感じる威力、常人であれば重傷、いや死に至ることもあるだろう】
【これほどの魔力をトラップという形で持続させ、正確に作動させる。かなりの使い手とみて間違いあるまい】

【これを突破できたのは、自身の能力がこのトラップと相性が良かったことが大きいのだろう】
【肉の焦げる臭いはわずかにとどまり。まき散らした水は、期待通りの成果を発揮する】

見た目の悪さはまったく否定のしようがないが……その賞賛は、ありがたく受け取っておこう

ああ、そうしようか
何、打たれ強さには自信がある。この程度なら――――!!?

【こちらへと向けられる視線、先ほどよりは剣呑な気配が薄くなっているように見えて】
【しかし、やはり油断はならない。お互いにとって、何とも奇妙な同行者となったものだ、と】
【そう考えかけた矢先。その声が聞こえた。耳障りな、それでいてはっきりとした声】

(――――まったく予想をしていなかったわけじゃあない。元より、この島は彼らの……)
(アーグさんとマックスウッドさんの今の根城だ。場合によっては、それもあり得ると)

(どうする……アーグさんには恩義もある。だが、この女は、あの四姉妹の一人……)
(ここで手を下したとして、その後どうなる? マックスウッドさんの真意はわからないが、もし)
(もし、あのツールでの言葉が……アーグさんとの関わりにヒビが入っていることを示すなら)
(機関での立場を失う可能性も……そうなっても問題はない程度の備えはしてあるが、それでも後ろ盾を失うのは大きな損害だ)
(いや、元より私はすでにマリア・シャリエールを負傷させている……その繋がりを考えれば……)

【思考。打算。損得勘定。盗賊の脳裏で無数の電気信号が行き交い、そろばんが弾き回される】
【ここで現れた目に見えない選択肢。それに従うべきか否か。それによって、何を得るのか。何を失うのか】
【ごく短時間の間に、考え、考え――――異形は、結論を出す】

(――――ここはドラクレア島だ。過去を映し出す島……外の常識など、通じない場所だ)
(そんなところで、突如頭に響いてきた声の言うがままに、同行者を殺しにかかる……下策もいいところだ)
(確かに、本物のアーグさんの配下である可能性は決して低くはない。だが、確証もない)

(半不死の存在はスラウロットの件で知れている。私がアーグさんに治療を受けたことも特に隠していない)
(これらを知っていることが証明にはなり得ん。何よりアーグさん本人の言葉ならまだしも、聞いたこともない女の声だ)
(あの時、アーグさんに語った通りだ。誰かもわからない相手の言葉に盲目的に従って、確実な勝算も持てない相手に刃を振り下ろす)
(私は、それほどの暗愚じゃあない……今すべきは、備えだ)

――――ところで、AB=Bいや、こう呼ばれるのは面白くないか? 今も名前はベルジュロン、でいいのかね?

……まず一つ。こうしてトラップを突破したんだ。代わりに一つ、質問させてくれないか?
この古城に何を求めてきたんだ? 互いの利害を侵さないためには、目的は確認しておきたいところだ

【結論は出た。カニバディールは螺旋階段へと歩き出しつつ、女性へと言葉を向けるだろう】
【この先、何が起きるとしても、己の利は確保する。そのために、備えを】
【同行者たる女性への意思確認は、そのための一手だ。どこまでも、打算で動く浅ましい盗賊ゆえの行動だった】
126 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 16:32:03.04 ID:y4MoSzXso
>>125

【――トラップを突破した、だから一つは答えろ。狡いが、真っ当な要求だ】
【女性は顔をしかめながらも数秒悩み、そして首を縦に振った】
【答えると。螺旋階段を登りながらになるが、ため息を付いてから口を開き】

今の名前は"リリー"よ。アンジェルでも、ベルジュロンでも無いわ
それに……いえ、なんでもないわ。私がこの城に来たのはね、調査のためよ

聞けば、この城を建てたのは何処かの教団から追われた宗教団体だって言うじゃない
それも時期は100年から200年前……何処かの大司教様と、時期が被るわ。
……あの男は"殺しすぎた"の。だから、その手がかりを探りにね。これで満足かしら?

【嘘、ではないだろう。咄嗟に吐くにしては、少々事情が込み入っている】

【城の起源、建築者集団の由来、そこから辿れる1、2世紀程過去の事態】
【更にはその時代の宗教的覇者であったアーグに繋がる手がかりを、彼女は探している】

【なるほど確かに機関の敵ではないのかもしれない。――裏では対ベクターの同盟を組んでいたりはするが】
【あくまで、リリーの狙いはアーグ。それも何か深い事情というか、いびつな理由が垣間見える】
【それ以上はまだ話してくれそうにないが――少なくとも、これで関係は理解できただろうか】


【――螺旋階段を登り切ると、暗い通路が続いている。奥に外界の明かりが入る場所があるのか】
【微かに通路の先が見える。十字架、ステンドグラス、大きな石柱に長椅子とくれば】

【"教会"だ。通路の先には教会があり、その教団には人影があった。女性だった】
【何故分かるのかといえば、彼女の背後には無数の炎球が浮いていて、光源となっているからで】
【その女性はつば広の帽子と紫のマントを身に付けた、言うなれば魔女らしい格好であり】

【そのまま真っ直ぐ教会に進むか――それとも、途中の扉に入るかが選べるだろう】

【途中の扉の先には、教会の裏側。すなわちちょっとした居住スペースがあり】
【また、高所の作業に使う足場への移動が可能だ。いずれも埃を被ってはいるが】
【より隠密な動きが可能だろう。また盗賊目線で言えば、純銀の食器やロザリオなども見つかるはずだった】
127 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 19:08:07.68 ID:mtoDlfe3o
>>126
【螺旋の形に回転しながら、ため息混じりに聞こえてくる名乗りに】
【カニバディールもまた、彼女と同じように顔をしかめた。彼女のそれとは、おそらく性質が違っていたであろうが】

(……我ながら、馬鹿馬鹿しい。いつまで終わったことに振り回されるつもりだ)
――――リリー、か。ならそう呼ばせてもらうとしよう

調査……宗教団体が建てた城、か。内部にあるという教会も、その団体のものというわけか
……なるほどな。ああ、あのトラップ分の答えには十分だよ

ゼン=カイマに端を発する話というなら、お前にとってもまったくの無関係でもないわけだ
城が建てられた前後、その当時から今と同じことをしていたというのならば、殺しすぎ≠ニ言っても規模が違うだろうな
現代においても、スラウロットを水没させた事件を始め、いくつかの事件に関与していると聞く……誰が調べようとしてもおかしくはない

(嘘を吐いているようには見えない。この女が、アーグさんに対して友好的ではないことは)
(ほぼ確実、と見ていいだろう……そも、恩人に対して失礼とは思うが、アーグさんに友好的な人物が異教徒だらけと言っていい今の世界にそういるとも思えないがな)

(ともあれ……先の声の信ぴょう性は増した。今しばらく、調査の必要はあるが……)
(下手な真似をして、私の方がコウモリとなってしまっては本末転倒だ)
(この城について確証が得られれば……この女は敵とみなすべきだろう)

【それ以上までは、深くは尋ねなかった。カニバディールの立場のみを考えれば、それで十分ともいえるだろう】
【自身の恩人であり、それを抜きにしてもあまりに恐ろしい存在、大司教アーグ。彼女は、その敵だ】
【機関の敵ではないとしても、自分と繋がりのあるアーグの敵とあっては己にとっては不都合とも成り得る】

【今確かであろうことはそれだけ。すぐに敵対行動は取らない。だが、このまま城の調査を続けて行って】
【もし、アーグに不利益となる事態となるならば。幸いにして、自分とアーグが見知った相手とまでは、知らないらしい】
【やるようによっては不意を突けるかもしれない。だが、彼女のごとき手練れを相手にどこまで通じるか】


【そんな考えを巡らせながら、階段の行き着く先へたどり着く闇の向こう側に差し込む光】
【あるいは、絵画のようにも見えるかもしれない。その場所が、リリーの話していた教会であることも察せられた】
【当然ながら、祭壇に立つ人影も見える。女。周りに浮かぶ炎球。魔女のような服】

(……彼奴が先ほどのトラップを仕掛けた術者、か? こちらと同じ侵入者か、あるいは)
(先の声の主……どちらにしろ、正面から行って燃やされてはたまらない)

【背後にいるだろうリリーに目配せしてから、カニバディールは途中の扉の中へと入ろうとするだろう】
【異形の手指が、先ほどの左腕と同じく変形していき、細長い肉の触手となる。それらが扉の隙間へと滑り込み】
【なるべく音を立てないように、慎重に扉を開けようとするだろう。成功すれば、そのまま扉の中へ足音を殺して入り込む】

【僅かに背後のリリーに視線を向け、どう行動するか目で問いかける。今までの道順の通り、自身を監視しながら進むなら】
【すなわち、カニバディールと共に扉の中に入るなら、それまで扉を開けたままにしておくだろう。彼女が行動を起こした後は、やはり音もなく扉を閉める】


【まずは、埃を被った足場を見上げる。自分の巨体でこれを使うのは、少し慎重になるべきだろう】
【と、同時に目につくのは純銀の食器とロザリオ。盗賊根性が即座に顔を出す】
【しかし、同時に脳は思考する。ここがもしアーグに関わる場所なら、下手な手出しはまずいかもしれない】

【だが、かといって盗賊が目の前の宝を逃すはずもなく。先ほどと同じように手指が伸びる】
【肉が食器やロザリオに絡みつき、傷をつけないよう慎重に肉の中へと包み込むと】
【そのまま触手はカニバディールへ引き戻され、食器やロザリオと飲み込んで元通りカニバディールの手となる】

【これならば、傷をつけることも、金属がぶつかり合って音を立てることもないはずだ】


【それを手早く終えれば、再び足場に目を向け、歩み寄る。慎重に、かつ素早く】
【太い手足でそれをよじ登り、教会の高所へと移動。確かめねばならない。あの魔女の格好をした人影が何者で、何をしているのか】
【まずは観察を試みた。妨害がなければ、盗賊特有の身軽さと消音移動で、高所をスルスルと伝っていき】
【魔女を上から観察できそうな場所を探して、そこから相手を見下ろそうとするだろう】
128 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 19:38:15.65 ID:y4MoSzXso
>>127

ええ、殺しすぎっていうのはそういうこと……オマケに言えば
ゼン=カイマが一度壊滅した事を踏まえても、当時の資料が少なすぎるの。

アーグが一体どのように権勢を振るっていたのか
そして、それに対してこの城を建てた人物たちはどういう立場だったのか……
……わざわざゼン=カイマを出たんだから、仲良しではなかったんでしょうね。

【恐らくは、当時もアーグのやり方に納得しない人々は居たはずで】
【彼らがゼン=カイマという土地ではなく、教義を優先し】
【はるか南方、忌地とされたドラクレア島に教会を建てたのだとしたら】

【――あるいは、この城すらも"アーグに対抗するため"だけに建てられたとしたら】
【それを調査するのは至極真っ当なことだ。そして、そこにアーグの手下が居てもおかしくはない】



【ロザリオと食器を回収し、そのまま足場へと登ってゆくカニバでィールに対し】
【リリーは足場の手前で彼の行動を注視するに留まる。二人で登るのは愚策だ】

【足場の上は教会の天井に近く、床からは10メートル以上もある】
【空気は淀み、生ぬるい。しかし木と石材が入り混じった足場は案外頑丈で】
【注意さえすれば音も立たない。――魔女も気付いては居ないようで、観察は容易】

【見るに、祭壇で聖書を読み上げているらしかった。しかしその順番はバラバラで】
【盗賊ともあれば、すぐにそれが暗号だと分かるだろう。決まった順番で読み上げることで】
【何らかの仕掛けが起動するのだと。数分も経たない内に、"ガコン!"と音がして】


【教会の、ちょうど中央。木の長椅子が整然と並んだ中に、小さな石壇が出現する】
【その上に乗っているのは一つの箱。黒く、石なのかそういう色の木なのかは分からない】

【――ただ、酷く悪寒のする物質だった。見ているだけで胃がムカついて、戻しそうになる】
【箱のことを考えるだけで頭が痛み、心が折れそうになる。これは専門家でなくても分かるだろう】
【"呪いの品"に違いなかった。魔女はそれを平然と堪えて、取りに向かうのだが――】


【石壇、箱の出現と共にまた別の音も響き始めていた。歯車の音、石と石が擦れる音】
【何かもっと重々しく柔らかさを持った――巨体の足音のような、低い音】
【魔女はそれに気付いて居ないようだった。目的の品を見つけて視界が狭くなるのはよくあること、だが】

【問題は此処からどう動くか。箱を目指すか、魔女とコンタクトを取るか、注視を続けるか】
【事は刻一刻と進んでいた。重々しい音が、もうすぐそこまで近付いて来ているように思えた】
129 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 20:21:12.77 ID:mtoDlfe3o
>>128
ほう……資料を残すべき人物がアーグに抱き込まれたのか、あるいは消されたか……
さもなくば、資料そのものが廃棄されたか、持ち去られたか……
ゼン=カイマにとっては不名誉な歴史なのだろうから、後になってゼン=カイマ自身の手で葬られた可能性もあるな

ともあれ、アーグの支配から逃れたのが、この城を建てた団体だった、と
ならば、アーグに対抗する術が眠っていたとしてもおかしくはあるまいな

【彼女の口から語られる、古城の成り立ち。長い時を経てなお佇むこの城は】
【過去に起きた悲劇の残滓、現代へと通ずる歴史の残骸ということらしい】
【しかし、終わったわけではない。元凶たるアーグはこの現代に復活し、それに対抗する者たちも同じく未だ存在する】

【そして、自分はそこに繋がりを持っている。この城は、自分にとっても決して無関係の場所ではないのだ】


【食器とロザリオの窃盗には邪魔は入らず。リリーが後に続かないのも、これは当然と考える】
【隠密行動に人数は不要だ。それに、現状を考えればここで一時分かれるのは好都合と言えた】

【澱んだ空気。肌を撫でる生ぬるい感覚。普通なら不快感を示すところだが】
【常時、路地裏や地下通路に身を置くカニバディールにとっては、何のこともない。故に、音を立てず動くことも容易だ】

【魔女の姿を上から見下ろす。帽子のために顔はわからないが、手に持つ聖書を読み上げていることはわかった】

(なんだ……? ただ朗読しているでもなく……いや。この場所と併せて考えると、あれは……暗号、か)
(ありがたいことだ。こちらは労せずして、結果だけを見届けられる)

【読み通り、仕掛けが作動し。床から何かが現れる。だが、それを見た瞬間、穢れたものに慣れたカニバディールさえ】
【一瞬、口に手をやったほどの、異様な気配を感じ取った】

(ぐ――――!!? なんだ、あれは……!? 呪い……呪われた品、か……)
(あの魔女の目的はあれか……リリーがあれの存在を知っていたかまではわからないが)
(あれに平然と近づけるとは、あの魔女も只者ではないな……ん? 何の音だ……)

【この場全ての状況を感じ取ろうと、研ぎ澄ましていたカニバディールの感覚がそれを捉えた】
【音。さらなる仕掛けの作動か。いや、それと同時に、何か生気を、生きた何かと思しき気配を感じるもの】
【その接近。再び眼下を見れば、魔女が気付いていないこともわかる】

(あの箱の番人、か……? どうする……このまま見ていても構わないが)
(あの女が、もし先ほどの声の女で、もし本当にアーグさんの手下だったとしたら、後々面倒になるかもしれん)
(あれほどの魔術を扱う女だ、ただやられるとも思わないが、不意を突かれれば……この状況で目的に目を奪われる辺り、詰めが甘いとも見える)
(ならば……接触、か。アーグさんの手下なら、口を出すことで手助けにはなる。違ったとしても、あの女に番人の相手をさせればいい)

【やはり、損得勘定に基づいた判断は早かった。異形が、またも能力を発動し】
【首筋の辺りから細い肉の触手をスルスルと下へ伸ばしていく。箱の瘴気に耐えつつ、気付かれぬように】

【先端には、口が付いている。上手く魔女に声が届く位置にまで下ろしたならば】
【リリーに動きがないか、そちらの気配を見逃さないように聴覚を研ぎ澄ませつつ、小声で魔女に警告を発するだろう】

……何かが来るぞ。周りに注意しろ。何かがここに近づいているぞ

【先の自分の判断と同じく、誰かもわからない相手の忠告。だが、今回の場合は実際に何かが近づいている音がする】
【ならば、これだけでも十分だろう。すぐさま触手を引き上げようとしながら、カニバディールは事の推移を見守る体勢に移行した】
130 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 20:44:23.56 ID:y4MoSzXso
>>129

【魔女の爪が甘いというのは事実、なのだろう。ある種の慢心があるのかもしれない】
【自分は強く、難解な暗号も解き明かし、主のために品を見つけた】
【後はこれを持って帰るだけ――そんな驕りが透けて見え】

【此処から起こったことを時系列順に示してゆく。第一には、魔女の行動だ】
【箱に手が届く位置まで近付いた彼女は、封印の術式を施そうとしたのだろう】

【何事かを呟き、手をかざし――此処で第二。カニバディールの警告が為され】
【魔女は機敏に振り返り、背後に浮かばせる火球を一斉に強く燃え上がらせる】
【『誰だ』という当然な質問は無かった。つまり、魔女はカニバディールを知っているのだが】

【その事実を確認するより先に、先程まで魔女が立っていた祭壇の背後】
【石壁を打ち抜いて、巨大な4足歩行の双角獣が出現するのである。これが第三の出来事だった】

【獣は頭部から尾の先まで5mほど。頭部から伸びる角は一メートル強もあり】
【短いが鋭く堅牢な爪や牙、妖しく光る黒い皮革、そして禍々しさすら覚える鬣と】
【異形と呼んで差し支えない外見であった。しかし何より驚くべきは】

【その背に乗った、一人の"鬼"であろう。巌と見紛うような肉体に、額から伸びる角】
【落ち着き払った表情に加えて、鉄のような瞳。爪の鋭さや巨躯から見ても】
【間違いなく人外。何より獣を従えて騎乗しているのだから、本来の番人はこちららしかった】


【敵の出現に魔女が攻勢を開始する。しかし放たれた火球は、獣の前に突如出現した】
【"分厚い鉄の壁"に阻まれる。爆炎が上がったのを契機に、鬼は獣を駆って、無言で魔女へと突撃するが――】


――カニバディールッ! アンタは其処でぼんやり眺めて、食器とロザリオで満足してなさい!


【唐突に上がった声、足音。リリーが魔女と鬼の衝突を見てかけ出したのが見えるだろう】
【"箱"を回収する気なのだろう。触れるのはマズいと考えたか、外套を千切り】
【能力で昆虫類の装甲を纏えば、一気に目的の物を手に入れんと、駆け抜ける】

【もし邪魔が入らねば―魔女と鬼はそれぞれから意識を離せないとして―リリーはその目的を達成するはずだ】
【火炎の赤が照らす教会内を、白い閃光のように駆ける姿がよく見える筈だった】
131 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 21:20:50.38 ID:mtoDlfe3o
>>130
【まず、見えたのは魔女が箱に対して何らかの術をかけようとしたところだった】
【あの瘴気を前にしては、魔女ですら直接触れることはならなかったらしい】

【それを見て取って、警告を発する。触手を引き揚げながら、カニバディールは見た】
【魔女が一切動揺する様子を見せずに、素早く振り返ったことを見て取る】
【冷静、と言えばそれまでだが、あるいは自分のことを知っているのか。疑念はここにきてなお膨らむ】

【だが、そう思ったころには、すでにそれが現れていた。石壁を打ち砕く音を少し遅れて認識し】
【見れば、角を生やした堅牢な獣と、それに騎乗する鬼。その頑強な肉体、表情、怜悧な瞳】
【この古城にどれほど長い間いたのか。いつぶりの侵入者なのかは知らないが、今の今まであの箱を護っていたのだろう】

【当然、手ごわいことは言うに及ばず。あの魔女とて、おそらくは手こずるだろう】
【その予想を肯定するように、放たれた火球を防ぐ鉄の壁。魔術か能力か、わからないが不可思議な力を行使するのは間違いない】

【目まぐるしく変化する状況に、さらに投じられた一石。彼女の声が聞こえた】

(リリー……!! やはり、目的はあの箱か……)
(……迷うまでもない、な。私は、盗賊だ)

――――それはよくないな、リリー。盗賊を相手に、それだけで満足しろ≠ネどと
そんなことを言われては、かえって欲が出るというものだ

【この場限りは、カニバディールは今までのような損得勘定に基づいた浅い理屈ではなく】
【盗賊としての狂気的ともいえる衝動に従って行動した】

【すなわち、10メートルも下の床に、箱とリリーの間に立ち塞がることが出来るだろう位置めがけて】
【足場から飛び降り、膨らませた足の肉をクッションに着地しようとしたのだ】

【魔女と鬼にまで意識を配る余裕はなかった。昆虫の装甲と外套を纏い、駆けるリリーの眼前に立つことが成功すれば】
【さらに、背中から最初に連れていた男たちの一人を召喚し、箱を回収させようとするだろう】

【召喚された男は、黒い手袋に加えてジャングルでの物資回収にも使用していたと思われるマジックハンドのような器具を持ち】
【それを持って箱を掴み、リリーから離れようとするだろう。最も、その前にリリーが攻撃に出たり】
【番人が遠距離攻撃をしてきたり、箱が何らかの効力を発揮したとすれば、話は別だが】

【カニバディール自身は、その召喚に意識を割いて攻撃には移れない。リリーがカニバディールを狙うなら、それは通るはずだ】

――――おい、半不死!! 四人と言ったな、他に見ている者がいるのなら、手伝え!!
アーグさんの配下と言うなら、それを私に証明して見せろ!!

【同時に、そう叫ぶ。使える手段は選ばない盗賊、よりによっているかもわからないアーグの手下に】
【そう呼びかける辺りは、なんとも厚かましいが。彼らが確かにアーグの手下であるとわかれば、カニバディールはそちらにつくことになるはずだ】
132 : ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/24(水) 21:30:06.64 ID:grgprzP8o
【ビル屋上】

【平日の仕事の終わった夜。先進的なこのビジネス街の中でもひときわ大きなビルが爆破された】

『――速報です。アンプラント保険会社本社ビルにて爆発があった模様』
『消防、警察共に出動し、事件か事故か等、詳細は追って――』

【ビルは上層階が爆発、ガラスと瓦礫は次々に落下し、煙と炎を上げながら燃え盛っていた】
【逃げ惑う人々、見物に窓から身を乗り出す野次馬、ヘリコプターが旋回する。街中からサイレンが近づいてくる】
【その様子がよく見える道路を挟んだ向かい側、真正面のビルの屋上からはテレビの中継より良く見えた】

…………。

【そこには1人だけ、まるで知っていたかのようにビルに向かって立ち、その様子ををじっと眺めていた】
【真っ赤なヘルメットを被り、顔にはオペラ座の怪人のような白いガスマスク。体を覆い隠すマントのような外套】
【性別も年齢も情報は全て隠されて余計な情報で飾り立てられた不気味さ。人間であるかどうかも未だ不明だ】

………遂二始まったナ

【ボイスチェンジャに通したようなノイズ混じりの低い声はそう囁いた】
133 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 21:48:23.02 ID:y4MoSzXso
>>131

【リリーが目指すのはただ箱のみだ。カニバディールの動きまでは】
【恐らくチェックしきれなかったのだろう。飛び降り、立ちはだかる彼を前に】
【さしものリリーも足を止めざるを得ない――ただ、武器は即座に構え直し】

欲を出すのは結構…――けれど邪魔をするなら容赦しないわ!
肉壁で刃を防げると思うのは結構だけれど、あまり油断しないことね――ッ!

【カニバディールの巨躯を切りつけても、致命傷には及ばない】
【そう考えたリリーの攻撃は、真っ直ぐに彼の胸元を突き刺そうとするものだった】

【刃は鋭い。回避をしなければ心臓か、肺か、あるいは器官を傷つける位置に突き刺さり】
【更に問題なのはリリーの眼帯に覆われた左目だ。眼帯を外せば、七色に光り】
【膨大な魔力が溢れだして、刃を燃やす。灼熱の炎剣となって、大男の肉体を燃やし尽くさんとするのである】

【またそれとは別に、箱の回収は二つの緩衝材――手袋、そしてマジックハンド】
【これらを挟むことによって成功はするだろう。近付けば近付くほど】
【その不快感は強まるが、確保自体は可能であって】


『――困った状況ですわね、カニバディール様?
 私、これでも特別に仕事を請け負っている身なのですけれど。
 ……あぁそれと、あの魔女は無視して結構。集中するとお喋りが出来ないタイプですの。』

…――ネズミは一匹ではなかったか。ふぅ、む……。
 まあ、良い。この城に立ち入る以上、全ての者は排除するのみだからな。
 この"加賀屋義丹"の手に掛かって、逝くが良い――。


【新たな現象は二つ。カニバディールの言葉に呼ばれて出現する、白い女】
【名はロース。水を操り、ナメクジのような体皮をしたドレス姿の人物である】
【水を操る能力を持っていたか――彼女は教会の入り口に佇み、背後から水球を飛ばす】
【必要であれば、カニバディールを助ける様に。或いはリリーとの距離を広げる手伝いのように】

【――その直後に鬼が、獣が床を踏みしめると、其処を根本として】
【床のタイルを弾き飛ばす巨大な鉄の刺、円錐状のソレが出現し】
【真っ直ぐに四名の"ネズミ"へと迫り、足下から肉体を串刺しにせんとする】

【対して魔女は大火力で鉄を溶かし、リリーもまたどういった状況であれ後退し】
【ロースはといえば、水の鞭を作ってシャンデリアに絡め、宙へと逃げる】
【カニバディールは、どうか。混迷を強める今、何を成し遂げ、どう動くかが肝要であった】
134 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 22:37:47.30 ID:mtoDlfe3o
>>133
だろうな。短い時間だったが、ご一緒出来てうれしかったよ
ご忠告はありがたく聞いておくとしよう

【着地と召喚の隙をついて彼女の軍刀が鋭く突き出した突きをかわすことなどできず】
【胸元に切っ先が突き刺さる。直後、先と同じく膨れ上がった胸部の肉が】
【その刃を止め、重要器官に届かせまいと力を込める。しかし、それだけでは終わらない】

ぐぅ――――!!
(やつの隠し玉か……!! まずい、分離を――――)

【眼帯の奥、隠された瞳に秘められた魔力。それそのものが凶器となって、醜い肉の怪物を襲う】
【刃それそのものが、灼熱の地獄と化し。異形の怪物を内側からグリルしていく】
【短い苦鳴と共に、異形が肉の内側から燃え上がる。直後、異形の肉が切り離される】

【どうにか致命傷は避けたものの、焦げた肉が崩れ落ちた後には、はっきりと火傷が刻み込まれ】
【せき込む口からは、煤が吐き出された。されど、異形はまだ動く】

【同時に、召喚された男は、箱の瘴気にわずかに怯む様子を見せたが】
【確保した箱を空中に掲げて、そのまま両者から離れようとするだろう】


……下で聞いた声はお前か
それはすまないな、だが見ての通りこちらも急を要する事態だ

ああ、そうさせてもらおう。残念だが、私もあまり悠長に話している余裕は持てそうにない


――――加賀屋、だと? 貴様、ゼン=カイマの騎士団にいた鬼の……
あの石鬼の一族か。彼奴以外にも、教団に関わっていた鬼の一族がいたとは……

【現れた女性には短く返答し。鬼の漏らした言葉には、驚きを交えた言葉を向ける】
【が、驚いてばかりもいられない。重要なのは、あの鬼と眼前のリリー、それぞれが敵であるということだ】

【と、リリーの方には水球が飛ぶ。どうやら、この場は敵と認識するのは先の二人だけで済みそうだ】
【召喚した男と共にリリーと距離を取れば、続いてもう片方の敵が動き出す】

【床を揺るがす踏みつけを感じ、次の瞬間、殺気を感じる。突き出してくる鋼鉄の棘は、侵入者を散らす処刑具】
【鈍重なカニバディールでは、素早く回避するのは難しい。胸部に受けた傷のこともある】

【わずかでも後退しつつ、右腕の肉を膨らませて盾にする。棘が皮を裂き肉を割り、鮮血をまき散らす】
【衝撃で後ろへ弾かれかけるが、巨躯を踏ん張らせて何とか留まる。額の単眼が睨むは鬼。その下の両目が睨むはリリー】


――――お前たち、赤髪の女を止めろ!!

【言うが早いか、その巨躯から城の前でカニバディールの身体の中に消えた男たちがさらに三人】
【三人飛び出して、リリーへと襲い掛かる。動きを見ればわかるだろう、実力は大したことはない。リリーなら簡単に対処できるはず】
【しかし、それぞれナイフを振りかざし、連携を以って三方向から一斉に斬りかかる彼らを、完全に無視も出来ないはずだ】

【一方、カニバディール自身は鬼へと向かう。その口が顎が外れるほどの大きく開き】
【その奥から、赤黒く太く、長い舌が伸びてきた。舌が狙うは、鬼の乗る獣の足】
【地面を這うように進む舌の先端が獣の足に突き刺されば、凄まじい勢いで獣の体液を吸い出そうとするだろう】
【同時に、刺さった場所からさらに蛇のようにうねり、獣の体内を破壊しようとも試みる】

【まずは馬から、ということか。とはいえ、あの巨大な獣相手にこの程度の攻撃がどこまで通じるか】
135 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/24(水) 23:14:34.99 ID:y4MoSzXso
>>134

高々三人分で敵うと思っているなら、随分と甘い考えね。
……全員、燃やしてあげるわ。焼き肉になりたいやつからかかってきなさいッ!

【リリーに取って、敵は三人。カニバディールと二人の半不死だ】
【だが鬼というイレギュラーも存在する以上――まずは自分の身を守るのが第一】

【軍刀を横薙ぎに振るう。軌跡を炎がなぞり、圧倒的なリーチと威力が三人の男たちを襲うが】
【そうして退けることは出来ても、リリーには決め手が無い。逃げるか、箱を確保するか】
【その二つを成し遂げねばならないのだが、"遠い"のだ。故に選ぶのはより容易な逃亡であり】
【カニバディールへの敵意は一重に鬼からのソレとなるだろう】


【――では鬼、加賀屋義丹というらしい彼が容易い相手かといえば、そうではなく】

愚かだな、異形の徒よ。どうやら我が一族を知っておるようだが……
 ……なればこそ、その手は愚策。この身に宿した力は"鋼"を司るものよ
 己の鉄錆の味、存分に堪能してゆくが良いわ――。

【獣の鬣が形を崩し、カニバディールの舌が狙う足へと移動。鎧のように形を変え】
【更に鋭い刺を無数に付けて、相手の舌鋒を待ち受ける。そのまま攻撃すれば】
【むしろ神経の集中する長い舌はズタズタになることだろう。だが、得たこともあるハズで】

【それは鬼が金属を操るということ。石鬼という種族の中でも、酷く特殊な存在に思え】
【不意に義丹は獣を駆って、カニバディールへと突進してゆく。魔女がそれを邪魔しようとするが】
【やはり床から出現した鉄の壁がそれを防ぐ。つまり、カニバディールを守るのは彼自身であり】
【やがて獣は詰めた距離から飛びかかるようにして、足の大爪で彼を攻撃しようとするだろう】

『――カニバディール様、背後にも気を付けて下さいませ。
 あの女が迫っておりますわ。その"箱"…――盗られないように、頼みますわね?』

【かかる声。背後から虚を突いて飛び出すのは言うまでもなくリリーであり】
【炎刃を振るってカニバディールを切りつけようとする。が、本来の目的は殺すことではなく】

【未だ彼の手の内にあるであろう、箱の奪取。――成功しても失敗しても、彼女は高く飛び上がり】
【そのままステンドグラスをぶち破って外へと逃げ出そうとするだろう】
【その折、振り向く彼女と目が合うはずだ。左目は、何処かで見たような多重の円と虹色をしていた】
136 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/24(水) 23:53:51.60 ID:mtoDlfe3o
>>135
まともにやって適うとは思っていないさ。だが、状況が状況だ
常に上策ばかり打てるわけではないというのが、戦闘のつらいところだよ

【ひとまずは、リリーにとっては敵だらけの状況が、彼女に差し向けた三人の足止めの役目を後押しする】
【とはいえ、実力差はあまりに歴然。炎の刃が薙ぎ払われれば、三人の男たちはまとめて後方に吹き飛ばされる】

【それを視界の端で捉えつつ、カニバディールには鬼を相手取る他はない】
【どうやら、攻撃を仕掛けてくるつもりはないらしい、とかろうじて認識するにとどまる】


……ぐぅ、ぬ……!! ……ああ、加賀屋善助と言う男を、な
私自身は、暴走して鬼と化した姿しか見ていないがね

ああ、残念ながらそうらしい……善助が石なら、貴様は鋼か……
貴様らのような、煮ても焼いても食えぬタイプのやつは嫌いだ……

【痛みは、さほどでもない。されど、舌が切り裂かれ、蛇のようにのたうつのみにとどまり】
【種族が石鬼なら、眼前の相手がむしろ異質というべきか。変幻自在の矛と盾、ということらしい】
【これを打ち破るのは至難の業だろう。と、心中で冷や汗を流した途端、疾走する獣の質量を感じた】

【魔女が妨害され、大爪が眼前に迫り、さらにはロースの警告が響く】

簡単に無茶を言ってくれる……!!

【斬りかかるリリーの刃、そこから発せられる熱が肉を焦がすのを感じる】
【カニバディールは、咄嗟に自身の生命力と防御力に賭ける選択をした】

【すなわち、箱を持った男を引き寄せて身体に取り込んで箱を確保】
【カニバディールの身体から、箱を掴んだマジックハンドが突き出している、という奇妙な光景がそこに現れる】
【その状態で、カニバディールは胴体と両腕の肉を膨張させて】

【なんと、迫る獣の大爪に自ら突っ込んで弾き飛ばされようとする。その勢いでリリーから離れ、箱を渡すまいというつもりだ】
【当然、防御の上から肉は避け、骨は折れる。それでも即死に至らないのは、異形の生命力に驚くべきか】
【リリーから箱を守りきれたかはわからない。そこは駆けだ。すべきは、鬼への反撃。爪に弾かれた瞬間】

【ごばあああああああああああ=I!! と耳障りな凄まじい声と共に、カニバディールが血と吐瀉物の入り混じった】
【自身の消化液を、加賀屋と獣に向かって吐きつけようとするだろう。爪の衝撃とカニバディールの肉の操作によって、凄まじい勢いで噴出されるそれは】
【常人なら、浴びれば肉を溶かし骨を焼く。鋼相手に自分が取れる、数少ない有効と思われる戦術だった】

【そのまま、空中を舞うカニバディールの目が、ふとリリーの瞳を見る。異形が、目を見開いた】

その目……貴様……まさか、あの、半魔、の……

【言葉はそれ以上続かず。一連の行動の成否に関わらず、カニバディールは教会の壁に激突、床に転落することになるだろう】
137 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/25(木) 00:28:15.22 ID:0lx8jRfCo
>>136

【義丹と獣による一撃で吹き飛ばされるカニバディールと交錯する形で】
【リリーは、舌打ちをした。相手が動かずにいれば、まず取れたのに、と】

【――直後には、もう彼女はステンドグラスを割って向こう側に行ってしまう】
【その"目"がなんであったのかも、彼女の安否自体も全く不明のまま、逃げおおせたのだ】
【残ったのは鬼と獣という守護者たちと、半不死が二人。そして大男一人であり】


逃したか……いや、まあ良い。骨のある者が残ったと思うとしようか
 面白い逃げ方をする。肉を切らせて、という訳には行かぬようだが……。
 その石鬼の話し、聞いて見たくもある。どうやら一族の若者らしいが…――。

『……カニバディール様? まだ動けるようでしたら、どうぞ今の内に。
 此処は私とあの魔女が食い止めますわ。その"箱"は、大事に持っていて下さいまし。
 それとも……私と一緒に逃げるか、渡して頂いてもよろしいのですけれど?』


【カニバディールの吐き出した血液混じりの消化液は、獣や鬼の動きを止める事になる】
【だがダメージは薄い。というのも獣の肌がそもそも異様なまでに堅牢な事と】
【鬼の身を、その鬣に見えていた砂鉄が守ったからであった】

【防御の為にもはやその鬣は無いが、彼らはほぼ無傷だ。再度襲いかかろうとするが】
【それを魔女とロースの炎と水が防ぎ止める。かつ、とロースは大男に歩み寄って】
【そのダメージの確認と策の提案、場合によっては起き上がるために手を貸すのだった】
138 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/25(木) 00:50:55.74 ID:cerzAok/o
>>137
【リリーの舌打ちが聞こえたのを確認して、ようやく箱は死守出来たことを悟る】
【ただ、もうその正体がなんであるのか、この後彼女はどこに行くのかも、もはやわからない】
【おそらく、次に会う時は再び敵としてであろう、という予感のみだ】

――――が、ふ……く、ふふ、ふ……お褒めに、預かり、光栄、だ、な……
肉、どころか、骨も、イカれ、たがね……

ああ、残念ながら……私、も詳しくは、知らない……
ただ、神の、教えに目覚め、て……ゼン=カイマ、の騎士団、の副団長をしていた、と……知っている、のは、その程度、だ……

かはっ……ああ、どうにか動くことは、出来る……
が、ただでさえ、動きの鈍い身だ……あれを相手に、対抗するのは、難しいだろう、な……
出来れば、一緒に、逃げて、もらいたい、ところ、だが……

【自身の渾身の反撃も、あの鬼にはたいして効果がないらしい。獣の防御性能に加え、砂鉄までも操るとは。この上、この重傷】
【さらに配下を召喚することも考えたが、相手があれほどの力を持っていてはただ挽肉を量産するばかりだろう】

【ロースの手を遠慮なく取って、ふらつきながら立ち上がれば。まだマジックハンドが掴んだままの箱を指し示す】

……この傷で一人逃げて、途中で箱を失うようなことになっては笑えない
そちらに渡そう……何も守らず、ただ逃げるだけなら、一人でもどうにかなる……

【どの道、この呪いの品は自分の手には余る、と判断し。箱をロースに預けるという方針に賛同を示した】
【盗賊としては面白いことではないが、何よりも命あっての物種だ。このまま、ここで力尽きるよりはいい】

【ロースが箱を受け取れば、カニバディールは巨躯を引きずるようにして、戦場から離れていこうとするだろう】
139 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/25(木) 01:17:13.86 ID:0lx8jRfCo
>>138

そう、か……名誉なことだ。我が眷属から教義に尽くす者が出たか
 其奴の死に様が、鬼らしく満足ゆくものであったことを願うばかりよ

 ……だが物語はこれで終わりだ。邪魔をするのであれば、皆殺す。
 それがこの城を建てた者たちへの礼儀というものであるからだ。
 異形の男よ。貴様の挑戦的な意志に応えて、殺すのは最後にしてやろう…――ッ!

『……ええ、宜しいでしょう。この"箱"は私が預からせて頂きますわ
 カニバディール様は、早く此処から離脱を……。
 貴方様は大事な信者の一人。極力救えと言われておりますの、さあ…、……ぁ?』

【鬼の突撃を食い止めるように火柱が挙がる。その隙を見て、箱を受け取る】
【だが受け取った瞬間、電源がショートしたような嫌な音が周囲に響き】

【――直後、ロースの左腕が黒く染まる。真っ白な肉体が破壊され、犯される様に】
【更には力も失って、麻酔を打ち込んだようにだらりと垂れて。箱も当然、取り落とし】
【すぐさま右腕で水を操り、水球に包むことで回収するが――左腕は、動かないままで】

【さしもの半不死といえど、その力の異様さに戸惑いの様子が有り有りと伺えた】
【だが、其処は素人ではない。視線で早く逃げろと促せば、自らも鬼へと立ち向かう】



【後は、教会の轟音を背にして逃げることとなるだろう。ややもすると、教会が崩れる音が轟いて】
【その出入口を塞ぎ、カニバディールの安全をより高める。幸い、来た道だ】
【既に邪魔をする罠や敵も居らず、その場を後にすることが出来るだろう】

【――不気味かつ不自由なのは、この出来事が裏の世界のことであり】
【尚且つドラクレア島という人外魔境で起きたことである、という点であった】

【誰かが懇切丁寧に事情を説明してくれるわけでも、ニュースになるわけでもなく】
【半不死やアーグがカニバディールを訪ねて来る、という事もない】
【終わりは静かで、後味が悪い物だった。それこそ、嵐の前触れに生温い不快な風が吹くように――。】

/と、時間もキリもちょうどいい感じですし、ここまでということでっ!
/二日間に渡りお付き合い頂き、ありがとうございました〜!
140 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/25(木) 01:35:34.93 ID:cerzAok/o
>>139
ふ、ふ……どうやら、お前も、鬼でありながら、敬虔な、信徒、か……
私、から見れば、異端、なのだろう、がな……

ずいぶんと、義理堅い、ことだ……すでに住むものも、いなくなった、場所だろうに……
……それはありがたい、涙が出るね……だが、私は、死ぬつもりは、ない……!!

ああ、頼む――――!!?
お前、その手、は……!? ……いや、わかった。アーグさんとお前たちの、その心に感謝しよう……

【箱に直接触れた腕が、真っ黒に侵食されたのを見て、カニバディールも動揺の声を上げる】
【半不死ですらこの有様、やはり自分に扱い切れるものではないらしい】

【それを水球が包み込んだのを見、ロースがこちらに目配せするのを見て】
【カニバディールはうなずき、踵を返して逃げ出した。途中、リリーに吹き飛ばされた三人の男を】
【肉体に取り込んで、回収していくのも忘れない。この状況下でも己の損害を軽減しようとするのは、盗賊ゆえの行動だ】

【すんでのところで教会を出れば、背後で崩落の音が聞こえる。出入り口が埋まったのを見て取ると】
【即座に重傷の身を引きずって、その場を後にした】

【結局のところ。自分が得た者は、銀の食器とロザリオ、そして真相のわからない不気味な出来事の記憶】
【後は、この全身の傷のみ。疑問はどうにも残り。ただ一人、眉を潜めるしかなかった】


【後日。スクラップズのアジトでカニバディールは苦虫を噛み潰したような顔で座っていた。あの事件の情報はどこにも出ず、アーグたちからの音沙汰もない】
【以前のGIFTの事件と同じ、後味の悪さばかりを残す結果だ。あの箱は、手に入れておくべきだったか、そうでないのか】
【また同じ問答だ。自分は何を得たのか。何を失ったのか】

【おもむろに携帯端末を手に取り、どこかへ連絡を取る】

……ギュスターヴ。全員集めろ。ボックス一家も含めて、全員だ
例のポイントの発掘予定を早めることにした。……ああそうだ。他をいったん中断してでも、だ
詳しくは、集まってから話す……ああ、頼んだ。ではな

(備えだ……今できることは、備えることだ。そのためには、まず一刻も早くアレ≠手に入れることだ)
(見ていろ……何がどうなろうと、我々はそこに立っていて見せる。生き残るのは、私だ……)

【こまかみを伝う汗を拭うと、カニバディールは立ち上がり、配下たちの下へと歩いて行った】

/了解しました、ではこの辺で!!
/二日間、お疲れ様でした!!
141 :ユラ・上 ロゼッタ・下 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/25(木) 13:07:38.62 ID:dm38iLWDO
 【公園】

【小雨が降っているせいか、普段は賑わいを見せる公園も今日ばかりは静かだった】
【そんな中、傘もささずにベンチに座っている少女がいるのだ。年は中学生か高校生くらい】
【短い金髪に、夜色の瞳をしたモヤシ体型の少女。着ているのは、Tシャツにズボンという簡素な服だった】


……。……雨。…………ふん、濡れないし


【雨を気にする様子もなく、少女はただぼんやりと風景を眺めていた。紫陽花が咲いていたが、その色を見るというわけでもなく、ただぼんやりと】
【誰かを待っているようでもなければ、何かを観察しているようでもない】
【不思議と雨に濡れた痕がない彼女は、流れる時間を漫然と消費していた】



 【路地裏】

【ネオンが灯りつつある大通りとは対称的な、薄暗い路地裏。陰惨な雰囲気が常に漂う場所を、1人の女が歩いていた】
【ゆるりとした衣服を着た、妊婦だ。妊娠期間も後半に差し掛かっているのか、腹は大きく膨らんでいる】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をした彼女は、慣れた様子で路地裏を歩いていた。元より路地裏に住まう人種なのか】


……もう、こんなに。ふふ、いつ産まれてもおかしくないわね
流石は大司教様、といったところかしら。……こんな魔術、身につけるまでにどれ程の時間がかかることやら


【くつくつと女は笑い、重い腹をそっと撫でた。身重のせいか、その動作や歩き方は酷くゆっくりとしたものだ】
【武器も持たぬように見える妊婦。おまけに左手の小指には稀少であろうブラックダイヤの指輪がはめられている】
【路地裏の住民にとっては格好の獲物に見えるだろうが、さて──】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/06/25(木) 19:39:27.72 ID:+GVBD+kyo
>>141
/まだいらっしゃったりしますでしょうか……?
143 : ◆A3Dw.QYNcc :2015/06/25(木) 19:59:09.78 ID:dm38iLWDO
>>142
/発見遅れました、申し訳ないです!
/最初の返信ちょっと遅れますが、それでもよろしければ是非!
144 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/25(木) 20:05:42.32 ID:+GVBD+kyo
>>141

【まばらな雨音は地面を叩き、紫陽花にはじかれて細かく舞い散る。雨に濡れる覚悟で公園にくり出さなければ見られない光景だ】
【これで空が黒ずんでいなければ、きっとさらに綺麗だっただろうけれど――それはさすがに、高望みが過ぎるか】
【結局のところ、こんな天気の日に家の外を歩き回るのは相当の変わり者なんだろう。それがたまたまこの場所に二人集まる確率なんて、】


きょうは、月が綺麗だから=c……。


【――相当に低いのは間違いないけれど、今日はどうも、かなり運のいい日だったか。それともかなり不幸な日だったか、どちらかだったようだ】
【ベンチに腰掛けた少女の真後ろの藪から、ふとおかしな歌声が聞こえてくるだろうか。高い声色からして女、歳もそう変わりなさそう】
【それはあまり上手とは言えない、不慣れな調子の歌声で。歌詞の方も、月がきれいどころか、そもそも雲に隠れてまったく見えない状態である】
【その時点で、少女は自分の後ろから誰かが近寄ってきているのに気づいただろうし。もう少し勘が良ければ、変人だということもわかったろう】


わたしと一緒に 踊りま………、あれ?


【闖入者はあっけなく、藪からひょっこりと顔を出した。様子を見るかぎりそちらに用があったわけではなく、偶然居合わせただけみたいで】
【――まず見た目からして変。季節はずれの雪のような肌、天蚕糸のように透き通った髪、申し訳程度に青い絵の具を垂らしたみたいな月白色の双眸】
【人間というにはあまりに"白い"。およそ色素というものが抜け落ちていて、白すぎるがゆえにもはや透明といった印象の女の子】

【ただ、肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧に三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められていて】
【服装も、乳白色のレインコートに黄色い長靴という割と普通なもの。その辺からはどうにか、十代前半の少女らしき人間味が感じられるだろうか】


………………、??


【そんな少女は、ベンチに座っている彼女を見つけると、人形じみた顔つきをわずかに驚きの形にして。ベンチの正面へ回り込むと、】
【相手の迷惑も考えず、彼女の顔を見つめ始めるだろう。――雨具もないのに雨に濡れていない少女が、奇異に映ったようである】


/ではよろしくお願いしますー!
145 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/25(木) 20:38:19.64 ID:dm38iLWDO
>>144

【はたはたと、雨が降る。金髪の少女は身体を濡らさぬまま、夜色の瞳で景色を見ていた】
【ぼんやりと時間が過ぎていく。水溜まりの大きさは雲の形を、彼女が認識していたかはわからない】
【ただ彼女は、移ろいゆく景色を瞳に写していただけなのだ。──はたはたと、雨が降る】

【そんな彼女が僅かに身動ぎをした。歌が聞こえたのだ。それも、自分の後ろから】
【明らかに迷惑そうな表情を浮かべ、金髪の少女は首だけを動かし背後を見る】
【そして茂みから顔を覗かせた白い少女を見て、また更に表情を曇らせるのだ。──基本的に彼女は、人と接するのは苦手だった】

【相手が数歩動けば、金髪の彼女の視線もそれにあわせて動く。結果的に少女は元の体勢で、白い少女とにらめっこ(?)をすることになり……】


歌は……リリンが生み出した文化の極み、らしいね。……ふん

…………。……………………。…………何、見てんのさ


【ぼそぼそとした低い声で、やる気もなさそうにそう言い放った】
【人によっては喧嘩を売っていると思われても仕方のない台詞だ】

【雨は相変わらず、少女の身体を濡らそうとはしていなかった】
【もし白い彼女がヒトの気配に敏感なタイプであれば……目の前の彼女からは、呼吸を初めとした「生きている」気配がしないことが分かるか】
【彼女が濡れていないのも、この気配の無さからくるものなのかもはしれなかった】

/お待たせしました、よろしくお願いします!
146 : ◆ItbpQ6xKnU [sage]:2015/06/25(木) 20:57:45.98 ID:OkbmGroPo

【水の国/ホテル】

【──その晩、都市中心部のホテルでは、政府主催の大規模なパーティが行われていた】
【政財界にとどまらず、軍人や有名人も多く参加するとあって、警備は非常に厳しい】


「……おや、ランガスター少佐、お帰りで。次期主力装甲車の選定評価試験について、ご相談があったのですが。」

──ええ。名残惜しいのですが、急用が入りまして。
華蔵院少尉を残しておきましたので、そちらにお話頂ければ、後日お返事できるかと。


【──ロビー。参加者らしい男に呼び止められ、礼を返したのは、仕立てのいいスリーピース姿の三十路の男】
【銀髪と碧の双眸は、その顔立ちと相俟って怜悧な印象を与える。──襟元には、二つのバッジ】
【一方は「軍属」であることを示すそれ。もう一つは、彼と同じ瞳の色をした「狼」を象っていた】


【男はホテル入り口の自動扉を抜け、門扉を抜ける。敷地の隣には、美観保持と貯水を兼ねた池が設えられていた】
【ビル群の通りに面した池、というおかしな光景だ。──ホテルから見れば、それこそ美観なのだろうが】
【その柵に背を預け、男は懐に手を入れると】


 …… やれやれ。資本と体面に侵された軍事体、か。馬鹿らしい。


【懐から煙草を取り出し、口に咥えながら燐寸を擦って火を点ける】
【──脇の看板には『禁煙』の文字が記されていたが、構う様子もなかった】


  【 ── 】


【水の国/アトラヴェル/街中】


【外っ側にハネた金髪。眠たげな蒼の瞳。──赤いネクタイを緩く結び、制服を身に纏った少年が、歩いている】
【──服装からして、「レイリスフィード学園」の生徒であろうことはすぐに分かるだろう】
【第2ボタンまで外されている胸元には菊花≠フネックレスが放つ光が覗いていた】



 【 ──キィ ィィ────ッ!!=@  ドン ッ!!=z



…… 、っ。


【──彼が進む先の角で、鳴り響いたのは大きな『ブレーキ音』。──それから、大きな『衝突音』】
【余り表情を変えない様子の彼でも、流石に驚いたのか。小走りで角を曲がり、その先に目を向けると】
【そこには、ビルの一階、シャッターにぶつかった形になったトラック=B ……通行人に被害は出ていない様だが】
【トラックの前面は大きく歪み、割れた窓からは、気を失い、血を頭から流した運転手の横顔が覗いていた】


(── 。 扉が歪んでる。)


【──少年はトラックに近づくと、運転席の扉に手を掛けるが、開く様子はない】
【見れば、大きく歪んだ車体に扉が引っかかる形になっていた。 ──、とはいえ、運転手の容態は一刻を争うのは、見るも明らかだ】
【集まりだした野次馬も、遠巻きに眺めるばかりで、手の打ちようがない。 ……、初めて、彼の表情が、困惑に揺れた】
147 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/25(木) 20:59:59.46 ID:+GVBD+kyo
>>145

【そうして、見つめ合う二者――「無言で」と付け加えるには、ぱたぱたとレインコートを叩く雨音がすこしばかり主張しすぎていたけれど】
【若干迷惑そうな夜色の瞳を不思議そうに見据えたあと、透明の視線は少女の全身へ。やはりどうにも違和感が拭えない感じだ……】


リリン………?
………えっと、ごめんなさい………?


【目の前の彼女からはなぜか、生きものの気配が感じられない気がして。そのせいか、キツイ台詞でとがめられてもいまいち実感が湧かず】
【怒っているにしてはなんだか声がちいさいし、歌のことに触れたのはわかったけれど台詞の言葉は意味もよくわからなかった】
【思わずこてんと首を傾げて、とりあえず謝罪の言葉をつけ加えてみるけれど、それもなんだかふわふわしたものになってしまう】
【少女はこういう、なんというか……そう、ちょうど雨が似合うような。ちょっと暗めなタイプの人間(?)とは話したことがなかった】


ねぇ、それより、あなたはここでなにをしてるの?
なんだかへんな感じだし……雨、濡れないの?


【大人しく帰るでも図々しく隣に居座るでもなく、少女は立ったままそんなことを聞くだろう。こんな雨のなかでなにをしているの、と】
【そして、どうして濡れることもなく佇んでいられるのかと。いかにも物を知らない子供っぽい、なんのひねりもない単調な疑問であった】
【もちろん答える義理はないのだけれど。ただどうも、少女の淡い青色の瞳からは"好奇心"がかいま見える。そう簡単には帰ってくれなさそうだ――】
148 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/25(木) 21:18:52.79 ID:dm38iLWDO
>>147

【謝罪の言葉に対する台詞はなかった。受けとるつもりがあるのかどうかも分からない】
【目が合いそうになれば、彼女は露骨に視線を逸らす。誰かと目を合わせるのも、話すのも苦手らしい】
【そのまま視線をふらふらとさ迷わせ……夜色の目は、結局相手の足を見ることで一旦は落ち着いた】


【「別に」 突き放すように、少女はぼそりと呟く。相手の表情が見えるはずもなく、視界に写る色は土の色と長靴の黄色だけだった】
【黄色に弾かれる雨を見ながら、しばし彼女は沈黙する。ぱらぱらと、雨が弾かれる音が妙に大きく聞こえた】


…………何も、してない。……ふん、見れば、わかる、でしょ
雨にも、……濡れ、ない。…………。……………………。

で…………。おまえ、何。白いし。……アホっぽい、し
……この後、ゲームみたいに謎組織の構成員がここにきたりすんの? …………怖いんだけど


【少女の好奇心には答えないまま、イエス・ノーのみで彼女は返答する。聞かれたことは答えるが、空気を読むことはあまりしないらしい】
【そして相手の疑問を満たさないまま、勝手にも自分の疑問を相手にぶつけるのだ】
【──その問いかけもまた、白い少女には意味が分からないのかもしれない。だがこの少女はそのことを一切考慮しなかった】
149 : ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/25(木) 21:26:37.24 ID:T86wWEGXo
>>132で再募集します
150 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/25(木) 21:43:01.77 ID:+GVBD+kyo
>>148

【「……?」という無言の疑問が金色の頭に向けられる。人と目を合わせると苦しい――そういう概念が少女のなかにはないからだ】
【なんで目を逸らされたのかわからないまま、かといって、なんとなく無理やり覗きこむのもだめな気がして】
【結局、自分の足を見はじめた彼女を少女は許容した。なにか足についてるのかな? なんて無意味な確認はしたが……】


……なにもしてない? そっか………ひまなんだね。
アホ………あほ? ん………? どういう意味?


【その時点でもう"アホっぽい"感じだったけれど、なにもしてないという彼女を「暇人」とばっさり切り捨ててしまうのは、やっぱり阿呆だからなのか】
【まったく変化のない表情を見ればわかるかもしれないが、本人に他意はない。単になにが"失礼"にあたるのかいまいち理解していないだけで】
【そもそもバカにされたことにさえ気づいておらず。厳密にはその言葉自体は知っていたけれど、ふだん言うことも言われることもないので思い出せなかった】


ううん――――そういう人たちは、まだここを知らないから大丈夫だよ。安心して。
………あっ。


【そんななので案の定、「ゲームみたいに」という形容はわからなかったようだが――冗談かデタラメか、はたまた謎組織の構成員とやらに心当たりがあるのか】
【白い少女は真顔でそんな台詞を吐き、淡くそちらへ笑いかけるだろう。当人はなぜかちょっと得意げだが……とにかく、危険はないと言いたいらしい】
【――そして。その台詞を夜色の瞳の少女がどう受け取るかには関係なしに、視界の内へ急に白いカタマリが飛び込んでくるかもしれない】

【ふと声を上げたかと思えば、白い少女がいきなりその場でしゃがみ込んだのである。しかしそれは、そちらを覗きこむためではなく】
【無造作に、左手がベンチの下へと突っ込まれる。「んー」と唸ってなにかを探しているような動作。ベンチの下になにかあるのか……?】
151 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/25(木) 22:08:23.66 ID:dm38iLWDO
>>150

【ばっさりと暇人認定され、多少苛つきでもしたのだろう。「……おまえみたいなの、アホっていうの」と、舌打ちしそうな勢いで吐き捨てる】
【だがその言葉もまた、随分とぼそぼそしたものだ。威圧感などはまるで無い。それがいいことなのかそうでないかは、まだ定かではないが──】


…………、……え。…………ちょっと待って、「まだ」ってなにさ、「まだ」って……、…………ん?


【透明な笑みにも、何も返さない。そもそも見ていないのだ。見えるのは土と、子供っぽい色の長靴のみ】
【態度は間違いなく悪いのだが……それでも、しっかり相手の話を聞いて答えはするのだ。律儀なのか、あるいは暇つぶしの一環なのだろう】

【少女はため息をつく。まさかゲーム内のテンプレート的展開を、本当に相手がなぞるとは思っていなかったらしい】
【「まだって何」と何度も呟き、相手の真意を聞こうとするのだ。──冗談であってほしい。彼女は心底そう思った】
【だがその思いは、続く相手の行動により吹き飛ばされる。……白い少女が足元にいることに気付いたのだ】


…………ッッッ!! わ、わ、わ、わぁああ゛あ゛ぁぁああぁぁああぁあぁあ!?

なっ、何何何何何! 何!! な、にっ!!
いいいいいきなり何してんだよお、お、お、おっ……! お、お前っ!
ふ、ふざっ……なな、なんだよっ! いきなり、さ……! ば、バカじゃないの、やっぱお前っ、あ、アホだっ……!


【絶叫後の行動は、かなり迅速だった。足を素早く上げベンチに乗せる。それだけでは飽きたらず】
【這うようにベンチの背もたれ部分にしがみつき、ベンチという狭い空間に居ながら相手との距離が最大限になるよう全力で努力】
【そのまま物凄く怯えたような表情で相手を観察。……「な、に。なんかあんの」とやはりぼそぼそと問いかけるのだ】
【若干どころかかなりオーバーな反応だが──悪気はないのだ。多分】
152 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/25(木) 22:31:07.31 ID:+GVBD+kyo
>>151

【本人としては悪気はなかったはずの言葉に、にべもなく帰ってくる苛立ち混じりの台詞――】
【――威圧感は感じられないとはいえ。さすがに、いい加減。相手の機嫌を損ねていることに気づいたのか】
【「そ、そうなんだ、わかった」と、少女は勢いに押されるように頷いた。アホ認定されたのを認めてしまったことには気づかず、逆に若干申し訳なさそうに】


…………? 「まだ」は「まだ」だよ、ここには敵はいないの。
少なくとも、いますぐ押し寄せてくることはないと思うし……もし来ても、あなたを巻き込んだりはしないから。


【微妙に噛み合わない会話が続く――白い少女の台詞から察するに、それが盛大な嘘八百でないのなら】
【どうも彼女は本当に、それこそゲーム的な危ない事情に関わっているようにも思える。どういうのかは知らないが"敵"がいるらしい】
【相手が自分の顔を見ていないのをすっかり忘れて、少女は軽く目を伏せ、ぎこちない動作でもう一度笑った。……安心させようとしているつもりなのか】


――――――ひゃあぁ!!?

えっ、えっ? あっ………ど、どうした、の? 大丈夫?
なんだか、えっと、ごめんなさい………。わたし、あなたのイヤなことしちゃった………?


【まぁ、そんな的の外れた努力も――自身の何気ない行動のせいで、次の瞬間にはガラスのように砕け散ったのたけれど】
【こんな過剰に反応をされるなんてまったくの予想外だし、この少女からこんな大声が出てきたのも完全に予想外で】
【短い悲鳴を上げると、白い少女は後ろに倒れて尻餅をつくだろう。体勢自体はすぐ立て直すけれど、精神の方はあんまり立ち直れていない様子】

【どこがどう気に障ったのかまでは、やっぱり察せられないようだが。とにかく自分のせいで脅かしてしまったことは理解したらしい】
【目を見開いてしゃがんだままの体勢でちょこんとお辞儀をして謝罪する。今度は曖昧なものではなく、ちゃんとした謝意がこもっているだろうか】
【不安そうに顔を上げ、そちらの顔色を――伺おうとして、あわてて視線を逸らした。顔を見られるのは苦手だったんだっけ、と】

【――さて、そんな大騒動まで起こしてベンチ下に手を突っ込んだ結果はといえば。なにかあったのかと聞かれ、少女はおそるおそるそちらへ左手を差し出す】
【ちいさな縞模様の殻がひとつ。しばらく見ているとにゅっ≠ニそこからなにかが顔を出すか。――なんの変哲もないカタツムリであった】
153 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/25(木) 22:53:59.40 ID:dm38iLWDO
>>152

【お辞儀をされてびくり。謝罪をされてまたびくり。顔を上げられ3度目のびくり】
【手まで差し出されてしまえば、古いベンチが少し軋むレベルで身体を仰け反らせ──】


…………か、カタ……ツム、リ…………?


【安心からなのだろうか。深く長く、盛大なため息が彼女から漏れた】
【そのままずるずるとベンチの背もたれに身体を預ける。足は地面に下ろさぬまま、ベンチの上。行儀は悪いが、公園ならばこの格好も咎められはしないだろう】
【「何だよ」だとか「脅かしやがって」だとかいう言葉がぶつぶつと少女から零れる】
【その夜色の視線は、小さなカタツムリに向けられていた。やはりというか、相手と視線をあわせようとはしなかった】


……。…………やっぱさ。……お前、アホだ

敵とか、そんなこと言うわりに……バカだし……、アホ、だし……
カタツムリとか……小学生……じゃん……


【──最終的に呟いたのは、彼女を驚かせた謝罪ではなく、半ば八つ当たりにも似た言葉だった】
【カタツムリごときでここまでビビった自分が恥ずかしいのだろう。顔は赤くなり、表情もどこかムッとしている】
【彼女の態度もまた小学生のようなものなのだろうが……少なくとも、言っている当人はそれに気付いていなさそうだ】

【「……ていうか、なにさ、敵って。ゲーム?」 ──挙げ句の果てにはそんな話題逸らしまでする始末】
【カタツムリをしっかり見ているものの、金髪の少女的には、話を一刻も早くカタツムリから離したかった】

/次、少し遅れるかもしれません、申し訳ないです
154 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/25(木) 23:23:51.30 ID:+GVBD+kyo
>>153

【どぎまぎと――は実際にはしていないけれど、心持ちとしてはそんな感じで、白い少女は相手の返答を黙って待つ】
【また脅かしやしないだろうか。また驚いてしまわないだろうか。内心の慌てっぷりは人形じみた外見にはあまり出てこないが】
【唯一、表情と瞳だけは、冷たい白と透明から解凍されている。そして、カタツムリが手のひらを這い始めるのとだいたい同時だったか――】


よ………よかった。脅かしちゃってごめんね………?


【目の前で少女はずるずると脱力していく。どうにか機嫌を直してもらえたと思ったのか、あからさまに安堵のため息をついて】
【眉根を微かに寄せた、苦笑いのように見える表情で、もう一度謝るだろうか。絶叫を上げて怯えていた少女をからかうような性根は持ち合わせていないようである】
【……脅かされた事実そのものを無かったことにしたいらしい少女の方からすると、謝罪自体がよけいなお世話という可能性もあったが】

【それから――赤らんだ顔を見てまた妙な勘違いをしたのか、白い少女は手のひらのカタツムリをそっと摘むと】
【「はい」とちいさな声で言って、そちらへ差し出すだろう。受け取ってもらえなければベンチの上に置いてみる……】


ずっとわたしを追ってきて、どこかへ連れていこうとしてる人たちだよ。
"GIFT"と、"カノッサ機関"と―――。


【そしてそれが終わると、今度はぜったいに脅かさないよう細心の注意を払いつつ、そろーっとした動きで再びベンチの下へ手を伸ばしはじめる】
【近場が藪になっているせいなのか、ベンチの下にまだカタツムリがいるようだ。動物の類が好きらしい、やっぱり小学生じみていて】

【そのついでに、少女が苦し紛れに逸らした話題に軽く答える。――とりあえずは。ここは安全だと言っていたのは嘘ではないだろうから】
【この"敵"というのがどんな組織であれ、いまは大丈夫だろう。それだけで、当人にとってはついでで済ませられるほど日常的な内容らしい、それは】
155 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/25(木) 23:44:50.53 ID:dm38iLWDO
>>154

【やはりと言うか、謝罪の言葉は受け取らない。代わりに返ってくるのは、「ふん」という拗ねたような音だけだ】
【そしてこれまたやはり、カタツムリは受け取らない。近付くだけで大絶叫した少女なのだ。誰かに触るなど、とんでもないこと】
【しかし、ベンチの上に置かれたカタツムリにはしっかり興味を示すのだ】
【触覚を出し這い回るカタツムリをつつく→殻に引っ込む→カタツムリ触覚だす→つつくを暫く繰り返し……いじめっ子かこいつ】


……GIFTに、カノッサ?
それってさ……ベクターだったり、どっかの企業の社長だったり、大学でクスリ作ってるらしい、あの……?
…………。…………いよいよ、ゲームみたいになってきちゃった、じゃん

でもさ……それ、逃げられなく、ない? お前、アホだし、さ……
それとも何。実はお前に、すごい力が眠ってて、捕まりそうになったらその力が護ってくれるとか……ふん。そんなオチ?


【厄介事に巻き込まれそうになっている。そう思いつつも、少女は質問をやめなかった】
【ゲームみたいだと思ってしまえば、先程までの態度とは対称的な饒舌ささえも見せる】

【──カタツムリをつつきつつ、ふんと彼女は少しだけ笑うのだ。「実際はそんなに都合のいい力なんてない」と思っていた】
【だが少しだけ、そうであってほしいとも感じているのだ。それは、ゲームみたいなことが現実で体験出来そうだという好奇心と】
【加えて、「自分は大丈夫。巻き込まれても死なない」という、根拠のない自信からくる思いだった】
156 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/26(金) 00:09:07.83 ID:Yg1NcUVPo
>>155

【やっぱりカタツムリは受け取ってもらえなかった。けれど、白い少女もそれを悲しんだり謝ったりはもうしない】
【とにかく、近づいたら驚かしてしまうとわかってきたからだ。カタツムリを置くと、一歩引いた状態のままベンチの下を探り出す】
【もう一匹、さっきより一回り大きいのを手のひらに確保してじっと眺めるのだ。……とても大組織に追われる理由があるようには見えない、間抜けな姿で】


ううん。ちゃんと隠れ場所もあるし、マスターが護ってくれるし、ひとりじゃないから平気だよ。
どうしても、っていうときは、力を使って戦うけど………あんまり、好きじゃない。


【カタツムリをいじめ始めた少女に「優しくしてあげないとだめだよ」なんて、意外にも真面目に注意を飛ばしながら、やはり軽い調子で答える】
【たしかに、ひとりで逃げ続けられるような技量もツテもあるようには見えない。要は協力者がいて、その人に助けられて逃げおおせているようだ】
【そこまでは、カタツムリを眺めながらの適当な会話。――ただ、戦うのは嫌いだと、そう言った時だけはわずかに表情が歪む】

【すごいかどうかは置いておいて、そういう力を持っているらしいが。アホっぽい雰囲気通りというのか……好戦的ではないようだ】
【まあ、すべては、これらの言葉が本当にゲームの話でないのならという仮定。歪んだ表情だけは――妙に現実味を帯びてはいたけれど】


………、あなたはその、"ゲーム"が好きなの?
楽しいの、それって?


【そういえば、少女の口から何度も何度も繰り返される単語。白い少女は逆に、それに首を傾げてみせた】
【確かに小学生じみた趣味はしているものの、どう見たって最新ゲームみたいな文明の利器と縁があるようには見えず】
【どうせそういうのはやったことがないのだろう。こういう好奇心だけは、本当に単なる子供のようだ――】
157 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/26(金) 00:39:06.08 ID:rJ84uNlDO
>>156

マスター、ね……ふん。そりゃ、そっか……
お前……あめ玉あげたら、そのままついていきそー、だもん

……それに。普通、戦いだとかが好きなヤツは、いないよ
好きなヤツは……ふん。アタマがおかしいバカなんじゃないかな


【彼女が逃げおおせている理由を聞いて、少女は納得の表情を浮かべた。組織を相手にするのは、かなり苦労する】
【そのマスターとやらは、かなり頭がキレて強い人物なのだろう──金髪の少女は、そう思った】
【少なくとも、そんな状況におかれていながらも公園で遊べるのなら……余程すごい人物に違いない】

【カタツムリ虐めに注意されれば、「遊んでやってんの」と反論する】
【加えて戦いを疎む相手に、フォローともいえる言葉を投げる。口調こそあまりよろしくはないが……】
【少しは、目の前の少女の存在に慣れてきたとも取れる一言だった】
【そしてゲームのことに言及されれば、彼女は楽しそうに少しだけ笑うのだ】


…………、…………好き。

ふん……何。ってゆーかお前、今どきゲームも知らない、わけ?
田舎者だなー。……ま、アホそうだし、多少は、って感じ、かな……?

ゲームは、楽しいよ。すっごく、さ。……別に、教えてあげてもいいけど
…………。……ゲームがたくさんある場所、あるんだ
でも……今はちょっと、その場所には、いけない。この身体じゃ、いけない
だから。……その。…………
…………じ、じ、じ……時間とか、あ、あと、後っ……場所とか、決めてくれれば。一緒にゲーム、や、やれ、……る……


【「ど、どう?」──最後の方は、緊張気味に声を震わせながらだが、そう彼女は言った】
【気配のない身体が要因なのか。今この場ではゲームが出来ないらしいが……】
【とにかく要約してしまえば、「一緒に今度ゲームしよう」という、ありきたりなお誘いであった】
158 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/26(金) 01:06:02.99 ID:Yg1NcUVPo
>>157

【「うん」と少女はちいさく呟いた。――『命令』とあればなんでもやる。けれど、戦いは嫌いだ。血を見るのも流すのもイヤだ】
【それを同意してもらえてわずかに表情がほころぶ。彼女にしてみれば他愛ない一言だったのだろうけれど、その軽口さえ嬉しかった、純粋に――】

【つつかれて引っ込んでいくカタツムリを眺めて、白い少女は「ほんとに?」と言いたげな顔でそちらを見やり】
【……そもそもベンチ下で安らいでいたカタツムリたちを引っ張り出してくるのはイジメではないのか、という点には気づいていないようだ】
【しかし――巨大な二つの組織に追われている身で、"マスター"の手助けがあるとはいえ、こうしてつかの間の休息を得ることができて】
【その上、たまたまこんな少女と出会って、カタツムリ談義に花を咲かせるなんて。どうにも、おかしな巡り合わせで――】


うん………。やってる人は見たことあるけど、なんだか難しそうで………。

――えっ、ほんとにっ? 教えてくれるの?
ちょっと………ちょっと、待ってて!


【――すこし、驚く。心が暖かくなったのを感じた。彼女がこういう笑顔を見せてくれるなんて、思っていなかったから】
【軽く目を見開きつつも、正直に自分のゲーム歴を白状して。知ってはいたが敷居が高そうで興味がもてなかったということらしいが、】

【教えてくれる人がいるのなら、べつだ。もしかしたら、自分にも楽しめるモノがあるかもしれない】
【さっきとはまた違った「ほんとに?」が飛んだかと思えば、白い少女はらしくもなく声を強めた。レインコートの下から端末を取り出し】
【なんとも不慣れそうな手つきでそれを操作する――マスターとやらに連絡を取っているのだろうか?】


…………、うん………良いって!
この日のこの時間に、またこの公園に来てくれたら―――。


【頭がキレて強い人物。……の割には、あっさりしたものだった。白い少女とその相手は五分ほど討論していたようだったが】
【最終的にはあちらが折れたらしい。白い少女は日時の表示された端末をそちらに見せ、その時にまたここで会ってほしいと伝えるだろう】
【追われる身ではあるけれど、ほんの一日だけなら。それこそ休日の小学生みたいに、昼から夕方まで遊ぶ程度なら、どうにか都合がつけられるみたいだ】


あのね。わたし、イクスっていうんだ。イクス・ヴェーラ。
ね、あなたは?


【そしてその後、付け加えるように、白い少女は自らの名を明かす。イクス・ヴェーラ――彼女はそう告げると】
【今度は少女の方にも名前を問い返すだろう。どうしていきなり名乗ったりしたのか、もしそれを少女がイクスに問うたのならば】
【「いっしょに遊ぶのは、"友だち"でしょ?」なんて、やっぱり小学生みたいな返事をするのだろう。そうでなくても、瞳がそう語っていた】
159 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/26(金) 01:28:34.30 ID:rJ84uNlDO
>>158

【──その約束を口にした時、声が震えているのは自覚していた。遅れて、身体が震えてくる】
【がくがくと顎が揺れる。手足の先端が、落ち着かないようにかたかたと震える】
【ちょっと待てと言われれば、答えを口にする余裕もなくただこくこくと頷くのだ】

【……待っているその5分。彼女にとっては、酷く長い5分だった】
【緊張からか、吐きそうな気分になる。こんな気分になるなら、誘わなければよかった】
【ダメだったらどうしよう。そもそも上手くいきっこないのに、何であんなこと言ったんだ──】
【様々な後悔と自己嫌悪が、彼女の中で渦巻く。カタツムリをいじめることすらなく、ただ彼女は相手の操作する端末を見続け……】


…………ッッ! ほ、ほ、ほ、ほん、っ……ほんとっ? 本、当──?


【ぱぁと、一気に少女の表情が明るくなる。声はまだ震えていたが、それでも心底嬉しそうな声だった】
【提示された日時を、必死で覚える。何度も何度も、繰り返し口に出し】
【まだ足りないかのように、何度も、何度も、何度も、何度も、自分に「約束の日」を言い聞かせるのだ】
【そしていい加減満足したのか。相手の名前と、「友だち」との言葉を聞けば……夜色の視線が、戸惑いと喜びを含みつつ出鱈目にさ迷う】
【「あ、あのっ、あのっ……!」と、何度も答えを返そうとして紡ぎきれない。そんな言動を何回かした後】


…………ゆ、…………ゆ、ら。…………ユラ・エスパス────

友だち……イクスは…………、と、友、だち……


【苦労した割には酷く短く、自分の名前を相手に伝えるのだ】
【へへ、と口元が自然に緩む。イクスは友だち、とこれまた何度もユラは嬉しそうに呟く】

【──ふと、空を見上げる。雨はまだ降っていたが、もうだいぶ暗くなっていた】
【そろそろ、お互い保護者の元に戻ったほうがいい時間だろうか。それを促すかのように、ユラの身体がだんだんと透け始める】
【「約束……約束、だよ。い……イクス」 最後に一度だけ、確認するかのようにユラはそう言った】
160 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/26(金) 02:01:55.99 ID:Yg1NcUVPo
>>159

【「ほんとだよ!」と――震える声色を真正面から受け止めて、イクスは笑った。硝子細工のような体が、人間のように跳ねて】
【泉のようにわき出る好奇心と期待が、ちいさくて冷たい心を満たしていく。そして、新しい"友達"ができた嬉しさもまた】
【こうやって誰かと話したり遊んだり、そういうことの楽しさを知ったのはわりと最近のことだけれど――やっぱり、知れてよかったと思う】


ユラ・エスパス………うん、わかった。
わたしと、ユラは、きょうから友達。だから「約束の日」になったら、いっしょに遊ぼうね。


【それがたとえ、人形が人間を真似ているだけの虚しいものだったとしても。大局から目を背けた一時の逃避に過ぎないとしても】
【嬉しいものは嬉しいし楽しいものは楽しい。白と透明だけだった自分のなかに、新しい"色"がはじけていくのを感じるのだ】
【イクスもまた確認するように、ユラと自分を指して、「約束の日」を思う。同じように口元をゆるませて、精一杯笑ってみせる――】


………、うん。またね、ユラ。ぜったい、約束だよ………。


【――透明になっていくユラの姿に、一瞬だけ不安そうに瞳を揺らがせはしたけれど。それが永久の別れでないことはすぐに理解できた】
【生きものの感じがしなかったのも、この身体じゃいけないと言っていたのも、ユラの持つなにかの力のせいなのだと直感する】
【なにより……約束を交わした友達が、こんな風にいなくなっちゃうわけがないんだから。イクスは消えていくユラに、小さく手を振るだろう】

【そして、その姿が完全に見えなくなったのなら。……残された二匹のカタツムリをそっとベンチの下に戻して、くっつけてやったあと】
【白でも透明でもない色の笑顔を張り付けたまま、闇のなかへと消えていくのだ。一筋の希望をもったままに――】



【――後日。「約束の日」の昼になったら、イクスはちゃんと公園に現れるはずだ】
【元々イクスはゲームのことがわからないし、これからユラがどこへ向かおうとしているかも知らない。けれど彼女は友達なのだ】
【何も言わずに信頼して、彼女の案内するとおりの場所へくっついていくだろう。初めての体験に目を輝かせながらゲームを堪能して】
【最終的には、特にリズムゲームの類にかなりの才能があることがわかったり……ユラの教え方によっては他のジャンルも意外な上達を見せるかもしれない】

【なんにしても、きっと短い時間なのだ。楽しい時間ほどあっという間に感じてしまうものであって……】
【しかし、その日がどういう日程で終わるにせよ、別れ際にはやっぱり「さよなら」ではなく「またね」と言うはずである】
【友達とはそういうものだとイクスは教わっていたし、なによりも。この時間は決して最後ではないのだと、そう信じていたかったから――――】


/とりあえず今回はここで〆という感じでよろしいでしょうか?
/約束の日について、もしまた後日別のロールでやるということであれば、最後の後日談の部分だけ無視しちゃってください!
/遅くまでお付き合いありがとうございましたー!!
161 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/26(金) 02:35:44.15 ID:rJ84uNlDO
>>160

【「……うん。約束」最後にまた笑うと、そのままユラの身体は空気に溶けるように消えていった】

【──某国。田舎町からさらに離れた、木々に囲まれた一軒家】
【その家の一室から、金髪の少女……ユラが、表情を輝かせて出てくるのだ】
【細い手足を思い切り動かし、向かうは両親がいるであろうリビング】
【ばたばたと音を立てリビングの扉を開けると、少しばかり驚いた表情の両親がいた】
【──それも当然だろう。何せ彼女は「引きこもり」なのだから。だが、次の一言が更に両親を驚愕させることになる】


…………お、……お父さん、お母さんっ……! ────と、友達が、できた……!!



【そして後日。ユラもまた、約束通り公園に現れる。この日は、前会ったときのような「気配の無さ」はなく】
【呼吸も、体温もしっかりと感じられる──生身の人間であると確証できるユラであった】
【向かう先は当然ながら、ゲームセンター。リズムゲームにクイズ、シューティングにレース、格ゲーなど、遊ぶゲームは多岐に及んだ】
【重点的に遊んだのは、やはりリズムゲーム。「上手くやれるゲームの方が楽しいし、楽しいともっと上手くなる」とユラはそう言っていた】
【問題があるとすれば、ユラの体力のなさか。少なくとも、ダンスゲームだけは絶対にやろうとはしなかった】

【別れ際。ユラはイクスを呼び止め、携帯ゲーム器とソフトをいくつか渡すはずだ】
【「古い機種だけど、動くのは確か、だから。……これ、ほら。古いから、もう、私は遊ばないし」】
【「簡単なやつ、だから。イクスも……多分、遊べるやつ」】
【へへ、とユラは笑う。仮にイクスが受け取らなかったとしても、押し付けるように渡すのだ】
【ゲームを起動させれば、ユラが言っていた通り。古いゲームであるのに関わらず、問題なく動く】
【ソフトはやはり様々なジャンルが選ばれており……スコアが出るゲームに関しては、相当高いスコアがユラの名前で刻まれていた】

【「またね」ユラもまた、そういって別れる。本心ではまだ遊んでいたかったが、約束ならば仕方がなかった】
【「ゲーセンにも、たまには来てね」 最後の最後、そう彼女は言った】
【──それからしばらくの間。イクスの姿を探すかのように、あちこちのゲームセンターでユラの姿が目撃された、とか】


/はい、この辺りで!
/お疲れさまでした、ありがとうございました!
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/06/26(金) 20:54:45.95 ID:rqv0K7Tio
/>>146で再投下します
163 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/26(金) 21:37:55.01 ID:Bxc3S1oAo
>>146>>162


────どこの軍部も似たようなものだな。仕方のないことなのかもしれん


【暗がりの中から何者かが軍人へと声をかけた。少し遠慮がちな低い声だった】
【その男は明かりの中へ姿を現した。高い身長に、鍛え上げられた肉体。安物の服装】
【背中の鞘に収まった大剣が、男が剣士であることを物語っていた】


…………すまん。独り言だったんだろうが、聞こえたんでな……
……俺も元軍属だったんだ……今は違うが…………


【少し申し訳なさそうにしながら、男は更に言葉を重ねた。途切れがちな話し方をする男だった】
【どことなく、人と話すのが苦手そうな、そんな感じだ】
164 : ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/26(金) 21:51:47.42 ID:CETpcWaxo
【路地裏】

【色とりどりのネオン管輝く、雑踏の繁華街。その明かり入らぬ路地裏は欲望の数だけ存在する】
【スリルを求めて遊びに来た若者もそこへは立ち入らない。その理由をもはや改めて語る必要もないだろう】

―――――…………ハッ…ハッ……ハァァア……

【フェンスで仕切られた路地裏の一角は木箱が積まれて裸電球の明かりで薄暗く灯されている。夜になるとここに】
【ヤクの売人が現れる。珍しいことではない。数いる中の1人。2人ぐらい用心棒を連れて屯していた】

……フゥゥウウ…。値段は上がってるくせに質は落ちてるじゃァないか。ん何年クラってたんかしらねえけどよお…

【木箱の縁に細く出した白い粉末をストローで鼻から吸い上げて、一呼吸して男は首をゆっくりと回した】
【整髪料でオールバックでまとめ上げた黒髪。コケた頬は角張った顔を強調する。東洋系の顔立ちだ】
【黒いシャツにスラックス。右腕にシルバーの時計、革靴。若くはない。トカゲのような見開いた目で当たりを見回した】

オレがブタ箱入ってる間にD.R.U.G.S.なんてモンを組織したところで終わってんだよ。とっくにな。な?そうだろ?

【目を見開いて話しかけた売人は既に息絶えていた。喉にナイフが突き刺さり鮮血の水たまりをつくり壁に凭れる】
【用心棒の男たちも喉を掻き切られ鮮血を飛び散らせ、胸や腹部を何度も執拗に刺されて死んでいる】
165 :ロロケルム・ランガスター ◆ItbpQ6xKnU [sage]:2015/06/26(金) 21:52:34.18 ID:rqv0K7Tio
>>163


…………。

【声をかけてきた彼の方向を向くこともなく、煙草を吸い、紫煙を吐き出す】
【最初の一服を味わい切った所で──初めて、じろり、と。上から下へ、男の瞳が値踏みするように睥睨した】


君が何者かは知らんが──、前者は同意する。後者は意味が分からんな。
軍を離れる理由は八割型、「戦争に嫌気が差した」といったところだろうが。
……体≠ニ背≠見る限り、そうでもなさそうだ。 クククッ。


── あぁ。 一応、名を名乗って貰えるかね。『狙われて』も可笑しくはない身なのでな。


【皮肉げな笑みに、言葉。 ──煙草を挟んだ右手で彼を制すると、名を問うた】
166 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/26(金) 22:13:27.29 ID:Bxc3S1oAo
>>165

【値踏みをするような視線を受けても男は動じない。突然声をかけられれば、そうするのも当然だ】
【しかし皮肉混じりの言葉には微かに顔を曇らせる】


…………ニグレド・ユーリエフ……知らないだろうから言うと、護衛や傭兵業、怪物の討伐を請け負ってる……
……別に、戦いが好きでこうしてるってわけじゃない。俺だって戦争は嫌なもんだ……
戦争中の軍人なんてもんは全員が犯罪者に成り下がるからな……それまでどんな聖人でも……


【暗に争い好きと指摘されたことに対して男は否定した。だがその語調には確信というものが欠けていた】
【傭兵や警備系統の人間に精通していれば、この男の名前はどこかで聞いたことがあるかもしれない】
【単独で様々な依頼をこなす魔術剣士。最近では六罪王のベクターとも戦っていた】


全く証明にならないだろうが、一応言っておくが……刺客じゃない………

“刺客ならとっくに斬りかかってる”


【疑いを晴らすためにニグレドはこう続けた。当然、状況とこんな言葉ぐらいで信用が得られるとは考えていない】
【────最後の一言だけは、はっきりと断言した。『もしも自分が刺客ならばこうするのだ』と】
【それだけでこの男が軍人の言うとおり、争いに嫌気がさしたわけでないのがわかるだろう】
167 :ロロケルム・ランガスター ◆ItbpQ6xKnU [sage]:2015/06/26(金) 22:27:18.29 ID:rqv0K7Tio
>>166


『ニグレド・ユーリエフ』。


………… あぁ。 確か、地の国の一件で、君の名前を聞いたことがある。
成程。自由の利く身であれば、例の面白い¢且閧ノ会う機会も、自ら作れる訳か。羨ましい。
当の本人が「好きではない」というのが皮肉だな。 ──世は往々にして、儘ならないものだ。


【彼の名を聞くと、瞳の奥で訝しむような色が閃き──暫くして、それは納得に変わった】
【口の端を釣り上げ、冷笑の様にも見える笑みとと共に、独り言のような言葉を紡ぐ】
【──、その内容から推し量るに、男は、確信≠持ち併せている人種らしい】


…… 道理だな。


【それから、くつくつ、と笑い声をあげ、── 彼の弁明には、軽く手を挙げて応じた】
【煙草を吸い、煙を吐き出す。 丁度、彼らの間には霧のように、紫煙が漂う】
【その向こう側から、知性を有した獣≠フ様な ──、剣士の抱く矛盾に鼻を利かせた双眸が、彼を捉えていた】
168 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/26(金) 22:36:35.84 ID:Bxc3S1oAo
>>167

【男の冷笑がニグレドの感情をざわつかせた。直感的に何か“似たもの”を感じ取っていた】
【次第に剣士の翳りが増していく。心境を見透かされているような双眸が、気に入らなかった】


……ベクターは怪物だ。それを面白いと言えるお前も…………そうであるならば、何故“軍人などやっている?”


【自由を羨むならば何故そうしない、と剣士は尋ねる。そう聞けるほどに、軍人をやめたことは男にとって自然なことだったのか】
【いずれにせよ、理解できないといった様子でニグレドは首を傾げていた】
169 :ロロケルム・ランガスター ◆ItbpQ6xKnU [sage]:2015/06/26(金) 23:00:23.41 ID:rqv0K7Tio
>>168


【その問に対して、彼の返答は『即座』に出された】


── 吹き荒ぶ『暴力』たる我々は、軍人≠フ皮を被る事でのみ、戦士¢ォり得るのだ。
皮が破れれば、そこに居るのは只の犬畜生。 ──分かるかね、ユーリエフ君。

君のように、弁えがあって∞自己統制され≠ゥつ戦争が嫌い≠ネ、人間なら問題はなかろう。クククッ。
……だが、私のような『ロマンチスト』は、そうではない。そして「そう」在ることが骨髄から染み渡っている。
戦場に「英雄譚」を求め、矜持を刻む「碑」を探し、自ら懸かるに足る「戦士」を求めるのだよ。
そして、それは外形的には── 颶風≠セ。 それゆえに、『ロマン』を求める価値が有るのだが、な。


【長々と、「演説」じみた言葉は──、それこそ原稿でも読んでいるのか、と疑われる程に、滑らかだった】
【手にした煙草の先端が赤熱し、灰が地に落ちる。 瞳が煌めき、 口の端が歪む】
【「逆に問おう」、と、男は言わなかった。 最早、男の皮肉を、彼が理解しているであろうことは、分かりきっている】



  ………… 君こそ、抜身のカタナ≠ネのではないかな。



【自らの白刃を収める鞘≠持っているのか、と】
170 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/26(金) 23:17:18.79 ID:Bxc3S1oAo
>>169

【即座に答えられた完全な主張。欠けたもののない見事なまでの演説。それに、ニグレドは圧倒された】
【何故そんなところに留まっているのかと。不満を抱えているという一方的な考えは完全に破壊された】
【目の前の男は確固たる考えがあってその立場にいたのだ。その信念は確かなものだった】

【果たして自分はどうなのか──その間隙を突くように、男の言葉が放たれた】


……そ、れは…………っ! …………………一体、お前に何の関係があるんだ…………
俺は……お前のように…………戦いを好んでなど…………!!


【語気を強めてまで剣士は男の言葉を否定しようとする。だが、その続きが出ることはなかった】
【類似した人間は表面的な嘘など見抜いてしまう。もはや、取り繕ったところで何の意味もない】
【それを悟ったニグレドは、しかし苦虫を噛み潰したかのような顔になるしかなかった】


…………そう、だ………………俺は、戦いの中でしか生きられんのだ……
だがそうであれば尚更、軍人でなどいられん…………そうでなくては、いつしか“戦うことを肯定するようになってしまう”
それは、人間にあるまじきことだ……戦わずにいられることが、人であることの証明であるはずだ…………!


【戦いというものを剣士は拒絶していた。理性の全てを持って、それこそが正しいことだと主張した】
【それでも────ニグレドは目の前の男を直視できなかった。矜持と確信を持って戦いの中にいる者に立ち向かえずにいた】
【穴だらけの主張に、しがみついていなければならない。そんな必死さがニグレドにはあった】
171 :ロロケルム・ランガスター ◆ItbpQ6xKnU [sagesaga]:2015/06/26(金) 23:41:42.74 ID:rqv0K7Tio
>>170


──カウンセラーではないのでね。
君の葛藤を理解する気はない。勿論、共感もできん。
哲学は嫌いではないが、「人は何故に人か」という議論を、一服しながらする気もない──、が。


【胸元から携帯灰皿を取り出し、押し付けて煙草の火を消すと、再び上着の胸元に仕舞う】
【ニグレドの必死さとは対照的な──理性的な、立ち居振る舞いだった。「人間的」、といってもいい】
【暫く時間をかけて、一連の所作を終えた男は、初めて、柵から背を離して彼に向かい ──】



………… 君の様な、迷いのある者は戦場≠ノ立つべきではない。



理解しているか、君は。 戦場は、「戦士が戦士を殺す」場所だ。
覚悟と矜持を持った人間存在が、その全存在≠かけて立ち尽くす。それが、戦場≠セ。
迷いは刃を乱す。──、その乱れた刃が、君の命取りとなるから、諌めるのではない。
分かるか、ニグレド・ユーリエフ=B 君の迷いが、『戦士』を貶めるのだ。ロマン≠薄汚れさせるのだ。

── 戦いの中でしか生きられん? そんな馬鹿な話は聞いたことがない。
戦いは、「自ら身を投じる」ものだ。君は、君の弱さを「戦場」に仮託しているにすぎん。



【一欠片の容赦も見つからない、言葉の羅列。──なによりも、おそらくニグレドにとって恐ろしいのは】
【この男が、僅かの怒り≠焉Aそこに込めていないことだろうか。 まるで、自明の理を話すかのように】
【「林檎は落ちるのだ、そんなことも分からんのか」、と。 ──、一種、呆れるような、含意だけが含まれていた】
172 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/27(土) 00:03:15.23 ID:YxrsL7Vzo
>>171

【二人の男には似たものがあった。だがそうでない部分についてはあまりに対照的だった】
【片や軍人、片や元軍人。己の状態に確固たる意思を持っている者とそうでない者】
【取り乱すようなニグレドに、更に鋭い言葉が放たれる。戦いに対する矜持。お前にはそれがないのだ、と】

【──初めてニグレドは、目の前の男を直視した。戦いの矜持ならば、剣士にもあった】



────そんなことはお前に言われずとも分かっている!!
“戦場”とは全存在をかけて戦士が対峙する場などと、そんなことは言われるまでもない!
我らはその場においてのみ生存の意味を持つ……その瞬間のために、我々は“死んだような時間を過ごしているのだ”!!

抜き身のカタナだと? ならばお前はなんだ……ロマンを追い求めながら、立場に縛られているお前はなんだというのだ!!

本質が『暴力』であることを理解しながら、何かの皮を被ることでしか戦うことを肯定できないお前が、矜持の何を語る!!



【怒号。静かな敷地の中に言葉が響いた。またも対照的に、剣士は怒りをあらわにしていた】
【矜持というものが、この剣士にもあった。戦場というものへの定義は二人でまったく同じだったのだ】
【だが──戦いが「自ら身を投じるもの」だとするならば、この叫びは全くもって“違う”ものなのだ】

【剣士は言う。お前こそ本質から逸れた中途半端な存在なのだ、と】
【しかし、そう。今の今まで何かにすがり、理屈ばかりを話して自らの本質から目をそらしていたのは誰だったか】
【その矛盾にさえも、この男は気がついていなかった】


……戦いの中でしか真に生きられない人間もいる。それを知らんのは、お前が単に人間というものを知らんだけだ…………
他の人間たちがどれだけそうでなかったとしても、俺はそうだ…………それを一体、誰に否定できる…………


【己が戦いの中でしか生きられない。そのことにだけは、この弱い男は確信を持っていた。その理由までは語らなかったが】
【怒りが鳴りを潜めれば、気弱な部分がまた表に出てくる。二面性ばかりが酷く目立った】
173 :ロロケルム・ランガスター ◆ItbpQ6xKnU [sage]:2015/06/27(土) 00:24:46.11 ID:F0V1roXxo
>>172


【ニグレドの口から紡がれる、男への弾劾の言葉】
【百度の温度を一身に受けながら──しかしそれでも、鼻を鳴らし、双眸を細め】



       それが 、 何か、  問題かね    



【皮肉げな、零度の笑み。 ──それを湛えて、男は事も無げに、そう言い放った】
【否定もないし、肯定もない。 最初からその様な価値観は自らの俎板に載っていない、と言わんばかりに】
【彼は平然と、歩みを進める。…、…彼を追い越し、そのまま、背を向けたまま、──】



…………  「一服」には丁度良い、温さ≠フ話だった。礼を言うよ、ユーグリエフ君。



【ニグレドの懊悩を切って捨てるが如き言葉を、大真面目な口調で言い放つ】
【軽く手を挙げて、別れの言葉に換えると、──かつ、かつ、と。変わらぬ間隔の歩調で、去ってゆくだろう】
174 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/27(土) 00:47:50.61 ID:YxrsL7Vzo
>>173
//すいません、全く文章が思い浮かびませんでした
//最後のレスはもうちょっとだけ反応があったら、返しやすかったかな、と思います……
//一言でばすっと切るのはキャラの言動としてはかっこいいんですが
//お疲れ様でした
175 :ロロケルム・ランガスター ◆ItbpQ6xKnU [sage]:2015/06/27(土) 00:57:47.28 ID:F0V1roXxo
/>>174
/あー…そうですね、ちょっと簡単に切りすぎちゃいました
/完全にこちらの不手際です、申し訳ありません
/機会がありましたら、またお相手頂けると幸いです、お疲れ様でした
176 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/27(土) 20:31:19.68 ID:Cp2kI86Fo
【ジメジメとした風が老兵の頬を通り抜けた。雨の多い季節と理解はしていたが、矢張り良い気分はしない。】
【窓越しに見つめる外の雷雨に忌々しげな視線を投げかけた"彼"は、手元の書類をくしゃくしゃに丸め、ライターで火を点けた。】

 「―――証拠隠滅、ですか。」

 持ち帰っても良いのだがね、私用のデスクが書類で既に一杯なのだ。
 保管する程重要でもないし―――、そういう類の"資料"はこうするに限るのだよ。

 「成る程……して、如何ですか。"実験体"の具合は。」

 ……上々、かな。期待値は上回っている。
 尤も、彼等に重要なのは"戦闘力"ではなく"自然さ"―――なのだが、ね。
 
 「より、"ナチュラル"に……と?」

 その通り。我々の"実験体"は、強くある必要は無い。ただ―――
 "人造"だと思われなければ、それでいい。天然の"存在"であると、錯覚させるのが目的だ。
 とはいえ……天然物も何しろ"強い"。となれば、模造品である実験体にも……ある程度の戦力は、必要となる訳だが。
 
 「確かに。それに弱いよりは、強い方が何かと"都合"が効きます。ソーン様、御気に召しましたか?」

【―――ゴロゴロ、と空が唸る。寸刻後に、閃光が走って、どこか遠くで雷が落ちた。】
【地の国郊外、とある田舎町の古びた教会の二階部分に、1人の老兵と若い研究員が話し合っていた。】
【眼下に一回の礼拝堂部分を収め、そこで繰り広げられる"何か"を見ながら―――老兵"ソーン"は、視線を尖らせた。】

 ―――ああ。気に入ったよ。"ドレファス"地下の研究員に伝えてくれ。
 この"バージョン"で計画は実行する、とね。量産体制は整っているのか?
 
 「直に調整は完了します。先日"ネズミ"が潜入する事件もありましたから、研究員は早期の実行を望んでいますよ。」
 
 ……"嗅ぎつけられる"と困るからね。それでは……正式に書類を用意しよう。
 実験は完了だ、ところで―――……、この"実験体"は、誰が止めるのだ?

【ソーン。カノッサ機関のナンバーズ、No.1の名を持つ参謀格の存在。】
【様々な策略を張り巡らせ、時に味方すら欺き、幾多の戦場を支配してきた古強者のキレ者だ。】
【対してもう1人の若者は、恐らく彼等が先程から話している"実験体"とやらを製造している研究者の1人、だろうか。】

【そう、"実験体"―――教会の礼拝堂部分、彼等が二階から見下ろしているその場所で】
【繰り広げられているのは殺戮と快楽の惨劇だった。一匹の怪物―――いや。"人"とも"獣"とも言えない様な】
【そんな"不可思議"な存在が、稲光の中唸り声を上げながら、カノッサ機関の特殊部隊兵士達を次々と、虐殺していたのだ。】  

 『―――うっ、うわぁぁぁっ!!』
 『しっかりしろ、銃弾をこっちにまわせ!! クソッ、トラックの機銃さえあれば―――!!』
 『そ、ソーン様!! お願いです、と、止めてください!! これは実験の筈だ、もうコイツの強さは十分わかっ―――ぎゃあああ!』
 『ふざけるな!! ナンバーズだからって、こ、こんな横暴が赦されると―――あ、あああああああああああ―――ッ!!』


 ―――……と、いう状況だが。どう止めるのだ?

 「……スイッチ一つで全滅ですよ。此処は爆薬を仕掛けてある教会です、燃やせばそれで済みます。
 言い訳としては、まあ―――そうですね。丁度雨雲模様ですし、雷が落ちたことにすれば良いかと。」

 君は出世しそうだな。兵士の全滅を確認したら爆破しろ、怪物の痕跡を残すなよ、一片もな。
 私は本部にとんぼ返りだ、全く―――書類仕事からいい加減、解放されたいものだね。

【"怪物"の一振りで兵士の腕が、頭が、脚が、命が千切れ飛んで行った。】
【教会を、聖なる領域を、血の惨劇が染め上げていく。あっという間に兵士達は全滅し―――】
【そしてあとに残るのは、たった一人の怪物と、それを見下ろす邪悪な参謀、そして研究員だけになっていた……。】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/27(土) 21:31:59.16 ID:AyDvVuSt0
>>176
//まだいらっしゃいますか?
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/27(土) 21:34:18.11 ID:Cp2kI86Fo
>>177
/いらっしゃりまする。
まするが、ちょっと今からワンコの散歩で30分ほど抜けまするので
お返事は少々お待ち頂く事になりまするが、宜しいで御座いまするか
179 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/27(土) 21:35:41.76 ID:b4tNVuSfo
>>ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14029/1419956749/579

【彼女の言葉に頷いて、ややもすれば湯から身を上げ】
【やがて身支度を整えてから、剣士がそうするように、受け取った重みを】
【その腰に下げる。格好が格好だけに、似合っているとは言いがたかったが】
【きっと手放さずに居るだろうということは、言わずとも分かる筈であり】

……あぁ、ありがとう。最初は他人の探しもので来たつもりだったけど
どうやら僕の探しもののほうが先に片付いた、そんな気分だよ

それじゃあ……また、なんていうのも変か。
キミは"此処"に居るわけだから。…――風が出てきたね

【――湯気と、それを這う風。この世界に迷い込んだ時と同様に】
【ソレは唐突で、不思議な感覚を伴っていた。開けた視界から、元の世界だと感じ取り】

……戻ってきたのかな。櫻も、湯気も見えないけれど。
ねえ、キミは……何か、"感じた"事は…――?

【まず確かめるのは、腰に下げた剣の重さが有るのか、否か。】
【白昼夢では無かったということを祈りながら、そっと手を腰に伸ばし】
【それから青年に声を掛けるのだった。相手の方は、何か得るものはあったのか、と】
180 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/27(土) 21:38:06.37 ID:KgiHiQ09o
【雷雨の暗幕を切り裂くヘッドライトの明かり。蛇のように幾つか連なって走る】
【乗用車が2台、1台のトラックを挟んでいる。走行音は雷鳴に紛れ、タイヤ痕は雨に消えた】

【教会の前でスピードを落とし停まる。エンジンはアイドリングしたまま唸るような音を鳴らす】
【直ぐに誰も降りてくることはなかった。ヘッドライトだけが灯り、何かを待つように止まっていた】


『――”白髭”より各員へ。”代表”は準備出来しだい突入する。余計な真似はするな今回は”挨拶”だ』

『然し、この夜は歴史には乗らぬ出来事だが、我らにとっては大いなる目覚めの一歩だ。心に刻み給え』


【無線越しの命令は切れノイズと雨の音だけが聞こえていた。乗用車の中の彼らは一様にバンダナで顔を覆い】
【手にはライフルを抱えていた。服装はジーンズ、シャツ、ミリジャケと思い思い。彼らは非正規兵、ゲリラであった】

『時間まで30秒。作戦は決行する。諸君、”ドアをノックしろ”。繰り返す―”ドアをノックしろ”。――――健闘を祈る』

【乗用車から飛び出す。ドライバーの残した6人。トラックは開かれない。手際よく散開し、教会のドアの前につく】
【ドアに爆発物を取り付ける。ハンドサインで完了を知らせる。無言のカウントダウン――0で盛大な爆音が響く】

『我らは”赤い9月”!!平等社会と人類解放のための戦う最後の戦線であるッッ!!!カノッサ機関だな!!』

【銃を構えるゲリラがなだれ込む。リーダー格の1人が口上を述べる。雷雨の中、やってくるあらたなる人影】
【真っ赤なヘルメット、顔はガスマスクで覆っている。黒のコートで体を覆い隠し、長い、機械じみた棍を握っていた】
【ヘルメットには赤い月のマークが踊る。反能力武装解放戦線”代表”がゆっくりと歩き、中へと進みだした】


/こういうシチュエーションでも大丈夫でしょうか
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/27(土) 21:38:45.34 ID:WlfGnoEd0
>>178
(三人でもイケちゃったりとかしますでしょうか……?)
182 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/27(土) 21:39:28.42 ID:KgiHiQ09o
/>>180>>176宛でしたが安価忘れるし先にいらっしゃるしで取り消します
183 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/27(土) 21:47:26.89 ID:Cp2kI86Fo
/おうふ。なんだか大変なことになっていますが、当方は何人絡みでも一向に構いませぬ。
184 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/27(土) 21:53:00.37 ID:AyDvVuSt0
>>176>>178
//問題ありませぬ、どうぞよろしくお願い致します


おーおーなんだよオイ―――。
ハハッ、今夜の適当な寝床を探そうと思ったらとんだバカ騒ぎに遭遇しちまったな。


【暴虐の嵐が吹き荒れた教会の礼拝堂に、偶然にも足を踏み入れる人物がひとりいた。】
【入口に立って、薄暗い礼拝堂の中で起きた惨劇を眺めながら軽口を叩き肩を竦めている】

【こんな常軌を逸した空間を目の当たりにしても驚かないという事は、そちら側≠フ存在なのだろう】


よぉ、この世界じゃどこにいってもこんな奴しかいねーのか?
まっなんだ、折角糞神のお膝元出会ったんだし仲良くお話………ってわけにもいかなそうな感じか?

オイ………聞いてんのか?


【人語を扱えるかも分からない目の前の怪物に対して語り掛ける人物の姿を、再び落ちた雷が照らす】
【緩いウェーブのかかったオールバックの赤髪に左が金で右が赤の淀んだオッドアイを持つ17歳程の少年だ】
【フードのついた黒いロングコートを細身にまとって、ジャラジジャラと貴金属を身体中に身に着けている】

【少年はヘラヘラと笑いながら怪物へと言葉を投げかける、―――二階で観察している二人組には気が付いていないようだが…】
185 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/27(土) 21:54:27.00 ID:AyDvVuSt0
//あ、私も複数問題ないです
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/27(土) 22:03:49.75 ID:WlfGnoEd0
>>176>>184

【雷鳴と共に、か…………それはふっと現れたように思えるだろう】
【二階部分の窓枠から差し込む雷の光が急に小さくなった、代わりにそこには不穏な風に運ばれてきたかのような黒い影が映ることになる、闇が形になったような鎧が……】

【それは何よりも黒かった、この世の金属ではないような そんな事さえ想像させる程に】
【柊が重なったような刺々しい意匠、肌を指一つ見せないような作り、異質な存在がそこに立っていた】

…………こんなところで実験か、しかも自らの兵を利用すると来た。
噂通りの人間だな、ソーンという男は。
初めましてだな、名乗っておこう、今の私の名は黒兜だ。

【その異常さはNo.1に"同胞"だと気付かせることも可能だろうか、勿論気付かなければいきなり銃でも取り出して撃ったっていい】
【そうしたって鎧が反撃するわけではない、彼は何も気にしないまま数メートル下の地獄を覗くだけだ】

【彼はソーンを知っている、ソーンの方は彼を見たことはないだろうが、部下が彼の部下に出会っている】
【更に言えばベクター、彼も知ることは無いだろうがこの鎧の男に"会っている"のだ】
【機関の為に動く彼の名は黒兜、くぐもった低い声はソーンのような老兵のそれだった】

……ああ、もう一人、誰か来ているらしいな、我々とは違うらしいが
あの実験体は強いのだろう……?性能が拝めるとは運が良いようだ。

【それから、下に迷い込んだらしい少年を覗いて、「まるでコロッセオだ」と冗談を口にするのだった】

/それではよろしくお願いします!
187 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/27(土) 22:15:01.94 ID:tiSM7TwDO
【路地裏】

【ネオンが灯りつつある大通りとは対称的な、薄暗い路地裏。陰惨な雰囲気が常に漂う場所を、1人の女が歩いていた】
【ゆるりとした衣服を着た、妊婦だ。妊娠期間も終盤に差し掛かっているのか、腹は大きく膨らんでいる】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をした彼女は、慣れた様子で路地裏を歩いていた。元より路地裏に住まう人種なのか】


……もう、こんなに。ふふ、いつ産まれてもおかしくないわね
流石は大司教様、といったところかしら。……こんな魔術、身につけるまでにどれ程の時間がかかることやら


【くつくつと女は笑い、重い腹をそっと撫でた。身重のせいか、その動作や歩き方は酷くゆっくりとしたものだ】
【武器も持たぬように見える妊婦。おまけに左手の小指には稀少であろうブラックダイヤの指輪がはめられている】
【路地裏の住民にとっては格好の獲物に見えるだろうが、さて──】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/06/27(土) 22:31:12.81 ID:zuhlQcndO
>>179

─────ん……?ああ、特に何があるってでもなかったかなあ……
でも、そっちはそっちで知らない内に得た物はあったらしいな……なんだそれ

【刹那、僅か月を見て青年は確かに頷き】
【振り返れば、かの王が其処に在る……腰に下げる剣は静かに己の存在を証明し】
【ならばいつの間にと青年は首を傾げ、そして何かと会ったという証左だと理解する】

随分と使い古してボロボロの……まさか、いや……その可能性がある島だっけか
戦場の香りがするけど、優男には重いんじゃないかそれは、もし要らないなら貰ってやるけど?

【寂れた剣、青年の目には或いは歴戦を経た剣として映り】
【元より彼とて剣に惹かれる身ならば要らぬと言うならばその手に納めたくもなるもの】
【だが、それが手離される事は無いだろうという確信はあるだからこそこの問いかけはただの冗談として、悪戯な笑み混じりに】

【伸ばした手に、かの剣の柄は確かに在る】
【謳われぬ者の振るったただの一振り、冷たく重く鮮烈な銀はやはり静かに語らぬまま】
189 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/27(土) 22:31:23.46 ID:Cp2kI86Fo
>>184-185

【若い研究員、名札に"J/K"と記載された彼が、手元に持っていた"スイッチ"を起動しようとした、その時だった。】
【爆薬が全てを焼き尽くすことになるその直前―――天運が彼を呼び寄せたのか、運命的に"男"は教会の入り口を開け】
【そうしてその"惨状"を目の当たりにし、臨戦態勢を整える―――この怪物を前にそういった行動が取れる、という事は、即ち。】


 『―――ッ!! なっ、侵入者……だと……!』

 声を静めたまえ、慌てるな。……監視状態は怠ったか?
 出世するには少し脇が甘かったようだな。まあいい、幸い此方には気づかれていない。
 それに―――見たまえ、あの様子を。"実験体"を前にしてあの好戦的な態度、気に入ったよ。丁度いいじゃないか。


 『……、まさか。』

 そのまさか、だよ。兵士では測れなかった数値が見れるかもしれん。
 やり手なら結構なのだが―――"獲物"にはなってくれるなよ、ニュービー<新参者>。
 さて、お手並み拝見といこうか。コーヒーか何か用意しよう、もう一人の―――客人が来た様だからね。

【慌てるJ/Kに対し、ソーンは冷静に指示を告げた。即ち、"戦わせろ"、という旨だ。】
【怪物―――丁度『猪』と『人間』とを"組み合わせた"かの様な実験体は、大きく吼え声を上げると】
【突然の侵入者たる"青年"に対し爪を剥き出して、颯爽と突撃。どうやら言葉は通じていないようだ―――!】

【そして、ソーンは静かに背後を振り返る。其処に現れた"異形の黒"を視界に捕らえると】
【『コーヒーはいるかね? 体色に似合うようミルクは要らないだろうが。』と、冷たい言葉を投げかけた。】

 『……黒、兜……? ソーン様、私はその様な名前を聞いたことは―――、』

 聞いた事が無いだろうな、彼は異端の存在だ。ナンバーズでも無ければ、六罪王でもない。
 だが、その実力は並の能力者を寄せ付けもしない程強大で、そして洗練されている―――"らしい"ぞ?
 ……ククッ。私もこの男と直接会うのは初めてだ。そう緊張するな、J/Kよ。彼は見かけと違い横暴ではないそうだ。

 ……はじめまして、"黒兜"くん。いや……声色から察するに、私と年齢はそう変わらないか。
 むしろ、年上かね? まあ、仮にそうだとしてもこの場ではあまり関係の無いことだが。
 それで、部下が世話になったそうだね。君の話は少しだけ聞いているよ、裏事情に精通していて、且つ―――

 ―――スパイとしても有能だ、とね。いやいや、只のウワサだよ。気を悪く、しないでくれたまえ?

【参謀。カノッサに古くから身を置く存在。恐らくは、多くの事情に精通しているのだろう。】
【ソーンは噂の一つだが、と前置きを置いて"黒兜"の核心に触れる様な発言をし―――そして、直ぐに黙った。】
【参謀と異形、お互いに嘘と噂の絶えない者同士の邂逅だ。ソーンも怒らせるつもりは無いのだろう、直ぐに含み笑いを称えた顔に戻り】


 ああ、そうだ―――これは我々の"実験"の一端でね。
 もし仮に自分の部下以外を利用するとしてだ、"水漏れ"してしまっては困るだろう?
 生き残る可能性はゼロに等しいとは言え―――任務の内容は上へ報告しなくてはならない。そうなった時、
 他人の部下や知らない兵士を利用するのは"捏造"において余りに面倒、不便極まりない。違うかね? 悪趣味なのではないよ。

 ―――最も適しているのが自分の部下だった。だから利用<殺>した、それだけの事だよ。


【冷酷に、ただ冷酷に。ソーンはそうつぶやく。】
【そして『尤も、イレギュラーが入ってきたようだが、ね。』―――とも。】
【実験体はジェノに踊りかかると、先ずは鋭い爪で身体をコートと金属アクセサリーごと、切り裂こうとするだろう。】
【力は鉄柱を容易に折り曲げられるほど強大で、爪はコンクリートを裂ける程鋭利だ。対処が遅れれば、一撃で危険に晒されるだろう!】

/それではお二人とも、よろしくお願いします。
190 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/06/27(土) 22:49:00.29 ID:KgiHiQ09o
【とあるレストラン】

【三ツ星だかなんだかを獲ったという有名な高級レストラン。いつも満席だが今日は少し雰囲気が違う】
【黒い高級車が駐車場に、入り口にはスーツを着た男が。テーブルに付くのはこの界隈で有名なマフィアの】
【幹部が数名テーブルについていた。周りには警護も同じ数だけ居る。だが広い店だ。他にも身なりの良い老夫婦もいる】
【逆にVIPが来ているせいで今夜は予約せずに店に入れることだろう。―――マフィアの集まる席でざわめきが】

『……いつ出てきたんだ?オマエ。終身刑じゃなかったのか?』

…恩赦がありましてね。…それで、出てきたんでね。んまァ、ご挨拶に。

【整髪料で撫で付けた黒い髪のオールバック、東洋系の顔立ちだ。コケた頬に無精髭。目はトカゲのように見開いている】
【ジャケットにシャツに革靴と飾り気のないシンプルな姿で一様に黒で統一していた。テーブルに掛けた幹部たちは驚いたまま】
【硬直し、周りの警護は思い思いの武器を構えて緊張している。トカゲのような目をギョロギョロと動かしてニヤリと笑い】

オレがブタ箱入ってる間にアンタらは犬小屋に入ったようで。老けたなァアンタらは…保身か?ん?
D.R.U.G.S.なんぞ仲良しやって、仲良く死んでくって素晴らしいもんだな。ん?素晴らしいぜ…

『相変わらずだな。オイ、お前ら。つまみ出せ』

【男はテーブルに乗った赤ワインのボトルを引っ掴み、ゴクゴクと喉を鳴らして飲むと、手を滑らせたかのように落とした】
【警護が男の肩に触れると、彼はとても自然に懐からダガーナイフを取り出してその警護を胸を何度も刺した】
【間髪入れずにマフィアは銃を抜き、撃ちまくる。店内に銃声が響き渡り、男は何発も受けたが…倒れることはなかった】
【まるで水で出来ているかのように穴は直ぐにふさがった。上着とシャツにだけ弾痕が残る。男は溢れだすように笑う】

悪ぃなあ…俺は能力者になったんだよ

【死体から銃を拾い上げて、セーフティを外し彼はマフィアの幹部1人をのぞいて、丁寧に撃ち殺した】
191 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/27(土) 22:49:35.08 ID:b4tNVuSfo
>>188

【手先から感じる、腰元にしっかりと重みを持って存在する剣の感覚】
【それを確かめれば満足気に、そして安心したように小さく笑い】

フフッ……冗談キツいよ、悪いけどこれは僕のモノさ
そういう"契約"だからね。……それにしても、キミの方は何も無し、か。

……困ったね、元々探していたものは手掛かりも無しだ
ナイフの方にそれらしい物も無いとなれば、島を歩くか
何か他の刺激になるような物を探す事になるけれど……、……どうしようか?

【自身にとっては得難いものを得た、そんな素晴らしい体験だった】
【が、元来の目的とは違う。青年に対する義理は無いものの】

【やはり、暇人なりに手を貸すといった思いも有るらしい。尋ねるのは今後の方策であった】
【こちら側から自由に記憶に干渉する、なんて事は六罪王でも出来ないらしく】
【愛玩品を愛でるように、剣の鞘に手を置きながら月を見て、考えを巡らせるのだった】
192 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/27(土) 22:52:54.76 ID:AyDvVuSt0
>>189

おーおー、中々威勢がいいじゃねーか!つっても言葉は通じねーかやっぱり
まぁその破壊に対する欲望≠ヘ気にいったぜ豚野郎ッ!

俺は『ジェノ』って名だ!よく覚えとけよ兄弟ッッ!!!


【相手が人語を理解しえない存在だと気が付くと若干残念そうに肩を落とすが】
【前方から突進してくる様を見ると、口元を大きく歪ませて笑ってから自らの名を名乗り上げる。】
【敵が人語を理解しえないとわかっていながら名乗るのは礼儀か、それともこの場にいる第三者へ向けてなのか―――。】

【そして鋭い爪が振り下ろされる瞬間に右側に大きく身体を飛び引いて回避する】
【だが、想定より敵が早かったのか左腕は爪のほんの先端が引っかかりコートが引き裂かれ、腕からは血が流れる】


ってて、オイオイちょっと先っぽがふれただけでこの有様かよ………脆い器だなオイ
まぁいいや、どうやら俺が思っていたより遥かに愉しめそうだな。

―――んじゃまずは………右≠ナ試してやるよッッ!!!


【ジェノはそのまま礼拝堂内にある長椅子の背もたれ部分に着地する、細身とはいえ大した体幹を持っているようだ】
【そして切り裂かれた左腕をまるで自分のものでないかのように眺めたあと、怪物の方へと向き直る。】

【直後、ジェノの赤い右眼がまるで燃え盛るように輝きだす。】
【同時に右腕に蒼い炎≠ェ出現し、ジェノは一度後ろに腕を引く動作をしてから思い切り振りぬく】
【すると腕に纏われていた蒼炎がまるで生き物のようにうねり動きながら怪物の胴体へと放たれたのだった】

【この蒼炎、もし直撃すればそのばで爆炎を発生させる。侮れば予想外のダメージを受けるだろう】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/06/27(土) 23:04:26.26 ID:zuhlQcndO
>>191

─────ん、いや大丈夫だよ
これは所詮オレだけの問題だ幾らアンタが偉い人でもそこまで頼りにする訳にもいかないし
なによりその剣、得たって事は何かしらの意味があるってことだろ?だったらそっちに集中してやんなきゃ

【義理は要らぬと青年は告げる】
【まずそれよりも先に果たすべき義務を果たせと、腰に下げた重みのその意味と価値を見出せと】
【そう言ったのは或いは手にした銀色の福音によるものなのかもしれず】

ま、始末が終えればその時にでも付き合ってくれりゃ……それはそれで面白いかな
なんせこの島の仕掛け人だ、案内してくれるならこれ程良い人材も無い、だろう?

【ナイフを収め頭の後ろで手を組みながら青年は来た道を戻り始める、行く先に月明かりは疎らに】
【遠き世界に呼ばれた者と何処へも行けぬ者、その戻る道が同じというのは何処と無く可笑しな話に思えて】
【誰に見られるでもなく青年は鼻で笑い飛ばし歩みを進める】


【櫻舞う湯治の場、六罪王程の情報網ならばそこが何処にあるかというのを探のは容易だろう】
【六罪王の推測の通り、かの場所は櫻の国の北部となる幾つも立ち並ぶ深き山々の内の一つ】
【幾つもの剣が連なるように奉じられた道を征けば、そこには時の流れに飲まれ花を咲かす事を忘れた巨木と今や枯れてしまった湯の名残りがあり】
【そして錆びて朽ちた剣達の墓標となっている】

【剣はその場に征けと囃し立てる、言葉はなくしかしそれは焦燥として身を襲う】
【更なる血の昂りを、更なる戦場を、更なる生命の輝きを、求める者がそこに居る……と】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/27(土) 23:13:37.60 ID:WlfGnoEd0
>>189>>192

そこまで情報を手に入れているとは、No.1は伊達にはならぬか。
しかしスパイというのは少しだけ違うな、立つべき位置に立っていればそれだけで周りが集めてくれるだけに過ぎない。

だが……侮れぬ男であることも今理解した、改めて挨拶といこう。
貴方の作ったベクターは強かった、それにあのダグラスと見ていたが "弾"末魔による暴走…………あれも中々のものだった。
尤も、セリーナ・ザ・"キッド"には逃げられたようだが……それも恐らくは想定の範囲内だろう。
しかしながら あの女も強い、手合わせしたが引き分けたよ、本人は知らぬ事ではあるがな。

【兜を付けたままでは飲めぬだろうとコーヒーを断りつつ、下の怪物を見ながらソーンらを評価して】
【一桁ナンバーたるソーンだけに見せるなら兎も角、すぐそこの研究員や下にいる部外者にまで見られるわけにもいかないからか】
【断った理由はきっとそれだ、正体は余りというか 明かしたくはないらしかった】

それにしても、あれはキメラによく似ているな、知性は余り無さそうだが。
数年前に襲撃された研究所で誰だかがキメラを造っていたらしい、今はその技術を水の国に盗られたそうでな。
先日の地の国の探索でも送られていた、自在に力を引き出せる人の形をした魔物だ。

権力や地位に踊らされる者というのはいつの世も虚しい存在だな。

【怪物と少年のぶつかり合い、青い炎に照らされながらその動きを少しの狂いもなく目で追っているようだった】
195 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/27(土) 23:22:58.53 ID:b4tNVuSfo
>>193

ん……それは確かにそう、だけれどね。
……分かった、キミがそう言ってくれるなら、僕は行くよ。
また機会があれば同行するさ。いくつか、面白い場所も有るからね

【青年が自分よりもその剣を、と言ってくれたこと】
【それに小さな感謝の気持を覚えながら、一つ確かに頷いて】

【やがて彼が元来た道を歩んでゆくのを後ろから眺めつつ、思いを馳せる】
【あの櫻が舞う土地は何処なのか。その答えは、手先から帰ってくるようで】
【数日と経たずに場所を特定すれば――無論、其処を訪れる】


【突き止めた土地は山深く。本来であれば何らかの足を用意するが】
【その日、ダグラスは自身の足で山へと分け入り、彼の地を訪れていたのだった】
【それは剣への誠意のような物だったかもしれない。気高い戦いの鬼に対し】
【あまり気易く尋ねて行っては不敬だ、そんな思いがあるように思え】

(……剣は錆び、湯は枯れ果てて人もなく、か。)
(神秘的なのは変わらないね。こういう空間、僕は好きだな)

【白いシャツは所々汚れていた。しかし気にすることもなく、剣の柄に手を掛けると】
【凛とした音を立てながらそれを抜き放ち、他の剣と同様に大地へ突き立てる】
【それが何かの引き金になるのであれば、それで良し。そうでなければ――いや、それでも】
【どこか満足そうに、立ち尽くす。枯れた中に感じる風情を楽しむかのようだった】
196 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/27(土) 23:41:53.30 ID:Cp2kI86Fo
>>192

【野獣の爪は華麗な後退により回避される―――どうやら、機動力では"ジェノ"が上か。】
【そう、"ジェノ"―――そう自らを名乗った青年に対し、ソーンはニヤリ、と口元に笑みを浮かべた。】
【わざわざ怪物を"兄弟"呼ばわりするのも不思議だったし、何より名乗りを挙げた、ということは―――。】


 ……ククッ。まあ、"どちら"でも問題は無い。
 問題は我々が"誰"で、そして実験体が"何"であるのかを理解しているか、どうかだ。

 「……悠長なこと、言って居られない様ですよ。どうやらお相手さんも、"使い手"らしい。」

 結構、結構。能力者との戦闘ともなれば得られるデータは大きい―――
 ほう、炎を生み出す力、か。付随して眼光が輝いているが、……なるほど、制御の仕組みは"眼"か。


【攻撃が回避されたことで怪物は前のめりになり、そのまま教会にあった椅子や机を粉々に吹き飛ばす。】
【だが直ぐさま受身を取ると臨戦態勢を整え、そしてもう一度、雷光の中猛々しく咆哮を上げ、突撃を再開した。】
【生み出された炎、眼光が真っ赤に輝いた直後向かい来る爆炎を怪物は―――避けない。そのまま直撃し、そして】


 『―――っ!!』

 ……爆発、か。


【―――爆風が椅子を弾き飛ばす。怪物は炎と衝撃で吹き飛ばされ、教壇の方へと吹き飛んだ。】
【だが、そのまま教壇へ背をぶつけ、そこで体勢を立て直すと―――刹那、まるで何とも無かったかのように、】
【攻撃を再開するだろう。とてつもないタフネスだ、獣は確かにダメージを負いながらも、三度ジェノへと襲い掛かった。】
【まず、振り上げた腕による二連撃。両の爪による殴打が襲い掛かり、その後手近にあった長い机を引っつかむと―――。】


 「―――――ゴオオオオオオオッ!!」


【怪物はそれを"鈍器"のように扱い、ジェノを叩き潰そうとする―――ッ!!】
197 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/27(土) 23:42:14.41 ID:Cp2kI86Fo

>>194

【スパイと違う―――そう語る黒兜に対し、J/Kは畏怖の念を、そしてソーンは興味を覚えた。】
【確かに、潜入というと印象が変わるのかもしれない。だが、それは潜入よりもずっと効率的な方法だった。】
【正体を隠す必要こそあっても―――どちらにもどちらかの正体が用意されているのだ、ある意味で画期的と言える。】

 ……ほう? つまり、君の"情報収集"はあくまで付随要素でしかない、と。
 ……クックック。面白い男だ、普通なら立つべき位置とやらを手に入れるのに長い時間を要する。
 そして恐らく、君も長い時間を掛けて人生を費やしその"立ち位置"を手に入れた筈だ、なのに―――なのにだ。

 それを全て"売る"様なことが平然と出来る―――恐ろしいものだよ。
 スパイには"本性"がある。分かりやすく言えばどちらの側についているか、という本性だ。
 だが君は、どちらにも"位置"があるという。そうだろう? ―――聞くのもおこがましいが。君は、我々の味方、かね?

【J/Kは困惑していた。まだ、黒兜を信用できない、と言うように。】
【一方で、ソーンは落ち着いた様子を崩さない。そればかりか、面白いとでも言うかの様。】
【黒兜を試すように"仲間なのか"と、そう尋ねるだろう。―――どう応えるかなど、分かりきっているのに、だ。】

 む、ベクターか。……まあ、そうだな。私が作った、と言えばそうなる。
 があくまで、私は"操縦"がメインの参謀だよ。製造は私の部下だ、お褒めの言葉を頂き光栄だが、ね。
 それにしても―――セリーナ・ザ・"キッド"、ほう。アレともやりあったのか、しかし君とも在ろう者が珍しいね、引き分けとは。
 
 ―――君なら本気を出せば、あの程度の小娘ごとき容易に捻り潰せそうなモノだが。
 それも"立場"の弊害かね? ……っくっく。冗談だよ、だがアレに逃げられたのは微妙に、誤算でね。
 本当は、アレに"注目"を集めている間に、もっと我々が裏で事を成すつもりだったのだが。上手くはいかんね。

 尤も、問題は無い。一度暴れている以上、"小娘"を信用しない類の"正義気取り"共は大勢出てくるはずだ。
 それにUTという気に入らん烏合の衆も暫くは静かだった、それだけでも占めた物だよ。
 何より、面倒なら君に頼めばいい、だろう? ―――消してくれ、と頼めばいつでも君が殺せる筈だ。

 ……なんて、ね。冗談だよ。なに、仲良くなるには小粋なジョークが一番だ。
 それで、キメラ、だったか。ああ、近いよ。正確には"獣人"だがね。
 我々にはその"技術"とやらが無かったため、これを生み出すのに時間が掛かったのだよ。
 失敗作は大量、そもそも実験台を用意するのも一苦労、そこで―――地の国に目をつけた、と言うわけだな。

 ―――知っているか? 地の国の首都が抱える"闇"を。
 面白いものだぞ、国は大きくなれば成るほど、腐敗の匂いを強く深く滾らせる……。
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/06/27(土) 23:54:48.08 ID:zuhlQcndO
>>195

──────────

【始まりは風、一陣の風がただ流れたならば】
【草木がざわめきをあげ枯れた葉が虚空へと舞い上がる】
【次いで微か魔翌力が昂りを見せる、その根源は剣であり彼が突き刺した一振りが引き金】
【ひとつがふたつに共鳴し、ふたつがみっつにやがてそれは無数に共鳴が重なり輪唱のように周囲へ高らかに響く】

【周囲に魔翌力が満ちる頃には音は荘厳な戦場音楽としてその場の全てを支配するだろう】
【かつて枯れた筈の岩作りの湯船には銀の魔翌力が満たされ空に浮かぶ黄金の真球が浮かばれる】

─────……問う、私を喚びしは何者か

【一切を溶かす魔翌力の奔流はそれ故にあらゆる物を生み出す】
【銀の魔翌力、その霞より作られ水面に浮かぶ形なき人影が現れるのは唐突だった】
【姿が曖昧ならば声は男とも女ともとれぬもの、異形と言うも良しだが或いは彼には彼だからこそその意識が何者であるか分かる筈で……】
199 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/28(日) 00:10:34.48 ID:iK3V6kZDo
>>198

名はダグラス・マックスウッド。この剣に戦を捧げると誓った者さ
六罪の王の一人を名乗っている、というのは
そちらにとっては不要な情報かな。……問題は『剣』を振るえるかどうか。そうだろう?

【共鳴する剣の魔力。周囲一体を支配するその強大さにも】
【一歩も轢かず、畏敬というよりも対等な感情を以って向かい合う】

【堂々と名を告げ、言葉を交わす。その姿には、見た目から来る弱さは無く】
【真っ直ぐに黄金の真球、或いは霞の人型を見据えると】

……そもそも、僕を此処に呼んだのはキミ、だろう?
迎えに来たと言えばいいのかな。それとも、挨拶の方が適切か……。
どちらにしても、此処まで来たんだ。その力、改めて拝領しに…――ね。

【相手が誰かは、微かな感覚ではあったが、確信めいたものを持っていた】
【小さく首を傾げて問いかける。人影はすなわち、『剣』では無いのか、と】
200 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/28(日) 00:18:52.13 ID:hoRP8fI40
>>196

ハハッ!こんなもんじゃまだまだ温ィみてぇだな?
面白れぇ………どこまでその破壊衝動で持ちこたえられるか試してやるよ―――。

ってオイオイその攻撃はもう見飽きたっての、これだからただの化け物ってのはよ………。

【爆炎を喰らいながらも依然として攻撃を緩めることのない怪物を見ながら眼を細めて笑う】
【そして再び振り下ろされる爪での攻撃に対し、今度は完璧なタイミングで後方へと飛び退いて】

【一つ後ろの長椅子へと着地し、再び蒼い炎を右腕に出現させて攻撃しようとした矢先―――】


―――ッやべ!?


【慢心したのか、その後に振り下ろされる長い机での打撃に対する反応が鈍り、一瞬後方に飛ぶが】
【叩き潰される事は回避できたものの、勢いよく吹き飛ばされそのまま周囲の机や椅子を巻き込みながら壁に叩きつけられる】

【ジェノは粉塵に包まれながら、頭部から血を流し項垂れる。】


あ〜やっちまったなぁ…ただワンパターンな攻撃だけする豚かと思ってたぜ。
まぁこの程度を避けられなかった俺の油断もあるが………ここ≠フ生物も存外面白れぇな。



いいぜ―――褒美をやるよ。


【頭部から血を流し、大ダメージを受けながらもその顔には歪な笑みを浮かべ心底嬉しそうにそう語る】
【そしてボロボロになったコートから埃を払いながら立ち上がり、物言わぬ怪物に向けて賞賛の言葉を送ると】

【―――次の瞬間には怪物の頭上へと跳躍する。その右腕には先ほどよりさらに濃い¢悼鰍ェ纏われており】
【それを怪物の頭上から叩きつけるように放つ―――怪物にせよ床にせよ、着弾した瞬間に先ほどの倍ほどの爆炎が発生】
【さらに幾つもの火柱も同時に発生し、怪物も含め教会のあらゆるものを焼き払おうとするだろう。】
【それは二階とて例外ではない―――。】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/28(日) 00:31:51.66 ID:+GyavcuM0
>>196-197

【怪物の方は恐らく戦略というものを考えるわけではない、しかし知能がない、考えないというのは時に強力でもあり】
【でかい衝撃でも与えぬ限り怯むことがないのだ、体力を気にして緩急がつくこともない、その点で言えばジェノと名乗った少年にとっても厄介な筈だろう】
【衝動のまま動く、単純ゆえにあの怪物は強力だ】


恐ろしい、か…………知識や経験は財産という言葉が存在しているな。
そして財産に頓着のない人間も居る、自分で言うのも可笑しな事だが 私はそれだ。
"そうやって作られた"と言ってもいい、その為に生かされているようなものだ。

…………フ、味方か………………目的や所属が一致するものを表す言葉であるならばそうだろうな。
だが時に彼らにも"手を貸す"、そうして積み重ねてきたからこそ"信頼"というカーテンが生まれるものだ。
貴方も赤ん坊の時から使命を注がれていれば、簡単にそこからの景色を拝められただろう。

【少なくとも"黒兜"はソーンらカノッサ機関の味方だ、それは間違いない】
【積み木が崩れるには柱が不安定になっていればいい、黒兜としての役目はそれなのだから】

望むのなら圧迫もしてやろうか、奴らは酌み交わす酒が毒だとは考えない。
誤射という形でも良いだろうが…………そうなったら指示は貴方に任せよう。

…………確か地の国は過去に人身売買が行われていたな、私が若かった時にそれは既に知っていた。
だが地下にあったあの施設、あれが一体何なのか…………興味はある。
凡その見当はつくが、わざわざ国の老害に聞くのも面倒というもの、今ここで話して貰えるか。

【言い終えた直後、巨大な爆炎が黒兜達に迫った……!】
【しかし黒兜は逃げるような動きをすることはなく、寧ろ片手を突き出して受け止める体勢だ】
【掌からぶわっと、ジェノの実物の炎よりもやや透明感のある蒼黒い焔が拡がると、それが盾のようになって炎を呑み込む勢いで自身からソーン、J/Kまでを防ぐのだ】
【近くのソーンやJ/Kには、その力が能力だけではない事が感じられる筈、黒兜の体内から "宝玉"の気配がするのだ】
【ひょっとしたら下にいる者にも感じられるかも知れない、それだけ大きな力が放たれていたのだ】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/06/28(日) 00:41:35.12 ID:ZRssM2o+O
>>199

その考えは近くて遠いな、私は私であり……それでしかない
剣に遺された血、それにより導き出される記憶……といった所か

【紡ぐ言葉はダグラスの認識を拠り所に女の物へと変わってゆく】
【かつて聞いた声はしかし姿が曖昧が故に掠れてもいる、それというのも今の世に存在を定着させる楔が無いが為】

【声は与えられた、ならばもう少し己を定着させる必要がある────人影は水面に波紋を残しながら近づき】
【ダグラスのその手首へと形なき指先を触れる、暖かくもなく冷たくもない不定の魔翌力】
【導き出されるは契約の紋章、手首を一周するように刻まれるであろう剣がモチーフとなる紋章は、見方によれば或いは手綱とも捉えられる】

まだ足りないか……姿が落ち着かないな、足りない物と云えば正直おもいうかばないのだが……
はてさて先に戦いがあるというのにこれでは剣さえも握れない、貴様は何か心当たりは無いか?

【人型の霞はその姿をより人に近づけたがしかしそれでも人たり得ない】
【この世への束縛は自ら紡いだ、代価となる血と魔翌力、依代となる剣も捧げた】
【となれば他に必要となる物は果たして何になるのかと人影は首を傾げ尋ねる】

【この世の物には全て名を与えられ生まれる】
【暁の魔女然り、最果ての機械人形然り……しかしかの者に生来の名前は在らず】
【ならば在るべき名を与える事こそが、剣さえも気付かぬ楔を施す事こそが受肉の引き鉄となるだろう】
203 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/28(日) 00:52:59.09 ID:3lIVjx6Po
>>200

【両の爪の攻撃は、言わばブラフだ。当たろうが当たるまいが、関係なく。】
【問題は次手で彼が"回避"をするであろう事、そしてその時距離を開けられたとして】
【尚も攻撃を届かせる手段が必要だ、という事であり―――そしてその為の机による一撃。】

 「グオオオオオオオオオッ!!」

【獣人は吼えた。一撃で脆くも崩れた木製の机を放り投げると、今度は跳躍し】
【上空にぶら下がっていたシャンデリアを引っつかむと、それらを引きちぎり着地、長槍の様に構えて】
【更なる攻撃を叩き込むべく疾走―――しようとした所で、ジェノがふらり、と立ち上がった。直後、開始される怒涛の火力攻撃―――!】


 「――――!?」

【猛烈な炎が、頭上から実験体を襲う。爆炎が怪物の頭上に直撃した時、衝撃波が教会を襲った。】
【溢れた炎が窓を焼き払い、付近にあった聖書を焼き尽くし、十字を弾き飛ばし、そして床や壁を穴凹だらけにした。】
【火薬―――は、用いていない。となれば、爆発を引き起こすこと自体が能力か。ソーンは冷たい視線を向けるが、その時―――】


 『……火柱ッ!?』

 ……ほう。これは、不味いな―――、

【立ち上がった火柱が次々に周囲を焼き払っていく。その攻撃は二階にまで及び、そして―――!】


>>201

【―――瞬時に、黒兜が炎へと対処する。一瞬の出来事だ、振りまかれた火の柱を】
【手を翳すと言うその行為だけで、黒い火焔が現れて全て防ぎきってしまう―――矢張り、恐ろしい。】
【ソーンとJ/Kは彼の掌から発せられる宝玉の気配に息を呑んだが、直ぐに平静を取り戻すと先ずは礼を言うだろう。】


 ……くっく。いや、なに。くだらん質問をしてしまった様だな。
 確かに、君は"こちら側"の人間の様だ。助かったよ、護ってくれて感謝する。
 私はNo.1などと言う肩書きこそ持っていても、個人での戦闘力は一般の兵士にも劣る程でね。

 ―――尤も、攻撃が"炎"だった今、対処は出来たのだが。
 それでも、対応が遅れれば焼き殺されていた。有難う、黒兜君。
 それで―――酒に毒、と言ったか。君も中々悪い男のようだね。

 もしそんな事が可能ならば、是非とも願いたいところだ。
 なに、タイミングはそれこそ君に任せるべきだろう。その方が、成功率はぐっと高くなるだろうから、な。

 ところで―――獣人の方はもうだいぶ、危ないようだ。
 オマケに炎はこちらまで及んでいて、加えて君が今能力を使ったことで"彼"に此方の存在は知れ渡っている筈。


 ―――地の国についてお話する前に、邪魔者を片付けるとしようか。

【ソーンは黒い焔から身体を出すと、ジェノに対し言葉を言い放った。】

>>200

 やあ。寝床を探している割には、随分と派手な攻撃をするのだね、"ジェノ"くん?
 お陰で私のペットはボロボロ、そして君の今夜のベッドは焦げ焦げ、だ。
 まるでナムのフェの王城だよ、最近の若い子は知らなそうだが―――ふふ。

 君に選択肢を与えよう。一つは"何も見なかった"という約束を此処でして、私の仲間になること。
 もう一つは―――言うまでもないが、そうせずに教会の十字架の下に埋められること。どちらが好みかね?
 
 ああ、因みに私の名前は―――、"参謀"、とだけ言っておこうか。

【黒いローブに、銀髪のオールバックを携えた老齢の男は、参謀、とだけ名乗り】
【そしてジェノに選択を迫るだろう、見たことを黙って自分の仲間になるか、それとも―――と。】
204 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/28(日) 01:00:18.50 ID:iK3V6kZDo
>>202

(成る程ね……そういう類の存在か。だとすれば、僕の記憶……)
(或いは剣を依代として形を持つことになるんだろう、けど…――?)

……足りないもの、か。血も魔力も、振るうべき剣もある
となれば、それは……あぁ。そうだね、少し待ってもらえるかな

【――"名前"だ。足りないものはまさしく、『剣』につけるべき名前だろう】
【魔術の世界にも真名という概念があったように思う。つまり、存在の根底に】
【何者にも呼び名が居る。ざっくり言ってしまえば、製造ナンバーの様なものだった】

【ただそれを付ける上で、ダグラスという男は思想家だ。政治的にではなく、芸術的な方面に。】
【思い浮かんだのは幾つかの候補。そのいずれもが、彼の生まれ故郷の作品に由来していて】

そうだね……"ランドグリーズ"、というのはどうかな。
キミの名前だよ、この世に打つべき楔のようなモノさ

故郷に伝わる神話に出てくる、戦女神のそれを借りている。
そして、その名の意味は『盾を壊す者』……すなわち剣であり、力だ
お気に召すといいんだけれど。どうかな、この名は。

【楽しげに笑いながら様子を見る。与えた名前が良しとされれば】
【その笑みはより大きくなるだろう。そうでなければ、また次を勘案する】
【すぐそこに居る、権限した力に魅せられているようだった。それこそ、何かに憧れる子供のように。】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/28(日) 01:16:45.66 ID:+GyavcuM0
>>203

対処は可能だったか、まあ、そうでなければ今まで生き残ってはいない筈だ。
頭脳は力を征するとでも言うべきだな、それがNo.1たる貴方の力の源だ。

セリーナは銃が無ければやはり人間だ、私と違って弾が無くなれば殴ることにしか使えぬもので今までを生き抜いている。
今、心の臓を貫くことははっきり言ってしまえば容易いだろうが…………それは御言葉に甘えて自分のタイミングで決めるとしよう。
(……もしかすれば、より強く成長させてぶつけるかも知れぬがな…………)

【表情が見えないというのはこんなにも相手の深意を見えなくさせるものなのか】
【敢えて生かすという選択肢も黒兜は選び兼ねない、味方ではあるが"本当の顔"を見せようとはしないのだ】

………………手出しが必要なら言え、説得で終わるならそれで構わないが…………

【黒兜の腰には一本の武器が差してあった、グラディウスという短剣、その刃も黒で形成されているが鎧程ではない】
【ただどうやらこの黒い金属は能力を伝導する力が強い、先程の片鱗を見ればそれを抜いた時の威力は想像できるだろう】
【しかしやれと言われるまでは動かないつもりらしい、任せるも待たせるもソーン次第か】
206 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/28(日) 01:23:30.25 ID:hoRP8fI40
>>203

まだ息があるか―――大したもんだなモンスター=B
そこで大人しくしてるんなら次は欠片も残さず吹き飛ばしてやるぜ?

【爆炎によって周囲のすべては薙ぎ払われ、未だ蒼炎が礼拝堂の各所で燃え上がる中】
【ジェノはその蒼炎の只中をコートのポケットに両手を入れながら歩き、ダメージを負った怪物へと近づいていくだろう】
【そこに笑みはなく、逆にどこか寂しそうな顔をしながら怪物を見るだろう―――まるで名残を惜しむかのような】

【そして二階部分から声がかかると眉を吊り上げて無表情のまま三人の観察者へと視線を向ける。】

誰だお前ら………?

―――まぁ、俺は短絡的なんでね、アンタのペットやらが随分と遊んでくれるから
寝る気も失せてヒートアップしちまったぜ。


ハハッ!そりゃ随分と余地のねー選択肢だなオイ!ハハハハハハッ!
そうだなぁーまぁ今日の寝床とそれなりの財£供してくれるってんなら考えてやってもいいがなぁ。

………だがこれまた欲深そうな%zらが三人、となると二つ目の選択肢も魅力的だぜ。
まぁ流石に左≠熾K要にはなりそうだが。



―――結論から言えばどっちでもいい≠セ、答えになっていなくて悪いな参謀閣下=H


【激しい戦闘によって垂れてきた前髪を再びかき揚げながら、ジェノはそう回答する。】
【成程、本人も言った通りかなり短絡的思考を持っているようだ。】
【これでは仮に前者の流れになったとしても気分によって裏切るという可能性も捨てきれないか】


【そして、言葉と同時にオッドアイの左目………つまり金≠フ瞳が今度は淡く輝きだし、大気が震える】
【―――もしやこの少年の能力は―――。】


【「まぁまずはこいつをなんとかしてやってくれよ」】
【と、臨戦態勢に入りかけたところでジェノは先ほど爆炎を喰らわせた怪物を指さしてそう発言する。】
【「なんとか」というのは手当なり回収なりという事か、戦いを通してよほどこの怪物を気に入ったのだろうか。】
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/06/28(日) 01:36:49.84 ID:2d3I7xEYO
>>204

ん……?ああ、そうか……そうだな
生まれてから死ぬまで、きっと私に名前はなかったのだろう
呼び名ならば幾つもあったがこの身の来歴を示す名は、そうだな今この場にて主より受けよう

【「担い手」「斬姫」「戦火の悔恨」或いは「選定者」】
【並べられる名はしかしただのパッケージとしての意味でしかなかった】
【だがこれからは違う、全てが終わってそしてここで漸く与えられる物がある】

名を「ランドグリーズ」として拝領し、ならばこれより剣として再誕する
視線を阻む一切の壁を尽く斬り伏せ、迫る力の一切を差別無しに切り進み、求める物へと切り結ぶ
喜べ主よ、今より貴方はその手に剣を手にするのだからな――――――――

【水面の魔翌力が一際騒ぎ瀑布の如く爆ぜ踊る、秘するよう奉るよう祝うよう】
【収束する力の中で剣は叩かれ磨かれその姿を確かな物として変えてゆく、刻む傷と想い】
【視線にて斬り裂き、先へと結ぶ導となる】

そして、無論だが随分と待った分の昂ぶりは晴らしてくれるのだろう……?

【途端、力は更なる収束を見せやがて朝靄のように解けて消える】
【そして現れし姿、その全ては刃を根源とする「銀」だ、幾つもの軍場を越え鍛えられた無双の一振り】
【結った髪は滑らかにしかし鋭く、身を包む鎧はその在り方の通りただただ頑強な様を示す】
【首を覆う鎧の間から微か覗く印は紋章であり首輪、主と定めた物と対になる楔】

さあ、これからの戦場に剣を立て向かい……征こうか

【泡沫と散った魔翌力を依代に騎士の手に剣が現れ、空を裂く音がひとつ】
【その一閃で行き場を無くした魔翌力は散逸し、朽ちた桜の巨木に銀色の花弁を添える】
【銀の景色のその中に、遠きよりの1人の騎士がこの場へと再びの戦いの場を求め喚ばれる】
208 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/28(日) 01:43:47.44 ID:3lIVjx6Po
>>205-206

【黒煙の中から姿を現したソーンは、じっと青年の姿を見やった。】
【ロングコート、ジャラジャラと音を立てる金属類、好戦的な金髪のオールバック】
【そして特徴的なオッド・アイ―――焔を操る時には赤く輝いていたそれが、現在は金色に。】

 (―――瞳の色に応じて、操る属性を変化させられる能力者、か?)
 (仮にそうだとすれば、それはそれで丁度良い。操れるのが"属性"攻撃だけなら、だが。)

 ……ああ、まだ息はあるようだな。とは言え、それも量産品の内の一つ、
 言わば数を揃えてこそ力を発揮する類の"兵器"だ。単独で出来るのはここまで、だろう。
 
 さて、先程言ったとおり私は今此処でジェノ君、君に見られた事をあまり口外されたくないのだ。
 とはいえ……君の様子を見ていると、私の部下として扱うには少々骨が折れそうだ。
 気分屋、と言うよりも君は単純に"小汚い事"が許せないタイプの人間だろう。違うかね?


【ソーンは焼け焦げた階段をひとつ、ひとつとゆっくり降りて行く。】
【途中、天井の一部が崩れ落ちるがまったく意に介さず、焔の中を突き進み】
【そして正面からジェノと相対すると、黒いローブの中から一丁の拳銃を取り出す。】


 ―――簡単なテストをしようか。
 君は今、"獣を何とかしろ"、とそう言ったね。
 気に入ってもらえたようで何よりだ、自信作なのだよ。

 ―――だがまあ、こうなってはもうどうしようもない。
 それに、さっきから何度も言っているが、"証拠"は残したくなくてね。


【ソーンは呻きながら立ち上がろうとする怪物に近寄ると、容赦なくその頭部に銃口を突きつけ、そして―――】


        【ターン】             【ターン】

                   【ターン】
  【ターン】     【ターン】               【ターン】


 
  ―――なんとかしてみたが。これで良いのかね、ジェノ君。
 改めて聞こうか、君は―――仲間になるか。それとも、此処で散るか。



【何の容赦も無い。微塵も、やさしさと言うものを見せ付けず。】
【冷酷に、ただ冷酷にソーンは引き金を引く。そして、銃を握っていない方の指を】
【ローブの中に入れると、ブラインド・タッチで携帯端末を弄くり、"J/K"へと文章連絡を送信。】


 『―――黒兜様。裏口を使ってヤツの背後に回りこめ、と……ソーン様から連絡が。』

【J/Kはジェノに聞こえないよう小声で、口をなるべく動かさずに―――黒兜にそう告げる。】
【逃げた、と思わせて背後から襲わせる戦法だろう。なるほど、注意を自分に引き付けて置く辺りが、何とも嫌らしい。】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/28(日) 02:04:45.56 ID:+GyavcuM0
>>208

(抜け目ないとはこのことだな、付き合っても損はないだろう)
(全ては奴の返答次第、か、まあ難しくはないはずだ)

【ソーンからの指示を受けて踵を返してその場から離れていく、一階から二階へ見える範囲なら確かに退却にも見えるだろう】
【窓から飛び去ったようにも見えたが、それは勿論裏へと回るため、鎧は重量感のある外見とは裏腹に軽く小さな着地音しか立てず】
【殺意も鎧に閉じ込められたかのように感じさせない、それはきっと黒兜本体の実力によるもの】

【命令があるなら即座に斬る、ジェノの裏側で腕組みしながら待ちはするが それで反応が遅れることは決してない】
【それは油断ではない、慢心でもなければ…………余裕と言うのが正しいのか】
【何れにせよソーン次第で何をするか分からない、今 いきなり斬りかかることはないだろうが】
【必要なら背にしている"壁ごと"斬ることも、その能力なら可能に出来る筈だ】

【それまではただ植物のように、ただの鎧のように、ピクリとも動かないだろう】
【ソーンに危害が加わるようなら迷わず殺しにかかる、黒兜はやるのはただそれだけだ】
210 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/28(日) 02:06:18.90 ID:hoRP8fI40
>>208

いやまぁ確かにめんどくせぇ事は考えずにパパッとやっちまう主義だがよ
別に小汚い事が嫌いってわけでもないぜ?俺は欲望≠チてのが大好きなんでな。

まっ、傍から見ればそういうタイプに見えるのかねぇ
なんだよ度量が小さい野郎だな、そこは扱って見せると堂々と宣言してくれた方が―――


【ソーンの言葉に自分の中でも考え込むように顎に手を当てて返答していく】
【階段を降りてくる相手を視線で追いながら、自分を扱うには少々骨が折れる≠ニ評価する言葉に肩を竦める】

【そうして話している間に、容赦のないソーンの行動によって怪物の血が頬に付着する。】
【ジェノはその付着した血液を指で拭って眺めると、口元を大きく歪ませて笑う】


―――ッハハ!こいつはとんでもねぇ奴に出会っちまったな。
いいね、その欲望=c……こっちに来てから日は浅いが今まで一番濃厚なやつだ。

お前もしかしてあれか?GIFTとかいう組織か機関とかいう組織のどちらかのオウサマか?




まぁなんだ………手前が売ったその喧嘩、買ったぜ=\――!!!


【轟ッ!!!】
【瞬間ジェノの周囲の空気が一気に爆発し、周囲に蒼い爆炎が吹き荒れる。】
【同時にジェノの赤い右眼≠熏。までにないほどに光り輝き、ジェノはそのままソーンへと駆ける】
【そして右腕に蒼炎を纏ったままソーンの顔面を鷲掴みにしてそのまま巨大な爆炎を直撃させようとするだろう】
【勿論完全にソーンの術中であり、背後は炎があるとはいえ完全に留守である―――現段階においては】
211 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/28(日) 02:09:38.00 ID:iK3V6kZDo
>>207

【魔力が爆ぜ、周囲に広がっていた目では捉えきれない力の本流が】
【ただ一振りの剣へと収束されてゆく。それを見ながら、ダグラスは頷いた】

【名を与えた『剣』の主として、そのものが力尽きるまで戦を与え】
【また享受する喜び、満足感、充足や期待。全ての感情を飲み込むようで】
【やがてその姿が完全な物として顕現すれば、首の印と、自身の手首を見比べ】

……あぁ、だいぶ待たせてしまったみたいだからね。
キミのために上等なのを用意してあるよ。きっと、歯応えは十分さ

戦の相手は、強くてね。キミがこれまでに経験した強者たちとも
きっと並ぶか、越すほどさ。……嘘じゃあない、付いておいで。
僕の向かう先に彼らが居るんだ。嫌と言っても、キミには踊ってもらわないと。

【全き騎士として受肉したランドグリーズ。それを誘惑するように、声をかける】

【戦い、殺し、殺される為に動く存在であるというのに、銀の魔力はひどく美麗に見え】
【だからこそ期待が膨らんでゆく。元来そういった気持を持たぬ者でも、その気にさせる】
【そんな魅力を感じていた。やがてダグラスは、騎士を誘うようにして歩き出すのだった】

【向かう先は、ただ戦場。与える使命は唯一つ、自分の下で戦うようにとの物であり】
【誰が敵で誰が味方かを完結に―逆五芒星を用いて―説明すれば】

【何も小難しいことはない。聡明な騎士であれば、その理解は容易であろう】
【後はその武勲次第だった。力を示せば、より強大な相手を見つけよう】
【そして、戦を与えよう――そう告げて、ダグラスは答えを待つのだった】

/遅れて申し訳ない、そろそろ眠気がキツくなってきまして……
/この後、適度に話して別れたという風にして頂いてもいいですし
/続けるようであれば改めて置きレスで、という事でお願いしたいです。
212 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/28(日) 02:24:59.08 ID:3lIVjx6Po
>>208-209

【怪物―――"実験体"と呼ばれた其れは、動かなくなった。】
【銃撃を連続して、それも頭部に、手負いの中で食らえばオーバー・キル同然だ。】
【ピクリとも動かない怪物から眼を離し、再び眼前にジェノを見据え、ソーンは銃のマガジンを取り替えた。】


 ―――ほう。欲望、かね。
 確かに、人の行動とは結局のところ"己の意思"によってのみ成される物だ。
 そして、その意思とは常に"欲望"によってのみ左右される。生きたい、殺したい、はじめたい、おわらせたい―――


 私の場合はね、その欲望のサイズが少々大き過ぎたのだよ。
 人の器に収まるものではないのだ、だから其方にばかり力を割いてしまって―――
 人の上に立つ者としての"器"が、余り大きくないのだ。いや、と言うよりそもそも、上に立つには向かない性分でな。

 にも拘らず何の因果か、君の考えの通り"機関"でナンバーズの肩書きを"背負っている"ワケだが。
 決して王様という訳ではないよ。だが―――そうだな、強いて言うなら。

 "六つの王"や、罪の名を持つ"神"や、宗教団体の"支配者<ルーラー>"を騙る忌々しい連中を
 唯一後ろから刺し[ピーーー]ことが出来る存在、とだけ言っておこうか。なに、世を獲るのに大層な肩書きなど要らないのだよ。


 ましてや王である必要も、神である必要も、支配者である必要も、な。
 それらを『光』とするならば―――私はただ、それらを写す"鏡"であれば、いい。
 光の合間に差し込んだ、暗い暗い"影"であれば、いい。さすれば全ては―――覆われる


【爆発、焔が周囲を覆う。ソーンは眩しそうに、目を瞑った。】
【しかし一寸後には凄まじい速度で此方へと迫り来るジェノの姿が、ソーンは素早く片手を翳すと】


                    『 リフレクター・ハーミット 』


【―――突如、ソーンを包み隠すように大量の"鏡"が現れ、その進路をふさぐ。】
【仮にソーンの頭部を掴もうと構わずに突撃したならば、鏡に触れ、そのまま鏡を"砕く"事になるだろう。】
【何という事は無い、それは只の鏡で強度はゼロに等しい、だが―――不可思議な事に、周囲の焔が全て、鏡に吸われていく。】

【そしてそのまま、もし仮に突撃をやめずソーンに向かった場合―――鏡が吸収した炎を】
【ジェノの周囲から一斉に、まるで砲撃するかのように"降り注がせる"だろうッ!】
【そう、鏡は焔を吸い込み、一気に"吐き出す"という能力を備えているのだ。】


 ―――君の武器が焔である限り、私に触れるのは難しいだろう。
 同時に、私も君に触れられん。なぜか。簡単だ、私は君より遥かに弱く、力では一般人にも劣り
 そして戦闘では絶対に一対一で勝てないと決まっているからだ。私は、参謀。頭脳労働がメインの、弱者なのだ。


 ―――故に、戦闘では陣形を組むのが大好きでね。


【―――黒兜に寄り添うように、J/Kが携帯端末で合図を待つ。】
【そして送られてきた文章に眼を通す―――】


 『……離脱を図る。教会の爆薬を起動する。だが、このままでは私も死んでしまう。
  ―――ジェノ君を倒さなくてもいい、私が逃げられるよう、"隙"を作ってくれ。』

 『・・・…という、事だそうです。爆薬のスイッチは、私が持っています。黒兜様、ソーン様をどうか―――、』


【ソーンは鏡の中に紛れ、ジェノから逃げ出す手段を考えようとする―――時間が、刻々と迫る。】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/06/28(日) 02:37:45.82 ID:2d3I7xEYO
>>211
/では締めのレスを投下しますので、長い間お付き合いありがとうございました!
214 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/06/28(日) 02:45:21.74 ID:iK3V6kZDo
>>213
/ありがとうございます、ちょっと限界近いので本日はこれにて……
/ご挨拶は後ほどさせて頂きますね。それでは、お疲れ様でしたっ!
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/28(日) 02:45:31.42 ID:+GyavcuM0
>>212

【ソーンがジェノの攻撃を防いだ一瞬だ、それは何秒にも何十秒にも感じられる程十分過ぎた】
【ここを爆破する、単純だが元からソーンはそうするつもりだったのだ、実験場という証拠を残すわけにもいかない】
【J/Kには先に外で待機するように話すだろう、それもソーンの脱出を確認したなら先にスイッチを押せとも伝えるはずだ】
【自分が死なない自信でもあるのか、いや あるのだろう、況してや宝玉を持つものが簡単に倒された試しがない】


【…………飛び出した、黒兜がジェノの側まで接近するのは本当に一瞬だった】
【ブースターでも付いているのかと疑いたくなるような速度でグラディウスの柄をジェノの首筋に叩き込もうとするだろう】
【まともに食らえば気絶、狙いを胴体に逸らしても当たれば威力は高いままだ】
【気絶なら連れ出されて助かるかも知れないが、黒兜は爆破前に倒すつもりでもあるらしい】
【ジェノの実力ならばついていく事も可能だろうが、仮に分が悪いと逃げるのならばそれも今ならまだ可能な筈だ】

【とにかく、この鎧が全力で掛かるべき相手なのは彼にも感じ取れるはずだった】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/06/28(日) 02:55:06.60 ID:2d3I7xEYO
>>211

主が喚んだのは折れぬ剣ではなかったのかな?その剣がまさか好敵手を前に足を竦ませるとでも?
ふふ……意地悪は止めようか、そちらの要望はこちらの要望でもある……この身が朽ちるその時まで
戦場に剣戟を鳴り響かせる事を今一度誓おうか――――――――

【流血を、撃ちてしやまぬ昂ぶりを、与える限り騎士は付き従う】
【酷くビジネスライクな関係ではあるがそれは自分の欲求が満たされる限りは続くという事に他ならない】
【それにこの世には戦いが満ちているのだ騎士が例え望まなくてもそれは向こうからやってくるに違いない】

【静かな歩みには隠せぬ昂ぶりが宿っている、魂に刻まれた物だけはどうやら隠せそうにないらしい】
【ならばその胸にこみ上げる欲望を、その渇望を銀の一閃を以って証明してみせよう】

――――――ああ、そうだ

【道を征く最中、人払いの起点であった錆びついた大太刀と小太刀を回収する傍ら】
【騎士からダグラスに不意に声が掛けられる、振り向けば刀身の劣化を月に照らし確かめる姿】
【こちらを認識したと気づいたならば、ニコリと意味ありげな笑みを浮かべ】

身体に鈍りが無いか確かめる為に一週間程貰う、不具合があっては困るのは私だけではないだろう?
加えて……剣の調達を頼むぞ主よ、ああ何も名剣を用意しろとは幾ら私とて言わないよ、量産品でも構わない
それなりに扱える剣があれば十分だ……数は都合……ううんそうだな、1000あれば十分か

ふふ……無理とは言うなよ主、部下の要望に応えるのも上に立つものの矜持のひとつだろう?
まあ、ひとつの選定だと思ってくれればそれを以って主、貴方を判断させて貰おうか
ん?さすがに私とて初手から戦場を寄越せとは言うまいさ、要望の物……期待しているぞ?

【旧く騎士は秩序に立つ者だった、されど今は悪を成す側】
【悪くはない、共に戦う仲間と生死を争う戦いをしてみたいと思う時も確かにあったのだ】
【秩序に反する側に立ちそこで得られる死闘もあるだろう―――――――】

【その為にも新たに費やす物が必要であり、ならばそれに応えて貰う義務がある】
【義務を果たしてくれたのならば権利として自らを捧げよう、今の応えはそれを以って】
【1人の人間に銀の欠片を添え、剣は戦場に舞う姿を夢見るのだった】

/それでは、ありがとうございました!
217 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/28(日) 03:04:26.77 ID:hoRP8fI40
>>212

ッハハハハハ!良いねぇ!喧嘩は売られたがアンタの事が好きになりそうだぜ!
性格はともかくその身に余る欲望に飲まれねぇその度量、面白れぇッ!
だが、欲深い割には随分と謙虚な鏡≠セなぁ?

俺はもっと単純≠ウ、自分の欲望≠ノ従ってやりたいようにやるだけだ!
それが例え誰かの手の上でもなぁ!知ったっこっちゃねぇんだよ、俺は俺の為にやってんだからな!
んじゃ、欲#艪ラといこうかぁ!?


【疾走しながらソーンの言葉に対して愉快そうに返答する、やはり単純な思考だ。】
【だが、単純な思考ゆえに志向は簡単に覆りつかみきれない部分もあるのかもしれない。】

【そしてソーンが発生させた鏡にも意を返すことなくそのまま爆炎を叩きつけるが】
【鏡の能力によってそのすべては吸収され、ジェノの頭上より吸収された爆炎が吐き出される】
【『ズガンッ!』という大きな音と共にジェノの周囲は床を陥没させるほどに破壊され、クレーターの中心でジェノが膝をついている】

【―――だが思ったよりダメージは少ない、どうやら直撃の瞬間に蒼炎を再び発生させて相殺したのだろう】
【全身を煤だらけにして、頭部や口から血を流しながらジェノは再び立ち上がる。】


―――いってぇな、見かけどおりの面倒くせぇ術を使いやがってよ。
だが右≠カゃあその鏡を破れないって事は理解したぜ、それじゃあ左≠使うぜ。

言っとくが、これから見せるのはこの世界の理≠ゥら逸脱した、存在≠セ………後悔すんなよ?


【息も絶え絶えになりながらジェイは鏡の向こう側にいるソーンに対して語りかける。】
【そして、宣言通り黄金の左目≠ェ光り輝いた瞬間、ズズズズズッ!と教会の天井の空間が歪み】
【まるで門のようにその歪みから―――ナニカ≠ェ出ようとした瞬間。】


ッッチィ!!!!!


【背後から黒兜の強襲―――!】
【黒兜が気配を遮断していた事や、ソーンの意識の誘導もあり完全に不意を突かれたようである】
【振り向き、なんとか身をよじって回避を試みるが、柄は腹部に叩きつけられジェノはそのまま床にたたきつけられる】
【数バウンドした後ようやく止まるが、吐血しその場で気絶寸前になっているのが確認できるだろう。】

【爆破までの時間もないようだが、果たして二人はこの状況でどう動くか―――】
218 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/06/28(日) 03:20:26.34 ID:3lIVjx6Po
>>215>>217

【度量の大きさ、という点ではソーンは確実にジェノより劣っていた。】
【敵を前にして、好きになりそうだと宣言出来る程の器の広さと、ハートの強さ。】
【敵を否定し、憎み、恨み、殺そうとすることは実は其処まで難しいことではない。だが】
【こうして相手を認めつつも、戦闘を続行しそれを楽しむというのは―――難易度が、高い。】


 (……ふん。矢張り、私には扱いきれん男の様だ。)
 (この状況で"面白い"等と……っ、私は何も楽しめんよ、若人……!!)
 
 ―――君のその物言い。まるで……"ベクター"そっくりだ。


【ソーンは、鏡の向こうでそんな言葉を漏らす。ベクター。ベクター・ザ・"フォビドゥン"。】
【現在、地の国の首都を占拠しているカノッサ機関が六罪王、破壊の限りを尽くす現代の暴君だ。】
【度々ニュースにも報じられ、その存在が世界的に危険だと言われている男の名を、なぜこの男が―――?】

【だが、疑問を今論じている暇は無いだろう。ジェノを襲った黒兜の一撃が、彼を吹き飛ばす。】
【気絶しているか、それともまだ起きているのか、そこまではわからなかったが―――】


 ……ッ!! でかした、黒兜君……!

【ソーンは鏡を全て消し去ると、息も絶え絶えに教会の窓をぶち破り、外へと転がり出る。】
【そして待機していたJ/Kと合流すると、直ぐさま駆け出し―――そして、轟音。】

【―――教会の中に埋め込まれていた爆薬が作動し、教会全体が火の海で包まれ始めた。】
【中に残っていた死体や、怪物の亡骸にも火の手が回り始める。とは言え、瞬時に建物が崩れると言う訳でもない。】
【今ならば、まだ逃げることも出来るだろうか―――ソーンとJ/Kは既に、外に駐車していたトラックに乗り込み、エンジンを掛けていた。】


 ……黒兜君、逃げるぞ……!

/此処でいったん、ジェノさんの方とは〆、という形になるでしょうか。
ちょっとなぞを残しつつになりますが、長い時間絡んで頂いてありがとうございました!
そして黒兜さんの方へ、申し訳ないですが眠気が厳しいので、もう直ぐ終わりになるとは思いますが
続きは明日以降、ということでお願いできれば幸いです……。
219 :ジェノ ◆Fdr.jiI.g6 [sage]:2015/06/28(日) 03:30:13.34 ID:hoRP8fI40
//お二方お疲れ様でした!落としどころを見余った感じで申し訳なかったです
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/28(日) 03:31:10.18 ID:+GyavcuM0
>>217-218

【どうにか始末は出来た、想定よりも早く片付いたので脱出に困ることもない】
【死亡したわけではない、不意打ちである以上黒兜はそれを狙ったのだろうか、気絶という形で終わらせて】
【無力化したのなら後は自由だと、黒兜がジェノを適当に担いで外へと放り、爆発を受けぬ位置まで転がせるだろう】

【とはいえこの少年は間違いなく奥の手を使ってきていた、何をするつもりだったのかは判らぬが機関への人材としては申し分なく】
【直接は殺さずに様子を見る、という感じか、ただこのまま生かすというのも判断は難しく】

【結局 黒兜は、近くに見えた小さな川に乱暴に投げ飛ばすという行動に行き着くだろう、この傷なら時間切れも存在する、生き残れるかは少年次第ということだ】
【機関の一員としてこの行動に説明を加えるなら、もし生き延びたなら新たな仲間としてやって来る可能性がある、という話、今までの言動から正義感が有るわけでもなさそうで、だからだろう】

【ソーンの部下にも自分の部下にもならなそうだが、強力な能力者ではある、放っておいても良いと判断したのだ】
【ソーンが車で撤退するのを提案すると、投げ飛ばしてから車へと乗り込んで】
【何かしらの建物に向かうことになるのだろうか、そこでならゆっくり話が出来るといいが】
【聞くのは勿論話の続き、国が抱える闇というものについてだった】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/28(日) 03:34:23.12 ID:+GyavcuM0
>>218
/遅くまでお疲れさまでしたー、明日は一日空いていると思いますので。

>>219
/そちらもお疲れ様でした!最後は水落ちという形にさせて貰いました
/ではでは、ありがとうございましたー
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 03:59:36.42 ID:2ImgIWglo

【陽の差さない、暗い路地裏。】
【元よりこの街には碌な人種がいないが、とりわけ繁華街――金と暴力が席巻している区画には、一等の悪党が集る傾向にある。】
【水商売、金融業、合法か非合法かなどまったく意にもかけない店舗が平然と軒を連ねている。】
【それほどまでに無法なのだ、この街は。ここの住人で後ろ暗いものを抱えていない者などいないと言っても過言ではない。】

【そして不健康なネオンが極彩色の光を放つ中、その不健康すぎる光源すら届かない路地裏ともなれば……】
【醜く、薄汚く、腐臭と汚臭が絶えず蔓延している。コンクリートの地面にはドブネズミが徘徊し、壁面には蛭か蛞蝓か分からぬ生物が這いずりまわっている。】
【朽ちた物乞いの死体から蛆が沸き、死肉ごと烏が狂ったように啄んでいるのがここの常だ。何も不思議はなく、だからこそ通りを歩く誰も目を向けようとしない。】
【こんな場所を通ろうとするのは木っ端のやくざ者か、よほど脛に傷を抱えている者か、その類だろう。取るに足りない者か、道を選ぶ余裕もない者。】

【あるいは――】

「ぎ、ッ……がァ……!」

【大の大人が一人、必死になってもがいている。】
【自らの首を締め上げ宙吊りにしているこの手をなんとか解こうと、目を剥き、口から泡を吹いて足掻いているのだ。】
【彼の体格は決して悪くない。鍛え上げられているというほどでもないが弛んでいるわけでもなく、風体からして荒事向きの男ではある。】
【実際、そのような仕事をいくつかこなしてきたのだろう。もがく男の懐から大振りのナイフが転がり落ちた。容易に人を殺傷せしめる凶器は、しかし今はむなしく金属音を響かせるのみ。】

「……! ……!」

【いよいよ抵抗が弱まってきた次の瞬間、突如として男の身体が発火した。】
【炎は瞬く間に全身へと回り――否、最初から彼の全身を包んでいた炎は、数秒と掛からず男を燃やしつくす。】
【完全に炭化した男を、投げ捨てた。その男は細身であり、長身の身体を黒いワイシャツとスラックスに包んでいる。外見から推測できる年の頃は二十代半ばか、その辺り。】
【闇に溶け込むような黒――しかし彼の男性にしては長めの赤い髪が、暗黒との同化を妨げている。】
【紫色の双眸が路地裏を眺めた。地には今しがた炭にした男のほかにもうニ、三ほど、元は人間であったろう黒い塊が転がっていた。】

「……こんなもんか」

【咥えた煙草、煙を吐き出して呟いた。】
【救いがないのは、彼が些かも楽しそうにしていないことだ。常人寄りの感性ならばこの臭気と光景に嫌悪を覚えるだろうし、逆に下種なら昏い笑みを浮かべるはずだ。】
【だのに至極つまらなそうな顔をして、何事もなかったかのように悠々と煙草を吸っている。まるでこれが、日常の風景と何も変わらないとでも言うかのごとく。】


/ロールの経験が浅いのですが、こんな待ちでもよいのでしょうか
223 : ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 11:43:12.15 ID:D3cI1mLJ0
>>222

/まだいらっしゃいますでしょうか
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/28(日) 13:21:19.34 ID:2ImgIWglo
>>223
/すみません所用で気付くのが遅れました、今からであれば大丈夫です……!
225 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 14:46:28.58 ID:D3cI1mLJ0
>>222
>>224

【それは死肉の匂いを嗅ぎつけたからか、あるいは闇に照る炎に誘われたからか。男の耳に羽音が響く。】
【暗い空から舞い降りてきたのは一匹の巨大なコウモリであった。広げた両翼は8mもあろうか、大きな口は人間の頭も丸かじりにしてしまいそうな程だ。】
【まさに怪物と呼ぶに相応しいその体躯。優に人間の4、5人は輸送できるであろうその背中には、一人の少女が座っていた。】

…良いね。実に良い。

【コウモリの首に腰掛けるようにしてそこに居たのは、濃紺のロングヘアーに同じく濃紺のセーラー服を纏う、中学生くらいに見える少女であった。】
【セーラー服の上からマントの様に羽織っている大きな白衣が、研究者然とした雰囲気を少女に与えている。】
【ぱちぱちと、歌劇を見終えたかのように拍手を男へ送りながら、少女は薄く笑っていた。】
【巨大コウモリは男の目線よりも少し高い位置で下降を止め、滞空した。必然的に、少女の視線は男を見下ろす形となる。】

ぶしつけながら、さっきまでの顛末(てんまつ)は見させてもらっていたよ。
人間サマの大切な命を幾つも奪っておきながら、それを気にも留める風でないその態度!見上げたものだね。いやまあ、僕は今君を見下ろしているけれど、そこは比喩表現ってやつだ。
ともあれその精神性、興味が湧くね。偶然通りがかったにしては、案外これは素晴らしい出会いなのかもしれない。
ああ申し遅れた、僕の名前はベル。しがないただの生物学者さ。ついでにこの巨大コウモリの名前はキティ。こちらもまあ、一応覚えてくれたまえ。外見の割に可愛い名前だろう?
コウモリって気味の悪い顔してるからねぇ。

【そこまでを一息に語ってから、少女ベルは一人面白そうにけらけらと笑った。良く喋る少女、そんな印象を男は抱くだろうか。】

それに、「能力」も持っているんだね。発火能力はまぁこの世界ではありふれたものだけど、まだまだ能力を隠し持っているのかもしれないな。
ところで一つ聞きたいんだけど、君って人間かい?いやなに、なんせ外見では判別がつかないからさ。この世には妖怪だの悪魔だのと、色々いるだろう?

【少女は彼に問う。様々な亜人種が跋扈するこの世界において、人間と何ら変わらない外見を持った人外という存在はそう珍しくない。】
【突如現れて唐突に質問を投げかけてくる少女。その瞳は、どこか「人間である」という回答を期待している様に見えた。】

/それではよろしくお願いします!
/もし新規の方でしたら、www53.atwiki.jp/nrks/pages/1.html     などを参照されるとよろしいかと…
226 : ◆A3Dw.QYNcc :2015/06/28(日) 15:13:39.09 ID:MCxPHvzVO
>>187
/再募集してみます
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 15:26:31.70 ID:2ImgIWglo
>>225

【この路地裏、通過を企てる者。】
【取るに足らぬ者、道を選ぶ暇もない者――そして特に理由もなく適当にぶらついている者。】
【彼はその三番目だ。やることは無く、やりたいことも無く、ゆえに“何か”を探して彷徨い歩いている。】
【退屈を持て余している。“こんなの”は退屈しのぎにすらなりはしない。だから次へ、何かを探しに。】

「あん……?」

【歩き出そうとする彼の耳に羽音が入る。いやこれは翼か。それも鷲や鷹、そういう猛禽すら相手にならぬほどの――】

「へぇ――」

【闇夜を引き裂いて、あるいは溶け込むようにして現れたのは尋常ならざる巨躯を誇る大蝙蝠。】
【並のソレとは比べることすらおこがましい。これはもっと、別の進化――自然にか人工的にかは差し置いて――を遂げ、戯画的に変貌した何かだ。】
【端的にモンスターと呼んで差支えない生物を前にして……しかし、彼の双眸は未だもってどこか醒めていた。】

【だが、その背に乗る少女――アレは中々、面白そうだとは思う。】
【しかし今は火が点くほどではない。現状は彼の面倒くさがりな気質が勝っている。】
【興が乗ればどこまでも突っ走る性格、だがエンジンが回らなければどこまでもダウナーに低空飛行気味。】
【殺害の瞬間を見られたから目撃者は消す――そんなことは微塵も考えていないから、積極的に攻撃を仕掛けようという気もない。】
【ゆえに今はまだ、暇潰しの相手が見つかったくらいにしか思っていなかった。】

「ムスペルヘイム・ヘルドマン。――人間だよ。まぁ、俺が認識している限りはな」

【人間か否かの問いに、返す答えはどこか曖昧な色を帯びたもの。】
【これは誤魔化しているのか? 何か隠さなければならない理由でもあるのか?】
【そう勘繰るのが自然であるが、当の本人にそんな気はなかった。別に話しても構わないが、一言で済ますことはできない面倒な理由があるのか。】
【大儀そうに煙を吐く彼の表情は、どう答えるかを思案しているようにも見えた。】

/ではよろしくお願いしますー!
228 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 15:57:16.54 ID:DQjrC06Zo
>>187
【彼女が歩く路地裏の汚れた壁に、突如として複数の音が反響する】
【複数人の足音。悲鳴。怒号。そして、銃声。銃声。銃声。沈黙】

【間を置かず、再び複数人の足音。一連の音が聞こえてきたのは路地裏の一角、地下に下りる形となっている店の入り口】
【その階段を登って、人影たちが姿を現す。黒スーツ姿の男、金髪を逆立てた男、パーカーのフードを深く被った青年、などなど】

【年齢も格好もバラバラの人間たちは、一様に人間の死体を担いでいた。先の銃声の犠牲者たちらしい】
【死体の全てが頭と胸から血を流し、何が起こったのかわからないというような死に顔をしていた】
【一瞬にして始末されたのだ。一切の容赦なく、急所に銃弾を叩き込まれて】


【人影たちは、女に気づく様子もなく足早に歩いていく。向かう先には妙に大きなマンホールが一つ】
【彼らは死体を中に放り込み、自分たちも穴の中へと降りて行った】

【この間も、先の地下の入り口からは物音がし続けている。やがて、後続の者たちが姿を現した】
【先頭は、身長2メートルを超えているであろう大男だった。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンを着用し】
【足には黒いゴム長靴を履いている。角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪】
【その髪の下、額には面積を埋める巨大な単眼。黒い瞳の双眸と合わせて三つの目玉を持つ怪物だ】

【その後に続いて、再び複数人の人影。擦り切れた着物になぜかジャージズボンと白いスニーカーの痩せ細った男や】
【黒いタンクトップに黄色いヘルメット、顔を溶接作業用マスクで隠した、両腕が巨大な義手となった男】
【剥き出しになった脳みそを透明のカプセルで覆い、カプセルと脳みそを貫く鉛色のアンテナを頭頂に突き立てた男、など】

【さらには、ピエロの服装とメイクをした男、黒いマントを羽織った人の身体に烏の頭を持つ怪人、アサルトライフルで武装したチンパンジー、と】
【もはや明らかに人でないものや動物まで混じり始めている。奇妙な一行の共通点は、全員が今出てきた場所から盗んできたらしい金品がはみ出した袋を持っている点だ】


【先頭の三つ目の大男が、歩いて来る女に気が付いた。じっとりとした三つの視線が彼女に注がれる】
【妊婦。ブラックダイヤの指輪。非武装。この状況なら、彼らがどうするかなど想像するまでもないはず】

【だが、三つ目の大男は少しの間彼女を観察した後。視線を彼女から逸らさないまま、背後の者たちに言い放つ】

……お前たちは先に戻っていろ。私を待つ必要はない。戦利品と死体は、いつもの場所に集積しろ
以上だ。行け

【大男の配下らしき者たちは、それに疑問を発することもなく即座に行動を開始。女が何もしなければ、そのまま去っていくだろう】
【残った大男は、変わらず女を睨み続ける。やがてゆっくりと口を開き。重々しい声を発した】


……先ほど、微かに聞こえた。私の聞き間違いでなければ……大司教様、と。そう言ったのか?

>>226
/まだおられましたら、よろしければ
229 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 16:15:05.87 ID:D3cI1mLJ0
>>227

【少しうるさいくらいに饒舌な少女とは対照的に、男は寡黙であった。しかしそんなことは気にもしないといった風で、ベルは応答する。】

ムスペルヘイム・ヘルドマン君か。覚えておくよ。僕も君に同じくフル・ネームで名乗りたいところなんだけど、ちょっとワケありでさ。姓はまだ名乗れないんだ。

【男の端的な名乗りに対し、ベルは何か意味ありげな言葉を返した。その真意を明らかにさせるつもりは今のところ無い、そんな口調である。】
【しかし続く男の言葉に、少女は不機嫌そうに眉をしかめた。若干の苛立ちを込めた口振りで彼女は言う。】

「俺が認識している限り」…か。はっきりしない答えだね。僕は質問に対してお茶を濁すような答え方が嫌いなんだ。
それともアレかな?実際に自分の生い立ちがわからないとか、そういうことなのかな?まあ、そういう存在だってこの世界じゃあ珍しくない。
役所に住民票を登録してある者なら「種族」は明記しなければならないし、国による検査も受けなければいけないけど。
そういうまともな道から外れて、社会の束縛を受けず生きてきたのならば…特に高い生命力を誇る種の場合そういった個体は多いが…自分の種族を知らないということもある。

【説明をするような口調で少女は語り続けるが、これは少女なりの「探り」でもある。会話を続ける中で、相手の特徴を把握しようとしているのだ。】
【会話の成立する相手か、そうでない狂人か。ある程度の一般常識を持ち合わせる者か、そうでないか。それに応じて、少女が男に対して取るべき態度も、また変わってくるからだ。】

と言っても実際のところ、この世界において人間に近い種族の生命体達をどのように分類するか、というのは学者達の間でも意見が分かれるところでね。
統一された理論体系ってのは未だに確立されていないんだ。全く、この世は不思議なことばっかりだよ…って、話が逸れてたかな。
ともかく、さっきの質問の続きさ。君は人間か、否か?「どっちかっていうと話したくない」くらいの考えだったら、是非はっきりと回答して欲しい。
ついでに言うと、僕としては「人間」って答えてくれると嬉しいんだ。その方が色々と話を進めるうえで楽だからね。

【冷静に彼女の言葉を追ってみれば、口振りは優しげでも、態度は高圧的であることがわかる。要は「はっきり答えろ。それ以外の返事を求めてはいない。」そう言っているに過ぎないのだから。】
【無論、男が彼女の言葉に真摯に対応しなければならない義務もなければ必要も無い。一目で非力とわかる少女に対し、暴力をもって返答するのも自由である。】

230 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/28(日) 16:26:48.21 ID:yTHOzz6DO
>>228

【悲鳴も怒号も、その後に続く銃声すら、この場所では珍しいことではない】
【膨らんだ腹部をゆるりと撫で、少しばかりめんどくさそうなため息を女はつき……彼女の周囲の「影」が、ぼこりと泡立った】
【能力者。あるいは魔術師やそれに類する、何らかの手品を持つ人種。少なくとも路地裏を平然と歩ける理由くらいは、推察できるか】

【女は気だるげな表情を浮かべ、立ち止まる。厄介事に巻き込まれたかとまたため息をつくも、異形の彼らが姿を現せば、好奇の表情へと変わった】
【一瞬の驚愕の後に続くのは、愉しげな笑みだった。何が可笑しいのか、くつくつと小さく声すら立てている】
【視線は三つ目の巨漢から、その背後の集団へ。そしてまた巨漢へと戻される】
【彼らの表情を見れば、何を考えているかくらいは簡単に分かった──再びざわつく、影】
【だが、三つ目の巨漢の言葉に彼女はまた驚きの表情を浮かべ……】



────ふふ。面白い人ね、あなた。てっきり、襲われるかと思ったのだけれど……


【「これ目当てに」 くつくつと女は嗤って、左手のダイヤをちらつかせる】
【影は未だざわついていたが、彼らを攻撃する様子はなかった。襲われた時の保険なのだろう】
【三つ目に睨まれ、絞り出すような重圧をかけられても──彼女は悲鳴ひとつあげなかった。怯える様子もない】
【むしろこの状況を楽しんでいる節さえあった。……普通の感性の持ち主ではなかった】


えぇ……確かにそう言ったわ。────大司教さま。ふ、ふふ、ふ……
あなたはもしかして……彼の信者なのかしら。襲ってこない理由も、それが理由?

ふふ、ふ……ふふふふ、ふ────だとすれば、賢明な判断、ね
いくら信者と言えども……私を襲えば、いえ……“この子”がダメになれば────
きっと、大司教さまから手酷い罰を受けることでしょうに……そうは思わないかしら?


【腹を撫でながら、女はそう言った。どういう、ことだろうか。三つ目の男は、大司教の信ずる神に対し信仰があると……そう女は判断していた】
【そこまではいい。勘がよい人間ならば気付ける範疇のものだ。しかし──その後に続く、言葉は……】
【「肚の子を害せば処罰がある」……そんな類いの、言葉。それが一体どういう意味なのか。想像は可能だが、いや、そんな。────まさか】

/いまっす! よろしくお願いします!
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 16:37:44.36 ID:2ImgIWglo
>>229

【回る思考の片隅で、やたらと口が回るヤツだな、と思った。】
【そうした手合いに対して別段なんの感慨もないが、そういえばこの娘、自身のことを生物学者と名乗っていた。】
【ならばこの巨大な蝙蝠、ひょっとするとこいつが――ああいや、今はいい。】

「あー……そうだな……」

【――そう、今の論点は自分の種族は何か。】
【先ほども答えたとおり、何かと問われれば半ば答えは決まっている。】
【ただ、いろいろと事情が絡んでいるのも確かなのだ。大して複雑なものでもなく、受け取り様によっては極めて単純な話にすら区分されるだろう。】
【しかしその極めて単純なプロセスの中で、何かがこじれたと言うべきか。それとも混ざったというべきか、変わったというべきか。】
【彼自身、そのことは感覚的にしか把握していない。詳しく調査する環境もなかったし、深く探ろうという気も起きなかったのでそのままにしている。】

【そのあたりの事情について、洗いざらい話してしまっても別に構わない。】
【彼にとっては恥部でも汚点でも比すべき弱点でもないために、隠す理由がないのだ。この男は何ら気負いなく、生のままに生きている。】
【ただ、ここで求められているのはイエスかノーか、そのどちらかだ。それ以外の答えは、現状彼女は求めていない――】
【というのは半ばほど建前で、要は話すのが面倒なのだ。その必要性を感じない。晒すにあたって利点がなく気分も乗らず、ただひたすら億劫である。】

【ゆえに――】

「――ああ、俺は人間だよ」

【今のところはな――その一言は噛んで含み、言葉にはしなかった。】
【それを言えばますます話がこじれて、ややこしいことになる。それはよくない。まったく楽しそうではないのだ。】
【いやもしかすると楽しくなるかもしれないが、端的に気分ではない――気まぐれによって燃料投下は回避される。】

「で? その話ってのは一体なんなんだよ。その口ぶりからすると、俺が人間じゃなきゃ不都合でもあるみてぇだが……」

【こちらとしても聞きたいことはある。主にこの、大きく育ちすぎた蝙蝠やら……】
【だがそれは、まあいい。今は聞き手に回ろうと思う。話の腰を折るのはこちらとしても本意ではない。】
【何より自分が話すよりは多少ラクであるという意味で、聞き役に徹するのは嫌いではなかった。】
232 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 17:09:54.55 ID:DQjrC06Zo
>>230
【こちらへと注がれる好奇を秘めた視線。笑い。押し殺したような。そして、彼女の周りに蠢く影】
【能力者か魔術師か、路地裏を平然と歩くのはそれ相応の実力が伴っているが故なのだろう】
【そこだけでも、下手に手を出さない理由ではある。だが、彼女はそれ以上のものをその身に秘めていた】

……ああ、そのブラックダイヤは魅力的ではあるが……ここがそこいらの金持ちが集まる舞踏会場か何かと言うならまだしも
路地裏を一人、それも身重で平然とうろつくような女が、正気を失ってそうしているわけでもなさそう、となれば……
私なら、恐ろしくてとても無策に襲い掛かるような真似は出来ないね

見た目で相手を判断するものは、この世界では長生きしない

【彼女の反応、この状況で未だ余裕を保ち、ダイヤを見せびらかしさえする】
【それを見て、異形の男は悟る。自分の判断が間違いではなかったことを】


……やはり、そうなのか。その腹は……

ああ、そうだ。大司教の――――と言っても、器≠フ方じゃあない
古より神の代弁者であった、真なる大司教アーグさんの信者の端くれだ

お前の言葉が真実ならば……その通りだろうな。にわかには信じがたいが
今まで、信じがたいものは多少なりとも見てきた。増して、あのアーグさんなら神を滅ぼすこと以外の何をやってのけても驚くには値しない

――――だが、お前自身は。アーグさんの……大司教の、子を宿したお前は
いったい、何者だ……?

【おそらく、そういうことなのだろう、と。異形の男は己の予想に奇妙な確信があった】
【かつての肉体を捨て、今の大司教の身体を手に入れたという古の大司教。やろうと思えば、それも】
【子を成す、ということも可能のはずだ。理屈ではわかる。だが、それをやってのけた相手。この女は、いったい】

――――失敬、聞くなら自分から、だな

お初にお目にかかる。私はカニバディールという者だ
カノッサ機関構成員、ナンバーズNo.29。どこにでもいる、一山いくらのケチな犯罪者だよ

【ともあれ、まずは居住まいを正し。見た目にそぐわぬ無駄のない動きで異形は一礼して見せた】

/いきなり遅くなりまして、申し訳ないです……
233 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 17:23:01.47 ID:D3cI1mLJ0
>>231

【男のどこか飄々(ひょうひょう)とした口振りでの返答にベルは若干の疑いを持ったが、それ以上この話題について追及する気は無いらしく、話を続けた。】

ふん、掴めないヤツだな…まぁいいや。実際のところ、君が神だろうと悪魔だろうとあんまり関係の無い話なんだ。
じゃあなんでしつこく聞いたんだって感じだろうけど、それは単に僕の性格上の問題さ。一度気になったことってのはどうも問いたださずにはいられなくってね。
で、だ。君にはもう幾つか聞きたいことがある。それはさっきの君の行動…殺人についてだ。顛末を見ていた…なんて言ったけど、実は終わりの方しか見てなくってね。いまいち事情が把握できてないんだ。
端的に聞こう、君はなぜあの男達を殺した?

【そう問うた少女の顔は、男を責めるでもない至極平穏な表情だ。それは丁度、何でもない会話に興じる女学生のような。】
【しかしそこに浮かぶのは喜色。何か男への期待を込めた眼差し。そう、紛れもなく少女は、男に対してあるたった一つの返答を求めていた。】
【少し間を置くとうにして、少女は続ける。】

先に言っておくとね、僕は人間って種族が嫌いなんだ。まれに気の合う相手もいるけど、基本的に人類全てを忌み嫌っている。
そんなわけで、いつからか人殺しの為の研究ばっかりするようになってた。夢は人類大虐殺!うふふ、大きな夢だろう?
ああ、僕自身はれっきとした人間だよ。実は獣人で人間に苛められたから…なんて話は一切無い。矛盾しているようだけど、僕は僕の夢を叶え、僕にとっての理想の世界を創生するまで死ぬ気は無いよ。
そんな考えの持ち主だから、これまでにも多くの人間を殺してきた。さっきの君のようにね。もっとも僕自身は無能力者なうえにモヤシだから、あんな派手な芸当はできないけど。
僕が人間を[ピーーー]理由はただ一つ。人間が嫌いだから、それだけさ。そこの辺りを理解したうえで回答して欲しい。…君はなぜ、あの男達を殺した?

【少女の口から紡がれる言葉は、さながら悪魔のようだった。人類という種そのものを忌み嫌うという彼女の信念は、一体何ゆえに作り上げられたものか。】
【仮に男が今それを問うても、きっと少女は答えない。その本心はいつだって、彼女のおどけた笑顔の奥底に眠っているのだ。】
【少女が問うのは殺人の理由。しかしその長い前口上を聞けば、男に対して求める回答が、単にこの時・この場での話に限らないものであることがわかるだろうか。】
【すなわち、男にとって殺人とは日常的に行われることなのか。人間に対して何かの感情を抱いてのことなのか。言うなら「殺人」についての男の思想を、少女は問うていた。】


234 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 [sage]:2015/06/28(日) 17:33:17.55 ID:D3cI1mLJ0
>>233
/すいません、誤字です…。
/ ×少し間を置くとうにして ○少し間を置くようにして
235 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/28(日) 17:40:08.13 ID:yTHOzz6DO
>>232

【「ふふ。……素敵ね。聡くて、それでいて謙虚」 女は嗤った。「私も、変に仕掛けなくて正解だったわ」】
【出会って数分しか経っていないにも関わらず、彼女もまた眼前の彼の力を知りつつあった】
【口振りだけでも分かる。──相手は巨体に似合わず、狡猾さと謙虚さを知っている】
【身の置き所を弁えている人種は厄介であることを、彼女は理解していた。そして目の前の男が、そのような人種であるのは見てとれる】
【おまけに異形のモノたちを従えていたことから、それを為しうるだけの実力もあるのだろう。少なくとも、敵にはしたくない相手だと彼女は思った】

【──No.29。相手からその正体を聞かされれば、自身の考察に確信が持てた】
【もっとも、カノッサ機関とは敵対する気もつもりもなかった為、本当にただの答え合わせをした気分にはなってしまったわけだが】
【それでも──彼。カニバディールが一礼するのを見れば、こちらもまたゆるりと礼を返すのだ】


……はじめまして、カニバディール。私はロゼッタ……。ロゼッタ・ルゥ
ふふ……あなたの言い方を真似るならば、私もただの娼婦よ


【お前がケチな犯罪者であるものか──そう言いたげな口調で、彼女もまた自身のことをただの娼婦だと評した】
【くつくつと女は嗤う。腹のせいで礼もしにくかったが、形式的なお辞儀など今はどうでもいいだろう】
【重要なのは。彼にとって最も聞きたいことは、表面上の礼儀でもなければ自身の名前でもないことくらい分かっていた】


……ふふ。あなたの言う通り──この子は、あの……アーグの子
彼に会ったのは偶然……。その偶然で、この子を授かりおまけに少しばかり信仰心が生まれたのだから、面白いわよね?

ふふ……ふふふふふっ。それにしても、おかしなことを聞くのね
まるで彼の子を孕むのが特別なことみたい。……信仰と、その意思があれば
その2つさえあれば──女なら、誰だって可能なこと。…………でしょう?


【「もっとも、それが難しいのでしょうけれど」 そう、女は言ってのけた】
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 17:58:29.22 ID:2ImgIWglo
>>233

【彼の中に眠っていた“興味”が鎌首をもたげた。】
【最初から何とはなしに感じていた。一時期あそびでやっていた精神分析の真似事はしていない。彼の中で、それはもう終わったジャンルだ。】
【だから彼女の内面を探るようなことはしていなかったし、正味とくに深く考えてもいなかった。】
【ゆえにこれは嗅覚。この娘が宿す属性を無意識化で看破したのは、第六感と言い換えてもいい直感に他ならない。】

【すなわちこの娘、“闇”を有している――】

「ハハ――」

【いいぞ、少しだけ気分が上がってきた。】
【どうやらまたもや当たりを引いたらしい。何も面白いものに巡り合えないことも多い中、これは喜ぶべきことである。】
【口元が歪む。僅かに口角が吊り上がる。それはまだ微笑の形に留まっていて、歯を剥く獣の相とは到底いえないが、ほんの微かにその前兆が見え隠れしていた。】

「殺した理由、理由ねえ。なんて言ったらいいんだかな」

【顎に手をあて、危険なまでの稚気を宿した紫の双眸が輝きを帯びる。】
【決してふざけているわけでも、おちょくっているわけでもない。ただ今の彼は、一言でいうならテンションが上がり始めている。】
【だから動作が少し大げさな体を成し始めているだけ。彼は彼で、一応は真剣に答えようとはしているのだ。】

【殺した理由、常人ならば大半は明確だろう。当然だ。人を殺すということは、それだけ強い感情あるいは理由を伴わなければそもそも起こらない】
【例外はあるが、それはごく少数だ。それは大別して二種に分かれる。】
【複雑怪奇に絡み合った感情と理性が混在していて、本人でもなぜ殺したのか明確なところがつかめない。】
【もう一つはその真逆――単純すぎて答えられない。日々の食事を取ることと殺人行為が同レベルのことだから、なぜと聞かれても咄嗟には答えに詰まる。】

【いま言葉を濁しているということは、この男がそのどちらかということを示している。】
【そしてこの男は。頭は回るが必要でなくば全く使わない人生を送っている、この男は。】

「そうだな。一言でいうなら――気分だよ」

【当然のごとく、後者であった。】
【むろん理由はある。彼らがナイフを突きつけて脅してきたから――金を渡さぬとなると切りかかってきたから――】
【過剰ではあるだろうが、防衛という理屈が成り立ちそうなものはある。だがしかし、それすらも気分なのだ。】
【彼の気分次第でどうとでもなった。別に殺さなくともよかったのだ。切り抜ける方法はじゅうぶんにあった。】
【たとえ殺すしかなかったとしても、全員を死体に変える必要などなかった。なぜなら一人を炭にした時点で、残りの数人は完全に戦意を失っていたのだから。】

【だから、結局はこうなのだ。気分。何ら複雑ではない、ただそれだけ。】
【それだけの理由で、いくつかの人命を奪ったのだと――この男はなんの躊躇いもなく言い切った。】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 18:03:10.03 ID:2ImgIWglo
>>236
/あ、すみません。微妙に意味が変わりかねないので、
【彼の気分次第で〜
 の下に、
【実際、彼はその場の気分で生かしもしただろう。そういった場面に遭遇したことは何度もあるし、生かしてやったときもあった】
 の一文を追加しておいてください
238 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 18:17:47.27 ID:DQjrC06Zo
>>235
【「光栄だ。お互いに損になることがなくて何よりだった」、彼女にそう返答しつつ】
【異形の男もまた、彼女の中に底知れぬ何かを見ていた。路地裏で長く生き延びている存在は、多くがそうなるものだが】
【彼女のそれは、今まで目にしてきたそれとまた性質が違う。それがいったい何なのか】
【さすがに、即座に看破出来るほどの眼力は持っていなかったが】

ロゼッタ・ルゥ……ロゼッタ、か
ただの娼婦……ふ、ふ。これはやられたな

【異形も彼女と同じように、愉快そうに含み笑いを漏らした。互いに、相手を只者ではないと】
【そう認識していることを、それが真実であろうことを、悟らされたから。また一つ、路地裏での奇縁が増えた】

やはり、そうか……フレデリックの身体を手に入れた今のアーグさんならば、問題なく可能ではあろうが
まったく、世の中とんだ偶然があるものだ。面白い。この世は実に面白いよ

……そうだな。口で言うのは簡単だ。だが、お前自身が今言った通り、それが難しい
信仰と意志。そう簡単に手に入れられるものじゃあない

何より、あのアーグさんが……子を成す気になる、とは。相手もまた、只者ではないと邪推したくもなるさ
加えて、先日アーグさんの配下に会う機会があってね……

【相変わらずの重苦しい声に滲む感情。彼女の肯定に対して、自分が指摘したことにも関わらず浮かぶ驚愕】
【そして、あのドラクレア島で起きたこと。とうとう、あの出来事がなんであったのかわからないままに終わった事件】

【なんであろうと、何かが起きる。その不安と焦燥を抱えて、カニバディールは求める力を手に入れるため】
【『廃の国』での盗掘作業と、そのために必要な資金を得るための『スクラップズ』を率いての盗賊行為に、一層の力を注いでいた】


……その子は、もうすぐ産まれるのか? そうしたら、アーグさんのところに行くことになるのだろうな
彼の周辺でも、あらゆることが動いている。先日も、その気配を感じ取ることとなった。それだけに終わってしまったが

――――アーグさんにまつわることなら、お前もその腹の子も、無関係とはいかないだろう……
せっかく何の因果か会えたんだ。よければ、話を聞いていかないか? 私自身、あの出来事がなんだったのか
今もって、わかりかねる。アーグさんからも何の反応もないのだが……

【思い返す、この世界で起きている数々の出来事。己もまた、その端に関わっている】
【彼女に語るのは、その一幕。己が体験したある不可解なことについて。語る許可を求めた】
【何故そんなことをしようと思ったのか、カニバディール自身にもよくわからなかった。もしかしたら、誰かに話したくてうずうずしていただけかもしれないが】
239 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/28(日) 18:43:13.65 ID:yTHOzz6DO
>>238

【「何に使うかは、知らないけれど」 愛情を与えるために成した子ではないだろう、とロゼッタは言った】
【愛情を与えたいのであれば、間違いなく相手は選ぶはずだと彼女は思っていた。少なくとも、娼婦の子を愛するのは普通なら出来ない】
【ならば何らかの──そう、儀式かなにかに使うか、或いは次の依り代にでもするのだろう】
【子を成したアーグの心情。それは彼女の推論でしかなかったが、あながち間違っているとも思えず……それを軽く、カニバディールに告げるのだ】


……正直、いつ生まれてもおかしくはない、わね。時々、陣痛みたいな痛みもくるの──
この子が生まれてしまえば……ふふ。アーグが、迎えにくると言っていた、わ……
その後どうなるかはわからないけれど──「神の子」として祀られるか
或いは……育てて、次の依り代にするか。何かの儀式に使う、か
玩具を与えて可愛がるなんてのは……ふふっ。想像がつかないわね

…………それにしても。世間を騒がせているだけあって、あの人の周りは落ち着かないわね?
ふふ──あまり厄介なことには首を突っ込まないようにしているのだけれど……
今回ばかりは、そうもいかないし……だいぶ手遅れだもの

いいわ──聞かせて頂戴。同じ信仰者同士でもあるんですから……


【「何があったのかしら」 ゆるりと影が踊る。彼女の影がざわつき、ひゅるりと伸びて椅子の形となる】
【腹が重いせいもあり、多少疲れてきたのだろう。それに、カニバディールの話は少し長くなりそうだった】
【「悪いわね、座らせてもらうわ。──良ければ、あなたも?」そう言って彼女は影を踊らせる】
【カニバディールが求めれば、彼にも影の椅子が提供されるはずだ。もっとも、断ったところで何の問題もないのだが】
240 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 18:45:24.41 ID:D3cI1mLJ0
>>236

【男の返答を受け、少女は嘆息した。露骨に残念そうに肩まで落として。】

気分…気分。気分か。残念だ、それは僕にとって好みじゃあ無い返答なんだ。
僕は殺人をするにあたっていつも信念を持っている。人間が嫌いだから、というね。だけど君は違う。君は理由なく人を[ピーーー]。
だってそうだろ?人を[ピーーー]も殺さないも気分次第ってことは、つまり殺人に対して明確な信念を持っていない、ということだ。それは理由なき殺人だ。
君は動物で言うならイタチに似ているね。イタチってのは動物の中でも珍しい、理由なき殺戮を行う生物だ。目についた者は全員殺し、その肉を喰いもしない。殺し散らかすだけだ。
そして僕は、イタチが人間の次に嫌いでね。…全く残念だ、どうやら君は僕の求める人材では無かったようだ。
僕が求めるのは、明確な意思と信念を持ち合わせながら「人類に敵対する」ことを選んだ者だ。そうでなければ、味方につける意味が無い。
本能に従い、狂気に忠実に動く怪物なんて、僕の手には負えないよ。

【少女が男を見下ろす目は、今や完全に眼前の男への興味を失ったかのように冷めていた。】
【この少女ベルは、あくまで自身は正常だという考えの持ち主である。そんな彼女に対し、明確な理由もなく殺人を犯す目の前の「人間」は、ただの「化物」にしか見えなかった。】

いや、さ。もしも君が僕の求める通りの考えの持ち主だったのなら、仲間として勧誘しようかと思ってたんだけど。
今思えばそれもどうやら無理そうな話かな。君、明らかに人の下に収まることとか嫌いそうだし。何より制御が効かないんじゃあね、どうにもならない。
これで話は終わりさ。長話につき合わせて勝手に盛り上がって勝手に沈んで、悪かったね。謝るよ。
何か君の方から聞きたいことはあるかい?無いんなら僕はもう帰るよ、そろそろ櫻の国の「あにめーしょん」の放送が始まる時間だからね。

【落胆の様子を続けていた少女であったが、勧誘が無意味と悟ると、割り切ったように表情と態度の平静を取り戻した。眼差しは通常のそれに戻り、男への詫びの言葉まで口にする。】
【男が何か話を続けようとするならば、少女はそれに応じるだろうが、そうで無い限りこのまま少女は去っていくだろう。】
【そしてもしも男が自身とコウモリの姿を目で追うことをやめ、背中を向けたならば、黒翼の悪魔は一口に男の頭部を噛み砕かんと急襲するだろう。】
【少女は言った。イタチが嫌いだと。今、少女の目に、男は意味無き殺戮を行う獣と同じに見えていた。】



241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 19:30:43.29 ID:2ImgIWglo
>>240

【返した言葉に対し、少女が現したのは落胆の貌。】
【明らかに目に見える形で、娘は自分への興味を失っていくのが分かる。】

「ク、ククク……そうか、そうだな、確かにそうかもしれねぇなァ。
 明確な目的やら人全体をどうこうやら、俺はそんな高尚な意思なんぞは持っちゃいねぇなァァ」

【対し、この男は下がるどころかむしろ昂ぶっていった。】
【何せこれ、ここまで大それたことを言うヤツなどそうは見たことがない。】
【人間が嫌い? だから殺すだと? 夢は人類大虐殺――何だコイツは、ここまで馬鹿げたことを大真面目に言ってのける人間などそうはいない!】
【面白い面白い面白いぞコイツ、是非とも見たい! 聴きたい! すぐ近くで鑑賞したいが――】

「どうも俺の答えは、アンタには気に入らなかったみてえだからな。
 ああ、こっちとしても残念だよ。面白くなりそうだったんだがな」

【その言葉を境に、見かけ上は鎮火した。】
【爆発寸前といった凶相は鳴りをひそめ、常の気だるげな表情に。】
【ぼりぼりと頭を掻きまわして、眠たげにあくびをしたあとに煙を吐き出す。】

「ただ一つ、アンタ勘違いしてるな。俺は別に、信念ってヤツがないわけじゃねぇよ。
 つっても、屁理屈か何かに聞こえるんだろうが――」

【そう、この男はいつだってソレに基づいて生きている。】
【切った張った、殺す殺さない、それだけではない。こうと決めた思いが、今も確かに息づいている。】
【そうだ、あの日から――“すべてを忘れた”あの日から、自分の生き方を斯くあれと定めた。それは決してぶれていない。】

【煙草を捨てる。コンクリートに落ちる前に灰も残さず燃え尽きる。】
【踵を返して、背中を向け。今まさに岐路につくだろうと誰の目にも見えた、刹那。】

「“俺”は“俺”を貫き通す。
 それが俺の信念だァァッ――――!」

【突如として爆発した。】
【比喩ではない、本当に爆発したのだ。急速反転し、掌に現れた拳大の火球を地面に叩きつけたと同時、大蝙蝠を巻き込む形で――ああいや、これは火柱か。】
【爆轟と錯覚するほどの大音響、至近距離に雷が落ちたかのような衝撃と共に顕現したのは天を衝く高密度の火柱。】
【直撃すれば言うまでもなく、ただの人間なら無事では済まない。ほんの一瞬触れただけでも炎に全身を嘗め尽くされるだろう。】
242 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 19:46:39.09 ID:DQjrC06Zo
>>239
【「あの方のお考えは、到底測り兼ねるところが大いにあるからな」、と。こともなげに言う】
【成した子に愛情など注がない、ということには一切の疑問を差し挟まなかった】
【ただそれは、母体たるロゼッタが娼婦だから、ということを言っているのではない、と彼女には伝わるだろうか】

【あのアーグに、そもそもそのような普通≠フ感性が存在するのかさえ疑問だ、と】
【200年以上も抱え続けてきたその信仰心をもって、異端狩りに邁進するあのアーグに】
【普通の人間が選ぶ相手や子に注ぐものは、きっと彼の神へと捧げつくされているのではないか、と】
【彼女の推論には、同意を示して見せた】


そうか……もう、そんな状態だと言うのか
アーグさんなら、どこにいようとその誕生を察知するのだろうな

さて、失礼ではあるだろうが、それについては私も同意見だ。彼が我が子を可愛がる姿などとても想像できん
どのような扱いをするのかわからないが……おそらく、余すところなく神のために使われるのだろう


まったくだ……落ち着かないのは彼の周りだけに限らないがね
そうだろうな、すでに深く関わっていることだ。それこそ、その胎内に至るほどに深く

ありがとう――――では、語らせてもらおう。あれはほんの数日前……
お前も知っているだろうが、アーグさんの根城であるドラクレア島でのことだ――――

【彼女が座ることに対しては、当然とうなずき。椅子を勧められれば、遠慮なくそこに腰かけた】
【影の椅子に座る。異形の男にとっても、初めての経験だった】

/続きます
243 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 19:47:09.52 ID:DQjrC06Zo
>>239
【そこからは、彼女の予想通り少しばかり長話になる。ドラクレア島の生物や資源採取を行っていたカニバディールが】
【ドラクレア島の中においても、なお未踏の地である古城の前で一人の女性に出会ったことから始まる】

【以前、機関に敵対したこともあり、能力者同士での大会でも好成績を残した女性、アンジェル・ベルジュロン――――今はリリーと名乗っているらしいが】
【彼女が古城の排水溝から吐き出されてきたところに居合わせ、取引を持ち掛けて情報を引き替えに古城探索に手を貸した】
【その時、突如として古城の中腹で爆発が起きるという現象があったこと、その爆発が先客――――すなわち、アーグの配下によるものだったことも付け加える】

【互いをけん制しながら古城に侵入し、一度彼女が通ったという道を通り。たどり着いた舞踏会場で、アーグの配下が仕掛けたトラップを掻い潜り】
【そこに至ってようやく、アーグの配下から「邪魔をするな」と警告を受けたのだという。「脳内に直接語り掛けられるというのも、あまり気分のいいものではなかった」と蛇足を述べ】
【さらに、リリーから彼女の目的がアーグに対抗することだと聞き出したという。その古城が、100〜200年前のゼン=カイマでアーグに反発した者たちが作ったものだ、と言うことも、同時に】


【ロゼッタが望むなら、腹の子の父たるアーグの敵を名乗ったその女性リリーについて】
【背格好や服装、武器、確認できた戦闘方法などの情報も伝えられるはずだ】
【ロゼッタが、異形を観察していたのなら。リリーについて語る時、どこが忌々し気な表情を浮かべているのに気付くかもしれないが】
【この理由については、アーグとは関わりのないこととして異形からは話されない。彼女が聞いて来れば別だろうが】


【その後、警告を無視して階上へと昇り、城の中の教会にたどり着いた。この教会こそ、ロゼッタに話すべき出来事が展開された舞台だという】

【そこにいたのは、アーグの配下である炎使いの魔女が一人。彼女は教会の仕掛けを突破し、そこに隠されていた】
【黒い箱を見つけ出した。アーグは、この箱を手に入れるために配下の半不死を派遣したらしい】
【これに前後して、その箱の番人だという鋼を操る力を持った鬼と、鬼が駆る巨大な獣が現れる】
【何の因果か、この鬼は今のゼン=カイマにかつてあった騎士団にて、副団長を務めた石鬼と同族だったというが、これは】
【箱を巡って、その番人とリリー、その段階になってアーグ側についたカニバディールと半不死の二人の、三つ巴の争いに突入】

【結果、箱を最初に確保していたカニバディールからその箱を奪い損ねたリリーは逃亡、安否不明。強大な力を持った鬼にカニバディールも重傷を負わされ】
【最後には、箱を半不死の一人であるロースに託した。その時、箱を直接受け取ったロースの左手が黒く変色して使い物にならなくなったことも付け加え】

【結局、カニバディールは受けた傷を引きずってその場から無様に逃走するしかなかったという】
【教会から脱出した直後、背後で教会は崩れ落ち。半不死の二人も、番人の鬼も、どうなったのかはわからずじまいに終わった――――】

――――あの箱に何の意味があったのか。アーグさんは何故、あれを手に入れようとしていたのか
まるでわからないままだ。その箱を守っていた鬼が、城を建てた者たちに義理立てすると言っていたから
アーグさんに歯向かったものたちに関わるものだろう、とは考えているが……推測の域を出ない

いずれ、アーグさんが事を起こす際に、否が応でもその正体を思い知ることになるのかもしれないがな……

【ここでようやく、言葉を区切り。カニバディールは大きく息をついた】

/過去ログあさりつつで、大変遅くなりました……申し訳ありませんでした
244 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 20:03:09.17 ID:D3cI1mLJ0
>>241

【男の頭を骨ごと噛み砕かんと襲来した巨大コウモリ「キティ」の不意打ちは失敗に終わった。】
【轟音が響き、噴火の如く豪炎が天へと伸びる。そのまさに爆発的な男の攻撃を、間一髪のところでキティとベルは逃れることに成功した。】
【能力の爆発に一瞬早く気づくことにより、男の首筋を正確に捕捉するため減速しかけていた蝙蝠の体を、更なる加速へと転じさせる。】
【結果的に、少女と化け蝙蝠は火柱の出現を突っ切る形で回避したのだった。蝙蝠の尾の先端が、ほんの少し焦げている。かすったようだった。】
【同時に、急旋回。少女ベルはムスペルと向かい合う形となる。】

ふん、自分を貫き通す、か。それ自体は悪く無い信念と思うけど、その結果起きるのが理由なき殺戮だとするならば見過ごしちゃ置けないね。
何を隠そう僕が人間を嫌うのは、この世で最も「理由なき殺戮」を繰り返し続ける悪魔の種族だからさ。
意味が無いんだったら[ピーーー]なよ。イライラするんだ、そういうのを見てると。

【不意打ちが失敗したことに腹を立てるかのように、少女の目つきは鋭いものとなっていた。騙し討ちを仕掛けたことに関して、全く悪びれるでもなく。】
【ベルは凶悪な表情を続けたまま、口元に笑みを浮かべる。目の前の男が見せた大技に、微塵も怯まない様子で。】

しかし闇討ちに気づいたのは褒めるけどさ、君、今の状況わかってるのかい?君は今、僕の攻撃に対して逃げることしかできないんだぜ。
それでも良いって言うなら続けよう。言わなくたって続けるけど、さ!

