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厨ニ能力授けるからそれ使って闘え Act.2 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 23:48:11.98 ID:QjeSrye2o
厨二的能力やるからスレへようこそ
そしてこのスレを開いてくれて有り難う
ルールを読んだ後は厨二妄想を爆発させよう

【基本ルール】
貰った能力でロールする。
※能力は避難所の「厨ニ能力を授けよう」スレッドで授与します

荒らしは全力で華麗にスルー。
※荒らしに反応した人も荒らしです。

チート無双、無理やりな防御&回避、確定攻撃は禁止。
※1 酷い場合はそっと言ってみよう。 ただし煽るようなキツい言い方は好ましくないです。
※2 たまには攻撃に当たりましょう。 いつもと違うスリリングな闘いをしてみよう。

老若男女に人外キャラまで自由にどうぞ。
※好きなキャラを演じてスレの世界を楽しもう。
 ただし鬼だから怪力、天使だから空を飛ぶ等は勿論なし。

一言「書き込む前に更新すると幸せになれるぞ!!」

――キミはもう 目覚めたかい――?

『厨二能力スレ避難所』 (能力授与、雑談、議論等はこちら)
http://jbbs.shitaraba.net/sports/42896/

『厨二能力やるから』@wiki (ルールやキャラクターの記載はこちら)
http://www27.atwiki.jp/tyuu2nouryoku
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このパー速VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

旅にでんちう @ 2024/05/01(水) 14:47:47.55 ID:KgjR8ljxO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714542467/

【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/

VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

2 :【NEXT】 [sage]:2016/01/06(水) 00:48:14.00 ID:sx+jtA2Y0
前スレ>>965

(良かった............)

【無理やり引きずられて地面にダイブする事になったらどうしようか、と思っていたのは秘密だ】
【もう1階下を目指すべく、軍人の後を着いて行く、が......】

......!!ストップ!ストップ!

【遠くから、プロペラの音が聞こえて来るとともに、サーチライトの強烈な光が闇を裂く】
【機銃を積んだヘリコプター。それが、警察のよこした追っ手であった】
【少女の声に足を止めなければ、軍人の姿は強烈な光のもとに顕となってしまうだろう】
【そうなれば、襲ってくるのは大口径の機銃の弾丸の嵐。当然食らえばお陀仏だ】

やばい......やばいよ、これ.......!

【追い打ちをかけるように、遠くからは十数のサイレンの音】
【乗っているのは、盾と機関銃を携えた機動隊。これまた、能力者であっても殲滅は困難、下手すれば返り討ち】
【正面切って戦うにしても、時間の問題だ】

(どどど、どうしよう..........!?)

【最善の策は、どこかに隠れて凌ぐことであろう。が、パニックに陥った少女は、そこに考えが及ばない......】

//だいぶ無茶苦茶やってますんで、ダメだろって場合はおっしゃっていただければ書き直します
//>>1乙です



3 :【殲滅指揮】 [sage]:2016/01/06(水) 00:54:41.37 ID:fxFe2U2lo
前スレ>>1000
軽蔑か。嫌悪か。侮蔑か。そのどれであろうと、レナートにとっては意味は大して変わるものでは無かった。
ただきっと、彼女が抱いたその感情はそれに連なる言葉であろう。端的に言ってしまえば、"理解不能"なのだろう。
そういう物があるからこそ、"戦争"はある。そういう違いがあるからこそ、"戦争"はある。貴方と私が違うからこそ、きっと"戦争"は其処に在る。
だから、飛び切りの歓喜を籠めて。願いを否定した彼女を。それを拒絶した彼女を―――――――――――― 肯定した。


「―――――――――――― ああ、それだ」


「―――――――――――― それでこそだ。ああ、それでいい」


「―――――――――――― そういう反応があるからこそ、世界は戦争にきっと繋がっていく」


"戦争"を否定する心。それこそがまた、"火種"となる。まるで摩擦熱のように。
ジャムを掬い、口に含み。それから紅茶を啜る。それから何でもないかのように、その瞳は余りにも正気のままに、言葉を続けることだろう。
一辺の欠片も無く、一片の澱みも無く、ほんの僅かな揺れも無く。実に楽しそうに、その男は"夢"を語る事だろう。


「俺が独りで死ぬのは"違う"。それに、キャンプファイアーは大勢でやった方が楽しいだろう?」
「俺はあの無限の理不尽の中に"踏み潰されたい"、"蹂躙されたい"、"嬲られたい"、徹底的に"殺されたい"」


「だから俺はあの"大戦争"をもう一度。求めている。だから駄目だ、俺一人じゃ駄目だ。俺と君とでも駄目だ」


「"全部だ"。"全部"をひっくるめて巻き込む戦争を―――――――――――― もう一度」



―――――――――――― それはきっと、何よりも醜く、何よりも美しい。


「と、いう訳だ。理屈は理解できなくとも、一つは分かっただろう?」

「こいつは、救いようがない、ってな」

レナートは、やはり嬉々としていた。その言葉の、どれを語るにも、実に楽しそうに彼女へと語っていた。
嬉々として断頭台を探し求め。爛々と其処に首を入れ、小躍りしながらギロチンを落とす。
それは然し、"狂気に駆られてやったことではない"。事実其の言動からは兎も角として、その瞳には一欠けらの"ブレ"も無かった。唯々、少年の様に輝く瞳だけがあった。
唯、人よりも大きくズレている。ただ、それだけの話で、ただ、それだけのことが、余りにも致命的であった。
4 :【爆轟魔手】 ◆7F8i931BE. [sage saga]:2016/01/06(水) 00:56:27.68 ID:3hj2vFpN0
//>>1乙です
>>998
「……まあ、アホだよねー。私って」

――――否定はしなかった。寧ろ、肯定した。
一人旅に出てから今まで、彼はただ世界をあてもなく彷徨っていただけだったのだ。
そんなことをする者は、アホと称されるも当然。否、アホしかそんなことをするまい。

「別にいいよー。ただのアホに謝ることなんてないさー」
「世の中にはもっと苦労してる人だっているだろうしねー。今の私なんて、ただブラブラしてるだけよー」

女性が謝っても、はは、と笑って彼は流してしまう。些か自嘲気味に。
ノリでそう言ってるのか、それとも、ヤケになっているのか。それは彼のみぞ知る話。

「うーん。それなら言葉に甘えようかなー」
「丁度、今日の宿が見つからなくて困ってたんだー」

正直、野宿にはもう慣れた。ともあれやはり外は寒い。宿がないのは、やはり辛いもの。
例え彼であっても、出来るだけ暖は取りたいものであって。無論喜んで女性の元へと付いていくであろう。
5 :【重層剛筋】 [sage saga]:2016/01/06(水) 01:21:18.74 ID:QjSCH6lP0
/>>1スレ建てお疲れ様です


>>4

「決まり、ね」

場のノリで生きているな、と彼の口調からまざまざと感じる。
悪い事ではない、流されるがままに過ごすのは簡単そうに見えて精神を消費するし。
その中で身に着けた彼なりの処世術なのだろう。今回のように面倒事に巻き込まれるのはマイナスだが。
事も無げに承諾し親指を立てる。ならば往こうと己が住所へ足を向けた。

「尾上 鞘香(おがみ さやか)よ。一晩一緒に居る相手の名前も知らないのもヘンでしょ」

歩きながらそう名乗って右手を差し出す。仏頂面だった顔にはほんの少しの笑み。
握手を求めるのは彼を一人の人間として接する事の証。
子供であろうと最低限の礼儀をもって振舞うのも大人の役割だ。彼は応えてくれるだろうか。

「好きなだけ居て頂戴、とは言わないけど。独りだしあまり気にしないでいいから」

髪を掻き上げながら言うのは分別は欲しいが遠慮はいらない、と。本人の言う通りその住まいは一人暮らし。
そうでなければ少年といえど気軽につれて歩けないし、まして彼が子供でなければ先程の質問自体無かっただろう。
理由もなしに他人を連れ込むほど無警戒ではない、と思いたい。

「……ところでアンタって男、よね?」

気になっていた質問を投げ掛けながら――かくして女は少年を連れて己の住む小さなアパートに帰っていく。
途中、二人どころか20人は養えそうな量の食糧を買い込んだのは、その30分後の話であった。


/駆け足気味ですがこんな感じで〆大丈夫でしょうか
/一先ず絡みお疲れ様でした、ありがとうございました
6 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/06(水) 01:24:02.66 ID:51/CJ41I0
>>3
あまりにも、あまりにも予定調和である。
彼女はこの返答に酷くしっくりとした感触を覚えていた。
手段を目的にした人々は、往々にして自分の中に沈み込む。

「戦争が“手段”であるならば、私も一枚噛んで甘い汁の1つでも啜れると思ったのですよ?
 でも戦争が“目的”であるならば、止まりどころもありません」

上手く淹れたはずのコーヒーが酷く苦く感じた。

「救いようがない、ですか。まあそうでしょうな。
 死に方にしか興味のない、死にたがりの子供など、
 そのように表現する他ありませんね」

対面の言葉に熱がこもるほど、彼女の言葉には諦念が混ざる。
夢に魅入られた者に、現実は空虚となる。

「今、引き留めるようなことを言っても響かないのは判り切っています。
 だから、私はあなたに呪いをかけましょう。

 きっと、あなたはいくら殺しても、いくら嬲られても、いくら殺されても、
 きっと、あなたの夢には届かない。
 きっと、あなたは最後の瞬間にこう思う。『いやだ、まだ足りない』と。
 
 きっと、あなたは満たされない」

静かな調子で呪詛を吐き散らす。
目的は絶対に達せられないと、そう予言した。

あれは夢を高く設定しすぎた。
だからくさびを打ち込んでみる。

だからって、意味は無い。
意味があるとすれば、彼の満足度を下げる。それだけのこと。

器に残ったコーヒーを飲み干し、彼女は彼の目を見据えた。

給仕の人形は、目ざとく彼女の空いた器にコーヒーを注ぐ。 
7 :【爆轟魔手】 ◆7F8i931BE. [sage saga]:2016/01/06(水) 01:46:07.19 ID:3hj2vFpN0
>>5
「私はイクス・エクリクスィ。よろしく、そして本当にありがとーね」

彼は差し出された右手を受け取って、女性と握手を交わす。此方もにっこりと笑顔を浮かべて。
言い方が悪いが、彼は基本的に利用できる物は利用していくのだ。この女性も、決して例外にあらず。

「……え?うん、そうだよー」

と彼は頷くのだが、本当のところはやはり分からない。嘘なんていくらでもつけるが故に。
もしかしたら少女かもしれないし、言う通り少年かもしれない。彼とは、そんなどっち付かずの存在。

その買い込まれた食糧の量に彼が驚くのも、またしばらく後の話。

//了解です、遅くまでロール有難うございました!
8 :【殲滅指揮】 [sage]:2016/01/06(水) 01:49:40.47 ID:fxFe2U2lo
>>6
「―――――――――――― 分からないさ。俺が死ぬ時の事なんて、俺が死ぬ時にしか分からない」
「俺が死ぬ時に、泣くか、笑うか、絶望するか、嘆願するか、それは、死ぬ時になってからしか分からない」
「もし俺が世界を呪って死んだなら。それは君の勝ちだ。幾らでも笑うと良い。そしてもし、俺が満ち足りて死んでいったのならば、俺の勝ちだ」
「その時は、そうだな……墓前に、ウイスキーでも一本、置いておいてもらおうか?」

「この世は不確定要素の塊だ。何故なら、この世界には―――――――――――― 『神様』だって、いるのだから」

顔の右半分を覆う、大きな火傷の痕を指先でなぞる。それはレナート・アスカロノフにとっての、可能性の象徴でもあった。
もしかしたら、そうなるかもしれない。もしかしたら、そうならないかもしれない。物事は、そうなってみるまで分からない。満ち足りて死ぬとも、満ち足りずに死ぬとも限らない。
最後には笑っているかもしれない。最後には泣いているかもしれない。最後には、世界を呪っているかもしれないし、最後には、思い切り苦々しい顔をしているかもしれない。
けれども、そう。そんな無念もまた、戦争の一部なのだから―――――――――――― 嗚呼、そんな思いを抱いて死ぬ事が出来たのであれば。それもまた、何て美しい。
ジャムは酷く甘く感じた。如何にもそれが悪い、という訳でも無さそうで。


「ならば俺は、君の行く先を祝福しよう」
「俺と言う夢想者からの。敗残兵からの。余りにも、無価値な。然し心からの、祝福だ」

「君には無限の可能性が広がっている、世界は君が思っているよりも遥かに広い」
「だから、夢を持て。届かずとも、星へと手を伸ばし。高く、高くを見上げて欲しい。そこには、きっと」
「至る事が出来ずとも、見た事の無い景色が広がっているはずだ。悔しさはあれど、それを追い求めた事に、後悔なんて無い筈だ」


「だから―――――― 君の行く先に、幸あれ」


それは、彼女への意趣返しでもあったが。同時に、レナート・アスカロノフと言う男からの、彼女への、心からの言葉であった。
途方も無い夢に生き、途方も無い夢に死ぬ、男からの言葉だった。それはきっと、彼女にとっては余計なお世話にすらなりはしないのかもしれないが。
それでもその男は、彼女へと欠片の恨みも、怒りも、不快も抱くことは無く。彼女の撒き散らす呪詛を受け止めて、そして彼女の行き道を祝福することだろう。
レナートという男は、果てしなく。肯定を好み、或いは、他者を好み―――――――――――― そして、何処までも絶えない男であった。


「―――――――――――― 良い腕をしているな。美味い紅茶だ」


そうしてまた、ジャムを口に含んで。紅茶を啜り。実に満足気に、そう言った。
9 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/06(水) 02:09:42.13 ID:51/CJ41I0
>>8
「あー、そう返しますか。
 ウイスキーですね。覚えていたらそうしておきましょう。
 飛び切り上等なのを用意します」

嫌がらせも無意味だった。
ここで逆上しても、相手を喜ばせるだけ。
なんてやりにくい相手なんだろうか。
口にするコーヒーが、口惜しさで苦汁に変わる。

「感謝は、しておきます。
 空に手を伸ばせるほど、夢を見れたこともありませんが。
 私は、あなたの本願が叶わないよう、謹んでお祈り申し上げます」

目の前の相手には、嘘が無い。
彼女の吐くような白々しいものの無い、
全てが真剣な、彼女からすると息の詰まりそうな。

「ありがとうございます。
 大変興味深い時間でした。
 予定があるので、先の話はまた今度。
 多分、次は会う際は戦場と思いますが、
 それまでご壮健で有られますよう」

褒められたことに関しては、素直に謝意を示す。

そして、定型文を重ねたような、決まりきった挨拶を残し、席を立つ。

もし引き留められることもないのならば、
去り際に一礼して、ホテルの正面玄関から、給仕を引き連れ
正面玄関から、堂々と出ていくだろう。

//>>1スレ立て乙です。
10 :【殲滅指揮】 [sage]:2016/01/06(水) 02:30:14.66 ID:fxFe2U2lo
>>9
「ああ、期待しているさ。君のウイスキーと、俺が君とまた会う事を、な」

最も、墓に入れたらの話だが、と言って。レナートは、去ろうとする彼女の後を追おうとはしないし、引き留めることは決してしない。
ただ、彼女の行く先が、幸福で溢れているように。ただ人として、親しみを持った相手に対して当然のことを、当然のように行って。
そして、それすらも"戦争の一部であること"もまた、願って。彼女の事を、見送ることだろう。片手を、軽く上げて


「До свидания、名も知らぬ若人。俺が死ぬまでは、きっと俺は嫌になる程に元気でいるだろうよ」


そうして、最後に彼女へと別れの言葉をかけて。皮肉屋で、然し節々で素直になるような、人間的な彼女と別れることになった。
残されたのは、そこら中に散らばる死体と。それから真っ赤なジャムと、ほんの僅かに残って、温くなった紅茶がポツリ、と。
ティーカップを傾けて、その中身を飲み干した。やはり、美味いものだ、と思いながら。軍帽を被り直すと、跳ねるように、深く腰を沈めていた椅子から立ち上がる。
こうした出会いがあるから、世界は美しく。こうした対立があるからこそ、世界には戦争が絶えない。だからこそ、男は戦争を求め続ける。


「さて、そろそろ俺も行きますかね―――――――――――― 嗚呼、なかなかに、楽しい時間だった」


そしてまた、男も其処から去っていくことだろう。
この夜の邂逅はこれで終わり。はてさて次に会うのは戦場か、それとも。それもまた、可能性に彩られるばかり。



/絡み乙でしたー!!
11 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/06(水) 02:34:21.67 ID:51/CJ41I0
>>10
//こちらこそ、ありがとうございました!!
12 :【空想の幻糸】 [sage]:2016/01/06(水) 17:40:28.24 ID:q6iU9WBAO
>>1乙です
【空には満点の星】
【散りばめられた宝石箱から彩られる奇跡の絶景】
【夜空の下、並木道を駆ける人影が一つ】

「冬ですよぉー!!」

【ワッフルをかじる、絹さんである】
【マフラーの靡く様子は、夜空に似合う流れ星のようである】
13 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/06(水) 18:41:59.02 ID:Ja9Bv5uao
>>2

【階段を駆け下りていく最中】
【突如頭上より『ストップ』という声が聞こえ】

「ストップだぁっ!?」

【だが、急に勢いを殺そうとしても殺しきれず】
【軍人はサーチライトに姿を照らしだされる】

「ははっ、警察さんも本気のようだな・・・!」

【乾いた笑いを一つ、冷えきった空気に白いもやを立たせつつ】
【肩に掛けていた鎌を両手で持ち直し、ヘリコプターと数秒対峙】
【機銃が火門を開きかけた、その時だ】

輝斬、「月煌蟷斬」

【鎌をヘリコプターのプロペラへ向けて振りぬく】
【すると、鎌からは斬撃が放たれ、それはまるで月光のような煌めきをもち】
【軍人の全力の一振りと同じ威力でプロペラを断たんと迫る】

【が、当然斬撃が到達する前に軍人を蜂の巣とすべく機銃は弾を放っており】
【軍人は急遽これをよけるべく階上へと駆ける】
【が、右脹脛を大口径の機銃弾がかすり、血が噴き出す】

「っがぁッ、痛っ・・・!」

【そして踊り場で待つ少女の元へと右足を引きずりつつ急ぎ】

「おい、ちょっと4階で待機するぞ!」

【少女を急がせる】
【軍人も少女の後について4階へと入っていくであろうが】
14 :【創符帖録】御札を創造する巫女さん  ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/06(水) 19:03:53.32 ID:nkh9o98+0
>>12
【星の輝く夜の並木道】
【巫女さんは星空を眺めながら散歩をしようとお出掛け中】
【ゆったりとした歩みで空を仰ぎながら歩いていると】

――冬ですよぉー!!

【なんて走り抜けていく少女を見掛けた】

「お元気ですね、こんばんは。」

【ふふふと微笑みながら会釈をし】
【何事もなければそのまますれ違って行くだろう】


// >>1乙です!
15 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/06(水) 19:54:47.40 ID:4H8Ep2E60
【午後七時、繁華街。】
【夥しい数のネオンライトが街を飾り、これまた夥しい数の人が道を埋め尽くす】
【あまりの人、物にただ歩くだけでも衝突を避けるのは難しい、というのが普段の話】
【しかし―――しかし今日だけは人々は道の真ん中を開けて、逃げるように建物の中へ引きこもっている】

【開いた道のど真ん中を歩くのは小さな少女。】
【おおよそ12か13、纏う着物の隙間から覗く肌は不健康に白く、こんな風に人々が恐れるような存在には見えない。】
【異常なのは右手に握り肩に担いだ血塗れの"大剣"と、左手に髪を掴み引き摺られる"大男"】
【見たところ130有るかどうか、そんな少女が担ぐその剣は3メートルに近く身長の倍は優に有る】
【更に刃渡りは控えめに見ても1メートルは有る、あまりに規格外な代物。】
【そして左手の"大男" 筋骨隆々のそれはどうみてもこの少女にどうにかされたとは思えないのだが】
【"大剣"に付着した赤い斑点、男の頭部から流れる血液が黙々と事実を語る。】
【男の腹部は膨張と収縮を繰り返し、一応は呼吸して生きているようだが】

「さーて、困った困った
 逃げる男を追って来たらいつの間にかこんな所
 こいつを突き出す警察の居場所もわかんないし、どーしよっかなぁ・・・・・・」

【やけに説明的に語るのは、遠まわしに周りの人々へ呼びかけているから】
【少女の言葉を要約すれば「悪い奴を追っていたらこんな所まで来てしまった。警察の場所も分からないし助けてくれ」という事になるが】
【血の付いた武器、ついでに血の付いた着物、周りから見ればどちらが悪者か分かりやしない】

「あーあ、親切な人って居ないもんだね」

【そういう話じゃないのは分かっているから、半ば自虐的に少女はため息を付いた。】
16 :【NEXT】 [sage]:2016/01/06(水) 20:13:13.81 ID:sx+jtA2Y0
>>13

【向かって来る斬撃にヘリコプターは高度を上げ、プロペラへの直撃を避けた】
【底に大きな傷こそ入ったものの、飛行に支障が出ている様子はないようだ......】

軍人さん!?......どうすれば......どうすればいいの.........

【その様子を、柵の陰に隠れて見る事しか出来ない少女】
【自身の能力では、ヘリと軍人の間に割って入るような事は叶わない】
【その結果を示すかのような、軍人の右足を少女は直視できない】

4階!?どうやって......ハッ

【軍人の声に、先程の警官隊が出てきた非常扉の存在を思い出す】
【幸い、その扉は踊り場のすぐ近く、だが......】

あれ......開かない!?

【非常扉とはいえ、セキュリティ上の問題で外からは開かないようになっているようだ】
【4階に入るには、内側から扉を開けなければならない】

成る程......そういう事なら!

【息を思い切り吸い込み、止める】
【その瞬間、少女は物理から解き放たれ、鋼鉄の非常扉を容易くすり抜けた】
【その先の廊下では、外で起きた異常により一般の宿泊客が我先に逃げようとパニックを起こし、騒然としている】
【そのせいか、少女に気づいた人間はいないようだ】

軍人さん、早く入って!

【この場所でこれ以上の騒ぎを引き起こすのはよろしくない】
【出来る限り小声で、少し扉を開けつつ軍人を急かす】
【もたもたすれば、再びその背中にヘリが襲いかかるだろう】

17 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 20:42:01.48 ID:qOjagbcoo
>>15
 夜の繁華街。
とある騒動によりこの繁華街に訪れることが多くなったその竜人。
角の生えた頭を振り赤と白の瞳で面白いことが無いかと周囲を見渡せば、誂えたように異常事態があった。

 普段であればたくさん、それこそ溢れんばかりに居るはずの人がまるで居ない。
その原因はと、探すまでもなくその少女はそこに居た。
背格好を見たところ小学生中学年か少し上ぐらいだろう。
そんな少女が、こんな時間にこんな場所で、自身を覆い隠すほどの大剣を担ぎ自分よりも大きな男を引きずっているのだ。
なるほど、やはりこの場所は”面白い”事が非常に集まりやすいらしい。

 その少女は何かに言い訳をするように、独り言を喋る。
その内容は、逃げる男を昏倒させて警察を探しているとのこと。
話しかけるきっかけには持って来いだろう。

「そこの剣士さん、でいいのかしら?」
「警察だったら、この道から1本の東を北に1.2kmのところにあるけど、案内してあげる?」
「とりあえずその道で何があったか教えてちょうだい。」
なんだかとっても面白いことが聞けそう。
【そう言いつつ、少女に近寄る】

//遅くてすみません
18 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/06(水) 20:47:01.32 ID:Ja9Bv5uao
>>16

【放った斬撃は高度を上昇させることにより易易と回避された】
【底にはキズが入っているが、それは視認しにくい、黒く塗りつぶされたようで】
【ただ、こちらは右足に銃弾を受け、怪我を負ってしまっている】

【4階のそばにあった非常扉】
【存在自体は認識していたが、外側からは鍵がかかっており開けられない】
【逃走は絶望的か、と思っていたら】

「あっれー、その扉開いたのか!
てっきり開かないもんと思ってたぜ。」

【少女が開けた扉から中に入る】
【ヘリコプターはどうやら追跡しきれなかったようで】
【とりあえずは一安心、といったところか】

「さーて、こっからどうするかなんだよなぁ。」

【ホテルの周辺は警官隊に囲まれているはずだ】
【ヘタしたら軍隊とかその辺りが出動しているかもしれない】
【自分が軍人なのに軍隊に追われるとはとんだ笑い話だ】

「どこかに脱出ルートとかないもんかねぇ・・・・。」

【軍人は床に座り、少女に聞いてはみるものの】
【有るとは思うが現状は見つかっていない】
19 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 20:51:18.05 ID:mL0iGUYHo

 ──深夜の公園。
 雲間より幾条もの月光が降り注ぎ、それが木々に乱反射する幻想的な風景。
 昼間は憩いの場として人々を受け入れる自然公園内に、淀んだ空気が満ちていた。
 それは、人間の本能に訴える匂い。
 即ち“死”の匂い。鉄臭さと生臭さが風に乗り、周囲に広がっていた。
 その中心には、男が1人。
 黒いライダースーツの上に、ファーフード付きの赤いジャケットを着ている。
 その襟元にはD.O.T.Aの襟章が輝いており、しかしそれも半分ほどがドス黒い液体で汚れていた。
 年嵩は20代前半だろうか。
 肩甲骨まである白髪を後ろで結っており、前髪の隙間からは真っ赤な眼光が周囲を睨みつける。
 そして、その足下には斬殺死体。
 微塵切りと言うに相応しい肉塊が、転がっていた。

「──まだだ。
 まだ、こんなんじゃあ、駄目だ……」

 天道八雲という名の、青年は。
 血の海で、そんな事を呟く──。



//どなたかいらっしゃったら!
20 :【創符帖録】御札を創造する巫女さん  ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/06(水) 21:01:47.70 ID:nkh9o98+0
// >>14はなかったことにさせて下さい
21 :【風馬鉄槍】 :2016/01/06(水) 21:05:58.52 ID:GhIF0CZfo
>>19
「――――?何が、ダメなんですか」

馬の蹄が芝生を踏む
死に支配された公園、その黒馬はそれに土足で踏み入って平然としていた
まるで死に惹かれたかのような黒馬は蹄を紅く汚す前に止まる

「人を一人、こんなに残忍に殺せて何がダメなんですか?」

黒馬は女を乗せていた
碧き瞳は斬殺死体を見下ろし、緑の髪は風に揺れる
彼女もまた、死の臭いの中平然としていた

「殺し方が、ダメだったとか?
ねえ―――、D.O.T.Aの隊員さん」

優しく微笑みながら問いかける
ただ、問いかけるのみ
22 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/06(水) 21:06:59.92 ID:4H8Ep2E60
>>17
【家を出て賞金稼ぎの真似事をして過ごす少女は、こういう出来事は初めてではない】
【担いだ武器に、浴びた血に怯える人々。どれだけ独り言を零そうと誰も相手をしてくれなかった】
【なのに今日は角を生やした女が好奇心に眼を輝かせてやって来た】
【怯える様子は無い、寧ろ楽しそうに見える。】

(なんだこいつ)

【第一に思ったのはそれだった。】

「案内はお願いしたいけど・・・・・・
 聞きたい?別に、あんまり面白い話じゃないと思うけど」

【彼女がしたことは絵に描いた英雄劇でもなんでもない。普通の人ならば面白いと感じるところは無いだろう。】
【が―――なんとなく、そんなことを言っても無駄だと感じて。それから少し間を開けて少女は語り始めた。】

「・・・・・・大した話じゃないよ                         ヤツ
 今日のご飯を食べるお金も無かったから、金になる"犯罪者"を探してたんだ
 それで運よく麻薬売りを見つけてこいつでぶん殴った、ってだけ」

【言葉の通り、彼女が纏う着物はボロボロ、肉付きも悪く食べ物に困っているのは本当だろう。嘘をついている様子は無い】
【しかしさらりと語ったが麻薬売りをぶっ飛ばしたならば、その"上"に居る奴らが、つまりは暴力団やらマフィアやらに喧嘩を売ったに等しい】
【面倒ごとに首を突っ込んだ事、少女は気づいているのか気づいてないのか】

//いえいえ、大丈夫ですよー
23 :【創符帖録】御札を創造する巫女さん  ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/06(水) 21:07:31.60 ID:nkh9o98+0
【星の瞬く静かな夜】
【星空を眺めながらの散歩帰りの巫女さん】
【神社へと戻る道を歩いている】

(帰ったらお昼に干しておいたお布団を敷いて眠りましょう)

【なんて考えながら暗い夜道を行く】
24 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 21:18:34.15 ID:mL0iGUYHo
>>21

 死の中に、それはごく自然と侵入する。
 デュラハンに牽かれるコシュタ・バワーを彷彿とさせるそれは、
 緑髪碧眼の女を乗せた、夜闇の如き黒馬。
 まるで、午後のティータイムでも楽しむかのような平然とした微笑みに、
 天道八雲は真っ赤な炯眼を向ける。
 その右目は切り傷で潰されており、左目だけがぎょろりと女性を睨みつけていた。

「──殺し方に上等もクソもあるかよ」

 そう返しながらも、八雲の瞳は、その動きを隠すこと無く女性を観察する。
 何者なのか、何故ここにいるのか、所持している武器はあるか。
 あらゆる警戒の乗った視線で、上から下まで睨めつけた。

「俺を首吊り部隊としって声を掛けて来る奴には、
 ロクな奴がいねぇってのが相場だが……。
 ……テメェは何者だ?」

 その声色には余裕があれど、許容はない。
 未だハッキリとしない薄いものだが、殺意すら込められている。
 そんな、刺々しい声だった。
25 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/06(水) 21:29:05.34 ID:qOjagbcoo
>>22
>>22
【二人で警察への道を歩く】
【大男を少女に引きずらせるのは面白くなかったのか、竜人、アルフィラが今は背負っている】
 話を聞くと、少女は面白いでも大した話でも無いと断り、何があったのかを語った。
なるほど、面白くも大した話でもない。
フリーの異能者によくある賞金稼ぎを行っただけだというよくある話。
目の前の少女は小さく細いにもかかわらずそれだけの力があったというのだ。

 それは、とても面白そうな原石だということだ。
しかし、面白くないこともある。
そんな原石がこんなつまらない生活をしているということだ。
少女のような存在は、良い物を食べて、道標となる年長者に磨き上げられて輝くべきだろう。
たとえ親がこの世を去ったのだとしても、少女のような存在は世界が無視できないのではないのか。
そんな考えが、柄にもなく頭をよぎる。
だからだろうか、こんな問いが口から出たのは。

「剣士さんも、小さくて細いのに大変なのね」
「ところで、なんでそんな生活をしてるの?」
「食べ物をくれる人とか、剣を教えてくれる人とか、そういう人は居ないみたいだけど?」
勿体無いわ、私が育てちゃおうかしら?

【そんなことを無責任に口走る】
【この言葉が何をもたらすかは未だわからない】
//しまった!名無しになってた!
//申し訳ない!
26 :【風馬鉄槍】 ◆I5e7gQqFe2 :2016/01/06(水) 21:38:57.57 ID:GhIF0CZfo
>>24
おお、怖い怖い
真っ赤な隻眼に睨まれても全く動じることはない。
右目の切り傷にすら気を止めることはない
ただ、親しい友にでも会ったかのように、笑む

「それはどうでしょうか。
ジャック・ザ・リッパーって知ってますか?大昔に霧の都に現れたとも現れなかったとも言える殺人鬼。
犯行の特徴は、臓器を摘出されてること」

つまりは、この男も歴史上の殺人鬼と同じく拘る者と思っていたのだ
自分の流儀に合うように、不必要な殺し方をすると
だが、それは思い違いだったようだ

あらゆる警戒の目を向けても、無意味
情報は少なすぎるのだ。
ここを訪れた理由は何となく散歩をしていたら。
武器はない。
肌がやや白いくらいしか何者に辿り着ける可能性は、ない

「うーん…そうですねー…何者、と聞かれても困ります
風間奏、ただの一般人と名乗っても納得しないですよねー…」

露骨に、困ったかのように顎に手をやり考え込む
場違い、先ほどの笑みと合わせても誰にでもそう思えるだろう
何せ殺気にすら動じていないのだから
感じてはいるが、動じていない

「こう言えば、納得しますか?
エフゲニア・リムスキー=コルサコフ。ただの少佐さんです、って名乗ったら」

楽しげに笑いながら名乗る
その名乗りすら、場違いだろうか
この女には、合わないだろうか
27 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 21:50:36.52 ID:mL0iGUYHo
>>26

 少佐。そして、名前。
 恐らくは、祖国の軍に関係する者。
 そう判断し、八雲はより一層目を細める。

「拘ることは決して上等である事には繋がらねぇ。
 拘ろうが、芸術的であろうが、見事な手腕であろうが。
 殺人というクソを飾り付けてるだけだ」

 地の底を這いずるような、そんな声色。
 殺人という行為に対する、尋常ならざる嫌悪──否、怒り。
 それを隠すことなく、八雲は問う。

「それじゃあ、聞くぜ。
 エフゲニア・リムスキー=コルサコフ少佐殿」

 その右手の平から、鈍色が伸びる。
 ゆっくりと、ゆっくりと、だらりと下げたままの手から。


「テメェは、人を殺したことがあるか?」


 そして、軽い金属的な音。
 その問いと同時に上げた八雲の右手には、
 どこから出したのか、太刀が一振り、握られていた。
 その鈍色の切先は、月光を反射しながら女性に向けられている。
28 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/06(水) 21:51:30.23 ID:4H8Ep2E60
>>25
【小さくて細い。分かってはいるがはっきりと口に出されるとあまり気分の良い物でもない】
【そんな文句を口にしようとする前に、質問はまたやってくる】

「親は殺された。誰も引き取ってくれなかったから一人で生きてるだけ」

【と、返したのは随分簡素な答え。】
【相手は自分に随分興味を持っているようだが此方からすれば初対面。自分の事情全部、話してやる気にはならない】
【少女が誰かに助けを求めているなら、それを期待して何もかもを話したかもしれないが】
【少女は今の状態を別にどうとも思っていないのだ。先の見えないその日暮し、それでいつか倒れたって構わないとすら思っている】

「勿論食べ物をくれる人は居ない。だからそいつを殴ったわけだし
 剣も・・・・・・教えられたわけじゃない。押し付けられたんだ。」

【質問に全て答えて、最後はある提案。育ての親になってやろうか、と言うもの】
【口調は軽く冗談のつもり、ということもないか。冗談でもこんな事をいう人は居ないだろう】
【しかし本気ならば―――なぜ、であって少し話しただけの自分を育てようなんて言うのだ】

「それに答える前に、なんでそんなことを思ったのか聞かせてくれる?
 あたしの何が勿体無いなんて思ったのか」
29 :【風馬鉄槍】 ◆I5e7gQqFe2 [saga]:2016/01/06(水) 22:01:06.37 ID:GhIF0CZfo
>>27
「へぇ…殺人が、クソと
いいですね、私もそのように思いますよ」

うんうん、と頷き同意する。怒りに流されたわけではない
このとき、エフゲニアは本心から同意していた
殺人とは、忌むべきことだ。根絶されるべき行為だ。
最も、なくてはならない悪ではあるが。

「はい、ありますよ
世界から見たら小さくて、私から見たら大きな戦いの中で嫌になるほどには」

軽やかに馬から降りて答える
真っ直ぐに、切っ先を正面から捉えて答える
いつの間にか、笑いは終わっていた
30 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/06(水) 22:05:44.43 ID:qOjagbcoo
>>28
 なるほど。少女の答えは嘘では無いが全部でもない。
自分の身の上を語りたがらない人間はよくいるものだ。
話したくないならば、まぁそれでいいだろう。

 今もっとも重要な話題は、少女からの問いである。
なぜ、少女がもったいないのか。それはアルフィラにとってはとても簡単な答えだ。

「剣士さんの何が勿体無いか。それは剣士さんのその力よ」
「剣士さん、そんな大きな剣を軽々と担いでるし、剣をくれた人だってきっとあなたの力を見ぬいていたんじゃ無い?」
「そういう他の人にない唯一無二を持っている人間が、自らを磨き上げられず飢えて死んでいくなんて」
そんなのは面白く無いわ。

まず、そう言い切る。

「だからまぁ、私が育っててみようかなって思ったのよ」
子育てなんてやったこと無いけどまぁなんとかなると思うし


【そういい歩いていると、繁華街の中の空白地と言ってもよい所に出る】
【このまま歩いていけば、後しばらくで警察へと着くだろう】
【しかしここで一悶着が起こったとしても、警察はすぐには来られない。そんな場所だ】
31 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 22:08:08.93 ID:mL0iGUYHo
>>29

 ぎちり、とそんな音がした様な錯覚。
 笑みを消した女性とは逆に、八雲は笑みを浮かべていた。
 否、正確に言えば、その顔は笑みの形に“歪んでいた”。
 歯を剥き出し、まるで獲物を前にした獣の如き形相。

「そうか、あるのか──」

 彼は刀を左手に持ち替え、峰で己の肩をトントンと叩く。
 嘆息混じりに吐息を吐き出し、そして。

「──じゃあ、死ねよ」

 “右手に握った小太刀”を振りかぶり、疾走した。
 その右手は、剣を生み出す。
 悪を──殺人という忌むべき行為を行う者を、斬殺する為に。
 一歩、二歩、三歩。最小の動作で最短の距離を突き進み、
 八雲は渾身の力で、女性の喉へ目掛けて小太刀を突き出した。
32 :【風馬鉄槍】 ◆I5e7gQqFe2 [saga]:2016/01/06(水) 22:21:50.11 ID:GhIF0CZfo
>>31
ゾワリ、空気が歪んだ気がした
あの笑みは、知っている
捕食者の笑みだ、食らうべき獲物がそこにいるときの、残忍な笑みだ

「ええ―――ですから」

右手を黒馬へ伸ばす
黒馬に触れても、その先へと
そして、黒がエフゲニアの身体に絡みつき―――

「あなたも、殺してさしあげましょうか?」

金属音、小太刀は黒金を突いた
真っ直ぐに、ブレなく小太刀が突き出されたのならば黒き鋼に覆われた左手に刃が抓まれているかもしれない
だが、その前に刃を阻んだのは鎧
今のエフゲニアを覆う黒き鋼の一部だった
左手で刃を抓めようが抓めまいが関係なく右腕がゆらりと持ち上がる
黒金に覆われた右腕、それは黒き巨槍を握っていた
そして、それを無造作に横凪に振るう
それは円錐状のランス、斬る用途では使えない
だが、大質量で吹き飛ばすことぐらいは、容易い
33 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/06(水) 22:27:25.07 ID:fxFe2U2lo
暗い路地裏。

くる、くる、くる、くる、と。
何度それは回っただろうか。右手の人差し指を軸に、もう百を優に超える数字を回り続けたそれが、また止められた。
回転弾倉を持った古い拳銃。それは然し、何処にも照準を合わせることは無く、只管にもてあまされて、回転を続けていた。
その持ち主。黒い帝國の軍服に、インバネスコートを纏い、軍帽を被った、まだ齢十三の少女は、その拳銃と同じように、随分と退屈そうな顔をしていた。

「まだ、來ないのか」

本来であれば、この時間に、同じく帝国の軍人と合流する手筈であったのだが。如何にも、連絡も来なければ、本人が来る様子も無い。
理由は理解している。階級は自分よりも低いが、経験も年齢も実力も遥かに高い暗殺者としての先輩に当たる人間であるが、欠点があるが故。
人を、必要以上に斬る―――――――――――― それが、また悪影響を及ぼしているのだと。
実際、この合流は大したものではないのだから、ある程度遅れても大したことでは無いのだが。寒い中、待ち惚けを食う身にもなって欲しいものだと思いつつ。

「……ほうら、面倒臭いことになる。こんなところで、長く突っ立っていれば」

呆れたように、そう言った。
何人かの、スーツを着た屈強な男達だ。何を言っているか詳しくは聞かなかったが、どうやら仕返しに来たらしい。
この前殺した、ヤクザ者の仲間か、と。そういう推測をしながら、銃を握り締めるが。
ここで暴れては、待ち合わせの場所は変更になる―――――― どうするべきかと考える。
34 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/06(水) 22:32:15.65 ID:4H8Ep2E60
>>30
【ああ、ああ、嗚呼】
【返ってきた答えは思いつく限り――― 一番聞きたくなかった答えだ】

「―――やっぱり教えたげるよ。あたしの事」

【声色が少し、変わった。隠しているつもりはあるようだが、しかし隠し切れない黒い感情がまじっている。】

「あんたが勿体無いって言ったこの力はさ・・・・・・
 あたしの両親を犠牲に押し付けられた物なんだよ。この剣だって貰ったわけじゃない。」

【その声には確かに"怒り"が混ざっていた】

「あたしの家は能力者の家系で、ついでに頭がおかしくてね。どうしても一族は強く在らなきゃいけないと思ってたんだ
 そんな家に生まれた無能力者があたし。陰口を言われたり、邪魔だって思われるだけなら良かったんだけどね
 弱い無能力者をどうしても許せない奴がさ、あたしの両親を生贄にしてまであたしに力を押し付けたんだ
 ・・・・・・お父さんとお母さんだけがあたしを可愛がってくれてたのに。それすら奪われて力だけ与えられたんだよ」

【溜まっていたものを吐き出すように語り続ける。そして遂に】


「―――あたしは強くなりたいなんて、ちっっとも思ったこと無いのに!!」


【叫ぶ。今まで目立った感情を見せる事の無かった少女が】

「だから残念ながらあんたの楽しみにはなってやれないよ
 もういいんだあたしは。
 適当に生きて、適当に[ピーーー]たらそれで。」
35 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 22:44:41.19 ID:mL0iGUYHo
>>32

 突き出した小太刀を阻むは、黒金。
 重厚な鎧は、八雲の作り出したなまくらなど、容易く弾く。
 それを確認するや否や、八雲は小太刀を引こうとする。
 しかし、黒金に包まれた女性の左手は、その刃を掴み、固定する。
 力任せに引けば、奪い返すことは出来ただろう。
 しかし、その一瞬が命取りになることを、八雲は知っていた。
 無数の戦いに身を投じ、幾千の攻撃を受け、幾万の命を裂いたからこそ、
 八雲は、女性の変化の細かい所まで、把握する。

「安心しろ。
 俺はテメェらを皆殺しにするまでは、死なねぇ」

 振るわれる槍を見ながらも、八雲は冷静にそう返した。
 女性に掴まれた小太刀を手放し、左手の太刀を両手に持ち替える。
 そして、横薙ぎに振るわれる巨槍へと、その刃を力任せに振り下ろした。
 直後、炸裂する破裂音。
 金属同士がぶつかった音ではなく、
 例えるならば、物が高高度から地面に叩きつけられるような、そんな音。
 それと同時に、八雲の身体は後方へ数mほど弾き飛ばされる。

「──テメェらを皆殺しにするまで、死んでたまるかよ……!」

 ザリザリと一条の黒い帯を地面に刻みながら、八雲は着地する。
 靴底が溶けて地面に絡む程の速度で吹き飛ばされた八雲は、
 しかし、一切の驚愕も焦燥も持ち合わせていない。
 何故ならば、八雲は槍を“受けていない”からだ。
 女性も手応えで分かるだろう。
 八雲の身体は、槍と刀がぶつかるよりも速く、後方へと吹き飛ばされた事が。
 その理由は、単純明快。

「殺人者が、生きていい道理はねぇ!」

 八雲が居合の構えの如く抜身の太刀を脇に置くや否や、その切先から破裂音が響く。
 同時に、弾かれるように、八雲の身体は巨槍を振り終わった女性へと肉薄する。
 その太刀が宿すは、“衝撃”の性質。
 衝撃波、或いは斬撃の威力。そして、今の様な加速を齎す能力である。
 その衝撃を放った刀によって推進力を持った八雲の疾走は、まるで弾丸。
 そして、彼は女性の眼前へと再度踏み込むと、左下から右上へと、
 女性の右脇腹から進入する様に切り上げる。
 衝撃の性質を宿した、高威力の斬撃で──。
36 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/06(水) 22:54:54.72 ID:ZpNUcNrf0
前スレ>>964 【五行制札】

【背負うものがある、居るべき場所が存在する。】
【それはこのフリーター少女にとっては、想像にし難いものだ。】

「神社の関係、訳わかんねーです」

【ズバッと斬り捨てて、辺りを見渡す。】
【勿論、この近くにあるらしい倉庫、その中の財を頂く為である。】
【だが、どこまで見てもそれらしきものは見当たらない。】

「そもそも、こんなちゃんとした神社内にそんなものあるんですか? あるにしても、もっとこう、蔵っつーか……」

【と、尋ねてみる。】

//すみません、ネット環境から離れていました
//一声も掛けず消えてしまい申し訳ありません……
37 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/06(水) 22:55:52.90 ID:qOjagbcoo
>>34
 なるほど、自分は逆鱗に触れたようだ。
少女の感情のを見て、アルフィラはそう判断する。

 両親を奪われ、その生命を代償として押し付けられたその力は彼女の生来のものではなく。
弱い少女は与えられた力に縋って生きている。
 ……実際の所、少女の悲しみ、怒り。それらを理解できるかといえばアルフィラにはできなかった。
竜人であるアルフィラは、自我を自覚したその時から一人で生きてきたからだ。
だが、今はそんなことはどうでも良い。

「そんなつまらないこと、言わないでよ」
「正直言って人間のそういうゴタゴタってよくわからないんだけど、聞いてる限りその力は剣士さんの親の力みたいね」
「只人が持てるものでは無いその力を身に閉じ込めて、そんな小さな身体にそんな強大な力を押し込めて」
「そんな風に正気で生きていられるなんて、剣士さんはやっぱり唯一無二のものを持っているわ」

それはきっと両親の愛とかそういうものだろう。
アルフィラは心のなかでそう思い
それに、と言葉を続ける

「親の力に生かされているのに、適当に適当に死ぬなんて許さないわ」
「それが許されるのは、その身に秘めたものを美しく輝かせたものだけよ」
そしてそれができる人間は、きっと他の人間にその輝きを教えて逝くのよ。

【そう言葉を切ると、担いでいた男を遠くに置きに行き戻ってくる】
【そして少女に向き直ると、軽く構える】

「感情が抑えられないなら、暴れなさい」
--私が相手になってあげるわ。
38 :【風馬鉄槍】 ◆I5e7gQqFe2 [saga]:2016/01/06(水) 22:58:43.44 ID:GhIF0CZfo
>>35
左手に抓んだ小太刀。それを器用に持ち替えて手に取る。
エフゲニアには剣の技能はない。扱うことはできない、がだ
その動作中、先の一撃が防がれたと知覚する。
手応えはない。自分から吹き飛ばされたのだろう。
だが、それがどうしたというのだ

「ならば、あなたも生きていい道理はないですね
私は死にませんよ?死にたくないですしね」

槍を凌いだ時と同じ破裂音、恐らくこれが鳴った後に高速移動をするのだろう
そこまで理解したうえで左手に持った小太刀ですぐそこまできていた斬撃を受け止める
均衡はわずかな間、たちまち小太刀にヒビが入るだろう。
これは強度の問題ではない。単なる扱い方の問題だ。
どんな名刀でも、扱いを間違えれば一瞬で折れる。そういうことだ。
一秒も持たずに小太刀は折れてしまう。だが、その前に質量任せの槍の横凪が迫る。
小太刀を打ち破ることに気を取られれば、大質量の打撃をもろに受けてしまうであろう。
槍撃は、風をも切り裂き迫りくる―?
39 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/06(水) 23:20:45.70 ID:Ja9Bv5uao
>>36

「そうじゃろうのう・・・。
一般人には分かり難いとは思うんじゃ。」

【神社同士の関係など一般人にはおそらく分かり難いであろう】
【ただ、この巫女はその関係に苦労しなければならんのだが】

「ほう、蔵、か・・・。
・・・、ん?あれは・・・?」

【蔵、という言葉を聞いてあらためてあたりを見回す】
【すると、神社の裏に小さな蔵があることに気づき】
【そちらに向け歩き出すのだが】

//大丈夫ですよー!
40 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [sage saga]:2016/01/06(水) 23:26:45.30 ID:BuYVk6Tj0
>>33

焦燥に渇いて繰り返される荒い息は、路地裏の闇に仄かな白さを溶かして消える。
走り慣れていない革靴がコンクリートを叩く、不安定かつ懸命な足音がその少女へと近付く。
酷く噎せ返るような咳が、時折吐息の中に含まれていた。湿ったそれからは微かな血の香りがした。
やがて足音の間隔は間延びし始めて、そしてついに止まった。それでもなお荒い呼吸は止むことがなかった。
足音が止んだ理由は、けして足音が逃げ果せたからではない。単に、足音は走ることができなくなったのだ。
荒い呼吸は、一際大きく冷たい空気を吸い込んだかと思えば、喉の奥に蔓延った熱を吐き出した。
「 ――― う、ェっ………げほ、ッ………!!」酸に溶けた鉄の匂い。げぇっ、と呼吸が吐き出したものの殆どは、単なる胃液のみであった。

「 あ、のッ ――― ………すみま、せん。そこの、人。」

ふらついた足音が、さらに一歩。未だ呼吸に絡みつく病的な熱。それでも―――"彼女"は、その少女に声をかけた。
目前の男たちなど意にも介していなかった。彼女はそれらが己を庇護しないことを知っていた。
黒と赤の、所謂"ゴシックロリータ"に身を包んだ、齢六つにも満たないであろう、小人のような少女である。
細く腰にまで伸びた長髪も、渇いた吐瀉物と血痕の残った端正な顔も、その悉くが白かった。蒼白と呼んで差し支えないほどに――しかし、それは正確でないのかもしれない。
覆し難い病を患っている故に、その顔立ちが美しく変貌するのではない。ならば彼女も、その例外ではないのは自明である。
フリルのついた黒いカチューシャは、饐えて張り詰めた空気の中で動くことはなかった。

//まだいらっしゃるようでしたら、お願いできますか………?
41 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/06(水) 23:34:47.77 ID:ZpNUcNrf0
>>39
【だが、自分が理解できない世界に生きて、その役割を果たす人間は掛け値無しに素晴らしい。】
【この巫女はやはり、只者ではないのだろう。】

「でも、あなたが立派な巫女さんなのは分かりました」

【少女がそう笑いかけて、いい事言った“風”を装うと、巫女は何かを発見する。】
【どうやら、少女の疑問は的外れではなかったようだ。】
【一致した二人の視線の先、いかにもな蔵がさもありなんと建っている。】

「お、やっぱりでしたか。じゃあたぶんあそこでしょうね……あれ、鍵とか持ってんですか?」

【古い蔵とはいえ、そう簡単に解錠などできるものではない。】
【不安になり、巫女に質問してみる。】
42 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 23:39:51.72 ID:mL0iGUYHo
>>38

 後方に吹き飛ぶ視界。
 刹那の空白と共に音が消え、直後、八雲の鼓膜を金属音が叩く。
 眼前には小太刀。先に手放したものだ。
 それを盾とされた事に気付き、八雲は舌打ちを1つ。
 あの時点では仕方が無いとはいえ、自分の迂闊さの結果、武器を利用された。
 剣士としての誇りなど無い八雲ではあるが、その非力さに己を恥じた。
 達人と呼ばれる者達ならば、あの程度は容易く対処したであろう。
 そう、目の前の殺人者の如く。

「────……安心しろよ、俺も、テメェも死ぬ」

 鍔迫り合いの中で呟く。
 殺人者は死なねばならない。
 それは誓いという名の、強迫観念。
 この世の全ての殺人者を殺し、最後に己という殺人者を殺す。
 そんな狂気に塗れた正義ですら無い目的を持ち、八雲は剣を振るう。

「らぁッ!」

 力任せに太刀を押し込み、小太刀を砕く。
 破片が舞い、完全に破壊を確認。
 次こそはその首を狩る、と八雲は女性の顔を睨みつけ。

「────────……ぁ?」

 次の瞬間、八雲の視界はその体ごとぶれる。
 ミシミシと、嫌な音が耳朶を叩き、八雲は視線を落とした。
 巨大な槍が、己の脇腹にめり込んでいる。
 理解できたのは、それだけ。
 小太刀に気を取られ、完全に意識外に置いて“しまった”槍は、
 八雲の認識よりも速く、脇腹へと食い込んでいた。
 ──否、それだけでは止まらない。
 驚くほどスローになった視界の中で、槍は更に八雲の腹を蹂躙する。
 肋骨が砕ける音が響き、靴底が地面から離れる。
 呼吸が止まり、ようやく痛覚が働き始めた瞬間には、既に八雲の体に自由は無かった。
 出来たのは、その後の自身の肉体の行く先を考え、咄嗟に握る刀を消す事だけ。
 力任せの暴風。まるで竜巻に巻き込まれたかの如く、八雲の体は吹き飛ばされる。
 衝撃で逃げた時よりも速く、遠く、数m以上を滑空し、更に数mほど地面を転がる。
 第十肋骨が砕け、全身を殴打し、街灯に強く背中を打ち付け、八雲の体は停止した。

「ぁ……カハッ……!」

 呼吸を取り戻すと、肋骨がそれを阻害する。
 全身がバラバラにされた様な激痛。
 右手、良し。左手、良し。右足、左足、共に良し。
 四肢の動作を確認し、八雲はゆっくりと立ち上がる。





//続きます
43 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/06(水) 23:41:19.05 ID:mL0iGUYHo
>>38

 駄目だ。こんなんじゃあ、駄目だ。
 最初の言葉が、頭蓋の内を反響する。
 聖王の騎士団との戦争では、リチャードの策略にハマった。
 自身の得た情報がデコイだったせいで、何人も死んだ。
 その前も、その前も、もっと前も。この残った左目が映す原風景でさえも。
 己のせいで、人が死ぬ。
 ──何故か? そこに殺人者が在るからだ。
 ──何故止められない? 己が弱いからだ。
 何が足りないのか。思考する。思考する。思考する。
 鈍(にぶ)っていた、鈍(なま)っていた。
 覚悟が、力が、何もかもが平和の内に濁っていた。
 もっと、研ぎ澄ませろ。もっと、集中しろ。
 殺人者に向かう時、この身はここまで愚鈍では無かった。
 もっと、もっと、もっと、純粋に殺意のみを、鋭く刻め。


「──────我が身既に鬼なれば」


 右手が、刃を生み出す。
 断罪の為の、断頭の剣を。


「──────我が心既に修羅なれば」


 それは、漆の如き黒い刀身の太刀。
 漆黒に雪の様な波紋が広がり、八雲の手に握られる。
 分類上は太刀。しかし、その刀身だけを見るならば、大太刀の如き物干し竿。
 それは、八雲の覚悟そのもの。
 鬼であろうと、修羅となろうと、悪を討つ刀。
 故に、その名は────。



「────── 罪 悪 必 滅 」



 修羅切天道──と、云う。
 その太刀を両手で持ち、下段に構える。
 まるで、切先で地面を擦るように、だらりと腕を垂らし。
 ふっ、とそんな音がしそうな軽い足取りで踏み出す。
 ぎしり、と折れた肋骨が呼吸を止め、筋肉を痙攣させる。
 しかし、覚悟は、意思は、殺意は、それらを捻じ伏せ八雲の肉体を稼働させる。
 そして、次の瞬間。

「俺は、正義の味方じゃなくていい。
 悪の敵で、在ればいい──」

 破裂音。再度、衝撃による移動。
 しかし、先とは違う点が1つ。
 それは、速度。先よりも遥かに速く、鋭く、八雲の体は疾走する。
 その背にあるは、暴風。
 かつて八雲が左手で喰らった、数百kgの鉄塊すら吹き飛ばす天狗の風。
 その風と衝撃の効果で、八雲の体は音に匹敵する速度を叩き出す。
 そして、飛翔。女性の頭上に跳ね上がり、八雲は再度衝撃を弾かせる。

「雄々ォオオオオオオオオオッッ!!」

 衝撃と、暴風と、重力。その3つの力を乗せた一撃。
 それが上空から、真っ直ぐと女性へと叩き落とされる。
 兜割。そう形容されるべき、頭蓋から入りその身を真っ二つにする、一撃が──。
44 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/06(水) 23:41:49.34 ID:Ja9Bv5uao
>>41

「ふははっ、そんなに立派な巫女じゃないぞ?
よっぽど神主のほうが凄い、今までの教えを引き継いどるからの。
最近は蛇帖録を・・・、いや、なんでもない。」

【最後の方は言葉を濁す】
【よほど聞かれたくなかったことなのだろうが】

「いや、鍵なんかいらん。
こいつを使えばよかろう。」

【そういって札入れから取り出したのは「金」の札】
【それを己の拳に貼り付け、鉄化させると】

「ぐおらぁああっ!!」

【思いっきり鍵のかかっているところを殴った】
【するとボロいのが幸いしてか、すぐ破れて】

「それじゃ、いただくとするかの。」

【なんて冷静に蔵の中に入っていく】
45 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/06(水) 23:43:01.26 ID:4H8Ep2E60
>>37
【唯一無二、だからなんなんだ。そんなことに興味は無いんだ】
【弱くても良い。陰口を言われたって構わない。ただ両親とともに幸せになりたかっただけ】
【しかしそれはもう―――決して、叶わない】
【ただ、親の力で生きているのに適当に死ぬなんて許せない。その言葉だけは少女の胸に少し響いた。】

【少女は剣を振り上げ、降ろす―――しかしそれはアルフィラに触れる事は無く】

「叫んで、少しは頭が冷えたよ
 それに・・・・・・親の力を、話してくれる人に向けたくない」

【すっ、と。剣はまた少女の肩に戻った。】
【言葉の通り、この力は生贄になった親の力そのもの。それをアルフィラに向ける気にはならなかった】

「輝き・・・・・・か」

【どんな形であれ、どんな力に縋ってだって自分は生きている】
【ならば適当に生きるだなんて言わずに輝いてみせる方が、両親への弔いになるのだろうか】

「わかったよ・・・・・・こう考えるのは、やめる」

【言葉にまじる怒りはすうっと消えて、ついでに最初の頃よりは少し丸くなった声】
【無意識に少しだけ、少女はアルフィラに気を許したようだ】

//すいません悩んで遅れました・・・・・・
//続きはまた明日よろしくお願いします!
46 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/06(水) 23:52:21.36 ID:ZpNUcNrf0
>>44

【神主。巫女の口から幾度も出ているその存在は、この巫女からかなりの信頼を置かれているらしい。】
【どんな人間なのだろう。この巫女よりも強いのであれば、もう手も足も出まい。】
【そんな邪な気持ちを境内で巡らせる。】
【と、何やら気になることを巫女が口を滑らせる。】

「じゃ、ちょう、ろく?」

【文字にして浮かんでさえいないようで、少女は語を切れ切れにして聞き返す。】

【おかしい。やはりこの巫女おかしい。】
【その一存だけで神社内のものを破壊して良いのか。しかも態々自己強化してまで。】

「……怒られねーんですか、それ」

【呆れたように苦笑し、巫女の後を追いながら一応だが訊いてみる。】
47 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/06(水) 23:54:47.83 ID:fxFe2U2lo
>>40
一触即発、引き金を引くか引かないか。そんな状況だ。向こうも、自分も、相手の出方を待っている、という状況だった。
カチリ、とハンマーを下ろす。それと同時に、男達も銃を抜く。数で優る有利、それを卑怯と罵ることはしないし。それでも、負ける気は無かったが。
何処から狙うか、何を狙うか、どれを狙うか。酷く、思考は空転を続けていたが。それは、余りにも以外極まりない方法で、終わりを告げた。

「―――――――――――― え?」

余りにも突然な闖入者。一瞬、其処に僅かな思考の空白が出来た。勿論、軍服の―――――― 立華京香にも、それは例外では無かった。
小さな、小さな少女だった。齢は五才ほど、まだ小学校にも通っていないのではないだろうか。
病的なまでに白い肌に、まるで作り物であるかのように端正な顔立ち。それから、そんな少女には似合わないような、嘔吐物の跡。
何か、この世のものでは無いような気すらした。騒がしい中に唐突に起こる、一瞬の事を「妖精が通った」なんて例える友人のことを思い出したが。
正しく、それは妖精か何かの類であるように見えて。

「……いや、こっちが先だ!!」

然し、思考の空白から抜け出す事が出来たのは、先ず立華の方からであった。
六発もあれば上等で、引き金を引き始めてから二秒もあれば、三発で男たちの頭部を撃ち貫いていた。
勿論、銃声は響く。待ち合わせ場所は変更する事になるが―――――――――――― それよりも、その、異様な乱入者の事が、気になった。


「―――――――――――― え、っと。わた、し?」


少しばかり、返答は遅くなったが。彼女のかけた声に、立華はようやく答えた。
或いは幻覚かとも思ったが、どうやらそうでもないようで。この世の物でないような。然し確かにそこにある彼女に。

/大丈夫です!まだいますよー!
48 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 00:00:49.89 ID:X4qtDgBuo
>>46

「い、いや。何でもないぞ?」

【顔面に満面の笑顔を浮かべて少女に訴える】
【どうやら、その「蛇帖録」とやらはあまりバレてはいけないものらしいのか】
【特に、正義には・・・、であるが】

【鍵を破壊して蔵の中に入ると、金銭やら登記簿やらいろいろ入っており】
【巫女はこれをみて歓声を上げる】

「おぉーっ、これほどあるとはな。
ああ、怒られはせんよ。蛇神様のお伝えじゃからの。」

【そして巫女は金勘定に入るのであるが】
【いかにも怪しい雰囲気を醸し出す】
【まるで、盗ろうとでもしているかのような】
49 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 00:13:25.62 ID:WU//+w5Q0
>>48
【貼り付けた満面の笑顔、急などもり、その身振り手振り。】
【何処をどう執れば怪しくないと言えるのか。そのような巫女の風体では、少女も黙っていられる質ではない。】

「なんですか」

【先程より簡潔に、言い口は冷血に。少女は巫女の返答を待つ。】

【蔵にあったのは夥しい量の財、財、財。これを一端の神社が有するのは、滅多にない。】
【金にがめついようで、巫女は早速その算用を始めだした。】

「あんたホントに巫女ですか……」

【と、先程より深めに呆れてみせる。】
50 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 00:18:14.37 ID:WU//+w5Q0
>>48
//すみません、まだ短いですが寝落ちしてしまいそうで……凍結でもよろしいでしょうか
51 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 00:19:35.75 ID:X4qtDgBuo
>>49

「そこまで言われるとのぉ・・・。
まあ、一家に伝わる伝承を纏めた巻物じゃ。」

【内容まで話さない、いや話すわけには行かないのか】
【巫女は簡単にそれだけ説明をする、少女はこれで納得するか】

「ああ、確かに巫女じゃよ・・・?
ただ、うちは普通の神社とは少し違う、ほら、服の色も違うじゃろう。」

【確かにこの女は巫女である、それは確かで間違いはない】
【ただ、この巫女の着ている服は黒地に青と、普通の巫女の服とは全く逆の色合いをしている】
【とどのつまり、一般大衆からしたら邪教とでも言うべきか】

「よし、勘定終わり。
これだけあると持って帰れぬからな、少しはおいておくか。」

【どうやら巫女は勘定を終わらせたようで蔵から出ようとする】
【その際少女とすれ違うはずだ、聞きたいことがあるなら聞いておいたほうがいいかもしれない】
52 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 00:19:59.69 ID:X4qtDgBuo
>>50

//了解しましたー!
//おやすみなさい!
53 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [sage saga]:2016/01/07(木) 00:34:21.06 ID:2JdQmZLVO
>>47

その白と黒の少女は、果たして決闘の立会人のようであった。銃を持つ少女と男たちとの間に生まれた一瞬の沈黙は、しかし三発の銃声によって掻き消えた。
漂う吐瀉物の臭いに、血と硝煙の香りが強く混ざる。額を射抜かれた男たちは、脳漿混じりの血を後頭部から噴きながら倒れる。
その光景やその空間に、少女の情動なき表情は何ら変化を見せなかった。冷酷などという以前に、彼女はそもそも何を感じてもいないようだった。
自らが吐き出したものに対しても、少女は苦痛を感じていないようにすら見えた。まるでそれが当然であるかのようだった。
ただ彫刻のように端正な顔立ちは、どこか物憂げに銃の少女を見つめていた。紅く仄暗い瞳であった。

「 ――― ………はい。貴女、です。」

薄く赤い唇が開く。紡がれる声は存外に大人びているようだった。六歳にもならない少女の声色ではなかった。

「突然のお話になってしまうのですが………お願いが、あるのです。どうか、聞き入れてくださると幸いです。」

「―――― 私に、"住むところ"を、お貸しして頂けませんか。」

―――そしてまた、彼女の言葉通り。彼女が少女へと声をかけた理由は、あまりにも唐突かつ不条理に過ぎるものである。
その表情を変えることなく、例え少女が何か言おうとしても、畳み掛けるように。彼女は、言葉を続けるだろう。

「豪華なところでなくても構いません。」「食べ物や服は、自分で工面します。」
「お住まいだけ貸していただければ、それでいいのです。です、から。」

「私に、"住むところ"を、お貸しして頂けませんか ――――― っ、げほっ、げほっ………。」

最後に彼女は両手と背を伸ばし、勢いよく礼をして―――礼というよりは、自動人形と喩えたほうがまだ愛着があるだろう。
そして深々と頭を下げている途中、彼女はまた酷く咳き込んだ。伸ばした手を彼女は口にすら添えなかった。こぼれた血が、コンクリートに点々と散った。
54 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/07(木) 00:55:01.67 ID:8W6D2BNIo
>>53
銃手にとって指は銃の次に大切な物。寒さで指が悴むだとか、そういう要素によって左右されるほど管理を疎かにしていない―――――― が、それは兎も角として。
そんな不可解な状況にあっても、何時もの癖は抜ける訳も無く、撃ち終えた銃を人差し指を軸に回しつつ、拳銃嚢に納めた。
本来ならば警戒してしかるべき状況なのだろうが、余りにも唐突な事と、彼女が余りにも幼過ぎる事が立華の警戒心を大きく薄めていた。
そして何よりも、少女の発言が余りにも突飛すぎる事が、次から次へと立華の思考を空転させるのであって。

「え、ちょ……えっと、えっと……」

突如指名されたかと思えば、今度は何を言うかというと、住むところを求めている、とのことだ。
何か彼女に問おうとしたが、然しそのまま流れるように言葉を続けたものだからどうしようもない。後は彼女のお願いを聞き届けるだけだ。
聞けば、住むところを貸せばいいという。服も食べ物も自分で工面するから、住むところだけでも、とのことだが、然し、それよりも。
もっと、気にすべきところがあるだろう、と。

「いや、あの、その……その前に。その」


「―――――――――――― 大丈夫?」

先程から、彼女の様子は明らかに可笑しい。その機械的な動き、人形のような様子もさることながら。
彼女は先程から、嘔吐、或いは吐血。その、正常な人間では絶対に起こさないような異様な症状を、何度も何度も連続しているのだ。
彼女の願いをどうこう言う前に、先ずそこを気にしなければならない。―――――――――――― 素に戻っていたのに気づいて一つ、咳払いをして。

「少女。その前に、私は貴君に聞くことがある」
「その"症状"はなんだ? 何故だ? 内臓がやられているのか?」

「家がどうこうとか、その前に。少女、先ずはそこから答えてもらおうか?」

先よりも、"重い"話し方に戻して、彼女へとそう問うた。
とにもかくにも、それが先だろう。家を招いた途端に、内臓破裂か何かで死んだ、なんてことになれば、それこそ洒落にならないのだから。
55 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/07(木) 01:28:13.20 ID:2JdQmZLVO
>>54

「これ、ですか。」

少女の見せた本心にも、それを厳格にする重みある声にも、やはり彼女はその表情を変えることはなかった。
返答のために、彼女は一際大きく咳き込み、喉に残る血を全て吐き出した。黄土色の混ざった鮮血を、彼女は壁に吐いて捨てた。
そして彼女は顔を上げ、少女へと答えた。開いた唇の淵から黒い血が流れ、白い顎から落ちる。

「病では、ありません。……"追ってくる人たち"から逃げる時に、"力"を使いました。」「その、……代償と呼べば、いいのでしょうか。」

しかし彼女のその言葉は、今までのように事実を無感動に述べているようではなかった。
追跡者の正体についても、曰く「代償」についても、彼女は最低限の言及のみを行っていた。
秘めておくべき事実なのか、語れない事実なのか、或いは語ることを求めていないのか。それが少女への浅い信頼故なのか、またはそれを上回るだけの理由を孕んでいるのか。
一切は不明であったが、しかしそこに至って初めて、彼女は感情の動きに近しいものを見せたようだった。

「心配なさらないでください。多少、身体に負担をかけていることに、違いはありませんが。」
「力を使ったから、その反動を受けた。――― 当然のこと、です。それに、」

そして続く言葉は、その話題をこれ以上続けることは求めていないという、彼女からの意思表示でもあるようだった。
だが同時に彼女は、その本心から"代償"は、疑いなく甘んじて受けるべきものであるとも思っているようだった。
故に彼女の"当然"は、世俗からは酷く懸絶していた。――― 彼女は、己が"世俗"になり得ることさえ、自身によって認めていないのだから。

「――――― どうせ、"紛い物"の身体です。」

――――――――― 少女の表情に、影が生まれた。微かに彼女はその白い眉を顰めた。そして、俯いた。目前の彼女から、視線を逸らした。
56 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/07(木) 01:59:39.25 ID:8W6D2BNIo
>>55
立華は、遂には酷く困った顔をして見せた。如何にも面倒な事情を抱えているように見える。
だが、これ以上はきっと語りたがらないだろう。其処に感情のようなものを、ようやく垣間見える事が出来たことからもそれは分かる。
力と、代償。それが何なのかは分かる。それは立華が持っているものと、殆ど大差の無い物だろう。
紛い物の身体なんて言い回しをするくらいなのだから、彼女が人工能力者なのか、それとも彼女が作り物なのか、とか色々と推測は出来るのだが。
ただ確かなのは、間違いなく彼女に関わるのは面倒極まりないということだ。それは理解しているし、立華以外の部隊の人間ならば、間違いなくこれを突っ撥ねるだろう。
合流予定の相手が未だに来ないのは恐らく不運に位置するのだろう。立華は―――――― 然し、このような小さな少女を見過ごす事が出来ないのだ。

「……うぅ」

実に、悩ましい。彼女の事を放っておけないが、かと言って自分の役割を疎かに出来る訳でも無い。
どうすべきか、酷く悩んだ。そして、幾許か、小さく呻き声を漏らしながら、軍帽の奥のまだ幼さが残る顔を、酷く眉を顰めて歪ませた後。
ゆっくりと。拳銃嚢へと手を伸ばした。それから、其処に納めた古めかしい拳銃を引き抜いて、弾倉を回転させる。
カチ、カチ、という音を連続させながら回転する弾倉は、やがてピタリと動きを止めて。その銃の撃鉄を、親指で下ろし。そこで、彼女を見据えた。
随分と、色々な色が混じった姿であるが。


「見て分かる樣に、私は帝國の軍人であり、暗殺者だ」

「であれば、輕々と他人を家に上げる譯にもいかない。正しく、自殺行爲と言えるだらろ」

「然し、幼子を見捨てたとあれば、私の道理に傷が附く。此れは最早私の天秤では測りきれん。で、在るが故に」



「―――――――――――― 二發、彈が入っている。彈の數だけ引き金を引く」
「頭に穴が空かなければ、お前の勝ちだ。彈が入っていれば、お前の負けだ。私を恨むな、恨むなら佛さまを恨め」


そして彼女へと向けて、回転弾倉式拳銃を突きつけるだろう。
勿論、すぐには引き金は引かない。彼女が、それを拒絶するかどうかを選ぶ事が出来るだけの時間は、渡すだろう。
そして、それを受け入れると言ったのならば。今度こそ引き金に指をかける。狙いは勿論、彼女の眉間であり。其処を撃ち抜かれれば間違いなく、人間であれば、死ぬだろう。
立華は精神的には未熟とは言え、技術で言えば立派な暗殺者であるのは間違いない。妙な妨害さえなければ、外す事も、また、無い。
どうするかは、彼女へと託される。何のことは無い、運へと放り投げた、立華にとって余りにも愚かな選択だった。
57 :【NEXT】 [sage]:2016/01/07(木) 02:03:24.58 ID:QjZ7i/Ek0
>>18

そんなのあったら苦労しないよ......

【能力者がわらわらいる世界であっても、4階から瞬く間に脱出できるような仕掛けをわざわざ用意しているホテルなど存在しない】
【少女1人であればもう少しやりようはある。だが、隣の軍人に壁や床を通り抜けさせたり、透明化させる事はさすがに無理があるだろう】
【どうにかして警官の包囲網を突破できるような手段を考えなければ、そのうち機動隊が乗り込んできて終わりだ】

(だけどそれやるにはそれこそあいつらの乗ってる装甲車みたいなのが必要なんだよな......ん?)

【自分の言葉を、脳内で反芻する】
【「包囲網」、「突破」、「装甲車」......それらの単語が脳内で渦巻く】

(.........これだ)

【そして、閃いた】
【閃きが実行可能かどうかを確かめる為に、開きっぱなしになっている客室に駆け込み、窓から下を覗く】
【見れば、案の定警察は入り口付近を重点的に固めている様子だ。そして、彼らを乗せてきた車は、それらの邪魔にならないように少し離れた、ホテルの駐車場に停められている......】

.........10分。

【ポツリと、考えが漏れる】
【その目は真剣だ】

......ねぇ軍人さん、10分で「出来るだけ騒ぎを起こしながら」1階の玄関の近くまで行ける?

【包囲網突破は考えずにね、と付け足す】
【軍人を囮に使いつつ、その間に装甲車を1台奪いとり一気に突破する】
【今考えている事が、確実に成功する保証はない。が、閃きが実行できるかはこれの答えにかかっている】






58 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/07(木) 02:06:41.74 ID:8W6D2BNIo
>>55
/申し訳ない、そろそろ限界なので凍結をお願いしてもいいでしょうか……?
59 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 17:21:30.77 ID:4WQvNuRYO
【少女が一人、小さな星を産み出し、それを繋げている】

「…………正直攻撃翌力に欠ける能力よね」

【そうぼやく】

【彼女の服装はベージュのポンチョコートに赤いスカートそして、髪型は茶髪のロングヘアー
腰には一振りの、細身の剣が提げられている】

【表向きの職業柄か、サングラスをかけていて】

「…………やっぱ、剣の腕を磨くしかないか…………じゃないと…………蔓延る悪人達を捕まえる事もできないわ」

【とある廃屋の屋上、そこで彼女、柊春香は剣を振る、巨悪との闘いに備え、一人鍛練していた】
60 :【純血鬼種】吸血鬼 [saga]:2016/01/07(木) 18:02:16.36 ID:U0/tyI3K0
>>59

【一体の吸血鬼が廃屋の屋上にやって来た】
【すると先客が居たようだ】

「お嬢さん、こんばんは」

【吸血鬼の格好は、黒いマントに貴族の服という出で立ち】
【時代錯誤のような身なりだ】

「人間が、よく頑張っているじゃないか」
「どうだ?我の家畜としてやっても良いが?」

【口元を歪め自身の牙を見せ付ける】
【少なくとも人間ではないと分かるだろう】

【敵意を見せる先程の発言に、少女はどのような反応を見せるのだろう】
61 :【風馬鉄槍】 ◆I5e7gQqFe2 [saga]:2016/01/07(木) 18:08:09.47 ID:As3dWILNo
>>42>>43
砕けた小太刀を一瞥して、捨てる
借り物の小太刀、それも扱いには不慣れな代物だったが役には立った
いや、大いに役に立った
これがあったから、一撃を見舞えた
今度は手応えがあった。そして聞くことができた。
骨を砕き、臓物を揺さぶる音が
空気を介してではなく、黒槍を介して
見れば街灯と激突してようやく止まったようだ
全身打撲、肋骨は数本は折れているだろう
無力化とまではいかずとも大いに力を削げたはずだ
だが――心までは挫けていない

「あら…普通だったらこれで意識を手放してしまうのですが」

その証拠に、彼は立ち上がってみせた
その強き信念、否執着は称賛に値する

「ふふっ、そうですね
殺討鬼――殺しの源を断つ鬼、あなたはそんな化物でした」

殺討鬼――これは今エフゲニアが考えた彼の名だ
だが、鬼と呼べるだけの覚悟がある。力もある。
そして、刀もあった

なんて強き覚悟だろうか
既に滅んだはずの身体、それを操るのはもう覚悟しかないはず
だとしたら――この鬼は底知れない、悪の敵

「なら――正義に理解されず、滅ぶのが筋ですね」

破裂音、しかしその速度は先ほどとは違う
身体ではなく純粋な異能のみで作られた速さ――しかし、異能の量が違う
風だ、あの鬼を後押しする風がある
だが、それでいい
槍の先端を左手で、柄を右手で構えてその一撃を待つ
彼女は確かに、笑っていた

「ぐうっ…ッ!!」

さらに重力すらも加わった一撃、それを両手で構えた槍で受ける
その力はあまりに強すぎた。刀が槍にめり込むくらいには
エフゲニアは、静かに汗を流す
そして悟る――このままだと、断たれる

ふと、槍を支える力が弱まる
黒き刀はそのまま圧し斬ることもできるだろう
だが、それはさせない
左脚が、鬼の腹に蹴りを繰りだしたのだ
力が弱まった理由、それは支える足が減ったからに他ならない
そして、その左脚も鋼鉄の鎧に覆われていた
しかも、膝も、爪先も尖ったデザインをしていた
刺さることには期待していない。だが、平時はともかく今の鬼にはたしかに手痛い一撃が迫っていた
62 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 18:15:27.84 ID:FqVufy8uO
>>60
【突然の、人ならざる者の来客に戸惑うが、表情を隠し、平成を装う】

「…………こんばんは…………人外さん」

【冷静にそう返すと、髪をかき揚げて】

「お断りよ、私にはやらないといけないことがあるの、あんたの家畜になるつもりなんてないわ」

【そして、吸血鬼に剣を向ける】

63 :【純血鬼種】吸血鬼 [saga]:2016/01/07(木) 18:28:33.36 ID:U0/tyI3K0
>>62

【拒否、それも当然だろう】
【こちらに剣先を向けるとは】

「ククク、人間風情などと違うこの我と戦う事の意味が分かっていような?」

【いくら強靭な肉体を持っていようと、剣を持つ相手に真正面から向かっていくわけにはいかない】

【吸血鬼は、素早く走り出した】

「我は吸血鬼の正当な跡継ぎ!人間が我を相手にどれくらい立っていられようか。楽しみだな!」

【少女の左側面から接近するつもりだ】
【大きく旋回しながら近付き鳩尾を殴打する予定】
64 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 18:41:27.44 ID:FqVufy8uO
>>63
「吸血鬼なのね」

【呟くと、星を1つ、作り出す】
【そして、吸血鬼の動きにギリギリ反応すると、鳩尾への一撃を剣で受ける】

「…………ぐぅ」

【流石に吸血鬼の力を全て受け止めるのは不可能で、大きく後ろへと、後退させられる】
【屋上のフェンスにぶつかり止まると、サングラスを取りキッと見つめる】

「…………流石に、吸血鬼の力ね、きっついわ」

【先ほど作り出した星を左手に持って、上に掲げるように挙げる】
65 :【純血鬼種】 [saga]:2016/01/07(木) 18:55:04.17 ID:U0/tyI3K0
>>64

【上手く攻撃が加わったようだ】
【ニヤリと満足気に微笑む】

【と、そこで彼女は星を上に掲げた】

「何をやろうとしている?無駄だ」

【しかし、最初の攻撃をこちらが制した事もあり、吸血鬼は油断していた】
【かかって来いといわないばかりの悠然とした歩み】

【少女の動きを逐一監視し、相手の出方を待つ】
66 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 18:55:42.97 ID:/+ardsz90

「ふふーんふーふんふーんふふふ……。」

以前、今は亡き同僚たちと皮肉を込めて歌っていたメロディを鼻歌で刻みながら、彼は十数歩ほどの道を歩き、そして丁度開いていたベンチに座る。
本来ベンチとはバランスを考え、全体的にある程度のスペースが余剰にとられているのだが、このベンチにはそれが無く、幾つかのパーツが欠けているという前衛的なデザイン。
悪く言えば何者かに悪質ないたずらを施されてしまったかのような形状のそれは、所々に赤色が映る。街灯下と言う事もあり、チカチカと明滅する明かりが余計に色を際立出せている。

注視すればわかるだろう。ベンチに付着している赤色の内、幾つかは既に黒ずんだ染みへと変化していっているという事。そして、明滅する影に隠れて倒れて幾つかの物体。
元は人型であったであろうと考えられるそれはまるでハムを輪切りにするかのような形状で切り裂かれており、さながらそこは豚の加工工場の如く。血臭と鉄分で満ちていた。

「……二番が思い出せねぇなぁ。」

ベンチに腰掛けた状態で足元に当たる肉の塊を爪先で軽く蹴りながら、顔を上に向けてそう逡巡する。まるで、死体など日常の一部であるかのような振る舞いは、一般人にとっては畏怖を持って映るかもしれない。
本来ならば校章などが着けられていなければならない筈の軍服には装飾の一切を廃され、ズボン及び軍帽に存在する帝国の印は擦り切れて原型を判断するのは難しい。
肩の辺りに止められ背中を覆うマントには『串刺しにされた一角獣』が刻まれ、軍服に僅かに付着した血液と、副自体に染みついた濃密な血の香りが、彼という存在の密度を一段階底上げする。
表情こそまるで一般人であるかのような表情をしているが、其処に先ず違和感を抱く。周りに死体が散乱している状態で、しかもその死体を蹴りながら、自分は正常だと顔で示す。
明らかな異常である。状況と彼の行動が一致していない。犯人であればすぐ逃げる筈であろう。しかし、彼は逃げていないどころか鼻歌まで歌っている。そして、ベンチに立てかけられた一振りの軍刀。

一目で分かるだろう。血液の匂いがする。最も濃く、そして最も歪んでいる物。彼という存在に振るわれ、幾人もの命を奪う殺害の刃。鞘に付着する血痕と、柄頭の削られた刻印。
帝国の歴史に詳しい人間であるのならば、これらの装備は全て以前あった『大戦争』時代の歩兵装備の一部であることに気付くのは比較的容易だろう。
彼にとっては隠しているわけでもないようで、よく見れば軍帽などはうっすらと帝国の刻印すら確認できる。ぐちり、と不愉快な音を鳴らし、まるで軍刀が囀っているかのようで。

子供たちの遊び場は、一夜にして屠殺場へと変貌する。彼としては、もう少しましな『商談』を願いたかったのだが、やはり彼の様な威厳もクソも無い若造に首を縦に振る者も居らず。
こんなことなら『あいつ』に任せておけばよかったかな、そう考えてみるが。いや、どうせ俺と同じような結末になっていただろうと思い直す。根本的には、俺も奴との大差はない。
思考回路の曲折あれど、最終的な意味では合致している。そう、盛大な自殺。他者を巻き込んだはた迷惑なそれを、大真面目に実行に移す大うつけ。彼の口角は、僅かに上がる。

見るも無残な黒スーツの死体と、上等な服を着た幾人かの死体。輪切りにされているため正確な数は不明だが、一人や二人では到底賄えない数であることは素人でも理解できる。
この場所に足を踏み入れるべきは、偶然か。それとも、必然か。貴方の『可能性』が指し示すのは、果たして……。
67 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 19:01:38.58 ID:FqVufy8uO
>>65
「夜の住民さんに、これはきついでしょ?」

【彼女はその星を投げた】
【すると、その星は炸裂弾の様にけ、カメラのフラッシュの様な光を発する】
【炸裂した星そのものに破壊力は無いが】
【その光が発すると同時に剣構えて走り出す】
【そのまま、吸血鬼に斬りかかるつもりだろう】
68 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/07(木) 19:09:51.10 ID:84LOCMTao
>>61

 巨槍を断つが如き一撃。
 刃はその鉄塊に食い込み、しかし尚もその身を押し進める。
 手応えが痛みとして肋骨を中心に全身を支配し、
 しかし、八雲は一切力を弱めない。
 殺人者に容赦も、許容もない。あってはならない。
 より一層力を込めようと、短く息を吐くその一瞬。
 ガクリと押さえ付ける手が下がる。
 ついに女性が力負けしたのだ──と、先程までの八雲ならば考えただろう。
 しかし、もはやそんな甘さは無い。
 今、この瞬間。八雲の精神は騎士団との戦争時に匹敵するほどの集中力を得ていた。
 それだけの強敵。それでは足らぬ、強敵。
 視界の端で鋼鉄が走り、刹那の思考の直後、理解する。
 押し勝ったのではなく、蹴りを繰り出すために支えが1つ減ったのだと。
 咄嗟に刀から左手を離し、その手の平で蹴りを迎える。
 いつもの戦法。その攻撃の主となっている性質を喰らい、逆にカウンターを叩き込む。
 その為に、性質を喰らう貪欲な左手で、その蹴りを受け止めた。
 ──どの性質を喰らおうとも、その蹴りを止められない事に気付いたのは、
 手の平に冷たい硬質な感触が触れた瞬間であった。

「────……ッッッ!」

 激痛。
 思考がバラバラに引き裂かれ、それを必死でかき集める作業。
 蹴りそのものは、左手で受け止めた。
 喰らったのは、“重さ”。
 鎧の重さを全て喰らい、僅かながら蹴りの威力を減少させる。
 代償は、急速な性質吸収の為に左手の能力が暫く使えなくなる事。
 そして、折れた肋骨が僅かに内臓を切り裂く感触。
 ガキュリ、という耳障りな金属音と共に、槍に食い込んでいた刃は外れ、
 それを手にしている八雲は左にたたらを踏む。
 脂汗が額を濡らし、呼吸は乱れ、ふらふらと数歩分よろけると、
 八雲は女性に音が聞こえる程の力で歯を食い縛り、その場に踏み留まった。

「────テメェは……」

 喉がぜいと音を鳴らし、それに混じり八雲は言葉を吐く。

「テメェは……何の為に、人を殺した……!」

 聞いていなかった事。その殺人の理由。
 理由があるからと、殺人は許されない。
 正義の為であろうが、私欲の為であろうが。
 殺人者を討つ為であろうが。
 殺人という行為は、唾棄され嫌悪されるべき悪行である。
 故にこそ、問う必要があった。
 何故、悪行を犯したのか。
 聞かせてくれ、俺の殺意を更に高めさせてくれと、
 天道八雲は真っ赤な瞳を向けて問うた。
69 :SAGA [saga]:2016/01/07(木) 19:11:19.49 ID:U0/tyI3K0
>>67

【少女は星を投げた】
【その星からは、カメラのフラッシュ程の光が発せられる】

【人間ならただの目くらましで済んだだろう】
【しかし、吸血鬼にとっては違った】
【吸血鬼の弱点には、光がある】
【日中に活動しないのもこのせいだった】

「うぐぁ!? 貴様、光を・・・ッ!」

【全身で浴びてしまったが為に、服から露出した部分が酷く焼けただれた】
【と、そこで少女が斬りかかって来るのが見える】

「人間風情めが!」

【首から下を霧に変化させる】
【これにより、何とか剣戟をかわすことに成功する】
【すぐに身体が実体を持つ】
【これは三秒間しか使えない、制約の多いものだった】

(よくやるな・・・。こいつは光を使う能力者だったか・・・)

【背後に回って殴打を加えようとする】
70 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/07(木) 19:11:33.95 ID:WU//+w5Q0
>>51
「伝承、ですか。いや、でもそうは一口に言っても、色々あんでしょう?」

【何やらきな臭いものを感じ取った少女は、尚も追求の手を止めない。】

「それは見れば分かります。ただ、どうにも私の知ってる神社とズレてんですよ」

【何かがしっくりとこないのだ。その何かさえ掴めれば、もうこの巫女に聞くことなどないのに。】
【少女はすっくと立ったまま、意識しないままに巫女の動向を目で追っていた。】
【やがて、金品を抱えた巫女が戻ってくる。心がざわつく。収まらない。】
【そんな間に巫女はすぐ自分の目の前を通り過ぎようとしていた。】

「――そのお金とか、お宝とか、民に配るんですよね?」

【そして、あと一歩というところで問いかける。】
【確かにそう言っていた筈だ。だから、確認をしたい。それだけだ。】
71 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 19:21:35.57 ID:FqVufy8uO
>>69
「……ち」

【霧となり、攻撃を回避した吸血鬼に対し舌打ちをし】
【また1つ、星を産み出す、しかし、背後に回って来た吸血鬼】
【当然、星を使った攻撃等反応が間に合わない】
「(まともに受けるとやばい…………いや…………ここは!)」

【先程見せた、霧になる回避……あれに対抗する有効な手段を彼女は持ち合わせていない】
【ならば、決定打を与えるチャンスは、相手の攻撃の瞬間にしか無いと考えたーーーそして】
【振り返り様に、剣撃を繰り出す!】

【当然、吸血鬼の攻撃を避けれる筈も無く、左のわき腹に殴打を受け、崩れ落ちる】

「…………流石に無防……だったかな」

【呟きながら、先ほど産み出した星を落とす】


72 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage]:2016/01/07(木) 19:22:04.75 ID:MBT+0LSIO
>>66

やってきたのは、通りすがりの一般人。
縁もゆかりも伏線もありはせず、必然性の欠片もない。そんな普通の通行人。
でも、本当に普通なら。きっとすぐにUターンしている筈。そうしなかったということは、きっとそういう訳でして。
たん、たん、と響く足音。街灯の光に浮かび上がるのは、至って平凡な少女の姿。
注目するべきことがあるとすれば、その腕に抱えた大きな絵本。そんないかにもミスマッチな彼女が、口を開いて言うには。

「公共の広場を、何を勝手に汚しているんだ
 これじゃあ明日、子供達が遊べないだろう」

やはり、ミスマッチ。というより、空気が読めていないのか。
グロテスクな光景に対しては、眉をピクリとも動かさない。
ただ、子供たちの遊び場を汚したという一点で、彼女は明確な怒りを露わにしていた。
ただ明確にとはいっても、表情そのものに明確な変化が見られるわけでもなかったが。至って、能面。

「それ以外にも、言いたいことは山ほどあるけど」

そうして少女は、片手で絵本を抱えたまま、もう片方の手をポケットに突っ込んで、出したのはスマートフォン。
ディスプレイの明かりが闇の中に浮かび上がって、そこに表示されるのは緊急電話のボタン。

「とりあえず、市民の義務として通報するから。まあ、正確には市民じゃないけど
それまでそこから動かないでいてくれると、嬉しいね」

自称、市民じゃない少女は、淡白過ぎる態度のまま、そう言ってスマートフォンを弄り始める。
一方的に話も聞かないで、通報しようとするこの少女に、相手がどんな反応を示すかは分からないが。
ただ、一つだけ確かなのは。相当面倒な人間が、この空間内にやってきたということ―――!
73 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 19:32:45.67 ID:X4qtDgBu0
【伝承でも色々ある、それは少女の言うとおりである】
【ただ、その伝承というのは邪教そのもの、それを正義に知られてはマズい】
【しかしながら、埒が明かないと思った巫女は】

「はは、単純なことしか書いては居らぬよ。
そう、例えば…『強者は弱者を治めるべし』、とかな。」

【本来であれば、世を蛇の物とせよ、なんて書いてあるのだが】
【そんな物言いをすれば、再び疑いを掛けられかねない】
【だからこそ、単純明快に内容を伝えたのだが】

「ん、ああ…もちろんそうじゃよ?」

【多少の戸惑いをみせる】
【だが、その民とは、現地の民ではないのである】
【巫女はこれ以上詮索されたらマズいと少し早足になるが】
【先ほどのように不意に眼前に武器を喚べば動きを止めるだろう】
74 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 :2016/01/07(木) 19:34:03.29 ID:X4qtDgBu0
//>>73>>70宛です
75 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 19:42:52.80 ID:/+ardsz90
>>72

「そいつは『こいつら』に言ってくれよ。」
「俺も好きで汚したわけじゃねぇんだからさ。」

ミスマッチな質問には、ナンセンスな返答を。瞳をぎょろりと動かすと、其処の居るのは只の人。
クールな表情が非常に欲に在ってはいるものの、この状況ではそれが余計に歪に映る。
彼は少しだけ体を動かし、くつろいだような姿勢から座ったまま前かがみになるような姿勢へと移行する。

「ああ、勿論。」
「女性に手を上げるなんて常識外れのすることだ。そうだろ?」

よく分からないが、どうやら端末を使用して治安維持機構にでも通報するつもりらしい。それは別段構わない。
まるで、その程度では自分の存在が揺らぐ事は無いとでも言いたげに。その実、ただこの時代での治安維持機構の全てを知らないが故に取れる余裕。
黒色に染まる瞳が少女を捉え、そして全身を見やり、肉付き、指の動き、そしてこちらの視線に気付く反応感度を確かめる。
人の体とは雄弁に本人の性格を語る。冬に近い今の季節では服装が邪魔して完全な理解と言うわけにはいかないが、それでもある程度の推測を立てることは可能。
思考回路ではどうやって『潰すか』を考えつつ、其の腕に抱えられた大きな本。絵柄からして絵本であるだろうそれに視線を移し、彼は問う。

「絵本ってのはいいよなぁ。幸せな可能性に満ち溢れてる」
「中には不幸で終わってしまうものもあるが、大抵最後は同じハッピーエンド。」
「神様がいるとしたら、多分絵本の中の世界が『現実』何だろうよ」

「で、だ。」「通報とやらをする前に、一つだけ聞きたい事がある」
「……可能性って奴について、どう思う?」

「『神様』って奴を信じるかい? それに縋りたいと『思う』かい?」

「……『可能性』を、信じてるかい?」

見ようによっては、此方が時間稼ぎでもしているかのように見えるかもしれない。事実、彼にとってその時間は最も必要な物だ。
可能性について、強いて神についてどう考えるか……? と合わせるようにしてさらに言葉を発し、僅かに瞳を上にズラす。
応えなければ『それまで』。答えるならば、それは必然である。

良く、見えるだろうか。彼の足元に最も近い死体の顔が、紛れも無く『女性』のそれをしていることを。
76 :【風馬鉄槍】 ◆I5e7gQqFe2 [saga]:2016/01/07(木) 19:45:01.98 ID:As3dWILNo
>>68
どうやら、蹴りは止められたようだ
驚くべき集中力、そして槍を破壊するという蜜につられない判断力
どうやら、先ほどまでの男とは違うらしい、この鬼は
だが、所詮は人の身だったらしい
音を立てて刀が槍から離れ、鬼も離れる
だが、ここからでも聞こえるほどの力で歯を食いしばって倒れるのだけは防いだらしい
驚くほどの、覚悟

「殺されるから殺しました」

真っ赤な瞳に向けて冷たく言い放つ

「私は戦争で大勢の人を殺しました
殺されないために、仲間も殺させないために」

槍を構えなおす
黒き兜はその表情すら、隠してしまう

「生きるための悪行、今だって私は重ねています…ッ!!」

大きく踏み込み、突進
巨槍での刺突で鬼を刺し穿つ。明確な殺意の一刺しだ
だが、積極的な殺意ではない。それは消極的だ
どこまでもどこまでも、殺されないための、防衛のための殺意でしかない
77 :【純血鬼種】 [saga]:2016/01/07(木) 19:54:54.14 ID:U0/tyI3K0
>>71

【少女が振り返り様に攻撃をしてきた】
【吸血鬼の打撃と少女の剣戟が交差】

【吸血鬼は腕に深く傷を負い、胴にも切り傷が出来る】
【左腕の感覚は失いかけている】

【少女の方は、吸血鬼の攻撃を左のわき腹に受け、崩れ落ちている】

【吸血鬼はそれを見てしばし考える】
(我が種について、語り継いでもらうのも悪くはあるまいな)
【そう結論付けると、後ろを向き歩き出した】

「さらばだ。吸血鬼の恐怖、存分に語り広めるが良い・・・」
【吸血鬼は少女に背を向けて、建物から出ようとした】
78 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 19:55:07.82 ID:WU//+w5Q0
>>73
【巫女の言葉を聞くと、少女の眼光は鋭さを増した。】

「違いますよ。そりゃ伝承から得られた“教訓”にしか過ぎねーんです。私が聞きたいのは、それがどういう話で伝わって来たか。まあ、大方蛇絡みですかね?」

【訥々と喋りながら、過ぎ去ろうとする巫女の背中を眺めて、また続ける。】

「そもそもおかしいんですよ。なんであんた、勝手に他所の神社の蔵探して、金目のもん持ってとんずらここうとしてんですか?」

【睨みつけながら、まだも続ける。】

「こっからは私の妄想ですけど、それら全部あの倒された男達が所有してたもんじゃねーんですか。本当に奪おうとしてんのは、あん――」

【そして、足早になった巫女の首筋に現れた西洋剣が、一時停止を通告する。】

「まだ話、終わってねーんですが」

//すみません次少し遅れます
79 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 20:05:24.04 ID:FqVufy8uO
>>77
「…………情けのつもり?」

【きっとした表情で、去り行く吸血鬼を見つめ】

「うぅ………………」

【しかし、苦痛で動けない】
【その瞬間、助かったと思ってしまった自分に対して、怒りがこみ上げる】

「…………こんなんじゃあ…………ダメ…………まだまだ…………力が足りないわ……」

【苦痛の表情で、悔しさを露にしながら】

【彼女は、自身の力の無さを呪っていた】

「…………いつか手に入れる……アイツを…………殺せるだけの力を」

80 :【純血鬼種】 [saga]:2016/01/07(木) 20:14:10.30 ID:U0/tyI3K0
>>79

【こちらに対し、追撃を仕掛けてこない】
【つまり動けなくなったという事か】

「情け?違うな。利用だよ。てっとり早く人間どもを従えたいのでね」

【笑みを浮かべながら扉から下へ行く】
【左腕を見て、少し苛立ちの色を見せたかと思えば、すぐに表情が戻る】

「我々吸血鬼こそが全ての支配者に相応しい」
【ボソリと呟いた】

//ありがとうございます!お疲れ様です!
 楽しかったですー。
81 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/07(木) 20:19:29.99 ID:84LOCMTao
>>76

 ──八雲の殺意は、急速に。
 急速に、急速に、急速に、急速に、どこまでも“萎えた”。
 生きるための、悪行。
 八雲は、それを良しとする程に、甘くはない。
 だが問題は、今この殺意を滾らせるために、原風景を“思い返してしまった”事。
 罪なき市民が撃ち殺される。
 幼い子供が、辛そうな妊婦が、真面目そうな青年が、厳格そうな老人が。
 それらを守るべき者の手で、その頭蓋に、胸に、腹に、弾丸を叩きこまれ息絶えていく。
 真っ赤な風景。市民を殺す、友と自分。
 そして、その友すら殺してしまった、己の手。
 正義の為に、正義の為に、正義の為に。血は止まらない。
 だから、八雲は正義を辞めた。
 悪として悪を討つ──殺人者にとっての死神と化した。
 虐待する親を殺した幼子を殺した。
 介護を苦に妻を殺した老人を殺した。
 家族の復讐の為に裁かれぬ少年を殺した女性を殺した。
 そして、目の前の女性は、自らと仲間が生きる為に、敵を殺した。

「────……お前は、間違っちゃいない」

 生きるために、仲間の為に。
 同じ願いだった筈なのに、敵が違うというだけで、こうまで食い違った。
 それを理解した瞬間、八雲の体を支えていた殺意がプツリと途切れ、地面に刀が転がった。
 糸の切れた操り人形とは、このことか。
 ぼんやりと、槍が迫っている事と、
 その槍目掛けて、自身の体が前方に倒れていっている事を知覚し。
 八雲はそれを虚ろな思考の中で受け止め、“一歩だけ、左に動いた”。
 その瞬間、致命傷となる筈の槍は八雲の右からを貫き、
 串刺しの魚のように、その体を槍の先端に引っ掛けた。
 嗚呼、ハンガーに掛けられた服の気分だ──などと八雲は考えながら、
 右肩を穿つ槍を左手で掴む。

「……こんな、所で……死ねるか……!」

 絞り出した声と共に、槍の強度を喰らおうと左手の異能を行使し、
 そこで、蹴りを止めた代償に、今は使えない事を、事実と共に思い出す。
 もはや、思考は胡乱。四肢に力は入らず、出血と激痛で意識は糸一本で繋がっている状態。
 抵抗は、不可能。八雲の生は、女性に委ねられた。
82 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/07(木) 20:20:19.40 ID:qWHeu+cRo
>>45
 少女は剣を構えたかと思うと、すぐにその剣を下ろす。
あれほどにまで感情を爆発させた少女は、その心の中に閉じ込めていた泥を叫びに乗せて吐き出したのだろうか。
先程までの不安定さは既に無い。

 正直、少女は感情の昂ぶりを抑えられずに剣を振るうだろう。
そう思っていたアルフィラは少し拍子抜けする。
しかし、少女がその力を振るいたくないというのであればそれは仕方があるまい。
【そう思い、構えを解く】

 自分の言葉が人の心をこうも動かすとは正直アルフィラは思っていなかった。
だが少女は、自分の言葉によりひどくつまらない生き方をやめると言うのだ。
……いや、自分の言葉でなくとも少女は考えを改めただろう。
少女にはきっかけが必要だっただけだ。それが自分だっただけ。

「……もう前を向いて歩けそうね」

 少女は強い。ひどくひどく小さい体だというのに。
愛情を注いで育ててくれた親が無残にも失われようと、悪口雑言を叩きつけられようとも。
ただ一人になってしまってさえ、前が向けるのだから。

「ところで、さっきのことだけど」
剣士さんは結局どうしたいの?

【今度は、真剣に】
【その答えがどうであろうと、アルフィラはその答えを尊重するだろう】
【……ただこの女、正直子育ての仕方とか以前に生活力はヤバイ】

//少々遅れました、すみません。
//今日もよろしくお願いします!
83 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/07(木) 20:21:39.53 ID:FqVufy8uO
>>80
「…………誰があんたの思惑通りに!」

【吸血鬼に対し、そう言い捨てる】

「…でも、今のは私の負け……よ………悔しい」

【と、悔しさから涙を流す少女でした】

【そして、もっと能力と、剣術に磨きをかけようと、そう決意した】

「…………もっと、何か出来るはず」

【動けないその場で、自分の能力の可能性を思考す】


//ありがとーです!
84 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/07(木) 20:22:27.47 ID:84LOCMTao
>>81
//訂正いいいいい!

>その瞬間、致命傷となる筈の槍は八雲の右からを貫き、
                ↓
>その瞬間、致命傷となる筈の槍は八雲の右肩を貫き、
85 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage]:2016/01/07(木) 20:31:52.14 ID:MBT+0LSIO
>>75

携帯端末を弄る手が止まる。それは質問があったからか、それとも110と119のどっちか悩んでしまったからか。
実際は、後者だったりするのだが。そんな些細なことは置いて話を進めるのが、この少女の性格でもあった。
要は、とても気まぐれなのだ。市民の義務として警察に通報すると言っても、それがどこまで本心なのか分からない。
一応通報するだけのモラルや善性は持ち合わせているようだが。それも果たしてどれほどのものかは不明。

「そうだね、絵本は人々が思い描いた夢、可能性そのものの物語とも言えなくもないからね
 ただ、決してそれは現実じゃない。ましてや神さまだって同じさ。人の抱いた、幻想に過ぎない
それ故に、魅力的で縋りたくなるんだろうけどね」

少女は相手の話に応じる。そして絵本について心なしか楽しそうに語り始める。
それは本心からか、或いは時間稼ぎという可能性を看破しての上での振る舞いか。
そうしてスマホをポケットに戻したならば、今度は両手で大きな絵本を開く。パラパラと捲れるページ、連なるファンタジーの一風景。

「可能性ね。さて、それに答えるにはまず可能性とは何なのか、その定義から考えなくてはいけない気もするけども」
 それが即ち未来への進展を象徴するものなら、私はいつだってそれを信じているね


「絵本の物語は美しいけれども、それは完成した閉ざされた世界。そこに可能性はありえない
 けれども私たちは絵本の住人じゃない。だったら、それを信じて生きるのが、清く美しい姿だと思うのだけど……君はどうなんだい」
「“そういう行為”が可能性を孕んだ行為だと言うのなら、それ以上に話すことはないけれども」

悠然と答えながら、絵本のページを捲る手がピタリと止まる。
どうやら探していた一ページを開くことができたらしい。そのページが何なのかは、暗闇のせいで見えないが。

「《猫は笑いました、女の子は泣きました、箱の中は、真っ暗闇、そこにいるのは、誰でしょう》―――さて、どうする?」

歌うように、呪文を紡ぐように、何の物語かも知らないフレーズを口ずさめば。
彼と、彼の足元の死体を冷たく見つめて、まるで挑発するかのように、そう呟いた。


//すいません、遅くなりました……
86 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 20:36:26.95 ID:X4qtDgBu0
>>78

【少女は巫女にとって言われたくなかったことをドンピシャで言い当てた】
【巫女にもそろそろマズい、という焦りが浮き彫りとなって表れ】

「ああ、うちの神社は蛇神さまの神社じゃからな。
それは当然蛇絡みじゃよ。」

【表情にも余裕がなくなっている】
【これ以上、無駄に滞在するわけにも行かない】

「いや、これは民に分配するためでな…
先ほどからも言っておろう?」

【確かにその通りだ、神社を襲うのみならず金目のものを持って逃げようとする】
【それは明らかにおかしい行為であり】

【巫女の頭にはもう逃げることしかなかった】
【距離を取れば走り去るつもりでもいた】
【しかし、首筋にあてがわれるは西洋剣】
【動けば死ぬ、それを察した巫女は動きを止め】

「…何じゃ、聞きたいことは」

【まるでその目は少女を睨みつけるように】
【先ほどとは違う、低い、低い声で少女に問うた】

//すいません、遅れました…
87 :【風馬鉄槍】♯モード [saga]:2016/01/07(木) 20:40:23.20 ID:As3dWILN0
>>81
エフゲニアは、正義ではない
かといって悪でもない
敢えて言えば──中庸
彼女はどちらにでも染まれる。人を殺せる
正義だって、捨てられる
ただ、自分と自分が好きなもの全てを守るためならば
そのためならば──彼女はきっと祖国にだって歯向かってみせる
泣いたとしても、嫌われたとしても、生きる為だけに
それはエゴと言われることもある。それがどうした。
その程度の小さなエゴくらい──持てずして人は名乗れない

「誰にも否定させませんよ
そして、その為に私はあなたを──」

殺す
槍を、ありったけの力を込めて横薙ぎに振るう
引っかかった哀れな鬼を振り払って吹き飛ばす為に
その結果、死のうが生きようが──好きにすればいい
そこまでは関知しない、どうでもいいことだ
殺す力がないならわざわざ殺す必要など、ない
88 :【風馬鉄槍】 ◆kLBf1Us2is :2016/01/07(木) 20:43:41.14 ID:As3dWILN0
//酉ミスったので酉変えます…
89 :【神羅剣匠】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/07(木) 20:57:26.03 ID:84LOCMTao
>>87

 ぼやけた視界が、横に流れる。
 貫かれた肩が嫌な音を立て、肉と骨が捻られた。
 そんな痛みに呻くことすら出来ず、八雲は遠く、女性の視界の外まで転がって行く。
 茂みか、或いは気にでも引っかかったか。
 もはや上下すら分からぬ感覚で、八雲は草木の匂いを嗅ぐ。

(駄目だ……こんなんじゃあ、駄目だ。
 ──もっと、力が要る……もっと……)

 そんな思考も、ズルズルと闇の中に落ちて行き。
 八雲は、その意識を手放した──。
 彼が死んでいるのか。それとも、生きているのか。
 それはきっと、いずれ分かる事だろう。
 今はただ、敗北の苦渋と殺意を胸に、安寧の暗闇へと落ちるのみ──。




//ここらで〆ということで!
//お疲れ様です、ありがとうございました!
90 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 20:58:10.04 ID:/+ardsz90
>>85

「まぁ、察しの通り。」
「俺にとっては『そういうこと』だ。」

可能性を信じているか。即ち、それは神の肯定を指す。彼女がどの思考でその結末に至っていたとしても、それが理不尽へと辿り着かない限り、彼にとってそれは『叛逆』と同義である。
全てにおいて平等な可能性。彼が其れを求めているのは、引いて自分の利益のために過ぎない。自死という、最高の幕引きを自分で演出するための舞台。
それを奪われた者が起こす小さな癇癪。彼という存在の存在回路は全て其処に帰結していて、ありとあらゆることは自らの都合のいいよう解釈される。

彼は、彼女の言葉の半分も彼は理解しているとは言い難かった。何を隠そう、この男に学は無い。付け加えるならば、満足に思考を垂れ流せるだけの知能も無い。
例えるのなら、命令が遂行できなくなった機械のようなもの。それしか目的が無く、それ以外には価値を見出せない。理解の範疇を逸脱するような問いには、反応できない。
簡単な問答ですら、である。彼にとって世界は二種類の人間で決められている。同胞か、それとも敵か。
それ以外の中間、中立は総じて敵。自らにとって『都合の悪い存在』。即ち可能性を信じる者は、遍くが殺害対象だ。

彼を兄弟と呼ぶあの『男』ですら、彼の中では敵という区分にある。同じ舞台で醜く死するという点でのみつながった、いわゆる自殺仲間。
そうでもしない限り、彼は遍くを敵と認識する。溜息を一つ吐くと、能力抑制剤を配したその異常なほどに白い思考に、一滴の殺意を垂らした。

「『可能性は総じて殺す』」
「それだけが、俺という存在の存在理由。」

「……何の恨みも無いが、取敢えず死んでくれや。」

瞬間。まるで脱力していたような前かがみの姿勢で座っていたベンチから、臀部が離れる。
左腕で隣に立てかけてあった軍刀を掴み、獣の如く疾駆する。彼女が何の反応も無くいたのであれば、刃の射程距離に彼女の胴体を捉えるのは容易だろう。
座っていた姿勢であるから初動が遅く、彼女に動きの先をとられてしまうというリスクはある物の。それは相手をこちらの間合いに引き摺り込めばそれで済む。
一撃。それだけで殺せると確信していた。見た限りでは特別身体能力に優れているようにも見えず、能力を『開発』されている様な会話の齟齬も無い。
天然かとも考えたが、こんなところにそうそう能力者が居てたまるか。という彼の中の常識がその選択肢を吹き飛ばす。

此処がもし戦場であったのならば、彼という存在はまさに『脅威』である。
即座に行動できる瞬発力、間合いを見極め他者を其処に引き摺り込もうとする理性。同時に、相手を観察する僅かな余裕。
だが、それら全ては彼自身の常識がマイナスへと落としてしまう。彼女が特別では「無い」と判断してしまったため、其の動きのキレは十二分に『読み切れる』程度の物で……。

仮に、間合いに入れたとすれば。彼が放つのは斬撃。腰を撓め、多少のひねりと共に右腕で鞘から軍刀を抜き斬る抜刀切り。
彼女の胴体を水平に切断するかの如く、それは『迫る』だろう。
91 :【風馬鉄槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/07(木) 21:08:53.96 ID:As3dWILNo
>>89
『あれでよかったのか?』

これは全て終わった後のお話し。エフゲニアが帰路についているときのお話し
彼女はまた馬に乗っていた。そして、黒馬が喋っていた
傍から見たらおかしいのだろう。だが、これは日常だ

「いいんですよ、わざわざ殺すまでしなくても
それに、殺すのは後味悪いですし」
『……まあ、そうだが』

あのあと、鬼を貫くことは敢えてしなかった
また殺されかけるかもしれないというリスクはあった。だが、殺しはしなかった
そちらの方が面白そうだ。違う、これは後付けだ
殺したくないから。違う、別に殺しても何とも思いはしない
最後の一言のせい?

「帰ったらお酒でも呑みますか…月を、肴にして」
『…ほどほどにしろよな』

ともあれ、エフゲニアの日常はまた守れた
いつまでも、いつまでもこんな日々を過ごしたい
ゆっくりと流れる時間に身をゆだねたい
それは、実は誰もが抱いている願望かも知れないな、なんて月を見上げながら思ったのだった



//ではこちらも〆で!こちらこそありがとうございました!
92 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [sage saga]:2016/01/07(木) 21:11:56.60 ID:o2/N2iSS0
>>56

トリガーの音が玲瓏な空気を叩く。遠いネオンサインは浮世から伸びた蜘蛛の糸か。此処は地獄か天国か、或いは。
一つ確かに言えることがあった。この少女は確かに妖精だろう。人ではない。だが同時に、人恋しい妖精である。
人と交わる禁忌を知りながら、尚孤独ではいられない妖精である。

「―――――― 帝國の方、なのですか。」

彼女はその言葉に反応した。俯いていた顔を上げ、狼狽する少女を紅い瞳で見つめようとした。
そして突き付けられたリボルバーの銃口に一瞬だけ眼を遣った後、二律背反に歪む少女の顔をやはり見つめた。
恐懼や遠慮といった言葉はこの彼女には実に縁遠いもので、冷えた銃口を突きつけて苦悩する少女に対しても尚、彼女は一切の躊躇いなく言葉を綴る。
「ああ、」どこか納得したように、彼女は口を開けた。自らの命が生死の際に晒されている時に零れる声ではなかった。そして、

「貴女は、お優しい人なのですね。」「"あの国"にいた時の私に、生きることや死ぬことの選択権はありませんでした。」

――――― 彼女は、僅かに頬を緩めた。
彼女には遠慮がない。彼女には憂慮がない。故に彼女は己の想いを偽らない。その必要を、彼女は感じていない。
本心から、彼女は喜んでいた。初めて優しさに触れたような顔をしていた。
背徳と欺瞞から逃げ出してきた彼女は、信ずることができる人間を求めていた。誰も己の素性を知らないのならば、己を道具として使役する人間もいないだろうと、彼女は信じていた。
彼女が少女と出会えた事実は、彼女にとって幸福であった。だが同時に、彼女の感性は常軌を逸していた。
彼女は妖精である。しかしながら、妖精は須らく幸福を齎すべきとは運命付けられていない。
少女の予想は的中していた。――― 彼女の白い首にかかった、錆び付いたロザリオが見えるだろうか。
鈍色の光を放つそれは、ネオンサインを微かに映す―――刻まれた数列の持つ意味は、何か。

「権利を与えられているだけ、今の私は幸せです。」「ですから、どうぞお願いします。――――― 引鉄を、引いてください」

屡述しよう。彼女の感性は常軌を逸していた。彼女は喜んでいた。彼女は少女を見つめていた。
少女が引鉄を引いたとしても、彼女が変わることはないだろう。況してや少女を恨む道理など、あるはずもなかった。
93 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage]:2016/01/07(木) 21:19:29.98 ID:MBT+0LSIO
>>90


「《右に進んで、左に進んで、ぐるぐる巡って、そして終わり。笑い声は、もう聞こえない》―――お断りするよ、そんなエゴイズム」

明らかな脅威となった彼に対して、少女は呑気に歌い続けるだけ。
歌い続けて、そしてフレーズの区切れにて、笑顔で死刑宣告を突っぱねる。
けれども彼女は見るからに無防備で、それが戦場であったなら真っ先に死んでいてもおかしくない位のマイペース。
それが、軍人クラスの人間に攻撃されれば、まず生き残れる筈がない……というのは、彼女が普通の人間であった場合の話。
確かに、彼女は通りすがりの一般人。けれども、それは正常な人間であることとイコールではない。

彼女が、少し前から歌い紡いだ言葉。それは果たして、ただ能天気に歌っただけだろうか、否。
それは、詠唱だった。魔術という、古代から現代に続く神秘の行使に必要なトリガーであった。
つまり彼女は既に、戦闘態勢に移っていて―――!


「恨みはないけど、腹立たしいから。取り敢えず黙って倒れてくださいな」

刃が少女の身体を切り裂く、その刹那。不可視の力が、斬撃をピタリと食い止める。
まるで彼女と彼の間に、見えない壁が出現したかのように。刀を止め、そして、ジワジワと押し返し始め―――一秒にも満たない時間の後、その力が炸裂した。
その正体は見えざる魔翌力、彼女が発動させた異能とは異なる力、つまりは魔法。
そうして抜刀の衝撃も上乗せして、魔翌力の奔流が生み出す衝撃波が、そのまま彼へと放たれるだろう。下手に直撃すれば―――ノックアウトも充分にあり得る。
94 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 21:38:19.29 ID:/+ardsz90
>>93

「ッ………。」

確かに、右腕には手ごたえを感じた。しかし、それはまるで壁に向かい軍刀を叩きつけたかのような感触だと気付く。
刃を見やれば、彼女に当たる刹那。あと少しの場所で止まっていた。能力か、そう理解したときには既に『遅い』。

弾き飛ばされる。行くℛ彼の身体能力が優れていると言っても、僅か一秒にも満たない時間で対策・対応をとることは不可能。
完全に動きを停止した彼は、つかの間の時間を持って、衝撃波を『余さず』その身に受けるだろう。異能と言うのは、たったそれだけで脅威足り得る。
加えて、それが異能とはまた異なる理で動くものであるというならば、彼の勝利は最早ゼロに等しい。人間、刹那の判断で初見の現象を見切る事等そうそうできはしない。
少なくとも、彼はその典型だ。相手の能力を使われるより先に物量で殺しきる。以前の戦い方ではそれが普通だった故に、彼は文字通り油断していた。

全身に走る激痛。以前まで聞いていた痛み止めはとうに効力を無くし、久々に走る体中の疼きがまだ自分の生が終わっていないのだと教えられる。
下手に直撃すればノックダウン。無論、常人であればそうだろう。いや、常人であったのなら今の攻撃で死んでいてもおかしくは無い。
自らの攻撃をそのまま上乗せし、そして跳ね返す衝撃壁。近接攻撃しか取り柄の無い彼には、最高に相性が悪く。そして、今の攻撃で体の自由も無くなっている。
だが、彼は死んでいない。理由は一つ。その衝撃壁が彼の体を殺す前に、其処に綻びが出来ていた。正確に言えば、少しだけ、僅かに誤差が存在していた。

彼女ならば理解できるだろう。彼の軍刀が先ほどまであった場所。其処に、何かが出現し、彼女を狩り取ろうとしているのを。
それは斬撃だ。フィクションでよく用いられる、飛ぶ斬撃。彼が衝撃にその身体を打ち付け、全身が一時的に動けなくなるほどの打撲を負って創り出す現象。
つまりは異能。魔法という現象を使う彼女に彼が与える異常。ただし、其の威力は先ほどの衝撃と僅かに接触したため低く、回避は十分可能である。

軍刀が彼の手から弾き飛んで、地面に突き刺さった時。それと同時酷。
斬撃は『疾駆』する。痛みに口角を吊り上げ、それを見やる。
95 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 21:38:28.04 ID:WU//+w5Q0
>>86
「“聞きたいこと”、これも一口に言っても言い切れねー程にあんですよ」

【少女を通り過ぎようとした巫女は、喚び出された剣によってその場に静止した。】
【少女は巫女の問いかけに振り返り、言の葉を紡ぎ出す。】

「蛇の神。私も一応、こんな仕事してんで分かるんですよ。この辺で蛇を神体にしてる邪教のこと」

【向き直った少女は、靴を鳴らして巫女の元へと歩を進める。】

「バカじゃねーんで、ちょっと様子見させてもらったんです。そしたら怪しいところがいくつも出る」

【足音は石畳を何度も鳴らせ、確かに近づく。】

「あんたが何者かはもう聞かねーですよ。ただ、同じ箱のピザ食った間柄として聞かせてくださいな」

【遂に少女は巫女の背後へと立ち、巫女の首元の剣を握る。】
【そして、その冷たい刀身をあてがう。】

「あんたは私の“仕事相手”じゃねーんすか?」
96 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/07(木) 21:41:52.70 ID:8W6D2BNIo
>>92
銃弾は公平である。それは立華の持論であった。
誰が引き金を引こうとも、人を[ピーーー]事が出来る。それは正しく、人間の歴史上における生死の観点においての開拓者に他ならないだろう。
だからこそ、立華はリボルバーによる、このような、他愛も無い運試しを良しとする。運に身を投げる事がどれほど愚かで、どれほど楽な物か。
そうしてまた一つ、立華は天運に身を委ねた。『自分の思う通りにすればいい』というのに、それが出来ないから、天運に身を委ねた。

「―――――――――――― 嗚呼、勿論。引くさ、引く。私は引く」

「慈悲も無ければ躊躇も無く、私は引く。お前の命を天に捧げて、その行く末を運に預ける」


「応さ、引くさ、引くともよ。神に祈るのは―――――――――――― 違う、私じゃない、お前の方だ……!!」

果たして彼女の命の安否をより強く願っていたのは、どちらの方だったか。少なくとも、立華は、何らかの、普遍的な思想と共に引き金を引いた。
カチリ、という音がした。銃声は鳴らず。光を漏らさず。誰を傷付ける事も無く、ほんの僅かな静寂を。
銃の腕前に酷く自信を持つ立華にしては、酷く遅い動きで、銃の撃鉄を上げた。弾倉が回転し、次の弾丸を撃ち抜かんとする準備をする。

―――――――――――― 銃弾が、入っている感覚。

長年使っていれば、何となく分かる事もある。弾丸が"頂点にあるかどうか"くらいの事は、立華でも分かるくらいであった。
無論、意識すればの話だ。戦闘に際してはそんな事は考えずとも、基本的に全弾を弾倉の中に入れておく。
それに、このような運試しの時も。意識しなければ分からないのだから、公平性を期し、基本的にそれを考えることは無い。だが。
今回、それを不覚にも一度意識してしまった。其処に弾が入っている。撃てば死ぬ。それを理解し―――――――――――― 握る手に、力が籠もった。
冷や汗が伝い、手が湿っていく。二発目を撃つのに、随分と時間がかかった。それは果たして、それは手の震えなのか、本当に引き金を引いていたのか。
撃鉄が起きる。雷管を叩こうとする。銃弾は何時だって公平に、簡単に撃ち貫く―――――――――――― が。


「……彈詰まり、か」


「―――――――――――― お前の勝ちだ、聞き入れよう」


カチリ、と弾倉を開く。其処には確りと弾丸が入っていたが、然し放たれることは無かった。
偶々実弾を入れていて、偶々それが不良品だった。それもまた、運だろう。引っ張り出した銃弾を親指で弾いて、彼女へと放る。
97 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 21:51:08.87 ID:X4qtDgBu0
>>95

【少女のいう邪教とは、恐らく巫女の神社のことか】
【辺りからみれば確かにそうなのかもしれない、がこの巫女は邪教ということを認めず】

「ふん…どの宗教が邪教なんじゃ…?
うちの神社は確かに歴史に記録のある神社じゃ。
そこらの新興どもとは違う…!」

【少女への睨みは強まり、眉間にはシワが寄る】
【少女は此方へと確実に、確実に近づく】
【そして靴の音がぴたりと止んだ時】

【問われるのは仕事仲間か、と】

「その仕事仲間とやら…
断ればどうなる?」

【巫女も人だ、死ぬのは怖い】
【だからこそ、少女に断ればどうなるか、と問うのだ】
【巫女は札入れに左手を当てがいつつ返答を待つ】
98 :【NEXT】 [sage]:2016/01/07(木) 21:56:30.12 ID:QjZ7i/Ek0
リアルタイムで貼り付いていられない&遅レスはなりきりには辛い......置きでのロールスレが欲しいです
こんばんは。

闇林さん、本スレ>>57にお返しを置いております。
99 :【NEXT】 [sage]:2016/01/07(木) 21:56:57.38 ID:QjZ7i/Ek0
//誤爆しました......
100 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage]:2016/01/07(木) 21:58:27.92 ID:MBT+0LSIO
>>94

「《ハンプティー・ダンプティー、落っこちて、さようなら》……そらっ!」

絵本を広げたまま、少女は更に歌を紡ぐ。今度は一呼吸で終わるだけの、とても簡素な詠唱。
飛ぶ斬撃が姿を現すのと殆ど同時に、彼女は歌を紡ぎ終えて、斬撃が届く直前になって魔法が発動する。

―――ぽんっ!と、可愛らしい音を立てて、空に現れた一つの影。
それは丸い形をしていて、手足が生えていて、例えるなら卵を擬人化したような姿をしたぬいぐるみ。
マザーグースの登場人物、いや人ではないのだが、その名をハンプティーダンプティー。
地面に落ちて、砕けてしまった、かわいそうな卵の話。そしてぬいぐるみが落ちてきて、彼女の代わりに斬撃を受け止めた。

『……うぼはぁッッ!!?』

そんな、ぬいぐるみの断末魔が聞こえたような気がしたが、というか聞こえたけれども、少女は素知らぬ顔。
そして哀れハンプさんは斬撃によってぶった切られて爆発四散、周囲には卵の中身と思わしき黄身と白身が飛び散った。
そして少女はと言うと、中身によって汚れない場所に既に退避した後で、余裕綽々といった表情を浮かべながら、絵本のページを捲ってみせる。

「……これで沈んでくれたら、楽だったんだけどね。やはりそう上手くは行かないか
それにしてもわ飛ぶ斬撃か。面白いけれども、ありきたりだね」

更に挑発するような文面を混ぜながら、少女は相対する彼の瞳をじっと見つめる。
澄んだ光を湛える、碧い瞳。宝石のような輝きを秘めた眼で、じっと静かに。
それ以上、彼女は自ら動こうとはしない。先手を撃つのが苦手なのか、それとも敢えて後手に回るつもりなのか……正解は半分半分。

「……ところでさ、可能性を[ピーーー]のが、君の存在理由といったけれども
 それは、どうして?君はどういう物語を得て、そういう答えに辿り着いたんだい?」

唐突に、そう尋ねる彼女は、どこか笑みにも似た表情を浮かべていた。
101 :【氷棘獄煉】負の感情を氷の棘として創り出す [sage saga]:2016/01/07(木) 22:02:27.39 ID:9AbR5bsD0

とある街中、昼間のビルの谷間では常と変わらぬ途切れる事の無い雑踏で賑わう。
快晴の青空の下、ビルのテレビパネルの中で、お天気キャスターが今年は暖冬であると説明口調で喋っている最中。
それを見る1組のカップルが、雪が降らない事を残念そうに話していた。

「馬鹿みたい。雪なんて降らない方が清々するわ」

聞こえよがしに異を唱えたのは、飾り気のない黒の眼帯をした赤髪の女性である。
青のロングワンピースに臍上で切り詰めた革ジャンと、少し変わった服装。眼帯をしない方の目できっとカップルを睨むと彼らは委縮したように足早に立ち去った。

「昼間っから盛るしか頭にないのかしらね、可哀相」

その背に言葉を吐き捨て、革ブーツを履いた足で道の砂利を乱雑に蹴飛ばす。
勢いよく散らばったそれらのうち幾つかは道を飛び出して、道路を走る自動車のボディーに傷を作る。
けたたましいクラクション、そして運転手の罵声。それらを一切意に介さず、信号が点滅し始めた歩道を女は一人悠然と歩きだした。
102 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 22:06:04.14 ID:WU//+w5Q0
>>97
「信仰の差異やその歴史の深浅なんて知らねーですよ。ただ、―――ただ!」

【息を胸の奥全てに入れ、少女はそれを怒号として吐き出す。】

「――今、此処であんたの為そうとしていることは、邪以外の何物でもねえ!!」

【巫女の首にあてがった剣を持つのは少女の右手、そして今、少女は左手にも同型の剣を喚び出す。】

「断るも断らねーもねーですよ。仕事相手ならたたっ斬る、そんだけです」

【そして、左の剣は札を取ろうとする巫女の手首にその切っ先を向けた。】
103 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 22:11:37.57 ID:/+ardsz90
>>100

「………ッ。」

僅かに体を起こす頃には、彼の斬撃は身代わりによって防がれている。
つくづく、異能というのは性質が悪い。自分も単純だが強力なそれを使っているからこそ、余計に思う。
軍人が少女の足下にすら及ばないというのは、帝国でも嫌なほどに目にしている。だから
いや、彼という存在は『そうであるが故に』、笑う。結局のところ、死に場所を求める死にぞこないでしかないのだ。

「物語なんてそんな高尚なモンじゃねぇよ。」
「俺は『大戦争』に置いて行かれた。そう、可能性によって、俺という存在が居た時代から『追い出された』」
「だから、同じように死ぬために此処にいる。」

「たったそれだけの『死に損ないの敗残兵』だ。」

吐き捨てる。時代遅れの敗残兵。その言葉が彼女の頭に過るのは、恐らくそう難しいことでは無い。
それだけで理解できるわけも無いが、彼は嘘を履いておらず。可能性により、自身という存在の死に場所を失った
いわば、死ぬことの出来なかった敗者。時代を『追い出され』、可能性によってこの時代へと『時間移動』した旅行者。
彼という存在を指し示すには、そのくらいの言葉で事足りる。理不尽。それに対する怒りが、自暴自棄という行動力に変わり
大戦争をもう一度起こそうなどという発想へと至る。考えていない。考えようともせず、それが全てだと肯定する。

体の痺れはとけないが、其処には僅かな余裕があった。痛みに冷や汗を垂れ流し、構図としては少女に見下されるという屈辱ながらも、残った余裕がある故に。
彼は、彼女の会話に少しだけ「付き合う」。
104 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/07(木) 22:24:29.51 ID:o2/N2iSS0
>>96

「――――― 祈る神様を、私は存じ上げません。」「機会があれば、教えてくださると幸いです。」

率直に、端的に、彼女はそう述べた。胸にかけたロザリオは彼女にとって装飾具以上の意味を持たなかった。
己が無辜の誰かを[ピーーー]という重圧から逃れるために、或いは無辜の誰かを救うという責務を恐れるが故に。
運命という残酷な公平さに全てを委ね、少女は引鉄を引いているようにすら見えた。
そこに神仏への祈りはあったのだろうか。縋るものがあったのだろうか。少なくとも彼女はそれを知らなかった。
彼女の人生において、祈りを捧げることに価値はなかった。それが意味を成すことがなかった故である。
その悉くは、彼女の産まれから決定付けられていた。そこに運命が介入する余地はなかった。
しかし今、彼女の生命は、刻まれた人生という名の轍から大きく転がり出でている。
引鉄が引かれる。撃針が振り抜かれる。それは死神の足音などでなく、その隙間から眩い光を放つ未来への扉を開く音である。しかし。

「――――― どうしたのですか?」「さあ。どうか、躊躇われず。引いて、ください。」

虚を叩いた撃鉄の二発目がないことに、彼女は純粋な疑念をその表情に浮かばせた。
躊躇いの理由を、彼女は知らない。故になぜ撃たないのかが、彼女には本心から分からなかった。
急かすような言葉を綴るのは当然の帰結であった。彼女が求めるのは未来だった。
自己嫌悪と現実逃避の狭間から抜け出そうと、次の一発には自身の未来を開く可能性があるのだと。
怖れに震える少女の本心など知る由もなく、彼女はトリガーを強請った。単に撃ち抜くことを怖れるならば、このような賭けなど最初から行うなと、言外に責めるかのように。
彼女がロザリオを握ることは、終ぞなかった。


そして引鉄が引かれる。果たして撃針は確かに雷管を打った。
しかし世界は沈黙していた。血と吐瀉物と腐肉によって、饐えた臭いの立ち込めるその空気は、何者にも破られることはなかった。
ただ遥か彼方で響く歓楽街の喧騒が、五月蝿いほどに遠くで光る電光掲示板の光が、少女二人だけの酷く浮世離れした"世界"に響いていた。
長い長い沈黙の後、少女は口を開いた。その意味を彼女は理解した。しかしその本心を、彼女は知らなかった。

「……… ありがとう、ございます。」

それでも、彼女はそう返事をした。放られた"不良品"を掴み、後生大事に懐に仕舞う。
そして少女を再び見上げ、一際大きく、屈託無く、年頃の少女相応に。――― にこり、と笑うのだった。

「本当に、お優しいのですね。私、貴女ほどお優しい方には、初めてお会いしました。」

彼女は少女を知らなかった。その本心も、その素性も。
105 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 22:24:37.55 ID:X4qtDgBu0
>>102

「そなたら正義から見たらそうなんじゃろう…
ただな!私の神社は普通の者が集まる神社じゃない!
そなたら、政府から見放された者どもが来る神社なんじゃよ!
餓えて、今にも死にそうな…!」

【そもそも、ごく普通の人間が邪教に染まるべくもない】
【見放され、餓え、今にも死期が来たりそうな者どもを救う】
【その為、比較的裕福な仏閣を狙っていたのである】

「ふふははっ、それはそなたが決めることであろう?
恐らくはそなたの仕事相手なんじゃろうて。」

【言いたいことは言った】
【あとは[ピーーー]なり生かすなり好きにして貰っていい】
【巫女はこうべを垂れ、札入れに当てがった手も外して、ただ少女の決定を待った】
106 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage saga]:2016/01/07(木) 22:33:49.00 ID:MBT+0LSIO
>>103

「…………」

ぱたんと音を立てて、少女は絵本を閉じた。
絵本を開くことが彼女の魔法の条件なのは明白であり、それが意味するのは今の彼女に戦闘の意思がないということ。
彼女、リンは決して戦闘が好きな訳ではない。というか、大抵の人間は争いなんて嫌いに決まっている。
ましてや、命の危険がある内容なら。彼女はただ、それが必要な場面ならば、躊躇いなく戦えるというだけ。

そして今は、その必要がない場面だと彼女はそう判断した。異能という武器ではなく、言葉を交わす場面だと。
そしてその方が、彼女にとっては楽しいのだ。誰かの話を聞くことが、例えそれがどうしようもない犯罪者相手でも。

「死に損ないの敗残兵。戦争文学はあまり読まないから、踏み込んでは言えないけど
 そもそも戦争をテーマにした物語自体、好きじゃないからね。あれは結局は唯の娯楽、若しくはプロパガンダでしかない」

「けれども、一つだけ尋ねるよ。可能性とやらが君に齎した理不尽、それに対する怒りが君の根幹だろうけど」
「死に損ないと自虐するのは構わないけど、自棄になって何がしたいんだい、君は」

彼女は根本的に人が好きだ。人の軌跡が、紡いでいた物語を聞くのが好きだ。
しかしそれはあくまで、人が人として精一杯、生きた話が好きなのであって、真っ当な道からずれ、歪んだ話は別である。
理不尽に苛まれ、自棄に至った物語など、彼女にとっては全く面白くもなんともない話であって、だからこそ続きが気になるのだった。

「可能性や神の有無なんて、別にどうでもいいけれども
 それを八当たりを正当化する理由にしているだけじゃ……ないよね?」

少女は彼の瞳を見つめたまま、ゆっくりと歩み、その距離を縮めていく。
それは近接武器を使う相手に対して、自殺行為に等しいにも関わらず、彼女は真っ直ぐな瞳を彼に向け続け、そして近寄る。
それはただ、話をする為だけに。どこまでもこの少女はマイペースで、そして他人が好きなのだった。
107 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 22:40:39.72 ID:WU//+w5Q0
>>105
【暫しの間、境内に静かな間が生まれる。】

【巫女は反撃の手段を失われ、そのまま諦めた様にも見える。】
【口にするのは、飢えと貧しさに苦しむ人々の渇望。】
【この巫女の社は、そんな衆の拠り所となっているらしい。】

【乾いた笑いを浮かべて、頭を垂れる巫女を見ながら、少女は言った。】

「……はぁ?」

【小首を傾げて、軽く裏返った声で、そこらのごろつきのように、そう言った。】

「あんた、そんなことしてんですか。バカですか」
「政府がなんだも知らねーですよ。貧しいなら働きゃいいじゃねーですか」
「てかそれ信仰させる為に金ばら蒔いてるだけじゃねーですかあんた。どんだけ信者いねーんですか」
「目の前で苦しんでるから助けたとか言ったらもっと大笑いですよ。そんなの餌付けとかと同じなんですから」
「そんなんで他人のとこからパクるなんて、因果応報だとか思ってたら勘違いにも程がありますよ」

【一息に怒涛の罵声を浴びせ続ける。】
【もちろん両の剣はそのままに。】
108 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/07(木) 22:48:28.96 ID:eO9Ln6Sg0
>>82
「そんなにすぐに変われないよ
 ちょっと考え方が変わっただけ」

【過去のことについてやっぱりまだ整理も納得も出来ていない】
【考え方が少し変わったというだけの話。その"だけ"が存外大きい事なのだが】

「そうだね・・・・・・」

【恩人、というほど大きなことをしてもらったわけじゃない】
【けれど今時分が少しだけ、自分の命を向き合えたのは彼女のお陰だ】

「勿体無いっていわれた力、ちょっとは磨いてみる事にする」

【彼女の提案に同意する言葉とは逆に、少女の視線はそれて】

「・・・・・・うん、その、あんたのとこで」

【そう言った少女の頬は薄い紅色がかかっていて】
【思えばあれだけ激昂した後、今更提案に乗るのは少し照れくさい】

//すいません遅くなりました・・・・・・・
109 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/07(木) 22:52:13.16 ID:8W6D2BNIo
>>104
人差し指を軸にして、クルクルクル、と上機嫌に拳銃を回転しつつ、拳銃嚢に納める。
人殺しに偉いも何もないだろうに、小さな命を奪い取ることを拒絶する矛盾。此処にもし"先輩"がいたとしたら、間違いなく大目玉を喰らうだろう。
或いは、いとも簡単に、少女を斬り捨てるに決まっている。然しやはり立華には、そんな事が出来る訳が無く。だからこそ、人殺しに向かない、などと言われるのだ。
然し、それでも良かった。暗殺者として失格であろうと、目の前に在る小さな命を救えることに。少女は、少しでは無い充足を感じていた。
手を差し伸べられたことに―――――――――――― 深い、深い満足を。自己満足であるかもしれないが、然し、立華にとっては大事なものであった。

「先づは此處を退こう。屍躰を傍に轉がしていれば、いらぬ面倒を招くかもしれん」
「追手がいないのを確認できたなら、私の"家"に歸る。ただ、一時の假住まいだ。定期的に家は移る事に成る」

「其れでも好いならば。―――――――――――― ついてこい」

彼女が笑ったのを見て。軍帽を深く被りなおしながら、その右手を差し出して。然しその表情も、酷く柔らかく笑っていた。
彼女にはいくつも疑問を抱いていた。だと言うのに、それを置き去りにして、唯彼女の事を信頼した。余りにも、無謀極まりない。
それでも、彼女がその手を握ったのならば、彼女の手を引いて、路地裏を歩いていく事だろう。歓楽街の反対側へ、奥へ奥へと進んでいって。
大きな道に出るまでは、それなりに時間がかかるだろう。だから、それまでに―――――――――――― 少女へと、一つ。大事な話をしようとした。


「―――――――――――― 名前は」


如何に彼女がどのような事情を抱えていようとも、然し少なからず連れ添っていく以上、名前を知らなければ不便極まりない。
それに、名も知らぬ相手とどうして寝床を共に出来ようか。故に、少女は彼女へと、そうやって問うた。そして、問い掛けた矢先に、こうも言うだろう。

「私の名前は、京香。立華京香直史。直史は諱だ、意味の無い名だ、氣にしなくていい」

「少女、お前の名は。ただ少女、と呼ぶのは、憚られる。僅可也と背中を預けるに足るには、お互いの名が必要だ」

相も変わらず重苦しい喋り方であるが。然し、其処に敵意や警戒心は、やはり、無く。
無警戒に、無邪気に、唯々純粋に、彼女の名前を問い掛けた。
110 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 22:53:11.26 ID:/+ardsz90
>>106

「『大戦争』だ」

「俺が死ねなかった場所を、俺が『死ななければならなかった場所』を」
「もう一度、この時代に『引き起こし』。そして其の争いの中で『息絶える』」

「それだけが、俺の望みだ。」

それが俺の大戦争。そう呟いた顔は、少しだけ歪んでいて。それは、自らの思考回路にすら介入する。
彼が可能性を嫌うのは、其の所為で死ねなかったからだ。その所為で、自分が世界に『おいて行かれた』からだ。
ならば、もう一度起こし、その中で死ねばいい。簡単な答え。だからこそ、突拍子も無く、人間としては『気が狂った』と肯定される。

その通りだった。彼は、可能性というのが難い事もそうだが、何よりもこんな時代に生きている自分が何より『腹立たしい』。
死ななくてはならない。そう制約付けられた『人工能力者』であるが故に、その行いを正当化する方法として可能性に行き着いた。
子供が地団駄を踏んでいるのと同義と言っていいほどに醜く、それでいて稚拙。彼は、そういう風に開発されたから。そういう風にしか生きられない。
人間の持つ豊かな思考能力が自らの正当性を示す理屈を歪ながらも創り出したのは、未だ彼にその理性が残っているから。そうでなければ、とうに死んでいる。

自殺をするほど恥知らずでは無く、生きているほど醜くは無い。その相反する思考が、『可能性への叛逆』という思考を生み出し、定着させた。
故に、正論を吐けば吐くほど彼は『思考停止』を行う。聞きさえしなければ、その思考が揺さぶられることは無い。理解されることは無い。

「『行軍開始』」

その小さな呟きが、彼女には届いただろうか。恐らく、きっと届く。
気が付けば、周囲に忍び寄る悪寒が背筋を震わせる。夜中だという事を差し引いても、何かが『居る』と言うのが分かるだろう。
そう、いるのだ。彼女の背後と左右。僅かに軍刀が届かない距離に、彼と同じ姿恰好をした骸骨が姿を現す。
瞬間的、刹那的。まるで初めから其処に立っていたかのような錯覚を持って、その全てが同じ動き……大上段からの振り下ろしを行う。
同時に振られた軍刀から発生する飛ぶ斬撃。左右と背後計三か所から同時に放たれるそれは、先ほどの斬撃の比では無く。
振られた速度を持って、確かに彼女を惨殺せしめんと飛翔する。直線的な軌道であり、避けることはさほど難しいものでは無いだろう。
しかし、その直後に三方向から骸骨が接近し、そして左斜め上から右下に振り下ろす袈裟斬りを放つ。骸骨を止める方法はいくつもあるが
止めなければ必ず、そして確実に、彼女の心臓を『止め』に来る。

「…………。」

そう、それだけでいい。そうでなければ、『意味』が無い。
111 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 22:56:14.67 ID:X4qtDgBu0
>>107

【少女の罵倒はマシンガンのように続き】
【巫女はその様子を唖然として眺めていた】

「…確かにそなたの言う通りじゃな。
こんなもんは餌付けに過ぎん。」

【巫女は両の剣に挟まれつつ頷き少女の考えに肯定した】
【だが、この餌付けされた者どもは信者となり、将来的に役に立つであろうから】
【金をばら撒いて寄せ集めているにすぎないのだが】

「ただ、神主がそれをやれと言う。
私はペーペーじゃからな、従うことしか出来ん。
これが仕事じゃ。さて、そなたも仕事を早く終わらせたらどうかえ?」

【たしか、神主が何か考えていた気がしないでもない】
【それを察知される前に、死んで情報を潰した方が早いと】
【巫女はそう判断した、始終こうべを垂れてままに】
112 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/07(木) 23:05:05.47 ID:qWHeu+cRo
>>108
 考え方が変わっただけ、と少女は言う。
その考え方を変えることがどれほど難しいか。
考え方を変えられずに凶行に走った彼女の一族。
そして、今までの生の殆ど全てをただ生きることに使っていた自分。
きっかけはあったのだろうが、凝り固まったものは変えられなかった。

 しかし、自分の考えはあの老いた人間が変えてくれた。
……なるほど、自分はあの人間のように少しでも成れたということか。
アルフィラはそう思うと少し誇らしくなる。

 少女は決断した。
技を磨き、より輝けるように歩むと。
そして、その手伝いを自分にして欲しいと。
ならば、自分は少女に教えなければならない。
自分が老人に教えてもらったように、人の磨き上げられた技の美しさを。
そして技を磨き上げる喜びを。

 しかしそのためにはまず……

「えぇ、分かったわ剣士さん」
「そう決まった以上、剣士さんなんて呼ぶわけには行かないわね」
「人間には名前があるんだもの」
「私はアルフィラ。……あなたの名前は?」

そういえば、名前を聞いていなかったはずだ。
【名前を問う】

113 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 23:19:51.70 ID:WU//+w5Q0
>>111
【巫女の割り切った風な語りを聞くうちに、少女は諦めをつけた。】

【この巫女は、自分の任を果たして終えようとしている。その口を噤むことによって。】
【あくまでこの巫女も、我が組織に対する勢力の末端でしかなかったのだ。】
【死を畏れることなく、生の瀬戸際まで勤めを果たそうとする彼女に、少女は感服した。】
【そして、二振りの剣はいつの間にやら消え、その両手には刃渡りのある長刀が携えられていた。】

「ああ、そうですか。残念です」

【とだけ言い残し、鈍く光る刀を振り上げた。】

「遺言は、斬られる前にどうぞ」

【そして、間髪入れずに巫女の首筋へとそれを振り下ろす。】
【札入れに添えられていたはずの巫女の手はフリーの状態に戻ったため、反撃自体は可能だ。】
【だが、彼女もそれ見越して対策を打っているかもしれない。】
114 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage saga]:2016/01/07(木) 23:20:21.05 ID:MBT+0LSIO
>>110

「……残念だよ。期待はしたんだけれども、どうやら君の物語は、私の嗜好とは相容れない」

四方を屍の兵に囲まれて、そして同時に放たれる斬撃。その何れもが致死に至る一撃に他ならない。
少女は、魔法が使えるというだけで、身体能力は平均値を大きく下回る。魔法使いというのは大抵インテリ派なのだ。
そしてインテリ派の人間が、咄嗟に身体を動かして回避運動するなんて、そんなもの不可能に決まっている。
かといって、強力だが長い呪文を唱えるには時間がなくて、所謂『詰み』に等しい状態。しかし彼女の手札は、まだまだ沢山隠されていた。

斬撃が届く直前、彼女は手にした絵本を開くと、そのページを躊躇いなく“破った”。
見るからに大切にしていた、その絵本を。しかしそれはやけっぱちなどではなく、確かな意味のある行為である。
破り捨てたページは二枚。そしてその二枚は、高純度の魔術媒介として、彼女の魔法を発動させる―――!!

「《愛してたって、ご迷惑、欲しがったって、お断り、できっこないし、させもしないわ》」

紡いだ詠唱が一節、そして魔術媒介となった頁が一節の代わり、それが二枚。合計三節の詠唱に等しい魔法。
それは彼女の魔法の最大出力であり、紛うことなき必殺技と呼べる大魔法。

一つ目の斬撃が、到達する。避けようとするが間に合うはずもなく、庇った右腕に裂傷が刻まれる。
苦痛に少しだけ顔を歪めた彼女の背中へと、続けて骸骨が刃を振るい下ろすと同時に―――魔法が起動した。

「ここで倒れてもらうよ、醜い人形のようなお兄さん」

それは魔力の奔流、光の渦。最初に使用した魔力による衝撃波と根本は同じものの、根本的に出力が異なる。
不可視であったエネルギーは、高濃度の魔力によって眩い光に代わり、それが展開していく向きも一方向だけではない。
そして少女を中心として、全方位に向けて。閃光と形容するに相応しい、魔力砲が一切に解き放たれる。
それは四方の骸骨を蹂躙し、そして同時に男をも消し飛ばそうとするだろう。
極至近距離からの大量砲撃、前兆はあったので回避自体は可能ではあるもの、真面に当たればノックアウト程度では済まされない。
まあ、基本的に衝撃波なので死にはしないだろうが……重症以上重体未満は確実だろう。
115 :【五行制札】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/07(木) 23:28:44.79 ID:X4qtDgBu0
>>113

【どうやら、少女は介錯をしてくれるようだ】
【ここで死に切れるなら、情報を漏らさないのであれば】
【もうどうだっていい、正義側にあのことさえ伝わらなければ】

「遺言?そんなもんはないぞ。」

【介錯してくれる少女に感謝しつつ】
【自分は口を噤むことが出来ればそれでよい、という充足感】
【後悔のない、短い人生に思いを馳せつつ】

【ーゴトリ。】
【巫女の首はいとも簡単に斬れた】
【少女は自らの任を果たした、これでいいのだろう】

【術者をなくした札は、チリとなって冬風に吹かれて飛んで行った】

ー【五行制札】、死亡

//これで〆です、ありがとうございました!
116 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/07(木) 23:29:14.16 ID:eO9Ln6Sg0
>>113
「あたしも、育ててもらうのにあんたじゃだめだよね」

【思えばこれだけのやり取りをしていて名前の交換すらしていなかった】
【ここまでくるのに随分と遠回りをしたものである】

「日継 陽真。・・・・・・まあ、好きに呼んでよ」

【迷う事無く自分の名前を口にした】
【自分の過去を出し渋っていたあのときに比べればかなり気を許したようである】

【―――ただし、生活力が壊滅しているのは少女も同じ】
【家事など出来ない。ご飯は外食が普通だし選択もコインランドリー万歳。】
【育ててもらう事への返しは、そういう形では出来そうに無い。】
117 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/07(木) 23:32:49.82 ID:WU//+w5Q0
>>115
//こちらこそありがとうございました!また機会あればよろしくお願いいたします
118 :【斬撃行軍】 [sage saga]:2016/01/07(木) 23:35:19.76 ID:/+ardsz90
>>114

前兆はあった。ならば回避? それは不可。彼が出来たのは体を起こすことだけである。
最初の一撃をまともに喰らっていた。斬撃で綻びを作ったとはいえ、それは所詮小さなものでしかない。
全身。特に下半身は打ち付けられた衝撃で機能がマヒしているらしく、回避には至らない。
そもそも第一として、彼という存在に『後退』の二文字は存在しなかった。それが、彼の逃げ道を文字通り塞ぐ。

――――衝撃。そして、轟音。鈍い音が鳴る。それは、人の体が地面にぶつかる不愉快な音。
先程の衝撃でもかなり強い。それこそ代の人間を気絶させられる程だとすれば、それ以上の物をまともに受ければ、人は死ぬ。
衝撃自体で死ぬことは無い。しかし、それ以外の要因……例えば『地面』に頭をそのままの勢いでぶつければ、当然他tでは済まないだろう。
彼は、文字通り後方へと吹き飛ばされ、幾多の衝撃に体を打ち付けられた挙句。受け身すらとれずにそのまま地面と接吻した。

嫌な音だ。不愉快。そして理不尽で、あっけない。たった一人の行軍が、終戦のラッパで終わりを告げる。
血を吐き出す。泡が出る。焦点が消える。感覚が消える。錆びていく思考回路に存在するのは、ただ終わったという充足感。
八つ当たりと自暴自棄が、確かに終わる満足感。そして、暗転……。

【斬撃行軍】の最終点は、幾多の同胞と変わらず。
ただ理不尽に生き、理不尽に死ぬ。それが、彼らのやり方だった。
直ぐには死なず。倒れるように、痛みを抱いて、そして眠る。

//此方のレスはこれで〆となります
//無茶苦茶やってしまい申し訳ないです
119 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/07(木) 23:38:34.85 ID:o2/N2iSS0
>>109

少女が如何なる人物であるかを、彼女は知らない。何を生業とするのかも、どのような人間でなくてはならないのかも。
ただ彼女は、少女の優しさだけは理解できていた。気高い振る舞いはけして冷酷さのみによって作り上げられているのではないと、知っていた。
故に彼女は、歪み壊れたその脆い心を、少女へと委ねた。そうすれば彼女の閉ざされた運命もまた、切り開かれるのではないかと。祈る神を知らない彼女は、少女へ縋ることを教えられた。
少女が浮かべた笑顔の理由もまた彼女の知るところではなかったが、自身を湿気った弾丸のようには扱わなかった少女の喜びは、また彼女の喜びでもあった。

「わかりました。お供させていただきます。」「もちろん、問題もありません。……… 元より、私は多くを望める立場でもありませんから。」

差し伸べられた手を取った彼女の手は、骨に白い皮を貼り付けたように細く冷たい。炸薬の死んだ弾頭のように、それはやはり出来損ないの作り物か。
そしてその事実さえも、彼女は当然のこととして受け入れていた。何故にと問うならば、彼女は人々の知る幸せすらも十全に知らないのだから。
彼女がそれを知る日は来るのか。己の足で立つとき、彼女は血を吐いて倒れ伏す。彼女の全ては今や、少女へと託されている。

「――――― 名前、ですか。」

路地裏の奥へと歩いていくうちに与えられた少女の問いに、彼女は小さく呟いた。
少女の口上を聞いて、また彼女は笑みを大きくした。喜びであった。

「意味のないお名前を、お持ちなのですね。私も、同じです。」

「――― 実験体番号771『テセウスの船』。私の無意味な名前は、そう教えられました」

無機質なその呼び名は、少女の諱とは対極に位するものである。
そこに敬意や継承はない。ただ連番に名付けられた、文字通りの無価値な名。
彼女ら二人を追う影はなかった。――― 今の所は。

「私にとって意味のある名前は、マリィナ・シグネット――― とある高名な伯爵様から、お借りしたものです。」

「不出来な"紛い物"の私ですが、どうか末長く寵愛してくだされば、これ以上の幸せはありません。」

サンジェルマンの名を継ぐと自称する彼女――マリィナは、しかし縋る相手に向けるにはどこか他人行儀な感謝を綴る。
彼女は対等な関係を知らない。彼女はあまりにも無知に過ぎる。されど無垢と呼ぶには、その心と肉体は穢れすぎていた。


「今日から、宜しくお願いします ――― 京香様」


それを京香が知る日まで。マリィナは、「不発弾」であり続ける。
120 :【絵空伽話】 ◆JQIfxsrB7Q [sage saga]:2016/01/07(木) 23:43:21.20 ID:MBT+0LSIO
>>118
//ありがとうございました。殆ど一方的になってしまい申し訳ありませんでした……
121 :【虹鉄銃創】 [sage]:2016/01/08(金) 00:06:11.46 ID:dfsBblefo
>>119

実験番号。やはり実験体か、人工物か。大したことでは無い。零号機関には、人工能力者は多数所属する。寧ろ其方が多数派だ。
故に、そう言う偏見は無かった。寧ろ、きっと意味があるのは"その先"―――――――――――― 彼女が背負う影が、あるのだろう。
テセウスの船。同一性におけるパラドックス。その言葉の意味を、残念ながら立華は知らなかった。科学者でも、思想家でも無く。ただ、暗殺者である立華は。

「分かった、では……マリィナ。共に行こうか」


「何、衣食住に困らない程度には手配する。歳は若いが、實働部隊。其れなりに餘裕はある」

「だから――――――――――――」


冷たい片手を軽く握りながら、寒風吹きすさぶ道を歩く。
余りにもその少女は、不可解であった。余りにもその少女は不明であった。他人行儀で機械のようで、それでも何処かに"なにか"を感じて。
けれど、きっと立華京香という少女が、それに触れようとするには。きっとまだ足りないのだろう。きっとまだ、先には行けないのだろう。
故に。故に、此処から。精一杯、彼女へと手を差し伸べたいと思う。一歩ずつでも良い、歩み寄っていきたいと思っている。
たかが暗殺者が。たかが小娘が、そんな上等な思いを持つのは、余りにも無謀だと言うのは分かっている。分かっているが、それでも。立華京香は"甘かった"。


「―――――――――――― "仲良く"、していこう」


何時か彼女の事を、本当の意味で、救いたいと思う。だから、その為に、此処からもっと、仲良くなろう。
やがて少女は、彼女を家へと招くだろう。その事情から、少々年頃の少女の部屋としては寂しい物ではあるが、生活するには上等程度の。
広くも無ければ、狭くも無い部屋。いや、二人ならば少しだけ狭くなるか。兎も角立華の心持ちは、何も知らない少女のもので。
何処までも、浮ついた気分のまま、"先輩"からのお叱りの連絡を受けるのは、また暫く後の事。

/こんな感じで、乙でどうでしょうか……っ
122 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [sage saga]:2016/01/08(金) 00:16:08.91 ID:zT6Ge7xwO
>>121
//それでは、このような形で〆でお願いします。
//ロールありがとうございました!!なんか全体的に間延びしがちで申し訳なかったです……
//また機会があれば、お付き合いしてくださると嬉しいです。
123 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/08(金) 20:34:16.70 ID:UTc0gj4/o
>>116
 まずすべき事。名前を知ることは終わった。
であれば、次にするべきことは。

「陽真さん、ね。これからよろしく」
「正直、人間の親としてあなたを育てられる自身はないけど」
「あなたが、あなた自身の唯一無二を輝かせられるようにしてみせるわ」
「そのためにはまず、体を作らないとね」

アルフィラの中では決まっていた。
 少女に食べさせることである。
少女はあまりにも細すぎる。竜人が育てようとすれば容易く壊れてしまうかもしれない。
しかし、アルフィラは人間の子供ができそうなな食生活をしていない、という自覚がある。
郊外の雑木林で適当に野生生物を狩って生で食べたりとかはザラなのだ。
 だから陽真がちゃん食べられて、体を作り上げる食べ物が必要だ。
そして、それを手に入れるためにはお金が必要なことは知っている。
そのためには、陽真の当初の目的をやり遂げる必要がある。
【先ほど置いてきた男を回収し、背負う】

「さぁ陽真さん、早く行くわよ」
「人間の子供が食べられるお肉をいっぱい手に入れないと行けないわ」

【そうして、警察への道を再び歩き出した】
……アルフィラは自分が昔、”キラキラしてるから”と集めた財宝に価値があることを、知らない

//こんばんは!
//自分のロールとしましては、この辺りがきりが良いと思います
124 :【闇月禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/08(金) 20:44:16.47 ID:/ZDVumZlo
>>57

「・・・は?」

【軍人は最初、少女の言っていることが飲み込めなかった】
【なぜ10分なのか、なぜ「騒ぎを起こしながら」なのか】
【頭のなかに少女の提案が数巡りしたのち】

「あぁ、分かった。
『できるだけ騒ぎを起こしながら』行ったらいいんだよな?」

【鎌を再び構え直す】
【軍人の斬撃はすべてを黒く染める】
【これを使い、騒ぎを起こしていこうと思い立った軍人は】

「それじゃ、また後でな!」

【少女へと軽く手を振り、その場を走り去る】
【そして、軍人は鎌を振り乱しはじめた】
【斬撃が次々と放たれ、壁やドアを黒々と染めていき、ヘタすれば周りの状況がわからなくなるほどで】

【さて、警官隊とも階段が「もともと見えていた」場所ですれ違うのだが】
【あたりは真っ黒な空間、警官もこれには驚いたか、増員を呼んでくるか】
【さて、10分という時間の間に、少女は何をするのか】

【軍人は警官達に斬撃を浴びせ、階段を駆け下りる】
【さて、次は2階か】

//よろしくお願いいたしますー!
125 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/08(金) 20:51:34.65 ID:vmphgen20
「………Uuuuuuurrrrrghhhhhh………」

━━━━━"街"。
賑わう繁華街とは遠く離れた、闇に沈みゆく路地の中。
常より治安の不安定なこの場所には今、鼻を裂くように過激で、かつ生々しい臭いが立ち込めている。

嗅覚がそれを捉える範囲に入れば、誰でもその理解が及ぼう。……それは紛れもなく、"血"の臭いだった。

「Ikkenok……Blod……Det……er……Ikke……Nok……!!!」

吸い込まれるような路地の入り口には聞こえよう。その獣の如き、地獄から響くような音が。
次いで、刃物の音が連続して響く。液体が飛び散るような音も聞こえる。
肉を裂く惨劇の展開を想起するのは、誰にとっても容易であろう。

夥しく匂い立つ血。
そう言った事象に通じるのであれば、この場に引き寄せられたとしても可笑しくはあるまい。
寧ろ━━━━━そのような人間だからこそ、この様な場所に来るのだ。そう言い換える事も出来よう。

「Urgh……Ah…Ahhhhh……Arrrrrrrrghhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!!!」

地獄の道のように続く路地の奥。
咆哮を響かせる獣の姿は其処にある。

その足元には、血液を噴き出し続ける人の跡。その右手は、その肉へと鋸の刃を何度も何度も振り下ろす。もう既に死んでいるはずだと言うのに、まるで更なる血を求めるかのように。
左目に異様に漲る生気を滾らせ、虹彩には紅の輝きを灯す。正常なはずの片方の瞳は、裏返った白目を呈するばかり。
もし今この場に、他の何かが立ち現れたとすれば、"それ"は━━━━━おもむろに振り向き、黒いコートから赤い液体を滴らせながら、その血に塗れた肉体を晒すだろう。
次にこの血の一部を成すのはお前だ━━━━━━そう言わんばかりに。


126 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/08(金) 21:50:31.32 ID:gSxeQ9Fp0
>>125
冷えた夜に潜んでいた、血の獣。それは余りにも禍々しく、この世のモノとは考える余地もない。
そんな感想を抱く、この惨状を目の当たりにしたのは、―――――なんということもない、青年だった。

「―――あっ」

ダッフルコートを来た青年が驚嘆の声を漏らしたのは、その“獣”と目が合ってしまったからに他ならない。

実を言えば、青年は“獣”の血の補給を数十秒前から見ていた。反響の良い裏路地の奥で、形容し切れぬ血肉の音と獣の叫びはよく響いた。
ましてや、この青年は興味に飢えた者である。得体の知れぬ音には、敏感に反応を示した。
その結果が、路地の奥を眺め、呆けるように立ち尽くした彼の現状である。

とはいえ、夜の路地での目測でもこちらとあちらにはある程度の距離はあった。
彼は止まった回路を起こし算段をした。自分の目先の獣へ、対する術はあるかと。
答えは秒すら経たずに脳から返ってきた。『No』である、と。

ならば三十六計逃げるに如かずと、彼は踵を返そうとする。
相手の脚力を考慮に入れていないのは、致命的ではない。なぜなら、そもそもここに転がっていた不運こそが死を齎すに値するのだから。


//居りましたらよろしければ
127 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [saga sage]:2016/01/08(金) 22:12:18.28 ID:vmphgen20
>>126
その獣は、人間であった時に掛けていた銀縁の眼鏡を通し、暫く男を見ていた。
相対するは、何の変哲もない青年。何の罪もない、単なる若い人間。
彼にこの人ならぬ獣を目にさせた所以は、ただ彼の不運だけがあったのだろう。

獣は、踵を返そうとする青年を、紅に輝く左眼で見据えていた。
━━━━━━Ikke nok(足りない)。
━━━━━━━━━Ikke nok(足りない)。
━━━━━━━━━━━Det er blod ikke nok(血が、まだ足りない)。

逃げようとする青年の姿は、今や獣となった人間には、"血の入った袋"にしか見えていなかった。

「Grrrrrrrrrrraaaaaaaaghhhhhhh…………!!!!!」
「"Ligbrændiiiiiiiiiiiiing"!!!!!!!!!!!!」

獣は……その口から、人ならぬ唸り声を上げた。

瞬間。獣の肉体が被っていた血が煙のように蒸散する。同時に、鋸刃の鉈を手にする右手に、力がみなぎって行く。
そして、獣は青年を追いかけようと踏み出す。血を蹴る瞬間、獣の血が一瞬で圧縮され、爆発するような生命力を生み出したかと思えば……

「"Bekla"……"gelseeeeeeeeeee"!!!!!!!!!!」

獣は信じられない速度でその一歩を踏み出し、一瞬で青年へと肉薄した。

「Graghhhhh!!!!!」

青年の背に向けて、鋸刃を思い切り振り下ろす。
だが、その一撃は空を切る結果に終わった。……不幸中の幸運にも、曲がり角を曲がった青年は、直線的な一撃を期せずして躱していた。

獣は突き当たりの壁に激突する。
すぐに態勢を立て直せば、逃げ行くであろう青年に向けて、再び咆哮を轟かせた。

「Urrhh……Uhhhh………Uhhhhhaaaaaaarrrrrrrghhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!!」

その咆哮は、渇望する者の叫び。
欠けたものを満たすべく、生命が放った叫び。
━━━━━━━━━━"彼"の本能が生き抜くために叫んだ、真に獣たる者の咆哮であった。

「Urrrrrah!!!!」

獣は、再び青年を追いかけようとする。
青年の逃げる先には、また曲がり角がある。
もし獣への抵抗を試みようとするならば、角を挟んで試してみるのも手だろうか。



128 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/08(金) 22:34:29.62 ID:gSxeQ9Fp0
>>127
瞬間。青年が駆け始めた、間違いないその瞬間だった。
その背の方より風切り音が聞こえた。そう認知した間に、爆ぜるようなコンクリートの破砕音がもうやってくる。

彼の脳は仮想演算と恐怖がせめぎ合い、その機能を失いかけた。分かるのは、全身の汗腺が開いたことくらいのものか。
だが辛うじて、音のする方へ振り向くことだけはしなかった。
ただ只管に走るしかない。“あれ”を退けるには、この両の掌では役不足が過ぎる。
青年の表情は強張りの段階を通過して、無に近いものとなる。

走るにつれて徐々に理解した。どうやらあの獣は自分を狙って真っ直ぐに接近し、自分が角を曲がったその挙句に、何らかに衝突した。
……なるほど。理性がないのか、そもそも“あれ”自身の知能が劣っているのか。

と、その思考の狭間に目に飛び込んだ、目前の曲がり角。
――――試してみる価値は、あるか。

彼はがむしゃらに走り、その角でターンした。
そして、建物の陰で獣の様子を観察することに決めた。

もちろん、学習をしない生き物などいないことは彼にも分かっている。
焼け石に水かもしれないが、腰を低く据え、彼の得意とする合気道の構えを取る。
対人以外で有効か、まだ試したことは彼にはなかった。
129 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/08(金) 22:48:30.96 ID:vmphgen20
>>128
獣は、男の"居る場所"を察知している。
さらに正確な言い方をするならば、青年の中の"血"の匂いを敏感に嗅ぎ取り、追いかけているに過ぎない。
先ほど直線的な動きで壁に激突していたのは、追いかけた時点では、青年は真っ直ぐに其処に居たからだ。

「Urrrrrrrgh……」

で、あれば。
既に曲がり角を曲がった男の、"居場所はわかっている"。
"彼"は、常人とは凡そ懸け離れた脚力で以って、突き当たりの曲がり角へと飛び出した。

「Giiiiiiiiv……mig………Blodeeeeeeeeet!!!!!!!!!」

叫びを上げながら、男は曲がった路地に向けて、その肉体を突き込んだ。
青年は目の前。間合いは十分。完璧に狙いを定めた獣は、右手のノコギリ刃で、血袋を破るべく、渾身の力をこめて振り上げた。

「Ghhhhaaaaaaaaaaarghhhh!!!!!!」

青年が冷静に状況を判断できれば、そのがら空きの胴に渾身の一撃を叩き込むことは容易だろう。
もし、恐怖に気圧され、足がすくんでしまえば……
その無数の逆立った刃は、青年に大量の出血を強いる事だろう。

むき出しの殺意が今、襲いかからんとする。青年の行動は、どう為されるであろうか。
130 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/08(金) 23:16:13.70 ID:gSxeQ9Fp0
>>129
叫びなのか、呻きなのか、唸りなのかはたまた鳴いているのか。
常に止むことのない獣の聲は、今いるこの角からそう遠くないことを彼に知らせる。
ただ、恐怖と共に彼を襲うのは、途轍の無い好奇心の震えだった。

「は、ははは……。―――“あれ”は絶対、俺より強いや」

青年の声の震えは宙に蒸気を作り、消える。熱量を増すのは興奮と、それに伴う体温の上昇。
あの獣の強さを、吟味したい。チカラに飢えた彼の目は、好奇に輝いて、―――獣の姿を映し出した。

「ッ―――!?」

なぜこの位置がバレたのか。もう、何かを疑う間など刹那たりとも存在しない。
彼は獣が、鉄血色の刃を振り上げるのを構えながらじっと見た。ガラ空きの胴など、彼の目標に足るものではないのだ。
―――あの力を、この“掌”で受けたい。それだけが青年の願望であった。

「――――【水掌、流武】ゥッ!!」

途端、彼の右の掌が光を持ち始める。それは洞窟の奥深く眠る、渓流の穏やかだが強い流れのような、澄み切った青。
その掌が獣の刃へ触れ、―――音もなく、その腕をするり抜けるようにして、その軌道が左へと逸れる。

その隙に彼は獣の背後へ立ち回り、呼吸を整えようとする。
あわよくば、カウンターを狙って。

//遅筆過ぎます申し訳ないです……
131 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/08(金) 23:38:04.51 ID:vmphgen20
>>130
確実に、正確に放たれた斬撃。然してそれは、青年の皮膚を裂き、中の血を噴出させることはなかった。
"水"は血と混ざり合い、名状しがたい赤色の液体が、周辺に飛び散る。

紛れもなく、能力。

「Urrrrrrrrrrrraaaaaaaaaaghhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!!!!」

"獣"は、攻撃を受け流された事が不満であったのだろうか、耳をつんざく大咆哮を上げると同時に、滅茶苦茶にノコギリ鉈を振り回す。
その乱撃は青年を狙わず、少し離れた位置で行われた。まったくの八つ当たり、と言った風だ。
冷静に"彼"の様子を見れば、本能、それがむき出しになっているのだろうと分析出来るかもしれない。
━━━━━本能がなぜ、血を求めているのかは不明であるが。

そしてある瞬間、獣の肉体にみなぎっていた力が、突如として抜けるように霧散した。

「Urrrrrrgh……」

唸り声とともに、獣は青年と距離を取る。
匂い立つ血液。目にしみる血の臭い。
その中に塗れながら、獣は再三にわたって唸った。

「Gh……urrrrgh……!!Urrrrrghhh,Uaaaaaagh……!!!!!!」

だが、その青年は気づくだろうか。その吠え声は、決して威嚇の為に放せられている物ではない。
本能の声━━━━それもある。だが、その中に潜む、何か悲痛なほどに切実な"感情"の鱗片を感じ取れるだろうか。

「Grrrrgh……Arrrrrrrgh……Ahhhhhhhhh!!!!!!!」

あるいは苦しみが、あるいは嘆きか。
抵抗、呪縛、矛盾に苦しむ、人間の叫びが聞こえるだろうか。

……だが、"彼"は今獣となって、現に青年へと襲いかからんとしているのだ。
そのような事を考慮する暇は無いであろうが、この獣の裏には、何か重大な秘密が隠されているようにも思える。

「Urrrrrrrraaaaaaaaghhhh!!!!!!」
「……【Ligbrænding】……!!!」

再び、戦況には動きが起こった。
またしても獣の肉体が隆起し、活性化させられていく様が見て取れる。
だが、先程よりもその漲る力の度合いは弱まっているように感じられた。

「Urrrrrrgh!!!!」

獣は再び、ノコギリ鉈を手に青年へと斬りかかる。今度こそその血袋を破ってやるという勢いと執念でもって、縦斬りと返す縦斬り、そして止めに横に薙ぐ三連撃を叩き込む━━━━━!
132 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/09(土) 00:05:46.05 ID:QhHUiLIJ0
>>131
獣から目を離さずに、未だ淡い青を纏う右手を開閉し、その感触を味わう。
―――技量も経験も薙ぎ払う、圧倒的な力。
手の痺れが直接脳を揺さぶるように、青年は昂りを見せる。

と、その時突然獣は意味を為さぬ声を張り上げた。彼が顔を上げると、何やら興奮している様子で持つ鋸刃を振り回している。
勿論、最初は自分の力が理解できず苦しんでいるのだと思った。だが、何かおかしい。

散々唸り、暴れたのちに、獣は下がり自分との距離を取った。どうやら、またも戦闘態勢に移ったか。
―――やはりおかしい。あの聲が意味を為さないと割り切るには、違和感がつきまとう。
もしや、だが。

「お前……苦しんで、いるのか……?」

単純に血を欲して、飢えを訴えているようには見えない。
この獣、奥になにか潜ませているものがあるかもしれない。

ただ、この場面でその推察は無為にも等しい。獣は瞬く間にビルドアップし、青年へと斬り掛かる。

「っ、くぅ―――いや、見えるッ!」

数十秒ではあったが、このやりとりで冷静な思考を取り戻した彼。
疲労のせいだろうか、先程よりも多少鈍った動きを見て叫んだ。
今度は両の掌を光で包ませ、縦斬りとその返しを捌く。
そして三つ目、力の篭った横薙ぎに対しては敢えてバックステップによる回避を取る。

「一応こっちも一発だっ、と!」

そしてテンポよく前列へと移動、鋭い中段蹴りを獣の胴体へと捩じ込む。
その一連の動作は南米の、踊りと格闘技の組み合う体術、カポエイラに見られる物だ。
133 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/09(土) 00:28:13.12 ID:7wESOYrF0
>>132
一撃目、二撃目。そのどちらも血を見る事の出来る一撃ではなく、再び以って"水"による相殺を受ける。
そして三撃目も空を切ったと知れば、獣はすかさず、後ろに下がった青年に近付こうと試みた。
━━━━━━だが、それが悪手であった。

「Agh!!!!?」

腹に響き渡る、不快で鈍い音。
青年の放った飛び蹴りは無防備な胴へと完全に命中。獣は後方の、ゴミ袋の山に吹き飛ばされた。

「……Urrrrrghhh……」

打ち所が悪かったのだろうか、獣は身体がしびれたように立ち淀む。
ノコギリ刃を青年に向けて戦闘の意思を見せるが、肉体が思うように動かないようだ。

「Ghhhhhhhrrrr……」

だが、この程度で戦闘不能に陥るほど柔な肉体ではない。
獣はやがておもむろに立ち上がり、青年と再び対峙する姿勢を見せる。

血を被り、濡れた頭から滴る血液が頬を伝い、彼の口の中へと入っていった。

━━━━━突如。

「Urrrghhhhh!!?……Arrrrrgh……!?Arrrrrr……!!!!!!」

獣が、頭を抑えて唸り始める。
蹴りの後遺症、という訳では無いらしい。
まるで内なる何かと戦うように、あるいは抵抗するように、獣は苦悶の叫びを上げる。

獣はその顔を上げる。あれほど光り輝いていた紅の瞳から、どんどん光が失われていく。裏返っていた白目が、正常な青い瞳に戻りつつある。
やがてそんな様子を見せれば、獣はその場に倒れ込んでしまった。
だが、それは自滅ではない。この現象があっけない幕切れではない事を示すのは、倒れ伏したはずの男が、未だ動いているという点にあった。

「……う……」
「ぅう……」

彼は唸る。だがそれは、先程のような怪物じみた人ならぬ叫びではない。確かな人間の声だった。

「……私、は」

ノコギリ鉈を握りしめて跪いたまま、血に濡れた己の掌を見つめ。
彼はやがて絶望したような瞳で、虚脱して虚空を見つめる事だろう

134 :【NEXT】 [sage]:2016/01/09(土) 00:32:53.56 ID:phw5uPb/0
>>124

「キャアアアアアア!!」

『むむむ、向こうに鎌振り回してる女がいるぞ!逃げろおお!!』

【揉め事を起こしていた客達が、迫り来る軍人の姿を見て、荷物も放り出して脱兎の如く階段を駆け下りていく】
【それらが逃走の助けとなるか邪魔となるかは、軍人の機転次第といったところだろう】

さて、こっちも一丁頑張ろっかなっ、と!

【一方、軍人を見送った少女もまた、装甲車の側の壁に出来るだけ近い部屋へと急ぐ】
【鍵のかかった扉をすり抜け、大きく息を吸い込み_____】

(警察さんが、いませんように!)

【息を、止めた】
【その身体は、まるで幽霊の如くするりと床をすり抜け、3階へ】
【いったん着地し、息を整えてもう一度息を止めれば、更にすり抜け2階へ......】

.........ふう。

【幸いにも、すり抜ける姿を誰にも見られる事はなく、1階へと到達した】
【土産屋の倉庫らしく、辺りには段ボールが積まれている】

(どれどれ.........げっ!!)

【慌てて首を引っ込める少女】
【一度外の様子を確認しようと、首から先を外へ出してみれば、そこにはまだ警官の見張りがいるではないか。能力者相手ということで、出入り口以外にも警官が据えられているようだ】
【正面玄関から警官隊が突入しているのを見る辺り、騒ぎは起きているのだろうが、まだ足りない】
【もっと派手に騒ぎを起こし警官隊を惹きつけなければ、見張りが去ることはなく、少女も次の行動に移れないだろう】




135 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/09(土) 00:42:31.43 ID:QhHUiLIJ0
>>133
青年は、目の前で起こった事実に対し、何の説明もこじつけもすることができなかった。

確かに蹴りは絶好のタイミングと言うべきところで入ってくれた。その後、獣が吹き飛びそして復帰したところまでは納得がいく。

問題はその次だ。獣がまた突然に唸りを上げ始めた。ただ今度は張り上げるというよりも、何らかに苦しむようにして。
それが徐々に大きくなるにつれ、獣の姿さえも変化を見せ始めた。

これではまるで、―――“人間”、ではないか。

当の青年は声も出ず、その一部始終を眺めていたが、はっと気を取り戻すと、“獣であった者”に接近する。

「…………あなたは…………?」

とにかく現状の理解ができない。これを解決しないままでは、二進も三進もいかないだろう。
話が通じるのか、まずは試験的に話しかけてみる。


//すみません眠気が……一旦凍結でもよろしいでしょうか
136 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [saga sage]:2016/01/09(土) 00:59:15.12 ID:7wESOYrF0
>>135
「……君は……」

憶えている。この青年を、自分は憶えている。
記憶の内に居るが、思い出せない感覚。ただ"会った事がある"という事実のみが、彼の脳裏に刻まれている。
……だとすれば。彼は、まるで食い入るように、青年へと声を上げた。

「私は……私は、今まで何をしていた?私は此処で……まさか、"暴れていた"のか……?」

その質問内容は、理解できる方がおかしいと思えるほどに支離滅裂なものだった。
だが、同時に納得のいくものでもあるかもしれない。
先の獣とこの男は全く別の存在でありながら、切り離せない関係にあるのだと。

ゆえにこの質問は、深い意味を込めた返答は要らない。ただ率直に、自分の行った事が何であったのかを、必死に聞いている様子が伺えた。
現に、彼は彼の身で、この場で正気を失っていたのだから。

血にまみれた肉体。不思議な充足が彼の身を包む。だが、そこに安らぎなど微塵もない。
その青い瞳の中には、ただ何かを恐れるような焦燥と、はっきりと見て取れる動揺ばかりがあった。
血の色をした紅い左目は、今なお禍々しく、鈍く光っていた。

/了解です!ではまた明日に、お疲れ様でした
137 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 18:11:53.25 ID:8Dzq7tgpO
【公園】

「…………これで終わりよ」

【繋がれた星によりできた輪で、盗みを働いたであろう男を拘束】
【良く見ると男は身体のあちこちに斬り傷があり、少女の右手には細身の剣がある】

「…………はぁ」

【少女は、その横たわる男の身体に座り、電話をかける】
【電話が終わるや、再びため息をつきます】

「こんな雑魚相手にしても、なんの訓練にもならないわ……全く……」

【男に座り、足を組みながら空を仰ぐ】
138 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/09(土) 18:51:48.51 ID:QhHUiLIJ0
>>136
この男性から、前後の脈絡が一切感じられない言葉が飛び出した。
『自分が今まで、何をしていたのか』
青年は疑った。先の自分と邂逅したあの“獣”が、真にこの男性とイコールで結ばれるのか、を。
―――否、そんな問は不要だ。鮮血の染み付いた彼の肉体と、その左目を見れば、検算などとうにできてしまう。

もしや、この男は“無意識に”人を襲う獣へと姿を変えていたのか。

この問だけは、今ここで解を出すべきではないと、青年は感じた。
相手も同じくして、現状の理解に苦悩し、自分との対話を求めている。ならばそれに答えることが先決である。

「………はい。あの“血の獣”があなただと言うのなら、僕が見た限り―――既に1人を殺し、次は僕を襲おう、と……」

次の句が継げない。納得がいかない為だ。
人を殺した男が悲痛の表情を浮かべるのは、青年にも想像がつく。
だが………己の意志とは無関係に人を殺めさせられる、その心中を察することもできそうにない。
一体何が、どうして……。彼の興味は全て、原因の究明に注がれた。
139 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/09(土) 19:06:00.19 ID:nY9js1QZ0

【夜も更けた街外れ】
【山にほど近い一角には、広く『危険』『立入禁止』の札が貼られていた。その理由は明白で】
【以前火災があったのだろう、辺りには煤けた瓦礫と煤が其処此処に残る。元は神社だったと見えて入口には鳥居、奥には崩れ落ちた社の残骸が】
【最早誰も見向きもしなくなった地で、一人の人間がふと足を止めた】

む、ここは……

【懐かしげに感嘆を漏らしたのは黒髪に黒コートの女である】
【簡素な旅装を肩から提げ、コートに隠れているが腰には刀を一振り提げているようで】
【焦げついた地面と瓦礫を見回して己の右手に目を落とす。ピンクに残るのは火傷痕、確かめるように左手で撫でた】

葉月の奴は元気にしてるのかねぇ……

【口に出したのはこの地で邂逅した異教の巫女の名前である】
【火災の原因にして、出会って早々小競り合いを繰り広げた仲ではあるが、最後は笑って別れる事が出来た】
【決して善人ではない彼女の事を思い出して頬を緩める女もまた、善とは程遠い存在のようで】
【いまや崩れかけた参道を下る足取りは、長い距離を歩いてきてなお軽快であった】
140 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 20:10:49.29 ID:ho0dTP090
>>137
//まだ、間に合います?
141 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 20:13:33.00 ID:8Dzq7tgpO
>>140
//OKですよ!
142 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 20:25:03.84 ID:ho0dTP090
>>137

公園に、駆け足でやってきたのは女性だった。
赤いコートのボタンを開け、コートの内側には女物のスーツ。

「警察へのご協力、大変ありがとうございました。
 後は私が連行いたしますので、安心してください」

少女に、丁寧な言葉で話しかける。
自分が警察の関係者と判るように。

「あまりこのような場所に居るのは危険ですから、
 早く帰った方が良いですよ」

念押しするように少女に伝え、男の服の端を掴んで立たせる。
だが、男はその瞬間、安堵した表情を浮かべ、またすぐに困った表情を作り直した。

//それでは、よろしくおねがいします。
143 :【闇月禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/09(土) 20:36:10.48 ID:BTdjztb3o
>>134

【2階にて】
【ドッとおしよせるようにして1階に避難していく宿泊客たち】
【玄関のあたり、1階は特に大混乱が続いていた】

「そうだな・・・。」

【そこで思いついたのは】
【この避難する宿泊客に紛れて玄関のあたりまで降りて】
【ひと暴れしてみせることで】

「よし、一丁やるか!」

【宿泊客に紛れて玄関へと雪崩れ込む】
【これだけ人数がいれば、玄関を出るのは簡単だった】
【が、問題は一般人をいかに巻き添えにしないかで】

「ほう、あそこに集まってるな・・・。」

【パトカー数台と警官隊数十人が固まっている、出入り口を固める部隊で】
【軍人は其の背後から近づき】
【斬撃を一発お見舞いすると】

『うっ、うわぁっ!?』
『おい、おい早く増援呼べ!』

【警官たちは斬られ、パトカーも上下に両断されてしまった】
【さて、少女は次の行動に移れるか】
144 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 20:36:11.02 ID:8Dzq7tgpO
>>142
「…………案外知られてないのね」

少女は男の身柄を渡した後に立ち上がり呟いた

「一応、私も警察関係者でもあるんだけど」

服の右肩についた、D.O.T.Aのエンブレムを見せます
彼女、柊春香はその隊員の一人であった
また、今はサングラスをかけ、顔をあまり見せないようにしているが
表向きにはアイドル活動なんかもしていたりする

145 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/09(土) 20:44:52.86 ID:cot/09Aao
>>139
 コツリ、コツリと、参道に靴音が響く。
靴音の主は、人目でオーダーメイドだとわかるスーツ高そうなスーツをシワ1つ無く着こなし、
掛けたメガネの後ろ、に良く言えば鋭い、悪く言えば神経質そうな瞳がある。
ひとことで言うと、場違いな男だった。
男がいるべき場所は、一流企業のオフィスのであり、広い書斎であり、高級な紅茶専門店であるだろう。
決してこのような、”異能者が数多く居る街”の”何か事件のあった郊外の神社”周辺ではない。
男の手にしている物がなければ無ければ。
 それは、シルエットはスレッジハンマーであった。
時折異能者が持っているような、規格外に大きなモノではなく。
専門店に行けば売っていそうな常識的な大きさである。
 しかし、見た目は大きく違う。
磨き上げられた黒檀製の柄は、植物のツルのような装飾が滑り止めを兼ねて彫り込まれている。
その柄だけで、かなり良い値段がするであろうと予測できるだろう。
そしてその頭部は、物を力強く叩くハンマーであるというのに、歯車を組み合わせたような機構がある。
その機構は、時計細工のように複雑で、見るものの目を奪う不思議な美しさがある。
そのようなものにもかかわらず、ガチリと動くその機構はある種の力強さを感じさせる。
 そんなものを持った男がただの男であるわけでは無く。

「始めまして、お嬢さん」
「私はアルバート・ロレンス。所用でここで何があったのかを調べているのだが」
「お嬢さんはここで何があったのか、何かご存知のようだ」
「失礼だが、何か教えてくれないかな?」

【そう、参道を下る女性に話しかける】
【その姿は剣を腰に提げる女性に少し警戒しているようで】
【しかし自然体でもあった】

//絡ませていただいてよろしいでしょうか?
146 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 20:48:00.49 ID:ho0dTP090
>>144
「ああ、そうでしたか。私が至りませんもので」

有名人を知らないのかと言われれば、知らぬわが身では謝る他無い。
身分を偽っていることを勘定しても、目の前の警察組織の一員に対して、
あまりいい気分はしなかった。

「地方の警官には、エリート様の事は解りませんね」

皮肉めいた言葉を投げつける。
自分の正義で悪を裁くのは、少しばかり恣意的が過ぎる。

「後学のために、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

腹の底に色々と放り込みながら、彼女は少女に向けてへりくだる。
147 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 20:58:37.06 ID:8Dzq7tgpO
>>146
「そ、そんな低くならなくても……別に普通に接してくれていいわよ」

少女は目の前の女性に対し、少しやりずらそうに、苦笑しながら言い

「…………名前は柊春香よ、貴女は?」

サングラスを外し、自分の名を明かすと、女性にも、名を明かす事を求める

「まあ、名乗りたくないってのなら無理には言わないけど」

細身の剣は鞘に納め、今度は笑顔を作る
148 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/09(土) 21:03:03.18 ID:7wESOYrF0
>>138
「……」

彼は青年の言葉を聞き入れる。その顔には再び以って絶望の色が戻る。そして目を閉じ、深く悲嘆の表情を浮かべた。
追悼、慚悔だろうか。彼は暫く、そんなやり切れない心情、叫びたいような辛さを、必死に抑えている様子を見せた。
やがて、彼は薄く目を開ける。目の前で青年が生きている事実。一人でも"踏み超える"結果とならなかった事に、同時に深い安堵を示した。

血にまみれた肉体が、己の肉体を癒してゆく。満ち足りた充足が身体を包む。
だが、精神は真逆だ。氷のように凍り付き、あるのは焦燥と絶望、そして後悔ばかり。
精神と肉体が分離したような感覚。"目覚め"はいつも、悪夢から始まる。

「……」

彼は震える足で立ち上がる。呼吸を整え、"生き残り"の姿をジッと見る。
男は長身だった。銀縁の眼鏡で青年を見据える瞳は、左右違いの異相。
血を頭から被り、未だに赤い液体が滴る黒髪。聡明に見える顔立ちは、少し頼りなさげな雰囲気を醸し出している。

彼は青年がひどく困惑しているのを理解する。青年の生存に深い安堵の様子を見せながら、彼は口を開いた。

「……君が生きていて、本当に良かった……私の肉体が、君を侵す前に……」

青年にとってその言葉は、相変わらず支離滅裂な言葉に映るだろう。
彼は青年が口を開きかねている様子を見て、それを明かす事とした。
彼を蝕み、狂わせる病理を。

「ああ、すまない……君を襲ったらしい事は、心から謝罪したい。……私が踏み越えた命である、もう一人のためにも」

殺した、ではない。踏み越えた命と表現したのは、ひとつの理由が存在した。

「……君は、"Blodsygdom"、此処の言葉で言う……"血の病"を知っているかい」

血の病。
生まれて持つ不治の病とされ、定期的に体内の血液が足りなくなる病。この病の罹患者は、他人の輸血なしでは生きてはいけないとされるが……
もし、彼がそうであるとすれば、彼のそれは些か"重篤"が過ぎるように思える。

理性を失う程の渇き。生命の危機に瀕し、暴れ出すほどの本能。はっきりと見て取れる、血の色に変質した左目。
彼が先程使用した、血を利用したと思える能力。彼の病理は、その能力と密接な関係が形成されているように思えた。
149 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/09(土) 21:12:25.24 ID:nY9js1QZ0
>>145

(誰か……)

【石畳を打つ音に女の耳は敏感な反応を見せる】
【音のする方からは見えない様に刀の柄に手を寄せながら振り返り、無言で男と対峙する】

(あれは――金鎚、か?)

【服装や体躯より、まず目を引いたのはその手に持った武器、らしきもの】
【持ち慣れた風の其れの性能に暫し心を傾けながら、男の丁寧な語り口を頭の中で反芻し、口を開いた】

ん、ああ。まぁ知っていると言えるだろうな
しかし、お前さんは何故それを調べている?

【年上相手であろうとも敬った態度はない。誇り高いというより傲岸不遜】
【顔がしかめっ面なのは、お嬢さんと呼ばれた事に対するむず痒さからであろう】
【加えて簡単に口を割る性格ではなし。一見警察には見えない相手がこんな所にいる理由を知りたいという興味自体も勿論あったが】
【下ろした右手を脇でぶらぶらと弄ぶ、女の目の奥にはそれ以外の思惑が宿っているようであった】

/勿論です、よろしくお願いします
150 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 21:15:15.50 ID:ho0dTP090
>>147
「いえ、そういう訳にもいきません。
 どうぞニシムラと呼び捨てにして頂ければ幸いです」

敬語と、改まった姿勢のまま、嘘を吐く。
不始末をしでかした駒の回収に来ただけなのだが、少しやり過ぎたかもしれない。

「柊春香 さんですね。次からはお名前で呼ばせて頂きます。
 それでは、改めて本日はありがとうございました。
 大丈夫とは思いますが、お帰りの際はお気を付けて」

男を小突いて先に行かせ、彼女は立ち去ろうとする。
呼び止められなければ、元来た方向へ向かい、夜の闇に紛れて消えるだろう。
151 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 21:24:08.39 ID:8Dzq7tgpO
>>150
「ちょっと待って!!」

と、呼び止めます

「えっと、ニシムラ……さん?…………これは直感なんだけど」

彼女は少し釈然としない表情になりながら、恐る恐ると聞いてみる

「…………偽名……なんか名乗ってたりしない?」

と、更に続けて言います

「本当に警察組織の人なの?」

もちろん確信なんかはない、だがなぜかもやもやする、違和感を感じる
彼女はその不安から、このまま行かせてはいけない
そう直感した
152 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/09(土) 21:28:26.24 ID:QhHUiLIJ0
>>148
青年がここまでの経緯を話すと、男性は深く目を閉じ、何かを祈るようにして俯き始めた。
その意味も思惑も、何一つさえ共感ができない。己を客観視しても仕方の無いことだと割り切れる。この男は先程まで、自分を襲う“血の獣”に扮していたのだから。
正直なところ、ぞっとしてしまう。なぜ自分が殺めた者を悼み、苦悩しているのか。何もかもが青年には理解が不能だった。

「あの……」

と、篭った音を咥内か吐き出そうとすると、男性の身体に異変があった。
……傷の、回復。
血液の触れた部分が、彼の傷をみるみると癒していったのだ。それはまるで、血で血を洗う、を地で行くが如く。

「血液の、能力……」

そうだとしか思えなかった。彼の人生の中で、知る限りの知識を動員しても。
そうだとしか、この現象を説明する手段がなかった。

―――血の、病。
青年の耳に覚えはない。だが、あまりに彼の心にしっくりとくる名状であった。
先程の獣が血に飢えたかのように、搾り滓のような死体を啜っていたこと。
自分の生存を喜び、安堵するような表情を見せたこと。
そしてかの死体に、あったはずの生命を『踏み越えた』と称したこと。

「聞いたことはありません。ただ、―――あなたと、あの“血の獣”に関わることだというのは、分かりました」

どれを執っても、彼の病魔を示す行動に他ならなかった。
153 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/09(土) 21:29:32.10 ID:cot/09Aao
>>149
「あぁ、このハンマーは気にしないでくれ。この辺りは危険だと聞いたのでね」
「私は保険会社に調査をたのまれた人間でね」
「この火事は、単なる事故では無いという噂の調査に来たのだよ」
保険金が適正に支払われるためには必要なことでね。
事件性があるのと無いのと支払われる金額は全く違う。

 と、口から出たのは全くのデタラメ。
本来の目的はこの火事にどのような能力者が絡んでいたのか。
その能力者の能力と目的の調査である。

「良ければ、キミがこの事件について知っていることを少しでも教えてほしい」
「どんな些細な事でもいいんだ」

【眼鏡の奥の瞳が、より鋭くなったようにも思える】
154 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 21:38:32.13 ID:ho0dTP090
>>151
「……!!なんでしょうか?」

一瞬、背筋が強張り、直後に向き直る。
呼び止められた時の青ざめた顔は、向き直る時には戻っていた。

「はい。なるほど。ちゃんと本名ですよ。
 手帳は……しまった、不携帯は怒られますね」

ばつが悪い表情で、ごまかしてみる。
ありもしない手帳を探して、見つからないことを確かめて、
偽造された運転免許を財布から取り出す。

面倒事の回避に用いるものだが、こういう時に使うとは思ってもみなかった。

「警察手帳が無い以上、私がこの場で、警察の人間であるとは証明できないですね。
 信じて下さい、という他ありません」

相手の良心に付け込もうとする魂胆だが、安直が過ぎる。
一応、自由になっている左手に、兵士の黒駒を作り、握り込んでおく。
155 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 21:46:56.13 ID:8Dzq7tgpO
>>154
「…………確かに、偽名では無さそうね」

運転免許証をぱっと見て、それを信じてしまうが

「でも、私が違和感を感じたのはまず1つ…………その男よ」

と、先程自分の星により拘束した男を指差し

「…………そいつは貴女に引き渡された後、確かに安堵した表情を見せた…………警察から警察への引き渡しなのに、これは不自然よね?」

と、ニシムラと名乗った女性をキッと見つめ

「…………その後にまた不安そうになったことからして……これは私の感なんだけど貴女はその男の上司って事じゃない?……違う?」

問い詰める
156 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/09(土) 21:47:24.14 ID:nY9js1QZ0
>>153

噂の調査ねぇ……

【その噂は正しい。男が疑う通り、この事件は能力者の手により人為的に起こされたものなのだから】
【それを知る女は得心がいったとばかり、腕を組んで数度頷いた】
【葉月――その犯人からは口止めされた訳ではない。そう言う事情なら教えてやっても大丈夫だろう】

断る。

【だが、笑顔で述べたのは拒否の一言】
【それ以上の理由は口の出さず、指でボタンを一つ二つ、コートの前を開く】

――――知りたければ、“暴(き)き出してみろ”

【相手の眼に応えるように、晒したのは腰の刀。左手を鞘元に添え、右手で誘うように指を手繰る】
【獰猛な笑みを浮かべる女は、男の嘘を呼んだのではない。その本能がもっと生臭い『何か』を嗅ぎ取ったのだ】
【一見優男風の相手がそれに応えるかどうかは甚だ疑問だが】


/始めたばかりですみません
/少し離席するので3〜40分お返しが遅くなってしまいます、ごめんなさい
157 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/09(土) 21:57:16.09 ID:7wESOYrF0
>>152
「……"血の病"は……僕を蝕む病だ。身体が他人の血を求める。抑えていても駄目なんだ。"渇き"は、突然にやってくる。」
「……今ここにいる、僕を破壊して。」

彼は、手に持っていたノコギリ鉈の存在をようやく認識したのか、その柄を折りたたんで背負う。
あれほど巧みに使用していたというのに、鉈を持つ手はどこか頼りなかった。

「……なんて。こんな事を言っても、理解しては貰えないだろう。私は人を殺して……挙句、君の命まで奪おうとしたのだから」

血に飢えた彼の本性。
血を用いて発揮する、血液の業。
他人の血を求め、他人の血によって強化される。
その二つの病理は、深く関係性があるように思えるが……
それは、彼自身ですら理解できてないのだ。

「すまない。うまい説明はできない。……だが、出来る限り……私の事を話そう」

人を殺さなくては、生きていけない体質。
殺めるたびに、彼が命をつなぐ度に、彼の心は傷付いていく。
彼は"善人"だ。だからこそ、善にも悪にもなりきれない。
自分の行為に対して、開き直る事もできない。自分の意思では、行動を止める事ができない。永遠の苦しみだ。
だからこそ━━━━━彼は考える。彼が生きる、その意味を。

「私は、私が殺めた命は……私が生きるために、繋いできた命なんだ。」
「自殺なんかで逃げてしまえば……私が踏み越えてきた、彼らに対しての本当の懺悔にはならない。むしろそれこそ……死者への最大の冒涜だ」

"踏み越えてきた"命。
彼が今踏みしめる大地の下には、多くの血が流れている。
彼の血の匂いは消える事はない。まるで呪いのように、病のように、彼の人生を取り巻き続ける。

「私が生きてきた証。彼らの命に本当の「懺悔」をするためには……この病理を、僕の手で決着させる必要がある。」

自分のために殺してしまった。だから、それに対して懺悔する。だが、それは一種の本末転倒だ。
生き延びるために、人を殺めなければならない。殺めた事に対する懺悔をするため、生き延びるというのは━━━━━━
まさしく病理。彼の人生を根強く蝕む呪いと言っても過言ではない。
青年は、どう解釈するであろうか。この男の生き様は、醜いと取るだろうか。それとも……




158 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [sage]:2016/01/09(土) 21:57:54.57 ID:xFrvapUJO
【公園にて】

「まさか僕が能力を、ねぇ……」

空は晴天。時刻は昼時。
暖冬という事もあり、日光はとても暖かく、心地良い。
ベンチに座っているのは、【学園】の制服を着た、どこにでもいそうな少年。こんな時間にいるという事は授業帰りだろうか。

空を見上げながら、薄ぼんやりとそんな事を考える。

「うーん、やっぱりまだ実感は沸かないなぁ…これと言って変わった事もないし」

未だに実感が沸かないものである。何故なら、つい先日まで自分に異能など縁もゆかりもなかったから。
今までは【学園】の一生徒として、それとなく過ごしてきたわけだが、いきなり能力に目覚められても困るのだ。

「このまま何も起きなければ良いんだけどな、平和が一番なんだ。能力なんて、本当は使わなければそっちの方が良いんだ」

これは何かが起こる前兆なのか、そんな気がしてならない。実体のない、ぼんやりとした不安が頭の靄となる。
そんな不安を振り切るように、陰りのない少年は平和を想起するのであった。
159 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 22:03:08.50 ID:ho0dTP090
>>155

「まあ、そこまで言われちゃあ、答え合わせしてあげないとね」

口調が変わる。恭しい態度から、不遜なそれへ。

「君の推理はほとんど正解。違うのは、これがはしっこで私はもっと上ってことかな。
私としては穏便に済ませたいから、君には見逃すくらいの器量があってもいいかと思っているよ」

一転して身勝手な要求を突き付ける。

「君には命を、私には時間を。取引なら悪くないでしょう?」

お前を殺すのは簡単だと、高を括ったような要求を突き付けた。

そして、握り込んだ左手の中には兵士の黒駒が2つ
160 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/09(土) 22:09:51.32 ID:MQG1ZYD2o
>>158
――パァン

暖かな公園、その平和は一発の銃声に切り裂かれる
その元凶、そいつは身を隠していなかった
そう、公園の真ん中で堂々と立っていたのだ
そして、奇抜な格好をしていた

「くそう!仕留めそこなったかっ!…ええい、奴め!次は必ず落とす…ッ!」

そいつは、巫女だった
SV-98――無骨な狙撃銃を空に向けているだけの、普通の巫女だった

巫女こと阿部琴葉は舌打ちをする
あいつは二発も俺の狙撃を避けやがった――もう許せはしない、確実に撃墜する
スコープ越しに見るターゲットは――書店の袋を足に引っ掛けた鳥だった
161 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 22:10:26.27 ID:8Dzq7tgpO
>>159
「はぁ………………随分と甘く見られたものね…………」

少女はうつむき、首を横に振る仕草を見せると、左の手のひらから二つ、小さな星を作り出す

「見逃す訳なんかないでしょ?私はね」

そして、右手で剣を抜くと、そのまま真っ直ぐ走り出して

「"悪党"ってのが大っ嫌いなのよ!!」

飛び付き、真っ直ぐと縦に、剣で斬りかかる!!
162 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/09(土) 22:11:38.51 ID:cot/09Aao
>>156
「なるほど。思った通りキミもこの事件の関係しているのだな」
「そしてこの事件は、キミの他に誰か主犯格が居る」
「それを教えてもらうには、キミから”教えてもらう(勝利する)”しかないようだ」

 アルバートが目の前の女性がこの事件に関係していると考えた理由。
この女性が一般人であれば、まず自分の説明を聞き素直に応えるだろう。
あるいは、何も知らない能力者でもそうだろう。
好戦的な能力者であれば、あるいは何も知らなくとも勝負を挑んでくるだろう。
 しかし、彼女は情報の対価として勝負を挑んできた。
この手の人間は、ある種の誠実さを持っている事がほとんどだ。
であるならば、彼女はそれ相応の情報を持っているのだろう。
誰かが走り去るのを見た、などといった曖昧なものではない情報を。
そう考えていけば、この答えに辿りくのはそう長く時間は掛からなかった。

「私はあまり荒事は得意では無いのだがね」
「それでは、行かせてもらうよ」

【そう言い、ハンマーを振りかぶり走り寄る】
【このまま接近を許せば、スレッジハンマーの一撃はあなたの頭を砕かんと、振り下ろされるだろう】

//了解しました。ゆっくり待ってます!
163 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/09(土) 22:18:05.21 ID:QhHUiLIJ0
>>157
青年は、この男性の独白を、ただ真っ直ぐに聞いた。
何かを考えるでもなく、只管に彼の“説明”と、“過去”と、―――彼の“決意”を。その目と耳で受け止めた。

元来、青年は興味本位の生き物であった。他人の力と、その力を手に入れる経緯と、その生き方をもを彼は興味の対象内とした。
そして、できる限りその他人へ関係を持とうと画策をした。
悪く言えば、野次馬根性を剥き出しのまま育ったのだ。

とどのつまり、青年の好奇心はこの“鮮血の病魔を持つ男性”に全てを満たされた。
そして、異常な程に感銘を受けた彼は、こんなことを口にした。

「―――美しい、です」

少しの笑いも、声に孕むはずだった怒気も、何も無い。
ひとつだけ、“尊敬の念”を持って、彼はそう呟いたのだった。
そして、これでは語弊があると気づき、はっと正気に戻る。

「……あ、いや、その、あれです。貴方に殺められた人の命を、どうとも思ってはいない訳ではありません。ただ」

すう、と息を継ぐ。

「貴方の生き方は誉れ高いものです。僕のような子供が言えるかと、馬鹿にされるかもしれませんが……決して誤りではない筈です」

結局のところ、彼は男の力と、それに纏わる過去に“魅せられて”しまったのだった。
164 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [sage]:2016/01/09(土) 22:36:57.60 ID:xFrvapUJO
>>160
「な、なんだ!?」

平穏を切り裂く音がした。銃声だった。
日常で銃声がいきなり聞こえてくる事自体ちゃんちゃらおかしいそれは、ベンチで考え事をしている少年を、心臓が口から飛び出そうなくらいに驚かすには充分だった。
銃声の方向を見てみると、そこには狙撃銃を持った巫女というこれまたおかしな組み合わせであった。
更に、その銃口の向いている先を見ると、一羽の鳥。

「ちょ、ちょっと待って!何やってるんですか!駄目ですよやめてください!」

咄嗟にその巫女を制止しようとする。
まさかこんな公共の場で野鳥狩りをしようとでも言うのか。
極めて常識的な見識を持った少年は、それを断固阻止しようとする。

/すいません、今発見しました…
165 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 22:39:12.92 ID:ho0dTP090
>>161

「そう。それが答え?」

彼女は、男に顎で指図して、場を離れるように指示。
男は恥も外聞も無く、逃走する。

「授業料を払ってもらうかな」

彼女は、左手に用意しておいた白駒を指弾の要領で少女に放つ。
駒は空中で人間サイズに拡大し、文字通り人間砲弾と化す。

さらに、用意しておいたもう一つの駒は足元にころがし、肉壁にする。

「逃げるなら、追わないであげるよ」

にたりと笑う。その右手には白の騎士。

//ごめんなさい、見落してました
166 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/09(土) 22:48:19.59 ID:7wESOYrF0
>>163
「"美しい"……か」

彼の人生は、血にまみれている。
病理が血を求め、人を殺める。その結果が、彼の生き様を決定している。
精神と肉体の離別。切っても切り離せぬそれが、独立した状態でいる。
ならば、その状態に━━━━彼の人生には、せめてもの辻褄を合わせなくてはならないのだ。

「……これは勝手な言い訳さ。僕がしたのは紛れもなく殺人だ。……一度殺してしまえば、戻れる場所なんてどこにもない」
「僕は、先に進むしかない。血の病を━━━━自分の血を、黙らせる事しかできないんだ」

彼は血を拭う。
自分の血なのか他人の血なのか、それすらもわからない赤の液体。
人の命を示す紅を拭い去る。

「結局は独善さ。人が死んだ以上、その後に何を取り繕おうとも、全ては手前勝手な独善だ。」
「だが、それでも━━━━━━」

彼は息を吸い込む。
会ったばかりの青年に、自分の全てを語ろうとしているのは、ただ懺悔の心ばかりがあるのだろう。……彼は、"善人"だった。

「私は、彼らのお陰で生きてきた。自分は、命を踏み越えてここにいる。」
「ならば彼らに、せめての花を手向けたい。その先にある我が命を、無為なもので終わらせたくはない。」

「それが私の【血黙渇望】。彼らへの"Begravelse(葬儀)"━━━━━━━」
「僕は、この病理を解き明かす。……この生き様は、美しいとは思えないけれど」

彼は、その確固たる決意を示す。
獣と人間の間に揺れる男は、今まさに戦っている。
自分との戦い。彼の人生は、そう表現するに足るものと言えた。

「もし君が、僕の事を赦してくれるのなら……これを受け取ってくれ」

彼は、おもむろに懐から瓶を取り出す。
その中には、赤い液体━━━━血液が入っていた。

「それは私の血。血の病に侵された、私の呪われた血……」
「能力者の街……僕の病理を知る人間は、必ずどこかに居るはずだ。……そんな人に出会ったら、それを渡してくれ。……差し出がましい願いだけれど」

血を巡る葛藤。彼の中にある人生。彼は今まで、それを他人に吐露した事などなかった。

「……誤りではない、か……」
「悼みは、間違いでは無かったのか……」

故に。彼はとても安堵したような声を上げるだろう。
それが他人の感想であっても。自らの行いが間違いでないと示される事は……
彼にとっての、何よりの救いであった。

「……そうだ。私が先程、殺めてしまったという人物……その、場所は解るかい?」
「……せめて、供養がしたい」



167 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/09(土) 22:48:40.49 ID:MQG1ZYD2o
>>164
「何!?見られていただと…ええい!」

気付いていなかっただけだ。ただの不注意だ。
ややカッコつけたような口調でまた舌打ち
まあ、こんな姿を一般人に見られるのはよくはない

「少年よ…女にも戦わねばならぬときがある
例えば……なけなしのお給料を使って楽しみだったラノベの新刊を盗まれたときとかだ」

まさにこの巫女はそんな状況に陥っている
彼女にとっては、相手が鳥であろうと人であろうと自分の好きなことを邪魔するものは等しく極刑に値するだけの罰があった
彼女の射撃への自信を嘲笑うかのように二度も射線を逃れてみせたなら、万死に値する

「だから…止めるなっ!
…なんてね」

無論、彼女とて野鳥の命は奪いたくはない
だが、仕方ないことなのだ。あの鳥には敵対の意志がある
案ずるな、殺しはしないさ…動かなければな…っ!なんて思いながら少女は引き金に力を籠めようとする
今なら、まだ間に合う。少年に鳥を、少女の細やかなる楽しみを奪った害鳥を助けるだけの猶予はある
だが――少年が動かなければ間違いなく、間違いなくあの鳥は空に散るだろう―――
168 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 22:50:22.16 ID:8Dzq7tgpO
>>165
剣は肉壁に受け止められ、人間防弾が迫ってくるのを確認すると

「…………っ」

そのまま人間砲弾に当たり、後ろに吹き飛ばされる
そこから受け身を取り

「………………あんまり私を甘く見ない事ね」

剣を地面に突き刺すと先程の星を繋げ、また二つ、星を作り出す
悪人は許せない、悪人は嫌い……そんな彼女の心理から、逃げると言う選択肢は一切無かった


169 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 23:00:33.23 ID:ho0dTP090
>>168

「若いっていいね」

嘲るような口調、先ほどの鬱憤を晴らすよう。
少女が悪人を憎むように、彼女もまた善を振りかざす連中は好かない。

「剣が使いたいなら、お望みどおりに」


軽く騎士駒を放り投げる。
先ほどのように巨大化した、甲冑に剣と盾を備えた騎士。
そうして現れた騎士は、少女に向かって走り出す。

「さあ、どうする?」
170 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 23:06:44.84 ID:8Dzq7tgpO
>>169
四つの星を錐の形に繋げる、重量はかるくしたそれを…………
「…………こうするのよ」

放物線を描いて、直接女性へと投げる!

それは炸裂し、強い光を発して女性へと襲い掛かる!!

少女はそのまま、地面に突き刺した剣を抜き、騎士を迎え撃つつもりだ
171 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [sage]:2016/01/09(土) 23:07:32.00 ID:xFrvapUJO
>>167
「知りませんよ!このっ、話しても聞かないなら…!」

この巫女の事情が一体どうであるのか、そんな事はどうでも良い。
確かに楽しみを奪われるのはさぞかし辛いだろう、しかしそんな理由で許してしまったら街中が殺人で溢れかえってしまう。
そもそも、こんな真っ昼間に堂々と銃声を放って警察が来たらどうするのか。
巫女の今後の人生の為にもここは止めておくべきだろう、いや止めないといけない。
それが今の自分の使命であると思った。
あくまでも自分は正常だ。
と、そうこうしているうちに今にも巫女は次の一発を撃とうと構えている。少年は咄嗟に動き出した。

「駄目だって言ってるのに!」

少年は巫女に突進し、突き飛ばそうとする。
これにより銃口は逸らされ、鳥に弾が当たる事はないだろう。

「警察に捕まったらどうするんですか!こんな昼間から銃をぶっ放すなんて!周りの迷惑も考えてくださいよ!」

それが終わったら巫女に叱責をする。
多分、見たところ同年代の少女だ。どこをどうすればこんなズレた事ができるのか。
常識的な少年は、全く理解しかねる。
172 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/09(土) 23:08:19.29 ID:nY9js1QZ0
>>162

ふふ、要はそういう事だ

【丁寧な物言いの裏にある意図を汲み取って、口角を更に釣り上げる女】
【柄に手を掛けると同時、ハンマーを掲げた男が此方に迫りくる】

(さて、どう受けるか……)

【形状から見て主な攻撃は打撃である事は明白。まずはその一撃の威力を量りつつ、打点をずらして受ける】
【抜刀と防御を一挙動で終わらせると、鎚の柄と刃がぎゃりぃん、と軋みを響かせながら左耳付近を通過していった】

っ、流石に重い、なっ

【重心の差と遠心力による刀ではあり得ない『重み』。腕に残る痺れに感嘆を漏らす】
【だがこちらも一撃では負けられない。受けた姿勢からぐぅんと外に腕を回し、右から左へ横薙ぎに切り払う】
【痺れた片腕による斬撃はまだ様子見の域を出ないが、其れは相手とて同じ事だろう。回避、反撃されても何ら不思議はない】


/お待たせしました、ただ今戻りました
173 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/09(土) 23:09:43.02 ID:QhHUiLIJ0
>>166
男から差し出された、血の小瓶。
コルク栓の下に溜まった血は、なんら変哲のない人間のものに見える。
だが青年にとって、そして眼前の男にとって、どれだけの価値があるのだろう。
彼の未来を繋ぐのか、それとも閉ざすのか。その“鍵”を彼は、この青年に渡そうとしている。

「……そうですね、独善でしょう。貴方に殺められた人々は二度と貴方を赦しません。彼等はもう、ここには居ないのですから」

男に棲む獣と、自己の葛藤の現れのように、左右の虹彩の違う瞳。それを青年は、逡巡せずに見つめる。
そして、未来の鍵となるであろう小瓶を、――受け取った。

「今ここで、貴方を赦すことができるのは僕と、―――貴方だけです。そして今、僕は貴方を赦しました」

そして、それをダッフルコートのポケットへと仕舞いこみ、もう一度手を出した。
―――そして、その手は男に、握手を求めた。

「貴方の心が、いつか貴方を赦せるように。この瓶、大切にお預かりします」

微笑みをたたえて、青年は男に告げた。
どこまで届くのかは分からない。自分はあくまで外様の人間だ。
でも、だからこそ、彼にとって自分が赦すということが、―――彼が自身を肯定することに繋がることを期待したのだ。

「あ、はい。結構走り回ったので、ここより少し先の路地裏です」

そして、青年は彼の供養の案内を引き受けた。
174 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 23:15:28.13 ID:ho0dTP090
>>170

「おおっと」

投擲されたそれに対し、兵士を壁にして対応する。
したはいいが、閃光で視界が奪われる。

「これは……、ちょっとよくないかな」

呻くように声を絞り出す、

視界が戻るまでの時間、新しい駒も用意できず、騎士は走るのを止め、静止した。
何もできない、木偶人形である。
175 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 23:19:17.90 ID:8Dzq7tgpO
>>174
「だから言ったでしょ?」

そのまま、騎士をスルーして、本体に向かって走り出す、また星を1つ、左手に作り

「なめんじゃないわよ!!」

そして、本体に接近するや、壁となってる騎士を、真っ二つに切り裂こうと横斬りを繰り出す
176 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/09(土) 23:20:34.37 ID:MQG1ZYD2o
>>171
巫女が邪悪にほほ笑む
貴様はここで終わりだ、害鳥
せいぜい己の行いを後悔し、この阿部琴葉の銃弾に倒れることを光栄に思いながら墜ちるがいい――!

「きゃっ!?」

銃声、平穏は再び切り裂かれる
少女らしい高く小さな悲鳴、少女は芝生の上に倒れる
カチャリと音を立てて銃が落ちる、目的を果たせなかったそれはしかしあくまで道具。悔しがることもなく冷たく黒光る
空からは鳥の鳴き声、結局書店の袋は落とさぬままに一命をとりとめて大空を羽ばたく

「イタタ……だって、そうまでしても取り返したかったんだもん
それができる力があるんだから、仕方ないもん」

拗ねたように転がって少年に背を向けていじける
ブツブツブツブツと言い訳を並べているが多すぎるので省略だ
ここで、少女の行い以外にも非常識が発生する
先ほどの狙撃銃、突き飛ばされたときに手から離れたものが砂のように崩れて粒子となっているのだ
そして、粒子――霊力は少女の中に入っていく
跡形もなく、初めから存在していなかったかのように銃は消えてしまったのだ
177 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/09(土) 23:31:13.19 ID:7wESOYrF0
>>173
「ああ━━━━━分かった。」
「……ありがとう。君は若いが……君は、きっと正しい人間だ。僕が決められる事ではないけれど」

彼が自分を赦す時。……それは、全てが終わってからでなければ実現はしないだろう。
血を巡る輪廻。その運命、病理に決着をつけぬ限りは、彼の矛盾は解放されず……
そして、彼は自分を許せないだろう。

彼は、青年の言った通りに道を進む。
その場所はすぐに分かった。血が辺りに飛び散り、堪らぬ血の匂いが未だに残っている。
遺体はその中心にあった。より多く血液を出させるために、動脈に沿って肉体に切り込みが入っている。拷問などではない、ただ血を求めた殺し方だ。
壮絶な苦しみであっただろう。遺体の表情を見て、彼の心は大いに傷を受けたらしい。
遺体の側に跪けば、ただ、静かに祈りを捧げる。
被害者は彼を赦しはするまい。だがそれ以上に、彼の心は、その場から黙って立ち去る事を赦しはしなかった。

彼は懐からハンカチ布を取り出す。その顔に白い布を優しく被せれば、彼はおもむろに立ち上がった。

「……そう言えば、名前を聞いていなかったね……」
「私はスヴェン・コナー……ただ、スヴェンと呼んでくれ。」
「……"祖国"の近く、冬の北国の生まれさ」

彼は、ふと思い出したように自分の名前を名乗った。
スヴェン・コナー。彼の人生は、これから青年とどのように関わって行くのだろうか。
神のみぞ知る運命の中に、彼らはいた。

「……君の名前を、教えて欲しい」
178 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/09(土) 23:33:46.48 ID:cot/09Aao
>>172
 初手の一撃は、受け止めるのでは受け流されてしまう。
受け止めてくれればそこでチェックメイトだったのだがと内心残念に思う。
彼女はわかっていて受け流したのだろうか、違う。
これは自分が彼女の使う刀という武器に対する理解の低さだろう。
刀は受けるのには向かない。流れを断ち切らず、その流れに乗り、制する武器なのだから。
 そう反省しながら次の手を打つ。
【横から迫る刃に対しハンマーの柄で受ける】
【黒檀製の柄は丹念な加工により、鋼鉄並みの強度を誇る】
【なんとか叩き切られること無く防ぐ】

「サムライと勝負するのは初めてでね」
「なるほど、サムライはああいう一撃は受け流すのか。勉強になったよ」

【そして競り合っている点を支点としててまるでテコのようにハンマーを振るう】
【それは速度はあまり速くなく、くるりと彼の手の中で器用に回転させて打撃面が入れ替わる】
【印のような紋章が刻まれた面が、彼女から見て左から迫る】
179 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 23:35:02.37 ID:ho0dTP090
>>175

横薙ぎの一撃は、騎士を壊すには、十分な威力。
両断された駒は、砕け散って白い破片を撒き散らす。

「でも、時間は稼げた。
 これ以上夜更かしすると明日に響くからね。
 ここらで退かせてもらうよ」

用意したのは白の女王。

「正義の味方には、砲弾を。
 悪魔の手先には、暗闇を」


巨大化させた女王は、少女の足元に砲弾を叩き込む。
砲弾は公園の土を大量に巻き上げ爆発する。


それを確認した上で、彼女は距離を取る。
撤退の為に。
180 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [sage]:2016/01/09(土) 23:38:54.01 ID:xFrvapUJO
>>176
どうやら自分の行動は成功したらしい。
銃口は見事に明後日の方向を向き、凶弾が鳥の命を奪う事もなかった。
少年は、見知らぬ野鳥と、自分の常識を守る事に成功したのである。

巫女は何やらブツブツと言っているが、聞かない。自分は悪くない。あくまでも正しい行いをしたはずだ。
ところで、あの銃は驚く事に粒子となって少女の体の中に戻った。
つまり、あの銃は能力によって生成されたもの―――よって、彼女も能力者であると分かった。

「はぁ……いくら力があるからって、それを自分の欲望の為に好きに行使するのは違うと思いますよ。そんなの、愚かです。
能力は時と場所を選んで使わないといけないって、あなたにも分かるでしょう?ここは公共の場。そして真っ昼間です」

いくら力があるからと言って、それを自分の欲望の為に好きに使う事は許されない。
そんな事をすれば、世が乱れるに決まっているのだ。

「はぁ……ほら、立ってくださいよ。まるで僕が悪いみたいじゃないですかこれじゃ。代わりと言ってはなんですが飲み物くらいならおごってあげますから」

それにしても、巫女に対して少しも罪悪感が沸かないと言えばそれは嘘であって、このままではバツが悪い。
ましてや泣かれたりでもすれば今度は一転してこちらが悪者になってしまう。
とりあえず巫女に立つように促す。反応がない場合はその手を掴んで無理やりにでも立たせようとするだろう。
181 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 23:39:55.42 ID:8Dzq7tgpO
>>179
「しまった!!」

土煙を吸い込み、それで咳をする
少女の動きは止まり、距離を取るには十分時間が稼げるであろう

「く…………」

少女は星をまた1つ作り出す、その2つの星を槍状にして投げる
このままだと逃げられる、こうしても恐らくは無意味であろう
しかし、ただ黙って悪人が逃げるのを、見ている事はできなかった
そんな想いからの最後の"悪あがき"
182 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/09(土) 23:49:15.24 ID:MQG1ZYD2o
>>180
「うー……けど、そんなのつまんなくない?
まあ、確かに時とか場所とかは弁えなきゃーだけど私はそんなTHE・無害な一般人みたいな生き方は嫌だなー」

ブツブツブツブツとまた何か言う
欲望のために力を乱用するのはよくないかもしれない。だが、そんな愚かなんて言葉で片づけるのは――つまらない
どうせなら、それが苦難の道でも面白い方を選びたい
――喩え殺されても、笑って楽しかったと言って死にたい

「ぶー……言ったね?確かに聞いたからねー」

まあ、そんな小難しいことなどはどうでもいい
ようは、面白いなら細かいことはいいじゃないということだ
むくりと立ち上がり、巫女服を整える。一応女の子である自覚はあるのか乱れてはだけたまま公園を出ようなどとは思っていないようだ

「で…キミって能力者?それとも近くに能力者いるの?銃を霊力に戻してもあんまり驚いてなさげだったけど」

立ち上がるなりいきなり質問。その問いは異能を宿しているかだ
別にだからといって撃ち殺すわけでも何をするわけでもない、ただ気になったのだ
ただ、知的好奇心とやらを満たしたかっただけなのだ
183 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/09(土) 23:50:08.90 ID:ho0dTP090
>>181

「悪いね。君の夜遊びにつきあうのはここまでだから」

取り出したるは、黒の城塞。
現れたチャリオットに飛び乗り、一気に公園から離脱する。

だが、それを邪魔する如く、土煙を切り裂く星の槍。
チャリオットを大きく右に旋回させ体を大きく左に跳ね飛ばして回避する。

土煙の晴れた後、そこには大きくうねった轍が残された。

//ひとまずここらで、お疲れ様でした。
184 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/09(土) 23:56:19.35 ID:QhHUiLIJ0
>>177
男性の隣で青年もまた、手を合わせた。

思えば襲われていたこの人物に何もせず、逃げてしまおうとしたのは、他でもない自分だ。気付いた瞬間、身体が震えた
自責の念が心臓を痛める。あれ程この男性に、偉そうなことを言ったばかりだというのに。
自分の幼さが忌々しい。青年は、合わせた掌が二度と離れるなと、念じる程に力を込めた。

間もなくして、立ち上がった彼、スヴェンから名を聞かれた。
青年は迷うことなく、自らの名を告げる。

「嘉瀬、水那月。ミナヅキと呼んでください」

と、そこで思い出したように続ける。

「僕はすぐ近くの、能力者の集まる学園に在学しています。そこで少し聞き込みをしてみようと思うので、何かあればそこを訪れてください」

通称、【学園】。能力者と非能力者が共に属するその施設は、小中高、そして大学までもを内に設けた超弩級のマンモス校。
彼はその学園で、“血の病”について調査すると予定しているようだ。
185 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/09(土) 23:57:20.12 ID:8Dzq7tgpO
>>183
「ち…………逃げられたか」

女性を見送ると、舌打ちして、身体に付いた土を払う

「まぁ、顔も覚えたし……次の機会に捕まえてやらわ」

剣を鞘に納めて、空を見上げる

「…………にしても…………いちいち癪に触る奴だったわ…………」

散々子供扱いされたことに苛立っているのかわなわなしています

//お疲れ様です、絡み有り難うです!
186 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/09(土) 23:58:13.97 ID:nY9js1QZ0
>>178

だろうな、私も解体屋とやり合うのは初めてだ

【腰を落として鍔迫り合いの体勢。体格差があろうと、長年人斬り包丁を振ってきた腕力は常人の其れとは一線を画す】
【相手の風変わりな武器を皮肉って返す、しかし侮蔑の色は無くその技量はまさしく戦士の域。自ずとこちらも気合が入る】
【刀の柄をむんと握りしめれば、左の視界でハンマーの面がぐんと大きくなる。虚を突きこちらの力を利用した近接打撃は思いの外速い――――が】

、嘗めるなッ!

【ごちんと骨に当たる音、しかし声を発した顔は未だ無傷で】


刀じゃあこうはいかんがな……打点さえずらせれば、アンタの一撃は生身でも怖くない

【受け止めたのは左腕、橈骨の硬い部分で加速しきる前に接近を阻む】
【言葉通り刃の付いていない打撃武器は、よほどうまく使わない限り『斬られる』怖さはない】
【とはいえ金属部分を受けるのは上策にあらず、それが嵌まる柄の上端辺りを、押さえる様にぐっと持ち上げる】

さあ、こうなったらどうもできまい?

【息のかかる距離で下から睨み挑発する女。同時に防いでいた左手でその柄を掴もうとする】
【腕力は競り合いで証明済み、もし掴み封じられれば、その瞬間右の刀で袈裟切りに振り下ろすつもりであった】
187 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [sage]:2016/01/10(日) 00:07:49.16 ID:/lEhqC7KO
>>182
「僕は人畜無害が良いです。嫌ですよそんな世紀末みたいな世界になったら」

もしも、能力を好き勝手に使う輩ばかりになって毎日が殺戮、略奪のような世界になってしまったらと考える。
多分ストレスで自[ピーーー]る。もしくは真っ先に殺される。多分自分はそっち側の人間だ。
そんなおぞましい世界は嫌だ。
真っ当に生きたい。もしも能力を悪用するような人間がいたら、止めたいと思う。

「僕の通っている【学園】に能力者なんてごまんといますよ、僕もつい最近能力に目覚めたんですけど…まあ力の用途が分からなくて無能力同然ですが」

そう、目下の悩みは、自分に宿っている能力の正体がよく分からない事である。
絆と時間。多くの人と絆を結び、時間をかけてそれを強くしていく。
要するに、友達を作れという事だろうか。残念ながら、学園内で自分に友人と呼べる者はいない。
まあ、そんなわけで無能力同然。宝の持ち腐れとでも言うべきか。

「……で、飲み物は何が良いですか?」
188 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 00:15:50.62 ID:dAav4Hxxo
>>186

「舐めてなどいないさ」
「私は荒事が苦手でね。今も心臓が爆発しそうだ」

こちらの攻撃は彼女の左腕に抑えられる。
勢いの乗らない鈍器での一撃など、戦える能力者にとっては蚊に刺された程の効果も与えないだろう。
ならば、

「ただのハンマーなら、そうだろうがね」
「残念ながら、これでチェックだ」

【そう言いながら、手の中でくるりと、掴まれる前に再びハンマーの前後を回転させる】
【紋章が刻まれた面が彼女の方から消え、逆の面が彼女に向いたと同時に紋章の刻まれた面にある銃口が火を噴く】
【一度に二発。本来の目的は追撃の接射用の火薬は、まさに爆発しその反動は一度停止したはずのハンマーを爆発的に推進させる】
【一気にトップスピードに乗ったそのハンマーは、腕を押しのけてそのまま彼女に迫るだろう】
【さぁ、どうなるか】
189 :【銃姫神女】  ◆I5e7gQqFe2 [saga]:2016/01/10(日) 00:34:26.35 ID:GxM2LFxb0
>>187
「私はそうなったらそうなったで楽しむかなー楽しかったら終わりはどうでもいいや!」

なんて言っている通り、阿部琴葉はそんな世界でも盛大に楽しむだろう
どんな死にかたでも絶対に笑って死ねるとは言い切れる
秩序もいいがそれだけではない、そんなことは琴葉にとっては常識だった

「学園かー面白そうなところだね!私も神職…巫女じゃなかったらそんなところに行ってみたいなーいいなー今度潜入させてよー」

琴葉は今は学校に通っていない
幼いうちに神職になるための勉強を終わらせてその後は独り親から受け継がれた神社を守るだけだったのだ
当然ながら、同年代の友達なんているはずもない
高校生活なんて、知るはずもない

「あっ、私は阿部琴葉って言って雷命神社の宮司兼巫女なんだ!今度参拝しに来てよ!」

笑顔の自己紹介
意外なことに彼女は一人で神社を管理している立派な神職なのだ
その事に関しては誇りでもあるのか胸を張っている

「うーん、コーヒーがいいかなー温かくてちょっと甘いやつ!」

笑顔で自分の希望を言う
だが、それよりも――と言葉は続けられる
その瞳は好奇心で輝いていた

「その学園のこと、いろいろ聞かせてよっ!」




//時間も時間なので敢えてここで〆でお願いします!ありがとうございました!
190 :【NEXT】 :2016/01/10(日) 00:34:41.84 ID:Axdf4CUf0
>>143

「怯むな、盾を構え容疑者を包囲しろ!」

【隊長らしき男の指示に、援軍の機動隊員達は盾を構え、軍人を囲む】
【能力者が相手である事は分かった上での装備の盾は、軍人でもこれまでのように一撃で両断するような事は困難だろう】
【それどころか、下手に攻撃を仕掛ければその隙に確保される危険もあるだろう】

(行ったかな......?)

【一方、少女は透明化を駆使しつつ、再び壁の外を見回す】
【見張りの人員は、援軍に行ったようだ】

(よし......行ける!)

【そう判断し、呼吸を整え、一気に壁をすり抜けた】
【装甲車まで、約10m】
【何事もなければ、装甲車までたどり着けるが、どうだろうか】
191 :【銃姫神女】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 00:36:06.46 ID:GxM2LFxb0
//酉ミスとは締まらない…
192 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/10(日) 00:38:22.43 ID:NYjrutva0
>>184
「ミナヅキ……」

彼は青年の言葉を、反芻するように繰り返す。

「なるほど……その響きは、君に合っている」

お互いに自己紹介を済ませれば、彼は優しくそう言った。
だからこそ、目の前の遺体の人物を殺害した獣との乖離が、より一層感じられる事だろう。

「"学園"か……確かに、あれほど大きい学校なら、研究員の一人や二人はいるかもしれないな……」

彼はそんな、軽い冗談と共に青年を見据える。
その瞳には、確かな信頼がこもっていた。

「私も血の研究を続けるが……もし、僕がまた、血に狂ってしまった時は……」
「私に、声をかけて欲しい。たった一言、"Husk(思い出せ)"と。」

血に狂った獣の病理は、そう簡単に解けるものではないだろう。
だが、彼はそれでも、進まなければならない。
彼が踏み越えてきた命への、真の懺悔を果たすためにも。

彼の身体に纏わりついていた血が蒸散する。
おそらく、彼の能力を応用したのだろう。
だが、彼に深く染み付いた血の匂いだけは、消えることはなかった。

「……ここらでお別れだな。君のような人間に会えて、本当に良かった」

その言葉は、本心からのものだ。
心より発せられたその一言は、彼の生き様が間違いでないと言ってくれた、青年へと向けられていた。

会釈をして、彼は路地裏から去って行く。
辺りの自分の血も蒸散させたのだろうか。警察は、彼を追うことはできないだろう。
案外、強かな人間だったのかもしれない。

/ここらで〆でしょうか?二日間にわたってお疲れ様でした!
193 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 00:40:28.39 ID:WFNqOeTP0
>>188

【苦手だなどとよく言う、抜身の刃に対しこんな冷静な態度を取れるのは剣士でもそうはいるまい】
【だが女の方も相手の攻撃を見切り始めていた――――少なくとも、女自身はそう思っていた】

【――――轟音】

〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!

【鼓膜が痺れる、と思う暇も無く、耳付近に何かが凄い勢いでぶつかってくる。それが打ち抜かれた己の左腕だとも分からず】
【蠅のように叩き落とされた身体は、あっさり斜め下に潰れ落ちる。が、転がりざま、がばと身を跳ね起こし】


な、にをした……っ!、?

【――しかし、立てない。片膝ついて立とうとしたが、それ以上足に力が入らず】
【腕で防いでいてもその防御ごと、強かに頭蓋骨を、脳を打ち抜かれた。結果、揺れる視界の中で情けなく固まった両足がある】
【油断、という言葉が脳裏を過ぎる。ハンマーらしからぬ装飾を見た時もっと違和感を覚えるべきだった】
【ここで畳みかけられると不味い。下から睨み付け、片膝立ちのまま引くく霞に構え、最低限の回復を待つ】
194 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/10(日) 00:41:49.56 ID:wbLZUFRl0
>>192
//〆ということで!
//こちらこそありがとうございました。良い繋がりができて幸いです!またよろしくお願いします
195 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 00:56:31.05 ID:dAav4Hxxo
>>193
「なに、ちょっとした手品みたいな物だよ」
「種明かしはしない主義でね。申し訳ないが、答えは自分で考えてくれると嬉しい」

【追い打ちはせず、女性に対して姿勢を正し直立する】

まだ戦おうと言うのか。まったく、勝負好きという人種は理解し難い。
そう考えるが、口には出さない。
しかし、このまま勝負を続けるのは良くない。
このような場所とは言え、あまり騒ぎを大きくしたくない。
警察やD.O.T.Aなどといった機関に気取られたら、この調査は失敗したと言ってもいいだろう。


「ところで、さっきの話だが。これは私の勝ちでいいと思うのだが」
「私は”荒事が苦手”な…・…そうだな”解体屋”だ。保険会社から調査依頼を受けた、ね」
「そしてキミは、サムライだ。サムライは戦うのが仕事だろう?」
「本職が門外漢に勝負を挑んで、膝をつかされたんだ」
このままどう戦おうと、その事実は消えない

【そう、冷酷に告げる】

まぁ、彼女は自分が門外漢ではなく同類の本職であると気づいているだろうが。
ここは、言葉で揺さぶりをかけるほうが良い。そう判断したのだ。

「私は”教えてもらえる(勝利した)”と思うのだが、キミはそれを認めないのかな?」
196 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/10(日) 01:09:27.21 ID:/lEhqC7KO
>>189
「…………」

この人は、きっとどんな状況下にあっても楽しむのだろうと思った。
多分、それは幸せな事なんだろうと思った。
自分には、きっと一生分かり得ない事なんだろうけども。

「転入してくれば良いのに。別に、巫女だからって学校に通っちゃいけないなんて事はないと思いますけど」

もしかして、この人は孤独なんじゃないかと思う。
学校に通っていないという事は、友達もいないのではないのか。
ただ一人で、神社を守るだけ。想像して、少し寂しくなった。今度、行ってやろう。

「僕は早瀬真琴。マコトって呼んでもらえれば。
……っていうか、もう敬語やめて良い?見たところ同い年くらいだし」

「コーヒーね。喜んで、幾らでも話してあげるよ」

飲み物を買ったら、また【学園】の事について語らい始める。
これが終わる頃にはきっと、琴葉と友達になれているはずだ。

【現在のロール回数:2】

/こちらこそありがとうございました!友好的な相手になったという事でロール回数2とさせて頂きました
197 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 01:23:05.83 ID:WFNqOeTP0
>>195

っ、……
(硝煙の匂い――――火薬を使った、のか)

【自らが起こした土埃のなか鼻に覚えた刺激臭】
【確かに感じた爆音と不自然な加速を加味すれば、凡その想像はついたが】
【サムライと揶揄されるだけあって科学的な機構にはとんと疎い】
【自分と似た様で真逆のタイプだろうか、道理で異能の気配がなかったわけだ】

あぁん……っ!?

【冷静な口調とは裏腹に青筋を立てる女】
【負けず嫌いが服を着て歩いているような性格で此処まで言われて黙っている方が難しい】
【しかし相手は既に武器を降ろして店じまいの様子。本気でやるなら先程の段階で追い打ちをかけられていただろう】
【試すつもりが掌で翻弄されていた事実に、唇を噛み締める】

…………、

【ふーっ、と一度大きなため息】


「半分」だけ、教えてやる。まだ“膝を着かされただけ”だからな

【『引き分け』。それ以上は譲らないと、頑なな意地で力説する】
【力が篭ったためか意図せずして立ち上がってしまい、くらくらとよろける】
【頭を振りふり漸く刀を鞘に収めれば、漂っていた緊張と殺気が嘘のように雲散霧消する】

それで、なにを聞きたいんだったっけ?

【けろりとした顔でのたまう女。戦闘に入れ込むと前後の流れも忘れるほど熱中していたらしい】
【乱れた黒髪を一度解くと、眉の上をどろりと温かい血が流れる】
198 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 01:44:45.61 ID:dAav4Hxxo
>>197
 自分の言葉に、青筋を立てる女性。
そのまま逆上し、おぼつかない脚で向かってくるならばこちらの思う壺であったのだが。
一度大きく息を吐くと、気持ちを落ち着かせたのか「半分」だけ、こちらの言い分を認めたようだ。

「半分だけ、それで十分だ」
「それじゃあ、“君たちはここで何をしたか”を出来るだけ詳しく教えてくれないか」
「それが無理なら、他の人に当たるとするよ。キミがそういう人間だったというだけだ」
「ああ、相手の身体的特徴とか、名前とかそういうのは言わなくていい」
「この事件が人為的なものか、事故なのか。それがはっきりすれば保険会社も納得できるのでね」

 どのような人物が、はあまり重要ではない。
もう一人の目的も、直接聞く必要はない。
ここで、何があったのか。この好戦的な女性のことだ。
きっと自分にしたように、勝負を挑んだのだろう。
その内容を少しでも聞き出せれば、そこから能力の推測を、そしてその能力者の推測をできるだろう。
そう考えてのことだ。

「あぁ、怪我をさせてしまったようだ」
「これを使うといい。返さなくても結構だ」
「いまはこの程度しか無いのでね。こんな事になるとは予想なんてしていなかった」

【そういい、ポケットからハンカチを取り出し、渡そうとする】

女性の頭から、血が流れていることに気づく。
どうやら、少々火薬が多すぎたようだ。
199 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 02:05:46.23 ID:WFNqOeTP0
>>198

何をした、と言われてもな……そいつと戦って、私が勝った。それだけだ

【男の予想通りの答えをけろりと返す女。むしろ質問が曖昧過ぎてそれ以上語る事が出来ないようで】
【相手の真の目的、能力者の情報についてはあまり頓着しない。無能力者故の無知を男は理解してくれるだろうか】
【とはいえそこを念入りにほじくり返せば答えるのも吝かではないが、半分といった手前どこまで喋るものか】

この程度にそんなモノいらん。アイツと戦った時の方がよほど酷かった

【親切を無愛想に断り、指で乱暴に拭う。濡れた手を振ると地面に一筋の赤い線が走った】
【こめかみを押さえるとずきずきと、こぶが出来ているがそれ以上の出血はないようだ】
【血の付いていない方の手を見せ、そこに残る火傷痕を晒す】
【無論事件の火事騒ぎでの傷ではない、その時戦った巫女に付けられたものだ】
200 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 02:16:41.54 ID:dAav4Hxxo
>>199
「ふむ、戦った。となるとキミとその人物はそれほど親しいわけではない。と」

 やはりそうかと思うとともに、答えた情報の少なさにどうしようかと悩む。
質問が曖昧だったか、彼女がそれ以上覚えていないのか。
それともう、「半分」だけ応えるというものに引っかかっている可能性もある。
深く考えすぎて、答えを見失いそうになる。
そうすると、彼女は差し出されたハンカチを拒む。
そうして、戦った時に傷として火傷の痕を見せてきた。

「それは、キミがその人物と戦った時に、その人物によってつけられた火傷の痕だな」
「キミを焼いたその火はどれほどの大きさだった?その火が神社を焼いた原因になったのか?」

【火傷に絡めて、質問をしてみる】

なるほど、その能力者は火を使うようだ。
これだけでも、だいぶ情報を絞り込める。
他にも聞きたいことは出来たが、「半分」だけの制約に触れないように、まずはここから
201 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 02:37:51.20 ID:dAav4Hxxo
>>199
//砕牙衝刃さん、すみません先にお休みさせていただきます。
//できれば、明日の20:00位から23:30くらいまでの間、また宜しくお願いします。
202 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 02:38:37.08 ID:WFNqOeTP0
>>200


【女と巫女は此処で出会ったのが初対面】
【戦いこそしたが互いに恨みなど無く終わってみれば笑って別れる事が出来た】
【性格の不一致こそあったものの其れも含めて面白い相手なのでったのだろう】
【売り言葉に買い言葉の会話を思い出したのか、一瞬だけ頬を緩めて】

知らん。 が違うだろうな。いや違うという事も無いのか……
私はアイツの放火の現場に居合わせたわけじゃあないんでな

【次の問いが来れば我に返り、ぶつぶつと自問自答しながら少しずつ回答を紡いでいく】
【女が来た時には神社は火の海だった。つまり事件自体に自分は直接関わりはなく、それを起こした巫女の話と能力に興味を持ったのが発端】
【それに何より巫女の霊符の力は説明がややこしいのだ。口で言うのも面倒くさいと頭を掻いて刀を再び抜き放つ】

起きろ、砕牙

【しかし戦う為ではない。切っ先を天に向け絆詞を唱えると、ハバキ部分に五芒星の刻印が浮かび上がり】
【刀身がぼうと赤く光った直後、刃全体が炎に包まれる】

まぁ、このくらいだったんだろうな。理屈は知らん、察しろ

【松明の如く燃え上がる刀を指差してのたまう。さして強くも無い炎は程なくして消える】
【それ以上は特にいう事もなく。陰陽師や五行思想などについてきかれても話す気はないし実際知りもしない】
【何か言われる前に冷めた刀を腰に戻すだろう】
203 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 02:42:14.50 ID:WFNqOeTP0
>>201
/了解しました、では20時ごろからまたお願いします
/遅くまでありがとうございました、一旦お疲れ様です
204 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/10(日) 18:39:02.42 ID:q99Etzc9o
>>190

【どうやら増援が来たようで】
【いかにも頑丈そうな盾を手に持ち、此方を包囲している】
【隙を露わにすることがあれば捕まってしまいそうな危険もあるのだが】

「へぇ、これだけ増員が来るとはねぇ・・・。」

【鎌を構えたまま、警官隊とにらみ合いを続ける】
【どちらが先に仕掛けるか、ということだが数では圧倒的に警官隊のほうが優っている】
【下手に出るのは危険を伴う、にらみ合いを出来るだけ続けて少女が言った10分を耐え凌ごうと考えたが】

『ええい、突撃、突撃ーッ!!』

【我慢できなくなった警官隊がにらみ合いをやめて突撃してくる】
【多対一だ、本来ならこの軍人が圧倒的に不利なはずだが】
【相手が多で助かった、とも言うべきか】

「団子でかかってきてもやられるだけだっつーの!」

【軍人は鎌を体とともに一回転させる】
【煌めく斬撃は360度全体に放たれ、盾を持った警官以外を斬り捨てた】
【だが、盾持ちにもこちらの作戦がある】

「盾が斬れないんなら・・・、”見えなくするまで”ってな!」

【軍人は、不意に盾を持った警官の盾に一閃浴びせる】
【本来ならば、傷がつくのみなのだろうが、この軍人の斬撃は違う】
【その透明であるはずの盾を黒く塗りつぶしてしまった】

【これでは前方が見えないうえ、他の警官にも盾が見えない】
【警官隊は少々の混乱を伴いつつ、再び体制を取り直し、軍人を包囲する】

【さて、少女の増援はまだか、まだかと待ち続けるが】
205 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 20:22:15.44 ID:dAav4Hxxo
>>202
「なるほど、キミと戦ったその人物が神社を既に焼いていた。と」
「君たちの戦いの飛び火では無く、その人物が明確な意志を持って焼いた」
「ふむ。重要な証言をありがとう」

 この神社は特に問題を持たないものだとは事前調査でわかっている。
能力者の恨みを買って燃やされたと言う事は考えにくい。
そうなれば、燃やした人物が何らかの思想のもとに燃やしたと考えたほうが早いだろう。
--神社を敵対視する勢力か?
そう考えていると、女性の抜き放った刀が炎に包まれる。

「その火はキミの能力で無く、その人物の能力か」
「その人物は、その火をどうやって出していたのかな?」
「手から放射したのか、念じて狙った場所を燃やしたのか、それともまた違う方法だったのか」
「それを教えてほしい。 私からの質問はこれで最後にしようか」
協力に感謝するよ。

【どうやら、聞きたいことはこれで最後のようだ】

//こんばんは。
//今日もよろしくお願いします!
206 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 20:51:34.09 ID:WFNqOeTP0
>>205

【女には異能者特有の気配はない。だからこそ男がそう察する事も容易だっただろう】
【半分といった手前、あまり喋り過ぎるのも面白くない。そろそろ終わらせるかと思っていると向こうから申し出が来た】
【その答えも簡単なもの、指を立てて】

『札』だよ。ほら、神社によくあるあれだ
それを貼って燃やしていたな

【巫女らしいだろ? と首を傾げる】
【つまり宗教的思想の下に強硬に及んだと考えられるし、事実女もそう説明を受けた】
【】

まあ半分ならこんなものか。
喋っておいて言うのもなんだが、こんな話が役に立つのかね

【たしか保険に関係する仕事だったろうか】
【今どき情報が金になるというのは珍しくないが、身元や住所が不確かな自分の証言がどれ程力を持つのか】
【最悪こちらに飛び火する事も考えておかねばならぬ、と心構えを改めながら顰め面で髪を結び直す】


/よろしくお願いします
207 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 21:17:06.37 ID:dAav4Hxxo
>>206
「『札』を使う『巫女』が神社に火を放っている所に遭遇し、戦闘になった」
「つまり、そういうことだろう。教えてくれてありがとう。かなり決定的、と言っていい情報だ」

 札から火を出す能力者、これはかなり良質な情報だ。
そういう能力者は、かなり多彩な使いみちがある能力なことがほとんど。
きっとその『巫女』も火を出す以外にもできることは多いだろう。
そのような『巫女』は、決して多くは存在しない。

「ああ、どんな証言だろうとそれが虚言ではない限りね」
それともキミはずっと嘘をついていたのかね?

【そう言い、怪訝な顔を擦る】

「……まあ、キミの証言に矛盾などが見られない」
「十分に信用に足る証言だということだ」
「協力、感謝するよ」

では、失礼

【そう言い、くるりと踵を返し立ち去ろうとする】
【そして、はじめの一歩踏み出す前に】
--ああ、キミのその心配事は杞憂だ。
208 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 21:31:16.82 ID:GxM2LFxbo
雪が――降っていた
世界は白く染まる。白く、どこまでも穢れのない色に
美しき氷の粒は人々に何かを思い起こさせるかもしれない。だが、雪はそんなことは知らない
雪は薄く、薄く積もる。【学園】の校舎に、公園の芝生に、路地裏のタイルに、
そして―――倒れ伏した白にも

学園の傍にある細い路地、学生たちの近道となっているかもしれないただの道
そこに、少女が倒れていた
その少女は――白かった
唯一纏うパーカーは白
艶のある短めの髪は白
きめ細か過ぎる肌は白
その上に積もる雪も白
どこまでも――――白

雪の白は少女の白すら白く塗りつぶさんとゆっくり降りる
今夜は寒い、寒い雪の夜だった
209 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 21:41:37.10 ID:WFNqOeTP0
>>207

【男の読みは全て的を射たもの。答え合わせを求める言葉に黙ってうなずく】
【拙い説明でこれだけの推測を組み立てるのは容易な事ではない】

余り馬鹿にしてくれるなよ? アンタを謀って得するならとっくに斬り捨てている
何を聞かれようとこれ以上は喋らんからな

【仮にも勝負の上での約束事は守るのが鉄則、いや生き様の一つですらある】
【しかし余計な事を口走れば身の危険が有り得るのも事実。巫女の家まで言った事は胸に仕舞っておこうと膨れ面の裏で決意する】
【質疑応答を終えて立ち去ろうとする男。その表情に何がしかを読み取った女はその背に声を投げ掛ける】

なんだ、その物言いたげな顔は
勝負は預けておくんだからな、次に遭ったら改めてけりをつけてやる

【今ここで切りかかる事も出来るだろうが、頭部に受けたダメージは深い】
【刀一つで戦う無能力者の女にとってこの影響はかなり致命的、加えて相手の武器の性能は未だ未知数】
【こちらも奥の手は隠しているが、それはお互いに万全の時であるべしと、強い眼差しで指を突き付ける】
【女にとっては自分に掛かる被害より眼前の相手との決着が重要なのであった】
210 :【銃鎚印打】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/10(日) 21:53:59.99 ID:dAav4Hxxo
>>209
「いや、何でもない」
「キミは本当に戦うことが好きなようだ。それとも、サムライは皆そうなのかね」
「私はあまり戦いたくなんて無い。何度も言っているが荒事は苦手でね」
「あまり会わないほうが良さそうだ」

 自分の武器の特性上、一度勝負した相手と再びやりあうのは非常に不利だ。
そして仕事上、同じ人間に再び会うことは好ましく無い。
彼としては二度と会いたくないだろうが、運命の流れがそれを許すかどうかは解らない。

「しかし、再びキミと会うことになってしまった時は」
「その時はしょうが無い。また勝負するしか無さそうだ」

【そう言うとここに現れた時のように、コツリコツリと参道に靴音を響かせ歩き始める】

//この辺りで〆が区切りが良いと思います。
//絡ませていただき、ありがとうございました!
211 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/10(日) 21:58:06.16 ID:wbLZUFRl0
>>208
学園には小中高、そして大学を含めた校舎が併設されており、どこからでも全ての校舎を巡ることができるように設計がされている。
その中のひとつ、大学の研究室棟から出てくる人影が見える。
紛れもない、ここの生徒のひとりである。
―――だが、なぜ真夜中の校舎から出てきたのだろうか。

「……わあ、雪積もってるよ」

気だるそうに呟く声は、若い男性のものだ。
男性はマフラーを巻き直し、着ていたダッフルコートのフードを被り、そのポケットに手を忍ばせる。

「よし、行くか」

そう決心するように独りごちると、屋根のある玄関から雪景色へと飛び込む。
積もった雪を圧縮するように踏み、その青年は一歩ずつ進む。

そして、一度立ち止まる。あっ、と何かを思い出すような声が積雪に吸い込まれる。
また歩き出す。ただし、90°右方向へ旋回したあとで。
その進行先には、建物の狭間にできた、人ひとり分より少し広いくらいの小道。
―――つまり、雪にうずまる少女。雪の中で彼がそんな存在に気づく筈もない。
このままだと、彼女を踏んづけてしまうのは必至だ。
212 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/10(日) 22:03:55.56 ID:NYjrutva0
>>208
「━━━━━━雪、か」

白銀に染まりゆく世界に、足跡を付ける者がいた。
黒コートを身に付け、銀縁の眼鏡をその眼に掛けた、背の高い男。
雪の降り積もる白の世界とは、およそ対極的に見える存在。

「……故郷を、思い出すなあ……」

彼━━━━━スヴェン・コナーは、遠い記憶に想いを馳せる。
遠く過ごした、静かではあるが確かな暖かみのある生活。
両親と過ごした、懐かしき北国の記憶が思い出される。
……今ではもう、遠い昔話となってしまったが。

青の右目と紅の左目。
食い違ったような顔で、彼は前を見据える。
……昔を思い出すだけでは、前には進めないのだから。

彼は、学園を目指していた。以前であった人物に、もう一度出会うために。
彼は雪の降る道の中に、ひとつの分かれ道を発見する。
彼は、何を思ったわけでもなく━━━━━ただ吸い込まれるように、誘われたように、その路地へと入っていった。

降りしきる雪の中。一人の少女と出会ったのは、その時だった。

「……君は……」

白。
彼が彼女に最初に抱いたのは、そんな感想だった。
まるで人ではないかのように、雪に溶けてしまうかのような白色。
彼はその姿をしばらく見て、ふと我に返ったように、少女へと駆け寄った。

「おい、君……大丈夫か?」
213 :【砕牙衝刃】妖刀を持つ剣士 [sage saga]:2016/01/10(日) 22:06:23.02 ID:WFNqOeTP0
>>210

気取るなよ、そんな得物を振り回すくらいだ
口では否定できても、アンタも中身は私と同類だろうに

【冷めた口調ではあっても、その奥に燃えるのは熱い闘争本能であろうと】
【あのようなハンマーは並の物では扱えまい、まして攻撃に特化した機構などと】
【尻込みを装う言葉を一蹴し、改めてその背を見送る】

ああ、どうしても遣りたくなったらまた此処に来ることにするさ

【またそんな偶然があるとも限らない、言ってはみたが男も恐らく応じる事はないだろう】
【だがあの武器と男の底を見届けたうえで正面から倒したい。最後に受けた傷を手で押さえ、気持ちを新たにする】
【ただの焼け跡だった場所は、女にとってさまざまな因縁のある地へと変貌してゆくのであった】


/二日間お付き合い頂きありがとうございました、お疲れ様です
214 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 22:09:16.57 ID:GxM2LFxbo
>>211
白い景色を進む青年
白い景色に伏す少女
しかし、少女は雪を踏む音にも独り言にも気づかない、気づけない
ただ、背中に載せる雪が増えるのみ
だから、少女は踏まれてしまった
雪とは異なる柔らかな、弾力のある踏み心地
彼が踏んだのは、少女の太腿だった
だが、少女は反応を示さない。死んだように静か
だが――彼女は生まれたてだった
215 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 22:21:30.72 ID:GxM2LFxbo
おっ、了解ですー(危ない危ない途中まで書いてたけど確認しといてよかった……)
では水掌さん→私→渇望さんの順番で回していきましょう!
ではお二方、よろしくおねがいします!
216 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/10(日) 22:28:53.82 ID:wbLZUFRl0
>>214
青年が玄関前を曲がってから、一歩、二歩、三歩、―――四歩目だ。
雪を踏みしめた。そう、足を取られて転ばないよう一歩ずつ踏みしめて歩いたのだ。雪を、確かに。

………なんだこの、変な感触?
青年が恐る恐る足を上げると、そこには“脚”があった。

「ひっ……!?」

真っ白な太腿が、雪に紛れて。いや、紛れるどころか同調するようにして、そこにあった。
慌ててその周りを見ると、四肢も胴体も、少女の身体全てがまっさらに白い。
高く積もっていたのは、建物の屋根から落ちた雪のせいではない。この少女がそこに居たためだったのだ。

そしてまた、違和感に気付く。前方から、人が―――。

>>212
「あっ……す、スヴェンさん……?」

素っ頓狂な声を上げてしまったと、後悔した。
仕方がない。確かに彼に学園にいるとは伝えたが、こんな時間にここを訪れるとは夢にも思わなかった。

「あ、いや、その、えーとですねぇ」

何をどう説明していいやら、青年はああでもこうでもと古い漫画のように身振りをつけてあたふたするばかりであった。
217 :【0】 [sage]:2016/01/10(日) 22:31:31.42 ID:HYq/TF8go
「ここは……『どこ』だ…?」

目が覚めた時、体に感じるのは空気とは違う冷たさだった。
錆びた鉄が頬にすり付いている、それを剥がそうとして、漸く自分が倒れていた事に気付いた彼は、両腕で地面を押して身を起こした。
上体を起こしてみれば、殆どが鉄の匂いに混じって、油と、腐った何かの匂いも漂っている。

「…ウッ」
「臭ッせぇ〜!何なんだここは?どこなんだよ!?」

余りの悪臭に表情を歪ませ、急いでこの場を立ち去ろうと立ち上がる、しかし、数歩歩いてからふと立ち止まった。

「……立ち去る…?『どこ』にだ?」
「待てよ……オレの家はどこだっけ…?いや、それよりも…」

「……オレは……『誰』だ?」

棄てられたゴミの山の中で、青年はボンヤリと立ち尽くした。
何故なら、自分の名前も、家も、昨日の事でさえ───全ての過去の記憶を失くしていたから。
218 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 22:36:46.20 ID:GxM2LFxbo
>>212
>>216
白の中、二人は白き少女に遭った
一人は、気付いて駆け寄った
一人は、気付かず踏み付けた
そして――二人は再び邂逅した―――

悲鳴、心配の声、踏みつけ
どれに対しても少女は反応を示さない
まるで白き彫像。極限の美を目指した雪の彫像だ
だが、青年があたふたとしている間に小さな声が漏れる
小さい産声。だが、彼女は彫像ではなく――生命だった
俯せに倒れているから分からないだろうが、紅い瞳は薄く開かれていた
抱き起こしでもしてやればわかるだろう。そして見れるだろう
――白の中の、紅き宝玉が
219 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/10(日) 22:46:00.85 ID:7CMrKY5QO
>>217
一人の少女が通りかかる、その少女は、茶髪のロングヘアー、ベージュのポンチョコートに、赤いスカート

その青年に気付いたのか、そちらの方を見つめ、一言声をかける

「…………そんな所で何してるの?」

単純に、疑問に思った事をそのまんま口にしたようだ

「ゴミ漁りはほどほどにしときなさいよ」

何を勘違いしたのかそんな言葉も付け足して
220 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/10(日) 22:47:50.51 ID:NYjrutva0
>>216
少女に駆け寄る。
雪の降り積もった路地で、何の奇跡であろうか━━━━━━
目の前には、あの時の青年が居た。
まるで雪が引き合わせたかのような、唐突な出会い。
ただ倒れ伏す少女の上で、半ば運命であったかのように、二人は顔を合わせていた。

「……ミナヅキ?」

彼としても、この出会いは意外なものだった。
雪の中に垣間見た幻想ではないかと思った程であったが……そうではない。
現に、青年は此処にいる。

深夜に野暮用を済ませ、序でに近所にあった"学園"に足を運ぼうと、そう考えただけだった。

「いや、それよりも。……この子は……」

彼は、ふと我に返ったように、足元の少女に目を落とす。
先ほど青年が彼女を誤って踏んだのが見えた。だが、少しも動きはしない。
本当に大丈夫だろうか。……彼は人形のようなその少女を、硝子細工のように、丁寧に抱き寄せた。

>>218
少女の、本当に人形のように整った顔に向けて、声を掛けてみる。
━━━━反応はない。だが、近くでその雪のように真っ白な顔を見ていると、ふと気付いた。

少女が微かに、その紅い瞳を開けようとしているのを。
まるでガラス玉のようだ。……彼はそう、直感的に感じた。

「……ミナヅキ。この子……眼を開けたぞ」

彼は一先ず、生きていたのか、と安堵する。
だが、彼女にとって、その感想は真逆のものであろう。
彼女が本当に、今まさに生を受けたのだとすれば……
彼女の生は、今ここから始まるのだから。
221 :【0】 [sage]:2016/01/10(日) 22:59:12.41 ID:HYq/TF8go
>>219
「…………」

思い出せない、ど忘れというレベルではなく、まるで過去という物が無くなってしまったかのようだ。
『何を忘れている』のかすらもわからない為、途方にくれるという他無かった。

「…それってオレに言ってる?」

影の中でギョロリと光る皿のような目が、声をかけた少女を見つめ返し、暫く固まってから少女の方へとずかずかと歩き出した。

「なぁ、お前、オレの事を知っているのか?オレの名前を知ってるか?」

もしかしたら、彼女は自分の知り合いだったのかもしれない、そう思い、質問を投げかけながら、少女の両肩に手を乗せようとする。
222 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/10(日) 23:00:07.80 ID:wbLZUFRl0
>>216>>220
そう、彼の存在自体はなんら不思議ではない。気になるのは、この白を纏った少女。
彼女がどういう存在であるのか、知る由もない青年は少女の太腿を踏んでしまったことを謝りたい。その一心で、彼女を不安そうに見ていた。

その時だ。

聞こえた。微かではあるが、はっきりと聞こえた。
目下の少女とみて間違いない、高く透き通った声色が。

慌ててしゃがみこみ、スヴェンに抱えられた少女の顔色を覗き込んだ。
―――草木が誤って冬につけてしまった、そんな蕾が、紅の花弁を広げた。
少女が目を覚ましたようだ。美しい赤光を伴った瞳で、こちらを真っ直ぐに見ている。

「は、はい、目覚めました。え、えーと……こんばんわ?」

未だ落ち着かない調子で、そう男性に返事をすると、やはり拍子の抜けた挨拶を少女へかける。
223 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/10(日) 23:01:06.23 ID:wbLZUFRl0
/>>222訂正
>>216>>218
224 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/10(日) 23:03:26.53 ID:7CMrKY5QO
>>221
「ちょっと…………」

咄嗟に、触れられそうになるのは避ける、こう見えてもD.O.T.Aの一員、どんな能力者がいるかもわからない
だから触れられる、と言った事にも気を使う

「ごめん、私は貴方の事は何も知らないわ」

ため息混じりに回答する

「ひょっとして、記憶喪失?自分が誰かも分からない……とか?」

青年を真っ直ぐ見つめて
225 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 23:09:17.53 ID:GxM2LFxbo
>>220
>>222
白き少女は半眼であった瞳をゆっくり、ゆっくりと開く
最初に見たのは――不安そうな面持ちで覗き込む青年、安堵してこちらを見る男性
見えている、きちんと見えている――そしてそれを私は認識できている
寒い――視覚の次は触覚が機能し始めたようだ、ぶるりと大きな身震い。そして体が小刻みに震え出す
知っている――どこで知ったのかは知らない。だが、寒いと震えることは、知っている
次は、聴覚だった

「こん…ばん…は?夜の…挨拶、デスか?」

たどたどしく応答する
仕方なかろう、私は初めて喋ったのだから
ならばなぜ声帯の震わし方を知っている?…分からない
ともあれ、状況を確認する必要はありそうだ
分からない、何もわからない。知識はある。だが、分からなかった

「今…夜なの、デスか?私…どうしてここにいたのデスか?」
226 :【0】 [sage]:2016/01/10(日) 23:13:53.20 ID:HYq/TF8go
>>224
「……」

肩に乗せようとした両手をかわされ、行き所の無い両手をゆっくりと降ろす。
その時、自分の両掌に何かが有るのを見つけた、降ろしかけていた両手を止め、まじまじと自分の掌を見つめる。

「あー……そうか……」
「記憶喪失……そうかもしれないな…」

自分の掌をカリカリと爪で軽く引っ掻きながら、上の空という風に言葉を返す。
いくら引っ掻いても取れないそれ───QRコードに首を傾げてから、両掌をずいと出して少女に見せた。

「じゃあ…これに見覚えはないか?というか……コレって何だ?」
227 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/10(日) 23:18:36.78 ID:7CMrKY5QO
>>226
「ごめん、私も何か分からないわ」

QRコードを見て、即答する、そして青年の手のひらの物体
それを気にかけ、まじまじと見る

「…………それは……ひょっとして、能力とかじゃないの?」

そう、問い掛けてみる

「能力があること自体は珍しい事でもないし、私も能力持ってるからね」

少女は、左の手のひらに星を1つ、出してみる
228 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/10(日) 23:22:25.22 ID:NYjrutva0
>>222
「君も見たまえ。……この子について、我々は多くを知る必要がありそうだ……」

彼は青年に、側で見るよう促しながら、その人形のような少女の顔をジッと見ていた。

腕の中で、眠りから覚めたように、人形は微かに目を開けつつある。
彼女が初めて見せた自発的な動作は、"彼女が人間である"という実感を、彼らに改めて感じさせる。
次いで、彼女の身体が僅かに震える。少女に体温が戻っていく。

そして、雪の中から語りかけられるような、氷のように透き通った声が響く。
……どうやら、青年の言葉に反応した様だ。

>>225
「……私の言葉が聞こえるかい。」

彼は、少女の様子を観察する。
彼女からは、何かひどく動揺しているような様子が見て取れた。
まるで何も理解できない、といった具合の、行き場のない不安定な感情。

「君は、この路地に倒れていたんだ。それを我々が発見して……こうして助け起こしたところだ。」

だからこそ、彼は優しく、できるだけ分かりやすいように説明する。
もっとも、彼女が聞きたがっている事は、彼もまた説明できるはずもない。
彼は、彼女が今置かれている状況を、出来る限り話そうと努力した。

「……この雪の中だ。凍え死んでいなくてホッとしたよ。……君……自分の事について、何か思い出せる事はあるかい?」

彼は、彼女の目を見ながら、ゆっくりと質問する。
彼女の顔の中の硝子のような瞳の中。微かに文字が刻まれているように見えるそれを、少しばかり不思議に思いながら。

229 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/10(日) 23:34:49.32 ID:wbLZUFRl0
>>228
「……そのよう、ですね」

こうなってしまっては、自分は何も知らないでは済まされないだろう。
この少女の正体について、言わずもがな青年の興味は大きく揺れ動いた。
そしてひとつ、思い起こしたその存在。
―――“学園裏”、だったか。まだ少女に関係があると判明されてはいないが、場所が場所なのだ。否が応でも関連付けて考えてしまう。

>>225
少女は完全に覚醒し、身震いをし出した。
そして、初めて意味の存在する語を、口にした。
ただしここでの“初めて”は、彼らと会って初めてという意味ではなく、“生まれて初めて”だということを、まだ彼は知らない。

「よかったぁ……!」

安堵の気持ちを吐露し、青年は笑顔を見せる。
少女の質問の意義は不明のままだったが、彼女の生存確認が最重要項目だった彼には、それは些細なことだった。

「僕は助けようとしたというか、その……気が付かなくて、君のこと踏んじゃったみたいで……ごめんね?」

と、男性の説明に補足という名の弁明を挟み込む。

「そう、今は夜!で、なぜここに居るかは……え?」

とんとん拍子で答えていたので、思わず聞き返してしまった。
“なぜ少女はここにいたのか”。それは、彼が予定していた質問だったのだ。
とにかく、もうここはスヴェンさんに任せるべきか、と、青年はそこで口を閉じた。
230 :【0】 [sage]:2016/01/10(日) 23:35:45.23 ID:HYq/TF8go
>>227
掌の謎の模様を見せても、彼女は知らないと即答する、恐らく手掛かりなのかもしれないが、その意味がまったくわからない。
何か他に手掛かりがないかと考え始めた時、少女が続けた言葉に首を傾げた。

「能力ゥ?」
「能力って?つまりどういう事だ?これが何か……」

『能力』と突然聞き覚えのない事を言われても、何が何だかわからない、彼女の口振りからして珍しくもない事なのかもしれないが、青年は全く聞いた事も無かった。
どういう事かと問い詰めようとして、次の瞬間少女の左手に星が輝くのを見る、一瞬びくりと驚き飛びすさったが、それ以上何もないとわかると、ゆっくりと戻って来た。

「…………」
「つ……つまりだ……」

「オレの手からもそんな風にキラキラした物が出るって事かぁ〜?痛そーで嫌だなぁーソレ」

少女と同じように、自分も掌から星が出るのだろうか、と予想し、次に思った事は星が出て来る時の感覚だ。
もし穴一つない手から星が出て来たら、自分の手に一瞬でも穴が開くという事だろう、と考えると、冷汗が出て来た。

「なぁ、それ痛くないの?どーやったらそんなん出るんだ?」
231 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/10(日) 23:43:03.85 ID:7CMrKY5QO
>>230
「これは私の能力で、貴方の能力はまた別と思うわよ?」

そう答えた彼女は、青年の手のひらの物体を確認する

「恐らくこれが、関係あるのだと思うけど…………ちょっとごめん」

そして、彼女はその手のひらに、右手で"触れて"みた

これは青年の能力の条件になっているかも知れないが、青年に危害がないと判断しての行動であろう

「あぁ、この星は特に痛くもなんともないわね」

にこりと笑顔を作り、そう返す
アイドルをやっている少女、笑顔を作るのはお得意である

232 :【NEXT】 [sage]:2016/01/10(日) 23:44:26.06 ID:Axdf4CUf0
>>204

着いたっ......!

【軍人が機動隊を引きつけている間に、少女は装甲車の元へと到達した】
【運転手の隊員もおらず、幸運な事に鍵も付けっぱなしだ。恐らくは、逃走された際にすぐ追跡できるようにするためだろう】
【ドアを開けるのももどかしく、息を止め一気に運転席へ滑り込む】

えっと......アクセルってどっちだったっけ......?

【少女に運転経験など無い。乗った事があるのは、自転車とゴーカート位だ】
【なけなしの知識を振り絞りながら、取り敢えずシフトレバーを「D」へ上げる】

確率は1/2......外れてもブレーキ......

【ひとりブツブツ呟く間にも、警察はジリジリと軍人への包囲網を狭めて行っている】

............ええええい、もうどうにでも、なれえええええええ!!!!

【もう考えるのはやめたと言わんばかりの勢いで、右足はペダルを踏み込んだ】
【その加減もクソも無いひと踏みは、タイヤを唸らせ_______】

キャァっ!?進んだ!進んだ......って、ちょっ、待っ、速.......!!!

【_____全速力でフラつきながら、軍人を囲む機動隊へと突っ込んでいく】

233 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/10(日) 23:45:11.60 ID:q99Etzc9o
【『帝国』の都市に近い林道】
【ここは結構近道として軍人たちが使っている道らしく】
【街灯もしっかり整備されている、そんな町外れの林道で】

『うわぁっ、やめろ、やめろおォォォォォッ!!』

【なんて断末魔とも取れる大声が響く】
【声を発したのは軍服を着用した帝国軍の二等兵であり】
【まあ外見でいうと20歳くらいであろうか、とも思える男が体を痙攣させつつ】

『まっ、まだ死にたくないんだッ!殺さないでくれえぇぇぇぇっ!!』

「あ、あのー・・・。私、別に貴方を喰い殺そうとか、そういう訳じゃなくて・・・。
血が貰えればいいんですよ?先ほど貴方も私を斬り殺そうとしたでしょう?」

【化物を殺せば昇進もありうるかも、なんて安易な考えでアルラウネにサーベルを向けたのだろう】
【このアルラウネは身の危険を察知し、麻痺する花粉を放った、それで男の体は麻痺して】
【その代わりに、血を吸わせてくれれば許す、なんて示談を持ちかけているのだが】

【男は意地でも血を吸われたくないようで】
【大声を上げて反抗している、これにはアルラウネも苦笑し】

「はぁ、此れだから人間っていう種族の扱いは困るんですよねぇ。
それじゃあ、ちょっと血を貰いますね?」

『うっ、うわあぁぁぁ!殺される!!』

【相変わらずの大声が林道に響く】
【さて、これだけの断末魔が林道中、いや、それよりも外に漏れているか】
【それくらいの範囲に響いたのであるから、一人か二人は気づくだろう】
【さて、このアルラウネは今にも男の血を吸い取ろうとしているが】
234 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/10(日) 23:47:15.04 ID:GxM2LFxbo
>>228>>229
「ええ、聞こえます」

私の言語能力はだんだんと、しかし人間の成長速度を考えれば異常な速度で上がっている
だんだん、流暢に話せるようになってきている…大丈夫そうだ
だが、どうして…それは、分からない

「倒れていた…デスか?」

倒れていた?何故?…分からない
そもそも、何もわからない。自分の名前は?私は一体何なのだ?
というか…倒れる前はあったのか?
この男の話によればここに降る雪は私の命を奪いうるものらしい
だが…なんでそんなものが降っている中私は倒れていたのか?
…分からない。

「フンダ…?ふんだ、踏んだ……踏んでたのですか?
まあ、別にいいですが……」

踏んでいた、その意味を理解するには少し時間を要した
だが、理解したが不可解だ
踏まれたという感覚は、なかった
…まあいい、疑問は残るが何とも思えていないし許すべきなのだろう

「…?私は……」

何故ここにいるか、それについては二人とも分からないらしい
私にも分からない
疑問だが、どうしようもないのだろう
そして新たな問い。私についてだ
私は――私は――

「ホムンクルス――作られた人間…です。それ以外は、何も……」

思い出した。いや、知っていた。
私は――ホムンクルスだ
235 :【0】 [sage]:2016/01/10(日) 23:57:49.29 ID:HYq/TF8go
>>231
自分の掌と、少女の掌が触れ合う。その事に対して照れたり、別段何か思うでも無く、ただ少女の言葉に頭を捻っていた。

(オレの『能力』…?手から光る物を出すんじゃないとしたら……一体何だ?)
(この手が基点となる能力なら……手に力を集中させてみれば……)

「…………!」

いつの間にか眼差しは真剣な目付きになって少女を見つめていた、否、少女を意図的に見つめていたのではなく、ただ単に視点を置いた先が少女の目であっただけだ。
その精神の殆どは自分の手に集中していて、僅かながら力が籠っている、しかし、その手から炎が出るのでも水が出るのでもなく…

「……ハッ!」

それでも精神を集中させていると、何かが視界に浮かんで来た、少女の頭の上に、何か数字のような物が見える。
何故だか、その数字を減らさなくてはならない気がした、実態のない、自分にだけ見える数字を減らす…心で念じて。

それが上手くいったのなら、少女の左手にある星が消えてしまうだろう。『1つ』あった星が、『0』になったのだ。
それは紛れもなく、彼の能力であった。
236 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 00:02:43.47 ID:eeSmGgXP0
>>229>>234
「……ホムン……クルス……」

ホムンクルス。中世ヨーロッパで信じられた錬金術、その生命を創り出す業。
彼は北国の、ただ平凡な家庭で生まれ育った、まっとうな人間だ。だからこそ、本来の彼であればそのようなお伽話は冗談だと一蹴にしただろう。

だが、今この状況において、少女の消え入るような不安定性から発せられた、ただひとつのその情報は、異様な信憑性を帯びているように見えた。
雪のように白い、雪の中に混じるような少女。その不可思議で幻惑的な雰囲気は、彼女の言葉を真実足り得るものだ、と信じさせるまでに昇華させていた。

「造られた人間……?それでは……」

それでは、本当に"人形"だと言うのか。
人為的な被造物。知識だけを与えられて生み落とされたモノ。
……だが、発そうとした言葉の先は、彼には言えなかった。
被造物。だからといって彼女を"人形"とするのは……あまりにも早計すぎる結論ではないかと考えたからだ。

そして、今まで抱いていた疑惑が、その言葉によって疑惑ではない事が証明される。
その証は、彼女の瞳の中━━━━━━それこそ、抱き寄せるほど近くで見ていなければ見落としてしまうほどに、微かに刻まれた文字にあった。

「ミナヅキ……見たまえ、彼女の瞳の中を……」

青年にも、その紅の瞳を見るように促す。
"FX-00"。
その、一見して何の意味も為さないように見える文字列は、彼女の存在が何であるのかを克明に示しているように感じられた。

「君は……本当に造られた生命なのか……?」

信じられないといったような態度で、ふと聞き返す。
だがその質問は、この状況においては意味のないものであろう。
与えられる情報、頼りにできる情報は、彼女の口から発せられるそれだけなのだから。
そして━━━━━━何よりも、今の彼女は、"嘘"という概念、それすらも判らないようであったから。

彼は、ふと気付いたように、今の状況を再確認する。
このままでは、話し難いだろう。

「そうだ、君……立てるかい」

彼は、少女にさらなる自発的運動が可能であるかどうかを心配する。
倒れていたというのであれば、その生命力は大丈夫なのだろうか。


237 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/11(月) 00:04:18.54 ID:0Uy6v7yoO
>>235
彼の能力により、星が消えた
その事実に少女は少し、戸惑う

(これは…………)

「…………どうやら貴方の能力は、他人の能力を、消す事ができるようね」

そう、青年に告げる

「詳しい条件なんかは分からないけど……そこら辺はまた調べて行くしかないわ」

先程、青年に触れたが、まだそれが条件とは確定できずにいる、そう、まだこの段階では可能性の1つでしかない、少女はそう考えている
また、もう1つ、考えている事がある

「…………所で、貴方、記憶喪失なら帰る場所も分からないんじゃない?」

そう、問いかける
238 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 00:13:47.51 ID:AYbYWGijo
>>237
「『能力を消す』?……そうか」

どうなのだろうか、果たして本当にそうなのか?だが、確かに自分が精神を集中させると少女の能力である星は消えた。
自分ではわからないが、能力というものを良く知るらしい彼女が言うのならそうなのだろうと納得する事にした。

「…………」

「あーーーーっ!!そうだッ!オレの家はどこだ!?わかんねーッ!!」
「もしかしてカーチャンとかいんのかなあ〜?だったら怒ってっかなー!?帰りたくねぇよー!……帰る場所わかんねーんだった〜!!」

今まですっかり忘れていたが、そういえばそうだった、記憶を失くして自分の帰る場所がわからないのであった。
どうやらお金も持っていなかったし、このままでは寒空の下野宿は確定だ、青年は頭を抱えて慌て出す。
239 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/11(月) 00:20:01.03 ID:0Uy6v7yoO
>>238
「…………やっぱりね」

ため息混じりに、首をふって、やれやれといった様子です

「それじゃあ、提案なんだけど…………」

腕を組み、左の人差し指を立てて

「もし良かったら、まぁ、自分が何者か、帰る場所を思い出すまででいいわ」

そして、青年を指差す

「貴方のその能力…………暫くD.O.T.A(うち)の為に使ってみる気はない?
……まあ、正式な隊員にはならなくてもいいと思う…………寝る場所くらいなら提供してあげれるわよ?
ま、保護って形になるのかな?……警察組織だし、個人情報探すのも協力できると思うし」

彼女から、青年に対しての、これは提案であった
240 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 00:23:59.61 ID:k72eHaaP0
>>234
「う……いや、本当にごめんなさい……」

なし崩しに許されてしまった。青年は行き場のない罪悪感を抱え、堪えきれずにまた謝罪の言葉を口に出す。

―――ホムンクルス。
原語ではラテン語で、『小人』を指す。だが、実際は殆どこの意味では用いられない。
……人造人間。人の造った、人を模したもの。

「…………」

錬金術の概念は、一般的に言えば『馬鹿馬鹿しい』の一言に尽きる。
この世の何をもってしても、人間を造ることは不可能であるし、禁忌とすらされている。それは錬金術について無学である青年にもはっきりと分かった。
―――だが、この“学園”ならば、あるいは。

>>236
少女とスヴェンとの会話をそんな風に黙想していた青年に、彼はあることを提案した。

「瞳、ですか?……な、なんか照れるな―――あ?」

少女の瞳へ顔を寄せ、そんな冗談をしてみようとした矢先に、その記号が青年の目を焼き付かせた。
―――“FX-00”。
まるで商品に印字されたような、角の立った字形で、記されていた。

「……型番、なんでしょうか」

これでは信じる他なくなってしまった。少女が造られた証は、彼女の中で唯一色彩の異なった、この紅の瞳だったのだ。

「あ、そうですスヴェンさん。ここだとこの子が凍えてしまいますから、校舎に入りませんか? 僕、ひとつ研究室の鍵を持ってるんです」

と、ポケットから緑色のタグの付いた鍵を見せる。緑色のタグに見えたそれは、スキャンをするためのコードが印されている。カードキーと通常の鍵を使って、厳重に施錠されているのだろう。
241 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 00:29:10.29 ID:AYbYWGijo
>>239
「ン?」

「どうしようどうしよう」と大の男が慌てていたが、少女が提案と声を上げた事で、ピタリとフリーズして顔を少女に向けた。

「『隊員』〜?つまり軍隊か?いや……警察だって?お前警察官だったのか!」
「うーん…この歳で警察の世話になるのはヤだなぁ〜…アレ?オレって何歳だ?きっと18くらいかな?そうだな、胸張ってエロビデオ借りれる歳だ多分」

住居を与えてくれるとは正に地獄に仏、このまま何もわからないまま徘徊するよりは拠点があるのは大いに助かる。
しかし、こうも見ず知らずの人間を頼ってもいいものか、青年は考える、二秒くらい。

「じゃあ、そうさせてもらおう、飯は出る?」

割と面の皮が厚かった。
242 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/11(月) 00:40:41.03 ID:0Uy6v7yoO
>>241
「ちょっと!!エロビデオって……!!」

そこで赤面した少女

「まあ、私もその一員よ、悪党どもが許せなくて、それでD.O.T.Aに入ったの」

何やら暗い過去があるようで、表情が暗くなります、そして青年の、飯についての問い掛けに、顔に手を当てて
僅かな間沈黙する

「…………いいわ、保護するって言ったのは私だし…………ご飯くらい提供してあげるわ、私が」

ため息混じりに、青年の条件を受け入れました

「まあ大丈夫よ…………私アイドルもやってるからお金には困ってないし…………
あ、そうそう、自己紹介しとくわね、私の名前は柊春香よ」

自らが何者かを打ち明ける



243 :【純白適応】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 00:46:31.62 ID:4DcMa+h80
>>236>>240
「……?」

何故かまた謝られた
別に踏んだことについてなにも思っていない。謝罪されるようなことは言っていないはずだ
…分からない。

私が自分をホムンクルスと言ったときの二人の反応は現すなら――絶句
分からない。どうして絶句されるのか。分からない
だが――納得させられているようにも見える
私がホムンクルスであってもおかしくない理由でも見つけたのだろうか?

顔を、瞳を覗き込まれる。
そこに何があるのか?どうして私の瞳を見て納得を深めたような顔をするのか
型番とは――なんなのか
――分からない。何も

「ええ、立つことは可能です」

立てるか、立てるはずだ
知っている。どうやって立つかを
実際に立ったことなどない…はずだが立てる
知識通りに、男の手から離れて立ってみる――立てた
知識通りにやればできる。自分にはそののうりょくはある。
ならば――『歩く』はできるのだろうか?
やってみよう。知識通り、片足を上げて、地面を踏む。存外難しい
だが、できてそうだ。歩けてる
ふらつくし転びそうにはなる。だが――私は歩ける

「たしかに…さむい、です」

青年の言葉で寒さを改めて感じる
彼らは恐らく幾重にも衣服をまとっている。
だが、私は違う
この白いパーカーしか纏っていない
だが――――なぜだかあの建物、校舎に入るのは嫌だ
なぜだか分からない。自分はあんな建物には入った覚えがない。
だが――なぜかあそこには行きたくないと思う自分がいた
244 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 01:03:20.75 ID:Thy5+ZWeo
【真夜中の丘】

 雲の切れ目から除く付きが照らす野外。
 能力者が集まる街の外に、蛍のように輝く風景があった。
 揺れ動く光は風に攫われることはなく、ただその場に漂う。

 その中心に、金髪の髪の少女が一人、寝そべっていた。
 この真冬の中でホットパンツを履き、
 長袖にカーディガンを着込んだ寒いのか暑いのかわからない格好の少女。
 左腰には小太刀がぶら下げられ、シートを敷いてその上で寝そべっている少女は、
 真冬の蛍のような『翡翠色の燐光』が漂う中で夜空を見上げている。

 バチリバチリと神鳴りのような音は、燐光から鳴っているもの。
 これの正体は彼女の異能。
 これに近づく現代機器、電子機器はその燐光によって無差別に破壊され、鉄くずと化す。
 現代社会の仇敵とでも言うべき力だ。

『……暇だ』

 誰もいない中、普段とは少し違った口調で少女―――― 優野風 琥羽は呟いた。


//絡み街
245 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 01:04:17.77 ID:LlvBPWfJ0
>>233
//まだ、間に合いますか?
246 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 01:05:29.39 ID:eeSmGgXP0
>>240>>243
「……ひとまず、活動はできる様だね」

少女がひとしきり"歩く"事に挑戦するのを傍目で見ながら、頃合いを見て話しかける。
立ち上がった彼の身体は、少女よりもかなり長身だ。……もしかしたら、期せずした威圧感を与えてしまうかもしれない。

「ああ、寒いのか……」

彼は、彼女の率直な感想に対して納得する。
白いパーカーが一枚。立ち上がってなお、雪の中に紛れるような外見。
だが、雪と同化している訳ではない。彼女もまた、体温を保つ人間だ。

彼は徐に、自らの黒コートを脱いで、少女へと渡す。

「すまないね。随分と、穢れてしまっているが……私は、寒さには慣れているから」

少女にとって、彼の衣服はとても大きく、羽織るぐらいしか出来ないだろう。
凍える雪の冷たさで判りにくいかも知れないが、少女と対極的な黒をなすそのコートは、何か独特な匂いを帯びている事を感じるだろうか。
━━━━━その匂いが血の匂いであると、少女が気付くかはわからないが。

彼は、青年の持ちかけた提案━━━━━━学園内で寒さをしのぐという提案を、快く承諾する。

「それはいい。この雪の中でずっと話すというのは、限界があるからね。」
「君も、それでいいだろう?━━━━━━━」

彼はさっそく学園に行こうと、少女にもその旨を伝えようと振り向く。
だが、振り向いたその先にある少女の顔は、何か明らかな、自発的な感情があった。

そう、これは━━━━━━拒絶、嫌悪だろうか?
態度からどことなく少女の内にある負の感情を感じ取ったのか、彼は不審そうに少女の顔を見つめた。

「━━━━━━━どうしたんだい」
「あの"学園"に……何かあるのか……?」

彼は、少女の態度を観察した、わずかな情報を頼りに言葉を紡ぐ。
彼には彼女が、"彼処には行きたくない"というような、確固たる心情が存在するように思えた。
247 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 01:06:02.52 ID:NFDeVfvX0
>>245

//大丈夫ですよー!
248 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 01:10:35.05 ID:AYbYWGijo
>>242
「アイドル?へー、そうは見えなかったな」

正直な感想、それが相手にとってどう取られるかなんて考えもしない、唯々正直なだけなのだ。

「飯と住む場所をくれるなんて、アイドルって儲かるんだなぁ」

「柊春香」

柊の名前を聞いても、当然というかやはりピンと来る事は無い、何か記憶に取っ掛かる事も無かった。

「…オレは、オレの名前は……そーいや忘れてたな、でも名前が無いと不便だしよ〜…どーするかな」

名前を教えられたら教え返さなくてはならない、人間の習性的な感じで自分の名前を教えようとしたが、それを忘れていた。

(……名前が無い……能力……そうだ、オレはあの時、『数字を0に』…)

「…そうだ、【0】だ、オレの名前……いや、能力の名前」
「今オレは、オレの能力を【0】と名付けた、だから本当の名前を思い出すまではその能力がオレの名前だ!」
249 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/11(月) 01:24:18.83 ID:mzsVGYenO
>>248
「見えなかった…………か、ちょっとショックかも」

どう受け取ったのか、ガクッとする少女
恐らくそんなに可愛くないとかそう受け取ったのだろう

「…………0ね、いいんじゃない?コードネームみたいで」

青年が名乗った0と言う名前に賛同すると、にっこり微笑む

「あー、あと、もちろんただとは言わないわよ。貴方も能力あるんだから……そうね、ちょっとくらいは仕事、手伝ってもらうわ」

青年をまた指差して、当然でしょ?と言わんばかりの態度をとりる

「後、18って言ってたっけ?……私も18、同い年ね」

そこはまた、頭を斜めに倒し、微笑みながら、言う
250 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 01:26:48.89 ID:k72eHaaP0
>>243
「あはは……ごめんね、気にしないで」

色々と困惑気味の少女に気づくと、青年は笑って誤魔化す。
人間にさえ理解し切れない感情の機微を、この少女が把握できるとは思っていない。もう終わった話である。

……しかし、この記号のことは、彼女に喋るべきなのだろうか。
彼女は実際に己が人造人間であることを、知っていた(製造者によっての植え付けなのかもしれないが)のだし、構わないとは思うが。

「おお、立った……おおー!歩いたねえ!」

まるで赤子か二足歩行する動物を見たかのように、大袈裟なまでに青年は合いの手を入れる。
わざとやっている訳ではない。ただ単に、彼女とその機構、“ホムンクルス”について深い興味を示しているからこそ、少女の一挙一動が青年にとって楽しみなのである。

>>246
「はい、僕もさっきからかなり寒いので……君はもっと、だよね?」

スヴェンと同調し、彼も振り返って少女の確認を取ろうとした。

―――反応は、芳しくない。その理由に心当たりはあるが、少女の記憶が欠損しているのを、闇雲な妄想によって捏造されるのは恐ろしい。
だから自制を働かせようと、そう決めたはずだったのだ。―――だが、

「―――もしかして君は、ここで造られ[生まれ]た、のかな」

人一倍なんてものでは済まない、青年の好奇心と探究心が、それを許さなかった
251 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 01:29:38.48 ID:LlvBPWfJ0
>>233

食事にとりかかろうとするアルラウネの横っ面に、
白亜の人形が飛んでくる。
人形の出所を辿れば、影が1つ。

「やっと見つけた。全く出歩くならどこに行くか伝えてから行ってほしいね」

身勝手にも、保護者然とした口ぶりで話すのは、
真紅のコートに黒のスーツを併せた、女性であった。

「あと、拾い食いとかもNGだから。
 騒ぎになったら、揉み消すのも大変だから」

今回。彼女が仰せつかったのは「花を植木鉢に入れて持ってこい」とのこと。
で、花が思った以上に大きかったのが少々誤算だったが。


「そこの生餌、邪魔だから。早く行って」

襲われそうな男性には、酷く適当に逃げるよう指図。
逃げれるかは知れないが。

//おそくなりました。おねがいします。
252 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 01:37:17.43 ID:AYbYWGijo
>>249
「仕事ォ?ちょっと待てよ、オレって『保護』されるんだろぉ?仕事なんてするより自分探ししてたいよ」
「それに何しろってんだよぉ〜?戸籍もわからないんだぜ?オレ」

自分を指す指を嫌そうに見つめ、『仕事はしたくない』とゴネる、恩の『お』の字も感じていないらしい。
とはいえ、ゴネたって結局はやらされるだろうと半ば諦めながら首を振った。

「18?そうなのか……じゃあオレは本当はもっと歳上なのかもしれないな」

一体柊の何を見てそう思ったのか知らないが、割と本気の顔で呟いていた。
253 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 01:42:10.04 ID:NFDeVfvXo
>>251

【いまにも吸血をしようとしていたアルラウネだったが、それは中断され】
【その原因は横から飛んできた、人形とも言える物体で】
【そして、その出処は一人の女性らしく】

「あらぁ、こんな夜も深くなった時にお出歩きになられる方なんて珍しいですね。
うふふふ、こんばんは。」

【アルラウネは吸血行為を取りやめ、声のした方へと蔦を用いて反転し】
【女性へと話しかけて、礼儀正しそうに挨拶を交わす】

『い、生餌だってぇ!?冗談じゃない、助けてくれ!!』

【男は女性に生餌扱いされて憤慨するも、麻痺の花粉は未だに効果を持ち】
【動くことすら許されない、四肢は痙攣を続けており】

「うふふふ、お見苦しいところをお見せしました。
すぐ片付けますので、しばしお待ち下さいな・・・。」

【そう女性に待つように願うと、男へ棘の生えた蔦を二本刺し込み】
【吸血を開始する、吸血行為には慣れたものだ、ギリギリ男が死なない程度に血を吸うと】
【無論男は気絶、生餌でもなくなってしまったか】

「さて、こんな晩にお会いしたのですから・・・。
なにか御用でもございますか?」

【現状、アルラウネがきになるのはあの人形であった】
【もしあの人形を女性が操っていた、いや、自律させていたとすれば】
【この女性は能力者ということになろうか、少々警戒すべきか】
【表情には出さず、女性の要件を聞き出そうとしている】

【アルラウネの肌は人肌と植物色を斑にしたようで】
【本来下半身があるべき場所には大きな紫の花にピンクの水玉という毒々しい花が咲いている】
【さて、女性の要件とは】
254 :【星霜積成】 ◆n/BGU9F4eo [sage]:2016/01/11(月) 01:45:26.93 ID:mzsVGYenO
>>252
「当然でしょ…………ただ飯食べれるなんて虫のいい話あるかっつーの!」

若干怒鳴るような感じに言った

「まあ、能力の発動条件とかそこら辺まず帰ったら調べましょ?自由に能力使えないと、危ないし…………とりあえず付いてきて」

そして、D.O.T.Aビルに向かって歩き出そうとした所で

「…………つまり私がガキっぽいって言いたいの?」

むすっとした表情で振り返ります、右手には星が現れた


「まあいい、とりあえず帰るわよ!」

少し怒り混じりの感情を込めてそう言うと歩き始める
目的地はD.O.T.A本部ビル、恐らくこのまま、 二人はそこに帰って行くのだろう

//中 とりあえず切りも良さそうなのでこれで打ちきりますね、絡みありがとうです。
255 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 01:49:19.75 ID:AYbYWGijo
>>254
/お疲れ様でしたー
256 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 01:53:37.02 ID:LlvBPWfJ0
>>253

「こんばんわ、えーっと、良い夜ですね」

軽く会釈をして、挨拶を気だるそうに返す。
最中、生餌は犠牲者になったが、まあ必要経費としておこう。

「食事なら存分にやって下さい。
 足りないなら、こちらでも少し用意がありますから」

彼女は、コートの裏ポケットに用意しておいた輸血パックを取り出して見せた。
しかも2,3はあるらしく、片手には荷が重かった。

「要件はですね……
 最近、観葉植物が欲しいもので、大きな植木鉢を用意したんですよ。
 でも肝心の植物を決めかねてまして、で、探しに来ました。
 というわけで、飼われて下さい。エサと日光と燃やされない住まいは保障します」

茶化して説明はしたものの、大分舐めた調子になったことは否めない。


「どうします?
 選択の自由はありますから」

そういって、彼女は値踏みするように植物の身体を眺めていた。
257 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 02:02:32.83 ID:NFDeVfvXo
>>256

「うふふふふ、私、輸血パックは不味いんで苦手なんですよ。
血を混ぜくって、人間が長持ちするように手を加えた血液には反吐が出ます。
なので、申し訳ないですけど、お断りさせていただきます。」

【ちょっと過激な物言いもあったが、どうやら輸血パックは苦手なようだ】
【反吐が出る、とまで言い切ったものだ、よほど生血が好きなのであろう】
【さて、食事も終えた頃だ、彼女の要求を聞こうとしたのだが】

「私が観葉植物になれと・・・?
寝言は寝てからおっしゃったほうがよろしいのでは?
エサというには程遠い輸血パック、窓越しの屈折した日光、そんなものは自然ではないのです。
私は自然に生きていたいのですよ、無論、吸血植物として、ね。」

【自然に、人の生き血を吸って、自然の太陽の光を浴びて・・・】
【ということがこのアルラウネにとっては楽しみで、うれしいことである】
【が、反吐が出るほど不味いと言い切った輸血パックや、窓越しの日光などアルラウネにとってはほしいものではなく】
【結局、利益不利益は不利益の方に大きく傾くこととなり】

「うふふ、そのご提案、丁重にお断りいたします。」

【と拒否の意思を言い切ったのであるが】
【彼女は此方の体をジロジロと見ている、なれたものでは有るのだが】
【女性にまじまじと見られるのは初めてだ、少しだけなれないところもあり】
258 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/11(月) 02:06:42.41 ID:k72eHaaP0
>>243>>246
//すみません眠気がピークです……まともに書けないと思うので落ちます
//凍結でもキンクリでも最初からミナヅキ居なかったことにして貰っても大丈夫です
259 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage]:2016/01/11(月) 02:13:19.64 ID:eeSmGgXP0
>>258>>243
/もう夜も遅いですからね……ではこのロールは一時凍結、明日に持ち越しという事で純白さんもよろしいでしょうか
/みなさん、遅くまでお疲れ様でした
260 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 02:14:09.97 ID:LlvBPWfJ0
>>257

「融血剤、嫌い?
 それなら、まあ、応相談だけれど」

困った表情を浮かべて、応答する。
それくらいで、収まるならと思ったが、

「燃やされないように囲いをするって話をまあよくも。
 自然にされると、人間様としては、ちょっと始末に負えなくてね」

イライラをはらわたに叩き込み、言葉を続ける。
研究材としても価値は大きいので、何とも強く出れないのも悲しいところではあった。

「日光と食事の件は何とか都合をつけるけど……
 それでもダメ?」

下手に出るのはこれで最後と、自分を押し込め提案をする。
しかし、握り込んだ手の内には、白の騎士。
261 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 02:20:54.55 ID:NFDeVfvXo
>>260

「人間という種族は相変わらず利己的ですね。
そもそも、貴女が迎える側であれば『人間様』なんて表現はないのでは?」

【このアルラウネも人外という区別で語れるのだが】
【人間はどうやら嫌いなようだ、過去にいろいろあったからか】
【まあ、女性に対しては少しながら苛立ちを憶えるのであるが】

「うふふふ、先程も言いましたよね?貴女の耳は節穴でしょうか?
お断りしますよ、丁重にね。」

【相変わらず、拒否をし続けるようだ】
【そのうえ煽りまで入れる、これでは女性のはらわたは煮えくりかえるのではと不安にもなる】

【さて、アルラウネは白の騎士の駒には気づいていない】
【そもそも女性の能力を深く理解できても居ないようだが】
262 :【純白適応】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 02:27:25.07 ID:4DcMa+h80
>>258>>259
意識が飛んでました…ええ、大丈夫です
263 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 02:30:05.80 ID:LlvBPWfJ0
>>261

「上下もすこーし弁えてると、囲うにも都合がいいんだけどね」

封をしていた感情を少しづつ解き放ってゆく。

「丁重に断られちゃったかー、残念だなー」

感情の入らない言葉を挟んたのち、

「それなら、接ぎ木で増やすことにするよ」

彼女は用意しておいた白の騎士駒を地面に落とす。
駒は地面に着くまでに巨大化し、剣に盾に甲冑と3点そろえた騎士となった。

「ま、腕のかたっぽくらい後で生えるでしょ、けちけちしないでさ」

不躾にもほどがあるセリフを投げつけ、戦端を開く。

騎士は駆け寄り、剣の当たるような場所で愚直に剣を振るう。
当たるかどうかは、まだ知れない。
264 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 02:38:33.30 ID:NFDeVfvXo
>>263

【明らかにアルラウネの言動は女性を怒りに満たすもので】
【女性は手に握った駒を地面にポトリと落としたのである】
【すると、剣と盾を手に持ち、甲冑に身を包んだ騎士が現れたのであるが】

「うふふふ、あなたは能力者さんでしたか。
接木とは、お口が悪いですわね。」

【騎士が剣を振り下ろすことを視認すると】
【アルラウネは蔦を用いて躰を左方へと投げ飛ばす】
【騎士の剣は腰下の花弁と葉の一部をきり去ったのだが、特段影響はない】

「さてさて、困りましたね・・・。」

【ここで一つ問題が生じる】
【アルラウネの能力は基本1対1を主軸としている】
【其のため1対多は苦手であるし、相手も生身の人間でなければ能力の意味もあまりない】

【あの女性に接近して吸血するにしても、彼女は駒を使うであろう】
【つまり、だ、退却戦に集中すればいい、それだけの結論で】

「随分図体の大きな『手駒』をお使いになるものですね。
こんなに細い林道ですのに、不釣り合いですよ?」

【まったく、この白騎士は結構でかい】
【女性には接近はおそらく許されないのあろうて】
【女性の方を見つつ、後方へと撤退を始めていく】
265 : ◆rpJigmhfjQ :2016/01/11(月) 02:50:50.12 ID:LlvBPWfJ0
>>263
PCの調子が悪く、
返しが遅くなることが予想されます。
ですので、凍結か 切り上げかをお願いしたく存じます。
266 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 02:52:03.86 ID:NFDeVfvXo
>>265

//当方了解しました!
//それでは、凍結ということでお願い致します・・・
267 : ◆rpJigmhfjQ :2016/01/11(月) 02:52:21.41 ID:LlvBPWfJ0
>>265
>>264宛です。
268 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 02:55:14.68 ID:LlvBPWfJ0
>>266
//すみません、ありがとうございます。
 調子戻り次第、書きます。
 ひとまずお疲れ様でした。
269 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 09:04:18.84 ID:4DcMa+h8o
>>246
>>250
「ええ、別に問題はなさそうです」

ちょっと歩いてみてだいぶコツは掴めてきた
やや大袈裟に驚かれてるような気もするが…
しかし、歩行については、この程度の活動については、問題なさげだ

「はい、寒いです…すごく、すごく」
「はい、ありがとうございます
暖かいですが、この臭いは……?」

男から渡された黒コート、自分にはやや不釣り合いな大きさのそれを羽織る
先ほどよりは暖かい。こんな薄いパーカーなんかでは寒さなんか防げてなかったことがよくわかる
そして、顔を埋めてみようとしてなにか臭いがするのに気付く
これは…血液?
おかしい、なんでそんなものの臭いを私は知っている?
…分からない。何故だかどこでこれを知ったかについて全く思い出させてもらえないようだ
そうだ、きっとこれも最初から入っていた知識の一つなんだ。きっとそうだ。

「…分からないです。何もわからない……
けど、なぜだかあそこには行きたくない…行ってはいけないような気すらするんです」

分からない。
どうしてだろうか?どうして私はあんな行ったこともないところに対してどうしようもなく忌避感を覚えてしまうのか
…分からない。
あそこに何があるのか?あそこで何があったのか?あそこには――誰がいたのか
……分からない

「え……それは……」

あそこで生まれた?そんなこと、私は知らない
あそこで生まれたとは、私は言いきれない。知らないから
だが…だがなぜか否定はできない。そうではないとは断言できない
分からない。どうしてあそこで生まれたとは言えず、そうではないとも言えないのか
分からない…いや、自分は知っていたのかもしれない
だけど…それ以上は全く思い出せない
―――まるで、消されているみたいだ



//昨夜は若干寝落ちていたみたいでした…ごめんなさい!置いとくので都合のいい時にお返事ください
270 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 12:45:33.70 ID:eeSmGgXP0
>>250>>269
「……ああ、かなり……染み付いてしまっているらしい」

彼は少し気迫なく、すまない、と笑う。
その血の匂いに関して、彼は多大に思うところがあるらしいが……
それは、此処で説明する事ではあるまい。

彼は二人のやり取りを静かに聞き入れていた。……青年は、彼女の出自に心当たりがあるのだろうか?
学園とは、どのような施設なのだろうか……彼の中で、もうひとつ好奇心が増えた。

「ふむ……もしこの子が彼処で生まれ、造られたとしたら……僕なら、そんな場所には行きたくないな」
「そんな所に舞い戻ったら、何をされるかわからない……だろう?えーと、君も……」

彼は、少女の出自の分析を試みる途中、ある事実に気が付いた。
彼女は、何も思い出せないと言っていた。その言葉が本当なら、きっと"名前"も知らないはずだ。

「……そうだ、いつまでも"君"では他人行儀だな……君は、名前を思い出せないのかい?」

"名前"。対象がコミュニケーションを取れるものである以上、それを指し示す名前は絶対不可欠なものだ。
だが、彼女はそれを思い出せないと言う。
それはすなわち、自分が定まっていないという事だ。

「君が、何も思い出せないと言うのなら……その呼び名だけでも、僕たちで考えられないだろうか?」

これは青年に相談するものでもあるが、これは少女に対する質問でもある。
"貴方の名前を我々で決めていいだろうか"━━━━━━━
それは大きく、重い意味を持つ質問だ。名前を決定するという事は、彼女の自我を決定するのと同じ事なのだから。

「もし彼女さえよければ、僕に考えがあるんだが━━━━━━━」



271 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 13:28:54.93 ID:LlvBPWfJ0
>>264
相手の取った行動は、単純な後退。
だがそれは、草摘みにやってきた彼女からすれば、承服しかねるもので。

「困ったのはこっちなんだけどね。
 私は散り行く華を守ろうって来たのに、悪党みたいに言っちゃってさ」

言いながらも、騎士は植物に迫る。
後退するのに合わせて、1歩、また1歩と。

「そりゃあ人間は弱いさ。多分初めてなら私も生餌だったかも。
 でも人間には、数と集合知っていう便利なものがある。
 私は、その肩の上にいるんだ。鉢植え1つ作れなくてどうする」

独り言のようなセリフを植物に投げつけ、用意したのは今一度騎士の白駒。
今度は落とすのではなく、植物の向こう側に投げる。
宙を舞った駒は、林道に沿い、騎士は開けた道に挟み込むように陣取る。

「女王を守るんだ。図体でも大きく無けりゃ困るね。
 じゃないと弾除けにもならない」

植物に対し、自信を叩きつけるように彼女は言った。

//一旦お返しします。
272 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 13:49:06.45 ID:k72eHaaP0
>>269>>270
言い放ってから、気付いてしまった。
もし仮にここで彼女が造られ[生まれ]たとしても、この学園が実験の痕跡を『消去』しない筈がない。すなわち、痕跡とは――――彼女自身の、記憶。
人は生命活動を始めてすぐ、記憶が蓄積されていく。だが彼女は、『ここに今誕生した』かのような、そんなニュートラルな発言をし続けている。
それがどういう経緯なのかは定かではない。ただ、彼女から彼女の情報を手に入れるのは、困難を窮めるということを、青年は今、把握した。

「……ごめん、適当なこと言っちゃった。僕もよくこの【学園】のこと、分かってないから」

誤魔化すように、頬をかいてはにかむ青年。
そして、男性の発言にもこう答える。

「そうですね、中に入るのはやめておきましょう……はい、そうしましょう」

含みがあるような言い方をしたのは、続きの句を躊躇ったから。
『もしかしたら校舎の中に、自分の能力でも彼の“獣”でも、―――退けることのできない者がいるかもしれない』
そんなことを言い出しては、不安を煽るだけだ。

「名前!いいですね、折角だから決めましょうか!いやあ、女の子の名前とか、この歳で決めることになるなんて――――」

少女の返答を待たずして、青年は朗らかに名付け親になることへの期待を示す。
そしてまたしゃがみ込み、少女の顔色を伺う。

「どうかな、無理にとは言わないけどね?」

とは口で言いつつも、内心も外見でも浮かれているのは一目瞭然である。
273 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 14:09:19.19 ID:AYbYWGijo
様々な人間が行き交い、多様な表情を見せる、笑顔のカップル、仏頂面のスーツマン、アイスを食べる子供と母親…
そんな休日の晴れた昼下がり、青年───【0】はうすらぼんやりと思案しながら歩いていた。

(D.O.T.Aがどんな場所かはわかった……つまり特撮とかでよくあるような『正義の味方』って奴だ……そしてオレはその手伝いをしなくちゃならなくなった訳だ)
(別にそれはどーでもいいが……オレはオレ自身でも記憶を探さなくっちゃならないな…頼りっぱなしはいかん)
(そして、『いつ』から持っていたかわからんが、オレの能力のことも……昨日は疲れてすぐ寝ちまったから、調べてもらうことも出来なかったからな……)

前を見ているようで、思案に気を取られていて見ていなかったのだろう、青年は子供とぶつかってしまう。
その体躯の違いで、青年はビクともしなかったが、ぶつかった子供の方はよろけてしまい、買ったばかりのアイスを地面に落としてしまった。
驚愕と、落ちたアイスを見て泣き出す子供、遅れて追い掛けて来た母親がそれを宥める。

「ウワアアアァン!!僕のアイスがー!!」
「もうッ!だから走っちゃいけないって言ったじゃない!!」

「…………」

泣き出す子供を宥めながら、青年にも謝る母親、それを見た青年はしゃがみ込み、子供と目線を合わせた。

「いや……なんかゴメン……オレもよく前を見てなかったんだ」
「……所でそのアイス……もう要らない?良かったらオレが貰っていい?」

泣きじゃくる子供に謝った後で、落ちたアイスを指差して一言、その言葉が余りにも素っ頓狂だった為に、親子は返す言葉を見失い固まった。
その沈黙を肯定と判断した青年は、落ちたアイスを手に掬い取り、溶けかけたそれをペロペロと舐め出す、真剣な表情で異常な行動を始めた青年に恐怖を感じた子供は最早無く事も忘れて固まり、母親は「見ちゃいけません!」と叫んで子供を引っ張っていってしまった。

(『オレが知っている人間』の事は忘れてしまったが、『オレを知っている人間』はどこかにいるはずだ。そいつを見つけ出してオレの事を聞き出す)
(となるとまずはそいつの事を見つける必要があるな……手掛かりを探しにあの廃棄場に行ってみるか?)