【そう言い放つと同時に、急上昇。もはや路地裏に並び立つ建造物達よりも高い上空へキティは舞い上がった。】
【途端、男に向けて放たれるのは衝撃波。蝙蝠が超音波を用いて獲物を狩ることは有名であろうが、ベルの使役する実験動物は、通常の獣の能力を遥か凌駕する。】
【本来蝙蝠には発することのできない、極低い周波数での、極長い波長での音波攻撃。人間の可聴音域を超えて発される怪音は、物理的な暴力となって男を襲う。】
【男の周囲の建造物、その窓ガラスが軒並み砕け散る。上階の方のガラスも割れているのだから、それらは凶器となって男の頭上から降り注ぐ。】
【更には、男の体を襲う衝撃波そのものによるダメージ。常人であるならば、それだけでも数メートルは吹き飛ぶであろう代物である。】
【そして何より男にとって脅威であろうことは、眼前の敵が、「飛行能力」と「遠距離攻撃」を併せ持つことであった。】

245 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/28(日) 20:26:48.83 ID:yTHOzz6DO
>>242-243

【影の椅子は、暖かみもなければ冷たさもなかった。影ということを考えれば、当然のことか】
【ただ、座り心地は程々だ。固すぎず、かといってひどく沈んでしまう程でもない】
【路地裏の語らいに使用する程度であれば──使うのが盗賊と娼婦であることを考えても、妥当な質のものであった】

【子供に対するカニバディールの意見に、ロゼッタは頷いた。以前愛がどうのと言ってきた地味な青年が聞けば、卒倒しそうな会話だった】
【娼婦の子だから愛さないわけではないというのも、彼女には十分伝わっていた。生まれる子が愛されないのは】
【強いていうならば──父親がアーグであるためなのだ。そればかりは、数ある不幸のひとつなのだが】
【子供が、その不幸を嘆くようなまともな感性を持って生まれるかどうかも、今のところ全くもって不明であった】

【その後、ドラクレア島を舞台とした長い話がカニバディールの口から語られる】
【娼婦だからか、あるいは彼女の性格か。話の途中余計な言葉を挟むことはなく、時に頷き、時に合いの手をいれ──完全な聞き手にまわるのだ】
【疑問はすべて、彼の話が終わった後にぶつけられる。そうは言っても、話が若干込み入っており】
【ロゼッタが話し出したのは、彼の話の後しばらくして、更に長い長いため息をついてからだった】


…………気味の悪い話、ね
何もわからないまま終わる、というのが余計、気味の悪さを掻き立てるわ

けれど────アーグがまた何かをしようとしていることは、間違いないわね
それにしたって……箱。箱、ね……単純に考えれば、呪いの箱なのでしょうけれど
……問題は、そのリリーとかいう女も、箱を狙っていたということ、ね

──物語でよくあるのは……その箱がアーグにとっては致命的な何か、というものね
それならば、リリーが箱を狙ったことも合点がいくし、古城に箱があったことも納得よ
リリーも、古城の鬼も……時代は違えど、打倒アーグを掲げているのだから
そしてアーグはそれを利用されないよう、敵の手に渡る前に箱を自らの手中に納めようとした……

た、だ────それならそれで、その後アーグや配下たちの動きがないのが気になるわね
教会が崩れ去ったことで、箱は物理的に封印されたと見た、か……
ううん……それでも、彼のことだもの。それだけで、満足するはず────


【ずき、と腹が痛んだ。気付かぬうちに興奮していたせいだろうか】
【ず、ず、と痛む。どうやら、本当にいつ生まれても不思議ではなさそうだ。若干表情を歪め、またロゼッタはため息をついた】


今の話も、推察に過ぎないけれど、ね。…………ねぇ、カニバディール。ひとつだけ、質問よ
あなたの上司である六罪王・ダグラスと……信仰を捧げるべき大司教・アーグ

──────どちらを取るか、と言われれば、どちらを取るかしら?


【推察なら、いくらでも出来る。だが彼も彼女も、求めているのは空想によりいくらでも生み出されるものではなく、揺るぎないひとつの事実だ】
【故に──その事実に繋がるであろう選択肢を、ロゼッタは提示した。……ダグラスとアーグ。その二つの名に、どのような意味があるのだろうか】

/ええんやで(にっこり)
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 20:48:36.15 ID:2ImgIWglo
>>244

【笑っている。嗤っている。心の底から楽しそうに、焦熱世界を名に冠する男は凶相を深める。】
【そう、楽しいのだ。ただの戦いなら別に楽しくもないが、熱くさせてくれるのが相手なら話は別だ。】
【強かろうとそうでなかろうと問題ではないのだ。彼が昂ぶる主な要因はそこにない。】
【戦闘狂というわけではない。ただの戦いならば楽しいとも思わないのだ。ならばなぜ、ここに至ってこうまで笑っているのか。】

「可ッ笑しいなぁ、お前……!」

【頭の螺子が抜けているヤツ。人間的にイカレているヤツ。決定的に何かををはき違えているヤツ。】
【総じてろくでなし。どうしようもない。“同じ穴の狢”――】
【そういう連中とは、どう関わろうと楽しいのだ。どのように付き合おうが、こうして殺しあう破目になろうが、彼は面白くて仕方がない。】

「そうだよなぁ……! 信念の下に殺すアンタと、大した理由もなく殺す俺……全然、全ェン然ちがうよなぁ……!」

【笑いが止まらない。こんなに可笑しいことがあるか?】
【結局どちらも、殺しているということに違いはないのに。信念の有無なんぞに関わらず、殺された連中の恨みつらみは変わらないというのに。何も変わりはしないというのに。】
【ならば信念の有無の差を求める場所は主観によってしか生まれず……それでもなお、自分のルールに従っているということに違いはないというのに。】
【自分で言っていて気づかないのか、本気で――ああなんということだ!】

「クク、ククハ、ヒャァァッハハハハハハハァァッ――――!!」

【これだから止められない。人間とはこんなにも面白い。】
【愉しすぎるぞなんだこれは。大当たりだ素晴らしい――俺は本当に人生を満喫している!】

【降り注ぐガラスを、炎を纏い超高熱の障壁に見立てることで防いだ。】
【彼に近づいた瞬間、片端から融け崩れていく透明の破片……しかし衝撃波そのものはどうにもならない。】
【防御姿勢を取る暇もなく吹き飛ばされるムスペルヘイム、その肉体能力は常人とそう変わりはしない。】
【ゆえに手もなく吹き飛ばされ、強かに全身を打つ。……だが、その貌は依然として変わらず笑みの形に歪んでいる。】

【――さて。ここまでに、ムスペルヘイムが彼女――ベルに晒した手札を見てみることにする。】
【一つ、直接触れている相手の全身を発火させる。一つ、掌に保持した火球を破裂させ、火柱を作り出す。】
【共通しているのは炎。そして炎を発生させるのに彼の身が媒介となっていること。】
【だから彼の能力は発火――それを身に纏っての接近戦。】

【――ではない。】

【ムスペルヘイム本人は隠す気などさらさら無かったが、ベルの目にした場面が悪かった。】
【どちらも炎を身に纏っているとなれば誤解してもおかしくはないが――そうではないのだ。】
【彼の能力は発火、それは間違いない。そして先ほど一度だけその片鱗を見せた、発火の延長線上にある……】
【ただ彼が有する異能の性質を、百八十度見誤っていたのだ。】

「さぁて、始めるとしようや……! 愉しもうじゃねぇかよ、なァッ!」

【開戦を叫んだ瞬間、彼の前方中空に出現したのは三十に届こうかという火球群。】
【その一つ一つがバレーボール大、大きさを犠牲に数を増やしたというのでは断じてない。】
【点ではなく面制圧――射出された火球群は回避の可能と不可能のラインをギリギリに擦る速度だった。】

【そう――これこそ彼の戦闘スタイル。】
【大火力の釣瓶打ち。魔力も詠唱も術式も呪符もない、生粋の異能者としての中・遠距離戦。】


/遅れてすみません……!
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 20:51:07.91 ID:2ImgIWglo
>>246
/そして今になって気付く微妙なおかしさ。
 【ただ彼が有する異能の性質を、百八十度見誤っていたのだ。】
 を
 【ただ彼の本領とする戦闘方法を、百八十度見誤っていたのだ。】
 に差し替えお願いします。たびたびすみません!
248 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 21:07:36.62 ID:DQjrC06Zo
>>245
【影の椅子には、文句など言うことはない。むしろ、この場、このメンツにはふさわしいものだ】
【この路地裏で、汚れた地面に腰かけずに済むだけでも贅沢とすらいえるだろう】

【路地裏に、この世の闇に、沈んで生きるものたちの会話。そこに、表の世界の光や愛など通用しない】
【そも、あの神の教えの他の何者も信じないだろうアーグの子ども、というだけで、すでにそんなまともな世界とは隔絶されていると言える】
【その子供が何者になっていくのか、それはまだ未来という闇の中だ】


【さすがは娼婦というべきなのか。カニバディール自身も、彼女の聞き役としての姿勢に】
【自らの言葉を引き出されていき、すらすらと話を進められた。古城での顛末、己以外誰も知らなかった、あの不可解な一幕を】

……あれが何を意味するのか。推測の材料すら不足している
私も、その気味の悪さを抱えたまま、アジトへすごすごと引き返すしかなかった

おそらく、そうなのだろう。遠目に見ても吐き気を催さんばかりのあの瘴気……相当に強力な呪いだろうな
リリー本人は、アーグさんに対抗するための調査と言っていたが……あの女が箱の存在を知っていたのかどうかも、わからない

古城そのものが、アーグさんへの対抗勢力の拠点だったというなら、おそらくそうなのだろう
アーグさんが元の身体で過ごした200年前の代物だったとしたら、それだけの力を蓄え続けているという点からしても
あの箱の秘める力、呪いの強大さは推して知るべしだ

ただ……私が最後に見たのは、箱を取り落とした水を操る半不死が、水球で箱を回収しようとしていた場面だ
単に封印するだけで済むなら、そこまでする必要があったかどうか……あるいは、あの箱はアーグさんにとっても必要なものだったのかもしれん

【彼女の表情とため息を前にすれば、一度言葉を区切って彼女が落ち着くのを待つ】
【通常なら、この異形は妊婦を気遣うなどまずないが、今回は別だ】


――――ダグラス・マックスウッドとも会ったことが? いや……まずは質問に答えるとしようか

私は、アーグさんを取ろう。彼には、多大な恩義がある。私自身の利益を損害する事態にならない限り
私はその恩義に報いるつもりだ……彼に授けられた信仰心もまた、その理由となるだろう

それにマックスウッドも私も、機関に忠誠を持っているわけではないことでは一致を見る
上司であることが、そちらにつく理由にはならないのでね

【その質問。カニバディールがこの件に対して抱いていた懸念の一つを、的確につくものだった】
【思わず、質問を質問で返してしまうが、まずは答える。確かな意志を以って】

……今の質問は。ダグラス・マックスウッドとアーグさんとの間に、対立の兆しがある、ということなのか?

【続けて質問を返す。カニバディールが確証を得られなかった事実。己自身にも影響するだろう、その事柄について】

/どうもすみません……
249 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/28(日) 21:40:13.32 ID:D3cI1mLJ0
>>246


【ガラス群によっての攻撃が回避され、代わりにムスペルヘイムが撃ちだしてきたのは無数の火球。】
【一弾一弾が相手を焼き尽くさんと迫るその地獄を、それでもベルは笑ってみせる。】

ふん、何だか知らないが急にご機嫌になったみたいだね。鼻につくんだよ、その笑い方。
この僕が馬鹿にされているみたいじゃないか。僕は色々嫌いなものが多いけど、コケにされるってのは最高に嫌いなんだ!

【そして一際大きく蝙蝠が叫ぶ。火炎弾が眼前数センチに迫ろうとも、少女と蝙蝠は怯えもしなければ回避もしない。】
【それが意味するのは相打ち覚悟の攻撃ではなかった。ただ少女が「研究者」であり、「開発者」でもあったがゆえの必然。】

「逃げることしかできない」って言った意味がわからなかったのか?だったら教えてやるよ。
つまりこの巨大蝙蝠"キティ"の能力と君の能力は、最悪レベルで相性が悪いってことなんだよッ!

【「音波消火器」という言葉を知っているだろうか。音とはすなわち空気の振動であり、それは炎が燃える原因であるところの「酸素」へ影響を与えることに他ならない。】
【超低周波数で発された音波は炎の周囲の空気そのものを動かし、燃焼反応の起きている空気層を薄くすることによって、酸素の供給を断つ。】
【蝙蝠の咆哮が終わる。そしてベルとムスペル、二人の間には、たった一つの火球すら残っていなかった。】
【勝ち誇るようにして少女がけらけらと笑う。男は眼前で起こった出来事を理解することができるだろうか。】

うふふ、馬鹿だね。始めの火柱みたいな攻撃だったらともかく、キティの頭よりも小さな炎弾なんて撃ってきたところで無駄なんだよ。
はっきり言っておくぜ、君のそんなチンケな攻撃は私達には「一切」通用しない!
さぁイカレヤロー君、続けようか。これでも戦い続ける気力が残ってるんなら、さ!

【ベルがこの時、眼前の男ムスペルヘイムに対して有利な実験動物を従えていたのは、策謀など関係の無い全くの偶然である。】
【しかしそれがこの少女をここまで優勢足らしめたのは、持って生まれた天運か。】
【宣言と同時に、再び衝撃波による攻撃を再開するベル。しかし今回はそれだけではない。】
【男の頭上から、幾筋ものねばついた水滴が雨の様に落下してくる。それは巨大蝙蝠"キティ"の唾液であった。】
【ある種の吸血蝙蝠の唾液には、標的の血液を効率良く吸うために、血液の凝固を防ぐ酵素が含まれている。】
【つまり通常ならば自然に塞がる傷も、その唾液に触れることによって塞がらなくなり、血はとめどなく流れ続ける。】
【すなわち男が傷を負い血を流したならば、そこに唾液が付着することは非常にまずい事態となる。一滴一滴がバケツ大の大きさであるその唾液の雨の全てを防ぐことはどう見ても困難である。】
【その間にも、衝撃波本来の攻撃は確実に男へ負傷を、ダメージを、流血を促してくる。現在の戦局において、優勢なのはベルのようであった。】






250 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/28(日) 21:43:20.31 ID:yTHOzz6DO
>>248

【痛みが和らいだのか、表情の歪みが僅かに収まる。他人の気遣いなどあまり求めたがらない彼女ではあるが】
【この時ばかりは、素直にその気遣いに救われた。痛みが落ち着けば、すぅとまた息をはいた】

【「アーグにとっても、ね……」呪いの箱。アーグの命取りになる可能性のあるもの。それでいて、彼に必要なもの】
【与えられた状況の全てが、曖昧すぎるものだ。霧の中を進んでいる感覚と似ていた。「何かが封印されているとか」】
【またひとつ、適当な推察を出してみる。「飼い慣らせば強大な戦力になる、何か」 そこまで言って、彼女は一旦この話を止める異にした】
【「明確な何かがない以上、無駄に考えるのはやめたほうがいいわね」──確かにその通りかもしれない】
【腹を撫でて、彼女は次の話題に移った。ダグラスとアーグの話について、だ】


…………流石ね、カニバディール。その通り

ただ、少なくとも3週間程前。六罪王アインが……アインがエルジオで暴れた次の日にアーグと会った時には……アーグはそのことに気付いていなかったわ
仕掛けようとしているのはダグラスよ。1ヶ月以上前から、ダグラスは“アーグ退治”の準備をしている
「なんとかであります」が口癖の、ケミッシュとかいう青髪の女と……そいつに「お姉さま」って呼ばれていた赤髪の女────
そいつらをどっかに隠して、何かをするつもりみたい。……ふふ、このことは秘密よ、カニバディール?
ダグラスとアーグが喧嘩しようとしているのは……私と、あなた。後は……アインは知っている
ダグラスの周りにいる連中で、それを知っている人はいるかもしれないけれど……

──ともかく。ダグラスがアーグを倒そうとしているところに起きたこの騒ぎよ
私には……偶然とは思えない。単独でアーグに挑もうとするバカがいるなんて、思えないのもあるけれど、ね……

ふふ……あまりこういうこと、他人に話したりしないのだけれど
でも、あなたはドラクレア島のこと話してくれたもの──これで、


【「これで、お代分くらいにはなるかしら?」 ロゼッタはそう言って、話を終えた】
【知っていることは、ある程度話したつもりだ。質問があれば答えるだろうが、どこまで問いを満たせるかはわからない】
【それでも良ければ、質問をどうぞ──赤い瞳を、ゆるりとカニバディールに向けた】
251 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 [sage]:2015/06/28(日) 22:03:49.40 ID:D3cI1mLJ0
>>249
/またも誤字です。 ×チンケな攻撃は私達には〜 ○チンケな攻撃は僕達には〜  の間違いです!
/こちらこそ遅レス申し訳ありません、できる最速で書いております…
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/06/28(日) 22:09:56.57 ID:a0SvwyMho

【路地裏】
【暗闇の中、何かが何かを蹴り飛ばした音が一つ】

「……、…………おォーっと、ごォみ箱がぶゥっ倒れちまったぜェ」

【蹴り飛ばした方は、黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「まァったくよォ〜、苦ゥ労させやがって……自ィ警団サンよォ」

【――蹴り飛ばされた自警団は、ゴミ箱に当たったことで】
【血塗れだったその身体が、ゴミまみれにもなってしまうのだった】

【さて、この者……間違いなく、自警団の敵側の立場――つまりは悪だろうが、はたして】


――――――――――――――――――――


【森】
【とある茂みに隠れているのは――】

「ここなら……少しは……」

【サメのヒレの様なツノのあるボサボサとした説明しにくい黒髪に、金色の眼の20代半ばの男】
【ハーフ顔で優しげな、しかし死んだ目付きをしていて、左頬には猫と思われる引っかき傷の痕がある】
【服装は、ほんのり青いタンクトップに、紺色のジーパン(ストレッチタイプ)】
【両手足には指が出るタイプのグレーのグローブ的なものがはめられており】
【紐タイプの無難な黒ベースの運動靴を履いており、頭部と両腕には赤色の鉢巻が巻かれていた】

「…………!」 「なんだ、……狼かぁ、じゃあ大丈夫だね」

【がさっ、彼の隠れている所の近くから現れたのは……一匹の狼だ】
【明らかに彼に気がついている、そして……この忍び足、低音の声、――狙われている、間違いなく!】



/あまり長い時間はいれません
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/28(日) 22:30:15.80 ID:2ImgIWglo
>>249
/すみません、わりと早めですがもう落ちねばならず……
 明日、なるべく早いうちにお返しさせていただきます……!
254 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 [sage]:2015/06/28(日) 22:33:01.87 ID:D3cI1mLJ0
>>253
/了解です。ただ、明日は夜10時頃からしか再開できないと思われます、ご容赦を…
255 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 22:33:49.11 ID:DQjrC06Zo
>>250
【彼女の痛みが引いたと見れば、また話は続けられる。さしもの娼婦といえども】
【あのアーグの子を孕む、などという前代未聞の真似をやってのけた以上、負担もやむを得ないと言うべきか】

【彼女も当然、あの古城でのことは先の見えない濃霧の中だ。いったい、何が起きているのか】
【あの場にいた異形自身でさえ、不可解なことが多すぎた。彼女が一つ、推察を述べるが】
【「在り得る話ではある……箱の内部に封じられた何かの力、ということは考えられる」と、やはり曖昧な答えを返すことしか出来ず】

【「そうだな……いくら考えても、推察の域を出ない」と、彼女の言葉には同意を示す】
【確実な答えの出ない問いを、この場で追い続けたところで霧は晴れない】


【ただ、この場に一つ。その答えが見える話題が、存在した】

――――やはり、そうなのか
アイン……アインさんも知っているのか……彼を六罪王に推挙したのはマックスウッドだったが
アインさんは、どう動くおつもりか……まあ彼ならば、どこまでも己を貫いたままだろうがな

しかし、アインさんとまで知り合いだったとはな……顔の広い娼婦もいたものだ

【現れた予想外の名前。自らも面識のあるアインの名に驚いて見せる】
【そして、ロゼッタの口から語られていく内容。己の持つ情報と併せて、浮かび上がって来る事実】
【異形はしばし、彼女の前で沈黙した。彼女の話を咀嚼し、組み立てていく。やがて、ゆっくりと口を開いた】

ケミッシュ……赤髪の「お姉さま」……二人を隠す……そうか。そうか……
ああ、秘密だとも。これは、下手に漏らせば自分が危うくなる類の話だ

そうだろうとも、偶然とは考えられない。今の話を聞いて、なおさらそう思える
単身でアーグに挑むようなバカがこの世にいない、とも限らないだろうが……少なくとも、リリーに関しては
恐らく、マックスウッドが関わっているのだろう……

ああ、十分……いや、それ以上だ
いい話を聞かせてもらったよ……

そうだな。ならば、一つ聞かせてもらおう
先のそちらの質問に近いが……お前は。お前自身は、どこに立っているんだ?

本来、娼婦に向けるには愚問だろう。誰かの味方である義務などないのだから
だが、この件に関して、お前はある意味誰より深くかかわっているともいえる

お前は、どうするつもりだ? その腹の子を産んで……アーグさんに渡して。その後は
もし……まだこの件に関わるつもりがあるなら。一つ、頼みたいことがある

【異形からの質問が、彼女に向けられる。三つの瞳は真正面から、彼女を射抜くことだろう】
256 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/28(日) 22:46:44.96 ID:5eXHbOjJo
>>252
/まだいらっしゃいますでしょうか?
257 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/28(日) 22:49:00.75 ID:RuyrO8a4o
【水の国】

【街から遠く離れた平原に数十人規模の調査隊らしき部隊が展開していた】
【何人かが地面を掘り返して、また別の何人かが掘り返された地点に特殊な機器を翳しては検出された数値を見ていた】
【円状に広がった調査隊を護衛するかのように円の外周部には銃器を持った部隊が広がっている。彼らの装備には逆五芒星が描かれていた】

【部隊から少し離れた丘の上に、彼らを見下ろす男の姿があった】
【赤黒い外套に長身。黒の短髪に東洋人風の顔。風貌は三十代のものだったが、纏う雰囲気はより威圧的なものだった】
【左耳には大きなルビーのイヤリング。鋭い目つきが眼下に広がる部隊へと向けられていた】


────ナンバーズ以外の機関員がどの程度のものか、やはり戦闘で試した方がいいか……
調査に人員を回すのは確かに楽だが、精度に不安があるな…………こんな連中で、果たしてどのぐらい正確なものか

マシラのやつがいればこんなことをしなくても済むんだが
いや、あいつの部隊は諜報が専門か? 調査までやれるかは知らんし、戦闘に関しても怪しいか…………


【独白が魔術師の口から紡がれた。瞳は眼下の平原、その更に下へと向けられ、思考は遥か深淵の中にあった】
【突如、爆発。掘り返した地面から膨大な魔翌力が噴出。純粋な魔翌力は付近にいた機関員数名を焼き尽くした】
【燐光を放ちながら、逆さの瀑布のように吹き上がる魔翌力が空まで届き、周囲に雨のように降り注ぎ始めた】


…………当たりか。多少、時間の節約にはなったな


【噴出する魔翌力は時間と共に増大。噴出孔が広がっていき、逆さの瀑布は巨大化していった】
【調査隊と護衛の部隊は慌てて退避していく。だが間に合わなかった数人が魔翌力に飲み込まれて消滅】
【眼下の光景に魔術師は一瞥もせず、ただ冷静に目の前の輝きにだけ意識を向けていた】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/06/28(日) 22:50:35.69 ID:a0SvwyMho
>>256
/たぶんおりますん ただ、流れによっては複数日に跨る可能性があるかもしれません
259 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/28(日) 22:57:34.30 ID:5eXHbOjJo
>>252

【――がしゃん、という派手な音。ゴミが撒き散らされるその音は、人気のない路地裏にはとてもよく響いたことだろう】
【そしてそれは、誰かの命が脅かされている音でもあり。もし正義感に燃える誰かが現れたのなら、すぐさま止めに入ったかもしれないが】


………、なに、やってるの?


【路地の更に奥の物陰からふと姿を現したその少女は、正義も悪もなく、人形の様な相貌を微かに戸惑いの色に染めてそちらを伺っていた】
【こんな場所にいる時点で。目の前で起きる凶行に怯えではなく戸惑いが先行する時点で、見た目は少女であっても、決して"普通"ではない】

【――季節はずれの雪のような肌、天蚕糸のように透き通った髪。月白色の双眸。およそ色素というものが欠如した、人間離れした風貌】
【肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧に三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められて。その僅かばかりのお洒落だけが少女に人間味を与えている】
【乳白色のレインコートを被っていて顔色は見え辛いが――若干ながら、双眸には悲しみの色が称えられているようにみえて】

【もし男が覚えていれば、それはかつて"ある遺跡"で、一度見たことのある顔だったかもしれないけれど――】
【いずれにしても、少女は棒立ちの状態だ。自分から自警団員を助けることも男に襲い掛かることもない】
【どういう対応をするにせよ、"先手"は男のものとなるか……?】


/了解です、よろしくお願いします!
260 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/06/28(日) 22:59:54.92 ID:5eXHbOjJ0
>>259
/書き忘れた……次少しだけ遅れるかもしれません、いきなり申し訳ない
261 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/28(日) 23:06:26.37 ID:yTHOzz6DO
>>255

【アインとまで面識があることに驚愕するカニバディール。それを見て、少し表情が曇った】
【彼はよい客ではあったが──自分の「正体」をも見られた相手だ。もう、アインが自分の客につくことはないだろうと彼女は思っていた】
【僅かにプライベートとしての付き合いもあった分、縁が切れるには惜しい相手だった。……だが、それは今は関係のない話だ】

【曇った表情を隠すように、ふふと彼女は笑った。「娼婦なんて、そんなものよ」客はベッドの上では、気が緩んで要らぬ情報を吐いていく】
【彼女自身、客を引く場所に拘りはない。故に知り合いが多いのも、妙なことを知っているのも不思議なことではなかった】
【意思さえあれば、誰にだって出来る──先ほどロゼッタはそう言っていた。それはきっと、アーグに限った話ではないのだろう】


…………そう。リリーとやらも、ダグラスが──


【ケミッシュに赤髪の女。そしてリリー。相手の反応を見るに、すべてはどうやらダグラスと繋がっているらしい】
【入念な男だ、とそう思った。アーグを倒すのに、それほどまで裏に手を回しているのか】
【表に出てきた情報ですらこれだ。裏に隠れた情報がどれ程のものか、想像もつかない】
【──隠れた情報を想像しようとして、やめた。結局は先ほどいくつも思い浮かべた空論と同レベルであることに気付いたからだ】
【考えるべきは……今、カニバディールにされた問いかけの、答えだった】


…………あなたの言う通りよ、カニバディール
私は娼婦。誰かの欲望の捌け口で、誰にでも寄り添う女
味方とか敵とか────ふふ。そういったものとは、無縁の存在よ

……でもね。もう、関わってしまっている。アーグの子を孕んでしまった時点で、私は誰かの敵で誰かの味方になってしまった
ふふ……中途半端はイヤなの。アーグの子を生んで、お金もらってオシマイ、なんてそれこそ気持ち悪いもの

────私はね。「こちら側」につくわ。アーグの側に
残念なことに、そうしなきゃいけなさそうだもの。アーグの子を生んで、ダグラスの裏切りを密告して
ふふ……今さらダグラスの側につくことも、知らないフリして客引きも出来ないわ


【「──それで」赤い瞳が、三つの目を受け止めた。「頼み事って、何かしら」 くつくつと、女は笑っていた】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/06/28(日) 23:17:29.56 ID:a0SvwyMho
>>259

「ちィ、誰か来ィたか……」

【気配、何者かの気配を感じたその者は――さり気なく、自警団をごみ箱やその中身に隠すように脚で動かし】
【……まあ、こんなことをして隠せるほど、ごみが散らかっているわけでもなく、ゴミ箱がでかい訳でもない】 【単なる気休めだ】

「さァっさと回収しィねェとな……ん?」

【しかしその者は思った、先程の行為は己の敵が来た場合に備えてだったが――敵意が不明瞭なのだ】
【こちらを伺う、それだけ】 【――ふと、遠くない記憶の棚が開いたような気がした、前に何処かで見たことが……】
【……少しの間、少女をじっと無言で見ていたその者は、何かに気がついた様な仕草をした後……彼女に接近を試みる】

「――よォう、嬢ちゃん……こォの辺りは物騒だァぞ、俺様が出ェ口まで案内しィてやろう、――"飴"も有ァるぞォ?」
「……おォーっと、今見ィた事は忘れよォーか」 「あァれは別の奴がやァった、そォーいう事にしィとけ、なァ?」

【そう言いながら、彼女の左肩に己の右手を軽く乗せようとし――(なお、聖や除霊等の力が触った部分にある場合、それだけでもダメージを受けるらしい)】
【……今のところは乗せようとするだけだ、あくまでも"親切な者"の感じを振舞っている、……しかし傍から見れば、ただの誘拐未遂犯。】
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/06/28(日) 23:18:06.34 ID:a0SvwyMho
>>260
/了解です、こちらも風呂入ってくるので若干遅れるかもしれません
264 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/28(日) 23:43:51.68 ID:5eXHbOjJo
>>262

【少女は虚ろにすら思える透明な視線を、男に対して向けていた。警戒はあっても敵意はないが、かといって阿るような色もない】
【動揺したり浮き足だったりすることがないところをみるに、少なくともこういう暴力沙汰に慣れてはいるようだったけれど】
【「……回収?」と頭に疑問符を浮かべて少女は呟く。――この場においては、慣れがどうのというより、単に理解が追いついていない面が大きいのかもしれない】


あのひと………大丈夫なの?


【ゴミを浴びせられ申し訳程度に隠蔽された自警団員だったが、さすがに誤魔化しきれなかったようだ。少女は確かに血の臭いを嗅ぎ取っていた】
【視線は男から、その臭いの出元へと向かって、そこで釘付けになる。かすかに目を見開いた表情には、恐れとも驚愕ともつかないなにかが浮かんで】
【……注意散漫。"ぽん"と、男が左肩に手を乗せるのはあっさり成功するだろう。触れても特に害はない、肌は若干ひやりとするけれど、感触自体は普通の人間だ】


あのままにしてたら………死んじゃうんじゃ………。


【ただ、問題は――少女の注意が、あまりにもそちらに引き付けられすぎていることか】
【「今見たことを忘れる」ことも「別の誰かがやったことにする」ことも、少女はしなかった。拒否したのではなく聞いていないのだ】
【少女は下手人であるはずの男に、彼は大丈夫なのか、なんて繰り返し問う。その場に根でも張ったみたいに動かなくなってしまうだろう】
【そして暫くすると、自分の肩に手をかけた"親切な者"のことも気にせず、自警団員の方へ踏み出そうとするのである――】

【十代前半にみえる体格とは裏腹の強い力だ。油断していると乗せた手を引き剥がされてしまうかもしれない】
【ただ、それはあくまで"見た目からは想像できない力"というだけで、成人男性程度の腕力があれば強引に押し留めることは可能なはず】
【そもそも、視線も意識も自警団員の方に釘付けのままで全体的に隙だらけだ。――力付くということになれば、いくらでもやりようはあるか】
265 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/28(日) 23:52:44.05 ID:DQjrC06Zo
>>261
【アインのことに触れた時、彼女の表情が曇ったことには気が付いた】
【ロゼッタとアインの間に何があったのかは知らない。そこに踏み込むこともしない】
【彼女にとって、アインとの間に起きた何かは、そう軽いものではないと悟ったためだ。相手の感情に配慮したわけではない】
【ここに踏み込むことが、己の不利益になりかねない。そう感じたからこその、選択。結局、この異形は利己主義の悪党だ】

【「そうらしいな。娼婦というのは」おうむ返しだが、その言葉には畏れに近い感情が滲んでいた】
【己のみを頼りに、この闇の中を生き抜く女性。なんと強かなことだろうか、と】


ああ、これに関しては根拠もある。確実にそうだ、とは言い切れないが……

【彼女の言葉を受けて、自分の中でも改めて、この件に関わる複雑な関係性を思い浮かべる】
【元より、いくつもの思惑が入り乱れ続けるこの世界。そのすべてを見通すのは、至難の業だ】
【だが、どの道この異形の盗賊の目指すところは。その闇の中で、どう自らへと利をもたらすかということ】

――――そうなのだろうな。娼婦という人種は幾度か見てきたが、お前は特にその傾向が強いように思える
大司教の子を孕む、などということをやってのけていなければ、私とてこんな問いは向けなかった

そうか……お前は、こちらにつくのか。この件がどうなろうと、そちら側で見届ける。そういうのだな
ならば……頼み事を伝えるとしよう

【赤い瞳をまっすぐに見て、カニバディールは言葉を紡ぐ。彼女が、もはや知らぬふりは出来ない状態なのだと】
【覚悟を決めていることに関しては、何も言うことはない。それは、彼女の中だけにあるべきものなのだろう】

ゼン=カイマと、それに連なる者たち。正義組織も含めて、だ
何か情報が入ることがあったら、それを私に売ってもらいたい

今までの情報を組み合わせて考えてみたが……先の二人をどこかに隠したとするなら、このいずれかだろう
それというのも――――

【そこから、さらに語り出す。自分が持っていた情報を交えて。今回の件について】
【彼女が見たという二人。ケミッシュと赤髪の女。彼女らは、かつて共にカノッサ機関のナンバーズであったこと】
【そして、ケミッシュの言葉通り、その二人とさらにリリーは姉妹であることから話し始める】

【かつて、カノッサ機関のある研究部門にて行われていた実験。同じ科学者の同じ実験の被検体が、彼女らなのだと】
【人工的に能力者を創り出すというその実験により、姉妹となった彼女らは能力を手に入れた】
【しかし、赤髪の女性、ベイゼ・ベケンプフェンはとうの昔に機関を去り、ケミッシュも表に出てこなくなっていた】

【リリーに至っては、ゼン=カイマの事件で機関に忠誠を誓うものとして暴走し、多大な被害を出した末に敗れ】
【それ以来、噂を聞かなくなっていたこと。古城で会った時がその事件以来始めての遭遇だったこと】

【つまり、ダグラスのもとにいた二人とリリー、彼女らが姉妹として繋がっていたことが、リリーとダグラスにも繋がりがあるという推測の根拠であったのだ】
【さらに、もう一つ。アーグが現在使っている肉体の本来の持ち主、フレデリック・シャリエール。彼とダグラスが親友の間柄にあったことも】

――――フレデリックがゼン=カイマの事件以降、改心して家庭まで持ったと聞いてから
すでに、マックスウッドとは袂を分かったものと考えていたのだが……アーグさんにマックスウッドが仕掛けるつもりだというなら
私が思いつく動機は、このくらいだ。まだ友としての感情が生きていれば、アーグさんを友の肉体を奪った仇敵と見るだろう

翻って、そのフレデリックが仕切っていたゼン=カイマも加担している可能性は大いにある
特に……フレデリックの妻、マリア・シャリエールなどは

あの女には、私は一度喧嘩を売って手傷を負わせたことがある。この点だけでも、私とマックスウッドが対立するには十分、ということになるな……
同時に、今のゼン=カイマを通して、正義組織に話を通している可能性も考えられる、というわけだ

故に、この周りについて、どんなことでもいい。わかったことがあれば、その情報を私に売ってほしい
無論、金に糸目はつけないつもりだ。これでも、それなりに財産はあるのでね

【「……ベッドの上でもないのに、喋りすぎたな」と。自嘲気味に漏らすと、異形は彼女の返答を待った】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 00:05:17.02 ID:Dqdz8y3so
>>264

「――、……あァ、大丈夫だ」 「"俺様がいィる限り、死ィにやしィねェ"」

【「さァ、行こうか――」肩に乗せた手で少女を引き寄せ、出口とは別方向に連れて行く……予定だった】
【その行為は、少女の行為……自警団の方に向かうというそれで、未然に防がれた】

「んグッ!? (こォいつ……意ィ外と力が……ちィ、スマートに誘ゥ拐する予ォ定が……)」

【おそらく油断していたのだろう、"演じていた"故に力をあまり籠めていなかったのもある】
【己が相手の肩に乗せた手は、いともたやすく引き剥がされ……数回、頭を軽く掻けば】

【――さて、血とゴミにまみれた自警団員に関してだが】
【まず、生きているか死んでいるか――どちらかと言われれば、前者だ。気絶こそしているものの、息は有るらしい】
【……が、この出血量では、――あと一時間、いやそれより短い時間でも放置していたら間違いなく死ぬだろう】

「……よォーし、嬢ちゃん」 「自ィ警団員はどォーにかなるから置ォいておォこうかァ……なァに、全治3ヶ月の軽傷だ」

【そう言いつつ、自警団員の方に――少女を追い越そうとしつつ接近を試み】 【ある程度近づけたら、自警団員を脚で壁に押し付けようとするだろう】
267 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/29(月) 00:26:02.56 ID:ySRlSoQDO
>>265

【覚悟。この感情を覚悟と呼ぶのかは、定かではない。どちらかというと、数ある選択肢を消去法で消していき、残った選択肢を選んだ感覚だった】
【アーグの子を産んだとなれば、正義の輩に害される可能性は零ではない。だが、ダグラス一派の内情をアーグ陣営に話した以上、ダグラス側にも付けない】
【正義からの保身と、自分が話した内容からくる選択。それが、彼女にこのような返答をさせていた】
【アーグへの信心も理由の一つではあったが──大きかったのは、娼婦に相応しい打算的な判断だったのかもしれない】

【三つ目と赤が交差する。語られることについて、やはり先程と同様に無駄口は挟まなかった】
【次々に明らかになるのは、彼女の知り得ない複雑な人間関係。実験体の三姉妹に、アーグの“器”とその妻。“器”とダグラスとの関係】
【それらを静かに聞き──今度はため息もつかずに彼女はそっと嗤った】


なら、今度はベッドの上でお喋り? アーグの器……フレデリックの身体もそれなりだったけれど──あなたも凄そう……ふふ。なぁんて

それより…………マリア・シャリエール。ふふ──リリーは安否不明、ケミッシュと「お姉さま」が隠し球である以上、三姉妹はしばらくおとなしそうね

なら……まず手がかりをつかむにはマリア・シャリエールの近辺を探るのが良さそうね──
それか、ゼン=カイマやドラクレア島に行ってみるのも、悪くはないかもしれないわ
……ふふ。勿論、本業の合間に、という形にはなるでしょう、けれ、っ────、…………! …………!!


【合意は得られた。金が動くとなれば、彼女がこの頼みを断る理由はもう何処にもない】
【ゼン=カイマ。ドラクレア島。マリア・シャリエール──行くべき場所、探るべき人物のアタリもついた】
【ならば後は……不自然にならぬよう、さりげなく探りをいれるのみ。宗教都市ゼン=カイマで情報を得ることはなかなか難易度が高そうに思えたが】
【不埒なことを考える司教たちは何時の時代にもいる。以前フレデリックがそのあたりの掃除をしたらしいが、ゴミは隅の方に残っているものだ】

【とは言え、本業を捨ててまで必死になる案件でもない。むしろそんなことをしては、逆に怪しまれてしまう】
【そんな旨を伝えようとした、その時────急に、ロゼッタが腹を押さえて呻き声を上げた】
【そして呻き声に紛れ、ぱちという何かが弾けたような音。それに続く、どこか生臭い臭気】
【……ロゼッタの下腹部。股のあたりが、少しばかり濡れていた。────破水】
268 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 00:30:01.22 ID:pr240sQqo
>>266

【一歩踏み出したとき、肩にかかった軽い抵抗に気づいていたかどうか。少女は結局男には目もくれず、自警団員の方へ駆け寄り】
【しかし彼のもとへたどり着いたのは男が先だった。脚で壁に押しつけられた自警団員の全身を見た途端、大きく少女の目が開かれる】


………ほんとに? ほんとに大丈夫なの?


【――真っ赤な血が大量に滴っている。硝子細工のような風貌であっても、人間らしい感情をすこしは備えているのか】
【少女の声は動揺したかのように震えていた。どうにかなると言われてもどうしても気になって、自警団員の頬を軽く叩いて声をかけてみたりする】
【そして男の方へ振り返り、視線で念を押すように問うのだ。……本当は彼を助ける義理などまったくないのだけれど、それでも――】


やっぱり、放っておけないよ。
それに………わたしを連れて行こうとするひとには付いていくなって、マスターに命令されてるから。
あなたといっしょには行けないの………ごめんなさい。


【そして、ここでついに、少女は男に対して初めて"拒否"の気持ちを示した。だがそれは男に対する嫌悪とはまったく違う理由によるものだ】
【第一に、この自警団員がどうしても見過ごせないこと。そして第二に、『誰にも付いていくな』と何者かに命令されているらしいこと――】
【ちょっとだけ申し訳なさそうな顔で男にそれだけ言い終えると、少女はまた自警団員の方へ向き直ってしまうだろうか】

【……どうやら、少女の任意という形でスマートに誘拐を行うのは難しそうな雰囲気だ】
【だが少女のなかでは、男はまだ"誘拐犯"ではなく"親切な人"であった。善意で声をかけてくれた人の親切を断ってしまって申し訳ないとさえ思い込んでいる……】
【真後ろに"外敵"となりうる者がいるとは思っていない。その背中は当然、無防備だ。見た目にそぐわぬ力を備えているようなので、油断は禁物だけれど――、】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 00:59:27.78 ID:Dqdz8y3so
>>268

「あァ――"器"がひィび割れてるだけで、"中身"は問題ねェ」
「俺様がちゃアーんと、"中身を"救ゥ出すゥるからよォ〜……大丈夫って奴だ」

【――"嘘は言っていない、嘘は"】 【そう思わせるような、堂々とした言い振り。】
【しかしそれと同時に、何か裏がありそうな――そんな、悪者の笑みが滲む】

「ほォう、誘ゥ拐さァれるなと……――ん? 主(マスター)?」
「(確か、奴が救出されたのは約2年……あァ、いィや……こォの世界の暦じゃア約1.4年か……)」
「(まァ、2年あァりゃア誰かしらが引ィき取ってるか……にィしても、あァの時の負ゥの感情は今は無ァさそうだァが……おォっと」

【「途中から声に出ていた」、その言葉自体は声に出さなかったが……】
【そこまでマズそうな顔ではない、聞かれたところで問題はないと思ったのだろう】

「じゃア、……無ゥ理矢理連ゥれて行くのはOKだァよなァ?」

【OKを出すわけがないのはわかりきっていた、だから――自警団員の近くの地面に魔法陣を生成した】
【そこからいずる闇は形を成し……そしてそれは、2mほどでターコイズブルーな蛇となる】

「テメェーは色々と使えそうだァからな――素ォ材でも良いが、交ォ渉にも良ォさそうだ……おォとなしくしィてもらおうか」

【己の首に巻きつかせた蛇の頭部を持ち、それを少女に向け――発射するは、炎弾。但し、これは少女近くの壁に当てるつもりらしい】
270 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/29(月) 01:12:30.70 ID:Y+Choi1Eo
>>267
【あるいは、消去法でそれを取らざるを得なかったとしても。そこを歩いていくのは自分自身】
【それを自ら選択した彼女のそれは、それでもやはり打算というのが相応しいのかもしれない】
【なぜならここは路地裏で、娼婦たる彼女はそこの住人なのだから。世界の闇の中に潜むものなのだから】

【今度は、カニバディールも息はつかない。短い自嘲を終えれば、後は真正面から見据えるだけだ】

腹の子が産まれてしばらくした後でなら、それも悪くないな
私はこの通りの奇形面だ、割高になるのは承知の上で、客となる機会が来るのを待つとしようか

ああ、隠れているというならケミッシュは堂々とは表に出てこられまい
それに、その「お姉さま」……ベイゼ・ベケンプフェンは元々、機関を抜ける前後で受けた傷で、戦闘能力が低下していたようだからな
そればかりか、マックスウッドはベイゼはすでに始末した、と機関に対して報告しているんだ

マックスウッドが何のつもりでそうしたかは確実なことは言えないが、堂々と表に出せないのは確かだ
姉妹に関しては、ケミッシュとリリーに的を絞るべきだろうな

ああ、頼むよ。マリア・シャリエールも、光の魔術を行使する力を持った、元騎士だけあって油断ならない相手ではあるが
お前ならば、うまくやってのけるだろう。ああ、特にドラクレア島には、まだまだ未知の部分が大いにあるからな

当然だな。本業がおろそかになっては、それこそ本末転倒だ
可能な限りで構わない。その時々で得た情報を流してくれさえすれば――――!!?

【彼女の合意に、カニバディールはにたりと笑って見せた。図らずも、この奇怪な縁が】
【己に運んできたものは、決して小さくはない。彼女ならば、宗教都市に残るゴミも、過去を映し出す島も】
【全て利用して、情報を搾り取ることも可能だろう、と】

【本業を優先する、という言葉には同意を示す。しかし、その答えを聞く前に。それは起こった】
【下腹部を見れば、何が起きているのかはすぐにわかった。まさか、自分が。その現場に居合わせることになるとは】


【カニバディールは立ち上がり、右手の指を打ち鳴らした。すると、その巨躯から湧き出すように】
【複数の人影が姿を現した。まるで、彼ら一人一人がこの異形の男の一部として、最初からそこにいたかのように】

【中央から右が白、左が黒で色分けされたスーツを着た、四本腕に二つ頭の一つの身体を持つ異形の双子】
【先ほどもいた、巨大な義手を持つ顔を隠した男。真っ青な肌と腰までの銀髪を持つ学生服姿の少女】
【その他、手術着を身に纏った男が複数名。路地裏に湧き出して、カニバディールの傍らに立った】

【カニバディールは右腕の肉を膨張・変形させ、人が乗せられるほどのスペースを作る。即席の不格好な担架もどき】

オートマーダー、その女を私の腕の上に乗せろ!! デュアル、何人か連れて先ほど押し入った店の奥の一室までの通路を確保しろ!!
美鈴と残りは、一通りの準備を整えるんだ!! 盗賊が産婆の真似事とは笑えるが、この子供は何としても取り上げねばならん!! 急げ!!

了解、ボス!!∞∞

【現れた異形の配下たちが一斉に返事をし、彼の命令を実行しようとする】
【不測の事態が起きるか、ロゼッタが抵抗するなどのことがなければ、盗賊どもは彼女を路地裏から連れ出し】
【先ほど自分たちが襲撃して無人となっている店の奥にスペースを確保し、そこにロゼッタを運び込もうとする】

【異形の配下には、医療の心得がある者たちもいたらしい。青肌女と手術着の男たちを中心に】
【出産のための処置は、意外なほど手際よくおこなわれるはずだ】

【後は――――母体の体力と、腹の子次第か】
271 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 01:23:45.98 ID:pr240sQqo
>>269

【少女は男に対して、最後までなにもしなかった。振り返ることさえせず、後ろから聞こえてくる言葉だけを聞いて】
【すっ、と目を閉じて手を自警団員の額に翳す。目の前の彼に対してなにかしらの処置を施そうとしているようにみえたが、】
【――近場の地面に現れた魔法陣が視界に入った瞬間、猫のように素早く飛び退く。戦い慣れた人間の動きだ】


………、このひとはあなたがやったの? どうして………?
あのひとは、わたしにみたいに追いかけられているの?
"器"とか"中身"とか、あなたの言ってること、わからないよ――。


【そこでようやく、少女は男を"敵"と認識した。睨んでいるというには無機質すぎる月白色の視線が男の表情を見据え】
【わずかに、眉根がひそめられる。それは怒りでも憎しみでもなく悲哀だ。どうして、あの自警団員はあんな目に遭ってしまったのか】
【自分のような特別な事情があったのかと。――問いに問いを重ねる子供みたいな態度で、少女は悲しげな疑問符を男へ飛ばすのだ】


口で言ってもだめで、それでも無理矢理連れて行こうとするひとは………。
………め……命令に従わなきゃ。わたしが、このひとを――――。


【力尽くの手段に切り替えて迫ってくる男――少女は思わずうつむいた。ぶつぶつと機械のように、与えられた"命令"を追想し再認】
【ぶるりと、その全身がちいさく震える。無理矢理自分を連れていこうとする人はどうするよう、彼女の主は命じたのか、】
【少女はそれ以上言わなかったが、目を見ればわかるはずだ。……次に顔を上げたとき、動揺に潤んだ瞳には拙いながらも"殺意"らしき光が伺えて】

【――次の瞬間。放たれた炎弾に対して少女の身体が勢いよくぶれる。炎弾を避けて左へ跳んだかと思えば着地と同時に一気に踏み切り、男へ向けて跳躍】
【接近に成功したなら、成人男性の全力の一撃に匹敵する威力を帯びた右脚の飛び蹴りが、男の腹部へと打ち込まれるだろう……!】
【やはり、見た目からはとても想像できない身体能力だが――さっきまでのやり取りでそれはもう知れているはずであり】
【それに、少女は本来自分に向けたものではない炎弾を咄嗟に大きな動作で回避してしまった。その分初速は遅れており、対処はそう難しくないだろう】
272 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/29(月) 01:37:34.76 ID:ySRlSoQDO
>>270

【ばたたたた、と腹から羊水が零れていく。アーグは肚の子が早く日の光を見るよう、魔術をかけた】
【故に陣痛から破水、その後の出産までの経過も一般的なものより遥かに早い】
【魔術を受けた彼女ですらこの現象を予測出来なかった。だが──今は文句を言っている場合ではない】

【腹を押さえたまま、大人しく彼らの動きに従う。担架もどきに乗せられ、店舗の一室に運びこまれ……そこまでは、よかった】



ま、待っ…………っ、あ、あぁあぁあっ────か、……カニバ、……ディー、ル
見ない、で──見ない、で、…………っ、…………ぁ、────



   【 「──────────ッッッ!!」 】



【ごう、と獣の咆哮がロゼッタの口から溢れた。出産時、女は痛みにより錯乱し意味の分からぬことを口走るらしいが──】
【──これは、そんなものではない。本当に、比喩ではなく本当に獣の咆哮だった。だが何故……その理由は、カニバディール自らが目撃することになる】


【ロゼッタの白い腕。それが、黒く変色していた。──いや、これは変色ではない。毛、だ。獣のような、漆黒の剛毛だった】
【それが何ヵ所にも生えていた。すぐに漆黒は腕全体を侵食。ぶつぶつと白い人の肌をいくつか残し、彼女の腕は黒く染まっていく】
【そしてにゅうと、腕が伸びた。狼の如き前腕が、ロゼッタの腕から変異していく。本来ならば爪になるべき10本の指だが】
【うち数本は変貌しないまま、漆黒の中にヒトの白を抱いたままぬぅと生えている。……ヒトのままの小指には、あのダイヤがまだ存在していた】

【次に口が裂けた。耳程までにがりがりと皮膚が裂け、口内には鋭き牙がずらりと並んでいた】
【耳が変貌。ヒトではなく黒き狼の耳となる。漆黒の侵食は、顔にも及び始めていた】
【だがやはり完全な侵食ではなく、白きヒトの肌をぼつぼつと斑に残し身体中を黒く染め上げていく】

【身体が大きく膨らむ。服が引きちぎれる。長身の女ではあったが、それ以上に身体が巨大化。軽く2mはあるだろうか】
【細かった手足は今や太き筋肉を持つ黒き剛腕と化していた。だが……その一部には細いヒトの部位が残されている】
【乳房もまた黒き獣毛と白きヒト肌が入り雑じる。仔のいる腹も例外ではない】
【化け物。彼らの前に存在しているのは、そう呼ぶに相応しい生き物。ヒトと獣とを練り混ぜたが如き、自然のものとは思えぬ生命だった】
【あの──あの娼婦が、こんなモノだったのか。そんな疑問を、指に輝く黒ダイヤが肯定する】
【ばたり、と獣は生えてきた長い尾を床に叩きつける。狼のものとよく似た、やはり漆黒の尾だった】


【ヒトを食い荒らしていると言われても、不思議ではない獣。それは、あの娼婦と同じ赤いヒトの瞳でカニバディールを見るのだ】
【変異の時に、彼女の中で魔力が激しく渦巻いていたが……魔力を探知できるのならば、この現象が魔力由来のモノだとわかるだろうか】
【ぐ、る、る、る、る──獣が唸る。だが襲いかかってくる気配はない。その容姿とは裏腹に、彼らの手を借りて出産は速やかに終わるだろうか】


【────「ギィ」 産まれた子が、そう呻いた。息をしている。生きている。産まれたのだ。混沌の大司教・アーグの子が】
【だがその見た目はやはりというか、人間離れしていた。脂と血にまみれているのは、ぬるりとした灰色の皮膚。白目はなく、黒いだけの妙に大きな目がぎょろりとその場の全員を見た】
【耳がある部分には、ヒトの耳ではなく、狼の耳が。尻にはあるはずもない尾が、ずるりと濡れて引き摺られていた】
【異常な、異様な子供だった。だが、母体が「アレ」であることを考えれば仕方ないことか】
【救いがあるとすれば──少なくとも皮膚の色に関しては一過性のものだということだ。指先などは数分もすれば、ヒトの肌色に変わっていく】
【そんなことより問題は────産まれた子が、二人だったこと。双子、だったのだ】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 01:57:18.55 ID:Dqdz8y3so
>>271

「俺様の邪ァ魔をした、そォれ以ィ外に理ィ由は要ィるか?」

【深い理由なんて、ない。】
【60cm以上ある身長差を存分に活かした見下しの視線で、少女を威嚇するように睨みつければ】
【――魔法陣の出現に応じて行われた飛び退きから、それなりの力が有ることを推測し】

「まァー、確かに大事に保ォ護さァれてたっぽい奴が連ゥれ去られりゃア、追ォうわな」

【そう、一人呟くその者。あの時以降、詳しい情報は殆ど入手していない――あえて言うなら、】
【鍵とかどうとかという話をどこかでちらりと聞いていたかもしれないし、聞いていなかったかもしれない、そんなレベルか】

「む、脅しの炎弾を……やァはり、早いッ!」

【姿勢を低くし、両腕を腹部の前に持ってくれば、それで蹴りを受けつつ、その衝撃から逃げるようにバックステップ】
【腕の骨に響く、しかしこのくらいで降参する程、自分の身体がヤワで無いことを知っているッ!】

「あァ、テメェーみィてェな奴を見ィてるとぶゥち込みたくなァるなァ……!」

【今度は当てるつもりの炎弾を発射する、野球ボール大程度で、性質は炎そのもの――速度は、先程の牽制がかわせるならば問題はないか】
【そしてその狙いだが、少女の胸部程度の高さ、腕狙いで1発ずつ】
【また軌道が真っ直ぐではなく、半楕円を描く軌道だ。どちらもかわせば、炎弾同士がぶつかり、辺りに炎を散らしてから消えるだろう(威力は低い)】
274 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 02:14:36.58 ID:pr240sQqo
>>273

【ただ、邪魔をしたから。――それだけの理由で自警団員を半殺しにしたという男に、少女は表情を暗くした】
【正義感によるものではない。そもそも「自分を連れ去ろうとする奴は殺せ」なんてろくでもない命令を実行しようという時点で少女は"正義"として失格だ】
【……だから、ただ悲しかった。悪でも正義でもない中立の立場をさまよいながら、少女は男をきっと睨んで】


    "XsTum LaKis",
<イクストゥム・ラーキス――>


【蹴りを受け止められた直後。そんなちいさな呟きが男に聞こえるだろうか。どういう意味かはわからないだろうけれど、表情を見れば】
【すぅっ、と――少女が大きく息を吸ったところを見れば、わかるはずだ。少女が本気になったのだということが】


   WaLtIse!
< 目 覚 め よ ! >


【――その叫びと同時、異変が現れる。周囲の地面がいきなり淡く黄緑色に光り始めたかと思うと、少女自身の身体にも同じ色の光が宿って】
【黄緑色の光が五線譜のような細いラインとなって少女の白い肌の上を走り、全身を覆った。これが少女の、本当の"臨戦態勢"ということらしい】
【そして刹那――地面から沸き出すかのように"光る水"の塊が少女の前に出現し、身長2メートルほどの人型となるだろう】

【これが少女の"能力"の具現ということか。人型は水の性質を生かしてぐにゃりと身体を引き延ばし、水の膜となって左右の炎から少女を護る】
【出現の瞬間とかち合ったのがいけなかったか、わずかに行動が遅れた分、少女の左腕に火傷が残るが……少女もまた、これで終わるほどヤワではない】


 Ista U`skis o/qn MeYev IuKrad AwZum, Naz RqTay IsAham StErc Naz StOan.
    < 昏い昏い 水底に沈み 彼岸と此岸の狭間 揺蕩うもの>


【――男はこの"歌"を、この"言語"を、聴いたことがあるはずだ。発音は意味不明だが、心に直接意味だけが伝わってくる不可思議な歌声】
【水塊を音源として流れる独特の旋律に乗せて、いま再び、それが少女の口から紡がれる。いよいよもってあの日の再現のような様相を呈し始めたが……】
【耳を塞いだり精神干渉に対する耐性があれば防げるという点は同じ。しかしそんなことをするまでもなく、この歌には、あの時のような効果はない】
【心へ直接絶望と恐怖を叩き込むような激しさはなく、意味と一緒に伝わってくるのは、ほんの少しの恐怖と焦りだけであるはずだ】
【その辺の一般人でも耐えられるレベルの精神干渉である。あそこまでの規模と威力は、"あの遺跡"だったからこそ出せていたものだったようだ……】

【しかし、代わりに――まるでその歌に突き動かされるかのように、水塊の方が動き出す。人型だったものが形を崩し、球体状へと変化】
【勢いよく男へ向かって突進し、体当たりを試みるだろう! 200キロ近い体積による突撃は、さきほどの蹴りとは比べものにならない威力だ】
【ただ、速度自体はそれほどでもない。球体が大きいのが多少厄介ではあるけれど、軌道自体は一直線の単調なものだ】
275 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/29(月) 02:27:07.82 ID:Y+Choi1Eo
>>272
【彼女を運び込んで、出産を手助けする。そこまでは問題はなかった】
【むしろ、アーグの子だというなら、そうすべきだった。だが。ここで起きた副次的な効果】
【彼女の正体が晒される、という事態は完全な予想外だった】

む――――!!?

【当然ながら、その場の全員が眼前の出来事に驚きをあらわにする。彼女の言葉も聞こえてはいたが】
【カニバディールの目は、その光景に釘付けとなった。突如として響き渡る獣の咆哮。その身を覆っていく剛毛】
【人の身体を一部残している辺りが、さらにその異形を助長していると言えるだろうか】

【そのままのダイヤと、あの赤い瞳が、この獣が確かにロゼッタであると伝えてくる】
【裂けた口も狼の耳と尾も、全てを引き裂くがごとき爪も、カニバディールのそれ以上に鋭く見える牙も】
【内側から服を引き裂いた巨体も、黒と白のまだらに彩られた肌も。そのすべてがあまりに先ほどまで眼前にいた女性とはかけ離れていた】

【しかし、それでもやはりその獣はロゼッタであった。その赤い瞳をカニバディールは見た。逸らすことなく】
【カニバディール含め、何人かは彼女の中に魔力が渦巻いていることを悟る】
【魔力によってこのように変わったのか、それとも。魔力をもって人間に化けていたのか】


【しかし、その驚愕もそう長くないうちに終わる。今は、なすべきことがある】
【襲い掛かることがないとわかれば、何事もなかったかのように彼らの行動は再開されるだろう】

【やがて――――生まれ出でた子供が、産声を上げた】
【全員が、その子を……いや、その子らを見た。混沌の大司教と、獣の魔術師との間に生まれた、子らを】

【その異様な姿。母の特徴を色濃く受け継いだ身体に、肌の色。だが、それらの要素は】
【自分たちもまさに異形である、この盗賊どもにとっては大したことではなかった。問題は、そう】

――――出産おめでとう、ロゼッタ
元気な、双子だ

【双子。そう、産まれた子供が双子であったということだ】
【手術着の男たちがその双子を慎重に横たえる。カニバディールはそれを見届けると、ロゼッタに向き直った】

……不可抗力とはいえ、見てしまったのはすまなかった
我々も見ての通りの異形だ。突然のことで多少驚きはしたが、お前の姿を見て取り乱すほどのことはない
今はまず、この赤子らのことを考えねばな

〈赤ちゃんは、生まれてすぐはしばらく横にしておかないとね……お母さんの横において上げるのが一番いいんだけど〉
〈このサイズだと、ちょっと位置を考えないと。さっきの姿に戻れるなら、出来れば戻ってくれたほうが……ああ、でも〉
〈その爪、とっても痛そうだねえ……きっと気持ちいいだろうねえ、私はそのままの君でも好きだなあ、うふふふふふぅ……!!〉

【そう、混乱するばかりか平素通りに振る舞う。手術着の男たちと共に出産を補助していた青肌女など】
【真面目なことを言っていたかと思えば、突如としてその苦痛を好む異常性癖を剥き出しにして笑い出す】

……赤子らをどうするかは、母であるお前の意思次第だ。我々はそれに従おう
この事実を隠しておきたいなら、我々も口外はしない――――代わりと言っては何だが
次に私が客になる時が来たら、多少サービスしてくれるとありがたいね

『あ、なら俺らも頼むわ。あんたなら、俺らみたいなのでも相手にしてくれそうだしな』
「何せこの通り、どんな時でも兄弟で同じ肉体にくっついたままだ。金を積んでも承諾しない娼婦は多い」

【彼女の正体を目にした後になって、こともなげにこういってのける。カニバディールだけでなく、背後の二つ頭の男たちまでも】
【ロゼッタの正体と、彼女が娼婦であることとは、異形どもにとって何ら矛盾することではないらしい】

【それより盗賊どもにとって重要なのは、赤子らのことだ。この状況、大司教と獣の血を引く】
【双子が誕生したという事実を、どうするか――――それを問いかけようとするだろう】

【無論、数時間おいて赤子とロゼッタの状態が落ち着いた後の話だ。それまでは、異形どもは】
【それ以上動揺することもなく、もくもくと行動を続けるだろう】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 02:50:02.84 ID:Dqdz8y3so
>>274

「……ククッ、本気でやァるつもりか、……構わんよ」

【やれるもんなら、やってみろ――睨み一つ返せずして、悪は務まらない……かはともかく】
【――憶えがある、音色。】 【鼻がかなり利くのだが、耳も負けず劣らず利くのだ。小さな音も、気分次第だがわりと聞き逃さない】

「水……低ェ規模な炎は不ゥ利か、うゥむ……、……保ォ護されてたかは怪しいな、まッ俺様には関係ねェが」

【コストパフォマンスの良さもあり扱いやすいこの蛇だが、先程の攻撃を見て分かる通り"強さは控えめ"】
【水にも負けないくらいの火力がない以上、これ一匹では厳しいと判断したのだろう】

「……んゥ〜、あァの時位強い歌の方が、……もォーっと(ベクトル問わず)エネルギッシュな方ォが俺様は好みだ……ずんゲフッ!」

【水球の進行方向に対し、垂直方向かつ自分から見て左に跳躍。それを回避しようとしたのだろうが……引っかかってしまった】
【体積200kgくらいとなれば、半径もそれなり。御託を並べていたこの者の脚部、特に踏切に使わなかった右脚に負荷が集中】
【結果、脚にダメージを負っただけでなく、バランスを崩しうつ伏せの体勢で顔から着地。さて……これは大きいアドバンテージとなるだろうか?】

【確かにそれに間違いはないが、この者は召喚士である。先程回避する直前、魔法陣から闇が現れていた。それが今、その上で形を成している】
【それは……透き通ったエメラルドグリーン色の結晶で構成された身体で、120cm程の人型だった】
【全身には薄水色で淡く光る分身のような模様や、その色の眼が有り、心臓部には、その色のコアの様なモノがうっすらと見える】

『......Lead shot!』

【人型は両手を少女に向ければ、そこから発せられるは無数の小さな結晶片】
【一発一発の威力は小さく狙いも甘いが、持続時間や数が多いのがネックか、範囲もけして狭くはない】
【なお、この結晶は実在している――地面に落ちれば、それはそこにそのまま残る】
277 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/29(月) 03:06:48.02 ID:ySRlSoQDO
>>275

【──小さな産声が、獣の耳にも届く。その時、確かに獣は笑ったのだ】
【口を歪め、牙を剥き出しにし、唸り声を漏らし。それでも確かに、獣は笑っていた】


…………っ、ギィ……、ィ、ィイイィイィ──、──フ、 双、子……


【雌雄の判別もつかぬようなざらついた、それでいて妙に響く声で、獣は「双子」とだけ口にした】
【また笑う。赤子に対する悦びもあったが──彼らの反応が、出産により弱った身体と精神に染みた】
【恐怖を抱くでもなく、同情するでもなく。ただ、当たり前の存在として、自身に接してくれる】
【悲鳴を向けられるわけでもなく、石を投げられるでもなく……正体を晒した所で、変わることなく声をかけてくれる】
【これが、彼らの結束の理由か──そう、彼女は思った。なるほど。これなら確かに、酷く居心地は良さそうだ】

【もしも。もしも、もっと早く。幼い頃に彼らと出会っていれば……一瞬、そう考えはした】
【だが仮定の話をしたところで、結局意味はないのだ。そんな夢をみたところで、今の自分が変わるわけでもない】
【──重要なのは、今だった。彼らが目の前にいてくれる、事実だった】
【カニバディールやデュアル兄弟の言葉に対し、獣はゆるりと頷いた。声が出ない程、消耗したのだろう】
【ついでにとばかりに、青肌の女を軽く爪で掻こうとする。本気で切り裂くつもりは毛頭ないが、掻かれればそれなりに傷付きはする】
【異常性癖者は、仕事をする上でもたまに目にした。──出産を手伝ってくれた、彼女なりの礼なのだろう】


【────そして数時間後。赤子もロゼッタの体調も、随分と落ち着いた】
【体内の魔力が元に戻ったのか、ロゼッタは獣の形態からヒトに戻る。衣服は影をドレスのように纏わせることでその代わりとしていた】
【赤子は……驚くべきことに、生後数時間しか経たぬというのに既に床を這い廻っていた。そこらに落ちているものに興味津々で、気を抜けば口に含もうとするのだ】
【成長が早いのは獣の血が入っているためか。この様子ならば、駆けて言葉を発するまでそう時間はかかるまい】


……、…………恩に着るわ、カニバディール。まさか、あなたにまで見られてしまうだなんて、ね……

ふふ。それで──子供のこと、だけれど。そうね……やっぱり、しばらくは伏せておいた方がいいわ
アーグがこの子を何に使うかわからない以上、万が一ダグラス達に知られると困る事態になるかもしれないから……
当然、あなたたちがお客になった時のサービスは約束する

ただ……細かなところはあなた達が判断して頂戴? 何かの取引にこの情報を使いたいのなら……最終的な判断はあなたたちに任せるわ
それと────、……ふふ。これは、特別なお願いなのだけれど


……アーグには、秘密よ? 子供が“2人”産まれたってこと


【“自分たち親子のことは、使うべき時がくれば使えば良い。その代わり──子供は1人であったと偽装しろ”】
【仔を腹から放り出して数時間と経たぬうちに、ロゼッタの思考は既に回復していた】
【つまり……この女もまた、子供を何かに使うつもりなのだ。一体何に使うのかを聞いたところで、「まだ分からない」との答えが返ってくるのみ】
【その様子ならば、本当に何に使うかまだ決めかねているのだろう】
【ただ分かることは──使えるものがあるならば、使ってしまえという女の精神だった】
【果たしてそれを認めるかどうかは、カニバディール次第であった】
278 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 03:22:24.49 ID:pr240sQqo
>>276

【周囲に黄緑の光を与え、そして自らも燐光をまとって、人外じみた出で立ちもいよいよここに極まった頃合いだが――】
【あの時の歌の方がよかった、なんて。そんな風に言われた瞬間、"歌"から伝わってくる感情にすこしだけ変化が見られるかもしれない】
【……"怒り"である。自分の歌に水を差されたとでも思ったのだろうか、表情も心なしかむっとしているような、】

【どうやらこの少女、単に戦う手段と言うだけではなく、歌には特別なこだわりがあるようだ……】
【まあ、そんなどうでもいい事実はさておき。どうやらこの歌は、少女がいま抱いている感情を周囲に伝える効果があるようである】


…………、痛いなら、やめてもいいんだよ。


【水球の体当たりを喰らった男を見やり、少女は旋律の合間に、そんなことを呟くだろうか……】
【戦況的にみれば攻撃が当たったのは喜ぶべきことのはずなのだけれど、表情も声色もいまいち優れない】
【歌から伝わる感情も、どこか悲しげで。戦闘能力はともかく、戦うこと自体はそこまで好きではないのかもしれない】


MeYev NaEin, Ista E`dWir f/qn NaEin MiNia, Naz D`rCpeka o/qn YuGats NsTium.
 <永い永い 幾千の時の果て 濁り澱む罪過に 穢されしもの――――>


【そして、エメラルドの人型が現れたのを確認すると同時――体当たりをかました水塊は波濤のごとく少女のもとへ戻っていくだろう】
【しかし攻撃自体は完全に戻りきる前に始まってしまい、少女は身体を丸めることですこしでも結晶片を受ける面積を減らす――】
【そして戻ってきた水塊は人型の姿に戻り、少女の歌を聴いた瞬間に"光り出す"。両手を広げて少女の前に立ち、全身で残りの結晶片を受け止めるだろう】

【結果として。やはり体すべてが常人より頑丈なのか致命傷こそなかったものの、少女の左半身に切り傷と打撲が多く残る結果となったけれど】
【"べしゃり"と。結晶片は水の人型の半ばまで喰い込むと止まってしまう筈だ。……突如として水の"粘度"が高まり、破片を受け止めたのである】


――――――っ!!


【次の瞬間、水塊が再び姿を変えた。全体を細い鞭のような姿へと変貌させ、少女の手のひらに収まった】
【少女は出来上がった"水の鞭"を勢いよく振るい、エメラルドの人型の両足を薙ぎ払うような軌道で叩きつけるだろう!】
【全体を細く引き延ばしている分先ほどより威力は低いが、その分素早い。しかも今回は……見えるだろうか、鞭を構成する水の内部】

【――結晶片が物質として残存するのであれば。先ほど受け止めたばかりの"結晶片"が、そこに配置されているはずである】
【この試みが成功していた場合、直撃すれば単なる打撃以上のダメージを負うことになるかもしれない】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 03:56:37.55 ID:Dqdz8y3so
>>278

「――ほォう? 怒るか? ククク」

【擦り傷だらけの顔だけあげ、そういうその者の方があからさまな怒りの表情を見せている】
【右脚を庇うようにしつつ、左手で近くの壁を支えにして身体を起こそうとしつつ】

「(全身でなァくほォぼ右脚で受ゥけ止めた形になァったのが拙かったか、……ちィ)」

【ちらりと、右脚を見た。】 【見ただけで傷が治れば、楽なのだが】

「戦いを離れる? 痛いから? ――そォーいうのは、致ィ命傷を負ォってから言ィうもんだ」
「なァ、――テメェー、遺ィ跡の中の筒に居ィた奴は大体面白い素ォ材になァるんだよ、」

【人型は鞭の軌道から逃れるべく、小柄故の素早さで横へダッシュ――するも】
【その予想よりも範囲が広かったようで、左脚に鞭が命中――鞭に取り込まれていた結晶も己の身体も同じ、傷を負わせるのにはうってつけだ】
【全身が結晶故か、血らしきものはでない……が、別のところから出ていた】

【――そう、召喚主の左脚である。】 【人型が負ったダメージの幾らかを負い、そこそこ無事だった左脚に生まれる切り傷】
【壁にかける力が増す、元々機動力が低くても何とかなる能力とはいえ――痛いものは、痛い。】

「だァからッ! おォォとなしく……捕まれってェんだァッ!!」

【先程発射した結晶片、それが一瞬"水属性の魔力"を発したかと思えば……水のレーザーが一斉放射!】
【結晶片のサイズが小さいため、レーザーも細いし持続時間もほんの少しだ。しかし、結晶片が刺さるくらいの威力はある】
【今回の狙いは「少女の腹部」――散弾に比べれば、精度が良い】 【なお、少女の操る水に取り込まれている結晶片もこの技の対象だ】

【成功失敗問わず、その者は少女に接近を試みるだろう】
【脚部のダメージ故に、接近速度は低い――が、初速に関してだけ言えば"腕の力"を壁に対して使える為それなり、というよりほぼその速度頼りである】
【さて、この構えは……肩を掴むのが狙いか、いや――心臓に近ければどこでも良いのか、ともかく、接近に成功すれば掴めそうな所を掴もうとするだろう】
280 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/06/29(月) 04:12:50.28 ID:Y+Choi1Eo
>>277
【獣が笑い、唸りと共にその声を絞り出せば。「そうだ、双子だ」と、獣に声をかけながら】
【赤子を彼女の見える位置に横たえるだろう。獣の身体との位置関係を調整するのには多少手間取ったが】

【彼女の考えは正しい。『スクラップズ』は異形同士ゆえに、結託した。そして、自分たちの意志で邪悪たることを選んだ】
【どう取り繕おうと、彼らは残忍で薄汚い盗賊であることに違いはない。しかしそれと同様に】
【獣と化したロゼッタですら、自分たちの日常に組み込む事が出来るその精神もまた真実であるのだろう】

【彼女の中によぎった思いにまでは、さすがの盗賊どもも気が付かない】
【最初の反応から、獣の姿に強い負の感情を抱えているらしいことは伺えたが】
【どの道、起きたことは起きたこと。変えられることはないのだ】

【自分たちの言葉にうなずけば、三人の異形は薄く笑って見せる】
【それは、普通の人間なら日常で自然に浮かべる笑みの類ではあったのだが、この異形どもがするとやはり醜悪であった】

【青肌女は、獣の爪が迫れば途端に顔を輝かせ。その鋭い先端に縋り付くかのように、獣の礼を受け入れ】
【その先端に皮膚を軽く裂かれ、鮮血が滲めば嬌声を漏らす。「はぁ、んっ……!!」と、吐息と共に興奮気味の声を絞り出せば】
【獣と赤子を見つめながら、その青い指先で新たに得た切り傷を慈しむように撫でていた】


【彼女と赤子の容体が落ち着くまで、異形の盗賊たちは見守った】
【つい先ほど、いくつもの命が奪い去られたこの場所で、奪った張本人たちが新たな命の誕生に立ち会う】
【何と皮肉な光景だろう。だが、当事者たちにとっては眼前のその新たな命の方が重要だった】

【それからしばし後。衣服を影で代用する彼女の能力に舌を巻いたり、自分たちと同じ双子の誕生に今更のようにデュアル兄弟が興奮したり】
【そして、すでに床を這い回り、高速で成長していくであろう赤子たちに感心したりと、それぞれのやり方で待機していた異形どもが、彼女の言葉に応える】

何、こちらも貴重な情報をもらったわけだからな。それに、我々に取っても無関係なことじゃない
それに関しては、お前と同じだ

……だろうな。アーグさんと敵対する者たちにとっては、存在自体が爆弾だろう
この情報は、漏らすわけにはいくまい

嬉しいね。その時を楽しみに待つとしよう

――――ああ、そうさせてもらおう。そう簡単に漏らすことはしないが、場合によっては
この情報を利用させてもらう時が来るかもしれない……その時はお言葉に甘えるよ

……ふむ。アーグさんにも、伏せるということか

【彼女の言葉を正しく受け止め、カニバディールは思考を巡らせた】
【つまりは、双子の片方を手元に残すというのだ。彼女自身すら、まだどうするのか決めかねているようではあるが】
【それでもやはり、愛情よりも利用、そのために残すつもりであるらしい。今更、そんなことを気にする盗賊どもでもなく】
【むしろ、あらゆることを利用しつくすその姿勢には、似通ったところを見出した】

……いいだろう。信者同士、異形同士としてのよしみだ
双子の件はアーグさんには伏せておこう

【カニバディールは承諾した。首領がそう言うのだから、配下たちにも異論はなく】
【双子の存在は、この路地裏の片隅にて秘匿されることとなるだろう】

さて……これからどうする? 疲労もあるだろうし、どちらの子を手元に残すのかも決めねばならんだろうからな
まだ時間は必要のはずだ。お前が望むなら、我々のアジトを休息に使ってくれても構わないし
住まいがあるというなら、送ろう

【後は、この先のこと。どちらの子を残すかという重要な選択と休養のため】
【彼女がどう答えても、異形の盗賊どもはロゼッタの意に沿うことだろう】
281 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 04:33:48.93 ID:pr240sQqo
>>279

【――やっぱり、こんな言葉じゃ止めてはくれないのだろう。少女はすこし顔をゆがめた】
【左半身がひどく痛む。こんなモノではまだまだ致命傷にならない、そういう身体をしているけれど……それが逆に、恨めしくもある】
【自分も、目の前の敵も、まだ戦えてしまうのだ。どちらかが引かない限り"殺し合い"は続く。それを改めて自覚して、無意識に水塊を鞭から人型に戻した】


い、いや! ………ひゃ、あぁっ!!?


【戦いたくない心と"主"からの命令との板挟みになりながら、少女はやや強めの声色で叫んだ】
【殺し合いなんてしたくないけれど、だからといってこんなところで大人しく捕まるのは絶対にいやだ。――しかし】
【少女が見た目通り、人形のように心を凍らせて戦っていればこんな不意は突かれなかっただろう。地面と水塊の結晶片から感じる魔力、気づくのが遅すぎた】
【――か細い悲鳴とともに、少女は後ろに倒れ込む。驚いてバランスを崩したおかげで貫通こそしなかったが、右脇腹に深い裂傷を負い】

【残る水塊内の結晶片に関しては、水がまた光ったかと思えば同じ"水属性の魔力"が漲り、それがレーザーを屈折させて少女には当たらなかったが……】
【内部からの攻撃で水塊の一部が切り落とされ、制御を失って地面に吸い込まれていく。そのとき、少女が苦痛に顔をゆがませたのが見えるだろうか?】
【右腕が一瞬……"透ける"。すぐ元に戻りはしたが、この"光る水"の体積は少女の体と直結しているようだ。水がすべて無くなれば、おそらく少女は――】


LcSuiy Saz RcSker HeKiuh YkRas, W`larg YbDra s/qh VcZim UkYrom.
< 透きゆく調べが 御空に響き 流る身体は 記憶を刻む ……!>


【ともあれ、少女は痛みをこらえてもう一度立ち上がるのが精一杯で、男の接近に対応できなかったようである】
【体を掴む余裕は十分あるはず。一番早く掴めそうなのは服や髪だが、もう一歩踏み込めば両肩も狙えるか。さらに踏み込めば、もっと心臓に近い場所でも】
【ただし――あまり欲張って近寄りすぎた場合、危険だ。少女の唇が歌を紡ぎ出すと同時、"氷属性の魔力"を感じるだろうか】

【見れば、少女の右手。水がもう一度その手に集約し、今度は剣の形に変形している。そしてそこへ氷の魔力がつぎ込まれ】
【――淡く空色に光る水が、瞬時に氷結する。できあがるのは巨大な"氷の剣"。それを少女は、下から全力で振り上げる………!】
【この言語と歌、魔術の"詠唱文"の役割も兼ねているのか。真下からの逆袈裟の一閃、元々の水の量と重さが相まって洒落にならない威力だ】
【少女の体を掴むために近寄れば近寄っていたほど、危ない攻撃となってしまうはずだけれど――】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/29(月) 09:40:45.88 ID:NOqFJ2goo
>>249

【火球が消えた。防がれた。つまり攻撃の失敗を意味しており、天を舞う大蝙蝠はおろかその背に乗るベルにすら僅かな火傷すら負わせることはできていない】
【だがムスペルヘイムの笑みは消えていない。むしろより一層激しく燃え上がるかのごとく、刻一刻と深まっていくのだ。】

「ハッ、随分とまぁ面白い芸当じゃねぇかよ」

【なぜ炎が掻き消されたか――この現象の理屈を、彼は知識として知っていた。】
【重低音で燃焼反応が発生している境界層を薄くさせて最終的に鎮火へと至らしめる。】
【音波消火――だが今はそんな理屈などどうでもいい。】

「要は小火(ボヤ)じゃ燃やせねぇってことだろうが。ハッ――当然だろうが、そうじゃなきゃ困るんだよ」

【こんなものは所詮、小手調べにすぎない。ムスペルヘイムにとっては火遊びと何ら変わらない。】
【ゆえに意気は些かも消沈せず、燃料を投下したように燃え上がり続ける。アレで墜ちるなどとは最初から考えていないというかのごとく。】
【これからもっと、もっと楽しく燃やすのだ。これで終わっては肩透かしすぎる。】

【衝撃波によって吹き飛ぶ。抵抗手段は今のところあるようには見えず、また抵抗する様子も見えない。】
【すでに狭い路地裏という地形など崩れ去っている。壁も床も、度重なる衝撃波と炎熱によってダメージを受け、すでに半ばほどが瓦礫と化している。】
【そして今の攻撃によって瓦礫に突っこんだムスペルヘイム――ゆらりと立ちあがったその頬から血が流れていた。頭からの出血がないことは幸いというべきか。】
【その表情は未だ不敵に歪んでいる――そこに降りかかる唾液の雨。回避は不可能、弾幕とすら形容できる唾液の間を掻い潜ることは、彼の身体能力では困難だ。】

【今まさに、ムスペルヘイムに唾液が直撃しようかというとき――彼の周囲を炎の縄が包んだ。】
【とぐろを巻いて彼の全身を防御する高熱の炎は、触れる唾液を片っ端から消し飛ばす。いいや触れずとも見る間に蒸発させていくほど、この炎は熱すぎる。】
【周囲の地形をすら徐々に融解させていくほどの炎の縄。いいや縄などというちゃちなものではない。一本繋ぎの炎の横幅はムスペルヘイムをすっぽり包めるほど太く、あえてこれを形容するならば。】

「オラ行くぞ、躱してみせろやァッ――!」

【蛇――炎の大蛇。】
【曲がりくねった軌道を描きながら空を舞うベルと大蝙蝠に肉薄していく様は、そうと言い表すに何の不足もないだろう。】
【速度は火球と同等かそれ以上。加えてこれは容易には消せはしないだろう。規模としては先の火柱に迫っている。】
【いいや消せたとしても後から後から次々に、消えたそばから勢いを増して喰らいつかんとするのは獲物を狙う狩人の執念を思わせた。消し切ることは難しいだろう。】

【――そして、これだけではない。】
【炎の大蛇が大蝙蝠に喰らいつくか、または何がしかの手段によって動きを止められるか、防がれたその瞬間――】
【これは、爆発する。その余波が大蝙蝠が放つそれと同規模の衝撃波となるほどの威力で、周囲への被害など一切なにも考慮せず。】


/お返ししておきますー
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 09:54:43.47 ID:Dqdz8y3so
>>281

「水の中にあァった結晶のレーザーは防がれたか……だが、まァまあだァな」

【そして――この者は、見逃さなかった】 【防がれた、防がれたが――】
【水自体にダメージは通るらしいことを、――そして、それにダメージを与えた時、一瞬だが少女に起きた変化を】
【それらがどう対応しているか、"(姿によっては)召喚した魔物のダメージがフィードバック"するその者なら、容易く結び付けられる】

「(おォそらくだが……水に対する攻ォ撃も有ゥ効か、フィードバック率はわァからなかったが……良ォいだァろう)」
「(そォして……!) こォの手で、喰ゥらってやァろうじゃアないかッ! DNAも良ォいが……まァずは、腹ごしらえだッ」

【手の動きからして、髪や服と言った部位も考えなかったわけでは無さそうだ――が、】
【そこで妥協しておけば良かったモノを――、……狙うは――血管の通った部位ッ!】

「流れるエネルギーを……捕ォらえてェェーーッ!」 「……糞ッ、"こォの姿の"威ィ力の吸ゥ収じゃア……ッ!」

【そんな余裕はなかった、、迫るは氷の大剣】 【この脚でどうやって回避するか、相手との距離にメートルを使う必要のないこの距離と、この脚で!】
【その者の頬を冷や汗が――伝ってはいなかった、その代わり、驚くべき速度で己の首に巻かれていた蛇を右手で掴み、】

「えェい、糞がッ――アーデクル(ひっくり返れ)ッ!」

【あろうことか、剣と己の間に割り込ませつつそれから手を離したではないか】 【盾にするにはあまりにも貧弱だ、けれども考えなしにやったわけではない】
【――さて、この蛇……掴んだタイミングで、この者が魔力を流してこんでいた】 【それは一瞬芸だった、ターコイズブルーに黒味がかかったのは】

【この物は……この僅かなタイミングで、"蛇"と"己の魔力"を合成し、更に"ディルム アーデクレスプ(魂反転技)"を纏わせたのだ】
【遠隔、間接、2つの要素に加え、発動時間に余裕が無かった――それ故に剣の全てのエネルギーを反転させる程の威力はないが】
【命中した周囲には効果がある――運動エネルギー方向、氷属性、その他諸々を"反転"させるという効果が!】

【例え遠隔かつ間接でも、発動直後――この者の右腕が、まるで硫酸を浴びたかのように焼けただれるだろう】
【蛇も、軽く焼けただれる】 【そして、僅かな間だけだが"聖"の魔力がそれらの部分から発生し――すぐに、"邪"に打ち消された。どちらも、強い。】

【目的は、反属性による中和で"剣の威力を減衰"する事。】 【それで殺しきれなかった威力は、防御なしで直接受ける】
【蛇は剣がそれを避けない限りは絶命、自滅含むフィードバックも勿論(少量だが)受ける】 【まあ、両方合わせて――立てない程度の重傷か。】

【……例え100%の威力で当たったとしても、死にはしない。往生際の悪さは、生死にも影響する。】
284 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/29(月) 18:26:50.72 ID:Z4KB/ekuo
//>>257で再募集します
285 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/06/29(月) 18:26:52.63 ID:ySRlSoQDO
>>280

【アーグに対して信心があるカニバディールのことだ。片方の子を残す、ということはアーグの意思に背くことに成りかねない】
【断られる可能性もあった。だが、今までのやり取りから、頼みを聞いてくれる可能性もあった】
【故にこの頼み事はある種ロゼッタにとっては賭けでもあった。双子を見られ、自らが片方を引き取ると決めた以上】
【カニバディールに何も告げずに終わらせるというのはあり得なかった。万が一にでも彼がアーグの前で口を滑らせれば、間違いなく自分の立場は危うくなる】
【──「いいだろう」 その言葉を聞き、安堵からかロゼッタは息をついた。これで、少なくともしばらくは安泰であるはずだ】


……ありがとう、カニバディール。それに、あなた達も
いい縁が出来たわ。ふふ……共犯者ってこんな気分なのかしら


【ダグラス一派の動向を含む、ゼン=カイマの件に双子の件。互いの間に共有した秘密は多かった】
【こんな気分も、悪いものじゃあない。そう言って彼女はまた笑うのだ】
【次いで今後のことを聞かれれば、少し考える素振りを見せた。アジトに行くもよし、過ごし慣れた場所に行くもよし】
【彼女にしてはどちらでもよかったが──疲労を考えると、自室のベッドに横たわりたかった】


……そう、ね。あなたたちのアジトも十分魅力的だけれど。……今回は遠慮しておくわ
慣れたベッドが一番なのもあるけれど……ふふ。どうしても、気を使ってしまいそうだから

子供に関しては……次に会ったときのお楽しみ、ね
アーグが抱いているか、私が抱いているか。……きっと選ぶのは、そう難しくないでしょうから

それじゃあ──申し訳ないけれど、送ってくれる? 場所は────


【──そうして、ロゼッタは住所を告げた。路地の一角にあるアパートの一室だった】
【ドアの前まで来れば、「ここまででいいわ」と言って別れることだろう】
【アパートの部屋数や大きさを見るに、中はそれなりに広さがあることが窺えたが……彼女の生活について分かるのは、それくらいだ】
【もっとも、娼婦の生活なんてものは覗き見るものではないことを、彼らは知っているだろうが】


【双子を抱え、彼女の“影”がドアを開ける。あ、と彼女は声を上げ、再度彼らに近付いた】
【玄関付近に置いてあった紙とペンを、“影”が掴む。さらりと書かれるのは、彼女の名前と連絡先だった】
【その紙を、“影”を通じてカニバディールに渡そうとする。「用があれば、いつでも連絡頂戴」】
【用、というのは何もゼン=カイマの件を伝えるだけに限った話ではないだろう。ふふ、と彼女はまた笑ってみせる】
【「初回はサービス。忘れちゃいないわ」「余程のことがない限り、あなた達を優先させる」】
【別のお客が来ている時は、電話に出れないかもしれないけれど──最後にそう彼女は付け足し】
【許されれば、カニバディールの頬に口付けをひとつだけ落とすのだ。拒まれれば、それ以上無理に何かをするということもなく】
【細かな返事や別れの会話を終わらせれば、今度こそドアの向こうへ去っていくことだろう】


【──その数日後。夜の国のとある山頂から、宇宙(ソラ)に向かって巨大な魔法陣が打ち上げられたというニュースが流れた】
【ニュースの意味が分かった者はごく少数。その知らせを見て、ロゼッタはまた口を弧に歪ませるのだ】
【魔法陣が放たれた山。それはちょうど、彼女とあの大司教が邂逅した、その場所だったのだから】

/このあたりでしょうかっ
/長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました、お疲れさまでしたー!
286 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 19:00:46.81 ID:yk45eNaYo
>>283

【うぅっ、と少女は呻く。右脇腹にかなりの量の血が滲んでいるものの、一応もう少しなら戦えそうだが――】
【歌を通じて、男に恐怖が伝わるかもしれない。お互い大怪我を負ってもなお長引く戦いに、少女の心の方が折れかけていた】


SpAmt TeEbt LwIes, EzAsmk LkRum WoAs, SbKetn LfUrh Naz RpSog.
    <世を食む珠 見下ろす霞 降り落つ恵み>


【氷の剣に不自然な力場が作用したのを、少女は手応えとして感じ取る。反転のエネルギーにより氷の構成が綻び、運動が相殺され】
【更に男自身も反属性の中和で剣の威力を低減させる。――結果、蛇を断ち切ったところで氷の剣に"びしり"と大きなヒビが入り】
【男に当たったと同時に大きな音を立てて砕け散るだろう。そこそこ衝撃はあるが、直撃よりはずっとマシな威力だ】

【……なにより。接近された焦りから、思わず水を"氷"の形に固形化してしまったのが不味かったか】
【不定形の水に比べ、硬い氷は砕けた際の破片も大きい。大部分は再び水の人型に戻ったが、大きな氷の塊がまるごと制御を失い地面へ消えた】


LcRor TcIut Naz MbKusa, GwAst EnRoie FaKath YkRas, LaNome RyRoskr LoSuk.
     <咲き散る色彩 天駆ける羽音 消ゆる遠吠え>


【元々、色素の欠如した異様の外見。全身は白すぎて透明にすら思えるほどで、存在感に欠ける少女であったが――】
【また少女の顔がゆがみ、今度は両腕と胸元にかけてが大きく"透けた"。やはりすぐ元に戻るものの……指先を見ると、そこだけは透けたままで】
【この奇妙な"光る水"は――少女の"存在"と直結しているのだ。水を失うことは、なけなしの"存在"をさらに欠損することを意味する】
【外傷こそないが、少女の表情や揺らぐ体を見ればダメージが入っているのは明確。他の傷もそこそこ大きい、限界が近いか】

【――いくら戦いが好きでなくとも、そのぐらいはわかったのだろう。だからこそ、少女はどんなに怖くても歌うのをやめなかった】
【限界が近いのはおそらく相手もだ、ゆえにここで"決める"。淡い光と共に響き、聴く者の心に直接刻む、そんな歌が――強く魔力を奏でた】
【見えるか、真下の地面。水の人型が拡散し、自らの体をインク代わりとして巨大な魔法陣を形成する。強く、藍色の光が瞬いて――】


  ―――――Osx Al;FiReKuts, SaDua DaSuke Ista Tybez WrJin GiKirh !
<斯く美しきものたちよ その七色の光でもって どうかこの身を裁き給え……!>


【悲鳴のように歌い上げた瞬間、魔術が発動する。満ちるのは炎属性の魔力、それが風となって少女の周囲にまとわりついて――炸裂!!】
【全方位に向けて爆風が撒き散らされる。加減が出来なかったのか自分自身も火傷を負うほどの規模だが、その分威力は高いはず】
【男が未だに少女の近場にいたのなら、ダメージと同時に大きく弾き飛ばされてしまうことになるだろう。わたしから離れて、と、そう言いたげな一撃だ】
【発動前に大きく外へ逃げれば回避できるが――逆に。外側ではなく内側、思い切って少女に密着するように飛び込むのも安全か……?】

【どうあれ。肉体的にも精神的にも、ここらが少女の限界であった。火傷の痛みに耐え、右脇腹の傷を抑えながら――はやく終わって、と少女は心から願う】
【――そんなだから、気づいていなかった。せっかく編んでもらった"三つ編み"がひと房、自らが起こした爆風によって千切れてしまっていたことに】
【攻撃の成否に関わらず、その髪束は風に乗って路地の壁に叩きつけられ、地面に転がる。白だか透明だか分からない色合いの髪は、明らかに"人外"のソレだが――】


/時間が空いたので先にお返ししておきます〜
/舞台裏に書いたとおり、次は20時ごろになるかもしれません
287 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/29(月) 19:41:01.01 ID:glGfyUMx0
>>282

【ベルが用いた、超音波と唾液によっての遠隔二重攻撃。それらは確かにムスペルヘイムへ一定のダメージを負わせることには成功しているが、決定打までは至っていない。】
【加え、男が用いた渾身の大技は、少女に迫りくる蛇の大顎(おおあご)を想起させる迫力を持っていた。】
【規模の大きさに多少の逡巡をしながらも、ベルが取る戦法は変わらない。音波を用いた攻防一体の戦闘スタイル。】
【接近するというリスクを避け、一方的に自身に有利となるよう立ち回るその狡猾で堅実な思考法は、しかしここで凶と出た。】

…!? 消えた端から再生する、だと!? なんだよこれ、おかしいだろ…!

【通常の理を超えて起きる敵の攻撃に、少女は確かに狼狽した。蝙蝠を繰るその手に混迷が生まれる。】
【幾らか火勢の減衰を起こしながらも、依然として高い威力を保った炎は”キティ”の肉体に喰らい付く。ベルへ炎が届かないよう、蝙蝠は炎に腹を向ける形となる。】

ッ…!! 火薬も無いのにッ…。
ちくしょう、物理法則を無視した真似ばかりしやがって…!!

【そして、爆発。あろうことか、巨大蝙蝠の体はムスペルヘイムの比でない程に、数十メートルも吹き飛ばされた。】
【原因は体重。男の体重はどう少なく見積もっても60kgはあろう。しかし、この小型戦闘機ほどもある蝙蝠の体重は、僅かに20kg程度しか無い。】
【空を飛ぶ生物の肉体は、自らの生み出す力で飛び続けるために、体重が軽くなるよう設計されている。ゆえに衝撃や突撃といった攻撃への耐性は思いのほか、低い。】
【少女にはある種の傲慢があった。世の出来事は全て自然の理屈に従って進むであろう、という慢心。しかしそれは、能力者を相手とする戦闘においては大いなる誤解であったのだ。】
【戦場に静寂が訪れる。上空を飛び回っていた黒翼の怪物の姿はもはや無い。不快な音響や、毒性の雨も止んでいた。男が耳にするものと言えば、どこからともなく聞こえてくる少女の小さな笑い声だけだろう。】

…ふふふ、そうか、そうだね。そんなこともある。「能力」ってものがまだまだ僕らの理解の範疇を超えたものだってことは、もっとしっかり認識しておくべきだったのだろうね。
これは僕が招いた結果さ、甘んじて受け入れよう…だけど、それと君を[ピーーー]のを諦めるかどうかってのは別の話さ。

【空を切り裂く音。ひゅんひゅんと、大きな影がいとも器用に、建物の谷間の闇を縫っていく。いつの間にか周囲を照らす明かりは、全て音波によって破壊されていた。】
【ムスペルヘイムが自ら生み出す炎を除けば、もはや周囲は完全な闇とも言える程の無明。蝙蝠にとって絶好の狩り場が、男の知らぬ間に形成されていた。】

君を放っておけば、きっと君はいつもの日常に戻るだろう。そして信念だか何だか知らないが、また特別な意味も無く殺戮を続けるのだろうね。
ふざけるなよ、僕の目の黒い内はそんなことはさせない。理由なき殺人は最高に嫌いさ。自分探しがしたいなら旅にでも出なよ、人殺しめ。
最後通牒さ、もう無意味な殺しはしないって誓いな。そんだったらこの場は見逃してやって良い。

【ベルがこれから一体何を仕掛けてくる気なのか、それは誰にもわからないことであったが、少なくとも少女の言葉は自信と怒りに満ち溢れていた。】
【自信に関しては、何か策があってのことだろう。しかし怒りについてはどうか?なぜこうも、このベルという人殺しは「理由なき殺人」を嫌うのか?】
【自分の獲物が横取りされるから。実は人間の命をとても大切にする善人だから。二重人格だから。人格破綻者だから。想像することはできても、その真意までは誰にもわからない。】
【ただ分かるのは、少女が明確な敵意と憎しみを、ムスペルヘイムへ向けて抱いているということだった。】
【そして次の男の回答が、最後の攻撃を呼ぶ引き金となる。】



288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/06/29(月) 21:00:13.25 ID:K64bv57N0
【街はずれ――街を一望する高台の草原】
【時刻は今より少し前で、ちょうど太陽が沈みこもうとする頃合い。遠くには夕日が見え】
【いっとうまるくぽってりとした赤い太陽。赤く大きく夕暮れて――ただ、こちらの空は、曇天の灰色模様】
【見上げようとも彩度のない空が広がる。ただ、遠くを見れば――真っ赤にもゆる太陽が落ちていく。そんな、不思議な光景】

【――かり、と、鉛筆の硬い先っぽが紙をこする音がして。続くのは、かすかでも確かな、吐息の音なら】
【そこに誰かがいるというのはすぐに分かる。……もちろん、目で見れば、音で探るよりもたしかに“そこにいる”のだけど】

……さて、そろそろ日没の時間かしらん。夏至も終わってしまったことだし、あとは早くなっていくだけさね――。

【“彼女”はまた吐息の音を響かせ、膝の上に置いていた画板を草むらの中に放り出す。からりと紐で繋がれた鉛筆が暴れる音がしたけれど】
【それを気にせず、ころりと草の中に寝転んでみる。それで、くうと体を伸ばしてから――猫か胎児のように、体を丸めて】

【透き通るような金髪は肩を少し通り越す長さ。毛先がくるりと巻いていることと、その毛先がピンク色であるのが特長で】
【服装は布地のゆったりしたワンピース。足元は紐を編んだようなデザインのサンダルで、ただ、底を含めても百四十程度の身長しかなく】
【それなら少女だった。あどけなさを残す顔に、特別鋭く釣った勿忘草色の眼が、印象的で――】

…………もう少ししたら帰ろうか。

【少し眠たいように、疲れたように、小さく欠伸をして。ころりと寝返り――しゃらしゃらと、草のこすれてきしむ音がした】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 21:32:33.08 ID:Dqdz8y3so
>>286

「……ちッ、咄嗟に使っちまったか」
「砕くべきだァったか……? いィや、もォう遅い」

【氷の大剣がその者を捉える、血だ、今ならあの自警団員に出血量で勝てるくらいの、血。】
【思わず膝を付いたその者は……傷の確認の前に、己の右腕を見た。】 【見た目は重症でない科学火傷くらいのダメージだが――舌打ちを、一つ】
【そうしてからようやく、腹部を押さえて……相手の様子を一旦伺うのだった】
【――魂反転技は攻防一体。この防御と同時に、相手に少なくないダメージを与えただろう事に笑む……暇もなく】

「グ……ッ、こォれは水でェも氷でェも……ッ! 水魔を……いィや、不ゥ向きか?」 「……糞ッ、多属性使いめッ!」

【自分がそうであることは棚に上げ、嗅ぎとった炎の魔力のにおいから、その類の技が来るだろうことを認識し】
【今、素早く動ける様な状態ではない、"あの技"を2連続で撃つのはゴメンだ――】
【その一瞬の躊躇の間に、この者は――ふっ飛ばされる】 【受け身を取る事もできず、ぐしゃあと嫌な音と共に赤い泉を生成した】

【一方、エメラルドグリーンの人型だが……こちらも確かに脚部にダメージを負っている、が】
【結晶の様な身体故に、見た目より致命的ではなかった――爆風の方に水を噴射しつつ、地面を水圧込みで蹴り、跳躍。】
【身体の幾らかが欠けたり、あるいはヒビが入ったりしたものの……主程の致命打は負わなかったようだ】

【(召喚主へのフィードバックはあるが、被召喚者へのそれはない。不公平かもしれないが、その性質はとても役立つ)】

「あァ、糞がッ……、消ォ費しィ過ぎたか……ひィィーっくり返さなきゃア誘ゥゥ拐出ェ来たといィうのによォオ……ッ!」
『......Master, 』 『I'll hand this to you. Please receive it. 』 「……目ェ敏いな、少し褒ォめてやァろう」

【そして、自分とは別の存在であるという点――召喚士達が総じて持つ、大きなメリットだ】
【もし妨害などが入らなかった場合だが、この人型は跳躍の着地点に"吹き飛んだ、少女の髪"付近を選ぶだろう】
【目的は勿論、それの回収。前提は同じ。その犠牲になったのが、爆風で結構遠くに行ってしまった主なのだが……】

【元々、エネルギー吸収を先にするかDNAゲットを先にするかで前者を選んだに過ぎない。後者だって目的の一つ。庇うよりも目的が優先ということか】

「……今ォォ日のとォころは見ィ逃してやァろう、……飴だァけじゃアなく、焼菓子も用ォ意しィておくからなッ!」

【本当は誘拐して色々やろうかと思っていたらしいが――捕える為のエネルギーが不足しているし、これ以上長居すれば更に不足する。撤退せざるを得ない】
【"(時間さえあれば)0.01から100だろうと100万だろうと100億万だろうとなんだろうと作ってみせる"と豪語しつつ、己の下に魔法陣を生成】
【もし何もなければ、それに闇となって人型とこの傲慢な奴は吸い込まれていくだろう】
290 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/06/29(月) 22:09:36.65 ID:yk45eNaYo
>>289

【爆風の余波が晴れれば――少女は自らの攻撃が成功したことを確信した。吹き飛ばされた男の体を眺め、ふぅっ、と浅く息を吐き】
【……散らばった血痕の多さに改めて、恐怖する。自分のモノなのか男のモノなのかあの自警団員のモノなのか、もはやわかりはしない】
【一歩、気圧されるように真後ろに後退し。少女はそこでバランスを崩して尻餅を付くだろう。途端に痛み出す全身の傷跡が鈍く体を貫いた】


……………う……。
見、逃して……くれた………?


【結局、勝負は痛み分けといったところか。少女にそれ以上の手はなかった。エメラルドグリーンの人型が残っていたことに今更気付いて焦ったぐらいだ】
【それがいつの間にか焼き切れていた自分の髪を回収するのを止める体力はなく。むしろ、こちらに攻撃してくるのではと怯えていたほど】
【過激な捨て台詞を残して闇のなかに消えていく男の姿を瞠目して見送り――そこからしばらく、少女はその地点を凝視して動けなかった】

【ぽつり、という呟きは大分後のこと。少女がようやく状況を正しく認識したのと同時に周囲の光も収まり、"光る水"も地面へと溶け消える】
【――その、あとには。己の"存在"を激しく消費し、血を流して呻く不気味な透明のヒトガタが残されるのみだった】


あ………っ。かえ……らなきゃ―――。
マスターの………ところに。あ、あのひとも………。


【ふらりと立ち上がると、最後の力でもう一度『イクストゥム・ラーキス』――自らの能力を呼び覚まし、治癒魔術を発動】
【自身には辛うじて歩き回れる程度の止血と痛み止めを、倒れたままの自警団員には本格的な治癒を施すと、痛々しい姿で路地の奥へと歩き出す】
【少女に与えられた"命令"は、自らを連れて行こうとする存在に捕まらないこと。そのなかには警察や自警団すらも含まれる。これ以上、留まってはいられない】
【彼が運良く仲間に見つかって救助されることを祈り、少女は幽霊のようにふらふらとした足取りで、やがて溶けるようにその場から掻き消えた……】

【その脳裏には、全身を襲う激痛への恐怖と、悪魔のように恐ろしいあの男の姿が焼き付いている】
【そして、戦いへの強い嫌悪感も。……あのひとはもう一度、自分をさらいに来るのだろうか? 体の震えを無理矢理に抑えて、少女は主のもとを目指す――】


【――なお、男が持ち帰った少女の髪を調べてみた場合。そこからはとてつもなく高度な遺伝子操作の痕跡が取り出せるはずだ】
【数千年も前に滅びた文明の、とうに喪われた技術の一端である。オーパーツじみたその技を、もしあの者が解析することができたならば】
【既存の魔獣の強化はもちろん、魔術と身体能力の双方に秀でた強靱な"人造生命"を造り上げることも……可能かもしれなかった】


/二日間お付き合いありがとうございましたー!
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/06/29(月) 22:44:35.70 ID:Dqdz8y3so
>>290

「……肉体がまたボロボロになってしまったか」
「物理的損傷は問題無いが――ぐゥルル、……魔力傷は面倒だ」

「……収穫はこいつ1本だが……やはり、何か違うモノを感じていたのは正解か」
「こいつは自然に生まれた設計図じゃあないな、しかし……ただただ、やたらに変えたとするにはあまりにも整い過ぎている」
「"奴"が手を入れた憶えもない……それに、"私"があいつを初めて見た場所は、"あの場所"に間違いないからな、となると、――」

「――クククッ、もう一度"あの場所"に行ってみる価値はありそうだな」
「"同業者"として、見逃しちゃあおけない」

【黒い黒い、闇よりも暗い邪悪なソレは――禍と混沌が渦巻く世界で、傷を癒しつつ思案する。】

/お疲れ様でしたー
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/29(月) 22:52:31.88 ID:qi4hJhIBo
>>287

【命中――爆発まで含めて完璧に入った。だがまだ墜ちない。】
【それに対する悔しさや焦りはなく、ただ喜悦を深めるように笑みが増す。】
【当然だ、まだ決着がつかないということはつまりこの戦場の継続を意味するのだから。】
【そう簡単に終わってもらっては困るのだ。ボルテージは最高潮に高まりつつある。こんなもので終わってしまっては、それこそ不完全燃焼というものだろう。】

【街の灯が消え、闇が訪れる。】
【街の住人はとっくにこの区画から逃げ去っている。ゆえ困惑と狂乱の喧騒は遠く、周囲一帯に訪れたのは静寂。】

【無明の暗黒、その中においていっそう輝く炎はムスペルヘイム、彼の右手から。爆発的に燃焼する炎の塊が、解放の時を今か今かと待ち望んでいる。】
【そして何も見えない闇を跳梁するのは大蝙蝠の羽音。偽りなく怪物である超獣とそれを駆るベルの声が、死を告げる天使の喇叭であるかのごとく響き渡っている。】
【それを聞いて、恐れるどころかまるで愉快な冗談を聞いたかのようにムスペルヘイムは笑い続けている。そう、可笑しくて堪らないのだ。】
【ここからどう転ぶかは分からない。おそらく大技を仕掛けてくるのだろうが、その結果がどうなるのか――】

「――――……あん?」

【だがしかし、ここに至って些細な違和感が彼の脳裏をかすめた。】
【どうにも違う。この娘は何かを勘違いしているような。自分と彼女で、認識に齟齬があるような――】

「……あぁ、そうか」

【それに気づいた瞬間、彼は一転して面倒くさそうな表情を浮かべた。】
【ワイシャツの胸ポケットに入れた煙草を取り出して一本加え、指から発火させて火を点ける。】
【一息吸い込み吐き出して、何とも億劫そうに頭を掻いた。】

「……別に俺は、“無意味”に殺してるワケじゃねぇぜ」

【目に見えて、彼の意気が冷えていく。いいや冷めていくと言った方が正しいか。】

「確かに対した理由なんざねぇが、意味がないってわけじゃねぇよ。
 その日の気分で出合い頭にいきなりブチ殺すような真似するわけねぇだろ、面倒くせぇ。
 アンタが見たアレだって、元を質せば向こうが斬りかかってきたからだしな」

【前言を思い切り翻すような言い草だが、これはまったく嘘ではない。百パーセント、嘘偽りのない真実である。】
【要は言葉が足りなかったということだろう。端的に言い表しすぎたせいで誤解を招いている。】

「気分、って言ったのはアレだよ――アンタだっているだろうが。気に入るヤツと気に入らねぇヤツ。
 言動だか性格だか容姿だかは知らねぇが、そういう何かしらの原因で好悪の差は出てくるモンだ。
 行動を起こす時ってのはそういう感情が関わってくる。まぁ、そうでないヤツもいるがな」

【要するに、と煙を吐く。】

「そんな感情を加味した結果、奴らの場合――数人で囲んで斬りかかってきたという行動に、俺が連中を殺さず済ませるってほど良い感情は持ってなかったってことだ。
 好きなヤツ相手なら多少気分の悪いことをされても許すだろうさ。だが今回は違ったんだよ。初対面だったし、そりゃ誰でも腹が立つってもんだろうよ」

【フラットな彼――つまりダウナーで面倒くさがりの彼は、引き金なしに殺しを行うほど気力に満ちた存在ではないのだと。】

「どうだよ、理解したか? 自分で言うのも何だがな、俺はけっこう常識的な人間だと思うぜ?」

【まず間違いなくそれはないが――しかし可笑しそうに笑っているから、これは彼なりの冗談なのか。】


/すみません気付くのが遅れてしまいました……ッ
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/06/30(火) 00:00:03.98 ID:ydlACw6w0

【人の途絶えることが無い駅前。其処の噴水に腰を掛けている音が一人】
【外見から判断するに、歳は二十代の後半といった所だろう。帽子を被り、煙草を咥えながら行き交う人々を眺めていて】


「最近仕事が入り込んでも猫探しだ何だってもっとまともな仕事は無いもんかねぇ
――――はぁ。探偵も商売上がったりだな」

【帽子に隠れる視線は問題を抱える人々を見抜く為に向けられて居るのか――――否】
【全ては行き交う女性の尻へと向けられて居た。時折首を動かしてまで追うのは好みの女性が通りかかったからだろうか】
【言葉に反し、その行動は何とも言い難いものであって】


「ま、今時武力の衝突はお偉い自警団サマやお節介な奴等が片付けてくれるからな
俺からすれば有り難くもあり迷惑でもある訳だが」

【何より、其れは第三者から見れば露骨なまでに分かり易いのだ】
【流石に人通りの多いこの場所、目立つ事は無いのだけれど――――男の放つ胡散臭い雰囲気に気付き、視線を向けたならば】
【或いは、近づいたところで声を掛けられるまて気付く事も無い筈であり】









【雪の降る櫻の国。曾て大妖が暴れたと伝えられる小さな村】
【今となっては風化した家屋の残骸が残るだけで、人は疎か獣すらも住まう事が無くなり】
【――――そんな場所に、今宵は小さな妖気が存在していた】

【見遣れば、居るのは巫女装束を纏った一匹の妖狐。その首には翡翠の首飾りを下げていて】
【妖狐の前に在る其れは無縁仏にも似た小さな墓。幾つも存在しているのだから、ただ一人の為に作られた物で無い事も直ぐに理解出来よう】
【辺り一面は雪化粧。ならば当然気温とて決して暖かだとは表せない上に未だ雪は降り続いている中傘も差さずに居るのだから風邪をひいてしまっても可笑しく無さそうだけれど】


「…………誰も来てくれないのは……寂しい……ですよね…………」

【――――其処に墓は在るのに、誰も訪れてやらないのは悲しい事だと思ったから。故に、ただ一人で訪れて】
【さて、妖狐に近寄るならば必然的に積もった雪を踏んで行かねばならないのだが】
【流石は狐、とでも言うべきか。その際の音を聞き逃す事も無く、不安げな表情で振り向くのだけれど】
294 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/30(火) 00:03:37.38 ID:myfDUciz0
>>292


【男のボルテージが目に見えて下がっていくことに呼応してか、急速に場の緊迫感が失われていく。】
【聞こえてくる少女の声も、どこか狼狽しているような、ここに至ってようやく大きな間違いに気が付いたとでも言うような口振りに変化していった。】

待てよ、連中…?数人、数人…。人、ニンゲン、人間…。
あれ?ちょっと待てよ、君が殺していたのは人間で…。僕が[ピーーー]のも人間…。
うわ、うわわわわ、そうだ、人間じゃないか!悪魔の種族だ、僕は何をトチ狂ってたんだ!?
そうだよ、理由が無かろうが何だろうが、人間だったら殺して良いに決まってるじゃないか!!

【余りにも唐突な変貌。我に返ったように、急に少女は慌てふためき出した。口にする内容はおよそ常識的なものでは無いが、しかし先程までの主張とはまるで反対である。】
【つまりこれは、我を忘れていたという事か。恐らくは「殺し」や「生命」ということに関した話をするうちに、少女の中で何かが先走りすぎてしまっていたのだ。】
【「人間だったら」という台詞から、人間以外に対しての無意味な殺戮を心底嫌っているということか。男がなんとか推測できるとしたらその辺りだろう。】
【この態度の急変にムスペルヘイムが驚いたりしても無理は無い。今最も驚いているのは少女、ベル自身なのだから。】
【大蝙蝠と少女は、まるで攻撃的な雰囲気を帯びることなく、男へ無防備に近づいていく。そこには一切の策略など存在していなかった。】
【男の眼前で蝙蝠は止まり、そして少女は地面へ飛び降りた。そしてそのまま、少女は男へ向かって土下座した。】

すまなかった!!ごめん、謝る!!
ちょっと熱くなりすぎてたんだ、君が殺した人間達が何か別のものに見えてきて…。悪かった、さっきまでの僕の言葉は全面的に撤回する!
そうだよ、君は別に何も悪いことなどしてないじゃないか…!許してくれ、何でもする!!

【少女ベルは冷静さを取り戻したのか、ただひたすらに謝り続けた。男を誤解して、攻撃を仕掛けたこと。その誤解のまま男を仕留めようとしていたこと。】
【本人の口によれば、本来戦闘を続けていたならば以下のような策をもって男を攻撃しようとしていたようだった。】
【まず大蝙蝠キティの音波消化能力を最大限に発揮、その数秒間は炎の消滅により周囲は完全な闇となる。その中で、エコーロケーションを用いて一方的に男の位置を把握し、翼の鋭い爪で急襲するつもりであったという。】
【もはや体面も威厳も何も無く、ただ誤解のままに突っ走ってしまった少女の姿がそこにあった。】

君の言い分も理解した、ある程度の理由有りきで殺人をするというのもわかった!まあ僕としては人間の数さえ減らしてくれれば、理由なんてどうでもいいんだけど…。
とにかく!本ッ当にすまなかった!!わけのわからない戦いに巻き込んでしまって!!

【平謝り。それは掛け値なく、少女の本心から出た言葉であった。当然この行動が攻撃につながるなどということも無いし、少女に戦闘を続行する意思も無い。】
【熱い戦闘を望んでいたであろうムスペルヘイムからすれば、本当にわけのわからない肩すかしな顛末であろうが、しかし本当に少女の戦意と憎悪は誤解と先走りから生まれたものであるらしかった。】



/こちらこそ遅れて申し訳ありません!



295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/30(火) 00:33:39.79 ID:PyV/5H9to
>>294

【なんだこいつ。】
【ベルの急激な変貌ぶりを前にした彼の内心に訪れた思考はその一言に尽き、いきなり土下座をかましたこの娘はよくわからないものとして映る。】
【いわゆるテンションが上がっている状態の彼であればそれすら燃料と化していたのだろうが、今は違う。】
【一度下り始めた気分は今も下降を続けている。ということは常の彼に戻りつつあるということであり、若干おもしろくはあるが爆発的に気分がよくなるというほどでもない。】

【ゆえにただ彼は面倒くさそうに首を捻って凝りをほぐし、面倒くさそうに呟くのだ。】

「……あぁ、なんだ、気にすんなよ。頭上げろ。
 俺の方も、言い方が悪かっただろうしな」

【事実それも一因であると理解していた。】
【殺した理由を問われたとき、初手から何の説明もなしに気分と言い切り、それ以外をまったく告げなかったのは彼のほうだ。】
【だからまぁ、俺も悪いんだろうなと思考の片隅でそう思い――なるほど誤解で生まれる戦いってのはこういうもんかと、意味のない思考を捏ね回す。】

【もはや闘争の空気ではない。緊迫した雰囲気は一転して弛緩した状態に陥っており、当人たちにその気がない以上、続行はないだろう。】
【未だムスペルヘイムの右手で燃え盛っている炎――を、横の辺りに放り投げた。】
【街灯も何も一切合財が割り砕かれたので光源を確保するためだが、燃料も何もないはずの炎はどういう理屈か燃え続けて周囲を照らしている。】

「しかしまぁ、アレだな――アンタ、本当に“人間”ってヤツが嫌いなんだな」

【そうだ。彼から見ても、ベルというこの少女の“人間”への憎悪はそう見ないレベルだ。】
【伊達や酔狂ではなく本気で憎み、絶滅させんとすらしている。】
【ムスペルヘイムへの攻撃を中止したのも、彼の言葉に説き伏せられたというよりは彼が殺した対象が人間であったから――】
【そういう印象を受けたし、事実その通りなのだろう。ムスペルヘイムが殺したのが人間以外であったなら、ベルは構わず彼女の言うところの奇襲を仕掛けてきたという気さえする。】

【そうまで人間を憎悪する理由――興味深い。】

「何でもするって言うなら、聞かせちゃくれねぇか。
 アンタがそこまで“人間”を嫌う理由、ってヤツをよ――」

【眼に稚気と好奇心を宿らせたムスペルヘイムが、面白がるような口調で問うた。】
296 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/30(火) 01:22:54.35 ID:myfDUciz0
>>295

【「何でもするって言うなら――」。男のその言葉を聞いた瞬間。ベルの口からぐぅ、とダチョウの首を握り潰したような音が漏れる。】
【少女は強く目を閉じた後、両膝を地に付けたままで顔を上げ、男の目を見据えながら言った。】

…「答えられない」。…わかってる、何でもすると言ったのに、これは欺瞞だ、契約の不履行だ。
すまない、その質問を君がすることは全く想定していなかったんだ。本当に、それだけは答えられない。
無論、理由は確かにある。別の「仲間」に同じような質問をされたことは何度もあるし、そういう時は適当に嘘をついて誤魔化してる。彼らが納得するようにね。
だが今、流石にこの状況で嘘をつくことはできないし、かといって本当の理由を君に暴露することもできない。
…言うなら、その理由っていうのは、僕の計画を進めるうえでの「心臓」なんだ。それが仲間うちに知られれば…僕は、彼らを統率する権利も、地位も、全てを失うことになるだろう。
卑怯な女ですまない。だが、これは僕が僕の目的を達成するため、人類を抹[ピーーー]るためにどうしても押し通さなければならない「信念」なんだ。

【答えられない、それが彼女の答えであった。しかし今、男はかなり少女の思想の核心に迫っている。】
【これまでの発言を振り返り、かつ、彼女が悪としての地位を失うということを考えに入れれば、いくら少女がそれを秘そうとも、感付かれる可能性はあった。】
【もしも男が少女の言葉を受け入れたならば、ベルは立ち上がり、それから白衣のポケットから筆記用具を取り出すだろう。さらさらとペンが走る。】
【そして少女は近づいて、自身の連絡先が書き込まれたピンク色のメモ翌用紙を手渡す。字は汚かったが、恐らく読み取れるレベルであるはずだ。】

これは僕の仕事用のアドレス。僕が所有するPCに繋がっているから、連絡がとれるはずだよ。
…言い忘れた、僕はカノッサ機関科学研究局Bブロック統括、という役職に就いている。要は生物兵器を開発する生業をしている者だ。
もしも君がカノッサに敵対する者だったら、その連絡先は使用しない方が良い。逆探知される恐れがあるからね。

【そこまで言って、少女は再び巨大蝙蝠の背に飛び乗る。見る間にそれは、男の目線の上まで舞い上がった。】

今日は本当にすまなかった。まわりの大惨事については、僕の責任の下で完全に処理しておく。間違っても君が罪に問われることはないようにするよ。
もしも君が明確な意思のもと、「人類に敵対する」、そう決めたならば。僕はいつでも君を待っている。人類を滅ぼす者として、共に戦おう。
あと、「何でもする」って言っておきながら僕、結局何もしてないからさ。僕の計画に大きな支障が出ないような内容なら、本当にその言葉通りにするよ、約束する。
…あまり変なこと頼むなよ。

【そう言い、少女と蝙蝠は夜の闇に消えて行った。人類に何らかの恨みを持ち、そして彼らを滅ぼすと言ってのけた奇怪な少女、ベル。】
【ムスペルヘイムにとってこの邂逅がどのような意味を持つのか、それは今のところわからないことである。】
【多くの謎を残し、本心を頑なに押し殺して、少女の姿は遠ざかる。男の手に残された紙片だけが、余韻のように残されていた。】






/こちらのレスはこれで最後となります、二日間ありがとうございました!
/ここで締めて下さっても、締めレスを投下してくださってもどちらでも構いません!

297 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 :2015/06/30(火) 01:24:39.10 ID:myfDUciz0
>>295


【「何でもするって言うなら――」。男のその言葉を聞いた瞬間。ベルの口からぐぅ、とダチョウの首を握り潰したような音が漏れる。】
【少女は強く目を閉じた後、両膝を地に付けたままで顔を上げ、男の目を見据えながら言った。】

…「答えられない」。…わかってる、何でもすると言ったのに、これは欺瞞だ、契約の不履行だ。
すまない、その質問を君がすることは全く想定していなかったんだ。本当に、それだけは答えられない。
無論、理由は確かにある。別の「仲間」に同じような質問をされたことは何度もあるし、そういう時は適当に嘘をついて誤魔化してる。彼らが納得するようにね。
だが今、流石にこの状況で嘘をつくことはできないし、かといって本当の理由を君に暴露することもできない。
…言うなら、その理由っていうのは、僕の計画を進めるうえでの「心臓」なんだ。それが仲間うちに知られれば…僕は、彼らを統率する権利も、地位も、全てを失うことになるだろう。
卑怯な女ですまない。だが、これは僕が僕の目的を達成するため、人類を抹[ピーーー]るためにどうしても押し通さなければならない「信念」なんだ。

【答えられない、それが彼女の答えであった。しかし今、男はかなり少女の思想の核心に迫っている。】
【これまでの発言を振り返り、かつ、彼女が悪としての地位を失うということを考えに入れれば、いくら少女がそれを秘そうとも、感付かれる可能性はあった。】
【もしも男が少女の言葉を受け入れたならば、ベルは立ち上がり、それから白衣のポケットから筆記用具を取り出すだろう。さらさらとペンが走る。】
【そして少女は近づいて、自身の連絡先が書き込まれたピンク色のメモ翌用紙を手渡す。字は汚かったが、恐らく読み取れるレベルであるはずだ。】

これは僕の仕事用のアドレス。僕が所有するPCに繋がっているから、連絡がとれるはずだよ。
…言い忘れた、僕はカノッサ機関科学研究局Bブロック統括、という役職に就いている。要は生物兵器を開発する生業をしている者だ。
もしも君がカノッサに敵対する者だったら、その連絡先は使用しない方が良い。逆探知される恐れがあるからね。

【そこまで言って、少女は再び巨大蝙蝠の背に飛び乗る。見る間にそれは、男の目線の上まで舞い上がった。】

今日は本当にすまなかった。まわりの大惨事については、僕の責任の下で完全に処理しておく。間違っても君が罪に問われることはないようにするよ。
もしも君が明確な意思のもと、「人類に敵対する」、そう決めたならば。僕はいつでも君を待っている。人類を滅ぼす者として、共に戦おう。
あと、「何でもする」って言っておきながら僕、結局何もしてないからさ。僕の計画に大きな支障が出ないような内容なら、本当にその言葉通りにするよ、約束する。
…あまり変なこと頼むなよ。

【そう言い、少女と蝙蝠は夜の闇に消えて行った。人類に何らかの恨みを持ち、そして彼らを滅ぼすと言ってのけた奇怪な少女、ベル。】
【ムスペルヘイムにとってこの邂逅がどのような意味を持つのか、それは今のところわからないことである。】
【多くの謎を残し、本心を頑なに押し殺して、少女の姿は遠ざかる。男の手に収まった紙片だけが、余韻のように残されていた。】




/こちらのレスはこれで最後となります。ここで締めとしても、締めレスを投下してくださってもどちらでも構いません。
/2日間ありがとうございました!
298 :ベル ◆/Pbzx9FKd2 [sage]:2015/06/30(火) 01:26:08.82 ID:myfDUciz0
/まさかの連投…最後の最後で申し訳ありません、ミスです!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2015/06/30(火) 01:54:53.98 ID:PyV/5H9to
>>296

【ベルは、この問いに回答することを拒んだ。】
【だが彼は変わらず面白がっているような顔つきで、その眼に宿っているのは失望でも怒りでもない好奇の光。】
【見た限り義理堅そうに感じられるこの娘が、何でもすると言っておきながら秘する“理由”――】
【面白い。是非とも聞いてみたいが、しかしここでいくら問い詰めても彼女が答えることはないだろう。】

「ほぉ……?」

【であれば推測するしかできない。】
【なぜだ? なぜこんなにも人間を憎む。今の今まで漲っていた殺意が、殺したのが人間であるというほぼ一点で鳴りを顰めるほど強烈に憎悪する理由は何だ。】
【人間。理由なき殺戮。悪魔の種族。殺して殺して、理想の世界を創る――】

「――やめだ」

【あっさりと思考を打ち切って、大儀そうに煙を吐いた。】
【理由は一つ、面倒だから。気が乗ればこれについて考えるのも悪くないだろうが、今はそう――気分じゃない。】
【ベルの核心に迫る機会を、一時的にとはいえ手放したのだ。思考の隅に追いやられた題材は、いつ訪れるかも分からない彼が思いだしたときまで放置されることとなる。】

「にしても“カノッサ”ねぇ……」

【その名を知らぬ者はいない。この世界における悪の代名詞。】
【名前は知っていたが、まさかこんなところで出会うとは思ってもみなかった。】

「しかも統括、か。結構な地位ってことでいいのかねぇ」

【ベルの連絡先だというアドレスが書き込まれたピンクのメモ用紙を目の前でひらひらさせて、スラックスのポケットにしまい込む。】
【興味があるのか、それともないのか。この男の性格からすればほぼ間違いなく前者だろうが、冷めた顔つきからは今のところ感情が読み取れない。】
【大蝙蝠と共にベルと名乗る少女が去っていった方角を眺めて――煙草を吸おうとしてもう根元まで来ていることに気付き、吹いて燃やして灰にする。】

「……ま、今はいいだろ。さぁて、帰って寝るか――」

【言って、あくびと共に踵を返して去っていく。】
【周囲の惨状――何割かは自分のせいでもある災害に一瞥もくれず、何の興味もないように。】
【その燃えるような赤髪が闇に消えるまで、そう時間はかからなかった。】


/お疲れ様でしたー! 楽しかったです!
 二日間のロール、ありがとうございましたー
300 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/06/30(火) 17:27:58.48 ID:TDNzwm4ho
//>>257で再募集します
301 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/06/30(火) 19:47:29.02 ID:xqWy/9fMo
>>220

【ソーンは黒兜の行動までは確認出来ていなかった。彼が"ジェノ"に対してどういう行動を取ったのかも。】
【ソーンは知る事はない。ただし―――長年の勘からだろうか、ジェノが亡骸になっているとは考えられなかった。】
【仮に黒兜が助け舟を出していようと、いまいとに関わらず―――あの青年からは、"生命力"のような物を感じ取った。】

 ―――……再び敵になる事があれば。今度はあの"炎"、確実に攻略して見せよう。
 さて……、黒兜君は―――。

【トラックの運転席にJ/Kを乗せ、黒兜の搭乗を待っているソーン。】
【其処へ、颯爽と駆けつけた黒兜が後部の座席へと乗り込む。参謀は安堵の息を漏らした。】
【例え百戦錬磨の騎士と言えど、爆発や炎に巻き込まれれば大変なことに成り兼ねない。ソーンは笑みを零した。】


 ―――心配する必要は無かったようだな。ご苦労だった、黒兜君。
 急に作戦に協力してもらって悪かったね、しかし君のお陰で命拾いしたよ。
 あの青年は中々の"手練"だ。気を抜けば何時殺されても可笑しくない程に、ね。

 それにしても凄まじい剣圧だな、君の戦闘力もまた、計り知れんよ。
 さて、無駄話は此処までにして―――早速避難するとしようか。

 ―――我々の、"アジト"へ。

 J/K君、"首都"へ繋がる地下道へ入ってくれ。ああ、"例の隠し道路"だよ。
 黒兜君に見せてあげようじゃないか、我々がこれから"成そうと"している事の一端を、ね。


【ソーンは運転手のJ/Kに"地下通路"を経由し、"あの"首都直下へ向かうぞ、と告げる。】
【J/Kは静かに頷くとハンドルを切り、閉鎖されたハイウェイの瓦礫を避けながら怪しげな倉庫街へ向かい】
【その内の一つ、寂れた巨大な物流倉庫の中へトラックを入れると―――重い車体が一端停止し、ライトも消される。】

【暗くなった倉庫の内部は静まり返っていたが―――唐突に、"ガコン"という音が鳴り響く。】
【其れと同時に振動が続き、車体の足元から地響きのような唸りが身体を伝わり空間を揺らす―――】
【何事か、窓の外、倉庫の内部を見ればその答えは自ずと分かるだろう。もう其処に、"倉庫の内観"は無い。】

【代わりに、トラックの外には何か"無機質"な外壁のような物がずーっと続いていた。】
【"続いていた"、と書くのは―――その光景が下から上へと、次々と"流れて"いっているからだ。】
【そう、つまりこれは―――車体が、倉庫の下へと"降下"して言っている事を意味していた。昇降機、だ。】

【倉庫自体が地下へと通じる"巨大な昇降機"となっていて、車は順調に地価数十階へと降りて行った。】
【一分ほど降下を続けると、ようやっと昇降機が止まり、目の前に広がっているのは遠くまで続く暗い、トンネルだ。】
【やがてトラックが動き出し、ライトも点けないまま、なるべくエンジン音を立てず、静かにゆっくり車体が進み、そして―――】

 ―――見えてきたぞ。

【もはやライトは要らなかった。目の前の巨大な"施設郡"が、煌々と灯りを照らしているからだ。】
【有機的とも、無機的とも取れるような機械郡と、それを束ねるホース、そしてそれらを覆い隠す円柱状の、"施設"。】
【内側に浮かぶのは幾つものカプセル、その中に眠っているのは生まれたままの姿をした"大量の人間"達―――異常な光景だ。】

 ようこそ、黒兜君。私と、私の仲間が集う"基地"へ。

【培養液で満たされたカプセルの中に浮いた人間達をソーンは笑いながら見つめ、そしてトラックを降りると】
【所狭しと歩き回る研究員達に挨拶をしながら、黒兜を施設の中央部、コントロールパネルへと連れて行くだろう。】

 さて……これから君に話す事は地の国の暗部に関わる重大な情報だ。
 他言すれば君と言えどあらゆる組織の人間から狙われる事になる可能性は十分にある
 そのことを念頭に置いてくれるとあり難いのだが―――どうかね、素晴らしい光景だろう。これ等は皆、"我々"ではなく―――ふふっ。

 ―――首都『ニュー・ドレファス』が、過去に政府と作り上げた密造施設なのだ。

/遅くなって申し訳ありません。先にお返事をお返し致します。
 
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/30(火) 21:19:39.12 ID:ioap0FaE0
>>301

【トラックごと沈んでいく感覚を覚えながら、考えることは何処も同じだなと小さく呟く】
【確かあそこもそうだと聞いた、隠れるとなれば皆地下基地を選ぶのか】
【しかし彼女のそれよりも規模は圧倒的に大きかった、下手な集落よりも光量があるのではないだろうか】

【進んでいけば見えてくる人の姿、しかしそれが住人などということはなく 液体に閉じ込められたそれらを何かしらの言葉で表すのなら、差し詰人間畑といったところか】
【これがソーンの計画の一端、何をしようとしているのか少し頭を捻れば出てきそうでもある】


………………これが基地、か……随分と妙な装飾ばかり視界に映るな。

何、今更一つ秘密を抱えたところで私は何も変わりはしない、数ある内の一つとしておく。
生憎と素直に素晴らしいと言う気にはなれないが、それを話して貰おう。
……ニュー・ドレファスで、何があった、そして貴方は何をしようとしている…………?

【ソーンに連れられてコントロールパネルの前に立つ、ここで何があり、そしてソーンが今 何をしようとしているのか】
【黒兜は彼の造り出そうとしている闇へと、今 確かに一歩踏み込んでいた】
303 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/06/30(火) 22:07:33.88 ID:xqWy/9fMo
>>302

【ソーンは研究員の1人を呼び止めると珈琲を入れるよう指示した。】
【研究員は粗末な魔法瓶に保温していたブラック・コーヒーを大き目のビーカーに入れると】
【それをそのままソーンへと手渡し―――ソーンもそれを、黒兜へと一つ分、手渡そうとする。なんとも、杜撰だ。】

 ―――手狭な基地で申し訳ない。この通り、珈琲を飲むのすら"優雅に"とはいかなくてね。
 私など、昨日から一食も食事を取っていないくらいだよ。―――カロリー・メイトを食事に入れるなら、別だが。

 まあ器こそビーカーだが、中身は一級品の豆を使っている。是非とも堪能してくれたまえ。
 さて……先ず、どこから話そうか。

【ソーンは事も無げに、書類だらけの慌しい椅子を二つ、机から引っ張り出すと】
【上に載っていた書類を机へと放り投げて、二つ分の椅子を確保し、静かに腰を下ろした。】

 ―――この国は昔から、とても肥沃とは言いがたい風土と特徴を持合わせていた。
 枯れ果てた大地。どこまでも広がる荒野。視界一杯に延びる地平線。実りの少ない岩地。
 昼夜で寒暖差の激しい独特な気候、雨の長く降らない乾燥期、にも拘らず冬季には大量の降雪。

 鉱山とゴールド・ラッシュ、其れに伴う鉄道開発による移民流入がなければ
 この国はとうの昔に"原住民だけが住む世の果ての過酷地帯"としてその長い歴史を閉じていただろう。
 
 だが―――現実には今日の発展がある。弛まぬ努力と幾ばくかの"幸運"にも恵まれ
 世界有数の大国と成り得たのはまさに"大地"の恩恵、と言うほかないだろう。

 尤も、それ以外にもこの国が発展できた"理由"があった。奴隷だ。
 その昔は、それこそ彼方此方で法を無視した奴隷労働、人身売買が日夜行われ
 そしてその過大な『労働力』を得てこそ、この国は広大な自国の国土を開拓する事が出来た。

 ―――だが存在が大きくなれば成る程、今度は国連や他国、そして情勢そのものが
 奴隷を酷使するという非人道的なやり方に疑問を持ち、それを批判し始めるようになる。
 当然、これから国際社会に大きく存在感をアピールしたい地の国にとって、これは痛手だ。

 国は奴隷を黙認するのをやめ、本格的な取締法を設立、奴隷を解放し始める。
 だが―――そんなことをすれば国としての衰退は必須だ。勿論、他国が奴隷を批判したのには
 そういった"政治的"要因があったことも確かだろう。だが、そんな中で地の国も黙っている訳にはいかない。

 新たに、奴隷を確保する方法を考案し始めるのだ。そう―――

【ソーンはチラ、と横目にカプセル郡を見渡す。それに視線をやった、と言う事はつまり―――】

 ……労働力の、"人造"計画。つまりは、奴隷を生み出すというアイデアだな。
 尤も、これを実際に実行しようとしたのは首都の"一部"のみ、他の地域では寝耳に水、という所だろう。
 まさか、自国の歴史が"ここまで"腐敗していたとはよもや想像する事もあるまい。全く―――どうしようもない国だよ。

 だが、それも頓挫した。詳しい理由は分からないが、これだけの施設を作っていたのに、だ。
 莫大な費用を投じ、一世一代の計画として軌道に乗るはずだった奴隷人造計画は中止に終わり――― 
 地の国首都直下、数百メートルに眠る"オーパーツ"―――いや、"亡霊の棲む遺跡"と化した―――という、訳だ。

 それから数十年か、百年か、封印されていた此処の存在を私の"情報網"が嗅ぎつけた。
 ヒトを人工的に生み出す巨大施設が眠る場所……そう、大量のクローン人間を生み出す事が出来る、工場だ。
 
 これを利用しない手はあるまい。我々がこれを手にすれば、コストを全くかけずに
 機関の兵士を量産する事も、人体実験の"マルタ"を手に入れることも可能になる。
 そしてこの情報を対外に漏らせば、国土の混乱を招く事すら可能なのだ。

 ―――素晴らしい、そうとしか言い様が無い。この施設こそ私が追い求めた"パンドラ"なのだよ。
 ……だが、我々の計画の本懐は"機関の兵士の量産"でも"国政の破壊"でも"人体実験"でもない。
 なら―――、何か。君は先ほど、"アレ"を見たね、黒兜君。そう、あの―――"怪物"だよ。

【参謀は立ち上がると、一枚の資料を手に取る―――そこには"人造獣人計画"と書かれていた。】
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/30(火) 23:01:52.11 ID:ioap0FaE0
>>303

【コーヒーの入ったビーカーを受け取ると、黒兜は少しくるくると手でそれを回し】
【薫りだけを溢れさせれば直ぐにそれを机に置いてしまった、No.1に立つソーンはまだいいが、信用の薄い他の研究者等にはよっぽど顔を見せたくないらしい】
【鎧はそのままに用意された椅子に続いて腰掛ければ 彼等の対談は始まった】

【ここは正に土に埋もれた国の闇そのもの、スキャンダルどころではないだろう】
【国の転覆、巧く使えば脅すことも可能になる代物、ソーンが手に入れたものは地の国を相手取るには何よりも強力な兵器(ニュース)だった】

……つくづく御し難いな、無ければ作ればいいというものでもなかろうに。
そして今、貴方がこれをもう一度動かすというわけか、相応の罰というところだな。
本当に、どうしようもない国だ…………

しかし…………貴方の情報網というものも侮れぬな、ここまで大きなものを掘り出すとは。
仲間とはいえ油断できん…………ああ、これは褒め言葉として捉えてくれ。

【このカプセルに入った人間達、やはり生きているのか、生命をこんな簡単なもので作り上げてしまうのだから何とも恐ろしい、国がやろうとしていたことも、ソーンのことも】
【彼が立ち上がり、その手に書類を持った、見えた情報が確かならソーンがやろうとしているのは…………】

つまりはベクターと同じか、より強い生物の誕生、より強い兵士の生産。
あの怪物が束になればどれほど脅威になることか、貴方の考えることには底が見えんよ。
…………さて、計画を聞いたからには私にも何かを手伝わせるか……?何ならキメラの製造資料を渡しても構わないが…………

【現在、黒兜の持つキメラの情報は 先程の獣が人間大になったかのようなものとはまた違い】
【人間としての知能や通常時の外見はそのままに、任意で力を引き出せる、つまり人間としての利点を持ち合わせるものなのだ】
【大量生産が難しいのは難点だが 戦闘能力はあれにも劣らぬ筈、ソーンが興味を示すかは兎も角、とりあえず欲しいのなら渡そうとそう提案しているのだった】
305 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/06/30(火) 23:16:42.74 ID:xqWy/9fMo
>>304

【ソーンはほくそ笑んだ。自分の之からしようとしている事を、そして今まで成してきた事を】
【実力者に認められたからか、いや―――実際はそうではなかった。相手の"想像力"の豊かさに、だ。】
【彼は此処までの情報から"ベクターの量産"という答えを導き出した。そう、人造の獣人計画、という単語からだ。】

 (―――ククク。いや、違う。違うのだよ、黒兜君。)

 (私が考えている事はそんな"破天荒"な事ではない……あの"化け物"を量産、だと?)

 (出来ることなら、誰かやってみてくれ給え。出来ることなら……。無理だ。あんな物を、何体も軍勢ととして揃えるなど。)

 (……違うのだよ。私が"量産した獣人"でやりたい事は……な。ただ……。)


【ソーンは、"自らの計画"の堅実さに引き換えた"意外性の無さ"に、軽く呆れていた。】
【目の前の黒兜ときたら、ベクターを量産してしまえばいい、という"発案"をしてくる。だが、自分は違う。】
【自分がこの獣人達を使ってやろうとしている事は、そんな強烈なインパクトを持ったテロなどでは、なかったのだ。】


 (―――……聞かねば、なるまいな。もし、"本当"のことについて話すのなら。)


 ……ああ、その通り。獣人たちはより強力に、より強大に進化させる。
 ……何れあの"ベクター"に等しい力を手に入れられたら、それは私の勝利に他ならないが……、

 ……その前に、一つ君に尋ねたい事がある。
 黒兜君。君は―――、君は。


 ―――カノッサに、忠誠を誓っているのかね。
 それとも、"自分"の成すことの為にカノッサを利用している、だけかね。

【ソーンは珈琲を見つめながら、そんな質問を投げかけるだろう。】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/30(火) 23:31:02.37 ID:ioap0FaE0
>>305
/あっ、すみません 説明不足でした……!
/ベクターと同じというのは"同じように"生産するという意味、あの怪物というのはそちらの獣人を差した言葉です
/書き直しをさせるのも悪いので返信はそこだけそういう風に脳内で変換して書かせて頂きます……!ご迷惑おかけして申し訳ありません
307 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/06/30(火) 23:38:53.70 ID:xqWy/9fMo
>>306
/Oh,此方の読み違いでご迷惑おかけして申し訳ありません。
丁寧に補足していただき、有難う御座います。
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/06/30(火) 23:56:06.29 ID:ioap0FaE0
>>305

【自分の為に利用している、か、随分ギリギリの線を踏み込んでくるものだと】
【黒兜の奥からフ、と声が漏れた、自分の存在理由を考えれば答えなど最初から………………】

……決まっている、私はカノッサ機関の為にこうして動いている。
あの実験場でも話したな、赤ん坊の時から使命を受けたのが私だ、この鎧もその為の物。

…………まあ、多少なりとも利用はしている、それは否定しない。
だが、それが私が忠誠を捨てる理由にはならないと思って頂こう。
それにしても先程から疑り深いな、私が二重スパイだの三重スパイだのとでも考えているのか。

【何故そこまで疑う、黒兜はソーンを見て直接にそう質問を返して】
【正体を明かさぬのだから慎重になるのも無理はないだろうが 慎重過ぎやしないかと】
【ソーンをそうさせる計画とは何なのだろう、いや、今の彼にとっては黒兜の方が謎で 気になる存在なのだろうが、少なくとも機関を欺くつもりはないと最低限の言葉は聞けるだろう】
309 :No.1 ソーン ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/01(水) 00:26:15.93 ID:BCEN1S0no
>>308

【産まれた時から―――そう語る黒兜の言葉には、嘘偽りがあるようには思えなかった。】
【ソーンの質問の意図は簡単だ。単純な話、これからソーンが成そうとしている事は―――、】


 ……ほう。カノッサの為に、か。
 難しい話だな。私も君と同じ様に、かつてよりこのカノッサに身を置く構成員の1人だ。

 だが―――そうだな、そろそろ腹を割って話すとしようか。
 私はね、黒兜君。端的に言って、"今のカノッサ機関"が、気に入らないのだよ。

 君はこの機関の目的とはなんだと思うね? "世界を混沌に陥れる"、だったか?
 それはつまり、どう言う事なのだ。詳しく説明できるかね? 混沌の定義とは。"世界"の定義とは。
 聊かふわついた目標だよ、一体何をすればいいのか、とんとわからぬ。我々は一体、なぜ戦っているのだ?

 もっと言ってしまえば―――"罪神"とは、一体誰だ。
 顔も見た事が無い。声を聞いた事もない。存在すらあやふやな男が頂点に立ち、
 "人間を残らず支配しろ"と、明確な目標を掲げるでもなく、なんだかよくわからない目的をでっち上げ、
 むせ返るほどの熱気や情熱を持った訳でもない変わり者の"六罪王"達とカノッサを自分の為に利用するナンバーズが、
 
 ―――今の"情けない"カノッサを構成する、"全て"だ。
 六罪王"エインセル" や、"コマチ"が最後に動いたのは、何時だね。
 ―――もはやカノッサ機関が組織である証拠など、何処にも存在しない。言わば……

 "個々に悪事を重ねたいはぐれ物"の為に、武装と基地を買い与えて
 無駄遣いさせるだけの、"犯罪者救済機構"とでも、言い換えた方がいいだろう。 

 それが、君が生まれたときから忠誠を誓っていると言う大事な組織の"現状"だよ。
 反論があれば聞こう。私は頑固ではない、君が"違う"というのなら私はその意見を受け入るだけの余裕は持っている。

 だがね。私は我慢ならない。カノッサとは世界で最も"大きな力"を持った能力者の能力者による組織でなければ、ならんのだ。

 "混沌"? 馬鹿馬鹿しい。 "神"だと? そう名乗る割に教会の一つも用意しないのはどうなのかね。

 ―――ならば取り戻そう。強きカノッサを。この世で最も"強大"なカノッサを。
 最強最悪、絶対無比、天上天下唯我独尊の―――全てをねじ伏せるカノッサを。
 
 ……私はカノッサを変える。ベクターの力と、この量産された"獣人"の力で……!!
 いや、正確には"彼等"を利用する事で"ある兵器"を探し出すのだ、そしてその"力"で私は―――ッ。

 「……ねえ、"参謀"さん。それ以上はやめておけば? ……まだ、完全に信用してないんでしょ、彼の事。」


【ソーンの言葉が白熱してきた時だった。それを咎める様にして現われたのは、No.7―――Nemesis。】
【黒兜の部下と交流がある、カノッサ機関のナンバーズにして、昆虫を操る能力を備えた若い少女の戦士だ。】
【彼女は身に纏った機関製のマントと、頭部につけた戦闘補助用バイザーを研究所の灯りに輝かせ、言葉を重ねた】


 「……悪いわね、黒兜さん。私の上司が"あることないこと"話しちゃったみたいで。」

 ……っ、何を言っている、No.7……我々は重要な会話の途中だ、上司の邪魔をするなど―――

 「私アンタの言う事なんて一つも聞いた事ない問題児だから、今回も無視するわね。
 ―――そんなわけで黒兜さん、私の上司が"何かやばい事を企てている"―――ってのはもう十分に分って貰えたと思うの。」

 ……Nemesis!!

 「―――……けど、彼熱くなってるみたいで。ごめんなさいね、今日はもう―――、引き取ってもらえるかしら。
 ……外まで送っていくわ。いきましょ、黒兜さん。」

【ソーンの方を見ずに告げると―――Nemesisは黒兜の腕を掴み、そのまま地下の道へと歩き出そうとする―――。】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/01(水) 00:34:58.33 ID:5ZDRdHIt0
>>309
/もうすぐに終わるとは思うのですが活動限界が来てしまいました……
/明日も同じ時間には来れると思うのでその時にまた舞台裏等でお声掛けします、一先ず今日はお疲れ様でした……!
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/01(水) 00:37:13.75 ID:20bJKRMnO
>>310
/遅くまでお付き合い頂きありがとうございました、またよろしくお願いします。
312 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/01(水) 19:53:21.04 ID:IVUzNYJho
//>>257で再募集します
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/01(水) 21:37:32.13 ID:5ZDRdHIt0
>>309

…………要するにソーン、貴方は今の機関の体たらくが気に入らないと。
私が若かった頃はもっと、そう少なくとも今より混沌が充ちていたな、懐かしむ程執着もしているわけではないが 貴方はそこに戻したいわけだ。

時代の流れというのは残酷だ、60数年も経ってしまえば自然とその意味も解ってくるものよ。
変わらぬものはない、が変わったことを嘆く者もまた居なくならぬというところだな…………む?

【ソーンが目指すもの、それはカノッサの転覆……とは流石に違うものの】
【今の機関を自らが創り直すという野望、その為のベクターと怪物達だというのだ】
【何と危険な野心、成る程 確かにこんなことは信頼出来ない人間には話せない】
【漏れてしまえば機関から追放、最悪彼の存在自体が消えることにもなりかねないものだ】
【だからか、ソーンの部下であるNo.7、Nemesisが会話に割って入り、その先の言葉を断って】

………………悪いがソーン、貴方との時間は今はここまでのようだ。
最後に言っておくが 望むのなら支援は可能だ、私は貴方と同じように"機関に"忠誠がある。
カノッサを崩壊させるような事でない限りは協力もしてやろう、ではな……

【Nemesisに腕を掴まれるも数歩歩いた後にピタリと止まり、ソーンへと振り返ると最後にそう伝え】
【言い終えればまたNemesisと歩き出すだろう、そしてソーンから確認出来ない場所まで歩いたならそのまま止まらずに、彼女に一つの質問を投げかけるはずだ】

…………何故、お前はあそこで話を止めた……?それは余程聞かれたくないものか。
No.7、Nemesis…………出来ることなら答えて貰おう。





314 :No.7 Nemesis ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/07/01(水) 22:15:53.21 ID:BCEN1S0no
>>313

【少し、喋り過ぎたのか―――参謀は少女に咎められれば、唇を噛み、やがて沈黙した。】
【カノッサを転覆させるでもしない限りは、協力しても良い―――そう語る黒兜の言葉を受けて】
【ソーンは静かに頷くと、もう大分冷めてしまったコーヒーを飲み干し、テーブルにことん、と置いた】

 ……すまない。協力を申し出てくれて、助かるよ。
 君には……今後、改めて声を掛ける事になるかもしれない。
 その時はどうか、今宵の非礼を詫びさせてくれ。……すまぬ、黒兜君。


【そして、小さく謝罪の言葉を述べると、ソーンの姿はやがて見えなくなるだろう。】
【Nemesisは黒兜の腕を引っ張りながら歩き、そして彼に質問を受ければ―――こう応えた。】


 ……ま、聞かれたら困る、って程の事ではないわね。
 重要なところは殆ど話しちゃってたし、私達がやろうとしてる事は
 現状のカノッサに牙を立てる事である、って部分はまさにその通りだから。

 ―――ただね、例えどんな作戦内容であろうと。
 私個人の意見として、貴方に打ち明ける"という選択肢は認められない、ってだけ。
 
 ……逆に聞くけれど。バイザーをつけて顔を隠し、経歴を詐称して学校に通い、
 本名も、出身地も、年齢も好きなモノも嫌いなモノも、性的趣向も何もかも隠してる"私"みたいな人間を
 貴方は手放しに信用したり出来るかしら。……それが出来るなら、私が何故"参謀"さんを止めたのか、分からないでしょうね。

 ―――要はね、貴方が貴方のことをもっと話してくれない限り。
 私達も"全て"を打ち明ける気は無い、という事よ。……ソーンは違うかもしれないけど。
 私は貴方を、まだ信用し切れない。……正義側にも取り入ってる貴方を……本当の顔を知れない、貴方を。

 ま、……そうね。これが気に入らないと言うなら、力づくで私から聞き出すってのもアリなんじゃない?
 それかもしくは、"立場"を利用するか、ってところね。今の私はNo.7、所詮は一介のナンバーズに過ぎないわ。
 貴方がこれから私より上位のナンバー……そうね、丁度"空き"が出たNo.5辺りを襲名して、同格になれば、或いは。

 さもなくば―――、ふふふ。そうね、"六罪王"にも空きが出たんでしょう。
 貴方の実力なら、"名乗る"事も出来るんじゃないかしら。まあ……つまりは、そういう事。
 信頼にたる"立場"を得るか、若しくは―――貴方自身の目的や戦う理由を詳しく話す。そういう"何か"が欲しい、それだけよ。


【Nemesisは―――相手が自分より目上の人間であると言うのに、一歩も引かずにそう言うだろう。】
【曰く、"まだ貴方を信用できない"―――そう、全てを話すには、黒兜自身の事をもっと知ってからがいい、と。】
【彼女はそう言うだろう。若しくは、聞かれたら話せざるを得ない立場を得て、無理やりにでも聞きだせ、というところか。】

【どちらにせよ、現段階ではまだ、その全ては話せないとハッキリ言葉を突きつけるのは、彼女生来の気丈さ故か。】
【言い過ぎてしまったかもしれないと、途中でそう考えたりもしたのだけれど―――Nemesisはそれをぐっと堪え、言葉を紡いだ。】

【―――気に入らない。そう思うのならば、切り伏せることも可能だろう。黒兜にはそれだけの力が、あるのだから。】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/01(水) 22:54:41.21 ID:5ZDRdHIt0
>>314

【顔すら知らぬ人間に全ては教えられない、当然と言えば当然だ、Nemesisは正しい】
【Nemesisやソーン、それにベクターらと同格になれればまた違うのだろうが 彼女は試しているのだろうか】

【そう思えるぐらいにNemesisは遠慮を振り払って黒兜に話している、短気な者なら今すぐ彼女に襲いかかっていたとしても可笑しくないかもしれない】
【それだけはっきりと言ってまで信頼のある人物にしか教えようとしないのは…………きっとそれは黒兜も同じことか】
【ただ、一つだけ教えておこうと 黒兜はふっと立ち止まり、鎧の上から胸に手を当て自分のことを話し始めるだろう】

…………私の心臓には「星櫃の宝玉」と呼ばれるものが埋め込まれている。
これがなければ、今の私はその能力で全力を出すことは難しい、10分と持たないだろう。
早く言えばこれが生命維持に繋がっている、逆にこの宝玉はまさに宇宙(そら)を閉じ込めたかのようなエネルギーを秘めるがどうしても力に対しての補助にしか使えないという欠点もある。

持ちつ持たれつと言ったところか、元々適合者を集めて作られたのがこの"黒兜"という存在だ。
ソーンにも伝えておけ、私は黒兜、その他の何"物"でもないとな。

【腰のグラディウスを抜くことなく、黒兜は自身の秘密を一つだけNemesisに語った】
【一騎当千の力を引き出せるが莫大なエネルギーを必要とする能力、単体では風ひとつ起こせぬがそのエネルギーを補える星櫃の宝玉】
【そして教える、彼女の視界に写るこの人物の"正体"は黒兜だ、と】

【短いようで長く思えた参謀と黒騎士の対話は、今 ここで一先ずの終局を迎えるだろう】

/此方はこんな感じで〆ということで!ありがとうございましたー
316 :No.7 Nemesis ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/07/01(水) 23:08:56.90 ID:BCEN1S0no
>>315

【Nemesisは何も言わず、只その真実へ聞き入っていた。】
【身体に埋め込まれた宝玉。生命維持をも兼ねた強大な力を身に秘める覚悟。】
【そんな突拍子も無い力を、自分の体に埋め込む事等、Nemesisには想像も着かない程だが。】


 ―――星櫃……の、宝玉……ッ!?
 (……自分の体に、宝玉を埋め込む、って……それって……!)

 ―――な、なら……貴方は、いえ、貴方"も"また、実験台として生み出された存在……?
 (……宝玉を人間の身体に取り入れる、そんな馬鹿げた発想をする組織なんて、それこそ……、)

 ……ふ、っふっふ。なるほど。わかったわ、貴方には貴方の戦う理由と、
 そして存在意義<レーゾンディートル>が在る、って事はね。
 まさか、どこかの鋼鉄社長よろしく力の源が生命維持装置になってる"改造人間"だとは思いもしなかったけど―――でも。

 これでまた一つ、貴方を知れた。それには素直に感謝しておくわ、黒兜。
 ……またお話しましょう。そうやって少しずつでも、貴方を知れるなら―――そうね。
 いつか全てを話しましょう。そして、その時には覚悟してもらうわよ。

 ―――カノッサは変わる。私達の手によって、必ずね……!

【Nemesisは不敵にそう漏らすと、出口へ向かって歩き出す。】
【今日、こうして黒兜の新たな一面、いや、元来の生い立ちを知ることが出来た。】
【折に触れて貴方をこうして知ることが出来れば―――、彼女はそういい残した。つまるところ。】
【―――この参謀と、そして参謀の率いる一団と、黒兜の"関係"は此処に始まったばかり、という事だった。】

/こちらもこれで〆、とさせて頂きます。
長い間ありがとうございました、またよろしくお願いします。
317 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/02(木) 00:56:06.00 ID:yJec3agNo
【深夜・街中の教会】

【静かであった。夜だからというわけではなく、教会内には生者が居ないからだ】
【平穏な街の真ん中に位置する聖堂。その内部は今、血の海で】
【その中央にあたる大きな石柱に、一人の大柄な男性が背を預けて立っていた】

【――生者、といえるかどうか。手に持った槍からして、下手人は彼だが】
【全く動じた様子もなく、興味はもう一方の手に持たれた新聞に向けられていて】

移動式の海上監獄、ついに始動=c――ふン、罪人か。
神を抜きに勝手に決めた法で、人が人を裁きうるとはな
弱者が目に見えぬ盾で強者を甚振るとは、笑いも出ぬわ。

……さて、ここには後一人居たはずだが、何処に隠れたかな?
椅子の陰か……奥の私室か……祭壇の下、か…――。

【男は、白い儀礼用のスーツを着ていた。その上に豪奢なマントと】
【それから黒羽根のファーが印象的。手にした槍は実に重たげで】
【新聞を血まみれの神父の死体に投げ捨てると、静寂の中を歩き始める】

【――状況はともかく。ただ一人の生き残りらしいシスターは、祭壇の裏に居た】
【本来は聖書などを置くスペースに身を縮こめて。その様子は、左右の小窓から見えるかもしれない】
【といっても、教会の両隣など裏通りへ通じる道だ。時間帯もあって、押し殺した鳴き声が微かに漏れ聞こえる程度であった】
318 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/02(木) 20:20:14.56 ID:8oOxoVu7o
>>285
【彼女は賭けに勝った。彼女が自分たちと同じ異形であったこと、カニバディールが信心はあれど根本は利己的な盗賊だったこと】
【これらの要素が、彼女にとって有利に働いたと言えるだろう。あるいは、カニバディール自身も】
【二方向に向かって放たれたこの子らが何をもたらすのか、興味がわいたということもあったのかもしれない】

気にすることはない。我々にとっても、こうしてお前との繋がりを保つことは利となるんだ
『そーそー、路地裏の悪党だからこそ、出来た関係は大事にしとくってだけの話だ』
「共犯者か……まさにだな。ああ、我々にとってもこれはいい縁だ」

【異形どももまた、彼女に歪な笑顔を返して応じる。言葉ではこう言っているが、彼らにとってもやはり悪いものではなかったらしい】
【闇の中に浸かる者だからこそ、互いを利用できる相手は貴重といえるのだ】

わかった。ならば、お前の住処まで付き合おう
ふ、ふ。我々が気を遣われる、とはな……

ああ、楽しみに待つとしよう……その子らの未来も含めて、な

【彼女から住所を聞けば、異形どもは彼女と共にその場所へ歩いていくだろう】
【傍から見れば化け物どもを従えた娼婦、という異様な光景となるだろうか。これだけでも、声をかけてくるものはいなくなるはずだ】

【彼女の言葉に応じてドアの前で一行は立ち上がり、彼女を見送る体勢に入る】
【アパートの規模は横目で確認はしていたが、特に立ち入るような気もない。路地の片隅には、よくあることだ】


【影を器用に操るさまを見て、異形どもが感心したように息を漏らした後、彼女が再びこちらへ戻ってくる】
【一瞬、怪訝な表情をしたが、彼女の影からそれを受け取ればすぐに得心した】
【「ああ、そちらもそうしてくれ」と返すと、カニバディールもエプロンの内側に手を差し入れ、自分たちに繋がる番号を記した紙片を差し出す】

【互いに連絡先も交換し、秘密を共有し、ここに繋がりは結ばれた。異形と娼婦、なんとも奇妙だが、似合いの組み合わせかもしれない】
【「ああ、その時は頼む」「何せ、私も手下たちも、単純に金を積めば買えるという立場にはないからな」】
【自嘲を交えた声音でカニバディールが答え、背後の手下たちも口を皮肉っぽくゆがめた】

【最後の付け足しにも当然応じ、その口づけもまた拒みはしない。身長差ゆえに、多少難儀はしたかもしれないが】
【後は、二言三言言葉を交わせば、別れの挨拶を告げて去っていく。踵を返した後、カニバディールはその長い舌を伸ばして】
【ロゼッタが口づけを落としていった箇所を舌先で軽く舐めた】

【階段を降りていく途中で、配下たちはカニバディールの背中に重なるようにしてその中に消えていき】
【一人残ったカニバディールは、重々しい足音と共にそこから歩き去っていくだろう――――】


【後日。ロゼッタが見たニュースを、『スクラップズ』もまた、アジトで目にした】
【その場所のことはわからずとも、おおよその予想はつく。異形どももまた、笑みを浮かべて】
【今日もまた、己の悪行へと邁進していく。来るべき日に備えて】

/大変遅くなり、申し訳ありませんでした……
/ありがとうございました!!
319 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/02(木) 20:33:56.13 ID:XDRpOHd5o
【ビル屋上】

【平日の夜、ビルの窓の明かりは未だ消えず。世界でも有数のビジネス街であるこの街】
【ラッシュもこの時間になると少し解消されたが、それでも詰まった血管のように渋滞している】
【信号が赤に変わりスクランブル交差点を人が埋め尽くす。今日も熱気が街にこもったように暑い日だった】

『――速報です。アンプラント保険会社本社ビルにて爆発があった模様』
『消防、警察共に出動し、事件か事故か等、詳細は追って――』

【爆風が一気にそのビルの15階から18階までの窓ガラスを吹き飛ばし、炎と煙の混じった爆風が飛び出した】
【轟音はコンマ数秒遅れて聞こえ、外壁や柱の一部がその下の道へ落下し、幾千もの書類が宙を舞った】

【逃げ惑う人々、見物に窓から身を乗り出す野次馬、ヘリコプターが旋回する。街中からサイレンが近づいてくる】
【その様子がよく見える道路を挟んだ向かい側、真正面のビルの屋上からはテレビの中継より良く見えた】

…………。

【そこには1人だけ、まるで知っていたかのようにビルに向かって立ち、その様子ををじっと眺めていた】
【黒いパーカーのフードを深く被り、街に溶け込むようなありふれた格好をしていたが手には軍用のグローブ、顔を】
【白い能面のようなガスマスクで覆い隠していた。腰のベルトには幾つものポーチや警棒らしきものなどが見えた】

【腕章でもあれば自警団ですとも言えるが目の前の事をただじっと見ていた。交差点の角にある大型のビジョンでは】
【スタジオの映像と生中継が同時に映しだされている。画角はこちらのほうが優れていた】
320 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/02(木) 20:34:09.15 ID:gcFJGu4/o
【地の国】

【地の国国内でも果ての果て――国境に隣接した山麓。かつては小さな村があって、慎ましやかに神を崇めながら過ごしていたらしい場所】
【そんな歴史も今は昔だ。雑草と木々によって徐々に土地は浸食され、あちこちにある黒く焼け焦げたような跡だけが、そんな村があったことの唯一の証明であった】
【――廃村の奥。崖の上にある岩場にひとり、漫然と寝転んでいる者がいた。よく見れば体のあちこちに新しい痣や裂傷があり、鉄火の間を潜り抜けてきたことが伺える】


………ここは、星が綺麗ねぇ………。


【ぽつり、適当な台詞を呟くのは――褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代ぐらいの女だった】
【肩口までのセミロング、長い後ろ髪はたてがみのように跳ねていて荒々しい印象だ。掌に血の滲んだバンテージが巻かれているのもそれを助長している】
【服装の方も、上半身は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて生足を露出した、涼しげと言うには少々派手すぎる挑発的なものだ】

【夜空はついさっき雨が上がったばかりで、まだ風も強い。夏場とはいえそんな格好では少々寒そうではあったが、】
【女の体の周囲に……正確にはコートの周囲に、陽炎が発生している。何か熱源のようなものがあり、女を寒さから守っているらしい】
【しかし、そんなものよりずっと目を引くのは。コートの左袖の部分に大きく刺繍された"緋色の鷹"のエンブレムだったかもしれず】


で………そこのあんたは何か用?
誰だか知らないけど、こんな辺境まで来るなんて物好きな奴が居たもんね。


【――そこにもし、誰かが訪れることがあれば。女は獣のように目ざとくその気配を察知して、そんな大声を投げかけるはずだ】
【寝転んだままの体勢なので、その"誰か"の顔や姿は見えていない。無防備にも見える姿は自棄になっているのか、敢えてそうしているのか】
【女の声には多少警戒が滲んでいるが、いきなり襲い掛かろうという意志もないようだ。――この後どうなるかは、そこに居る者の目的次第か……】
321 : ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/02(木) 21:55:44.32 ID:ApZFYjBvo
>>319
//まだいらっしゃいますか?
322 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/02(木) 22:42:10.14 ID:XDRpOHd5o
>>321
気がつくのが遅れてしまいましたが居ります
ただ余り長い時間は出来ないと思います
323 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/02(木) 22:57:00.00 ID:ApZFYjBvo
>>319


──────こんばんは。目の前で事件が起きたにしては、驚かれないようで


【屋上に立つ人物に声がかけられる。背後にはローブを着た何者かが立っていた】
【声は男のもの。顔は人相を模した不気味な白い仮面で覆われている。頭を覆うフードの隙間からは薄いブロンドの髪】
【仮面についた影のように黒い二つの瞳が、ビルではなく目の前の人物に真っ直ぐに向いていた】


こんな夜更けに、ビルの屋上で何を? ────偶然にしては、少し出来過ぎでは


【詰問するかのような言葉を投げかける男の声色は、どこか愉しげなものだった】
【それに合わせるかのように、白の仮面には不気味な笑みが彫られていた】


//了解です。よろしくお願いします
324 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/02(木) 23:39:58.03 ID:XDRpOHd5o
>>323

【ガスマスクの人物はわざとらしく暫く無視した後、緩慢とした動作で振り返った】
【すぐには何も語らずに居た。何かを待っているようだった。この屋上だけが静まり返っていたが】
【背景、直ぐ後ろは煙が濛々と立ち上り、階下には集まった警察消防救急の回転灯がひしめいていた】

『ここで新たな情報です。今回の事件を予告したDVDが我が放送局に向けて約1時間前に――』

『――我々は今からそれを”彼ら”の指定通り映像を放送します。詳しい説明は後ほど――』

【スタジオのアナウンサーは青ざめた表情だが淡々と厳しい口調で説明した。この様な説明はこの街で入る】

【全てのテレビ、ラジオで行われていた。音声・映像は殆どのメディアに送られ、全て同じ時刻に放送するように指定されていた】

【ガスマスクの人物は、街頭ヴィジョンを指さした。刮目せよ。と】

【黒い静止画の後、ロゴマークらしき赤い三日月が画面に映し出された。動きはなく、音声が流れ始める】

『………我々は武力解放戦線『赤の月』である。我々はこの音声が公開される約2時間前にひとつ行動を完了していることだろう』
『政府諸君がこの映像を差し止めるだろうと判断したためメディア諸君には”爆破予告”も一緒に送付させていただいた。…本題に移ろう』
『我々は力に抑圧されし同胞の…過去を取り戻し、未来を創造し、今を破壊する。我々は……………』

【以後、演説は続く。変声機で複雑に声色は不気味に変化している。反権力、反能力、平等、革命、自由、武力闘争……そんな言葉が続く】

『このアンプラントは傷ついた市民を足蹴にし、更には社長であるギュンタール・アンプラントは自ら能力者を公言し、力により社員への抑圧を――』

【最後に立ち上がれ同志などと叫び、古く有名な革命歌が流れ、数分で演説は終わる。…それから無理やり差し込まれたような動画が映る】
【どこかの会社の会議室のようだ。広いそこの壁に沿って数人、スーツを着た男たちが立たされている。カメラに映り込む、ライフルを持った男たち――】

【映像はそこで終わりだった。テレビはスタジオに戻る。皆、それに釘付けだった。無言で皆、静止し続ける】
325 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/02(木) 23:58:46.34 ID:ApZFYjBvo
>>324

【返答が来るまで男は佇んでいた。静寂が二人の間を流れ、警報がそれを打ち破った】
【変化は突如訪れた。アナウンサーの声、そしてそれに続いた映像に、促されるままに男は注意を向けた】
【仮面のせいで表情を窺い知ることはできない。街には“彼ら”の声明が流れ始めた】


(────反能力者の左翼テロリストってか。こいつぁ中々、厄介だな)
(こうなっちゃ、カノッサ機関って名前は下手に出さねえ方がいいだろう。魔術師についてはどうかな…………)


【その内容に、男は思考を巡らせる。反能力の組織はいつか現れると思っていた】
【それが目の前にいる。魔術師がどちらに含まれるかわからないが、こうなると正確な正体を明かすわけにはいかなくなった】
【カノッサ機関など、恐らくは彼らにとって最も敵となる組織であるだろう】


…………なるほど。平等を謳い、その障害たる能力者を排撃する。これはその活動の一環と
それで、貴方はその一員なのですか? そうでなければ、その平静さは説明できなさそうですが…………


【更に男は質問を続けた。正体を明かしていない自分にどこまで語ってくれるかはわからないが】
【聞かれるならばそれなりの答えも用意してある。これから世間を動かし得る組織については、なるべく知る必要があった】
【街が無言の緊迫に包まれる中、男は仮面の奥から当事者を見つめていた】
326 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/03(金) 00:13:53.39 ID:+ePhbG+DO
【街中】

     【 『 ────我々は武力解放戦線“赤い月”である 』 】


【夜に彩りを添える、街中の街頭ヴィジョン。普段はアイドルのミュージックビデオやニュースが流されているが】
【今宵ばかりは、そのような物々しい映像が流されていた。続いて流れるのは古くさい革命歌に、武器を持った男たち】
【それらの映像は唐突に終わり、ニューススタジオの様子が写される】

【通行人たちはしばらくそのニュースに釘付けだったが──少しすれば、皆我に返り興奮した様子を見せた】
【携帯を取りだしSNSをチェックする予備校生。不安そうに互いを見合うカップル】
【どこかに電話を掛け始める非番の自警団員を横目に、妙な数字を彫った装飾を身につけた輩がどこかへ掛けていく】


【それらの様子を、街の暗がりで見ている女がいた。一歩入れば路地裏という暗がりで、彼女は怪訝そうな表情をして佇んでいた】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をした、背の高い女だった。左手の小指には黒ダイヤの指輪があり、服装は露出の多いドレスというもの】
【女が娼婦であることは、格好を見れば分かるだろう。本来は路地裏で客を取る彼女であったが】
【この騒ぎを聞きつけ、表通りに出てきた──そんなところだ】


…………。……月を写すだなんて、迷惑なテロリストたち
もっとも──いえ、大好きな月をあんな風に使われれば、流石のダグラスも怒るかしら

それにしても……最近はいろいろなところが騒がしいわね


【「今日はお客も取れなさそうだわ」 小さくため息をついて、女は街の様子を見続けていた】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/03(金) 00:15:51.71 ID:YTCZYECq0
【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【普段ならば厳粛に閉ざされた門も、今宵ばかりは開かれており】
【所謂、他の者達と交流を図る日なのだろう。人間妖怪問わず、訪れる者を拒む事は無い】
【無論厳重な警備が為されているのだから物々しい雰囲気ではあるが…………其れでも庭にはちらほらと訪れてきた者達も姿も見える事だろう】

【さて、その一角。大きな池に架けられた石橋の上に立つのは一人の少女の姿だ】
【成人前なのに、ハッキリとした威厳を感じ取れる程。それでいて凛とした雰囲気を放っているのだから他の者達も近づけないのであろうか】
【――――何より一番の理由は、武装した家臣達が側に立っている事であろうが】


「……ようこそいらっしゃいましたね。決して楽しいと言える様な場所ではありませんが――――折角訪れて下さったのです
せめて足の疲れを癒やしていくのは如何ですか」

【もしも臆する事無く近づけたならば。或いは、気付かない間に側を通ったならば。きっとそんな言葉が投げられる事だろう】
【決して傲慢では無い物腰。僅かに笑みを見せたならば、必要以上に警戒させる事が無い様家臣達を少しばかり離れさせて】


【どう答えようが、其れは訪れた者の自由だ。妖狐や妖怪達に関しての疑問を持ったが故に訪れたでも良し、ただ何と無しに寄ってみたでも良し】
【どんな理由であろうと、嫌な顔一つせずに受け入れる事だけは確かだ】










【住人の殆どが寝静まった小さな街】
【美術館だとかそんな物が有るわけでも無い此処は特に悪人達の標的となる事も無く】
【強いて言うならば身を隠したい者、或いは旅の際に宿を見つける者が通る程度】

【さて、そんな場所に今宵は珍しい姿が一つ】
【街灯の下に置かれたベンチに座り、サンドイッチを摘んでいるのは――――一人の修道女か】
【腰に提げている二丁の双銃が何とも物騒ではあるのだけれど、特に殺気などを漂わせている風でも無く】


「――――ん〜……流石に徹夜での尾行は疲れたけど……まあ、何とかなったし別に良いかな……」

【辺りに出歩いている者も居ないのだから、必然的にその修道女の姿も目立って】
【手にしているのは数枚の書類。行方不明だとか何だとか物騒な文字が並べられ】

【何故こんな所に修道女が、と疑念を抱き話し掛けるのもただ何と無く近づくのも良いのだろう】
【――――兎にも角にも、気配を感じ取れば其方へと視線を向け】

328 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/03(金) 00:21:05.86 ID:UEei/AXBo
>>325

【テレビは収拾の付かない事態を一旦、忘れるためにCMへと強制突入する】
【それと同時に街は騒然とする。騒然どころではない市民たちはパニックになり、警察も消防も対応に追われるが追いつけない】
【たった5分程度の映像で街1つが狂乱の渦中へ飲まれていった。鳴り止まないクラクション。テロがまた起きるのではという恐怖―!】

【それらを見下ろし、またゆっくりとした動作で目の前の男に改めて向き直るとやがて口を開く】

権力の定義は時代とともに変化した。資本は極一部の資本家に集中し、多くの人間はただ労働し、飼われている事に気づかずに死す。
…しかし資本と違い、能力は限られる。再配分なされない。神の賽で選ばれた暴力に何千年と能力の無い人間は運命を支配されて居る。
彼らに力があるというのなら、我々も力を持たなくてはなるまい。”人は生まれながらにして抵抗する権利を有す”。
我々は再配分する。開放の意思を啓蒙し、真の意味で翻弄された運命を鉄火場に投げ込む。

【ガスマスクは映像と同じように変声機で声を歪ませていた。男女、年齢。全てわからない。訛りのないスタンダードな特徴のない発音】
【質問に答えているのかどうか難しいが、解説するイデオロギィはそのまま。一員であることは明確だろう。芝居がかった言葉選び】
329 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/03(金) 00:36:53.86 ID:suROzT6Do
>>328

【騒乱の轟音が街のあちこちで爆発する。爆破テロと映像のたった一つが、街全体を危険な状態に落とし込んでいた】
【ビルの屋上では冷えた風が吹き込む。地獄絵図は遥か下。ここにはたった二人しかいなかった】
【『赤の月』の一員たる人間の言葉に、男は微動だにしなかった。するわけにはいかなかった】


(────考えろ。一度失った機会は二度と訪れることはない)
(ここでこいつを逃せば、俺がこの件に“能動的”に関わることは不可能になる。仕事と生命線を同時に手放すわけにはいかねえ)


【相手の言葉は難解だった。しかし男はその意味を考え、言葉を選ぶ必要があった】
【世界を動かし得る者との繋がりは自身を守る理由にもなり、またそれを持つことが彼の役割だった】
【男はしばし口を閉ざしていた。そして十分な時間を持って、言葉を紡ぎ始めた】


…………能力を持つ者は、いや、能力というものはこの世界を支配している資本よりも悪質なものだ、と
その考えには同意できます。この世界は運命というもので不平等であることを決められている
であれば、不平等を強いられた人間がそれに抗うこともまた必然…………そう、“私の主人”も仰ることでしょう

私と、そして“私たち”に敵対の意思はない。貴方がたが必要とするならば、私たちはその活動に手を貸す準備があります
私たちも平等をその信条とする集団……貴方と、そして貴方がたが“こういったもの”を好むかはわかりませんが…………


【そう言うと男はローブの胸元を軽く開く。そこにあったのは月明かりを反射する十字架、宗教集団たる証】
【当然、この男はただの宗教家ではない。あえて不明瞭な言葉で、自身の裏に何か組織があることを男は仄めかした】
【そして協力する意思がある、とも。どこまで信用できるかは怪しいところだが】
330 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/03(金) 01:29:22.84 ID:UEei/AXBo
>>329

【不気味に、ガスマスクは微動だにしない。目も見えずフードで何一つ情報は得られない】
【その背後に革命の狼煙が上がる。それだけで全てを語っているようにも思える。それだけ精密なアジテーション…】

宗教は最も古い規範だ。人は法のもとに律せられ、行動する。契約の概念の出所は宗教である。ただその回帰する場所が異なる。
倫理の根底にあるものが異なる……共に歩む道は同じであれど、向かうべき場所は異なるであろう。…それは過程か?目標か?

【仮に無神論者であったとしても。宗教を否定するような様子はない単なる機構として認識しているようだった。しかし彼らの意志が】
【神へ向かうのならば最後は裏切るのではないか。目の前の人物はそれを指摘していた】

現世界体制で行動するにはその世界に従うほかない。故に、金は実弾である。賛同頂けるのならば、喜んで受け入れる。
だがしかし……我々は命を捧げ、戦いに身を投じている。投機家のようなゲームの駒になるつもりはない
安楽椅子に座り、テレビ越しのアジテートに興味はない。求めるのは、革命の火花である。
――示してもらおう。行動しろ。……我々は、違うぞ。

【街頭ビジョンがCM切り替わる。警察による厳戒令。地区の規制情報。政府発表はまだない。街の上空からの映像――】

【どこかの放送局のヘリコプタが降下してきた。屋上に近づくとドアが空き、ガスマスクの人物を招き入れる】
【パイロットの他に搭乗者は顔を隠しライフルを持った2名の人物。映像に出た人物かどうかはわからない】
331 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/03(金) 01:47:43.76 ID:suROzT6Do
>>330

【疑いの言葉が突き刺さる。信頼を勝ち取るにはあまりにも簡単過ぎる行動ではあった】
【だがそれでも立場を示す必要があった。何者であるかを表す何かが】


宗教と一口に言っても色々あります。が、私たちが何を目指しているのかはこれから示されましょう
貴方がたがこの世界へと示すように、私たちは貴方がたへと。判断はそれからなされるのがよろしいかと


【言葉短く男は答えを返す。疑いは行動によって晴らすのだ、と】
【ヘリが屋上へ降下。回転翼の生む風が男のローブを揺らす。強風の中にあってもフードは微動だにしなかった】
【搭乗口へ向かう人物へと、男は手元に持った何かを投げ渡した。それは太陽を模した印の描かれた一枚のコインだった】


金は実弾とは言い得て妙。まさしくそれこそが我らが力、我らが太陽
それが貴方がたと私たちとを繋ぐ証となるでしょう。私たちは街と、人の中に紛れる者。判別は必要となります
望むのであれば、記された数字をお使いください。この瞬間を理由に、私たちは可能な限り貴方がたの要請をお受けしましょう


【コインの裏面には縁に沿って数字が描かれていた。桁数から連絡用の番号だとわかるだろう】
【伝達事項を言い終えると男は屋上の影に紛れ込んだ。仮面に掘られた不気味な人相だけがヘリとガスマスクの人物を見続けている】
332 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/03(金) 02:16:24.66 ID:UEei/AXBo
>>331

我々が望むのは共に歩む同志だ。協力者でも支援者でもパトロンでも無い
運命を共にし、1つの意志を抱く同胞だ。…神を捨てるまで最後まで共に歩むことは
無いだろう。我々は力に反抗する最後にして唯一の…無限の力だ
我々は前進する、我々は行動する。戦いの旗手となりて

【投げ渡されたコインを受け取ると、ヘリは上昇し始める。麻痺した交通網と違って逆に】
【今なら何が飛んでいようと気にならない。ヘリもひしめいている。だれもおかしいとは思わないし、気がつかない】

『如何なさるおつもりですか』

状況を見て、慎重に行動する。…まあ、焦る必要はない。それに、計画はまだ残っている。

【後日談、メディアに対する爆破予告は全てダミーであった。死者は社長以下会社役員数名。映像に映っていた人物だ】
【負傷者は十数人。逮捕者も何名か出たがこれらは混乱に乗じた窃盗犯であった。映像の解析も進められたが組織についても】
【データベース等に全く載っていなかった。何もかもはまだ闇の中である。これは序章にも満たない】


/眠さがMAXなので〆にさせていただきます
/おつきあいありがとうございました
333 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/03(金) 02:36:24.17 ID:suROzT6Do
>>332

【ヘリが上昇していき、夜闇に消えていくのを男は見送った】
【影の中から眼下の騒動を眺める男が何かに耳を傾ける。彼の耳元には何もなかったが、彼には何かが聞こえていた】


…………『赤の月』とやらと接触はした。疑われちゃいるが殺されちゃいねえな……
思想は声明のとおりで…………あぁ……うん……機関員ってことは言ってねえよ、魔術師ってこともだ

連中に対して俺が持ち込める情報はカノッサ機関のものになるだろうが、あいつらがそれを欲してるかは怪しいな…………
どっちかっつうとあいつらは反政府組織になるんだろうよ…………まぁ正確な目標については今後ってところだな

…………あぁ、そのへんだ。なんか適当に共同歩調を取っておくから“他の連中”にも言っとけ
で、指示は? …………まぁ、そんなところか。了解だ、ボス……


【屋上に静寂が戻る。何者かとの通信を終えて、男が手すりに寄りかかった】
【夜風がフードを撫でて、男が仮面を取り外す。十代後半の若い顔つきだった。薄いブロンド色の髪が風に靡いている】
【夜の騒動は収まる気配がない。街の混乱はしばらく続きそうだった】


厄介ごとばっかり増えていきやがるな…………
まぁ今回は仕方ねえか。反能力者集団なんざ出てくるに決まってる
それに、平等を目指してるっていうんなら確かに俺や“俺たち”の目標の一つとは合致するしな……“組織”とはちょっとズレるが
何にせよ仕事だ、かったりぃがやるしかねえな

────あいつらが目指す平等とやらが何なのか、見てやるとするか


【独白を終えて、男は再び仮面を身につける。組織の一員がそこには戻ってきていた】
【ビルの前、狂乱の中でもみくちゃにされている警官が一人、ふと屋上を見上げる。ローブ姿の男が視界に入る】
【誰かに無理やり押されて警官の視線が逸れた。再び見上げたとき、屋上には誰もいなかった】


//お疲れ様でしたー
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/03(金) 21:45:11.30 ID:OJnxPffB0
【昼の国・ゼン=カイマ】
【時間としては夜に当たる時間とはいえ、日の落ちることのない昼の国だから「夜」は存在せず】
【日が昇っているのに町が寝静まっている光景は、他の国から訪れた人には奇妙に映るだろうか】
【そんな静かなゼン=カイマ街の外れの小さな広場に、空を切るような鋭い音が響く―――】

【その音の元を辿れば、発生源が広場に一人で居る女性である事も分かるだろうか】
【手には太陽にも勝る光を放つ刃。然るべき人が見れば、その刃に神聖な気≠ェ存在する事も判るか】

(―――まだ……まだ、足りません――これではまだ、動きが鈍い……!)

【目にも留まらぬ速さで、居合のように刃を振りぬく。遅れてヒュンとまた鋭い音が響く―――先程の音は、これか】
【が、女性は不満げに首を傾ける。己の動きが満足では無いのだろうか、表情は渋いまま】

【さて、そんな女性の姿形はどんなものかと言うと……】
【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【澄んだマリンブルーの瞳には凛とした心が映る。右の目元には泣きぼくろがあって】
【纏うのは薄手の白いシャツ。季節に合わせ袖は短く、そこから白魚のような腕がすらっと伸びる】
【脚にフィットした黒いロングズボンは細身のラインを浮かび上がらせる。靴はトレッキング用のブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく】

【再び彼女は刃を振って、首を傾げての繰り返し。その度に空を切るような音も響くのだが】
【そんな広場から響く音を不思議に思う人も、あるいは居るかもしれない……】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/03(金) 22:10:44.31 ID:pKCbNYBI0
>>334

【夜が好きだった。自分の大好きなお日様の光がよく見えるから。明るく届いて行くのが、目に見えて分かるから】
【それなら、昼はもっと好きだった。大好きだと言ってもいいくらい、わざとらしく大げさに言うなら、愛してるとも思っていた】
【――だって大好きなお日様がこんなにいっぱいある。それに、それが沈まないだなんて、なんて、なんて、素敵な場所なんだろう!と】

【思っていたなら、ひとりでにきゃらきゃらとして笑い声がこぼれてくる。びゅうと風を切って、燕のようにくるりと踊る。羽音は――しなかったけど】

……わあ、すごいの!

【だから、もしも相手が“彼女”に気付くなら、声をかけられてからだろうか。それとも、魔力に敏感な性質であるなら、接近されることにも気づけただろう】
【一般人にしてはずいぶんと濃い魔力で尾を引いて空を飛ぶ、なんだかとっても楽しそうに笑う……鳥なわけがない存在を、気付いても無視できるなら別かもしれないけど】

【声の主はずいぶんと幼い女の子らしいと相手ならすぐに気付けるだろう。少しあどけなさ……舌足らずさを残した、高い声】
【視線を向けて見やれば、確かにそこにいるのはちっちゃな女の子だ。就学前……就学済み、どうしようもなくあいまいに迷ってしまいそうな、年頃の】

【くしゅしゅっとした猫っけの金髪。ちっちゃなミニハットをかぶって、少し長い髪は頭の右でちょこんと縛られたサイドテールで】
【瞳は真夏の青空のように澄んだ色。ただ、右目の下には、毒々しい紫色で――蝶のシルエットが描かれる。シールやフェイスペイントではない、タトゥとして】
【服装は黒と白を基調にしたワンピース。フリルをたくさんあしらって、靴はつま先のまーるい、おでこ靴で】
【そしてその背中には大きな翼があった。絵本かアニメの天使の翼のような――それでいて、春のあったかな午後の陽だまりのような、光で出来上がった翼】
【その翼からは羽根が舞い散るように光の粒子が零れ落ちて、一か所にとどまれば、それが地面にすこーしずつ、積もっていく程度には、実態のようなものがあり】

おねえさん、おねえさんってね、剣士さんなの?
あのね、だってね、とってもすごいなーって、思うの!

【にこにこと人懐っこく笑う彼女はなんだか犬のようでもある。しっぽでもあれば振っただろうとは余談でも、代わりに背中の翼をはたはたと動かし】
【そのうち地面に降り立てば、やっぱり子供だ。それも、幼い、こんな時間に一人でいても良い年頃では――少なくともなく】
【さらに言えば、そばに親のような人間は見られない。だから、きっと、そばにいないのだ――と決めつけるには、いささか早いのかもしれないけれど】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/07/03(金) 22:14:15.74 ID:+ePhbG+DO
>>334

【陽の落ちぬ空の下で、神聖な氣を放つ刃を振るう女性。──じ、と彼女を見ている者がいた】
【それはローブを着た小さな子供だった。フードをすっぽりと被っており、表情は窺うことが出来ない】
【フードの隙間から覗くのは、目まで隠す程に長く伸びた癖毛の前髪と少し開いた口だけだ】
【学校にもまだ通えない年頃の子供だろう。あるいは、成長が未熟な小学生かもしれないが】


…………ねぇ。


【低く、どこか掠れた声で子供は話しかける。女児のようだが、この年代の子供の性別を声で判断するには少し難しい】
【かくんと子供は首を傾げる。フードの隙間から見える黒い癖毛が揺れた】


……ねぇ。……何やってるの、おばさん


【掠れた声で、子供はそう問いかける。広場の隅に、子供は座っていた。親の姿は見えない】
【迷子か。旅人の連れ子か。それとも、この宗教都市に住まう子供だろうか】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/07/03(金) 22:15:24.23 ID:+ePhbG+DO
//>>334
更新ェ……
さ、3人でも大丈夫でしょうか……?
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/03(金) 22:22:21.27 ID:OJnxPffB0
>>335-337
//此方は3人でも大丈夫ですよー!お二方さえ宜しければ対応しますので!
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/03(金) 22:26:24.99 ID:pKCbNYBI0
>>337>>338
/私も大丈夫ですよー
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/03(金) 22:33:07.06 ID:OJnxPffB0
>>339・舞台裏>>157
//了解です、それでは3人でやりましょうか!
//お返事を書いてきますので暫くお待ちください!
341 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/03(金) 22:58:42.06 ID:UEei/AXBo
【廃工場】

【工業地帯の外れ、運河沿いの地区。倉庫やジャンクヤードが多く立ち並ぶ】
【多くの企業は開発に合わせてもっと環境の良い場所へ移転した。ここももうじき再開発される】
【それまでは自動車修理、リサイクル…後は闇取引とかそういうことにおあつらえ向きの場所だ】

『ぶっ殺せっ!!クソ野郎が!!』

【潰れた廃工場には不釣り合いな銃声。分厚い雲の湿気った夜には華やかすぎるぐらい鳴り響いた】
【ガレージのドアの鍵は壊されていて、車が数台そのまま中へ。電気はそのヘッドライトの明かりだけだ】
【派手なシャツのチンピラが派手に弾をばら撒く。スーツ姿のボスがアタッシェケースを蹴っ飛ばす。切りそろえた古新聞が舞う】

あーあ…これじゃあ近所迷惑だ。ったく…だれかが通報する前に片付きゃいいんだけどね

【縦断が掠めるたびにスリムになっていくコンクリートの柱の陰で苦笑いをするのは彼らの(元)取引相手。やたらに背が高く痩せていて】
【サングラスで目を隠す。グレイのスーツはブランド物。拳銃は銃身の短いリボルバー。チーフスペシャルだ】

【このトサカにきてるチンピラたちは闇の宝石商(の用心棒)。大口の契約だって来てみれば余りにもわかりやすく嘘をつかれたのだ】
【現ナマの半分以上は偽札どころか新聞紙。相手はたったの2人。始末しても構わない。相手も同じく札付きだ】

『このクソッタレぇぇええ!!』
342 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/03(金) 23:00:03.24 ID:/Ws4ys9Qo
【某国・とある街の郊外にある、一軒家】


【ガ、ガンッ!=@立て続けに響いた二つの音は銃声であった】
【周囲は閑静な住宅街。夜間だが、どうやら無人の家も多いらしく】
【何処かで悲鳴が挙がる事も無い。ただ、確かに銃声が鳴り響いたのだ】

やれやれだ……借金を取り立てに来ただけで、刃物を振り上げるんじゃない。
お陰でびっくりして撃っちまった。あの世で神様に告げ口するなよ

……にしても、なんだこりゃ?新興宗教にしちゃ、十字架だが…。
ちょいと悪趣味じゃないかね、山羊の頭を捧げるなんて悪魔崇拝みたいだ。
もしかすると、その悪魔が俺を殺せば借金がチャラになるとでも囁いたのかね

【その家だが、正面玄関は開いていた。あるいは様々な場所の窓も開いているのだが】
【ともあれ、場所はリビング。クリーム色のスーツを着た男が立っていた】
【彼はサングラスが特徴的な、如何にもマフィアという出で立ちの壮年であり】

【その彼が手にした銃からは微かな煙が、足下には二人の男女が死んで、倒れていて】
【部屋の片隅には、ドレッサーを弄ったらしい手製の祭壇が作られているのだった】
【十字架が掲げられ、山羊の生首が置かれて、側面にはろうそくと】

【何とも言いがたいシチュエーションではあった、が――銃声は、外にも聞こえていたはずだ】
【好奇心の強い誰かがいれば、その状況を目にすることは容易であった】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/03(金) 23:07:15.89 ID:OJnxPffB0
>>335-336

【鍛錬を暫し止め、ふぅと一息つく。結局納得できるような動きは無かったのか、表情は冴えないままだけれど……】
【―――と、一息ついていた所に聞こえてきたのは二つの声。共に子供の声だけれど、一つは高い声、一つは少し低い声】
【こんな夜遅くに(と言っても空には太陽が昇ったままだけれど)、子供……?怪訝な気持ちで声のした方を振り向けば】
【やはりと言うか、其処に居たのは二人の子供。けれど、その外見は普通の子供というには特別な印象を受ける……】

【片方は人懐っこい笑顔が印象的な金髪の少女。けれどその背には翼が生えていて、なんだか天使のような見た目】
【もう片方は静かで無口な印象の黒髪の子供。頭から足先までローブで体を覆っているせいで、性別はおろか表情もよく分からない】
【二人とも先程までの自分の姿を見ていたらしく、思い思いの反応をする。こういうマイペースなところは、相応に子供らしい……】

【女性は二人の子供に優しげな笑顔を向けて言葉を返す。凄いと言われれば、素直に嬉しそうな表情も見せて】
【何をしているのかとか、剣士かとか、そんな質問にも丁寧に応える。口調や表情も柔らかく、怖い印象は子供心にも抱かないはずだ】
【おばさんは少し心外だけれど、まあそんな事は気にしない。……まだ22歳なのだけれど。】
【まだ全然おばさんと言われる程歳なんて取ってない筈なのだけれど……】

あらあら、こんな時間に可愛らしいお客さんが二人も?ふふっ、こんな所で褒められるなんて思っていませんでした!
少し、剣の練習をしていたんです。怪我をしていたので、鈍っていた体を元に戻そうと……

ちょっと昔までは騎士だったのですが……引退して、今の私はただの奥さんです。
私の旦那さんを取り戻す為に、こうやって鍛錬していたんです。旦那さんを支えるのが、お嫁さんの仕事ですもの!

……あなた達は、こんな時間に何をしてるのですか?お日様は出ていますが、本当はもう夜も遅いのですよ。
お父さんやお母さんは?お家はどこですか?

【剣士かという推測はあながち間違いでもなかったらしい。彼女は元騎士だったと答える。……今はただの奥さんらしいけれど】
【ところで、鈍った体の動きを取り戻す為に鍛錬をしていたという話は分かるが……旦那を「取り戻す」とはどういう事だろう】

【対して女性が訊き返すのは、何故この時間に此処に居るのかと両親や家が何処に在るかと言う事】
【至極当然の疑問だろう。見た目は二人とも学校に通っているかどうかも分からないくらいの幼い子供なのだから】
【本来なら出歩いていい時間では無い。女性が二人に掛ける言葉にも、心配するような色が感じられる】

//遅くなりました、其れではお願いします!
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/03(金) 23:21:00.83 ID:pKCbNYBI0
>>336>>343

【同じくらいの子だろうか、と、彼女は思った。特別に人懐こい顔をする、唇をにまーっと笑わせると】
【少しのいたずらっぽさをもってして、彼女は相手のフードの中を――つまり顔を覗き込もうとするだろう】
【嫌がるようでも少ししつこくやるのが子供っぽさか。さすがに、本気で拒絶でもすれば、やめるのだけど――とりあえず】

あーっ、いけないんだ! 女のヒトにね、オバサンって言っちゃダメなんだよ!
そんなの言ったらね、ざくーってされちゃうかも、しれないよ?

【彼か彼女がそういえば。目ざとく(耳ざとく?)聞きつけ、いけないんだ!なんて、わあわあ言い出す】
【チクるべき先生はいないから、よっぽどひどく騒ぐわけではないけれども。それでも同じ年頃の相手と見れば、いたずらっぽさも沸き】
【そっと耳打ちするようにして後半を告げるのだ。ただ、テンションの上がった子供が上手く声を潜められるかと言えば別で】
【――つまりモロに聞こえていた。とか余談だ。そして、本人も気づいておらず】

おねえちゃん、騎士さんなのっ? あのね、絵本で見たことがあるわ! ドラゴンとかね、倒すの! そうでしょ?
だったらおねえちゃんって、とっても、とっても、とーっても! 強いのねっ!

【「私知ってるんだよ」なんて自慢するようだった。もちろん初対面、騎士に対する印象は、絵本の中での活躍っぷり】
【それだけで相手の強さを全部知っているみたいにふるまえるのもすごいが。子供ならば仕方ないのだろうか、なぜだか彼女が大きく胸を張り】

おうちはね、ずーっとあっちなの!
お母さんはね、おうちにいるよ、なのっ。きっとね、いつもみたいにご本を読んでるわっ!

【そのままのノリですさまじいほどのドヤ顔で言い放った。おうちはずっとあっち、母親は家にいるらしい】
【問題があるとすれば、ずっとあっちというおうちが水の国だったりすることだろうか。彼女はそこが問題と思わないから、言わないけれど】
【「遊びに来たの」と、満開笑顔がいう。家出――とかいうわけじゃないけれど、数日、家には帰っていなかった】

【――というのを、彼女の言動だけで察するのは無理だろう。今のところは――だけれど】
345 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/03(金) 23:30:17.50 ID:suROzT6Do
>>342


【郊外の夜中ともなれば人通りなどなく、銃声は酷く響くもの】
【仮に何者かが近くを通ればその事態に気づくのは簡単だった。だが当然、普通は近寄らない】
【好奇心か何かを持っているか、荒事に慣れてでもいない限りはこんな如何にも危険な場所を覗こうなどとは思わないだろう】

【今日は不運なことに、こういった場所に立ち寄ってしまう人間が近くを通りかかっていたようだ】
【正面玄関を通りリビングの出入り口付近の影から中の様子を伺う青年が一人。カソックを身につけた神父だ】
【一五◯センチと低い身長だが顔つきから十代後半だとわかる。薄いブロンドの髪が冷や汗で額に張り付いていた】


(────ありゃビスク・フランコか!? スペーツィエの“狂犬”がこんなところで何してやがるんだ!?)


【運が良いのか悪いのか、神父は裏社会の事情にそれなりに通じていた。おかげで相手が何者であるかはすぐに気がついた】
【かつては一大組織でもあったと聞く『スペーツィエ・ファミリー』の参謀。対して自分はちょっとした組織の下っ端のようなもの】
【荒事の場面を見かけてしまっては、消される可能性もある。神父の顔は緊張で強張っていた】

【下手に動けば見つかってしまう。神父が逃げられないのはそれも理由だったが────】


(…………十字架に山羊の頭? 悪魔崇拝はわかるが、なんで十字架まで……)
(くそっ! あいつがいなけりゃ調べもするんだが……かといって宗教絡みの異変は放置できねえし、どうする……!)