道端にしゃがみ込んで地面のアイスをペロペロ舐めながらボンヤリと考える様は、どう見ても不審者です本当にありがとうございました。

/21時くらいまで絡み待ち投下しておきます。
274 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 14:24:39.76 ID:4DcMa+h8o
>>270>>272
コートに深く根付いた罪の香りについては触れないことにした
この男に思うことはあるのだろう、だがそれを私は知らないでいいような気がするのだ
いや、知らない方がいいが正しいか
きっと――知ったら取り返しのつかない何かが起こってしまうから

「……はい」

青年は学園のことについて少しは知っているようだ
気にはなる。私はあそこで生まれたかもしれないのだから
だが、絶対に行ってはならないのだろう
仮に、仮に私があそこで生まれていたとしたら男性の言う通り何をされるかわからない
どうなってしまうのか、わからない

「名前、ですか
たしかに必要ですね。私につけられた名前はないですから」

名前
言われて気が付いた。自分には名前がない。
思い出せないのではない。ないのだ。
名前はこれからどうしようと、否応なく必要になるものだ。

「ええ、大丈夫です。私の名前、決めてください」

だが、私の知識には名付の方法まではなさげだ
だから彼らに任せた方が早いのだろう
素敵な名前だと――いいな
なんて、少しだけ期待しているのは感じた
275 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 14:37:32.96 ID:Thy5+ZWeo
>>273

「……(じー)」

 不審者がいると聞いてやってきた少女は、その光景に目を丸くした。
 どんな奴がいるか、危険なやつだろうかと左腰からぶら下げている小太刀の柄に手を置きながらやって来れば、
 そこには道端にしゃがみ、アイスを舐めている男性がいた。

 一瞬、あれが不審者か? と思い、呆気にとられていると、
 少女の周りにポツポツと『翡翠色の燐光』が漂い始めた。
 その瞬間に周りの電子機器が全て停止、黒煙を上げ始めるが、
 今回の少女はそちらに意識を傾けることが出来なかった。

(……あれ? あの男って確か、つい先日にうち(D.O.T.A)で保護された男じゃなかったか?)

 同じ組織に現在いる男。その男が奇行を働いているという現状、
 一体、どう『リアクション』を取ればよいか。少女にはそれがわからなかった。

 組織からの通知は紙媒体で適時送られてくるため、遅れはあれど情報の取り逃がしはない。
 そのため、相手の容姿は知っている。
 だが、この場合はどうすれば良いだろうか?
 組織に保護されている相手だが、正式な組織員ではない。
 このまま干渉せず、相手の好きにさせれば良いのか。それとも、保護しているという名目で彼を注意するべきか。

 どうにも、行動する場合の適切な処理の仕方がわからない。
 が、こうしている間にも彼の奇行は続く可能性は高い。

(私、まだ配属先もないんだけど……これぐらい別に良いよね。
 人間の行動として間違っていることを指摘するぐらいは)

「ちょっと良いかな?」

 人間として、彼の難解な行動を注意するため、少女は燐光を漂わせたまま男性に近付き、声をかけた。
 男性が振り向けば、そこには真冬にホットパンツを履き、長袖にカーディガンを着込んだ暑いのか寒いのかよくわからない少女が、
 小太刀を片手に何か得体のしれない『翡翠色の燐光』を漂わせていた。

 はい、どうみてもこちらも不審者です、はい。
276 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 14:42:54.30 ID:eeSmGgXP0
>>272>>274
「そうか。……では、あの学園に行くのは止めておこう」

彼は少女の意思を確認し、一先ずその場所へは行かない事を決定した。
学園がどのような場所かはわからないが━━━━━もし、これほど完成度の高いホムンクルスを作成する技術があるのだとすれば。
何の意図で、何のために?だがそれは、今ここにいる少女にとっては、何ひとつ関係のない事であるのも、また事実であった。

「さて、では……良い名前を考えてやらないとな。僕からは……」

彼は少し考え込んだ後、彼女を言い表す記号……すなわち、その存在に意味を持たせる"名前"を口にした。
FX-00などという、被造物としての名ではない。彼女を、真に人間たらしめる名を。

「そうだな……"クリスティアーナ"というのは……どうだい」

"クリスティアーナ"
純白の花弁の中に、紅の中心部をもつ美しい薔薇の名。……その特徴は、彼女の外見と合致するように思えた。
加えてその花は、多くの品種改良の末に完成された物━━━━━━それは言ってみれば、"人為的な被造物"とも呼べるかもしれない。

それは、彼の故郷で一般的に使われていた名であった、という理由もある。……こんな雪の日だ、郷愁に浸るのも悪くはあるまい。
少々ばかり気どったような由来ではあるが━━━━━彼にとってそれは、彼女を体現するにふさわしい名だと感じた。

「まあ……君が気に入れば、の話だけれどね」

人に名前を付けるというのは、思いの外気恥ずかしいものだ。
彼は少し遠慮がちに言った後、青年の方にも目を向ける。

「……君からは、何か案はあるかい」

素敵な名を付けてやってくれ、と促す。
彼も、少女の名付け親になってやれる権利はあるはずだ。
277 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 15:00:15.01 ID:AYbYWGijo
>>275
「ン?」

声を掛けられた、もう殆ど無くなっていたアイスを口にほうりこみ、指に着いた物まで舐めとりながら振り返ると、其処には1人の少女。
美しい翡翠の燐光を纏いながら此方を見ている、一目見てそれが能力の物なのだろうと彼は感じ取った、能力について知らなかったが故に、知ってからは飲み込みが早い。

「……何だお前?もしかしてオレの事を知ってるのか?」

同じ組織にいる彼女は情報として彼の事を知っている、しかしこの男は、全くもって彼女の事をしらなかった。
というよりも、知ろうとしてなかった、保護された日は直ぐに休んだし、起きてからも直ぐに外に出て行ってしまったからだ、組織内のメンバーに顔合わせなどをする事は考えなかったのだろう。
故に青年は首を傾げ、『もしかしたら記憶喪失前の自分を知る人物かもしれない』と思った。

だが、そこまで言ってから漸く気付く、少女の持っている小太刀に。

「…………」
「もしかしてオレを消しに来たとか?ひょっとしてオレってヤバい奴なのか?」

小太刀一つから考えを飛躍させ、素っ頓狂な予測を立てる青年、自分が他人に消される事をしたような人物なのかもしれないと思ったらしい。
278 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 15:15:15.86 ID:Thy5+ZWeo
>>277

「はい? ……あぁ、これは違います。
 不審者がいると聞き、駆け付けた時に抜いただけで……」

(もしかしたら私を知っているかもと思ったけど、昨日の今日だから知らなくて当然か。
 まあ、アジトに入ったこと無いから顔合わせも一人くらいしかしてないし)

 基本的に少女の活動は外。
 質の悪い能力のせいでシンクタンク班の機器をぶっ壊してしまうためだ。
 そのせいで、席自体はあるらしいが全く顔を出せずそのままとなっている。
 素質的にはレイド班だが、はた迷惑すぎる能力は使いドコロが悪く、滅多に指示を出されることがない。
 というか、街中に呼び出せないのが一番の難点とされているのがマズい。

 そのため、正規の隊員でも彼女の存在は名前と顔写真で見た顔くらいしか知られていない。
 まあ、目の前の保護された男性はその名前すらも知らないようだが……。

「食べてしまったものは仕方がないですが、
 拾い食いはお腹を壊しますし、最悪病気になってしまうので止めたほうが良いですよ。
 D.O.T.Aの者として、保護されている人が拾い食いで病気になってしまうと、
 世間の目が冷たくなってしまったりと面倒事がありますから」

(まあしかし、本拠地が破壊された組織なので既に冷たいですが)
279 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 15:39:58.84 ID:NFDeVfvXo
>>271

「本当に守るだけなのですかね?
人間は身勝手で嘘も多いと聞きますから・・・。」

【此方の後退に併せて迫る白い騎士】
【動きを止めたら、こんなに狭い林道だ、ちょっと動きにくくもなるか】
【なんてことを考えつつ、彼女の動向を見ていると】

【投擲されたのは白い騎士の駒】
【やっぱり増えるか、なんて考えても居たが、そんな暇は与えてくれなさそうで】
【一旦後退を止める】

「ふふふ、貴女が女王ですか・・・。
身勝手で我儘な女王様もいるものですね?」

【おそらく相手は、飼うとか言いつつ拉致する腹積もりであろうと思い】
【ここで捕まってはならないと考えつつも、今の状況では最適解が見つからない】
【さて、林道を挟むようにする騎士たち、そして彼女はどう行動するのか】

//こちらもお返し致します!
280 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 16:32:58.10 ID:k72eHaaP0
>>276
青年は彼が少女に宛てたその名を聞いて、絶句した。

―――センスの、塊だ。
忘れていた。彼は品の良さ漂う高身長外国人、更に紳士さとハンサムさを兼ね備え、なのに血を求めると文字通り野獣のようなワイルドさが――――いや、それは不謹慎過ぎる。
ともかく、彼のスペックの高さを忘却していた。
片やこちら。冴えない。チビ。格闘技マニア。
………圧倒的、過ぎやしないか。

と、彼が少女に“クリスティアーナ”の意味を教えている間に、青年は愕然としていたのだ。
降参だ。やめてくれ。分かった、もうそれ以上可愛らしい意味を込めないでくれ。
さっきまでの意気はどうしたか、聞けば聞くほどにテンションが下がっていく。

少し照れながら、こちらに目を向けたスヴェンはもちろん、青年からの少女の名前案の催促をする。
当たり前だ。あれだけ名付け親になることではしゃげば、こちらの顔を立ててくれるのがこの紳士なのだ。

>>274
ギギギ、そんな擬態語で表せるようなぎこちない動作で、青年は少女の方を向く。
案の定、彼女はあどけない表情で、こちらに期待の眼差しを送る。

―――腹を括れ水那月。なに、ガツッとダサい名前を言えば、笑い話で解決するのだ。

そう、そうだ。それでいい。身の丈に合わないことはするものじゃない。
決心した青年は少女の瞳を見詰め返す。そこに見えたのは、―――例の文字列。

「―――“レイ”ちゃん」

彼女の瞳を見たまま、そう言ってしまった。
そして言ってみてから、青年の脳は意味という名の言い訳を捻り出す。
『倒れていたから英語の“lay”とかけて』、『真っ白なのが光の色みたいだから“ray”、みたいな』、『記憶が殆どなくて今が“零”からのスタート、的な』。
だが、どれを言っても青年にはやはりこじつけとしか思えない。
―――“FX-00”、これが彼女を表す記号だから。そもそもこれがきっかけなのだ。

変にスヴェンに張り合って、小細工を凝らしたみたい。小恥ずかしいどころか大恥をかいた。
そう少女に察せられないために、青年はなんとなしといった表情でこう続けた。

「なんとなく、レイちゃんって感じがしたから。………さ、君の好きに選ぶといいよ」

と、優しい口調を取り繕い、そう伝えた。
281 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 17:26:05.42 ID:AYbYWGijo
>>278
「え?そうなの?」
「それじゃあー、オレがここで殺されるって心配は一先ずいらないわけか」

目の前の小太刀で切り裂かれるなんて事はないらしいと納得すると、すっくと青年は立ち上がる。
痩せ気味に見えるが、いくらか筋肉質で背が高く、オマケに逆光もあってかなり見た目がエグい、不審人物と言われても納得だ。

「そんな事言ってもよぉ〜、オレ無一文だから三時のオヤツも食えないんだぜ〜?」
「それに、落としたからって食わないのは勿体無いだろ?アリンコだってこんなに食い切れないだろうし……」
「でも、アンタや柊が困るかもしれないなら止めにしておこう、アイスみたいに腹を壊しそうな奴は」

素直に聞くかと思えば、子供のように言い訳をしてゴネる。かと思えば、自己解決して結局は話を聞く。
どこかおかしな男だが、聞き分けのない奴ではない。

「アンタもD.O.T.Aって事は、柊の仲間か?それともオレと同じく保護されてる?」
「ああ、オレは【0】って呼んでくれ、今の所は」
282 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 17:32:13.79 ID:4DcMa+h8o
>>276>>280
「クリスティアーナ……私を表すにはいい、よすぎるほどですね」

繰り返す
遠慮がちに提案された名前を復唱してみる
まさに、私を表す植物だ。その見た目から、性質まで、全て私だ
人が幾度となく試行し、そして作り上げた一輪
いい名だ、きっとこの場が私と彼の二人きりだったら――それに即決していたに違いない
だが、今はそうではない
この名前は確かに気に入った。だが――もう一人の青年のそれを聞くまでは、決められない

「レイ…単純ですが、だからこそ素敵です」

なにやら敗北感を噛み締めながら、名前の提案を受ける
そしてこちらも復唱。単純だが、素朴な響きだ
理由は何となく、分からないがだからこそ素敵なのかもしれない
青年がどう思ってこの名前にしたかは分からないが――気に入った

「えっと…私は……」

これで候補は出た
クリスティアーナ
レイ
どちらも私には甲乙付け難いいい名前だ
どちらの名前と共に歩んでいくかを決めるのは、とてもじゃないが難しすぎる
――選べない
だが、選ばねばならない
己の持てるセンス、そして故郷への想いまで全て込めた名か
浮かれ、しかし打ちのめされて思いついた、単純で優しい名か

「では――」

優しい口調で促された
そろそろ迷う時間は終わりだ
決めねばならない
だが、この間に私はちゃんと名前を決めれた
それは――

コンマ奇数:「クリスティアーナ…私は、今日からクリスティアーナです」
コンマ偶数:「レイ…私は、今日からレイです」
283 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 17:40:05.24 ID:H0wvcJlKo
(´・ω・`)やあ
284 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 17:43:12.04 ID:Thy5+ZWeo
>>281

「柊……ああ、レイド班の柊 春香さんですね。
 名前と顔写真だけですが、知っている方です。
 彼女とは別の、というか所属している班はありません。
 未だに班分けされてないですが、D.O.T.Aの一員です」

 配属されていないため、居候とも言うべき立ち位置だが、
 やっていることはレイド班のものと同じだ。

    コハネ ユノカゼ
「私は琥羽。優野風 琥羽と言います。
 よろしくお願いしますね、【0】さん」

 名乗り、そして琥羽は【0】に財布を差し出す。
 財布。見て分かる通りお金を入れる物だ。

 それは、琥羽の所持品で、受け取り、開ければ中にはそれなりの額が入っている。
 しばらく飢えに苦しむ必要はないくらいにはあった。

「これを渡しますから拾い食いは今後一切なしの方向でお願いしますね。
 あとで正式に【0】さんにお金が渡されるように書類出しておきますから」
285 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 17:53:30.77 ID:AYbYWGijo
>>284
「琥羽……ああ、宜しく」

名前を聞いてから、挨拶をするまで少し間があった。
名前を聞いて、自分の心に引っかかる事はないかと探したのと、その名前を忘れてしまわないように何度か反芻したからだ。

「……お?なんだこれ?財布?」

「……おおォォ!!金だッ!金が入ってるぞッ!」
「ひーふーみー……結構あるッ!うま○棒沢山買えるぜッ!これをオレにくれるって言うのか!?」

差し出された財布をベタベタする手で受け取り、中を確かめると、驚きの余り声を上げる。
それをそのままくれるというのだから、驚きも最高潮だ、街中というのも忘れて叫び声を響かせ、見開いた目を琥羽に向ける。

「何だか悪いなァ〜!こんなに本当に受け取っちゃっていいのかァー?」

とは言いつつも、めちゃくちゃ嬉しそうにニヤついているし、ちゃっかり財布をポケットにしまっている。
286 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 17:58:14.08 ID:eeSmGgXP0
>>280>>282
「レイ。……ミナヅキの名も、よい響きだ」

対して彼も、青年の送った名に対して、不意打ちを食らったような感銘を受けていた。
直感で決めた名。"少女"を言い表すに能うのは、そんな単純な理由こそがふさわしいとさえ思えた。
それほどまでにその名は、素朴かつ優美な響きを含んでいるように感じられる。

少女は最終的に、自分の送った名に決めたようだが……
彼は、青年の考えた名もまた、捨てがたいものだと感じていた。

そこで彼は、あるひとつの"提案"を思いつく。

「……クリスティアーナ。君さえよければ、僕に考えがあるんだ」

少女が、自分の送った名に、深く感銘を受けていたことは事実だ。
だが……青年の送った名前。それに対しても、ひどく気に入った様子だったからだ。

何よりも……青年もまた、少女に対してかけた想いは、自分と同じぐらいであっただろうから。
だからこそ彼は、改めて彼女に贈るべきだ……そう感じた名前を告げる。

「"レイ・クリスティアーナ"。……ああ、やはり。どちらも、君にふさわしい名前じゃないか……」

彼女を発見し、彼女を導いたのは、自分だけの功績ではない。
青年もまた、共に彼女に"記号"を付けるべき導き手なのだ。

だからこそ少女を決定する要素は、"自分だけの名前"であってはならない。……彼は、そんな使命感にも似た感情の中で、ふたつの名前を贈ろうとした。

……尤も、"決定"すべき権利は彼女にある。
せっかく彼女が選んだ選択を、今更考え直してくれ、と言うのは野暮な話であろうとも。

だが━━━━━━━彼は、自分を差し置いて、他の"何か"が蔑ろにされるという事象は━━━━━━━━
彼の踏み越えてきた"命"。その病理以外には、見たくはなかったのだ。



287 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 18:01:57.86 ID:Thy5+ZWeo
>>285

「はい、好きに使ってください。
 私は滅多にお金は使いませんから」

 と、いうのも嗜好品には一切手が出せないというのが本音だ。
 彼女の異能は問答無用で機械を壊す。
 コンビニやスーパー、電気屋にも立ち入れない。
 レジは壊れる。商品は壊れる。冷却機が壊れる。停電するetc.

 現状、母親がどうにかしてくれているが、まず一人で生きることは不可能に近い。
 今住んでいる場所も、そういった機器類は置かれていない。

「なので私の代わりには振りよく使ってください」

 嬉しそうな男性に、少女もまた笑顔でそう言った。
 彼が拾い食いしないならば安いものだと、そう言うように。
288 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/11(月) 18:18:05.29 ID:k72eHaaP0
>>282>>286
「うっ……そ、そんな……」

滅相もない、とスヴェンに言っては曲がりなりにも名をつけられる少女に負い目が出てしまう。
すんでのところで口をつぐみ、くすぐったいような恥ずかしいような、えも言われぬ気持ちになる青年。

「―――うん、そっか。仕方ないね」

とつぶやき、青年は苦笑する。
正直なところ、彼はほっとしていた。
自分も真面目に誠心誠意を込めて考えたつもりではいたが、それでもスヴェン案が優れていると彼は悟っていた。
それに、尊敬している彼を差し置いて水那月案が選ばれてしまっては、面目が立たない。
青年は案が通らず残念そうかつ、名前が決まっておめでとうという祝福の気持ちを、表情で見せるのに苦心した。

「じゃ、改めてよろしくね。クリスティア―――」

その時、予想だにしていない折衷案が降りてきた。
“レイ・クリスティアーナ”。確かに響きは悪くはない。正に義理堅い彼のことだ、逆に自分の面目を立たさせてしまった。
―――本当、優しいけどお節介な人だ。

「……あ、あー……いい、ですね」

思わず困ったように吃ってしまった。これまで隠せていた彼の動揺が、漏れ出てしまう瞬間だった。
赤面をしていないか心配になり、顔を隠すようにしてコートのフードを被り直す。

「……決めるのは、君自身だから、ね?」

そして、顔を背けて少女にそう伝えた。
289 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 18:18:51.85 ID:AYbYWGijo
>>287
「いいのかなァ〜?でも『やる』っつったのはアンタだからな?もう返せっつっても遅ぇからなァー?」
「でも金を使わないなんて変な奴だなアンタ、持ってんのに使わないなんて勿体無いと思う」

人からお金を恵んでもらっておいて、その相手を『変な奴』扱い、歯に衣着せぬとはこの事か。
琥羽の事情を知らないとはいえ、『もしかしてこいつは山に住んでいるんじゃないか』とも思っている、実際スゴイシツレイ。

「しかし……貰いっ放しってのもなんか悪いな……よくわからんが、そう思う」
「何か良かったら、オレに手伝える事はないか?あー……なんか、出来る事ならやるよ。背が高いから蛍光灯も楽々に変えられるけど……」

でも、少し落ち着いてくると申し訳なさもようやく出て来たらしい。
290 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 18:21:40.73 ID:LlvBPWfJ0
>>279

「観葉植物だって。
 野生だと何かと面倒が多くてね」

珍しい生き物のサンプルが欲しいのは事実。
枯れた部分や生態を見るだけでも十分ではある。

まあ本当のところは、戦力として、なのだが。
そういうことを口にする意味は甚だ薄い。

さて、2体の白騎士は挟むことに成功したものの、側面はまだ。

「女王はわがままと従順の使い方を心得てこそ、だよ?
 じゃあ最後だ。そろそろ迎えも来るからね。
 私に飼われて?じゃないと、その綺麗な花弁ごと切り刻んであげる」

そうして彼女は命令を下す。
2体の白騎士が距離を一気に詰める。

これが、最後の機会ではある。

291 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 18:30:01.70 ID:4DcMa+h8o
>>286>>288
名前は決まった
青年は残念そうだが、祝ってくれていた
彼には悪いことをしたかもしれないが…仕方がない
男性は青年の提示した名に感銘したせいか何か考えていた
なんだろう、しかし名前は決まったが――と思った時だった

「合わせるのですか…」

思わぬ折衷案がここに示された
レイ・クリスティアーナ、それがその折衷案だ
自分では思いもよらなかった。そうか、どちらも捨てがたいならどちらも選んでしまえばいいのか
おまけに響きもいい。確かに私は自分で一つを選んだのだが
――こんなに素晴らしい案があったら、また迷ってしまうではないか

だが、迷ったのは先よりも遥かに短かった
そうだ、決めるのは私だ
決意を覆すのはよくない…と思う
だが――

「ですね、では私は――」

決めた
親とも呼べる二人の想いを贅沢なことに両方とも受け取ろう

「レイ・クリスティアーナ
私は―――レイ・クリスティアーナです」
292 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 18:30:11.63 ID:Thy5+ZWeo
>>289

「別にやって欲しいことは……いえ、そうですね。
 私があげてばかりでは気味が悪いですね。ふむ……」

 実際の所、今彼がやれる仕事はないが、
 それでは彼の気が収まりそうにない。
 いや、もしかしたら断れば「そっか、わかった」と言うかもしれない。
 そこまで考えるが、深く考える必要はない。

「そうだ」

 やってもらいこと。
 それを考えると、1つ思い浮かんだ。
 手っ取り早く済み、かつちゃんとお礼になること。

「近くの自動販売機まで行ってジュース、買ってきて下さい。『ダッシュでな』」

 何故か、最後の方は命令口調。口元もにやりとしている。
 別に舎弟にしたいとかそんな気持ちはない。ただ、ジュースを飲みたいだけだ。
 ただ、少女がここにいるということは、近くに自動販売機はないのは言うまでもないだろう。
 正確には、『稼働している自動販売機』はないだろう。
293 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 18:42:03.56 ID:AYbYWGijo
>>292
「うーん……本当に無いのかぁ?それじゃあ───」

大方琥羽の予想通り、頼みが無さそうだったのでなかった事にして切りあげようとした、が……。
それを言い切る前に琥羽の頼みが被る、命令口調とは逆の笑顔が怖い。

「い……イエッサー!」

何故か背筋を伸ばして敬礼で返し、踵を返すと猛ダッシュ、気持ち悪いくらいに綺麗なフォームで走っていった。
それから程なくして、また走って青年は帰ってくる、手には冷んやりとした炭酸ジュースを持って。

「買って来た……来ました、どうぞお納め下さい」

走るスピードを落としながら、琥羽の前に立ち止まると、その場で膝をつき、生贄を捧げるかのようなポーズで缶ジュースを差し出す。

「結構走ったぜぇー……何しろこの辺り、自販機が壊れてる奴ばっかりだったからなぁー」
「ああいうのって置いた奴が修理すべきなのかな?でもそうだとしたら、タバコ屋とかのおばあちゃんは直せなくて困るよなぁーっ」

まさか琥羽の能力の影響とは思わず、何だかうだうだ言っているが、言われた通り買って来た事には変わりは無い。

『炭酸ジュース』を、『走って』。
294 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 19:03:11.37 ID:eeSmGgXP0
>>288>>291
「……決まりだな」

安堵。その時彼の中にあったのは、まさしく安堵の気持ちであった。
少女の名前が決まったこと。少女が、確固たる存在となったこと。青年の想いが、無駄にならなかったこと。
彼はそのすべてに対して、安堵の気持ちを抱いていた。

何故ならこの少女は、自分と青年の二人で助け起こし、またその存在を照らしたのだ。
どちらかの想いが優先される事は、あってはならない事だ━━━━━そう思ったからだ。

不意に、そんな感傷を破る、また別の感情が顔を出した。
……"寒さ"だ。雪の中でしばらく話していたせいだろうか。頭や衣服に、薄く雪が積もってしまっている。
北国で慣れたとはいえ、本能に訴えかける感覚には抗えない。
ホムンクルスが風邪をひくかは分からないが……寒いのは辛かろう。

だが其処で、未だある重大な問題が存在している事に、彼は気が付いた。

「……そうだ。クリスティアーナ、君……家は……」

衣・食・住。
前者ふたつは後に置いてもいいだろう。
だが、住━━━━━━━それは最大の問題ではないのか?
雨風や雪をしのぐ安住の地。それが無いというのは、この少女にとっては荷が重すぎる。

少女は何も思い出せない、と言っていた。
ひとりで暮らせるなら良い。だが、そんな場所はあるのか?
彼女が造られたらしき学園は、彼女自身によって否定されてしまった。

……では、彼女は何処に?

「……我々で、何とかするしかないのか?」

青年に対しても目配せをする。
名前まで付けたこの少女を、寒さの中に放り出して捨てる訳にはいかない。
━━━━━━選択。この場の誰かが、安住の地を提供するしかないのだろうか……


295 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 19:06:31.96 ID:Thy5+ZWeo
>>293

「ご苦労さまです」

(あー、やっぱり壊れてるよね。
 まあ、制御しようにもかなり無茶しないと悪いし、
 さっきは思わず制御解いちゃったし……動揺しないっていうのはキツいな)

 『ジュース』を受け取りながら少女は自動販売機が壊れている理由を頭で考える。
 やはりと言うか、残念ながら結構な範囲の損害が出てしまっている。
 制御できればしないはずがない。だが、どうにも制御下に置くことが不可能に近いのが現状だ。

(はあ、何時になればコツが掴めるのか。
 制御できれば日常でも戦いでもかなり改善できるのにな)

 心のなかで嘆き、少女は『ジュース』のタブを『開けた』
 最後まで少女は【0】が買ってきたものが炭酸ジュースであることに気づくこと無く、それを開けてしまった。

「あぷぁっ!?」

 当然ながら、ジュースが吹き出て少女の顔面を直撃し、顔だけでなく髪や服も水に濡れる。

 それだけで済めば……良かったんだけどなぁ。

「あ、やば」

 少女はこれでも、平常時でも僅かだが雷を制御しようとしている。
 そのほとんどが先ほどのように制御できず、周りに拡散しているものだ。
 だが、少女が常にやっている制御も、かなり重要なものだ。

 それは―――― 『完全な雷の状態』で周囲へ『流れないようにする』ことだ。

「ちょ、ま、制御でき――」

 完璧な不意打ちに少女の制御下を抜けだした雷は、漂っている『翡翠色の燐光』の姿ではなく、
 稲妻の形となって周りの木々やベンチへと、辺り構わず喰らっていく。
 当然ながら、その牙は男性へも……。

 D.O.T.Aでの少女の異名は『災害』
 その名の理由は、当初討伐対象として記載されるはずだった彼女の所業。
 大都市の中心で大災害レベルでの被害を起こしたから付けられたものだ。

 その被害の額は――――数億を軽く上回る。
296 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 19:30:46.93 ID:AYbYWGijo
>>295
「あっ」

わざとではない、断じてわざと『してやろう』なんて思ったわけでは無いのだ、ただ、少し抜けていた。
封を開いた缶から勢い良くジュースが飛び出し、琥羽の顔面に吹きかかる。
俄かに強くなっていく翡翠の光に、立ち上がって後退り。

「いや……その……わざとじゃあないぜ…本当だ……」
「…お、オレのせいじゃないぞッ!これは偶然に……」

稲妻へと変わっていく光を見て、琥羽が怒っていると勘違い、子供のような言い訳をしながら後退りを繰り返すが、時既に遅し。
次々に炸裂する稲妻が牙を剥き、周囲のベンチや木々を破壊していく、それに決まった狙いは無く、自身にもそれが向いているとわかった青年は思わず手をかざして自分を庇った。
そして、稲妻が直撃───盾として翳した掌に吸い込まれるように稲妻が突き刺さり、青年は黒焦げに……ならなかった。

「…………!」

「ん?」

『死んだ』、完全にそう思っていた青年は、固く閉じていた目を恐る恐る開き、自分の掌を確認する。
掌は全く焦げたりすることも無く、そこには謎のQRコードがあるだけだった。

「……?」

『電圧を0≠ノした』、青年は思わず自分の能力を発動し、自身に襲い掛かる稲妻の電圧を無害な物としたのだ。
だが、その事実を彼はまだ知らない、自分の能力を『能力を無効化する能力』だと勘違いし、覚えている。
とはいえ安心は出来ない、このままでは周囲の被害だけでなく、自分が危険だ。

「何だかよくわからんが、そういやこの手があったッ!!」

思い付いた様に叫んだ青年は、一気に琥羽に向かって駆け出した、しかし【0】に出来るのは『手首から先で触れた時』だけ、防御し切れず足や体に襲い掛かる稲妻はカバー出来ない。
だが、それでも青年が琥羽の元へと辿り着けたなら、両手を伸ばし琥羽の体に触れようとするだろう。

「手で触れて!能力をッ!無効化するッ!」

片手であっても触れる事が出来たなら、青年の能力が発動し、琥羽の発する電気の電圧が一時的に0≠ノなる。
あくまで一時的に、だが、落ち着くまでの時間は保つ筈だ。
297 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/11(月) 19:45:32.56 ID:k72eHaaP0
>>291>>294
どうやら決まったらしい。青年も、彼と同様に安堵の息を洩らした。
本当にこれでいいのだろうかと、疑う気持ちはないと言ってしまえば嘘になる。だが、他の名前を思い付いたという訳でもない。
その環境を抜きにして、ひとりの女の子の一生物を自分が作ってしまった。青年は充足感よりも、後ろめたさの方が大きいような心持ちだった。

ただ、祝われるべきことだ。自分のことなど二の次である。

「おめでとう、レイ!よろしくね?」

でも、ちゃっかり自分の付けた名前の方で呼んだって、罰は当たらないだろう。
晴れやかな笑顔を見せ、青年は少女の第二の誕生を祝った。

だが、スヴェンの一言により、その場はまた悩まされることになる。
彼女がどこで生活するのか、それがまだ決まっていなかった。

「なんとかするしかないですね……もう僕たち、この子の親代わりなんですから」

苦笑しながら、スヴェンの目配せに応える。
さて、どうしたものか……。
彼自身は国でも唯一の施設である【学園】に通うため、ひとり暮らしをしている。
ただ、もし少女をそこで生活させるにしても、集合住宅である為、『近所の学生が知らない少女を住まわせている』なんてことになったなら、少々厄介だ―――と、青年は予期した。

「どうしますか、スヴェンさん?それに、―――レイちゃん?」

彼の意向も気になる。そもそも、彼の生活事情について知っていることは少ない。
そして、やはり最終的にはこの子がどうするかは、自身が決めることになるのだろう。
少女の顔色を、伺ってみる。
298 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 19:59:02.60 ID:Thy5+ZWeo
>>296

『くっ、どうすれば……制御しようにも!』

 稲妻の放流を自分の中に押し込めようとする。
 だが、異能の雷を制御を受け付けないように、手綱を握らせないように荒れ狂っていた。
 雷は度々暴発するように、制御していた分だけ放出されることはある。
 だが、そんな時でも押し込めることができている雷はあった。
 だが、今回のそれは蛇口が完全に壊れているかのように止められない。

(このままでは!!)

 少女が悲観しそうになっていたその時、【0】の手が少女の肩を掴んだ。
 その瞬間、流れ出ている雷の電圧が【0】となった。

 電は止まず、周りへと流れ続ける。だが、その威力は皆無。
 当たっても砕けず、痺れさせず、アトラクションのCGのような、装飾のように光り輝くのみだった。

『な……何が……?』

 起きている不可解な現象に、少女はまたも驚きを隠せずにいた。
 自らの異能である雷が正常に、いつもの様に周りに流れていることは確かだったから。
 しかし、そのどれもに周りのものを破壊する力がないことが、身体を通してわかった。

 それは、【0】が自分の肩を掴んでから起こったことだ。

『これは、【0】さんの力?』

(……まさか、異能無効か?
 いや、違う。だったらこの雷自体が消えるはずだ)

 無効化する。という彼の言葉を思い出す。だが、そうではないと少女は思った。
 これは無効化系の異能とはまた違う、別の系統樹の異能だと。
299 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 20:10:36.22 ID:4DcMa+h8o
>>294>>297
「はい、よろしくおねがいします」

名前は決まった
ちゃっかり各々が付けた方の名前で呼ばれているがこれでいいのだろう
何せ、どちらの名前も私なのだから
そして、彼らは私の親なのだから

「住むところ…たしかにないですね」

衣食住の住――今の私…レイにはどれもないがまずこれを確保するのが先決だろう
食べ物と衣は最低限ならどうにかなる。そのようにできているから。
だが、雨風を凌げる安住の地だけはどうにもできない

「レイには住むところの候補になりうる場所の候補は二つしかないと思いますが…」

まず、レイには信頼できる人が二人いる。二人しかいない。
そして、お金はないのでホテルなどでは暮らせない。
学園は論外だ。できることならば今後はあそこには関わらずに生きていきたい。
だから、二人を交互に見て言う

「レイは、二人のどちらかのお家にお邪魔できればいいのですが…可能ですか?」
300 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 20:11:51.69 ID:AYbYWGijo
>>298
琥羽の体に触れる事に成功した……が、青年の予想と違って、琥羽から迸る稲妻が消える事はなかった。
『失敗した』 そう直感的に思った青年は、今度こそ死を覚悟した。

「ウオオオオオオォォォ!?無効化出来てないぞッ!不味い失敗したァッ!!」
「こんな至近距離では躱しようがない!死んでしまうゥゥオアアアアアアァァァ!!」

死を感じた青年は断末魔の叫び声を上げるが、当然の如く死なない、それどころか物凄くうるさい。
一頻り叫び声を上げてから、ようやく自分が無事であると気付き、周囲をキョロキョロと見てから、キョトンとした顔で琥羽の顔を見詰めた。

「?   ?」

「そ……その筈だが……」
「おかしいな……電気は出ているのに全く痺れない、それに周りもそうみたいだ」

自分ですら、自分の起こした現象がよく理解出来ていない風に、不思議そうに周りを見る。
琥羽から手を離してみてもそれは継続しているようだ、暫くはこのままだろう。

「とにかく、その電気を抑えられるか?見ているだけでヒヤヒヤする……」

301 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/11(月) 20:19:02.43 ID:NFDeVfvXo
>>290

「あらあら、うふふふ。
野生でもいいじゃないですか、自然な姿のままですしね。」

【後退を一度止める、というかもうアルラウネには勝ち目はない】
【本来であれば対人専用の能力だ、無機物相手には発動のしようがない】
【アルラウネはひとつため息をついたあと】

「うふふふ、これは諦めるしかないですね。
いいですよ、折れましょう。貴女の観葉植物になってあげます。」

【アルラウネは、ついに折れて彼女の要求を飲んだ】
【此処で切り刻まれて死ぬよりは、制限されてでも生きていたほうがよっぽどマシだ】
【しかも衣食住が付いている、それなら折れるようで】

「私を過去に飼った方は何人かいらっしゃいました。
ただ、私の要求を満たせる者はあまりいなかったのです。
私の要求も、飲んでくださるのであれば喜んで貴女に仕えますよ?」

【過去に、このアルラウネは他人に飼われたことが数度あり】
【その姿の鑑賞、もしくはその香りを楽しむため、などと言っていたか】
【ただ、常に生き血を提供し続けられたものはいないのである】

「私から貴女に要求することは2つだけ。
一つは常に生き血を提供してくれること。先ほどの男のような生餌でも構いませんわ。
そして、2つめはーーー、私に人間をたべさせる機会を提供すること。
これさえ大丈夫でしたら、貴方様に飼われますわ。」

【1つ目は先程から言っている、このアルラウネが血液製剤をやけに嫌うということからもわかるだろう】
【ただ、このアルラウネは、人を喰いたいときもあるのである】
【その要求を飲んでくれるか】

「さて、どうされます?」
302 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 20:22:14.52 ID:eeSmGgXP0
>>297>>299
「僕は独り暮らしだ。人一人、養えるぐらいの余裕もある。だが━━━━━━━━」

そこで口を噤む。
彼の家の部屋のひとつには、"血の病"の研究のため、沢山の血に濡れた器具や怪しげな医療道具、そして大量の血液サンプルが置いてある。
半ば実験室のようなものだし、何よりも少女をそんな場所に放り込む事は出来ない。
広めのアパートメントとは言え、家全体には彼の血の匂いが充満しているのだ。

何よりも、30近い中年男性が、血縁関係でもない少女を連れ込んでいる━━━━━━
そちらの方が、もっと重大な問題ではないだろうか。
それは衆目に晒される羞恥というよりも、I.O.Jに世話になる方の案件だ。
……彼は既に人を殺してしまっているのだから、なおさら捕まるわけにはいかない。

そんな内容を、密かに青年に伝える。……こんなことをクリスティアーナに伝える必要はあるまい。
提供する環境上は彼の家の方が良いのだろうが……それは難しいという事を。

そして大体の概要を伝え終われば、クリスティアーナへと向き直る。

「……申し訳ないが、事情が事情でね……僕の家は難しい。ミナヅキが可能なら、それが一番いい」

彼は本当に残念そうに、そう告げた。

だが、彼は気付いていない。思春期男子の心情、というものを。
ただ平凡に育ち、それなりに恋もしたが、いかんせん彼の送った少年時代は平凡過ぎたのだろうか。
青年の抱くであろうモヤモヤとした気持ちを知る事ないまま、青年の方を見た。

「……それでも大丈夫かい、ミナヅキ?」

303 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 20:28:02.58 ID:Thy5+ZWeo
>>300

『うん、やってみるよ』

 意識を集中し、雷の制御を試みる。
 ……だが、一度制御下を離れた雷は少女の意識の手に捕まれようとはしない。
 いつも制御されていた部分が暴れている。
 少女は直感的にそれを感じた。

(今はいくら流しても被害はない。
 なら、ここはいっそ全部出しきって弱まったところを……)

 制御するのではなく、完全に手を離し、暴れて弱まったところで封じ込める。
 その方が今は手っ取り早いはずだ。そう考えた少女の行動は早かった。
 稲妻の輝きがさら強まり、弾ける音と共に空へ大地へと走る。
 だが、それに触れたものが破壊されることはなく、只々稲妻の牙が滑るのみ。

『今だっ!!』

 数十秒ほどだろうか。最大放出の稲妻の流れが一瞬弱まる。
 それを逃さず、少女は雷を制御下に置こうと全力で意識を集中させた。

 そして、稲妻は徐々にその勢いを弱まらせ、翡翠色の燐光へとまた姿を戻す。
 今、少女ができるのはそこまで。燐光をも消せられるのは、本当に調子が良い時だけだ。

『……なんとか、できたよ』

 息を吐き、少女は【0】へそう告げた。
 その表情に先程までの笑みはなく、少々疲れた顔を浮かべている。
304 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 20:41:12.47 ID:k72eHaaP0
>>299>>302
困った。非常に、困った。

少女は自分かスヴェンかのどちらかの家に住まわせてもらうことを希望する。
その彼は込み入った事情で、無理だと少女に伝えた。
―――そして、その前に自分に、本当に込み入ってしまっている事情を耳打ちした。
確かに、それでは無理だ、と無言で承知してしまった。

青年は葛藤する。自分の良心に呵責され、悪心に唆される。
生来彼は厄介事に首を突っ込みたいタイプの人間だった筈なのだ。
だが、あくまで首までで済ませてきたのがこれまで。この先は、確実にどっぷりと全身を、厄介事の沼に入れることになる。
……もう、覚悟を決めるしかないだろう。
様々なリスクを呑み込み、苦い顔で数十秒唸った青年は、ようやく組んでいた腕と、唸っていた口を開いた。

「……分かったよ。狭くて住みやすいとは言えないけど……それでいいなら、おいで」

……スヴェンさん……少しだけ、怨みますからね……。
と、青年は心の中でボヤいた。多少それなりの視線を彼には送ったが、多分気づきはしないだろう。

―――まあ、ちょっと何かあったとしても、スヴェンさんが押し付けた感じだし、許してくれる、よね。

と、散々嫌々してみたものの、多少の役得を感じずにはいられない思春期の男子高生だったとさ。
305 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 20:47:34.01 ID:AYbYWGijo
>>303
稲妻がいくら走っても、何も傷付けず、焦がしもしない、至近距離にいても自分は何も感じない。

(まるでニコラ・テスラになった気分だ……)

いつそれが牙を剥くのかヒヤヒヤ物だが、それをどうにかするのは自分ではない、琥羽がこの稲妻を抑えるのを祈るばかりだ。

(しかし……柊は『能力を消す』と言った……だが、これは『消す』と言うのか?)
(これは寧ろ、無効化と言うよりも『無害化』のような……それに、数字がまた見えている)

琥羽が稲妻を抑えようとしている間、そばで見守りながら考える、この異様な事態について。
無効化したのなら電気自体が消える筈だ、だが実際に稲妻は消えず、その力自体が消えただけのようになっている。

(……そうだ、思い出せば、この前も、今も、目の前に浮かんだ数字を0にした……だから【0】と名付けたんだ)
(0……【0】……)
(…………『0』にする能力?)

そうこう考えている間に、琥羽が電気を抑える事に成功する、周囲の被害は予想よりも大きくないと確認してから、琥羽に向き直った。

「お、おう……これで一先ずは安心だな」
「それで……お疲れのところ申し訳ないんだが……ちょっとオレの事を殴ってくれないか?」

取り敢えず事態は収束した、のも束の間、何かを確かめたいとまたとんでもない事を言い出す。
まあ、こうさせたのもこの青年のせいだし、お返しと思うのもいいのではないか。
306 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 20:58:14.17 ID:4DcMa+h8o
>>302>>304
「はい。レイには分かりませんが事情があるなら仕方ないです…えっと、スヴェンさん?」

別にレイは特別聴力がよいわけでもないようだったので彼らの耳打ちまでは聞こえなかった
だが、話された青年…ミナヅキの表情からして恐らく本当に込み入っている事情があるなら仕方なかろう
別にレイはいいのだ。いいのだが、本人がよくないのならよくない。

最後に残された住む場所を提供できうる青年…ミナヅキはというと苦い顔をして悩んでいた
それもそうだろう。何せ私はどうやって作られた場所からここに来たかがわからない。ひょっとしたらミナヅキにまで多大な迷惑をかけてしまうかもしれないのだ
そして、そのことは彼も十二分に承知だ。だから、無理にとは絶対に言えない。
だが――

「分かりました。不束者ですがよろしくお願いしますえっと…ミナヅキさん」

結論は出たのか、覚悟はできたのか了承してくれた
本当にありがたい。今も頭は下げているが感謝をしてもしきれない

…余談ですが、不束者とはしっかりしていない人という意味だそうです。まだ何もよく知らない私はまさにその不束者ですね。

「えっと…じゃあ次は衣食住の衣ですか
先ほどからスヴェンさんのコートを借りてはいるのですが…やはりまともな服がないとこの先困るかと」

そう、今の私は非常に寒い。それにまともな服の持ち合わせがない
やや丈が長いだけの出自不明のパーカーにスヴェンさんのコート。それしか纏っていない
少なくとも、この先寒さに困らず人目にもあまり付かない服がなければ大いに困ったことになるだろう
307 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 21:02:55.37 ID:Thy5+ZWeo
>>305

『うん? ……まあ【0】さんが言うなら。じゃ、歯ぁ食い縛って』

 断ることはせず、少女は拳を握り、【0】の左頬に向けて振り抜く。
 格闘技は学んでいないため、殴り方はなっていないが、それでも鍛えている身体だ。
 それなりの痛みを【0】へ与えるだろう。
308 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 21:12:30.53 ID:eeSmGgXP0
>>304>>306
「よし。頼んだよ、ミナヅキ」

青年の、面倒ごとに対して苦虫を噛んだような視線に対して、彼は信頼のまなざしで返す。
その内にある葛藤など知る由もなく、彼は円滑に話がまとまったのだろう、と納得した。

そう結論がついたところで、次の問題に入ろう。
食、住は完成されたが……やはりコートだけでは、この先暮らしていくには難しいかもしれない。

「衣服か……困ったな。今は夜だし、服屋も開いていないんじゃないか」

彼はしばし考え込みつつ、周りの状況に目を向ける。
服……服。彼の視線が止まったのは、青年の顔であった。

「そうだ、ミナヅキ。君の家に、服は余っているかい?」
「男物でも、無いよりはましだ。クリスティアーナには今度、正式に服を買ってあげようじゃないか?」

またしても、青年を困らせるような提案を持ちかける。
青年の元に少女を居候させ、その上で衣服も貸し与えるというのだ。
だが悲しいかな、思春期男性の気持ちがわからない彼には、そんな提案が真っ先に浮かんできた。
そしてこの場において、それが最善の選択であるというのも、また事実なのだろう。

「……すまないね。結局何度も、君を頼る事になってしまうが……」

……少しは生活費を負担してやるべきだろうか。
彼の脳裏に、そんな考えがよぎった。
309 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 21:14:30.44 ID:AYbYWGijo
>>307
ボグゥ!と左頬に拳が減り込み、青年は仰け反る、痛みに顔を歪ませながら急いで殴られた頬に触れた。

「いっ……てぇぇぇ〜〜ッ!!」
「しかも、『消せない』ッ!自分には効かない……いや、『殴られた痛み』には使えないのかッ!?」

「な、なぁッ!さっきの電気!触っても大丈夫だったよな!?アレは……アンタがやったんじゃないんだろッ!?」
「だとしたらアレはオレの能力の筈だ……しかし『無効化』というにはあまりにも不自然過ぎた……!」
「クソ……頭がこんがらがってきた……なぁ、アンタはどう思う?」

自分の能力の真相がわからない、不思議な点が多過ぎる、それが自分の能力である事が異常にむず痒くて嫌になる。
思わず琥羽にまくし立てて、質問してから、ハッと気が付いて「すまん」と謝る、それから深呼吸をした。

「あぁ……いや、悪いな、オレばっかり……アンタもきっと戸惑ってる」
「ジュースはすまなかった、でも、あれは本当にわざとじゃあなかったんだ、なんと言うか、目に付いたのが炭酸だったというか…」
310 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 21:34:44.58 ID:k72eHaaP0
>>306>>308
不束者。いや、正しい語法だ。例文にしたって良いくらいだ。
これが何かを連想させるのは、きっと自分の心が穢れてるんだと、青年は自らに言い聞かせた。

「うん、よろしくレイちゃん。頑張ります、スヴェンさん」

それぞれに挨拶を交わし、これからの生活について予定を建てようと妄想―――否、予想していると、続いて少女は衣食住の“衣”を提言した。

「そうです、ね。スヴェンさんもコートを貸しっぱなしだと困りますし―――えっ?」

スヴェンの提案に思わず聞き返す(二度目)。
―――服を、貸す? この子に? ……自分の?
いくら倒置法にしても、重大な部分が強調されるだけだと、彼は脳内で後悔した。

「い、いや、それ自体は別に構いませんよ。ただ流石に、レイちゃんも微妙じゃないですかね、なんて……」

『この人、正気か』。
二桁も年上の相手に、青年はそう思ってしまった。
彼は言いながら少女の様子を見る。最早願うような心持ちで。
311 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/11(月) 21:36:08.06 ID:DWR3XwcDo
「記憶は風化もしよう。歴史は歪曲もしよう。ただ、悪は。神殺は。八千代の時を越えて穢れぬ」
「さあ神殺の時。悪の華の香気に酔い痴れよ、ってな」

とある古城。一人の男が玉座の間に立っていた。数十年前の祖国の歩兵将校の軍服を身に纏い、そして両肩には『神殺』の証明である外套を羽織って。
其処には嘗て『悪』があった。噎せ返る様な狂気があった。狂気の代弁者が其処に坐していて、それは形を成した悪の塊であった。
其処には『神殺』があった。虐殺の徒がいた。悪への狂信者がいた。そして男もまた同じく、其処に坐していた。
けれども其処には、もう何もなかった。全てが全て雲散霧消してしまった。八千代の時を超えて、遺された神殺は、最早その男ただ一人となってしまっていた。

「―――――――――――― 俺は随分と、嘘をついてばかりだな」
「俺は必ずお前達を戦争に連れていくと約束したと言うのに」

「その上、性懲りもせずにまた戦争を望んでる。そうしてまた、俺は繰り返した。全く、救えねぇな」

親指で、一枚の金貨を弾いた。それは宙を回転しながら舞って、玉座の上へと降り立った。
曇った金色は、何を映す事も無く其処に佇む。そうしてまた、古城と共に埋もれていくのだろう。その男も同じだった。歴史の闇に、また埋もれていくだけの有象無象でしか無く。

「だが、まだだ。今度こそ―――――――――――― 今度こそ、俺は」


「やってみせるさ。一心不乱の大戦争を。遥か彼方までを覆い尽くす、素晴らしき『大戦争』を」

それでも、今はまだ。自分がまだ自分である間は、この願いだけは曇る事は無いと。
故に"最終神殺総統"は笑う。故に未だ、"無限の機構"は歩みを続ける。遥か昔に置き去りにされた、古い記憶の中に在る、途方も無い大戦争を夢見て。
312 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 21:37:49.93 ID:Thy5+ZWeo
>>309

『別に怒らない。悪いのは制御できてない私だ。
 今もだけど、炭酸ジュースが顔にかかった時もちゃんと謝った。
 【0】さんに否はないさ。

 それに、自分に私の雷をどうにかできる方法があったとわかったら、
 真っ先にどうにかしようとしてくれた』

 そう言って、少女は【0】の身体を指差す。
 見れば、【0】の身体には幾つかの傷のようなものがある。
 それは彼が自分の異能で対処できなかった稲妻によってできたものだ。

 稲妻は根のように分散し、バラける毎に威力を分散していく。
 それは細く、害が少ないものもあるということ。

『危険を顧みずにやってくれた。
 私の方こそ謝るべきだ。ごめんなさい。そして、ありがとう』

 少女は頭を下げて【0】に謝り、そして微かに笑みを浮かべてお礼を言った。

『それで、【0】さんの異能についてだけど、ちょっと試したい。
 私がこれから雷。ちょっと痺れるくらいの雷を出す。
 【0】さんはまた私の手を握って異能を使って欲しい。

 多分、これで大体のことがわかる』

 そう言って、少女が次に発したのは『雷の流れを消す、そう思って力を使ってほしい』という言葉。

(さっきは電圧が【0】になっていて電流や抵抗はそのままだった。
 電圧にだけ力が働いたということだ。無効化なら丸ごと消える、出せないはず。
 なら、今回の指定したものならば……)
313 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 21:51:33.66 ID:4DcMa+h8o
>>308>>310
これで決まった。レイはこれからミナヅキの家にお世話になるのだ
あんまりお世話にならないように過ごしたいな、なんて思う

そうだ、今は深夜の為に服を買いに行くなど不可能だ
こんな時間までやっている服屋など、逆に怪しい

「そうですね。サイズ的にも問題はないはずです」

なぜだかミナヅキが戸惑っている。分からない。
ともあれレイはそれで問題はない。今のないという状況さえ解消されればそれでいいのだ。
だが、ミナヅキが嫌ならそれは無理だ。はっきり聞く必要はある

…また余談ですが、まだレイには思春期など訪れていません。いつ訪れるんでしょうね?

「構いませんか、ミナヅキ?」

目を見て、聞く。これで断られたら別の方法を考えよう
繰り返すが、レイは構わないのです
314 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/11(月) 21:54:26.53 ID:ZauH4cBG0
>>311

玉座の間の入り口付近、その物陰で揺れる一対の獣の耳。
それを持つのは人外――――ではなく、白衣を着た一人の少女であった。

「やっぱり古い城というのは碌な事がないですねぇ……」

玉虫色の髪を持ち、見た目は十代前半ほど。壁に凭れて感慨深げな溜め息を吐いた。
帝國の軍服を着た男と比べれば断然場違いの感じは否めない。しかし此処に居るのは偶然とはいえ、少女なりに理由がある。

(戦争、大戦争、とくれば教科書に載っているような先史の話ですが……)

あの男がただの変人、古城探索マニアならばよい。自分も其れと似た様なものだ。
嘗ての安住の棲み処や仇敵との因縁の地として、『古城』というのは少女の精神に特別な聖地として根ざしている。
懐かしさを覚えて入ってしまった玉座で、不穏な台詞を滔々と連ねる男が居たなら、どう反応するのが正解なのか。
思案気に壁に手を着いた時、剥がれ落ちた石片が一つ零れ、床に高い音を響かせた。
315 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 21:56:44.61 ID:AYbYWGijo
>>312
「……そうか……いや……すまん、本当に…」

てっきりそろそろ怒られるかと思っていたが、逆に慰められてバツが悪くなる。
確かに、彼女の言う通りすぐに彼女の元へと走ったが、迷わずに自分の傷も顧みなかったが。

(アレは自分の事しか考えて無かったってのは内緒にしておこう……)

言わないほうが良いという事もある。

「えぇ……またやるのあれ……怖いんだよなぁー……」
「わかった、わかったけど、本当に弱くやってくれよ?……ていうか、本当に怒ってない?」

琥羽の提案を聞くが、あれだけの雷を見てからだとどうしても不安だ、しかし自分の疑問が解決するのかもしれないとあれば、やらない手はない。
恐る恐る頼み、両手を軽く前に出す。
316 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 22:08:53.10 ID:Thy5+ZWeo
>>315

『ん、ありがとう。
 それじゃ、行くよ』

 自分の中で感じる雷は未だに電圧自体は【0】のままだ。
 これを信じるならば、雷を出したところで被害は出ないはずだ。

 それでも、気持ち弱めに操作を行おうとしながら、【0】の手に触れる。
 そして、少女の操作によって、漂う燐光から雷が放たれようとする。

(予想が正しいなら、もし指定したものに力が働くなら、電流が【0】になるはずだ!)
317 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/11(月) 22:10:18.72 ID:DWR3XwcDo
>>314

「Я убиваю Вас, если это работает」

『動けば殺す』。この、空虚に満ち満ちた空気を引き裂くように、男はそこにいるであろう"誰か"へと向けて、そう言った。
声を荒げたわけではないが、然して確かな意思として、それは彼女へと向けられた―――――― それから、ゆっくりとその男は、気配の方へと顔を向ける。
まさか嘗て殺した神殺の王の亡霊が、恥を知らずに鎌首を擡げてきたわけでもあるまい。であれば、奇跡的に此処に男と時間を僅かに異としてやってきた侵入者か。
―――――――――――― 何でも良かった。例え暗殺者であろうとも、此処で音を立てた時点で失敗なのだから、最早無害な小動物でしかないだろう。


「なんてな、出てきな。何、取って食ったりはしねぇよ。爺一人だ、何も恐れることはねぇさ」


それから、張り詰めた緊張を解いて。其処にいる誰かへと向けて、そう言った。
不穏極まりない台詞を連ね続けていた男であったが。少なくともその声には、敵意や殺意のようなものは存在せず。
そして、男は"正気"であった。それは正しく、お手本のように"平常な人間"であり―――――― そしてまた、だからこそ"狂人"でもあるのだが。
318 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/11(月) 22:17:42.60 ID:eeSmGgXP0
>>310>>313
レイの承諾の言葉を聞いて、彼はいくらか肩の荷が降りた気分になったのか、ふうとため息をついた。

「良かったよ。……クリスティアーナはこれから、紛れもなく人間だ。」

衣・食・住の算段はついた。
礼節も、恐らく"製作"された時から身についているのだろう。
加えて、名前も備わった。"人間"として必要な情報は、完全に揃ったはずだ。
これからはもう誰も、彼女をホムンクルスだと言う理由はなくなったのだ。

「……まるで、娘をもったような気分だな。……」

彼はそんな事を呟きながら、家族と平和に過ごした時間を想起する。
平穏━━━━━だが、そのひとときを彼が味わうのは、未だ許される事ではない。
                  fødsels      Begravelse      
平和は、全てを終わらせてから。血の騒ぐような願望は、血を黙らせる渇望を果たしてから。
彼は、そう心に誓っているから。……だが、こんな夜だ。かつての記憶と平穏に浸っても、少しぐらいなら許されよう。

今は遠き平和。その願望は、自分の渇望を終わらせぬ事には、始まりはしないだろう。

雪が、強くなった。
そろそろ、各々の家に戻らなくては辛かろう。
各々が、真に"帰るべき場所"に。

「ミナヅキ、ありがとう。……そしてクリスティアーナ。」
「また今度……一緒に話せる時があったら」

彼は、その場でおもむろに踵を返す。
そろそろ、別れの時間だ。雪の中で起こったささやかな奇跡との別れ。

……これからは、現実と向き合う時だ。
彼は去りゆく背中を見せながら、ふと振り向いて。

「……その時まで、コートは君に預けよう」

雪の降りしきる冬の日。
友と少女を背に、彼は郷愁に別れを告げる。
これ以上の平和は、きっと彼自身が許せない。

……だが、もし許されるならば━━━━━
また、こんな平和も悪くはない。
彼は心中で、そう思っていた。


/この辺で〆で!
/二日間本当にお疲れ様でした!乙です!
319 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/11(月) 22:18:36.58 ID:GYZl7hmDO
【路地裏】

「おいコラこのクソガキ…うちの舎弟が世話になったみてぇじゃねえか。この落とし前、どうつけてくれんだ?あぁ?」

路地裏には危険が蔓延るとはよく言われている話で、今回もそれに巻き込まれる哀れな少年が一人。
【学園】の制服を着た少年は、チンピラの集団に囲まれ、対峙していた。

「アニキ、早くボコしちゃいましょうよ!身ぐるみ剥いだら金になりますよ!」

そもそも、なぜこんな事になったのか。
答えは簡単で、マコトは先ほど女性がチンピラにしつこく絡まれている場面に遭遇した。
性格上、当然それを見逃す事のできないマコトは向こう見ずにも助けようとしたのである。
その結果、女性を何とか逃がしたは良いものの、自分は路地裏に連れ込まれ、リンチ寸前の状況となっている。

「こんな事して本当に良いんですか?そろそろ警察が来ますよ」
「うるせぇ!野郎ども、かかれ!」

ちなみにこのマコトという少年、余裕綽々の風に見えるが、実際彼らの暴力に対抗する力は持ち合わせていない。対抗する力を持っていないにも関わらず、喧嘩を売ったのだ。
要するに、このままでは打つ手無しである。

(やばい…能力もまともに扱えないのにどうするんだこれ…)

冷や汗まみれだ。このままでは病院送り、最悪殺されるかもしれない。
無力な少年は、助けが来るのを切に願った。
320 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 22:20:18.75 ID:AYbYWGijo
>>316
「電流を消す……電流を0≠ノする……」

琥羽に言われた通り、その様に念じながら、両手に力を集中させる。
琥羽と触れ合う手に雷が流れるが、先程までと同じく全く害は無い、安心しながら試す事が出来る。

(まただ……また頭に数字が浮かんで来た……これを念じて、0≠ノする……)
(これで電流が消える筈だ……電流を…0≠ノ……!)

再び能力を発動させ、今度は『電流を0にする』。
滞りなく、上手くいった。今琥羽の放つ電気は、電圧と電流、両方が0になった状態となっている筈だ。
321 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/11(月) 22:34:47.61 ID:sdCZLtIbo
>>319
 普段行かない所に行こう。
そう思い立ったが早いか、ふらりふらりといつもと違う道で曲がる。
それに遭遇したのは、ほんの偶然だった。
チンピラ風の男に囲まれた少年。
少年は多勢に無勢。ぱっと見たところそれほど荒事に慣れて無さそうなのに気丈に振舞っている。
なかなか面白そうな少年である。

 しかしこのまま放っておけば、きっと彼は一方的に蹂躙されるだろう。
まだまだ発展途上のような少年。見過ごすのはつまらない。
【そう思い割って入る】

「はいはい、そんなところでみっともないことしてないの」

 チンピラ風の集団を物ともせず割って入るのは、
頭から特徴的に曲がった二本の角をはやし、
白と赤の瞳は猫のように建てに割れ、
四肢や頬が黒い龍鱗に覆われた人外。

「ほらほら。何があったか分かんないけど、この学生くんに用があるなら代わりに私が受け付けるわよ」

【そう言い放ち、軽く構える】
322 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/11(月) 22:35:39.52 ID:k72eHaaP0
>>313>>318
「……構わないよ……好きな物、着ていいから」

諦めたような顔つきで、少女に答えた。
先程からずっとこの二人に流されっぱなしでいいのだろうかと、疑問を持ち始めたその時。

彼の言葉に思わずして、青年は心を打たれた。
自分と出会うまで彼は、その病理によって世界と隔離されてきた。
それがどうだろう。今では自分を友とし、彼女を娘として、邂逅することができたのだ。

「スヴェン、さん……はい!また、お会いしましょう!」

途端踵を返す彼に、青年は再会を約束した。
自分達が彼の孤独を癒すことが、少しでもできただろうか。
……いや、その為には、何としても彼の“呪縛”を解き放たなければならない。
青年は彼の背に、加えて誓った。『あなたを必ず助けます』、と。

さて、これからどうしようか。少女の服と、食事と、……ああ、寝床のことも考えなくては。
やはり自分が雑魚寝で、彼女にベッドを明け渡すべきか。いや、それは何か、汚そう……。

「まあ、いいや。早く帰ろう―――行こうか、レイ」

今夜はまだ、なかなか明けそうにない。そんな風に青年はこれからを予期した。
……こっそりと呼び捨てにしているのを、内緒にして。


//私もこれで〆です!
//初の複数人絡み楽しかったです、また機会があれば!
323 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/11(月) 22:44:01.28 ID:ZauH4cBG0
>>317


びくん、と身を震わせる。
祖国語が理解できたわけではない。しかし静かな口調は言語以上の意味を伴って精神にすとんと落ちた。

「にゃおーん、と鳴いたら見逃して……くれたりはしませんよねぇ」

頭に生えているのが犬の耳であるからして面白くも無い作戦だ。
諦めて物陰から姿を現す。無害な小動物と評されたとも知らず、とぼとぼと。

「どうも、通りすがりの婆あです」
「隠れていたわけではないですよ? ふと懐かしくなって入ってみただけです」

冗談めかして手袋を嵌めた右手を挙げる。口元には有るか無しかの笑み。
男はこの場に居るのが不自然に感じるくらいに自然体であった。穏やかな口調は警戒心を抱かせる類の其れではない。
対して少女は元狂人の普通人、である。過去に暴れまわっていたが、文字通り痛い目を見た結果、一般人の皮を被る事に成功したのだ。
そう、あの時もちょうどこんな城の玉座であった。センチな気分が少女を大人しくさせているのだろうか。

324 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 22:46:49.36 ID:Thy5+ZWeo
>>320

 電圧。電流。二つが【0】となり、残っているのは抵抗のみ。
 流れも圧も消えた今、少女の異能はないに等しい。

『……雷が“無い”のは初めてだ』

 『翡翠色の燐光』すら消え、辺りには静寂が満ちる。
 少女が言う通り、生まれた頃から持っている雷はこの瞬間までずっと身の回りにあり続けた。
 それが今、初めて消えた。

『おそらく、【0】さんの異能は%やらの数値化できるものの数値を0にする力。
 この小太刀の重量などもおそらく【0】にできるでしょう』
325 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/11(月) 22:47:17.96 ID:GYZl7hmDO
>>321
「なんだてめえ!?」
「ひっ、角…!こ、こいつバケモンだぁ!」
「ビビってんじゃねー!どうせ女だ、まとめてボコボコにしちまえ!」

突如割って入ってきた女に対してチンピラの反応は様々。
しかし、すぐにボスらしき男が無理矢理に場を制し、なだめる。

「………」

マコトは、驚いたような表情で言葉も発せずに、僥倖を見開いて女を見るばかりだ。
警察の関係者には見えない。しかし、助けに来てくれたのは確かのようだ。少し、安堵する。

「かかれ!」

チンピラのボスがそう命令を下し、一斉にチンピラ共が飛びかかってきたのは、その直後である。
326 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/11(月) 22:53:27.42 ID:4DcMa+h8o
>>322
「ありがとうございます。では、ミナヅキの家で選ばせてもらいますね」

これで、無事に衣食住の問題はすべて解決できた
やっと、やっとだ。やっとレイはこの世界で生きていくことができるようになったのだ

「…はい。まだ、まだレイは人間とは程遠いと思ってますが、頑張って人間になります」

ああ、そうだ。私は人間の装いは手に入れた
あとは、中身だ。まだ、レイには中身が伴っていない
いつか、いつの日か、人間らしく名乗ってみたいものだ
私は、彼らの娘です――と

「はい――その時まで、これは預かってます
だから、必ず返しに来てくださいね」

レイには彼にどんな事情があるのかはわからない
今の彼にとっての帰るべき場所は、きっと闇の中なのだろう
ならば、私は彼の娘としても用意せねばなるまい
――暖かな、光を

「――はい、帰りましょう。ミナヅキ」

暗き闇に照らされた白銀を踏みしめ、ミナヅキに連れられて歩き出す
帰ろう、今夜は疲れた

何をするにも時間は、まだまだあるはずだ
だってレイは―――――
今生まれたのだから




//こちらもこれにて〆で!私も楽しかったので機会があれば是非またやりましょう!
//お疲れ様でした!
327 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 23:02:54.51 ID:AYbYWGijo
>>324
「……成功したのか?」

琥羽の体から電気が、それどころか翡翠色の燐光すらも消えた、それは元々の能力の持ち主である琥羽のみが、しっかりと肌に感じられる事。
だが、その琥羽の様子を見て、青年もそれが成功した事を知る、そして、自分の能力の真髄がわかりかけてきた。

「『0にする能力』」

端的に琥羽の表したその表現を繰り返す、そう、しっくりくる言い方だ、なんというかピースが嵌った感じがする。

「という事は、今まで俺が見ていた『数字』は、電圧だか電流だかしらないが、そういった能力に纏わる数字だったって事か…?」
「成る程、痛みは数字では表れないから0に出来ない……か」

今まで起こった事とやった事、そして今わかった事を組み合わせ、思考のパズルを組み立てていく。
数学の問題を解くように暫く考えてから、両手を琥羽の肩に乗せようとした。

「アンタのお陰で、自分についての謎が一つ解けた……かもしれない」
「いや!ゲフンゲフン!解けた!だから……ありがとう!」
「自分の能力が『0にする能力』だとわかったなら、きっとその能力の事を知る人間もいる筈だ、それはオレの記憶の手掛かりになる」
「助かった!とても助かったよ!……だから」

口から次々に出てくるのは感謝の言葉、今回の件で自分の能力についての謎が解け、それはきっと失った記憶の鍵になる、遠回りかもしれないが、前進した。
「ありがとう」と素直に口にして、真っ直ぐ琥羽を見詰める。それから程なくして視線を周囲に向けた。

「……オレはちょっと、手掛かりを探しに行く事にする」

青年が琥羽の稲妻を抑えたと言えど、そうする前に放たれた稲妻の被害は残っている、それを見ながら、また人が集まる前にさっさと逃げよう、というつもりだ。
青年は、琥羽から手を離すと、踵を返して歩いて行こうとする。『私は無関係ですよ』と周囲に言い聞かせるように。

それを止めなければ、本当に青年は去って行ってしまうだろう……さっき貰った財布を、焦げたポケットから落としているのに気付かずに。
328 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/11(月) 23:03:09.84 ID:sdCZLtIbo
>>325
 チンピラ風の男たちはこちらの容姿に少し驚いた様だが、
リーダーの一声で直ぐに落ち着きを取り戻す。
なるほど、恐怖によるものかカリスマ性によるものかは不明だが統率は取れているようだ。

 そんな状況を目の前にしてもなお、何ら問題はない。
群れなければ、ただの一人の少年を脅すこともできないようなものは、彼女にとって物の数ではない。
そんな有象無象よりも興味の中心である少年に目をやると。
少年は今起こったことに驚きと、安堵で少し放心したようにこちらを見ている。

「学生くん、まぁ後で何があったか聞かせて頂戴ね」

 そう言うと、リーダーが攻撃の指示を部下に出す。
正面から三人。うち一人は懐から小さなナイフを取り出している。
だが、それが何だというのだ。
真ん中の男に対し、”軽く”上段足刀蹴りを叩きこむ。
どちらかと言えば、押すように。それだけで人一人がまるでボーリングのピンのように吹き飛ぶのだ。

 残された二人のチンピラ、そしてそのリーダーはその現実が理解できないのか。
呆然と壁にたたきつけられた男を見ている。

「あー、ごめんなさいね。まさかそこまで軽いとは思わなかったの」

【悪びれもせず、ただ事実のみを述べる】
【その姿は隙だらけのようで。只人には異様な威圧感を与えるだろう】
329 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/11(月) 23:07:54.21 ID:DWR3XwcDo
>>323
「ああ、見逃さないね。犬の耳が生えた猫の鳴き声をした人間なんて珍獣は、特に」

現れたのは一人の少女。犬耳を頭から生やした少女。珍妙な少女だった。
其処には欠片の緊張も存在せず、ただ平常心で穏やかに笑みを浮かべて、冗談を交えながら、男の前に現れた。
この、『神殺の穴倉』に―――――――――――― と言うには、少々時間が経ちすぎたか、と。男は、その笑みに釣られたのもあって、ふっ、と笑いを溢した。

「懐かしくなって入ってみた、ね。見たところ、『神殺』には興味無さげに見えるがね」
「最も―――――――――――― その奥底には、まだ"深い物"が眠っている……いや、残滓というか痕というか、ま、これは年寄りの勘だ」

それでもやはり、彼女へと興味をそそられた。だから、彼女の瞳を、男は、ジッと見据えた。まるで蒼天の如き色をした、美しい瞳を。
こんな古城に、ただ興味があるから、ではなく、"懐かしくなって"と言う。可能性として、彼女が"神殺"の人間であることも考えたが。
そうは見えなかった。彼女には、少なくとも今は、そういう気配を感じさせるものは無かった。少しばかり不自然な、ただの少女で在るように見えた。
だから、これは唯の勘だった。論理的な証拠など無い、ただ、何となくそう思うから、という勘。根拠の無い推測―――――― 故に、男はそれを深く追求する事も無く。
それから、玉座の背に触れる。埃に塗れたそれからは、最早其処に悪の欠片も無く。まるで、塵芥となって消えてしまったかのようで。


「丁度良い、婆あよ。少し爺の戯言に、思い出話に、付き合っていけ」

「お前の思い出話も、少しは聞いてやるから、な」

また少し、記憶に降り積もる思い出に目を細めながら、彼女へとそう言った。
少女がそうであるように、男もまたそういう気分だった。老人とは、思い出話が好きな物だ。とりわけ男はそうだった。どころか話が好きで、更に言えば人が好きだった。
だから―――――――――――― "丁度良い"、とばかりに。
330 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/11(月) 23:17:34.66 ID:8yciskq5O
>>328
「なっ………」

唖然、呆然。女以外のこの場にいる全員がそうなっている。
まるで時が止まったかのような静寂。全員の視線は、吹き飛ばされた一人の方向へ向かっている。
こうも簡単に人が吹き飛ぶものなのか。まさしく、圧倒的。
マコトはただ、凄いと思った。それ以外の言葉が見当たらなかった。

「や、野郎…!このバケモノが!ぶっ殺してやる!」

しばらく経って、我に返ったかのように激昂するチンピラのボス。
今度はボス自身がナイフを持って、女目掛けて飛びかかろうとしていた。
しかし、それも狼狽えと混乱が表れている、単調な突進であった。
331 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 23:22:29.90 ID:Thy5+ZWeo
>>327

『ふむ……』

 集まってきている人々。
 それに気付いたからなのか、【0】は手がかりを探しにその場から立ち去ろうとした。
 財布をポケットから落としているのにも気づかずに。

 少女は人が集まってくることに慣れているが、今ここで目立つのは危うい。
 他の能力者と出会ってしまえば、剣術のみで戦う他にない。

『私も、街を歩いてみますか』

 少し軽くなった気がする足取りで、少女は走りだす。
 【0】が落とした財布を拾い、中身を見て無事であることを把握すると【0】の横に並び、

『旅をするなら、お金は持っておかないとダメだ』

 そう言って財布を【0】に投げ、少女は【0】を追い抜いて街へと向かった。
 彼が財布を受け取ることを確認もせずに、だ。
332 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/11(月) 23:34:22.60 ID:ZauH4cBG0
>>329

今となっては知る由もないが、少女は二世代前の神殺機関員と話した事がある。
とはいえ、時はその彼が機関を作り変える前の話だ。
数世代を経て続く、世界を悪で覆い尽くす組織の名前は聞いた事はあっても、直接の関わりは最後まで無かった。

その点では運に恵まれていたのだろう――――しかし、遂に出会ってしまった。
想い出に浸りたいが為に起こした気紛れによって、悪の総帥と対面する事になるとは、運も尽き果てたか。
せめて少女自身がそれを苦に思っていないのが幸いである。今のところは。

「私の知っているお城とはだいぶ違って見えますがねぇ。年末の大掃除を怠けていたんでしょうか」
(『神殺』――――ですか。数年前の私なら或いは……)

適当にはぐらかしながら、、眼差しを男の顔から背ける。自分と似て非なる蒼穹の瞳に己の浅ましい部分を見透かされたような気がして。
右手で左肘を擦って身を捩る。誰かに顔を見つめられる事さえ久しくなかった事を思いだし、少し赤面した。
自分は弱くなった。過去の恨みすら懐古に変えて喜んでしまうくらい、人との“何か”に飢えていたのかと今になって気付かされる。

「婆って……それは言わない約束でしょう」

人好きのする表情で話題の振ってくる男へ唇を尖らせる。
自分で言うのは構わないのに、女とは時に勝手な生き物なのだ。

「痴呆防止なら喜んでお付き合いしますよ、お爺さん」

頭の犬耳はただの飾り。男の言葉を聞き逃さぬよう、玉座の方に少し近づく。

「聞かせてくださいな、貴方の戦争(おもいで)を」
333 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/11(月) 23:37:41.93 ID:sdCZLtIbo
>>330
 チンピラ達は、コレほどまでの圧倒的な力の差を見せつけられてなお逃げない。
しかし、それは勇気や友情、友のためと言ったアルフィラにとって美しいものではない。
ただただ、目の前の現実が理解できず、自身の自尊心を護るためのつまらない蛮勇でしか無い。
 それを見たアルフィラは、目の前のチンピラではなくそばに居る少年に語りかけるように。

「少し、いいことを教えてあげるわ」
「人間がね、化物や人外。そういった強者に挑む時に必要な物」
「まずは冷静さね。激高ななんてしたら、勝てるものも勝てないわ」
アルフィラの瞳は、風のない日の湖のように静かで。

「まぁ、次は日々の研鑽よ。自らの持つ唯一無二を磨き上げて美しい武器にするの」
迫る男の手に持っているナイフを器用に蹴り上げる。
男一人を軽々と蹴り飛ばすだけの脚力で、男に一切ダメージを与えること無く。

「最後はありきたりだけど勇気ね。恐怖とかそういったのに立ち向かうには重要よ」
「私にはこれは無いわね。恐怖とかあんまり感じたこと無いし、どういったものかわからないのよ」
「けどまぁ、この男のやつは勇気じゃないと言い切れるわ」
ナイフを蹴りあげて高く高く上げられた脚は、そのまま真下に向かう。
それはさながら流星のようで。

【男の脳天に直撃した踵は手加減してあったのか、鈍い音を立てて男を昏倒させるが命に別状はないようだ】
【それを見た残された男たちは、流石に自分たちの不利を悟ったのか、慌てて裏路地を後にしていった】

「さて、学生くん。ゆっくりお話、聞かせてくれない?」

【そう言うと、アルフィラは少年に向き直る】
334 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/11(月) 23:39:21.20 ID:sdCZLtIbo
>>330
//すみません。
//時間になってしまったのお休みさせていただきます。
//明日の20時ぐらいまで凍結でよろしいでしょうか?
335 :【0】 [sage]:2016/01/11(月) 23:41:22.22 ID:AYbYWGijo
>>331
「オレは関係無い……オレは関係無い……」

ぶつぶつと呟きながら、集まる人々と目を合わせないようにしてこの場を離れようと少し早足になる。
そんなんだから、すぐ横に付いた琥羽にも気付かず、声を掛けられて驚いた。

「おッ!?オレは無関係です!……よ?」

条件反射的に言い訳をしようとして、ヒョイと投げられた財布を思わずキャッチ、そうしてから漸く琥羽だったと気付いた。
そのまま歩いて行く琥羽の姿を見送ってから、受け取った財布を見て、さっきまで財布を入れていた筈のポケットを見る。

「……あーッ!ポケットが破れてるッ!」
「ちくしょう、一張羅だぜ、これ……」

大きな溜息をつき、琥羽とは逆の重い足取りで、街の中へと消えていった。

/お疲れ様でしたー
336 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/11(月) 23:45:25.99 ID:Thy5+ZWeo
//乙でした。
337 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/11(月) 23:50:49.65 ID:LlvBPWfJ0
>>301

やっと植物側が折れてくれた。
彼女は深いため息を吐いて、駒の動きを止めさせる。
駒は振り上げていた剣を機械的に収め、静止する。


「まあその辺りはいいよ。
 私の伝手でその辺りは何とでもできるし。
 別に私を食べようとしたら、どうなるかはもうわかってるだろうから」

研究所つながりで、人間とかは用意できるだろうし、
自分で採集にでも行くこともできるか。

「じゃ、迎えが来てるから。
 植木鉢は用意しておくけど、基本放し飼いにしとくよ。
 血と安全は、私が保障したげる。私の出来る範囲辺りで」

林道の先に迎えのワゴン車が来ている。
それに乗り込んでいけば、学園地下の研究所の一室が宛がわれることになる。

「じゃあ、おいでよ。
 そうだ、生血は人間じゃなくてもいいんだっけ?」

憑き物が落ちた様に、親しげな表情。
騎士に前後を警備させ、夜の闇に消える。

//遅れました。
338 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/12(火) 00:07:05.52 ID:MYTbaxrs0
>>337

「うふふ、そうですか、私の条件を飲んで下さるのですね。
でしたら…このエリツィア・ブロームッテ、貴女様にお仕えいたします。
ご主人様、どうかよろしくお願いします。」

【なんて、頭を下げて深々とお礼をすると】
【アルラウネは彼女の後に付いていく】

「それでは、ついて行かせて頂きます。
あと、くれぐれも、ですけど。人間の生血以外は出さないようにお願いしますね?」

【このアルラウネ、人間の生血以外はそんなに好きではない】
【人間の生血は、結構、というか生物の中では最上級の味がする】
【そうアルラウネは思っておるようで】

「それでは、参りましょうか。」

【主人を先に載せるべし、とでも言いたげに】
【ワゴン車のドアを蔦を用いて開ける】
339 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage saga]:2016/01/12(火) 00:14:31.83 ID:MYTbaxrs0
>>232

【軍人が警官隊相手に対処を続けていると】
【突如轟く発動機の重低音、装甲車が向かっているようで】
【どうやら少女はうまく奪取してくれたようだ、これで助かる】

「よっ…と!」

【少女の運転する装甲車は警官をはねるも】
【軍人は低い装甲車の屋根に飛び乗り、ハッチを開けて中に入ると】
【少女の元へと急ぎ】

「こいつは帝国製の車か、私は祖国の車しか乗らんからな…
ともかく、はやく運転を変わろう、このままじゃ、ヘタしたら折角の装甲車がお釈迦だ」

【なんて、少女に運転を変わるようにせがむ】
【というのも、運転免許も取れない年端の少女には車の運転は無理そうで】
【さて、少女はハンドルを離すか】

//すいません…
340 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 00:14:37.03 ID:JayaKZ7No
>>332
生娘の如く赤面する彼女へと向けて、男は意地悪そうにニヤリと笑った。
元来、乙女心の分からぬ男であった。そういう、少年的な悪戯心をどうしても捨てきる事の出来ない男だった。だから、そんな表情で少女をからかった。
また、懐かしいことを思い出した。もっともっと、前の話。嘗て伴侶として共に生きてくれた一人の人間にも、そう言う風に怒られていた事を思い出しながら。
そうして、ほんの少しだけ縮まった彼女との距離を、ほんの少しだけ心の距離が縮まったと解釈して。

「それじゃ、付き合って頂こうか」

「一人の老害が語る、出来の悪い三文芝居を」

そう、それは遥か彼方に消えていった、過去の話。
過去に距離など関係なく、過去へと消えて言った時点で、それは等しく過去の話。ただ、古いか、もっと古いかどうかの話だ。
だから、何から話そうか、と迷った。情けないことに、この男は自分から思い出話に付き合え、と言っておきながら、話す事を考えていなかったのだ。
時折そういう癖が出る者であった。また悪い癖が出た、と思うと。また少しだけ、片頬を上げて。

「―――――――――――― そうだな、何十年も前の話だ。俺がまだ若かった頃の話」
「帝国や祖国、逆鉤十字の国、この世界総てが、全面戦争をしていた頃の話だ」

―――――――――――― だからそれは、遥か彼方の話の中でも、一番鮮明に色づいた話。
きっと、それが最初の"自分"であった話。きっとそれが、今の自分が、そうであるということになった話。

/分けます
341 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 00:14:56.63 ID:JayaKZ7No

「俺はその初めの頃、階級は曹長でな。芬国を侵略する為に出兵した。最初は意気揚々って感じだったよ。だがな、地獄だったよ」
「余裕綽々って感じの態度だった俺達は、その日の内に、夜中に襲撃を受けた。敵軍のスキー兵共に、たった数十人程度のスキー兵共に」
「俺達の部隊は四千人はいた。だが、在り得んことに、スキー兵共を一人も殺す事が出来なかった。逆にこっちが、三十二人も殺された」
「幾つか装備も奪われた。その時は俺達は、怒りに狂ったもんだ。卑怯者の『スオミ共をぶっ殺せ』ってな」

「だが、そこからは一方的だった。一日で狙撃で何十人も殺されて、夜襲でまともに寝る事も出来ず、殺され殺され」
「食料も奪われるものだから、段々と底をついていってな。一日の飢えをしのぐことも出来なくて、士気もあがらない。気付けば数は二百人にまで減ってった」

「ある日、斥候が敵の陣地を見つけたんだ。たった四十人程度の陣地。こんなの、普通罠だと思うだろ?」
「それでも上官は突撃をするって言ったんだ。明日突撃する、ってな。祖国にはそりゃあ兵がいる。たっくさんいる。だが、俺は俺だ。俺達は俺達だ」

「だから、その日の夜、そいつを殺す事にしたんだ。何人かの仲間と結託して」
「殺す事が出来たスキー兵の死体から服を武器をこっそり奪い取って、夜中にフリをして殺す事にした」
「提案者は俺だから、俺が実行する事にした。他の仲間は陽動だ。銃声で混乱したところを、ぶち抜くって寸法だった」
「だが唯一誤算があってな、間抜けな事に、そいつを撃ち殺す前に、脅しで全弾使い切っちまった」

「だから、直接乗り込んで、銃剣で刺し殺す事にした。ま、成功だったよ。初めて味方を刺し殺したが」
「なんてことはないと思ってたよ。敵を殺すのと、そう大差無いってな。それから、少しして、着替えて何食わぬ顔して隊に戻った」

「でもよ―――――――――――― 俺は、その時言われたんだ」

長い話であったが。漸く男は、そこで言葉を区切った。
両目を閉じる。思い浮かべれば、その光景は今でも鮮明に浮かぶ。敵軍の軍服を身に纏い、銃剣を着剣した小銃で、上官を刺し殺した時の顔。
どんな感情だっただろうか、両目を大きく開いて無意味に小銃を握り締め。返り血が真っ白の軍服に付着した時の光景を。
自意識としては、何でも無かったのだろう。或いは、罪悪感すらあったかもしれないが。それでも、男は。


「"なんで笑ってんだ、お前"ってな」


「知らず知らずの内に、俺は笑ってたらしい。本当に、本当に楽しそうに笑ってたらしい」
「これが俺が、"今の俺"になるまでだ。きっと俺は、その時から。"戦争"に恋い焦がれたんだろうさ」


「これが俺の昔話だ。俺が神殺の総帥になる切っ掛け。俺が無限の機構で在る切っ掛け。俺にとっての、全ての始まる」


「―――――――――――― つまらん話だったろう?」


そうして、男は締めくくった。そして、彼女へと笑いかけた。
何も変わらない笑顔を。数十年前の大戦争の頃から、何も変わらない笑いを。

/終わりですっ
342 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/12(火) 00:15:34.88 ID:ysFw8GMBO
>>333
「あ、アニキがやられた…」
「こいつには勝てねぇよ!に、逃げろぉー!」

ボスが一瞬にしてやられたのを見た下っ端のチンピラは一目散に逃げおおせていく。
喧騒が静かになり、場が閑散とした路地裏に戻る。兎にも角にも、助かった、のか。

「…すみません、助けてくれてありがとうございました」

絶体絶命の状況を助けてくれた目の前の女性には礼を言う他ない。無事に脱出できたのだから。
それにしても凄い。あんな一瞬でチンピラをのしてしまうなんて。
マコトが彼女に抱いた感想は、「かっこいい」。そんな憧れにも似たものだった。

「女の人が、あの人達にしつこく絡まれてて。それを助けようとしたら、このザマです。かっこ悪いなぁ、本当に…」

特別腕力があるわけでもない。特別足が速いわけでもない。特別頭脳明晰というわけでもない。
マコトは全てにおいて、それこそ平均点ぴったりに届くか届かないくらいの凡であった。
秀でた才能はない。が、しかしこれといって特別劣っているわけでもない。
ただ、正義感だけは人一倍に強かった。悪い事は見過ごす事のできない性分であった。
そんな、中途半端な状態で首を突っ込んだ結果がこれである。しかし、それでも黙って見過ごす事もできなかった。
能力が覚醒したところで、その現状は変わってはいない。

/凍結の件了解しました!
343 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/12(火) 00:36:42.60 ID:jcrtTlB80
>>338
「雪華、墨宮 雪華。今後ともよろしく。
 まあ努力はするけれど、実験の一環で色々な血を出すかもだけれど。
 付き合ってもらえると嬉しいかな」

軽く一礼して、歩き出す。
人間を支度するのも手間だし、好みも1つ1つ探らなくては。

「ん、ありがと」

アルラウネ、もといエリツィアが乗った後、後ろにいた騎士に扉を閉めさせる。
一体は一応前に乗せておき、もう一体は扉を閉めさせた後は、消去する。

「では、出発、と」

そういって、彼女は車を出した。

//こんなところで、〆させてください。
 ほんと安定して返せず、申し訳ないです。
 囲ったとは言っていますが、好きに出歩いて問題ないです。
 ともかく、絡みありがとうございました。
344 :【NEXT】 [sage]:2016/01/12(火) 00:37:42.13 ID:vFbtNzqN0
>>339

【初めての運転教習としては過激すぎる体験に、少女は叫びに叫んでいた】

キャーッ!あ゛ーッ!......って、軍人さん!一体どうやって......うわぁっ!?

【柱に突っ込み、エアバッグの作動したハンドルへと顔面が突っ込んだ】
【ベースとなったであろう車よりは強化されているとはいえ、結構なスピードで突っ込んだせいか、バンパーは凹み、フロントガラスにはヒビが走っている】
【原因は軍人の声にうっかりハンドルを手放してしまった上の脇見運転、と言ったところか】

いてて.......ハァ......ハァ......そうして..........

【よろりよろりと、運転席を譲る】
【警察はその間にも、無事なパトカーや装甲車に乗り込もうとしている。もたもたしていると不味いだろう】
345 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/12(火) 00:43:16.27 ID:MYTbaxrs0
>>343
//ありがとうございました!
346 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/12(火) 00:57:09.90 ID:MYTbaxrs0
>>344

「え、どこからって、ハッチからだけど」

【この少女は恐らく車の構造があまりわかっていないのであろう】
【それであれば、はやく運転を変わったほうがいいと判断し、少女の許可もあり】
【少女の身体を助手席へと移し、シートベルトも締めぬまま】

「いいか、よく捕まっとけよ?」

【装甲車を勢いよくバックさせると】
【シフトレバーをDに入れ、いきなりアクセルをふかす】
【装甲車はぐんと加速し】

「さーてと、どこへいくかなあ…」

【なんて、信号と速度制限を無視しつつ陽気に考える】
【そんなにはもたついていなかった、警察も追ってきてないはずだ】
347 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/12(火) 00:59:17.87 ID:umbYGcHD0
>>340-341

嘘八百を並べているのでなければ、この男が相当な老齢であるという事。
ぶるりと見に寒気が走る。若い姿のままそれだけ長く生きる怪物を、少女は一つ知っていた。
思わず一歩下がる。古城へ不法侵入する怖いもの知らずの癖に、見た目の年齢通り怯えるものがある。
当たり前だ。私という人間は『普通の人間』なのだから――――だが、話を聞くうち、引いた足は元の場所へ戻っていた。

それは少女が生まれる遥か前、両親のそのまた親、家族皆が持ち自分も受け継いだ青い目を持つ祖父の年代の話。
雪の夜、暖炉の前で、しわくちゃの手に頭を撫でられながら聞かされた話を想起させる話だった。

少女の故郷でも雪は降る。真冬ともなればその寒さは一入、数か月は道も家も水道も全て凍てつく。
唯一凍らない、屋外の井戸へ足を滑らせながら水を汲みに行き、桶に手を突っ込んで真っ赤に腫らしたことを思い出す。
男の語る祖国の冬は、それよりも冷たく、永く、そして残酷だったのだろうか。

闘志と報国に燃えていた男を同士討ちに向かわせたのは誰だろう。
無能な上官か、疲弊した仲間か、それとも社会主義者の服を着た人種革命家たちか。
それは極限状態の中、真っ当なくらい生にしがみ付こうとして、兵士と人間の垣根を右往左往する一人の男の話だった。
少女の知る吸血鬼とは違う、あまりに人間臭い思考。

「あ、……」

あの顔は覚えがある。
破滅を旧き友として迎え入れる笑みだ。
胸の奥にしまい込んだ獣が首を擡げる。頭にくっつけた平和ボケした飾りではない。
刹那の快楽を求める原始的な欲求――錆びついた爆弾に火を付けそうになる程に、それは魅力に溢れた笑顔だった。

「……それは、教科書に載せてはいけない語り部の話なんでしょうねぇ」

勝つために戦うのではなく、生きるために裏切る。後世に語り継いではいけない――まさしく戦争の暗部。
それを聞いて、熱くなった胸に去来するものは――――

(――――羨ましい、と。言えないのは、弱くなったからでしょうか)

素直に感情を吐露できない卑劣さを身に着ける事を大人というのならば、成長などしたくなかった。
この身体と同じ幼いままでで居られたらどれだけ楽だったか。こんな事を思うのは生まれて初めてだ。
恐らく何とも言えないであろう顔を見られたくなくて、背けた瞼を白衣の袖で拭った。
348 :【NEXT】 [sage]:2016/01/12(火) 01:16:41.15 ID:vFbtNzqN0
>>346

.............あー.......疲れた............

【傷だらけの装甲車は目立ってはいるものの、まだ警察車両の影は後ろには無い】
【ひとまず緊張感から解放され、助手席にへたり込む】

そうだなあ......街から出ようにも検問張ってくるだろうし、何処か人気のないところでこの車から証拠が出ないようにして解散、かな.........

【極度の疲労で目を半開きにしながら、軍人へ提案する】
【何も話しかけなければ、到着までしばしの仮眠を取るだろう......】
349 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 01:26:56.53 ID:JayaKZ7No
>>347

「ああ、そうだ。こいつはきっと、後に残しちゃいけない話だ」
「本当は、こんなもん、歴史の闇に消えた方が良いし。―――――― 戦争なんて、もう起きない方が良いだろうよ。でも」

その通り。それは語り継いではいけない話。決して口外される事なく、歴史の闇へと葬り去られ、誰からも忘れられるべき、理不尽な話。
けれども男は、その理不尽こそ愛した。レナート・コンスタンチノヴィチ・アスカロノフは、その闇をこそ愛した。その闇にこそ狂い、その戦火を信じた。
破滅を愛し。戦争を愛し。ただ、その時とは違って、今では死を懇願する―――――― 矛盾と、余りに脆い狂信に満ち満ちた。
カツリ、カツリ、と軍靴を鳴らして、彼女の下へと歩み寄った。『神殺』のコートを揺らしながら、けれどそこには、きっと殺意や、それに準ずるものは無い筈だ。
ただ、それは感謝だった。彼女への、感謝。ただ、静かに話を聞いてくれた、彼女に対するただ静かで、けれど大きな。

「―――――――――――― そうやって、誰にも忘れられちまうなんて。少し残酷だろ?」


「ありがとうよ。老人の昔話を、静かに聞いてくれて」

くしゃり、と。彼女に拒否されることが無ければ、少女の頭に手を置いて、髪を?き乱すかのように、力強く撫でるだろう。
その男が。娘に、或いは、孫に。そうしてきたように。その男は、彼女へとそうするだろう。それが、彼女に出来る、最大限の感謝の表現だった。
彼女がその胸中に、どんな事を想っているかは分からない。どんな事を考えているのか分からない。彼女が素直に感情を吐露出来ない、なんて。
男は読心能力者では無いものだから分からなかった。そんなことは関係なく―――――― ただ"それだけで"。男は、兎に角嬉しかったから。


「……さて、俺の話は取り敢えず終わりかね」

「じゃ、次はアンタの番さ。なにか、話す事があるなら、な」


それから最後に、彼女の頭を掌で軽くポンポン、と叩いてから。
自分ばかり語っているなんて、彼女から見ても、男から見ても、それは少し不公平だろうと思う。
彼女へと、そう言った。
350 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/12(火) 02:24:46.16 ID:umbYGcHD0
>>349

忘れられたくない。そう語る顔は老兵とは見えぬ瑞々しさ――――まるで駄々をこねる子供のようで。
どきりと胸を震わせた隙に、くしゃりと頭を撫でられる。

「あっ。……もう」

首を竦めて擽ったそうに笑う。実際感謝されるのはこそばゆい。
相手は紛れもない悪人なのだ。その男とこうして笑っている事実すら滑稽で、くすくすと一頻り喉を震わせる。
2度軽く叩かれると、弾んだ息を整える様に咳払いと共に襟元を正した。


「話す事ねぇ……では、“懐かしさの定義”について論じさせてもらいましょうか」

こうして誰かに講義もどきをするのも久方ぶりだ。
男のように上手く語れるかは分からない。少しの緊張でごくりと唾を飲みこむ。

「そうですね――人生には幾つか絶頂期があるというのを御存知ですか? 所謂、将来に不安を感じないでいられる極短い期間の事です」
「これは、私がまだ人間のカタチをしていたころの話なんですがねぇ」

「ひの、ふの、みの……4年前になりますか。誰にでも若気の至りと云うのはままあるものです……まあ私は今でもピチピチですけど」
「当時純粋さを優秀さと盛大に勘違いしていた私は、とある人――――ああ、ちょうどさっきの貴方みたいに私の頭を撫でてくれた男性が居ましてねぇ」
「その方にちょっとした恩返しをするために放浪していた所に、一人の青年と出会った訳です」

懐かしむように、頭についた獣耳をなぞる。
本題は此処から。キーワードである、彼の後ろにある其れを指差して。


/分けます
351 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/12(火) 02:25:53.61 ID:umbYGcHD0

「ソイツは玉座の肘置きに凭れて、頬杖突いて退屈そうにしていました」
「実際こういった、如何にもな古城にはその手の噂がつきものでしょう? 所謂“その元凶”という輩でして」
「性質の悪い事に、自覚のあるナルシストでしてねぇ。自覚のないタイプだった私とは決定的に相性が悪かったんです」


此処まで一息に言うと、初めて露骨に目を泳がせて口ごもる。

「それでその……いろいろあって……。」
「強引に迫られて、抵抗するうちに、弾みで城を一つ、崩してしまってですね」
「なんとか追っ払うことはできたんですけど、大怪我して暫く入院していたんです」

左の手袋を外す。そこには鈍色に輝く金属の手。音を阻む布が無くなり、掌を内旋させるればきいきいと軋みをあげる。
手首と前腕の隙間から配線を覗かせる其れは、高度な機械義肢である事を物語っていた。


「――――夢は絵描きさんだったんですよ。左利きは器用だって昔は褒められて、それが誇らしかったです」
「縁あってその関係のお仕事に就かせてもらってたんですけど、去年それも無くなっちゃって」

「まあ、その間も色々あったんですけど! さっきのナルシストとも再開しましたし、色んな人に可愛がって貰いましたよ」
「この身長だとその辺が有利なんですよね、特に年上の人とかだいぶ――――……何の話してたんでしたっけ?」

「とにかく、最近は職無し家無しで困ってたところに、ちょうどあつらえ向きの場所があって、入ってみたら懐かしい風景に出くわしたって訳です」
「人生にも中毒性があるって分かりましたねぇ。幸せって麻薬みたいに思えますよ」

それ以上はいうべくもないと口を噤む。笑顔を辛うじて貼り付けたまま。
話が二転三転したが、この続きを言って惨めさが増すだけだ。男が己の原点を話してくれたから、自分も似た様な話をしようと思った。
しかし蓋を開けてみれば、内容は正反対。戦争で自己を確立した男と、闘争で自我を失った自分。
要はその程度の器でしか無かったということだ。吸血鬼との対話など重要な部分はぼかしたが、相手には見透かされているかもしれない。
それも含めて真新しい過去なのだと。包み直した手で襟を押さえた。


/終わりです
352 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 02:30:28.90 ID:JayaKZ7No
>>350
>>351
/も、申し訳ない……すっごくいいところで大変申し訳ないのですが、凍結お願いできないでしょうか……ほんっとうにすみません
353 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/12(火) 02:34:44.95 ID:umbYGcHD0
>>352
/凍結了解です、私の遅レスで長くなってしまって申し訳ない限り……
/明日は20時頃に戻ると思います、一旦お疲れ様でした
354 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 02:36:17.28 ID:JayaKZ7No
>>353
/いえいえこちらこそレス遅くて申し訳ない……
/ありがとうございます、明日は帰宅次第返信させていただきます、お疲れ様でした!
355 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/12(火) 20:31:04.94 ID:2kxbpwSVo
>>342
 少年は助けてもらったことに対して礼を述べると、恥ずかしそうに起こったことを語る。
女性が絡まれていて、それを見過ごせずに割って入り逃がすことに成功。
そこまでは良かったが、そこで手詰まりとなってしまった。ということらしい。

「なるほどねぇ。その心意気は」
「だけど見過ごせないからって何も考えずに突っ込むのは、そこのと一緒の行動よ」
「格好わるいと言うより、蛮勇を振るう英雄気取りッて感じ?」

 そう言い、地に伏すチンピラのリーダーに目を配る。

「でもまぁ、その女性を逃せたことは素晴らしいと成果だし」
「ああいう圧倒的不利な状況で、ああも強くでられるなんて心はきちっと強いのね」
「それと他者のためにとっさに動くことのできる人間って、私は嫌いじゃ無いわ」
格好悪くは無かったわよ

【どちらかと言えば面白いものを見て、心が満たされた子供のようなものだが】
【その一言には、確かに笑顔があった】

//本日もよろしくお願いします!
356 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 21:01:40.29 ID:JayaKZ7No
>>350>>351
人生の絶頂期。きっと少女が夢に満ち満ちていた時の話。きっとそれは、彼女が其処から転がり落ちていく話なのだろう。
挫折と。そしてきっとその間の出会いは、苦々しく、然し掛け替えの無い物なのだろう。その足取りは、きっと後悔の連続だったのだろう。
彼女は、自分とは余りにも違っていた。彼女は、戦いの果てに、"夢を失った"。それは果たして、どういう心境なのだろう。
―――――――――――― "赤い冷戦"の時のような、また、その後のような、漠然と広がる空虚。最早この世界は戦争足り得ないと知ってしまったときの、常闇に勝る絶望。
それが、レナートと言う男が、一度だけ夢を"見失った"時の感情。ただ一度"夢"を見失っただけで、レナートは正しく絶望にも等しい感情を手に入れて。
であれば。永久永遠に失われてしまった彼女の"夢"は、きっと彼女へと、想像を絶するほどの苦痛を与えた事だろう。

そして彼女にとってのその"ナルシスト"とやらはいったい何者だったか。何らかの怪異であったのかもしれない。
そこにどういう感情を抱いているのかは分からないが、きっと彼女にとっての、余りにも強力な"転換点"であったのだろう。
それを、どうだ、とか。そういうことを言える資格は無いと思っている。だから―――――― 先ずは、唯一つだけ。間違いなく、言えることを。

「В одно перо и птица не родится……同じ羽根を持った鳥は産まれない」

「まずは、こう言っておくとしよう」

彼女と、男は違う。彼女が闘争で自我を失って、男が戦争で自我を確立して。其処には、確かに大きな違いがあるのだろう。
けれどそこにある価値に、何一つの差は存在しない。人が人であり続ける限り、人外が人外として存在する限り。其処にはきっと、無数の煌めきがある。
其処に何の差があるだろうか。其処に存在する差に価値を付けること程、無意味極まりない行為などあるだろうか。少なくとも、男は無いと思っている。

「そいつは何とも、珍妙な話だね。古城の玉座の間で、その元凶とやらに腕を吹っ飛ばされて」
「苦い思い出で在る筈なのに、懐かしさを感じて此処に来て。そうしてまた、俺みたいな碌でも無い奴に出会っちまうなんてな」
「俺も、腕の二、三本は齧ったほうが良いか? なんて」

「―――――――――――― そいつは全く、面白くて、素晴らしい人生を、送ってるじゃないか」

決して、その言葉は皮肉では無い。心からの賛辞だった。
勿論、良い事もあっただろう。そしてまた、同数の苦い思い出がある。だから、彼女自身がそれに抱く感情の優劣を、男は決してつけないが。
少なくともレナートはそう思った。彼女の歩んだ道筋を、実に素晴らしい物であると。その苦難も、災難も、喜びも、悲しみも。素晴らしいものであると。
その程度の器だから、何だと言うのだろうかと。それに、"彼女がそう思うには、まだ早いのではないか"、と。

「良い人生を送ってる。酸いも甘いも苦いも?み締めた人生だ。きっと"嬢ちゃん"は、"面白い人間"になれるだろうよ」
「幸せが麻薬みたいに思えるなら、またヤっちまいな。そいつは打っていいヤクだ。また、追い求めちまえば良いさ」

「……自信持ちな。お前は"そんなに悪くない"。だから、そんな"悲しい顔"する必要ねぇさ」
「良い人生だ。そのままそれを背負ったまま、歩いてけ。苦い思い出は、苦いまま、掛け替えの無い思い出に変わってくだろうさ」

だから、彼女へとする事は。賞賛と、激励と、それから、何処までも続く心の底からの"肯定"だ。
それから、彼女の頬へと手を伸ばし。抵抗が無ければ、そんな風に笑顔を張り付けた彼女の表情を崩してやろうと、抓ってみる事だろう。
「確かに、これは孫や娘の小さい頃を思い出すな」なんて、軽口を叩きながら。

/遅くなって申し訳ない……お返しします
357 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/12(火) 21:32:15.72 ID:MYTbaxrso
>>348

【さて、キズまみれの装甲車を運転して向かった先は検問所】
【一応軍人であるから、疑われることは少ないと思い】

『現在検問をしておりまして・・・。
身分を証明できるものをお持ちですか?』
「ん、ほい。」

【警察官に軍人としての身分証明証を手渡すと】
【警察官は敬礼をして見送った】

【さて、しばらくして】
【深夜で閑散とした街に行き着く】
【誰も出歩いてもいない】

「おい、着いたぞ。起きろ。」

【と、少女の身体を揺らして起こす】
358 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/12(火) 21:41:17.02 ID:NdtP3l+l0
この公園は数年前に設けられたものだ。都市規模で能力者が集い始める、その前のことである。
敷地自体はそれ程大きいものではない。遊具も時代の流れに倣って、管理せずに放置されたものや、近隣の住民の苦情により、児童が遊ぶには危険だとして排されたものもある。
だが、それでも数年前と変わらずに子供たちやその親、犬の散歩をする人々で賑わうのがこの公園だ。

……しかし、それはまだ、日中でのお話。
夜の帳が降り始めると、辺りの街頭でしかこの公園はその形を認識できなくなる。
―――そして、闇に紛れて争う者達の戦場へと、その機能を変化させる。
住宅街に近いとは言えど、自然公園という名目で、ここは林に囲まれる形になっており、人目に付きづらい。
昼は子供の遊び場として。―――夜は能力者の、鎬を削る場として。
何にせよ、人が集まり続ける場所なのである。

その公園の、公衆トイレの外。そして時刻は夜に設定しよう。
人っ子はみな家に帰り着くころ、がらんどうとしたそこに、―――ひとりの男性がいた。
髪はオールバック、色は暗い茶。サングラスが胸ポケットに入った革ジャンの中には、ベストとシャツを着込んでいる。下半身はジーンズと革靴、装飾品は左手首のスポーツウォッチくらいか。外見から見るに、三十代の半ばほどに見える。
さて、そんな彼が何をしているかというと。

「……さみっ……」

公衆トイレの壁に、黙々と張り紙をしていた。
冷たい風が突然荒び、彼の養生テープを貼る手をこれでもかと冷やした。
貼られるのは、

“用心棒 ペット探し 浮気調査 なんでも格安 電話番号は――――”

と粗雑な字で書かれた薄っぺらいA4用紙。
四隅を貼り終わり、残りの張り紙に養生テープを重しにして置くと、男はジーンズのポケットに両手を突っ込む。

「ああ、くそっ。なんでこんな寒ぃんだよ」

肩を竦め、その場で足踏みをする。
ぶつぶつと文句を言っていると、急に何かを思い出したように、ポケットから手を出す。
サングラスを取り、胸ポケットから取り出したのは、小さなマジックペン。
そして、今貼ったその紙に、何やら書き足す。

“用心棒←これ得意”

手が寒さで麻痺してきたか、汚い上に震えた手でそう書き終えると、満足そうに頷く。
この御時世で、なかなか用心棒が役立つことは少ないのだろう。彼も生きるため必死なのだ。

そして、男は公園の違う場所へとその張り紙を貼りに行こうとする。
枚数は、なかなか多そうだ。
359 :【0】 [sage]:2016/01/12(火) 22:00:55.17 ID:gTWGbGj8o
>>358
「『手で触れた物の数値を0にする』能力」
「色々と調べてみたが、もう少し慣れる必要がありそうだ」

ぼんやりと上の空で、自分の思考にかまけていても、人にぶつかる事は無い、夜の公園はとても静かだ。
記憶を失くした青年は歩く、特に行くあてもなく、右手で買ったばかりのホットコーヒーの缶を弄びながら。

「どうやら、『手で触れる』とは言っても効果があるのは手首から先、それ以外では足でも舌でも能力は発動しない」
「それと、効果が発動するのは他人の能力に限定されているでもないようだ……例えば、このホットコーヒーに使うと……」
「『温度』が0≠ノなり、キンキンに冷えたアイスコーヒーになる」

つい最近気付いた自分の能力を検証するように使用しながら歩く、特に意味もなくアイスコーヒーとなった缶コーヒーを投げては掴む、という行動を繰り返していると、ある物に気が付いた。

「ム?」

公衆トイレの壁に、何やら見慣れぬ張り紙が貼ってある。とは言っても、この公園の事はまだ記憶に新しいのだが。
たった今貼られたように新しい張り紙をしげしげと眺め、書いてある内容をよく読んでから、呟いた。

「……何でも屋って奴か……今時珍しいな」
「待てよ?何でも屋なら知ってる事も多いかもしれないな……」

端的に、書いてある内容をそう理解した青年は、まだ近くに張り紙の主がいないかと辺りを探す。
すぐに目的の人間は見つかった、歩いている男の後ろから、「おーい」と声を掛けながら近づいて行く。

「アンタ、あの張り紙貼った人?よくわからんけど、何でも屋って事でいい?」
360 :【NEXT】 [sage]:2016/01/12(火) 22:08:09.04 ID:vFbtNzqN0
>>357
//すみません、いくら軍人でも警察車両を強奪しといて検問素通りは流石に無理があるような......
361 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/12(火) 22:09:04.21 ID:/mJu6+k1O
>>355
「う……返す言葉もありません……」

英雄気取り。
心にグサリと刺さる。まさしく、その通りであったからだ。
力もないのに、後先考えずに正義感だけを振りかざして首を突っ込む。これを英雄気取りでなくてなんと言うのか。
マコトは少しバツが悪そうな表情。図星だった。

「なんですかもう…褒めるのか貶すのかどっちかにしてくださいよ」

文脈からてっきり咎められるとばかり思っていたが、そうでもなく。
どちらかといえばなんだか遊ばれているような気がしなくもない。
まるで落とされて上げられたような気分。相手が笑顔を向けてくるので、こちらは苦笑いで返してやった。

「あの、ところで……」

それよりも、ずっと気になっていた事がある。
この女性が現れてから今まで、ずっと疑問に思っていた事だ。
それはごく単純な事で、恐らくチンピラも含めてそう思っていたであろう事だ。普通の人間なら、恐らくまず気になるであろう点だ。

「それ、本物なんですか?」

女性の頭から生えている二本の角。それをじっと見つめながらマコトは問うた。
362 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/12(火) 22:12:47.55 ID:2kxbpwSVo
>>361

「」
363 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/12(火) 22:28:54.18 ID:NdtP3l+l0
>>359
人気のない公園は静かで、声がよく通るものだ。
背後から自分を呼ぶ声がした。しかも、かなり若い男の声だ。
特に物思いに耽っていたわけでもないので、男はすんなりとその首だけを後ろへと向ける。

すると、先程まで作業をしていた公衆トイレの傍に、人影が見える。
だからといって、その全貌がはっきり見えた訳ではない。夜中の自然公園には、光源というものがほぼ無かったのだ。
ただ、その用件だけは明確に聞こえた。
それはふたつ。公衆トイレの壁に貼り紙を貼ったのは自分なのか、そうだとしたら自分は何でも屋ということで良いのか。

「おう、そうだ。だが何でも屋になってからまだ日が浅ェんだ。だいたい3日くらいか」

男はその人影のことをただの冷やかしと見て、そう答えた。
連日こういうことが続いていた為だ。酔っ払いだとか、見回りの人間だとかに、彼は声をかけられ、かけられるだけで特に何もなし。それがいつものルーティーン。
少々うんざりもしていたのだろう、この人影にも少しぶっきらぼうに言い放った。

「どっちかっつーと、用心棒の経験のが多いんだ。んで、何か用かガキ」

言葉自体は粗いが、それほど相手を排他的に見ている訳ではない。
子供相手に優しくする仕事も、何年か前には請け負っていた為だ。
ともかく、男はその人影に対して、はっきりと判別できないくらいの距離で立ち止まって話している。
364 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/12(火) 22:29:06.35 ID:MYTbaxrso
>>360

//申し訳ないです・・・
//以下のとおり訂正いたします

>>348

【傷だらけ、其の上フロント部は大きく凹んでいる、おかしな装甲車を運転しつつ】
【とりあえず検問に引っかからないように、街を抜け出し、人気のない場所を探す】
【幸いなことに警察はついてきていないようだ】

「はあ、慣れない道を走るのはだいぶキツイなあ・・・。」

【ガタガタと激しく車体を揺らしながら走る】
【どうやら森林にはいったようだ、完全なオフロードで】
【揺れが激しすぎる、もしかしたら少女が起きてしまうかもしれない】

「おい、ここらへんでいいか?」

【月光がこもれる森林の中、ここなら人気もない】
【さて、車から証拠が出ないようにするにはどうしようか、と考えており】
365 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/12(火) 22:31:29.16 ID:2kxbpwSVo
>>361
「学生くんもどこか面白そうなところがあるから」
「潰れてほしくないし、かと言って縮こまっちゃうのもつまらないし」
「だからまぁ、両方しておくのよ」

 なにか輝くような片鱗は見えるが彼の言動は一般人のそれである。
これまで出会った人間の中でも彼のような者は珍しい。ゆえの言葉である。
今回は運が良かっただけ。今回のようなことがまたあれば、彼は潰れてしまうだろう。
しかし恐怖や保身のために、縮こまってしまいただの人間に埋没するのはとてもおもしろくない。
だから、適切に成長して欲しいとアルフィラはそう思っている。

 すると、彼は頭に生えている角に興味を示したようだ。
特に隠したり嘘をつくつもりもないが、ふとしたイラズラ心が湧き上がる。

「あぁ、この角ね」
「もしかしたら、付け角かも知れないわね。この鱗も単なる装飾かもしれないわ」
「だからまぁ、知りたかったら直接触ってみることね」

 口ではそう言うが、そう簡単に触らせるつもりはない。
「さぁ、遊びましょう。学生くん」
「触れたら私の事、もっと教えてあげるわ」

【そう言い、だらりと全身から軽く力を抜く】
【顔は笑顔のまま。先ほどとは違う、イタズラを仕掛けた子供のような笑顔で】
【尻込みするような威圧感は全く無いが、そう簡単に触らせないと目が告げている】

//ミスりましたー。申し訳ありません!。
366 :【0】 [sage]:2016/01/12(火) 22:42:58.32 ID:gTWGbGj8o
>>363
「3日くらい?という事は……ギリギリか?」
「でも、オレが記憶喪失になったのが3日前かっきりとは言い切れないしな……彼処で一週間倒れていたって事もあるし……」

何でも屋を始めたのは3日前と聞くと、青年は立ち止まり、何かを考えてブツブツと呟き出す。
しかし、そう長く考えている、という事もなく、すぐに思考に見切りをつけると、一歩踏み出して男の目を真っ直ぐ見詰めた。

「一つ聞きたいんだが……」
「アンタ、オレの事を知ってるか?いや……『オレの事を知ってる人間』の事を知ってるか?」
「いや……何というか……とにかく、何でもいいからオレの事を知ってるか?」

用事と言われて、聞くのは情報提供、そう言うにはあまりにも摩訶不思議な質問だが。
自分についての事を他人に聞く、どう聞いてもイタズラか冷やかしにしか思えない。

「用心棒だってんなら、何処かでオレの事をぶん殴った事があるとか、そういうの、無い?」

しかし、問い掛ける青年の目は真剣そのものだ。
367 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/12(火) 22:48:50.78 ID:umbYGcHD0
>>356

「ええまったく。よくよく駄目な男に縁があるみたいですねぇ」

分かっている。この懐かしさの原因は自分に在る事を。
吸血鬼とのいざこざはきっかけに過ぎない。自分の中でいつまでも区切りとして留め置く事で、行為を正当化しているだけだ。
怪我を言い訳にして逃げた事が許せずにずっと、遣る瀬無い感情の火種は今も胸の奥で燻ったまま。
怪異でも旧敵でもいいから、それを教えて欲しくて此処に来たのかもしれない。


苦笑は、次に続く言葉で煙のように消えていく。
俯いて素直に抓られるがままの表情は、髪に隠れて影となるが。指を通して伝わるだろう、その身体の震えが。

「面白い方が良いに決まってる。……昔の私なら嗤ってそう言えたでしょうねぇ」

しかし、今は違うと首を振る。

「失うのが怖いんです。私は、弱いから」

寒さも痛みも感じぬ左手を、右腕で掻き抱く、その頬につうと雫が伝う。

少女は天涯孤独の身であった。
家族が居ないのは珍しい事ではない。だが夢を屈折させてまで掴んだ“二度目”の喪失。
抗い難い運命の力は、心の弱い少女を打ちのめすには十分な痛撃だった――――だとしても。


「でも――――また会いたい……欲しいよぉ……ッ」

乾いた心は一度覚えた味を何度でも求めてやまない。
吸血鬼に出会う前、青臭い恩返しの旅に出た切欠。倒壊したビルの風景が頭を過る。
少女は神殺機関には縁がないと思っていた。しかしそれは大きな間違いであったのだ。

あの時の機関総帥の起こしたテロ――――その戦火の跡地で自分を肯定してくれた男。
何という奇縁だろうか。数世代を経て、再び自分を肯定する者が現れてくれた。それが同じ機関の総帥だとは。
子供のようにしゃくり上げる。“誰でもいいから”、なんて安っぽい言葉すら溢れそうなくらいに、昔と変わらぬ狂おしい感情の発露がそこに在った。


/すみません、気付くのが遅れました……
/今日もよろしくお願いします
368 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/12(火) 22:53:13.48 ID:/mJu6+k1O
>>365
「はぁ……僕に思い当たるフシはないんですけどね」

面白そうと言われたが、それに対してまったく自分に当てはまる点はない。
むしろ自分のような人間はつまらないと言われる側なのではないかと思いもした。
いや、しかし自分では気づかないだけでこの女性がそう思うような要素があるのではないか、とりあえずそんな勝手な解釈で納得しておく事にする。

それよりも、角の事。
見たところ、本物のようにしか見えない。鱗も。しかし、頭に角を生やしている人間など聞いた事がない。
ただの奇抜なファッションなのか。いや、マコト的にはそうであって欲しいのだが。これ以上普通でない事が起こると卒倒してしまいそうだ。
もしも本物だったら、彼女は人外の者という事になる。それこそお伽話にしか出てこないような存在に出会っている事になる。頭が混乱しそうだ。

「いや、それ触れって事ですよね。もう完全に誘われてますよねこれ」

知りたかったら触ってみろ。要するに触れという事なのだろうが、明らかに目が遊んでいる。
この時点でマコトは女性のお遊びに付き合わされる事を察した。まあ、ここまで来たのだから付き合うのが筋だろう。

「じゃあ、遠慮なく…」

そう言って角に手を伸ばしてみる。果たして届くのだろうか。
369 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/12(火) 22:56:30.56 ID:NdtP3l+l0
>>366
聞いた瞬間は、馬鹿馬鹿しいとは思った。
だが、余りにもその口調は真に迫っている。

「……そこで待て」

それだけを呟いて、男は声のする方へと歩をすすめる。
やがてそのぼやけた人影が、はっきりとした輪郭を持ち始める。
歳にして、自分の干支ひと回り半。そのくらいの差だろうかと、男は推測した。
そして男は立ち止まり、青年の顔をまじまじと見始める。
―――そうしてから十秒も経たない内に、彼の質問へと答えた。

「少なくとも俺ァ知らねえな」

残念ながら、青年の目的は果たせそうにないらしい。
そう言ってすぐ、男は言葉を付け足した。

「というか、俺がたまたま“お前を知ってる人間”を知ってたとしても、そんなの俺にゃ分かりっこねえだろ」
370 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/12(火) 23:10:57.16 ID:2kxbpwSVo
>>368
「まぁ、そのうちひょっこり出てくるんじゃない?」
「運命の流れ的な物の導きとかそういうので」

 彼は自分の裡の力に気づいていないようだ。
まぁそんなことは良くあることだし、もしかしたら自分の思い違いかもしれない。
まぁ思い違いということは無いだろうが、彼が自分の裡に秘めた力を引き出すにはきっかけがいるだろう。
それはきっと彼に過酷な試練を強いるだろう、そんな予感がする。

 しかし今はそんなことよりも、角の話だ。
彼は真直に角に手を伸ばす。それに合わせ頭を引き、ぎりぎり手が届かないようにする

「学生くん。そんなまっすぐに手を伸ばしてたら、いつまでたっても触れないわ」
「もっと全力で触ろうとしてみて、何なら強引に来ても良いし」
「私は、ただ避けるだけ。ほらほら、頑張ってみてね」
それとも、そんなに私の事知りたくない?

【イタズラが成功した子供が笑うように、クスクスと笑う】

 そうは言うが、触らせないつもりも一切ない。
彼が全力で来れば、そのうち触らせるつもりだ。
371 :【0】 [sage]:2016/01/12(火) 23:19:08.84 ID:gTWGbGj8o
>>369
「……そうか」

自分の事を、残念ながらこの男は知らないらしい、半ば予想通りだったような表情と声色で青年は答えた。
それから、「ああ」と声を上げて手を叩く。

「確かに、アンタがテレパシストでもなければオレの事を知る人間の見分けなんてつかないな」

「ふん……もしかしてこのやり方は効率が悪いのか?」

なんて呟いたりもする、割と真剣な顔で。

「……まあ、いいや」

「質問の御礼にこれをあげるよ、何となく『オレはブラックは嫌い』な気がするから」

そう言って、持っていた缶コーヒーを礼として男に差し出す、この真冬の夜だと言うのにキンッキンに冷えたアイスコーヒーだが。
372 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 23:19:44.16 ID:JayaKZ7No
>>367

「そうだ、其れで良い」

「感情のまま生きればいい。素直に生きればいい。したいようにすればいい。恐怖は吐き出して、涙は流せばいい」

無理に笑う必要など無い。泣きたいときに泣き、笑いたいときに笑い、叫びたいときに叫び、したいことをすればいい。
少なくとも男はそうして生きてきた。少なくとも男は、痛みと共に笑う人間を。肯定はするが、然し、そこから抜け出したいと言うのであれば。
また、それも肯定する。そう―――――――――――― 肯定するのであれば、"良いもの"の方がいい。そして。

「それが、君の心の底からの言葉であれば。俺は、須らく"肯定"しよう」

「俺が肯定し。そして"戦争"が君を肯定する。無限の可能性が、君の全ての感情を肯定するだろう」

それはきっと、決して程遠く。然しそれは正しくして、『神殺の残滓』であり、そして唯一この世界に取り残された『神殺』であった。
その時男は正しくして、悪逆無道、永遠無窮、絶対大逆の悪戮、神殺機関の最終神殺総帥であった。
そしてまた、正しくレナート・コンスタンチノヴィチ・アスカロノフと言う男に他ならず、そして―――――― "無限の歯車の一つであった"。
だから、男は彼女へと手を差し伸べる。最低最悪の勧誘だ。最高に馬鹿げた悪への勧誘だ。なぜならば、男はそれを"救い"であるとすら言うのだから。
ただ、自分のエゴへと彼女を巻き込まんとせんと。全世界を巻き込む為の布石の為に。そしてだからこそ、男は"神殺総帥"であったのだから。

「その狂おしき、その心の奥底から湧いて出る、涙にすらも成り得る感情を。肯定したいのであれば」
「恐ろしいのであれば、弱いのであれば。それでも、会いたいと。そして欲しいと、求めるのであれば」

「―――――――――――― 一つ、此方に来てみるか?」

男の瞳は、決して、左右のどちらに揺れる事も無く。何も変わらず、ただ正気の光を途切れさせる事無く、彼女へと問いかけた。
それはきっと、親心にも似たものだった。彼女の心など分かる筈も無く、ただ漠然と、彼女の事を"助けたい"と思うだけの、ほんの些細な善意であった。
ただ―――――――――――― 欠片の悪意も抱かずに。彼女を"戦争"へと誘ったのだ。
373 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/12(火) 23:20:06.56 ID:JayaKZ7No
>>367
/こちらこそ遅くなってしまい申し訳ないです……今日もお願いします!!
374 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/12(火) 23:27:52.04 ID:/mJu6+k1O
>>370
「あっ」

手を伸ばしたらギリギリのところで届かない位置に頭を引かれる。いやらしい。
そう簡単に触らせるつもりはないという事か。やはり、遊ばれている。
このまま遊ばれるのもなんとなく癪だ。絶対に触ってやる。
さて、どうすれば良いものか。答えは簡単。

「そうやって人をからかって…なら、これでどうですか!」

詰め寄り、急接近。
体が触れそうなくらいに近づき、避けようもない程至近距離から手を伸ばす。
ただ、この方法に問題が一つあるとするならば、それは相手が女性であるという事。
はっきり言って、これは近い。
これでも年頃の男子高校生の身、正直辟易するが背に腹は代えられないという事で一つ。

いや、正直に言おう。
恥ずかしいので、なるべく早く離れたい。
375 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/12(火) 23:33:05.99 ID:2kxbpwSVo
>>374
//すみません、時間が厳しいので凍結でさせてください。
//明日もまた今日ぐらいの時間でよろしくお願いします。
376 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/12(火) 23:37:45.42 ID:NdtP3l+l0
>>371
「悪ィな。流石にお前みたいな変なガキ、会ったら忘れてる筈がねえ」

と、男は自身の記憶の正しさを立証する。
その後にただ、と付け加えて話し続ける。

「さっき普通に聞こえたが、記憶喪失なんだな?しかも、ここ最近までしか記憶がない」

男は話しながら差し出されたブラックコーヒーを手に取る。
冷たさは感じたが、彼の手の相応に冷たい為、大袈裟な反応はない。
貰った瞬間に「ホットじゃねェのかよ」くらいは呟いたが。

「なんで記憶、集めてんだ?」

缶コーヒーのプルトップを引きながら、男は青年に何となしに聞いてみた。
記憶喪失なら思い出そうとするのは当たり前だ、とは彼は考えてはいなかった。
“理由無き現象は無い”。それが男のモットーであり、それに従うならばこの青年の記憶が無いのも、何かの理由があるからだと彼は考える。
それを態々掘り返しても、青年にとっても野暮なことにしかならないと、男は踏んだのだ。
377 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/12(火) 23:39:10.44 ID:/mJu6+k1O
>>375
/了解しました!
378 :【0】 [sage]:2016/01/12(火) 23:58:53.78 ID:gTWGbGj8o
>>376
「ああ、どうやらそうらしい」
「何故記憶を失くしたのか……それすらもわからない……いやまあ記憶喪失だから当然と言えば当然なんだが」

呟きが聞こえていたのか、とも思ったが、これだけ静かなのだから当然だと納得する。
わざわざ聞かれて説明するよりも早い、と前向きに青年は考えた、とても大雑把だ。

「何でってそりゃあ、『気持ち悪い』からだよ」
「自分がどんな人間だったかもわからないのに、のんきにしてはいられない、もしかしたら何か重要な使命を帯びてる……かも……しれない、多分、まあ、これは多少…言い過ぎかもしれないが」
「例えるなら、それ程重要でもないがいつも机の定位置に置いていたボールペンが無くなった感じ……自分でもよくわからんが、そんな感覚だ、ムズムズする」

何故記憶を探すのか、と問われれば、明確に言える理由は無い、ただ何となく胸が疼くからだ。
それだけでも青年には十分な理由だった、彼の性格なら記憶喪失の事を『まあいいか』と吐き捨てて第二の人生を歩む事もできよう、しかし自分の事を知らないというのは気味が悪い。

379 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/12(火) 23:59:45.57 ID:umbYGcHD0
>>372

自分は頭がおかしくなったのだろうか。
耳を疑うように腫らした瞼をぱちくりと、思わず背の高い相手を見上げてしまう。

「神殺、……――――」

初めの言葉が再生される。きっと彼はこうして無意味に無価値に、何度も無碍に繰り返してきたのだろう。誰からも歓迎されない戦争を。
男の言葉は唐突で、支離滅裂で、最低最悪の殺し文句で。だからこそ弱った心に甘美な鈍痛を伴って染み込んでいく。

平和な時代を生きた頃の最期の理性が懸命に押し留める。
夢を無くしてからずっと避けてきた、未来を摘みとる戦争に身を投じるのは、今を生かしてくれた恩人たちへの冒涜ではないかと。

だが一度掘り起こされた感情は絶望たっぷりに叫ぶ。
散々我慢してきた、その結果はどうした。残ったのは碌でもない自慰に耽る浅ましい自分ではないかと。

濡れた瞳でいやいやと首を振る。拒否の拒絶。
――――――――夢に逃げる時間はもう終わったのだ。


「私は強いです……英雄でも、化け物だって殺せます……」
「捨てないで、置いていかないでくれるなら……きっと役にたってみせます――――っ」

少女は自分を強いと言い切った。幾多の経験に裏打ちされてきた其れは決して的外れではないだろう。
だが嗚咽混じりの言葉に、自己の弱さを拭う為に振るう力の何処に正義があるだろう。
真に芯が強ければ、温もりを求める心とは決して相容れぬ茨道だと、正しく拒絶する事が出来た筈なのに。
普通の人間である事を終わらせる。愛されたいと、必要とされたいと望むあまり、普通以下の人間に堕ちることを肯定した瞬間である。
理解できまい、エゴに巻き込まれたいと望む心も、奉仕ではなく、またエゴに塗れているのだ。
380 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/13(水) 00:08:02.38 ID:s9mybfqE0
>>378
青年の言葉に、なるほど、と男は感じた。

「はー、そういうことか。つまりお前は、“なんとなく”、“無性に”、“地味に”。そんな感じで自分の事を知りたくなっちゃった訳だ」

こういう人間は嫌いじゃない。うだうだと物言いする頭でっかちより、フィーリングで生きているような――。

と、男はそこまで考えてから、

―――そういやこいつ記憶無えからどういう人間かわかんねえや。

と、自分の考えを整然とさせる。
ともかく、この青年が困っていることは伝わった。ならば。

「手伝ってやろうか、その“自分探し”」

ならば、人助けこそ『英雄』たるべきものではなかろうか。
ニヤリと口の端を上げる。これでも愛想の良いつもりらしい。
381 :【0】 [sage]:2016/01/13(水) 00:22:14.94 ID:xJlHfWH0o
>>380
「そうそう、そんな感じ」
「自分探しをする奴と同じ理由だ、『何で』とか『何故』とかは無い」

こんな説明でも分かってくれた事が嬉しく、『それだ』と男を指差しながら頷いた。
最初に話した時は『無愛想なオッサンだな』と失礼極まりない事を真顔で思っていたが、その考えは密かに改める事にした。

とは言え、この男が思っていたよりフィーリングが合いそうだったというだけで、特に事態が好転したわけでは無い。
記憶の鍵を探す道程は一歩も進んでおらず、また手掛かりを探しに行かなければならない……と考えたところで、男が提案した。

「……マジでェ?」

キョトンとした顔で首を傾げた、これが人の好意を受けた態度とはとても思えない。
不満ではない、寧ろ手助けをしてくれるのはとても助かるのだが……一つ懸念がある。

「悪いけど、オレ報酬は払えないよ、お金あんまり持ってねぇんだ」

男は曲がりなりにも何でも屋、そんな人に物事を頼み、タダで済むとは思えない。報酬についての話をされる前に先んじて、『金はビタ一文払えない』と告げた。
382 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/13(水) 00:29:54.08 ID:LBjIBrPfo
>>379
嗚呼、彼女は言い切った。自分は強いと。おいていかないでくれ、と。その言葉の意味を理解しながら、その先に在るもの理解しながら。
これより先は悪の道。この世に未だ取り残された、『神殺』が求める、無限の戦争を望む機構。少女は唯、その一つである。
その純粋な願いは、きっと戦争へと繋がっていく事だろう。蔑まれ、疎まれ、憎まれ、それでも"求められることを望む"彼女は、きっと人以下に堕ちていく。
その言葉など、それは確かに心の底から望んでいるものであるが。然して、果てしなく詭弁でしかないと言うのに。彼女は、きっと"堕ちていく"。

「それでは。それでは君は、これより"神殺しの徒"」
「化物も、英雄も、そして神様だって殺して見せる、"神殺しの徒"」

「そして―――――――――――― 無限の戦争を望む、"君は一つの歯車"だ」

きっと彼女には、こうして再び悪へと堕ちる以外の選択肢があったのだろう。然し今日、今、此処は、一つの大きな転換点となってしまった。
であれば、最早その先を進むまで。玉座を踏み躙り、ただ死にに行くために戦争を目指す男の、どうしようもない程の悪夢へと従うことになる。
満足気に、男は笑った。肯定の笑顔だった。一欠片の悪意も存在しない、それは純然たる歓迎であった。

「心配するな。捨てないさ。置いていく事も無い。もう二度と、味方を刺し殺す事も無いだろうよ」
「ただ俺に従えば良い。ただ、"戦争"に従えばいい。烏は、烏の眼を突かないものだ」

神殺の、黒のコートを翻して。男は玉座へと背を向けた。それから、彼女へと、自分へと付いてくるように促した。
最早其処には『神殺』の欠片も無く。曇った金貨はもう捨てた、故に、決別はもう終わらせた。懐かしさに浸り続けることは、確かに気持ちの良い物ではあるが。
前に進むのであれば。その先に在るのがどれだけ意味の無い物であろうとも、其処から先に在るものが只管に害悪であろうとも。只管に、死を求めるものであるとも。
それらはただ胸に抱いて、前に進まなければならない。そうして、男は死地へと『行軍』するのであり。

「此処から先は『神殺の残滓』。無限の戦争を望む、我等は総て『無限機構』」
「神をも殺し。全ての可能性が存在し。そして何もかもを肯定する……俺達は、"大戦争"を求める者」


「さぁ、行こうか?」

古城の前には、巨大な輸送機が、轟音と共に其処から発とうとしていた。
其処に足を踏み入れれば。それがきっと最後なのだろう。平和を象徴する翼竜神を徹底的に冒涜した旗を掲げた、行き先は唯、"狂気"の根城。
383 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/13(水) 00:43:32.01 ID:s9mybfqE0
>>381
人をイラッとさせる返事の仕方トップ10に入りそうな仕草。
これには流石のオジサンもイラッとしたようで。

「あ゙ぁ?」

と青年への反感を剥き出しにするも、よく聞くとどうやら、男が便利屋として働いても金は払えないのだとか。

「あー………いや、今は要らねェや」

多少は考えたが、少し間をとってそう答えた。
金に困らないとは死んでも言えない。こんな公園のトイレで広告をしている意味がなくなってしまう。
だが、今回はただ『気が向いた』のだ。

「ガキから金取れねえよ。しかも記憶無ェんなら働くこともできねえんだろ?だからいい」

その代わり、と銘打ってから、こう続ける。

「もし“お前”が見つかったら、その後でゆっくり払えよな」


/すみません睡魔ががが
/凍結してまた今日の夜にでもということでも良いですか?
384 :【0】 [sage]:2016/01/13(水) 00:52:27.79 ID:xJlHfWH0o
>>383
「本当?騙そうとしてない?」

さっきとは逆の方向に首を傾げて、再度の確認、タダより高い物はないと言うし、多少は用心深くはなるか。
だが、それ以上は言わない、なんとなくで確信はないが、なんだかこの男は信じられる、信じてもいい人間な気がしたから。

「……わかったよ、出世払いってヤツだな?」
「でも働いた分の帳簿はちゃんと付けといてくれよォー?いざ払うって時にボッタクられたりしたら堪らないからな」

報酬は成功した後の後払いだ、その条件を飲んだ青年は、頷いた後で、余計な一言も付け加えた。


/わかりました、それでは一旦凍結しましょう
/お疲れ様でした
385 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/13(水) 01:16:11.05 ID:FCCD9haU0
>>382

人間以下で結構、元々犬畜生の性は持っていたのだ。
どう足掻いても破滅しかない絶望に、肌がぞくぞくと粟立つ思い。
誰かの為でなくて良い、彼の為だけであればそれが善い。

白衣から腕を脱ぎ、玉座の背凭れに掛ける。
草臥れて擦り切れた絵の具塗れの、自分には不相応に大きい衣服。
輝かしく地平を彩る過去を表す様な其れ。この城と共に静かに朽ちてゆく事を切に願う。
これは決別である。人を未来へ導く仕事から、人を無間へ誘う人生へと足を踏み入れた、終わりと始まりの証。

無限機構――――平和を切り裂く空機に乗り込めば、すんと鼻を一陣の香が付く。
背筋の引き締まる不思議な効果のある。死を間近で嗅げる一入の香だ。
彼は置いていかないと言ってくれた。ならばそれに応えるだけの意志はある。

「曹長。」
「遅ればせながら、アンネリーゼ=アウトバーンと申します」
「アンネと……いえ、どうぞリーゼとお呼びくだしゃい」

厳めしく重々しく、それでいてユーモアたっぷりに言おうとしたが、緊張のあまりそれも続かず。締まらない自己紹介に、ばつが悪い顔で視線を逸らす。
仕方がない、あまりに長く俗世間に、人間味に浸り過ぎた。それが元普通人の持ち味と言ってしまえばそれまで。
異常者の勘を取り戻すのは時間が掛かるだろう。暫くは足を引っ張る日々が続きそうだ。


「あ、その、私の能力(ちから)も貴方のお傍に…………戦争へ、連れて行ってください」

彼女をアンネと呼ぶ者は多かったがその逆はきわめて少ない。
『我が神は我が誓い、我が神は我が支え』。そこに込められた特別を唱え。
神をも殺す戦争とは何たる冒涜か。少女が従うべくは最早ただ一人しかいない。

せめてものお近づきの印に、なんて憧憬を帯びて差し出されたのはただの筆記具。
絶対に壊れないというだけのちっぽけな筆は、しかして少女が持てば国をも衝き揺るがす悪の『兵器』と化す。
震える手の内の切なる誓いは男に伝わるだろうか。

金貨と服一着と、それよりも軽い少女の抜けがらを残して、飛行機は轟音と共に城を離れ始めた。
386 :【NEXT】 [sage]:2016/01/13(水) 01:37:17.68 ID:uB1gp9lR0
>>364

ぅ.........ぅうん.........?

【座席を通して伝わる振動により、浅い眠りから覚める少女】
【道路が舗装されてないあたり、どうやら相当街から遠ざかったのだろうと推測する】

行き過ぎなぐらいだよ......こっからどう戻るつもりなの?

【少女は呆れた様子だ】
【軍人の体力があれば戻れるのかもしれないが、少女は一般人並みの体力しか無いのだ】

この車は燃やす、つもりでいたけど......もう放置でいいかもね。ちゃんと隠せばこれにたどり着くまで相当かかるだろうから、逃げるなり顔変えるなりするには十分な時間はあるだろうし。

【若干の適当さが感じられる口調】
【それもそのはず、頭の中では「ここからどう帰るか」という事で一杯なのだから......】

//いえいえ、細かいところを気にしてしまいこちらこそ申し訳有りません
387 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/13(水) 01:44:10.35 ID:LBjIBrPfo
>>385

それは、まるでこれから悪の巣穴に行くと言うには、余りにも締まらない挨拶だった。思わずそれに噴き出してしまうほどに。
ああでも、然しそれでいい。少なくとも今は、彼女はそれでいい。無能な上官に引き摺りまわされるよりは、可愛げのある間抜けな部下に足を引っ張られた方が。
軍帽を取る。大きな火傷痕が残った男の顔が内部の照明に晒されて、人間味に溢れた彼女へと。

「いや、締まらないな。嗚呼、締まらない―――――――――――― なんだ、それは、全く」

「俺の名は、レナート・コンスタンチノヴィチ・アスカロノフ。これよりお前の上官となる曹長殿の名前だ」
「よく覚えておけよ―――――――――――― "リーゼ"」

緩やかな笑みと共に、親しみを込めたそう言った。親しい友人か、或いは家族にそうするかのように。
曹長、と呼ばれるのも久しぶりだった。随分と前の話―――――― 何十年も前から、久し振りに今、そう言われた。
それがまた可笑しかった。然し訂正はしなかった。折角、その時の話をして、そう呼んでくれたのだから、訂正するのも野暮であると言うものだろう。

そうして、差し出された一本の筆。それは唯の筆であるように見えて―――――― きっとそれは、彼女にとっての誓いでもあるのだろう。
だからレナートは、差し出された筆を、丁重に受け取った。たった一つのちっぽけな、然し少女の誓いと、そして力の象徴であるそれを。
それから、少しだけレナートは考えた。彼女にもらうだけ、と言うのも、何となく座りが悪い……故に、脱いだ軍帽を、彼女の頭へと被せてみせようとするだろう。

「なら、俺からはそいつをやる。今時の若い子の趣味何て分からんものだから、趣味に合わなかったら悪いがな」

異能の欠片も存在しない、数十年前の量産品の、古臭い軍帽であるが。然し男には、それくらいしか渡せるものなど持っていないものだから。
だから、それが。彼女の"誓い"への返礼と。それを確かに受け取った、という証明にして。


夜闇に溶け込むように。然してそれは夜闇すらも切り裂くように、空を突き進んでいく。
向かう先は住処ではあるが、然して安住の地には程遠く―――――――――――― きっと、それはほんの僅かな空白の時間なのだろう。


/キリもいいので、こんなところで〆でどうでしょうか……!!
388 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/13(水) 02:06:46.55 ID:FCCD9haU0
>>387


「慣れない事はするもんじゃないですねぇ」

傷だらけの将校と新兵は、顔を見合わせて笑い合う。
斯うしていると親子の団欒にも似た温もりは固い鉄の床に殊更に木霊する。
こくこくと、名前を呼んでもらえた時は心底嬉しそうに、頬を赤く染めて頷いた。

「そんな……嬉しいです、すごく」

誓いの証明に被せられたのは彼の温もりの残る軍帽。
有り難うございます、と喉に詰まる声は感極まって。緩めさせられた涙腺は決壊寸前である。
視界を半分隠してしまう軍帽は、少女の頭には少し大き過ぎて。
直ぐにずれ落ちる其れを右手で押さえて、左手を額に付ける。

全てを捨てた少女に、一つぽっちの宝物が出来た。

「えへ、似合いますか?」

はにかんだ敬礼をする姿は、大人の装束を貰って喜ぶ子供のようで。
似合わない姿で嬉しそうにおでこを撫でる姿は、みるみるうちに空の彼方へと遠ざかっていった――――


/私の方はこれで〆とさせてもらいます
/二日間お付き合い頂きありがとうございました!
/何度も遅くなって申し訳ありませんでした、お疲れ様でした!
389 :【殲滅指揮】≪ガンパレード・オーケストラ≫ [sagasage]:2016/01/13(水) 02:20:11.08 ID:LBjIBrPfo
>>388
/絡み乙でしたー!!
/こちらこそ二日連続で夜遅くまで付き合って頂きありがとうございました、楽しかったです!
/ありがとうございました!!
390 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/13(水) 18:00:07.91 ID:s9mybfqE0
>>384
「任せろ。こう見えて勘定にはうるせえんだぞ俺は」

内心、思ったよりも青年がしっかりしていて残念だと思ったのは言うまでもない。
ただ、気乗りのしない仕事ではない。だからこそ、やりがいは充分にある。

ケラケラと笑うと、途端何かを思い出したかのように青年に話す

「んでよ、今んとこどんだけお前は“お前”のこと分かってンだ?」

流石に何も情報が無いままでは、辿れるものも辿れない。
男はどの程度“彼”の情報が彼に集まったのか、訊いてみる。
391 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/13(水) 20:34:28.40 ID:rpCAFiWHo
>>374
 届かなかった手をみて、そして楽しさに緩む顔を見て。
からかわれていると感じた少年は、アルフィラの言葉に対し距離を詰めることで対応する。
言葉はムキになっているように聞こえるが、距離を詰める選択は間違っていない。
後ろはすぐに壁がある。左右に避けようにも、距離が近い。手を伸ばせば角に届くだろう。

 ならば、このまま触れるのか。それは少年の度胸によるだろう。
詰め寄る少年に合わせて前に出る。
伸ばされた手の横を角がすり抜ける。
頭はそのまま少年の顔の横。まるで耳打ちするような距離。
体の位置も近く、もはや傍から見たら抱き合う寸前だろう。
物怖じせず、抱きつくように手を回せば容易く触れるであろうその距離。
アルフィラは少年の呼吸が、恥ずかしさやら何やらで早くなったのがわかる。

 そんな少年の姿に、輝きとは違った”面白さ”を覚えた。
なるほど、からかい甲斐のあるとはこういうし人間のことだろうか。

「ほらほら、ここからどうするの?」
「角はすぐ隣にあるわよ」
「でも、変な所に当たっちゃうかもね?」

【ゆっくりと、耳元で囁く】
【腕を回せば簡単に触れる位置に角はある。しかし、下手に動けば体が触れ合う距離だ】
【……ついでにこの女、いつものごとくチューブトップとホットパンツと露出が多い】

だから少しからかってみることにする。
392 :【0】 [sage]:2016/01/13(水) 21:23:14.55 ID:xJlHfWH0o
>>390
「…………」

『自分の事をどれだけ知っているか?』まるで禅問答のような質問だが、この青年についてはそうでもない。
抽象的な物で無く、ハッキリとした具体的な事を言える筈だ、ただ単にここ最近の記憶について語ればいいだけなのだから。

「オレは3日前、ぶっ倒れていたところで目が覚めた……廃棄物置き場だ」
「それが今の所『一番古い』自分の記憶……名前も家もわからない」

本当に、自分について知る情報は少ない、廃棄物置き場で倒れていたという記憶だけだ。
それを語ってから、両手を挙げて両掌を男に見せる、両方の掌に、黒でQRコードのような物が刻まれていた。

「そして両手にはこの模様……油性ペンで描いたとかじゃない、刺青がなんかのように肌に刻まれていた……」
「見た所『QRコード』のようだったが……携帯を借りて読み込んで見ても何も反応はなかった」

「それと……この両手で触れた物の『何か』を0≠ノ出来る能力がオレにはある」

青年が話している内に、男の手に持つ缶コーヒーに変化が現れた、冷たいアイスコーヒーだった筈が、いつの間にかホットコーヒーへと変わっている。
じんわりと暖まったのではなく、『元からそうだった』かのように、突然暖まるのだ、缶も中身も、『元のホットコーヒー』へと戻った。

「例えば……そう、物の温度とかを、0≠ノ出来る……一時的に」
393 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/13(水) 22:04:34.32 ID:s9mybfqE0
>>392
手の内に触れる温度が上がるにつれ、男の頭は反比例に冴え渡る。
青年がチカラを持つ―――つまり、能力者という可能性は、これっぽっちも脳に無かった。

「モノの温度をゼロにできるだけじゃねえんだな。はは、こいつァすげェ」

ポンポンと両手でお手玉するように、缶コーヒーを冷やす。
温かくなったのはありがたいが、話は余計に拗れた。

「……ハァ、こりゃちょいと難航するかもしれんか」

能力者を知っている者は、その殆どが能力者であることは男の経験から裏付けされている。
そして、それが往々にして―――厄介な相手だということも。

「まあ、逆にお前を知ってる奴の範囲は狭まったか。廃棄物置き場だな、了解した」

さらりとジャケットの内ポケットから手帳を取り出し、そこに何やら記した。きっと彼の情報のことだろう。

「他、何かあるか?」
394 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/13(水) 22:12:23.46 ID:b2xLUB3UO
>>391
「あっ……」

また躱される。
そして、先ほどよりも距離が近づく。もはや、ほとんど密着していると言っても良いようなものだろう。
まずい、気を確かに持たなければ。男子高校生としてはとてもおいしい思いをしているなどと考えている場合ではない。
本当に、こういった事には縁がないから、慣れない。
耳元で囁く声。ぞくり。背筋がサーッとするのを感じる。勝手に胸の鼓動が高鳴り、呼吸が早くなっていく。顔が熱を帯びていくのも分かる。

「ちょ、ちょっと、これ以上はまずいですって!」

向こうからすればからかっているだけなのであろうが、こちらとしてはそれでは済まない問題だ。
女性に関してはほとんど無縁だったのに、いきなりこんな事をされては否が応でも初々しい反応を見せてしまう。
しかもよく見ると露出が多いような……いや見るな。考えるな。
気を確かに。角はすぐ隣にある。これに触れれば良いだけなのだ。何も考える必要はない。
このままおもちゃにされるのは、僅かに存在する男としての矜持に関わる。

「ぼ、僕はそんな物言いになんか屈しませんから…!」

変なところに当たらないように、慎重に手を伸ばす。
何か変な事をしてこなければ今度こそ手が届くはず。とにかく早く解放されたい一心であった。
395 :【0】 [sage]:2016/01/13(水) 22:23:53.21 ID:xJlHfWH0o
>>393
「そう……例えば、今アンタに触れればアンタの体重とか、握力とかも0≠ノ出来る」
「そのせいか『数字』が見えるヤツがたまにいる、相手の頭に上にボーッと浮かぶ数字が……恐らくはそいつの能力とかに由来するものだろうが」

そう言って、挙げていた両手を降ろす、自分ですらこの能力を持っていた事を知ったのは最近だ、いや、忘れていただけかもしれないが。

「それと、あと……肩の関節が柔らかい」
「こうして、腕を上から後ろに回してェー……」
「そのまま手で腋を隠したり出来るぜ」

難なく実践してみせるが……多分、これは大した情報ではない、地味に凄いけど。

「今分かることはそれだけだ、本当にそれだけ、住んでた家もわからないから今はD.O.T.Aって所に保護して貰ってる」
「それと……これは情報じゃなく、頼みなんだが……」

「オレはオレの事を知らない……だからオレの事を知りたいと思っている……それが『どんな事実』であってもだ」
「だから、もしアンタがオレよりも先にオレの真実を知ったなら……何一つ包み隠さずに伝えて欲しい……」

頼みと称して、真剣な眼差しを男の目に向けて語る、『どんな真実でも隠さないで欲しい』と。
自分の知らない自分の過去が、例えどんなに幸せだったとしても、不幸だったとしても、善くあったとしても、悪くあったとしても、性善でも、邪悪でも。
それが『真実』であるなら、知る必要がある、過去の自分がどうであれ、それは自分なのだから、と。
396 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/13(水) 22:25:32.31 ID:E88fbrpEo
>>386

【少女はどうやら目覚めたようだ】
【森のなかはどこまでもオフロードだ、地面の凹凸は激しく】

「ああ、起きたか。
いやー、森のなかなら見つからないと思ってね。」

【装甲車を乱暴に止めた後、ドアから降りる】
【その後、あたりを見回して】

「うーん、ちょっと行き過ぎたかな・・・?
確か、来る途中にいくつか集落があった。泊まり場所でも探すか?」

【この軍人、どうやら警察が嗅ぎまわっていると思っていないらしく】
【とりあえずは歩こう、と少女に言い、元来た道を歩き始める】
397 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/13(水) 22:41:55.03 ID:rpCAFiWHo
>>394
 少々からかいすぎただろうか。少年はもはや一杯一杯とだと分かる声で制止してくる。
そういえば、前手合わせした男も些細な事で慌てふためいていた。
そう思考を脇に外していると、視界の端に慎重な様子で手が角に伸びているのが映る。

 状況に流されず最初の目的を達成しようとしているようだ。
どちらかと言えば、引くに引けなくなったような様子でもあるが。
不安定な精神状況の中で全力で自制し、手を伸ばしているのだろう。
からかいすぎたし、遊びは十分に楽しめたのだ。もう避けるつもりは無い。

【伸ばされた手は、無事に角に届く。途中、どこかしらの鱗に触れたかもしれないが】
【角は磨かれた象牙のような肌触りで、チンケな作り物のようにプラスチック製というわけではない】
【更に言うならば、角は頭に固定されているように動かない】
【また鱗も硬く、擦れた程度では決して落ちたりはしない】
当然だろう。この角は頭から生えているものなのだから。鱗は、皮膚の代わりりあるものなのだから。

「学生くん、おめでとう」
「とりあえず、聞きたいことはあるの?」

【少々距離をとり、質問があるかを問う】
【未だに笑みが浮かぶ顔は、今はどこかしら満足そうだ】
398 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/13(水) 22:43:48.96 ID:s9mybfqE0
>>395
聞きながら男は、青年の能力についてのメモを書き残す。そして。
……彼は手帳にそれ以上、何も書かずに閉じた。そして懐へ押し込む。
やはり関節云々は余計だったらしい。

「わーったわーった、皆まで言うな。やる事はやってやる」

……しかし、D.O.T.Aか。彼処に厄介になってるのはどうも動き辛いな。
青年と話しながらそんな風に考えるが、それはまた後に考えれば良い話だと切り替える。

「んじゃまあ、とりあえず今日のところはこれ貼ってきてくれや。先払いってことで」

と言いつつ、持っていた数十枚はある例の張り紙と、養生テープを青年に渡す。
そして、―――男はふわりと宙に浮く。

「あ、一枚はお前が持っとけ。何かあったらそこの番号に連絡しろ」

そして、どんどんと地上と男の距離が離れていき……。

「じゃあな、ガキンチョ」

男はジーンズのポケットに手を突っ込んだまま、飛び去ろうとする。


//そろそろ〆な感じでどうでしょう
399 :【0】 [sage]:2016/01/13(水) 22:58:05.72 ID:xJlHfWH0o
>>398
伝えられるだけの情報は伝えた、後は彼に任せる……だけでなく、自分でも探さなくてはならないのだが。
何にしろ協力者が増えた事はいい事だ、報酬については後払いなので今は考えない事にする。

「それじゃあ……」

空中に浮かび上がった男を見上げ、別れの時が来たと挨拶をする、そのついでとばかりに何やら沢山の物を持たされた。
どうやら、雑用を任されたらしいと気付き、文句を言おうとしたがもう遅い、男は空を飛んで何処かへと行ってしまっていた。

「……これ、オレが貼るのォ?」

誰もいなくなった公園に、無念の呟きが微かに響く。
でもまあ、頼みっぱなしも悪いと思ったので、帰り掛けに適当な壁や電柱に貼りながら帰った、無論敷地とか人の家とかそう言うの御構い無しで。

/お疲れ様でしたー
400 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/13(水) 22:59:14.41 ID:b2xLUB3UO
>>397
やっと手が届いた。数々のイタズラを耐え抜き、見事に勝利を手にした。
角の感触は、まさしく角と言ったもの。決して作り物などではないと思わせる程の硬度。鱗も、やはり本物としか思えない頑丈さ。
本物だ。本物の竜人が目の前にいるのだ。大昔の歴史に出てくるような竜人が目の前にいるのだ。

「凄い……竜人が実在していたなんて……」

羞恥心など抜け落ち、マコトは今、感動を覚えていた。
伝説とされている種族が目の前にいるのだ。まさしく奇跡。一生分の運を使い果たした気がした。
初めて出会った女性は強くて、かっこよくて、そして竜人だった。

「あの、お名前を教えてください。僕は早川マコトと言います」

彼は生きている伝説の名前を心に刻もうと思った。絶対に忘れないように。
401 :【NEXT】 [sage]:2016/01/13(水) 23:19:51.01 ID:uB1gp9lR0
>>396

(やっぱり帰ること考えてなかった......)

【口にはしないものの、その気持ちは深々としたため息に表れる】
【バス停まで数時間のウォーキングと朝までそこで過ごすことは確定、といったところだろうか】

こんなとこにある集落に、旅館とかホテルとかあるの......?

【下手したら一面田んぼか畑ばかりなのではないだろうか、と心中は穏やかではない】
【とはいえ、ここまで来たら歩くしかないのも事実。苦い顔をしながら軍人の後へとついて行こうとするだろう】

//一旦逃走成功、という事でここらでキンクリして〆でどうでしょうか?
402 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/13(水) 23:22:29.12 ID:rpCAFiWHo
>>400
 少年、早川マコトは竜人というものに出会えたことにとても感動しているようだ。
それもそうだろう。アルフィラ以外の竜人は、この世界の只人が干渉することが難しい所に引きこもっているのだから。
ましてやアルフィラのように人形態を取らず、竜形態で生活をしているのだ。
そんな存在を探すのは徳川埋蔵金を見つけるよりも難しいかも知れない。
 異能者であれば、発見はできるだろう。しかしその情報が、一般人まで行き届くわけが無い。
マコト少年は何かが開花しかかっている気もするが、今はまだ一般人の枠を越えられない。
正直、今この場で会えたことはまさに奇跡と言っても良い。

「竜人ってやっぱり珍しいのね」
「只の人間はコスプレって言ってあんまり信じてくれないし」
「まぁ、能力者は普通に受け入れるけど」

 感動により高まっていた精神が戻ってきたマコト少年は名前を聞いてきた。
そういえば、まだ自身の名前を告げていなかったと気付く。

「私の名前はアルフィラ」
「まぁ、よろしくね」

 自身の名前を告げる
さぁ、次の質問はなんだろう。
マコト少年は自分の何を知りたいのだろう。
そう考えると、なんだか楽しい。

「さぁ、他の質問は?」 
【次の質問を急かす】

//すみません。いつものごとく、そろそろお休みさせていただきます。
//凍結が多くて本当にすみません。
403 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/13(水) 23:58:27.48 ID:b2xLUB3UO
>>402
「アルフィラさんですね、絶対に忘れませんから」

竜人の名はアルフィラと言った。
マコトは今まさに未知との遭遇を果たしているわけだが、実際、普通の人間とあまり変わらなくて安心した。
ちゃんと人間味溢れる感情があり、冗談も言えばからかいもする。
もっと神聖なものと勝手に想像していたが、実際は外見さえ除けばどこにでもいそうな人間そのものだった。

「どうすれば強くなれますか?僕、今日の事で確信しました。強くなって、正しいと思う事をしたいです」

次の質問。それは、どうすれば強くなれるかについて。
今回の件ではっきり分かった。自分には力が足りない。力がないから、満足に正しいと思う事もできない。
だから強くなりたい。正しい事に力を使いたいと思った。
そう、結局は、マコトはこのアルフィラという女性に憧れてしまったのである。

/了解です!
404 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/14(木) 20:55:59.66 ID:SbhVfP0No
>>403
 少年は自分の名前を絶対に忘れないと宣言する。
どうやら自分の存在が、強く大きく彼の心に焼き付いてしまったようだ。

「ありがとう。マコトくんそう言ってもらえると嬉しいわ」

その言葉に嘘は無い。人の記憶に残るということが、ここまで心が満たされるものだとは知らなかった。

 そうしていると、次の質問が来る。
”どうすれば、強くなれるか” 
その質問を投げかける顔は、真剣だった。
目標を見つけた人間が見せる、揺るぎない意志。
それがはっきりと分かる瞳だった。
 この質問にはこちらも真剣に答えなければならない。
さて、どうすれば強くなれるか。
 少年は格上であっても物怖じせず、己の意志を通そうとできるほど、心は強いだろう。
まだ少々自信が足りないところも感じられるが、それは自身の力不足を知っているからだ。
ならば、体がどうか。チンピラに囲まれて手も足も出ない事を考えると、体を鍛えることは必須であろう。
しかし、自分に対して一気に距離を詰めることができるなどと、潜在能力は高い。
 そう考えると、やはり”技”を身につける必要があるだろう。
彼はきっと戦いとは無縁な生活を送ってきている。
正しく技を覚えていけば、体も鍛えられるし、自信も身につく。
しばらく考えてアルフィラはそう結論付ける。

「そうね。やっぱり技を磨くのが一番だと思うわ」
「日々の研鑽を重ね、技を磨き上げて。そうして輝きを放つようになったものは、必ずあなたの力になるわ」

 正しく磨き上げられた力は、彼を正しく導くだろう。
しかし、正しく力を磨くには本人の意志だけではなく、正しい導き手が必要だ。
そんな人間に巡り会えるかどうかは、それこそ彼の歩み次第だろう。
405 :【風馬鉄槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/14(木) 22:04:12.78 ID:HQICTzdjo
月を映す黒があった
月を映す赤もあった
月を見れぬ瞳もあった
黒金の槍騎士は己が貫いた肉塊を見下ろす
そして、月を見上げる

ああ――月が綺麗だ

細く、細い路地から見上げる月は、どこまでも美しかった
黒き槍に付いているそれと同じ赤に沈む肉塊、北方の軍服を纏うそれの瞳は――もう月を見れない
406 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/14(木) 22:18:58.78 ID:9kC0C0wOO
>>404
「技、ですか……」

当然、ただで強くなれるなんて思っちゃいない。
それ相応の努力を、鍛錬を積み重ねなければ強くなれるはずがないのだ。
今のままでは何もかもが足りない。基礎体力すらままならないだろう。これからは、体を鍛えようと思った。
今までは先の見えない日々を送って来たが、少しやるべき事が見えてきた気がする。
正義の味方を、本気で目指してみようと思う。

「もし、また今度会う時があったらその時は技でも教えてください。多分、その頃には今よりは強くなってると思いますから」

目標を見出させてくれたアルフィラには感謝するしかない。出会えて良かったと本当に思う。
次に会う時にはもっと強くなって、手合わせでもしてみたいものだ。
アルフィラとの出会いのおかげで、マコトは将来への目標を見出したのであった。
407 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/14(木) 22:31:55.45 ID:T2wKZJdZo
>>405

 翡翠色の明かりは少女から離れない。
 風に攫われることのない翡翠色。
 くっついているように、一定の距離を保って着いて行く。
 明るい翡翠色
 少女の顔は暗い。

 見上げた空は宝石を散りばめたように幾つかの輝き。
 翡翠色の方が明るさがある。
 でも、なぜかそれには惹かれない。

 翡翠色に目を戻せば、目の前には死神が――


「……こんばんわ」


 ではなく、普通の人間。
 ただし、その路地は殺人現場だった。
 ちょっとニッチな(凹んだ)気分だったのが災いとなった模様。
408 :【風馬鉄槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/14(木) 22:42:55.02 ID:HQICTzdjo
>>407
翡翠の煌き
夜空を彩る星々より明るく赤を、黒を照らす新たな光
なんだろう、と思いそちらを向けば――
そこには人間

「ええ、こんばんは」

黒き兜は挨拶を
黒き槍も挨拶を
同じ挨拶でも異なる挨拶をしようとしていた
黒金が擦れ、軋む
応じて黒き槍がゆっくり上がり――
流れ星より疾く、突き出された
409 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/14(木) 22:44:23.22 ID:SbhVfP0No
>>406
 目標を見つけた少年は、必ず強くなって行くだろう。
彼は本当に面白い人間だ。将来、どのような輝きを魅せてくれるのだろう。
彼はきっと正しく輝くだろう。彼の瞳は、正しい道を見据えているのだから。
あぁ、次に会うときは一体どのようにな状況なのだろう。
また一つ、楽しみが増えた。

 楽しい時間は早くすぎるもので、未だ学生であるマコト少年が出歩くには少々遅い時刻になってしまった。
日は既に落ち、表通りには夜の街を楽しむ者達の声が聞こえ始める。
前までのアルフィラであったら、別の気にもしないだろうが。
今のアルフィラは、これまでとは少々勝手が違う。そろそろ、帰るべきだろう。

「あらあら、もうこんなに暗くなってるのね」
「楽しい時間ももうおしまいね」
「それじゃぁ”またね”マコトくん。次に会える時が来るのを楽しみに待っているわ」

【そう言い、立ち去ろうとする。】
【何かまだ用があり、呼び止めるのならば止まるだろうが、止めなければそのまま帰っていく】

//そろそろ区切りが良さそうなので、この辺で〆でどうでしょうか?
410 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/14(木) 22:59:41.72 ID:T2wKZJdZo
>>408

 挨拶にはお返しを。
 疾駆する一陣の風。
 突き進む先には、生命。
 まだ芽吹いていない赤い芽。

 しかし、風を遮るのは、また違う風。
 新風が吹き、黒き風を横から叩く。
 新たな風は、白銀の小太刀。
 身長の低い仔虎のように身を屈め、既の所を凪いだ。

「酷いですね」

 礼儀正しい黒い人。
 武器も姿も真っ黒だ。
 その心臓も真っ黒だ。
 光る翡翠色は黒を嫌った。
 もっと輝き、一匹の蛇になって突き進む。

 一拍遅れて雷轟が鐘のように路地に鳴り響く。
411 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/14(木) 23:07:17.81 ID:9kC0C0wOO
>>409
「はい。またいつか」

アルフィラが立ち去って行くのを見送って、マコトもまた帰路につく。
いつの間にか暗くなってしまった。こんなところにいてはまたさっきのような事に巻き込まれないとも限らない。
早急に帰るべきである。

「……とりあえず、筋トレ始めようかな」

新たな目標を見つけた少年の顔は、どこか明るかった。
早く強くなれる事を祈る。また会う為に。

【現在のロール数:4】
/ではこれで〆で!連日お付き合いありがとうございました!
/また、友好的なものと見なしロール回数2とさせていただきました
412 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/14(木) 23:11:35.79 ID:SbhVfP0No
>>411
//こちらこそ、付き合っていただきありがとうございました!
413 :【風馬鉄槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/14(木) 23:14:01.86 ID:HQICTzdjo
>>410
風が、吹いた
風は風に相殺される
されど兜は、不変

「ええ、酷いです」

煌きは闇を嫌う
煌きの蛇は闇を祓わんと進撃
されど闇もまた煌きを嫌う
蛇は鎧を喰らう
されど蛇は中の彼女に僅かな火傷を残すのみ
黒き鋼の表面を流れ、僅かな熱を与えるに留まる

轟雷の中、黒金は軋む
槍は地に落ち、地を割る
紅く染まった地の欠片は光と闇の双方へ降り注ぐ
されど闇は流星群の中、動き動く
再び槍は突撃の姿勢へ、戻された
414 :【闇林禍月】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/14(木) 23:18:37.40 ID:9oMREAsmo
>>401

【とりあえず森から出る】
【舗装されてすら居ない道をすすむと】

【集落が現れる】
【建物はそれなりにあるようで】

「よーし、家はあるようだな・・・。
泊めさせてもらうか。」

【家に入り、主人に断りを得ると】
【少女を家に入れ、ともに部屋に行くであろう】

【ともかく、疲れている】
【ゆっくり寝るとするか】

//これで〆でよろしいでしょうか
//ともかく、長期間のロールありがとうございました
415 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/14(木) 23:25:01.54 ID:T2wKZJdZo
>>413
 軋む黒。
 刹那の時間に飛び退く翡翠色。
 少女に付き従う光が描く軌道。
 光と闇の間に僅かな隙間が生ずる。
 しかし、その隙間が埋まることはない。
 溝は深く、光と闇は決して交わりはしない。
 もし、交わるとすれば、

「わかってるなら、抵抗することも」

 それは、闇に火花が。
 光に黒き線が走る時だけだ。

 穂先が芽を奪おうとする。
 蕾はそれを受け止めようと、構える。
416 :【NEXT】 [sage]:2016/01/14(木) 23:39:08.97 ID:kK4FrALb0
//長々とお付き合いいただき、有難うございました。
417 :【NEXT】 [sage]:2016/01/14(木) 23:39:39.12 ID:kK4FrALb0
//安価忘れ>>414
418 :【風馬鉄槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/14(木) 23:43:29.10 ID:HQICTzdjo
>>415
翡翠は空を彩りながら退く
闇は光を穿たんと時を待つ
光は闇を斬らんと時を待つ
永遠にして、一瞬なる緊張
溝は如何なる谷よりも深い

「分かってて抵抗しません」

相容れることは、あり得ない
あるのは、一方の殲滅のみ
黒き鎧は不意に解け失せる
闇は、黒槍に吸われ失せる
黒槍は金へと変貌を果たす
現れし翠の瞳は森の如し静

「それが―正義なのだから」

金は重く、されども疾く迸る
そこに、撃滅の風を侍らせ
黒き守りはもうここにはなし
此は光を穿つ一刺しにあり
419 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/15(金) 00:02:16.40 ID:13OjvA5do
>>418
 黒は金へと姿を変える。
 大きく変わりしその姿。
 闇に映える金と翠が混じりし一つ星。
 一つとなりて、光を穿かんと疾く動く。

「正義、か」

 構え、待ちの姿勢の翡翠色。
 金となった槍の言葉に呟く。
 一瞬あとには芽を摘んと風が過ぎる。
 しかし、翡翠色は目を瞑る。
 己が意識を内側へ。

 途端、翡翠色の輝きが不意に小さくなる

『ならその正義、私の正義を持って制そうじゃないか』

 刹那。
 目が見開かれ、翡翠色は風となる。
 少女に引かれ空を切り裂く翡翠色の剣閃。
 その細脚は雷光の如く地を蹴り砕く。

 翡翠の光線が金の一つ星と激突する。
420 :【風馬鉄槍】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/15(金) 00:18:12.27 ID:gCfadeqo0
>>419
金色と翡翠は相容れぬ
重く、流星が如く駆ける金色
待ち、光線が如く駆ける翡翠
激突は破壊の新星を産み出した
風が蹂躙し、雷光は彩る
細い路地は巻き込まれ破壊に晒される――


破壊が消滅したとき、既に彼女に生はない
雷は、槍を伝い身体を蹂躙し尽くしたのだ
しかし――笑っていた
どこまでも、満足げに笑っていた
そして、金色の聖槍は砕け散った
月は――変わらず綺麗だった


【風馬鉄槍】 死亡


//こんなところで、短めですが〆で…!ありがとうございました!すごく楽しかったです!
421 :【一刀雷世】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/15(金) 00:31:16.23 ID:13OjvA5do
>>420
 砕かれる槍。
 切り裂く刃。
 幾多の轟音鳴り響く路地の中、静寂が徐々に支配しようかとする。
 その中で翡翠色の輝きが弱く、
 しかし力強さをもった輝きを灯らせていた。

 膝を屈し、血を流し、唇を噛み締めながらも地に足をつけて立つ。
 静けさの中でも、蕾は咲かなかった。
 赤き水を吸って咲く花ではない。
 月の光を浴びて咲く花ではない。

「……」

 鈍い音を奏でながら剣を収める。
 翡翠の輝きで照らされた路地の中。
 黒であり、金であった彼女の、満ち足りた顔。
 一瞥するその背中を、翡翠色が追順する。

 路地裏に静寂が満ちる。
 月の明るさだけが、眠る彼女を優しく照らす。


//とっても楽しかったです! 乙です!
422 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/15(金) 20:29:07.09 ID:A62nB06Q0
夜に沈みゆく"街"。
冬ともなれば早くの内に陽は暮れ、既に空は闇に包まれ、幻惑的に浮かぶ月光ばかりで彩られていた。

繁華街。様々な店が立ち並び、闇の中においても煌々とした存在感を示す場所。
やはり夜であっても活気は多く、様々な人は、凍える大気から己の安住の地へ舞い戻らんと、急ぎ足で行き交っている。
その中に混ざり、今まさに立ち並ぶ店のひとつを出たばかりの、なんの事もない人物がいた。
彼もまたそんな群衆の中に混じり、おもむろに歩みを進めていた。

「Sjå på deg nå,Sjå på deg nå.Sjå på deg nå,Sjå på deg nå……♪」

異国の歌を口ずさみながら歩くのは、闇に溶け込むような黒衣をまとう、銀縁眼鏡の男性であった。
両目の色は左右違いで、青と紅を為している。その両手には、満載に服を詰め込んだ袋を持っていた。

長身の彼が着るには、その服のサイズはいささか不足しているように思える。それは、彼が会うべき者の為に費やされたものであった。

「……ああ、寒いものだな……サイズが合っていれば良いが……」

独り言を呟く口が、白い霧を吐き出す。
気温は一桁。彼の母国に比べれば随分とぬるいものだが、それでも肉体は寒さを訴える。
彼は腰の水筒を取り出し、中の高度数な酒類を口にした。

「フゥ。………」
「………Sjå på deg nå(今から貴方に会いに行く)か……我ながら、随分と思い入れがあるらしいな……」

静かに、思案にひたるような呟きを漏らせば、ふと頭上を見上げる。
ネオン・ライトに挟まれた街路の上には、それでもなお何者にも負けじと輝く、ただ強かな月ばかりが浮かんでいた。

━━━━━━彼が紅い瞳にその輝きを映し出した、まさにその時であった。

「……うッ……Ah……あ、hhrgh……」

不意に男が、苦しそうに頭を抱える。
とても不穏な呻きを上げれば、一頻り収まったように前を向く。
だが、その顔色は明らかに青ざめている。左眼の紅の光は、より強まっているように感じられた。
彼は先程までの呑気な様子から一転して、何か追い詰められているかのような口調で苦しむ。

「ウゥーッ、Urrrgh、……もう"渇"くとは……!不完全解除の弊害か……!」

彼は息切れしたように、苦しみと戦うように呻く。あまり人目につかぬよう、道の端に移動していた。
此処で発作を起こす訳にはいかない。……これだけの人がいるのだ。
もっと遠くへ。誰もいないような場所へ行かなくては……

「フゥーッ、フゥゥウrrrrrrrrrgh,Urraagh……!!!、ハァ、ハァ……」

頭を抑えながら、買い物袋を手放す事なく、付近の路地へと駆け込んで行く。
彼処で"渇"が去るのを待ったら、すぐに輸血を乞わなくては。
……きっとそこに、誰かが居たら……私には、抑える事は出来ないから。


彼は非常に苦しそうな素振りを見せつつも、何とか人気のない暗がりの広場へ移動する事に成功した。
……だが、彼は繁華街で少しばかり大きめに苦しんだ。もし、誰かが心配して後を付けて来ていたりしたら……
もしくは、元よりそこに、誰かが居たのならば。

━━━━━━その者は、彼の"獣"を垣間見る事になるだろう。




423 :【剛毅羅刹】人外級の怪力 [saga]:2016/01/15(金) 20:43:16.71 ID:dgpwWN2H0
>>422

【暗がりの広場にて、一人の男が立っていた】
【半袖の赤い服を着て、200cm以上ある身長、筋骨隆々の肉体を纏っている】
【何故、ここにいるのか】
【それは、彼が正義を信じるものであり、日ごろのパトロールを行っているからだ】

「何か居る可能性もあったが、いないか」

【と、そこで、眼鏡の男性がやって来た】
【かなり苦しんでいるようだ】

「おい、どうしたんだ?」

【男は眼鏡の男性へと歩み寄った】

//ども、よろしくっす
424 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/15(金) 21:32:27.04 ID:A62nB06Q0
>>423
未だ残っていた理性、置き去りにされつつある"人間"は、今際の間際に驚愕の色を見せる。
まさか、こんな所に人が居るとは。その脳内を一瞬で駆け巡るのは、絶望、否定、拒絶。
そして彼は呻き声を上げながら、その目に映った男を直視した。

「……人……!?駄目、だ……ヴゥッ……ウゥァ、Gurrrrrrgh……!!!」

節々に、必死に言葉を紡ぎ出そうとしている。
まさしく息も絶え絶え。想像を絶するほどの苦しみ方であるが、その必死さは、己の危機に際しての命の危険からではなかった。
それは、相手に求める勧告。己の本性に曝されれば、如何なるかわからない。
彼は安全な、比較的広場から離れた路地のあたりに袋を投げ捨てる。それと同時に、彼は膝をついて男を見る。
恐ろしい程にギラギラと輝く左眼の紅は、まるで危機を知らせる警報のようであり。
その瞳は、まさしく獣の瞳であった。

「……FLYYYYYYYYYYYCT!!!!!!!!」

"逃げろ"。
最後の最後に、人間が発した言葉は、ただそれだけ。
しかし目の前で起こる事象は、そんな簡潔なフレーズを何よりも体現しているように思えた。

「ヴウゥゥゥウウヴアhhhhhhgh……!!,ァッアァァアアAhhhhhhhhhrrrrrrrrrgh!!!!!!!!!!!!!!」

人の呻き声は、やがて人ならざる聲に。
理性の青瞳は裏返り、血の紅瞳は、尚夥しく生命を宿す輝きへ。
その獣は、羽織った上着の後ろから、不意に武器を取り出した。

「UrrrrrrrrrrrrrrrrrAaaaaaaaaaagh!!!!!!!!!!!!」

"鋸"。無数の返しの刃が付けられた、余りにも乱雑なその凶器を、彼は徐に振り抜く。
ガチャリ。折り畳まれていた柄と刃は直線を為し、ひとつの"鉈"となる。

それを駆る人間の姿は、最早人間ではない。
その紅い瞳は、何よりも欲に忠実で、何よりも凶暴で、何よりも荒々しい目付きを男に向けていた。
まるで━━━━━━━"獣"であるかのように。

血。
獣は、眼前の男の体内に存在する血の匂いを敏感に嗅ぎ取っていた。
溢れるほどの生命力。暖かく実りを齎すそれを一手に求める。男はただ、獣と成り果てていた。

「Ahhhhhhhhhrghhhhhhh!!!!!!!!」

獣は吼え、不意に武器を構える。
眼前の男に向けて真っ直ぐに走り、その凶悪な刃で以って、標的の血を接収するために。

/お風呂に入っていて遅れました……よろしくお願いします!
425 :【剛毅羅刹】人外級の怪力 [saga]:2016/01/15(金) 21:48:59.99 ID:dgpwWN2H0
>>424

【“逃げろ”と】

「?」

【それから、彼は人が変わったかのように変貌した、“獣”のように】
【こちらへ向かってくる獣】
【彼は鋸を取り出した】
【彼の攻撃手段は察するに鋸だろう】

「っ!?」
【腕を鋸で斬られた】
【かなり凶悪な武器らしい】
【出血がひどい】

【生憎、男も一筋縄で負ける気はない】

「元々は、マトモな性格だったのか?まあいい。お前もそんな不確定要素で生まれてきたことを恨んでくれ」
【男の力は桁外れだ】
【5トン近くのものでさえ持ち上げることが出来る】

「行くぞ、俺の必殺技を」

【男は小手調べも何もせず、いきなり必殺技を行う】

【地面に力いっぱい拳を打ち付けて巨大な振動を生み出す、一般人なら平衡感覚が追いつかずに動くことすらままならないだろう】
【その後、相手に向かって連打を浴びせる】

【獣にそれが通用するかは分からないが】

//では、よろしくです!
426 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/15(金) 22:01:40.76 ID:A62nB06Q0
>>425
今此処に顕現している"獣"は、彼の内なる本能だ。
本能は、生命と密接な関係にある。本能が存在するからこそ、人は生命維持のために食事をし、睡眠を摂り、欲を満たす。
この状態は、その"生命への執着"が極限まで突き詰められたものだ。

故に。生命を脅かしかねぬ危険に対しては、獣は非常な敏感さを見せる。
男の恐るべき肉体の隆起。そのパワーを感じ取ったのか、男がその拳を地に打ち付けるより前に、獣は後方へと飛び退いていた。
それも、異様なまでの身体能力。何らかの能力の類であろうか。

「Urrrrrrrrrrgh……」

一定距離を離した獣は、それに続く乱打も回避し、その紅に光り輝く瞳で男を見る。
凄まじい力である事は見ればわかる。この状態のまま、全ての血液を搾り取る事は難しかろう。
……もっと、力が必要だ。

「……"ligbrænding"……」

先ほど男が腕から噴き出した血。彼の衣服に付着していたその液体は、獣の呪詛と共に一瞬にして蒸発した。
代わりにもたらされたのは、獣の筋肉の著しい隆起。ビルドアップしてリベンジを行うつもりだ。

「Grah!!」

乱打が収まったスキを見て、獣は鋸を手に飛びかかる。恐らく相手は一撃重視、ならばヒット・アンド・アウェイの戦法が最適だ。

だが、同じ手が何度も通用するであろうか。獣の動きに見られる踏み込みの速度とパワーは、先ほどよりも格段に上昇していた。

427 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/15(金) 22:04:56.93 ID:4iuvoVMYo
 夜の公園。外灯に照らされたベンチに、一つの人影が座り込んでいた。
両脇には大きなコンビニ袋が置いてあり、その中には大量のスナック菓子が入っている。
そう思っていると、その人影はその中から一つ取り出しだす。

「やっぱコンビニって便利だわー。お菓子がいつでも買えるし」

 そう独りごちると、封を開けて菓子を食べ始める。
その声は少女のものだった。外灯に照らされた姿も、少女のものだった。
家出少女だろうか。昨今であれば珍しくはない。

 家出少女にしては、荷物が少ない。
両脇のコンビニ袋しか持ち物がないように見えるし、その中にはお菓子と炭酸飲料だけ。
今時の必須アイテムであるスマホを持っているような様子もない。
 何より、家出少女であればこのような場所には来ないだろう。
この公園は治安が悪い。しばらく前は不良などのたまり場となっていた。
しかもついこの前、異常な殺人事件があり、常人どころか奇人変人でさえも寄り付かないだろう。
 こんな公園に来るのは、よっぽどの脳天気か、やましいことのある悪人か。
その何方でもなければ、何事も歯牙にも掛けない力を持っている自信があるか。だろう
428 :【剛毅羅刹】人外級の怪力 [saga]:2016/01/15(金) 22:12:58.25 ID:dgpwWN2H0
>>426

【獣は男の技を見切り後ろへ跳んだ】
【異常なほどの俊敏さだ】

「まさか、何人もの悪党を屠ってきたこの俺の技を見切る奴がいるとはな」

【獣がこちらへ踏み込んでくる】
【それからは、スピードとパワーの上昇が伺える】

「あくまでこちらに突っ込むだけか。遠距離攻撃を俺が使えないと思うか?」

【怪力を持つ彼の二番目の技】

【地面を抉りながら前へ拳を突き出す】
【コンクリートの破片を掬い取りながら、拳が上へ持ち上がった】
【勢いそのままに巨大なコンクリートの破片が獣へと飛んでいく】

【拳を振り上げた男に、大きな隙が生まれた】
【当たれば通常なら骨折は免れないが・・・】
429 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/15(金) 22:26:30.09 ID:A62nB06Q0
>>428
「Uuuuah!?」

ただ愚直に突っ込むその行為が悪手であっただろうか。
獣としての本能は、直線的な動きしか生まないのだろうか。
兎にも角にも。獣は、男の投げたコンクリート片……すなわち男の隠していた手の内にまんまと引っ掛かったのである。

「……Ur……Urrrrrgh……」

結構な距離を吹き飛ばされたが、直接攻撃でなかったのが幸いであったか、獣は徐に立ち上がる。
だが、彼方此方を負傷しているように思える。脆いものだと思うだろう。
……だが。

「"Genopliiiiiiiive"………」

獣が、身体の露を払うように腕を振る。
その瞬間、彼の肉体に付いていた傷跡は、忽ちの内に"回復"して行くではないか。

「Urrrrrrrgh……!!」

これは紛れもなく"能力"だと、そう断じる事ができるだろう。
彼の叫びはより大きくなる。だがその声は束縛に苦しむ囚人の、命を求める果ての悲痛な叫び声のようにも思えた。

「Uhhhhhhgh……」

獣は考える。
迎撃されるなら、迎撃よりも早く。
視認されるなら、視認よりも速く。
対応されるなら、ルートを変えて。

「"Beklagelse"!!!!!」

鋸の鉈を構え、獣は再び飛びかかろうと、またしても真っ直ぐに走り出す。……が。
"速い"。獣の踏み込みは、先ほどに比べて数倍以上と思えるほどの、常軌を逸した速度・パワーで以って行われた。

恐らく獣は、一瞬にして男に近付くだろう。
それに対して反応し、迎撃するか。はたまた回避行動を取るか。
もし回避が叶わなければ、鋭利かつ凶悪なノコギリの刃が、男からさらなる血を溢れ出させんと襲いかかるであろう。

430 :【剛毅羅刹】人外級の怪力 [saga]:2016/01/15(金) 22:38:31.38 ID:dgpwWN2H0
>>429

【コンクリート片は見事に獣へぶつかる】

「決まったな」
【男は勝利を確信した】

【しかし、信じられない光景を見た】
【回復したのである】

「な!?化物か?」

【獣の速度・パワーは更に上昇している】
【目で追うのもやっと・・・】

「似た攻撃を!」

【男は再び相手の攻撃を封じるべく地面に向かって拳を振り上げようと――】

【したが、間に合わない】
【咄嗟に先程傷を追った左腕で庇う】

「うおぉ!」

【かなりの激痛】

(ここは一旦退くか)

【なにせ、速度で負けている】
【男は再び地面へと右手で全力の拳を打ちつけた】
【あの獣なら後ろへ跳んでくれるかもしれない】
【それなら距離をとれる】

【その後、獣へと気配を向けつつ、後ろへと下がりだす】
【追い討ちをかけるのは難しくないだろう】
431 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/15(金) 22:56:20.11 ID:A62nB06Q0
>>430
その速度を化物のごとく強化するのもまた、彼の能力。
瞬間的に、血の生命力を数十倍にまで活性化し、あの様な機動を実現したのだ。
だが、使う毎に体力を削られる。ゆえに、その濫用は出来ない。

「Grrrrrrrgh……」

獣は、再びその身に血を浴びる。
続く第二の震動波は、男の読み通りに獣はそれを飛び退きで回避する。
知能はある。しかし人間よりも応用が利く思考回路ではないらしい。
何よりその獣は、本能であるのだから。

「Urrrrgh……Uhhh」

対峙。
間合いの取り合い、睨み合いがしばらく続く。
獣はその裏で思考する。これほど力を持った敵とやり合って、果たして押し勝つ事が出来るだろうか?

……リスクが高すぎる。十分に血も得た。
獣はやがて、そう結論付けた。

「Grrrhhhhhhh!!!」

獣は不意に、男から大きく距離を開ける様に飛び退く。
その先には、それが人間であった時に広場に置いていた袋があった。獣はそれを手に取り、片手にノコギリを持って男を睨む。

本能だけの意思と化してなおその袋を手に取るのは、内容物、あるいはそれを宛てる者への、余程の執着があるのだろうか。
だが、それも男と獣には関係のない事だ。
獣は男を睨み、警戒を解かぬままジリジリと距離を離していく。

そして……あるタイミングで、獣は不意に背中を見せて逃げてしまった。
その先は、路地のさらに奥深く。人などほぼ居ないような、入り組んだ辺境の路地裏であった。

//少々早めですが、この辺で〆でいかがでしょう?
//絡んでいただき、ありがとうございました!
432 :【剛毅羅刹】人外級の怪力 [saga]:2016/01/15(金) 23:03:06.61 ID:dgpwWN2H0
>>431

【獣は背を向けて走った】

「助かったか」

【男は緊張を解く】
【それから、戦闘の事を思い返した】

(俺の技が二つも効かないとはな・・・)

【正義と筋肉を信じる者が無上の力を手に入れることが出来る】
【しかし、まだ敵を倒せなかった】

「俺も研鑽の必要がまだあるな・・・」

【その後、腕を治しに病院へと向かった】

//時間がきてしまいましたのですいませんー!
 明日に持ち越すのも個人的にアレでしたので・・・
 絡みありがとうございます!お疲れ様でした!
433 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/15(金) 23:11:38.89 ID:QKEYy+suo
そこは『秘密の通り道』であった場所だ。
とある林道、一台の車が走って"いた"。黒塗りの頑丈な車で、スモークが貼られた扉の先には、『帝国』の陸軍大佐が乗って"いた"。
然し今、その全てが過去形だった。黒塗りの車はライトを付けたまま停止していて既に進む事を忘れている。
その中に乗っていた少数の軍人は首を?っ切られて死んでいた。同じく陸軍大佐も同様に、首を斬られて道端に打ち棄てられている。
そしてその胸元には、『斬奸状』と筆で書かれた、血に塗れた一枚の書状が乗せられていて。

「―――――――――――― これで十本目。頑丈だ、剣士を名乗るだけの事はあるわ」

一人の男が。帝国の陸軍軍服を着て、黒い袖なし外套を身に纏い、軍帽を被った男が、血に塗れた黒塗りの刃を振り翳して立っていた。
男の目の前には、ひとりの軍人が倒れ込んでいた。同じく帝国の軍服を身に纏った、二十も前半の若い女。腰には、空になった刀の鞘を携えていた。
その男の遥か後方には、一本の刀があった。恐らくは由緒正しい、見事な太刀であったのだろうが、それは然し今では中途から無惨に圧し折られている。
直前まで、男は女の腕を握り締めて、持ち上げていた。そうしている間、女は幾許かの間隔を空けつつ、何度も何度も大きく長い悲鳴を上げていた。
男がその腕を離せば、女は支えを失ってそこに倒れ込む。其の手には―――――――――――― 一本の指も、残されてはいなかった。
男の足下には、律儀に、数えて十本。女の物であっただろう、細く、しなやかな指が落ちていて。

「そうでなくちゃ困る、そう簡単に死んでもらっちゃ困る」
「もっと、もっと"喰らえ"。お前達が『外道の剣』と罵った俺の剣―――――― "死ぬまで"なぁ」

そうしてまた、持ち上げられた刀は、相手の"右腕"へと押し当てられた。
何度も何度も肉を刻む。その度に上がる悲鳴に、表情一つ変える事無く。その刃は、その瞳は、唯々憎しみに塗れていた。
434 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/15(金) 23:17:45.03 ID:eDbpUgAko
【夜の公園にて】
【ブランコには一組の男女が座っていた】
【一方の男はおっさんで、もう一方の女は女子高生くらいか】
【そんな年の不釣り合いな男女がいた】

「ルピカ、今日は良い夜だな。」
『そうですね、少し肌寒いですが・・・。』

【今日は人形の販売を終えた帰りだ】
【ちょっと休憩がてら、と二人でブランコを漕ぐわけであるが】

「最近はどうだ、身体とか回路に異常はないか?」
『ええ、全く。貴方のおかげで、調子は相当に優れてますよ。』

【なんて、人間に話しかけるにはおかしい事を言う】
【そう、女の方は本当は人形なのであるが】

「はぁ、煙草でも吸うか・・・、ルピカもいるか?」
『いりませんよっ!』

【女は差し出された煙草を男の手ごとしばいた】
【男はなぜかブランコから落ち】

「ルピカの力のほうが強いんだからよ!
 少しは加減してくれ!」
『あ、すいません・・・。』

【女のほうが力が強いのである、おかしな話だ】
【さて、こんなおかしな状況下、誰か現れるか】
【もしかしたら、警察とかに怪しまれないこともないかもしれない】
435 :【0】 [sage]:2016/01/15(金) 23:26:19.04 ID:wSljakfmo
>>427
/まだ居りますか?
436 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/15(金) 23:27:37.90 ID:4iuvoVMYo
>>435
/居ます!
437 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/15(金) 23:31:31.79 ID:WYRMpazg0
>>427
//まだいますか?
438 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/15(金) 23:31:56.22 ID:WYRMpazg0
>>437
//ゴメンナサイ。取り消します。
439 :【0】 [sage]:2016/01/15(金) 23:38:24.98 ID:wSljakfmo
>>427
何やら公園が騒がしい、元より治安が良くないにしても、こんなにあからさまに騒がしい事は珍しいのではないだろうか。
よくよく見てみれば、数人の男達が何かを探しているようだ、お互いに連絡を取り合い、周りを見渡している。
それから、暫くしてから纏まって少女の前を横切り何処かへと走って行った。

一体何だったのだろうか、と少女は思うかもしれない。もしくは、良くあることだと思うかもしれない。
何処かへ走って行った男達は、少なくとも少女に用がある訳では無さそうだった。

「…………」

彼はずっとそこに居た、少女の直ぐ後ろに、少女の座るベンチの下に、ずっと潜り込んで隠れていた。
その青年は、男達が走って行ったのを見ると、のそりとベンチの下から這い出てきた、勿論少女が座っている事など御構い無しに。

「ふぅ……ようやくどっかに行ったか……」

440 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/15(金) 23:42:16.17 ID:WYRMpazg0
>>433
「帝国行脚も大変だねえ」

車の後部座席から夜を眺め、言葉がこぼれる。
観葉植物を拾うこともあったが、まま問題は無いだろう。

で、最後の帰り道で、こうなった訳だけど。

自動車の灯りが照らしたのは、中々に凄惨な状況で。

「このまま、私が出て、話を付けてくるよ」

運転手と軽く相談をした後、扉を開け外へ出る。

「あー、そこの人、ちょっといいかな」

手元に騎士の黒駒を握り込み、話しかける。
その姿、真紅のコートに車のライトが当たり、白のマフラーを含め、彼女の姿がくっきりと照らされる。

「そこの女の人、多分死んでるよ。呼吸止まってるしね」

来るまでに、大分切り刻まれていたこともあって、標的になっていた女性は大分見苦しく
441 :【覇剣剛断】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/15(金) 23:46:24.05 ID:MKJrsjYk0
>>433
【カツン、カツン、カツン。】
【砂利を踏む音に紛れて時折響く、妙に甲高い足音が『秘密の抜け道』へ近づいていく。】
【男と女と死体しか居ないこの道、悲鳴の合間にでも足音を聞き取る事はできるだろう。】
【それから暫らくして音は止み、現れる白い髪の女】

「喧しいと思ったけど、邪魔しちゃいけない場面だったかな
 まああたしも感傷に浸るのを邪魔されたんだ、お互い様って事じゃ駄目?」

【目の前の光景――― 殺人の現場を目の当たりにしたとは思えぬ平静さで、女は語る。】
【呼吸を荒げる事も無く、青白い肌がさらに青ざめる事も無く、日常に居る人間となんら変わりない落ち着きを持っていた。】
【そして台詞の通り、男の行為を邪魔するつもりもとがめるつもりも無いらしい。】
【ここに来た理由もただ喧しかったから。小悪党のやんちゃならば皆殺しにして静めてやろうとおもったが男はそういう訳でもなさそうだ。】
【ならば事情を知らない自分が止める事は出来ない――― そういう思いが女にはあった。】

「......それとも見られたからには生かしておけぬ、とか言うのかな?」

【人斬りを前にして怯える様子はない。相手はしてやる、とそんな風の言葉すら言ってのける。】
【自信か、それとも他の何かか。】
442 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/15(金) 23:47:17.91 ID:MKJrsjYk0
>>441
//名前欄ミスです......しかも被ってました
443 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/15(金) 23:51:16.05 ID:QKEYy+suo
>>440
>>441
/おっと……こちらは三人ロールでもいいのですが、どうでしょうか?
444 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/15(金) 23:52:29.24 ID:MKJrsjYk0
>>443
//お二方ともよろしければお願いしますっ
445 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/15(金) 23:53:07.25 ID:WYRMpazg0
>>442-443
//私も3人OKです。
446 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/15(金) 23:53:21.43 ID:4iuvoVMYo
>>439
 静かなだった公園がにわかに騒がしくなった。
数人の男たちが何かを探すように、動きまわっている。
しかしそれもしばらくの間の事だった。
 公園はまた、静寂に包まれる。
その間中ずっと少女は、まぁ、そんなこともあるだろう。と得に気にも止めずに菓子を食べていた。
そうして三袋目の菓子に手を伸ばした時、足元から男が現れた。
先の男たちから身を隠していたのだろうか。
座っていたベンチの下から這い出てくる様子は、一般的な女子であれば恐怖や不快感を覚えるであろうが。

「ん?何?」
「うわっと!びっくりしたなぁもう!」

 少し驚いただけであった。
しかし、常識外の場所から出てきた男性に対しては流石に物申したいのだろう。

「ちょっと、あんた」
「そんなところから出て来るなんて、何考えてんのー?」

少々いらだちを感じさせる声で、頬を膨らましながら文句をいう。

//よろしくお願いしますー
447 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/15(金) 23:55:55.46 ID:MKJrsjYk0
>>445>>443
//ありがとうございます、よろしくおねがいします!
448 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/15(金) 23:56:15.70 ID:QKEYy+suo
>>444
>>445
/了解しましたー、それでは私の方からレスしますねー、少々お待ちくださいっ
449 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 00:05:07.15 ID:pxizp85Yo
>>446
「ん?」

ポンポンと体の土を叩いていたが、後ろから少女の驚いた声が聞こえ、漸く気付いたように振り向いた。
特に悪びれている様子はない、それどころか、人差し指を唇に当てて。

「しぃーーーっ」
「……あいつらが戻って来たらまずい、静かにしてくれないか?」

あの男達から身を隠していたという考えは、どうやらその通りのようだ、辺りをキョロキョロ見回して少女に顔を寄せ、小さな声でそう言った。
自分が驚かしておいてこの言い草である。

「悪かった、誰かが座っていた事に気が付かなかったんだ」
「あいつらが余りにしつこいもんだからついウトウトしててな……」

450 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/16(土) 00:13:07.98 ID:/nooTciZo
>>440
>>441
腕を刻む。幾度に渡って刻む。上腕から前腕にまでかけて、細かく切り刻んでいく。切断はしないように、飽く迄筋肉だけを。
右腕を終えたならば、左腕へと移行する。此処まで行けば、その悲鳴は段々とか細い物になっていく。失血も酷く、視線も定まらない程度になっている。
其処まで行けば、今度は腹を刺す。二尺六寸の黒塗りの軍刀は、易々とそれを串刺しにすると、其の体がビクリと動き、それからどろりと血を吐いた。
急速に抜けていく体温、それを刀の先で感じ取りつつ、最後に、せめてもの女としての尊厳すらも奪い去るべく、その顔に刃の先を何度も何度も往復させる。
それを終えたのならば。齎された死の温度を以ってそれを終えたならば。殺戮の残滓を刀から振り払って、左腰の鞘にゆっくりとそれを納めて。

「―――――――――――― 応、五月蠅いわ」

現れた二人の闖入者へと、ジロリ、と視線を流した。
両者ともが女であった。この血腥い光景を見て怖気づかない以上、まともな人間でないことは、先ず勘よりも前に察しが付いた。
此れにてここにはまともな人間など誰一人残すことなく斬り殺されて、残るは殺人を是とするにしても非とするにしても、精神異常を抱えた者ばかり。
そして男もまた、こと『夜』においては。狂った理性を高々と掲げる『精神異常者』であり。

「同時に喋んな―――――――――――― 話す時は、一人ずつ、目ぇ見て、はっきりと、喋れや」

袖なし外套の中で腕を組み、そして現れた二人へと向けてそう言った。
相手にするだとか、何だとか、そこに至るまでの以前の問題で。男は堂々と、彼女達へと向けて、ただ、"言い直せ"、と。
451 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 00:17:07.78 ID:dizZZtlDo
>>449
 先の男たちは、この男を探していたらしい。
それも結構前から。少なくとも、人が眠り込んでしまうぐらいの時間だ。
一体どのような理由があれば、そこまで捜索されるような大事になるのか。

「んー。静かにしてるのは別にいいんだけどね」
「あんた一体何したの?」
「なんか凄い厄介事の中心人物ですって感じがするし」
まーどうでもいいんだけどね。

 少女はあまり感心は無いようだが、一応聞いておこう。と言った様子で質問する。
目の前の男がどうなろうと、少女にとっては実際どうでも良いことなのだろう。
452 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/16(土) 00:26:00.12 ID:ty/XCKrh0
>>441>>450

「そいつは失礼、どうやら私も邪魔ものかな」

どうやらこの場に迷い込んだのは自分一人では無いらしい。
女2人と男1人。両手に花とするには少しばかり血の気が多すぎる。

「それじゃあ、私は一旦下がろうか。まずはそちらから。
 確かにやかましいから」

一歩下がり、とりあえず白髪の女性に発言を促す。


「そうだ、2人とも、名前を教えてくれないかな。
 このままじゃあ、私はどうやって呼び分ければいいかわかんないよ。
 私は雪華、墨宮 雪華だから、どうぞよろしく」

言うだけ言って、車のボンネットに座る。
とりあえず、少し距離を取る。

駒を用意する必要は、これ以上はまだか。
453 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 00:32:34.27 ID:pxizp85Yo
>>451
「ふぅ……何はともあれ、もうこの近くは安心そうだな」

少女への謝罪も終わると、一息入れて肩の力を抜く。
それから、突然着ている革ツナギのジッパーを降ろし始めた、開いたジッパーから見える素肌は、下に何も着ていないというのがよく分かるだろう。

「……『コイツ』が虐められていたから、助けたんだ」
「それ以外は何もしてねーよ……ちょっと後頭部に蹴り入れたくらいだ」

そう言うと、開いたツナギのジッパーから、汚れた野良猫が飛び出して来た。
どうやら男達から野良猫を守る為に喧嘩を売った結果、隠れる事になったらしい。
体を振るって、何処かへと駆けて行った野良猫に「もう捕まるなよー」と言った後で、青年は少女に向き直る。

「そういうお前こそこんな所で何でオヤツなんて食ってんだ?」
「今日はちょっと寒いぞ?」

どうしてこんな寒空の下、わざわざ外で菓子なんて食べているのか、と、下げたジッパーを上げ直しながら問いかけた。
454 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/16(土) 00:43:10.84 ID:C+w0rsUn0
>>450>>452

「え、あたしに振るの?
 言い直せって言われても、言いたい事はなくなっちゃったんだけど
 五月蝿いのはもう、黙っちゃったし」

切り傷だらけの肉塊を見下ろしながら、促されるままに語る。
何か目的があったわけじゃない。唯耳障りだっただけ。
その原因となっていた女も今は唯の肉。呼吸の音すら聞こえる事は無い。
ならばもう苦情も文句も何も無く、かける言葉はない

「あ、でもやっぱり一つだけ聞かせてもらおうかな
 何でそんなに面倒な殺し方を、あんなに楽しそうにしてたのかな?」

腕の肉を切り刻む男の瞳、篭もる憎悪。
女にはそれが楽しそうな様子に映ったらしい。
そしてその根源には少しだけ興味があった。女にとって作業は唯の作業、それを楽しむのはどういう理屈か

「一応あたしも名乗ろうか
 ヴぇルエル・ヴァラクロル・ガンヴィート。覚えるかどうかは任せるよ」
455 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 00:47:45.28 ID:dizZZtlDo
>>453
「猫、ねー。それは重要なことだね。うん」
「あ、逃がしちゃうんだ。飼ったりしないの?」
「助けるぐらいだから、猫好きなんじゃないのー」

 この騒動は、目の前の男が猫を助けようとしたために起こったらしい。
そこまでして助けた猫を逃がす男。ペット禁止な家だったりするのだろうか。
なんて考えていたら、なぜこのような場所でお菓子を食べていたのかと聞かれる。
適当に嘘をついてもいいが、猫を助けるためにここまでの騒ぎを起こす男だ。
なんだか、嘘をつく気にもなれない。

「んー。脱走兵器だから家、ないし。お菓子好きだし。寒さとか別に感じないし。」

だから真実を答えることにする。
だが、このようなぞんざいな言い方で相手が受け取れるかどうかは疑問だ。



456 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 00:57:10.71 ID:pxizp85Yo
>>455
「飼う為に助けたんじゃあない……ただちょっと、『助けたい』って気分になっただけだ」
「それに、アイツにもアイツなりの生き方があるんだと思うし……家族もいるかもしれないしな」

助けた野良猫を飼う義理は無い、それに野良猫は自分の意志でここから離れたのだ、それを尊重するべきだろう。
見返りだとか、自分の欲なんかではなく、可哀想だと思ったから助けた、それだけだ。

「脱走……兵器?」

聞き慣れない言葉だった、首を傾げる。

「なんだそれ?兵器って……もしかしてお前の事か?」
「『家が無い』ってのはもしかして……オレと同じ、記憶喪失なのか?」

彼女は、帰る家が無いと言う、自分と同じように、帰るべき家を忘れているのだろうか?
もしかして、同じ境遇なのかもしれない、そうだとしたら、自分の記憶を取り戻す鍵になるかも、と青年は思った。
457 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/16(土) 01:08:30.62 ID:/nooTciZo
>>452
>>454
男の表情は、見るからに苦々し気で、また苛立たし気だった。
名を名乗れ、と言われて、名乗る筈が無い。少なくとも男はそうだった。此処まで人を斬った上で、名を名乗るなど、何処にも得られる物が無いと。
そしてまた、彼女等と無駄な話をしている事によって得られる物も。少なくとも現時点では、全く見えなかった。だから、舌打ちすらして、彼女達へと吐き捨てるように。

「"馴れ合い"なら、手前等だけでやっとれ。俺は唯の"人斬り"よ」

それきりであった。名乗る事は無い。これ以降名前について何を言われようとも、男は腕を組んだまま、黙り込んだままであろう。
然し、ヴェルエルと名乗った女の言葉に、その瞳を向けた。"狂暴"と、"憎しみ"と、数多が入り混じったその酷く悪い目つきをした瞳を。
一瞬だけ、その柄に手をかけようかと考えた。刀を引き抜いて、その身体を二つに分けてやろうか、と考えた。だが然し、寸でのところでそれを止めた。
今はまだ、"査定"段階なのだ。此処で斬るべきか、斬らざるべきか。少なくとも、合理的判断は、未だ下せずにいるが故に。それを"止めた"。


「―――――――――――― こいつは剣士だ、剣士だった。それだけで十二分に、遺憾無く、満足に、上等に」

「理由になる。ただそれだけだ、ただそれだけの理由だ―――――― 何か、文句でもあるか?」


そしてそれは、正しく男の本心からの答えであった。そして其処には、欠片の"楽"も無かった。
言葉の節々に、沸き上がる憎悪を噴出させながら。血塗れの外套を風に揺らしながら。心から、何の偽りも無く、そう言い放った。
ただ、その女が"剣士"だった。それだけの理由が、何度も何度も執拗に人を甚振るだけの理由になるのだ、と。
458 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 01:14:11.79 ID:dizZZtlDo
>>456
「ふーん。そんなものなんだね」
「まー、正しい考え方なんじゃない?」

 猫を助けた男は、人として当然の感情を持って猫を助けたらしい。
その答えを聞いた時点で、猫に対する興味を無くす。

 少女の話を聞いた男は、どうやら記憶喪失らしい。
家が無いという事実から少し飛躍している気もするが、男はそこから自身の境遇と結びつけたようだ。
しかし、少女は記憶喪失では無い。ある意味、記憶喪失と言っても良いかもしれないが。

「記憶っていうか。過去がないって感じ?」
「なんというか工場でこう。がーっと作られて。なんかエラー吐いてバグ混入して、いつの間にか自我があった。気がする」
「でさ、なんか命令されて戦うのヤで逃げ出したんだよ」
「なんか素体になったのの記憶というか記録見たいのがあるから、記憶喪失では無いよね―」
「なんかまー、期待にそえなくてごめんねー」
「お詫びに一袋上げるよ」

 あっけらかんと自身の境遇を語る。自身のそんな状況にさえもあまり興味は無いらしく。
雑談をするような口調で、5袋目に突入した菓子を食べながら適当に語る。
その顔には何ら感情が浮かんでいるようには見えない。

 しかしまぁ、男に対して少しは同情をしているらしく。
残り少なくなってきた菓子袋の山から一袋、男に差し出す。
ただ、同じ袋が既に空になっているところから、飽きたり口に合わなかっただけかもしれない。
459 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/16(土) 01:22:48.12 ID:ty/XCKrh0
>>457
ああ、と彼女は合点がいった。
これの性質は「道具」に近いのだ。

なにか目的を定めると、まっすぐにそれを行う。
で、目の前の人斬りは、剣士を斬る。それに熟達した道具なのだと。

「あー、刀は斬るのが仕事だものな、仕事にケチは付けられないや。
 たぶん、そいつやあんたが剣士なら、私は多分商人。
 剣士に人斬りの機会を融通したり、始末を請け負うのが役回り。
 悪いけど、そちらさんの切った張ったにはちょっと付き合えないかも。
 ヴェルが剣客商売してない限りはね」

仕事の違いを示しつつ、彼に自分のメリットを提示する。
自分が後始末を請け負うし、人斬りの場所も供してやれると。
まあ不定期ってのはあるが、そんなことを言っても世話が無い。

ついでに、白髪の彼女に馴れ馴れしい略称も付けているが、ただの親愛の表現。

「道具ってのは、自分が一番であることが存在意義みたいなもんだし、
 自分より役立たずは壊すに限るもんじゃない?
 そうすれば、それが自分を壊しに来ることは二度とないから」

白髪の彼女にも向け、言葉を投げる。
少し突き放したような、そんな言葉。

460 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 01:32:21.43 ID:pxizp85Yo
>>458
「……成る程」

『本当に理解しているのか?』と言いたくなるほど短い感想、とにかく同じ境遇ではなかったのはすぐに理解出来た。
お菓子の袋を受け取ると、躊躇う事なく直ぐに開き、中身をポリポリと食べ出す。

「何だかよくわからなかったが、2割……いや4割は理解出来た」
「つまり、改造人間って事だろう?」

と、聞いた話を自分なりに解釈したようだ。

「でも、『素体』って事は、そうなる前の記憶……普通の人間だった時の、暮らしや生まれた場所もある筈だ」
「そこに……帰ってみたいとかは思わないの……か?」

『素体の記憶がある』という事は、元になった人間の記憶があるという事だと考えた、だから記憶喪失ではないと。
だとしたら、元になった人間だって、そこら辺の土から生えてきた訳じゃない、その人間にだって生まれた街や家族がいる筈だし、記憶があるならそこに帰りたいとは思わないのかと不思議に思った。
実際、自分が彼女の境遇だったらそう思うだろうし。
461 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk :2016/01/16(土) 01:50:11.48 ID:C+w0rsUn0
>>457>>459
向けられた狂暴、憎悪。返すのは純粋な―――― 好奇心。
男は自分とは違う。そこらに転がる凡百とも違う。面白い、と思った。
頭の中身はどうなっているのか、その過去に何があったのか、無いのか。
興味の無い対象にはとことん冷たく、認識外に追いやってしまうほど。しかし少しでも興味を惹かれれば夢中になる。そういう極端な女だった。

「残念、あたしも専門は別なの。」

しかし自分は剣客でもなんでもなく、あの男の興味を引くような物は無い

「壊す?それは勿体無いなぁ雪華。」

愛称をくれるなら自分も好意的に名前を呼ぶ。
自分に対して好意的に接してくれるなら、自分もそのとおりに返す。好意に対して別のものを返すことは無い。
ここもある意味極端か。

「そもそも、あいつがあたしより上なのか下なのかもわからないのに
 それに――― もし使えるなら、あたしも丁度武器が欲しかったんだよ
 あたしはとにかく、『いっぱい殺さないといけないんだし。』」

ヴェルエルには目的があった。それを一言で、ごく単純に表した。
いっぱい[ピーーー]。ただただ数を求めて[ピーーー]。そこに区別は無く、見境も無く、善悪もない――― 唯の、大量殺人
462 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 01:52:22.96 ID:dizZZtlDo
>>460
「おー。我ながら訳わからない説明だったと思ってたのに」
「大体あってるよー。改造人間ってことでまー良いんじゃない?」

 男は、少女の境遇を4割も理解できたと言う。
実際、彼によって要約された内容は大雑把ではあるが的は射ている。
あのような説明で、よくもそこまで理解できたものだと、少女自身は感心している。
そして、投げかけられる問い。
モトの記憶の中の暮らしに帰りたくないのか。という言葉は鉛のように重く。

「ん?なんでそんなことしなきゃいけないの?」
「だってそれって私のじゃないし。別人のところになんて帰っても面倒なだけだって」

それに対する答えは、今食べているスナック菓子の一枚よりも軽かった。
 元になったモノの記憶・記録と、今の自分が積み重ねているものはまったくの別物。
少女はそう割り切っている。
今の自分が記憶の中にある人物と会ったとしても、ふーん、あんたがそーなんだ。で済ますほどまでには。
記憶にある顔と今の顔を比べてみれば、モトの面影が残っているので面倒なことになるだろうと言う考えもある。

「それとも何?あんたは帰りたいの?」
「その性格が昔と一緒かさえ分かんないのに?」
「会ったとしても、面倒なことになるだけだって。やめときなよ」

 男の様子からそう考えた少女は、少女にとっての親切心でやめるように忠告をした。
463 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 01:53:04.51 ID:C+w0rsUn0
>>457>>459
向けられた狂暴、憎悪。返すのは純粋な―――― 好奇心。
男は自分とは違う。そこらに転がる凡百とも違う。面白い、と思った。
頭の中身はどうなっているのか、その過去に何があったのか、無いのか。
興味の無い対象にはとことん冷たく、認識外に追いやってしまうほど。しかし少しでも興味を惹かれれば夢中になる。そういう極端な女だった。

「残念、あたしも専門は別なの。」

しかし自分は剣客でもなんでもなく、あの男の興味を引くような物は無い

「壊す?それは勿体無いなぁ雪華。」

愛称をくれるなら自分も好意的に名前を呼ぶ。
自分に対して好意的に接してくれるなら、自分もそのとおりに返す。好意に対して別のものを返すことは無い。
ここもある意味極端か。

「そもそも、あいつがあたしより上なのか下なのかもわからないのに
 それに――― もし使えるなら、あたしも丁度武器が欲しかったんだよ
 あたしはとにかく、『いっぱい殺さないといけないんだし。』」

ヴェルエルには目的があった。それを一言で、ごく単純に表した。
いっぱい殺す。ただただ数を求めて殺す。そこに区別は無く、見境も無く、善悪もない――― 唯の、大量殺人

//saga忘れてました......
464 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 02:08:29.79 ID:pxizp85Yo
>>462
「…………」

迷う事なく、躊躇う事なく少女は即答した、きっと冗談や強がりではなく、本当にそう思っているのだろう。
理解出来ない、という訳ではない、そういう者もいてもいいという事はわかっている、誰もが同じ考えではないのだから。

「気にならないのか?」
「オレは気になる、自分がどんな人間だったのか、自分の家族や友人、住んでいた街」
「オレがオレの事を知らない、一番古い記憶がつい数日前なんていうのは気持ちが悪いじゃあないか」

記憶を失くし、過去を知りたがる青年と、記憶があっても過去に興味のない少女。対照的な二つの考えだ。
実の所彼自身、元いた場所に帰りたいという気持ちは今の所はない、ただ知りたいだけだ、『自分』という存在を。
だが、過去を知った所で、それがいい事ばかりとは限らない、自分の過去が邪悪と堕落に満ち溢れていたという可能性だってある。

「……例え、昔の『オレ』と今の『オレ』が全く違う人間だったとして、その時どうするかはその時のオレが決める事だ」
「今のオレは、ただ、自分を知りたいという欲望がある、それだけの事……」

そんな可能性があっても、それは紛れもなく『自分』だ、受け入れる覚悟は出来ている、過去と向き合う勇気は持っている。
少女の考えを悪いとは言わない、否定はしない、人それぞれの考え方があるのだから、自分も自分の考えを推し進めるだけ。
465 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/16(土) 02:13:19.17 ID:/nooTciZo
>>459
>>463
「―――――――――――― おい、手前等」

「勝手を言うのも大概にしろや。俺は道具だか知らんわ、"人を斬れればどうでもいい"」
「だが、俺は帝国の"人斬り"―――――――――――― 少なくとも、俺は"帝国"のもんよ」

その男の、久慈辰則の原動力は、確かに憎悪と狂暴である。ただ暴風の如く人を斬る、"道具"であるかもしれないが。
ただ、"道具"と判断するには正しいが、それ以前に"人"だ。故に、其処には、捩じり、曲がり、狂ったものであろうとも、"理性"が存在する。
彼女等へと向けられるのは、"勝手を言うな"ということ。そもそも、彼女達のような、得体のしれない存在に、はいそうですかと頷く訳も無く。
右手で、黒く、然し夜闇に紛れるように、光沢を抑えられた鞘を握り締めた。刀の鍔に親指を押し当て、何時でも?を切れるように。

「ごちゃごちゃ言っとらんで、手前等、さっさと言いたい事を言えや」

「俺は"構わん"……死体が一つ二つ増えたところで、誰も気にせんわ」

久慈辰則は、ただ気が短い訳では無い。唯、このような"悠長な会話"が嫌いだった。寧ろ、これは久慈が頭の中で出した最も合理的な判断だった。
その会話の先に何もないのならば、さっさと帰路につく、何かあるならさっさと吐かせて、それが自分にとって不利な物なので在れば、殺せばいいと。
狂暴と憎悪を、常に携えている事が指し示す危険は、酷く単純だ。"どんな状況だろうと人を殺すのに一切の躊躇が無い"という、ただそれだけの、子供でも分かる一つ。
466 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/16(土) 02:28:01.78 ID:ty/XCKrh0
>>463>>465

「おおっと、夜中にやかましくして悪かったね。
 私はここを平穏無事に通してくれれば十分。
 できれば、その剣の腕も買いたかったけどね。」

まったく、商談が通じないのは困る。
命があってこそ利益を得ることが目的であれば、話の通じない相手にできることは無い。
後は嵐を超えるのみ。
もう、相手は臨戦に入っている。贔屓目に見てもここは戦場だった。

「ヴェルも、道中送ろうか?
 少なくとも、ここでの切った張ったは、誰にとってもおいしくないし。
 私が巻き込まれるのは遠慮したい」

目配せして、白髪の彼女に言葉を回す。
面倒を避けるために、協力しろ、と。

手の中には、騎士の駒と城塞の駒。
それぞれ目立つ白と夜に紛れる黒。
467 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 02:38:42.95 ID:dizZZtlDo
>>464
 少女と男の決定的なズレは、過去にこだわるか否かであろう。
たとえ少女が実際に記憶喪失だったとしても、男のように過去を追うことは無いだろう。
過ぎ去った物には興味はない。過去にいくらこだわろうと、戻ってくるものでは無いのだから。

「あー……。難儀な性格してるねー」
「私としてはまー、きっと記憶とか無くってもこんな感じだったと思うし」
「実際割りとどーでもいいって言うか」
どーしてそこまでこだわるのかねー?

 少女には男の考えが理解できないようだ。
しかし、その考えが男の生きる原動力なのだろう。
それを否定するつもりは無い。
しかし、これだけは聞いてみたいと思った。

「ふーん。過去を知って、どうするか決めて、その先に『何を望む?』」

 男が過去を知った後。男が生きる原動力を失った後。男は何を求め生きていくのか。それが気になった。
さて、どのような答えが返ってくるのか。
……この問いに対し、「Q!」と答えたならば、それはそれで満足するだろう。
468 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 02:50:12.20 ID:C+w0rsUn0
>>466>>465
剣が親指にかけられる。今にも刀が抜かれようとする。
―――― ヴェルエルは口角を上げた。隷聖狂夢が示すように、彼女もまた狂人。
純粋に、男の剣閃を見たかった。自分より上かどうかを知りたかった。そのためだけに頭にいくつか『引き金』となるであろう言葉を浮かべた。
好奇心に執着する、子供じみた狂気。

そして『ヴェルエル』は引き金を引こうとしたが、飛び出しかけた言葉を遮る様に雪華が話す。
私が巻き込まれるのは遠慮したいと。

「―――― 残念。」

少し不満げだが、引き金にかけた喉を解く。好奇心よりも優先するものが一つだけあった。

「『友達』がこう言っちゃってるし、今は言わないでおくよ」

構える様子は無い。一応は戦闘する気は無いと言う事か。
もっとも、何を相手にしようが彼女が構える必要など無いのだが。
武器なら常に頭の中、それは例えポケットに手を入れていようが行使できる。
469 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/16(土) 03:00:58.83 ID:/nooTciZo
>>466
>>468
「―――――――――――― はン」

男の憎悪と狂暴性は、決して取り除かれるものではない。それは正しく"理性"の内に織り交ぜられたものであるからだ。
故にそこには無数の、斬っても斬っても斬り捨てきれない程の憎悪が煮え滾っている。何をしていても、どうしていても、それは同じだ。
だが、殺意は間違いなく、明確に、状況によって抱く感情として存在した。今、その鍔に手をかけた瞬間は、正しく"殺意"に満ち満ちていた。
それは間違いなかった。そして、それは、吐き捨てるように、余りにも簡単かつ単純に、雲散霧消する事となった。

「通りたきゃあ、最初からそう言えや。くたびれもうけだわ」

「手前等が堅気じゃないのは分かった、だったら"今"、殺す必要は無いわ」

添えていた手を解いた。再びその手を、袖無し外套の下へと引っ込めた。
用が無いのであればさっさと消えればいい。久慈辰則が最初から抱いているのがそれだ。大した用事も無く、また、"見られて困る相手"でも無いのであれば、態々斬る必要も無い。
そもそも、先に言った通りに。"どちらも剣客では無いのであれば唯無条件に甚振り殺す"に至らないのだ。
今宵の『人斬り』は此処まで。『命令』もそれまで。であれば、久慈辰則は、さっさと道を空けるに限ると。

「さっさとどっかに行っちまえ、俺に無駄話の趣味は無いと言っとるだろうが」

其処に転がる死体も、止まったままの車の後片付けもすることはしないが。
此処から立ち去るのならば、飽く迄久慈は何の手出しもする気は無い、と。実に、実に不愉快そうに、そう言った。
470 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 03:16:11.29 ID:pxizp85Yo
>>467
「……過去を知って、『どうする』か……」

少女の問いは、今の青年にとって誰かが聞くべきものであったのかもしれない。
自分の過去を知った時、何をするのか、何をしたいのか……過去の通りに生きるのか否か、とにかく自分の過去に対する自分の反応を。

「……まだ、わからない」
「自分の過去を知った時、いったいその時のオレはどうするのか、今のオレには想像もつかない」
「……ただ、その記憶がどんな記憶であったとしても……過去を『否定』はしない、それが全てだ」

少女の満足がいくまでの答えは帰ってこなかったかもしれない、全く答えになってないかもしれない。
それでも、聞かれた事には正直に返す、ただ正直に、考えた事を。

「……そろそろオレは行くぜ、余り長居してるとまたアイツらが帰って来そうだ」
「アイツらが帰って来たら、『あっち』の方に逃げたって言っておいてくれ!」

そう言って、どこか遠くを指差して見せると、それとは全く違う方向に走って行った。

/遅れて申し訳ありません
/そして眠気が来たので、ここら辺で落ちます、お疲れ様でしたー
471 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/16(土) 03:26:09.26 ID:ty/XCKrh0
>>469>>468
「手間をとらせたね、それじゃ、良い夜を。
 そうだ。もしお困りなら、私にご一報を。
 何かお役に立てるかもしれません」

彼女は手すきの手を使って名刺を投げる。
受け取るか受け取るかを確認する前に、友人を車に乗るよう指示する。
そうして、彼女自身も後部座席に乗り込み、扉が閉まるのを確認してから、
車を発車を指図する。

「ほんと助かったよ。話し合わせてもらえなかったら、今頃誰かが血まみれになってたね」

車の車中、男に目をやりながら、友人に話しかける。

「面倒を起こしそうだったのは、まあ良しとしようか。
 それに、大量殺人嗜好も、私達に火がまわらないなら問題なし。
 で、最後にもう1つ、無限機構って言葉に聞き覚えは?」

離れるまでには少し時間が掛かる。林道を抜けるには、高速という訳にはいかないようであった。

472 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 03:50:00.31 ID:C+w0rsUn0
>>471>>469
「それじゃ、いつかを期待しておくよ」

後はただ、促されるまま。後部座席、友人の後ろに座る。
刀は手に入らなかったが、代わりに友人を得た。悪い夜じゃなかったか。
刀を見定めることすらできなかったことだけは、本当に残念だが。

「本当はそうしたかったんだけど、雪華が言うから」

車内にて友人と言葉を交わす。
自分に火が付かないなら大量殺人も容認する。ヴェルエルも似た思考だ
似たもの同士、ともいえない二人だが。

「......知らないな、それ。
 あたしに教えてくれるって事はさ、ちょっと期待していい名前なのかな?」

無限機構、聞いたことも無い組織名。
ただし自分を商人と称する彼女が態々自分に伝えた名前だ、何か得るものを期待してしまう。
473 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/16(土) 03:56:25.70 ID:/nooTciZo
>>471
>>472
/こちらは先に墜ちさせてもらいますねー、乙でしたー!
474 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/16(土) 04:16:23.28 ID:ty/XCKrh0
>>472
「私もだいぶ高く買われたみたいだね。ありがとう」

ここまでの評価を貰って、嬉しくない訳では無い。
とはいえ、この場所で信義を保つのは、中々に難しいものがある。

「おっと、これは誤算だったかな。
 期待はしない方が良いかな。私が多分喧嘩する相手だから。
 さっき大量殺人がどうとか言ってたから、無限機構は戦争がしたい連中の集まり。
 しかも、採算を考えないでね。
 利益が欲しい私達とは、少し相性が悪すぎてね。
 ヴェルがその仲間だったら、あいつをけしかけたかも」

無限機構に対する主観たっぷりの説明をした後、
シャレにならないことを平然と投げかける。

「興味があるなら、調べてみるといい。
 それで、合わないなって思ったら、私のところに来てくれると嬉しいかな」

私の連絡先は、と、雪華は名刺を渡す。
連絡先のみのシンプルなもの。

「じゃあ、行き先を聞かせて。それまで少し話そうか」

//自分もこんなところで、夜遅くまでありがとうございました。
475 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 04:27:58.88 ID:C+w0rsUn0
>>474
「『友達』だからね。そりゃあそうだよ」

雪華がヴェルエルを愛称で呼び、その中に親愛の意があったなら。
ヴェルエルが雪華を愛称で呼び答えた時点で、疑う事は彼女の頭から消える。
それはまるで少年のように。彼女にとっての友人とはそういうことなのだ。

「―――― なるほど、戦争、か」

戦争が起きれば人は死ぬ。目的に近づく。
自分に同調してくれる人間が居るかどうかはわからない、が調べる価値はありそうだ。
......もしもその機構と協力することになれば、雪華と敵対することになってしまいそうだが。

「あらあら怖い。そうならないようにするよ」

彼女が利益を追い求めるならば、そういう人間だと理解した上でヴェルエルは友人であろうとするだけ。
冗談にならない台詞も、ヴェルエルは受け止める。

「道中までのつもりだったんだけどね。じゃあ、お言葉に甘えて―――」

//お疲れ様でした!
476 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 13:26:12.77 ID:dizZZtlDo
>>470

「分かんないなら『q!!』とでも叫んで、流しちゃえばよかったのに」
「真面目だねー。まー、そうでもなければ、そこまで過去にこだわんないか」

 過去を求める男は、その先に何を望むのかは未だ見えていなかった。
ただ、己自身の過去を『否定』しないらしい。
自分の過去を知った時、それがどんな物であれ彼は葛藤するであろう。

「まー頑張ってねー」
「過去がろくでもない物じゃないことを祈っとくよ」

 根本的に考え方の違う人間ではあるが、真面目で良い人であるのはこれまでの会話でわかった。
そんな彼の過去が素晴らしいものであって欲しいと思えるくらいには。

 あれだけあった菓子の山も底をついた。
男もそろそろこの場所から離れるつもりらしい。
もとより、偶然の邂逅だ。解散するにはちょうどよい頃合いだろう。

「とりあえず、さっきの男たちが帰ってきたらこっちで処分しとくからさー。安心していーよ」
「じゃーねー、楽しかったよー」

走り去る男の背中に、少々不穏な言葉が投げかけられる。
男が気にしないのならば、このまま別れる事となるだろう。

//すみません!寝落ちしました!
//遅れてしまってすみません!
477 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/16(土) 13:54:48.19 ID:XMnROYXFo
「くそー…戦いてぇ……」

冬の太陽が噴水を彩る広場
休日とは言え寒さが激しい今日にはあまり多くの人は見られない
だから、彼女は独り誰にも構うことなく煙を吐く
物騒な独り言を吐く

「平和を暇と思うなんて、随分とオレも堕ちたもんだな……」

二人掛けのベンチを独占し、足を組んで優雅に煙草を楽しむ
そして、遠く離れたかつてを想う
珍しいことに、彼女の周りの時間はこのときに限りゆっくり流れていた
478 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 19:57:52.43 ID:LsvBY07e0
日もすっかり暮れてしまった公園。
整地された地面を所在無さげにとぼとぼと歩く人影が一人。
太腿丈のオーバーオールの上に羽織った緋色のケープ。二つに結った黒髪と手に持った錫杖の飾りが冷たい風に揺れて。

「また人に怪我させちゃった……、顔も見られちゃうしシメイテハイされちゃったらどうしよう。……ねえ、アナ。」

ぼそぼそとそんなことを呟きつつ、仰ぎ見るのは己が手にしている錫杖。
しばらくその状態で棒立ちしていたのだが、不意に気弱そうな緋色の瞳に険が宿ったかと思えば、ムッとした表情を作る。

「……ちょっと、聞いてる?人を殺したり怪我させちゃったときは自分で片付けてってバドはいつも言ってるのに。
 最近自分のことばっかで後片付けはぜーんぶバドに任せっきり。いい加減にしないとほんとのほんとに捕まっちゃうよ……?」

「……ワガママ言わないでよぅ。お片付けはせめて自分でやって。」

「だからっ……血とかどろどろしてるのは私はほんとに苦手なのー!」

と、他でもない錫杖に文句を並べていく緋色のケープの人物、バド。
一方通行な会話?は次第にヒートアップしていき、周囲にちらほらといた人々は面倒事を察知したか。或いは頭がお花畑としか思えないその様子に引いたのか。
次第にバドから離れることになるのだが口論の真っ最中の本人は気付いていない。
やがて堪忍袋の尾が切れたように、大きく錫杖を振り上げて。

「〜〜〜〜ッもう!アナなんて知らないんだからぁぁぁぁぅぅぇえええええええ!?」

そんな半泣きな叫び声と共に怒りの衝動のまま振り回そうとしたとき、事件は起きた。
突如消える手の中の感触。緋色の瞳をぱちくりと開いてみれば、自分の手からすっぽ抜けて物凄い勢いで飛んでいく錫杖の姿が。
素っ頓狂な声が公園内に虚しく反響するなか、錫杖は新手のブーメランの如く回転しながら飛んでいき――。
479 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 20:18:22.44 ID:5RgvmyxNo
>>478

【もう日も暮れてしまった日のこと】
【人形の制作を終え、工房からの帰路についた男と女が路地を歩いており】

「ルピカ、今日もお疲れさん。」
『いえ、エケーレフもお疲れ様でした。今日は忙しかったですね。』

【配達も終え、今週に終わらせるべきタスクを終わらせて】
【疲れきっていた男は少し休憩しよう、と公園に入ろうとすると】
【突然響く素っ頓狂な声】

『オケーレフ、危なっ・・・!』

【―突然眼前に迫る錫杖】
【無論、男はただのおっさんにしか過ぎない、マトリックスなんてとても無理な話だ】
【避けようとしても無理だ、男は女に錫杖を蹴り飛ばせという意思を”流しこむ”と】
【女は錫杖を蹴り飛ばそうと飛び蹴りをかます、が】

『ふっ、と!』
「おうふっ!?」

【錫杖めがけて出されたのであろう、その蹴りは】
【多少意思を流すのが遅かったのが不幸だったか、男の腹を直撃し】
【おまけに錫杖は男の顎に当たり、男の身体は空を舞う】
【今日は不運だ、意識が朦朧としつつもそんなことを思いつつ、地面にたたきつけられる】

『あっ・・・。だっ、だだ、大丈夫ですかっ!?』

【自律人形であるとはいえ、主人の命令は絶対であるから】
【回避はできなかった不幸な事故にすぎなかったのである】
【女は男の頬を叩いたりして起こそうとしているのであるが】
【公園の入口で倒れている男、そしてそれを介抱する女、とはなかなかシュールな光景か】
480 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ :2016/01/16(土) 20:21:52.10 ID:bTIhkztp0
>>478
夜の公園。
陽は既に暮れ果て、夜の街は昼と比べてとても大人しい。活力的な太陽は沈み、空には代わりに妖しく輝く月明かりがあった。

彼━━━━━━スヴェン・コナーは、そんな深夜の公園のベンチに座り込んでいた。
片手にはカフェで購入したコーヒーカップを持ち、口からは白い息を吐いている。
前方に見える月の輝きは、まるで自分の狂気を呼び覚ますように幻惑的だ。

彼は日中、己の血を解き明かすべく奔走し、暗がりの部屋にこもっている事が少なくない。
だからこそ、夜には彼の休息のときが訪れるのだ。

「Sjåfør, sjåfør, er det sant eg blir anklagd……♪」
「……あぁ、綺麗な月だ」

彼は静かに唄を口ずさみつつ、空を見上げる。
月に魅了されたのだろうか。気づけばふと、そんな率直な独り言を呟いていた。

「冬はいい。こんな月の夜もいつ振りかな……」

彼は少し郷愁におそわれたのか、少しセンチな気分で空を眺める。
彼がコーヒーを口に運ぼうとした、まさしくその時であった。

そんな郷愁を纏めて突き放す、凶悪な一撃が後頭部を直撃していたからだ。

「knull!!!!!!?????」

とっさの事に、母国語での悲鳴を上げる。
何事かと後ろを振り向けば、ベンチの近くには、誰かの杖が転がっていた。

「………???」
「何だ?」

状況が把握しきれていないのか。ひとまず手元のコーヒーは無事ではあるが、何故杖が飛んできたのか。
近くに人は見えないし、意図的なものではないらしい。彼は席を立ち、不思議そうに杖を手に拾おうとした。


481 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ :2016/01/16(土) 20:22:52.43 ID:bTIhkztp0
>>480
/oh……またやらかしてしまった……引きます
482 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 20:42:47.75 ID:LsvBY07e0
>>479

思いっきりかっ飛ばした錫杖は止まらない。
視線を飛んでいく方向へと向ければ二人の男女が錫杖の進行方向にいて。
まずい――と他人を傷付けることを好まないバドは、なんとかしないとと顔面蒼白のままどうにか杖を掴もうと手を伸ばしつつ、走り出した――が。

「……え。」

一瞬、目を疑った。
女性が思い切り男性を蹴った?避けるつもりで?いや、でも錫杖(アナ)はモロ直撃していまっているし……?
思わず気の抜けた声を口から滑らせると、その場でぴたりと立ち止まってしまう。
転がる錫杖と色々とダメージを被った男性を交互に見ていたもののやがて我に返ったように男女の元へと駆け寄って。

「……は!?え!?ひえええ、ご、ごごごめんなさい!ちょっと手が滑ってしまってぇぇぇ……!」

倒れた男の姿を見るやいなや、泣きそうな表情を浮かべポケットからハンカチを取り出して怪我をしている所にそれを当てようとする。
ちなみに男の顎に直撃した錫杖は地面に転がしっぱだ。
ちゃんと拾ってあげないと『拗ねられ』そうだが今は構ってはいられない。

「えっと、えっと……とりあえず、い、生きてはますよね!ね!?」

そう女性の腕を掴み半ば懇願気味に問いかける。
戦犯は他でもないバドなのだが、ガタガタと震えテンパりながら言葉を発する姿から、明らかに罪の意識には苛まれているのは確かで。

/よろしくお願いしますー!


>>481
/了解です。またいずれ機会があればその時はよろしくお願いします!
483 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 20:53:01.40 ID:5RgvmyxNo
>>842

【男は意識がようやくはっきりしてきた】
【蹴られた衝撃は大きいものだったらしく、目は半開きのようで】
【女は相変わらず男の意識を覚まそうと頬を叩いている】

『オケーレフ、起きてください!』
「ああ、起きてるぞ・・・。すまん、すこし”流しこむ“のが遅れたんだ・・・。」

【どうやら男は無事なようだ、視界も開けてきて】
【うん、ようやく意識がはっきりとした、手を握ったり開いたりして】
【ゆっくり立ち上がる】

【だが、人間同士の会話としてはおかしい部分もあったが】
【焦っている少女は此れに気づくかどうか】

「ああ、大丈夫だよ、問題ない。このとおりピンピンだ。
お嬢ちゃんが落としたのはこの杖か。ほい。」
『すいません、心配をお掛けしました・・・。』

【男が錫杖を拾い上げ、少女へと手渡す】
【女は少女へと謝る、あれは抵抗できなかった事故であったし】
【ともかく、男は無事だ】

「へえ、お嬢ちゃんが公園で杖を振っていたのか。
魔法ごっこの練しゅ『オケーレフ、焦っている女の子にそんなこときいちゃいけません。』

【魔法ごっこ、の練習であるとでもいいたかったのか】
【だが、それは女が割り込むことによって質問は完全に聞こえなかったであろう】
【女は「とりあえずベンチに座りませんか?」などと少女に誘うが】
484 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 20:53:24.02 ID:5RgvmyxNo
>>483

//申し訳ない、名前欄ミスりました・・・
485 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [sage saga]:2016/01/16(土) 20:53:45.54 ID:8RKDpWCa0
俗世に膾炙した道徳心に訴えかける逸話の中でも、トランペットを欲しがる少年のエピソードは有名である。
日毎に管楽器店に通い詰め、ショーウィンドウの中で輝くトランペットを眺めていた貧乏な少年に、躊躇うことなくその金色を買い与えた高名な金管楽器奏者。
大いに喜んだ少年は奏者へと深く感謝すると共に、血の滲むような練習を繰り返し、やがては自分も同じように高名な演奏者に成り上がる――というもの。
細部にこそ違いはあるものの、無償の喜捨と貧者に秘められた才能の素晴らしさを謳った点において、どの逸話にも大差はない。


「――――――――…………………、……。」


さて、今この場にいるのは一人の少女である。
五歳にも満たないであろうその小さな少女は、酷く痩せ細った青白い肢体であった。しかし彼女が貧者であるかと言えば、その割に彼女は高価そうなゴシックロリータにニーソックスを着、子供用のローファーによって立っていた。
それでもやはり、彼女は物欲しげに店の前に立ち、伸ばした人差し指を唇に当てて、口寂しさを誤魔化しているようであった。
彼女が立っているのは、とあるラーメン店チェーンの軒先である。国道沿いにあるその黄色いテント看板は、遠くからでもよく目立つ。日はとうに暮れていた。
熱狂的なリピーターを生み出しながらも、時として「豚の餌」とすら揶揄される、圧倒的なボリュームを売りにした店である。少女の小さな胃の腑には、とても収まらないであろう丼を出す店である。

『清く正しく美しく、散歩に読書にニコニコ貯金、週末は釣り、ゴルフ、写経。世のため人のため社会のため。Love&Peace&Togetherness』
『ごめんなさい、ひとこと言えるその勇気。味の乱れは心の乱れ、心の乱れは家庭の乱れ、家庭の乱れは社会の乱れ、社会の乱れは国の乱れ、国の乱れは宇宙の乱れ』
『ニンニク、入れますか?』

――勇猛果敢に店先の壁看板で踊り狂うそんな「社訓」を見ながら、その少女は店先に立ち続けていた。
ごちそうさまでしたと威勢良く言って店の奥から笑顔で出てきた中年よサラリーマンが、微動だにしない少女の姿を実に物珍しそうに見つめながら、夜の街へと消えていった。
486 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [sage]:2016/01/16(土) 20:54:50.51 ID:XMnROYXF0
夜、青き光が街を包み闇の中街は光り輝く
されど、ここに消える事なき闇あり
そこは、路地裏と言われていた
いや、さらにその奥だ
既に人々が忘却の彼方に消し去った、廃れた広場ーー

「えっと…ここはどこなんですか?ホウェアー?」

そこで、一人の少女が迷っていた
彼女は、巫女の装いをしていた
そして、果てなく無知であった

おどおどと辺りを見渡し、ただ迷う
廃れた服を着た浮浪者が、彼女の財を狙って近付いて来ているとは知らずにーー
487 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 21:09:39.79 ID:LsvBY07e0
>>483

「よ、よかった……」

目覚めた男を見るや否や、ほっと安堵の息を吐く。
一度安否が分かれば先程迄パニックの極みであったバドもさすがに落ち着いたようだ。
相手につられて立ち上がりつつ、彼らの会話を不思議に思い尋ねようとするがその手に持たれた錫杖を見た途端、たちまち血相を変える。

「……っ!?は、はい!ありがとうございます、こちらこそごめんなさい!」

お礼と謝罪を一息に告げると言動とは裏腹に若干乱暴というか勢いのままに錫杖を受け取り。
錫杖を抱き締めて一歩後ろに下がる。端から見れば過剰なほどに怯えた様子で杖と男女を見やるが何も起こらないことをしると再び息を吐く。
と、男性から告げられた言葉の意味を理解すると、たちまち羞恥心のためか顔を赤くして。

「え、えっと、その……ご、ごめんなさい……」

魔法の練習、という訳ではないがそうともとられかねないことを公共の場でしていたことも事実。
ようやくそれに気付いてしまったのか猫背な背中をより一層縮こませる。もっともこの答え方だと本当に魔法の練習をしていたと捉えかねられそうなのだが。

「は、はい…えっとあの、さっき聞きそびれたんですけど男の人が言ってた流すとか流さないとかって……?」

女性と男性におんぶとだっこな状態のまま誘われた通り、ベンチへと向かい。
平静を取り戻しつつある頭の中でふと先程感じていた疑問が浮かび、おそるおそる女性の方へと尋ねてみて。
488 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/16(土) 21:12:47.50 ID:hTI6rGzg0
>>486

「『善くない』なぁ……。そういうのは。」

少女の財布に近づく腕。それを『左手』で鷲掴みにしながら、呟く声が一つ。姿を見やれば、金髪の男。
何時近づいていたのかを気付かせない程の無音。さながら彼の周りの音が総じて『減衰』しているかのように思える。
灼眼の瞳を僅かにギラつかせ、ねっとりと。それでいて爽やかさすら感じられる声量で、言う。
恐らく少女にも、そして腕を掴まれている浮浪者にもその声は届くだろう。聞こえてくれなければ意味が無い。

……何故ならば『聞こえるように』わざと声を上げたのだから。

「人の物を盗むのは『窃盗罪』に分類される。」
「即ち、立派な罪だ。理解してるか?」

ギリ。浮浪者に痛みが出るであろう力で、彼は掴んでいる浮浪者の右腕を強く握ろうとする。
痛みに呻き声を上げるであろうそれを見て、僅かに彼は微笑むだろう。そして、さらに言葉を重ねる筈だ。

「行われた『悪』には、相応の『罰』が必要だ」
「――――そうは思わないかい?」

此処でようやく、彼は少女の方へと視線を移し。まるで同調と同意を得ようとするかのように、爽やかに。
しかし、其の灼眼の奥は酷く歪な正義感をぶら下げて。口角を、僅かに持ち上げた。

//よろしければ…!
//此方の行動は何処で切っていただいても構いませんので……!
489 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 21:21:32.70 ID:5RgvmyxNo
>>487

【少女はどうやら男が意識を取り戻したのを見ると落ち着いたようで】
【ああ、よかったと男女ともに思っていたのだが】

【男が錫杖をもって少女に渡そうとすると少々乱暴に錫杖を奪い取るようで】
【男は焦っているのであろうと思ったのであるが、女はなにか錫杖に秘密が有る気がして】
【それも聞いてみようかな、なんて思いつつベンチに腰掛ける】

【男はふらふら歩きつつ、公共の場でタバコを吸うと周りの目線が痛いから、と公園の外で煙草を吸っている】
【つまり、今公園の中には少女とこの女しかいない】

『いえ、こちらこそすいません・・・。
いいんですよ、魔法の練習。素敵じゃないですか。
魔術を扱うなんてこと、私にはできませんから。羨ましい限りです。』

【女はどうやら少女が魔術を練習していることについては悪いとは思っていないようだ】
【それどころか、羨ましいとばかり少女のことを好意的に捉えている】
【女はこの少女が魔法使いである、と思っている】

『ああ、さっきの”流しこむ”ですか・・・。
うーん、何と言えばいいですかね。私とあの男性は考えが連結することがあるんです。
あの男性が考えていることが私に伝わると、私は無意識に行動する、といった感じですかね。』

【本当はこの女は人形であるのだが、流石にその事実は伏せておく】
【人形ということに触れないよう、言葉を選びつつ少女へと説明する】
【おそらくは伝わるであろうか】

『ところで、貴女はさっきまで魔術の練習をしていたんですか?
でも杖を投げてしまうものですかね・・・?いや、すいません、魔術をしてないのでわからないんですが。』

【この女は魔術を扱ったことがない故、魔術にはあまり詳しくない】
【少女が公園で何をしていたか気になったので質問したのみであるが】
490 :」【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/16(土) 21:37:16.87 ID:XMnROYXFo
>>488
「ふぇ?」

なにやら爽やかな声
やたらと静かなこの場に爽やかすぎる声
灼眼に不釣り合いだ
だが、たしかにその声はこの場を止めた

『痛い痛い痛い痛い痛い!!!』
「ええっ!?私、見られてた系女子?」

浮浪者は痛い痛いと叫ぶ
彼女はやや動揺
しかし、何やら目を光らせて興奮している様子だ

「えーっと、ですねっ!やっちゃいましょうやー!!ゴラー!!」
『や、止めてくれ!命だけはぁぁぁ!!』

ガチャリ、金属音
少女の方からだ
そちらを見やれば――異様な光景
バレットM82――巨大な対物ライフルを少女が両手で構えていたのだ
彼女の口元には、歪んだ笑み
浮浪者は、泣き乱しつつも命乞い
少女は――実は撃つ気はあまりない

//反応遅れてすみません!
491 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 21:38:26.23 ID:LsvBY07e0
>>489

女性と二人公園に取り残されつつ、心の中では男の人はいなくて良かった、と安堵するバド。
別にあの男性を嫌っているのではなく、なんとなく男性と話すのは緊張してしまうから。……まあ女性は全然平気という訳でもないのだけれど。

「え、あ、あはは……ありがとうございます。
 ……って言っても、わたし本当にコントロール苦手というか、魔法に使われちゃってる感じですし……。 」

あれ?なんか先程の言葉を別の意味で理解されてしまっている?
一瞬そんな考えが頭をよぎるが発言力皆無かつ若干コミュ障のきらいのあるバドに今更訂正できるはずもなく。
なんとなく話を合わせてみる。言葉の濁り具合から違和感も否めないが、おどおどとした立ち振る舞いがそれをカバーしてくれると信じよう。

「わああ、人間同士でそんなことができるんですか……!
 え?で、でもさっきの蹴りは一体……?あの人が『蹴ってください』って考えてたんです? 」

不思議な能力の説明には少しだけ興味を示したのか感嘆の声をあげる。
しかしふと眉を下げると首を傾げつつ、そんなことを言い出した。自分で質問をしておいてそれが事実だとしたら、と考えると寒気がしたのか若干身構える。
女性が人形だということには微塵も気付かない。その代わりにこの場にいない男性の方が変な疑いをかけられてしまっているが。

「ま、じゅつの練習……というか、杖が言うことを聞かないので怒って、ました……?
 本当のことなんですけど、その、多分証明できないんですけど。……その、ちょっと投げ飛ばしたことで怒ってるみたいで。 」

とほほと擬音がつきそうなほど肩を落とし、そう告げる。
この話を信じるのならば、バドは杖と意思疎通できるということになるが……。
492 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 21:44:28.68 ID:dizZZtlDo
>>485
 その少女がラーメンチェーン店の前を通りかかったのは偶然であろう。
ゲーセンからの帰り道、夜を明かす場所を求め徘徊していたのだから。

 腰まである白い髪を後ろで束ねた少女は、そこで奇妙な少女に出会う。
自分よりも50cmは小さい背、高そうな衣服に身を包むその見た目は良い所のお嬢様のようで。
ただ一人豚の餌を物欲しげに眺めるその姿とは、ひどくミスマッチであった。
 しかしそれだけであれば、即座に興味をなくしてスナック菓子を求めてコンビニを探しただろう。
だがその少女からは、自分と同じ匂いがする気がして。

「おじょーちゃん。こんな時間にどーしたのー?」
「こんなもんよりさー、一緒にお菓子買いに行かない?」
「私がおごるからさー」

同類だったら嬉しいなーという程度の気持ちを胸にして。
背後より近づき、声を掛けてみる事にする。
小さな少女が一体どのような反応を示すのか。

/まだいらっしゃいますでしょうか?
/もしよろしければ、絡ませていただきたいです!
493 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/16(土) 21:55:33.92 ID:hTI6rGzg0
>>490

「―――それは。」

少女の両手から唐突に出現した『ソレ』をみて、彼は赤色の眼を僅かに見開く。
痛みに喚く浮浪者はとるに足らぬとでもいう様に視線から外し、ただ左手の力は緩めず。少女の方へと視線を注いでいた。
見ていたか。と聞かれるのならば、答えは『イエス』。少女がこのような時間、このような場所に入っていくのを、正義と自称するからには見逃すことは出来ない。
それが例え、今見ていたように少女が荒事に十分対応可能であったとしても、彼にとって少女は『少女』でしかない。
浮浪者の行動に気付いたのは、単純な挙動の不自然さと辺りを気にするような視線にアタリを付けていただけだ。
運と言われれば、事実その通りだと断言できる。

「……丁度いいじゃないか。」

「罪は糾弾されなくてはならない。悪は裁かれなくてはならない。」

「被害者はキミだ。」
「だから『コレ』はキミの手で、キミの『正義』によって処断するといい。」

左手を筈かに引き寄せ、浮浪者を地面に引き倒し、その上から頭を足で踏みつける。一連の流れを浮浪者が見切るには、些か難しい程度の手際である。
何時もの事であるかのように手慣れた態度で踏みつけている浮浪者の頭を目で指し、「好きなところを撃つといい」。そう言って、浮浪者の『反抗』を起こさせない様に足に力を込める。
少女の対応を見ていれば、少女の普段を知っていれば、この行動が単なる脅しであることが理解できたのかもしれない。そして、それを理解したうえで『乗る』という事も当然可能だったはずだ。
しかし、彼はそれを『正義』だと断定する。窃盗を行われそうになったという『だけ』で、少女にはこの浮浪者――悪を『処断』する権利がある。そう大真面目に宣っている。
明らかに『やりすぎ』だ。誰でもわかる。軽い暴力を振るうくらいならいいだろう。死なない程度に、且つ二度と窃盗などを行わないと思う程度に痛めつけるのならば、正義として分からなくも無い。
だが、彼は文字通り『ころせ』とそう言外に言っていた。初段と言う言葉がそういう意味で使われていると考えれば、言葉に出しているとも言えるだろう。

爽やかな声質は変わらず、だからこそ余計に言葉の『現実味』が色を出す。彼は少女が銃を持ち出した時、『丁度いい』そう言った。
その意味は簡単だ。少女がやらなければ自分がやるつもりだった。表情は変えず、ただ、少女が『処断』を行うまで、浮浪者を踏みつけておくのが、彼の仕事だ。
それでも何の動きもなkれば、「やらないのか?」と言う声と共に、彼は些か疑念を浮かべ問うだろう。
494 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 21:56:27.95 ID:5RgvmyxNo
>>491

【魔法に使われる、というのは魔術の行使が苦手なのであろうか】
【だからこそ練習をしていたのか、なんて思い込みは激しく】

『だから練習をしてらっしゃったんですね。
鍛錬はよきこと、だと思いますよ!』

【どうやら少女の訂正はあまり効果はなかったようだ】
【まあ仕方ない、思い込みが過ぎてしまっている】

『ええ、まあそういうことですね。
い、いや!あの男性がそういう正確なわけではないんですよ!?
まあ、そんな気性がないわけじゃないんですけどね。』

【本来であれば杖を蹴って主人を守れ、とかいう意思だったのであるが】
【反応が少々遅れて、その上杖は主人にすでに当たりかけており】
【この命令には抗えないため不慮の事故と化してしまったのである】

【なお、当の本人である男は大きくくしゃみを一つするが】

『杖がいうことを聞かない・・・?』

【もしや、使役形の能力者かなんて考えているうちに】
【顎に手をあてて考えこむのであるが、声をかければ「は、はいっ!?」なんて反応するのであろう】
【だが、能力者ではないか、という思考は男にも伝わっている】
【まあ、煙草を吸っているうちはこちらには来ないであろうが】
495 :【英雄戦士】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/16(土) 22:04:02.02 ID:zj7qtp0h0
とある館。いや、館と言うよりも、その形は“塔”に近いか。床は半径8mはあろうかという円形、その周には螺旋階段がぐるりと取り囲む。壁に埋めつくされるは数々の本、本、本。ジャンルは魔術書から占い、おまじないに絵本と様々で、その館を所狭しと彩っている。
そんな、広いが書物なり雑貨なりの散らかった広間にて。円の中心にいた館の主は、こう呟いた。

「……退屈だねえ」

その手は忙しなく動き、棒針を巧みに操って毒々しい青と紫のグラデーションを生み出している。
形から見るに、マフラーを編んでいるのだろう。

「このところ外出てないしねえ。たまの引き篭りは楽しいのだけれど、そろそろ飽きたなあ」

そう呟いてから、手元からスカートの上にだらっと伸びていたマフラーのなり損ないをぽいっと投げ出す。彼女の座っていたソファの対角線に引っ掛かった様は、ファンタジーによく出演するワームの幼体にも似ている。
女性はすくりと立ち上がり、何かを決心したかのように拳を作る。よしと一言置いて、彼女はそのまま着替えを始めた。

ものの数分で着替えは完了。厚手の緑のカーディガン、ボタニカル柄のワンピース、少し低めのヒール。髪のセットは……まあ、いいか。化粧もいらない。
とにかく彼女は外の空気が吸いたいだけなのだ。ニュースによれば、“路地裏”辺りは夜の散歩にはうってつけの天気だ。
からん、玄関に立てかけていた美しい細工を持つ樫の杖が軽い音を響かせる。
杖を持った女性は、玄関の扉になぜか“ノック”を三度。

「扉さん。件の路地へ連れてっておくれ」

―――次元の歪む感覚。この玄関の扉こそ、彼女の魔具のひとつでもあった。
様々な場所に通じ、その座標さえ記憶させればいつどんな時でも外界へと“繋ぐ”ことができるスグレモノ。

「血反吐出して作った元は、そろそろ取れそうかい」

ノブを回し、外に出ると――――能力者達が渦巻き、響めき、蠢く臭いがする気がした。
―――さあ、今夜の私の“飽き”は誰が満たしてくれるのだろう。
そんなふうにモノローグを掛けながら、女性はくすりと笑い、その一歩を踏み出す。
途端館の扉はもう、消えてしまっていた。


//23:00辺りまでお待ちしております〜
496 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/16(土) 22:04:20.35 ID:zj7qtp0h0
//名前欄ミス
497 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [saga sage]:2016/01/16(土) 22:06:40.40 ID:8RKDpWCa0
>>492

「――――お腹が、すきました」

白い長髪をたなびかせながら、彼女――マリィナ・シグネットは振り向く。その深く紅い瞳が、彼女の背後に立つ少女を捉えた。
マリィナ・シグネットは、端整な、あまりにも端整な顔立ちをしていた。通った鼻筋、透き通らんばかりに白い肌、仏蘭西人形のような瞳。
幼子らしいあどけなく丸い雰囲気に、艶やかな妙齢の美女のそれが同居していた。例えるならば、硝子細工か。
同時に、マリィナは返答した。薄く細い、僅かに色付いた唇が、最低限の動きで言葉を紡いだ。
――少女の「こんなの」という言葉を聞いて、マリィナは僅かにその白い眉を顰めたように見えた。そして、こう続ける。


「とても嬉しく、またありがたいお誘いなのですが」「実のところ今の私の空腹を満たしてくださる菓子類などあるのでしょうか、と疑問に思っています」
「仮に市販の菓子類で十分な栄養量を確保するよりも、恐らくこういった費用対効果に優れる外食店で食事をするのが適当でしょう」


彼女は確かに、従順な人形――つまりは、人造物のように見えたかもしれない。実際に彼女の所作は無機質であり、また機械的で平易な口ぶりでもあった。
だが、彼女には確かに自我があった。欲望があった。少々疎ましいことに、それを主張するだけの堅固な意思までもがあった。
なお彼女は続ける。――目前の少女を、何とか説得せしめんと。


「それに――――」

「―――――― 食わず嫌い、という言葉もあるのではないでしょうか」


――――深く暗く紅い瞳が、目前の少女をしっかりと見上げ、そして見据えることだろう。
両眼は僅かに輝いてさえもいるように見えた。彼女の身体は真っ当な人間よりも遥かに軽かったが、ゴシックロリータを着ながら毅然と立つ彼女は、全く梃子でも動かないかのようだった。

/はいはーい、いますよ。よろしくお願いします。
498 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/16(土) 22:08:19.98 ID:XMnROYXFo
>>493
「えー?うーん…けどなぁーめんどくさいなー……」
「ぐあっ!?ひぃぃぃ!!??」

浮浪者は為すすべなく地面とキスをする
恐怖でだらしなく泣き、叫ぶ
もはや命乞いは言葉の体制すら保っていない
純粋に、彼は生きたいと願っていた
理不尽な正義から、逃れたかった
対する少女は――
銃を構えながら悩んでいた
正直に言おう、別に撃ってもいい
ただ、他人を傷つけるのはあまりよくない
確かに、制裁はされるべきだ
そして、自分には処断する権利が与えられていた

「いいえ、やりますね!自分の正義とやらに任せてみますかー」

やらないのか?と問われた
現実味を、シリアスを叩き壊すような明るい声で応じる
やる、と
執行をする、と
そして――銃声が響いた

「喧嘩両成敗?片方は窃盗、片方は過剰で目に余ったので
撃ちました☆」

銃弾は、霊力の銃弾は彼女の思惑通りの軌道を描いて突き進む
真っ直ぐに、真っ直ぐに浮浪者の頭へと進む
だが、鋼鉄の流星と頭蓋の間には、それがあった
――男の、足があった
499 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 22:11:50.76 ID:LsvBY07e0
>>494

「あ、ありがとうございます……?」

いよいよ収拾がつかなくなってきた。
こうなったらもう己は杖を素振りする魔法使いで通すしかないと腹を括りつつ、それでもその場しのぎの演技をすることはやはり下手なままであった。

「そ、そうですか……少し安心しました。
 そういう感じの人で杖に当たったことも故意だったとしたら、流石にわたしも、引きます。……ってあれ?ないわけじゃないんですか?ひええ。」

安堵したり再びドン引いたりせわしなく立ち振る舞うバド。
女性と会話しているうちに次第に緊張は解れてきたようで、少しずつ不安そうな様子以外の表情も浮かべるようになっていく。
錫杖について思案する女性には少しだけはらはらしつつ、話題逸らしと少し気になり始めていたことを同時に成し遂げるため、少し大きめに声を出して。

「……あ、あの!えっと……あの、そういえばお姉さんのお名前って、なんだった、でしょうか……?」

話題逸らしにしてはだいぶ苦しい上に唐突すぎる言葉だ。
怪しく思われても仕方がない気がするが、その言葉に対する女性の反応は如何なるものだろうか。
500 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/16(土) 22:18:05.54 ID:bTIhkztp0
>>495
━━━━━━路地裏。
夜の街の中でも一際暗く、湿り、陰鬱な雰囲気が支配する場。
閉塞感に包まれたこの場は、隠れた悪事を行うにはうってつけの場だ。
だが同時に、この路地は主要な道路をつなぐ隠し道、という役割も持っていた。

……故に。彼が偶々その瞬間を目撃したのは、偶然では無かったのであろう。

「……?!」

夜の街。なんの事もない、そろそろ家に帰ろうと、路地裏を利用しただけの事だった。
すると突然、扉もない通路から、ひとりの女性が出て来るではないか。流石の彼も、これには面食らったらしい。

銀縁の眼鏡の奥。青い瞳と紅の瞳、互い違いの両目が女性を見ている。
その眼の中にある感情は、驚き、戸惑い、困惑か。
彼は、彼女がその魔具を使用した瞬間を、偶然にも目撃していたのだ。

黒衣をまとった彼が立ち尽くすのは、女性が出て来た場所にほど近い。
すぐに、彼の存在に気づける事だろう。長身であるから、存在感も無いわけではない。

そして、女性は気付くだろうか。
彼は一見聡明そうで、無害といった顔立ちをしている。しかし、彼の身体が放つ、夥しい罪の匂い━━━━━━
"血の匂い"に。







501 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 22:23:17.33 ID:dizZZtlDo
>>497
 帰ってきた返答は、空腹であるという簡素なもの。
正面から見た少女の容貌は作り物のように常に美しい。
まるで人形のような少女が、一人で空腹を訴えるというある種の異常事態に。

「お……おおう?」

 少々気圧されるが、考えてみれば当たり前だ。
ラーメン屋の前で物欲しそうにしていてお腹が空いていないなど、何がしたいのかわから無い。

 そして続けざまに語られる言葉は、機械のように無感情で淡々としている。
どちらかと言えば効率を重視したその考え方もまた、少女が作り物のような印象を強くする。
しかし、最後に語られた言葉にはどこか感情のようなものが見受けられた。

「あ……あー、そーだね。でもまー、好きこのんで豚の餌を食べようって見た目じゃないし」
「ここの量ってヤバイからさーおじょーちゃんには食べきれないかもよー」
「お菓子のほうが良いって―。パリパリしててさ―。」
「というか、おじょーちゃんってバランスの良い栄養補給いるの?」

 お菓子をすすめる少女、ゲイルスケグルは生体パーツを利用してはいるが、兵器だ。
自己メンテ機能などを有し、オーバーヒートからの復帰も比較的短時間で行える程のスペックを持ち。
ある一定のエネルギー源があれば、特に問題なく活動が可能。
……それが、ゲイルスケグルの偏食をひどくしている原因でもある。

 閑話休題。自分と同じ匂いがする少女には必要なのだろうか。
自分と似たような作り物であれば要らないのでは無いか。そういう疑問だ。
502 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 22:23:52.47 ID:5RgvmyxNo
>>499

【受けの気性がないわけでもない、と言ったら少女は少し引き気味のようで】
【まあしょうがない、毎日毎日苦労の連続だと苦労も快楽に変わる・・・、ってそんなことはないか】
【ともかく、そんな気性はなきにしもあらずで】

『は、はいっ!?私の名前ですか。
そうですね・・・、ルピカ、って言います。貴女ののお名前は?』

【だが、これはこの女にとっては非常に困る質問である】
【本名はたった三文字しかないのだ、全部言えと言われたら怪しまれるであろうし】
【それを感じられないよう、少女の名前も聞くのである】

【というところで男が煙草を吸い終わったようで】
【ルピカの頭をぽん、となでてやると】

「さてお嬢ちゃん・・・。ルピカから説明は聞いたかい?
俺とルピカは意思でつながっている、っていう話なんだが。
端的に言おう、お嬢ちゃんは能力者かい?」

【なんという単刀直入な質問だろうか】
【少女も困惑するであろう、いきなり能力者か、なんて問われるのであるから】
【だが、能力の本質には気づいていない】

「杖がいうことを聞かない、ってのは現実にありえない。
そうじゃないか?もしかして、その杖は”生きている”のか?」
『ちょ、ちょっとオケーレフ!いきなり質問攻めにするのはないでしょうに。』

【少女の杖が生きているんでは、なんて質問を投げかける】
【少女の杖の話の時の慌てようも多少気になってはいたが】
503 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/16(土) 22:34:22.50 ID:hTI6rGzg0
>>498

バレットM82。『戦車すら撃ち抜く』とまで言われるほどのそれを右足に向かって撃たれれば、当然撃たれた人間の足は『崩壊』する。
人間は筋肉が鉄でできているわけでも、常に不可視のフィールドで守られているわけでもない。撃たれれば穴が開き、対物ライフルで撃たれれば下半身ごと吹っ飛んでも可笑しい話では無かった。
しかし、その結末は訪れない。銃声が響いた後に残るのは僅かな余韻と彼の苦痛に満ちた顔だ。けれど、右足は確かに彼の体と繋がっている。

であれば何故彼は苦悶の表情を浮かべるのか、それは彼の左手にあった。付けていた茶色の手袋が弾け飛び、衝撃で左腕の袖が僅かに裂けてしまったものの、左手には何の外傷も無い。
少女が仮に弾丸の機動を目で追う事が出来たのであれば、弾丸が右足に向かう刹那。それを阻むようにして差し出された左手の甲と弾丸とがぶつかり、『弾丸が蒸発するように消失した』のが理解できるだろう。
ありとあらゆる存在に対し『負』と言う概念を強制的に与える。異常なほどに白い手が励起した『不浄の左手』の術式は、物理的な存在に対してだけでは無く、魔術や魔法などによって発生した『現象』も例外では無い。
今回は、弾丸の威力や速度などを『引いた』上で、弾丸であるマナを『急速に消費』させるという過程を用いて弾丸を構成する魔力自体を『ないもの』として確定した。
いわゆる、引き算を用いて弾丸としての存在をマイナス面にまで落とすことで、現象として保てなくさせた。という事である。
『弾丸がかき消された』と理解すれば、特別他の理解は必要ないだろう。事実、少女には現段階でそのようにしか見えていないのだから。

だが、かき消したと言っても痛みは発生する。彼女が神に仕える巫女であるという『こと』が、能力であるマナをに影響し、聖属性を宿していると彼の左手に認識された。
その所為で、彼の左手は弾丸の威力を完全には殺しきれず。痛みという現象が左手の甲を打った。苦悶の正体は、その時の痛みに顔を歪めた結果である。

「  なにを、するのかな……?」

僅かに後ろへと足を動かし、その際右脚は浮浪者の頭の上から離れ、視線も少女の方を然りと向いている。
もはや浮浪者の存在などどうでも良かった。身にかかる痛みと、左手に感じた違和感。そして、正義である『俺』を攻撃する理由が、俺にはわからない。
そうだ。何故攻撃する? 俺は正義だぞ? 理解したなら。そして死ね。口には出せずとも、表情は僅かにその片鱗を見せ
少女の『奇行』とも言える行動に、彼は只疑問を投げかける。完全な不意打ち。普段であれば完全に防げていたそれも、慢心故に『防げていない』。
苛立ちと、それを隠す表情。欠片に残った爽やかさは、とても歪だ。
504 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/16(土) 22:35:18.11 ID:zj7qtp0h0
>>500
彼女が陰鬱な空気の路地裏へ、一歩を踏み入れた瞬間。すぐのことだった。
―――人が居る。しかも、何やらどうも、きな臭い。
思わず彼女、―――アリス・ウィッチクラフト・カイトラーは、片方の口角を歪ませた。

「やや、お兄さんハンサムだねえ。こんなところでどうしたの?お散歩かい?」

からかうような調子でそう声を掛けると、ちらほらと散見する怪しげな“残り香”。
急に現れたからといって、こうも慌てふためくものだろうか。まるで、部屋に母親が入ってきた、アヤシイ本を隠す子供のようではないか。
それにこの、背徳感をそそられる、これこそ“残り香”と呼ぶべき臭いは―――。

「――――あら、もしかしてもう、何人“殺っちゃってる”?」

演技めいた驚きの感情、それを表情と声色に重ねて、アリスは尋ねる。
ただ、彼女は眼前の黒ずくめの男性に答えを要していない。
カン、カン、カン。アスファルトを突く樫の木の音が、路地を挟む壁と壁で跳ね返る。

「どうする? ………口封じとか、しちゃってみる?」

文字の上では、確実に男性に対しての挑発の言葉。だが、そこに含まれた好奇の色は幾層にも重なり、連なり、混ざり合う。
―――さ、どう出るのかしら?
声に出そうな笑いを噛み殺しながら、アリスは男性の行動を注意深く観察した。
505 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 22:44:07.20 ID:LsvBY07e0
>>502

「ルピカさん、ですか。わたしの名前は……バド、といいます。ちょっと変わった名前ですけど。」

相手が姓を言わなかったことを確認してから、おそるおそるといった様子で自分も名前だけ名乗る。
己の苗字は死神の名を冠したものだから。面と向かってその名を告げるのは少しだけ躊躇われた。そこでお互いに違和感を感じるかもしれないがそこは一先ず置いておく。
男性が現れるや否や少しだけ身構えるバド。余談だがその行動に出た理由の8割は緊張、2割は先程の会話の情報からである。

「……!え、あの……?なんで……る、ルピカさん……?」

突然の問いかけにやはり少女は戸惑いの表情を浮かべる。
どうしてそんなこと、と尋ねる前に女性…ルピカを視界に入れると大きく目を見開いた。
そうだ。この二人の意識は繋がっている。ルピカさんが彼の意識を汲み取れたのなら、その逆だって―――。

「あ、あの、わたし……わたしは、能力者ではなくて、ですね。その、」

ほとんど会話が筒抜けであったことに気弱な心は大きく揺さぶられる。己は能力者か?その杖は生きているのか?その問いには答えかねる。
だってその質問に答えるには『あの子』に言っていいものか聞かなければならない。だって男性の言う通り杖(この子)は、

『あぁーあ、めんっっどくさ。いちいちどもっとらんで正直に答えりゃええじゃろが。』

不意にそんな声が響く。バドのすぐ近くからだ。だがしかし、それはバドのものではない。
弱気なバドとは正反対、低くドスの効いた、それでいて悪意だとか苛立ちとが込もった、そんな声はバドの丁度真上から響いていた。
正確に言うなら、大切そうに抱えた杖の先端部の飾り、蒼く煌めく宝石から。

『正解、とだけ言っとこーか、オッサン。……でぇ?オレが生きてたらどうするん?
 オレはこのバカが狼狽えるのを見とうおもて、わざわざ出てきちょるけんど。』
「あ、アナ!?」

ケタケタと笑い声をあげつつ歯に衣着せぬ言動が宝石から流れ出る。
声は中性的ではあるものの男性寄りなのは確かで意地の悪さも一目瞭然。杖が言うことを聞かないという話に関しては合点がいくかもしれない。
506 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga 残59]:2016/01/16(土) 22:44:58.15 ID:XMnROYXFo
>>503
「何って?私は行われた『悪』に対して『正義』を執行したまでですよ?
貴方に、言われた通り」

きょとん、と首をかしげて答える
銃弾が左手で防がれたことには対して疑問はない。きっとそういうものなのだろう
殺意を受けても平然としている
まるで――理性が消し飛んでいる様
そう、彼女には理屈は通じない。思った通りにしか行動できないのだから

「私はあなたの行動を『善くない』と思ったまでですよ?」

無骨な巨銃が形を変え、拳銃と変わる
ベレッタM93R――三点バーストが可能な自動拳銃だ
それと全く同じものが、彼女の左手にもあった
所謂二丁拳銃――理性が砕け散ったかのような自由にも、殺意ぐらいは感じ取れた
507 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/16(土) 22:51:43.50 ID:8RKDpWCa0
>>501

「豚の餌≠ニいう呼称は不適格であると思われます」「想定される塩分量や化学調味料の使用率からして、恐らくは系統学的分類におけるブタ≠ニいう生物の食用には適しません」
「味付け的にはむしろ、20代から40代にかけての男性、あるいは女性の摂食を想定していると推測されます」
「乾燥した硬質の食感を望んでいらっしゃるのでしたら、カウンターテーブル上のガーリックチップを使用するという案はいかがでしょうか?」

少女が多少気圧された様子を見せたのをいいことに、マリィナは矢継ぎ早に少女の提案へと反論する。
その言葉は確かに一貫した無機質な論理性によって裏付けられていたが、しかしマリィナの言葉が単に相手の論理を砕くためだけに用いられていたかと問えば、明確に違う。
マリィナは説得を試みているのである。合理的な言葉を並べれば、相手はそれに基づいた合理的な結論を下すだろうと。――有り体に言えば、筋の通った我儘であった。
そしてまた、マリィナは人間が合理的に動くわけではないということを知っていた。彼女自身、合理性のない感情によって、この場に存在しているということを忘れて。

「……無論のこと、私にも栄養補給は必要です。私は、――人間です。欠陥品≠ナは、ありますが」

だが、少女が投げかけたその疑問に対して、マリィナは僅かに俯いた。一寸たりとも振れない紅い視線が、少女から逸れた。
マリィナが「人造物」として産まれたことは事実である。だが彼女は、彼女の語る通り――文字通りの、欠陥品≠ナあった。

『――――――おい、そこのお嬢ちゃん』『さっきから聞かせてもらえば、随分と酷い言い様じゃねぇか。ええ?』

――僅かに産まれた沈黙を破り、口を噤んだマリィナの後ろから、やおら少女へと歩み寄る一人の男がいた。
厨房から出てきたであろうその壮年の男は、白髪交じりの単発を白いタオルに巻き上げ、油と醤油で所々が黄ばんだ古く白いエプロンを着ていた。
年齢からの衰えを感じさせない、体格のよい男だった。ずっしりと組まれた腕からは筋肉が浮き出ていた。黒くぎらつく両眼が、じっと少女を見つめていた。

『それにひきかえ、そっちの子はよーく分かってる』『ウチで出す豚そばは、世界一うまいとは言わんが、腹ペコの若いガキンチョを満足させるにゃ十分だ』

『金はいらねぇ。こうなりゃ、何が何でも――――ウチで食ってもらわにゃ、気がすまんぞ』

――――されど、どうやら彼は、予想されるような侮辱への憤怒を抱いているわけではないらしい。
厨房へと戻りざま、彼は『入れ』と言い残した。俯いていたマリィナの顔が持ち上がって、また少女を見つめた。その白いからす座は、微かに笑っていた。
508 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/16(土) 22:56:16.74 ID:bTIhkztp0
>>504
彼━━━━━━スヴェン・コナーは、能力者という者を見慣れていない。
この街に来た大元の理由は、彼の病理の解明にある。故に、率先して能力者と相対する機会など、稀も良いところだ。
だからこそ、彼は驚愕の色を見せていた。……だが、相手が会話可能な人間であると発覚すれば、その肩から力が抜ける。

彼女もまた、"能力者"なのであろうか……そう納得すれば、彼は意外にも軽く、彼女へと話し掛ける。

「……貴女は……"能力者"……?」

彼は彼女から、異様な大気を感じていた。
彼女は、明らかに自分より歳下のはずだ。だがその言動の節々から見て取れるのは、膨大な"智慧"と"経験"。何か重厚な、溢れ出る人間性を感じた。

彼が"君"ではなく"貴女"と呼んだのも、そうした理由はであるのだろう。
ともかく彼は、女性が只者ではない人物である、という事は読み取れた。

━━━━そして。只者でないならば、只者ではない他人も、当然ながら見抜けよう。
彼は、己の罪━━━━━━犯してきた"血"の業を指摘された、その瞬間。
背筋が凍るような感覚を覚えた。動悸が上がる。その眼に在るのは"恐怖"の色か。

「……"解る"のか……私の……私の"病理"が」

彼女は、彼の態度に少しでも違和感を感じるだろうか。
彼の身体に染みついているのは、幾重にも重なる血の匂い。ここまでの業を犯しているなら、指摘されれば開き直るのが普通であろう。

だが、彼は違う。彼女の指摘した"事実"に対して、明らかに動揺している。
何人もの血を浴びたはずなのに、その事実に恐怖する姿がある。

敢えてそれを"病理"と表現した所も、指摘すべき点の一つか。……兎にも角にも。
彼は、単なる"殺人者"には止まらない人物、という事は理解出来るだろうか。

「……その、通りだ。……私は……私の人生は、"彼等"の生命の上にある」

彼は、本心からやり切れないような態度で、本当の罪悪感から、その言葉を発した。
彼等とは、殺害した対象の事であろう。何を以ってそのような態度を取るのか。……それは、未だに闇に隠されたままだ。

509 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/16(土) 23:01:11.66 ID:hTI6rGzg0
>>506

「俺が……悪?」

思考が、止まる。励起させた左手だけが白く、より白く、そして自らの精神を塗りつぶしていく音がする。
彼は『正義』である。浮浪者が窃盗の罪を犯そうとしていたところを止め、そして処断しようと少女に任せた。
それが今、左手の僅かな痛みに顔を歪めなくてはならないのか。理解が及ばず、同時に、自身の正当性だけが確立される。
過剰防衛。彼女は恐らくそう言いたいのだろう。確かにその通りではある。彼の行動は、明らかに過剰過ぎていた。

だが、少女の行動は彼とは違い『常軌を逸して』いる。思った通りにしか行動できないといってはいるが、彼にとってそれは正確な表現では無かい。
恐らくだが、少女には善悪の境界というものが非常に曖昧であるのだろう。出なければ、先程窃盗をされかけた人物では無く、彼を打つはずがない。

何度も繰り返すようだが、彼は自身を正義だと確信している。彼の行動は、世界にとって最も救われる行動であるという確信があった。
しかし、少女からはそれを感じない。何も考えていないのだ。思考が無い。ただやりたいと思った時には既に行動は決している。
彼は精神異常者だ。それはあくまで正常な範囲から見た際の異常であり、少女のような『ソレ』とは違う。僅かに、僅かにだが、彼は少女に対し恐怖を覚えた。
言葉が通じない、理屈の一切が通用しない相手とは、えてして恐ろしいものである。

「ああ分かった。理解した。」
「お前が悪だな? そうだろう?」

「それでいいんだ。理解したか?」

左手の『鼓動』が、彼の荒れた精神を少しずつ。少しずつ塗り替え、同時に全能感にも似た『ソレ』は、彼の左手に集って消える。
少女の方を向き直り、彼は自分にすら言い聞かせるように少女へと声を掛ける。二丁拳銃に対しては、既に唐突な出現を見たせいか、感想は特にない。
強いていうなれば、変化するのは厄介だな。と、冷静に現状を把握したことぐらいか……。
510 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 23:01:43.60 ID:5RgvmyxNo
>>505

『へえ、バドさんっていうんですね。』

【バド、少女にしてはすこし女っぽくない名前か】
【この少女も名が短いな、なんて違和感も感じて】
【そんなことを思いつつ、男がそばに来るとそれを拒みもせず】

【男は少女のどもりようからその両方がビンゴだと分かった】
【だが、驚愕したのはその後で】

『杖が喋った・・・!?』
「ああ、そのようだな。やっぱりあの杖は生きている。」

【杖が喋った、このことにはルピカは驚きを隠せなかったようで】
【だが男の方は至って冷静だ、想定内の事態だったのであろう】
【男は少女の方へと二、三歩近づき】

「お嬢ちゃん、ちょっと協力してほしいことがあってね・・・。
あ、杖の兄ちゃんも聞いてくれれば嬉しいんだが。
ルピカ、話していいか?」
『どうぞ、お好きになさってください。』

【ルピカはなぜ急に切り出したのか、という不満気な顔をするが】
【それも自らのためだ、許可せざるを得ない】

「実はルピカは人形なんだ。自律人形というものでな。
今のところ、試験運用をしているんだ。そこで、だ。
ぜひとも、データを取るために、ルピカと模擬戦をしてほしい。ルピカの為にでもある。
どうだい?君が選ぶことだから、好きに選んでもらって構わない。な?」
『ええ、そうですね。バドさん、貴女のお好きなようにしてください?』

【急にルピカが人形であると伝えられるのである】
【まあ、驚きは隠せないであろう、いかにも外見も言動も人間そのものであるのに】
【この二人の関係は人形遣いと人形、という関係で、だから意思疎通ができる、というのは理解できるであろうか】
【まあ、模擬戦に関しては決定権は少女、もしくは杖に有るわけだ、どうするのか】
511 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 23:09:11.81 ID:C+w0rsUn0
とあるホテルのロビー。光沢を持つ白い床、壁を暖色の光が照らす。
天井からは細やかに飾られたシャンデリアが吊るされており、格式を高めている。
いかにも高級なホテル、といった場所。そこに一人の女が柱にもたれ掛かっていた。

「―――― はぁ」

ため息をつく女は黒いロングジャケットを纏い、色の抜けきった髪をくるくると指に巻きつけて弄ぶ。
体は小柄で、少しだけ覗く足も細く白い。儚げで、か弱げな、そんな女。

――――― ぴちょん、と水音がした。天井に入った罅から、赤い液体が滴っている

「別に、ここまでやるつもりはなかったんだけど」

彼女がため息をつく少し前に、事は起きていた。
ホテルの二階、ロビーの真上。彼女に恨みを持つ組織が宿泊中の彼女を襲ったのだ。
彼女自身に自覚はないが、恨まれる理由ならいくらでもある。気まぐれで殺した内の誰かが、恨みを作ったのだろう。
そこで彼女はそれらをすべて返り討ちにした、が、寝起きの彼女は特に加減を考えて居なかった。

彼女が降りかかる火の粉を払った時、爆発音に似た崩壊音があたりに響いた。
それは周囲に居る人間なら誰でも気づける大きさで、異常事態を知らせるだろう。
音の中心へ赴けば、ホテル
512 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 23:11:50.19 ID:C+w0rsUn0
>>511
とあるホテルのロビー。光沢を持つ白い床、壁を暖色の光が照らす。
天井からは細やかに飾られたシャンデリアが吊るされており、格式を高めている。
いかにも高級なホテル、といった場所。そこに一人の女が柱にもたれ掛かっていた。

「―――― はぁ」

ため息をつく女は黒いロングジャケットを纏い、色の抜けきった髪をくるくると指に巻きつけて弄ぶ。
体は小柄で、少しだけ覗く足も細く白い。儚げで、か弱げな、そんな女。

――――― ぴちょん、と水音がした。天井に入った罅から、赤い液体が滴っている

「別に、ここまでやるつもりはなかったんだけど」

彼女がため息をつく少し前に、事は起きていた。
ホテルの二階、ロビーの真上。彼女に恨みを持つ組織が宿泊中の彼女を襲ったのだ。
彼女自身に自覚はないが、恨まれる理由ならいくらでもある。気まぐれで殺した内の誰かが、恨みを作ったのだろう。
そこで彼女はそれらをすべて返り討ちにした、が、寝起きの彼女は特に加減を考えて居なかった。

彼女が降りかかる火の粉を払った時、爆発音に似た崩壊音があたりに響いた。
それは周囲に居る人間なら誰でも気づける大きさで、異常事態を知らせるだろう。
音の中心へ赴けば、ホテルの中心で髪を弄ぶ女が一人。ジャケットを『血塗れ』にして立っている事だろう。

//コピペ出来てない!!!修正です
513 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga 残59]:2016/01/16(土) 23:12:53.36 ID:XMnROYXFo
>>509
「――そうですね、私は確かに悪の側面もあるかもしれません」

肯定、ただ全面的ではない
あくまでも、部分的だ
ただし、先ほどまでのふざけた雰囲気はない
神に仕える者として、どこまでも真面目にただ語る

「絶対悪も、絶対善も、存在しません
あるのは混沌――善も悪も持ち合わせる者のみです」

これは決して神の教えなどではない
彼女の言葉だ

「そして、混沌は見方によっては悪とも善とも見れます
――あなたは私の悪を見ていて、私はあなたの悪を見ています」

聖女のように、語り掛ける
歪んだ全能に、聖なる仮面をした自由は語り掛ける
それが――相手の心に響くかなんて、どうでもよかった

「…なんちゃって☆」

テヘペロ、とでも言わんばかりに舌を出して手の甲で頭を叩く
琴葉には30秒以上シリアスにすることは不可能なのだ。諦めてもらいたい
…まあ、シリアスモードの言葉は紛れもない本心であることには変わりないのだが………
514 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/16(土) 23:19:42.78 ID:dizZZtlDo
>>507
 矢継ぎ早に繰り出される言葉は、正論で隙がない。
喋る速さにも、理の通った意見にも口を挟む事ができず。
柔和な印象をあたえる顔は、困惑の表情を浮かべてしまう。

「えー…… そこまでこんなん食べたいの?」
「まー、蓼食う虫も好き好きとは言うけど、変わってるね―」

その執念と、口の達者さに少女から一歩距離をおく。
しまった、なんか地雷踏んでるっぽいな。
という自覚が無いわけでもないが何が信管だったのかはわからない。
早く終わらないかな―。と眼の焦点を合わせず雄弁に語る少女を眺める。

 そして機銃掃射のような言葉の嵐が終わりに近づき、ゲイルスケグルの質問。
栄養補給が必要なのかというに対し、少女は。
自分は欠陥品ではあるが人間である、だから必要だ。と答える。

「ふーん。 難儀だね―。 欠陥品にされちゃうなんて」
「あーでもまー、私も欠陥品か。なんでか知らないけど自我あるし」
「カタログスペックとかは一級品だったっぽいけど」

 欠陥品を自称する少女に若干の同情を覚える。
自分は機体性能としては、オーバーヒートの危険性があること以外は完成された兵器だという自覚があるからだ。
そのオーバーヒートも、暫くの間スペックを十全に発揮できなくなるのみ。自動冷却も可能というものだ。
こう考えていると、自分がやばい存在に感じてきたゲイルスケグルである。

 閑話休題。
少女の言葉に答えたあとの小さな沈黙。それを破るように、出てきた人間。
白いタオルにエプロン姿。この店の店主であろうその男。
話を聞いていたのだろう。自らの商品を豚の餌と罵られて不快な様だが。
それ以上に、お腹をすかせた少女を満腹にさせたいのか。
少女を店内へと招き入れ、自身は厨房へと戻っていく。

「あー。良かったじゃんおじょーちゃん」
「豚の餌をお腹いっぱい食べさせてもらえるってー」
「ついでに私も食べてみるか―。豚の餌」
「でもまー、スナック菓子のほうが良いと思うけどな―」

 ゲイルスケグルはこのラーメン店に何か恨みでもあるのだろうか?
頑なに豚の餌と罵り、スナック菓子を勧める。
しかし、少女とともにラーメンを食べる気があるようだ。
515 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/16(土) 23:21:34.98 ID:zj7qtp0h0
>>508
おや、とアリスは正真正銘の驚きの感情を顕にした。
何も存在するはずのない空白に“扉”が現れ、そこから人が現れた……考えてみれば、まともな人間ではないことは確実だと、誰の目から見ても分かることだが。

だが、この男は違う。容貌でいって二十を超すか超さまいかの彼女を見て、『貴女』と呼んだ。つまり、敬意を払ったのだ。
何を感じ取ったのか、そんなものは当の本人に分かるべくも無いのだから、考えても仕方ないと、アリスはまじまじと男の瞳の奥を覗く。―――何故だか、“怯え”が見えた。

「ここでは、そういう括りになるのかねえ」
「ま、あたしのことは良いのよ。きみよきみ」

そう話すと、アリスはずずいと寄り出し、その顔を彼の―――顎に向けた。

「おおう、でっかいのねきみ!」

考慮するのを忘れていたのか。またも驚いて仰け反り、数歩下がって彼の顔を見つめる。
そうしてここまで軽く開閉されていた口が固く結ばれる。数十秒、そのままの状態で。
やがて、彼女の唇は重々しく開いた。

「―――人を“糧”にしなければいけない“病理”。いや、もうここまでくるときみの身体に巣食う“獣”ね」

彼の色の違う双眸を見て、何を確信したのか。突拍子のないことを口にする。
だが、突拍子がないのは客観の視点での話。―――彼にとっては、どうなのだろうか。

「きみ、あんまり時間無さそうよ。丸ごと“こいつ”に乗っ取られちゃうかも」


/遅れましたすみません
516 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 23:23:37.71 ID:LsvBY07e0
>>510

『くっ……ふふ、杖が生きとるーだと。なあ、お前的にはどう思うてみぃ?バド?』
「……」

彼らの反応に笑いを堪え切れなかったのかアナと呼ばれた杖からの嘲笑は止まない。
それと同時にバドの表情はどことなく暗い。先程迄の気弱な態度とは違う、憂鬱そうな雰囲気を纏い溜息を吐いた。
含みのあるアナの言い分に冷ややかな視線で無視を決め込むあたり、ある程度扱いは慣れてはいるし、遠慮もあまりないのだろう。
尤も。これはアナの機嫌が思ったより良かったからこそ出来る対応なのだが。

「にん、ぎょう?ルピカさんが……!?う、嘘、だって人間みたいなのに……!」
『……、へぇ。オモロイ玩具を持っとるんじゃのぉ。ウチにも一台……ってワケにもいかんか、ソレは。』

その反応はバドとアナとで大きく分かれる。
驚愕を露にするバドと人形であることには驚きつつもあくまでその性能に興味を示すアナ。
さっき聞いた意思疎通の件はこれにて合点する。なかなかに面白い、と杖は笑いを噛みしめる。

『――は、「……ッ!そ、そんな!ルピカさんと戦うなんてわたし……!わたしは戦うこと好きじゃないし、アナは本気にさせると色々危ないし、……だ、駄目ですよ。」

模擬戦、という言葉を聞いた途端、アナが何かを言おうとする。
それを防ぐようにバドが言葉に言葉を重ねて。
あからさまな舌打ちが頭上から聞こえてくるが、不満を言ってこないということは今はそこまで『ノリ気』ではない様子。
何はともあれ、相手の誘いを蹴ってしまうことになるのは少しだけ申し訳なく思い。すみません、と深々と頭をさげる。
517 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 23:25:05.47 ID:pxizp85Yo
>>512
突如起きた街中の衝撃、誰もがその音の発生源の方向を知り、困惑した。
その中から、自ら調べてこようだなんて思う一般人はいなかった、こんな状況に置いてわざわざ危険な匂いの方向に行く者は、往々にして『一般』人ではないからだ。

「?」

かく言う彼もそうであった、たまたま通り掛かった近くのホテルから、聞き慣れない音がして立ち止まる。
周りを見れば周囲の人もみんな同じホテルを眺めていた、という事は勘違いではないようだ。

「よし、見てこよう」

即断即決、すぐに野次馬根性でホテルの中に押し入ろうとしたのを、近くにいた中年男性から留めが入った。
親切心から来る賢明な大人の判断であるが、その手を振り払い無理矢理にでもホテルの自動ドアを潜り、心配そうな市民の視線は閉じたドアに遮られる。

ドアを潜ると、ロビーに居たのは1人の血塗れの女、怪我をしているのか返り血なのか、遠目には判断し難い。

「……隕石でも落ちたァ?」

頭を掻きながら呑気に聞くが、流石にそんな訳は無いのは自分でもわかっている。
518 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/16(土) 23:25:43.05 ID:LsvBY07e0
/>>516のお前的にはどう思うてみぃ?は
お前的にはどう思うか言うてみぃ?でした!脱字すみません。
519 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/16(土) 23:34:37.56 ID:hTI6rGzg0
>>513

――――意味が分からない。それが彼の抱いた感想だった。           、、、、、、、、
世界は善と悪で二分されている。正義があって、悪があって、世界はそれ以外には何もありはしない。
善悪二元論と言う言葉が生まれたのが何よりの証拠だ。混沌、曖昧。そんなものは所詮、善悪の判断をしたくない連中の言う妄言だ。
正義に責任をとれない。善と言う重さに耐えきれない悪が、悪と言う言葉を使い、混沌と言う隠れ蓑を使って、正義を嘲笑っている。
そう彼は信じ込んでいるが故に、少女の言葉は何一つ。どうあっても届く事は無い。寧ろ、彼という存在の根本を『否定』している。

悪は糾弾しなくては。そう、相対する少女は悪である故に、悪であるのだから、悪で無くてはならない。
そして正義と把握を糾弾する物だ。悪を叩き、悪を挫き、悪を殺す。それでいいんだ。理解している。

「――――意味が分からない。」
「この世界はね、善悪しかないんだよ。」

そうやって、自問自答。そうやっている間にも、刻一刻と時間は過ぎていき。彼は少女に向かってその一歩を踏み出そうとした――――時。異変は起こる。
感じたのは痛み。それも左手の全てを弄繰り回すような、術式自体に干渉しているかのような、違和感を伴うそれに、彼は思わずもう一歩ほど後ろに下がってしまう。
理由は一つ。先程受けた銃弾が完全に消えておらず、同時に、聖属性によって彼の『不浄の左手』の術式が一時的にではあるが乱されていた事によるもの。
彼は聖属性に対し強い強制力を持っているが、それは決して神の加護を受けた霊力をまともに受けても何も起こらないというほど強い者では無い。
性質の強化が幾らか進んでいればその程度であれば容易く無効化で来ていたのかもしれないが、最初の時点では当然不可能であり、術式が少しずつその効力を失う予兆。
巫女という存在を相手にしたのは初めてではないが、皆それぞれが信心深く、同時に正義の心ある人間でもあったというのに。この少女は違うのだろうか、いや、根本としては違わないのだろう。
ただ、行動に移すという事が従来よりも恐ろしく速いだけ。それだけで、それこそ、彼が不覚をとってしまった理由。あと数分もせずに、術式は一度崩壊してしまうだろう。

其処からの判断は、速かった。

先ずは体全体を地面へと下ろし、左の膝を地面につくように腰を下ろしながら、左手で地面へと触れる。触れた部分は彼の能力によって腐植という過程をたどり
地面は砂という小さな粒になって空気中に消えていく。その中間、丁度風に飛ばされそうな程度になったそこで、左手を触れるのを止めることで、僅かだが小さな『砂の壁』が出来上がる。
風に向かって吹かれる関係上、それは僅かに少女の視界を奪う筈だ。もし奪わないとしても、多量にふかれるそれは彼の体を僅かにでも隠すだろう。
僅かな時間。そこで彼の姿は『消える』。追いかける。相手を視界に収め銃で撃つなどの行動を起こせば足は止められるだろう。
もし何もしなければ…………彼はこの場から本当の意味で『去る』だろう。
520 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/16(土) 23:37:51.67 ID:C+w0rsUn0
>>517
「ま、似たようなことは起きたかな」

小規模だけどね、と付き加えて来訪者の方へ向き直る。

「さて、君は何かな?
 ただの野次馬とは思いにくいんだけど」

尋ねる声はため息交じり。まあ、これだけ派手にやったんだ。多少の面倒は覚悟しているが。
少なくとも一般人がここに来ることはないだろう。野次馬根性で命を投げる奴は居ない。
ならば相手はある程度護身する『能力』を持っているか、私を見過ごせない立場にいるか、そのどちらもか。

「もし唯の野次馬なら、そのまま足を後ろにやってくれればいい。
 殺しそのものは別に趣味じゃないんだ。」

構える様子はない。警戒することすらもない。
もし今武器を持っているなら、それを抜けば刹那に命をたてそうな無防備さだ。
521 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/16(土) 23:39:53.81 ID:5RgvmyxNo
>>516

【あのアナ、と呼ばれている杖、よほど性格が悪いのか】
【バドへの嘲笑は続いている模様、バドは無視を決め込んでいるようだが】

【ルピカが人形であるということを聞いた少女は驚き、杖は興味を示す】
【反応は二分されたが、ルピカが人形である事実に変わりはない】
【そして、男が人形遣いであることにも】

『ええ、私は人形なんです。隠しててごめんなさい・・・。
一応、試験的に運用する、という目的から、能力者さんにしかお話してないんですよ・・・。』
「あー、杖の兄ちゃん。玩具じゃすまんぞ、いい遊び相手にもなる。」
『ちょ、ちょっと!私をおもちゃみたいに扱わないでくださいよ。』

【試験的な運用、というところからできて間もないということはわかるであろう】
【まだたった3年しか経っていない、まだまだ不安定な箇所は挙げれば膨大にある】
【だからこそ、その不具合箇所を解消するために模擬戦に協力して欲しかったのだが】

『ですってよ、オケーレフ。この件に関しては諦めてください。』
「しょうが無い、ルピカが言うのなら・・・。わかった。すまんな、無理な要求をして。」
『すみませんね、ご迷惑をお掛けして。さ、オケーレフは煙草でもすってきたらいかがですか?』

【「おっ、そうだな」なんて言い、男はその場を離れ、再び公園の入口で煙草に火をつける】
【空気は乾燥している、火の回りも早い】

【さて、公園内はルピカとバドの二人、そして喋る杖のアナだけとなったのだが】
【ルピカは思い切ってバドに切り出す】

『ところで・・・、バドさんはどんな能力をお持ちなんですか?
私は人形なんで、実質的には能力をもってないんですが。』

【能力を持っているのはあの男だ】
【男の能力により意思疎通を行い、そして魔翌力を供給する】
【戦闘をするのはルピカではあるが、バドとアナはどうなのだろうかと気になり】
522 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/16(土) 23:43:49.64 ID:bTIhkztp0
>>515
「………!」

━━━━━矢張り。彼女は、只者ではないという事が、瞬間にして理解した。
自分は、彼女に何ひとつ明かしてはいない。だが、眼前の女性はあろう事か。
自分の"顔を見るだけで"、己の業を見抜く事はおろか、その"病"にまで踏み込んできたのだから。

彼の本質。彼の本能。
生まれた時から彼が苛まれ続けてきた病理を、いきなり暴かれたのだ。
彼は女性の言にひどく衝撃を受けたように、雷を受けたように呆然と女性を見て。

「……Hva i halvete(What the hell)!!!!!!」

何かに追い詰められたかのように、彼は女性へと叫んだ。
……当然だ。彼は彼女の指摘した獣性に、生まれた頃から追い詰められているのだ。

やがて彼は、自分が我を失い、声を荒げた事に気が付いた。
すまない、と一歩下がり、彼は女性へと質問する。
しかし、落ち着いていてはいない。彼の態度には依然として、何か焦燥に駆られたような必死さがあった。

「何故、私の獣性がわかった?時間が無いとはどういう事だ?乗っ取られるだって?」

彼はひどく混乱し、困惑したようにまくし立てる。
そして彼は最後に、最も重要な質問を。
……彼が生まれた時から探し求めた人物であるのかと、高まる動悸の中で問うた。

「……貴女は、"血の病"について知っているのか?」

彼は、真剣に彼女の顔を見つめる。
見据える瞳は、青と赤。相反する、食い違った理性と本能の表層。
その瞳の中に、切実なほどの願いと疑問を込めて。彼は、"彼女"を見つめていた。




523 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/16(土) 23:47:31.57 ID:XMnROYXFo
>>519
「だとしたら、正義醜過ぎじゃなね??」

ボソリ、と呟く
彼は意外に思うだろうが神職は決して清くはない
神職にも反吐が出る悪もいる
だが、それだけではすまないのだ
そんな悪だって、誰かにとっては神に仕える正義なのだ
きっと、世界は全てそうなのだ
正義の名のもとに悪をする。そんな矛盾が起こる混沌こそが、世界なのだ

だが、話は通じそうにない
めんどくさい!そう思っていたらいつの間にか砂の壁ができていた
触れなければ恐らく、あの面倒とはここでおさらばできるのだろう
面倒は好きでも話が通じぬ相手は別だ。そういう種族とはあまり話したくない

そして、彼は去った
理解できないままに、お互いが分からぬままに

「あーーっ!!帰り道わかんなーーい!!!」

少女は、未だに迷っていた

//速いですが、短いですがこのあたりで〆ですかね…?続けたいならどうぞこのシリアスキラーを好きにしてください!
//続ける用意もありますよ!
524 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/16(土) 23:52:58.61 ID:hTI6rGzg0
>>523
//日付変わりそうで丁度いいですし、此方の逃走……と言う形で〆にしましょう。
//お疲れ様でございましたっ……!
525 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/16(土) 23:54:39.07 ID:8RKDpWCa0
>>514

「――――自我があることが、欠陥品≠ナあることの証左なのでしょうか」「私には、そう思えません」
「……思いたくない、だけなのかもしれませんが」

それは少女に対する慰めであるのか。或いは己のレゾンデートルを確立させるため、彼女が彼女自身に投げかけた言葉か。
ともかく、自身を欠陥品と語る少女へと、彼女はそう反駁した。だがそれは、先程までの熱弁と比較すれば、幾分自身のないようでもあった。
恐らく、マリィナ自身がこれ以上の身上を語ることはないのだろう。だが一つだけ、事実と呼べるものがある。
――――ゲイルスケグルのように、マリィナは己の存在を楽観することはできない。

さて店に入れば、そこは冬の外気よりも幾分と温かい空間であった。カウンターと厨房のみで構成された、奥に細長い店だった。
聞こえよがしに「豚の餌」と口走る少女に、何人かの客が向き直る。地味な学生風の男から小太りのサラリーマン、けばけばしい化粧の女まで。
しかし彼ら彼女らを制するように、店主である壮年の男は静かに少女を見つめ続けるのだった。
幸いなことに、カウンターの最奥には席が二人分空いていた。マリィナは一本足の椅子によじ登るようにして座り、「お水、もらえますか」と少女に問うた。


『ニンニク入れますか』「――ラーメン大豚トリプル、ゼンマシマシでお願いします」


――壮年の男が問う。少女が応ずる。僅かに厨房がどよめく。しかし壮年の男は、鷹揚に首を縦に振った。
少女もまた注文したのならば、やがて一杯のラーメンが二人の座るカウンターの上に、「ラーメン大豚トリプルゼンマシマシ、お待ちどう」低い静かな声と共に、その丼が差し出されるだろう。
擂鉢と見紛うほどの青い陶碗には、もう一杯の丼を逆さにしてもなお被せきれないほどに積み上げられたもやし、キャベツ、背脂、大蒜、そしてステーキと呼んで差し支えないようなチャーシューによって作られた山が聳え立つ。
それらを決死の思いで掻き分けたならば、化学調味料と特注の醤油が白く蕩けた醤油豚骨のスープと、宛ら大蛇の如き太く長い麺が這い出てくる。
醜悪なまでにあらゆる具材が渾然一体となり、辛うじてラーメンの体裁を保っているその姿は、正しく怪物≠ニ呼ぶのに相応しいだろう――――――少女は、これを喰らい尽くすことができるのか。
526 :【0】 [sage]:2016/01/16(土) 23:55:33.56 ID:pxizp85Yo
>>520
殺気は其れ程感じない、そして思っていたよりも流暢に話す、どうやら怪我人ではないようだが、殺人鬼と思うには微妙な所だ。
だが、彼女の話し振りからするとこの事態を引き起こしたのは彼女だと断定出来る、では、さて、どうするか。

(……能力者、か……?)