【彼の“職業”柄、悪魔信仰を行っているとなると細かい調査をしなくてはならなかった】
【出ていくわけにも逃げるわけにもいかない状況。打開策、というものがない中で、神父は息を殺し続けていた】
【潜伏技術は中々のものだ────だが、窓から差し込む明かりが一瞬だけ、十字架に反射されてしまった】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/07/03(金) 23:33:06.13 ID:+ePhbG+DO
>>343>>344

【自分と同じ年頃の子供が翼を背負い天から降りてくるのを見て、この子供は不思議そうに首をまた傾げた】
【子供の視界に写るのは、光の刃を持った女に光の翼を抱いた少女。その光景は、この宗教都市に相応しいものだ】
【だがこの子供はそれが気に入らなかったらしく、むっと小さな口を曲げるのだ】
【更に>>344に覗きこまれれば、余計に口をぎゅううと歪める。嫌がっているのだろうが、強く拒絶することはなかった】
>>344がこの子供の顔を見れるかと言えば、だいぶ疑問が残る。くしゃくしゃの前髪は目を完全に覆っており、外側からでは表情が見えないのだ】


……「ざく」? うふふ……それは、不幸なこと、だわ。それに、……とっても、みじめ、ね
うふふ……オバサン。うふふ、ふふふ
知ってる、わ……トシマとか、ばばーとかと、おんなじ意味でしょう?…………おばさん


【それでも質問を無視するほど不機嫌にはなっていないらしく、やはり低い声で彼女たちに言葉を掛けていく】
【──ダメだと言われたワードを連呼するのは、子供ながらの悪戯心か。それにしては、少々質の悪い悪戯ではあったが】


……きし。おくさん。……だんな、さん。…………取り、戻す。……う、ふ、ふ

ママ? ママは、ねぇ……お仕事。
ママがお仕事のときは、いつもは“みつめ”や“ふたご”と、一緒だけど……今日は、ママと一緒
パパもきっと、お仕事。……でも、おうちには、パパはいつもいないわ。帰って、こないもの


【掠れた声で、感情の起伏をあまり感じさせることなく子供は喋った。唯一笑う時だけは、嬉しそうな感情を滲ませたが】
【この年代の子供は、もっと快活に笑うものではないだろうか。それとも、これがこの子供の性格なのだろうか】
【うふふふ。時より子供は不気味な笑みを溢した。近くにいるのが人懐こい少女であることが、この子供の暗さをより際立たせる】


うふふ……ねぇ。なに、「取り戻す」って


【余程>>344のテンションが鬱陶しかったのか。近寄られた後はさりげなく>>344から距離を取ろうとする子供】
【すっと座る場所をわずかにずらし、明らかに>>344から視線を外すのだ。……確かに、垣間見える互いの性格からして相性は良くなさそうだった】
347 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/03(金) 23:33:35.51 ID:suROzT6Do
>>342>>345
//1レス目で痛恨のミス……!!
//この神父は十字架を首から下げてまして、それが明かりを反射してって感じです、すいません
348 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/03(金) 23:44:19.36 ID:/Ws4ys9Qo
>>345>>347

【リビングの出入口で"何か"が光ったのを、このマフィアは見逃さない】
【それだけの経験と"目"を持っている。即座に手にした銃を構え直しながら】
【振り返って、銃口をそちらへ。向けた銃はモーゼルM1916≠セ】

【装弾数は10発。撃ったのは二発だから、まだまだ余裕はあるというわけで】
【狭い室内とはいえ拳銃だ、その取り回しは正確なものであり】

さて、と……誰だか知らんが出てきたまえ、従うなら殺さないさ
少なくとも今この場では、だが……。

……一つだけ言っておくが、私は冗談や時間稼ぎが嫌いなんだ
キミが何処の誰であろうと、例えばウチの下っ端だろうが
妙なマネをすれば撃つ。そういう場面なのさ、緊張しきりでね……分かるだろう?

【相手が誰か、其処までは分からない。だが確実に気づいている】
【言葉に応じるのが吉、ではありそうだった。しかし、相手はマフィアだ】
【全面的に信用するには、信頼が欠ける。どうするかは青年次第、というところだった】
349 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/03(金) 23:55:11.34 ID:suROzT6Do
>>348

【声がかけられて、神父の心臓が跳ね上がった】
【一体何が原因で気付かれたのか。そう思う程度には自身の潜伏技術に信頼があった】
【ゆっくりと、神父の視線は胸元の十字架へと向かった。信仰の証が原因であったことに、青年は苦々しい顔をした】


(くそが……これが今日の“お導き”ってか? ふざけやがって!)
(…………仕方ねえな。それが“運命”ならば従うしかねえし……どうも、殺されはしないらしい)


【覚悟を決めて神父は両手を挙げながら物陰から出てきた。少なくとも手に武器はない】
【銃口を向けられてはいたが特に恐る様子もなく適切な距離まで歩き、立ち止まった】


……俺も運のねえこった。銃声が聞こえるからって来てみれば、特大の化け物がいたってわけだ
一体、あんたほどの大物がこんな民家で何してんだ? ここはそんなにヤバい場所には見えねえんだがな…………


【緊張した面持ちのままに神父の瞳が相手──ではなく周囲を見渡していた】
【こんな至近距離で発砲されては普通は回避不可能だ。であれば銃を警戒しても仕方ない】
【表に出てきた以上、生き残ることも重要だったが同じ程度に神父は邪教の祭壇に意識を向けていた】
350 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 00:07:00.96 ID:kxgPxmAWo
>>349

……おやや、これはこれは。神父様は神の加護を祈るもんだが
どうやらアンタ自身には神様が微笑んじゃくれないらしい。

さて、どうしたもんか……神父にしちゃ好奇心旺盛だ
随分と潜入もお得意の様子だし、なにより俺のことを知ってる。
可笑しいよな、そうだろう?どういうことなのか、私にも分かるように教えてほしいものだがね

【姿を見せた青年に対して、男――ビスクはニヤリと笑いつつも、微かに驚いたようだった】
【神父。それもなにか不審な相手、だからこそ銃は降ろさずに突きつけたままであった、が――】

【――「止めだ」という言葉と共に、拳銃は取り降ろされた上に】
【ビスクは背を向けてリビングを歩きまわり、銃を手にしたまま】
【どかりとソファに腰掛ける。隣には死体が座っていたが、それと肩を組んで軽く笑い】

神父様を殺すのは後味が悪い。……ま、話したきゃ真相は聞きたいがね

……俺がここにいるのは、単なる借金取りさ。
若いものを遣わせたら発狂して追い返されたってんで、俺が来た。
実際のトコロ、頭はイッちまってたし部屋に入ればこの有り様さ
元々は生真面目な牛乳配達員が、女にハマってからというもの……あぁ、いや今のは良い。

ともかくだ。俺は借金を取り立てに来て、襲われたから自衛したのさ。
にしても……こいつは大分、アレだな?聖書をナイフでぶち抜くなんて、俺でもやらんよ

【ガツ、と革靴のつま先で蹴って青年の方にやったのは、聖書】
【なんてことはない、世界で一番売れている本。ただ、大きなサバイバルナイフが突き刺さり】
【まるで教義を否定しているかのようだった。途中のページが破れかけ、はみ出してもいた】
351 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 00:16:30.28 ID:uROKHdgho
>>350

【ビスクの皮肉には神父は苦笑するしかなかった。全くもってその通りだった】
【疑いが向く。それだけで神父の緊張は高まっていった。完全に命を握られている状態だ】
【だが──今度こそ完全な幸運だった。ビスクが銃を降ろしたことで、神父も深い安堵の息をついた】


………………はぁ〜〜〜〜!! 生きた心地がしねえぜ全く……!


【覚束ない足取りで壁に寄りかかると、神父は改めて部屋の全貌を視界に収めた】
【十字架と山羊の頭が同じ祭壇。聖書にはナイフが突き立っている。神父からしてみてもおかしな状況だ】
【ビスコの説明も、より一層の謎を呼ぶばかりだった】


参謀が若いやつの失敗をただ単に尻拭いしに来たとは思えねえな…………その発狂ってのが気になったのか?
聖書をナイフで引き裂きたくなる気持ちは俺もわかるが、こいつぁ流石に奇妙だな
十字架を掲げてるなら聖書をぶっ刺す理由がわかんねえ…………普通は“どっちか”だ、そうだろう?


【緊張の解放から荒れた息を整え終わると、神父は祭壇に近寄って細部を見始める】
【神父が聖書を裂きたくなる、というのはさておき。神父が気になったのは聖書と十字架の状態だった】
【その宗派を嫌うならば十字架と聖書、その両方を破壊なり何なりするはず。その部分が違っていたのだ】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 00:17:50.40 ID:HjyL4kvp0
>>344>>346

【明るい子と大人しい子で対照的な二人。顔を覗き込んだり覗き込まれたりするやり取りなんかが繰り広げられて】
【フードの子があんまり嫌がるようなら止めに入ろうと思ったけれど、拒絶する程では無かったようで】
【そんな一連のやり取りを静かに見守る。悪戯心や好奇心が織りなす光景は、子供らしい色を持っていた】

あらあら……おばさんなんて言われたくらいで、私はざくーっとしたりはしませんよ。安心して下さいな。
……あなた達から見れば、私もおばさんなのかしら……歳は取りたくないもので御座いますね……
ドラゴンを倒せる騎士も、寄る年波には勝てないのでしょうか……

【……で、そんな悪戯心は自分にも向けられる。オバサン、年増、ババア……ショッキングな言葉、三連発。】
【女性がざくーっと行っちゃうことは無いけれど、その代わりに子供の言葉が女性の心にざくーっと刺さる……】
【きっとこの子達から見ればおばさんなのだろう、自分も。少し落ち込んでいるように見えるのは、きっと気のせいでは無い】
【歳は取りたくないなんて、いつの間にかオバサンめいたセリフまで口にして……】



【で、二人の両親や住居の話。二人にその事を問えば、別々の言葉が返ってきて】
【金髪の子は「ずーっとあっち」に住んでいるとの事。……女性は「ずーっとあっち」をせいぜい街のはずれとしか思っていなかったけれど】
【では、その母親は幼い子供が家に居ない事を知っているのに本を読んでいると言う事か。本人は遊びに来たと言っているけれど……】
【……遠い場所からゼン=カイマまで一人で来たとすれば、この子、今日泊まる場所はあるのだろうか……】

【黒髪の子は、両親は仕事と言っている。共働き、だろうか……?普段預かっている人も今日は仕事との事で】
【ならば、この子はなぜここに居る?普通なら留守番だろうに、深夜に恐らく知らない土地で一人……この状況は、一体?】
【それに、自分が元騎士である事や旦那を取り戻すというワードに反応して嬉しそうにする……こんな事、子供が知った所で特に意味はないだろうに】
【不気味な笑い声も相まって、少し不思議な印象を受けるけれど……この妙な印象は、何なのだろうか】

……私の旦那さんはね、今悪い人に連れ去られて捕まっちゃってるんです。
だから、私が助けに行くんです。……旦那さんは、私の一番大切な人ですから。

【女性の答えは曖昧な物だった。子供に分かるように説明しているようだが、その影響で曖昧な表現になっていて】
【抽象的に、捕まっている夫を助けに行くという事実と彼女にとって一番大切な人物である事だけは分かるだろうが……】

ところでお二人は、どうして今日この街に来たのですか?
あなたは、遠い所から遊びに来たんでしたっけ。この街に親戚の方やお知り合いがいらっしゃるのですか?

あなたは……えーっと、ご両親も預かる人も今日はお仕事なんでしたっけ。では一人でこの街に来たのですか?
どうして、一人でこの街へ?お母さんは心配してませんか?

【……二人とも、この街に来た理由だけが判然としない。幼い子を二人も、放っておく訳にも行かず】
【とりあえず、どうしてこの街に来たのかを訊いてみる。現状ではこの子たちの情報が少なすぎる……】
353 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 00:26:51.65 ID:kxgPxmAWo
>>351

まあ、そんな所さ。発狂たって、普通は喚き立てるくらいなもんだ
クスリでそうなったんだとしても、たかが知れてる。
ところが、その若い奴は顔を真っ青にして泣きついてきてね。イカれてる、とさ

……実際そうだったわけだが。アンタの言うこともまあ、分からんでもない

普通、悪魔が好きな奴は神様が嫌いだ。逆もまた然りでな
聖書をばらしておきながら十字架は掲げ、しかし山羊の首を奉る。
……頭がおかしいなら、それはそれでってところとも思えるがね

【祭壇は『よくある邪教のそれ』だ。違うのは口紅が彩色に遣われている所だろう】
【山羊の頭は大分経っているらしい。匂いもキツく、コバエも飛んでいる】

【一方で十字架――大きめのロザリオだが、これは正位置であった】
【邪教なら逆さまにしたりするものだ。しかし、これは教会のそれと同じであり】
【その点からしてもやはり奇妙。それから、ドレッサーの三面鏡にはこう書かれていた】

【神は我々を見ていらっしゃる。いつ何時も、確かに見ていらっしゃる=z
【だが手はくださない。人類の欠片に手を下すほど、神は低次元な御方ではない=z
【存在を信じよ。救済されるのは偽りを見抜き、破き、真を求める者のみ=z
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/04(土) 00:33:09.08 ID:4mu4vttR0
>>346>>352

【光の翼は地面に降り立ってしばらくすれば、やがて端の方からぼろぼろと剥がれおちるようになりだす】
【そうしながらもう一人の子供の顔を覗き込もうとしていたのだが、どうにも無理そうだ。せいぜい見えたのは髪まで】
【まぶしいのかな、なんて、ひどく適当なことを考えながら、最後にぐーっと覗き込んで。それで、彼女は諦めたらしい】
【まして最終的に逃げられるとなれば。さすがの彼女も諦め……なかった。剥落する光の羽根の一枚を、ぷいっと掴み取れば】

何か作ってあげるなの! なにがいい?

【なんて言って、手のひらの上に載せた羽根を見せるのだ。魔力の塊――羽根は、やがて、あぶらねんどのようにうねうねした塊になり】
【何か作ってくれるらしい。急な思い付きだが、さぞかし彼女は「いいこと」を思いついた顔を――どやーっとしているはずで】
【言ってみれば頑張ってくれるだろうことは確かだった。にっこりと笑って見せる、だけれど、それがテンション高いのだとは気付けず】

えー、そうなの? そんなの、ホントにご本みたいね!
ねえねえお姉ちゃん、それってね、魔王がやったの? だいたいね、そういうのをするのはね、魔王だって知ってるの!
それでね、魔王はね、勇者が倒すのよ! お姉ちゃんってね、もしかしたら、ホントは勇者さんなの?

【「すごーい!」とひどくひとりで突っ走った思考回路の子だった。まあるい瞳をきらっきらに輝かせ、不謹慎にも楽しそうだ】
【真剣みが足りない。だけれどそれは他人事だからという蜜の味タイプではなく、純粋に、その重みを理解しきっていないのだろうことがうかがえ】
【ご本みたいなのーだなんてほくほくしている。「昔ね、魔法使いのお兄ちゃんなら見たわ!」とか「もしかして、仲間?」なんて】
【今度は彼女の顔をじーっと見上げるのだ。そうしていたら、自分のことを聞かれて。ぱちくりと瞬きがひとつ、】

居ないの! あのね、あのね、居るかもしれないけど、分かんないわ!
でもね、あのね、“いるなーってかんじ”しないからね、きっとね、居ないのなの!
あのね、あのね、私ね、姉妹(みんな)がいたら、わかるの! みんなもね、私が居るってね、きっと分かるのよ!

【そして、けろっと言い放つのだ。知り合いはいない、親戚もいない。完璧に自分だけ、一人旅であると】
【それでももしかしたら関係者が居るかもなんて言い出すのだが、結局はいないだろうという結論を相手に伝えるのだろう】
【みんな、というのがどうしても謎なのだけど。誰のことを、指しているのやら】

……ねー、ねー、あなたね、お名前はなあに? 私ね、ファラエナって言うのよ!

【なんて思っても、その頃には彼女の気が変わっている。相手からは避けられても、こちらからはまだ興味があるように】
【なんかあげる以上に名前まで知りたくなったらしい。自分の名前を教えながら――また、近づいていこうとするのだろう】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 00:38:09.78 ID:9P0sCoJe0
【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】









【――――月の光に照らされる森】
【其処は多くの薬草だとかが取れる、なんて話もあるのだけれど】
【如何せん、魔物が出没する地ともされる故に訪れる者も少なく】

【さて、今宵はそんな場所に一つの影。身形からして修道女である事は間違い無かろう】
【銀色の髪が月明かりを鋭く返すのだから、遠目からでも存在は直ぐに確認出来る筈で】


「――これ程集めれば十分でしょうか。気付けばこの時間ですし、早めに帰りたいですが…………」

【手にした籠には文字通り山盛りの薬草】
【改めて採取した種類を確認した後に、その場を去ろうとするのだが――――】
【仮にこの場に誰かが訪れた場合、その気配を感じ取ってか立ち止まるのだろう】
【恐る恐る、と表すのが最も適切。この場を訪れるであろう者に対して視線を向けるのだが】

356 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 00:40:03.42 ID:uROKHdgho
>>353

……まぁ、そうだな。発狂しちまってたならそこに繋がりはないのかもしんねえな
そういや、あんたさっき「女にハマってから」とかなんとか言ってたな? それってここの奴のことか?


【腐臭に顔をしかめながらも神父は祭壇の前に居続けた。ドレッサーと口紅。祭壇を作ったのは女だと予想ができた】
【ビスクが言っていたのがここの人間のことならば、それもまた糸口になり得るだろう】
【十字架は正位置。やはり十字架に対して何かされてる様子はない。鏡に書かれている文字からも狂気だったか正気だったかわからない】


十字架は正位置…………もしも“これ”を広めたやつがマトモなのだとしたら、中々の宗教観だな

十字架を掲げる宗派が山羊の頭を掲げるのはありえねえ。だとするなら、こいつが本当に掲げたいのは山羊の頭の方だ
邪教だかなんだか知らねえが、そっちの方が十字架を掲げることを許してるんだろうよ

聖書を引き裂いてる以上、教えを嫌ってるのは間違いねえな。ならば、十字架を掲げてんのはそれが“処刑台”だからじゃねえか?
聖人を処刑した物として掲げていて、奴の教えに唾を吐きかけてる…………この文章からはそれが読み取れる
“偽り”ってのがこいつらからする邪教だとするならば…………辻褄が合うような気はすんだがな…………


【一通りの推察を述べて、神父は祭壇の前から立ち上がり、もう一度部屋を見渡した】
【何か怪しいものがどこかにないか。なさそうならば、今度は死体を調べようと近づくだろう】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/07/04(土) 00:44:56.50 ID:w+2PtHiDO
>>352>>354

【少し落ち込んだ>>352の様子を見て、子供はまたうふふと笑った。人が困っている光景を喜ぶ年頃なのだろうか】
【「筋肉ババアね」──最後のトドメとばかりに子供はそんな言葉をぶん投げ、それ以降はババアトークに混じることはないのだ】
【気紛れなのか、なんなのか。あるいはこれ以上“そこ”を突けば怒られるとなんとなく思ったのだろう】


たすけ? つかまって、る……? うふふ……それは、みじめなこと、ね
ふぅん……? うふふ。じゃあ、オバサンは“わるいひと”を、ドラゴンみたいに倒すのね

うふふ、ふふ……お姫さま、みたい。わるいドラゴンにつかまった、お姫さまと、きしさま
まおうと……ゆーしゃみたいでもある、けど。……うふふ。倒すのは、むずかしそう


【うふふふふ。暗く暗く子供は笑った。見えるのは口元だけ。陽の落ちぬ国だからか、子供の落とす影がひどく濃く見えた】
>>354に同意するかのように、子供は少女にそう話しかけた。……目線は、背きっぱなしではあったが】


……今日はねぇ、ママはこのまちでお仕事なの
“みつめ”と“ふたご”と一緒にいてもよかったけど……ママがつれてきたの
おへやに、ごはんはあるけれど……ずっとおへやにいたら、退屈だもの……


【親や預かり手の仕事内容を、子供は知らないらしい。もっとも、この年齢でそれを知る子供など極少数なのだろうが】
【要は、親がいなくて暇だから街に出たのだろう。玩具もきっと、与えられたものに飽きたかそもそも与えられていないかだ】
【そして>>354に名前を訊ねられれば、しばし迷った挙げ句に自分の名前を口にするのだ】


…………フェイト。……そんな光るスライム、いらない。気持ちわるい


【すす、とまたファラエナから離れる。さらに近付かれれば、また小さく離れ、近付かれ、離れを繰り返すのだ】
【人見知りの子供と、人懐こい子供同士のやり取り。公園などでもたまに見かける光景かもはしれなかった】
358 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 00:47:42.86 ID:kxgPxmAWo
>>356

ん?……あぁ、まあ女ってのはそうだな。こいつは元々独身でね
そっちで死んでる女が、ウチの遠い知り合いで……。
……あとは、なんとなく分かるだろう?

男ってのはどうしようもない生き物さ、こんなイカれた女でも
惚れちまうとマフィア相手に金を踏み倒そうとするんだから。

【ビスクが肩を組んでいるのは男の死体。これまた壮年、50代】
【一方で床に転がった女性の死体は20代だ。綺麗だが、表情はキツく】
【宗教に狂った人物らしく、髪は解れて目元が異様に鋭かった】


【ちなみに、青年神父の推察に対してはビスクはまともな返事もしない】
【彼からすれば『ちょっと変な家の不幸な事故』であったし】
【神様は生憎と信じていない方だったからだ。ただ、気になるものは幾つかあった】

【一つは貫かれた聖書からはみ出した、ページの一枚。何かが書かれていた】
【恐らく大きな文字だ。ナイフを引き抜いて中を見れば、書いてある事が読めるかも知れず】

【一方は女性の死体、そのポケットからはみ出したくしゃくしゃの手紙】
【問題なのはその紙がひどく上等なことだった。それこそ、教会が用いるような。】
359 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 01:00:50.21 ID:uROKHdgho
>>358

ってことはやっぱり、狂信者は女の方か…………
死んじまったが、女のためにあれこれ出来たんならこいつも最後ぐらいは幸せだったろうよ


【神父の声には穏やかさが含まれていた。壮年と女の死体を調べた後は目を閉じさせる】
【ビスクにとってはちょっとした事故であっても、神父は真剣だった。当然、出来心や正義感からではない】
【宗教絡みの厄介ごとは多くが魔術絡みでもある。何か大きな物事の一端ではないか、調べるのが彼の仕事だった】


(普通の家に起きちまった事件、まさしく俺の管轄ってわけだ。機関や“他の連中”の手は借りにくいのが難だが)

…………うん?


【女性の死体の目を閉じさせたとき、神父はポケットの手紙に気がついた。罠、という言葉が脳裏を過ぎった】
【彼はそれを手に取ることはせず、三度部屋を見渡した。そこで聖書からページがはみ出していることにも気がついた】
【どちらを取るか。どちらも罠かもしれないし、そうではないかもしれない。神父は少し悩んだ】


………………顎で使うわけじゃねえんだが、ビスクさんよ
悪いんだが、そこの聖書を取ってくれねえか? 何か挟まってるみたいだ


【そう言って聖書の方をビスクに頼み、神父の方は手紙に手をかけた】
【万が一、聖書の方に罠があったならばまずビスクに対処をさせられる。そういう打算だった】
【何か魔術的な罠が仕掛けていないか。緊張しながら、慎重に彼はそれをポケットから引き抜こうとした】
360 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 01:09:06.12 ID:kxgPxmAWo
>>359

【『?』というマークがビスクの頭の上に浮かんだように思えた】
【というのも、熱心そうな青年がわざわざこちらにお願いをしたからだ】

【ほんのちょっと歩けばいいだけなのに。まあしかたがないか、どれ――】
【そんな気分で手を伸ばす。結果から言えば――罠、ではなかったらしい】
【ページが途中で破ける音を立てながらも、挟まっていた紙を掴みとる】

【開けば、それはまさに聖書の1ページだ。ただし一部が破れていて】
【大きくーク≠ニ書いてあるのが読めた。1ページに大きく2文字程度を殴り書きしたのだろう】
【開けば内容は分かるはずだが、ビスクは『どうする』というように視線を向けた】


【また一方手紙には罠こそなかったが魔力が微かに残っていた】
【大きく分けるなら聖≠ニ邪≠ニ呪≠フ、三種の魔力だ】

【しかし使い手は同一人物なのだろう。恐らくは筆者であることが窺い知れる】
【一般の女性宛に書かれた手紙にしては随分な物であったが――罠、ではないのだ】
【あくまで魔力の残滓、手がかり。読むかどうかはディック次第となるだろう】
361 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 01:15:43.32 ID:uROKHdgho
>>360

【どちらも罠でなかったことにディックは胸を撫で下ろした】
【破れたページには大きな文字。手紙からは三種の魔翌力。どちらも重要であるのは間違いなかった】


“ク”? …………悪いが聖書の方も開けてみてくれ。こっちも開けてみる
もしかすると、案外もう“誰が”起こしたことなのか分かるかもしんねえな…………
余計なお世話かもしんねえが、あんただって縄張りを“荒らされてる”のは困るんじゃねえか?


【これがどういった出来事であれ、誰かが何かを引き起こしているのは確実】
【出来ることならば自分一人ではなく誰かがいる状態で調査を続けたかった】
【なので軽くビスクに必要性を訴えかけてから、手紙を開こうとディックが手をかける】
362 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 01:25:49.27 ID:kxgPxmAWo
>>361

あぁ……言われてみれば、そうだな。こんな風にイカれた奴が増えると
ウチの商売も上がったりだ。貸すのは良いが
返ってこないんじゃ何の意味もありゃ……なんだ、こりゃ?

【こ・の・き・よ・う・ぎ・は・お・お・う・そ・に・せ・も・の・だ=z
【――この教義は大嘘だ、偽物だ=@ビスクが読み上げた一文はその内容だった】
【おおよそディックの立てた推察通り、だろうか。聖書は信じていなかったらしい】

【それにしたってやり過ぎだが――さて、彼がページを捲るより先に】
【青年が手紙を開く方が先だろう。その要項を見れば、この通りだった】

【先日からの布教に関しては、実に良くやってくれていると思う=z
【神への真なる想いというのは、その誠実さによって示されるだろう=z
【忘れぬように。君の信ずる所は実に健やかであること、そして=z
【口ばかり大きな罪塊である現教会とその教えこそが、心を腐らせる病であると=z

【追伸 君も娼婦であるのなら、相手を見る目を持つことだ。もっとも=z
【君がこの手紙を受取る頃には、それを理解するだけの知能も残っていまいが。=z
                               【――アーグ=z 

…――なあ、この聖書は続きを呼んだほうが良いのかね
よっぽどトチ狂ってるぜ、神による選定の日は近い≠ニか……黙示録か?
神父様が読めって言うなら、小学校以来の音読の発表会をしたっていいんだがね
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 01:29:24.10 ID:HjyL4kvp0
>>354>>357

【今までの様子を見るに、金髪の子は活発で好奇心旺盛だけれど、少し自分の道を走り過ぎる所があるらしい】
【旦那が連れ去られたと言っているのに、なんだかおとぎ話の中に居るみたいな様子で目を輝かせていて】
【……本当は物語よりも深刻で真剣なお話なのだけれど、きっと幼い少女にはまだ分からないのだろう】
【黒髪の子も、同じような事を言う。……此方は、言葉のトーンが低くおとぎ話のような色は持っていない】
【「……そうですね、もしかしたら魔王かもしれません」なんて、女性はちょっぴり苦笑いで言葉を返すのだった】
【その言葉に、冗談めかした空気は無かったけれど――――】


【二人に問うたのは、この街に来た理由。やはり二人とも理由はまちまちで、それぞれ事情があるのだろう……って―――え?】

……え、っ―――いないのですか!?じゃあ、なんにも用事がないのにこの街に!?

あなたはお母さんのお仕事で一緒に来たのですね?……そうですか、退屈で外に出たのですか。
そりゃあ退屈ですよね……一人で誰もいない部屋に居るなんて……
―――そうだ、退屈なら少し遊びましょう!外でも一人だと退屈でしょう?折角3人いるんですもの、ね!

【……金髪の少女には理由が無かった。その事を聞いた女性は、目を丸くしていた。だって、こんなに小さな少女が……】
【何も用事がないのに一人旅で遠い所まで来るなんて……一体全体どういうことなのだろう。さっぱり分からない】
【対する黒髪の子は、金髪の子に比べればまだ納得できる理由であった。母親の仕事について来たとの事で】
【退屈だから外を出歩いていたらしい。確かに、幼い子供が一人で部屋に居るのは退屈だろうし寂しいだろう】
【なら、退屈しのぎに遊ぶのもいいかもしれない。丁度同世代の子もいるのだから……何して遊ぶかは決まってないけれど】
【もしかしたら、そう言う事は活発なファラエナがやりたい事を提案したりするかもしれない】

【その後の子供達のやり取りで、二人の名前も分かった。ファラエナとフェイト……それが、二人の名前らしい】
【なかなか水が合わないようだけれど、名前を教えるあたり本気で嫌っている訳では無いのだろうか】
【……なんだかよく分からないプレゼントは「いらない」と一蹴されて拒否されているようだけれど。】

貴方達は、ファラエナちゃんとファイトちゃんと言うのですね?
私はマリアといいます!名前、教えてなかったですもんね。オバサンじゃありませんよ?


【自分も自己紹介をして、念の為にオバサンじゃないと釘を刺して……さて、これからどうしようか】
364 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 01:39:24.77 ID:uROKHdgho
>>362


偽物……やっぱりか。俺たちの宗派の方を邪教扱いしてるってわけだな
そんな文字まで書くんじゃよっぽどだな…………となると、こっちが本命か


【神父の瞳が手紙の文字を順番に追っていく。内容そのものはディックの予想通りといったところだった】
【賛辞に他宗派への侮蔑。女が娼婦だったというのは意外だったが、ビスクと関わりがあるなら納得だった】
【最後の一行に差し掛かったとき、神父の瞳がその一文字に縫いとめられた。彼はそれに、目を見開いた】


────────アー、グ…………っ!?


【口に出して、初めて神父はその文字が現実にあるものだと認識した。その瞬間、全身から汗が噴き出すのを感じた】
【アーグ。宗教都市ゼン=カイマに関わる古の大司教にして絶大な力を持つ魔術師。この世界の混沌の一つ】
【神父は知らず知らずのうちに、深淵な闇の一部に踏み入っていた。汗で手に張り付く手紙を振り払って床に落とした】


くっ…………音読の発表会を参謀様にさせるわけにはいかねえな!!
そいつをくれ! 万が一にも見つかることなんざねえとは思うが、急ぐに越したことはない!


【そう叫ぶとディックはかなり慌てた様子でビスクから聖書を受け取ろうとする】
【ビスクも大物だがアーグはそれ以上だ。何の準備もなしに関係者と接触するわけにはいかない】
【可能な限り情報を手に入れて、この場から速やかに立ち去ることが目的となった】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/04(土) 01:44:50.59 ID:4mu4vttR0
>>357>>363

フェイトなのね! でもね、あのね、これってね、ヘンな光るスライムじゃないよ!
これからね、私がね、すっごいのにするんだから! ホントだよ、ホントのホントなんだから!

【名前を聞きだせれば、ひどく嬉しそうに彼女は笑うのだろう。それで、そうかと思ったら】
【今度はむっと眉を吊り上げて、そう言い出すのだ。なんでもスゴいやつらしい――そんな風には見えないけれど】
【必死にスライムじゃないアピールをひとしきりすれば、えいやっと手のひらのあぶらねんど(仮)に魔力を篭めてやる】
【そうすると、それはうにうにと形を変え――そのうち、手のひらサイズのちっちゃな白ネコになり、彼女の手のひらの上で毛づくろいをはじめ】

ほら! ネコさんなの、あげるの!

【なんて言って、両掌にネコを乗せたまま――逃げるのを追いかけるのだ。ひどい話である、逃がしてくれないらしい】
【「ネコがヤだったら、他のでもいいよ!」なんて言って。なんとかして受けとってほしい……というか、友達になりたいのだろう】
【目がきらきらとやたら元気にそれをアピールしていた。それはもうきらっきらと瞳を輝かせ、満開に笑いながら】

あのね、ここね、お日様がずっとあるっていうから、来てみたかったの!
だからね、来たのよ! ぱたぱたってね、飛んでね、おうちから来たの!

……でもねー。ちょっとね、遠すぎよ! あのね、疲れちゃったっ。

【ここに来た理由。月見ならぬ太陽見だ。お日様が見たくって、家からこうして飛んできたのだという】
【“ちょっと遠い”というのが、まさか水の国とかから来ていると判断できるかは別として。ぷりぷりとほっぺたを膨らませ】
【「でもね、キレイだからいいの!」とまたすぐに笑う。それから、おb……女性の名前も教えてもらえたならば】

マリアお姉ちゃんなのね! 私ね、ファラエナ!

【なんて、もう一度。今度はマリアに向けての自己紹介をするのだった】
366 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 01:49:55.95 ID:kxgPxmAWo
>>364

【青年の狼狽した様子に、さしものビスクも不穏なものを感じていた】
【サングラス越しにじっと彼を見つめ、手にしている聖書が】
【なにか、奇怪な蟲の塊のように醜悪なもののように思えてくる】

【だから、早く渡せと言われれば青年が思うよりも素直にそれを手渡すのだった】
【不意に空気が暗く、淀んだものになる。ホラー映画を見た後と同じだ】

【何でもないと思っていた暗がりに恐怖する。閉じた物置に不安を覚える】
【ソレと同じように、聖書を読んだことで悪いことが起きる様に思えてならず】

……ったく、なんだってんだ。神父様のそんな顔、見たくはなかったな
ライオンやクマがケツ捲って逃げるような感じだ……何が来るんだ、ってな…。

おい、神父さんよ。アンタどうせ歩きだろう、送って行ってやる
だからそのかわり、俺のことを祝福しておいてくれよ
今夜一晩、平穏無事に過ごせそうなお祈りでもしてくれりゃお代はタダだ

……こんな所、どうせもう用もない。さっさと帰ろうじゃないか

【ビスクの提案は至極まっとうだった。青年がソレに乗れば、外に出て】
【颯爽と乗り込むのは古めのフィアット車。言葉通りに立ち去りたいと、すぐに飛ばすはずだ】
367 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 01:57:41.92 ID:uROKHdgho
>>366

【ビスクの提案に神父はすぐに首肯してその後を追う】
【普段であれば様々な警戒をするところだったが、今回に限ってはその余裕もなかった】
【むしろビスクと一時的にでも協力ができるのであれば、それだけ自分の安全度も上がる。断る理由などない】


仕事でもあるからな、祝福だのお祈りだのならいくらでもしてやるさ……!
神様ってのが微かにでも慈悲の心を持ってんなら俺やあんたぐらいは守ってくれるだろうよ!


【急いで車に飛び乗ると、二人はすぐに不穏な空気を纏った家から遠ざかることとなった】
【座席で何度目かの安堵の息をつく神父。手には思わず持ってきてしまった聖書があった】
【ビスクが言うにはまだ続きがありそうだ。出来れば関係した物品は捨てたいが、読まずに捨てるわけにもいかなかった】


まさかあの“混沌の大司教”が絡んでるとはな…………どっかで嫌な予感はしてたんだが
全く、今日は完全な厄日だぜ。とっととうちに帰って震えながら寝てえよ……!


【弱音を吐きながらも神父が聖書を開き、ビスクが読んでいた続きを読もうとする】
368 :フェイト ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/04(土) 02:01:54.60 ID:w+2PtHiDO
>>363>>365

【共に遊ぼう、と言われればあからさまにフェイトは口をへの字に曲げた。唯一見える感情の窓は、明らかに不満げだった】
【ファラエナに対するフェイトの対応を見るに……基本的に誰かと遊んだり馴れ合ったりは嫌いらしい】
【度々口にする“みつめ”と“ふたご”とは良好そうな関係が窺い知れるあたり、単純にフェイトの人見知りな性格が原因ということも考えられた】

【おまけにファラエナから小さな猫を押し付けられそうになれば、その不満度もMAXである。最終的にはフェイトも根負けして、嫌々猫を受けとるのだ】
【受け取って、受け取ったままにしておくかどうかは話が別。もらった白猫の首を、虫を触るかのように摘んで地面に落とす】
【中々友達になるにはハードルが高そうな性格ではあったが……応対はしてくれているあたり、一抹の望みはあるのだろう。きっと】


…………、マリア? …………、マリア…………、シャリエール?


【これ以上曲がらないとばかりに口を歪めるフェイト。だがマリアの名を聞けば、その雰囲気は一変する】
【ひょこりと不自然にフードが動く。まるで、フードの中で何か……そう、例えば長い耳か何かが動いたかのような動作だった】


──────う、ふふ。ふふ……うふふ、ふふ。

               見つけた。“ふたりめ”の、ママ


ねぇ……。う、ふ、ふ。“パパ”は、生きているの、ね?
“パパのからだ”は、どこかでお仕事、してるけど
“パパのたましい”も、どこかに、いるの、ね……?

うふふ……“ママ”。…………ママよ、ね?
だって、“ママ”が言ったんだもの……「パパの奥さん」だって
パパの奥さんなら、パパのお嫁さんなら……わたしの、“ママ”、よね?


ねぇ、ファラエナ。……うふ、ふ。ママに会った時、は……どうするのが、いいと、思う?


【くすくすくすくすくす────! フェイトが嗤った。低く掠れた声で、マリアを“ママ”だと呼んだ】
【マリアの夫・フレデリック。その肉体は今とある人物に乗っ取られているが】
【その肉体のことを“パパ”だと呼ぶフェイト。つまり、彼女は……!】
369 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 02:06:22.70 ID:kxgPxmAWo
>>367

【立ち去る直前、二人が後にした一軒家が一瞬にして燃え上がる】
【――そういう幻覚を、ディックは見るだろう。ビスクも恐らく、同様だ】

【しかしほんの一瞬のことであって、当然ながら家は燃えていない】
【けれどもちょっとした暗がりや、嫌というほどの静けさや】
【外からでも見える死体の不穏さが、心の底をかきむしるような怖気を煽る】


【それから――聖書に関しては、内容は飛び飛びであったが】
【概要をまとめれば、やはり突飛。教義の否定、独自の宗教観】

【神は具体的に人を裁いたりする物ではなく、高次元の概念であって】
【それを理解し、なおかつ信じる。自分を内なる戒めで律しながら】
【時たま起こる、いわゆる奇跡に最大限の感謝と、神の再認識を深めること】

【そういった内容が書かれていた。取り留めもないから、恐らく"教義"ではないのだろう】
【しかしもう一つはもっとはっきりとした内容だった。例の、神の選定の件だ】

【選定は天より来る。逃げ場は、この地球上の何処にも存在し得ない=z
【生き残るのは信心深い者だけであり、もはや選定は指折り数える待つほど近い=z
【このことを広めよ。広めて信じよ。生き残るのは、真に神を信ずるもののみである=z


……音読はしなくていいぜ、神父さんよ。
まるでガキの頃に戻った気分だ。暗い廊下を歩くのが怖かった
いまじゃ、こうして夜道を走ってるが……一人じゃ、不安に押しつぶされそうだよ

さあ……そろそろ、教会だ。少なくとも、山羊の頭を飾っていない様な所だぜ
370 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 02:18:16.08 ID:uROKHdgho
>>369

【一瞬の幻覚が落ち着き始めていた心臓を再び跳ねあがらせた】
【それが幻覚だったと気がついても、神父の強張った表情が戻ることはなかった】
【今でもどこか、悪夢の中にいるかのようだ。ビスクと比べて信心のあるディックでは尚更だった】

【恐る恐るディックは聖書の頁をめくり続けた。こういった書物に手慣れているせいか、読むのは早かった】
【そうしていく中で頁をめくる指が止まる。選定。宗教ではよく出てくる言葉だが、殆どは死後の話だ】
【しかしこれに限っては、現実味があり過ぎた。具体的な死を、連想せざるを得なかった】


…………こっちはガキの頃には暗いところに住んでたからな、それはねえが。だがあんたの気持ちは今ならよくわかるぜ
理屈じゃねえ恐怖が降りかかってきやがる。厄介なのは、理屈から来る恐怖も合わさってるってことだな…………
あのトチ狂った大司教はまだ何かする気らしいぜ。これは、完全に俺の手には負えねえよ……!


【恐怖に覆われているのはディックも同じだった。見知った景色が近づくにつれて、少しばかり緩和されるが消え去ることはない】


助かったぜビスクさんよ。いや、あんたを見つけなきゃこんな目にも遭わなかったんだろうが、言ってもしかたねえな
お互い仕事には逆らえねえな…………あぁ、そうだ。俺の正体だがな、神父って立場を利用して小狡い商売してるだけだ
その都合上、あんたみたいな連中のことも知ってるってだけだ。一応、裏に組織はあるがな

一応名乗っとくと、ディックって名前だ。これも何かの縁だろうから暗殺やら借金の取り立てやら、荒事の仕事があったら回してくれ


【最後にビスクが少し気にしていたことの話を、困らない範疇で話しておく。それから運転席に向かって名刺を投げ込んだ】
【そこには名前や連絡先、普段いる教会の住所が書かれていた】
371 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/04(土) 02:28:49.89 ID:kxgPxmAWo
>>370

大司教……アーグとか云ったな。確か、スラウロットの水害の…。
……宗教家ってのは、どうしてこうも過激なのかね
下手をすればマフィア以上だ。利害関係無しに、"選定"かい

……まあ、いいさ。今日は生き抜けたんだからな
お前の事は覚えておこうか、ディック。地獄をお手々繋いで歩いた仲だ
仕事の件も考えておく。色々な奴が居る社会ではあるが
お前さんのようなタイプは珍しい……俺の名乗りは要らない、だろう?

【相手の正体、そして今日の不穏な事件が終ったと敢えて言葉にする】
【その二つが心を落ち着かせる。ここからは一人だが、大丈夫だ】

【名刺を受け取って髭面をにやりとさせるのを見れば、そんな感情も読み取れるだろう】
【ビスクからは名刺やらの手渡しは無い。仕事というのは、そういうものだ】
【かくして奇妙な出会いは終わるわけだが――ディックの元には、この後も何件か似た事例が続くだろう】

【宗教に狂った男女の、悪魔崇拝にも似た事案。もっとも、捧げる事例によって様々だ】
【金、己の手首、大事にしていた蔵書、可愛がっていたと噂の実子など、など。】
【共通性は薄かったが――ほぼ全ての案件に関わっている、またはそれが明らかになっている人物は、ただ一人】

【アーグ≠ニいう、その名前だった。まるで人間社会を蝕んでゆくかのように】
【病魔が細胞を破壊し、変異させる。その過程を見るかのような、静かな事件が続いていた】

/では、このあたりでっ!深夜にお付き合い頂き、ありがとうございましたー!
/何か質問などがあれば舞台裏にて気兼ねなく、ということで!
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 02:39:07.48 ID:HjyL4kvp0

>>365>>368
【仲良くしようとする少女と、仲良くしたくない少女。ファラエナは積極的に仲良くなろうとするのだけれど】
【フェイトはやっぱり嫌がるらしく……結局、プレゼントとして受け取った猫の扱いも酷いもので】
【流石に女性の表情も曇る。ファラエナはどんな反応をするのだろうか。気を悪くしなければいいけれど……】

まあ……お日様が見たいから、わざわざ此処に来たのですか!
確かに此処は日が沈みませんものね。今だって、深夜の筈なのにお昼みたいでしょう?だから昼の国と言うのですよね。
ふふっ、どうですか?此処の太陽はファラエナちゃんの住んでいる所の太陽と違いますか?

【ファラエナが此処に来た理由は、この昼の国が太陽が沈まない場所だから……太陽が、見たかったらしい】
【太陽が、好きなのだろうか。だとしたら、日が沈まぬこの国はきっと彼女にとっては嬉しい場所に違いない】
【長旅で、辿り着いたこの場所。願わくば、彼女の心に残ればいいなと思ってみたり……】


【―――そして、改めて二人に自己紹介をしたその時。フェイトの様子が、急に変わって】
【告げられた一言は―――】



――――え?


          ……―――マ、マ……?



【ふたりめのママ。その一言の意味を、マリアは捉えかねていた。……尚もフェイトの言葉は続く】
【パパのからだはどこかでお仕事していて、パパのたましいはどこかにいる―――そして、自分の事を「パパの奥さん」と呼ぶ】
【……この言葉が指し示す事。それは―――】


もしかして、あなたは―――旦那様の、……――――あの人の、乗っ取られた身体が作った……子供―――!?

でも、あの人が居なくなってまだ1年も経っていないのに―――どうして、こんなに大きくなった子供が……!


【つまり……夫の肉体を乗っ取った男―――アーグが、何処かの女性と交わって生まれた子供が、フェイトだということ】
【しかし、おかしい。もし其れが事実だとしても、夫が居なくなってからまだ1年も経っていないのだから―――】
【―――子供が生まれているなんて、有り得ないのだ。それも、こんなに成長して大きくなった子供が……】
【マリアは少なからず混乱していた。優しげな微笑みの代わりに顔を埋め尽くすのは、明らかな動揺の色】
【事実を飲み込むまでに、まだ時間が掛かりそうだった。―――まさか、子供ができているなんて】

【天真爛漫なファラエナは、マリアの夫の遺伝子を受け継いだフェイトは、二人目のママ≠フ存在に何を思うのだろうか―――】
373 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/04(土) 02:41:22.45 ID:uROKHdgho
>>371

要るものかよ。次はもう少し穏便な仕事で会いたいもんだぜ


【別れの挨拶は手短に。様々な不運に見舞われたが、裏社会の大物と面識ができたのはディックにとって大きかった】
【とはいえ、百戦錬磨たるビスクと違ってこっちは何だかんだ言っても十代の若造だ】
【この後、すぐに自分の教会に戻って戸締りを過剰なまでにして、ベッドで本当に震えて眠ったのだった】


【その後も続く周囲の異変にディックは能動的に関わり続けた。そして手に入れた情報を“どこか”の“誰か”に送っていた──】


…………あぁ、そうだよ。あのビスク・フランコだ。だが今日する話はそんなんじゃねえよ
アーグだ、アーグ。どうにもゼン=カイマ周辺だけじゃ足りないらしい…………そうだ、何かしでかすつもりだ
奴の活動は既に結構なところにまできてやがる。おかげでこっちは客を取られて商売あがったりだ

“俺たち”のためには何とかしなきゃなんねえだろうよ…………正義組織とのコネ? ないわけじゃねえが……
……………………わかったわかった。どうにかして情報を流しておく。つってもあいつらだってアーグは警戒してるだろうがな


…………あ? …………おい、正気か? そいつはリスクが…………いや、そりゃわかってるが、相手は化け物だぞ?
………………やりゃあいいんだろうがやりゃあよ! くそっ、だが一理はあるな。俺たちが宗教家である以上、避けては通れねえ


──────アーグを見つければいいんだろ? やってやるよ、ちくしょうめ



//お疲れ様です!!
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/04(土) 02:56:47.68 ID:4mu4vttR0
>>368>>372

【彼女は是非にフェイトと遊びたいようだった。聞いてみればかくれんぼとかおにごっことか、やりたいと提案されたはずだけど】
【聞かないだろうから、きっと、何も言わないままだ。ただ、気まぐれのように、仲良くしたいように、(半ば無理やり)かまっていて】
【白ネコをつまんで捨てたときは「えーっ」っと声を上げた。けれど、それだけだった。「かわいいのに」なんて言うけれど、それ以上の非難はなく】

【この国がどうかと聞かれれば、「とっても大好き!」と答えた。それで、「とっても元気なお日様なの!」とも】

【だけれど、周りの状況は変わっていく。フェイトが唐突にマリアお姉ちゃんのことをママだと言い出すし、マリアお姉ちゃんは、それを知らなかったようだし】
【そういう括りにおいて他人でしかない彼女は「はてな」を浮かべて首をかしげるばっかりだ、さっき、マリアの話に目を輝かせたくらいなのだから】
【そういった――状況をまっとうに理解するのは少し苦手なのかもしれなかった。よくいえば夢見がち。しばらく彼女はフェイトとマリアを交互に見つめて】

えっ……マリアお姉ちゃんは、フェイトのママ――お母さんだったの、なの?

【すこーしの時間が経ってから、やっと理解が追い付いてくる。口に手を当て、わあと口をぽかーんさせながら、そんな風に確認し】

でもでも、マリアお姉ちゃんは、それって知らなかったのよね?

【次はマリアを見上げて尋ねる。次はフェイトのほうを見て、】

でもでも、フェイトはマリアお姉ちゃんがママだって言うのよね?

【質問は全部で三つ。訪ね終えれば、彼女は、ちっちゃなくせに気取って探偵めいたポーズなど取って、うんうん分かったなのなんて言いながら無駄にうなずき】
【きっと何も分かっていないのが見て分かる。それでも一生懸命考えていることは伝わるだろうか、少し抜けているが、基本的には悪い子ではないようで】
【いっつも全力ではあるのだ。方向性が間違えていたり、未熟だったり、する、だけで――とかく彼女は、しばらく探偵ポーズでうなっていたのだが】

えっとね、私ならね、ご主人様(おかあさん)に会ったらね、……えーと、言うこと聞いてね、いい子にするよ!
それでね、遊んでもらったり、ご本読んでもらったりするの! ……でもね、あのね、私のお母さん、おうちに帰れば居るからぁ……。

【とりあえず保留にした。尋ねられたことに返す、答えは、“お母さんに会ったらいい子にする”というものだった】
【でも彼女の場合、家に帰ればまず母親は居るので、特別に会うという感覚がない。だから、それは特別な答えではないとどこかで思いながら】

でもー。二人ってね、きっとね、初めて会ったんだって思うの! だからね、あのね、こんにちはって挨拶してね、
それでね、えーっと……。ちゃんとね、フェイトが自分でね、お名前教えるの! そしたらね、あのね……。

【はたしてお互いの顔も名前も何も知らない親子が居るのだろうか、と、少しだけ不思議だった。だけど、この二人は、どうやら本当の初対面のようで】
【それならそんなこともあるのかと素直に考える。とりあえずと勧めるのは、改めて自己紹介をしたらどうだろうか、と、そんなこと】

私だったらね、もしね、初めてお母さんに会ったら……えっと……、いっぱいお話をしたいな!

【それから。これはマリアに聞こえないように。最初みたいに耳打ちをするみたいにして、だけど、今度はきちんと声を潜めて】
【自分だったらどうするか――それを、答えとして提出するのだった。それがフェイトにとって正解か不正解かは、分からないけれど】
375 :フェイト ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/04(土) 03:15:25.73 ID:w+2PtHiDO
>>372>>374

【くすくすとフェイトは嗤う。マリアの混乱を愉しむかのように嗤うのだ】
【子供ながらに、このフェイトという子供はアーグの気質を引き継いでいるらしい。苦しみを見て愉悦を覚える性根が、見てとれた】
【だがファラエナに耳打ちされれば、その笑みも一度は収まる。「名前を教える」「お話をする」──なるほど、とフェイトは思った】
【お話をしてみるという考えは、今のフェイトには思いもつかないものだった。「ありがと」……小さく笑って、そうファラエナに伝える】
【正解か不正解かは分からなかったが──少なくとも、フェイトの手助けにはなったようで……】


うふふ、ふ……かわいそうな、“ママ”
“ママ”はパパのお嫁さんなのに……パパは“ママ”いがいのママと赤ちゃん作った

ねぇ、“ママ”…………“ママ”には、パパとの赤ちゃん、いるの?
ふふ……うふふ、ふ……いないなら、とっても、みじめ、ね……
パパのちゃあんとした身体は、ひとつしかないもの……


【くつくつと嗤う。動きに合わせ、前髪が揺れる。ぎょろりとした大きな目が、マリアを見ていた】
【──ファラエナの出した答えは、こんなものを想定していたものじゃないはずだ】
【だがフェイトが導き出した答えはこれだ。フェイトにとって「お話」とは、楽しいばかりのものではなかった】


ねぇ──ねぇ、どうしたの、……“ママ”?
うふ、ふ。……どうして、そんな顔するの? “ママ”……?

わたし、ねぇ。フェイトって、いうの。パパの子ども、よ?


────それとも…………“ママ”も、わたしのこと、愛してくれないの?


【くすくすくすくす。粘りつくような嗤いが、フェイトから零れる】
【また何かをフェイトが紡ごうとしたところで……ゆるりと、広場にある影の中にフェイトが呑まれていった】

【「……ママのお迎え。ばいばい、ファラエナに、“ふたりめのママ”」】
【「パパのたましいが生きてるって、教えてくれて、ありがとう」】
【──影の中から、フェイトの低く掠れた声がした。ゆらりと、影が揺れる】
【揺れてそのまま、フェイトの声は聞こえなくなった。……一体、何だったのだろうか】
【ひとつ言えることは──アーグに実子が存在するという、ただそれだけの事実だけだった】

/眠気ががががが
/少しばかり強引ですが、こちらはこれにて失礼します!
/絡みありがとうございました、お疲れさまでした!
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 03:23:37.89 ID:HjyL4kvp0
>>375
//お疲れ様でした!此方も眠気が酷くなってきましたので、〆は起きてからにしたいと思います……!
//ファラエナさんの方が先に〆を落として下さっても構いませんので!
//もしくは続けたいなら続きのレスを落として下されば明日も同じ時間に対応出来ます!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/04(土) 03:36:48.51 ID:4mu4vttR0
>>375>>376
/えーっと、じゃあこちらも眠気があるので、次のレスは明日にさせていただきますっ
/ひとまずおつかれさまでした!
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 14:46:12.87 ID:HjyL4kvp0
>>374>>375

【この子が―――フェイトが乗っ取られた夫の子であると言う、俄かには信じがたい事実。】
【幼い子供とはいえ、フェイトは4〜5歳くらいはある。―――夫は乗っ取られてから半年も経っていないのに】
【もしその期間中に別の女性が夫と交わって妊娠していたとしても、本来はまだ生まれてすらいない筈なのに……】
【もしかしたら、この子が嘘をついているだけかもしれない。けれど……そんな嘘をつく理由なんて、あるだろうか】
【自分は「夫を助けに行く」と言っただけで、「体だけが乗っ取られている」なんて一言も言っていない】
【それなのに、フェイトがその事を知っているなんて―――嘘にしては、余りにも事実との整合性が取れ過ぎている】

【フェイトの言う通り、自分はまだ夫との間に血の繋がった子はいない。実の子のように育てている子供はいるけれど】
【それなのに、意識がアーグに乗っ取られているとはいえ夫と誰かの間に子供が出来ていたなんて――――】
【フェイトの嗤う声が混乱した頭の中で響く。―――私は、夫と血の繋がったこの子にどう向き合えばいいのだろうか】


……―――えっ……ママも=c…?

【そんな混乱したマリアだが、フェイトの紡いだ言葉にハッとする。―――「“ママ”も、わたしのこと、愛してくれないの?」】
【ママも≠ニは、ひょっとして―――この子は、生みの母親や夫の体を乗っ取ったアーグに愛されたことはないのか】
【―――何か訊き返す前に、フェイトの体は闇へと消える。アーグ、つまり夫の体と血の繋がった子がいるという事実を残して……】


――――……

【―――フェイトが居なくなった後も、マリアの心の中でフェイトの最後の一言が心に引っ掛かっていた。】
【……あの子は、母の愛を知らずにいるのだろうか。そうだとすれば……―――あの子は、ママ≠ニふたりめのママ≠どう思っているのだろうか】
【自分はまだ、どうフェイトと向き合って行けばいいか分からない。……また、会える日が来るのだろうか】

ファラエナちゃん―――私は、あの子のママ≠ネのでしょうか。
旦那様とは血が繋がっていても、私とは血が繋がっていないのに。―――どうしてあの子は、私をママ≠ニ呼ぶのでしょうか……

【呟くように紡がれる一言……こんな事を小さなファラエナに聞いたって、仕方ないのかもしれないけれど】
【困惑と動揺によって掛かった心の霧は、未だに晴れず―――】

//お返ししておきます!ファラエナちゃんの方が続けたいなら対応しますので!
//このまま〆にしたいのでしたら、〆て下さっても構いません!
379 :ムスペル ◆kI3s.p/Mjc [sage saga]:2015/07/04(土) 17:55:43.41 ID:Xi6OXd9To

【――これは、どこにでもある“悲劇”だ。】
【歴史を紐解けば、それこそ五万と見られる惨劇。果たそうとして果たせなかった、破滅と荒廃の物語。】
【地獄への道は善意で舗装されている――ああそうだ、これは確かに善意であったのだろう。】
【たとえ過程で別のものに変化していったとしても。発端だったのは、確かに万人の救済と幸福を祈る願い。】

【友を救う。民を救う。圧政を敷く暴君を排し、ここをかつての笑顔があふれていた素晴らしい国へと立ち返らせる。】
【そうだとも、その祈りが穢れたものであるはずがない。血を流すことも、血を流させることも、殺すことも殺されることも覚悟して立ちあがったその心は美しく輝いていた。】
【だからこそ“革命”が実行できたのだ。彼女の輝きに魅せられた兵が集い集まり、暴虐の君主に反旗を翻した。】
【すでにその手が血に塗れていることを知りながらも――自分が多くを殺戮した大罪人と自覚しながらも、民を導く光たらんとした彼女の姿は、確かに“希望”であったのだ。】

「…………」

【街が燃えている。土が黒く焦げている。空は炎に嘗め尽くされて朱に染まっている。】
【荘厳なる城は焼け落ち、白く美しかった町並みは砕け蹂躙されて、血と屍と瓦礫に塗り潰された。】
【ここにはもう誰もいない。暴君も。革命軍も。それを導いた“彼女”も。“彼女”が護ろうとした民も。】
【彼以外は――すべてを見届けた彼以外は、もう一人残らず死に絶えている。】

「なぁ。アンタは、これの為に戦ったのか?」

【そう呟いた男の顔には皮肉気な笑みが浮かんでいる。】
【そうではないと、分かっていながら問うように。そうだ、事実彼はそれを知っている。】
【間近で見てきたのだ。“彼女”はこんなもののために戦ったのではない。こんな、すべてを滅ぼす結果が欲しかったのでは断じてないのだ。】

「ぜんぶ滅びちまったぜ。アンタが護りたかったモンは何も残っちゃいねぇ。アンタの信念は、けっきょく何にも届かなかったな」

【黒いワイシャツとスラックス、何の防御も仕込みもなされていない服装はこの戦場跡には似合わない。】
【だが彼の赤い髪がこの焦熱地獄で歓喜の極みに至っているかのごとく、吹き付ける熱い風を受けて踊っている。】
【紫の瞳に映るのは、元は美しかったであろう金髪の女性――その死体。彼女が纏っている青い服は、今や自らの血に染まっていた。】

【彼女の横の瓦礫に背をもたれる形で座り込んだ。滴るような月を見上げて、咥えた煙草を深く吸った。】
【ここはかつての玉座だ、月も星もよく見える。相も変わらず綺羅々々と、地上の絶望など何の関わりもなく煌めいている様は、人間の愚かさを嘲笑っているようでもあった。】

「ままならねぇモンだな。天の神サマってやつはアンタを見ちゃくれなかったのかね。なぁ、どう思う?」

【煙を吐き出しながら、問うた言葉はすでにこと切れた彼女に向けられたものか。】
【それとも――】
380 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 19:27:51.48 ID:JZ3CwIXEo
【『ラズワルド地下遺跡』・地下トンネル内】

【かつて、突然変異種の巨大サンドワームがこじ開けた巨大な横穴――その偶然が無ければ、この場所は永遠に砂の中で眠っていたはずだった】
【しかし既に、神秘の扉は開かれている。真っ黒で滑らかな壁板の上に藍色の光のラインが走る廊下、宇宙人の住処のような旧文明の遺産――】
【依頼を受けて集まった戦士たちは、砂の国自警団の誘導により、その入り口に集められているはずだ。そして、】


「――――二班はここで戦線を維持! 一班はこのまま俺と共に奥へ進むぞ!!」


【先に現地入りしていた先行部隊と"カノッサ機関"との激突が、既に始まっていた】
【もはやそこは数千年前の神秘の在処などではなく、単なる戦場だ。壁板は砕け床は剥がれ、流れたばかりの血溜まりが遺産を汚す】
【ガルマ=ハド=ラジャルードは戦神としての力で暴風地帯を無理矢理突破し、更に砂漠に大穴を開けて直接この遺跡に進入してきている】
【当然、機関兵たちも自警団側より一歩先に遺跡を占拠していた。――正規の方法で中へ入れる唯一の通路が、待ち伏せに会うのは道理か】

【だが引くわけには行かない。アサド=アル・アーデルが指揮する自警団・SCARLETの混成部隊は激戦をくぐり抜けて敵部隊を突破し、猛進する】
【……しかし、敵は倒しても倒しても湧いてくる。そのまま一番最初の分岐路まで進んだ所で、アサドは部隊員たちに振り返って言った】


「……、クソッ、キリがねぇな。仕方ねえ………。
 俺たち『ヘイダル』がここで敵を引き付ける。お前たちはこのまま先に進んでくれ。

 ――誰でもいい。あの神サマとやらを……連中の"アタマ"を潰せれば、戦局は変えられるはずだ」


【自警団から今回の依頼を受けた者たちは全員、この混成部隊に配属されている。故に、アサドの言葉は彼ら全員へ向けられたものだ】
【残る方も危険なら行く方も危険な作戦である。アサドの顔も苦々しいモノがあるが……ガルマの目的が不明な以上、もはや時間も余裕もない】
【とにかくガルマを倒すか撃退させられれば、この苦しい戦況も少しは好転するはず――】


「すまねぇな、荒っぽい作戦になっちまって。
 ガルマの野郎、今回は目的がてんで読めねえ。以前は"選定"だのなんだの抜かして無差別に人間を襲っていやがったが……。
 こんな誰も近づかない場所に来るなんざ、さすがに俺たちと戦うのだけが目的じゃないはずだ。十分気を付けろよ。

 それと――もし、左腕に"SCARLET"のエンブレムを付けた女がヤツの隣にいたら。
 最終的にどうするかは、お前たちの判断に任せる。……ただ、これだけは伝えくれねぇか。
 『俺たちはいつでも、お前の帰りを待ってる』ってよ」


【アサドは全員に謝罪と注意喚起を行うと、巨大なランチャーを目の前の分岐路の右側へ向けた。……砂で埋まってしまった"もう一つの道"】
【引き金を引く前に。彼は振り返らず、一同へひとつだけお願いのようなものをするだろう。一同に背中を向けたまま、暗い声色で】
【――その女は、元々アサドの仲間だった者だ。事前に自警団の報告書などを読んでいれば、その辺りの事情を知っている者もいたかもしれず】
【アサドは「助けてやってくれ」とは言わなかった。――それが部隊長として本心を押し殺した結果だということは、表情を見れはわかるだろう】


「これから本番って時にしみったれた話を聞かせちまって悪かったな。
 ――俺たちもさっさとここを制圧して、後で必ず迎えに行く。だから全員、無事で戻れよ……!」


【ともあれ、もう猶予はない。アサドは一同の返事を待たず引き金を引き、砲撃で砂を吹き飛ばして強引に道を開通させた】
【そこから先は、砂の国側でもあまり調査が進んでいない未知のエリアだ。別ルートで進入したカノッサの手が入っている可能性は勿論あるが】
【このまま既存の拓かれたルートを進むより遙かに安全に奥へ進んでいけるはず。アサドとその部下たちは不適に笑うと、全員へ軽く手を翳した】

【――健闘を祈る。そして、必ず再び会おう。そんな誓いを背後に、『ヘイダル』以外の混成部隊員たちはそれぞれ戦場へ赴いていく】
【依頼を受けて集まった者たちも、彼らに倣ってそれぞれ奥を目指すことになるだろう。不気味な漆黒の通路が、一同の前に口を開けている】
【目標は遺跡の防衛。あるいは別の目的の者もいるかもしれないが、いずれにせよ。この"始まりの場所"にて、再び神との戦いが開始される――】
381 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 19:28:37.75 ID:JZ3CwIXEo
/↑はイベントの冒頭文です。参加者の皆様はこれにはレスを付けず、次のレスをお待ち下さい!
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/04(土) 19:30:26.31 ID:4mu4vttR0
>>378

【この子には、二人の事情は分からない。どういう関係なのかすら、二人の言葉でしか、知らない】
【つまり本当に親子なのかを理解できていない、そして、それは、きっとマリアもなのだけど――】
【きょとんと目を丸くしながら、ゆいっと首をかしげる。そうして、影に呑まれるフェイトを見送る、ばいばいと手を振りながら】
【なんだか不思議な子だったと思う、――まあ。大人の、それも、下手な魔術師よりも濃いかもしれないほどの膨大な魔力】
【それを明確に宿す彼女が言っていいのかは分からなかったのだが。彼女もまた、普通の、――ただの普通の子供ではない様子】

……うーんとね、分かんないの!
でもね、あのね、えっと――でもね、フェイトはね、マリアお姉ちゃんとお話したいってね、思ったんだよ!

【――提案した言葉と、フェイトがつむいだ言葉と。差異はあった、ほんとうは、もっと、好きな食べ物とか……そういう話と思っていた】
【だから彼女にもいくらかの困惑は見える。だけど、話したいと思ったのは本当だと思って。ママとか、パパとか、わからないけど】
【そこだけは本当だと思うよ!だなんて、何の確証もないけれど、言い切ったなら】

だからね――えっとね、ママとかじゃなくってね、まずね、お話してお友達になるの!
私もね、フェイトとお友達になるわっ。きっとなるの、だってね、私ね、みんなみーんなと、お友達になるんだから!

【続けて言うのは、母親とか母親じゃないとか、気にしないで、まずは話してみたりしたらどう?とか、そんな提案だ】
【私もきっと友達になるんだからなんて胸を張って宣言する。友達たくさん作りたいと、見た目通りの夢を口にして】

……あっ。私ね、あのね、あっちのほう見に行きたいの!
だからね、あっちね、見に行くわ! マリアお姉ちゃん、またねー!

【――なんてことを言っていたら、ふと、他の目的を思い出したらしい】
【あっちの方を見に行くと言うが、そのあっちのほうには別に何か目立つものがあるわけでもなく】
【ただふつーにふつーの場所なのだが――まあ、子供にはそれでも楽しいのだろうか。「探検するのよ!」とにっこり笑って】
【なんにもなければ、また翼を作りだして、飛んでいくのだろうか。お日様の明るさが背中にこぼれて、きらめいた】

/遅れましたっ、お返ししますー。ただパソコンめっちゃ熱くなるのが昨日判明したので
/置きにしてしまっても申し訳ないですし、ここで〆ということにしていただけたら……おつかれさまでしたっ
383 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 19:40:18.90 ID:JZ3CwIXEo

【『ラズワルド地下遺跡』・最深部――――】

【あの場で『ヘイダル』と別れた部隊員たちは、ある者は仲間と共に、またある者は単独で、奥へ奥へと進んでいった】
【――五人もまた、此処に着いた経緯はそれぞれだろう。他の部隊員たちに見送られて進んだ者、誰にも頼らずここまで来た者】
【いずれにせよ、結果は変わらない。――最終的にこの"最深部"へと辿り着いたのが、この五人だけであったという結果は】
【最後に、ドロドロに溶解させられた扉の残骸を乗り越えたなら。いよいよ其処が、この神秘のもっとも中心に位置する場所だ――】


【――五人の前に広がるのは。ここは本当に地下なのかと、そう疑いたくなるほどに、果てしなく巨大なドーム状の部屋であるだろうか】
【室内は意外にも明るい。壁や床の材質は今までと同じだが、膨大な魔力が込もった藍色の光が部屋中にびっしりと張り巡らされている】
【それが四方から室内を照らし出しているようだったが……この部屋がここまで明るいのは、もっと別に強くて大きな光源があったからだ】

【入り口から平坦な床を進んだ先。この巨大な室内の半分ほどは、空色に光り輝く奇妙な水で満たされた、湖になっていた――】
【明らかに自然のモノではない。古代人が造り上げた人口の"地底湖"。――そして、湖の最奥にある浮島の上から、忌々しげな舌打ちが飛ぶだろう】


………チッ、もう現れたか。
あの老いぼれめ、≪No.11≫などと大仰な肩書きを背負う割に、やはり役に立たんな………。

「――――――、」


【腰元までもある長い髪に褐色肌、丈の長い純白のローブを着込んで、徒手空拳に裸足という格好の男。……いや、】
【それの見た目は、確かに男だ。しかしその身に纏う荘厳なまでの威圧感が、およそ人間ならざる力と魂を周囲へ披瀝していた】
【ゆったりとした白銀を身に纏う大柄な体躯は、まるで雲に覆われた巨山。燃え盛る炎を思わせる朱色の長髪が、巌のように険しい顔つきを照らす】
【その火炎の髪が男の巨躯の上を流れ落ちていくさまは、さながら大自然が憤怒の声を上げ、灼熱の溶岩で山肌を焦がしていくかのよう】
【この昏い地下にあって、太陽の如き灼熱の金色が双つ、天より世界を睥睨している。"戦神"――神を名乗る者の瞳が、五人へ向けられるだろう】

【そして、もう一人。ガルマ=ハド=ラジャルードを守るかの如く、幽鬼のように立ちすくむ女の姿があった】
【褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代ぐらいの女性である】
【露出度の高い派手な格好をしていて――コートの左袖の部分に、汚れてはいるが"緋色の鷹"の紋章が見えるかもしれない】
【別れる前、アサドが言っていた女だ。名前はミドナと言ったか、SCARLETの一員でありながらガルマの娘として"戦神"に下った者であったが、】
【彼女の、父と同じ金色の瞳には、裏切りの意志どころか生気すら感じられない。全身に刻まれた真っ赤な呪刻が、不吉に光を発している――】


/続きます
384 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 19:42:18.83 ID:JZ3CwIXEo


さて。此の様な世界の果てまでよう来たな、ヒト共よ。
本来ならば、我が力と威光を以って"選定"を行うのが筋。存分に相手をしてやりたいところなのだが……。

――下がれ。生憎と今の我には、貴様等にかまってやれる暇は無いのでな。


【ガルマは忌々しそうに、五人を見やってそんな言葉を発した。――戦神とも在ろう者が、この場では闘争を忌避したのである】
【長らく活動していなかったとはいえ、以前は"選定"などというお題目で弱者を根絶すべく無差別に破壊と殺戮を繰り返していた者が、】
【――まさか逃げ腰になっている訳ではあるまい。何か、理由があるのだ】
【街や集落ではなく、こんな人気のない遺跡を襲撃したのと無関係でない、重大な理由が――】

【よく見ればガルマの前には、壁や床に走っているのと同じ光で描かれた謎の文字列が数百個近く浮いており】
【それらが彼に操作され、忙しなく場所と位置を変え続けている。――この作業を優先するために、ガルマは己が存在そのものである"闘い"を放棄したのか?】
【いずれにしても、ガルマは五人を一通り睨みつけると完全に無視し、背中を向けて再び作業に没頭し始める。あちらからの攻撃はない】

【――地底湖の上には、蓮の葉じみた直径2メートルほどの足場が二十箇所近く浮遊している。それを伝って浮島に近寄ることも可能であるし】
【勿論、今の位置から遠隔攻撃を仕掛けることも可能だ。眼前の敵を無視し、ひとり古代人が遺した神秘に向かう神の背……五人はどう動くか】


/こちらが本日の開始文になります、参加者の皆様はこちらにレスを付けてください!
/本日はよろしくお願いいたします!
385 :ワザワイ・エスパス [sage]:2015/07/04(土) 19:55:41.61 ID:bta7Jnya0
【地の底であり、知の底】
【あまねくロストテクノロジーが生み出した空間に他の四人よりもややはしゃぎ気味に入ってきた男の娘】

「おぉー!すっごくキラキラしてるぅ〜!」

【楽しげに周りを観察しているとダンジョンに現れた一組の男女】
【まだ幼い少年だが『戦神』に臆することなく戟を構える】

「おにぃちゃんたち…悪い人なんだよね……リーベおねぇちゃんのために…」

【深紅の瞳は狂気に揺れ紫の髪が冷気に踊る】

「イナクナッチャエ!」

【ドリル状の氷柱の弾幕が二人に向けて牽制とばかりにバラ撒かれる】

【少年の名前はワザワイ・エスパス、愛しの姉の為にこの世から悪い人を一人残らず消そうとする少年である】
386 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/04(土) 20:04:23.31 ID:ToJD6bAoo
>>380>>383>>384

―――……各部、稼働を確認……とりあえず今日も動作に問題はなさそうで何よりデスヨー
修復は完了されたとみて問題ありません……ね、それではこれより任務を開始したしましょうか


【任務に向かう道中、一人だけ、己の掌をじっと見つめる者がいた】

【それは白と黒、ロングスカートの侍女服を着たいやに小柄な少女だ】
【銀色のカフスボタンが袖に付いた黒を基調とした丈がくるぶし部分まであるロングドレスの最もオーソドックスなデザイン】
【そして長い黒髪を黄金でできた三日月の髪飾りでポニーテールに束ねて、耳部分にはアンテナヘッドホンのようなセンサーがついている】

【1ヶ月半ほど前、その機械の少女はある理由から全身の回路を大きく損傷し、暫くの間己の主に修理を施される毎日を送っていた】
【無事数日前に修復は終了し、しばらくは動作確認のためリハビリに務めていたが―――今日、前線に復帰し任務を請け負う事となった】
【ただし、今日はいつも隣にいるあの陽気な白衣の男はいない。彼女の独断で主を引き連れずにこの任務を請け負ったのだ】
【理由は……『とくにない』。ただなんとなく今は、彼と共に戦える気がしなかった、それだけだ】

【ともあれ、しばし同行者たちと共に行動を続ける中、自分を含めた5人が最深部に辿り着く】
【他の者たちはいない、自分たちが一番乗りか?そう考える間もなく二人の人物の姿が見えた】
【少女―――ジャンクちゃんは己のスカートを摘まみ敵に向けて礼儀正しく頭を下げると相手の言葉に応えるだろう】


ごきげんよう。そして申し訳ございませんが、そう言われておいそれと引き下がる訳には参りません
どうにも皆さま方はなにか悪巧みをしているように伺えますので。あと、そちらの女性にお伝えせねばならない事がございます

そう、そちらの緋色の鷲のエンブレムをした方に……アサドさん曰く『俺たちはいつでも、お前の帰りを待ってる』との事ですので
出来る事ならばお返しするべく全力を尽くさせていただきますデスヨー


【身を低くして、戦闘態勢を取りながら相手の様子を伺い、どうも向こうからの攻撃が来ない事を感じ取ったならば】
【ジャンクちゃんは目の前の蓮の葉らしき足場を伝いガルマたちの方向へとまずは接近を開始する】

/では、ジャンクちゃんの最初のレスになります
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/04(土) 20:10:45.96 ID:sERYxhFV0
>>383-384

【五人の内四人は恐らくフリー、作戦に参加したの理由が私的な者もいる】
【その中で一人、明らかに正式な任務として訪れたであろう男が居た、名前はジェームズ・モンド】
【グレーの軍服と支給品のアサルトライフル、大柄ではあるが一般の兵士らしい姿だ】

【髪はボサボサとしていて茶色が主、サイドに黒いメッシュが入れてあるような髪色だ】
【腕っぷしは確かに強そうではあるがここまで能力らしい能力も見せていないので、正直能力である他とは見劣りしているだろう】
【彼はガルマの姿を確認し、そしてアサドが言っていた女性 ミドナを確認するとどうやら彼のサブターゲットはそれらしく】

(あれを連れ戻すか…………これは少しばかり骨が折れそうだ……)
(まあ、あの人が回してきた仕事だ、出来る限りのことはするが………………)
まずは小手調べってところか…………!

【あの人とは想像通り、ジェームズの上司のことだろう】
【出来れば殺さずに捕らえるというのが彼の今回の任務内容の一つらしい】

【とりあえずは何の迷いもなくガルマに銃を連射するだろう、狙いこそ大体ではあるが 動かなければまず命中はする】
【これで何かしらガルマは動きを見せるだろう、或いはミドナが動くか……】

/此方ジェームズです、よろしくお願いします!
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/04(土) 20:13:54.29 ID:vgt4PLOF0
>>383-384

「(ちィ、カノッサ機関経由の侵入が出ェ来りゃあ文句なしだァったんだが)」
「(こォの辺りが、未ィ所属のデメリットだな――もォちろん、今後も入るつもりはねェがな)」

【それは、身長175cm程度の女性だった。長い黒髪にモデルの様に整った体型で、上下ともに長袖黒ジャージ】
【さらに、黒い外套を纏い、赤い毛の手袋やマフラー、靴下を装備し、黒い運動靴を履いている】
【そして、かなり簡略化されてはいるが、赤眼で黒色な西洋系の竜がモチーフと思われるフルフェイスマスクを装備している】

「(しィかも、見ィ知った顔がちらほらと……"あァいつ"は背後から刺ァしてやァろうか……いィや、やァめとこう)」

【味方の中には以前――敵として戦った事のある相手もいた、しかし仲間割れするのはまだ早い】
【目的はあくまでも遺跡への侵入、そして中にある色々なものを物理か否か問わず入手すること】
【――”まさか自警団も、指名手配犯が変装して紛れてるなんて思わないだろう”、そうタカをくくるのだった】
【実際、服等のデザインはジャージ含めていつもとは変えてあるし、声も性別も違う。口調だけは大差ないが……】

「(まァー、俺様は契約を破る気ィはねェ……が、"当ァて身"で黙らせるくゥらいにしィておこう)」

【機関とは敵対する者の手を借りて侵入した以上、彼らからの契約をまるまる無視するわけにもいかず】
【また、機関員たちだって自分の事は敵だと思っている――説明するのも面倒なので、適当に軽傷で意識だけ奪って先に進む】
【道中、隙を見ては寄り道をして色々と漁っていたとかなんとか……】

「(おォっと、漁り終える前に……仕方がない、残りはメディアットに任せよう)」

【手のひらから出現した一匹のコウモリは、人目を避けつつ遺跡に飛び立つのだった――】


【さて、ここまでが過程だ。ここからが、ガルマとの接触部分になる】

「ほォう、広いな――そォして、水、水か」

【遺跡最新部、正義のオーラなんて全くない女が一人、足を踏み入れる】
【その広さや構造を確認するべく、一通り眺め――そして、最後に目線はガルマの方へと向けられる】

「邪ァ魔だったか――すゥまんな兄ちゃん、だァが……お前は契約上追い出す必要があるんだ」
「おォとなしく出ェて行って貰えると助かるんだがなァ」「対価が欲ォしいなら、出ァしても良ォいぞ?」

【本来は接触する予定もなかったのだが……他のメンバーと再合流してしまった形となった以上、無視も出来まい】
【それに、――"俺様はたった今、食欲が湧いてきた。”――】

「まァ、せェっかくだから握手の一つでもしィようじゃアないか(……どォーせディルムレーディスプをすゥるなら近い方が良ォい)」

【"あえて”敵意は発せず、しかし捕食者の眼をマスクの下に抱え――それは、近くの蓮の葉的それに飛び乗った】
【念のため、下のジャージの左ポケットに左手を入れておき――】
389 :天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/07/04(土) 20:24:51.73 ID:spJ3jnZGo
>>383>>384

【俺は何のために戦うのだろうか───】
【復讐か、正義か、私怨か───考える度にわからなくなる、ただ、心が慟哭(さけ)ぶんだ】
【『壊せ』と、『護れ』と、明暗の心が戦いへと奮い立たせる、赦せない存在を消せと、残酷なまでに悪を叩けと】

黙れよ…

【それを言う相手は、目の前に再び現れた戦神へか、自分の他に彼の者に立ち向かう者にか、自分の心にか】
【低く呟いた言葉は、音が響きそうな地底の空間にも響かずに闇へと飲み込まれ、湿った地面を踏み締めて立ち止まる】
【光の無い、影の塊のような黒い目は真っ直ぐにガルマへと向けられ、その前にいる女性になど目もくれ無い、かける言葉も思いも無い。邪魔なら潰すだけ、それだけだ】

【外跳ねの黒髪の上に黒いキャップを被り、その上に更に黒いパーカーのフードを被る、そうする事で彼は闇の中にいるのと同じ影を顔に貼り付けて】

消えろよ、消えろ───消えろッ!!
『お前』がいるからッ!俺の心が騒ぐんだよッ!!

【以前、ガルマと出会ったとき、最悪の出会いの時から、あの村で生き残った少年───天野ソラは、揺らいでいた】
【復讐すべき相手がいる、その為に生きている、それ以外の迷いや怒りはいらないのに、出会ってしまってから、新しい憎悪が生まれてしまった】
【いっぱいいっぱいだった心に、更に別の憎悪が生まれたせいで、彼の精神は限界にも近かった、これ以上続けていればとうとう憎悪に呑まれてしまう】
【そうなる前に、原因を断ち切らなくてはならない。始まりは確かに正義の心だったのに、彼の心はその想いを黒いものへと変換してしまうから】

【天野が叫ぶ、泣き付く子供のような声で叫ぶ、ガルマに向けた彼の右手に鉄紺色の焔が灯り、槍のような形になって凝縮する】
【次の瞬間それは間髪入れずに打ち出され、空気を割いて真っ直ぐにガルマに向かって飛んで行く───本当に、目の前の女性は『見えていない』】
390 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 20:44:04.40 ID:JZ3CwIXEo
>>385

此れはまた、奇怪な男子(おのこ)が来たものよ。
だが、どうやら腑抜けというわけでは無いらしいな。其の残酷さは嫌いではないが……。

「……………」


【真っ先に仕掛けてきたワザワイの弾幕――それを受け止めたのは、ガルマではなくもう一人の女のほうだった】
【女が音も無く発動した能力。背中からエネルギー体の"腕"が四本生え、更に自らの両腕も朱色の光に覆われて、"六本腕"の状態となり】
【腰当から引き抜いた六本の短刀をそれぞれの腕が装備。六刀流の斬撃が氷柱を叩き落していくだろう――】
【すべては防げなかったものの、ガルマに当たりそうなモノは自らの体を盾として守る。……いや、守らされているというべきか】

【明らかに尋常の状態ではない。この女、どうやらガルマに操られているようだが――】
【……その前に、ワザワイは覚えているか否か。あの女が『ヘイダル』のリーダーたるアサドの元仲間ということは、つまり】
【彼女は、以前のGIFT関連の事件でワザワイと共に施設を探索した"イスラ・シャルディ"の仲間でもあるということだ】



>>386

ほう……よもやこのような人形が紛れ込むとは、中々に面白い。
今の人間の技術も幾分成長したらしいな。その体を引き裂いて内を覗き込めば、魂も見えるのか?


「……、…………」


【蓮の葉の足場を伝って接近してくる機械の少女へ、ガルマは好奇の目を向けるだろう。――ヒトを見る目ではなく、モノを見る目で】
【そして、伝言を伝えられた女の方は……一瞬だけ、ぴくりと反応したような気はしたが】
【虚ろな瞳が元に戻ることは無かった。彼女の全身に刻まれた呪刻と隣に立つガルマとは、恐らく無関係ではないのだろう】

【――ジャンクちゃんの接近を阻むものは無い。攻撃されれば反撃はするが、あちらから仕掛ける気はないようだ】
【そして……"接近のみ"を選択した分彼女には余裕がある。もしかすると、湖の中に"黒い影"が通ったことに真っ先に気づけるか……?】



>>387


ふむ………貴様は軍人か。今宵は道化師ばかりが集ったかと思ったが、真っ当な戦士も紛れておったか。
――甘いぞ。こんな玩具で我に傷は付けられん。どころか、我を"その気"にさせることも叶わぬ。解っておろう?


【軍服姿のジェームズを見咎めると、ガルマは微かに笑った。"戦神"としてはやはり、戦う為の出で立ちをした人間のほうが好ましいのか】
【そして、銃声に応えるように。放射状に光の線が描かれた巨大な火輪――太陽の如き"後光"が彼の者の背に出現するだろう】
【絶対の灼熱を帯びたソレはガルマの前方へと移動し、回転しながら銃撃を受ける。……弾くどころか、銃弾は残らず蒸発して消えた】

【そのやり取りの間、一発の銃弾が偶然逸れ、ガルマへと向かったものの……ミドナがそれを身を挺して受け止めるだろう】
【顔色は微かに痛みに歪んだように見えたが――彼女自身の意思はやはり、感じられない】


/分割します……
391 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 20:44:57.30 ID:JZ3CwIXEo
>>388

…………、貴様、ただのヒトとは違うな。魂が"臭う"。
また奇怪な客が来たものだ。何れにせよ――神に対する礼儀は、弁えて貰わねば困るな。


【荒々しい口調の女を発見すると――ガルマはぴくりと眉根を寄せた。それは神としての嗅覚だったのか】
【けれど薄らと笑い、近寄ってくる女を受け入れるだろう。普段ならば少しは対処に迷っただろうが、今回は違う】
【敵が人間だろうが人外だろうが、やる事は同じだと言わんばかり。ガルマの方からそちらへ攻撃する気配は、やはり無い】

【そして。このJ.A.もまた、今回は"接近のみ"を選択したこととなる】
【攻撃や反撃に心を裂かなかった分、湖の中の"黒い影"に気づく可能性は、ジャンクちゃんと同等に高いだろう】


>>389

クククッ―――まさかお前が此処まで来るとはな、天野ソラ!
実に良い顔をしているではないか。……嗚呼、流石に口惜しいな。お前の芳醇なる憎悪を、此の手でもう一度味わいたかったが。

相手をしてやれなくて済まぬな。だが案ずるな、今宵はもっと愉しい"余興"を用意しておる、でなぁ―――!!


【少年の顔を見た途端、ガルマは豪胆に笑った。そして同時に眉根を潜める。心から残念そうな表情――】
【あの夜の"地獄"の続きを此処でやるのも悪くない。闘いよりも大事な"ある理由"さえ無ければ、実際そうしていただろう】

【影で覆った顔から、憔悴の叫び声が放たれ。同時に焔の槍が撃ち出されれば……先に動いたのは、ソラの眼中にはない女性の方だったが】
【ガルマが一瞥すると、その動きが不自然に停止する。あの夜と同じ黄金の輝きが両腕に宿り、ガルマは其の攻撃を自ら受け止めるだろう】
【勢い良く射出された槍を鷲掴みにして止めた左手には、血が滲むが……其の痛みがまた、愉しさと口惜しさを増幅するのだ】



/続きます!
392 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 20:52:32.05 ID:JZ3CwIXEo

>>ALL

……ククッ、どれもこれも中々の"武"を有しておると見た。嬉しいだけに残念だ――お互い、何と間の悪い事よ。
仕方あるまい。貴重な『燃料』を危険に晒したくはないが……貴様等には、"海の試練"を与えよう。存分に楽しんでゆけ――。


【ミドナと共に五人の攻撃を裁き切ったところで、ガルマは眉根を寄せた。大した傷を負っている訳ではないにも関わらず、額には汗が滲む】
【――同時進行している作業に、神たる身をも消耗させるほどの仕掛けがあるのだ。この深淵に眠る"何か"を、戦神は呼び起こそうとしていた】
【ガルマは愉悦と惜しさの混じった複雑な声色で呟き、右腕を掲げる。――『燃料』という台詞に覚えがある者もいるかもしれないが、】



―――さあ、姿を現せ。水禍を征する我が僕の一柱!
                                         ≪凪ギ海ノ語部(ググ・ワクトル)≫!!



【今は考えている場合ではない。地底湖の真下にうっすらと見える"巨大な影"、先に気づいていた者もいるか】
【"戦神"の呼び声を受けた瞬間、湖が急激に盛り上がる。全高五メートルほどもある漆黒の巨岩塊が、水を割って真下から飛び出す――!!】


≪GGGGOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――!!!!!≫


【咆哮と共に現れたのは、巨大な亀であった。見た目は海亀に近いが生気は感じられず、亀を模した巨大な岩の像が動いているような外観だ】
【亀は体を回転させながら飛び上がり、何か白い粉末が混じった水のようなものを撒き散らす。それは地底湖の水飛沫と混ざり合い、部屋中へ――】

【――現れた≪凪ギ海ノ語リ部(ググ・ワクトル)≫……以降は『ワクトル』と呼称するが、彼の者による攻撃は二通りである】
【まず一つ、接近せんとしていたJ.A.とジャンクちゃんに対しては単純明快。自らの巨体を利用した直接の体当たりが襲いかかる!】
【当然だが直撃すれば非常に危険だ。ただ、事前に湖中の"影"に気付くことが出来ていたなら回避はそれほど難しくはない筈で】

【もう一つは、遠距離にいるワザワイ、ソラ、ジェームズへ――】
【粉末混じりの水と混じり合った湖の水飛沫が空中で突如凝固し、大きな"杭"へと変成して、それぞれの胴体へと迫っていく!】
【危険ではあるが、真上からの自由落下に任せた攻撃であるためやや単調か。杭自体の硬度も低いので攻撃して相殺することも可能だ】
【ただ、その杭の破片が口に入りでもすればわかるだろう。さっき亀が吹き出したのはどうやら"塩水"らしい】
【それだけならば、奇妙ではあれど何も問題はないのだが――その水で作られたこの"塩の杭"、非常に強い"聖"の力を帯びているのである】
【もし三人の中に"邪"の存在やその力を持つ者が居たならば、少々危険かもしれない。浄化の力が杭の威力を増幅させることとなる】


【――これらの攻撃の成否に関わらず。着水したワクトルは四本のヒレと尻尾、顔のすべてを出した状態で湖面に浮遊し】
【その巨躯でもって、ガルマとミドナの居る浮島を守るように陣取るだろう。自らが"試練"となり、主を守って闘うつもりだ】

【これだけの巨体である。直接背中に飛び乗って攻撃することも可能であるけれど……甲羅自体は非常に硬質でそう簡単に傷は付きそうにない】
【しかし、甲羅の隙間の要所要所に宝石のようなモノが見えるだろうか。ひとつひとつがかなりの魔力を帯びているようだが――】
【また、今の状態では見えないが、腹部は甲羅ほど硬質ではない。"水中戦"が可能なら、思い切って湖の中へ潜り、真下から攻撃するのも手だ】

393 :ワザワイ・エスパス [sage]:2015/07/04(土) 21:15:06.36 ID:bta7Jnya0
>>390-392
【自分の攻撃を凌ぎ切る女性に注意を向ける】

(身体中のアレ…タトゥー?でも光ってるしぃ…)

【そこで目を引く腕章】

(…そっか、この人がミドナさんなんだ…危ない危ない、もう少しで刺しちゃうとこだった…)
(たしかアサドさんといーねぇちゃんの仲間だよね…)
(見た感じ操られてるみたいだしどうすれば…どっちにしろあの一杯ある腕をどうにかし………な……い…と…?)

「……………ナニコレ?」

【現れた水の災厄に言葉を失う】
【ソレは既に生物というよりは小島と言っても差し支えの無いような存在だった】

「って、きゃあ!?」

【唖然としてやや反応が遅れたが飛来した杭を戟で叩き割る】

「!?ぺっぺっ!しょ…しょっぱい!?」

【口に入った欠片を吐き捨てて目を白黒させるがそれでも同時進行で水中に飛び込む】

(たしかリーベおねぇちゃんが言ってた…)

【水中という凍らせる物だらけの環境で丁度真下から手をつき出す】

(カメさんは一回ひっくり返ると戻れないって!)

【因みにこれはその辺祭りの露店で売っているミドリガメのことなのだがとにかく円柱形の氷で下から突き上げることでひっくり返そうとする】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/04(土) 21:31:05.33 ID:vgt4PLOF0
>>390-392

「(む、あァいつ……あァれ、あァんなに荒んでたかァ?)」
「(まァ、俺様がとォやかく言ィうつもりはねェー、こォの姿じゃア請ェ求書も突ゥきつけられんしな)」

【以前、ちょっとした気まぐれからその命を助けた男の方をちらりと見た】
【わずかに苦い顔をした後、鼻で軽く笑い飛ばし――そして、再びガルマの方に向き直す】

「ほォう、中々良ォい鼻を持っているな……”地ィ方神"サンよォ」
「連ゥれねェ奴だ、そォんな事言ィってると、(もう荒らしているけど)遺ィ跡荒らすぞォ?」

「(影……ちィ、一旦戻るか)」「……危ねェ、判断が一瞬遅かったら……(そォれに、今、嫌な力を感じたぞ)」

【あの影がなんであるかはともかくとして、このまま進むのは多分危険と判断したのだろう】
【蓮の葉から床面へ戻ったその直後だった、大きな大きな亀が迫ってきていたのは! ――間一髪、結果的に回避】

【左ポケットから取り出されたのは、野球ボール程の大きさの黒い球が2つ】
【それが入る程大きなポケットにも見えなかったし、入っていた様子もなかったが――】

【その球体を、一つは近くの水面に、もう一つは近くの水際に投げれば、それらが割れ、何かを出す】

「行ゥけッ! "液滑龍ヌナーグリア”、”ヴァイソニー"!」

【水面に現れたのは、――背中の長さがおおよそ3mの首長竜の様な生き物だ】
【造形は地味で、あえて言うなら手足と尾先に水かきを持ち、腹部が鱗でなく黄色く分厚い皮に覆われているくらい】
【なお、推測だが――首はおそらく1.5m前後、尻尾は首と頭部を合わせたくらいの長さだろうか】

【蓮の葉に現れたのは、小さな白馬――いわゆる、ポニーだ。背中の長さは1.5mくらいで、体つきだけはばんえい馬のようだ】
【まず目を惹くのは、透き通るように白いタテガミと、そこから繋がっているふさふさの尻尾だろうか】
【赤い眼、薄茶色の蹄、タテガミと同じ毛は手足や首等にも。白い短角と、毛で出来た飾りの小さな翼もある】

「(ヴァイソニーには"遺跡原産と思われる素材”を使っている、実際は無ェが気ィ分的に地ィ形補正が得ェられるぜ)」
「(メディアットの召ォ喚もしィている以上、若干枠が厳しい……そォのせいで液滑龍は超ォ余裕で最小金冠だが……まァ、大丈夫だろう)」

「(こォいつらは液体があァってこそだ、ヴァイソニーはそォれが所有物だと厳しいが……)」
「(まァ、一応幾つかの水技は使える、"ベルーダーフ"由ゥ来のせいで塩っ辛いが、そォれで頑張ってもォらおう)」

【まずは、自分だけ龍の背中に飛び乗り、”滑って"亀の横に移動しようとしつつ――馬が清らかな声で一鳴きすれば】
【その目の前の水が盛り上がり、そして3本のツララの形の高圧水塊を作り出す。長さは大体40〜50cmである】
【そしてそれを亀に向けて発射!】 【狙いは、首の付け根。結果的には宝石狙いにも繋がるだろうか】
395 :天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/07/04(土) 21:36:15.87 ID:spJ3jnZGo
>>391>>392
巫山戯るな…何が余興だ…!

【放たれた槍を受け止めたガルマ、余裕の笑みと共に告げられた言葉が、更に天野の心を逆撫でした】
【ギリ、と奥歯を砕けんばかりに噛み締めて、鉄紺の焔は激しく燃えて両腕を包む】
【余興だの試練だの、遊んでいるような言葉選びが天野に怒りを募らせる。本気で殺すつもりの自分でも、ガルマにとっては『その程度』と言われているようで】

【刹那、湖が爆発したかのような衝撃、巨大な咆哮を上げながら、水底から姿を現わす怪物】
【これも、あの戦神の手による物か、体を濡らす不快な水飛沫を浴びながら、現れた怪物を睨み付けた】
【水にいい思い出は無い、体が濡れる感触が、別の寒気すら覚えさせる。震える体を無理矢理に律して、立つ脚に力を込める】

ハァ……ッ…ハァ……ッ…ハァ……ッ…糞……クソッ!クソッ!クソッ!
ただの水だろ!こんな物…!

【憎悪、怒り───その中に墨をうつ様に這い出た感情、『恐怖』】
【天野がこうなる全ての始まり、全てが終わったあの日、水が何もかも流して行った、それからと言うもの、水は恐怖の対象となった───所謂『トラウマ』だ】
【その恐怖を抑え込むのに苦労している暇を与えてはくれない、上方より落ちる水の杭が視界に入ると、固まりそうな体を動かして、すんでの所で回避する】
【右腕に先端が掠ったが、まだ浅い、この程度問題は───】

───ガッ!?……ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

【掠った、ただそれだけなのに、痛みに吠える天野の叫び声が地の底の空間に響き渡る。ほんの小さな浅い傷が、焼け付くように痛い、肉を開かれ焼鏝で掻き回されたようだ】
【天野の両手から焔が消え、右腕の傷を抑えた天野はその場に蹲る。『聖』の力が、正しく『邪』な者を焼いている】

396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/04(土) 21:39:19.47 ID:sERYxhFV0
>>390-392

クソ…………これぐらいじゃあ流石に届きはしないか………………
(まあまだ想定内だ、これでどうにかなるくらいなら奴はここに居ない)
(それにあのミドナって女が身を呈してガルマを守る…………どうにかして近付きたいが……っ!何だ……!?)

【案の定銃撃はガルマに容易く防がれてしまう、ミドナに当てるわけにもいかずジェームズは銃で攻めるのを止めるだろう】
【ガルマの位置まで近付きたいが今は切っ掛けがない、故に様々に思案していたのだが……】
【地底湖からどんどんと影が大きくなって登ってくる、何かが来ると構えた次の瞬間、飛び出したのは巨大な亀……!】
【そして亀が撒き散らす水飛沫が、固まった、それらが杭となってジェームズらに迫るのだ】

ぐっ……!畜生め、デカイからって有利になったと思うなよ…………!!

【ジェームズはアサルトライフルを盾代わりにして防ぐだろう、破損して使い物にならなくなるが構わないと攻撃が止めばそれを投げ捨てて】
【盾から溢れた脛に小さな切り傷は作ったものの、やはりそれぐらいで怯む軍人ではない】
【傷のお陰かそれが塩だという事には気付いたようだが、今の彼は余り気にもしていられなくて】

【次の瞬間にはジェームズは走っていた、狙うは勿論目の前に陣取るワクトルだ】
【喧嘩上等とでも言いたげに走りながら軍服を脱ぎ去ると、湖の中に飛び込むはずだ】
【何をしようというのか、水中ではワクトルの首元付近にジェームズが接近するはずだ】
【それも速い、イルカやサメほどではないにせよ人間の中では上位の速さだ】

【もしそのまま取り付くのを許すなら彼はワクトルに文字通り"噛み付く"であろう】
【その"鋭利な歯"は岩や鉛程度はぐしゃりと噛み切ってしまうだろう、人間にはないものだ】
【このまま取り付いていて 何かの拍子に陸へと戻ったのなら、そこには黒い毛並みをした獣が居るはずだ】

【大柄な熊のような四肢、ボサボサと広がった黒い毛に茶色の毛並模様が混じっていて】
【ルルメン・マスティフ、その姿は夜の国の山岳部に生息する闘犬そのものだった】
397 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [saga]:2015/07/04(土) 21:40:29.12 ID:ToJD6bAoo
>>390>>391>>392


―――……!?……さぁ、分かりかねますね……自分ではそれを見たことはないのデスヨー

(……あちらの女性の精神に何らかの呪縛をかけたのは……おそらくはこの男で間違いない
ひとまず奴を再起不能にすれば彼女の呪縛も解けるでしょうか、まずはそれを全力でやる―――気になってることは後でじっくり確認すればいいのデスヨー)


【そんな他愛もない問いかけ、しかし一瞬ジャンクちゃんは明らかに目に見えて動揺を見せる】
【……今彼女はこう考えたのだ、「まさか、あるのか?自分に『魂』なんて物が……?この間のレインの一件からそう言った事ばかりが頭をよぎる】
【最近になって分かった事だが自分はただのロボットではない、『高性能』、という枠を逸脱している自分の存在に気が付いてしまった】

【今は考えるのをやめて、まずは目の前の相手を叩きのめすべし、ひとまずはそれで収めようとジャンクちゃんは動くだろう】
【彼女が最も得意とするのは近距離(ショート・レンジ)だ、近づいてガルマに攻撃を仕掛けようとする―――が】
【ジャンクちゃんのセンサーに反応がある事を確認……湖の中から何かが感じ取れた、こちらへ向かってくるのが分かる―――なんだ今のは?】


―――何かが近づいて来る!皆さん警戒を!―――『ジェットパック』!!

(巨大な亀―――!?あの男が使役する怪物のようデスヨー……力任せに攻撃してきた!!
この亀の巨体で自らを守り時間稼ぎするつもりでしょうか……!?)


【相手の反撃を警戒しながら接近していたため、即座に対応すべく背中の機構を作動させ機械の羽をガシャンと音を立て展開させると】
【ひとまず攻撃を受ける前に飛び上がり、みごとこの一撃を回避する―――!】
【しかし敵は巨大、そして地下遺跡ではあまり遠くに逃げ込むことはできない、この亀を撃退しない事にはまだ安心できそうもない】


『マルチアイ』で確認した所気になるのは―――あの甲羅のいくつかから感じ取れるこの魔力デスヨー
奴のパワーの源でしょうか……空中から攻撃を行えるワタシはあちらを攻撃してみるのデスヨー!――――ロケットッ、パァァァ―――ンチッ!!!


【ジャンクちゃんの狙いはとりあえず今自分の目に搭載した魔力感知レーダーに従い一つずつ魔力を帯びた位置への攻撃を開始するだろう】
【右腕をす、と引き、空中から甲羅の隙間、一つ目の宝石めがけ狙いを精密に定めると―――遠くから勢いよくその拳を振りぬく!】
【当然空を切るが―――その空を切った拳が彼女の意志に応じてジェット噴射と共に分離!勢いよく右前のヒレに近い宝石めがけて鋼鉄の拳を発射する!】
398 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 22:13:30.62 ID:JZ3CwIXEo
>>393


≪G,oooAAAAA......!≫


【"氷"の能力を持つワザワイにとって、やはりこの地底湖という場所が有利に働くか。……付け加えるならば】
【もしかすると、普段より水が"凍りやすい"ように感じるかもしれない。この湖水、妙に能力の通りが良いのである】

【――氷の柱がワクトルの腹部を突き上げた。やはりこれだけの巨体ともなるとそう簡単に回避は出来ないようで、ほぼ直撃だ】
【怪物が微かに呻き声を上げたが、しかし巨体とはいえ相手は亀。勢い任せにひっくり返すことには成功したものの……ここは"湖上"】
【ワクトルは水中を泳いであっという間に元の体勢に戻る。場所が"陸地"であれば、ひっくり返すのも有効なはずなのだが、】

【そして刹那、窪んだ瞳がワザワイを睨んだように思われた。ワクトルは、ごぱっ、と大口を開け――】
【巨大な"塩の塊"を、ワザワイへ向けて射出する! 今度は先ほどの杭より大きさも重量も遥かに上で、そう簡単には破壊できないかもしれない】
【ただし、速度自体はそれほど早くはない。……この攻撃を凌いで反撃に転じれば、"体内"に攻撃を加えるチャンスもあるだろうか】



>>394

【"地方神"――その台詞に一瞬、ガルマが怒りの目を女へ向けたように見えたが】
【その怒りを遮るようにワクトルが嘶いた。新たに現れた龍と馬を、伽藍堂の眼窩で見据えて――】

【放たれた高圧の水塊に対し、その場で体を大きく回転させた。同時に、巨大なヒレを翻して水塊を弾き飛ばす】
【ちょうどすぐ前にワザワイにひっくり返され(>>393)、復帰しようとする動作と被った形となったが……】
【ワザワイの攻撃で体勢が不安定になっていたこともあり、そのうちの一発が甲羅の"宝石"を直撃するだろうか】


≪G,g,aaAAAAaa……≫


【宝石は一撃では砕けなかったものの――弱弱しい呻き声がワクトルの口元から漏れ出す。やはりあの部位が弱点らしい】
【……しかし、それで喜んでいる暇は無いかもしれない。J.A.へ向けて、ワクトルは右のヒレを軽く振るうのだが――】
【それと同時に、先ほどと同じ"塩水"が噴射されるだろう。それは横一直線の"塩の刃"となり、J.A.とその僕たちへと向かうだろう!】

【当たればその部位が鋭く切り裂かれる……だけは終わるまい。"悪魔殺し"とも言えるあの塩の効果は、もはや言うまでもないか――】


/分割です
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 22:16:37.26 ID:HjyL4kvp0
>>382

【―――フェイトと自分は果たして親子なのだろうか。私は、彼女にとって母なのだろうか。何も分からないまま】
【今の彼女には、きっと答えは分からない。―――呟くように零れた問いかけに、無垢なファラエナが答えてくれた】
【何だか分からないけれど、自信を持って「母親がどうとか気にせず話をしてみればいい」なんて提案してくれた】

―――話……ですか。……あの子は、本当にお話をしたいと思っていたのでしょうか……
でも……話してみなければ、きっと何も始まりませんよね。ふふっ、ファラエナちゃんの言う通りかもしれません。

私はあの子にとって母親なのか、なんて……今はまだ答えも見えませんけど―――
……あの子と向き合って話をする事によって、見えてくる事もあるのかもしれませんね。

【フェイトがパパ≠フ魂やふたりめのママ≠どう思っているのかは分からない。けれど】
【その事も含めて、きっと話をしないと何も見えない。なら、もう一度話をした方がいいのだろう】
【今度いつ会えるかは分からないけれど……彼女はきっとまた自分の前に姿を見せる、そんな気がする】

あら、もう行くのですか?ふふっ―――あっちには何かあるのかしら。ええ、また会いましょう。

【―――と、気まぐれな少女は別の場所に興味が沸いたらしい。行きたい所に行くのが、何とも自由で彼女らしい】
【無邪気な笑顔がぱあっと咲いて、お別れの言葉を残してふわりと違う方向に飛んで行けば―――広場には、マリアが一人残されて】
【今日はもう鍛錬どころでは無い気分……帰ろう。今日は色々あり過ぎて、頭がいっぱいになってしまった】
【―――二人の不思議な少女との出会いも、今日は此処でおしまい。物語はきっと、まだ続く―――】

//了解です!それではお疲れ様でしたー!
400 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 22:16:57.68 ID:JZ3CwIXEo
>>395

【――"聖"の力に焼かれながらも、周囲を見渡す余裕があれば。視界の端でガルマが嗤っていたのが見えたかもしれない】
【す、と。振り向かないまま、男はワクトルへ軽く人差し指を振ってみせた。それだけで、あの僕には十分だったのだろう】


≪G,OOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!≫


【"海の試練"が咆哮を上げた。体勢を変えず左のヒレを大きく振るわれる――ただそれだけでも、この巨体となれば脅威だ】
【煽られた湖水は"大波"となって湧き立ち、ソラへと向かう。とはいえソラは湖には近づいていない、これだけならば安全なのだが、】
【――波が湖の縁に触れた瞬間。混ぜ合わされていた"聖塩"が効果を発揮し、波が大きく爆ぜて切り取られて空中を舞う!】

【波というには小さくなってしまったが――上から覆い被さるようにソラの全身に襲い掛かってくる、"水害"】
【これにも同じく"聖"の力がある。まともに触れれば危ういことになるだろうけれど……それ以上に、恐らくガルマはソラの精神を削る気だ】



>>396

【ワクトルほどの巨体ともなれば、人間一人の存在などちっぽけなものに見えるのだろうが――】
【ただでさえ小さな存在が、湖の中という死角へ潜り込んでいく。こうなるとワクトルにはその姿を追うことができなかった】
【とはいえ相手は矮小な人間だ。水中で大したことは出来ない……そう思ったのか。ワクトルは一時、他の者の攻撃に集中したが、】


≪―――O,aaaaaAAAAA !!?≫


【首元――喉に噛み付いたならば、水中であれど体に伝わる振動として、ワクトルの悲鳴が聞き取れるはずだ】
【激痛に耐えかねたようにワクトルが大きく首を振る。血は出なかったが確かにダメージにはなっている、この部位には攻撃が通るようだが……】

【――油断していると不味いことになる。その鋭い歯が首元の岩石じみた肉をある程度食い千切った瞬間】
【"バチッ!!"という電撃じみたエネルギーが、その傷口から噴出すのだ。小規模な爆弾の爆発程度の威力と衝撃が発生する――】
【先に首を振っていたこともあり、もしかすると水上へ弾き出されてしまうかもしれない。もしそうなってしまった場合、】
【ジェームズはしばし、空中に留まることになるか。――そうなれば、"次の攻撃"への対応が難しくなる】



>>397

【"海の試練"――その化身に、空を往く少女を追う手立てはなかった。空中からなら、ワクトルの巨大さが良く解ると同時に】
【各所にある紫色の宝石の存在も、誰よりはっきりと確認できたはずだ。ワクトルが叫び、何か抵抗の素振りを見せたが――】


≪G,ooAAAAAAAAAAAAA――――!!?≫


【その前に、ジャンクちゃんの放った空飛ぶ拳が宝石を捉えるだろう。――右前のヒレに近い宝石、これが間の良いことに】
【攻撃と殆ど同時に、J.A.の僕たる白馬によってヒビを入れられた(>>398)ばかりであった。これに直撃した拳は――】
【見事、宝石を粉砕してみせるだろう。例の"聖塩"を噴射しようとしていたワクトルが大きくバランスを崩し、悲鳴を上げた】

【――更に。宝石の破壊と同時、その内部の魔力が勢い良く"爆散"。ワクトルに更なるダメージが加わるだろう】
【それによって、ワクトルの硬い甲羅に僅かな"ヒビ"が入ったのは良いのだが……しかし。この魔力の爆発、当然ながら】
【宝石を攻撃したばかりのジャンクちゃんの拳にも余波が及ぶはずだ。放った腕が使い捨てならば支障は無いだろうが……】
【もしそうでないのならば。爆撃じみた強力な衝撃波だ、すぐ腕を戻さなければ機構部にダメージを負いかねないだろう】


/続きます!
401 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 22:23:04.28 ID:JZ3CwIXEo
>>ALL


≪G,oooooooAAAAAAAAAAAA!!!!!≫


【五人により全身に攻撃を受け、ワクトルが咆哮を上げる。この巨体とはいえ部位を選んで攻撃すれば、ダメージはしっかりと通るようだ】
【……奇妙なのはその後である。落ち窪んだ眼窩から、突如としてワクトルが"涙"を流すのだ。痛みに喘いでいるのか――】

【答えは否だ。流れた涙には、先ほど撒き散らした塩水とは比べ物にならないほどの"聖"の魔力が宿っている】
【ぽちゃん、と小さな音を立てて、それが湖面へと落ちた瞬間――ごぼりと、湖全体が振動し始めるだろうか】

【――次の瞬間。湖の水が粘度を得て無数の"水の鞭"が形成され、五人全員へと一直線に射出される!!】
【速度はそこまででもないが、威力の方はかなり高い。直撃すれば人骨など容易く折り砕いてしまうだろう】
【加えて。この水の鞭、かなり"粘度"が高いのである。もし直撃してしまった場合――接着剤に貼り付けられたように水の鞭に絡め取られ】
【最悪の場合、そのまま湖中へと引きずり込まれてしまうだろう。幸い耐久力は高くないので、素早く破壊できれば脱出できるだろうか】


【ここまでの攻撃――"海"を司る戦神の僕、≪凪ギ海ノ語部≫は、単にその巨体を武器とするのみならず】
【体内で生成した聖塩を水分と織り交ぜて『聖水』を作り出し、魔術じみて自由自在に操作する能力を持っているようである】
【そこへ来て、この"光る湖水"。何人かは気づいたかもしれないが、妙に魔力や能力の通りが良い性質があるようだ】
【これを『聖水』と混ぜ合わせることで、湖の水すらある程度操作できるらしい。厄介ではあるが――湖の性質は、逆に利用する事も出来るだろう】
402 :ワザワイ・エスパス [sage]:2015/07/04(土) 22:45:56.85 ID:bta7Jnya0
>>398
>>400-401

(えっ?)

【明らかにいつもと違う感覚に戸惑う、なんと言うか普通の水よりも『凍り易い』】
【光っているところを除けは融点は普通の水と同じところから恐らくこれは能力を補助する類いの物だと推測できる】

(兎に角ラッキーだねっ!)

「ぷはぁっ!」

【水面に顔を出して息を整えると同時にかち合う視線】
【そして】

「えーっと、ウソでしょ?」

【明らかに自分よりも巨大な塩の塊】

「!」

(力じゃあのカメさんには勝てない…それなら…)

【またしてもこの湖の水を使い薄い壁を何枚も作りながら左側だけを厚くすることで少しずつ軌道変えさせようとする】
【もしもこれで難を逃れたならば開いたワクトルの口にこの湖の水を使ってトゲの付いた巨大な球体を作って叩き込むだろう】

「これは…水を鞭みたいに!」

【魔法は自分とは縁遠い物だがそれでも自分の涙を混ぜたと言うことはさっきから使っている塩を媒体にしているのだろう】

「なら、僕の『血塗れかき氷』で…!」

【所詮は塩が混じった水、凍らせられる筈、そうでなくとも凍るのは水だけだから塩と分離させればコントロールを奪えるかも知れない、と両手を向けて能力を使おうとする】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/04(土) 22:47:49.07 ID:sERYxhFV0
>>398>>400-401

【噛み千切るものの血は出ず、作り物のような感触だ、ただダメージはしっかりとあるようで】
【まずまずの手応えを感じつつも、直ぐにワクトルからは剥がれることになるか】
【思わぬ衝撃波の発生により吹き飛ばされ、その身体は水上へと弾き出された、この高さでは着地するにも着水するにも時間がかかる】

………………っ……まずい…………、この状態だと受け切るのは難しい……!
(しかし何だ、今のはヤツの身体に流れている力ってところか……?だとしたらまだ倒すことは可能ってわけだ……!)
こいつは張り切らねぇといけねぇ…………なッ……!!

【近距離で戦うジェームズにとってこれは攻撃もままならない姿勢だ、このままでは間違いなくワクトルからの攻撃を回避できない】
【ならば、と彼はキュロットのポケットから何かを取り出していた、どうやら注射器らしいが】
【それを自分の首筋に突き刺して、何かを体内に取り入れていた、恐らくはドーピングの類いだろう】
【ジェームズからの動きはそれしかない、先攻はワクトル側になるだろう】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/04(土) 22:53:00.21 ID:vgt4PLOF0
>>398,400-401

「(あァの水はさァっきと……!)」 「全力でかァァアアわせェイ、テメェーらッ!」

【当たる前からわかる、強い聖の力――召喚した魔物達にとっては問題ないが、では召喚主は?】
【……まず、龍は姿勢を低くしつつ水を"蹴り”、前方へ急加速!】
【これで一気に範囲から逃れつつ、ついでに二人に接近するというのだろう、しかし攻撃は横一線だった】
【姿勢を低くしていた龍はギリギリ当たらなかったが、上に乗っていたJ.A.はその背に刃を受ける】
【ぱっくりと斬られた傷口、龍の背中の惨事、溶ける音……実際の威力の数倍は効いている事に間違いない】

【この加速は次なる攻撃への回避策にも、結果的にだが繋がった。】
【ただ、湖の振動により滑る方向がやや乱され、その振動で背中の傷口が広がり……水に、邪悪な血が落ちる。】

【一方馬の方は、移動に不自由のない場所にいた】
【地面を強く蹴り跳躍! 馬とは思えぬ跳躍力により、水際からは若干離れたものの水の刃の回避に成功する】

「糞ッ、なァーんでテメェーらだァけ無ゥ事なんだ、腹立つけど無ゥ事じゃアなかったらこォっち来ゥるから許す」

「(角度的に俺様からは見ィえなかったが……なァるほど、宝ォ石の様な輝きに当ァたった時呻いたのか)」
「(体当たりで当ァたる場ァ所じゃアねェな、石頭じゃアねェーしどォーするか……)」

「ヌナーグリア! 一点集中ッ!」

【そして、龍は減速しつつ――亀の尻尾の付け根付近に向けて、黄色い液体のレーザーを発射する】
【宝石には当たれば良いくらいで、そこまで期待はしていない―― 一番の狙いは】
【”岩だって水で削れる”――高圧で脂を一点に集中的に当て続けて、身に纏う鎧を破壊するのが目的だ】

『ブルルル……』

【ところで、亀との距離は二桁m程度あるが……距離による減衰が全く見られないどころか、むしろ加速しているではないか】
【馬の額から生える短い角が淡く輝いているのとの関係は、あるのだろうか――もちろん、ある】
【馬の所有者が所有している龍の攻撃は、間接的だが己にも所有権がある理論で、水の勢いを遠隔から増させているのだ】

「(さァっきの水の鞭……射程距離は広いといえども操る場所が広くなったら、水操技が大幅に制限されるぞ……ッ)」

【なおこの脂、物質として残り、"水より軽く”、”よく燃える"。】
405 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/04(土) 23:02:26.93 ID:ToJD6bAoo
>>398>>400>>401

【手応え有り!二連の攻撃により見事宝石を砕いた所で―――魔翌力反応の起爆を確認するだろう】
【爆発する、そう察したと同時に腕に帰還を命じて回収しようとする、しかし若干タイミングが遅かった、わずかに離れた所で爆発の余波が腕を襲う!】
【回収そのものは成功したものの、若干ダメージを受けてしまった……バチッ、バチッ、と火花が走り始める】


……右腕損傷41%……やはり相当のエネルギーがあの中にこめられていたのデスヨー……
慎重に攻撃を続けましょうか!次は―――!?まずいッ、あの鞭は―――あぐッ!!


【湖から延びて来る無数の水の鞭!旋回して避けようとするが完全にはよけきれなかった】
【ワクトルの近辺を飛んでいたジャンクちゃんがそのまま水の鞭に右足を打ち付けられ―――その上水の鞭に足を絡め取られる】
【強い力で引っ張ってくる水の鞭はそのまま勢いよく水面に叩きつけられることだろう!】


―――ああっ!!……ならば、『マリンモード』からの―――突撃ィッ!!

(水質を調べたところ、この『聖水』には何か魔翌力や能力の通りが良い性質があるらしいデスヨー
腕の炎にはあまり効果はなさそうですが……これを媒介に何か強力な技を発動できるかもしれない―――?)


【即座にジャンクちゃんは自分の機能を変更し、水面に激突するのとほぼ同時にジェットパックを仕舞い込んで】
【湖の底に落ちる頃にはその足の裏からスクリューを展開させてモーター任せの勢いで上昇を始める!】
【その最中水質を調べている所で、何か次の一手に役に立つのでは、と思い彼女はまずその左手に赤色の"卵"を握りこんで】

【まずは、力任せの頭突きを水中からワクトルの腹部めがけ勢いよく叩き込む!!】
406 :天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/07/04(土) 23:02:42.44 ID:spJ3jnZGo
>>400>>401
ガ……ァッ!……グゥ……!なん…だッ!?

【痛い、とてつもなく痛いなんてレベルではない、毒でも入っていたのかと疑う程に】
【天野の力は、限りなく純粋な憎悪から生まれた力であって、その源は『哲学者の卵』、カノッサの悪意の塊のようなそれから生まれた力が、邪でない訳がない】
【天野が知らなかったのは、その先、邪な力を使っているうちに、自分の中にそれが根付き自身すらも『そう』なっていた事】

クソ……ッ!妙な力を……!

【まさか、『自分に聖水が効く』だなんて思う人間がいるだろうか?少なくとも天野はそうとは思ってもおらず、そのダメージの原理に気付いていない】
【地面に向かって右拳を叩きつけ、自分に喝を入れて立ち上がる、まだ負けが決まった訳では───】

……────────

【立ち上がった天野の目の前に立ちはだかるのは壁だった、実際よりも遥かに大きく、強大で、恐怖を纏った水の壁】
【なんて事のない水だ、他の四人ならただ濡れるだけしか脅威の無い、攻撃にすらならない物───だが、天野ソラという少年に対しては違う】

【飲み込まれる家々、流される人々、掻き回される叫び声】
【フラッシュバックするあの日≠フ記憶、どうしようもない無力な自分を、全て呑み込まんと濁流が大口を開けて迫ってくる】
【ヒッと息を吸い込み、ようやく自分が置かれている状況が見えた。『恐怖が襲ってくる』】

うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

【鉄紺色の焔を灯し、焔の槍を投げる、火球を飛ばす、壁を作る】
【何をやっても意味がない、鉄紺色の焔は水に触れた瞬間に消えてしまい、針の穴一つ波に穿てない、どうする事もできやしない】
【天野を叫び声も一緒に飲み込んだ波が引いた頃、残っていたのは俯せに倒れた天野の姿だった】

【肉体のダメージは決して少なくないが、まだ立ち上がる事は出来る、なのに、立ち上がる事が出来ない】
【体が震える、息が出来ない。削られた精神がガタガタになって、体を動かせない】

ウグッ……!!

【更にそこへ、水の鞭が追撃を放つ、丸太に打たれたような衝撃が天野の内臓を揺らし、そのまま鞭によって湖の中へ引きずり込まれた───邪な者を焼く、聖水の中へ】

【水中、それは苦しい】
【息が出来ないだとか、そういうのだけではない、聖なる力に満ちた水が、全ての方向から天野を襲うのだ】
【叫び声を上げる事もできない、鉄紺色の力を燃やすことも出来ない、沈む】

【ただ、沈んで行く】
407 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 23:51:28.22 ID:JZ3CwIXEo
>>402

【湖水の性質を最大限に利用した立ち回り――氷の能力との相性も抜群だ。それによって塩塊は弾かれ、水底へと沈んでいって】
【続く水の鞭もまた同様だ。コントロールの奪い合いの果て、水の鞭の"水"だけが氷結して停止する。塩は分離して水面に落ちるだろう】

【――刹那、≪GG,o,……≫という短い悲鳴。棘付きの氷塊が開けていた口元に見事に叩き込まれ、ワクトルはしばし声を失った】
【口元の皮膚に大きくヒビが入り、そこから紫色のエネルギーが迸るのが見えるだろうか。――この亀の体内、どうやら】
【途轍もない高エネルギーが含有されているらしい。他の者の攻撃で時折自爆しているのは、そのエネルギーが強力すぎるせいだ】


≪――――、G,A,oooo……!≫


【だが、それ以上考えている暇は無い。辛うじて空いた隙間から、ワクトルの憎憎しげな声が漏れたかと思えば――】
【たった今"水の鞭"から分離して湖面に浮いていた聖塩がひとりでに動き出し、自ら顔を出したワザワイを囲い込むだろう】
【……少しの間があって、湖面が光る。信じがたいことにこの亀、塩と湖水を媒介として"魔術"を編み上げた……!!】
【ワザワイの周囲の水が、一気に沸騰するほどの温度と化す。素早くその場から離脱しなければ全身を焼かれる羽目になるか――】



>>403

【水上へ弾き出されたことにより、先ほど放った"水の鞭"は偶然にも彼の下を潜り抜けていくだろうか】
【しかしまだ、鞭は制御を失ってはいなかった。どころか――ジェームズからの反撃が無いのを良い事に、ワクトルが再び吼える】

【≪G,oooooAAAAAA!!!≫と憎悪の咆哮。ヒレの隙間から噴射された塩が湖水と混じり合い、もう一本"水の鞭"を作り出す!】
【性質はさっきのものと同じだ。加えて、たったいま偶然回避した方の水の鞭もまだ残っている。となれば当然、】

【空中に居るジェームズへと、二本の"水の鞭"が左右から挟み込むようにして、容赦なく襲い掛かる――――!】



>>404

【"聖塩"の攻撃が聞いている――それを本能的に察知したか。ワクトルはぎょろりとJ.A.を見た。コイツには効く、と】
【尻尾から聖塩を噴出して再び『聖水』を作り出し、更なる追撃を試みる。しかし少々、間が悪かったか――】


≪G,AAAAAAAAA…………!!!!?≫


【その聖塩の噴出の瞬間に、まさにその尻尾へレーザーの照射を喰らってしまったのだ。超高圧の脂が尻尾の皮膚を食い破り、】
【奥にある聖塩の噴出孔へと到達する。――次の瞬間に起きたのは爆発だ。紫色の高エネルギーが傷口から噴出し、それが塩に着火して】
【尻尾を丸ごと吹き飛ばすほどの攻撃力を発揮する! 千切れ飛んだ尻尾が宙を舞い、そのまま湖の中へ沈んでいくだろう――】

【見れば、四肢と頭にも尻尾と同じような小さな孔――"聖塩の噴出孔"がある。この部位もまた弱点のようだ】
【しかしこの"事故"、ワクトルへの攻撃だけでは終わらなかった。エネルギーを帯びた大量の塩が四方八方へと飛散】
【J.A.と二体の僕、全てに向かって飛んでいくのである。その勢いは殆ど"塩の波"ともいえる状態で、単に"聖"の力のみならず】
【体内から血のように吹き出したあのエネルギーにより、とてつもない"高熱"を帯びている。浄化の力を抜きにしてもかなり危険だ――】


/続きます!
408 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 23:53:41.27 ID:JZ3CwIXEo
>>405

【甲羅に大ダメージを受けたとはいえ、逆に敵を水中へ引き摺り込む事には成功した――】
【そこで安心して彼女を眼中から外したのが不味かった。まさか機械の人形が、"水中"で動けるとは思いもしなかったのだ】


≪G――――ooo,AAAAAA!!?≫


【刹那、予想だにしなかった真下からの突き上げが腹部に直撃した。流石に真上に吹き飛ぶようなことはなかったものの、】
【腹部に大きなヒビが入り、その傷口から紫色のエネルギーが散るのがわかるだろうか。――ワクトルにとって不幸だったのは】
【この湖水が、『魔力や能力の通りが良い』性質であったこと。ジャンクちゃんが何かをするまでもなく】
【傷口から溢れたエネルギーが勝手に湖水へと伝導し、内側からダメージを広げていくだろう!】

【だがこの際、すぐに離脱しなかった場合。伝播した紫色のエネルギーは、湖水を経由してジャンクちゃんをも襲い】
【全身に電撃を浴びたようなダメージを負うこととなるだろう。……こうなると、頭突きという攻撃方法は危険だったかも知れず】

【――なお、この湖水の水質についてだが。ワクトルがたびたび噴出している"聖塩"と交じり合った部分は『聖水』になっているけれど】
【他は単に力の通りが良いだけの水だ。余計な力が混じっていない分、"利用して仕掛ける"には好都合かもしれない】



>>406


――――、天野ソラ。この先は深いぞ


【哀れ――精神的な動揺から抵抗も出来ず、水底へと沈んでいく少年。聖塩の効果のない湖の深みには、聖なる力は無いが】
【このまま行けば溺死は確実か。――そんな時、真横から妙な声が聞こえるかもしれない。ガルマの声なのか、別の者の声なのか】

【気づけば、ソラの周囲に数十も"真っ黒なカタマリ"が浮遊している。その正体は……いわゆる"悪霊"と呼ばれるもの】
【今のソラには見えないだろうけれど、ガルマには"戦死した者の魂を操る"というもう一つの能力がある。ガルマがそれを使ったのだ】


二度と這い上がれぬ深淵だ。貴様は永遠に、この水底で悪夢を見続ける。
 何も守れぬ、何も成せぬ、そんな餓鬼にはお似合いの結末だ。――だが僅かばかり、慈悲を掛けてやろう

我が"選定"の果てに死んだ弱者共の魂――その穢れた魂に喰われて、死ぬが良い


【悪霊の口を借りて、"戦神"の判決がソラへ届けられる。嘲るような、煽るような、そんな傲慢な声色】
【次の瞬間には、周囲の悪霊がこぞってソラへと突撃してくるだろう。触れれば"聖"とは真逆、"呪い"の力を浴びることとなる】
【攻撃すれば掻き消せる程度の下級の魂だが――今のソラにはそれでも危ういか。精神を汚染されて、このまま死ぬこともあり得る】

【ただ――悪霊に触れた瞬間、ソラの心に"声"が聞こえるかもしれない。死者の声……憎悪と憤怒の断末魔が】
【此処で死ぬならそれまで。――だが、恐らくガルマは試している。ソラの内に宿る漆黒の炎が、ここで途切れる程度のものなのかを】


/もう一つ続きます!
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/04(土) 23:54:41.31 ID:sERYxhFV0
>>403
/見落としにより加筆修正……!
/此方を>>403に追加お願いします!

【ワクトルから放たれた水の鞭は腕を盾にして防ぐが、みしりと音がしたような感触さえあった】
【だが投薬による効果か、水面すれすれの所で鋭利な爪を使って引き裂き、最悪の事態は免れる、ただ脱出こそ出来たもののダメージは大きかったようで 着水してから暫くは隙となっていた】
410 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/04(土) 23:55:12.52 ID:JZ3CwIXEo

>>ALL

【各々の攻撃により、ワクトルの体の各所にはヒビが見える。弾け飛んだ尻尾もまた然りだが――かなりのダメージを負わせられているはずだ】
【だがまだ、彼の者も折れない。再びワクトルが涙を流す。途轍もない魔力を秘めた聖なる涙が湖水に着水すれば、再びそれを手中に収め】


≪GGGGooooooooooooooAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!≫


【今度は猛烈な勢いで湖の水が湧き立ち、噴火するように爆裂。巨大な水の弾が一発づつ、"四人"へと射出されるだろうか――】
【水弾の体積が大きいだけに、直撃した際の衝撃はやはり危険。更にこの水弾、先ほどと同じく"粘度"が高い】
【喰らった場合はダメージだけでなく、水が全身に張り付いて身動きが取り辛くなってしまうだろう】

【――そして。この水弾の真に恐ろしいところは、ある程度ターゲットへ向けて"追尾"するというところである】
【地上や湖上にいる者が危険なのは勿論のこと。水中に潜っている者にすら、わざわざ湖中へ潜ってまで追いかけてくるのだ】
【仮に水中で喰らった場合、泳ぐことも儘ならなくなって溺死するということもあり得るが――】

【……なお。先ほど"四人"と描写したとおり、この攻撃は"ソラ以外"の四人のみに向けられるだろう】


【一方で、ワクトルの方も既に弱点が露呈し始めている。背中の宝石、各部の"聖塩の噴出口"】
【また、ワクトルが体内に内包している巨大なエネルギーは自分自身をも自爆させるほどに強い。傷口を広げてやるのも有効か】

【戦況は決して、不利ではないはずだ。もう一押しか、二押しか――】
411 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 00:01:47.99 ID:xbmuRD15o
>>409
/oh……すれ違ってしまったようですね
/>>407のこちらの攻撃も、「偶然躱した」云々を飛ばして、普通に水の鞭を二本作って攻撃してきたことにして下さいー
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/05(日) 00:02:30.92 ID:Yc1k+ZV00
/すみません、>>409は取り消しということで……
413 :ワザワイ・エスパス [sage]:2015/07/05(日) 00:28:05.31 ID:kx14ToGF0
>>407-408
>>410
「何、あの紫のエネルギー?」

【今にも岩石のような亀の皮膚から溢れるように立ち上るそれは何処か不吉な物に見えた】

「っ!」

【それと同時にまるで意思を持ったかのように少年を取り囲む塩の欠片、そして光り輝く水面】

「くっ、あぐっ、あ、熱い!?」

【一瞬にして沸騰する湖水、これに関しては湖水の性質を亀に見事に利用された形だろう】

「すぅぅ、はぷっ!」

【その中でも胸一杯に空気を吸い込んでより被害を押さえる為に垂直に下に潜って火傷を冷やす】

(塩だけになっても遠隔操作…なによりあのカメさん頭いいね…)

(でも…)

【と、背中に背負っていた戟をまるで銛のように構える】

(その魔法を使えるほどの集中力っていうは…)

(それに頼ることで補っている部分を露呈…このカメさんの場合は小回りとかだよね)
(させることになる)
(そして不意打ちとなれば普通は目潰しだよね!)

「たぁ〜!」

【この少年の戦闘経験が戟に冷気を纏わせて周囲の水を凍らせながら亀の眼球めがけて唯一の獲物を投的させた】
【目潰しがどのような物か言うまでも無いがもしかしたら周りの人間や後ろの戦神も巻き込んで暴れるかも知れない】
【この少年にとっての目的において亀はゴールではなく中間点、この難関の先にあるのである】

「ぷはっ、はぁ、はぁ」

【またしても先程と同じ湖水、しかし今度は量が先程とは違う】

「きゃあ!?なに、これ!?」
「体にっ、まとわりついてっ!?」

【勿論凍らせてはいるがそれでも今回はそれが余計に体の動きを鈍くしてしまっており水面でもがいている】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/05(日) 00:42:10.67 ID:WrHkKMUh0
>>407-410

「(そォーいえば前に、こォんな肌の鳥の破片拾ったが……あァれと同じ色だァな)」

【拾っただけであり、上空で何が起きていたのかはわからないが――】
【破片についていた微小なエネルギーの事を思い出し、すぐに「まあ、どうでもいいか」と思う悪魔】
【というよりも、攻撃の結果”聖塩”が飛び散ったので、その対策をとらざるを得なかったのだ】

「回避……いィや、範囲が広すぎるッ!」
「潜れば……糞ッ、潜るのは苦手なァんだよこォいつはッ」

「ちィ……なァらばッ! ディルムカプテスプ!」

【となれば、防御することになる。ブレーキをかけ、完全停止を行いつつ】
【龍が、亀と自分たちのすぐ近くに脂のレーザーを発射、すると、ある程度沈んだ脂はそこから強い浮力を発揮して】
【結果、水が間欠泉のように吹き上がる】 【そこに右腕を突っ込む悪魔。――水にエネルギーを流し込む】
【水を盾にしつつ、さらに命中した塩の持つ様々なエネルギー等を破壊する効果を付与し、防御したのだ】

「あグ……うゴゴゴゴ…………聖め聖め聖めェェエエーーッ! 消えろ消えろォァアアッ!!」

【水の性質のおかげか、それなりの成果は上がったようだが――】
【全てを破壊するには、時間も”力”も足りなかった、貫通した一部の塩が己と龍に襲いかかる】
【龍の方は、減衰のおかげでそれなりの火傷を片面に受けた程度で済んだものの……】
【本体は同じ威力で命中しても、受けるダメージは大違いだ。それがまるで強力な酸であるかのように、体を溶かす】
【右腕を水に突っ込んでいた関係上、左側へのダメージは抑えられたか、あと無理に動いたので背中の傷が悪化している】

【そういえば、マスクや服も聖によるダメージを負っているが……服はちゃんと脱げそうなのに対して、】
【マスクはダメージを負ったにもかかわらず、その下にあるはずの肌が一切見えない。】

【馬の方は、――亀の方に向けて接近を始める!】 【飛散した塩に突っ込むつもりか? いや、違う。】
【亀の体は大きい、ならばそれの影になるようにすれば被害を最小限に抑えられるのでは無いかと判断したのだ】
【近くの蓮の葉に飛び乗りつつ、まだ聖塩の影響を受けていない水でそれを強く押し、接近をする】
【その過程で、減衰されてない塩が命中(主に前方)し、白い肌は強い火傷を負った。蓮の葉も、いつ水没するかわからない状態だ】

【なお、亀に近づけば近づくほど、操っている水が塩に染まり操れなくなる危険性が増す。これは、苦肉の策なのかもしれない】


「――――地ィ方神に会ァうのは、後にしてやる。感謝しな、亀野郎。」

【強い憎しみだ、聖に対する、ぞっとする程強い憎しみ。】
【自分だけでなく、召喚した二体が受けたダメージも半分より少ない程度に受けているのだ、心身が受けたダメージは相当なハズ】

【何を思ったか、龍の首を掴みつつ水の中に飛び込んだではないか】
【そして、それと共に水の中へと――――沈む。沈んでゆく。潜るのは苦手な龍のはずでは?】
【水中を見る事が出来ればわかる、龍の身体が闇となりこの悪魔の身体に纏わり付いている事に】

【さて、水弾は潜っても追いかけてくる。当然、水中特化でない悪魔が撒けるような速度でないだろう】
【――水深10m程だろうか、とうとうそれに捕まってしまった悪魔。聖に全身を焼かれ、聞くに堪えない声が上がる】
【悪魔の全身に、龍の黄色い腹部の皮膚が纏われているがこれは――】
【――ところで、手に持っているのは悪魔のイメージの鉄板、三叉槍だろうか? どこから出した?】

【三叉槍を大きく天に掲げ――龍の腹部はその殆どを脂で構成する。つまり、"動かずとも動ける”】
【強力な浮力により悪魔は急浮上! 狙うは、亀の腹のひと突きだッ!】
【三叉槍自体に特殊な力は無い。ただ、結構丈夫なくらいだ】

>>406

「(俺様の請ェ求から逃ィげる事は許さんぞ?)」

【……これはもしもの話だが、もし天野ソラが自力で浮上できなかった場合、その下方向から水圧が押し寄せ、呼吸可能な場所まで押し上げようとするだろう】
【これは、蓮の葉が動きを止めたのと同時に発生する――】
415 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [saga]:2015/07/05(日) 00:48:34.14 ID:qo+mXGcGo
>>407>>408>>410

ぐっ、ああああああッ……!うう、電、撃……どっか回路やられてないでしょうか……
とりあえず、駆動に問題はないようですが……


【再びいい手ごたえを感じたが、攻撃を行うたびにこちらにダメージが来る】
【耐久力の高さには自信があるからと言ってあまりダメージを喰らいすぎて大破してもまずいのだ、近距離の戦闘はどうにも危険すぎる】


高純度のエネルギーが体内に籠っているだけあって……近距離でぶつかるたびにダメージが……
しかし、これでいいのデスヨー、今ぶつかった時に仕込んできた!すでに起動させておいた―――"アベンジャーズエッグ"を!

『ヘッドレス・クロス』!――――Happy Birthday!!


【ワクトルから距離を取りながらジャンクちゃんが発動させるのは、先日本格的に発現した彼女の―――マインド能力!】
【全身が機械のツギハギに覆われた女性的なフォルム、長い黒髪に金のティアラを持ったヴィジョンが現れ、その左手をす、と振るうと】
【突如、激突地点に残しておいた赤色の"卵"から勢いよく"命を持った鋼鉄"で出来た細長い≪轍(わだち)≫が勢いよく生えてくるだろう!】

【その轍を生やす"卵"を早めに叩かなければ、その力に満ちた水をどんどん"卵"が吸い取り、生長してワクトルの全身をしばりつけようとするだろう!】
【甲羅の上から、そのヒレや頭部の生えている部分などをしばりつけ、その動きを一時的に封じようとしてくるだろう】
【少なくともヒレを縛ってしまえば、他の面々が甲羅めがけて攻撃を仕掛けるのが一層容易くなる他、攻撃手段が水などの魔力攻撃に絞られると踏んだのだ】

【この隙に彼女が取ろうとした行動、それは今まさに水の中に沈んでいる味方>>406の救出だ】
【彼は人間だ、自分とは違う―――このまま潜ったままでは溺死する―――!】
【救出しなくては、と思った矢先にワクトルが次なる手段を取る!水上の方で何かが破裂するような振動音が感知された】
【その水弾がこちらに向かってくる、『マリンスクリュー』を加速させて振り切ろうとするが、追尾されうまくいかない、このままでは―――!】

【そしてその一撃をジャンクちゃんは避けられなかった!ソラの所まであともう少しという所で彼女は脚部に被弾!水が張り付きスクリューの動きが鈍る!】


ああっ!!……うっ、つ、やはり動きが……でもこれでいい、とりあえずは彼の所に辿り着けました
ほんのわずかに手が届けば―――後はこの子たちの力で引っ張り上げる!『ヘッドレス・クロス』!!


【続いてソラの方向に手を伸ばしながら彼女は再び『ヘッドレス・クロス』の能力を発動!複数の赤い"卵"を周囲にばらまき】
【マインドの拳を叩き込むと―――全ての卵から紫色のカジキマグロやレモン色のトビウオのような形の機械生命体が誕生、両者を囲み全員で水上まで引っ張り上げようとするだろう】
【この数ならば、そしてトビウオの羽でJ.A.>>414の水圧を受けて地上まで上昇することは訳はない、ソラがその手を掴むことに成功したとしても二人まとめて地上に飛ばされる事だろう!】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/05(日) 00:52:59.78 ID:Yc1k+ZV00
>>407-410

【ジェームズの位置はまだ宙に飛ばされたまま、そこに追い討ちとして二本の鞭が襲い掛かる】
【水の鞭に挟まれる形となるが、左右の鞭をそれぞれ右腕 左腕と咄嗟にガードして】
【それによって鞭に腕が貼り付くが、投薬の効果があるようで、ジェームズはすぐに鞭を引きちぎって脱出するだろう】

【そのまま着水したならダメージがあるのか、腕を余り動かさないような姿勢となっていて】
【犬かきですらなく足だけをばたつかせて浮いているだけだ、今ので彼も大分体力を消耗したのだろう、それもゆったりとした動きで】

…………ッ!!が……はっ…………!

【だからか、ワクトルから繰り出された次なる攻撃である水弾を避けられず胴体へ直撃する】
【粘度のある弾を受けて、変身状態の毛がそれに張り付く、半分は着用していたタンクトップに付いたものの、毛に絡み付いてくるせいで動きが鈍くなっていた】

【どんどんと湖に沈んでいく、だが脱出の方法は存在していた】
【獣人の状態から人間の状態まで一時的に戻るのだ、毛はみるみる小さくなって水弾から剥がれていき、それによって動けるようになった腕でタンクトップを脱ぎ捨てて】
【それでどうにか脱出すると、その深さをキープしたまま何処かへ泳ぎ出していた】

【ずばり、狙うのは先にいるガルマ本体だ、もし離島まで接近に気付かなければ上陸と同時にマスティフへと姿を変え、ナイフのような爪でガルマへと飛びかかるだろう】
【それが成功しても失敗しても、ワクトルの注意は牽くことが出来るはずだ】
【泳ぐ速度から見て二本目の注射をしたのだろう、又、此方に目を向けさせればワクトルに隙も生まれる筈】
417 :天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/07/05(日) 01:06:00.70 ID:PpUf+wM3o
>>408>>410

──────……

【沈む、暗い闇の中へと落ちて行く】
【もう苦しくはない、意識が遠のいて、何も考えられない】
【きっと自分はこの程度の人間だったんだ、いくら憎しみを抱こうと、戦おうという事自体が間違い、だって『あの時』死んでいた筈なんだから】
【だったら、今ここで死ぬのも悪くはないかもしれない、憎悪と悲哀の狭間で苦しみ続ける事がないのなら】

【ゴボリ、水泡が泡立った音で、天野は気が付いた】
【声がする、語り掛ける声は、今この場にはいない筈の奴の声だ】
【言い返してやりたいが、水の中では声が出ない───出たとしても、今の状態では何も言えないだろうが】

【水底に沈む黒い魂が幾つも見える、それが何かはわからないが、良くないものなのはわかった。もうどうでもいい】
【抵抗もせず、声も出さず、沈み行く天野の体に黒い魂が幾つも入って行く、その度に、常人では気が狂いそうな憎悪と憤怒が心を埋めて行く】

(───ああ)
(同じ≠ネんだ───こいつらも)

【憎い、悔しい、悲しい───何も出来ずに蹂躙された弱者の負の感情、呪い、それを受けて天野は悟った】
【自分と同じだ、憎しみを抱いて復讐を果たしたい、でも出来ない、力が届かないから、何も出来ない】
【裏返せば、その憎悪は救いを求める声だ、自分に救いが欲しいから、復讐を果たす事で自分を救おうとしている】
【きっと、彼ら≠燗ッじ】

(───……わかったよ)

【黒い魂が全て天野の中に入った、きっと今頃天野の中に渦巻く他者の憎悪は計り知れないものとなっているだろう】
【だが、天野の心は逆に、驚く程に穏やかだった───何故ならば】

【何故ならば、『共に歩む者達』が出来たから】

(俺が『運ぶ』から、一緒に行こう、そして───)

(『復讐を、果たすんだ』)

【燃える、暗く深い水底で、その闇よりも更に深く暗い、濃い鉄紺色の焔がぼうと燃え上がり、湖の水を押し退けて燃え広がる】
【闇が拡がったかのように見えるその焔は、一瞬大きくなると一つ場所に収縮し、そこには一つの存在が残った】
【一瞬だが拡がった焔に比べれば遥かに小さな存在だが、しかしそれは全ての憎悪を凝縮したかのような存在。鉄紺色の鎧に身を包んだ龍人と形容する、禍々しい者】

【それが、水圧>>414で押し上げられ、更にその手を掴む者>>415がいる。海中で動きが取れないというリスクは感じられないくらいに早く、水上へと向かって行く】
【『独りじゃない』 ずっとずっと、孤独を感じながら戦ってきた天野の心が、軽くなった】

【ジャンクちゃんと共に湖から地上に飛び出した天野の姿は、湖に落ちる前とはまるで違う、全身鉄紺色をした人型の龍とも言うべき姿へと、変貌を遂げていて】
【水面から出た瞬間、天野はジャンクちゃんから手を離して離脱、すぐ真下の蓮に着地したかと思えば、鋭い跳躍を見せる】
【向かう先は───ワクトル!】

───ォォオオオオオオオオオオオオッッ!!!

【狙いはワクトルの頭部、聖塩の噴出口───天野はそれが何か知らないが、本能的に『狙うべきだ』と感じた───に向けて、振り上げた右の拳を振り下ろす!】
【その力は、抱いた憎悪の重さに比例して重く強くなっている、あれだけの悪霊の憎悪を乗せた拳の重さは凄まじく…!】
418 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 01:35:33.90 ID:xbmuRD15o
>>413

【聖なる塩とそれにより作り出した聖水を操る、海の化身――思えば此処まで二度、"涙"を流すことで強力な攻撃を放ってきた】
【であれば。ワザワイからすれば単なる不意打ちの意図だったのかもしれないけれど、"涙"の源泉である眼を狙い打つというのは非常に合理的な選択だ】
【他の者の攻撃に手一杯になっている面もあり――飛翔する戟が、ワクトルの眼へと飛翔していく】


≪GGGGGG, ooooOO,AAAAAAAAAAAAAAAAAA――――!!!!!!!?≫


【そこが致命的だという事はワクトル自身も理解していたのだろう。咄嗟に首を振って回避を試み、戟は眉間の間に突き刺さったが、】
【――予想外だったのは"氷"だ。戟と共に飛翔した水と氷気が絡み合い、見事にワクトルの両目を氷で覆い尽くして眼を潰す………!!】
【これでもう、あの強力な"涙"は流せない。主への被害を考慮してかまったく暴れなかったのは流石と言うべきかもしれないが、確実に切り札は潰した】

【その上、ダメージも相当のものだったのか……今回、ワクトルはワザワイに対して即座に反撃はしないだろう】
【ただ、お返しとばかり。水に魔力を通してワザワイの位置を特定し、その周囲にある水に聖塩を吹き付けて操作】
【再び水の"粘度"を上げ、先ほどの水弾を喰らってもがくワザワイの動きを、その上から更に拘束しようとする】

【――それは、この後の攻撃への"布石"だ。完全に動きを封じられてしまえば、非常に危ういことになる……】


>>414

【ほぼ偶然の産物であったとはいえ――尻尾を引き千切られたことへの憎しみは、J.A.の聖に対する憎しみに匹敵するほどに大きい】
【龍と悪魔の姿が真下に潜り込んで消えたと見るや、苛立ち混じりにワクトルが定めた獲物は馬の方だった】
【近寄ってきた馬の真下。聖塩が混ぜ込まれ制御下に置かれた湖水が盛り上がり、その身体を突き上げんとするだろう】
【もしそれが成功したならば――首を大きく振り、大口を開ける。そのまま白馬を丸飲みにするつもりだ!】


≪………G, ooAAAooOOOOOOOOOOOOOO!!!!!?≫


【――が。それらの行動が成功するか否かに関わらず、それはあくまで馬にのみ行われた攻撃であって】
【龍を闇へと変換し、脂の浮力を利用して真下から魚雷じみた勢いで突撃してくる"悪魔"を止める術はなかった】
【激烈な悲鳴が上がるだろう。ただ突き刺さっただけならまだ良かったが……その付近には、一番最初にワザワイが真下から突き上げた傷があって】

【その傷口と三叉槍により出来た傷口が、繋がる。その刹那――内圧に負けた外殻が、内部から"爆ぜる"!】
【漏れ出した大量のエネルギーが湖水に伝播し、紫色のエネルギーによる"出血"が湖水を汚すだろう……!!】


>>415

【――これほどの巨体。身体に張り付いた小さな小さな赤色など気づきもしなかったし、気づこうともしなかった】
【矮小なる者を甘く見続けたツケが今、ワクトルへ回ってくる。――孵化した"卵"から延びた茨が、ワクトルの全身へと伸び上がる……!】


≪o,oooooo,,, AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――!!!!!≫


【"海の試練"は其処で、もはやこれまでだと悟った。……後ろ足の付け根から聖塩が吹き出し、それを媒介として水中で"魔術"を発動させる】
【出来上がった巨大な"塩の刃"で――自らの腹を、引き裂いたのである。卵を摘出する代わりに、先ほどとは比較にならない量のエネルギーが漏れ出して……】
【同時にJ.A.の攻撃によって、腹部には別の部位にも大穴が空いてしまっている。元よりほどんどその場から動かなかったワクトルだけれど】
【いよいよもって、動きが鈍くなってきたのがわかるはずだ。出血多量といったところか――この分なら、放っておいても力尽きそうなほど】

【なお、ワクトルは塩の刃を使ってジャンクちゃんに攻撃を加えようとしたものの……ソラを助けようとした一連の動きにより、結果的に回避される形となる】
【――だが、ここで油断しては駄目だ。この亀は、腐っても戦神の僕だということを忘れてはならない……】


/続きます
419 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 01:37:50.29 ID:xbmuRD15o
>>416

【水中であの水弾を受け、すぐさま動けるようになるとは思っていなかった。それが無くとも、他の者の攻撃で致命打を負っていたのだ――】
【もはや、ワクトルは主を完全に守れる状態ではなかった。獣と化したジェームスが浮島に到達するのを阻むことは出来ず、】


「――――――!!」


【振り下ろされた爪を受けたのは。いや、"受けさせられた"のは、やはりと言うべきなのかミドナであった】
【……奇妙なのは。このタイミングであれば、あの六本腕でいくらでも対応できたはずなのに、ミドナは背中でガルマを庇ったという点】
【最初の時と比べて反応速度が落ちている。よく見れば、呪刻の光が弱まっているようにも見えるだろうか――?】

【その原因は――今のガルマの状態にあると、すぐにわかるはずだ】
【ガルマは最早誰も見ていなかった。宙に浮かぶ文字が彼の全身へびっしりと侵食し、滝のように汗を流しながら瞑想しているように見える】
【――ガルマがやろうとしている"何か"のせいで彼が消耗したことによって、ミドナの呪刻の力が弱まっているのだ】


「…………に、げて……………は、や………………」


【果たして――ミドナの小さな呟きを。彼女の精一杯の"抵抗"の結果を、ジェームズは聞き取れたかどうか】
【それを聞き取れてさえいれば、この後に訪れる"最大の攻撃"にいち早く対処することもできるはずであり―――】



>>417

【先ほどの水弾がソラにだけ向かわなかったのは、ワクトルがこう認識していたからだ。天野ソラは、無様に死んだと】
【あの少年は取るに足らない"弱者"であったと――そう思いこんでいたからだ。それが今更、昏い昏い水底から戻ってこようとは】
【故にその時、ワクトルが感じたのは"恐怖"のみであった。そもそもワザワイにより眼を潰されていて視認すら出来ない】

【仲間の手を借りて、真下から猛烈な勢いで迫ってくる"鉄紺の炎"――観念すれば良かったものを、やはりこの亀も戦神の手の者ということか】
【頭部に感じる凄まじい威圧感に反応し、ワクトルは鼻の下にある"噴出口"から聖塩を吹き出してしまった。――それが、致命的】


≪G,o                  A?≫


【ありったけの憎悪を乗せた右拳が、噴出した聖塩ごと頭部を粉砕する。強すぎる衝撃が塩の魔力を励起し、それが内部のエネルギーに伝わり――】
【――悲鳴ともいえない悲鳴と、目を覆うほどの大爆発がソラへ伝わるはずである。内包していたエネルギーが一気に爆裂し、】

【光が収まったなら、ワクトルの首から上が綺麗に吹き飛んでいるはずだ……!!】
【その時、ソラの体内から『見事』という声が聞こえてくるかもしれない。新たなる強者の誕生を喜ぶガルマの声か……それとも、同調した魂達の賞賛か】
【グチャグチャになった首の断面からは鮮血代わりに紫色の力の奔流が溢れ出る。触れれば危険だが、最早すべて"終わったこと"で――】

【……否。まだだ、まだ終わってはいない。"海の試練"は、その新しく手に入れた力すらも試さねば、決して済まない――――】


/もう一つだけ続きます!
420 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 01:41:04.66 ID:xbmuRD15o
>>ALL


≪、………、≫


【いよいよ――ワクトルにも限界が見えた。血の代わりにあちこちから紫色のエネルギーが漏れ出し、自壊寸前の様相を呈し始めている】
【――ソラによって頭部を吹き飛ばされてもなお駆動するのは、やはり単なる生物ではないということなのだろうけれど】
【いくら神の僕とて、これほどの能力者に囲い込まれればそう長くは持ち応えられないということだろう。それを漸く、当人も理解したようで】

【ガルマの命を受けるまでもなく、ワクトルは"最後の攻撃"に打って出るだろう。頭が残っていれば、遺跡中に響き渡るような叫び声を上げていたはず――】
【一度、彼は深く深く水中へと体を沈める。主の護衛を捨て、亀本来の本能のままに、深い深い水底を舞い踊るように泳ぎ回る】
【――そのひと掻きごとに"速度"が上がっていく。小島と見紛う漆黒の巨躯は完全に水中へ潜ることで本来のスピードを発揮し、巨大な弾丸へと変わっていって】


≪………――――――――――――!!!!!!!≫


【刹那。途轍もない勢いで急浮上――莫大な質量が水面下から飛び出し、湖面が噴火したかのように爆裂する………!!】
【現在ワクトルの近場に居る者たちにとっては、それは触れただけで全身の骨を砕くほどの致命的な突進攻撃であるのは明白であり】

【そして当然、それだけではない。大量に巻き上がった湖水に真っ白な粉末が混入しているのがはっきり解るはずで】
【――"聖"の力によって操られた湖水が、巨大な津波となって全員へ勢い良く叩き付けられる!!】

【そればかりでは終わらない。これらの攻撃が終わった後、天高く巻き上がった湖水が雨となって部屋中に降り注ぐのだが、】
【その雨の一粒一粒が全て"塩の杭"と化し、全域へ落ちてくるのである――ひとつひとつの威力は低いが、全身に浴びれば流石に危険だ】


【しかし――逆に。其れさえ乗り越えられれば、水中より天高く飛び上がったワクトルの身体は、当然ながら】
【一時、完全に無防備の状態となる。柔らかい腹部を狙うでも他の部位を狙うでも良い。――此処さえ乗り切れれば】
【この"海の試練"に終わりを告げる、決定的な一打を加えることも可能となるはずだ――――!!】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/05(日) 01:53:21.23 ID:GrMR5civo
【深夜、紺碧の色に染められた空に浮かぶ月明かり】
【都市より離れた大きな公園は休日の人々にとっては憩いの場だが夜、それも深い時となれば別だ】
【せせらぎを響かせる小川にも、子供の為の遊具にも人気は無く、染み入るような静けさだけが支配している】

――――――――……

【芝に彩られた緩やかな丘陵、その頂にしかし1人の影が】
【月下にて三日月のように煌めく物、弓なりの薄い銀の色を宿す弧月】
【その正体は刀、洗礼された斬る為だけの道具】

【それを扱う彼に動きはない、ただ正眼に構え呼吸を静かに練るように】
【異色の瞳をそうっと閉じ、白髪は時折流れる風に揺られ思い出したように踊りだす】
【時にして1時間程経つ、その間に一切の動きは無くただこの姿勢に従事していた】

【視覚を絶ち、それ以外の感覚を用いて自身の姿勢を練り上げる】
【骨格、筋肉、表皮――――それらの微妙なバランスをこれまた微妙な操作で最適を探す】
【最上の状態を見出しその状態を本番で用いる為の修行、平素の時に於いて出来ない事は本番でも出来ないと誰が言ったか】

【修練を見つめる者があれば近づかない限りは意識を向けない】
【物見遊山で近づく者がいたならば、或いはそれが契機とみてそっと刀を下げるだろう】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/05(日) 02:09:27.51 ID:Yc1k+ZV00
>>418-420

【ミドナが割って入るとジェームズの攻撃は背中に深く食い込む前に止まるだろうか、それでも出血する傷にはなるはずで】
【すぐさま腕を引っ込めて追撃をやめるが、それはミドナに意識があることを感じたからか】
【彼女はただ一言、逃げてと小さく伝えるが そんな言う事は聞けないとジェームズは拒否してしまうだろう】

……バカ野郎っ、逃げるんならアンタも一緒だ、任務を頼まれておいて見捨てられるかよ!
アンタの隊長が『俺たちはいつでも、お前の帰りを待ってる』ってよ、伝えてくれと言われたんだ、そんな男の言葉を無視して逃げるなんて出来っこねェ!!

アンタをSCARLETまで連れ帰る、ほら、一緒に………………

【だからとミドナの腕を掴む筈だ、それだけならまだ 咄嗟の反応も可能かも知れない】
【しかしワクトルが起こした津波の音にも振り返ったならきっと判断は遅れることになる】

【ガルマのやろうとしていることに対しての集中は出来ていない、ワクトルが距離を置いて立ちはだかったように 自分の周囲にまで影響を及ぼす事はしないとジェームズも考えているのだ、故にこれから起こることに対してはきっと…………】
423 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/05(日) 02:19:59.65 ID:qo+mXGcGo
>>418->>420

【みごと塩の刃を避けきり、地上へと脱出したジャンクちゃんは今まさに最後の抵抗を試みるワクトルと向かい合う】
【首から上が吹き飛び、生命反応など急速に消えていくのが見て取れるのに、戦神に組み込まれたギミックに突き動かされまだこちらに猛威を振るってくる!】
【後ろに跳びその激突の衝撃から身を守り、そして上空に飛び出したワクトルと―――無数の聖なる水槍を強く睨み返し】


―――いいでしょう!それでもなお向かってくるならば全力で迎え撃つのがワタシの最善の行動判断します!
その巨体、穴だらけにして差し上げるのデスヨー!『ガトリングガン』!!―――フルファイアッ!!


【腹部のジッパーを開けると―――上空のワクトルめがけその十六門に及ぶ連発砲の銃口が向けられることとなる】
【全砲門、対怪物用徹甲弾に換装済み、一発一発が受けるたびにその肉をこそぎ取っていくであろう大火力を―――そのまま一気に発射する!】

【バババババババ!!!!と、鼓膜が弾けてしまいそうな轟音が連続で遺跡の中に響き渡っていく――】
【打ち続けていく中、ジャンクちゃんもまたワクトルの渾身の猛攻を受け続ける、その巨大な津波がバシィン!と叩きつけられようとも、足のパーツで地面に固定され転げ落ちず】
【なおもワクトルの腹部めがけその弾丸が飛び交う、向かってくる塩の杭の一部もそのまま破壊し続けていくが】
【その弾幕を縫うようにジャンクちゃんの元まで辿り着いた攻撃が次々に着弾、右肩に、左胸に、両足に、少しづつ塩の杭が突き刺さっていく!】


――――っ、ああ、アァァァァァァァ――――――――――――――!!!!!!


【それでもなおジャンクちゃんは塩の杭を薙ぎ払い、味方の攻撃の弾道を確保するかの如く発砲を続け】
【ワクトルが完全に沈黙するまで猛攻に、ガトリングガンの連射で最後の最後まで相対を続ける―――どちらかが動かなくなるまでこの猛攻は続く!】
424 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 02:20:23.94 ID:xbmuRD15o
>>422
/すみません、質問です……
/今回のレスは、「ガルマやミドナの居る位置には攻撃が届かないだろう」と判断して、ワクトルの最後の攻撃にはあえて対応しなかったということでよろしいのでしょうか?
425 :天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/07/05(日) 02:20:33.23 ID:PpUf+wM3o
>>419>>420
【重い重い衝撃が、右腕を通して伝わってくる。一度、ズン、と響いた重さが、ワクトルの頭部にも浸透して】
【爆裂するワクトルの頭部、肉片と、紫の魔力と、聖塩を間近から浴びながらも、攻撃の反動を利用して近くの蓮に飛び乗った】
【聖なる力を持つ聖塩は、間近で浴びてしまえば大きなダメージになる筈が、今の状態の天野にはそれは通じない───焔で作られた鎧が、聖なる力を天野本体まで行かせないからだ】

……まだだ!

【頭部を吹き飛ばしたのだ、これで終わる筈───普通の生物であるならば、きっとそうだろう】
【だが、ワクトルは『普通の』生物ではない、むしろ生物かも怪しいくらいで、だとすればまだ終わらない、と天野は感じ取っていた】
【湖の中に逃げ込んだワクトルを追う事はなく、その動きを視線で追う、不自然な遊泳は、水をかくたびに加速していく、すぐにそれは『助走』だと気付いた】

【そして、湖そのものが爆発したかのような衝撃。天野は一足早く湖の中心から離れていた為に巻き込まれずに済んだ】
【続いて迫り来る津波、塩の杭、どちらも自分を苦しめた攻撃を更に強力にしたような物だ。きっと少し前までの自分なら、どうしようもなかった】

……もう、怖くない

俺は……戦えるッ!!

【構える天野、両肘から生えた刃のような牙に焔が灯り、長く鋭く強化される】
【長い長い、刀のようになった両肘の牙、それを交差させるように振るい、津波に大きな切れ込みを入れた】
【続いて降り注ぐ塩の杭、それを天野は降って来るまで待ってはいなかった。津波をかわすとすぐに飛び上がり、ワクトルに向かって真っ直ぐに向かって行く】
【その途中、流星群のように空中に漂い、降って来る塩の杭の群れ、その群れの中を突っ切りながら、長くなった両肘の牙を振り回し、次々に破壊していく。自分に当たる物だけでなく、とにかく沢山、他の人間へ行かないように】

【鎧を削られ、牙に刃毀れを作りながらも無理矢理に抜けた攻撃、あとはもう、無防備なワクトルが空中にいるだけだ】
【天野はワクトルよりも更に高く飛び上がると、右脚をグンと高く上げる。高く上げた右脚の踵から、大鎌の刃のような巨大な牙が、鉄紺色の焔によって象られて】

これで終わり……だァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

【刑死者を裁くギロチンの如く、牙を湛えた右脚をワクトルに対して振り下ろす!】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/05(日) 02:29:55.00 ID:Yc1k+ZV00
>>424
/あ、はい、そういうことです
/それとも浮島まで攻撃は来ているのでしょうか?もしそうであるなら直ぐに書き直します……!
427 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 02:31:18.20 ID:xbmuRD15o
>>426
/了解です、そういうことでしたらこのままで大丈夫ですので!
428 :ワザワイ・エスパス [sage]:2015/07/05(日) 02:34:19.69 ID:kx14ToGF0
>>419-420
【偶然にもワクトルの涙と視界を封じる事に成功したが先程の粘液よりも強力なものが男の娘におそいかかる】

(こうなったら!)

【刹那、二発目の粘液が来る前に自分の周りの水ごと粘液を凍らせる】

(でもってこうっ!)

【そうして次に来る粘液とその後の衝撃への盾として使い水面に逃れると氷を浮かべて足場にする】

「UuuuuuuHYAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

【そして>>423の娘と同じように周りの波を凍らせてそのまま防壁に使いながら塩の杭やワクトルに向かってドリル状の氷柱を乱打する】
【彼女のおかげでかなり攻撃が通りやすくなっているのだ】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/05(日) 02:36:37.85 ID:WrHkKMUh0
>>418-420

『!』 『クォオオーーンッ!』

【制御が効かない、近くにある水は誰かの者になってしまった――だから、己が制御出来なくなっているッ】
【深い位置にならあるだろう、だがこの制御の効かない水と混ざり合った時、負けるのはおそらくこっちだ】

【悪魔は”一応水の生成は出来る”と言っていただろうか、――それが、本当に一応レベルだとここでわかる】
【角先から放出される水は、一般的な水道の蛇口全開程度の勢いと水量。一応海水だが、正直どうでも良い】
【もう突き上げられるのを防ぐ術は己には無い、ならば次の攻撃に備えるしかないと判断したのだろう】
【盛り上がり突き上げ荒れる直後に上方へ跳躍し、衝撃を軽減しつつ――放出した水を己の回りに溜める】

【――そして、その水で身体を押しどうにか後方へと退避。間一髪だった。】
【相手は頭部にダメージを受け、それを爆裂させた……その余波を近くで受け、退避はできたが吹っ飛んで地面に叩き付けられる形となる】


【槍が折れた。浮力による突き上げに、爆ぜるように漏れだした大量のエネルギーに、耐えきれなかったようだ】
【近くにいた悪魔もそのエネルギーをモロに浴びる事になるか――だが、こちらを狙った訳でないのならば(威力が分散しているならば)】

「(食ゥってやるッ!)」

【魂吸技で対応出来る。その全身でエネルギーを吸収し回復、エネルギーによるダメージと五分五分に持ち込んだ】
【……亀の身体が沈む、遮るものがなくなれば当然この悪魔は浮上する】
【槍による攻撃の反動、全身を叩き付けられた痛み、それらは今までのダメージをさらに加速させる】

【さらに、この状態ではまともに動く事が出来ない。水の上で滑って転ぶなんて間抜けなことまでしている】

「(――来ゥるッ!)」 「(解除すゥれば沈む、解除しィなければ転ぶ――)」

【ならば――】

「”しィまうと見ィせかけてしィまわない”――ちょーっとした裏技だ」

【馬の身体が闇となり、悪魔の方に吸い寄せられる。それと同時に、悪魔は全身から脂を放出】
【脂が水面を覆い始め、馬の身体が闇から戻ればその背に乗り――脂を操り、ガルマの方へと逃げるッ】
【亀の直撃は免れたか、しかしどちらもかなり無理をしている、杭を避けたり防いだりする余裕はない】

【そして大きく揺れる水――よく滑る脂は、水の流れにとても敏感。】
【これにより悪魔と馬はバランスを崩し、津波に飲み込まれ――】
【――――なんやかんやで、ガルマのいる小島に流れ着いているだろうか】

【特に悪魔の身体には、幾つもの杭が命中しただろう風穴。】
【けれども、津波が持っていた聖――それによって全身が焼かれてはいない】
【悪魔の身体の表面がてかてかなのに気がつくだろうか、脂が水と混ざらない性質を生かし】
【それを全身から常に放出する事で、津波の聖に関してはかなりの軽減に成功したのである】

「ずゥいぶんと歓迎が手ェ荒いじゃアねェーか、テメェー」

【さて、水に溶けていた自分の血液はもう聖によって使い物にならないし】
【水の操作もおそらく使い物にならない――これでは一撃が用意できない】

「あァ……そォこの糞野郎、二ィィ度目のディルムレーディスプ、さァせてもらうぞ……ッ!」

【悪魔の背中の龍皮が割れ、覗く聖の傷口から吹き出すのは――大量の、この悪魔の体内にあったエネルギー】
【それは一直線に亀――ワクトルに向かい、先ほど自分が開けた腹の傷めがけて飛ばす】

【先ほど行った魂吸技と同じだ。但し、方法の違いから――威力は、上がっている。】
430 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !nasu_res]:2015/07/05(日) 03:11:57.35 ID:xbmuRD15o
>>422 >>423 >>425 >>428 >>429

【――果たして。すべての攻撃に耐えてみせた戦士たちの反撃が、此処に炸裂した】
【ジャンクちゃんのガトリングガンが腹部を抉り取る。ワザワイの氷柱が四肢を次々に切り飛ばす】【J.A.の魂吸収がエネルギーを削ぎ取り、最後に――ソラの右脚が、ワクトルの身体を縦に叩き割った】

【そんな中、未だ操られたままのミドナを慮る者もいる。自らの命を敢えて敵の居場所に託した者も居る】
【ジェームズの読み通り、浮島にはガルマにより結界じみた力が張られて守護され、無傷のままで乗り切ることに成功する】
【どうにか逃れたJ.A.に関しても同じく結界によって守られ、"塩の杭"の被害をいくらか減らすことができたはずである……】


≪――――.……、….....≫


【尻尾も、頭も、そして四肢も。すべてを破壊され、ワクトルは最早原型を留めないまでに砕け散った】
【残されたのは空虚な甲羅が、ぐらりと揺らぎ――湖中に沈んだ後、爆発する。紫色のエネルギーが水中に散って、その死を告げるだろう】

【――"海の試練"は終わりを告げた。これでようやく、諸悪の根元たるガルマを直接狙い打つことが叶う状態になったが……】


≪語部≫よ………大儀であったな、よくぞ持ち応えた。


【まるで天から降り注ぐかのような、心胆を寒からしめる低い男の声が響く。誰のものであるかはもはや言うまでもあるまい】
【僕をやられて無防備となり、再び一同の前で話し始めた戦神の顔には――焦りも怒りも無かった。色濃い疲労が滲んではいたけれど、この上ない愉悦の表情】
【ワクトルを戦わせている裏でどんなことをやっていたのかは解らないが、とにかく消耗しているなら好都合。すぐにでも飛びかかっても良いが……】

【ミドナの手を掴むジェームズに目も暮れず、ガルマは軽くミドナの肩に手を置いた。――その瞬間のことである】
【ガルマとミドナの姿が一瞬にして掻き消えるだろう。ジェームズとJ.A.だけが、浮島に取り残される形となるはずだ】
【よほど目が良ければ。その時、二人が浮島に出来ていた"小さな水溜まり"の中に消えたようにも見えたかもしれないが】

【――いずれにしても、こんな力はガルマにもミドナにも無かったはず。何か………何か。とてつもなく危険なモノが、進行しているような、】


嗚呼、戦士達よ―――――実に、実に見事な"闘争"であった。
我が僕をここまで追い詰め、そして強く"成長"まで遂げたものも居る。お前達はやはり一角の強者なのであろう。

我自ら相手をしてやれなくて、済まなかったな。……ククッ、だが許せ。今まさに"余興"の準備が整ったところでな。
漸く我への拝謁が叶ってさぞ嬉しかろうが、しかし今は待て。見事"海の試練"を潜り抜けたお前達には褒美として、相応のモノを見せてやるとしよう。


――碩老たる≪語部≫よ! 時は来たれり、此こそが我が神意である! 其の涙、其の命、一滴残さず主へ奉ぜよ!! 
贄となりて水底へ捧ぎ、其の最期でもって、斯の日の"悪夢"を此処に再び喚び戻さん―――――!!


【二人は次の瞬間、浮島のさらに奥。湖と壁の境目の部分へと移動しているだろう。まるで"水"を介して瞬間移動したかのような光景――】
【ガルマは大きく手を広げ、まるで五人を迎え入れるかのように笑った。ワクトルを撃破した戦士たちへ、父が子に向けるが如き視線を向け】
【燃え滾るような昂揚に任せて吼えた。たった今死んだはずのワクトルへ、命を捧げよと高らかに叫ぶのだ】

【それはどういうことか――その答えは、すぐ見えるはずである。ワクトルに蓄積されていた莫大なエネルギーが、いま完全に湖中へ"拡散"したのだ】
【まるでこの湖自体が、散ったワクトルの命と力を喰らっているかのように。其れを証明するかの如く、湖の水が強い光を発し始めるだろう】
【激戦によって部屋中に散らばっていた湖水もひとりでに動き出し、湖の中へ引き込まれていく……】


/続きます!
431 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !nasu_res]:2015/07/05(日) 03:20:45.79 ID:xbmuRD15o


さあ、驚嘆せよ、歓喜せよ。人の子よ、この世全ての兵(つわもの)よ――――。
我は今宵、此の世界に真なる"選定"を齎すための力を……此の腑抜け切った人の世を救済する為の"手段"を、遂に手中に収めたぞ!

打ち震えて見上げるが良い。かつて我ら神々が古代人に齎し、いつしか"闘争"により汚し貶められた万象通ず器、その美しき成れの果てを!!


【昏き地下に在りながら天へと通ず神の咆哮。力も心も全てを燃え盛らせて、戦神はあろう事か、ミドナもろとも湖へと勢い良く飛び込むだろう】
【そして暫時、湖全体が蠢き始める。ワクトルの成れの果てである巨大なエネルギー塊を中心として湖水が集約されていき】
【湖面の全域が、鼓動するが如く断続的に突き上がっていく。地底湖だったモノは盛り上がり、高く高く伸び上がっていく――】

【……なお、この湖面が盛り上がる段階で。湖にいた者全員は、抵抗しない限り陸地へ押し流されることになるだろう】
【いや、例え抵抗する体力があっても抵抗しない方がいい。この時点で"この湖"は何かおかしいと気づけるはず、すぐに陸地に上がるのが賢明だ……】



【――――さて。此処までくれば、流石に察せられるだろうか】
【今まで全員が戦っていた、この"地底湖"。其れそのものが、かつて古代人達がこの遺跡に封印したモノの正体であったのだと】
【ただ力が通りやすいだけだった筈の、光り輝く水。その"本性"こそを、ガルマはこの遺跡に暴きやってきたのだと――】


此処に『燃料』は揃えた。『鍵』は我が務めよう。
六つ夜呑み込む怒濤の化身よ、"戦神"の名の下、いま此処に顕現せよ――――、



                        ――――"挽歌の巨人"ッ!! 『イクストゥム』――――!!!



【――そうして。五人の前に現れ出たのは、空色に輝く水の身体を持つ"巨人"の姿であった】

【ただ莫大な量の水がそのままヒトの形を模しただけの、のっぺりとした特徴のない姿。下半身は湖と一体化していて無い。現れたのは上半身だけだ】
【しかしそれだけでもう、体高は三十メートル近かった。部屋に収まりきらず壁板に合わせて背中は曲がり、五人に覆い被さるような形で腕を広げ】
【同時、背中に金色の翼が顕現し、頭部には天使の輪じみて淡い黄緑色のリングが浮遊し始める――戦神と同等、あるいはそれ以上の"威光"を感じるか】
【――これが。この"挽歌の巨人"こそが、ガルマとGIFTがずっと追い求めていた究極の兵器だった。古代人達の文明を滅ぼし、遺跡に固く封印されていたモノ】

【見上げれば、頭部の中にガルマの姿が見えるだろうか。そして胸部には、ワクトルの身体にあったのと同じ紫色の巨大なエネルギー塊】
【先ほど当人が言っていたとおり。イクストゥムは湖に流れたワクトルのエネルギーを『燃料』に、ガルマを『鍵』に……つまりは"操縦者"として起動したようだ】
【そしてふと、ガルマが口を開く。「楽しめ」と……それは地上からでは見えないかもしれない。しかし解らずとも感じるはずだ。圧倒的な危機を―――】




                               ≪ゴ、ポ≫




【咆哮ではない。鳴き声ですらない。身体のどこかで泡が弾けたような小さな音。それを引き金として、イクストゥムは動いた】
【巨大な影が揺らぐ。目の前にいるであろう五人はそのままに、真横に軽く両腕を振るう。――それだけだった】

【それだけで、巨大な腕に触れた壁板が丸ごと"溶解"し――この巨大な部屋全体が、たったの一撃で崩壊し始める………!!】

【この場にいては危険だと、本能で察知できるはず。ただ一応、頭部のガルマや胸部のエネルギー塊を狙い打てる位置取りではある】
【……突如顕現した"圧倒的な力"を前に、五人がどう動くかは自由だ。少なくともガルマは、五人への直接攻撃は行わない】

【この派手な"余興"は、五人を殺すためのものではなく"恐怖"を与えるためのものなのだろう。『イクストゥム』の頭部に座したガルマの表情は、何故か微かに歪んでいたが――】
【即座に撤退を選ぶか、ガルマに攻撃するか、それとも何か問いでも投げかけてみるか。――どれを取っても、それが今宵の最後の選択となるだろう】


/お待たせして申し訳ない、次で〆にしたいと思います……!
432 :天野ソラ ◆81It1xIT0A [sage saga]:2015/07/05(日) 03:38:21.07 ID:PpUf+wM3o
>>430>>431
【ワクトルの体を真っ二つに切り裂いた後で、脚の牙は砕け散る。そのまま落下した天野は、ガルマ達のいる小島へと着地した】
【試練≠ヘ越えた、ならば次はお前の番だと、睨み付ける───が】
【着地した時にはもうガルマの姿は小島から消えていて、まるで無駄足。どこへ行ったのかと、辺りを探す】

【いた、見付けた。小島より離れた場所、一瞬でどうやって移動したのかは不明だが、偽物ではない】
【あいも変わらず腹立たしい、仰々しい偉そうな言葉を吐くガルマの口を塞ぐには、すぐにあの場所へ向かう事が先決だ、それなのに】
【わかっているのに、向かおうとする脚を踏み出せない、何かが───体の中の魂が、躊躇っている?】

【天野が違和感に呻いた次の瞬間、ガルマが湖の中へと飛び込み、異変が起こった。たった今倒した筈のワクトルの力が、湖の中へと集まっている】
【まだワクトルが生きていた?違う、これはそんな問題ではない、もっと『別の』何かが生まれ出でようとしている感覚】

拙い……!

【もりあがっていく水面を見た天野は、瞬時にそれが『何かよくわからないが、とにかくやばい物』だと判断、素早く飛び退き、蓮を踏み台にして地上へと戻る】
【振り向いた天野の目の前で、かつてない程の異変が起きていた───水が一人でに形を成していく、人のようでいて、そうでない、異形の形へと】
【巨大、余りにも巨大すぎて、顔を上げてもまだ頭を見るに足りないほどに、その名前を聞いてもピンとは来なかったが】


【揺らぐ、巨人≠ェ動くだけで、大地が揺れる、ただ右腕で撫でるように触れただけなのに、硬い岩が抉り取られた】
【何なんだ、アレは、どうしたら勝てるんだ、どうしようもなさそうな程に、次元の違う力が、目の前にある】
【巨人が壁を破壊したせいで、この空間も持たない、早く逃げなくては生き埋めになってしまうだろう。この状況でアレと戦わず、逃げるのに真っ当な理由が生まれるのはありがたいと言うべきか】

……ガルマ……!お前『も』……赦さない……!
…『みんな』の復讐は必ず果たすぞ……必ずだ!
そんな人形はぶっ壊す、待っていろ……!

【とにかく、ここは引く事が第一だろう、ここではまともに戦う事も出来ない】
【心の中で啼く魂の叫び声を、ガルマに向かって伝えると、天野は来た道を戻って空間から脱出した】
433 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/05(日) 03:43:10.71 ID:qo+mXGcGo
>>430>>431

【見事巨大な亀を打ち滅ぼしたジャンクちゃんだったが―――すぐさま目を見開き次なる敵対者に視線を動かす】
【時間稼ぎが成り見事作業を完了させたらしいガルマが自分たちの前に現れ、ミドナを連れて湖と壁の境目へと移動していく】
【その挙動全てに警戒する、何か虫の知らせが彼女の回路を駆け巡っているのだ―――何か危険だ、とてつもない何かが近づいている!!】


手遅れのようデスヨー……どうやらあの大きな亀さんを相手にしているうちにワタシたちは……見事に遅れてしまったとみるしかありません
いや、それよりもみなさん、警戒を―――何か危険です、こちらに何か危険な何かが近づいている―――!!

(いや、『近づいて』はいない……?違う、もう『いる』!というよりも……最初からここにあった!ワタシたちは最初から『それ』の中で戦っていた―――!)


【否、違った―――今まで自分が戦闘の場として使用していたこの『湖』そのものが―――己を追いつめる"脅威"そのものだったのだ!】
【その名はイクストゥム。30m近い"巨人"が今まさにその暴力を振う―――奴にしてみれば撫でるような一動作でこの部屋全体が崩れ始める】
【ジャンクちゃんは苦い顔で味方側のメンバーに呼びかけながら下がり始めた】


――――皆さん!一旦退きましょう!出口はワタシが確保いたしますデスヨー!!
コイツは危険です、あまり長い時間この場にいない方がいい!……ワタシも悔しいですが損傷している状態で勝てる気はちょっとしません
これほどの脅威と出くわすならば―――ジュニアハカセを連れて来るべきだったでしょうか


【戦闘データは取った、この『イクストゥム』のデータとパワーの記録をとりあえず今は持ち帰るのが先決だ】
【この急ごしらえのメンバーで太刀打ちできるほど甘い敵ではない、態勢を立て直してから立ち向かうべきであるとジャンクちゃんは判断した】
【今は逃げよう―――しかし必ず打ち勝ってみせる、そう決意しながら彼女は他のメンバーを手招きしながら落盤をドリルで掘り進みながら皆の道を切り拓くだろう】
434 :ワザワイ・エスパス [sage]:2015/07/05(日) 03:45:12.73 ID:kx14ToGF0
>>430-431
【太古の古代人が遺した遺跡に戦神の尊大な声が響き渡る】
【発狂でもしたかと思えるような演説じみた言葉はしかし、嘘も偽りも誇張も無かった】

「わきゅう…っ」

【湖が姿を変えるなか激しい波によって岸辺に打ち上げられるが、次の瞬間にはそんな物は思考の彼方へと吹き飛んで行った】

「何……あれ………?」

【そう呟くのが精一杯な存在】
【透き通っている上に上半身のみではあるがソレはもはや『神』と人の子から畏怖の念を込めて呼ばれる物と遜色の無き風格を宿していた】
【無造作に振られた腕は一切の抵抗なく物体を消し去り遺跡のこの空間を容易く崩壊させた】

「……………………凄い…」

【一瞬たりとも躊躇することなく全力で逃走する中、一人呟く】

「あんなのが居るんだ…もっと……もっと強くならなくちゃ…!」

【逃げる足にも力がこもる】
【そして少年は心静かに決心した】
【愛する一人の為に、強きこと猛きことに置いて天下において無双の者となる事を】
【故に少年は逃げる直前に巨人にたいしてこう呟いていた】


「どうしたら貴方に勝てますか?」

【、と】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/05(日) 04:07:16.45 ID:WrHkKMUh0
>>430-431

「(あァの野郎のエネルギーを喰らえば、……)」

【全身を覆っていた龍の皮がなくなる、龍の水かきを持たないこの状態で移動するのはかなり難しいのだ】
【さあ、ゆらりと立ち上がり……ガルマのその身体に手を伸ばす――】
【――その行為を考えたときには既に、この島から2つの存在がなくなっていた。】
【それどころか、浮き島から元の陸地に流されて戻されていた。これが、振り出しに戻るというやつか】

「ちィ、……捕ォらえられなかったか」
「……ククッ、偉そーに言ってんが、よォーするに戦闘最高って事だろう? むゥッちゃくちゃ同ォ意してやるぜェ」

【流れる血が止まった、先ほど攻撃に用いた"魂吸技”のエネルギーをこちらに戻し、止血に用いたらしい】
【あのエネルギーは、魂を感じるものならわかっただろう……この悪魔自身だったのだ】

「……けッ、でェかぶつめ」
「光る水の人型――小型の奴を最近見たな……うゥむ、心臓周囲は大体エネルギーが濃いから何とも言ィえんが」
「(どちらにせよ、無関係じゃアねェだろう――奴が誘ゥ拐犯に過ァ剰防衛をしィてきた理ィ由は……)」

【―― 一匹のコウモリが、この部屋に迷い込んできた。いや、これは迷いコウモリではなく……】

「よォくやったぞメディアット――成果は後で聞こう。さァ、媒体としてもォう一仕事やァってもォらおうか」

【馬に手を当てれば、その身体は闇となりこの悪魔に纏われ――】
【そして、先ほどの龍の原理と同じようにして融合。簡易的な龍の頭部に現れるのは美しいたてがみ】
【それは背中の傷は塞がず、しかし背中を縦断し、尻尾を形成する】

「(遺跡荒らしも体力を使うな、高速回線が使えなくなってやァがる……メディアットは”媒体"力以外対した事ねェし仕ィ方ねェか)」

【その後、コウモリの足の指が伸び、悪魔の身体を掴み込めば】
【なんとそのまま飛翔。しかしこの速度は……ナローバンドもいいところだ。おそらく、コウモリもかなり疲弊している】
【そこでこの融合だ、角から放出する水の量はこの悪魔の力によって……まあ、そこそこ増量している】
【その水の操作で身体を押し上げる事で、回線速度を補う】

「心臓とテメェー、どォっちを狙っても良ォいが――せェっかくなら、味の気になる方だッ!」
「(……心臓の方が良ォいか? 奴はこォれの召喚で疲ィ弊していたぞ? ……まァ良い、構わんッ)」

【――狙うは、ガルマ。】
【本日三度目の魂吸技ディルムレーディスプ、その為のエネルギーの用意を両手にし――】
【一直線! それが持つあらゆるエネルギーを喰らわんとする手が、迫り来るッ】
【直の威力は、疲弊を考慮しても1回目や2回目を勝る程ある。まともに受けたくはない攻撃だ】

【……ただ、迫る速度はお世辞にも速いとは言えず、そしてこのボロボロの身体だ。幾らでも対処出来るだろう。】

「テメェーと旨ェ酒を飲ォむ前に、テメェー自ィ身からそォれを飲ォませて貰おうじゃアねェーか……!」

【が、そんな事は知っている。けれど、欲望の塊は、永遠に満ちる事の無いそれを満たすため、神へと向かう。】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/05(日) 04:11:30.34 ID:Yc1k+ZV00
>>430-431

……っ…………、消えた……!?いや、移動したのか……!
奴め、何をするつもりか知らねぇが……………………!な、何だッ!?

【確かに今、しっかりとミドナの腕を掴んでいたはず、幻覚ではなかったはずだ】
【それなのにガルマが触れるとするりと手から抜けるように消えていた】
【一体何が起こったのか、いや、何を起こすつもりなのか、気が付けば距離を空けられていて】
【そちらへ気を取られていたら今度はワクトルのエネルギーが湖へと溶けていったではないか、すると湖が強く光を放ち始め】

【一つに集まっていく水達、これから何が起こるか……嫌な予感がしていた】
【最後の仕上げとでも言いそうにガルマはミドナを連れて共に湖の中へ、そして】
【それがスイッチとなったように湖は震え、巨大な形を成していく、ジェームズはそれが生む波にされるがままに陸へと流されていき 他の有志と合流するだろう】
【そして陸地で改めてはっきりと見たその姿に、ジェームズの毛は逆立たずにはいられなかった】

………………こいつが…………話に聞いていたあの巨人のひとつ………………
(今、この状況で…………こいつとどうやって戦えばいい……!?クソッ…………!)

【その姿を見て、それが直ぐにアインやヴァルゴと同じ"巨人"であると認識した】
【最初こそどうやって戦うかを考えもした、しかしそれは時間を掛けて理解すれば無駄に近いことで】

【今、ここで戦っても勝てないと判断すれば、巨人『イクストゥム』の初撃を見た瞬間に撤退を選ぶだろう】
【帰還して対策を講じる、何れ此方に向かってくるであろうアサド達にその危険性を伝える】
【至って現実的な判断だった、しかしそうでもしなければ命が幾つあっても足りない相手だ】
【ジェームズは後退りしながら、出方を伺いつつ来た道を引き返そうとするだろう、当然の事ながら 生きて戻ることを優先した結果だった】
437 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 04:55:03.46 ID:xbmuRD15o
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436

【巨大な水の化身――"挽歌の巨人"の頂点で、ガルマは一同を睥睨した。ソラとワザワイが発した決意と問い、それに纏めて答えるかのように】
【イクストゥムの頭部から、ガルマの声が発せられる。地の果てまでも届くかのような、荘厳なる絶対者の声色――】


≪………我が発する答えは一つだ、人間。いや、全ての魂持つものよ――ただ、強く在れ。
 この災厄の化身に呑まれようとも決して折れず、決して曲がらず。闘争を受け入れ、戦い続けるのだ。
 弱者を駆逐し強者と競え。さすれば叶おう。さすれば許そう――愚かしくもこの戦神に挑み、弑逆せんとする愚昧すらもな。

 その胸に、ゆめ"漆黒の炎"を絶やすな。
 其れこそが、これから我が作る"真なる世"に生きる為の、唯一の資格である――≫


【この戦神が求めるモノは、やはりたった一つの概念であった。"闘争"――其れだけが人の世の全てであると、改めて告げるのだ】

【――そして。ガルマとイクストゥムへ挑んだJ.A.……本来ガルマの居る位置に収まるであろう"とある少女"を知っている、唯一の悪魔に対しても】
【その攻撃に対して何ら反応しなかった。いや、反応する必要すら無かった。邪禍の両腕はイクストゥムの体内へ潜り込んだが、ガルマに到達する前に止まる】

【だがそこからも、好きなだけエネルギーを吸い上げられるはずだ。――いや、違う。明らかに"吸い上げすぎている"ことに気づくかもしれない】
【ガルマがイクストゥムのエネルギーを、邪禍の両腕の"魂吸収"を介して逆に送り込まんとしているのだ。それも途轍もない勢いで――】
【其れだけで、この兵器がどれだけ途方もないモノなのか理解できるはずである。吸っても吸ってもキリがないどころか、】
【すぐ腕を引き抜かなければ、下手をすれば内側から爆散しかねない程の莫大なエネルギーの奔流が逆に邪禍へ襲いかかるだろう……!】

【もし、これを邪禍が裁き切れるのであれば。その莫大なエネルギーは思想を同じくする"戦神"からの贈り物となるであろうし】
【もしそれが出来なければ、吸引したエネルギーに逆に殺される羽目にもなりかねない――】
【……いずれにしても、ずっとここに居るわけには行かない。既に部屋は大部分が崩れ始めており、此処にいては生き埋めだ、適当なところで撤退するのが良いだろう】


【そうして、残る四人も。元来た入り口から安全に上層へ戻れるはずである】
【逃げ去る五人をガルマは決して引き留めない。このイクストゥムを見せたのは、ワクトルを破ってみせた五人への、彼なりの"褒美"であったのだから】
【ただし……全員が撤退していくそのタイミングで、もし部屋から出る前に振り返ったのなら。その"褒美"以上の光景を目の当たりにするかもしれない】


≪グ………ぬ――――――!!?≫


【胸元のエネルギー塊の様子に、異変が起きているのが見えるだろうか。あれだけ巨大だったエネルギーが、いつの間にか見る影もなく縮小していて】
【ガルマの様子もおかしい。全身に意味不明の文字が浮かんでおり、それに蝕まれるかのようにして表情を苦痛に歪ませ】

【――ドロリ、と。撤退する一同の背後で、イクストゥムの身体が人型を保てなくなって崩壊していくのである。圧倒的に見えた水の化身は、刹那にして崩れ去る……】

【J.A.がイクストゥムを倒したわけではなく、もっと別の要因。その謎はこの後直ぐに解き明かされることとなるのだが、】
【とにかく、部屋が崩壊し始めているのは事実だ。ガルマはそのまま地面に墜落するが、それに構っていては自分も瓦礫に叩き潰されることになる】
【今宵の闘いは、これで終わりだ。"海の試練"を越え、その先にある"悪夢"を微かに垣間見て、久方ぶりの神と人との闘いは終幕と相成った――】


/続きます!
438 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 05:04:35.19 ID:xbmuRD15o

【――さて。此処から先は、五人全員があの深淵の部屋から抜け出した後の描写となる】

【この『ラズワルド地下遺跡』を構成するすべての床や壁は、何故か"音を非常に反響しやすい"材質で出来ていた】
【元は、此処に眠っていた"ある少女"の歌を遺跡全体に伝えるための機能と思われていたが……この遺跡の中枢たるイクストゥムをガルマが奪取したせいか】
【戦神はその機能を使い、脱出していく五人はもちろん、遺跡に残っている者全員へ向けて言葉を発するだろう】


グッ………、やはり『鍵』も『燃料』も紛い物では、この程度の駆動が限界という訳か。
 まぁいい――試運転としては十分だ。元より今宵は、『本体』さえ確保出来れば其れで良い。

 今宵の目的は、これで達せられた。此度はお互いここで幕を引くとしようか、戦士達よ。
 お前達ほどの強者を、たかが"前奏"如きで果てさせるのもつまらんのでな


【床板と壁板。この『ラズワルド地下遺跡』のあらゆる構成物から、ガルマの声が聞こえてくるはずだ】
【イクストゥムを動かすためにかなり消耗したのか、苦しげな様子であった。――その独白には、聞き捨てならないモノも含まれている】

【最後にイクストゥムが崩壊していたとおり。ガルマの力を以てしても、あの怪物を完全に制御はできなかったようなのだ】
【イクストゥムを駆動させる為の『鍵』も『燃料』も、余りに不完全。今回は単なる試運転であったと。――それは、逆に言えば】
【不完全な状態ですら、あれだけの力ということだ。もし今後全てのピースが揃って、イクストゥムが本来の姿で完全に起動した場合】
【そしてそれが、万が一、ガルマやGIFTのような"悪"の手に渡った場合。いったいどれほどの災厄が、この世に撒き散らされるのか――】

【そして。――ガルマは大きく、自警団員や五人以外の者へ……この場にいるはずのない第三者へ向けても、咆哮を上げた】


――――貴様も見ているのだろうッ! ええ、"マリオン・リヴァーズ"よ!!
 『本体』は確保した! イクストゥムを動かすに足る『燃料』の用意は出来ているのだろうな!?


【――それは果たして、どういう意味合いのモノであったのか】
【知っている者もいるか。マリオン・リヴァーズとは、ガルマと同じくイクストゥムを手に入れる為に動いていたGIFT構成員の名前だ】
【その台詞は、「『燃料』を奪いに行ってやる」という宣戦布告として取ることもできたし――あるいは、二者が"協力し合っている"ように取ることもできるか】

【いずれにせよ。遂に"巨人"の本体へと到達したのはガルマ=ハド=ラジャルードであった。この先彼がどう動くのか、それは――、】


「――――ッッ!! き、気をつけて!!! 戦神は次に、"水の国"の……っ…………!!」


【……戦神の胸の内に閉ざされたまま、誰にも知られず消える筈だった。しかし今宵の戦いの場にはもう一人だけ、正義が……"緋色の鷹"が居たのだ】
【ガルマが消耗したお陰で、傀儡となっていたミドナが最後の最後で完全に意識を取り戻したらしい。遺跡全域へ、女の声は轟いていくはずだ】
【『水の国』。其処が次の"選定"の場となると。しかし具体的な場所を言う前に、遺跡の機能を利用した声の伝達は強制終了される】

【それ以上の情報は、いくら待っても無い。恐らくガルマもまた、ミドナとイクストゥムの『本体』を回収してこの場を去っていったのだろう――】


【ともあれ。五人が遺跡を上層へと戻っていけば、途中でアサド達と合流できる。彼らが全員を保護してくれるだろう】
【ガルマの撤退に合わせてカノッサの兵達も引いていったようだ。後は彼らの指示に従って道を戻れば、一時間ほどで地上に戻れるはずである】
【その後も望むのであれば、近場の街――"マイヤ"という名のオアシス街――に案内され、病院や宿泊の手筈などを整えてくれるだろう】
【もちろん、自力で帰ることを望むなら自警団側も無理強いはしない。……道すがら遺跡内を探索して、色々と遺産を物色するのもアリか】

【――斯くして、神秘の陵墓は暴かれた。永い眠りから覚めた"挽歌の巨人"がいよいよ表舞台に姿を現す】
【戦神との闘いも。そして、最後に少しだけ顔を出した"GIFT"の陰謀も……恐らくは、此処から先が本番となるのだろう――――】

439 :主催 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga !red_res]:2015/07/05(日) 05:05:45.06 ID:xbmuRD15o
/これにて悪夢の水底<Cベントは終了となります
/参加者の皆様、遅くまでお付き合い頂いて本当にありがとうございました………!!
/後日イベントスレの方に報酬一覧を掲示しますので、そちらにも目を通して頂ければっ
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/05(日) 05:47:15.89 ID:WrHkKMUh0
>>437

「――まァ良ォい……捕えタ、ぞ」

【見えない眼が据わっていた。見た目以上に中身にダメージを受けている為か、何となく不安定である】
【そして届きはしなかったが、これ以上押し込むには少々エネルギー不足か――どちらにせよ、吸えるならば吸ってしまおう】

「……お? おォいイイイ? 確かに俺様は幾らでも食ゥえるが、」
「一気に吸ゥ収するには胃ィのキャアアァパシティがだなァ、まァて今広げるかァら……」

【……この技との付き合いは長い、故にどこまでが己の制御下にあるかを判断するのは非常に容易いのだ】
【もちろん、己が吸収する勢いを遥かに超えるそれが意図的に行われている事だって瞬時に理解出来る】

【この姿は悪魔のそれに比べるとだいぶ力が落ちる。そして、今までのダメージとこの状況から来る混乱で姿を変えられないようだ】
【無限に吸えると豪語するエネルギーだが、力が抑えられている今、それの処理能力が落ちている】
【――喩えるなら、お湯を勢いよく入れすぎて溢れそうなコーヒーメーカー辺りだろうか】

「礼は言うが、ちょォオオーーっと気ィ分が……」

【そのうちふらーっと、瀕死の羽虫の様にゆっくり地面に落ち、今にも吐きそうな体勢になりつつ】
【――他の4人は撤退中だしこの状況ならネタバラししても聞こえやしない……つまり、問題ないと判断し】

「……"邪悪なる災禍と闇黒たる混沌"、略して"J.A."――そォして、こォう略す事もでェきる」

「"邪禍"」

「正義共はこォの名の悪魔を多ァ額の賞ォ金をかァけた指ィ名手配犯にしィているからな、顔も声も名ァ前も偽らせてもらった」
「遺ィ跡荒ァらしの為に協ォ力しィてただけで、本当はテメェーらに楯突く正義の糞共の敵だ。あァと、聖は誰が使っても許さん。――覚えときな」

【見た目上の傷は殆ど治っているが、体勢が体勢なのでカッコもつかず、……そのうえ過食で動けない】
【――そうなると、必然的に巨人の身体が崩れる様子を見る事になるだろうか】

「(天井も崩れ、巨ォ人も崩れ……あァれを操るのに必要な何かが足ァりてなァかったって事か?)」
「(こォの遺跡に居た少ォ女がやァはり鍵を握って……いィや、確か起ィ動の時に鍵"と……じゃア鍵そォのもの……なァのか?)」

【気分の悪さをごまかすように思考していた悪魔。目の前に瓦礫が降ってきたところで、さすがにこれ以上居られないと思ったのか】

「うぇっぷ…………えェっと……ゴタゴタしィてるから……直帰で良ォいか……」

【動けなくとも帰路には着ける。その身体の影に現れた魔法陣に、悪魔とコウモリは吸い込まれていくのだった】

【その後、J.A.はいつ脱出したのかを疑問に思われたとか実際に問われたとか色々あったとかないとか】


/おつかれさまでしたー
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/05(日) 14:40:49.44 ID:Yc1k+ZV00
>>437-438

【現在、彼が滞在している場所は自警団側が色々と用意してくれたマイヤという街だろう】
【マンションを利用したような比較的安めのホテルを選んだようだが、そこにある公衆電話スペースにて】

…………はい、ええ……すみません、捕縛されている女性も確保出来ませんでした。
あの隊長も彼女の事を思い悩んでいる様子でしたし、此方もやはりそのまま取り返せればそれがベストであると思っております。

それで、戦神の次なる目標は恐らく水の国かと思われます…………はい、そうです。
詳しい事は解りませんが、今回その力を目の当たりにした以上 鍵の破壊も視野に入れるべきでしょうね、勿論、出来れば奴らより先に見つけて確保したいですが…………

【恐らく上司への義務的な報告だろう、元々その男から与えられた任務なのだ】
【今回起きた出来事、作戦メンバーから新たな巨人の存在の確認、それにきっとミドナの事も】
【話せることは全て話して、それから ではとジェームズは受話器を置くだろう】
【その向こうで報告を受けた男、彼は何にどう動くのだろうか……】

/お疲れ様でした!
442 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/05(日) 15:11:28.39 ID:jGkavusoo
//>>317で再募集しますね
443 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/05(日) 17:46:28.28 ID:qo+mXGcGo
>>437>>438

【脱出する途中、ジャンクちゃんは最後振り返った時に見えたガルマの様子を思い返す】

―――ガルマが……苦しんでいた?……いや、おかしい事ではないデスヨー
あれだけの巨大兵器、操るには相当のパワーを要するハズ……少なくとも今このときは『奴にとっても手に余る』兵器である事はわかりました
おそらくその理由は……今、あの巨人は不完全な状態だから。奴が完全な力を取り戻すよりも前に叩く術を用意することも可能なはずデスヨー


【無事地下遺跡の入り口付近まで脱出を完了させたところで、ガルマの声が遺跡全体に届いて来る】
【その声のおかげで推理は間違っていなかったことを確信した、やはり今イクストゥムは万全ではないのだ、『鍵』も『燃料』も揃っていないから】
【対策として何かを開発する余地も十分にある、そう確信した最中、聞こえてくる声】


水の国―――!?敵の次の狙いは水の国にあるという事デスヨー?……具体的なポイントは明かされないまま終わってしまいましたが……
あの場所ならば迎え撃つ貯えも確実に用意できる、決戦の用意をしておかなくてはなりませんね……

(そして『燃料』の用意を……マリオン?ムクさんが『協力者』とか呼んでいた人物と一緒に追っていた男の名前デスヨー?
『カノッサ機関』だけではなく"GIFT"の人間と組んでまで……計画を幅広く着々と進めていたようデスヨー)


【いずれにせよもうそこで声は途切れてしまったのだ、手に入った情報はここまでだ―――】
【ここからどうやって敵と立ち向かっていけばいいのか、それはこの後に練るべき手段なのだろう】
【マイヤに案内されたなら、そこにはすでに自分の主、あの白衣に髑髏のネクタイがトレードマークの陽気な男が待ち構えている】
【そこで苦い顔をしながらジャンクちゃんは持ち帰った情報を提供し、そのまま彼の修理を受け作戦を終了させることだろう】

【←To Be Continued...】
/遅れましたが、これが最後のお返事となります、お疲れ様でしたー
444 :ケイオス ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/05(日) 19:22:56.90 ID:w/trrYlUo
【水の国】

【首都フルーソから離れた場所にある山岳地帯。切り立った丘の上に巨大な物体がせり上がっていた】
【高さ数十メートルにも及ぶそれは取り出された地層そのものだった。下に行くにつれて色、つまり構造成分が変わっている】
【その堆積物の塔の麓には、一人の男が立っていた】

【黒い短髪に東洋人風の平坦な顔つき。背は高く、血のように赤黒い外套を羽織っていた】
【風貌から年齢は三十代前半と推測できる。左耳にはルビーのイヤリング。高所に吹き付ける風が外套の裾を揺らしていた】
【男の左手がせり上がった地層に向けられていた。その指が光り輝く小さな宝石を持っていた】


────大体は計算通り。あとは本命だけか。やはり自分でやった方が確実だな
人員の選定をしようとも思ったが、六罪王とはいえ現れたばかりの俺に優秀な人材はつかん
ある程度は粗雑な連中で組むしかないが…………さて、それだけでどこまでやれるものか


【宝石からは魔翌力が溢れ出ていた。それは手の先の地層に絡みついていた】
【男が手を下ろす。それと同時に絡みついていた魔翌力が急速に引き戻され、宝石の中へと収まっていった】
【宝石は脈動するかのように明滅。次第に間隔が広がっていき、最後には光が消えた】

【男の周囲には地属性の魔翌力が漂っていた。不自然なまでに濃厚に】


いや、口惜しいな…………いくら俺でも単独では落とせん。流石は百戦錬磨といったところだな
次あたりで一度陥落しておいてもいいと思うんだが、そう上手くはいかんか?


【独白だけが丘の上で響いている。男の視線の先、眼下には広大な平原が広がっていた】
【その平原の中心にあるのは、水の国の首都フルーソだった】
445 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/05(日) 20:07:16.96 ID:6Z3LPQ9Mo
>>341で再募集
446 :ケイオス ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/05(日) 20:49:15.26 ID:w/trrYlUo
//>>444を取り下げます
447 : ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/05(日) 21:04:37.23 ID:TflMUKaDO
>>341>>445

【──かつん。ピン・ヒールの音が銃声に紛れて響く】
【ガレージの入り口から見えるシルエットは、背の高い女のものだった】


……はぁい、こんばんは坊やたち
随分と賑やかなパーティーね。主賓はどなた?


【露出の高いドレスの裾をひらめかせ、女は笑った。夜には目立つ、白いドレスだ】
【左手の小指には稀少な黒ダイヤの指輪。ただの女が持つには高価すぎるもの】
【かつん、と女がガレージに入ってくる。誰がトラブルに巻き込まれているのか知ったことではなかったが】
【客に約束をすっぽかされたせいで、今日は少し気が立っていた。そこにこの騒ぎだ】
【通りかかったのはたまたまだったが、相手がゴロツキなのは幸いだ。潰してもいくらでも沸いて出る】

【ざわりと女の影が工場の闇に踊る。影を操る魔術だ。指で銃の形を作る。「バン」】
【影で作られた弾丸がチンピラの片方に放たれる。速度は本物に劣るが、当たれば真っ赤な血が出るのは本物と変わらない】

/まだいらっしゃいますかね……?
448 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/05(日) 21:26:13.24 ID:w/trrYlUo
>>317>>442


(────なんか、やべえところに出くわしちまったな)


【ちょうど裏通りから小窓に近寄り、息を潜める人影があった】
【薄いブロンドの髪に、一五◯センチ程度の身長。顔つきから十代後半だとわかる青年だ】
【カソックに胸元の十字架。誰から見ても神父の格好だったが、潜伏技術は暗殺者のそれだった】

【彼は小窓から中の様子を伺いつつ、祭壇の裏のシスターに気がついていた】


(相当シビアなことになりそうだが、見つけちまった以上、助けないわけにもいかねえな…………)
(最近の神様ってのはどうにも意地が悪い…………ここんとこ、こんなびっくりどっきりばっかだぜ)


【こちらを見ているかはわからなかったが、小窓からシスターへと“注意を引くから逃げろ”とジェスチャーをしておく】
【それから正面の出入り口へと戻り、扉を勢い良く開け放った】


────こ、これは一体…………っ!!


【入るなり神父は惨状を見かけて狼狽するという“演技”をしてみせた。これが通用するかはわからなかったが】
【神父にとっての常套手段ではあった。少なくとも気ぐらいは引けるだろう、という────】
449 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/05(日) 21:42:55.40 ID:jGkavusoo
>>448

んん……? 貴様その姿、神父のようだが…ふん。
まあ良い、驚いている所を早速で済まんが…――死んでもらおうか
汚らわしい偽典を広めた報いと思え、恨むなら偽りの神を恨むのだな…ッ!