彼女単体でホテルの天井にヒビを入れ、且つ建物の周囲にすら響かせる衝撃音を出すには、そう考えるのが自然だ。
だとすれば……自分と同じ能力者であるなら、もしかすると何か手掛かりになる事を知っているかもしれない。
そうと決まればいつもの通り、お決まりのセリフを言う所なのだが、今回は少し事情が違う。

(確か……D.O.T.Aってのは能力者の悪党を懲らしめるんだったな……こいつは悪党か?)
(まあ、間違っていたら謝ればいいか、それにホテルを壊したのは悪い事だろう)

青年は、正式な隊員ではないが、D.O.T.Aにその身を置いていた、即ち能力者の犯罪を抑え、罰する部隊。
一応衣食住を提供されている訳だから、働かないというのも気が引ける、自分の聞きたい事はついでにするとして、目の前の女を悪党と決め、対応する事にした。

「気が合うな、オレも[ピーーー]のは趣味じゃない……と思う」
「だから死なない程度にブン殴って大人しくなって貰うぜ」

いくらか過程をすっ飛ばしている気がするが、多分話で対応しようとしても無理だと判断したからだ。
青年なその場から一気呵成に駆け出し、走りのスピードに乗せた右拳を女の顔面に叩き付けようとする、無論遠慮は無しに。
結構なスピードが出てるが距離がある、対応不可能という速さでもない。
527 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 [sage]:2016/01/16(土) 23:58:41.76 ID:8RKDpWCa0
>>525
/少女が応ずる、じゃなくて彼女が応ずる、でした……
528 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/17(日) 00:01:28.77 ID:NXMfWTLR0
>>521

謝る相手にあわあわと手を横に振って、慌て出す。
人形であっても偽りの身体であっても関係ない。重要なのは、それを構成する精神、言わば魂そのものなのだから。

「そう、だったんですか……い、いいえ!謝らなくてもいいんです!ちょっと驚いてしまっただけで―――」
『はーい、んなことより遊び相手の詳細詳しく聞きたいんやけどー』
「アナは変なこと言わないで!」

と、あえて話を脱線させようとするアナをバドが全力で止めるということが幾度か繰り返され。
ようやく模擬戦がお流れになったというところで、ルピカの方から話を切り出される。が、それは言いにくい。
というかこれまでの話合わせが裏目に出てきている。本当はバドは魔法使いでも能力『者』でもない。それはアナにも言えることであって。

「えっと……、」『―――、こういうコトじゃ。』

バドが再びはぐらかそうとした途端、今度はアナがそれを遮る。
出し抜けに放たれた言葉はそれはもう悪巧みをする寸前の声音であって――現にその『口角は楽しげに吊り上っていた』
錫杖を握っていた筈のバドの白く細い手首を掴み返し、フード越しにルピカを見据えるのは、バドとはお揃いであるらしい水色のケープを羽織った人物だった。
背丈はバドとほぼ同じでざんばらに切られた銀髪と褐色の肌が些か目立つ。そしてその声は紛れもなく口汚い杖と同じであると分かるだろうか。

『バカバドの言うとった魔法っちゅーのはオプション、実際はコレじゃ。オレ達は武器と人間の身体を自由自在に切り替えられる。』

そう言ってじゃらりと掲げるのは首に付けられた民族衣装風な首飾り。
そこには錫杖と同じデザインの宝石が取り付けられていて。声のことからも、そして先程まであった杖が消え代わりにこの人物が現れたということから察することができるだろう。
突如現れたこの人物こそがバドの錫杖・アナであるということに。
529 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/17(日) 00:06:23.00 ID:AXDwDq6V0
>>522
男性が叫び、自身へと詰め寄るのを、アリスはまんじりともせずに眺めていた。
失敗したな、と内省をしていたのだ。永い間苦しめられている“病理”を知っている『風』に話してしまったのだから。

「いや、いいよ。今のはあたしが悪いさ」

軽く謝罪の言葉を述べ、彼の質問と共に話を続ける。
だがこれから彼女の口から出る言の葉は、彼の希望通りの物とは言えないのかもしれない。

「あたしは“魔女”。最近ここらに出てきた、ここの人じゃない除け者。あ、ここじゃないって言っても、国とかじゃなくてだね」

すう、と息を継ぐ。

「その、言って分かるかは期待してないんだがね。異世界の人なのよ。だからまあ、魔法とか使えちゃう訳で」

けれどこちらの世界にも魔術が知識として広がっていることもあるのだけれど、と前置きしつつ、やはり続ける。

「それを使ってきみの“中身”を見せてもらった。あたしのノーモーションだから、こういうことができちゃうのよ。反動もそれなりなんだけど、それは置いておいて」

一呼吸おく。少し、彼女の息が荒くなっているのやもしれない。
微笑みを湛えて、微かに勿体ぶって、彼にこう告げた。

「―――残念ながら、あたしは知らない。ただ、きみのそれが“呪い”でなければ、治すことができるかもしれない」
530 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 00:09:18.79 ID:AUwrwe4Oo
>>528

【なんだか兄弟の喧嘩のようで、ルピカはふふっ、と笑みをこぼす】
【微笑ましい様子で喧嘩を見ているが、次にルピカの顔は驚愕の顔に変わる】

【なんと、今までバドが握っていた杖は人間となった】
【おそらく、であるが今までバドが握っていた錫杖のアナ、とかいうやつなのであろう】

『えっ・・・!?武器と人間の身体を切り替えられる・・・?』

【ルピカの眼前には、実際に水色のケープを羽織った人物が居た】
【それがおそらくアナであろうか】

『つまり、あなたたちは武器であり人間でも有る・・・?』

【ルピカの頭は多少混乱している、武器と人間が同じ存在というのは多少信じがたいことで】
【再び顎に手を当てて考えこむ、アナとバドのほうは見ていないようで】
531 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 00:19:35.33 ID:SsQPvlQ/0
>>526
躊躇いなく人の命を奪う人間、それを悪党と呼ぶなら彼女は間違いなく男の敵となるだろう。
ぴちょん、と。また水音がした。ひび割れた天井から滴る赤が水溜りを作る。
それが何を意味するかは非常に簡単だ。

「君がそのまま帰ってくれるなら、あたしもおとなしいんだけど
 そうはいかないか」

自分が人殺しである、男がD.O.T.Aに属する。それだけで衝突を避ける方法はなくなってしまう。
面倒事を避けるのはあきらめるしかないか。

駆け出し、飛び出し、拳が顔面に触れる――― その寸前。
地面が床を割って隆起し、二人を遮る壁となる。強化された身体能力を持っているでもない限り、破るのはあまりに非現実的。

「ま、とりあえず動かなくなってもらおうか」

二人を遮る壁は視界すらも塞ぐ。つまり――――
壁の向こう側、女の背後から隆起する大地。それは針の如く研ぎ澄まされ、男へ槍となり向かう。
―――― 槍が壁を突き破る瞬間まで、不意を保ったまま襲う事が出来ると言う事だ。
532 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 00:21:04.58 ID:iHUphUlQo
>>525
「兵器として作られたんなら、欠陥品じゃん?」
「自我あったら面倒なことになるの目に見えてるし」
「実際私とか脱走してるしさー。おじょーちゃんも似たような感じじゃない?」
「ほんと、作った人もカワイソーだよねー。欠陥品作っちゃうなんて、大失態じゃん。どーでもいいけど」

 少女は自我があることが欠陥品であることとイコールでは無いと思いたいらしい。
しかし、少女もゲイルスケグルも兵器として作られたのであれば、それは欠陥であろう。
どちらも自我があるせいで、本来の目的を果たさないのだから。
ゲイルスケグルは少女を慰めるわけでもなく、ただ事実をあっけらかんとそう述べる。

 少女について店内へと入れば、そこは見た目はただのラーメン屋であるように見えた。
と言っても、ゲイルスケグル自身の記憶でなく、素体の記憶を参照しているだけではあるが。
椅子に腰掛ける少女に習い、隣の椅子へと腰掛ける。すると、少女と店長が、謎の呪文の応酬を始めるではないか。

「え……今の何?」

 ゲイルスケグルは少女達の会話を理解できない。
どうやら、素体の記録にもここに来た経験は無いらしい。
結局、呪文の意味もわからずラーメンは注文できなかった。

「………??」

 暫くして出てきたラーメンらしきものを見て、ゲイルスケグルはついに完全に口を閉ざす。
出てきたのはラーメンらしいが麺が見えない。
もやし、キャベツ、豚肉などが丼に山のように盛られているだけだ。
決して記録の中にあるラーメンと同一のものではない。ゆえにこれはラーメンではないと判断する。

「ごめん、豚の餌って呼ぶのやめるよ。これは豚の餌に失礼だし」
「これなに? 食べ物? これどうやって処分すればいいの?燃やせばいいの?」

と言うかまずはじめに、食物として認識できていないようだ。


533 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/17(日) 00:29:02.91 ID:P91jO7160
>>529
女性が話すのを、彼はただジッと聞いていた。
彼女の語り口には何か、人を落ち着かせるような含みがあるように思える。……そう、例えるなら……暖炉の側でおとぎ話を語るかのような温かみがあった。

その効果だろうか。彼は次第に落ち着きを取り戻し━━━━暗闇に光明を見出したかのような希望をもって━━━━再び、彼女へと話しかけた。

「……魔女……先ほど、扉もないのに現れたのは……」

まぎれもなく魔女の業、という事か。
ファンタジー、おとぎ話の領域だ。最近は、かなりこういった事象に遭遇する事が多い。
普段の彼なら、信じなかったかもしれない。
だが彼には現に、魔術とも思える起源をもつ身内がいるし、彼女がただの人間では無いと理解していたからだ。

だからこそ彼は彼女の言を受け入れ、理解した上で話す事ができた。自分でも、こんな突拍子も無い話をよく信じられる、と思った。
だが、彼は信じざるを得なかった。藁をも掴む希望。枷をつけられ、海底へと沈んだ身は、何としてでも水面に上げなくてはならなかった。

「……貴女が見た通りだ。私の人生には、常に血の業がつきまとっている」
「しかし、私が見たところ……貴女は、只者ではないように感じる」

ずっと思っていたことを、ここに来て初めて口にする。
"只者ではない"。それはすなわち、不可能を可能にする者の事だ。信じられないような事を、平然と為すような者の事だ。

つまり。彼が不可能だった事を……
"血の病"を治すことをも出来るかもしれない。
彼は一縷の望みをつかんだ気分の中で、少々興奮ぎみに、コートの中からひとつの小瓶を取り出した。
中に入っているのは、少し黒さを含んだ赤の液体━━━━━それは、彼の血液であった。
血の病の病理。それに侵された罪の業。彼のすべてが、そこに詰まっていた。

「━━━━初対面で、差し出がましい願いかもしれない。」
「……だが、私には貴女が必要だ」

小瓶を手渡そうとする。
無論女性が肯定すれば、の話だが━━━━しかし彼のその態度は、何としても否定させないという、執念じみた生への希望があった。

「僕には不可能だった。でも、貴女なら出来るかも知れない。……"私"の病理の解明を。」
「哀れんでくれとは言わない。同情しろとは言わない。」

「ただ、貴女なら出来るかも知れないんだ」

それは、切実なほどの願いだった。
彼は義理もなにもない、ただ唐突に出会っただけの男性なのだ。
助ける道理はないし、理由もありはしない。

だが、彼の追い求め続けた本質。それについて、少しでも識った以上は……
力になってくれるかもしれない。そう思われるのは、至極当然の事だと言えた。



534 :【生邪死神】 ◆So4u6upRUE [sage]:2016/01/17(日) 00:31:59.67 ID:NXMfWTLR0
>>530

いい反応、とフード越しから覗く碧眼が楽しげに細められる。
バドは突然人型で出てきたアナに驚いているのか固まったままで。その反応も含めて小馬鹿にしたような笑いは止まらない。

『そそ、面白いじゃろ?ああでも、武器であり人間でもあるってよりも―――、武器よりじゃけど。
 ……まあ、この話はこれにて終わり―――といきたいところ、でなぁ。』

そこまで言えば再び考え込む仕草をとるルピカを見据えれば、その隙を狙ってバドにこそりと耳打ちをして。
その言葉を聞くや否や、バドがぎょっとした表情になる。慌ててアナへと手を伸ばすが逆効果。掴み返された手は離せないように力強く握られてしまい。
バドの小さな悲鳴にルピカは気付くだろうか。もし、その異変に気付けたのならば。その顔を上げるのならば。

ルピカの眼前に鮮血のように赤い大鎌を携えた、アナの姿が見えるだろう。
刃物と柄との繋ぎ目にはめ込まれた赤い宝玉には見覚えがある筈だ。先程まで彼女が会話していた人物の髪飾りに酷似していたから。

『悪いけどここらでずらかるなぁ。――やっぱ別れは派手にいかんと、なあ?』

だがその刃がルピカに危害を加えることはない。アナの口から出た言葉通り派手なお別れをしたいだけ。
宝玉から溢れ出すのは声ではなく、純色のような真っ赤な炎。それを纏った刃を振り上げれば辺りが一瞬、炎に包まれた。
そうして火が一瞬で消えた後は、もう公園内にルピカ以外の人物は誰もいない。
深夜の公園に再び静寂が戻―――


    らなかったかもしれない。


『……あ、周りの木とか関係なく火ぃ出してもた。』

うっかり生み出したその火種(物理)が単なる不審火で済んだのか、それとも大惨事になったのかはアナの知るところではないのだ。


/すみません!そろそろ睡魔が到来しているのでこの辺で〆とさせていただきます…!
/遅くまでありがとうございました!楽しかったです!

535 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 00:37:44.70 ID:UxXEXjsno
>>531
接近中も女はまったく動かない、反応出来ないほど速いという自覚は無く、それが何かおかしいと気付くのは難しくは無かった。
突如として地面が隆起して出来た壁に拳が阻まれる、これを破る事の出来るような能力ではない青年の拳は、その勢いのまま岩の塊をブン殴った。

「何ッ!?」

「い……いってェ〜〜ッ!!」
「何だッ!?突然壁が目の前に……これがあの女の能力か!」

人を殴る感覚で岩の壁を殴れば、痛いのは当然こちらの方だ、拳が痛み、怯んだ隙に、壁の向こうから振動が伝わってくる。
壁に遮られ、見えない向こう側から、岩で出来た槍が壁を砕きながら襲い掛かってきた!

「ウォォッ!マズいッ!」

(岩は概念や現象じゃあない!琥羽の電気のように0≠ノは出来ないぞッ!)
(つまり回避するしかない!だが……砕けた壁の石つぶてのせいで上手く前が見られない、槍の矛先の向いている方向が読めないッ!)

砕かれた壁の破片が飛び散り、青年は顔を防御して目へのダメージを防ぐ、しかしそれでは帰って槍を見る事が難しくなった。
しかしその場に立ったままでは槍の餌食なのは明白、当てずっぽうで右に飛び逃げ、何とか槍は回避したが、体制は大きく崩れてしまった。
536 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/17(日) 00:45:04.67 ID:UXn12FZvO
>>532

「食べればよいのです。早く麺を上に出さないと、伸びて取り返しのつかないことになるでしょう――――いただきます」

手に取った割り箸を親指と人指し指の間に挟み、マリィナは一礼して呟く。そして箸を割って、手早く山盛りの野菜の下から麺を引きずり出していく。
そこからは実に鮮やかな手並みであった。津波の如し野菜をスープに浸し、或いは麺と共に、時にはチャーシューや背脂と共に、マリィナは一切の躊躇いもなく貪っていく。
バベルの塔はあれよあれよと言う間に崩れ、マリィナの小さな口へと消える。地盤となっていた太麺を喰らう彼女の姿は、宛らユグドラシルの根を齧るニーズヘッグであり。
五分も経っていないだろう。積み上げられていたもやしとキャベツと大蒜とチャーシューは、跡形もなく消え去っていた。麺はその僅か一割程度がスープという大海に沈んでいた。
マリィナはそこで、丼を両手で持つ。そのまま彼女はラーメンという世界を持ち上げ、青い世界の淵にほの赤い唇をつけた。
白く細い喉を艶めかしく蠢かせながら、彼女は残った僅かな麺と浮かんだ背脂ごと、白みがかった茶色のスープを飲み干していき――――

「――――ごちそうさま、でした」

ごとん、と彼女はカウンターテーブルの上に丼を置く。伽藍堂になった青い器の中には何一つ残ってはいなかった。
かくして、ラーメン大豚トリプルゼンマシマシという世界は消えた。彼女は口元を備え付けのティッシュで拭い、ちいさなコップの水をこくりこくりと飲んだ。
そして彼女は、にこりと笑った。年頃の少女に相応しい、あどけなく垢抜けた笑みであった。壮年の男――店主は、その唇を緩めた。

「このようにして、食べます。――わかってくださいましたか?」

そして彼女はゲイルスケグルへと向き直り、屈託のない笑みを振りまくのだった。カウンターの下に、彼女のローファーは届いていなかった。
その表情に、「欠陥品」と呼ばれて見せた悲しみはなかった。ただ純粋に、此の喜びを少女にも知ってもらいたいと、彼女は願っていた。
537 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 00:53:52.59 ID:SsQPvlQ/0
>>535
相手は何かしらの能力を持っている、そう想定していた。
壁も、槍も、それによって対応されると思っていたが現状男は唯の男、能力の片鱗は見えない。
ならば、こいつは武器も持たずに自分を黙らせると言ったのか。それともいまだ武器を隠しているだけか。
―――― 少し、『興味』が沸いた。

「無能力者か、能力者か、どっちにしても面白いね」

口角を上げて、笑いかける。それはまるで友人にする様な含みのない笑顔。
その笑顔と同時に、あの崩壊音が轟く。天井の罅が、大きく、大きく、広がって。

「だから、さ―――― ちゃんと生き残ってね?」

―――― 天井が、崩れて落ちる。巨大な瓦礫が男を潰さんとする。
男が何の能力もないのなら、無理な体勢からこれを避けるのは不可能だろう。
だが能力者なら、生き残る手段はあるはずだ。女はそれを期待して、この攻撃を選んだのだから。
538 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/17(日) 00:54:35.72 ID:AXDwDq6V0
>>533
「ああ、うん。そうだ、頼むんだよね、普通は」

分かっているのか、分かっていないのか。男性の願いを渋い表情で、アリスは少しづつ呑み込む。
腰より少し高いくらいの樫の杖に体重をかけ、壁にも凭れ、新緑にも似た髪先をくるくると弄り始めた。
特に上からものを言いたい訳ではない。本当の訳は、彼の病を善くすることにも関わる理由であった。

「いやね、あたしもそうしたいのはやまやまさ。しかし聞いてよスヴェンくん」

どこで男性の名を知ったのか、それはもう先ほどの説明で既に明かされている謎だ。
なぜ呼んだのかは、謎のままにしておこう。
馴れ馴れしい態度で話しかけながら、杖を支える逆の手を上げていき、人差し指で自分の顎をとんとんと叩く。

「あたし、呪いでそうそう魔法使えないのよ。そうねえ、きみのそれを治しちゃうとあたし、この場で倒れて吐くね。うんきっと」

さらりと述べる。

「さっきの“中身”を見る奴はよく使ってたからまだしも、今回の“よく分かんない病魔を無理やりやっつける”なんてのは、かなり難易度高いわけよ」
「それにきみが幾年も幾年も苦労してたってことは、自然と治るものじゃないんでしょ? そんなものを無理に操ると、反自然性が強くて更に負担倍増!」

まだ述べる。

「昔は魔翌力だけではしゃぎ回れたんだけどね、もうこのザマなわけよ。ということでスヴェンくんにはひとつ試練をあげましょー」
「それをクリアしてくれれば、あたしが血反吐絞ってでもきみのことを治してあげちゃおう。どうだい? 面白そうじゃない?」

と、ここまで言ってから深く噎せる。無理もない。最後の方は息を切らしながらだった。


//すみません、そろそろ明日が厳しいので落ちます
//凍結、お願いしても良いでしょうか?
539 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 01:05:56.77 ID:iHUphUlQo
>>536
 「食べるって言ったってー……?!」

 彼女にとって、目の前で起こっていることは、自我を得てから最も信じられないことであった。
山、それも生半可なものではない。日本で言うならば、富士山と言っていいほどの巨大な山。
それが人形のような少女によって、瞬く間に切り開かれ、整地されていくのだ。
一体小さな少女のどこに仕舞われているのか。体の大きさから想像される胃の容量を遥かに超えた量はもう無い。
成人男性でさえ悲鳴を上げそうな物量を処理しきった少女は、満足そうにこちらに微笑む。
 
 なるほど、今のが食べ方のレクチャーだったらしい。
ゲイルスケグルも今のように食べれば、きっとこのラーメン店の中にいる人と同類になれるであろう。

「いや、わからないから」
「そんな満足そうな目で見ないでよ」
「って言うか何? なんでそんなに満足そうなの?」

 しかし、それは無理そうだ。
このラーメン屋らしき店舗に入ってからまるで時間は経っていない。
しかしもうゲイルスケグルは疲れ果てていた。
理解できないという事がここまでつかれることだとは。

「あー……うん、どーしよ」
「もう小ライス一つちょーだい、それだけで良いや」

 しかし、店舗に入った以上はなにか食べずに出ていくのはどうだろうか。
どこか煤けた背中で、注文を投げるのであった。
540 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/17(日) 01:09:15.45 ID:P91jO7160
>>538
……何故、こんなにも軽いのか。こちらは真剣な、人生に関わる相談だというのに。
彼は彼女の態度に、少しばかり異論を唱えたくなった。しかし、そんな事は言ってはいられない。……彼女は間違いなく、自らの病理を治療できる術を持っている。
彼女こそ、彼がずっと探し求めた人物なのであろう。彼は彼女の妙な馴れ馴れしさに違和感を覚えつつも、その言葉をジッと聞いていた。

「……何も今すぐに、とは言わない。私の病が治るのなら……」

彼は彼女の言葉を聞き、すぐさま妥協案を考える。それほどの食いつきを見せるのは、それ相応に必死なのだろう。
自分が今までの一生を賭けても治せなかった病。それを彼女は、少し体調を崩すだけで治せると言うのだ。
……世の中の理不尽さに、少し腹が立つ。だがそれも、彼女が魔女であるからなのだろう。

この出会いは、奇跡とも呼べたものだったのかも知れない。
彼は彼女の持ちかけてきた提案を、すぐさまに飲んだ。間髪入れぬ返答。
何しろ、この病理はこれまで、彼をずっと蝕み続けた。家族も恋人も全てを失い、自分のために多くの生命を奪い、精神も肉体も死につつあった。
罪を犯し苦しみながら、未だ彼が生き続ける理由は、自分が奪った生命に対する懺悔。己の病理を解き明かし、その存在に意味を持たせる事。
それが果たされなければ、彼は永遠に始まる事はない。その人生は、闇に閉ざされたままだ。

故に彼は、迷う事なく、彼女の提案を受け入れていた。

「どんな苦しみにも耐えよう。どんな代償でも払おう。どんな試練も乗り越えよう」
「どちらにせよ……私には、それしか出来ないのだから」

その瞳は、強固な意志に満ちていた。

//了解です。また明日お願いします!




541 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 01:20:42.14 ID:UxXEXjsno
>>537
「クソッ……!」

体制を立て直そうとしながら悪態をつく、石つぶてで身体中に打撲を負ってしまったようで、いくらか体が傷んでいる。
女はまったくその場から動いていない、遠距離タイプか、と考えて、それから勝ち筋を考察する。

(ヤツの上に数字が浮かんでいるのは見える……何度も見たが、あれは能力に関する数字!)
(なら、あの女に触れる事さえ出来れば、あの数字を0≠ノして、能力を弱体化出来る筈だ……)

自分にはあのように遠距離を攻撃する手段は無い、何とかして女に触れて能力を使用し、能力の概念を0≠ノするしかない。
立ち上がった青年は再び接近を試みようとした、が。

「……ハッ!」
「しまったッ!天井!!」

再び響く崩壊音、その音量に反して目の前では何も起きなかったが、天井のヒビが大きくなる音によってその意図に気付いた。
次の瞬間崩れ落ちる天井、瓦礫のシャワーが押し潰さんと襲い掛かってくる中で、青年は両手を上に挙げた。
そして、次々に降り注ぐ瓦礫の山、沸き立つ土埃が青年の姿を隠してしまう。

「…………」

だが、土埃の中に見える青年の影は、確かに立っていた。
その高く挙げた両手に、巨大な瓦礫を乗せたまま、潰されること無く。

「瓦礫の重さを0≠ノした……」

彼の能力、手で触れた物の何かを0≠ノする、それによって自分に降り注ぐ瓦礫の重量を無くし、事無きを得たのだ。

「そして……コイツは武器にも出来る!」
「お返しだぜ!ソラァッ!!」

そのまま、持ち上げていた重量0の瓦礫を、女目掛けてぶん投げる、重さの無い瓦礫は、発泡スチロールのように簡単に空中を進み、飛んで行く。
だが、重量が0なら当たった所でダメージも全く無い、それこそ正しく発泡スチロールを投げられたのと同じように。
そんなのは、彼だってわかっていた、このままぶつける気は毛頭無い。

「そしてッ!投げた後に能力を解除するッ!」

そう、重量を0にしておくのは、自分の手から離れてスピードが乗るまで、十分に空中にスピードが乗った所で、瓦礫の重量を元に戻す。
そうすれば、女に投げられたのは超重量の瓦礫となる。
542 :【ハンス・ドリーシュの追蹤録】 :2016/01/17(日) 01:38:36.67 ID:VQI27iPAO
>>539

「心地よい食事であった場合、人間は喜びと充足感を覚えます。時にそれは、明日への活力ともなります」
『全くだ。――悪いなお嬢ちゃん、うちはライスやってねぇんだ。こいつで我慢してくれや』

満足げに笑うマリィナは、確かに妥当な答えを返した。そして店主は一つ溜息を吐き、ゲイルスケグルの前にも一杯の丼を差し出す。
マリィナが平らげた一杯よりは幾分小さな陶碗に、こじんまりと遠慮がちに盛られたもやしと大蒜。背脂がところどころに浮かぶスープには、二枚のチャーシューが添えられていた。麺は、そう苦労もせずに啜ることができる。
外観からすれば、普通のラーメンと大差のない代物であろう。分量で言えばむしろ、疲れた少女を気遣ったかのように少ないほどであった。
一口食せば、存外にまずくはないということにも気付くだろう。グルタミン酸と醤油と豚骨のジャンキーな味わいは、比較的強烈だがけして喰らえないわけではない。
野菜やチャーシューも腐敗しているわけでもなく、かえって新鮮なほどで――スープとよく絡んだ太麺は、印象深いものになるか。
飲み干したコップの中を見つめながら、やおら少女が呟いた。

「――――――このラーメン、とてもラーメンとは思えないくらいの大盛りだけれど、あんなにも美味しかった」
「だから――――でも、私は、確かに、出来損ない≠ナす。本来の役目も果たせず、欠陥品≠ニしての役目からも、逃げ出してきた」
「身体は脆いし、たくさん食べられるし、人並みの心はなくて、それなのに逃げ出すだけの自我はある、弱いいきもので」

独白は空気に溶けていった。そしてマリィナは、自身が思わぬ形で思考の袋小路へと迷い込んでいることを知った。
僅かに陰鬱と諦観とを孕んだ表情は、作られたような笑顔に変わった。

「……ごめんなさい、身勝手な話でしたね。……忘れてください」

そのまま彼女は椅子を降りて、「お代はいつか払わせていただきます。美味しいラーメンをありがとう――ごちそうさまでした」店主はゆっくりと頷き。
その後、マリィナは少女へと向き直るだろう。椅子の下から少女を見上げながら、こう言い残す。

「――お菓子のお誘い、ありがとうございました。またいつか、お会いしましょう」
「さようなら。でも別れる前に、どうか名前を教えてください。私は、マリィナ――マリィナ・シグネット」

――――少女が名乗ったのならば、マリィナは恭しく一礼をし、一歩一歩が短い歩みで、ラーメン店の外へと出て行くだろう。
マリィナは終ぞ少女へと全てを語ることはなかった。しかしマリィナが再び彼女と出会うことがあれば、或いは。

『――――どうだい嬢ちゃん、もう一杯いくかい?』

そしてまた、少女が差し出されたラーメンを食べきったのならば。にやりと自慢げに笑った店主は、そう問いかける。


/長くなってごめんなさい……! 駆け足ですが、こんな感じで〆でどうでしょう。
/絡みありがとうございました! 変則的なロールに付き合ってくださって幸いですっ
543 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 01:44:10.53 ID:SsQPvlQ/0
>>541
崩れ落ちる天井、降り注ぐ瓦礫の雨。その中で男は立っていた。
全身に青い斑を作った傷だらけの体で、その手を掲げて立っていた。
―――― ここまでは期待通り。

投げつけられる瓦礫、男の言葉を信用するならそれは武器に等ならないはず。
ならば、考えうる目的は、武器にも出来るという言葉の意味は一つ。
再び、隆起する地面。ただしそれは壁ではなくロケットの発射台のようなもの。
女は足元の地面隆起させ、その勢いに乗って飛び上がった。
回避は成功、投げられた瓦礫は隆起した地面を押しつぶしてその動きを止める。
―――― だが今は空中、先ほどのように軌道を変えることは出来ない。

空中に居る女の口元がほんの少し、動いた。女の周囲に、青白い光が収束する。
今現在隙をさらしているのはわかりきった事、それを生める手段だって用意している。
霊気と呼ばれるエネルギーを周囲に集め、収束、出来上がる霊気の弾丸。
人差し指を男に向けて、親指を立てて、手で拳銃を真似た――― そして弾丸が一斉に男の下へ。
弾丸の群れが男を襲う――― だが、それを掻い潜り女へ触れることが出来たならば
544 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 01:51:13.16 ID:SsQPvlQ/0
>>541
//私はまだ大丈夫ですが眠気のほうは大丈夫でしょうか?・・・・・・
545 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 01:59:35.38 ID:iHUphUlQo
>>542
「えっ……あー、ありがと?」
「まー。これなら食べられそうだね」
「今気づいたけど、スナック菓子以外って初めて食べるわー」

 小ライスを頼んだら出てきたのはラーメンであった。
ライスを提供していないのであれば仕方があるまい。
むしろメニューを把握せず適当に注文したゲイルスケグルが咎められるべきだろう。

 常識的なトッピングの量。適量と呼べるもやしや大蒜は、醤油とんこつスープに程よく浸かり。
異様なほどの太麺は良くスープに絡みそうだ。どうしてこれができるのに、ああなってしまうのか。
そんなことを考えながらラーメンとにらめっこしていると、隣の少女が独白を始める。
悲しみを多く含んだ声で語るその内容は、弱い自分を攻めているような印象で。

「あー……気にしなくて良いんじゃない?」
「どーせいちいち気にしてたってさー、どうにかなるもんでもないし」
「強いか弱いかで言ったらさ。そっちの性能知らないけど強いんじゃない?」

目の前のモノに対して意識を半分以上割いている返答はとても適当なもので。
きっとラーメンを処理し切るまでには少女の言った弱音など忘れてしまっているだろう。

「じゃーねー、マリィナちゃん。私はゲイルスケグルって名前」
「すっごい言いにくいよね。正直ネーミングセンス疑うわ―」

席を立ったマリィナを片目で見遣ると、名乗り返す。
その後、意を決したように目の前のラーメンに箸を伸ばす。
そして食べきった後には、やっぱりお菓子のほうが良いよねー。という感想を残すだろう。

/お疲れ様でしたー!絡ませていただきありがとうございました。
/なんだか途中からお腹が空いてくるロールでした!
546 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 02:01:12.48 ID:iHUphUlQo
>>545
/攻めている→責めている です。
547 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 02:03:34.23 ID:UxXEXjsno
>>543
瓦礫を回避して空中に飛び上がった女、しかし翼も何も無い人間が空中にいるという事は、身動きを封じられていると同義。
ここで決める必要がある、もしかしたらこれ以降のチャンスはもう無いかもしれない。

(光……?なら光度か熱を0に……いや!)
(なんだかよくわからんが、アレはタダの光と違う気がする!)

霊気という物の定義や構成物質はわからないが、何らかの数値化出来るエネルギーが無いのなら能力によって無効化はできない。
これを掻い潜り、空中の女へと接近する、出来るか?ではない、やらなければならないのだ。

「……スゥーッ……ハァーッ」

青年は大きく深呼吸をした、それから、自分の体に触れて、能力を使う。

「オレ自身の体重を0≠ノする」

自分の体重を無くし、重さと言う枷を一時的に外す、軽過ぎる体に多少は戸惑うが、足がもつれたりはするだろうが、それでも動きは素早くなる。
撃ち放たれる弾丸の群れを掻い潜り、瓦礫を蹴ってジャンプする、体重が無い故に軽い跳躍でもその高度は伸びる。
触れた所で衝撃は女には伝わらない、ティッシュが風に飛ばされ触れるような物、しかし触れられるだけでいい。

「アンタの頭の上に『数字』がちゃんと見えるぜ……!そいつを0≠ノすれば、アンタの能力の何かが0≠ノなるッ!」
「ウオオオオオオォォォッ!!届けッ!」

後は、神に祈るのみ、女に触れる事さえ出来れば、女の能力の何かを0に出来る。
体重とか視力とか、そんなのも0に出来ただろうが、直接的に、即効性をもって無力化する為に、能力を対象とした、賭けの一撃。

……だが、彼は一つ見落としていた、彼の目に見える『数字』は確かに相手の能力に纏わる数字だが、それが具体的に何の数字であるかまでは彼にはわからない。
つまり、そう、もし青年の手が女に触れてしまえば、女の能力の『発動に要する時間』が0になってしまう。
どんな強力な魔術であろうと、即時に発動が出来る様に……謀らずとも、彼は相手に塩を送ってしまう結果となる。

>>544
/まだ大丈夫ですよー
548 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/17(日) 02:03:52.41 ID:tScvIvsXO
【公園】

最近、大した用もないのに学校帰りに公園に寄るのが日課になっている気がする。
いや、考え事するという用事はあるのだけれど。

「技を身につける、かぁ…って言われてもな」

先日言われた、強くなる方法。
抽象的にただ技と言われても、色々ある。自分はどういう技を身につけていけば良いのか。
それ以前に、体も鍛えないといけない。
ただ独学で鍛えるだけでは限界がある気がする。どこか、そういう環境に身を置かないといけないような気がした。

「D.O.T,A、か」

頭に思い浮かんだのはD.O.T.Aという組織。
警察と同じようなものだが、能力さえあれば簡単に入れるらしい。そこならば、或いは。
しかし、常に危険と隣合わせな仕事だ。最悪、命を落とす。自分に、そんな事をやっていられるのか。
そもそも能力自体、本当に発現しているのか怪しいというのに。

「魔法でも出せれば良いのにな」

ぽつりとそんな事を言ってみる。
そう、分かりやすい能力といえば魔法。
なんでも良いから、能力がちゃんと目覚めている片鱗が欲しかった。

「悪い奴らをこう、バァーンって」

こうやって手をかざして、掌から魔法が出て。
まるで漫画。幼い頃から想像していたような、正義の味方。
ただの冗談のつもりでやった。本当に出るはずがないと思っていた。

掌から小さな光線が地面に炸裂したのはそのすぐ後だった。
549 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 02:15:24.30 ID:v4SAJp3io
>>548
「…チッ」

公園のベンチに座り、煙草を吸っていた
何故だか気が晴れない、その原因は分からない
まあいい、帰って飯にでも……

「あぁ?なんだ?」

と、思ったときなにやら炸裂音
そちらを見やれば…地面が焼けていた
何事だ、一体何があった
どうしようもなく気になってしまい、気づけば立ち上がっていた
槍をケースから取り出して

「おい、てめぇ
何をした?」

そして、ミネルヴァは少年の背中に槍を突きつけて問う
少年に危害を加える気こそない、だがどことなく棘のある声
棘のある声となっていることには、気づかない様子

煙草の煙は、そんな騒ぎに関せず空へと昇る
550 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 02:33:14.01 ID:SsQPvlQ/0
>>547
体重を0にする、つまりは武器としての四肢を放棄するに等しく。
触れること自体が目的か。―――― それがわかった所で、回避は出来ない。
高速で弾丸を掻い潜り接近する男、大して女はか弱く無力。魔法を打てなければ何も出来ない。

「必死に手を伸ばして、そんなに触りたいんだ
 ―――― ちょっとだけ、なら良いよ。」

口元を緩めて、浮かび上がる淫靡な笑み。
もちろんその表情も含めて冗談。だが、明らかに冗談などいえる状況でないのに、なぜこんなことを言って見せるのか。
女はひとつ、仮説を立てていた。
トリガーは触れる事で確定と思って良いだろう。そして引き起こされる能力は、0に関する何か。
重量操作と最初は思ったがそれも違う、唯の重量操作ならこんな風に殴ることを放棄する必要はない。
ならば、もっと範囲の広い能力―――ここまで推理した所で男の台詞。これで女は確信したのだ。
触れられて起きる現象は、自分にとって悪いものではないと

「数字、を0にするんだっけ。
 ごめんね。あたしの能力で0に出来る数字は一つだけなんだ」

語る女の背後へ、光が収束していく。先ほどの何倍も、何倍もの規模。
出来上がる弾丸はあまりに巨大で、まるで月のように浮かんでいる。

「―――― 詠唱の時間。0になるのはそれだけ。意味はわかるよね?」

現在、彼女はすべての魔術を詠唱破棄して行使することが出来るという事だ。
もはやいつでも男を殺せる。そんな状況で、女は

「ねぇ、君さ。あたしと手を組まないかな?」

唐突な提案を差し出した。
551 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 02:53:15.32 ID:UxXEXjsno
>>550
「よしッ!触れた!触れたぞッ!」
「これでアンタの能力は弱体化した!これ以上は……」

彼は一つ勘違いをしていた、自分の能力によって、必ずしも相手が被害を被る物だと。
これによって相手は能力を0≠ノされ、自分の勝利は揺るがぬ物になるのだと思い込んでいた。

「何ッ……!?まさか……!」
「失敗……いや違う、これは……!」

予想に反し、女が先程までより遥かに強力な、凶悪な光の塊を、その背後に生み出す。
何で出来ているのかわからないが、明らかにその力は強く、自分ではどうにもできなさそうな、諦めるのには十分過ぎる程の威圧感を持っている。
それが何故、どうしてこのタイミングで生み出されたのか、理解するのに其れ程時間は要らなかった、女の言葉を聞けばすぐにわかる。
誰がミスを犯したのか、間違ったのは何か。

「オレの能力で、ヤツを『強化』してしまったってのか!?」

地面に着地し、見上げるのは絶望の塊、自分の誤った選択により、自分自身が袋小路に追い詰められた。
このまま踵を返して逃げても逃げ切れるか───と、逃走すら考えに入れ始めた時、女の問い掛けが耳に入る。

「何……?『手を組む』だって?」
「一体何の為に……だ」

すぐさま殺そうとしてくる訳では無いらしい、だとすれば、話を聞けば多少は考える時間も、もしかすれば隙も見付かるだろうか。
552 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage]:2016/01/17(日) 02:56:19.57 ID:lSTAIDTsO

 草木も眠る丑三つ時という言葉がある。まさにその『丑三つ時』の公園で、静寂に包まれたモノがあった。
 二度と、静寂の奥底から出られなくなったモノ。それは、人間であった。
 齢も、性別も、体躯も何もかもが不明。黒い液体に浸った服が、唯一その人物が女性である事を伝えていた。
 それは、そう──言うなれば、妙な言い回しとなるが、身元が分からない事が一目瞭然であった。
 その女性は、到底人間の形をしていなかった。飲み込んだ爆弾が爆発したとしても、こう酷くはあるまい。
 散乱した肉片と血液が、深夜の大地を黒く染め上げる。指があっちへ、歯がこっちへ、舌などは近くの枝に引っ掛かっている。
 バラバラではなく、“グズグズ”と表現するべき姿を晒して、女性は草木と共に静寂の内に眠っていた。
 その女性の開いた腹腔。原型を留めていない腸を手に、一人の人間が立っている。
 こちらは、女性と違って人間の形をしており、呼吸をし、心臓を脈打たせていた。
 黒いフリルドレスを、よりどす黒く染め上げた少女。腰まである長い黒髪は、まるで黒い絹が流れ落ちているかの様だった。
 その両手首と両足首に黒い布が巻き付いており、同じ物が少女の両目を覆っている。

「あはっ」

 女性の腸をリボンの形に結び、少女は無邪気な笑みを零した。
 齢にして10歳前後のその少女は、死体を嫌悪するでもなく、恐怖するでもなく、ただ、愛でている。
 死臭を公園の外まで漂わせ、死体を、愛おしそうに弄び続けていた。
553 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 03:11:27.34 ID:v4SAJp3io
>>552
いつもの夜のお散歩、誰にも言えない楽しい楽しい殺戮遊戯
だが、その会場には先客がいた
グズグズ、もはやバラバラ死体とも呼べない
その真ん中には少女が一人、遊んでいた
すごく、すごく楽しそうだ

「ねえ、何をやっているの?」

そんな少女にどうしようもなく興味を持った
あまりに楽しそうだったから?
黒いタンクトップ、白のホットパンツ、灰のコート、白の髪
モノクロ、ではない。その瞳は流れる生血のように赤いのだから
そんな少女――ただの学生のはずである三条雪音は笑顔で声を掛ける
そう、笑顔で
554 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 03:18:40.86 ID:SsQPvlQ/0
>>551
何のために彼を求めるのか、口に出した目的は

「あたしはさ、また会いたいんだよ
 "あの世"に居る友達に、家族に、皆に」

あまりに子供じみていて、けれど誰もが願うであろう事。
もっとも、記憶の存在しない男には縁のない願いかもしれないが。
しかし女は"殺人鬼" 降りかかる火の粉であれば、それを払い殺すことに何の躊躇いもないような狂人。
その願いへ至るまでへの道は、きっと血に染まっている。

「勿論あたしの奴隷になれ、なんて言わないよ。
 君にも目的があるなら、あたしもそれを手伝うよ。」

ギブ&テイクはしてやると、そういうことらしいが背後にある霊気の弾丸はいつでも振り下ろせる状態。
選択肢など用意されておらず、選べるとすれば死か従うか。
―――― だが

「......どうかな?」

頭を下げて彼女は"お願い"をした。同時に霊気の弾丸が霧消する。
そして詠唱時間の0も、消える。強化は消えた。体勢を立て直す時間もあれば、二人は対等。
男に選択肢が与えられた。

台詞のとおり、奴隷と主なんて関係は好きじゃない。
欲しいのは友達と友達。それだけの関係。かつての友人たちのように、唯ともに笑いともに歩きたいのだ
これまた子供のような、純粋な思い。
しかし如何なる心を持とうが女は"人を殺した" その事実は変わらない。
崩れた天井から振ってきた瓦礫、その中には死体も混じっており―――― 戦闘が一時中断された今なら確認することも出来るだろう。
555 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage]:2016/01/17(日) 03:30:17.95 ID:lSTAIDTsO
>>553

 それは、若い──女学生と呼べる年頃の女性であった。白く流れる髪は、しかし、その真っ赤な相貌に存在感を奪われてしまっている。
 それは魅力か、或いは威圧か、赤が秘めるある種の眼力。そして、死に満ちた場にて笑みを浮かべる狂気。
 それを受けて、少女は恥ずかしげに口元を手に持っていた物で隠した。リボンの形に結ばれた物で。
 少女は顎を引いて、女性を見上げるような形で見つめる。

「──愛してるの」

 女性に愛を囁いた訳ではない。少女は己の行為が、愛の表現であると言っているのだ。
 そして、少女は体ごと首を傾げる。黒髪が肩に当たって乱れ、まるで闇を広げる様に風に靡いた。

「私はニュクス。
 お姉さんは、だあれ?」

 ニュクスと名乗った少女は、依然として口元に血肉のリボンを寄せたまま、無邪気な声色で問う。
 闇を転がるような、澄んだ声だった。
556 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 03:32:02.18 ID:UxXEXjsno
>>554
「…………」

女の目的は語られた、だが、それに対する自分を求める意味がよくわからない。

「ちょっと待て、『あの世』にいる知り合いに会いたいから、オレに協力しろって……?」
「どういう事だ、話が繋がらないぞ、オレの能力は『死』を0≠ノする事は出来ない」

もしくは、『あの世で会う為に殺してくれ』という事かとも考えたが、そんなニュアンスを孕むような態度には見えない。
協力しろと言われても、自分ではどうしようもないだろう、というのが本音だ。
だが、もし例えば、その協力の内容が飲み込めるような物であれば、提案を飲むというのも吝かではない。

確かにこの女は人を殺めている、しかし、どのような状況でかは定かではない。
例えば、この死人達の方がよっぽど悪人であったという可能性もある訳で、ここで再び考えれば、彼女が悪党であるかはいくらでも覆りようがあるからだ。

「つまり……オレが協力したとして、アンタは具体的にオレに何をして欲しいんだ……?」
「それと……この人達は、何故殺した」

重要なのは、この2点。お願いを聴くには、まだ条件が不鮮明だ。
柊春香という少女に拾われた恩がある、彼女と自分になんの関係もないが、しかし、顔に泥を塗るなんて事だけはしたくはない。
目の前の女が何の意味もなく、ただ己の快楽や自己満足だけで今の様な事を繰り返す人間であれば、手を組む事は絶対に出来ない。
557 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 03:44:43.49 ID:v4SAJp3io
>>555
「愛――ええ、素敵、素敵ね
そして美しい…」

愛、ああ素敵だ
そして、うらやましいくらいに綺麗だ
もちろん少女についてではない。少女の行為だ
もちろん、少女も美しい。黒く、黒く、黒い。布の下の目を見てみたい、きっと美しいのだろう
そして、その血もきっと暖かで気持ちがいいのだろう――

「私は、三条雪音
人間と人の中にある赤色に――どうしようもなく魅せられてるの」

澄んだ冬の涼風のような爽やかな声で答える
三条雪音は座り込み、地面の赤色に指を伸ばす
そして、その赤色を指にとって微笑む
そうだ、喜んでいるのだ
非常に珍しく、とても楽しげだった
558 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 03:48:55.06 ID:SsQPvlQ/0
>>556
「今は、でしょ?
 今はどの程度の概念に触れられるのかわからないけど、能力は成長するもの
 もしかしたら君が、生も死も何もかも0に出来るようになるかもしれない。
 ただでさえ概念に干渉する能力だし、有得るかなってあたしは思った。」

勧誘の動機は"期待"だ。いつかは自分の目的に役に立ってくれるかもしれない、とそういうもの。

「あたしから君に求めることは言ったよね。
 それで、それは......なんだっけ。ああ、なんか寝起きを襲われたから返り討ち、ってだけ」

これだけ聞けば、非はその死体にあるように思うかもしれない。
が、次の台詞でそんな思考は消し飛ぶか。

「"誰を殺したとか一々覚えてない"し、恨まれる覚えはないんだけど」
559 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 03:56:09.47 ID:SsQPvlQ/0
>>556
//すいません眠気に耐えられそうにないのでここで落ちます・・・・・・
//返信はまた明日しますのでっ
560 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 04:09:25.96 ID:UxXEXjsno
>>558
「……まさか、そんな事が出来る訳」

彼女は、この能力に期待している、成長し、或いは思い出し、触れる事の出来ない概念にさえ作用出来る様になると。
生も死もフラットに、【0】という形に均一にする、そんな能力になる可能性を見ている。
「出来るはずが無い」と言いかけて、言葉に詰まる、正直な所確証も無く、女の言う言葉の方が余程説得力があったから。

「…………」

沈黙、言いかけた言葉を呑み込むのと、女の話を聞くのとで。
話を聞けば、女の言う事を信じれば、彼女は降りかかる火の粉を払っただけに過ぎない、ならば手を貸すのに抵抗は無くなる。
しかし、その次に続いた言葉で、青年の腹積りは決まった、真っ直ぐとした眼差しが、女の目を見詰める。

「そうか……よく分かったよ、アンタという人間の片鱗が」
「自分が手に掛けた人間も覚えられないんだな……そんなヤツと組んだ所で、オレの目的は果たせなさそうだ」

結果的に言えば交渉は決裂、他人に興味を持たない人間に、失った自分の記憶を探す事は出来ない、取り引きは成立しないと判断しての事。
だけどそれだけという事も無い、きっと恐らく、彼女は少なくともこれ以上の人間も手に掛けている、それらが全部狙われたからという事は無いだろう、その事実が何となく、許せなかった。

「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……」

ずっと考えていた、彼女への対抗策の一つ、ここで使う事にする。
大きく息を吸い込み、肺に大量の酸素を貯める、腕を交差し開いた両手で、触れるのは虚空ではなくこの場の『空気』

「『酸素濃度』を、0≠ノする」

この瞬間、能力の範囲内にある空間から、空気中の酸素が消え失せる。
効果時間があるとは言え、空気には対流があり、効果範囲外の正常な空気がすぐに隙間を埋めるように雪崩れ込んでくるだろう、実際に『酸素が無くなる』時間は数秒に満たない。
しかし、その数秒であっても、酸素の極薄い空気を呼吸すれば、体は不調を起こす、目が眩み、体がふらつく。
正常な空気が入ってくるまでたった数秒息を止めていればいいだけの話だが、唐突に行われるそれを、術者本人以外が予想出来るだろうか?
561 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 04:09:58.16 ID:UxXEXjsno
>>559
/わかりました、一旦凍結としましょう
/お疲れ様でした
562 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage]:2016/01/17(日) 04:10:53.13 ID:lSTAIDTsO
>>557

 少女が2人、血肉の上で微笑み交わす。その様を画家が見れば芸術だと言い、詩人が見ればこの世の地獄であると詠うだろう。それ程に、白と黒の対極の色を持った少女らは美しく、倒錯的だった。
 黒髪の少女──ニュクスは、白髪の少女──雪音にリボン型に結んだ腸を差し出す。その表情は笑みであり、同時に蠱惑的な色を含んでいた。
 有り体に言ってしまえば、ニュクスはどうしようもなく興奮していたのだ。人を殺(あい)す事が、その血肉の一片までをも愛でる事が、心の臓を昂らせ、頬を上気させる。
 余韻に浸っていた所に、新たな人間。思いもよらぬデザートは、ニュクスを大いに喜ばせた。
 そう、彼女は人間を愛しているのだ。どこまでも無邪気に、邪悪に、歪に愛している。

「私も──私も人間を愛しているの。
 顔が見たいの、胸が見たいの、背中が見たいの、お腹の中も、頭の中も、全部、ぜぇんぶ見たいの。
 ううん、見るだけじゃ足りないわ。
 触りたいの、撫でたいの、噛みたいの、舐めたいの、千切りたいの、潰したいの。
 全部で全部を、人間の全部を愛したいの」

 ほう、と息を吐いて、ニュクスは想像の中の悦楽に浸った。真っ赤な唇を小さな舌が這い、白い肌の赤みが強くなる。
 そして、黒い布に覆われた瞳が、確かに雪音に向けられる。地の赤を指先で掬い笑みを浮かべる、その狂人に。

「ねえ、雪音お姉さん」

 期待と、そして狂気。或いは果てしない無邪気さを込めた、鈴の音のような声。
 蕩けるように喉を転がし、ニュクスは言った。

「お姉さんは、私に愛されてくれる?
 私、最近手加減を覚えたの。
 だから、きっと長く愛せるわ」

 その言葉に同調するように、周囲の空間が蠢く。夜が、闇が、まるで女王に歓喜の声を投げる様に、その身を震わせた。
 人の身には膨大過ぎる魔翌力を、何ともなしに垂れ流し、ニュクスはスカートの内から太股に付けていた白銀を抜き放つ。
 小さな右手に握られるそれは、不釣り合いな程に巨大な拳銃。月光を反射し、その白銀の身を主張する。
563 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 04:25:33.89 ID:v4SAJp3io
>>562
赤の上で微笑む二人の白と黒の少女
どこまでも歪で、歪
しかし――美しい
黒の少女から、リボン型に結ばれた腸を受け取る
ああ、楽しい、喜ばしい、昂る
そして、感じたくなった

「ええ、そうよね
私は、もっともっと感じたいの
抱かれるだけじゃダメ、もっと近くで、もっと感じたい
血、人を形作るあの赤い美しいものに、抱かれて感じたいの」

そうだ、彼女を感じたい
近くで、近くで、近くで
その思いが堰を切らさんとしたとき、視線を感じた
白が、ほんのり紅くなっていた――綺麗だ
あの白の中には――どんなに美しい赤があるのだろう

「ええ、けどニュクスちゃんだけが愛するのはずるいわ」

肯定する
本気で思っているのだ、この少女になら愛を向けられたいと
そして、愛を向けたいのだと

「私にも――ニュクスちゃんを愛させて」

ここにはない剣を両手で構え、異界が近付く
膨大な、心得がなくとも感じられる濃密な魔を受けて微笑みは深まる
ああ――気持ちいい、きっとあの赤色ならばもっと濃くこれを感じられるのだろう
564 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/17(日) 05:02:05.90 ID:lSTAIDTsO
>>563

 ちり、と肌が焼かれる感触。ニュクスは雪音の手の内に何かを感じ取っていた。何かを握っているかの様な、その手の内に。
 しかし、思考は寸断。高揚は理性を焼き、愛がふつふつと煮え滾る。もはや、己でも止められない。
 “嗚呼、どうやって愛そうかしら。”
 ニュクスは、満ち切れない期待と共に、右手の拳銃に魔力を込める。白銀の銃身は黒く染まり──やがて、拳銃は全身を黒い闇に呑み込まれる。
 それは、レイピアだった。白銀の拳銃は、黒に塗り潰され、漆黒のレイピアを形取る。ぬらりと傷一つない剣は、まるで芸術品の様に美しい。
 月光すら呑み込む黒を手に、ニュクスは距離を詰める事はなく、一歩、二歩と後退した。
 同時に、くすりと微笑を湛えた唇が音を綴り、魔を紡ぐ。彼女こそ、かつて雪に閉ざされた軍事大国にて、人の手により生み出された『神』。そういう名を持った、人造の怪物。



見よ、私は彼女の生を踏みにじる。その肌を病で犯し、彼女に触れた者をも病毒で死に至らしめよう。
Behold, I will throw her into a bed, and those who commit adultery with her into great oppression, unless they repent of her works.



 紡ぐ、束ねる。
 闇がニュクスの足下と、雪音の周囲をのたうち回る。



彼女が子を宿せば、その子を打ち殺し、その小さき死肉を彼女の胎へと返してやろう。
I will kill her children with Death, and all the assemblies will know that I am he who searches the minds and hearts.



私は全ての声を聞き、全ての罪を血と恐怖で洗い流してやろう。
I will give to each one of you according to your deeds.



 それは、魔道を志す者から見れば、無駄だらけの構築。しかし、馬鹿げた程の魔力が、無駄をすり潰し、その魔法を十全とする。
 そして、最後の一節。



さあ、悔いるがいい。
Repent.



 同時、ぶちぶちと不快な肉の音と共に、ニュクスの足下に巨大な眼球が現れる。バスケットボール大のそれは、神経をぶら下げたまま、てらてらと光る瞳孔でニュクスを見上げていた。
 それとそっくりな眼球が3つ、雪音の周囲に出現する。しかし、大きさは野球ボール大で、ゆっくりと虚空を泳ぐ。高さも位置も、水中を漂う様に移動しながら、しかしその瞳孔は雪音を向いていた。
 その瞳の中に見上げる形のニュクスの姿が写り、

「悲鳴を聞かせて、お姉さん……!」

 熱に浮かされた様な吐息を吐き、ニュクスはレイピアを足下の眼球に突き立てた。思い切り、柄まで通さんばかりの勢いで貫かれた眼球は、ぶちゅりと嫌な音を立てる。

『ぎぃやぁああああぁぁあああぁああああぁぁぁッ!!』

 誰の物でもない絶叫が、4つ。
 全ての眼球が性別も年齢も分からぬ、硝子を引っ掻いた様な悲鳴を上げた。
 同時に、浮遊していた3つの眼球から、真っ黒な液体と共にレイピアの切っ先が飛び出し、瞳孔の方向──つまり雪音を穿たんと迫る。
 しかし、どれも手足を狙ったものであり、ニュクスは宣言通り『長く愛する』つもりである事が伺えた。
565 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 05:19:19.64 ID:v4SAJp3io
>>564
ああ、美しい
あの黒き剣が、あの微笑みが、あの紡ぐ言葉が
あんな奇跡を起こす少女の赤、ますます浴びたい
いいや、浴びるだけでは足らない
飲みたい、全てを取り込み、感じたい――――――

「我が剣は此処に在らず」

目玉が、現れた
数は3つ、どれも生々しい美だ
ああ、両断したい。なかからは一体、何が出てくるのだろう?

「されど我は在らざる剣を担おう――」
「私はその白の下を感じたいの、ニュクスちゃん!」

腕を三度振る
飛び出たレイピアはたったそれだけで迎撃され、明後日の方角へと飛び散る
原理は簡単だ、レイピアを弾く刻に『刹華』を引っ張り出し、すぐに戻しただけだ
そして、間を置かずに前へと駆ける
前へ、前へ、そしてニュクスの眼前でその幻想は容を成す
『刹華』、2.5Mもある長大な剣
その切っ先は、確かに黒き少女の動脈を、より多くの血を浴びれるところを狙って突き出されていた
566 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/17(日) 08:05:23.98 ID:UULR8AqZo
>>565

 それを形容するならば、暴風。どこからともなく現れた大剣を手に、雪音は3度の嵐を振るう。その暴力の権化を、如何して細い針の如きレイピアが受け止めきれようか。まるでガラス細工を投げ落としたかの様にレイピアは折れ、砕け散る。
 だが、その破壊は1度しか起こらない。何故ならば、そこには最初から、『1振り』のレイピアしか存在していないからだ。眼球を媒介に、空間を捻じ曲げた刺突。故に、1振りが破壊されてしまえば、ニュクスの持つレイピアも、眼球から飛び出す切先も、全てが破壊される。
 ニュクスは、半ばから砕け折れたレイピアを手に、消え行く大剣を見た。黒い布の奥の双眸が、確かに捉える。女人の手には有り余る巨大な鉄塊。それを出現・消滅させるのが、雪音の力であろうか。
 肉薄する白い少女を見やり、ニュクスは一歩後退する。それで充分である、という訳ではない。むしろ、たった一歩では不十分に過ぎる。あの鉄塊を前に、それは誤差でしかない。
 再び雪音の手の内に現れたそれを目に、ニュクスはそれを理解した。しかし、一歩。たった一歩が『限界』であった。雪音が肉薄するまでに、動かせたのが足一本だけなのだ。
 ──そう、ニュクスの身体能力は歳相応でしかない。ほんの小さな子供と同じ。
 “耐えられない……。”
 ニュクスは冷静に、その殺意に満ちた切先を見て思う。己の肉体強度では、到底耐えられない。一撃の下に絶命し得るだろう。
 “代わる……?”
 否、それこそ耐えられない。愛したいのだ。愛し尽くしたいのだ。誰かに代わって、この愛を燻ぶったままにするなんて、耐えられる訳が無い。
 故に、ニュクスは戦闘において最善であろう策を、捨てた。後方に流れていた体に力を込め、二歩目は前方へと踏み出す。
 同時、迫る刃の腹に、レイピアの折れた切先を突き出し、魔力を込める。全身の魔が励起し、巡る力が再びレイピアを構築する。その大剣を、押し出すようにして。
 ずれた刃は、暴風を伴い突き出され、ニュクスの首筋に赤い線を残す。もしもレイピアでずらさなければ、頭が落ちていただろう、その一撃。それを潜り抜けたニュクスは、更に雪音へと歩を詰める。
 左の指先で首筋の赤に触れ、その宝石の様な雫を滲ませる。そして、雪音の腹に押し付けるように、その細腕を伸ばし、無邪気な笑顔を浮かべた。

「お姉さん、好きっ……!」

 好意を言葉にし、流れるようにその口で魔を紡ぐ。
 魔道について何も知らぬものでさえも、分かる。
 その指先に付着した血液が、膨大な魔力を集めていると。



  地獄では蛆が尽きず、火が消えることもない。
'where their worm doesn't die, and the fire is not quenched.'

  地獄では蛆が尽きず、火が消えることもない。
'where their worm doesn't die, and the fire is not quenched.'

  地獄では蛆が尽きず、火が消えることもない。
'where their worm doesn't die, and the fire is not quenched.'

人は総て、業火で塩の柱とならねばならない。
For everyone will be salted with fire, and every sacrifice will be seasoned with salt.



「真っ赤な花を散らして?」

 その瞬間、血液に込められた膨大な魔力が荒れ狂い、その赤を崩壊させる。崩壊は周囲の空気へと伝播し、強烈な烈風と衝撃を生み出した。
 ──爆発。それが、彼女の血を媒介として行使された力であった。衝撃でニュクス自身が後方へと大きく吹き飛ばされ、しかし魔力で緩和したのか、ふわりと数メートル後方へと着地する。
 雪音がどうなったか、それはニュクスには分からない。彼女の動体視力では、爆発に捉えたのかさえ、定かではなかった。
567 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 15:58:51.19 ID:v4SAJp3io
>>566
三度、三度振るった
しかり一度しか破壊は起こらなかった。どういうことか
きっと、あれは全て同一なのだろう。原理は不明だが一を三にしたのだ

一歩下がり、一歩出て、剣でずらす
首筋を僅かに裂くに留まった剣はもうない
必要な時間は限界した、ということなのだ
ああ、首筋の赤が綺麗だ。どうしようもなく惹かれてしまう
美しい、美しすぎる。あれを感じたい、全身で感じたい…!

「私もよ…!」

さらに歩み寄られ、赤を付けさせんと寄られる
しかし、あれはダメだ。あまりに力が多すぎる
きっと、あれは破滅の赤――――
だから、今度は在らざる剣を楯のように横向きに出す
まずい、この剣は軽量化の為に穴が―――
と思う頃には雪音は後方に自分の脚で飛び、そして大きな力にそれを後押しされた

「まだ、散らしたくはないわ
あなたを――感じるまでは」

そこに立っていたのは、もはや服の体裁すら保てなくなったコートを纏う雪音
何とか、何とか生命を守れた様だがダメージは大きい
そこには、剣はなかった


//すみません!9時間も寝てました…
568 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/17(日) 18:50:01.78 ID:AXDwDq6V0
>>540
「けほ、けほっ、あ゙ー、んっ……お、やる気な感じ?」

壁に手をつき、散々噎せ返った後にスヴェンへと向き直す。
彼の期待とは裏腹に、彼女は何時まで経っても真面目には聞いてやらない。
心中を察するなんて、人と上手くやっていけるスキルは持ち合わせていない。

あまり気が進まないのは確かだった。人助けをする柄でもないし、ここで出会ったのは運命でも奇縁でもない。彼女にとってはただの偶然のひとつにしか過ぎない。
この男性に特別なる興味を持ったのは確かだ。だがそれは、“彼が奇妙な境遇にあること”に対しての興味。
とどのつまり、ここで彼を呪縛から解き放つには、酷く惜しい。そう感じていたのだ。
彼が“獣”を内に飼うことにこそ、真価があるのだから。

しかし、ここまで話してやって何もなし。それでは稀代の魔女としての格がツーランクは落ちる。

……では、魔女らしく、魔女ぶって、―――『無理難題』でも押し付けようか。

「じゃ、君のいっっっちばん大切な人、“の”!」

ひと回り、杖を中心としてターンを決め、真っ直ぐにスヴェンを指して止まる。
ヒールの底が削れようが、今はどうだっていい。少しくらい嘲るくらいでないと、“こんなセリフ”など恥ずかしくて口に出せないのだ。

「―――“大切な人”を、殺してきてくれるかい?」

―――嗚呼、なんと魔女力の高いお題。天才なのだろうか私。言った後に身震いまでしてしまった。
至極堪らないといった顔で、そう言った彼女の眼には。
その言葉が本気だか、冗談なのだか、分かる余地も無い。

569 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 19:32:39.12 ID:AUwrwe4Oo
>>534

『武器であり、人間であり・・・。それに武器寄り・・・。』

【もしや、この二人はもともと人間ではないのではないか】
【そんな考えがふと頭に浮かぶ、自分が人形なのだからないわけではないだろうが】
【とりあえず、今はその考えは否定する、それでも考え続け】

【さて、アナとバドが何をしていたのか考えていた間は見ておらず】
【小さな悲鳴が聞こえると同時にハッと顔をあげるとそこに居たのは】
【赤い大鎌を構えたアナの姿、鎌にはバドが髪につけていた髪飾りと同じ赤い宝玉があり】

『え・・・、もしかして、バドさんは大鎌・・・?』

【そんなことを考えていると、アナは鎌を振り上げる】
【攻撃かと思って地面を蹴り、ベンチから離れる】

【まあ、特段此方を狙ったわけではなかったようで】
【炎がアナの辺りが炎に包まれ、視界が開けた時にはアナはいなくなっていた】
【それだけで済めばよかったのだが・・・】

『オ、オケーレフ!!火が、火が出てます!』
「はぁ?うわっ、木が燃えてやがる、消火せにゃならんな・・・。」
「―неограниченный」

【男がそうルピカにいうと、ルピカのリミッターが解除され魔術が使えるようになる】
【それを用いて、ルピカに水を使って火を消すように意思を流し込むと】

【ルピカは水を放つ、火がついた樹木に】
【すると、火はたちまち勢いを小さくし、そして鎮火された】

『ふう、これで大丈夫ですかね。』
「ああ、そうだな。よっし、帰るか。今日はチキンカレーだ。」

【二人は公園を後にし、帰路につく】
【男は煙草を取り出そうとするも切れており、不満気な顔をしていた】

//すいません、返すのが遅れました・・・
//とっても楽しかったです、ありがとうございました!
570 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/17(日) 19:41:08.91 ID:P91jO7160
>>568
「━━━━━━━━それは出来ない」

彼は、魔女たる彼女が出した試練━━━━━━それを聞いた瞬間に、その顔を硬直させ。
そして、それに対する否定を言い放った。

「それは、"私"の代償ではない」

"大切な人"。彼にとってそれは、まさしく多過ぎる程のものだ。
両親。嘗ての恋人。友人。娘も同然の少女━━━━━━━━
彼にとって、魔女が持ちかけた提案は、"自分"で完結していない。
人の命を奪う事━━━━━それがどういう事であるかなど、彼自身がそれこそ身に染みるほどに理解しているのだ。

人の命を奪う━━━彼は、今までそれを積み重ねてきた。その積み重ねの果てには、今ここに立つ彼が在る。
だが、彼女の言ったのは"何もない"殺人だ。その先には何もない。ただ人の歩んだ道を閉ざす。それはあまりにも生産性がなく、あまりにも無益な行為だ。

彼の為してきたのは、意味のない殺人ではない。その先には、確かに彼という存在がある。
だからこそ━━━━━━彼は殺人の意味を、誰よりも理解している。
"大切な人を殺す"そんな事を平然と出来るのは、狂人か悪人ぐらいなものだ。

彼は"悪"ではないが善だ。善の性質を持つが、しかし悪事を成す者だ。
どちらにも成れぬ、中途半端な存在であるからこそ……彼は、意味の無い行為はしないと決めている。

「……自分の他に誰かが不幸になるなど、私の病理だけで十分だ」
                     Begravelse
「貴女がもし、私を治せるとしても……"彼等"への葬送を成すべき私が、無為な行為をする訳にはいかない」

彼は切羽詰まった様子から一転し、そんな信念に満ちた強固な瞳を彼女へ向ける。
だがそれは、治療への望みを自ら断つことである。……しかし、彼はそれをする訳にはいかない。

この時点で彼は、"他の手段を探そう"。そう諦めつつあった。その感情は少しであるがその眼に含まれている。
彼の言葉を聞き、魔女はどう感じるであろうか。
御伽噺の魔女の誘惑を断つ勇者の如く、彼は其処に立っていた。
571 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/17(日) 19:46:39.36 ID:UULR8AqZo
>>567

 くすり──と、ニュクスは一笑した。
 彼女の命までは散らせなかったが、しかし、コートは花びらのように散らした。
 あと僅か。届く範囲に命がある。愛がある。
 その確信が、ニュクスの脳髄を淫奔的な愉悦で満たす。
 右手のレイピアは、天を衝く。月を串刺しにせんと、仰ぎ立つ。
 ニュクスは右手を上げたまま、その黒い布の奥で、双眸を細めた。
 所作が、気配が、いよいよもってその命を狩らんと死神の鎌を擡げた事を伝えるだろう。
 ニュクスの口角は微笑みに歪み、唇が転がり魔を紡ぐ。




         彼は墓に住み、何人も、鎖さえも彼を繋ぎ止める事は叶わなかった。
      He lived in the tombs. Nobody could bind him any more, not even with chains,


        彼はあらゆる鎖を千切り、あらゆる枷を砕き、あらゆる者の抑圧を否定した。
         the chains had been torn apart by him, and the fetters broken in pieces.


               夜昼の境なく慟哭し、咆哮し、啼泣し、自傷する。
 night and day, in the tombs and in the mountains, he was crying out, and cutting himself with stones.


                  神の子は彼に問う。汝は何者か?
                 He asked him, "What is your name?"


                  彼は答えた。我が名はレギオン。
                 He said to him, "My name is Legion"




                        大群である──。
                        for we are many.



 感極まった囁きと共に、レイピアの指す天に黒い塊が出現する。
 ──否、塊ではない。よくよく見れば、それは個々が独立したモノの群れである事が窺える。
 それは、『杭』だった。無数の、数百はくだらない杭の群れ。
 その大きさは、穿たれれば丁度、心の臓と同じ大きさの穴が空くだろうか。
 そんなモノが、その鋭い先端を雪音に向け、待機していた。

「チーズみたいにしてあげる……!」

 それが号令。それが宣告。
 瞬間、一見緩慢に、しかし重力を受けて加速しながら杭は落下する。
 それは雨。殺意の雨であった。
 狙いは正確無比ではない。雪音の位置に向かうのは十か、数十か、その程度であろう。
 しかし、絶え間なく降り注ぐそれは、死そのもの。
 だが、ニュクスは迂闊と言わざるを得まい。
 もしも、雪音に死を超えるだけの勇があるのならば、覚悟があるのならば。
 そのあまりに長い詠唱は、魔法の行使は、戦闘において致命的な隙となるだろう。
 詠唱開始から、杭が地面に到達するまで、最低でも8秒以上。
 当然、ニュクスの周囲に杭が降り注ぐことは、ない。
572 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 20:04:32.58 ID:v4SAJp3io
>>571
彼女の美しき剣は月を穿つ
嗚呼、こんどこそ殲滅の愛の一撃が来るのだろう
貫かれても――構わない
だけど、感じたい
剣が肉を裂くあの感触を
人が0となるあの感触を
あの赤を被るあの感触を
感じたならば甘んじて愛を受けよう――だが

「ふふ、ふふふ…!」

雪音の力は第二世界にある剣をこの世界に引っ張り出せるというだけ
だが、それはこの場合において大きな意味を持つ
剣を持つ必要がないのだ
故に――雪音は如何なる剣士よりも軽い
そして、如何なる剣戟よりも、重い
上を仰ぎ見ることは、ない
もっと近くへ、もっと近くで感じるため
雪音は、ただ走る
彼女には勇などはない
あるのは――愛

「全部――ちょうだい」

もっとも近づいた、そのとき
殺戮の豪雨が降り出した
雪音の右腕が、高く高く上へと伸ばされた
そして――その手が剣を掴んだ
今ならまだ間に合う、剣の領域から雨の領域へと逃れられれば――
重力の後押しを受けた愛を肩から受けることはなくなる
573 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 20:05:26.83 ID:qH0QBqlTO
【商店街】

「あー、今日は疲れた」

サングラスをしている、小さなバッグ、そして剣を持っていない
そして、D.O.T.Aの時とはかけ離れた服装をしている柊春香が歩く
恐らくは仕事帰りなのであろう

「全く…………なんで私があんなに罰ゲームなんか…………はぁ…………」

何かの収録で不満が溜まったのか、小さなバッグをくるくると振り回す、端から見たらただの欲求不満かなんかの女の子だ
574 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 20:18:06.32 ID:YieBwytb0
>>573

一人の男が商店街を歩いていた。
男の名は、神道 如何。
肩にかかる程の白髪と、前髪のかかる隈のさした鋭い目。
それと、洋装と和装を織り交ぜた奇怪な装束。色合いは銀に近しい。

如何は、前方の少女に目が行く。
「子供か……」
見た所、十代後半。サングラス等という子供らしからぬ容姿は、多分遊び歩いているのかもしれない。
さてと、これは丁度良い。
街の状況を聞き易い人間がいた。

少女に向かって話しかけた。
「そこの御人、聞きたい事があるのだが、良いか?」

「ここら辺ではどれくらいの頻度で異能力者が暴れるのか、知っていようか?」
575 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 20:25:14.75 ID:qH0QBqlTO
>>574
声をかけられ振り返る

「何ですか?……サインはお断りしてますので…………」

微笑みながら、第一声がそれ、しかし、服装を良く見る、奇妙な服装ね、と思案して

「あ、サインじゃないんですね」

質問に対して恥ずかしそうに顔を赤らめる

「で、能力者が暴れてる頻度……となると…………ほぼ毎日……と思います」

溜息まじりに答える
576 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 20:33:11.50 ID:YieBwytb0
>>575

(サインだと?つまりアレなのか、有名人と呼ばれる類の、情報機器で活躍する人種……)

これは、遊び歩いているわけではなさそうだ。どちらかと言うと仕事をしていると。
そこまで思案した。

能力者はほぼ毎日暴れているのか。これは、集落での有益な情報となるのかもしれない。
「なるほど、そうか。了解した。一番出るところを教えて頂きたい」

それから、如何は疑問をぶつける事にした。

「ところで、そちらは何か人目に出る仕事でも成しているのか?」
ここには、テレビなどの情報機器でみかけた事は無い、という意味も含む。
かなり失礼に当たるのかもしれないが、彼にはそういったことに対する配慮は欠けている。
577 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 20:33:52.27 ID:AUwrwe4Oo
【人通りの多い路地の裏】
【そのアルラウネは獲物を狙うために待機していた】
【だが、裏路地に来るなんてやましいことがある人物しかいないであろうし】

「はぁ、今日はなかなか獲物がかかりませんね・・・
とはいえ、実験室に戻るのも難儀ですし、もうしばらく待ちますか。」

【と、突然背後から足音が響く】
【アルラウネがそちらに振り向くと、いたのは―迷子になってしまった少女】
【おそらく10歳、11歳くらいか】

「うふふふ、こんばんは・・・。申し訳ないけど、私は飢えてるからッ!」

【あの日、少女の血を飲んで、その味を知ってしまった】
【実験室ではいろんな人の血を飲んでいる、ただ、少女の血のように甘美な血はなく】
【また、またいつか飲みたい、なんて欲求があり】

『キ、キャアアァァァァァァツ!!』
「ほら、待ちなさい、待ちなさい!」

【アルラウネはつたを用いて前方に体を投げるようにして少女を追う】
【少女も未だ見ぬ怪異、そして突然襲われた恐怖により叫びがでる】
【アルラウネはその叫びもいとわず、自らの目標のために少女を追い続ける】

【さて、叫び声は広い範囲に聞こえているであろう】
【甲高い叫び声だ、気づく人物もいるはずで】
【その声を聞いて、助けに向かう人物はいるか、さもなければ少女は喰われてしまうだろう】
578 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 20:40:41.35 ID:4AJ3E9leO
>>576
こんな事を聞いて何をするつもりだろう
そんな思案もして
「まさか、能力者と戦ったりするつもりですか?」
質問に対して質問で返す少女

「……そんな危険な事辞めた方がいいですよ?警察とか……D.O.T.Aとかに任せて置いた方がいいと思いますけど…………」

口に手を当てて、自らも所属する組織の名前等を出して

「あ、あぁ…………私の事知らないんですね……余計な事言っちゃった〜……」

と、頭に手を当てて首を振る少女

「まぁ、もう失言しちゃってるし……一応アイドルとかやってたりします……」

恥ずかしそうにぺこりとお辞儀
579 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/17(日) 20:50:49.39 ID:AXDwDq6V0
>>570//すみません遅れました
余りにも早く、簡潔な答えだった。
だからこそ、尚のことその覚悟は強く、硬い。そう認めることができる。
路地裏に風が吹く。その冷たさが、今身に染みて分かる。

「―――や、すまないね。少し巫山戯が過ぎてしまった」
「きみが今迄犠牲にした者達は、今もその背に居る。そうなんだね」

アリスはカツカツと杖を突く。何かひとつひとつを、数えるように。しかと認めるように。
眼前の存在、その魂への慈しみのような、微笑みを湛えて。

「では、“試練”は是迄としようか」

小石が飛び、壁に当たった。その一突きを合図として、男へとその歩を進める。
―――だがひとつ、彼の悲願を遂げさせる前に。これが本当に、最後のひとつ。聞いておきたい事がある。

「スヴェン。スヴェン・フリマン・コーレン・コナー」

彼の元へと辿り着き、アリスはそっと杖を持たない左手を、その心臓の辺りに添えた。
アリスは彼の顔を見ず、その心臓に問いかけるようにして、呟く。

「この“獣”。こいつの罪は、きみが裁くべきだと思わない?」

要領の得ない問い。だが、彼女はもう誤魔化す事はしない。
恐る恐る、桃色の唇からその次の句を紡いだ。

「きみが“彼”のチカラを制御し、人を救う。それがこいつの、浄かな贖罪にならないかい?」

580 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 20:51:58.40 ID:iHUphUlQo
>>577
 とある護衛の仕事を終えた帰り道。
ふと前一悶着あった裏通りが目に入る。
そこで、将来有望な少年にあった事に思いを馳せていると、竜人の鋭敏な耳に少女の悲鳴が届く。
それは、雑踏の中で消えてしまいそうなほどか細く。
自分以外に気づいたものはいないだろう。

 それに気づいた時、彼女の脚は自然とその悲鳴の元へと向かっていた。
昔であれば、きっと気づいても興味なく立ち去っていただろうが。
これまでの輝かしい人間との交流は、確実に彼女を変えていたらしい。

 人外の脚力で速やかに悲鳴のもとに辿りつけば、そこには少女を襲わんとする妖花がいた。
さて、どうしたものか。今の時代であれば、血をすすり生命を維持する妖花であっても、人を襲わずに生活することは可能だろう。
それを知らないのであれば、教え人を襲わないように説得すれば良い。
だが、それを知ってなお人を襲うのであれば。
その時は、前正義の少女に告げたように人外と戦おう。

「ちょっと待って、お花ちゃん」
「お腹が空いてるんなら、私が頑張ってどうにかしてあげるから」
「その娘は見逃してあげて頂戴」

 そう、妖花に話しかける。
その姿に隙は無く。こちらに対し攻撃の意志を見せれば即座に対応できるだろう。

/23:30で落ちてしまいますが絡ませもらって大丈夫でしょうか?
581 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 20:54:58.29 ID:YieBwytb0
>>578

「異能力者と戦い、自身の力を知る必要もあるからな」
「そうだ、目的は

少女の心配した言葉で、、少女が慌てた?
この少女、D.O.T.Aの何かか?と、そこまで考えた。

「アイドル、とな。すまないが分からなかった」

それから、ゆっくりと歩きながら少女の背後へ回ろうとした。
「能力者から世界を守る警察殿か。噂に聞いてはいるが、アイドルとの片手まではさぞ難しいだろう?」

懐から取り出したのは拳銃。
文明の利器だ。貧弱な力を持たぬものが宿せる、戦いの灯火。
「少し、力を見せてもらおうか」
引き金に指を添えた。その拍子にカチャリと金属音がなる。
この無機質な音で大抵の人間は持つものが何か理解できるだろう。

それから引き金を引いた。小さな爆発音が商店街を走った。
少女に拳銃は有効だったのだろうか?
582 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 20:58:01.88 ID:YieBwytb0
>>581

//文が抜けてました。訂正をば。

「アイドル、とな。すまないが分からなかった」

お辞儀をする少女を目で追う。今、この隙を狙ってみるか。
それから、ゆっくりと歩きながら少女の背後へ回ろうとした。
583 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 21:01:30.24 ID:AUwrwe4Oo
>>580

【少女を追い続けていると、乱入してくるのは女性】
【妖花はそこで止まり、竜人の方へと向く、少女はこの隙を突いて表通りへと戻る】
【妖花はすこし怒りを顔に含めて】

「うふふふ、こんばんは・・・、いい夜ですね。
まあ、特段そこらの血に飢えている訳ではないんですが。
少女の美味しい血を吸いたくて、ですね。」

【とまあ、まるで少女の血を食後のスイーツのように表現する】
【それほど腹は減っていないようだが】

「私の空腹をどうにかしてくれるのですか?
それならばそうお願いしたいところですが・・・。」

【棘のついた蔦を触手のように背後でうならせながら】
【竜人の提案を慎重に吟味する】

「あなたの血を頂く、ってことでいいですよ?」

【突然、棘のついた蔦を竜人に伸ばす】
【まあ、最初は小手調べといったところだ、隙がなければ避けるのは至って容易であろう】

//大丈夫です、よろしくお願いします!
584 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 21:06:24.78 ID:4AJ3E9leO
>>581
「…………いきなりね」
背後に回ろうと、その時に距離をとる
そして
カチャリーーーーーその音が聞こえた瞬間、少女は星を二つ、左手で、作り出す
その星を繋げ、剣の長さに固定
更に上部には刃を作り、能力で剣を作り出す

拳銃の音が響く
少女は剣を構えて、サングラスを外す

「…………なんのつもり?…………と言うか、私がD.O.T.Aって?なんの話かな?」

まぁ、出遅れだろうがとぼけて見せる
585 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 21:18:32.58 ID:YieBwytb0
>>584

拳銃は当たらなかった。
少女も異能力者か。間違いない。
星を作り出し繋げ剣とする、これが異能ではなくて何になるのだろうか。

少女がサングラスを外した。向こうもやる気だ。
それからとぼけて見せるとは。
「話した時のリアクションから、そう思った。見た所、当たりだったようだ」

異能力者の強さを身をもって知るにはいい機会かもしれない。
拳銃をしまうと、あろうことか素手で立ち向かった。
身体能力は高いが、武器を持つ者に丸腰はかなり危険が高い。

「貴殿を能力者の基準として考慮してみよう」
「能力者の強さがどれほどのものか」

何故、素手になったのか。
それは、自身の、左胸に触れて自身の生命力を流し込み相手に若干の疲労感を与える力を行使するため。

左胸に向かって掌を突き出す。触れれば、それで軽い運動をした程度の疲労感を与えられる。
無論、攻撃以外に他意はない。
586 :【隷聖狂夢】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/17(日) 21:23:48.44 ID:SsQPvlQ/0
>>560
興味がない。それだけの理由で如何なる悲鳴も、断末魔も、死顔も、彼女の頭に欠片も残ることはない。
ただ、他人に興味を持たないというのは少し違う。今男に声をかけた通り他人に興味を持つことはある。
興味を持った人間と、持てなかった人間と、その認識に差がありすぎるのだ。

「駄目かぁ・・・・・・」

ひどく残念と言った顔をした次の瞬間、呼吸に違和感を感じた。
空気を吸っても、吸っても、息をした気がしない。脳を締め付けられるような感覚がして、ふらりと視界が揺れた。

「なる、ほど。考えた、ね」

声は途切れ途切れ、更に狙ったかどうかは定かではないが彼女は虚弱体質――― 酸素の剥奪は男の予想以上に効果を上げていた。
ふら付く体、喉に触れて必死に呼吸を確かめる、が胸に酸素は入ってこない。
呼吸が出来なければ声も出ない。声が出なければ詠唱も出来ない。そして距離は無い。数秒耐えるだけでいい、だがその数秒が無いのだ。

「残、念―――― 」

だが、声が出なくとも詠唱を破棄して使える魔法がある。
残念だと口にした直後、女の体が霞んで行き――― 消えた。
転移魔法。撤退を彼女は選んだ。
数秒後、男がひとりとなった空間に残るのは声のみで

「断られちゃ仕方ないね......
 次会うまで、君と友達になれる方法を考えておくよ
 じゃあ、"またね"」

//すいません遅くなりました......と、このあたりで〆で
//ごめんなさい
587 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/17(日) 21:31:37.78 ID:P91jO7160
>>579
彼は静かに、彼女の言い分を聞いた。
……それが、意外とは思わなかった。彼女の持ちかけた問いは、本気のようには思えなかったからだ。
その態度は何時でも巫山戯ているように思えるが、彼女の"試練"は、そういった問いの奥深くに隠されていたのだろう。

彼は静かに歩み寄る、彼女の言に応える。
それは、"その後の彼"についての問い。

「人々を救う……か」

彼は瞳を閉じ、長らく思案する。
やがて静かに瞼を開け、彼の答えを言うだろう。

「……私にそんな資格はない。善を知らない人間に、他人を救う事など出来ない」
「私は未だに死んでいる。病が治ると言うのは……それは、私が誕生する時だ」

何しろ、自分は余りにも罪を犯し過ぎた。罪を犯さなくては、生きてはいられなかった。
そのような自分に、人々を救う事は出来ない。そんな事をしても、ただ善を騙るだけの、偽善に偽善を重ねた嘘の上塗りに過ぎない。

だからこそ。
平和を知り、平穏を知り、守るべき善を識る。
彼は、其処から始めなくてはならない。

「……彼等への葬送の後は、私が生まれる必要がある。ここに居る私は、獣なんだ」
「"人間として他者を救う"━━━━━そのためには、人間としての"誕生"を果たす必要がある」

「それが私の義務。━━━━━━"Fødselsdag Begravelse(誕生日の葬送)"だ」

彼の贖罪心は、それ程までに大きかった。
これからの人生は、殺した者の葬式に。これからの人生を、殺した者への追悼に。
それを義務だと確信し、彼は本心から、そうしなくてはならないと考えている。

故に。彼の人生は、永遠に獣に取り憑かれている。
仮に獣を御したとしても、その罪と血の匂いは、永遠に取れる事はない。
罪を犯すとはことごとく、その病理がつきまとう事を示すのだから━━━━━━

「……私の人生は、未だに始まっていない」
「私は停滞したまま、死ぬ訳にはいかない」

「だからこそ……貴女が必要だ。」

彼もまた、彼女へと歩み寄る。
その瞳には、決意と意志、そして悲痛な人生と正面から向き合う"覚悟"があった。

「頼む……私を……"誕生"させてくれ」

魔女の眼前に立つ。
彼の悲願。彼の望み。未だに獣たる彼が望む、最上の喜び。
それを与えてくれ、と。
彼は彼女へ、改めて歩み寄った。


588 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 21:33:21.25 ID:4AJ3E9leO
>>585
「そんな酔狂に付き合わされるこっちは災難よ!」

つき出された掌に対し、右手に持つ星の剣で受ける
そしてまた左手で星を2つ作り出し、1つをその場に落とす

それはカメラのフラッシュ程度の光と、爆竹レベルの炸裂音を響かせる

少女は後ろへとまた距離を取る

「本気みたいね…………たく、こんな人目の多いところで…………仕方ないわね…………いきなりの発砲に攻撃、逮捕しるには十分ね……」

あまり乗り気ではないのか溜息混じりに呟いて
589 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 21:34:28.91 ID:iHUphUlQo
>>583
 妖花の凶行を阻止し、少女を逃がすことに成功する。
飢餓により、どうしようもなくなったうえでの行為であれば、同情もしただろう。
ひとまず自身の血を分け与え、その後どうにかして食料を工面することも考えた。
 しかし、この妖花は違った。
ただただ、自分の欲望を満たすために、自身を楽しませるために人を襲ったのだ。
舌の肥えてしまった妖花は、ここで見逃せばさらなる被害を生むだろう。

「さっきまでは、どうにかしてあげようと持ったんだけどね」
「我欲を満たすためだけに人を襲うんだったら話は別」
「貴方に私の血なんて勿体無いわ」

 そう言い、自身の血を求める妖花に対し前言を撤回する。
その言葉に反応したわけでは無いだろう。
しかし、図ったようなタイミングで棘の生えた蔦がこちらへと伸びる。

「その程度だったら予想通りね」
「ちょっと覚悟してちょうだい」

 攻撃行動は想定内だ。
蔦を飛び越えるように跳ね、大きく前回り宙返りをするように回転しその遠心力を脚に乗せる。
竜人の脚力と遠心力を得た浴びせ蹴りは、妖花が何もしないのであれば。
鉄をも砕く威力を持って襲いかかるであろう。
590 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 21:42:55.27 ID:AUwrwe4Oo
>>589

【伸ばした蔦は容易に飛び越えられた】
【妖花にとっては予想内の範囲、伸ばした蔦を引き寄せ、地面に押し当て後方に回避する】

「うふふふ、覚悟するのは貴女、かもしれませんよ?」

【後方に下がるために用いた蔦をそのまま竜人の背へとのばす】
【と同時に、腰下の花の辺りに茂っている葉には黄色い花が生える】
【数は8、それが竜人の方へと向いており】

「うーん、ちょっと面積がないわね・・・。」

【そんなことを言いつつ、黄色い花から粘液を噴射する】
【粘液は竜人の胴体へと向かう、普通の肌であれば爛れるのであろうが】
【さて、竜人には効くか】
591 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 21:44:25.72 ID:YieBwytb0
>>588

「簡単すぎたか。致し方ない」
酔狂……、確かに、集落に能力者の情報を伝えるにしては力量を直接知ると言う手段は酔狂とでも言うべきだろう。

懐に手をしのばせ、双剣を取り出そうとした所で、光と炸裂音。
眩い光に視界が奪われる。
少し、視界の回復は待とう。

「逮捕」という言葉から、相手が自身を殺すきはないことを推測した。
それにしてもこの少女、乗り気では無さそうだ。

「逮捕か、生易しいな」
手探りで双剣を取り出した。
そして、構える。その仕草は実に素人で、剣術の心得がない事は、剣術に通じるものなら分かるはずだ。

「来い……」
視野は僅かばかり回復した。

少女の出方を待つ。
592 :【0】 [sage]:2016/01/17(日) 21:50:41.32 ID:UxXEXjsno
>>586
(一瞬だ……たった一瞬だけだが、酸素の無い空気は猛毒と同じだ……!)
(そしてヤツはその空気を呼吸したッ!効果はある!)

ふらつき、途切れ途切れになった声、そんな女の様子を見るだけで、自分の試みが成功したのが勘付いた。
やがて入ってくる、酸素を含んだ正常な空気、効果範囲外からまともな空気が侵入して来て、無酸素状態は終わる。

「オレの記憶を取り戻すッ!その前にッ!それ以前にだ!」
「アンタのようなヤツは無視しちゃいられねェーなッ!!」

今の自分が何より重要視するべき目的は、失った記憶を探す事、しかし、人である以上個人的な感情がある。
明確な理由や志は無い、ただ『何となく』という抽象的な理由だが、彼女のような人の死をなんとも思わない人間を放っておけはしなかった。

「何より……そんなヤツを無視してちゃ、柊に顔向けできねー」

最たる理由はこうだ、自分の一時的な住処と食事をくれる場所に迎え入れてくれた少女は、そんな事を許したりはしないだろう。
だから、力の差があろうと立ち向かう、たった今声に出した事が、確実な『意志』に変わった。

だが、その意志に反して相手は撤退に出たようだ、思ったよりも先の攻撃が効いていたか。
追い掛けようとしても、どのような原理で何処に消えているのかすらわからない故に、止める事が出来ない。
結局青年は女を逃してしまい、呆然と立ち尽くすしか無くなってしまった。

「……フン」
「出来れば、オレが友達になれるような人間ならいいけどな……アンタも」

悪態をついても、それ以上に何かが起こったりする事は無い。
疲れからか、その場に座り込み、崩れた瓦礫に背中を預けて、体から力が抜けた。

/お疲れ様でしたー
593 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 21:54:55.33 ID:4AJ3E9leO
>>591
「……剣は素人…?…安心しなさい、五体満足のまま捕まえてあげるから」

そして、少女は剣を持って、真っ直ぐ突っ込んで来る
左手にはまた星を2つ、作り出す、すなわち、剣を作る2つを除くと3つの星が少女の手中にはある
そして、そのまま横斬りを放つ

しかし、彼女の先程の言葉、"五体満足のまま"と言った通り、切断するつもりはないようで、若干踏み込みは"浅い"
594 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/17(日) 21:55:24.82 ID:AXDwDq6V0
>>587
―――何を言う。そこいらの悪党ときみとでは、何方が人間らしいのか。
激昂の声は舌根の奥に留めた。
実に、実に勿体ない。だが、これは彼の、眼前の義者への手向けなければならないものなのだ。

「そう、か。いや、また余計な節介をしたよ」

微かに名残惜しいような顔をして、彼の胸につけた左手はすっと降りた。
そして是迄と打って変わった、晴れやかな笑顔をアリスはスヴェンに見せた。

「じゃ、やろっか」

さて、役目を果たそうではないか。
―――この魔の力、人に与えたのは闇か恐怖か大罪か。されどそんな悪戯は今宵だけ、鳴りを潜めよう。

「折角だ。久々に、“詠唱”をしよう」

そう言ったアリスは、近付く彼の足下に杖を突き立てた。彼女がアスファルトを砕く程の腕力を持っている訳ではない。そそり立つ杖の下、その“脈”を見れば分かるだろう。
蛍にも似た、淡い黄緑が光を持ち、地面だけでなく路地裏の壁にまで光脈が伸びる。
やがてふたりを包み込むように、紋様が微細に描かれた光のドームが生まれる。

「あ、何か容器とか入れ物っぽいの持ってない? そこそこ密閉されてるものが良いんだけど」

と、土壇場に来て物が足りないと申告。
595 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 22:01:53.13 ID:YieBwytb0
>>593

少女は深く傷を与える気は無い。
ならば、都合が良い。
避けることもせず、そのまま斬撃を浴びる。
身体から血が出てくるが、問題は無い。

如何の能力に、生命力を操る力がある。生命力は人間の活動を支える云わばエネルギーのようなもの。
それは血と共に失われるが、彼にはどうという事は無い。
生命力を操れるのだから、身体から出ないように制御する。いわば防衛反応のように絶対反射として。

自動的に詰まった間合いを利用し、自身も前へと双剣を二振り同時に突き出した。
596 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 22:05:18.24 ID:iHUphUlQo
>>590
 初撃の浴びせ蹴りは後ろに下がることで、回避をされてしまう。
それならば、と勢いを殺さないように着地と同時に前転。
そのまま両脚を伸ばし、飛び蹴りを放とうと考えた。

 しかしそうはさせじと、妖花は八輪の花を咲かせ、アルフィラの背後へと蔦を伸ばす。
少し遅れて花から噴出される粘液は、的確に胴を狙っており。
前転に移る前に、それは妖花の狙い通りに直撃する。

 粘液は胴を蹂躙し爛れさせる。
これが、鱗に覆われた四肢であればそうはならなかっただろう。
しかし、鱗がない箇所は人間の表皮とあまり変わりない。
回復力は違うであろうが、瞬く間に回復するという物でもない。
だが、爛れた程度でどうにかなるほどやわな鍛え方はしていない。

「この程度でどうにかなるほど、やわな竜人はいないわね」

 強がってみるが、早く粘液を洗い流さなければ或いは内蔵まで侵蝕しかねない。
急いで決着をつけるために、繰り出された飛び蹴りは精彩を欠く。
何らかの手があれば回避できるだろう。

/雷龍◯翔脚!
597 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 22:11:20.67 ID:4AJ3E9leO
>>595
「…………!?」

避ける事すらしないーーーーーその事に対し、違和感を感じる
これは何かの能力…………?そう思案し

剣の柄の部分と刃の部分で、双剣を受ける

更に、星を1つ作り出す、これで、星は4つになった…………その4つを、錐の形に繋げる
598 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/17(日) 22:20:29.10 ID:YieBwytb0
>>597

またも攻撃を受けられる。
剣術に対し理解があるのだろう。
このままでは泥沼にねりかねない。

少女が星を4つにして繋げた。
何の能力だろうか。しかし、こちらがやろうとしている事には問題ない。

「それは無駄になるだろう。見てろ」
取り出したのは時限爆弾つきナイフ。
その時限爆弾に“直接”火をつけた。
手榴弾より威力が小さいとはいえ、間近で喰らうのはかなり危ない。

如何は持っていた手、顔の半分をそれによって失った。
「簡単な事だ。巻き込むのみ」
自傷に近いそれは、少女をまきこんで攻撃するため。

如何がナイフを取り出すときに隙は生じていた。
少女の方はどうなのだろうか?
599 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 22:30:46.65 ID:AUwrwe4Oo
>>596

【粘液は確実に竜人の皮膚を爛れさせる】
【だが、それでは竜人は止まらない、此方へと飛び蹴りを放ってきており】

「うぐっ・・・!」

【回避はうまくできない、蔦はすでにアルフィラの背後に回っており】
【蔦を用いて回避はできない、受けるのであれば胴体から受けるのは良くない】
【腰をねじり、肩で竜人の蹴りを受ける】

【無論、吹き飛んでいくのはあたりまえで】
【飛ばされた挙句、妖花は植物部からドサリと地面に落ちる】
【だが、いいことを思いついた、それは気絶した振りをすること】

【気絶した振りをしつつ、蔦はゆっくり、ゆっくりと竜人の背後に迫る】
【そして、見えるであろうか、植物部には紫の花が5輪咲いていることに―】
600 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/17(日) 22:37:02.30 ID:4AJ3E9leO
>>598
爆弾に火を着けた………………まともに受けるとマズイ…………
少女は後方へと跳ぶ、更に、星を4つ繋げたそれを、自らの真下に落とす
それは先程の、星一つの場合よりも強い光と、爆風を産む…………敢えてその爆風を受ける事により、離れる速度を速くする

後方にて着地するも、自らの爆風をまともに喰らった少女は傷つき、着ていた服も所々破れていて

「…………不死身……なの……!?」

男の姿を見て驚愕する…………そして、ふらつき方膝をつく

「………………く」
601 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/17(日) 22:41:32.20 ID:90ti0Qy10

寒空も少し和らぐ昼下り、とある森にて。
生い茂る樹木を掻き分けた先にある草原に、ちょうど真ん中に立つ自然岩。
大人が5人手を繋いだほどもある大きさの其れに、ふと日向を遮る影が差す。

「嗚呼……長かった」

それは巨大な鷹に乗っていた少女である。
人を乗せて飛ぶほど大きな生物は自然界にそうはいないが、それを狩る少女もまた少し風変り。
玉虫色の髪に軍帽を被り、アイロンの当てられた軍服の上に漆黒のコートを着る。翼竜を串刺しにする不気味な紋章を背負って、がしゃりと軍靴は岩の上に降り立った。

「此処に来るのも一年ぶりですか」

人気のない草原を見回し、感慨深げに呟く。額には塩気を帯びた髪が貼り付き、海から飛んできたのだと見るものには解るだろう。
顔色が優れない少女の身体には、潮の香とは別に異質な気配が。海に漂う濃厚な自然の魔に中てられて“魔力酔い”したのだ。
それが原因か定かではないが、外だけでなく少女の体内にもまた魔力の気配はあった。
異様な登場に異質な格好。それは彼女が所属する悪の組織に端を発する。
空を仰いで深呼吸。頭上にに巨鳥を臨む青の瞳は、正気の奥底に一種の熱を秘めてきらりと輝いた。

「まずは鈍った勘を、元に戻さないとですねぇ」

――――

暫くして森の奥に爆発音が散発的に木霊する。
立ち上る硝煙、少女は岩から微動だにしていないにもかかわらず、周りには裂創を帯びて大きく傾く樹木が幾つもあった。
602 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage]:2016/01/17(日) 22:42:26.91 ID:P91jO7160
>>594
「━━━━━━━━━ありがとう」

自分のことは、全て語った。
これ以上彼から言える言葉は、それだけだった。

だからこそ彼は、その言葉に何よりの感謝を込める。
28年の歴史を清算してくれる者へ。最大限の感謝をする事しか、彼には出来なかった。

「これは……」

魔女というのは伊達ではなかったらしい。
彼は溢れ出る光の中、辺りを見回していたが。
彼女の言葉で、その観察は遮られる。……材料が足りないというのか。

「……これで良いかい」

彼は自分のコートの端を開く。彼が今まで血の研究に使ってきた、無数の試験管が刺さっていた。
その中の空の一つを抜き取り、彼女に渡す。

魔女の力は、果たしてどのように為されるのであろうか。
彼は少し期待を込めた目で、辺りの魔術を見ていた。

//お風呂に入っていて遅れました……申し訳ない

603 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/17(日) 22:44:29.88 ID:uue0DrYNO
>>549
「………………」

呆然。マコトは、ただ目の前で起こった出来事にあんぐりと口を開ける他なかった。
それもそのはず。何故なら、本当に掌から魔法が出てきてしまったから。
地面に、光線が炸裂し、直撃したところは焼き焦げていたから。

「や、やった……本当に……っ!?」

歓喜に浸る間もなく、マコトは今度は恐怖に襲われる事となる。
いきなり、女性に槍を突きつけられた。本物だ、切っ先に触れれば身は斬られる。
脅すように女性は、問いかけてきた。

「な、何をって、その……念じたら偶然魔法が出てきたというか…あ、あの、殺さないでください」

正直に話した。これが真実、何も自分は悪いことはしていない。
普通、いきなり槍を突きつけられて冷静でいられるはずがない。殺さないでくれと相手に懇願する他なかった。
604 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 22:47:16.39 ID:iHUphUlQo
>>599
 飛び蹴りは直撃し、回避し切ることのできなかった妖花は吹き飛ばされる。
そのまま地に落ちたまま動く気配は無い。どうやら気絶をしたようだ。
 それならば、しばらくの余裕は生まれる。
胴に付着した粘液を腕で払い落とし、ひとまずの応急処置とする。
その時気づくが、粘液はどうやら皮膚だけでなく服まで侵していたようだ。
そのような些事に気を割いていたため、にじり寄る蔦には気づけず。

 人の血の味を覚えたのであれば、情けを掛ける必要はない。
止めを刺すべく妖花に近づき、頭を踏み潰さんと、大きく足を上げる。

「ごめんなさいね。でも、お花ちゃんを生かしては置けないのよ」

妖花にまだ意識のあることに気づけなかったツケは、必ず支払われるだろう。
605 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 22:53:40.03 ID:AUwrwe4Oo
>>604

【竜人は粘液を手で払い、此方へとやってくる】
【此方が気絶していないことには気づいていないようで】

「・・・。」

【沈黙は守られる、ただ、顔がニヤつくのがふもうとする瞬間わかるだろうか】
【と同時に、紫色の花からは花粉が放出される】
【それは吸い込んだ者の身体を麻痺させる、危険な花粉】

「うふふふ、かかりましたね・・・?」

【蔦も、花粉の放出からすこし遅れて棘付きの蔦が竜人の背へと襲い来る】
【さて、竜人は回避できるか】
606 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 22:56:24.87 ID:v4SAJp3io
>>603
槍の切っ先から、恐怖を感じた
間違いなくこの能力者は素人だ。戦いの一つも経験していないのだろう
だから、この程度で怯えてしまうのだろう

「ハッ、別に殺す気はねーよ
ただ、ちょっくら戦ってくれるかと思ったが…」

期待外れだ
オレはこんな弱いものと戦う趣味はない
あの正義のような、強く高い壁を穿ちたいのだ

「オイ能力者、テメーに一つイイこと教えてやるよ
戦わなければそれに越したことはないんだぜ」

だが、思い起こせばこの素人は悪を討ちたい等と口走っていた
だから、忠言ぐらいはした方がいいだろう
戦いとは、沼だ
一度嵌ったら抜け出せなくなる。麻薬のような中毒性もそうだ、それに辞めさせてくれない
できるなら、悪を討つ目的でも関わらない方がいいのだ

そんなことを、相変わらず槍を突きつけながら言う
槍を突きつけていることは、忘れているのかもしれない
607 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/17(日) 23:13:13.41 ID:AXDwDq6V0
>>602
「アハハハ、失敬。頂くよ」

興を削いでしまったかとアリスは笑って誤魔化す。そして、差し出されたその試験管を受け取る。

コルク栓を捻り抜き―――いや、抜けない。栓を奥歯で噛んで試験管を両手で持って……ポンッ、とやっと抜けた。歯形が付いてるなのを確認したが、気にすることはないと一度カーディガンのポケットへ入れる。

如何にも締まらない彼女の挙動とは相対して、術式が次々と書き出されるドームは未だ拡がりを見せている。まだ、余白が足りないのだ。
―――古代文明が齎したようなその文字列は、遂に彼らの頭上でピリオドを打った。
その瞬間、アリスは突き立てた杖に右掌を重ね、閉眼する。

《汝、其の身に宿す邪為る病魔の依代也》
《我、彼の“血の獣”に命ずるは彼の者の御霊の救済也》

覚醒した彼女は杖から手を離し、スヴェンの胸に置き直す。
ただその掌には、光脈と同色の淡い緑黄色が宿っていた。

「―――《解放-scaradh-》」

アリスが手を引くと、彼の胸から“ドス黒く固まった血の塊”のようなものがずるりと飛び出す。半径で言えば、15cmくらいになるだろうか。
その“塊”に対して、彼女はまた呪文を唱えた。

「《収縮-crapadh-》」

するとみるみるとその姿は縮み、アリスの左手に持っていた試験管へと吸い込まれる。

―――残ったのは、血清のような淡い黄色の液体。その中に沈んだ、黒く澱んだ色の紅玉であった。
608 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 23:16:41.71 ID:iHUphUlQo
>>605
 上げた脚を振り下ろす寸前、妖花の顔がニヤついたようにゆがみ。
瞬間、気絶などしていなかったと悟る。
しかしここまで来たのならば、急ぎ止めを刺せば勝ちだ。
そう思った瞬間、背後より花の香が漂う。
いや、花の香だけでは無い。粉のような何かが、匂いを乗せて漂っているのだ。

 そう気づいた時には、体の自由は奪われていた。
四肢に力は入らず、その場へと崩れ落ちる。

「……し……ま」

 声を絞り出すことさえも儘ならない。
このままでは、妖花にされるがままになるだろう。

……このような状況、或いは血を吸い尽くされてしまうかも知れない。
そのような可能性が頭をよぎり、とある人間達の姿が脳裏に浮かぶ。
……ここで死ぬわけには行かないのだ。
そう思った瞬間、生存本能が理性を奪う。

 地に付したアルフィラの体が脈動する。
体が肥大し、背中から翼が生える。
鱗が四肢から広がって行き、腹部を除く全身を覆う。

このまま変身を眺めているのならば。
妖花の目の前には全長5mほどのドラゴンが姿を表わすだろう。
そしてそれは理性を失い、生き残るために暴力の限りを尽くす。
609 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 23:24:27.54 ID:AUwrwe4Oo
>>608

【竜人は油断をしていたのか、花粉を吸い込み身体が麻痺したようだ】
【うまく妖花の手に嵌ってくれた、後は血を動けなくなる程度に吸い出して逃げるまでだ】

「うーん、人間の血とは違う味がしますね・・・。
もしかしたら、人間じゃないんですかね?」

【なんて、味のことで思考をしていると、竜人の身体がビクリと跳ねる】
【何事かと思い、竜人の方へと目を向けると、そこには―】
【ドラゴン、ドラゴンがそこにいた】

「嘘・・・、やっぱり人間じゃない・・・、そうじゃない!逃げないと。」

【蔦を地面に叩きつけるようにして、前へ、前へと跳ねるように進む】
【全く、人間にある脚がないと、こんな時に不便なのだ、疲労は溜まらないという利点はあるが。】
【とにかく、背後に迫る、暴力の限りを尽くすドラゴンから逃げおおせなければならない】

【おそらく、これだけ巨体だと、花粉も粘液も蔦も効かないであろう】
【妖花は逃げ続けている、ドラゴンの体力切れはいつか、いつかと】
610 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/17(日) 23:24:39.66 ID:P91jO7160
>>607
「うぐ……ァ、Arrrrrrrgggghh……!!ゥウ……!Uhhhhhhgh……!!!」

"病"が抵抗している。
彼の肉体を依り代に、獣の吼え聲が響き渡る。
だが、その叫びは次第に弱まり、彼女の抜き出した、血の如くドス黒い球体の中へと吸い込まれていった。

「……ゥ、フゥーッ、フゥー……」

息切れしたように呼吸を整える。
次に彼がその目に映したのは、試験管の中に入った、真っ黒で禍々しい球。

彼は直ぐに理解した。
これこそが、己の病魔であると。

28年の時、彼を蝕み続けた獣。呪いが、その中に詰まっているのだと。

「……これは……」

彼は試験管の中と彼女の顔とを、交互に怪訝そうに見つめる。
もう、自らの病は治ったのか。そんな事を理解できていないような、信じられていないような表情を向けた。
611 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/17(日) 23:25:37.16 ID:LVeOOPsXO
>>606
「冗談じゃないですよ。今さっき、ようやく自分の能力に気付いたのに。それに、僕は戦闘狂じゃありませんから」

いきなりわけも分からず戦うなど冗談ではない。自分はまだ、一般人のそれだというのに。
そして、悪人でもない者と戦う意味もない。自分が戦いたいのは悪人とだけ、それ以外と望んで戦う事などしない。

「それはそうでしょう。戦わずに済むならそっちの方がずっと良い。誰も血を流さないなら、それが一番に決まってます」

戦わずに済んだらどれだけ良い事か。
一滴の血も流れず、事が済んだらどれだけ平和か。しかし、それがきっと幻想である事も知っている。
それが叶っているなら、戦争も起こらないし、第一、悪人も存在しない。

「それでも、誰かが戦わないといけないのは知っています。誰かがやらなきゃ、この世は悪人で溢れかえってしまう」

多分、そのための正義。そのためのD.O.T.Aだろう。
沼に浸かる覚悟は多分、できている。いきなり奥に入るのは無理だが、少しずつ奥に進む覚悟なら。
612 :【疾風弩刀】 [sage]:2016/01/17(日) 23:33:35.16 ID:EVYDmGqxo
/前スレで頂いたスペック
『貴方は風を操ることができる。
小規模な竜巻や鎌鼬なんかも作り出せる。
スペック:常人並み』

------------------------------------------------------------------------

「あ、ここは、どこだ?」

眼鏡の汚れを吹き終えた時、男は迷子になった事を自覚した。
足繁く通う見知った砂浜ではない。木々が生い茂る森の中にいた。
どうしてこんな所にいるのか思い返す。
新しい刺激……イマジネーションの着火剤になるようなものを求め、
あちらこちらと気の向くままに歩き回っていた。

自分でも気づかない内にぼーっとしてしまう癖に落ち込みそうになったが、
これはこれで、何かのきっかけとなってくれるかもしれない。
男は前向きに考えることにした。

森の中を進む。息が切れ始め、段々疲れてきた。
汚れたトレンチコートの袖が枝に引っかかり、危うく転びそうになる事もあった。
暗闇の森というのは、予想以上に心身へストレスを与えるのだと実感した。


/本日は時間があまりないので、途中で凍結などするかもしれません
613 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/17(日) 23:35:18.22 ID:AXDwDq6V0
>>610
その全てが終わった後、路地裏での唯一の光源であったドーム状の魔法陣はふと消え、彼らはまた宵の闇に包まれた。
当のアリスは、杖を支えにその場にへたりこんでしまっていた。

「……ふう、ごめんね。ちょっと、苦しかったか」

信じられないという表情に変わるスヴェンへと笑いかけながら、アリスはポケットからコルク栓を取り出し、捻じ込める。
―――これで、完了、の筈だ。

「大丈夫。多分、心配要らない、からね……あ、これ、不味い―――」

心配そうな彼の顔に、今残る全ての生気を込めて笑いかけた後に、彼女は杖と共に、石粒の角張ったアスファルトへと倒れ込む。
そしてそのまま、アリスは意識を失くしてしまった。
左手に、彼の“飢えた獣”を握りしめたままで。
614 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 23:35:58.71 ID:iHUphUlQo
>>609
 --暴れる。
目の前の妖花を踏み潰さんと、前肢を大地に叩きつける。
しかしそれは、ただただ大雑把なものであり。
逃げに徹した小さな花を踏み潰すには、至らない。

 であるならば、全身を使い追いかけようとするが。
路地は狭く、動こうとすれば必ずどこかがひっかかる。
であるならば障害物を砕き、移動することにする。
発生する土埃は視界を阻み、生まれる瓦礫は妖花にとっての隠れ場所になるだろう。

「■■■■■■■■■■■■■■■■!!」

だが、そんな事を考えられる頭は無い。
人の姿で生き続けることを決めた日から。
竜の姿では、ただ暴れることしかできないのだから。
615 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/17(日) 23:36:37.10 ID:iHUphUlQo
>>609
/すみません。そろそろ落ちます。
/おやすみなさいー。
616 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/17(日) 23:40:38.82 ID:v4SAJp3io
>>611
「オイオイマジなトーシロかよ…チッ」

溜息、そして舌打ち
残念ながら、ミネルヴァは少年とは全く違う思考であった
彼女はもちろん悪人ではない。そして正義でもない。
そして、戦闘狂と呼べる種族だ
戦いに魅せられ、強者のみを求める種族だった

「悪人狩りなんて、する必要はねぇんだよ
それこそ不要な戦いだ」

彼は何もわかってはいない
この世の中、先に手を出した方が悪なのだ
ミネルヴァからしたらD.O.T.Aだってやってることは悪だ
彼らは、守っているようでただ侵している

「人間なんて自分と守りたいものの為に戦ってりゃいいんだよ
自分の周りを脅かす奴が悪、それ以外は我関せずがいいんだよ」

沼に浸かるのはそれこそ悪だ
悪逆を討つ目的でも、戦うことが悪なのだ
唯一悪ではない戦い――それは守る戦い
その点では、ミネルヴァは自身が悪だと認めていた
617 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 23:43:05.21 ID:AUwrwe4Oo
>>614

【背後のドラゴンが通るには多少裏路地は狭いか】
【障害物は砕かれ、土煙を生じ、瓦礫を伴い落ちてくる】

「うわぁっ!?」

【大きな衝撃を伴って、大きな瓦礫が降り注ぐ】
【そのたびに、妖花の身体は空中に持っていかれるのだが】
【だが、その時に思いついた、一つのアイデア】

「うふふ、そうだ、あの瓦礫に隠れれば・・・」

【おそらく、あのドラゴンの巨躯であれば、瓦礫の影に隠れたのであれば見つからない】
【そう思い、隅にある大きな瓦礫に身を潜めるのだが】
【暴れ続けるドラゴンは妖花を見つけられるか】
618 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/17(日) 23:43:23.82 ID:AUwrwe4Oo
>>615

//了解しました!
/おやすみなさいませ!
619 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/17(日) 23:53:08.42 ID:AXDwDq6V0
>>610
//すみません限界が……寝落ちる前に凍結お願いしても良いですか?
620 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/17(日) 23:55:33.92 ID:oS3ZzeaWO
>>616
「なら、悪人を放置した世の中はどうなるんですか。堂々と殺人や強盗がまかり通る無法地帯なんて僕は嫌です。悪人は、ちゃんと法で裁かないと」

マコトは理想主義者であった。
誰もが安心できる平和な暮らしを守る、それが望みだった。
だから、彼女の意見には賛同できない。悪人を放置しておく事など、できない。

「僕には守りたいものがある。罪のない人々を、悪人から守りたい。それじゃ、駄目なんですか」

悪というものが存在する以上、誰かが戦わなければならない。
それが警察だったり、D.O.T.A。善良な市民を守りたいから、自ら戦いに身を投じる。
正義だの悪だの、単純に二元化できない事など分かっている。それでも、自分が信じる正義を往きたい。
それが、マコトのただ一つの望みだった。
621 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/18(月) 00:12:21.25 ID:3QX8vpYWo
>>620
「じゃあ、悪人ってなんだ?」

問う
そもそも悪とは何なのか
何をもって悪とするのかを

「法の名のもとに罪なき人を攫うのが正義か?
悪人に裁きをと言いながらその悪人を殺すのが正義か?」

どれも、ミネルヴァは見た
正義が、法が、守るべき人命を奪うさまを
だから、その言葉には重さがある

「それにな、D,O,T,Aだってオレのような戦闘狂が誘われるような正義なんだぜ?
絶対悪も、絶対善もねーんだよ」

理想に現実を突きつける
ミネルヴァとてここまで気にかける義理はない
ただ、苛立つのだ
少年の理想が、あり得ないと知っているから
622 :【血黙渇望】 ◆q90iVQe5VQ [sage saga]:2016/01/18(月) 00:30:18.35 ID:BIuU5Chp0
>>613
「……ああ、ありがと……」

心からの感謝を言おうと考えた、その時だった。
不意に彼女が後ろ向きに倒れる。彼は驚き、すぐさま彼女の側に駆け寄った。
……負荷がかかるとは聞いていたが、まさかこれ程とは。

「……本当に……ありがとう」

彼は彼女の側に跪きながら、その顔に向けて心よりの感謝を述べる。
このような大業、感謝してもしきれはしまい。だが、彼には今、"感謝する"━━━━━それしか出来なかった。

これからは、彼が行動を成す番だ。
彼は己の病の瓶を手に取り、月明かりに掲げる。
彼は非常に感慨深そうに、それを見つめる。
苦しみもあった。出会いもあった。確かな優しい日々もあった。
28年間の自分の姿を、彼はただ、優しげな瞳で眺めていた。

「━━━━━━━ああ」

彼は目を瞑る。その裏には、言葉では言い表せぬ程の気持ちが溢れている。
ただひとつ、共通した心情。それは……彼は得難い、充足の中にいた。

「今日は、誕生日だ━━━━━━━━」

1月18日。
スヴェン・フリマン・コーレン・コナー。
その"人間"は、今ここに"誕生"した。

彼は、自分の事の他には何も知らない。
善という定義も、悪という定義も、そして全ての人間的な経験を知らない。
だからこそ、彼は誕生する。
彼は"嘗ての自分"を見ながら、その歓びに浸っていた。

「父さん……母さん……ヴィクトーリア……」
「━━━━━家に、帰ろう━━━━━」

彼は赦された。
束縛。罪。苦しみ。矛盾。
彼を構成していた凡ゆる要素は今、ここに瓦解する。
これから彼を構成するのは、何であろうか。
それは、彼自身にも分からないことだ━━━━━

「ああ、その前に……」

彼は己の病を懐にしまい込み、倒れこむ彼女に目を落とす。
彼女は、紛れもなく恩人だ。このまま路地に捨て置く訳にもいくまい。
行先は、彼の家を選択する。彼とその家に染み付いた血の匂いはしかし、二度と取れる事は無いのだろう。

彼は彼女を背負おうとする。その前に彼女が正気に戻ったのなら、自力で帰る事も出切るだろうが。

「……そう言えば……名前を聞いていなかったな……」

彼は、やがて路地裏を去る。
吹き抜ける風は冷たく、夜の街は凍り付く。


Begravelse har vært fornøyd.
渇望は満たされ血は黙り
Jeg håper det,Fødsels.
血騒ぐ嘱望に身を委ねる

Begravelse   Fødsels
【血黙渇望】→【血騒嘱望】

//〆で……!
//本当に素晴らしいロールでした!2日間に渡り、ありがとうございました!
623 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/18(月) 00:35:05.22 ID:zAfhQj4WO
>>621
悪と正義。
哲学でよく使われる命題だ。そして、それはきっと永遠に解決しないであろう議論だ。
何百、何千年とこの議論を積重ねてなお人類は未だに答えを出せない。
正義の反対は、別の正義なのだから、答えが出るはずもない。
だから、悪を区別する為に法が作られた。法によって、秩序が生み出され、ある種の平和を生み出した。
それに、正義と悪の定義にそれほど意味はない。いつまでも揚げ足取りの連続ばかりで、何も解決しない。
だから、マコトは正義と悪をこう定義する。それは、あまりにも当たり前で、簡単で、一般的なもの。

「僕の定義する悪人は、法を破り、罪のない人々を危険に晒すような、そんな人達です。」
「そして、僕の思う正義はそのような者から人々を守り、きちんと法で償わせる事です」

脳裏に浮かぶのは、過去の事。
幼い頃、危険な犯罪に巻き込まれた自分を救ってくれたあの名も知らぬ能力者の事。
自分は、彼に憧れたのだった。彼のような、ヒーローになりたいのだ。

「絶対悪も絶対善もないなら、それこそ自分の考える正義に従う他ありません。例えあなたがD.O.T.Aの先輩だろうと、現実を言われようと、僕の考えは変わりません。だって、諦めたら本当に果たせなくなりますから」
624 :【双魔穿槍】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/18(月) 01:00:12.62 ID:3QX8vpYW0
>>623
「――はいはい、そうですか」

呆れたような口振り
事実、ミネルヴァは呆れていた
そのような一般的過ぎる回答に、吐き気すら催しそうだった

「だがな、正義っつーのもなんでもまずは力だ
力がなければ――なんにもならないぜ」

と言いながら槍で彼をつつこうとする
つまり、他人を守る前に自分を守れるようにしろということだ
もし、ミネルヴァに悪意があればこの少年に命はもうない
そして、死んでしまっては何にもならない
だから、御大層な理想の為にも先ずは力が必要なのだ

「お前の正義はご立派だ。模範回答って言われんだろーな
だが、自分を守れないやつには他人を守る資格はない。覚えとけ」

今の少年には、絶望的なまでに力が足らない
きっとこの沼に耐えられない
だから彼には戦う資格など――ない

「それと最後に――組織ってのは入ってもロクなことにはならねぇ
だから組織には入るな。戦うなら一人で戦え。
そうすれば、きっとお前の正義は曲げずに済む」

そして、槍が少年の背中から離れる
言いたいことは言った。後は好きにしろ
ということらしい

振り向いても、もうそこには誰もいない




//ここらで〆でお願いします!楽しかったです、ありがとうございました!
625 :【武装排駆】 [sage]:2016/01/18(月) 01:08:56.49 ID:k1wLKAdM0
>>612

ブルン、ブルン、ブルン。

男が、森を進む頃。
炎の意匠が刻まれた、フルフェイスのヘルメットにライダースーツのこの男もまた、森を進んでいた。

森にはいささか不釣り合いな、エンジンの音と共に。

しかも、そのバイクは、レース用のロードバイク。どう考えても、木の根や凸凹道を走るためのバイクではない。
しかし、男はそんな事等お構いなしに、ハンドルを捻り森を突き進む。スピードメーターは、凡そ80km/hを指している。

進む道の先に人が歩いている事など露知らず、猛スピードで突っ走る.........

//宜しくお願い致します
626 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/18(月) 01:26:46.80 ID:jdbQt0y3O
>>624
「………言われなくても分かってるんだよ、そんな事」

女性が立ち去った後、そう吐き捨てるように言う。
自分に力が足りない事など、誰よりも分かっている。
理想を現実に変えるには到底及ばない事など、自分で百も承知だ。
今日で、やっと能力が分かった。これは大きな第一歩だ。
あとは、いかに自分のものにできるか。使い方をマスターしさえすれば、多少なりとも悪人と戦う事はできようになるだろう。

「……入ってやるさ、D.O.T.Aに」

「組織に入るな」、そんな女性の警告は聞かなかった事にした。むしろ、お陰でD.O.T.Aに入る決意が固まったというものだ。
絶対に、強くなる。強くなって、守ってみせる。

この少年の無垢な理想が崩れるのは、一体いつになるのやら、誰も知らない―――――――――

【現在のロール回数:5】

/ありがとうございました!
627 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/18(月) 06:14:55.57 ID:J8/kk7S80
>>622
/すみませんすんでのところで寝落ちました……
/こちらこそ楽しませていただきありがとうございました!
628 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/18(月) 07:07:38.67 ID:J8/kk7S80
>>622
―――微睡みの中、アリスは鼻をつく血の馨しい臭いに目が覚めた。
辺りは少し明るい。夜が明けたのだろうかと、徐々に視界を拡げる。

知らない家。だが、意識を探ればここは何処かは明白であった。
それにこの極度の疲労感。きっとあの後、そのまま倒れてしまったのだろう。

「……彼、は……?」

ゆっくりと上体を起こすと、毛布がパサリと脚に落ちる。
―――律儀な男だ。ふと笑いを零し、辺りを見回す。
彼は床に寝そべったまま、動いていないようだった。寝息も少し聞こえる。

「―――Breithlá sona duit」[お誕生日おめでとう]

寝たままのスヴェンにそう声をかけ、気付かせないように静かに立ち上がる。
そして右の指先を宙でくるりと回し、テーブルへ向ける。そこに音もなくひらりと落ちる、一枚の赤い“カード”。

アリスがこっそりと家を出ると、外はいつの間にやら雪が降り積もっていた。
―――彼の罪も、誰かが純白に覆ってくれる。そう願ってやまない。
彼女が雪に杖を刺す。目の前に、例の如く“扉”が現れた。


【Happy Birthday   Dear:Sven friman koren Korner

   男の家に泊まったのは君が二度目。光栄に思っておくれ。

      From:Alice witchcraft Kyteler】



//あのまま終わると微妙だと思ったのでエピローグ追加で
//それでは本当にありがとうございました
629 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/18(月) 08:51:19.99 ID:7jb9Abafo
>>572

 ニュクスという少女は、百戦錬磨とは言わずとも無数の戦場を駆けて来ている。
 否、戦場ではない。彼女にとっては戦場とて愛を囁く場。恋人同士の公園や、寝室となんら変わりはない。
 幾百の剣を受け、幾千の弾丸に穿たれ、幾万の魂を愛の下に喰らい続けた。
 彼女の愛撫は生物にとっての死。それをニュクスは、異常だとは思っていない。
 他者と違うという事は充分に、十全に、完全に理解しているのにも関わらず、己の異質さを是としている。
 愛でるだけで死ぬというのならば、それで良いと。
 愛しているにも関わらず、愛でることもなく傍観する位ならば、死を与える方が余程健全であると。
 ニュクスは、心の底から思っているのだ。
 故に、ニュクスは歓喜した。全く同一とまでは言わずとも、近しい感性を持つ少女の存在に。

「んっ……ぁっ……!」

 嬌声の様な、小さな悲鳴が吐息と共に漏れる。
 結果的に言えば、ニュクスは雪音の攻撃に対して、さして対抗手段を持っていなかった。
 あまりにも魔性に過ぎた彼女の体は、魔力は、黒い布──聖骸布によって雁字搦めに拘束されている。
 雪音の速度が、並の剣士のそれを上回る事に、己の魔法が雪音を穿つよりも早く、その刃が己に迫る事に、
 己のミスに気付いた時には、とうにその拘束された身ではどうしようもない位置まで、雪音と大剣は迫っていた。
 故、ニュクスは、

「あはっ、あははは……」

 その頬に血痕を散らして、無邪気に笑っていた。
 右肩には十センチばかりも刃が食い込んでおり、それを辛うじて魔力で形成した障壁で押し留めている。
 だが、その障壁も半分程度に亀裂が入り、今にも砕け散りそうな奇怪な悲鳴を上げていた。
 剣を持たぬが故の速度に、重力を上乗せした一撃。
 恐らく、聖骸布の有無に関わらず、ニュクスの障壁では役者不足。
 どう転んだ所で、受ける事を選んだ事が間違いであったのだ。

「痛いわ、雪音お姉さん……。
 痛くて、痛くて、堪らないの……」

 だが、ニュクスは軋む障壁も、絶体絶命の状況も無視して、その足を一歩前に押し進める。
 刃を身に埋めたまま移動すればどうなるか、白痴でも分かろう。
 生々しい肉の音をさせながら、傷が数センチ深く押し広げられる。
 だのに、ニュクスは痛みに陶酔しているかのような、蠱惑的な表情で雪音に手を伸ばす。

「お姉さん、私、『堪らない』の」

 痛みに耐えられないという訴えでは、無かった。
 むしろ、逆。快感に、己の抑制が聞かなくなる。
 その上気した頬は、熱い吐息は、そう語っていた。
 ニュクスは虚空に惑う手を、ゆったりと前に進みながら伸ばし、その手で雪音に抱きつこうとする。
 そして、更に数センチばかり傷を深くしながら、雪音を抱きしめる事が出来たのならば。
 懸命に背伸びをして、その耳元で囁くだろう。

「……おねぇー、さん♪
 ねえ、私を斬りたい……?」

 そんな、倒錯的で、挑発的な言葉を。
 熱い、熱い、吐息の混じった声で──。
630 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/18(月) 17:44:00.68 ID:HYGtm7hR0
>>600

少女は自分の能力によって、如何の攻撃を回避したようだ。
しかし、それが仇となり、自らにダメージを負った。
方膝を着くまでとなる。

「もう良かろう。今、楽にしてやる」
如何の能力、相手への生命力の流入、それはなにも攻撃の為だけにあるのではない。
相手に疲労感を与えるのと逆に、疲れを取り去る効果を持ち合わせる。

死闘を繰り広げるつもりはない。
最初に出会った能力者だ、慎重に慎重を重ねて力量だけを調べただけ。
能力者の力量さえ分かれば命を取る気は無いのだ。

先程の発言が誤解を生みそうだが、それ自体はあまり気にしない。
少し前まで戦っていた能力者を回復させようと、殺気無くゆっくりと歩き出した。
631 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/18(月) 19:34:46.15 ID:An0LwGROO
>>630
"今楽にしてやる"…………その言葉を聞いた少女は、身構える

(…………私はまだ…………まだ死ぬわけにはいかないの…………パパやママを殺した能力者を見つけて…………[ピーーー]までは…………!!)

今は冷静になれず、相手に殺意が無いことに気付かず、星の剣を持ち、男を睨む

「…………こんな…………こんなところで…………!!」

歯を噛み締めて、動こうとするが、崩れ、星の剣を落とす、そして、両膝、両手をついて
632 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/18(月) 19:53:41.02 ID:3QX8vpYWo
>>629
肉を引き裂いた
骨を砕いた
悲鳴が上がった
鮮血が舞った
壁に刺さった
鮮血が、刺さった

「ふふっ…ふふふ」

白い肌は赤に穢され、上気して朱に染まる
ああ――気持ちいい
この上なく、温かで生々しくて――
彼女を、感じる
どこまでも、純粋なように感じられた

「えぇ…私も『堪らない』わ
そして―――」

あぁ、素敵だ
生々しい肉の音色が
快楽に酔った少女の表情が
熱く熱い少女の吐息が
肌から消えぬ赤の熱が
肩を抱く細く白い指が
その声音が
その――赤色が
あぁ―――どうしてこんなにも美しいのだろう

「堪らなく、斬りたいの」

だから、剣にかける力を増やす
もっと、浴びたいから
もっと、感じたいから
一つと、なりたいから



だが、雪音は知らない
その剣筋はずれていると
少女の右腕は落とせても――確実には命は落とせぬようになっていると
雪音の手心だろうか?
ニュクスの前進のせいか?
壁に突き当たったからか?
その解は―――きっと出ることはない
633 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/18(月) 20:25:51.84 ID:VZI14PiJo
>>617
 無理矢理に動き、障害物を砕く。
妖花を追うよりも先に、自由に動けるようになることを優先したのだろう。
体に当たるが幸いと、適当に壁や瓦礫を吹き飛ばす。
そうしてある程度自由に動けるようになった時。
視界の中にもはや妖花の姿は無い。

 既に逃げおおせたのだろうか。それとも瓦礫とともに蹂躙されたのだろうか。
或いは反撃のために、まだ幾ばくか残る大きな瓦礫の影から、様子を伺っているのだろうか。

--荒れ狂う。
そこには技どころか知性すら無い。
その姿はもはや、暴虐の限りを尽くす邪竜、と言っても良いだろう。
邪竜は、残った瓦礫を体当たりで吹き飛ばしていく。
妖花を倒すには、かなり打点が高いその体当たり。
もし瓦礫の下に妖花が居たのであれば、妖花の頭の上を胴体が通りすぎて行くだろう。

 竜の中にあるのはもはや、この姿になってしまったことへの怒りだけである。
そしてその怒りは、体を人の姿に戻そうとしている。

「■■■A■■■■■AA■■■■■!」

 --少し、咆哮に人の声が混じってきただろうか。
634 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/18(月) 20:37:46.56 ID:09aTKkTpo
>>633

ドラゴンとなった竜人は、障害物を砕き続ける。
瓦礫が地面に落ちるたび、ドラゴンが足をすすめるたびに大きな衝撃が走る。
妖花の身体は衝撃により幾度か空中に打ち上げられ。

「それにしても、この暴れよう・・・。すさまじいですね。」

知性も失い、もはや暴れ狂うことしかしなくなった竜。
瓦礫は竜に体当たりされ、次々と吹き飛んでいく。
―自分が隠れている瓦礫も例外ではなく。

「これは・・・、ちょっとまずそうですね。」

だが、状況を見極めなければならない。
おそらく、龍は自らの姿を見失っているに違いはない。
ただ、見つからないから暴虐の限りを尽くしているのか、などと思案し。

妖花の頭上を竜の胴体が通り過ぎる。
だが、竜の様子がおかしい。だんだんと竜の咆哮には人の声が混じり始め。
もう人の姿に戻ろうとしているのだろうか。

ともかく、妖花は自分が生き残ることができればそれで良い。
それだけで良いのだ。―できることなら、サンプルを持って帰りたいくらいだが。
635 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/18(月) 20:43:16.41 ID:6oq0/Gp40

寒空も少し和らぐ昼下り、とある森にて。
生い茂る樹木を掻き分けた先にある草原に、ちょうど真ん中に立つ自然岩。
大人が5人手を繋いだほどもある大きさの其れに、ふと日向を遮る影が差す。

「嗚呼……長かった」

それは巨大な鷹に乗っていた独りの少女であった。
人を乗せて飛ぶほど大きな生物は自然界にそうはいないが、それを駆る少女もまた少し風変り。
玉虫色の髪に軍帽を被り、アイロンの当てられた軍服の上に漆黒のコートを着る。翼竜を串刺しにする不気味な紋章を背負って、がしゃりと軍靴で岩の上に降り立った。

「此処に来るのも一年ぶりですか」

人気のない草原を見回し、感慨深げに呟く。額には塩気を帯びた髪が貼り付き、海から飛んできたのだと見るものには解るだろう。
顔色が優れない少女の身体には、潮の香とは別に異質な気配が。海に漂う濃厚な自然の魔に中てられて“魔力酔い”したのだ。
それが原因か定かではないが、外だけでなく少女の体内にもまた魔力の気配はあった。

異様な登場に異質な格好。それは彼女が所属する悪の組織に端を発する。
空を仰いで深呼吸。頭上に巨鳥を臨む青の瞳は、正気の奥底に一種の微熱を秘めてきらりと輝いた。

「まずは鈍った勘を、元に戻さないとですねぇ」

――――

暫くして森の奥に爆発音が散発的に木霊する。
立ち上る硝煙、少女は岩から微動だにしていないにもかかわらず、周りには裂創を帯びて大きく傾く樹木が幾つもあった。


/使い回しですが……
636 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/18(月) 20:44:37.90 ID:HYGtm7hR0
>>631

少女は言葉の意味を勘違いしている。
訂正を説く気は無い。

少女へと近付き、左胸へ掌底を突き出そうとした。
当たっていれば、少女は身体が少し楽になる感覚を受けるだろう。

「もともと、殺す気は無い。言ったであろう、力調べだ」
数歩後ろへ下がり言う。

「これで動くには十分な筈だ。どうするのだ?未だ私を捕らえんとするか?」
試すようにそう尋ねた。
637 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/18(月) 20:53:30.90 ID:An0LwGROO
>>636
傷を癒された少女は間の抜けた表情になり、星の剣は消えていく

「…………ふん、こんな情けかけられて、出来るわけないでしょ」

立ち上がり、腕を組むとそっぽ向きながら言い放つ
しかし、また男の顔を見つめ

「1つ聞かせて、あなたはなんの為に、能力者と闘おうとするの?」

疑問に思ったことをストレートに尋ねる
638 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/18(月) 21:06:20.94 ID:HYGtm7hR0
>>637

「知れたこと。能力者とは未だ未知なる存在」
「私は集落に能力者の情報を伝える為、それについて情報を集めるように身をもって能力者と戦う」
明後日の方を向きながら答えた。

そして、少女に向かい尋ねる。
「貴殿もD.O.T.Aなる組織に何故加担する?能力持ちとはいえ、アイドルとの片手間であろう。世に受ける前に散るぞ?」

ただ、ここは異能の集まる街。
通常ならざる存在が多く居る場所。
人が死を覚悟する場所に生活するのは、全て非日常なのかもしれないが。
この少女、いかにして危険な仕事を受けるようになったか。
639 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/18(月) 21:09:36.14 ID:VZI14PiJo
>>634
 元は狭い路地裏であったはずのその場所は、今はテニスコート二枚分ほどの広場となってしまっている。
背の低い瓦礫はあるが、殆どの瓦礫も吹き飛び、視界もだいぶ開けた。
妖花の姿は未だ見つけられないが、もはやそれも邪竜にとってはどうでもよい。

 そこまでしておきながら、怒りは未だ収まらず。
癇癪を起こした子供がダダをこねるように、ドタドタと地団駄を踏む。
だが、それによって生まれる破壊はそのような幼稚なものではない。

 小さな瓦礫を踏みつぶし、ボロボロの地面を平らに均す。
もし妖花が、未だ瓦礫の下に隠れているつもりならば。
その結果は火を見るより明らかだろう。



 粗方の地面が平らになる。
それこそここでテニスができてしまいそうだ。

「■■■■AAAAAあああAAAA!!!ああぁぁ!!」

それほどまでに暴れまわった邪竜は、咆哮ではなく人の声を上げると唐突に動きを止める。

未だここにいるのならば、逃げるならば今だろう。

/すみません!遅れてしまいました!
640 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/18(月) 21:18:10.26 ID:09aTKkTpo
>>639

路地裏は知らぬ間にテニスコート2面分ほどの広さとなってしまっていた。
其処にあったはずの建物は知らぬ間に崩れ、瓦礫も吹き飛ばされた。
背の低い瓦礫に隠れていた妖花は、もともと腰下がないことが幸いしたか、姿は見つかっていなかった。

だが、ドラゴンは怒りが収まらぬようで、地団駄を踏み始める。
地面は平らにならされ、大きな衝撃が複数妖花にも、そして妖花を守る瓦礫にも襲いかかる。
つまり、瓦礫は崩れる恐れがあるということで。

「まずい、崩れるっ!」

其処にあったはずの小さな瓦礫の山はグシャリと音を立てて潰れてしまった。
妖花を守る盾はなくなった、だがドラゴンは何かに怒り狂っているかのようで。
あらかたの地面は平らに均されてしまった。

突然、竜は咆哮、ではなく人の声を上げると唐突に動きを止めた。
逃げるなら、今しかない。今逃げなければ、おそらく殺される。
そんな恐怖も妖花が逃げる行為に走ることを促進した。

「今ですね。逃げるしかない。」

蔦を器用に用いて、身体を前方に投げるように進む。
竜が追ってくることがなければ、おそらく逃げられるであろう。
竜人のサンプルは取れない、だが今は存命が最優先事項だ。
均されたテニスコートから、再び路地をとおって奥へ、奥へと入り込んでいく。
641 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/18(月) 21:28:06.99 ID:An0LwGROO
>>638
「つまり、村の仲間の為に戦うと……」

納得したのか、それ以上は追求せずに
そして、男からの質問に対して、暫く黙り混む

しかし、自分が聞くだけと言うのもどうか、そう思ったのか口を開く

「私がD.O.T.Aにいる理由ね…………簡単なことよ」

表情が冷たくなる

「二年前になるのかな……私の両親、お兄ちゃん、家の従業員の皆…………一人のこらず、殺された、能力者に」

少女は拳を握りしめて

「私はそいつを見つけ出して、そして[ピーーー]の…………そして、私のような人を出さない為に世に蔓延る悪人どもは駆除する、それだけの事よ」

瞳の奥には確かな殺意が潜んでいる
642 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/18(月) 21:38:03.77 ID:HYGtm7hR0
>>641

「家族を殺した悪人、もしくはそれに順ずる者。それに仕返しをしたいと言う所か」
二年前に能力者に家族を殺されたとは。
少女は、復讐の為にD.O.T.Aにいる事か、確かに少女にとっては十分な動機になりうる。

「そちらも随分と熱心ではないか。どうだ、一つこれで手を打とう」
如何は懐からメモ帳を取り出した。
集落ではなかったもの。文明が生み出した利器の一つ。

そこへ自身の名を書く。
『神道 如何』
書いたページを破り、少女へと手渡した。

「街に内通した知り合いも居ぬのでは、こちらも困るからな」
「名を教えてくれぬか?」

自己紹介が若干利己的ではあった。
643 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/18(月) 21:43:21.96 ID:An0LwGROO
>>642
渡された名刺を確認し

「しんどう…………なんて読むの?」

漢字は弱かったのかそんな事を言う

「私の名前なら柊春香よ、そこら辺のTV見てたらそんくらい分かると思ってたけど………」

若干自意識過剰でもあった様子

「まあ、こっちこそよろしく」

そして、挨拶はそっけなく
644 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/18(月) 21:46:51.14 ID:dXMIe8MWo

遂に彼女は、森で倒れた。
息は絶え絶え、髪はぼさぼさ、服はぼろぼろ、肌はガサガサ。
目的地はもうすぐ目の前にある。
たったの1キロメートル程先には、彼女を育ててくれた街。
出会いの街、青春の街、怪奇の街、異能の街。あと少しで!

しかし女性の背後を付け狙う者は、徐々にその距離を詰めていく。
木々を薙ぎ払い、時には掌から火炎を放って燃やす。
男はここから離れたところにある街で、用心棒を稼業としている能力者。
"センセイ"とギャングたちに呼ばれる男は、大きく反り肉厚の刃を持った刀を取り出す。
彼は追跡と……森に逃げ込んだ標的の息の根を止める事が得意だ。

「これは最高に、ヘビーね。」

そう呟いた彼女の肩で、漆黒のハーフマントが弱々しく揺れる。
まるで風前の灯を表しているかのようだった。そしてそれは正しい。
なぜなら、彼女の周り、半径50mほどの円を形作るように炎が広がり始めたからだ。
ただでさえ息を切らしているのに、酸素まで奪われてはどうなってしまうだろうか。
いや、それを懸念する必要は彼女には無いのかもしれない。
その刃が肉を裂く事のほうが早いだろうから。

しかし、ここで終わる訳にはいかない。ここで終わるな。
彼女は絶体絶命のピンチになる度、毎回毎回、自分に命令する。
645 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/18(月) 21:49:10.56 ID:VZI14PiJo
>>640
 邪竜の姿が萎み、翼は背中へと吸い込まれるように縮んでいく。
人から竜の姿へなった時の逆再生のように、竜から人の姿へと変貌していく。

「あああぁぁあぁあああぁぁあああああっ!!!」

 口から漏れる叫びは、 変身の苦しみからであろうか。
それとも怒りか、或いは悲しみか。

変身はそれほど長くは掛からなかった。
しかし、どれほどの力を費やしたのか。
立つことはできず、できることはただ地面を叩くことだけ。

「ダメよ…… あんなのはダメなのよ……」
「あれじゃぁ、ダメなのよ。 美しくないわ、輝いてないわ……」

 口から出るのは、自己嫌悪の言葉。
竜の姿ではできぬ、人の技の輝きに憧れた竜人の嘆き。
怒りに任せて殴られた地面は、拳の形に凹む。
しばらくして、少し冷静になったのか。
暴走時の記憶を振り返り、そこで明確に妖花の死を確認していないことに気づく。

「やっぱり、ダメね」
「……探さないと。被害者が出るかも知れないわね」

 空き地となったこの場所を捜索するのに時間はかからない。
しかし全力で逃げているのであれば、その間に追跡不可能な距離を稼げるだろう。

/この辺りで区切りが良くなりそうですがどうでしょうか?
/会話が少なくてすみません……
646 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/18(月) 21:49:56.97 ID:J8/kk7S80
>>635
―――明確に、自然から発生する音ではない。白金の髪を山間の風に靡かせるその少女は、酷く疑問を抱いた。
アルバイトである配達を終え、二輪で支部へと戻ろうとしたその時のことだった。
連続した爆発音。年輪を充分に蓄えた木が激しく折れる音。それも、幾本も。
どう考察しようとも、彼女の頭で説明はつかなかった。

「はぁ……また野島さんに怒られるですが……」

支部長の姓を口走り、観念したかの様にバイクを路肩に停め、メットを外す。
そして、道と呼ぶべくも無い木々の隙をするりするりと抜け、駆け出した。
嫌な予感がするのだ。根拠はあの音しかないが、途轍のない“チカラ”の気配がするのだ。

「逃げてくれるな、ですっ……!」

腐葉土を踏みしめ、それになり切れない落葉を踏みちぎり、少女は音のした方へ着実に接近をする。

もちろん形振りに構ってはいない。軍服の少女からも、彼女が近づくにつれその足音は大きくなる。
それに気付かないということは、ほぼないと断言できてしまうだろう。


//まだいらっしゃればどうでしょう
647 :【刺咬妖花】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/18(月) 22:00:05.78 ID:09aTKkTpo
>>645

竜はもう竜人に戻ったであろうか。
あの足音も、衝撃もこない。おそらくは戻ったのであろう。
妖花はただひたすらに路地裏を跳ねる。

「あの竜人にまた追われても面倒ですね、奥に逃げますか・・・。」

竜人が妖花の死を確認できず、捜索し始めた頃には路地裏の奥へと入り込んでいた。
妖花は元いた『学園』へと森林を通って帰還する手はずを考えていた。
兎にも角にも、あの竜人にさえ見つからなければ今日のところは安泰そうだ。

竜人の血というサンプルも手に入れたし、まあ今日のところはこれでいいだろう。
そう思い、再び路地裏をはねて行った―

//これで〆でよろしいでしょうか?
//楽しかったです、ありがとうございましたー!
648 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/18(月) 22:04:40.55 ID:VZI14PiJo
>>647
/お疲れ様でした!
/2日間ありがとうございました!
649 :【活路孔明】 [saga]:2016/01/18(月) 22:05:49.15 ID:HYGtm7hR0
>>643

「しんどう いかんだ。住所などは持たぬから名だけ覚えてくれれば良い」

テレビに出ていたのか。アイドルは当然なのかもしれないが、そこは如何には分からない。
「柊春香。名前、しかと心に刻んでおくぞ」
D.O.T.Aに所属するアイドルの少女か。最初に相対した能力者がこんなに異例の成績を持つ者だったとは。
やはりこの街、並々ならぬ者が多い。

さてと、
「私はこれより部下と会わねばならぬ。さらばだ。また会える時を、な」
そう言い、如何は背中を向けた。

そのうち見えなくなっていくだろう。

//こんな感じで〆でどうでしょうか?
650 :【星霧積成】 [sage]:2016/01/18(月) 22:12:09.80 ID:An0LwGROO
>>649
「いかん、ね、覚えとくわ」

男の背中を見つめ、見送る少女
男を見送った後

「はぁ、まだまだね…………もっと強くなりたい…………」

呟き、空を仰ぐ……空に輝く星を見つめて、時間だけが過ぎていく

//おっけーです、絡みありがとーです
651 :【八岐弁慶】 :2016/01/18(月) 22:28:20.30 ID:LrZY/Bjs0
>>644

熟練かつ天性の狩猟者は、野生に生きる。
そこに人の語る誇りはない。ヤアヤア我コソハと名乗りを上げ、剣を掲げ、正道たる振る舞いで戦いに臨むことは、野生において一欠片の肉片の価値もない。
故にそれは、人の瞳には卑劣な手として映ることさえある。しかし正道であることは、彼ら彼女らにとって誇りではない。
であれば、狩猟者の矜持とは。ーーーーーーー至極単純な結論であった。

野生の領域に迷い込んだ哀れな獲物として倒れ伏した女性を、無慈悲にも冷ややかな月から隠す樹上。ーーーーがさり、蠢く音。
樹液を蒸発させる炎のちりつく香りに混ざる臭い≠ニは、何だったであろうか。少なくともそこに、人間の正道は感じられなかった。
がさり。がさり。葉擦れの音。ちり。ちり。がさり。がさり。樹上で煌めき、赤い残光を昏い夜の森に描く。しゅるり、しゅるり、絡みつくような、忍ぶような、ふと気を抜けば消えてしまうようなーーーーーーーーー違う。


「ーーーーーーーー…………あらま。手酷く、おやられになってることで」


ーーーーーーー葉擦れの音も、絡みつく音も、炎の燃える音も。すべて掻き消して、大地が揺れる音がした。
伏せるようにして女性のそばに降りたその影≠ヘ、はじめ四本の足で臥せているようであった。
しかしその影は動いた。のみならず立ち上がった。ーーーー二本の足で立つその影は、威風堂々たる質量を持って森の軟い土に足跡を刻んだ。
その黒い影は、一枚の外套を羽織っているようだった。頭巾(フード)を目深く被ったその影は、己の肌を殆どこの荒らされた森の熱さに曝していなかった。
ぬるりと立ち上がってから、彼女は微動だにしなかった。しかし唐突に、ただ一つ、彼女は動いたーーーーーーー細く長い影の唇を、細く長く赤い舌が、舐める。

/まだいらっしゃれば……!
652 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/18(月) 22:37:24.09 ID:GWcOg0+Co
分類番号:一八六番
異能物品名:帝國零号機関第十五號異能収容研究所
詳細:帝國■■県■■市にて発見された零号機関の異能収容研究施設に酷似した異常性を持った複合施設。
その外観は零号機関第十五號異能収容研究所に酷似しているが、同施設は構造上の欠陥から建設途中に解体され、建設予定地であった場所には第二十號異能収容研究所が存在する。
帝國が有する情報内に第十五號異能収容研究所に関する以降の情報は存在しない。特務部隊『ろ-四』を調査を目的として送り込むが、同日中に不明な手段によって行方不明となる。
再度の調査の為、近隣の零号機関員を選抜。臨時の特務部隊を結成し、調査を継続せよ。

――――――――――――

現在。五名の零号機関員が、帝國零号機関第十五號異能収容研究所へと突入。内部の異常性により、内四名が殺害される。
残された生体反応は一つ、立華京香直史准尉の物であると推測されるが、現在位置の特定は不可能であり、通信は未だ回復せず。
通信、映像の回復に努めるとともに、救出部隊の派遣を検討中。

――――――――――――


「―――――― こんなの、私の仕事じゃない……!!」

昇り階段の中途に座り込んで、震える指で銃弾を弾倉へと一つ一つ押し込んでいく。
此の施設の異常性に銃撃が効いて、尚且つ自分に弾切れの心配が無いのは不幸中の幸いであるが然し、この絶望的な状況を打破するに至るだけの陽気な手段にはならなかった。
現在の階数表記は地下十三階とある。だがこれがあてにはならないことは、既に立華は理解し切ってしまっていた。
下る時には階数表記通りだったというのに、昇りになってからはどうにも表記が滅茶苦茶だった。十階に来たかと思えば、二階に来て、かと思えば十五階に至り。
最早昇り、下りに意味すらない事に気付くのには大した時間がかかる事は無く。この異常性の檻の中で、ガタガタと震えるばかりであり。

「そ、そもそも特務の連中が失敗したからこんなことになったんだ、本当なら私の仕事じゃない筈なのに……!!」
「通信も回復しないし、どうすればいいのか皆目見当もつかない……!!」

「ど、どうすれば……どうしよう……っ!」

弾倉を閉じて立ち上がるが、かと言ってここから何か脱出の方法が思い付くか、と言えばそうではない。壁を叩いてみても、撃ってみても壊せない。
無理矢理出る事も出来ず。やはりここで死ぬしか手段は無いのか、と思うと、涙が溢れ出そうになってきて。
然し動かなければどうしようもないのだから、取り敢えず、また階段を昇り、手近なフロアへと足を踏み入れるつもりだった。

―――――――――――― さて、階数は滅茶苦茶ではあるが、一方で同じものが複数存在する、ということは有り得ない。
何かの手違いで此処に侵入してくる者が居れば。もしかしたら、遭遇する、ということもあるかもしれない。
653 :【0】 [sage]:2016/01/18(月) 22:40:06.27 ID:yFwg1rxko
鉄屑、プラスチック、危険な産業廃棄物……兎に角色々な廃棄物が山のようにうず高く積み重なる、ここは塵の砂漠。
一般的には廃棄物置き場と言ったところか───彼はここで目覚め、ここ以前の記憶が無かった。

「…………」

と、いう事は、この場に何らかの手掛かりがあるかもしれないという事だ。それを探しに来た、悪臭と危険ばかりのこの場所に。

「……つってもなァ〜……」
「こんなゴミの山から何が見付かるってんだ?」

一際高い丘の上に立つ青年が、大きな溜息を吐いた。
見渡せど見渡せど、見えるのはゴミばかり、目的の物は一欠片程も見えない……というより、こう暗くては全く何もわからない。

「やっぱり朝早くから探すべきだったかなァ〜……夜じゃあやっぱり何も見えんよな……」
「とりあえず、そこら辺掘り返してみるか……」

遠くを探しても何も見えない、そういう事で、青年はまず足元を探してみる事にする。
高く積もったゴミの山を、掻き分けるように乱暴に手で掘ってみる、その月影は、とっても怪しかった。

/1時頃には落ちますが……
654 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/18(月) 22:47:44.47 ID:dXMIe8MWo
>>651

ごうごうと立ち上る火炎、もうもうと渦巻く黒煙、女は堪らず咳込んだ。
ケホ。



咳をしたのがいけなかったか、彼女はその"影"が近づいたことを一瞬見逃していた。
それは何者なのか一目ではわからない。異能者の類とは、また、違う雰囲気がある。
4つの足を持った影は人形へと変わり、あろうことか彼女に話しかけた。
もしも彼女に元気があったならば、きゃあ、と驚きの声を挙げただろう。
皮肉にも酸欠のお陰で、無様な姿は晒さずに済んだ。

「私の守護天使って訳じゃ、なさそうね。」

ピンチを救ってくれるヒーローでなければなんだろうか、彼女は状況を一瞬忘れ、考えた。
森の獣や怪物の類だろうか ―― いや、なら、もう食われているだろう。
怪物には違いないかもしれない。少なくとも、人間はこんな不定形ではない。
幻覚の類だろうか ―― む、これはいい線をいっているな。

「守護天使様以外の配役希望は、今、必要無いわ。
 私は、このサウナの切り抜け方を探しているのよ。」

彼女は、この突然現れた謎をまともに取り合わない事にした。
ふらりと立ち上がり、ふーっと息を深く吐く。これが最後の深呼吸になるかもしれない。
この火炎の中では、次の深呼吸は命取りとなるかもしれないからだ。

問題の火炎の主を遠くから見据える。一歩一歩を確実に歩んでいる。
その男はなんと、酸素吸入器とマスクを装備しているではないか!
当然と言えば当然か。火炎の暗殺者は、プロ。自分の武器に殺されるプロはいない。
655 :【八岐弁慶】 :2016/01/18(月) 23:25:24.06 ID:LrZY/Bjs0
>>654


「……はァ、そりゃあマァ随分と我が儘なこって――――」「そりゃあまぁ、あたしャ確かにアンタを守るために遣わされた訳じゃあないですが」

数刹那遅れて、影は半ば呆れたように言葉を返した。炎に照らされてなおのっぺりとした黒い背中からですら、彼女の表情は窺い知れるようであった。
ふぅ、と息を吐いて、彼女はすぅ、と息を吸った。燃え盛る酸素の希薄な大気においても、その影は別段の苦痛を感じていないように見える。
土台、真っ当な存在ではなかった。影はやはり影らしく、捉え所がない。――されど、その影は影でありながら、深く大地を踏みしめてもいた。
さて、その影はまた口を開いた。女性を見てはいなかった。淡々と迫る目前の男を、その外套の下から冷厳に見つめていた。

「あー……そこのセンセイ≠ナしたっけ?」「それだけ合ってりゃ、構いませんので」
「あんたさん。――真島重工≠チて名前に、聞き覚えはありやせんかね」

その影はしかし、属するもののある影のようだった。その影は気高い野生の狩猟者であったが、同時に主人に隷従する番犬でもあるらしい。
手応えのない真剣味を含む言葉であった。男が聞くも聞かないも構うことはなく、燃える大気の中で、影は冗長な質問を投げかけ続ける。

「――――例えば、あんたさんが何処かしらからかっぱらってきたモンに、大ッ切な秘密の書類が混じってて」
「読んでみたら、そこに真島≠フ文字があったとか」「それを読んでしめた! こいつァ目っけもんだ≠ニか、お考えになったとか」

「――まァイヤ、ぶっちゃけあろうがなかろうが、どーだっていいんですがね、ホントのところ」

挙句の果てにはこの差し迫った危険の前で、能天気な言葉に費やした時間は全て無駄であったと自白する始末。
だが忘れてはならない。身のこなし、振る舞い、地に立つ両足。紛れもなく、影は狩猟者であった。故に。

「兎にも角にも、あんたさんには疑いがかかってるわけですわ。折り紙付きの場所から」「だから――――」

「ここで、死んでもらう。……あの世への駄賃にこの人の魂(タマ)貰ってかれるのも、どーにも寝覚めが悪ィもんでして」

――――――その言葉と同時に、影はその黒い外套の内側から、一振りの長物を引き抜くのであった。
全く迅速な抜刀だった。影の身の丈を悠に越えるはずのその柄≠ヘ、どうやら中途で折り畳まれていたものらしい。――薙刀である。
外套から、二本の腕がずるりと湧き出た。細身に筋骨を圧縮して納めたであろうその両腕は、しっかと影の得物を掴んだ。
656 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/18(月) 23:57:31.94 ID:dXMIe8MWo
>>655

辺りは真っ昼間と見まごうように明るい。
炎の檻は今やぐるりと3人を取り囲み、まるで小さく赤いコロッセオ然としていた。
男が足を踏み出すと、パキりと枝が折れる音が響き、今まで熱に我慢していた烏が飛び立った。
黒い羽がガスマスクのレンズに貼りつくが、"センセイ"はそれを指で摘み、払う。
そして首を傾げた。突如現れた影と獲物の女を交互に見た後、彼も深い溜息を吐く。
深い呼吸をする余裕が彼にはある。

謎の女の問いかけに応じる様子は無い。沈黙は金なりといったところだろうか。
しかし急に居心地の悪くなったのは、疲労困憊のブロンド女。なんなんだこの2人のやり取りは!
そんな風に思ってキッと双方を睨みつけるが、どちらもそんなものに動揺するように視えない。

「ちょっと!」

"影"の目の前へと飛び出し、お前の相手はコイツじゃなくて私だと言わんばかりに再び暗殺者と相対する。

「待って待って、あいつは私の獲物よ。
 それを横から出てきて真島重工だなんだって、
 あんた産業エージェントかなんか知らないけど、もう少し謙虚さを持つべきね。」

とは強気な言葉をずらずらと言い放つものの、
所々焼け焦げたボサボサの金髪を振り乱していては、格好がついていない。
しかし彼女は、正義の心と闘志だけは人一倍あると自負しているのだ。自負しているのだ。
多少の時間喋っていたお陰か、彼女の持つ"力"も少しは……少しは回復した。

火炎能力者との距離は30mほど。そこで彼は歩みを止め、刀を持つ右手とは反対の手、左手で機関拳銃を取り出す。
幾つかのパーツを改造しているようだ。弾丸を収めているマガジンはより長いもの、30発ほど、のものになっている。
彼はその場で腰を低くし、何かの構え……のようなものを取っているように見える。
657 :【八岐弁慶】 :2016/01/19(火) 00:26:59.99 ID:49gz8dCtO
>>656

「……無謀と勇気は違いますよ、跳ねっ返りのお嬢さん」「これはあんたさんを神輿で担ぐための余興じゃあないんですからね」
「お父様(パパ)もお母様(ママ)も爺や(バトラー)も、ここにはいやしません」

あくまで沈黙の元に歩を進める男に対して、確かに影は溜息を吐いた。
しかしそれに次いで影の前に飛び出し――先程までの様子は何処へやら――影につらつらと自信ありげな反駁をしてみせた女性に対して、影は更に大きな呆れの息を吐かざるを得なかった。
半ば苛立ったように、影は女性へと言葉を返した。世間知らずの小娘を馬鹿にする口調と態度だった。
頭巾の下から出でた影の眼光は、いよいよ女性へと向いた。蛇のように細い瞳孔を持つ彼女の紅い双眸は切っ先鋭く絞られていた。
明白な殺意があった。何千人もの人間を手にかけてきたとすら思わせるような、冷酷さと無慈悲さを放射する色合いだった。
ただそれは何方かと言えば、女性の無礼千万とも言える振る舞いに対して向けられたようでもあり――謂わば、子供騙しの脅かしか。それを裏付けるかのように、

「……まあ、手出ししようが何しようが、あんたさんの勝手ですが」「あたしの仕事≠フ邪魔だけは、しないでくださいね?」

そう言って影は諦観と共に目を瞑り、薙刀から一時だけ手を離して、その片手で女性を目前から押し退けた。
「わざわざ私と奴さんの前に立つとは、その見すぼらしい姿をまだ撃ち抜かれたいのですかね」「もしかして、プライドのある割にはマゾヒストなンですか?」はぁ、と再度溜息を吐いてから、影は改めて己が相対する男を睨めつける。
――先程まで、女性に向けていたそれと同質のものだった。じり、と影は一歩を踏み出した。
暗殺者たる男が、けして己の力に酔い痴れずに油断なく女性を追い詰めたように。影もまた、慢心なく男の逃げ場を潰してゆく。
しかし片や長物とはいえ、片やそれよりも更に間合いの広い得物を持っているのである。数発の銃弾で倒れるほど影は軟弱ではなかったが、面倒な手順を強いられることに変わりはなかった。
658 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/19(火) 01:05:39.18 ID:infzPpdCo
>>657

「あ、ちょ、ちょっと。」

軽くあしらわれ、片手で位置を交代させられると、ギリと歯軋りをしてみせる。
視線が影の肩を飛び越し、ガスマスクの男の持つ拳銃へ到達するや、"OOPS"とつぶやく。
しかしその声色にはさほどの緊張は無い。どうやら拳銃も見たことないような、世間知らずではないようだ。

火炎の男は ―― 火炎の男の周りの像は、ぼやけ始める。熱だ。熱気。足元の草木が、ちりちりと燃えている。
それに火炎の檻も、徐々に迫ってきているのを察せるだろうか。
油断のならない男という評価は正しいのかもしれない。じわりじわりと、着実に、確実に追い詰めようとしている。
フーっ、フーっ。"センセイ"は呼吸音だけを放っていた。それは怪人の様。

「ケホッ。
 ああもう、多分あいつさっきのやろうとしてるわ。教えてあげる。」

漆黒のマントを翻す。それは、この、愚かに見える女には似合わないかもしれないが、星の無い夜空に似ている。
肩を隠す程度しかなかったマントは今や膝丈にまで回復し、風に脅かされて、情けなく揺れた。
見方によって影にも似ているだろうか。まあ何にでも似ているのだ、漆黒だから。

「アイツは力を貯めて ――― 」

 ――― 女が言い始めるやその時、2人の目の前で爆炎が上がった。
暗殺者は己の靴裏からも火炎を放てた。今、それは轟音を放ちながら猛烈な勢いで噴出、暗殺者を宙に飛ばす!
さながらロケット花火だ。2人の頭上目掛けて飛びながら、機関拳銃の引き金を引き絞る!

や、ば

予め攻撃を予想していた彼女は、直ぐにマントを宙へと広げる。
このマントは、彼女の数々の無謀ともいえる挑戦の代償を、お嬢様育ちの女の代わりに払ってきた優れたマント。

"ヴアRARA"

30発を撃ち切るのに1秒も要らない。一瞬で撃ち尽くす。
空中という何の委託もない射撃、拳銃故に短銃身、弾丸は面制圧的な意味合いで撃たれた事は一目瞭然だった。
制圧射撃。ある目的の為に、敵集団を沈黙させる意味の射撃。

飛行へ妨害がなければ、男は2人の直ぐ背後へと降り立つだろう。影の女からすると、マントに身を包んだ女をまた間に挟んでしまうだろうか。
彼はプロ故に、標的はただ一人、獲物は野心が強すぎる女ひとり。
刀の間合いだ。
659 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/19(火) 01:13:34.84 ID:infzPpdCo
>>657
/すみません。ここらへんで凍結をさせて頂いても大丈夫でしょうか。適当に〆てしまっても大丈夫です
/制圧射撃云々のくだりの説明が下手だったので補足になってしまうんですが、「なので命中率は低い」というような意味のつもりです
660 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/19(火) 07:05:18.54 ID:0LYbUP5Yo
>>632

 その音は、ニュクスの耳朶に、これ以上なく鮮明に触れた。
 肉が圧潰される音。骨が捻じり潰される音。血管が、神経が、途切れその意義を失う音。
 己の体の内外に関わらず、破壊され尽くす音が、全身を駆け巡る。
 力の増した大剣は、段々と圧を掛けるようにして障壁を砕き割り、
 やがて、背骨を直接撫で付けるような激痛と悪寒が、ニュクスの脳天を貫いた。
 決して、この黒い少女は痛みに強い訳ではない。
 痛みは、痛みとしてきちんと把握し、感じている。
 だが、それでも。他者に与えられるものであるから、愛する者から受けるものなのだから。
 ニュクスは、その膨大な愛を以ってそれを受け入れた。

「……う……ぐっ!」

 もはや、艷のある嬌声すら無い、痛みを訴える悲鳴も詰まる吐息に遮られる。
 そんな激痛と共に、ニュクスの細腕はあっさりと落下した。
 肩口から侵入していた刃は、実に容易くニュクスの腕を両断し、軽い音を立ててレイピアが転がる。
 付与していた魔力が霧散し、もはや動かぬ手に握られたままの、白銀の拳銃が姿を現した。
 止血しなければ、数分で失血死するであろうその傷。両者の足下を鮮血が濡らす。
 その落下の音と、自身が物理的に身軽になる感触を受けて、ニュクスは雪音の耳元に寄せていた唇をゆったりと開いた。

「────……次は、私の番」

 蒸気の様に熱い吐息と共に、雪音の耳朶に囁きを投げる。
 痛みによって息切れしたその声は、嗜虐の高揚に転がっていた。
 左手を自身の後頭部に回すと、ニュクスは目を覆う黒い布を解く。
 それは、聖骸布。かつて、祖国にてニュクスという神を騙る怪物が生まれた時。
 その強すぎる力を抑制するが為に、研究者たちに結び付けられたもの。
 戯れに結んだままにしている、邪悪を抑える聖性。
 それが、はらりと解けるや否や、砂の様に崩れて散り、黒の奥から、緋色が姿を現した。
 宝石の様な真っ赤な瞳が、雪音の顔を見上げる。
 その顔は、純粋に、どうしようもなくまっさらな、無邪気な笑みであった。

「あはっ、あははははは!
 あははははははははははははははははははっ!」

 狂笑と共に、その背に鴉の羽の様な大翼が一対出現する。
 黒い糸を編みこんだかの様な、濃密な黒。
 それがばさりと羽ばたくと、周囲に膨大に過ぎる魔力が満ちた。
 生半可に魔道を知る者ならば、窒息死しても可怪しくはない濃密な闇の気配。
 その中でただ、ニュクスは笑い魔を紡ぐ。





                MAJORA CANAMUS
              さあ、大いなる物語を歌おう。





 その、たった一節が、世界に悲鳴を上げさせる。
 次元の壁すら破りそうな魔が、ニュクスの全身を廻り、
 密着された雪音はきっと理解するだろう。それこそ、必殺の一撃の顕現であると。



//続きます
661 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/19(火) 07:06:12.17 ID:0LYbUP5Yo
>>632
//>>660の続き


 だが、しかし、

「──え?」

 そんな、きょとんとした様な声で、ニュクスは首を傾げた。
 同時に、集積されていた魔は周囲に拡散し、真っ赤な瞳はぱちくりと見開かれる。
 視線こそ雪音を捉えているが、何処か別の誰かを見ているような目。

「……分かったわ」

 そんな独り言を呟いて、ニュクスは改めて雪音に焦点を合わせた。
 一歩、後方に下がり、ニュクスは笑みを消して言う。

「ごめんなさい、雪音お姉さん。
 『ハイル』がね、続けちゃ駄目だって言うの。
 もっと愛しあいたいのだけれど、1つ、聞かなきゃいけないって」

 雪音にしてみれば誰かも分からない、その身に宿る魂達の主人格。
 その名を口にして、ニュクスは視線を落とす。
 本当に申し訳無さそうな、そして、誰かに対して不満を抱き不貞腐れた表情。
 僅かに頬を膨らませ、興が削がれたとばかりに嘆息すると、ニュクスは口を開く。

「私達と一緒に、世界と戦わないか……って。
 世界中の人を殺して、その後で存分に愛し合えば良いって。
 ハイルが、そう言うの」

 そして、おずおずとニュクスは問う。

「お姉さん、は……。
 私と、お友達になってくれる……?」

 ニュクスは、殺害に愛を抱いているのではない。
 愛を抱いているからこそ、殺害してしまう。
 故に、その本質はただの、人間が好きな少女に過ぎないのだ。
 だが、彼女は知っている。
 雪音のように、互いに愛を囁き合っても、最後にはひとりぼっちになるのだと。
 愛した者を殺さずにはいられない己は、世界にひとりぼっちなのだと。
 だからこそ、彼女は友人を求めるその言葉を、不安げに呟いた。
662 :【八岐弁慶】 [sage]:2016/01/19(火) 07:45:24.03 ID:cNFz7ilSO
>>659
/申し訳ない、寝落ちしておりました……よろしければ、続けさせてくださると嬉しいです
/今日は一応、9時くらいから安定してお返しできると思います
663 :【八岐弁慶】 [sage saga]:2016/01/19(火) 18:07:56.54 ID:l8kO/AWvO
>>658

「さっきの――――? ……まァ、何だって構いやしませんが――」

生返事を返せば、影は女性の憤然とした表情を、切れ長の横目でちらりと見た。赫々と燃える炎に照らされて、黒い闇に沈んでいた影の――女の顔が、浮かび上がった。
東洋人の若い女である。細く長い唇は引き締められていた。蛇の眼に似た赤い目付きが、数世代前の少年小説に出てきそうな面構えをした男を、静かに見据えていた。
だが彼女が返事を言い切る前に、彼女の視界から男は消えた――数本纏めた線香花火を、一遍に燃やしたような陽炎を残して。

「――――っ、とォ……!」

反射じみた動きで影は隠れた。炎獄に吞まれかけた大樹の枝葉は影の身代わりとなった。鞭をひどく叩きつけたかのように、銃弾が樹皮を掠める音がした。
そして影は己の失敗に気付いたらしい。彼女は女性を庇うべきであっただろう。影は銃弾の数発程度、表情を変えずに受け止めることができる。
彼女は確かに冷淡たる始末屋であったが、何分彼女にとっては世間知らずのお嬢様に死なれるのも気分が悪かった。
だがそれは杞憂であった。どこか風格すらあるような漆黒の外套が、女性を守っていた。
なるほどあれは影ではない。影は光無しには産まれ得ない。だがあれには依存するものがない。つまるところ、無頼である。
どことなく跳ねっ返りのお嬢様には不似合いな、しかしだからこそよく似合うような、正しく覇者の風格を、影はふと覚えたようだった。
だがそれは一時であった。呆れた溜息を吐く時間はない。地を蹴る彼女は、乾いた土にまた足跡を刻む。

「……ッ、危ないったらもう……便利な道具があるからって、気ィ抜きすぎですわお嬢さん――――ッ!」

そのまま彼女は、男の目前にまで跳ねるだろう。しかし目前と述べるが、男が掌から炎を放てば、影は十分に躱すことができる。
己の握る長物が――彼女の身の丈を遥かに越す一振りが、届くだけの距離である。事実勢いに乗った薙刀の鋒が、男の剣目掛けて振り下ろされた。
もう一本§rを出して、あの無用心なお嬢様を胸中に抱こうかとも影は思った。だが男に手の内を曝すのはまた面倒であった。
何より、己を守る力量がある程度はあるのだろうと、影は女性のことを見直してもいたのだから。
664 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 19:50:53.69 ID:X6GQk/it0
ここは遍く神々が集う場所、幾重万神領出雲大社が一画。
呪符、護符を司りし神を祀りし御札(みふだ)神社。
刻は正午、子高い丘の頂上で境内の掃除に一区切りをつけ。

「そろそろお昼にしましょうか。」

と、響く鐘の音に箒を止めて社兼自宅へ戻ろうとする巫女さんである。

この神社、決して参拝客が少なくはないが。
如何せん本殿までの階段が長く急な為、麓の分社でお札を買って帰る者も多い。

この頂上まで登ってくる者は余程信心深いか、
或いはこの神社に祀られる神の能力(ちから)を知る者か。
665 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/19(火) 21:07:10.49 ID:adCArwxy0
>>646

それは纏わりつく土煙を払い、呼吸を整えていた時だった。
耳朶を打つ轟音が止み、静けさを取り戻した周囲で規則的に刻まれる音。

「誰か……、」

近付いてくる――足音はそう大きくはない。一人か二人、十中八九さっきの音が原因だろう。
十分に街から離れていたつもりだったが、通りかかった物好きの耳に留まったのか。
隠匿的に修練したかったが、自分はそういうのとは無縁の能力だから仕方がない。

歓迎されざる客を迎えるのに高台は礼に悖るだろう。岩から降りようとして、その前に。
腰の雑嚢から取り出したのは一冊のスケッチブック。ぱらぱらと捲った中から無雑作に数枚、頁を千切り取ると。
手を広げた先からぱらぱらと、周囲に掌大よりも大きい紙吹雪が散らばった。

腰をつけて岩から滑降する。草を踏みつけて音がするとは逆方向へ、岩の縁に沿ってざくざくと半周移動する。
これなら岩を挿んで相対する形。気配を殺す様な高等な真似は出来ないが、少なくとも此方の全貌は窺えないだろう。
これでやり過ごせれば万々歳。少女が息を潜めた広場には、散りかけた硝煙と潮の残り香、魔力の残滓が漂っていた。


/すみません、昨日は気付けず早めに落ちておりました……申し訳ありません
/一応お返しさせてもらいます、ご都合が悪ければ断ってくださって構いません
666 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/19(火) 21:11:59.47 ID:FS5yJnKoo
>>664

『オケーレフ、もう少しで頂上ですよ!頑張ってください!』
「おいおい、もう40超えたおっさんにこんなきつい階段登らせるなよ・・・。」
『なら禁煙してくださいよ。御札を貰いたいって言ったのはオケーレフでしょう?』

―先日、帝國人形の受注があった。
着物を着た、美しい日本人形。其の人形は、見る者の心を惹きつける。
だが、人形というのは器だ。魂を吸い取られることも有るかもしれない。
そんな考えが受注者にはあるらしく、御札を貰ってきてくれ、というのだ。

無論、オケーレフは職工であり、受注されたことは断れない。
そこで、自らの自律人形、ルピカとともにこの『御札神社』へとやってきたのだ。
此処であれば、解呪の札も貰えるだろう、と思い。

『いろんな神社があるんですねー。ここは確か、幾重万神領出雲大社でしたっけ。』
「ああ、だいたいそんな名前だった気がするな。んで、俺らが行くのは御札神社だ。」
『あぁ、そうでしたね!そこで御札を貰って・・・』

麓の分社で札をもらおうと思ったが、絶対に本殿でもらってこいというのだ。
全く、骨が折れる受注者なことだ。信心深いのは確かによいことなのだけれども・・・
そんなこんな言いつつ、頂上にたどり着く、眼前には本殿がひろがっており―

『わあ、すごいですね!此処が御札神社・・・。』
「ああ、まさに御札の神様、ってのを感じるな。札がいっぱいある。」

そう言うと、辺りを見回してみる。
全く、この人間は神社というところに生涯来たことのないらしく。
札というものの買い方がわからない。
そこで目に入ったのは、一人の巫女だった。

『あのー、すいません。御札を貰いたいんですけど・・・。』

茶地のコートを着たルピカが巫女へと話しかける。
オケーレフは、といえば、境内で堂々と煙草を吸っているのであるが・・・。

//まだいらっしゃいますか?
667 :【不在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/19(火) 21:23:02.08 ID:Ol/Xdm0ao
>>660>>661
肉が断裂する
血管が途切れる
神経が蹂躙される
冷たき大剣から伝わる破壊、破壊、破壊、
ああ―――今私は一人を殺している
雪音はこれが好きだ。他の何よりも、殺している感じがするから
痛みのみの悲鳴にならぬ悲鳴が
肉が地を打つその音が
得物が無為に血に転がる音が
大好きだ。他の誰でもない、自分が殺している感じがするから
だが――――何よりも好きなのは
その顔に
その腹に
その脚に
その腕に
ついた真っ赤な鮮血―――?

「あ――れ?」

殺せてない
不思議だ、
どうして、その腕しか落ちてないのだろう
どうして、こんなにも昂った美しき声音をまだ聞けているのだろう
どうして、あの瞳はあんなにも美しいのだろう
どうして、あの笑みに惹かれるのだろう
どうして、あの翼に感動するのだろう
どうして、絡みつく闇は濃くなりすぎているのだろう
嗚呼――――理屈は知らない
幸せに―――過ぎる

「ふふっ、ふふふふふあははははははは!!
いいわ!さあ!私を―――」

幸せだ
幸せだ
だって。だって、愛されているのだから

「―――あれ?」

だが、至福の抱擁は訪れない
それどころか、あの心地よき闇すらない
違和感、これが死後?
きっと、己の目は見開かれているに違いない
ニュクスは―――笑っていなかった

「ハイル――?聞かなきゃいけないこと――?」

分からない、どうして愛は訪れないのか
分からない、どうして興ざめと言わんばかりに息を吐くのか
分からない、どうしてそんなにも不満気なのか
分からない、どうして申し訳なさげなのか

「戦争―――お友達」

分かった。このお誘いのためだったのだ
戦争の響きはお友達に消される
だって――こんなにも近しい、こんなにも愛おしい、こんなにも激しく愛せる友人は―――

「ええ、ニュクスちゃんは私の―――」

初めて、だったのだから

「お友達よ」

だから、私はきっと微笑んでいるだろう
668 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/19(火) 21:27:30.22 ID:infzPpdCo
>>663

「ウーッ、好き放題言いすぎ!」

マントで受け止めた弾丸は、ぽろぽろと地面を転がり、私は地面を転がるように這って2人の間を抜け出す。
ひらりと跳び、豪快に薙刀を降る女を尻目に、一番騒いでいた当人はまたもうや土だらけ草だらけの様相。
認めたくはないが、女は今の瞬間、影に助けられた事実を痛感してしまった。認めたくないが!
弾丸数発を受け止めたマントは力を失ってしまったように、またハーフマント程の大きさに戻っていた。

一方、薙刀を振るわれた暗殺者、逃げるような真似はしない。
拳銃から手を離すや両手で刀を握りしめ、下から上に振り上げ、甲高い金属音を森に響き渡らせる。
ガスマスクのレンズの奥では、青い瞳が月の明かりを反射し、ギラリと輝く。

"強い。"

荒い呼吸音と共に、その言葉が一つだけ、フィルターから滲み出た。
その腕には全力の力が込められ、刃はカタカタと震える。
それともそれは武者震いだろうか。
久しく強敵と会っていなかった中で、今日も弱い獲物を狩るだけかと思えば、
嗚呼、こんな古強者のような戦士に出あるとは何と嬉しいだろうか。
しかし彼は一言を零しただけに止めていた。

無理な姿勢で力比べの戦いを挑んでしまった為か、男は自慢の火炎能力を使う様子を見せない。
炎の檻はますます狭くなりつつあり、酸素もより希薄になっているが、火炎が操作されている風も無い。
ただただ戦士としての力を、兵士としてのパワーを用いている。

グググと少しずつ押し上げようとする。可能ならば膝を少しずつ立たせ、隙あらば薙刀を上空へと弾き飛ばそうと狙う。
どうやら火炎を操作するだけの余裕を得ようと、このまま力押しで状況を打開しようとしているようだった。
力押し ―― 着実で確実な戦法とは、言い難いだろうか。
669 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/19(火) 21:33:47.93 ID:x0efCECto
>>652
 コツリコツリと、無機質な廊下に足音が響く。
一体どれほどの時間、歩いただろうか。
内部時計が指し示す時刻を信じるのならば、1日も経っていないだろう。
 
 しかし、それが一体どれほどに信頼できるというのか。
脚を踏み入れる気など無かった。
雨宿りのために閉鎖された地下鉄へと入り、外に出るために来た道を戻り。
気がついた時には既にこの屋内に居た。

 確実に空間が歪んでいるのだろう。
階段を上がっているはずなのに、着いたフロアははるか地下だった。なんてザラである。

「やっばいなー。どーやったらこっからでられるんだろ?」
「やっぱり太陽見ないと寂しいよね―」

 そのような異様な空間であるというのに、歩みを進める白髪の少女はまるで他人事。
へにゃりとした顔には、微塵も恐怖など浮かんでいない。

「いや、とりあえず話し相手が欲しいかな?」
「なんか変なのいるっぽい感じするのになんにも無いし」
「変化に乏しいと、やっぱり飽きるっていうか」

そうして階段を上がりきり、新たなフロアへと脚を踏み入れる。

 そこには、同じように階段を上がってきたのだろう女性の姿があった。
今の今まで影形すら無かった存在ではあるが、このような異空間だ。
何があってもおかしくはない。

「おー。 第一住人発見!」
「おじょーちゃん。ここどこ?」
「……天井低っ!」

 その声は、非常に脳天気で。
しかし、即座に手の内に現れた7mの槍が只人では無いことを存分に語る。
670 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 21:45:57.64 ID:X6GQk/it0
ふと、境内へ向かう階段の方から二人組の声が聞こえた。
現れたのは壮年の男性と少女。

巫女さんは二人に気が付くと、ぱあっと笑顔になった。

「ご参拝の方ですか?
 ここまで来て下さる方は少ないので嬉しいです!」

といった具合に生き生きと話しかける。
なにせこの本殿には巫女である彼女、
御札礼花(みふだれいか)と愛猫のミケしか居ないからだ。
それも御札の巫女の務めと受け入れてはいるものの寂しいものは寂しい。
だから参拝客が来ると彼女はこんな調子なのだ。

『――御札を貰いたいんですけど・・・。』

茶地のコートを着た少女が話しかけてきた。
もう一人の男性は向こうで煙草をふかしている様だ。

巫女は気に咎める様なこともなく好意的に返す。

「はい、御札ですね。
 家内安全、商売繁盛、火よけ、魔除け、色々ありますよ。
 どんなものがいいですか?」

見ての通りここには御札というものならあらゆる物が揃っている。


//大丈夫です、よろしくお願いします!
671 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 21:48:11.27 ID:X6GQk/it0
コピペミス!
>>670>>666宛てです
672 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/19(火) 21:54:46.99 ID:nqN00WNAo
>>669
「……乙級収容棟十三階」

フロアの階数表を見上げる。やはり階数は出鱈目で、凡そそれは意味の成さないものであろう、この状況では何の目安にはならない。
辿り着いた先が収容棟であるのは不幸中の不幸極まりないことであった。実際に立華は別の施設の物であるが、収容棟というものを見た事がある。
兎に角、凡そ人間では理解できないような異常極まりない存在を無理矢理に閉じ込めている其処は、余りにも、現実離れしていて。二度と踏み入れたくないと思った物だ。
だが、再度階段を上がって辿り着いたフロアが、此処よりもまともであるという保証は何処にもない。
意を決して。何時でも銃を撃てるように、撃鉄を起こし、銃を構え。

「―――――――――――― 誰だ!!」

それから、振り向いて、握った拳銃の照準を合わせる。
視界に入れた瞬間に、直ぐにそれが現状の異常性質によるものとは毛質が異なるものであるとは分かった。
見た限りでは、女だ。少なくとも、今まで遭遇した異常性質とは違うもの―――――― であるが。それが、味方であるとは限らない。

「武器を捨てて兩手をあげろ。今すぐに、全てだ。質問に答えるのはその後だ」
「早くしろ、餘計な動きをすれば即坐に撃つ」

そしてまた、それが異常性質の一部では無いとは限らない
先ずは敵意が無いことを相手に証明させることが先決だと、立華は判断する。……最も、少女が取った手段とて、その証明には完全では無いのだが。

「手間を掛けさせるなよ―――――― 少なくともお前が一八六番では無いという證明が必要だ」
「こっちだって此處で餘計な殺し合いを演じるなんて馬鹿馬鹿しい事はしたくない」

極限状態においても、立華京香は僅か乍ら他者よりも冷静であった。それが今現在、立華を此処に生き残らせている理由でもある。
敵対の意思さえ見せなければ情報を提供し、必要であれば協力するつもりであった。最も、それが"異常性質"の一部では無ければ、の話だが。
673 :【蹴巧竜人】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/19(火) 22:01:30.03 ID:x0efCECto
>>672
すみません。体調不良で熱はかったら別次元の40とか叩きだしたんで。
ちょっと凍結させてください。
さっきまではなんとも無かったのになぁ……
674 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/19(火) 22:02:10.36 ID:x0efCECto
>>673
ついでに名前ミス発見……
675 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/19(火) 22:02:37.45 ID:FS5yJnKoo
>>670

『ええ、一応参拝、なんですけども。』

どちらかといえば、参拝客ではなく札を買いに来たのみなのであるが。
どうやら麓のほうで買う人のほうが多いのであろう。
いちいちここまで買いに来る人は少ない、ということでもあろうか。

『ええ、とりあえずですけれどもー・・・、オケーレフ?』

なんて、オケーレフの方を向かずに聞く。
しかも、オケーレフとルピカの距離はだいぶ離れているのであるが。
それでもルピカは巫女の方へと向いたままにオケーレフへと種類と数量を問うた。

『あ、すいません。えっと、解呪の御札を3枚いただけますか?
私の”主人”が人形を作ることになりまして、呪われぬように、と・・・。』

と、巫女に解呪の札をお願いするのである、が。
普通の少女にしてはおかしい箇所が幾つかある。
オケーレフの事を主人と呼ぶのだ、おそらく外見からすると年は一回り離れていそうであるのに。

さて、とにかく札を作ってもらわなければならないのだが。
巫女はどう応じるのか。

//よろしくおねがいします!
676 :【八岐弁慶】 :2016/01/19(火) 22:06:46.73 ID:iXImBStM0
>>668

硬質の刃がぶつかり合って鎬を削り、響き渡るは鉄火場の叫び。なおも影は、照らされたその唇を真一文字に結んだまま。
けして息を荒げることはない。ただ筋肉と血管の隆起した細腕の肌は、彼女が力を込めるほどに激しく蠢いていた。

「――――そりゃ、どうも」

故に、ここに至って男が初めて発した言葉を耳にしても、影は――女は微かに唇を動かしたのみであり、その表情を変えることはなかった。
仮にここで男が炎を放ったとしても、彼女は容易くそれを躱すだろう。汚れ仕事に敢えて長物を扱うならば、それなりに利点を熟知せねばならない。
自惚れることもなく。焦ることもなく。喜ぶこともなく。ただ冷淡に、冷徹に。燃え盛る大気がどれだけ希薄になろうとも。
ただ一人静かにニューロンを駆ける思考は、己が使命を果たすためへの筋道を既に導き終わっているかのようだった。
押し上げる力を彼女は感じていた。それはけして抗えぬ強さではなかったが、どこで不意を突かれるかも分からない反撃だった。
鍔迫り合いは暫し続くだろう。無論のこと、女がけして容易には得物を手放さない――手放させられないことは自明である。しかし。

「ああ、でも。一つだけ、忠告ですわ」

「あんたさんも、始末屋の端くれなら――――」「手前の常識だけで、戦わないほうがいい=v

――――そう呟き終えたか、或いは最後まで警句を聞かせることはなかったか。藪から棒とはこのことであった。
振り下ろしていた薙刀を、突如彼女は翻した。つまり突き出していた右腕を引き寄せ、鋒を己の背へと。闇中で怜悧に煌めく刃は弧月となった。
そして女は、柄を引いていた左腕を押し出した。――回転った物干し竿の柄は、男の剣を強く打ち上げることとなるだろう。
それだけに女は止まらない。黒い外套の内から、伸びるものがあった――――もう一本の右腕=B
有るはずのないそれが握るのは、大口径の回転式拳銃である――瞬間、三連射。点滅する、マズルフラッシュ。
半ばクイック・ドローの様相を呈したそれは、けして正確な狙いではなかったが――右下から左上にかけて、逆袈裟の如く。心臓・喉元・額、急所への三連弾であった。
677 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/19(火) 22:06:54.15 ID:nqN00WNAo
>>673
/おっと了解です、それでは凍結でー
/お大事にっ
678 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/19(火) 22:08:02.98 ID:hnhnRpi00
>>665
森の枯れ草に雪は薄く覆われ、踏む度にえも言われぬ音を掻き鳴らす。
幾十本目かの幹に手を掛けた、銀髪の少女の目前には“空白”があった。
此処に至るまでに群集していた木々は悉く根元から折られ、地は削れて近辺の木の根が剥き出しにされていた。
何よりも、どの状況よりも不審なのは、紫煙漂うこの臭気に他ならない。どことなく潮気を含んだこの空気が、少女の鼻を擽る度に違和感を催させる。

彼女は息を整えながら、その不可解な情景の中心を見た。ここまでとは打って変わって自然な、無骨な大岩である。
いや、然しながらこれこそ少女の“不可解”の素であった。
『何故ここまで周囲が様々に荒れていても、この岩だけは一切の損傷が無いのか』。

此の期に及んでとは言えど、少女は踏み脚を穏やかにしてその大岩を臨む。
大岩を背にして辺りを見回し、何者も居ないことを確認した彼女は、微細な砂がまぶされた岩の表面に左手をつけた。
そして、ゆっくりと大岩を反時計回りに捜索し始めた。

さて、上手くいけばやがて張本人である“彼女”に遭遇するだろう。そうすれば、少女の能力によって幅広剣がその鋒を“彼女”に向けることになる。
ただ彼女には見えていなかった。この場に存在した唯一の人工物、“紙吹雪”。
足元の幾枚ものそれに気付かぬまま、少女は辺りを常に監視し続けている。

/滅相もありません。こちらこそ遅れてすみません
/いらっしゃいましたら是非お付き合い願います
679 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/19(火) 22:08:11.15 ID:Ol/Xdm0ao
分からない

「これ…は?」

レイの右腕は、月明りをはね返している
蒼いそれは驚愕に見開く紅の瞳を映し出している

「な…ぜ…?」

周囲には誰もいない、これは見られてはならない
レイは今ミナヅキから借りたジーンズのズボンに白いファーコート…別にそこまで不審な格好ではない
ややサイズが合わず、ダボダボなのは…目を瞑ろう

大丈夫だ、これは秘匿できる…はずだ
今のレイの右腕が―――剣であるということは
680 :【0】 [sage]:2016/01/19(火) 22:17:33.50 ID:84E/s33No
>>679
「へぇ〜……こりゃあ面白いな」
「『腕』が『剣』になってるなんて」

不意にした声はとても近く、それこそ少女の耳元でしたように思える程に聞こえるだろう。
少女が後ろを振り向いたなら、そこに青年が立っている、丁度少女の後ろから、顔を覗き込ませていたようだ。

敵意のような物がある訳ではないが、いきなり後ろからそんな事をされれば誰だって驚く、少女が武器を持っているという事を考えれば、物凄く命知らずな行為かもしれない。

/1時頃には落ちますがよろしければ…
681 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 22:24:39.14 ID:X6GQk/it0
>>675
少女が所望したのは解呪の札だった。
その会話に些かの違和感を、少女と男性の関係性にだろうか。
少し奇妙に感じながらも今は話を進める。

「解呪の御札・・・ですか。」

と、巫女は少しだけ思案する。

「一般的にお売りしている物ならば魔除けの御札があります。
 これはこの出雲の中でならどこででも手に入れられるような普通の御札です。
 勿論ちゃんと神様に祈祷して作っているものなので効果はあります。」

少し間を置き。

「ただ貴方がたに何か呪われるような。
 そんな怪異に心当たりがあるのでしたら・・・
 私の能力で創った御札の方が良いかもしれません。」

巫女は言った、御札を創る異能を持っていると。

「でもその場合はお売りする、ということはできないのです。」

如何にするか問う様に少女を見つめる。
682 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/19(火) 22:28:45.15 ID:Ol/Xdm0ao
>>680
「っ!?」


それも――真後ろから

「あなたは誰ですかっ!?」

驚き、振り向きつつも後ろの男から一歩飛び退く
男には幸いなことか、レイにはまだ振り向きざまに斬るという思考はできなかった
右腕を向けることもなくレイは問いかける
誰か、と

//構いませんよーよろしくお願いします!
683 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/19(火) 22:34:35.08 ID:FS5yJnKoo
>>681

『なるほど、魔除けの御札ですか・・・。オケーレフ、受注者はなんと?』

受注者に頼まれたのは解呪の札であったのだが。
魔除けの札、というのがあるらしい。
それで済むのであれば、ぜひとも買って行きたいものなのだが。

だが、巫女の話はそれだけでは終わらなかった。
巫女は能力を持っている、というのである。
能力で創った御札、というものの効能はかなり高いのであろう。

『いえ、私たちは呪われる心当たりはないのですが・・・。
それでしたら、魔除けの札を三枚ください。』

相変わらず、オケーレフは巫女とは直接に話さない。
オケーレフは人付き合いは少々苦手なところがある。
だから人付き合いせずにこんな人形自律人形なんてものを作れたのであろう。
だからたいていの人付き合いはルピカがやっているのだが。

『それで、おいくらになりま・・・』

というところで、ルピカの動きは突然止まる。
そして、煙草の吸殻を踏みつけ、火を消してポケットに突っ込んだオケーレフが此方に寄ってきて。
何枚かの紙幣をルピカに握らせる。

すると、再びルピカは動き出すようにして―

『あっ、すすす、すいませんっ!!おいくらになりますか?』

あいも変わらず、止めるのであれば一サインくらいしてほしい、とルピカはオケーレフをジト目で睨み。
そして巫女に札がいくらなのかを尋ねるのであった。

オケーレフは二本目の煙草に火をつけ、境内からの景色を眺めつつ煙草を吸っている。
684 :【0】 [sage]:2016/01/19(火) 22:43:31.27 ID:84E/s33No
>>682
「誰って……」

かなり驚かれたが、それ程気にしていない様子で、問い掛けられた言葉に返すべき言葉を口吃る。
頭をポリポリと掻いて、困った風に虚空を見つめ考えてから、少女の顔を見て。

「オレが聞きたいくらいだ、忘れてしまってな」
「『オレ』は誰なのか、オレもわからない……もしかして君、知って……る筈も無いな」

誰かと問われても、答えるべき名前すら忘却してしまっている青年には、答える事が出来ない。
いつも通りのセリフで、少女にも自分の事を問うてみるが、そもそも知っていれば『誰か』と問う訳が無いと考えて途中で自分で結論付ける。

「そんな事より、その手大丈夫?なんかの病気?」

とはいえ別段シリアスに続ける気も無いようで、能天気に話を切り替えた。
少女の右手を指差し、首を傾げる。
685 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/19(火) 22:47:33.02 ID:adCArwxy0
>>678


息を殺して臨む静寂。その中で間近まで近づいた足音が勢いを緩めて耳に届く。

「っくし、」

漏れたのはくしゃみ。口を抑えて洟をすすると、吐息が白く染まる。
ズボンに付いた霜を伝って、寒さがじわじわと身を包み始めていた。
手袋にコートを着ていてもやはり冬本番、左手をポケットに突っ込み、温度を感じる方の右手をそっと口元に当てる。
気を抜いた一瞬、相手が目の前に現れたのはその時だった。

「…………。」


無言で突きつけられる切先。
自ずと口を噤み、目を丸くして両手をそうっと掲げる。
所謂ホールドアップの姿勢。相手にはそうさせる何かがあった。
なにも“悪い事をしていた訳ではないのに”。少なくともそう思っている少女は、少しだけ訝しそうに首を傾げた。


/ありがとうございます、よろしくお願いします
686 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 22:52:05.92 ID:X6GQk/it0
>>683

「はい魔除けの御札は一枚500円になります。」

と、言いかかったところで少女が会話の最中に不自然に停止し、
オケーレフと呼ばれる男性が近づいた後に再び動き出す。
先ほどの会話で気になった"主人"という言葉を思い出す。
普通に考えるなら従者かなにかなのだろうが。
少し気になった巫女は問うてみることにした。

「失礼かもしれませんが・・・
 お二人はどういったご関係ですか?」
687 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/19(火) 22:52:23.13 ID:Ol/Xdm0ao
>>684
「記憶喪失…でしょうか?
はい。私とあなたは初対面です」

大丈夫、なんとか冷静になれた
名も知らぬレイの開発者は驚いたら右手で斬るということを刷り込んでいなかった
今は、そのことに感謝だ

「これは…分かりません
ふと見てみたらこんなことに……」

手、手だ
手が蒼き刀となっていた原因は分からない
ここでボーっとしてふと見てみたらこうなっていたのだ
痛みも何もない。むしろ始めからこうであったかのように自然だ
ますます、分からない
688 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/19(火) 22:58:51.95 ID:infzPpdCo
>>676

暗殺者の男は懐かしい感覚を思い出した。驚きだ。
相手が薙刀を翻した時まではかろうじて"想定外の事が起きた"と納得し処理しかけたが、
左手まで使って姿勢を崩された時には、レンズの奥で堪らず瞬きをした。
次の秒には、頭の中が、控えめにいっても真っ白になった。3本目の腕は殺しに便利そうだ、と彼は胸中で皮肉った。

人間は死ぬ間際に様々な事を考えると彼は聞いていたが、自分もその例に漏れないと分かり、吐き気がした。

大口径回転式拳銃から放たれた弾丸を、放ったと認識する間もなく、

1発目が心臓を粉砕、
2発目が喉元を引き裂き、
3発目が頭蓋を割る。

しかし男は、3箇所の急所を同時に撃ち抜かれたにも関わらず、着ていたジャケットを両手でガバリと開く。

"Pay back"

真っ赤な髑髏の刺青とともにその文字が肌に刻み込まれていた。
たくさん受け取ったから返す、という悪意に満ち足りた人生最後の意思表示。用意周到な彼の成果。
急激に男の皮膚が黒く変色し、乾き、炭化し、火がつく。身体から発火し、目や口から火炎の光、いや、溶鉱炉のような光を放つ。
 ―― 男はプロの傭兵、殺し屋、用心棒、センセイ。あらゆる証拠を残す気が無い。
まるで太陽のような輝きが暗黒の森のなかで渦巻く光景は、異常だろうか神秘的だろうか。



「もらったぁあ!!」


突如、飛び回し蹴り!!

今まで散々回避や防御に徹して超常エネルギーを蓄えてきた彼女は、ここぞというタイミングで乱入。
見せ場とか活躍とかに拘る性格でなければ、それに拘る彼女をどう見るだろうか。邪魔をしないでくれるだろうか。


-----------------------------------------
妨害がなければ、
マントの代わりに漆黒のスカーフを首からたなびかせ、光を少しも反射しない黒のブーツが超常的脚力を発揮する。
何か最後の悪あがきをしようとした男の身体を全力で蹴り飛ばし、炎の檻の外まで吹き飛ばしてしまった。

直後、外で大爆発と熱風が襲いかかるが、いい汗かいた女にはむしろ心地良良さにすら思えた

「キマった…!」 ガッツポーズ
689 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/19(火) 22:59:57.29 ID:FS5yJnKoo
>>686

『あっ、はい!1枚500円だから・・・、1500円ですね!』

そして巫女にオケーレフから貰った紙幣を渡そうとすると―
そのいずれもが、1万円札なのであった。千円札がない。
仕方がない、とオケーレフの元へ行き、千円札2枚を持って巫女に渡す。

『えっ!?あ、はい、私達の関係ですか・・・。』

それを聞かれると、少々面倒くさいのであるが。
疑われてしまうのなあら仕方あるまい。オケーレフはルピカの元へ行き。
ルピカの頭をポンと押さえると。

「ああ、先に名前を言っておこう。
俺はもう”ご存知の通り”オケーレフだ。そしてこいつはルピカ。」
『あ、ルピカと申します。』

先程までの会話にオケーレフは入っていなかったはずなのに、オケーレフは巫女に名を知られていることを分かっていた。
そう、巫女には伝えてはいないが、この二人、否、一体と一人というべきか。は、意識がつながっている。
よって、見たこと、聞いたことは共有される、というのであるが。

「で、俺とルピカの関係だが―
所謂人形と人形遣いってところだ。今日は新しく作る人形に添える札を買いに来た。」
『ということでして・・・。』

ルピカは人形である、ということを説明する。
だが、ルピカの外見、そして言動は人間そのものなのであるが。
巫女は此れにどう反応するのか。
690 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/19(火) 23:00:45.29 ID:hnhnRpi00
>>685
言ってしまえば、拍子抜けであった。
警戒に厳戒を重ねて迫った相手が、何故か軍人を装った、自分よりも幼い少女であったとは、微塵も予想しては居らず。

「っくし?」

と、気構えていた銀髪の少女は“彼女”のくしゃみを疑問符を添えて復唱。
ゆっくりと両の手のひらが登っていく様を見て、申し訳ないとすら思ってしまった。

だが、見かけはやはりただの見かけでしかない。銀髪の少女は重なった厳戒が解けたのみで、警戒態勢を辞めるつもりはない。
“少女”の目前に迫ったその鋒も揺らぐことはなく、真っ直ぐに向いたままだ。

「ここで何してた、ですか?」

そう、“彼女”が例え当事者でないにしても、抑々どうしてこの爆発現場に居るのかを聞かねばなるまい。あれを聞いた人間が普通の人間ならば、恐れて近寄ることは殆どないだろう。
少女は鋒同様、瞳孔の著しく収縮した鋭い眼で“少女”を問い詰めるように睨む。
691 :【0】 [sage]:2016/01/19(火) 23:10:04.56 ID:84E/s33No
>>687
「ウム……そういうヤツだな」
「ここ数日前に目が覚めてから、それ以前の記憶が全く無いんだ、名前も家も、何をしていたかもわからん」

少女の問いかけに頷き、事のあらましを語って聞かせる。
如何にも悩んでいるかのように、顎に手を当てるポーズをするが、声色や表情がわざとらしすぎて逆に悩んでいるように見えない。

「その手……もしかして能力じゃないのか?」
「いや……オレも詳しくは無いんだが……奇病や手品じゃなきゃ、きっと能力が勝手に発動してるとか、そういうのだと思う」

少女の右手に視線を戻し、話を戻す。
少女にもわからないと言うのなら、無自覚の能力かもしれないと考察した、自分にも無自覚で能力が発動した覚えがある。
692 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 23:17:53.52 ID:X6GQk/it0
>>689
所謂人形と人形使い。
そう言われて二人を見やる。
傍から見れば両者とも人間に見える。

「ということはルピカさんはお人形さんということですか?」

驚くように尋ねた。
と、ここで自分が名乗っていないことに気付く。

「すみません名乗り遅れました。
 私は御札礼花と申します。」

ぺこりとお辞儀をしたところで話題を戻す。

「ええ、はい2000円のお預かりですね。」

代金を受け取ると御札の売り場から3枚の魔除け札を持って帰ってくる。
そしてそれを少女へ渡す。
こうして近づいて見ても人間と違わない。

「本当にお人形なのですか?」

少女に尋ねてみる。
693 :【純白適応】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/19(火) 23:18:52.47 ID:Ol/Xdm0ao
>>691
「それは…深刻ですね
実は私も似たようなものだったんです」

詳しくは語らない
もし彼が私を知っているならば、知っていたならば、知っている人物と通じているならば
という可能性があったら、最悪だということは分かっている
しかし…大事なはずなのになぜ彼は悩んでいるように見えないのだろうか

「能力…?自然発動型の……
…思い出しました。確かに能力ですが……」

能力
その単語で思い出した。私の力を
あらゆるものを取り込める力、それが私の力だ
だが――だとしたら――

「だとしても、レイはこれを一度触っていなければなりません
しかし、レイにはこれを見たことがありません」

そう、レイは絶対これを、こうなる前のこれを取り込んでいるのだ
しかし、そんな覚えなどは――ない

//すみません…過去の一人称の私をレイに脳内変換してくださると助かります…間違えてました……
694 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/19(火) 23:19:01.08 ID:adCArwxy0
>>690

「あ、えぇ。寒くて」

無防備な所を見られたと、恥ずかしげに鼻を押さえる。
お互いに間抜けな顔をしていただろうが、鋭い得物がそれ以上の緩みを許さない。

(能力……剣を生み出す力――――?)

警戒心を露わにする相手を前に観察の眼差しで顎を引いて考える。
視線を空へ。まさか森林を破壊するために遥々飛んできましたとは言うまい。
視線を切先に戻す。銀髪の少女は、正義感か、それに近い志を持った相手のよう。
しかし、いきなり害を為さない辺り、明確な敵意を向けるまでは至らないようだ。
こちらへは――疑いの強いグレーゾーンという見解だろうか。

「……道に迷ってしまいましてねぇ。」
「歩いていたら音が聞こえたので、此処へ来ました」

一先ずは照れを含んだ表情で白を切ってみせる。
殆ど皺も汚れもない装いでそうのたまう、なにより凶器を前にしてのらしからぬ態度はどのように映るのか。
どの道嘘や駆け引きが得意ではないのは見抜かれてしまうだろうが。
695 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/19(火) 23:26:31.14 ID:FS5yJnKoo
>>692

『ええ、私はオケーレフに作られた人形ですよ。』

ルピカは自身が人形であることを肯定する。
いや、肯定せざるを得なかったのか。なんてったってルピカを作った本人の目の前だ。
そんな嘘はつけない。

『御札さん、ですか・・・。御札さんはこの神社の巫女さんなのですか?』

帝國の神社についてはあまり詳しくない。
先程まで札を買う方法もわからなかったし、そもそも参拝という意識すらなかった。
だから、神主も巫女もわからないのである。

『はい、ありがとうございま』

また再び、ルピカの動きが止まる。
手に握られた札をオケーレフが受け取り、ポケットへと入れる。
無論、神の加護があるのであろうから、乱暴に取り扱わず、そーっと入れた。

『ええ、私は確かに人形ですよ。オケーレフに命令されればそれに従わざるを得ないんです。
私はオケーレフに作られ、操られる人形ですから。』

そう言い切ったところで。
オケーレフは静かに近寄ると、巫女にこんな提案を投げかけた。

「えーと、御札さん・・・、だったかな?少しお願いごとがあるんだが。
ルピカは人形なんだが、未だに不具合が結構ある。だからそれを潰していってるんだが・・・
それに協力してもらいたい。単純に模擬戦をしてもらうだけでいいんだ。」
『ええ、御札さんがよろしいなら協力していただきたいのですが・・・。』

以前から、能力者を見つけたら模擬戦を頼んで見る、ということをしてきた。
先ほどの言動から見て、この巫女はおそらく能力者だ、とオケーレフは踏んだのである。
ルピカもともに巫女へお願いをするが―
696 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/19(火) 23:31:47.52 ID:o5jXh1jco

 今日は1日中雪が降っていた。
 かなりの豪雪だと天気予報やニュースで取り上げられていた。
 能力者が闊歩するこの街でもそれは同じだった。

 雪や氷の能力者が降らせているのではないかとも言われるほどの……。


【夜の能力者の街:公園】

 そんな日の公演で、男が一人、ベンチでタバコを口に咥えながら読書に耽っていた。
 書物のタイトルは「それは私の太刀魚だ」と書かれている。
 表紙には釣り人らしき男性が片手に太刀魚を持って立っているだけだ。

 なにやら不思議な書物を読んでいるが、男の周りも少しだけ不思議な空間となっていた。
 雪が一切積もっていない。
 一見、普通の風景だが今日はかなりの降雪量だ。
 この街でも雪は少なくても10cmは積もるくらいの雪が降っている。

 だが、男の周囲だけはいつもと変わらない風景だった。

 その男の風貌にも少し変だった。
 少し天パ掛かったくせっ毛のある赤髪はまあ、それほど目を引かないが、男は全体的に薄着だった。
 コートの類は着ておらず、俗言うバーテンダーの服を着ていた。

 そんな薄着な男が咥えているタバコは、見れば火がついていないようだった。

「……つまらないな、この本」

 赤髪の男がボソリと呟いた。
 なぜ、どうしてそんな魅力が無さそうな買ったのだ……。


//1時程まで絡み街
697 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/19(火) 23:32:24.21 ID:X6GQk/it0
>>695
//すみません、そろそろ落ちさせていただきます
 よろしければ凍結とさせていただけないでしょうか
 明日はまた18時前後からお返しできると思われます
698 :【0】 [sage]:2016/01/19(火) 23:36:17.54 ID:84E/s33No
>>693
「うーん……オレは君の能力を知らないが、恐らく『右手が触れた事のある物になる』としたら……」
「君は『知らない』と言うけど、もしかして『忘れてる』だけなんじゃないのか?」

興味深そうに少女───レイの右手を眺め、あわよくばしゃがみ込んで指で触ろうとする。
例えるなら、初めて見る包丁を目の前にした子供のように、無防備に。

「さっき君は言っただろ、オレと似たような物だったって」
「という事は、記憶喪失か、それに近い何か。それで、今は記憶を取り戻したかどうかしたんじゃないか?」
「でも、きっとそれは完全じゃあなかった……だから、今は忘れてるけど、触った事がある……とか」

レイの言った、『私も似たようなものだったんです』という言葉から、彼女も記憶喪失だったと仮定し、推理する。
とは言っても、素人の、ましてやこんな気の抜けた男の適当な推理だ、参考にする程度でいいかもしれない。
699 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/19(火) 23:36:25.04 ID:FS5yJnKo0
>>697

//了解しました!
//当方明日は21時頃に出られると思います
700 :【八岐弁慶】 :2016/01/19(火) 23:36:34.38 ID:iXImBStM0
>>688

「……『河渡し』のお釣りは要りませんよ。あたしゃ、宵越しの金は持たないんで――――ッ、と」

男の身体に風穴が開く。マスクが砕け、割れた頭蓋と潰れた脳髄が混ざり合い、渾然一体となって吹き飛んでいく。
だが女は勝利を確信しなかった。殺しても死なない¢且閧ニも、彼女は幾度か相対してきた。そうでなくとも、単に異常なほどタフな相手ならば、彼女は星の数ほど見てきた。
故に己の三連射が、正確に男の息の根を止めたことを確かめるまで、彼女は警戒を解くつもりはなかった。
そして射抜いたはずの男がなおも動くその姿を見て、火炎を好むゾンビというのもまた珍しいとも彼女は思った。しかしどちらかと言えばその挙動は、男の身体に予めプログラミングされていた、彼の意思や生命とは無関係な動きであるらしい。
それでも何れにせよ、放っておけば脅威となることに相違はなかった。彼女は熱さがどうにも苦手であった。
赤と緑どころか導線一本見当たらない、この悪趣味でロマンのない時限爆弾を、果たしてどう処理したものか――ほんの一刹那ほど、彼女は思考していたが、しかし。

「――――……馬鹿馬鹿しいことを、するもんだ」

――――結果としてその時限爆弾は、やはり全くロマンのない方法で処分されるのだった。漸く、彼女は溜息を吐いた。
何と愚かなのだろう。下手を打てばどうなるか分からない危険物を躊躇なく蹴り飛ばすとは。況してやその理由が、他人に獲物の止めを刺されたくないがためとは。
女性の小物らしさだとか、思慮の浅さも影の女を酷く呆れさせたが。しかし何より彼女は、態々救ってやった命をなぜこうも救われた張本人の前で危険に晒したがるのか――
正しく彼女はあの女性――誇らしげに格好をつけている、仮面ライダーもどき――にそう言ってやりたげであったが、もはやその気力すらないようだった。

「……まァ何にせよ、あたしもこれであんたさんに助けられたわけだ」「ありがとうございます、お嬢さん」

とはいえ、彼女は一応女性に命を救われた形となった。薙刀を懐に仕舞った彼女は、酷く気怠げな口調で形だけの謝辞を述べた。
空高く打ち上げられた、今は亡き男の刀は、今になってようやく地へと落ちてきた。女性と影の女との間に丁度落ちてくるであろうそれを、迷うことなく彼女は掴み取る。
霞む月へと彼女はその刀身を曝し、ふっと笑って懐へと仕舞った。四本目の左腕≠フ動きであった。
701 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/19(火) 23:43:41.45 ID:hnhnRpi00
>>694
「はあ……まあ、寒い、ですね」

くしゃみを見咎める程気が立っていた訳ではない。それだのに恥じている“彼女”を見ると、益々申し訳ない気分になる。と、むぐむぐと口を動かす位しかできない少女。
だが、“少女”の眼は確実にこちらへの一挙一動に注がれていた。無論行動を剣で制されているのだから、当然ではあるが。
―――と、唐突に。空を仰いだ、というよりも“見た”という方が適切か。そうした“彼女”はまたこちらに視線を戻す。
これら一連の動作には、特に深い意味を感じない。気が動転するのも無理はないことだと、少女も別段取り留めることはなかった。

「道に迷って、音を辿って、ここに。……ですか」

自分が嘘をつくとするなら、こう言うだろう、と想像する程のオーソドックスな説明。
言い換えるならば、かなり『言い訳』に近しいものである。
ここで聞き流すのは、余程“正義”には向かない三流くらいだろう。

「取り敢えず幾つか質問があるですが、良いですか?」

形式的に疑問文を取るも、そう声を掛けた途端に次から次へと質問が礫の如く“少女”に降りかかる。

「まず何故森に入ろうと? 道に迷う程ならここに入る人間はほぼいない、ですが」
「森にいらしたのなら、あの“音”が爆発音だとお気づきですね。どうしてそんな危険な感じのプンップンする方へと舵をお切りになったですか?」
「しかし、コスチュームですか? かなり綺麗な軍服です。正にさっき貰って今着てここに居るかのようですね」

底意地の悪い、幾度も幾度も訊き直す様な口振りで少女は詰問し続ける。
そして、とどめと言わんばかりに。

「ゆっくりお考えなさってから答えてくれ、です」

遂に無表情のガラスに、嫌味な笑いのヒビが入る。
702 :【純白適応】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/19(火) 23:53:06.00 ID:Ol/Xdm0a0
>>698
「忘れている…?」

彼の推理はだいたいが間違っている
だが、これは否定しきれない
おかしいのだ
知らない、という表現が本当に正しいと自信を持てないのだ
これを実は見たことがあるのかもしれない。その可能性を否定できないのだ
他の可能性では、できたのにかかわらず

「レイには確かにあるとき以前の記憶はありません
しかし、今は違います」

彼に思い出したことを前提に話されたとき、なぜか少し苛立った
だから、本当はいらない説明をする
してしまう

「思い出す必要がなくなったのです
レイは――生まれ変わったんですから」
703 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/20(水) 00:01:26.89 ID:Lgj4mIJi0
>>701

立て続けにぶつけられる質問に眉を顰める。
ここまでは刑事に疑われて見せる普遍的な反応であろう。

「ん〜〜。」

痛いところが所狭しとある腹の探り合いは得意ではない。
問いと称した矛盾の突き付けに対しはぐらかす知恵もない。
どうしたものか――と、少し億劫そうに唇を触って。


「私が『強い』からですかねぇ」

強いから惑わされない。強いから恐れない。強いから汚されない。
剣を突き付けられても平然と戯言を吐くくらいに、自我に巌然たる自信を持つ。
突き詰めればその一言で要約されるほど――しかしまんざら冗談でもないような。
手を挙げる姿勢に戻ってにっこりと笑う。

「それで、貴女は何故ここに?」
704 :【砲に諍う燎の絅】 - Minuit Brise - [sage]:2016/01/20(水) 00:09:24.34 ID:Jpo0ZDfHo
>>700

キマったキマった、ああ!キマった!

彼女の夢見がちさ、危険を危険と思わない無鉄砲さは、そしてその自信は何処から湧きでるのか。
それを詮索する意味は無いだろう。カロリーさえあれば自信を生産できる体質みたいなものだ。
その全てがこのガッツポーズに表れている。ここ数年、悪党を倒す度に、毎回こう。

嘲笑も溜め息も鼓膜を通らない。やっと反応を示したのは、形だけの謝辞を耳で捉えた時。

「いいのよ、困ったらお互い様……うわ、えっ、なにそれっ。」

"腕が4本!"と目を丸くして驚く ―― たった今まで、自分を半殺しにした暗殺者をぶっ飛ばす事しか視えてなかった。
隠す様子すらなく一歩分後ろに下がって距離を置き、視線のやり場に困ったように泳がせる。
それが功を成す。火炎の壁に囲まれた光景を目の当たりにし、未だ自分が絶体絶命の状況であることを思い出した。
2回目の言及になるが、男をぶっ飛ばす事しか考えていなかった為、途中から炎の壁で囲まれた事も忘れかけていたようだ。

「あ、これは、悪い状況みたいね。」

急に冷静になると顎に手を添え、数秒視線をまたうろうろ彷徨かせた後、

4つ数える、息を吸う。
4つ数える、息を吐く。

ふう、落ち着いた。

「ごめん、限界。」

言い終えた途端 ―― ばたり。倒れた。また土まみれ草まみれ髪がぼさぼさ。
酸素欠乏と一酸化炭素充満のダブルパンチ環境の中、こんなに叫んだり飛んだりした為、ただの人間は意識を簡単に失った。
魔法のスカーフは、自分がいるのになんでこんなにボロボロになるんだ言いたげそうに暫く震えてから、夜闇に溶けて消えた。

-----------------------------------------------------------------------
/では、ここらへんで締めで大丈夫でしょうか。倒れた女の扱いは自由です。
/ロールのお相手ありがとうございました。キャラのセリフ回し、素敵でした。
/拙い描写と長い返信になってしまいましたが、懲りずにまたお相手してただけたら嬉しいです。
705 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/20(水) 00:20:13.01 ID:EOhzJWjX0
>>703
「……ああ、成程。これは『お強い』です」

少女は思わず睨んだ視線も揺らぐ程、“彼女”の回答に面食らってしまった。
嫌味に歪んだ口元は、嫌味だけがすっかり抜けて不敵な笑みに変わる。
それは所謂、『抜かしおってからに』と言う風で。

こちらの複数の問いに対し、相手の問いはたった一つ。といっても、要点を詰めれば同じこと。
『なぜここにいるのか』。

「偶々配達を請け負ってこっちに来たら、ドデカい音が聞こえてビビって来たです」

そう話しながら、いそいそと配達員の制服の裾を捲り始める。
中々内に着るTシャツが顔を出さず、10秒ほど格闘して現れたのは、―――『西洋剣が交差する、盾の紋章』。
それは即ち、彼女の持する“正義”の意。

「世界に突然、多数の発現が確認された“能力”。それを犯罪に使う者達を同じ“能力”にて制圧する。それが私の仕事です」
「ということで器物損壊の容疑者の捜査にご協力願えるですか? いやまあ、私はアンタを疑ってるですが」

所属まで言っては、もう変に隠す必要もあるまい。それに先程の発言からして、この“少女”も能力者である確率は充分。
ならば、ストレートに用件をぶつけるのも、悪手ではない筈だ。
706 :【0】 [sage]:2016/01/20(水) 00:21:13.33 ID:p1oUcUe1o
>>702
「それは───」

「解決した理由になるのだろうか」と言いかけて、言葉を止める。
自分こそ、己の過去を知る事を目的として動いているが、似た境遇でそうでない人間だっている、そんな人間を一人知っている。
言い換えれば自分は過去に囚われているのかもしれないし、言い換えれば彼女は問題を見ようとしていないのかもしれない、どっちがいいかだなんで、ここで決めるような事ではないのだから。

「いや……今のは仮定の話だ、『もしも』『例えば』……そういう話」
「オレと君は初対面だし、お互いに境遇も考え方も知らない、それを踏まえての端的な話だ」
「昔についての話をしないでくれと言うなら、もうしないし、今言った事は謝るよ、ごめん」

レイの少しの苛立ちが伝わって来たのかもしれない、『たった今した話は忘れてくれ』と言って謝る。

「でも、火の無い所に煙は立たないんだぜ、もし『それ』を君が知らないとしたら、原因は君の記憶の外側だ」
「『思い出す必要が無い』のなら、もうオレはそれについての言及はしない……『原因』ってのは全て過去にあるのだから」

そう言って、彼女の意見を尊重しようという態度を取った、こう言った物はデリケートな問題なのだから、自分が気にしないとしても他人もそうとは限らない。
自分が彼女の原因を取り除こうと無駄な世話ん焼いたのが事の発端、非は自分にあり、自重するべきは自分だ。

「……『生まれ変わった』か……それなら、まだ思い出す事に固執するオレは、生まれてすらもいないのかもしれない……」

レイの言った、『生まれ変わった』という言葉、過去を振り返らずに前を見るのがそうなら、自分はこうなのかもしれないと、小さな声で呟いた。
707 :【純白適応】  ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/20(水) 00:38:31.23 ID:ePzjFycS0
>>706
「いえ、大丈夫です
わたしのほうこそ、すみません」

あやまられて、レイも謝る
思えば苛立ってしまったレイはまだまだ未熟だったのかもしれない。だから、謝る

「ですね、起源は気になりますが――それは今のレイには関係なかったです」

たしかに過去は気になる
レイもやはり自分がどうして産み出されたか、なぜあの雪の上に倒れていたかは知りたい
だが、それで今が崩れるのは嫌だ。それを知ったところで今は変わらない。
だから、知らないと決めた。過去は――関係ない

「それも一理あります。ですが、これはレイの道です
だから、生まれ変わらず蘇るのも道です」

道は人の数だけある
レイの道が正しいわけではない
少年の道が正しいわけではない
どちらも、正しく間違っている

「そろそろミナヅキが心配するので帰りますね
では――また会いましょう」

さよならという挨拶は嫌いだ
それが永遠の別離に思えるから
だから、別れ際にはまた会いましょう
その手は――いつの間にか人になっていた



//時間もいい具合ですしこの辺りで〆でお願いします…!ありがとうございました!
708 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/20(水) 00:44:17.07 ID:Lgj4mIJi0
>>705


「それは、お仕事ご苦労様です」

ふむ? と首の角度が大きくなる。
服装だけでは正確な仕事を測りかねたのだが。その言葉を口にする前に相手の方から答えを差し出してくるようだ。

突然シャツを捲る姿に面食らう。この寒さの中、等と的外れな疑問が一瞬浮かび。
しかし中々てこずる様子にばつが悪い表情、その内に生暖かい笑みを浮かべて。
足を引いて半身に、岩に右手をついて相手の声を待つ。見ていないですよ、と暗に態度で示して。

「……D.O.T.A。へぇ、成程」

服の下から現れたのは絶対正義の証。
それがどれ程の物か。片眉を上げた口元は不敵な笑みへと変わっていて。

「すみませんが、あまりお役には立てそうにありませんねぇ」
「ほら、警察と軍隊は中が悪いと相場が決まっているでしょう」


再び向き直り、本当のお手上げという風に両手を掲げる。
少女を軍隊と定義する者は何なのか。ケツァル・コアトルを串刺しにしたシンボル。そのような国も軍も本来存在しない。
右手指に挟んだ細い筆を胸ポケットへ戻し、腕時計へ目を落とす。長く留まっていた所為で身体も冷えてきた。
そろそろお暇しても良い頃だ。それが許されるなら――――だが。
709 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/20(水) 00:48:06.86 ID:EOhzJWjX0
>>708
//うわああああごめんなさい裾は捲ってないです袖でした袖でした
//急に脱ぎ出す子じゃないです脳内補完お願いしますすみません返信急ぎます
710 :【0】 [sage]:2016/01/20(水) 00:50:30.28 ID:p1oUcUe1o
>>707
青年は、今の今までずっと、失った記憶を取り戻す事を考えて来た───それが、『自己』という物を本当に持つ事だと思っていたから。
でも、『過去が気にならない』と言った少女もいたし、『思い出す必要がない』と言った彼女もいる、二元論的に言えば逆の考えが多数派で、自分の過去を蒸し返そうとする者の方が少なかった。

(蘇る……か)

レイが例えた言葉は、割と的を得ていたかもしれない、自分はまだ生まれていないのではなく、過去と言う生を取り戻そうとする半死体。
それが他から望まれているにせよいないにせよ、棺桶から出て土を掘り墓石を退かすには非常に長い道程がある、ここで1度死んで生まれ変わるのもいいかもしれない。

「でも、まあ」
「気になるんだから、しょうがないよな」

歩いていくレイに手を振りながら、彼女に聞こえないような距離で、独り言を呟いた。
簡単な理由だ、気になるから探す、知りたいたったそれだけの理由が、何よりも根深く、そして強く胸に突き刺さる理由だった。

/お疲れ様でしたー
711 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/20(水) 01:02:07.10 ID:EOhzJWjX0
>>708
712 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/20(水) 01:02:21.82 ID:EOhzJWjX0
>>708
平和を司る神がその頭頂から真っ直ぐに貫かれている。これほどまでに物騒な軍章は、少女には今迄に見たことも聞いたこともない。
そのまま読み取るならば、平和安寧を覆すことだけを目的とした軍隊。
想像するも、やはり奇妙であるとしか形容ができない。
この際“彼女”の立場はどうでもいい。今は任務の遂行しか、その頭にはない。

「アンタの軍の事は知らないです。事情を聞かせてくれと言ってるだけです」

なぜなら、少女が限度を越えて寒いとイライラしてしまうタイプだからである。
そう厄介そうな視線を送られようと、こっちだって急いで支部に戻って暖房の風を浴びる不健康な冬の乗り切り方をしたいのだ。
不動だった為に冷えた体は、構えた剣の鋒さえ僅かながら震わす。

「とりあえず、これをアンタがどういう目的でやったのかさえ教えてくれれば何だってにるですよ」

と、半ば投げやりに相手を当事者だと断定して話す。
713 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/20(水) 01:23:23.50 ID:Lgj4mIJi0
>>712


「ははぁ、これは幸いです」

怒り、いや苛立ちだろうか。
感情の膨張を察した少女は而して笑みを絶やす事はなく。

「そうですねぇ。『何故』は無理ですが、『どうやって』なら――――」

震えを目聡く捉えた少女が身をずらしパチンと指を鳴らした瞬間。
見えただろうか、小さな犬の落書きが。それが描かれた岩の壁面がはじけ飛び、ちょっとした破片が飛散する。
相手に左半身を向けていた一瞬で生み出した即興品、直接害する程の威力はなく。
それに気をとられていなければ、横っ飛びに避けていた少女が走り出すのが見えるだろう。

「こうやって、ですよ。ではお回りさん、ごきげんよう」

如何にも運動に不慣れというフォームで振り向かずに呼び掛ける。
本人はこれでも本気なのだが、言わずもがな歩幅や身体能力の差は大きい。
普通に追い掛ければすぐにでも距離は詰まるだろうが――――

真っ直ぐではなく、不規則なジグザグの軌道で草原を走る少女。
遠回りながらも、一先ずは森に入って姿を晦ますつもりのようだ。
714 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/20(水) 01:26:14.90 ID:Lgj4mIJi0
>>709
/遅まきながら了解しました
/一応対応は然程変わらないはずなので裾→袖を脳内変換のみでゆかせてもらいます
/何か不都合あれば遠慮なくお願いします
715 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/20(水) 01:49:22.56 ID:EOhzJWjX0
>>713
>>713
気の緩みを突かれた少女は、“彼女”の思惑通り何が起こったかわからないという表情で固まった。
ふとした瞬間に、“少女”が犬の落書きをしたのは見えていた。だがその次の瞬間、それが何故か『爆ぜた』。目の前で破片が飛び散ったのを、慌てて防いでからは、一切情報がない。
自然の摂理では到底説明のつかないそれは、やはり少女によって能力であると判断される。

「ッ!……小癪です!」

しかし“彼女”は既に、その身を隠しに森へと逃げ込もうとしていた。だが、まだ姿はここからでも確認ができる。
そう叫ぶと少女は駆け出した。
当然、逃げる相手は罪を認めたも同じことなのだ。これをはいさよならでは、腕章についた二振りの剣に錆が入る。

“少女”自身の速さは、同年代の女子と比較しても並以下程。どうやら煩わしい小細工をしているようだが、その程度で振り切れる程の少女ではない。

「これでも―――喰らえですッ!」

真っ直ぐに追いかけ、追いつき次第攻撃を開始しようと試みる。
剣を消し、宙に生まれたのはふたつの高圧スタンガン。剣ではないのは、相手が幼い事への配慮だろうか。
ジジジと出力を音に漏らすスタンガンは空中で旋回し、両脇から“少女”の首を狙う。


//すみません、そろそろ今朝が厳しそうなのでここで落ちます
//また今晩に再開でもよろしいでしょうか?
716 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/20(水) 01:53:42.35 ID:Lgj4mIJi0
>>715
/先にお返事だけ、では凍結とさせていただきます
/今晩同じ時間くらいにまた戻りますのでよろしくお願いします
/レスは朝かその時に置いておきます、一旦お疲れ様でした
717 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/20(水) 02:01:47.65 ID:EOhzJWjX0
>>716
//了解しました!お疲れ様です
718 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage]:2016/01/20(水) 10:42:38.88 ID:r2iRbE0iO
>>667

 雪音の微笑みに、ニュクスは安堵の表情を浮かべる。
 その所作だけを見れば、ただの年頃の少女に過ぎない。
 しかし、背の暗き羽が、喪った右腕が、その歪さを強調する。
 やがてその羽も、砂の様に細かい粒子となって消え失せ、夜が僅かに明るさを取り戻す。
 雪音に向けられる緋色の瞳が細められ、爛々と静かな喜びに輝いていた。

「ありがとう、雪音お姉さん」

 満面──ではない。
 しかし、より充足した、満ち足りた様な微笑み。
 ニュクスはゆったりとした歩調で雪音に歩み寄ると、地面に転がった拳銃から最早動かぬ指を外し、白銀のボディを拾い上げた。
 そして、雪音の瞳を見上げると、くすりと喉を転がす。

「私、きっとお姉さんを[ピーーー]わ。
 世界中の人を殺して、殺して、殺して。
 愛し尽くした後に、お姉さんを愛するの。
 きっと我慢しただけ、時間をかけただけ、素敵な愛を囁けるわ。
 お姉さんは、私のとっておき。
 私の、大事な、大事なお友達なの」

 まるで、誕生日か何かを楽しみにする子供の様だった。

「だから、お姉さんには私と来て欲しい。
 誰かに言われたからじゃないの。
 私が、お姉さんを好きだから。
 お友達には、一緒に居て欲しいの。
 ──“無限機構”に。私のお家に」

 そう、訴えかける。
 しかし、ニュクスはすぐに首を振って言った。

「でも、お姉さんを独り占めは出来ないわ。
 だから、お姉さんが良ければでいいの。
 きっと、離れていても想い続けるから。
 苦しいけれど、寂しいけれど、お姉さんの事を想えば耐えられる。
 だから、お姉さんが決めて?
 私と一緒に来るか、距離という障害を楽しみ燃えるか。
 それとも──」

 “今、愛し合うか。”
 我慢出来ずに零しかけた言葉を呑み込み、ニュクスは笑みを浮かべる。

「お姉さんは、どうしたい?」

 “きっと、誘われたら断れない。”
 ニュクスは己の内の膨大な愛と殺意を自覚し、呑み込んだ選択肢を雪音が選んだ時の事を考える。
 どれを選んでも、同じだ。
 だが、きっと。ニュクスは愛する友人と、最後まで共に在る事を望んでいる。
 殺意を我慢して、苦しんだとしても──。
719 :【八岐弁慶】 :2016/01/20(水) 17:44:30.26 ID:R3gwCM/FO
>>704

「あァ、これですか。別にそんな気遣わなくてもいいですよ。この身体は、便利なものでして」

それは本心であるようだった。折り畳まれて短刀ほどの長さになった薙刀を腰に差しながら、彼女はひらひらともう一対の両腕≠振ってみせた。
そして加えて凝視してみれば、その外套の中には更に数本の腕が収められており――彼女が如何にも動き辛いような恰好をしている理由であった。
スイングアウトしたリボルバーに弾を込め直しつつ、愈々強く燃え始めた空気を肌で感じなから、彼女はちらと女性を見て――

「…………はー、本ッ当に、世話が焼ける」

また溜息を吐いて、高飛車の女性らしからぬ土と草を数本の腕ではたき落としてやりながら、影の女は倒れ伏した女性を抱きつつも負ぶった。
そしてまだ燃えていない大樹の幹へと足をかけ、三角飛びの要領で樹上へと跳ねれば、宛らそれはキングコングか。
否、彼女は蛇である。闇に産まれ、闇を喰らい、闇に生きる。時には息を潜め、時には間隙に潜み、持ちうる手段の全てを用いて獲物を仕留める。彼女は狩猟者である。

「――――『清姫』より『鼠小僧』へ。目標の死亡を確認、これより帰還します。
 目撃者? いやしませんよ。バレないようにやりましたとも、ええ――そちらこそ、盗られた資料の回収は終わったんで?
 はァそうですかそりゃあよかった。んじゃあたしゃこのまま帰りますンで、事後処理とカバーストーリーは宜しく御願いします。
 ……知りませンよそんなこと。あたしゃ元々本部の言いつけであんたらの所に来ただけなンだから、任務が終わった今あんたらの言葉を聞く道理はありません――んじゃ、以上」

――――眠らない街が微睡み始めた頃合い、彼女はインカムマイクにそう語りかけながら、一方的に通信を切った。
女性が次に目覚めた時、自身がホテルの一室にいることに気付くだろう。種々の旅荷物が散らかったその部屋には、誰かの息遣いが感じられるだろう。
「身体でも洗ってください」――テーブルの上には書き置きがあった。風呂は確かに熱く沸かされていた。蛇の影≠ヘ、朝日に消えているようだった。

/大変お返事遅れてすいません……それでは、こちらからも〆で。
/ロールありがとうございました! 楽しんでいただけて幸いです。また機会があれば、こちらこそよろしくお願いします。
720 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 18:57:30.84 ID:qMzl+P+L0
>>695

「そうですか、オケーレフさんって凄い方なのですね。」

少女自身がそれを肯定したことで納得がいった様だ。
なにせ此処は出雲の領域。神様から怪異までなんでもござれ。
生きた人形がいたとしても何もおかしくは無いのである。

礼花は少女の問いに対して答える。

「はい。私がここ御札神社の巫女を務めさせていただいております。」

ふと、男性が提案をする。
模擬戦に協力をしてほしいと。
少女からもお願いされる。

「私、戦いは本分ではありませんが・・・
 模擬戦ですし、それがルピカさんの為になるのでしたら協力しますよ。」

巫女は微笑み快く其れを引き受けた。

「では先手は譲りましょう。」

巫女は腰に下げていた一冊の帳面を手に取り構えた。


//凍結ありがとうございました
//お返ししていきます
721 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/20(水) 20:06:56.83 ID:mFcL+K8To

 夕方、ショッピングモール内に展示されているテレビに、これからの天気予報が映っている。
 同時に明日の天気予報も公開されるが、どちらも大雪の文字が映っていた。
 平均的に10cmほど雪が積もるだろうとアナウンサーが話すが、
 土地によっては能力者が降らせているのではないかと疑ってしまうほどの積雪が見られる。
 天気予報を見ていた数人の男女がうんざりしたような顔を浮かべるがしかし、
 そんな情報なんて要らないと言うように、興味なさげにテレビの前から無表情で立ち去る男がいた。

 天パ掛かったくせっ毛の赤髪、
 バーテンダーのような服の上にチェスターコートを着こなし、
 火がついていないタバコを咥えたその男の名は、亜戦 赤王。

(……そういえば子供客用のコップ買い忘れてたな)

 しがないコーヒーショップ店の店長だ。


//絡み街
722 :【非在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/20(水) 20:15:51.24 ID:ePzjFycSo
>>718
安堵するニュクスは、年頃の少女のようにしか見えない
だが背負った黒が、そこにない右腕が、その認識を強引に改めさせている
歪――しかし、それ故に美しさは別のそれを得ているように思える
しかし、この美しさは変わらない
瞳に見られる、喜びの美は

あの笑みは満開ではない
既に時期は遅れてしまった華。しかし、雪音は満開のそれと同じくらいに好きだった

「私は――ニュクスちゃんを斬るわ
この世界の血を全部、全部浴びて
一番最後に、一滴残らず全部感じるわ
十二時過ぎに、魔法が解けた後に二人きりで愛しましょう?」

そうだ、きっとその方がいい
彼女との逢瀬は一番最後のお楽しみがいい
それが終局、世界の終わりを彩る華となるならば――嗚呼、素晴らしい

「だから、一緒に行きたいわ
私は我慢弱いの、だから早く世界を斬りたいの」

そして――愛し合いたい
何よりもニュクスが好きだ
どんな愛よりもニュクスの愛が好きだ
できるならば、今ここで愛したい
だけど――――
世界を無限に果てなく切裂く機械人形となるのも、面白そうだ
寂しがりやな愛する少女と共にあるのも――甘美な魅力がある
723 :【倫理転生】 ◆Wb0LifgGls [sage saga]:2016/01/20(水) 21:00:42.58 ID:G0KNwy1no
>>722

 嗚呼、嗚呼──。
 ニュクスは高鳴る心の臓を抑えるように、胸元に左手を当てた。
 彼女にとって、その言葉は何よりも甘美。耳元で愛を囁かれるに等しい。
 背筋を駆け抜ける狂喜を逃さぬように、ニュクスは唇を転がす。

「────……ええ。
 ええ、きっと! きっと愛し合うわ!
 お姉さんと私、ふたりきりで!」

 世界は終わる。
 白か、黒か、どちらかの少女の死によって。
 嗚呼、それはなんと素晴らしい光景か。
 ニュクスは、遥か彼方に浮かぶ月を見上げて、白い息を吐く。

「忘れない……!
 きっと、忘れないわ、お姉さん……」

 その言葉を最後に、ニュクスは気力を絞りきったのか。
 段々と、瞼を落としていき、最後には、膝を折る。
 その場にぺたりと座り込むような姿勢で、脱力すると、ニュクスは小さく笑った。

「でも、少し……。
 少しだけ、眠らせて?
 少し……疲れちゃっ……」

 言葉の途中で、まるで寝入るようにニュクスは意識を手放した。
 その右肩から流れる血液は、地面を濡らし、ニュクスの出血が危険な域であることを告げる。
 矮躯であるが故に、許容可能な失血量も極端に少ない。
 その存在は何処までも異質であるのに、何処までも、ただの少女に過ぎないのだ。
 ニュクス、という純粋なる邪悪は。
 友人の前であるからこそ、安堵し、ニュクスは寝入ったのだろう──。



//このレスか、そちらの返信で〆……になりますかね?
//急用やら何やらで日を跨ぎまくって申し訳ありません……。
//ですが、楽しかったです! ありがとうございました!
//無間機構については目覚めたニュクスから聞いたとかで場所知っちゃっておkです!
724 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 21:09:33.55 ID:dk9rJJrjo
>>720

『ええ、オケーレフは本当にすごい人ですよ。』
「おいおい、そんなに人を褒めるもんじゃないぞ。」

オケーレフの顔に照れの表情が浮かぶ。
人にほめられるのはあまり慣れていない。
―なにより、褒めて欲しかった人が先に死んでしまったから。

『なるほど、神社を一人で切り盛りしていらっしゃるんですね!』

一人で、というのはルピカには経験がない。
一人になるということは、ルピカにとって死を示す。
それであるから、生命の供給源であるオケーレフは何よりも大切で。

「だってよ、ルピカ。俺は煙草吸ってるから、思う存分戦ってこい。」
『ええ、分かりました!開放してほしいときはまた言いますから!』

御札は一冊の帳面を取り出す。
おそらく、札を作る能力というのだから戦闘にもそれを用いるのだろう。
相手の行動をよく見切る必要があるか。

『それでは、お先にっ!』

地面を蹴って御札へと迫る。
一般人よりもかなり速いスピード、そして御札が何も攻撃を取る行動をしないのならば。
御札に向け、回し蹴りを掛けるであろう。ただ、モーションはかなり大きい。
右足を振り上げるために、突然走りを止めねばならぬのだから。

さて、一方のオケーレフは、ルピカと御札の戦闘を肴に、煙草を吹かす。
寒風が神社に吹きすさぶ、昼間でも結構寒い。

//お返ししました、今日もよろしくお願いします!
725 :【非在大剣】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/20(水) 21:26:01.25 ID:ePzjFycSo
>>723
//機構について、了解です!ではこれにて〆ということにします
//いえいえ!何日もかかってしまいましたがその分文章にいくらでも時間を掛けれたりして楽しいロールでした!ありがとうございました!
726 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 21:29:15.66 ID:qMzl+P+L0
>>724
戦闘が開始した。
少女は一般人とはかけ離れた速力で迫る。

接近を試みるということは近接戦闘主体なのだろう。
そして礼花自身は近接戦闘が得意という訳ではない。

ならば距離を取って戦いを進めるべきだろう。

巫女は手元の帳面から三枚の頁を千切りとる。

【『盾』符作成】
【『裂』符作成】
【溜め:1】

二指に挟んで念を込めると二枚にそれぞれ別の文様が浮かび上がる。

少女が繰り出した回し蹴りに反応し、一枚の札が飛んでいく。
それは障壁の様に蹴りを受け止めた。

その隙にもう一枚を少女へ向けて投げつける。
これは少女の目の前で小さく破裂をする札だ。
癇癪玉の様に甲高い音で怯ませるのが目的である。
仮に直撃したとしても弱パンチ程度の威力しかないだろう。

そして巫女は数歩後退し、少女との距離をあける。

「私の能力はこの様に御札を創造するものです。
 ルピカさんは何か能力をお持ちですか?」


//よろしくお願いします
727 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 21:36:15.43 ID:dk9rJJrjo
>>726

巫女への接近は成功したかのように見えたのであるが。
ルピカの回し蹴りは札により発生した障壁で受け止められる。

『やっぱり、戦いにも札を用いられ・・・ッ!?』

突如、耳に甲高い音がつんざくように入る。
それはルピカを怯ませるに足る十分な要素であった。
一瞬聴覚に異常をきたし、動きを止める。しばらくすると聴覚は戻り。

『いえ、私には能力とも言うべき能力はありません。私には、ですけどね。』

再び地面を蹴る。相手との相性が悪かろうが、此方は近接攻撃で持っていくしかないのだ。
巫女に迫ると、ルピカは足払いをかけようとする。転倒した隙を狙うというものであるが。
今度は走る速度も考えている、少々先ほどと比べると遅い。それでも一般人よりは早いが。


巫女の札にはどのような種類があるのかわからない。
だからこそ、一種の不安もあるが、そんなことは考えていられないか。
728 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 21:53:37.66 ID:qMzl+P+L0
>>727

『――私には、ですけどね。』

含みのある返答だ。

「ということはオケーレフさんに何かあるのですね。」

ふふふと巫女は微笑む。
多分この二人と本気で事を構えた場合狙うべきは男性の方なのだろう。
なにせ人形使いなのだから。
とは言えこれは模擬戦。
倒すことが目的ではないなら真正面から受けて立つべきだ。

【残り頁97】
【溜め1→『散』符作成】

巫女はまた新たな札を創造すると、
こちらへ駆ける少女へ向けて放った。

札は少女へ届く手前で小さく小さく千切れる様に分裂した。
そしてそれらは弾の様に少女めがけて降り注ぐ。
とは云え其れらは小さな札でしかなく威力としては玩具のBB銃にも劣るだろう。
目的は足止めでしかない。
729 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 22:15:06.93 ID:dk9rJJrjo
>>728

『ええ、オケーレフは私の主人ですから。彼の能力がないと私は動けませんし。』

この巫女、結構頭がきれるな、なんんて思いつつ。
だが、そんなことはいとわずに巫女の元へと駆ける、此方は近接主体だ。
遠距離魔法も使えるが、それは制限があるから容易には使えない。

―再び、巫女が札を放つ。
先ほどのあの札のようであれば、避ければ多少の被害は防げる。
そこで少しだけ右に進路を逸らしたのであるが。

『えっ!?分裂した・・・!?』

札が分裂した。一枚の札が、千切れるようにして。
弾のようになった紙切れはルピカへと迫る、駆けるルピカはそれを避けることもままならず。
痛みは少ないが、幾分数が多い。

『痛っ、痛たっ。』

腕や顔に幾つもの紙切れが当たる。
痛みからか、多少駆ける速度がゆるまる。
だが、降り注ぐ弾が止まると、再び速度を戻し。

巫女に近づくと、今度は右腕を狙った二段蹴りを放とうとする。
一発目の蹴りは右足を用いた前蹴りのフェイント、そして二発目は右足で腕を蹴りこもうとする。
蹴りの速度はだいぶ早いであろうか、骨折はしないように加減はしているつもりだが。
730 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/20(水) 22:23:11.99 ID:Hb1S3xsW0

「お前は罪を犯している」
「即ち、それは悪だ。そして、悪は糾弾されなくてはならない」

「故に、お前を『裁く』」
「それでいいんだ。理解したか?」

暗闇。僅かに光る街灯の残りかすが、二人の存在を映し出し、消え。そしてまた映し出す。
一人は四つん這いに倒れ、もう一人はそれを見下ろす様に――――見下す様に立っていた。
倒れているのは男性。頭は禿げ上がっており、汚らしい服装と僅かな異臭から、まともな生活を送っていない事は分かる。
懇願するかのような表情で譫言の様に謝り続ける。その声の先には、金髪でスーツ姿の青年が一人。

若く、恐らくは二十代前半であるというのは容易に推測でき、瞳の赤色が暗闇でも良く見える。
ネクタイの赤色が、黒一色にアクセントを加え、左手にのみされている茶色の手袋のお蔭で、堅気には見えそうにも無い。
表情からすれば、爽やかそうな青年と言う印象が強いだろうが。もし、仮にこの現場を見ていた人間がいたとしたら、その印象は地に落ちるだろう。
他者の懇願に『何も反応しない』と言うのは、存外に心痛い光景に映る。仮に、禿げ上がった男の方が『罪』を犯しているとしても。

そして、禿げ上がった男がもう一度頭を下げた時、彼の右足が僅かに動く。
まるでボールを蹴るような緩慢な動作だったが、起動は確実に男の頭蓋へと向けられている。
このまま何も無く、そして誰の来訪すらなく時間が経過すれば。確実に、理不尽に、男の頭蓋は『蹴り飛ばされる』に違いない。
場所が人気の少ない路地裏。ややスペースのある広場の様な場所とは言え、それでも誰かが通る確率と言うのは高くない。
なにか物音がすればおのずと彼はそちらに注意を向けるであろうし、誰かがいる気配だけでも存在すれば、警戒から彼の行動は確実に『止まる』。
731 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 22:35:23.35 ID:qMzl+P+L0
>>729

『――彼の能力がないと私は動けませんし。』

「あら、それもそうですね。」

と悠長に返事を返す。
相手を舐めてかかっている訳ではなく天然なだけだ。

再びの接近を許し少女の蹴りが右腕を狙う。
すぐさま対応すべく札を三枚ちぎる。

【残り頁94】
【『盾』符作成】
【『木』符作成】
【溜め1】

素早く守りの札を創って少女の蹴撃を防ごうとするも、
それはフェイントで二度目の蹴りは防ぎきれなかった。

「きゃあっ」

巫女に体術の心得がある訳でもなくまともに受けてしまう。
右腕が痛み暫し札を投げられそうにない。

ならば、とそのまま創造した札を地面へ落とす。

この札は地面や壁に触れていればそこから丈夫な蔦を生やすものだ。
蔦は急成長し少女に絡みつこうとするだろう。

その間にまた間合いから逃れようと後退。

「ルピカさんの動きにはついていけなさそうです。
 守り札を増やさないといけませんね。」
732 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 22:42:49.76 ID:dk9rJJrjo
>>731

当たった、そんな手応えがあった。
一度目の前蹴りのフェイントに巫女が引っかかって、二発目の蹴りは右腕に当たった。
よし、追撃を、と思っていたその時である。

『えっ、うわぁっ、なにこれ!?』

突如、地面に落とされた札から蔦が生えてくる。
それはルピカにガッチリと絡みつき、動きを阻害してくる。
四肢を絡みこまれ、ルピカは一時的に動けなくなった。

『ーっ!!このっ!』

絡みを断とうともがき続け、ようやく蔦がちぎれた。
だが、それまでに蔦に絡まれていた時間は長く。
巫女に攻撃するチャンスが訪れたと言っても過言ではないであろう。
733 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/20(水) 22:42:50.35 ID:Ghh557DW0
>>730
運が悪い、彼女はその光景に対し直感した。
人が死ぬ瞬間。見慣れた光景ではあるが、一瞬顔をしかめる。

「続けて続けて、邪魔したね」

何か面倒に巻き込まれても困るなあ、
彼女は張りつけたような笑顔を用意する。
いくらコートが赤いからと言って血が付いたらいやだなあとか。

死刑を執行しそうな金髪に顔を向ける。
真紅のコートにマフラーで首を覆い、足元には、スーツの黒。

「あーあ」

白い息を吐いて、ポケットに手を入れる。
そうして戦いに備える。
コートに収めた右手。その内には騎士の白駒
734 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 22:53:24.50 ID:qMzl+P+L0
>>732
『木』符による妨害は上手くいった様で少女の動きが止まる。
まさに攻撃のチャンスだ。

しかしこの巫女は本来攻撃的な性格ではないため追撃をしない。

だがチャンスを捨てたという訳でもない。

【溜め2】

彼女の能力は溜めることでより強力な札を創れる。
それは一時的な能力を創る能力であると言っても過言ではないだろう。
735 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/20(水) 22:58:27.10 ID:Hb1S3xsW0
>>733

灼眼が、男から僅かにずれる。顔を向けた方向には、スーツ姿の女性。僅かに顰めている表情の残滓が、一瞬だけ見て取れた。
けれども、放たれた言葉は予想外にも――彼にとっては普通の事だが、淡泊としたもの。少しだけ彼の視線が上下して、女性の全体像を把握する。
一般的とは言い難いが、スーツはよく似合っている。何方かと言えば許そうにも見える彼と比べると、ビシッとした印象が対照的だ。
コートに邪魔されているお蔭で手の動きは見えないが、正直其処に興味は無い。邪魔をする意思がないというのなら、やりたい用にさせてもらおう。

「悪ってのは、一様にして滅びる運命なんだよ」
      オルデン
「君が『騎士団』の情報を売ったというのは、もうわかっているんだ」

「恨むのなら、悪に落ちてしまった自分を恨むといい。」

女性から視線を外し、言葉を吐いてから左手の手袋を取り。男の頬に触れるようにして手を伸ばす。
すると、男が目を見開き、すでに枯れかけているその喉から溢す断末魔。死に近づいていくことを理解して、上げる叫び声。
まるで自分が『動けない』とでもいう様に、近づいてきている左手を避ける事もせず。自らの四肢に力を入れる事も無いまま、左手が『触れる』だろう。
以降邪魔が無いというのであれば、左手に触れた部分が段々と生命の潤いを無くし。皮膚が渇き、声が消え、呼吸が消え、心臓の鼓動が無に変える。
最後には衣類も含め余すことなく砂になり、そしてその砂すらも『無かった』かのように消え失せるだろう。そして、視線は恐らく女性を向く。


「――ところで。」
「こんな夜更けに、何か用事でもあるのかな?」

人を殺したとは思えぬ。爽やかな声で。彼はそう話しかけるのだ。

//殺ってる途中割り込んで頂いてもいいですので!
736 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 22:58:53.83 ID:dk9rJJrjo
>>734

巫女の札により足止めを強制されたのであるが。
何故か巫女は攻撃してこない、これにルピカは違和感を感じた。
だが、再び接近戦に持ち込む腹づもりで巫女へと接近する。

『さっきのお返しはさせてもらいますよっ!』

巫女に迫ると、走る勢いそのままにジャンプをする。
そして、身体を回転させつつ巫女を蹴る、回転蹴りを放つ。
右足、左脚の順に、巫女の胴体めがけての蹴りだ。

ルピカも、そしてオケーレフも巫女がどのような札を作れるのかをいうものを完全に理解しているわけではない。
巫女の札使いも、相当的確なものだ、ルピカは警戒をしつつの行動をとるが。
737 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 23:12:27.14 ID:qMzl+P+L0
>>736
三度蹴りを叩き込むべく接近してくる少女に巫女は語る。

「私とルピカさんに明確に差があると言うならば、
 それはその"身体能力"でしょう。
 だから私は・・・」

【溜め2→『強』符作成】

「"それ"を創りました。」

創り出した札を自身の体に張り付ける。

今回作成した『強』符は張った者の身体能力を3レスの間強化するものだ。

つまり巫女は少女の連撃に対応する手段を得た。

素早く身を屈める様に回し蹴りを回避。
先ほど攻撃を受けた腕の痛みも少しは引いてきた。

続けざまに帳面から五枚の頁をちぎりとり。

【残り頁89】
【『裂』符作成 ×3】
【溜め1 ×2】

三枚同時に最初に見せた破裂する札を宙空の少女へ投げつけながら駆け抜けた。
738 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/20(水) 23:16:13.73 ID:Ghh557DW0
>>735
//ありがとうございます、少し遅れましたがよろしくお願いします。

街灯が弱く当たるこの場所で、何とも言えないこの状況。
金髪の男の纏うスーツは、威圧的な印象を彼女に与えた。
勤め人というよりかは、黒のシャツが反社会的な雰囲気を裏付けていた。

そして、その男の行う殺人の一部始終を、目を反らさずに見つめた。
実際、彼女には興味深い光景であった。
ミイラ化から風化まで極めて早い時間でそれを行うとは、水分に関連する能力か、
それとも、風化や劣化に類する能力か。

「通りすがりです。私は。
 近道をしてみようかなと思ったら、こうなっちゃった訳だよ」

左手をひらひらと、困ったようなそぶり。
どう考えても、鉄火場馴れしてしまっている様子。

「ところで、私からも1つ。
 『騎士団』ってのは何のこと?」

表情は張りつけた笑顔のまま、問いかける。
能力者を擁する組織であれば、少し情報も仕入れておきたい。
739 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 23:26:26.74 ID:dk9rJJrj0
>>737

巫女とルピカには確かに身体能力の差が大きい。
だが、ルピカは巫女の札に自らの身体能力を強化する札があるなんて思ってもおらず。
結果的に、ルピカの蹴りは回避されることとなった。

『身体能力の強化・・・!?本当に応用性が広い・・・!』

かとルピカが巫女の能力の応用性の高さに驚いている時であった。
巫女は身体能力を強化し、ルピカの近くを駆け抜けていく。
そして、巫女の手から放たれたのは、三枚の札。
その札は、先ほどの甲高い音を放つ札で。

だが、空中にいるルピカにはよけようがない。
よって、もろにこの攻撃を受けてしまうわけで。

『うああぁぁあっ!!』

甲高い音が耳の鼓膜を襲う。
幾ら人形とほいえ、器官は人間そのものであり。
聴覚を一時的に著しく破壊されたルピカは地面にへたり込む。

と、同時。オケーレフは吸う途中のタバコの火を消した。
巫女の力は驚異的だ、ルピカを開放せざるを得ない。
そう思ったオケーレフは、ルピカの動向を観察する―
740 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/20(水) 23:27:51.40 ID:Hb1S3xsW0
>>738

彼の能力は『不浄の左手』。即ち、ありとあらゆる存在に対し『負』というマイナスを付与する能力である。
先程の様に人間に対しそれを使えば、衰弱などの症状を経て、初めから『無かった』というゼロに戻す。
1に対し1を引いて、結果的にゼロにする能力。と言えば、幾らか分かりやすいかも知れない。
劣化や風化と言う推測は、半分ほど当たっている。正確には、ただの魔術であるが…。

「……ああ。それならいいんだ」
「この辺りは少し不穏な雰囲気を漂わせているから、速く帰路につくといい…」

そう言いかけて、女性が発した言葉に唇の端を引きつらせる。灼眼に光が起き、茶色の手袋に覆われた左手の指先が動く。
興味も無さげだった瞳が急に真剣味を帯び始め、そして効果音でも付きそうなほどの警戒。少し細められた目線が、女性の動きの一つ一つを注視していた。
これは女性でなくとも容易に理解、そして推測できる行動。まさに典型とも言えるもの。その話題に触れられると、彼は明らかに『動揺』している。
一瞬でそれらの動作が左手を起点に落ち着きを取り戻すと、先程の涼しげな声と同様に、一種の清涼感を伴わせるような声色で、こう続けるだろう。

「それを聞くというのは、先程消えた『彼』と同じ道をたどることになる」
「見たところ愛想笑いは得意なようだが、その笑顔のまま『彼』の様になってしまいたくはないだろう?」

「今聞いたことと見た事は、全て余さず『忘れ』るんだ。」
「それだけが、君にとれる一番合理的な選択だと思うよ。」
741 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/20(水) 23:37:36.10 ID:qMzl+P+L0
>>739
地べたにへたり込む少女に追撃をするでなく巫女は答える。

「いいえ、応用性が高いのではありません。
 無制限にという訳ではないですが。
 私はあらゆる御札を、言うなれば一時的な能力を創ることができる能力者です。」

そして少女の遥か背後に立つ男性へ向けて言う。

「貴方はどうしますか?」

先刻の少女の言葉からすれば能力を持つのはオケーレフという男性の方なのだから。

そうしつつも先ほどの二枚の札にはさらに念を込めておく。

【溜め2 ×2】
742 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/20(水) 23:44:36.02 ID:Ghh557DW0
>>740
剣呑な雰囲気を漂わせ、こちらに向かってドスの効いたセリフを投げつける。
まあそれだけの力はあるということの証左。

彼女もここでそれだけのセリフを吐ける理由でもある。

「自分で言うかなそれ。
 でもまあ、心配してくれてるなら、それはそれでありがと」

警戒やらしながらも、愛想笑いの中で目元が笑う。
しかし、こちらの言葉で、空気が一気に引き締まる。

「なるほど、あなたはそれを知られると困るんだね。
 大丈夫、私は今日のところは忘れてあげる」

張りつけた笑みを変形させ、見透かしたようにニタリと笑みを向ける。

「でもね、人に理屈をどうこう言われる筋合いはないかな。
 それに、水面に波紋が現れたら、石が投げ込まれたことはすぐに判る。
 そのことを覚えておきなよ」

人の動揺に付け込むように、言葉を差し込んでゆく。
無理やりに立て直した様子から、あまり感情を仕立てるのは苦手らしい。

しかし、夜が深まっているのもまた事実。
彼女は、足をこの場所から離れる方に向けた。
743 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/20(水) 23:58:05.69 ID:dk9rJJrj0
>>741

ルピカの聴覚は治るのに暫く時間が要りそうだ。
が、実践であれば、相手はこうは待ってくれない。
そして巫女は、此方にどうするか、なんて訪ねてくるのだが。

「どうするか、って言われるとねぇ・・・。」

頭をポリポリと掻き、ルピカのの方へ向き。
恐らく、聴覚は少しは回復したであろう、そう願って。
オケーレフはルピカに話したのである。

「ルピカ、неограниченный―無制限化―」

突如、ルピカの中で魔翌力が増幅される。
ルピカは睡眠から覚醒した時のように目を覚まし。
巫女を見つめつつ、よろよろと立ち上がり。

「久々の開放状態ですね、オケーレフ。ちょっとだけ本気出します。」

すると、ルピカは巫女に掌を向け。
言葉を紡ぎ始める。

『心も凍てつくような凍えを。
動かぬ彫刻には、祈りを捧げよ。
замораживать―凍結―』

直後。巫女の足元には冷気が充満し。
そして、ルピカがЛед решений―製氷―と唱えると。
巫女の足を巻き込む、氷が成形されるのであるが。
744 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/21(木) 00:00:59.70 ID:1PRmdDmR0
>>742

「そうなれば、根本(キミ)を『探し』。そして『裁けば』いいだけだ」
「投げ込まれた石は水面に沈み、その波紋も何れは沈黙し、只の水になる。」

「『人のうわさも何とやら』そうい言う諺があっただろう?」

立て直した、と言うが、実際のところ彼の精神は完全に起立した状態にあるわけでは無い。
仮に完全な物であればこのまま女性に近づき、先ほど殺した男のように存在を抹消するのが彼にとっての最善手であり
最も優先されるべき行動の筈で。それを実行できなかったというのは、偏に左手に刻まれた痛みと、聖なる残滓に侵蝕された術式の一部。
以前の様に制限なくと言うわけにはいかなくなってしまったという事に加え、女性には能力を見られてしまっている。
このまま『任せて』行動するには、些か能力も術式強度も無い。であれば、あえて『泳がせる』と言うのも手だと解釈した。

『騎士団』と言うワードに反応したという事は、少なからず興味があり。人死ににも何の感情も立てないことから、そういうことを生業にしている可能性がある。
単にこの町での異常性がもたらした後遺症なのかもしれないが、意味深な言葉回しを好んでする当たり、役回りは幾らか絞れてくる。
……邪推する必要はない。彼にとってはその程度些事でしかないのだから、『フィーバー』として存在する限り、無意味な思考は正義に影響する。
女性が今日の事を忘れるというのであれば、彼の役目はこれで終わる。悪意と正義意外に時間を割いていられる程、彼の時間は『多くない』のだから。

このまま女性が帰路に着くと言うのであれば彼はそのまま見送るだろう。しかし、路地裏を抜けるギリギリまでは、常に前方以外の場所から僅かな視線を感じる筈だ。
彼女が尾行を捲けるほどの人物であるなら心配する必要も無いが、そうでなければ少なくとも警戒はしているだろう。そして、視界の端に赤色の目が見えるかもしれない。
路地裏を抜け、人通りが僅かにでも存在する場所まで、視線は続く。その後、小さな靴音と共に、視線は消えてしまうだろう。まるで初めから『居なかった』かのように。
745 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/21(木) 00:11:02.42 ID:SlqLn/VR0
>>743
男性が少女へ向けた言葉は巫女が知らない言語だった。

(なにかの呪文かしら・・・)

なんて考えていると少女が目を醒ましたかの様に立ち上がる。
手のひらをこちらへ向けまた知らない言葉を紡ぐ。

突如巫女の足元に冷気が充満する。
咄嗟に危機を察し垂直に飛び上がる。

「氷!?」

【溜め2→『火』符参式作成】
【溜め3】

そして作成した呪符をそこへめがけて投げつけた。
札からは激しい炎が燃え広がり形成された氷を溶かし尽くす。

どうやら相手にもまだ奥の手は残っていた様だ。
746 :【描映爆筆】 [sage saga]:2016/01/21(木) 00:14:50.29 ID:rf0UVqhM0
>>715


「剣だけではないんですか、……ッ」

異様な音に視線を向ければ、そこにはおよそ近代的な武器が二つ宙を舞う。
おそらく制圧用の武器、護身用とは程遠いほど物騒な性能をしているのだろう。まともに首へ受ければ己の体格からしてまず失神は免れない。
足を止め、振り向きざま二の腕で喉を守る様に、左手を肩へ回す――――

バチィッ

炸裂音と焦げた臭い。新品だったコートからしゅうと煙が立ち上る。
腕で二つのスタンを受けた少女は足をよろめかせる――――――――ことはなく。袖の奥で不敵に目を細める。

「残念ながら、私に電気は効きませんよ」

帯電した髪を逆立てながらも目立ったダメージはない。秘密は左手そのものと、その指先から伸びる細い紐状のモノ。
少女の左手は義手である。金属部分は人体より通電性に優れ。更には実体化させ蛇のように伸ばした絵を地面へ垂らす。
結果、電気の大部分をアースとして地面へ逃がしていた。

電気云々は無論嘘である。しかし自分を大きく見せておけば、後は相手が勝手に解釈してくれるはずだ。

(……あまり、色々見せる訳にはいきませんからねぇ)

言ってしまえば自分の能力は爆破が全て。それを見破られれば相手の能力とは相性はすこぶる悪い。
だから――――と、見せつける様に足を持ち上げ、ずん、と。


腹の底に響く地鳴りと共に、少女の前から緑の草原が消失する。
否、その周囲の“地面一帯が陥没”したのだ。
柔らかい泥層の下で爆発を起こし地層を崩落させる。わざわざ遠回りしていたのは安全な地形を確認していたため。
最初に撒いていた紙はその地雷を設置する前準備であった。

真っ直ぐに追いすがった相手は果たして土砂と共に崩落するだろうか。
だがそれを避けられてたとしても、森に入ればこちらの利は更に大きくなる。
後ろ手に退りながら、ぽっかり開いた穴の奥を覗き込む――――


/すみません、宣言していた時刻よりも大幅に遅れました……
/しかも今夜はこれで落ちねばならず、申し訳ありませんが、凍結か〆をお願いできれば幸いです
/本当にすみません
747 :【白黒聖戦】チェス駒の女王様  ◆rpJigmhfjQ [sage saga]:2016/01/21(木) 00:15:22.12 ID:N1cKRUsq0
>>744
「そううまくいくかな?
 世の中には玉虫色もある。白でも、黒でもない。
 そうして水底には石が残り、水辺は普段よりも濡れるでしょう。
 天網恢恢、疎にして漏らさず、でしたっけ?」

彼女も距離を取り、場合によっては、騎士を展開して状況を仕切り直す用意もあった。
だが、彼の方も今回は荒事は控えてくれるらしく、こちらとしても有り難い。
遭遇戦は、あまり彼女も得意では無い。

「少しお話が長くなってしまいました。
 次会う時は、もう少し、穏やかにお話しできるといいですね。
 それでは、良い夜を」

まあ、興味深い情報や、能力者の見学もできたし、ここらが潮時。
踵を返して、帰り道を急ぐ。
道中、彼のお見送りを意識しつつも、大通りを抜け、夜の雑踏に消えた。

//こんなところで、お疲れ様でした!
748 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/21(木) 00:19:00.17 ID:1PRmdDmR0
>>747
//此方こそお疲れ様でした!
749 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/21(木) 00:21:12.97 ID:rYdxyHBj0
>>745

初撃は炎を生じる札によって回避された。
二発目をこれから放つ。
ルピカは巫女の方へと駆けつつ詞を紡ぐ。

『吹きすさびしは嵐の如く。
止みゆくことの無き、永遠のような嵐の如く。
Порыв―突風―』

突如、ルピカから巫女へと突風が吹きすさぶ。
それは魔術で。巫女がこの風で飛び、姿勢が崩れた際に襲うという考えであった。
ただ、先ほどの氷魔術は相殺された。
今度は効果があるか。

唱え終わると同時、ルピカは巫女の元へ走る。
大勢を崩したのであれば、その隙を狙うつもりだ。

//すいません、眠気が…
//凍結願います、明日は今日と同じくらいに返せると思います
750 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/21(木) 00:28:33.45 ID:SlqLn/VR0
>>749
//凍結了解です
//ですが自分明日から暫く一日一回くらいの置きレスになってしまいます
//なのでもし都合つかないようでしたらキンクリをお願いします
//その場合はお相手して下さったお礼に『盾』符を一枚渡したということにしておいてください
//無論受け取らなかったという風に〆てくださっても大丈夫です
751 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/21(木) 00:44:44.98 ID:SlqLn/VR0
>>749
詞を紡ぎながらこちらへ駆け来る少女。
多分呪術か魔術かそういった類の力だ。

新たな呪文。強烈な風が吹きすさぶ。
ちょうど『強』符の効果も切れてしまった巫女にはどうすることもできず、
空中にて体勢を崩してしまった。

もう残された手段は手元にある一枚の札のみ。
巫女は相手の出方を伺う。
752 :【一騎当千】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/21(木) 01:39:06.04 ID:oxj7SwS10
>>746
二台のスタンガンから炸裂する電光は、狙い通りといかないまでも、軍服の少女の、首を庇う左腕へ確実に当たった。
だが、その後少女は気を失うどころか活動に何の支障もなく、こちらを腕の陰から不敵に覗いてきた。

「んなッ……!?」

驚嘆の声は直ぐに消えた。彼女の身体を通った電流は、蛇を模した回路を通じて地へ逃がされた、この少女はそう考えた。
―――つまり、少女の嘘は見抜かれることはなかった。銀髪の少女はそこで思考を止めてしまった故に、相手の能力は『電の操作』であると判断を下してしまったのだ。

もちろん、そんな軍服の少女の策略と周到に張り巡らされた罠に彼女が気付くことは、なかった。
―――眺めてしまったのだ。意図も汲めずに、地を踏みしめたその脚を。
ぬかるんだ土が視界に這い上がる。否、自分が沈んでしまったのだ。

「っ、くぅ………!」

泥に塗れた頭で、ずるずると地の縁を落ちながら銀髪の少女は混乱した。
―――わからない。相手の能力が、把握できない。
規模の大きい爆発、電流の受け流し、そしてこの沈下。カムフラージュをかけられていたのかと、疑りもした。
―――もういいだろう。経験と知識の浅さは自分で理解している。こんな付け焼刃でどうこうできるほど、甘い相手ではないことも分かった。
ならば、ここからは。

「形も、振りも、―――構ってらんねーですッッ!!」

そちらから、見ることはできるだろうか。
土ではない『何か』を足場によじ登る、泥土を浴び続ける少女が。
できるのならば、その『何か』の正体も見えるだろう。無から生まれ、そしてすぐさま泥の壁面に真っ直ぐに刺さり、少女が踏み越えた途端に消え行く。そんな『三叉の槍』が。
もちろん満足な足場とは言えない。深く刺さったとはいえ、この森のこの地層全体が水を多く含むのだろうから、安定性には欠けている。ただ、そんなリスクを考えてられる余裕も知恵も彼女にはない。

その速度は決して速いとは言えない。どう推察しても、ただの“がむしゃら”だ。
泥の渦巻く中で、彼女が登る様子を垣間見ることができたのなら、対策は容易に準備可能だ。


//こちらこそ遅れてすみません、それでは凍結としますね
//お忙しい中態々ありがとうございます。のんびり進行で構いませんのでお気になさらないでください。お疲れ様でした
753 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 18:07:40.89 ID:BJpSegtr0
蒼穹と言い表すには、透き通っているように白く感じられる昼下がりの空であった。
雲も殆どなく陽光が降り注いでいる、というのに凍えそうな肌寒さが辺りを包み込む。
都心程にまでは至らずも人通り多い街路で、その少女は深紅の双眸を凝らして張り込んでいた。

「…………」

十代半ば頃と思われる少女は、黒とピンクで彩られたサイバーチックなパーカーを深めに着込み、寒さを凌いでいた。
その現代風の服装とは不釣り合いに、腰元には二振りの小太刀を革のベルトで括り付けている。
雑踏から逸脱したがるかのようにヘッドホンで喧騒を遮断し、煉瓦造りの外壁に凭れている。
一見すると休暇中で街まで繰り出している様子だが、上より促された始末業の最中であった。
なんでも下部団体が麻薬売買のシノギを溜め込んでいるらしく、徴収しろとの話である。
その居場所も碌に分からない中、リストの顔が擦れ違わないかと、可能な限りの警戒体勢を取っていた。

「……お昼、たべたい」


―――訂正、気は緩みっ放しであった。
近くの珈琲屋でテイクアウトしたホットを啜りながら、吹き抜ける寒風に長く艶やかな黒髪を靡かす。
周囲で何かしらの騒動でも起こってないかと思い、辺りの様子を見渡した。
手袋も付けぬ乾いた両掌を擦り合わせながら、白い溜息を吐いた。
754 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/21(木) 20:35:12.52 ID:W+nJKh6fo
>>672
 話しかけた瞬間、銃を突きつけられる。
その姿に余裕は無い。どうやら、恐慌に近い状態のようだ。
しかし女性。どちらかと言えば少女というべきであろう。少女の言っていることは最もである。
ゲイルスケグルとて、せっかくの話し相手になりそうな少女と殺しあうつもりはあまりない。

「あー、ごめんごめん」
「言ったとーりここで迷子になってから、始めてあった人だからさ」
「流石に無警戒じゃダメだと思ってねー」

そう言いつつ、手にした槍を後ろに投げ捨て消失させる。
その後言われた通り、律儀に両手を上げ敵対する意志が無いことをアピールする。
銃を突きつけられているというのに、先程までと同じくまるで緊張感が無い。
へにゃりとした容貌と相まって、どこかのどかな印象を受けるであろう。
--このような状況で無ければ。

「ほら、武器捨てたよー。 まー、結構簡単に再転送できるけど」
「この情報を話したって事でさ、ちょっと信用して欲しいかなーって」

 何なら、無抵抗の証にお腹見せよーか?と軽口を交えつつ自分の能力の一端もついでに話す。
これで、少女が少しでもこちらに対して交友的な態度になってくれれば嬉しいのだが。

「おじょーちゃん。もし良かったらさ、一緒に行動しない?」
「流石に丸一日独りぼっちは飽きちゃってさ―」
                         
 早く太陽みたい。と愚痴るゲイルスケグル。
さて、少女はどう反応するのか。

/先日は本当にすみませんでした!
/もう大丈夫です!23:30までなら!!
755 :【0】 [sage]:2016/01/21(木) 20:37:57.15 ID:HstRDVA+o
>>753
/まだ居りますか?
/1時頃までしかできませんがよろしければ…
756 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/21(木) 20:53:28.11 ID:qJKixK1wo

 夕日が沈みきり、暗闇が街中を覆い隠す夜中。
 街はライトを灯して着飾るようなイルミネーションを施す。
 その明かりの一つ一つは店の明かりだったり、会社の明かりだったりするだろう。

 赤髪の男のコーヒーショップもまた、その中の1つとして存在する。

「……」

 天パ掛かったくせっ毛のある赤髪は蛍光灯に当たると若干白く見え、
 バーテンダーの服装は売っている品のことを考えると、問題はないだろう。
 しかし、無言で濡れたコーヒーカップを拭き、火の付いていないタバコを口に咥えている光景は中々におかしなものだろう。

 そんな男が経営しているこのショップ、現在店内にいるのはこの男一人である。

(今日は客入りが少なかったな。
 結局、常連が数人。あと珍しい女性客が一人、か。まあテイクアウトだったが)

 今日の売上を考えながらクローズ作業を続けていくが、そこでまだ看板を片付けていないことに気づく。
 早足気味に扉を開けるのだった。


//店、開いてます(絡み街)
757 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 20:53:46.69 ID:BJpSegtr0
>>755
/失礼、席を離しておりました
/今からでよろしければ是非お願いします!
758 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 20:56:20.88 ID:HstRDVA+o
>>753
少女が見詰める街の喧騒、その一角に何か不穏な動きは確かにあった。
それはほんのちょっとしたもの、ガラの悪い男達が1人の少女に絡むという、それだけの良くありそうな風景だった。

「へっへっへ……姉ちゃん人の悩み事を聞いて回ってるって?」
「偉いねェ〜……それじゃあ俺たちの悩みも解消してくれや」

「あらあらぁ〜……あなた達も何か困りごとが?」
「いいですよぉ〜……人の苦悩を主へと届ける……それが私の使命ですからぁ〜」

絡まれている少女の方は、修道服を着た穏やかな表情で、スラリとした長身だ、とても人が良さそうに見える。
そんな少女の肩に無理矢理腕を回して、路地裏に連れ込もうとする男達、というか、少女の方も理解していないのか普通に連れ込まれてしまった。

良くある事だと無視するも良し、追い掛けて見るも良し、多分気が付いているのは貴女しかいないかもしれない。
759 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 20:56:54.08 ID:HstRDVA+o
>>757
/よろしくお願いします
760 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 21:21:43.20 ID:BJpSegtr0
>>758

例えば今の雑踏のように音が混線する場所で、人の聴覚は選択的聴取が可能らしい。
カクテルパーティ効果と呼ばれるが、その男が雑踏の中にしては余りにも異端故の必然なのか。
何れにせよ、偶然耳を研ぎ澄ませていた少女の元に、それは実にスムーズに届いた。

「……」

ふと視線を回せば、修道女らしき少女が破落戸共に絡まれている姿が捉えられた。
もしこの少女が巡回警官なら、若しくは正義の味方なら、反射的に助けに向かっていたかもしれない。
しかし少女は通りすがりのヤクザで、分類的には破落戸共にカテゴライズされるだろう。
救助に向かう義理も道理もありはせず、なので無視に徹すると決め、珈琲をもう一啜りする。

「…………」

だが一啜り終えたところで、とある可能性に思考が行き着いた。
奴等のような街に屯している破落戸が好むとされる物の一つとして、件の白い粉物が思い浮かんだ。
標的たる下位ヤクザの売買より巡り巡って行き渡された薬物が渡っているかもしれない。
そこから辿れば、思いの外楽に今の仕事を終えられるかもしれない。
突飛な思考回路をなぞってそう思いついた少女は、先程見掛けた修道女と破落戸を眼で捜す。
そして連れ込まれただろう裏路地の曲がり角を見つけると、無警戒な足取りで入っていった。
761 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 21:33:52.79 ID:HstRDVA+o
>>760
修道女が連れ込まれた路地裏は、思いの外入り組んでいた、入り口から入ると直ぐに幾つか曲がり角や路地があり、既に男達と修道女の姿は無い。
恐らく男達はここいらのこういった場所を良く知っている者達だ、誘い込んですぐに巣穴の如く深みに連れて行く。

だが、彼等の居場所を見つけるのはそう難しくは無いだろう、何故なら、音がする、声がする。
肉と肉を叩き合わせるような音、粘り気のある水温、そして悲鳴。
既に事が始まっていると予想するのに十分な材料が揃い、そしてそれを辿ればすぐにでも、修道女と男達の居場所に辿り着くだろう。

「……も……もう許ひてくだしゃ……」
「あァ!?聞こえねーぞ!?『もっと殴って下さい』って!?」

凄惨な場面だった、少女がここに辿り着くまでの短時間でよくもここまで、と言う程に。
男の1人は顔中から血をブチまけて地面に倒れていて、もう1人は壁に体を押し付けられ、今正に顔面を挽肉に調理されている真っ最中。
そして───必然的にそうなるが───それをしているのは、連れ込まれた筈の修道女であった。

遠目に見えた穏やかな表情は何処へやら、鬼か獣かと言う程に険しい表情と言葉遣いで男の顔面に拳を叩きつけると、鈍い音と卵の殻が砕けたような音が同時にした。
それを最後に事切れた男を地面に投げ捨てると、手をポンポンと払い、ハンカチで返り血を拭いて、一息吐いて……それから、やっと少女に気が付いた。

「…………」

目が合う、そのまま修道女は固まっていた。
762 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/21(木) 21:36:08.65 ID:r1KU/X/Ko
>>754
ふぅ、と長く、深く息を吐きながら、ゆっくりと拳銃を下ろす。
信頼の証としては非常に頼りない事極まりないが、少なくとも彼女がこの異常性の一部では無く、紛れ込んだ部外者であれば。
少なくとも、後ろから刺される、なんてことはないだろう。この異常性に余程の極限状態を提示されなければ。立華はそう考えた。
銃は納めない。既にここは乙級収容棟の只中で在り、異常性の腹の中であり、何が起こるか分からない。故に―――――― 通路の先へと、一瞬だけ目をやった。
取り敢えずの危機が無い事を確認した後、女性へと戻す。

「……帝國陸軍、立華京香直史」

一言、彼女へとそう言った。自分は確りと戸籍の存在する、正式な軍属の人間であると言う宣言によって、今度は自分が信用を得ようという思想だった。
彼女にその知識があれば有効に働く、という程度の話であるが、事実立華の衣装は帝國のもので、階級章もしっかりと"准尉"のものが縫い付けられている。
そうして自己紹介を済ませる頃には、それなりに少女は落ち着きを取り戻していた。自分以外の人間がいるという、安心感も相まっての事だろう。
さて、立華が先に求められたのは、説明だ。この状況に対するあらゆる説明。であれば立華は、それを果たさんとは思うが。
この異常性が何なのか、までは説明しきれない。飽く迄、帝國の有する異常物品として外から見た話しか出来ない。故に、どうすべきか、と多少考えたが。
自分の今持っている情報を、要点を抑えて説明する。これ以上にどうしようもないと、少々、眉を顰めつつ、口を開いた。

「此處は、異常物品分類番號一八六番、帝國零號機關第十五號異能收容研究所。建造中止、取り壞しになった筈の、零號機關の研究施設……に、酷似した"何か"」
「それ以外のことは分からない。分かるのは……私以外の全員が、此處から脱出できず、此處の異常性に殺された、と云う事實だけだ」
「そして此處は、異常物品乙級收容棟、と表記されている。乙級は三つの内の眞ん中、と言えば分かるか?」

「……分かる事と言えば、それだけだ。そして出來ることと言えば、探索を繰り返して如何にかして脱出の手掛かりを探す、くらいだ」

酷く苦々し気に、立華はそう言い切った。つまるところ、脱出の手掛かりなど何一つない、ということだ。
脱出の方法も分からない、探索と言っても脱出の方法が丁寧に何処かに書いているとも限らないし、そもそも出る方法何て"存在"しないかもしれない。
二人になったところで、状況は変わらない。そもそも五人で行って四人が死んでいるのだから、それも当たり前、なのかもしれないが。

「そう言う事だ。どうせ生存は絶望的だ、着いてくるのも、来ないのも、好きにすればいい」

最後に吐き捨てるように最後に立華はそう言って。それからゆっくりと、異能収容棟の奥へと続く広い廊下を、歩いていく事だろう。
幾つもが突き立っていたはずの分厚い鋼鉄の扉は、何らかの方法によって破壊され、倒れ込んでいた。最早、収容棟としての機能は絶望的と言える。
然し、それでも先へ進むしかない―――――――――――― 少なくとも、目の前にある道は、それしかないが故に。

/お帰りなさいませー!それではまたよろしくお願いしますっ
763 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/21(木) 21:36:17.27 ID:rYdxyHBjo
>>751

ルピカは巫女が空中で体勢を崩したことを確認すると。
一気に巫女の方へと距離を詰める。
そして再び詞を紡ぎ。

『天より落ちるは裁きの雷。青白く閃光を散らせよ。
молния―雷光―』

そして、巫女に迫ることがかなったのであれば。
ルピカは其の右足に雷を宿らせ、サマーソルトキックを放たんとする。
狙いは巫女の腹部。威力は相当に抑えているのであるが、さらに雷の衝撃も有るだろう。

オーバーヘッドキックの要領で巫女を蹴り飛ばさんとする。
ただ、この蹴りが終われば、ルピカはハングアップを起こし、その場にへたり込む。
つまり、この蹴りの結果で戦闘のすべてが決まるのであるが。

//置きレス了解です!
//お返しお待ちしております!
764 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 21:51:24.41 ID:BJpSegtr0
>>761

「…………」

先程の男達が凄惨な有様になっている現場にて、少女は当事者たる修道女と目が合った。
合ったが、かと言って別段掛ける言葉もなく、殺人に怒りを覚える訳でもなかった。
一秒程度だけ無感情に修道女を見た後、直ぐに視線を落として歩を進める。
しかし素通りする訳でもなく、まず殴り飛ばされた方の男に寄り、衣服内部を物色する。

「…………………」

目当てのブツは見付からず、血塗れになった頭部を掴んで揺すり、一応耳孔を確かめる。
案の定入ってはおらず、その男を雑に放り捨てると今度は潰れた頭の男に接近する。
先までと全く同様の手口で死体を確認するも、やはり見当たらない。
またもや念の為、耳と口に手を突っ込みんでみて、数秒して引っこ抜いた。

「…………ない、かな」

やがて諦めたように溜息を付き、潰れた男をコンクリの敷き詰められた地面に投げ捨てる。
意味もなく男の潰れた頭部をもう一度踏み潰し、この場を去ろうと元来た道へと歩き出していく。
元々何一つ確かな根拠もない理屈であったし、このような場所に用もない。
そのまま目が合ったばかりの修道女には目もくれず、少女は立ち去って行こうとする。
765 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 22:02:12.77 ID:HstRDVA+o
>>764
「…………」


「ってオオォォォォォォォォォイ!!待て待て待て!!」

少女が何の反応も無く、仕事人とばかりにやるべき事を終えてその場を去ろうとした所で、漸くフリーズから回復した修道女。
物凄く焦った声を出し、少女に飛び掛らんというくらいの勢いで肩を掴み引き留めた。

「いや、もっと普通なんかアクションあるだろ!?『キャー』とか、『そっちの方かよ!』とか!!」
「いやデカい声出されるよりは良いけど!いいけどアタイの事を見なかった事にすんなよ!無反応すぎてむしろこっちが切なくなるわ!!」

めちゃくちゃ焦った顔で、肩を掴んだまま少女の目の前に回り込み、それ以上の歩行を制止させようとする。
別に狙ってこんなドッキリまがいな事を少女にした訳では断じて無い、無いのだが……余りにもドライな反応を返されると、却って居た堪れなくなるというのが人の性だ。
766 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 22:15:21.36 ID:BJpSegtr0
>>765

始末屋の少女には基本的に感情表現の起伏が少なく、或いは存在してないかもしれない。
少なくとも彼女自身はそれを真面に理解しておらず、理解しようと努力もしない。
しかし、例外的に今現在のこの瞬間だけは明確に違っていた。
用がないので引き返そうとした途中、修道女らしき格好の少女に肩を掴まれた時。

あからさまに嫌そうな顔をした。

両の眉毛を顰めて眉間に皺を寄せて、双眸を思いっ切り細くして見ている。
端から連れて行かれた彼女が、暴行されようが強姦されようが知った話ではなかった。
適当に立ち寄って暴漢を締めて、持ち物検査だけして帰ろうとしていた。
つい今だって無駄足だったから元居た定位置に戻ろうとしていたところであった。

「…………………………きゃー……」

仕方ないので物凄くやる気のなさそうな棒読みの悲鳴を聞かせてみせる。
ほらよ、と言わんばかりの目つきで肩を掴んでいる少女を無感情に見つめてみる。
もう帰ってもいい?という意味も含んでそうな視線である。
767 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/21(木) 22:21:53.01 ID:W+nJKh6fo
>>762
 少女は少しだけでも、こちらの事を信用してくれたのだろう。
構えた拳銃を下ろし、自らの立場を語る。
流石に銃を仕舞う事は無く、このような場においてそれは正しい判断だろう。

「へー、立華 京香 直史 ちゃんかー……? え、日本人なのにミドル・ネームあんの?」
「しかも直史って男の名前じゃん」
「それに陸軍って、そんな年じゃーって、あー。帝國か―…… 帝國か―」
「帝國なら仕方ないのかな―?」

 立華が語る情報は、ここは長ったらしい、どこか帝國らしい格式張った名前がついているが、要するに”何か良くわからんが危ない場所”らしい。
そしてここから脱出できず、彼女は仲間を全て失ったたと言うこと。今危険な場所のど真ん中にいるということ。
脱出するためには、ここを探索するしか無い。という絶望的な事実。

「……うわヤッバイじゃん、それー」
「そんなんがどうして地下鉄とつながってんのさ―」
「しかも立華ちゃん。って呼んでいい? 立華ちゃんの仲間全員死んでるんでしょー」
「何人居たのか分かんないけどさー。一人になるまですり減らされるって、何が居んのここ?」

 それだけの事を告げると、少女は状況を打破できない苛立ちが隠せないのか。
話を切るように、自由にしろと吐き捨てる。

「……とりあえず、そういうこと言わないでさ―。 一人より二人のほうが効率いいでしょ」
「こー言うのって、だいたいボス倒せば一件落着だって」
「まー、ゲームの話なんだけどね」

 ……少女は自身を軍人だと言う。なるほど言われてみれば、それらしい服装であるし、その服には何らかの証が縫い付けられている。
正直、少女のような小さな子どもが軍人だと言うのは少々あれだが、帝國となれば話は別である。……祖国も似たようなのもではあるが。

 それはさておき、少女は身分を明らかにした。
それにより自身が得体の知れないものではない、確かな人間であるという証明とした。
そこでゲイルスケグルは、自身が無抵抗である事を示したは良いが自己紹介をしていないことに気づく。


「そーだ、私名前言ってないじゃん。 私の名前はゲイルスケグル」
「身分はホームレスが近いかな―?」
「しょーじき言いにくいよねー。 ゲイルとでも呼んでねー ……開発者何考えてんだろ。」

「私が前歩こーか? その方がそっちも安心できるだろーし」

 大きく壊れた扉に向かい歩みを進める少女に追いすがり、そう語りかける。
正直、少々鬱陶しいかも知れない。

/すみません、だいぶ遅れましたー
/文章考えるのが楽しくてつい……。すみませんー!
768 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 22:32:54.03 ID:HstRDVA+o
>>766
「やめろよお前そういうの!『しょうがないから言ってやるか』みたいなの!」
「そーいう意味で言ってんじゃねェから!言えよって意味じゃねェから!」

仕方なさそうに言われても、逆に困る、というか言って欲しかった訳じゃ無い。
だからどうして欲しいって訳じゃないが……

(あークソ……やべーな……まさか見られるとは思ってなかった……油断したぜ)
(それもこれもこのクソチ○コ共の所為だ!こいつらマジで次元気な姿を見たら半殺しじゃ済まさねぇ!)

表情と声色から知っての通り、彼女はとても焦っていた、どうやら今の姿は彼女にとって見られたくなかったものらしい。
先程ブン殴った男達(『事切れた』と表現したが、奇跡的に半分は生きているらしい)に心の中で八つ当たりをしつつ、どうしようかと考える。

(……あー、でもこいつ結構気にしてないっぽいし、言いふらしたりはしなさそうだな)

「……兎に角だ!いいか!ここで見た事は忘れろ!特にアタイの事は!特に!」
「別に覚えててもいいが、絶対に周りに言うなよ!もし言ってたらマジでぶッ[ピーーー]からな!?」

769 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 22:50:51.04 ID:BJpSegtr0
>>768

「……わかった」

多分あと5分も経てば綺麗サッパリ忘れている気がする。
足掛かりにでもなるかと思っていた代物は存在せず、結局は徒労であった。
覚える必要がないのなら、態々覚える努力をする程少女の頭脳は器用でもない。
取り敢えずは足元の男達のように平気で他人に襲い掛かる血も涙もなさそうな相手を探そう。


「…………あ」

ちょうど目の前にいた。
まさに今、現在進行形で少女の眼前にそれに該当する人物がいる。
当初の聖女然とした雰囲気とは真逆の調子で、破落戸を一方的に殴り飛ばした彼女を再度見る。
今度は最初通りの無感情に思えるような起伏ない双眸で、全身を見渡す。
片方の手を口元に添えて、数秒だけ考えるような動作をして、まただらんと落とした。

「白い、粉…………、しゃぶしゃぶ……、持って、る…………?」

たどたどしい口調と絶望的な語彙のなさで、修道服の少女に問うた。
改めて考えると服装くらいしか修道女の要素ないように感じられたので、一応だけ聞いてみる。
尤も、少女の態度的には返答に特に期待してる様子はないのであるのも事実だが。
770 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/21(木) 22:54:41.47 ID:r1KU/X/Ko
>>767
「べ、別に良いだろ、最早意味の無い名だし、それに、昔の帝國人はみんな諱を持ってたんだし……」

少したじろぎながらそう反論する。実際意味の無い名前であるのだが、改めてそう言われれば、少々恥ずかしさも感じつつ。
ほんの少しだけ、"素"の喋り方に戻っていたのを、咳ばらいをして誤魔化して。

「地下鐵に、繋がっていた? ……成程、いよいよ以って絶望的だな、其處まで異常性は擴大しているか」
「分類は恐らく甲級か、喜べ、道連れがもっともっと増えるかもしれんぞ」

地下鉄に繋がっている、などという情報はブリーフィングでは一度も聞くことは無かった。それはつまり、帝國の封じ込めの範囲を超えているということだ。
めでたくそれは完全な封じ込めがほぼ不可能であるという認定の証、"甲"級が授与されるだろう、と立華は確信した。
呼び名は好きにすればいい、と彼女に言いながら、硬い廊下をゆっくりと歩いていく。
非常に口数が多いことに、立華は少々辟易気味ではあったが、それを無視するのは立華の性格上出来る訳も無く、寧ろそれは今に置いては心強いとも言えた。
勿論、ただ、気が楽になるだけ、という話ではあるが。その後も彼女の一方的なトークに、顔を顰めつつも、いやいや対応しながら、歩みを止めることは無く。

「別に、私が前を歩いた方が異常性にも對応し易い、必要な―――――――――――― っ」

名乗った彼女が、前を歩こうか、なんて、彼女なりの気遣いなのだろう、提案したのを、断ろうとしたのは、新たに遭遇したそれに遮られた。
死体だ。二つの死体が、其処にが転がっている。チェストアーマーを身に着け、動き易い戦闘服に、傍にはゴーグルと自動小銃が一組ずつ転がっている。
先に突入した特務部隊だろう。然し、それの最も特筆すべき部分は。

「……どんなのがいる、と言ったな。"こういうの"だ」

"そのどちらもが、自分の頭の中に両手の指を、頭を抱えるように突っ込んでいる"。
普通、人間の指が頭蓋を貫通して、脳味噌を自分で弄繰り回すという事が有り得ないのは、小学生でもわかる事だ。
それも防弾ヘルメットが自動小銃達と同じように転がっている事から態々それを脱いで、ということだろう。
銃を突き付けながら、ゆっくりと死体へと近づいていく。そうして、死体を爪先で蹴飛ばし。陰に何も隠れておらず、異常が無い事を確認すると、傍へとしゃがみ込む。

「―――――――――――― 外傷は無い。であれば、精神汚染を受けたか?」
「まるで溶けた蝋の中に突っ込んだように、指が頭蓋骨に沈み込んでいる……間違いなく、異常性の一部だ」

それから立ち上がり、其処から一歩だけ退いて、彼女へ、親指でそれを確認する事を指示する。
此処を歩くのならば、少なくとも"異常性"と言うのがどういう事か理解してもらわねばならない。故に、彼女が近づいて来たのを確認すると。

「此處は、本來起源不明、解析不明の異常物體を收容し、研究する爲の施設だ。そして今では、この施設自體が"異常物體"になっている」
「故に、何が出てくるのか、全く分からない。殺されたのも、目の前で死んだ人間もいるが、分斷されて個別に、というのもいる」
「だから私が遭遇したのは一部だろうが……見たのは、健氣にも、未だこの施設の機能通りに動こうとする、鎭壓部隊を模した"化物"だった」

「その時は銃彈が效いたが―――――― こいつらを襲ったのは、恐らく精神に干渉するタイプの異常性だ」
「だとすれば、銃彈が效くかどうか……全く豫想もつかないな」

自動小銃の弾倉を取り出し、一発一発を取り出して、弾薬嚢へと入れていく。落ちているゴーグルも二つ、拾い上げてその機能を確認していく。
その作業の中、そう語った。当然の話ではあるが、やはり、苦々し気に。

/大丈夫ですよ!!私も遅いですし、むしろそう言ってもらえると嬉しいです!
771 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 23:02:48.42 ID:HstRDVA+o
>>769
「テメェ、本当にわかってんだろうな?」

自分でも『こいつなら覚えて無いだろう』と思ったにも関わらず、即答されるとやはりちょっと不安になる。
とはいえ、こちらに興味が無いというレベルの無関心さが篭った返事なら、多分大丈夫だろうという結論に至ったので、少女から手を離した。

「……ったく、無駄に疲れたぜ」
「……って、何だよ、何ガン飛ばしてんだこら」

勝手に疲れた癖して、溜息をつきながら乱れた服を直す、その中で、少女の視線に気が付いた。
田舎のヤンキーかってレベルのテンプレ返答を返して、睨むような目付きで見返す、よく見ると彼女の両眼は瞳孔が爬虫類のそれのように縦に割れていた。

「『白い粉』ァ?……あァ、薬の事かよ」
「テメェそんな也してヤク中かァ?さっきはそれを探してたのか」
「こちとらシスターだぜ?ンなモンに手ェ出す訳ねェだろ」

服装以外その要素は皆無だが、一応はその様な物に手を出すような人間ではないらしい。
『持ってない』と即答し、手をフリフリと振ったが、少し間を置いて「そういえば」と呟いた。

「ちょっと前に悩みを聞いてやった奴に、売人がいたな……」
「確かこの近くで売ってたとか懺悔されたが……どこだったかなー……」

何たる偶然か、彼女に心当たりがあるらしい、詳しい場所を思い出そうと頭を捻っているではないか。
772 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 23:19:22.58 ID:BJpSegtr0
>>771

「…………」

所持していないと聞いたが、薄々だがそういう予感はしていたので特に驚かなかった。
販売元本人でなければ買うのは大体使用目的だろうし、目の前の修道女は中毒らしい症状でもない。
もう用は無いので踵を返そうとすると“売人”というワードが耳に入り、その足取りは静止する。

「……何処、それ」

薬物の販売と言っても、必ずや足掛かりになるとも限らない。
ごく普通の都市で考えても、薬物取扱いの出元が同じ人物に収束するとは思えない。
況してやこの能力者の街に於いてはその比ではないだろうと容易に想像はつく。
それでも片っ端から聞き潰していく他、方法は見付からないのが現状であるが故にであった。
773 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/21(木) 23:39:42.89 ID:HstRDVA+o
>>772
「あーちょッと待てよ、今思い出すから」
「えーッと……そうだ!思い出した!」

記憶の中をふるいに掛けながら、必要な情報だけを取り出そうと脳に指令を送る。
そうそう古い記憶でもない、既に売り場を変えているという可能性は低いだろう、それが少女の求める物に繋がるかはわからないが、確かな情報だ。
それを漸く思い出し、手を叩いて少女を見る……が。

「……いや、でも教えねェ」

急に真剣な表情になると、少女の目を真っ直ぐ見詰め、情報の提供を拒んだ。

「さっきも言ったが、こっちゃ神に仕える身だ、そんなのがテメェみたいな奴に薬の在り方とか教えちゃ道理が通らねェだろ」
「薬に手ェ出すのは勝手だ、見てねェフリもしてやる、だがな、手は貸さねェぞ」

どうやら、少女の事を薬の常習者だと勘違いしているらしい、いくらなんでも少女が薬に手を出す手伝いはしたくないと言う事だ。
誤解を解けばその態度も変わるだろうが、少女にとっては必ずしも役に立つ情報とは限らない、教えてくれないならとさっさと立ち去るのもありだろう。
774 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/21(木) 23:40:48.85 ID:W+nJKh6fo
>>770
 名前について質問した時、恥ずかしさを隠しきれなかったのか歳相応の口調となった。
だが、この異常空間が地下鉄に繋がっているという情報は、少女も知らなかったようで。
直ぐにそれを直して、その深刻な情報に言及した。

「そーそー。雨宿りのためにさー、地下鉄潜って」
「止んだかな―ってぐらい時間立ってから道戻ってみたらいつの間にかここに」
「ってか道連れ増えたらダメじゃない?」
「まー出するだけで悲鳴あげてる状況じゃ―、どーしよーも無いのはあるけどさ」
「それより、しゃべり方戻しちゃうの? まー、仕事中だし仕方ないよね―」

 ゲイルの口数は先程から減ることを知らず、少女の精神的負担を増やしているのか減らしているのか。
ゲイルがそれを気にしている様子はない。

 前を歩こうかという提案を少女が却下しようとした時、状況が変化する。
これまで出会うことの無かった”異常性”の片鱗が底にあった。

「うーわ……どーなってんのこれ」
「精神汚染って言ってもさ、それだけで頭に指なんて入っていかないって」
「これやったやつ、一体だと嬉しいのかな?二体のほうが嬉しいのかなー?」
「一体だと処理が楽だろーし、二体なら一発でやられること無いだろーし……」
「……私に精神汚染って効くのかなー?多分効くよね―。マニュアルとかついでにかっぱらっておけばよかったー」

 片手でガリガリと頭を掻きながら、死体を眺めて一人で呟く。
そこには異状死した亡骸に対する恐怖や嫌悪などはまるで無く。
どう対処したものか、自分がその以上に対応できるのかというものだけである。

 その後、少女によるこの場所の追加説明を聞く。
なるほど、ここは混沌のるつぼだったらしい。

「……まだまだヤバイの居るよね―。その言い方だと」
「物理で殴れれば良いんだけど。そ〜じゃなかったら流石にやばそ」

 少女は語る間、遺留品である兵装の状態確認を行う。
作業に集中しているのか、状況に心がすり減ってきているのか。

「おおっと!危ない!」

 少女の背後より近寄るその影に気づけたのは、幸運だった。
明らかに人では無い、なんと形容すれば良いのか思いつかない物体に見える。
即座に槍を喚び出し、その影に突き立てようとする。

/すみません。 時間なので落ちますー。
/明日のおんなじ時間にいると思いますのでそれまで凍結をお願いします!
775 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/21(木) 23:50:19.17 ID:r1KU/X/Ko
>>774
/了解ですー、返信は後ほどしておきます
/ただ、明日はもしかしたら私の方が来れないかもしれません……不都合でしたら、切っていただいてもかまいませんのでー
776 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/21(木) 23:55:11.13 ID:BJpSegtr0
>>773

「ん…………んー?」

相手の言った言葉を繰り返し脳内でなぞり、その意味を考える。
傍から見れば薬物中毒者に見えても何ら可笑しくはない様子でもある。
魂が抜けたかのように薬を探し求める姿は、一般的なジャンキー像から遠くもない。
客観的に如何なのかを把握すると、またも先の思考の動作を少々長めにする。
と言っても十秒かその程度で結論に至り、見上げた顔を修道女へ擡げる。

「………………これで、教える……?」

パーカーの左袖を肩付近まで捲り、その全体像を露にさせる。
その少女の色白い左腕の肘より上には、紅と青で彩られた和彫りの楓模様が刻まれていた。
此処で敢えて腕の入れ墨を見せた意味と理由は、自分の社会的立場を伝える意図唯一つ。
尤もそれが如何に相手に捉えられるかは、まだ少女は碌に考えてもいなかった。
777 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/22(金) 00:16:31.37 ID:TiF8/cy0o
>>776
少女の見せた上腕の和彫り、それがどういう人間を表す物なのか修道女にもわかった。

「……脅そうとしてもダメなモンはダメだ」

少しうんざりしたような表情をしたが、それでも怯まずに首を横に振る。
少女が恐ろしい立場の人間なのはわかったが、それで薬を使っていないという証明にはならない、尚も情報提供を拒んだが、少し考える。

(……よく考えりゃ、なんでヤーさんが薬探してんだよ、そういうヤツなら自前で持ってねェか?)
(って事はアレか、アレだな……『仁義無き戦い』ってヤツだな!)