【正面の扉が開け放たれるや否や、振り返った男の言葉はそれだった】
【手にした槍から放たれるのは電撃。有無をいわさぬ速攻であり】

【もし何も出来ずに直撃を受ければ、やはり死は免れないだろう】
【それだけの威力はある。男の格好からして、聖職者にも思えたが】
【黒羽根には闇の魔力が篭っていたし、かと言って聖者のような雰囲気すらあり】

【もっというなら、男の顔立ちはある都市の大司教にひどく似ていた】
【最近、教会や宗教集団を潰しまわっているという噂もある男であったが――。】


【――ただ、この攻撃の裏では青年のジェスチャーを受けたシスターが這いずるようにして逃げ出し】
【手を噛むことで声を殺し、奥の私室へと逃げるのだった。大概、そこには裏口がある】
【脱出させるのは成功といえるだろう。ただ、代わりに窮地に陥る人物が居たというはなしだった】
450 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/05(日) 21:48:11.66 ID:6Z3LPQ9Mo
>>447

【影の銃弾は一直線にチンピラの肩を射抜く。狙った場所と違うかもしれないがそれはそのチンピラが】
【思いの外、信心深くて神のご加護があったからかもしれない。柱の陰に隠れているサングラスのそいつは】
【新たにやって来たお客様がどういったもんか見極めようと目を凝らした。視力に自身のある彼は数秒で気付き】
【短く笑って、もう一人の同じく柱の陰で銃弾の雨に当たらないように身をかがめてる相棒に声を飛ばす】

ヘイ、“ラヴァーソール”。オマエは外に出て車を温めとけ。マスクはそこの“淑女”にでも渡せ

ヘイ、“レイディ”。殺しちまったら計画がご破算なんだ。そのマスクを付けて大人しくしていてくれ
……2階席からオペラグラスをかざしてハムレットでも眺める婦人と同じように

【相棒の男は返事もせずにガレージの出口へ。愛想なくガスマスクを投げ渡し、出て行く】
【その男は無口で無表情だが顔はハンサムだ。映画俳優のようだ。というか映画俳優だ。今も劇場のポスターに居るはずだ】

【彼が携帯電話を取り出して、コールするとチンピラたちの横のバンから異音と真っ赤な煙が吹き出す。】
【サングラスの男も同じようにマスクを付ける(サングラスはその時外したので今は“赤目の男”だ】

【その煙はただの煙幕じゃなくて、銀行強盗に“盗ませる金”に仕込んでおく催涙成分も含んでいる。主成分はカプサイシン】
【要はあのチンピラたちは今、トウガラシの粉を穴という穴から胸いっぱいに吸い込んでいるのだ。マスクを付けた男はその中に】
【飛び込んで、宝石商の宝石を強奪する。小さい袋にカットする前のダイアモンドが幾つか。これでアタッシェケース1つ分の紙幣と等価だ】

…撤収撤収。ったく……どっかの追い剥ぎじゃなくてよかった。まえはギャングに嗅ぎつけられてひどい目に…

【ガレージから出てくる。ガスマスクを脱ぎ、また携帯電話を取り出す。ダイアルは3桁】

あ…警察ですか?いや、なんか銃声して…煙が……はい、直ぐにお願いします。住所は―――


/居りましたが遅くなりました。逆にまだいらっしゃいますかね
451 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/05(日) 21:56:27.28 ID:w/trrYlUo
>>449

【驚愕の表情は演技。しかし、次の驚愕は本心からだった。当人からすればここまで攻撃が早いとは思っていなかったのだ】
【攻撃の次の瞬間、電撃の閃光が散乱。攻撃を弾いたのは白銀の刃だった。それらは神父の指の間に、片手につき三本ずつ】
【合計で六本の刃が爪ように伸びていた。よく見れば根元には小さな柄のようなものもあった】


(────あ、あぶねえ。まさかいきなり殺しにかかってくるなんてな…………!)


【高速の攻撃を防ぐ程度に神父の動きは素早かった。明らかに訓練を受けた人間のものだった】
【額から汗がにじみ出る。確かにシスターは助けられたが、シスターの状況より自分の方が余程悪化していた】
【慌てて頭を回転させる。どうにかして生き残る術を見つけなくてはならない、が────】


──お、お待ちを! そう仰るということは、貴方が真の神をご存知ということですか!?


【とにかく相手が自分を殺そうとしている理由に、話を合わせるしかなかった。二度も三度も防げはしない】
【少しでも時間を稼いでる間に、糸口を掴まねばならない】


(あの顔は確か…………ゼン=カイマの大司教か? くそ、なんてこった!)


【なんとか相手が何者であるかは思い出すものの、この状況を切り抜けるにはまだ足りなかった】
【ともかく、両手に武器を持ったまま神父は硬直していた。少なくともこちらから動けはしない】
452 : ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/05(日) 22:18:12.13 ID:TflMUKaDO
>>450

【ヒット。多少狙いと逸れたのは、少しばかり苛立っていたせいに違いない】
【手の形はそのまま。だがしばらくして出てきた男に、2度ほど驚きの声を上げた】


あら……意外なところで会うのね、銀幕のスターさんに……
ふふ。あなたは相変わらず、色っぽい目


【ガスマスクを受け取る。何が起こるかの予想はついた。スターの後を追い、ガレージから出る】
【妙な行動はせず、マスクを装着。ごついマスクと白いドレス。ちぐはぐだったが、文句は後】
【マスク付きとはいえ、流石にあんな真っ赤な匂いのする煙に飛び込むなんて真っ平ごめんだ】
【どっかのタバスコフェチのおかげで、いい歳して辛いモノが苦手になりつつある。カプサイシンなんてとんでもない】

【赤目が戻ってくる。まだ女はガスマスクを取ろうとしない。多分この場からしっかり離れるまで、取る気はない】
【くすくすという笑い声が女からしたが、マスクのせいでくぐもって聞こえた】


ふふ、悪い人ね。ロッソも、スーパー・スターも
とりあえずここから離れるんでしょう? 逃げるアテはあるの?


【宝石強盗なんてする彼らだ。ノープランでこんなことをするとは思えない】
【逃走ルートも宝石を売りさばく手口もしっかり準備してあるとは思うが……】
【蜂の巣にされかけていた彼らだ。もしも、ということもあるが】
【行く宛がないのなら、彼女は自分がいくつか所有する部屋のひとつに彼らを連れていくはずだ】
【もっとも。彼らがその当たりを用意しているのであれば、ちゃっかり2人についていく】
【とりあえず警察がくるまでにこの場所を離れないといけなかった】

/遅れて申し訳ないです、いました
/よろしくお願いします!
453 : ◆iBPkBgx72E [sage saga]:2015/07/05(日) 22:24:11.58 ID:jGkavusoo
>>451

【青年が攻撃を防いだことに対して、男は興味深そうに笑ってみせた】
【にやりとした、白い歯を覗かせる笑い。では次は、と思考するようだったが】
【その相手が慌てたように質問をすれば、掲げた槍をいささかだが、下ろし】

……ご存知、という言い方は相応しくないな。
神とは人間の知覚できる存在ではなく、もっと高次元なお方だ

それに、その神の存在は全人類が知っておるはずだ
教会の創りだした偽りの偶像や、自己の良いように書いた教義ではなく
空を見上げれば分かること。……あれを創りだした、その奇跡を齎した。
そういった力を持ち、計りきれぬ存在こそが"神"と呼ばれる御方よ

……で? 貴様はそれを聞いてどうするのだ、小僧
ただの神父にしては腕が立ちすぎるようだが……応えを聞こうか?

【独自の宗教観――神は聖書に依らず、自己の認識と奇跡によって認められる】
【そういった答えを男は返した。もっとも、相手が攻撃を防いだことも忘れていない】
【攻撃の手は尚も緩んでは居ないのだ。何時でもやれる、そんな雰囲気がありありと漂っていた】
454 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/05(日) 22:29:42.10 ID:6Z3LPQ9Mo
>>452

【真っ赤な煙の渦の中から叫び声が聞こえる。銃声はとんと消えたがそれよりも煩く聞こえる】

【男が外にでるとさっきの“スター”の相棒が車(ハイブリッドのエコカーって奴だ)で待っていて】
【サングラスの男(マスクを脱いだ時にまた戻った)は後部座席に座るでもなくマスクを投げ入れ】
【相棒に宝石の袋を手渡しそれで終わりだった。何の合図も会話もなく車を静かに発進させ、消えていく】

オレが良い人になるのは神様とお袋の前だけだね。どっちにも会ったことは無いけど

わかってる…此処を離れなくちゃならない。3分で巡査が来て、8分で応援が来る
35分で10ブロックに検問を張るだろう。…ま、川沿いをドライブして、サンブロワ大橋を超えればいい
後のことはそれから考える。詰め過ぎると、それに固執して視野の広さや柔軟さを失うんだ

【彼は倉庫の隅に停めてあったオールドでヴィンテージでクラシックスタイルのバイクに跨がり、エンジンを掛ける】
【これも用意した台本に乗っている小道具のひとつ。盗品でグレーな中古車屋で買ったもの。ナンバーは偽造だ】

後はあいつが売って、現金を銀行を3つぐらい渡り歩かせれば終わりだ。ああ、このバイクを8時間以内に
処分するのもあった。まあ、半日以内で…鍵かけずに置いときゃどうせガキが盗む。…酷い仕事だ。ここまでの
シナリオを書くのが仕事の99コンマ9パーセントで現場の仕事は誰でも出来る。イージィだ。つまらなすぎる

【乗れとも言わないが、乗るまで暖気していることだろう。今更バイクの乗り方も知らない女じゃ無いだろうと思って】
【何も声をかけずに発進させる。途中で1台の小さなパトカーとすれ違った。改めてどこかに行くかと聞かれれば】
【やはり決めていない。ただ「腹は減ったな」とこぼすぐらいだ】


455 :ディック ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/05(日) 22:35:02.45 ID:w/trrYlUo
>>453

【槍が一時的にでも下りた。だが安堵している暇はない。一つ状況が進んだだけだった】
【威圧感、などという安易なものではない。絶対的な恐怖が、自分の命が完全に握られているという冷淡な事実だけがあった】
【緊張と恐怖で震える手を神父は握り締める。白銀の刃が魔翌力へと還元され、姿を消した。敵意がないことを、示すために】

【当然、裏の考えとしては武器を持っていたところで意味がない、という打算だ。戦わずに生き残るしかない】


……仰る通りで。“この場所”で語られる神はあまりにも俗物的
この世界は神によって創られているといいながら、その本質を人間に配置しているという矛盾があります

どうか、私に機会をお与えください。虚偽を捨て去り、真実を受け入れる機会を!!


【そう言い、神父は跪いてみせた。長々と語る余裕などない。この場で生き残るには、改宗する、と言う他ない】
【実際のところ、この神父は所謂聖書の内容を信じていなかった。答えとして返した言葉は彼なりの真実だ】
【演技において重要なのは真実を織り交ぜること。しかし、果たしてこの大司教にどこまで通じるのか────】
456 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/05(日) 22:49:10.79 ID:TflMUKaDO
>>454

【煙の中から聞こえる叫び声を聞いて、マスクの下で顔をしかめた。ご愁傷さま】
【スターには声もかけない。こっちには興味もなさそうだったから、こちらも余計なことをしなかったまでの話だ】

【ロッソの後を追い、倉庫の隅に。頭の中で、逃走ルートを描く】
【曖昧で、けど肝心なコトはやる。情事とどこか似てると少し思った】


ふふ、いろいろと酷い話。現場の仕事がつまらないことも含めてね
でも安全なのは大事なことよ。ホットになるのはいいけれど……タバスコじゃ不足?


【小さく笑う。熱くなりたい気持ちも分からなくはない。けれどクレイジーになるのは、もっと大きな仕事でいい】
【暗に女はそう言っていた。雰囲気を察し、バイクに乗る。現場を少し離れれば、そこでやっとマスクを外す】
【外したマスクは、自分の影の中に入れる。ゴミ箱代わりにもなるのは便利だった】
【「赤くて辛いもの以外なら、一緒に食べてもいいわよ」──意地が悪そうに笑い、彼女はそう言った】
457 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/05(日) 23:05:57.78 ID:6Z3LPQ9Mo
>>456

【運河沿いを下ると工業地帯から繁華街へ出る。ここまで来ると観光船やボートも泳いでいて】
【街の光も明るい。バイクが橋を抜ける背後、大勢のサイレンが聞こえた。現場へ向かうところなんだろう】
【箸を抜けたということはもう心配はいらない。捜査範囲を広げるのは日勤の警部が出社して重大だと判断して】
【書類が準備されて本部と検事のサインが書かれてからだ。なんのスリルもありはしない。完璧だった】

さあ、飽きたのかも知れない。元々、好き出始めたわけじゃないからね…そもそもだ
アンタに安全だのスリルとサスペンスだのという話をされる筋合いはないぜ。オレよりよっぽど…
……ワイルド・サイドを歩いてるんじゃないのか?

【ただ単に路地裏で男を捕まえるっていう商売のことを例えただけだったが、場合によってはもっと意味深に】
【もしくは感の鋭い名探偵がロマン派の文学に例えたかの如きインパクトになってしまうかもしれないが実際は】
【はじめに行ったとおりに気取っているだけだ。シゴトはプロフェッショナルだがそれが全てに通ずるとは限らない】

買わなくても付き合ってくれるってのはオレも出世したもんだな

【彼はバイクをそこら辺にとめる。相変わらずお互いにとって“嬉しい”雑多で不衛生で下品な旧市街の繁華街だ】
【でも彼が向かったのは裏路地で、特にそこは裏寂れていて鼠すら居ないようだった。立ち止まったのは潰れたBAR】
【看板は割れ、全てが錆びだらけ、窓には板が打ち付けられている。…がドアを引くと中は明かりが灯されていた】
【使われていない暖炉と時間のズレた柱時計以外、よくも悪くもない古い小さなBAR。店主は…なぜか見当たらない】

夜も遅いしもう寝たんだろ

【そう言って勝手にカウンタの内側に入り、ビールをグラスに注ぐ。ぬるいスタウトがパイントグラスで。伝統的な“紳士流”だ】
458 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/05(日) 23:25:25.05 ID:TflMUKaDO
>>457

【「刺される可能性はあなたより高そうね」 少しばかり彼の言葉にどきりとしたが、きっとたまたまだ】
【誤魔化すようにそう言った。秘密は沢山抱えていたし、下手をすれば刺される処か火炙りにされそうな秘密もあった】
【けれど彼にそれは知られていないはずだし、今のところ知らせるつもりもなかった】


ただの気紛れよ。今日は客にすっぽかされて、時間が空いてるの。気分はオフ
服はドレスのままだけれど。……ふふ、それとも買ってくれるのかしら?


【バーに行くまでの間に、そう話を繋ぐ。寂れた場所は心地よいのか、上機嫌そうにヒールの音が響いた】
【買われても買われなくても、どちらでも良かった。買われれば相手にサービスをする。それだけの話だ】

【酒場につく。どう見ても閉まっている酒場だったが、灯りがついているのを見て呆れたように笑った】
【「鍵もかけずに?」 適当な椅子に座る。座る前に埃を払うことは忘れない。「あなたのおすすめは?」】
【どの酒も冷えているというわけではなさそうだ。なら、相手が好きな酒を一緒に飲むのがきっと一番いい】
【サイレンも宝石も、正義も悪もこのぼやけた灯りの前じゃすべてが霞む。ぬるいアルコールも、たまには飲んでみようと思った】
459 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/05(日) 23:36:10.53 ID:6Z3LPQ9Mo
>>458

【彼は冷蔵庫も勝手に開けて、勝手に厨房へ。古い店で置いてある新聞は2週間前で】
【雑誌は3ヶ月前。だがレコードが酒の棚の横の棚にギッシリと。不釣り合いな高級オーディオもある】
【彼は厨房に潜って何か調理しているようだった。オリーブオイルとガーリックの香り】

こんなとこで店やるんだ。どうせ常連しか来ないしってああいう風に表を偽装してるんだとさ
だから店主のじーさんは寝るし、俺は勝手にやる。客は俺みたいなのから元政治家まで色々居るらしい
…じーさんは元ニンジャだって噂だけど…まあ、どうだっていい話か…

スタウトは冷やして飲むのはナンセンスだよ。香りが勿体無い…それにパイントグラスでなくちゃ
冷えてるのは…雨で薄めたようなどっかの国のビールだけだ
カクテルは…参ったな。飲む方だからな…アイツに聞いてくりゃよかった

【彼は皿にパスタを盛って“持ってくる”。オイルサーディンのペペロンチーノ。辛くない筈だが鷹の爪を】
【炒めてる。もうその時点で目も分量もイカれてるとしたら…でも男はタバスコも持ってきて食べる前からかけている】
【ついでにレコードを棚から取り出し、針を落とす。ルー・リードのトランスフォーマー。ワイルドサイドを…ってことだ】

そういやさっきの“スター”だけどさ…まあ、偽物だけどね。特殊メイクってやつ
コピー専門の技術屋だ。ナンバープレート、パスポート、人の顔まで。ああやってチヤホヤされるのが好きらしい。
だからラヴァーマスク、でラバーソウル。…なんで“靴底”かっていったら「頭のお固い奴」だから…
こんな風に自分だけさっさといつも帰る。だから毎回、アシが2つも用意しなくちゃならない。

【そこでやっと彼は煙草に火をつけた。オンからオフに戻ったということだろう。無意識のトグルスイッチだったが】
460 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/05(日) 23:55:51.04 ID:TflMUKaDO
>>459

【オリーブとガーリック。つまみならアヒージョや軽い炒めモノ。食事ならペペロンチーノかそのあたりだろう】
【女相手にニンニクは、デートならまず振られる選択。気取り屋な相手にしては珍しいチョイスだが】
【こんな店で、それにそもそもデートじゃない。幸い、彼女もニンニクを気にする様子はなかった】


あなた、料理なんて出来たのね。……ふふ、ヴラドとカーミラがペペロンチーノなんて少し笑えるけれど

──それにしても、いろんな“お友達”がいるのね。ニンジャに銀幕のスターまで
ふふ、ふっ……スターが偽物なのは少し残念。けれど、かっこつけなのはあなたと似てるわね
嫌いじゃないわ。あんな風に、お堅いけれど褒められたがりってのは。……ああいうのが、一番女に入れ込むんでしょう?


【「別に、お酒はなんだっていいわ。なんなら、同じのでも」 困った様子の彼を見て、そう笑った】
【持ってこられたペペロンチーノを見る。「辛くない?」 聞いてはみるが、答えなんて分かりきっている】
【一口食べて常識的な辛さなら、そのまま食べるだろうが……辛すぎるなら、夕食はアルコールだけになりそうだ】
【古びたリズムの音にそこそこ気に入っている煙草の香り】
【タバスコさえなければ、きっとそれなりに心地よい夜になりそうだった】
461 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 00:10:54.18 ID:dg/XUu17o
>>460

【ウラドなんて自分でも忘れていた二つ名に肩を竦めて】

ペペロンチーノを食べ、シルバーの聖母を首から下げて、血は嫌い。ドラキュラ伯爵に適役だね
…デカい山の後は3ヶ月潜る事もある。2週間はカンズメだ。自炊して映画を見て…まあ多少は覚えた
今も何かとな…朝飯だと買いに行くのもデリバリーを待つのも…馬鹿らしい

そういや…アンタ、“能力持ち”だったんだな。…あれ、前に話したっけ
まあ…いいか。能力ってのはそんなに神様が配り歩いてるもんなのか…
それともそういう奴らはちゃんとしたシゴトにつかないで俺の周りに居るだけか…

【やれやれと言ったような溜息をついて、スパゲティを食す。辛そうだ。でも本人はなんともない】
【やたらにビールを飲むわけでもなくほんとうに普通。またタバスコをかけた。無意識みたいで喋りながら】

一緒にテニスをするような“お友達”は居ないけどね。…そうだろな。でもそうだとしたら
口説き方は俺のコピーだろうね。それに適当な映画と恋愛テクニックの本で多少書き換えて…

【辛くないよ。と一言添えて彼は食べ進める。まあ本人からすればそうだろう。物悲しげなポップチューンが響く】
462 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/06(月) 00:31:36.64 ID:QdFXZSaDO
>>461

【「悲しいくらい、完璧ね」 くすくすと笑う。スパゲティに手をつける】
【すぐにフォークを置き、酔うと分かっていながら適当なアルコールを流し込んだ】


……辛いじゃない。ウソつき


【拗ねたように彼を見る。これでまた辛いものが嫌いになった。自分専用の砂糖やバニラエッセンスでも持ち歩いた方がいいだろうか】
【でも辛いものにバニラをかけても単に不味くなるだけだ。やっぱりやめておこう】


自炊するなら、トウガラシなしで食べれる料理も作れるようにしてほしいわね
銃弾やギロチンにそっぽ向かれても、このままじゃあなた病気になるわよ
タバコもお酒もやって、辛いもの大好き。……ふふ、蟹の悪魔に取り憑かれたって知らないわよ?

それと、あれは能力じゃなくて魔術よ。神様は生憎冷たかったの
だから自分で神様から掠め取った……そんなところかしら


【またアルコールを飲む。舌がヒリヒリした。腹が立ったから、ガンで死ぬと脅してみるも】
【どうせ彼はしれっとしているはずだと気付き余計に腹が立つ】
【おまけに、以前も似たような皮肉を言ってしれっとされたことを思い出したもんだから、もうどうしようもない】
【八つ当たりにまたぐいと酒を煽る。……随分とペースが早いが、気にしちゃいなかった】

【「辛いもの好きが似てないなら」 かん、とグラスを置く。一気に煽ったせいで、多少酔いかけていた。】
【「スターの方がいい男かも」 半分は冗談だ。少なくとも、スターの目は赤くないだろうから】
463 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 00:57:51.29 ID:dg/XUu17o
>>462

【きょとんとした様子で煙草を吹かす。既に食べ終えてしまったみたいだ】
【何が辛いのか本当にわかっていないという様子。タバスコかけてないしいつもより少なめのはず】
【まあでも思い返せば人につくるたびに辛いか塩辛いと言われている気がする。まあ次から考えよう】

体を温めることは悪く無いだろ?健康に気を使うなら煙草と、酒と……兎に角、優先順位は低いはずだ
いまのところは何も辞める気はないね。オレが税関になって所帯を持って田舎に住んだとしても、まず無い
……ま、ヘラクレスに踏み潰される事のないように気をつけるとするさ

【星座を眺めるようなロマンチストでも神話を読むようなインテリジェンスでも無いわけだが知っているということは】
【多分何かの映画で覚えたんだろう。ロマンチストかインテリジェンスが出てくる映画だろう。彼はそこからコピーする】

オレからすればどれも一緒だよ。神様のポケットから盗むほどお近づきになれない。シャワールームの鏡にルージュで
グッド・ナイトと書いていくんだろう。アンタなら…

知り合いの連中は能力ぶん回して今日も大立ち回りしてることだろう。それがアイデンティティってやつなんだ
使ってないと自分を忘れるんだよ。それを中心に…こう…出来上がっていくんだ。自分ってやつが…多分だけど

【その気になればスターも赤い目をコピーすることができるだろう。ただし、その“魔翌力”までコピーすることができるかは】
【わからない。ただ、エコカーに乗るような人物だ。煙草もやらずオーガニックレストランで豆腐でもかじってるかもしれない】

464 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/06(月) 01:18:14.78 ID:QdFXZSaDO
>>463

【呆れたようにため息をつく。相変わらずだが、変わられてしまっても対応に困る】
【「つまりあり得ないってことね」 サングラスを外して、子供と一緒に薪を割る彼】
【想像したら、あまりに奇妙な光景すぎて笑いが出た。彼には青空よりもコンクリートがお似合いだ】


ふふ……変な話。使っているつもりが、使われているのね
あなたはタバコとサングラスがないと自分を忘れてしまいそう……違う?


【テーブルの上に、頭を乗せる。固かったのか、腕を組んで枕にする】
【少し顔が赤かった。飲み過ぎだ。「ちょっとだけ……1時間」】
【今日の彼女は、普段とは違っていた。客の前でこんなことをするなんて、まずない】
【そういえば客にすっぽかされたと言っていた。それにしてはやっぱり変だ】
【1時間。ビールを飲んで何曲か聞けばそのくらいはすぐ過ぎる。時間が経てば起こしてやればいいだろう】


…………、……ん……、

────…………アイン


【もちろん放っておいてもいい。朝になったら勝手に目を覚ますし、彼がいなくなってても適当に帰るはずだ】
【……小さく、彼女はそんな寝言を呟いた。彼女の不調の原因は、どうやらそいつにありそうだった】


/眠くなってきたので、このあたりでっ
/絡みありがとうございました、お疲れさまでしたー!
465 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 20:08:39.06 ID:dg/XUu17o
>>464

【自分でも想像付かないがある種現実はそっちに近づきつつあるということが】
【頭によぎったが口には出さない。私的なことを話さないハードボイルドさは持ちあわせて】
【いないが別に大した話でもないし、ある種のマナーで代わりに煙草をくわえることにする】

だけどそれが一番納得できると思わないか?シンプルで純粋なもんさ最後は…
……どれが自分かによるね。それで余計なものを忘れているのかもしれない

【意味深な言い回しは最早性格に1つに近く、またそれに大した意味もないことも周知のこと】
【彼は余韻を残すような話をしてその雰囲気が消える前にA面のレコードをかえしてまた針を落とす】

【暫くタバコを吸い、酒を飲み椅子に座りレコードを聴いていた。テレビを付けチャンネルを回したが】
【自身のニュースはやっていない。それを確認すると直ぐに消し、何となくぼんやりとしていた】
【彼女が起きようとも朝まで寝ていようとも彼は声をかけることはない。レコードは曲が終わってもループせず】
【その頃には彼も消えているだろう。灰皿に数本の吸い殻が残るだけだ。余談ではあるが朝まで居た場合】
【背の低いこれまた愛想のない店主と顔を合わせるだろう。しかし言い放つセリフは「金は置いてけ」それだけだ…】


/遅ればせながらお付き合いいただきありがとうございました!
466 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/06(月) 20:24:21.58 ID:QdFXZSaDO
【公園】

【昼間のことである。まだ若い男がベンチに座っていた。顔立ちは東洋人のソレ──櫻の国の出身者だろうか】
【腰には一振りの刀。剣士か。服の上からだと筋肉があるようには見えず、どちらかというと優男のよう】
【身に纏っているのは、涼しげな櫻の国独特の衣装だ。生地の薄さや色合いから、夏物なのだろう】


エルジオの一件以降、妙に騒動が増えましたね……
TRAVIS社リチャード社長の会見に武力解放戦線『赤の月』──
水面下で起きた騒動はきっと更に多いでしょうし……


【ぱ、と手に持つ袋から何かを地面に投げる。パンくずだ。それを目当てに、彼の足元には鳩や雀が多く集まっていた】
【しばらくの間彼は鳥がパンを啄む姿を眺めていたが、やがてへへと笑う】


……お休みの時に考えることじゃ、ありませんね

それにしても──ヴィルデス・ビーチでの大会、しかも国軍主催とは……水の国も思いきったことをしますね
クリスさんやヴェータさんのためにウィザーズクロムやナイツクロムを、というのは悪くないですが……


【ぱ、とまたパンくずを放る。独り言の内容は、1週間後に行われる武道会のことだった】

【そして……もしニュースや雑誌をよく見るタイプの人間であれば、彼の顔を知っていてもおかしくない】
【「天辰 櫻」 天辰警備会社の跡取り。雑誌の広告欄には会社PRのためか、凛々しい表情をした彼の写真がたまに載っている】
【更には1ヶ月ほど前──風の国の首都エルジオを襲撃した六罪王・アイン及びダグラスを退けた者の1人だと、ニュースでは報じられていた】
【いたの、だが……。当の本人はといえば、鳩にパンくずを撒いている真っ最中】
【仮に天辰 櫻のことを間接的に知っていたとしても、これでは「よく似た別人だ」と思われても、それはそれで仕方のない話だった】
467 :辻風文 ◆ll6J2md5hg [sage saga]:2015/07/06(月) 20:42:05.07 ID:T1JUr9lO0
>>466

【昼間のことだった】
【比較的広い通りであろうか、取材のネタ探しにとキョロキョロしながら歩いていたが】
【辻風の耳に「騒動が増えた」という一言が耳に入る】

ほぉ、これはなかなかおもしろそうな話が聞けそうですね。
しかもあの人、うちの新聞広告で見たことありますよ・・・?
たしか、「天辰警備会社」の方だったかな。

【公園の中へと入り、天辰の元へと近づいていく】
【ひと呼吸おいて、話しかけた】

すいません、中央新聞社の辻風と申しますが・・・。
先ほどの「騒動」のお話、伺ってもよろしいですかね。

【くびからぶら下げられた社員証を手に持ち、天辰に見えるように近づける】
【そして「騒動」の話を聞き出そうとしている】
【天辰はいかに対応するか】
/まだいらっしゃいますかね・・・?
468 :天辰櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/06(月) 21:02:44.63 ID:QdFXZSaDO
>>467

【ぱ、ぱ、と天辰は鳩にパンを撒いていたが──辻風が近付いてきたことで、鳩達が一斉に羽ばたいた】
【それにより、誰かが来たことを悟ったのだろう。彼はそちらへと視線を向け】
【新聞社の社員証を見れば、一度立ち上がりぴしりとお辞儀をしてみせる】


あぁ──中央新聞社の……。はじめまして、辻風さん
僕は……はは、声をかけてきたということは、もしかしたらもう分かっていますかね?
天辰警備会社……一応、跡取りということになっています、天辰 櫻と申します


【「座ります?」 そう辻風に尋ねた後、彼はベンチにまた座り直すのだ】
【そして財布から名刺を取りだし、辻風に渡そうとする。一連の流れは、比較的スムーズに行われ】


……騒動、ですか
さて──とはいえ、僕が直接関わった大きな騒動はそう多くないので……
最近のものだと……そうですね、春頃にあった、火の国の街フレイアで起きた「オルレウス人命革命軍」クーデターの件
それと、つい1ヶ月ほど前の、風の国の首都エルジオで起きた、六罪王アインによる首都砲撃事件、ですが……


【「どちらをお話致しましょう?」 そう天辰は笑って答えた】
【「色々、他にも事件はあるのでしょうが。僕はあまり関われなかったので……すみませんね」 続いて、そう付け足す】
【どうやら、メディアへの露出は然程気にしないタイプの人間らしい。余程の質問でない限り、気軽に答えてくれそうな雰囲気があった】

/おりますぜ!
469 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 21:08:09.29 ID:dg/XUu17o
【路地裏】

【路地裏には不釣り合いな青白い光が奔る。トウモロコシが弾けるような音。スタンガンが炸裂した音だ】
【倒れこんでうずくまる金髪の男。最新のスニーカーと“K"のシルバーネックレスが印象的な眉の細い男】

【何者かはすかさず倒れた男の顔面や頭部を握りしめた警棒の様なもので何度も殴打する。力一杯に】
【スタンガンのショックと不意打ちの暴力の痛みで抵抗する気力は失われる。襲撃者はそいつに語りかける】

カノッサのアジトは何処だ。お前が機関員と接触して出入りしていることも知っているぞ。情報屋。

【襲撃者はボイスチェンジャで声色を変えていた。くぐもってヒビ割れた低すぎる声だった。それに顔面には白のガスマスク】
【パーカーのフードを被り、髪の色さえわからない。腰のベルトには警棒を収めるホルスタなど色々なポーチがついていた】

『……うっ…ぐっ…俺は』

【話そうとした矢先にまた襲撃者は何度も殴打する。もっと従順に仕立てるために暴力を押し付ける。執拗に念入りに】

アジトは何処だ

【今度は殴らずに、目の前でスタンガンを(警棒の先に端子が付いている)放電させる。鼻が折れ、腫れた目で男は口をモゴモゴさせるばかりで】
470 :辻風文 ◆ll6J2md5hg [sage saga]:2015/07/06(月) 21:34:01.46 ID:CVfDPYIQ0
>>468

どうも、天辰櫻さんですね。
校正作業で幾度か御社の広告を観たことがありまして。

【ガサゴソと辻風もスカートの右ポケットを漁るようにして名刺を取り出してから】
【天辰と名札を交換した】

っ・・・!?
アインさんが何か事件を起こされたのですか?

【そう、辻風に一人の人間として生き抜くための知恵を教えてもらったあのアイン】
【辻風はまさかアインが六罪王とはつゆ知らず、驚きの表情を隠せない】

その話、詳しくしていただけますか?
私個人としても、新聞社としてもスクープものでしてね。
なんせ、我社には私一人しか能力者がおらず、そういった騒動の情報は入らないもので・・・。

【ぜひともアインに関しての話は聞きたい、そう思った】
【あの圧倒的な魔力は、いまではすっかり辻風にとって憧れの人物であったが】
【はたしてどのようなことをしでかしたのか】
【中立派としてはなによりも面白そうな話を聞きたかった】
471 : ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/06(月) 21:53:32.96 ID:1ZFOG2tjo
>>469
/まだいらっしゃいますか?
472 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 21:56:46.82 ID:dg/XUu17o
>>471
/はい居ります
473 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/06(月) 21:58:52.41 ID:QdFXZSaDO
>>470

【広告を観たことがある、と言われれば天辰は丁寧に礼を告げた。社交辞令というやつだろう】
【その後辻風がアインと知り合いだったという事実に、天辰は驚きの表情を浮かべるのだ】
【──六罪王と個人的な繋がりを持つ者など、世の中そう多くない。この出会いは、天辰にとっても衝撃的なものだった】


……あなたこそ、あの六罪王とお知り合いだったとは。……僕としては、そっちに驚きです、ね

まぁ……いいでしょう。彼と……いえ、彼らと戦い、今もこうして生きていられることは未だに信じられませんが──


【そう静かに言い、天辰は「エルジオでの一件」を話し出した。時は遡ること1ヶ月前】
【風の国・首都エルジオに対し魔術により長距離砲撃を行うとアインから予告があったことから、事件は始まった】
【エルジオは風の国国軍や外部から募った協力者によりアインを迎え撃つ準備をする。勿論、協力者の中には天辰もいた】


──予告されたその日。現場に行った僕たちが見たのは……「2人の」六罪王でした
1人は言うまでもなく、新たな六罪王≪ロード・ケイオス≫ことアイン。……もう1人は、≪神域の美芸求道者≫ダグラス・マックスウッド


【たかが2人とはいえ、六罪王の力は圧倒的だった、と天辰は語る。瞬時に平原を火の海に変え、文字通り槍の雨を降らし、巨人を召喚し……】
【「今考えても、生き残れたのは奇跡です」 苦笑いを浮かべつつ、天辰は感想を漏らした】


ですが……残念なことに、すべてを救うということは、出来ませんでした
アインが準備していた魔導砲──そこから、光弾が放たれたのです

あの時アインは、こう言っていました。……『中途半端な状態で』と
魔導砲は周囲の魔力を吸い、打ち出すもの。魔力の吸収が不完全なまま打ち出せば、当然威力も半端なものになります


────その、半端な威力の光弾でも。エルジオの街の10%が、「消滅」しました


【ぐ、と天辰は拳を握る。そこには後悔が滲んでいた。都市の10%──2万と数千の人命が、一瞬で奪われたのだ】
【天辰は「消滅した」と言った。ならば、砲撃の余波により破壊されたものはそれ以上あるのだろう】
【──しばし、沈黙が走る。思い出しているのだろう。風の国で行われた激戦と、直面した死の恐怖を】

/次遅れるかもしれませぬ
474 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/06(月) 22:03:18.98 ID:1ZFOG2tjo
>>469

【危険な青色の稲妻が、暗い路地を僅かに照らしている。発しているのは声も顔も髪すらも覆い隠した謎の人物だ】
【周到な男なのだろう。少なくとも、この"尋問"を誰かに目撃されるようなヘマなど容易には犯すまい。普段ならばきっと、誰にも見られず終わった筈で】
【ただ、その日の路地裏には――スタンガンの発する僅かな光だけで獲物へ狙いを定められる程の、老練なる"狼"が潜んでいた】

【――真上。廃墟じみた商店の屋上から突如放たれた短剣に、男は反応できるか否か】
【もし気づけなかった場合……短剣は"情報屋"の喉元を引き裂き、刹那にして彼を葬り去るだろう。襲撃者が欲しがっていた、情報と共に】


答えよ。――貴様、その"アジト"を知ってどうする気だ?


【攻撃が成功するか否かに関わらず。襲撃者が頭上を仰ぎ見れば、古びた欄干に片足をかけてそちらを見下ろす陰がある筈だ】
【ウィングカラーシャツの上にジレ、下はスラックス。金色のアスコットタイを絞め、シルクハットを被った紳士風の老人――】
【刻まれた無数の皺、オールバックにした長めの白髪、立派に蓄えられた口髭と顎髭。そんな外見からするに六十は越えていそうだけれど】
【腰はぴんと伸び、恰幅も良い。右腰にはレイピア、左腰にはマインゴーシュを吊り下げた騎士じみた武装までして、老人らしい弱弱しさは全く無い】
【何より、その茶褐色の双眸。"こちらの世界"の住人なら一瞬で理解できるはずである。獲物の肉を噛み千切ることのみを考えた、冷徹な狩人の目】

【老人の発した問いに答えるかどうかは男次第である。ただ、少なくとも……月光に照らされたレイピアの柄には、"逆五芒星"が光り】
【また、老人が陣取る商店の屋上はせいぜい二階ほどの高さで、ある程度身体能力が高ければ登っていくことは難しくないだろう】
475 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 22:27:20.49 ID:dg/XUu17o
>>474

【ガスマスクの人物はその情報屋をかばうような動きは見せない。見下ろして喉を割く剣を見やる】
【情報屋は殺陣の部隊のようなまるで態とらしく、血を吹き出して絶命する。それをただじっと見ていた】

【急に辺りの空気が入れ替わったかのような気分に駆られた。血の匂いは本能か、緊張感を引き出す気がする】
【襲撃屋の“襲撃者”は何かを問うた。問うたならこちらが答えるまで、ある程度は待つことだろう。なら急がない】
【十分な時間を置いて、その高台の“襲撃者”に向き直り、十分な間をとってガスマスクは答えるだろう】

破壊する。全てを、だ。

【ボイスチェンジャは複雑に声を変化させているがその内容はクリアのまま、聞き間違えることとの無い声で伝える】

【ガスマスクの奴は背はあまり高くないがガタイはいいと思われる。着ているパーカはキツ目で生地が張っているからだ】
【彼奴はスタンガンを放電させた。バチバチと青白い、惹きつけるような閃光。脅しの意味もあり、相手の技量も見る】
【本能に従い凶器に目線が行くようなら、恐怖心は拭えていない。そうでないなら、ある程度の経験が想定される】
476 :辻風文 ◆ll6J2md5hg [sage saga]:2015/07/06(月) 22:31:28.39 ID:CVfDPYIQ0
>>473

いえ、知り合いというわけではありませんが・・・。
あえて言うなれば、私の中の師匠というべきですかね。

【あの人がいなければ、本気で魔術の練習をすることもなかっただろう】
【まぁ、そんな感じであるが】

彼ら・・・、ということはアインさんだけでなく、他の六罪王もいらっしゃったと。

【天辰の発言を要約してしっかりとメモしていく】

六罪王はたった一人でも圧倒的な力を誇りますからね。
それが二人となれば、半端のない力だったでしょうが・・・。

【六罪王二名に対し、あれだけの軍勢で挑んでようやく勝利を掴んだのであるが】
【無論両方正義だ、ただ、ただそれらのぶつかりあいで必ずしも多くの犠牲になるのは市民である】
【正義と正義のかちあいは市民に惨劇を引き起こすものだと思った】

魔導砲ですか。
そんなものに火を灯せる魔力が存在すること自体驚きなのですが・・・。

【辻風自身、魔力とは何なのか、どこから生産されるのか知らない】
【機会があれば、詳しい人物に伺いを立ててみようと思うが】

中途半端でも街を1/10も消滅させるとは・・・。
魔導兵器の威力は恐ろしいものですね。
やはり、使い方によっては善とも、悪ともなりうるものですね・・・。

【魔導兵器の恐ろしさをとくと味わった気がする】
【街を、一部であれ、中途半端な状態であれ、消滅させるのであるから】
【そして、破壊されたものはそれ以上にあるのであろう、考えるだけでおぞましい】

天辰さん、そんなに死に直面するような戦闘をされたのですね。
ただ、こんなことを考えたことはありませんか?
いつも、善と悪が剣を交えるときには、必ず市民が巻き添えにされるって。
どうにかして、和を求めることはできないんですかね・・・。

【遠く、青く澄んだ空を見上げる】
【空はこんなにも広く、澄んだ色をしているのに】
【人間はなぜ狭苦しく、淀んだ色をしているのだろうか】
【辻風はこう思いつつ、死んでしまった市民の冥福を祈るばかりだった】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/07/06(月) 22:36:18.97 ID:Jh4JWYObo
【魔界近くの泉のほとり、そこに座るのはひとつの影】

「ふゥむ、遺ィ跡荒らしの成ェ果の……こォれの中身は、あァれと同じで……」
「そォれで、あァれはあァれだァったかァら、……そォなるのかァ?」 「まァ、せェっかくだ。光る水も色々検証しィようじゃアないか」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「そォして、情ォ報類の成果は……うゥむ、いィまいちか。」 「急ぎ足過ィぎたな」

【膝の上に乗せているのは、大きな漆黒の立方体。継ぎ目はなく、これだけ見るとただのオブジェでしかないが――?】

「あァ、正義の糞共から報ォ酬としてかァっぱらった亀の甲ォ羅も加ァ工しィねェとな」
「前に拾ったあァれと組ゥみ合わせれば、なァーんか相ォ乗効果があァりそうな気ィがするし、後で試してみよォーっと」

【――つい数日前の話だったか、砂の国のとある遺跡で空色に光る水で出来た巨人が眼を覚ましたという出来事が起きたのは】
【その眼を覚まさせた者を守っていた存在は、巨大な海亀的存在であったというが……】 【ドサクサに紛れて遺跡の物が幾つか無くなっていたとかもあるとかないとか】
【まあ、この指名手配犯、邪禍はその場に居なかったと……居たという情報は、おそらくない。】 【つまり、関係はない。 だから、ただの偶然の一致、……?】
478 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/06(月) 22:44:45.46 ID:1ZFOG2tjo
>>475

【天からの銀閃により、カノッサ機関の情報を知る者は無事に抹消された。老人はその結果に少しも表情を変えることなく】
【残されたガスマスクの男を見据えるだろう。そこに燃えるような殺意はなく、ただ機械のように冷たい意志が存在しているのみで】


……答える気がないのか、それとも本気か。
いずれにしても"破壊者"とは、つまらぬ答えよ。破壊した先に何を求むるのかを儂は聞いたのだがな。


【口調だけは不愉快そうな、あるいは挑発するようなものだったが、それにも激しい感情は籠もっていない】
【第一老人はまだ得物を抜いてすらいないのだ。天と地ではあまりに距離も離れすぎていて、まともな会話は出来そうになかった】
【かといって老人は、今のところ自分からそちらへ降りる気はないらしい。代わりに緩やかな動作で左手を腰元へ遣り】
【――再び、男へと短剣を投擲するだろう。狙いは顔面、どのみち頭上からではその位置ぐらいしか狙えない。速度も威力もあるが単調な攻撃だ】

【そして老人は、その攻撃の間……男が威嚇するように発したスタンガンの音と光を、当然のように見つめている】
【男がそれを見てどう判断するかは自由だが。スタンガンに固定された老人の視線は、いっそ短剣を投げた方がついでに見えるほど、あからさまにも思え――】
479 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/06(月) 23:06:41.82 ID:QdFXZSaDO
>>476

【辻風の質問には、すべて頷くことで肯定していく。六罪王の力に魔導砲。いずれも、辻風の言う通りのものだった】
【──沈黙が続く。過去を想起するためではなく、今度は最後に投げ掛けられた問いに答えるために】


…………、…………それ、は。

……、…………不可能、とまでは言いたくありません。……ですが、そうするためには、すべてが変わる必要があります
善も悪も。自らの信念に、信条に、過去に、未来に何かを見出だし、刃を翳し拳を掲げます
市民を巻き添えにしないためには……戦いを求め戦いを成す善や悪が、戦場を定め日時を定め、勝敗がどのように決定付けられるかを定めなければなりません

──果たして、それは本当に、善と悪のぶつかり合いに成り得るでしょうか
それは……、それは……“ショーとしての戦争”に、なってしまうのではない、でしょうか……

……戦いを肯定しているわけでも、市民の犠牲が出てしまう現状を賛美しているわけでも、ありません
ですが……“戦争ショー”が成り立つ世の中は──僕は、嫌ですね


【──何度目かの沈黙。だが天辰はすぐにため息をついて、困ったように笑った】
【「申し訳ありません。話が、逸れましたね」 また、小さく笑う。六罪王を退けた者とは思えぬ笑みだった】


或いは、戦いを完全になくせば──すべての人が分かり合える世界になれば……辻風さん。あなたの望む世界は来ると思います
……はは。そうなったら、僕たちみたいな仕事をしている人たちは皆路頭に迷うハメになりますが

それに……それに、ですね。辻風さん
市民の犠牲を最小限にするために、僕たちがいるんです
僕たちは……天辰警備会社は、市民の安全を守るために様々な仕事をさせていただいています
或いはSCARLET、或いはUT、或いは自警団……和を求める人たちや、市民を守る方々は大勢います


……辻風さん。ペンは、剣より強いと言いますが……時としてそれは、事実になります
新聞は、多くの人に読まれているもの
事件をいち早く察知し、真実を暴き、人々に平和を訴える……それを効率的に行えるのが、新聞でありメディアです

ここに和がなかったとしても──和を求める意識を、メディアを通じて芽生えさせればいい
あなたはペンで。僕は刀で、市民を守る。……なんて。少しカッコつけてしまいましたかね?


【そう言って、天辰は一度話を終わらせた。和がないのなら、作ればいい】
【それは膨大な努力が必要となるだろうが……何もしないよりは、ということだろう】

/ただいま戻りました
480 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/06(月) 23:12:52.11 ID:dg/XUu17o
>>478

【ガスマスクは動かない。放電を終えるとまた沈黙。性能の悪いコンピュータを積んだ】
【アンドロイドでも相手にしてるようだ。じれったくて、会話にストレスが生じる無駄な沈黙】

端的に申したまでだ。我々はアジトを破壊し、人員は殺害する。それ以外の意味は無い

【顔面へ迫る、投げナイフ。ガスマスクの彼奴は一歩も動かなかった。ただの一歩も、身じろぎもせず!】
【目の前に投げ渡された車のキーでも受け取るようにその警棒を振り、弾いたのだ。甲高い金属音、その警棒は】
【たんなるスタンガンの仕込んだ“民生品”ではなさそうだ。約60センチ。太くはない。反応の早さから重量も】

我々は人民の解放の旗手となりてその矢面に立ち、先陣を走るただの一兵に過ぎず。その後に続く
真の理想を描くのは後世の同志たちであり…その時、我々は生きてはいない。敵を抱き、煉獄へ落ちるだろう
これはアナキズムではない。“ダダイスム”だ

【青白い閃光を散らす。動かない。彼奴は淡々と、機械的な音声と口調で演じる。破壊者は内包する。本質はもっと】
【大きい。否定、破壊、攻撃、反抗全てへのアンチ。それで固められている】
481 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/06(月) 23:35:47.01 ID:1ZFOG2tjo
>>480

【短剣はあっさりと凌がれる。別にそれ自体は予想外でも何でもない。ただ不気味だったのは、一連の所作から何も感じられなかったこと】
【個人を象徴する要素全てを排除した、ただ辛うじて男というだけの人間。防御動作すらも非人間的なように思え】
【試していたのは此方も同じ。スタンガンの"誘い"に敢えて乗ってはみたが敵は仕掛けてこなかった。どうやら無鉄砲なだけの若造とは違うらしい――】


ダダイスムだと? ……総てを道連れに"無"への回帰でも望むか、破壊者。
無軌道なアナキストの方がまだ質が良い、其処に自らの意志がある分はな。

――自らの生に望みを持たず、撒き散らした破壊の残骸を後進へ押し付けるなどと。
何が人民の解放か。そんなモノは思想ですらない、ヒトであることすら放棄しておる――。


【淡々と語られる危険な台詞に、初めて老人の相貌が歪んだ。年月と共に積み重ねられた皺の奥で、侮蔑と悲哀が僅かな塩梅で折り混ざって】
【――そして、老人は"跳んだ"。二階分の高さだが途中で壁を蹴り、力のベクトルを斜め方向へ変換。地面を滑るような形で着地するだろう】
【相当な老骨に見えるが体を痛めた様子は一切無い。男が何もしなければ、老人は無傷のまま、其方に背を向ける形で地面に降り立つことになる】

【……もちろんそれは、何もしなければという仮定の話だ。着地の瞬間の隙を狙って攻撃しても良いし】
【着地した直後でも、老人は背を向けたまま数メートル先で静止している。これを好機と思ったなら攻めるのも手のひとつであろう】
482 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/07(火) 00:10:09.54 ID:+ZCginlro
>>481

【空いた手を握り込む、ギリリとラテックスがこすれ合う音。スタンガンのうるさい炸裂音が消えると】
【彼奴は喋り出す。そういう芝居のようだ。役者が一歩踏み出してピンスポットライトが当たるかのように】
【聞けと、言わずに押し付けるように、演じている。ノイズ混じりの声はこの張り詰めた夜によく通る】

“無”への躍進だ。新たなる革新へ、高次へと人類は止揚する。その為の“アジテート”だ

新たなる生のために朽ち果てた大地を掘り返し、一粒の種籾を巻く。それが希望でなくてなんと呼ぶか
硬直し老いて衰えゆくだけの世界を我々は捨て去らねばなるまい。情景すら捨て、過去に回帰する事無く
全てを破壊せねば、本質は変わらず。真の開放へ至ることはない…

…人で居て、何が救えたか、救えるものか

【希望のための圧倒的暴力、破壊、反抗!破壊に希望を見出して居る。このようなテロリストはいただろうか】
【強盗まがいの革命家気取りでももう少し体裁の良い事をいうものだ。論理は跳躍し破綻している。だがそれを】
【狂信している。ディベートで打ち負かしてどうとでもなる相手でないことは言うまでもないのだが。】

カノッサ機関が何を語るか。

【腰にはもうひとつ警棒がある。彼奴は二刀流でそれを構える。順手と逆手だ。体の前でクロスさせ、構える】
【片方はバチバチとまた放電させている。もう、見慣れたことだろう。だが、そこからのことは想定しているだろうか】

【新たに構えた警棒(というより鉄パイプに近い)の先端部がその柄を握りこむと激しい炸裂音と共に発射されるということが】
【ゴルフボールほどのサイズの塊だ。一瞬の閃光からレールガンのような機構で撃ち出されたことが専門家であればわかる】

【それは頭部を狙って発射されている。不意打ちだ。だが、警戒し音に反応できれば避けられなくはない。ただ当たれば】
【その頭はスイカのように弾けるだろう。太いワイヤーが弾丸のケツに付いている。それはまるで鎖分銅のような体裁だった】
483 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/07(火) 00:46:08.28 ID:DugIE8Keo
>>482

【――全ての破壊。そして新たなる世界の創造、か。無へと至る過程、すなわち"混沌"こそを望むカノッサの思想ともまた違う考え】
【背を向けている以上そちらからは見えまいが、老人の表情はやはり悲しげだった。男をというより、その思想自体を憐れんでいるように】


……然り。どれだけ侮蔑し否定したところで同じ穴の狢という奴かの。
だが儂は、まだこの世界に用がある。勝手に無になど帰されては敵わん。

それに、人で居なければ救えぬモノもある――。
儂は"悪"だが、少なくとも。そう信じて戦っておる敵対者達を、蔑む気にはならん。


【背を向けたままの体勢で、老人もまた語った。意味がないとは思いつつも自嘲せずには居られない。何を語ろうが所詮はカノッサ風情の理屈】
【だが――老人は、男のような過激な思想故にカノッサに居る訳ではない。居なければ成せぬ理由があったから籍を置いただけ】
【……"敵対者"とは。こんな暗くて湿った場所ではなく、表の明るい世界の上で"正義"を語り、市民を守る者たちのことなのであろう】
【この身は悪だが、彼らには敬意を表する。老人はそう言って――真後ろで炸裂音が鳴ったのと、老体が激しくブレたのが同時であった】


何故ならば、それは"誇り"であるが故に。"生きた意志"であるが故に。
貴様はどうなのだ、破壊者よ。世界が無に帰し再誕したとて、見ずして死ぬなら無きも同じと思わぬか――?


【半ば無駄と解っていて、老人は尚、その狂信を真っ向から否定し。悪に穢れた誇りでもって、ついに腰元の二本の剣を抜刀した】
【同時に深く身体を沈め――右手が跳ね上がる。驚くべき事に、老人は後ろを向いたまま音だけで遠隔攻撃を察知し】
【更にその速度が予想を超えていると見るや、刹那にして回避から防御へ転換。引き抜かれた"マイン・ゴーシュ"という短剣で弾丸を弾いてみせた】
【激しい金属音が炸裂する。殺し切れない威力の分だけ右手に痺れと痛みが走るが、背後からの不意打ちであることを考慮すれば小さい犠牲か】


"生"なき剣に力は宿らず。――されど死へと進むが貴様の生なら、やはり相容れぬのだろうな………!


【老人はそのまま身体を回転させ、転身――とにかく、疾い。果たしてこの領域に至るまでどれほどの研鑽があったのか】
【男と老人、彼我の距離が一秒未満で縮まるだろう。接近に成功したのならば、左で構えたレイピアを右肩めがけて突き出す――!!】
【空間に銀の線を引く刺突は、素人ならば銃弾と見紛うこともあろうかというほど、疾風の如く素早い上にブレがない】

【ただ、この攻撃――突きの威力より、"返し"の早さを重視した一閃だ。突いてから引き戻すまでが速い分威力はそれほど高くない】
【例え直撃したとしても、痛みは別として、そこまで大きな傷にはならないだろう。無論、男の技量が十分であればそれ以前に対応も可能か】
484 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/07(火) 01:26:35.71 ID:+ZCginlro
>>483

そうやって、貴様らは小さな“気高き”世界にしか目を向けぬ。何が“誇り”か、それは“驕り”よ

貴様らのそのくだらない意志、理想、空想、妄想、野望、欲望によって何千の力無き者が死んだか
都合の良い役を演じる偽善者を称え、人の心を識ったつもりか。この世界は“貴族”だけで出来ては居ない

幾千の力無き者らは貴様らのような者に運命をかき乱され、人生半ばで倒れていった。幾億のその人生に
貴様らは敬意を払っているというのか。“生きる意志”だと?……笑わせるなっっ!!

過去を清算し、現在を破壊し、未来を創造する。我々は歯車のようにその一躍を担うのみである。

【ついに人らしいところを見せる。彼奴は激昂した。ボイスチェンジャはハウリングしざらついた。しかしその御蔭で】
【一体どんな人物か全ての情報を覆い隠すことには抜かりがなかった。彼奴はそれからあからさまに“生き返る”】

【一発で仕留めることが出来るとは甚だ思っては居なかった。飛び道具は奥の手だが取っておく理由もない】
【ただこれである程度の距離も範囲内であると相手に教えつける事ができる。ワイヤーで弾丸は高速で回収される】
【弾丸は金属というよりダイヤモンドの様な雰囲気で、それでも硬質であることはかわりない。材質は問題では無いだろう】

老いて生に取り付かれたか。

【こちらの反応も素早い。クロスの構えは解かず待ち受ける。突きは疾い!だがこちらもスピードは領分である。】

【左足を出し、右腕を斜め下へ降る。牽制アンド回避の動力。半身に体をそらし、左肩を前へ入れる。同時に逆手で持った】
【左手の拳を突き出す。胴を狙った正拳突き。連続して、前へ、前へ詰める。右足を出しつつしゃがみ、下段蹴り。からの】
【左足をで回し上段蹴り。反動で起き上がる。そこまでが1つの“型”のようでまた構えに戻った。相手がスピードによる一撃】

【ならこちらはスピードによる手数、コンボ技だ。相性で言うならあいこに近い。だがそのスピードは洗練された技術から生まれた】
【ものというより圧倒的な力でもうもうと作り出しているという風に近い。何と言うか粗いのだ、スピード、技量が】
【まるで機械で無理やり引き出しているような歪さが見えることだろう】
485 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/07(火) 01:59:47.19 ID:+ZCginlro
>>483
/すみません。眠気が物凄くてレスも自信なくなってきたので落ちます
/明日も夜は居ると思いますが、凍結、置き、〆などお任せします
486 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/07(火) 02:17:03.21 ID:DugIE8Keo
>>484


ふっ――――ようやっと、ヒトらしい声を聞かせてくれたな。
だがそれこそ驕りであろう。儂に言わせれば、気高さなどどこにでも在る。貴様が気づいておらぬだけだ。
そこいらの雑草にすら気高き生はある。まして相手が人ならば……力が在ろうと無かろうと、その大きさはどれほどのものになろうか。

貴様とて、本当はそうなのであろう。やはり貴様もまたヒトなのだ――歯車などではない。
未来を創らんとするならば、創った先の未来に生きる権利がある筈だ。


【老人は微かに笑う。ノイズ混じりの破綻した声色であったけれど、先程までよりずっと聴き心地が良かった】
【唐突に生き返った若者へと、老人は更に言葉を重ねた。こんな血塗れたやり取りの中で何かを変えられるなどと、本当の"驕り"までは抱いていなかったが】
【機械のように生きて未来の礎となって死ぬ――それだけは、老人は断固として否定した。救いがたい人殺しにも、譲れない一線はあった】


そうとも。儂とて到底偉そうな事が言えた義理ではないが、其処だけが気に入らぬのだ。
倒れていった者たちの運命を正すため、新しく誰かの運命を歪めようというのならば、そんなものは矛盾している。
……それでも、それが正しいと思っているならば良い。悪と自覚してなお押し進めようと言うならそれも良い。

それを貴様は、自らは機械だの歯車だの、果てに破壊者などと宣う。欺瞞も甚だしい――人が機械になれるものか。
殺すならば殺意を以て殺せ。心に返り血を浴びよ。精神を凍て付かせて罪から逃げているだけではないのか、それは。

例えそうでないとしても……闘いとは、その果てに己が"生"を掴み取る為のもの。
それを誰かに託して勝手に果てて、そんな者が創った未来なぞに、価値など在ろうものか―――!!


【直ぐさま引き戻したレイピアを構え直し、右の短剣を引きつける。この老人もまた二刀流――左で突き右で防ぐ、決闘術じみた剣術】
【正拳突きをレイピアの護拳部で受け止め、下段蹴りを跳躍で避け。最後の上段蹴りは両腕をクロスさせて受け止めるが、】
【腕の骨を軋ませつつ真後ろに吹き飛ばされることとなった。妙な"歪み"に違和感も覚えつつ、しかしそれでも、老人は喋るのを止めない】

【――敢えて真っ向から男の思想へ異論を唱えるのは。それが本心であるというのもあるが、何より挑発しているのだ】
【怒り憎めば隙も生じよう。何より――あの耳障りなハウリングをまた聴きたかった。老人は、男を生き返らせようとしている】


≪迅雷(エクレール)≫ッ!!


【老人は吼えた。心を生かそうとしつつ体を殺そうとする矛盾の一撃。――いや、よく見極めれば"三撃"だ】
【これもまた挑発か。そちらの手数に対抗するように、老人もまた連続攻撃で反撃した。銀の軌跡が稲妻のように三度、閃いて】
【下段――右脚。中段――左脇腹。上段――胸部中央。踏み込み距離を詰めながらの三連撃を放ち終えるのに一秒かかったかどうか、神速の太刀筋……!!】

【ただ、これはそこそこの大技である。先程のように"返し"の早さを重視してはおらず】
【今のところ老人の"疾さ"に対応できている男ならば、攻撃後の隙も突くことが出来るかもしれない】


/了解しました、お休みなさいませ〜
/明日夜はこちらも空いておりますので、好きな時間にお返し頂ければ再開できるかと思います!
487 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/07(火) 02:21:25.77 ID:DugIE8Keo
>>486
/分かるとは思いますが、一応補足……
/最後の三連撃はすべてレイピアによる刺突です
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/07/07(火) 17:55:26.86 ID:SlnFvGC4o
【魔界近くの泉のほとり、そこに座るのはひとつの影】

「ふゥむ、遺ィ跡荒らしinThe砂の国の成ェ果の……こォれの中身は、あァれと同じで……」
「そォれで、あァれはあァれだァったかァら、……そォなるのかァ?」 「まァ、せェっかくだ。光る水も色々検証しィようじゃアないか」

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「……うゥむ、うゥっかり合ォ流に聖ェ害のせェもあって"盗ォ掘"が急ぎ足過ぎたな、後で荒らすつもりが"水の巨人"の登ォ場ででごォたごたしちまったしよォ」

【脚の間に置いているのは、大きな漆黒の立方体。継ぎ目はなく、これだけ見るとただのオブジェでしかないが――?】

「あァ、正義の糞共から報ォ酬としてかァっぱらった亀の甲ォ羅も加ァ工しィねェとな」
「前に拾ったあァれと組ゥみ合わせれば、なァーんか相ォ乗効果があァりそうな気ィがするし、後で試してみよォーっと」

【――つい数日前の話だったか、砂の国のとある遺跡で"空色に光る水で出来た巨人"が眼を覚ましたという出来事が起きたのは】
【その眼を覚まさせた者を守っていた存在は、巨大な海亀的存在であったというが……】
【ドサクサに紛れて遺跡の物が幾つか無くなっていたとかもあるとかないとか】

【まあ、この指名手配犯、邪禍はその場に居なかったと……居たという情報は、おそらくない。】
【つまり、関係はない。 だから、ただの偶然の一致、そうでしかないのだろう……ね?】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/07(火) 19:52:26.59 ID:G4o5DoUb0
【とあるオープンテラスの喫茶店にて】

【ジュークボックスからは陽気なクラシックが流れていて、これが朝なら目も覚めてすっきりするところだが 残念ながら今は日も暮れている時間帯】
【勿論十分に落ち着きのある空間ではあったが、店に近付けばそこだけ昼夜が反転したような印象を覚えるだろうか】
【尤も、これは店長の趣味でこうなっているだけであって妙な事がある訳でもないのだが……あくまでそれが特徴の店ということ、もしかすればその店に寄ってしまう理由にもなるというだけで】

【そんな店のテラスで一人コーヒーを飲んでいる人物が居るのなら尚更気になりもするかも知れない、その人を知らぬのならただ一風変わった老人が座っているだけと感じるだろうが】
【一部では知っている人もいるかもしれない、彼は様々な戦場に赴いた一人の老兵なのだ】

【顔はしわしわとしているが決して細くない肉体と、グレーの将校服姿がそれを思わせる】
【武器らしい武器こそ見えないが、それでも将軍の風格というものは何処かに感じさせていて、並みではないことは伝わるだろうか】

我ながら妙な催しを企画したものだな、まあ折角なら私も楽しむことに…………

【テラス席が気になるなら、或いは外から覗いて気になってみたなら彼と出会うかも知れない】
【近付けばテーブルには水の国天下一武道会のチラシが置かれているようだが……】
490 :辻風文 ◆ll6J2md5hg [sage saga]:2015/07/07(火) 20:44:37.61 ID:9xtCmLgw0
>>479

【信念、信条...正義が掲げるものは幾多と存在するが】
【正義同士がぶつかり合うとき、自らが優位に立つために争う】
【それは辻風にも理解できるが、市民が犠牲になるというのは許せなかった】
【しかし】

そう・・・、ですね。
正義同士のぶつかり合いに、戦場や日時を定めている暇なんてないですよね。

【辻風は天辰の発言に同情をみせ】
【市民の犠牲を厭わない争いというのは多々あるものだ】
【記者の経験上、こんなことはすでに割り切っていたはずだったのにと弱みを知る】

正義同士がぶつかるからこそ、市民を守るためにあなた方がいらっしゃるのですよね。
まぁ、正義の「盾」とはよく比喩されるものですが・・・。

ふふ、そうですね。
私達の仕事は事実を事実として報道して、市民に知らせ、訴えること。
少し、自分の仕事に自身が持てました。

【微笑む】
【先ほどまでの辻風には似つかわしくないような晴々しい笑みだが】
【そこにはなにかが吹っ切れた、そんな感じが伺えるだろう】

平和な世を作るために、私達も努力しなければなりませんね。
これから、あなた方は剣で市民を守り、そして、私達はペンで事実を報じる。
難しそうですけども、頑張ってみようかな、と思います。

【そもそも戦争のネタの収集なんて不可能に近いものだった】
【銃弾が飛び交い、魔法が唱えられ、まさに死に近い場所での作業だ】

【だが、これからは】
【これからは自分から戦場に飛び込んでいく、そんな勇気が芽生えた気がした】

それでは、私は編集の仕事がありますので、これで失礼させていただきまして・・・。
今日のお話、私の人生としても、社訓としても、とてもタメになりました!
また、何かあれば、新聞社までご連絡くださいね。

【「それでは」と一言、公園を去っていった】
【後ろ姿は先程よりもなんとなくたくましくなったという感が感じられた】

//こんなかんじで〆てもよろしいですかね・・・?
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん) [sage saga]:2015/07/07(火) 21:23:42.90 ID:IT4/EcIV0
【街中――木や東屋のある広場
【ざあと冷たく湿っぽい風が吹き抜けていく、じりじりと雨に濡れた葉がこすれる音がして】
【ひらりと落ちた葉っぱが翻ってどこかへ飛んでいった。暗闇の中、それを誰かが視線でさえ追うことも、きっとないけれど】

……もう止みましたかしら、全く、ここに居るのも飽きましたし……。
お菓子ばっかり食べてしまいましたわ。……ま、あの人のお菓子ですし。別にいいかしら。

【すっかり飽いたような声とため息がひとつ。東屋の中、湿気でどこかしっとりとしたベンチの上、ぐうと体を伸ばし】
【のけぞったままでちらりと屋根の向こう側を窺う。ぱたりぽたりと落ちてくる水滴は少し前よりマシ、ただ、中を歩くには湿りそう】
【まだらしいと見てか彼女はまたため息ひとつ。足を組んでから備え付けられたテーブルの上に頬杖をつく、そうしてから、】
【机の上にティッシュを皿変わりにして広げた焼き菓子をひとつ摘まむ、――豆の入った、堅焼きのビスケット】

【ゆるくカールをかけた黒髪は黒猫と同じ色味、瞳は青りんごのような色で鮮やかに艶めいて、つんと吊った形は、猫の瞳のよう】
【色白の肌にのせた化粧の色、けだるげに髪をかき上げたつま先にはトップコートだけが塗られて、つやりと輝き】
【ボタンを留めたカーディガンとすっとしたシルエットのジーンズ。かりり、と、ビスケットを噛んで、砕いて】

いつ帰りましょう――電話も何も来ないし、別にいいのかしら。

【お行儀悪く頬張りながら独り言ちる。だいぶ雨は止んだというのに、出て行く様子もないなら】
【きっと急いでいないのだろう。それとも雨に濡れられない理由があるのか。とにかく――言葉通りなら、彼女はここにしばらく居るようで】
【さらに言えば、もう夕方くらいからずっと居る。買い物帰り、スーパーの袋が、彼女の足元で時々風にしゃらり鳴いていた】
492 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/07(火) 21:42:39.23 ID:y/q1ZWhDO
>>490

【辻風の表情を見て、また天辰も笑みを返した。自分が放った言葉が彼の何かを変えたのが分かった】
【少なくとも悪い方向に変わったのではないのだろう。告げられた言葉に対し、天辰は頷いた】


…………はい。ですが、忘れないでくださいね辻風さん
一番大切なのは、きっと自分の命ですから

あなた方メディアの活動は尊いです。時として文章は人を大きく変える。ですが……
ですが、辻風さん。決して無理をなさらないようにしてください
死んでしまっては、元も子もありませんから、ね


【「こちらこそ、今日はありがとうございました」 最後にそう告げて、天辰は辻風を見送った】
【彼の背中は、心無しか最初に会った時よりも頼りがいがあるように見えた】
【次にまた彼と会うことがあれば……今度は彼の話を聞いてみよう。天辰はそう思い】
【ぱ、とまた鳩にパンを撒き始めるのだ。その表情には、少しばかり笑みが宿っていた】

/遅れて申し訳ないです
/では、お疲れ様でした、ありがとうございましたー!
493 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/07(火) 22:28:35.63 ID:ewGHqNE/o
【風の国・噴水広場にて】

【七夕であるにもかかわらず雲に覆われた空を眺めながら、憂鬱な雰囲気を隠そうともしない少女がいる】
【ふう、と息を吐いてみても―――出てこない、呼吸など元々していないのだから当然ではあるのだが】
【そんな、ただの『モノ』でしかないはずの己の体を再確認しながら、彼女は表情を曇らせて噴水前のベンチに腰掛ける】


―――………戦闘からすでに数日が経過いたしましたか。幸い今回はパーツをいくつか交換するだけで済んでよかったのデスヨー
戦闘機動にも支障はなかったし、……『ヘッドレス・クロス』も実戦でこれまで以上の力を発揮するようにはなりました
なりました、けど……やっぱり、おかしい

【それは白と黒、ロングスカートの侍女服を着たいやに小柄な少女だった】
【銀色のカフスボタンが袖に付いた黒を基調とした丈がくるぶし部分まであるロングドレスの最もオーソドックスなデザイン】
【そして長い黒髪を黄金でできた三日月の髪飾りでポニーテールに束ねて、耳部分にはアンテナヘッドホンのようなセンサーがついている】

【彼女は座りながらその己の掌を見る。……一目見れば普通のか弱い女性の掌と見まがうその作り物の手指をじっと眺める】
【手を返し、その鋼鉄のナックルパーツに覆われた手の甲を見返して作り物の自分の手の出来栄えを再度確認しながら、彼女は再び呟いた】


―――作り物のハズ、ワタシは……戦闘用のロボットに過ぎないはず……
なのに、そんなただの『モノ』がどうして『能力』を……それも、『生命』の力を扱うなんて……

ワタシは、ワタシはいったい……何者なんだろう……


【その両手から、ふ、と浮かび上がってくるもう一組の『両手』を再び己の目で確認しながら―――再び呟く】
【全てのパーツが機械でできた自動人形、にもかかわらずその身から浮かび上がるエネルギーを持った『ヴィジョン』】
【機能と片付けるにはあまりにも逸脱した自分の力を―――それが己に宿っているわけを自分はほとんど知らない】

【薄く、霧のような雨がしとしと降りて来るのを観測しながら、しかし彼女はそのベンチを動かない、ひとりぼっちでずっと座っている―――】
494 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/07(火) 23:09:04.94 ID:+ZCginlro
>>486

…美しい世界から外界を見下ろした感想がそれか。…素晴らしいものだな、羨ましいよ
窓際で一輪の百合とともに眺めるショウペンハウエルの詩のようなご高説
その目に見える世界はさぞ美しいことだな。生命の命は萌え、人々はさぞ…美しくある事だろう

【老人の目にも留まらぬ連撃にこちらは下がるしか対処の方法はない。1撃目、バックステップ。2撃も】
【余りのスピードに追いつく術はない。網目をぬってカウンターを差し込む隙もない。だがこのフィールド上】
【まだ余裕はある。ワンツウ。二撃目は脇腹を裂いた。だが服を裂いたにすぎない。だがそれでひとつわかる】

【彼奴は何かしらのボディアーマーのようなものを着ている。だからやけに背の割に大きすぎる上半身であったのだ】
【それがどれほどのものかはわからない。もし軍用の最大レベルならば狙撃ライフルでも貫通させることは難しい】
【だがそれだったらこれほど俊敏に動くことは出来ないはずだ。ケブラー製の防刃か?それなら自警団でも装備している】
【ともかく事実は何かしらの防御を備え、かつそれのせいでこの二撃目はダメージを与えることが出来なかったそれだけだ】

【三撃目は彼奴も反撃に出る。ワンツウ、スリー。テンポに対応する。三番目が出るタイミングがわかる。合わせて警棒を振り】
【それを上へ弾く!すかさずこちらの攻撃へ移り変わる。ワンツウスリー。相手に比べれば遅い。ワン。弾いた腕の脇めがけ】
【左手の警棒を突く。ツウ。右手の警棒で脇腹を殴りつける。スリー。警棒で右肘を狙うと見せかけ、フェイント勢いだけ用いて】
【後ろ回し蹴り。狙うのは急所ばかりだが、蹴り以外はジャブ程度。歴戦の猛者からすれば少し“クる”ぐらいだろう】

野蛮な決闘や戦争、残忍な虐殺や圧政を良いように言い換えた過去の皇帝と同じだな
言葉では何も変わらない。変えようとしたが変わらなかった。…識った風な口を利くな。御老人

【やはり抜け目ないというところだろうか。舌戦で心理的に圧力をかけても動揺が戦闘に出ている様子はないそれどころか】
【回避やステップ反撃がまるで“教科書”だ。出てくる読みやすいが言葉を借りるなら“情”が載っていない。心理では読みづらい】

【そもそもわかりきっていることだ。今更何を論じても分かり合えるような相手ではないことを。彼奴はさながら革命の機械なのだから】


/すみません。遅くなりました 居らっしゃられましたら、よろしくお願いします
495 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/07(火) 23:17:59.37 ID:+ZCginlro
【回避やステップ反撃がまるで“教科書”だ。出てくる読みやすいが言葉を借りるなら“情”が載っていない。心理では読みづらい】

一応引っかかったので訂正しておきます

【回避〜〜〜だ。繰り出してくる技は読み易いだろうが〜〜】みたいなそんなところです
496 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/07(火) 23:56:22.07 ID:DugIE8Keo
>>494

【掌と耳へそれぞれ返ってくる手応えに、老人は軽く顔をしかめる。前者は不愉快そうな、後者は悲哀と諦観の折り混じった表情に】
【――重々分かってはいたが、此処まで言葉が通じぬとは。剣閃ならば一、二防がれたところで幾らでも次は用意できるのだが】


……嗚呼、全く。識った風な口を利いているのはどちらだ、破壊者。

儂は貴様が気に入らんとは言った。その思想を否定したが、少なくとも貴様を見てはおる。
目の前の個人を見ず、身勝手な枠に当てはめて他人を"分類"する……そう言うところはそこらの狂信者と変わらんという訳か。 


【力はともかく心理戦は無駄らしい。最初から半ば諦めてはいたが、老人は吐き捨てるような台詞と共に男を睨みつけた】
【あれは"嫌悪"であったけれど、この老人個人が抱いた感想だ。それを「過去の皇帝と同じ」などと十把一絡げに片付けられたのが気に入らなかったらしい】
【挑発したつもりが逆に挑発され返されたような形だが――その感情が全く剣筋を鈍らせないのは、老人の方も流石と言うべきか】

【――三連突は服を裂くだけに終わってしまった。敵の体格からするに上半身には防御手段を備えていると見える】
【それだけの装備をしていながら機動力が高いことに不信感は覚えつつも、だが退きはしない。上が駄目なら下を狙えば良いだけだ】


その、自分たちだけが不幸だったと言わんばかりの物言いも。自分だけが総てを識っていると言わんばかりの態度も。
革命家云々の前に些か傲慢に過ぎる。そんな事では、いずれ足下を掬われるぞ―――。


【一撃目――右のマイン・ゴーシュが動いた。殴りつけるようにして突きを弾く。二撃目――同じく左のレイピアの護拳で殴って相殺】
【だがやけに"軽い"ことに気づいて刹那の判断。フェイントを見抜くと左のレイピアを横に傾け、柄の先端を後ろ回し蹴りの踵に合わせることで受け止めた】
【衝撃が腕から老人の体を突き抜ける。歪んだ表情がダメージを物語るが、しかしまだ剣を振るえなくなるほどのダメージではない】


――――≪爪(ネール)≫!!


【ぐるりと回転しつつ、老人は攻勢に出た。素早く一歩踏み込み、胸部へ右のマイン・ゴーシュの護拳部を使った正拳突きを見舞う】
【刺突や斬撃では上半身のアーマーを抜けないと考えた。威力が浸透しやすい打撃で攻めようとしてはの道理だろう】
【だが――これも、また連続技であった。拳が当たるか否かに関わらず、その後老人はバックステップで大きく後退し、その瞬間】
【ひゅんっ、というごく小さな音と共に、左手の銀色が孤を描いて弾けるだろう。また刺突かと油断すれば危険か、これは"斬撃"だ!】

【狙いは男の右脚、レイピアという斬撃に向かない得物でありながら、斬撃の技術もまた神速の刺突に迫る勢いであった】
【流石に剣の種類の都合上、脚を叩き落とすような強烈な斬撃は不可能だが――直撃すれば、機動力が落ちる程度の深手は負わせられる筈だ】
【最初の拳での一撃、その次のバックステップ。どちらに気を取られても危険な一閃である。そして、当たるか否かに関わらず距離は空くこととなるか】
497 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/08(水) 00:43:18.71 ID:rp797acHo
>>496

自らは“特別”か…流石はカノッサ機関。

【雑音が漏れる。ボイスチェンジャの故障ではない。奴は笑っているのだ。息を[ピーーー]が漏れだすほどに】
【どうせお互い理解しようという気もない。所詮はこれも戦闘。完膚なきまで打ち負かす事しか目的はないのだ】
【そんな戯言はもはやどうでもいい。見知らぬ“敵”に諭されて変わるような奴はこの“世界”には居ない】

【連撃で詰め寄って、蹴りを叩き込むとドラムスティックかのように警棒を回した。こんな遊びはするらしい。挑発か】

わかりやすい、侮蔑と嫌悪だ。そう“感情的”になるな

【また彼奴は笑った。余裕からかそれともイカれてるのか、もしくは同じく感情的になりつつあるのか。全てあのボイスチェンジャが】
【選択肢の確率を等しくし、判断の余地をなくす。表情も何もない。人間らしいのは姿見だけだ】

【正拳突きはヒットする。手応えはあるがそれはアーマーの強度。ありすぎる手応えは彼奴の体にまで殆ど達しない】
【それをわかってる奴は態とらしく受けて、その腕を殴りつけようとしたが、用意されたバックステップにより空を切る】

【しかし状況は変化した!その斬撃は奴の足を切り裂いた!うめき声1つ上げはしないものの履いていたジーンズを裂き】
【暗い色の染みが広がる。奴も血を流している。血が通っている人間であるとここでようやっと証明される。裂いたのだ】
【しかしながら出血は少ない。安定性は落ちるため軸足にした蹴りは封じられることになるだろう。何故奴は食らったか!】

【それは奴はバックステップで敵が下がった時、前へ出たからだ。引いてからの突きが来る可能性があるにも関わらず攻めに転じた】
【前へ出した足が切り裂かれ、血雫を散らしつつ、左足で踏ん張りバランスは崩さない。狙うのは両腕だ。両手の警棒は交互に】
【或いは同時にレイピアを持つ手首、肘、肩 それから腹部、顎への突きを連続して繰り出してくる。どれもジャブだ、ジャブの応酬】
【パワーは全くない、沈める一撃ではない。だがしかし、ダメージが無いわけではない。スピードと手数が多い乱撃】

【窮して暴挙に出たか、そう思えるがしかしそうではない。必殺の一撃へのフェイントか?それもない。回避防御、いくら続けても】
【延々とジャブ、ジャブ、ジャブ。距離は物凄く近い、武器のリーチが短いのは奴だ。間合いを作り替えてきている】
【然し奴は手負いだ、大きく離れれば追いつくのは難しい。自らの間合いを再構築しなければジャブの迷宮に陥ることとなる】
498 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/08(水) 01:33:08.60 ID:O4h2yoKXo
>>497

【……老人は怒り以上に、やりきれない感覚であった。いくら声をかけようが無駄と、頭では解っているのだ――】
【諦観じみては居たけれど、思いの丈を乗せた言葉。それもカノッサというだけで嘲笑され愚弄され、意味を読み取ろうとすらされない】
【そろそろ――幕か。殺すにせよ退かせるにせよ。それもまた傲慢と分かっていてなお、例え変えられずとも変える努力だけはしなければならぬと踏ん張ったが】
【老人もこれ以上は、"個人"として動けない。それら総てが素気なく無に帰されたならば、後はカノッサとしての使命が残るのみ】


……思考停止もここまで来ると潔いとすら思える。いよいよ聞く耳すら持たぬという訳か?
いや……これは侮蔑や嫌悪ではない、悲しみじゃよ。どちらにせよ、確かに感情的ではあるがね。
だが、感情的になっておるのはお互い様であろう? 儂を嘲弄するのは"楽しい"か、破壊者……。

しかしまあ、これだけ話して出てきたのが其れだけとは、まったく悲しい戦であった。いや、これでも十分と言うべきなのか。
そして――これ以上は、"無駄な努力"も出来ぬ。不甲斐ない話じゃが……。


【例え侮蔑や嘲笑であろうが、彼奴からそれだけ引き出せただけでもこの場は重畳。そう思うしかない】
【かつて幾百の戦場を越えて得た記憶、答え。無理を承知でそれをぶつけてみたが、最早限度だ。老人はいよいよ冷徹な闇の使徒へと戻るしかなかった】
【バックステップにすら追い縋り、突撃してくるその勇猛さは見事。……それが本当に"勇猛"であればの話では在ったが、それももう良い】

【迫るジャブの嵐に対し、老人は僅かに体を沈めてレイピアを引きつける。逆に右手を前に出し、防御用の短剣で急所への攻撃のみ弾いていく】
【――ブレない。打撲が全身に広がっていくが、左の剣先と視線が全く動かない。解るだろう、いよいよ獲物の喉元へ食いつかんとする"荒れ狼"の目が】
【老人は少しづつ後退しながら機を待ち続け――完全に、ジャブの迷宮に陥ったと。そう思わせるギリギリのタイミングで、真後ろに全力で跳んだ】


儂には"能力"はない。特別なものなど何もなかった。ただ一つ、この剣のみを鍛え続けて此処まで来た。
……儂は≪No.11≫。覚えておかずとも良い、今から体に刻んでやる。カノッサ機関の"闇"を――≪荒狼騎士≫の悪しき剣戟を。
死するならば其れで良し。生き抜くならば其れも良し。その技量だけは認めるが故、後者に期待しておこう。では、往くぞ―――。


【そんなものではまた直ぐ追いつかれるのが必定。だが忘れてはならない、この老人にはその理屈を覆して余りある程の"疾さ"が在ることを】
【弓を引くように剣を構え、一秒先に迫るジャブの雨を視た。目には目を、歯には歯を。雨には、雨を――】


――――――≪雷雨(オラージュ)≫ッッ!!!!


【斯くして、無窮の必殺が打ち放たれた。ジャブの雨に打ち込まれるのは同質の刺突の雨、雷雨の如き銀の閃光――――!!】
【やっていることは単なる連続攻撃だ。接近しながら突いて突いて突きまくる、それだけのつまらない技。老人の人生のように】
【だが……その疾さは最早言うまでもないはずだ。数え切れない神速の刺突は、まず男が放つジャブへ次々に合わせられるだろう】
【そこで耐えきれるかが勝負の鍵か。裁き切れず打ち負けた場合、先程攻撃を通った下半身を中心として全身にくまなく刺突の雷雨を浴びる羽目になる】

【だがそうなった場合でも、男もまた"刺突の迷宮"に嵌らなければ、後退して脱出し、被害を抑える手もあるだろう。刺突は最大でも十秒ほどで終わる】
【貴様はどこまで付いてこれる。あるいは我が予想を超え、逆に自分を負かしてみせるか。≪荒狼騎士≫は銀雨の先で、視線にてそう問うていた】


/すみません、遅れました……!
499 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/08(水) 02:33:55.31 ID:rp797acHo
>>498

思考停止は貴様とて同じことよ。自らの崇高な意志に酔いしれて理解できないことは
排除しようとしている。言わせれば“我らと同じか”?美しい世界なことよ、貴様の“生”は
…まあ、いい。思考停止、古びた思想、非情、欺瞞、傲慢。語彙は尽きたか?とうに我らは聞き飽きた

カノッサ機関を滅ぼし、GIFTを壊滅させ、能力者を掃討し、偽善に溺れた奴らも解体する。資本家を追い出し
真の自由を呼び覚まし、平等な社会のためにこの愚かな世界構造を破壊し、世界を解放する。我らは『赤の月』

【連続して殴打は武器を持つ腕を狙って続ける。もうわかるだろう。奴は確実にダメージを蓄積させ、体力を奪うという】
【さながらTKOを狙うボクサーのような先鋒をとっているのだ。殴り続けられた腕や足は重いだろう。精神が痛みをこらえても】
【溢れさせた脳内物質は体力を更に奪っていく。それから冷静な判断もだ。長期戦になれば毒のように効いてくるだろう】
【派手な一撃の技ではない。執拗噛み付くネズミのようだ。これほどまで人間らしい戦術はあるか。耐えに耐えて泥沼に導き】
【紙一重で生き延びる。これが彼奴の“対人、対能力者”戦闘。あらゆる経験はこの這いずるような戦術へと導いた】

【そして奴は退いた!飛んで退いたのだ。距離を取り、間合いを自分の物へ再度、とりなおした!此方とて、これは好機!】
【地形上、幅が狭く、前後の距離があるこの場所ではフェイシングは優位だ。乱打に押されて壁際に寄せられてしまう前に】
【持ち直して再度攻めに転じるのは必然。そして此方は足に傷を負っている。知っている奴はよもや退けるとは思っていないだろう】
【そうだ。退くことは出来ない。だがそれは意志だ!これから先の解放への道を切り開く旗手として、退くわけには行くわけにいかない】

―――――A chasse noire, meute muette(闇夜の狩りには、物言わぬ猟犬を)

【彼奴は待っている。来いと言わんばかりだ。何をするか、わかるだろうか。剣を弾く?スピードについていける筈はないそれは無理だ】
【新技、新兵器。ありえるが、持ち替えた様子はない。目の前で動きはない。剣が彼奴の何処かへ無事に初撃が当たった時彼奴は】
【相手の体にあの警棒の先の端子、スタンガンを押し当てるのだ。剣撃は足を突き刺し、腕を掠め、ガスマスクの目を貫き、引き裂く!】
【彼奴の目は青かった。サファイアの様な穢れ無きブルーの瞳。それだけ見えることだろう。そして同じぐらい青く暴力的な閃光!】
500 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/08(水) 03:06:26.16 ID:O4h2yoKXo
>>499

【最早返す言葉はなかった。どれだけ声を投げかけようが、少なくともこの場では。彼奴の中で老人はどこかの誰かと同一視された敵のままなのであろう】
【――この期に及んで自らを"我ら"と呼称するのが尚、気に入らなかったが。それももう捨てる。此処に具現させるのは雷雨の剣のみでよい】
【ただ、『赤の月』――ひたすらに破滅へ向かう機械の集団の名だけはしかと刻んだ。この戦いがどうなろうが、自分が"無能力者"の身であろうが】
【個人としても集団としても、此処まで意見を違えるのだ。実力も然り、恐らくは今後の難敵となりうるだろうから――】


―――それが貴様の"意志"、"生"であると、今は受け取っておこう………!!


【研鑽の果てに得た嵐の剣戟。今度は服だけではない、確かな手応えを幾つも掌に感じている。元よりここで押し切るつもりなのだ】
【この雨が止む時は彼奴の命が止まる時。その覚悟と自信の上での大技である。男の乱打は確かに老人の体力を奪っている、長期戦は不味いと思われた】
【……ここで敵が攻めに転じた事を、今更驚きはしない。それだけの力と精神を持っている相手だ。此方も手は止めなかった】

【斯くして、狙い定めた一撃と、狙い定めぬ嵐は交錯するのだろう。――嵐は、思ったよりも早く止む筈だ】
【右のマイン・ゴーシュで弾くのが定石では会ったが、左のレイピアで攻撃に徹している都合上それでは間に合わない。そう判断した結果、】
【老人は、短剣を捨てていた。電流を貰えば一撃で倒されかない為、剣を捨ててまで防御しなければならなかった。空いた右手が、警棒を鷲掴みにして止めている――】


……見事、と。賞賛しても喜びはしないのだろうな。あるいはこれも、侮蔑に聞こえるか?


【その無理な動作のお陰で、老人は≪雷雨≫を早めに中断せざるを得なかったのだ。スタンガンは腹部に当たる直前の所で停止させられており】
【血を浴びた老人のレイピアも、彼奴の首元に狙ったまま止まっている。呟いた賛美はまた本心であり、同時にその諦観もまた本心であった】
【鮮やかな蒼色に穢れが無いのが逆に不気味で恐ろしく、そしてやはり悲しい。――こうして一時、戦いは膠着した訳だが】
【全身に刺傷を負った男か、やむを得ず防御の剣を捨てさせられた老人か、この場合有利なのは果たしてどちらか、少なくとも老人は先には動かない……】
501 :??? ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/08(水) 03:43:32.90 ID:rp797acHo
>>500

【赤の月には似合わずの碧の瞳は真っ直ぐで、その間で握る警棒はさらに眩く、目を眩ませる】
【全身、刺突の傷だらけであったが間接や臓器のような肝心な急所は防具をしているようだった】

【わざと服のしたにそれを着込んでいるのは隠すためか、社会に溶け込むゲリラにふさわしい手法】
【またその下には化学繊維のような素材のダイビングスーツの様なものが破れた服から見えるかもしれない】
【何か特殊なものか。戦闘機のパイロットはGで意識を失わないために外側から締め付けるというが】

…停戦を提案する。このまま続けて、私の生存できる可能性に確証は得られない。それは貴様とて同じだろう
例え貴様を殺し、生き延びたとしても今後の行動に多大なる支障の出る障害が発生する可能性が高い
同じく、貴様もだ。少なくともこのまま続ければ、貴様の腕と目は地獄まで持って行かせてもらう
最早解っていると思うが長期戦は此方が有利だ。…選べ

【驚くべき事に彼奴は停戦することを申し出てきた。首にレイピアの先がある。でもその一撃で仕留めることが出来るだろうか】
【相手の片方の武器を防いだとしても、もう片方の武器がある。突き刺すために退けばまた殴打の嵐だろう。関節技もあり得る】
【肘や手首を複雑骨折すれば完治は難しい。腱や神経に傷がついてもだ。ハイリスク・ローリターン。討ち取ったとしても】
【それが正義組織の大物だとかならいざ知らず、見ず知らずのアナーキスト。逃して後悔するかも知れないが急ぐ価値は低いだろう】
502 :ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/08(水) 04:10:09.34 ID:O4h2yoKXo
>>501

【――この際、心だけならばともかく。先程までのどこか機械的な動きといい、傷口付近から覗く装備といい、男はどうにも不審ではあった】
【が、それは今解き明かせる謎ではなさそうだ。己が神速を以てすれば首を突き通せるかもしれないが、奴ならばその間に四肢の一本は持って行く筈】
【ふっ、と老人は笑うだろう。――否やはない。どころか、この状況であちらが更に打ち込んでくるようならこちらから退こうとまで思っていたところだ】


同意見だ。『赤い月』――総てではないが見させて貰った。実を言えば貴様の拳も効いておるでな、儂もここで退こう。
勝負はお互い痛み分け……いや、貴様にはどうでも良いことか。今宵はどちらも死ななかった、それが結果というところじゃの。


【老人は短剣を拾い、レイピアと共に納刀。シルクハットを軽く直しながら返答した。好意もないが殺意はさっぱり消えている】
【ついつい勝負事がどうのと白黒つけたがってしまうのは軍人時代の悪い癖か。とにかく二者共に死は免れたのだ、今は】
【……しかし、気に入らぬが強い敵であった。『赤い月』のメンバーが全員、同じようにナンバーズと引き分けるレベルだとは考えたくはないが】
【いずれにせよ対策を講じる必要はある。――この情報と対策も高く売れそうだ。そんな事を内心で思いつつ】


――貴様がカノッサを追うならば、いずれまた合間見えることもあろう。
アジトのひとつふたつ潰されようが、大局を見れば痛痒も無し。何より儂も興味はない、暫好きに泳ぐが良い。
だがせいぜい気をつけることだ、『赤い月』の若造。他のナンバーズが出てくる可能性もある……。

ではな。"その時"まで貴様が生きておれば、いずれ……この剣の味を思い出すこともあろう。


【お互い生きて再び会えば、また剣を交え殺し合おうではないかと。≪No.11≫は妙に優しげにそう言うと、早足で路地から抜け出していくのだろう】
【あの調子では名前を聞いても応えてはくれまい。また挑発と取られても敵わない。ここは、掌に残る手応えを名前代わりとして記憶し】
【そうして、"獲物の肉"を引き裂いたその感触を反芻しながら――荒れ狼の如き騎士の姿は、誰にも知られず闇夜へと消えていく】

【互いに互いを否定しあった、老人に言わせれば"悲しい戦い"はこれにて終幕。次の幕が開くのか否か、それが何時になるのかは、夜天の月すら知らない事か――】


/二日間ありがとうございましたー!
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/08(水) 20:23:13.69 ID:Jmnov7f50
【街中―大通り沿いにあるカフェ、のテラス席】
【夕方まで雨が降った名残で空気は少しだけ湿っぽい、吹き抜ける風はなんとも生ぬるい、梅雨の温度で】
【生ぬるく湿っぽい空気の中にふわりと白い湯気が立ち上る。この店人気のカプチーノ――の泡の上には、ココアパウダーで綺麗に花模様が描かれ】
【ただまだ口をつけていないのか、その模様は綺麗なまま。それよりも、その席の客は別のものに意識を取られていて】

はあ……なんでこんなに綺麗なのかしら。本当に綺麗よね、神様ってロマンチストなのかしら。
宝石から芽吹いたみたいね、……その割には地味かしら? 地味ね、宝石は言い過ぎたわ。ごめんなさいね。

【左手に本を広げたまま。右手に持ってじっと見つめるのは――カップのように見えた。が、中をのぞきこめば、どうやらそれは植木鉢のよう】
【土が入れられたカップがそうでなかったら少し不思議だから、きっと、その用途だ。土の上には、なんとも不思議な――いろんな色の植物、だろうか?】
【ちっちゃい粒のようなものが大量に生えていて。彼女はそのうち左手の本を置いて、土入りカップを机に置いて、中身をツンとやりだし】

【腰に届かない長さの髪は暗い紺色、毛先はきちりと切りそろえられていて、前髪には薔薇の花をかたどったピンを留めて】
【少し釣った瞳も髪と同じ色合い。服はシャツにスカートとシンプルというか地味というか。強いて言えば靴の底は高く、分厚く】
【空いた席には鞄が乗せられていたりする、机の上には湯気の立つカプチーノと、本と、植物の植わったカップと、それが入っていたらしい小さな紙袋】

でも本当綺麗よね、リトープス。初見一発変な形だと思って悪かったわ。でも変な形よね、尻が生えてるみたい。

【そうやって彼女は満足げというか楽しげにしながらやっとカプチーノを啜る、それでも指先は時々鉢の中をつっついて】
【――また雨が降りそうな空模様だからか、店内の席は埋まってしまっているようだった。雨はまだ降りだす様子はないけれど――】
【もともと外席がメインでないカフェのようで。外席と言えば、草を相手に口説く(?)女性のどうしても傍に、なってしまいそうで】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/08(水) 23:45:04.86 ID:RUCeNJtX0

【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹殺するか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】








【人の途絶えることが無い駅前。其処の噴水に腰を掛けている音が一人】
【外見から判断するに、歳は二十代の後半といった所だろう。帽子を被り、煙草を咥えながら行き交う人々を眺めていて】


「最近仕事が入り込んでも猫探しだ何だってもっとまともな仕事は無いもんかねぇ
――――はぁ。探偵も商売上がったりだな」

【帽子に隠れる視線は問題を抱える人々を見抜く為に向けられて居るのか――――否】
【全ては行き交う女性の尻へと向けられて居た。時折首を動かしてまで追うのは好みの女性が通りかかったからだろうか】
【言葉に反し、その行動は何とも言い難いものであって】


「ま、今時武力の衝突はお偉い自警団サマやお節介な奴等が片付けてくれるからな
俺からすれば有り難くもあり迷惑でもある訳だが」

【何より、其れは第三者から見れば露骨なまでに分かり易いのだ】
【流石に人通りの多いこの場所、目立つ事は無いのだけれど――――男の放つ胡散臭い雰囲気に気付き、視線を向けたならば】
【或いは、近づいたところで声を掛けられるまて気付く事も無い筈であり】
505 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/09(木) 15:46:23.69 ID:veF+BYxAO
【平日だと言うのに、その喫茶店はだいぶ混雑しているように見える。】
【普段ならバルコニーにも人が座れるのだが、連日の雨のおかげでつかえないため、店内は少し窮屈に感じられるのだ。】
【そうなると、座る席も限られてくるのだが──】



はー、ほー、ふー、へー、ひー‥‥。



【背かけに、自警団の紋章が入ったインバネスをかけて、カウンター席を広く使って‥】
【机上に広げられているのは世界の法典とノートと鉛筆。】
【湯気立つコーヒーカップをずずと啜りながら、『法律のお勉強』をしている様子だった。】

【席はちらほら開いている様子だが、彼の回りはことのほか広い。】


ぬ、──ああ!?


【もし誰かがその付近の席を使おうとすれば、その席上に茶色い液体が流れてくるだろう。】
【発生地は青年の座る席。ノート、法典をべちゃべちゃに汚して慌てふためく青年が見える。】
506 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/09(木) 21:02:11.10 ID:XCLYY2Bro
【昼の国――ゼン=カイマ】

【暖かな太陽が永久に鎮座するこの国。外国からやってきた人間には少しばかり、夜の色が恋しくなったりすることもある】
【たまには夜風に当たって涼みたいと思う者もきっと少なくはないだろう。――女もまた、目覚めた瞬間そのように思った】
【といっても、女はここが"昼の国"だとはまだ気づいてはいなかった。そう思った理由は何となくの直感と、何となくの罪悪感】
【――後ろめたかったのだ、何故か。この空に満ちる光は強すぎて、暗い闇へと身をやつした人間の居場所はないような、そんな気さえしたから】


………またこのパターンか………。
何処かしら、ここ。――いや、どっかで見たことあるような………?


【ぽつり、適当な台詞を呟きながら。既視感の先にある記憶を探りつつも、そうとは知らずゼン=カイマの路地裏からひょっこり顔を出した女――】
【褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪と、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代ぐらいの容姿である】
【肩口までのセミロング、長い後ろ髪はたてがみのように跳ねていて荒々しい印象だ。掌に血の滲んだバンテージが巻かれているのもそれを助長している】
【服装の方も、上半身は暗い赤色のチューブトップと白色で丈の短いファー付きコートを合わせたヘソ出しの格好に】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて生足を露出した、涼しげと言うには少々派手すぎる挑発的なものだ】

【それらに加え、額には汗が滲んで息は荒く、体中に怪我をした悪目立ちする姿ではあったけれど――しかし。左手側、ベルスリーブのコート袖】
【そこには"SCARLET"を示す緋色の鷹の紋章が躍る。本当は今の女にその権限は無いのだが、一年以上前に行方を晦ませたSCARLET隊員の事など誰も覚えておらず】
【いや、厳密に言うと、このゼン=カイマという都市に限って言えば顔が割れる危険はあったが……運も女に味方して、いまは騒ぎにはならなかった】


…………あ、れ? ここって………。


【そのまましばし周辺を歩き回って、ある施設の正面に差し掛かったところで、女はようやく既視感の正体に感づくこととなり……】
【――そして同時に、強い"危機感"を覚える。今の自分はここにいてはいけない。辿り付いてはいけない場所に来てしまったようだと、】
【相貌を焦燥に染めると、女はしばし迷った後――何かを振り切るように踵を返すだろう。そのまま雑踏に紛れて消えようとするのだが】

【その僅かな"迷い"が、その施設の住人達に、かつては客人としてやってきた女の姿を見つける機会を与えることになるかもしれない】
【戦闘の後のような全身の怪我と、精神的動揺。明らかに体力を消耗している女の歩調は鈍い。その背中に追いつくのは容易なはずだ――】


/予約ですー!
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/09(木) 21:37:02.16 ID:XpsneU7L0
>>506

【―――運が良かったのだろうか、悪かったのだろうか。……きっと、今の彼女――ミドナには悪かったのだろう】
【丁度ミドナがある家に差し掛かった所で、ドアが開く。中から出てきたのは、その家の主―――マリア】
【腰まで伸びる上質の絹糸のようなブロンドの長髪は夏の日差しに映え、時折吹く風にさらりと靡く】
【澄んだマリンブルーの瞳には凛とした心と柔和な優しさが映る。右の目元には泣きぼくろがあって】
【纏うのは薄手の白いシャツ。季節に合わせ袖は短く、そこから白魚のような腕がすらっと伸びる】
【脚にフィットした黒いロングズボンは細身のラインを浮かび上がらせる。足元はサンダルを履いて】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく―――】

―――……―――ミドナ……?

【庭先に干していた洗濯物を取り込むためだろう。籠を抱えて玄関に出てきた所で、マリアは彼女の姿を目にする】
【かつて此処にも来た事がある彼女の姿。見るのは久しぶりではあるが、今でもちゃんと覚えている】
【……けれど、あの時の彼女とは何かが違う。以前は真っ直ぐな心を映すような立ち居振る舞いだった筈なのに】
【今は、何というか……混濁した迷いが見られる。気のせいだろうか、気のせいだったら良いのだけれど……】
【しかし、どういう事だろう。妙にボロボロで足取りも覚束ない。もしかして――――怪我をしているのか。】
【いや、怪我だけではない。どうやら傷だらけなのは身体だけではない……彼女の表情がそれを明確に物語っている】
【―――これはいけない、治療しなくては!そんな傷で彷徨うなんて、いつ倒れてしまうか分からない―――】

―――ミドナっ!お待ち下さいな!どうして何も言わずに去って行くのですか!
……っ、……どうしたのですか、その傷は……!

【籠を傍に置き、マリアは逃げるように去っていくミドナを追う。弱々しい足取りの彼女には直ぐに追いついて】
【進行方向に立ちふさがるようにして目の前に立つと、心配そうな表情で声を掛ける。こんな傷を負った彼女を、そのまま帰す訳には行かない―――】

//宜しくお願いします!
508 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/09(木) 21:57:04.74 ID:XCLYY2Bro
>>507

【――出てこないでくれ、と心の中で願いながら、ミドナは重たい足でひたすら歩を進める】
【その胸には確かに、どうしようもない迷いがあった。……少し前の自分なら。力に呑まれてここでマリアに襲いかかっていた可能性すらある】
【ただ、その反面。もう一度会って話してみたいという思いも確かにあって、素直にそれを認められる程度には――心の中に、迷い以外の光もあった】


バカ……あんたって奴は、なんで出てくるのよ、マリア………。
あたしから、離れ、なさい……。


【果たして運命が味方したのはどちらだったのか。見つかってしまったという諦めか、はたまた安堵の類か、それらがミドナの体を揺らがせる】
【……自分の体に限界が来ていたことを、ここでミドナはようやく自覚した。眩いマリンブルーの強さに屈するかのように、女はがくりと膝を付き】
【苦笑混じりに力無く愚痴ると、そのまま地面に倒れ込んでしまうだろう。――この時点で、ミドナにはもう力付くで抵抗するような余力はない】

【そこから先はマリアのなすがままだ。額に手を当てれば高熱があることに気づくであろうし】
【当人は「自分から離れろ」とうわ言のように呟き続けるが――それは何ら、強制力のある台詞ではないのだ】
【ただ、ひとつだけ。ミドナは何故か、血が出るほど強く自分の左手を噛んでおり、その動作だけは並大抵の力では妨害できないだろう】
【双眸を見るに意識はかなり朦朧としているようだが……それでも絶対に気は失うまいと、激痛で強引に意識を繋いでいるように見える】

【ともあれ、ここからどうするかはマリアの自由だ。幸い怪我も熱も即時命に関わるほどのものではなく、考える時間もあるだろう……】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/09(木) 22:31:06.76 ID:XpsneU7L0
>>508

貴女のそんな姿を見て、誰が離れるものですか……!
……っ、ミドナ!?……酷い熱……!

【―――目の前で崩れ落ちるように倒れるミドナ。無理をしていたのだろうか、もう体に力も入らない様子で】
【慌てて倒れた彼女の体を抱きかかえようとして、肌に触れると……酷く熱くなっているのが感じられた】
【この様子だと、いずれどこかで力尽きて倒れてしまっていただろう。やはり、追ってきて良かった】
【このまま道端で倒れていたらどうなっていた事か……。今は、手負いの彼女を家まで連れて帰らねば】
【そんな傷だらけのミドナを放っておけるような性格では無いことは、彼女も知っているだろう】
【離れるなんて、とんでもない。―――放置する選択肢なんて、マリアには最初から無かった】

―――

ティア!貴女はタオルと水を用意して下さい!ケイは薬を持ってきて!ベッドは確か、一つ余っていた筈……
ミドナ、しっかりして下さいな……!今、治しますからね!

【こんなになってまで気を失うまいとするのは妙に感じたが、今はそんな事を気にしている余裕はない】
【力なく倒れるミドナの体を優しく抱えると、マリアは自分の家まで運んでいく】
【まずは兎にも角にもベッドに寝かせて治療をしなくては。消耗した体力も憂慮しなければなるまい】
【いつかミドナも訪れた事のある家に入ると、マリアは子供達に水や薬の類を用意するように言い付けて】
【マリア自身は空いている部屋のベッドにミドナを下ろして寝かせて、己の手に魔力を込めると】
【ミドナの胸に手を当てて、彼女固有の癒しの力を持つ光の魔力を流し込む。これで軽い傷は治る筈だ】
【同時に、失われた体力も少しは回復するだろう。少し遅れて子供達の用意した薬や水も到着する】
【これで、少しは彼女の容体も安定しただろうか―――】
510 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/09(木) 22:56:28.25 ID:XCLYY2Bro
>>509

【自分がマリアに抱えられて家に運び込まれていくことすら、正しく認識できていたかどうか。ミドナの意識はギリギリのところだった】
【やがて柔らかいベットに転がされて、胸の中に光が入り込んでいく。幸い特殊な傷はなく、怪我は裂傷や擦過傷、打撲が中心だったようだ】
【致命傷らしき深手もなく、マリアの魔力によって傷の方はほとんど出血も止まるはず。問題は熱の方だが――】


………う……、……パパ………?


【――そのうち、看病されていることに気づいたのか、離れろと繰り返していたうわ言に妙な単語が混じって】
【女の外見や以前会った時の印象とは全く違う幼稚な声色。――風邪を引いたときの子供が、ちょうどこんな表情をするかもしれない】
【どうも熱の方はすぐには治まりそうになかった。重篤な病気ではなさそうだが、恐らく過労のせいだろう。しばらくは動けそうにない】
【もっとも、ある意味好都合ではあるかもしれず。今のミドナには、力尽くでここから抜け出すなんてとても無理そうだから――】

【……ミドナの意識がはっきりしてくるのは、一時間ほど後の事だろうか。ただ意識を失うまいということだけに必死に集中していた瞳が】
【そのうち、マリアや子供たちを捉えられるだけの余裕を帯びる。体はまだ動かないが、まともに話ぐらいはできる状態になるだろう】


………、ごめん、マリア。迷惑かけた。
あんたたちも、ありがとう。情けないとこ見せちゃったわね……。


【左手を噛むのをやめたミドナが、焦った様子で真っ先に確かめたのは自分の体であった。全身に"異常"がないことを念入りに確認し】
【残っているのがマリアや子供たちが治療してくれた跡だけだとわかれば、安堵するように大きく溜息を付く】

【――その後しばらく黙り込んで、最初に吐いた台詞がこれだった。心も体も今更逃げられないのを悟って観念したように、】
【沈痛な面持ちでマリアへ謝罪し、同時にぎこちない笑顔を浮かべて子供たちへ感謝を告げる。以前の溌剌さはすっかり陰を潜め】
【寝ころんだまま、言葉を探るように中空へ視線をさまよわせた。自嘲と自己嫌悪に苛まれているような表情だ】


――前に会ったのはずいぶん前だったわね。
あれからあんたの方も、何か色々あったらしいけど……大丈夫だったわけ?

まぁ……ここが変わってないのは、ホントに良かったけどさ。


【久しぶり、と言う暇もなく、ミドナはマリアへ向けてそう言葉を続ける。表情は暗いままだが、この場所が変わっていないことだけは心から嬉しそうに】
【色々――の内容を、実のところミドナは正確には把握できていない。公的な情報網が使えなくなり、風の噂で聞いた程度のものだ】
【漠然としたその問いに何か答えてやるのも、逆に彼女へ問いかけてやるのも自由。今の妙にしおらしい状態なら、変に隠したり反抗したりはしないだろう】
511 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/07/09(木) 22:59:31.15 ID:XCLYY2Br0
>>510
/書き忘れました、次少し遅れる可能性があります……
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/09(木) 23:21:49.46 ID:XpsneU7L0
>>510

【1時間、彼女の意識が戻るまでマリアはすっと傍に居た。勿論タオルを交換したりする為でもあるけれど】
【何か彼女の事が心配だったのだ。自分の知っている彼女と、余りにも様子が違い過ぎて……】
【前に別れた時は、また会いましょうと言ってくれたのに。なのに、どうして逃げたり離れろと言ったりするのか】
【玄関先で会ってから今に至るまでで、見た事も無いような虚ろな彼女の表情を何度も見た】
【その表情が、余りにも心配だったから……どうしても、ベッドから離れられなかった】

いいのですよ、このくらい手間と言う程の事でもありません。
……あんな貴女の姿を見たら、放っておけませんもの。

「いえいえ、とにかくぶじでよかったです。どうかむりせず、ごゆっくりしてください!」

【ミドナに気を遣わせないように、マリアは軽く笑う。こんな手間、ミドナの傷を思えば大したことでもない】
【子供達もミドナが大丈夫だと分かれば安心したような表情を見せて、ぺこりとお辞儀して部屋を離れるだろう】
【そうして二人きりになれば、会話は続く。】

大丈夫か大丈夫じゃないかと問われると、大丈夫じゃないのかもしれませんね。ふふっ……
……私も、色々あり過ぎて倒れそうなのですよ。―――何とか気力だけで、毎日を生きているようなものです。

―――大切な人を失うというのは、こうも辛く苦しいものなのですね。
まだ身体は生きている、存在しているのに……魂だけ乗っ取られて、中身は別人なんて。
……もしかしたら、私は子供達を護る為にこの手で大切な人の命を奪う事になるかもしれません。

【この状況は偶然だろうか。ミドナの抱える苦しみと似たものを、マリアもまた背負っていた】
【大切な人が、身体だけ乗っ取られて破壊の限りを尽くしている……そんな、どうしようもなく途方もない苦しみ】
【マリアも笑顔を作っているが―――その表情は、どこか無理をしているようにも見えた】
513 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/10(金) 00:05:31.75 ID:oXOptplwo
>>512

【マリアの笑顔――子供たちの笑顔を、ミドナは直視しかねるような様子で目をそらし、なんとも苦い笑いで受け止めた】
【ただ、まったくの無駄ではなかった。子供に気を遣わせるなんてあたしらしくもない……なんて、今まで抱いていたのとは違う自己嫌悪を抱くきっかけにはなり】
【それが、どうにかミドナの視線を上げさせた。子供たちを見送り、今度こそマリアを正面から見る。……"緋色の鷹"の誇りの残滓が、しつこく瞳に残っていた】


――――、………なん、ですって?

そうだ……あんた、あの大司教……フレデリックと結婚したって聞いて死ぬほど驚いてたんだけど!
それがどういうことよ!? 魂だけ乗っ取られて、中身は別人!? ――バ、バカ言わないで………。


【それがなければ、ミドナはマリアのこの話を戯れ言と思った可能性もあった。受け入れられず喚き出す可能性もあった――】
【――それほどに、予想を超えた奇縁。それも最悪の凶縁であった。ミドナは混乱したように両目を開き、がばりと起き上がってマリアに食い下がるだろう】
【とても遅蒔きの結婚祝いなんて言える雰囲気ではない。こんなことがあって良いはずがない……自分だけならともかく、何故マリアが?】
【そんなミドナを冷静にさせたのは、皮肉にも彼女の体調だった。上体を起こした瞬間に目眩を起こし、もう一度ベットに倒れ込む羽目になる……】


…………、マリア。
あたしの方も、あれから色々あった。あんたが今感じてるのと、近い思いをしてきたのかもしれない。
最初の頃は何もかもイヤになってメチャクチャやってたけど……ある人に救われて、ちょっとだけ前向きにはなれたつもり。

――だから、ごめん。助けて貰っておいて今更、「あたしから離れろ」なんてもう言わないわ。
あれから何があってこうなってるのか、あたしは今からあんたに話す。どう受け止めるかは任せるけど……。
だから、あんたも――話を聞かせてちょうだい。あれから何があったのかを――。


【ショックは抜けきらないようだが――ミドナはぐっと表情を引き締めると、マリアへ金色の視線を投げた。悲観でも嫌悪でもない、純粋な視線だ】
【最初にマリアが感じた"混濁した迷い"は、確かに消えずに残っている。けれど今のミドナは、それ以外のものも持っていた】
【――ただ溌剌だった頃とは違う。辛い苦悩にまみれたみっともない姿ではあるけれど、ミドナは少し、思慮深くなったようにも見えるか】

【離れろだの巻き込みたくないだのと、マリアの好意や想いを無為にするようなことはもう言わない。ミドナは真摯な瞳でそう誓い、】
【そしてこう言うだろう。お互いに腹を割って話さないか、と。それにマリアがどう答えるにせよ、ミドナは自分から、"あの日"の続きを話し出す――】


【――ミドナの口から語られるのは、長い話だ。いつ何処で何回、"そういう悲劇"が起きたのかまではあえて記しはしないが】
【重たい感情に押し潰されるかのように紡がれる低い声色、その要旨をまとめれば以下の通りになるだろうか――】

【あの後すぐ、死に別れたと思っていた父親と再会したこと。だがその父は、"戦神"を名乗る存在によって身体を乗っ取られていたこと】
【魂は違うと解っていても、父への思いがどうしても捨てられず、カノッサ機関に協力する"戦神"の側についてSCARLETの仲間の下から去ってしまったこと】
【仲間たちへの未練と父への愛との板挟みになり、しばらくの間はひどく荒れて、自暴自棄になってしまっていたこと】

【――最後に。"戦神"の魂を無理矢理引き剥がすと、父は死ぬ可能性が高い。かといってこれ以上"悪"に屈して、SCARLETの仲間達と敵対したくはない】
【少しぐらいは、前向きに考えられるようにはなったものの。父か"正義"か、どちらを取るべきなのか、未だに明確な答えは得られていないということ……】


………………。


【これだけ話し終えると、ミドナは押し黙るだろう。痛みに耐えるように視線は下を向いていたが、しかし自分の現実からは決して目を逸らさなかった】
【後は、ただ待つばかりだ。ミドナが次に顔を上げるのは、マリアが次に何らかの言葉を発した後のことになるだろう――】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/10(金) 01:05:18.45 ID:hwEKD0yt0
>>513

ええ、別人です。―――それも、教会を破壊して罪のない人々を殺し続けるような人です。
勿論魂を追い出して助けることを最優先にしていますが……暴威の矛先が、いつ子供達に向いても可笑しくありません。
そうなる前に、私が止めなければなりません。たとえ、愛する人をこの手で殺す事になっても―――

【これが冗談や戯言なら、どれだけ良かったことか。しかし……現実は、今もなお重くマリアの背に圧し掛かっている】
【事実を語るマリアの口調は淡々としていた。意図的に感情を押し殺しているような……そんな声色】
【それをミドナに聞かせて何だというのだ。―――でも、言わずにはいられなかった。言わなければ心が潰されそうで】

【それを聞いたミドナは―――言葉を受け止め、想いを返してくれた。似た苦しみを持つ者としての、想いを】
【今まで彼女の身に起こった出来事の全てを。起こった迷い、悩み、その末に見出しつつある答えを―――】
【……その心を、想いを、裏切る訳には行かない。こんなにも真摯な瞳を、言葉を、無視する訳には行かない】

【ミドナの口から語られる話を、マリアは一言も発さずに聞いていた。―――最後に告げられた残酷な事実も。】
【……ミドナが黙るのを合図に、マリアも自分の身に起こった出来事を言葉にして紡いでいく】

【本来のフレデリックの体がアーグという100年前に死んだ筈の古の大司教の魂に乗っ取られている事】
【アーグは過激で残忍な思想を持ち、そのアーグがフレデリックを名乗り破壊活動を行っている事】
【自分もまた、愛する人の魂がどこに存在するかすら分からない状況に絶望し傷だらけになって倒れていた事】
【ここまでの話には、希望は存在しなかった。ただただ絶望的な状況だった。けれど】

【―――その後、フレデリックの魂の救出には成功して仮の肉体に移したという明るい話も告げられる】
【フレデリックの幼い頃からの親友でもある六罪王ダグラスに協力してもらって、漸く救出に成功したのだ】
【まだフレデリックの救出の見込みがある分は、ミドナよりはマシなのかもしれない……】

【……逆に、ミドナとは違った苦しみもあった。乗っ取られた体が、自分とは違う誰かと子供を作っていたというのだ】
【身体的には夫の血が流れる子供にどう向き合っていけばいいか、まだ答えを見つけ出せてはいない……】

【同時に、依然夫の体は乗っ取られたままであり破壊活動も続いているという事も付け加える】
【この前は、街一つを水底に沈めてしまった。―――当然夥しい数の命が奪われたのは、言うまでもない】
【助けることを最優先にしてはいるが……―――最悪の場合、殺してでも止めるつもりでいる】

―――これが、全てを話して下さった貴女への答えです。……私も全てをお話しました。
……助かる希望が残っている分、私はまだ貴女よりは良いのかもしれませんね。

ミドナ……―――貴女は強いです。心が潰される程に辛い現実を前に、それでも耐えている……
……なぜ、その状況で迷いつつも前を向けたのですか。その理由を、知りたいです―――
515 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/10(金) 01:46:53.04 ID:oXOptplwo
>>514

【――やっぱり、神様というのはどいつもこいつもロクなもんじゃない。マリアの言葉を聞いて、ミドナは心底そう思った】
【自分だけならまだいい、と思ってしまうのも間違っているのかもしれないが……夫がいて子供たちがいて、自分だけでなく誰かも幸せにしている】
【そんな女性にまでも、こんな運命を背負わせるのかと。そう思わずにはいられない。"あの時"から何も、この世界は進歩しちゃいない――】

【ミドナもまた、マリアの話を一言一句逃さぬように聞き遂げるだろう。あの六罪王の名が出たときは、流石に瞠目したが】
【最後まで声を発することはないだろう。――大事な人の身体を使っての破壊活動が続いている、という点までも同じ】


………そう。あたしが言うのもなんだけど、大変だったわね………。
ただ、一個だけ。どっちが不幸でどっちが幸運かなんて、そんな話はやめましょ。
一年近くも悩み続けてきたけど……そういうの、疲れるだけだった。誰も幸せになりゃしないわ。


【救いがあるか、ないか。確かに助かる見込みでいえば、魂の原本がある分マリアの方が公算は大きいのかもしれないが】
【ミドナは疲れ切った表情で、そんな比較は放棄する。感情的になって不幸比べなんてしても自分が嫌いになるだけだというのは、この一年で学んだ教訓のひとつ】
【それに、アーグが作った"隠し子"の件は、正直ミドナには想像も付かない領域である。ミドナには無責任な想像しかできない】
【――強い、なんて言われても実感などできなかった。ひたすら後ろに突き進んでいった先でようやく、間抜けにも逆方向に道があったと気づいただけだ】


強くなんかないわよ。――ようやく、あんたと同じ場所に立っただけ。
言ったでしょ? しばらくは荒れてたって。"選ぶ"こと自体から逃げてたの、あたし。
けど最近、ようやく自分を客観視できるようになって、そこから逃げるのは止めただけ。
それだって、SCARLETの仲間にさんざん迷惑かけてようやく、前を向かせてもらったってのが正しいわ。

――答えだって、未だに出てない。
もう一度SCARLETに戻りたいって気持ちは、ずっと強くなったけど……けど、だからって。
パパが"戦神"の巻き添えになって殺されるのを黙って見ていられる自信はないし、自分で引導を渡す決意だってない……。


【ミドナが少しでも強く見えたのなら、それは"覚悟"を決めたからだ。どちらかを選んで責任を負う覚悟ではなく、"選ぶ"こと自体に挑む覚悟を】
【……ほんの小さな一歩にすぎない。子供たちを守るためなら、いざとなれば自ら夫に手を下すと――そう言えるだけマリアの方が強いと、ミドナは思う】
【例えそれが今にも崩れそうな脆い意地だったとしても、やはり彼女は勇敢だ。その意地を張るだけの意志の強ささえ、自分にはないものだから】


逆に聞かせてよ、マリア。
あの子達のためなら、たとえ愛する人を殺してでも……なんて、どうして言えるの?

――――あんたとフレデリックの"愛"って、何? あんたと子供たちの"愛"って、何よ?


【じっとマリアを見つめて、ミドナは問いかけた。既に魂は救われているし、あくまでも"最悪の場合"の話で、希望がないわけではないとはいえ】
【この世で最も愛する人に自ら引導を渡すなんて、ずっと悩み続けているミドナには到底言えない台詞だ。そこには特別な理由があるはずだった】

【――結局のところ、そこに終始する。ミドナには、"愛"が理解できないのだ。子供を守ろうとする母の愛も、夫に手を下すことを覚悟できる女の愛も……】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/10(金) 01:53:00.25 ID:hwEKD0yt0
>>515
//すみません、本当にいい所なのですが眠気が限界に近く……
//凍結をお願いしてよろしいでしょうか……!此方はまた20時ごろには来れますので!
517 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/07/10(金) 02:10:56.15 ID:oXOptplw0
>>516
/了解しました、ではまた明日の20時頃ということで……!
/本日はお疲れ様でした、お休みなさいー!
518 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/10(金) 15:06:00.46 ID:kpPii+6EO
/>>505で待機しますね。
519 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k :2015/07/10(金) 16:49:31.75 ID:ro+t42qiO
/新規です。宜しくお願い致します。

>>505

【とある喫茶店のある席、何やら考え込む女性の姿があった。】

遠路遥々、謳い歩いては来たけれど……

【女性は鉛筆を片手に、ノートに向かっている。】
【端整な顔立ちに腰まで届く白銀の髪、着ていたコートは背もたれに掛けていて、白いワイシャツに黒のジーンズといった格好】

なかなか、名前は広まらないものね。そもそもここが何処なのかもわからないけれども。

【そのノートは、日記であり武器であり商売道具。】
【目が痛くなる程に書き連ねられた文字列を、女性は指でなぞる】

目新しいものは沢山あったけれど、興味に足るものは何も無いーー

【溜息一つ、軽く息を吸った直後】
【視界の端から流れてくるのは、芳ばしい香りの茶色の液体】
【どうやら誰かがカップを倒したか、このままではノートに到達してしまい汚れてしまうだろう】

ーーはぁ。やはり人が多い喫茶店なんて、やめた方が良かったかしら?

【女性に慌てる様子は無く、今度こそ嘆息を漏らす】
【そして、喉の調子を確かめるように手を自らの首にあてがった】

あーーあっ、あーー。

【口の端を僅かに吊り上げ、満足気な笑み】
【女性の赤い瞳が妖しく煌めき、液体を見据える】

テストOK。ではーー。
『戻れ還れあるべき場所へ、其方の失敗は幻想なり』

【声は喧騒の中、女性の近くでのみ透き通る様に響いた】
【歌うように軽やかに、旋律に載せて液体へと】
【茶色の液体は、零れたことなど無かったかのように、カップへと戻って行き、カップも起き上がる】

即興にしては、使える詩かしら。書いておきましょう。

【それは例えるなら、時が巻き戻ったかのよう】
【倒れた形跡など一切も残さず、どうやら過程で汚れてしまった何かの本も巻戻ったらしい】
【その持ち主の青年の姿を横目で捉えて、女性は再びノートに目を戻す】
【鉛筆を走らせ、今の詩を書き残し、そして青年へと目を向ける】

貴方ーー勉強というのなら、場所選びは良いけれど、落ち着きが足りないんじゃないかしら。幸い、隣で書き物していたのが私だったから良かったけれど。

【念のため、釘を指すように女性は話しかける】
【が、直ぐに自らの無礼に気付いたようだ】

失礼、名乗ってすら居なかったわね。
私は時雨藍璃(しぐれあいり)ーー旅する吟遊詩人、ただの人間よ。

【ただの人間、を強調して藍璃は微笑んだ】


520 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k :2015/07/10(金) 17:02:17.11 ID:ro+t42qiO
/新規なのに>>519で待機させて頂きますもうしわけありませぬ。
521 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/10(金) 17:22:31.31 ID:lnuOoxc9o
>>519


ッと、と───?あ、れれ?‥。


【相手の方へと流れ行く液体、慌てた様子の青年は当然、雑巾をだとか、謝罪をだとか、】
【やらなければならないことが頭に浮かび上がって、動きが止まる。】
【と同時に、目の前でさらに摩訶不思議現象、自分の失態がなかったことになっている──】

【ふう、と一息つけば、とりあえず結果オーライ。事なきを得たということだけ理解して】


あーいや、どーもすいません。ちょっとおっちょこちょいな気がありましてね──えーと、俺の名前は鳩ヶ谷 廉、自警団やってます。……ただの人間なんて自称する人は極悪人とか犯罪者とか相場が決まってるんですが、貴女はそういう訳じゃあなさそうですね…。


【たった今自分のミスを帳消しにしてもらった手前、胡散臭いとかそーいう感想はないようだ。】


/まだおりますかね?
522 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/10(金) 18:24:39.35 ID:lnuOoxc9o
>>519
/とと、すいません!急用で落ちねばならなくなりました…、また機会があればお願いします!
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/10(金) 19:57:36.32 ID:FoCLgLRz0
【とある喫茶店のオープンテラスにて】

【ジュークボックスからは陽気なクラシックが流れていて、これが朝なら目も覚めてすっきりするところだが 残念ながら今は日も暮れている時間帯】
【勿論十分に落ち着きのある空間ではあったが、店に近付けばそこだけ昼夜が反転したような印象を覚えるだろうか】
【尤も、これは店長の趣味でこうなっているだけであって妙な事がある訳でもないのだが……あくまでそれが特徴の店ということ、もしかすればその店に寄ってしまう理由にもなるというだけで】

【そんな店のテラスで一人コーヒーを飲んでいる人物が居るのなら尚更気になりもするかも知れない、その人を知らぬのならただ一風変わった老人が座っているだけと感じるだろうが】
【一部では知っている人もいるかもしれない、彼は様々な戦場に赴いた一人の老兵なのだ】

【顔はしわしわとしているが決して細くない肉体と、グレーの将校服姿がそれを思わせる】
【武器らしい武器こそ見えないが、それでも将軍の風格というものは何処かに感じさせていて、並みではないことは伝わるだろうか】

我ながら妙な催しを企画したものだな、まあ折角なら私も楽しむことに…………

【テラス席が気になるなら、或いは外から覗いて気になってみたなら彼と出会うかも知れない】
【近付けばテーブルには水の国天下一武道会のチラシが置かれているようだが……】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/10(金) 20:04:33.07 ID:hwEKD0yt0
>>515

【もし最後の最後、助けられる見込みも無くなってしまったなら―――その時は、自分が終止符を打つ】
【自分の手で、止めて見せる……そう思う事が、苦しくない筈が無かった。恐ろしくない筈も無かった】
【けれど……子供達の母として、何より彼の妻として、その覚悟は出来ている。今にも潰れそうな覚悟だけれど】
【―――マリアはミドナの瞳を見つめ返して言葉を紡ぐ。その心を、少しでも同じ苦しみを持つミドナに伝える為に】

……ミドナ。貴女は「愛とは何か」と問いましたね?
―――大切な人の持つ心や想いを知り、理解し、応えることこそが……愛、ではないでしょうか。
私はあの人の妻です。―――世界中のどんな人よりも、あの人の事を理解しているつもりです。

―――先程も言った通り、あの人の「体」は今も誰かを殺し、奪い、壊しています。
私は知っています。理解しています。―――それは、旦那様の望んでいる事ではないと。
罪なき人々を、私達の子供を、その手で傷付けるなんて……絶対に、望んでいないと。
自身の体によって齎される暴威を止めることこそが、あの人が最も望んでいる事だと……そう理解しています。
理解しているからこそ、止めるのです。私達の愛する子供達を護り、壊し続けるのを止める為に―――

【「勿論、最後の最後まで私は希望を信じて旦那様を助けるつもりですが」と付け加えて。……一呼吸おいて】

ミドナ。……貴女も、貴女の大切な人の心を理解して下さい。そうすれば……自ずと、己のすべき事は決まる筈です。
戦神を名乗り罪なき人を殺し続ける今の彼を生かしておくことが、本当に貴女のお父様が望んでいる事なのか。
こんなにも自分の娘を苦しめることが、お父様の願いなのか―――貴女のお父様の心≠ヘ、貴女にどうして欲しいと思っているのか。

貴女が止めるのです。貴女だから、止められるのです。お父様の事を心から愛している、貴女だから―――

―――間違っても、全てを失うような真似だけはしてはいけません。
周りをよく見て御覧なさい。貴女が愛し、また愛されているのは……お父様だけでは無い筈でしょう?
もしお父様を助けられなくても―――その人達は、貴女が絶対に護るのです。

【言葉を紡ぎ終えたマリアの目には、覚悟があった。フレデリックの事を愛しているからこその、覚悟が】
【愛しているからこそ止めるのだ。最も愛した人の心を理解するが故に。―――ミドナの父親についても、きっと同じだ】
【戦神・ガルマを止められるのは、父親の事を世界中で誰よりも想うミドナしかいない―――】
【ミドナは、マリアの言葉を聞いて何を思うのか。―――マリアは静かにミドナの反応を待つ】


//お返ししておきます!
525 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/10(金) 20:49:48.97 ID:MPtkolcc0
>>523
「こんばんわぁ!」

【飴玉を転がすような声が店内に響く】
【声の主は紫色の髪を腰まで延ばしたかなり小柄な人物、というよりも】

「えへへ、ミルクティーとフレンチトーストくださいっ!」

【そう注文をする人物はこの時間帯にほ関わらずかなり幼い子供…髪が長いうえに声も高いので男女の区別が難しいがまごうこうなき幼子である】

「うん?」

【老人の独り言が聞こえたのかゆっくりとテラスの方を向く】

「みずのくにてんかいちぶどうかい?」

【テーブルの上のチラシの内容をそのまま口に出して老兵のシワの奥の瞳を真っ直ぐに見つめるようにして問い掛ける】

「このお祭りっておじいちゃん出るのぉ?」

【普通の老人ならこの男の娘はここまで関心を示さない、だがその勲章の意味はわからずとも珍しい服装、そしてその独特の雰囲気から興味津々の様子である】
526 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/10(金) 21:10:48.62 ID:oXOptplwo
>>524

【……たとえこうして離ればなれになっていても、マリアの中では繋がっているのだろう。強く美しい何かが】
【マリアの言葉を聞いて、ミドナはそう思った。心を知って応える――それが愛、か。その言葉には納得のいく重たさがある】
【ただ、話を聞いていくごとに、ミドナの表情は暗くなっていった。聞いたことを後悔している風ではなく――】
【投げかけられた真理が、あまりに重すぎて。どれだけ自分が"愛"を知らないか……"父"を知らないか、改めて思い知らされる】


………うん、そうね。あたしのやりたいことは決まってる。……"正義"に戻りたい。
パパ以外にも、あたしを大事に思ってくれてる奴はいる。知ってるわ、よく……。
本気で元の場所に帰りたいと思うなら……パパを止めなきゃ駄目なのよね。うん、わかってる。

――、わかってる、のに。
あんたみたいな強い覚悟が、決まらない。これって、パパへの愛が足りないってことなのかな……。
あたしさ……ホントはパパのこと、なんにも知らないのよ。
小さい頃、物心つく前に別れたらしくって。あそこで会うまで顔も名前も声も、何も知らなかった。
何も―――ひとつも………っ………。


【ミドナもまた、本当は分かっているのだ。自分がどうしたくて、そのためには何をすれば良いのかは】
【マリアの言葉は的確にミドナの背中を押すものであったのだろう。実際ミドナも、何度も何度も頷いて、自分に言い聞かせるように呟き】

【――瞳から、大粒の滴が零れ落ちた。マリアの言葉からフレデリックへの愛や子供たちへの愛を感じる度に、どうしても止まらない】
【マリアとフレデリック、自分とガルマの境遇は似ているが、違う点もある。――ミドナが彼を思うのは、"実の父だから"というだけなのだ】
【そこには何一つ思い出がない。愛を育むための過程がない。それで父が何を考えているかなんて、理解できるはずがなかった】
【ほとんど他人とすら言える相手だ。それを、ただ血が繋がっているというだけで、何故ミドナはここまで心を乱すのか――子供のように】


………また、変なことを聞くけどさ。
以前、あんたは親を失ったところをある修道女に助けて貰ったって、そう言ってたわよね。
それって、どんな人だったの?


【溢れ出たモノを無理矢理拭って、ミドナは視線を下げたままマリアに新しい問いを投げた。――震えているが、必死の声色だ】
【――ミドナが本当に知らないのは。そして何よりも知りたいのは、"親の愛"だ。だから思わずマリアの過去に踏み入るような不躾な台詞を吐いてしまって】
【ここにはもう居ないが、本当は子供たちにも聞いて回りたいぐらいだった。あなた達にとってのマリアは、どんな存在なのかと……】


/すみません、気づくの遅れました……
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/10(金) 21:25:28.42 ID:FoCLgLRz0
>>525

(うん…………?来客かな、随分と小さいようだが…………)

【コーヒーカップをゆらゆらとさせながら、耳だけを頼りに客人を判別して】
【こんな時間に子供が来るなんてと老人、それとカウンターに立つ店長も思ったことだろう】
【何にせよ頼まれたからには追い出すわけもなく、店長は注文通りに準備を始める】

【老人はと言うと、最初こそ珍しいなと考えるだけであったが 少年が近付いてくれば】
【軽く会釈でもして彼の問い掛けに答えるのだろう】

こんばんは、君みたいな子が一人でこんなところまで来るとは何とも珍しい。
……これが気になるのかな?近々 開催する予定のイベントでね、私が企画したのだよ。
まあ、私は出ないが…………身体を自由に動かせる歳でもなければ 他にやることも多くてな。

これは例えば君みたいな…………と言うには君は若過ぎるが、もっと力を有り余らせている人が参加すべきだよ。
そうだ、知り合いも誘ってみては如何かな、それなりに景品も豪華なことだし損はないと思うぞ。

【かちゃりと皿にカップを置いて、宣伝も兼ねるかのようにそう少年に語る】
【そこから少しすれば注文が店長直々に送られてくるだろう、どうやらこの店は今の時間帯 店長だけで切り盛りしているようだ、彼が移動したならカップとトーストを近くのテーブルに置いて】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sagesaga]:2015/07/10(金) 21:39:09.03 ID:09o2RXKuo
【人里離れた森――秘湯】
【知る人ぞ知る名湯であるこの場所に、珍しく先客が居た】

「さァて、収ゥ穫の処ォ理は大体終ォわったな」
「まァー、適当に微ィ調整しつつ、実戦投入しィていくとすゥるか」

【それは、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】 【首に紫色の毛のマフラーを巻いていて、湯に浮いている】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ、この髪もまた一部浮いている】

「ふゥむ、しィかし……噂通りの名ェ湯だ……」
「うゥまく再現すりゃア、部ゥ下も少しはつゥいてくるだァろう」

【さて、この者――何処かで見たことがあるかもしれない】
【例えば、そのへんに貼ってあるポスター……"指名手配書"、特に賞金付きの方】
【それに、この顔にそっくりな悪魔が、多種多様な罪により指名手配されたいたはず――確か名前は"邪禍"とかいったか……】
529 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/10(金) 21:42:41.50 ID:MPtkolcc0
>>527
【注文の品が置かれたテーブルの椅子に飛び乗るようにして腰をかける】

「えへへ、おねぇちゃんは早く寝なさいって言うけど早く寝たってたのしくないもんね!」

【そういってフレンチトーストを切り分けて口に運ぶ】

「もくもく、それに子供扱いしないでよねっ」
「僕だって十歳ちよっとの筈なんだからぁ!」

【カップの中の液体をフーフーと冷ましながらチビチビと飲む】

「景品かー、えへへぇ♪」
「おねぇちゃんも誘ったら一緒に出てくれるかな?」

【そして思い出したかのように】

「ぼ、僕だって強いんだからねっ!」

【と、わざわざ言ってくる】

「おじいちゃんなんか百人かかってきてもチョチョイのチョイなんだからねっ!」
「本当だからねっ!」

【こういうどうでもいい事に必死になるあたりまだまだ子供と言えよう】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/10(金) 22:01:34.10 ID:hwEKD0yt0
>>526

【親の事を何も知らない。―――ただ存在しているという事を知っているだけで、他は何も知らない】
【そう告げるミドナの表情は、どうしたって暗くなってしまって……やがて、涙まで零れ落ちてしまう】
【親の事を知らないのに、愛を知れる訳がない。―――ミドナは、マリアに親の愛を問う】

【それが、ミドナへの答え≠ノなるのかどうかは分からない。けれど、マリアは言葉を紡ぐ】
【親の愛……それを、かつて子として受け取り、今は親として与えている身として―――】
……―――

私のお母さん≠ナすか。―――とても暖かい心を持つ、笑顔が柔らかい人でした。
どんな時でもにこにこと笑っていましたっけ。私が失敗した時も、顔色一つ変えずに……
お皿を割ってしまった時は、怒るよりもまず私に怪我がないか心配するような……そんな人でした。
血も繋がっていないのに、どんな時だって私の事を想ってくれて―――
それでね、いつだってこう言ってくれたのですよ。―――「あなたの笑顔を見れるのが、私にとって一番幸せだよ」って。
最期、ベッドで息を引き取るまで……ずっと、口癖のようにそう言っていました。

子供達を育てる側になって、お母さんの気持ちがよく分かりました。……今は、私が同じ事を子供達に願っています。
何も特別な事なんてしなくても良くて―――ただ元気に笑って育ってくれれば、それが何よりの幸せなのです。
親とは、そういうものなのですよ。どんな時だって子供の笑顔を何よりも望む……それが、親なのです。

ミドナ。私も貴女のお父様の事は何も知りませんが……―――これだけは、確信を持って言えます。
貴女のお父様が願っていたのも、間違いなく貴女の笑顔≠セった筈です。だって、貴女は世界でたった一人の娘なのですから……

【マリアの口によって語られる母親≠ヘ、どこかマリアに似ていた。いつでも柔らかい笑顔を湛えていたらしく】
【そして、いつでも子の幸せを願っていたと言う。その生涯を閉じる時まで、ずっと】

【親が何を考えているのか分からない、そう言うミドナへの一つの答え。―――「笑顔でいて欲しい」】
【今も昔も、世界中のどんな国の人でも、それはきっと変わらない。……ミドナの親だって、きっと同じ】
【親の愛とはすなわち、何よりも子の幸せを願う事。―――子の幸せが、親にとってどんな幸せにも勝る幸せなのだ】

531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/10(金) 22:12:34.71 ID:FoCLgLRz0
>>529

ほーう、十歳ちょっとね、なら私は六十歳ちょっとといったところかな。
長生きというのは楽しいが時につまらないと感じもする、今は比較的満ち足りてはいるがな。
まあ老後はそういった暇を楽しむものらしい、君にもいつか分かるといいな。

【あくまでも比較的と老人は話す、楽しいがつまらない時もあると 矛盾を抱えたものが人生だとでも言いたげで、しかし年齢が年齢だ、その言葉には幾分かの説得力も感じられるだろう】
【その余裕から却って子供扱いがどうやっても抜けないような印象も覚えるだろうが、そう感じるかは結局 少年次第だ】

ああ、そのお姉ちゃんでも誰でも誘うといい、活発なのは悪いことではない。
強いのなら尚更だな、頑張りたまえよ。

……ハハ、お言葉だが百人はちょっと無理ではないかな?
私も衰えてはいるがまだまだ若い者には負けていないつもりだよ、まあ、10分は私から逃げられたら判らぬかもしれんが 難しいとは思うぞ……?

しかし、それだけ元気があれば結構、是非参加を検討してみておくれ。

【それから少年が百人来ても大丈夫だなんて言うのなら、それは流石に無理だろうと老人に悪戯のように反論されるだろう】
【だが少年のやる気が十分なのは伝わったようで、それならよしとポスターを差し出すだろう】
532 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/10(金) 22:25:05.41 ID:MPtkolcc0
>>531
「?」
「楽しいのにつまんないの?」

【小首をかしげながら頭にハテナマークを浮かべる】

「う〜ん、そういうものなのかなぁ?」

【亀の甲よりなんとやら】
【含蓄がある言葉に無理矢理納得させられてしまう】

「むむむぅ、ぬうぅ」

【あまり持ち合わせの無い語彙力をフルに活用して反論しようとする…】

「ぼ、僕だって逃げ足なら早いもん!逃げるのだけだったら誰にも負けないもんねっ!」
「メタ●スラ●ムくらいだかんねっ!」

【が、結果としてはちょっと情けない事になってしまった】
【もっともこの少年はメ●よりもヒ●ドを使うのだが】

「むぅ、おじぃちゃんってそんなに凄いヒトなの?」
「メタ●キ●グなの?」

【例えが某RPGになってはいるがようは相手の力量を聞いていたりするのである】
533 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k :2015/07/10(金) 22:46:27.19 ID:LxXPZaqxO
>>521

/申し訳ありません、離席してました。
/置きレス気味ですが続けてみます。
/夜は見に来れる……はずっ

【同じくこちらを見、挨拶を返してきた青年を見て】

成程……申し訳ありません。

【開口、突然の謝罪】

自警団に所属とは、立派な方だったのね。てっきり、勉強学徒だとばかり……重ねて無礼をお詫びします。

【藍璃は軽く頭を下げ】
【しかしながら補足の為に口を開く】

ええ、ただの人間……貴方の考えはあながち間違ってはいないのかもね。
人間という種の概念からは、なるほど確かに"私"は"罪"で"悪"であるのかもしれない。

【彼女の微笑みは、自嘲を含み】
【しかしながらその影は瞬時に霧散した】

下らないことね、忘れて。
しかし、自警団の方がこんな所で……いや、喫茶店位来るのでしょうけど、何を勉強してなさるのでしょう?

【代わりに表れたのは、青年へのちょっとした興味】
【何せ、この世界に来てから一方的に謳うことはあっても、会話なんて殆どしていない】
【久方ぶりの話し相手の出現に、藍璃は少し喜んでいた】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/10(金) 22:48:46.04 ID:FoCLgLRz0
>>532

はて、それはゲームでの話かな?ふふ、そのお姉ちゃんとでもやっているのかな。
……ああ、私は凄い……かは自分ではいまいち判断出来ないが、それなりに偉い人ではあるかな。
世界を救う賢者かも知れないし、ひょっとしたら全てを滅ぼす魔王かも…………?

はっはっ、今のはちょっとした冗談だが それくらいには偉いと思いたまえ。

【少年にも分かるように合わせたのか、ふわっとしたような強さの例えを示して】
【少なくとも大会を企画出来る程には偉いわけだ、今はそんな解釈でも問題ないだろう】

【喉を休めるためにコーヒーを一口啜れば、他に質問はないかなと聞いているような姿勢だ】
【勿論、何もないならこのまま空にしたカップを小さな手伝い代わりにカウンターに下げて、そのまま去るのだろうが】
535 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/10(金) 22:49:03.54 ID:oXOptplwo
>>530

【マリアの"母親"の話を、ミドナは細かく頷きながら聞いた。……羨望なのか諦観なのか、自分でもよく分からない強い感情が胸の内に沸き上がる】
【涙は止まりそうになかった。前に会ったとき、ミドナは自分とマリアは"違う"と思い込んでしまったが、それと同じようなものを再び感じて】
【――ただ、今度はそれだけではなかった。親は子供の笑顔を何より望むものだと、そう断言してもらえたことは大きな救いだ】
【何も知らない父もまたそう思っていたはずだと、すぐに信じ切ることはできない。しかし……そうであって欲しいと、願うことはできる】


………、そう。それが"親の愛"なのね………。


【呟くと、ミドナはしばらく黙り込む。少しだけ悩んだようだが――ここまで来たら、すべて吐き出してみようと思った。それもまた、ひとつの覚悟】
【前に会った時は言えなかったこと。自分とマリアが"違う"と思い込んでしまったその理由を、何故父にここまで拘るのかを、ミドナは正直に語り出す】
【息を吸い、そして吐いた。拭い難い過去と共に。それはこの世界ではひどくありふれたものだ。マリアや、ここの子供たちだって、同じ――】


前に話してくれたわよね、ここにいる子達も、あんたも、親を失ったんだって。
あたしもさ、同じ。あたしには両親がいなくて――運悪く、あんたのお母さんみたいな人にも出会えなかった。

――あたしの場合は、盗賊団の奴隷狩りに巻き込まれて拉致されたの。両親の顔も思い出せないような小さな頃よ。
なんとか連中の所から脱走した後、両親を捜して五年近く世界中を回って――そこで、ようやくだった。
自分の故郷がどこで、どうして奴隷なんかやってて、両親がどこへ行ったのかを知ったのはつい最近。
故郷は焼き払われて跡形もなかったし、パパもママも奴隷狩りの時に殺されたって生き残りから聞いたわ。


【ただひとつ、違う点を挙げるとするなら。子供たちにとってマリア、マリアにとっての"母親"。そういう存在が、ミドナには現れなかったというだけ】
【この悲劇に手を差し伸べた人間は、誰もいなかった。ミドナという女は、ある意味――マリアや子供たちが"誰にも救われなかった場合"の結末のひとつなのだ】
【――涙を止められないまま話し続ける、ひどく小さな背中。それはマリアがかつて手を差し伸べてきた子供たちと、同じものに見えただろうか】


/申し訳ない、続きます……
536 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/10(金) 22:52:36.17 ID:oXOptplwo


……"戦神"に乗っ取られてるってわかってるのに、どうしてもパパを捨てられなかったのはそのせい。
奴隷だった頃から、ホントは誰かに救って欲しかった。子供の頃からずっとパパやママが欲しかった。
だからこそ、それが実は生きてたんだってわかって、死ぬほど嬉しかった……。
両親が死んだなんて絶望は二度と味わいたくなくて、迷って悩んで、神サマにつけ込まれて――こう、なっちゃったわけ。


【親を失い、しかも誰にも救ってもらえなかった子供は、果たしてどうなるのか。これはそのモデルケースの一つだ】
【――ミドナという子供の場合は。顔も覚えていない両親の存在に縋りつくことでしか、心を支えていられなかった】
【必死に探し続けた先に見つけたのは両親の死という現実で、その支えすら失って絶望して。その後、マリアのような人たちと出会って持ち直しはしたが――】

【大人になった今でも、その強迫観念じみた思いがずっと消えずに残っていた。マリアのような覚悟を、すぐに決められなかったのはそのせいだ】
【――子供の頃からずっと会いたかった両親と、ようやく会えたのだ。まだ何一つ思い出がないからこそ、それを知らないままで終わるのが、怖くて】


………、でも、ありがと、マリア。偶然だったけど、ここに来れて良かった。
ここには、あんたが母親から受け継いだ"愛"が満ちてる気がするの。生まれた時代が違ったら、あたしもここで暮らしてたかもしれないわね……。

さっき、不幸比べなんて下らないって言ったばかりだけど……正直言えば、羨ましい。本当にいいお母さんだったのね。
……あたしのパパもそうだったって、信じたい。少なくとも、このまま動けないままでいるより、ずっといいはずだから……。
またちょっとだけ、迷いが晴れた気がするわ。このまま、前を向き続けて進んでみる――。


【そんな過去を生きていたからこそ、ミドナは愛を知らず、それに飢えていたし――今マリアの語った"親の愛"が、どれだけ大きな希望になったか】
【すぐにでも潰えそうなか弱い決意ではあったが、何も知らない父の愛を信じる……と。恐怖を伴う選択を、ミドナは口に出す】
【とにかく、前へ。苦悩ばかりしていては何も進まないのは確かだった。希望を信じて進んでみなければ、このまま何も解らないままだ……】
【涙を拭って、ミドナは無理矢理笑顔を作る。――そんな"意地"を張れる程度の元気は、マリアから受け取ったということだろう】
537 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/10(金) 23:01:13.43 ID:MPtkolcc0
>>534
「むむむぅ」

【更にこんがらがってパンク寸前の頭で一言だけ何か格好いい台詞を言おうとして】

「おじいちゃんって『煮ても焼いても食わねど高翌楊枝』だよねっ!」

【掴み所が無くて粋な人見たいな感じの意味合いになりそうでならなそうな諺らしき物を言ってみたりする】

「偉くってお金持ちで凄くて賢者で魔王なおじいちゃんなんだねっ!」

【そういって老人の真似をしてミルクティーを一気に飲み干そうとして猫舌と戦いながらそのチラシをポケットにしまう】

「アチチ、それじゃあまたね〜おじいちゃん!」

【そういって手を降りながらミルクティーを後回しにしてフレンチトーストに取りかかるのであった】

/と、いうわけで少し早いですがこれで〆にさせていただきます。
/短い時間でしたがありがとうございました
/イベント、喜んで参加させていただきたいと思います!
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/10(金) 23:10:17.13 ID:FoCLgLRz0
>>537
/こちらこそ、ありがとうございましたー
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/10(金) 23:40:43.56 ID:hwEKD0yt0
>>535

――――!
ミドナも、同じ……―――

【世の中とは、こうも残酷なのか。―――意を決するようにして語られたミドナの過去は凄絶なもので】
【両親を失い、親代わりとなるような人もおらず、たった一人で生きてきて……そして、探し求めた親は死んでいた】
【自分と同じだった。マリアもまた、住んでいた小さな町が襲撃されて唯一生き残った少女だった】
【両親を失って、拾われたのが盗賊か修道女か……マリアとミドナの違いは、恐らくたったそれだけだ】
【少し運命が違えばマリア自身も同じ境遇だったかもしれない。二人を分けたのは、たった一つの運命の交錯の差だった】

【親の愛を知らず、泣く事しか出来ない―――今のミドナの姿は、きっとかつてのマリアやティアと同じ】
【きっと自分も、お母さん≠ノ出会っていなければ母親を探し求め続けていただろうし】
【実の両親が死んだと知った時には、心の支えを失ったかのように空虚な気持ちになってしまったし】
【どんな状態であれ親が生きていたと分かれば、愛を求めて縋っていたかもしれない……】
【ミドナの心が、痛い程に分かってしまう。その涙は、かつて自分が流したものと同じなのだから―――】


【だからこそ、信じて欲しかった。ミドナの親も、きっとミドナを愛していたのだと……そう、信じて欲しかった】
【今更、愛を知るには遅いのかもしれないけれど―――少なくとも「そうだったかもしれない」と思って欲しかった】

【だから、そんなミドナの言葉が聞けて嬉しかった。少しでも信じてみる気になってくれたことが、嬉しかった】
【前を向いてくれたのが、嬉しくて―――マリアは、知らぬうちに母親のような柔らかい笑顔を湛えていた】
【意地を張って、無理をしてでも前を向けば、その先に何かあるかもしれない。―――少なくとも、何もない下を見るよりはずっといい】

―――そう言ってくれたのが、何よりの幸いです。ミドナ、そのまま前を向きましょう。
それで――――もし、また前を向くのが辛くなったら……その時は、いつでも来て下さい。
歳も近いし、貴女の母親代わりにはならないかもしれませんが……―――子を思う親の気持ちくらいは、伝えられる筈です。
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/11(土) 00:11:30.90 ID:zbgnyxv/0
【街中――二十四時間営業のスーパー、その店の前】
【微かに点滅する蛍光灯、ちかちかとする灯に、どこかからか虫たちが飛んできて】
【ただの蛾ならつまらない。それでも時々、ぴかぴかと虹色に艶めくコガネムシが落ちていたりして――】

……全く。コガネがこんなに落ちてるなんてひどい話よね、あんたたちのせいでうちの薔薇が酷い目に遭うのよ。

【かしゃりと小さな音であっさり踏みつぶされた。踏みつけた足は男ほど大きくない、呟く声もノイジーだが女のもので、】
【たった今何か買い物してきたらしい袋をほんの少し戯れるように肩にかけ、無残につぶれた足もとについては、もう興味もないらしい】
【女にしては少し背が高い。袋の中身もよく見れば酒のようで、なんなら安い肴も見えた。ふらりと歩き出す、】

【腰まで届かない程度の髪は暗い紺色。瞳も同じような紺色で、わずかに釣った形――肌は薄らと日焼けしていて】
【対して面白味のない柄のTシャツとなんら拘りもないジーンズ、なんて、ただただ夜中に買い物に出たような恰好。――まさしくそうだとしても】
【ただけだるいのか蒸し暑いのか長い髪を纏め上げて緩い団子状にしていて。そんな彼女は、けれど、帰ろうとする前に】

はあ、腰が痛いわね。あんなデカい鉢は男が運べばいいのよ、なんで私が……。

【店の前に設置されたベンチに腰を下ろすのだった。それから独り言ちて、不満げな顔をしながら空を見上げても、スーパーの明るさで何も見えない】
【そんな視界に彼女はため息を漏らして、それでも空を見上げたまま――袋から缶の酒を取り出して、開けるのだった。世間の目より、そんな気分に思えて】
541 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/11(土) 00:18:04.24 ID:6y5VEFI6o
>>539

【ぐすっ、と最後に大きくしゃくりあげたのを最後に、ようやく涙も止まってくれた】
【以前、一番最初にミドナに前を向かせてくれた人に話した時は、「自分は汚いんだ」と八つ当たりじみた自虐と共に過去をぶちまけたが――】
【再び打ち明けた過去は、また違ったものだった。悲観するでもなく自虐するでもなく、ただ心の底に積もっていた事実と感情だけを友へと伝える】

【――それだけで、心が楽になるのを感じたし。以前マリアとの間に自分で作ってしまった壁が氷解するのがわかった】
【前は勝手に、自分とマリアは違うと思い込んでいた。彼女は救われたが自分は救われなかった。……自分だけが、汚いままだと】
【けれど――ただ、何も考えずに"ありのまま"をさらけ出す。本当はそれだけで良かったのだろう、最初から】
【確かに二人は違う。けれどこんなにも"似ている"。それだけで心が明るくなった。自分がずっとひとりで抱えていたものは、本当はこんなに軽かった――】


………あ、はは。みっともないところ見せちゃったわね。
あんたも辛いってのに、いろいろぶちまけちゃってごめん。

でも、あたしもさ。救われなかった子供の気持ちなら、誰よりもわかるつもりだから……。
マリア、あんたも。……この先何があったとしても、あんたの選択は間違いじゃないと思う。
フレデリックも救って子供たちも救って、ハッピーエンドで終わるにしても。
……万が一最悪の事態になって、子供たちだけしか守れなくても。どっちだって、精一杯やったなら間違ってないのよ、きっとさ。

どうなったって、自分を責めすぎちゃダメよ。あんたはママなんでしょ?
あたしだって……もしママが生きてたら、いつだって元気でいて欲しいし、悩んでるときは相談して欲しいわ。
あの子達だっていつまでも子供じゃない。……"家族"がいるなら、相談しなきゃ。
あたしみたいになんでもかんでも抱え込むなんて、サイテーだからね?


【涙声を強引に打ち消して、ミドナは照れ隠しの笑顔を浮かべた。――前に会った時の、お調子者で溌剌とした女性が顔を出す】
【――そこから先は、ミドナからマリアへの言葉だ。救う側になった"母親"へ、ほんの少しの運命のすれ違いで救われなかった者からのエール】
【そして、自分への言葉でもある。どんな結果になったとて、きっと間違いではないのだと。厳密にはそう信じたいだけの言葉だ】
【けれど今の二人には、たぶん楽観的過ぎるぐらいが相応しい。ミドナはそう思った。それに、マリアには救ってきた子供がいる】

【マリアに救われた子供たちがどれだけ幸せなのか、救われなかった子供だったからこそ痛いほどわかる】
【沢山救ってきたのだから、マリアはその分だけ幸せになって良いはずだ。辛い時は、作った家族に頼ったって良いはずだ】
【ミドナは誰より自分自身に突き刺さる言葉をマリアへ贈り、同時にそれを自身への戒めとした。誰かとの絆や愛は、きっとこれからもマリアの力になる――】


そうね。ここは居心地が良いし――いつかまた、遊びに来るわ。
ふふっ、あたしだって流石にあんたをお母さんとは思えないわよ。ちゃんと友達として、愚痴でも聞かせに来るからさ。

……っと、ちょっと喋りすぎたかな……。


【――少し迷った後、ミドナはマリアの言葉に頷いてはにかんだ。どんな結果になっても、友としてきっとまたここに来ると】
【そうして、ちょうど長い問答に区切りがついたところで――ふらりと、ミドナの身体が揺らぐだろうか】
【ついさっきまでは上体を起こして会話をしていたのだが、安心して気が抜けたようだ。心は軽くなったが、そういえば体はボロボロのままだった……】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/11(土) 00:48:19.78 ID:cvcopTfq0
【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹殺するか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】












【街と街を繋ぐ、長い坂道。上の街は商業が盛んであり、下の街は宿などが多く存在する何て特徴があり】
【――――道には多くの街灯が設置はされているものの、流石にこの時間ともなれば人通りは疎ら】
【そんな中、目立つ存在が一人。制服を纏う所から、女学生であると見て取れる】
【歳は恐らく高等部の1年生だとかが妥当。ポニーテールに纏められた明るい茶色の髪は、どことなく活発な印象を与え】


「はぁ〜……全くもう、一人暮らしは大変だよ……
いやいや、私はまだ寮に住めてるから良いのかもしれないけど

それでもやっぱりルームメイトは居ないし、なーんかテレビに話し掛ける人達の心境も分かる様な……っと」

【抱えているのは沢山の食材が入った紙袋。その一番上に置かれた林檎がグラグラと揺れていて】
【位置を正そう、としたのが最初の過ち。思わず屈んだ所で、其れは紙袋から落ち坂道をコロコロと転がり始め】


「あっちゃー……こんな時に拾うのもめんどくさ――――おっ……おオッ?!」

【次に、手を伸ばして重心を前にズラしたのが第二の過ち】
【当然、坂道なんかでそんな事をすれば前に前にと身体は進もうとするのだから――――結果として、転ばぬ様にと足は坂を駆けて下り】
【加えて重心は紙袋を持つが故に前に置かれたままなのだから、最早自力で止める事は不可能】


「ちょッ?!どいてどいてーっ!!!やっぱ退かないで、誰か止めてーっ!!!」

【勢い良く坂を下る少女。ぶつかれば怪我をせずとも痛い思いをする事は間違い無く】
【止めてやるか、不幸にも衝突してしまうか。或いはそのまま見送るだとか――――それは、この場面に出会したもの次第なのだろうけれど】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/11(土) 01:02:23.87 ID:8PwxhYLa0
>>541

【ミドナの表情が目に見えて明るくなっていくのを感じられた。気が付けば、いつもみたいな笑顔まで浮かんでいて】
【もし心が少しでも救われたのなら、それはとても嬉しい事だ。―――気付けば、話をしている内にマリアの心も軽くなって】
【ミドナの言葉に応えるように浮かべた笑顔は、なんだか先程までよりもずっと軽く柔らかいものになった気がする】

良いのですよ。貴方だって辛い事は、私自身がよく分かっていることなのですから。

―――ありがとう、ミドナ。貴女が間違っていないと言ってくれるなら、私は迷わず前へ進めます。
……正直に言うと、私も不安だったのですよ。私の進む道が、本当に正しいのかどうか……
でも―――貴女がそう言うなら、私は自信を持って進めます。きっと、私の進んでいる道は間違っていないんだと―――

ふふっ……そうですね、私はあの子たちのママです。―――子供達も、私の悩みを聞いてくれる程にまで育ったのですね。
―――家族を失った筈の私なのに、気が付けばこんなにも大切な家族≠ェ居るのですね……きっとこれは、幸せな事なんだと思います。

ミドナ。貴女には私や仲間が居るんですから、またいつでも相談して下さいな。
ふふっ―――また抱え込んでしまうなんて、サイテーですよ?


【愛を与え、育ててきた―――その報いなのだろうか。子供達は、いつしか自分にとって頼れる存在になっていたのだと】
【ミドナは其れを気づかせてくれた。家族を失った自分が、作った家族―――それは、掛け替えの無い力なのだと】
【二人には、まだそれぞれ重く辛い問題が残っている。けれど……きっと、前を向いた先にある道は間違ってはいない】
【マリアが作り続けた愛や絆が、力になってくれる。そう気づかせてくれたミドナの言葉は、きっと最高のエールになった筈だ】

【でも……家族ではないにしろ、ミドナにも仲間や友が居る。その絆だって、きっとミドナには力になる筈だ】
【―――お返しとばかりに、ミドナにもその事を悪戯っぽい笑みと意匠返しなセリフと共に伝える】

【長い長い会話が終わった所で、ミドナの体がぐらりと揺れる。―――元々体力も消耗していたのだから、無理もあるまい】
【ずっと気を張り続けていたミドナだ。今くらい気を緩めたって、きっと罪では無い筈だ……だから、今はゆっくり休んで欲しい】
【「今日はもう休みましょう、貴女は怪我人なのですから」と微笑んで。そっと布団をミドナの体に掛ければ、今日はもう休むのだろうか―――】
544 :ミドナ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/11(土) 01:35:22.47 ID:6y5VEFI6o
>>543


そうそう、その幸せを忘れちゃ駄目よ。何があっても、ここはずっと暖かい場所のままでいられるようにしなきゃ。
あたしもあたしで頑張ってみるわ。親はいないけど、その分飲み友達や仲間は結構多いのよ?
……そうねぇ、せっかく結婚したんだし。今度来たときはゆっくりノロケ話でも聞かせて貰うわ。


【悪戯っぽい笑顔でミドナは笑った。マリアの母親らしい笑顔とはまた違った、成熟した女性の笑みだ】
【本人にあまり自覚はないが、この巨大な問題がかえって、ミドナを少なからず成長させる要因になってるのかもしれない――】
【今は思い悩みもするけれど。ここでかつての仲間や友達を思い出して笑うのは、決して都合の良い楽観ではないはずだ】
【――まだ、彼らの元へ戻れない理由はあるけれど。神様は今まで散々苦しい思いをさせてきたんだから、次来た時の楽しみを考えるぐらい許してくれるだろう】


ごめんごめん、ちょーっと色々無茶し過ぎちゃってたみたい。
せっかくだし寝かせてもらうわね。今日は本当にありがとう、マリア―――。


【照れ臭そうに笑うと、ミドナは素直に布団を被って目を閉じるだろう。色々あったけれど、この女はやはりここで遠慮するような性格ではない】
【根本的な問題は解決していないが、気は晴れた。前を向いて、また一歩踏み出せた――それだけの事実があれば、十分だ】
【元より心も体も限界に来ていたこともあって、すぐにミドナは寝息を立て始める。似合わない涙の跡も、そのうち消えてくれるだろう――】


【――そして、次に目を覚ますのは夕飯時だ。復調したミドナは恩返しに家事や料理を手伝おうとするだろうし】
【もしも一緒に食べようという話にでもなったなら、遠慮せずその席に着き、世界中を回った時の話でもして食卓を賑わせるのだろう】
【求められれば、適当に子供たちと遊んでやることもあるかもしれない。だが、いずれにせよ――子供たちが寝息を立て始める時間帯になれば】
【ミドナは誰も見ていない時を見計らって、こっそり施設から抜け出していく。そのまま、夜の日光に照らされた道をひとりで帰って行くはずだ……】


(ごめん、マリア……また抱え込むようなマネしちゃって。
 でも、これ以上子供たちを危険には晒せない。どうか、あんたも頑張って―――)


【本当は一つだけ、マリアに言っていなかったことがある。体がここまでボロボロだった理由と、あそこまで必死に意識を保とうとしていた理由】
【今の"戦神"は、ガルマのみならずミドナの体すら狙っている。心が疲弊していた間に、既に彼奴に刻まれた"呪刻"が体中に浸透してしまっており】
【ここのところ、ミドナはしょっちゅう戦神に意識を乗っ取られ、長時間自我を喪失するまでになっていたのだ――】

【自傷してまで意識を保ったのは、あの時気絶しかけたのを、戦神が自分の体を乗っ取って施設を襲撃しようとしているのかと勘違いしたため】
【実際はただ過労で倒れただけだったが――どのみち、いつ操られてもおかしくないような状態で、子供たちのいるここに長居はできない】
【それに、マリアにはただでさえフレデリックのこともある。そちらで手一杯のところにこれ以上自分のことで心を乱したくなかったし】
【――さっき、またここに遊びに来ると言ったばかりなのだ。必ず戻って来るという新しい"覚悟"が出来たからこそ、この件は秘することにした】

【ベッドに残された書き置きには、Hasta la vista♪≠ニいう文が残されているだろう。異国の言葉で「また会いましょう」という意味で】
【同時に、ミドナの口癖でもある。そこだけでも普段通りの元気な姿を見せて、ミドナはまたどこぞの路地裏へと去っていく】
【……今ばかりは、一時の別れを選択するのだ。お互いの背負っているモノをすべて精算した時、ここでまた笑い合うために――】


/二日間ありがとうございましたー!!
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/11(土) 01:45:44.65 ID:8PwxhYLa0
>>544
//キリも良いので此処で〆ということで……此方こそ、ありがとうございました!
546 :主催  ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 18:55:09.60 ID:gVr3wos3o
【ドクター・アマギの有する移動研究所―――『AMAGI’s LABO』】
【ジャンボジェットほどの大きさの飛行機に変形したラボは現在、目的地に向けて雷の国上空を飛行中である】

【目的地は櫻の国の名所『大江山』の麓の集落。その位置へと2時間かけて現在ドクター・アマギの所有する移動研究所の飛行機能を使用して向かっている最中だ】
【今この場にいるのは各正義組織、あるいは各国のギルドでの依頼を受注して来た戦士たちが集まっている事だろう】


【―――事の発端は先日、風の国のUT酒場に届いた依頼書だ】
【内容は、この依頼を各正義組織及びギルドにて発令される正式な依頼として扱ってほしいという文面と】
【本日櫻の国へと移動し、複数の重要な物品を運ぶドクター・アマギこと『天城・クリストファー・輝彦』氏を護衛してほしいという文面だった】

【その書類には依頼者の名前も書かれていた――――『野比 信太』と】
【かつてjusticeに所属し、その後4、5年にわたり消息不明だった彼から送られてきた突然の依頼】
【代理人からそれを受け取った侍女服の自動人形、ジャンクちゃんは事実関係を洗うためドクター・アマギの元に尋ねたところ】
【なんと当のドクター本人もこれからギルド及び正義組織に依頼し、櫻の国に物品を運ぶまでの道中を護衛してくれる者たちを募集するべく依頼を行うつもりだったのだと言う】

【なぜ野比 信太が彼の行動を先読みすることが出来たのか?という謎は残った物のこれ幸いと彼の依頼を受け集まった者たちと共に】
【当日にドクター・アマギの元にジンジャー・ユースロットとジャンクちゃんは現れたのだった】

【有事が起きるまでひとまずは皆、談話室にて各々の時間を過ごしてもらう事となるだろう】
【その間各々の時間を過ごしている事だろう現在、談話室にて三人で会話を行っている】
【現在、白衣に髑髏ネクタイの大男、ジンジャーは腰のまがった白髪にこれまた白い髭で顔面がもさもさになったその人物と話をしている事だろう】


"いやー、チミたち来てくれて助かったよー、僕この通りトシだし"旧遺物"なんて貴重なモノ誰かに狙われたらどうしようってずっと不安だったんだー
けどこの場に呼んだ当のノビタは来てないんだね?久しぶりにいろいろと話をしたかったんだけど"

《残念ながらドクター、来ていないようだ……生きてたなら顔出してくれればよかったのに当の本人がなぜ来ていないのか
まあ致し方ない、かくなる上は我々だけでこの場を狙ってくる者たちから貴方を守ることとしよう、なんだかんだで貴方は私にとっても恩師だからね≫

「……でも、本当にノビタさんはどうやって諸々の情報を手に入れたのでしょうか、ドクターの事は元より"賊"が宝を狙うかもしれない事まで
ドクター、何か心当たりはございませんか?ノビタさん本人でなかったにしても誰か、今日の事を話した相手がいるのではありませんデスヨー?」

【うーん、とアマギが腕を組んで考え込んでいる最中―――突如、ドゴォォォン!!という轟音がなる!】

【敵襲か、それを察した瞬間ジンジャーは立ち上がり、モニターにて現在の状況を確認する】
【何か巨大なモノがこのラボに激突してきたらしい、何か巨大な敵影がこのラボのすぐ横に位置している事が判明した】
【ジンジャーはそれを確認するや否や、同部屋で待機中のメンバーに即座に指示を飛ばすことだろう】


≪―――――敵襲だ!!総員甲板上に出て迎え撃て!ドクターは私がガードする!急げッ!!≫

「アルフレドさん!これ貴方が所望していたロケットランチャーと弾薬になります!お持ちくださいませデスヨー!」


【ドクター・アマギの身の回りにはジンジャー達が付くこととなる、「サン・キュロット」の面々とアルフレドには即座に甲板に出てもらう事となるだろう】

/続きます
547 :主催  ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 18:59:55.74 ID:gVr3wos3o
【そうしていそいそと甲板上に上がってみたならば、その無駄に広い光景が眼前に迫る事だろう】
【遮蔽物もなく開けた場所、そして絶賛飛行中の割になぜか寒さを感じない―――なんらかの技術で機外にも空調が施されているのか?】

【そんな広大な風景―――だが、その場にいたのはたった一人だった】
【片方は茶色の長い髪を左右でお団子状に丸め、赤、黒、黄とややカラフルで大き目なボタンのついた短いシャツに赤いスカートの小柄な女性】
【丸い眼鏡のその目には感情がこもっておらず、ただ冷たく甲板上に出てきた面々を見ている事だろう】

【彼女は何か奇妙な乗り物に乗っている―――遊園地のコーヒーカップみたいな形をしてその下にプロペラを装着した乗り物だ】
【これで甲板上のちょっと上を浮翌遊している、ここまでこの乗り物で乗り込んできたのか?それも―――たった一人で?】

【そんな事情もお構いなしにその小柄な女は何の気もなく、こちらに話しかけてくる】


――――よぉ、元気ィ?最近景気はどうッスか?儲かってんの?アタシはいつでも儲かっているが
金策求めてここの爺さんのガードを請け負ったのか?だとしたらご苦労様って言ってやったほうがいいッスかね?てかそっちの任務失敗したら報酬どうなるんスか?
やっぱりゼロ?だとしたら可哀想とはちょっと思うが……アタシには関係ない

ま、それはそうとしてお前らさ……面倒事は抜きにして今すぐドクター・アマギから『旧遺物』とか全部持ってこさせてアタシに渡してくんない?その方が効率いいし


【告げるのは極めて手前勝手な台詞だ―――戦いはすっ飛ばしてさっさと目当てのモノをよこせ、という内容】
【……無茶苦茶な要求をしてくるわりに彼女は無防備だ―――武器すら持たず乗り物でふよふよ浮いている―――攻撃してもいいかもしれない】

【―――ただし、頭上の影には警戒した方がいい、この甲板上に何か―――巨大な何かが『自分たちの上に今まさに落ちて来る』!その場にいては危ない!】

/そんなわけで、まずは防衛側のメンバーの方々、こちらにレスをお願いします
548 :主催  ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 19:13:23.14 ID:gVr3wos3o
【さて、その小柄な女が甲板上に現れるのと時を前後して】
【この一件の『共犯者』たるスクラップズにブレンヒルトという金髪の少女が襲撃前に突入メンバーにある"魔術"をかけながら言っていた事がある】


”……というわけで、今回はコマチたちが陽動としてまずラボの上に現れて乗り合わせた連中を引き付けるから
貴方には今から私の"魔術"でリスに姿を変えて事前にラボの中に侵入していてほしい訳よ!”

可能な限りド派手にぶっ放して注意を引くから天井裏かどっかに潜んで、揺れを感じたら出撃翌用意ッス
何人かガードに残るかもしれないがそいつは任せるッス


【この襲撃、コマチは注意を向けるための囮。本命はむしろ室内に残ったアマギから直接"旧遺物"を奪う事の方が重要なのだ】
【部屋の外から確認できるだろうか―――アマギは室内に残りながら、ジンジャーとジャンクちゃんに守られている】
【そして彼はまがった腰に何か――――鉄製の箱を背負っているのがわかる、何かを大事に肌身離さず持っているようだ】


"だ、大丈夫かいみんな!戦争かい?戦争でもおっぱじめちゃうのかい!?"

≪そううろたえなさんなドクター!戦いは始まったのだ!これから何が起きようと外の彼らを信じるしかない!≫


【―――ブレンの魔術は、かけられた対象の意志で自由に解除できる―――ギリギリまで近づいて攻撃する事も可能である】
【現在ジンジャーとジャンクちゃんはアマギの左右に立ち、警戒態勢をとっている―――どうも、人間サイズの敵が来る、と想定しているようだ】
【ならば、その思い込みにつけこみまず一撃翌与えられるか―――?】

/ではスクラップズの方、こちらにレスをお願いします!
549 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/11(土) 19:31:59.16 ID:6y5VEFI6o
>>546 >>547

【『AMAGI’s LABO』内――】

【談話室の端で、前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネをかけた怜悧な印象の青年が佇んでいた】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装で】
【腰や上半身、両太股にはポーチ付きのベルトが巻き付いており、左胸の上と腰の左右にはホルスターがある】
【シャツの左肩には"水の国警察"を示すエンブレム。右肩には"SCARLET"のエンブレム――二つの意匠が、青年が正義の使徒であると語っていた】


(しかし……移動研究所とは、随分と大仰な施設だな。
 Dr.アマギ……考古学者という話だったが、彼の所有する古代遺物類≪アーティファクト≫≠ニいうのがそれだけ大きな力を持っているという事か)


【ホルスターに下げられた近代的な外観の二丁拳銃を無意識に触りながら、アルフレド・フェリシアーノは三人の会話を聞きつつ頭の中で情報を編纂し続ける】
【――顔を見せない依頼者、『野比 信太』という人物も気にはなっていた。あの『justice』に所属していたというのなら何故顔を見せないのか】
【だが今回の依頼を出したのは彼だ。詳しい人物像は知らないが、何らかの事情で公的に動けない状態にあるために裏で動いているのか――あるいは……】

【その辺りも、確かに気になってはいたのだが――しかし今回の件の肝要は恐らく、古代遺物類≪アーティファクト≫なるものだろうと彼は考えていた】
【旧遺物……太古の時代に作られた強力なアイテム。別件で同じようなモノに関わっている身としては見過ごせず、SCARLETとして今回の依頼に飛び込んだのだが】
【――思考を遮って鳴り響く警告。依頼者の野比氏が危惧していた"賊"が現れたという事かと、彼は素早く身を翻した】


状況は!?
………了解しました、ジンジャーさん。ドクターのことはお任せします。武器の方もありがたく使わせて頂きますね。
しかし、あの巨大な影は一体――あんなものを用意できる組織だ、単なる賊ではないのか……!?


【ジンジャーとジャンクちゃんにそれぞれ軽く言葉を掛けると、ランチャーを担ぎ爆薬類はポーチにしまい込む】
【脳裏を過ぎるイヤな予感を思わず口に出しながら、アルフレドは甲板に急ぐ。この飛行機が落ちれば自分たちもまとめてお陀仏だ――】
【外に出ると、まず高高度の屋外にも関わらず寒さを感じない技術力に驚いたが、すぐにそうも言っていられなくなった。浮遊する女を強く睨みつけ】


――ふざけているのか、貴様。
その言い草、やはりドクターの『旧遺物』が目的という訳らしいが――何者だ。目的は………ッ!?


【両手に二丁拳銃を抜き放ち、アルフレドは女に憤怒の声を上げる。二つの正義を背負うこの青年が、彼女の台詞に素直に従うわけもなく】
【そのまま右の銃を構えて目的を問おうとするも――頭上の影に感づくと、即座に会話を中断して真後ろに跳ぶだろう】
【冷静に影の形を見て、可能ならば踏み潰されない安全地帯と思われる場所へ移動するのだ。そしてその途中で、】

【右の拳銃。上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガン――】
【『Kibrit』と名付けられたそれが、緑光を発する風属性の魔力で作られた"空圧弾"を女の方向へ射出する!】

【もし直撃した場合、着弾と同時に圧縮空気が弾け、成人男性の全力の拳に匹敵する強い衝撃が襲うだろう】
【弾速は実弾とほとんど変わらない亜音速なので、見てから回避するのは難しいが――威力としては、金属の装甲なら十分防げる程度だ】
【ただし今回の狙いは、女本人ではなく彼女が乗っている機械の下部、"プロペラ"の部分だ。あわよくばそこを破壊して叩き落とす気らしい】


/アルフレドです、よろしくお願いします!
550 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/11(土) 19:58:49.29 ID:gVr3wos3o
>>549

……ま、そーくるわな。絶対YESと言わないと思ってたッス
では自己紹介。アタシは音無 小町。カノッサ機関の金銭管理などを務める――――"六罪王"やらせてもらってる者ッスね
モットーは『金・金・金・世の中の金よ』、つまり……金好きッス……目的は、言わない。親切に言ってくれると本気で思ってるのか?


【銃を構えるアルフレドの姿を見ながら、コマチは載っている飛行物体のコンソールを動かすだろう】
【―――すると、突如プロペラの回転が急激に加速、その場に滞空しながら何か空気の膜のようなものを発生させることだろう】
【アルフレドが発射した空圧の弾丸はなぜかその発せられた膜にそって滑り、プロペラを逸れて過ぎ去ってしまう―――!】

【―――同時、ズシィン!!と、飛行甲板上にすさまじい重量の何かが落ちて来る】
【それは超特大の球体だった―――鉄球でも落としたのか?と思われた矢先、そのデコボコした"球体"はごろごろとコマチの横に転がっていくだろう】
【彼女の横に辿り着いたならば―――"彼"はその場で飛び跳ねその硬質化した己の殻を開きその顔を表に晒すだろう】


<――――――ギャホホホホホォ―――!!!惜しいぜぇ!!うまくぶっ潰せると思ったのによぉ!!>


【――――姿を現したのは『アルマジロ』だった!それも極めて大きい、20mはゆうに超えているのではないかと思われる巨体】
【鋼鉄レベルまで硬質化した己の外皮で身を守りながらその顔を覗かせ依頼を受けた戦士たちをじろじろ品定めしてくる】
【そして、喋れるという事は―――少なくとも人並みの知能はあるという事なのか?なんだ?この生き物は―――!?】

【また、気になるのはこの巨体がいったい『どこから落ちてきたのか』という点だが―――上空を見上げる限り『足場』になりそうな浮翌遊物も見当たらない】
【今日は快晴、雲一つなく空には太陽が大きく照っているのが分かるが―――それだけだ、他に落ちてこれそうな足場など見当たらない!】
【それに、突如現れラボに激突した『巨大』な何かはどこへ消えたのだ―――?衝突されたのは側面、アルマジロが飛んできたワケじゃないはずだ―――いったいどこから?】


今回のために―――特別に上級の、『ロード・クレムリン』を一人用意させてもらったッス
バイパー……『アルマジロ・ロード』の固有機能は『巨大化』。シンプルだろ?だが一人で相手するには骨が折れるんじゃないッスか?
……本当に一人ッスかぁ?なんで一人しか出てこない?……実はもう一人くらいすぐ近くにいるんじゃないのか?

<カンケーねーよコマチ様ァ!!全部踏みつぶしちまえばいいことだぁ!!お嬢様にコイツのぺちゃんこになった姿を見せて大笑いしてもらおうぜぇ!!>


【ケラケラ笑いながら、アルマジロクレムリン―――バイパーは再び跳ねてその体を再び丸める!】
【そして再びその巨体を使ってまっすぐアルフレドの方向にごろごろ転がってくるだろう!―――凄まじい巨体だ、だが転がっている間こいつは少なくとも『目』を使う事はできない】
【だいたいの方向に向けてゴロゴロ転がって近づいて来るようだ。―――また、この突進はある程度の『火力』があれば止められるかもしれない】

【コマチの方はきょろきょろと辺りを見回している、ほかの敵が近づいているかもしれない、と辺りを警戒しているようだ―――】
551 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/11(土) 20:01:13.61 ID:e257C/Lwo
>>548
――――コマチ様が陽動とは、実に贅沢な人材の運用ですな

委細承知いたしました。魔術による変身、とは初めての経験ではありますが
侵入窃盗は我々の専門分野です。お任せを

ええ、敵も護衛くらいは残しているでしょうが……全力を尽くしますよ
了解、合図をお待ちしています。それでは後ほど、コマチ様

【ブレンヒルトとコマチの言葉に聞き入り、慇懃に頭を下げる大男。『スクラップズ』首領、カニバディール】
【後ろに居並ぶ異形どもに手で合図をすると、彼らが一斉に動き出し】
【カニバディールの巨躯へと重なるように消えていく。廃の国で盗賊どもが得た力は、首領単体での潜入で】
【複数名の配下たちを共に敵地へ送り込むことを可能としていた。盗賊どもの悪意が迫る。迎え撃つは、因縁深き『財団W』】


【しばし後。天井裏から彼らを見下ろす黒い瞳。見た目は愛らしいリス、その中身は正反対の怪物】
【そんなことをあっさりと成してしまうあたり、ブレンヒルトという少女の魔術の腕前が伺える】

【鉄製の箱をじっとりと見つめるリス。彼らと彼女、三人の言葉、その気配、全てを咀嚼するように観察していく】
【そして、ドクターの背中の鉄の箱。あれこそが、目的の代物か】

【やがて、合図が来る。腹の底に響く轟音。同じく因縁の敵であるアルフレドと、見覚えのない者が出ていくのを見届けて】
【リスは降下した。目指すはジンジャーの背後。気配を察知されないギリギリの距離だ】

【そこで、魔術が解かれる。現れたる、異形の姿。一瞬にして、巨躯が解き放たれる】
【身長2メートルを軽く超える大男。薄汚れた灰色の作業着。黒いラバー地のエプロンと同色のゴム長靴】
【大男はものも言わずに、太い両腕をジンジャーの首へと伸ばそうとする。そのまま掴みかかり、締め上げ、可能ならへし折ろうと言うつもりらしい】

【彼らが容易くそれを許すとも思えないが――――決戦の火ぶたは、音もなく切って落とされた】

/遅くなりました、スクラップズ中身です。本日はよろしくお願いします
552 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/11(土) 20:32:34.11 ID:6y5VEFI6o
>>550

【風の魔弾が当たらなかったこと自体は想定内だ。それ自体は単なる牽制、これで墜ちるような相手ならば苦労はしない】
【とにかく今は潰されないこと。回避に専念しつつ考えるのはさっきの『巨体』の正体だ。空だというのに上から降ってくるアレがそうなのか、それとも――】


――六罪王………ッ!? ここで六罪王が出てくるのか………!!
ふざけた女だ、音無小町……財務担当が何故前線に出てくる。まさか、この襲撃も金の為なんて言わないだろうな――?


【――その考えも一時、新たな情報によって上書きされる。あの小柄な女が六罪王のひとりだというのか】
【いや、能力者の力量は外見で判断できない。だからそれはいい。この場合考えなければいけないことは二つだ】
【ドクター・天城の『旧遺物』はカノッサに狙われていること。そしてそれは、六罪王が直接出てくるほどの重要度だということ……】
【答えを期待してはいないが、アルフレドは敢えて問いを重ねる。注意をこちらに引き付けるための方策だった】


(『ロード・クレムリン』――こんな化け物を何匹も従えているのか、この女は。
 それに……"お嬢様"とはなんだ? ……いや、今は考えている場合じゃない!!)

クソッ、デカブツめ………!!


【そして――現れた巨体を見上げ、アルフレドは表情に出さないようにしつつ内心で歯噛みする。悔しいが小町の言うとおり、一人で相手取るのは厳しい】
【『ヘイダル』としての活動で巨大生物との戦いには慣れているが、それでも形勢は不利だ。――となれば、あの場にいた"もう一人の依頼者"にも動いて貰わねば】

【下卑た台詞と共に巨体を転がして迫ってくるバイパーに対し、アルフレドは彼の側面に回り込むような軌道で移動するだろう】
【あんなものに轢かれたら一撃で命を奪われる。回避優先で真横に全力疾走しつつ弾薬をロケットランチャーに装填】
【――バイパーの側面で爆音が響くか。アルフレドはすれ違いざまロケットランチャーの引き金を引き、更にその反動でわざと吹き飛ぶことで突進を回避する!】

【転がっている最中に側面からの爆撃だ。直撃すればダメージのみならず、もしかすると横転させてさらに隙を作れるかもと思っての攻撃であった】
【ただし、攻撃しつつ反動を利用して回避するという無茶をした代償に、アルフレドの体勢はやや崩れることとなる……】


(もう一人が来てくれるまで、僕が陽動としてコイツの気を引いておかなければ。
 ――それに、余裕のあるうちに周囲を確認しておかないと)


【そして、攻撃の正否に関わらず――アルフレドは周囲を見渡す。……"陽動"という自分の言葉に僅かながら引っかかりはあったが、】
【ともあれ、まず彼は飛行機の"真下"の景色を確認するだろう。下に街や集落がなければ、何も正面から戦う必要はない。甲板から叩き落としてしまえば良いのだ】
【それと同時に甲板上の設備も確認する。遮蔽物はないようだが、もし甲板上の気温を保っている空調装置だとかがあれば、一応それも頭に入れておくだろう】
553 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 20:38:25.30 ID:gVr3wos3o
>>551

≪――――なっ!?何ィッ!?≫   「ハカセッ!?」


【ゾッ、と背筋を悪寒が走るのをジンジャーは感じていた―――何かが近づいてきている、と】
【同時に現れるその巨躯、結構な長身であるはずの自分を上回るその大男の気配に寸前で気が付くだろう】
【寸前に振り返ってそのことを確認したジンジャーは明確に動揺する、こんな大男がどうしてこんな寸前まで現れた事に気が付かなかった!?】

【しかし動揺を振り切りジンジャーは口元を引き絞り、今まさに自分の首元に伸びるその手を手の甲で払いのけながら一歩遠ざかり戦闘態勢を取るだろう】


”う、うわああああああああああああああああぁぁぁッ!!!”

≪落ち着くんだドクターッ!!……ようこそ敵さん。こんな上空まで何しに来た?
貴様……資料で見たな、廃の国の『スクラップズ』、首領カニバディールだったか?……剛太郎君やセリーナ君は前に相対したそうだが
私の仲間が世話になったな、名乗ろう。私はジンジャー・ユースロット、またの名を……"WILD"だ≫


【"WILD"―――正義組織に科学技術を提供したり、コマチの行く道を邪魔したりと何かとカノッサにとっては邪魔な存在であると記憶している事だろう】
【その正体、ジンジャーとついに直接相対する事となった訳である―――不意打ちに同様こそしたがカニバディールのその異形を見てもまるで恐れる様子を見せない】
【彼は機械製のベルトを腰に巻き、近くにメイドロボットであるジャンクちゃんを従え立ち向かおうとする】


「気を付けてくださいませハカセ、これまで多くの事件の裏で暗躍してきた男……注意して挑まなければ!」

≪わかっているさ……変身ッ!!そして……『ワイルドアロー』!!≫


【カニバディールに接近しながらホラー映画の登場人物のような仮面をその顔に被った後、二つの握り拳を前で固く握り、左手を腰に、右手を斜め前に突き出して】
【頭上で大きく円を描きながら叫び、起動スイッチを入れると、ジンジャーの傍らの少女が粒子化して彼の体にまとわりつき始める】

【二人が一人になり、そこに現れたのはその身を白いボディに銀の装甲、穴の開いたホラーなデザインの仮面に赤の複眼】
【―――異形の仮面の戦士"シンクロライダー『W-1』"がその姿を顕現させる―――同時にその背中に出現した弓矢の形をした武装を手に取ると】
【W-1は一気に距離を詰めて『ワイルドアロー』の弓部分に搭載されたエッジでカニバディールの右肩めがけ切りかかろうとするだろう!】
554 :“赤い月” ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/11(土) 21:01:15.40 ID:xMak5e7no
>>550

【私設警備保障会社「サン・キュロット」はとても不思議な存在だっただろう。まずその研究所にタンデムロータの大型ヘリコプタで現れ】
【コンテナを2つほど置いて行ったのだ。その時に責任者らしいシワだらけのスーツを着た、若白髪で学者風の何ともこの場に不釣合いな男が】
【やあやあと挨拶しに来て、「ウチのはいろいろ準備があるので」といい、話もろくに聞かずにその男は直ぐにヘリで帰っていった】

【コンテナには“開封厳禁”のマークのシールが貼られ厳重なロックがなされており、サン・キュロットのスタッフはいつまでたっても】
【誰一人、現れることはなかった。そんな会社はウェブでもヒットしないし電話番号も掛からない。最初から怪しかったのだがそれはこの業界では】
【それほど珍しいものでもないだろう。だがしかし、後々の事を考えてみるとそれは大いなる伏線だったとわかる何故ならば彼らは―――】

『動作テストがメインなんだから、初っ端から壊さないでくれよ“代表”。』

【コンテナの中は先程まで飲んでいた珈琲の匂いがまだ残っている。深く炒った豆を数種類ブレンドしたエスプレッソ最近はマシンが無くても】
【ポンプのような機械で抽出できるからこんな鉄火場でも駅前のカフェテラスで飲むのと然程大差ない味が出せる。“教授”の困ったような】
【口調のブリーフィングと称したぼやきとお説教がさっきからヘッドセットを通じて聞こえている。外で既に襲撃が始まっているようだ】
【別に焦る必要はなかった。どっちが勝とうが知ったことではない。だが巻き込まれて死ぬのは御免だ。流れ弾が飛んでくる前に参陣しよう】

【戦場の喧騒でもう誰も存在を覚えていなかったコンテナのロックが外れる。そしてドアは内側からふっ飛ばされる。ひしゃげたそれは甲板を滑る】
【ゆっくりと、中から誰かが、一歩、一歩と出てくる。赤い足、赤い腕、赤い頭。塗装は雑で下地の金属の色が所々見えている。――パワードスーツだ】
【サイズは人間とそれほど変わらない。色々なタイプがあるが宇宙服というよりそれはさながら中世の騎士だ。だが装甲は合金の多層構造で出来ている】
【頭部の目の位置を覆うバイザーは黒い。中の人間の様子は見えない。背中はランドセルを背負うように張り出している。バッテリーでも積んでいるようだ】
【両腕には機械じみた箱が取り付けられている。右腕にはチェインソウのような刃が、そして左腕には剣というよりも鉄杭のようなものが見えた】

【更に目を引くのは肩に担いだ“旗”だ。長いポールの先に翻る、真っ黒な旗。そしてそこに浮かぶのは赤い三日月。もしかすると見覚えがあるだろう】
【幾つものテロ事件。テレビを通じた宣戦布告、革命宣言。古臭い思想に血腥い闘争!解放の旗手となりて我は進軍す!】

【現れた兵士はあたりを見渡して、状況を認識する。女だ。ガキのような女。奴は敵だ。兵士はターゲットをロックオンすると旗を目の前へ倒す】
【降ろしたわけではない。旗竿はただの棒ではない。長い、長いライフルなのだ。それも巨大な2メートル以上はあろうか】
【ケーブルが背のランドセルにつながっている。コンピュータで計算された標準がバイザーのHUDに表示される。兵士は構える。降りている奴にはまだ】
【気が付かれていない。先に射つまでだ。引き金を指にかける。撃鉄が叩いた一瞬の閃光!弾丸は飛んで行く!革命の狼煙とともに!】


/相当遅くなってすみません。よろしくお願いします!
555 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/11(土) 21:31:02.09 ID:e257C/Lwo
>>553
【両手に伝わる、掴みかかりを払いのけられる感触に、カニバディールは小さく舌打ちを漏らす】
【初手の不意打ちという大きなアドバンテージが不発に終わったのは痛い】
【ここは、虚を突かれたにもかかわらず、見事に冷静に対処して見せたジンジャーの腕を褒めるべきか】

――――盗賊らしく、卑劣な不意打ちに訴えてまでその首を狙ったというのに、まるで届かないとは
聞きしに勝る腕前だな……護衛がいることは想定していたが、これほどの相手とは

歓迎に感謝を。はるか空の上にまで来たのは、盟約を果たすため、と言っておこう
いかにも、私がカニバディールだ。ケチな盗賊団で猿山の大将を気取っている小悪党だと覚えておいてくれればいい
はじめまして、ジンジャー・ユースロット。……そうか、お前が"WILD"か

正義組織の活動の影に、その姿は見え隠れしてはいたものの、直接会える機会が巡ってこようとは
光栄だ……実に光栄だ。聞いていた以上の色男で驚いたよ。醜男の身としては、羨ましい限りだ。ふ、ふふ……

ああ、セリーナや剛田剛太郎とは、戦場で刃を交えた仲だ。セリーナとは、その後幾度か相対する機会があったが
剛太郎とはあれ以来会っていないな……彼は元気かね? 相変わらず、相方の犬に尻を蹴りまわされているのだろうな?

仲間が世話になったとは言ってくれる。私の手下は、それ以上に世話になっているじゃあないか
なあ、そちらの……ジャンクちゃん、と言ったか? あいつらは、あれ以来メイドがすっかり苦手になってしまってな
会ってみればずいぶんと可憐じゃあないか。その身の下が鋼鉄だとは信じがたいな

【こちらを見てもまるで動じないジンジャーを前に、カニバディールもまた不意打ちが不発に終わった焦燥を即座に押し込め】
【額の一つ目と両眼の三つ目で、その場の三人をじっとりと睨みつけた】

ドクター……そちらの御仁がドクター・アマギか。空中を移動する研究所とは、洒落たものをお持ちだ
そう怯えないでくれ。私としては、その背中のものをいただければ、すぐにでも退散するところなんだが……
そちらのお二人が赦してはくれないだろうからな


多くの事件の裏で暗躍……正直なところ、さすがにお前たちには言われたくないがな
今まで、裏でどれほどのことをしてきたんだ? こちらは、それに散々煮え湯を飲まされてきたというのに

ほう……剛太郎と同じく、お前たちもか。ある時は科学者、ある時は巨大な財団のトップ、その実態は正義の変身ヒーロー……
ふっふふふ!! 実に素晴らしい……まさしく一心同体か

【現れた正義の戦士、雄々しくも恐ろしいその姿を前に、カニバディールはまだ笑う】
【背中の弓を取った彼らに身構えるが、放たれたのは遠距離からの一矢ではなく斬撃】
【思わず一歩後ずさりし、狙われた右肩の肉を膨張させる。肩から現れた肉塊にエッジが打ち込まれるだろう】
【肉が裂け、血が流れるがその量は少ない。肉が盾となって、骨や血管へのダメージを軽減したのだ】

さて……その変身ヒーローを相手に、盗賊が一匹。これでは勝負は見えている
せめて、数のハンデはこちらがいただくとしようか

【そういうと、カニバディールは右手の指を鳴らした。すると、その巨躯から何かが湧き出すように】
【複数の人影が現れる。ジャンクちゃんなら、そのうち一つに見覚えがあるだろう。二つ頭に四本腕。悪意を滾らせる四つの瞳】
【『スクラップズ』副首領、デュアル兄弟。彼らが、ジンジャーたちをギロリと睨みつける】

【四つの掌から泥と砂が湧き出す。ジンジャーらが最初の攻撃位置からまだ距離を取っていなければ】
【彼らに向けて、打撃力を持った泥の玉と、斬撃をもたらす砂の刃が飛ぶだろう。狙いは全て足元。まずは攻撃が通るかの小手調べか】


【デュアル兄弟と同時に、さらに二つ。ピエロのメイクとカラフルな道化の服を纏い、手斧を右手に握っている男と】
【タクティカルベストを装備しアサルトライフルを肩から下げ、右手にコンバットナイフを握ったチンパンジー】
【『スクラップズ』の下っ端らしい何とも奇妙なコンビは、それぞれ刃物を振りかざしてドクターの方へと向かおうとする】
【狙いは、彼が背負う箱。動きはそう早くない。ジンジャーは、異形の増援とその行動に、いかにして対処するか】
556 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 21:33:41.75 ID:2otaDB4yo
>>552>>554

―――んー、今日は珍しくハズレ。残念だったッスね
いつもなら大当たりだったのにさ……わかってんだろ?ここのドクターが手にしている『旧遺物』とか『宝玉』とかがほしいのさ
カノッサ機関でそれを欲しがらなかったヤツなんてほとんどいなかったろ?アタシもそれを欲しがっていると理解しなよ――それって、スゲー貴重品だし?


【なぜか『ニコニコ笑い始めながら』、"異様に気だるそうな様子"でそれだけ口にするコマチ】
【―――そのコマチの後ろ10mほどの所に何か膝あたりの高さほどの台形の形をした何かがある】
【目を凝らしてよく見ればそれには何か赤いランプがチカチカともっており、上面は網状の蓋をされその奥にはファンのような形をした物が回っている】
【それがコマチの10m後ろの所に『二つ』。それぞれ8mほどの距離を保って横に並んでいるのが分かるだろうか】

【素早く回避して叩き込まれた爆撃!バイパーの突進はその衝撃で軌道を変えますますアルフレドの方向から遠ざかっていく】
【そのまま失速して横転!丸まっていた体制が崩れ、通常の四足歩行状態に変わりながら動きを止める事だろう】
【しかしその一撃が直撃したにも関わらず損傷は軽微、ヒットしたのは奴の左脇の辺りだったらしく少しだけヒビが入っている】


<―――グエーッ!!す、素早い野郎め……!まるでジャングルのチンパンジーだぜ!……いやゴリラの方がカッコいいかぁ!?
おおっと敵をカッコよくしても何も意味はなかったぜ……!とにかく、味な真似しやがって……だったらコレだぁ!!ちょっと待ってろ!今出す!>


【――人並みに喋りはするもののその人の範疇の中では頭は決していい方ではないらしい】
【そんなバイパーがぎりりと歯を食いしばりながら次の攻撃の準備を行う中、―――それは突然姿を現した】
【赤い三日月が浮かぶ黒の旗、それを掲げるパワードスーツの戦士が現れるや否や―――突如コマチめがけ発砲を行う!】

【ライフルは直撃しなかった、コマチが機械を操作して発動した例の風の幕に弾丸は引っかかる――――だが】
【先ほどの風の弾丸に加え鉛玉はある程度抵抗力があったのか、弾丸の軌道は屈折しきらず―――コマチの右肩を切り裂く!】
【無表情に戻っていたコマチが目を見開き、信じられない、という顔をしながら血の流れ始める右肩を抑えながら言うだろう】


―――……っ!?あぐっ!?……っつ、うう、野郎……隠れてたのは、最初から見えてた……あのコンテナの中だったんスか……!
その旗……この間テロやらかした新参のお騒がせ者じゃないッスかお前……『赤い月』だっけ?……・ぐっ、"WILD"の野郎はテロリストとまで手を組むのか?

ふん、隠し玉はもう終わりッスか?だったらもう一度ねじ伏せてやるまでッス……バイパー!

”アイアイサー!――――行くぜぇ!『ロックブラスト』ッ!!!!”


【彼が力みながら背中の殻を開いて出したのは――二門の大型砲口だ、何かを発射してくる!】
【それを察することが出来たなら対応は可能かもしれない、バイパーはそのまま左でアルフレドを、右で"赤い月"のパワードスーツに狙いを定め】
【ドンッ!と勢いよく発射したのは―――大きな岩だ、そこそこに重量はある、直撃すれば危険だが弾速はさほど遅くない、なんとか避けられるはず――だが】


――――BOMB(ボンッ)ッ!!


【右肩を抑えるコマチが突如そう叫んだ瞬間―――アルマジロクレムリンの発射した巨大岩が近くで爆発を起こす!】
【ただの岩ではない!何か細工がしてあった―――!岩から感じ取れるかすかに不自然な熱反応からそれを読み取れるか―――?】
【読み取れなければ―――爆発の射程は5m、うかうかしていると直撃する!】
557 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 21:58:12.47 ID:2otaDB4yo
>>555

なるほど、盗賊ならではの手癖の悪さ……私も少年時代ちょうどそんな感じに財布をすられた事があったものだ
容姿の事はできればレディに褒められたかったが光栄だよ。……剛太郎君なら最近君らカノッサ機関の"六罪王"の面々に
度々煮え湯を飲まされるモノだから怪我を癒した後修行に出た……大山の御老体は知らないな?合いたいのかね?

「お褒めの言葉ありがとうございますデスヨー。ですが不法侵入は褒められません。叩きだして差し上げましょうか?」


【右肩への一撃は手応え有り―――しかし分厚い筋肉に阻まれダメージがあまり通った様子がない!】
【たまげた肉体の強さに思わず口笛を吹くW-1だが突如その巨躯の傍から前に相対した―――デュアル兄弟に不意を突かれる!】


ぐっ!?……ぞ、増援とは……!そいつらがスクラップズの面々かッ!!


【たちまち被弾する足元、右足に向かう斬撃が大腿部分にヒットし、バチッ!!と火花を散らしてダメージ、しかし切れない、表面の装甲に薄くヒビを入れただけで打撃ダメージに変換されている!】
【もう一撃の左足―――こちらは斬撃よりもそこそこ効果があったらしく受けたと同時にゴォン!小気味いい金属音を打ち鳴らしてW-1に膝をつかせてしまうだろう】
【そして畳みかけるように現れる初見の謎の男とチンパンジー、ドクター・アマギに戦闘力はない、それでもかろうじて避けようとするが―――】


"うわっ、来るな、来ないでくれ!降参!降参するから……わぁ!!は、箱が……!”

ドクター!!伏せろ!!


【完全にはよけきれず左肩の肉ごと彼が背負う箱の肩紐が切れ、箱とアマギが分断された!】
【しかし箱は鉄でできているらしく、表面を破壊するにはナイフでは不十分のようだ、その頑丈さにてこずっている隙に】
【W-1が光の矢を三本出現させ、ピロリン、ピロリン、と音のなる弓から三本同時にエネルギーアローを発射!】
【一本はデュアル兄弟の胸の真ん中、もう日本はピエロの男とチンパンジーのナイフを持っている腕だ!三本同時に性格に撃ち抜くとはそこそこ弓の腕もあるらしい】
558 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/11(土) 22:12:50.09 ID:6y5VEFI6o
>>554

【アルフレドは自分の他にまだ依頼を受けた存在がいたことは知っていたが、それがどういうモノなのかは知り得ていなかった】
【"もう一人"という呼称も便宜的なものだ。「サン・キュロット」という会社がコンテナを置いていったのは見ていたが、実働部隊が何人派遣されたのかは知らない】
【だが居るならば、この有事を前に動かないという事はないだろう。遅れはしても必ず現れると思って待っていたし、実際それは当たっていたが――】


お待ちしていました! 敵はさる六罪王とその部下です、十分にお気をつけ―――、………ッッ!!?

あ………『赤の月』だと!? 何故奴らがこんな場所に………!!


【甲板上に現れた、物々しいパワードスーツの兵士。その時点では不気味とは思いつつも頼もしいという印象が強かったが、】
【――漆黒に浮かぶ赤い三日月。それを目視した瞬間、手早く状況を説明しようとしていた口が開いたまま塞がらなくなる】
【武力解放戦線『赤の月』。警察であるアルフレドから見ればカノッサと何ら変わらない過激なテロ組織だ――それが、何故こんな場所に?】


(い、いや――――落ち着け。奴らの目的にはカノッサやGIFTの撃滅も含まれていたはず。
 経緯はどうあれ、カノッサの動きを掴んでここに現れたとすれば、行動自体は不自然ではない………。
 ……相手は六罪王。協力など無理だろうが、奴も僕の邪魔をして得がないことぐらいわかるはず――)


【混乱しかける頭をどうにか冷静に戻し、アルフレドは混沌を極めるこの状況を分析し始めた。六罪王にSCARLETに『赤の月』とは、途轍もない組み合わせだ――】
【だが冷静に考えれば、これは悪い状況ではない。本来ならばどちらも逮捕するのが望ましいが、六罪王と『赤の月』を自分一人で両方敵に回すのは無理がある】


…………、六罪王に気を取られるのは勝手だが、このデカブツにもせいぜい気をつけろ。
奴の手勢となれば、何か特殊な能力を秘めていてもおかしくない――。


【――なら、カノッサの排除という目的が同じ『赤の月』を、今は利用すべきだ。同じ理由で、あの兵士の方もこちらに攻撃はして来ないはず】
【最終的にはそういう結論に達し、アルフレドは視線をバイパーに戻すだろう。もちろん、小町を狙う兵士の動きには随時注意しているが】
【小さな呟きは一応、助言のつもりであったが。それを兵士が勘定に入れるかは不明だし、無視されたとしてもこちらも気に止めはしない】


/続きます……!
559 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/11(土) 22:16:02.11 ID:6y5VEFI6o
>>556

【――態度といい話し方といい、やはりふざけた女だ。アルフレドはバイパーに集中する間に一度小町を睨みつけ】
【同時に思う。財務担当だろうがなんだろうが、こいつも"六罪王"には違いないのだと。この女にモノが渡れば確実にロクなことにならない】


(カノッサというのはどいつもこいつ、も………? なんだアレは?)


【その、睨みつけた際に気づいた。コマチの後ろに浮遊する二つの物体……どうにも実態は掴めないが、確実に怪しい】
【バイパーが横転している間に、アルフレドは彼への注意を怠らないままコマチの方向へさりげなく近寄るだろう】
【――眼鏡などしているアルフレドだが、実際は視力は悪くない。この眼鏡は、レンズの部分に"視力強化"の魔術が施された特注品であった】
【隙があれば、その二つの物体を近くからもっと良く観察するだろう。敵の更なる一手なのか、自分たちにとっての突破口なのか……】


ッ、ち………! やはり図体のデカいアルマジロでは済まない訳か………!!


【その結果がどうあれ、アルフレドは適当に切り上げてバイパーへの対応に戻る。つい先ほど『赤の月』のメンバーに言っていたばかりだったか】
【何か特殊能力があるかもしれない、と――肩口から現れた砲門はまさしくその予想通り。ある程度予期していた分、アルフレドの反応は早かった】
【今度は回避しながら攻撃なんて無茶はしない。横に走って岩自体は簡単に回避出来たが――無論、予想外の攻撃も勘定に入れていて】
【用心深い動きのおかげで、突如起こった爆発も、衝撃波に煽られつつ爆風で火傷を負う程度の被害だけに抑え込むだろう】


どうした化け物!! 僕が素早いんじゃなくて、お前が愚鈍なだけじゃないのか―――!?


【痛みに顔を歪ませつつ、アルフレドは挑発の台詞を吐いて注意をこちらに引き付けようとするだろう。そして、今度はこちらの攻撃だ】
【ロケットランチャーを撃つ暇はないが――先ほどの攻撃で生まれたヒビ、あれを使わない手はない】
【アルフレドはポーチからランチャーの弾薬を取り出すと、それを右手でバイパーのヒビに向けて投げ込む――刹那、】

【次の一手は左。下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる"回転式多砲身機関銃"――ハンドサイズのガトリングガン、銘は『Nara』】
【スイッチを押し上げ、マガジンに込められた魔術式が適応される。銃身に走るエネルギーラインの色が緑から深い藍色に変化し】
【『Nara』の引き金が、引かれる。……刹那、夜闇の色をした魔弾が、秒間30発もの勢いでバイパーの全身へと解き放たれるだろう――!】


【当たると先ほどの空圧弾と同じく圧縮空気が解き放たれるが……数こそ多いものの一発一発の威力は投石程度のものだ】
【バイパーの持つ"アルマジロ"の性質、それにあの巨大さを考えればダメージはゼロに近いだろう。せいぜいが目くらましが限度か、ただし――】
【この夜色の弾幕の性質は、圧縮空気と共にガス状の魔力をバラ撒く『睡眠弾』。すぐに眠ってしまうほどではないが、何十発も貰ってしまえば意識が遠のくはず】
【それだけではない。同時に先に投げ込んだ弾薬が魔弾を浴びたことで炸裂――目論見通りにいけば、左脇のヒビの近くで爆発することになるだろう!!】

【弾薬への引火により更にヒビを広げ、出来れば甲殻を破壊し"弱点"を作る。さらに『睡眠弾』によってバイパーの意識を混濁させ】
【自分だけではなく、一応『赤の月』の兵士の攻撃も補助する――それが、今回のアルフレドの目的だ】
560 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/11(土) 22:28:58.82 ID:cWncoYIWo
>>533
/ぴゃあ…、たった今気づきました。おきれすでも絡んでくれるのならお願いします!



あいや、此方こそ……。──?


【此方にしか落ち度がないのに、急に謝られてしまえば困惑してしまう。】
【青年はきょとんとした様子で、上記の通りに述べた。】

【女性の詩人特有な難解な言い回しは、青年のお粗末なおつむでは理解できず。】
【その謎も、女性のした話題の転換で言及するに至らなかった。】


あーこれ、これです、所謂"ほーりつ"。旅する人にはあんまり関わりのない事柄ですよ。


【そうして青年が彼女に見せたのは、数多の法律の記された書物。】
【ところどころにラインマーカーが引かれており、その熱意のほどが伺える。】
561 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/11(土) 22:41:20.50 ID:e257C/Lwo
>>557
ふ、ふふ、今や正義組織の後方支援の一翼を担う財団の頂点が、かつては財布を掏り取られていたとはな
人に歴史あり、というやつか? ふ、ふ

それはすまないね、何せ薄汚い盗賊だ、女もいないことはないが数は多くないものでね
六罪王……さては、風の国での事件に加わっていたのか? あの場には私もいたが、会えなかったな……残念だ

それで、今は武者修行か……あの男もよくやる
ああ、是非もう一度お会いしたいものだ。喋る犬というのがどんな味がするのか、興味がある


……これは恐ろしい。武闘派メイドと言ってもやりすぎじゃあないかね?
ふふ、ごもっともだが、盗賊相手に不法侵入を咎めたところで時間の無駄だと思うがね

【ジンジャーの口笛に、にたりと気味の悪い笑顔を浮かべて答えるカニバディール】
【その間隙を、デュアル兄弟が先につく。冷徹に視線を向ける白い頭の兄。獰猛に牙を剥く弟】

『久しぶりだなあ、ええ? 鋼鉄女よぉ……せっかくの再会だってのに、男の中に引きこもってんじゃねえよ』
「その愉快な姿を見ているのも面白いが、せっかくだ。出てきてくれないか」

【言いながら、さらなる追撃のために四本腕が掲げられる。異形どもの視線は、彼らの足に】
【堅牢な装甲に見えるその足も、絶対の防御ではないらしい。が、斬撃が打撃に変換されるとは】
【まだ見ぬ能力か、仕掛けがあるということか。盗賊どもは警戒を緩めない。戦闘が専門ではない故、全力を注ぐ】


急げ、箱を回収しろ!! 先にここから――――!?

『ぐおあああ!! くそったれええええええ!!!』
「ぬぐ……!! 貴様……!!」

“ギキィィィィィ!!” “う……!!”

【間が抜けている、とも思える音と共に放たれる矢は、しかし驚異的な威力と精度。デュアル兄弟の身体の中央に向かった矢は】
【攻撃のために用意していた泥砂全てを防御に回したデュアル兄弟の胸部に確かに刺さった。防御が致命傷は避けさせていたが】
【思わず後ずさり、傷口を抑える。すぐに行動には映れない】

【ピエロとチンパンジーも、持っていた刃物を取り落とす。見事なまでの弓の腕前】

やってくれる……!!

【カニバディールが一歩踏み出す。その右腕が作業服の袖を押し破って膨張し、巨大な肉塊と化す】
【それをジンジャーから見て左から、横殴りに振るおうとする。重量、攻撃範囲、共に大きいが、動きは緩慢だ】

【だが、その攻撃の隙間から先ほどのチンパンジーが片手だけでアサルトライフルを構え】
【ジンジャーに乱射しようとするだろう。怪我ゆえに精度は悪い。ただジンジャーのいる方向に弾をばらまくだけだ】

【一方のピエロは、腕を抑えながらどこからか取り出したロープを箱に結わえつけようとする】
【開けられないなら、箱ごと、ということか。そのまま、箱を引きずってカニバディールの後方に向かおうとするだろう】
562 :“赤い月” ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/11(土) 22:56:38.53 ID:xMak5e7no
>>556 >>558

【その巨大なライフルは奴の肩を貫いた。パワードスーツの中で兵士は舌打ちをする。狙ったのは体の中心部だった】
【このライフルは精度と速度に重きを置いているため今回のように抵抗には強いという面があるが威力は今ひとつだ】
【黒い旗がはためく。アナーキストは真っ黒な旗を振る。赤い月が踊ればそれの指し示す意味とは何だ?】

【バイザーの中でアラームの音が鳴り響く!バイパーの方へ向き直る。即座に銃を構える、コンピュータが解析を始める】
【カメラがその巨大岩の熱量を感じ取る。サーモグラフィが真っ赤に染まり、cautionの字とともにアラームが強く響く!】

【撃って破壊するか?――否。爆発による影響は未知数。装甲が耐えれるとは限らない。回避するのが最良と思える】

電磁ブースト、セーフティ解除、最大出力

<Roger、作動します>

【AIが機械的な返事をする。背負ったランドセルのラジエータが開き、真っ赤に熱され、排気がクーラーから放出される】
【脚部のパーツが開き、青白い光を放つ。するとその重量のあるパワードアーマーがしゃがみジャンプする。その重量も】
【気にならないような軽々とした跳躍!いや、数メートルも奴は跳んだ!何かで跳ね飛ばされたかのような勢い。其処に爆発が重なる】
【後方へジャンプと爆風の両方の勢いて激しく吹き飛ばされた兵士は重たい金属音を鳴らし、甲板を削りながら転がっていった】
【着地には失敗したようだ。だが直ぐに立ち上がったため無事なようであった。黒い旗は爆風で千切れ、銃には残っていなかったが】

<エネルギーダウン。電磁ブーストの再利用まで…>
<損傷率軽微、エネルギー回収率低下しています>

『まだ、試験段階なんだ。余り使えないのは仕方ない。増援を出すか?』

…いや、問題ない

【外から見れば無機質(無機物)なアーマーはまるで余裕を感じるだろう。実際はどうかわからないがそういう印象を受ける】

あんずるな、警察。我々もこの場は共同で作戦を遂行することに何の不都合はない。
…私を接近させろ。打たれ強くできている。…“ハンマーと鉄床”だ

――ブースト限定出力

【兵士の声はボイスチェンジャで加工したような低くくぐもった、ノイズ混じりの声。だがその声は意志とともに鋭く、聞き逃すことはない】
【奴は宣言とともに銃を握り、前へと前進を始めた。ブーストを短く出力を変化させながら最前線へ。アルフレドの弾丸がバイパーへ飛んで行く】
【バイパーへの活路が開かれるまでは兵士はコジマを執拗に狙う。ヤツをこの場に引きずり下ろしてやる。獰猛なライフルの銃口は撹乱するように】
【回り込もうと執拗に追い続ける。そして射撃。狙うのはその載っている機械だ。直接、狙撃するのは難しいと判断した。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、だ】
563 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 23:39:07.03 ID:2otaDB4yo
>>558>>559>>562

……ふん、なんでまた……テロリストがアタシの作戦に首ツッコんできやがるのか全くわかんないんスけどねぇ?
別にいいか、主義主張は各々の勝手にやればいい、アタシの邪魔さえしなけりゃなんだっていい……『アタシらが儲けさえすれば』
誰が得して誰が損してようがどうだっていいんスよぉ、最終的にアタシの儲けになればバカが何人死のうがどっちでもいい……


【ぎりぎりと銃弾のかすった右肩を強く握りしめながら穏健の象徴たる警察とタカ派のテロリストの相反する敵を睨みつけながら告げるのは】
【これまたずいぶんと分かりやすく手前勝手な台詞だ、……死者が出ようとそれが儲けに繋がれば別にいいだなどと】
【そこまで口にしたコマチはふと、何かを思い出したかのように二人に向けて言うだろう】


――そうそう、そういえばウチはさぁ、ビジネスの一環で『葬儀屋』もやってるんだよね……なんてメーカーか伏せるけど
正義組織だとかテロリストだとか戦いの絶えない連中はさあ、何かと戦死者も出るし犠牲者もいなくはないじゃんスかぁ、いつもいつも……
だからこそお前らが人を殺せば殺しちまうほどアタシも儲かるし……直接邪魔さえされなきゃむしろビジネスチャンスに繋がってホント懐に金が入るんスよねぇ!

―――いやぁ感謝してるッスよ!『正当な人殺し』大いに結構!アタシを豊かにしてくれるんだったらもう存分に戦ってくれて結構ッス!頑張ってねぇ正義と大儀の味方さん!!


【―――なんだこの女は―――?何のためらいもなく、人を殺してくれてありがとうと、今この女は言ったのか?】
【どんな悪事に手を染めようと、そのためにどんな罪もない人間が死んでしまおうと、『そのおかげで自分が儲かったのなら感謝しなければ』と言ったのか】
【命をまるで自分の食い物同然に使うような台詞を吐いたのか……その上当然ながらその言葉は、手前勝手な悪党なりに大切な譲れない物のために戦うテロリスト軍団の】
【その戦いの目的を、『自分の食いぶちを稼ぐための便利な道具』扱いするに等しい台詞を―――なんのためらいもなく吐いた!】

【―――立場の違う両者であっても自ずと理解するだろう、理屈ではない部分のもっと感覚的な部分で知る事だろう】


         【―――――こいつは!】      【『ゲス』だとッ!!】


【            『最 低 最 悪 の 女』 で あ る こ と を ッ ! !            】

/続きます
564 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/11(土) 23:39:51.86 ID:2otaDB4yo
>>563続き
【しかしこの女のやる事に冷静さを失ってはいけない!無論これも注意をひくための挑発だ―――!】
【彼女が自分に注意を向けている最中に彼女は例の飛行物体からある物を投下していた―――コマチと同じお団子髪のヘアースタイルのブリキ人形!】
【それも今回はゼンマイねじのついた車のおもちゃに乗ってアルフレドの足元に走っていく!―――接触したなら、その瞬間破裂する!】


『ブブーン、アタシワルイロボットジャナイッスヨー、ブブーン』


【一方、ダメージを見事軽減して見せた敵たちを内心面白くなさそうに見るバイパーの―――その目つきが変わる】
【驚いた、と言うよりも……そのものにとって一番『言ってはならない言葉』を言われ―――今まさにブチ切れ出し始めるその様子を!】


「―――テメェ……おう、テメェ今なんつった……俺の事を……愚鈍?ノロマっつったのか?おぉコラ
貧弱で簡単に踏みつぶせる程度の体しか持ってねぇ芋虫野郎の分際で……てめー……

よくも言ってくれやがったなてめぇぇぇ――――ッ!!!てめーはッ!一番先に踏みつぶしてぶっ殺してやる――――ッ!!!」


【なんだか知らないが相当癪に障る事を言われたらしい!態勢を立て直すや否やバイパーがアルフレドに突進を始める!】
【ゆえに、狙いも相当につけやすい!構えている事もお構いなしに突っ込んでくるが―――そのためにヒビの近くめがけて雨のように連続で被弾していく!】
【ガガガガガガ!!!と音を立ててくらいながらもアルフレドの近くまで辿り着こうとしたところで―――その動きが鈍り始める】

【巨体ゆえ若干効きは弱いが―――『混濁』が始まりだした、スキは大きくなる!】


「こ、この野郎……やってくれやがったな、テメェ……俺に、俺になにしやがった……!
クソが!こうなったら―――直に脚でぶっ潰しちまうかよぉ!このチンボコ野郎がァァァ――――!!!」


【アルフレドの至近距離で止まったバイパー、混濁していてもアルフレドの姿は見逃さない!】
【その巨体にモノを言わせ―――アルフレドのいるあたりにその両の前足でがむしゃらに連続で踏み出し始めるだろう!】
【しかし一瞬―――『赤い月』の男の射撃が右前足に被弾しうめき声を上げてその動作が一瞬遅れる、そこに付けこむ好機がある!】

【一方、二発目でコマチを直接狙った『赤い月』の男の弾丸が―――風の幕に阻まれはしたが突き抜け機械に被弾!】
【その瞬間、その機械の風の幕が―――若干薄れてきた、故障が始まったのだろうか、あともう一発くらい撃ちこめば風の幕もなくなりそうだ】
【しかしコマチもそのままでは済まさない、最初にアルフレドに向けて走らせた『4WDコマチロボ』が二つ向かっている!】


『ブブーン、アタシワルイロボットジャナイッスヨ』

だってよ!じゃあいい子かもだし、いい子のおねだりは聞かなくっちゃなあ!!


【――――至近距離まで寄ったらコマチの『BOMB!』の合図で爆発するだろう!】
565 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 00:02:54.89 ID:cAJYWSAYo
>>561

「――――やりたければ力づくできてはいかがデスヨー?男ならば力強い一面を見せて女性にアピールしなくては、と思われます

(……こいつら、いったいどうやって出てきたデスヨー……!これが……カニバディールの能力?自分の体内に部下を格納していた?
そして自分の生命反応で彼らを遮れば―――ワタシのレーダーもごまかせるかも、という事デスヨー?)」

【敵首領の能力の正体がまだつかめないままW-1はさらなる攻撃を続けることだろう】
【今の攻撃でまずデュアル兄弟を怯ませた、その隙に彼らの横を縫ってピエロとチンパンジーを追おうとするが】
【その動きをカニバディールに阻まれる、肥大化していく右腕に彼らも一瞬焦る、―――これが奴の肉体変化の能力か!】

【即座にW-1は左腕でガードを行い、横薙ぎに払おうとする、が!】
【その隙間を縫ってチンパンジーが縫うようにライフルの乱射を叩き込む!―――思った以上に器用なこの猿の知能に流石の彼らも意表を突かれた!】
【バチンバチンと装甲の表面で火花を散らしながら、その動きを止められる、ピエロを追うことが出来ない!】


―――ぐおおおおおッ!!!な、なんと芸達者なお猿さんだ……!ここまで器用な援護を行えるとは予想外だった!

「だが逃がさないッ!『旧遺物』も『宝玉』も返してもらうのデスヨーッ!――――はぁぁッ!!」


【左腕で右腕を抑えている状態で今W-1が動かせるのは右腕、その拳を固く握ると―――その拳に赤い炎が宿る!】
【『古赤龍の鱗』に注ぎ込んだエナジーで発火させるその拳を、至近距離から一発、二発、三発と力任せに叩き込もうとしてくる!】
【だが至近距離の攻防ならばカニバディールも直接攻撃を与える好機を見いだせる―――!】
566 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 00:23:01.78 ID:HmQ7nWJto
>>552


………、フン。


【返ってきたノイズ交じりの声に、アルフレドは不機嫌そうに鼻を鳴らすことで答えた。……一応、了解したということだ】
【"ハンマーと鉄床"――確かに合理的ではある。本心を言えば自分の方が六罪王に向かいたいぐらいだったが、状況が状況だけに仕方がない】
【自分は警察でありSCARLETであり、『ヘイダル』の一員。そして化物退治は"砂漠の獅子"のお家芸なのだ。ここは自分がバイパーに集中して突破口を開こう――】


>>563 >>564

【吐き出され続ける悪意の数々に、アルフレドの瞳が峻烈に閃いた。赤紫色の瞳が大きく見開かれ、相貌が壮絶に歪む】
【警察としてもSCARLETとしても。あらゆる"正義"として、この金の亡者は潰すべきだと。燃え盛るような憤怒でもって、アルフレドは叫んだ】


………、そうか。貴様はあくまで金しか頭にないというんだな。
ああ、理解したとも。貴様は確かに六罪王だ―――その"悪徳"だけで十二分に、それを名乗るに値するッ!!

音無小町! 待っていろ、僕が貴様をその高みから地獄に叩き堕としてやる。
貴様が食い物にした死者達に、必ず地獄で詫びさせてやる―――――!!


【鷲のような鋭い双眸、若々しい獅子の如き咆哮。端から見ればそれは、冷静さを失って暴走したようにも見えるだろうか】
【だがアルフレドはこれでもまだ冷静だ。理性を保ったままの"義憤"は、むしろ逆に彼の戦闘能力を引き上げる要因となる――】
【コマチにそれだけブチ撒けた後、『Kibrit』の空圧弾により放たれたブリキ人形を正確に撃ち抜き爆散させたのがその証左だった】


ああそうだ、貴様はノロマだ! そのデカい図体引っ提げて矮小な芋虫野郎すら殺せない、救いようがない愚鈍! 愚昧の権化だッ!!
体格に胡座をかいて調子付くしか脳のないド低脳の下等動物が、心配せずとも貴様の間抜けヅラもすぐに吹き飛ばしてやる…………!!


【怒りに燃える本心を更に脚色し、アルフレドは過剰なまでの罵声をバイパーへ吐き捨てるだろう。敵の気を完全にこちらに向けるためだ】
【その間にもアルフレドは『Nara』の引き金を引き続ける。このまま頭に血が上って"睡眠弾"を喰らい続けてくれれば万々歳】

【だが流石に敵も一筋縄ではいかない。言いように罵りまくったが、あの巨体がとてつもない脅威なのは間違いないのだ】
【前足での踏みつけ、一回だけなら今まで通りかわせもしたが。――連続となると、巨大な足を何度も何度もかいくぐるのは難しく】
【また、先ほどのブリキ人形の方に一瞬気を取られたこともあった。結果、アルフレドはぺしゃんこに潰されこそしなかったものの、】
【何回目かの踏み出しで前足が左肩を掠め、どこかの骨を砕く感触があったはずだ。「ぐあッ……!」という悲痛な叫びも聞こえたか】

【掠めただけでこの威力。直撃すればおよそ人間が耐えられる範囲を軽く超えるだろう。しかし、その暴威の中――】
【――彼を支えるのはコマチ一味への怒りだ。その激情がアルフレドの体に痛みを超越させ、バイパーが怯んだ瞬間を的確に見切らせた】


……この位置、この角度、この距離ならば"通る"!!
その醜悪な体、今度こそ切り開かせて貰うぞ! バイパー――――ッ!!


【アルフレドはその隙を突き、バイパーの懐……左脇腹へと飛び込むだろう。言うまでもない、あの"ヒビ"の位置だ】
【そして気づくだろうか、右の『Kibrit』に大量の魔力が集中していることに。ブリキ人形を撃ち抜いた後、密かに魔力をチャージしていたことに――】
【エネルギーラインに風の魔力が迸る。懐への跳躍が成功していれば彼我の距離は殆どゼロだ。狙いを定める必要すらない】

【叫び、引きっ放しにしていた引き金を放せば――最初の一発とは比較にならない、巨大な風の魔弾が撃ち放たれるッ!!】
【風属性のチャージショット、着弾時に圧縮空気を撒き散らす性質自体は変わらないが、威力は最初の一発とは段違いだ】
【加えてこの超近距離での発砲、破壊力はさらに高まる。直撃すれば、ヒビ付近を粉砕して大きなダメージを与えることが出来るだろうか――】
567 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 00:26:07.96 ID:HmQ7nWJto
>>566
/アンカミス訂正……上側のレスは552ではなく>>562宛です
568 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/12(日) 00:35:52.17 ID:r+zgZkcJo
>>565
『言ってくれるなあ、おい。そうしたいところだが、力づくで引きずり出すにはてめぇの身体は重すぎるだろうが』
「なら、代わりにこちらからくれてやるか。練りに練った泥砂を、たっぷりとごちそうしてやるとしよう」

【ジャンクちゃんのレーダーがまだ機能していれば、わかるかもしれない】
【異形どもは、確かに今この場に複数で立っている。だが、デュアル兄弟やピエロやチンパンジーから発せられる反応は】
【カニバディールと非常に似通っているのだ。まるで、カニバディールが複数名に分裂したかのようにも見えるかもしれない】

【ともあれ、そんなジャンクちゃんの疑問をよそに、異形どもの攻勢は続く】
【カニバディールの肉塊での打撃は、彼らのかざしたガードに防がれ、勢いを殺されて床に落ちる】
【その段階で銃弾が切れたらしく、チンパンジーの乱射が止む。すぐに装填しようとしたチンパンジーに、カニバディールの声が飛ぶ】

ジョルジオ、援護はいい!! クレインを手助けして箱の確保に努めろ!!
“――――了解”

デュアル、二人をガードしろ!! 奴らに箱を渡すな!!
『おうよ』「承知した」

【獣が唸るような声で、しかし確かにチンパンジーは人語を発した。廃の国で、彼らは何をしているのか】
【だが、それを考える暇はお互いにないはずだ。W-1の左腕は振るわれ、カニバディールもまた反撃に転じようとする】
【ピエロの下へと駆け寄り、共に箱を引きずり始めるチンパンジーと、その前に立ちはだかるデュアル兄弟を尻目に】
【カニバディールは幾度も振るわれる炎の右拳を左腕でガードしようとする。しかし、立て続けに放たれる拳は、着実に異形の肉を叩き、焼いていく】

ぐぅ……がっ!! うお……!! おのれ……!!

【拳に打たれ続けながら、カニバディールが口を大きく開ける。その奥から伸びてくる赤黒く太い舌】
【鞭のようにしなる舌が、W-1の右肩へ伸びる。パンチの軸となる肩を舌で正面から突いて、拳を止めるつもりらしい】

――――美鈴!!
{――――お呼びかい? ボス}

【さらに加えて、カニバディールが新たな配下を召喚する。カニバディールの胸部辺りから湧き出すのは】
【長い銀髪と真っ青な肌をした、学生服の少女だった。整った顔立ちに不気味な笑みを浮かべる少女】

【W-1と肉薄した状態のカニバディールから現れると同時、彼女はW-1にその両手を広げて】
【抱き付こうとする、と同時にその青い肌を押し破って突如出現する、赤い鉤爪付きの鎖を】
【W-1に襲い掛からせ、鉤爪でその身体をところ構わずひっかこうとするだろう。鉤爪によって仮に傷を受けても】
【その傷から痛みを感じることはないはず。青肌の少女の能力によるものだ】

【青肌女、美鈴の鎖とカニバディールの舌が舞う。続々と増える異形ども、しかし一人一人は大したことはない】
【W-1の力をもってすれば、突破は可能なはずだ】
569 :“赤い月” ◆8R7odKA9zA [sage]:2015/07/12(日) 00:38:59.24 ID:60YoiPFSo
>>563 >>566

【どんな挑発にも屈せず、この兵士は正確無比な射撃で見ていて安心するような安定した戦術戦略を用いて戦う】
【射撃はまあコンピュータのおかげもあるのだがそれを含めてもまるで教科書通り、警察学校や軍訓練所の教官だと言われても】
【納得できるであろうムダのない効率的な動きを見せるだろう。挑発に対して鼻で笑って一言で返す】

―――そう喚くな、豚女。

【いくら死のうが知ったこっちゃない。それには同感だ。革命には犠牲がつきものだ。正義や悪などという次元には最早囚われては居ない】
【最良の意志の証明のためには効率的な手段を持ち要らなけれればならない。人を導く革命家は、人ではないのだ。人であるうちは成すことも成せない】
【過去を清算し、未来を創るために、現在を破壊する。破壊に特化した長い革命の一部の担い手、それが我々なのだ】
【…しかし、能力者で資本主義の“豚”とは…二重の意味で倒しがいのある相手だと、兵士は少し笑った。ただ[ピーーー]のは勿体無いぐらいだなと】

【HUDに走るクルマのおもちゃがクローズアップで映しだされる。CAUTION。弾倉を入れ替えて、全てのターゲットを同時に狙い、順位付け】
【ブーストの出力を最大。飛び上がった瞬間にそいつらに向かって撃ちまくった!玩具に斉射、続けてコマチの機械へ!弾数ゼロ!邪魔だ!銃を捨てる!】

警察、“愚鈍”は任せたぞ。五月蝿い“豚”を黙らせる

【冷静なボイスチェンジャの声、だが防御のない突貫!戦闘は合理的で、情熱的だ。まるで革命の炎のように!】

【右手に装備されているのは鉄杭の発射機構。所謂、パイルドライバー、パイルバンカー、射突型ブレード…名称は様々だが威力にともなう反動によって】
【人間用の個人携帯兵器の実用化は先送りにされてきた。しかし、パワードスーツによってその装備が可能となった。装甲を叩くハンマー。小型化の為、一撃で】
【貫くほどの威力は無い。しかし炸薬ではなく電磁力を発射動力に用いたために連撃が可能となった。何度も叩き込まれる重い一撃。そういう代物だ】

【ブーストは最大!届くなら、パイルバンカーをその機械に撃ち込み、ヤツを引きずり落とそうとするだろう。甲板の上へと。何よりも重いヘヴィな一撃!】
570 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 01:23:18.07 ID:cAJYWSAYo
>>566

「テメェ〜〜ッ……!!あくまで撤回しねぇと言うんだな……!俺がブレンヒルトお嬢様のために身に着けたこの力をけなした事を―――!!」


【怒り狂ったバイパーの脳裏に浮かぶのは、―――忘れもしない、己が主ブレンヒルトの元に仕えてからの記憶だ】
【傭兵の一家に生まれ、他の大人たちに交じって幼き頃からフェイタルベルン家に雇われ、ずっと彼女の身の回りの世話を続けてきた日々】
【ブレンヒルトより歳も上だというのにいつまでたっても勉強が覚えられず、ブレンヒルトの身の回りの世話も失敗してばかりで毎日のように失敗し続けていたあの頃】


「(屈辱の日々だったぜ、どいつもこいつもやることなすこと、足の速さにいたるまで遅くって毎日のように大人たちからノロマノロマと言われ続けたあの日々!
しかしトお嬢様だけは違った!あの方は……まあ自分も勉強が苦手な事からバカにされる痛みを知っていたというのもあるが!……ノロマ呼ばわりされ続けた俺を絶対バカにしなかった!
あの方は……聡明ではない代わりに強く大きなハートを持っていた!―――人の『醜さ』や『短所』をそれもよし、と受け入れてくれるお方だった!)」


【―――あのお屋敷での日々も、家が没落し一族郎党路頭に迷いゴミ漁りをしながら生きてきたあの日々も彼女は忘れたことはない】
【時には挫けそうになりながらも、どこまでも汚い掃き溜めの世界に落ちようともその自分を決して曲げることなく生き延び続けようとした強さを改めて尊敬したあの時!】
【思い返すのは彼女の言葉、綺麗な召し物をドロで汚しながらも部下たちを鼓舞し続けた彼女のその姿だ】

―――……

"バカにされたって悔しくなんかないわ!バイパー!自分がダメな子でも!お家がビンボーになっても!
無論それで私の良さが全くなくなっちゃうとは思わないし!何度もこけて、汚くドロだらけになっても、それでもみんなが私をかわいいお嬢様と認め続けてくれるなら……
無論私はずっとずっと、いつだって最高に素敵なブレンヒルトちゃんとして君臨し続けてみせるし!

そんな素敵な私がい続ければ―――いつか皆を幸せにすることが出来るはずだし。その時までずっと支えてね、バイパー
ま、無論私には及ばないけど大丈夫、バイパーだって素敵なナイスガイのはずだし!ノロマなモノですか、ここまでずっと支えてくれた貴方が!”


【ガリッ、とバイパーが自分の頬の肉を強く噛み、死に物狂いで睡魔に耐える】
【まだ自分は動かなければならない、自分はまだ、ブレンヒルトのその野望の第一歩すら切り拓けていないのだから!】


―――ブレンヒルトお嬢様は!必ずやカノッサ機関の『次代総帥』になるお方なんだよォォォ――――!!!
そのお嬢様の言葉を!嘘にするんじゃねえェェェ―――!クソマミレのゲロポリ公野郎がッ!!刺し違えてでもぶっ殺してやるッ!!
テメーの存在はお嬢様にとって邪魔なんだよォォォ―――!!!


【この愚鈍な男!例えるならば『自分の殴られた痛みよりもお嬢様にもらったものを穢された頃にブチ切れるタイプ』か!】
【なんとこの男―――アルフレドの渾身の一撃を避けきれないと知るや否や、その特大の風の魔弾に自分からぶち当たったッ!!】
【―――バイパーの殻の中、その肉体そのものにもヒビが入り始め、そこからエネルギーが漏れ始めている、―――クレムリン特有の『致命傷』を受けたときの現象だ】
【後もう一発、―――とっておきの『大火力』を叩き込めばそこに引火しバイパーは爆破四散する!だがその前に愚鈍なアルマジロクレムリンは口を大きく開け】


道連れだァァァ――――!!!最終流法(ファイナルモード)!『クラッシュバーン』ッ!!!


【体内で生成した岩を口から前方向に向けて破裂させ、ショットガンのように破裂させる大技!】
【まともに喰らえばその無数の岩の散弾はアルフレドの肉体をバラバラに細切れにするだろう!】
【しかし―――『混濁』の後遺症はデカい、バイパーの左目は今睡魔でうまく開けきれないのだ、不意を衝くには十分な攻撃となる!】

/先にアルフレドさんの方にお返しします、そこから順番にお返事する形で!
571 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/12(日) 01:24:22.45 ID:pioDQUVSO
>>560 /こちらこそ、遅くなりますがお願い致します。
【藍璃は青年の反応を見て】

ごめんなさい、職業柄独特の言い回しをしてしまうことが多いの……わかりにくかったかしら?

【曖昧な困った笑みを浮かべ】
【次いで青年ーー鳩ヶ谷の見せてきた法律書を見やる】

ほう、こちらにも法律はあるのね……それもそうか。
大体の概念は私の知る物と変わらないよう。意思があるもの、制約無しには自我を保てないのが常だもの、大切よね。

【その法律書には無数のマーカーが引かれており】
【鳩ヶ谷の勤勉さが窺えた】

要点は抑えている……貴方、将来良い"人間"になれそう。

【人間、を強調して藍璃は本を彼へ戻す】
【代わりに、手元のノートの一ページを開いて見せた】

見せて頂いたお礼……という訳ではないのだけれども。面白いものを貴方に見せてあげましょう。
何、ちょっとした息抜きだと思って、ね?

【そこには《金翅鳥(こんじちょう)》というタイトルが書かれており】
【藍璃はそれに続く文章ーー詩を"謳った"】

『金に煌めき、星炎を纏いしその翼ーー』

【先程とは違い、力強さを含む声】
【ノートの上に星屑の様な煌めきが幾つも現れる】

『不死の体は、嗚呼、燃え尽きることを知らぬーー』

【やがて星屑は金色の光を纏い密度を濃くして】

『その美しき御姿を、さぁ我が前に再び見せてはくれまいかーー』

【気付けば星屑は煌めき燃え盛る小鳥の姿へと変わる】

『ーー伝説より現れいでよ、《金翅鳥》』

【謳い終えると同時に、小鳥は翼を大きく広げた】
【金の粒子が一斉に煌と飛び散る】

……ふぅ。どう? 美しいものでしょう。金翅鳥といって、伝説に語られる位珍しい鳥なのよ?

【してやったり顔で、手の上に金翅鳥を移らせる】
【燃え盛っている筈なのに、熱がる様子は見せない】

先程は驚いていたみたいだけど、つまりこれが私の力。
《吟遊詩人》は観測して、謳う。過去を、現在を、未来を。呼び出し、見せて、伝え続けるの。
後はーー改竄(かいざん)するのも仕事だったりね?

【惜しげもなく能力を使ってみせる藍璃】
【伝える事が《吟遊詩人》だというのなら、それも納得出来るだろう】

あら、更に驚かせてしまったかしら?
大丈夫、私はただの人間よ?

【悪戯に微笑み、金翅鳥を撫でる】
【そして、掌に載せたまま鳩ヶ谷に差し出す】

触ってごらんなさい、きっと貴方も気に入るわ。
このこの炎に触れれば、勉強疲れもとれるでしょう。

【その金翅鳥の炎には、ヒーリングの効果があるようだ】
【触れても暖かいだけで、やけどをする事は無い】
572 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 01:42:12.03 ID:cAJYWSAYo
>>568

「―――?こいつの……反応?なんデスヨー?これは……うまく読み込めない訳デスヨー
こいつらの生命反応……『カニバディールに酷似している』……さながら同一人物が複数の姿を取っているかのように」

……能力を推理するヒントになる、覚えておこうか
今目の前の状況が……『多勢に無勢』であることには変わらない!しかし……そんな不利な状況だろうと『紳士が』屈してはいけないな!
ヘトヘトな私を見ても世の女性たちはこの私を素敵な方と呼んではくれないだろう!?―――おおっと!


【連続パンチを突如その長い舌でガードして連続パンチを崩してきた、この男本当に肉体変化に関しては変幻自在か】
【仮面の下で苦い顔をしながらジンジャーは次なる一手を振おうとして―――突如、目の前に現れた美鈴と呼ばれる少女の能力に晒される!】
【かぎ爪で右足、左胸、右肩などを引っかかれながらも、カニバディールの間合いからなんとか離れることに成功する】


くそっ……このままでは!

「―――ジュニアハカセ、かくなる上はとっておきで吹っ飛ばすしかありませんデスヨー、目をつぶって歯を食いしばっていてください!
操作はワタシが行いますが……彼女もろともとなると―――ハカセも覚悟がいるでしょう?」

……この"呪い"真っ向から立ち向かうとかそういう対応するべき物じゃないと思うんだけどなあ、まあいいや、頼むよ

『―――maximum charge!』


【その手に『ワイルドアロー』を手にしてW-1が―――ジャンクちゃんの操作でベルトのマキシマムスイッチを押してパワーをアローに充填させる】
【設定を拡散にしてカニバディールを中心に視界に移る全てに照準を合わせ、引き絞った矢を勢いよく放つ!】
【するとその矢が空中で分かたれ―――流星群のように視界の中のスクラップズ全体めがけそこそこ強い威力の弾丸を放つ!―――分散はしているものの威力はそこそこ!足止めになるか―――?】

【―――しかし、それを打ち終わった直後、突如W-1が仮面の下から勢いよく血を吐き出し始める―――その動作の際にまた一つ隙を見出すことが出来そうだ!】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/12(日) 01:57:43.92 ID:nVS0SxX0o
【深夜、紺碧の色に染められた空に浮かぶ月明かり】
【都市より離れた大きな公園は休日の人々にとっては憩いの場だが夜、それも深い時となれば別だ】
【せせらぎを響かせる小川にも、子供の為の遊具にも人気は無く、染み入るような静けさだけが支配している】

――――――――……

【芝に彩られた緩やかな丘陵、その頂にしかし1人の影が】
【月下にて三日月のように煌めく物、弓なりの薄い銀の色を宿す弧月】
【その正体は刀、洗礼された斬る為だけの道具】

【それを扱う彼に動きはない、ただ正眼に構え呼吸を静かに練るように】
【異色の瞳をそうっと閉じ、白髪は時折流れる風に揺られ思い出したように踊りだす】
【時にして1時間程経つ、その間に一切の動きは無くただこの姿勢に従事していた】

【視覚を絶ち、それ以外の感覚を用いて自身の姿勢を練り上げる】
【骨格、筋肉、表皮――――それらの微妙なバランスをこれまた微妙な操作で最適を探す】
【最上の状態を見出しその状態を本番で用いる為の修行、平素の時に於いて出来ない事は本番でも出来ないと誰が言ったか】

【修練を見つめる者があれば近づかない限りは意識を向けない】
【物見遊山で近づく者がいたならば、或いはそれが契機とみてそっと刀を下げ】
【腸に溜めた呼気を吐き戻し何か用事かと切先を向け問うだろう】
574 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 02:12:16.95 ID:HmQ7nWJto
>>570

【――過剰なまでに挑発した甲斐はあった、とアルフレドは内心ほくそ笑んだ。たった今自分が聞いた情報は、恐らくコマチ一味にとっての重要事項】
【"ブレンヒルトお嬢様"――コマチの他にもう一人"居る"。この場に姿を見せない者が。それも『次代総帥』と来たものだ】


(………………………、)


【だが激昂するバイパーの姿を、アルフレドはそれ以上罵る気にはなれなかった。もうこれ以上挑発しても情報は出てこないだろうし】
【彼がブレンヒルトとやらをどれだけ慕っているかも十分伝わってきた。自分が"正義"だからとそれすら蔑むならば、愚鈍で愚昧なのはこちらの方だと青年は思う】
【――だが、決して情けはかけない。その点で言えばアルフレド・フェリシアーノはとことんまで"正義"だった。人の情より、大儀を優先できる人間だ】


そうか。……だが、僕はそれを否定する。
音無小町の所業も、そのブレンヒルトお嬢様とやらが『次代総帥』になることも、必ず阻止する。

――――貴様の信念がどれだけ強かろうと、僕にも譲れないものがあるからだ!!
より多くの人が平和で、笑顔で暮らす――その"正義"こそがこの世で最も尊いものだと、僕は信じる………!!


【ここはリスクを背負ってでも攻勢に転じる場面だと――即座に二丁拳銃を握り締め、『Nara』の後部に『Kibrit』を接続し、エネルギーラインを直結させる】
【左腕をやられた時点で二丁拳銃のスタイルは限界、睡眠弾も弾切れだ。今こそこの銃本来の姿、"二丁一対"の大火力で対応しよう――】
【そうして銃身に新たに浮かび上がるのは、『Al-Tinnin(アルティニン)』という刻印……分離していた二つの銃が合体し、その真の姿を現した】


――――ぐ、ぉぉおおおッ!!? がぁああああああああああッッ……………!!!


【しかし……それが解き放たれるより先に、バイパーの全力がアルフレドの全身へと撃ち放たれる。それに対し彼が取った方策は二つ】
【――腰元のポーチ。ロケットランチャーの弾薬が入ったそれを纏めて外し、真後ろへ跳びながら岩石のショットガンへ向けて放り投げたのだ】
【攻撃が弾薬を起動させ、両者の間で大爆発が起きるだろう。その爆風が岩の散弾を弾き飛ばし、同時に衝撃でアルフレドの体を真後ろに吹き飛ばす――】

【歪む表情を見れば解るとおり、半ば自爆じみた移動法である。しかもそれを持ってしてもすべての散弾を防ぐことはできず】
【肩に提げていたロケットランチャーを盾代わりにして急所への着弾だけは防ぐが……攻撃が終わっ時、アルフレドは血塗れの状態であるだろう】


………故にっ………、僕は貴様の希望を奪い去る。その、命ごとだ。
そのお嬢様とやらに殉じたまま、世界の為に死ね。僕の名はアルフレド・フェリシアーノ――。

貴様が行き着くのは地獄だ。そこで待っていろ、貴様の仲間も全員そこへ送ってやる。
その日まで――地獄の底で僕の名を呪い続けるがいい、バイパー!!


【それでも、立つ。左手の銃、籠もった魔力も信念も決して手放さない。睡眠弾で混濁した意識にも届くよう、アルフレドは叫びを上げた】
【――お前は何故ここで死ぬのか。誰に、何のために殺されるのか。その事実を激情と共に叩き付けたのは、あるいは彼なりの礼儀だったのか】
【呪わば呪えと咆哮を上げ、アルフレドは一分の躊躇いもなく『Al-Tinnin』を構えると、有らん限りの魔力を込めて引き金を引いた――】
【高速回転する砲身から膨大な魔力の奔流が四つの銃口の中心へ集約し、巨大な"砲弾"が生まれる。『Al-Tinnin』の真価は銃撃ではない、大火力の"砲撃"】



悪たる貴様の終着点は、絶望だ!! ――――デカディメント・ウラガーノ<bッ!!!



【刹那――巨大な風の砲撃が、猛烈な爆音と共にバイパーの左脇へと射出されるッ――――!!】
【射出された弾丸の性質は風属性の空圧弾。効果は変わらないが……弾丸の巨大さを見ればわかるとおり、威力は今までで最大級だ】
【着弾した瞬間に莫大な量の圧縮空気が解放され、至近距離でロケットランチャーの直撃を食らうのにも等しい衝撃が襲いかかるはずである】

【勝つのは正義だ、貴様等ではない。――青年の目には、すべての悪を否定する不撓不屈の意志が宿っていた】
【アルフレド・フェリシアーノは持てるすべてを叩き込んだ。その正義という名のエゴが、バイパーの命を奪い去るか否かは……後は、彼次第だ】
575 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 02:12:57.97 ID:PXZ7SKNuo
>>569

【コマチは『ぶすっとした顔で』"へらへら笑いながら"――その一言の嘲り笑いを流しながらこういうだろう】


ふん、第一声が『ドブネズミ』じゃなかっただけまだ温情だと許してやろうじゃないッスか―――豚も決して悪い生き物じゃないッスからねえ
動物でも一、二を争う綺麗好きだし、何よりアタシの大好物だ―――カレーの肉も豚肩ロースが大好きだし……キレてないッスよぉ
アタシを怒らせたら相当なもんッスよぉ、なあ?アタシ今、そういう顔してるだろう?

しかし……ああくそっ、あっさりスクラップかコマチロボ!―――近づいて直接アタシを落とす気か、仕方ねえッス
こうなったらもっといい金のかかった攻撃を叩き込むしかないか!Million Dollar Quartet=I!―――出てきやがれ、"Sledge hammer"!!


【コマチがとっさに懐から取り出したのは、黄金色で蓋には四葉のクローバーが刻印されている六角形の小箱】
【その中に手を突っ込んで取り出したのは―――特大の鉛色のハンマー!到底小柄なコマチには持ち上げられそうに見えない武器だが……】
【この『聖遺物』"Sledge hammer"の効果は『10tにも及ぶ重量ながら、筋力に関わらず赤子でも誰でも振り回せる』というモノ】

【『赤い月』の男の撃ちこむパイルバンカーの一撃よりは早く動けなかったコマチの飛行物体、深々と突き刺さり―――ボンッ!と嫌な爆発音がなり始める!】
【これは避けられない、愛機を破壊され甲板に叩きつける、それはもう避けられない―――】
【しかしギリギリの所で敵を行動不能に追い込むべく、思いついたのは―――エネルギー供給を行っていると思われるそのバッテリーを狙う算段だ!】

【リーチも長く、倒れながらでも背中に届くとコマチは見て取るだろう―――この一撃を放った後、コマチは甲板に叩きつけられ「ぎにゃ!」とうめき声をあげてじたばたし始める】


――――くそっ、やって、くれるじゃん……スか、この偏き野郎が……


【しかし『赤い月』の男から目を離さない―――!胸を強く打ち付けたらしく苦しそうにわが身を抱えながら『赤い月』の男を睨むだろう】
576 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/12(日) 02:29:14.39 ID:r+zgZkcJo
>>572
……ずいぶんと高性能だな。そこまで見抜かれるとは

紳士か……我々とは正反対の存在だ。しかし、ヒーローに紳士に実業家にと、ずいぶん忙しい男だな
そろそろ、休んでもいいんじゃあないか? 少なくとも私の手下の女たちは、疲れ切ったお前の方が好みだろう
素敵な獲物に狂喜乱舞して、寄ってたかってなぶり回す様が目に浮かぶよ

【口を開けて舌を伸ばしたままにも関わらず、淀みなく発音するカニバディール】
【その舌が引き戻される頃には、ジンジャーも美鈴の攻撃の間合いからすでに逃れていることだろう】


さあて、いい加減に奪うものを奪って帰りたいのだが……
次はとっておきと来たか。恐ろしいな、どうしたものか

【いかにも余裕、といった口ぶり。されど、未だ決定打を得られていないカニバディールの心中には焦りが生じていた】
【彼女もろとも、という言葉から、女に攻撃を加えるのを躊躇うタイプかと推測するも】
【美鈴一人を盾にしたところで、そのとっておきを防ぎきれる保証もなく、ジャンクちゃんのサポートもある】
【そんなことをしても、美鈴がただ苦痛がもたらす快感に身もだえるだけに終わるだろう】

――――来るぞ!!

【叫びつつ、カニバディールは再び右腕の肉を膨張させようとする。他のメンバーもそれぞれが】
【来る攻撃に備えようとし。しかし、拡散する光の矢を前にしては大した効果は得られなかった】

“ぐああ!!”“ギィイ!!”

【まずは、箱をどうにか室外に運び出そうと躍起になっていたピエロとチンパンジーが、そのために防御が遅れ】
【まともにその身に矢を浴びて、倒れ伏した。それなりの威力がある矢を立て続けに受けては仕方のない結果か】

{ああっはぁああん!!! ああ、矢の雨ええぇ気持ちいいよおおお……!!!}

【続けて、美鈴は苦痛を追い求めるその性癖ゆえに自ら矢を浴び、法悦の喘ぎをあげつつ床に転がって身もだえる】

ぬうぅ、おおおおおお……!!!

【矢の流星群の中心に位置するカニバディールは、最も多くの矢を浴びる。肉の防御が多くを受けるが】
【それでもいくつかがすり抜け、異形の肉を貫いていく。鮮血が飛び散り、肉片が散乱する】

『ああああああ!! ちっきしょお、どうあってもあの箱はもらってくぞ!!』
「ぐううううううう!! 貴様らもそろそろ限界か!? 早いところ、倒れてしまえ!!」

【最後のデュアル兄弟は、その位置関係もあって泥砂の防御が間に合い、どうにかダメージを軽減する】
【しかし、先の攻撃で受けた傷もあり、すぐには動けない。接近しての攻撃が無理なら、飛ばせる攻撃しかない】

【デュアル兄弟が四つの手の平が合わせるそこで。泥砂が練り合わせられ。小さな、グレーの球体が】
【異形の双子の手の上に出現した。妨害がなければ、これをジンジャーの仮面めがけて投げつけようとするだろう】

【急造のために威力は高くないが、打撃と斬撃、双方の性質を備えた泥砂の塊】
【まともに食らえば、楽観視できないダメージが入るかもしれない】

【箱を抑えていた下っ端二人が倒れ、今目的の箱は無防備な状態で床にある】
【敵を優先するか、宝を優先するか。ジンジャーはどう判断するだろうか】
577 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 02:33:55.53 ID:PXZ7SKNuo
>>574

「何をしようが俺のパワーの方がデケェ!俺の粘り勝ちは決まったも同然―――!?」


【勝利宣言をしようとしたところで、アルフレドが最後の奥の手を発動するのを目の当たりにする】
【その銃の真の姿をその手に出し、ロケットランチャーの弾薬を利用する機転を見せて己の渾身の奥の手を見事アルフレドはいなして見せた】
【―――その胸に『敗北』の二文字が刻まれおびえた顔を見せるバイパー、しかし最期にアルフレドを睨み返しながら】


「ポリ公ごときに……できるもんかよボゲッ!……最後に笑うのは―――――俺たち『フェイタルベルン・ファミリー』だ!
俺は『第六の守人』、『バイパー・"ドラコルル"・ラザフォード』!テメェが地獄に落ちてくるのを口を開けて待っているぞ―――!

――――ブレンヒルトお嬢様に栄光あれェェェェェ――――――――――!!!」


【最後の一撃、デカディメント・ウラガーノ=\――その巨大な一撃を『愚鈍』なアルマジロの怪人に避けられるはずもなく】
【その大火力にアルマジロクレムリンのエナジーが引火―――ドッゴォォォォン!!!と音を立てて爆破四散した――――】

【残ったのはテロリスト『赤い月』と、六罪王、音無 小町―――そのコマチも今、『赤い月』に追いつめられている】

【―――当のコマチは、胸を抱えうずくまりながら―――なにか通信機のようなものをいじっている?警戒するべきだろうか?】
578 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 02:55:28.93 ID:PXZ7SKNuo
>>576

【突如、事前にブレンヒルトに渡されていた通信機に電源がともる―――相手はコマチだ】

『―――カニバ!まだかッ!!そろそろバイパーの野郎がやばいッス!なんとか隙をついて宝を持ち出せ!
入口にアタシが乗って来たのとは別の『フライング・オレ』を送った!それに乗って手筈通り―――太陽の方向に飛べ!!
宝が最優先だ!すぐに手に取ってその場を離脱しろ!』

【共犯者、カニバディールにかける通信は脱出指示、勝ち負けはどうでもいい、宝をなんとかして持ち出せと通達してくるだろう】
【ジンジャー達はすでにふらふら、なんとか隙をついて脱出しろとの通達が下る―――これ以上ぐずぐずしていてはアルフレドと『赤い月』が合流する事もあり得る!】
【すぐにジンジャーの隙をついて離脱しなければならない!―――そのジンジャーは!】


―――ぐ、あがっ、ぐああ……

「ハカセ!しっかりしてください!避けなければ―――!ダメだ、マズい!
なんとか、防がないと……こうなったら!―――ガードして!『ヘッドレス・クロス』!」


【―――ジンジャーが動けなくなっている!?脚ががくがく震え一歩も動けない状態になっているらしい!】
【いったい彼に何が起きたのか、それは測り知ることはできない、しかし最後にジャンクちゃんが死に物狂いで抵抗を行おうとする!】
【彼女の呼びかけと共に―――全身が機械のツギハギに覆われた女性的なフォルム、長い黒髪に金のティアラを持ったヴィジョンが現れる!】

【これは―――コマチが『ファントム・プラネット』を出した時と同じだ、この力―――マインド能力!?】
【そのヴィジョンがなんとか頭部の切断だけは阻止しようと両腕でW-1のボディを庇いガードを行おうとするが!】
【ズバッ!と勢いよくそのヴィジョンの右腕に大きな切り傷が走ると同時、勢いよく彼の背後の―――白く丸い球体に勢いよくボディが叩きつけられることだろう!】


がっ、あがっ、……き、『旧遺物』が……"神器"の手がかり……渡す、わけには……


【W-1はうめき声を上げながら地面に倒れこんでいるが―――完全に精根尽き果てているのかそこから一歩も動く様子がない】
【絶好のチャンスだ、今のうちに箱を持ち出して入口に駈け込まなくては―――!】
579 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 03:07:18.16 ID:HmQ7nWJto
>>577

【……アルフレドは、バイパーに自らの渾身の一撃が直撃したのを見ることはなかった。『Al-Tinnin』の砲撃は反動もまた大きいのだ】
【散弾でズタズタの両足ではそれを支えきれず、彼は発射と同時に地面に倒れ込んでいた。――それでも、必死で上体を起こしてバイパーの最期を見る】


……、バイパー・"ドラコルル"・ラザフォード、か。
下品な奴だったが………世界の礎として散ったその名前、覚えておこう………。


【そうする義務があると思ったのだ。ただ殺すだけでは彼が憎む"悪"と何も代わりはしない。いや、こんなことをした所で本質は同じなのかもしれないが、】
【目を閉じ、爆散した敵の姿と名前を瞼の裏に焼き付ける。義の為ならば殺害も躊躇わない冷徹さを持ちつつも、アルフレドにはまだ、若々しい甘さがあった】


【――だがそれも、一時の事だ。元来の冷徹さですぐに今やるべき事を思い出すと、ボロボロになったランチャーを杖代わりにして立ち上がる】
【やるべき事はバイパーを倒すことではなく、その大元を絶つことだ――アルフレドは銃の合体を解除し、『Nara』をホルスターに収納した】
【今の状態では二丁拳銃は無理だ。すべての力を一丁に集約してようやく、戦えるか戦えないかという程度。『Kibrit』を両手で構え、彼はコマチを睨み】

【空圧弾を一発、その手元へ撃ち放つだろう。ボロボロの体でありつつも照準は正確、通信機を弾き飛ばすのが目的だ】


――、財務担当だとかいう六罪王がこんなところまで出張っている……そして貴様は『旧遺物』を狙っている。
それに、ここには居ないもう一人、"ブレンヒルトお嬢様"とやらの存在――貴様、どこへ連絡しようとしていた?
思い返せば……そもそもジンジャーさんたちと『旧遺物』がある機内が本命で、この戦い自体が"陽動"だった可能性すら考えられる。

何にせよ……こちらももう限界だ。時間は掛けられない。
観念するかどうかは好きにしろ。……言っておくが僕が直接手を下さずとも、僕にはもうそこの狂信者を止める自信はないからな。


【それが成功するか否かに関わらず、アルフレドは今思っていることをまとめてコマチへ伝えるだろうか】
【……最初に"引っかかり"を覚えた時から、バイパーとの戦いに集中しつつもずっと考えていたことだ。この戦いの意味を】
【その予想が当たっていようがいまいが、どのみちアルフレドも体力の限界である。この先の展開はコマチの動き次第となるだろう】

【情報を引き出すという意味でも、一応警察官の身としても、本当は捕縛するのがベストなのだが――】
【相手は六罪王、しかもこちらにそんな余裕もない。僅かでも不審な動きを見せた瞬間、アルフレドは即コマチの首筋へ空圧弾を射出するだろう】
【撃ち抜かれれば首の骨を叩き折る程度の威力はある。やはり彼は、悪と見れば躊躇わず殺せる人間なのだ】
【……そうでなくとも、『赤い月』の兵士の方を止める体力だって残っていない。何も抵抗しなければ、ここで命を絶たれる公算が大きいか――】

【もちろん、それはあくまでコマチが"何もしなければ"の話だ。例え"殺しの魔弾"が放たれたとしても、防ぐのも避けるのも可能だろうし】
【少なくとも満身創痍のアルフレドは、逃走を阻む壁としては不十分か。この局面で、六罪王はどう動くか……?】
580 :“赤い月” ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/07/12(日) 03:13:02.89 ID:60YoiPFSo
>>575

【殴りつけるパイルバンカー。どんな複雑なものも破壊というシンプルな一撃で一様に動きは止まってしまう】
【圧倒的な暴力性というものの有効を示しているようだ。撃ち込んだ跡のあの大穴を見るとそう感じざる負えない】

舌を噛むなよ、豚

【兵士はコマチよりも先に落ちていくことだろう。エネルギー切れによるアラートは鳴り響き、HUDの情報は真っ赤になっていた】
【ブーストと武器に出力されるエネルギー供給はストップ。後は落下するしか無い。アラームが鳴り響きながら先に落下する】

<落下警告、落下警告。耐衝撃体制をとって下さい。落下警告落下警告…>
<エネルギーがありません。次のチャージまで約……>

【重量ある背中から落下し、甲板に大穴を開ける。周りも爆弾でも叩きつけられたかと思う程の衝撃だっただろう】

<エネルギー供給エラー。エネルギー供給エラー。バッテリーが故障。ブースト使用できません。武器使用できません…>
<装甲にダメージ蓄積率上昇。これ以上のダメージは行動に支障が生じます。使用者にダメージが生じます>

【背負っていたランドセルは結果としてめちゃめちゃに破壊され、その場で脱した。パワードスーツの維持のための最小限の電力装置】
【予備のパワーバッテリしか残っていない。しかし、あのまま食らいついてコマチを狙っていたならあの聖遺物にスーツごとペシャンコにされて】
【いた事だろう。合金といえど耐えれる範囲は決まっている。例えトラックの衝突に耐えれる性能があっても中の人間まで耐えれるとは限らない】

…スーツはまだ少し重い。改良が必要だ。…だが、パイルはよく使える。装備して正解だった
いいシミュレーションになった。六罪王……

【落下地点から兵士は再び現れる。相当身軽に、傷だらけになったスーツ。だが、まだやつは止まらない。止まらないのだ】
【武器を失っても奴は瓦礫を1つ握り、一歩、また一歩と近づいてくる。ショートした配線から閃光が飛ぶ。奴に捕まれば――なぶり殺しだ】
581 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/07/12(日) 03:41:58.61 ID:r+zgZkcJo
>>578
箱の確保には成功!! 護衛のジンジャーの抵抗に合っています!!
了解!! ただちに、脱出を図ります!!

【受け取っていた通信機から聞こえてくるコマチの声に、蹲っていたカニバディールが三つ目を見開く】
【が、すぐに冷静さを取り戻し、叫ぶように返答しつつ立ち上がる】

(――――なんだ……!? ダメージの蓄積か、さもなくば先ほど言っていた呪いとやらのせいか……?)
(いや、今はどうでもいい! これはチャンスだ……!!)

デュアル!! 殿は任せた!! そいつらを通すな!!

『おう――――って、なんだありゃあ!? マインド、か……!?』
「ロボットがマインド能力を……!? ……だが、メイド本人ほど頑丈ではないらしいな」

【ジャンクちゃんが呼び出したビジョン、今まで自分たちも目にしてきたそれ】
【ロボットであるはずの彼女が、マインドを操っているという事実は盗賊どもを少なからず驚かせる】

【が、その驚愕もマインドに傷が入ったことで霧消する。今はすべきことをせねばならない】


【まずは、カニバディールが駆けた。倒れ伏す美鈴へ向けて左腕を、ピエロとチンパンジーには右腕を】
【それぞれ膨張させて伸ばす。肉塊と化した腕が配下たちにのしかかり、現れた時と同じように】
【異形の配下たちがカニバディールの腕に吸い込まれるように消えた。そこで行動を止めない】

【床に転がっている箱を、両腕でしっかりと抱え込んで持ち上げようとする】
【腕の肉から触手が数本伸びて、箱に絡みついてさらに固定しようとも試みるだろう】


【その状態で、カニバディールはエンジンルームの出入り口へと駆けた。持ち前の体力が、ダメージを負った身体を走らせる】
【その後に、デュアル兄弟が続く。四つの瞳を、W-1とドクター・アマギに向けながら】

【彼らの妨害がなければ、盗賊どもは一目散にその場から逃げ出し】
【コマチの用意した『フライング・オレ』に飛び乗って、わき目の降らず逃走しようとするだろう】
【盗賊特有の逃げ足の速さ、止めるものは果たしているか――――】
582 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 04:16:29.58 ID:PXZ7SKNuo
>>579>>580

【雲一つない快晴、その強い日差しが一層強くコマチを照らしているのが見えるだろうか】
【パイルバンカーで移動用の足を潰され、背中を打ち付けただけで小柄な女は苦しんでいるようだ】
【―――しかし、これが六罪王なのか?直接相対した『赤い月』にしてみればずいぶんと――歯ごたえのない敵だった】

【―――実際、これまで世に姿を現した強大な力を誇る六罪王たちと同格の存在であるようには到底思えない】
【マインド能力と『聖遺物』こそ持ってはいたが基本的に強い武器を持っているだけで―――後は、『ただの人間』そのものにしか見えない】
【戦闘のセンスも輝かしい物が見れるわけでもなし―――となると本当に六罪王に昇格した理由は『機関で一番金を稼いだから』とかそんな理由なのだろうか】

【事実、"六罪王"音無 小町は二人の立場の違う男たちに追いつめられていた―――通信の途中で空圧弾を叩き込まれ、通信機を手元から弾き飛ばされた―――】
【にじり寄る二人から後ずさりながら、コマチは顔に汗を浮かべながら笑みを零して呟くだろう】


絶体絶命ってか……?全く、だーからアタシが出るとたいていこんな事態に陥るんだから極力出撃したくないって言ってんスよ……
そりゃ、アタシじゃ"ダンデライオン号"を隠すことが出来ないだろうッスけど、ねえ……ま、いいか、そこのポリ公の推理通り"陽動"の役目は済ませた事ッスし?
ボロボロの体引きずって退散しますかね……くそが、この傷と本日の損失はまた後日利子をつけてお前らに払ってもらうッスから……!

―――ブレン!レオ!作戦終了だ!アタシを回収しろ!!


「―――オッケー!無論準備はバッチリな訳よ!迎えに来たよー!コマチー!」


【―――六罪王を思いっきりタメの関係で呼んでくる、天真爛漫な少女の声が響く】
【どこから聞こえてくるのか、姿は見えない、目を凝らしても救出者の姿が見当たらない―――というか、『眩しくて』目を開けていられない!?】

【―――どんどん日差しが強くなり、日の光が『眩しすぎて』目を開けていられなくなるほどに太陽の方向からの光が強くなる】
【まるで太陽が近づいているかのように―――!いや、違う、この光は『太陽から発せられているモノ』ではない―――!】

【サングラスなどはお持ちだろうか、そうしたものを使用してなんとか上を向いてみればそこには信じられないモノが存在した】
【それは―――さながら『太陽のように眩く輝く戦艦』だった。ジャンボジェットほどもあるこの移動研究所の4倍近い大きさの戦艦が空に浮いている!】
【最初にこの移動研究所に衝突を行ったのはこれだったのか―――機体をラボの下から急上昇させて一発ぶつけた直後、アルフレドが上がってくる前に、『赤い月』が箱を開く前に】
【機体をさらに急上昇させ―――ラボからみて太陽の方向に飛んで今のように発光しつづけていれば―――後は太陽の光に紛れてその姿が見えなくなるという訳か】

【巨大戦艦が姿を消したトリック―――見破ってみれば単純なモノだったが意表を突くには十分すぎた】
【その好きに操縦席のブレンヒルトが魔術を発動、戦艦からラボの間に無数の―――妙に角張ったコマチの頭部を模したブロックを出現させる】
【そのブロックの上をひょいひょいと―――何かが飛び跳ねてこちらに急接近を行う―――!】

【―――現れたのは青と白の装甲に身を包んだ獅子の怪人―――!今アルフレドが倒したバイパーと同じ……"クレムリン"だ!】
【いや、その威圧感はパイパー以上……!上位クレムリンをも凌駕するエネルギーをその身に宿す恐るべき怪人が風のごとく現れると】
【左手で優しくコマチを抱きかかえ、自分たちとアルフレドや『赤い月』の間の足場を―――高密度のエネルギーを込めた右腕の爪で勢いよく抉るだろう!】
【ドバァ!!と勢いよく切り裂かれ分断される両者、彼らを怯ませた隙にレオはそのまま飛び移ってきたコマチブロックを再び足場にしてひょいひょいとすごい速度で戦艦へと去っていく―――!】

/続きます
583 :主催 ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/12(日) 04:18:26.90 ID:PXZ7SKNuo
>>581

"ま、待ってくれぇ!それはムクに渡さなきゃいけないモノなんだ!返してくれぇ―――――!!!"


【怯え竦みながら、逃亡していくであろうカニバディール一行の背にドクター・アマギは情けない声でそう声をかけるが】
【無論待つはずもない彼らの事を追う事もできないまま―――彼らが去っていく姿を見届けるだけだろう】

【ムク?ドクター・アマギはムクと言ったのか?―――このたびの輸送、受取人はあのムクだったのか】
【『旧遺物』とムクにどんな因果関係があるかは知らないが、ともあれ奪い取ったからにはこれはもう自分たちのモノだ、ムクの手に渡る事はない―――】

【そして空を見上げてみれば―――まるで太陽と表現するほかない眩い飛行戦艦がラボのすぐ上に鎮座している―――いつの間にか!】
【コマチが言う太陽とはコレの事か―――この船に向けて飛べばブレンヒルトが彼らを回収する事だろう】

>>ALL

【かくして、戦闘によってバイパーを討伐、コマチに重傷を与えることに成功した今回だったが、なんと此度は陽動だったコマチ】
【この隙をついてスクラップズがジンジャー達とドクター・アマギを強襲、目的の物を奪い取る事に成功した―――しかも】


『警告!警告!機体に重大な損傷在り!現在コンピューターは不時着に申し分ない平地を探し当てる事に成功いたしました
これより投機は飛行不能に陥る前に不時着を開始いたします―――皆さま、対ショック態勢をお取りください』


【―――なんと、今のレオの一撃でラボの飛行機能に損傷が発生!機体はみるみる降下をはじめ、逆に上昇していく光の戦艦から遠ざかっていく】
【戦士たちの目には見えるだろうか、ブロックを飛び移るレオや盗賊を載せたコーヒーカップが今まさに戦艦内部に回収を完了したことを】
【戦いには勝った―――しかし自分たちは最後の最期であの性悪女にしてやられたらしい事を着陸のショックと共に受け入れるしかなかった―――】

/と、いう訳で神器イベント一つ目の戦闘イベントはこれにて終わりです
/皆さま、本当にお疲れ様でした!……返レス度々遅れてごめんなさいです

/ひとまず皆様今日の所はお休みください、皆さまがお休み後全部の返レスが終わった所で結末を書いて今回のイベントは完全に終了する物といたします
/それでは本日参加していただいた皆様、本当にありがとうございました!
584 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 05:12:34.50 ID:HmQ7nWJto
>>582 >>583

【やはり、か――アルフレドは軽く溜息を付いた。まさかとは思ったが、六罪王自身を囮に使うとは大胆すぎる作戦だ】
【――いや。カノッサの『次期総帥』に推挙されているというブレンヒルトという女の存在が明らかになった今、別段驚くことでもないのか】
【いずれにしても、手遅れだった。途中で薄々感づいていたにも関わらず対策を講じられなかったのは、バイパーの猛攻のせいだ】
【彼のせいでわかっていても対処できなかった。一瞬でも気を逸らして背を向けていたら、殺されるのは自分の方だっただろう――】


(………、あれが奴らの拠点、か――――?
 今回ばかりは致し方ない、無理に追えば殺されるのは僕の方だ。それに、あのレオとかいう奴……)


【眼鏡にかけられた魔術を調整し、アルフレドは天を仰ぎ見る。……こんなモノが上空に待機していて気づけなかったとは、溜息しか出てこない】
【レオがコマチを抱え上げ、甲板を抉って追撃を防いだ後戦艦へ戻っていく。アルフレドはその光景を黙って見ていることしかできなかった】
【……今彼らへ戦いを挑めば確実に犬死にだ。最初から、ここで終わるとは思っていない。必ず次の機会はやってくるはずだと】


覚えておけよ……音無小町、それにその仲間連中。
ここで終わりじゃない。その喉元を噛み千切るまで、僕は貴様らを追い続けるぞ――。

………、そして。今の言葉は貴様宛でもある、『赤の月』。
僕には貴様らの思想も受け入れられない。次に会ったときは……わかっているな。


【去っていくレオとコマチの背に、アルフレドはそれだけ呟く。それが、彼らの耳に届いたかどうかはわからないが】
【とにかく、戦いは終わった。彼は『赤の月』の兵士へ憎々しげに視線と言葉をかけた後、悔しげな表情で機内へ戻っていくだろう】
【コマチ達だけではない。今の状態ではこのテロリストに挑んでも同様に返り討ちにされるだけだ。渋々ながら、背を向けるしかなかった――】


【――その後、彼に出来たことは何もない。ボロボロの体を引きずってどうにか体を固定し、不時着の衝撃に耐えるだけだ】
【機体が着陸したなら、ジンジャーやジャンクちゃん、ドクター・アマギ……誰でもいい、とにかく無事な者から、中で起きたことをすべて聞き出そうとし】
【また同時に、こちらで起きたこともすべて告げるだろう。一連の顛末はもちろんのことだが、「サン・キュロット」の正体が『赤の月』であったことまで】

【もし、情報を提供してもらえたならば――ここでも台頭する宿敵・『スクラップズ』に怒りを燃やすと共に】
【受け取り手であるムクのことも勘定に入れ、今回の依頼を改めて振り返り整理し始める。得られた事実と、そこから推測できる"結論"を……】


……連中にとっても、ここで終わりではないのでしょうね。
『旧遺物』には何かしら大きな価値があるのでしょう? それが奪われてしまった以上は……。

SCARLETとしても、僕個人としても、この件は座視できません。どうかまた助力させて下さい。
他にも色々、話したいことや確認したいことはありますが……申し訳ない。流石に、限界……の、ようです。
その辺りのことは、また後日、お聞かせ願えれ、ば、と…………。


【アルフレドは最後に、真剣な表情でそんな事を告げるだろうか。――そして、言い終えた後】
【考えに没頭していて気づかなかったのか、今更ながらに自分が満身創痍だったことを思い出したように、その場でぶっ倒れてしまうだろう……】
【彼だけでなくジンジャーも大きく消耗したようだし、戦士達には休息が必要だ。事後処理は後に回したって良いはずである】

【――戦いはひとまず、終わった。だがあの"悪"が存在し続ける限り、若き刑事が思考を止めることは決してないのだろう】
【そのためにも、彼は情報を欲している。眠りながらでさえ考え続ける。古代遺物類≪アーティファクト≫や『旧遺物』とは何で、何の為にあるものなのか】
【そして……敵が"真に欲しているもの"は、本当にそれだけなのか?その先にある真実こそを、アルフレド・フェリシアーノは探し続ける――】


/目が冴えちゃったので先に返信しておきます
/主催者様&参加者のお二方、お疲れさまでしたー! 楽しかったです!!
585 :“赤い月” ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/07/12(日) 10:49:11.23 ID:60YoiPFSo
>>582 >>584

【一歩一歩と奴は近づいたが途中で足を止めた。眩しすぎるその上空に目をやる。バイザーが自動的に調節する】
【ヒビが入っていて少し調子が悪いが、敵の増援だということはわかった。――退くべき時が来たということもだ】

【立ち止まり、敵が増援に連れられて去っていくのをただじいっと兵士は見ていた。内心どういうことを考えているのか】
【全くわからない不気味さがある。電池の切れたロボットのように立ち尽くし…彼らが去って行くと早々に踵を返した】

【アルフレドの言葉と、視線が刺さる。無視するように歩いたが、途中で止まりそちらの方を向くと一言で、片付ける】

任務御苦労

【もしこれが革命家でなければ優秀な兵士であっただろうか。冷静に判断し、時には大胆不敵に行動。最新技術の装備品――】
【ハゲた塗装の下から金属の下地…型番が見えた。英字と数字の羅列でしかないように思えるだろう】

『警告!警告!機体に重大な損傷在り!現在コンピューターは不時着に申し分ない平地を探し当てる事に成功いたしました
これより投機は飛行不能に陥る前に不時着を開始いたします―――皆さま、対ショック態勢をお取りください』

【警告音が鳴り響く、五月蝿いな。今日は聞き飽きた。兵士は衝撃に備え、それをやり過ごす。兵士もぎりぎりの状態だ】
【サブバッテリーのシステムで動いているため歩くのが精一杯。武器も失い、装甲も持つかどうかわからない常に注意警報が画面に出ている】

【兵士は立ち上がるともう一つのコンテナの元へ歩いて行く。パスコードのロックを外すと、中からは小型のジェット機が現れた。折りたたまれた】
【羽を広げてもまだ小型だ。飛行機というよりエンジンを積んだカイト、スーツ用の飛行ユニットに近いか。逆にそれに比べると大きくなってしまう】
【現代の飛行機なんてものは出力の大きいエンジンとコンピュータさえ積めるのであればなんだって飛ばすことが出来る】
【兵士はそれを装着すると、エンジンに点火する。ジェットは双発でVTOL機のようにその場で上昇し、ある程度の高さまで達するとエンジンを操作し】

【ジェットのバカみたいな加速で衝撃と騒音を残して去っていくだろう。このまま居ても、最悪殺される。一番マシでも質問攻めに会うことは間違いない】
【もともと脱出する予定だったのだ。警察や六罪王にその力を示し、実践データも手に入れる。1番目的を達成したのは彼らだっただろう】


/主催者様、参加者の皆様 お疲れ様でした!
586 :スクラップズ [sage]:2015/07/12(日) 15:58:59.52 ID:aI5KpnApO
>>582>>583
【アルフレドの空圧弾で通信機が弾かれ、カニバディールの元にノイズが届く】
【しかし、盗賊どもは行動を止めない。自分たちの役目は理解している】

すまないなドクター、こちらとしてもこれは手に入れねばならん物なんだ!!
あの喋る犬にはありのまま伝えるといい!! 『スクラップズ』が、あの薄汚い盗賊どもが、卑劣な手段でブツを奪い去って行った、とな!!

(受取人は彼奴だったのか……しかし、先のジンジャーの言葉と合わせると)
(奴ら『財団W』とその関係者も神器の存在を知っていたことになる……彼奴ら、いったい何者だ……?)

【ドクター・アマギに叫び返しながら、盗賊どもは全力でエンジンルームを駆け抜ける】
【『フライング・オレ』で空中に舞い上がれば、眼前に現れる巨大な戦艦】
【六罪王はやることが派手だと、異形どもは心中で呟きながら戦艦へと収容されることだろう】


……一撃であの飛行研究所を不時着に追い込むとは。さすがは最優の戦士ですな

【感服を示しつつ、カニバディールは地表へ向かう研究所を見やる】
【宿敵の一人アルフレドの姿を遠目に見てにたりと笑い、研究所から飛行ユニットで飛び去る『赤い月』のメンバーをじっと睨む】

【されど、それ以上のことはせず。後は戦艦内部にて、傷を負ったコマチの回復を待って】
【彼女らに事の次第を報告するだろう。ジンジャーとジャンクちゃんとの交戦、彼らの戦闘手段】

【そして、箱の受取人が大山ムクと呼ばれる喋る犬であったことも】
【無論、それに先んじてまずは箱を差し出す】

かなり、手こずらされましたが……ドクターが守っていた箱は、確かに手に入れました

【彼女たちがそれを開ける時。それが新たな波乱への第一歩となることを予感しつつ】
【異形どももまた、光の矢に穿たれた傷を忌々しげな表情を浮かべて治療し始めるのだった】

/時間が出来ましたので、失礼ながら出先からケータイでの返レスとさせていただきました
/主催者様、参加者のお二方、お疲れ様でした!! ありがとうございました!!
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2015/07/12(日) 16:17:31.78 ID:aAWzYhJH0
【水の国】
【そろそろ夏の時期だろうか、容赦なく照りつける太陽がそれを教えてくれる】

【――さて、そんな国のとある公園での出来事だ、それは数時間前から起きていた】
【その公園のとある一角が、まるで(弱めだが)クーラーでも効いているかのように涼しく人だかりも出来ている】
【これほどまで涼しいのは"自然では"考えられないが……】

「(ククク……)」

【人だかりの中心にいるそれは、……爪が薄青色の結晶で出来ている白熊だ】
【身長2mは超えているだろう、立ち方は明らかに人間でデフォルメが効いている事もあってどうも着ぐるみくさいが……】

【そしてその白熊を中心とするおおよそ半径20mに、大小さまざまな薄青色の結晶が生えており……】
【よく見れば、地面もこの結晶に覆われているではないか】
【どうやらこの結晶が、冷気を発しているようだ】

【看板――料金は白熊に渡してください・会計や加工も白熊が受け付けます】
【入場料:(安い金額が書かれている)】 【商品販売:コールド食品色々、オーダーメイド・持ち込み品加工も可】
【さらに涼みたい人は、中央にある階段から地下へどうぞ。机や椅子、各種商品完備。】

「(提ォ灯アンコウの気ィ分だぜ、地ィ下に入ったら二ィ度と出れないとも知ィらずになァ!)」

【――はて? 公園に地下なんてあっただろうか?】
【そもそも、営業許可なんて取っていない。それを知れるものならすぐにわかるだろう】
588 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/12(日) 19:21:44.15 ID:mTWN4T3xo
>>571


【相変わらず彼女の言い回しは難解だ。】
【とはいえ、褒めてくれているのは理解できた。】
【自警団であり必死に勉強していた手前、理解できませんとは言い難く、】


き、恐縮です‥‥。


【と、ただ一言返すのだった。】


──!!……お、おお……。


【──目の前に差し出された鳥に、目を見開きおずおずと手を伸ばす。】
【書きすぎて腱鞘炎になってしまうそうな掌をいい感じに癒す──。】


な、なんていい鳥なんだ……。


【(小学生並みの感想)】
【足りないオツムをこれでもかと露呈した。】
589 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 20:17:36.05 ID:HmQ7nWJto

【公園】

【そこは錆びた遊具と小さな砂場が申し訳程度に存在するだけの、路地の端にひっそりと存在する小さな公園であった】
【夜も更けてきたこの時間帯はもちろんのこと、昼間でもあまり人が集まらないような場所である】


――――! ふっ…………!!


【人気がないということは、誰もいないから安全と取ることもできるけれど、逆に不審者に襲われても助けを求められないリスクだってある】
【その辺りの事情を――黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服に身を包んだあの少女は、理解しているのかどうか】
【……いや。剣呑な表情で"薙刀"を振り回すその少女に、自分から喧嘩を売りに行くような不審者が果たして存在するのかは、甚だ疑問ではあるけれど】

【件の少女は恐らく高校生だろう。白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛と、櫻風の顔立ちが特徴的だ】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてを一直線に切り揃えた整然とした髪型をしており】
【漆で染めたような黒髪は若干ながら日焼けしているようで、街灯に透ければほんの少し赤紫色を差す。少女が薙刀を振るう度、その長い髪が揺れた】


……、リゾートって! 水着って!! どういう、つもりなのよ!! 全く……!!!


【――心なしか公園内の気温は、実際より随分冷たく感じられるだろうか。まるで教会の中にでもいるような神聖≠ネ雰囲気が、一帯を覆っているせいだ】
【他者の侵入を阻むかのような抑圧された空気。だがそれは、人為的に形作られているにしては甘く、どちらかというと自然現象に近い感触がある】
【その出所はあの少女なのだが……何か恨み節を呟きながら八つ当たりじみて薙刀を振るう姿は、およそ神聖さなどとは程遠い幼稚さであった】

【ともあれ。異様なのか普通なのかよく分からない少女が暴れまわる公園だけれど――別に、入り口を封鎖されているわけではない】
【少女の姿を奇異に思って近づくでも、少女には気づかずたまたま公園に踏み入るでも。誰かが現れれば、そこに新しい"物語"が紡がれることとなる――】
590 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k :2015/07/12(日) 21:08:28.00 ID:WB12vsNJO
【とはいえ、褒めてくれているのは理解できた。】
【自警団であり必死に勉強していた手前、理解できませんとは言い難く、】


き、恐縮です‥‥。


【と、ただ一言返すのだった。】


──!!……お、おお……。


【──目の前に差し出された鳥に、目を見開きおずおずと手を伸ばす。】
【書きすぎて腱鞘炎になってしまうそうな掌をいい感じに癒す──。】


な、なんていい鳥なんだ……。


【(小学生並みの感想)】

そう、良い鳥なのよ。
そういう、素直な感想こそ大切なものなのよ?

【青年の、おおよそ青年らしい物言いに、藍璃は気分を害することなく、寧ろ上機嫌に微笑む】

私のような、感想を求める人間にはね、気取った評論より素直な感想の方が嬉しいものなの。
ふふ、気分がいいわ……久方ぶりの会話、悪くなかったわ。

【そうして藍璃はコートを引っ掴み】
【おおよそ優雅に着てみせる】

そうそう、忘れるところだった……《金翅鳥》おいで。

【青年の手の上の金翅鳥が翔き、藍璃の肩に移る】
【そうして自ら羽をついばみ、一枚を差し出した】

あらあら、このこも貴方が気に入ったみたい……貰ってあげて?
その羽にも、僅かだけどヒーリングの効果があるーー気疲れした時にでも、思い出してみて。

【そうしてほのかに暖かい、金色の羽を差し出した】

さてーー私はそろそろ御暇しようかしら。
吟遊詩人は観察者。一つの場所にはとどまらないーーもしまた巡り会った時は、きっと運命なのでしょう。
それもまた楽しみとして、ではではこれにて会話は閉幕。
旅する吟遊詩人が居たそのことだけ、覚えてくれたら嬉しいわ。

【羽を机の上に置いて、藍璃は身を翻す】
【向かうは出口、会計は既に終わっていた】

/終わらせれるようにお返しします!有難うございました!
591 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k :2015/07/12(日) 21:10:48.23 ID:WB12vsNJO
/コピーしたのを消し忘れてました、申し訳ない……
592 :鳩ヶ谷 ◆eKWCneGadk [sage]:2015/07/12(日) 21:54:22.97 ID:mTWN4T3xo
>>590


【羽根を受け取る。触れるだけで心が和らぐようだ。】
【効力が失われるのが勿体ないので、すぐに小袋にしまう。】
【少ない語彙の率直な感想が、適当と疑われなくて良かったと思う。】


ええ、またいずれ。多分どこかで会えると思いますよ。


【何のジンクスか、世界は広くとも一度かかわり合った"能力者"は再び巡り会うことが多い。】
【この一枚の羽根というきっかけが、いずれその因果を物語るのだろう。】


/なんだか短めになってしまい申し訳ございません。
/またいずれ絡んでくれると嬉しいです。
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/12(日) 22:00:05.66 ID:rerCL1y40
>>589

【蒸し暑い夏の夜、どこか遠くで祭りでもやっているのか、それとも、お囃子の練習でもしているのだろうか。太鼓の音がする】
【最近は櫻風の祭をやっているところもたまにある。――ふらりと現れた人物を見れば、今日がお祭りの日なのだと、すぐに知れて】

……、?

【かりり、がり、と、噛み砕くような咀嚼音。割りばしに林檎を突き刺すだなんてずいぶんとアンバランス、手元はぞんがいがっしり掴んで】
【不思議がって首を傾げながらも林檎を齧るのはやめない。公園の入り口、背の低い柵に林檎飴を持たないほうの手を触れさせて、】
【ほんの少しの間、“彼女”の様子を見ていたのだけれど。――足元で靴をぱたぱたさせていた、それなら足が疲れているのか。結果、数分も経たないうちに】
【ふらりと公園の中に踏み入って――、ベンチを探すのだけれど。唯一のベンチは、どうやら、薙刀を振るう彼女のそばにしかないらしい】
【少しだけ眉を下げて考えてから、だ。彼女はちんまりとそのベンチに腰掛けようとするだろう、もちろん何もなければ――だけど】

【真っ黒い髪はきっと長い。だけれど今は、くるりと低いお団子にまとめて、髪飾りをつけていて】
【瞳は左右で色が違って、左が黒で右が赤。右耳には月白色の宝玉――の欠片をあしらったピアスをつけていて】
【黒布の裾に赤い金魚をあしらった浴衣。帯は赤で、背中でリボンのように結んでいて。足元はからころと下駄をはいて】
【手首には金魚を入れるあの袋、に詰め込んだ、きらびやかな偽物の宝石。揺れるたび、あいまいにからからと鳴く】

あ……えっと、こんばんは、? ……ちょっと疲れちゃって。わたし、居ても、だいじょうぶ――ですか?

【ちなみに、他にもビニル袋をぶら下げている。中には薄らとパック詰めが透けて、それなら、焼きそばか、たこやきか、結構たくさん持っていて】
【それをベンチに並べて、一呼吸……すると、それから、少しだけ不安げに相手へと声を投げるのだろう。さすがにそのときは林檎から口を離し】
【口の端っこを色付き飴の赤さに染めながら。真っ白な肌はわずかに上気したまま、じっと、相手を見つめて――ゆるく、首をかしげるのだろう】

【どう見たってお祭り帰り。わずかに崩れた髪に、上気した頬、少し気の抜けたように笑ってみせる様子、そのどれもにまったくもって敵意のようなものはなく】
【ただ、気になるとすれば――彼女が、どこか、山の中の川辺に佇んだときのような。どこか水の匂い、水と、木々と――そんなような匂い、あるいは気配を纏っていること】
【五感でもって確かめれば、そんな匂いはしなかった。それなら、彼女が纏う気配らしい。――どこか、相手に、似通う?】

/まだいらっしゃいますでしょうかー?
594 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 22:28:10.75 ID:HmQ7nWJto
>>593

【――じろっ、と。公園に入ってきた浴衣姿の女の子へ、不機嫌そうな視線が投げかけられるだろうか】
【相手が相手ならそのまま乱闘騒ぎに発展しかねない形相だ。……それも別段彼女を嫌悪したわけではなく、別件の八つ当たりというのだから大人げないが】
【とはいえ流石に、少女の方も相手ぐらいは弁える。手元の薙刀を突きつけなければならない人種じゃないことぐらい簡単に解って】

【無言を貫き通したまま、少女はベンチから少し離れて背を向けると、また素振りを再開するだろう】
【挨拶どころか会釈もない、とんでもない無愛想。ただ――ピリピリと引き締まる"神聖"が、言外にそちらを意識していることを告げていた】


ここは公共の場よ………。別に、私に許可を取る必要はないわ。

…………、近くで夏祭りでもやってたのかしら。


【話しかけられたなら、振り返らないまま少女は答えるだろう。ごく最低限の台詞、とても感じが良いようにには思えないけれど】
【――まず、少女が感じたのは妙な雰囲気だ。流れる水に木々のさざめき、そんな慣れ親しんだ"自然"の気配を背後に感じたような気がして】
【ちらりと、そちらを伺う。……けれど次に少女の目に留まったのは、雰囲気のことではなく彼女の格好の方であった】

【この少女が櫻出身なのは一目見ただけで解るだろう。夏を感じる涼やかな出で立ちへ、ぽつりと呟くような言葉が舞う】
【相も変わらず無愛想な黒い瞳に、僅かばかり郷愁の色が覗いたように思えたのは、果たして気のせいだったか――】


/おりました、よろしくです!
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/12(日) 22:47:04.12 ID:rerCL1y40
>>594

【じろりと睥睨されれば、少女は一瞬身体をびくりとさせる。気持ち、身体をちぢこめたようにも見え】
【……たのだが、それで悲鳴を上げて逃げ出すほど小動物みたいな性格でもなかったらしい。ただ、少し、顔の前に手をかざされた猫のような】
【ぶつのかどうかを確かめるような間を一瞬あけながらも――大丈夫らしいとみれば、前述のとおり、ベンチに腰掛け】

そうかな……でも、すごい、――真剣なみたいだったから。

【なんて少し困ったように笑う、その心中では「リゾート」とか「水着」とか、さっきの少女のつぶやきが思い返されながら】
【行きたくないのかなあなんて考えて、(わたしも、お水、苦手だしなあ……)なんて、どこかずれた風に勝手に同じような気持ちになっている】
【水着、いやだなあ。そう考えたあたりで、夏まつりなのか――と聞かれれば、目をぱちくり。林檎飴に歯を立ててから】

……うん、あっちのほうでやってたの。でも、すっごいひとだよ、あんまりにじめじめしてるから、逃げてきちゃった――。
それに“へびさま”とはぐれちゃったの。今頃探してるかなあ、携帯電話のこと、きっとまた忘れてるんだろうな……――。

【最初の数言は林檎のせいで少しもごもごしながらも。ついと指さす、あっちのほう――とはずいぶんアバウトだが、確かに太鼓の音もそちらのほうから】
【控えめに嬉しそう/楽しそうに足を揺らしながらだから、大変だったと愚痴るようなのもあんまり真剣みがない。というか、彼女の恰好を見るに】
【浴衣にたくさんの食べ物に林檎飴に宝石つかみどり、これ以上ないくらいに満喫しているのではないか。――それに、ソロ参戦ではなかったようだし】

【へびさまとはなんだろう。誰か人間のあだ名なのか、それとも、ほんとうに、“へび”――?】

リゾートに行くの? いいなあ、わたし、海とかもうずっと行ってないの……。
子供のときからだから、もう、十年以上かな……、――。

【けれど彼女にとってそれは普通のことすぎて、相手が不思議がるかも、とも、思わない】
【話しかけてくれたなら、会話になるかもと少し期待して、今度は彼女から尋ねてみるのだろう】
【答えたくないなら、寸前のへびについて触れてみるといいかもしれない。それならそれで、彼女は答えてくれるだろうし】
【どちらの話題を選ぶのか――それとも別の話題に移すのか。それは、きっと、相手の少女にゆだねられて】

/しょっぱな遅れてしまいました、すいませんっ
596 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/12(日) 23:13:15.61 ID:HmQ7nWJto
>>595

【真剣みたいだったから――なんて正面切って言われると、少女としては何か気まずいモノを感じざるを得なかった】
【無言のまま微かに瞳を泳がせる。本当はこの素振り自体、まじめな鍛錬ではなくストレス発散のためだったのだから……】


"へびさま"………? 
………何よ、それ。友達のあだ名か何か?


【朧げな方向へ向けられた指先を追えば、なるほど確かに。熱中していて気づかなかったが太鼓の音がする】
【心臓をどんどこ跳ね上げて、心まで楽しい気持ちにしてくれる低音。――そう純粋に思っていた時期も、あったか】
【少女の瞳に去来した郷愁に一瞬、複雑な感情が交じった。しかし、幸いだったのか不幸だったのかはわからないけれど、その考えは中座する】

【――我ながら、どうにも敏感になっていけない。"へびさま"なんて奇妙な呼び方をされると、思わず人ならざる何かを想像してしまうのだ】
【彼女の口調からして悪い存在ではないのだろうけれど……少女は思わず問い返すだろう。半ば本能じみた反応だった】


ふん、私は行かないわよ……。
純粋に武を競うだけならともかく……み、水着で見せ物になるなんてゴメンだわ。

……明日から、『ヴィルデス・ビーチ』という場所で武道大会が開かれるの。
まあ、今回はお互いのプライドを賭けた競い合いというより、半ばお祭りのようなものみたいだけどね……。
向こうの街も大会に乗じてお祭り騒ぎみたいだし、行きたければ行ってみれば? ……もっとも、夏祭り以上に"じめじめ"してるでしょうけどね。


【一方――何か冒頭では憤慨していたようだったけれど、別に答えたくない話題というわけでもないらしく】
【むしろ愚痴を聞かせる勢いで、少女はあっさり返事を寄越すだろう。……答えた後で、これじゃあ意味が分からないかと思い直し】
【一応だが、付け加える。明日からリゾート地で大きな催しが開かれることと、それに便乗して街も賑わい始めているらしいこと】

【大会のレギュレーションに関しては、実は少女は大きな誤解をしているのだが、それはともかく……】
【女の子には無責任に行ってみればと言ったが、少女の方は参加する気も現地へ行く気もないらしい。元来、人混みが苦手なのだ】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/12(日) 23:31:27.82 ID:rerCL1y40
>>596

【瞳が泳ぐのは、暗がりのせいかよく見えなかった。いいなあ、なんて、うっすら思いながら】
【自分も刀は扱うけれど下手だ。なにより、ほんものを使ってしまっては、誰とも練習なんて出来やしない――とは余談だけど】

ううん、わたしのご先祖様だよ。えっと、……わたしの旦那さん、なんだけど。

【“ご先祖様”だと彼女は言った。それもなんてことないように、ごく普通のことを伝えるみたいに】
【かと思えば続くのは、“結婚している”なんて――普通じゃない。先祖であるのは百歩譲るとして、結婚、というのはどうなのだろう】
【言いながらちらりと左手を見せる。その薬指には確かにきちりと指輪がはめられていた、銀色に、桜の花の模様を彫り込んだ、指輪】
【「悪いひとじゃないよ」とも告げる。「とっても優しいひとなの」と、ふんわり笑って】

そうなの? ……見世物? ――ええ、それは、やだな……。
武道大会って、たまにやってるやつかな。前のはね、えっと……ニュースで見たよ、――その、あんまり、テレビって見なくって。
ヴィルデス・ビーチってどこだろ、水の国かな? ……ごめんね、地理って得意じゃなくって。――えへへ、

【かと思えば、見世物という単語にひどく嫌そうな顔をするのだった。見世物は嫌だなあとつぶやいて、空いている手で胸元にそっと触れる】
【小さくため息を吐くのも納得だった。だって、なんにもないのだ。女の子らしいふくらみとか、まるみとか、そういったもの】
【それから首をかしげる。「どこだろう」とつぶやいて考えてみるも、きっとその脳裏に答えは浮かんでいない、「はてな」な感じの顔をしているから】
【最後に照れ隠しに小さく笑って。また林檎を齧り取る。飴が鮮やかなばっかりであんまりおいしくない林檎、それでも、お祭り気分なら美味しくも思えて】

ううん、お仕事が平気そうだったら行ってみようかな。……セリーナってばそういうの好きそうだし、応援に行くことになるかもだけど。

【薄らと目を閉じながら林檎をかりかり齧る。齧って、齧って、そのうちさすがに飽きてきたらしい】
【横に積み上げた袋のうちの一つを取り出して開く、――焼きそばのパック。林檎飴はもともと入っていた袋に戻して、今度はぱちりと割りばしを割って】
【「あ、良かったら、食べる――?」なんて、訪ねるのだろうか。セリーナの関係者のような発言もあった。ただのお祭り娘にしては――すこし、違っていて】

【白いビニール袋はまだいくつもある。焼きそばにたこ焼きに大阪焼き(大阪ってどこだか、彼女は分かってないけど)に。これ、ひとりで食べきるつもりなのだろうか――?】
598 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/13(月) 00:03:39.87 ID:kkG318xVo
>>597


だ……旦那様? で、ご先祖様?
ちょっと、意味が分からないんだけど。何者よ、そいつ?


【ご先祖様――なら、まだ良かった。いや常識で考えると良くはないが、同じようなモノの現存を少女は誰より体で知っている】
【が、その上「旦那さん」なんて言われると驚かざるを得なかったようで。素振りを中止し、混乱した表情でさらに問いを重ねるだろう】
【ここまで来ると流石に気になった。本当はあんまり人の話に食いつくようなタイプではないのだが、すっかり興味を引かれたようだ】


そう、水の国。リゾート地って言うぐらいだし、普段から人でごった返してるんでしょうね。
……想像するだけでイヤになるわ。


【実を言えば少女も、今回の報道があるまでその場所のことは全く知らなかった。好んで出かけるタイプではないし、地理に疎いのはお互い様だ】
【特に――いま、そちらと不自然に距離を置いていることからも解るとおり。少女は結構、極端に人間が苦手だった】

【ここで二つほど付け加えるなら。この少女はその"前の大会"に出場した経験があり、もしかしたら見ていたかもしれない。名前は確か"幸徳井佳乃"】
【残りは本当に蛇足、佳乃の方も見せ物になるのを嫌がるのが分かる程度の体つきであった。……残念ながら、そちらとはベクトルが真逆だったが……】


………、セリーナって、まさかあのUTのセリーナじゃないでしょうね?
その年で働いてるっていうのも――おかしな子だわ、あなた。

別にお腹は空いてないし、いらないわ。……太るわよ?


【……どこから突っ込んでいいやら、といった表情で、佳乃はそちらを見る。こんなデタラメを言う理由なんか無いはずだから真実なのだろうか】
【相手を見た目で年下と勘違いしているらしいところも、微妙に目測を外しているが……ともあれ】
【佳乃は薙刀を地面に突き立てて固定すると、そちらから距離を置くかのよう、ベンチに直接座らず手すりの部分に腰掛け】
【その辺の野良猫のような距離感のままそちらを見やると、女の子としてなんとも世知辛い意見を飛ばした】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 00:20:35.14 ID:kA03Ne9V0
>>598

うん、――どっちも本当だよ、……なんだろ。へびさま居たら、本当だって言ってもらえるんだけど……。
……まだ電話でないかな? ――――、ううん、あとでマナーモードやめてもらお……。

真っ白な蛇さんなの、とっても綺麗なんだよ、鱗がきらきらして……。
あ、えっと、その、……わたしのご先祖様ね、蛇なの。――変かな。

【旦那様でご先祖様、何者かと言われれば、「へび」だと返す。それ以外の何物でもないというように、彼女は少し困ったように眉をへの字にし】
【証明してもらおうと取り出した携帯電話でコールをするも無反応。多分今頃慌てて走り回っているだろうと思うのだ、放置なんてひどいことをしただろうか】
【少し反省しながらも、まあ大丈夫だろうと――軽いいたずらの気持ちで。少ししてから、そう言葉をつけたしていく。白蛇らしい、“さま”というには偉いのか】
【彼女としては別にどうとも思っていないこと。ただ、今までの経験の類からか、変だろうか、なんて、相手に伺いを立てた】

【「ひとがたくさんいるところ、嫌いなの?」と彼女は尋ねるだろうか。「わたしも、暑いのは、やだなあ」なんてつぶやいたりしながら】
【そういう目で見れば確かに彼女は汗を結構かいているらしかった。だからといって熱に弱いことが判明するだけでしかないのだけど】

……そうだよ、UTのセリーナ。それにね、わたし、もう二十二歳なの。……本当だよ、――信じてもらえないこと、多いけど。

【はむり、と、焼きそばのなんともしなびたような麺を咥えて、もそもそと啜るでもなく食べていく。美味しそうに頬を緩ませて、上機嫌な顔】
【そこもやはり嘘吐きではないと自称する。更に相手の勘違いに説明を咥えれば、なんとも嘘吐き――というか、にわかに信じがたいことを並べることになり】
【どう見たって十六かそこらだ。最悪それ以下にも見える、それでいて二十二だというのはどんな風に見えるだろうか。――最後は少し拗ねるように、自覚はあるように】

ううん、わたしは平気なの。それよりいっぱい食べなさいって、へびさまが――。
……あ、それより、わたし、あなたのこと知ってる……かも? 前の大会、きっと、出てたよね?
えっと……、……ごめん。名前、覚えてないんだけど――わたしね、りんね。白神鈴音。UTでウェイトレスさん――やってるよ。

【太るだとか言われれば、どこか得意げな顔に見えた。ふふんと、子供っぽい顔を自慢っぽくして、言われたことをそのまま伝える】
【太るとか気にせずひたすら食べろと言われた。とにかく食べたい時に食べろと、そして、たくさん、寝たいだけ、寝るようにと言われている】
【それからついでに言えばよく遊べとも言われていて、なんというか子供扱いだと思ったものだ、――今となっては、楽でいいとも思っているものの】
【とかく、太らない体質のようだ。だから大丈夫だよと答えれば、――この距離で、ようやく、相手の顔に見覚えがあるような気がすることに気付いたのだろう】

【だけど記憶はそれまでだ。相手の名前は分からない、だから、きっと、よっぽど真面目にテレビを見ていたわけではないのだろう――】
【とりあえず自分の名前を告げる、それから、仕事と――野良猫みたいな距離感の相手を見て、人懐こい笑顔で、にこりと笑った】
600 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/13(月) 00:47:22.84 ID:kkG318xVo
>>599


すこぶる変ね。
まあ……おかしな白い蛇なら、私も見たことがあるから。信じてあげるわ。


【変だろうかと問われれば、佳乃は即答に近い速度でバッサリと両断するだろう。こんなところで遠慮する性格ではなかった】
【ただまあ――変なのと、信じないのとは別。本物がいればまた反応も変わるだろうけれど、先祖で旦那様の"へびさま"が居たって自分には何の影響もないのだから】
【あえて否定して傷つけてやることもないだろうと、佳乃はそう思った。適当に経験則を付け加えて――くすりと、笑ったか】

【――まるでその言い草に抗議するようなタイミングで、ばちりと佳乃の肩に光が散るのが見えたかもしれない】
【渦巻く"神聖さ"が肩の上に集約し、細く白い塊を形成する。そうして……"白い蛇"に、見えなくもない妙なモノが現れるだろうか】
【その傍ら、少女の問いに「嫌いだし、苦手よ」と顔色を変えず答えているあたり、どうやら佳乃本人はソレに気づいていないらしいが……】


………いや、まあ、良いでしょう。年上というのはなんだか釈然としないけれど……。

私は――幸徳井佳乃。見ての通り学生よ。
UTでウェイトレスだなんて、珍妙な仕事してるのね……あなた、戦えるようには見えないけれど。


【正真正銘UTのリーダーと知り合いで、しかもこのナリで二十二歳――正直、若干目眩すら感じる話だったけれども】
【これも理屈はさっきと同じだ。真偽は確定できないが、信じたところで自分に害のある話じゃないし、だったらわざわざ否定して傷つけることもない】
【――根は優しいのか。それとも単に面倒くさがりなだけか。佳乃はそこで背を向け表情を見せないようにするが……代わりに、彼女の肩の白いモノが軽く笑ったような、】

【少女は改めて幸徳井佳乃と名乗り、振り返って鈴音を見据えるだろう。それから、どこか値踏みするように全身を見渡して】
【ウェイトレスとはいえUTに出入りしているのだ。どうやら鈴音もUTのメンバーだと佳乃は思ったらしい。彼女の体から、"武"の片鱗を見出そうとする……】
【……どうでもいいが、年上とわかっても敬語を使わないのは信じていないからではなく元からだ。学生と本人は言ったが、無愛想な態度といいどこか不良じみている】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 01:02:17.56 ID:kA03Ne9V0
>>600

【すこぶる変。そう言われてしまえば、ある程度想定していた答えなのだが、すっぱりしている分妙に答える】
【みるみるうちに顔がしょげ返って、口が微妙にへの字になる。さすがに泣きはしないが、しょんぼりとしてしまって】
【更に蛇について苦手だとか嫌いだとか言われれば、へなーっと。しっぽとかみみとかあれば面白いようにへこたれただろう、そんな顔】
【だけど。そんな相手の肩に、蛇にも見えるような、なんだかよく分からないものが現れているのにそのうち気付き】
【しょんぼりも忘れたように目を丸くして、手を伸ばす――だけれど触れはしない。ぱちくりと目を丸くしたまま、あいまいに手を伸ばしたまま】

……でもいいよ、みんな、最初は信じてくれないひとも多いの。お店行っても、だいたい、お酒出してもらえないし……。
ううん、――わたしね、あんまり戦えないの。だから、ただの、ほんとにただの……給仕さん。セリーナと、戦う練習、してるけど――。
……ぜんぜんだめなの。鉄砲とか怖いし、びくびくしちゃうし、――、でも、櫻の刃物は好き。きれいだもの、とっても――。

【自分の見た目と年齢が違ってきているのは理解していた。いつまでごまかせるものだろうと薄ら考えながら、今は、そこまで難しく考えない】
【背を向けられてしまうと少ししゅんとしたように見えたが。振り返ればあいまいな位置で佳乃に伸ばしかけた手と、少し寂しげな表情】
【そこに武の色は見いだせない。全くないわけではないのだろうが――戦う人間には見えない。練習しているらしいが、少なくとも手練れではないのが分かる】
【寂しいような悔しいような表情。だけど、ちらりと佳乃の得物を盗み見る目は、少しだけ温度を持って。――好きらしい。あいまいに伸びた手は薙刀のほうを指し】

わたしもね、刀を持ってるの。へびさまに借りたもので、わたしのものじゃ、ないんだけど――、

――ねえ、肩に居るのは、佳乃の“へびさま”?

【なんでも少女は刀を持つのだという。へびさまに借りたとか、なんだとか、“へびさま”とやらはずいぶんと彼女に関わっているらしい】
【先祖で旦那となれば仕様がないようにも思えるが。かと思えばちょっとしたいたずらの気持ちで放置したりしてくる、ちょっぴりのいたずらこ】
【仲がいい――らしい。それは確かだった。“それ”について話すときの彼女は何とも楽しそうで、嬉しそうで、だから、】
【相手の肩に居る“しろいもの”を“そう”なのかと尋ねるときなんて、もう、目がきらきらとして――もしかしてもしかしてと、わくわくするのは、ひどく子供のようだった】

/申し訳ないのです、明日早いので、凍結していただけるとありがたく……!
/明日は用事ないはずなので、晩ごはん終わり次第、遅くても8時くらいまでには待機してられると思うのですがっ
602 : ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/07/13(月) 01:13:04.46 ID:kkG318xV0
>>601
/了解しました、ではまた明日夜にということで!
/ただ、大会イベントとの兼ね合い上、もしかすると置きレスへの移動をお願いする可能性があります……
/たぶん大丈夫とは思いますが、その場合はまた舞台裏の方でお伝えしますので! 今日のところはお疲れ様でしたー!
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 01:18:44.57 ID:kA03Ne9V0
>>602
/了解です!どちらでも大丈夫なので、再開の形はそちらにお任せしますっ
/ひとまずお疲れ様でした!
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2015/07/13(月) 18:25:07.74 ID:3NFCXEiMO
チンポ脳ほんと気持ち悪い
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) :2015/07/13(月) 18:48:46.57 ID:8vDjWrIk0
ちんちん!
606 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/13(月) 19:59:00.51 ID:kkG318xVo
>>601

【ふん、と佳乃は鼻を鳴らすだろう。本当に"へびさま"が好きなら、他人にどうこう言われたぐらいで落ち込むなと――そんな風に】
【他人の意見より自分の意見、それが幸徳井佳乃の流儀だ。……自分のようになれとまでは言わないが、怒るぐらいしてもいいんじゃないかと、佳乃は軽く戸惑う】
【そして結局は、落ち込んだ様子を放っておけなかったようで。やや慌てた調子で、「私が苦手と言ったのは、蛇じゃなく人間の方よ」と誤解だけは解くだろう】

【鈴音の手が自分に伸ばされたのを感じると、一瞬佳乃の肩がびくりと揺れる。怯え……とは少し違うか、野生動物じみた"反射"の行動】
【人混みは嫌いだし苦手だ、と言っていたが――他人に近寄られること、そして触れられること、ぜんぶダメらしい。つくづく野良猫のような少女であった】


………そう。"白神鈴音"って名前も櫻のものよね、そういえば。
眺めるだけならいいけれど、素人が下手に触ると怪我するわよ。


【やはりというか、鈴音は進んで戦いに臨む人種ではないようだ。まあ、この儚げな風体でがんがん攻め立てられたら違和感が凄そうだけれど】
【――突き立てられた佳乃の薙刀は、刃物が好きならわかるかもしれない。そこらのものとは違う特注品だ】
【全長は六尺ほど。浅い反りに波打つ刃紋、散りばめられた金剛石の破片が輝く玉鋼の刀身に、柄には赤い縄による意匠と金箔で描かれた紋様がのたうつ】
【何より、不思議な力を感じるかもしれない。佳乃が無意識に周囲へ放つ奇妙な"神聖さ"が、あの薙刀へ吸われて増幅されてゆくかのような】


刀? ……使いこなせているの、それ? それとも儀礼刀みたいなものなのかしら。

――え、あ。えっと………もう、いきなり出てこないでよ。
まあ、そんなところ。この方は蛇じゃなくて、"龍"だけどね――。


【佳乃も櫻の人間だ。それに武術の話には人一倍興味もある。刀と聞けば当然、興味をかき立てられて追求するのだが、】
【――鈴音の指摘がそれを遮る。それでようやく、佳乃も自分の肩に居る存在に気づいたようだ。まず驚き、それから呆れたように溜息を付く】
【異常なナニカではなく、見慣れた存在であることが伺えた。どころか、苦笑する佳乃の表情は"へびさま"を語る鈴音にとてもよく似ている】


『――初めまして、鈴音。わたくしは"天限"と申します。
 いきなり出てきてごめんなさいね、驚かれませんでしたか? あなた達の会話が面白くて、つい顔を出してしまいました。
 ふふ……あなたの"へびさま"はご先祖さまで旦那さまでしたね? でしたらわたくしは、この子の母といったところです』


【それがいきなり、平然と喋り出すのだから――鈴音はびっくりしないだろうか。佳乃と同質の声で"天限"と名乗った彼女も、まずそれを懸念する素振りを見せた】
【にょきっ、と天限は佳乃の肩から体を伸ばして鈴音の目の前へ、軽く会釈する。神聖な力の塊で出来た白銀の体をよく見ると、なるほど確かに】
【二本の角があり、タテガミがあり、鋭い爪を持つ手があった。東方に伝わる"龍"の姿――実際は、エネルギーを固めて"本体"の姿を再現しているだけなのだが】

【宝石のような黒い瞳が、僅かに喜色を示すだろう。明らかにヒトを越えた存在に対してこんな例えをして良いものか、悪戯を思いついた子供のように……】
【天限は、自らを佳乃の母だと名乗った。横で顔を赤くする佳乃に構わず、実は"すこぶる変"なのはお互い様なんだよ、と】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 20:46:54.55 ID:kA03Ne9V0
>>606

【あのひとのことはだいすきだ。だいすきだからこそ、他のひとにも、そう思ってほしいと思う】
【だけど、もしかしたなら――それ以上に、“彼”が“何”であるかが関係するのかもしれない。みんなに、知ってほしい】

【伸ばした手、驚かせてしまったようなら、彼女の手もぴくりと跳ねて、「でも」と小さくつぶやく。肩に、肩に、なにか(失礼だけど)居るのだから】
【だけどなんだか言いづらくって言い出せない。嫌いだし苦手なのは人間についてだと理解して、少し、安堵した顔をしてから――】

……うん、わたしは、櫻にはほとんど行ったことないけど――わたしのご先祖様は、櫻の国に住んでたの。
神社をね、やってたんだって……へびさまが神様で――、この前ね、神社に行ったの。もう何もなかったけど……。

【確かに自分は櫻の血を引くと答える。とはいえ、諸事情により、その血はひどく遠く薄く。ならば、髪や瞳が黒いことが奇跡のよう】
【だけども右目は血が透き通るように赤い。色素が違うわけでなく、そのまま黒色が抜け落ちてしまったような――これは血筋の薄さとは無関係だろうか】
【薙刀に触れたら危ないと言われればそちらも諦める。そんなに押しが強い性格でもないようだ、言われたら、やんわりしたがってしまうような色が窺えて】
【だけど綺麗だと見つめる視線は残った。綺麗――小さく呟いて、「きれいだね」と佳乃に話しかけ。嬉しそうに笑い】

【――その“へび”は“神様”であるらしい。それなら彼女は“神様”の“子孫”で“妻”ということになる】
【そうだとしたら、彼女が薄らと纏う森や川の香り――それも、神様と近くに居るからこその特徴なのだろうか。――右耳のピアスも、薄らと同じ香りを纏うものの】

【使いこなせているのか、儀礼刀なのか。聞かれれば、彼女は、少しだけ慌てたように「違うと思う」とか「あんまり上手じゃない……の」とかもごもご言って】
【だけど使いこなせていないと思っているうしろめたさから逃げるためか、「刃から水が出るの」とか「だから、辺りを濡らしちゃって」とか「物を溶かしちゃうから」とか】
【とかく普通の刀ではないらしいことは分かるのだが――物を溶かしてしまう液体をばらまきまくる刀とか、ものすごく物騒な、予感?】

……――龍? わあ、龍なんて初めて見た――家にね、竜(ドラゴン)は居るの。ペットなんだけど……あっ、
えっと。こんばんは、はじめまして――、天限さん、? あ……天限さま。 ……ううん、平気なの。へびさまも、へびのときにしゃべったりするし――。

へびさまはね、わたしの、……えっと。いろいろなの。お父さんみたいだって思う時も、お爺ちゃんみたいだって思う時も。……その、だいすきだって思う時も、あるの。

【龍。龍なんておはなしの中でくらいしか知らない、家にもっと西洋のドラゴンめいた竜は居るけれど――あの子はこどもで、まったくもって、眼前の龍とは違う】
【“さん”でいいのだろうか。口にしてから首を傾げて、すぐに訂正したほうがいいと思ったらしい、“さま”と言い直したのは、へびさまみたいなものだと、肯かれたから】

【その姿でしゃべるのには驚かないのだという。なぜなら家の白蛇もしゃべる、それも、にょろりと長い長い蛇の姿のときも、結構しゃべる】
【それから彼女――天限の言葉には、彼はいろいろなのだと答える。どこか自慢げに、誇らしげに、父であり祖父であり或いは母親でもあるし恋人でもあるし夫でもあると、】
【「佳乃のお母さん……」と、吐息混じりの声でつぶやく。どこか羨ましげに見えただろうか、おかあさん――その言葉は、それだけで、なんとも優しげな色に思え】
【それから少し慌てた顔で立ち上がるのだ。ずっと座っていた、佳乃にとってのへびさま、お母さん――まだ彼女とは会ったばかりだけど、大切なひとなのは、よく分かるから】
608 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/13(月) 21:15:42.21 ID:kkG318xVo
>>607


……、そう。それは――悲しい話ね。


【"へびさま"とは神様のことであったのか――そうだとすれば、先ほどの言葉の意味も変わる。子孫で妻なら、巫女のようなものだろうか】
【僅かに見開かれた瞳は、鈴音と自身の境遇が奇妙に符合していることへの驚きだった。こんな偶然もあるのか、と】
【――だからこそ、何となくでも察せられた。祀られなくなった神様は孤独だ。賑わった神社も消えてしまったなら、なんとも物悲しい話】

【とすると、その"へびさま"から貰った刀というのも特別なものなのだろう。そう思うと納得のいく点もあり】
【水を操る刀か――と想像を巡らせてみるけれど。鈴音がそれを振り回す所を想像すると、華やかではあれど剣呑な印象は感じられず、思わず苦笑した】


り、竜がペットって……薄々感づいてはいたけれど、相当面白い生活してるのね、あなた……。
この方も、あなたの"へびさま"と同じよ。櫻の国で"龍神"として霊山を治めておられるの。

『「天限」でも構いませんよ。神なんて呼ばれていますけれど、いまは巫女たる佳乃の体を借りているだけのちっぽけな存在ですから。
 ――そう。そのお方も、さぞ良い神なのでしょうね。それに鈴音のような可愛らしい子に慕われて、きっととても幸せでしょう。
 一度直接お会いして、お話してみたいものです。そのお方はどのような"神様"だったのですか?』


【天限――櫻の古い文献でも探れば出てくるかもしれない名前だ。櫻の奥地にある『辰羽山』という霊山に住まうとされる"癒しの神"の名】
【地元の者は"龍神"と呼ぶが、学者には"古龍"なんて呼ばれたこともあった。けれど、本人の性格はいたって温厚のようである】
【荘厳たる雰囲気を纏ってはいても、あくまで佳乃の母としての立ち位置で接する気のよう。もし彼女が人間だったら、優しい笑顔を浮かべているだろう】

【鈴音の"へびさま"に対する愛情を感じると、天限は何故か嬉しそうだった。同じ神として思うところがあったのだろうか】
【立ち上がった鈴音に「どうか畏まらないでください」と声を掛けると、想像するように首を動かした。"へびさま"――彼はどんな由来を持っているのか】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 21:49:07.87 ID:kA03Ne9V0
>>608

でもね、いいの。わたし、今のままでいいよ。……ふふ、今も神社があったなら、楽しいかもしれないけど――。
えらそうに“かみさま”してるへびさまなんてきっと変だよ、不器用なのに……。お皿洗ってもらうとね、絶対なんか割っちゃうの。

へびだから、まだ腕とか足に馴れないんだって。……ほんとかな? わたしね、ちょっぴり嘘だと思ってるんだから。

【悲しい話――なのだろうか。ひとによって作り出された神が、ひとの心から消えてしまう。或いは、見捨てられてしまう】
【確かに悲しい話だと思った。あの蛇はそれをどう思ったのだろう、悲しかったのか、悔しかったのか、聞いてみたことが、なかった】
【彼は結局それで奇跡を起こす力というのをほとんど喪ってしまった。誰も信じない神に、どんな奇跡も起こせるはずがない。当然のことだった】

【――巫女だという気持ちは薄い。だけれど、時代が時代で場所が場所なら、そんな役割を持つのだろう】
【世界中でたった一人、今にも消えてしまいそうな神様をつなぎとめる――それが自分の役割だと思っていた。もはや、役割とも思っていなかった】
【自分には神様がいて当然で、神様にも、自分がいて当然で。それで二人成り立ってきた、信仰を広げて、再び力を取り戻してもらおうとも思わなかった】
【閉塞して緩やかに終焉を迎えるだけの関係性。ただお互いがお互いのことをだいすきで――或いは神様そのものが、そんな平穏を望んだような】

あ……でも子供なの。だから怖くないよ、……これっくらいの大きさかな。ぽかぽかしてあったかいんだよ、……冷房の入ってる部屋でなら。

【遠回しに熱いと告げる。炎の属性を持つ竜なのだろうか、示した大きさは一メートルより小さいくらい、なんてことない、珍しいペット程度の認識】
【「角のある兎とかも……」なんて言っていた。それってもしかしなくても伝承の生き物のアレだろうか、ジャッカロープとか言う――つのうさぎ】

龍神様……、じゃあ、へびさまよりも、偉いのかな……。蛇は龍になるって何かで見たの、わたしは、蛇の子だから――、
!――へびさまもっ、へびさまも、わたしの、――その。わたしの身体を貸してあげてるの、ほんとの身体は、もう使えなくって……魔力とこころだけが、ここにいるの。

【呼び捨てでもいいだなんて言われれば彼女は「でも」とか「だって」とか言ってもじもじしていた。人見知りの子が、数年ぶりの親戚に出会ったときのよう】
【なんというか――似通った境遇で、これまた自分の神とどこか似る龍神に出会って、親近感のような。よく似た恥ずかしさのようなものを、抱いているらしい】
【だけれどもう一つ似た点を見出せば、ぱっと瞳をきらめかせ――わたしたちもそうなのだと、彼にはわたしの身体を貸すこともあるのだと言って】

【(ただ、まあ、あれは雄で彼女は女の子なので。いつもいつでもというわけではない、彼も気を使ってか、魔力でもって身体を構成して、出歩くことがほとんどで)】
【(だからこそお祭り会場ではぐれて大惨事になったりするのだが――探し回っている少女が別の神と雑談中とは、まさか思うまい)】

……へびさまね。川の神様だったんだって、むかし、すっごい、すっごい、氾濫っていうのかな……溢れちゃう川があって。
そこに住んでたらね、ひとに見つかったんだって。それで、真っ白な――アルビノの蛇だったから、あっという間に神様にされちゃったって。言ってたの。

【その神様に明確な名前はない。あったかもしれないが、伝承には残っていないし、本人もそういったところに頓着しない】
【だから不明。とりあえず名無しの神として扱うものの、ただ、伝承のどこにも残っていないわけではない――とは余談なのだけど】

/すいませんです、長くなってしまったので二分割で……!
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 21:49:35.53 ID:kA03Ne9V0
>>608>>609


【そのあとの話はこうだ。そうして神として百年近くを過ごした後、彼の元に、ある赤子が或いは厄介払いのように――生贄として連れ込まれる。アルビノの、女児だった】
【彼はその子を喰うでもなく育ててやって、やがて妻として愛する。しかして、人間が神のように永くを生きられるはずもなく、別れ――“蛇神”は、怒りと悲しみとで、川を操り、村を沈めた】
【それが原因で彼は邪神として封印され、社の中で震えていた女――子孫は命までも奪わない代わりにその地を追われ、そのあとのことは誰も知らない】

【御伽噺のように聞かされていたこと。彼女には昔のことすぎて実感が薄い、というか、ほとんどない】
【けれど他人事ではないのだった。それは、彼女が子孫だからというだけでなく――、】
 
わたし。その女の子の生まれ変わりなの、……そうだってへびさまは言うの。わたしは、知らないし、覚えてないから、分からないけど……。

【何より白蛇の神が愛した人間。その生まれ変わりが自分/彼女なのだというのだから。――「ほんとかなあ」なんて、少し、茶化して】

【あんまりにもあっさりと自分たちのことを教える。それは、きっと、よく似た佳乃と天限のことを信用したのだろう】
【もともとひとをむやみやたらに疑う性質でなかったのはそうなのだけど――それにしたって、二人のことを、よく信じたようだった】
611 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/13(月) 22:23:36.44 ID:kkG318xVo
>>609 >>610


言い方は悪いけれど、愉快な方ね。……天限さまも同じよ?
初めて体を貸してあげた時なんて、戻ったら体中痣だらけで笑っちゃったわ。


【"へびさま"との関係と、鈴音自身の性格と。お互い妙に共通点が多いこともあり、ここまでの会話で佳乃もずいぶん心を開いたようだ】
【――もしも天限が同じことになったら、自分も鈴音と同じように思うだろうか。彼女自身が望まないのなら、自分の中でゆっくり暮らして欲しい】
【そんな風に、思えるのだろうか。……想像が付かないほど、天限は佳乃にとって身近な存在だった】
【悲しい話ばかりでは疲れてしまう。不器用なのはどこの神様も同じかと、佳乃も昔を振り返って楽しげに微笑した。抗議の目線を送る天限に構わず】

【うちは結構いっぱいいっぱいなので、ペットを飼う余裕はないが――鈴音の話を聞くと少し、飼ってみたくもなって】
【どうせなら犬や猫より、鈴音の家のような奇抜なペットを飼ってみたいと思うのは素人考えか。けれど人嫌いな分、動物と接するのは悪くないように思えた】


………、なるほど、あなたの"へびさま"はそっちの由来な訳ね………。

『川の神、ですか。わたくしとは少々趣が違いますが――その方も、たいへんな苦労をなされたようですね。

 ――しかし、考えてみればなかなかに、"ろまんてぃっく"なお話ではないですか?
 ずっと昔に死に別れたひとが生まれ変わり、この時代でまた巡り会う、だなんて。
 ふふっ、しかもその子は再び妻となり、好き合っているのでしょう? なんとも情熱的なお話です……』


【鈴音の口から語られた"神話"を咀嚼して、まず佳乃が唸った。神様が生まれる要因にもいくつかあるが、天限とは少し違うタイプだったから】
【巫女とはいえ現代人である佳乃にとっては、本当に御伽噺の世界。鈴音自身がそうであるように、あまりピンと来てはいないようだったけれど】

【天限の方は、すっと目を閉じると、数百年の月日を馳せるかのように低い声色を発した。苦労を察するような一言だけだったけれど――神々しく、重い声】
【しかし、それ以上は続かなかった。人間である二人の手前、敢えて言及を避けた面もあるのだろうけれど、】
【……それにしたって、後に続いたのはあんまりにも所帯じみた言いぐさだ。佳乃が呆れたような視線で"母"を見つめている】
【この龍神も変なところで女性格らしい。ちいさな龍の姿では表情もわかりにくいが、声の高さだけで年頃の乙女のような雰囲気が伝わってくる】

【まあ、そんなでも神様目線の意見ではあった。生まれ変わりではあれど、その事に自覚のない鈴音がどう思うかはわからない……】
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 22:44:28.09 ID:kA03Ne9V0
>>611

そうなの、ぶきっちょさんなんだよ。普段はかっこいい顔してるのに……お裁縫だって出来ないんだから。
……でもね、いいの。へびさまに出来ないことはわたしがやればいいんだもん、わたしに出来ないこと、きっとへびさまもできるし――。

わたしはね、へびさまに身体を全部貸すことってないんだけど。でも、昔、一回あって……そのときはね、足とかに痣、できてたなあ。

【「きっとぶつけたんだね」と言って、思い出し笑い。ひどく愉快げにころころ笑えば、――そう、彼女の声は鈴の音とよく似ていた】
【くすくす笑っていると、鈴を手のひらで転がすみたいだ。ころりころり、鈴が笑ったりできたなら、こんな声で、笑うのだろうか】

【こんなことで話が通じるひとなんて、今まで知り合ったことがなかった。だから初めてだ、うちの神様が不器用で困るだなんて】
【お裁縫を手伝ってもらえば指を突き刺す、お料理を手伝ってもらえば、包丁で指を切る。お皿洗い? もちろん、お皿を落として割って】
【かつて一度だけ本当にすべて身体を貸したときは、脛に痣や膝小僧に擦り傷が出来たものだった。――「なつかしいなあ」と小さく呟いて】

【奇抜なペットは、別に彼女が望んだわけではない。いや、ペットが欲しいなあとつぶやいてみたことはあったのだが】
【そしたら知り合いがどっかからか持ってきたのだ。竜は、顔見知り?――見たことがある個体だったが、つのうさぎについては別】
【「それどこから持ってきたの?」と尋ねたら「さあ?」と首を傾げられた。からかわれたことしか、分からなかったものだ】
【きっとその考えを口にしたなら、ペットの良さでも教え込まれただろうか。動物は好きそうだ、そんな顔をしているから】

わたしにね、会いたかったんだって。封印されてる間、ずっと、ずっと、逢いたくって……それでね、わたしが生まれて。
何百年も待っててくれたの、わたしのこと。だから、ね、――わたしもね、だいすき。ううん、だからじゃなくっても、すき。

【彼の話をするときは嬉しい、だけど、こんな話題だと少し照れくさい。背中の後ろに手を組んで、恥ずかしいようにふらふらと揺らし】
【本当は聞かされていない話もある。だけどそれは知らないからどうとも思えない、だから、知っていることだけ――彼が聞かせてもいいと判断したところだけ】

……でもね、たまに思うの。へびさまがほんとに好きなのは、――ううん、なんでもない。
佳乃、わたしの刀、見せてあげる――。こういうときじゃないと見せてあげられないの、気をつけてないと、なんでも溶かしちゃう子だから……。
それに天限さまのことももっと聞きたい、どういう神様なの? へびさまとは、違うんだよね――?

【けれどそんな彼女が一瞬視線を伏せて。少し躊躇うようにしてから、小さく声を漏らす。けれどすぐに後悔、だろうか。その声を潜めて、終わらせてしまう】
【本蛇には尋ねられないこと。少し寂しげに笑って首を振って。すぐにごまかすように笑顔になる、それで、さっき触れた刀を見せてあげるだなんて】
【宝物か大事な玩具を自慢する子供のような声。ふと迫った恐ろしい選択肢を忘れようとするように、それだけじゃ足りない、と、天限のことも聞きたがる】
【彼女のほうが年上だって性格はあどけない。佳乃か天限が何か言えば聞いてくれるだろうが、――とりあえず、ベンチの上の食べ物は忘れているよう】
613 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/13(月) 23:25:47.60 ID:kkG318xVo
>>612


そうね。神様って言っても結構間が抜けてるって言うか、子供みたいな所があって――。

『……あらあら、佳乃。良いのですか、そんな事を言って?
 確かにわたくしもできませんけれど、あなただってお裁縫はできませんよね。お料理もお皿洗いも。
 神であるわたくしはともかく……あなたは年頃の娘として、それはどうなのです? うふふっ』


【佳乃の方も――神様を家族に持つなんて経験をしている人間がそうそういるはずもなく。それをこんなに身近に話が出来る人間は初めてだった】
【……ちょっと違うのは、こちらの場合は天限はもちろん佳乃も全く家事ができないことなのだけれど。調子に乗り過ぎた佳乃は、ついに神からの反撃を食らった】
【うっ、と押し黙ると拗ねるように目を背けるだろう。ある意味性格そのままというか……その辺り鈴音とは正反対のタイプのようである】
【二人の関係は、出来ないことを補い合うとか、そんな難しいことは考えず――本当に母と娘のように、楽しく寄り添っているだけみたいだった】


『鈴音………これは決して、神様としての言葉ではありませんけれど。
 こんなに可愛らしい子を前にして、むかしの女のことしか頭にないなんて、神以前に殿方として失格です。
 あなたの"へびさま"は、本当にそんなお方ですか? 違うと思うならば、信じておあげなさい。

 ――それに、"愛"とは掴み取るものですよ。たまにはこちらから攻めて、殿方を尻に敷くぐらいの気概も必要だとわたくしは思います』


【――鈴音が一瞬、悲しげな表情をしたのに気づいたのか。佳乃はなにも言葉が出てこなかったが、天限は少しばかり迷った後】
【これは神としての畏まった箴言ではないと前置きした上で、そんなことを言うだろう。……励まし方すらも、なんだかそこらの乙女じみていた】
【その上、愛が足りなければ攻めろとまで言うのである。佳乃もちょっと驚くぐらいの力説ぶり。神様のくせに色恋沙汰が好きなのだろうか……】


【そして――鈴音が語ってくれたのだから、こちらが黙するのは道理に反する。どちらも僅かに躊躇いがあったが、結局二人ともそう思ったようで】
【こちらもまた、龍神にまつわる"神話"を語り始めるだろう。天限が『辰羽山』に行き着き、佳乃と出会うまでの顛末を――】


『――ずっと……ずっと昔に、永い永い闘いがあったのです。わたくしはその時代に生まれた龍でした。
 その闘いの果てに、主とはぐれてしまったわたくしは疲れ果て、今でいう櫻の国にあたる土地で体を休めることにしたのです。
 少しばかり眠っていた間に――わたくしの体は山となって、やがて人が住むようになりました。

 そこでわたくしは、あるとき彼らと契約をしたのです。動けないわたくしを"悪意あるもの"から守ってもらう代わりに、わたくしの力を授けると。
 その頃には、わたくしは神として祀られておりました。浅い眠りと覚醒を繰り返すうちに数百年が過ぎ……』


その"龍神を守る一族"の末裔である、この私に出会った、というわけよ――。
……最近ではもう、私の一族も血が薄れてきていてね。天限さまの声を聞けるだけの力があったのは村でも私だけだったから、よく話し相手になってあげていたの。
まあ、なんというか……私にとって天限さまは、もうひとりの母親――と、いう感じかしら。


【……天限の話は、やや抽象的だった。慎重に言葉を選んでいる感じ、もしかするとヒトには話せない領域みたいなものがあるのかもしれない】
【特に"ずっと昔の闘い"については少しばかりぼかして、櫻の国へ土着したお話。"悪意あるもの"とは……場所が櫻の国だから、妖怪の類だろうか】
【そして、その先を話したのは佳乃。――彼女は、山と神を守る厳格な巫女の一族だったわけであるけれど、肝心の神様がこんな性格だったわけで】
【天限の声を聞けた幼い彼女は、守り崇めるべき神とすっかり打ち解けてしまったのだろう。実の母とは違う、もうひとりの母と思えるほどに】

【――ただ、なぜか。もうひとりの母親、と言った佳乃の口調はどこか堅く、緊張したものだっただろうか】
【すべて話し終えると、佳乃は「刀を見せて」なんて催促してくるだろう。天限の方にはそんな様子はなく、質問でも何でも受け付けてくれそうな余裕があるのだが――】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 23:54:13.94 ID:kA03Ne9V0
>>613

【そんな二人のやり取りに、彼女は小さくくすりと笑った。佳乃が家事を不得意とするためじゃない、なんだか、そのやり取りが】
【ひどく微笑ましくって、暖かい。自分たちも他人からみたらこんな感じなのだろうかと考えて、少し嬉しくなる。そっと、指先で胸元に触れ】
【その中に彼はいないけど。彼と繋がる、何とも言えない感覚がそこにはあって――それを手繰って、二人の間に、ちいさくさざ波を起こして、戯れる】

……へびさまはね、とっても優しいひとなの。ほんとなんだよ、わたしのこと、だいすきでいてくれるの、とってもわかるの。
でも……最近、かくしごと、――してるのかな、って思うの。なんだろう、わたしに言えないこと、考えてる、みたい――。

【神様としての言葉ではないという前置きに、彼女はまなこをぱちくりとさせて、天限を見る。その瞳はわずかな不安に揺れて、或いは怯えたようになり】
【だいすきなひとが本当は誰を好きなのか。まして恋敵は自分の前世となれば、どうしようもない泥仕合。どっちがいいのなんて、聞けるはずもないし、そんな勇気もない】
【言われて、彼女の答えは、そんなひとじゃない――そんな言葉だった。とっても優しいひとだと、そして、嘘も吐けない不器用なひとなのだと】
【それでも何かを隠している。そんなの出来ないくせに、必死になって、何かを隠している。ずっと一緒に居るからそれが分かる、分かるのに、なにもできない】

…………ううん、でも、ごめんね。佳乃たちにはきっと関係のないことなの、だいじょうぶ、――へびさまもね、きっと、ほんとうに……。
ほんとうに言わなくちゃいけなくなったなら、教えてくれると、思うから……。

【でも、これは自分たちのことだった。何を隠していようと、そこに、二人を巻き込んでしまうのは、なんだか違うように思えるし】
【いきなり別の家の神様と巫女さんを引き連れてさあ隠し事を言いなさいなんて怖すぎる。だから大丈夫だと笑って見せる、天限の言葉も、元気に繋がって】
【元から信じていないわけではない。ただ、少し、不安症なのだ。そこを大丈夫だと、それこそ神様に言われれば――大丈夫だと、思える】
【なんてことなく神様を信じることに抵抗のない子だから、余計にそうなのだろう。「ありがとう」なんて笑って見せ】

【それから。二人のこと、佳乃の家に伝わる神話を教えてもらえるとなれば――少しわくわくしたような、神妙なような顔をして】
【古くにあったらしい永い戦いを彼女は知らない。へびさまなら知っているだろうか、……多分知らないだろう、なんとなく、そう思うのだ】

天限さまの身体は、山なんだ。……へびさまはね、川なの。ううん、蛇としての身体はあるけど――神様としては、川なんだって。
天限さまの身体は山になって、ひとが住んで……、それで、佳乃に会って。……、ふふ、ちょっと違うけど、ちょっと似てる、ね?

川のまわりにひとが住んだの。それで、わたしが――わたしの、前の子が生まれて。そうして、いま、神様と一緒にいて。

【佳乃が山と神とを守る巫女なら、こちらは、川と神――だろうか。氾濫を司る神を唯一従えられた少女の末裔。けれど蛇と人の子が社の中にいたように】
【秘された巫女――でもある。こうして出歩けるのは、それこそ、神が封印され、神社は壊れ、誰からも忘れられた結果だとは、少し皮肉なようだけど】

……今日、佳乃に会えてよかった。なんだろ、わたしだけじゃないって分かったのかな――いやじゃないの。ぜんぜん、嫌じゃない。だけど、
こんな話できたの、佳乃と、――天限さまが、初めてだから。……うん、いいよ。

【母親は苦手なのだろうか、と、ふと思った。だけどそこには触れることはない、まだ、触れてはいけないと思う】
【だから彼女はなんにも気付かなかった顔でうなずく。そうして空中に手をかざせば、きらりとそこに桜色の魔力光が瞬き】
【するりと空間から滲みだすように、気付けばそこに鞘に納められた一振りの刀がある。鞘から装飾の施された、一見、飾るためのもののようにも見え】
【鞘には爛漫に咲き誇る桜の花模様が描かれている。「どうぞ」と鞘ごと手渡すなら、伝わる重みは――思ったよりも軽い。少女の細腕にも扱えるほどで】
【刃を抜いた時に零れるのは単なる刃の銀とも違う。先に言った通り、纏う水面が複雑に複雑に光を反射し、言い表しがたい光模様を描き出し】
【刀自体は美しいが突飛したものには見えない。けれど纏う水と、川辺の香と――それらが、何より特別なものである証拠だった】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/13(月) 23:55:58.61 ID:1W15LhUg0


【月光に照らされる森の中。其処に響くのは魔物達の咆哮】
【見遣れば其れは人と同じ形をしていて――――知識、或いは戦闘経験があるならば其れは曾て“人間”で在った存在だと知れるか】
【今となっては思考するだけの力も無く、満たされる事の無い空腹を満たそうと延々生物を殺めるのみ】
【そんな中、乾いた音が数回。どれもが見事に心臓、又は頭部を破壊して居り】


「死んだ後も良い様にコキ使われる何て大変だよねぇ……
――――ま、安心してよ。原因は突き止めてるしキミ達の遺体も手篤く埋葬するように指示してあるからさ」

【遅れて空から舞い降りたのは純白の翼を生やした一人の修道女】
【両手に持つ双銃がその職らしからぬ印象を与えるが――――……】
【無駄な弾痕を残す事無く一発で葬ったのは彼女の優しさか、一人その場で月を見上げ】

【――――場所が場所だ。そして今宵は月が明るい事もあり、見つける事は難しくも無く】
【“音”だって存外遠くまで響いたのだから場所を特定するのも難しくは無い】
【仮にその場を訪れて見れば、翼を生やしたその通りの女が一人月を見上げている姿が視界に入るのだけれど】











【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】
616 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/14(火) 00:16:31.18 ID:cDNz4HbqO
【星の国・とある広場にて】

さあさあ皆様、空を見上げて。
宵も深き、酔いも深い?
酔ってらっしゃらない方は、是非とも私に酔ってくださいね。

【大袈裟な身振り手振りを交えて、女性ーー時雨藍璃は"謳う"】
【透き通る声は、音量の少なさを感じさせず響き渡るだろう】
【まばらに歩く人々の目が、徐々に藍璃に集まる】

今宵の演目は、何と大衆参加型!
この私と共演ーー模擬戦を行って下さる方はいらっしゃいませんか?

【見た目戦えるとは思えない女性の、驚きの一言に、多くが立ち止まる】
【藍璃は挑発的な笑みを浮かべる】

なぁに、ルールは単純。
殺さず、私を降参若しくは戦闘不能にすれば勝ち!
勝てた暁にはーーどうでしょう、この旅する吟遊詩人が素敵な夜を一日寄り添い謳いましょうーーあらあら、男性の皆様方ご興味がおありで?
なんと、女性の方まで!
大丈夫、私は人間であれば差別なんてしませんよ、なーんて。

【あえてコートをはだけ、ワイシャツから胸元を覗かせる】
【大衆の一部は沸き立ち、藍璃は蠱惑的に笑みを浮かべるだろう】

ではでは、私に挑まんとする勇猛果敢な方はお手を挙げて、でも私も簡単にぃはやられませんけどね?

【藍璃は挑戦者を待っている】
【勝利すれば彼女は特別な詩を"謳ってくれる"だろう】
【能力等の制限は無いようだ、だが彼女の能力もまた未知数である】

617 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/14(火) 00:39:18.29 ID:GoCV+cmuo
>>614

【鈴音のくすりという微笑みに、佳乃がむっと反応した。……本気で怒っている風ではない。照れくさいのだろう、要するに】
【気を紛らわすために考えてみる――大切な人に、たとえば自分が天現に隠し事をされたら、それはどんな気持ちなのだろう】
【……、最終的にはぶん殴ってでも吐かせる未来が透けて見えた。清楚な鈴音の言動を自分に当てはめるのはどうにも無理そうだったけれど】
【イヤな気持ち、というのだけはちゃんとわかる。相手が大好きな旦那様というならなおさらだろう、きっと――】


『そうですね――結局はあなたたちの問題、なのでしょう。神でも人でもそこは変わりません。
 でも、人は"つながり"を創ることができる生き物なのです。辛いときは、ひとりで抱える必要はないのですよ?
 ……同じ女性として、愚痴ぐらいはいつでも付き合いますから。まあ、この方面だと佳乃はてんで頼りないですけれど――』


【元より――天限は人の世への干渉を嫌う。とはいえ神様も関わっている恋模様なわけで、さっきは妙にヒートアップしていたが】
【大丈夫、と鈴音が思えるならばそれ以上の言葉はかけないだろう。それこそ、子を見守る母親のような態度】
【佳乃はもちろんのこと、永い時を生きた天限にとっては、人間ぜんぶが子供のようなものなのかもしれない。鈴音だってそうなのだ】
【愚痴ぐらい聞く、と人間の女みたいな事まで言って……女子高生と既婚の若妻と神様と。もし本当に開催されたらとんでもない女子会になりそうだ】

【……最後に余計なことを言った代償に、神は巫女からデコピンを喰らう。喰らわせた張本人の少女は――それから、少し笑って】
【確かにそうだ。かたや山の神様の巫女、かたや川の神様の巫女代わり。結末に至った過程は悲しいけれど、】
【ここで会って、話せて……楽しくて。だからそれにさえ感謝したくなってしまうほど、二人の境遇は似ているのだ】


『………――、佳乃っ』


【――その楽しさを崩さないでいてくれたのも、本音を言えば嬉しかった。"実の母"の話は、佳乃の中では未だに鬼門だったから】
【桜の魔力が翻って、抜き出された刀を受け取れば、佳乃はまず魅入るようにそれを眺めるだろう。少女にとって、それほどに美しく思える刀だった】
【軽く抜き放てば、懐かしい臭いが漂う。天限のいる辰羽山にもこういう臭いの沢があった――普段なら痛みを伴う追憶が、するりと心を揺らがせて】
【しばらく見とれていたあと、天限から小さく声がかかるだろう。そろそろ返してあげなさい、という諫言であったのか、】
【――いや、ちょっと違う。彼女はそんな性格ではない。それは、とことん素直になれない娘へのエールだった】

【しばし黙り込んだ後、鈴音が止めなければ――佳乃は借りた刀を鞘からゆっくりと抜き放つだろうか。そして、胸元から一枚の紙切れを取り出す】
【それでやることと言えば、刀の先端で紙を軽く小突いて「六花招来」と呟くだけ。すると……佳乃の体から湧き出した白銀の輝きが紙切れに集約し、】


………………ま、まあ。私も、天限さまのことでこんな盛り上がれたのは、初めてよ。
だから…………私も、会えて良かった、と思うわ。鈴音。
これは、その――か、刀を見せてくれたお礼と思ってちょうだい……。


【出来上がるのは、白銀の体を持つ小さな"金魚"であった。刀身に体をすり寄せるように空中を泳ぐ、神聖な力で作られた"式紙"】
【それが終われば――顔を赤らめて目を逸らし、言いづらそうにしながらこんな台詞を吐いて。刀を丁寧に鞘に戻して鈴音へと返還するだろう】
【佳乃が創った白い金魚も、一緒に鈴音の所へ行く。――本人は刀のお礼と言うけれど。天限の優しい瞳が、これは佳乃なりの『友情の証』だと告げていた】

【魔力でもなんでも、とにかく力を餌として与えればこの式紙は動き続ける。そのままでも主として登録された鈴音に懐いて宙を泳ぎ回るけれど】
【――たとえば、そう。夏祭りで金魚でもとることがあったら、一緒に水槽へ入れておくといい。聖なる力によって、入れておくだけで水を浄化してくれる】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 00:45:29.02 ID:KIzVduUs0
>>617
/申し訳ないのです、あと少しで終わりだと思うのですが、ちょっとノーパの温度がやばい感じになってまして
/もう一度だけ引き継ぎお願いして大丈夫でしょうか?不都合なようでしたら置きでも、明日にでも〆を落とすというのもできますので
/再開というのであれば明日は今日より少し遅いくらいに待機してられるかと思います……!
619 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/14(火) 00:50:15.94 ID:GoCV+cmuo
>>618
/了解しました、そして遅レス申し訳ない……実はこちらも眠気がアレな感じになって来てたのでちょうどよかったです
/明日に引き継ぎという形で大丈夫です、また明日よろしくお願いしますー!
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 00:53:51.03 ID:KIzVduUs0
>>619
/いえ、こちらも慣れない機械のせいか速度出てないですし、お気になさらず……!
/ありがとうございます、手が空いたら雑談のほうに書いておきますね。ひとまずお疲れ様です!
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 19:32:18.70 ID:KIzVduUs0
>>617

【最近、だった。最近のことだと思う、彼が、こちらを見ながらどこか遠くを見ているような】
【違う。自分のことを見つめながら、何か、何か――自分に関連した、だけれど自分には言えないことを、考えているのではないかという思考】
【そんなときの彼はなぜだか黙ってしまうから、それが余計に怖かった。わざと甘え声を出して気を引いてみたり、何度も繰り返した】

うん――天限さま、ありがとう。

【――きっとまだ時ではないのだと考えるしかなかった。いつかきっとその時が来る、それまで、その時まで、待っていよう】
【だけどひとりで悶々と考えていたのを思えば、ずっと気持ちは軽くなったのだ。天限や佳乃が聞いてくれたからだろう、まして、愚痴まで聞いてくれるとなれば】
【へびさま抜きで――三人でどこかでお茶をするのも楽しいかもしれない。とんだお茶会になりそうだ、その光景を想像して、かすかに笑っていたのだが】

【佳乃が母のようだとまで言っていた天限をでこぴんしたところを見れば――面白かったのだろうか。きゃらきゃらと、小さいながらも声を上げて笑い】
【咎められたりするようならごめんなさいというのだが、肩を震わせたままだ。内心では「いいなあ」とか「へびさまも女のひとだったら」とか、考えていて】
【決して二人を笑ってやろうという嫌な気持ちではないのだけど――、最終的に「いいなあ」と口をついて出てしまったことに、本人は気づいていないよう】

【繊細に施された桜の模様は、“彼女”が桜の花を好きだったからだ。外に出たことのない少女が、ただ、桜の時期だけは外に出たがって】
【ほんとうに珍しくわがままを言うので、神社の境内に桜の樹を植えさせたという逸話まであるくらい。――そして、桜の時期だけは、外に出ることが許されたという話】
【そうまで桜が好きならば、いつでも見られるようにと。色のない少女に捧げられるとき、わざわざ腕のいい職人を村に呼び寄せ、作らせたのだという】

――それね、ほんとうはへびさまの毒牙なの。溢れてくるのは蛇の毒、牙と、毒と、へびさまに借りてるの。

【刃の銀は真っ直ぐに冴える。見る限り特別なものではないが、とても綺麗に作られた逸品で。纏う水の涼やかさ、香る森の匂い。すべてが合わされば、】
【市場に流せばそれなりの値段がつくだろう、といった感じ。けれど実際にはそんなことは出来ない、大切だから、というのもあるけれど――】
【大切な最愛が。自らの身を守るための牙と毒まで貸してくれたのだ、こうして刹那、誰かに貸すことはあっても――売りさばくだなんて、考えたことも、ない】

【佳乃が刀を抜き取ることには何も言わない。薙刀を扱っていたのもある、そういった櫻の武器の扱いに長けているものだと(勝手に)思っていて】
【その刀身が月明かりの下にすべて現れれば、得意げに――子供みたいな顔と声で、「きれいでしょ」なんて、自慢してみせ】

――、? え、わあ――、きんぎょ……金魚だぁ、この子、連れて行っていいの?
すごくうれしい、ありがとう――、どうしよう、わたし、渡せるもの、お祭りの食べ物しか……あ、

【佳乃が何をしようとしていたのかは分かっていなかった。だけどするりと白銀の金魚が現れ泳ぐと、顔をぱっと輝かせ、すごいすごいと繰り返す】
【刀を返してもらう、金魚もついてくる――指先でそっと摘ままない程度に捕まえ、じっと見つめる。真っ白な金魚なようで、少し違う。ひどく嬉しげに笑い】
【こちらも何かお返しを、と、浴衣をぱたぱた叩いたり、ベンチの方を振り返ったりするも、いいものは何も――食べ物は、さっき、太るだなんて指摘されてしまったし】
【――なんて思っていたら。よさげなものがあった、佳乃にもらった金魚のように素敵なものではないけれど、と、小さく思いながらも】

これ――、佳乃にあげる。……えっへへ、ごめんね、あんまり特別なもの、持ってなくって……。
へびさまの鱗でも持ってれば良かったんだけど。……それは今度、ね。だから、また、――。

【差し出すのは、お祭りでやってきたのだろう。色とりどりに透き通る偽物の宝石――を詰め込んだ金魚袋。これあげる、と、少し恥ずかしいように笑って】
【結局他にいいものは見当たらないし、だけど、何か渡したかったのだろう。こうも偶然に一致した邂逅に、記念品――というわけではないのだけど】
【また会いたい、また会おうね。そうやって少し遠回しに告げる、鞘越しの刀をぎゅっと抱きしめると、白銀の金魚が翻って舞って――「大切にするね」と笑った】
622 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/14(火) 20:10:19.26 ID:GoCV+cmuo
>>621

【小突く娘と小突かれた母が、笑い出す鈴音の表情をそれぞれ別の様子で伺う。一方は面食らったように、もう一方はあらまあと面白そうに】
【どちらも同じなのは、まんざらでもないというところだ。佳乃は釣られるように小さく笑って、天限は声色だけで楽しさを表現した】
【こんな他愛ないやり取りでも、鈴音が笑ってくれるなら良い。友達に笑って欲しいという思いは、神も人も変わりなかった――】


この刀は――へびさまの、あなたを守ろうとする意志なのね。
綺麗よ、たしかに。とっても――。


【他人に自分から心を開いていくのは大の苦手だけれど――武器を褒めるなら、こんな簡単にいくのに。佳乃は内心そう思った】
【毒牙の刃を恐れもせず、素直な言葉を吐き出せる。斬り捨てたり溶かしたりと用途は凶暴でも、ぱっと咲いた桜の花と遠い故郷の匂いが、すぐに好きになった】
【ただ単に、戦うことだけを突き詰めたカタチではない。こういう美しさを持つ武器なら、この少女に相応しい武器だと思って】


か、刀のお礼だって言ったでしょう? 特別なものが欲しくてあげたんじゃないわ。
………まあ、その。せっかくだし貰っておいてもいいわよ。夏祭りなんて行かないし、ある意味貴重ではあるし――。


『ふふ……佳乃はこれでも「ありがとう」って言っているのですよ? 意地っ張りな子でごめんなさいね。
 ええ、きっとまた。その金魚とこの宝石が、きっとまた二人の縁(えにし)を繋いでくれるでしょうから』


【赤らんだ頬を隠しつつ、式紙のプレゼントを鈴音が喜んでくれたのを見れば、佳乃の方もなんだかんだで嬉しそうだった】
【大いに慣れないことをしている自覚はある。差し出されたお返しの品にぶつくさ屁理屈をこねて誤魔化しつつも――結局は、そっと受け取って】
【新たな友誼を結んだ二人の少女を、横から神様が見守っていた。なんとも微笑ましそうにくすくす笑って、いかにも母親っぽい台詞を付け加える】

【――きっと、また。佳乃は一応学生の身で、夜更けにあんまり長居はできない。鈴音にしたって、女の子が夜間に出歩くには危険も多い世界である】
【そろそろ別れの時が近付いていることは、天限も佳乃もわかっていた。だから天限は口で直接、佳乃は照れ臭そうに態度だけで、再会を願う】

【そうしたなら……頃合いとみて、佳乃は席を立つと薙刀を回収するだろう。ちらりと鈴音を振り返り、ちょっとだけ名残惜しそうに――】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/07/14(火) 20:46:54.74 ID:oH8txKRj0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 公園】

……近頃、世が再びきな臭くなってきている様だな……
「……六罪王の攻勢が、活発だねぇ……近頃は、機関が往年の勢いを取り戻しつつあるんじゃないかって、専らの噂さぁ……」
……その分、俺の商いは需要が増えるが……やり切れんな。俺自身の危険も増える……

【分厚い筋肉質の肉体を暗緑色の皮膚で覆い、赤茶けた髪をもっさりと生やしている】
【何かの獣の皮革を材料としたらしいと思しき頑丈な半ズボンに、両腰に巨大な短斧(柄の短い斧)をぶら下げた】
【素肌を晒している上半身の、その胸元に焼きごてらしきもので魔方陣の様なものを焼きいれている、身長220cm程の巨人と】

【華奢ながらも筋肉の浮き出た色白な上半身を晒す様に、ワイシャツだけをボタンも留めずに羽織り】
【下半身はジーンズとスニーカーで固め、腰回りに大量のチェーン装飾を巻き付けた】
【くすんだ水色の髪を前髪ばかり長くした、身長170cm前後の青年が】

【人気の絶えた公園の明かりに照らされて、立ち話に興じている】
【青年の上背も決して低くは無いはずなのだが、相対する巨人と対比すると、まるで大人と子供の様なシルエットだ】

「まぁ、どこぞの六罪王は、逆に攻め込まれもしたって言う話だけどさぁ……どちらにおいても、戦闘が活発化しているのは、事実だねぇ……」
……民衆の不安も増すばかり、か……大変なものだな、お前達人間と言うのは……
「……魔海から人の社会に出てきたあんたの言う事かい?」

【風を孕みながら、2人は明かりに照らされて雑談を続ける】
【傍から見れば、浮浪者然とした青年の服装に、巨人の存在も相まって、相当に奇妙な後継となっているだろう】



【――――所変わって、水の国 広場】

いやぁ、暑いな……いよいよ夏も本気を出してくる頃って事か……?

【くたびれた薄いスーツを右肩にひっかけ、Yシャツにスラックスとテンガロンハットにその身を包んでいる】
【やや無精髭の目立つ顎に、やや長めでだらしなく乱れ気味の金髪とは裏腹に、活力に満ちた瞳を光らせている】
【腰に、鞘に収まったごつい2本のナイフ、何本ものハードダーツ、そして一丁のリボルバーハンドガンをぶら下げている、身長170cm前後の男性が】
【手に300mlは入りそうな大型の紙コップを携え、フラフラと人波の間を歩いている】
【何かの催し物が開催されているらしく、そこここに出店や屋台が店を出し、人の列が出来あがっている】

大勝ちしたのはまぁ良いとして……こう暑いとなぁ
まぁ、実際に体験するのが一番ってのは、博打もイベントも変わりはしないだろうがな……

【Yシャツの胸ポケットをごそごそとしながら、男性は手に持った紙コップの中身を喉へと注ぎ込む】
【活気の中にあっては、その姿も雑踏の一部に過ぎないが、そのテンガロンハットだけは彼を特異な存在に見立てていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】

/最初のレスは少しばかり遅くなるかと思います
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 20:57:47.89 ID:KIzVduUs0
>>622

――うん、守ってくれるの。だからね、だいすき。これを貰ってからかな、刀とか……そういうのも、好きになったの。
なんだろう、とっても綺麗で……好き。だから、今度は、佳乃の薙刀のことも、聞きたいな――、ふふ。今度の楽しみにとっておくね。

【褒めてもらえたならひどく嬉しそうだ。満足げに笑う――そんな眼前を白銀の金魚が泳ぎ通り抜けて行って、】
【一瞬何事かときょとんとした直後に思い出して、また笑うのだ。――楽しげだった。今宵の出会いを、きっと、本当に喜んでいて】

ふふ、……きれいだよね。お祭りに行くと、どうしてもやっちゃうの。なんでだろ、やるのも楽しいのかな――。
――ううん、だいじょうぶだよ、天限さま。意地っ張りだなんて思わないの、……またおはなししようね。きっとだ、よ――、あ。

【言い訳めいてぶつくさする佳乃を、彼女は初めて、だろうか。年上らしく、お姉さんみたいな――柔らかな表情で見て。受け取ってもらえれば、にこりとする】
【貴重だという言葉に綺麗だよねと返すのは少しずれているようにも思えたが。ひとが苦手ならひとごみも駄目だろう。一緒にお祭りに行けたら、なんてふと思ったけれど】
【せめてこれでお祭りの気分がおすそ分けできたなら――なんて。それから、天限にはそう返し。本人を目の前に言うわけだから、当人は恥ずかしい、かもしれないものの】
【もう一度。またお話しようと言ったところで、ふと、視線がそっぽに逸れる。それで、取り出すのは、携帯電話。今どき折りたたむ式の、それで】
【着信を示すランプと小刻みな振動。「ごめんね」と断ってから電話に出る、――表情がひどく柔らかげで嬉しげだ。それなら相手は、想定がつくよう】

うん……うん、ごめんね、今ね、公園にいるの。――どこの? えっと、お祭りの会場から――、
……うん。待ってる、――今までずっと探してたの? そっか、……ごめんね、へびさま、……ちょっとね、からかいたくなっちゃった。

【口元を隠すようにして、少しの小声でしゃべる。身体も横に向け、――やはり相手は彼の蛇のようだ。電話の向こう側から、微かに低い男の声がする】
【なんというか焦燥というか疲れたような声。彼女が仕掛けた軽いいたずらは……はぐれたのを分かったうえで現場から離れたこと、思ったよりも相手には応えたらしい】

【――「うん、気をつけてね」と告げて電話は切れる。それはちょうど佳乃が振り返った頃合い、名残惜しそうな顔に、少し照れたような表情を返し】

――へびさまが迎えに来てくれるって。佳乃、気をつけて帰ってね……、天限さまも。今日はね、楽しかったの。

【ふわふわとなんだか幸せそうな顔がそう告げた。迎えに来てくれるから自分はここに残ると、それなら、二人は気をつけて帰ってねと】
【緩やかに訪れた別れの時間。別に永遠ではないから、惜しみはしても追いすがることはない。そっと見送ろうとする、だろうか――】
625 :幸徳井佳乃 ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/14(火) 21:34:40.53 ID:GoCV+cmuo
>>624

【――そういえば、この子は私よりお姉さんだったわね、なんて。とっても失礼なことを思いつつ、佳乃は苦笑して表情を緩めた】
【天限の方も、彼女のその笑顔だけで、鈴音が娘のことを"わかってくれた"ことを十分理解して。嬉しそうに首を傾げて笑うだろう】

【そうしたなら、天限も佳乃の行動を止めはしなかった。その頃にはもう、再会して楽しく話す場面を容易に想像できるようになっていたから】
【薙刀のお話でも、鈴音とへびさまとのお話でも、天限のちょっとした昔話でも――なんでもいい。顔を見て話せるだけで、きっと楽しそうだ】
【そして……鳴り響く電話の音が、今日の別れを告げる。――とんとん、と天限が佳乃の肩をつついたならば、娘は母の意図を察して軽く目を閉じ、】


『――――では、鈴音。へびさまにもどうぞよろしくお伝えください。旦那様を困らせた分、帰ったら甘えてあげるのですよ?
 あと……「こんなに可愛い妻を泣かすようなことがあれば、直々に怒りに参りますよ」と、東方のしがない龍神が言っていたことも、言伝ください。

 うふふっ………では、またお会いしましょう。わたくしはいつでも、あなた達の幸せを願っております』


【ふわっ――と。佳乃から感じられていた"神聖"が一気に力を増して広がった。圧倒するような感覚ではなく、公園全体を包み込むように】
【肩口の天限の姿が消えており、表情を見ればわかるかもしれない。……彼女は最後に、佳乃の体を借りて鈴音に直接あいさつしたかったのだ】
【天限の乗り移った佳乃の立ち振る舞いは、元々の櫻風の嫋やかな外見から荒々しい険が取れた分、なんというか深窓の令嬢じみて風雅であって】
【本来の佳乃を思うと若干不気味ですらあるけれど……ともあれ。式紙で作った龍の体では決して見せられない、とても柔らかな笑顔を、彼女は鈴音に見せる】


それはこちらの台詞よ。私は強いから大丈夫だけれど、あなたこそ、へびさまが来るまで気をつけなさいな。
………私も、楽しかったから。それじゃあまた今度、ね。鈴音―――。


【すぐに雰囲気は元に戻るだろう。再び手乗りサイズの龍の体に戻った天限が肩口で手を振る中、幸徳井佳乃が戻ってくる】
【私は強い、となんの忌憚もなく言えてしまうぐらいだ。薙刀で武装している上に天限も付いているし、帰り道の心配はないだろう】
【――背中を見せた状態で、ではあったけれど。最後はちゃんと自分の気持ちを正直に伝え、佳乃は貰った金魚袋を軽く掲げてみせ】

【大きく一歩踏み出すと、そのまま公園から出て行くだろう。躊躇いの一切ない歩調が逆に、再会を願う意志を"友達"へ伝える】
【そうして佳乃が去れば、空気には涼やかな神聖の残照が残って――鈴音の手元の白い金魚が、彼女の代わりにぴょこんと跳ねるのだった】


/お疲れさまでしたー!!
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 21:53:09.20 ID:KIzVduUs0
>>625

【「あ、へびさま――あのね、……ううん、なんでもないの。こっち来たら、教えてあげる」】
【ちっちゃく電話に囁いた。ちらりと横目で佳乃と天限の二人を見、くすりといたずらっぽく笑う。まさか、彼だって】
【いたずら心で雲隠れしていた自分の妻が、自分と同じ国の神と出会ってしゃべっていたなど、思うはずもないだろうし】

【ふわり、と、神聖が広がっていく。なんとも言えない感覚が身体を包んでいって――それでいて、ひどく心が安らぐ。和むというのだろうか】
【確かにあの蛇と同じ神だと思うのだ。“彼”は祟る神だから、こうも神聖さというのを分かりやすく感じたことは、あんまりないのだけれど】
【例えばベッドの中でその胸に顔をうずめてまどろんだ瞬間に感じたことのあるような。そんな安らぎに、ぎゅっと包まれて――】

――うん、伝えておくね。へびさま、びっくりするかなあ……、きっとびっくりしちゃうね。ふふ、驚かせてばっかり。

【それが天限だとはすぐに分かった。それでも一瞬は、変わった様子の彼女に目を丸くしたりもしたのだが。気付けば、柔らかく目を細め】
【伝えておくね、と、秘密の話を共有するときのように潜めるのだ。いたずらっぽく、――きっと、だいすきなひとをからかうのが好きなのだ。いたずらっこというか、】
【そんな性質なのだろう。相手としては気苦労するかもしれないけれど、輪廻を待つほどに焦がれた相手のいたずら心なら、まあ、かわいらしいのだろうか】

……もう、だいじょうぶだよ。わたし、戦えないけど……そんなには弱くないよ。きっと、だけど――。

……――うん、ばいばい。またね。

【戦えないけれど、弱くない。それは一見矛盾したように見える、けれど、】
【力はあるのだ。だけれど、戦い方を知らない。そのためのルールを知らない、ある意味、いちばんおそろしい】
【そういったルールや身体、力の正しい使い方を教わっているところ。――総合すれば、“つよくない”ということに落ち着くのだけど、――まあ、余談だ】
【とにかく自分も大丈夫だと無根拠に言って、彼女は佳乃と天限を見送る。そうして誰も居なくなった公園、食べかけの焼きそばをひとり頬張って】
【“へびさま”が焦燥しきった顔で駈けてくるのをのんびりと待つ。――その顔を見た瞬間、「やりすぎた」ことを理解することになる、とは、それも余談だけど】

【「喜ぶと思って」】
【彼が手に持っていたのは数匹の金魚が泳ぐ袋。金魚をすくっている間にはぐれたのだと言って、彼女も初めて、そのときにそれを知って】

【――ごめんなさいと謝って、許してもらって、それで、二人でお祭りの食べ物を食べながら】
【佳乃に、天限に出会ったことをお話する。嗅いだことのない他人の神聖さに蛇は目を白黒させながらも】
【太鼓の音がだんだんと小さくなって聞こえなくなるまで――ふたりはそこで、しゃべっていた】

/おつかれさまでした!
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 21:53:24.26 ID:KIzVduUs0
>>625

【「あ、へびさま――あのね、……ううん、なんでもないの。こっち来たら、教えてあげる」】
【ちっちゃく電話に囁いた。ちらりと横目で佳乃と天限の二人を見、くすりといたずらっぽく笑う。まさか、彼だって】
【いたずら心で雲隠れしていた自分の妻が、自分と同じ国の神と出会ってしゃべっていたなど、思うはずもないだろうし】

【ふわり、と、神聖が広がっていく。なんとも言えない感覚が身体を包んでいって――それでいて、ひどく心が安らぐ。和むというのだろうか】
【確かにあの蛇と同じ神だと思うのだ。“彼”は祟る神だから、こうも神聖さというのを分かりやすく感じたことは、あんまりないのだけれど】
【例えばベッドの中でその胸に顔をうずめてまどろんだ瞬間に感じたことのあるような。そんな安らぎに、ぎゅっと包まれて――】

――うん、伝えておくね。へびさま、びっくりするかなあ……、きっとびっくりしちゃうね。ふふ、驚かせてばっかり。

【それが天限だとはすぐに分かった。それでも一瞬は、変わった様子の彼女に目を丸くしたりもしたのだが。気付けば、柔らかく目を細め】
【伝えておくね、と、秘密の話を共有するときのように潜めるのだ。いたずらっぽく、――きっと、だいすきなひとをからかうのが好きなのだ。いたずらっこというか、】
【そんな性質なのだろう。相手としては気苦労するかもしれないけれど、輪廻を待つほどに焦がれた相手のいたずら心なら、まあ、かわいらしいのだろうか】

……もう、だいじょうぶだよ。わたし、戦えないけど……そんなには弱くないよ。きっと、だけど――。

……――うん、ばいばい。またね。

【戦えないけれど、弱くない。それは一見矛盾したように見える、けれど、】
【力はあるのだ。だけれど、戦い方を知らない。そのためのルールを知らない、ある意味、いちばんおそろしい】
【そういったルールや身体、力の正しい使い方を教わっているところ。――総合すれば、“つよくない”ということに落ち着くのだけど、――まあ、余談だ】
【とにかく自分も大丈夫だと無根拠に言って、彼女は佳乃と天限を見送る。そうして誰も居なくなった公園、食べかけの焼きそばをひとり頬張って】
【“へびさま”が焦燥しきった顔で駈けてくるのをのんびりと待つ。――その顔を見た瞬間、「やりすぎた」ことを理解することになる、とは、それも余談だけど】

【「喜ぶと思って」】
【彼が手に持っていたのは数匹の金魚が泳ぐ袋。金魚をすくっている間にはぐれたのだと言って、彼女も初めて、そのときにそれを知って】

【――ごめんなさいと謝って、許してもらって、それで、二人でお祭りの食べ物を食べながら】
【佳乃に、天限に出会ったことをお話する。嗅いだことのない他人の神聖さに蛇は目を白黒させながらも】
【太鼓の音がだんだんと小さくなって聞こえなくなるまで――ふたりはそこで、しゃべっていた】

/おつかれさまでした!
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/14(火) 21:54:10.02 ID:KIzVduUs0
/連続投稿申し訳ないのです……!
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/07/14(火) 22:20:54.31 ID:oH8txKRj0
/>>623取り消しでー
630 :ユラ・上 ロゼッタ・下 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/14(火) 23:39:45.51 ID:rUUKMi/DO
 【公園】

【夜。普段は賑わいを見せているこの場所も、日が落ちて以降はすっかり静かであった】
【備え付けられた街灯がぼんやりと園内を照らしていたが、その灯りは時折明滅し】
【治安のためにしては少し頼りない気配を醸し出していた。そんな公園内】
【ベンチのひとつに、女の子が座っていた。中学生か高校生ぐらいの、女の子だ】


…………。……友達、友達かぁ
でも結局、今度はいつ会えるかわからない、し……
ネットゲームのアカウント……作ってやれば……よかった、かな


【短い金髪に夜色の瞳をもつ彼女は、ぼそぼそとそんな独り言を垂れ流していた】
【ひょろりとしたモヤシ体型の少女だ。服装なんて、安売りのTシャツに緩めのズボンという部屋着に近いもの】


…………あー。……う、ん
プレゼント、とか。5000個ぐらい、何かあげれば……
こ、好感度、あがって……連絡先、教えてもらえたの、か、も……?


【見るからにオタクな雰囲気のする彼女。どうやら性格自体も見た目そのままな性格らしい】
【少し低い声でぼそぼそぼそぼそと垂れ流される独り言。ぼんやりと宙を眺める夜色の目】
【……武器やら危険物を所持している様子ではないが、その姿は不審者のように見えないこともなかった】



 【水の国──リゾート地『ヴィルデス・ビーチ』】

【リゾート地なだけあり、夜であっても明るい建物は多い】
【夜の浜辺を歩く者や、アルコールを片手に囁きあう大人達。夜だからこそ楽しめる場所もここにはあった】

【そんなビーチの近く。少しばかり薄暗くなっている場所に、1人の女がいた】
【紺色のビキニとパレオを身に纏う、背の高い女。艶やかな黒髪が海風に踊っていた】



……ふふ。天下一武道会、ね
宗教都市観光も悪くないけれど……こっちの方が間違いなく稼げはしそうだわ
大会運営者に警備員、出店の店員に観客たち
ふふっ……。他の国でも似たような催し物をやってくれないかしら


【建物裏に張られているチラシ。赤い瞳で、女はそれを見ていた。数日後に開催されるという武道大会のチラシだった】
【くすくすと女は笑った。女は娼婦。浮かれた空気に乗じて客を取ろうという魂胆だった】
【もし男が女の近くを通りかかれば、「買わないか」などと彼女は声をかけるのだろうが──】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/15(水) 00:50:32.80 ID:eGjRe+TT0
>>630
/3時若しくは3時半辺りに落ちるかと思いますが、もし宜しければ突撃してしまっても宜しかったでしょうか!
/時間が時間故に既に居なかったりご都合が悪かったりでしたらまた何時かの機会に!
632 : ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/15(水) 00:56:40.47 ID:ST7TjorDO
>>631
/いますいます! 大丈夫ですよー
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/15(水) 01:06:13.39 ID:eGjRe+TT0
>>630>>632
【さて、偶然そんな公園の前を通りかかるのもまたひとりの女子】
【纏って居るのは何処かの学園の制服であろう。栗色の髪をポニーテールに結った様は活発な印象を与え】
【――――腰から下げるのは一本の木刀。小脇に抱えるのは、肉やら卵やらの詰められた紙袋】
【その中から林檎を一つ取り出し、囓ったその時に漸くベンチに座った者の存在に気付く事となるだろうか】


「…………ん〜……家出、かなぁ?
いやいや、でも夏だしもしかしたら一人で肝試しとか……。――――あれ、もしかしてお化けだったりする可能性も……」

【公園に入ることも無く、外から眺める事数分。勝手な憶測を並べるも結局それは憶測で終わり】
【答えが出る訳でも無いか、と頷けばそのベンチへと近寄る事だろう】
【もしも困って居るのだったならばお節介を。幽霊ならば学園での話の種に――――なんて】


「ねえねえ、何か困ってる事でもあるの?こんな時間に一人で居ちゃ危ないよ?
ほら、最近は色々と物騒だし…………
お姉さんで良ければ君の悩みをちゃちゃっと解決してあげるから遠慮無く相談してみれば良いよ!YOU話ちゃいなYOU!」

【然れど足音を立てることも無く、更に背後から近寄る形となるのだ】
【気付く事が出来たならば何の実害も無い。否、例え気付く事が出来なかったとしても特にダメージも無いか】

【何はともあれ、ベンチの背越しにひょっこりと顔を覗かせたならばそちらを見遣って】
【何か困り事でもあっただろうか、と小首を傾げて問うのだけれど】

【――――見た目からして、高等部の1年か其処等。お姉さんを自称するには、どうも歳の差も足りないが】

/それでは宜しくお願いしますですよー!
634 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/15(水) 01:23:13.33 ID:ST7TjorDO
>>633

【──こんな時間に公園で座っているにしては、随分と呆気なく近寄る事が出来た】
【振り向くどころか、気付く様子すらないのだ。そしてベンチ越しに顔を覗かれ、声をかけられれば】
【びくんと大袈裟なまでに肩が震えた。挙げ句、ひゅうっと死にそうなくらいに息をつまらせ】


────ッッッッッ〜〜〜〜〜!!?

ッうわぁああぁあああ"ぁああ゛あぁああぁあぁぁあああ!!!!!
おぉおおおお"おぉお化けぇえぇえええぇえぇええええ──────!!


【がっ────がさがさがさがさがさがさがさがさがさがさ──!】
【黒いなにかを彷彿とさせる勢いで素早くベンチから地面へ。四肢を全力で動かしその場から数mばかり距離を取る】
【距離を取ったまましばし硬直。べったりと地面に尻をつけ、情けない格好で彼女を見る】
【浮かべる表情は、怯えやら恐怖やらそのあたりの感情がごちゃ混ぜになったもの】
【随分と「ビビり」な性格のようではあるが……流石にこれは、怯えすぎではないだろうか】

/よろしくお願いします!
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/15(水) 01:37:00.94 ID:eGjRe+TT0
>>634
「……―――――ワァァァッッッ!?」

【相手を驚かせる可能性を考慮していない訳では無かった。だが、この女はどちらかと言えばからかって楽しむ性】
【驚くならばそれもまた良し、と思っては居たが――――此処までは、想定外】
【流石にその様と挙動とに驚き、ベンチから飛び離れ】
【――――グチャリ。落とした紙袋から聞こえる、そんな音。卵黄卵白が中身を汚すも、其れを気にする余裕も無く木刀に手を添えて】
【関わってはいけない人種であろうか。いや、先の動きからして本当にお化けの類だったのだろうか】
【――――“お化け”?】


「……嫌だなぁ、私はお化けなんかじゃ無いって。寧ろ、君の動きの方がよっぽどお化けだったよ?
あの悪魔払いの映画である……えっと……何だったっけ

と、兎に角!私はお化けなんかじゃ無くてちゃんとした人間だってっ!
ほら、脚もあるし頭に変な三角のも付けてないし!失礼しちゃうな、もう……
そんな驚きっぷりじゃあ、ビックリ箱開けただけで失神しちゃうんじゃ無いかなっ?…………立てる?」

【まさか自分が幽霊と誤解されるなんて。そんな意味を含めた溜息であろう】
【木刀から手を離し、敵意は無いと知らせる様にして手をヒラヒラとさせたならば未だ尻餅を着く少女へと近寄る事だろう】
【怪我の有無の確認と共に手を差し出せば、起こそうとするのだけれど】
636 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/15(水) 01:50:36.98 ID:ST7TjorDO
>>635

【その言葉が聞こえているのかいないのか。ふるふると首を振る少女】
【どうも相当ビビったらしい。彼女の目にはうっすらと涙まで浮かんでいる始末である】


あぁあぁあ、ぁ、あっ……あ、あぁ、あっ、……、…………!

やっ、ち、近付くなよ! おまっ、こっ、こんな時間にそ、外に……いっ、いるなんてっ!
ふ、ふ、ふ、不良かっ! ビッチかっ! お、おば、お化けのっ! どどどど、どっちか、なん、で、しょ……!

……ってゆーか!! ふん! たてるし! 1人でた、たた、立てる、し!!
ば、バカじゃないの、……ふ、んっ……! 手なんか、借りなくて、も……ほ、ほら!!


【がさ、ごそ、とまた地面を這って少しばかり相手から距離をとる。地面に手をつき、ぷるぷると立ち上がる】
【がっくんがっくんとだいぶ脚が震えているのは、決して気のせいではないはずだ】
【近寄られたくないのか、触られたくないのか。きっとどちらもだろう】

【──そして彼女の定義で言えば、この金髪の少女だって十分不良だかに見えるのだが】
【どうも動揺のあまり、発した言葉の矛盾に気付いていないらしい】
【それにしても少し話しかけられ近寄られただけでこの結果だ。この少女。かなりコミュニケーション能力に問題がある】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/15(水) 02:17:10.72 ID:eGjRe+TT0
>>636
「いや、まあ此処が君の家なら別に私も何にも言わないけどー……どう見てもホームレスとかにも見えないしー……」

【じとー、とした視線。言わずもがな、少女の発言に対してであろう】
【この時間に外に居る事が其れ等のどれかに該当するならば――――】
【心なしか頬を膨らませて、数歩分の距離を置いて立ち止まり】


「生まれたての子鹿みたいに立ってるのにそんな事言われても全っ然!!!説得力無いって!!
大体、私は不良でもお化けでもビッチでも無いの!もし私がその中のどれか一つなら君なんてお化けで不良なビッチなんだからね!」

【――――むす、とした表情のままで言葉を返したならば数歩分の距離も詰めて】
【それにも驚いて転ぶ様ならば手を伸ばして止めるだろうし、そうで無いのならばベンチにでも座らせるのだろう】

【それから間も無く、もう一つの人影が公園に入ってきて】
【女生徒と同じ制服。然れどその髪は銀色であり、フレームの薄い眼鏡を掛けていて】
【何処か冷たい様な印象を与えるような女だ。迷う素振りも無く、ベンチへと近寄るのだけれど――――さて、只でさえコミュニケーションに難のある人物の前にもう一人追加される形となるが】


『門限を過ぎても尚帰って来ないと思えば――――また揉め事でも引き起こしたのですか?
学園外では面倒を引き起こさないように注意しろ、と再三言って居る筈ですが……どうも理解して貰えない様ですね
貴女に関しては後ほど生徒指導を通じて処罰を与えるとしまして――――……』

【淡々と言葉を連ねれば、金髪の少女へと視線を向けて】
【上から下まで見遣り、怪我の無い事を確認する事となろうか。安堵の吐息か、隣に居る同じ場所に所属する者に対しての溜息か】
【短く其れを終えたならば、少女と視線を合わせ】


『――――失礼しました。悲鳴が聞こえたので寄ってみたのですが……大事に至っていないようで、一先ず安心しました
ざっと見たところ、特に怪我は無い様に見えますが痛む所は在りますか?
心なしか震えているようにも見えますが……』

【事務的に思える口調ではあるが、気遣っているのは確かなのだろう】
【何処か痛む所は無いか。その確認を含め、体調を問うのだけれど】
【――――微笑でも浮かべれば、多少は警戒を解く事も出来るのかも知れない。然れど、それ程器用でも無く】
638 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/15(水) 02:37:52.70 ID:ST7TjorDO
>>637

…………! …………!! ……………………!!!!!

【更にがぁっくんがっくんと震える脚。距離を詰められれば、最早逃げることも避けることも出来ない】
【緊張やら恐怖のせいなのか、近寄られればふらふらと倒れ込みそうになる始末だし】
【更に触れられてベンチにでも座らされればパニックも最高潮に達し、何も喋れなくなる程である】

【──この少女に触ったのなら、そこで気付くだろうか。彼女の体温が、常人のソレではないということに】
【まるでその場の空気を掴んだかのような温度。それが彼女の体温だった】
【体重は見た目通り、比較的軽い方。おかしいのは体温だけ】
【いや……脈拍を感じ取れる素養があれば。この少女に、脈なんてないことも分かるはずだ。──まるで、お化けのように】

【だがそのことを仮に彼女に聞きただしたとして。果たして答える余力があるかどうか】
【2人の女学生に囲まれたこの状態。1人は元気でモノをはっきり言うタイプ。1人は真面目なメガネ委員長タイプ】
【正直言って、コミュニケーションを苦手とする人種にとってはあまり相性のよろしくない2人だった】


…………あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ


【案の定コレである。一応かくかくかくかくと首を振って頷いては見せるものの】
【これほどまでに説得力のない肯定も中々にレアだろう。おおよそ大丈夫なようには見えなかった】

【しかし、一応まだ、辛うじて意志疎通は出来るのか。かたかたかた、と震える手で少女は栗色の女学生の方を指差し】
【ふぃいぃい、と銀髪の女学生方面へ目線を思いっっっきり逸らすのだ。言いたいことは、こうだ。「こいつ(栗毛)が、虐めた」】
【自分で勝手にビビり勝手にパニックを起こし勝手に心神喪失状態になったくせにこの言い分である!】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/15(水) 03:06:15.04 ID:eGjRe+TT0
>>638
「――――およ?何か、変……かな?」

【賢くは無い。寧ろその逆だ】
【確かに、少女に触れたときに何か違和感を覚えた。だが、その正体までは掴む事が出来ない】
【――――夏で無ければ、その違いにすら気付く事も出来なかっただろう。然れど、今は確かに何かを感じ取ったのだ】
【視線には懐疑の意味合いも含まれ始めるであろうか。無論、少女が危険人物か否かを問う――――より、人間か否か。即ちまるで種族を確かめるかのように】
【尤も、“ジッと見られる”事に対して少女に免疫があるのかは分からないが。特に咎める事も出来ないならば、更に近寄るようにして匂いやら気配やらを確かめようとするのだけれど】


『……成る程。コレは中々に重傷の様ですね
とは言えど、医師に診せるほどでもあるません。恐らくは時間が癒やしてくれるのでしょう――――が』

【自身の顎に手を添え、少女の告げたいことを理解しようとするかのようにふむふむと一度二度頷き】
【――――スンスン、と神妙な表情で鼻を鳴らしていた女学生の耳を引っ張ればすみませんでしたと一言】
【今までの行動が虐め、であるならば。確かめる様に髪を軽く引っ張ったり匂いを嗅ぐ其れ等もある意味では虐めの部類に入るのだろうか】


「イダダダダダダッッッッ?!わ、私は悪く無いってば!!其処のコミュ障根暗っ子が一人で座ってたから何か困り事がなって――――!!
大体に何で「あ」しか言えないのさ!ちゃんと言葉で言いなよ言葉で!!
この口は飾りじゃ無いんでしょ?ほら、目も逸らさないっ!!」

『言い訳は聞きません。全く、何も考えずに行動すれば良くない結果を生む方が多いのだとまだ理解しませんか…………』

【ズイ、と責める様にして近寄ればまたもや距離も近くなる。両方の口角をつまみ上げようとするが、恐らくはこれもまた虐め】
【――――だが、数秒も経たぬ内に銀髪によって耳を引っ張られ元の距離を取り戻し】


「それに何かこの子変なんだよ!何て言うか……上手く言えないけど、本当にお化けみたいなんだってば!!」

『ナキの戯れ言は聞き流すとして――――この時間一人で此処に居た、との話が本当ならば不思議な話ですね
況してや今は機関も活発になっていて治安も良いとは言い難い世の中です

――――無理に聞き出すつもりはありませんが。何故、この時間此処に?
落ち着いて、ゆっくりでも大丈夫です。もし良ければ聞かせて貰えませんか。お詫びの代わりとして、困り事ならば解決の手伝いを出来るかもしれませんので』

【栗毛の発言は確信に迫るもの、かもしれないけれど。実際に触れていない今は戯言として聞き流し】
【続けたのは、少女が一人此処に居た話が本当ならば、その理由】
【――――意味も無く居る者が存在する事も理解はしているが、今は情勢が情勢だ】
【そして、詫びの印として何か目的があって此処に居たならばその手伝いもする、との提案だけれど】

/申し訳無いですがそろそろ時間の方が危うく……!
/続けるか締めるかはお任せ致します!ただ、すみませんが続ける際は木曜からの再開になってしまうかと……!
/締める際は後ほどお返しさせていただきますっ!申し訳ありませんが一足先に失礼致します……お疲れ様でありましたー!
640 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/15(水) 03:47:35.68 ID:ST7TjorDO
>>639

【ふるふると震える彼女に、抵抗など出来るはずもない。そのまま、栗毛の女学生に匂いやら嗅がれるのだろう、が】
【──しない。体臭も、石鹸の香りも、服の匂いも何もかも。あるはずのものがなかった】
【よくよく意識を集中させれば、気配すらもないことが分かる。脈拍も、呼吸さえも、「無い」のだ】
【だが触れられる。意思の疎通も一応可能で、見た目は勿論人間だった】


【銀髪の女学生に謝られれば、首を振る。「別に、」と呟いた。少なくとも銀髪の方に向けてなら、まだ多少話せるらしい】
【更に何かを話そうとして、栗色の女学生に口をつまみ上げられる。目から光が消える】
【銀髪により栗毛が距離を取っても、消えた光は戻らない。やはり口をつまむ行為も、「虐め」にカウントされたようだった】

【それでも銀髪に声をかけられれば、だいぶ時間を置いた後で返事をするのだ】
【ただし、栗毛に対しては絶対に何も言わなかった。一連の「虐め」のせいで、金髪の彼女が栗毛の女学生に抱くイメージは最悪のものになりつつあった】
【もっとも。そのイメージとやらも、ほぼほぼ彼女の被害妄想から構築される歪みに歪みきったものなのだが】


…………、……べ、別、に。この時間は、静か……だ、し。……だ、誰も、いない……から

外が危ないのは……し、知ってる、し……機関って……ベクターとか、……で、しょ
……うん。ベクター、……怖い。……でも、夜は、静かで……たまに……こうしてる、の

あと……、…………。後、は……か、考え事
どうやったら……、……どうやったら、友達と……、……連絡先、交換出来るか、とか、さ


【ぼそぼそと低い声で語られるのは──これまでの騒ぎを考えると相当つまらないものだった】
【あれだけぎゃあぎゃあと騒ぎ立てた挙げ句、悩んでいたことが「友達との連絡先交換のやり方」なのだ】
【呆れられても仕方ないことだが……少なくとも金髪の彼女は、真面目も真面目大真面目にこの事を考えていた】
【──尚。こうして話している間、彼女は相手2人の目を絶対に見ようとはしなかった】
【見る先は、間違っても相手の表情を見ることがなさそうな足元。目を合わせないことに関しては、酷い徹底ぶりであった】

/では折角なので継続ということで!
/再開日時についても了解しました。木曜にまた雑談等でお声掛けいただければと
/それでは一旦、お疲れさまでした。ありがとうございました!
641 : ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/15(水) 08:30:35.96 ID:9novp/Gjo


【―――そうして、雷の国上空での戦いは終了した後、真っ先に動いたのはジャンクちゃんだった】
【ひとまず救難信号を送り最寄りの自警団、特に『タフガイ』に二重所属している者たちが優先して不時着地点に足を運ぶことだろう】
【自分もボロボロの状態にありながらジャンクちゃんは談話室にてジンジャーの負傷を手当てし続けていた―――】

【ジンジャーの顔色は悪い、戦闘の負傷や発症した"呪い"の発作もさることながら、一番彼の顔を曇らせているのは】
【やはり先ほどの戦いでの"敗北"、そして肝心の物品をみすみす盗まれてしまった事だろう】
【アルフレドが体を引きずり自分たちの元に戻り、一連の話を聞き終えたならば、ジンジャーはまず彼に向けて深く頭を下げる事だろう】


―――ありがとう、そしてすまなかったアルフレド君。『箱』は、カニバディールに盗られてしまったよ……
せっかく君らは勝利を遂げたというのに肝心の私が敗北してしまうとは……大変申し訳ない事をしたな。本当にすまない
それと、『赤い月』……だったか?彼らの動向も不気味だな。此度の一件にはなぜ我々の方についたのか……あの武装のテストをしたかったのか?

それにしても、首謀者は音無 小町……コマチ、か……そして救援に来たのはフェイタルベルン家の御令嬢……


【そこまで聞き終えて、ジンジャーは苦々しげな顔のまま腕を組み、しばらく言いよどむが―――やがて静かに口を開く】


君たちの情報が確かならば、此度の一件をやらかしたのは……"フェイタルベルン・ファミリー"と呼ばれる武闘派マフィア……いやカモッラだったっけ?
私と協力関係にある『二人の人物』に依頼されずっと行方を追っていた一味だよ……D.R.U.G.S.≠ノ参加していないなと思ったらカノッサ機関に所属していたのか
コマチとは前にちょっとだけ会ったことがあってね、といっても詳しくは知らない……私の死んだ『親父』なら彼女の事をよく知っていただろうが

まあ、詳しくはまた顔を合わせたときにでも説明するとして、とにかく一度お家が没落したお家の跡取りが家業の犯罪組織を継いだ後再興させたファミリーがいたのさ
そこの構成員になったと聞いていたコマチが……"六罪王"になって我々に牙を剥き、古代遺物類≪アーティファクト≫を奪っていくとは……『エリー』君になんていえばいいか


【此度の古代遺物類≪アーティファクト≫強奪事件の犯人は、どうもジンジャーが『知人』に頼まれて探していた一味の構成員であったらしい】
【話を聞くだけでもいかにも金にがめつい俗物女ゆえに、普通に考えれば『旧遺物』の希少価値に目を付けて犯行に及んだと見るのが自然ではある】
【だが、本当に……?本当にそれだけか?金目当ての犯行で部下が命がけで正義組織の戦士に特攻など仕掛けるか?】

【ともあれ自分はもちろんことアルフレドの体力も限界だ、続きはまた後日にする事に決める】
642 : ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/15(水) 08:31:36.70 ID:9novp/Gjo

……もう君も限界だろう、今日は休みなさいアルフレド君。続きは後日にしよう
今回の君の功績にこういった報酬を用意した。……今日は本当にありがとう、またいずれ戦える時を楽しみにしてるよ


【ジンジャーはこの後バイパーを討伐したアルフレドの功績を称え今回の任務の報酬として二つのアイテムを譲渡する事だろう】
【一つは魔術の模様をコンピューター制御で刻印した治療用の"符"を複数枚、これで今後戦闘で負傷した際に自分の体に応急処置を施すのに大変重宝する事となる】
【もう一つは茶色いパイプの形をした―――充電式『水中酸素吸入ボンベ』だ、水中でもこれを口にし息を吸えば問題なく呼吸を続けることが出来るという品だ】

【『赤い月』にもせっかく共闘したんだし、スタンスは認めないにしても今日の事を称え金くらいばらまいておいた方がよかったかな、とか言いかけたところでジャンクちゃんは言う】


「……アレの中身、確かいくつかの宝玉の他は……旧遺物"鬼髑髏の首飾り"と、"水繰りの扇"でしたっけ……音無小町はなぜアレを狙ったのデスヨー?
いや、むしろもっと気になったのはどうして彼女がこの旧遺物を狙う事をノビタさんは事前に感知しそれをワタシたちに知らせる事ができたのでしょうか……ワタシには皆目見当もつかないデスヨー」

あるいは、情報を掴んだのではなくて"推理"したのかもな。なにせ彼の過去の職業は『探偵』だ。ある程度コマチの狙いをノビタ君は知っていて
そこから次に彼女が狙うであろうモノがなんであるかアタリを付けられたのかもしれない……そう、『コマチがドクターから宝を奪う事で果たせる目的』を……
……例えば今彼女がやりたいことが"水"によって阻まれていたとしても"水繰りの扇"があればこれでもう"水"に阻まれることはない……

行方を阻んでくる"水"……か。まさか……


【―――頭にある予感がよぎる。彼女はこの旧遺物が何に通じているのかを知っているのか?】
【今回これを二つに宝玉を3つ奪われた事で自分たちの陣営は―――『神器』に辿り着く旅路が遠のいた、それは間違いない】
【その行き先には『敵』がいる事も承知していたが―――まさか、彼女たちがそうなのか?―――窓の外、地平線の向こうの景色を見ながら彼は静かに呟いた】


……ドラ君の『出所』は8月の初めに予定されているが……それまで警戒するように、後で足を運んで注意を促しておくか


/これが防衛側の〆になります、続いて襲撃側を
643 : ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/15(水) 08:33:47.49 ID:9novp/Gjo
【―――そして、所変わって櫻の国の民は今まさに空を見上げ不安に見舞われていた】

【自分たちの国の上空を―――神々しい輝きを放ちつつも、見る人だれもが形容しがたい漠然とした不安に胸を満たされるような、禍々しいオーラを纏う巨大な戦艦が飛んでいる】
【全長推定290m、重量は軽く65000tほどだろうか。魔術により発光こそしているがその重厚な船体の表面は黒一色で塗られており、艦首には『Dandelion』と刻印されているのが分かる】

【そしてここはその『ダンデライオン号』の船内、今まさにカノッサ機関本部に帰還しようとしているならず者の同盟】
【その中央の席を陣取るコマチは、箱を差し出すカニバディールに拍手喝さいを送る事だろう】

【一方の、長い金髪の髪の上に、"13"と書かれた缶バッチと、逆五芒星の缶バッチの着いた丸い布の帽子ブレンヒルトは浮かない顔で丸い窓の外を眺めている】
【―――やはり、先ほどのアルマジロクレムリン……今回の作戦で犠牲になった部下の散り様を思い返しているのか】


「―――ありがとう、バイパー……私、無論きっとやり遂げて見せるから……先に地獄で待っててね
きっと最高のニュースを持って帰るから……といっても貴方は優しいから、おばあちゃんになるまでこっちに来るなって言うかもだけどね」、


あっはっはっはっは!よくやってくれたッスカニバディール……いい仕事をしてくれた!苦手な前線に出たかいがあったッスよ
さぁーて、そろそろ開けてくれレオ。すぐにでもアタシに中身を見せてくれよ
<―――承知した、離れていろ>


【その鋭い爪の切れ味にモノを言わせ分厚い箱をあっさりとこじ開けその中身を外気にさらすであろうレオ】
【待ちきれない様子で覗き込んでみれば―――そこにはいくつかの窪みの中にそれぞれ多様な輝きを発する古代遺物類≪アーティファクト≫の数々……】

【水色と白で彩られた、触れてみると異様に冷たい宝玉、その小さな石の中で幾度も稲光を輝かせる宝玉、そして一切の光を受け付けない暗闇が内在する宝玉の三種】
【その少し上には三つの―――人のモノに近い形ではあるものの、その頭にはそれぞれ二本の角を生やした頭蓋骨を繋げた、異様なオーラを纏う首飾り】
【そして―――今まさにコマチが手にするであろう、柄の所に水色の宝石が刻印され、開くとその布の部分に荒波の絵が象られた美しい扇―――今回、コマチが一番必要とした『旧遺物』"水繰りの扇"!】

……では当初の予定通りこの"水繰りの扇"はアタシが貰っていく。カニバ、お前はこの残りの宝玉を持っていくッス
そして……このもう一つの"旧遺物"、"鬼髑髏の首飾り"もお前らの中の誰かが持つといい。ただし最終フェイズで必要になった時アタシにも使わせてもらうからな
といってもウチの面子も何一つ渡さないってのも不満が起こりそうだな、ブレン、お前もどれか一つ宝玉を持って行っていいッスよ。レオは?……いらないか、そうか

「ありがとう、じゃあお言葉に甘えてこのいやに冷たい宝玉をもらうし。名づけるなら"冷氷の宝玉"って所かな?
じゃあカニバディールたちにはこの"紫電の宝玉"と"暗幕の宝玉"を持って行って欲しいし!」

とりあえず当面は出撃を依頼することはないッス。お前たちはしばらく待機だ。……次のアルカトラズ潜入戦は少数精鋭で攻め込むつもりだからな

【此度の報酬として手渡されたのは期せずして手に入ったもう一つの『旧遺物』とブレンヒルトが一つ持って行ったことで残り二つとなった"宝玉"】
【"鬼髑髏の首飾り"の効果―――それは身に着けた人物がこの首飾りに意識を向けた時、激しいスタミナ消耗と引き換えに攻撃翌力と機動力が一定時間の間著しく上がるドーピングアイテム】
【"紫電の宝玉"は攻撃に雷属性を付加する効果、"暗幕の宝玉"にはこれを使用することで攻撃した相手の目の前に視界を遮る"暗黒空間"を同時に二つまで発生させられる効果がある】

【この取り分によって互いの陣営も戦闘力の増強となる、今後の作戦でもより一層猛威を振るうことが出来るだろう―――さて、残るは情報交換だ】
【カニバディールが此度の戦闘で得た情報の全てを得るごとにふむ、ふむ、と頷いて記録していく、ジンジャーが最後、女性を攻撃したら謎の発作を起こしたところなどは特に】

【―――だが、最後に此度の輸送の受取人が『誰』だったのかをカニバディールが口にした瞬間に……彼女たちの顔色が一気に変わることになった】
644 : ◆LF1Ar7hXZw [!nasu_res]:2015/07/15(水) 08:46:00.01 ID:9novp/Gjo
【―――ガチャン、と思わず飲み物の入ったコップを取り落としてしまう。コマチとブレンヒルト、両方が】
【元々表情のちぐはぐなコマチだがその顔を見なくても彼女が今、大変動揺している事が通じる事だろうか。最も、本当に驚愕の表情を見せたのは……】


―――大山、無玖、だと……?いやいや、ちょっと待て、なんつった?大山無玖?あのジジイ……『正義組織』に組してるのか?
おいブレン、どういう事だ?お前の話じゃあの世捨て人の爺さんはもう二度と人のいざこざに首を突っ込むことはないだろうって話じゃなかったのか?

……まあいい、その話が本当ならば腹くくっとくッス。その男は―――アタシたちの敵は、元"カノッサ機関議員"だ
ブレン、お前も覚悟を……ブレン?おいブレン!

【―――本当に驚愕の表情を見せたのは、その隣にいたブレンヒルトだった。彼女は顔面蒼白になり、額に冷や汗を浮かべながら上品に両手で口を押えている】
【その事実を聞かされ、部屋の集まりからおぼつかない足取りで後ずさり、やがて頭を抱えてその場にうずくまり始める】



「――――……う、そ、でしょ……そんな、なんで『敵』に、アイツらの側に……!?―――なんでなの……『師匠』!?」



【―――――――この『事件』はあるひとつの"終わり"を描いた物語だ】

【様々な思惑、様々な因縁が複雑に絡み合ったこの戦いのすべては、古代の民が残した究極の力を秘めたその"秘宝"の伝説にこそ全ては繋がっているのだろう】
【―――しかし、このときまだ誰もが辿り着けてはいなかった。この戦いに隠された"謎"、その中に埋もれ隠されていた"真実"にはまだ辿り着けてなどいないのだ】

【この"真実"にいずれ、誰かが辿り着いた時―――いよいよその"終わり"は始まる。その"終わり"の始まりのカギを握っているのは―――】



『―――異変を感じて追ってみれば……あの『馬鹿弟子』が……』



【――――その大地から、今もなお輝く戦艦を真っ直ぐ見上げるこの『男』から全ては始まっていく事となる】
【←To Be Continued...】

/こちらが襲撃側の〆となります
/皆さま、最期のお返事が大幅に遅れてしまい本当に申し訳ありません
/当日に遅くまでお付き合いしてくださりありがとうございました、では失礼します
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/15(水) 21:57:22.51 ID:lQxnvuZv0
【街中――大通りに面した立地のアイスクリームショップ】
【店内にいくつか、外にいくつか。置かれた机も椅子も、客でいっぱいになっていて】
【からんころんとドアに括り付けられたベルが鳴る。体でドアを押すように開けたのは、ちいさな女の子】

あーっ、……うにゅ、どこもお席、空いてないのね、なの……。

【彼女は、外に置いてある机までも客でいっぱいなことに気付けば、独り言にしては大きな声を上げる。少しだけ不満げな、でも、仕方ないというような】
【手には大き目のワッフルコーンに色とりどりのアイスを乗せたアイスクリームが。困ってしまった彼女は、へんにゃりと眉を下げながら】
【とりあえず、ピンク色のアイスクリームをひと舐め。「うーん」と、真剣みの足りない声色でもってして、困った顔をしてみて】

【クリーム色の髪。ほんの些細な風にもふわふわと揺れるほどに細く柔らかい毛束は、高い位置で二つに結い上げられたツインテールで】
【瞳は真夏の青空と同じ色。抜けるような透き通るような色味の丸いタレ目と、右目の下には毒々しい紫色で蝶の刺青が刻まれて】
【スカートがもっふり膨らんだワンピース。黒と白を基調にして、スカートには十字架模様が縫い込まれるが、何らかの信者のようには到底見えず】
【腰のところにはかわいらしいポシェットを提げている――そんな、女の子。就学前か、ぎりぎり就学後か。とかく、ちいさな子供だった】

あーん……、……仕方ないのなの。地べたでいいもんねーってね、私は思うな!

【そうしてしばらく眉を下げてきょろきょろしていたのだけど。そのうち諦めたのか、開き直ったのか、ふふーんと平気だもんなんて1人でつぶやいて】
【とりあえずドアの前から退いて。けれどガラス張りの店の前、「よいしょ」と、しゃがみ込む】
【それで何もかも解決したようにアイスクリームを「いただきます」するのだけど。――邪魔ではないのだが、子供が1人。なんとも目立っているのは、確かだった】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/07/16(木) 19:24:58.33 ID:d5JZuchdo
【人里離れた森――秘湯】
【知る人ぞ知る名湯であるこの場所に、珍しく先客が居た】

「大会か……賞ォ品目ェ当てで参加しィても良ォいが……うゥむ、正義と一対一は身ィバレしぃかねないな……」

【それは、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】 【首に紫色の毛のマフラーを巻いていて、湯に浮いている】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ、この髪もまた一部浮いている】

「ふゥむ、しィかし……噂通りの名ェ湯だ……」
「うゥまく再現すりゃア、部ゥ下も少しはつゥいてくるだァろう」

【さて、この者――何処かで見たことがあるかもしれない】
【例えば、そのへんに貼ってあるポスター……"指名手配書"、特に賞金付きの方】
【それに、この顔にそっくりな悪魔が、多種多様な罪により指名手配されたいたはず――確か名前は"邪禍"とかいったか……】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/16(木) 23:41:49.75 ID:q3CAG33o0
>>640
「いいんちょー、やっぱり変だってこの子!!ほら、全然実感無いし何か影と話してるみたいなんだってば!!」

【栗毛の言葉は、恐らくは的を射ているか。まるで実体無き者に話し掛けているかのよう】
【然りと言葉を交わしては居るけれど、果たして本当に言葉が届いているかと不安になる位には】

【――――だが、銀髪はそんな言葉を聞くことも無く】
【代わりとして少女の言葉に耳を傾ければ、なる程と一人納得するのだろう】
【連絡先の交換など、簡単な事だ。寧ろ、友達という関係ならば意識せずとも自然に交換を終えている事もある】
【……それも、全ての人物に当てはまる事では無いが。況してや少女の様な性格ならば、見知らぬ人と話すことですら容易でないことは今までの事から想像出来る事】


『ええ、その通りです。ですがそのベクター……のみならず、機関には数多くの人員が居ます
それこそ、こうして話して居る私達を何処かから見ていても可笑しくはありません。――――ですが、だからと言って貴女を咎めるのもお門違いですね
ただせめて、これからも夜間の外出をするならば安全に気を付けて下さい』

【其処で一つ言葉を句切れば、視線を下に向けたままの少女を見遣り】
【連絡先の交換をスムーズに行う方法や、人との接し方を説いても良いのだろうが。恐らくは、少女は理解してくれても其れを実際に行う事は難しいだろうか】
【さて、ならば手段も限られて来る。その一つを提案しようとした矢先――――】


「へーんなの。連絡先の交換とか、会ったその日に直ぐ出来ちゃうじゃん?
それに友達なのに連絡先も場所も知らないなんて、一日だけの遊び相手みたいだよ」

『誰もがナキの様に何も考えず脳天気に生きている訳ではありませんからね
……どうでしょう。もし良ければ、私達を相手に“練習”でもしてみませんか。もしかしたらこの先も多く友達が出来るかもしれませんし、少しでも慣れておいても損はありません
それに――――私達とも“お友達になってみませんか”』

【未だに足元に視線を落とし続けて居たならば、不意に銀髪の膝が曲げられた事に気付くだろう】
【釣られて少しでも視線を上げたならば、小首を傾げて様子を伺うその顔が覗けるはずだ】
【これも何かの縁。お友達になりましょう、なんて古臭い言い回し。それでも、真面目な表情で】
【銀髪のその言葉が意外だったのか、栗毛の少女はキョトンとした様子で居るのだけれど】
648 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/17(金) 00:00:07.64 ID:Rn+Wy3yDO
>>647

【何か変だ、と騒ぐ栗毛。だがやはりというか、金髪の少女はそれをまともには聞かなかった】
【なにせ金髪視点では栗毛は「虐めっ子」なのだ。ある意味仕方のないことではあるのだが……】


……ちっ、違う、し。……い、イクスは、友達って……い、言ってくれた、もん
一緒に、あ、あっ……遊んだ、し……それっ、それに……イクス、は……、


【「実は友達じゃないのでは」──そのようにも取れる言葉を栗毛が発すると、流石に抗議の声をあげた】
【だがその声は震えており、今にも消え入りそうな大きさ。当然だろう。友達が友達ではなかったなど、常人でも少しキツい事実だ】
【イクス。その友人とやらの名前だろうか。その名前を金髪は何度も口にしていたが──】


…………、……えっ、…………っ、わ、わ……

で、でもっ……と、友達っ……友達っ、て……そ、そんな、
……そんな、簡単になれるものじゃ、な、なっ……ない、し……


【友達にならないか。その言葉に、ぱっと顔をあげる。銀髪の顔が見えた。びくりと肩を震わせ、慌てて視線を銀髪から逸らす】
【そして続くのは、難色を示す言葉。彼女の中では、「友達になる」というのはもの凄くハードルが高いものらしい】
【……まぁ。コミュニケーション力も低ければ、人と視線を交えることすら苦手とする彼女ならば、それも仕方ないことかもしれなかった】
【だが、それでも完全には銀髪の言い回しを否定したりはしない。対人能力が低いだけで、友達を望んでいないわけではないのだ】
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 00:17:43.61 ID:9pRbSpbn0
>>648
『――――まあ、そうですね。少なくとも名前を知らなければ友達とは言い難いかもれれません
良くて顔見知り、程度でしょうか。そして……貴女はイクスという相手の名を知っているのですから、それは友達で間違い無いでしょう』

【最低限名を知らなければ其れは友達と呼ぶには少し可笑しな関係。そして其れを彼女の言うイクスなる人物に当てはめるなら――――間違い無く友達と呼んでも良い筈】
【鈍い栗毛からすれば何故声が震いるのかも分からない事。変なの、と呟けば咎めるかの様に再度耳を引っ張られて】


『そう言うことです。確かに友達とは簡単になれるものではありません
ただ其処に居るだけで友達だ、なんてナキの様な考え方も悪くは無いとは思いますが――――それでは、少しばかり友達の意味から外れてしまいます
ですから……先ず、互いを知りましょうか。

カネレ=ユースティア。其れが私の名前です
元々は教会の徒でしたが……今は訳あって学園に通っています
そして貴女に失礼したのがナキ=フォルティス。私と同じ学園の高等部一年生ですね
……良ければ、貴女の名前も教えて貰えませんか。友達、は難しいかも知れませんが――――知り合い、からならばどうでしょう』

【自身の名前と、もう一人の名前と。其れ等を伝えれば、次には少女へと言葉を振るのだろう】
【難しいのならば、ただ公園で会っただけの知り合いとして。それでも難しいのならば、偶然少しの時間を共にした人物として】
【――――下げられるハードル。名を教え合う、如何せん普通の行為をしようと試みるけれど】
650 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/17(金) 00:32:25.20 ID:Rn+Wy3yDO
>>649

【──少しばかり、沈黙が流れる。慣れていない状況に、頭と口が追い付かないのだろう】
【夜色の瞳は何かを考え迷っているかのように忙しなくきょろきょろと動いていた、が】


……、……ゆ。…………ユラ・エスパス
こっ、……高校、一年。……た、多分、……お、同じ、歳
でも……でも……学校は……、いっ、今は、行って、ない


【最終的には、小さく自分の名前を告げる。ユラ・エスパス。どうやら金髪の彼女は、年齢的にはナキとカネレと同じらしい】
【学校もやはりというか、行っていない。行けないではなく、行っていない。身綺麗なところから見ても、経済的理由などではなく】
【単純に自身の選択により学校に行っていないだけなのだろう。この性格だ。本当に虐められていたとしても、不思議ではなく】


……、カネ、レ。…………、友達、で
………………………………ナキは、知り合い


【──ナキに対する扱いが極端に悪いのは、決して気のせいではない】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 00:49:00.77 ID:9pRbSpbn0
>>650
「……――――ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっと待ったァァァァァァァ!!!」

【再び沈黙が訪れ、ユラにも考える時間が――――訪れる事は、無かった】
【バゴン、と机代わりにベンチを掌で叩く音。そんなの可笑しいだとか何とか色々とギャンギャン騒いだ挙げ句】


「何でこんな生真面目なのが友達で私は友達じゃ無いのさ!ちょっと可笑しいんじゃ無いそのリアル!!
別に学校行ってないとか行ってるとか、引き籠もりがどうだニート問題が何だって私は論じるつもりは無いけどさッ!!
こ・れ・は!聞き逃せないねッッッ!!