「……いや、違うな……テメェ、ヤク中って訳じゃ無さそうだ」
「いいぜ、教えてやるよ、但し条件付きだ」

少し時間が経ってから、何となくだが事情は察した、そうであるならと考えて、情報の提供は頷く。
だが、これ程危険な情報なら、自分にも見返りと安全保障が無ければ割に合わない、条件として、指を立てて見せる。

「一つ、この情報をアタイが流したと口外するな」
「二つ……金だ」

条件は二つ、両方ともかなりポピュラーな物だが、それだけにこれは譲れないというのを無言のままに表していた。
778 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/22(金) 00:31:47.88 ID:jeCuUH460
>>777

「わかった」

前者については何の問題もない。
一先ずは完遂さえすれば、情報の出所が何処所以かなど言う機会自体ないだろう。
後者については問題しかない。
第一金に不自由なければ掃き溜めのような仕事に就いていない。
それでも口約自体は問題なく呑めるに変わりはなく、故の即答であった。

「……………………で?」

再度やる気なさそうな声色で問い返す。
詰まる所要約すると、条件は呑む代わりに早くゲロしろよと催促している。
何も此方も、特段この修道女の情報に拘っている訳でもない。
可能な限り早急に終えたいので、知っているなら早々に聞き受ける。
その気がないなら周りのビル飛び越えて、自分で勝手に探すまでである。
779 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/22(金) 00:46:08.71 ID:TiF8/cy0o
>>778
「いや、テメェ本当にわかってンだろうな?」
「こういう雰囲気なんだから少しは空気読ンで悩むフリくらいは……まあいいや」

相手がヤクザ者だとわかってから、ちょっとだけ気分が乗ったのだが、だからって相手も空気を読んでくれるとは限らない。
呆れたように溜息を吐いてから、ポケットから取り出したメモ帳に鉛筆で書き記し、その一枚を破いて差し出す。

「ホラよ、捨てる時はちゃんと破けよ」

思い出せるだけ思い出して、書き記した売り場の場所、自分の情報がバレないように捨て方まで指定する辺り、結構細かい性格のようだ。

「……で、金は?」

メモを少女に渡すと、そのまま手を広げて差し出し、期待するような目で少女を見詰める。
780 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/22(金) 01:09:25.64 ID:jeCuUH460
>>779

「ん……」

書かれている内容を隅々まで読み取って記憶すると、渡されたメモを破り捨てる。
下手に物品を残すと、修道女以前に自分にも不幸しか招かないと知っているからである。
如何でも良い事柄は一時間と掛けず忘れるが、一応の重要事項なので恐らく大丈夫だろう。
ほんの些細だが足掛かりは掴んだので、少女は早速メモの場所に急行しようと足を整える。

「……ん」

情報提供者たる彼女から手の平を差し出され、思い出したように腰ポケットに手を突っ込んだ。
明らかに小銭入れと思われる財布から、何処から如何見ても500円の硬貨を手渡した。
現在の手持ちで最も高価な硬貨であり、紛れもなく金に違いはないだろうかなとは思う。
現場か、それでなければ銀行にでも着いて来ると考えてたが、その場で要求されたので
即興で払える金額と言えば精々この程度なので、少女はそれだけ払う事にした。

即座に低く屈むとその異常発達した両脚筋肉のバネを以て、上空高くに跳躍する。
路地裏の建物の屋上の手摺りに飛び乗り、もう一度彼女の方を振り返る。
修道女に礼の金は一応渡した事だし、何もなければこのまま何処かへと消えていくだろう。
781 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/22(金) 01:14:42.10 ID:TiF8/cy0o
>>780
「ん……よーし」
「金貰ったらアタイはもう行くぜ、ヤクザの抗争に巻き込まれんのは御免だからな」

少女から掌にお金を乗せられると、それを握り締め満足そうに頷いた。
取引が成立した後はもう、お互いにこれ以上干渉する理由は無い、修道女は付いていく気までは無いようだし、少女もこれ以上ここで油を売るつもりもないだろう。

路地裏の建物を飛び継いでいく少女を見てから、踵を返して修道女は歩き始める。

「……ってこれ五百円じゃねーか!!安すぎんだろォッ!!」

……矢鱈とタメの長いノリツッコミは、誰に聞かれるでもなく路地裏に木霊していた。

/お疲れ様でしたー
782 :【逸軌刀閃】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/22(金) 01:16:56.31 ID:jeCuUH460
>>781
/絡みお疲れ様でした!
783 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/22(金) 01:32:44.68 ID:/g6MKIvUo
>>774
一つ一つまともに相手をしていったら、自分の口数では如何にも追い付かない事を、立華は理解した。
喋り方について話しかけられた時はぴくりと身体を震わせるくらいに反応したもの、それに関しては、終始無言を貫き通す事にした。
話すのは必要最低限、話している隙を突かれて殺されるなんて、少なくともそんな碌でも無い落ちを、立華は望んでいなかった。

「これも"異常性"の一部だろう。精神を汚染して、指が頭蓋を貫通するように變形させる汚染」
「一見意味の無いようだが、然しそれこそが"異常性"だ。だからこそ、此處に收容されるような"異常性"」
「嬉しいも何も無いだろう……こんな、意味の無い殺戮をする"異常性"に」

使えるものをより分け乍ら、彼女の言葉に返していく。
それから、彼女の後半の言葉に少しばかり違和感を覚えた。其処から予測を立てるのだとしたら、非常に単純な物ではあるが、彼女は"人間"ではないことか。
別にそれに関する差別意識は無い。そもそも現状でそんなものを気にしていたら、それよりももっと恐ろしい"異常性"に、食い散らかされて殺される。

「なんだ、お前は兵器か何かか? まあ、どうでもいいがな」
「そうやって物を考える事が出來る以上、精神汚染は適応されるだろう。だが、少し良い物を――――――」

彼女が動き。そして槍を突き出した瞬間。拳銃の引き金に指をかけて、照準を合わせた。

―――――――――――― それは、大きさにして人間の腰元程の、歪な球体だった。

物では無い。その表面は柔らかく、湿った白い皮に覆われていた。更に其処から薄らと、青白い血管が幾つも透けて見えた。
そしてその中央には、人間の"目"が存在していた。それには何の変哲も無い、充血もしていなければ濁ってもいない、ただ普通の、東洋人の"目"が。
それは中腹程に槍を突き立てられると、酷く濁った、白みがかった緑色の液体を噴出しながら真っ二つに引き裂かれ、その生命活動を其処で終え。

「液體に觸れるな! 何が起こるか分からんぞ!!!」

立華は彼女へとそう叫ぶ。
それから、その物体の中からは、"人の身体のパーツ"が、緑色の液体に塗れて現れる。
酷く透き通った皮膚を持った、凡そ普通の人体とは酷く様相を違えているが、然しそれらは間違いなく人間の物であった。
バラバラになってはいるが―――――― 手があり、脚があり、脳があり、目があった。それらは、ピクピクと、未だ痙攣を続けていたが。
立華が撃った弾丸が、脳部分に着弾すると。今度こそ、全く、その動きを止めるだろう。ただ、彼女がそれに視線を向け、そしてよく観察したのならば。
一枚の羊皮紙が、人体のパーツの中に紛れているのが分かるだろう。それは血や液体によって汚れているが、大部分は読み取れる。それを補完して読めば

『お父さん、お母さん、私は元気なのに』

という、文章になるだろう。


「奇形嚢腫の化け物か……? それが特務の連中をやったのか?」
「……まあいい、今となっては分からない、分かりたくも無い。先に進むぞ、もう此處に用は無い」

「ああ、それと。これを持っておけ、認識災害遮斷效果の在るものだ。何か怪しい物を見る時は附けろ、死にたくなければな」

それから、立華は彼女へと回収したゴーグルの一つを彼女へと差し出すと、それに気付くことも、興味を持つ事も無く、彼女へ共に先に進むことを促した。
消費した弾丸を補充しつつ、歩いていく。それまでに、幾つも幾つも、扉が存在するのを見るだろう。
それらの扉には、一つの例外も無く、番号が振られている。一三四、五八、四七二……番号はバラバラだが、そのどれもが、非常に頑強な物で作られている。
そしてその殆どが破壊されていた。そしてその殆どは中身が空になっていた。―――――― そして、その内の一つ。
廊下に、血の痕が続いていた。酷く古い物のように見えて、それは開け放たれた『六五』番の中へと、続いている。

「……行くぞ」

彼女へと、立華は目配せをする。それから、震える手に力を籠めて無理矢理抑える。
彼女がついてくる、ついてこないに関わらず―――――― 冷や汗を流しながら、ゆっくりと、拳銃を構えつつ内部へと入ろうとするだろう。
784 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/22(金) 22:05:57.12 ID:Jn5liKQy0
>>763
少女は巫女が体勢を崩したのを確認し、一気に詰め寄ってきた。
新たな呪文。迸る雷光。
右足を青白く輝かせた少女の蹴りが迫る。

温存しておいた札を使うならまさにこの瞬間だろう。

【溜め3→『盾』符肆式作成】

巫女の周囲を虹色に煌めく透明な膜が球状に包み込む。
『盾』符肆式。『盾』の護符の最終形態。
発動すると1レスの間あらゆる攻撃を遮断する。

少女の蹴撃も轟く稲妻もすべて玉虫色の膜が吸収する。
そして着地の衝撃さえも無効化し、巫女は降り立つ。

泡と散るように膜が消え巫女が言う。

「私はここまでの様です。」

攻撃を終えへたり込む少女に提案する。

「戦いはここで終わりにしませんか?」

少女とその後ろの男性と両者へと問いかける。
少なくとも既に巫女に戦意は無いようだ。


//置いておきます
785 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/22(金) 22:24:35.76 ID:RvHhkFGHo
>>783
 ゲイルの軽口に少女は必要最低限しか答えない。
ゲイルはそのような一方的な会話であってもまるで気にしていないようだ。

「そーだね、嬉しいとかじゃなくて、どっちが楽かなーて言うべきだった」
「一体でも二体でも別に嬉しくないわー」
「つーか”異常性”マジわけわかんない」
「そうする必要があるのか分からないし、どうしてそうなるのかも分からない」
 
 そうした軽口の中の、ゲイルの正体に関わる話。
自身への精神汚染の影響。それが書かれているマニュアルについてだけである。
分かる人なら直ぐ結び付けられるが、縁のない人間ならばまず理解できないだろう。
それに気づいた少女に対して。

「そーそー。 立華ちゃんやっぱり軍人さんだねー」
「『我こそが“機翼”が内の一機!“炎天”を司りしゲイルスケグル!!』」
「うん、……だっさいわー。マジ開発者センス無いよねー」
「まずなんで機械天使で名前が戦乙女の内の一人?」
「しかも意味が“槍の戦”って。槍が基本兵装に入ってるけどさー、ゲイルスケグル炎関係ないじゃん! 」
「他にもさー! 案の開発者―!傑作の人型汎用決戦兵器です。各種戦線に投下できます。もちろん夜の戦にもって」
「あーもー! 私は福音関係ないしさー、なんでシモネタ混ぜるかな―。そりゃ自我芽生えてたら脱走しますよ!」

 大仰に名乗りを上げ、それに対してツッコミを入れる。
そのまま何やら自分で自分の地雷を踏抜いたのか、語れば語るほど語気が荒くなっていっている。
しかしそこにも真剣な怒りはない。場の空気を和ませるための軽口の一つ、笑い話として語っている様に感じられた。

/続きます
/初めて改行多すぎって怒られました
786 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/22(金) 22:24:50.35 ID:RvHhkFGHo
>>785
 ----そして、少女の背後の異常に気づきそれを槍で貫いた後。----

「うへー……キモ」
「言われなくても触んないって―」
「うわっ、まだ動いてる。キモ!」

 貫いたものの中から出てきた人のパーツと緑の液体。
それらは大気に晒されてなお、生命を繋ごうとしているのか。それともセミの最後の一鳴きのようなものなのか。
往生際悪く痙攣をしていた。 しかしそれも、少女が正確に脳髄を撃ちぬくことによりようやく止まる。 

「死んだ? 完全に死んだっぽい?」
「立華ちゃんありがとー。 槍越しでもあれ触るのちょっとヤだったんだよねー」

 気持ち悪いと言いつつ、その存在の観察を続けるゲイル。
そして羊皮紙に気がつくと。

「お、なんで羊皮紙がそんなとこに? それが持ってたの?」
「持つって言っても……あー。こう、透過能力を上手いこと使って皮ん中に入れた?」
「それならばこいつが頭に指ずぶ―ってなった方の犯人なのは間違いないよねー」

 そうだろう。これは、皮の中に手や脚があったのだ。
羊皮紙に字を書くには、皮の中に羊皮紙やペンを入れるしか無い。
そして皮が破れてしまえば、その結果はこの通り。死しか無い
皮を傷つける事無く羊皮紙に字を書くために、透過能力を持っていたと考えて間違いないだろう。
 
「なになにー? 『お父さん、お母さん、私は元気なのに』かー」
「ツイてなかったっぽいね。 まー、どんまい」

 羊皮紙に書かれた言葉。それは、感受性が豊かな、優しい人間ならばこの異形の境遇に同情もしただろう。
だがゲイルはただ運がなかったとして、そこで終わらせてしまった。
その後、この場を離れようとする少女に付いて歩き始める。
もはやその肉塊には何ら興味もないようだ。

「りょーかーい。 結構便利なものあるんだね―。 これ貰っていい?」 

 使える装備を回収した後、少女は本来の目的地がそこだったのか。他に何か理由があるのか。
古く見える血の痕を辿り、『六五』番の収容部屋……もはや監獄と言っても良いほどの作りで、しかし無残にも破壊されている。へと進んでいく。
その部屋へ入ろうとする少女は目に見えて緊張しており、重要で危険な何かが収容されていたのだろう。

「立華ちゃん、ここになんかあるっぽいけどさー」
「入る前に何があったか教えてちょーだい」
「場合によっては、本気だすから。 あんまり長く持たない上に、オーバーヒートすると足手まといになっちゃうけど」

 まーそんときは、囮ぐらいにはなるよー。と語るゲイルは、少女の緊張をほぐそうとしているのか。
それとも、本気で言っているのかはわからない。
/とりあえず、置いておきますー。
/返せるタイミングで返してください!
787 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/22(金) 22:46:23.70 ID:UZl9KaSKo
>>784

サマーソルトキックを放とうとした、其の時であった。
巫女の身体を玉虫色の何かが包み込んだのである、おそらくは札の効果か。
だが、そんなことは構っていられない。ここで決めなければ、おそらくハングアップする。
それを理解していたルピカは、巫女に、いや、巫女を包み込む膜に蹴りを入れるのだが―

「―えっ!?」

―起こったのは、吸収であった。
膜は裂けることもなく、ルピカの蹴りの衝撃を、そして雷光をも吸収した。
先刻、巫女は「小さな能力」を作り出す能力、と言っていたのを思い出す。
そうか、こういうことだったのか。なんて理解した時にはもう遅かった。

巫女は優しく地面に着地したようだ。
ルピカは空中にニット帽を残し、事切れたように地に落ちる。
所謂ハングアップだ。未だに不具合が多い、と言っていたのはこのことだろう。

さて、オケーレフはルピカが動けなくなったのを確認すると。
ルピカへ近寄り、腕と脚の関節にに開いている小さな穴にワイヤを通す。
そして、ワイヤを指に嵌め、巧みにそれを動かし、ルピカを立たせる。

近くにあった岩にルピカを座らせる。
そしてワイヤを再び外し、胸ポケットへと仕舞いこんだ。
オケーレフは巫女の元へと向かい。

「あっははは、久しぶりにルピカを開放状態にできた。しかもあいつも本気だった。
協力、本当に有難う。彼女と俺の意思は常に一致しなければならない。
出なけりゃ操作なんてまともに出来ないんだ。俺が身を案じて開放しようってもあいつは聞かなくてな。
おかげで、あいつもまだまだ強くなれそうだし、俺も改善点が見つかった。」

そう興奮の色を含みつつ、巫女へと感謝の意を伝える。
全くもって、久々にルピカの開放状態と本気を見たオケーレフは、嬉しくて笑いがこみ上げてくるようで。
その上改善点も見つかった。本当に至り尽くせリだった、巫女には感謝しても感謝しきれないか。

「ああ、戦闘はこれで終わりだ。巫女さん、ありがとう。俺らは此れで帰る。
―また、札が入用なら来させてもらう。」

そう、札の購入とルピカの戦闘が見られればオケーレフはもうそれで良いのだった。
だからこそ、巫女にも迷惑を掛けぬよう帰り支度を始める。
ハングアップしたルピカを起こす。ルピカは巫女へと礼をした。手合わせへの感謝だった。
さて、なにかいうことがあれば今のうちだが。
788 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/22(金) 23:25:16.45 ID:TiF8/cy0o
週末の夜、そろそろ夜も更けて来たが、賑わう繁華街は今からが本番で、様々な光が輝く街路に人の姿は多い。
すれ違う人に一々何かを思う人間はいないだろう、しかしそんなどうでもいい他人にだって1人の人間である以上は物語は存在する。
苦悩や葛藤、酸いも甘いも引っくるめた過去があって、それを抱えながら生きる人もいる。

そんな人間の苦悩、そして懺悔を優しく聞き入れてあげるのが彼女の役割だ、神の代理人として全てを受け止め包み込む。
そういった慈善事業を行う者がいる、街角に椅子だけを置いて座り、穏やかな表情で街行く人々を見つめている修道女。
彼女の座る椅子の傍らには、『あなたの悩み、懺悔聞きます』という看板が。あからさまに胡散臭いが、彼女の佇まいの為か街の雰囲気に流されてか、中々客は来るようだ。

「……ふぅ」

修道女は、小さな溜息を吐いた、そろそろひと段落して、ここを離れようかとも考えていた。
余り遅くまで教会の外にいては神父がうるさ……心配するから、それでも後1人誰かが来たら、それを最後にしようと考えていた。
789 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/22(金) 23:35:09.26 ID:X+EiV1Sgo
>>788
夜の繁華街の賑わい
その構成材質の一つは、巫女だった

「やっぱ都会って楽しいですね〜うんサイコー!!」

その巫女は、辛く苦しいはずの過去を持っていた
だが、それを笑い飛ばして生きている
なんともお気楽なことか
まあ、普通は細やかな慈善事業など素通りする人種だろう
だが、そいつは腐っても理性が蒸発してても巫女だった
何故か、キョウカイという響きに戦闘力の高そうという感想と敵対心を抱く巫女だったのだ

「むむむっ、なにやら胡散臭そうなことやってますね〜
あれですか?新手の詐欺ですか?」

だから(?)、露骨なまでに嫌な顔をしてそんなことを言う
それも、相手に聞こえるような近い距離で
790 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/22(金) 23:52:21.79 ID:TiF8/cy0o
>>789
「あらあらぁ」

何やら不躾な声が聞こえた、いやいやこんな事は日常茶飯時なのだ、特にこう言った場所でやっていれば。
冷やかしもいれば失礼な奴もいる、所場代をせびりにくる奴だっていたし、酔っ払いなんて可愛いものだ。
だから、余り気にする事はない、笑顔を向けて無害を装っていれば、自ずとそういう輩は引いていくのが殆どだから。

「……巫女さん、ですかあ〜?」

とはいえ、まさかまさか、一体何処の誰がこんな事を予測しようか、巫女がシスターに対して何か小さな対抗心を燃やしている。
こんな所で宗教代理戦争が始まろうとしているとは、まだ誰も知らない。

「うふふ、いいえ〜、詐欺だなんてとんでもないですよぉ〜」
「私はここで、悩み多き方々の話を聞いて、主に伝えているだけ、それだけですう〜」

喉の奥がひくつきそうなくらいに甘ったるい声で、巫女に微笑みかけながらそう答える。
ただの善良な修道女である……見た目は。
791 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 00:09:57.89 ID:sSo526IWo
>>790
「ええ巫女ですよ!偉大な神に仕える健気な巫女さんですよっ!」

巫女らしくピースしてウインクして肯定。どこが巫女らしいんだか
だが、この巫女には有象無象とは違う点がある
理性が、ないのだ
諦めるという選択肢が、破壊されているのだ
どうしようもなく、巫女なのだ

「オェェ!なにその外面感丸出しの甘っっっっったるい声は!
反吐が出ますねっ!話を聞いてそれだけで終わるわけねーよ絶対!」

吐く仕草をしつつもさらに罵詈雑音を浴びせる
無料ほどあやしいものなどないのだ
その点、神社は清廉潔白だ。ちゃんと御賽銭があるのだから
少なくとも、この全く善良さも敬虔さもない巫女に引く気などなかった
792 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 00:26:18.96 ID:ttv99vC2o
>>791
「…………」

ニコニコと微笑みを浮かべたまま、騒ぎ立てる巫女を黙って見つめている、それこそ身も蓋もない事を言って気を引こうとする子供を眺めるような目で。
こんな挑発に乗るのは、それこそ自分のやる事に後ろめたいものがある奴しかいないだろう、身の潔白を自覚する者の余裕と言うものだ。

(……なんだコイツ、キ○ガイか?)

前言撤回、この修道女は心優しい聖女では決してなかった。

(何がしてェんだこの巫女、喧嘩売ッてんのか?買って欲しいのか?お?)
(人の商売の邪魔すンじゃねーよ[ピーーー]ぞコラ)

人には見せられぬ裏の顔……というか本性が心の中で悪態を吐く、つい舌打ちしそうになったが何とか抑えた。
というかもう自分で認めたが、『商売』である、完全にこれは商売であった、しっかり金を取ってます、『善意のお布施』という形で。

「うふふ、お元気だこと……巫女さんは元気があっていいですねえ〜」
「ですが、本当にそれだけですよぉ、そう疑ってはいけません〜、信じる者は救われるのですよぉ〜」
(で、どうやってブチ転がすよコイツ?)

取り敢えず、まだ表っつらは取り繕ったままあしらおうとしてみるが……。
793 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 00:40:09.22 ID:sSo526IWo
>>792
「おっや〜〜?あなた、笑顔が引き攣っていましてよ〜???」

今度は鎌をかける戦法だ
実際にはこの聖女の笑顔は歪んでいない。はずだ。
少なくともこの巫女には歪んでいるように見えていない
意地悪い笑みをニヤニヤと浮かべる巫女は、まだ引かない

「えぇ〜ほんとにござるか〜?
元気な巫女さんからするとそのフレーズってすごく詐欺なんですけど〜?救い詐欺なんてこのご時世流行りませんぞ!」

さらに煽り煽る。ニヤニヤ笑いながら
ハッキリと断っておこう。こいつは喧嘩を売っている。喧嘩のバーゲンセールだ。お安いよ!
宗教戦争上等!異教徒に慈悲なし!
まあ、そんな巫女はこいつぐらいなのだが
794 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 00:56:18.19 ID:ttv99vC2o
>>793
「……ふぅ」

(よーしわかった、そこまで言うならしかたねェ)

溜息を吐いた、呆れたような疲れたようなそれ。
そして、それがスイッチの切り替わる合図でもあった。

動きは余りにも早い、修道女が腰を僅かに上げ、立ち上がるかどうかといった瞬間には、既に動いていた。
蛇が獲物に噛み付くよりも速く、修道女の右手が巫女の顔面に掴みかかる、長身であるとは言え、少女とは思えぬ力で顔面を締め付ける。
巫女の顔面に見事なアイアンクローが決まったなら、そのまま路地裏に連れて行こうとするだろう、その行動の一部始終は街行く人々の目に止まらないくらいに素早かった。

路地裏に連れ込まれると、巫女は投げ捨てるように解放されるだろう、先程までとは別人かと思うくらいに険しい表情で。
795 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 01:04:04.01 ID:sSo526IWo
>>794
「ギャー!お持ち帰りされるー!」

なんて叫びながら路地裏へと攫われる巫女
アイアンクローはクリティカルヒット!しかし巫女は不思議巫女パワーで叫んでいた
まあ、気の狂った巫女の叫び声に反応するようなもの好きはいないのだが

「わ、私に乱暴する気でしょっ!エ○同人みたいに!」

投げ捨てるように解放されて開口一番に叫んだのがこれだ
巫女服の胸元を押さえ、顔を赤らめてる…演技派だ
先ほどと全く同じように、ウザい態度だ
だが、巫女は忘れていた。初心を
それでも、薄々思っていることがある
宗教戦争の、予感だった
796 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 01:18:25.68 ID:ttv99vC2o
>>795
先ずは指を鳴らす。次に首を。肩を解す。
穏やかに細くなっていた目は、爬虫類を思わせるような縦の瞳孔が据わっており、鋭い牙を剥き出しにしている。

「まーアレだ……テメェがなんのつもりで何が目的かは知らンが……テメェの売った喧嘩だぜ」
「半殺し……いや、3分の2殺しは覚悟しとけや」

纏っている修道服を掴み、脱ぎ捨てる、中に着ていた服は修道女の着るものとはとても思えぬようなものだった。
ホットパンツとノースリーブシャツだけという、動きやすさだけを追求したような服装に加え、露出した四肢には幾つも傷痕が刻まれているのが見える。

「今からブン殴るが───言い訳か詫びがあんなら聞いてやるぜ?」
「その分だけ殴る数を追加してやるからよ」

797 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 01:28:25.41 ID:sSo526IWo
>>796
「フッ…やっとその気になってくれたか…待ちかねたぞ、少女よ」

修道女というよりは武闘家、それも爬虫類の武闘家という印象だった
だが、属性の濃さならこの巫女も負けない
その手にはベレッタM93R――対テロ用の機関拳銃
巫女改め、巫女ガンマンだ

「言い訳など不要―――我らに必要なのは宗教戦争のみ――――」

シリアスな雰囲気は続く
銃は構えられ、臨戦態勢だ
その構えは、巫女が銃に親しいと如実に示す
まさに―――一触即発
そして――――――巫女が口を開く

「なんちゃって☆」
798 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 01:39:39.63 ID:ttv99vC2o
>>797
「はっはっは、面白いなテメェ[ピーーー]ゴルァァ!!!」

怒りのボルテージは既にMAX、馬鹿にされすぎて逆に冷静になっていたが、とうとう本気の本気でブチ切れる。
相手が銃、それがなんだと言うかのように、巫女に向かって突進する、その速さもさる事ながら、接近の仕方にも戦い慣れを感じさせるだろう。
ただ真っ直ぐ駆け寄るのではなく、細かい周期でジャンプし、路地裏の壁を蹴っては反対側の壁を蹴り、地面に着地しまた跳ぶ……といったような三次元的な動きを織り交ぜながらの接近。

巫女が迎撃行動をする事が出来なければ、彼女は巫女の目の前に着地したかと思うと右の拳を容赦なく顔面に叩きつけようとするだろう。
尤も、ただ殴るだけではない、いつの間にか修道女の四肢は硬い───全体が白く、先端に行くに連れて赤くグラデーションしている───竜の鱗で覆われていた、つまりこの拳で殴られるのは、鋼鉄のナックルを嵌めた拳で殴られるような物だ。
799 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 01:47:12.97 ID:sSo526IWo
>>798
「大切なのは面白さっ!」

遂に、宗教戦争が始まった
もうこうなったら止まらないだろう。きっと

細かい周期での接近、慣れを感じさせるそれをしかし巫女はあっという間に読んで見せたらしい
そう、地面に着地したその瞬間を狙って三連射が放たれたのだ
それも、微妙に射角をずらして点ではなく扇状に狙える三撃

これで足を止められなかったらのことは考えていない。
そうなったら可憐に血でも吐きながら宙を舞うだろうなー…なんて思うと少し憂鬱に
だが、そんなの別にどうでもよかった。
800 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 01:49:29.04 ID:sSo526IWo
//すみません…戦闘できるだけの思考能力がなくなりつつあるので凍結でお願いします…起き次第返します故ー
801 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 02:05:19.85 ID:ttv99vC2o
>>799
攻撃をするにはどうしても地面に着地する必要がある、強い拳を放つには地面を蹴る事が重要なのだ。
それ故に、そこを狙われるのは辛い、至近距離まで引きつけて迎撃されると回避する暇がなくなってしまうのだ。

「ガッ……!」

弾丸が射角を広げ切る前に、全弾修道女の腹に着弾する、攻撃を放とうとしていた修道女は怯み、一歩後ろに下がった。
……だが、よく考えても見て欲しい、銃弾な至近距離で3発、それも胴体に着弾して、彼女は少し怯んだだけだ。
血の一滴も腹からは出ておらず、少し遅れてカラカラと音が響く、勢いを失った銃弾が、修道女の腹から零れ落ちた音だ。

「……ッてェなこら!タコが!!」

彼女の纏う鱗は硬い、銃弾すら弾き返してしまう程のそれを、確りと服の下にも纏っていた。
それならば、防弾ジャケットを着ているのと同じ、銃弾の衝撃はあるが体の肉を穿つまでは行かない、銃の利点は大幅に失われる事となる。

怯み下がった一歩を利用し、すぐに反撃に転じる。
引いた方の脚を素早く振り上げ、脚の裏を押し付けるような……所謂ヤクザキックを巫女にお返しした。

>>800
/わかりました、では一旦お疲れ様でした。
802 :【嗅乞賢狼】 [saga]:2016/01/23(土) 02:27:56.54 ID:D1imHaLH0
暗い夜道、彼は何か違和感を感じて立ち止まった。
この町では血の匂いは大して珍しくもない。それから逃げるように遠回りする生活にも慣れた。

(同じ匂いが、さっきからついてきている)
(考えすぎか?)

わざと遠回りしている自分と、通る道が同じというのは土地勘のある人間なら普通はありえない。
この町に知人は少ない。彼らの匂いとは違う。

「………」

恐る恐る、振り返った。


/置きになりますが絡み待ちです
/明日の夜くらいからなら安定して返せそうです
803 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 11:45:46.90 ID:sSo526IWo
>>801
無事に三発の銃弾は修道女に当たった
何事もなくにいきょーとを殲滅できてめでたしめでたし……
となるはずだった

「あれれー?おっかしゴフゥッ!?」

想像以上に銃弾が通じないことに疑問を抱いたところにヤクザキック
クリーンヒットだ、肺から空気を絞り出されて数mも宙を飛んで倒れる
が、

「ゴッホ!今のは効きましたよ〜?では…私も真の力を解放してしまいますか!」

立ち上がった
巫女は考えた。かの邪知暴虐の修道女を除かねばならぬと決意した。
巫女には銃弾を弾く原理が分からぬ。だからとりあえず量をぶつけようと思った。

牽制の三連射をしつつ小さな声で詠唱を開始する。詠唱文は…割愛
詠唱は不必要に長く牽制の射撃をしているものの隙は大きい
そして、詠唱を始めた途端に巫女に大きな力――魔力が流れ込みだす
詠唱が滞りなく終われば――巫女地獄の幕開けだ
804 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 12:37:10.34 ID:ttv99vC2o
>>803
「オイオイ……大袈裟だなァ……それともノってくれてンのかァ?」
「『ちょっと』脚で小突いただけだぜ?」

ニヤリと上がった三日月の様な口角、余裕を見せ付けるかのように、腕を組み上げた蹴り足をクイクイと曲げてから、仁王立ちの立ち姿に体制を戻す。
とは言っても、銃弾を弾くような鱗があったとしても、超高速で放たれる鉛の弾丸の持つ運動エネルギーは決して無視出来るような物でなく、そのまま全てを受け切るなんて事をする気は無い。

「テメェが一体何の目的で何がしたくてアタイに喧嘩を売ッたのかは知らねェが、買ってやッた責任だ、ボッコボコに顔面腫らしてやるよ」
「ほんのちょッとだけテンション上がってきたしなァァ!!」

巫女が真の力を見せるというなら、此方も隠していた物の一つを見せる時だ、出し惜しみをしていてはいけない。
ローライズのホットパンツから見える腰から、ズルリと伸びた太い尻尾、身長よりも遥かに長く鱗に覆われた筋肉の塊が、しなやかな鞭の様に振るわれて銃弾を防ぐ盾となる。

「そらよォッ!!」

腕組みでその場に立ったまま、尻尾だけを大きく振るって、路地裏の地面に勢いよく擦り付ける。
逆立った鱗に削られ、抉られたコンクリートが沢山の石つぶてとなって、振るわれた尻尾に跳ね上げられる。
それら砂と石の混ざった物が大きく広がりながら───弾丸ほどでは無いが───物凄い速さで巫女に飛んで行き、広範囲の攻撃となる。
805 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/23(土) 13:42:25.90 ID:8MF+e8XDo
>>785
>>786
彼女の事情についてであるが。はっきり言って詳しいことは、彼女の語りでは全く分からなかった。
ただ機械天使という括りで作られた兵器であるという事は理解できたのだが、重要な部分を意図しているのか無意識なのか、言わなかった。
そしてそれよりなにより。立華は、この状況に置いて、唯々彼女の言葉に対して「う、うるさい……」という感想で終わらせたのも大きな理由だった。
ああはいはい、と適当にあしらいながら奥へ奥へと進んでいく。そうして奇形嚢腫の化け物を殺し、『六五』番の収容部屋へと辿り着き。
苦々し気に歩み入ろうとする立華を、彼女が引き留めて。一旦ではあるが、その脚を止め。

「―――――――――――― 六五番は、私の知る限りでは」

「未知の手段、未知の技術を以て作られた、"現実改変装置"があった。文字通り、現実を思うままに改変する、悪魔のような装置だ」
「放っておいても問題無い、操作しなければ問題無い。効果範囲も大きくない。どう頑張ったって……そう、"この収容棟全部"くらいが精一杯の」
「"こちら"で収容されていたものは、いざこざによって破壊されている。だが……此の中に、同じものが、収容されていたとしたら」
「……そして、この通り。血の痕は、部屋の中へと続いている。"操作しなければ問題無い"が、触れれば……どんな悪夢が起こるか、分からない代物なんだ」

「だから……本当に、何かあったら。お前の力も借りることになるかもしれない……覚悟しておいてくれ」

下手をすれば、この中に全ての根源がいるかもしれない。この"異能収容棟"をこの世界に出現させ、こんな風に"異常性"をばら撒いた根源が。
或いは、もっと恐ろしい何かがあるかもしれない。どうあれ、この中に何かがあるかもしれない可能性は、そこらに転がっている可能性よりは高いのだ。
だから、行くしかない。それが、震えながらも、立華がその中へと進もうとした理由だった。
ゆっくりと、先ずは番号の書かれた収容室の扉を開ける。鍵は壊されているものだから、特に手間がかかる事も無く、内部へと踏み入れる事が出来た。
入り口には認証装置や何重にも張り巡らされた一枚何千万とする対改変処理を施された鉄の扉があったが、それらは全て、力づくで破壊されているように見えた。

「なんて馬鹿力だ。異常物品を使ったのか? それとも、それその物か……」

ゆっくりと銃を構えたまま、進んでいく。幸い、収容室へは一本道だった。それに、血の痕は丁寧に奥まで続いている。
収容室最後の扉もまた、同じように破壊されていた。そこで少女は手に入れたゴーグルを身に着け、彼女にも譲り渡したそれを着けるよう促すだろう。
足音を立てず、決して警戒を断たずに前へと進み……その中へと、脚を踏み入れるだろう。
806 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/23(土) 13:42:38.17 ID:8MF+e8XDo

「……無い。改変装置が、何処にも」

先ず眼に入るのは、死体だろう。死後どれ程経過しているのか、既に肉はほとんど残されておらず、そして血の痕は其処で止まっていた。
白衣を着た男の死体だ。すぐ傍には彼がかけていたものであろう眼鏡が落ちていて、更にその手の中には、何枚かの書類をまとめたファイルがあった。
そして、清潔な白い壁には、血を用いたのだろう。『正気のままでは狂気には及ばない』と、大きく書き記されていた。
ゴーグルは、それらをスキャンした後、汚染災害の類の気配は存在しないとして、オールグリーンを返すだろう。……そして。この部屋の何処にも、立華の語った"改変装置"は存在しなかった。

ただ一つだけ、イレギュラーがあった。その収容室の内部には、余りにも場違いな、木造の"扉"が存在したのだ。
無論それは最初から想定して作られた物では、到底無い。何らかの方法によって、後から其処に作り出されたものなのだろう。
扉には、それが何かを示す案内は何一つ書かれていない。それが、"扉"であること以外に、其処には一つも、情報は存在しなかった。


「……お前は、其処に転がっている死体を調べてくれ。私は……あの扉を調べる」


立華の興味は、その扉へと注がれていた。故に、拳銃を下ろしつつも納める事は無く、其処へとゆっくりと近づいていった。
立華へと彼女が"調べてくれ"と言った死体にも、無論ゴーグルはオールグリーンを返すだろう。気休めではあるだろうが、それは安全だ、と言っていた。
実際にどうするかは、彼女次第だ。その死体でも良いし、何か気になる事があるのならば、他を調べても構わない。無論、立華と共に扉を調べても良い。

/昨日は結局来れませんでした……取り敢えず返しておきます、すみません
807 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 14:24:39.93 ID:sSo526IWo
>>804
「修道女の災厄を捧がん……」

さりげなーく詠唱の一部を改変。やはり悪意しかない
尻尾を見てキモイなー…と思いながらもとっさに腕で顔を隠す
次の瞬間、砂石が巫女を襲う
痛みに耐え、巫女服を引き裂かれながらも巫女は言葉を紡ぎ続けた
そして、立ち続けた
その姿は見るも無残、巫女服はズタボロ、所々からは真っ赤な血が滲んですらいる
だが、確かに彼女は立っていた

「―――鹿嶋 建御雷冥加 殲滅の時間だゴラァ!」

そして――巫女地獄が始まった
ボロボロの右腕を横に振えばラインメタルMG3が三挺巫女の周囲に現れる
そしてそれらは一斉に異教徒の方を向いて――
フルオートでの絶え間ない銃弾の嵐を撒き散らす

この冥加には制限時間がある
圧倒的な火力を叩き出せるが短い制限時間さえ乗り切れれば――巫女は無力となる
さて、異教徒は銃弾の洗礼を乗り切れるのか―――

//すみません!遅れました!
808 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 15:15:59.70 ID:ttv99vC2o
>>807
詠唱を止める事は叶わじ、とうとう巫女が『真の力』と呼ぶ物が垣間見えた。
手に持たずに空中に浮く三挺の機関銃、戦艦の機関砲じみた隊列を組んだそれが此方を見ている事から、何が始まるか容易に予測できる。

「チィッ!トリガーハッピーが!!」

これだけの銃弾の嵐の中、耐えながら反撃なんて事は流石にリスクが高い、かと言って避ける事が出来そうな様には見えない。
鱗を閉じた尻尾を体に巻き付ける様にして防御体制を取り、脚を踏ん張る、そこに乱れ撃ちの弾丸が幾つも当たり、弾くが……。

(糞……ッ!いつまでも耐えてらんねェぞ!!)

これだけの攻撃翌量だ、いくら銃弾を弾けるとはいえ衝撃は軽い物では無いし、いつ終わるかもわからない攻撃をいつまでも防御してはいられない。
そこで修道女は、一瞬だけ防御を解き、尻尾で横の壁を砕いてその中に転がり込む事にした、塀の裏に隠れて射線から逃れるつもりだ。
809 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 15:36:41.37 ID:sSo526IWo
>>808
「逃がしませんよーっ!」

さらに三挺、機関銃が宙に現れる
戦艦ですらない。これはもはや――
軍隊

そんな嵐は射角を変え、塀ごと異教徒を撃ち抜こうとしている
塀はガリガリと削られ―――

コンマ以下奇数:
流石に軍隊に耐えきれず、崩壊する
その後、すぐに修道女に銃弾が襲いかかり――
たちまち、嵐は収まる
砕けた壁の彼方には――やっべという顔をした丸腰巫女

コンマ偶数:
どんな壁なのかは分からぬがなんと銃弾の嵐を耐えきってみせた
しばらくすると、壁を打つ銃声がたちどころに消えてしまう
霊力切れだ
それを悟った巫女はこそこそと逃げ出そうとして――
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山陰地方) [sage]:2016/01/23(土) 15:53:11.41 ID:eiJFwZD+o
ヤバい
811 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 15:58:44.18 ID:ttv99vC2o
>>809
何とか塀を砕き、その中に飛び込む事に成功した、が……。

「グッ……糞、無理矢理過ぎたか……!」

幾ら何でも、短時間とはいえ銃弾の中に身を晒したのは大いに堪えた、身体中が打撲のような痛みで痺れている。
この塀もこのままでは持ってあと数秒、その間に反撃の策を考え───

「───ッ!?」

いや、違う、修道女の耳は銃声の交響曲にさらなる音が追加されるのを聞き取る。
いったい幾つまで出せるんだ───そう思った瞬間には、身を隠していた塀は砕かれていた。
六挺の機関銃から更に激しくなった一斉掃射が修道女を襲う、瞬時の判断で全身を鱗に包み、身を屈めて完全な防御の姿勢を取る。

……いや、防御ではない。

「……ッンの……糞アマがァァァッッ!!!」

修道女は叫び、屈めた身から伸びた尻尾で強く地面を叩き、コンクリートを砕く程の力をバネにして、銃弾の嵐の中を無理矢理に突破しようと試みた。
怒号をあげて、怒りの矛先を突き刺さんとする相手である巫女に向かって、近付くにつれて激しさを増す中を、それでも尚突き進み。
思いっきり握り込んだ右ストレートを、巫女の顔面にブチかました。
812 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 16:19:10.05 ID:sSo526IWo
>>811
砕けた壁の向こう、そこから出てきたのは――
拳だった
刹那の銃弾の豪雨はたしかにあの修道女に痛手を与えられたはずだ
だが――そんなことは関係なかったようだ
霊力が尽きるその瞬間、拳が刺さったその瞬間に理解した

嗚呼――きっと私はもうダメだ
異教徒に敗北した
だから、この言葉を贈ろう

「我が一生に―― 一片の悔いなし!」

拳に吹き飛ばされた巫女は倒れたまま動かない
だが、生きている
…生きている。
813 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 16:29:10.51 ID:ttv99vC2o
>>812
「……はァッ!……はァッ!……」

巫女の顔面を殴り飛ばし、ゆらりと揺れる様に腕を降ろす。
激しく息を荒げ、頭を上げる気力も無い、身体中の鱗が消えていき、尻尾もまた体の中に吸い込まれる様に収納されていく。

やってやった、あのムカつく巫女の顔面に予告通り拳を叩き込んでやった。
何でこんな事をしていたのか、わからないがもうどうでもいい。

「そのまま……天に帰れ……糞巫女……」

ドッと疲れたし身体中が痛い、崩れ落ちる様にその場に片膝を付くと、そのまま前のめりに倒れた。
814 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 16:39:43.88 ID:EB3OzkjBo

 夕暮れ時の路地裏に重低音が響く。
 崩れ落ちたように地に突っ伏した男と、
 その目の前で火の付いていないタバコを咥えた赤髪の男。

「少年、ケンカを売る相手は選んだほうが良いぞ」

 バーテンダー服を着た赤髪は、倒れている男にそう言った。
 相手は既に気を失っているため、言ったところで意味は無いだろうが……。

 真冬の路地裏は妙に暖かく、僅かに焦げ臭くもあった。
 異能を使ったと僅かに、ここを訪れたものは理解できるだろう。
815 :【銃姫神女】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/23(土) 16:48:55.16 ID:sSo526IWo
>>813
しばらくして、巫女がもぞもぞと動き出す
どうやら、起きてしまったようだ

「うーん…何やってたんでしたっけ…?ま、いっか!」

…なんと、先ほどまでの激闘を覚えていないようだ
頭を打ったからね、仕方ないね!
疲れたーなんて呟いて大人しく天ではなく神社への帰路に着く
こうして、異種宗教戦争は幕を閉じたのである
めでたしめでたし

//ではここらで〆でーいろいろとはっちゃけすぎました、ごめんなさい!ありがとうございました!
816 :【棘纏鱗竜】 [sage]:2016/01/23(土) 16:50:34.36 ID:ttv99vC2o
>>815
/お疲れ様でしたー
817 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 18:11:31.44 ID:YHjKL/II0
>>814
赤髪の男が少年を放置し、その場を去ろうとした矢先に、彼の脳内は妙な『うねり』を感じることとなる。
船に酔ったか、酒に溺れたか、薬に手を出したか。否、どれとも違う。言うなればそれは、日常の『違和感』を数十倍数百倍に増した様な。
そんな奇妙なうねりは、彼がそれに気づいてから僅か数秒程で止む。
―――途端、彼の背は人の気配と、カツカツという杖が地をつく様な音を察するだろう。

「―――あーあーやられちゃって。どっこいせっと!」

幼く高い掛け声が路地に反響すると、見慣れない蛍の様な光が迸る。

『……っ、は……?』

赤髪の男は驚く筈だ。彼がつい数分前に打ちのめした相手の声が、―――少年の声が、戻ったのだから。

「はいはい起き上がったらダメだからね、正気に戻しただけだから傷は治ってないの。ってことで、お姉さんにまっかせなさーい」

場に似合わぬ明るい声色に、赤髪の彼は振り向くだろうか。
仮に振り向けば、そこには。

「ねね、そこのお兄さん。これって一体どしたのさ?」

片手に杖を突き、もう片方の手は腰に当てて仁王立ち。
季節にそぐわない薄手の花柄ワンピースに、緑のカーディガンが一枚。常人では寒くて耐えられない程の軽装で話しかけてきたのは、年端も行かぬ女性。
それが如何にも『いい事をしてやった』と満足そうな表情で、こちらに向いてニヤリと笑っている。
818 :【代替神罰】 [saga]:2016/01/23(土) 18:29:16.34 ID:+VZvINhs0
>>802

その神父は暗い夜道を歩いていた。目的は怪しい男の追跡。
夜の道は暗い。普通ならば、遠回りをするようなこの道を選ぶはずはないのだが。
悪人や化物といった類の可能性はある。
ついていって相手を調べてみよう、というのが狙い。

前方の男が振り返った。
やはりばれていたのだろうか。最早身を隠す必要などあるまい。

「こんばんは。夜は大変くらいものですねえ」
完全な作り笑顔。最もこんな暗い夜道で相手が見えるのかは分からないが。
「こんな日は何かがでそうだとは思わないかね?この十字架に触れてみなさい。神の加護が得られるだろう」
首に掛けた十字架を外し、手に握った。それから距離を近付け手のひらを上にし差し出した。これに触れと言った。
この十字架は聖なる力を有し、魔物が触れたならば軽度の火傷を負うことになるだろう。
これで何もアクションが起きないならば化物では無いということ。
次は悪人かどうか調べる。

強引に絵踏みのような行為をさせようとしていた。
819 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 18:30:47.10 ID:EB3OzkjBo
>>817

「ん」(なんだ……? 妙な感覚が……)

 頭の中に奇妙な『うねり』を感じ、立ち止まる。
 それは数秒で収まるが、赤髪の男はその場に立ち尽くす。
 理由は、後ろに突如人の気配と杖をつくような音を耳にしたからだ。

 振り返れば、そこに立っていたのはまだ幼さのある女性。

(さっきの妙な感覚は、この少女が原因か?
 だとするなら能力者か。少年も意識を取り戻している。
 それに、傷を治すつもりでもあるようだ)

「何でも無い、ただのオッサン刈りか、ただの腕試しか。
 そこの少年がいきなりケンカを売ってきた。それを返り討ちにしただけだ」

 「何も面白みのない話だ」そう付け加える。
 縁も何も無い相手と戦っただけの話。

「それで、少女、君は寒くないのか?
 見ているこっちが寒気立つ格好だ。コート着るかい?」

 言って、赤髪の男は上に着ていたチェスターコートを脱ぎ出した。
820 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 19:00:42.38 ID:YHjKL/II0
>>819
「……あれ、意外とまともな理由」

不敵な笑みはどこへやら。どうやら相手の言葉に疑いは無いらしい。
少女はきょとんとしてから、むっとした表情で仁王立ち体勢を解除し、少年に振り向く。

「ちょっと少年くん! あたしちょっといい事して気分良かった……あれ?」

と、先程まで痛みに堪えて地に寝そべっていた筈の少年は居ない。

「……あちゃー。あれだけの手負いで逃げるって、大したタマだわ」

緑がかったウェービーな黒髪を撫で付ける。何もかもが上手く行かないといった様子で、また男性の方へ向き直す。

「あー……なんかごめんね、お兄さんね……」

たはは、とあどけない笑いを演じる。
すると、目の前には彼の着ていたコートが差し出されていた。

「ああうん、“光魔法の応用”で暖かくしてるのよこのワンピース」

何でもないように、異質な単語を並べた後も彼女は続ける。

「あと少女じゃないのよねこれが。見た目の3倍は食ってるから、うん」

と、如何にもおばさん臭く手をパタパタと振る。
まともな人間でないことは、十二分に伝わっただろうか。
821 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 19:17:36.14 ID:EB3OzkjBo
>>820

(光魔法……なるほど、魔法使い。
 確かにそれなら治癒もできそうだ。
 さっきの少年の意識を回復させたのも何かしらの魔法か。

 ……ん、今年齢が三倍ほどと答えたか?
 見た目では20前後だから……つまり)

 相手の言葉に頷き、赤髪の男は少年と自分に起きた事柄を再認識する。
 だが、その途中で男はあることに気が付く。

 あれ、この人年上じゃないか? と。

「すみません。完全に年下として対応していました。
 年上の可能性があるとは思っておらず、申し訳ありません」

 そう考えてからの男の行動は機敏だった。
 きっちり45〜60°の角度で最敬礼。
 言葉遣いも直し、一瞬前まで咥えていたタバコはいつの間にか消えている。
 敬礼してからは腰を落とし、相手との目線を合わせるまで行った。

「非礼のお詫びとして、自分が経営しているコーヒーショップでの一杯、いえ十杯無料にさせていただきます」

 相手が自分の店に来るかどうかもわからないというのに、赤髪は無料券を差し出している。

(見た目で判断してしまうとは……もう40超えているのにまだまだだな)
822 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 19:36:28.68 ID:YHjKL/II0
>>821
少しの間、男性がじっとこちらを見ながらブツブツと考え込んでいた。
―――すると、突然ハッとした表情でこちらを見た。

「…………そんな極端な」

少女はそうつぶやき、目を細めて相手の怒涛の敬いを受け続けた。
敬意を重ねられれば重ねられるほど、彼女の苦笑は力無く増していく。
礼、言葉に始まり、煙草を捨て跪いて目線を合わせた頃には、「は、はは」と笑うしかできなかった。

そして最後、彼の仕事場であろうコーヒーショップの無料券を差し出された時には―――限界であった。
覚悟を決めたのか、すぅ、と息を深く吸い込んだ後に。彼女は―――叫んだ。

「そんな、そんな扱いされる為に………歳喰ってないわぁぁぁぁあああああっっっ!!!!」

ないわー、ないわー、ないわー。
路地の壁から響き返るその声は何より悲痛で、声“だけ”は幼いからこそ心苦しい響きを持っていた。

「ぜえ、ぜえっ……もらっとく……っ!」

息切れを混じらせて、少女は無料券を薙ぎ取った。
男性をキッと睨む目には、軽く涙が湛えられていた。
823 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 19:48:45.83 ID:EB3OzkjBo
>>822

(……年上として対応するのは不味かったか?)

 相手の魂の叫び(?)と目を見てそう思う赤髪。
 女性の心というものを理解できていないチェリーボーイには、
 もう少し女性のことを学んだほうが良いだろう。

「……こっちの方が良いだろうか」

 タバコを咥え直し、口調も戻す。
 しかし火は付けず、目線も合わせたままだ。
824 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 19:57:30.55 ID:YHjKL/II0
>>823
「ああそれでいい! 年寄り扱いされるのは大嫌いだ!」

不機嫌そうな表情のまま、そう言って右手で指を鳴らして指を向ける。その先は、彼の火の点いていない咥え煙草の先。
すると、その指の先に火が灯る。明らかに自然界の物ではない、“青い火”だ。

「だからしゃがむの、やめてくんないかねえ……居心地悪いのよ」

ジジジと煙草に火が灯る。色は違えど、それが本物の火であることは確からしい。
当人も、憤りを吐き出してどこか落ち着いた様子で、口を尖らせる。
825 :【塵雷烈暴】 ◆3OLmDCAAbE [sage saga]:2016/01/23(土) 20:14:10.28 ID:8LPdhZXP0
毒々しいネオン耀くは歓楽街―――或いは風俗街。

そのメイドは、夜の街でただ独りで立ち尽くしていた。
喫茶店ではなく、コスプレ風俗の宣伝が書かれたプラカードを掲げている。
肩甲骨ほどまで伸びた白銀のロングヘアに、つり上がった鮮明なターコイズブルーの三白眼。
黒のマニキュアを塗っていて、左耳には三連リングと逆さ十字型のピアスをしている。
明らかに不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、無愛想な表情のまま突っ立っていた。

「あー…………くっそ、まさか看板持ちがこうも暇だとは……」

恐らくは誰の耳にも届かない程度の小声で、暇ゆえの愚痴を呟く。
看板持ちは何もせずとも稼げるバイトだが、裏を返せば長時間は一切行動が禁止なのである。
あと序でに渡された勢いで着たメイド服だが、いよいよ普通に恥ずかしくなってきた。
多分持ってる看板と格好的にも、傍から見れば売女だろうし。

(早く終わンねえかな……)

飽きと疲れから来る欠伸を噛み殺す。
どうにか視覚で退屈を紛らわせないかと、付近の様子を見渡した。
826 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 20:24:49.97 ID:EB3OzkjBo
>>824

「わかった」(いつも通りの状態の方が良いのか……)

 相手の許しを得ると赤髪はその場に立つ。
 相手と赤髪の身長差は30cmほど、
 見た目の年齢から考えれば、傍から見れば親子と言えそうだ。

「……悪いが、このタバコは『吸う用』じゃない」

 青い火がタバコに火をつける。
 相手の気配りなのだろうが、赤髪は微妙な表情を作った。
 その理由は――――

 タバコの火が黒く染まる。
 自然の火ではないとすぐにわかる色だ。

 赤髪は火の付いた部分を指で摘み、千切る。
 そして、少女に中身を見せるように近づける。
 微かに香る紫煙、それが発生しているものを覗きこめば、
 そこに『僅かに空洞』があることに気が付くだろう。

「これは異能をコントロールするための、練習用のタバコだ。
 この隙間にさっきの黒い炎を発生させて、タバコを燃やさないようにコントロールしてたんだ。
 さっきのは少女のつけた火に引火して出た炎だ」

 そして、空洞を埋めない程度の、一本の針のように黒い炎がタバコの中に発生する。
 炎はゆらゆらと揺れるが、タバコに火が付かないギリギリを保っている。

「気遣い、感謝する」

 最後にそう言って、赤髪はタバコを咥えて軽い会釈をした。
827 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 20:53:50.73 ID:YHjKL/II0
>>826
青から、―――黒へ。火は色を変えて煙草へと移った。
ボヤいた後の彼女は、感心するような目でそれを見た。

要らない気遣いを受けたと言わんばかりにこちらを見る男性は、丁寧な説明とその実演をしてくれた。
“炎”を司る異能。彼女はこの世界の異能にとんと弱く、それ故その力に何よりの興味を示す。
彼のそれも、彼女の興味の埒外ではない。

「面白い。面白い面白い面白い!」

そう言う度に、コツコツと杖を地に突く。
その表情は新作の玩具を手にした子どものように、邪気を孕まない好奇に満ち溢れていた。
ただやはり傍目では、先述の通り親と子のやりとりとしか把握できないだろう。

「きみの力、面白いよ。いつどこでどうやって手に入れたのさ?」
「コントロールってことはやはり不安定なのかい?」
「というか、そもそもきみは何をしてる人なの?」
「あ、“それ”を持っていながら、コーヒーを淹れているだけとは言わせないからね」

先ほどのお返しと言わんばかりか、怒涛の質問責めが始まる。
もちろんそんな悪意はない。純粋な興味に染まった瞳が、そう男性に伝えている。
828 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 21:18:04.89 ID:EB3OzkjBo
>>827

(……すごい勢いだ)

 子供が燥いでいる、という印象だ。
 質問を始めた少女は目を爛々と輝かせ、身を乗り出しそうな勢いだ。
 赤髪にはそんな相手が見た目よりもさらに幼く見えた。

(……困った、わけではない。
 答えるのは簡単だが、満足できる回答になるか)

「これは生まれた時から持っていた。
 この力を全開で使えば不安定になる。
 今は抑えてる。この状態なら制御ができる。
 まあ、タバコは日課にしている鍛錬だ。
 何時でも戦えるようにするためだ」

(戦闘はしたくないんだが、そうも言ってられない状況はあるだろう)

「コーヒーショップ店の店長。それだけだ。
 あまり物騒な話には関わりたくないんだ」
829 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 22:07:24.51 ID:YHjKL/II0
>>828
少女は繰り返し頷きながら、彼の返答を聞き続けた。
そして彼がコーヒーショップの店主であることを聞き終えてから、彼女はまた杖でアスファルトを削り始めた。それも、先程よりやや短い頻度で。

「くーっ、もったいないなあ。それじゃあただの護身用じゃないかぁ」

眉間に皺を寄せながら、強い悔いを見せる声色でそう話す少女。
彼の能力をのどから手が出る程に手に入れたいと望む者も居る、彼自身を幾ら金を払ってでも雇いたいと望む者も居る。
普段から日常的に制御しようと意識しているのは非常に理想的だが、使わなければ宝の持ち腐れにしかならない。

ただ、この世界はやはりこういう者にこそ“チカラ”を授けるのだろう。少女はそうとも思った。
先日出会った、“血の獣を棲まわす者”もそうだった。誠実で、常に感情に流されず、自分がどうあるべきかを常に慮っていた。
だからこそ、この赤髪の男は“闃かな炎”を宿しているのかもしれない。

「……ふう、まあいいや。色々とありがとう」

樫の木が地を突く音は止まり、少女は彼に改めて相対した。

「あたしの名はアリス。この街に、―――というか、この『能力者の世界』に流れ着いたのは結構最近で」

「別の世界の魔法を司っていた。今はきみ達の様な、特別な“チカラ”を持つ者に会うことが趣味さね」

語り飽きた自己紹介はすらすらと早口に終わった。そして、笑みを浮かべる。
少女が見せる者とは到底違う、懐の深い様な笑みを。

「さっきの少年の件もあるし、何か“どうしようもないこと”が有ったら力になるよ。ま、きみ程の者じゃそうはいかないか」


/すみません遅れました
830 :【創符帖録】 ◆xeoueDQEVA [sage saga]:2016/01/23(土) 22:07:37.19 ID:8Q6Qz50n0
>>787
男性が少女の手足にワイヤを通し、彼女を動かすのを見て。
ああ、本当に人形だったのかと再認識する。

岩に座った少女を見て無事なのだろうかと不安に思いつつも、
男性の話を聞き。

「ルピカさんは無事、なんですよね?
 お役に立てたのなら幸いです。」

なんて笑い返す。

帰り支度を始めた二人に巫女は声を掛けた。

「お二人のご健勝を祈ってこの札を贈らせて下さい。
 助けになる時がくるかもしれません。」

【『盾』符作成】

一枚の札に念を込め手渡そうとする。
これは二人も戦闘中に見たであろう『盾』の護符だ。

拳銃の弾くらいの攻撃なら一度だけ防ぐことのできる守り札。
使用したら効力を失う使い捨てだ。
不意の攻撃にも中の人の任意のタイミングで発動させることができる。

もちろん受け取るのも受け取らないのも自由だ。

「またいらっしゃるのをお待ちしてますね。」

そして巫女も別れ支度をし、二人へと一礼。
手を振って去りゆく二人を見送るだろう。

「さて、お昼にしましょうか」

巫女はのんびりと社へと向かった。


//この辺りで〆とさせてください
//数日間に渡りお相手していただき有難うございました
//そしてお疲れ様です
//ロールとても楽しかったです、機会があればまたお願いします
831 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/23(土) 22:18:13.01 ID:JwqwgvRvo
>>805
>>806
 『六五』番には、"現実改変装置"が置かれていたと言う。
現実を使用者の望むがままに書き換える悪魔の装置。
使用者が居なければ無害な至宝の元へと続く血痕は、それにすがりつこうとした存在が居たという事実。

「おーけー、りょーかい。 取り敢えずいつ何があっても対応できるよう気を張っておくよー」
「にしても、"現実改変装置"ねー。 それがあったらー……したいこと思いつかないや」

 ここまでの血痕から見るにその存在が死んでいる可能性は高い。
だがそれがどうしたというのだ。それは、この状況の好転させうる物には決してならない。


 少女に付いて、『六五』番の収容室に入る。
扉の先には相当な硬さを誇ったであろう鉄の扉が何枚もあり、それらは全て破壊されていた。
ゲイルでもオーバーヒート覚悟で剣を使えば、その扉を破壊することはできるだろう。
すなわち、破壊の主は最低でもゲイルと同等以上の力を持つ事となる。

「うへー…… 力比べはしたくないねー」

 収容室の奥へと進み、最後の扉なのだろう。その扉の前で少女は足を止め、先ほどのゴーグルを付けるように言う。
言われた通りにゴーグルを装着し、破壊された扉をくぐる。

 --その先にあったのは何も無い空間だった。
正確には死体があった。しかし、"現実改変装置"らしき機械--それが機械なのかゲイルは知らないが--は見当たらない。
少女の反応からしても、置かれていたはずのその装置はここには無いのだろう。

「立華ちゃん、その装置って簡単に移動させられるもんなの?」
「まー、部屋の大きさからして難しそうだけどねー」

 そう言いつつ、部屋の内部をゴーグル越しキョロキョロと見渡す。
すると、真っ白な壁に似つかわしくない木造の扉があった。
どう考えても場違いなそれは、ほぼ確実に“異常性”の仕業だろう。
少女も気づいたのか、自分がその扉を調べる。だからそちらは死体を調べてくれと言った。

「うーん…… りょーかい。 立華ちゃん、扉開けないようにねー。」
「扉の“向こう側”は、この部屋の中調べ終わってから二人でに調べよっかー」

 そう言って、死体へと近づく。
ほぼ肉の残っていない死体は、白衣とファイル以外何も持っておらず、何か手がかりになるとすれば、ファイルしか無いだろう。
そう思い、ファイルに手を伸ばす。すると何やら声がしたかと思えば、突然ゴーグルがレッドシグナルを示す。
それと同時に何やら強い衝動に襲われる。言うならば、恐怖心だろう。
どこから何が来るかわからない事に、ここから出られる望みが薄いことに。
全てを投げ出し、考えることを止めたくなるほどの恐怖。狂気に陥らねば立つことさえ覚束ないであろうそれは。

「あー……うん。 でっていう?」
「しょーじきさー、怖いからって考えるのやめてたらさ―。それこそ出られないしさ―」
「一応私も兵器だからさー、うん……脚動かないからやめてっていうか?」

 ゲイルスケグルにはそれほどの意味をなしてはいないようだ。
脚は竦み上がりもはや一歩も動くこともできないが、それでも精神汚染を受けている様子は少なく。
もしくは既にゲイルは一時的狂気・多弁症にでも罹っていたのか。生体兵器故か、バグのせいか。

「ちぇいさー!」

 なんとか動かせる腕で槍を取り、無理矢理に死体を吹き飛ばせば、恐怖心は取り除かれた。
死体に何らかの“異常性”がとりついていたのか。原因は不明だが、ファイルを回収することに成功する。
 ファイルの中の書類に目を通してみれば、それはかなり前の実験記録のようだ。
ゲイルの目には、なにか手がかりがあるようには思えず。少女の元へと戻る事にする。
/こんばんはー。かなり遅いですが、置いておきます。
832 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 22:26:51.50 ID:EB3OzkjBo
>>829

「別の世界? ……スケールが大きいな」

 別の世界。今まで聞いたことがない話だ。
 この世界には神が実際に存在し、境界を操るような者もいるだろうが、
 実際に別世界から移住してきたという人間を見るのは初めてだった。
 だからか、赤髪は現実味がないといった感じに肩をすくめる。

「悩み事ができれば頼らせてもらう。
 アリスの魔法でどこまでの悩みを解消できるかは不明だが」

(最低でも、戦闘以外であれば頼みたいところだ)

 アイクサ アオ
「亞戦 赤王。この世界ではもう古い炎使いで、
 コーヒーショップ店『フレイ・ヴェール』の店長だ。コーヒーならいつでも飲ませられる。
 争いごとは嫌いだが、何かあれば言ってくれ。力にはなれる」
833 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 22:46:35.50 ID:YHjKL/II0
>>836
「あはは。ま、魔女の話すちょっとした“御伽噺”とでも思っててよ」

男性の要領を得ないような反応を、ケラケラと笑い飛ばす。
あちらの世界を話したところで、信じようと信じまいとどうだっていいことだ。
何より、この世界に生きる者を見れば、そう思える。
今此処に居ることこそ、その事実こそ、自分の存在を存在せしめる事象であると、彼女は信じてやまない。

『自分の悩みをどこまで解決できるか』。
つまりそれは、『お前に何ができるんだ』との挑発だろうかと、少女はふと思い違いをしてしまう。
無理もない。ここで魔術を使える人間は本当に少ないらしい。それに、ここの魔術が概念として自分のものと同一であるという証明も、まだしていない。

「悩みかあ、戦いはきみひとりで何とかなっちゃうしねえ。……あ、従業員にしてみる? 一般的な家事なら得意よあたし」

と、冗談だか本気だか判別の付かない笑顔のまま、問うてみる。

「アオくん、“フレイ・ヴェール”、だね。ふふ、いい名前だ。……どうか、末永く宜しく頼むよ」
834 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 22:46:49.56 ID:YHjKL/II0
//>>833>>832
835 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 22:58:21.95 ID:EB3OzkjBo
>>833

「従業員か……」

 冗談か、それとも本気か、
 どちらとも取れる笑顔で言われた言葉に赤王は一考する。
 現状、従業員は0名だ。
 それでも店を回せられるのは、単純に来客数が少ないからだったりする。

(……赤字になってないことが不思議なくらいだ。
 従業員を入れても大丈夫かもしれないが……試作コーヒーの飲み比べとして雇うか?)

「時々、試作のコーヒーを飲んでもらうかもしれないが、
 それで良いなら従業員として雇ってみたい」
836 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 23:06:24.11 ID:YHjKL/II0
>>835
「お、本当にいいのかい?」

どうやら、満更でもないようだ。
このところ闇雲に街に出るのにも飽きが回ってきた。それに、飲食店ならば人に会う機会も多い筈。
それも、店長が“チカラ”を持つ者であることを考えれば、―――彼女の興味も、止むことは無さそうだ。

「じゃあ、お願いしようかな。コーヒーに詳しい訳じゃないから、お手柔らかに頼むよ」

ニコリと笑いかけ、正式に承諾する。
……実際の来店客数が少ないことを知らないままに。
837 : ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 23:22:47.96 ID:EB3OzkjBo
>>836

「ああ、こちらこそお手柔らかに頼む。
 アリスが満足できるよう、務めるとしよう」

 従業員が増えたことに少なからず喜び、赤王は顔を緩める。
 しかし、赤字経営にならないようにするのは、少しだけ不安がある。

(どうにかして顧客数を増やさなければな)

「さて、『フレイ・ヴェール』がどういった店かを見せるために帰ろう。
 アリス、耐火の魔法は使えるか?」

 アリスに質問すると、赤王の後ろに黒い炎でできた階段が現れる。

「この炎は『物質』だ。
 踏むことができて、実際に触れることができる。
 汎用性があって空を歩ける。空中散歩なんてどうだ」

(アリスは魔法で空を飛べるかもしれないが、どうだろうか)
838 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 23:30:24.31 ID:EB3OzkjBo
>>837
//ナマーエ
839 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 23:34:48.83 ID:YHjKL/II0
>>837
赤王の後ろに、煌々と燃える黒炎の階段が生まれるのを少女は見た。
しかし粋な計らいだと思う前に、彼女は彼のチカラの断片を垣間見たと、驚くばかりだった。

「ノールックで、これだけの段数を、ほぼ一瞬で。………ははあ、私の魔法よか余程燃費が良いと見たね」

顎を触りながらふむふむと、演技がかった感心の態度を示す。

そしてこれを登るには、やはり見た目の問題ではなく耐火属性が必要となるらしい。

「あー、耐火くらいなら大丈夫かね。よっこいしょと」

少女が大きめのストロークをとってカツンと杖を突く。
すると、淡い緑色のセロファンのようなヴェールが、少女の全身を包み込み、消えていった。

「はあ、しんどい……よーし、いこうか……」

だが、先ほどと比べて明らかに元気がない。
階段を登る足元も、燃えてはいないようだがどことなくふらつき気味だ。
840 :【嗅乞賢狼】 [saga]:2016/01/23(土) 23:39:47.25 ID:D1imHaLH0
>>818

「あぁ……そうですか、そりゃあどうも」

この、神父悪い人では無さそうだ
無さそうだが……

(なんだ……この嫌な感じ…ッ!!?)
(匂いは……普通だ、ただの十字架だよな……?)

まだ、その直感に根拠は無い。
自分の「危険を察知する才能」に自覚がない。嗅覚に反応がなければそれは「安全な根拠」として十分だ。
十字架に上から手をのせる

「……熱ッ!?」

思わず、十字架を落とした。
その様子を客観的に見て、まるで悪魔をあぶり出す儀式みたいだなと思った。
その後、神父の方を見て青ざめるのだが――
841 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/23(土) 23:47:15.65 ID:EB3OzkjBo
>>839

(ふらついているが大丈夫だろうか。
 魔法使いは身体が弱いと聞いたことがある。
 アリスも身体が弱いのだろうか……)

 身体が強い魔法使いもいるかもしれない。
 しかし、目の前のアリスは明らかに疲れている様子だ。
 赤王はアリスの横を歩き、手を差し出す。

「倒れないように支えよう。
 耐火の魔法を使っても、熱いものは熱いだろうからな」
842 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/23(土) 23:56:07.08 ID:YHjKL/II0
>>841
後から追ってきた赤王の手を借り、少し落ち着いた様に息を漏らす。
彼の言う通り、耐火を付与させてもかなりの熱量を感じる。

「ふう、ふう……あ、ああ悪いね……」

呼吸を整えて、ゆっくりと説明を始める。

「あたしの魔術は魔翌力と同時に体力を消耗するんだ」

一段登る。

「それも、程度の大きさによって疲労も色濃くなってくる」

また一段登る。

「詳しく言うと、魔術の必要対価でなく、単なる“呪い”のせいなんだけどね」

一段登る。やはり息は多少荒い。
説明する彼女の顔に曇りがある様には見えない。特に呪いについて深く思うところもないようだ。
――あくまで表面上は、だが。
843 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/24(日) 00:01:49.00 ID:73DXktByo
>>831
「あれはそう簡單に動かせるものじやない……"普通にやればな"」
「起動させたんならば、そうあれかし、と望めば、そうなるだろう。こいつを見れば分かる」

現実改変装置は相応の大きさがある。少なくとも、間抜けな言い方であるかもしれないが、冷蔵庫より大きいくらいは。
それも本体だけでそれだ。それを起動する為に必要な諸々の付属品と、それらの繊細さを考えると、ただ力があるだけの存在ではどう頑張っても動かせない。
つまりは、そう言う事だろう。ここに何もないことも、また、"現実改変装置"の力の一端。

「分かっている……私も、出來る限りの最善を盡くしたいと思っているからな」

辿り着いた扉を調べる。見た感じでは、何か異常性が発揮されているとは思えない。ゴーグルもグリーンを返したままだった。
ゆっくりと、左手を伸ばして触れる。木造特有の温もりが返される。こんこん、と叩いてみれば、向こう側には、少なくとも何らかの空洞が広がっているようだった。
ドアノブに手をかけて、ゆっくりと回してみる。少なくとも、鍵はかかっていない様だ。このまま向こう側へと押してみれば、簡単に開くかもしれない。
それ以上の情報はありそうにない。一度、彼女の方へと視線を向けてみる。

「……なんだ、どうかしたのか? まあいい、それを見せてくれ」

如何にも、彼女の作業が手間取っているように見えた。それも、態々槍を取り出して、奇怪な叫びと共に死体を退かしているのだから。
然し少なくとも立華の眼には、彼女が何らかの精神汚染を受けているような人間には思えなかった。
非常に騒がしい彼女の事だ、それもまた彼女の騒々しさの一部だろう、として、何か大きな異常があったとは、思ってもいなかった。
兎も角、立華は彼女が持ってきた実験記録を受け取ろうとするだろう。そして、それが譲り渡されたのならば、パラパラとそれを捲る。
効果など分かり切っている実体の実験記録に目を通す事に意味があるとは思えなかったが、一応、それらに目を通すと。案の定、それらには既知の情報以外は無かった。
一応、其処には兵器転用が可能かどうかの報告書が存在したが、今の立華達には、必要のないもので。

「手掛かりは無し、か。……となれば、手探りで行くしかないか」
「惱めば、それだけ鈍る。泥に足を取られるように。―――――――――――― いくぞ」

それは、ある意味では、この極限状態の中で編み出した、恐怖心に対抗する為の応急処置であるとも言えた。
恐怖心で足踏みを続けていれば、それは唯々肥大化していくばかりである。足を踏み出せば、それをするために必死であるから、幾許かはそれが和らぐ。
何より、動き出したらもう止まる事など出来ない。背水の陣、とでも言うべきか。兎も角、立華はその扉の、ドアノブを回して、ゆっくりと開いた。

冷たい空気が流れ出る。内部は……酷く、清潔で無機質な物だった。この収容施設の物よりも、もっともっと。
本当に、必要最低限の物しかない。階段と、人間一人分くらいが通れるだけの通路。それは、下層へ下層へと延びて、またその奥にある木造扉へと繋がっていた。
見た限りでは、何もない。本当に何もない。一歩踏み出し、階段を下りる。そこで何が変わる訳でも無い、認識障害もミーム汚染も存在しなかった。
降りて、降りて、扉へと触れる。何もなく、ただ―――――――――――― 奥からは、生ぬるい風が吹いてくる。
振り返って、彼女へと目配せした。彼女が頷いたのならば、その"扉を開き"―――――――――――
844 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/24(日) 00:01:59.04 ID:73DXktByo
>>843

その内部には、何処までも白色が続く空間が広がっていた。
先の収容室のような、終わりのそれとは違う。唯々、無限の彼方まで続くのではないかと錯覚するほどの、広大で、膨大な、白色の世界。
その中央には、ポツリと、一台のコンピューターが置いてあるだけだった。現実改変装置でも無い、ただ、一台の、何の変哲も無いコンピューター。

そしてその傍に、それは立っていた。

一言で言うのならば、化け物だった。
肉塊、という表現が最も近いだろうか。人間のパーツを寄り集めて出来た者だと言うのに、それは人間の姿とは余りにも懸け離れ過ぎていた。
中心を成すそれは、大きく鼓動していた。それは人間の心臓のような形をしていたが、余りにも巨大で、その上半身を支えていた。
その身体には、辛うじて白衣を身に纏っている、というのが分かった。だが、その右半身は、筋組織が剥き出しになった腕や脚に覆われていて。
頭部は非常に大きく、瞳や髪は存在せず、ただ灰色の体色の皮膚に覆われていて。大きな口を開くと、口腔部にはびっしりと眼球が存在していた。
脚部はそれに比べて、アンバランスに細かった。人間の物とは逆に曲がった関節を持ち、同じく、それらは灰色の皮膚を持っていて。

「……これも、異常性、なのか」

恐らく、認識はしているようであるが、話す事は無く、唸り声を上げるだけだった。
ただ、一つだけ理解できるのは―――――――――――― それが、敵意に満ちている、ということだけだった。
立華が銃を向けた瞬間、それは跳び上がった。文字通り、人間を遥かに超えた能力を以てして、立華の身体を宙へと舞わせた。
銃を思わず手離し、それから地面へと叩き付けられる。幸い、頭部にはダメージは無かった。だが、全身を強く打ちつけられ、そこで意識を手離した。

そして、彼女へも、それは敵意を剥き出しにするだろう。奇怪な両足で、大きく跳ね上がり、右腕を、文字通り"人外の力で"彼女へと叩き付けようとする。
それは、"鋼鉄"すらも破壊する程の力を持っており。まともに食らえば、恐らく人体など一溜りも無いほど威力を持っていた。
845 :【人形導魔】 ◆j80FEWEbV2 [sage]:2016/01/24(日) 00:02:05.64 ID:R1O23Edio
>>830

「ああ、ルピカは無事だ。ただのハングアップだからな。」

開放終了時には必ず引き起こしてしまう。
それが現時点で改良スべき最大の問題点であった。
だからこそ、其の原因を洗い出そうと能力者と戦わせているのだが。

「ああ、さっきの札だな。ありがとう、貰っておく。
いつか役立てるかもしれないしな・・・。」

巫女からありがたく『盾』符を受け取ると、ポケットに大事そうに仕舞いこむ。
それには霊力というべきか、魔翌力というべきか。そんなものを感じ。

「ああ、また、いつか来る。」
『ええ、そうしましょう。ありがとうございました!』

ルピカは戦闘時とは打って変わって笑顔であった。
主従ともに巫女へとお辞儀をし、参道を降りていった。
巫女から授かった札と、ルピカの改修ヒント、そして戦闘への意地を得て―

//数日間にわたってありがとうございました!
//こちらも楽しかったです、また機会があれば!
846 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/24(日) 00:02:25.40 ID:73DXktByo
>>831
/毎度タイミングが合わずすみません……返しておきます
847 : ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/24(日) 00:08:37.81 ID:actzoVmBo
>>842

(なるほど、体力を使うからこんなに疲れているのか。
 使いドコロを誤ることが出来ないな)

「辛いならいつでも言ってくれ。
 無理は良くないからな。肩を貸す。

 ……それで、空中散歩の感想は?」
848 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/24(日) 00:13:13.69 ID:actzoVmBo
//途中送信!!

>>842

(なるほど、体力を使うからこんなに疲れているのか。
 使いドコロを誤ることが出来ないな)

「辛いならいつでも言ってくれ。
 無理は良くないからな。肩を貸す。

 ……それで、空中散歩の感想は?」

 街を一望できる、とまでは行かないものの、
 ある程度街を眺めることができる高さに二人はいる。

 近くの公園や、ショッピングモール。先ほどいた路地裏など、見えるものは沢山だ。
 その中には赤王の経営している『フレイ・ヴェール』もある。
849 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/24(日) 00:20:45.43 ID:u8dZdU0Y0
>>847
「えっ……か、感想……?」

思いがけない問いかけだったのか、少したじろいだ後。

「感想は……なんだか、懐かしい。かねえ」

ぽつり呟くように答える。その顔はやはり過去を惜しむ老婆の虚しい笑顔に近いものがあった。
それに気づいたのか、たははと笑って誤魔化す。

「この街の空は初めてなのにね、おかしな話だけれど……ああうん、気持ちがいい」

嬉しそうに街を見下ろす顔は、少女でもあり老婆でもある微笑み。
現在と過去とを対比せず、だがどこかで繋ぐようで。アリスは静かに笑っていた。

「それに、この階段だと寒くないからありがたいね。ふふ」
850 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/24(日) 00:21:26.03 ID:u8dZdU0Y0
>>848
//リロ忘れすみません。いけそうなので>>849のままでいきます
851 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/24(日) 00:40:52.71 ID:actzoVmBo
>>849

「ああ、それは良かった」(他人には若干暑すぎるかもしれないが……これは言わないでおこう)

 嬉しそうで、それでいてどこか寂しげとでも表現すべきか、
 笑顔の裏のそれを悟れなかった赤王は、アリスの言葉に触れずに頷くだけに留まった。
 自分にはあまり触れられたくないものがあるように、
 アリスにもきっとそういうものがあるのだろう。

(もしかしたら、それがこの世界に来るようになったことかもしれないな)

「さて、疲れてるところ悪いが、店に着いたら色々と動いてもらうことになる。
 まあ、今日は休みだ。業務内容を聞いてもらおう。
 そして、明日から本格的にという感じだ」

 赤王は炎の道を作りながら歩き、アリスに店内での作業内容を言い聞かせる。
 疲れている相手に頭を働かせるのはどうなのだろうか……。


//区切りが良さそうなので、アリスさんの返信で〆でよろしいでしょうか?
852 :【頽廃魔女】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/24(日) 01:01:55.06 ID:u8dZdU0Y0
>>851
「おー、楽しみだ。働くのは初めてだよ」

にこやかにこれからの予定を聞くアリス。足取りも、心なしか前よりは軽やかだ。

「この世界に来てから初めてのことばかりで」

ちらりと赤王の顔を見て、また続ける。

「きみのお店で、またたくさんそれが増えるんだと思うと、やっぱり嬉しいよ」

多少の空元気も効いている。だが、この感情に偽りはない。
彼の店で起きる出来事が、どんな経路で進展していくのか。眺めてみるのはきっと楽しいと期待する。

黒炎に燃える階段は、そのおぞましさと裏腹にふたりのこれからに向けて新しい道を作ったのだった。


―――なお店に着いてから一時間程、少女がダウンして動けなかったことを記述しておく。


//こんな感じで良いでしょうか…?
//遅くまで付き合っていただきありがとうございました!!
853 :【久遠の炎】 ◆lDED16e8oA [sage saga]:2016/01/24(日) 01:04:29.39 ID:actzoVmBo
>>852
//こちらこそ、絡みありがとうございました!
854 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/24(日) 01:27:23.74 ID:PmReOAHRo
>>844
 少女の目から見ても、書類には重要な情報はあるわけではないようだ。
サラリと目を通しただけでそれを見るのをやめてしまう。

「おーけー行こうか―」

 扉にはなんら異常は無かったようで。
今少女達に残された道は、もはや扉の先にしか無い。

 扉の先はただの下り階段で、しいて言うならば狭いくらいか。

「狭いな―……」
「もーちょい長柄使いのことかんがえてほしーよねー」

 先ほど出した槍はこの階段を降りる時に邪魔になる、なにせ7mもあるのだ。
仕方ないから槍を送還してから少女の後に続く。
それほど歩くこと無く階段は終わり、入り口と同じような扉にたどり着く。
隙間から流れる風は生ぬるく、何かあることを予想させる。

 少女の目配せに答え、少女が扉を開けると。
その先には見た目には特徴の無いコンピュータと異形が居た。
明らかに“異常性”であるその偉業は、溢れんばかりの敵意に満ちていて。
それに気づいた少女が銃を向けたと思えば、それは少女を吹き飛ばしていた。
幸運にも殴られた瞬間バラバラになる。などは無かったが強く床に叩きつけられてから動く気配はない。
不幸な獲物の内の一匹の仕留めたと判断したのか、異形は目標をこちらへと変更したようだ。

 それはあまりにも速く、常人では決して対応できないだろう。
その一撃はあまりにも強く、常人であればひき肉となるだろう。
その異形は確実に人を超えた力を持っていた。

「おりゃ〜っ!!」

 だがこちらは“機翼”。 各種戦線に投下し、戦況を一機で変えることを目的として作られた戦略兵器。
オーバーヒートにより長時間の戦闘は不可能。それでもその破格の性能は驚異の一言であろう。

 手の内に出現するのは大剣。
3mになる程のその剣は非常に重く、ゲイルの膂力を持ってようやく振るうことのできる鉄塊である。
ゲイルに叩きつけられんとする異形の右腕に対し振るわれた刃。
タンクローリー車さえ両断し、余波だけでも吹き飛ばすことのできる威力を秘めたそれは。
異形を見事に切り飛ばし、100mほど先へと叩き落とす。

「よっし。これでひとまず安心かな―?」

 それで異形のひとまずの無力化を確信したのか。
ゲイルは大剣を送還し、少女に駆け寄る。

「立華ちゃん! 立華ちゃん!」

 先ほど見た限り、少女が頭部に損傷を受けていた様子はない。
それでもあまり頭を動かさないように、少女を揺する。
少女がそれで目を覚ましたのなら、コンピュータについて質問をするだろう。

……ビクリと異形の残骸が脈動したことには気づいていないようだ。

/いえいえ、気にしないでください。
855 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/24(日) 02:08:39.27 ID:73DXktByo
>>854
怪物は、余りにも容易に無力化された。まるで、長い年月を動き続けていた機械を、停止させたように。静かに動きを止め、それ以上動くことは無かった。
ただ、ほんの僅かな一瞬だけ、その、無数の瞳が揺れ動いた。

暫し、気を失っていた立華は、揺すられた事によって、ゆっくりと瞳を閉じた。
ズキズキと全身が痛むが、それでもゆっくりと上体を起こした。それから、現在の状況を思い出して、部屋を見渡した。
動きを止めた異形を見て、ほんの少しだけ安堵した。彼女にも外傷は無い様に見える。それに、一先ず安堵して。

「大丈夫……ありが、とう」

それから、自分が心配されている、という事を理解して。ほんの少しだけ恥ずかし気に、彼女へとそう返すだろう。
実際、全身を強く打ったが、それ以上の外傷は無い。骨が折れている訳でも無く、何処かに傷がある訳でも無く。
それから、彼女から受けたコンピューターについての質問に、少々考える素振りを見せた後。

「普通に考えるならば、あれが、例の"改変装置"だろう。万能の力だ、機器の小型化なんて簡単なことだろう」
「……身体は、大丈夫だが。少々、痛みが酷い。動くのは少し辛い……代わりに、調べてくれないか。頼む」

現実の改変が可能となれば、機器自体の大きさの改変くらいは可能なのではないか。そう推測し。
そして、彼女へとそれを調べてくれるように頼んだ。全身の打撲に慣れるには、少々の時間がかかる事と。それなりに、彼女の事を信頼し始めたのだろう。
それに彼女は、現実改変装置の事を話した時、何をしようか、思いつかない、と言っていた。酷く無欲に見えた。だから、触れさせたって問題は無い、はずだ。

「―――――――――――― 後ろ!!」

然し。その背後には、再度、その異形が立っていた。
其の身体は、彼女の大剣によって、中途から切断されかけていた。僅か乍ら再生能力があるのだろう、その部分を糸のような物が繋ごうとしているが。
それは如何にも、脅威になるようには思えず―――――― それでも、その右腕を、彼女へと突き出すだろう。
だが、その右腕は届くことなく。ゆっくりと、指先から、灰のようなものとなって、崩れ落ちていくことだろう。生命活動の欠片も、遺すことなく。
其処に残されるのは、生命部分以外の物となる。一着の白衣と、その胸元に在る―――――― その人間が、異能収容棟の人間であることを示すIDカード。
それを手に取ってみれば、ただ、無機質な字でこう書かれているだろう。"立華史兼直康次席研究員"、と。

「……なんだったんだ、いったい?」

然しそれは、立華の位置からは、少なくとも自発的に見る事は出来ない。それをどうするかどうかは、彼女へと委ねられるだろう。
そしてコンピューターの前へと立ち、そのディスプレイを覗き込めば。黒一色の画面に、白色の文字が現れて、彼女へと、こう尋ねるだろう。

"君は誰だ"、と。
856 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage]:2016/01/24(日) 03:14:20.08 ID:PmReOAHRo
>>855
 少女は痛みに体を動かすことができないが。逆に言ってしまえばそれだけだった。
その事実に、ゲイルは安心する。その姿にはいくばくかの真剣味が感じされる。

「あーよかったー」
「流石に何もできずに死なれちゃったら気分悪いし―」

 真剣味は感じられるが、その言葉はやはりどこか軽い。
目を覚ますまで、呼びかけていた姿がウソのようだ。
それとも無事目覚めた時点で、心配することをやめたのか。
さておき。コンピュータについて少女に聞けば、"改変装置”を応用し、装置自体を小型化したのではないかという答えが返る。
なるほど、失われた"現実改変装置"と此処にある謎のコンピュータ。
装置の性能を持ってすれば容易いのではないだろうか。少女に言われて、ゲイルもまたその考えに行き着く。

 少女は今だが体を動かせず、コンピュータの調査を代わりに頼まれる。
さて、自分で良いのだろうか。確かに自分にはその装置を使い叶えたい願いなど無い。
しいて言うならば、ここから出て太陽を早く観たい。程度だろうが、それもこんな良くわからない装置に頼む気はない。
我欲が無ければ、機械を扱い欲望のままに暴走する危険は少ないだろう。
他に調べられる人もこの場には居ない。 結論として、自分が調べるしか無いのだ。
ゲイルは、そんな当たり前な結論に辿り着く。
――― 後ろ!!
 少女がそんな声を上げる。
さてなんだろうと後ろを見れば、先ほど切り飛ばしたはずの異形がそこに居た。
しかしその姿は既に死に体で、突き出された腕は届くこと無く崩れ落ちる。

「往生際が悪いね―」

残された白衣とIDカード、ちらりと目に入るがこれは後で調べればよいだろう。そう考えて、移動をする。

「まー。りょーかい。 立華ちゃん、私がなんか変なことしそーになったら止めてねー」
「ほら、これ拳銃」

コンピュータを調べる前、取り落とした拳銃を少女に返す。

コンピュータの前に立ち、さてどうしたものかと思案する。
一応ゴーグル越しにコンピュータを眺めてみるが、表示はオールグリーン。特に問題はないように思う。
しかし勝手に触って、望んでも居ない結果を生むのは正直面倒臭い。
そうして、コンピュータを眺めていると。触っても居ないのに、その画面に文字が浮かぶ。
それは、そのコンピュータが自我を持ちこちらを認識して対話をしようとしているようで。

「私ー? 私はゲイルスケグル。 あんたは“現実改変装置”で良いの?」

 そう答えを返す。 自発的に動くコンピュータだ。 
キーボードやマウスなどといった物がなくともこれ大丈夫だろうと言う予想に対し、

“ゲイルスケグルか。だが、君の体は大半は???????の物だ”
“私は????????????だ。だがキミの言う名で呼ばれることが多い”
“さて、君は私に[何を望む]?”

 と画面に表示することで応える。
さて。コンピュータの表示を信じるのならば、これが今の目的の物だ。
そうわかった瞬間、脳裏に様々な欲望が浮かぶ。
『オーバーヒートしないよう内部機構を強化して欲しい』『ポテチ食べたい』
『新作格ゲーの筐体欲しい』などなど。
それは確かに自分が欲するもので、しかしこれは確実に何かによって生み出された欲望だ。
事がだから、それを装置に望む気は無い。
人の手によって生み出された欲望を装置に望むなんて、状況が悪化する未来しか見えない。
 であるのならば、今することはコンピュータから離れ。
少女に正直に起きたことの説明をすることだろう。
さて、コンピュータはそれを許してくれるだろうか。
857 :【代替神罰】 [saga]:2016/01/24(日) 10:18:48.92 ID:4A/4Q/SF0
>>840

十字架を熱いと言い、落とした。
これにより齎される事実は――

「ひひひ、はァーッハッハッハッハ!」

神父は堪えきれず哄笑をあげた。
勢いよく聖書を懐から取り出すと高く掲げた。

このまま見ていれば
四枚の頁が発光し宙を飛び、四方に散り、ちょうどボクシングリングの四倍ほどの大きさで頁は位置を取りつつ聖結界を発動させるだろう。

聖結界が発動すれば人外は聖結界から出られなくなる。
唯一の脱出方法は頁を破壊する事のみ。頁自体は紙なので破壊しやすいし、発光しているので見つけやすい。
858 :【嗅乞賢狼】 [saga]:2016/01/24(日) 14:23:46.13 ID:fnSIEy490
>>857

「………ッ!!」

もともと不安を感じていた分、退くのは非常に素早い。
聖書を出すと同時に、結界の射程から離れると脇目も振らずに逃げる。

(コイツ……ヤバい! 俺の事を追跡していた! やっぱり偶然じゃあない!)
(十字架とは違う金属の匂いと……火薬! この男、銃を持っている!)

狼に姿を変え、来た道を戻るように十字路を右に折れた。
銃の射線に入らないように、なおかつ知らない道に出ないように。

(恐らく相手は戦闘のプロ、狼になってないと追い付かれる。この姿で人込みには出れない!)
(それに……コイツは例え何日かけても俺を狙ってくるだろう……戦うしかない!)

逃げれる範囲は狭い。銃を持つ相手にまともに勝負を挑めば敗ける。
相手を誘い出すために、廃墟のビルに逃げ込んだ。
859 :【代替神罰】 [saga]:2016/01/24(日) 14:47:46.17 ID:4A/4Q/SF0
>>858

男は見事に聖結界から逃れた。
それどころか、狼にまで姿を変えた。

「ヒュゥー。お前は人狼だったわけか」
「なかなか楽しませてくれそうじゃあねえか!」
笑顔。心からの笑顔。

人狼の後を追いながら銀の銃を取り出す。
十字路を右に曲がったところまでは見えた。
一応、神父も身体能力は高いのだが、本物の人狼には敵わない。

「見失ったのか!?いや待てよ、あいつは人狼の姿なんだから人目のある場所にゃあ行けねえ」
人気のない場所で近いのは廃墟のビルだろう。

やがて、廃墟のビルへと到達した。
右手には銀の剣、左手には銀の銃だ。

「来いよ化物。いるのは分かってるんだよ」
気配に、気を配りながら、左右の腕をその方向に伸ばし臨戦態勢を取る。
860 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/24(日) 15:23:11.01 ID:73DXktByo
>>856


「……ああ、分かった。遠慮なく撃たせてもらおう」

落とした拳銃を、彼女から受け取った。外装、内装、どちらにも損傷は無いように見える。そうして、彼女を見送った。ただ、本当に万が一の為に、拳銃の撃鉄を下ろしておく。
異常性は、人間性など簡単に剥奪する。あらゆる存在を余りにも容易に狂わせる。故に……いつでも、彼女の頭を吹き飛ばす事が出来るように。
それから彼女が、何かと会話をしているというのは、立華からも分かった。ディスプレイには、良くは見えないが、何らかの文字が踊っているのが分かる。
そして、何かアクションを起こす訳でも無く、彼女はこちらへと舞い戻ってくる。それから、彼女から説明を受けるだろう。
やはりそれは願望を実現する悪魔の装置だった。それでも彼女は、その欲望に絡み取られる事なく、しっかりとその役目を果たしてくれた。こちらへと、戻ってきてくれた。

「そうか……本当に、あれが、そういうものか」
「万能の願望器、まるで聖杯だな……少々、機械的が過ぎるが。分かった……今度は、私が代わろう」

「私が可笑しなことをしたら、今度は、お前が私を殺せ。良いな」

ならば、今度はこちらの番だ、と、立華はゆっくりと立ち上がった。握っていた拳銃を納めて、ゆっくりとコンピューターへと歩いていく。
辿り着いた時、同じようにコンピューターは、無機質な白い文字を躍らせた。音も無く、それは間違いなく連ねられていく。
だが、それが連ねた文字は彼女の前に現れたそれとは異なっていた。名前を聞く物でも無ければ、願いを問うものでもなく。それは。

"ほう、君がいるのか。この世界には。なるほど。次席研究員の願いも唯々無意味となり、そして幾許かは浮かばれるだろう"

明確に意思を持ち、立華へと語り掛ける。
無論、現実改変装置と立華は、何の関係も無い。それがある、という事実を知っているだけで、それらに触れた事がある訳でも無い。
だと言うのにそれは、自分を知っているかのように語り掛けてきた。唯々、混乱した。然し、それは悪いことばかりでも無かった。
その万能機を前にして、雑多な我欲の諸々が消えて失せたのだ。唯々、其処に無数に浮上を繰り返す混乱の為だけに。

「どういう事だ」

"君に語るべきことではない。きっと我が友もそう望む"

「……私達を此処から出せ」

"そうしよう、最早願いは水泡に帰したのだから。だが、少し、そこにいる彼女に話したいことがある"
"変わってくれないだろうか。そして、君は席を外してくれ。これは私の、唯一の友人の為にしたいと思う、最後の願いだ"

「……くそっ!」

その願いを聞き届ける事は了承されたが、然しそれを今すぐに、とは言われず。立華は悪態をつきながら、彼女へと代わるように言うだろう。
彼女が再度、ディスプレイの前に現れたのならば。それはまた変わりなく、まるで冷酷とも言えるくらいに、画面に淡々と、文字を連ねていく事だろう。

"ゲイルスケグル。君に聞きたい事がある。願いでは無い。ただ、純粋な質問だ"
"君がこの質問に答えたのであれば、私はここで起こった全てを話そう"
"何故、この異能収容棟が異常物品になったか、君が殺したテラトマ体は何だったのか、全てをだ"
"だから、一つ。君が思う通りで良い。答えてくれたら嬉しい"

"あの少女のことを、どう思う"

願望器が、願い以外のことを問い掛けると言うのも少々滑稽に思える。
故にそれは、唯の願望器などでは無かったのだろう。それが何故であるかは、きっと、それ自身にも答える事が出来ない。何かがあったのか、無かったのか。
然しそれがどうであろうと、それは彼女にそう問い掛けるだろう。名は言わなかった。だが……この場で一人、少女と言える人間といえば。

/返しときますっ
861 :【嗅乞賢狼】 [saga]:2016/01/24(日) 15:50:03.76 ID:fnSIEy490
>>859

(人狼? これは能力だ! 俺は人間だ!)

多分あの十字架は、そういう類を判別する道具だ。
あれに反応したのは、自分が本当に人狼で人間ではないからなのか?それとも過去の罪なのか?
物心あるときから普通に人間として育った自分は、人狼と言われる事に違和感を感じていた。

「自分が何者なのか、少し知りたくなった。殺されてやるわけにはいかないな」

腕時計を見る。時刻は夜の九時前
相手に見えるように身を乗り出す。相手の装備を目で確認するために。

「今、携帯で警察に連絡した。神が許しても司法がアンタをどうするか、よく考えてみろよ」

相手が警察と連携しているかもしれない。そうなれば意味の無いハッタリだ。

「宣言してやるよ、アンタは俺を殺せない」

すぐに狼化して、上の階へ逃げる。
862 :【代替神罰】 [saga]:2016/01/24(日) 16:08:01.48 ID:4A/4Q/SF0
>>861

もちろん、神父は一介の教徒であり、警察と連携するほどの人脈・権力は持ちあわせていない。
これまでの化物・悪人の処刑は、相手が相手だったので黙認されている。

「警察を呼ぼうと関係ねぇよ。化物は神の下で消滅するんだ」
上の階から音が聞こえる。
「上へ逃げたって無駄だぞぉ!」

聖書から頁を一枚を光らせながら進む。向こうへは居場所を教えているようなものだが、視界が暗いのはいただけない。
「宣言してやろう、人狼。俺はお前を、その血の一滴たりとも蒸発させ尽くしてやるとッ!」

人狼を追いかけるため上の階を目指す。
863 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage]:2016/01/24(日) 21:59:03.75 ID:PmReOAHRo
>>860
 特に問題なく少女の元に戻れた。
あんなことを聞いておきながら、やけに簡単だなと思いながら少女に会ったことを説明する。

「って感じだったよー。 以上で報告終わりー」

 それを聞いた少女は、コンピュータに致死性の危険は少ないと判断したのと、体の痛みが引いたのだろう。
自分が引き継いでコンピュータと対面をするという。
これまで、すべての決定は少女に委ねてきたのだ。その決断に否は無い。

「りょーかい。 立華ちゃん、気をつけてねー」
「私、立華ちゃんみたいな良い子。 あんまり傷つけたくないからさー。 まーしょーがないし、やるけど」

 先ほど自分が少女に願ったこと、それをそのまま願い返される。おかしくなったら殺せという願い。
その願いに対する応えもまた、少女が自分に返したものと一緒。 その時は殺し、凶行を止めよう。
言葉は違えど、それは先程の焼きましと言っていいだろう。

 少女がコンピュータと向き合い、対話を始める。
その様子は、傍目には何ら異常は見られない。
いや少女は少し混乱をしているようだが、それは少女の判断を惑わせるものでは無く。
会話の内容はわからず、少女の混乱の理由もわからないが、問題もないだろう。

 しばらくの時間が経ち、少女が戻ってくる。
話を聞く所、ここから出すように願い、それは叶えるが、その前に自分に話をさせろとというらしい。
その合間、悪態を多く挟む少女は、コンピュータの発言の意味がわからないこと。願いが直ぐに叶わないことに対し怒りが隠せないからのようだ。

「まーまー。そー怒らないでさー。 ちょいちょいっと話を終わらせて来るから待っててねー」
「にしても天下の“現実改変装置”様が私に何のよーだろうねー?」
「あ、そーだ。さっきのバケモノの残骸できたら調べといて―」

 先の対面からまぁ大丈夫だろうと、今度は自身の監視ではなく異形の遺留品の調査を少女に頼み。
コンピュータと再び対面する。
先ほどのような、自分のものであって自分のものでない欲望が沸き起こったりはしない。
やはり先程のは、コンピュータがその意志で起こしていたものだったんだろう。

 画面に浮かぶのはコンピュータからの問いかけ。
少女のことをどう思うか。 それに答えたのならば、ここで起きた事を話そう。と言うもの。

「ここで起きた事かー。 私知る必要あんまなくない?」
「知ってどーするの? ……あー、立華ちゃんの報告書とかが充実するかな?」
「まー、できれば書類の形でちょーだい。 覚えんのめんどくさいし」
「あとまー、私の思ってること聞いてどうこうするのは無しねー。ただ聞くだけでよろしく〜」
864 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage]:2016/01/24(日) 21:59:22.83 ID:PmReOAHRo
>>863

 ゲイルは、ここで何が起きたのか。そんな事にまるで興味はないようだ。
自身の素体となった少女の肉親にさえ興味を示さないのだ。或いは当然のことだろう。

"そうだな。書類の形で情報記録を残すとしよう。少々量が多くなるが許して欲しい"
"それと、私はただ聞きたいだけだ。 そこからどうこうするつもりは無い"

 コンピュータを信用するしか無い今。
ここでこれ以上できることなど何も無い。ただ、質問に答えるだけだ。

「りょーかい、それでいいよ―」
「少女って立華ちゃんのことだよね―?」
「うん。とっても良い子だと思うよ。見た目も可愛いしー、将来絶対美人になるね―。あれは」
「向こうが良ければ、友達としてさ。オフの時に会いたいなとは思う」
「あんな年で軍人やってて、ちょっと大変そうだな―とは思うけど」
「まー。 優しくて良い子でさ。軍人にはちょっと向いてないと思うよ?」
「けどまぁ、選んだ道っぽいからどうこう言うきは無いけど」
「これでいい?」

"ああ。十分だ。 ありがとう。我が友も喜ぶだろう"
"そして、君は十分に信頼に足る人物だと私は判断する"
"だから、気にの回答に対し、私自身の礼を返そう。[何を望む?]"

 或いは、先ほどの欲望はコンピュータなりの人の見極め方だったのだろうか。
今度は何も湧き上がらず、純粋に自らの望みを叶えようとしているらしい。

「えー……望み―望みねー……」
「えー?望みー……のーぞーみー……望みと言えばq……噴水がぶ飲みからの誤爆……」

 それに対し、ゲイルはひどく悩んでいる。
先ほど言った通り、願いたいことが思いつかないのだろう。
それでも望みについて長く考えているのは、コンピュータの、礼という形の思いに答えようとしているからだ。

「あー……私達がこっから出た後、ここの崩壊させて」
「やっぱり、こんな場所あったら危なくて仕方ないからさー」

悩みぬいた上の答えは、やはり我欲では無い。

"わかった。君たちの脱出を確認した後、ここを崩壊させよう"
"君への話は以上だ。 今書類出そう"
"あれが、地上への直結通路だ"

 話が終わると、傍らに数十枚のA4の書類が現れる。
それと同時に、今まで何も無かった場所にいつの間にか扉ができている。
両方を念のためゴーグルを通してみるがやはりオールグリーン。
その扉はこれまでの扉とどこか違い、隙間から流れてくる空気はどこか清涼感を覚える。

「さてさて、立華ちゃん。 お話し終わったよ―。 これ、ここで起きたことの顛末記」
「そんで、あれが外への直結路だって。 多分嘘とか言ってないと思う」
「あとさー、勝手にごめんだけどここ出た後、ここを崩壊させるようにコンピュータにお願いしてきたから」
「立華ちゃんが良ければ速くでよっか」

/返しておきます―
865 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/24(日) 22:06:25.57 ID:Z15MLDq7o
―とある繁華街にて。
今日は豪雪なのだが、何故か今日も人に溢れていた。
皆店に行ったり、雪だるまを作ったりして遊んでいたのだが。

突然響く悲鳴。逃げ焦る人々。
突然男が店主へと殴りかかり、殺してしまったのだという。
その男の胸にはなぜか斬られた跡があり、その後すぐに男も死んだ。

逃げ惑う人々の波の中、棒立ちになっている少女が一人。
特に人殺しの事案に慌てることも、惑うことも、逃げることもなく。
ただただ路地の真ん中で棒立ちになっていた。

「あの店主、男に恨まれでもしていたのか。」

はぁ、という白いため息とともに声を発する。
路地裏で男に絡まれ、連れ去られそうになったため斬った、それだけだったのであるが。
店主はおそらく男に恨まれる要因でもあったのであろう、それならば不幸な事故である。

だが、世間的にはそうではすまされないだろう。
胸に刻まれた痕をつけられるのは、おそらく腰に鞘を提げた少女位のもの。
黒く光を反射する鞘の中には刀が一振り。
警察でも来れば怪しまれることは間違いない。

「さて、怪しまれる前に逃げるとしよう。」

逃げ惑う人々はすでにその事件の場にはおらず。
ぽつんとこの少女が一人立つのみ。警察も近づいているか。
路地を立ち去ろうと、一歩一歩歩いていく。
この少女が男を斬り殺す瞬間はおそらく見られていないだろうと思って。

//絡み待ちです
866 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/24(日) 22:29:37.12 ID:Ejb7594L0
>>865
一歩、二歩、三歩―――少女が十歩目を踏み出そうとした、其の時。
少女の行く手を阻む様に、一人の男が立ちふさがる。
軽く見積もっても180を超える体格を、ロングコートで包んだ大男。
赤交じりの茶髪は短く切られ、少女を見下ろす目は赤く。どうにも攻撃的な印象を与えるだろうか。

「男の胸には斬傷、それを付けられる獲物を持つのはお前だけ。
 ―――随分堂々としているな。」

見下ろす目には、明らかな疑念。
周囲に警察は居ない。ならばこの男は何なのか。
ロングコートの首に付けられているのは、剣と盾の襟章。それに気づけば、きっと心当たりはあるはずだ。
悪であれば迷い無く斬る、司法を超えた特別強襲部隊。――――D.O.T.Aの証である。

//途中凍結を挟むかもしれませんが・・・・・・
867 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/24(日) 22:42:38.40 ID:Z15MLDq70
>>866

少女が路地を去ろうとして歩き、其の十歩目を踏み出さんとした其の時。
不意に男が行く手を阻むように立ちふさがってきた。
身長は大体180糎くらいか、少女は男を高く見上げ。

「お前は何者だ?コートを着ているのであれば警察でもあるまいし。」

そこまで言い切り、再び男の様子を見る。
すると。襟には剣と盾の紋章が伺える。
恐らく、D.O.T.A.とかいう組織であろう。
その一員とすれば、この男は異能持ちということになるが。

「少し考えてみろ。おかしくないか?
私はいまここにいる。さっきからずっと、だ。
だがあの男は斬られている。私は関係ない。」

本当は此の少女が犯人であるのだが。
其れは正当防衛の過程で起こった事故。妖刀の力。
さて、自分は関係ないと少女は主張するが。

//よろしくお願いします!
868 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/24(日) 22:46:22.43 ID:aZUeMqvzo
夜の公園。一際冷え切る今晩
まず外には出たくない、そんな気温の夜

一人の少女が公園のベンチに座り込んでいた。
その様子はどこか落ち込んでいるようで


「…クシュンッ」

くしゃみが白い息になって天に昇る

「…はぁ、寒い」

学園の制服を着ているところを見ると、学園の生徒だろうか…

それより所々に付着した血液は一体誰のものだろう。
少女に怪我はないようだが…


※新規です、そして凍結してしまうと思いますが、それでよければ…
869 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/24(日) 22:58:20.24 ID:Ejb7594L0
>>867
少女の弁解を、男は黙って聞いている。しかし男が答える其の前に
二人の間にある音が近づいてくる。それは徐々に、だがそれなりのスピードで近づいてくる警報音。
警察が、ここに近づいてきている事を示していた。

「―――場所を移す。書類を書くのは苦手でね。
 あいつらとは接触したくない。」

なんて、随分個人的な理由で場所の移動を提案するだろう。
それは少女にとっても悪い提案ではない。少なくとも断る理由は無いはずだ。
そうして移動した先は近くの路地裏。人目は無く、土地勘のある人間でもここを認知しているかどうか、といった場所。

「ここなら良いだろう。
 さて、そもそもだ。お前があの男を斬った事自体、責めるつもりは無い。
 其の権利が無いんでな。俺だって"人斬り"だ」

少女の弁解について、全くの無視。しかし今すぐ事を起こすつもりはないらしく

「俺が聞くのはたった一つ。たった一つだけだ
 あの男は"悪"か?」

ストレートなように見えて、その実遠まわしでもある。
要するに、お前は自分の快楽の為にあの男を斬ったのか、という問いだ。
正当防衛であるなら、事情があるなら言えばいい。
男の腰には剣が下げられているが、それに手をかけることすら今はしていない
870 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/24(日) 23:05:11.11 ID:Dx2HYVi7o
>>868

ひゅうと風が吹きつけた。地面が埃をあげる。
旅人が冷たい風に運ばれてこの公園へと流れ着いた時、最初に見て取ったのはひとりの少女の姿だ。
おや血を流しているようではないか、旅の女は懐から消毒液を取り出し、歩み寄っていく。
異国風の風貌と髪色であるが、それが何の血の由来であるかを察するのは難しいだろうか。
白い肌から北国の者の印象を与えるかもしれない。直ぐに冷たくなる耳は髪で覆われている。

「これ、使う?」

消毒液と包帯を差し出す。必要ならば絆創膏も取り出すだろう。
外套の懐は色々なものが入っているようだった。よく見れば、外套の中で荷物袋が下がっているのがわかるだろう。
871 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/24(日) 23:05:33.45 ID:Z15MLDq70
>>869

突如鳴り響く警報音。
通報でも受けたのか、警察が駆けつけたようで。
だから、男の提案は願ったり叶ったりだった。

「そうね、あなたも私も面倒くさいでしょうし。」

男と共に路地裏に入る。
今更気づいたが、男も剣を提げているようで。

そして問われるは男は悪か、と。
単純にそれだけだった。

「ええ、あいつは悪だった。私を連れ去ろうとしたわ。」

男に連れ去られかけて斬りつけたのである。
正当防衛であることを男がわかってくれればいいが。
872 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/24(日) 23:12:39.55 ID:aZUeMqvzo
>>870

突然声をかけてきた少女に対して、彼女は少しびっくりした
だからか、少しだけ体をビクッと反応させた


「あ…ありがとう。けど私は怪我してないから大丈夫だよ」

心配しないでとニコッと微笑んで見せる少女
その笑顔から嘘の気配を感じ取れないだろう


「…怪我してた人が居たから…その人を助けた時に…ついちゃったかな?」

怪我してないならどうして血が付いているの?という疑問を想定してか。先に答えを口にする
けどその言葉は先ほどの様に真っ直ぐではなく。
どこか後ろめたい物が混じっているような…そんな気配を感じさせるかもしれない


873 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/24(日) 23:26:24.45 ID:Dx2HYVi7o
>>872

身体を覆うほど大きな外套は、冷たい空気から女の肌を守っている。
後は厚手のセーターを着ているに過ぎなかったが、やはり寒冷地の生まれなのか少しも寒そうにしていない。
少女に申し出を断られると、両肩を僅かに竦めてから外套の内へとしまった。

「余計なお世話だったみたいだ。」

首を傾げ、笑みを返す。

「君も私と同じ性格みたいだね。困っている人がいたら、見逃せない。」

ひゅう、とまた冷たい風が吹く。季節は冬、外で立ち話をするには寒い空気。
疲れた身体を癒やすのにも、適してはいないはずだ。
"隣、座ってもいい?"
彼女に許可を与えてくれたならば、お礼の言葉と共にゆったりと隣へと腰かけるだろう。

------------------------------------------------------------------------

座れても座れずとも、会話の機会があるなら、こうも続ける。

「どうして家に帰らないの?」
874 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/24(日) 23:32:43.39 ID:aZUeMqvzo
>>873

「心配してくれてありがとうね、気持ちは嬉しかった」

決して余計なお世話じゃないよと。
凄くうれしいんだよと。
精一杯その気持ちを伝えようとする


「うん。困っている人は見過ごせないよ」

これは本当の事。
だけど彼女は人助けとは対になるような事もしてしまっている
その行為が彼女の言葉に少しの影を落とした。



「良いよ。座って」

横に座りやすいように、少し横にずれてやる
これで幾分かスペースは広くなっただろう



―――――――――――――


「頭。冷やしてるの」

家に帰らないの?という問いにこう返す
頭を冷やすには寒すぎる気もするが…。嘘では無さそうだ。
875 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/24(日) 23:37:01.70 ID:Ejb7594L0
>>871
「なるほど―――」

連れ去るというのは強姦魔か、誘拐魔か。どちらにしろ正当防衛という言い分は成り立つ。
が、それじゃあ男が店主を殴り殺した理由の説明にならない。

「―――良いだろう。
 自分に降りかかる悪を斬った。ならお前は悪じゃない」

何故男は店主を襲ったのか、少女の答えだけじゃ説明が付かない事は多い。
しかし少女が嘘をついているようには見えなかった。
嘘をつくには余りに安い。判断基準の大部分は勘だが。
それと―――少女は正当防衛で人を斬った、と言うには落ち着いている。
快楽殺人者特有の高揚も無ければ、自分の剣に怯えることも、自分の所業に恐れることも無い。
唯々虚ろ。人を斬った感想自体持っていない様だった。

「どうせ、警察が帰るまでに時間もある。今帰る気には成らんだろう?
 まあ、少し雑談でもしようや」

路地裏の壁に持たれかかり、男は懐から葉巻を取り出し火をつける。
煙を吐いて一息おけば、男はまた口を開き

「―――"そいつ"を手に取ったのは、どんな理由だ」

口から話した葉巻で指したのは、少女の腰の黒い刀。
少女の抱える虚、其の根源には絶望か、もしくはそれに近い何かがあるように見えた。
それを何か確かめる。もしかすれば、自分と同じような物を持っているかもしれないと。

「俺だけ一方的に質問するのが気に食わんならお前からでもいい
 隠すようなことは無いしな。」

//遅くなりました・・・・・・
876 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/24(日) 23:41:09.15 ID:Dx2HYVi7o
>>874

「それはいいね。私も、気分を落ち着かせるために雪を食べる事がある。」

"この辺は雪が振らないから氷だね"。くすりといたずなら笑みを零す。
外套は旅人の身体を覆い隠しているから、手が何をしているのか視えないだろう。
大方、もしも本当に傷ついていたら何を出そうか探っているのかもしれない ―― 。

「うさぎも、ハンターに追われて慌てた時、頭を雪に突っ込む。」

白い息と一緒に言葉を吐いていく。

「でもうさぎは耳が出ちゃうから、わかっちゃうんだよ。」

"おかしいよね"と、またくすりと笑う。
877 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/24(日) 23:47:14.02 ID:Z15MLDq70
>>875

どうやら、男は理解してくれようだ。
此の少女は意図的に男を殺したわけではない、と。
だが、説明がつかないところもいくつかあるが。

「雑談か。いいよ。」

此の少女も壁にもたれてそらをみあげる、視点は定まらず。
少女の辺りには虚の雰囲気が醸され。
男のタバコの匂いも慣れている、と気に留める素振りすら見せない。

「この刀、か。これが目覚めたっていうだけだ。
取ろうと思ってとった訳じゃない。」

絶望の日々の中で負の感情に目覚めたのがこの「虚鳳」なのであるが。
初対面の男相手には深く話さない。
自分の情報は出来るだけ遮蔽しておきたいから。

「じゃあ私から。あなたはなぜその襟章を付けようとしたの?」

男の襟章は正義の証、と言うべきか。
ただこの少女、正義を騙る者が大嫌いなのであるが。
是非とも、男の決意を知りたかった。
878 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/24(日) 23:48:07.29 ID:aZUeMqvzo
>>876

「雪…美味しい?」

少女が何かを探ってるなんて全く気付かず。
彼女は一人、雪の味を想像していた
味のないシャーベット。シロップのかかってないかき氷。彼女の頭の中ではこの結論にまとまった

「兎…かぁ」

そう言えば生の兎なんて見た事ないなと
ペットショップに行けばみられるのだろうけど


「ふふっ。頭隠して耳隠さずって奴だね、けど見つかっちゃうなんてかわいそう」

その姿を想像すれば少しコミカルで笑える。
だけど、その後を想像すれば笑えない
少しだけ、本当に少しだけ複雑な気持ちになるのだった
879 :【惨撃進軍】 [sage saga]:2016/01/24(日) 23:57:09.20 ID:wu7WxZdB0
――――人体と言うのは、想像するよりもずっと『脆い』。抜き身の軍刀を握った右腕に掛かる不愉快な感触が、彼の表情を少しだけ歪める。
骨に刃が当たってしまわない様慎重に、且つ迅速に振るわれた刃が残す気持ちの悪い感触が彼は嫌いだった。何故かと聞かれれば、人を斬ったという感覚を残すからだと答えよう。
もっと言えば、その感触に対し完全に慣れてしまった自分はもう「『刃』としてしか生きられないだろうな」という不可思議な確信を持ってしまう。
可能性を確定しているとも理解できるその『理不尽』に、彼は少なからず敵愾心を抱く。相手にしたところで、別段これといった意味は無いのだと分かっているとしても。

だが、彼の様に『一太刀』で獲物を殺してしまうという行為は、人斬りにはやや不相応な殺し方だと、彼は刀身に着いた血を右腕を振って払いながら、僅かに思考する。
そもそも口封じというものは対象を殺すことに加え、どのような殺し方をするかにも少なからず重要度がある。それは、処理されてしまうという事を加味しても、だ。
例えば、裏切られた人間が一太刀で殺されているのと、散々拷問まがいの事をした後に殺されているのではどうだろう。殺されるという恐怖は一緒だが、後者の場合は其処に『痛めつけられる』という別の恐怖がプラスされる。
極端な話をするのなら、今各地で定められている法律も『破った際に与えられる罰』と言う形の恐怖と言い換えることができる。約束を守らなければ罰を与える。単純ではあるが、だからこそ例外が少ない恐怖だ。

そして、その恐怖が強ければ強いほど人はその存在に対し反抗することが少なくなる。裏切った場合のリスクと、裏切らなかった時のリスクが、明らかに天秤を揺らすような結果になれば、打算的な人間はまず裏切らない。
理想論者や正義の味方を気取る連中に反旗を翻される、民衆の反発を喰らうというデメリットも小さくはないが、帝國暗部内だけの話として考えれば、物事は比較的単純になる。

――――思考停止。これ以上は考える必要が無い。俺という存在が、私という存在が其処にある『意味』など、仕様も無いことを呟くつもりも無い。

ショートに切り詰められた黒髪を一世代ほど前の帝國軍帽で隠し。全身を包む軍服、背中を覆うマントの様な雨覆に、右腰に帯刀された古い軍刀。鋭い目つきを当たりへと巡らせ、左手に持ち替えた抜き身の刀身を鞘に戻す。
現場には原則として誰一人居合わせることは無い。処理が完了した後、若しくはする前に処理班を呼びつけ、彼は只斬ればすむ。と言う風に物事が簡単であればいいが、事実其処まで容易にこなせる仕事でも無い。
様は人探しと人殺しが合わさっているようなもので、基本的にはあらかじめ位置情報が知らされてはいるものの、何らかのアクシデントで対象が此方に気付き逃げ出すことや、能力による抵抗などを受ける事も多い。
命が幾つあっても足りないとは、以前聞いた同僚の愚痴だっただろうか。恐らく、そのような事を想いながらもこの仕事を続けている時点で相当な気狂いであろうことだけ、よく似ている。

場所は路地裏にほど近い、広場のような僅かに空間が開けた場所。街灯と月の明かりが存外に強く、辺りを見回すという動作だけなら明かり無しでも容易に可能なほど。見るにしろみられるにしろ、どちらも『簡単』だ。
地面に散らばった頭と胴体、そして彼。もし仮にこの場所に出くわす人間がいたとすれば、鉄の様な異臭の中表情すら変えずに立っている彼を見ればどう思うか。きっと、殺人者と言うレッテルを張られてしまうだろう。
事実間違いでは無い。人を殺しているという一点では間違いなく殺人者だが、帝國にとって目障り、いや「裏切り者」としての位置づけである存在を殺すことは、彼の任務であり使命。それを譲るつもりはない。
だが、気付かれてしまえば基本的にその人間を処理しなくてはならない。特に帝国との関わりが無いような一般人、来訪者程度の存在であれば見逃すことは出来る。幸い、未だ処理班が到着するそぶりは無く、多少の時間は確保できている。
他にも同業者や同じ帝国の人間は殺害対象に入っていない。寧ろ彼にとっては友好的に向か入れるだろう。血みどろの出迎えと言うのも、些か趣味が悪いと言わざる得ないが。

唯一見逃せない物はと言えば………『敵国の兵』くらいだろうか。どちらにしても、このまま誰も現れるに越したことはないわけなのだけれど…………。

//最初の反応が遅れるかもしれません……
880 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/24(日) 23:59:02.66 ID:Dx2HYVi7o
>>878

「かわいそうだけど、誰に見つかるかも重要なんじゃないかな」

少女の方へと視線を向けながら、少しだけ顔を寄せる。
蒼い瞳。冷たい視線が二つ、少女の心を見透かそうとするように投げかけられていた。
旅人の酔狂な退屈凌ぎか、それとも、……いや、旅人の行為など、退屈凌ぎ以外にあるだろうか。

「猟師に見つかれば、皮は市に売られて、肉はその日に鍋で煮られるけど、
 例えばそう、君。君が見つけたら、見逃してくれるかもしれないし、温かい家に連れ帰ってくれるかもしれない。」

ふふ、と楽しそうな息を零して、まるでからかうように言った。
881 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/25(月) 00:06:22.81 ID:WNSG7CLTo
>>880

「そっか…優しい人に見つかればいいんだね」

見つめられる。何かを見透かされてるような気がする
いや…そんな事はない、そう。そんなことはない
それに…確証を得らせるものなんてどこにもないじゃないか


「そうだね。確かにかわいい兎だったらお家で飼っちゃうかな」

兎の飼育方法なんてわからない。
きっと彼女に飼われる兎は短命だろう


「けど見つけたのが悪いクマとか狼だったら、私は猟師と同じ…ううん。それより怖い事しちゃうかもね」


ちょっとだけ真剣なその言葉。笑うのを忘れていたのか、表情は変わっていない
882 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/25(月) 00:10:04.40 ID:ripUj5eq0
>>877
「目覚めた、ね。それじゃあまるでそいつに意思があるみたいだ。
 ―――妖刀、とでもいうのか」

返ってきた答えは短く、情報は隠されてばかり。
当たり前のことではある。何せ初対面の相手に、全てを話そうなんて者は居ないだろう。

彼が口にした妖刀、というのも半ば冗談のつもりで。まじめに予想したわけじゃなかった。

「こいつか。」

襟章を手に取り、コインにするようにぴんと弾く。
其の扱いからしてこれが男の誇り、なんて事はないらしく。それとはまた別のものらしい。
また一息、煙を吐いて語りだす

「俺は"刃"だ
 悪が在れば"唯"斬り殺し滅する。そのための存在だ。
 が、俺は余りに小さかった。この世の悪を滅するには。
 だから俺はD.O.T.Aに入った。
 一人じゃ出来ないことをする為に―――この組織そのものを巨大な"刃"にするために、ってな」

どこか芝居がかった口調だが、声は重く。
即ち、この襟章は誇りでもなければ正義の証なんかでもない。
一つの"手段" 男が口にしたように、悪を斬り滅ぼすための。

一度も"正義"という言葉を口にしなかったのは、少女の質問の意図をわかってか。
初対面の相手から情報を引き出すならば、方法は一つ。感情を揺さぶる事。
あえて正義についての言及を避けることで、少女から何かしらその正義について引き出そうとしていた。
883 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/25(月) 00:18:23.79 ID:WKWVZmNIo
>>863
>>864
漸く目の前に帰還の手段が現れて、自覚は無かったが、酷く焦っていたらしい。額に手を当てて、それから大きく息を吸って吐いて、心を落ち着かせようとする。
約束はされたが、所詮は異常性だ。本当にそれを履行するかどうかは分からない。兎も角、立華はあの機械を信用していなかった。
だが、全てはあの機械が握っている以上、それに従うしかないのだ。故に、少女は彼女へとその場を明け渡す。

「……異常性の考えることなんて、理解できるか」
「分かった、私は向こうを調べておく。後は、頼んだ」

兎も角、言う通りにその化け物の残骸を調べる事にする。とは言っても、残っているものと言えば、灰と白衣くらいのものだが。
レッドアラートに成る事も無く、特に警戒する事も無く白衣を持ち上げる。両のポケットには何も入っていなかった。
次に胸元へと手を入れたが、出てくるのはボールペンが一本程度。余りの収穫の無さに拍子抜けしつつ、傍に落ちている名札を拾い上げる。
その名前を読み上げた時。立華の頭の中は、酷く?き乱された。其処に書かれた名は、"自分の父親の名前"だったからだ。
隣には次席研究員、と小さく書かれている。だが―――――― 自分の父親は、零号機関の所属ではあるが、研究員などでは断じてない。
載っている写真の顔は間違いなく自分の父の物だが、髪型は違う。勿論化け物などにはなっていないし、正月に顔を合わせた時にはまだまだ元気だった。
消えた、なんて話も聞いていない。混乱しながら、それをジッと睨み続けていた。グルグル、と思考は空転し、結局納得のできる結論には至らなかった。

「……譯が分からない」

此処に来て、最大の疑問が浮上してきた。あの機械に、聞いてみようか、とも思って、端末の方へと目をやった。
自分からは画面は見えないが、彼女の言っている事は分かる。随分と、不可解極まり無い物であった。思わず、何を言っているんだ、と首を傾げる程に。
兎も角、異形の残骸の捜査を再開する。そうなってくると、俄然疑問は多くなってくる。
灰、と思わしき物体に触れてみる。見た目や感触はどう考えてもそれその物なのだが、その出自を考えると、如何にもただそうだとは思えないのだが。
ゴーグルはグリーンを返す。既存情報との異相が確認できないという事は、通常のものなのだろう……納得いかないながらも、取り敢えずそうとして。
灰の中を探る。だが特に何か出てくる訳でも無く……結局、その調査の殆どは、有益な情報を何一つ手に入れる事無く終了してしまった。

「……あ、ああ、終わったのか。……そうか、これが……なるほど、ふぅん……」

手渡された書類を、パラパラと捲った。それだけで、興味深い事柄が幾つも幾つも流れてくる。
"異常性を収容する異常性"、"立華史兼の目的"、"異常性が異常性で在り続ける代償"、"それを現実へと差し止める錨"。
何もかもが、此処にはきっと記されているのだろう―――――― きっと、この疑問も、直ぐに解きほぐされることになるだろう。

「分かった。罠でも何でも、どの道私達に、道は一つしか殘されていないんだ」
「……歸れる、な。漸く、私達は。歸れるんだな。……行こう。私達は、ようやく、生きて歸れる」

正直、この現実味の無い光景よりも、生還出来る、という事実の方が、余程現実味の無いもので。
確かめるように、二度そう言うと。そのドアノブに手をかけて、ゆっくりと扉を開くだろう。
心地の良い風だ。今までの、何処か箍の外れたものとは違う、本当に、気持ちの良い風が、その、何処までも続く空間の中を吹き抜けていく。
それと同時に、此の世界の光景が変わった。只管に続く、無機質な白色では無く。青い空と、何処までも続く草原。その中央に、ポツリと、一つの墓石が置かれていて。


"君達の行く道に、遥か永遠に光が降り注ぐように"


ただそうとだけ書いてあって。それを一度読んだ後、振り返る事なく、立華は、扉の向こう側へと足を踏み入れた。
また、長い階段があった。真っ白な空間だ。少しだけ狭く……然し、それは"昇る階段"で、その先には、扉では無く、光があった。
疲れた身体でそれを昇るのは、少々辛い……筈だと言うのに、その足取りは酷く軽かった。或いは、一段飛ばして駆けあがりたいほどに。
884 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/25(月) 00:18:41.05 ID:WKWVZmNIo
>>883

やがて、光へと辿り着く。潜り抜けた先には―――――――――――― 確かに、太陽があった。

「……戻って、来れた」

其処は何処かの公園だった。季節柄酷く寒くはあるが、それでも子供達は元気にはしゃぎ回っていた、ようだ。
今は、突然現れた二人の人間に怪訝な視線を向けているが。異常性では無い、正真正銘の、本物の、人間だ。
本当に、戻ってこれたことを理解して……へたり、と。その場に座り込んで。


「……こ、こ、腰が、抜けた……ぁ……」


そのまま、立ち上がれなくなった。
持っていた書類もバサバサと落として、目元には涙を溜めて。緊張の糸は全くと言っていいほど解れてしまって。
随分と情けなく、声も震わせて、思わずそう言ってしまった。
885 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/25(月) 00:24:56.11 ID:puRadnBfo
>>881

ふふふ。

「それはいけない子だ。」

外套から手が出てくる ―― 女の手とは思えない程、固い肌の掌。
もし相手が嫌がらなければ、人差し指で鼻先を"ちょん"とつく。

「さて、貴重な時間をどうもありがとう。
 私はそろそろ、行くよ。君も早く家に帰って、温かいものでも飲めば落ち着くよ。」

手を引っ込めながら、ふう、とまた白い息。今度は塊のような白い煙。
立ち上がり、空を見上げて、黄色い月を眺める。あと星空も。

「猟師が動き出してから隠れるのがコツさ。
 先に動いちゃったら、もしかしたらバレてなかったかもしれないのに、余計に目立つんだ。

 うさぎは、慌てて先に頭を隠しちゃう。」

 ―― くすり。

旅人の女は公園から立ち去ろうと歩き出すだろう。止められなければ、消えるはずだ。
886 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/25(月) 00:30:58.28 ID:WNSG7CLTo
>>885

「いけない子です」

ちょんっとされて、フフッと笑みをこぼす。
指先の感触。人に顔を触れられるのなんて本当に久しぶりだ


「家に…帰る」

家が無いわけではないけど、家に帰っても一人
違うのは暖房器具があるかどうか。
って、それが大きすぎる違いなのか


「気を付けて帰って。この時間は危ない人が出る…から」

これは警告。本当に危ない人が出る。
彼女はそれをよく知っているから、少女に忠告をする
決して悪い人では無さそうだから…だ


「私は…うさぎじゃないから」

どういう意味なのだろうか。
意味深なその言葉は白い煙となって空へ吸い込まれる


「…じゃあ。また…ね」

去っていく少女を目で見送る。

そして暫くしてから彼女も一人帰路に付いた。
少し血で汚れた制服を着ながら


※新規なのに絡んでくれてありがとうございます
※〆でいいのですよね?
887 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/25(月) 00:47:47.76 ID:puRadnBfo
>>886

「また、会うよ。きっとね。」

首を傾げて、にこり。可愛げのある少女だと、旅人の女は思った。
これも風の導きならば、またどこかで会うだろう ―― そんな風に、考えながら。

握りしめていたナイフを離して、外套の中で小さく手を振った。


/はい、〆でオッケーです。ロールありがとうございました。
/もう少し私が深く突っ込んだ方が良かったかな、とも思っていますが、またご縁があればその時に。
888 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/25(月) 09:42:42.90 ID:J1RTlMUVo
>>882

「ふふ、ご名答。その通り。」

妖刀、とでもいうのかなんていう男の回答はそのまま正解で。
少女は男が半ば冗談で言ったつもりであろうとそれを褒めた。
ただ、顔はほぼ無表情のまま、声色も低く。

「・・・、正直、予想外だったわ。
D.O.T.A.って、自分が正義だって騙る人ばかりだと思っていたのだけれど。
貴方は違ったのね、それを方法としてみている。」

目的は悪の殲滅であろうと、男はD.O.T.A.を手段として捉えている。
この考え方は少女とも共通しているところがあり。
少女はこの考えに納得しているのか、小さくうなずいてみせた。

「私はね、正義を騙る奴が大嫌いなのよ。
自分が正義だ、って言うだけなら誰にでもできるでしょう?多分猿でもできるわ。
でも、貴方みたいに、手段を用いて方法までたどり着くって言う考え、それは正しいと思う。」

そうだったな、こんな冬だったっけ―
私が二度目に殺されたのもこんな冬の日だったはず。
いや、あの時は時間の感覚も狂っていたはずだから―

なんて、一人で考え込んでいると、はっと頭をあげる。
そういえば、男は少女に質問をしていなかった。
だから、少女は男に質問をせがむ。

「貴方は私に聞きたいこと、あるの?」

少女は男を少し好意的に捉えている。
踏み込んだ質問もできるであろうか。

//すいません、寝落ちしておりました・・・
//今日は一日中返せますので、都合のいい時にお返しください
889 :【嗅乞賢狼】 [saga]:2016/01/25(月) 17:50:22.33 ID:hGPKzPI30
>>862
追い付かれないように上へ上へと昇っていく。
そして最上階につく、屋上はない。

「俺は変身能力があるが…… 狼にしかなれないって聞いたら、信用するか?」
「たとえば…… ここに住み着いてるネズミなんかに紛れて逃げる事は出来ないって聞いたら…… 油断するよな?」
「油断するからわざと教えてやってるんだぜ」
「よっこら…… せっとぉ!」

ガシャン、というガラスを割った音がした後、バタバタと走り回る音がした後、静寂に包まれる。
外へと身を乗り出せる程に割れた窓ガラスと、幾つかの個室とトイレがあるだけの階層。
ここまで登るとかなりの高さで、飛び降りたら無事では済まない。

(わざと音を立ててガラスを割ったんだ! 登ってからすぐ外を見やがれ!その隙に喉元食いつぶしてやる!)

息を殺して、敵が登ってくるのを待つ。
この場所を選んだのは街灯などの明りが無い場所でなら自分の五感が圧倒的なアドバンテージになると思ってのこと。
照明を持ってきていたが後ろから攻めるには問題がない。

(その一瞬で―― 決める!)

廊下に置かれた掃除用のロッカーから、携帯のバイブ音が鳴った。
マナーモードにしているので振動だけだが、果たして感づかれただろうか?
890 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/25(月) 18:27:50.35 ID:dN+H16pf0

悲鳴。いや、これは断末魔だ。死に逝く人々の残す、最後の声。
怨嗟とも取れるようなそれを辿って行くと、其処には不可思議な空間が広がっている筈だ。
風景自体は深夜の公園であり、位置的にも其処まで違和感はない。其処に不自然にある傷跡さえ無視すれば、普段通りと言っても差支えないだろう。
問題は、目の前にいる二人の人間である。以前も見たようなシチュエーション。事実、彼にはこのパターンしかない。

即ち、処断されるべき悪を処断する最中である。帝国の軍服を着た男は、四肢が『衰えて』いるのか、動こうともがいている。
金髪スーツ姿の彼は、憎悪とも取れる様な灼眼を湛え。左手を擦り、男に向かってただ声を掛ける。

「――生憎と、悪の宗旨替えは受け付けてないんだ。」

「恨むのであれば、罪を犯した自分を恨むといい。」

息を呑む。今から『どうなるのか』が理解できてしまう。それが帝國の男には酷く恐ろしい。
声は出ない。僅かながら声帯器官に損傷が出てしまっていたらしい。頬に左手が触れる。目を見開いた。

何事も無ければ、このまま男は彼の手によって『無に帰る』だろう。
だが、僅かな物音。騒音、気配。何れの現象によっても『手を止めさせる』事は可能だろう。

//絡みにくければ>>879の方でも大丈夫です
891 :【代替神罰】 [saga]:2016/01/25(月) 18:54:05.18 ID:6FIQOdV90
>>889

上の階からガラスの割れる音。
それを聞き漏らす事はなかった。

「ばれているぞ化物め……」
神父はぼそりと呟いた。
追いかけていくうちに、自然と最上階まで来た。

すると、窓ガラスが割れているのを見かけた。

(ここから逃げたのか。どの程度の高さだ?)
高さによっては人外でも助からないはず。窓ガラスの一歩手前まで来ると、外を覗こうと身を乗り出す――

――その行為はどこかから聞こえた、何かの音で阻まれた。

「おるぇああああああ!どこに居ようと無駄だぞぉお!」
かなりの大声量。外でも、廃墟の近くにいれば気付くであろう程の音量。
とりあえず、この中に居ようと外に居ようとこれで聞こえるのではないか。
音源は後で探すとして、今は外を見てみよう。


窓際の壁に手を掛けて、下を見てみた。
「こりゃあ随分と高いな。ここから落ちたんなら、生きている可能性は……いや分からないな」

先程の音のせいで警戒心は高くなっていた。
だが、窓を覗くその姿はかなり隙が多い。
大抵の攻撃は届くだろう。
892 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/25(月) 18:59:28.89 ID:ripUj5eq0
>>888

「なるほど、いくつか納得が行ったよ」

妖刀、であればあの男の暴走も説明が付くか。
その刀にどんな性能があるのか、なんてことまではわからないが。

「―――そんな大したことじゃねぇ。
 言ったろ、俺は"人斬り"。騙る意味も語る資格もないだけだ。
 他の奴も多分そう。少なくとも、正義を名乗る奴はD.O.T.Aじゃ見たことねぇよ」

正義を掲げず、ただ悪を斬る。それは男がD.O.T.Aを手段に選んだ一つの理由でもあった。

「正義を嫌う、か。わからんでもねぇ
 ―――正義は何もしてくれなかった、なんて理由か?」

正義を語り、正義を騙る者を嫌う。其の心は、きっと彼女ほど強くはないが男にもある。
街に浮かぶ甘ったるい正義が見せるのは幻想だけで、自分たちのような世界の隅で苦しんでいる人間を助けちゃくれない。
正義が、本当に正義が掲げられたとおりのものならば、きっとあの日自分は―――

「質問、ね」

気が付けば葉巻の火は消えていた。それなりに時間はたってしまっているらしい。
おそらく、これで最後になるだろうか。

「なら今俯いて、何を考えてたかだけ聞かせて貰おうか。
 何を考えて、そんな顔をしてたのかよ。」

はっ、と頭を上げる直前の少女の顔。
男が感じた虚空の奥の、絶望に似た何か。それを浮かべているように見えた。
もしかすれば思い過ごし、単なる男の勘違いかもしれないが。

//遅くなりました・・・・・・
893 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/25(月) 19:19:27.41 ID:J1RTlMUVo
>>892

「あら、私の大きな思い違いだったようね・・・。
ごめんなさい、そういう人ばかりと思っていたから。」

少女は正義に対して大きなトラウマを感じている。
自ら正義だと騙る者は、絶対に正義ではないと、ずっと思っていた。
そして、民衆を悪から救う正義、とは少女にとって疑念をもたざるをえない。
そんな思い込みがずっと続いていたのだ。

「いいえ、正義はそれ以上の事をしてくれたわ。」

なにもしないほうがよっぽどマシだった―
正義がやることはすべて市民にとって善良なことであるとばかり思っていた。
だが、売られた少女に対しての行為はあまりにも残虐で。

「まあ、年端もいかない女の独り言だけど。聞いてくれる?
私は悪い男たちに身を売られて、毎日毎日色々な事をされた。ここまではなんとなく分かるでしょ?
それからしばらくして、私はその行為に耐えられなくなり、男たちを斬り捨てた。
それから通報を受けた警察が私が囚われてた小屋に来た。さて、警察は何をしたと思う?」

ここで一旦話をきる。
やはりトラウマだ、話したくもない。思い出したくもない。
思い出せば反吐が出るような話しだ。それでも、少女は話を続け。

「―男たちと同じことをしたのよ。」

はぁ、と再び。だが、路地でしたため息とは違い、呆れの意も含め。
その後、警察官も男たちと同じ末路を辿ったのであるが。
だから正義を騙る者共は嫌いだ、というのが男には理解できるであろうか。
894 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/25(月) 19:48:52.82 ID:ripUj5eq0
>>893
>>893
「・・・・・・気分が悪いなら、言わなくていい
 男の気まぐれだ。そう迄して付き合うこたぁない」

なんて、止めても少女の語る口は止まらない。
反吐の出る過去を少女は語る。正義を騙る"悪"を語る。
止めても無駄だと知れば、男は黙って聞き入り、そして

「―――俺たちD.O.T.Aは悪への判決を完全に委任されている」

ほんの少しの間をおいて、一言。

「ま、要するにだ。
 俺たちは相手が悪であるなら"斬れる"んだよ。それがどんな立場でも、正義を騙る汚物共でもな」

口を動かしつつ手元の襟章をまたぴんと弾いて、落ちてきたそれを右手に握る。
そして其の拳を少女に差し出し

「―――お前が語ったような奴らはこの世界に幾らでもいる。しかものうのうと、幸福に生きてやがる
 気に入らないだろ。少なくとも俺は気に入らん。今すぐにでも首を落としてやりたいね。
 お前も同じなら―――――どうだ、受け取ってくれるか?」

襟章を、少女に差し出した。つまりは組織への勧誘、共に悪を斬らないかという訳で。
895 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/25(月) 20:08:37.54 ID:J1RTlMUVo
>>894

D.O.T.A.は悪への判決を完全に委任されている―
つまり、相手が悪であれば許可もなく斬れる、というらしい。
少女はいままで相手悪であろうと斬ることは叶わなかった。
―自分は家族の金になるから、と

だが、D.O.T.A.はその悪がどんな立場だろうと、正義を騙る汚物であろうと斬ることを赦される。
途端に、途端にいままで”偽善の塊”と思っていた組織に興味が湧いた。
悪を斬ることができる、其のことに興味が湧いた。

「ふふ、なら一つあなたに問うわ。
私が虚でも、たとえ負の感情の塊でも―
斬った相手を負の感情に染め上げてしまっても、私を受け入れてくれる?」

そう、この少女の心は虚でしかない。
唯唯虚なのである。それは精神的に、であるが。
呪われた少女は唯の刀を呪われた妖刀に変えてしまった。
其の心は負の感情にまみれている。

そんな自分をうけいれてくれるのなら―
と、生まれて初めて、希望という感情を抱いた。
896 :【0】 [sage]:2016/01/25(月) 20:10:02.12 ID:PR6BYdXSo
>>890
「最近───」

語り始める声は、男の右側の方向から、ボンヤリと緩く、上の空で愚痴を呟くような風に。
声と同じように緩やかな足音も同時に近付いて来て、踏み出す足に蹴られた小石が転がっていく。

「『こういう場面』に出会う事が多い気がするんだよなァ〜ッ」

現れた青年は、間延びした口調でそこにいる男達に聞こえるように呟きながら、頭を掻いて立ち止まる。
距離は5m程、駆け出せばすぐに触れられる距離で、頭を掻いていた手をそのまま指差し、続ける。

「お節介かもしれないけど……オレから見りゃもう勝負ついてるように見えるぜ」
「それ以上は『やり過ぎ』ってヤツだ……良識があるなら止めとくべきだとオレは思うけどな」

/1時くらいに落ちてしまいますがそれでもよければ……
897 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/25(月) 20:23:58.54 ID:dN+H16pf0
>>896

彼と男の視線、計四つの瞳が見据えた先に存在するのは、一人の青年。余裕とも取れる態度に、彼は少しだけ疑問を抱き、そして自己完結する。
傍から見ていれば、単に左手で『殴ろう』としているように見えたのだろう。喧嘩の延長線上だと解釈されていると考えれば、この反応も頷ける。
以前であった巫女の様に『彼の常識』が通用しない人種、スーツの女の様に『慣れている』人種だって当然いる。青年も、もしかすればその一人なのかもしれない。
だが、彼としては善良な人間(彼の対象に対する第一印象は必ず「正義」から始まる)を傷付けるつもりも無ければ、今から行う惨状を見せようとも思わない。
知らない方がいいこともある。正義の心を持っているのならばいいが、それでも人死にとは少なからず精神に傷をつけてしまう。それは避けるべきだろう。
帝國の男に向けていたさげすむような視線は何処へやら、男から手を放し、向き直って青年に向けるのは爽やかとも表現できるべき笑み。

「言い難いが……これは『勝負』という簡単な枠で済ませられる問題では無くてね。」
「分かりやすい言葉で言えば『粛清』若しくは『処断』と言う行為が分かりやすいかな?」

と言いながら、足で僅かにもぞもぞと逃げ出そうとしていた男の腹部を蹴り。呻き声と共におとなしくなったのを見向きもせずに、視線は青年へ。


「―――良識と言う言葉で測れない程度の『罪』が、この男にはあるんだ。」

//ぜひお願いします!
898 :【千刃逆撃】 ◆lT//vrXPMk [saga]:2016/01/25(月) 20:26:04.42 ID:ripUj5eq0
>>895
負に塗れているのは少女だけではない。
男も、"部隊長"であるこの男ですら、最もなる動機は復讐心なのだから。
故に―――――


「――――お前が斬るのが"悪"であるなら」


―――――受け入れない理由などなく。
悪を斬る。悪を滅す。悪を淘汰する。その目的さえ共有していれば、組織は少女を歓迎するだろう。
男は少女に襟章を手渡し

「これで堂々と道を歩けるな。
 あの男を斬ったのも、"お前は仕事を全うしただけ"だ。」

そうして男が導く先は街の中心、D.O.T.Aのビル。
そこで簡単な手続きを済ませば正式に部隊員となる。
住む場所がない、というならビルの部屋を借りることも出来るだろう。

//この辺りで〆でしょうかー
899 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/25(月) 20:31:53.48 ID:J1RTlMUVo
>>898

「ふふ、悪であれば、それでいいのね?
―初めて、人に受け入れられた気がするわ。」

生まれて初めての感覚、いや、感情と形容すべきか?
受け入れられる、というのは少女にとって生まれて初めてのことだった。
嬉しい、という感情が広がり、小さく笑みを零す。
―――そして、覚悟を決めて。

「私、D.O.T.A.に入隊します。」

男の襟章を受け取る。
其の歓迎を、少女は受け入れた。
ここでついに悪を斬ることを赦されたのだ。
―ある意味、過去との決別がついにできるのかもしれない。

男についていき、D.O.T.A.のビルへと入る。
そして受付にて手続きを済ませ、正式に部隊員となった。
無論、家族に身を売られて最近まで汚らしい小屋に居たわけだから、住居など有るわけなく。
少女はビルに住むことにした。

―綾桐彩葉は、悪を斬る覚悟を决めて。

//ロールありがとうございました!
//楽しかったです、また機会があればぜひ!
900 :【0】 [sage]:2016/01/25(月) 20:45:19.27 ID:PR6BYdXSo
>>897
「ほォ〜ッ!それじゃあ、そのアンタが今蹴り飛ばした男は『罪人』って訳か」
「それじゃあ仕方ないな、悪い事をしたら裁かれなきゃならん」

意外と素直に、青年は男の言葉に賛同した、無論一部始終を見ていた訳じゃないので男が嘘をついているという可能性も考えてはいる。
しかし『罪人』が粛清されるという事そのものは全くだと感じたのは確か、悪い事をすれば相応の報いを受けるのは当然だ。

「だが!」

「それをやるのは裁判所の仕事だぜ!悪いけどアンタ、裁判官には見えねえけどなァ〜ッ!」
「それでも『やる』ってんならよォ〜……『私刑』は罪にならないって都合のいい事を言うのかァ〜ッ!?」

罪人が裁かれるのは当然の事、しかしそれをやるのは1人の人間の意志によってではないと、それこそ在り来たりな良識だけの意見を続ける。
それに何より、彼にそう言った意見を持たせたのは、たった今した男の行動が大きかった。

「それに、笑った顔しながら人を蹴り飛ばせるヤツの言う事なんて、胡散臭いとしか思えねぇぜ」
「そろそろ忘れてんじゃあねーかと思うからもう一度言うぜ……」
「『止めておけよ、それ以上』」

ボンヤリとしていた雰囲気の目付きは、何時の間にか睨むような物になり、身体中の筋肉が俄かに強張っているのがわかるだろうか。
こんな話や意見が通じない相手だと思って男に対しているのだ、故に何時でも動けるように気を張る。
901 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage]:2016/01/25(月) 20:56:42.97 ID:tzAHXDOVo
>>883
>>884
 少女が前で、ゲイルがそれについていく。
外への道筋でもそれは変わらなかった。

「ようやく太陽見られるよー」
「ここに入る前って雨だったからさー」
「びっみょーに長いね、この階段…… 立華ちゃん疲れてない―?」

 その間の僅かな距離でさえ、ゲイルの口数は減ることを知らない。
いや、扉から出る直前。ふと後ろを見た時に、少しその言葉は止まった。
変わった空間、置かれた墓石。 それを目にしたゲイルは、いつもの如く興味なさげに。
いや、あえて興味を持たないように、少女への軽口を再開したのだった。

 階段を上り切り、体内時計を外の時計と合わせれば。
ゲイルがあの異界に入ってから、27時間26分程度の時間が経っていた。

「ふへー……まるまる一日ぶりの太陽だ―」
「あー、コンビニ行ってポテチ買わないと。もー無いんだよねー」
「立華ちゃんにも私のオススメの奴買ってあげるよ―」

 出た場所は公園。普段根城にしているところとは違う公園ではあるが、あまり遠くもない。
正真正銘、元の世界の公園だ。 くるりと。後ろを見れば、ここまで来たはずの道は当然のごとく既にない。
さて、あの場所は望み通りちゃんと崩落したのだろうか。 それを確認するすべは無い。
まー、どーでもいいけどねー。 と思っていると、ドサリと何かが崩れ落ちる音、その後に紙が散らばる音。
 さてどうしたと、少女の方を見てみれば、少女が地面にへたり込んでいる。しかしそれは、怪我や"異常性"によるものではなく。
少女は安堵のあまり、腰をぬかしてしまったようだ。それがわかれば、ゲイルは特に慌てることもなく。

「ありゃりゃ。だいじょーぶ? まー、気を抜いてる暇無かったしねー」
「そーいや、あいつの攻撃モロに食らってたじゃん」
「 怪我無いみたいだけど、もうあんまり動かないほうが良いと思うよー」

 よいしょっとという掛け声とともに、腰を抜かした少女を背負う。
たとえ少女が拒否をしようと、その力を持ってガッチリと固定するだろう。
よほど抵抗すれば、手を話すかもしれないが。
そして、背負えたのならば。

「さーて、立華ちゃん。 取り敢えず家に帰ろっかー」
「というわけで、立華ちゃん家まで送るからさ―。 家まで案内してー」
「それじゃーしゅっぱーつ!」

 そして人よりかは遥かに俊敏に、そして疲弊すること無く走ることのできる脚で駆け出す。
輝く太陽の元。二人の道は輝かしい光りに照らされている。

/返しました!
902 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/25(月) 21:04:02.67 ID:dN+H16pf0
>>900

「だろう? 悪人は裁かれるべきなんだ。」
「寄りにもよってこの男は『騎士団(オルデン)』を裏切る様な真似をしたのだから、当然だろう。」

「言わずともそれを理解してくれているようで助かっ………た?」

青年の賛同を聞き、彼はその通りだとでもいう風に相槌を返す。こんなにも正義感の強い青年がいるとは、いやはや世界とは捨てたものでは無い。
以前の二人に比べれば、彼弐より近いと言えるだろう。ならば、その理由も教えてもいいかもしれないな――――と考えていた矢先。
彼の眉がピクリと動く。青年が彼の言葉を遮る様にして発した声は今『何と言った?』

「―――――うん?」
「君は今『何と言った?』」「私の事を、俺の事を『正義では無い』そう言ったのか?」

違う。青年は彼の事を遠回しに信用できない、それは間違った行為であると言っているだけだ。決して彼の事をけなしているわけではないだろう。
事実青年が放っている言葉は実に良識的で、暴力で無理矢理止めようという意思も感じない。ただ、迫る脅威に対し身構えているだけだ。
だが、彼はそれを『歪んだ形で受け取って』しまう。胡散臭いという言葉は彼の中で『正義では無い』と言う言葉に変換され、彼の存在意義に爪を立てる。
そうなれば相手が正義だ蝋が悪だろうがそんなことは最早どうでもいい。左腕に僅かに違和感が灯る。青年にしてみれば、男の左腕に幾つもの『数字』が浮かんだように映るだろうか。
彼の持つ魔術である『不浄の左手』が彼の意識に反応して自動で展開、負の性質を左手に纏わせ、そして彼の表情からは笑顔が消える。ギラついた灼眼が、青年を射抜くように見つめている筈だ。

「君も……いや『お前』も、俺を悪だと言いたいわけか」
「確かに君の行いは一般的な良識に見立てればそうだろう、だが、これは『それで済む問題では無い』」
「そうだ。だから」「邪魔をするようであれば」「俺に敵対する悪を『排除』する必要がある」

「つまり、だ。」
「君は悪で、俺が正義だ」「理解したか?」

言葉に精彩さが消えている。いかにもな『動揺』を青年は見て取れるだろう。そして、頭が回るとも回らなくとも、彼に何らかの「精神障害」があることは容易に理解できる。
ある一つのキーワードに無理矢理当て嵌め、自らのアイデンティティの崩壊を防ぐために相手を『殺す』。少なくとも、良識に乗っ取った善良な市民では在り得ない行動だ。
まさしく『狂信者』とも分類分けが出来そうな程に『異常』である。

一歩。わずか五メートルの距離の最初の一歩を詰める。そして青年が何の動きもしないのであれば、緩慢な動作と共に『何時の間にか手袋の外れた左手で』青年の右腕に触れようとするだろう。
もし触れた場合は、右腕の握力筋力その他諸々の『エネルギー』というものの事如くが『枯渇』しているのが感じられるだろうか。触れた瞬間に違和感が発生するため、即座にその手を振り払えば別段危険性は無い。
その場合は右肩を回しすぎて疲れたレベルの疲労感が蓄積するだけ。もっと言えば、彼の動きに合わせて何らかの反応をすれば、其の疲労感の蓄積すら防ぐ事が出来る。
903 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/25(月) 21:21:17.38 ID:T6FGtRk7o
「オレに挑むことになった己の不運を呪って―――
――――死ね」

女が腕を横に振るう
連動して手に持った蒼き槍が肉を引き裂き切り裂く
そして、肉塊が倒れた
つい先ほど肉を穿ち、切り裂いた槍を軽く一回転。そしてついた赤き汚れを落とす

――取るに足らない連中だった
彼らはそろって緑の軍服――祖国の軍服を着ていた
彼らの目的は女の逮捕――ではなく、回収だった

女は歩き出す
肉の島が点在する赤き泉から、石畳の道へと
路地裏の狭い星空――それは故郷のそれと変わらないな、なんて想いながら
904 :【0】 [sage]:2016/01/25(月) 21:33:25.76 ID:PR6BYdXSo
>>902
「…………?」

様子がおかしい、一瞬にして空気がヒビ割れ張り詰めるのを感じた、今まで身を晒して慣れている筈の空気なのに、俄かに寒気が増した気がする。
男の事をそんな風に言ったつもりはない、そう聞こえるような言葉ですら。何かがおかしい、この男は。
青年は眉を顰め、男の動きを逐一見逃さないように見詰める、そうしている内に、男の頭上に幾つもの『数字』が浮かび上がったのが見えた。

(こっ……こいつは……!)
(予想はしていたが『能力者』かッ!?しかもこの数字が見えたって事は……)

彼にだけ見える、能力者が持つ固有の『数字』が見える、それは即ち男が能力者であるという事で、能力を発動したという証に他ならない。
このタイミング、この雰囲気で能力を発動するなんて、どういう事なのか想像に難くない。

「あ……いや……そう言う事を言ったんじゃあない……」
「要はオレは、その……『やり過ぎだ』って言っただけでだな……」

ヤバいヤバいと脳内アラートが鳴り響き、ゾッとする様な空気で冷や汗が噴き出てくる。
男が一歩踏み出すと同時に、素早く一歩退いて距離を保とうとする、しかし強張った体では一歩が短く、それでも男が手を伸ばせば届く距離。

「うっ……」
(マズい!何だコレは!?オレに何をしようとしている!?能力なのは確かだが……)
(とにかく、『これに触れられるのはマズい』!!)