ぜっっっったい私と友達の方が楽しいって!ほら、夜の街を出歩いたりとか学生の特権でしょ?
なななな何と、出不精でヒッキーな君すらも連れ回して楽しませる才能が私には―――――!!」

【自分は友達の枠から外された。当然と言えば当然の結果】
【それでも、栗毛は納得出来なかったのだろう。バンバンとベンチを叩けば必死の抗議をして剰え売り込みすら始めるのだけれど】
【途中で口を塞がれれば、もがもがと意味の無い言葉を必死に発するだけとなって】


『――――同い年、と言うのは意外でした。若しかすれば一つ下程度かと思っていましたが……
何はともあれ、です。コレで私とユラは友達ですね
……そう言えば、ユラは一人で此処を訪れて居た様ですが。家は此処から近いのですか

こう見えても武術には其れなりの腕がありますから。もし良ければ、お送りしますが――?』

【そしてそんな雑音をバックに問うたのは少女の住まう場所か】
【時間も時間。少女を一人で返すには余りに不用心。故に、家まで送ると申し出るが】
【――――其処で頷くならば、或いは女学生の事も知れよう。だが、“実体”では無いからと首を振れば不思議そうな表情を浮かべる筈で】
652 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/17(金) 01:18:34.20 ID:Rn+Wy3yDO
>>651

【ナキが大声をあげれば、またびくんと身体を震わせるのだ。ベンチを叩かれれば、叩かれるたびにびく、びく、といちいち怯える】
【すす、とナキから少し距離を取る。ベンチから離れるまではしないが、心の中ではナキのレベルを「知り合い→少し話した人」程度に落とす】
【そして仕舞いには、カネレに口を塞がれ呻くナキを見て、「ふん」と鼻で笑いざまぁみろとでも言いたげな笑みを浮かべるのだ】
【──もしかしなくとも、性格はあまり良くないようだ。引き込もっているせいで、多少性格がねじ曲がっているのかもしれない】


…………、……ん……と、とも、だち。…………へへ

あっ……家。家は……遠い、よ。すごい、……すごい、田舎の。……それも、町から離れた、小さな森の、そば
だから……だ、だから、さ……歩いたら……すっごい、時間……かかる、し……

……それ、に。今……ここにいる私、は……実体じゃ、ない、から、さ……
だから……その。……死んでも、死なない、から。……分身、だか、ら……


【新たな友達。その存在に、はにかむようにユラは笑った。性格が悪かろうと、友達が出来たことは素直に嬉しいらしい】
【そして、家まで送ろうかと聞かれれば残念そうに首を振った。どうやら歩ける距離ではないのも理由のひとつ】
【もうひとつの理由としては──ふっ、とユラの姿が消えた。まるで最初からそこにいなかったかのように、いなくなった】


……、分身、だから。……「本体」は、……部屋の中に、いる
外は危なくて……怖い、から。……だから、いつも。……いつも、死んでもいい分身で、外、見てる

…………そろそろ、分身、消す、ね
あ────、れ、連、絡……。……メール、でなら、さ……


【──数十秒ほど経ち、またユラの声が聞こえた。ナキとカネレから少し離れた場所に、何事もなかったかのようにユラが立っていた】
【能力者。分身能力が、彼女の異能らしい。安全なところから、外を観測できる能力。引きこもるには便利な能力だった】
【ナキがユラの気配や匂いを感じ取れなかったのも、今目の前にいるユラが分身であるためだ】

【──別れの雰囲気を察したのか、ユラは2人のところに戻ろうとしなかった】
【代わりに、自分の連絡先……電話番号ではなく、メールアドレスを告げるのだ】
【自然とそういうことが出来たのは、2人のおかげか。何はともあれ、仮に2人がユラに連絡先を教えるのなら】
【彼女はそれをしっかり聞いてから、また何事もなかったかのように消えるのだろう】
【消える直前。声には出なかったものの──口元が、「ありが、と」と小さく動いた】

/このあたりでしょうかっ
/2日間ロールありがとうございました、お疲れさまでしたー!
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 01:37:04.80 ID:9pRbSpbn0
>>652
【恐らく、最初はその言葉の意味を理解していなかったのだろう。だが実際目の当たりにしたならば――――驚きと、そして納得】
【確かにこれならば一人で出歩いたところで危険も少ないか、と一人頷き】
【対して栗毛の方は大袈裟に驚いていたが……少し経てば、自分の言っていた事は外れでは無かったと言わんばかりに胸を張って】


『ええ。今度は何時か、本当のユラと一緒に出掛けてみたいものですね
ユラさえ良ければ、ですが――――』

【アドレスを聞けば、応える様にしてアドレスを返して。やがては消えるその姿をその場で見届ける事となろう】
【また何時か。そんな言葉で別れを締めて】

【――――翌朝、ユラの元には2通のメールが届く事だろう】
【カネレのメールは質素ながらも良く纏まった文章。昨日の事についての詫びと、これから少しばかりの雑談】
【ナキの方はと言えば……まあ、非常に女子らしい内容と言えよう。現実でも騒がしければ、文体でも騒がしいのだ】
【だが、一番最後に私は友達だと思ってるからね、何て勝手に押しつけてメールは締められていて】

【余談、だが。カネレから送られたメール、少し下にスクロールすれば何処かの住所が記されていたことに気付くだろうか】
【興味本位で調べたならば、其処は学園だとかでは無く――――とある教会である事が知れよう】
【困った事があれば此処に相談してみれば良い。短く、それだけが足されていて】

メ丁度良い時間で締めて頂き感謝であります!
メこちらこそ有り難う御座いました!お疲れ様でありましたですよー!
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 19:56:56.21 ID:31eoOF8p0
【水の国の街中 大通りにて】
【人通りも少なくなってきた中、少し異質な歩く人影があった】

【濃灰色のローブを身に纏った、子供のように小さく華奢な姿】
【ローブの袖からちらりと見える両手には、親指に銀色の指輪が見える】
【フードを目深に被っており、その表情は容易には窺えない】
【左の腰に、黒塗りの飾り気のない鞘に差した刀を下げている】
【そして、背丈程はある三叉の槍を背負っていた】

慌しい人を何度も見かけましたが……何かの準備中なんでしょうかね?

【誰にともなくそう呟く。物々しい武器を携えながらも、その声は非常に暢気で】
【右手に地図のようなものを持っているのも相まって、まるで観光か何かのような、そんな雰囲気すらかもし出していた】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/07/17(金) 20:35:48.63 ID:TT0hidc80
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――雷の国 路地裏】

――――無様ですね――――その程度なら、初めから抵抗なんてしなければ良かったのに――――
お前達がどれだけもがき苦しもうと、私には関係の無い事です――――

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女が】
【左肩から出血しながら、足元に倒れ伏す4人の男たちと、震えてしゃがみ込んでいる6人の子供たちを見下ろしている】
【――――子供たちはみな、粗末な扱いを受けていた事を感じさせる、ボロボロの服装で】
【一方でそれぞれに重傷を負い、倒れ伏している男たちは、パリッとしたフォーマルな服装にその身を包んでいた】

【その身からは、尋常ならざる量の魔力が感じ取れるかもしれない】

――――まあ、保護対象は無事でしたから、それで良し――――後は、ここの治安維持部隊にでも任せれば良いかな――――

【右手で『ワンド』のモチーフが象られている通信端末を取り出すと、オッドアイの少女はその場に背を向けて、操作を始める】
【――――国特有の生温かい雨が、不快に一同へと降り注がれていた】



【――――所変わって、水の国 ショッピングモール屋外駐車場】

――――お待たせしました。奴等の秘蔵の資料、無事に掠め取ってきましたよ……
「相変わらず、そういう仕事は早いな兄貴……じゃあ、さっさと帰るとするか?」

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年と】

【灰色のセーターの上から、黒のごつい厚手のベストを装着し、両腰に金属製と思われる黒塗りのトンファーをぶら下げている】
【さらさらした短めの銀髪と、やや不格好なレベルで大きいサングラスが印象的な】
【どこか威嚇的で近寄りがたい雰囲気を宿している、身長180cm前後の青年が】

【駐車場内を照らす明かりの死角に逃れるようにして、顔を合わせている】
【駆け寄ってきたネクタイの青年の手には、小さめのビジネスケースの様なものが握られていた】

あぁいえ、彼女にお土産でも買っていきましょう……せっかくこんな場所に居るのですからね
「……ったく、いい加減ちょっかい出すのをやめたらどうなんだよ? あの人の性格なら、絶対に兄貴には……いや兄貴以外にも、靡かねぇって」
だからと言ってやめる理由にはなりませんよ。私はやりたい様になるのです……。そして、必ず翻意させてみせましょう
「……ったく、この女好き……」

【声を潜めて、闇の中で言葉を交わす2人の男】
【死角故に、人目につきにくい場所ではあるが、その存在に気付く事さえできれば、それが後ろ暗い2人組である事は、まず間違いなく感じ取れるだろう】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
656 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/17(金) 21:42:53.89 ID:IBJKKdoVo
>>654


──ご存知ではありませんか?


【そのローブの人物に不意に、声を掛けるものが居た。声の主はその後ろから】
【振り向けば。人差し指を立てながら実に得意げな表情で語る一人の男が見えるだろう】


もうすぐ、それは、とても、とても素晴らしい……ン、SHOWが開催されるのですよ!


【黒髪を野暮ったく肩まで伸ばし、深々とシルクハットを被った鷹の眼光≠持った男】
【漆黒のスーツを身に纏い、星柄のモノクロマントを羽織る。黒尽くめ、故に両手の手に】
【付けられた白い革手袋は良く映える……いかにも怪しげな男、“普通”であれば完全に事案だが】

//まだいらっしゃるだろうか……!
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 22:03:06.40 ID:31eoOF8p0
>>656

【後ろからの声に、くるり、と振り向いて】
【目深に被っていたフードを少しだけク、と上に持ち上げる】
【外見から察せられる通り、まだ年端も行かない少女の顔立ちだ】
【もしかしたらこの顔、男にとっては覚えがあるかも知れない】

ショー、ですか……何分そういう催しには無頓着なので
でも言われて見れば確かにそんな感じの慌しさですねこれは。具体的に何があるんです……か、ねー

【無頓着というか疎いというか、或いは鈍いのか】
【話しかけてきた男の姿を、足元から頭のてっぺんまでス、と見て】
【「何処かで会ったことあるなあ」と言わんばかりの表情を浮かべながら、それでも「何があるのか」を問うてみた】

//まだいますよそりゃもういますとも
658 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/17(金) 22:19:07.02 ID:IBJKKdoVo
>>657


第4回 水の国天下一武道会ですよっ、武道会!

【一度手のひらを見せ、何も無いことを確認させた後、くるりと手を返すと】
【ジャジャーン、とどこからともなく取り出されたチラシを彼女のに突きつける】

【そこには、「第4回 水の国天下一武道会?」が開催される事と、開催地、ルール。そして、水着の女性が】


少しばかり優しくなったルールによって女性でも参加しやすくなったのもあり!
美しきビーチでキャッキャウフフなキャットファイトが見られるのではないかとの噂!これは行くっきゃないっ!詳しくはWEBでっ!

【「詳しくはイベントスレでっ」とは言わなかったのでギリギリセウトなメタネタで締めつつ】
【ポーズ等を決めつつ語りきったその男は、ようやく彼女の顔を認識した様で────】
【あらやだっ、みたいな口に手を当て、驚いた様な声色でさらに口を開いた】


あらまあ、リ・ラーズさんじゃ無いですか、もしかして!
私、リ・ロードですよ、リロードっ!ザッッ!マジシャン!

【いや、そんな名前では無かったと思う】

659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 22:33:15.00 ID:31eoOF8p0
>>658

ぶ、舞踏会!?

【ち が う】
【とまあよくある聞き間違いのネタに引っかかってるが、彼の繰り出した手品(?)に驚きの表情を見せる】
【差し出されてることを一拍置いて認識したのか、持ってた地図をローブの内側に仕舞い、チラシを受け取った】

……あ、武道会でしたか。目的がそれとなく不埒な気がするのは多分置いておいていいとは思うんですが
まさか、そういう光景目当てですか?

【じとー、と若干訝しげな目で見つめるが、それも束の間】
【名前を聞いて、「ああそうだ」と思い出したように頷いて】


確か前に名乗ったのは「リライズ」だったと思うんですがねー?
まあ、正解ですよ。お久しぶりです、回転職人さん、もといリロードさん。

【微妙に引っかかる言い回しだが、それでも彼の認識と一致していて】
【会釈一つ。以前とほぼ全く変わらないそんな印象を与えるだろう】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/07/17(金) 22:44:36.48 ID:TT0hidc80
/>>655取り消しで―
661 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/17(金) 22:47:08.37 ID:IBJKKdoVo
>>659

あれ、そうでしたっけ?いやあ、でも、リ・ラーズとリロードって似てますし。それだけ親近感があるという事ですよ。

【なんだろう、それは良い事なのだろうか。微妙である。首に手を当てあっはっは。と笑ってごまかして】
【その話題をしゅるりと横へ投げ飛ばすようなジェスチャーをして、】

【リライズが受け取ったチラシの中のルールの部分をトントンと指を差して】


いやいやっ。確かにそういう目的もありますが──じゃなくてっ。重要なのはルールですよ!
風船割りゲームという特殊なルール上では戦い方も従来とは代わり、私の様な奇術師にとっては魅せる戦いができ……

【──ん?お前出るん?場違いじゃね?男だし。なんか変な格好だし、目つき悪いし……】
【本人も本来は言うつもりじゃなかったのか。あ、やべ。見たいな表情を一瞬見せ】


え──私の様な奇術師にとっては、そういった戦いを“見る”事で非常に参加にする事ができ──。

【 ご ま か し た 】
【いや、出る事自体は別に不思議ではないだろう。性別に制限は無いし、あくまで武闘会、力を競い合う場である】
【ならば、なぜ誤魔化したのか。考えられる事とすれば、例えば“知り合い”に出てる事を知られたらまずい──的な?】

662 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/17(金) 22:50:22.98 ID:IBJKKdoVo
>>661
//参加にすること → 参考にすること の間違いです、ごまかせてないやんけっ!
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 22:58:58.88 ID:31eoOF8p0
>>661

あー、言われてみれば確かに似てるような……ってやっぱり間違えてるのでそれじゃ駄目だと思いますよ!
まあ置いておきますか

【名前の話よ、さらば】


【指で示されたルールに目を滑らせながら】
【一瞬先ほどのじと目で見たような気がするが、多分気のせいだろう】

そういう目的があることは否定しないんですね……まあ正直なのはいいことだと思いますが
しかし変則ルールですか。確かに一味違った戦いが楽しめると思いますねこれは――


――出るんですか? 見る方だと思ったら参加する方なんですか?

【 ご ま か せ て な い 】
【耳敏い少女の耳にははっきりと、参加して戦う意思があるのだと聞こえたらしく】
【それでも問う表情は至って純真。少なくとも場違いだとかそういうことは思ってないらしい】
664 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/17(金) 23:09:50.88 ID:IBJKKdoVo
>>663

【ごまかせていない──思えば彼女には昔から誤魔化しような事は通用しなかった気がする】


え、ええ、まあ…………まあ、興味本位っていうか。まあ、出ますけど────。まあ、ちょっと、ちょっとだけ、ね?
ていうか、下品ですよねー、女性目当ての集客目当てっていうかー。ルールもヌルいですしー。

【言ってる事が完全に真逆である!】

まあ、その話はおいといてー。

て、いうかー!リライズさんってー。何をしようとしていたんですかー?
地図なんか持っちゃってー。行きたいところがあるんじゃないですかー?
そうそう、水の国って観光地多いですし、もっと良いところありますよねー?

【完全に目と声が踊ってる。】
【目がくるくる。人差し指にシルクハットを乗せて右にくるくるー左にくるくるー】

665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 23:18:23.86 ID:31eoOF8p0
>>664

……まあ、そういう趣向だろうがなんだろうが見る人が増えればそれはそれでいいんじゃないですかね……?
というかさっきと言ってることが真逆になってますよ。それ目当てじゃなかったんですか

【まあ、誤魔化しがきかないのは生来の性格とかその当たり色々あるのだろう 色々な意味で】
【じと目、三度】


んー、特に何をしようというわけでもないんですよねー、これが。
宛もなく色々な所を巡ってみてる感じで、ここ水の国にも偶々寄ってみただけで……?

【くるくる回るシルクハットを目で追いかけながら】
【明らかに挙動不審な声や仕草につられるわけではないが、自分で自分の言葉に口ごもり】


――あれ、ここ、水の国なんですか?

【――えっ】

【よく見れば彼女の持ってる地図は、全然違う国のものである】
【この少女 重度の方向音痴】
666 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/17(金) 23:38:32.33 ID:IBJKKdoVo
>>665


(──えっ。あー──リライズさん、そっち系のキャラかー。)

【腕を組んでうーん、と唸る。そっち系ってどっち系?】
【まてよ──と言うことは、武闘会の事を知られて】
【仮に興味を持たれても会場にたどり着けないのでは?──なるほど、安心じゃあないか!】


いやいやっ。別にやらしい気持ちで“参加”する訳じゃあないですよ
こういった趣向で女性が多いのでね──ちょっとした余興というか趣向を凝らした戦いを披露してみようと思いましてね、HAHAHA。

【さっきとは打って変わってペラペラと喋りだす、この回転っぷり、流石は回転職人と言うべきなのだろうか】
【ていうか、流石に目的地に辿りつけないレベルで方向音痴とは限らないのではないか────】


しかし、リライズさん。流石にそれは方向音痴にも程がありますよ。
地図まで持って別の国に、居るとかどれだけ歩いてるんですか……。

667 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/17(金) 23:43:46.74 ID:WM/+zoYno
【町外れ・廃墟】

【市街地から離れた森の中。ここには悪どい盗賊団のアジトがあると街では噂になっていた】
【この廃墟がそのアジトだと。それ故に市民で近づくものは誰一人いなかった。あくまで噂のせいで、警察も動かない】
【しかし実際のところ、廃墟は廃墟だった。暗い森の中で、その朽ち果てた建築物からは一切の音がしなかった】
【変わった点があるとすれば、廃墟の窓が真新しい血で赤く染まっていることぐらいだった】

【廃墟の中は異様な光景が広がっていた】
【盗賊団がかき集めた金品財宝。その殆どに返り血が飛び散っている。人の腕や足などが床には散乱】
【床の殆どは赤黒い色に変わっていて、血の海という比喩がそのまま当てはまるような状況だった。】

【廃墟の中央には、六人の男女が円形に立っていた。いや、立たされていた】
【その全てが床から突き出す槍に身体を貫かれ、死んだままその場に固定されていた】
【死体は腕や足がないもの、腹部そのものが削り取られたかのように消えているもの、頭だけがなくなっているものと、無残な状態だった】


────接続部分に問題はない。供給率もいいだろう。実際、張ってみなければわからんが……


【暗い廃墟の中に、低い声が響いた。盗賊団が使っていたらしきぼろぼろのソファに、長身の男が座っていた】
【黒い短髪に、東洋人風の顔つき。赤黒い外套の裾が足首まで続いていた】
【左耳には大きなルビーのイヤリング。二つの眼はここではない場所を見据えていた】


…………よし、大体は完成だろう。あとはどうするかだな


【一つの仕事を終えたように、男は息をついた】
【廃墟を中心に、不気味な魔翌力が森の中に漂っていた。異様な空気を感じ取れれば、ここにたどり着くだろう】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/17(金) 23:47:34.57 ID:31eoOF8p0
>>666

【きっとあっち系なのだろう。方向が間違っててもそれは方向音痴で片が付く】
【と、いうことはさておいて】


本当ですかねー……? まあ、そういうことにしておいてあげます。
ただ、割と純粋に力じゃなく技のぶつかり合いになりそうなので楽しみですね
見に行けたら見に行ってみましょうかね

【流石に二度三度くるくると主張が変わってるので疑わしいという目を向けるが】
【何だかんだで一応納得したらしい。この少女が会場にたどり着けるかという問題点が別個に浮かんだような気がするが】
【まあ、こういう時のお約束としては「たどり着いてしまう」のが常なのだが、果たしてどうなるやら】


うー……割と方向音痴な自覚はあったんですけど、まさかここまでとは自分でも……
まあ、歩くことには慣れてるからそこはいいんですけど。飛んだりもしましたし

【多分問題点はそこじゃない】
【ちなみに彼女の靴は相当しっかりしているのか、汚れてこそいるが痛んだ様子は無い】
669 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/18(土) 00:10:15.41 ID:hn2p+2iCo
>>668

(行けたら行く、ああなんと甘美な言葉だろう──つまりこれは、来ないって事ですよね!?)

【それは、どうだろうか。まあ、とりあえず安心したのかこれ以上ころころ主張を変えるつもりは無さそうだ】


(飛んだりした結果、明後日の方向へ飛んでいってしまったのでは────?)

リライズさんはしっかりした方だと思ってたんですけどねー。
誠に、残念です。しかし、しっかりっ子のお茶目な欠点というのは萌ポイントでもあるためここは良いとしておきましょう!

【勝手に失望されて、勝手に許された────?】
【くるくると回していたシルクハットをかぶり直す】
【さて、と。街に設置された時計を見ると12時を回っている事が確認できる】
【もともと遅い時間帯ではあったが、人通りも殆ど無く、すっかり暗くなってしまった様だ】


ああ、もうこんな時間ですか。良い子は寝る時間ですね────ま、私は良い子ではないのですが関係ないんですけど。
昔はよく夜更かししてて夜はこれからって感じだったんですが、今はそうも言ってられないんですよね……。

【遠い目を見るような表情で月を眺めるリロード。大人になるって悲しい事なんだね……】

670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/18(土) 00:18:44.93 ID:4m+yWosq0
>>669

も、萌えって……何を如何したらそういう発想になるんですかね……?
……まあ、方向音痴は長い付き合いなのでゆっくりどうにかしますよ……

【軽く「うー」と唸ってる辺り思うところはあるのか】
【正直治らないと本当に治らないので多分治らないだろうことは想像に難くない】

【既に12時を回った時計を見て、微妙に驚いたようなそうでもないような、そんな表情を浮かべる】
【元から夜更かしはどんと来いな少女ではあるが】


正直私もそんなに良い子だっていう自覚は無いですけどねー……
まあ、そうでなくてもリロードさんは武道会に出るんですし、今はゆっくり体を休めた方がいいんじゃないですかね?

【というか生来真夜中に路地裏をうろついたりしてるので割と良い子の範疇からは外れているようなそうでもないような】

【チラシに目を遣った時に見たのは開催日時。既に「明日」から「今日」になっているわけで……】
【大人になるという悲しいことは気づいてないだろうが、別ベクトルでの提案だ】
671 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 00:30:22.10 ID:1PkOGYPDO
>>667

【妙な気配に釣られてか、あるいは盗賊団の噂を聞き付けてか。その廃墟を訪れる者がいた】
【──かつん。冷たい壁に、ピン・ヒールの音が反響する。女だ】
【かつん、かつん。独特な足音が、男の方に近付いてきていた。警戒している様子はない】
【暗いせいで、廃墟内の異変には気付いていないようだった。漂う魔力を察知出来ないのか、そのようなことはどうでもいいのか】
【足音だけでは、侵入者の考えを読み取ることは難しいかもしれない。分かるのは、足音が彼のいる空間に向かっているということだけ】

【──かつん。足音が止まる。儀式めいた造形の死者たちに、侵入者が気付いたのだ】
【「アーグ?」 女の声がした。「それとも……。ただの、いざこざかしら。盗賊団同士の」 独り言。妙な形の死者達を見たからか、少し緊張が籠る声だった】

【ふ、と奥の空間に視線を移す。ソファに座っている男が見えた。はっと女が息を呑む】
【そのまま女は男に背を向け、その場から逃げ出そうとした。侵入者は、長い黒髪に赤い瞳をした女だったが……彼にそれは見えただろうか】
672 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 00:34:53.73 ID:o9LJlt+3o
>>671

【ピン・ヒールの音が廃墟の中に響く。男の眉が微かに反応した。誰が出てくるかは、見ずともわかった】


…………あぁ、なるほど、そういう手があったな
相変わらずお前は役に立つ女だな。おい、どこに行く?


【ソファから少しも動くことなく、また目線を動かすこともなく、逃げようとする人影に男は声を投げかけた】
【何か良いことを思いついたような上機嫌そうな表情をしていたが、尚も逃げようとすればどうなるかはよく知っているだろう】
673 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/18(土) 00:39:55.88 ID:hn2p+2iCo
>>670

いわゆる、ギャップ萌え!一見、しっかりもののリラたんが実は方向音痴!ありがちだが、王道!
ほら、例えば一見ちゃらんぽらんで不真面目な私ですが──実は潔癖症!どうです?萌えるでしょう?

【SOUDANE!はたして潔癖症は真面目という意味に捉えられるのかという所から議論しないといけない所だが】
【今宵にそんな時間は残されていないようで……言い逃げである。あるいは一言でばっさりと斬られてしまうかもしれないが】


では、そろそろお休みさせて頂きますか────。

【あとは、別れの挨拶を紡ぐだけのはずが、キョロキョロと何かを探している】
【おっ。と、何かを発見した様で、その視線の先にあるものは──BENCH!ベンチ、いわゆる公共の椅子!】

【かぶり直したシルクハットをもう一度外し、その中に手を突っ込めば、滑らかな触り心地のシーツ】
【それを──ベンチに被せ。続いて枕。掛け布団。アイマスク。目覚まし時計!シルクハットから次々に出てくる就寝グッズ】
【まさか、この男。B(ベッド)メイキングならぬ、B(ベンチ)メイキングを────!?】


では、リライズさん。私はこれで失礼させて頂きます。
おやすみなさい、また会う時まで────。

【夜中の挨拶はおやすみなさいで間違い無いのだが、よもや街中で本当に"おやすみなさい"をする男がいるとは】
【かくして、B(ベンチ)に掛けられた掛け布団の中にリロード潜り込んでいくのであった──】

674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/18(土) 00:47:41.57 ID:4m+yWosq0
>>673

いやそれは無いですね

【ばっさり 非常に清清しいほどまでにばっさりと】
【どっちに対して無いですねなのかは、ご想像にお任せしよう】


【まさかこの男、何時でも何処でも寝れるように常に持ち歩いているのかッ!?】
【とでも言わんばかりに目を丸くしてその光景を眺めていたが】


えっ……あ、はい、お、お休みなさい……
(まさかここで寝るとは思わなかった……)

【まさか目の前でベンチで寝ることを敢行する人間がいるとは思ってなかったのか】
【呆気にとられたような意表を突かれたような、そんな素っ頓狂な声を上げるが】
【それでもちゃんと返事を返す辺り律儀と言えば律儀である】


――それじゃ、私はもう少し夜風に当たりますかね

【やはり良い子ではなさそうだがそんなことはさておき】
【誰に言うとでもなくそう呟いて、少女は街並の中へと消えていくのであった】


/久々、本当に久々でしたがお疲れ様でしたー!
675 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage]:2015/07/18(土) 00:48:37.63 ID:hn2p+2iCo
>>674
/お疲れ様でした!
676 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 00:54:03.64 ID:1PkOGYPDO
>>672

【呼び止められて、女は動きを止める。男からは見えないだろうが、彼女の表情は少しばかり歪んでいた】
【「あの姿」を見られていた。それだけの理由で、彼女は彼に会いたくなかった。逃げようとしたのはそのためだ】
【同じようにアレを見られた相手がいたが──「彼ら」は男と違って異形であり、それ故同族意識と似た何かを女は感じていた】
【背を向けたまま、しばし女は迷っていた。この空間に留まるか、あるいは自身の感情に従ってここから去るか】
【──沈黙。かつん、とまたピン・ヒールがなる。女がため息をついて、彼に向き直った】


…………別に。何か御用かしら?


【男と真逆に、女は不機嫌そうな表情を浮かべていた。いつもの囁きに似た笑みは成りを潜め、かけたのはぶっきらぼうな言葉だった】
【黒いドレスも、小指を彩る黒いダイヤも、いつも通り。以前は膨らんでいた腹も、既に元に戻っていた】
【ただ態度だけが違う。それもやはり、あの姿を見られたせいなのだが──彼には分かるだろうか】
677 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 01:02:09.29 ID:o9LJlt+3o
>>676

【女の反応は男の予想とはかなり違っていた。何故なのか、その理由がわからない男は首を傾げた】


なんだ、入ってきたのはお前だし、声をかけることに何か不満でもあるのか?
寝起きという時間でもないだろうに…………


【急転回して男の機嫌も悪くなっていた。当人としては相手の態度に心当たりが全くなかったのだ】


それともあれか? 前回俺がお前を叩きのめしたことを根に持ってるのか?
そんなものはお門違いだろう。むしろ殺されなかった幸運を感謝した方がいい。何せ相手が相手だからな
まぁ八つ当たりだかお遊びだかができなかったから、不機嫌になる気持ちはわかるが


【男はぱっと思いついた理由を口にする。しかしそれは事実と少し異なっているものだった】
678 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 01:25:40.67 ID:1PkOGYPDO
>>677

【またため息。女性の感情の機微を彼が理解してくれるとは思っていなかったが、実際理解していない様子を見ればため息くらいは出る】
【おまけに相手の機嫌が悪くなり、むしろ呆れすら覚えた。自分の機嫌が悪い理由だって、彼が挙げたものなどではない】
【──そのような思考が表に出たのか。表情が不機嫌そうなものから呆れたようなものに変わる】


根には……そりゃ多少持っているかもしれないけれど──そうじゃ、ないわよ
はぁ…………そのあたりが鈍感で残念なのは相変わらずね

しかも悪趣味なオブジェは作るしきったないソファには座っているし……
六罪王だったわよね? ならもっとまともな場所に居なさいよ!
それで? 声をかけたからには用事があるんでしょう? 何か用か、し、ら?


【つい、愚痴だか悪口だか分からないものが口から溢れ出る。目の前の鈍感男に、悪態のひとつやふたつでもつきたくなったのだ】
【だがついつい言い過ぎる。ひとつやふたつなら可愛いものだろうが、次第に「この場に彼がいること」自体に文句をつけ始める!】
【この雰囲気はまるで寝起きの時の彼女と似ているが……彼の言う通り、寝起きという時間でもない】
【ならば単純に、これこそ八つ当たりなのだろう。見られたくない時や会いたくないタイミングで彼と遭遇したことに対する、八つ当たりだ】
679 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 01:35:06.33 ID:o9LJlt+3o
>>678

【返事を聞いても彼にはまだロゼッタが不機嫌な理由がわからなかった】
【居場所について文句を言われると、彼はより一層機嫌を悪くした】


俺がどこで何をしていようが、お前に何の関係がある?
六罪王が何の意味もない活動をしていると考える方が、無理があるんだがな……まぁいい


【男はまるで吐き捨てるように言った。失望した、と言わんばかりの表情だ】
【すれ違いはどうにも継続しているらしい。一つため息をつくと、彼はソファから立ち上がった】


俺からお前への用件は一つだ。指定された日時に指定された場所に魔法陣を描け。それだけだ


【手短に彼は頼みごと、ではなく何やら命令を出していた】
680 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 01:58:18.83 ID:1PkOGYPDO
>>679

【命令を出されれば、再び表情に不機嫌が戻ってくる。いや、不機嫌というより不満、だろうか】
【今日の彼はいつもに増して癇に障る。そもそもの原因は彼女の不機嫌さ由来なのだが、少なくとも彼女はそのことを棚にあげていた】
【かちん! と頭の中で音がする錯覚に襲われる。先程逃げようとしていたのなどすっかり忘れ】
【かつかつかつかつかつ! と鋭い音を立てて彼に歩み寄る。何をするか? そんなことは分かりきっている】


なっ……、……な、…………はぁあぁああああぁあ!?
な、なぁによその言い方っ! 頼み事とか用件じゃなくて命令じゃない、命令!
少しは私の予定とか考えなさいよ、相変わらず勝手な人! 最ッッ低!!

大体っ、娼婦に何て用件頼んでるのよ! どうせ何かまたやるつもりでしょうけれど、なぁんで私なのよわ・た・し!!
それにいきなりそんなこと言われて「はいソーデスカ分かりましたぁ」なんて言えるわけないじゃない!
そりゃあその辺にいるあったまスッカラカンの軽ぅい娼婦なら「はぁい」って言うでしょうけれどね!!
ふん! あの時私にぶっ飛ばされて頭のネジが10本くらい抜け落ちたんじゃなくって!?
それにっ! 確かにあなたがどこで何をしてよーが私には関係ないですけれどねっ!
それでももっと言い方ってものがあるじゃないバァッカじゃないの!?


【……悪口も悪口、罵詈雑言のバーゲンセールであった。例え知り合いとは言え、六罪王相手にここまで言える女も中々いないだろう】
【ある程度言葉をぶつけまくれば、多少気は収まったのか一度大きく息をつく】
【そしてあの赤い瞳で、「文句でもあるのか」と言わんばかりに彼を見上げるのだ】
681 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 02:10:52.09 ID:o9LJlt+3o
>>680

【近寄ってきたロゼッタから発せられる罵倒の嵐。ある意味では恒例であった】
【恒例でなかったのはこの男の気分か。激昂するわけでもなく、彼はただ黙ってそれを聞いていた】
【────ロゼッタが不機嫌なときに言い出したのもまずかったのだろうが、“これ”は彼にとって単なる頼みごとではないのだ】


やりたくないのであれば、いい。他のやつに頼む、ということもできんだろうから自分でやるだけだ
お前がただの娼婦ではないから言ったんだがな。お前にはそれを可能とするだけの能力がある。そうでなければ言わん
が、お前が六罪王の味方をする、というリスクを取りたくないのであれば、仕方ない

…………用件は以上だ


【男は今までにないぐらいに真剣な表情をしていた。そこに冗談めかした雰囲気は欠片もない。その余裕がない、といった感じだ】
【言い終わった彼はロゼッタから視線を外す。言い方の問題や唐突さは彼自身、理解はしていた】
682 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 02:11:42.76 ID:o9LJlt+3o
//すいません、眠気がすり寄ってきまして……
//凍結か〆かはお任せします。明日は夕方あたりにいるかと
//一旦、お疲れ様でした。お先に失礼します
683 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 02:46:09.04 ID:1PkOGYPDO
>>681

【以前ならばこの後彼がムキになり、少しばかりの言い合いをし……とそのような光景が見れたことだろう】
【だが今日は違った。罵倒に怒りもしなければ、言い返しもしてこない。それどころか、真剣な表情を浮かべ】
【仕舞いには目を逸らす始末だ。何もないわけがない。何かがあると言っているようなものだった】
【言葉を失う。すぅ、と急激に頭が冷えていく。重要な分岐点にいることは、嫌でも理解できた】


…………、…………。…………報酬は何かしら

ボランティアに声をかけたつもりではないのでしょう?
本当に私に頼むつもりなら……相応のモノは頂くわ
勿論、六罪王に肩入れするリスクも考慮してもらいたいところね


【長い沈黙の後、静かに告げられたのはそのような言葉だった。断ることも出来たが、彼の余裕のなさがそれを躊躇わせた】
【加えて、娼婦としての能力ではない一面を頼られたことも大きかった。女は娼婦だが、魔術師でもある】
【魔術師であることは、普段人には隠している部分ではあったが……そこを頼られることは、決して不快なことではなかった】

【言い終わった後、困惑するかのように彼を見る。自分の言葉にどのような返答が来るかは、予想が出来なかった】
【彼の言葉を待つ。最初の苛立ちの元となった、自身の獣姿が脳裏をちらつく。だが今は、あの姿のことを考えないようにしていた】

/ではせっかくですので、継続でお願いします!
/とりあえず、お疲れさまでした。ありがとうございましたー!
684 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 15:57:36.04 ID:o9LJlt+3o
>>683

【答えを聞いた男はしばし口を閉ざしていた。何を考えているのか、外側からはわからない】
【数秒間を思考に費やして、彼は切り出した】


望むものを言え。金でも、物でも、技術でも
それがこの世界に唯一のものでない限りは、今の俺ならば調達できるだろう


【男が言い出した報酬は、ある種よくある答えではあった。だが殆どのそれらと違い、その言葉に偽りはないだろう】
【六罪王であり、かつ蒐集家の側面を持つこの男ならば多少手に入れづらいものでも調達できるのは、想像に難くないはずだ】
【尤も、例えばそれが国に一つしかないほどのものとなると、流石の彼でも難しいだろうが】

//お返ししておきます!
685 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 16:50:52.83 ID:1PkOGYPDO
>>684

【よくある答えだと思った。似たようなことを、別の六罪王に言われたこともある】
【結局その時は金と答え、結果として指を彩る黒ダイヤを得た。金があれば、ある程度のことは成せると彼女は思っていた】
【物は金で買える。欲する技術なら自分で身に付け、不足な部分は金の力で補う】
【極論だが、金さえあれば世の中どうにでもなるというのが彼女の考えのひとつでもあった。勿論、金で如何とも出来ないことが存在するのも承知だが】
【今の彼女は、金で解決出来ない何かを求めてなど──いや、あった。ひとつだけ。たった、ひとつだけ】


────本。あの写本のどれかを、一冊。出来れば、黒魔術に関するものがいいわ
それがダメならお金ね。仕事分に見合っただけのお金を頂戴


【以前訪れた彼の隠れ家。そこにあった、膨大な量の魔導書の存在を思い出す。そのどれもが、貴重なものであった】
【オリジナルを欲するほど傲慢ではないし、あれらの原本は彼のような魔術師が保有していた方がいいとも思っていた】
【故に、写本を求めた。あの小人たちの作業がまたひとつ増えることになるが、そこは気にしてすらいない】
【数も多くは求めなかった。写本であれ稀少な一冊なのだ。六罪王に加担するリスクは大きいが、与えられた仕事と釣り合うのは一冊がいいところだろう】
【或いは、写本一冊の方が仕事よりも重い価値があるかもしれない。もっとも価値の釣り合いを最終的に判断するのは彼自身だ】
【報酬が金銭で支払われたとしても、それはそれで彼女は納得するはずだ】

/遅れて申し訳ないです、本日もよろしくお願いします!
686 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 16:59:58.15 ID:o9LJlt+3o
>>685


写本? 一冊でいいのか?


【女が提示した報酬に男は少しばかり驚いた。そう、写本は彼にとってそれ程の価値はない。重要なのは原本だ】
【そもそも、本を一冊、というのが彼の予想に反していた。自分の負担があまりに軽いように思えたのだ】
【もちろん、原本を寄越せ、と言われればそれはそれで断るしかなかったが】


…………お前がそれを求めるのであれば、三冊やろう。黒魔術に関して、合わせて読むといいものがある
何年かかるかはわからんが、それらをしっかりと会得すれば、少なくとも“俺逹”の入り口ぐらいには到達できるだろう
あの獣化……いや、あれが本体か? ともかく、それも合わせればそのへんの奴にはそう負けまい


【俺逹、と彼は強調して言った。その言葉が指すのは六罪王や一部のナンバーズといった、強大な力を持つ面々だ】
【それほどのものを彼はロゼッタに引き渡す気になっていた。家に来たとき、あれだけ熱心に読んでいた彼女ならば、という期待もある】
【ともあれ、彼はロゼッタが提示した以上の報酬を約束した】
687 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 17:24:11.89 ID:1PkOGYPDO
>>686

【三冊、と言われれば断る理由も拒む理由もなかった。一冊でいいと即答など出来ない】
【むしろ、より多くの本を与えられるのであれば、それは彼女にとって好ましいことだった】


……なら、三冊。決まりね
それにしても……随分なものをくれるわね? 内容を修得できるかは私次第のところはあるけれど……


【小さく、彼女は笑った。今日初めて、やっと浮かべた笑みだった】
【強大な力を行使できるようになるかはまだ分からない。だがその可能性を与えられることは、悪い気はしなかった】
【「それに、負けないとは言うけれど」 思い出したかのように、言葉を付け足す。「基本的には戦場になんて行かないわよ?」】
【だって娼婦だもの、とまた彼女は笑った。あの村で起きた惨劇は、彼女にとって必要なことではあったが】
【女の性格そのものは、好戦的なものではない。そのことは彼もよく知っていることだろう】
【もっとも……争いに積極的に加担しないからこそ、彼女は今まで生きてこれたのだ。人を狩るときは、常に社会的・肉体的弱者ばかりを狙ってきたこともあり】
【勝ち負けなど、彼女からは少しばかり縁遠い言葉なのかもはしれなかった】
688 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 17:31:33.11 ID:o9LJlt+3o
>>687


それがお前の望みならばそれでいい。戦わないにも関わらず、力を求めるのが不思議なだけだ


【会得した力の利用方法は、男の関与するところではなかった。必要とするならば、与えるだけだ】
【ようやっと笑顔を見せたロゼッタに彼も少し気分を良くしたが、それを表に出すことは今日は控えた】
【そもそも、本題は終わっていないのだから】


指定する場所は水の国の首都フルーソ。その日、あの場所は戦場となるが、その中で描いてもらう
機関員が暴れまわっていたりと忙しくなるだろうが、お前ならば大丈夫だろう


【そう言って彼は更に詳しい日時を付け加えた。委細は話さないが、聞けば答えるだろうr】
689 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 17:45:44.41 ID:1PkOGYPDO
>>688

【「戦うだけが魔術ではないでしょう?」 知っているくせに、と女は軽く言った】
【彼女の様子からして、本を埃に埋める気は感じられなかった。かと言って、暴虐を示すために魔術を使う女ではない】
【ならば別の何かのために魔術を修得し使用しているのだろうが──問われでもしない限り、答える気にはなれなかった】


フルーソ。……エルジオの次はフルーソ? 随分といろいろな国の首都にご執心のようね
次は火の国でも狙うつもりかしら……なぁんて。ふふっ

それで? 今度は何をするつもりかしら?
大雑把に「戦場になる」だなんて言われても、どんなことになるのか多少は教えてもらわないと
エルジオみたいに、私の居る場所ごと消滅だなんて嫌よ?


【どんな戦場になるのか。軍隊でも来るのか、銃弾が飛び交うのか】
【確かに彼の言う通り、彼女ならばある程度のことには対応できるだろうが……】
【そうは言っても、多少の情報とそれに対する心の準備くらいはしたかった。火の海となった街中で慌てるなんて無様なことにはなりたくない】
690 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 17:51:36.82 ID:o9LJlt+3o
>>689


今回はエルジオのときとは違う。艦隊を持ち出して都市に攻め入るだけだ
一般的な都市侵攻と変わらん。艦砲射撃もする予定だが、お前に指定した場所は避けるようにしてやる


【大したことではないように、淡々と男は説明をし始めた】
【どうやら今度は直接襲撃をするらしい。少なくとも爆撃に巻き込まれる可能性は少ないが】
【しかし指定した場所以外にいるときや、攻め入ってきた機関員は自力で対処しろ、ということか】


…………本命はお前だ。そのへんの雑兵ならば問題ないだろうが、UTやscarletに見つかると少し厄介だな
それでもできるとは思うが、やれるか?


【今更のように、男は意志の確認を取る。本命という言葉何を指すかは言わないが、重要性は伝わるか】
691 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 18:11:59.22 ID:1PkOGYPDO
>>690

【移動中の流れ弾まで考慮しろというのは、さすがに言わなかった。それくらいは自分で対処できると思ったからだ】
【だが魔方陣を描き集中している最中、不意に砲弾が飛来すれば対処は難しくなる】
【爆撃に巻き込まれる可能性が低いことを知り、少しばかり安堵の息をつく】
【戦艦の砲撃にあたりでもしたら、いくら生命力が強いとはいえ無事ではすまなさそうだ】

【「そう、それは」 ご丁寧なことね。そう言いかけて、言葉がつまる】
【本命。その言葉で、今更ながら任された事の重要性を認識する。彼が何を成そうとしているかは不明だが】
【写本三冊分の価値に彼の真剣さを考えれば、随分と大きなことをしようとしているのだろう】


……今更な話ね。やるしかないのでしょう?


【「じゃあ、やるわ」 くつくつと女は笑ってみせた。正義側の連中に見つかれば厄介だとは確かに思ったが】
【まともな正義連中であれば、アインの襲撃に対処する方に回るはずだとも思っていた】
【ならば、魔方陣を描く作業を妨害する者は少ないだろう──くく、と笑う】

【「随分念入りなのね。なんのための魔方陣なのかしら?」 答えが返ってくるかどうかは分からないが、聞くだけ聞いてみる】
【ただの興味本意だった。どのような答えが返ってきても、約束を違えるつもりなどなかった】
692 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 18:32:50.40 ID:o9LJlt+3o
>>691

【「ああ、頼んだ」────たった一言だったが、彼はロゼッタに対してそう言った。魔術師として、彼は物事を“任せた”のだ】
【重苦しい空気はそこまでだった。魔法陣の効果を聞かれれば、彼は少年のように笑ってみせた】


それは見てのお楽しみだな。自惚れじゃなく、誰もが驚くものになる


【断言するほどに、彼はその魔法陣について自信があった】


実際のところ、完成したのは“ついさっき”なんだがな。作り上げるのには十年以上かかってる
効果を及ぼすのに時間がかかるから偽装までしなくちゃならんしな。いや、中々の力作だ
693 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 18:51:11.67 ID:1PkOGYPDO
>>692

【頼んだ、と言われれば彼女も頷く。彼が他人に何かを任せる──それが珍しいことであるということは、薄々感じていた】
【信頼されているのだろうか。だとするならば、この依頼は確実に成し遂げなくてはいけなかった】
【かけられた信頼や期待を無駄にする程、彼女だって鬼畜ではない。頷いた後、また薄らと笑う】
【その笑みで、今まで漂っていた窮屈で息苦しい時間を終わらせた】


……ふぅん? なら、期待しておくわ
あなたが10年もかけて作り上げた魔術なんですもの……どんなものか、楽しみ

……、……はぁ。それにしてもね、アイン
どれだけ出来がいい魔術だろうと、その顔はどうにかならないの?
あなた歳いくつ? 何よその、夏休みの虫取り少年みたいな笑顔!
笑うなとは言わないけれど、せめて歳を考えなさい、歳を!

……それで、どんな魔方陣なの? 勿体ぶらずにさっさと教えなさいよ


【しばらくは魔術が楽しみだなんだと言っていたものの、つい彼の笑顔を見てまた悪態が口から出る】
【こういう表情を見ると意地の悪いことを言いたくなるのは彼女の悪癖なのだろうが……】
【アインの頬を摘もうと、ロゼッタの手が伸ばされる。抵抗がなければ、だいぶぐいぐいと頬を引っ張るはずだった】
694 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 19:07:55.36 ID:o9LJlt+3o
>>693

歳がいくつだろうと別に笑ったっていいだろう
お前こそもうすぐババアだろうが……いてて、何をするやめろ!


【笑顔に文句を言われると恥ずかしいのか、悪口で仕返しをする】
【手に対して抵抗はなかったので、頬を引っ張られて痛がっている】
【魔法陣を教えろという要求には、単に彼女の足元を指で示したのだった】


は? 何を言ってる。さっきからお前が踏んでるじゃないか


【呆れたような口調でそう言うアイン。指示通りに足元を見ても、広がっているのは血ばかりだ】
【だが────床に円形に立たされている死者たち。彼らの内側に飛び散る血は幾何学模様を描いている】
【更に彼らの足元からは直線上に模様が外側へと広がっていて、壁の中頃まで到達していた】

【それらの全てを含めれば、確かにそこには魔法陣があった。彼は血でそれを描いていたのだ】
【魔術で凝固された血液はロゼッタが踏んでも消えずに残ったままだ】


実地調査に資金調達。ついでに思考の整理と、ここの盗賊団はよく役に立った
まぁどちらかというとアーグのジジイのようなやり口になってるのは、少し腹が立つがな?


【再びアインは笑みを浮かべてみせる。当然それは悪魔めいた、彼らしいもう一つの笑みだった】
695 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 19:35:59.67 ID:1PkOGYPDO
>>694

【「バ……なんですって!?」 歳のことを言われれば気にするのはどちらも同じ。ババアと言われてロゼッタは分かりやすく不満げな態度を取る】
【「何よ何よ何よ何よおっさんのくせに! それに笑っちゃダメとは言ってないじゃない!」 ふん、と口を尖らせ】
【一際強く頬を引っ張った後、ようやく彼から手を離すのだ。そして呆れたような彼の言葉に促され、床を見る】
【──最初は、何を言っているのか分からなかった。血しかないじゃないか、と言おうとして……漸く気付く】
【儀式めいた死者たちの中央。まずはそこの模様に目が行く。血の痕を視線で追いかけ、壁にまでたどり着く】
【……確かにそこにあったのは、魔方陣だった。大胆ながらも繊細な模様。贄の血液を媒介とした、悪霊召喚をも錯覚させる術式】
【そっと、足元に描かれたラインの上から移動する。気味が悪いからではなく、彼が10年以上かけて編み出したこの陣を、踏みたくなかったのだ】


……、……ふふ。確かにこれは凄いわ
アーグみたいになっているのは……私も思ったわ。最初はアーグが居るのかとすら思ったくらい

…………。……悪かったわね、「こんなところで何してるの」なんて言ってしまって


【魔方陣を観察する。いずれ自分が描くことになる陣だ。少しのミスも赦されない作業になるが、遣ると決めた以上はこの陣を覚えるのも仕事のひとつだった】
【──アインに視線を移す。悪どい笑みを浮かべた彼に、一度だけ彼女は謝罪した。打算からの謝意ではなく、本心からくるものだった】
696 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 19:46:37.78 ID:o9LJlt+3o
>>695


…………構わん。バレずに動くのも必要なことだ
如何にこの魔法陣が優れていようと、効力が素晴らしかろうと、邪魔をされては意味がないからな


【謝罪に対しては、アインは真面目な表情で答えた。彼であっても、こういった行動は事前に知られたくはなかったのだ】
【ともかく彼はロゼッタの言動を気にしている様子はなかった】


あとはこいつを敷いてくれればいい。お前の役目はそれだけだ
何か質問はあるか? なければ用件も終わったし、俺はこれ持って帰るが


【アインの手が後ろにあった袋を叩く。ここにある金品類を持ち帰るつもりらしい】
【何も話がなければ、彼は転移術を用いてこの場から立ち去るだろう】
697 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 20:02:12.67 ID:1PkOGYPDO
>>696

【「それも、そうね」 納得したように、静かに答えた。気まずい雰囲気になるのを避けるため、すぐに話題を切り替える】
【真面目な空気の後の沈黙はあまり好きではなかった。尤も、それが好きな人種も中々少ないだろうが】


…………特には、……、…………いえ、そうね────

────ひとつ、聞かせて。あなたは……
あなたは……「アレ」を見て。……その。……、気持ち悪くは、ないの?
私……もっと、露骨に嫌がられるとでも、思ったのだけれ、ど……


【……言葉を告げてすぐに、言わなければよかったと後悔する。つい目を伏せた】
【この女にしては歯切れの悪い話し方であったが、話題が話題故に仕方ないことかもしれず】
【要約すれば、「今の自分を気持ち悪いとは思わないのか」と、そのようなことを彼に聞いたのだ】

/次、少し遅れます
698 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 20:12:16.44 ID:o9LJlt+3o
>>697

【沢山ある金品の真下にアインは魔法陣を展開。帰り支度をしていたが、ロゼッタの珍しい態度を見て中断した】
【ただ、何を気にしているのか、彼はまだわからなかった。そのために、首を傾げていた】


アレ? アレってどれだ?


【気持ち悪いだの嫌がられるだのという言葉から、少し彼は考えてみた】
【しばらく考えてやっと答えにたどり着いて、アインは両手を叩いた】


あぁ、アレか!
いや、気持ち悪いに決まってるだろあんなの。何言ってんだお前。あんなのが目の前にいたらビビるわ
だから頼むから変身するなよ。前振りじゃねえからな。その姿のままでいろよ


【気持ち悪いのか、という答えには力強く肯定をした。実際に見たときもそうだったが、あの姿は嫌らしい】
【ただ今のロゼッタについてはそう思っていないようだった。というより、今の姿さえも気にしているとは気づいていなかった】
【彼としては姿が違うのだからいい、ということなのだが────】


//了解です
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/18(土) 20:23:30.71 ID:EfRD26T/0
【此処は水の国 ヴィルデス、そしてそこにあるビーチだからヴィルデス・ビーチ】
【元々リゾート地としても人気のあったこの街だが、今、この一つの街に集まる人間の数は普段より5割は増と言っても過言ではない。夏の暑さだけではない、人々が生み出す熱がそこにはあった】
【街の市場や他国から出向いたであろう露店もその賑わいを煽り、彼ら市民を守る自警団……否、各国の軍人達もここに一つとなっていた】


【そして今 活気が生む渦の中心となっているのがこの街の海岸、ヴィルデス・ビーチ】
【海岸に到着したならまず目に飛び込むのはエメラルドに輝く海、そして太陽を弾くような白い砂浜だ】
【今回の舞台はここ、その為に設立された特設ステージは海岸をフルに使ったような巨大な半円型で、現実に例えるのならコロッセオを半分に別けたような形状だ】
【特設とはいえ強度はばっちり保証され、警備も兵士の配置も完璧に近いのが軽い自慢にもなっていた】

【その特設会場中央に運ばれてきたのは今大会の賞品達、軍が主催ということもあってかそれ関係の物も多い気がした】

【水の国5代目元帥が使用していたローブ、まるでそこにいない筈の彼が見えるかのようだ】
【鬼教官、ジーン・ジャックマンが使っていたとされる大型リボルバー、彼の武勇伝をモデルにした映画はアクション好きなら一度は目にしたこともあるものだ】
【やや大きめの箱は月のオルゴール、星の国で採れた特殊な金属を加工して作られたもので、その音色はどんな時でも心を癒してくれる効果がある】

【洒落たケースと共に飾られた葉巻はヘリオスシガー、愛煙家だったという将軍がコレクションしていたものだが 引き取り先が無いために大会の賞品として出されたようだ】
【マグロのように頭、胴体、尻尾と解体された状態で運ばれた溶岩竜丸々一匹分の素材】
【軍で開発されたらしい魔銃、と 次々に賞品が紹介されていき……】

【前大会でも賞品となっていた銀靭鉱と金靭鉱、それと見慣れぬ白い金属もお披露目となり】
【白いその表面がごく僅かながらに光を放つと、最後にでっかい2枚のボードが現れて】
【一方には大きく書かれた「10,000,000」の文字、もう一方には「番組&CM出演権」の文字が、常連なら馴染み深いかも知れない】

【賞品が全て並んだならいよいよ、大きな歓声が会場を包むとビーチの砂も揺れるほど】
【進行役のマイクの電源も入ると、場内に歓声に負けない程のアナウンスが流れる】

『それでは第4回ッ!水の国天下一武道会……開会式を始めますッッッ!!!』

【真夏の太陽と青い空、エメラルドの海と白い砂浜、そこで行われる闘いは新たに何を生む?第4回天下一武道会、開幕……!】

/こちら大会開始文となります。
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/18(土) 21:30:09.24 ID:EfRD26T/0
【ヴィルデス・ビーチ、特設会場のリング】

【空は梅雨など忘れさせてくれるほどに蒼く、リゾート気分で伸びをしてしまいたくなる】
【だが今は日光浴などやっている時でもなく、真剣勝負のすぐ直前】
【わーわーと観客からの歓声もあがりながら、ただゴングを待つときだ】

……あら、君は前に地下施設への潜入任務に参加していた子ね…………?
そっか、君も大会に出ていたのね、それじゃあお互い全力で頑張りましょう!

【フリルのついた可愛らしい黄色のビキニ、腰にはふわふわとした白いパレオを巻き付けて】
【腰程まで伸びたカールがかる金髪という髪型と相まってか何処かのお嬢様みたいにも見え】
【そんな身長150ギリギリな女性が対戦相手の一方、二本のトンファーをくるくるとさせて】
【地の国の地下施設への潜入任務に彼女は居た、少なくとも彼女はぼんやりと相手のことは覚えていたらしかった】

【風船は両腕に一つづつ、そして頭頂に一つ、計3個の風船を割った者が勝者となるのが今回のルールだ】
【試合開始のゴングが大きく鳴り響くと、遠慮なくと言いたげにエリーゼは動かなかった】
【先手はそちらに譲るということだろう、勿論、遠慮は必要なかった】

/此方エリーゼです、ワザワイさんの方よろしくお願いします!
701 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 21:47:20.84 ID:1PkOGYPDO
>>698


…………、…………。………………………………。


【ざわざわざわざわ──。黒い獣毛に覆われだす片腕。耳がヒトのものから狼のものに変化する……!】
【……だが、その変化も一時的なもの。少なくとも片腕はすぐに人間の腕に戻っていった】
【あっさり気持ち悪いということを肯定されれば、それはそれでイラッとくる。その苛立ちが、一時的な獣化を招いたのだろうが……】


…………でしょうね! 私だってアレは気持ち悪いもの最悪よアレになってる時に鏡なんて見たくないし!!
聞いてるのはそうじゃないわよこの鈍感男!! ほんっとそういうあたり鈍いわよねあなた絶ッッッ対女に嫌われるタイプよ間違いないわ!!
っていうかあんなの誰だって気持ち悪いわよそう思わないのはカニバディールやデュアル兄弟たちくらいじゃないの!?

私が聞きたいのは! 今の私が気持ち悪くないのかってことよ!!
元々あの姿ってこと考えればふっつーは気持ち悪いでしょ! あなたはどうなのかって聞いたのだけれど!!
それとも何よ! ここまで言わなきゃ分からないわけ!? やっぱり頭のネジ足りてないんじゃないの!?


【……苛立っているせいか、耳が元に戻らない。それに加えて感情が昂っているためか、狼のものになった耳の毛が逆立っていた】
【勿論、彼が今の姿を気にしていないなどロゼッタには伝わらない。言われてないから分からないのだ。女とはめんどくさい生き物だ!】

/お待たせしました!
702 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/18(土) 21:48:06.71 ID:zCpaR0140
>>700
【まさに炎天】
【まさに真夏】
【まさに海日和】
【ヴィルデス・ビーチの特設会場のリングには散々と照る陽射しと歓声が降り注いでいた】

「?」
「あ、そっかぁ、あの時の…」
「初めまして!…じゃないけど僕はワザワイ・エスパス!よろしくねっ!」

【何故か浅葱色の女性用のトランクスタイプのツーピースの水着(しかも違和感なし)に薄い水色のパーカーを着た男の娘】
【此方も腰程まである紫色の髪をヘアゴムで長いツインテールにまとめ】
【身長も御互い殆どと言っても過言では無いほど同じに等しい】
【白い肌と華奢な体つきと顔つきから少女のようにも見える】
【そんな少年は深紅の瞳に光を弾きながり対戦相手にむかって獲物である戟をヒュンヒュンと準備運動代わりに振り回す】

「えへへぇ♪今日はひみつへーきもあるから負けないよっ!」

【彼の水風船の位置は右手首と左足首、それと首の後ろにそれぞれくくりつけてある】
【ゴングがなっても仁王立ちしている少女に一直線に走り出す】

「たぁあ!」

【ビーチの砂を巻き上げて戟の鋒(きっさき)が狙うは頭の上に可愛らしく鎮座する水風船、狙いやすいそれは格好の的であり、それこそ真っ直ぐ貫こうとする】
703 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 21:56:55.86 ID:o9LJlt+3o
>>701

【腕が獣のものへと変化すると、流石のアインも表情を曇らせた。うへぇ、やべぇ。そんな感じだ】
【念のため右手に二叉槍を召喚。何の構えもなしにじゃれつかれると[ピーーー]る。相手は虎のようなものだ】
【が、腕が元に戻って一安心。こちらも槍を消失させて一息ついた】

【と思ったら何やら怒り出した。急に大声を出されて吃驚。思わず肩を震わせた】


…………は? お前?
何お前、そんな女々しいこと気にしてたのか? 今目の前の姿が美人なら俺ぁ文句ねえよ
なんだよ思ったよりも細かいやつだなお前…………寝台に入る前の処女かよ…………


【怒るロゼッタに対して呆れたと言わんばかりにため息をつくアイン。火に油とはこのことだ】
【娼婦に向かってあるまじき暴言まで付け加えた】
【とはいえ言われれば彼女がそれを如何に気にしているかぐらいはわかる。もう一度ため息をついて、アインは後ろの宝石を一つ投げ渡す】


俺の手伝いだけさせるのもなんだ、お前の本業もやらせてやるよ。子供はもう産んだんだろ?
…………そういや、何が生まれたんだ? アレみたいのが生まれたのか? やばいなそれは


【次に元どおりになったお腹について言及。生まれた子供の姿を想像して、またうへぇという表情を作る】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/18(土) 22:13:50.97 ID:EfRD26T/0
>>702

【意外にも速いとワザワイのダッシュを見て感じたのだろうか、接近されれば彼女は即座にトンファーによる構えをとるだろう】
【頭が狙いやすいことは分かっている、だが狙いやすいからこそ そこへ来るであろうとある程度の予測も可能なのだ】
【頭上に向けて放たれた戟の刃をがちりとトンファーで逸らし、風船を防御】

…………っふふ、ドンピシャね……!いきなり真ん中を狙ってくる度胸は嫌いじゃないわ。
でも狙いやすさは同時に狙い難さを生むって…………ねっ!!

【しかも防御だけでは終わらない、ただの警棒のように使う方が多くなってしまった世間だが、トンファーは本来 攻防一体の武器】
【エリーゼがそのまま防御したトンファーをくるりと手で回転させる。戟はその勢いに弾かれるだろうが その前にワザワイの戟を持つ手首にある風船を狙った攻撃なのだ、エリーゼがスナップを利かせて回転させたトンファーの先が風船を割るには十分な速さで迫るだろう】
705 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 22:23:58.77 ID:1PkOGYPDO
>>703

【……このまま何も言わなければ、彼女の怒りも素直に収束したことだろうが】
【やはりというか、彼は一言か二言ほど多かった。ある程度感情をぶちまけたため、耳の逆立ちも収まりつつあったのだが】
【その余計な言葉のせいでまた黒い獣毛が逆立つ羽目になってしまった】


女々しいもなにも私は女よ!!!!!
それに何よ処女って!! 最悪! どれだけ私をバカにするつもり!!?
侮辱よ侮辱!! あなただって気にしてることのひとつやふたつくらいあるでしょう!?


【だんだん 馬鹿っぽそうな 悪口に なってまいりました】
【けれども彼が宝石を渡せば、不可解そうな表情でそれを受けとるのだ】


…………えぇ……本気ぃ?


【そしてこの反応である! 彼女は一体どんな反応が欲しいのかさっぱり分からない!】
【──だが、彼女が自分の外見に対し必要以上のコンプレックスを持っていることは彼も十分分かったのだろう】
【真相を知る者を相手にすると、今の取り繕った見た目ですら、例の獣と同一視されてしまうのではないかという】
【ある種の被害妄想とも似た感情を彼女は抱いていたのだ。だからこそ、「本業を」と彼に言われれば彼女は引いたのだ】

【「あぁ、それと。子供ね、最初は灰色だったけれど」 そう言うと、ロゼッタの影が小さくざわつき】
【にゅ、と影の中から1人の子供が出てきた。ローブを着た子供。5、6歳くらいの子供ではあるが……獣の子だからか、成長が早いのだろう】
【黒くそこそこ長い髪だった。くしゃくしゃにうねった髪質であり、おまけに前髪は目を隠すほどに伸びていた。特徴的なのは、頭部にある狼の耳だった】
【『…………わふっ』 アインを見ると、子供が小さく吠え(?)た。威嚇でもしているつもりなのだろうか】
【声からすると女の子らしいが、声の高い男の可能性も十分にあった】
【何はともあれ、獣化したロゼッタと比べると随分とヒトに近い子供だ】
706 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 22:33:00.67 ID:o9LJlt+3o
>>705

【「あーはいはい」とアインは悪口に取り合わなかった。もういつものことである】
【獣毛が逆立っていても「おお、怒ってる怒ってる」と面白がる始末】
【ただ宝石を受け取って不可解な表情を浮かべても、アインは怒りもしないし不思議がりもしなかった】


本気だ。こんなことでお前の機嫌を取ってどうする
悪いが他に俺の気分を証明する手立ては知らんぞ。寝台に入ってヤって、それでも疑うようなら知らん


【落ち着いた口調で彼はそう言った。取り繕うつもりは欠片もないのだ、と】
【彼女が一瞬では信じないことはわかっていた。あとは態度と行動で示すだけだ】
【ロゼッタについて伝えることはもうないので、彼は影から出てきた子どもに視線をうつした】


あー………あ? 化け物じゃねえな
なんだ、人間じゃねえか。耳があるのが変わってるぐらいか? どうなってんだおい
あとお前どこにしまってんだよ


【出てきた子供にはこれといった特徴がない。獣化したロゼッタとは似ても似つかない】
【なんでだ、とアインは首を傾げていた。もっと恐ろしいものが出てくると思っていたからだ】
707 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/18(土) 22:38:23.84 ID:zCpaR0140
>>704
【重い手応え】
【明らかに水風船ではない手応えを感じるとそこにはトンファーが】

「っ…速いね!」

【攻撃の最中と言う一番隙の大きな瞬間を狙ってのカウンター】
【バックステップで後ろに回避しようとするも鋭い破裂音と共にコンマ数瞬遅れてかすってしまって手首の水風船が割れる】
【いきなりレベルの高い接近戦、しかも両者共に子供、かつ使う武器が同じカンフーの武器故か会場に歓声が轟く】

「あー、割れちゃった」

【至極つまらなそうに言うと少年は左手を少女につき出すような仕草をする】

「だったら捕まえてあげるよっ!『血塗れかき氷(ブラッティアイスエイジ)』!」

【自身の能力の名を口にすると共に今回は殺傷が禁じられている故にか先端に球体のついた鎖が腕から次々と生えてそれをまるで漁に用いる網のように蜘蛛の巣のような形を描いて投げつける】
708 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 22:57:06.33 ID:1PkOGYPDO
>>706

【アインの言葉に、ロゼッタは何一つ言い返せなかった。言い分は分かるが、すぐにその言葉を信用できることなどできなかった】
【結局彼女は宝石を持ったまま、子供とアインを見るだけ。しかし彼が今の態度を変えない限り、彼女の疑いはいずれ晴れることだろう】


【出てきた子供はそのままアインに近付いて、犬のようにふんふんと臭いを嗅ぎ始める】
【狼もイヌ科の動物なのだから、イヌのような動作をすることは不思議ではないのだが……】


『…………、…………うふふ。加齢臭…………おじさん。みじめ。……うふふ』

どうなっている、なんて言われても……一応父親は人間だもの。獣の成分が多少薄まったんじゃなくって?
本当はもう1人いたのだけれど、そっちはアーグが持っていっちゃったわ。……あ、双子だったのはアーグには内緒よ?

それに……影の中にいれておくくらい、いいじゃない。便利だし
あ、フェイト。試しにパパって言ってみなさいよ、パパって


『……? パーパ。…………加齢臭、する、から……じーじ?』


【──どうも、性格の陰湿さは母親譲りらしい。フェイトと呼ばれた子は、『みじめ、みじめ』と低い声で呟いてにたと笑うのだ】
【ちなみに加齢臭、とは完全にフェイトの嘘である。実際にする場合は仕方ないが、加齢臭がないのであれば気に病むことはない】
【フェイトが小さく笑うローブの下が少しばかり揺れ動く。耳があるのだから、尻尾もきっとあるのだろう】
【更には子供を使って、ロゼッタまでもが半ば嫌がらせのようなことをしてきた。親子揃ってタチが悪いのは、間違いない】
709 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 23:04:36.87 ID:o9LJlt+3o
>>708

【加齢臭。その一言がアインの心を打ちのめした。電流が走ったようにたじろぎ、そのまま肩を落としてしまった】


ぐ、確かにおっさんだが加齢臭とまで言わんでも…………犬だから鼻が利くのか?


【気になるらしく自分の腕あたりに鼻を寄せている。自分では自分の臭いなどわからなかった】
【ロゼッタの説明には納得した様子で頷いてみせた。が、嫌がらせには首を横に振った】


なんで俺がパパなんだよ。パパはフレデリックかアーグだろうが
ってジジイじゃねえ!! それこそアーグだろうが!!

はぁ……ともかく、こいつについてはこっちが本来の姿ってわけか? 変身はしねえのか?
…………あぁ、ここで話すことでもねえな。報酬の先渡しついでに、家にでも行くか


【アインを中心とした魔法陣が、ロゼッタとその娘、金品類にまで広がる。転移の術式だ】
【ここにいる理由がなければ彼は隠れ家へと二人を連れていくだろう。呼び止めればもちろん中断するが】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/18(土) 23:09:24.65 ID:EfRD26T/0
>>707

(……むっ………………何だか今馬鹿にされたような気がした…………)

【そうエリーゼが感じるのはきっと観客らの視線、自分を知らない人にはどうせ子供か童顔の学生が闘っているのだろうというような視線を何処かに感じたらしい】
【それはともかく、彼女の攻撃に関して言えば成功、軍人ならこれくらいはやってのけると改めて知らしめるには十分だったことだろう】

【風船が破裂すると ふっ、とトンファーを構え直す、どうしても油断することはなさそうだ】
【どんな相手にも全力、それを体現するかのような動きで、鍛えられた肉体は細くとも加減など必要としない風格が備わっていた】

ほら、やり返して来なさい、このままじゃあ君もつまらないでしょう?
いくら大会でも出来ることは全部、やれることは全部尽くしましょう…………!

…………っ!!良い能力なのね、私とは随分違うわ……!

【ワザワイからの次なる手、これは氷の鎖だろうか?エリーゼは一本、二本、鎖を砕くものの残りによって動きを制限されて】
【ぐぐ…と力を込めはするが脱出には時間が掛かるか、ワザワイにとってはチャンスになる筈だ】
711 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/18(土) 23:21:15.36 ID:1PkOGYPDO
>>709

【明確に落ち込むアインを見て、くすくすと笑う親子2人】
【おまけにパパ呼ばわりを嫌がるアインを見て、何やら嬉しそうにフェイトは笑うのだ】


……ふふ。加齢臭に関しては知らないわよ。気になるのならちゃあんとケアすることね
それと……フェイトの本来の姿はそっちよ。少し、複雑なところだけれど


『パーパ! パーパ! パーパ! パーパ! パーパ! ……ふふ。うふふ、ふ。パーパ!』


【人が嫌がることは積極的にやりましょう。ああ素晴らしきかな道徳教育。どうやらロゼッタの育児は完璧なようだ!】
【……どうも、フェイトはロゼッタ以上に陰険な性格らしい。人が気にしている部分を遠慮なく踏みにじっていくあたり、アーグとも似ているのかもしれず】

【何はともあれ、そのまま彼女たちは彼の隠れ家へと向かうはずだ。そこで本業を勤め、フェイトに関しても色々なことを話すのだ】
【みじめなものが好きなこと。見た目はマトモだが人狼のように変身でき、その際は口が裂けること】
【最近は虫の羽を千切る遊びがお気に入りなこと。たまにスクラップズと遊んでもらっていること……】
【そのようなことを色々と話してみせる。その頃にはアインに対する疑念もだいぶ薄れ初めていた】


/このあたりでしょうか?
/2日間、お疲れさまでした。ありがとうございました!
712 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/18(土) 23:27:48.85 ID:zCpaR0140
>>710
【動きを封じられたエリーゼに向かって言葉を返す】

「うん!」
「そーなんだけどねー、だってこの大会っ相手の人を『動かなく』させちゃダメなんでしょ?」
「加減が難しくってさぁっ!」

【そういうと先端丸くなって殺傷力を落とした氷柱のドリルと吹雪をそれこそ雨霰とばかりにエリーゼの向かってバラまく】
【と、これはようどう】
【彼女程のモノノフ、そのスペックにこんな狙いの甘い攻撃がとおるとはおもっていない】
【狙いは一つ】
【何てことは無いがその中に一本、氷でできた針を織り混ぜて頭の水風船を狙いにいく】
【但しこの針、見えない訳ではない】
【と、いうよりも日の光に反射してキラキラ光るのを誤魔化す為に吹雪や氷柱と併用したのである】
【果たして彼女はそれに気付く否か…】
713 :アイン ◆r0cnuegjy. [sage]:2015/07/18(土) 23:29:29.38 ID:o9LJlt+3o
>>711
//お疲れ様でしたー!
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/18(土) 23:57:51.62 ID:EfRD26T/0
>>712

【吹雪程度ならこの風船を割ることは出来ない、そう考えてトンファーを使い 自身に迫る氷柱だけを的確に弾いていく、鈍くなっているはずの動きは、それでもまだ十分過ぎる速度の動作だった】
【ぱきりぱきりと鎖も砕きほどいていく、が、真正面から受けたために氷の針を目で捉えたときには既に防御は間に合わず】
【着色剤が飛び散り彼女の頭を濡らすと、風船は減って残りは互いに二つづつ】

………………っふふ……これでおあいこってわけね、でもここからが本番よ……!
何しろ的が一つ減ったんだものね…………ッ!!!

【完全に拘束をほどき切ったと同時か、エリーゼは砂浜を両足で大きく蹴った!】
【水平のジャンプ、それも着地しては跳ねを繰り返し左右ジグザグに動いて狙いをなかなか絞らせない動きだ】
【速さは正しく脱兎の如く、違いは逃げるためではなく向かうためというところか】

【右手のトンファーで防御姿勢、戟がただ彼女を狙おうものならまた往なされてしまうだろう】
【その隙を狙ってのカウンター、それを得意とする武器だからこそ それをい活かしていく】
【狙うはもう片手首の風船、武器を持ち、それを振るう手ならば簡単に引っ込められないと明らかに熟知した攻撃だった】
715 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/19(日) 00:20:25.48 ID:kA58Y9cI0
>>714
【漸くひとつ目の風船を潰したが少年の顔に余裕や奢りは無く、寧ろ眼をより鋭くさせる】
【彼女の軍人としての経歴は知らないがこの少年も少し前までは路地裏で獣のような生活を送っていた】
【そうして磨かれたバトルセンスが警鐘を鳴らす】
【強い、と】

「ふーん、まんがっぽい言い方をするんだったら…」
「…『俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!』って感じかなぁっ!」

【打ち切りになった漫画の最終回のような台詞だ、が】

「そのくらいなら僕だって!」

【残像というよりも面積の大きい金髪によって金色の影となったエリーゼの動きに同じく紫色の影になって着いていく】

【飛び散る砂】
【弾ける海水】
【沸く観客達】

【御互いに警戒心と闘争心を研ぎ澄ませたおいかけっこのなかで思考を巡らす】

「ようはその変な武器のガードさえ崩せればいいんだよねっ!」

【作戦としとは先程と同じ、今回バラ撒かれるのは野球ボール程の大きさの雪の玉、勿論中に石なんて物は入っていないがエリーゼがこれをトンファーを破壊している間に後ろに回って今度は左手首の水風船を狙うというのがこの少年の企てである】
【二本あろうと全面から攻撃すればガードか攻撃かのどちらかしかできないと読み、その隙を付こうと言う物だが果たしてこの少女に二度も似たような策が通じるのであろうか?】
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/19(日) 01:02:05.51 ID:ofGp5mJD0
>>715

【撒かれた雪玉を自分に当たるであろうものだけ確実に打ち落としていく】
【それに今度は小細工の類にも目を光らせ 警戒を怠らない、正直、二度同じものはそうそう決まらないと考えてもいいだろう】

【しかし全く同じわけではない、今の狙いはどうやら接近にあるらしく】
【だからか、思わずワザワイに背後を取られる、振り向くことさえしないのは余裕がないからか】
【……だが、彼は一秒にも満たない差というものを感じることになるだろうか、当たるはずだった攻撃が 少しだけ生じた差に割り込んできたのだ】
【トンファーは攻防一体、それは同時に反応可能だからこそそう謳われる】

………………フッ、ガードが弱点になるのならここまで残ってなんていないわ。
これは棍であって盾ではない、見せてあげる…………!

【振り向きもしないまま、今の攻撃をトンファーの持ち手を一回転させて間に合わせたのだ】
【元々武器でカバーしやすい腕の風船、トンファーは小型で防御面にも優れているからか相性は良く】
【だから弾いたと同時、二本のトンファーはワザワイの腕をがしりと挟み、エリーゼはそのまま足払いでワザワイの体勢を逆に崩そうとする】
【もしそうなれば、背中が砂浜に叩き付けられ 首の風船が割れてしまう程の勢いだった】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/19(日) 01:07:18.62 ID:ofGp5mJD0
>>715
/すみません、ちょっと眠気が怪しいので一時凍結をお願いします……
/今日は20時からフリーとなっておりますのでー
718 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/19(日) 01:20:11.46 ID:kA58Y9cI0
>>716
【確かに動きを捉えた…はずだった】
【それなのに戟は水風船ではなくトンファーとまたしてもカチ合っている】

「なるほど…強いね」

【『強い』筋力や腕力が高い人間をこの少年は強いとは言わない】
【咄嗟の判断力、技術力、精神力】
【全てが段違い】
【だからたった一言のそれは純粋かつ最大の敬意であり、感嘆であり、羨望】
【だがそれは決して彼女だけの物でもない】

「はぁっ!」

【足払いを軽く跳んで避ける】
【そして少女が両手に水風船を着けているに対して此方は首の後ろと左足首】
【この膠着状態であり密着状態のいまこそ好機】
【武器を弾かれたその瞬間に右足で少女の足を踏み潰しにかかる】
【そしてそれで動きをとめれば恐らく少年の得意とする戟でのラッシュを叩き込もうとするだろう】

719 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/19(日) 10:17:21.41 ID:Gg46rw1rO
【水の国 ヴィルデスビーチ 付近の商店街】

照り付ける日差し、大衆の熱気ーーまぁ、なんともお祭り日和ね。
しかしこれは……私の肌には少し……

【街中にも関わらず、黒のビキニに透明色のケープを着ただけの姿で悠々と歩く少女】
【普段から人口密度は濃いのだろうが、今日は更にその五割増しかと言うほどーーその中を水着の少女が歩けば、無論視線は集まる】

全く人間らしいーー見られるのは嫌いじゃないけれども。
こんなに熱かったら、そりゃ、普段のコートとかジーンズなんか履いてられないわよ、蒸れるもの。

【かと言って、街中を水着姿でーーというのはどうだろうかと疑問符を浮かべざるをえないが、しかし少女は羞恥心とは無縁のようだ】
【『光を反射せし白濁液』という言葉ともに"虚空"から取り出した日焼け止めを腕に塗りながら、目的の地へと歩く】

水の国天下一武道会、ね……これ程までに人気があるものだったとは。
少し驚き、どうしてそんなに人気があるのかしら?

【それは自分の姿を見れば一目瞭然なのだが、しかし女性の視点では気付かないものらしく】
【藍璃は興味深そうに少しだけ考えていた】

……ま、人は祭好きだものね。

【結局は平凡な結論に落ち着き、次に考えるのは大会のことだ】
【見た目には戦えるようには思えないが、少女は参加者である】

月のオルゴールーー見れさえすれば、獲得の必要は無いのだけれども。
一応、意思を宿してる可能性を考えればーー念には念を、ね。

【"月のオルゴール"、それが彼女の目当てであった】
【それは大会の賞品であり、獲得の為には参加して勝ち進まなければいけない】
【しかし、彼女の能力を考えれば"観測"するだけでよかったのだが……ここは不思議な世界、オルゴールですら意思を宿してるかもしれない】

殺傷禁止のルール、まるで私のために用意されているみたいね。
《fantasia》で調整すれば例え傷つけても"無かったことになる"訳だしーー久しぶりに本気を出せそうかしら?

【またも虚空から取り出したチラシでルールを確認しながら、策を練る】
【しかし、再び虚空に戻した】

ーーま、有名になりすぎない程度に売名しないとね。
"あれ"は最後の手段、使えば必ず何かしら勧誘がありそうだもの。
元の世界では召喚すら崇められるものだったものねーーまぁ、流石にこちらでは神は名乗れないから……ただの焼き鳥にしかみえないかもね?

【そう呟けば、頬をつつかれる感触に目を顰めた】
【ところで、彼女の水着姿だけが衆目を集めていたのではなく、その肩に乗る"燃える鷲"に目を奪われる者も居たことを述べておこう】

こら、女性をつつくなんて非常識よ。
だってそうじゃない? 此方で貴方に対する信仰なんてあるわけないし、信仰が無ければ神は神じゃなくなるでしょう?

【その鷲は、翼を震わせて綺羅と輝く炎粉を撒き散らすーー少し怒っているようだ】

大体、こっち来てから神格化に私のリソースがガンガン削られる様になったことから気付きなさいな……貴方を使うだけで、私は息を切らすのよ?

【ため息一つ、頭を小突けば、それだけで鷲は大人しくなる】

ま、いい結果を残せたらその時は酒盛りに付き合ってあげるから、今回は頑張りなさいな?

【鷲は首を大袈裟に振り頷き、何処かそわそわし始めた】
【単純なものだ、と藍璃は微笑む】
【そして、気がつけばそこは、目的の地であった】

ーーあら、なかなかに素敵なビーチじゃない。これは楽しくなりそうね。

【日差しを反射して、ガラスビーズの様に輝く海とそれが造った白い砂浜"ヴィルデスビーチ"】
【そこでは既に試合が始まっていて、藍璃もその熱気の中へ飛び込んで行ったーー】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/19(日) 17:16:25.70 ID:24gAc5Ax0
【街中――スーパーの中に設置された休憩所】
【設置されたソファによいしょと座るのは華奢な少女。けれど手に持つのは大きなエコバッグで、買い物の帰りだろうか】
【冷房の効いた店内でも歩き回ったりすれば少しくらい汗もかく。ふうと小さく吐息で彼女は額の汗を軽く拭って】

……もう、卵がないなんてびっくりなの。昨日、そんなに使っちゃったかなあ……、ううん、でも、これくらいあれば足りるかな。
他にもいろいろセールのもの買えたし、――うん、いっかな。……ふふ、アイスも買っちゃった。セリーナには内緒なの――。

【よっこいと荷物をソファの空いた場所に置けば、袋の中身は雪崩れるようになって、そのうち止まる。暑い夏に溶けた猫のようにだらしなくても】
【その横で足を軽くぱたぱたさせる少女は気にしていない。最悪ぶちまけなければいい、程度なのだろう。ただ、三人掛けのソファを狭くしている、だけ、?】

【真っ黒い髪は腰ほどの長さまである。耳の上のところを軽く編み込んで、長い髪は邪魔にならない程度か、蒸し暑くない程度にまとめられ】
【瞳は左右で色が違って、黒と赤。右の耳には片方だけのピアスをつけていた、月白色の宝玉の欠片――森の中の水辺のような香りを纏う――をはめ込んだもの】
【生成りのブラウスと真紅色のミニスカート。ふわふわと膨らむお尻には黒のリボン飾りが揺れて、足元は黒くて底の分厚い、パンプス】
【どこかいたずらげににんまりと口元を染める、その顔にはあどけなさが多分に残り。十六かそのあたりの年頃だろう。見ようによっては、もう少し幼くも見えるだろうか】
【がさりと袋を鳴らして取り出すのは、西瓜を模したアイスキャンディー。ぴりと袋を破けば、ぱっと鮮やかな赤色がビニールの向こうに窺えて】

いただきます――。

【嬉しそうに三角のてっぺんにかじりつく。その様子は至極幸せそうで、別にそれは構わないのだけれど】
【休日の夕方の休憩スペース。買い物客も多い時間なら、その空き椅子はだいぶん少なく、もちろん零ではないけれど】
【もしかしたら彼女が座る三人掛けのソファーや、彼女が荷物を置いてしまったスペースを必要にするひとが、居る可能性こそ零ではなくって】
721 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 19:02:44.06 ID:SXIjHS+Ao
【水の国・首都フルーソ】

【都市内は静まり返っていた。民間人は全員、家の中に入っているように命じられていた】
【街中にいるのは全員が軍人。各々が緊張した面持ちで持ち場についていた。しかし、その数は多くはない】
【軍隊の殆どは都市に近づかせないために、都市の周囲に展開されていた。フルーソに残っているのは民間人への対処や、緊急時用の人員だけだ】

【装備は水の国の軍人だけあって、最新鋭のものが揃っている。しかしその顔ぶれは若いものが多い】
【優秀な人員は殆どが前線送り。この場にいるのは数人の指揮官とあとは経験の浅い軍人ばかりということだ】
【時間は刻一刻と迫っていた。もうすぐ防衛戦が開始される。予想される戦場は遠くだったが、フルーソ全体は緊張に包まれていた】


「都市内に侵入されなければ、いいのですが」


【有志として集められた面々の元には軍人が一人充てられていた。金髪碧眼の、やはり若い男の軍人だった】
【二十代前半の気弱そうな風貌。恐らくは階級も高くはないのだろう。不安そうに彼は腰元の剣に手を置いていた】


「えっと、初めまして。クリストファー・シェーンハウゼンといいます。今回の防衛戦で皆さんに説明しろと言われました」
「皆さんにはこの都市に待機してもらって、何か不測の事態が起きたときに対処していただきたいと思います」
「そんなこと起きないのが一番なんですが…………」


【彼は手短に説明して、それ以来口を閉ざしていた。緊張がありありと表情に出ていた】


【────そして、指定された時間を迎えた。軍人たちが思わず地平線の彼方へと瞳を向ける】
【だがどういうことか、聞こえてくるはずの爆撃音や轟音はなかった。依然としてフルーソを含む周辺は静寂に包まれたままだ】
【異常事態に軍人たちはお互いの顔を見合わせる。襲撃するというのは嘘だったのか】

【そう思った瞬間────街の中心部分で轟音】

【咄嗟に軍人たちが音の方角を見る。巨大な爆発が起きたかのように中心部が大きく吹き飛んでいたのだ】
【前線からの艦砲射撃が届いたのかと、全員が身構えた。その次の瞬間に二度目の爆発。付近の軍人たちが吹き飛ばされていった】
【どこからの攻撃か全く軌跡が見えなかった。そんな中で一人の軍人が「上だ!!」と大声で叫んだ】

【全員がそれに倣って真上を見上げると、そこには空中に浮かんだ砲塔が二つ】
【そこから順に空間が歪み、巨大な戦艦が次々と姿を現していった。艦隊は迷彩術式を用いて、既に都市に侵入していたのだ】

【各艦から機関員の乗った小型艇が続々と現れる。小型艇は人が二人乗れる程度の大きさで、空中を自在に動きながら都市に接近】
【付近の建築物や軍人へ無差別に射撃を開始。一瞬にして都市内が戦場と化した】

//続きます
722 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 19:03:55.44 ID:SXIjHS+Ao

【中型の戦艦は都市に向けて艦砲射撃を継続。次々と街が破壊されていく】
【艦隊の中心部分には旗艦らしき大型艦があったが、これといった動きはしていなかった】


「み、皆さん! こちらの小型艇をお使いください!」
「敵は空中に広く部隊を展開していますので、我々も同じように展開して迎撃をします!」
「なので皆さんには各個撃破をお願いします!」


【クリスが指差した先には機関員たちが使っているのと似たような小型艇が置いてあった。数は十分にある】
【乗ればある程度、意思に従って動くようにできていて、特別な技術は必要ない。誰でも使えるだろう】
【また、これらを用いずに迎撃に行ってもいい。そのあたりは自由だ】


【機関員たちは今のところ散開していて、攻撃目標についても無差別なように見える】
【それ故に、彼らは軍人ばかりを狙ってはいなかった。建物の中に避難している民間人をわざわざ狙う者もいた】

【前方上空では背の高いビルを襲撃している機関員たちが。あまりに攻撃を受けてはビルが倒壊する恐れもある】
【右側上空では市街地へ向かう集団。こちらは地上からも迎撃できそうだ】
【左側では軍人たちが交戦していた。味方もいるが、敵の数も多い】

【どれに行くかについて、クリスは指示をしなかった。どれを選んでもいいということだろう】


//開始文は以上です。参加者の方々はこちらにレスをくださいねー
//小型艇に乗るかどうか明記してくださるとありがたいです!
723 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 19:35:53.19 ID:1GtXMgiDO
>>721-722

【クリストファーの説明を聞いていた1人は、まだ若い男だった。顔立ちは東洋人のソレ──櫻の国の出身者だろうか】
【腰には一振りの刀。剣士か。服の上からだと筋肉があるようには見えず、どちらかというと優男のよう】
【身に纏っているのは、質素なシャツにズボン。だが、よく見れば高品質なものだとわかるだろうか】
【──天辰 櫻。以前風の国エルジオにおいて、六罪王アインを撃退したメンバーの1人でもあった】

【クリストファーの説明を真剣な面持ちで聞いている最中のこと。突如聞こえた轟音に、天辰の表情が曇る】
【上を見上げた。──飛行戦艦。相変わらずの技術力だと、心の中で彼は悪態をついた。だが、既に街が戦場に変わった以上、ぼんやりしているわけにもいかない】


(≪天龍≫の力を借りなくてはいけませんね……。ですが、機関員が多すぎます……)
(刀の力で飛翔は出来ますが……それだと十分に機関員たちを叩く前に僕が力尽きる……!!)

お借りしますクリストファーさん! 僕はビルを守ります!
遠距離攻撃に乏しい方々には、市街地方面の防衛か軍人たちの援護を任せます!


【小型艇に飛び乗る。右手で腰の刀≪天龍≫を抜き、左手に持ち代える。ひゅうとその場に湿った風が吹き込んできた】
【右手で小型艇のハンドルを握る。ふわりと挺が浮き、そのまま前方上空──高層ビルの方向へと飛んでゆく】


(小型艇にいる機関員たちばかり構っていてはいられませんね……中型戦艦の砲撃もなんとかしないと……)
(それに、旗艦が沈黙しているのが不気味です、が……!)

取り敢えず、小型艇にいる機関員たちを減らさないと……!
力を貸してください────雷龍!!


【ビルに向け、天辰の乗った艇は飛翔する。手に持つ刀≪天龍≫を自身の前方──高層ビルに群がる機関員たちに向け】
【……ばちん! 水の国の首都上空に、閃光が奔った。まずは一撃。高層ビルをギリギリで避けるがある程度は機関員たちには当たるような軌道で、≪天龍≫から紫電が迸る!】
【狙いはそのまま機関員に直撃しダメージを与えることと、後ひとつ。≪天龍≫から繰り出した雷の力で、機関員たちの乗る小型艇の計器類を乱し撃墜させるつもりでもいた】

/天辰です、今日はよろしくお願いします!
724 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 19:41:45.84 ID:yHUj/QzdO
>>721

(はっきり言って意味がわからない)

【彼はこの迎撃戦に有志として集められたものの内心そう思っていた】
【水の国いて自らの制作した刃物類の実演販売の際、腕に自慢があるとの刀剣使いに煽られたため自らの技量で度肝を抜かせてやったのは良かった】
【だが、そこからが問題なのだ】
【それを偶然見ていた国の軍属のお偉い?お方に呼び止められこの作戦に内容を教えらえずに参加させられるとはどういう事だろう】
【「俺は剣の達人だからな」勿論言ったさ。「剣を使わせたら俺の右に出る者は居ない」あぁ言ったさ】
【だが、それだけでこんな戦地中の戦地、前線、真っただ中に叩き込まれるとは誰が想像するだろう】
【ましてや自分はほとんど一般人、それどころか素性も怪しい旅人だ】
【そんな自分が今、ここに居る。なんちゃらは小説よりも奇なりとはよく言った物である】
【そうこうする内にその時はやってきた。金の髪をした青年。自分とは明らかに真反対の身なりである】
【その軍人が大まかに作戦の概要を説明し終え、指定された時間は過ぎる】
【その時、腹の奥底、鳩尾に叩き込まれるかのような轟音が耳を劈くように響く】

来たのかよ…勘弁してくれ

【彼は静かにそう呟くと、誰とも知らない軍人が叫んだ方向を見上げる】
【そこに迫るは幾千もの凶禍の行軍、空を裂く絶望の申し子】

一人…二人か…多すぎだろ…

【彼の目には見えている。空を裂く小型艇の中に乗る人影が】
【彼の目は少し情人とは違うようで、それは彼の身体もなのだが】
【彼は少々辺りを見回すと】

さてと…向こうの>>723奴は上に行ったみたいだし、俺はさっさと軍人の手助けでもしておくかな…やりたくね〜……

【そう言うと彼は夥しい敵との戦闘に臨む軍人たちの中へと身を投じた】
725 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 19:42:12.76 ID:SXIjHS+Ao
>>723

【櫻による攻撃は見事に機関員たちに命中。更に計器類に異常をきたした他の機関員たちも落下していく】
【しかしその一部は小型艇をビルの中へと不時着させ、内部に侵入。中にはまだ民間人たちが残っているようだ】
【機関員が侵入してきたことで中にいた人々は叫び声をあげながら逃げ惑い始めた】

【侵入した機関員は全てで五人。三人が窓際、二人は部屋の中心部分に不時着させたようだ】
【窓際の三人は銃器を乱射している。中心部分の二人を狙うには、まずここから片付ける必要がありそうだ】
【部屋の中心にいる二人は近くの民間人二人に銃口を向けていた。急がなければ危ない】


//機関員たちは確定描写でばっさばっさと倒してもらって大丈夫です!
726 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 19:43:47.98 ID:yHUj/QzdO
/本日はよろしくお願いいたします!
727 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 19:45:52.92 ID:SXIjHS+Ao
>>724

【軍人たちは手持ちの銃器や、あるいは技術のあるものは魔術を用いて空中の機関員たちを狙っていた】
【しかし小型艇に乗っている側が速すぎるために、狙いが定まっていない。逆にこちらは機動力がないために狙い撃ちにされている】
【障害物を利用して隠れながら迎撃するのがやっと、という様子だ】


「増援か!? 何ができる!?」
「悪いがこっちは見ての通りだ、連中を足止めするにしたって、手段が足りてない!」


【比較的年老いた軍人が増援にきた男に向かって叫んだ】
【相手はかなりの数がいる上に空を飛び回っているが、それを狙う手段は持っているのだろうか】
【もしもなければ、先ほどの軍人が持ってきた小型艇を使うのも手だ】
728 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 19:46:57.30 ID:SXIjHS+Ao
>>726
//よろしくお願いします。>>727なんかでも機関員は確定描写で倒してもらって大丈夫です
//数まだ書いてないのであれですが、なんか、適当な数を想定してもらったりしてもいいですよー
729 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/19(日) 19:53:16.18 ID:v4P4bNaco
>>721
【集められた面々の中に、空を見上げてやや抜けた表情をみせる青年がいる】
【あっけにとられたように口を開け、目を見開き上空を戦艦によって蹂躙する光景を見ながら、その青年はやっとの思いで言葉を発するだろう】


―――今度は空飛ぶ戦艦か!たまげたなあ……!

「感心しとる場合じゃなかろうが!早う変身せんかッ!―――数が多いな、こういう時は"エレキ"で行け!」

わかった!じゃあ行くか!変身!


【その青年は、柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【そして夏だというのに―――首には赤いマフラーを巻いているのが特徴的な人物だ、薄手とはいえ夏に巻くものではないのだが】

【相方のレッドカラーのトイプードルの指示の元、彼も専用装備であるライドコフィンを起動するべく、六角形の錠前を前に突き出した】
【すると、彼の腰回りに光が灯り、ほんの一瞬で彼が引いてきた棺型の魔術礼装と同じ装飾のベルトが発現するだろう】

【もう片方の手に持つのはいつもと違い黄色のカギ。錠前とカギを持った両手をクロスして前に威圧するように差し出して…次に肘を引いてカギを持つ右手を顔の横まで引く】
【そしてその錠前を持つ左手を右手へと持って行きそのままカギ穴に差し込んでガチャリとひねった】
【するともう一度錠前の外殻が凹凸状の溝にそって割れ、内側から赤い輝きを放つ】
【そのまま引き抜いて錠前を前に威圧するように差し出すと、錠前の内側から吹きこまれたような声が響く】

「―――『eleki≪エレキ≫』 Lock-free』

【内側から赤く開いた錠前をベルトの中央部に押しこむと金属を叩き割る様な甲高い音が鳴り響く】
【ブル、と空気が震え剛太郎の身体が銀色の、というか鉄の色をした何かのエネルギーに包まれる、そしてその同時に棺桶型の魔術礼装が彼の後ろに移動した】
【錠前に連動するかのように棺桶が開くと……そこから黄色のエネルギー玉に包まれた炎のナイフのような物が姿を変えて行く剛太郎に接触する】

【バリン!と割れると…無機質でのっぺりしたシルエットの戦士が登場すると同時、ギザギザしたデザインのエレキギターが入ったエネルギーが肩や胸のプロテクター、仮面のパーツになる】
【胸と肩などでつなぎ合わせその顔の前面に仮面のパーツががっしりとはまれば…】

【顔の正中線を黄色い刃が突き出した横縞の溝のついた防護の鉄仮面の下から赤い複眼を覗かせた異形の顔立ち】
【肩や胸に肩衣半袴を思わせるデザインの堅いプロテクターで覆われた肘や膝に鮫肌のようにザラリとした手触りのサポート】
【そしてその背中に―――ド派手なエレキギターが搭載された新たな姿の『断牙』の姿!エレキフォーム!】

【続いて彼は橙色の鍵をベルトに差し込み回すだろう、すると剛太郎が引きずってきた"ライドコフィン"がバイクの形に変形!】
【彼とムクが乗り込むと同時に発進!彼の狙いは―――右側の市街地か!】


櫻さん>>723は前に、アイツ>>724は左だから……俺は右だな!あっちなら飛ばないでも行けそうだ!


【乗り慣れた愛機の方が戦いやすい、と踏んだか、飛行艇には乗らずにバイクで地上方向からの攻撃を選ぶ剛太郎】
【魔導エンジンに火をともし、颯爽とと右方向の戦場に向かうだろう!】

/剛太郎です!飛行艇は使用しません、でも一応空中戦にも対応できますので大丈夫です!
730 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 19:56:54.20 ID:SXIjHS+Ao
>>729

【市街地へ向かう機関員たちは低空飛行で建物の合間を縫うように進んでいた】
【その数は五人ほど。更に市街地には既に別の五人が到達していた】
【市街地に到達している機関員たちは空中から銃撃をしているが、屋根に登れば飛びかかれるぐらいの高さだ】

//よろしくお願いします! 機関員は自由に吹っ飛ばして大丈夫です!
731 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 20:00:12.88 ID:yHUj/QzdO
>>727
増援として見られるよなやっぱり……
ここまで来たからには仕方ない…か…正親町一門の底力、見せてやりますかぃ。

【彼はそう言うとダボついた黒い袖から対照的に白い腕を出すと俯きながら何かを呟く】
【その時彼の腕の肉に赤い光線が走る、そのまま線が開くと】
【彼の腕には背を合わせた二つの刃を持つ二股の長剣が握られていた】
【その長さは彼の身長程もあり、彼ほどの青年が片手で握るには余りにも大きすぎる代物に見える】
【だが、彼はその剣をいとも簡単に右手で振り上げる。そのまま彼は走り出した】

【立ち並ぶビルのその一つ、空を駆ける小型艇に届くであろうビルを見つけると彼はそのビルを】
【駆けあがり始めた】
【彼は勢いを止めずひたすらにビルを駆けあがる。時たま体制を保つため剣を壁に突き刺し勢いをつけながら】
【彼は小型艇が近づいた時を見計らい、ビルの壁を蹴り飛び乗った】

こん
にち


【彼は即座に小型艇を操縦する機関員の頭目がけて剣を突き付けた】
【鈍く響く骨の砕ける音、大量の水が弾けるようなパシャッという不快な音】
【そして即座に二人目の搭乗者を斬り伏せる。彼が飛び降りた直後、二つの物言わぬ肉塊を乗せた小型艇はビルの壁に激突し、濃紅色の断末魔を挙げた】
732 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 20:07:22.77 ID:SXIjHS+Ao
>>731

【新たな増援に対して抵抗するために、機関員たちが彼の元へと集まり始めた】
【十人もの機関員が男へと向かって銃撃を開始。しかしその脅威的な身体能力を警戒してビルからは離れている】
【数にものを言わせて油断しているのか、銃撃の狙いはかなり甘い。素早い動きなら回避できるか】
733 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 20:13:14.03 ID:1GtXMgiDO
>>725


(しまった……ビルの中に! 出力不足でしたか……!)
(……くっ。手が足りないなんて言っている場合じゃ、ありませんね!)


【不時着しビル内に侵入していく機関員たち。それを見て、また天辰は表情を曇らせるも……動きを止めている余裕などない】
【部屋の中心にいる2人の機関員に目が行く。間に合うかは分からないが──やるしかないのだ!】


…………っ、う、ら、ぁあぁあぁあああぁあぁあ!!


【窓際にいる3人の機関員に向け小型艇ごと突撃。窓にぶつかる直前で、ビルの外側に向け己の小型艇を蹴り飛ばす】
【狙うは、ビル外に残っているであろう機関員達。移動手段である小型艇をぶつけ誘爆させ、更に彼らの数を減らそうとしていた】
【そして一時的に身体が宙を舞った天辰。≪天龍≫を強く握り込むと彼の周囲に風が発生】
【風の操作。彼の保有する異能のひとつ。それにより、3人の機関員達たち……その真ん中にいる1人の頭を踏むように着地。首の骨が折れた音がした】
【残す2人は、自分の周囲に突風を発生させ、その風により窓の外に突き落とす。敵の命を奪わないように、などというのは今は余計な雑念に過ぎない】

【流れるように部屋中央の2人に刀を向ける。再度奔る閃光。最初に使用した雷を操る能力だ。一般人を避けるよう、電流を放つ!】
【ぎりぎり間に合った。しかし機関員はまだ大勢いる。ビル内部にいる一般人を避難させる場所などない】


……皆さん! 窓の近くには近付かないようにしてください!!
僕が機関員たちの侵入を阻みます!


【天辰の立つ場所は、最初の着地点から変わっていない。窓際、機関員の死体の上だ】
【視線をビル内にいる人々から、ビルの外に向ける。後どれ程機関員がいるのか分からないが──ビルを倒壊させたくない】
【乗ってきた小型艇は既に棄てたが……飛行手段は持っていたし、小型艇ならそこら中にある】
【風を纏う。身体が宙に浮く。機関員がどのように動くかで、天辰も行動を変えるつもりだった】
734 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 20:20:16.70 ID:SXIjHS+Ao
>>733

【周囲に展開する機関員たちは窓際に残る櫻のせいで中に侵入できずにいた】
【ビルには他から侵入する道もあったが、そちらは水の国の軍人たちが防いでいた】
【となると、人員的に最も手薄なのはこの階層。櫻がいる場所となる】

【機関員たちの一部が集結。数十メートル離れた位置に六人で陣形を組む】
【そしてその状態から櫻、更にその先にいる民間人たちへと射撃を開始】
【数が十分にいるために銃撃の範囲は広いが、しかしその全てが櫻の真正面に展開している。一掃はできそうだ】
735 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 20:29:01.17 ID:yHUj/QzdO
>>732
まずは一機…っと気づかれたか。まぁ仕方ないよな、豪快に始めたし……

【彼は自らを取り囲み始めた機関員へと視線を移す、十人は居るだろうか。奴らはこちらへと向けて一斉に発砲を始める】
【唸りをあげて迫る銃弾、十の銃口から放たれる熱を帯びた殺意のフルメタル・ジャケット】
【彼の目にも追えるか追えないかギリギリの弾丸は彼の周囲を駆け抜けて行く】
【彼は咄嗟に自らの得物に身体を隠すようにし銃弾をガードする。二発程の弾丸が服の裾を切り裂く】
【彼は銃弾の波が緩むのを待つと、瞬時に横へと駆けだす。点の攻撃に対して垂直に線の回避行動を取る。恐らくは最善の一手】
【彼は走りながら剣を仕舞うと、次に首から巨大な岩石の塊を取り出す。その塊は瞬く間に巨大な鎌の形へと変化し、彼の身体を隠すように渦を巻く】
【その状態で機関員へ向けて突撃を始めた黒い物体は機関員の首へと向けて幾つもの刃を伸ばし始めた】
【数人の首をはねた所で更なる迎撃に備えた回避行動を取る】

ひゅ〜、絶景かな…いや、絶刑かな。次だ、次

【速度に物を言わせた戦闘、これを破るとなると恐らくは強力な能力者による広範囲攻撃だろうか。】
736 :No.7 Nemesis ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/07/19(日) 20:30:03.09 ID:ACsl8dFQo
>>723>>724>729

【ドン、ドン、ドン―――彼方此方で火の手が上がり、天から舞い降りた破壊の渦が建造物を吹き飛ばしていく。】
【「厄災」、という言葉で表現できる光景ではない。もはやそれは、地獄の門が開かれたかの様な凄惨さを秘めていた。】
【現れた機械郡、それを操る機関兵、放たれた業火の中、爆ぜた破片が舞い散る炎獄を前に―――尚も、果敢に挑む者達。】

【天辰、正規街、そして剛太郎―――希望の光を絶やさず、絶望の中でこの街を護ろうと戦う勇者達を鼓舞するように】
【地上付近から強大なジェット機の噴射音に近しい爆音が鳴り響くだろう―――これは、―――この"音"は。】
【機関の小型艇が発するモノと違い、もっと不可思議で、それでいて鋭いエンジン音に聞こえる筈だ。】




>>721-722


 ―――"大砲"の次は"戦艦"か。ロマンに理解があるのは良い事だね。
 けど……残念ながら"そういうモノ"っていうのは、無抵抗の人間を虐[ピーーー]る為に使って良いモンじゃあ、ないよ!


【爆発が上がる。水の国首都・フルーソの国交街道付近。】
【火炎を吹き散らし、燃料をあちらこちらに"バースト"させながら、"ソレ"は飛翔した。】
【噴射されるのは特殊ジェット燃料を燃焼させて得る高エネルギー、そしてその"マシン"を駆るのは―――】


 セリーナ・ザ・"キッド"、ちょいと遅れて只今―――参上ッ!!


【一人のガンマンにして、正義を掲げる組織、UNITED TRIGERの創設者たる女性、】
【その名もセリーナ・ザ・"キッド"、TVや新聞で組織の存在を知っていれば、この女の顔も見た事がある者も多いだろう。】
【女ガンマンは小型艇を特殊チューニングした"バイク"のような乗り物に搭乗し、専用の燃料を爆発させる様に噴射しながら飛翔!!】


 ―――丁度よかった、とりあえず肩慣らしに―――早速一発、ドカーンと行きますかッ!!

【持っていた手榴弾のポーチを広げると、彼女は小型艇を凄まじい速度で上昇させ、】
【機関兵の小型艇よりも幾分か上空へと突撃、そのまま彼らの頭上から手榴弾をばら撒き、そして―――】
【―――すかさず、発砲。腰に備えていた"S.A.A"―――シングルアクション・リボルバーを撃ち放ち、正確に手榴弾を、狙撃!】

【空中に撒かれた手榴弾を一発残らず撃ち落とし起爆、上空より大量の爆破と衝撃、そして破片により彼らを一斉に攻撃開始した!!】


>>723>>724>>729


 ―――やっほう、諸君! 剛太郎君は久しぶりだね、他の二人は、えーっと……あはは、初対面、かな。
 アタシの名前はセリーナ! セリーナ・ザ・"キッド"、よろしく頼むよお二人さん!
 それで、早速だけど敵の数が多い……それも手に負えない程だ、多勢に無勢ってヤツだね。
 
 ―――ハッキリ言って、一人ひとりで戦ってたらジリ貧でこっちが押し負ける!
 各自協力し合って、お互いの隙を埋めつつ戦うとしようか、いわゆる"共闘戦"だッ!
 それで、お互い何が出来るのか一回自己紹介と行こうか、とりあえずアタシは"遠距離専門"で―――っと!!


【セリーナは各自に対し呼びかけをはじめるだろう。まだマシンの操作に慣れていないのか、時折落っこちそうになりながら―――】


 とりあえず、後方支援と火力攻撃は任せて欲しい、危なくなったらいつでも援護射撃を寄越すから、直ぐに言ってよね!
 みんなの得意分野を教えてくれると、おねーさんかなり助かるんだけど―――どうかな!
737 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/07/19(日) 20:31:13.15 ID:ACsl8dFQo
>>723>>724>729

【ドン、ドン、ドン―――彼方此方で火の手が上がり、天から舞い降りた破壊の渦が建造物を吹き飛ばしていく。】
【「厄災」、という言葉で表現できる光景ではない。もはやそれは、地獄の門が開かれたかの様な凄惨さを秘めていた。】
【現れた機械郡、それを操る機関兵、放たれた業火の中、爆ぜた破片が舞い散る炎獄を前に―――尚も、果敢に挑む者達。】

【天辰、正規街、そして剛太郎―――希望の光を絶やさず、絶望の中でこの街を護ろうと戦う勇者達を鼓舞するように】
【地上付近から強大なジェット機の噴射音に近しい爆音が鳴り響くだろう―――これは、―――この"音"は。】
【機関の小型艇が発するモノと違い、もっと不可思議で、それでいて鋭いエンジン音に聞こえる筈だ。】




>>721-722


 ―――"大砲"の次は"戦艦"か。ロマンに理解があるのは良い事だね。
 けど……残念ながら"そういうモノ"っていうのは、無抵抗の人間を虐[ピーーー]る為に使って良いモンじゃあ、ないよ!


【爆発が上がる。水の国首都・フルーソの国交街道付近。】
【火炎を吹き散らし、燃料をあちらこちらに"バースト"させながら、"ソレ"は飛翔した。】
【噴射されるのは特殊ジェット燃料を燃焼させて得る高エネルギー、そしてその"マシン"を駆るのは―――】


 セリーナ・ザ・"キッド"、ちょいと遅れて只今―――参上ッ!!


【一人のガンマンにして、正義を掲げる組織、UNITED TRIGERの創設者たる女性、】
【その名もセリーナ・ザ・"キッド"、TVや新聞で組織の存在を知っていれば、この女の顔も見た事がある者も多いだろう。】
【女ガンマンは小型艇を特殊チューニングした"バイク"のような乗り物に搭乗し、専用の燃料を爆発させる様に噴射しながら飛翔!!】


 ―――丁度よかった、とりあえず肩慣らしに―――早速一発、ドカーンと行きますかッ!!

【持っていた手榴弾のポーチを広げると、彼女は小型艇を凄まじい速度で上昇させ、】
【機関兵の小型艇よりも幾分か上空へと突撃、そのまま彼らの頭上から手榴弾をばら撒き、そして―――】
【―――すかさず、発砲。腰に備えていた"S.A.A"―――シングルアクション・リボルバーを撃ち放ち、正確に手榴弾を、狙撃!】

【空中に撒かれた手榴弾を一発残らず撃ち落とし起爆、上空より大量の爆破と衝撃、そして破片により彼らを一斉に攻撃開始した!!】


>>723>>724>>729


 ―――やっほう、諸君! 剛太郎君は久しぶりだね、他の二人は、えーっと……あはは、初対面、かな。
 アタシの名前はセリーナ! セリーナ・ザ・"キッド"、よろしく頼むよお二人さん!
 それで、早速だけど敵の数が多い……それも手に負えない程だ、多勢に無勢ってヤツだね。
 
 ―――ハッキリ言って、一人ひとりで戦ってたらジリ貧でこっちが押し負ける!
 各自協力し合って、お互いの隙を埋めつつ戦うとしようか、いわゆる"共闘戦"だッ!
 それで、お互い何が出来るのか一回自己紹介と行こうか、とりあえずアタシは"遠距離専門"で―――っと!!


【セリーナは各自に対し呼びかけをはじめるだろう。まだマシンの操作に慣れていないのか、時折落っこちそうになりながら―――】


 とりあえず、後方支援と火力攻撃は任せて欲しい、危なくなったらいつでも援護射撃を寄越すから、直ぐに言ってよね!
 みんなの得意分野を教えてくれると、おねーさんかなり助かるんだけど―――どうかな!

/きゃー名前間違ってました! 遅れてすみません。
こちらセリーナです、皆さんよろしくお願いします。
738 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 20:33:29.24 ID:SXIjHS+Ao
>>735

【機関員たちはその素早い動きに翻弄され、反撃の手も取れずにいた】
【指揮官らしき人物の指示で各々が散開、更に男から距離を取っていく】
【だが陣形がバラけたところを国軍の攻撃が狙い撃ち、次第に数を減らしていく】

【それでも敵の数はまだまだいる。四人が男の元へと向かい、乱雑に銃撃を開始】
【その間に別の四人が機動力を生かして年老いた軍人へ突撃。銃口を向ける】
【軍人を助けるか、それとも機関員の総数を減らす方向に動くかは自由だ】
739 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/19(日) 20:33:39.03 ID:v4P4bNaco
>>730

【―――ブオオオオンッ!とフルーソの街道を四角いフロントの中型二輪が駆け抜ける】
【武器にも乗り物にもなる万能武装"ライドコフィン"、普通にアクセルを回すだけでもすぐ100キロまで加速してしまうものだから】
【乗りこなすのには時間がかかった、とは剛太郎の弁、―――そんな時期があったとは思わせぬほどの高い操縦技術で彼は颯爽と戦場へ向かう】


―――いた!数は五人!全員銃持ってるぞ!

「構うな跳ね飛ばせ!今のお前なら余裕じゃろうが!」


【剛太郎はエンジンを回したまま、足元に搭載された『ホップバー』を踏むこむだろう、すると走行中の彼の愛機が道の真ん中で突如空中に跳ねる!】
【その跳躍の勢いに任せ前輪を敵の一人の飛行艇に叩き込んで撃墜!そのまま左手で背中の―――星をかたどったギザギザの戦闘用ギター『エレキ・ショッカー』をひっつかむと】
【着地を行う前に二人目の敵にフルスイング!操縦していた男が操縦席から吹っ飛ばされ地面に叩きつけらる】

【そして銃撃を受けるよりも前に二回目の跳躍、狙った三人目を再びギターを叩きつけ振り落すと、操縦者を失ったまま前に飛ぶ小型艇の上で止まると、残り二人に狙いを定め】


―――俺の演奏で痺れやがれぇ!せいやぁ!!


【そのままギターを持ち演奏状態に移り、無駄に洗練されたライトハンド奏法でギャリギャリと弦のスクラッチ音を響かせると】
【ギターの先端から雷撃が走り、同時に二人の機関員に着弾―――10万Vの電撃で感電した敵二名がそのまま意識を失い地面に投げ出される!】


―――五人撃退!でも市街地にもまだ五人いるぞ!
しっかりつかまってろよムク!このまま……突っ込んでいくぞ!!


【おう、とフロント内のムクの声を聴くと同時、剛太郎が再びギターを華麗にかきならす】
【彼と愛機を載せた飛行艇はそのギターが発する電撃を帯びて―――空中に固まっている五人のいるあたりめがけて勢いよく激突を試みる!】
【成功にしろ失敗にしろ、役目を終えた飛行艇から剛太郎は飛行艇から降り、バイクの車輪で市街地の真ん中に降りる事だろう】
740 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 20:38:52.31 ID:SXIjHS+Ao
>>737

【セリーナの位置から見える戦場は三つだ。それぞれ櫻、カガリ、剛太郎が戦っている】
【櫻がいるビルには多数の機関員が周囲を囲んでいて、空中戦ができる人員が必要そうだ】
【カガリはそれ以上の数と戦っている。剛太郎のところは足りていそうだが、狙われているのは市街地だ】

【あるいはそれぞれとは別の戦場として、艦砲射撃を行っている中型艦の相手をしてもいい】
【周囲には護衛代わりの機関員がこれもかなりの数がいる。突破するには範囲攻撃か】
【もしくは機動力を生かして突破して、高火力攻撃を艦に叩き込んで素早く落とすか、だ】
741 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 20:42:27.55 ID:1GtXMgiDO
>>734(主催)
>>737(セリーナ)


……彼らにとっては、ここが狙い目というわけですか
なら……迂闊に離れるわけにはいきませんね──!


【この場所を離れれば、ビル内部に機関員たちが侵入してしまう。なら、この場を守らなければ。課せられた役割は、重かった】
【空笑いが出る。そうでもしなければ、やっていられなかった。機関員たちが、陣形を組始める。天辰の持つ≪天龍≫の刀身。その表面を、電流が舐める】
【翔んでいき切り伏せることも出来たがその瞬間に窓から機関員が内部に入り込むことだろう。取れる手段は限られていた】


【そして──ばちん! セリーナの呼び掛けが聞こえた。その瞬間、天辰の雷撃が、彼の前方にいる機関員全員を食い荒らす──!】
【その雷撃。高層ビルの窓辺に一瞬迸った閃光が、彼女には見えたか。まるでセリーナに見せつけるかのような攻撃】
【「これが僕の能力だ」と言わんばかりの攻撃だった。ゆっくり言葉を会話している余裕はないということだろう】


……へらへらへらへらうるっっさいんですよメリケン・ビッチ!!
ゆっくりしている余裕はないんです、僕は剣士で遠距離攻撃も出来ます!!
後は…………戦いながら伝えていくしかありません!
742 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 20:43:17.58 ID:SXIjHS+Ao
>>739

【剛太郎の突撃は見事に命中して、五人は感電しながら落下していった】
【そこにも更に機関員たちが集結していき、周囲で破壊を撒き散らしていた】
【剛太郎の近くには五人。空中に二人、地上に三人だ】

【空中にいる一人は筒状の兵器を持っていた。効果はわからないが、民家に向けている】
【もう一人は護衛のように周囲を警戒していた。倒すなら、まずはこちらからか】
【地上にいる三人はそれぞれやはり別の民家へと侵入しようとしていた】
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/19(日) 20:43:59.84 ID:ofGp5mJD0
>>718

君こそ……なかなかやるわね、私についてこれるんだから……!

【エリーゼもまた彼の実力を認めるだろう、身長こそ大して変わらぬものの実年齢で考えればエリーゼと10歳は違うだろう。その経験の差を補えるほどに動き、戦えるのだから賛嘆の言葉が口から漏れるのは必然か】
【……足払いに使った脚が 固定された、きっと数秒掛からぬ内に攻撃が来ることだろう】

【そこからは彼女にとっても咄嗟の事だった筈だ、考えを脳の隅にまで巡らせる間もなく 反射的な判断で行ったことだった】
【まだフリーのままのもう片足で、どすんと砂浜を蹴った、それはジャンプにこそならないが抑えられた片足を中心にして半円形を描くように立ち上がり、ワザワイに思い切り接近することになるだろう】
【立ち上がる速度はまるで小さなロケットか何か、突進と同時にワザワイの背に羽交い締めのようにトンファーを滑り込ませて】

【その速さでラッシュが出るよりも先にワザワイの額へと頭突きを繰り出すだろう】
【当たるだけなら怯ませるだけだ、だがその速度に仰け反ってしまえば背後へ回ったトンファーに首が衝突、風船が割れてしまうだろう】
【しかし例えエリーゼが風船を割ることに成功しても、頭突きの直後では姿勢を戻すのに多少の時間を遣う、決まれば反撃も許すような両刃の攻撃といったところだった】

/本日もよろしくお願いします!
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/19(日) 20:59:05.82 ID:kDqy+gSMo
501 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:01:27.32 ID:auaAu9V10.net[1/2]
リーべと犬山居るならイベント参加しなくていいや
502 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:20:22.45 ID:vbDWqK0W0.net[1/3]
そもそもマリアの取り巻き(下半身猿)が考えた水着でやる大会とかいう時点で終わってる
何人参加すんのかな
505 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 12:59:03.65 ID:lvKuTy7d0.net[1/2]
水着大会クソワロタwwww
ホントに中学生並の性欲猿だなこいつ
506 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 13:03:47.02 ID:vbDWqK0W0.net[3/3]
確かマリアにエロ絵みたいの描いて見せて喜んでたからなこいつ
590 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 22:22:45.05 ID:NDVAxqDl0.net
チンポ脳主催に犬山アサドリーべ害悪三人衆
592 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 23:05:50.15 ID:DS2wqxx00.net[2/2]
キングのイメージのせいで未だにセリーナが女だと思えないんだが、
チンポ脳集団にはあんまり関係ないんだな
593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:07:41.67 ID:M3JwjKcv0.net
チンポが延期するらしいぞ
594 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:27:51.75 ID:RbyC4eKx0.net[1/2]
一週間以上前から募集してるのに何で集まらないか不思議だなwwww
599 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:26:23.92 ID:AsaQazYX0.net[1/7]
チンポ大会やっぱり主催のチンポも出る予定なんだな
考えてること見え見えすぎて面白い
601 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:55:44.23 ID:oGY47fPD0.net[1/2]
チンポ呼ばわりはマジで草生える
602 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:00:01.61 ID:AsaQazYX0.net[2/7]
チンポ脳でマリアのへったくそな絵描いて媚びてる以外特徴ねえしなあいつ
某所じゃ一番のチンポだしチンポの人でいいだろ
609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:27:41.86 ID:oGY47fPD0.net[2/2]
そもそも今の某所自体にロクなのがいないから仕方ない
新規を楽しませる気がなく、自分が[田島「チ○コ破裂するっ!」]することしか考えてないクソ古参ばっか
622 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:21:57.84 ID:RbyC4eKx0.net[2/2]
いくら擁護しようが工作しようが一週間前から募集しといてこの惨状なんだから某所民のブラックをどう思ってるか分かるな
623 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:25:03.10 ID:AsaQazYX0.net[7/7]
ヤリたがってたセリーナとマリアのキャラ出るんだからチンポの人は満足でしょ
688 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:31:26.24 ID:DX760ziT0.net[1/25]
一方チンポの大会は某所のメインキャラ大半が集まってて盛況ですねえwwwwwwww
・・・人数足りないから延期した大会ってこれくらいじゃねえかな
689 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:44:06.90 ID:yrVn5R3B0.net[2/4]
半分以上が害悪な大会が今から楽しみだわwwww主催からして直結害悪だしwwww
745 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/19(日) 20:59:50.92 ID:v4P4bNaco
>>737

【変身した剛太郎の顔は当然ながら仮面に隠れており表情など伺えるわけもないのだが……】
【そんなセリーナの姿を見つけたなら、手をぶんぶん振りながらその声に応えるだろう―――顔など見えなくともわかる、異様にうれしそうだ】

―――ようセリーナ!復帰したのは本当だったんだな!駆け付けてくれたのか!
俺は遠距離苦手!中距離技くらいならあるけど基本は近距離戦でボコボコ殴ってぶった斬る!
いよいよ危なくなったら合図するから支援よろしく!

>>742

数が多いな……!さらに5人!―――てかアイツがあぶねえ!バズーカみてーなの持ってる奴からぶっ飛ばさないと!
ムク!操縦変わって!ちょっと大技叩き込む!チャージ開始!!

「むう、地上の三人は民家に入ったか……さっさと片付けて追うぞ!」


【フロント内のムクの魔術制御に切り替えて、両手で再びギターを軽快なライトハンド奏法でギャリギャリかき鳴らすと】
【今度は剛太郎のアーマーに電撃を纏わせて―――その場で跳ね、サドルを足場にハイジャンプすると二人のいる高度に辿り着いたなら拳を握り】


―――くらえぇ!葉隠流 『睡蓮』!!


【ギターを背中に背負い、放つのは電撃の諸手打ち!バズーカを撃ち落される前にそれぞれ左右の電撃の拳で二人の腹部を打ち抜こうとする!】
【成功したならばそのまま彼は地面に着地、ムクに愛機をその辺に停めさせると民家に行った三人を追うだろう】
746 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 20:59:51.46 ID:yHUj/QzdO
>>737
ひゅ〜……豪快な登場だねぇ…セリーナ・ザ・キッド…?どっかで聞いたような…知らんな

【豪華絢爛、天空飛翔、正しく勝鬨を挙げるかのような登場に彼は感嘆?の声を挙げる】
【飛翔しながら機関員へと爆炎を浴びせかける彼女の問いかけに彼は眼前の機関員をなぎ倒しながら答える】

遠距離専門ね……よく言ったもんだ。俺と正反対って事かぃ
まぁいいや、なぁあんた!
俺は正親町(おおぎまち)!正親町カガリだ!っと危な〜い…

【彼はいつの間にか持ち替えていた剣を翻し、背後に迫った機関員を軽く斬り伏せる】
【肉が裂け、背骨が乖離し名も知らぬ機関員は息の根を止めた】
【そのまま彼は立ち並ぶ機関員を引き裂いていく】

見ての通り近距離専門。援護はたまーに(出来れば俺が働かなくて済む程)欲しいな。

【そう言い放つと彼は前線へ戻っていく】
>>738
【その時彼の目の前で先ほど自分へと罵声紛いの声をあげた老兵に複数の機関員が迫った】
【彼は自らに迫った機関員を見据えるとその先の老兵の場所までの距離を目視で測る】
【そうすると彼は眼前の機関員を蹴り飛ばし、頭を乗り越えて勢いをつけ跳躍する】
【老兵を囲む機関員まで後五秒彼は空中で身体を捻ると紅黒く輝く剣を振りぬく】
【四人の機関員の頭を同時に斬り飛ばすと彼は老兵に向けて叫ぶ】

もうろくすんなよおっさん!入れ歯ずれたんならさっさと直しな!

【そう言い放ち彼は戦場を駆け抜ける】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/07/19(日) 21:04:26.75 ID:kDqy+gSMo
691 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 13:53:16.51 ID:tfvRPCS90.net[1/3]
チンポが使ってるキャラを全く知らないんだがスレ内のポジションはどうなんだ?
692 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:06:38.60 ID:vbDCSWug0.net
チンポが使ってるキャラって出てなくね?
あいつのキャラが動いてる所を見たことがない
693 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:23:23.28 ID:pXMQ2R1N0.net
セリーナマリアシェン辺りにはよく絡んでるよ、それ以外に絡んでるのは見たことないし投下してるのも見たことない
694 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:34:29.04 ID:DX760ziT0.net[3/25]
中心人物の小判鮫って印象、ロール自体は下手ではないが特徴ない
695 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:34:51.43 ID:Y7f4Bspz0.net
つまりセリーナマリアシェンのチンポって事か。呼び名もチンポ、存在もチンポとか笑えねぇな
696 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:41:59.06 ID:DX760ziT0.net[4/25]
そいつらに張り付いて自分が実力者と勘違いしたのか最近態度もでかくなってきてるな
チンポの頭の中じゃ自分も某所を代表するプレイヤーの一人のようだ
703 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:00:17.08 ID:DX760ziT0.net[6/25]
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

どんどん増長してるからその内覚醒していいネタになりそう
704 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:04:44.11 ID:yrVn5R3B0.net[3/4]
ちなみにサメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります、イカ等に絡みつかれるといったシチュエーションも可能ですのでご自由にどうぞ
705 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 17:50:35.56 ID:WN/iOFmt0.net[2/7]
チャHとか発掘されて爆発すればいいと思うよ

826 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 04:08:14.57 ID:SQDZV/vT0.net[1/4]
イベント始まっても某所が全く盛り上がってなくて笑った
834 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:08:52.26 ID:gy3HSuMn0.net[2/15]
某所民は皆某所に執着してるから他の場所とか行かないだろ。但しゴミ溜めは除く
835 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:13:50.38 ID:xmkOhUvO0.net
相手されない新規や中堅ならともかく内輪作っちゃってる中心人物はもう某所からは離れないだろ、内輪が心地良すぎて
836 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:40:46.78 ID:gy3HSuMn0.net[3/15]
相手にされないと言っても内輪にどうにか取り入る脳味噌があれば快適なロールライフ遅れるんだがな。あいつら馬鹿だから取り入るのなんて簡単だろ
838 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:42:28.52 ID:Wo1gnoAy0.net[3/4]
某所とかダラーっと長文書き殴って中心人物に媚売ればちょちょいのちょいやろ
839 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:49:15.76 ID:SQDZV/vT0.net[2/4]
チンポやチンポ脳みたく自分を中心人物と勘違いしてる奴に行くと直結粘着してくるから注意な
840 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 14:23:41.86 ID:gy3HSuMn0.net[5/15]
その辺は三人くらいキャラ持っといて粘着させる女キャラ一人くらい入れとけば良いだろ。
悪側では無くある程度中立なら受け流すの余裕だろ。主のキャラ動かす時はこっちから出てやれば良いし

http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/net/1435584846/l50
748 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/07/19(日) 21:04:50.45 ID:ACsl8dFQo
>>740

【三人の協力者が、三者三様に戦闘を進めている―――というトコロか。】
【しかし中央の「戦艦」は未だ手付かずで、攻撃を重ねるにしても単騎突入は難しい筈。】
【現状で言えば剛太郎を上空に呼ぶのがベスト、と考えられるが―――彼女はスロットルを捻った。】


 (……周りの"蚊"をどれだけ落としても戦力を削ぐ事にはあまり繋がらない……)
 (いや、最終的に護衛艦を片付けなきゃいけないのは一緒だけど―――持久戦には持ち込まれたくない。)
 (向こうは圧倒的に武装と火力で勝る、短時間で勝負を決めない限りはたとえ"勝てたとして"、"被害が甚大"になる……。)


 ―――成るほど。"蚊"は母艦が落ちれば撤退せざるを得ない。
 なら……たたくならやっぱり、本陣からが最も効率的……かなッ!


【セリーナは地上へ向かって加速すると片手で銃を背中から引き抜き、―――】
【愛銃の一つ、ウィンチェスター・ライフルを構えると、>>741の天辰がいる方へとマシンを直進させた!】


>>741

 ―――っ、わぁッ!?

 (うぉっ―――雷……!? あの刀から―――そうか、"電撃"か。それが君の、能力だね。)
 (……まあ、それはいい。それはいいよ、よく分かった。この多数戦じゃあ重宝しそうだ、しそうだけど―――)

 ―――へい、へいそこの"ビリビリ・ボーイ"!
 い、幾ら電撃がエモノだからって返事まで"ピリピリ"する必要はないんじゃないかい!?
 だいたいねえ、初対面の人間に対して―――そ、それも年上に対してメリケン・ビッチってさあ、―――ええい!

【セリーナは空中バイクを天辰のビルへと近づけると、屋上付近に乗りつけ、天辰へと声を飛ばした】


 悪いけど、このまま"母艦"の砲撃を赦せば被害はどんどん甚大になってく!
 先に"アレ"を叩き落したい、そうすれば機関員も撤退せざるを得ないからね、ただ―――
 その為にはアタシ一人の攻撃じゃ足りない、周りの護衛艦を破壊するのも協力者が必要だ!!

 ―――君の遠距離攻撃、それでアタシを"支援"して欲しい、電撃を飛ばすの、得意なんだろう!?
 アタシも出来るだけ上からこの場所に侵入しようとする連中を"狙い撃ち"するから、お互い協力と行こうか、オーケイ!?

【返事は聞かない。ビッチはそういうものである。セリーナはバイクを鋭く加速させると、さっさと上空へ。】


>>740

 (頼むよ、天辰君……援護、頼りにしてるからね。)

【バイクは上空へと侵入、加速して中型艦の方へと進んでいくだろう―――ッ!!】
749 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 21:08:16.83 ID:SXIjHS+Ao
>>745

【剛太郎の素早い動きにより機関員は気絶。小型艇の制御を失ってやはり落下していった】
【民家に入っていた三人は中で民間人の姿を探していた。入り口から入ったのならば、彼らの背中が目に入るはずだ】
【先頭の一人が誰かの姿を見つけて銃口を向ける。その先には隠れていた女性の姿が】

//あ、やっぱり機関員は確定で倒しちゃっていいですよー


>>746

「くっ、すまんな!」

【手短に礼を言って老兵は再び戦場へと戻っていく】
【軍人たちの働きによって小型艇が破壊された機関員たちが、広く地上に展開していた】
【そのいずれもが、男の姿を確認すると武器を構える。空中にいる何人かも、それに倣った】

【しかしいずれも雑兵だ。地上にいる分には自由に倒せるだろう。また空中にいる数人も壁などの近くにいる】
【駆け上がれば、あとは好きなように攻撃できるはずだ】
750 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 21:17:45.05 ID:SXIjHS+Ao
>>748

【中型艦の周囲には小型艇に乗った機関員が複数。それぞれがセリーナの姿を見つけると乱雑に銃撃を開始した】
【どれもこれも狙いは正確ではないが、数だけはある。弾幕としては十分すぎるだろう】
【またあまりにその場に留まり続ければ、中型艦自体の攻撃も予想される。回避し続けるか、手早く片付けるか】


>>741

【セリーナの方にはかなりの数の機関員が立ちはだかっている。櫻の協力があれば突破は容易になるだろう】
【だがビルの周囲にもまだ機関員がいる。支援に専念するというわけにはいかないように見えるが】
【そんな櫻がいる階層に鎖が打ち込まれた。明らかに今までの機関員の装備ではない。敵かと思いきや──】


「次期社長! 助けにきましたよ!!」


【鎖から跳ね上がって中に入ってきたのは金髪碧眼の軍人、クリスだった】
【彼は右手に持った剣を眼下の機関員へと向ける。淡い光と共に鋼鉄の槍が複数出現、機関員へと向けて射出した】


「ビルの護衛はやりますんで貴方はセリーナの援護を! 艦を落とさないと押し切られます!!」


【そう叫びながらも次から次へと迎撃をしていく。これで、支援に専念することができそうだ】


//個別にレスして頂いても、なんかうまく纏めますのでそのへんはご自由に!
//もちろん、どちらかのレスを待ってから連携っぽく、でも大丈夫です!
751 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/07/19(日) 21:18:56.93 ID:ACsl8dFQo
>>745(剛太郎)

【剛太郎はかつて対面した時とは違い、どうやら既に変身して"戦士"の姿となっている様だった。】
【かつて映像の中で見た英雄、銀幕のヒーローをそのまま具現化したかの様な存在に、セリーナはニヤリと笑った。】
【空中バイクからジェット燃料を吹かし、地上で戦う剛太郎の勢いの良い返事に、応えるだろう。"援護なら、任せろ"―――と。】

 (剛太郎君は接近戦専門、か……むむむ、となると戦艦をたたくのは―――っ、)
 (……むしろそれこそ―――そうだね、適材適所と行こうか。剛太郎君には、機動力を活かして貰おうかな。)

>>746

【剛太郎、そして天辰に続き、どうやら正親町も近距離が専門、という事らしかった。】
【セリーナは苦笑いで彼の言葉に応じると、頭を活動させる―――この布陣、バラバラでは効力を発揮しない。】


 (剣による近距離攻撃……天辰君は遠距離にも対応できるとは言え、エモノは刀だ。)
 (それに続いて剛太郎、しかもカガリ君まで―――ん、んん。)
 (……よし、やるしかないね。之が在れば、どうにかなる、と思う!)

 ―――オーライ、オーライカガリ君!
 君"も"近距離が得意なんだね、とは言え本当の標的は上だ、あの"戦艦"ッ!
 アレを叩き斬らない限りは、正直言ってジリ貧だし、勝てたとしても被害の広がりが尋常じゃなくなる!

 ―――地上の敵は出来るだけ軍に任せて、君も"小型艇"で上まで来てくれないかな!
 それで―――アタシと一緒に、戦艦の周りに管巻いてる蚊トンボをバンバン、ブッた斬って欲しいんだよね!
 

>>745

 剛太郎君、君は地上で"囮"って訳じゃないけど―――その機動力を活かして、
 敵の小型勢力を轢き付けて、片ッ端から叩き潰して欲しいんだ、街への被害を少なくするためにね!
 つまり、ヘイトを集めて空中から敵を"引き剥がして"、地上で君が相手をするっていう―――ハハッ、ちょっとハードだけど……ッ!!

 ―――出来るかい、剛太郎君っ!!
752 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/19(日) 21:22:15.82 ID:v4P4bNaco
>>749

―――やばっ……!お前らそこをどけぇ!葉隠流 『黒百合』!!


【今まさに撃たれようとしている女性と機関員の姿を見た瞬間に、彼は即座に体を動かしていた】
【見敵必殺、それを体現するべく今まさに引き金を引こうとしている男もろとも重さの乗った回し蹴りで三人をまとめて叩く!】
【しかもこの剛太郎の体にはまだ電気が帯電しているのだ、まともに触れるだけでも全身に衝撃が走る!】


―――あっぶねぇ、もう少しであの世いきだったね……大丈夫?立てる?


【全員まとめて昏倒させ終えたならば隠れていた女性に声をかける】
【ただし、手を伸ばそうとしたら―――すぐに慌ててひっこめる、まだ帯電している自分が触れたら感電させてしまうだろうと思ったのだ】

/す、すいません、確定で倒すのになかなか慣れなくって
753 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 21:24:25.09 ID:yHUj/QzdO
>>749
ちゃんと礼は言えるのか。軍人侮りがたしだなぁ

【ビルの合間を駆け抜け機関員を滅多斬りにする。そして空中の機関員は例に習って皆仲良く首と身体でタップダンスだ】
【彼はとあるビルの上に立つと空中に浮かぶ要塞の如く展開する中型艦と大型艦を見上げる】
【上着が風に揺れ、戦場の過酷さがそれに哀愁を持たせる】
【だが、うかうかしている暇は無い。今も眼下には夥しい数の機関員が広がり猛威を奮っている】

はぁ…これ終わったら俺の刃物のPRくらいにはなるかな……

【彼は冗談交じりの溜息をつきながら軍勢へと飛びかかっていく】

(あの中型艦でドンパチやれば後はトンズラしても良いかなぁ…)

【彼は冗談交じりでは無いような事を考えながら機関員を薙ぎ払っていった】
754 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 21:30:03.58 ID:SXIjHS+Ao
>>752

「あ、ありがとうございます……」

【女性は剛太郎の手を取ろうとしたが、ひっ込めたのを見て自分の手も戻した】
【街全体が戦場となっていて安全な場所はないが、少し離れたところに部隊が固まっている場所がある】
【そこまで連れていけば多少はマシか。もちろん、ここに置いておいてもいいが】


//おお、そうでしたか。気持ちはよくわかります。中々やらないですからねー


>>753

【カガリの活躍で周辺の機関員はかなり数を減らしていた】
【軍隊も前線を変更して別の場所で戦闘を行っている】
【だが、突如としてカガリを囲むように地面から影のように黒い獣が五体出現。その爪で身体を引き裂こうと向かってきた】

【それに合わせるように周囲に続々と獣が現れ始める。技能があるならば、いずれからも魔力が感じ取れるだろう】
755 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 21:30:26.78 ID:1GtXMgiDO
>>748(セリーナ)

【──本来彼は、唐突に暴言を吐くようなタイプの人間ではない。だが、今は何が生死を分けるか分からぬ戦場にいるのだ】
【気が立っているのかもしれない。緊張している時に明るく声を掛けられれば、確かに悪態のひとつくらいは吐きたくなる】


ビッチはビッチじゃないですか! UTのCMとか、あれのどこがビッチじゃないっていうんですか!?

ですが……あの中型艦を狙ってくれるのなら──助かります!
正直言えば手が足りていなかったんです!


【……彼がセリーナのことを良く思っていないのは、以前制作されたCMが原因らしい。水着を来て、民間の正義組織をアピールする】
【万人が好む手法ではなかった、ということだろう。しかし今はそれを論ずる時ではない──!】


>>750(主催)

【刀を構える。また刀身に雷電が流れ始める。その時──近くにじゃらんと鎖が打ち込まれた】
【敵か。身構えるも、視界に入ってきたのは先程会った軍人……クリス!】


……ありがとうございます、クリスさん!
ビルの護衛は任せました! どうか、ご無事で……!

>>(セリーナ)

【ひゅう。身体に風を纏う。僅かな言葉を残し、天辰の身体が宙を舞った】
【風を切る。ひゅうひゅうと高音が奏でられる。向かうはセリーナのいる上空だ】
【≪天龍≫を前方に向ける。閃光。セリーナの乗るバイクを、いくつもの雷電が追い越す。小型艇が雷に打たれ爆散。周囲にいたいくつかの艇が爆発に巻き込まれる】
【雷が天辰のものだとセリーナは分かるか。彼はセリーナの後から、彼女を援護するよう追いかけてきている】
【どうやら彼は高層ビルを誰かに任せ、セリーナを追ってきたようだ──!】
756 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 21:32:10.62 ID:yHUj/QzdO
>>751
了解したよ!

【彼はそう言うと手短にある小型艇を探し当てるとそれに飛び乗った】
【そのまま上空へと浮上、セリーナの後へ続く】

さてと、俺は何をすれば良いのかな〜…っとぉ!

【彼は至近距離まで近づいた機関小型艇を剣でたたき切る】
【機関員の息の根を止め、ついでに小型艇の息の根を止めた】
【彼は小型艇から身を乗り出し片手で運転、片手で剣による迎撃を始めた】

/抜けてしまっていた…これを含めて>>753です
757 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 21:38:26.62 ID:SXIjHS+Ao
>>753>>756

【小型艇に飛び乗ったカガリを機関員たちが追いかけるが、次々にその剣で迎撃されては落ちていく】
【セリーナの指示通りにするならば、狙うのは中型艦の護衛についている機関員たちか】
【彼らは広範囲に展開してセリーナに向けて銃撃を行っている。横から突っ込めばかき乱せるか】


//このへんの機関員もある程度確定で倒しちゃっていいですからねー
758 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/19(日) 21:49:06.95 ID:v4P4bNaco
>>751

【熟練のリーダーらしく飛んでくるセリーナの指揮を受け、コクリ、とうなずくが】
【しかし……彼はすぐに腕を組んで頭をひねり考え込んでしまうだろう……ようは、自分に注意をひいて片っ端からかき集めて】
【全員まとめて型にはめるという方法か……通信中のW-Phoneを前に困ったような声で言うだろう】


……わかった、けど……問題はどうやって俺にヘイトを集めるかだなあ……
なんかアイツらを怒らせる悪口でも大声で言いまくって俺を追わせるしかないか?

まあいいや!一度この人を軍人の人たちに助けてもらったら
なんか大きな音の出るスピーカーか町中に繋がる町内放送のマイクかなんか持ってないか探してみる!


【スピーカー?それがあれば敵を引き付ける策に心当たりでもあるのだろうか―――とにかく地上で雑魚掃除を任せる事は可能そうだ】

>>754

【剛太郎はとりあえず手元の電撃がある程度収まった事を確認すると】
【民家の外に出ながら女性に手招きをした後、無事になったその手を差し伸べて】


とりあえず俺についてきて!危ないから拠点に保護してもらわなきゃな
アインをぶっ飛ばすのも大事だけど……まずは困ってる人助けないと
さ、ついてきてくれ!ちょっと味方に用もできたしそこまで連れていくよ!


【彼の選択は一度要救助者を助けるべくバイクに乗せて部隊の固まる拠点に移動する事だ】
【一度味方の元に行けばなにかしら手を打てるかもとも考え、一時移動を試みるらしい】
759 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 22:01:56.44 ID:SXIjHS+Ao
>>758

【女性は剛太郎の指示に従ってバイクに大人しく乗る】
【そこからしばらく行ったところに部隊が固まっている場所があった。数人の民間人もいるようだ】
【そこにたどり着けば軍人が女性を受け取るだろう】


「すまない、助かった」
「戦局は芳しくない。増援が来るのにも時間がかかりそうだ」


【剛太郎の元に一人の軍人がやってきて状況をこう評した】
【スピーカーの類は付近にはなさそうだ。拡声器ぐらいならばあるが】
【都市全体にあるスピーカーを使う方法は軍人ならば知っているか】
760 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/19(日) 22:10:02.82 ID:ACsl8dFQo
>>750

【頭上の戦艦、その巨体に圧倒されている暇も無く、周囲に展開した小型艇による一斉攻撃が開始された。】
【放たれた機銃による連射攻撃が、大口径の弾丸が雨霰のように頭上を埋め尽くすように降り注ぎ始める―――!】
【セリーナはバイクのカウル部分、前面装甲へ身を隠しながら弾丸の雨霰を掻い潜りつつ、上空へと飛翔していく……!】

 (……ッ!! 凄まじい火力だね、これじゃあいくら"追加装甲"を施したバイクでも……!!)
 (身を隠しきれない、そもそも前面装甲の耐久度がどんどん、落ちてってるわけで―――ついでに言えば、)
 (一番不味いのは中型艦の攻撃がこっちへ向くこと……いや、それも時間の問題だ、オチオチしてたら……きっと!!)


 ―――……このバイク、結構改造費掛かってたんだけどね……ふふっ、まあ、派手に使ってこそ、だよねッ!!

>>755

【なるほど―――成るほど。"あのCM"か。確かに、アレは非常に際どく、映像的に"刺激的"ではあった。】
【しかし、そうは言っても水着は水着。普通の人間だって水着は着るし、言ってしまえばセリーナだって普通の人間だ。】
【あざとい方法を取ったこと自体はビッチらしい、表現かもしれないが―――ふむ、とセリーナはバイクに身を隠しながら笑った。】

 ―――ふふっ。なるほどね、いや、分かるよ。
 アタシのやってた事は結構刺激が強いモノだったし、反響も上々だったから、ね。
 とはいえさ―――"アレ"を見て、アタシの事を"色惚け"だと思ってしまったのなら、―――"ビリビリ"君。

 ―――魅力的じゃない人間を、"刺激的"だとは思わない、って知ってる?

【ニヤリ、と笑いながらそんな事を戦闘中に、それも弾丸を雨のように浴びながら言えるこの女は間違いなく―――、】
【ビッチ、いや、むしろ"悪女"だろうか。余裕すらも感じさせるその笑みを癖がある金髪の中に揺らしながら、セリーナは吼えた。】

 
 ―――さて、お話は此処までだ。
 ビリビリ君、君の電撃はかなり敵の戦力を削げる、けど―――
 もっともっと、"火力"が必要だろう。ところで―――このバイク、アタシの特注でね。

【セリーナはそういうと、"自動操縦"と書かれたキーを起動させ、バイクをフル・スロットルに加速させ、そして―――】


 ―――中にダイナマイト、大量に積んでたりするんだ。


【ぽいっ――――――――――と。】
【信じ難いことに、彼女はバイクから身を放り出して、空中に身体を投げ出し―――】
【そのまま、無人のバイクを、空中に大量に滞空している小型艇たちに対し、火力攻撃として―――突撃、させた!?】
761 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/19(日) 22:10:29.34 ID:ACsl8dFQo


【しかし大量の弾丸を受けたバイクは既に火を噴いており、彼女の言葉を信じるなら】
【車両内部に積んでいた爆薬が一斉に、点火され―――そして、バースト。】
【バイクは爆発し、小型艇達にダメージを与えようとするだろう!】

【セリーナ自身は空中からひゅう、と落ちていく―――の、だが。】


 ―――行くよ、相棒。久しぶりに―――"ブラスト"ッ!


【落下し、重力に従い地上へと高度を下げていくセリーナ。風に煽られ、弾丸が降り注ぐ中、】
【彼女は腰に持っていた"愛銃"―――"弾"末魔と呼ばれる特殊火気を引き抜き、勢い良く、発砲ッ!!】
【すると放たれた弾丸が二発分、銃声が二度響き渡り彼女の下方、つまりは落下していく方向へと放たれ―――】

【そして、中空で停止すると、弾丸は青白い輝きを放って"召還陣"を、展開ッ!!】
【セリーナはその二つの"陣"へと身体をすり抜けるようにして、落下していく―――ッ!!】

  
               騎士怪醒 < ティターン・アーマー >

              翼神信仰 < ジェット・ケツァルコアトル >


【呼び出された武装は、セリーナを強化する全身を覆う魔導製パワード・スーツと】
【機械式の魔力を噴射する機構を持ったジェットユニット、それらは彼女に瞬時に装着される!!】
【そう、愛銃"弾"末魔とは―――召還の能力を持った魔界の重火器。呼び出さる武装は、魔力を用いた兵器!】

【古代の巨人ティターンをモチーフとし、魔力を動力源に利用したパワード・スーツは】
【彼女がかぶっていたテンガロン・ハットの上から装着されており、その形状が装着後のシルエットに反映される等】
【人間の既存の技術では再現出来るのか分からないほど不可思議なギミックが利用されていた―――そして、ジェットユニットは】
【高高度を一瞬にして飛翔する事が出来る加速力がウリの特殊兵装だ、彼女は背中に装備した翼を一気に、点火し加速して―――ッ!】

【落下しながら装備するという荒業で武器をフル稼働、再び戦艦へと凄まじい速度で加速、加速、加速していく―――ッ!!】


>>756

【セリーナの方はと言えば、バイクを突撃させ自分は体を中空へと放り出し、】
【かと思えば得意の武装召還で一瞬にして装備を整え、再びの上昇を開始していた。】
【装備したジェットユニットを噴射しながら、カガリを追い抜きざまにセリーナは吼えるッ!!】


 ―――小型艇を斬りつけながら、……つまり、中に乗ってる奴らを"切り裂きながら"!!
 そのまま中型艦へと攻撃してちょうだいな、ただし砲撃にはよく気をつけてよね!
 ひとつ、ひとつ落としていこう、中型艦なら君の斬撃も通るはずだし、駄目ならコクピット狙いだ!!

 ―――アタシはアタシで、一気に叩くッ!! いくよ、カガリ君!
762 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 22:29:58.89 ID:yHUj/QzdO
>>757
【セリーナへと銃撃を浴びせようとする機関員の一団へと小型艇を駆使して突進する】
【すぐさま小型艇のエンジン部分を狙い斬りつける。金属の悲鳴を挙げる小型艇、機関員は自らの死を認識する前に魂と肉体が乖離する】
【かき乱し、斬り伏せ、叩き潰す、彼の彼らしい彼の戦い方で機関員を討ち伏せる】

ひゅ〜…これくらいかな、セリーナさん。後は…あの中型艦か…

【彼は小型艇を使いこなし、中型艦へと突進を始める】
>>761
【小型艇の飛行方向を一方向に固めある程度の操縦を行いながら、彼は小型艇の鼻先に立つ】
【そのまま彼は迫る小型艇を斬り伏せながら中型艦へと接近する】

了解したよ…正親町一門の名をちょこっと上げてやろうか!家出中だがなぁ!

【彼は剣を構え中型艦に突撃する姿勢で息を整え始める】
【狙うは中型艦の装甲を両断しながらエンジンを叩き斬る。それこそが彼の現時点での最終目的】
【決めるは彼の剣の必殺奥義、「バベルノ崩落 零式」彼の剣に溜まったエネルギーを放出する大技】
【彼はそれを狙って自らの危険を顧みず、中型艦へと突進していく】
763 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/19(日) 22:43:57.45 ID:v4P4bNaco
>>759

【全身を魔導の鎧に身を包んだ仮面の戦士はフルーソの地図を開き始める】
【目的はこの町で特に広く、暴れまわるのにうってつけの場所を探すことだろう―――先ほど通りがかった市街地ならばいい所があるか?】
【いい感じの場所を探りながら、W-Phoneの通信で『ある人物』のいる場所に通信を行う事だろう、その最中……】


そうか、芳しくないか……今日の敵は凄まじく数が多いからなぁ
一人ひとり叩き潰してたら間違いなくこっちがヘトヘトになっちまうな。そこで、どっか暴れまわるにうってつけな広い場所で待ち伏せ!
でもって今から空中の敵を今から全部俺の所に集めて、全員ボコる。――――大丈夫、秘密兵器なら用意してあるし

そこで今からなんとか都市全体にいる機関員たちを全員俺に怒りを向けるような『罵倒文句』を都市全体のスピーカーで片っ端から流そうと思うんだ
この町って都市全体のスピーカーを使う方法ってある?こいつで町中に機関の挑発をしようと思うんだ。できる?


【―――目的は今空中で他のメンバーの邪魔になりそうな空中の雑魚を一掃するために自分のいる元におびき寄せる事】
【そのために町中の機関員全員の耳に声が届く方法が必要なのだ、動かし方を知れば作戦に組み込むだろう】
764 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 22:49:17.99 ID:SXIjHS+Ao
>>755>>760-1

【櫻の援護によって中型艦の護衛についている機関員はその数を大きく減らした】
【しかしそれだけでは足りない。まだまだ数がいたが────】

【セリーナの奇策ともいえる一撃で機関員の乗った小型艇は次々に吹き飛ぶ】
【更に爆散した破片の命中した別の小型艇が落下。更に次、次へと連鎖的に崩壊していく】
【最後には中型艦の護衛についていた機関員の部隊は半壊していた】

【セリーナが向かっていった中型艦は対空砲火を開始。弾幕を張り始めた】
【また主砲の砲塔をセリーナへと向けている。発射には時間がかかるが、万が一命中すれば如何にセリーナといえど無傷では済まないだろう】
【とはいえ、狙いを逸らすのは難しくはない。接近してしまうのも一つの手だ】

【空中に飛び出した櫻の援護もあればもう少し落とすのが容易になるか】
【あるいは櫻も別の中型艦へ向かってもいいだろう。一隻を早く落とすか、個別でやるかだ】

>>762

【カガリの剣先が中型艦に触れたとき、艦全体を覆うように防護膜が現れた】
【中型艦は魔術的な、いわゆるバリアのようなものを展開していて、それが剣を受け止めたのだ】
【しかし、その大技に耐え切れるほどの強度ではなく、数秒耐えただけで崩壊。剣撃は見事にエンジンを破壊】

【推力を失った中型艦は重力に従って落下、フルーソへと落着していった。衝撃が周囲へと拡散していく】
【単純に艦を撃ち落とすだけとなると、街への被害は避けられない。とはいえ、他の手段を取るのも難しいか】
【中型艦は他にも数隻あって、都市めがけて砲撃を続けている。その周囲にはやはり機関員が展開していた】
765 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 22:52:10.51 ID:SXIjHS+Ao
>>763

「か、可能だが機関員が挑発に乗るかはわからないぞ?」
「この町中に声を届けたいのなら、ここから少しいったところに緊急時に連絡をする場所があるが……」


【軍人は剛太郎の提案に少し困惑しながらも、スピーカーが使える場所を丁寧に教えた】
【剛太郎のバイクならば、辿り着くのに大した時間はかからないはずだ】
【更に軍人はスピーカー類の使い方も説明。これもまた難しくはない】

【移動した先にあったのは小さな部屋だ。音量調整用の機器に、マイクがついている】
766 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 23:09:39.34 ID:1GtXMgiDO
>>760(セリーナ)

【ビッチだの何の。その会話は、銃声や雷撃の音で邪魔され、中断する】
【彼がセリーナを魅力的だか刺激的だと思っているかどうか。答えは今は聞けなかった。ばち、とまた雷電が小型艇をいくつか撃ち落としていく】

【──「ダイナマイト、積んでたりするんだ」 そんな言葉が聞こえた。最初は何を言っているか分からなかったが】
【バイクから身を投げたセリーナを見て、一瞬思考が止まった。自動操縦に従い爆散するバイク。落下していくセリーナ】
【身体に纏わせる風をより強くし、セリーナの落下を止めようとした天辰だったが……】


……これが、彼女の力、ですか。……なるほど


【突如展開される召喚陣。セリーナに装着される強化鎧。機巧の翼で加速し敵陣を飛び回る──それはまさにヒーローの姿!】
【小型艇は随分と減っていた。そろそろ中型艦に狙いをつけても、問題はないだろう】
【あの鎧と機動力であれば、セリーナは中型艦一隻を1人ででも落とせるはずだ。主砲が彼女に向いていたが……鳥の如く宙を駆ける彼女には届くまい。天辰はそう思った】


……セリーナさん、僕は別の中型艦を落としにいきます!
主砲があなたに向いていますが……お気をつけて!!


【それだけを叫べば、ひゅうと風を切って天辰は別の中型艦に向かうのだ】


>>764(主催)

【別の中型艦を個別で撃ち落とすことを決めた天辰。取り巻きである護衛の小型艇がいるならば、雷撃を撃ち込み数を減らす】
【休む間もなく、再度雷撃。何度も何度も、何度も閃光が空に迸る。護衛の小型艇を度重なる雷撃で一掃するつもりのようだった】

【そして中型艦への道が開けたのであれば、天辰は大きく刀を振りかぶる。≪天龍≫の刀身に、風と雷と水流が纏わりつく】
【「──!」 天辰が何かを叫んだ。これは……チャージの時間こそ少ないものの】
【風の国エルジオで、アインの魔導砲を粉々に破壊した一撃……!】
【刀を降り下ろす。中型艦に向けて、暴風に雷流、水の瀑布が襲いかかる。仮に中型艦への道が小型艇により塞がれていたとしても】
【確実に、この一撃で「護衛ども」は掃除できるはずだ】
767 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 23:17:52.81 ID:SXIjHS+Ao
>>766

【小型艇は雷撃によって次々に撃ち落とされていく。更に強大な一撃が部隊をなぎ払い、道を開いた】
【しかしその先端が中型艦に触れた瞬間、防護膜が姿を現した。一撃では突破できないようだ】
【攻撃後に中型艦は弾幕を形成。その範囲は広くとも距離は大してない。離れれば安全んだろう】

【中型艦の砲塔がやはり櫻、そしてその先へ向けられるが、よく見ればその部分だけは防護膜がなかった】
【その部分だけを狙えば破壊、ないしダメージが与えられそうだ。もしくは大技をもう一度直接打ち込んでもいいだろう】
768 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 23:18:21.79 ID:1GtXMgiDO
【水の国──首都フルーソ】

【街は混乱の最中にあった。六罪王≪ロード・ケイオス≫ことアインがカノッサ機関の艦隊を引き連れ、首都を襲撃したからだ】
【砲撃により建築物が倒壊。硝子が砕け幾千もの書類が散乱。それすら覆い隠すかのように土煙があがる】
【規則正しく置かれていた敷石が砕け地面が露出。街路樹が倒れ、燃焼し道を塞ぐ】
【不安に耐えきれず家から出てきた者を、機関員が襲う。子の手を引く母親が、銃弾に倒れる。銃を撃った輩が、上から落ちてきたコンクリートブロックに押し潰される】
【公民館らしき建物に避難していた人々に、中型戦艦から撃たれた流れ弾が飛来。建物が崩れ、瓦礫が鮮血に染まった】

【──その、混乱の最中。やけに空からの“流れ弾”が少ないエリアがあった。カノッサ機関員は彷徨いているものの】
【他のエリアと比べれば、そこは明らかに建物や道路の損傷は少なかった。……そのような地区の、ど真ん中】
【1人の女が、涼しげな表情を浮かべ佇んでいた。艶やかな黒髪に、赤い瞳をした娼婦だった】


…………、…………いよいよ、始まったわね
それにしても。まさか空から、なんてねぇ? ふふふ、戦艦って聞いてたから、海から来ると思っていたのだけれ、ど──
──ふふ。一体何をしようとしているのかしらね、彼は……


【くつくつと、女が嗤った。ぬぅ、と女の影が細く長く伸びる。蛇のようにするすると、影が地面を這い回り、何かの形を刻んでいく】
【機関員が女に声を掛ける。女の影から“影で構成された獣”が現れ機関員の喉笛を喰い千切った】
【くつくつと、また女が嗤った。地面に、黒いラインが刻まれていく。機関員の血飛沫がライン上に飛び散ったが、不思議と線は消えることはなかった】
【するすると影が地面に模様を描く。直線と曲線が入り交じった、幾何学的な模様だった】
【──何かしらの魔方陣。混乱の最中、女は優雅にそんなものを描いていた。一体、なんのために。その答えは、女すら知らなかった】

/絡み不要でございます
769 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/19(日) 23:18:45.88 ID:ACsl8dFQo
>>764

【翼神・ケツァルコアトルをモチーフとして作られた機械式の魔導翼が勢いを上げ、さらに加速。】
【中型艦の対空砲火の中を猛スピードで飛行しながら砲撃を回避、仮に命中したとしてもアーマーで防ぎ、】
【破壊された鎧の破片が散り行くのも、ダメージが肉体へと累積するのも無視したまま、セリーナは中型艦へと接近】


 さあて―――ディナーの時間だ。
 焼き加減はウェルダム以外、受け付けないけど、ねッ!!


【構えた"弾"末魔から放たれた弾丸が、新たな召還陣を形成、それがセリーナの手元へ向かうと】
【召還陣から現れたのは―――三つの銃口を持った、超巨大な一丁の"拳銃"―――の様な、"何か"、であった!】


                 番犬吼々 < ケルベロス・マグナム >


【その名もケルベロス・マグナム。ダブル・バレルのショットガンの上部に、もう一つ銃身<バレル>を載せたかの様な】
【異様な外見をしたその大口径拳銃をセリーナはアーマーの驚異的な筋力補助を用い片手で構え、ハンマーを引き起こす!】
【バレルに接続されている中央部のシリンダー<回転弾層>がグルリ、と回転し、20mmを超える大口径の弾丸がセットされた!】

【もはやスマート・グレネードにも匹敵しうる程強大な弾丸を装填されたその拳銃が】
【セリーナの精確無比な射撃技術と合わさり、此方へと向けられた"主砲"のその内部めがけ、なんと―――】
【発射、弾丸は超精密な軌道を描いて真っ直ぐに主砲の砲塔部分から侵入、そして着弾すれば内部で大爆発を起こそうとする!】

【そう、この"ケルベロス"に装填される弾丸はそれぞれ三種類存在し、今放たれた一撃には】
【"風"の属性が付与されている為、炸裂すると同時に嵐にも似た爆風を巻き起こし、砲塔内部で衝撃波を撒き散らすだろう!】
【それが砲塔にセットされているであろう砲弾に引火すれば―――考えることは他にない、強烈な爆発が内部から戦艦を襲うだろう!!】
770 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 23:25:09.09 ID:SXIjHS+Ao
>>769

【セリーナの正確無比な射撃により弾丸は主砲に直撃。衝撃によって中型艦は内側から破壊された】
【中型艦はいくつもの破片となって重力に引かれ落下。このままではやはり街に被害をもたらしてしまう】
【中型艦は他にも何隻かある。破片の処理までするか、手早く他の艦を沈めるか、セリーナはどうする?】

【最も近い位置であっても、中型艦まではそれなりの距離があった】
【セリーナが破片の処理をしようが接近をしようが、中型艦は副砲による砲撃を開始。周囲で爆発が連続して起こる】
【護衛の姿は見当たらないが、距離がある分、危険な位置関係となっているか】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/19(日) 23:37:17.32 ID:24gAc5Ax0
【街から離れた場所――森に続く道】
【細い三日月は光量にはわずか足りなくて薄暗い、進む先は木々に覆われ、暗澹とする。梟の声が、厳かに少女を出迎え】
【鋭い瞳はその声の聞こえたほうをちらりと睥睨して、けれど気にせず足を踏み込んだ。人の世界から逸れていく背中は、だけども小さく】

……、確か、件の泉は街の側からたいして遠くないと……書いてあったものだけど。

【「ほんとうかしらん」とつぶやく声は、掠れていたが若い少女のものだ。数分ほど歩んでからようやく立ち止まる。そこでやっときょとりと視線を巡らせ】
【片手に提げたランタンを掲げて辺りを照らしてみる――それで、声の主の姿や顔も照らされた。まだあどけなさを多分に残す、少女だ】

【透き通るような金髪は毛先のほうがくるりと巻く癖っけ。それでいて毛先のほうは金でなくピンクに染まり、なんとも不思議な色味となり】
【まだ幼さの残るかんばせ。しかしその目つきはいやに鋭く、けれど拗ねた子供のようでもある。瞳の色は勿忘草の花と同じ色をしていて】
【紅茶染めのような色の布地でこさえたワンピース。裾も袖も長く、その肌が見えるのは、顔と、首筋と、時折覗く指先程度だろうか】
【足元は森の中を散策するには不向きなように見えるサンダル。――身長は百四十二センチとひどく小柄で、遠目で見れば子供にしか見えないだろう】
【実のところは子供というよな年齢でもないのだけども。「こちらでいいのかな」と独り言ち、彼女はまたランタンであたりを照らせば――】

【ふむと何に納得したわけでもない声を漏らして、また、歩き出す。この暗がりの中だ、遠くからでも彼女のかざすランタンの灯りは良く目立ち】
【元より狼などの危険な動物がいない森ではある。けれど子供のような彼女が夜中にひとりで踏み込んでいい場でないのだけは確かと言えて】
【風の音、葉のさざめき、梟の声――音という音が、或いは森すべてが。明確に異質な彼女のおとずれに、どこか、戸惑っているような――そんな錯覚】

【――この森には、変わった泉があった。観光地というほどではないが、物好きの観光客は訪れるという】
【魔力を注ぐと、注がれた魔力の波形や属性や――とかく、そういった、個人個人によって異なる部分でもってして、様々な音で応えるのだという】
【あるものは荘厳なパイプオルガンの演奏を聞き、あるものは空き缶をひねりつぶすような音を聞いたという。とかく、そんな、ひどく気まぐれな泉】
【この泉を専門に研究する研究者もいるらしいが――まあ、そんなに、有名な場所ではないのは確か。けれど、この少女はそこを目当てに進んでいるらしい――?】

/予約ですっ
772 :正親町カガリ :2015/07/19(日) 23:40:00.47 ID:yHUj/QzdO
>>764
【彼の生命エネルギーを溜め放った一撃「Ba零式・斬」彼が放った攻撃は一挙に中型艦の艦体を切り裂き、魔法壁の妨害を裂き破り沈める】
【彼が斬り裂いた中型艦はフルーソへと墜落していく、彼はそれをひたすらに達観している】

仕方ないな…人は避難させてるんだろ…

【そう言うと彼は更に周囲の小型艇を叩き落とし始める。それはセリーナや天辰の援護と共に自分が生き残るための最良の手段】
【一閃、一閃、又一閃、彼はひたすらに小型艇を落とし続ける。それは最早正親町一門の名を上げると言うよりかは自らの本能が続けさせる行為】
【剣を作るために培った剣を扱う狂気の本能】
【それが彼をひたすらに戦わせる原動力となっていた】

多い…邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ……

【彼が手にした剣は既に血潮によって染まっていた。彼の本能が求めた色、それは鈍く輝いている】
773 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/19(日) 23:46:59.09 ID:ACsl8dFQo
>>770

【ガシュン―――という、機械の作動する音と共にバレルが罅割れ、熱で崩壊した。】
【余りに強烈な弾丸を撃つこの武装、一発ごとにバレルが焼きつき、壊れてしまうという突飛な設計なのだ。】
【そして其れ故、三発を撃ち切る為のバレルが弾丸一発につき一つ付いている―――だから"三つ首"<ケルベロス>なのだ。】

【セリーナが再びハンマーを叩き起こすと、シリンダーが回転し新たな弾丸が装填されると同時、】
【接続された三つのバレルもグルン、とダイナミックな動作で回転し、割れていない新たなバレルが接続された。】
【次なる一手を選択したセリーナは、素早く状況を確認。破壊されて落下する中型艦は、そのままでは大きな被害を生む。】

【しかしかと言って、離れたい位置にいるもう一つの中型艦を放っておく訳にも、いかないだろう。】
【なにより、其方の方は既に攻撃を重ねてきているのだ。爆風と破片、そして衝撃とが、セリーナを襲った。】
【アーマーが傷つき、塗装が吹き飛び、幾つかのパーツが焼けるが、バイザー越しにHUDが落下する船を睨んだ。】

 (クッ……! ずっと攻撃を受け続けてたら、ティターン・アーマーの耐久力も持たなくなる……!)
 (かといって、空中でジェットを起動しながら使える武装は今のところ"ケルベロス"だけ……いや、違う!)
 (……ふふっ。そっか、"あの時"と同じ様に"コレ"を使えば―――! 結果的に弾数は増える、"ある意味で"!)


【セリーナは破片と爆風の中を下降、落下する船のボディめがけケルベロスを構え、そして】
【容赦なく追撃の、発砲―――!! がしかし、今放たれるのは単に破壊を意味する攻撃では、なくて。】
【直線上に向かう弾丸が船体に命中したならば、今度は強烈な冷気―――そう、極低音の魔力を、ぶち撒ける!】

【先程の"風"属性が付与された弾丸と違い、猛烈な破壊力こそ持たないものの、】
【魔力によって引き起こされた膨大な冷気が一瞬にして船体を襲い、そして瞬時に鋼鉄をも凍らせるだろう。】
【このままその攻撃が成功したならば、セリーナはトドメとばかりに"弾"末魔を構え、魔弾を撃ち放ち、凍った船体を破砕しようとする!】

 (冷気で凍らせて、魔力弾の威力で一気に"撃ち砕く"―――これで脆くなった破片は更に小さくなって、)
 (落下したとしても街への被害は、最小限にとどめられるはず―――!!)

【セリーナは残り一発となったケルベロス・マグナムを腰のハード・ポイントに装備すると】
【此方へと砲撃を繰り返すもう一つの戦艦へと振り返り、そのボディをロック・オン、砲弾の中を直進し、接近を試みる―――!】
774 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/19(日) 23:48:33.11 ID:1GtXMgiDO
>>767

【く、と吐息が漏れた。防護膜──そういえば、カガリが艦を攻撃した際も似たようなものが現れていた】
【突破の方法を思考する。風を震わせ、中型艦から距離を取る。弾幕への対処も、とは思ったが距離を取ったためか弾が飛んで来なかった。──好機、か】


…………、……あ、れ。……砲身のところ、だけ……バリアが、…………ない


【雷撃を連打したせいか、口の中が渇いていた。緊張が一瞬緩む。疲労が急に襲ってきて、地面に落ちそうな錯覚に見舞われる】
【ぐぐ、と刀の柄を強く握る。まだ倒れるわけにはいかなかった。風が周囲を駆け巡る中、バリアの存在しない砲身を見据える】


もう……い、ち…………げ、き…………ッ!!


【迷う暇もない。刀をまた奮う。天辰の“嵐を操る力”が刀身に乗り、中型艦の砲身に撃ち込まれる!】

/遅くなりました、ごめんなさい
775 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/19(日) 23:51:44.61 ID:SXIjHS+Ao
>>772

【小型艇に乗った機関員の姿は随分と少なくなっていた】

「おいお前! 大丈夫か!? こっちを手伝ってくれ!」

【声の方を見れば、先ほどカガリが助けた老兵がいた】
【その付近ではやはり軍人たちが隊列をなして機関員と銃撃戦の最中。艦を落とすのは重要だが、こちらも援護が必要そうだ】
【地上に展開しているために、やはり倒すのは簡単そうだったが】

【機関員たちの中に影のように黒い獣が混じっていた。それらは機関員とは比べられないような速さで侵攻】
【軍人たちを次々にその強靭な爪で引き裂いていた。数は五体だ】
776 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 00:00:16.20 ID:S7ydB6/6o
>>773

【凍結からの衝撃で更に細かい破片と化した船体は今度こそ地上に落着。衝撃が周囲に広がっていく】
【しかしセリーナの思惑通り、その被害は随分と軽いものとなっていた。少なくともこれに巻き込まれた死者はいないだろう】
【勿論、中にいた機関員は別だったが、彼らが這い出てくることもないだろう】

【接近そのものは成功。距離がある程度以下になれば副砲による射撃から対空射撃に変更】
【細かな弾幕がセリーナに襲いかかるが、今度は主砲が動く気配がない】
【このまま対空放火だけで仕留めるつもりだ。艦への攻撃は防護膜で防ぐということか】

【防護膜を突破するには高火力攻撃をぶつけるか、小さな穴を縫うような正確な射撃をするしかない】
【後者は一度やっているが、だからこそ敵は主砲を使いはしない。ならば、もう一つの手段を取るべきだろう】


>>774

【暴風や雷撃、水流が砲身に直撃。その衝撃で連鎖的に爆破が起きて、艦を覆っていた防護膜が消える】
【煙をあげながら艦は落ちていくが、未だに櫻めがけて砲火を続けていた。完全に沈めるにはもう一撃が必要か】
【今ならば防護膜も消えている。それほど威力のある攻撃でなくとも、止めは刺せるだろう】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/20(月) 00:02:49.64 ID:3P1kiqIao
>>771

(――――――――……人の気配……)

【連なる木々の世界、暗闇の中だからこそその木々の間より姿なき異形が現れるのではないかと錯覚させる】
【尤もそれはただの思い込みでしかなく歳を重ねる毎に思い込みという幻は消えてゆくものだ、化獣は恐れるに足らず】
【最も恐ろしいのは、それは獣ではなく人誰とも知れぬ敵意を持つ人こそが最も恐ろしいものだと分かる】

【揺らす髪は煤けたような赤色、元が元だけに手入れなどするつもりなく枝毛が跳ねる】
【同じ色の瞳はふと目の前を行く少女を見つめる、こんな夜分に一体何のつもりなのだろうかそう考えて】
【まあ他人の事は言えないな、と独り小さく漏らして黄土色のローブを翻し歩みを進める】

――――――お嬢ちゃん、こんな深い夜に森に入るなんて……
森が戸惑うわ、柔らかそうな身なりはそれだけで色々な者達にとって喉を鳴らしてしまうもの
まあ、それだけの価値を見出すからこそこんな場所にいるのだろうけど……はてさて

【声の主の姿、フードローブに隠れた姿は「魔女」という印象を与える】
【現に立ち昇る魔翌力は通常の物でなく微かな熱を帯びて空に溶ける、加えて身長を越えるサイズの杖】
【月をモチーフにした銀のそれは古よりの気配を宿していた】


778 :正親町カガリ :2015/07/20(月) 00:09:23.96 ID:E6hs+hA2O
>>776
【ただ延々と機関員を斬る最中、ふと耳に何か言葉が届いた】
【それは先ほど地上で聞いた老兵の声、眼前の機関員を斬り伏せる事に夢中だったが故にしっかりと内容は理解できなかったが恐らくは自らに助けを求めたのだろう】
【彼らの方向へと目を向ける。そこには先ほどのように隊列を成して対抗している彼らがいた】
【だが、彼らが相対するはただの機関員では無い。それは黒く黒く塗りつぶされたような化け物】
【それは恐らく人間では無いのだろう。だが、だとしても関係は無い。自らに対抗してくると言うのならどんな時でも斬り[ピーーー]】

黒、黒、黒、黒、黒いいなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁあっはぁぁ!

【彼は最早先ほどとは変わり果てた様相で黒い獣へと斬りかかる】
【彼は一匹目の首に即座に剣を振りぬくと永遠に奴の心臓と脳をさようならさせる】
【そうして老兵たちに一瞥すると彼は残りの獣に向かって駆けよっていく】
【斬る、斬る、翻って斬る。彼の姿は最早斬撃の鬼、ミイラ取りがミイラになるよろしく剣造りが剣になったような存在】
【故に彼はその剣を使いこなせるのだ。彼だけにしか使えないその剣を】

【最後の一体の身体を両断した時彼の周囲は血で染まっていた。彼の顔も、地面も、機関員の屍も】
【死臭漂う戦場の中でも一際血生臭いだろうか。ともかく血の色が世界を染める空間だ】

なぁ……終わったよぉ…

【そう言うと彼は更に相手を求めて戦場に駆けて行った】

/獣は倒しても良かったのでしょうか…?そろそろ時間がきついのでこの辺で明日までお暇させて頂きます…
/後はそこら辺で戦っていると言う風に思っていただければ幸いです。では、今日はお疲れさまでした。そして明日もよろしくお願いします
779 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 00:11:58.75 ID:S7ydB6/6o
>>778
//はーい、お疲れ様でしたー
//また明日よろしくお願いしますねー
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 00:14:31.65 ID:KpAf2vyk0
>>777

【優しい森だ。どの木も、獣も、月明かりさえも。無防備な少女を迷わせようとはしない、ただ、少しだけ戸惑って】
【怖い場所ではない――というのは、肌に触れるなんとなしの湿気というか、心地の良い感覚で伝わってくる、だからこそ、】
【ここまで入り込んでしまったのだろう。――ここまでというには少し浅い場所、まだ、木々の向こうに街明かりが見える可能性のある場所、だけれど】

……――、おや、こんばんは。キミも散歩かい? 私は、別に散歩がてらという感じなのだけど。

【――声を掛けられて、ゆっくりと歩む少女の足がぴたりと止まった。そうして数秒ほど静止して、やがて振り返るならば、あどけなさが良く目立つ】
【これで赤い頭巾と籠でも提げていれば童話の一ページとして話を進められただろう。けれど現実にそんなことはなく、まして、この森に狼はいない】
【ついと物怖じした様子もなく返すのは、どこか埃と黴の染みた古書に似るような声だ。年頃の少女らしいみずみずしさはなく、ついでに言えば可愛げもない】
【ランタンをそちらについと向けて相手を観察――きっとその言葉で間違いではないだろう――し、特別に害のありそうな人間ではないと判断しつつも】

【立ち昇る熱を帯びた魔力、ゆらりと揺れて陽炎めいて見えるのだろうか。それならば、何に怯えるのか、遠くの逃げ水でも見ている気分】
【遥か遠くできらめく偽の水面、それを覆い隠すように揺れる陽炎。そこではてと気付いて刹那に考える、何か、自らの思考に違和感が――】

……ああ、本物は見たことがないのだった。――いや、なんでもないよ。キミも泉に行くのかしらん。
私は泉へ行くのだよ、なんという名なのだっけ。それとも名はないのだったか。……悪いね、別にそこに興味があるわけではなくって。

【きっと魔女にしてみれば意味の分からない呟きが混じったことだろう。けれどすぐにどうでもよさげな声が遮って、すぐ話題は移ろう】
【自分の目的はどこかで聞いたことのある不思議な泉だと教えて、相手もそうだろうかと問う。それなら一緒に行こうと誘うわけではないが、拒絶するわけでもない】
【泉に興味はあっても名前にそこまでの興味があるほどロマンチストではない。――なんて、どうにも表情を動かさないまま告げたと思えば、わずかに目を細め】

キミは魔法使いかね、御伽噺に出てきそうな見た目をしているけれど。

【そこでやっとこ視線を大きな大きな杖に向け――「重いかい」なんて、ひどく、ロマンやファンタジーの欠片もないことを、訪ねたのだった】
781 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 00:19:29.40 ID:36cEYCgDO
>>776

【厄介なバリアは消えた。砲撃は続いているが、射程距離外にいる。問題はない】
【艦の寿命も見えた。そういえば、高層ビルにいるクリスは大丈夫だろうか。僅かな雑念が生まれる】
【少し笑う。余計なことを考えるなと自嘲する。宙を駆けたセリーナは。小型艇に乗り暴れていたカガリは。地上で別れてきり姿を見ない剛田は、大丈夫だろうか】
【次々に、要らぬ思考が浮かんでは消える。──戦いはまだ終わっていない。刀の切っ先を、沈み行く中型艦に向ける】
【刀身を覆っていくのは風だ。ひゅうひゅうと甲高い音をたて、天辰に撃ち出されるのを待っていた】


……街。…………エルジオと、どっち、が…………っっ!!


【どちらが、被害が大きいのか。それを言い切ることはない。答えはいずれ分かるし、知ったところで今はあまり意味はないのだ】
【ごう! 暴風の一陣が、艦へと放たれた。それはあたかも風龍の如く。目的に到達すれば、艦内を暴風が駆け巡り爆発を更に誘発】
【天辰が雷ではなく風を打ち込んだのは、爆発をさらに誘発させ、あわよくば中型艦を少しでも打ち砕こうという考えからだった】
782 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 00:23:35.02 ID:+BZdnWogo
>>776

【落下する船の処理は完了したようだった、セリーナは背後を一瞬だけ振り返り、それを確認する。】
【だがこれが命取りになった。先程までの砲撃とは違い、細かな攻撃となった対空砲火の雨霰が、降り注いだのだ】
【当然、セリーナは敵が砲撃による火力攻撃を仕掛けてくるものと思っていたので、その柔軟な対応に追いつくことが出来ず。】


 う、わッ―――くっ、くそッ……う、ぐうっ!!

 (対空砲火……!? 機銃や炸裂弾<HEAT>による近接戦闘防衛システムに切り替えたのか……!!)
 (なるほど、さっきの船が"堕ちた"理由をしっかり研究してるってワケだね、なかなか賢いじゃないの、……う、ぐうっ!!)

 こな、くそ……ッ!!

【負けじとセリーナは背負っていたウィンチェスターライフルで応戦を開始するが、射撃能力でこそ勝っても】
【ファイヤパワーでは圧倒的に劣る現状、対空砲を一発一発ライフルで攻め落とす事はほぼ不可能と言えた。なにより】
【中型艦の周囲に展開されたバリアが、ライフルの攻撃を防ぐ―――これでは攻め入る隙が無い。砲塔も、今は狙えないのだ。】


 (―――……隙間を縫うような精密射撃、コレが封じられるとなると……)
 (出来ることは後一つ、攻撃でバリアを"破壊"して突入する方法だ、けれど―――、)
 (バリアは破壊できても……ううん、やるしかないね。一か八か、賭けに出るなら……今しかない)


 ―――なに、でっかい一撃が欲しいって? 
 しょうがない子だなあ、アタシがビッチ呼ばわりされてるけど―――
 この"戦艦君"のほうがよっぽど、"欲しがりさん"だと思っちゃうよね、ほんとにさッ!!


【セリーナは対空砲火を浴びながらアーマーの耐久度を計算、ジェットの方向を転換し今度は"直上"へ。】
【一気に加速するとジグザグに飛翔し、戦艦の頭上へと回り込んで、そこで信じ難いことに―――、】
【今宵二度目の、"移動手段"の放棄に出るだろう、つまりは―――ジェットを、パージした!?】

 なら、"大っきいやつ"―――くれて、あげるよッ!!

【いや、パージではない! 全開にしたエンジンはオーバーヒート寸前、凄まじく発熱しており】
【そして直下へ向かって、つまりは"戦艦"めがけて逆噴射で突撃、"隕石"の様に上から"落下"してくるのだ!】
【更にはセリーナがそれを追う様にして落下しながら照準を定め、"ウィンチェスターライフル"を構え、引き金を―――引く!!】


【―――直後、殺到した弾丸が猛速で戦艦へめがけ落下する"ジェットケツァルコアトル"に、命中。】
【基部を破壊し、動力源たる燃料噴射口を貫き、機関部を可笑しくして、その結果―――】
【戦艦のバリアへ到達するそのドンピシャのタイミングで、大爆発を起こす!!】

【そしてセリーナはそのまま落下を続け、"弾"末魔を発砲、召還陣を展開し新たな武装を、呼び出す!】

 

                     一角閃攻< モノケラス・ドリル >


【空中で呼び出された召還陣がセリーナの右腕に触れると、その中から鋼鉄の塊―――兵装を召還、瞬時に装着!】
【それは腕に直接装着するタイプの、超巨大な魔力駆動式"削岩機"―――ドリル、兵装であるッ!!】
【セリーナ唯一の近接戦闘兵器が唸りを上げて回転し、そのままセリーナはドリルを突き出して、落下していく―――目指すは、】


 (―――破壊したバリアの、内側へッ!!)

【そう、今しがた放ったジェットユニットの誘爆突撃により生じるであろうバリアの隙間から】
【ドリルを装着した自分ごと落下の勢いと合わせて特攻、機関部まで一気に"貫こう"という―――馬鹿げた、作戦!】


 ―――いいいいいっっけえええええええええええええええええええええッ!!


【―――全ては、前述の誘爆が成功していれば、の話。果たして、身を投げたセリーナの攻撃の、結末は―――ッ!】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/20(月) 00:36:41.15 ID:3P1kiqIao
>>780

あら、随分と大仰な話し方ね……外見と中身は別なのかしら
私はちょっとした……いいえ、別段話すでもないしただの散歩でいいかしら?

【自分に対する怯えは、無いように思える】
【かといって好奇心があるのかどうか本心からは分からない】
【ただ、自分の心配が必要そうにはどういう訳か思えない】

泉……?初めて聞いたけれど……魔翌力由来の不思議な泉でもあるのかしら
何にしても立地的に観光には向かなそうだけどね――――――――

【本物、その言葉が何を意味するのか普段ならば問い詰めるのだろう】
【しかし今はそれをしない、ただ気分が乗らないというだけと言えばそれまでの事】
【そう、どうにも目の前の少女はどうしようもなく計り知れない物があるように思えてならない】

魔法使いなんて埒外じゃないわよ私、ただの魔女でしかない
少なくとも目の前の貴方みたいに訳の分からない存在ではないわよ、ねえ?

【そうっと杖の先、エンブレムの先端を少女に向け首を傾げる】
【或いは重力に関連する魔術でもされているのかその動きに淀みはなく】
【静かに溶けるような月由来の魔翌力が微かに漏れて】
784 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 00:41:57.35 ID:S7ydB6/6o
>>781

【中型艦は誘爆を続けて、最後に一度大きな爆発を起こして爆散。細かな破片と化して落下していった】
【遠くに見えるビルには機関員の姿は見当たらなかった。それどころか、櫻の周囲にもあまりない】
【他の中型艦はセリーナや、国軍がその相手をしていた。援護に入る手もあったが────】

【突如、櫻に影が差す。上空に現れた何かが光を遮っているのだ】
【真上を見れば、そこにいたのは影のように黒い、翼の生えた巨人。魔力で構成されたそれを、櫻はエルジオで見たことがあるはずだ】
【四メートルもあるそれは、上空から真っ直ぐに櫻めがけて突撃してきた!】

//確定はなしで

>>782

【セリーナの動きに合わせて弾幕が移動。上空に移っても追撃していく】
【しかし、時間をかける作戦も結局は失敗だったのだ────セリーナが落下させたエンジンが大爆発を起こす】
【その衝撃で防護膜は崩壊。頼みの綱であった防御手段を艦は失ったのだった】

【無防備となった中型艦に、セリーナが突貫。機関部までを一直線に破壊された中型艦は動きを止めた】
【破壊された箇所から順に爆発が引き起こされる。穴の空いた艦はその箇所から二つに折れ、前方と後方共に街へと落ちていった】
【艦が落着して砂埃が舞い上がり、火の手があがる。だがそこにも民間人の姿はなかった】

【セリーナの上空に、旗艦らしき大型艦が移動をしてきていた】
【中型艦の数倍はあろうその巨体が、光を遮って巨大な影を作り出していた】
【外観から装備は判別できない。艦体下部に主砲らしき砲塔は確認できるが動いている様子はない】

【侵入するにせよ、何にせよ、まずは近づく必要があるか】
785 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 00:42:35.32 ID:IIeD/qOFo
>>765

……うん、でも全員じゃなくてもいい、とりあえず櫻さんやセリーナ、後さっき聞こえてきた名前、カガリだっけか
あくまでも、あいつらの負担が軽減できるように、挑発に乗ってきたヤツラだけでもなんとか俺が相手できればいいんだ
それに……こーいう腹立つ『挑発』が必要な状況で役に立つ友に俺は恵まれてるんだ、信頼していいぜ


【心配しないで、と軍人の肩を激励するためにポン、と叩いたならば"ライドコフィン"に乗り込んで剛太郎は教えてもらったポイントに行くだろう】
【高らかにエンジンを鳴らし颯爽と指定のエリアに辿り着いたならば言われていた通りに機材の操作を始めるだろう】
【マイクのスイッチをONにする前に、彼が助っ人を頼んだ人物が対応史に来るのを待つ―――そろそろだ】
【『アルカトラズ』の看守が今『彼』の事を探しに行ってしばらくたつ、もう近々『彼』の救援が見込めるはずだ……】


『―――……もしもし?ジャイアン?やあ久しぶりだねえ元気してた?』

よう!よく来てくれたな!待ってたぜ『ドラ』!……出所前のお前にいきなり仕事を頼んで悪いがさっき看守がかくかくしかじかと説明してくれたと思う!
そういう訳で今から片っ端から俺がアイツらを一網打尽にできるように……アイツらを挑発して俺の所に誘導してくれ!

『――――……はぁ?数年ぶりに頼りをよこしてくれたと思ったら何言ってるんだ君は?あほなのか?
お互いこの世界に来て結構見分広めて、良識を積んできたよなあ?もう成人して結構立つはずだが誰もきみの脳味噌の回路を
まっとうに改善してくれなかったのか?帽子をかぶる事にしか使い道のない頭なんか首の上にぶら下げてて邪魔じゃないの?』

うん、囚人のお前にだけは言われたくねえ……タダとは言わないよ、出所の日におまえの欲しいモノ用意しておいてあげるから、頼むよ!


【それだけ言った後、彼はW-Phoneをマイクの前に固定するだろう、やれやれだとため息をつく電話の相手が―――しかししぶしぶながら引き受けてくれたのを感じる】
【剛太郎はそれを悟ると、市街地のもっとも開けた場所に降り立って、どの方向から襲われてもいいように『向日葵』―――猫足立ちの構えを取りながら待ち受けるだろう】

【やがて街中に―――凛としたアルトボイスが響き渡る】

/続きます
786 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 00:46:51.18 ID:IIeD/qOFo
>>785続き

『―――やぁやぁ今まさにフルーソで銃振り回して暴れまわってる機関員のみんなぁ、元気にしているかな?
全くどうしてくれるんだよ、この無残なフルーソの町をさぁ、弁償できるほど金持ってるのか?払う気もないんだろうけどな

戦艦飛ばして、銃弾ぶっ放して、平和なフルーソは今まさに大パニック!非力ながらこつこつ生きてきた皆は君たちのせいでまーた恐怖に怯えることになった
君たちが一方的に『暴力』を振ったからだ。なーんにも、君たちの『暴力』に晒される正当な理由が何一つないって言うのにな……痛い目に合うのはいっつも力を持たない人たちさ


―――だが、ハッキリ言っておこうじゃないの。いいかい機関員の皆?たとえどんな武器を振り回しても。どんな兵器を乗りこなしたとしても、―――君たちは……まぎれもない『弱者』だ』


【声の主は突如、今まさに『奪う側』に立っている機関員たちにキッパリと弱者であると言い切る】
【人を簡単に殺せる銃弾も持っている。上から一方的に暴力を振るえる飛行手段も持っている。この世界の人々のだれもが恐れているカノッサ機関に対して、『弱者』と吐き捨てた】


『―――君たちは、『弱者』だ。たとえ今まさに銃弾で町の人間を撃ち[ピーーー]事が出来る力があったとしても。高いお金や技術使わないと手に入らない高価な乗り物があっても
たとえ一人で世界中に喧嘩を売ることが出来る優秀な能力を持って生まれたとしても言い切れる。だって……ナイフでも銃でもミサイルでも。『力』なんてクソガキでも手に入れられるんだ
強い力があってもそれは『強者』である証にはならない。そして今……君たちはぼくに『証明』してくれた。自分が……奪わなきゃなーんにもできない『弱虫』だと』

『その証拠が……今この時もちっぽけな正義の人間たった数人に次々ぶっ飛ばされて負けて減っていく君たちさ
君たち強い力を持っているにも関わらず紙人形ズタズタに引き裂くみたいに簡単に負けていく。こっちが暴力を振るうのはいいがいざ自分が受ける側になったら……
こんな簡単に潰れてしまう、今まさに犠牲になっていくこの町の人々と大して変わらないかむしろ……もっと弱いんじゃないか?』

『だってそうだろ?この町で生きていた人たちも……そして今まで君たちが暴力で奪い取ってきた平和な世界の人たちは……
君たちのように誰から暴力で無理矢理奪ったりしなくっても健やかに生きていけたんだぜ!『力』なんてなかったのに、君たちと違って無理矢理奪うという事をせずに生きてこれた!

奪わなきゃ生きていけないひ弱な生き物と、辛い境遇でも誰かのせいにせず自立し続けてきた無辜の民―――どっちの『命』が強い?
そんな簡単な事もわからないから君たちは……何回も、何回も、ぼくたち正義組織に負けてきたんだよなぁこれまでずっと。そして、これからもずっとだ

ほんっとぉ〜〜〜ッにばかだよなあ!君たちカノッサ機関の連中は……いつまで繰り返すつもりだ?何度やったって君たちは永遠にぼくらに勝てない、『負け犬』のままだってのにさあ!』


【ケタケタ笑ってこの作戦に参加するすべての『敵』を嘲り笑う声の主。何回も負けてきた。実際カノッサ機関は何度も……正義の意志に、それを背負う人々に敗れてきた】
【その理由は、単純明快―――『悪』とは弱者だから。だから戦う力を持たない人間から殺して奪えても、『誰かに敵意を向ける必要のない"強い"人』に勝てた訳ではない】
【それを自分が強いと勘違いしてきたから、『"強く"て、なおかつ戦う力を持つ人』には万に一つも勝ち目がない―――にも拘わらず戦い続ける事をやめないカノッサ機関を、『愚者』であると吐き捨てる】


『ぼくの言ってることが、『違う』というなら対決しないか?今……フルーソ市街地○○地区の広場に……とっておきの『爆弾』を用意した
君たちの『大事なモノ』を狙ってるぜ、当たれば確実に消えてなくなり……信じる信じないは勝手だが、ぼくは今まさに君たちに『王手』をかけている

―――あえてそれを教えた!10分待ってやるからとめてみな、何人連れて来ても、何をもってきてもいいぜ。
君たちみたいな『有能な暴力しか持ってない弱者』なんか、この『剛田 剛太郎』の無敵の葉隠流で千タテしてやるよ!』

……あの野郎、勝手な事言うなよな


【あきれ果てながら、剛太郎は構える。この挑発に何人乗ってくるかはわからない】
【しかし少なくとも―――今まで自分たち機関員が『強者』だと信じて疑わなかった人間が何人か引っかかってくれればいい、一人でも多く引っかかれば援護になるはずだ】
787 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 00:51:16.05 ID:S7ydB6/6o
>>785>>786

【既に他の面々によって機関員の数は減らされていた。だがその残りわずかもこの挑発によって】
【広場へと勝手に集まり始めていた。作戦は見事に成功といえる】
【しかし──機関員の多くが集まっているというのは逆に言えば異常でもあった。全体指揮を取る人間がいないと見ることもできる】

【ともあれ、広場には数十人にもなる機関員たちが集まってきて、挑発をしてきた人物を探し始めていた】
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 00:51:59.88 ID:KpAf2vyk0
>>783

【明らかに害意でもって接してくる人間は、恐ろしい。下手をすれば獣よりも怖いかもしれない、彼らには害意はない、あるのはただ空腹ばかり】
【そうやって殺されるなら、まだ理解できるように思えるのだ。だから人間は苦手に思う、ひとりひとりに意識があって、何かを考えているだなんて】
【動物めいて食事と交尾と快不快で済む以上の感情があるだなんて、どうにも、――恐ろしい、違う、理解できない、意味がよく分からない】

悪いね、年頃めいて可愛らしい風に喋れたら良かったのだけど。学校も行ったことがなくって、もちろん同年代の友達というのもね、居ないものだから。

【或いは、コミュニケーション不足が招いた違和感。歳に見合った言動を取れないというのは立派な障害だろう、なまじ言葉が通じるだけ、分かりづらくとも】
【だからといって本人がそれを苦にしているようには見えない。むしろ開き直ってからかっているような様子すら感じられるかもしれない――ほんのわずか】
【現実には魔女がほんの気まぐれを起こせばそれだけで殺されるほどに弱い。だから――魔女が抱いた感想というのは、きっと、ほとんどが、間違いだ】

……そう。なんでも、その人間人間によってまるで違った音を鳴らすらしいよ。魔力でもってして起動するらしい。
起動かね? 水面に石ころを叩き込んだら音がするのに似てる現象なんじゃないかとなんかの本で見たよ。なんだったかしら。

【知らないのだと聞けば、ほんの誤差の範囲で彼女は眼を細めた。それは残念がるのだろうか、それとも、失望なのだろうか。ただ、どちらもないようにも見えた】
【ただランタンを指先でゆらゆらと揺らす、そのたびにランタンの金具がきしんで、ぎぃこぎぃこと、姿の見えない化け物のような声で鳴き】

魔女は魔法使い以下なのかしら、私が思うに、魔女の方がレベルの高い印象なのだけども……、ま、どちらでもいいのだけど。
……私がアンノウンに見えるのかい、なんてことないよ、ただの図書館を家業にしていた家の娘だ。

そうさな、ご先祖様はキミらに関連することをしていたらしいよ。

【それはただの認識の差異。魔女のほうが強そうだ、なんとなくだけど――魔法使いは秩序だって、魔女というのは、野良で逸れていてというイメージ】
【それだけ強い力を持っているというイメージがある。だけれどどちらでもいいだなんて呟いて、それから、ようやく彼女は明確に表情を変えた。――驚き】
【鋭く釣った眼をわずかに丸くして、数秒かけてゆるりゆるりと戻す。なんてことないと、ただの一般人だと、――特別なんてないと、】
【どこか芝居めいて手を上げる、ホールドアップ。「だけれど」と呟いて続けた、――“あくまで自分は関係ないけど”と言いたげな瞳が、相手へと向いて】

/そして申し訳ありません、眠気がそろそろマッハな感じでして……
/明日はちょっとやることがあったりするので不確定なのですが、少なくとも夜には安定してお返事出来るかとっ
/そうでなくても、置きっぽくなるだけで昼間もお返しできると思いますっ
789 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 00:59:47.52 ID:36cEYCgDO
>>782(セリーナ)

【対峙していた中型艦は無事撃破した。艦の破片が市街地に降り注ぐも、あのまま艦を放置しておくよりマシだ】
【息をつく。まだ生きている中型艦はある。それを落とさないといけない。幸いなことに、周囲や高層ビルに敵はいなかった。クリスは無事だろう。勝手に納得する】
【手が空いた。セリーナたちの援護に行かなければ。セリーナの方を見れば、彼女が翼もなく落下していた。そこに聞こえる>>785-786の声。何が起きているか分からなかったが、剛太郎も無事らしい】
【だが、剛太郎1人に機関員が殺到すれば……しかしセリーナも助けなくては。──悪寒。影が差す。はっと上空を見上げ……】


これ、は……っ! アインの────!?

(まず、い……あんな質量のもの、真正面からじゃ無理だ……!)


【ばくんと心臓が跳ねた。他人の心配をしている場合ではない。油断大敵。息が止まる】
【巨人の落下に合わせ、天辰も距離を詰められまいと地面を背に落下】
【刀の切っ先を巨人へと向ける。雷撃が三つ、≪天龍≫から放たれる。狙いは巨人の胴体とその両翼】
【あたかも刀を柄とした三ツ又の雷槍が放たれたかのよう。しかし咄嗟の反撃だ。雷の威力は今まで機関員たちに示してきたが、果たして巨人に通用するか──!?】


/了解でっす!
790 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 01:01:40.08 ID:+BZdnWogo
>>784

【飛行手段であり、そして同時に唯一の移動手段でもあったジェットを失ったことで】
【折角真っ二つに叩き割った戦艦から、セリーナもまた退避が出来なくなってしまう―――の、だが。】
【破壊された機関部の中でセリーナはアーマーの耐久力を最大まで上昇させ、手近な柱へとしっかり身体を固定。】

 (―――ふぅ。ひとまずは、攻撃が成功。だけど、逃げられない、と。)

 ―――……無謀だったなあ。でもま―――それをなんとか、してこそだよね。

【アーマーの奥で口角を上げ笑みを零すと―――セリーナは落着の衝撃に耐えるべく、膝を突いて身体を、屈めた。】
【やがて崩れた戦艦が火の手を揚げながら地面へと激突、その中に居たセリーナもまた、破壊の渦の中へ巻き込まれ―――】


 【―――沈黙。動かなくなった戦艦の彼方此方から火花が上がっている。】

【そのまま何も起こらないかのように見えたが―――しかし。】
【ドゴン、という破裂音。続くのは先程の"ドリル"の駆動音、そして内部から次々に、火花が上がり―――】
【衝撃。落下した戦艦の甲板部分、主砲の付近に配置された装甲を内側から"ドリル"で破壊して―――瓦礫を押しのけ、彼女は現れた】


 ―――……っぅ。損傷率、五割越え……怪我は……あたた、血が―――目に、入って……。
 ……ふっ……ぅ。―――オーライ、死んじゃいないみたいだ、全く……ジェットコースターより酷いや……あいちち……。


【彼方此方が破損してはいたが、未だにしっかりと機能を保持している"ティターン・アーマー"と】
【その鎧に身を包んだセリーナが立ち上がり、エネルギーを使い切ったモノケラス・ドリルを捨て、上を見上げた。】


 ―――で。折角がんばったのに―――まだ、"本番"が残ってる、と。
 
>>781天辰の方へと向かう黒い影、その正体はセリーナも"知っている"あの人物なのだが】
【黒い翼で覆われたそれが、"例のあの彼"であると認識出来たのは、頭が冴えてきてからの話だった。】
【ロード・ケイオス。新聞で何度も見た、"アイン"と名乗る六罪王の一人。幾つも図書館を襲撃し、幾度も軍を退け】
【つい最近では自分の居る風の国を砲撃で襲う等という衝撃的な事件まで巻き起こした稀代の悪人にして、そして―――】


 ―――ようやっと、お出ましかな。
 挑戦状をたたきつけた、張本人さんが。

 ……温泉での借りは、返させてもらうよ。……"スケベ親父"さん。


【―――自身の再起を促す要因となった、大事な人物。セリーナにとっては、顔も忘れられぬ程の存在。】
【恩義はある。だが、今は敵意も充満している。オチオチしてはいられない、セリーナは周囲を見渡した。】
【直ぐに頭上の戦艦へと向かわねば。ついでに言えば―――天辰が襲われるのなら、止めなくては。】

【セリーナは自身の付近を飛行してきた小型艇をめがけウィンチェスターライフルで搭乗員を狙撃、撃破。】
【操縦士を失いバランスを崩して落下してきた小型艇へと飛び乗ると、機関兵の死体を下へと落とし、上昇―――】
【向かうは頭上の戦艦、そして>>789天辰の元だ―――ッ!!】
791 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc :2015/07/20(月) 01:04:36.08 ID:36cEYCgDO
/アイェエエ! アンカ! アンカナンデェ!
/安価ミスでございます。>>789には主催さんと剛太郎さん宛でもあります
792 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 01:05:40.61 ID:IIeD/qOFo
>>787

【剛太郎は目を凝らして今まさに近づいて来る機関員たちの姿を見る】
【だが―――思っていた以上に人数が多い、本当に残りの面々をうまくおびき寄せることが出来たというのか?】


……結構、挑発に乗ってきた奴多いなあ、というか残りのメンバーほぼ全部?……むしろこれって
『止めるヤツ』がいなかったって事じゃないのか?こいつらを指揮している奴がもうちょっとくらい止めてもいいはずなのに……

まあいい、ムク!結構釣れたぞ!機材をいじって放送の内容を『ここのエリア』だけに絞ってくれ!

「あいわかった!……『アレ』をやる気じゃな。ええか!『アレ』は他のフォームの必殺技に比べてすさまじく燃費が悪い!
やるからには絶対に仕留めるんじゃあ!わかったな!」


【剛太郎が"ライドコフィン"のバイク形態を解除、そのまま次の機能を発動させるべく変形させる】
【次の棺桶の使用機能は―――音楽を鳴らすための巨大スピーカーだ、それに背中のギター『エレキ・ショッカー』を接続し】
【続いてその後ろに通じている通信機器に棺桶から延びるコードを連続で接続し終わると、テント内のムクが機材をいじりエリアを『現在地』のみに絞ると】


―――こっちだバカヤロー共!!かかってきやがれ!まとめて相手してやる!


【ギュイイーン!!とギターの音を鳴らして、自分の位置を知らせこちらに突っ込んでくるように誘ってくるだろう】
793 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 01:11:13.48 ID:S7ydB6/6o
>>789

【巨人は腕で胴体をガード、翼は一時的に折りたたんで雷撃を躱す】
【腕に雷撃は命中したが、まるで弾かれたように紫電が飛び散っていった。雷撃の効果は薄いようだ】
【そのまま落下を続けて、至近距離に入るとその巨大な腕を振りかぶり、真っ直ぐに打ち下ろす】


>>790

【セリーナの予感は────しかし、少し違っていたか】
【頭上に滞空する巨大戦艦。その艦体側部についている人員乗降用の小さなハッチが開き、人影が現れた】
【人影からは赤い光、続いて銀の光が反射。最後には魔力の淡い燐光が輝きを放った】

【人影の前方に巨大な魔法陣が二つ展開。移動中のセリーナの周囲を取り囲むように細い熱線が無数に走る】
【そしてその直後に魔法陣の中心から、白く光り輝く超高温の熱線が直射。周囲の大気さえ熱風に変えてセリーナへと向かう】

【直径にして数メートルにも及ぶ熱線は中型艦の主砲よりも破壊力がある。更に周囲は別の攻撃で塞がれている】
【熱線を受けながらも回避する手段はあるが、そうすれば真下の街に甚大な被害が出てしまう】
【そうであれば────セリーナならばこの攻撃に対抗する手があるか】

>>792

【剛太郎の予想が正しいかはわからないが、いずれにせよ機関員たちは剛太郎の誘導に簡単に乗った】
【音がする方向へと、馬鹿正直に列をなして向かうだろう】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/20(月) 01:11:22.00 ID:3P1kiqIao
>>788

可愛気が無いのは私も同じ、そんな贅沢を言っていられる環境でもなかったしね
下手に着飾っているような人間と比べれば、まあ良い方なんじゃないかしら本質的な方が分かり易いし……

【煤けた姿は焔の後に残る崩れた建物を思わせる、何とも醜いと自分でも思う】
【だがその一方でこの姿こそが自分に最も似合っていて適切な物だとも思う、飾りの無い姿は好ましい】
【偽って、偽り続けてしまったのならばその積層された嘘に本当の自分さえも分からなくなりそうで】

ふうん……別に遺跡とはその類の物ではないのかしら、面白そうといえば面白そうだけど
人により違う音を吐き出す泉、かあ……冷やかし程度に見に行くくらいならいいかしら?
お嬢さん……同行する者が増えても構わないかしら?

【掲げた杖を降ろす、元より脅す意味合いも無しただ自分という存在を示すだけの行為だった】
【それが分からない少女でもないだろうし、だからこそ謝る事はしない】
【少女が頷いたならばその歩みにそって魔女も同じく歩き出すだろう】

魔女も魔法使いもどっちも世間から外れてるっていう意味では一緒でしょう、少なくとも私はそういう印象
魔術師はどちらかと言えば文明に寄り添う方かしらね、どちらかと言えば俗世に交わる感じかしら。

へえ……魔法使いの家系、でもその血脈に生まれた貴方が関係ないとは思えないけど
人間1人の寿命は短いからこそ抱えた命題をグランドオーダーを次代に継ぐ、そうして繋がれて来た家系を世間は魔女と呼ぶ
望む望まざるに関わらず、血に刻まれた物が貴方個人の意志で剥がれて無くなるのかしら……

【呟く言葉、視線はただ前を向いたままというからには所詮この話は世間話の延長としか思っていない】
【お互い魔術に関わる家系なのだから今更語るでもない話の内容を選んだのはそれが調度良いから】
【当たり障りの無い話題こそ歩きながら話すにはやはり都合が良い】

/了解であります!それでは後々に!
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 01:14:30.73 ID:KpAf2vyk0
>>794
/とりあえず返せるうちにお返ししておきますっ
/ひとまずお疲れ様でした! また明日お願いしますー
796 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 01:29:14.58 ID:+BZdnWogo
>>793

【小型艇で移動をしながら、セリーナは愛銃"弾"末魔の弾丸を素早くリロードする。】
【パーカッション式のリボルバー拳銃がモデルとなっている関係上、再装填にはかなりの時間がかかるが】
【セリーナは予備の弾丸が予めセットされているシリンダーを持ち歩き、弾槽毎取り替えるという方法で効率化を図っていた。】

【だがしかし、"弾"末魔の再装填を終え、ウィンチェスターライフルにも弾丸を込め終わったその時、】
【セリーナの上空、巨大戦艦のハッチが開いた時―――予感めいた何かはやがて、核心へと変わったのだった。】
【だが睨みつける暇も、怒鳴り声を挙げる暇も、そして中指を立ててやる暇すらも無い。歓迎の挨拶は攻撃で交わされた。】

【まず最初に、セリーナの周囲に展開するのは無数の細いレーザー攻撃。これがセリーナの行く手を阻み】
【行動範囲を狭め、そして回避行動を困難にする。そしてその状況下で、先程の主砲をも凌ぐ破壊力の光線が―――】
【そう、直撃すれば現状のアーマーなら一撃で破壊するであろう強大な破壊力を秘めたそれが、セリーナめがけ降り注いだ!!】


 ―――こうなると嫌だから、一番凄いのは取っておく、ってね。

【ハード・ポイントに装着しておいたケルベロス・マグナムを素早く抜き去り、セリーナは片手で構え】
【頭上のレーザー光線めがけ温存していた"最後の一発"を装填、真新しいバレルから撃ち放つ―――!】
【風、氷に告ぐ最後の一撃は、単純火力にして三種の中で最大、最強を誇る"炎"を司った、爆裂弾―――!!】

【レーザーに真っ向から向かい合ったグレネード弾は直撃、レーザーにぶつかると】
【強大な炎と超威力の爆発によりレーザー攻撃を封殺、中途で押し留めることに成功する―――が】
【その威力の全てを消しきる事は適わない。先割れしたレーザーの分岐がアーマーを貫通、容赦なく彼女を貫いた。】


 がっ、あッ―――うぅぅっ!! ……ッ!! んっ、く、……っ!!


【矢張り火力でも、同等という訳には行かない。小手調べの一撃を、全力の攻撃で封殺し切れないのが、現実だ。】
【圧倒的な存在、強大なパワーを前に、セリーナはウィンチェスターを右手、そして"弾"末魔を左手に構えると】
【天辰へと向かった巨人めがけ援護射撃を敢行、ウィンチェスターはともかく、"弾"末魔の強化された魔弾が、一斉に襲い掛かる!】


 ―――……ふっ…・・・ぅ、……それに、しても……ド派手な登場、だねえ。
 とても温泉好きには見えないや……あったかいのが好きなのは、なんとなく分かるけど。

 ―――久しぶりだね、"スケベおじさん"……いいや。



  ―――六罪王、アイン。


【セリーナの眼光が―――アーマー越しに、"あの男"へと向けられた】
797 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 01:34:53.72 ID:S7ydB6/6o
>>796

【攻撃が失敗したことを悟った人影はしばらくその場に留まっていたが、追撃をすることもなく艦の中へ戻っていった】
【残った艦隊の殆どは既に国軍が相手をしている。旗艦は動きを止めたまま、動く気配がない】
【旗艦に対して何をするにしても、一旦他の面々と合流する必要があるか】


//セリーナさんの方はこれで1日目終了といたします
//お疲れ様でした。また明日もよろしくお願いします
798 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 01:36:04.72 ID:IIeD/qOFo
>>793

『≪Open sesame≫!』

【剛田 剛太郎には昔から一つ、すさまじくひどい"短所"がある】
【彼の少年時代から皆誰もが恐れた最悪の"短所"だ―――彼の故郷の町に『台風警報』ならぬ『ジャイアン警報』なるモノが生まれるくらいには】

【―――その衝撃、身をもって測るべし。"好漢"剛田 剛太郎の皆にとって命取りともいえるほどの『秘密兵器』が牙を剥く】


――――ボェェェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!

ttps://www.youtube.com/watch?v=ilnu340ewAE


【ギターをかき鳴らし情熱的に動く彼の声帯から響き渡るのは―――"地獄"としか表現できない何かだった】

【この音が響き渡る空間、その全ての窓ガラスは圧倒的暴歌の小宇宙の絶対的な破壊力で粉みじんに砕け散り】
【たまたまこの領域の上空を飛んでいた鳥が次から次へと苦しみながら地面に落ちて来るだろう】
【もしこの滅びの歌を一切の耳栓を行わずまともに聞いてしまったのならば―――ある程度の精神耐性が付いていなければ一撃で昏倒、意識不明の重体に追い込まれていく悪魔の技だ】

【この技を、剛太郎はめったに使わない―――理由は使いどころが難しい事にある】
【効果は高いが結局の所聴覚から直接感じ取りさえしなければ少なくとも昏倒する事はないなど、簡単に対策が練れてしまう上に】
【これの最大出力を出してしまえば、彼はその瞬間に即座に変身解除、その後6時間の間変身できなくなるデメリットなどもあるのだ】

【なにより―――この技は彼のちっぽけなプライドにいくつものひっかき傷を作る、演奏し終えて、強制的に素顔を晒した彼の目からは―――ほろりと涙が零れている事だろう】
799 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 01:36:13.79 ID:+BZdnWogo
>>797

/了解しました、本日は遅れてすみません。有難うございました。
派手で豪快な戦闘が多く、とても楽しかったです!
明日もよろしくお願いします。
800 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 01:42:00.65 ID:S7ydB6/6o
>>798

【範囲内におびき寄せられてしまった機関員たちは、そのこの世のものとは思えない破壊音波を喰らい】
【次々と地獄の苦しみを味わって断末魔の声をあげながら倒れていった。小型艇は制御を失って、どんどん落下していく】
【こうして窓ガラスに多大な損害を出しながら、纏めた機関員の殲滅には成功した。剛太郎の精神を犠牲にして】

【周囲を見れば小型艇の姿は殆どない。中型艦もまた一進一退の攻防状態となっている】
【街の中心には旗艦らしき大型艦が滞空。アインがいるのもあそこだろう。そろそろ、乗り込むときだ】


//ジンジャーの人もこれで1日目終了です
//お疲れ様でしたー。また明日もよろしくお願いします!
801 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 01:43:43.85 ID:36cEYCgDO
>>793(主催)

【翼は畳まれ、雷撃はまるで効果を成さない。マズい、と直感する】
【効くのは何だ。風で切り裂くか。水で圧倒するか。考えるより早く、眼前に巨大な腕があった】


…………っ、う……ぐ、あっ────!?


【衝撃を相殺しようと、身体の前方に風を集中。間に合わず、多少威力は緩和したものの腕が天辰を打ち抜く。思考が一瞬飛んだ】
【街の上空。地を背にしていたため、障害物などなく天辰を受け止めるモノなどない】
【落ちる。落ちる。どこかのビルの屋上に叩きつけられる。風を身体に纏わせていなければ、墜落死していたところだ】
【とはいえ巨人の腕の一撃だ。屋上のコンクリートをぶち破り、幾つかの天井を破壊し、そこでやっと天辰の身体は止まった】
【──潰れていないのが幸運なくらいだった。穴の開いた天井越しに、空を見上げる。つぅんとした耳鳴りの後、少しの間消えていた音が戻ってきた】

【痛む身体を、無理やり立ち上がらせる。何処が怪我をしていて、何処が無事なのかの判断が出来なかった】
【もう一度、空を見る。遠くに巨人の姿を確認。落下時の衝撃で床に転がした刀を拾い上げ、強く握った】


……はっ……、……はぁっ……! あれを放置しておく、わけ、には……!
ぐ…………くそっ──≪天龍≫……行きます、よ……!


【──一際強く、天辰の周囲で風が渦巻く。あの巨人は倒す。六罪王の好きにはさせない。その一念が、彼を立たせていた】
【≪天龍≫に、また“嵐”の力が宿る。風と雷と水。三種の自然現象が、刀身に巻き付いていて】


…………い、け、ぇ、ぇぇえぇえぇえ────!!


【床を蹴る。ビルから飛び出す。弾丸の如く一直線に巨人に向かう。刀を構える。だが今までと違うのは──これは、居合いの構えと似ている!?】
【鞘には納めず、抜き身のまま居合いの体勢を取り巨人へと飛翔】
【至近距離まで近付けたなら……巨人の腕を恐れず、胴体を薙ぎ払うように≪天龍≫を振るう】
【天辰の力が全力で込められた直接的な一撃。雷撃が通らなくても、この一撃であれば──!】
802 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 01:46:53.42 ID:S7ydB6/6o
>>801

【腕を振り下ろした巨人は更に追撃すべく落下していった櫻に追従】
【近距離まで迫ったとき、櫻の渾身の一撃が巨人を迎え撃っていた。素早い反応で腕で身体を覆うも貫通】
【一直線に巨人の身体は切り裂かれて、黒い霧と化して消えていった】

【櫻のいる場所からすぐ近くに、滞空する旗艦が見える。その下の方にはセリーナの姿】
【中型艦はその全てを国軍が相手取っていた。恐らく支援は必要ないだろう。となれば、狙うべきは一つだけだ】


//リーベの人も今日はここまで、ということで
//お疲れ様でしたー。ロゼッタさんでの投下もありがとうございます。また明日、よろしくお願いします!
803 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 02:02:43.75 ID:IIeD/qOFo
>>800

【残る雑魚連中が自分の演奏で次々と倒れていく―――ドラの挑発に乗ってきた面々はこれにて一掃できたらしい】
【―――その結果の代償は大きい、少なくともこの時点で彼はほんのしばらくの間変身できなくなってしまったのだから】
【この戦いのウチに再び変身できるチャンスは巡ってくるだろうか?それまで自分は持たせることが出来るのか?】

【それらの不安を押さえつけながら、彼は言うだろう】


くそったれ……こんなにも惨めな思いをしてでも……それでもお前らをぶっ飛ばしてやるからな……!
けどその後でドラの野郎も必ずぶん殴る!もう決めた!絶対!


【戦いはまだ終わってはいないのだ―――真の決着をつけるために、剛太郎は次の戦場へと向かう】

【←To Be Continued...】

/お疲れ様でした
/そして一言、マジな話、本日は誠に申し訳ありませんでした……
804 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 02:12:20.38 ID:36cEYCgDO
>>802

【斬れた。手応えがあった。巨人が黒い霧と化す。それと同時に、刀身に纏わりついていた“嵐”が消える】
【はぁっ、と息をつく。一先ずの危機は脱したということだろうか。だが、まだ戦いが終わったわけではないことは分かりきっていた】


……旗艦。あれをどうにかすれ、ば──


【一度、刀を鞘に納める。視界に旗艦やセリーナを写す。あそこに乗り込まなくては、騒ぎは収束しない】
【ひゅうと風を操り、旗艦へと向かう。身体が痛んでいたが、今は四の五の言ってはいられない】
【小型艇の数も随分と少なくなっていた。必要とあれば、剛太郎>>803を拾い上げ、背負う形で飛翔し旗艦へと向かうことだろう】


/お疲れさまでした!
/また明日もよろしくお願いします!
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 05:17:04.09 ID:4rFt1KA40
>>743
「ふへ♪誉められた」
「あたりまえだよっ、だってリーベおねぇちゃんの弟だもんっ!」

【あらかさまに気を良くする辺りがまだまだ子供だが滲ませるある種の闘志はとても子供とは思えない】

「君こそ本当に子供な…!?」

【それは本当に一瞬の出来事】
【腕をクロスさせて体を守ろうとするが相手の狙いは頭】
【咄嗟に自分から相手の額に頭突きをくりだす】

ズゴォォォォン

【鈍く、そして大きな音がしたがはたして少年は流石に姿勢に無理があった為か押し負けて首に回されたトンファーに水風船を割られてしまう】

【飛び散る液体】
【飛び交う歓声】

【しかし少年はその後にできた隙を見逃すことはなかった】
【それは少女にそれこそ野性の獣が相手を組伏せようとするかのように至近距離からとびかかる】
【このままなら彼女の小さな体を地面に組敷き、戟で両手のどちらかの水風船を割ろうとせまるだろう】
806 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/20(月) 05:18:48.99 ID:4rFt1KA40
>>743
「ふへ♪誉められた」
「あたりまえだよっ、だってリーベおねぇちゃんの弟だもんっ!」

【あらかさまに気を良くする辺りがまだまだ子供だが滲ませるある種の闘志はとても子供とは思えない】

「君こそ本当に子供な…!?」

【それは本当に一瞬の出来事】
【腕をクロスさせて体を守ろうとするが相手の狙いは頭】
【咄嗟に自分から相手の額に頭突きをくりだす】

ズゴォォォォン

【鈍く、そして大きな音がしたがはたして少年は流石に姿勢に無理があった為か押し負けて首に回されたトンファーに水風船を割られてしまう】

【飛び散る液体】
【飛び交う歓声】

【しかし少年はその後にできた隙を見逃すことはなかった】
【それは少女にそれこそ野性の獣が相手を組伏せようとするかのように至近距離からとびかかる】
【このままなら彼女の小さな体を地面に組敷き、戟で両手のどちらかの水風船を割ろうとせまるだろう】
807 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/20(月) 05:23:41.59 ID:4rFt1KA40
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 11:44:58.43 ID:KpAf2vyk0
>>794

【ただ、少女は、一般的な同じ年くらいの少女のように。相手にも可愛げを求めなかった、逆にそういった手合いの相手は苦手だろう】
【「分かり易いよりも関わり易いよ」と呟くように返す。夜風にくるりと巻いた金髪が揺れる、なんとも曖昧な塊で巻いた髪だ】
【癖っけなのをごく適当に櫛でまとめただけ――だろう。容姿にあんまりこだわるような性質でないらしい、ちらりと横目で魔女を見やると】

別にかまわんよ。キミなら野犬程度は殺してくれそうだもの。野良人間もいないかと思うがね、暮らしやすそうな森だし……。
そういったところはキミに任せようかしらん。私、弱いのだもの。生き物相手じゃ敵いやしない。

【なんて、そう返す。別にフレンドリーではない、これをフレンドリーだなんて言えないだろう。だけれど、不愛想だとしても、やはり拒絶ではない】
【なんだかんだ理由づけて同行を許可するのだ。曰く、この暗がりの森の中を歩くための用心棒――「ロボットになら勝てるかもわからんね」と薄ら笑い】

――ああ、私もそんな風に考えていたかも分からんね。魔術師は確かに囲われて研究でもしていそうだ、国家やら――なんやらに。

【――そんな彼女でも、魔女の持つ杖には少しの興味があるようだ。時々ちらちらと見ている気配がある。貸してとも触らせてとも言わないだけおとなしいものの】
【彼女の歩く速度は遅かった。わざとかと思うほどにゆったり歩くのだ、ただ、ひとりのときもこんな速度だったから、体が弱いか――それとものんびり屋さんなのか】
【行先の方向が分からない魔女としてはひどい話だろう。せっつけば少しくらいは急ぐのだが、――その時は、じとりと伏せた目で数秒見つめられたことだろう】

うちの先祖は魔術書を書いていたというだけだよ、多少は使えたのだろうけども、私(ここ)まで、遺伝しているように見えるかい?
時間が経つうちに薄れてしまった。風化みたいなものなのだろうね、私としては別に構わないのだけども。……困らないものだし。

【魔女、魔法使い、魔術師。それらの定義は、やはり本人からすれば重要なのだろうか、あんまり、深く考えたことはなかったけれど】
【だいたい似たような意見が来たので、ほんのミリ程度に表情をやわらかげというか得意げなようにする。ランタンの持手をぎりりときしませ】
【なんてことないように――大した感慨もなく、先祖について教えるのだ。自分の場所まで何かを引き継いでくれたということもない、ひどく過去の人間のこと】
【だけれど本当に何もないかと言えば少し違う。ただの一般人と比べれば確かに魔術や魔法に対する適性を持つのだが――この分だと気付いていないのだろう】
【だからといって、魔術や魔法の練習をすれば天才レベル、そこまで上り詰められるかと言えばきっと違う。あくまで、一般的なレベルでの、才能程度】

/というのでお返ししておきます!
/午後の早い時間のうちにやること片付けちゃう予定ですので、こっから先は夜まで返信が不定期ということで……
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/07/20(月) 13:06:23.78 ID:MCsYj4q30
501 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:01:27.32 ID:auaAu9V10.net[1/2]
リーべと犬山居るならイベント参加しなくていいや
502 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:20:22.45 ID:vbDWqK0W0.net[1/3]
そもそもマリアの取り巻き(下半身猿)が考えた水着でやる大会とかいう時点で終わってる
何人参加すんのかな
505 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 12:59:03.65 ID:lvKuTy7d0.net[1/2]
水着大会クソワロタwwww
ホントに中学生並の性欲猿だなこいつ
506 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 13:03:47.02 ID:vbDWqK0W0.net[3/3]
確かマリアにエロ絵みたいの描いて見せて喜んでたからなこいつ
590 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 22:22:45.05 ID:NDVAxqDl0.net
チンポ脳主催に犬山アサドリーべ害悪三人衆
592 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 23:05:50.15 ID:DS2wqxx00.net[2/2]
キングのイメージのせいで未だにセリーナが女だと思えないんだが、
チンポ脳集団にはあんまり関係ないんだな
593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:07:41.67 ID:M3JwjKcv0.net
チンポが延期するらしいぞ
594 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:27:51.75 ID:RbyC4eKx0.net[1/2]
一週間以上前から募集してるのに何で集まらないか不思議だなwwww
599 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:26:23.92 ID:AsaQazYX0.net[1/7]
チンポ大会やっぱり主催のチンポも出る予定なんだな
考えてること見え見えすぎて面白い
601 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:55:44.23 ID:oGY47fPD0.net[1/2]
チンポ呼ばわりはマジで草生える
602 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:00:01.61 ID:AsaQazYX0.net[2/7]
チンポ脳でマリアのへったくそな絵描いて媚びてる以外特徴ねえしなあいつ
某所じゃ一番のチンポだしチンポの人でいいだろ
609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:27:41.86 ID:oGY47fPD0.net[2/2]
そもそも今の某所自体にロクなのがいないから仕方ない
新規を楽しませる気がなく、自分が[田島「チ○コ破裂するっ!」]することしか考えてないクソ古参ばっか
622 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:21:57.84 ID:RbyC4eKx0.net[2/2]
いくら擁護しようが工作しようが一週間前から募集しといてこの惨状なんだから某所民のブラックをどう思ってるか分かるな
623 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:25:03.10 ID:AsaQazYX0.net[7/7]
ヤリたがってたセリーナとマリアのキャラ出るんだからチンポの人は満足でしょ
688 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:31:26.24 ID:DX760ziT0.net[1/25]
一方チンポの大会は某所のメインキャラ大半が集まってて盛況ですねえwwwwwwwwwwwwwwww
・・・人数足りないから延期した大会ってこれくらいじゃねえかな
689 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:44:06.90 ID:yrVn5R3B0.net[2/4]
半分以上が害悪な大会が今から楽しみだわwwww主催からして直結害悪だしwwww
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/07/20(月) 13:09:05.91 ID:MCsYj4q30
691 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 13:53:16.51 ID:tfvRPCS90.net[1/3]
チンポが使ってるキャラを全く知らないんだがスレ内のポジションはどうなんだ?
692 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:06:38.60 ID:vbDCSWug0.net
チンポが使ってるキャラって出てなくね?
あいつのキャラが動いてる所を見たことがない
693 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:23:23.28 ID:pXMQ2R1N0.net
セリーナマリアシェン辺りにはよく絡んでるよ、それ以外に絡んでるのは見たことないし投下してるのも見たことない
694 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:34:29.04 ID:DX760ziT0.net[3/25]
中心人物の小判鮫って印象、ロール自体は下手ではないが特徴ない
695 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:34:51.43 ID:Y7f4Bspz0.net
つまりセリーナマリアシェンのチンポって事か。呼び名もチンポ、存在もチンポとか笑えねぇな
696 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:41:59.06 ID:DX760ziT0.net[4/25]
そいつらに張り付いて自分が実力者と勘違いしたのか最近態度もでかくなってきてるな
チンポの頭の中じゃ自分も某所を代表するプレイヤーの一人のようだ
703 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:00:17.08 ID:DX760ziT0.net[6/25]
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

どんどん増長してるからその内覚醒していいネタになりそう
704 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:04:44.11 ID:yrVn5R3B0.net[3/4]
ちなみにサメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります、イカ等に絡みつかれるといったシチュエーションも可能ですのでご自由にどうぞ
705 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 17:50:35.56 ID:WN/iOFmt0.net[2/7]
チャHとか発掘されて爆発すればいいと思うよ

826 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 04:08:14.57 ID:SQDZV/vT0.net[1/4]
イベント始まっても某所が全く盛り上がってなくて笑った
834 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:08:52.26 ID:gy3HSuMn0.net[2/15]
某所民は皆某所に執着してるから他の場所とか行かないだろ。但しゴミ溜めは除く
835 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:13:50.38 ID:xmkOhUvO0.net
相手されない新規や中堅ならともかく内輪作っちゃってる中心人物はもう某所からは離れないだろ、内輪が心地良すぎて
836 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:40:46.78 ID:gy3HSuMn0.net[3/15]
相手にされないと言っても内輪にどうにか取り入る脳味噌があれば快適なロールライフ遅れるんだがな。あいつら馬鹿だから取り入るのなんて簡単だろ
838 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:42:28.52 ID:Wo1gnoAy0.net[3/4]
某所とかダラーっと長文書き殴って中心人物に媚売ればちょちょいのちょいやろ
839 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:49:15.76 ID:SQDZV/vT0.net[2/4]
チンポやチンポ脳みたく自分を中心人物と勘違いしてる奴に行くと直結粘着してくるから注意な
840 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 14:23:41.86 ID:gy3HSuMn0.net[5/15]
その辺は三人くらいキャラ持っといて粘着させる女キャラ一人くらい入れとけば良いだろ。
悪側では無くある程度中立なら受け流すの余裕だろ。主のキャラ動かす時はこっちから出てやれば良いし


http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1437312911/l50
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/20(月) 13:17:07.15 ID:3P1kiqIao
>>808

年代を経ての研鑽はその研鑽が無ければ風化に向かう、か……
今の時代じゃあ魔術も文明に抜かされているしそうなるのも必然と言えば必然なのかもね
誰しも苦痛を伴う事なんてしたくないもの、楽が出来る道があるならそっち選ぶし

【魔女は確かに世間と隔絶された生き物だがそれでも足並みを合わせる常識くらいは持ち合わせる】
【むしろ最低限の人としての領分を弁えるからこそ魔女として成り立つとさえ思っている、そこが彼女の分水嶺】
【ただただのんびりと時折ローブの端を気にしながらその遅い歩みを楽しむように付いて従う】

時代が時代だけに、それこそ戦いばかりに使われかねないし……いっそ鍛えないってのも手なのかも
力があるのはまるで良い事みたいに言われるけどそれって間違いよね、力があるってことはそれを扱う義務を持つってことだもの
望む望まざるに関わらずその力は行使される使命を宿す、果たせなければどうなるかなんて考えるまでもない

ただでさえ生きるのが難しい世の中でそんな生と死が濃くなる選択肢なんかとんでもないわ
だからある意味で貴方みたいな子は幸せなのかもね……

【旧きより生まれた使命、ひとつは継がれひとつは果てる】
【始まりの時に何があったか語る者は等しくおらずならばただ力に沿う使命のみが寄り添うのみ】
【故に魔女の人生は綱渡り、少しでもバランスを違えれば奈落へと落ちて沈む道……そして、ならば少女の人生とは何たるや】
【泉が応えるというならばそれもまた良き事、感じ取るかは全て当人次第であるが故に】

/了解であります
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 13:27:06.12 ID:j9fR9hjo0
【ヴィルデス・ビーチ 特設会場―――リング】

【梅雨明けも発表された今日、晴れ渡る夏空と青い海が広がるビーチは最高のロケーションを誇る】
【浜に広がる砂の白と空と海の青とのコンストラクションは、まるで絵に書いたような美しさで】
【こんな日にこんなビーチにいるのだから、今すぐにでも海に飛び込んで泳ぎたい気分だけれど……でも】
【今日はそういう訳には行かない。だって―――少女は、もうすぐ行われる試合の選手なのだから】

(……こんなに沢山の人に見られるト、なんだか恥ずかしいネ……―――でモ、お薬の宣伝の為にも頑張らなくチャ……!)
(私や薬の事、もっと沢山の人に知ってもらっテ……それで、もっと沢山の人を治すんだかラ!)

【人だかりの中、観衆の視線と歓声を浴びて小柄な少女がリングに立つ。歳はまだ成年に達していないくらいか】
【身につけているのは水色の可愛らしいビキニ。普段は服に隠されている白い肌が露わになって】
【小柄で細身な体躯だけれど、意外とスタイルは良い。すらりと伸びた脚や水着に覆われた胸元が存在を主張していて】
【着やせするタイプらしく、普段の服を着た彼女の姿を知る者なら驚くかもしれない。……対戦相手は知る由もないだろうけれど】
【目は垂れ目気味、瞳は茶色。前髪を切りそろえたショートカットの髪は黒色。肌は艶やかで綺麗な白色】
【左手には緑・赤・黄・銀・青・白・黒の計7色の札が数枚ずつ握られている。何かに使うのだろうか……?】

―――アナタが、私の対戦相手ですカ?わぁ、すごく背が高い……
えっと、今日は宜しくお願いしますネ。未熟者ですガ……お薬の宣伝の為にも、負けませんヨ!

では―――薬師・春燕、参りまス!

【対戦相手が入場すると、春燕と名乗った少女は人懐っこく微笑んで対戦相手と挨拶を交わす】
【天真爛漫で明るい、年相応な少女らしい印象を受けるだろう。とても戦えるような人には見えないけれど】
【―――試合開始直前、少女の表情がぎゅっと引き締まる。あどけない顔に凛とした真剣みが帯びて―――】


【――――今、試合開始の合図。】

//時雨さんの方へ 先に投下しておきます!今から少しだけ出かけて、帰って来られる時間が2時半頃になりそうです……!
//それでは、今日は宜しくお願いしますね!
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 13:53:32.69 ID:KpAf2vyk0
>>881

発展した科学は魔法と区別がつかないと言ったのは誰だったかしらん。
だけれど魔法にはロマンがあると私は思うのだよ。不思議じゃあないか、魔力と一言でも人によって性質が違うだとか……。
同じものを扱ったとて人によって個性が出ることもある。科学よりも一律でない印象があって好きだけども。

【科学は決まったレールの上を歩くもの、魔法は、――フリーハンドで描いたレールの上を歩く、ような?】
【その実魔法や魔術だってがちがちに術式を敷き詰め、ほんの針孔程度の誤差を許さない者もいる。少女のそれは、ただの思い込みだ】
【何より魔女には告げていないが、彼女は本が好きだ。好きどころではない、愛している、と言ってもいいだろうほど】
【ただ図書館の娘というので関わりがあるのは察することができたが――本でファンタジーと言ったら魔法使いだろう。ゆるぎない】

人と違う力を持てば大魚の目をやらされるのだもの、だったら、赤いままの有象無象が楽かも分からないね。
目立つことを良しとする人間がいれば目立つことを良しとしない人間も居るのだし……それなら私は目立たず生きたいかしら。

……本を読めればそれでいいとね、思って。

【目立ちたくない。けして世界の主人公になどなりたくない。もちろん、なれるだけの力もない】
【それなら魚群のような雑踏に紛れて、気付けば消えてしまいたい。誰からも気付かれず、誰の世界にも属さないまま】
【たくさんの本に囲まれていたい――そして本の向こう側に作家の心や思いを探して、そうして人と関わりたい】
【本を読みたいだけだと呟いた声には、それだけの考えが詰まっていた。だけれど、それは、それっぽちの短い言葉に詰め込むには複雑すぎて】
【どうにも言葉の端に複雑な想いを見せるのだが、それだけで察するのは難しいだろう。「キミは本が好き?」と尋ね、そちらに振り返る】
【その瞳は今までの無感動無感情不愛想――からは少し違っていることだろう。年頃らしいみずみずしさをわずかに取り戻した、色合い】

【――ざあと夜風に木々が鳴いて、擦れた草葉の向こう側に、きらきらときらめくものが見えてくるだろう】
【歩けば歩くほど鮮明に見えるそれは、疑う余地なく泉の水面だ。やがてたどり着けば、たいして大きなものでないのが知れ】
【けれど水は含まれる成分のせいだろうか。なんとなくシャボン玉のように不思議な色味を持っていて、深い深い先の水底が見えた】

【地面の淵に立って、少女はそうと覗き込む。「ここかしら」と呟いて――けれど明確に確かめることはしないまま】
【そのうちにそっとしゃがみ込んで、魔女が行動を起こすのを、待ってみるのだった】
814 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 14:36:32.26 ID:Yf4QI3R2O
>>812

【晴天の元、一人の少女が歓声の元へ歩みだす】
【纏うのは、艶やかな黒のビキニ。透明色のケープは光を反射して輝く】
【その長い髪は白銀ーーまるで絹を彷彿とさせ、また端正な顔立ちの中の双眼はこれから始まるであろう試合に紅に瞬いていた】
【また、その肩には空に浮かぶ太陽をイメージさせる程に燃え盛る小さな鷲が乗っていて、盛んに体を震わせている。何故だか少女は熱がる素振りを一切見せないが】

……全く、やっぱり熱いわね……

【肩に灼熱の鷲を乗せた人間が言えたことではないだろう台詞。額の汗を手の甲で拭い、しかしその目は前を見据えた】
【鷲にはヒーリング効果があるようだが、今回のルールに置いては意味が無いようにも思えるが……?】

こんな日には、優雅に泳ぎたいものだけれどもーーまぁ、今日ばかりは我慢しましょう。

【その声は歓声の中でも凛として響き、人爽やかに突き抜けるようだ】

さて、本日のお客様は盛況ーーゲストは貴女かしら?

【開口、対戦相手を"ゲスト"と呼び、自らがメインであると主張する。以下にも傲慢に思えるが、その声には反対を許さない迫力があった】

では、一緒に素晴らしい舞台にしましょうーー私の名は"時雨藍璃"。
ただの旅する吟遊詩人、人間を観測せし人間です。
私の中の1ページにーー貴女は残れるかしら?

【対戦相手の、自らと比べて幾らか幼く見える少女に微笑みを向けて、彼女は天に手をかざす】

ーー遠く遠く宇宙生まれしその日より、遥か今までを見守りし霊樹は時空すら望む……ならばその望み、我が手に宿れば叶えましょう。彼方まで穿ち、満足いくまで観測しなさいーー顕現せよ、《Dimensional observer》

【突如"謳った"彼女の手元の空間がぐにゃりとゆがんだかと思うと、木製の弓《世界樹の剛弓》が現れる。刻印が掘られており、何かしらの加護がありそうだが――】

それではーーコンサートの幕開けっ!

【そうしてかかってこいと言わんばかりに、弓を構えて見せた】
【彼女の水風船は左の手首に一つ、首からぶら下げて一つ】
【そして鷲が一つ咥えている!】

/お返しします、本日は宜しくお願いします!
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 15:15:45.83 ID:j9fR9hjo0
>>814

【彼女の姿を見て、まず目に付くのは鷲。あれは燃えている、のか……?一体何なのだろう、あれは】
【声は透き通るようによく通る。綺麗な声だなぁって、思わず思ってしまうくらい……歌声みたいな、声】
【そんな声で「ゲストは貴女?」なんて言われるから、思わず「はい」と言ってしまいそうになるけれど……】

―――どちらが主役かは、観衆の皆さんが決めるでしょウ。
ふふっ……それなら、アナタが思わず唄にしたくなるような一日にしましょうカ!

【自分をゲストと言う時雨に、不敵に笑って見せる。―――自分がゲストだとんでもない、今日は二人の競演なのだと】
【主役を譲る気なんて無い。いつもは治療やサポートに徹する私だけれど、今日は貴女の引き立て役になるつもりは無い】

【因みに春燕は両手首一つずつ腕時計のようにベルトを括り付けてそれぞれ身に着け、残り一つは首に括り付けている】


【試合開始の合図と共に、春燕は相手を観察する。―――風船は首と手首、そして彼女の物と思われる鷲にそれぞれ付いている】
【……始めに鷲を狙うのは難しいだろう。追いきれない相手を追いかければ、隙だらけになってしまう。……ならば】
【まず始めに狙うのは首だ。でも、どうやって?相手は弓を持っている。遠距離攻撃を持つ相手に、迂闊に近づく事は出来まい】
【弓はもう構えた状態で、恐らくいつでも放つことが出来るだろう。ならば―――まずは様子見と行こうか】

(弓がある以上、馬鹿正直に正面から攻撃する訳にも行かないネ。なら――――搦め手で行こうカ。)

……水符・土符―――――

【春燕はその場にしゃがむようにして地面に手を付けて、足元に手に持っていた水色と黄色の札を張り付ける】
【……けれど、張り付けてすぐに何か起こるという訳では無い。この行動に一体何の意味があるというのか……】

【当然、地面に伏せたままならすぐに立ち上がる事も出来ず隙も大きい。―――さて、時雨はどうする?】


//すみません、2時半ごろに帰ってくると言っておきながら少し遅れてしまいました……!
//それでは宜しくお願いします!
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/07/20(月) 15:32:56.28 ID:3P1kiqIao
>>813

原理的には、結果を導き出すという点に関して言えばどっちも似たようなものだと私は思う
ロマンは……どうかしら、私はそういうのにときめく年頃は過ぎちゃったし……まあありでもいいんじゃないかしら
結局の所、求める人によってその実は様々変わるのだから絶対の答えも無し、だいたいそんなモンでしょうよ

【現実、ただそれは何の想いも無しに横たわる絶対の壁】
【こちらの感情などお構いなしにただありありとその様を突き付ける無情な絶対者】
【ならば魔女にとっての現実は揺らめく焔に他ならない、皮膚を僅かと温めるその熱こそが迫る世界】

物語はそこまで好きではないけれど、学術書程度なら読むわ……といっても自分から書籍を漁ることは無いわね
あまり外に出るのは好ましくないし何より下手に魔翌力を流したままだとどこに影響を与えるかも分からないんだから
残念だけど貴方と本を通じてのお知り合いにはなれそうにはないわね?……どっちかといえば学者方面だしねアタシ

【物語は夢幻、字として在ろうとも現実ではない架空の中】
【フィクションの世界に酔う年齢は残念ながら過ぎているし何より学者という側面は実用書ばかりを求める】
【ただのデータの羅列に果たしてどれだけ著者の意志が紛れているのか、そう問われれば返す言葉も無く】
【ならば魔女の読書は少女の言う読書とはかけ離れている】

―――――――……ふうん、存外簡単に現れるものねもう少しもったいぶると思ったのに

【小さく輝く水溜まり、夜天の空を映す水鏡はどうにも妖しい】
【じゃがみ込む少女を他所にその水面水底へと視線を向ける、泉の特性は理解している】
【ならば聞こえる音は果たしてと耳を傾けたならばそれは魔女の気質とも云うべきものに反応するのだろうか】

【旧くは災厄の魔女として、宿す魔翌力の熱量から焔を導き出す特性】
【受け継いだからには同じものが今の魔女にも在り、それに相応しい音とするならば物が焼け落ちる音】
【文明によって形作られた代物の一切を焼いて焦がし朽ち果てさせる、酷く無慈悲な音に違いなく】
817 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 16:00:02.74 ID:Yf4QI3R2O
>>815

ふふ、そうでなくてはね……!

【春燕の行動を見て、感心して認識を改める。安易に突撃してこないということは、それだけ弓と鷲とを警戒してるのだろう。馬鹿ではないーーだがそこまでは予想通りだ】
【地面に貼り付けた二枚の札……藍璃が知る限り、近いのは"護符"か?】

(ならば地形変化系統かーー!?)

【足元を狙われることを危惧して、次の手を考える】

(初手から厄介なーーだったら!)

【藍璃は咄嗟に後ろに飛び退きながら、自らの能力を発動させる】
【取り敢えずの回避行動だが、何が起こるかわからない以上これ以上は無理だろう】

ーー吟遊詩人、幻想詩《fantasia》
其方は神秘、其方は悪夢、其方は現実なり……水面よ、揺らげ踊れ舞い遊べ。其方らは我がオーケストラであるっ!

【謳う、しかし未だ何も起こらないようだがーー詩の中にヒントがあるだろうか?】
【だが、藍璃は更に何かを"謳おう"としているーー弓は構えているものの、今は完全な無防備だ】
【辺りは海と砂浜、水には注意した方が良いだろう。特に会場の端は危険だろう】

/遅れました、お返しします!
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 16:39:41.19 ID:j9fR9hjo0
>>817

【足元に符を貼り付けた所で、弓矢で狙われることを危惧していたが……どうやらそれは無いらしい】
【地面に二つの符を貼り終えても矢が放たれることは無く、春燕は無事に立ち上がることが出来た】
【因みに春燕が立ち上がっても、時雨が予測した符による地形変化は起こらない】
【時雨の足元が隆起するとか、陥没するとか、そう言った事は起こらず……砂浜は、砂浜のまま】


【矢が放たれる事が無かった代わりに、気になるのは彼女が紡いでいる唄―――一体、何なのだろうか】
【魔術・呪文の類か。彼女の能力か。いずれにせよ、無為に歌っているなんてことはあり得まい】
【何か意味があるから唄っているのだ。それが何を意味するのかは分からないが……だが】
【歌っている今は完全に隙が出来ている。この好機を狙わずしていつ狙うのか―――!】

【時雨が予測した地形の変化は起こらなかった。では、あの符には何の意味があったのか】
【その答えが、今明かされる―――】

(貴女の足元の地形を変えると思っタ?残念――――変えるのは私の足元だヨ!)

土符・水符――――≪三連泥濘砲≫!撃テーッ!!

【符を貼ったその場の土―――つまり春燕の目の前の地面が、掛け声と共に突然隆起して】
【みるみるうちに、泥と土で固められた直径20cm程度の筒が三つにょきっと生える】
【その開口部は時雨に向けられていて―――次の瞬間、大きな泥団子の砲丸が時雨目掛けて放たれる】
【少しずつ時間を遅らせて一発、二発、三発。狙いは首元、もしくは顔。顔に当たれば一瞬でも視界が奪われるだろうから】】
【泥団子砲は、よく見切れば避けられないことは無い。軌道も直線的で予測しやすいだろう】
【しかし、ぼーっとしていたり何かに夢中だったりしたら直撃するくらいの速度はある】

【泥団子なら、首に直撃したり体に当たったりしても怪我をする事はあるまい。さあ、当たるか―――!】


【砲撃が始まると同時に、春燕は新たな符を用意する。銀色と緑色……今度は何をするのだろうか】

819 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 17:10:08.67 ID:Yf4QI3R2O

>>818

【予想に反して、現れたのは土の筒ーー泥団子が3つ、こちらを向けて飛んでくる!】

ーー読みを外したかっ……だけども!

【慌てず、寧ろ落ち着いて弓の弦を引く。その手に矢は無い】

だがこの程度なら、過程でーー!
踊りし水よ、其方は全てを貫くことを望め。その道は我が指し示そう。そうして其方は目的を得るのだーー我が手に集え、水の矢よ!

【"謳い終える"、そして変化は訪れる】
【海の水が突如渦巻き、そこから幾つもの水の柱が飛び出す。それは徐々に圧縮され、矢の形を成す】

確かに、私は動けないーーそこを狙うのは当然だと思うわ。
だけれど、動けない相手が何も出来ないと思ったのならーー大間違い!

【藍璃は引き絞った弦を、勢い良く離した。すると、会場の周りに形成された水の矢が、一斉に中心向けて放たれる! 先ほど弓で攻撃しなかったのは、そうではなく出来なかったかららしい】

fantasiaは幻想……付けた傷こそ、最後には残らないけど、壊してしまえばそれはそのままになるのよ?

【矢は一切の隙間なく四方より飛んでくる】
【狙いは全ての風船、というより道筋全てというとんでもない大技……その過程で泥団子を打ち抜くだろう】
【だが、今度こそ藍璃は動けないようだーー重ねて攻撃されれば、なすすべも無いだろう】
【しかし、灼熱の鷲は翼を大きく広げている。それは飛び立つ動作にも見えるが?】
【尚、矢は当たれば弾ける。人を傷付けるには脆いようだ】

さぁ、貴女も存分に力を見せなさいっ……!

【藍璃に符を妨害する意志はないようだ】
【発動の無効化には動かないだろう】
820 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 17:34:51.33 ID:Yf4QI3R2O
>>818

すみません、すこし見れないかも……!?
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 17:54:54.39 ID:j9fR9hjo0
>>619

な、ッ――――!!

【水が矢と化して放たれるという算段だったとは……!初手からいきなりの大技に、春燕は思わず息を飲む】
【四方八方から飛来する矢。其処に回避する余地は無い。これが本物の矢なら、弁慶の立ち往生よろしく全身に矢を受けて死ぬだろう】
【しかし、相手を殺すのは禁止されている。ならば、この矢は当たっても問題ない工夫がされている筈―――!】

そう、傷は残らないのネ。―――良い事を聞きましタ!

【その予想を裏付けるような一言が時雨の口から呟かれる。「傷は残らない」―――やはり、傷はつかないようにしてあるのか】
【ならば……右手で左手首の風船を、左手で首の風船を、それぞれ手の甲で矢が当たらないように覆えばいい】
【避けられないのなら、防げばいいのだ。しかもこの矢は防ぐのに盾もいらない、皮膚だけで十分な脆さなのだから】
【手で隠せない右手首の風船は割れてしまうが、仕方ない。何もせずにすべて割れてしまうよりはマシだ】

【春燕は手に持っていた符を口に咥え、掌で首と右手首を隠す。―――直後、襲い掛かる矢の雨】
【体中がびしょ濡れになって、右手首の風船は割れてしまったが……何とか手で隠した首と左手首の風船は無事で】
【しかも、どうやら時雨はしばらく動けないの様子。その様子を見て取ると、春燕は一気に駆け出して間合いを詰めて】

木符・金符―――≪木刀≫!!

【持っていた……と言うより口に咥えていた符を発動させて、手に木刀を作り出せば】
【丁度剣道で籠手を打つ要領で、狙い済ました太刀筋で時雨の手首にある風船を割ろうとする―――!】

【勿論木刀なので、手首が切り落とされることは無い。けれど、暫く手首が痺れるくらいの痛みはあるだろう】
【左手を使えないようにすれば、恐らく弓も使えない。風船を割るだけでなく、それも狙いだ】

【なお、春燕は手首を打ちに行った後も木刀を構えたまま。隙あらば次は首を狙いに行くぞと言わんばかりに】
【戦闘での臨機応変な立ち居振る舞いは、開始前の明るい少女とはギャップすら感じるようで―――】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 18:39:49.42 ID:DsZRjTGJo
501 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:01:27.32 ID:auaAu9V10.net[1/2]
リーべと犬山居るならイベント参加しなくていいや
502 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:20:22.45 ID:vbDWqK0W0.net[1/3]
そもそもマリアの取り巻き(下半身猿)が考えた水着でやる大会とかいう時点で終わってる
何人参加すんのかな
505 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 12:59:03.65 ID:lvKuTy7d0.net[1/2]
水着大会クソワロタwwww
ホントに中学生並の性欲猿だなこいつ
506 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 13:03:47.02 ID:vbDWqK0W0.net[3/3]
確かマリアにエロ絵みたいの描いて見せて喜んでたからなこいつ
590 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 22:22:45.05 ID:NDVAxqDl0.net
チンポ脳主催に犬山アサドリーべ害悪三人衆
592 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 23:05:50.15 ID:DS2wqxx00.net[2/2]
キングのイメージのせいで未だにセリーナが女だと思えないんだが、
チンポ脳集団にはあんまり関係ないんだな
593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:07:41.67 ID:M3JwjKcv0.net
チンポが延期するらしいぞ
594 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:27:51.75 ID:RbyC4eKx0.net[1/2]
一週間以上前から募集してるのに何で集まらないか不思議だなwwww
599 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:26:23.92 ID:AsaQazYX0.net[1/7]
チンポ大会やっぱり主催のチンポも出る予定なんだな
考えてること見え見えすぎて面白い
601 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:55:44.23 ID:oGY47fPD0.net[1/2]
チンポ呼ばわりはマジで草生える
602 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:00:01.61 ID:AsaQazYX0.net[2/7]
チンポ脳でマリアのへったくそな絵描いて媚びてる以外特徴ねえしなあいつ
某所じゃ一番のチンポだしチンポの人でいいだろ
609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:27:41.86 ID:oGY47fPD0.net[2/2]
そもそも今の某所自体にロクなのがいないから仕方ない
新規を楽しませる気がなく、自分が[田島「チ○コ破裂するっ!」]することしか考えてないクソ古参ばっか
622 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:21:57.84 ID:RbyC4eKx0.net[2/2]
いくら擁護しようが工作しようが一週間前から募集しといてこの惨状なんだから某所民のブラックをどう思ってるか分かるな
623 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:25:03.10 ID:AsaQazYX0.net[7/7]
ヤリたがってたセリーナとマリアのキャラ出るんだからチンポの人は満足でしょ
688 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:31:26.24 ID:DX760ziT0.net[1/25]
一方チンポの大会は某所のメインキャラ大半が集まってて盛況ですねえwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
・・・人数足りないから延期した大会ってこれくらいじゃねえかな
689 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:44:06.90 ID:yrVn5R3B0.net[2/4]
半分以上が害悪な大会が今から楽しみだわwwww主催からして直結害悪だしwwww
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 18:40:11.01 ID:DsZRjTGJo
691 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 13:53:16.51 ID:tfvRPCS90.net[1/3]
チンポが使ってるキャラを全く知らないんだがスレ内のポジションはどうなんだ?
692 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:06:38.60 ID:vbDCSWug0.net
チンポが使ってるキャラって出てなくね?
あいつのキャラが動いてる所を見たことがない
693 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:23:23.28 ID:pXMQ2R1N0.net
セリーナマリアシェン辺りにはよく絡んでるよ、それ以外に絡んでるのは見たことないし投下してるのも見たことない
694 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:34:29.04 ID:DX760ziT0.net[3/25]
中心人物の小判鮫って印象、ロール自体は下手ではないが特徴ない
695 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:34:51.43 ID:Y7f4Bspz0.net
つまりセリーナマリアシェンのチンポって事か。呼び名もチンポ、存在もチンポとか笑えねぇな
696 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:41:59.06 ID:DX760ziT0.net[4/25]
そいつらに張り付いて自分が実力者と勘違いしたのか最近態度もでかくなってきてるな
チンポの頭の中じゃ自分も某所を代表するプレイヤーの一人のようだ
703 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:00:17.08 ID:DX760ziT0.net[6/25]
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

どんどん増長してるからその内覚醒していいネタになりそう
704 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:04:44.11 ID:yrVn5R3B0.net[3/4]
ちなみにサメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります、イカ等に絡みつかれるといったシチュエーションも可能ですのでご自由にどうぞ
705 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 17:50:35.56 ID:WN/iOFmt0.net[2/7]
チャHとか発掘されて爆発すればいいと思うよ

826 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 04:08:14.57 ID:SQDZV/vT0.net[1/4]
イベント始まっても某所が全く盛り上がってなくて笑った
834 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:08:52.26 ID:gy3HSuMn0.net[2/15]
某所民は皆某所に執着してるから他の場所とか行かないだろ。但しゴミ溜めは除く
835 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:13:50.38 ID:xmkOhUvO0.net
相手されない新規や中堅ならともかく内輪作っちゃってる中心人物はもう某所からは離れないだろ、内輪が心地良すぎて
836 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:40:46.78 ID:gy3HSuMn0.net[3/15]
相手にされないと言っても内輪にどうにか取り入る脳味噌があれば快適なロールライフ遅れるんだがな。あいつら馬鹿だから取り入るのなんて簡単だろ
838 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:42:28.52 ID:Wo1gnoAy0.net[3/4]
某所とかダラーっと長文書き殴って中心人物に媚売ればちょちょいのちょいやろ
839 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:49:15.76 ID:SQDZV/vT0.net[2/4]
チンポやチンポ脳みたく自分を中心人物と勘違いしてる奴に行くと直結粘着してくるから注意な
840 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 14:23:41.86 ID:gy3HSuMn0.net[5/15]
その辺は三人くらいキャラ持っといて粘着させる女キャラ一人くらい入れとけば良いだろ。
悪側では無くある程度中立なら受け流すの余裕だろ。主のキャラ動かす時はこっちから出てやれば良いし


http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1437312911/l50
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 18:42:36.15 ID:DsZRjTGJo
501 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:01:27.32 ID:auaAu9V10.net[1/2]
リーべと犬山居るならイベント参加しなくていいや
502 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:20:22.45 ID:vbDWqK0W0.net[1/3]
そもそもマリアの取り巻き(下半身猿)が考えた水着でやる大会とかいう時点で終わってる
何人参加すんのかな
505 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 12:59:03.65 ID:lvKuTy7d0.net[1/2]
水着大会クソワロタwwww
ホントに中学生並の性欲猿だなこいつ
506 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 13:03:47.02 ID:vbDWqK0W0.net[3/3]
確かマリアにエロ絵みたいの描いて見せて喜んでたからなこいつ
590 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 22:22:45.05 ID:NDVAxqDl0.net
チンポ脳主催に犬山アサドリーべ害悪三人衆
592 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 23:05:50.15 ID:DS2wqxx00.net[2/2]
キングのイメージのせいで未だにセリーナが女だと思えないんだが、
チンポ脳集団にはあんまり関係ないんだな
593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:07:41.67 ID:M3JwjKcv0.net
チンポが延期するらしいぞ
594 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:27:51.75 ID:RbyC4eKx0.net[1/2]
一週間以上前から募集してるのに何で集まらないか不思議だなwwww
599 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:26:23.92 ID:AsaQazYX0.net[1/7]
チンポ大会やっぱり主催のチンポも出る予定なんだな
考えてること見え見えすぎて面白い
601 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:55:44.23 ID:oGY47fPD0.net[1/2]
チンポ呼ばわりはマジで草生える
602 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:00:01.61 ID:AsaQazYX0.net[2/7]
チンポ脳でマリアのへったくそな絵描いて媚びてる以外特徴ねえしなあいつ
某所じゃ一番のチンポだしチンポの人でいいだろ
609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:27:41.86 ID:oGY47fPD0.net[2/2]
そもそも今の某所自体にロクなのがいないから仕方ない
新規を楽しませる気がなく、自分が[田島「チ○コ破裂するっ!」]することしか考えてないクソ古参ばっか
622 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:21:57.84 ID:RbyC4eKx0.net[2/2]
いくら擁護しようが工作しようが一週間前から募集しといてこの惨状なんだから某所民のブラックをどう思ってるか分かるな
623 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:25:03.10 ID:AsaQazYX0.net[7/7]
ヤリたがってたセリーナとマリアのキャラ出るんだからチンポの人は満足でしょ
688 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:31:26.24 ID:DX760ziT0.net[1/25]
一方チンポの大会は某所のメインキャラ大半が集まってて盛況ですねえwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
・・・人数足りないから延期した大会ってこれくらいじゃねえかな
689 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:44:06.90 ID:yrVn5R3B0.net[2/4]
半分以上が害悪な大会が今から楽しみだわwwww主催からして直結害悪だしwwww
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 18:43:00.48 ID:DsZRjTGJo
691 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 13:53:16.51 ID:tfvRPCS90.net[1/3]
チンポが使ってるキャラを全く知らないんだがスレ内のポジションはどうなんだ?
692 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:06:38.60 ID:vbDCSWug0.net
チンポが使ってるキャラって出てなくね?
あいつのキャラが動いてる所を見たことがない
693 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:23:23.28 ID:pXMQ2R1N0.net
セリーナマリアシェン辺りにはよく絡んでるよ、それ以外に絡んでるのは見たことないし投下してるのも見たことない
694 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:34:29.04 ID:DX760ziT0.net[3/25]
中心人物の小判鮫って印象、ロール自体は下手ではないが特徴ない
695 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:34:51.43 ID:Y7f4Bspz0.net
つまりセリーナマリアシェンのチンポって事か。呼び名もチンポ、存在もチンポとか笑えねぇな
696 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:41:59.06 ID:DX760ziT0.net[4/25]
そいつらに張り付いて自分が実力者と勘違いしたのか最近態度もでかくなってきてるな
チンポの頭の中じゃ自分も某所を代表するプレイヤーの一人のようだ
703 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:00:17.08 ID:DX760ziT0.net[6/25]
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

どんどん増長してるからその内覚醒していいネタになりそう
704 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:04:44.11 ID:yrVn5R3B0.net[3/4]
ちなみにサメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります、イカ等に絡みつかれるといったシチュエーションも可能ですのでご自由にどうぞ
705 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 17:50:35.56 ID:WN/iOFmt0.net[2/7]
チャHとか発掘されて爆発すればいいと思うよ

826 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 04:08:14.57 ID:SQDZV/vT0.net[1/4]
イベント始まっても某所が全く盛り上がってなくて笑った
834 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:08:52.26 ID:gy3HSuMn0.net[2/15]
某所民は皆某所に執着してるから他の場所とか行かないだろ。但しゴミ溜めは除く
835 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:13:50.38 ID:xmkOhUvO0.net
相手されない新規や中堅ならともかく内輪作っちゃってる中心人物はもう某所からは離れないだろ、内輪が心地良すぎて
836 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:40:46.78 ID:gy3HSuMn0.net[3/15]
相手にされないと言っても内輪にどうにか取り入る脳味噌があれば快適なロールライフ遅れるんだがな。あいつら馬鹿だから取り入るのなんて簡単だろ
838 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:42:28.52 ID:Wo1gnoAy0.net[3/4]
某所とかダラーっと長文書き殴って中心人物に媚売ればちょちょいのちょいやろ
839 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:49:15.76 ID:SQDZV/vT0.net[2/4]
チンポやチンポ脳みたく自分を中心人物と勘違いしてる奴に行くと直結粘着してくるから注意な
840 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 14:23:41.86 ID:gy3HSuMn0.net[5/15]
その辺は三人くらいキャラ持っといて粘着させる女キャラ一人くらい入れとけば良いだろ。
悪側では無くある程度中立なら受け流すの余裕だろ。主のキャラ動かす時はこっちから出てやれば良いし


http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1437312911/l50
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 18:55:44.24 ID:KpAf2vyk0
>>816

そうかね。老紳士などロマンを求めて動いている印象だよ、お話の中だけかしら。
後は……そうさな。魔法は現実をゆがめてくれるから好きなのかもしれない。

科学にも出来ないこと、やってのけるのだものね。

【これももしかしたら勘違いかもしれない。魔女である彼女からしてみれば、間違えた言葉なのかもしれない】
【科学より魔法が好きだと思うのは、もしかしたら、魔法がそういうものだからかも――なんて、彼女は小さくぽつり呟いて】
【「能力も好きだよ。同じような理由でね」と続けた。手のひらを天に、虚空に開けば、そこには勿忘草色の靄――わたあめのような靄がきらめき】
【能力者なのだと、そっと伝えるのだ。大したものじゃないけれど、ど、ふと苦笑して。その靄を消してしまうのだけど】

学術書も読まないでもないよ。だけれど、物語のほうが圧倒的に多い。現実を分析した数字よりか、フィクションの話が好きでね。
……確かにキミは本を燃やしでもしてしまいそうだけれど。それとも勘違いかしら、キミは焔でも扱いそうに見える。

……――ふふ、私の異能は何だと思う? そうさな、当てられたらば、うちの蔵書をいくらかプレゼントしようか。

【「キミがいいならだけれど――」と、初めて彼女は楽しそうに笑った。ぱきりと足元で踏みつぶされた小枝がはじけて、ランタンの火の粉がひるりと虚空におどる】
【その焔を見てか見ないでか、魔女は焔のちからを使いそうだと勝手に決めつけるのだ。そして、自らの異能を当ててみろ、だなんて、無理難題】
【さっき見せたのは勿忘草色の靄。靄がぎゅっと集まって、集まって、わたあめになってしまったような見た目だ。そして、きらきらとしたエフェクトがかかり】
【――それだけだ。それで何が出来るのか、なんて、見た目からは想像できないから。適当に暇つぶしのクイズ程度の気持ちなのだろう――おそらくは】

【なんてことをしていたら、やがて泉が見えてくる。そして彼女は泉の淵にしゃがみ込み、じっと水面を覗きこみながら】

……キミの音はそうなのだね。キミらしいと言えばいいのかしらん?

【なんて、魔女の音に耳を傾けるのだった。――少女の音は、まだ聞こえない。魔力に反応する水面、まだ、彼女は魔力をこぼしていないから】
【ひとまず自分のことはさておいて、魔女の音色を聴くのだった。――或いは、少し、恐ろしいのか。何かが、……分かってしまいそうで】
827 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 19:10:24.34 ID:S7ydB6/6o
>>778

「お、おいお前本当に大丈夫なのか!?」


【先ほどの老兵が再び声をかけてくる。カガリの様子に異変を感じたのか、声が震えていた】
【その直後にどこかから通信がきたらしく、数度頷いてもう一度カガリの方を向いた】

「旗艦を止める手立てを整えるそうだ。お前はあっちの建物へ向かってくれ!」

【そう言って老兵はある建物を指差す。その前方上空には旗艦が浮かび上がっていた】


>>803

「お、おぉ……こりゃなんだ、あんた何したんだ?」

【スピーカーが使える場所を教えた軍人がいつの間にかやってきていた。周囲の惨状を見て目を丸くしている】

「あの旗艦を沈めるそうだ。俺たちは他の艦の相手で忙しい。あんた、行ってくれるか?」

【彼が指差した方角は旗艦に近い建物だった。ひとまずそこに集まれ、ということか】


>>804

「次期社長! こっちです!」

【小型艇で空を駆ける櫻に向かって、地上からクリスが大声を出していた】
【クリスがいる場所は少しばかり背の高い建築物の屋上。大きな通信機と何隻かの小型艇が置いてあった】


//二日目を始めます。よろしくお願いします!
//アサドの方もこの場所に誘導されたという感じでこちらへレスをお願いします
828 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 19:13:20.30 ID:Yf4QI3R2O

>>821

くっ……!

【風船を割ることには成功したが、返しの刀ーーまさか木刀を具現させるとは!?】

(あの護符ーー属性を組み合わせての具現能力!?)

【迫る剣筋、避けることは出来ず左腕の水風船が爆ぜるーーそれだけでとどまらず、強かに左腕を打ち付けた】

っぅ……!

【左腕が痺れ、弓を取り落としてしまう。手から離れた弓は、そのまま虚空で霧散した】

やるじゃないーー濡れる位なんてないってことねっ!

【風船の数は同じと言えど、明らかに劣勢ーー少女、春燕は見た目に似合わず……強い!】
【だが、そんな状況にも関わらず藍璃は微笑みを見せた】

ふふっ……いいわ、こうでなくっちゃ。
これくらいじゃないと、私が謳う価値もないッ!
さぁーー行きなさい、"ルーラ"!

【そうして左手を庇いつつ右に飛び退き距離を取りながら、灼熱の鷲ーー金翅鳥"ルーラ"を羽ばたかせた】

ピュィィィィィーーーーーッ!

【途端、広範囲に炎熱の猛風が巻き起こる】

このステージにはさっきの攻撃で水が大量に散っているーーそれを一気に気化したら……どうなるかしら!?

【炎熱により、水の矢によってまき散らされた水が一気に蒸発を始める】
【このまま何もしなければ、辺りは霧が立ち込め視界は最悪になるだろう】
【また、春燕の体を濡らす水も例外ではないーー退避するか妨害しなければ、一気に体が蒸されてしまう!】

それだけじゃないわーー
貴方は導き、我は指し示す。謳うは運命見据えよ未来……この手に集いて、奏でましょうーー導け《Fate axis》

【更に藍璃は何かを"謳い"、残された右手に銀色の棒を顕現させた】
【一見指揮棒のように見えるがーー】

さぁ、ここからが私の舞台よ!

/おおおおおくれましたああああ!
829 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 19:21:32.26 ID:4WHNzzELo
>>827

……ああ、さっきのおじさん、ちょっとその……俺が歌った
昔からな、俺が歌うとみんななぜか苦しんで倒れちまうんだ、それを『断牙』の最大出力でぶっ放したんだ……
まあ、不本意だけどさ……これで雑魚連中は一掃できた、後はあの飛行戦艦を落とすだけだな

【作戦が終わった後、その場所に駆け付けてくれたのは先ほどの軍人だった】
【だいたいの事情を話し終えた剛太郎は、しかし悲しそうな顔でがっくりうなだれながら、旗艦の方向を見る事だろう】
【雑魚掃除は完了した、続いては大元を断つ戦いか】

オッケー、任せてくれよ。……といってもあと三時間くらい変身できないけどな
いったい何ができるかわからないけど……やれるだけやってみる
……おっ、櫻さん!いい所に来た、ちょっとあの建物まで連れてってくれ!こいムク!

「……うむ、しかし消耗は大きい……はたしてどこまでできるかのう」


【途中、天辰櫻>>804と合流した剛太郎はそのまま彼の後ろに乗り誘導されたその建物の方向へと向かうだろう】
【棺桶は重力制御で重さを軽減させ積み込むことはできた、それはいいが―――剛太郎は煙を発する己のベルトを見ながら苦い顔をするだろう】
【エレキの必殺技は協力な一方で負担も大きい、一度使うと熱暴走で三時間の変身不能時間が生まれてしまうのだ】

【はたしてこの戦いの最中に再び変身できるチャンスなど巡ってくるだろうか……アインは油断ならぬ強豪だ、変身なしで挑むのはかなり困難である】
【なんとかこれを使うことが出来れば、と考えながら―――ようやく目的地に辿り着いたことを確認する】

/剛太郎です、今日もよろしくお願いします
830 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/20(月) 19:24:53.71 ID:tKKSLyF9o
>>827

【水の国首都・フルーソ――】


――――散開ッ! 二班はアルの指揮で国軍に加勢しろ!!
どうも先に中心で戦ってる奴らがいるらしい、残りは俺とそこへ向かうぞ!!


【機関員達の襲撃を受け、混沌のただ中に陥れられた都市の中――走り抜ける複数名の影があった】
【"緋色の鷹"を掲げる数十名の集団だ。前線だった場所から中心部へ、あちこちで起きる暴虐と悲鳴を恐れずひたすらに突き進む熟練の戦士達】
【その集団はフルーソの中央に達する前に二手に分かれた。眼鏡を掛けた若い青年が引き連れる班は途中で折れて更に分散、各地の機関員の排除へ向かい】
【残る少数名の精鋭は、背の高い褐色肌の男に連れられ中心部へと猛進していった。獲物を狩る獅子の如く、鎧袖一触に地上勢力を破砕し――】

【とはいえ、敵もさるもの。襲い来る大量のカノッサ兵への対応や航空勢力への防戦のため、部隊は少しづつ分散を繰り返していくが】
【一秒でも早く事態の中心へ。そんな彼らの意志は、驚異的な速度でもって、一団のリーダーたるひとりの男を"巨悪"の下へと送り届けた】


はっ、こりゃずいぶんハデな乗り物こさえたもんだ。
だが……今度こそ会えたみてぇだな、"六罪王"――――。


【SCARLET麾下特務部隊・『ヘイダル』……砂の国自警団員を中心に構成された国境を越える正義の集団、その部隊長はゆっくりと旗艦を見上げるだろう】
【――筋肉質で背の高い体格に褐色肌、ボサボサで短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして、首からはドッグタグを下げた男だ】
【左胸には"砂の国自警団"を示すバッジ、右腰のポーチには"SCARLET"の紋章。二つの正義を背負う男の名は、アサド・アル=アーデルという――】

【国軍の方にはすでに通達があっただろうか。今回の作戦、水の国国内で偶然別任務に当たっていた『ヘイダル』も加勢することになったこと】
【前線に配置され街の外側で敵勢力の掃討に当たっていたが、これではキリが無いと見て、一気に中心部まで駒を進めた……というのが、事の顛末】


おっ、来たか――俺はSCARLETのアサド・アル=アーデルだ。
遅れちまったが加勢する。見てのとおり遠距離型だ、前衛は任せるぜ………!


【アサドは近場の軍人たちに誘導され、指定された建物で既に待機していた。諸手には、身の丈ほどもあろうかという巨大な"銃砲"を抱えているだろうか】
【側面部には小さなモニターが取り付けられており、この銃砲の名前だろう、『Al-Hadi(アルハーディ)』という文字が浮かび上がっている】
【やがて全員が同じ場所へ集まったなら、彼は不敵な笑顔を浮かべて自己紹介をし、戦場における自身の立ち位置を軽く説明する】
【知らない顔ばかりだが、いずれもここまで戦い抜いた勇猛な戦士達に変わりはない。十分に信頼に足るはずと――】

【相手はさる六罪王。≪ロード・ケイオス≫との直接対決に挑むのはこれが初めてだが、彼とて他の六罪王と何度もやり合っている身だ】
【油断はできないが萎縮する理由もない。『アルハーディ』を構え、"砂漠の獅子"は爪を研ぎながらその時を待つ――】


/こんな感じでよろしかったでしょうか……?
/アサドです、途中参加ですが皆様よろしくお願いします!
831 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 19:25:55.40 ID:36cEYCgDO
>>827(主催)&ALL

【声が聞こえた。あれは──クリスだ。今日はやたら彼に世話になると、そう天辰は思う。少しだけ、口元に笑みが浮かぶ】
【クリスの指示通り、剛太郎と共に建物へと向かう。──ふと周りを見れば、最初に顔合わせをしたメンバー……カガリも建物屋上へと集まりつつあった】
【なるほど、一度隊列を組み直そうというわけか。確かに、如何に強力なメンバーといえども、1人1人で旗艦へ侵入すればいつ不意討ちを受け力尽きるか分かったものではない】
【建築物の屋上へと降り立つ。先ほどの戦闘で幾分かダメージを追ったが……まだ戦えそうではあった】


……っ……は、ぁ────無事だったのですね、クリスさん
それに……あなた(カガリ>>778)も、剛太郎さんも!

セリーナさんは……先ほどちらりと見えましたが、旗艦のすぐ側にいました
彼女は直接旗艦に侵入するつもりなのかは分かりませんが……いずれ合流できるか、と


えぇと。……改めて。僕は天辰 櫻、といいます。基本的には刀を扱いますが……遠距離からの支援も可能です
“嵐”に関連した事象……雷を出したり、水や風をある程度操れたりします


【この場にいないセリーナの状況を、簡単に全員へと説明する。少なくとも、セリーナも無事ではあるようだった】
【そして天辰は、簡単な自己紹介と自分の能力の説明をした。これから何が起こるか分からぬ場所へと赴くのだ】
【全員が集まり、かつ落ち着いて話が出来る今のうちに、味方の情報は知っておきたかった】
832 :正親町カガリ :2015/07/20(月) 19:28:45.62 ID:c76EY4haO
>>827
【獣の腸にまみれ、今も戦闘を何処か心の奥底で求め続けている最中、又も老兵の声が耳に届いた】
【意識が少しずつ鮮明になってきたのか先程とは違い、綺麗に耳の奥まで届く音らしい音として、老兵は自らに上空に浮かぶあの旗艦とやらに行けと言っているようだった】
【彼は老兵に向かって少しだけ頷くと、老兵が示した建物へと歩み始めた】
【その歩みは次第に速くなっていき、上空高くそびえる要害へと進軍する一人の兵へとなっていく】
【彼のその狂気にも思えるその行動は彼自身による物とは限らない、だが彼が今軍の指示通りに行動していると言う事は間違いないだろう】

(頭が朦朧とする……俺は何処に向かって走っている?家、違う、ビル、壁、小型艇、落っことした、ビルだ、旗艦?機関?期間?きかんってなんだ)

【彼の意識の不鮮明さは極度に達していた。彼は最早自分が剣を操っているのか自分が剣に操られているのか理解していない】
【それでも彼はひたすらに疾駆する。剣を振るうため、少し前だったか、正親町一門の名上げになるかと思ったがため】

(きかきか帰還?おかえりなさい、おかえりなさい、バベルバベルバベ……)

【彼は建物を登り切り、屋上へと辿りついた】
833 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 19:34:36.68 ID:S7ydB6/6o
>>829>>830>>831>>832

「皆さんご無事……というほどではないですが、生きていて良かったです」
「それに、貴方はかのアサド・アル=アーデルですか……SCARLETの精鋭とは心強いです」

【クリスの目から見ても有志たちの消耗は激しかった。しかしそこにアサドが加わったのはかなりの助けになった】
【経験豊かな彼ならば、他の面々のフォローもできるだろう。少しは勝率が上がりそうだ】
【「少し待っていてください」──クリスはそう言って通信機の前にしゃがみ込んだ】

【旗艦は不気味な静けさを保っていた。防護膜に覆われているせいで軍も手出しが出来ない状況だ】
【クリスは通信機でどこかとやり取りをしていた。数回頷くと通信機を仕舞い、有志たちへと顔を向けた】

「あの防護膜を突破する手立てが整いました。都市内に侵入した機関員は別部隊が相手をしてくれるそうです」
「我々は旗艦に突入して、艦橋の制圧を行います。皆さんにはついてきてもらって護衛を────」

【クリスが続きを話そうとしたとき、上空から強烈な光が降り注いだ。旗艦の艦体下部にある主砲が動き始めたのだ!】
【主砲の前方には魔法陣が何重にもなって展開してあり、球体状となった魔力の塊が中心に発生している】
【どう見ても攻撃の予兆だった。クリスは大慌てで通信機に向かって叫んだ】

「敵旗艦、主砲に動きあり! 防護膜の破壊を!!」

【合図と共に都市の各所から砲台が現れて、旗艦の一箇所に向けて集中射撃を開始】
【一点集中の攻撃には耐え切れず、防護膜に人が入れる程度の小さな穴が開けられた】
【クリスと数人の軍人が小型艇にそれぞれ乗り込み、突入の準備を始めた】

「あそこから内部に侵入します、皆さんもついてきてください!」

【そう指示を出すや否や、クリスたちは空中に飛び出していった】
【防護膜があるせいか、それとも装備としてないのか、ともかく敵の妨害は殆どない。侵入までは容易だ】
【防護膜内部に入り込んだクリスはハッチらしき部分を攻撃、破壊したそこから侵入していった】




【内部は通常の建築物と同程度の内装。通路も広くも狭くもなかった】
【クリスたちは予め構造を知っているのか、通信機を用いながら淀みなく進んで行く】
【が、曲がり角に差し掛かったところで機関員と遭遇。咄嗟に身体を隠した】

【曲がり角の向こう側にはT字路があり、そこに機関員が三人。二人が銃撃をしてきていて、一人は手榴弾を構えていた】
【向こう側までの距離はおよそ十メートル。遠距離攻撃ならば容易に届き、接近するには身体能力が必要となりそうだ】

//では皆さんよろしくお願いします
//状況を一気に動かしてしまったので、レスはゆっくりして頂いても構いません。一時間かけるとかは別ですが!!
834 :正親町カガリ :2015/07/20(月) 19:53:07.09 ID:c76EY4haO
>>
835 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/20(月) 19:53:28.90 ID:tKKSLyF9o
>>829 >>831 >>832


んじゃ、よろしくな。……あと、セリーナの奴も来てんのか。
何にしても頼りにしてるぜ。こっから先はたぶん修羅場だ――。


【クリスを含め、集った面々の顔を確認すると、アサドは敢えて笑ってみせる。彼も別の場所で戦っていた為に無傷ではないようだが、まだ十分に戦えそうで】
【天辰の発言でこの場にいないセリーナの存在を知ると、それも勘定に入れてもう一度旗艦を見据えた。見た感じこちらもかなりの面子だが――】
【果たして敵がどう動いてくるか、それによって話も変わってくる……そう思っていたとき、状況はこちらの先手で動き出した】


>>833

【クリスの指示に否やはない。あれだけ巨大な戦艦を真正面からの火力で撃ち破るのは厳しい、内部へ乗り込んで破壊する判断は適切だろう】
【アサドは指示通り小型艇に乗り込み、壊されたハッチから内部へ侵入する。一同の最後尾について銃砲を構え、そのまま内部を進んでいくだろう】


三人か――よし、俺が体勢を崩す。
撃ち漏らした奴は頼むぜ!


【T字路に差し掛かり、曲がり角から敵の姿を確認すると、アサドは敵の銃撃の合間を縫って飛び出すだろうか】
【膝立ちのまま転がり込み、即座に『アルハーディ』の引き金を引く。爆音と共に射出されるのは、炎属性の"砲撃"!】
【狙いは三人の敵のちょうど中間程度の位置の直接当てるのではなく床を狙撃した。高速で飛翔する橙色の"魔弾"は着弾と同時に勢いよく爆裂、】
【爆風と爆熱が三人全員へと襲いかかるだろう。連射が利かない代わりに一発の威力や範囲が大きい"砲撃"こそがアサドの持ち味だ――】

【もし敵が砲撃の爆心地に近い位置にいれば、それだけでも吹き飛ばして倒すぐらいの威力はあるし】
【例え一撃で倒せずとも、強い爆風によって少なからず敵の体勢は崩れるだろうという目論見だ。その間に他の仲間が撃破してくれればそれで良い】
836 :正親町カガリ :2015/07/20(月) 19:54:14.44 ID:c76EY4haO
/ひいい文が消えてしまった…↑は気にしないで下さい…
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 19:56:11.10 ID:j9fR9hjo0
>>828

(―――ヨシ!)

【木刀は強かに時雨の手首を打ち据えた。手応え、あり―――これで風船の数もタイに戻した!】
【だが、ここでガッツポーズをしたり気を緩めたりはしない。刀をそのまま構えて、更なる隙を伺う】
【が、それ以上の追撃は出来なかった。その理由は、周囲を吹き荒れた暴風にあった】

何だろウ、この風ハ……―――クッ……熱イ……!?
うぅ……これは、マズいネ……!

【その風は熱を孕んでいた。ただでさえ暑いビーチに、更なる熱が加わる……すると】
【許容範囲を超えた暑さが、水がしみ込んだ砂や春燕の肌を伝う水分を蒸発させるのだ】
【このままでは風船を割る割らない以前に熱中症と脱水症状でダウンだ。堪らず春燕は退避する……】

【―――周囲に霧が立ち込める。熱気の立ち込めるリングはたちまちホワイトアウトしてしまった】
【一部の観客からは「試合の様子が見えない!」「暑さが我慢できない!」なんてブーイングもあるようだけれど】
【兎に角、姿が見えないのでは攻撃のしようがない。だが―――其れは相手も同じ筈】
【春燕が時雨の姿を捉えられないのと同じく、時雨も春燕の姿が見えなくなってしまっている筈だ】
【銀色の棒が何を意味するのかは分からないが……此方もその霧を利用させてもらおう】

土符・陰符――――≪陥穽≫!

【様子が見えないのに乗じて、春燕は自分の目の前の地面に黄色と黒の符を重ねて貼り付ける】
【すると、足元の土が消えて大きな穴が開いた。―――足元をよく見ずに春燕に近づいたら、穴に落ちるという算段】
【後は視界が悪い中で木刀を構えて待つ。視界が悪いとはいえ、正面からの攻撃くらいは警戒しなければ】

//いえいえ、大丈夫ですよー!此方もお返事がよく遅れますし……本当にすみません
838 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 19:59:37.91 ID:36cEYCgDO
>>832(アサド)

【「UTのセリーナさんに、SCARLETのあなた。遠距離からの攻撃は、心強いですね」──そう、天辰が軽く笑いかける】
【彼は言葉を続ける。「なるべく、射線上には立たないようにしますね」 少しでも、緊張を和らげるためだろうか】
【中途半端な冗談を彼はアサドに投げ掛け──他のメンバー(カガリ>>832)にも話しかけに行った】


>>832(カガリ)

……あの。大丈夫ですか……? カガリさん、でしたっけ


【天辰 櫻。開戦時、一直線に高層ビルに駆けていった青年だ。腰には刀。どうやら彼も剣士の端くれらしい】
【そんな彼は、カガリの方に歩いてくると心配そうな表情で彼を覗き込んでいた。一時的ではあろうが、今は共に戦う仲間なのだ】
【どこか様子のおかしなカガリ。心配するなという方が多少無理なのだろうが──】


>>833(主催)

【──状況が動く。アサドやカガリに話しかけていた天辰だったが、クリスが指示を飛ばすと真剣な表情でそれを聞いていた】
【バリアが突破できるのであれば、これまた戦況はこちらの優位となる。クリスの言葉は、天辰に安堵を与えたものの……】

【──突如降り注ぐ閃光。攻撃の予兆だ! もうゆっくりと話をしている猶予はなさそうだ】
【クリスの声に従い、用意されていた小型艇に乗り込む。操作の感覚にもだいぶ慣れてきた。艇を操り空中に飛び出す】

【調子の悪そうなカガリが心配ではあったが──取り敢えず、今は防護膜内部への侵入を優先したかった】
【カガリが動く様子がないのであれば、引っ張ってでも共に小型艇へと乗り、防護膜内部に、そして旗艦の内部へと突入することだろう】


【──旗艦内部。彼は道を知っていると思えるクリスの後をついて進む。……と、そこにやはり機関員】
【銃弾を喰らっては堪らない。クリス同様身体を隠し、銃撃の合間合間にちらりと曲がり角の向こうの状況を確認】
【銃持ちが2人、手榴弾持ちが1人。一方こちらは近距離特化の人員が2人に、自分と遠距離専門のアサドがいる】


>>835(アサド)

【さてどうしようか。考えていたところを、まずアサドが状況を変える!】
【焔系統の魔弾を撃ち込むアサド。すかさず天辰は、己の刀≪天龍≫を抜き放つ!】


────助かりますアサドさん!


【ばちん! ≪天龍≫の刀身に閃光。そこから放たれた雷撃が丁字路にいる機関員目掛けて襲いかかる!】
【アサドの火炎砲に、天辰の雷撃。これで倒せなくとも……少なくとも敵からの銃撃くらいは止むだろうか】
【そこからは近距離専門であるカガリや剛太郎の出番だろうが──】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/20(月) 20:02:18.95 ID:2PERHbF10
>>806
/すみません、ちょっと9時頃までお返事が遅れます!
840 :正親町カガリ :2015/07/20(月) 20:08:14.59 ID:c76EY4haO
>>829-831
【彼は屋上に集まった面々を見まわす】

(敵…てけ、違うあろ…違う、味方)

【彼はどうにか意識を引き戻すと辺りの精鋭をもう一度見まわす】
【そこに揃っているのは先ほども出会った二人と軍人が言うにはSCARLETとやらの精鋭だそうだ。少なくとも世界情勢に疎い彼には縁の無い事だが】
【彼は一応に周りへの、「そして天辰への挨拶として俯きながら声を発する】

カガリ……正親町、カガリだ…気にするな

【そうこうしている内に軍人が旗艦への突破口を探り始める。その時旗艦の主砲らしき物が攻撃を始めてくる】
【天より降りる裁きの光とでも言った物か。それは明らかにこちらへと照準を合わせている】

っ…!

【彼は虚ろな目を上空へ向けると同時に軍人の素早い対応を見届ける】
【意識をひたすらにこちら側に戻そうとする。機敏な反応はあまり出来ない】
【それが仇になるか、それともその逆になるか。それはまだわからない】
【彼は軍人に続き艦内へと侵入すると道のりを熟知しているのであろう軍人へとついていく】
【その時、道の先に機関員が現れる。彼の精神にまた波が訪れた】
【素早いアサドと天辰の攻撃。彼もそれに続く】

うるぁぁぁぁぁぁぁ!

【剣を担ぎ、彼は三人の機関員へと向けて突撃する。その身体能力を活かした高速の動きで】
841 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 20:13:13.98 ID:4WHNzzELo
>>833

やっぱみんなヘトヘトだな……とりあえず俺自身はまだまだ動けるからさ、心配しないで
アサド>>835だったな、こんな時に助太刀に来てくれたのは嬉しいぜ。さて……あれ一体どうやってぶっ壊そうか?


【こうして集まった面々、この状況を打破するにはもはや……あの旗艦を落とすしかない】
【流石にあの巨大な戦艦を落とす火力はない、ゆえに艦内に直接踏み込んで内部を制圧する作戦に打って出る】
【いよいよ正念場だ、あの場所にアインもおそらくいる―――消耗してるとはいえ味方は多いのだ、勝機は必ず存在するはず】

(……変身できるようになるまであと2時間と20分ちょいって所か、あんまり期待しない方がいいかもな)

動き出し始めたな……よし、アレの中は俺たちに任せといて!
俺たちがアインを叩きのめせば……他の連中も黙らせることが出来るはずだ

【戦いは後半戦に突入!戦士たちはついに本陣へと攻め入った】
【クリスの指示に従い進んでいく最中、曲がり角で三人の機関員と鉢合わせる!しかしアサドと櫻が即座に迎撃を試みる】
【この二重攻撃ならば一掃できるか―――?】

……ダメ押しだ!一人も逃さねえぞ!葉隠流 奥義 『疾風迅雷』!!


【剛太郎は手など抜かず―――まだ誰かが倒れてない事を想定しカガリと共に一気に距離を詰め叩きのめすことを試みる!】
【使うのはお得意の高速攻撃奥義、この技で今味方が撃ちこんだあたりに一気に距離を詰めて突撃する!】
842 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 20:18:41.76 ID:Yf4QI3R2O


>>837

【辺りは霧に包まれ、その霧はじわりと熱気を孕んでいた】
【普通なら脱水症状で昏倒しかねないがーー藍璃自身は"ルーラ"による炎熱の加護により守られ、春燕もこの程度では屈さないだろう】

ーーふふ、観客にはごめんなさいかしら……しかし、本気の戦いだもの、許してね?

【依然、痺れが続く左腕ーー駄目だ、暫くは使えない】
【観客のブーイングを背に受けながら、右手に顕現させた指揮棒《霊導銀ノ指揮棒》を握りしめる】
【じわり、と汗が滲み、藍璃は自分が緊張していることに気が付いた】

……やっぱり、手加減なんて出来ない、か。そんなのは、失礼にあたるわね。
しかし、少しだけ考えが浅いかしらーーこの霧は私が操っていた水が気化した物……誰も制御を解いたなんて言ってないのにね?

【霧を通して何かしらが発動した気配を感じ取り、不敵に微笑む】
【どうやら能力の影響下にある物とは感覚を共有出来るらしい】

何をしたかまではわからないけどもーーここは砂浜、熱から逃げるには飛ぶか或いは潜るか。
上は"ルーラ"が迎撃可能……ならっ!

【藍璃は予想の元、指揮棒を振り地面を指し示す】
【それに導かれるように、霧が地面に溶け込んでいきーー霧の面積が減り視界が晴れゆく!】
【指揮棒には能力下にあるものを導く能力がある様だ】
【みるみる内に砂浜の温度は急上昇するだろう。また、その中の水分量は飽和状態になる筈だ】
【もし穴などがあれば、周囲は途端に崩落し、クレーター状になるだろう】

潜っているなら……いや、そんなに甘くは無いと思うけれども。

【先程と違い、今の藍璃は身軽。更に、霧により感覚を延長している】
【接近するのは容易ではなく、また藍璃も接近するつもりは無いようだがーー】
【霧の面積は半分程に減った。観客から見て、お互いの間にのみ発生している状況だ】

/筆が遅くて申し訳ないーーこれならどうでしょう!

843 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 20:22:11.66 ID:S7ydB6/6o
>>835>>838>>840>>841

【アサドの魔弾による爆撃で、三人の機関員たちは大きく吹き飛び、床や壁に激突】
【そこからすぐに立ち上がろうとするも櫻の雷撃が動きを阻む。直撃した一人が感電して倒れこんだ】
【残る二人は掠めただけで何とか生き残り、銃を構えようとするが、そこにカガリと剛太郎が突撃】

【完全に距離を詰められた中で慌てて二人の機関員が後ろへと下がろうとする。だが動きが遅い】
【彼らが下がろうとした先には更に機関員が五人。今のところ彼らを視認できるのは剛太郎とカガリだけだ】
【二人を素早く打ちのめし、まだ銃を構えきれてない奥の五人に素早く近づければ、後ろの面々の侵攻が容易になるか】

「あとに続きましょう!」

【クリスはアサド、櫻にそう声をかけてカガリ、剛太郎の後を追い始める。二人に追いつけば、T字路の左側に敵が三人】
【こちらはこちらで二人が相手をする必要がありそうだ】
844 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 20:37:04.01 ID:4WHNzzELo
>>843

よしッ!……おっと、まだこっちに敵がいる―――!

【目に見える所には次の敵が5人、この連中を仕留めれば突破口も見えてくるはずだ】
【ならば、我先にと剛太郎も勇猛に立ち向かっていくことだろう―――銃を構えきれてない、先制攻撃すれば有利を取れる!】
【別方向からも敵が来ている、こちらは後ろの二人に任せて自分たちだけでこの5人を叩くしかない!】

右二人は任せた!―――葉隠流 奥義! 『絢爛舞踏』!!


【右の二人はカガリに任せて自分は左の三人を叩きのめす事に専念する事に決めた剛太郎】
【繰り出すのは乱撃技だ、素早い足裁きで右に、左にとブラしてさも複数人いるかのように目を錯覚させ―――狙いを定められぬうちに叩く】
【即座に彼らの顎や胴へと叩き込まれる乱れ打ち、即座に叩きのめして突破口を拓く!】
845 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 20:37:05.54 ID:36cEYCgDO
>>843(主催)&ALL

【アサドの火炎砲に天辰の雷撃、加えてカガリと剛太郎の突撃。流石に機関員たちも倒れたか】
【1人の機関員が倒れたのを確認。手傷を追った残る2人が視界から消える】
【クリスの声に従い、カガリと剛太郎の後を追う。敵は丁字路の左側に3人、右側に、手負いの2人と無傷が5人】
【──これは、まずい。左側3人を無視し右側……カガリたちの援護に行けば、背中から撃たれる】
【どこか調子の芳しくないカガリに変身できない剛太郎。彼らに総勢7名の機関員を任せるのか心苦しかったが……】


…………アサドさん、左側をとっとと片付けます! 援護射撃を!


【──ひゅうっ! 天辰の周囲に風が吹く。能力を発動させ、風を身体に纏わせる】
【雷で感電させてもよかったが、後々のことを考えると刃により息の根を止めた方がいいという結論に至る】
【床を蹴る。風の力を借り、常人には出せぬ速度で疾走。左側3人のうち、まず狙うは真ん中の1人。≪天龍≫は既に抜かれている】
【走りながら身を屈める。敵が何もしてこないうちに、倒す必要があった。距離を詰め、身体と同じく風を纏わせた≪天龍≫を振るう】
【狙うは面積の広い胴体。敵からみて右下から斜め上に斬り上げる軌道。風を纏うことで、天辰の刃は普通の刀よりも遥かに切れ味が良くなっている。これで、胴を両断できるか】
【そして天辰が狙いを定められるのは、近距離ならば1人が限界だ。残る2人の処理はアサドに任せられた──!】
846 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/20(月) 20:37:07.03 ID:c76EY4haO
>>843
【アサドや天辰の活躍により前方に構えていた三人の機関員の態勢が崩れる】
【三人は同時にアサドの強力な一撃により吹き飛び、天辰の雷により一人は愚かで間抜けにジルバを踊る】
【残る二人の機関員に向けて彼は攻撃を開始する。だが、今は一人では無い】
【横には同じ近接型の剛田剛太郎。彼とのコンビネーションを行えば効率よく相手を倒せるだろうか】
【更に不幸なことに奴らの後ろには五人の新たな機関員。はっきり言って一人で対応するのは面倒だ。しかも場所が狭い】

(考えろ…違うだろ…俺は剣じゃない…俺は剣?剣?剣?つりぎ???あぁそうだ)

(俺は剣)

【その時彼の中で何かが弾けた気がした】
【それは彼の体を誰にも悟られないような電流の如く駆け抜ける。彼は感じた事の無い振りきれたような感覚を覚えた】
【次の瞬間、彼は剣と少しだけ一体になったような錯覚を覚えた。今まで分厚い雲のように意識にかかっていた何かが消えて行く】
【ともかくこれで彼が今精神の異常をきたす事は無くなったようだ】

なぁ、あんた…俺は一人を叩き斬るから…あんたはもう一人をやってくれないか…?

【彼はそう一言言うと目の前で下がろうとする一人に斬りかかった。先ほどよりもキレのある、素早い動きで】
【先ほどよりも力強く、迷いの無い太刀筋で】
847 :正親町カガリ :2015/07/20(月) 20:40:17.88 ID:c76EY4haO
/おおお…三人同時のレス…奇跡ですね
主催さん、剛田さんの方へ、私が書き直すので気にしないでおいて下さい
848 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/20(月) 20:43:45.78 ID:tKKSLyF9o
>>843 >>844 >>845 >>846

【「いい腕だ!」とアサドは隣の天辰に快哉を上げた。こちらの気を和ませようとする先ほどの台詞も然りだが……彼はかなり場慣れした人物のようだ】
【続いて突っ込んでいく二人、剛太郎とカガリ。カガリはどことなく胡乱そうな様子が心配ではあったが、どちらも躊躇いの無さは一流だ】

【各々の攻撃により、機関員たちのうち一人が倒れ、残りも隊列が崩れた。アサドはクリスに続いてカガリと剛太郎の後を追うだろう】
【鈍重な銃砲を抱えているが故にアサドの動きは早くない。だから逆に、殿として人一倍周囲に注意を払って進むが――】


チッ……流石に敵さんも多いな。
任されたぜ櫻、さっさと突破して向こうに合流しねぇとな―――!!


【左側に更に三人の敵をいち早く発見すると、アサドは思わず舌打ちした。敵の本拠地ともなれば当たり前だが、面倒な布陣だ】
【先に進んだカガリと剛太郎の方には更に多くの敵。囲まれれば危険だ、ここは強引にでも素早く進撃する場面か……】
【そう考え、アサドは『アルハーディ』のサイドグリップを手前に引く。コッキング動作により内部の回路が切り替わり、側面のモニタに≪A-Spiral≫の文字、】


悪いが手加減は出来ねえぞ――――とっとと道ィ開けろッ!!


【再びT字路へ転がり込んで引き金を引く。ここまでは先ほどと同じだが、発射される弾丸の性質は全くの別だ】
【耳をつんざく爆音と同時、巨大な炎の魔弾が"高速回転"しながら、天辰が狙った以外のニ名の兵士と迫っていく……!!】

【≪A-Spiral≫は、着弾時に爆発等はしない代わり、帯びた高熱と回転力によって非常に高い"貫通力"を付与された炎の弾丸だ】
【弾速も高く、弾自体の大きさもそこそこある。もし二人がその場から動かなければの話だが――十分に角度を付けての発砲により、】
【斜めの位置から撃ち放たれた≪A-Spiral≫は、二人の兵士の左半身と右半身をそれぞれ抉り取るように突き進むだろうか】
【本来は高熱と回転力によって敵の盾やバリケードを突破する対物攻撃を想定した弾種だ。それを生身の人間相手に使えばどうなるか、それは言うまでもない】
849 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/20(月) 20:44:31.66 ID:c76EY4haO
【アサドや天辰の活躍により前方に構えていた三人の機関員の態勢が崩れる】
【三人は同時にアサドの強力な一撃により吹き飛び、天辰の雷により一人は愚かで間抜けにジルバを踊る】
【残る二人の機関員に向けて彼は攻撃を開始する。だが、今は一人では無い】
【横には同じ近接型の剛田剛太郎。彼とのコンビネーションを行えば効率よく相手を倒せるだろうか】
【更に不幸なことに奴らの後ろには五人の新たな機関員。はっきり言って一人で対応するのは面倒だ。しかも場所が狭い】

(考えろ…違うだろ…俺は剣じゃない…俺は剣?剣?剣?つりぎ???あぁそうだ)

(俺は剣)

【その時彼の中で何かが弾けた気がした】
【それは彼の体を誰にも悟られないような電流の如く駆け抜ける。彼は感じた事の無い振りきれたような感覚を覚えた】
【次の瞬間、彼は剣と少しだけ一体になったような錯覚を覚えた。今まで分厚い雲のように意識にかかっていた何かが消えて行く】
【ともかくこれで彼が今精神の異常をきたす事は無くなったようだ】
【彼は剛田の言う通り二人へと斬りかかる】

了解した…去れ、屑が

【彼はそう一言言うと目の前で下がろうとする二人に斬りかかった。先ほどよりもキレのある、素早い動きで】
【先ほどよりも力強く、迷いの無い太刀筋で】
850 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 21:05:01.11 ID:+BZdnWogo
>>843>>844>>845>>848>>849

【既に旗艦内部では静かに砲火が交わり合い始めていた。】
【アサド・アル=アーデルの砲撃、剛田 剛太郎の乱れ打ち、そして天辰 櫻の剣撃に、正親町カガリの太刀筋。】
【四者四様の攻撃が無傷の5人とT字路の先にいる三人、それぞれに向かって放たれる。だが、"五人"の内二人に関しては別だった。】

【その先に居る五人への攻撃の内、剛太郎とカガリによって成されたのは三人と、そして下がろうとした二人への攻撃のみ。】
【残る二人によって再び増援が駆けつける可能性は十分に高く、またこの閉鎖空間は敵地の真っ只中であり】
【―――地の利を用いられれば押し返されることは必須。だがしかし、逃げ果せようとした掠り傷を負う二人に対し】
【―――"キィィィイィン"という、機械の音が後方より迫り、】


 ―――何処にも、行かせないよ!


【突撃―――先を進んでいた四人とクリスの背後から、ジェットエンジンの音が近づいてくる。】
【旗艦の内部、狭い通路の中を、今まさに"空中用"の小型艇で、掻い潜る様にして疾走して来るのは】
【数時刻前より艦隊に攻撃を開始していた今作戦の防衛側勢力の一人、セリーナ・ザ・"キッド"本人である。】

【小型艇を器用に乗り回して後方へと下がった二人に急接近していくと、マシンを乗り捨てて】
【そのまま"転倒"させ、火の手が上がったマシンを"ぶつけ"させる事でトドメをさそうとするだろう。】
【当の本人は素早く船から飛び降りると、一回転して着地、カガリ、櫻、剛太郎、アサドの前に現れる。】


 ―――遅くなってごめんね、ようやっと追いつけたよ。
 みんな進軍速度が速くて困っちゃうさ、お陰でバイクを手放せなかった。
 さて―――予想通り敵が多いみたいだ、こっからはアタシも手伝うよ。速撃ちなら任せて。

【メインの武装である"アーマー"を装着した状態で、顔を垣間見ることは出来なかったが】
【その声、その身振り手振りはまさにUTの創設者、セリーナ・ザ・"キッド"のモノであると分かるだろう。】
【数刻前にビッチだのなんだのと言い合ったばかりの櫻に対しては、からくように手をひらひら、と振って―――、】

【愛銃を引き抜き、構える。クリスの合図があれば、彼女もまた進軍に加わるだろう。】

/遅れました、ちょっと人数把握が可笑しくなっているかもしれないので、指摘があればすぐ書き直します。
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 21:07:55.02 ID:DsZRjTGJo
イベントでこれだけ堂々と遅刻とか本当にタチの悪い主人公様だよな
しかも悪いとも思ってないしこいつ
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 21:08:15.27 ID:DsZRjTGJo
誤爆すまん
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 21:14:28.77 ID:j9fR9hjo0
>>842

【霧は互いにとって平等に視界を奪う物だと思っていた。しかし……実際は、そうでは無かった】
【霧は、全て時雨の感覚下に置かれていた。つまり、彼女の手で自由に操れるという事でもあり】
【―――その霧は空気中に広がっている。つまり彼女は空間そのものを把握しているという事になる】
【見えなくても感じて≠「たのだ。これは、誤算だった……!】

(この霧全てが、時雨の感覚下にあるってことカ……!厄介だネ……迂闊に近づけないヨ。)

【霧で感じ取れるという事は、不意打ちも出来ない。霧を利用出来るのは時雨だけ……これは、不味い】
【迂闊に動こうものなら、霧に触れて感付かれる。かと言って、そのまま止まっていては知らぬ内に近づかれる】
【此方は見えていないのに、あちらは気付いている。そんな状況で正面から向かって行くのは馬鹿だ】

【一方的に場の感覚を掌握される非常に不利な状況。―――しかし、春燕の顔に諦めの色は無かった】
【にやっと小さく笑う。まだ、この状況が完全に時雨有利と決まった訳では無いと言うかのように】
【相手は見えなくても感じる=Bでは……その見えないのに感じる感覚≠逆に利用してやろう。】
【少し霧が晴れたとはいえ、まだ春燕は見えていない筈だ。霧で感じるのは姿形だけ。ならば―――】

どれだけ想定外の事があってもどんな状況でも、その状況を逆手に取ることだってできるんだヨ。
土符・火符・陽符―――≪びっくり爆弾土人形≫。これなラ―――

【霧から離れて、春燕は黄・緑・白の符を重ねる。すると、みるみるうちに土が隆起して】
【やがて隆起した土は人型となる。春燕とほぼ同じ姿をした、生きたように動く土人形の完成だ】
【これで、正面から突入してきたと勘違いさせられるだろうか。そうなれば―――しめた物だ】

【もし迂闊に土人形を直接攻撃すれば、怪我をしない程度に軽く爆発するように仕掛けてある】
【怪我はしない程度だが……―――爆風によって霧が飛散する程度でもある】
【霧が晴れたら、その瞬間に春燕はもう一度きりを生み出されるより速く距離を詰めるように飛び込んで来るだろう】
【相手は強い。だが……―――だからこそ、あっと言わせてやりたい】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/20(月) 21:15:00.50 ID:2PERHbF10
>>806

【割った、という自覚さえ余り感じられないまま 受けた衝撃で自分の身体もややよろける】
【一歩、二歩と不安定ながらに後退するものの、距離はそれほど開かずに 結局はワザワイに飛び掛かられて背中を砂に擦ることになった】

【恐らくはもう間もなくに勝負はつくはず、お互いに消耗していることは素人の観客から見たとしても解ることだろう】
【きっとエリーゼはここしかないと、倒れた直後に悟った筈、目線が足首の風船と平行になったとき その攻撃を放つ】

………………っ……!!はぁぁぁぁっっっ!!!
(お願い…………届いて……ッ………………!)

【防御は捨てて、ただワザワイの風船だけを狙いトンファーによる一突きを繰り出す】
【自身の得意とする防御を切ってまでも、勝ちを狙ったのだ、ワザワイからして見れば今のエリーゼは姿勢などとっていない全くの無防備だ】
【風船もきっと片方を割ることには成功してしまうだろう、もう一方を割られる前に間に合うかどうか……全力を込めたエリーゼの最後のカウンター攻撃だった】
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 21:16:18.44 ID:DsZRjTGJo
>>854
501 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:01:27.32 ID:auaAu9V10.net[1/2]
リーべと犬山居るならイベント参加しなくていいや
502 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:20:22.45 ID:vbDWqK0W0.net[1/3]
そもそもマリアの取り巻き(下半身猿)が考えた水着でやる大会とかいう時点で終わってる
何人参加すんのかな
505 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 12:59:03.65 ID:lvKuTy7d0.net[1/2]
水着大会クソワロタwwww
ホントに中学生並の性欲猿だなこいつ
506 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 13:03:47.02 ID:vbDWqK0W0.net[3/3]
確かマリアにエロ絵みたいの描いて見せて喜んでたからなこいつ
590 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 22:22:45.05 ID:NDVAxqDl0.net
チンポ脳主催に犬山アサドリーべ害悪三人衆
592 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 23:05:50.15 ID:DS2wqxx00.net[2/2]
キングのイメージのせいで未だにセリーナが女だと思えないんだが、
チンポ脳集団にはあんまり関係ないんだな
593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:07:41.67 ID:M3JwjKcv0.net
チンポが延期するらしいぞ
594 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:27:51.75 ID:RbyC4eKx0.net[1/2]
一週間以上前から募集してるのに何で集まらないか不思議だなwwww
599 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:26:23.92 ID:AsaQazYX0.net[1/7]
チンポ大会やっぱり主催のチンポも出る予定なんだな
考えてること見え見えすぎて面白い
601 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:55:44.23 ID:oGY47fPD0.net[1/2]
チンポ呼ばわりはマジで草生える
602 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:00:01.61 ID:AsaQazYX0.net[2/7]
チンポ脳でマリアのへったくそな絵描いて媚びてる以外特徴ねえしなあいつ
某所じゃ一番のチンポだしチンポの人でいいだろ
609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:27:41.86 ID:oGY47fPD0.net[2/2]
そもそも今の某所自体にロクなのがいないから仕方ない
新規を楽しませる気がなく、自分が[田島「チ○コ破裂するっ!」]することしか考えてないクソ古参ばっか
622 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:21:57.84 ID:RbyC4eKx0.net[2/2]
いくら擁護しようが工作しようが一週間前から募集しといてこの惨状なんだから某所民のブラックをどう思ってるか分かるな
623 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:25:03.10 ID:AsaQazYX0.net[7/7]
ヤリたがってたセリーナとマリアのキャラ出るんだからチンポの人は満足でしょ
688 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:31:26.24 ID:DX760ziT0.net[1/25]
一方チンポの大会は某所のメインキャラ大半が集まってて盛況ですねえwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
・・・人数足りないから延期した大会ってこれくらいじゃねえかな
689 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:44:06.90 ID:yrVn5R3B0.net[2/4]
半分以上が害悪な大会が今から楽しみだわwwww主催からして直結害悪だしwwww
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 21:16:58.73 ID:DsZRjTGJo
>>854
691 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 13:53:16.51 ID:tfvRPCS90.net[1/3]
チンポが使ってるキャラを全く知らないんだがスレ内のポジションはどうなんだ?
692 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:06:38.60 ID:vbDCSWug0.net
チンポが使ってるキャラって出てなくね?
あいつのキャラが動いてる所を見たことがない
693 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:23:23.28 ID:pXMQ2R1N0.net
セリーナマリアシェン辺りにはよく絡んでるよ、それ以外に絡んでるのは見たことないし投下してるのも見たことない
694 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:34:29.04 ID:DX760ziT0.net[3/25]
中心人物の小判鮫って印象、ロール自体は下手ではないが特徴ない
695 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:34:51.43 ID:Y7f4Bspz0.net
つまりセリーナマリアシェンのチンポって事か。呼び名もチンポ、存在もチンポとか笑えねぇな
696 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:41:59.06 ID:DX760ziT0.net[4/25]
そいつらに張り付いて自分が実力者と勘違いしたのか最近態度もでかくなってきてるな
チンポの頭の中じゃ自分も某所を代表するプレイヤーの一人のようだ
703 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:00:17.08 ID:DX760ziT0.net[6/25]
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

どんどん増長してるからその内覚醒していいネタになりそう
704 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:04:44.11 ID:yrVn5R3B0.net[3/4]
ちなみにサメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります、イカ等に絡みつかれるといったシチュエーションも可能ですのでご自由にどうぞ
705 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 17:50:35.56 ID:WN/iOFmt0.net[2/7]
チャHとか発掘されて爆発すればいいと思うよ

826 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 04:08:14.57 ID:SQDZV/vT0.net[1/4]
イベント始まっても某所が全く盛り上がってなくて笑った
834 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:08:52.26 ID:gy3HSuMn0.net[2/15]
某所民は皆某所に執着してるから他の場所とか行かないだろ。但しゴミ溜めは除く
835 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:13:50.38 ID:xmkOhUvO0.net
相手されない新規や中堅ならともかく内輪作っちゃってる中心人物はもう某所からは離れないだろ、内輪が心地良すぎて
836 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:40:46.78 ID:gy3HSuMn0.net[3/15]
相手にされないと言っても内輪にどうにか取り入る脳味噌があれば快適なロールライフ遅れるんだがな。あいつら馬鹿だから取り入るのなんて簡単だろ
838 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:42:28.52 ID:Wo1gnoAy0.net[3/4]
某所とかダラーっと長文書き殴って中心人物に媚売ればちょちょいのちょいやろ
839 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:49:15.76 ID:SQDZV/vT0.net[2/4]
チンポやチンポ脳みたく自分を中心人物と勘違いしてる奴に行くと直結粘着してくるから注意な
840 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 14:23:41.86 ID:gy3HSuMn0.net[5/15]
その辺は三人くらいキャラ持っといて粘着させる女キャラ一人くらい入れとけば良いだろ。
悪側では無くある程度中立なら受け流すの余裕だろ。主のキャラ動かす時はこっちから出てやれば良いし


http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1437312911/l50
857 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 21:23:37.34 ID:S7ydB6/6o
>>844>>845>>848>>849>>850

【接近してくる剛太郎めがけて機関員たちは銃撃をするが、その奥義に翻弄されて掠めもしない】
【気づいたころには目の前。素早く正確な打撃が機関員を直撃して、壁や床へとたたき落としていく】
【三人の制圧は瞬く間に終わった。残りの二人も距離を取ろうとするが、別の攻撃が向かってくる】

【機械音。それが聞こえた次の瞬間に、セリーナの姿が現れた。彼女がマシンを突撃させて、残りの二人を仕留める】
【最初の二人もカガリの一閃によって両断され、物言わぬ死体と化す。こうして進路は確保された】


【反対側の三人のうち一人は櫻の一撃によって胴を両断される。残りの二人は櫻を狙おうとするが、そこにアサドの攻撃】
【盾を破壊するほどの威力の弾丸が彼らの身体を掠めていった。それだけで彼らの身体は削り取られ、断末魔と共に床に倒れこんだ】
【反対側の道についてももう敵は残っていない。出揃った五人の元にクリスと少数の軍人たちが合流する】

【クリスが立ち止まって通信機に意識を集中していた。恐らくオペレーターと連絡を取っているのだろう】

「どうやらこちらの方に艦橋があるようです。そちらの道の先には高濃度の魔力が検出されています」
「恐らくは六罪王がいるのでしょう。皆さんにはそちらを抑えていただきたいのです」
「貴方がたが時間を作っている隙に、僕たちが艦橋を制圧してこの艦を止めます。どうか、お願いします!」

【そう言ってクリスたちは左の道を進んでいった。残るのは五人だけ。道中にも敵の気配はない】
【銀色の通路をひたすらに走り続けると、その先にあったのは扉が一つ。近づけば、自動で開いた】

//続きます
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/20(月) 21:24:14.06 ID:DsZRjTGJo
>>854
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

女キャラに粘着することしか頭にない上にこの程度の腕で自分が上手いと勘違いした害悪。上のレスは大半が現役の意見なのでよろぴく
859 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 21:25:27.16 ID:S7ydB6/6o
>>844>>845>>848>>849>>850

【扉の先は二百メートル四方はあろう広大な部屋だった。天井までも数十メートル。一番奥の壁は一面ガラス張りで空が見えた】
【その巨大な窓の手前。簡素な執務机に椅子。何も乗せられていない机の向こう側に、男が座っていた】
【六罪王『ロード・ケイオス』だ。彼は左耳のイヤリングを指で弄りながら、窓の外の景色を眺めていた】


…………酷い有様だ。一方的な見解だが、カノッサ機関というのは、もう少しは強くなかったか?
俺が若い頃はもっと、恐怖の集団だった気がするんだがな。今じゃ若い奴の登竜門みたいなもんだ
いや、お前たちの強さこそ讃えるべきか? 二十代の頃の俺が弱かったのかもしれないな…………


【緊張感が欠片もないような声で、彼は景色を見たままそう言った】
【椅子から立ち上がるとゆっくりとした動作で机の前へ回り込み、やってきた一人一人へと視線を巡らせた】


アサド・アル=アーデル、だったか? 確かエルジオ戦でも見たな
国家の枠組みを超えた精鋭部隊、SCARLETのエース。各地の紛争に個人部隊を送り込む現代の英雄、というところか?
まだ若いっていうのにな。もう二年もすれば執務室で働けと言われるんじゃないか?


天辰櫻。前回は手痛い目に遭わせられたな。今回も二番煎じになりそうなのが辛いところだ
六罪王撃破は会社の功名になりそうか? 今じゃカノッサ機関も一企業の宣伝代わりだ。泣けてくる
まぁそれもこれも俺のせいだから仕方ないんだがな。新参者じゃこんなもんだ


剛田剛太郎。これで戦うのは三度目か。お前も飽きない男だな
図書館の面々はどうしてる? 警備隊の連中はかなり痛めつけてやったはずなんだがな……ククッ
そろそろお前の顔も見飽きたから、これで終いにしたいところだが、そう簡単にはいかんだろう


そっちの剣士は見覚えがないな。俺の名は『ロード・ケイオス』もしくは『アイン』だ、好きに呼べ
お前もこんなことにわざわざ参加するとは物好きだな。剣士らしく、戦い好きなのか?
まぁなんだっていいがな。魔術師としては理解に苦しむわけだが


あとは…………いつぞやの小娘か。元気そうじゃあないか
ついに俺もあのUTのセリーナ・ザ・“キッド”に狙われるわけだ、出世したもんだな。昔はただの図書泥棒だったんだがな
そういえば、UTの本部は大丈夫だったか? エルジオへの射撃はそこの若旦那のせいで狙いが逸れてな?
吹き飛んでないならいいんだがな……もっとも、市民や従業員のことは知らんがな


【一人一人に向けて呑気に男は言葉をかけていた。余裕とは違うが、あまりにも緊迫感がない】
【机の上に腰を下ろすと、それぞれの対応を待っていた】
860 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 21:33:07.33 ID:Yf4QI3R2O

>>853

ーーかかった!?

【霧の中に人型が出現する感覚を覚え、警戒に入る藍璃】

……だけどおかしい。一度撤退して、再びこの炎熱の霧に突撃してくるかしらーー?

【しかし、違和感を覚えて警戒より疑問を抱いた】
【相手は強いーーだからこそ、この程度に引っかかるだろうか?】

……わからないけど、何かが蠢いているのは確かーーなら、近付く必要は無い、か。

【疑問をそのままに、迂闊に近づくのは危ういと考える】
【そして、指揮棒を霧にかざしーー円を描く様に振った】
【霧が蠢めく人型に向かって、収縮していく!】
【それがもし春燕であれば、呼吸が更に困難になるだろうが、昏倒する程度で致死性は無い】
【最初の泥団子のような固めたものなら、脆ければ崩れさるだろうがーー】

本人なら、特攻をかけてくる可能性もあるわね……一応、距離を置いておく、か。

【そうして自分は霧から僅かに離れ、指揮棒を向けて待機した】
861 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/20(月) 21:33:59.79 ID:4rFt1KA40
>>854

【なんとか少女を砂浜に叩きつける事ができたがまだまだ幼い子供故かスタミナが足りない、とは言えどもウエイトが同じくらいの相手も同じような物であろう】

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!」

【それはもはや直感、人としての言語ではなく唯の叫び】

【片手の水風船を破裂させたがそれでもイーブン】
【水風船の破壊よりも先に迫り来るトンファーの一撃を戟で受ける、が、その衝撃で唯一の獲物が手から弾き飛ばされて波打ち際に突き刺さる】
【それもトンファーの勢いが止まったかはわからない】
【それでも少年は少女と同じように全力で、深紅の瞳にただ一つの願いを、『大好きな姉に良いところを見せたい』と言う極平凡で、ありきたりで、それでも漸く願えるようになった願いを込めてその右手に煌めくダイアモンドダストを纏わせてもう片腕の水風船を手刀で割ろうとする】
【一瞬にも満たない刹那、果たしてこの激戦の勝敗は果たして___】
862 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/20(月) 21:44:21.26 ID:c76EY4haO
>>850>>857>>859
【突如現れたセリーナ・ザ・キッドによって四人による戦闘で倒しきれなかった二人の機関員も世界から取り残された肉塊となった】
【静まりかえる艦内、この場に揃った四人の精鋭と一人の鍛冶師によって蹂躙されきったカノッサ機関の天空の居城は異様なまでに静かに感じられた】

おや…数時間ぶりだなキッドさん。豪快な登場御苦労さん

【軍人が暫くの間通信を取る。次にこちらに向き直った時、彼は自分たちに向けてこの作戦の最終目標とも言えるべき事を口走った】
【六罪王の制圧。それは自分のような者に任されるには大きすぎるミッション】
【だが、不思議と心は穏やかだった。自分は剣を持ち、剣を作り生きて行くのだと再確認したようだった】
【カガリは軍人に促されるまま銀色に輝く道を小走り気味に進んで行った】

【その先にそびえる扉をくぐった時、彼は眼前に座する標的を見据え視線に殺意を乗せた】

(六罪王…カノッサの幹部クラスって奴か…もう、面倒とも感じないな…正親町一門の名はうなぎのぼりだ…)

【彼はそう思いながら六罪王の悠々たる演説を聞き終え彼は小さく言葉を発した】

アインね…ご丁寧にどうも…
正しくは剣士じゃないがな…剣を作る者は剣のために戦うんだよ…
(剣だって…無名のままじゃぁ可哀想だろう)

【彼は不愛想にそう呟くと彼の身体と同程度の長剣を低く構えた】
863 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 21:47:18.76 ID:36cEYCgDO
>>857(主催)&ALL

【機関員を斬り裂く。血の多い臓器か太い血管でも破ったのか、血飛沫が頭からかかる】
【白いシャツが赤黒く染まる。生臭さも感じ、天辰は表情を僅かに歪めた。──血を浴びる、というのは気持ちの良いものではない】
【時間が立てば血が乾き動きにくくなるだろうし、何より不快だ。シャツの換えを持ってくればよかった、なんて薄らと思う】

【ぎゅ、ん──! 両脇を、高速回転する火炎弾が駆けていった。残った機関員の身体が、仲良く半分ずつ抉られる】
【同時に2人を撃ち抜くとは。高い火力に精確な射撃……味方にすると心強いタイプだ、と天辰は思った】
【流石にこれでこちら側の3人は倒せただろう。……不死身だったり改造人間だった場合は話が別だが】
【機関員の残骸に背を向け、剛太郎やカガリのいる方を向く。剛太郎が格闘技で敵を昏倒。カガリは相手を斬り伏せていた。残すは2人!】
【その2人を、突如聞こえてきたエンジン音が打ちのめす。現れたのは……セリーナ・ザ・“キッド”!】
【これで、丁字路にいた敵は全滅させた。まだ気を抜くわけにはいかないが、ふぅと小さく息を吐く】

【……セリーナが手を振ってくる。彼女のことはあまり好きではなかったが……挨拶をされた以上はお辞儀を返す。流石にガン無視するような真似はしなかった】
【「近くまで行っているのは見えていたので、先に進んでいるのかと思いましたよ」 そう、軽口までいう始末】
【セリーナ個人のことは快く思っていないが、戦力的な面ではUTのリーダーということもあり、一定以上は信頼しているということだろう】


【──敵の撃破後、クリスの指示が飛ぶ。ついに、再びアインと相対する時か】
【頷いて、右側の通路を進む。以前六罪王アインと戦った時は、同じく六罪王ダグラスもいて苦戦を強いられたが……今回はどうだろうか。刀を握る手に、緊張が宿る】
【扉の前まで来る。扉が開く。先に存在していたのは広大な空間と、1人の男。──≪ロード・ケイオス≫だった】
【部屋の中まで進む。ケイオスから声を掛けられる。……敵との会話は、好きでも嫌いでもなかった】


…………お陰さまで。この間は、辻風さんという新聞記者さんから取材まで受けました
もっとも……僕1人の力じゃないのですけれどね。皆さんが居たからこそ、エルジオではなんとかなったんです

それに……エルジオの砲撃を僕のせいにしないでください
僕があの魔導砲を壊さなければ、更に多くの被害が出ていた。違いますか?


【小さく笑い、≪天龍≫を構える。「何故こんなことを」とは聞かなかった。敵がいて、それを倒す。それが天辰の仕事だったからだ】
【正義と悪の問答は、UTやSCARLET所属の者たちがするだろう。……社会を廻す、ネジのひとつ。与えられた役割を果たすために、今彼はここにいた】
864 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/20(月) 21:48:12.57 ID:tKKSLyF9o
>>857 >>859 >>All


――こっちは片づいた! そっちは………終わったか、流石だな。
セリーナも来たみてぇだな。久しぶりに会ったと思ったら、また相手が六罪王ってのも難儀な話だが……よろしく頼むぜ。


【天辰と自身の攻撃が三名の命を奪ったのを確認すると、アサドは沈痛な面持ちで軽く溜息を吐いた。けれどすぐに元の調子に戻り】
【すかさずカガリと剛太郎の方へ向き直るだろう。――セリーナの加勢もあり、その時には既に事は終わっていたようだ】
【カガリと剛太郎、天辰へ声を掛けると、現れたセリーナにも笑いかけるだろう。無事にここにいるという事は、お互い腕は鈍っていないという事だ】

【……そうこうしている内にも状況は動く。アサドは最後に、艦を止めるべく去っていくクリスたちの背中へ「そっちも気をつけろよ!」と大声をかけると】
【いよいよ六罪王の下へ進んでいくだろう。相変わらず最後尾付近に陣取って、油断せず周囲を伺いながら――】


……あんたがアインか。こっちも話は聞いてるぜ。
俺ぁとても英雄なんて大したもんじゃねえよ。ただまぁ――お前みたいなのを止めるのが、ちっと得意なだけだ。

で、新しい六罪王様は何が目的だ? そんなところでふんぞり返りたくてこんなことしてるわけじゃあねぇんだろ。
前はエルジオ、今回はフルーソ。……カノッサが掲げる世界の"混沌"って奴が、そのままあんたの目的なのか?


【――やがて扉を踏み越えて室内に辿り着けば、アサドは泰然とした挙措で佇む『ロード・ケイオス』と見えることとなった】
【ここまで追いつめられているというのに緊迫感のない男だ。よもや観念したなんてことも無かろう、その態度が逆にアサドの警戒心を強める】

【アインへ一連の事件の目的を問いかけつつ、アサドは『アルハーディ』のサイドグリップを引き抜いた。根底に≪A≫と刻まれたものから≪E≫へ換装】
【妨害されなければ――話しながらの状態で、すかさず四連続で引き金を引く。すると銃口から飛び出すのは水色と橙色の球体がそれぞれ二つづつ】
【……それらはアインへは向かわず、ゆるりと自律起動してアサドの背後で制止するだろう。今後のための準備をした、といったところだ】

【今回、アサドからアインへの攻撃はない。アサドは他の面々と違い、初対面ゆえアインの戦闘方法が掴めていないのだ】
【故に今回は、次への"布石"を打って様子を見ることにしたのだろう。『アルハーディ』の銃口を向けアインを狙いつつ、他の四名の出方も伺って】
865 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 21:57:36.39 ID:+BZdnWogo
>>857>>859

【"弾"末魔、そしてシングル・アクション・アーミーの両銃に弾丸をセットしながら】
【セリーナはクリスが通信機で外部と連絡を取っている事を把握し、周辺を警戒する作業に移る。】
【今のところ、敵の気配は感じられない。大勢いた勢力が先程の小競り合い如きで全て消え去るとも思えないし】
【なによりこの事件の首謀者の姿がまだ、見えないのだ。セリーナは敵が近くに居ないか確認しながら、クリスの指示を待った。】


 (―――……いるんだろう、"ケイオス"?)

 (何処に居るのか……そろそろ、姿を見せて欲しいんだけど、ね。)

【そうこうしている内に、オペレーターによって齎された情報がクリスの口から告げられる。】
【セリーナは静かに頷くと、頭の中で情報を整理した。船の機動力を奪う組と、六罪王との交戦組に分かれる。】
【実際問題、アインとは別に大量の機関員が基幹部には展開していることが予想される。どちらにせよ、苦難は必至だった。】


 アイサー、コマンダー・クリス。諸々了解したよ、こっちで六罪王サンを捕まえとく、ってワケだね。
 けど、動力を止めるにしても敵が一切道中に存在しないとは考えられない。くれぐれも気をつけて、"隊長"?

 さて―――魔術師さんのお出ましだ。……久しぶりに、再会といこうか。

【ボソリ、とそんなことをつぶやくと、セリーナは他の四名と共にその巨大な室内へと侵入していった。】
【窓から見える空、爆発が小規模に繰り返され、今尚も艦外では壮絶な航空戦力同士のぶつかり合いが起きている事を想像させる。】

【だが其れよりも何よりも―――クリスによって事前に齎されていた情報と同じ様に、】
【強大な魔力と、そして存在感、いや威圧感を放つ"男"に目を奪われる―――】
【六罪王・"ロードケイオス"。又の名を、アイン―――魔術師、だった。】

【だが、矢張り彼もまたどこか変わっていた。ただただ只管に圧倒的、という様な邪悪さは感じられず】
【自分のことを図書館泥棒だと皮肉ってみたり、昔と今のカノッサにおけるギャップに戸惑ってみたりと―――、】
【どこか人間臭い。そう思わせるような態度で―――そう、丁度"あの時"と同じ様な感覚で、接する彼に彼女は戸惑った】

>>862

 ……ふふっ、数時間ぶりだね。けど、随分長いことのようにも感じられる、不思議なもんさ。
 アタシの"アーマー"も結構彼方此方やられちゃってね、そっちの方は"損傷"、酷くないかい?
 痛いところとかあるようだったら何時でも言ってよね、救護キットは持ってきてるからさ。……と。

 ―――……傷を治すよりも前に、"お相手さん"をどうにかする必要がありそう、だけどね。
 でもカガリ君……妙だね、アイツ攻撃を仕掛けてこない。……なにか、ありそうだと思わない?

【セリーナも銃を手に握る、が直ぐには攻撃せず―――相手の反応を、待った。】

>>857>>859


 ……おあいにく様。そう簡単にはやられなくてね。
 ウチの店も従業員も、そして店長のアタシも、どうしてだか悪運だけは豊富でさ。
 砲弾は逸れてたよ、尤も―――そのせいで被害が出た。ウチに落ちてたら、防護設備である程度防げたのに、ね。

 ……、アンタが気まぐれにブッ放した砲弾で、何の罪もない人間が死んだんだ。
 >>863櫻くんのせいでもなければ、剛太郎君のせいでもない。紛れも無くアンタのせいだ、アイン。

 ―――ああ、そうさ。アイン。……アイン、アイン。その名前、噛み締めてるところだったよ。
 なんだってアンタは……貴方は、あの時アタシに"あんなこと"を言ったのか。もう、わからない。
 敵対するため? エモノを泳がせるため? それとも―――それもやっぱり、"気まぐれ"なのかい。

 ……もし砲撃とあの言葉に"気まぐれ"以上の何かがあるなら……アタシが貴方を撃ち殺すその前に。
 聞かせて欲しい……尤も、アタシの仲間>>864がそこまで悠長かは、わからないけど、ね。


【セリーナは二挺の拳銃に指をかけると、ハンマーをゆっくり引き起こし、臨戦態勢にはいった。】
【すぐにでも撃ち殺す準備は出来ているぞ、と―――六罪王を相手に、挑発するかのようにそう言った。】
【だがそこには本音も隠れている。なぜ、そんなことをしたのか。なぜ、そんなことをする必要があったのか、と】

 
866 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 21:59:45.44 ID:4WHNzzELo
>>857

【全ての敵は制圧し終えた……そうこうするうちにセリーナも合流したのを確認する】
【しばらくした所で艦橋の奥に何かを確認する、あちらをどうにかすればアインの目論見を防ぐことが出来るか?】
【そのために必要なのはアインの妨害、それを可能な限りやりきる事だ】


了解だ、クリス……あっちを止めるのは任せたよ
まあ、とりあえず抑えられるだけ抑えてみるよ……セリーナも合流したことだしね

(あちこち移動しているうちに……残り1時間とちょっとかな)


【クリスと別行動を取り、向かう扉の先にいたのは―――アインだ】
【執務机の奥に腰かけこちらを見ずに言葉を紡いでいくことだろう……一人一人に言葉をかけてくる】
【それに対して彼も、ゆっくりとアインの方向に歩み寄りながらその言葉に応える事だろう】

いたって元気さ。……おまえとの戦いで家族を失った人はちょっと空元気気味だけどな
三度と言わず何度だって行くさ。ムカついてるし……それに知りたいんだ、おまえが……あんなに人を殺してまでやりたい事ってなんなんだよ?
悪事を働いてまでやりたい事ってなんなんだ?それがわからないまま死ぬつもりはない

―――目的が何かをはっきり言ってみろ。もしふざけた言葉を口にしやがったらまず俺が右ストレートでぶん殴るけどいいな


【アインのすぐそばまで近づき、基礎の構え『紅葉』を発動し、即座に戦闘態勢を取りながらそう宣誓する】
【もし敵意をあおるようなことを言ったら彼は間違いなく彼に殴りかかってくるだろう】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/07/20(月) 22:12:20.52 ID:2PERHbF10
>>861

【最後のそれはきっと届いたはず、響いた破裂音は一つ……いや、正確には二つか】
【きっとほぼ同時だったのだ、暫く ビーチが静寂に包まれるがすぐにどよめき始めて】

【審判が勝敗を決めかねて、ただ何も言わずに立っていると そこに手を挙げた者がいた】

…………私です、私の風船が先に割られました、だから 勝負は彼の勝ちです。

【そう、エリーゼの自己申告だ、彼女は自分の方が先に敗北したと審判に宣言した】
【本来ならば録画されたビデオを再生して決めるところだが 自己申告と言うことは降参と捉えられ、そこまで至ることなく決定される】

【つまり……ワザワイの勝利ということだ、一回戦目の勝者は間違いなく彼!】
【会場がその決着と勝敗にどっと沸き立つことだろう、エリーゼは立ち上がるとワザワイに手を差し出して】

……おめでとう!すばらしい戦いぶりだったわ、今回は私の負けね。
次も頑張って、そのお姉ちゃんに見せてあげなさい、私も応援しているわ!

【握手をするかは彼の自由、とにかく今、この戦いは幕を下ろすことになる】
【金色の髪をひらひらさせながら去っていくだろう、太陽に照らされているからか 妙に絵になるような去り際だった】

/勝った方はイベントスレに結果を書き込んでください
/試合ありがとうございましたー!
868 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 22:15:33.14 ID:S7ydB6/6o
>>862

剣を作る者……なるほど、作り手の方だったか
となると目的は明確だな。そこらの連中よりは共感できるかもしれん
もっとも、魔術師が魔術のために、じゃ意味がわからんがな


>>863

ははっ、馬鹿正直なやつだ。軽い冗談だったんだがな
確かにあのときはキングという怪物もいたしな。だがそう謙遜するな
お前だって十分に強いじゃないか。接近されれば、俺だって距離を取りたくなる


>>864

得意の一言で止められる方も辛いんだがな。俺たちみたいなのを倒すのが、英雄なんじゃないのか?
“混沌”、か。そっちの通り名で呼んでくれるやつはあまりいないな。ケイオスという呼び名は嫌いじゃないんだが
目的は、と聞かれれば……さて、何だと思う? あまり考えたことはないんじゃないか?
何せお前たちは毎回毎回、何のかんのと言って機関やら何やらを倒し続けてるからな。あまり考える必要はなさそうだ


>>865

そうか。それは良かったな
…………何だ、どいつもこいつも冗談が通じないな。そんなに真面目に生きてると疲れるぞ
お前だってTVの向こう側の死人に同情はしないだろう。俺はお前より少しその範囲が広いだけだ

…………さて、お前が何を気にしているのかさっぱりだが。俺も一から十まで説明するほど親切じゃない
俺の行動の意図など勝手に考えて勝手に解釈するといい。これから殺される予定の俺としては、答える理由がないな?


>>866

“ふざけた”、か。殴られないためには、お前が納得できそうな嘘を用意する必要がありそうだな
例えば俺には死んだ家族がいて、それを蘇らせるために魔術の研究を、とかな
まぁこれも納得がいくかは知らんが。少しぐらいは同情してくれそうだ

因みに死人を生き返らせる、なんてのは魔術でも不可能なんだが、今は講義の気分じゃないな


>>ALL

意外と俺が何をするつもりなのか、気にしてるやつがいたりいなかったりだな
剛太郎に、正義組織の面々は職業柄、気になさっているようだ…………これはお答えしなくてはなるまい

まぁ、一言に纏めてしまえば、“革命”という行動をどう思う? というところか
別に俺は革命家じゃないし、革命をしてるわけでもないが、本質的には似たようなものだ
持たないものが最低限を得るために、必要な力を行使して、他者から奪い取る。これをどう思う?
あるいは、カルネアデスの舟板でもいいが、あれは答えが出ているからな


【各員が臨戦態勢を取っても、六罪王は武器の一つも出さなければ、魔術の用意さえしていない】
【油断なのか余裕なのか。作戦、という雰囲気は一切しなかった。だが目的は不明だ】
【もちろん、時間が経つほどに別働隊の任務は遂行しやすくなる。それは明らかに有利な点だった】
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/20(月) 22:27:29.40 ID:j9fR9hjo0
>>860


爆発作戦は失敗、カ。ふふっ、でもネ……―――その人形、囮でもあるんだヨ。

【土人形は、いくら自分で動くと言っても土くれの塊。水を吸えば脆くなってしまうのは当然の事で】
【結局、収縮した霧によって土人形は崩れ去る。だが……―――霧をぎゅっと凝縮させたことによって、周囲の霧は逆に薄くなった】
【薄くなったことによって、おぼろげながらも時雨の姿が見えた。霧が薄い場所なら呼吸も出来なくなはい……!】
【全体に霧が広がっている状態なら斬り込めなかったけれど……薄い霧なら、まだなんとか我慢できる!】

これで霧が薄い部分が出来たネ。―――ここなら道はあル!
行くヨ、時雨サン。貴女はとっても強いけド……私にだって、意地はあるんだかラ。

【春燕は、時雨が霧を収縮させている間に敢然と前へ進むことにした。途中で感付かれても、構うもんか】
【途中で気づかれて霧を広げられても、少しの間だけ熱いのを我慢すればいいのだから】
【フィールドは35m四方。走ればたったの数秒だ。数秒熱いのを我慢すればいいのだ】
【先程と違って、時雨の手に矢は無い。左手も使えない。もう、時雨に近づく事を躊躇する理由は無い】

せーの、ッ……うりゃああああああああああああああああああ!!!!!!

【熱い。暑い。けれど、春燕は根性で駆け抜ける。霧が薄い隅っこを、一目散に】
【途中で気づかれて霧を凝縮させられても、止まる事は無い。ただひたすら、おぼろげに見えた時雨目掛けて突き進み】
【接近が叶えば、今度こそ正面から斬りかかろうとする。狙いは当然、首元の風船!】

――――その首の風船、貰い受けまス!!

【だが、霧が薄くなった場所を通ろうとしたとはいえ熱いものは熱い。当然体力も奪われていて】
【首元の風船目掛けて木刀を一振りした後は、がくりと膝をつく。走ったせいで息も荒く、当然隙も大きい】
【すぐに木刀を構えなおすが……ふらついた体は隙だらけで、手首の風船なんかは直ぐに割る事が出来そうだ】

870 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 22:35:04.12 ID:36cEYCgDO
>>868(主催)&ALL

【アサドが聞く。「何が目的だ」と。セリーナが問う。「何故あんなことを」と。剛太郎が告げる。「何がやりたいのだ」と】
【その問答を、天辰は静かに聞いていた。彼らが満足する答えをアインが返せば、彼らはどうするのだろう。大人しく船から降りるのだろうか】
【そんなことは流石にないだろうとは思っていたが……だからこそ、彼には疑問だった。──このやり取りに、意味などあるのだろうか、と】
【侵略者がいる。それを倒す。彼にはそれしか出来ない。天辰の持つ地位も、力も、知能も、それ以上のことはさせてくれない】
【現状を変えるには、彼はあまりに弱く、不足しているものが多すぎた】
【思考停止、と言われればそこまでだろう。だが、天辰は自分の意思で社会の歯車となった。様々な弱さを、自覚した上でだ】


……あなたに強いなんて言われると、恐縮してしまいますね。六罪王のお世辞なんて、中々聞けませんよ
それに──僕は、弱いです。本当に強く賢い人は……こんな処にはいません
そういう人は、そうですね。……ふふ。もっと、高そうな椅子に座って、遠くからこの光景を見ている人たちなんじゃ、ないですか?


そして──革命、ですか。まぁ、する分には革命家の自由だと思いますよ
けれど、それを許さぬ人々もいる。革命家の力が強いか、現状維持を望む勢力が強いか。当然、結果はその力の強弱により変化します
僕は……少なくとも今は“現状維持”の勢力にいましてね。ほら、僕は結局のところサラリーマンですから
なので、僕は会社の方針により革命に加担する人たちに力を振るい、残された僅かなものすら奪います
革命を起こさない環境を創る。革命家たちを助ける。……それには、僕の力は及びません
さっきも言いましたが……それを決定するのは、“高そうな椅子に座った人々”ですから


【投げ掛けられた問いかけに、答えを返す。このまま六罪王と戦わずして、別動隊が艦橋を占拠できれば、それはそれで良かった】
【しかしこのまま、会話だけで間を引き伸ばせるだろうか。緊張がはしる。何が六罪王との戦いの発端になるのか、まるで予測がつかなかった】
871 :ワザワイ・エスパス ◆0OEYGVrXeU [sage]:2015/07/20(月) 22:38:16.20 ID:4rFt1KA40
>>867
【一瞬の静寂の後に歓声と万雷の拍手が轟く会場】
【実際この男の娘も完全に分からなかったところに告げられた自己申告】
【ビデオを再生するなり言いがかりをつけるなりする所を自ら告げる潔さ、そして勝者への労いの台詞】
【故に少年はこう呟かざるを得なかった】

「格好いい…」

【と、それはもはや言葉では表す事の不可能な一度刃を、拳を、闘志を、本気を、全力を、惜しむことなく晒け出した者同士にしか持ち得ない感覚】
【敵ながら天晴れ、敗者ながら天晴れ】
【敗けを、負けを、恥じる事も、悔しがる事もせずに称える事が、讃えることが出来る】
【その行為と度量には感服と尊敬以上の念を禁じ得ない】
【何とかして立ち上がりエリーゼと熱い握手を交わす】

「君だって凄く凄かったよ!どっちが勝っても可笑しくなんてなかったよ!」
「ありがとう、君の分もがんばるからねっ!」

【こうしてひとまずはこの第一回戦目の戦いは幕を閉じた】
【金色の太陽とそれよりも眩い金色の去り際の姿を】
【紫色の髪の少年は心静かに見守っていった】

/これで〆にさせていただきます
/試合、ありがとうございました!
/エリーゼさん本当に格好いい!
872 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/20(月) 22:39:23.21 ID:c76EY4haO
>>868
【目的は明確、彼はその言葉に些か疑問を覚えた】
【いくら作り手が剣の名を上げたいがために戦うと言ってもそれは自分のためでは無い】
【ただ、ひたすらに自分の剣と、自分の剣を使う顧客のためだ】
【剣は無名のままではただひたすらに金属の塊でしか無い。だが、剣は名のある鍛冶師が作るとそれだけで一つの価値を持つようになる】
【あの鍛冶師が作った剣だぞ。と】
【その時、その剣はただ人を斬るための業物から芸術品まで様々な価値を持つ。剣は世界に産声を挙げる】
【顧客は名のある者が作った剣と言うだけで安心感を覚える。これは素晴らしい剣なのだと、自らは古今無双だと】
【戦地へ赴く者への少々の手向けの花】
【それが剣のためなのだ】
【ひたすらに自らの力を振るうための魔術とは違う。それもここまで大仰に世間へとひけらかすような物では断じて無い】
【剣のために苦しむのは】

…剣のために苦しむのは

【自分だけで十分だ】

…自分だけで十分だ

【カノッサ機関六罪王の自らのマニフェストを語るかのような演説、それは最早こちらを舐め腐ったような態度と彼は感じている】

(カルネアデスの板。哲学的な話を持ち出してくるものだ)
(さしずめ俺たちは海に投げ出されて板にすがろうとする哀れな男か……ふざけた物だ)

一人しか手に入らない光があると言うのなら全てを闇に包んでしまえ…
何かの犠牲無しに何かを手にする事は出来ない。だが、何も無い場所から人は何かを作り出せる。
……柄でも無いけどやたらと変な事を言っちまったな……もう、面倒だ

【彼は自らの得物、「乖人剣Ba.」を振りぬき、一目散にアインへと突撃する】


Collapse caeli, sanguinem madefecissem de Ziggurat, turrim Babel erat pcoruscavit
天空の崩落、血濡れのジッグラト、バベルの塔は瞬いた

【彼の剣は彼に呼応するかのように一瞬だけ煌めく、彼の身体に完全に馴染むかのように剣が軽やかにアインへと迫っていく】
【彼はまるで床すれすれを飛ぶかのように戦闘へと臨んだ】
873 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/20(月) 22:40:53.90 ID:tKKSLyF9o
>>868


そりゃあ悪かった。だが……英雄だ何だのともてはやされるのはどうも性に合わなくてよ。
それに本当の英雄ってのは、こんな風に悩んだり迷ったりしねぇだろ。ばばっと敵を理解して適切な対処が出来るのが、本当の英雄だ。

……そういうの、考えてるし気になってんだ、毎回毎回。我ながら女々しいけどよ。
黙って殺し合うだけじゃあまりにも、虚しすぎる。……こういう甘い考えだから、俺は英雄になれねぇんだ。


【先ほど機関員の三人を殺したときも、やや表情が曇っていたが――つまるところ、アサドという男はそういう人間なのだろう】
【何のかんの言いながら最終的には悪を狩ってきた。結果だけ見ればその通りだが、そこに至る過程の中で、果たして幾つの命が大儀に飲まれて消えたのか】
【その数をいつまでもウジウジ気にして振り返っているのが、この男の本質だった。無論、割り切るべきところは割り切って引き金は引けるが、】
【悪を殺したその後で、あれでよかったのかと後悔する。殺さず収まるならそれでいいと男は考えていた。――うまく言ったことは、殆ど無いけれど】


革命、だぁ………?
話が見えねえな。お前のやってるこの行為は、持たない者が持ってる奴から奪い取る行為なのか?
俺にゃあ――無作為に壊し尽くしてるようにしか見えん。全部ぶっ壊しちまったら、奪い取るも何もねぇだろう。

――お前がこの世界から奪い取りたいモノってのは、何だ。


【アサドは攻撃しなかった。ここでの主要な任務は時間稼ぎ、こうして話している間にも別働隊が動いてくれているはずなのだ】
【それにまだ、敵の目的が読めてこなかった。革命家でもないのに革命じみたことをやっているという彼の台詞も解せないし】
【この布陣を突破して艦橋を守りに行こう、というような熱意も感じられない。この男はこの街を攻撃して、何がしたかったのだ――?】
【無論、この六罪王に力付くで何かを奪い取られて、それが「持たないものの当然の権利」と言われたところで黙って受け入れられはしないだろうが――】
874 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 22:52:41.47 ID:4WHNzzELo
>>868
【構えはとかない、アインの目と鼻の先でいまもなお戦闘を続ける】
【あと一時間で変身も可能になる、ある意味いい時間稼ぎのチャンスでもあるが】
【しかし彼は適当な事を口にするつもりはなかった、真面目な気質なのだろう】

……そりゃ残念だ、お前が殺した人たちをよみがえらせることができりゃあ謝る事も出来たろうにな

【さて、続いて彼から投げかけられた一つの問い、"革命"、最低限を奪うために力を振るう事を、どう思うか?】

"革命"なんてやった事ないからあんまりパッとしないかな……
ただ、最低限ってのはどれくらいかを聞きたいな。俺個人としては……最低限ってのは衣食住だと思うけど
雨露凌げて凍えない服があり、後はパンと水があるのがいいかな。

そういう事を……正しいか、間違ってるか、では表現できないな。俺ならそれをやろうとしているのを見たら……
まずぶん殴る。でもって……水と言わず牛乳とアンパンで腹でも満たしてもらうかな……いいぞ、他の奴はともかく俺はまだ殴らない、続けろよ


【答えは正しくも間違ってもいない、だそうだ】
【その上で目の前でそれが起きた場合の彼ならではの一例を挙げる。とりあえずこの時点でまだ彼の逆鱗には触れていないようだ】
875 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 22:52:52.40 ID:+BZdnWogo
>>868

【ハンマーをハーフ・コックの状態で留めると、セリーナは一度銃から手を放した。】
【油断、という訳ではない。彼を信用しているかと言えばそうではないし、セリーナはそこまで甘くない。】
【だが、仮に相手が対話を望んでいるのなら。それを無碍にする程温情を持ち合せていないか、と言うとそうでも無い。】

 (……むしろ、銃を抜いて戦闘になるよりはきっと。)
 (それに、普通にぶつかって勝てる相手じゃあ、無いんだ。)
 (言葉から彼の情報<ウィーク・ポイント>を引き出せるなら……)

 ……真面目に生きてるか、不真面目に生きてるか、疲労度合いにそれが関係してるとは、思えないけどね。
 不真面目に生きている、って事は、追われる何かに精神を蝕まれている証拠だし―――、
 真面目に生きているうちは、自分を律する快感を得られている、そんなモンさ。

 どっちにしても、疲れるのが必須だから、一生懸命ぶつけるだけの価値もある。
 アタシはそう思ってる、だから貴方の言う"革命"っていうのが―――どういう意味なのか、知りたい。
 知りたいという欲を馬鹿にすることは出来ないはずだ、そういう"人間"が図書館泥棒なんて、する筈が無いからね。

 ……ハッキリ言ってしまえばね。この間と同様、"革命"という行為にも善悪の概念は存在しないと思うよ。
 やりたい人間が、やりたいようにやった結果、必然的にその責が覆いかぶさる、それだけの事に違いない。
 ……たとえその過程で、どれだけの人が死のうが、悲しい思いをしようが……結局答えは同じだ。

 ―――けど、それじゃあ感想を聞いてる貴方に対する答えにはなっていないから
 アタシ自身が思う"革命"についての印象を話す、とするなら―――そうだね。
 決して、否定は出来ないよ。だって、アタシだって言ってしまえば"弱者"だ。


 銃を撃つ以外に何かがあるわけでもない。特殊な力も、世界を動かす頭脳も、圧倒的な腕力も、素質も。
 何も無い。銃が無ければただの人間、それがアタシだ。それがセリーナ・ザ・"キッド"だ、本当のところはね。
 そんな何もない人間が、何かを成そうとした時に、泥と血に塗れて、必要な力を用いるのは、当然と言えるよ。

 ……けどね。その過程で、自分の意に反するような事や、他人の意を害するようなことを平然と行えるなら
 それはもう"持たざるモノ"なんかじゃあ、ないんだ。そいつはね、"奪う"という覚悟を、"持っている"人間だ。
 何も無い人間が……同じ様に"ちょっと"しか持たない人間から何かを奪おうとするならそれは―――……

 ……もう、必死に生きていることでもなんでもない。ただのズル。ただの……卑怯な行為だ。

 それが貴方の言う革命に繋がっているのなら……止めなくてはいけない、ではなくて。
 アタシは止めたいと思う、自分の意思で。……そんな光景、見ていたくなんて、ないからね。

【ただ、セリーナは応えた。しかし―――それを背景に、攻防は既に開始される。】
【言葉に応じたアサドやセリーナ、櫻を尻目に、>>872のカガリがアインへと突撃を開始し―――】
【セリーナは、慌てて彼を止めようとするだろう。『待てっ、そんな悠長に会話できる相手に、無闇に突っ込むな』―――と。】


 (……カガリ君ッ、それは―――くっ!!)
 待って、普通に攻撃してもアイツにダメージなんて……っ!

【―――尤も、声を掛けるのが精一杯だ。それ以上のことは出来ない、これで彼が止まらなければ―――、】
 
876 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/20(月) 23:02:06.83 ID:/jESl0R+O

>>869

特攻ーー回避が間に合わなーーっ!?

【どうやら先程の人型は春燕が作り出した人形の様で、霧の中で崩れ去った】
【しかし、霧が縮小したその隙を狙って、彼女が目にも止まらぬ速さで懐に入り込む!】
【木刀が凪がれ、リンボーのようにして避けようとするが、身長差が仇がとなり風船は無情に弾けた】

首を打たれなかっただけ幸いかっーーだけどやられっぱなしだと思わないこと!

【藍璃も無理な体勢になってはいるが、相手は特攻の反動で暫くは動けない様子ーーここは安全策と反撃を同時に!】

ーーふふふ、私が先に追い詰められるなんてーー!
こちらでこれを使うのは初めてよ、光栄に思いなさいッ!

ーー其方は神に成りし者、其方は竜を喰いし神鳥なり……戦神さえを退いたその御姿、悠久によって与えられし必然の暴力、我が意志と成りて顕現しなさいーー神格は私が与えるッ! 
summon《金翅鳥とは迦楼羅天なり》

【指揮棒を肩の"ルーラ"に向けたかと思うと、何とそれを喰らってしまう】
【しかし、"謳った"次の瞬間ーーその体が鳴動、脈動、胎動……兎角蠢き肥大し姿を変える】
【藍璃が苦痛の表情を浮かべながら謳う度、それは太陽の如き炎熱を揺らめかせ煌めかせながら有翼の人型を成していき、辺りに眩い光を放つ】
【炎の色は一層金色に変わっていきーー謳い終えた時其処にあったのは、雄雄しき炎翼を持ち首から水風船をぶらさげた男性の姿だった】

ーータァァァァァック! 俺はルーラじゃねえ迦楼羅だって言ってんだろうがこの人間がああああ!

【男は登場と共に叫び、観客も唖然ーーだが、藍璃は息を切らしながら冷静に答える】

……う、るさいわね……私に召喚されなきゃまともな姿に慣れないのに、どの口が生意気なことを言うのかしらこの駄鳥……

【反動なのか、疲労困憊しながらも答える藍璃を見て、ルーラーー迦楼羅天はムッとした顔をするが、しかし、次の時には既に闘気を放ちだした】

ーー全く、わかぁぁってるっての……だが、俺を呼んだ以上ーーわかってるな?

……ええ、後でアムリタ、でしょう?
私あれあまり得意じゃないのだけれども……

【満足げな表情を見せる"迦楼羅天"。その目は既に、春燕を狩ろうとしていた】

わかぁぁってればいい……ならーー

【ちら、と藍璃を横目で見て、動けなさそうのを察すると、左腕で抱えあげて空へ飛び上がる】

さっさとーー

『終わらせるッ!』

【二人の声が同調し、響き渡る】
【熱い展開に観客が湧き上がる!】
【迦楼羅天は不死の炎を纏っている。消すことは叶わず、物理ダメージは無効となるだろう】
【藍璃を左腕に抱えていることが弱点になりそうだがーー?】

聖炎《迦楼羅炎》ッ!

【翼をはためかせると同時に、不死の炎が無造作にまき散らされる!】
【その着弾点には春燕も含まれており、このままでは手首の水風船は破裂してしまうだろう】
【更に周囲の温度は際限なく上昇し続けるーー短期決着をつけようとしているようだ】

……はぁ……はぁっ……!

【藍璃は召喚詩に体力を削がれていて、暫くは動けない】
【しかし、二度程度なら今の体力でも能力を扱えるだろう】
877 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/20(月) 23:04:53.54 ID:S7ydB6/6o
>>870

“高そうな椅子に座った人々”、か。なるほど、どうやらお前は少なくとも“賢く”はあるようだ
俺もかつてはお前と同じようにサラリーマンだったことがある。そのときなら、同じように答えただろう
そこまで分かりきっているのであれば、お前に対しては何も言うまい

ただ、俺たちの間における力の大小関係を見るだけだ

>>873

ククッ、なんだ、意図を知りたいというわりにはこっちの質問には答えないのか?
順番に導出しようかとも思ったんだがな。それじゃあ英雄とやらにはなれなさそうだ…………

俺は別に、“この世界”から奪い取りたいものなど何もない。この世界を破壊する気も当然ない
それはそうだろう? 全てを壊すなど派手な自殺でしかないのだから
まぁそれはともかく、だ。質問に答えたらどうだ? 革命のような行いは、どう思うんだ?

>>874

意外と話の通じる男じゃないか
なるほど、行動を止めつつもそいつの欲求を満たしてやる、か。そうされればその革命家とやらは黙るだろうな
だがそれはあくまで、満たしてやれる場合だろう? それが不可能ならばどうする?

>>875

“奪う”という覚悟、か。お前らしい言葉だな、UTのセリーナ・ザ・“キッド”
しかしそれは高潔さを持つお前らしい、精神論だな。まるでそれを誇りにして生きろと言わんばかりだ
そんなものを糧に生きられるのなら、この世界に争いなどあるまい。あくまで持たざる者は持たざる者、だ

それともお前は、その覚悟を持っているんだからそのままでいろ、とでも? そう言うほど愚かじゃないだろう?

>>872

【真っ先に飛び出していったカガリ。その前方で奇妙な“歪み”が発生。壁となってカガリの接近を阻む】
【それは空気を圧縮した大気の壁だ。何の事前動作もなく六罪王はこれを形成してみせた】


ふむ、作り手と言っていた通り、戦闘はあまり得意ではないようだな
別に俺はこいつを止めつつ喋っていてもいいんだが、普通なら一人が突っ込んだ段階で開戦だな
常識に従って、これより戦闘を始めるとしよう。動きながら話すのも悪くない
なぁに、そう緊張するな────


────所詮、これは“余興”なのでな


【突如重力を失ったかのように、男が空中へと浮かび上がる。右手には光と共に二又槍が出現】
【背後に巨大な魔法陣が現れ、そこから無数の光線がセリーナ、櫻、アサド、剛太郎、カガリへと降り注ぐ】
【一つ一つの威力はそれほどでもないが、とにかく数が多い。いくつも食らえばかなりの火傷になってしまう】
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/07/20(月) 23:22:23.32 ID:p0I6d0vmO
>>826

貴女……魔女が万能だなんて勘違いしてないかしら?残念だけど1を知り10を語るなんて事は少なくとも私には出来ないわよ
種だけ見て咲く花を当てろなんて事、望まれたって命じられたって出来ないもの
所詮普通の人間よりも厄介なだけの生き物、世間はそれを魔女と呼ぶ……それだけのことよね。まして御伽噺に出てくるようなことなんか有りやしないんだから

【燃やす、それ即ち形あるものを壊す事に他ならない】
【有る物をただ消費するだけに特化した魔術形態、しからばそこからどれだけの事が出来るのか】
【少なくとも少女の謎掛けに答えられるような事がある筈もなく、そしてそれを隠すでもないのがこの魔女の在り方】

わかったとしても見た通りにしか受け取れないし、ついでにどうすれば燃やし尽くせるかばかり考える……ね、厄介でしょ?
まあ、そういう存在だからこそ─────嫌がらせかしらねこんな音も響くようだけど、心地よいものではないわね……

で、そういう貴女はその中に一体どんな音を宿しているのかしら?
魔女の腸を覗いたのだからそちらも晒さなきゃ、道理が合わなくなっちゃうわよ

【燃え朽ちる音、個人としては忌々しいと恐ろしいとさえ思うが魔女としてはただ昂りを覚えるのみ】
【仕方なし、そう息を吐いて少女の音を囃し立てるのは今の音が個人として好ましくないからに相違なく……】

/遅くなりすいません!
/平日になりますと決まった時間に返す事が難しいので出来れば置きスレにてお付き合いいただければ幸いです……
879 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 23:31:37.73 ID:+BZdnWogo
>>875

【高潔さを"持っている"―――か。それは、生まれ乍らにして持っていた物では、ないのだが。】
【むしろセリーナはそんな強い心を持っていないからこそ、求め、時に挫け、そうやって此処までやって来た。】
【そう、アインが其れを高潔さだというのなら―――持っているのではない。彼女はそれを、"積み立てて"来ただけだ。】

 ―――そう、その通りさ。尤も、"高潔さ"なんて物は、
 人生において"持ち合わせ"だけでどうにかできる様な物じゃあ、ないけどね。
 もし高潔だと感じたなら、……それはアタシが、高潔じゃない人生を歩んできた何よりの証拠だ。

 偶には、ズルだってするさ。……時には折れることもある。
 グレて死んだ様な目で、「この世界は腐ってる」とか言いながら、世の中を俯瞰することも、ある。

 ……そういう色々を垣間見て。実際に経験して。絶望も、希望も、両方味わってきたからこそ。
 味わって尚、それでもただただ生きているからこそ。高潔で居られるんだろうよ。
 だから……"高潔"であることに、特別な資格なんて、いらない。

 貴方がむしろ、勝手に持たない物だと、相手を"小馬鹿"にしてるんじゃないかね。
 理想論の潔癖症だと、笑うかもしれない。けど、貴方と話して、あの時から色々分かったんだ。
 悲観するのも大事なら、楽観するのもまた大事なんだ、ってね。―――人間はそんなに、ヤワじゃないよ。


 持たざるモノかどうかは―――他人が判断することじゃあない。
 

 ……ただ。そんな"奪う覚悟"を持ち得てしまったのなら、それはもう……そのままでいろ、なんて言えないだろうね。
 さっきも言ったけど、討論のつもりも無ければ、議論の余地も無い。これはあくまで、"読書感想文"の発表会だ。
 アタシはこう思う。貴方はこう思う。だから―――"どうしなければならない"、そういうわけでもない筈だろう。

 否定はしないよ。そういう人間が居ることも……世の中がそれを強いてる面がある事も。
 だからこそアタシは、戦うための理由にそれらを論うのは辞めた。 
 ただただ、アタシが思うままに―――助けたいから、助ける。

 止めたいから、止める。……それでいい、結局はそれだけだ。
 貴方がそう教えてくれた。全て分かってなお―――建前の鎧は、捨てろと。
  

 ……だから……、
 
【撃った。まずは最初の1挺、SAAを素早く引き抜き、彼女は二発の弾丸を自分の正面へと撃ち放つ。】
【向かい来るレーザー攻撃に弾丸をぶつけることで弾き飛ばし、序に言うならその弾丸同士が"ぶつかり合う"事で】
【絶妙なタイミングを計算し尽くされた二発は跳弾、レーザーを弾くために周囲の壁にぶつかり、柱を跳ね、天井から降った】

【たったの二発だが―――向かい来る光線の半分ほどを弾き切り、セリーナは残りの全てを自分に向かう分は受け止め】
【鎧の耐久能力で耐え切ってしまう―――とは言え、事前の艦隊戦闘で既にアーマーはかなりの損傷を負っている。】
【鎧の彼方此方から弱いレーザーですら火花が散り、セリーナの呻き声が小さく鎧の外へと漏れる―――……。】

 ―――っ……! ……―――、撃つよ。


【もう片方の手で抜いた"弾"末魔を構え、魔力の弾丸を一発、二発と発射。】
【その内一発は正面からアインを狙い撃ちにし、もう一発は背後からガラスを跳躍して】
【背中越しにアインを撃ち貫こうとするだろう―――凄まじい速度で抜き撃ちし、彼女もまた、攻撃を開始した。】
 
880 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/20(月) 23:32:20.62 ID:+BZdnWogo
/失礼しました、安価ミスです。
>>879>>877宛です。
881 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/20(月) 23:32:29.60 ID:36cEYCgDO
>>877(主催)&ALL

【各々が各々の想いや新たなる問いかけを、アインにぶつけていく。だが、語るだけの時間は既に終わった】
【カガリが軽やかな動作でアインに迫る。──戦いが始まった。相手は六罪王。このまま見過ごすわけにはいかない】
【床を蹴る。天辰の身体を風が包み込む。宙に浮いたアインを追うかのように、天辰もまた空中へ】
【室内とはいえ広さはそれなりにある。近接戦闘を行うには十分だった】


──あなたから見れば、僕は強くて賢いわけですか……っ!
リップサービスありがとうございます……何も、言わないことも含めて
生憎……喋りながら戦うなんて器用な真似、僕には中々出来ませんから…………!

(空中……せめて、カガリさんや剛太郎さんの攻撃が届く場所まで引き摺り下ろさないと──!!)


【エルジオでの戦闘を思い出す。アインは魔術師。近接戦闘も出来る魔術師ではあったが……空中を飛び回りながら切り結べば押さえきれぬ相手ではない】
【床にまで引き摺り下ろせば、カガリや剛太郎の3人がかりでアインの動きは止められる。そこをセリーナやアサドに狙わせれば──!】

【魔方陣から光線が放たれる。能力を使い、前方に大量の水を展開。水は重力に従いすぐに床に落ちるも……】
【一時的に現れた水により、光線はねじ曲がりその多くが天辰から逸れてゆく! 光の屈折を利用した防御だ】
【それでもすべての光線を防げたわけではないし、他のメンバーを守る余裕もない。いくつかがじゅうという音をたて、天辰の衣服やその下の肌を焼いていく】


(くっ……熱、い……! で、も────近付けさえ、出来れば……!)


【光線の雨に焼かれながらも、天辰はアインに向けて突撃する。風のように、空中を駆け、翔ぶ】
【乾いた血に染まり、更には熱に焼かれ穴の空いた衣服。随分とぼろぼろではあったが──そこに闘志はまだあった】
【至近距離まで到達出来れば、まず狙うは胴体。風を纏わせ切れ味を上昇させた刀を横に薙ぎ、それをアインへの第一撃とする!】
882 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/20(月) 23:32:48.04 ID:YkrHbBCiO
>>875>>877
問題ないさキッドさん…

【突如彼の前方に謎の歪みが発生する】
【それは彼の接近を拒み、今も自らの周りに纏わりついてくるまともに動く事は少し後退しなければ出来ないのだろうか】
【だが、彼はその状態で、ニヤリ、と笑って見せた】
【その瞬間彼の剣は忽然と姿を消す、残ったのは右腕に輝く血管のような光線のみ】

……戦闘が得意じゃない…?
一体いつ俺が剣だけしか使わないと言った?

【同時に彼の背中がゆさりと揺れる】
【上着の裾や首元、そして袖等至る所から姿を現したのは植物の茎と蛇をかけ合わせたかのような異形の兵器】
【最早兵器と言って良いのかすらわからない其れを彼は器用に大気の壁の発生していない場所へと伸ばしアインへと向かわせる】
【相手の動きを封じようと試みる行為、彼の時間稼ぎは戦闘だけではない。封縛も彼の芸当に含まれている】
【最も其れが六罪王に通じるかは別としてだが】

おかげで撃ちやすくなったよ…場所を固定してくれたんだからな…
っと〜そちらも攻撃か…面倒だな

【アインにより放たれた幾つもの光線じみた魔法。それは自らが使う奥義にも似ている】
【彼はそれを空気の壁から少々後退し、地面を蹴り上げてバク転の応用の如く回避していく】
【それでも尚彼の異形の腕はアインへと伸びる。今なら集中力が削がれている分撃ち落とすのも容易だろうか】
883 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/20(月) 23:42:11.21 ID:4WHNzzELo
>>877

【ふーっ、と、大きく息を吐いて、剛太郎はアインの問いかけに再び答える事だろう】
【ただし今度は―――いつものおっとりした気質をかなぐり捨てた、抜身の人斬り包丁のような目つきで睨みながら】

―――余裕がある人間が分け与えられるモノ以上を欲しがるだけならともかく、殺してでも絶対欲しい、やってやる!ってのは……病気だと思うぞ、アイン
人間の欲望なんて際限ないもんじゃねえか。やれ重いモノや速く走れる車がほしいだとか、やれ珍しい宝石が欲しいだとか
何でも手に入るありったけの金が欲しい、最低限でも1億―――とか言い出したら、俺は迷わず「それは最低限じゃねえ」とぶん殴るな

肥大化した欲望には付き合うつもりはねえよ。それは肥大化した欲望に踊らされて曇った、『最小限以上』のモノだ
少なくとも、人を殺してまで手に入れるしかないモノとは俺は思わない……俺の目にも、お前が欲しがっているものはとてもじゃないがそんな『最小限』とは思えねえ

【横からカガリが通り過ぎて、会話中のアインに攻撃を防がれるが―――剛太郎の平常心は揺らがない】
【今、腹を決めたのだ―――こいつはやはり、倒さなければいけない存在だと】

―――殺さなきゃ手に入らないほどのモンが、『最小限』なモンかよ
どうしても俺にはおまえが……肥大化した欲望のために必要以上の物を暴力で手に入れようとしている人間にしか見えねえ!
少なくとも今!お前がやろうとしている事をこのまま中断なしで続けさせるという選択肢だけは存在しねえよ!―――葉隠流 『紅葉』!

【巨大な魔法陣が発現したと同時にそう啖呵を切り剛太郎は戦闘を開始する!】
【会話で稼げた時間は20分、熱暴走を起こしたベルトの調整にはあと40分かかる、変身しないまま戦うしかない】
【初めからそんなことは覚悟していた、彼の戦意に揺るぎはない】

【降り注ぐ無数の光線を剛太郎はその足さばきで右へ、左へとほとんどの光線を見事見切っていく】
【命中したのは左頬、右肩、左腰、かすり傷だ問題ない、と言わんばかりに剛太郎は攻撃を開始する】

(変身できるまで40分!それまで凌ぐ!―――大丈夫だ、これまで研鑽してきた俺の技を信じろ!)

いくぜアイン……『ロード・ケイオス』アイン!―――葉隠流 『山茶花』!!


【剛太郎は迷わずアインの方向へと跳ねる!―――なかなかの脚力だ、多少浮翌遊した程度では彼の射程範囲からは逃れられない!】
【握りこむ拳をもって狙うはアッパーカット!跳ねあげた勢いをも籠め真っ直ぐと―――アインの鳩尾へと叩き込もうとしてくるだろう】
【容赦なく叩き込まれようとするこの固い一撃の拳、喰らえば猛烈な吐き気と痛みと共に悶絶する事になる、一切の迷いはない!】
884 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/20(月) 23:45:10.58 ID:tKKSLyF9o
>>877


……分かんねえ奴だ。革命家じゃねえのに革命じみたことはする、これだけ派手に破壊を振りまいておいて破壊する気はないと宣う。
俺がさっき答えなかった理由はそれだ。あんたの台詞は矛盾だらけで曖昧すぎる――情報が少なすぎて判断できないってのが答えだよ。
持たざるものが持つものから奪うなんて一言で言うが、そこにどういう意図があってどういう意志が絡んでるのかわからなきゃあ動きようがねえ。
革命であれなんであれ、大枠にはめて考えてたら細部を見逃す。ケースバイケースって奴だよ。


【「だろ? 向いてねえんだよ、俺には」と前置きして、アサドは苦笑する。周囲はどうあれ、自分で自分を英雄だとはとても思えないようで】
【それから、軽く溜息を吐いた。呆れたように首を傾げると、正直な感想を述べるだろう。事実関係が曖昧すぎて何も言えない、と】
【ある意味、自警団員だからこその回答だ。多くの事件に関わって、持たざる者が持つ者から奪うなんてケースは規模こそ違えど山ほどあったから】
【――その持たざるものがどんな人間で、持っている方がどんな人間なのか。どうしてそうなってしまったのか。それを理解しなければ正しい対応も出来ないし】
【だからこそ――アサドはそれをこそ知りたい。それに対する明確な答えを、アインにも求め続ける】


だが敢えて言えば――持たざるものが虐げられていて、それで持ってる奴から奪ったなら、その意志は"正しい"。だが方法は"間違っている"と俺は思う。
……俺は、革命を止めるだろうな。奪われたから奪い取って、じゃあいつまで経っても終わらねえ。
それから、その持たざるものに周囲が手を差し伸べてやるんだ。別の方法を示すなり、自分の持ってるものを分けてやるなり。

世の中悪い奴も大勢いるが――そんな革命までするほど追いつめられた連中を見て、一方的に責め立てるような奴ばかりじゃねえ。
自分の行為を悔やんで、その持たざるもののことを真剣に考えられる奴らだっている。……そういう奴らのために、俺は戦ってんだよ。


【故に、ここからは"敢えて"の話。アインの言う話だけで判断するならというだけのくだらない仮定だった】
【大衆に対する理想論が大いに折り混ざった、綺麗事じみた話だが――これがアサドの答えで、アサドの理想なのだろう】


………、結局こうなるのは必然ってか。戦端が開かれた以上、俺個人として話すのも限界だぜ。
俺は自警団員でSCARLETだ。"正義"の一員として、この光景を余興だのと宣う六罪王を目の前にやることは一つ。
けど………お前を知りたいってのも本心だ。だから、せいぜい話し終える前にくたばってくれんなよ――――!!


【カガリの攻撃により、戦いは始まった――こうなれば、男がアサド・アル=アーデル個人として話し続けるのも、そろそろ限界だ】
【主要任務は確かに艦橋が抑えられるまでの時間稼ぎだが、自警団としてもSCARLETとしても、ここでアインを無傷で見逃す選択肢などあり得ない】

【――アサドは舌打ちすると、銀の双眸を"砂漠の獅子"のものへ変えた。お前を殺すと叫びつつ、喋り終わるまで死ぬなと、自らも矛盾した台詞を吐き】
【弾種を切り替えるカートリッジの役割を帯びたサイドグリップを交換。再び≪A≫を装填し直すと、迫る光線に対して左回りに移動を開始した】
【背後にあったうち、水色の魔弾が二つ稼働。本人も走り回って急所に当たるものを回避し、魔弾もそれぞれ細い氷槍を発射して出来うる限り相殺する】
【これだけの数、流石に無傷とは行かないが――体のあちこちに軽度の火傷を負う程度の被害に抑え込んだ】


("魔術"――――あれが奴の戦法ってわけか!)


【最後にアインの斜め左前、十メートルほどの距離へ滑り込むと、引き金を引く。側面モニタに≪A-Frost≫の文字が踊り――】
【比較的小さな発射音と共に、細い細い"氷の矢"の形をした弾丸が、アインの左腕へと亜音速で飛翔する!】

【≪A-Frost≫はその細さと目視不能なほどの速度による"貫通力"に秀でた氷の魔弾だ。細いと言っても砲弾、まともに喰らえば左腕が引き千切れかねず】
【また、表面が魔力でコーティングされており、魔力障壁の類に対して特に高い貫通力を発揮するのも特徴。生半可な魔術では止められないが――】
【ただ、弾丸自体は氷である。硬さはそれほど無いので、物理的な手段であれば防御するのはそれほど難しくはないだろう】
885 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 00:00:50.84 ID:vtjNVLH8o
>>879

……そうだったな、俺が教えたんだった。理由を盾にするのはやめろ、と
しかし…………それを弁えた程度で、果たして全てが解決するかどうか……


>>883>>884


やれやれ、気の早い奴らだ。その説明とやらをするための設問だろうが
誰もこの質問を俺のことだ、とは言ってないんだがな。人の話はもう少し聞いた方がいい

とはいえ、それでもアサドは答えてくれたな。礼を言わねばならんかな?


>>ALL

【空中にいる六罪王へとセリーナの弾丸、アサドの魔弾、カガリの兵器が迫る】
【しかしそのいずれもが彼の周囲に展開する障壁に防がれる。中型艦や旗艦に備わっていたものと同じ類だ】
【障壁に対して効果的な魔弾をも止めたとなると、かなりの強度を誇るようだ】

【次に接近してきたのは櫻と剛太郎。それぞれの方法で攻撃を試みる】
【それらもまた障壁が阻んでくるが、いずれも貫通。術師本体へと迫る】
【それぞれの攻撃を六罪王は両手で受け止める。手の表面には櫻の刃と同じく風が纏わりついていた】


今日は火力攻撃ができんのでな。その分を防御に回すことにした
燃費は最悪だが、まぁ丁度いいだろう。後衛どもは精々、タイミングを合わせろよ──!!


【反撃は全て同時に行われた】
【まず近距離にいる櫻(>>881)には片手が向けられ、袖から影の触手が迫る。全身に絡みついて締め上げようとしてくるだろう】
【もう片方の手が剛太郎(>>883)へと向き、速さのある雷撃が。致命傷にはならないが当たれば痺れて動きを止められてしまう】

【遠距離のセリーナ(>>879)、アサド(>>884)、カガリ(>>882)へは背後の魔法陣からそれぞれ魔術が向かう】
【セリーナとカガリへは回避させないためか細かな炎弾が飛んでいく。光線と同じく一発の威力は低いが、数が多く避けにくい】
【アサドに対しては先ほどの光線よりも遥かに巨大な熱線が向かう。直線的な攻撃だが威力は桁違いだ】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/21(火) 00:01:25.53 ID:/qMsFi/X0
>>876

……ッ、ハァ……ハァ……―――……ッ―――

【どうにか残り少ない体力で一つの風船を割る事が出来た。しかし……此方の体力も激しく消耗してしまったのも事実】
【熱さと息苦しさの中で、全力で走ったのだ。呼吸することさえ難しい状態になるのも不思議ではあるまい】
【気が遠くなりそうになるのを、何とか留めている状態。この状態だと先はそう長くないない事が、自分でもよく分かる】
【最後は鳥に括り付けられた風船。あれを何とかして割らなければ―――ぼやける意識の中で、そう考えた次の瞬間】

【―――なんだ、あれは。】
【不意に目の前に現れたのは、翼を持つ男の姿。人間―――ではないようだ。では一体、この男は何なのだろうか】
【そう言えばさっきの詩で神とか言ってたっけ。じゃあ、いきなり現れたあの男は神様なのだろうか……】
【……本来なら驚くところなのだろうが、もう驚く体力も持ち合わせていない。今は自分の意識を繋ぎ留めるので精いっぱいだ】
【それにしても、人間との勝負だと思っていたのにここに来て神様の助っ人が出て来るなんて……】
【さて、どうしたものか。大会に出ただけで神様と勝負する羽目になるなんて、思っていなかったけれど】

……終わらせる、ですっテ……?――――そう……簡単に……、終わらされて、……なるもの、ですカ。
神様だか、……鳥様だか、知りませんガ……―――私の意地=c…見せてあげましょウ……!

木符・金符・陽符・陰符――――≪光陰如矢≫!!

【―――此処まで来たのなら、神様相手でも倒してやる。空の上に居る神様に、人間の、春燕の意地を見せてやる】
【上がり続ける温度も、弾けた風船も、消えない炎に焼かれる手首も、今はどうだっていい】
【文字通り、一矢報いる。炎を纏って物理攻撃が効かないのは神だけで、風船には効くのだから】
【木と金属の弦で出来た弓に、春燕の持つ気≠ナ作られた光を帯びた矢を番え―――放つ】
【真っ直ぐに、風船目掛けて矢は飛んでいく。込められた陰陽の力は、もしかしたら少しだけ神様にも効いたかもしれない】
【これが、春燕の最後の抵抗。浮かされるような熱と消耗で、もう動く事すらままならない】
【恐らく体力は間もなく力尽きるだろう。だが、このまま引き下がってなるものか。神仏照覧、これが春燕の底力だ―――!】


【矢を放った次の瞬間、春燕はふらりとその場に倒れ込む。首の風船は、まだ一つ残しているが……】
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/21(火) 00:01:34.55 ID:dhtIGf2v0
>>878
/了解です、レスは作りましたのでこの後すぐに置きのほうに落としておきます、というのを連絡しておきますっ
888 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 00:05:15.49 ID:vtjNVLH8o
//あら、そういえば槍もってましたね
//訂正します。櫻さんの攻撃を槍で受け止めたことにしてください
//攻撃描写については訂正なしで。なんか、槍握ったまま、握った手を向けたってことで
889 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/21(火) 00:13:18.99 ID:Uo0z/EWDO
>>885(主催)&ALL

【アインの正面に陣取れば、その分だけセリーナやアサドが撃てる場所が減る。それは天辰も分かっていた】
【驚愕の脚力を持つ剛太郎。異形の腕を伸ばすカガリ。正面と背後から狙い撃つセリーナにアサド。彼らを邪魔せず攻撃に転じれる場所は──上だ!】

【槍により刃が受け止められる。初撃が簡単には通らないことは、前回で学習済み。落胆などしない】
【自分の初撃を止めた後、魔術による攻撃がくることも予測出来ていた。以前は熱線。今回は──影!】
【エルジオ戦の時同様、天辰は空中で身体を翻す。同時に軽く上昇し、逆さまの状態でアインの頭上へ。そうすることで影の触手を避け、最小限の動きで攻撃に転ずる】
【風を纏わせたままの≪天辰≫を振るい、脳天を狙う形で刺突を繰り出す。以前は雷を纏わせていたが、今回は風。その意図は──?】


(…………分かっていますよ、槍で防ぐのでしょう!?)


【以前の戦いでは、アインは頭上からの刺突に対し槍を振るうことで相殺していた。今回もそれと同じであれば──またアインは槍で刀を防ぐはず!】
【天辰の狙いはそこだ。仮に、本当にアインが槍で刀を防いだのなら……刀に纏った“風”が、“突風”と化して彼を襲う!】
【目的はアインを床へと叩き落とし、一時的であろうとも彼の動きを止めること】
【そうすれば、剛太郎やカガリが踏ん張りの効いた一撃を喰らわせることが出来るだろうし】
【動きの止まっている相手には、セリーナやアサドも容易に攻撃を与えられる。そう踏んだのだ!】
【仮に天辰の目論見が上手くいかなかったとしても……天辰はアインの頭上。アインの正面は丸々空いている】
【セリーナやカガリ、アサドが障壁を破れば、アインに正面からダメージを与えることが出来る……!】
890 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/21(火) 00:25:12.32 ID:AYz080m2o
>>885

【解決はしないだろう。少なくとも、今のセリーナに何もかもを解決させる手段はないし】
【其れを実現できるだけのアイデアも、もっと言えば覚悟もきっと、足りていない筈だった。】
【歯噛みする。変革の為に動く者が居る。それ自体の否定は出来るが、大本の肯定は、難しい】

 (……アインの方法は、否定できる。だけど、その考えまでは―――……、)
 
 (そりゃあ、誰だって"奪えることなら奪いたい"と思うだろうさ、でも同時に)

 (そういう状況を見逃せない人間だって、こうやって存在するんだ。……けれど。)

 ―――なら、アタシ達はどうやって光を照らせば良いか。
 変革を否定するならせめて、……アタシ達なりの代案を、って事だよね。
 ……そうだね、逸れもせずに貴方を否定するのは、……ちょっと、無責任かもしれない。


 ―――考える時間はあるさ。……それを用意するために、今此処で殺されるわけには行かない。 
 殺して。奪って。奪われて。殺されて。……それだけじゃないと、示すためにも今此処で―――倒れるわけには、いかないんだッ!!


【放った攻撃が鎮火され、そして逆に自身へめがけ攻撃が再開されるとセリーナは身構え】
【素早く"弾"末魔を腰溜めに構え、そして発砲―――鋭い抜き撃ちで弾丸を発射し、向かい来る炎弾に直撃させる】
【そしてぶつかる寸前で、放たれた魔弾は召還陣を展開、武装を呼び出すために巨大な陣がアインの炎弾を防ぎ、セリーナを護って】


                        八首猛撃 < ガトリング・ヒュドラ >

【直後、召還陣から巨大な武装が空間内にイン・ストールされると―――その装備はセリーナの元へと現れて】
【アーマーの怪力によってしっかり保持される、サイズで言えば人間一人の大きさを雄に超えるほどのその巨大兵装、】
【その名も"ガトリング・ヒュドラ"―――多頭の猛獣"ヒュドラ"をモチーフとしてその獰猛さを再現して作られた回転式連発銃だ】

【黄金のバレルが八つ、その一本一本がヒュドラの頭を再現して作られており】
【それらを束ねて接続された胴体部分は超大型の魔力製造エンジンが搭載され、凄まじい爆音を響かせ稼動ッ!】
【天を貫く様な轟音と共にバレルが回転をはじめ、猛速で魔力が急速充填されていく―――だが、まだ発射は出来ない。隙があるのだ】


 >>ALL


 ……悪いね、みんな……いまからでっかいの撃つから……ちょっとだけでいい、時間を稼いで欲しい!!

【セリーナは助けを求めるように全員に呼びかけるだろう、一瞬で良い、隙を作ってくれ―――と。】
891 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/21(火) 00:26:13.39 ID:hExB1lMhO
>>885
【カガリの放った幾つもの蛇型兵器、それらは全てアインによる防御魔法、恐らくは空中戦艦等に備わっていたものと同等の物によって防がれる】
【彼は少々驚いた顔をしながらもすぐに次の行動へと移る】
【だが、彼が光線を避け終え、アインに向かって向き直った時、目を疑うような事が又も起こった】

ちきしょう…何でもありか…?六罪王ってのは…

【セリーナの放った二発の弾丸、アサドの放った強力な魔弾は自らの攻撃と共に奴の魔法障壁によって防がれてしまった】
【そこまでは彼も最悪そうなりうるだろうと予測はしていた。あれ程の男が防御の一つも出来ないのではお笑いだ】
【だが、それだけでは無い。剛田のアッパーカットや天辰の刀すらも防がれてしまったのだ。】
【魔法障壁を二人の攻撃が破ったのを見た時彼は勝ちを確信した】
【だが、アインはそれを素手で受け止めて見せたのだ。それも掌に魔法を発生させると言う高等技術を有して】

(ちきしょう…どうすれば良い…?)

【そう考えている隙に彼へと細かで強力な炎弾が迫る】
【彼はそれを避けるべく蛇達を即座に戻し後方へ仰け反ろうとするが時既に遅し、身体を蛇でガードする形で炎の直撃を食らう】
【彼は後方へ大きく吹き飛ばされると、地面を手で弾き、空中で姿勢を整えて着地する。受け身を取った直後に彼は得物を初めに持っていた剣へと改める】

さすがに高威力だな六罪王…おかげであいつらは暫く使えねぇ…

【彼の蛇達は既に限界を迎え、体内に収納しての回復が必要となっていた】
【彼はそれをふまえて、いや仕方なく剣へと持ち替えたのだ】
【そうして彼はビル街で戦った時と同じように壁を駆けあがりながら六罪王へと接近を試みる】
【ガラス張りを勢いよく蹴っての空中回転斬り、眼前の魔術師にはこの攻撃は届くだろうか】

やっぱり一番馴染むのは……こいつだよな!
892 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/21(火) 00:28:30.98 ID:mF9tOO/lo

>>885

……けっ、俺の気が早いんじゃなくてあんたの気が長ぇんだよ。
礼なんていらねえから、とっとと続けろ。言っとくが、"自警団員としての俺"は絶対に手加減はできねえ。
とっ捕まえるのがベストだが、どんな理由であれこれだけのことをしたんだ――牢獄にブチ込まれても、大衆はあんたを許さねぇだろう。

気乗りはしねえが――全力であんたを殺しに行かせてもらう。
それにあんた、どう見たって手加減なんて言ってられるほど弱い相手じゃねえからな………!!


【アサドは目を半分閉じて、どこか拗ねるように愚痴を吐いた。見た目通りというか、この手の迂遠な問答自体それほど得意ではないのだろう】
【ズバリと本音だけを聞ければいいのだが、いくらなんでもそんな都合良く行くわけがない。それも頭では分かっていたし――】
【――どちらにせよ、賽は投げられた。この短時間で殺さなければ殺されるレベルまで戦局は移行している。それほどに、アインは強い】
【魔術相手の虎の子でもある≪A-Flost≫があっさり防がれてしまった瞬間、アサドは今更ながらにそれを確信していた。そして迫る、極太の熱線……!】


ぐ、ぉおおおおッ――――!!?


【これだけの攻撃が、他の者への攻撃と同時に飛んでくるという脅威。――アサドは右側へ大きく跳ぶが、銃砲の重さ故にそれだけでは避けきれない】
【しかし今回は、最初に作っていた"布石"がある。背中にある橙色の弾丸のうち一つ、≪E-Bit≫がアサドの動きに合わせて自律稼働――】
【≪E-Bit≫はアサドの意志で自由自在に動かせる炎の魔弾だ。着弾時に爆発する砲撃の効果もあり、アサドはそれを自らの足下に叩きつけた】
【自らの跳躍力と砲撃の爆風によって、強引に回避を断行したのだ。爆発の余波で自爆して全身に衝撃が走るが、致命的な熱戦自体はどうにか回避し】


(あの障壁、近距離からの攻撃は貫通してたが――セリーナも"溜め"に入ってる、ならここは………!!)


【同時にカートリッジを≪E≫から≪F≫へと換装。コッキングを行うと、アインの顔面めがけて砲撃を放つ!】
【一番最初に三人の機関兵に向けて撃った通常の砲撃弾だ。着弾すると爆裂してダメージを与えるものだが、】
【……貫通力に秀でた≪A-Flost≫でも防ぎ切れられた障壁、これで容易に突破できるとは思わない。今回のアサドの目的はサポートだった】
【橙の魔弾が狙うはアインの顔面――つまり、この砲撃が防壁で相殺された場合は顔の目の前で爆裂し、強い"光"と"爆音"を撒き散らすことになる】
【ダメージを与えられるかどうかは望み薄だが、一時的に目と耳を潰せるかもしれない。それで他の者の攻撃を補助する目的だ】


>>ALL


ちぃっ―――お前ら! 
あの威力じゃそこまで役には立たねえかもしれねぇが、無いよりマシだ! こいつを使え!!


【――そして、その正否に関わらず。アサドはもう一度コッキングを行って≪F≫の弾種に切り替えると、水色の魔弾を六連続で周囲にバラ撒く……!】
【魔弾はアインではなく周囲の地面へ着弾し、高さと横幅が2mほど、厚さは50cmほどの分厚い"氷の壁"を合計六ヶ所に精製するだろうか】
【即席の防壁代わりというわけである。今アサドに向かって放たれたような規模の攻撃となると、あまり意味はなさないだろうけれど……】
【数は多いが威力は低い、というような攻撃ならば、一度ぐらいは防ぎ切ってくれるはず。また、当然ながら"足場"として使うことも出来るだろう】
893 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/21(火) 00:58:36.65 ID:KiGte1Y2o
>>885

そもそも俺は頭が悪いからな!あんまり難しく言われてもわかんねえよ!
弁解があるなら聞いてやるから勝手にしゃべれ!とりあえず―――俺の方は殴る事に決めたからよ!

【残念ながら風の力で一撃目は封じられた―――やはり魔術に置いては自分を遥かに凌駕している】
【しかも彼の挙動を見れば―――なんと全員同時にそれぞれ違った内容の魔術を同時発動させようとしている!】
【自分に来るのは雷撃だ、空中では避けきれない―――!】

あ、がぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!


【体内に文字通り雷撃が突き抜ける、その衝撃に思わず悲鳴を上げてしまうだろう】
【地面に叩きつけられ悶えるが、しばらくすると、よろ、と力なく立ち上がり右肩を抑えながらアインを睨む】

【皆、たったひとりの魔術師に食い止められてしまう、その有能さは紛れもない"六罪王"に選ばれるほどの御業だ】
【どうする、どうやって食い止めればいい―――?ギリ、と歯を食いしばりながら思考を巡らせていると】

「―――使うか剛の字。あまりおすすめはせんが……おまえ的には今は無茶する所かと思うてな」

【すぐそばにレッドカラーのトイプードルが―――彼の『相棒』が近づいて来る】
【その口にはベルトが加えられている。つい先ほどまで彼に調整を急がせていた剛太郎のベルトだ!】
【しかし変身できるようになるまで30分はかかるはずだが……?】

ムク、あと30分かかるんじゃなかったのか?

「2時間かけて変身機能は復旧させた。変身機能はな。―――しかし最終調整が済んでおらん
多分……十全の動きはできんぞ、それに危険だ、いろいろと……それでもやるか?」

……なんでも、セリーナ>>890に切り抜けるとっておきがあるみたいなんだ……頼み事とあっちゃ頑張るしかないだろ
俺はアイツを信じる。多少の無茶は覚悟してやるさ―――さあ鍵とベルトをくれ!

【ふん、と呆れたように首を振るうムクだが、―――それ以上は何も言わなかった】
【置くのはベルトに―――いつも主に使っている赤色のカギ、フレアキーだ―――それを拾った剛太郎が改めてアインを睨む】

/続きます
894 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/21(火) 01:01:12.36 ID:KiGte1Y2o
>>893続き

最後まで付き合ってもらうぞアイン―――変 身 ッ ! !


【錠前とカギを持った両手をクロスして前に威圧するように差し出して…次に肘を引いてカギを持つ右手を顔の横まで引く】
【そしてその錠前を持つ左手を右手へと持って行きそのままカギ穴に差し込んでガチャリとひねった】
【するともう一度錠前の外殻が凹凸状の溝にそって割れ、内側から赤い輝きを放つ】
【そのまま引き抜いて錠前を前に威圧するように差し出すと、錠前の内側から吹きこまれたような声が響く】


「―――『Flare≪フレア≫』 Lock-free』


【内側から赤く開いた錠前をベルトの中央部に押しこむと金属を叩き割る様な甲高い音が鳴り響く】
【ブル、と空気が震え剛太郎の身体が銀色の、というか鉄の色をした何かのエネルギーに包まれる、そしてその同時に棺桶型の魔術礼装が彼の後ろに移動した】
【錠前に連動するかのように棺桶が開くと……そこから赤いエネルギー玉に包まれた炎のナイフのような物が姿を変えて行く剛太郎に接触する】

【バリン!と割れると…無機質でのっぺりしたシルエットの戦士が登場すると同時、赤い炎のナイフが入ったエネルギーが肩や胸のプロテクター、仮面のパーツになる】
【胸と肩などでつなぎ合わせその顔の前面に仮面のパーツががっしりとはまれば…】

【顔の正中線を赤い刃が突き出した横縞の溝のついた防護の鉄仮面の下から赤い複眼を覗かせた異形の顔立ち】
【肩や胸に肩衣半袴を思わせるデザインの堅いプロテクターで覆われた肘や膝に鮫肌のようにザラリとした手触りのサポート】
【手の淵や踵は鋭く尖った鉄となっており……本気を出して叩きつければ本当に斬れそうなデザイン】

【鬼神鎧装 『炎牙』フレアフォーム―――しかし、全身の関節からばち、ばち、と火花が散っている―――なにか危険な状態だ】
【しかしチャンスには全力を出さなければ―――みると目の前にはアサド>>892が用意した氷の壁、これは足場に使える!】


サンキューアサド!これでアイツの上を取れる!
ちょっとばかりキツイのくらわすぞ!―――葉隠流 奥義! 『七星天道』!!


【背中から勢いよく火を噴きながら再びアインに突撃、氷の壁を足場に一歩、二歩とはねてアインの上を取る】
【そうして剛太郎が選ぶのは―――七つの連撃技!全ての一撃を胴体めがけて発する!】

【―――のは、実はフェイント、彼の本当の狙いはアインの胸倉と肩を掴み、絞め技に持ち込むことだ、空中であろうと掴みかかって行動を削げば皆の援護に繋がる!】
895 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 01:07:45.23 ID:vtjNVLH8o
>>889>>890>>891>>892

【上を取られた男だったが、剛太郎の攻撃には手早く反応。各攻撃に対して槍を合わせようとするが】
【つまり、フェイントにかかった、ということだった。胸ぐらと肩を掴まれて動きを止められてしまう】
【そこに櫻の攻撃が迫り来る。なんとか槍を振り上げるも、風の爆発が男へと襲いかかり、地面へと叩き落すことに成功した】

【地面に伏せる男に壁を蹴り上がったカガリが空中から強襲。まず障壁がそれを受け止めるが、やはり貫通】
【男は槍を両手で持って剣を受け止める。障壁で勢いを殺したために受け止め切れた】
【しかし押し込まれては力負けは必至。そう悟った男は跳躍で後退する】


それはまずいな……全く、こっちは火力攻撃を控えてるんだがな


【空中でセリーナの動きを確認した男は身体を反転させてセリーナへと向かおうとするが、そこにアサドの攻撃が迫る】
【障壁が弾丸を防ぐが、その瞬間に強烈な閃光と爆音が広がった。思わず男は動きを止めてしまう】
【今ならば火力攻撃を打ち込む絶好の機会だろう】
896 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 01:08:25.04 ID:vtjNVLH8o
//安価忘れてました。>>895>>893>>894を含みます
897 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/21(火) 01:15:28.55 ID:AYz080m2o
>>895>>ALL


【アサド、カガリ、そして天辰、剛太郎。彼らの活躍によりセリーナのガトリングはチャージを無事、完了させ―――】
【凄まじいまでの暴力的な破壊の渦が舞い降りた。ガトリングが唸りを挙げて大量の魔弾を発射、空間を弾丸で埋め尽くす!】
【紫色の弾丸が視界を破片と瓦礫の世界へと変えていき、全てが土煙の中に消えていく―――圧倒的な破壊力が今、襲い掛かった!】


 ―――う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!


【この1レスの間、少なくともヒュドラは伝説の存在として暴れ続ける。】
【回転するバレルから魔力を只管に吐き出し続け、暴風が過ぎ去ったその時―――】
【残っているのは土煙と、そして―――アインは、どうなったのか。】


 ―――ハァッ……はっ、はぁっ……!!

 (……どうした、アイン……避けた、か?)

【セリーナは弾丸を撃ちつくしたガトリングを床に投げ捨てると、発熱するそれから正面へと視界を、移した】
898 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/21(火) 01:21:02.89 ID:KiGte1Y2o
>>895

【―――突如、手首から火が勢いよく吹き出始めた!】
【なるほどいつもの『断牙』ではない、なにか様子がおかしい、なにかしら挙動するたびに自分の身を焦がそうとしてくる!】
【本当に危険な状態だ、可能な限り早めにケリを付けないと彼自身の命が危ない!】

―――アチチチチ!やっべえこれ使いっぱなしだと大やけどしちまう!
お願いだからあともうちょっと持ってくれよな……!さて、チャンスだなアイン!


【櫻の一撃で地面に叩き落とせた、―――その衝撃で自分も地面に叩き落とされはしたがまだいける】
【剛太郎は迷わなかった、セリーナの方向に駆けるアインがアサドに動きを止められ大きな隙が出来ている】
【チャンスだ、このまま後ろから―――皆のいる方向めがけ激突し、押し出してやる!】


くらいやがれアイン!葉隠流 奥義!『疾風迅雷』!!―――みんなの方向へぶっ飛びやがれッ!!


【取るのはクラウチングスタートのような前傾姿勢、そこから彼の背後めがけて―――神速の突撃!】
【そのままアインを皆のいる方向めがけて押し出して、身動きが取れなくなるアインを仲間に滅多打ちさせるのが狙いか!】
【しかも剛太郎の体が―――熱暴走で爆炎を全身から吹き出し、火の玉のような状態で突っ込んでくる!危険な挟み撃ちだ!】
899 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/21(火) 01:26:49.39 ID:Uo0z/EWDO
>>895(主催)&ALL

【剛太郎の援護により、風を纏わせた≪天龍≫による不意討ちは成功した。地面に叩き落とされたアインに、カガリの攻撃が襲いかかる】
【しかしここでアインに距離を取られては、再度魔術による火力攻撃を撃たれてしまう。本人は「控えている」などと言っているが】
【彼の自己申告は常人の感覚に当てはまらないことは、エルジオでの戦いで経験済みだった】
【風を唸らせる。アインを追う。動きが止まったが、まだ確実ではない──そう考え、またも天辰はアインのすぐ側まで行き……】

【……アサドが放った橙の魔弾。強い光と爆音を撒き散らすソレは、彼の予想外の結果を招くことになる】
【天辰──今はアインの近くにいるだけだが……橙の魔弾が爆裂する。それはアインのすぐ側にいる彼にもダメージを与えてしまう……!!】


──────!!? う、ぁっ……ぐ、ぅうぅあぁあぁああぁあッッ!!


【瞬間的な光と爆音により、視覚と聴覚が潰される。突然のことに思考が焼かれ、天辰を護っていた風が消える】
【空中に浮かぶ術を失った天辰は落下。アサドが精製した“氷壁”に一度ぶつかった後、床にむけてずり落ちる。ずしゃりという音。天辰は動かない】
【見れば白目を向き、口からは僅かに涎が垂れていた。魔弾の効果をモロに受け、一時的に気を失ったのだ。命に別状はないが、回復には数秒かかるか】
【しかし魔彈によりスタンしていなければ、天辰はアインもろともにセリーナのガトリングを食らっていた可能性すらある】
【強制的に床へ叩き落とされたことにより、銃弾を回避できたという見方もできた】
【──天辰が回復し、よろよろと起き上がるのは全員の総攻撃が終わったあたりだろうか】
900 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/21(火) 01:36:43.41 ID:mF9tOO/lo
>>895 >>ALL


(通ったか――まだ喋ってもらってねえが、ここで攻めねえ訳にはいかねえ………!!)


【アインの動きが止まったのを見やると、アサドは即座にカートリッジを≪F≫から≪G≫へと換装するだろうか】
【すぐさま引き金を引けば、『アルハーディ』のバレルの前に橙色をした魔力針がひとつ、出現する】
【数秒経つとまたもう一本。それぞれ0時の位置、1時の位置……と、時を刻むように魔力針が増えていった】
【――セリーナの『八首猛撃 < ガトリング・ヒュドラ >』と同じ。この≪G≫の弾頭もまたチャージ時間が必要なのだろう】
【間隔からみて、魔力針は12本揃えば一周する。放たれるのはまず間違いなく大規模攻撃だ――】


天辰ッ!? すまねえ、無事か………いや、そのままそこにいろ!!
――前衛、攻撃終えたらしっかり避けろよ! セリーナに合わせて、俺も"撃つ"………!!


【その間――背中の水色の弾丸が動いた。名は≪E-Hail≫、≪E-Bit≫と同じくアサドの意志による自由稼働を備え、それぞれが氷の槍を放って攻撃する"動く砲台"】
【アサドは二基の≪E-Hail≫をアインへ差し向ける。左右から挟み込むようにアインを狙い、それぞれが一発づつ、氷の槍を撃ち放つ!】
【速度も威力もそれほど高くはない。チャージ時間を稼ぐためと、他の者の攻撃に対する支援攻撃以上の効果はないだろうけれど、】


お前がやりたいことが何であれ……その方法が"破壊"なら、俺は止める。
俺はやっぱり、それは間違っていると思うから。お前の本心を聞いてみたかったが――それはコイツを受け止めてからだ。
行くぜ、六罪王。………ここで終わるならそれまでだ、≪ロード・ケイオス≫ッッ――――!!!


【チャージが終わるのは数十秒ほど後だ。この攻撃は、剛太郎とカガリの攻撃がすべて終わって、前衛が待避した後に行われることとなるだろうか】
【その間に妨害がなければ――『アルハーディ』の十ニの魔力針が猛回転を始める。中腰で『アルハーディ』のスコープを覗き込み、完全に体を固定すると】
【――叫んだ。奴が隙を見せた以上は動かないわけには行かない。受け止められるものなら受け止めてみろと吼え上げ、引いたままの引き金を離し、】

【刹那――鼓膜を破らんばかりの爆音と共に、途轍もなく巨大な炎の魔弾が撃ち放たれる――――!!!】

【あまりにも高密度に圧縮された弾丸は、もはや魔弾ではなく"炎属性のレーザー"と呼ぶのが正しい様相だ】
【極太の直射砲撃が、アインへと迫る。まともに喰らえば跡形すらも残るまい、それほどの威力を誇るアサドの"全力"、確実に殺すための一撃】
【何も語ることもなく、ここで終わるか否か。それは≪ロード・ケイオス≫たる彼次第だ。果たして――】
901 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/21(火) 01:41:01.35 ID:hExB1lMhO
>>890
【セリーナの今からデカいのを撃つと言う言葉にカガリも反応する】
【それは自らも今この場で撃てる強大な攻撃を有していると言う事】
【そして、それをセリーナと同時に奴に叩き込めば、もしかしたら、想定の話でしか無いが】
【奴を討ち滅ぼせるかもしれないと言う事】
【今、この場で六罪王の一角を討てればこの作戦は大成功の大団円、ひいてはこの正親町の名も飛躍的に上がるだろう】

そうなれば良いに越した事は無いな…

>>895
【六罪王に自らも一撃を加える。そして空中での鍔迫り合いの後、アインがそれを弾くように後ろへと跳躍した】
【大した攻撃は出来なかったが相手の陽動位にはなっただろうか。ともかく当たらないよりかはマシだ】
【彼はそのまま床へと数度空中で開店した後、着地、そのまま何を思ったか先ほどアサドが発動した氷の壁へと駆けて行く、そのまま彼は壁に隠れるように跪いた】

やっとこさこれを使う時が来たか…正確には来ちまったか…

【彼は手にした剣を体内に収納すると徐に瞳を閉じ始める】

>>ALL
【次の瞬間彼はその紅く輝く瞳を更に紅く紅く輝かせ始める】
【その輝きは眼球内に次第にルーン文字のような陣を描いていき】
【遂には二つの瞳を中心とした魔法陣が彼の眼前に広がった】

「さてと、聞こえているかい?精鋭諸君」

【その声は六罪王アインには一切届かない】
【その声は今味方として戦っている者たちの精神内へ直接彼が届けようとしているのだ】
【彼の瞳の隠された能力、それは`念話`である】
【勿論魔術師が使うような強力な念話では無い。妨害されれば聞き取りづらいし、相手の精神が聞き取る事を拒めば届きはしない】
【だが、相手が完全にこちらの問いかけに応じる意志があるなら、どんな事があってもこの念話を届かせる】
【話しかける相手に精度をゆだねた完全受け身の高精度念話。それが彼の瞳の能力である】
【ただしこの能力は身体への負担が大きいため使用中は他の武器を使う事は出来ない。彼が剣を仕舞ったのはそう言うわけである】

さぁ聞こえていたら返事を、何の事は無い。心の中で念じるか、何か合図をしてくれたら俺は絶対に見逃さない。
……いや、やっぱり見逃さないように努力する

俺は今からキッドさんと同じように高火力の一撃をアインめがけて放とうと思う
だから、つまりあれだ。キッドさんと同じように俺が撃つ時間を稼いでほしい。俺はほとんどすぐに放てるタイプだからそこまで長時間は必要ないけど
そして、俺が撃ったら奴から、アインから離れてほしい。俺の剣であんたらみたいな良い顧客になりそうな人を傷つけるのは気が退ける
話は以上、返事を待ってるよ。どうにか見極めてみせる

【そう言うと彼は念話を終了した】
902 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 01:42:18.31 ID:vtjNVLH8o
>>901
//あ、攻撃撃っちゃっていいですよ
903 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/21(火) 01:50:17.96 ID:hExB1lMhO
/りょうかいです!
>>901追記
【そして彼もチャージは終わっているようで氷の壁から身を乗り出すと剣を構え、アインへと向き直った】
【その構えは最早構えでは無い。ただ剣の剣先を地面すれすれにで止め直立不動、リラックスするかのようにただ立っている】
【彼の剣に赤黒いオーラと蒼い風のようなエネルギーが纏わり付き次第に高エネルギー体へと姿を変えて行く】

Ba 零式・斬

【彼はそう呟くと、剣のエネルギーを一振りに開放した】
【黒と白が織り交ざり、紅と蒼が瞬く巨大な斬撃がアインへと放たれた】
904 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 01:54:30.81 ID:vtjNVLH8o
>>897>>898>>899>>900>>901

【動きが取れないでいた男に火の玉と化した剛太郎が激突】
【その勢いでセリーナとアサドの射線上に叩き出され、魔弾の嵐の中へと姿を消す。更にそこへカガリの攻撃が入った】
【魔弾は床や壁などさえも削り取り、窓ガラスは爆発を受けたかのように全てが破壊され尽くす】

【魔弾による効果と、爆煙とで部屋中に煙が充満していた】
【大気圧の差で部屋の中の空気が外へと勢いよく排出されていく。その風で煙が晴れていく】
【────六罪王はまだ生きていた。全身を自らの血で赤く染め上げて、外套をぼろぼろにしながらも】
【外側からは完全に致命傷。流石の六罪王もダメージが大きいらしく、よろけながら立ち上がった】


…………流石に、バランスが整った編成は強力ではないが強固だな
さて、どうやって崩したものかな…………


【そんな状態でありながらも、彼はまだ戦う気でいた。しかし次の瞬間、艦全体に大きな振動が走った】
【部屋の中にあるスピーカーから、クリスの声が発せられる】

「やりました! 艦橋を押さえて艦を止めました!」
「ここまでだぞ六罪王! もうこの艦はこっちのものだから大人しく投降しろ!!」

【クリスの要求に対して男は呆れたようにため息をついていた】


全く…………集団対集団ではこんなものか。機関員とやらは使い物にならんな
まぁ新参者の俺についてくる人材がいなかっただけだが。使い捨てにしては良くやった方か
質の良い部下がほしいのならカニバディールあたりに言うべきだったな

それにしても、近頃は誰も当てにならない。何でも自分でやらなくっちゃな、そうだろ?
まあいいさ、準備は出来てる。世の中、分からないもんだ…………


【謎の言葉を呟いて、男は槍の矛先をセリーナたちへ向けた──かと思いきや、下ろした】
【そのまま宙に身体を投げ出すと、外へと流れ出していく空気に乗って空へと飛び出していった】
【六罪王が敗走を悟って逃げ出したのか、といえば、半分正解で半分外れだ】

【外に飛び出した男はすぐに反転。槍と片手を艦に向ける。そこから熱線が照射された】
【奴の狙いは艦の機関部だった。障壁も働かない範囲からの攻撃で機関部は完全に停止】
【巨大な振動が艦全体に伝わって、次の瞬間から重力に引っ張られて落下を開始した】

「お、わわわわわわわ!! み、皆さんなんとか脱出してください!」
「こちらは何とか姿勢制御だけは試みてみます! 急いで!!」

【スピーカーからクリスの大慌ての声が聞こえて、艦が左右に揺れ始める。どうやら蛇行しているらしい】
【少しの間ならば艦は平行を保っているだろうが、いつ何にぶつかってバランスを崩すかわからない】
【急いで脱出する必要があるだろう】
905 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/21(火) 02:06:16.12 ID:hExB1lMhO
>>904
【謎の捨て台詞と同時に紅色に染まった六罪王は落下を始めた】
【次の瞬間、奴は艦体の機関部へと空中から攻撃、タダでは死なんと言うことかはたまたまだ何か残っているのか】
【そんな疑念を抱く余裕すら無く自らの重大な問題に直面する】

野郎!……やりやがったな…
あぁ〜えぇっと悪いんだが、この中に俺や飛べない方を連れて下まで降りれる方はいらっしゃいますでしょうか……

【彼は冗談紛いにそんな事を言いながらも直入に自らの願望を述べる】
【自分ははっきり言って飛べない。蛇を使えば滑空くらいは出来ただろうが肝心の蛇は現在穴だらけで焦げている】
【はっきり言おう、死ぬかもしれない。そんな不安が彼の頭をよぎった】
【そう考えている間も戦艦は下降している】

くっそ……まだ作った小物やナイフ売り捌いてないぞ…

【彼は剣を地面に突き付けそう呟いた】
906 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/21(火) 02:09:28.94 ID:mF9tOO/lo
>>904

【いつの間にか聞き慣れてしまった破壊音。それに微かに眉を顰めつつ、アサドは全身から魔力が抜け落ちたことによる虚脱感に耐え】
【爆煙が晴れるのをひたすら待った。――思わぬ誤爆で吹き飛ばしてしまった天辰以外、全員の渾身の攻撃を受けたにも関わらず、】
【そこには、アインが立っている。当然無傷ではないが生きたまま。……それを少しでも嬉しいと思ってしまう自分が、複雑ではあったけれど】


………クソッタレ、お預けか………!
あんた、あの肉塊のとも知り合いなのか。その辺りも含めて口を割って欲しかった所だが………。
お前がまたこんなことをする気なら、俺は何度でも止めに来る。その時は、必ず話の続きを聞かせて貰うぜ―――!!


【そのまま壊れた窓から飛び出していくアインの姿に舌打ちすると同時、艦が大きく揺れる。最後まで厄介な真似をしてくれるものだと苦笑し】
【聞こえるかどうかは分からないが、天まで届くほどの大声でアインへそう叫ぶと――後はクリスの指示に従い、取り敢えず元来た道を戻るとするだろう】
【途中でクリス達と合流できれば脱出の手だてもあるかも知れない。そう考えての行動だった】

【なお、その際……天辰に「すまねえ、無事だったか?」ともう一度声をかけるのは勿論だが、必要なら肩を貸すはずである】
【と言っても、カガリの言ったように、窓などからから別ルートで脱出する手だてが誰かにある場合はそれに従うだろう】
907 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/21(火) 02:19:01.01 ID:mF9tOO/lo
>>906
/本筋には関わりませんが一応修正……最後「から」が何故か一個多いのもアレですが
/台詞部分、「肉塊のとも〜」ではなく「肉塊の旦那とも〜」が正しいです、すみません
908 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/21(火) 02:19:53.27 ID:KiGte1Y2o
>>904

【全てを打ち込み終わった剛太郎だが、同時にもだえ苦しみ始める】
【炎の放出は収まっていない、このまま変身を続けていたら本当に火だるまになってしまう!アインの再起不能を確認するや否や彼は即座に変身を解除するだろう】

【解除した彼の体のあちこちには―――なんだか焼けただれたような醜い傷が出来上がっている、自分の炎で火傷してしまったのか】


あっちゃっちゃっちゃ!!マジでやばいなこれ!……ふー、危なかった
今日は俺たちの勝ちだな、アイン……さて、全部吐いてもらうぜ、結局の所お前は何をしたかったのか
何のためにこのような事件を起こすのか、その全てをだ。……このまま続けると死んじまうぜ、早く言ってみろ

【そう彼の傍で忠告を続けるが……そんな中クリスがスピーカー越しにみごとこの艦の制御を抑えたらしい事を知る】
【これで『詰み』だ、もう逃げ場はないとばかりに距離を詰めようとしたら、突如アインが隙をついて逃走!外へと飛び出していく!】
【そして最後の抵抗とばかりに機関部を攻撃!この艦ごと墜落させるつもりか―――ムクが剛太郎たちに注意を呼びかける】


「いかん!剛の字!"ライドコフィン"に乗れ!こいつを加速させてなんとか建物の上に着地させるぞ!」

ハリウッド映画みたいな脱出の仕方だね……まあいいや、みんな!もと来た道を戻ろう!
昇降口だったらさっきの奴らが持ってたような小型艇もあるかもしれない!……人数分なかったら俺はハリウッド式脱出でいいや


【かくして、火の上がるこの艦からなんとか脱出を図る事だろう】
【おそらく人数分飛行艇が見つからなかったら剛太郎はまた棺桶をバイクに変形させてどっかの建物の上に飛び移ろうと試みる事だろう】
909 :天辰 櫻 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/21(火) 02:23:27.32 ID:Uo0z/EWDO
>>904(主催)&ALL

【セリーナに剛太郎、アサドやカガリの攻撃が、アインに殺到する。窓が破壊され、強風が室内に吹き荒れる】
【室内の異変により、意識が戻ったのか。氷壁を頼りに、よろよろと天辰は立ち上がった】
【視界に映るのは、致命傷を負いながらもなお立ち上がる六罪王だった。──まだ、戦うのか。寒気が走ったのは、外気のせいだけではないだろう】
【床に落ちていた≪天龍≫を拾い上げる。弱々しく握りこむ。街での戦いから随分と時間が経っていた。体力もだいぶ怪しい】
【そんな時だった。喜びを孕んだ声がスピーカーから聞こえた。──クリス。艦橋を首尾よく占拠したのか!】
【しかし安堵している場合ではなかった。謎の言葉を紡ぎアインは艦外へ脱出。止める暇さえなかった】
【……かと思えばアインの攻撃により艦が揺れだし、あまつさえ落下を始めたのだ!】

【状況は最悪だ。小型艇は乗り捨てたし、回収している余裕はない。セリーナは機械翼を持っていたが、確かあれは使い捨てたはずだ】
【剛太郎もカガリも、アサドも飛行手段を持たない。──ということは。それに気付くと、素早く天辰は刀を鞘に納め、声を張り上げた】


……今さっき……結局、僕はアインへの攻撃は出来ませんでした。役に立てなかった
ですが……今なら僕の能力(チカラ)を役に立てることが出来ます!
多少まだ頭がくらくらしますが……へへ。四の五の言っていられませんから、ね──

……皆さん。僕の手に、捕まってください
とはいえ2本しかありません、からね。……右手にカガリさん。左手にアサドさんを
そして……アサドさんとカガリさんの手を……それぞれ、セリーナさんと、剛太郎さんが握ってください!


【──天辰が両手を広げる。びゅう、と風が天辰の身体に纏わりつく。彼がこの戦いで何度も見せてきた異能、“嵐”の力だった】
【もちろん、空中を移動する手段が別にあるならば天辰に従わなくてもいい。その時はまた後で地上で合流するだけだった】

【彼の指示通りに全員が手を繋げば、「行きますよ!」と合図を出し天辰は彼らごと窓から脱出を図る】
【重力に従い落下する身体──だがすぐに落下は緩やかなものとなる。天辰が風を操り、宙を駆けることを可能とさせたのだ】
【それでも、戦闘中に見せた速度ではないのは仕方ないか。何せ腕に複数の人間を抱えているのだ】
【緩やかに天辰は風を操り、地上へと降下していく。降り立つのは、どこかのビルの屋上、だろうか】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2015/07/21(火) 02:31:30.97 ID:KiGte1Y2o
>>909

おおっ、そんなモノあんのか!よかった……じゃあ安心して脱出できるじゃん
一応この棺桶は重量軽減できるしなんとか重量オーバーにはならねえ、かな?まあともかくムク掴まれ!

「おう、助かるわい」

【安全に降りる方法があったのなら迷わずそっちに従う剛太郎たち】
【彼の指示通りに動くならば、左手で言われた通りにカガリの右手につかまり、棺桶の鎖を自分に巻き付け重力制御発動】
【その上で最後にムクを右手で小脇に抱えて脱出を試みる事だろう】
911 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/21(火) 02:36:45.29 ID:hExB1lMhO
>>909
おや、無事だったのか。それはさておき下まで降りれるのか!?なら最高だ、下には(主に剣と刀とナイフやら)大切な奴らが待ってるからな。


【天辰の提案により彼の右手を掴む】
【彼は剣を腕の中に仕舞うと少しだけ安堵の表情を見せた】

助かったよ刀使い君。確か天辰だったか?
良ければその内オーダーメイドの刀でも受け付けるぜ。今回の戦いで正親町の作品を高く売れるようになるだろうしな…ふふっ

【彼はそう冗談と本音の入り混じった言葉を飛ばして見せた】
912 :主催 ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 02:40:22.68 ID:vtjNVLH8o
>>906>>909>>910>>911

【櫻たちは無事に屋上に着地した】
【蛇行を続けていた大型艦だったが次第に高度を落としていき、ビルや建築物を破壊しながら落着】
【衝撃が地上で広範囲に広がっていき、周囲のビル群が次々に崩壊。都市の中心部は土煙に覆われた】
【クリスたちがどうなったのか、櫻たちがいる場所からはわからない。生死も不明だった】

【上空を見上げれば、遥か高い位置に六罪王は滞空していた。彼は眼下に広がる光景を眺めていた】


…………フルーソは壊滅、か。数の暴力に任せれば、こんなものだな
しかしこれでは違う。集団に集団をぶつければ簡単なことなど、分かりきっている

さて────次はどうやるか


【微かな光と共に、あっさりと六罪王は姿を消した】
【中型艦は全て撃沈。旗艦も墜落。機関員の殆どは倒された。戦闘はこれで終了だ】
【だが被害は大きかった。都市の殆どは崩壊、死傷者も多数。比較的軽傷な軍人たちは民間人の救助にあたっていた】

【五人の元にも、小型艇に乗って救護班がやってきた。救助に向かうにしてもまずは自分たちの回復が先だろう】
【これで戦いは終わった。被害を出しながらも、助かった人々もいる】
【結局、六罪王は自身の目的を語らなかったが、それを聞き出す機会もまた訪れるだろう】


//セリーナの方が見当たりませんが、返しちゃいます
//これにてイベントは終わりです。二日間ありがとうございました
//お疲れ様でしたー!!
913 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/21(火) 02:46:58.34 ID:42ofiOBjO

>>886

【"吟遊詩人"ーー又の名をストーリーテラー……"物語を改編せし者"】
【その"物語を改編せし者"の秘奥が、"神話の擬似顕現"だ】
【自らが知り、改編して"現在を神話の始まり"とする秘奥は、藍璃の最終手段であった】
【だが、元の世界と違い、こちらの神に信仰など無いーー人一人で信仰を賄う為、藍璃の消耗は体力だけでなく精神にも及ぶ】
【最早曖昧な意識の中、"負けたくない"という揺るがない意志だけがそこには残っていてーーそれが"矢"を捉えた】

……ルッ……ラッ……気をつけ、て……陰陽には神すら逆らえないッ……!

【藍璃は朦朧としながらも、自らを抱きかかえる"ルーラ"に伝える】

もう喋るなッ……こっちではまさに"秘奥"、お前こんな大会で全力出しすぎなんだよッ!

【"ルーラ"に否定すらせず、ぶっきらぼうながらに"主"の心配をする"神"】
【しかし、その忠告は確実に彼に届きーー飛来する矢と、それを射た春燕を見据えた】

……全く、こっちじゃこの"ヒトガタ"もまるで"人間"みたいじゃねぇぇか……

【殺傷不可とはいえ、決して弱くはないはずの"主"をここまで追い込んだーーその事実に、"神"もまた相手に敬意を表す】
【だからこそ、負けるわけにはいかないーー"神"の全力を見せようぞ】

いくぜえええニンゲェェェェンッ!

ーー霊導ノ神滅炎《迦楼羅天》ッ!

【ルーラの体内で、飲み込まれた"霊導ノ指揮棒"が呼応する】
【周囲に存在するあらゆる精霊が"信仰"と化し、炎翼に集う!】
【翼から右腕へと力は移動し、その右腕を矢に向けてーー即ち直線上にいる春燕に向けて構え】
【"人神一体の秘技"を放つ!】

ーー謳う、は……みら、いっ!
ーー描く、は……勝利ッ!

【藍璃も、途絶えかけた意識の中"謳う"】
【それ自体にはなんの効果も無かったがーーそれだけでルーラの力は極限まで引き上げられた】
【圧倒的な勝利への"信仰"がそうさせたのだろう】

ーーいけぇぇぇぇぇっ……!

【そう叫んで、藍璃の意識は途絶えた】
【放たれたのは、聖炎を纏いし矢】
【フィールドを覆い尽くす程に放たれたそれは、聖炎故、人を傷つけることは無いだろう】
【だが、それ以外に対しては残滅の限りを尽くすーー風船は砂浜諸共吹き飛ぶはずだ】
【ルーラが勝利を確信したーーその時】
【なんと、矢の隙間を縫って、春燕が放った陰陽の矢が首元を狙って飛来する!】
【避ける暇は無いっ!】

くそっ……届けええええええッ!

【そして、風船が割れる音が響きわたったーー】
【勝敗や如何にーー?】

/おおう、まだ起きてましたか……確認遅れました申し訳ない!
/勝敗はお任せします、もう暫く付き合っていただけると!
914 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw [sage]:2015/07/21(火) 02:57:38.27 ID:KiGte1Y2o
>>912
【無事着地し終えた所で剛太郎は振り返り、堕ち往く敵艦の末路を見届けることとなる】
【最後まで制御していたであろうクリスはどうなったのだろう、脱出は成功したのか?失敗したのか?ここからではわからない】
【顔に焦燥が走るが、もう彼にはどうする事も出来ない、武装はもちろんの事、剛太郎自身の体力がいよいよ底をついてしまったのだから】

……クリス、大丈夫かな?無事に脱出してくれていればいいけど……
しかし、結局アインの目的はわからなかったな。とりあえず今回も俺たちの勝利って事でいいとは思うけど
みんな、力を貸してくれてありがとう。助かったぜ

あ、そうだ……一応ドラにも礼を言っておくか。……でもって顔合わせたらぶん殴る用意もしておこう

「おまえ今日一日で何回ぶん殴ると言っちょるんじゃあ……知ってた事じゃが顔に似合わず気性が荒いな、お前」

【その後、剛太郎は救護班の指示に従い誘導を受け、治療を施されることだろう】
【幸い火傷もわずかな痕こそ残った物のしっかり処置を施されたため大事には至らなかった】
【―――しかし、今回もボロボロになってしまった、と剛太郎は若干呆れる。カノッサ機関、六罪王との過酷な戦いはまだ続いていくのだろう】

【前に進む前にまずは休息が必要だろう、次の戦いが始まるまで剛太郎はしばしの休息をとるのだった―――】

【←To Be Continued...】

/お疲れ様でしたー
/せっかくなのでこのままレスをかえさせていただきます。二日間のイベント主催ご苦労様です、ゆっくりお休みください
915 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/21(火) 03:01:20.66 ID:Uo0z/EWDO
>>910(剛太郎)

あ、は……ムクさんを落とさないようにしてくださいね剛太郎さん
流石にこの状態では、ムクさんが落っこちても助けにはいけませんから


【彼なりの冗談だろうか。にしては笑えない冗談だが……言っていることは事実だった】
【ともあれ、随分高い場所を長い間浮遊するはめになるが……高所恐怖症でなければ、まぁ大丈夫だろう】


>>911(カガリ)

はは……まぁ、おかげさまで、という感じですかね
名前は天辰であっています。天辰、櫻です

オーダーメイドの刀の話も……覚えておきます。同僚の中で、武器の扱いが荒い人がいるんですよ
僕の勤め先は天辰警備会社、といいます。その……いずれ正式に武器を発注するかもしれませんね?


【冗談半分であろうカガリの言葉には、天辰は比較的真面目に返した。そういう性格なのだろう】
【天辰警備会社。彼はそこの会社の跡取りでもあった。名字からもそれは察することが出来るだろうし】
【雑誌の広告欄には時折会社のPRとして彼の写真も載っている。となれば、「武器発注」の件はいずれ現実的な話になる可能性もあり──】


>>912(主催)

【全員を抱え、無事屋上に降り立つ。そこから見えたのは、街を破壊しながら堕ちる大型戦艦だった】
【クリスがどうなったのか、分からない。けれど彼ならきっと生きている……天辰はそう信じたかった】

【そしてさらに上空を見れば、六罪王が浮遊していた。エルジオに次ぎ、フルーソまでもが壊滅的な被害を受けた】
【この戦いも、エルジオでの戦いも、どちらが勝ったか負けたか、判別がつかなかった】
【それでも……街を完全に更地にされなかっただけマシなのだろうか。かくん、とその場に崩れ落ちる】
【エルジオで受けた程の傷は負わなかったが、それでも多少は負傷している。精神的疲労もあった】


……アイン。また仕事がくれば……止めてみせます、から──


【小さく、それだけ呟いた。そうして彼は、大人しく治療を受けることだろう】
【各地を襲う六罪王・アイン。彼の目的は分からなかったが──また天辰警備会社に依頼がくれば、天辰は≪天龍≫を携え、戦場を駆けにくるのだろう】

/2日間、ありがとうございました、お疲れさまでしたー!
916 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/21(火) 03:04:17.13 ID:mF9tOO/lo
>>909 >>912 >>ALL

【アサドは一度、「何から何まで悪ィな」とバツが悪そうに頬を掻いたが――すぐに元の表情に戻って彼の指示通り手を握るだろう】
【察しの通り、男に飛行手段などはなかった。天辰の申し出はこの上ないものだ。ふわりと体が浮き上がるのを感じれば、一瞬頬がひきつったが】
【すぐに体が風に包まれ、安定する。ひゅう、と下手な口笛を吹いて天辰を賞賛すれば、あとは彼の導くままにビルの上へ直行だ】
【……残されたクリス達のことが、強く気がかりだったが。今の状態ではどうすることも出来ない。空中を浮遊しつつ、ギリッ、という歯軋りが響いて】


ありがとな、櫻。今日は何度も助けられた。それに他の皆もな。
六罪王アイン……力も心もとんでもねえ奴だったが、お前らのお陰でまた生き残れた……。

……どうやら救護班も来たみてぇだな。お前らの名前、覚えておくぜ――。


【ビルの屋上で一息付くと、アサドはにっと笑って全員に声をかけるだろう。まず天辰へ礼を言い、その後他のメンバーにも笑顔を向けた】
【――今は敢えて、艦と共に墜ちたクリス達のことには触れない。落下地点には既に国軍も向かっているはず、それはこの後考えるべきことだ】
【ともあれ、しばらくすると救護班の小型艇がやってきた。アサドもまたそれに乗り込んで移動し、一時体を休めるだろう】
【今回はそれほどの重傷は負っていない、普通に歩ける程度に回復すると、皆に挨拶して真っ先にどこかへ行ってしまうが――】


(クソッタレ………)


【――最終的に艦はクリス達が抑え、落とすことに成功はした。だがこれは、果たして勝利だったのだろうか?】
【数時間後、『ヘイダル』の面々と合流して救助活動に当たりながら、彼は心中に暗い思いを募らせる。崩壊した街並みが――ひどく痛々しい】
【民間人、そしてクリス達。とにかく助けられる人間は一人でも助ける。その一心で、アサドは部下と共に瓦礫を押しのけ続けるのだった】

【すべては別の機会に持ち越されてしまった。せめて、奴の動きを掴むことが出来れば……そう考えるが方策は思いつかない】
【結局、すべては振り出しか。誰にも見せぬよう苦い表情を浮かべながら、アサドは新たな決意を固める。このままでは、終わらせないと――】


/お疲れさまでしたー!
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/21(火) 05:20:54.73 ID:aSKGhOxDo
501 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:01:27.32 ID:auaAu9V10.net[1/2]
リーべと犬山居るならイベント参加しなくていいや
502 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 11:20:22.45 ID:vbDWqK0W0.net[1/3]
そもそもマリアの取り巻き(下半身猿)が考えた水着でやる大会とかいう時点で終わってる
何人参加すんのかな
505 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 12:59:03.65 ID:lvKuTy7d0.net[1/2]
水着大会クソワロタwwww
ホントに中学生並の性欲猿だなこいつ
506 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/11(土) 13:03:47.02 ID:vbDWqK0W0.net[3/3]
確かマリアにエロ絵みたいの描いて見せて喜んでたからなこいつ
590 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 22:22:45.05 ID:NDVAxqDl0.net
チンポ脳主催に犬山アサドリーべ害悪三人衆
592 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/12(日) 23:05:50.15 ID:DS2wqxx00.net[2/2]
キングのイメージのせいで未だにセリーナが女だと思えないんだが、
チンポ脳集団にはあんまり関係ないんだな
593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:07:41.67 ID:M3JwjKcv0.net
チンポが延期するらしいぞ
594 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 14:27:51.75 ID:RbyC4eKx0.net[1/2]
一週間以上前から募集してるのに何で集まらないか不思議だなwwww
599 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:26:23.92 ID:AsaQazYX0.net[1/7]
チンポ大会やっぱり主催のチンポも出る予定なんだな
考えてること見え見えすぎて面白い
601 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 19:55:44.23 ID:oGY47fPD0.net[1/2]
チンポ呼ばわりはマジで草生える
602 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:00:01.61 ID:AsaQazYX0.net[2/7]
チンポ脳でマリアのへったくそな絵描いて媚びてる以外特徴ねえしなあいつ
某所じゃ一番のチンポだしチンポの人でいいだろ
609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 20:27:41.86 ID:oGY47fPD0.net[2/2]
そもそも今の某所自体にロクなのがいないから仕方ない
新規を楽しませる気がなく、自分が[田島「チ○コ破裂するっ!」]することしか考えてないクソ古参ばっか
622 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:21:57.84 ID:RbyC4eKx0.net[2/2]
いくら擁護しようが工作しようが一週間前から募集しといてこの惨状なんだから某所民のブラックをどう思ってるか分かるな
623 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/13(月) 22:25:03.10 ID:AsaQazYX0.net[7/7]
ヤリたがってたセリーナとマリアのキャラ出るんだからチンポの人は満足でしょ
688 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:31:26.24 ID:DX760ziT0.net[1/25]
一方チンポの大会は某所のメインキャラ大半が集まってて盛況ですねえwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
・・・人数足りないから延期した大会ってこれくらいじゃねえかな
689 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 11:44:06.90 ID:yrVn5R3B0.net[2/4]
半分以上が害悪な大会が今から楽しみだわwwww主催からして直結害悪だしwwww
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/07/21(火) 05:21:46.32 ID:aSKGhOxDo
691 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 13:53:16.51 ID:tfvRPCS90.net[1/3]
チンポが使ってるキャラを全く知らないんだがスレ内のポジションはどうなんだ?
692 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:06:38.60 ID:vbDCSWug0.net
チンポが使ってるキャラって出てなくね?
あいつのキャラが動いてる所を見たことがない
693 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:23:23.28 ID:pXMQ2R1N0.net
セリーナマリアシェン辺りにはよく絡んでるよ、それ以外に絡んでるのは見たことないし投下してるのも見たことない
694 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 14:34:29.04 ID:DX760ziT0.net[3/25]
中心人物の小判鮫って印象、ロール自体は下手ではないが特徴ない
695 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:34:51.43 ID:Y7f4Bspz0.net
つまりセリーナマリアシェンのチンポって事か。呼び名もチンポ、存在もチンポとか笑えねぇな
696 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 15:41:59.06 ID:DX760ziT0.net[4/25]
そいつらに張り付いて自分が実力者と勘違いしたのか最近態度もでかくなってきてるな
チンポの頭の中じゃ自分も某所を代表するプレイヤーの一人のようだ
703 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:00:17.08 ID:DX760ziT0.net[6/25]
害悪らしい害悪は主催だけだろ
特定の女プレイヤーに粘着して雑談で精液かける発言
そのプレイヤーのキャラのエロ絵描いて見せる
投下でも特定の女キャラ達に粘着
今回のイベントはビーチが舞台で水着推奨のエロ目的な大会

どんどん増長してるからその内覚醒していいネタになりそう
704 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 16:04:44.11 ID:yrVn5R3B0.net[3/4]
ちなみにサメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります、イカ等に絡みつかれるといったシチュエーションも可能ですのでご自由にどうぞ
705 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/18(土) 17:50:35.56 ID:WN/iOFmt0.net[2/7]
チャHとか発掘されて爆発すればいいと思うよ

826 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 04:08:14.57 ID:SQDZV/vT0.net[1/4]
イベント始まっても某所が全く盛り上がってなくて笑った
834 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:08:52.26 ID:gy3HSuMn0.net[2/15]
某所民は皆某所に執着してるから他の場所とか行かないだろ。但しゴミ溜めは除く
835 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:13:50.38 ID:xmkOhUvO0.net
相手されない新規や中堅ならともかく内輪作っちゃってる中心人物はもう某所からは離れないだろ、内輪が心地良すぎて
836 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:40:46.78 ID:gy3HSuMn0.net[3/15]
相手にされないと言っても内輪にどうにか取り入る脳味噌があれば快適なロールライフ遅れるんだがな。あいつら馬鹿だから取り入るのなんて簡単だろ
838 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:42:28.52 ID:Wo1gnoAy0.net[3/4]
某所とかダラーっと長文書き殴って中心人物に媚売ればちょちょいのちょいやろ
839 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 11:49:15.76 ID:SQDZV/vT0.net[2/4]
チンポやチンポ脳みたく自分を中心人物と勘違いしてる奴に行くと直結粘着してくるから注意な
840 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/07/19(日) 14:23:41.86 ID:gy3HSuMn0.net[5/15]
その辺は三人くらいキャラ持っといて粘着させる女キャラ一人くらい入れとけば良いだろ。
悪側では無くある程度中立なら受け流すの余裕だろ。主のキャラ動かす時はこっちから出てやれば良いし


http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1437312911/l50
919 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/21(火) 09:08:34.34 ID:y5wQq7KpO
>>912
【堕ち行く巨大戦艦、先ほどまで自分たちが居た場所】
【巨大で豪奢な物の堕ち行くなんと儚き事か、夢泡沫に消えて行くかのように先程まで水の国へと猛威を振るわんとしていたその空中戦艦は次第に身体から力を失い、遂には水の国へと逆らえぬまま落ち、果てた】
【それは次々に周囲の建物にも被害を及ぼし、言わばこのシナリオ事態が六罪王の想定通りだったと思うと悔やまれる】
【戦術的敗北。そんな言葉が彼の頭をよぎる】
【その時、遥か上空に舞う一つの物体が目に留まる。鳥か、それとも戦艦の残骸か】
【彼は瞳の感度を上げ、その物体を目を凝らして見る。それは六罪王アインであった。】
【奴は少しの光と共に姿を消す。空間転移魔法の類だろうか。それとも次元交錯魔法、魔術の事はとんとわからない。終ぞその時アインの使った魔法は彼にはわからなかった】

くそ……これじゃあ勝ったんだか負けたんだか、わからねぇ結果だな…

俺が最初に動き止めようとしたのが失敗だったのかな……初っ端から零式撃ってれば良かった…

>>914
剛田さんだったっけ?俺の攻撃、巻き込まれなかったのか?やたらと火を吹いていたようだが……
(犬…?トイ・プードル…?何故……)

【彼は剛田の抱える犬?に少々疑問を抱きながらも剛田へと礼を言う】

ともかく、感謝する。俺も近接攻撃主体なんだが今回は何にも活躍無しだ…
(まぁ武器の製品価値は高まっただろうけど…)

さて、とその傷ちゃんと治療してもらってくれよ。何か嫌だ。周りに負傷者がいるのは何か嫌だ。

>>915
【彼は無事戦艦内から脱出出来た事、そしてその最大の功労者に対しても】

無事助かったな…天辰君。オーダーメイドの刀の事も真剣に考えてくれるのか。そいつは嬉しいねぇ、幾らでも料金かさ増し出来るや、ははっ!

【彼は一部冗談に聞こえない冗談を吐きながら、無事自分たちを地上へと送り届けてくれた天辰に対しても感謝の言葉を述べる】
(天辰警備会社か…屋敷に居た時に何度かCM見た気がするな…おや?結構重要なお客様?)
【崩れ落ちた彼を見て、カガリは少々ため息をつく。それは自分にも疲れが溜まっていると言う事を天辰の疲労困憊、我ここに在らずと言った行動で思い出したから】
>>916
あぁ確かにバツが悪いよ。……完全に勝てたって訳じゃ無いからな…

【彼はアサドの言葉に返すように低く呟いた】
【この戦闘の結果に彼も満足いかないのだろうか、そうだとしたら自分と同じだ】

アサドさんだったか、感謝するよ。あんたの氷壁の業、あれが無かったら俺は剣を撃つタイミングを見計らう事が出来なかったかもしれない。

【彼はそう言うと懐から何かを取り出した。見た目は小さな鋼のケース、その中から人数分の小さな紙のような物を取り出す】
>>914-916
ほらよ、これ

【彼が取り出した紙、それは彼に直接連絡出来る電話番号の書かれた名刺であった】
【そこには「気が向いたら制作可能」と小さく書かれていた】

何か武器を作るだの注文があったらここに連絡してくれ、剣から戦車の徹甲弾まで作り上げて見せる

【彼はそう言うと皆に比べて比較的軽傷、されど幾度もの攻撃を受けた体を無理矢理にでも動かして姿を消していく】

それじゃ!俺はまだやり残した事あるから、ここでお暇させてもらうよ。救護班には「奴は死んだ」とでも何でも言っといてくれれば幸い…
後、その名刺、無くしたらもう次無いから〜、お得意様にしか渡さない決まりなんだ。今回だけ特別に渡しておこうと思った。共に戦った君たちだしな。
>>912
【彼は瓦礫の中から自らの制作した武器などの保管庫を探しながら彼は一つの疑念を抱いていた】

(あのアインとか言う男。結局この街を破壊するのが目的だったのか?そうだとしたら何故ここまで回りくどい作戦を?遠距離での魔法狙撃でも何でも出来たはずだ…)

またいつか、関わる事になるかもなぁ…

【彼は自らの中に密やかに食い込まれた戦闘への覚悟と躊躇いの無さを気に留める事も無く、瓦礫の撤去を続けて行った】

/お疲れさまでしたー!初めてのロール緊張しましたが最後までやり遂げられて良かったです…
/最後のレス遅くなってしまいましたがありがとうございました!
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/21(火) 12:18:56.93 ID:/qMsFi/X0
>>913

―――……っ、……当た、レ……――……!

【熱と疲労で奪われた体力は既に限界だった。既に自分の体重を支える力すら、彼女の足には残されていなかった】
【最後の力を振り絞り、矢を放つ。―――その矢が当たったかどうか確認する間もなく、春燕は焼け付くような砂地に倒れ込む】
【もう動く事すらままならない。倒れた瞬間、春燕に矢の雨が降り注ぐ―――動けない春燕に、もはや矢を避ける術は無い】

【降り注ぐように放たれた無数の矢が、春燕を蹂躙する。圧倒的な力が砂浜もろとも風船を吹き飛ばさんとする】
【しかし、その矢を掻い潜るようにして春燕の矢も上へ上へと飛んでいく。小さな人間の、最後の意地を乗せて】

(―――アナタの、……詩ニ……私の名前ハ……、……刻まれ、ました……カ……?)

【無数の矢が砂浜を吹き飛ばし、砂埃を上げる。全てを吹き飛ばすような暴威が、フィールド全体を襲う】
【薄れゆく意識の中で、春燕は最後に風船が割れる音を聞いた。―――其れがどちらの風船の音だったかは、分からない】
【自分の矢が最後の風船を割ったのを知る事なく、春燕は静かに意識を手放した】

【舞い上がった砂埃が治まれば、気を失って倒れている春燕の姿が見える。最後の風船は――――割れていた】


【結果を見れば、両者共に全ての風船が割れているという状況。しかも互いに気を失っている……】
【観客からは、恐らくどちらが先に風船が割れたかは分からなかっただろう。なにせ砂埃で何も見えなかったのだから】
【両人は勝負が決まる前に気を失い、観客は何も見えなかった。結果を知る者は誰一人居ない。――――ただ一人、ルーラを除いては】
【僅かに、春燕の風船が割れる音が早かったことが、ルーラだけには分かった筈だ。。時雨の勝利を知るのは……ルーラだけだ】

【時雨が目を覚ましたら、告げてやるといい。勝者は時雨だ、と――――】


【現在、時雨も春燕も互いに激しく消耗して気を失っている。特に春燕は熱による脱水症状も無視できず、すぐに医務室に搬送されるだろう】
【時雨も、気を失ったまま地上に降りてくるなら医務室に運ばれるだろう。次に二人が目を覚ますのは、医務室の二つ並んだベッドの上か……】

//すみません、流石に3時までは起きられませんでした……お返ししておきます!
921 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/21(火) 14:18:18.53 ID:ptC423juO
>>920

【予想外に大技を連打してしまい、藍璃精神体力ともに消耗していた】
【医務室のベッドで目を覚ました時、自らが熱くなりすぎていたことを先ず恥じてーーそういえば勝敗はどうなったのだろうか、と周囲を見渡した】
【負担をかけたくなかったからか、ルーラの姿は無くーーと思っていたら、窓際に鳥の姿で外を眺める姿があった】

『起きたか』

【その状態では人語は話せないため、念話で話しかけてくる】
【藍璃は曖昧に笑って、しかし返事をすることはなく隣のベッドへ目をやった】
【幾ばくか幼く見える少女ーー春燕と言ったか。今は激しい戦いの余波で、穏やかな顔で眠っていた……適切な処理をされたらしく、暫くすれば起きるだろう】

ーー私としたことが、何故彼処まで熱くなっていたのかしら……?

『その少女の名前の発音、恐らくはーーだからだろうな、向こうを思い出したんだろう?』

【ああ、そうか。と藍璃は何処か納得した。観測者としての対象ーー見守れなかったものを思い出してしまっていたのか】

『ま、単にそいつが強かったってのもあるだろ。神炎を掻い潜る矢なんざ、滅多に見れねぇぜ?』

【ルーラの首元には、矢による擦り傷が残っていた。陰陽の一矢は神へ届いたのだ】

貴方ーー怪我してるじゃない!?

『流石に"悪霊退散"の一撃を受けりゃ、暫くは回復しねぇよ……ま、勲章だ勲章』

【見れば、その傷の部分からだけ聖炎が出ておらずーー一歩間違えれば首を射抜かれていたのかと思うと、ゾッとした】

全く……貴方も大概じゃない。本気、出しすぎよ。

『うるせぇぇ、炎熱司る神が熱くならんで誰が熱くなるんだよ』

【冗談交じりに会話し、そして本題を問いかける】

……ところで。
結局ーー勝敗はどうなったのかしら?

【あれだけ大技連打して負けてたら、それはそれで清々しいものだが、最後の一瞬は物量とかではなく、両者は拮抗していたのだ】
【正直、負けていてもおかしくはないーー】

『勝ったよ』

……え?

『勝ったって言ってんだろうが人間、その耳はロバの耳か?』

……そう。

【勝利。それを理解した瞬間、一気に体中の力が抜けベッドに崩れた】
【勝った、買ったのだ……だが、どうしようもない無情感が藍璃を襲う】

一戦目から、辛勝すぎるでしょう……こっちの人達は化け物ぞろいね、本当。

『それをテメェが言うかって話だがな』

【無情感は、相手への敬意だ。これ以上の戦いを、藍璃は出来る気がしなかったのだ】
【勝利を再び噛み締めて、隣のベッドを見やる。もぞもぞと動いている様子から、もうすぐ目を覚ましそうだーー】

/おはようございま申し訳ありませぇぇん……!
/お返しします!
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/21(火) 15:52:23.98 ID:/qMsFi/X0
>>921

――――あ……、……んゥ……―――……えっ、と……ここは……あ、医務室カ……
……あ、時雨さん……―――えへへ、おはようございまス。

【暫くすれば、春燕も目を覚ます。どうやら此処が何処だか分かっていないみたいで、あたりをキョロキョロと見回して】
【隣のベッドに居る時雨と目が合うと、まだ幼さの残る顔に笑みを浮かべる。少し照れたような、少女らしい笑顔】
【あどけない声も、人懐っこい笑みも、きっとつい先程まで苛烈に戦っていた人物とはとても思えないだろう】
【戦っている時に見せた隙の無さや凛とした気迫も、今は無い。その代わりに穏やかな雰囲気を纏っていて】
【人懐っこそうな笑顔のまま、春燕は時雨に声を掛ける。柔らかい声が薬の匂いがする医務室の中に響く―――】

あ、えーっと……お体、大丈夫ですカ?
試合だから仕方ないとはいえ、貴女もとても消耗していたようですシ……
―――その様子だと、大事には至っていないようですネ。良かったでス……!

【まず勝敗や自分の事より先に時雨の体の事を心配する辺り、本来の彼女の優しい心根も伺えるか】
【時雨が大事に至らなかった事が分かれば、ほっと安心したような笑顔を浮かべたりして】
【―――彼女の本来の姿は、こんな風に他人の事を心配するような優しい少女だったようだ】
【そう言えば、彼女は薬師と言っていた。……きっと、普段はこんな風に病人や怪我人の事を心配しているのだろう】


―――ところで……時雨さん。私の名前は、貴女の詩に刻まれましたカ?
えへへ……もし負けたとしても、貴女の心に私の名前がちゃんと刻まれたなら嬉しいでス。
私の薬を宣伝できない事だけは、ちょっぴり残念ですけド……

【そして、春燕は穏やかな笑顔で時雨に問い掛ける。勝ち負けではなく、戦いを通して名前を刻んでもらえたかどうかを】
【時雨藍璃の紡ぐ詩に、春燕の名前が残ったのなら―――試合に負けても、悔いは無い】

//いえいえ、大丈夫ですよー!次に安定して返せそうなのは夜8時くらいですが……
923 :時雨藍璃 ◆gjsrwSHe/k [sage]:2015/07/21(火) 17:05:15.78 ID:ptC423juO
>>922
おはようございますーー早上好……と言った方がいいのかしら?

【春燕が無事に起きたことに、一先ずの安心を覚えつつ、とある言語での"おはよう"をする藍璃。それは、彼女が元々居た世界でのとある国の言語だ】
【名前を聞いた時から、引っかかっていたーーもしかすれば、春燕も異世界人なのではないかと】
【だが、それを直接聞くことはしない。今はただ、敬意を示すべき相手として、微笑みを返した】

体はーーまぁ、なんというか。正直自業自得だから……あ、左腕は一過性の麻痺だったから心配しないでね?

【気絶するに至ったのも、加減なしに能力を発動させたからな訳でありーー派手な戦いを好む性格が全て悪いのである】
【"吟遊詩人"の特性上、大技以外は扱いにくいというのもあるが】

寧ろ貴女こそ……大丈夫?

【脱水症状は酷ければ後遺症が残ることもあるというーー藍璃はそれを危惧していた】
【だが、彼女の職業を思い出し、それ以上は言わなかった】

でも……薬師だものね、自分の体調は把握してるか。
というか、本当に薬師なの……?
私も戦いは本業ではないけれど、貴女のそれは相当な錬度に思えたけれど……

【そう、藍璃は今回においても"戦っていない"】
【"謳っていた"だけであり、春燕のように正確な射撃術や剣術は使っていないのだ】
【極端にいえば、戦っていたのは"吟遊詩人"の能力だけである】
【それでも、超常の存在に一矢報いるというのは並大抵のことではない】

……人のことは言えないか?
今回の戦いーー"共演"は、久方ぶりに良いものでした。
是非とも、詩として残させて欲しいわ。
というか、もう書いたのだけれども。

【悪戯気に微笑み、懐から紙ーー形状は札の様だがーーを取り出す】

『海ヲ飛ブ 強キ燕ガ 栄光ニ 謳ウ詩人 心打タレリ』

……こほん、慣れないことはしないものね……俳句なんてわからないわ。

【読んだそれを、春燕に差し出す。藍璃は、敬意を示すべき相手には詩を渡すことにしているのだ】
【その札は、表には俳句が書かれているだけだが、裏には"金翅鳥の羽"が描かれている】

それは、私からの些細な贈り物ーー読めばきっと、私に届く。
どうしてかしらね……貴女にはシンパシーを感じるの。
だから、もし何かがあった時には、この子に乗って真っ先に駆けつけたい。

【本当は、同じ世界の人間の可能性があるから、だが】
【かの世界への僅かな繋がりを、失いたくなかったのだ】
【その札は、"詩"の護符としての効果も果たすだろう。使えば、一時的にヒーリング効果がある不死の炎を顕現させることが出来る】
【また、それは藍璃達への灯台ともなるだろう】
【受け取るかどうかは春燕次第だ】

それと……薬の宣伝、だったかしら?
私は旅人でもあるの。もし良ければ、機会がある度に貴女の名前を"名薬師"として紹介したいのだけれども……どうかしら?

【大会が終われば、藍璃は再び旅に出るーー行く先々で、何かしらの戦闘に巻き込まれることも多いだろう】
【そこで、春燕の名を紹介して回れば、そこそこの宣伝効果はあるはずだ】

そしてもうひとつ……春燕(チュンヤン)さん。
その……もし良ければ、だけど。
私のこともーー忘れないで欲しい、わ。

【それは、藍璃にとって精一杯の"友達"になって欲しいという言葉】
【不安に笑顔も多少暗くーー頬は少しだけ紅潮していた】
【"ルーラ"こそ居れど、能力無しで考えれば藍璃は天涯孤独の身……繋がりが恋しいのだろう】
【見た目に似合わず、心は少女……何処か寂しがり屋のようだ】

……駄目、かしら?
/了解しました、こちらは12時位になりそうです……!
924 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y :2015/07/21(火) 17:37:21.07 ID:bP+MufcF0
>>904
【カラカラカラ、と撃ち尽くされた薬莢が床面を転がり、熱を発して陽炎が上がる―――】
【弾幕を張っていた凶暴な"魔獣"はゆっくりと回転の速度を下げ、やがて八本のバレルは停止し切った。】
【オーバーヒート寸前の基幹部から煙が上がっている所を見ると、如何に馬鹿馬鹿しい造りをした銃器か分かろう物。】

【セリーナは弾丸を撃ち尽くし、床に鎮座するガトリングを踏み越えて、一歩前へと進む。】
【全員で同時に攻撃できれば、六罪王にもこれだけのダメージを負わせる事が出来るのだ。】
【反撃がどの様な物であっても、このメンバーなら彼を打倒出来る筈―――そう、思った時】


 ……っ、一体何を……!!

 (誰も当てにならない……"自分でやらなくちゃ"……?)

 まさか―――っ、待って―――"アイン"ッ!!


【銃を引き抜かず、セリーナはアーマーを解除して窓の外へと飛び出たアインへ走り寄ろうとする。】
【だが彼女が窓の外を覗きこんだ時には、既に魔術師は身投げをした後であって、そして何より彼女の想像通り―――】


 (……自分で、船を"落とす"つもりなの……っ!!)


【ギリ、と歯噛みする。術師の放った攻撃が艦の基幹部を直撃し、動力が奪われ機能を停止。】
【ガコン、という振動が全体に走ると同時、急激な落下を思わせる浮翌遊感と、足場が傾いていく違和感に襲われる―――!!】


 ……っ、クリスさん!!
 逃げたいのは山々だけど―――クソっ、もうジェットも無ければ小型艇も……!!


【クリスの避難しろ、という怒号を耳にするも、セリーナには既に飛行手段が伴って居ない。】
【剛太郎の言う様に入口まで戻れば或いは、脱出艇の一つや二つ転がっていても可笑しくは無いが―――】
【間に合うだろうか。走って入口まで戻り、それから扱い方の分からない脱出艇を起動し、外へ飛び出して―――】


 (……まっずいなぁ。こうなると……着地の瞬間にジャンプしてみる?)
 (ほら、エレベーターの……いやいや。ジョーク言ってる場合じゃないね、なんとかしないと……!!)

  ……せめて、落下を和らげるクッションでも……!?
  っ、櫻君!! ―――オーライ、それじゃ遠慮なく"甘える"事にするよ、お願い!

 
【周りを見渡す。その時、>>909天辰の声が聞こえてくる。掴まれ、と力強く語る彼の眼に迷いは見られない。】
【飛行手段がなくなったセリーナは直ぐに頷くと、傷ついた身体を引き摺って櫻の元へと掛けていき、集まった皆の手を握る。】
【丁度全員>>911>>910>>916で一つの輪になる様な形だろうか、セリーナは崩れゆく母艦の中で風が髪の毛を凪いで行くのを感じた―――。】


  ―――ヒュー、やるね櫻くん。まるで鳥になったみたいだ、身体が浮いてるなんて……!
  コイツは―――なかなか、ハードでクールで、そんでもってデンジャラスなエスケープ・プランじゃないか!


【飛行を始めた身体が、浮翌遊する感覚が、全身を支配していく―――緊迫した状況だが、何とも驚異的な光景だ。】
【眼下に攻撃されて火の手が上がったフルーソを眺めながら、痛ましい表情でセリーナはビルへと―――着地、した。】
925 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y :2015/07/21(火) 17:37:43.96 ID:bP+MufcF0
>>914

 ―――……お疲れ様、剛太郎君。
 君もかなり疲弊してそうだね、直ぐに帰って休むと良い。
 ただ―――……、"勝利"ね。……勝利、か。

 ……剛太郎君、君達のお陰でアタシの会社がある風の国首都は確かに守られた。
 けれど、そもそもが襲われてからアタシ達の仕事が始まる。そう言う意味じゃ―――
 どんなに敵を倒しても、どんなに戦艦を落としても―――……アタシ達は、"勝てない"のかも、しれないね。

【疲弊し、救護班に連れて行かれた剛太郎にセリーナは苦々しい表情で言葉を掛けた。】
【無論、それは嫌味でも無ければ文句でも無い。むしろ、自分に対する皮肉や無力さを呪う様な言葉だった。】
【ともあれ、戦闘は終了した。セリーナは剛太郎の手を握るとウィンクし、頭をポンと叩いて『ゆっくり休んで』と言い残した。】


>>919

 ―――確かに、勝ったんだか負けたんだか……って所だね。
 アタシも正直忌々しい気分だ。……相手を逃がす、戦艦は落っこちる。
 ……相手の言いたかったことは、理解も出来ない。……なんとも、言えないね。

 ただ―――これで分かった。相手は何も目的が無い愉快犯じゃあ、無いって事がね。
 て事は、何時かは彼を止める事だって、出来るって事に外ならない。
 気を落とすのも仕方ないけど―――前だけは向いて居ようか、お疲れ様、カガリ君。

 おっと、そうだ。アタシさ、風の国で"UNITED TRIGGER"っていう酒場を経営してるんだ。 
 機会があったら遊びに来て欲しいな、色々サービスするからさ。

【肩をポン、と叩き、セリーナはカガリに挨拶をするとにこりと笑ってその場を後にした。】


>>916

 ……アサド君、お疲れ。
 君も行くんでしょう。……アタシも怪我を見て貰ったら、直ぐに駆けつけるよ。
 必要な物があったらすぐに連絡くれると有り難いな、W-Phoneの掲示板に書いてくれればすぐ、用意するよ。

【セリーナはアサドに言葉を短く交わすと、自身も救護班に軽く手当てをして貰い、その後直ぐ小型艇を一つ譲り受けた。】


>>915

 ―――ふぅ。ありがと、櫻君。助かったよ、お陰で"サンドイッチの具"にならずに済んだ。
 尤も……>>912あの光景を見るに、……アタシ達の目的は達成できたかどうか、怪しい所だけどね。
 ……捕獲して、戦艦を着地させるまでがミッションだった。……けど、街へのダメージは、大きい……。

 クリスさんは勿論、あの下に居た人達は―――……や、今は嘆くより。
 直ぐに救援に向かおうかな、幸い怪我も―――んっ、く……、程ほど、って所だし。


【セリーナは櫻に礼を言うと、すぐに駆けつけた救護班に軽い手当てだけ受ければ立ち上がり】
【小型艇を再び駆って、落下地点への救助へ向かうだろう。同じ様に救援作業に当たっている>>916アサドは】
【もしかしたらセリーナの姿を見れるかもしれないが、救護中お互い言葉を交わす事は無いだろう。その理由は言うまでも無い】
【二人ともが、いや恐らくはその場にいた全員が、この惨劇には心を痛ませていたからだ。だが、いつまでも嘆いている暇は、無かった。】


 ―――……やりたい事をやるだけ……か。


【"革命"。自分を再起させる大きな要因となった1人の恩人が、大悪党だったと知って】
【セリーナは二重の意味で懐疑と悲嘆に身体を蝕まれながら―――それでも尚、目の前の人々に視線を向けた。】

/最後の最後で寝落ちしてしまいました、大変申し訳ありません……。
参加者の皆さま、ならびに主催様へご迷惑おかけして、誠に申し訳御座いませんでした。
遅刻も含め今後こういった事が無いよう心がけます、この度は絡んで頂き有難うございました。 
926 : ◆r0cnuegjy. [!nasu_res saga]:2015/07/21(火) 20:15:44.79 ID:vtjNVLH8o

【襲撃より数日。やはりフルーソは復興作業の真っただ中だった】
【六罪王『ロード・ケイオス』の襲撃により、フルーソは壊滅的な被害を被った】
【しかし有志の活躍により完全壊滅は免れて、半壊程度に収まったのは不幸中の幸いだった】

【都市に侵入を許してしまった軍部は一部から非難されることもあったが、それ以上に功績を讃えられた】
【勿論、それは軍属でないにも関わらず防衛戦に参加した有志たちも例外でなく】
【天辰櫻、セリーナ・ザ・“キッド”、剛田剛太郎、アサド・アル=アーデル、正親町カガリの五人の名は国内で大きく報じられた】

【フルーソ市内はほぼ全域に破壊の手が及んでいたが、その一部区画のみ不自然に綺麗な形で残っていた】
【その箇所を細かく調べてはみたものの、これといった異変もなければ特徴も見つからなかった】
【それに異を唱える者もいたが、結局は偶然の産物として片付けられたのだった】

【軍部は今回の事件を機に、一部の部隊について風の国の軍と協力関係を結ぶ、などという噂も流れたが】
【正式な発表はなく、軍部の主な任務はひとまず救助活動に絞られることとなった】
【こうして、事件は一旦の終結を迎えた────】

//イベントの後日談です
927 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/21(火) 20:27:43.63 ID:AYz080m2o
【歌にもあったが、まさに"骨まで溶けるような"―――噎せ返るほどの熱気と照り返し、そして"熱狂"。】
【照りつける太陽がギラギラと砂浜を焼き焦がし、サラサラと流れる砂利がコンクリートと同様の熱を帯び始めた。】
【地肌で触れれば余りの暑さに一瞬顔を顰めてしまう程だが、直ぐにその暑くなった足を冷やすのが、寄せては返す波だ。】

 「あい、いらっしゃい!そこのおねーちゃん、折角だからそのビールに良く合う巨大フランク、買ってってよ!」
 『今流行の天然カキ氷いかがっすかー! 水の国名物、平日でも二時間待ちが当たり前の天然カキ氷、いかがっすかー!』
 [焼きそば二つ? 兄ちゃん景気が悪いなあ、連れが五人も居るなら焼きそば五つかってくんな! 値段はまけてやっからさ!]

【ここぞとばかりに集まった出店が、納涼を求める人々の足元を見て甲を踏んづけて回るような値段のぼったくり商品を売りさばき】
【客は客でアルコールと熱気でしゃんとしてない頭から、そのどう見てもお祭り価格な自称名物品に金を落とし、そうして祭りは加速する】

【第四回天下一武道会、その様相は真夏のビーチ開催という事もあって恐ろしい程大勢の観客で溢れ返っていた。】
【特設会場に引かれた青いラインは目に眩しいが、寄せる小波の心地よい音も観客達の歓声とテレビ中継の音声でかき消される。】

【真夏の祭典、溢れかえった観客達は男は上裸、女はビキニに身を包み、気持ちよさそうに試合の開始を待ち続け】
【そうしてつい先程、一つの試合が終了し、結果が出ると電光掲示板にその勝敗が映し出され、彼方此方から歓声が上がる。】
【熱狂の渦は止まらない。更にこれから数分後、新たな試合が開始されようとしていたからだ。其れは今大会でも珍妙なカードの物で。】

 「おい、聞いたかよ!今回のカード!」 「この大会で"唯一"の男なんだろ!?」
 「開始早々野郎の水着姿を見せられるとはな、まあでも"キッド"の方も中身は大概だろ!」
 「男と男の戦いかよ〜、歪みねえな。俺達は若い娘の水着姿堪能したくて来てんだぜ!? なんだこの試合はよ〜!」
 
【―――そう、珍妙なカード。水着必須の変わった趣向を凝らしたこの大会において、唯一の男性参加者。】
【そしてその相手はUTの創設者としてテレビに出た事もあるセリーナ・ザ・"キッド"―――本当に不可思議な組み合わせ。】
【しかし、そんな風変わりな一戦故にギャラリーの関心も必然的に高く、集まった観客達は、今か今かと試合の開始を待ち望んでいた。】

【―――しかし、何時まで経っても当の参加者が登場しない。】
【観客達が不審に思い始めたその時、砂浜の砂利が"サラサラ"と静かに動き始め】
【観客の間を静かな風が吹き始める―――いや、というよりはむしろ、"吹きつけ始める"、という方が正確か。】

【観客達は不思議に思い自分達の周囲を見渡し始める。何もおきていないはずだが、熱砂の空間に】
【涼しいほどの風が吹き零れはじめたのだ。そして、其れと同時に足元の砂が巻き上がり始め―――、】

【暴風。最初は小さかったその風がやがて強烈なそれへと変化を始めると、観客達は巻き上がった砂に目を閉じ始める】
【まるでその風は上空から下方へと、つまりは彼らの頭上から足元へと突き抜けるようにして吹き込んでいて―――】
【ヘリコプターが着陸する時などはよくこんな風が吹くものだが、その影は空に見えない。だが、しかし―――!】

【キィィィィン―――という、ジェット機の音が鳴り響き、ビーチを強い風が揺らす。】
【次の瞬間、彼らの頭上には背中に機械式の魔導飛行ユニットを搭載し、強固なアーマーを装備した―――】
【そう、戦闘時の"フル装備"状態をしたセリーナ・ザ・"キッド"が現れるッ!! パワード・スーツのティターン・アーマー、そして】
【航空装備のジェット・ケツァルコアトル、二つの装備で完全武装したセリーナが凄まじい速度で砂浜に着地、砂塵を巻き上げ―――!!】

 ―――遅れたね! セリーナ・ザ・"キッド"、只今参上!!

【―――拍手とブーイングと歓声が交じり合った、凄まじい熱狂が会場を包み込み始める。】
【現れたセリーナはアーマーとジェットを解除すると、白い生地に茶色の装飾が施されたカウガール風のビキニ姿を披露し】
【観客へと手を振って猛アピール、つい最近まで"色々な意味で"世間を騒がせていた組織のリーダー搭乗に観客は様々な反応を見せた】

/セリーナです、遅くなってすみません。リロードさんの方、よろしくお願いします。
928 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/21(火) 21:02:26.81 ID:+P8BqqAeo
>>927

【(セリーナ・ザ・"キッド"────)】

【魔導飛行ユニットによる風だけではない!拍手・歓声・熱狂!それらを受けとめてはためかせるのは"黒衣"】
【彼女の対戦相手といえば、この糞暑い中。全身を覆い、フードなんか被って。"男の水着"なんて、勿体ぶる物でも無し】


セリーナ・ザ・キッドさん────お初にお目に掛かります……。私は─────

【セリーナが来るまで、沈黙を守っていた彼が、彼女の登場後、口を開けばその注目が集まるのは必然】
【いよいよ、始まるかと期待を胸に膨らませる観客たちに煽られるように流れる一迅の風が吹けば】

【──その姿が、ついに顕になる】


マジかるリロかる。リリ子ちゃんですっ。よろしくね!きらりんっ☆ミ。

【きらりん。なんてウインクして口に出せば発光する星が出現し、ボトッと砂浜に落ちた】
【作り物臭い甲高い声で横ピースを決めながらアピールするのは今日の対戦相手────】

【モノクロチェックの雪柄の着物を着こなす“少女”の様な何かは美しい黒髪にキリッとした見透かすような目つき】
【“外見”年齢は、"18"くらいだろうか。背は少し高い様だが傘紙を手に添えており、今は閉じている様だが────】

【登録された対戦相手は『リロード・ザ・マジシャン』とか言うおそらく男性が相手だったはずだが】
【特に審判からの物言いが無い以上、考えたくはないがこの作り物臭い"美少女"がリロードそのものである様だ】

【今回の試合のルールである"水風船"といえば……頭に一個。ほかは見当たらない】
【関係無いかもしれないが、その胸ははちきれんばかりの"豊満"である。バインバインのタプンタプン、関係無いかもしれないが物言いは……無かった!】

【しかし──暑苦しい。いろいろ場違いな"彼女"だが、雪が描かれているとは言え夏場に着るには黒の着物は暑すぎる】
【日差しを浴びてかなりの熱を持っているはずが等の本人は涼しい顔で。──そこに"マジック"の種が隠されているか】

【………………。なんて考察は置いておいて、彼女の登場が作り出した熱狂は一瞬、静まり返った】
【そして、ブーイングの嵐が吹き荒れた。「ふざけんな!」「金返せ!」。飛び交う罵声。だが、観客の民度が特別低いわけではない】
【ギリギリまで勿体ぶった登場。セリーナの登場からのまさかの女装。ふざけた自己紹介が──膨らませた期待を爆発させたのだ】

【セリーナ・ザ・"キッド"という注目株。彼女の"人柄"は噂には聞いていた。故に彼女の登場がこの熱狂を作り出すのは分かっていた】
【──故に、それを逆手に取り。奪い取ったのだ。当然、悪い意味で……だが。響く罵声を浴び、"リリ子"はセリーナにニヤリと悪い笑みを見せた】

【(セリーナ・ザ・"キッド"────この"戦い"負ける気は無いッ)……──どういう土俵なのかは知らないが戦いは既に始まっている様だった!】

【ゆらり、──と傘を軽く添えて構えるその姿勢は、とりあえず隙は少なかった……。さて、この“美少女”次はなにを仕掛けてくるか────】

//リロード・ザ・マジシャンです!よろしくお願いします!
929 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/21(火) 21:30:18.23 ID:AYz080m2o
>>928

【派手に巻き上がった砂塵、しかし風がそれを海へと綺麗に流していけば―――】
【視界が綺麗に晴れたとき、目に写るのはなんとも、この季節にもこの場所にも"似つかわしくない"存在だ】
【漆黒―――全身が漆黒で覆われた対戦相手の登場。ゆらりと蠢く陽炎の向こう、熱を集める黒衣が死神の様に、揺らめきそして】

 ―――ハロー、対戦相手は男の子だってね。
 ちょっと緊張するけどアタシは正々堂々たたk……ぶーーーーーっ!??!?!?!?!?
 はっ!? えっ、ちょっ、待っ―――お、おとこ?! おとこの……娘? 男の娘!? 女装男子!? えっ、え!? ええええええ!?

【いくら風船割り大会だとは言え……いくら女性参加者だらけとは言え……】
【一体どこに、そこまでする必要があったのだろうか!! 男のまま出てはいけなかったのだろうか!!】
【男は男らしく生きてはいけないのだろうか! 女社会では女に染まるしかないのか、社会的見地を述べつつ両者、リング・イン!】

 【いや、セリーナは苦笑いをしていた。頭に浮かんだ大量のクエスチョンマークを消すことが出来ない。】
 【恐らくは自慢の早撃ちで撃ち抜こうとしても無理だろう、それほど多量の「?」が浮かんでいた。】
 【だが、いつまでも面食らっている暇は無い。そう、これもそれも、全て相手の作戦なのだ!】

 (―――はっ! そ、そうかこれは作戦だな!?)
 (こうやってド肝を抜くことで対戦相手たるアタシの精神を揺さぶろうという、アレだね!?)
 (っふ―――っふふふ。見破ったり。見破ったりマジシャン。そんな巌流島の様な古い手が、このアタシに通用すると思ったか!!)

 リローd……じゃ、なかった。リロ子ちゃん。……あぇ? リリ子ちゃん?
 もうなんでもいいっ、リリ子ちゃん、アタシがセリーナ・ザ・"キッド"だ、よろしく頼むよ。
 なんだかとんでもない登場の仕方で面食らったけど、アタシは手を抜かずにやるから覚悟しておくといいよ!

 ―――……うん、覚悟しておくといいよ。その……お、おっきな……うん、なんていうんだろう……、
 おっぱい……いや、まあおっぱい……"胸"に仕込んだ風船を真っ先につぶしに掛かると思うけど……うん。覚悟しておきな!


【結構揺さぶられていた。なんだか挨拶もしどろもどろ、とりあえず目の前に現れた新種の魔法少女を】
【頭を抱えてこめかみを指で押さえつつ迎え入れると、セリーナは握手を交わしてすかさず武装を用意する。】
【そう、彼女がこの大会に参加する以上、矢張り通常の重火器は使用できない。そんなことすれば、風船を割るように】
【人体がピーーなってしまうわけで、楽しい楽しい水着ビーチフェスタインミズノクニが台無しである。そこで、だ。彼女が用意したのは】


 ―――フッ。でもまあ、女装の完成度は……胸以外褒めてもいいよ、君、素は結構美男子だね?
 折角だから女装してないところも見てみたいなあ、だから―――その見てるだけで暑っ苦しい上着、脱がせて挙げるよ!!

 ―――この、最新兵器でね!!

【―――ざんっ。そんな効果音と共に彼女が取り出したのは、―――いかにも、という形状の"水鉄砲"だ。】
【おもちゃ売り場で売っているような、青とか赤とか黄色とか緑とかでケバケバしく彩られたあの、水鉄砲だった。】
【一見の見た目には何の変哲も無い、ポンプで水圧をかけられるタイプの、ライフル形鉄砲だった、のだが―――!】


【―――ゴングが鳴り、試合開始が告げられた直後、セリーナは自慢の"速撃ち"で早速の、攻撃!】
【実銃を用いる時には"神速のファスト・ドロウ"等と呼ばれるだけあり、その素早さは一級品だ。】
【構えた直後には既にポンプ・アクションを完了しトリガーを引き絞る、凄まじい水圧の水が銃口から、放たれ―――ッ?】


 ―――さあ、おねーさんに綺麗な肌を見せてごらんッ!!


【ぴゅーっ、とかわいらしく水が舞う。酷い。ひどい茶番だ。】
【構えて撃つところまでは気迫も合いまり凄まじい様相だったが、放たれるのはやはり水。】
【平均的ウォーターガンの威力がリロード……ではなく、リリ子に襲い掛かる。が、しかしもし普通の水だと油断して当たったのならば】

【その瞬間、何かの違和感に"襲われる"筈だ。そう、命中した黒衣の箇所がなんだかふやけて、"溶けていく"ような感覚だ。】
【無論、全ては当たったらの話。しかしその水が明らかに通常の水でない事実は、砂に落ちた水が「ジュッ」と音を立てた事で分かる筈!】
930 :“赤い月” ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/07/21(火) 21:32:59.92 ID:ZPKOXHXko
【住宅街】

【閑静な住宅街、広くはない道だが舗装は綺麗だ。新興の住宅地はそれなりに裕福な人たちが住むからだろう】
【時間は帰宅時刻で辺りも暗くなってきた。街頭がつき始める。ヘッドライトの明かりがやってくる。黒塗りの車だ】
【後部座席に乗るのは議員の男。元は建設業の社長で癒着と裏金でここまで成り上がった。横にいるのは秘書】
【運転手の横、助手席には元傭兵の男。古い付き合いの用心棒だ。車は防弾仕様。初当選した時に特注でこしらえたものだ】

【道路工事のせいで迂回することになった。車はドン、と何かを踏み越えたと思った瞬間、タイヤがバーストする!】
【コントロールを失って、電信柱に激突する。クラクションが断続的に鳴り響き、ライトが点滅する】
【状況を確認しようと運転手が降りて来た。そして用心棒も経験が警鐘を鳴らす。拳銃を抜いて車を降りたその時】

【斜め向かいの屋敷の窓が開く。現れるのはライフルの銃口!気が付きもしないうちにそれは激しく火を吹いた】
【銃声が数秒。執拗に銃弾を叩き込む射撃。運転手と用心棒は巻き込まれて蜂の巣になるが車は防弾仕様だったため】
【議員とその秘書は生き残る。しかしその防弾仕様のクルマは自走できない。今となっては大きな棺桶でしか無い】

…メッセージを無視したな議員。

【クルマの側に現れたのはガスマスクで顔を覆い、パーカーのフードを深く被り、グローブをはめた不思議な姿の人物だ】
【だが声は分厚いガラスに阻まれて聞こえない。そいつは何か“爆発物”らしきものを窓に取り付けると、少しのディレイのあと爆発し】
【いとも簡単に砕け散った。奴は手に握ったオートマチック式拳銃の銃口を無防備な議員に向けた】



931 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/21(火) 22:14:12.76 ID:+P8BqqAeo
>>929
【少々出鼻は挫かれたが、戦いの火蓋は切られた。】
【「う、うぉおー」とエクスクラメーション・マーク が足りていないが動揺を隠せないままだがなんとか観客は盛り上がる姿勢を見せる】
【構えられる銃口!臨戦態勢を取りつつも、ニコにこニコりんっ!といういかにもな作り笑いを崩さず、にその攻撃に備える!】


…………っ!

【着物に草履!一見、動きづらそうに見えるが戦闘用に作られたそれらは極めて機敏!セリーナ・ザ・"キッド"の銃撃だって──】
【なんて、入れた気合を穴の開いた風船の如く抜けさせたのは、ぴゅーっという可愛らしい水の放たれる音、今度はリロ……"リリ子"が面をぶち込まれる番だった】
【(──笑止!)とは言わないが、こんな攻撃。紙一重でかわし……………………て良いのか!?"リリ子"の脳裏に過った!】

【こんな攻撃、避けるのは簡単だ。だが、避けてしまえば、それでお終いである。それは即ち、セリーナ・ザ・"キッド"から逃げる事に他ならない!】
【ある種の先手を取った"リリ子"が、自分だけ好きにアピールし、セリーナの攻撃から逃げるという事はある種の敗北宣言にもなってしまう────】


そんな攻撃、効かないよっ!

【そこで"リリ子"は、その攻撃を──。傘で吹き飛ばす──"素振り"を見せる。これはあくまで試合……わざと受けては興ざめ!故にあえて、してやられる他無いのだ!】
【傘は水を弾くが、一振りで弾ける量などたかがしれている。"水"は"リリ子"の着物と傘に付着し─────(こ、これは…………ッッ!!)"リリ子"が驚愕したその瞬間!!】

【なんという事だろう──和傘は剥げ!────着物が溶け、そのすらりとした足が!二の腕が!顕になっていくではないか〜〜〜ッッ!!(辛うじて見えてはいけない"胸"は晒されなかった!)】


い、いやぁ〜〜〜〜〜んっ☆ミ

【スター──────────フッッ!!!なぜ、なぜ!!この試合を!この組み合わせを!実現してしまった!観客が!中の人が!一つになって全てを呪ったのであった!!!!】

(セリーナ・ザ・“キッド”ォおおおおおッ!)

【やってくれたじゃないか!と表情には見せず、リロードは唸る!だが、本来はこんな事のために使われるものでは無かったはずである!!もっと素晴らしいもののはずだった!】
【溶けた衣装の横からボロンと“見えてはいけないもの”が見えそうになるのを片手で抑えて回避しながら傘をセリーナに向けて構え、演技掛かった口調をセリーナに向けるのだった】


──や、やるねっ、セリーナちゃんっ☆ミでもね、リリ子も負けないよ!さあ、レディースアンドジェントルメン!
今日は皆様に魔法をお見せしまーす!リロかるリリかる──砂浜よ、冬になーれっ☆きらりんっ!

【"リリ子"が一歩前に踏み込みながら傘を斜め上に突き出して開くとその先端から噴水の様に雪がセリーナの頭上に目掛けて噴射される】
【雪は舞い散る花びらの様に現在のセリーナの立ち位置を中心としたフィールドの一角に降り注ぎ幻想的な風景を作り出す】

【おかしな事がある。雪が溶けていない。冬でも溶ける雪が、夏の日差しと熱気を浴びても溶ける気配を見せずに降り注いでいる】
【"リロード&リリース"「出し入れ」を操るその能力を雪を媒体に発動し、『熱吸収』をさせる事で雪は溶けずに残り続ける】
【さらに、降り注ぐ雪は太陽光を喰らい、熱を遮断し、フィールド上の熱を奪い取り、この一角を真冬の極寒に変えようととしている】

【その美しさと、影響がはっきりと出てくるまでの遅さから演出の様だが、気付かずエリアにいれば確実に熱を蝕まれていく遅効性の毒の様な攻撃!】
【そーれっ☆そーれっ☆と“リリ子”はあちらこちらへとそのドライアイスの様な雪を、“陸地エリア”を寒さで支配せんとぶち撒けようとしていくではないか!】
【この攻撃!どういう訳か“陸地エリア”だけを標的としている。寒さを逃れようとするならば、綺麗だが“何が居るか分からぬ海”側に向かうしかないが───】


932 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/21(火) 22:22:33.14 ID:+P8BqqAeo
>>931
/【溶けた衣装の横からボロンと“見えてはいけないもの”が見えそうになるのを片手で抑えて回避しながら傘をセリーナに向けて構え、演技掛かった口調をセリーナに向けるのだった】→
/【溶けた衣装の“脇”からボロンと“風船(見えてはいけないもの)”が見えそうになるのを片手で抑えて回避しながら傘をセリーナに向けて構え、演技掛かった口調をセリーナに向けるのだった】
/すみません、少し修正します。
933 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/21(火) 22:42:43.98 ID:AYz080m2o
>>931

【観客の全員が思った。「普通の水は用意してこないだろう」、と。】
【故に、観客の全員が思った。「当たったらきっと、何かしら嫌なことが起こるだろう、と。」】
【だからこそ、観客の全員が思った。「おい、お前(リリ子)なんとかして避けろよ!!!!!!」―――と。】

【命中した箇所から、黒衣が溶けていくのをしっかりと感じるはずだ。とは言え、】
【被害が拡大して彼方此方まで溶け始める、というわけでもなく―――あくまで、ピンポイントだ。】
【命中箇所のみがドンピシャで溶けると言うこの水、恐らくはUTで開発されている"なんらか"の兵器だろうが―――】


 はーっはっは!! 見たかリロ……じゃなかった、怪しい魔法少女よ!
 時代は重火器、弾丸も火薬も要らないエコなライフル! 魔法よりフィジカル、ケミカルッ!!
 この水鉄砲に装填された特殊溶解液、"HDK−MSR"Mk−Uは地の国に本社工場を置く創業数十年の兵器会社、
 『マクスウェル・ファイヤーアームズ』の"対防弾ベスト・防弾繊維部門"が研究に研究を重ねて作った"繊維破壊性強酸薬品"ッ!!

 実用化に向けてテストプレイが必要だったところにアタシへ声が掛かった、と言うわけさ!
 この液体の特徴は聞いて名の如し、触れた繊維を一瞬でボロボロにし相手の防御力を剥ぎ取る能力を持っていること!
 昨今のボディーアーマーの進化に対し弾丸の貫通力を上げるのではなく、あくまで科学的に対処する方法を編み出した、ってね!!

 なおこの製品が実用化されたあかつきには全国の兵器展覧会で最初のオーダーを取る予定なので
 皆さんくれぐれも今後ともども地の国、そしてマクスウェルファイヤーアームズに注目を―――って、おろろ?


【がめつい金銭大好き女のセリーナのことだ、恐らくは故郷の兵器会社にCM料金を貰っているのだろう。】
【要するに新型兵器のPR、というわけであった。バッチリのカメラ目線で液体を構えウィンク、ノリノリである。】
【だが、そうこうしている内にリリ子の逡巡と痴態とそして反撃とを赦してしまい―――上空より、雪が降りかかる】

【慌ててセリーナは銃を構え、ポンプを上下させ水を圧縮、熱で溶けない不思議な雪に目を凝らす。】
【―――と、同時に「まいっちんぐ」な状態になっているとてもとても映像ではお見せできないリリ子ちゃんの○●な姿を】
【視界に捕らえ『あはは……OH……』と絶句。反撃の隙を奪われる。―――気温はぐんぐんと下がり、水着の彼女は不利な状況に。】


 ―――う、おおっ……!? 真夏だと言うのに、まったく溶けない……!?
 あいにく科学は弱いけど、どうやらこの雪、ただの雪ってワケじゃないみたいだね……ふっ。
 面白いじゃない、ちびっ子"リリ子"ちゃん? 真夏に降る白雪なんて、ロマンチックで中々気に入ったよ。けど―――

【セリーナは素早くうつ伏せになり、熱をもっていた砂の―――"内部"へと、ダイブッ!!】
【頭の上と、そして太ももの"後ろ"にそれぞれ括りつけた風船だけを出して、熱砂の中に身を沈める。】
【そうすることで、表面は雪で熱を奪われていた砂の内側から暖かさを得、極寒の状況に耐え凌ぎ、つつ―――】


 ―――雪じゃ、風船は割れない、ってね!


【リロードしてあった水鉄砲を、今度はかなりの圧縮率で噴射―――先程とは比べ物にならない、勢いでだ!】
【どうやらこの水鉄砲、圧縮の比率により威力をかなり自由に調節できるようで、先程のぴゅーっと飛び出るものから】
【今回の"レーザー"染みた噴射まで、かなり広い間隔で撃ち分けが可能な様だった! 先程のそれはまさに、油断を誘う為!】
【この度は頭上についた風船を狙い撃ちし、精密な狙撃で水が噴射される―――避けるか、攻撃を止めて防御に回るか、或いは―――、】


 (……とはいえ、冷えて凍らされたら風船もBAN!! ―――なんてことになりかねない。)

 (さて、どうするかな……海が凍らされたりしたらそれこそ……ってトコロだけど。)

 (―――どこまで冷やせるのかを確認するためにも、一回はもぐる必要がある、かな……!)

【砂の内部の熱も奪われつつある、両者にとって緊迫した時間が続く―――!】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/21(火) 23:13:41.63 ID:/qMsFi/X0
>>923

あっ……―――何でしょうカ、少し懐かしい響きの言葉ですネ。
……もしかして、私が元居た世界の人だったり……って、そんな訳ありませんよネ。アハハ……

【何処かで聞き覚えのある、なんだか懐かしい気持ちになる不思議な言葉。……だが、春燕にはその言葉の正体は分からない】
【春燕には元いた世界での記憶があまり無い。「自分が此処とは違う別の世界に居た」という事だけは分かっているが……】
【まあ、別世界から来たと言っても信じる人はそう居ないだろう。時雨も同じだという事も知らずに、春燕はいつものように笑って誤魔化す】
【これ以上訊かれる事が無いなら、春燕もこれ以上語る事は無い。ただ……言葉の端に、春燕が異世界人である事は仄めかされていた】

えへへ……実は私の仕事は、薬師だけじゃないんでス。
戦火や悪人の害意から人々を護る、SCARLETの隊員でもあるんでス!というか最近はそっちの方が本業かモ……
戦いに慣れていたのもそのせいかもしれませんネ。戦場での衛生・治療が私の主な仕事ですガ……戦場に出れば、戦うことだってあるんですヨ。

【本当に薬師なのと訊かれれば、春燕は照れたように苦笑いして、戦いになれていた理由を明かす】
【彼女は薬師だけでなく、人々を護る為に闘う者でもある。戦いの際に凛とした闘気を見せたのは、恐らくそのせいか】
【戦場の死線を掻い潜るには、技術が無くてはならない。戦いも本業であるなら、高い技術や機転にも納得がいくだろう】

【ともあれ、自分の事が時雨の記憶に残ったようだ。―――――独壇場ではなく、共演と言ってくれたのだから】
【あの戦いが時雨の中に刻まれたなら、自分の存在が戦いを通して心に残ったのなら、それでいい】

これハ……―――ありがとウ……大切にしますネ。
時雨さんが、私の為に謳ってくれた詩……ふふっ、なんだか嬉しいでス。

【詩に残して伝えてくれた心を、春燕は大事に受け取る。こんな心の籠った贈り物が、嬉しくない訳がない】
【その詩は、きっと今日繋がった縁のしるしでもあるのだろう。―――だからこそ、大切に思えた】
【薬の宣伝の件も、話を聞けば驚きと喜びが混ざったような表情を見せて】
【「ほんとですカ!?ありがとうございまス、是非お願いしまス!」と嬉しそうに声を弾ませる。―――勿論、拒否なんてする筈も無かった】


【そして、最後に。】
【時雨の口から告げられた言葉。「忘れないで欲しい」という言葉を聞けば―――春燕は明るく笑ってこう言う筈だ】

――――つばめ、って呼んでくださイ。
えへへ……私の友達は、みんな私の事をこう呼ぶんでス!

【友達だけが呼ぶあだ名。それを時雨に教えたという事は――――きっと、時雨の事を友達と認めた事を意味するのだろう】



【暫く休んで体力も回復すれば、今日はもうお別れの時。回復した人に医務室での長居は無用だろう】
【春燕は薬を病人に届ける為に、一度ビーチを離れることになる。必要としている人の元に向かうのが、自分の仕事なのだから―――】

【別れ際に「また会いましょウ!次の試合、頑張って下さいネ!」と声を掛ける。そう―――今日は此処でお別れでも、また会う日もきっと来る筈だ】
【それが旅の途中か戦いの中かは分からないが……―――再会の時、春燕はきっと時雨に友達として笑顔を見せてくれることだろう】

//ここで〆という事で、お疲れ様でしたー!
935 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/21(火) 23:25:57.76 ID:+P8BqqAeo
>>933

"繊維破壊性強酸薬品"──ッ!くぅう……なんという“男の浪漫”──じゃなくて。
女の子にいやらしい事するために作られただけでしょっ☆ミ プンプン!

【一瞬。完全に“男の本音”が出てきたしまった様で。溶かされた衣服と一緒に被った仮面も剥がされようとしているのか】
【砂の内部に潜ったセリーナに対して追撃手段が少ないか、攻めあぐねいている“リリ子”そこに襲いかかる水鉄砲──!】


────ッ!

【自らばら撒いた雪で視界も悪く、それを何とかもはやほとんど棒きれとしか言えない和傘で受け止める事が精一杯】
【上で弾けた"繊維破壊性強酸薬品"が転々と付着し、徐々に、その“女装”が剥がされていく──。】

【おぉーっと。ここで下半身が千切れ、男らしさの象徴!“黒のビキニパンツ”が顕になったZOY(ギャー!)】

【和傘を防御に使っている都合で、雪をばら撒くのは一旦は落ち着いた。だが、降り注いだ雪は砂浜の温度を奪い続ける!】
【だが、寒さを防ぐ防寒具でもある"着物"が剥がされた都合で、自ら首を締める形になりつつあるこの形勢──凄まじく悪いッ!】

【膝をがくがくとされながら不敵に笑う、“まだリリ子”】

……ふッ。流石、歴戦の猛者と言うべきですね──セリーナ・ザ・“キッド”。

【現状。両者一応、真面目に戦っているはず────“ブーイング”が飛び交う事になった】
【それもそのはず。唯一と言っていい目の保養と言える女性かつ水着のセリーナが砂の中に身を沈めるという事は】
【観客から見えるのは"繊維破壊性強酸薬品"によって“女装”を剥がされ、あらわな姿になっていく“リリ子”の姿だけであるからだ──】


(なぁ────に……皆さんの期待には添えるつもりですよ────)
セリーナちゃんはぁ……“北風と太陽”ってしってるかなっ☆ミ!

【北風と太陽!なんか、北風が服を脱がせようと風を吹きまくったら旅人は寒くてより一層、服を着込んだ!そんなお話!】
【冷気によって、セリーナが砂の中に潜ってしまい、水着が見れない!この状況似ているのではないか────?】
【北風は、旅人の服を脱がせられなかった、ならば──“太陽”は何をやったのだろうか】

It's Show Time!!

【地面に傘を突き刺し!観客に向け、“リリ子”は両手を広げると抑えられていた豊満な胸という名の風船が完全に露わになる!】
【セリーナによって、“女装(魔法)”は解け(溶け)──“リリ子”はリロード・ザ・マジシャン。へと戻る】

【──だが、これが本当の“魔法”の始まりである】

皆様、そして、セリーナ・ザ・“キッド”さん。この私──リロード・ザ・マジシャンが貴方達に、“太陽の魔法”をお見せいたしましょう。


【“リロード”がパチン。と指を鳴らせば────リロードの“能力”は解除され。雪は溶ける────そして】
【"リロード&リリース"!その能力で奪われた熱は──消えた訳ではない吸収されていたのだ。つまり───能力を解除すれば】
【灼熱の太陽に焦がされたアッツアツの砂浜が復活する!さらに蓄積分も含め、真夏日の砂浜の様に熱せられる事になるのだ──】

【この戦いは相手を傷つけあうものではない。大火傷を追う様な熱さはないが熱い事には変わりない!】
【ヒントはあった。リロードの“魔法”にセリーナはどう対処したか──】

936 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/21(火) 23:48:55.88 ID:AYz080m2o
>>935

【男のロマン―――実際のところ、リロードのその反応、決して間違っては居ない。】
【セリーナも最初は本社ビルにて広報係の人間と話していて相当に可笑しな物だと理解したのだ。】
【普通に考えて強酸性で服ごと肌や肉体も溶かせるようにするはずだが、この液体では溶けるのは繊維だけ、だ】


 (いやほんと……ただただ嫌がらせするためだけにあるような感じだよね……)
 (何でわざわざ服装"のみ"溶けるように調整されてるんだろう……いや、この大会にはぴったりだけど……。)

 ―――ふっ。その通り!!(開き直り)
 たしかにこの液体、見様によってはただのエッチなウォーターだ!
 が、しかし! 女の子にいたずらするために作られた、と言うのなら―――この状況は何かな!

 アタシが追い詰めてるのはリリ子ちゃん、女の子じゃなくて男の子だからねーッ!!

【本来とは違う目的で使っている。そう訴えると、だから好きにやってもいい、という超理論で】
【セリーナは素早くポンプを上下させ圧縮率を調整、三撃目を撃ち放つべく策を巡らそうとする。】
【今の攻撃でビキニパンツは完全に露になった。あとはあの傘、あれさえ奪ってしまえれば―――】


 ―――えっ、ちょっ……なっ、なんでブーイング!?


【セリーナはその意味に気づいていなかった。そう、この大会、ガチれば(崩壊した日本語)ガチるほど(高校生)】
【向きになってエンターテインメントシップを忘れれば忘れるほど、ブーイングが激しく鋭く突き刺さる事になるのだ!!!】
【自分が隠れたことで起こったブーイングに顔を真っ赤にしながら、砂場から出ようとした、その時―――灼熱が、巻き起こる!】


 しっかたないなぁ、でもそうは言ったってもぐってないと水着一つじゃ寒くって―――ほわぁっ!? 
 あつっ、あっっっっっつ!?(悲鳴) あつぅい! ちょっ、あにこれあっちちちち、あち!!
 ゆり、ゆりもどしがきっつ、きつい!! うわああああああああつい〜〜〜!!!

【そう、吸収された熱が噴火し、熱砂が今度はセリーナの体温を護る毛布から灼熱の火炎へと変化!】
【素足で触れていることすら厳しくなるほどの熱で以ってセリーナの彼方此方を攻撃し始め―――】
【たまらず、セリーナは海へと今度は入り込む。暑いのだから仕方が無い、がしかし―――】

 (……どちらにせよ……っ、冬でも、夏でも、"陸地"にのみ攻撃を絞っていた、という事は……!)
 (凄まじい状態変化で、アタシを海へ"向かわせたい"事に他ならない……まずいね、この試合……!)
 (なんといっても術中から抜け出すには相手の能力をとめる必要がある、それなのにアタシときたら……!)

 ……くっ……無能力者が武装のみで戦うには厳しいものがあったか……!!
 
 (―――海。海か、今までの彼の能力から導き出せる、アタシを海に"誘う理由"は―――、)

【セリーナは半身を海に浸したまま、銃を構えた状態で様子を伺う。】
【次に此方に攻撃を仕掛けるとすれば―――どんな方法で、彼は"風船"を割ろうとするのか。】
【それを見極める必要がある。あの"魔法"にどれだけの引き出しがあるかは、分からないが―――まずは、情報収集だ。】

 (……ままよ。最悪、ひとつかふたつは……くれてやる!!)

【その為には、風船が割れることすら厭わない。セリーナは鋭い目で、砂地の状況を見つめた。】
937 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/22(水) 00:24:18.96 ID:01aZbfcvo
>>936

【溶けた衣装をクルリと丸め、握りしめると着物は手のひらの中に消えて、ポンと代わりに現れたのは“シルクハット”】
【それを器用に、──頭の上に乗っかった風船の上に更に乗っける……凄いバランス能力、特に意味は無い】

【完全に衣装は無くなり、リロードもまた、セリーナと同じ土俵──“水着”となる!】
【引っ張ってパチン、と音を鳴らすのは黒光りするビキニパンツッ!それにシルクハット!】

【さらに言えば、両胸には未だに──かつての名残である風船が垂れ下がっている】
【凄まじくシュールな姿だが。凄まじく堂々とすればある種のカッコよさが──無い。シュールです】

【ついに姿を現した“魔法使い(マジシャン)”・ザ・リロードッ!セリーナが警戒する中──次なる魔法はいかに】


“私の世界”にようこそ、セリーナ・ザ・“キッド”。
─────では、皆さんに海の魔法をお見せいたしましょう。

【ふざけた格好だが、この男は“あの”セリーナ・ザ・"キッド"を海に追い込んでいる】
【観客は息を飲み、次なる“魔法”の発動に注目する────】


……私は能力者だが──。その力は岩を砕く事もッ!敵を焼きつくす事も出来ない……。
だが、物質・環境・全てを支配しッ!“結果”として、岩は砕け。敵は焼きつくされるのです!

【そう、──先ほど、リロードは熱を発生させた訳ではない、熱は自然から調達しそれがセリーナを追いやったのだ】
【道具・環境・全てを操り、力を得る!それがリロードの戦術!】
【次に支配するのは──“海”。そこにあるのは、一見。“海水”だけの様に見えるが──】


It's Show Time!!

【リロードは、手のひらをセリーナに見せつける。そこには何もない。だが、一度くるりと返せばトランプのカードが現れる】
【──ただの手品を披露したのか?いや、違い。リロードはそれをセリーナに向けて投げつける。投擲で風船破壊?いや、海を関係が無い】
【正確にはリロードはセリーナの上空を通る様に投げつければ、トランプはゆるやかに“何か”を海に落としながら飛んで行くだろう】

【“何か”の正体──それは“エサ”だ。セリーナは知っているだろうか──】
【“サメや巨大魚は棲息していませんがイカやタコ、鮮やかな色をした小魚が泳いでいることがあります”(イベントスレ引用)】

【そう、セリーナが海に落ちた事、そして、リロードがばらまくこのエサの匂いが、深海に眠りし“海の愉快な仲間達”を呼び覚ますのだッ!】
【トランプの投擲を阻止、あるいはトランプの除去に成功すれば被害は抑えられるだろうが────】

【セリーナの上空を飛びそこに“エサ”が落ちようものなら恐ろしい事は免れない!イカやタコの軟体動物が絡みつく──というエロスを期待しているのではない】
【セリーナの周りで魚が暴れれば──魚がぶつかり、鋭利なウロコ、ヒレや、エラ等によって最悪、風船が損傷するおそれすらあるのだから──】
938 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/22(水) 01:06:54.48 ID:01aZbfcvo
>>937


そう──何を隠そう、私、リロかるリリ子ちゃんは男の子だった!
即ち、魔法少女ではなく、“魔法使い(マジシャン)”──人々を楽しませる者。
そして、良いものを持ちながらッ“見せるべきもの”を見せぬ悪しき魔女にお仕置きをするのですっ!あっはっはっはー!

【その脳内では、ここで彼に同意する観客による拍手喝采が響くはずだったが……いや、同意意見が無いわけではないが】
【流石に恥も外聞も無いにも程がある振る舞いとノリノリすぎる所とかに、微妙に引かれているといる様だった。あとは、その、格好だろう────】

〜〜

〜〜

【リロードの戦術の正体。それは能力自体で戦うことではなく、環境を操る事で間接的な攻撃を行う事!】
【特殊なルール下という理由もあるが、引っ掻き回すだけ引っ掻き回してまだセリーナの風船を割れておらず、ようやくチャンスが巡ってきた】
【水鉄砲の攻撃も、受け止めるだけで直接攻撃による反撃は一切無い。つまり直接戦闘は苦手、このエンタメ空間を利用して戦術を組み立て、正面衝突を回避しセリーナを追い詰めている訳だ】

//急いで返そうと思って入れ忘れた返し文と解説を頭と最後に追加します。
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/22(水) 19:07:28.89 ID:YTtF5ZJW0
【水の国 首都近辺】
【先日の襲撃の爪痕が深く刻まれているが、それでも復興の兆しを見せており】
【瓦礫の撤去作業などが進んでいるわけだが、その瓦礫の行き着く先、いわば処分場にて】
【積み上げられた瓦礫の山に、人影一つ】

【濃灰色のローブを身に纏った、子供のように小さく華奢な姿】
【フードを目深に被っており、表情はおろか少年か少女かすらも判別しづらく】
【砂埃のせいで微妙に見づらいが、左の腰に刀を下げていた】


……しかしまあ、やっぱりすごい量の瓦礫ですねこれは……けほっ

【埃に軽く咽こみながら、その人影は何かを探しているかのようで】
【明らかに見た目作業員ではなさそうだが、瓦礫の山を探し回っている】

【こういう場所はそもそも関係者以外立ち入り禁止になっていそうなものだが、そこは深く考えたら負けなのだろう……】
940 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/22(水) 19:13:59.96 ID:PEQr6Oy0o
【水の国・"ヴィルデス・ビーチ"、特設リング内――】

【燃えるような炎天と澄み渡る蒼海を臨んで開かれた第四回天下一武道会も、既に第一回戦の日程をいくつか終えて】
【集まった観客達の様子も白熱の一途を辿っている。ある者は武の競い合いに心を滾らせ、またある者は参加者の奇抜な趣向に心を震わせていた】
【そんな中――観客がこの少女に向ける視線は、大まかに期待を帯びたものと戸惑いを帯びたものに分けられる。少女の"素性"を知っているか否かで二分された形だ】


(………わたしが、このようなもよおし≠ノ出る日がくるとはな。
 だが今回は、きっとチャンスなのだ。できることなら、ずっと勝ち上がって………それで、あいつに)


【リング内の砂浜で仁王立ちして目を細め、ふんぞり返るみたいに偉そうに腕を組んでいる背の低い少女。その大会参加者の名を、夜凪レラという――】
【濃鼠色の長髪をシュシュでくくってポニーテールにし、肩口までふわりと流した髪型。月色の瞳はくりっと大きくて幼い】
【服装は髪の色と同じ濃鼠色のセパレート水着だ。胸元に白と橙のラインが入っている程度で、デザイン的にも露出的にもあまり派手ではないけれど】
【腰にはやや分厚めの素材でできた真っ白なパレオを巻いていて、それが年相応の可愛らしさをひっそりと主張しているだろうか】
【……しかし。両手には各所が鉄板で補強された革手袋をはめ、何故だか真っ赤なマフラーも巻いていたりと、オシャレにしては奇抜な点も見受けられた】

【その他、レラは背中に木刀が入った布袋を二つ背負っている。おそらくこれが武器なのだろうけれど、彼女が持ち込んでいるのはそれだけではなく】
【右脇には真っ黒な浮き輪を抱えており、さらに両手首にもそれぞれ、よく子供が付けているような小さい浮き輪を巻き付けていた】
【……もしかして、あの子は泳げないのだろうか。そう考えて微笑ましい気分になる観客達もいたが――】


ふっ――どうやら、来たようだな。おまえがリーベ・エスパスか、わたしが夜凪レラだ!!
きょうの戦いは、ケンカでも殺し合い≠ナもない――ならばおたがい、心おきなく全力をつくせるというもの。

さあ、心してかかってくるがよい! むろん、負ける気はないからな………!!


【しばらくして、今日の対戦相手であるリーベが現れると――レラは鼻を鳴らしつつ、人差し指をびしっと彼女へ突きつけて宣言するだろう】
【態度だけはムダに偉そうだけれど、ちんまりした背丈のせいで迫力はほとんどない。むろん、それで侮るかどうかはリーベの性格次第か】

【ともあれ、レラはリーベに向かって宣言したきりその場から動かない。あえて先手は譲るということだろうか?】
【大会規定の三つの水風船は、髪をまとめているシュシュと両太股にそれぞれくくり付けてられている。リーベがどう攻めるにせよ――】
【両者がリングに入った時点で、既に戦いの火蓋は切って落とされているのだ。リーベが動いたその瞬間、観客の大歓声が試合開始を告げるだろう……!】


/こちら大会用文章です
/リーベさんの方、よろしくお願いいたします……!
941 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/22(水) 19:41:34.00 ID:eynH/EmDO
>>940

【特設リング内。そこには最初、レラしかいなかった。試合の開始予定時間から少し経つ。まさか“逃げた”のか?】
【中々始まらぬ試合に、観客席がざわつき始めた時。“異変”は起きる!】
【──ひゅうぅうぅうぅう……ずどんっ! “空から”何かが落ちてきたのだ。隕石か、あるいは鳥か……否ッ!】
【夜色の長髪に夜色の瞳を持つ、18歳くらいの少女──レラの対戦相手、リーべ・エスパス!】
【着る水着は夜色のビキニ。無地のかなりスタンダードなものだ。“だからこそ”か。わりと大きな胸が、ばっちりと強調されていた】


────はぁーっはっはっはっはっ! ……はっはっ、はぁっ……はぁっ!
お前がレラか! ふふん、いかにも私がリーべだ!
いいか、決して遅刻してきたわけじゃないぞ! ちょーっと着替えに手間取っただけだからな!
だから私は決して遅刻なんてしていない! 息切れ? ふふん何を言っているこれはちょっと、その、何だ。ふふん、どうだっていいだろう!!


【……どうやら、遅刻しそうだったために、道をショートカットしまくり空中から登場した、というのがことの真相のようだ】
【それはさておき、リーべの着地点はレラの正面……浅瀬だ! リーべは膝から下が水に浸かっているが、レラがそこまで近付けば、動きに支障が出る、だろうか?】
【そして大会規則により取り付けられたのは、3つの風船。今回はこの風船を全て割った方が勝者となる】
【夜色の少女──リーべの風船はというと、まずは右腕の上腕部にひとつ。そして左手の手首にひとつ。……正面からは、2つしか確認され、ない?】


ふふふふふん!! じゃあいくぞレラ! 私はいつも全力だからな──!!


【3つめの風船の位置を悟られないようにか、あるいは単純に本人の性格からか。着地し名乗りをあげて早々に、リーべは動く】
【右腕で、正面の空中を殴り付ける。すると……その空間が波打ち“衝撃波”が発生!】
【リーべ前方の海水を巻き込み、飛沫をあげながら発生した衝撃波がレラに向かう。目潰しと攻撃の両方を兼ね備えた一撃】
【当然威力の加減などしていない。衝撃波に当たれば、水風船などひとたまりもないだろう!】

【──が。レラの観察眼が優れているのであれば、リーべが登場し衝撃波を打つまでの短時間に気付けることがあるだろうか】
【ビキニ。夜色のビキニの……パンツ部分。そこのちょうど、腰とビキニの堺目部分に、細いヒモが巻き付けられていたのだ】
【現状、目視できる風船は2つ。そして、通常の水着につけるにしてはあまりに不自然なヒモ。“着替えに手間取った”──まさか】
【まさか、最後の水風船はリーべのお尻あたりにくくりつけられているのか……!?】

/よろしくお願いします!
942 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/22(水) 20:08:10.62 ID:PEQr6Oy0o
>>941


………、ふん…………ふんっ!
またハデなとうじょう≠セな。せわしないヤツだ………。


【真上から降ってくるという驚愕の登場をしてみせたリーベに、レラも一瞬驚いたようだ。……何より男性客が大いに沸いた。二つの意味で】
【足下までバッチリ見える自分の胴体を流し見ると、レラはぷっくりと頬を膨らませて鼻を鳴らした。年齢差を考慮するにしても、何かすでに負けている気がする……】
【お察しの通りというか、レラの方は典型的な幼児体型――、の、筈なのだけれど。もし観客に普段のレラの姿を知る人間がいたら、首を傾げただろう】
【どこが、とはあえて言わないが――大会の開会式の時よりちょっと、心なしか、わずかばかり、大きくなっている気も……】

【それはともかく。彼女が選んだ"浅瀬"というフィールドに、レラは軽く眉根を寄せて。どう動くかと頭を回すが、】
【――先にリーベが仕掛けた。巻き上げられる海水が衝撃波の発動をレラに伝える。けっこう容赦がない奴だな、と思いつつ】


よいだろう。……まずはおたがい小手しらべ≠セ!
ゆくぞっ、リーベ――しのび≠フ実力をみせてやる!!


【レラはまず抱えていた黒浮き輪をあっさり砂浜へ放り投げると、即座に背中の二本の木刀を抜くだろう】
【右の木刀は直刀、左の方は曲刀と微妙に作りが違う。そしてどちらも、柄の後端部にトンネル状の突起が取り付けられているのが特徴的だ】
【迫る衝撃波に対し、レラは右の直刀を地面に突き立てると――その柄を足場に、タイミングを合わせて大きく跳躍!】

【猫のような身体能力でもって衝撃波を飛び越すと、背中に太陽を背負いつつ叫ぶだろう。太陽光に目が眩まなければ、彼女が右腕を振ったのが見えるか】
【音もなく、細い二本の"針"がリーベに放たれた。狙いは現在目視できる二つの風船、威力は小さいが風船を割るだけなら十分!】
【しかも針は砂と同じ色に塗られてカモフラージュされている上、ツヤ消しまでされているせいでかなり見づらい。"忍"を自称するだけあって小細工は得意らしく】


(………さて。風船の、さいごのひとつは………あ、あいつ、どこにつけているんだ?)


【もっとも、リーベのいる場所は砂浜ではなく浅瀬だ。針もよく注意すれば見切れないほどでもないだろう】
【またレラは空中にいる。あるいはチャンスとなるかもしれないが――よーく目を凝らすと、右腕から細いヒモのようなものが伸びているのに気づくか?】
【ちなみにだが、地上に置いてきた木刀は衝撃波に吹き飛ばされるものの壊れはしなかった。十分に補強してあるようだ】
943 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/22(水) 20:35:23.24 ID:eynH/EmDO
>>942

な、なにぃ────!? お、お前は忍者なのか!? 知ってるぞ、櫻の国のスパイだろう!!

(……ということは、あの木はシノビ☆ソードとやらを模したものか!?)
(ふふん、どのみち卑怯な手は得意そうだな、シノビだし!!)


【……一体忍びに彼女がどのようなイメージを持っているのかは定かではないが、大方アメリカンな映画に出てくる歪んだ印象くらいは持っていそうだった】
【初撃は避けられた。「シノビ体術かっ」 と嬉しそうな声をリーべがあげる。レラの動きに合わせ、上空を見上げるも……】


わっ……ふふん、見えないぞ!?
なるほどこれがシノビ戦法と……あぁあぁあああ見えないな! このあたりか!?


【レラを視線で追う最中、もろに太陽を視界にいれてしまったらしい。堪らずぎゅう、と目を閉じるも……また右の拳が握られる!】
【見えないなら見えないなりに、レラが直前までいた位置に衝撃波を叩き込もう、という魂胆だろう】
【もちろん針など見えてすらいないが……右拳が振るわれる。太陽の中にいるレラに向け、衝撃波が放たれた!】
【偶然にも針攻撃を相殺するような形になってしまった一撃。針が特別な素材でない限り、衝撃波に飛ばされてしまうだろうか】
【また、レラが空中で軌道を変えない限りそのまま衝撃波はやはりレラをも襲う。空中なら簡単には移動出来ないと踏んだのだ!】

【しかし、この一撃さえ避ければリーべには大きな隙が出来る。何せ太陽光を直視したせいで目が眩んでいるのだ】
【「ど、どこだ──!!」 とぎゃあぎゃあ騒ぎながら、目を閉じてより海の深いところに後退していっている……!】
944 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/22(水) 21:05:32.22 ID:PEQr6Oy0o
>>943


さ、櫻のスパイだとぉ!? たわけめ、わたしは"SCARLET"だぞ………!!
――――ぬっ……!!


【放った針も弾かれ、自身も身動きできない空中にいるくせに、レラはリーベの微妙にひねくれた忍者像へのんきに突っ込みを入れてみせた】
【どうも"しのび"には人一倍思い入れがあるようである。……リーベはたぶん、心理戦を仕掛けたつもりはないのだろうけれど】
【それが結果としてレラの行動を遅らせた。レラが右腕を引いた瞬間、彼女の体は空中で不自然に斜め下方向へ移動するのだが、】
【衝撃波の到達がわずかに速く、左太股の風船が"ぱちん"と小さな音を立てたのが聞こえるはずだ。早くも一歩、レラは敗北に近づいた】


………、見えていないようだな!


【だが、これはケンカでも殺し合いでもない――最初にレラ自身が言っていた言葉。彼女はむしろ楽しげに、リーベの目が眩んだのを見て取っていた】
【右腕のヒモの正体は"ワイヤー"。最初に放った黒浮き輪にワイヤーが括り付けられており、それを引くことで空中で移動、レラは着地を早めたのだ】
【つまりあの浮き輪、見た目と裏腹にそこそこ重いということだけれど……ともあれ、レラは着地と同時に走り出す!】
【――今のリーベには見えないだろうが、とんでもない素早さで浅瀬へ突撃。軽く跳ぶと同時、レラの瞳が月色の光を発した】


(ふふふっ―――しのびのしんずい≠ヘここからだっ!!)


【ばしゃあっ、という水切り音。レラの小さな体がリーベの右横を通り抜けていくはずだ。まるで海面を滑走するかのようなスピード、】
【そのすれ違いざま、レラは左手の曲刀を使ってリーベの右上腕の風船を叩こうとする! この勢いで直撃すれば風船が割れるのは必定であろう】
【水音により反応することは可能だろうけれど、果たして今のリーベにこの速度を見切れるか否か。そして、攻撃の正否に関わらず】
【レラはそのまま海を滑り、リーベから数メートル離れた位置で立つだろう。左手の曲刀をゆるりと構え、マフラーを靡かせて彼女の様子を窺う】


【――、そう。レラは海上を"滑って"攻撃し、そしていま"立って"いるのだ。夜凪レラは、なんと水上で堂々と立っている……!】

【よく見ればいつの間にか、履いていた黄色いサンダルに円形の板のようなモノが張り付いている。僅かばかり魔力も感じられるだろう】
【リーベのちょっと間違った忍者知識の中に、果たしてこの情報はあるだろうか。忍者には、"水蜘蛛"という名の『水の上を歩く』ための道具が伝わっている――】
945 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/22(水) 21:35:40.59 ID:eynH/EmDO
>>944

【ワイヤーと浮き輪による移動も、レラの瞳の輝きも──まるで見えていない!】
【本人がぎゃあぎゃあと騒いでいるところから、最悪レラの風船が割れた音すら、リーべの耳には届いていない】
【こいつ……戦況やら相手の能力を把握するつもりがないのか!? それとも単純にバカなんだろうか……!】

【「目がーっ! 目ぇええがぁあぁあああ゛ああ!」 などと騒ぎ立てるリーべ。ばしゃばしゃと深みへ移動し、今は太ももの中程まで水に浸かってしまっている】
【──と、そこまで来て妙な水音がするのに気付く。何だ、と目を閉じながらも首を左右に動かし……ぱちん! 右上腕の風船が割れた】
【はっとするも、反撃するにはすでに遅い。「ここかー!」と適当に右腕をもがかせるも、当然届くはずもない】
【──そうして、レラが曲刀を構え終えたあたり。ようやく、リーべの目が開いた。しばらくは眩しそうに目を細めていたが】
【レラの姿を探すために、また視線を右往左往させ……ぎょ! と目が完全に開かれた】


なっ…………なっ…………な、ぁっ…………!!


【水上に立つレラの姿を見て、ぱくぱくと口を動かすリーべ】
【忍者。独特の文化を築く櫻の国において、さらに特殊な職業とされる者】
【そんな職業の正しい知識を、彼女が細かく正確に知っているわけもなく──】


──────しっ……シノビ魔術だぁあぁあぁああぁあ!!

くっ、これはマズいな、知ってるぞ! 忍者は火を吹いたり雷を落としたり分身だしたり
それからそれから、獣を操ったり天井に立ったりスーパーパワーを持っているんだろう!?
な、なんてやつだ……! 恐るべし櫻の国!! こんな小さな女の子でも既に脅威のシノビ教育を修了させているだなんてな……!!

だぁあぁあぁあぁあぁあが! しかぁあああぁぁぁああああし!!
ふふふふふん! わっ……私はシノビなんて恐れないぞ!!
なんたってお父さんとお母さんの娘なんだからなぁあぁあぁあああ!!


【──ずどん!! 再度振るわれる右腕。放たれる衝撃波。レラもいい加減、リーべの戦闘スタイルが読めてきたころか】
【基本的には正面から、力押しをするタイプ。だからなのか、先ほどから彼女は衝撃波を真正面から放つことしかしていない】
【そして……ざぱ、ざぱ、ざぱ、ざぱ。衝撃波を放った直後。水上を自由に移動出来るであろうレラとは対照的に、間抜けにもリーべはゆっくりと水中を歩き始める!】
【衝撃波の影響を受けてか、水面は多少波立ちリーべの周辺の海水面に至っては僅かに振動し……】
【……“振動”? だが、正面に衝撃波を放った程度で、リーべの周囲が全体的に振動する、など──】
946 : ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/07/22(水) 22:14:33.10 ID:jwA2Qzabo
【ある喫茶店】

【夜のビジネス街。人通りは少ないものの完全に消えることはない経済の窓明りは煌々と照る】
【深夜まで営業を続けるこの喫茶店も僅かながら客がいる。ほとんどがビジネスマンだ。しかし】
【まるで軍人や、宗教家のような一見不釣り合いな客もいる。何故ならばここはG.I.Nのビルが近い】
【軍産企業のG.I.Nだが隠された実態はGIFTのフロント企業でアジトだ。故に社員だけでなくそちら側の】
【人間もこの喫茶店を利用する。ある種、ここもアジトの1つのようなものだった】

【窓際の席で書類をめくる男。整髪料を撫で付けた髪、茶色い瞳に鷲のような鼻。スーツはグレーで】
【印象の良いデザインのネクタイを締めていた。その結び目の上で輝くのは鉄で出来た十字】
【勲章の様だ。金十字ではないが此処では1つ、見分ける証拠になる。“そう”か“そうじゃないか”だ】

…面白くなってきた。そう思ってもいいじゃないか。

【そういって深く出したコーヒーを手にとった。その指には髑髏の指輪が輝いていた】
947 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/22(水) 22:14:33.10 ID:PEQr6Oy0o
>>945

【すぱん! という小気味よい音がレラに小さな笑顔をもたらした。水上で振り返り構え直せば、腕をぶん回すリーベの姿】
【……ああいう直情型は、ひたすら小細工を弄する自分の戦法を鑑みても、また自身の性格を鑑みても、決して嫌いではなかった】
【試合が終わったらいろいろ話してみるのも悪くない。そしてあわよくば、あのねじ曲がったSHINOBI()像をどうにかしてやりたい……】


(まぁ、そんなことは後でかんがえることだな………おっと!)


【もちろん、今はそんなことを考えている場合ではなく。レラもさすがに同じ間違いを二度犯すことはなかった】
【リーベの左側へ回り込んで素早く海上を走り抜け、衝撃波を回避する。"右腕が動く"という最初と同じ前兆を理解したからこその危なげない動きだ】
【ちなみに、現実の"水蜘蛛"は実際に水上を歩くことはできないとされるが……感じられる魔力からして、この世界の"魔術"の力により実現された道具のようである】


………、ふふふ、どうだまいったか! これもわたしのにんぽう≠フひとつなのだっ!!
くっくっく………カクゴするのだな、こむすめ。お望み通り、火とか雷とかいろいろまとめてぶつけてやるぞ!
その……そのムダにでかい腹の立つブツをかんきゃく≠ヌもにさらして、せいぜい恥をかくがよいわ………!!


【――そして、一緒に投げつけられるリーベの絶叫。むしろすがすがしいぐらいの誤情報の乱舞を受け止めると、レラは策をひとつ思いついた】
【いや……策とも呼べるかどうか微妙だが。あの性格なら、とにかく煽りまくってやればもっと攻撃を単調にさせられるかもしれないと思って】
【そんなわけで、レラは思いっきり(無い)胸を張って悪代官みたいに叫び返す。一部明らかに私怨が混じっていたがとにかく何でもいい、慌てさせ怒らせるのだ】

【そんな中――ぴくり、とレラは足下の違和感に気づく。水上というデリケートな場所に立っているからこそ、こういった"揺れ"には敏感になっていた】
【リーベはゆっくりと近寄ってきているが……、いや。あの衝撃波の能力からするに無関係と断定するのは危険だ。レラはそう思い】


………ふ、ふーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!!
ではまず、これを食らうがよい! にんぽう、火とん≠フじゅつだぁ――――!!!


【我ながらなにをやってるんだろう……と内心我に返りつつ、慣れない高笑いをしてそれっぽく印を切るような動作も見せびらかしつつ、レラはこっそり腰元へ手を回す】
【どうもパレオの下にいろいろ仕込んでいるらしい。後ろ手で小さな花火玉を着火し、レラは雄叫びを上げてリーベにそれを投げつけるだろう!】
【本格的に火花が飛ぶまで若干タイムラグがあるタイプの花火だ。投げてから半秒ほど経つと、いきなり色鮮やかな火花が激しく弾けることとなる】
【まあ、見ようによっては"火遁の術"に見えなくもない。完全なるハッタリだが、一応れっきとした目くらまし用のアイテムなので光量はかなり強い】

【――当然、本命はその後。レラは花火の光に紛れるさせるようにして、また針を一本投擲する!!】
【もちろん狙いは左手首の風船だ。砂色のカモフラージュも海上ではあまり意味がないため、普通なら見切るのはそれほど難しくはないが……】
【もし花火の強い光によってリーベの視界が奪われていた場合、ことさらに認識しづらくはなるはずである】

【そしてレラは、これらの行動を"後ろに下がりながら"行うだろう。水面の振動を警戒して一旦リーベから離れて様子を見る狙いだが】
【攻撃やハッタリ等にもリソースを割いた分、水上を後退する速度はやや遅くなっている。現在地はリーベの左手側、まだそう離れてはいない――】
948 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/22(水) 22:55:29.14 ID:eynH/EmDO
>>947

【それにしても先ほどからわあわあと騒がしいやつだ。やれシノビがどうだ、やれ目が見えない】
【こんな風に何かにつけていちいち騒いでいれば、さぞ日常生活も(周りが)苦労するだろう】
【おまけに「恥をかかせる」などと宣言されれば、このリーべが騒がないわけもなく……】


────はぁ? お前何言ってるんだ
私のこのナイスバディが恥ずかしいとか馬鹿じゃないのか?


【冷静ぃいいいい!? だ、だめだこいつ! 裸にされても恥ずかしがるどころか胸やらなにやらを隠すことなく見せつけるタイプの人種だ!】
【おまけに中途半端に自分の身体つきの良さを自覚している! 最悪だ、このまま身体方面で煽りまくれば挑発に乗って脱ぎかねない!!】


【しかし、「火とん」と聞いた途端にリーべの口元がにやりと笑う。──そう、ここは水のすぐ側なのだ】
【先ほどまでリーべの周囲に溢れていた振動が一際大きくなり……そして】


…………これがぁあぁああぁああ゛あああ!
即興ごまかしなんちゃってとりあえずエスパス流忍術ぅうぅうぅうう!!
ふぅぅうはははははははははは!!!!!

     ────── 秘伝ッッ!! シノビ津波ィイイィイ!!!!!!!!!!


     【 ぶぅうぅううううん────ッ! 】


【一際大きくなる振動! と、突然リーべの足元から、海水が“盛り上がる”ッッ!!】
【なんと足元から海水に振動を強く送り込むことで、浅瀬でありながらも人工的な“津波”を作り出したのだ】
【波はリーべ前方の海水を巻き込みながらさらに肥大化! レラのあたりまで到達する頃にはそれなりのものになり、レラをも巻き込もうとするのだ】
【当然盛り上がった海水はリーべにとって、レラ式“火遁の術”の目隠し代わりとなる……目潰しも二度目はない!】

【おまけに“津波”をレラに対し放った後、リーべはその場から高く高く飛び上がる──常人ではあり得ぬほどの高さまで、だ】
【元より水中にいる際、何の補助もなしに身体全部を水面に出すなどというのはかなりの訓練を必要とする】
【しかしそこは能力者! 自らの足から“衝撃波”を何度も放出させ、傍目からは超人的ともいえる跳躍を可能としたのだ】
【そのまま足から衝撃波を放ちリーべは空中に躍り出る! 次いでまたもやレラに向け右腕を振るい、上から衝撃波をお見舞いしようとする】
【衝撃波の性質上、細かな狙いはつけられず大雑把な攻撃となってしまうが……今回は、正面からは狙いにくいシュシュについた水風船を上から狙った形となる!】
949 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/22(水) 23:33:43.59 ID:PEQr6Oy0o
>>948

【――、一瞬。思わぬリーベの返答に、レラの瞳からハイライトが消えたような気がしたが……】
【少女は肩を震わせただけで、何も、何ひとつとして返事はしなかった。"ぶちっ"とかいうナニカが切れる幻聴が聞こえたかも知れない】


………ほう、そうかそうか。
もっとあわてふためくかと思ったが、火に水をぶつけるとは意外とれいせいだな、きさま。
とっさにつなみ≠作り出すというせんたくも悪くない。

だが――――ッ、


【沸き上がる津波、まさしく海というフィールドを最大限利用した攻撃といえるだろう。目を伏せたまま、レラは静かな声で賞賛した】
【忍術うんぬんとどれだけハッタリをかましても――その実、炎も雷も撃てないし道具の力がなければ水の上にも立てない】
【天高く飛び上がったリーベの姿は、そんな少女に羨望の感情を抱かせた。レラは所詮、小細工を弄するしか脳のが無い"しのび"だ】

【――だが、少女にも特質はある。たとえば、根本が道具の力とはいえ、水上を自在に闊歩する"歩法"】
【波打つ水に対応した経験は少ないが、波打つ"砂"に対応した経験は数え切れない。揺れる体にレラは一瞬でコツを掴むと、素早く波に乗って津波をいなす!】
【こういう"悪路"を走破することに関して、レラは一流だ。むろん出来たのはそこまでで、続く衝撃波まで乗りこなすのは無理だけれど……】


くっ………うぅっ!!?


【レラは津波をジャンプ台代わりにして一気に砂浜の方へ飛んだ。その加速によって風船への直撃は避けるが、真後ろで炸裂する衝撃波】
【小さな悲鳴が物語る。レラは元々体重が軽い、衝撃に煽られるようにして予想外に大きく飛んでしまい、そのまま砂浜に叩きつけられるだろう】
【風船は守り切ったがダメージは大きい……しかしここでもう一つ、レラの特質を挙げるとするなら。それは状況に応じた臨機応変な"武器選択"の能力か】


――――そっきょうやごまかしで、にんじゅつ≠ェ作れるものかぁッ!!
下りてこいこの牛女ッッ!!! こんどは、こっちで戦ってもらうぞ…………!!


【二割は忍者としての誇り、残り八割は女としての私怨をこめて、レラは幼年の少女としてあるまじき怒声を張り上げる!】
【――リーベの位置は空中。自分と違い衝撃波で動き回れるかもしれないが隙は隙だ。レラは津波でジャンプしつつ、布石をひとつ張っていた】
【レラの手に、曲刀がない。そして左手首の浮き輪からワイヤーが伸びていて、その先――ワイヤーに繋がれた曲刀が、リーベの背後から襲いかかる!!】

【吹き飛ばされつつ、曲刀にワイヤーを繋いで遠くへ放り投げておいたのだ。後は墜落の勢いを乗せて強くワイヤーを引っぱり、手元に曲刀を引き寄せるだけ】
【そして、戻ってくる曲刀の軌道上にはリーベの"お尻"がある。そこにあるであろう風船に直撃して割れてくれればそれもよしだが……そうでなくとも】
【曲刀が体のどこかに当たった場合、必然的にリーベの体は"砂浜"の方へ打ち出されることになるだろう。すなわち、レラのいる方へ――】
950 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/23(木) 00:16:05.69 ID:LlnYi+4DO
>>949

【津波と続く衝撃波により、砂浜に叩きつけられるレラ。水のフィールドからは逃げられ、相手の風船は未だ2つ】
【さて次はどうしようか、とリーべは笑う。互いに一進一退の状況……レラの怒号が聞こえたが、この状況がリーべにはひどく楽しかった】
【日常とはかけ離れた特殊フィールドに、日々の戦いとはまた異なるバトル。観客の声や太陽の光までもが、リーべには愉しく思えた】


ふふん! 砂浜に逃げたかレラ!! だが簡単には下りてはやれんな!!
砂がくれの術くらいは知ってるぞ! 砂を吹き飛ばして目潰しするやつだろう!!
……ん? あれ、違うな。砂で目潰しは櫻の国にいるオニ? 妖魔? の仲間がすることか?
まぁいい! 忍法砂つぶしだろうと妖怪 【 ぱぁん! 】 砂隠れだろうと……!!

…………? なんだ? 今、私のお尻あたりで変な音が……


【レラの奇策はものの見事に成功! 流石忍者汚い忍者! よもや津波に流されつつ何かが出来るとは思っていなかったのだろう】
【また間違った櫻の国知識を披露しているうちに、何かが弾ける音が響く。恐る恐るリーべはお尻に視線を移し……】


……………………。…………………………………………あ。

あぁあああぁああぁあああぁあああいぇええええええ!!
ふっ…………風船ッッ!? 風船なんでぇえぇぇぇええええ!?
きっ貴ッッ様ぁああぁああああ────!!


────やるじゃないか!! ふふふふふん!! 凄いな、まさか後ろへの攻撃が出来るなんて……流石は、……シノ、ビ、だ、


【がくんっ! 曲刀は風船を割ったばかりでなく、リーべの身体にもヒット!】
【不意討ちには流石に耐えきれず、リーべはレラのいる砂浜にむけ吹っ飛ばされることとなるが……】
【かぱ、と大きく口を開ける。すぅううう……! と思いっきり息を吸う。また何かをするつもりか!?】


…………なぁあぁああああぁあぁあぁぁあぁあああああああ────ッッッッッ!!


【声ッッ! リーべは喉で空気を大きく振動させ、叫ぶことでより強大な“声”を放出!】
【ライブ会場の如き圧力を持った音声が、レラへ向けて放たれた……リーべの隠し技のひとつ、“声帯砲”である!】
【圧力を持つだけあり、人に対してもダメージを与えられる“声帯砲”であるが……何よりこれはとてつもなくうるさい技でもあった】
【レラの対処がどのようなものであろうと、どのみちリーべはこの後レラの目論見通り砂浜に墜落し砂を撒き散らす羽目になるのだが……】
951 : ◆A3Dw.QYNcc :2015/07/23(木) 00:45:09.68 ID:2HbtLNgKO
/次スレです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1437579842/
952 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/23(木) 00:49:28.92 ID:ZiqefuwRo
>>950

【真上で喚きまくるリーベのお尻に、レラの胸のごとk……ではなく普通に堅い曲刀が迫り――ワイヤー伝いに確かな手応えが伝わった】
【にまり、とレラも笑う。心からの笑顔というには何というか、ドロドロしていたけれど。少女もまた楽しんでいることに変わりはない】


ふっ………はーーーーっはっはっはっはっは!!
見たかしのび≠フ実力をっ! ただデカいだけのきさまとはやり方が…………っ!!?


【今度は演技ではなく本気の高笑いが出た。リーベほどわかりやすくはないにせよ、こっちもこっちでこういう所では直情型なのだ……】
【手首に巻いた浮き輪はワイヤーを隠すためのものだったのだろう。ワイヤーを巻き取って曲刀を回収すると、レラは切っ先を墜落するリーベに突きつけ、】

【――――、咄嗟に、耳を塞ぐしかできなかった。ライブ会場にブチ込まれたかのような音波の塊がいきなりレラに襲いかかり、悲鳴すらも一瞬で掻き消える】
【本当は着地の瞬間を追撃するつもりだったのだが、こんな大音声の中で動き回れるはずもない。レラは完全にリーベに飛びかかる勢いを殺がれてしまった】


(ぐ、っ………むねもでかいなら声もでかいのか、見た目どおりだな、まったく………!!)


【チャンスは逃してしまったが――レラはその代わり、苦し紛れに腰から爆弾をひとつ足で蹴落とし、そのままリーベの方へ蹴り込むだろう!】
【爆弾は今リーベのいる位置で即座に爆発。その正体は、爆発の勢いで多量の胡椒をまき散らすというなんともオモチャじみた"コショウ爆弾"である】
【まともに食らうと少しの間クシャミが止まらなくなるだろう。“声帯砲”を封じるだけでなく、しばらく衝撃波の照準を雑にするのも狙いであった】

【今回、レラが辛うじて出来たのはそれだけだ。いっさい攻撃力がない、ただ妨害するだけのものだが……】
【とにかく耳を塞ぎながら、レラは顔をしかめつつ後退。コショウ爆弾で時間を稼ぐ間に、一番最初に吹き飛ばされた直刀を回収する】
【その途中で放置されたままの黒浮き輪を踏んづけた時、レラの瞳が光を発したように見えたが――それはともかく】

【コショウ爆弾をどうにか避けるか、あるいはクシャミ地獄から素早く復帰すれば、これはリーベにとってチャンスになるはずだ】
【レラは声帯砲のダメージのせいでまだ聴覚が完全に戻っておらず、平衡感覚もやや狂っている様子。背を向けているうちに狙い撃てれば――】
953 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/23(木) 01:16:49.84 ID:LlnYi+4DO
>>952

【どっ、と砂浜に不時着する。流石にその衝撃で、最後に残った左手首の風船が割れる、なんてことにはならないが……】
【立ち上がりつつ、“声帯砲”をモロに食らったであろうレラを見る。流石にあれを食らえば、すぐには動けないか。そう思った時だった】
【BOM──砂を払いレラへの攻撃体制に入ったリーべの足元で、“コショウ爆弾”がその効果を発揮する……!!】


────ふ、ひぇえっ? へぁっ……っくじっ! んぁっ……ひぁ、にゃ、な、なぁっ……へぇああっくし!!
こへっ……! なっ……! あぁあっぶし!! に、忍者ぇえぇああっくしょ……!!


【そんな攻撃など想定していなかったリーべ。コショウ対策などしているはずもなく、黒き悪魔の粉塵の洗礼を受けることになる】
【しかし相手には大きな隙が出来ているのも確か……なのだが。こんな中で“声帯砲”を再度打てば自爆以外の何物でもないし】
【衝撃波はくしゃみのせいで照準が怪しい。万が一客席にでも飛んでいけばそれこそ大惨事だ】
【となれば。忍者相手には愚策も愚策ではあるだろうが……】


ひょふへふ……! ぶしっ……! ひょ、ひょふへふ、ひゃゆじがっ……!!


【──「直接やるしかない!」 リーべはそう決断し、クシャミやら鼻水に苦しみながらも砂浜を駆け出した!】
【衝撃波の補助などはないが、肉体は健全そのもの。足取りも決して遅くはない】
【レラに近付くことで、自分の持つ最後の水風船も危険に晒すことになるが……何もしないよりマシである】
【レラが背を向けたままリーべの接近を許すのであれば、リーべは真っ先に彼女のシュシュにくくりつけられた水風船を狙いに行く】
【とはいえ水風船は頭部にあった。今までバカスカ衝撃波を撃ってはいたが、近距離で頭部目掛けて衝撃波など放てば最悪死ぬ可能性だってある】
【故にリーべはレラ頭部の水風船を、直接手で握りつぶし、爪でもたてて破壊しようとしているのだが──果たして!?】
954 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/23(木) 01:56:36.88 ID:ZiqefuwRo
>>953

【もしレラの聴覚が生きていて、背後からリーベのクシャミの雨が聞こえていたら、してやったりと笑うこともあったかもしれない】
【だが今はそんな余裕はなかった。声帯砲が止まったのを感じると耳から手を離し、すぐに体勢を立て直して木刀を握り直し】


…………ぬ、ぅっ!?
お、おまえ! まさか直接………っ!!?


【振り返る直前、戻り始めた聴覚は真っ先に頭上の破裂音を捉えた。塗料が髪を濡らして愉快なことになるが、それ以上にレラは驚く】
【レラが想定していたのは衝撃波での追撃――まさか直接近寄って狙いに来るとは全く思っておらず、気配に注意を払っていなかったのだ】
【可愛らしいクシャミを連発しつつも手を伸ばしたリーベの狙いは見事成功した。あっさりと風船は破壊され、残された風船は右太股のひとつだけ】
【――そこでレラは、とっさに大きく前方へ跳躍するだろうか。リーベの筋力がどれほどのものかはわからないが、小柄なレラは組み付かれると弱いのだ】


おもしろい……おもしろいな、おまえ。うむ、楽しいぞっ、わたしは!

ふふふっ――――ならばいまこそ、見せてやろう。夜凪レラのもっとも得意とする、にんじゅつ≠な………!!


【空中で体を一回転させつつ、レラはリーベにそんな言葉をかけるだろうか。お世辞にもきれいな戦い方をする人間ではない自分を恐れることなく――】
【汚い"しのび"に対して臆さず、能力も使わず近寄ってくるとは。向こう見ずだとか破れかぶれだとかいう者もいるかもしれないが、レラはリーベの"根性"が好きだった】
【なればこそ――夜凪レラという"しのび"の本来の姿を、ここで見せよう。レラが「受け止めてみろ」と言いたげに不適に笑うのと、その足が砂浜に着くのとが同時、】


【――その瞬間、リングの外からまばらなどよめきが聞こえるだろうか。観客の中でも戦いに関して素人の者たちは一瞬、完全にレラの姿を見失った】
【"忍者"としての悪路を往く歩法。"暗殺者"じみた武器の扱い。そして最後に、この試合でまだリーベに見せていない『夜凪レラ』が、ひとつだけ】


――――――はぁッッ!!!


【それは、"速さ"だ。砂浜という歩き辛い地形を苦にもしない、どころか平地で走るより速いのではないかとすら思える速度で、レラは瞬時にリーベに接近――ッ!!】
【レラはあえて忍術と称したが、それは幼い彼女が持つ唯一の"武"の結実だ。忍術も忍法も使えず小細工に頼るしかない身でも、レラにはこの足がある!】

【――観客の中には気づいている者もいたが、夜凪レラはこれでも"SCARLET"の人間だ。砂の国を拠点とする精鋭部隊『ヘイダル』の一員として日夜世界を駆け巡る身】
【幼いながらも濃密な経験を積んだ精鋭、というだけでなく――砂の国の自警団員でもある彼女のホームグラウンドは、"砂漠"なのだ】
【すなわち、この砂浜というフィールド。砂漠生まれの"しのび"は、故郷と同じ"砂"を踏むことで本当の意味での真髄を発揮した――】

【凄まじい速度の接近が叶ったのなら、レラが狙うのはやはり左手首の風船だ。すれ違いざまに左の曲刀を擦るようにして狙い打つ!】
【――並の相手なら、接近に気づくことすらなく終わることもあったか。しかしリーベがその"並の相手"でないことは、レラも重々承知している】
【攻撃が当たるか否かに関わらず、レラは反撃を想定してそのまま走り抜け、一定の距離を置こうとするだろう。それに追い縋れたならばチャンスもあるか――】


/すみません、そろそろ時間的に限界っぽいです……
/明日に持ち越しにしていただると助かります、今日と同じ時間にはおそらく再開できるかと!
955 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/23(木) 02:00:17.39 ID:LlnYi+4DO
>>954
/了解しました!
/ではまた明日、7時くらいからの再開ということで
/それでは今日のところは一旦、お疲れさまでした! ありがとうございましたー!
956 : ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/07/23(木) 02:04:07.33 ID:ZiqefuwR0
>>955
/ありがとうございます、お休みなさいませー!
957 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/23(木) 18:36:03.55 ID:LlnYi+4DO
>>954

【水風船が壊れる感触が確かに伝わってくる。これで残りひとつ!】
【これで互いに水風船はひとつずつだ。リーべは左手首に、レラは右太股に残ったものが最後となった】
【リーべから距離を取るレラ。それを追うことなく、彼女は楽しげに笑ってその場に留まった】
【脚を大股に開き、腰をぐっと落とし……これは。この、構えは────!!】


よぉぉおおおし! 来い、レラ!!
私はッッ! お前をぉおっ! 受け、止める────ッッ!!


【“来ると分かっているなら受け止めればいい”……愚直! その作戦はあまりに愚直すぎた!】
【しかしリーべ自身、速さでの勝負をレラに挑むことこそが最大の悪手であると理解していた】
【津波の中での移動に空中での軌道変化。こと“移動”に関しては、プロであるレラには敵わない!】
【故にリーべは、レラの攻撃後を狙うこともカウンターを狙うこともなく……ただその“速さ”を受け止めることのみに、全身全霊を賭けにいった!!】

【レラの狙いは分かりきっている。左手首の風船だ。ならば……相手の来るべき場所も自ずと分かるというもの】
【仮に曲刀が自らの胴体をえぐり抜こうとも構わない。この試合は殺しあいではないのだから】
【両手を大きく広げる。これで水風船は多少狙いにくくなったか。だがあくまでも多少だ。真の目的は──】

【──ひゅう! レラが風のように駆けてくる。見えない! だがこちらに来ているのは間違いない!】
【本人は見えない! だが砂には小さな足跡……移動の痕跡! それを頼りにリーべは“抱き止める”タイミングを計る】
【あと3歩…………2歩……、いっ────】


こぉおぉぉぉっ──────こ、だぁあぁああぁあぁぁぁあああああああああッッッッッ!!!!!


【足跡から予測されるタイミングのまま、リーべはそこにいるはずのレラを抱きしめにかかった!】
【しかし予測は予測だ。仮にレラが直前で大きく跳躍したり、リーべの予想外の行動を取れば……リーべの行動は空振りに終わる】
【また、リーべが“抱き止める”という奇行に出ると分かれば、それに合わせた対応も不可能ではない】
【一方で仮にレラが受け止められてしまった場所、その衝撃でレラの風船が割れてしまったり】
【或いはそうでなくとも、そのまま組み敷かれて直接風船を割られてしまう可能性だって十分にあった】


/遅くなってすみません、お返ししておきます!
958 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/07/23(木) 19:56:41.14 ID:rWbwXn3eo
【酒場】

【人の感覚によって多少の誤差はあるもののこの辺りの治安は悪いと誰もが認めるだろう】
【なんせ警察も自警団も賄賂を貰うし、影にはブラックマーケットができてるし昔から住む老夫婦も】
【ハンカチと拳銃は常に携帯している。そんな場所だから酒場の1つや2つ潰れるのも珍しくはない】

【その酒場の看板は落っこちてガラス窓は全て割れ、ボトルは倒れてグラスは砕けてテーブルは穴だらけ】
【壁には剣撃の跡、天井には雷が落ちたような焦げ跡。空薬莢が散らばり、折れた大剣がカウンターに突き刺さる】
【何があったか説明するのも野暮なので省略。残っているのは店主と1人の痩せた背の高い男だけだった】

…よくこんな場所でやってけるね

【ダークグリーンのサングラス、ブルーのシャツにブラックジーンズ、クソ暑そうなブーツ、聖母が微笑むネックレス】
【腰には革のガンベルトが2つも重ねて巻きつけていてリボルバー式拳銃を4丁も差している】
【けど撃った様子は無くて半にやけに笑いながらロックグラス片手に煙草を吸ってカウンターに腰掛けていた】

『儲かるからいいんだよ。オマエみたいな馬鹿ばっかりだからな】

【丸眼鏡で小太りの店主は手にしていたライフルを棚に戻し箒を手にとって片付けを始めた。看板はオープンのままだ】
【どうせ店にいるのだからクローズにはしない。これでもいいという無頓着な客が来たなら儲けれる。かろうじてドアはあった】


/>>930でも>>946でも募集します
959 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/23(木) 20:23:49.35 ID:ZiqefuwRo
>>957

【浅瀬に入るのも海上を走るのも、レラの本領ではなかった。あのまま海でやり合っていれば、津波を使って自由に地形を乱せるリーベの力に押し切られたかもしれない】
【だが、いま――発端が女としての嫉妬というあまりにもアレなものだったのはともかく、バトルフィールドは砂浜へと移ったのだ】
【この瞬間にこそ、少女の全力がリーベに牙をむく。レラは小さな獅子となり、全速力で彼女へと駆け込んで――】


なんっ…………ば、バカかおまえはっ!!?
………いや、そういえばバカだったのだな…………!!


【いくらか反撃は想定していたとはいえ、レラとしてもここで決めるという気が無かったわけではない。小手調べなどでは絶対にない全力疾走】
【たとえば――走っても追い付けないからといって車道に飛び出してみる者がいようか。普通ならこれだけの速度、脅威を抱くはずなのに……】
【罵声じみた言葉には、しかし驚きと一緒に喜色が滲んでいるだろうか。バカだバカだと述べつつつも、レラはリーベの剛胆さに舌を巻いたのだ】
【そして実際、それは有効な戦術だった。上では自動車の例えを出したが、人間の体は当然体重も速度も自動車などには程遠い!】

【一応、それでも危険には変わりない。レラも勢いを緩めるが完全には止めきれず、リーベの腹部に木刀が当たって鈍い痛みが走るかもしれない】
【だがそれにさえ耐え抜けば、レラの矮躯を抱きしめることは叶う。きっとリーベの身体能力、何よりその"根性"があれば、不可能ではないはずで――】


ふっ………見事だ、リーベ・エスパス…………。
まさかしのび¢且閧ノ、ここまで真正面からいどんでくるものがいようとは。
いい勝負だった――わたしも全力を出しきった。くいは、ないよ。

この試合は、わたしの――――、


【そして――もしリーベがそれを成し遂げられたならば。彼女の腕に抱かれるような体勢で、レラはそんな台詞を吐くだろう】
【風船は割れなかったようだけれど、レラもこの距離では近すぎて木刀が振るえない。あと少し、体重をかけるだけでいい】
【リーベとレラには体格差があるのだ。そうすればレラは地面に引き倒され、体重任せに抑えつけてやれば十分右太股の風船を狙えるだろう】
【そうなればレラに勝ち目はない。何よりここまでされては心の方が納得してしまうというものだ。この小気味のいい女になら、負けても悔いはないと】
【レラはリーベの左手に、木刀を握ったままの右手を軽く重ねようとするだろう。当たり前だが風船には掠りもしない。彼女なりに勝者を称えるように――】


――――――わたしの、ものだ!


【……………、ここで、敢えてもう一度言おう。少女は"忍者"であると。小細工にかけては一流であると。汚い不意打ちこそが、本領であると!】
【にっこりと笑って呟いた瞬間、リーベには見えるはずだ。レラの月色の両目が、淡い輝きを発したのが――!!】
【刹那、レラの右手の甲、革手袋の様子に変化があった。――"鍵爪"が取り付けられている。ほんの一瞬前までこんなものは無かったはず!】
【確かに木刀は風船には掠りもしない。だが鍵爪の方は別だ。手の甲に長い得物が付いた今の状態で、レラがリーベの左手に右手を置けば、】
【鋭い鍵爪の先端は必然、軌道上にある左手首の風船に突き刺さることになるッ…………!!】


【あまりにも地味で姑息極まりない、忍者流の"必殺の一撃"が打ち放たれた。ゼロ距離で行われる極上の不意打ちに、リーベは反応できるか否か――】
【おそらく勝負を分けるのは、この試合でリーベが"それ"に気づいていたかどうかだ。試合中幾度か見せていた、"瞳が光る"という前兆】

【この試合中、何度か予兆はあったのだが――果たして、リーベはレラの"能力"に感づいていたか。いや気づかずとも、"瞳が光る"という異常を視認できていたか?】
【『自身の体に密着した物体を、同じく自身の体のごく近くに転送する』という、極めて微弱なテレポート能力――】
【至近距離限定だが、その奇襲力は非常に高い。パレオに仕込んだ鍵爪を一瞬で手元に召喚するのも思いのままという訳だ】

【忍者相手に不用意に近づくのは愚策と、リーベもわかっていたはず。……あと、抱き止めた時レラの顔に立派なモノが直撃していたこととかもあって】
【レラの闘志は消えるどころか、この瞬間に最大となっていた。その辺を彼女が認識していたなら、この必殺もどうにか避けられるかもしれず――】
960 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/23(木) 20:28:13.13 ID:J/RG2mo6o
>>937

【男と女、テンガロン・ハットとシルク・ハット、能力者と無能力者。】
【相反する二人ではあるが、帽子のお陰か日に照らされたシルエットはどこか酷似していた。】
【片方は海の中へ、そしてもう片方は陸地の上で、ガンマンとマジシャンは対峙し合い、時間が刻々と過ぎていく―――】
【……―――などと小奇麗に纏めてみたは良いものの、蓋を開けてよく見ればこの試合、変態と馬鹿の壮絶な小競り合いに過ぎない。】


 (―――いや、外せよっ!! せめてどっかに移せよ!! その格好で尚もおっぱい風船する理由と意味はなんだよっ!!)
 (なんて変態なの……マジシャンって大体どいつもこいつも胡散臭いと思っていたけれど、この人はその中でもいっとう酷い類だよ。)
 (―――はっ!? いやいや、ペースを乱されちゃ駄目だ!! 相手は変態っぽさを演出する事で此方に揺さぶりをかけている……!!)

 ―――ふっ。"私の世界へようこそ"、だって?
 笑わせてくれるね、リリ……ああもう面倒くさい、"リロ君"!! リロ君って呼ぶね!
 それでリロ君……"君の世界"だって? 違うね……今アタシがお邪魔しているのは、君の世界じゃあなく―――


                       " ―――海の中だ―――!! "


【ざんっ。と波が後ろではじけ、白い泡がはじける。太陽光が金髪をこれでもかと照らし、】
【その輝きの中でセリーナはポーズ。これぞ、『ごくごく当たり前の言葉をカッコよく見せる方法』、"派手なバック"だ!】
【立ち上がった波がセリーナを鼓舞するように広がり、そしてざっぱーん、と水面へ落ちて―――彼女はその中に飲み込まれていった。】

【―――比喩や誇張ではない。本当にそのまま、かっこつけていたところ波に浚われ水の中へ沈んでいった。】
【ポツン、と残るのは自慢げにかぶっていた特長的なテンガロン・ハットのみ。ぷかぷかと水面に浮かび、波に流される。】
【セリーナは、と言えば水中にもぐったまま暫く、出てこない。そうこうしている内に、件の"トランプ"が撒いた"餌"が、効力を成し】

【―――ぞくぞく、といろんな生き物の姿が見え始めるだろう。】
【小さい魚、大きい魚、なんか平べったいヤツ、虫みたいな変なの、エトセトラ、エトセトラ。】
【わあ、海の中って変わった生き物が一杯だなあ。一匹も名前は分からないけど。一杯なんだなあ―――、】

【撒き餌に惹かれて集まってきたそれらの海中生物が透明な水の中を泳ぎ始めるその時―――】


 ―――オー、イエス。確かにウィッチ<魔女>だ、アタシの"射撃技術"は"魔法"に等しいからね!


【砂浜からかなり離れた位置―――丁度波が大きく上がり、足が着かなくなってくる頃合】
【いわゆる"リング際ギリギリの地点"から、陽気な声と共に浮上するセリーナ、何時の間に"移動"したのか!】
【どうやら彼女、泳ぎには相当な自信がある様で、波に飲まれると同時水中に隠れて、泡だつ中を素早く潜行していたのだ!!】

【そしてその最も遠い位置―――つまり撒き餌から離れた場所で、彼女は手にした"何か"を】
【一度背後へ大きく振りかぶり―――直後、凄まじい速度で投擲ッ!! 投げられた"何か"は、高速で回転して】
【まるで"ニンジャ"の"手裏剣"にも似た動きで鋭くリロードへと襲い掛かる―――これは、この"物体"とは、一体何なのか!!】


 ところで、射撃技術ってのは弾丸に限ったことじゃない。
 アンタが環境を使って戦うのならアタシもそうさ、"弾切れ"の時には何でも使う。
 そう、例えば海の中なら―――よく"飛びそう"なモノを見つけて、即席の"ダーツ"にしてみたり、ね!


【接近してきた時、その"何か"の正体は分かるだろう。それは浅瀬でも取れる"硬い"殻が特徴的な海産物!】
【焼くとおいしい、刺身でも食べられる、水の国ご当地高級食材の"フルーソ・シェルフィッシュ<殻付き貝>"であったのだ!】
【しかしその殻は非常に頑強で機材が無くては明けることは難しく、またそれなりの速度で投げ付けられれば鋭利な部分は武器にもなる】

【セリーナは水中に逃げたことで"撒き餌"攻撃を受け、海産物に生きたまま襲われるという目にあった訳だが】
【反撃として海中から海産物をぶつけるというとんでもない方法に出たのだった―――!!】
961 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/23(木) 21:27:12.96 ID:LlnYi+4DO
>>959

ぐっ……く、ぁっ……く、ふふ、……ふふ、んっ……!
どう、だ……ふふん、受け止めて、みせた、ぞっ……!!

【鈍い痛みが、剥き出しになった腹部にはしる。その感触により、レラを受け止めることが出来たと知る】
【ふふん、とリーべは笑った。何だかもうそれだけで十分な気もしたが……そう、まだ勝負は終わっちゃいない!】
【この試合中何度も見てきたレラの“輝き”! 太陽光やら水飛沫に邪魔され、リーべはその輝きの全てを見ることはなかったが】
【今この瞬間、彼女はレラの異能をはっきりと見た! 直後に転送されてくる鍵爪……“そういうこと”か……!】
【ここまでリーべはレラの有する能力に気付いていなかった。そもそも異能を持っていることさえ気付いていなかったのだ】
【……その原因は、リーべがレラの成すこと全てを「シノビなんちゃら」と名付けていたことにあるのだが】
【そう。強いていうなら、リーべはレラの能力を「シノビ」だと思っていたのだ! ……ある意味、間違えてはいないだろうが】

【それはさておき。試合も最終局面! レラの鍵爪がリーべの風船を切り裂くか。あるいはリーべが反撃をするか!】
【レラもリーべの性格が分かってきただろう。今更リーべがレラを突き飛ばし、鍵爪攻撃を凌ぐはずがないのだ!】


だぁああぁあぁあぁぁぁぁぁあああああ────ぶるぅぅぅうううう
────────プレェェェェエエエエエエエエエスッッ!!!!


【何がダブルで何をプレスするか、やはり今更言うまでもあるまい! リーべはこの局面において、なんとレラを押し倒すことで水風船を割ろうとしてきたのだ!】
【レラの鍵爪が風船にあたるのが先か。あるいはリーべが風船を押し潰すのが先か!】
【試合が決まるのはこの数秒。観客たちも試合の行方を固唾を飲んで見守っていた】

【──ぱぁん。音が響く。この捨て身の作戦に出た段階で、リーべの風船が割れることは決まりきっていたのだ】
【レラの風船が割れていなければレラの、勝利であるはず──!!】

/ごめんなさい遅れました!
962 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/23(木) 21:43:37.06 ID:XjxzCsRoo
>>960

【海に戯れる美しきガンマン、砂浜の上でほくそ笑む黒光りしたマジシャン。まさしくこの戦場は天国と地獄】
【だが、それは“人”によって意味合いは違ってくる。リロードはまんまとセリーナを地獄の底へ叩き込んだと確信していたが】

【どうも、それは、違ったようで─────】


リ、“リロ君”──……。そう呼ばれるのは初めてですが。まあ、いいでしょう……。
なんだというのです?まんまと私の策で海の中に追い込まれた貴女が何を言おうと負けおし………………ッ!

【“海の中”ってそのまんまやんけ!なんて思う間も無く、既にセリーナの姿はそこには無く──】
【馬鹿な──大量の“海の仲間達”が迫ってきているのだぞ、そこにあえて突っ込むだなんて】

【潜ったセリーナを目で追う、見つからない。いかにこの海が澄んでいたとしても】
【自らがぶち撒けた餌や、それに群がるさかな達に邪魔をされ、その姿を視認したのは彼女が浮上してからの事だった】
【声に気付き、セリーナの方へ構えるが、遅い。彼女の卓越した速度によって投げつけられた"フルーソ・シェルフィッシュ<殻付き貝>"は────】

【───パァァアアンッ】

【“風船の弾ける音”と共に歓声が湧き上がる。実況者によって高らかに叫ばれる。この奇妙な試合で、見事先手を取ったのは、セリーナ・ザ・"キッド"!】
【リロードはなんとか体を捻らせ、投擲を回避しようとしたが、紙一重で避けきれず、左胸の風船を破裂させてしまう。そしてこの姿勢──……】
【体を捻り、砂浜に倒れ込む不安定な姿勢は、セリーナの次なる攻撃を許してしまうか───それは否である。風船が割れたその瞬間、飛び出したのは中に入った塗料だけではなかったッ!】


──ック。なるほど、追い詰められたと思いきや、……追い詰められつつあるのかもしれませんね!
貴女が射撃の名手で“そんなもの”まで弾丸に変えてしいまうのであれば、この距離は分が悪いですね……だがッ!

【風船を割ったものの方向、すなわちセリーナに向けて放たれたのは5枚のトランプカードである】
【反応出来ない速度による攻撃によって風船を破壊されても自動で反撃出来るように能力で仕込んでいたのだ、リロードした対象の破壊は自動的に能力の解除を誘発する!】

【だが、それはある程度、近い距離において有効になる反撃である。5枚のカードはセリーナの投擲に負けて劣らない速度で放たれるが、視認してから反応するのも難しくないかもしれない──】
【──が、リロードは倒れ込みながら、さらなる攻撃の手を放っていた。さらに5枚のカードを右手に出現させ、視認させないよう、地に付くスレスレの平行かつバラバラに海に投げ入れていたのである】


私が“能力者”である以上……様々な要素が存在するその空間を!!
貴女以上に活用してやってみせる事を教えてあげようじゃあ、ないですか!この、私がッ!

──“魅せてやろう”じゃあないですか……三次元の戦いをね……ッ!

【海に投げ入れたトランプのマークはスペード。そのカード達には「酸素」が“ロード(装填)”されており】
【海に入った瞬間、"リリース(解放)"される酸素をブースターに魚雷の如く、さまざまなの角度からセリーナに向けて襲いかかる!】

【しかし、観客には良くわからない!ガチになれば、なるほど……ファンサービスが少なくなるのはこの戦いの宿命なのだろうか】
963 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/23(木) 22:06:48.14 ID:J/RG2mo6o
>>962

【どよっ、と観客達がざわめいた。セリーナはリロード(貝を拾う)し、にやりと笑った。】
【トランプvs貝という珍妙な対決になったが、先ずは先手を打てた。破裂した風船を尻目に、セリーナは】
【次なる一手、即ち二撃目の貝殻を投擲しようとして―――すかさず、その身を屈めた。そう、リロードの"反撃"である。】


 うっ、おッ―――リロ君、とうとう物理攻撃に頼り始めるとは、ねっ!!
 どうしたんだい? ほうら、"アタシ"は"持ってるのに見せない"悪どい女、なんだろう!
 そぉんな単調な攻撃で―――……ふっ、マジシャンさん、アタシを"脱がせる"事が、君にできるかな!


【挑発を繰り返しながら、セリーナは投擲されたトランプのうち三枚を回避、そして残る二枚を】
【構えた水鉄砲から発せられる水圧で"狙い撃ち"にし撃破、見事に撃ち落す事に成功するだろう。】
【が、しかし。リロードがその攻撃にかぶせるようにして"本命"の数初を放っていたことまでは、見抜けず】


 (先手は取ったッ!! あとは風船を二つ、この海から遠距離攻撃で破壊できれば―――、なッ?!)

 風船破裂に仕込んだトランプ、そしてそれを誘導に使った―――本命の、"能力付与"トランプッ!?

【海中へと侵入した二段攻撃のトランプが、水鉄砲をリロードするセリーナへと襲い掛かった。】
【酸素を吐き出し、凄まじい勢いで水の中から水圧を撃ち放とうとするその様は正に、大艦に襲い掛かる魚雷ッ!】
【大艦巨砲主義を喰らい尽くすような"研ぎ澄まされた"一手にこれまた観客達からのどよめきがあがり、セリーナは身体を捻るが】


 ―――くっ、まず……ッ!!


【水鉄砲本体で防げたのは内二枚のみ。残る三枚がセリーナの肉体を切り裂き―――否。】
【一つは強烈な破裂音と共に左ふともも裏の風船を一つ叩き割り、そして残る二枚がセリーナの"水着"の】
【紐部分だけを狙い撃ちにし、丁度ビキニの上半身部分、即ち胸部を支えている紐の"下方"のみ切り裂かれ―――、】


 ……っ、ぁっ……///

【海風がびゅうっ、と吹き抜け、思わず捲れそうになったカップ部分を手で抑えるセリーナ。】
【テレビカメラが回っている場面では珍しく頬を高潮させ、慌てて水面へと身体を沈めてしまうだろう。】
【水着でかなり"押さえつけていた"であろうそれが、拘束を奪われた事で一気に"たゆん"、と揺れて―――、】

【セリーナは腕でそれをぎゅうっ、と隠すが、逆効果というかなんというか、】
【肉付きが良い彼女の身体はそうやって力任せに隠そうとすればするほど、腕の隙間から実ったそれが零れそうになり―――、】


 ―――やっ……やって、くれるねぇ……!
 この―――変態トランプマン!!

【セリーナは水中で水鉄砲を股に"挟み"、片手で乳を押さえながらもう片方の手でポンプを"上下"にガシャコン、と動かし】
【チャージを完了させると最大出力になった鉄砲を構え、容赦なく水面より連射、ホースから水を撒くような勢いで】
【砂浜全体にびゅーーーっ、と件の液体を撃ち放ち始めた! が、しかし―――そのセリーナに対して】
【彼女も気づかなかったが先程の餌が波で流れており、何匹かの"海中生物"が近寄ってきており―――。】
964 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/23(木) 22:17:12.11 ID:ZiqefuwRo
>>961

【レラ渾身の騙し討ちがリーベに炸裂する――のだが。もはや汚かろうが騙されようが関係ないとばかりに攻勢に転ずるリーベ!】
【――正直にいえば、彼女がさっきリーベにかけた言葉は演技ではなく本心だ。リーベのような相手に負けるのならばそれもアリだと、本気で思っていたし】
【この場面で逃げず攻撃してくる猪突猛進な姿勢もまたレラ好みのものだった。鍵爪付きの右手はリーベの左手首に伸びるが――】
【さっき地面に叩きつけられた時のダメージが残っていたこともあり、レラの膝が崩れる方が僅かに早い。勝敗は、ここに決した】


――――――――………………、あ゛?


【………………、――――――はず、だった】

【少なくとも"しのび"としてのレラの心は、完全に負けを認めていた。が……リーベの最後の一手があまりにも、こう……、とても言葉にし辛いが】
【別に負けるのはいい。ここまで汚く立ち回って正面突破で破れるのならば、それはリーベが強かったと言うだけだ。完敗でも異論はない。しかし――】
【しかしだ。こんなこの世で最も無駄な贅肉の塊にぼよんと弾かれて敗北するなどと……しのび以前に女として、果たしてどれほどの屈辱であろうか?】

【――こんなことが……こんな結末が、絶対に許されてなるものか。ここまで姑息な自分にも越えない一線はある。それをリーベは、踏み越えたのだ】
【"ブチイッ!!!!" という幻聴が、レラの脳裏に響き渡った。リーベにも聞こえたかもしれないし観客にも聞こえたかもしれなかったが、】


り、り、り―――――リィィィィィィーーーーーーーーベェェッ!!!!
前言はてっかい≠セ!! やはりきさまはデリカシーゼロの牛女だったッ!!!
こ、こんな負け方などッッ!!! 絶対にゆるしてなるものかぁああああああああああああああああああ!!!!!!!


【もし狙ったやったとしたら、リーベはとんだエンターテイナーだ。……これはそれほどに的確な、レラにとって非情極まりないの最悪の一手であったッ!】
【刹那、少女の瞳が灼熱の輝きを発する。ダブルでプレスなモノに顔が埋まったまま能力が再発動。別段新しい何かが手のひらに現れることはなかったが――】
【代わりに、両手の木刀の上下が"逆転"する! 順手持ちだったものが逆手持ちに、この能力にはこんな小手先の使い道もあったのだ】
【切っ先が下に向いたことで、地面に触れるのはレラの体ではなく木刀の方が先となる。地面に突き刺さった木刀が、一瞬だけレラの体を押し留める……!】

【夏の太陽より激しく燃え上がった激情が、レラに限界を超えた機転をもたらしたのだ。といっても、レラに試合に勝とうなどという意識は一切なかった】
【そう、試合に負けるのはかまわない。だがこの脂肪の山に押し潰されて逝くなどと女として完全敗北することだけは絶対に、絶対に――ッッッ!!!】


ぐぅ…………ッ!! ま、負けんぞ………こんなモノなぞに、わたし、はぁっ…………!!!
――――うあぁっ!!?


【……そんな裂帛の気合いをもってしても、二人分の体重を支えられたのは一瞬だけだ。一秒ほど耐えた後、レラは悲鳴を上げて砂浜に倒れ込んだ】
【ぱぁん、という甲高い音と共に太股の風船が押し潰されて割れる。当のレラは鼻息荒く額に青筋を浮かべたままで、それに気づいてすらいない】
【だが――激闘の終幕としてはあまりにもしょうもない理由で押し挟まった一幕ではあったけれど。結果だけを見るのであれば、】

【目の前のブツへの嫉妬と憤怒によって稼がれた"一秒"という時間が、鍵爪に数瞬早く目標を切り裂かせている、のかもしれない――】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/23(木) 22:21:53.54 ID:Z/0pCaxG0
【砂浜――だいぶ人気の減ってきた時間】
【昼間ならば夏休みの客でにぎわう浜辺も、こんな時間となれば、人影もまばらになり】
【海の家もすっかりと静かになって、浜辺に残る人間と言えば――語らうカップルが結構な割合で】

……全く、仕事なんてしてたら海なんて来られないわよね。
夏の仕事なんて嫌なのよ、結局日焼け止めなんて利かないじゃない。今年はウォータープルーフにしたのに――はあ。

こんなに焼けたじゃない。どういうことなの、日焼け止めにはプラシーボ効果とかないのかしら。

【そんな中。波打ち際を一人で歩く影があった。髪は長いが、背丈は女にしては少し高いように見え】
【だけれど呟く声は確かに女のものだ。少しノイジーな掠れた声、腕を改めて見やってため息をひとつ漏らしたなら】
【少し気に食わないように足元の砂をけっ飛ばす。――蹴り飛ばされた砂粒が不自然に地面に積み上がって、逆つららのようになったけれど】

【濃紺色の髪をした女だ。わずかに釣った眼も、また、髪と同じ色をしていて。髪は肩甲骨を少し過ぎるあたりで揺れ】
【肌はそれなりに焼けた健康的な色。将来のことを考えれば、とってもじゃないけれど、健康的とか言えないけども――余談】
【なんてことなく特徴のないTシャツとジーンズ。足元は土に汚れたスニーカーと、それと、鞄を揺らして】
【――なんとなく疲れたような態度は仕事帰りにも見える。独り言もあれば、どうやら日焼けするよな仕事だと推定でき】
【「あー」「疲れたわ」とか呟いて、体を伸ばす。――そうしながら、波打ち際からわずかに距離を置き】

……ま、いいわ。そんなめんどくさくないしね。

【呟いて――軽く辺りに人がいないのを確認すれば、きらりと濃紺色の魔力がきらめく。そうしたなら、彼女の足元から】
【さっきまで居た波打ち際のあたりまで、足跡をたどってまさに色とりどりの魔力で作られた薔薇が咲き誇り。――さらに数十秒後の後、】
【つい先ほど蹴り上げて積み上げた逆つららのあたりから、ぐぐ、ぐ、と砂が隆起するのだ。そうして、あっという間に、砂像が作りだされて】
【有名なゲームキャラクターの像だ。モンスターをポケットに入れて持ち運ぶとか若干狂気じみたゲームのそれ、それも、】
【現実的に考えればあっという間に崩れてしまいそうなポージングで。それなら――というか、どう見ても、能力を使ったのは明白で】

……もっと別のもののほうが良かったかしらね。カップルだらけだし。

【けだるげに腰に手を当てて、彼女は完成品を見やって――そんな風に、呟くのだろう】
【平和で静かな浜辺に突如沸いた魔力の気配と、一瞬に咲き誇って消え去った色とりどりの薔薇t、生えてきた(物理)砂像と、その原因らしい彼女と】
【目を引くにはあまりにも十分だった。――周りのカップルたちは、こそこそと何か言っているようだけど。本人に気にした様子はない】
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/23(木) 22:33:48.61 ID:P4/yict3o
【路地裏】


〜〜〜〜〜♪


【一人の男が道端の木箱に座って調子っぱずれな鼻歌を歌っていた】

【綺麗に刈り上げられた側頭部、ツンと縦に伸びた金髪とその髪型は所謂ソフトモヒカン】
【両手の十指のうちいくつかに填められた眼球や口など趣味の悪い形のシルバーリング】
【そして野山を舞台に巨大な骸骨が描かれた絵が刺繍されたスカジャン】
【男はまるでチンピラのような風貌だ】

【加えて異様な点が、一つ】

【男の右腕からは一本の触手が生えていた】


「ぅ、ぁ………っぁ、…ぁ、ぁ…っ」


【チンピラ男の腕から伸びる触手の先端】
【其所には二十代半ば程の女性が触手に首根っこを絡みつかれて宙に吊り下げられていて】


「…ぁ、ぁ…っ!ぅぁ、……!」


〜♪〜〜〜♪〜、ヒャヒャッ!


【女は触手の拘束から逃れようと必死にもがくが】
【抵抗空しく男の笑い声を皮切りに触手の締め付けは一層強くなっていく】
967 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/23(木) 22:48:14.10 ID:XjxzCsRoo
>>963


──ほぉ。煽ってくれるじゃあ無いですか!なかなかどうして、意外に硬いガードが自慢の様ですが──私のマジックハンドを甘く見て貰っては困る!

【リロードの反撃を見事に撃ち落とすセリーナ。だが、リロードは余裕のある声色でそれに乗ってみせる】
【余裕があるのも当然、撃ち落とされた空中の攻撃はブラフ。海中を迫る本命の攻撃にセリーナは気づいていない!──そして】

【破裂するセリーナの風船。ようやく始まったガチの鬩ぎ合いに観客もさらに湧き上──「うぉお……」】
【一瞬。会場が静まり返る。その視線の先は見事に一矢報いたリロードではなく………………………】

【「や、やった!」「うぉおおおおおおおおおおッ!」「マジックハンドすげぇえええ!」】
【「さすがリロかるリリ子!!素敵な魔法でおれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!」】
【先ほどまでブーイングを向けていた観客までもが、手のひらを返してリロードをたたえ始めるではないか。それに対して当然リロードは悠然と─────】


─────えッ。

【……………一瞬沈黙しはっ我に変えると腰に手を当ててセリーナを指さし高らかに笑い出すのであった】


アーッハッハッハァー!だぁーから言ったでしょう!そこは“私の世界”だとねぇ!
そこに!追い込まれた時点で!貴女は既にひん剥かれたも同然だったのですよォ──ッ!

【そ、そうなのかな……!変態行為でノせるのは得意だが、不意に変態扱いされる事に慣れていないガラスのハートに微妙にヒビが入っていのではないか!】
【リロードがそんな風だともつゆ知らず、“英雄”リロードコールが響くのであった…………のも一瞬の出来事。次の瞬間には──】

【"繊維破壊性強酸薬品(男のロマン)"が、雨の如く、砂浜に降り注ぐのであった─────】
【ぎょっと目を向き、硬直するリロード。「え、それは……ちょ、」】

【──もはや、彼を守る漆黒のベールは、腰にある黒光りするビキニだけな訳だから……】
【ピチョン。ポト、ポト、ザァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。降り注ぐ男のロマン!それらはリロードの“最後の砦”に一滴、また一滴と付着】


ちょ、それはまずいってえええええええええええええッッ!!

【「ぎゃああ!」ガチの声が出る。絶叫。それはけしてリロードのものだけではなかった!】
【蜂の巣になりつつある水着を手で抑えながら海の中にリロードも飛び込むであった】
【「ほっ」と一安心。それはけしてリロードのものだけではなかった!】

【しかし、海の中はまずい。セリーナはハンデを負っているとはいえ、頭を出した状態ではいい的である】
【海の中から出られなくなった以上、新たにその戦術を考える必要が出てきた。反撃の手は一手待つことにして】
【断じて別にセリーナの抑える手を凝視する訳ではない!が!その鋭い視線はセリーナの一挙手一投足に気を配る】

968 :リーべ ◆A3Dw.QYNcc [saga]:2015/07/23(木) 22:58:25.02 ID:LlnYi+4DO
>>964

【夜色の水着に覆われた“ダブル”が容赦なくレラを襲う! 成長しきったソレは確かな弾力を彼女に伝え、仄かな熱を感じさせる】
【そんなものを、リーべは自信満々にレラへと押し付けてくるのだ。恥など微塵も感じることなく】

【がくんッ、と一瞬砂浜への接近が止まる。レラが何かしたのか、と思案を巡らせる前に再び落下が始まる】
【──ぱぁん、ぱぁん。連続して聞こえた2つの破裂音。風船が割れたのだ、と思う暇もなく彼女たちは砂浜に倒れ込むこととなり……】


…………ふふっ、あ、は──あはははははははは!! はぁっはははははははははははははは!!

あぁ、これでどっちの風船も割れたな! 感覚的にこれは私の負けか?
ふふん、こういう負け方も中々楽しいものだな!
……ふふふっ、あっはははははははは! いやぁレラ、楽しかったぞ?
シノビの技術なんかは本当にすごいな、出来れば私もひとつくらいは会得したいところだ!!


【砂浜のバトルフィールドに倒れこむ2人。当然リーべはまだレラに乗っかったまま。胸のごにょごにょもぽよんとレラの上にあった】
【その状態で、けらけらとリーべは笑い出す。負けていながらこの態度──まさか本気ではなかったのか?】
【否。リーべは本気だった。今笑っているのか、彼女が言った通り……負けたことすら楽しんでいるに他ならない】
【ひとしきり笑い終われば、リーべはレラの上からどくことだろう。そして身体についた砂を払い──】


…………あぁ、そうだレラ。お前、SCARLETだとさっき言っていたな。なら、ちょっとした忠告だ
以前……そうだな、冬の初めくらいに、SCARLETのエーゲツってやつにカノッサ機関No.7の捜索を頼んでいたんだがな
多少、状況が変わった。No.7……蟲遣いのNemesisという女の子なんだがな

────No.7の背後には、カノッサ機関のナンバーズ……No.1がついている
Nemesisに手を出すことがあるんなら……気を付けろ
No.1以外にも、ゴキブリみたいな動きをするNo.4……シックボーイってやつもついてる
ナンバーズの上位10人のうち、3人がチームを組んでいる。……会った時は、気を付けろ
出来れば……なんだ。お前たちは、情報網みたいなのがあるんだろう? それに流してもらえたら助かる


【──最後の機関関連の忠告。そればかりは、声を低くしレラ以外には聞こえないよう言葉を紡ぐのだ】
【リーべもまた機関と戦う者のひとり、というわけか。だが上記の台詞を言い終えれば、またふふんと笑い】
【「豆乳とかがいいらしいぞ!!」 という謎の言葉を叫び、フィールドを後にするはずだ】


   【────水の国天下一武道会 夜凪レラ vs リーべ・エスパス】

   【勝者…………夜凪レラ────ッッ!!】


/このあたりでしょうかっ
/2日間、ありがとうございました。お疲れさまでしたーっ!!
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/23(木) 23:00:04.91 ID:iCTtHCx50
>>966

【ある種路地裏の日常風景と言えないこともないその場面に】
【不意に水を差すものが現れた。 ……空から】


――――ぁぁぁぁぁぁぁあああああ!

【濃灰色のローブを身に纏った、子供のように小さく華奢な姿】
【はためくローブの袖から見える両手には、親指に銀色の指輪が見える】
【左の腰には、黒塗りの飾り気のない鞘に差した刀が有るのが分かるだろ】
【もし声がした瞬間に上を見たのならば、少女の背中に翼のようなものが一瞬だけ見えただろう】

【その少女、落ちてきた際は手に何も持っていなかったのだが】
【「Τ」と呟くと、その右手に少女の背丈程はあるだろう槌が現われ】
【槌の頭の部分を地面に先にぶつける形で落下、というよりは墜落してきた】
【何の偶然か、丁度男から伸びている触手を叩き潰す形で】
【巻き込むか巻き込まないかは定かでは無いが、着地した際にズン、と重い音が響く】


ったぁい……まあそのまま落ちるよりは多少マシですか……

【どのくらい高いところから落ちてきたかはこの際気にしない方がいいのだろう】
【少女は槌を手放し、こともなげに地面に降り立つ。手放した途端に槌は霧散するように消滅した】

……で、何処に墜落しましたかね、これ

【きょろきょろ、と周囲を見回して】
【何を起こしたのか、自分も瞬時には把握できていないのだろう。落ちてきたことそのものは分かりきってるらしいのだが】
【その姿、実に無防備】
970 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/23(木) 23:01:46.28 ID:rO+MBBbJO
【人気の少ないとある砂浜、夕焼けが暗がりに仄かな緋色の光を降り注がせる時間帯】
【どこまでも続くのでは無いかと思われる程に長く作られた防波堤の上、人影が一人】
【少し背の高い細身の男性。櫻の国らしい顔立ち、灰色の髪に特徴的な紅色の眼】
【黒いシャツに黒いサルエルパンツと黒ずくめの格好をした青年がとぼとぼと防波堤の上を歩いている。右肩にはカーキの迷彩柄をしたリュックを背負っており、カップルの集う砂浜には些か似合わない格好】

はぁ……暇だな…水の国からここまで来たは良いものの、何も無い…
夏だからってこの辺に売りに来るって言うのもちょっとずれてたかな…

【何やら仕事の愚痴らしきものを吐きながら防波堤を歩いていると、ポツリ、と緋色に照らされる砂浜に人影を観止める】
【その人影が砂浜に満ちたさらりとした砂を蹴り上げると不自然に砂が動いた。どう言ったら良い物か。氷柱のような針のような、槍のような】
【ともかく、その女性らしき人影が蹴り上げた砂は何処か奇妙な軌道を描いて積み上がった】
【彼は暫くその様子を遠目で眺める】

【そうすると暫く待ってから女性の周囲の砂が流動し始める。それは海と砂との境界線が無くなったかのように自由気ままに踊る砂のバレエの如く】
【同時に彼女の足元からは色とりどりの薔薇が咲き誇った。季節外れ、「場所」外れでもあるだろうか明らかにこんな場所に生えるはずは無いであろう薔薇が
瞬く間に咲き誇ったのだ】
【隆起した砂は一瞬の内に何かの形を作り、何処かで見たことのあるキャラクターが出来上がった】

(あぁ…あれなんだっけ…えぇっと確かポケモ…これ以上は何かの力が働きそうな気配がするから止めておこう)
(あれだよ、あれ。パチットモンスターだ)

【彼はそう作られた砂像によくわからない思いを馳せながら眺め続ける】
【そうして暇つぶしにでもなるかと思ったのか】

少し眺めて行くかぁ…

【疲れ果てて判断力が鈍っているのか、彼は普通ならありえないだろうと言う判断をし、砂浜へと飛び降りた】

/よろしくお願いします!
971 :正親町カガリ [sage saga]:2015/07/23(木) 23:03:46.03 ID:rO+MBBbJO
/おぉっといきなりアンカーついてない…↑は>>965です
972 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/23(木) 23:09:02.26 ID:J/RG2mo6o
>>967

【『やったぜ。』 『ヴォースッゲ…』 『おーいい格好だぜぇ?』 『なんか足んねえよなぁ?』】
【最後の一枚が溶け切らない―――。「キャー!」とか『いやーっ!』という悲鳴に混じって、野太い声の】
【オッサン共が「あくしろよ」等とのたまっている、どうやらギャラリーの層も選手層と同じくかなり厚い様だ(意味不明)】

【リロードの格好に二重の意味で悲鳴(当然)と歓声(何故)が上がる中、セリーナが動き出した。】
【片手で切れた紐をぎゅうっ、と結ぶと、先程以上にサイズ差を考慮しない締め付けが胸部をかなり"強調"して】
【それこそ動くたびに右へ左へ―――という感じなのだが、もうそんな事を気にしている場合でもない。彼女は再び潜行し、】


 (―――……おおおお……、見たくないモノを見てしまった……。)

 (いや……でも、結構良い身体って言うか、鍛えられてて締まってて―――、ってこら。)
 
 (何を考えているのかアタシは。これは余興の意味を持っていても暦とした"闘争"、武道大会の一試合!)

 (そりゃあまあ、楽しいに越したことはないし? 盛り上がれば良いな、とは思うけど―――ええい、そんな事より貝だ!)


【色々今後のことを考えつつ、海産物が多く広がる水中へと目を凝らし、矢張り先程と同じく貝を捜す。】
【投擲攻撃と水鉄砲を同時に撃ち放てばどちらかは命中するだろう、という目論見だが―――ふと、足元に何かを感じる。】
【それは魚の群れ、―――が、勢いよく沖のほうへと逃げていく水流の流れだった。不思議と小魚達が一斉に、逃げて行きだしたのだ。】

【水中にもぐったセリーナはそれを不思議に思い、ふと背後のほうを振り返ってみると―――。】



 「……ん? おい、アレって……、」

 「……水面からなんか出てるよな? ……ヒレ?」

 「ヒレ? いや、お前そりゃ流石に―――えっ。嘘だろ……!?」


【ざわつきが観客達の間に広まり始める。セリーナは背後で見つけたそれに背筋を凍らせ、瞬時にクロールで泳ぎ始める。】
【―――だがしかし、セリーナの背後、リング際から数メートルの距離まで迫っていたその"ヒレ"は、凄まじい速度で加速ッ!!】
【人間の遊泳などお遊びに過ぎないとでも言うかのように、とんでもない速さでリングへと入ると―――】


     「さ、サメいるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!?????!」


【鳴り響く水難警報、逃げ惑う海水浴客、そしてどよめくギャラリー、必死の形相で泳ぐセリーナ。】
【リロードはわかるだろうか、"マジシャン"の餌が予想もつかない"化け物"を呼び込んでしまっていた事実が!!】
【だがしかし、本当に恐ろしいのはここからだった。なんとセリーナ・ザ・"キッド"―――リロードの方へと泳いでくるではないか!】


 (あばばば、あば、あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばー!!)
 (くわっ、くわれるっ!!! くわれるっ!! 水鉄砲じゃ倒せないっ!! 死ぬっ! ジョーズに食われるっ!!!!!)


【そう、今まで味わったことの無い恐怖に訳が分からなくなり、浜ではなくリロードの方へと猛スピードで泳ぎ始めたのだ!】
【そしてそのセリーナを追いかけるのは動くものを追い詰めようという本能を爆発させたサメ、両者が凄まじい速度でリロードに、迫る!】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/23(木) 23:12:52.55 ID:Z/0pCaxG0
>>970

……やっぱ、違うやつにするべきだったかしら。せめて水タイプに……ま、いいわ、もう。めんどくさいもの。
はあ――明日は休みだし、どこか寄って行こうかしら。どこかに良い呑み屋なんてあったかしらね……。

【ピ行とかカ行で鳴きそうな砂像はもうすでに微動だにしない。砂だから当然なのだが、さっきまで生き物めいて動いていたのを思えば、不可思議で】
【躍動感とか溢れている。というより溢れまくっている。今にも倒れそうなのに倒れない、崩れることこそ常識にとらわれているのだが、とらわれない】
【なんなら重力にさえ逆らってカッコいいポーズで鎮座する砂の像。出来はかなりいいのだが、作り出した本人は何ともやる気がなく】

【やっぱりどこかで酒でも飲んで帰って寝よう。そう考える、こんなリア充だらけの砂浜に居てもいいことはないと――呟いて】
【振り返りざまについと手を伸ばして、格好つけでぱちりと小さく鳴らす。すると、今まで確固として立ち上がっていた砂像は、】
【まるで最初からさらさらに乾いた砂だったかのようにざらりと崩れ落ち――小高い砂の山になって、もう、魔力の残滓もうかがえないのだ】

……――あら、こんばんは。

【そうして振り返れば、絶対的にこちらを向いている青年と目が合う――合わないかもしれないけれど、こちらを見られているのは察して】
【彼が眺めようと思った砂像は壊れてしまった。ただの小高い砂山になっていて、これなら、五歳の子供のほうがクオリティの高い砂山を作るだろう】
【少しだけ鋭い眼をそれでも多少は丸くして彼女は彼へとそんな挨拶を投げた。少しノイジーで、少し低くて、それでいてつっけんどんではない】
【確かにどこかけだるげではあるのだが――別にそれは彼が相手だからとかではなく、万物すべてに平等にけだるいような、そんな色があった】

私に何か御用かしらね?

【それで、そう尋ねる――ひどく適当な恰好の割には堂々とした立ち振る舞い。というか、ただ、まともな服なんて着てみても】
【仕事場では五分で汗だくになって大変なことになるから、とか、そういう理由でとっくの昔に開き直っているから、なのだけれど】
974 :岐李 咎史・人外食いの人類【妖喰い】 :2015/07/23(木) 23:19:06.71 ID:rO+MBBbJO
>>
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/23(木) 23:24:08.37 ID:P4/yict3o
>>969


〜〜♪、ん……?

【突然耳に飛び込んできた叫び声に思わず上空を見やると】
【男の視線は少女、その次に巨大な槌へと瞬く間に移り変わるが】

…ッんァ!?

【対応も間に合わなく結果、触手は突如降ってきた槌に見事叩き潰された】
【男がとれた行動は触手を潰された痛みによる素っ頓狂な声をあげることだけ】

【槌が触手に触れた瞬間、反射的に触手の筋肉が硬直したようで】
【女は首の骨が潰れる嫌な音と共に地面へどさりと落下した】

【女を拘束していた触手はドロドロと溶け消えて】


…な、なんだァ?


【突然の出来事に男は状況を理解しきれずに】
【先端がぐちゃぐちゃになった触手を片腕に生やしたまま、ただ狼狽えた表情で少女を見ることしかできなかった】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/23(木) 23:34:29.42 ID:iCTtHCx50
>>975

……あー……まあ大体事情は飲み込めました

【首が取れてもはや死体となった女がすぐ近くに転がっているのだが】
【そんなことを意にも介さない少女。恐らく路地裏という場そのものに慣れているのだろう】


どうやらお楽しみの最中か何かだったとお察しします、が……
こうアレですね。別にそれに関してとやかく言うことは私にとっては無いです。
路地裏って「そういうところ」なので、指摘するのも筋違いでしょうし

【こともなげに目の前に男にそう告げる】
【女を殺したことについてだろうか、しかしそれを咎めるという気は無いらしい】
【実際の所女を殺したトリガーとなったのは少女の方なのだが、知る由も無い】

……で、まあ、なので……見逃してくれますか?

【少女の口から紡がれた言葉は提案】
【男が何をしていたのか、全てを理解するということは少女には土台無理な話ではあったが】
【何かをしようとしていたのを邪魔したのは明白、であれば】
【「――標的にされかねない」と、心のどこかでそう思って】

【関係ないが 微妙に上目遣いな状態だ】
977 :正親町カガリ :2015/07/23(木) 23:36:28.03 ID:rO+MBBbJO
>>973
【彼女はどこかやる気が無さそうに声を出す。それも目の前に鎮座した像について】
【水タイプが、そこまで言って良い物なのか。水ならゲッコウg…何でもないです。ともかく彼女の作った像はあまりにも生物感が溢れており、どうにも砂で出来たとは思えないクオリティ、今にも十万ボルトを撃ちそうなレベルである】
【それはさておき、彼女は少しの静寂の後、そのやたら出来の良い像をあたかも元々無かったかのように崩し、消してしまった】
【それは作り出すと同時に一瞬の間の行為、砂の電気鼠はただの砂の塊へと形を変えてしまった】
【そうこうしている内に彼女にもこちらの存在が気づかれたようで、こちらも挨拶された以上返答しない訳にはいかない】
【彼女は声は何処か普通とは違う雰囲気を醸し出しつつ、こちらへと目を向ける】

どうも、こんばんは…
いや、ね。別に用って訳じゃ無いんだけど、今作った像がどうにも興味を引いてさ。
ちょっと見物に、と思ったんだけど、生憎砂に戻っちまったようだ。

【彼は先程までそこに堂々たる様相で鎮座していた像の成れの果てに目を向ける。そしてまた一瞬の内に女性へと視線を向けた】

いやぁ、凄いね。あれ。どうやったんです?普通の人には出来ないや
978 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/23(木) 23:38:17.40 ID:XjxzCsRoo
>>972


安全な生物しか居ないって聞いてたんですけど──────────────────────ッッ!?
え、ちょっとっ!なんて!こっちに、っ!来るんですかっ!!

【完全にお前のせいである。サメと共に向かってくるセリーナとサメから逃げるように浜に上がろうとするリロードだが】
【ピタリと、とまると体が震えだす。サメによる恐怖────だけではない!あああああああ。と頭の中が絶叫でうめつくされる】


(てっ──逃げらんないじゃないですかぁああああああ!!!!!!)

【リロード“自分の置かれた状況(ボロボロの水着)”に、最凶の2択を強いられていた】
【だが。考える暇はほとんど無いッ!セリーナは!サメは!すぐそこに迫ってきているのだから】

【頭をフル回転させて状況打破を練るリロードだが、浮かばない。そもそもこんな格好では得意の能力で仕込める道具も少ないのだ!】
【何か、使えるものはないかとあたりを見渡すとあるものが目についた。それは──対戦リングの中にあるものではなく会場】
【このイベントは万全の警備体制が敷かれており。軍人も集まっている。つまり、この「非常自体」に警備が動き出したという事】

【──つまり。……この試合が中止になる可能性があるという事。瞬間。リロードの腹が決まった】
【これだけ盛り上げたのである。こんな形で終わるだなんて──許されるはずがない。そうでしょう。と“観客に向けられた背中”は語り】

【リロードは迫るサメとセリーナに向き直ると“右手”を強く握りしめ構える】


あー、ドーモ。シャークさん。始めまして…………て、あー、こんな時用のセリフなんざぁ──ッッ!
考えてぇねぇよ!!!

【セリーナ横を通り抜ける様に、サメに向かって勢い良く飛び出した。先ほどのトランプの如くに酸素のブースターである。】


(南無三ッ!)

【そして、その勢いでサメの後ろに回り込みながらその“フカヒレ”を右手で握って抑えこもうとする】
【リロードの"右手"の力は人外のソレであり、かなりのパワーで掴まれれば簡単には解くは難しいだろう──】

979 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/07/23(木) 23:40:34.19 ID:ZiqefuwRo
>>968

【ぜーはー、ぜーはー、と……荒い息づかいが"ダブル"にしばらく当たり続けるか。しかしそのうち、少女は観客席からの歓声で我に返った】
【そういえば――勝った、のだろうか? 最初の感想はそんなレベルだ。未だ自分の中で燻る謎の炎の衝撃が強すぎて】
【……その次に気づいたのは、ソレが乗っかり続けているということで。「むぐぐぐぐ!!」と必死に叫んで顔だけ這い出て、レラは怒鳴ろうとするが、】


ふん………まぁ、わたしも楽しかったぞ。
リーベ、おまえはなかなかおもしろい奴だ! それに強かったしな!
特に、わたしのからめ手≠正面から打ちやぶる、その根性は大したものだった――。
ふふふ――にんじゅつ≠ヘムリだが、おまえにならちょっとぐらいは教えてやってもよいぞ?


【心底楽しそうな笑い声を聞いて、さすがにちょっと毒気を抜かれたようだ。やっと正気に戻ったようにふいっと軽く顔を背け】
【それからもう一度リーベに目線をやった時には、すでに試合開始前のきりっとした表情に戻っていて。リーベと同じ種類の笑顔を浮かべるはずだ】
【試合中にも何度か感じたが、こういうタイプは嫌いではない。というか――忍者という暗い仕事をしているからこそ、彼女のような裏表のない人間は、好きだ】
【リーベは確かに自分にはないものをたくさん持っていた。レラはそれを認めて、楽しげな言葉をかけるだろう。……一部からは目を逸らしつつ】


な、なに…………?

…………、No.7、No.1、No4か。
しかしおまえ、どうしてそんなことを――いや。この強さ、おまえも"こっち側"のものだったということか……。
しょうち≠オた。SCARLETのネットワークを通じて、みなに伝えておこう。


【――そして。レラもまたリーベと同じように立ち上がろうとしたとき、上から飛んできた言葉はまったくの予想外のものであった】
【あの快闊なリーベからこんな重たい話が出て来ることにも驚いたし、彼女がナンバーズなんていう深淵の情報を掴んでいることも驚きだ】
【にわかには信じがたい話ではあったけれど――しかしリーベもまたカノッサを追うものだったと考えると、逆に彼女の強さにも納得がいって】
【それにリーベの性格上、変な嘘を付くはずもない。レラはその話を全面的に信用し、静かに頷いてみせるはずだ】

【……去り際に放たれた叫びには、「うううううるさい! バーーカ!!」という涙目の反論が飛ぶが】
【ともあれ、レラはその後ではっと我に返り、顔を赤らめつつ素早く浮き輪などを回収。そそくさと会場を出て行くだろう】
【思い返すと今日一日、大観衆の前でいろいろ叫んではいけないことを叫んだ気がするけれど――いやもう、考えるのはやめよう……】

【ともあれ、天下一武道会第一回戦。幼いながらも確かにあったなけなしの女の意地によって、夜凪レラはギリギリの勝利をもぎ取った――】


/ありがとうございましたー!!
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/23(木) 23:46:41.65 ID:Z/0pCaxG0
>>977

【だけれど所詮は砂の塊。創造主が飽きてしまえば、なんてことない、魔法は解けて崩れ落ちていく】
【いつもと同じだ。放っておけばそのうち風化するだろうし、どちらにせよ、砂である以上永久や永遠など無理な話】
【しかしていつもと違ったのは、誰かがこれを見ていたということ。――別に恥ずかしくはない、のだけども】

あら……悪かったわね、そろそろ酒でも飲みに行こうかと思って。
それともあの砂で一緒にお山でも作る? ……冗談よ、もうあれはただの砂だもの。

【それでも、遠目で見るでなく、こうして関わってくるタイプの見物客は久しぶりだった話しかけてくるなんて、本当に久しぶり】
【一緒に山でも作るか、なんて、訪ねるけど。そこに特別な意味はない、とっくの昔に、あの砂にかかった魔法は解けているのだから】
【今からいじったってただの砂だ。固めても指で押せば崩れるし、乾けばひび割れるし。――砂が特殊だったわけでは、決してなく】

……私ってばどうやってるのかなんてよく分からないの、よく分からないけど……出来るのよ。そういうものでしょう?
そこらへんの踏み固められた土よりもこういう砂のほうが楽なのは確かだわ。柔らかいもの、無駄に掘り起こさなくていいじゃない、めんどくさいし。

そうね、普通の人には出来ないわ。だけど私は普通の人なの、――ただのアルバイトよ。それ以上でも以下でもないわね。

【生まれつき持ち合わせる力だ。それをどうやって操っているのか、聞かれてみたところで、具体的に説明は出来やしない】
【やんわりと魔力を操って、などの説明は出来ても、それはきっと相手の望む答えではない。少なくとも、普通の人には出来やしない】
【だけれど彼女は自分を“普通”だと言い張るのだ。能力があるだけ、異能を持つだけの、ただの――、一般人だと】
【アルバイトとかいうひどく所帯じみた言葉が出てくるものだから、台無しだ。彼女は別に特別ではない、ただ、能力を持つだけで】

【――そして、この世界でなら。それはなんら珍しいことでもなく、よって、彼女はやっぱり少し珍しい程度の普通、なのだった】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/23(木) 23:56:31.96 ID:P4/yict3o
>>976


んァ?…見逃す?


【突然少女が空か降ってきた、そんな訳の解らない状況にまだ少し戸惑っているようで】
【つらつらと並べられた少女の文句の意味をゆっくりと頭の中で咀嚼し飲み込んで】


見逃すって…人の体の一部潰しといてよ、逃げるのはねェだろうが、ヒャヒャッ!


【男は木箱からゆっくりと立ち上がり】
【少女の視線に気味の悪い笑い声で答え】
【先端の潰れた触手を手元までゆらめなかせながらながら少女へと近づいていく】

【うごめく触手は敵意の表れなのだろうか、消えずに時折ヒクヒクと痙攣し】



んまぁ、見逃しはしねェ…けど敵意も悪意も害意もねェ
とりえあえずちょっとお喋りしようぜェ、ヒャヒャッ!


【さっきまでの行動や言動から予測し辛い意外な一言】
【笑い声は耳障りではあるがどこか楽しげなものだった】
982 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/23(木) 23:59:04.59 ID:J/RG2mo6o
>>978

【慌てふためく観客。逃げ惑う子供。悲鳴を上げる美女達。鮮血に染まる海で犠牲者となるのは果たして―――】
【レッド・ウォーター サメ地獄。シャークネード・サメ台風。そしてダブル・ヘッド・ジョーズ。B級サメ映画の面白黒人の様に】
【サメに食われて白い喉を見せ付けるのは稀代のマジシャンか、はたまた金色のガンスリンガーか―――今、最後の時が迫る!】


 ばぁっ、はぁっ、はっ、―――あれ!? はま……浜じゃないっ!?
 え、ちょっ、うわっ!? な、なんでリロ君が―――あれぇ!?
やっば、もしかして変な方向に泳いで―――あわわわわわわっわっわわあサメきてるうううううううううううう!!


【息継ぎのために一旦顔を上げたセリーナ、もう浜は近いと思っていたのだろう、現実を直視し無事死亡が確認された。】
【目の前に倒すべきリロード、そして背後には海中最強の戦闘生物が迫り、もはや絶体絶命―――そう、思われたその時。】
【リロードの素早い動きが、命を懸けた一打が、迫るサメのヒレを掴み取り、強烈な力で締め上げ始めるではないか―――!!】

【「やったぜ。」「良い身体してんねぇ!」「お兄ちゃんかっこいいいいいぃぃぃぃ!!」観客から野太い歓声が上がる。】
【リロードの命を張った行動、僕は敬意を表する―――だが、可笑しい。何かが可笑しい。……一向に、警備隊が動かないのだ】
【通常、こんな事態になれば警戒していた警備隊が猟銃をもってボートで即効駆けつけるはず、何といっても国の一大イベントなのだ。】

【そもそもこの辺りには"危険な"巨大魚などは生息していないという話だったし―――】
【何が起きているのか。リロードにはその真実が分かるだろう、凄まじい勢いで接近してきていたそのヒレ、】
【―――ヒレから下の部分、つまりは胴体と、そして尾鰭や口の部分を見てみれば―――あれ、なんか思ったより小さい?】

【―――そう。水面から出ているヒレから想像されるような体格の魚ではなく、ヒレだけが"異常に"大きいただの―――】



 『……ええー、皆様落ち着いてください。あれはサメではなくこの海域に生息している魚の一種で、
 "ビッグ・フィン・フィッシュ"と呼ばれる、大きなヒレを水中から出して泳ぐ特徴を持ったフルーソ固有の珍魚です。
 揚げてマヨネーズで食べるとビールに良く合うおつまみになるので、この辺りの旅館では夕飯時に地魚として食用に―――』



【―――魚。観客の悲鳴が止まり、そしてセリーナすらも立ち尽くす。】
【ぽかんとしている状況だが、―――すかさず戦意を取り戻し、何の容赦も無く―――ッ!!】


 ―――助けてくれてありがと、おにーさん♪


【グワーッ!! 素早く振り返ることツバメの如し、彼女はそのまま無慈悲のミズテッポウ・ジツをフルブラスト!】
【頭に載った風船めがけ全開威力の水鉄砲を容赦なく―――そう、自分のことを助けようとしてくれた男めがけ、容赦なく―――】


 食らえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


【ブッ放した。ビッグ・フィン・フィッシュがピチャリ、と水面を元気に跳ね上げた……。】
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 00:06:38.77 ID:QGv5g4cu0
>>981

あー……これって貴方の体の一部でしたか。それはすみませんでした

【気付いてなかったのか、或いは別要因の何かだと考えていたのか(後者だが)それはともかく】
【謝意が篭ってない、平謝りなのは分かるだろう】
【とはいえ謝る気が無いのではなく、どちらかと言うと、男の出方を警戒してるのであって】

【故に、男が近づいた途端後ろにステップを踏み、思わず距離を離す】
【小さく「Γ」と呟き、右手に鎌――草刈鎌より少し大きいくらいの、柄と刃が直角な――を出現させ】
【思わず身が硬直する。逃がさないと言われたら迎え撃つしかない、と――】



――……へっ? あ、は、はあ……
ま、まあそれで気が済むならそれはそれでいいんですが……


【思わず素っ頓狂な声を上げる。流石にこの行動は想定していなかったらしい】
【笑い声が喧しいと感じたが、それでも楽しげな様子を感じ取り、少し緊張が緩む】
【ちなみに、表情としては割と間抜けなそれが見れたのだがそれは別のお話】
984 :正親町カガリ :2015/07/24(金) 00:09:56.34 ID:0lCqgKttO
>>980
おや、それは邪魔をしたな、申し訳ない
砂山か…作る価値は見当が付かないが、作ってみるのも面白そうかもな……冗談だ

【彼女に思わぬ事で誘いを受け、冗談半分に答えを返す】
【砂山作り、よくビーチに来た幼児などがやっていたりするあれ。大の大人二人がそれをやっていたとするとかなりシュール、かつ気色悪いだろう】

【砂で出来た像、それは正しく彼女を象徴する物なのだろうか】
【彼女の話しぶりから察するに彼女は自分でも能力を何故持っているのかわかっていないのか】
【無論、それがおかしいとは言っていない。だがそれでも自分を普通と言える彼女には些か妙な物を感じた】
【彼女は何か自分を達観し過ぎていると言うか、自分への興味が薄いと言うか、そんな風に感じたのだ】
【勿論自分の思い違いかもしれないが】

そうか、普通か…確かにこの世界じゃそう言う能力を使えても普通とも言えるかもね…
でも、少なくとも俺みたいな無能から見ると貴女みたいな人は普通では無い。勿論悪い意味では無いけど…
俺にも少しでも面白い力があったらな…

【彼は彼女を羨ましくも思った。生まれつき、どうやっているかわからないがそう言う力がある】
【それは元より無能力者であった彼が思う、(今となっては彼も無能力者では無いが…)劣等感のようなものだろうか】
【自分に前々から力があればこんな風に逃げ出さなくても良かった物をと自分を責める気持ち】

【もっともそれは彼だけの主観的な意見かもしれないが】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 00:12:13.95 ID:2bFMpu+00
>>984
/日付も変わりましたし、そろそろ眠たくなってきたので、凍結お願いして大丈夫でしょうか?
/明日は用事もないと思いますので、夕方〜夜ごろには待機していられるかと思いますー
986 :正親町カガリ :2015/07/24(金) 00:15:20.93 ID:0lCqgKttO
>>985
/了解です〜ではこのまま凍結で
/明日は夜の八時ごろには安定して居られると思います
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/24(金) 00:18:47.80 ID:sOkm+te4o
>>983


ヒャッヒャッヒャ、捕って食いやしねェからよー

武器なんか出すなって、ヒャヒャッ


【少女との間に開いた距離を無理に詰めようとはせず】
【触手をうにょうにょと動かして笑い飛ばす】


やっぱ、食事は誰かと一緒の方が楽しいからな
ちょっと付き合ってくれや、喋るだけでいいからさァ…ヒャヒャッ


【男は食事、と言ったが】
【特に何か食べ物を持っているような様子は無い】

【今、この場あるのは先程絶命した女の死体だけ――】

【男は触手で木箱を二つ、運んできて少女と自分の前にに一つずつ置く】
【その間に空いた両手で女の死体を抱きかかえ、木箱に座り込んだ】
988 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/24(金) 00:21:43.06 ID:q0sfFNx+o
>>982

【いかに掴んだだけでも、掴んだだけでは踏ん張りの効かないリロードは恐らくサメに振り回される】
【今まさに、ヒトvs魚類の戦いが始まるので────は無かった。掴んだヒレはあっさりと押さえつけられて】

【ピチピチと抵抗するのは思ったより小さなただの魚で…………】


……。あらやだ。リリ子、勘違いしちゃった☆ミ。ごめんねお魚さん☆ミ

【そっと手を離すと。すぃーと離れるお魚さん☆ミ。一度深呼吸。ふう。よし、戦闘再開だ!!──いざ!リロードは向き直る!】


あじゃぱァー!!

【会場に風船と破裂音と同時に悲鳴が響き渡る。全力の水鉄砲を受け、何故か吹っ飛ぶリロード】
【風船の中の塗料はまるで漫画の“ベタ”の如く飛び散り汚い花火を咲かせるのであった───】

【ついに2つ目が割られ、残りは、胸の風船が一個のみ── な ぜ こ れ が 残 っ た 】
【だが、リロードの風船には5枚のトランプが仕込まれている。それはどの風船も同じ事。先ほどと同じ様に5枚のトランプがセリーナに向かって飛んで行く】


セリーナ・ザ・"キィイイイッド"ッッ!

【吹っ飛んだリロードは一度、沈み。ざばぁと顔を出すと怒りに声を震わせるリロード】
【当初の様な演技がかった口調は一切なく、完全に“素”が出ている様だった】

【こうなってしまっては完全に、“種切れ”状態。仕込んだ装備はもはや切れ、戦術を練り直す時間も無い。あとは、気合と、運と、あと、なんかである】
【なんか──なんか、無いかと海の中に手を突っ込む。なんか──掴んだ、それは一体……!“海の愉快な仲間たち”オラに力を貸してくれ──!】
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 00:31:58.11 ID:2bFMpu+00
>>984

作るなら応援してるわ。……私? 私は手が汚れるのが嫌だもの。爪に砂が入るじゃない?

【なんて、結構真面目な声で言うのだった。砂山を作るならおひとり様でどうぞ、横で応援してるわ、なんて、ひどい話だ】
【大の大人が二人で? ――否。大の大人の男が一人で、だ。……そもそも彼女には能力があるので、物理的にいじる、という発想が薄いのかもしれない】
【爪に砂が――とはまあ理解できる理由ではあったが。よく彼女の指先を見れば、すでに土が入り込んで汚れているので何とも言えず】
【ただ別に相手のことを嫌ってのことではないのは確かだ。それならば、こうして話したりはしないだろうし――】

【どうして自分にこんな力があるのか。考えたことはなかった、だって、きっと、考えたって答えは出てこない】
【そんな堂々巡りのことを考えていたって時間の無駄だし、何より面倒くさい。それなら、考えない――そんな選択肢もアリだろう、と】

あら、でも私ってば普通だと思うの、砂がちょっと言うことを聞いてくれるだけのね。
そんな能力があってもなくっても関係ないじゃない、無いほうが楽なときだってあると思うの。
私のだって砂像作って遊ぶくらいだもの、だったらなくたってあんまり変わらないわよね。

【彼女は戦場に関わらずに生きてきた。何より面倒くさいし、そんなことに巻き込まれる場面に居合わせたこともない】
【この世界の多くの一般人がそうしているように路地裏は避けて生きているし、イケナイクスリもしないし、酒場だって、表通りに近い場所ばかり】
【そして仕事場は花屋だなんて至極平和な場所。訪れるのはとっくに昔にいろいろ引退した老人が多く――ほんとうに、関係が薄いのだ】

【だから、ほんとうに、こうやって時々砂浜で砂像を作ったりするくらいしか、使わない。もったいない、と言われるかもしれないけれど】
【だけどもこの力を戦いなんかに使うのはやりたくないのだ。――誰かを傷つけたくないなんて気持ちよりも、それは、きっと、(面倒くさいから)】

ほら。薔薇の花でもあげるわ、まあ薔薇の花しか出せないんだけど。
勝手に生えてくるのよね、なんでかしら? だから薔薇が好きになったの、小さい頃から傍にあったんだもの。

【俺に少しでも――そうつぶやく彼に、彼女はわずかに目を細めた。それで、まるで手品師がするように、指先をこすり合わせ】
【そうすると、そこに薔薇の花が一輪現れる。それはさっき地面に生えていたのとおんなじだ、色味は違うけれど――彼女すら何色が出るかは分からない】
【ただ魔力を纏ってぼんやりと花びらの色で光る、葉っぱを落とした後の切り花のような薔薇。そしてそれを差し出す、あげるわ、なんて言って】

【受け取ってくれるなら、さっきしたように地面に魔力を流し込んでみる。そうすると、また、無数の薔薇の花が生え出てきて】
【受け取ってもらえないなら、「あらそう」なんて言って地面に興味なさげに投げ捨てる。そして地面に魔力を流し――同条
【勝手に生えてくるというのを見せたいだけだ。今度は砂の隆起へは続かない。どうやら、彼女の魔力が染みた地面からは薔薇が生えてくるらしい】

>>986
/了解ですっ、レス作っちゃいましたのでお返事しておきますーまた明日よろしくですっ
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 00:32:54.40 ID:QGv5g4cu0
>>987

いやまあだって……ここってある意味そういう所ですし……?
警戒はして損は無いといいますし……

【そうは言いつつも、目は男の動かす触手に思わず吸い寄せられる】
【だが、今までとはちょっと違い、警戒や恐怖でもなく、興味の方が強い】


食事……ですか? 生憎私は減ってないので一緒に食べる、
何てことは出来ないですがそれでもよければ……?

【喋るだけでいいと言われたがそれでも一応の断りを入れ、ようとするが途中で言葉に詰まる】
【食事、そう食事。それだけならなんてことは無い】
【それでも、食べ物らしきものが無いのを疑問に思い】


……その、えっと、「何」を食べるんですか……?

【差し出された木箱に座るのは何となく躊躇われ】
【それ以上に感じる違和感をつい口に出して問う】
【自分を捕って食うことは無いと、冗談交じりだと思いつつもそんなことを言っていた事が引っかかる】


まさか……

【その先は言わずに、男が抱え込んだ女の死体に視線を移す】
991 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/07/24(金) 00:40:33.23 ID:sdgnhA/eo
>>988

【残念だったな、大佐。トリックだよ。尚、トリックの中身は良く分からない模様。】
【魚はリロードの手を離れると、再びサメの様な威圧感を醸し出しながら、スイスイと泳いでいってしまった。】
【集まってきた魚の一匹となり、そのままリロードの撒いた餌を食べながら彼もまた強く、自然の中で生きていくだろう―――完。】

【―――と、終わるわけではない。むしろ戦闘はラグ無く再開されたのだった。】
【向き直ったリロードの頭頂部にある風船が割れ、セリーナはポンプをガシャコン、と上下させる】
【そして銃口付近を弄くり、"何かしら"の設定を変更すると直ぐさま直射―――直後、放たれた水が、拡散ッ!】

【散弾銃の様にシャワー状に広がった水が、割れた風船から飛び出たトランプをはじき落とし、セリーナを護る。】
【先程のトランプ拡散からしっかりと、彼女はタイミングの計算を脳内で済ませていたのだろう、とてつもない正確性である。】


 ―――マジックの"タネ"、見破ったりッ!!
 この特性水鉄砲、銃口が可変式になってて水の"出方"も調節できるのさッ!
 こうすると距離は飛ばなくなるけど、その代わり広範囲に水をばら撒ける―――接近戦では、最強ってワケ!

【セリーナは藁をも掴む思いで水の中に手を突っ込んだリロードに対し、ニヒルな笑いを浮かべながら接近していく。】
【ガシャン、コション、キューッ。水鉄砲の水圧が、ポンプ・アクションのたびに強大になっていく。正に威力は全開状態だ。】
【そしてにじり寄ったセリーナが、鋼鉄の殺人機械よろしく「地獄で会おうぜ<Hasta la vista>」と言い残し、引き金を―――】



 ―――魂(タマ)、取ったりィィィィィィィッ!!
 覚悟しな、マジシャンの旦那ァァァァァァァッ!!


 ―――Hm、? ……What’s up?
 ……、なん、なんで……弾が、でな―――げぇっ!?


【引く。引き金を絞る。トリガーを思い切り引っ張る。―――が、水が出ない。】
【先端からはちょろちょとろとキレの悪い飲んだ後の○便のような液体が漏れ出すだけ。】
【なんだ、これ―――セリーナは慌ててタンクを確認し、そこで『ハッ』とした様な表情になる―――!】


 ……なっ……こ、このタイミングでアウト・オブ・アモー<弾切れ>ッ!?!??!??!!


【―――そう。弾切れならぬ、"水切れ"状態ッ! しかしかといって補給できる液体はない!】
【例え普通の水を入れた所で風船は割れないのだ、ここに来て惜しげもなく鉄砲を撃ち続けた事が裏目に!】
【そしてそこに、反撃の糸口として"何か"を掴んだリロード、元気弾ならぬ"海産弾"の正体は―――っ、な、なな、なんと!】


 ―――わぁっ!? た、たったたたたったたたたたタコぉぉぉーっ!!?!???
 たこ嫌い、たこきらいたこきらいーっ!!! いやぁ〜〜〜〜っ!!


【―――そう、リロードの手が掴んだ"愉快な仲間達"の一つは蛸ッ!!】
【そして何を隠そう、このセリーナ・ザ・"キッド"、生意気にもメリケン臭いところがあるので蛸が大の苦手なのだーっ!!】

/海産物指定しちゃって大丈夫でしたでしょうか、まずければ変更します!
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/24(金) 00:48:41.12 ID:sOkm+te4o
>>990


何を…?

そりゃァオメー、この状況じゃ答えは一つ…


【少女へと言葉を投げかけながら死体の衣服を剥いでいって】
【露わになった亡骸の上半身を愛おしそう見つめた】

【その瞳に込められたのは――性欲、ではなくて食欲】

【男はゆっくりと死体の片腕を持ち上げる】
【その白い二の腕に男は大きく口をあけて静かに歯を立てたかと思うと】
【勢いよく下顎を閉じぷしゅぅ、と死体の腕から鮮血を噴出させて】
【肉が裂け骨が噛み砕かれる嫌な咀嚼音が夜の静寂に包まれた路地裏を満たした】


んンー…美味ェ、ヒャヒャッ!


【死肉を頬張り男は気味悪く笑った】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 01:03:02.97 ID:QGv5g4cu0
>>992

【その一つの答えが、予測が付いていたとはいえ流石にショッキングだったのか】
【男が女の手を口に入れた瞬間、思わず目を閉じた】
【流石に、人を殺すような人間には何人も遭遇してきたが、人を文字通り食べるような人間には殆ど免疫が無かった】


〜〜〜〜っ!!

【普段聞きなれない、そもそも常人なら聞くことも無いであろう】
【しかし確実に嫌悪感が背筋を伝うような、そんな音に耳を塞ぐ】
【気付けば少女はその場にしゃがみこんでいた。悲鳴は喉の奥で必死に飲み込んだが】
【常人なら正気を失ってもおかしくはなさそうな状況だが、流石にそこまではないらしい】

【男の呟きは既に耳に入っていない】
994 :リロード・ザ・マジシャン ◆60/reloads [sage saga]:2015/07/24(金) 01:11:36.60 ID:q0sfFNx+o
>>991

な、なにぃ〜〜ッ!これだけの至近距離で放たれたカードを正確かつ冷静な操作によって放たれた放射する水で全て防ぎ切るだと〜ッ!
はッ。だが、その、全部防ぎきッてやれるって、オゴリが!避ける選択肢だってあったはず!
あえて全部撃ち落とすって選択が、アンタの首を締めたようだなァ!

【いや、お前だれやねんというレベルで口調が変わっていた!流石にどうかと思い、おっ、と口を閉じれば掴んだ“なにか”を思い切り引き抜いた】


……さあて、正体不明のショータイム!私のターン、ドローッッ!!

【“最強能力者の試合はいつも必然!拾ったなんかさえも相手の中の人が創造する”ッッ!】
【──来た!掴んだ“なんか”それは。漆黒の墨を吐き散らかし、8本の触手で獲物を捉えし疲れた現代人に最適なタウリン豊富なる捕食者!──蛸ッ!】


タ、蛸……ッ。う、ぎゃッ!

【そして、──タコを右手に“合体(ブレイヴ)”ッ。というよりは勝手にからみついただけ】
【これでは、簡単に投げつけることも出来ない。ここに来て最悪の引き……とリロードが絶望する傍ら】
【ソレ以上の恐怖を、感じているもの。以外にもセリーナ・ザ・"キッド"ッ。それを見れば──ほう。とほくそ笑むリロード】

【こいつはいいやと、手に絡みついた蛸を思い切りセリーナに突きつける。すると自身に拒否反応を見せているセリーナを“敵”だと認識したのか】
【思い切りセリーナに向かって墨を吐き出すではないか。だが、この蛸はリロードと今、"合体(ブレイヴ)"している、タダの墨では終わらないッ!】

【合体時効果ッ!吐き出した墨に酸素を"装填(リロード)"ッ!結果、吐出されたのは大量の"墨で出来たシャボン玉"であるッ!】
【このシャボン玉。簡単には割れなず、長持ちして破裂する際はタコスミを撒き散らかしながら大きな音をたてる驚異的な目眩ましッ!】
【タコスミってサラサラだからシャボン玉とかにするのは無理な気がするだって?この蛸は“なんか”凄い蛸だからそんな常識は関係無いのだッ!】


さあ、行きますよ。──相棒ッ!

【シャボン玉の影に隠れながら、リロードはセリーナに回りこむように旋回ッ!】
【攻撃性能の無い、“シャボン玉”は当然囮ッ!リロードは右手の驚異的な力を持ってして、蛸を振りほどけば】


うぉおおおおおおおおおおお────ッ!

【セリーナに向けて、ぶん投げたー!普通に投げれば簡単に避けられてしまうだろうが、】
【視界を防ぎ、自身の位置を悟らせないようにする事で少しでも命中させる確率を上げるッ!】
【そして、御存知の通り、蛸の体の90%は筋肉ッ!その強靭な足を持って残り2つの風船のどちらかを粉砕してくれる事をリロードは出会ったばかりの相棒に託したッ!】

995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/24(金) 01:17:13.97 ID:sOkm+te4o
>>993


ンんー…?
どうしたァ、おい

夜の路地裏に降ってくるような変わった奴だからてっきりこういうのは平気だと思ったんだが…?

ヒャヒャッ、ダメだったか…ん美味ェ


【口いっぱいに肉を詰め込んで器用に男は喋る】

【少女の様子をやや気にはかけるがそれよりも己の食欲の方が優先なようで】


【今度は懐からナイフを取り出してきぱきと死体を解体し始めた】

【骨から綺麗に肉を削ぎ落としては口に放り、飲み込んでは次の肉をまた口に詰める】
【正常な人間からすれば狂気の沙汰である一連の行動を男は平然と繰り返していく】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 01:25:48.82 ID:QGv5g4cu0
>>995

流石に……駄目なものは駄目ですよ……っ!

と、いうか……判断基準がそれは……ないでしょう……

【耳を塞いでるはずなのにどうして言葉を返せるのかを気にしてはいけない】
【実際塞いでいても割と声が聞こえることはあるのでそこまで違和感は無いだろう】
【ツッコミを思わず入れているが、心なしか、いや明らかに声が震えている。動揺か恐怖か】


【目を閉じている少女には男が何をしているかは見えていないが】
【何かを削ぎ、そして肉を食むような音が嫌でも聞こえてくるが故に、何をしているのかが想像できてしまう】
【想像とは現実よりも酷に見せることも往々にしてあるわけで】

【木箱の陰に丁度隠れて見えないかもしれないが、少女の顔は真っ青だ】
【少し震えているようにすら見える。実際震えている】
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/24(金) 01:42:39.88 ID:sOkm+te4o
>>996


駄目つったってなぁ、ヒャヒャッ
草食、肉食、偏食…味の好みは人それぞれだろォ?


【震える少女を横目に男は笑って言って】
【至極美味しそうに死体を貪っていく】


ンんー、苦手なら…まァしゃーねーか


【気が付けば死体の片腕はもう骨や筋のみとなって】

【出しっぱなししていた触手が男の体へと縮み消えていったと思うと】
【新しく一本の触手が男の腕から生え伸びて】
【残された死体――男にとっては極上の料理であろうそれを大蛇のように飲み込んで行った】


ヒャヒャッ、こんなんで一々ビビッてちゃぁ路地裏界隈じゃやってけねえよ


【死体を丸々飲み込んで直径が二倍にも三倍にもなった触手はずるずると男の身体に戻って行って】
【男は懐からハンカチを取り出し口元とナイフを拭うと】
【もう大丈夫、とでも言うように少女の肩に触れようとする】

【死体は綺麗に消え去り――地面に残されたのは点々とした血の跡だけだ】
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 01:57:24.84 ID:QGv5g4cu0
>>997

【幸か不幸か、今の少女にとっては間違いなく幸運だろうが、食事の終わりは見ていない】
【尤も、その分想像でより恐ろしいことになってるのでとんとんだが】

【男が少女の肩に触れようとした途端、弾かれるように――無論完全に比喩だが――後ろの方に跳ねる】
【勝手な想像で増幅されてしまった恐怖によるものではあるが……流石に男が少し可哀想な気もする】


――…………少しだけ、まだ「路地裏」という場所を甘く見てたようですね……
割と慣れたつもりでは、いたんです、が……

【半ば無意識に、或いは反射的に、まだ持っていた右手の鎌を構える】
【頭をブンブンと振って、先ほどまでの空想を追い出すように】
【路地裏の深遠の一端を垣間見たような気がした】

【だがなんとなく、敵意は抱いてないと心のどこかで感じていた】
【もしそんなものを少しでも抱いたのならきっと既に自分はこの世にいないと考えた、のが根拠として一番近いか】

【安心すべきでないか安心すべきか、恐怖と困惑が入り混じった表情で男を見つめている】
【見ようによっては睨んでるようにも見えるかもしれない】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/07/24(金) 02:08:05.95 ID:sOkm+te4o
>>998


ヒャヒャ、悪かったなァ…変なモン見せて


【笑いながらも少女に詫びる男】
【ちらり、と己に構えられた武器に目をやって】

【その笑い声は何処か悲しげでもあるが】


んまァー、何はともあれとりあえず自己紹介させて貰うぜ
俺はアド・チカチーロ…何処にでもいる普通の食人鬼だ、ゲヒャヒャヒャ!

【甲高く笑い声をあげて突然の自己紹介を締めくくる】
【危害を加えるつもりはない、という気持ちの表れか相手を迎え入れるように両腕を開いた】

【複雑な感情の入り混じった相手の視線に笑顔で答え】


オメーの名前は?
ヒャヒャッ、教えてくれよ

【ニヤニヤと笑い相手の名を尋ねた】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/07/24(金) 02:19:16.76 ID:QGv5g4cu0
>>999

……いえ、私も少し失礼な態度だったと思います。その点に関しては済みませんでした

【大分冷静になってきたのか、この状況で敵意もないのに武器を構えたことに対して非礼を詫びる】
【流石に完全に警戒を解いたわけでは無いが、先の謝り方よりはよっぽど謝意が篭っている】
【切り替えが早い? そんなもんだ】


この流れで自己紹介って正気ですか……
まあ、知っていれば大分ショックも減るのでそれはそれでいいんですが
……これは多分、名前忘れないと思いますね……明らかに「普通じゃない」ので

【平時だと割とこの少女毒を吐くようで】
【敵意がないことを今度こそ改めて感じたのか、鎌を下ろす】


えー、と 「リライズ」と、そう呼んで貰う様に言ってますね
多分、貴方よりも普通な……えーと、普通な人間ですよ

【少し張り合う気があったのか、しかしそれでも張り合う名乗り方が思い浮かばず】
【少しだけ引きつっているが、ほんの少しの微笑を浮かべて答えた】
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