男の左手が伸びてくる、それが何かはわからないが、『触れられたら危険』だという雰囲気はこれ以上ない程している。
体を仰け反らせ、迫ってくる手を睨み付けて、しかし蛇に睨まれたカエルの様に上手く動けない。

「う……」

「ウオオオオオオォォォォッ!!その手でオレに触れるんじゃあねェェェ!!」

一瞬、指先が触れるようにその手が触れた、それを合図とでも言う様に、後ろに飛び退き大きく距離を開く。
一瞬だが、確かに触れた、ほんの少しだが能力に障られたのだ。
905 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/25(月) 21:48:01.65 ID:WLMDN8Hc0
>>903
青年、嘉瀬水那月は途方もない不安を抱えていた。
それは特定のできない、無形の恐怖とも形容できる、不思議な物だった。

生来、彼は好奇の生き物であった。だからこそ、ここ最近の様々な出来事には、満足を超す程の刺激があったのだと思う。
とある少女の雷撃を纏う一撃を間一髪退け、とある男の悩みを、一厘にも満たないかもしれないが共有してやり、今はとある少女の過去を遠ざけて、彼女の現在を育てている。
これ程刺激的な日々だ。どれもこれも、望んでいた物達に相違ある筈もない。

だがふと、彼は思うのだ。これらは今、自身の中で『安定した形』をとって、温められていて。
それがふとした拍子に、形は歪になり、自分から放たれた物となり、―――遂には、消えてしまうのでは。
要するに、彼はこの現状の変化を恐れていて。しかしそれは、自分の思うところでは今までなかったものなのだ。
常に変革を求め、刺激を求めて。現在の自分を守る事など微塵も考えなかった。なのに、だ。

―――胸中にその様な自己矛盾を抱えつつ、水那月は買い物袋を手に、件の路地裏を通りかかった。
しかしそこは、煉瓦の紅よりも惨めな赤に染まっていて。

「…………」

彼は自分の悪癖を戒めた。何時でも能力者との邂逅を望み、何時ものように態とこの僻地を通って帰っていた、この習慣を。
鮮やかで、新しい肉片の散らばる中心で、宙を見上げているのは、それもまた赤のコート。
その人物が槍を構えた女性であると気付く迄に、水那月は無意識に路地裏の奥へと進んでいたのだった。
―――いや、もう焦りはしない。そろそろ自分だって、慣れの域にさえ入っているのだ。

「―――こんばんわー」

愛想の良い一声で、難無く去ろうじゃないか。
そんな冷静そうでとち狂った考えを基に、空を臨むその女性に挨拶だけして、ダッフルコートやマフラーで防寒をしたその青年はその場を去ろうとした。しゃらしゃらと五月蝿いビニールの音を立てて。


//もしよろしければ
906 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/25(月) 21:53:48.98 ID:dN+H16pf0
>>904

「―――――――−ッッ!?!?」

触れた。彼の魔術は『たったそれだけで完了』する。ありとあらゆる存在に対し発動する『負』の概念が、僅かにだが青年の指先と『合わさった』。
即ち、魔術の領域内へと『嵌ってしまった』事に他ならない。生物、特に人間に対しては危機が遅く、先ほどの一瞬程度では僅かな疲労感を発生される程度が限界だろう。
彼の魔術は時間と共により強く展開していくスロースタートな魔術であり、展開して初めの行動であったため、その効力は『最低』と言ってもいい。
能力にまつわる数字が見える事、そして青年自身がその危険性を理解していたこと。常人には到底できないような『反応』に、彼は少々驚いた。
彼の頭上に数字が見えていることを知らないというのもそうだが、左手で触れられるのを即座に拒んだというのが彼にとっては警戒すべき反応。
警戒されているという事は攻撃が当たりにくいという事で、彼にとっては非常に『善くない』展開。だが、青年の選択は『間違って』いない。
寧ろ今できる最高の選択をしたと言ってもいいだろう。そして、彼の頭上に浮かぶ数字の中で幾つかの変化がある。注視しなければ分からないだろうが、青年なら見ている筈だ。

『0』が『1』に、そして『2』が『1』に。いくつか存在する数字の中で、変化したものは二つ。どちらにしても、いい数字でない事だけは理解できるだろう。
一度『不浄の左手』に触れることにより、青年にもごくわずかだが『負』の性質が入ったという事になり、彼の左手に残留している『負の概念』がおぼろげにだが捉えられるようになる。
見えようと思えば見える、見まいと思うのなら見えないという絶妙な感覚で彼の左手に纏われるそれと数字の出現したタイミング。
そして靄が見えるのは『左手の手首だけ』と言うポイント。推測する余地は十分にある。それを創り出したのは紛れも無く青年だ。
あのまま回避だけを選択していたのなら、ここまでの『情報』は出現しない。彼は学ばぬ鳥のように、再度足を踏み出した。

「『やり過ぎた』」「即ち、『俺の正義を侵す』という事」
「それは悪」「どうしようもないほどに『罪深い』」「認められない悪だ」

「そして悪は処断されなくてはならない。確実に、絶対に」
「正義による『裁き』が、君には下される。」「理解しているか?」

(先ほどの『言葉』……。)
(まさか「術式」の構築範囲が『視えて』いるのか……?)

僅かな疑問。そして、その疑問が彼の歩みを緩め、そして青年に思考する時間と行動する時間の両方を齎すだろう。
だが、それは十数秒すら与えられない。彼は既に『正義』として左手の力を行使している。であれば『悪の死』は必然。
青年が見せた必死の叫びが、彼という存在に『油断』を与えている。行われるのは先ほどと同じ、歩いて触れる。それのみだ。
今度は―――――『どうだって』出来る。躱す事も、その『手』を使えば『弾くことだって』出来るだろう。ただし、『手』以外が触れてしまうとどうなるかは『想像に難くない』。
907 :【虹鉄銃創】 [sagasage]:2016/01/25(月) 21:55:39.25 ID:WKWVZmNIo
>>901

取り敢えず、ばら撒いた書類を掻き集め。それから、へたり込んだまま、ぼぅ、っと何処か遠くを見つめていた。
摩耗し切った精神は、ただ現実に帰ってきたという事実を認識するのが精一杯で、特に立華は抵抗する事も無く、彼女へと背負われる事だろう。
その紙束を抱える以外には、全身の力が抜けきっている。力を抜いた人間とはひどく重い物であるが、然しそれでも易々と持ち上げる辺りは、流石と言うべきか。
そう言えば、彼女はポテチがどうだとか言っていた、と思い出すと、急速に人間らしい、空腹感が自分の腹の中に舞い戻ってくる。ぐっ、とお腹が一度、鳴った。

「……お腹空いた」

ポツリ、とその背中に凭れ掛かってそう呟いた。最早疲弊しきった少女は、外観を取り繕う事を忘れて、今は年相応の弱気を存分に押し出していた。
それからふわぁ、と一つ欠伸をした。次に襲い掛かってくるのは、強烈な眠気である。全身を包む疲労感と、誰かに背負われている、という安心感が、それを強く誘った。
一応、意識を保とうと頑張ってはいた。頑張ってはいたが、然し、育ち盛りの身体には、睡眠が不可欠なものなのだ。

「……そう……だな……」


「―――――――――――― ありが……とう」

一応、何時も通りの口調に戻してみようと努力はしたが、それには勝てる事は無く。礼を言えた満足感も相まって、立華はそのまま目を閉じて、寝息を立て始めるだろう。
話かければ、一応口を開いて、自分の現在の住居くらいは答えるだろうが―――――――――――― 兎も角。

道は光に照らされている。少なくとも、歩みことに何の迷いもいらない程度には。

――――――――――――――――――

分類番号:一八六番
異能物品名:帝國零号機関第十五號異能収容研究所
危険区分:甲→無力化
詳細:帝國■■県■■市にて発見された零号機関の異能収容研究施設に酷似した異常性を持った複合施設。
その外観は零号機関第十五號異能収容研究所に酷似しているが、同施設は構造上の欠陥から建設途中に解体され、建設予定地であった場所には第二十號異能収容研究所が存在する。
帝國が有する情報内に第十五號異能収容研究所に関する以降の情報は存在しない。特務部隊『ろ-四』を調査を目的として送り込むが、同日中に内部の異常性によって全滅する。
現地零号機関員五名を収集し、臨時特務部隊として送り出すも、内四人が死亡し、残り一名も生体反応が中途で途絶、行方不明となる。
臨時特務部隊突入から約二十七時間後、臨時特務部隊員、■■公園に立華京香直史准尉の生体反応が出現。それと同時に、一八六番は自己崩壊を起こした。
立華京香直史准尉の回収後の検査の結果、DNA情報は一致、全身の打撲は在る物の汚染の傾向は無し。一週間で任務復帰となる。
立華京香直史准尉は回収時、数十枚のA4用紙からなる一八六番の内部より手に入れた報告書を所持。記された事実は矛盾点も多いが、概ね納得が出来る点に留意すべき。
自己崩壊を起こした一八六番の跡地には記名の無い墓石が存在。素材は変哲の無い花崗岩であり、ウェストモーランド型現実計測器により微弱な現実改変跡が存在。
これは立華京香直史が所持していた、一八六番の内部から回収したと思われる報告書と一致している。
報告書内部に記載された、関係性が疑われる立華史兼直康少佐への尋問では、少佐は一貫して覚えが無い事を主張した。これもまた報告書には矛盾しない証言である。
墓石の回収後、一八六番に付随すると思われる異常性は確認できず。零号機関は、一八六番を甲級指定より無力化指定に再定義する事を決定する。

――――――――――――――――――


/うおおおおおおおおおおおおこんな感じで終わりでどうでしょう……!!!!!
908 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage]:2016/01/25(月) 21:59:49.11 ID:tzAHXDOVo
>>907
/OKです! 一週間ありがとうございました!
/楽しくロールさせていただきました。 また機会があればよろしくお願いします!
909 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/25(月) 22:01:04.67 ID:T6FGtRk7o
>>905
ここは、闇だ
青年が抱える少女の過去と色は似ている闇
闇は闇でもただの闇ではない
それは――――紅き闇

紅き闇は見てはいけない。立ち入ってはいけない。
踏み入った者たちは等しく――帰れなくなるから
きっと、そこに彼女さえいなければ少年は見ただけで済んだのだろう
だが、そんな都合の運命は存在しない

「――よお」

笑っている
挨拶をされた女はただ、笑っている

「テメェ――一般人じゃないな
こんな闇を見ても動じない子どもなんか――いないぞ?」

紅き槍が女の手から飛び出し青年の眼前を穿つ
その歩みを妨げるかのように、槍は壁に刺さる
安全色たる翠の瞳は――矢の穂先よりも鋭い不信感を以て青年を穿っていた
910 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/25(月) 22:15:11.32 ID:WLMDN8Hc0
>>909
瞬間、多少は予期していた、金属音が彼の耳を劈いた。
路地の壁に真っ直ぐに突き立てられた槍の刃には、血糊ひとつ付いてはいない。どれだけの逸品なのか、素人目にも判別できてしまう。
実際には、そんな判別の余裕が存在する程お気楽な場ではない。闇と朱の吹き上がる異質の空間に於いて、水那月は体を縮み込ませるしかできなかった。

「………ああ、やっぱり」

項垂れてみせながら、相手の顔色を伺う。
どうやら表側としては、彼女に自分は面白がられているらしい。
エンターテイナー気質ではない為、嬉しくもなんともないのだが、『即殺』の表情でなかった事だけはありがたい。
青年は食物を買い込んだ袋をどさりと地に置き、女性に相対す。

「綺麗、でしょう? 今夜程空が瞬く日は、この辺りじゃ珍しいんです」

指差す方向はもちろん真上。澄んだ紺と瞬く光の海のコントラスト。
そう言う青年は苦笑いが解けないままに、とにかく目標を自分から逸らそうと必死であった。
911 :【0】 [sage]:2016/01/25(月) 22:24:07.29 ID:PR6BYdXSo
>>906
「ハァッ……ハァッ……!」

避けた筈だが、僅かに触れられたのを感じた、ほんの少しだけだったが……。
触れられた右手に僅かな痺れを感じる、電気的な痺れなどでは無く、少し右手を使い過ぎた様な感じの。

(クソ……絶対に触れられてはならないと思っていたが……動けなかった……体が石になったみたいに)
(それに、この右腕の疲れ……僅かな片鱗だが、長く触れられるとマズいっつーのはよ〜くわかったぜ……!)

身の危険をいよいよ持って自覚した青年は、相対する相手の情報を出来るだけ多く得る為に、一気に頭を働かせ視線を彼方此方へと動かす。
能力者の『数字』が見える事がアドバンテージになる事を自覚していた、後はそれの意味するところをいち早く察知し、何をすれな有利になるかを考えなくてはならない。
ただ、見えている数字の他にも気になる物が見えた、男の左手に纏う靄のような物が、今まで見えていなかったそれが見えるようになる。
恐らくは、自分と同じ、『触れる』事で作用する能力であると考える……だが、相手の方はそれをまだ知らない筈だ、有利な点がまず一つ。

「……『悪』とか『正義』とかよォ〜ッ!子供みたいな事言ってんじゃあねーぜアンタ!」
「人の正義感にケチ付けるつもりはねーが……オレはアンタがオレに何かしようってんならブッ飛ばすだけだッ!」
「先に手だしたのはそっちの方だからなァーッ!!」

ゆったりとした接近の中で、与えられた猶予時間でやるべき行動を考える、逃げるか、攻めるか、どう動くか。
とにかく、目の前に浮かぶ数字の意図がまだ読めない以上は下手に能力を使うのはマズいと一度学んでいる、ここは相手に余計な情報を与えない為にも温存しておくべきだ。
だとすれば、もう一つの情報を元に動く事にする、男の左手にかかる靄が能力の何らかの成分だとして、それが確かなら……。

(『手首から先』に触れないようにすれば!コイツの能力にはかからねェッ!!)

男が一歩踏み出すのと同時に、青年は一気に前に飛び出した、今まで硬直させていた体を弾丸のように前へと出し、懐に飛び込もうとする。
その際、男の伸ばされた左手は、その手首から先に触れないように、自分の右手を男の肘に当て、外側に流す様に押しながら。
もう片方の自分の左手では拳を握り、男の鳩尾に叩き込もうとした。

だが、僅かにだが右手の動きが鈍い、男の左手に触れられた事による僅かな疲労が、それを起こしている。
男の左手を抑える動きは、僅かに僅かに、重い。
912 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/25(月) 22:31:15.12 ID:T6FGtRk7o
>>910
ミネルヴァ・マクスウェルは闘いが好きだ
ミネルヴァ・マクスウェルは殺しは好きではない
故に即殺はあり得ず
あるのは――死闘のみ
それも、強者との血沸き肉躍る死闘のみ
それができぬであろう者にはそもそも興味はない
関わることを、許容しない

「へぇ、そうかい」

指さされた星の海
先ほどまで旅愁を抱いていたそれへの反応は乏しい
美しきものには興味はない。それと闘えぬのならば猶更

「で、オマエは強者か?
オレには弱いものいじめの趣味はねェが――――」

このことを漏らせば、青年には死が訪れる
弱者と答えればその瞬間青年への興味が消失する
強者と答えれば――――青年との死闘を望む
さて、青年はどうなるのか
願わくば――この異常な青年が、強者であってほしい
913 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/25(月) 22:54:03.55 ID:gWAClCVBO
「よし、今日もお勤めの時間だ」

学校が終わった後はすぐにD.O.T.Aの勤務に移る。
何か特別な連絡がある場合は本部へ、何もなければそのまま街のパトロール。
支給された端末を確認したが、今日も特に招集はかけられていない。
よって、本日もパトロールである。

「今日も何もなければ良いな。よし、頑張ろう!」

マコトはD.O.T.Aの新米隊員となった。覚束なかった仕事も、段々と慣れてきた。
今のところ、幸い事件には遭遇していない。
【学園】の制服にそのまま襟章を付けて、学校を出て今日もパトロールに赴く。
このまま何も起きなければ良い。平和が一番。
しかし、どこか、このままでは退屈だ。何か事件が起こって欲しいという心の声が聞こえる気もする。いや、気のせいだ。気のせいであって欲しい。
それは悪しき考えだ。心に潜む怪物だ。そんなものを認めたくなどない。
ともかく、何か事件が起こるか、怪しい人物がいるか、突然襲われたりすればすぐにでも食いつくだろう。
914 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/25(月) 22:58:27.29 ID:WLMDN8Hc0
>>912
「……そうかい、かぁ」

彼女の、星空のあれこれに対する気の無い返事に対して、水那月は自分の身の安全は既に危うくあることを予感した。

気落ちする暇もなく、相手は自身にその力を問うた。
『お前は強者か、弱者か』。
その問いは死闘に身を投げた者達に対して、答えが確定するものであった。
そしてその後、強者と名乗った者が、問うた相手と手合いをする事が慣習として出来上がっているというふうにも思える。
―――それは以前の彼が、望むやり取りでもあった。

斯くして青年は、数秒の間悩んだ。
もちろん選択権がこちらにあるとは思っていない。悩むのは、どう返答するか。
んー、と唸り続けた結果、出た答えは。

「それは、あなたが決めてくださいな」

――僕が前に求めていた刺激。それは、ここにあるのかもしれない。

青年は両の手袋を外し、置いた買い物袋へと投げた。
手袋から出てきたその両手は、蒼々と“気”を纏っていた。
骸を足蹴にし、生まれた場に左脚を踏み込む。音は無い。ずしりと、地が揺れるのみ。

「こっちも、『そんな趣味』はないですからね」

挑発の声は震えていた。夜風の寒さのためでも、相対する恐怖のためでもない。
こう自分で形容するのも、こっ恥ずかしいが―――武者震い、だろうか。

望むところは此処に在った。そう言わんばかりに、女性の翡翠の眼を睨むのは。
穏やかに見え、だが留め処無い力を宿す『清流』の様な青き瞳であった。
915 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/25(月) 22:59:43.99 ID:dN+H16pf0
>>911

「――――何ッ!?」

まず驚いたのは、先ほどまで怯えていた風だった青年が突如として此方へと『疾駆』してきた事。そして、彼の『魔術』に対する対策を講じてきたことだ。
彼の左手が少年に触れるより速く、少年は彼の懐に入り込み『左手首から先』を正確に『躱しながら』彼の左手を無効化しようといなす。僅かに動きが重いようだが、それは彼の油断が打ち消した。
青年の思った通りに左手は動き、虚空を掴むような仕草で左手は空を切る。同時に、彼の鳩尾に拳の一発がささろうと―――――する刹那。

青年は見えるだろうか。彼の驚愕した顔が『ぎらつく様なほほえみ』を浮かべている。先程までの驚きは罠だったのか―――いや、そうでは無い。
『いなした程度で発動を制限されるほど彼の魔術は無用では無い』という事である。丁度青年の拳が鳩尾に当たるよりも速く、ほんの一瞬早く、彼の左手から『嫌な音』がするのが聞こえるだろう。
彼の魔術はありとあらゆる存在に対し発動する。それは概念や能力、そして『形のないもの』出会っても変わらない。即ち、何も無い虚空。『大気』に対しても、負の概念は発動する。
負の概念の真骨頂は『最終的にゼロにする』と言う部分。青年の能力が『振出しに戻る』ものであるとするなら、彼の魔術は『初めから無かったことになる』もの。

大気に発動すれば、『左手の周囲の空気がゼロになり』そして『なくなった空気のあけた穴を埋めるかのように』『空気が集中的に一点に集まり』一種の『マイナス状態』。つまりは全体に作用する『吸引力』を発生させる。
周囲の大気とは勿論彼や青年に近い部分の物であり、言ってしまえば吸引力とは強い風のような物。後ろ髪を引かれる様な感触に気付き、そして何らかの形で回避、若しくは防御しなければ
青年の体は『左手』へと吸い寄せられるように『動いて』しまうだろう。

空気を『マイナス』にすることによって吸引力を発生させているという事は。そのマイナスを『戻す』事でそもそもの効力を打ち消すことができるし、即座に行動することでそもそもの吸引から逃れることも容易だろう。
普段は大気には反応しないように術式に組み込んでいるが、それを無理矢理発動したために効力が低く、人一人を容易に引き寄せるほどの力は無い。辛うじて、青年が反応に遅れれば捕まってしまうという程度のもの。
そして、彼の頭上に表示されている数字が変わり。荒田に現れた『明らかな整列を持つ数字』が青年の目に留まるかもしれない。

先程から浮かんでい『1』は『2』に。『1』は『0』へと変貌。
加えて頭上の中で一際移植を放って存在する数字列『12497,12531,12489,12521,12398,31665』これらの数字が不規則に絡まり、メビウスリングの失敗作の様な形で表示される。
青年がどうにかして彼と距離をとるか、何らかの形で左手を回避した場合。その数字列が僅かに『大きく』なるのを『視認』出来るかもしれない。

「俺の術式を『見破る』のは褒めてあげよう」
「だが、その『性質』」「その『汎用性』まではどうかな?」

「子供……。そうか子供か」
「この世界は『正義』と「悪」しか存在しない。」「その理論を『否定』するというのか? 君は?」
「そのような『悪』は認められない。悪は処断されるべきものだ」「故にこの『手』で葬ってあげよう」
「先程見せた君の正義感、そしてその感嘆すべき『判断力』。全てに敬意と正義を持って――――――君を『裁く』」

メビウスリングの様な数字列が、一段とその『強さ』を増す。そして、彼はその左手を少年に向け笑みを見せる。
先程の吸引によって、僅かにだが消耗した体力を、この段階で少しでも回復しておこうという算段だが。それは青年の思考時間、及び体力回復時間にもつながる。
考え、動き。そうすれば彼にその手は『届く』。前に戦った巫女の聖なる力によって歪に修復された術式が、『一つの孔』として存在している限り。


//盛り上がってきたところホンットに申し訳ありませんが、この辺りで凍結をお願いできませんでしょうか……?
//急な用事が出来てしまい、今日ロールをする時間がとれなくなってしまいそうです。
//凍結がお嫌だった場合はロールの破棄・若しくは其方の好きなようにして頂いて構いませんので……!!
916 :【0】 [sage]:2016/01/25(月) 23:06:45.66 ID:PR6BYdXSo
>>915
/わかりました、それではここで一旦凍結としましょう。
/ちょっとレスを返すのが遅くなりそうなので、先に連絡だけしておきます。
/大体19〜20時くらいから再開出来るので、よろしければ目安にしてください。
/それでは、一旦お疲れ様でした。
917 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/25(月) 23:08:59.49 ID:dN+H16pf0
>>916
//時間の件了解しました!
//ありがとうございます! 一旦乙でした!
918 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/25(月) 23:16:44.67 ID:T6FGtRk7o
>>914
悩みを、感じた
どう答えるか、悩んでいる
待とう、彼が応えなくとも構わない
そんなことは、なさげなのだから

「へぇ、そうかい」

先ほどと同じく違う返事
青年の眼前に在った槍はいつの間にか女の左手に戻っていた

だが、笑っていた
右手の蒼槍は構えられていた
彼に――興味を示していた

「なら示しな」

蒼い気、まるで清流に流されているようだ
この流れに抗い、流れをも穿ちたい
だから、短き朱槍から手を放し――それを周囲に侍らす
蒼き槍を両手で構えなおす。穂先は下へ、源流へ、

「オマエの強さをなァ!!」

迸る
蒼き槍が真っ直ぐに、迸る
単純で、どこまでも真っ直ぐで、疾い一刺し
その端正な顔立ちで浮かべる笑みは獰猛
その翡翠の眼光は雷光
初撃から、心臓を穿ちにかかる
強いならば――これくらいはなんてことはないだろ
そう、まだ死闘は――――始まったばかり
919 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/25(月) 23:18:18.37 ID:MLt47ZQZo
>>913

同じ学校の人?あれ?でもあの腕章…
たしか…DOTAのだったよね?


なんて。少年と同じ【学園】の制服に身を包んだ少女は思っていた

薄幸そうな雰囲気に明るい茶色の髪の毛。
ちょっとでも強い風が吹いたら粉のように消えてしまいそうな
そんな雰囲気の少女は、少年をじっと見つめて佇んでいた



「…まずいかな」

ボソッと呟いたその一言。
余程の地獄耳でない限り聞こえはしないと思うが…。

というより一般の人はDOTAの隊員を見てマズいとは思わないと思うが


…どこか不安げな雰囲気を醸し出しながら少年を見つめている少女
彼の目にはどう言う風にうつっているのだろう?
920 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/25(月) 23:22:07.16 ID:puRadnBfo

こころ からころ。貝殻の転がる音が、旅人の足音と共に揺れていく。
旅の女は浜辺を歩いていた。ここはどこだろうと思いながらも、風に押されるまま歩いていく。
水平線では月が泳いでいた。夜も更けようとする、そんな時。
彼女は気取った風でもなく、気持良さ気に目を細めながら、潮風を頬で享受する。

"lua cth fan"

誰も聞いたことがないような言葉を呟いた時、冷たくも清らなかな風が旅人の髪の毛を撫でる。
ふわりと一瞬だけ舞い上がった髪の間から、細長い形をした耳がちらりと覗く。

水平線では月が泳いでいた。夜も更けようとする、そんな時、何が起こるのだろうか。
"平穏ならそれでいいよ"。胸中、付け加えるように呟いた。


/25時までです。凍結などはその都度相談しましょう。
921 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/25(月) 23:43:49.36 ID:gWAClCVBO
>>919
「うん……?あれは【学園】の人かな…」

どこか視線を感じるような気がして、その方向を見てみると同じ【学園】の制服を着た少女がいた。
何やら、こちらをじっと見つめている。なんだか、とても儚げな様子に見えた。
こっちを見ているわけは、自分がD.O.T.Aの襟章を付けているからであろうか。

「ひょっとして、困っているのかもしれない。よし、ちょっと行ってみよう」

もしかすると、何か助けを求めているのかもしれない。どこか曇った顔も、何か困っている事でもあるからではないのか。
それならば人助けだ、喜んで受けよう。
そんな自分の都合の良いように少女の視線を解釈して、話を聞いてみようと少女に近づく。

「君、【学園】の人だよね?どうしたの?」

近づけば、気さくにこう話しかける。そこに少女を怪しんでいる様子は全くない。

/すいません、発見が遅れました
922 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/25(月) 23:44:26.49 ID:WLMDN8Hc0
>>918
実に楽しそうに笑う人だ。水那月の抱く、眼前の女性への第一印象はそれだった。
自分の力量を試す事を、これ程迄に愉快そうに笑う人間は今迄居ただろうか。

答えは自ずと、そして自ずから出た。『前の自分』がそうだったのだ。
“学園”でもそう、様々な人間と幾度となく拳を交わした。勝ち負けがつこうがつかまいが、相手の力を自分の身に感じるのが、何より“愉しかった”。

忘れていた自分の原点を思い起こしながら、彼女が槍を取り替えるのを見た。
双槍の内、蒼に染まる長槍を構え、そして突いた。
真っ直ぐに、己の中心目掛けて彼女は突いた。

嘗めてかかられている訳ではないのは、槍捌きと愉悦の表情、獰猛な獣の瞳で既に分かっている。
力を見せ合う時分、ここからゴングは鳴り始める。
ならば、自分の持つたったひとつの“力”を、それを望んだ彼女とここに、今示そう。

「―――【水掌、流武】!」

掌底の様に、真っ直ぐに打ち出した右掌は槍先へ向かう。
無闇に刺されに行ったかの様に見えたその掌は、更に蒼く煌々と気を纏わせる。
そして、その掌に触れた蒼槍の槍先は、大河の流れに絡め取られた枝の様に、―――青年の左へと受け流された。

「それではこっちも……どうぞッ!」

すかさず流した槍を左腕で掴もうとする。
もし、この女性が初めて接する“流の気”に驚いてくれたのなら、そのまますんなりと槍を引き寄せて左脚で女性への中段蹴りを見舞ってやる算段だ。
923 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/25(月) 23:52:03.76 ID:MLt47ZQZo
>>921

あ…目が合った。
あ…近づいてきた…

どうしよう…ここで逃げる?いや…余計怪しいよね。
今日はまだ…してないし。この服も昨日洗濯したし
あ…でも血の臭いとかしたらどうしよう。


と思考を巡らせてるうちに、彼の声がかかる


「あ…うん」

取りあえず口から出るは何気ない返答。
だけどその体は雷に打たれたみたいにビクッと跳ね上がり…
もう見るからに挙動不審だ



「ど…どうも…してないよ?」

怪しんでない。少年は自分の事を怪しんでいない。
けど…、もしバレたりしたら……


「うん、なんでもない…なんでもないから」


手を思いっきり前に付きだして、何でもないのと全身で表現。
けどこんなの何かおかしいと思われても仕方ない。

その事に気付いていない少女だった
924 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/25(月) 23:59:02.96 ID:T6FGtRk7o
>>922
嗚呼、楽しい
楽しいぞ
力を試すのが、この上なく楽しい

「【双魔――穿槍】ッ!!」

流された
稲妻は蒼き水流に絡め取られ、掴まれる
流れに身を任せよう
ただ身を任せるのは性に合わない
だから、侍らせた赤き槍が三つに裂ける
そして――そのうち一つが中段蹴りを放つ脚へと向かう
このままだと、青年の脚は穿たれる
蹴りが完了するまでに、穿たれてしまう

残りの一本は、やや遅れて青年の背後を取る
そして、青年の背中にその切っ先を向ける
引けば穿たれる

退路も、進路も穿たれた
大河はそれすらも受け流すだろう――と期待で笑う
925 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 00:06:10.38 ID:hfi9uhvQO
>>923
少女は見るからに挙動不審。
とても大袈裟に、まるで何かを隠しているかのようにジェスチャー付きで何でもないと言う。
本当に何もないなら、わざわざこんな大袈裟に言う必要はない。本当なら素っ気なく言うものだ。
マコトは嘘が下手だな、と思った。つまり、この少女には、何かがある。

「そんなに慌ててるんだから、何もないって事はないよね?嘘は駄目だよ。もしも事件とかを目撃してたらこっちの対応が遅れるもん」

何があったのかは知らないが、何かを隠している事は間違いない。
何か事件にでも巻き込まれたのか、それとも目撃でもしたのか。
治安維持の為にもここはしっかりと問いたださなくてはならない。
もちろんマコトは気がつくはずもない。ほんの僅かに、それこそ犬のような嗅覚でも持っていなければ気が付けないような、仄かな血の臭いに。
そして、その発生源がこの少女である事になど。

「もう一度聞くよ、どうしたの?」

もう一度聞いてみる。口調を少し険しくして。
926 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 00:21:43.33 ID:BtQkRas4o
>>925

「……事件は見てない」

事件は見てない。起こしている
なーんて事言えるはずもなく。とりあえず「事件」は知らないというスタンスで通す
これで事件から少しでも離れてくれれば……


と。上手い事行くはずもなく



「さっき…道で怪我してる人に会って。病院まで送っていたの」

相手の顔が。雰囲気が。なんだか少し険しくなったような気が…。
だから少女はいつもの常套句を使った。

そう、怪我をしていた人を病院に送ったと


「…その、血が凄かったから。まだちょっとショックが」

ありもしない怪我の現場を、居もしない怪我人の様子を必死で想像
そしてそれを懸命に伝えようと必死で口を動かす少女


「…ごめんなさい、変ですよね…」

その言葉は自分の嘘に対してなのか、それとも自分の様子に対してなのか、はたまた別の何かか。
消え入りそうな声で呟いた
927 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/26(火) 00:37:26.99 ID:VWeYtm1T0
>>924
どれだけ自分が攻め入ろうとも、彼女は笑うのを辞めない。
楽しませられているのは結構、だが青年の矜持としては、その切羽詰まった表情を拝見するのが上々だ。

だが攻めの姿勢は、途端崩されることとなる。
退いた筈の朱槍が、姿形を変えることなく二度分裂する。
そしてそれらは青年の蹴り足の先を阻み、背後に回って退路を封じた。

「ッ……!」

反撃には短絡的過ぎたか。相手の力を未だ全て見ることができて居なかった。
否、省みる時間も惜しい。あらゆる体術のあらゆる対処法を模索し、結論を出すのが先決である。
この状況では、“躰道”が適している。そう判断した。

躰道とは、身体の“軸”の回転、捻転を基礎とした武道であり、攻防に優れたバランスを持つ。
そして、その戦法を咄嗟に変遷させることこそ、彼の“力”のもうひとつでもある。

「―――そんなのッ、聞いてないですよ!」

蹴り上げた左脚はそのままに、膝だけを曲げて回転を早める。そうして前方の槍を回避する。
左脚を着地して間もなく、後方の朱槍に右掌で触れて無力化。―――だが、すんでのところで間に合わず、右腕に真っ直ぐな線状に傷を負ってしまう。
その痛みに付き合っている時間はない。彼女の突き出した蒼い槍は未だ彼の左掌の内にある。

女性に背面を向けた彼は考える。引いてダメなら、押してみるべし、と。
彼女の重心は突きを放ったまま前へと移動している。

「ふッ!」

ならば、これを一度無効化せねばと槍を女性の方向へと押し返した。
槍を自由自在に操るのならば、それ相応の『集中力』が要される筈。自分の重心を気遣う余裕が、それ程あるとは思えない。
青年は、一種の賭けに出る。

928 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 00:38:12.57 ID:2sknKhMtO
>>926
「……いや、変じゃないよ。信じよう。大変だったね」

怪我している人を病院に送った、という少女の嘘をマコトは信じる。
もちろん、嘘だと見抜いているはずもなく、正直に信じた。
新米だから、こういった事を見抜く能力には乏しいのだ。ベテランだったら、見抜けていたかもしれないが。

「あ、そうだ」

しかし話はまだ終わらない。
ついでなので、とある事件の聞き込みをしてみる事にした。

「最近、ここらへんで怪死事件が増えてるんだけど何か知らないかな?例えば、怪しい人を見かけたとか、その特徴とか」

最近、この付近で凄惨な事件が相次いでいる。
被害者は原型を留めない程に"叩き潰されている"らしい。凶器等の手がかりも全く分かっていない。
恐らく能力者の犯行であると推測されるが、何も詳しい事は分かっていない。
これ以上被害者を出すわけにはいかない。この少女が何か知っているかどうかは期待薄だが、とりあえずだ。
何も知らないと言えば、それで話は終わりである。
929 :【嗅乞賢狼】 [saga]:2016/01/26(火) 00:44:45.57 ID:sq8+y+LX0
>>891
ロッカーのあるほうとは反対の通路にある部屋の隅で、狼は伏せていた
匂いの位置関係から、男が窓の近くにいるのは分かる。携帯で誘って無駄撃ちさせる作戦は失敗した。
が、相手が動く気配は無く、音の反響から外を見ているのも察しが付く
今なら、やれる

(――はずなのに! 何だ? またーッ!?)

たった一つ、相手の能力という不安材料からか、または無自覚の才能からか、彼の行動は再び踏みとどまる機会を得た

(考えろ!考えるんだ!)
(攻撃手段は武器!もし違ったら最初に狙っていたはずだ!)
(使って来ないのは…… いや、確証はない! 相手の能力を知らないのにヤマを張っても自滅するだけだ! でも……)
(それに、俺はあの人を殺したいのか? でも…… やらなきゃあ、やられる!)

瞬間、狼は窓を見つめる男をめがけて駆け抜ける
背後からとびかかり、右手を肘から切断するような力で噛もうとする。実際に切断するまで噛み続ける必要はない。この瞬間だけ一瞬、「剣」を使えなくするのが狙いなのだ。
飛びついた瞬間に腕の筋肉を口先の形に抉る程度も傷を与えたらくっついてマウントポジションを狙ったりはせず、そのままロッカーの後ろに隠れるように逃げ込むだろう。

(俺は強くない! こいつには勝てないどころかこの隙に一太刀与えるのが限界だろう!)
(だけどッ! この一太刀を最大限使って、俺は生き延びる!)
930 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/26(火) 00:52:29.79 ID:+ooEE3dZo
>>927
「言っては―?」

回避の結果、背中を晒した青年
紅き槍の位置を把握―?背を狙ったそれは自分の傍に戻っている。回避されたものも同じだ。
蒼き槍は――まだ掴まれている

「ねェからなッ!」

槍を押され、後ろに倒れかける
だが、すんでのところで一歩後ろへ、倒れることだけは未然に防ぐ
今のオレは――隙まみれだ
攻め入るならどこからでも攻め入れる
だから、隙は殺さねば
先ほど放った二つの紅き槍を青年の背中へと放つ
精密は捨て、速さを
彼に好機だけは作らせないための一手
これが上手くいけば体勢を立て直してどうにでもできる
上手く行けなければ――そのときはそのとき

楽しい
勢いを突き崩すのが、崩されるのが
きっと――まだ笑えているだろう
だが――――そろそろ笑ってもいられないかもしれない


//すみません…ここらで凍結でお願いします……脳が休眠を欲していまして……
931 :【0】 [sage]:2016/01/26(火) 00:52:49.19 ID:o1Jz/1nvo
>>915
(───よしッ!入ったッ!)

満を持しての一息での接近、今まで動かなかった物がいきなり前へ飛び出してくれば誰しも不意を突かれる筈だ。
思った通り成功した、男の隙を突いてクロスレンジに持ち込み、反撃する、いくら不気味でも人間であるなら、鳩尾という部位へのダメージは大きい。
拳が入る寸前の瞬間まで、青年は確信していた、しかしそれこそが彼にとっての隙であったのだろう。

ふと見た男の表情が、笑みに変わっていた、最初に見たような胡散臭い爽やかな笑みなどではなく、もっと別の方向にある笑い方だ。
背筋がゾッとする間も無く、背後に引かれるような風を感じて、振り向こうともできず風によって後ろによろめいた。

「グッ……これは……!」

風は男の左手に向かって吹いている、というよりも吸い込まれているという感じか。

「風……だと!?」
(どういう事だ!?コイツの能力は……さっきのと全く繋がらないぞ!?)
(だが、何にせよこのままではマズいッ!左手に触れてしまうッ!)

最初に触れられてから、青年は男の能力を『何らかの肉体に作用する』物だと考えていた、だから何としても体に触れるのだけは避けたいと行動した。
だが、今回のこれはその考えでは通じない、青年にとっては『風を起こす』ように感じられて、全く予想した能力とは通じないのだ。
だが今はゆっくりと考えている暇はない、このままでは何としてもかわしたい左手に触れられてしまう、そこで青年は、何としてもそれを躱す為に身を屈める事にした。
体を小さく丸め、後ろに転がり出るようにする事で左手を潜りつつ、また男と距離を取って立ち上がる。

「…………」
(何だ……?コイツの能力は一体……?)
(『疲労させる』『風を起こす』、全く違う二つの能力……『二つの能力を同時に持つ』なんて事はあり得るのか?)

男の頭上に新たに現れた数列を見詰め、能力についての疑問を更に深くする複雑にする、全くその根拠が読めない。
訳のわからない事象が多過ぎて考えが纏まらず、ペースを握られているのを感じる、いっその事試しに何かを0≠ノしてみようかとも考えたが……
それには一度男に触れる必要がある、あの左手に触れずに自分が触れるには、二度も三度もチャンスは無い。
今、男は『汎用性』と言った、という事は彼の能力は決して二つなんかではなく、汎用性のとても広い能力であると判断出来る。

(何だ……考えろ……オレの能力がバレる前に……!)

「自分に都合の悪い事を『悪』と決め付けるのが子供みたいっつってんだよこのタコ!」
「自分は『正義』!逆らうのは皆『悪』!そんなのヒーローごっこでヒーロー役やりたいって駄々こねる子供と一緒だぜ!」
「少しくらいは人の意見を聞くもんだ!頭が硬いんだよ!」

「やっぱりな、その手に触れちゃあマズい……いや、見た目からしてそんな死人みたいな手には触りたくはねぇ……」
「だから……触られないように遠くから攻撃させてもらうぜェ〜ッ!」

再び近付き、攻撃のチャンスを狙う……なんて事はしない。
得体の知れぬ腕から発せられる能力の正体が掴めぬ以上、下手に近付くのは愚の骨頂だ、ならば能力を確かめるのも兼ねて牽制の一撃を放つ。
とは言っても、近付かずに出来る攻撃なんて、この青年に出来るのは『物を投げる』くらいしか無い、幸いにも此処は公園、投げる物は幾らでもある。

叫ぶと同時に背中を向けて走り出したかと思うと、程近い場所にあったベンチを右手で掴む、そしてそのまま片手で軽々と持ち上げて見せた。

(能力でベンチの重さを0≠ノした……そしてこれを……投げた瞬間に解除するッ!)

口ではいわずとも、密かに発動した能力によって一時的にベンチの重さを無くし、男に向かって投げ付けた瞬間に解除する。
そうすれば、ベンチは元の重さを取り戻し、その質量のまま男に向かって飛んで行く事となる、スピードはそれ程でも無いが、ベンチをそのまま投げ付けられるのと衝突すれば普通の人間はタダでは済まない筈だ。
932 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/26(火) 00:58:52.99 ID:VWeYtm1T0
>>930
//凍結了解です。既にこちらも限界でした
//それではお疲れ様です。返信しておきますので解凍はそちらのタイミングでお願いしますね
933 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 01:41:52.56 ID:BtQkRas4o
>>>928

「最近は何かと物騒…ですから」

誰のせいだ?
お前も片棒担いでいるだろ、というツッコみなんてどこ吹く風
ともかく彼が新人でよかった


と一息つきかけている時


「――――――――」

それが自分の起こした事件の事かどうかは定かではない
けど非常によく似ている。

だから少しだけビックリしてしまった



「…あ、けど…怪我をしていく人を見つける前に、現場から去っていく大男をみました」

大男と言ったのは二つ理由がある。
まず一つ目、女の自分から意識をそらさせる為
そして二つ目、自分には叩き潰すなんてことできないとアピールする為
取りあえず一人でも騙し抜ければ今後、自分が犯人であることはばれにくくなる

だから必死で嘘を考えた


/すいません半分寝落ちしてました
凍結?をお願いいたしたい
934 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 02:39:35.81 ID:d2FK5tqGO
>>933
「ふぅん、大男か……」

現場から去っていく大男。なるほど、確かに筋は通っている。
大男ならば、一般人を軽々と叩き潰すくらいの能力も持っていそうだ。
確かに、そういう点で考えれば筋は通る。

だが、

「でも、それってちょっとおかしいよね。だって、僕は"どこが現場かなんて一言も言ってない"もん」

確かにそういう怪事件があるのは事実だ。何人も死んでいるのも事実だ。
だが、それが"どこ"で起こったのかなど一言も言っていない。
なぜ、それを一般人である彼女が知っているのか?

「それに、その言い方だと君が怪我をしている人を見つける前に事件が起こっている事になるよね。でもそれだったらとっくに見つかって今頃大騒ぎになっているはずだよ。君は見つかっていないのにはっきりと"現場"と言った。まるで、君だけがそこで事件が起こった事を知っていたみたいだね?」

彼女の矛盾を見つけてしまった。
一体何を隠しているというのか。マコトの疑念は深まるばかりである。

「怪我人の話…あれって本当なの?」

という事は、もしやあの怪我人のの話ですら嘘なのかもしれない。
マコトは、段々と嫌な予感が募ってきた。しかし、それはまだ口に出さない。

/凍結了解しました!
935 :【代替神罰】 [saga]:2016/01/26(火) 08:19:08.63 ID:HRb+Kpsi0
>>929

「外に出ている?可能性は低そうだな」

そう言ったのも束の間。
「ぐるぉああああ!」
神父は叫んだ。
右手に走る激痛。
見ると右手の骨が折れていた。
最も、痛みつけられるという事は争いの御法度。神父はそれ自体には慣れていた。
先程の絶叫は、頭に血を昇らせ、アドレナリンの分泌による痛みの収縮を図ったもの。

すぐに後ろを振り返るが、誰もいない。

しかし、神父は確信した。
(くくく、“いる”ぞ。確かに“いる”!!この廃墟の中に!!)

右腕の傷は修復し始めていた。これは心臓に埋め込まれた聖遺物による恩賞。
まだ剣を振るえるほどには回復はしていないが……。

(人狼なら早く動けても問題ないって訳か)
そう言えば反対の通路は見ていなかったな。
左手の銃を翳しながら、その通路を探索する。

完全に、狼のいる通路はガラ空きとなっていた。
936 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/26(火) 15:32:51.88 ID:2HEM0kef0
>>931

青年の持つ『眼』が厄介だ。彼は表面上では余裕を崩さないものの、内心では青年のしぶとさに舌を巻いていた。言ってしまうなら、一目置いていたのである。
恐らくは『認識』の術式をベースに『看破』の術式を使用しているものと思われるが、であれば外見……もっというなれば眼球に多少の変化は見られるはずだ。
だが青年にはそれが無い。なら『同調』の術式で此方の術式を逆に割り出しているのかとも考えたが、多少の魔術で彼の『不浄の左手』を破ることは不可能だろう。

先程から魔力の起こりや術式に関する言及がないことを考えると、この世界に多数存在する能力者だと思ってまず間違いないだろう。これは推測だが、『視認』から発動する『観察眼』の様な能力だと思われる。
此方の近接戦闘に対応し不意を突いてきたことを考えると、それ以外の能力が無いのか。はたまた『隠し持って』いるのかはわからないが、少なくとも『遠距離攻撃』は持っていないだろう。
もし遠距離から攻撃する術があるのならば、彼の接近を許さずに迎撃をしている筈だ。それが無いという事は、少なからず『近づく』必要がある能力なのだろう。

――――であれば、もう一度近づいてきた瞬間に『裁きを終える』。そう考えていた直後だった。

「じゃあ、どうすれば『正義』たれるというんだ!」
「溢れかえる正義のように『悪を見逃せば』いいのか!? それとも『悪として悪を裁けば』いいのか!?」

「そんなものは断じて正義では無い! 他人の意見を聞いたところで『曖昧』にするのが『人間』だ!」

「誰だって『やましい過去』というものがあるからなァ! それじゃァ意味ないんだよぉ!」

支離滅裂。とはいかないものの、彼の理論は全体的に『会話になっていない』物が多い。青年も、それは既に理解しているだろう。
何に関しても極端すぎる。青年に言わせれば『頭が堅い』と言っていたか。事実、彼の意見は両極端であり、彼が多用している『二元論』と言うのは元から『白と黒しかない』という極端な物事を展開する物である。
即ち、彼は初めから『聞く耳』も無ければ『理論』すら確定できていない。ただ、自分の中に存在する聖人の欠片が持つ神秘性に当てられ、根拠のない『正義』に精神を侵食されているに過ぎない。
だからこそ青年が発した言葉は彼によく刺さる。『思わず声を荒げ、自分から隙を晒してしまう』程度には、彼は『動揺』していた。
先程までの余裕はどこへやら。どうやら、彼にとっては『言葉』が何より効くらしい。いや、此方が『素』か。

「―――――ッ!?」

そして、その隙を縫うかのようにして青年の放たれたベンチが眼前に迫っていた。驚愕で目を見開き、左手をベンチから自分を防ぐような形で前に翳す。
まさか。認識系の能力者では無かったのか。そのような感情が込められた声なき声がベンチの風切り音にかき消され、そして左手とベンチが『衝突』するかと思われた。
しかし、青年が思う様な音は無い。先ほどまで声高にその存在を主張していたベンチが、気が付けば彼の左手によって『消えて』いる。それはまるで『初めから無かった』かのよう。

彼の能力を見極めようと注視していた青年ならわかるだろう。ベンチが左手に触れる『瞬間』。ベンチが触れた負の概念(靄)によって『腐食』という過程を辿り『完全に消えうせた』と言う事実を。
これで魔術の一端はつかめたも同然。推測するのであれば『衰退』と言う表現がほど近く、もっと言うのなら『引き算』と言う表現が最も似合う。
百を百で割るのではなく、百を一で百回引くような感覚というのが分かりやすいかも知れない。つまり、『触れたものは衰退≠ニいう過程を辿って消えて≠ネくなる』という事。
可能性に対するアンチ魔術。他者を癒すのではなく他者を害する聖者の手。開けられなかったパンドラの箱の奥底。プロメテウスの忘れ物。どれも正しく、どれも違う。
『あらゆる数字をゼロにする』と言うよりも、『あらゆる存在の方向性を負に転換する』能力と考えた方が近いか。理解しがたいが、これは『そういう風に』出来ている。

(怪力……? いや、『剛力』か?)
(認識に付随する能力としては『関連性』が無さすぎる)
(だが――――何方も『近づく』必要があることは『理解した』)
937 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/26(火) 15:33:40.36 ID:2HEM0kef0

左手がベンチに触れる前に纏っていた負の概念によって速度を『引かれ』、硬度を『引かれ』、存在を『引かれ』、形を『引かれ』る。
通常の投擲手段では彼には『通じない』。それは理解できるだろう。同時に、数字の変異が開始する。メビウスリングだけは、未だに強くなっているだけだ。
『2』が『3』になり、『0』はそのままの状態で固定。即ち、一つの『数字』が展開し終わったという事。彼にとっての『切り札』にほど近いが、それが抜かれるのは『最後』になるだろう。

「其方が『近づかない』と言うのなら」
「俺も『抜く』しかないな――――ッッ!!」

左手を青年の方に伸ばす。まるで掌を青年の方へ魅せるようにして前方へと構えられたそれは、『なにか棒のような物』を掴む様な形へと変わっていく。
青年には見えるだろう。彼の左手に集まっていた靄のような物が『増殖』し、肥立ち手に握られる様な『剣』へと変化していく。そして、靄を実体化させるように、この現実に『剣』が誕生した。

「俺の術式は『起きるまでに時間がかかる』」
「この意味が……理解できるか?」

左手に握られるようにして実体化したそれは、純白の色彩に無理矢理黒を混ぜたかのような歪な色をした長剣だった。ロングソードにほど近いが、それにしてはやや幅が狭い。
ショートソードと言うには余りにも大きく、それらを掛け合わせたような『剣として』の存在意義を疑わせる形状。そして、刀身に纏う濃密な『靄』が、彼の左手と『同調』している。
彼の言う騎士団とは、彼の所属する暗部の物であるが、其処の人間は全て何らかなの形で『帯剣』している。騎士と言うのだからそれは当然である。
だが、彼は先ほどまで剣の一文字すら携えることは無かった。青年から見ればまるで虚空から剣が現出したかのように映るだろう。

もし青年が靄の動きを子細に見つめていたとしたら、そのからくりは案外単純だ。彼の左手に纏われていた負の概念、つまりは靄が剣の形になり、その靄を実体化させることで剣を出現させる。
帯剣をする必要が無かったのはこのためで、本来の騎士が剣を抜くのとは違い。彼のような魔術師は『あるべき座から抜き放つ』事によって剣を抜剣する。

僅かにずしりと重みを増す左手の感触に、彼は僅かに眉を寄せる。彼にとってこの『実体化』と言うのは比較的にリスクの高いものであるというのが、無意識に表情に出てしまっていた。
先ほどから執拗に左手を使ってるのは当然魔術の効果を期待してのことだが、加えて彼は自身の左手を決して自分の体には近づけようとしていない。戦闘開始直前まで手袋をしていたのも気にかかる。
そう、あらゆるものを『引く』魔術『不浄の左手』は『自身に対しても効力を持つ』という事に他ならない。左手が自身の体に触れれば、青年と同様体力を奪われ、そして最後には死に至る。
だからこその『左手』であり、それを剣という長さまで拡張するという事は、それだけ扱いが繊細さを要求することに繋がる。ロングソードにほど近いものを、左手だけで支えているのが何よりの証拠だ。

そして、一歩。先ほどから全く同じ行動しかとらない彼の動きは、そろそろ青年にはパターン化してきているだろうか。
彼には其れだけで『ことたりる』という自身と不思議な確信があった。今までそれで全てを処断≠オてきたのだから、今回もそうだろう。
例え青年の能力が完全には解明できていないとしても、それは『些事』に過ぎない。近づいて、剣を振るう。それだけでいいし、それこそが最善の選択である。

行われるのは、近づいてからの斬撃。右から左に大雑把に、そして大胆に降られる水平斬り。丁度青年の胴体を切り裂くような形になるだろう。
だが、それはあくまで近づけたらの話であり、青年が剣の範囲に入りさえしなければ攻撃は届かないし、青年が攻撃を仕掛けようとするのであれば彼が身構える。
そうすることで、僅かだが彼を停滞させることも可能だ。

//凍結ありがとうございました! 返しておきます!
//自分は次にレス返せるのが二十一時頃になってしまいそうです…。
938 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/26(火) 19:42:29.82 ID:VWeYtm1T0
>>930
結果、青年の賭けはハイリスクローリターンに終わった。
彼女の経験を見誤ったのだ。自分の様に、朱槍を操作しているところを狙う相手とは、彼女は何人も槍を交わしてきている。

だが、所詮自分の思慮の幼稚さだと諦めがつくほど、青年はお利口ではなかった。
伊達に“学園”を三年間、生き残ってきたつもりはない。そんな、普段することのない自負すら伴って。

後ろ足で支えられたのは、この蒼槍から伝わる。ならば、考える迄もない。
何の為に彼は、格闘家の最大の弱みである“背中”を見せたのか。

蒼槍の動きはずっと前から封じていた。なら、相手の攻撃方法はいくつかに限定できる。
このリーチで近接攻撃を狙う筈もない。なら、もうひとつにしか絞られない。
―――絶対に、朱槍が来る。

「ガラ空きだと思ったら、狙いますよね」

青年はそろそろ頃合かと、左足を軸にし、背中を槍に付ける様にして後方へ90°ターン。
もちろん『背中』を狙った双槍は、青年の胸の前を掠める。

「僕もそう、しますから……ッ!」

槍を後ろ手に持つ様にして避けたのだ。次の反撃は、決まっている。
『押してダメなら、引いてダメでも―――』。

「ブンッ――――回せェッ!!!」

蒼槍を脇に挟み込む様に固定し構えれば、素人でも力は入りやすくなる。
そして相手は後ろ足を引いている。つまり、縦の力には強いが、“横”には対応し辛い。
青年は力一杯、左へ槍を振った。彼女の手から、この長物を取り去る為に。

……目の前の強敵は、今正しく“己”を見ている。
彼自身すら見えなかった、この己の野生を、彼女は受け止めようとしている。
―――なんて、幸せなことだろうか。

青年は、堪えていた笑みを浮かべていた。


/遅れてすみません。置いておきます
939 :【0】 [sage]:2016/01/26(火) 20:20:56.60 ID:o1Jz/1nvo
>>936-937
当たった───いや違う、あれは『受ける』体制だと、左手を伸ばした男の体制を見て判断する。
恐らくはその左手による能力で防御でもするつもりなのだろう、そうだとすれば重畳だ、能力を見極める事が出来る。
ベンチを取りに行った際、追撃をしなかったという事は男に遠距離攻撃の手段が無いと考えられる、それもまた一つの有益な情報であった。
ついでに、能力を『身体強化』辺りの物だと感違いしてくれるとありがたい。

「…………ッ!」

男が驚愕の表情をしたのと、青年が同じ感情をシンクロさせる、お互い目の前で起こった事象が予想だにしない物だった。
男の手に触れるベンチが、一瞬にして消え失せる、正確には触れる瞬間だが、全く勢いも重さも感じさせずにそれをやってのけた。
『信じられない』と言った風に目を見開く、目の当たりにする事で改めてその危険性を感じ取った。

(や……ヤバい……コイツは最高にヤバいぜ……!)
(ベンチが消えた……いや、アレは『腐食し、朽ちていく』ように見えた……時間を進めたのか?)
(いや……違うな……あれはもっとそう言うんじゃなく……『薄暗い』ような力……)

ベンチが腐食するのを見て、青年はその光景に物が死に、朽ち果てて行くまでを垣間見た、詰まりは時間を進めて老いさせているのだと。
だが、それにしては説明のつかない事が残る、先程の風もそうして起こしているのなら、どういう原理でそうなったのか?
何かが違う、決定的な解答が何処かにある筈だと、考える。そして、閃いた。

(……!)
(……いや、待てよ……だとしたら……!)

「オレは人に『正義』をどーこー言う立場じゃあねー……それは確かだ」
「先にアンタが何かして来そうだから反撃する……それだけよ」
「だけどなァ〜!」

「相手の『片面』だけ見て『悪』と決め付け!ブチ[ピーーー]しか裁く方法を知らねーヤツは間違ってるって確かに言えるぜッ!」
「『曖昧』なんじゃあねーッ!!人には色んな面があるんだよ!それをたった一面だけしか見ないで決め付けるなんて馬鹿げてるぜッ!!」

こちらに真っ直ぐ向かってきて欲しいのは確か、そうすればある程度行動は読み易くなる筈だ。
男の左手の靄が剣の形を取るのを見ると、いよいよこちらを[ピーーー]気であるのが感じ取れる、だがそれでいい。
声を張り上げ、言い返すのも止めない、男にとっては挑発にも聞こえるかもしれないが、確かにそれは青年の思っていた事だ。

「『やましい過去』ってのがよォ〜!オレは忘れちまってるが……そりゃ確かにどの人間にだってある筈だ」
「オレにも、あの男にも、アンタにも……どいつも人間なら『罪』の一つくらいはあって当然だッ!」
「だけどなァ〜ッ……それを全部『裁く』っつーのは違うぜ!人は『赦す』事も必要だ!」
「そりゃまあ、赦しちゃならねぇヤツだっているさ……だが!皆んなが皆そうじゃあねーッ!!」

人は皆罪人、という言葉を何処かで聞いた事がある、性悪説を語る訳ではないが、人間なら生きてる内に大小の罪は重ねている筈だ。
その全てを『悪』と決め付け裁くのは違う、そんな事が正しいと罷り通っていれば人類はこの現在まで発展してはいない。
だから、赦しという言葉がある、罪を赦し罰から解放するという行為がなくてはならない。

近付いてくる男に対してそう語りながら、攻撃してくるのを立って待つ、賭けは一瞬の隙、攻撃により生まれる反撃の狼煙を見逃さないように。
そして、右側から振られた剣に向かって、またも青年は前へと向かう行動を取る、先程と同じように、一気に懐に潜り込んで攻撃を潜るつもりだ。
男が二度目のその行動に対処出来たなら、青年は大きく胴体を一文字に切り裂かれる事となる、だが、そうでなければ、攻撃を青年が躱す事が出来たなら、青年は右手で男の胸を押す様に触れるだろう。
『何かを【0】にする能力』ここで漸く、相手に対して発動した、青年の能力によって、青年は、一つ一つカウントアップしていた男の『数字』を0≠ノしようと試みる。
940 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/26(火) 20:41:36.65 ID:+pgvqHjgo
――とある路地裏にて。
刀を右手に持つ少女と、腰を抜かして地面にへたり込む男が対峙している。
男が手に持つはナイフ、刃には血がべったりとついており。

「・・・、なぜあの男を殺した?」
『ひ、ひいっ!?あっ、あいつは俺の彼女を奪っていったんだよ!』

どうやら、男の方は殺人を犯していたようだ。
少女は男に刀の切っ先を向けたまま、冷酷に事を伝える。

「でも、そんなのはは人殺しの理由にならない。だから、私は自分の“仕事“をさせてもらう。
私はあなたに殺された男が味わった苦しみを味あわせてあげる。それが、殺された者の仇討ちだって、私は思ってるから。」
『や、やめろっ!!刺すっ、刺すぞ!?』

少女は男へとジリジリと近づいていく。
男はズルズルと尻を引きずって後ろへと下がっていく。
だが、立っている少女のほうが速い、それもそのはずで。

「苦しんでお死になさい。」

男の腕をスパッと刀で一閃する。
だが、たったの一閃だ。こんなもんじゃ死なない、と男は少女をニヤついた顔で見ていたが。
少女が指を鳴らした途端、男の様子がおかしくなり。

「あがっ、あああぁぁあぁあああぁああぁぁああっ!!??」
「すまない、すまないいいぃぃいいぃぃいいいいいいぃっ!!」

突如悲鳴のような怒声を上げる。
だが、男は地面に頭を抱えたままうずくまってしまっている。
そして男は自ら手に持ったナイフを首に当て、自らの頸を切って死んだ。

「・・・、さて、今日の仕事はこれくらいで終わりにしよう。」

少女の着る紫地の着物の襟には剣と盾の襟章が付けられていた。
誰も止めることがなければ、少女はそのまま路地裏から路地に出るであろう。
ただ、男の怒声は結構広い範囲に響いたはずで。
941 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 20:55:24.76 ID:BtQkRas4o
>>934

「……あ」

やってしまった、ああ…自分は嘘が下手だな。
こういう事になるなら嘘の付き方の本を読んでおくべきだった
…そんな本あるのか、分からないけど


「……」

ダメだ。上手く言い訳しようとしても言葉が出てこない。
というよりこれ以上は墓穴を掘る


「…それは、えっと…その」

矛盾を突かれて一気にあたふたしてしまう。
人と話していない、コミュニケーションを取っていないと言う事がこう言う風に自分を追い詰めるなんて…
もうこれはダメだ。ここまで疑われれば、もうほとんど相手は何かを掴んでいるのと一緒だ。
真実を言う以外しか…道はない。



「…怪我人なんていない…です」

「…ごめんなさい。嘘つき…ました」

そう、怪我人はいない。居たのは死人。
嘘がダメなら真実を隠してしまえばいい。どうせその死体が無い限り自分が殺したなんてことバレないはずだし


/おくれましたあああああ!
942 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/26(火) 21:06:27.22 ID:2HEM0kef0
>>939

「その『曖昧』さが、全てを『壊す』と言ってんだろうがッ!」
「人ってのはその『面』さえ見れば『全てが分かる』! 其処に『悪』があるのなら、幾ら『正義』だろうが意味は無いッ!」
「そうやって人を曖昧に固定しているから『悪』が消えないんじゃないのか!!!」

彼は、人間としての『良心』が著しく肥大化し過ぎている。他者を助ける、救う。そのあらゆるを詰め込んだ結果、歪に歪み、『正義』その物であろうとしていた。
其処に理由は無く、意味も無く、ただ『そうあろうとしているだけ』。左手の神秘性が持つ光に当てられ、本来の性格すら追いやり、彼の嫌う『正義』の概念を振り翳す。
他者へのレッテルを張るのだけは上手くなり、他者の言葉を聞かなくなることは最早一流値往っていいレベルまでに達した。だからこそ、青年の言葉が『芯』を揺さぶっている。
自身よりも年若い、良心を持つ青年だからこそ、左手の持つ魔術式にとらわれることなく。寧ろ彼自身が『左手に使われて』いるようで。彼の思考は、既にグチャグチャだ。

言っていることも、やっていることも、はじめからなにもかわっていない。青年が此方を観察している間にも、彼は只青年の行動に対処し、其処で僅かな推測を立てただけだ。
何一つとして対策を立てず、慢心を持って対応とする。彼という存在が今まで行ってきた『矛盾』が、青年によって少しづつはがれ、そしてもう一度『歪んで』行く。

「そんな理屈が――――ッッ!!!?」

彼は青年が叫ぶ言葉の内容に対し、此方が正しいと確定させるような言葉を構築していた所為である一つの事を失念していた。
それは『青年も此方に近づく必要がある』という事。即ち、青年が先程のように此方へと疾駆してくるという可能性。思考停止寸前の彼は、またしてもその『意表』を突く攻撃に引っかかる。
左手が青年を切り裂くより先に青年は彼の元へと辿り着き、そして彼の胸元に触れることに成功する。僅かにドクリドクリと脈動する鼓動が、聞こえているだろうか。
だが彼にとっては所詮『その程度』だ。いくら触れられようが、青年が自分の距離に近づいてこようが、此処は彼の領域内でもある。このまま背中を『剣』で刺し貫けば済むだろう。
そう思い、彼は青年の背中に悠然とした動作で刃を突き立てようと左手を動かすが――――――――此処でようやく、『左手の重量が消失している』という事に気が付いた。

どすり。僅かに押された慣性を足を張ることで青年と共に倒れ込むことを耐えながら、彼はその表情総てで驚愕を目にする。始めて彼の抜剣した『剣』が、ただの青年によって『ディスペル』されたのだ。
同時に青年が見えていた『3』という数字は『0』へと変貌し、其処から先ほどまで『0』だったものが『2』へと戻る。青年からすれば、『戦闘が開始した状態の数字』に戻ったとも言えるだろう。
まだメビウスリングの様な数字の羅列こそ残っているが、段々と色を濃くしてきたそれも今はかなり輝きが小さい。まるで、彼の術式の展開自体が『振出しに戻った』ようで…………?

(『不浄の左手』の強化が元に戻っているだと!?)

正確には、彼の術式が発動されてからカウントされていた『性質強化』の数字を『ゼロ』に戻すことで左手の効力を最小へと戻し。
且つ左手の強化がゼロに戻った事で性質強化と共にその使用を『可能』とした剣も左手の弱体化に伴って実体化が解けてしまい、実体化するには再度2レス程の時間を要求する。
彼は、かつてないほどに驚愕の感情を表に出していることを実感する。と言うのも、術式の破損こそ只の『聖なる』術式を用いれば容易に可能だが、術式を保ったまま『強化を解除する』能力には、全くであったことが無かった。
油断、慢心などでは済まされない圧倒的な無知。青年の能力を警戒していたにもかかわらず、何一つ対策を立てること無く突撃してしまったことへの代償。彼の『勝利』は、『正義』は地に落ちた。

――――だが、だが。まだ終わってはいない。俺の、私の『裁き』は、『処断』は、この瞬間でも『発動』する…ッッ!!

青年が右手で彼に触れてから、そして離れようとするまでの一瞬。もし離れようとしなければそのまま、彼は一度躱された左手を無理矢理に折り曲げて、位置的に青年の背中付近。
つまりは『直線状に心臓が位置する場所』に触れようとするだろう。もし振れられてしまえば、最初に感じた僅かな疲労と倦怠感。そして、明らかに自身の寿命を『削っていく』感触が分かるはずだ。
ただ、彼の力は先ほどからの魔術による精神的疲労で比較的弱まっているし、彼に浮かんでいる数字は『まだ』幾つもある。あとは時間と『判断力』。そして『気持ち』の問題だ。

943 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [sage]:2016/01/26(火) 21:16:26.77 ID:+ooEE3dZ0
>>938
なるほど、彼は一般人ではない
ーーーー戦士だ
それでも、

まるで背中に目をつけているかのよう
遅過ぎず、早過ぎない、
そんなタイミングで紅を躱された
完璧に過ぎる。
それでも、

槍を後ろ手に持つように構えられた
やることはーー分かった
だが、手を離すことしか叶わない
それでも、

蒼が強かに身体を打つ
狭い路地の壁に打たれるのは棒読みですらない
しかしーーその瞬間は永遠
それでも、

「それでもッ!!オレはーー」

勝率は少ない
それでも、
このままだと負ける
それでも、

それでも、
それでも、
それでもッ!!

「勝つんだよッ!!」

まだーー勝てる

紅が、迸る
それまで女の周囲を侍っていた紅だ
真っ直ぐ、真っ直ぐに
戦士の中央目掛けて迸る
勝利をーー穿ち取るためだけに

勝ちたい
単純な決意に支配された顔
しかし、それは壁に叩きつけられる
そして、ズルズルと壁を降りてーー
動かなくなる
944 :【0】 [sage]:2016/01/26(火) 21:50:19.82 ID:o1Jz/1nvo
>>942
(触れたッ!『数字』はッ!?)

男の体に触れ、能力を発動した瞬間、視線を動かし上を見る、男の頭に浮かんでいた数字がリセットされていた。
能力は発動した、そして触れているからこそ伝わる男の狼狽が、試みが成功した事を伝わせる。
一瞬だけ上に向けていた目線を、男の目に向け、至近距離で尚顔を寄せる様にして、お互いの目ばかりが視界に映る様にする。
青年の目に人と違う所は外からは認められない、ただ、白目がちなその目がそれでも真っ直ぐに男の瞳を睨み付けていた。

「『理屈』じゃあねーッ……そういうのは……簡単に決められるモンじゃねーだろ……!」
「アンタは確かに間違っちゃいないよ……一部分はな……だが、間違った部分も確かにある……!」
「『オレ』から見りゃそうだが、『アンタ』から見りゃそうじゃあない……だが、オレはアンタの『間違ってると思う面』以外なら、賛同出来るぜ……!」

たった一面から見て人が分かると言う理論に基けば、たった今青年から見えている男の一面は確かに『悪』だ。
だが、男は『正義』の為に戦っているのであって、それを飛躍させれば、単なる悪人とは思えない何かを感じている。
だからこそ、男の言葉を否定する、たった一面だけを見て決め付けず、罪を赦す。

「だが……言葉だけじゃあ通じねー事もあるよなァーッ!!」
「だからまずはぶん殴るッ!人を斬ろうとしたお返しになッ!!」

青年は、引かない。これだけのクロスレンジであれば、お互いの手は存分に届くだろう、リスクは双方高いが、だが引かない。
処罰だとか裁きだとかを謳うのではない、至極単純なお返しだ、喧嘩を売られたから買うとかいう、そんな物。
男の攻撃も受けるが、ならばこちらの攻撃も受けてもらう……半ば強制的な両成敗体制に自ら持ち込む。

ここで問題となるのは、男の能力の影響だ、いくら強化を初期化したとはいえ、ベンチを一瞬にして衰退させる程の力をそう長くも食らっていてはどうなるかわからない。
男を倒す前に自分が腐り落ちるか、最早後には引けないが、どこまで行けるか。

(あの『数字』ッ!アレが何かはわからないが……全て削りきるッ!)

決まっている、どこまでも行こうでは無いか、引けば死、躊躇えば死なら、只管死に物狂いで前に進むしか無い。
男の目を見つめる青年の瞳に、メラメラと炎のような物が燃え、男の左手が背中に触れると同時に青年は雄叫びを上げた。

「ソォォォォォリャァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!」

やる事は単純に、殴る、殴る、殴るの拳の嵐、右と左の拳を交互に素早く、部位の狙いを付けずに殴り付けまくる。
その拳の一つ一つに0≠フ概念が加わり、殴る度に男の頭に浮かぶ大量の数列を0≠ノしていくだろう。
背中に食い込む男の左手が生命を奪い取る中で、どちらが先に能力を完遂させるかの勝負だ。
945 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS :2016/01/26(火) 21:55:09.35 ID:VWeYtm1T0
>>943
彼女が、蒼槍を手放したのは見えた。それを握る両の掌から、肉を叩く衝撃が伝わったのも感じた。
―――それ以上、蒼槍を振り乱した体制から分かる事は、なかった。

風を横切る音がした気もする。それを信じて、この両の掌で防ぐことはできたのかもしれない。
迂闊、としか言い得ない。勝ちを意識し、先の先を読まずして。青年は、我武者羅だった。

ザクリ。肉を貫く音は、耳よりも先に身体へ響いた。
左の脇腹に、紅が穿たれていた。
崩れに崩れた体勢は、結果、致命傷を避けてはくれた。だがこれは、―――出血による死を、覚悟せねばなるまい。

正常な思考は、最早不可能だった。
ふらふらとよろめいた後、声に為らぬ唸り声と共に、彼は朱槍を我が身から抜き捨てた。
そして血を吹き散らしながら、地へと崩れた。

ぼやけた視界で、崩れ落ちた女性の赤コートが見える。どうやらあちらも、限界を迎えた様だ。
青年は、両手で傷口を無理に押え付け、痛みを無視した止血をしながら、彼女へと這い寄り、か細い声で呟いた。

「―――僕の、勝ちです」

彼女のコートの裾に辿り着こうかという寸前で、水那月は気を失うこととなる。
穏やかな笑みを、零したままの表情で。


946 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 22:08:32.81 ID:PQ4uPbNWO
>>941
やっぱり嘘だったのか。一体、この少女は何を隠そうとしているのだろう。
いや、薄々と感付いてきている。だが、確たる証拠などどこにもない。
それに、まさか、こんな少女が、ましてや、同じ【学園】の生徒が犯罪者などと、信じたくはないのだ。

「……なんでそんな嘘をついたの?何か、やましい事でも隠してるの?」

だが、追求の手は止めない。
もしもそうなら、ここで止めておく必要がある。例え、【学園】の生徒だろうと。
それがD.O.T.Aとしての自分の役割なのだから。
もちろん、杞憂であって欲しい。これ以上知りたくないという気持ちもある。

「正直に話してもらいたいな。そうじゃないと、僕は君を疑わざるを得なくなる」

一体、何を隠したいのか。
ここで徹底的に洗い出す必要がある。
947 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/26(火) 22:10:31.43 ID:+ooEE3dZo
>>945
戦女は眠る
勝ち誇ったかのような、満足したかのような笑みを浮かべたままで
最後に、穿てたかも分からぬままに
ただ、勝ったのだと思いながらに――――――――――


彼女はきっと目を覚ますだろう
そこになにがあるかは分からない
ひょっとしたら、そこは変わらないかもしれないし独房かもしれない
だが――あの青年には負けていない
その思いがあることには変わりない
そして、再戦を望むことも――変わりない

//ではこのあたりで〆という感じでしょうか?ありがとうございました!
948 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/26(火) 22:13:06.98 ID:ep7TTXDuo
 深夜。港側の倉庫群にて。
暴走族のたまり場として有名なここは、本来であれば騒音に満ち溢れているのだろう。
しかし、今は静まり返っている。なぜか?と思うのならば、周囲を見渡せば答えはすぐに分かる。
特攻服を着込んだ、いかにもな暴走族の男たちが死屍累々として、溢れかえっている。
 いや、耳を澄ませばうめき声などが聞こえる。皆、死んでは居ないのだろう。
よく見れば、大怪我をしている人間も居ない。
良くて骨折程度であり、しばらく入院すれば、後遺症なく日常に戻れるだろう。

 この様な惨状はなぜ起きたのだろうか。
暴走族の喧嘩だろうか。いや違う。
この状況の中、ただ一人だけ立っている人影があった。
それは、この場所には非常に場違いな姿。
腰まである白髪を後ろに束ねたものが、風に揺られ。
タレ目でへにゃりとした顔は、このような状況でも歪むこと無く。
大きく背中の空いたワンピースには、少しの汚れもない。

「まったくさー。 相手見てから行動起こしなよ―」
「って言っても、私見た目じゃ分かんないけどねー」
「こんなとこまで拉致ってきてさ―。 いくら私がホームレスだからってさーもー」

 なるほど、家が無い彼女を格好の獲物と思った暴走族が彼女を拉致したようだ。
その目的は、語るまでもないだろう。

「まー、今回ので勉強になったっでしょ」
「悪い事してたら、痛い目見るって」
「それじゃーまあ、勉強料貰ってくからねー」
「そろそろお菓子買うお金無くってさ―」

 そう言うと彼女は、暴走族の体をあさりお金を取っていく。
今この場を見た人間であれば、勘違いをしてもおかしくはないだろう。

/大体23:30まで居ます。
/それ以降は置き進行な感じでお願いします。
949 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 22:16:29.22 ID:BtQkRas4o
>>946

そう。これはやましい事。
損なのは自分が一番よく分かっている。
だから嘘をついて隠そうとここまで取り繕っているのだ

「……うん」

不意に口を突いて出た言葉。それは肯定の言葉。
まるでパンパンの風船から空気が漏れ出るみたいに、息をしているみたいに自然に出てしまった。
ああ、もう、やっぱりこういうのは苦手だなと。少女は誤魔化すような笑みを浮かべた。
多分それは今回初めて少女が少年に対して見せた正の表情。皮肉なことに一番きれいな表情だったかもしれない


「話してもきっと事件は終わりませんよ。それに、話して何になるんですか?」

そう。自分が話したところで事件は終わらない。終わらせる気はない。
必要とあれば今ここで―――――


「そうだ、学校の話をしましょうよ。食堂では何が好きとか…」

「何の教科が苦手とか」

「あ…この前図書室で面白い本があったんです」

だから少女は必死で話をそらそうとした。
凄く楽しそうな表情で顔を取り繕って、そして日常を装って。
950 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/26(火) 22:17:02.77 ID:0FsVmbYF0
>>944

(術式拡張 術式展開 術式強化 強化 強化強化きょうかっきょうあかきょやきょきょうか!!!!!!!!)

その拳をその身体に、ありとあらゆる部位に受けながら、彼は只管に自身が得た知識を総動員して術式の強化を促す。
背中に触れている感触と、只々その部位が冷たくなっていく感覚。痛みよりも、何よりも、その『胎動』を消すことに、全てを『振り絞って』

彼は正しい、俺は正しい。正義と言うのは絶対でなくてはならない。そんな思考が、拳を受けるごとに、青年の言葉を受けるごとに、一つ一つ『砕かれていく』。
数字列が不規則に変動する。青年が一つをゼロにすれば、其のゼロの合間を生めるように新たな数列が姿を現し、数列は拳の一発ごとにその数を増す。
彼の頭上に浮かんでいる最も強大な数字。それは『不浄の左手』が持つ術式及びその『全て』。すなわち、彼が今使用している『術式そのもの』を数列に変換しているもの。

術式と言うのは複雑で、今彼のように即興で術式の再構築を行い続けるという常識外れの行為さえなければ、最初の一撃で『不浄の左手』は崩壊していた。
だが、耐える。まだ、まだ、まだ。彼と青年の『命』がかかった『場面』において、今たったこの瞬間において、あらゆる理屈は意味をなさない。
正義だとか、悪だとか、そんなものはもうどうだっていい。ただ『勝つ』という感情だけが思考を埋め尽くす。左手が放つ歪な光すらも『総て無視して』。

―――――そして、幾度目か放たれた青年の一発。それで、それが、彼の『処理速度』を上回り、頭上に表示された幾つもの数列が、その変移を『止める』。
ピシリ。音がした。青年の背中に触れていた左手の感触が、いつの間にか消えているのを感じる。よく見れば『彼の左腕』が、僅かに『ブレ』ているのが理解できるだろうか。
術式とは強力な反面。強制解除や内部からあの崩壊による上書きによって破壊されてしまった場合、術者に対しその効力が『跳ね返る』という現象が起こることがある。
直後、青年と彼を話す様に『左腕』から『なにか』が発生し、青年を僅かに下がらせるだろう。耐え、踏ん張ることは可能だろうが、その『なにか』の力はかなり大きい。
吹き飛ばす物では無く、単純に『スライド』するような力の流れ。触れてしまっても青年には影響なく、彼の『左腕』にだけ変化が起こり始める。僅かな光と、ガラスが砕ける様な音。

人を呪わば穴二つ。幾人もの人間を『引いて』来たひだりては、左腕という繋がった対価と共に、彼という宿主から『離れ』るようにして『その姿を塵に変えていく』。
術式を過剰に展開し過ぎて所為で発生したオーバーロード現象と、術式自体が『振出し』に戻った事で起きた齟齬からなる術式の崩壊。それら全てが重なり合い『左腕の崩壊』と言う形で術式の効力が収束していくだろう。
誤っても手は出さないだろうが、当然崩壊が始まった段階で左手に触れてしまえば青年も当然影響を受ける。彼自身が居た身とも言えない不可思議な感覚に全身を苛まれているところを見れば、先ず近づこうとは思うまい。

……痛み。それに近いもの。聖人の骨の一部を移植された左手が、彼ちう人間に与えられた四肢の一つが、この世界から『無かったこと』として消えていく。
同時に、青年の眼に見えている彼の数字が段々と崩壊していくさまが見えるだろう。能力者風に表すのであれば―――――『能力の喪失』とでも、言えるのかもしれない。
加えて、青年が受けていた術式による衰退が幾らか緩和されるだろう。術式の適応が新しかったために、崩壊の際にあふれ出した神秘性の一部が『流れ込み』、生命力と言う形で青年の疲労を『回復する』。




――――――




「俺は……『負けた』のか?」


左腕が『消え』。体中に殴打の痕が残るスーツ姿。頬にも思い一撃をもらったのか、胡散臭いと言われた顔が台無しになっている。
何故だか思考はさっぱりしていた。だからこそ、余計に『理解する』と言うのは難しい。青年の言葉を、彼という存在の『支え』を、簡単には捨てられない。
だから、こう。先ほどまでの勢いを残す頬の痛みに右手を当てて、無意味な、そして『どうでもいい』正義を押し通そうとした彼は、一言。『正義』とは無縁な一言を口走るだろう。
951 :【水掌流武】 ◆6zQGmjbu5lAS [sage]:2016/01/26(火) 22:34:56.60 ID:VWeYtm1T0
>>947
―――明朝。水那月は目を覚ますと、病室に居た。
院内に話を聞けば、たまたま路地を通りがかった人の通報によって、一命を取り留める事ができたらしい。

そして彼と対峙したあの女性は、一度搬送されたものの、自分が寝ている間に病室から忽然と姿を消したらしい。
水那月は陰で、闇に紛れる人だろうからなあ、とこそり呟いた。
あれだけあった路地裏の死体についても、誰も言及しなかった。きっと、彼女の来歴に関係するものだろう。
むしろ自分への口止めに来なかっただけ、幸運を感じた。

―――いつかまた、出会うことができれば。その時こそは。

傷の治りは昔から早い。が、そんな体質だけでどうにかなる程甘くはない大怪我だそうだ。
一週間の安静と言われ、金の工面で彼の頭が一杯になる。
―――ただ。日常も、非日常も、自分を構成する要素に他ならない。そう気楽に考えられるように、なった気もする。
ふと窓を見ると、真昼間にして雪が降り積もっていた。

……そういえば何か、忘れている気がする。

『嘉瀬さーん。妹さん?が来てらっしゃいますよ。何か凄く、かんかんですけど』

水那月は、慌てて寝た振りを決め込んだ。

//〆ということで!
//かなり勝手に事後処理してしまいました。ご迷惑でしたら無視で構いません
//拙い文で申し訳ありません。お付き合いいただきありがとうございました
952 :【双魔穿槍】 ◆kLBf1Us2is [saga]:2016/01/26(火) 22:41:24.91 ID:+ooEE3dZo
>>951
//いえいえー大丈夫です!むしろレイちゃんのソロール書きたくなりました こちらこそ、ミスやら誤字やらで恥ずかしい文章でしたがありがとうございました!
953 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 22:45:07.29 ID:UWltMgyKO
>>949
あぁ、駄目だ、これは。
この少女の笑顔は、悲しいくらいに綺麗だった。
悲しいくらいに、嘘っぽかった。とても、誤魔化しの効く、顔だった。
話しても事件は終わらない。何か知っているのか。いや、それとも終わらせるつもりはないという事か。
マコトの目には、なんとか誤魔化そうと必死に取り繕う彼女とても悲しく思えた。
やっぱり、そういう事なのか。
こちらをじっと見ていたのも、自分がD.O.T.Aである事に気付いて驚いたからと考えれば、とても筋が通る。

「これは、僕の勝手な推測だ。証拠も何もあったもんじゃない」

つまるところ、要するに。

彼女の仕業。
彼女が原因。
彼女こそが――――――――犯人。

言いたくはないが、言えば何らかの揺さぶりはかけられるだろうか。

「君は能力者。そして、人を殺している。それも、叩き潰すような殺し方で」

彼女の言う事を無視して、一方的に言い放つ。
もちろん否定は自由だ。どうせ、証拠など何もないただの推論にしか過ぎないのだから。
954 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 22:51:10.23 ID:BtQkRas4o
>>953

少年の目が痛かった。
久しぶりだった、こんなに視線を痛いと感じるのは。
こんなに悲しい気持ちが込みあがってくるのは。
ああ…でももう嘘もつけないし誤魔化せもしないな。

だってもう彼はきっと気づいている。気づかれてしまった。気づかせてしまった。

馬鹿だな…私。


「うん」

今からきっと彼が話すのは憶測なんかじゃない。
『真実』だ


「そう…そっか…。うん」

放たれた言葉、それに対して少女は否定も何もしなかった。
だってもう、彼はほとんど確信を持っている。
否定しても、またきっとボロが出る


「犯人だったら。どうする?」

そんなの分かってる事じゃないか、聞くまでもない。


少女はほんのわずかだけ能力を開放して『鬼』を出した。
卑怯だけど、威嚇のつもりだ。これで言葉を失ってくれる相手…なんかじゃないってわかっているけれど
955 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/26(火) 23:05:45.78 ID:0FsVmbYF0
>>944
//すいません……今日もこの辺りで凍結お願いできないでしょうか……。
//毎度毎度申し訳ありません……。
956 :【0】 [sage]:2016/01/26(火) 23:06:50.12 ID:o1Jz/1nvo
>>950
拳を握り、腕を引き、拳を打ち出す、たったそれだけの簡単な動作を、ほぼ無呼吸で繰り返す。
数字が本当に減っているか確かめている暇は無い、体に疲労が溜まり息がし辛くなっていくのを感じるが、拳の速度は逆に上がっていく。
蝋燭の炎は燃え尽きる瞬間にこそ強く輝くと言う、きっとそれと同じだ、生命が減って行く事に単なる精神論では計れぬ力の源が湧いてくるのだ。

耳は何の音も捉えず、視線は真っ直ぐ男の目しか見ていない、二人だけの極狭いリングの中で、命を賭した攻撃の応酬は未だ止まず。
人を殴るという行為は、其れ程いい物では無い、人間の肉体は結構硬く、防具も付けずに殴れば自分の拳だって痛い。
だが、止め無い、引か無い、ここで諦めてしまえば今までの全てが無駄になる、男に対して否定した全ても。
だから、全神経を一つに集中させて殴り続ける、あの幾何学な数列を全て振り出しに戻すまで。
背中に触れる左手の感覚が弱くなっているのにも気付かず、狂戦士的に殴る、あと何発打てばいいのか、とふと思い出した時、その時は来た。

「グッ……ウオオォォォォォォッ!?」

不意に起きた現象はデジャヴを感じるような事だった、後ろに体を引っ張られるようなその感覚、前と違うのは、青年は抵抗する事なくその力に引き摺られた事だろうか。
反射的に『しまった』と思ったが、どうやらそうでもない様子、尻餅をつくようにして男から離された青年は、左手に奪われた体力と疲れで立ち上がる事も出来ず、それを見ているしか出来なかった。

「……左手が……崩壊していく……」

そうとしか形容出来なかった、術式や聖人などという物を全く理解できていない彼には、目の前で起きている事象がそのまま見たまま頭に入る。
止めようという気すら起きない、立ち上がる気力も無い上に、止められる気がしなかったから。
それに乗じて、男の頭上に浮かぶ『数字』も崩壊していくのを見た、ただ消えるそれとは違う、明らかな崩壊と言った消え方、左手のそれと重なるように見える崩壊が何を意味するのか、青年にはわかった。

「───アンタが『負けた』って思ってんなら、オレの『勝ち』って事にさせてもらうぜ」
「決まり手は……そうだな、『我慢』だ」

全てが終わった後の、男の問い掛け、結局終わってみれば、何のために戦っていたのか青年にはよくわからないし、勝ち負けなんてどうでも良く、ただあんな無茶をして生きていた事に驚きつつ感謝するだけだが───。
冗談っぽく言い返して、青年は仰向けにぶっ倒れた。
957 :【0】 [sage]:2016/01/26(火) 23:08:03.17 ID:o1Jz/1nvo
>>955
/申し訳ありません、こちらのレスが遅いばかりに……
/凍結の件承りました、明日も同じくらいの時間から再開できますので。
958 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 23:09:19.36 ID:+hsCvEAvO
>>954
あぁ、やっぱりだ。
とても心が痛かった。同じ【学園】の生徒が殺人を犯しているなんて、そんなの、信じたくなかった。
だが、これが真実。覆す事のできない、事実。
それでも、やる事をやる。そういうのになりたくて、自分はD.O.T.Aに入ったんだろう。
もしそうだったらどうするか?そんなの、決まっている。

「僕は君を止めないといけない。これ以上、被害を大きくさせるわけにはいかない!」

少女は能力を開放して、こちらを威嚇してくる。
やはり戦うつもりか、それならば、こちらも応戦するしかない。
彼女はここで止めないと、駄目だ。

「今ならまだ間に合う!投降するんだ!もしも僕以外のD.O.T.Aに見つかったら君は殺されるかもしれない!君の命だって、危ないんだぞ!」

最後の通告。
自分は殺すつもりなど毛頭ない。しかし、もしも別の隊員に見つかったら彼女は殺されるかもしれない。
彼女を救う為にも、ここで止めさせなければならないのだ。絶対に。
いつでも抜けるよう、剣に手をかけながら、彼女の反応を待った。
959 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 23:18:16.36 ID:BtQkRas4o
>>958

やっぱりそうなってしまったか。
けど、そんなの分かっていた、分かっていたうえでバラしてしまった
きっと誰かに止めてほしいなんて事心の隅では思ってたのかも
そんなの自分にもよく分からないけど


「……ごめんなさい。できません」

短い言葉だけど、これしか伝えることが出来ない。
精一杯笑みを作って、こんな汚い言葉を綺麗に伝えようとした


「良いです。死んでも」

「死んでもいいから。死んでもいいから[ピーーー]んです」

「…だから。殺してもいいですよ?」

これも笑顔で。さも普通の話をしているように。
まるで昨日見たテレビ番組の感想を友達に伝える様に。


「さよなら。お友達には――――なれませんでしたね」


能力を完全に開放。彼女は人から【鬼】に変貌していくだろう
そして彼女は彼女でなくなっていく


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960 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/26(火) 23:18:44.94 ID:WdLFVwhBo

雪の降る夜、木々生い茂る森の中。
何人かの兵士が、その中を駆け回っていた。何れも帝國陸軍の軍装を身に着けた兵士達で、着剣小銃を構えて、雪山を走り回っていた。
数で言えば、五名程度。手練れの兵士達であり、何かと交戦しているようにも見え。その証拠に、何度か銃声が響き渡っていた。

『くそっ……何処行きやがった、殺人鬼め』

『ライトは付けるな、位置がバレる。暗視鏡を使え』

その中で、二人一組の、帝國軍人と思わしき人間が、山を下りていた。
片方に言われたとおりに、片方がライトを消し、首下にかけていたそれを目元まで上げる。
緑色に染め上げられた視界に、一度舌打ちをすると、再度小銃を構え。その、ほんの僅かな動作の後に、男はもう一人の軍人へと視線を戻した。
然し、其処にいる筈の人間はいなかった。見れば、少し行った先は、酷く急な傾斜となっていた。もしや、其処に落ちたのではないか、とその下を覗き込むと。
いるには、いた。だが、然し、それは数秒前の姿とは全く違っていて。驚いて、ゴーグルを額へと上げる。

『おい、山口――――――――――――』

そう、声を上げた瞬間。その胸元に何かが突き立てられた。
まるで影が形を成したように、正確にそれの形を見切る事は困難で。そして終ぞ、男はそれが何か知る事なく、引き抜かれ、同僚と同じく傾斜の下へと転がっていった。
積雪の上に、数滴の血を滴らせる。それは、間違いなく―――――― "刃"であった。

「天誅だ。阿呆が」

―――――――――――― それは同じく、帝國陸軍の軍装に身を包んだ男だった。
袖無し外套の下には、黒塗りの刃が静かに、冷たく抜き放たれていて。軍帽の下の眼は、酷く暴力的で、途方も無い殺意に満ち満ちて。
濃厚な血の匂いを振り撒いて。落ちていった死体を、何の感慨も無さげに見下ろしていた。
961 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/26(火) 23:32:22.66 ID:+pgvqHjgo
>>960

―雪夜の日、山中にて。
少女は剣術を嗜んでいたのであるが、最近は腕が落ちている気がしてならなかった。
だから、D.O.T.A.に入ったというのもあるが、素振りくらいはしておこうかと思って。

刀身が妖しく紫がかっているその刀を振っていた時であった。
ガサガサと忙しく何かが走り回る音、そして声。
さらには物騒なことに銃声まで聞こえてくる。

「・・・、何事かしら?」

刀を黒く染められた鞘へ収めると、少女は歩き出す。
古ぼけた紫地の着物はところどころ補修が必要になるほど裂けてしまうだろうが問題ない。
足音と銃声に併せて少女も山を降りていく。

だが、不意に覚えの有る匂いが鼻を突く。
鉄の匂い・・・、すなわち、血の匂いだ。
少女は疑念を持つ、もしや先ほどの足音は何かを狙っていたのではないのか、と。

「少し雲行きが怪しくなってきたわね。」

雪が降り、多少身体に寒さを感じるが、問題はなさそうだ。
右手を刀の柄に添え、姿勢を低くとり血の匂いのする方へと近づいていく。
匂いが濃くなってくる、むせ返るほどに。

「あれは・・・、誰かしら?」

なんて小声で一つ。
おそらく帝國の軍服であろうか、それを着ている男。
虚である少女ですら感じる、途方も無い殺意。

男の出方を伺おうと、木の裏に身をもたげんとする。
鞘が木に当たってコツリ、という音を発し、足元からもガサガサと不用意に音を発してしまうのだが。
962 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/26(火) 23:50:22.56 ID:lkKz7vNfO
>>959
彼女は段々とその姿を変貌させ、人間をやめていく。
それは鬼だった。殺戮を繰り返す、悪鬼そのものに見えた。
交渉は決裂だった。戦うしか、ない。
そういえば、初めての実戦ではないだろうか。とんだ初陣だ。
剣を抜く。一応、訓練は重ねてきた。自分にだって戦えるはずだ。
震えはない。彼女を、救わないと。

「命は一つしかないんだ!なんでそうやって軽く扱える!僕は君を殺さないぞ!ここで、止めるんだ!」

死んでも良い?殺しても良い?冗談じゃない。
死んで全て許されると思っているのか。死ねばそれで終わりだ。
ちゃんと、生きてもらわないと困る。生きて、罪を償ってもらう。

真っ直ぐに駆け出し、接近。そして、彼女に斬りかかる。
剣の軌道は真っ直ぐで、直線的。そこから卓越した技術などは微塵も感じられず。
回避するのも、受け止めるのもその気になれば容易であろう。彼は、戦闘に関してはまだ素人なのだから。
963 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/26(火) 23:54:25.27 ID:WdLFVwhBo
>>961
「これで、全員、仕留めた、な」

帝國陸軍の軍装の男―――――――――――― 久慈辰則は、惨殺した男達を思い返し、辟易とした。
"それだけの"根性は据わっていたが、如何せん"人斬り"、特に夜間においての専門家である辰則にとっては、それなりに容易な仕事であった。
報告にあったのたった五人、この山の中で斬った帝国軍人の数も五人。であれば、今宵の人斬りはこれまでだろう。少々物足りなさを感じつつはあるが、踵を返そうとした。

その少女が起こした気配は、久慈辰則にとっては、その存在を察するのに容易だった。

物音、気配、そしてこの寒空の下では、吐く息ですら自分の位置を知らせる情報に成り得る。
ゆっくりと、軍靴が雪を踏み締める。ザクリ、ザクリ、と音を立てながら、それはその音の下へと歩み寄っていく。
刀を握る其の手にも、其処を睨みつけながら続ける歩みにも。全くの、欠片のブレも無く。外套を揺らしながら、物音の下へと歩み寄ったのならば。


右手に握った刀が、ゆるりとその鞘に納められた。


然しその殺意は裏腹に、より爆発的に膨れ上がっていく。
それは間違いなく。"人斬り"の歩みであった。
964 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/26(火) 23:59:49.90 ID:BtQkRas4o
>>962

あ…やっぱりこの感覚だ。
体からスーッと血の気が引いて行くのに、なぜか火照りはじめる。
そんな訳の分からない感覚。
そして酔っぱらったみたいに上手く回らない頭。…まだ酔ったことはないのだけれど
けどきっとこんな感覚なのだろうななんて、朦朧とする自我の中でそう考える。


「…ウルサイ」

声は少女の物。
だけどもう明らかに少女ではない。


「…どうして?ドウシテ…ジャマヲ…」

時折【鬼】を破って出てくる少女の自意識。
それはいつまで続くのか…

斬りかかってくる少年。
少女はそれを避けも受けもしなかった。

その剣の一撃を自らの腕で受けた。まだ残っている自分の意識で体を動かして
破ける制服。吹き出す血。
なのに少女は無理して笑って見せた。相手が遠慮なく攻撃できるように


「…逃げて。次は。ツギハナイ」

強まる邪気。そして変わりつつある雰囲気。
少女の四肢が血以外の何かで赤く染まりつつあるのに少年は気づくだろうか?

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965 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/27(水) 00:04:05.75 ID:L4A/jaefo
>>963

男は此方に気づいたか、歩み寄ってくる。ザク、ザクという雪を踏む音とともに。
少女は怖気づくこともなく、男の刀が鞘に収められるのを見る。
だが、殺意は収まるどころか膨れ上がっている。刀からはまるで“人斬り“のような。

「こんばんは。」

何の感情も含まない、乾いた挨拶を男によこす。
もはや礼儀的、ともいうべきか。いや、この少女自身が虚というべきか。
少女の右腰には鞘。男も同じく。そして血の匂い、おそらくこの男は―

「“人斬り”ってところかしら。」

少女は男をどす黒い目で見つめる。
ともに人なのか、吐く息は白い。ただ、気配は只人とは思えないもので。

「あのさ、貴方、狙われてたんじゃないの?」

元々は刀の練習ということで人気のないような森に来たのであるが。
何かを追いかけるように走り回る男たちを負ってみれば男が居た。
もしや、男は狙われていたんではないかと思い。

「まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね。」

どこを見るか、視点がおぼつかないように宙を見上げる少女。
雪は空から絶え間なく降ってくる、少女の着物にも例外なく其れは積もり。
虚の少女と殺意が膨れ上がった男の対峙は奇妙なものだった。
966 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 00:27:11.40 ID:gfc02L7iO
>>964
ざくり。剣は、少女の腕を軽々と斬った。まるでチーズのように、容易く斬り裂いた。
生々しい肉の感触。剣で人を斬ったのは初めてであった。
はっきり言って、気分は最悪である。こんなものに慣れたくない。しかし、今はそんな事を言っている場合ではない。

「なんで、そんなになってまで笑っていられるんだ!」

少女は笑っていた。文字通り、とても痛々しい笑みだった。
理解はできなかった。苦しくはないのか。痛いはずなのに。なぜ、笑っていられるのか。
苦しいなら、言えば良いのに。

同時に、少女の四肢が赤く染まってきている事にも気がつく。それは、段々と強靭さを増してきているような。
反撃を見越して、ここは一度後ろに下がって距離を取る。
同時に、手のひらから光線を放つ事をイメージ――――それはすぐに実現し、発射される。
魔法の事も大概理解できてきた。簡単だ、イメージするだけでそれは成される。どんな魔法だろうと、自由だ。
光線に殺傷力はない。が、まともに当たれば吹き飛ばされるだろう。それで失神するかもしれない。

/すいません、遅れました…
967 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 00:29:54.63 ID:bCpPicgbo
>>965
女、しかもまだ若い。そしてその格好、同じく帝國人だろうが、然し"軍人"であるとは思えない。
であれば、斬るかどうか迷うところだった。ただ戦う事も出来ない女子供を叩き切るかどうか、逡巡できる程度には、その男には理性があった。
だが、どんな人間にも、引き金、というものが存在する。これをされたら箍が外れる、というものだ。
この引き金が緩いか、或いは無いかどうかが、狂人か普通の人間かの分かれ目であろう。そして、それに関して、久慈辰則は。


「応、"人斬り"よ」


徹底的に壊れていた。ほんの僅かな、些細な事で、その男は全く抵抗なく、どんな人間も斬殺する事が出来る人間であった。
今、この目の前に現れた瞬間に。その少女は、条件を満たして"しまった"。であれば、最早、その男の右手は、唯々"人斬りの物"である。
その言葉を肯定する。男はそれを自覚していた。それこそが男の存在価値であった。そして、久慈辰則は、その通りに、今、在ろうとしていた。
雪を踏み固める音が止まる。軍帽を目深に被っているが故に、僅かに俯いてしまえば、その表情は中々窺い知れぬ物であった。

「俺が狙われてたんじゃねえ、俺が"殺してた"んだわ」
「帝國軍部の裏切り者、謀反を企む愚図共の抹殺。それが俺の役目よ」

男は。狩られる側では無く、狩る側で在り。そしてその通りに、脱走兵たちを皆、例外なく斬り殺した。
嘗ての同僚であるとか、そう言う事は全くどうでも良かった。唯々、淡々と殺意のままに斬り殺した。それは、今。
少女を目の前にした時よりも、遥かに希薄な感情の中で行われて。


「随分、呆けとるな、お前。まるで空っぽの竹筒みてぇな奴だ」


「まぁ――――――――――」


そして、その殺意の膨張は、今この時点で、最高潮に達した。
男の動作は、間違いなく"剣戟"のそれであった。然し、その刃は、不可視と見紛うまでに、"見え辛かった"。
刃も、鞘も、その柄巻も。黒く塗り潰されていた。月光を照り返す事も無く、ただ其処に、闇を湛えていて。それも一つの要因であり。
そして、その"抜刀"は単純に。余りにも、"速かった"。


「―――――――――――― どうでもいいけどなぁ」


"剣士"だ。今此処に、目の前に、"剣士"がいるぞ。

どの双眸は喜色に塗れているようにすら見えた。殺意の上に、幾多の感情が入り混じり、それは混沌とも言えるような様相を呈していた。
唯々、それが明確なのは。余りにも彼女を斬殺せんとする、意思だけだった。
968 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/27(水) 00:35:22.59 ID:VSCcOMAno
>>966
傷つけられるのは慣れてる
けど…どうしてこの人はこんなに悲しい顔をするんだろう。
初めてだ、自分の事傷つけてこんな顔する人なんて、初めてだ


「泣いたって。何も変わらない…です」

フッと意識が遠のく。
さようなら自分。相手の人、逃げてください。
お願い。逃げて…
貴方みたいに優しい人を…殺したくない…

けどそれは言葉にはならなくて――――――――


―――――


意識は【鬼】に変わる


手を向ける少年に駆け寄る鬼。
放たれた光線。光の矢の様な光線にも鬼はひるまなかった

避けて相手を殴ればいい。その思考回路で動いている鬼は接近しつつそれを避ける方法を取る。
そう。跳躍して光線を避けたのだ。
そしてそれと同時に一気に少年との距離を詰めようとするだろう。

もし可能なら熊のような少女とは思えない力で殴り掛かる


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/お気になさらずー
969 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage]:2016/01/27(水) 00:47:21.89 ID:L4A/jaef0
>>967

「まるで貴方は狼見たいね。いや、猟犬というべきかしら?」

男は帝国の軍人なのであろう、いや、確かにそうだ。
身なりからしてそうだし、刀を使うということからも計り知れる。
そう、言わば人斬り、抵抗なく人を斬り殺した。

「―空なだけ、まだましね。」

男のとった剣戟の姿勢、其れは確かにほぼ不可視であった。
ただ、男のとった姿勢は、剣戟を放たんとする姿勢そのものであり。
少女は鞘に刃を少し残したまま柄を引き、男の刃を刀身で捕えた。

「真剣、ね。」

いや、果たしてこの二人が持ちし刀は真剣と称するべきか?
片や黒き刀を、片や妖しき刀を。
少女も人斬りとの出会いは嬉しかった、久々の真剣だ、と。
先程まで虚であった少女は小さく笑み。

「じゃあ、始めましょ?」

疾る。男に向けて疾る。
右手を柄に添え、姿勢は低く。
妖しく紫に煌く刃が姿を見せ、所謂居合い斬り。
だが、男には肉薄しない。少し距離を置き、直撃したとしても傷は浅い程度。
男からしたらおかしいかもしれぬが。
少女は再び、空の竹筒に戻って居た。
970 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 01:03:32.06 ID:gfc02L7iO
>>968
「っ!?」

動きが明らかに先ほどまでと違う。やはり、四肢が強靭になったのか。
正しく少女は鬼と化した。赤い鬼。血で塗られた赤。殺人鬼。
人を殺す、鬼。

瞬く間に距離を詰められる。速い。
咄嗟の動きに対処できなかった為、剣で無理やり少女の拳を受け止める。
とんでもない力だ。鍔競り合いになり、必死に押し返そうとするが押し負けて吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「くっ……」

これは、早めに決めないとまずいか。
せめて致命傷でないところを斬れば死には至らないはずだ。
この相手、峰で打つには無理がある。

もう一度手のひらから光線を放つ、と同時に接近。
光線に気を取られたところを攻撃する算段だ。そこで隙を晒せば致命傷ではない箇所を斬られるだろう。
うまく、牽制の方に食いついてくれれば良いのだが。
971 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/27(水) 01:13:35.36 ID:VSCcOMAno
>>970

吹き飛ばされる少年。
でももう体のコントロールが効かない。
意識も途切れ途切れだ


「ゲヘエッ」

口からつい笑い声が漏れる。
野太い、不快感しか与えない汚い声が

そう。【鬼】は今を楽しんでいるのだ


飛んでくる光線。【鬼】は先ほどの様に行動しようかとも迷った
だけどだんだんと理性が失われてきている【鬼】
ほんの些細な判断ミスを犯す。

そう、先ほどの様に迫るのではなく。じっくり光線を避けてから
ゆっくりとじわじわと苦しめる。そんな恐ろしく残酷な考えに自らの意識を割いて、光線を横に避ける。
それが判断ミス。

【鬼】は接近してきていた少年に気付くことなく、剣で体を切りつけられる。
それも硬化していない四肢以外の場所を


「…あっ!」

一瞬だけ漏れ出る少女の悲痛な声。
斬られた胴体からはゆっくりと血が流れ出ていた

そしてその事により【鬼】には大きな隙が出来た

972 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 01:14:42.78 ID:bCpPicgbo
>>969
刃を止められた。然し、それでこそ。それでこそ、"剣士"である。
易々と、一撃で仕留めるのも、それはそれで乙な物ではあるが然し、最も楽しいのは。"剣士としての自信を完全に叩き折って甚振り、殺す事"。
であれば、それが受け止められたのは僥倖とも言うべきだった。だから、男は、それに対して、口角を思い切り釣り上げて笑い。

「応、真剣に、だ」

"剣士"としての実力において、男は達人には劣る。どう足掻いても、その土俵に上る事は終ぞ出来なかった。
然し、その技においては。それに於いては、久慈辰則の剣は、どんな達人の物も、"上回る"。
抜き放った剣を、鞘へと再度納める。その速さは、抜き放つにも劣らぬ物であり、そして。その居合切りに、それを合わせて、"その刃を弾く"だろう。
そしてそれをまた、鞘へと納め―――――― 一歩、今度は辰則の方から、彼女の方へと踏み込んだ。

「―――――――――――― 何故、抜刀術が"流行"ったか、知っとるか?」

そして、その"範囲内"に入った瞬間、その刀は抜き放たれた。
黒き斬撃。降り注ぐ雪を斬り飛ばし、ただ音も無く、静かに敵を斬り殺す、その"猟犬"と称された久慈辰則の物にしては、余りにも静寂な。
然し、それは芸術的な静寂では無く。飽く迄それは、獣が獲物の喉笛を一気に食い千切らんとする、"静寂"であった。


「帝國維新時代、"剣"の在り方は変わった。真正面から斬り合う形から、音も無く殺す暗殺の道具に。
抜刀術はその中で"研ぎ澄まされた"。唯々、瞬きの間も無く人を殺す為に。――― 分かるか。


"抜刀"は"人斬り"の剣。そして、"俺の剣"よ―――――― !!」


鞘へと剣を納め直し、更にもう一歩前進し、その剣をもう一度抜き放つ。
二度の"抜刀"、異様とも言える程の"速度"であり―――――― そして、それこそが、男の唯一にして、"至高"の武器であった。
973 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 01:27:26.53 ID:gfc02L7iO
>>971
「よしっ!」

うまくこちらの誘いにかかってくれた。
牽制の光線に反応してくれたお陰で、容易く懐に潜り込み、ダメージを与える事ができた。
だが、まだ戦闘不能にまでは追い込んでいない。このまま畳み掛ける。
隙を見せた鬼に対し、更に接近。一歩進めばもう密着するような状態になれば、右手を硬化していない胴体の前に出す。

「これで…!」

掌が発光し、大気がその周囲の大気が揺れ始める。
エネルギーと同時に光が開放されれば、それは衝撃波となって鬼を襲うだろう。
衝撃波をまともに喰らえば、その場から吹き飛ばされる事になる。決して死にはしないだろうが、ダメージは大きいはず。
これは、殺すのではなく、戦闘不能にまで追い込む為の策だ。

もちろん、衝撃波から放たれる前に反撃すれば防ぐ事はできる。
かくいうマコト自身も、この状態には大きな隙があるのだ。
974 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage]:2016/01/27(水) 01:29:54.25 ID:L4A/jaef0
>>972

少女が男に放った居合。其れは達人とも形容されるような業であったが―

「痛あっ!?」

男は神速の居合を放ち、少女の刃を弾いた。
鈍い金属音と共に刃は強く弾かれ、結果的には其れが隙となり。

「っがあ―ッ!?」

刀に身体を持って行かれてしまったがゆえ、ろくに防御も出来ず。
なんとか後ろに脚を蹴りだしたが、其れでも腹部に斬傷を貰う。

「其れは軍人の剣技でしょう?私は武士の剣技。
ふふ、まるで維新のようね。」

軍人と武家の家系の二人が対峙する。
一方は暗殺に長け、もう一方は真正面から。
まるで、維新の時のように。

だが、一度喰らえばこんなもの二度と喰らいたくない。
男の構え、そして腕の長さから範囲を割り出し、そこからはなるだけ離脱する。
二発目の居合が迫る、神速の居合が。
刀で抑えることもなく、後ろに一二歩下がり其れを避けると。

居合のみであれば、と放ったあとにできるであろう隙を狙い。
一歩踏み込んで男の脇腹を斬らんとした。
だが、踏み込みは浅く、そして恐らく傷も浅く。

//始まってばかりであるすいません、凍結をお願いしたく…
975 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/27(水) 01:36:37.07 ID:VSCcOMAno
>>973

【鬼】は明らかに疲弊していた。
それもそうだろう、体を切りつけられているのだから。
暴れれば暴れるほど血が噴き出してくるのだから。
それでも【鬼】は動くことを止めれない。悲しい性だ。


「グルルルルルッ」

まだ体は半分以上少女。
だからいくら【鬼】といえども耐久性は物凄く低い。
自転車に無理やり車のエンジンを付けているようなものだ。


だから【鬼】も反応が遅れた。


衝撃波が解放されると同じくらいに、【鬼】も右腕を思い切り少年の方めがけて突き出す。
避けると言う事より殴ると言う事の方が優先順位として上に立ったのだ。
その結果まともに衝撃派を受けることになってしまった

鬼の一撃はそこまで早くないため身を反らせば避けれるだろう。
正し当たれば衝撃波と同じくらいの威力は受けることになる


「…っ…は…はぁ」

またしても漏れ出る少女の声。
だんだんと人に戻って来てるようである


【自分のレスで最大6レスまで発動します】
【現在5レス目】

/またまた凍結良いですか?
/明日は20時からいます

/無理ならキンクリでもOKです
/毎度毎度申し訳ないです
976 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 01:38:20.30 ID:bCpPicgbo
>>974
/お先に返事を……了解しました!それではまた明日よろしくお願いします!一旦乙でした!
977 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 02:00:50.69 ID:RGcZD9BGO
>>975
「ぐうっ!」

鈍い音がした。
同時に、景色が回転した。
下を向けば空、上を向けば地面。
また、鈍い音がした。今度は、全身が地面に叩きつけられる音だ。
同士討ち。衝撃波を放った瞬間、自分も殴られ吹き飛ばされたのであった。

「うっ……」

朦朧とする意識。一発喰らっただけでこのザマだ。
全身が痛い。骨も、数本折れているような気がする。何よりも、口から血が出ている。
なんとか、立ち上がる。あの鬼の方いる方向を向いてみると。
鬼は少女に戻りつつあった。あの能力にはどうやら時間制限があるようだ。
まだ、やるのか。マコトは剣を構え直す。どちらにせよ、もう少しで戦いは終わりそうである。
978 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 02:01:05.29 ID:RGcZD9BGO
>>975
/凍結了解しました!
979 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 02:26:42.38 ID:bCpPicgbo
>>974
軍人の剣技、と言うのは非常に近い物だろう。それは正しくその通りであった。
敵を殺し、殺し、殺し、殺す。久慈辰則の剣は其処に直結している。其処に美しさも技も無い、兎に角、敵を殺す事こそが目的である。
故に、久慈辰則は相容れない、"剣士と"。そしてだからこそ久慈辰則は排斥された。そしてだからこそ久慈辰則は"剣士"が、憎くて、憎くて、仕方が無い。
傷を与えたのは分かったが、如何にも浅いようで、今だに敵は、動き、喋っている。生意気にも、それは"剣を振るっている"。

「だからもう一度ぶっ斬ってやるって言うとるんだわ」
「あの時のように。維新のように。俺を排斥した、俺を徹底的に侮辱した手前等"剣士共"を、"ぶっ殺してやる"」

確かに、抜刀術はその特性上、必ず鞘に納めるという動作が必要となる。それも久慈辰則の戦い方は、非常に特殊なものである。
必然、その動作は多い物になってくる。となれば、必ず隙が生まれるのだ。確かに、其処に付け入る事は有効な策である。
実際に、其の剣戟は、ほんの僅かではあるが久慈辰則の脇腹を傷付けた。ほんの僅か、薄皮一枚斬り、ほんの少しだけ、血を流す程度であるが。
だが、その斬撃に及んだ時。既に久慈辰則は"三回目の剣を放っていた"。その妖刀の力を理解していたのならば、久慈辰則は三度目の剣は出さず、その剣を避けていた。
然し男は、剣が来ると分かった上で"前に出て"、"剣を放った"。

「何だ、蚊ぁでも刺したかぁ?」

だが、その妖刀の力は、少なくともたった一度傷付けられた程度では久慈辰則と言う男を止めるのに、全くの意味を成さなかった。
心を揺さぶる、成程恐ろしい力を持った刀なのだろう、その剣は。それは健全な精神を持った人間に対して、大きな力を発揮する事だろう。
"剣士"ともなればなおさらだ。健全な精神は健全な肉体に宿り、そして心が乱れれば剣が乱れる。心の乱れは、即、死に繋がる物である。だが。


「―――――――――――― だったら、叩き潰さなきゃなんねぇわなぁ!!」


久慈辰則に健全な精神など存在しない。健全な肉体など存在しない。乱れる様な高尚な剣など無い。
それは、最初から"壊れていた"。それが何時からだったかは、それ自身覚えていなかった。故に、その男の心が壊れる事など、大した意味の無いことだった。
980 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/27(水) 02:35:10.04 ID:U6bZPos00
>>956

「『我慢』…………か。」
「――――ああ、そうだな。」
「そういう『こと』か。」

左腕が無くなった所為で体のバランスが狂い、軽くふら付いた後。彼も青年と同じように仰向けに倒れ、そして声を上げて笑いだす。
ヒステリックな物でも無く、とってつけたような爽やかな笑みでも無く。彼という個人に与えられた笑み。心の底から『馬鹿馬鹿しい』と、笑い飛ばせてしまう笑みだ。
『聖人』としての証を失った今、彼はもう只の『人』。ただのしがない魔術師へと『なり下がった』。そして、これ以上動く様な気力も無い。
と言うか、動きたくなかった。今この瞬間、全ての『罪』や『正義』そして『悪』という存在がどうでもよくなったような気がして。

「あ――――――」
「『コイツ』が無くなった以上、態々お前を『裁く』必要もねェなぁ」

仰向けのまま、そうぼやく。既に帝国の男は何処かへと消え失せていたが、聖人としての力を失った彼にとっては『些事』な事。
そもそも、聖人の遺骸の一部を移植することを条件に『騎士団』の傘下に入っていたはずが、気が付けば随分と「いいように」扱われていたようだ。
聖なるものを悪為る術式として使う以上幾らかの副作用は覚悟していたが、どうやら聖人の力は彼の手に余る存在であったらしい。

記憶に残っている所業は思い出しても懺悔の念が出ることは無いが、もう一度やりたいかと言われれば今では首を横に触れる。
単純に『割に合わないから』という現金な理由だが、それが現時点で彼が最も強く思う感情であり。動こうと思へば動けるのをあえて『止め』
青年に止めを刺す事もせず、ただ『ぼう』と空を見上げた。乱雑になっていた思考が、かちり、かちりと嵌っていく。

白一色だったものが黒の混ざった灰色に、人間が持つ『曖昧さ』を作り上げていく。正義と悪の中にある『一面』。受け入れがたい、受け入れてはならない物が
彼の中で『まるで初めから其処にあったかのように』現れていた。可笑しい。笑いがひたすらこみあげてくる。『どうでもいい』ことを『どうでもいい』事で脚色し過ぎだ。

「あ―――あ」
「今まで俺を縛っていたものが無くなった分、随分と『軽く』なったぜ」

恐らくこれが素の彼が持つ言葉遣いなのだろう。先ほどまでの取り繕った言葉遣いは消え失せ、どこぞのチンピラが使うようなそれへと変わる。
中身が変わったわけでは無い。繕うという動作を止め、繕った皮を破り捨て、そのまま「思考は言葉に直結される」。
青年の方を寝ころんだままチラリと見やるが、其処に特に意味は無い。何も無くなった故に、『何からどう行動すべきか』迷っているのだ。

――――人生っていう糞みたいなゲームだが。抱えていたもの全部が『振り出し』になったのは、存外気分がいい。

//何とか用事が終わったのでこのレスだけ返しておきます……!
//明日は自分も其方と同じ時間帯で出れると思うので!
981 :【0】 [sage]:2016/01/27(水) 19:19:37.99 ID:IqEG6p94o
>>980
「アンタ……憑き物が落ちたみたいだぜ」
「あの左手は相当曰く付きだったみたいだな……」

むくりと上半身だけを起こし、片膝を立てた胡座の体制で仰向けになった男を見る。
もう男の頭上に数字は見えない、左手は靄どころかそのものが無くなっているのを見る限り、能力は無効化……もとい消失したようだ。
今の様子を見れば、左手が無い事による弊害はそれ程きにする必要は無さそうだ、半笑いで話す余裕も出来た。

青年の能力自体は、概念や人の心を『振り出し』には戻せない、ちゃんとした『数字』のある物だけが対象の能力だ。
なんでも出来るように見えて、思ったよりはそうでも無い、人の心に訴えるのは同じ人の心だけ。
今回は中々、良い方向に進んだのではないだろうか。

「それで……アンタ、どうすんだ?」
「左手が無くなっちまったが……まだあんな事を続けるのか?」

いや、多分そうではないだろうな、とは思いつつも、一応問い掛けてみる、これからこの男はどうするのだろうかと。
何か職を紹介出来る訳でもなければ、道を指し示すなんて事も出来ない、そもそも歳上だろうこの男にそんな事をするのは畏れ多い。

「まあ……少し休むってのも有りだと思うぜ、オレは」
「きっとアンタ、凄く疲れただろうし」

それは、今行われた戦闘だけに視点を置いたものでは無い。
今の今まで、己の『正義』のために戦い、他を『悪』として否定する、きっとそんな道を歩くのはとても疲れた筈だ。
それがどうでもよくなったなら、心も体も一度、休めてみるのはどうかと提案する。
982 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/27(水) 19:36:46.28 ID:VSCcOMAno
>>977

凄い衝撃だった。
体が硬い何かに打ち付けられると同時に、意識がはっきりする
元に戻ったのだ

「……あ。血だ」

うっすらと記憶には残ってる。けどこんなに出血してたなんて…。
【鬼】だった頃は痛みもあまり少なかったけど、今は違う。
ジンジンと熱い物が傷口から流れ出し、その度に体は寒くなる。
そして色んな所が色んな風に痛い。


「…殺してない。…よかったぁ…」

剣を構える相手。それを見てちょっと安心する。
何の罪もない人間を殺さずに済んだ、あんな優しい人を殺さずに済んだ。

ただ…たくさん怪我をさせてしまったみたいだけど



「いいですよ。来てください」

剣を構える相手に向かってそう言った。
最初と同じく、傷つけやすいようにニッコリとほほ笑みながら
まるで今にも消えそうな雰囲気を醸し出しながら

983 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/27(水) 19:38:10.42 ID:U6bZPos00
>>981

「――――いや。」
「『正義』なんてもうヤメだ。」
「あんなワリに合わない事、もうやる気はねぇ。」

青年の思っている通り、彼はもう『正義』にはなり得ない。理想論者が現実を知ってしまえば、二度とその理想を口に出来なくなるように。
彼が正義足り得ていたのは左手の力と絶対的な思い込みだ。それが無くなった以上、彼が『そうあること』は出来ない。
…………最も、頼まれたって二度とやるつもりも無いが。

「……だな。動くのもダルいくらいだ。」
「此処らで『有給』でもとるとするかな。」

青年には分かりにくいだろうが、彼が騎士団を『辞める』と言うのは、同時に彼の様な人間と『相対しなくてはならない』という事になる。
彼が行っていたのは異端者狩りと同胞狩り。所属していた宗教からの『暗部』が来るのは、そう遅くは無い。
だから、少し茶化しを含めてそう口に出す。それにしても、この青年は何処まで『人がいい』のか―――と考えていたら、ふと気になった事がある。

――――

「そう言えばお前『オレは忘れてる』って言ってたな」
「――――記憶でも『飛んで』るのか?」

彼の知識があれば、魔術関連のしがない便利屋でも何でもして食いつないでいくことは出来るだろう。
しかし、青年の方はどうか。今まで気になっていなかったが、あのような時間帯に彼がいるような場所に一人で出歩いているというのは少々『違和感』がある。
危機管理能力が欠如しているわけでもない、頭が回らないわけでもない。であるならば、君子は危うきに近寄らず。
幾ら人がいいと言っても、その人の良さを発揮する場所と時間帯が『可笑しい』。……能力者の街には、このような人間ばかりなのだろうか。

思考がずれる。今ふと気になるのは、青年が途中で吐き出した言葉の1フレーズ。記憶が飛ぶというのは魔術的解釈で考えると其処まで珍しいことでは無い。
直す方法が無いというのは万国共通だが、能力者にもそのような『記憶操作』が出来る能力者などが居るのだろうか。

此方も青年と同じように上半身だけを起こして、左腕の無くなったことによって生じるバランス感覚のズレに苦労しながらも問いかける。
984 :【0】 [sage]:2016/01/27(水) 20:11:28.20 ID:IqEG6p94o
>>983
「良い事だと思うぜ……どこかで読んだが、最近の人はちと働き過ぎらしいからな」

男の返答を聞いて、もう危険視するに値しないと感じる、口調は荒っぽくなったが、今まであったような気味の悪い感じは無い。
『正義』が悪い事とは言わないが、あんなに行き過ぎた物は危険でしかない、自分がいたからよかったとまでは行かずとも、あのままではこの男もどうなっていたか。
でも、もう大丈夫。

続く男の問い掛け、あれ程荒れていた中でもしっかりと話を聞いていたのかと感嘆したが、それはそうと答えを返す。

「ああ……オレは少し前にぶっ倒れていてな……それ以前の記憶が無い」
「だから、帰る家も名前も、自分の事だってのに知らない……記憶喪失ってヤツだ」
「だから探しているんだがな……手伝ってくれる人も何人かいるのに、何の手掛かりもないんだ」

男が問い掛けた事その通り、青年には自分についての記憶が全く抜け落ちていた。
廃棄物処理場で目が覚めた、能力者である、そして両掌の謎の模様と、自分が『ただの人間』では無さそうな要素は多いのに、それに比べて全く情報が掴めていないのだ。

「まあ、気長に探してればそのうち見つかるだろうとは思ってるんだが……」
「もしかしたら、とんでもない悪党だったりするかもな……その時は、まあ、その時だ」

例え記憶が見付かったとして、過去の自分が褒められたものでは無いという可能性もある、いっその事第二の人生を歩み出す方が楽なのかもしれない。
しかし、『自分を知らない』という事が、彼からしてはどうにもむず痒くて耐えられなかった、だから過去を全て受け入れる覚悟をしていた。
985 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/27(水) 20:29:38.38 ID:L4A/jaefo
>>979

相手はおそらく此方を殺しにかかっている。
ならば、此方も其れに応じなければ。少女の心に久々に殺意が芽生える。
何時ぶりだろう、こんなに殺し合いに心が昂ぶるのは。

「ふふっ、それなら、年端もいかない少女を襲った貴方も殺してあげる」

其処にはD.O.T.A.だとか、正義だとかは関係ない。
其処に有るのは、唯唯“剣士”同士の殺し合い。刀の競り合い。

「いいえ、私は爪で貴方の心を唯ひっかいただけよっ!」

脇腹を僅かに傷つけたのみの少女の剣戟。
ただ、それは男を外的に破壊するものではない、徐々に、徐々に内的に破壊する。
だが、まだ、まだ時期には遠い。

そう、一度斬りつけたのみであれば“僅かに自らに違和感を感じるのみ”。
男の精神を破壊するにはまだまだ足りない。いや、足りるわけがない。
少女はこの男を壊して、壊し尽くして殺すという行為に徐々に愉しみを覚えていき。

だが、再び男の神速の居合が迫る、迫り来る。
少女は即座に刀を身体に引き戻し、剣先に左手を添える。
そして、衝撃。甲高い金属音を放ちつつ、男の刀と少女の刀は鍔迫り合いを起こす。

少女は剣技においては達人であるが、体力というか、力はそれほど有るわけではない。
ずさり、ずさりと身体は下がっていくが。
986 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/27(水) 20:30:12.93 ID:U6bZPos00
>>984

「そう―――――か。」
「もしその時は俺が『裁いて』やるから、安心するといい。」

以前のように口調を『戻し』、笑みを持って返す。それは青年が最初に見た胡散臭い笑みとは違うが、口調は最初のものだ。
彼には記憶喪失を治せるほどの魔術は行使できない。医療系を極めた術者でもいれば何とかなるのかもしれないが、可能性をかけるには正直リスクが高過ぎる。
記憶が戻るか死ぬかと言われておいそれとかけられる程命とは軽くないし、それでも戻る可能性は僅かである。いや、ほぼ戻らないと言ってもいい。
体の傷は治せても心の傷は治せない、とはよく言ったものだ、。なんて、『柄にもない』事を考える程度には疲れているのかもしれない。

「―――全部が『振り出し』に戻っちまったが、これはこれで気分がいい」
「記憶探しってのも、ついでにやってみるとするか。」

戻っていい記憶、悪い記憶。それは彼にもわからないし、当然青年が分かるものでもないだろう。
だからこそ『戻したい』と考えるのだし、彼にとって青年は少なくとも『借りを作っている』と解釈している。
ならば、生きる時間のほんの少し。僅かな隙間を『それ』に当てるのもいいかもしれない。そう思った。


――――

「―――そろそろ、動いた方がいいな。」

何時まで時間が経ったか、先ほどの応酬が嘘のように静けさを取り戻したこの場所にあまりながいをするべきではないだろうと、ふら付きながらも彼は立ち上がろうとする。
彼が『不浄の左手』を失ったことはもう感付かれていてもおかしくない。であれば、青年を巻き込む形になる前に、彼の準備を行うために行動を開始しなければならない。
そして、青年の方に向きなおり、『一枚のカード』を投げるように渡してから。青年が『行動』を起こさなければこの場を立ち去り、夜の暗がりに消えていくだろう。

説明を求められた場合は、『連絡手段』とだけ言っておく。一回限りの使い捨て。いわばどこでも使える公衆電話の様なものだ。
繋がるのは彼にだけ、そして其処まで長い話もできないという『念話』の基礎中の基礎をカードに定着させたもの。
此方からも『かける』事が可能であり、もしどちらかが『使う』と願った際に、一度だけ『発動』可能である。今後、何かわかった時に『連絡する』と言う意味だと考えて良いだろう。
987 :【0】 [sage]:2016/01/27(水) 20:49:34.44 ID:IqEG6p94o
>>986
「そうなったら……あー……弁護士でも探そう」

冗談を笑顔で言う男の雰囲気は、最初に抱いた印象とは全く違っていた。
この笑顔にはもう胡散臭さは無い、こっちも笑って返せるような、安心出来る表情だ。
そういう表情をしている方がいい、少なくとも作り笑いや険しい表情よりは何倍も。

「……それは、手伝ってくれるって事か?」
「何だか悪いな……碌な手掛かりも無い、それこそ砂場で砂を探すような事を───」

青年は決して借りを作ったとは思っていない、そもそも男をどうにか矯正しようとも思っていなかった、ただ気に食わないから、喧嘩を売られたからぶん殴る程度の認識だ。
男がこうなったのはただの偶然だ、特に意識もしていない攻撃がこのような事態を齎したというだけ。
青年にとって、男が手伝いを申し出たというのは晴天の霹靂が如き事で、理由がわからないから申し訳なさそうに礼を言う。
その言葉に被るように、男が『そろそろ動かなくては』と立ち上がり、カードの様な物を渡した。

「……これは?」

名刺の様だが、そうではない、男の説明によると魔術を用いた連絡手段のようだが、魔術に触れ合う事の無かった青年には珍しい物だ。
立ち上がり、歩いて行く男に一言だけ礼を言う、それから忘れていた事を思い出したかのように、その背中に告げた。

「【0】……オレの『今の』呼び名は【0】だ」
「……今度はいいスタートが切れるといいな」

/この辺りが丁度いいでしょうか?
/それでは、お疲れ様でしたー
988 :【壊朔定理】 [sage saga]:2016/01/27(水) 20:57:05.54 ID:U6bZPos00
>>987

「【0】ね……。」
「俺は『フィーバー』」「『ただの』フィーバーだ」

「――――ああ、『そういう風に』生きてみるよ」


――――――


此処からどうするか、なんてことは決まっていない。そう、此処から『どうしたいか』が問題だ。
先ず、散らばった知識を戻す。左手を失ったのは大きいが、それは左程問題では無い。問題視するべきは『自衛手段』の方だ。
聖人の移植による影響で『使えなかった』術式。その幾つかの記憶がすっかりと抜け落ちている。それの回収と、術式の再構築。
やることは文字通り『山ほど』在る。


さて――――――死ぬのが先か、生きるのが先か。

//ではこんな感じで!
//三日間ありがとうございました! 楽しかったです!
989 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 21:14:35.32 ID:bCpPicgbo
>>985
刀と刀がぶつかり合う。久慈辰則は、鍔迫り合いという状況を嫌う。
こと抜刀術と、敏捷性においては、久慈辰則のそれは達人のそれを上回り、謂わば超人の域にまで達している。
だがその身体能力のおいては特筆して高い訳では無いのだ。故に、今でこそ彼女の身体を押してはいるものの、この状況が長く続くのは余り好まなかった。
幸い、現状力と体力で押しているという事実があるが故に、考える余裕はあった。そして、それを実行に移すだけの算段を付けるだけの。
鍔迫り合いの最中。左手の肘を、思い切り傍らの木へと叩き付ける事だろう。その瞬間、刀へと籠められた手はほんの僅かに緩む筈だ。

然しそれは、彼女をほんの僅かに自由にするのを速めただけで、鍔迫り合いの終焉自体は、木に降り積もった"雪"。
それらが、大量に彼女と、辰則の上へと降り注いで、その決闘を一時的に阻害する事で、終わりを迎える事だろう。
この降り注ぐ中、結構な量を蓄えてはいたが、然しそれらが決定的な"殺傷力"になるかといえば、そうではない。辰則にとっても、そして彼女にとっても。
事実、それ自身、雪自体が、相手に止めを刺す事を期待していたわけでは無い。

こと此処に至って、久慈辰則は酷く暗殺者らしく、息を潜め、気配を断った。

二歩、彼女の目を眩ませた瞬間に、付けた足跡にそれをぴったりと合わせて、後方に下がる。
それから、ほんの僅かに盛り上がった雪の積もっていない、木の根の上を爪先で歩き。
刀は鞘に納め、極力衣擦れの音がせぬように、動く回数は僅かに、それでいて大きく、手頃な、太い木の枝を掴み、一気に其処に上る。
迸る殺意を外に出す事は無く、また口の中に積もった雪の一部を詰めて、白い息で敵に居場所が掴まれるような事が無いように工夫した。
更にその状態から、二、三、木から木へと跳んだ。極力音を漏らさず、出来る限り木々の揺れる音に紛れて。
その状態から、肉眼のみを以てして敵を観測する。双眼鏡を持ってはいたが、僅かな光の反射によって敵に位置が露呈する事を想定した。

彼女に語った通りに、久慈辰則は"暗殺者"である。正々堂々と真正面から斬り合う事を望む"武芸者"では無い。
淡々と勝利の為の策謀を積み上げて、夜闇に紛れ、背後からその首を、誰にも悟られる事を良しとせず刎ねる事を得意とする者である。
唯々殺す。唯斬り殺す。その為に、何時までも息を潜めることが出来る人間でもある。

文字通り、久慈辰則は彼女の前から"消える"だろう。まるで逃げ出したかのように。
移動した証拠は出来る限り残さないようにしたが、然しそれでも人間が移動した痕というのは、特に雪の中では消しきれないものだ。
故に、幾つかの足跡が少しだけ"深くなっていたり"、或いはほんの僅かに響いた、隠し切れない衣擦れの音な、木の揺れの音を聞くかもしれない。

然しそうして、彼女が"それを探す素振りを見せた瞬間に"。久慈辰則は、自らその姿を晒すだろう。
足音を最小限に木と木の間を縫って、疾走する。その超人的な敏捷性を、最大限に発揮し、"彼女の頭上へと辿り着いた時"。
飛び降りる。左の鞘に手を添えて、その柄を握り締め。"落ち乍ら、彼女の頭上から、その頭から"斬らん"と、抜刀術を繰り出すだろう"。
990 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/27(水) 21:36:19.58 ID:L4A/jaefo
>>989

男との鍔迫り合いは続く。男は居合においては超人の域だが、身体能力はあまり高くはないらしく。
だが、未だに押されている。なんとか転機を見つけたかった、其の時だ。
ガサリ、と音がしたと思えば、降り来るは大量の雪。

「おっと。」

それは男と少女との二人に降り、その鍔迫り合いに中断を通告する。
だが、それは少女にとっても、そして男にとっても殺傷しえないものであった。
そして男はおらず。少女は目をくらまされたような感覚となり。

「・・・、あの人、どこに?」

雪が降りしきるなか、男の姿を探さんとする。
そんなに直感は良くない。その上、先程まで感じていた殺気も、そして気配さえ消されていた。
男の姿は見当たらない。ぐるりと首を回して辺りを見渡す―

少女は探すこと、いや、探査に集中した。
おそらくはこんな雪のなかだ、男の歩いた痕は無いが、足跡は僅かながらに深くなっている。
そして、こんな静かな森のなかだ、わずかに木の揺れる音も聞こえる。

少女は恐らく、男は木の上にいるのではないか、と。
新たな足跡は見当たらない、それならばそうかもしれない、ただ―
などと思案するも、辺りを、とくに木のあたりを見渡す。


男が、木から飛び降りた。
ガサリ、と音が響く。男が落ちつつも、刀を抜かんとする。
またあの居合だ。狙いは頭だろうか―

「っだぁっ!」

少女は刀の扱いには特段長けている。だから、無理矢理にも男の刀に対応しようとして。
右手の柄のほうを高く、左手の剣先のほうを低く。
其れを男に向けて掲げるようにして。其の目的はただ一つ。

恐らく、刀は少女の刃の反りに沿って地面へと向かうはずだ。
滑るようにして。地面に向けて。其れを目的として刀を掲げる。
さて、どうなるのか。少女には全くわからない。
991 :【炎天機翼】 ◆B0bi93STJ2 [sage saga]:2016/01/27(水) 22:06:14.45 ID:teEU+YESo
 深夜の公園
白髪の少女が、ベンチの上で寝ていた。
不潔感は無いがどこか色がくすんでいるワンピースと、同じようにくすんだレギンス。
そんな、ホームレス始めました。と言った服装をしている少女は、この寒空の下でも寒さを感じていないのか。
風が吹こうとも、動じること無く穏やかな寝顔であった。

 周辺にはコンビニの袋が複数おいてある。
少女が購入したものであろうそれらの中身は、スナック菓子と炭酸飲料だけである。
主食となりうるものや、生活必需品などは一切入っていない。

 そんなどこか歪な少女の周りに、人影が現れる。
無防備に眠るホームレス風の少女。
なるほど、これほど手を出しやすい存在など他にないだろう。

 さて、誰か通りかかる人間はいるのだろうか?

/絡み待ちです。23:30頃まで、中の人が居ます。
/それ以降は置き進行になります。
992 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 22:06:56.56 ID:bCpPicgbo
>>990
甲高い音が続いた。振り下ろした軍刀は、刀に沿って受け流される。であれば、それが見るのは、降り積もった雪を叩き割る剣の姿である。
刀を握っているのであれば、対応は間に合わない。故に、右手に握った刀を"手離した"。
袖無し外套に手をかける。男の身体を覆う、布状の長い防寒着だ。
それを、ばさりと一気に脱ぎ捨てて、彼女の方へと放り投げ、再度の目晦ましと、そしてほんの僅かな間でも良い、突如投げつけられた布への混乱と拘束を狙い。
そして左腰の鞘を外し、右手で握り締める。それから、その剣を思い切り振り被り。

「―――――――――――― 死ねや」

彼女へと、叩き付けようと振り下ろすだろう。狙う場所は滅茶苦茶だった。ただ、ほんの僅かにでも、視界を奪った彼女へと一撃叩き付けてやりたかった。
久慈辰則が、剣術家に蔑まれ、追い出された理由に、余りにも敵を"殺す事に"手段を選ばない点があった。
どれだけ練習を重ねようとも、"敵を殺せばそれで勝ち"という考えが頭の中に沁み込んでいるが故に、其処には無数の悪い癖が生まれた。それを、剣術家達は酷く蔑んだ。
だが、こと殺し合いにおいては。久慈辰則のそれは、"酷く実践的なものとなっていた"。

彼女がそれを避けないか、或いは布を剥ぎ取るのに遅れたのであれば。久慈辰則は、更にその握り締めた鞘を両手で持ち、石突を彼女へ叩き付けんと振るう。
それらはどちらも、男が散々に振るってきた剣と比べれば遥かに殺傷力の低い殴打である。だが、だからこそそれは"精神的な苦痛をも伴う"。
鋭い痛みでは無い、鈍い痛み。後に散々に残る痛み、そして酷く"現実味のある痛み"。それらは、時にどんな大きな負傷よりも、人間の身体に大きく響いていく。

そしてそれを振り下ろすか、それとも避けられるか、それに構わず、右足で置いた刀の柄の部分を踏みつけて、"跳ね上げさせる"。
回転を伴いつつ跳び上がった刀が、手元に帰ってくると、それの柄を握り締めて、その鞘へと音も無く、再度納めるだろう。

それは決して終わりでは無いのは、彼女は今までで重々分かっている筈だ。そして、それ自信もまた、これで仕留めきれるものでは無いと思っている。
鯉口を既に斬っておき、僅かにそこから二、三歩、相手の持つ刀の殺傷範囲圏内から外れる。
それは同時に、辰則自身の刀の殺傷範囲から外れる事も示していたが。"その程度は、実際にはそれにとっては何の問題にもならない距離だった"。
993 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 22:22:25.94 ID:uTuzdczvO
>>982
鬼は、少女の体へと戻った。
血まみれだが、殺してはいない。ちゃんと、生きている。
こちらも大概傷を負ったが、少女が元に戻ったという事は、これ以上戦う意味はない。
目標は果たしたのだ。故に、これ以上無駄な血を流す必要などない。

「だから、始めから言ってるじゃないか…殺さないって」

構えていた剣を収める。
少女の痛々しい笑みをよそに、ゆっくりと近づいていく。
あぁ、体が痛い。やっぱり、骨がやられているかもしれない。後で、ちゃんと治療してもらおう。
それでも、少女一人救うには、これくらい安い傷なのかもしれない。
目の前にまで来たら、そっと手を差し伸べる。

「もう良いんだ。これ以上、人を殺したりなんかしたら駄目だ。君だって、本当は嫌なんだろう?これ以上は、君が壊れてしまう」

マコトは戦っている中で、少女の危うさ、脆さをひしひしと感じていた。
彼女の心は張り詰めていて、すぐにでも糸が切れてしまいそうな危うさだと感じた。
だから、もう良いんだと。穏やかに彼女に伝える。

「ちゃんと罪を償って、生きるんだ。奪った命は戻らないけど、その分だけ生きる責任がある。いや、それは義務だ」

ちゃんと生きて、償わせる。
警察に行って、然るべき法の裁きを受けてもらうのだ。
少女は、この手を取ってくれるだろうか。
994 :【怨嗟怒刀】 ◆nELhdBeP86 [sage saga]:2016/01/27(水) 22:27:58.58 ID:L4A/jaefo
>>992

男の刀は少女の狙い通り、反りに沿って滑り、そして雪を叩き割った。
そしてその後に隙ができると思った少女は、前へ一歩進み、男を斬らんとした。
相も変わらずやる気のなさそうな浅い踏み込みだ、そして斬り込みも浅い。

が、刀を振り終えた直後の事だった。突如、眼前に布が迫り―
バサリ、と少女を覆った。少女は視界を塞がれ、そして動きを多少ながら拘束された。
男の刀は振り下ろされる。しかし、少女は見えない。

「っぐぅぁ―ッ!?

左の上腕が、筋が絶たれた。傷口は鋭く開き、血を噴く。
本物の“人斬り”だ、人を切るためであれば何をするのも惜しまない。
少女は視界を塞いでいた防寒着を投げ棄てるようにして視界を開き。

「ふふ、本当に貴方って人斬りなのね。何も惜しまない。
人を斬るためなら、何だってする。でも、私はそれを侮辱したりなんてしないわ。
剣士とは、“叩っ斬る”ことだけがすべてよ?少なくとも私はそう思うわ。」

はぁはぁ、と痛みからか息を多少荒げるようにして。
少女は男の剣を否定することはしなかった。幾ら彼が忌み嫌う剣士であっても、だ。
ただ、この少女は男と共通する何かを感じていた。

―“生きるための剣”。“殺すための剣”。
少女も振りも形もとらわれない、唯能力に頼った剣術であった。
其れは人を内面から破壊し尽くすため。
男の人を殺すためだけの剣術に、何か、何か共通点を見つけて。

「私、久しぶりに人に興味が湧いたわ。だから、だから。
―その心、壊れた心をもっと壊してやりたい。」

男は手元の刀を跳ね上げるようにして鞘へ収める。
少女は、というと。右手だけで刀を持ち、男と対峙していた。
まだ、まだ戦いは続くはずだ。興奮は未だ収まらない。壊したい衝動が、収まらない。
少女は男のあの居合を待った。無為に男に斬りかかることはせずに、期を待つ。
995 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/27(水) 22:32:37.31 ID:VSCcOMAno
>>993

差し伸ばされた手。
いつぶりだろう、人がこんなに優しくしてくれるのは
人が自分の事こんなに心配しているのは
人が自分の事をここまで救おうとしてくれてるのは


「…そう、殺さないんですね」

少し残念そうに、少女はそう呟く。
まだ生きている事を悔いているように


「うん。でもね、仕方ないんです」

「嫌とかしたくないとかじゃないんです。義務なんです」

「私の生きる意味。生きがい。存在理由。なんです」

差し伸ばされた手を掴もうとしたけど。
寸での所で踏みとどまる、そしてゆっくりと手を下ろす


「だから…ごめんなさい」

「すべて奪って。私も消えます。…だって【鬼】になっちゃったから」


体が痛い。けど心の方が今は痛む。
何故だろう、何故なのか。彼女にはそれがよく分からない
996 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 22:45:15.59 ID:uTuzdczvO
>>995
「……なんで、そこまでして殺す必要がある?なんで、そこまでして人の命を奪おうとするんだ」

拒絶。少し、ためらう素振りも見せたが、そこまでして殺さなければならない理由があるらしい。
少女は義務と言った。それが、存在理由だと。
マコトには分からない。特別なバックボーンもない、D.O.T.Aである事以外ただの一般人には、そこまでする理由も、生い立ちも分からない。
普通には、理解できない。

「駄目だ、まだ戻れる!簡単にそんな事を言っちゃ駄目だ!君一人で戻れないのなら、僕が戻してやる!」

自分も、消える。
そんな重い言葉を軽々と言える少女が分からなかった。マコトには、まだ先のある学生にしか見えない。
罪を悔い改めて、更生すればちゃんと生きていける。一人でできないなら、手伝ってやる。
彼女を見捨てるつもりは決してない。こんなにも、揺れているではないか。
少しなりとも、自分の言葉に心は動いているはずだ。
マコトは手を差し伸べ続ける。それが、彼の求めたヒーローの姿だった。
997 :【発狂鬼人】 ◆Fdnq7Z.ID2aD [sage]:2016/01/27(水) 22:56:18.91 ID:VSCcOMAno
>>996

「…これは私の『復讐』です」

どうして?そう問う少年に彼女は短くそう言った。
分からないと思う、いや、分からなくて当然だろう。
自分だってまだよく分かってない、自分だってわかりたくない


「……」

差し伸ばされた手を拒絶しても手は未だ伸びている。
この人は本当になんて言うか…。助けてくれるのかな
自分のこの想いを打ち砕いて…くれるのか。


「でも。止められない。もうここまで来たんだから」

差し伸ばされた手をグッと掴んで立ち上がる。
出血のせいで意識が一瞬飛びかけた


「ありがとう…ございます」

足元がふらつく。出血が今になって祟ってきたのか
意識を飛ばそうとする力が強くなる。

998 :【暗夜辻斬】 [sagasage]:2016/01/27(水) 23:05:20.73 ID:bCpPicgbo
>>994
ぐるりと、身を捩って振り下ろされた刃を潜り抜ける。軍装の肩が、刃に持っていかれるのを感じつつ、彼女へと外套を放った。
そうして、振り下ろした感触は生々しい物となって男の手の中へと帰ってくる。実に良い感触と、良い音がした。
どちらの物かは知らないが、腕へと当たったのは間違いない様に感じた。間違えようのない感覚に、男は口の端を大きく釣り上げた。

投げた袖無し外套が棄てられる。だが、此処まで痛めつけられたのならば何ら問題は無い。現に彼女は今、酷く息を荒くしている。
体力は大きく削がれているだろう。気力はどうだかわからないが、そうなれば、最早其処には事実として、明確な、戦力の差が現われていた。
対して、久慈辰則の体力は未だ余裕があった。当然であろう、相手は"浅く"しか斬ろうとしないのだから。
無論、その理由は分かる。毒にさえ似たその刀に斬り付けられれば、心が乱されるのだろう。自分の物では無い感情の揺らぎ、それを理解する事が出来た。

「あぁ? 何言っとるだ、手前。何回言わせりゃあ分かる。俺は剣士じゃあねぇ、"人斬り"だ」
「不快だ、語んじゃねえ。分かったような口聞くなや!!」

今更誰かに肯定されようとも。壊れ切った心が、それを受け入れる筈も無かった。
それは遥か昔から、剣士では無くなっていた。引き抜かれた刀が、初めて人へと食い込んだその時から、その男は"人斬り"だった。
剣士に何を言われたところで、それは最早唯々不愉快でしか無かった。苦痛でしか無かった。焼け過ぎた皮膚に水を垂らす様に。
理解する、肯定する、そういうものは、余りにも男にとっては"遅過ぎた"。

「応よ、応、応ともよ。そんなに興味が湧いたなら、見せたらぁ、嫌と言う程に」
「俺の人斬りを、俺の刀の切れ味を。お前を試し藁にして、満足するまで見せたらぁ。喰い飽きるまで見せたらぁ」

「ただ殺したるわ、ただ死ねや。俺にとっちゃあ、"剣士は叩っ斬られる"ことだけが全てなんだわ」

音も無く、男は構えた。左手に持った刀の鍔を親指で押し上げて、鯉口を切る。それだけで、構えは完了していた。
それがそれにとっての最大にして唯一の、許された構えだった。我流の、そして単純で、かつ最も適した"暗殺者の構え"。
そして、男は―――――――――――― 達人すらも上回る、"超人的な抜刀術と敏捷性を持っていた"。

東洋には、縮地と言う物がある。
それは武術や戦術、身体捌きや歩法と、酷く不揃いなものであるが。それらに共通するものとして、唯一つの事実が存在する。

『まるで道が縮んだかのように、一瞬で距離を詰める』

そしてそれは、それを忠実に再現したかのように。"その道程が縮んだかのような速度で一気に距離を詰めた"。
近付いた瞬間には、その剣は抜き終え、振り終えていた。暗い夜の闇に紛れ、黒く塗りつぶされた刀は、その速度を相まって、著しくその視認性を低下させて。
それは正しく、"人斬りの剣"であった。唯々、それを殺さんとする意思の、塊であった。
999 :【羽衣が微笑む穹天の斜陽】 - Lever du Soleil - [sage]:2016/01/27(水) 23:24:42.15 ID:sedILaugo
こころ からころ。貝殻の転がる音が、旅人の足音と共に揺れていく。
旅の女は浜辺を歩いていた。ここはどこだろうと思いながらも、風に押されるまま歩いていく。
水平線では月が泳いでいた。夜も更けようとする、そんな時。
彼女は気取った風でもなく、気持良さ気に目を細めながら、潮風を頬で享受する。

ふう。

白い吐息を漏らした時、清らなかな風が旅人の髪の毛を撫でる。
ふわりと一瞬だけ舞い上がった髪の間から、細長い形をした耳がちらりと覗いた。

水平線では月が泳いでいた。夜も更けようとする、そんな時、何が起こるのだろうか。
"平穏ならそれでいいよ"。胸中、付け加えるように呟いた。

冬の浜辺も綺麗だと思った。


/25時までです。凍結などはその都度相談しましょう。
1000 :【英雄伝承】 ◆7bEPqVMxaA [saga]:2016/01/27(水) 23:26:22.21 ID:3q/AqKlhO
>>997
復讐。

その言葉が、重くのしかかる。
ひどい事をされたから、やり返す。
果たして、自分にそれを止める権利はあるというのか。誰かの復讐を止める権利が自分にあるのか。
どんな事をされたのかは知らない、だが、彼女はそれほどまでに重いものを背負っている。
いや、背負わされたのか。若くして、復讐という罪深い業を。終わりなき輪廻の鎖を。
だが、それでも。

「どんな理由があろうと、犯罪は犯罪だ。罪のない多くの人々を陥れる理由にはならないよ。僕は、それを認めるわけにはいかない」

D.O.T.Aとして、マコト自身の信念としてそれを認めるわけにはいかなかった。
犯罪は犯罪。それはきちんと裁かれるべきであり、許されるものではない。
情に流されて、それを見逃すわけにはいかないのだ。

「でも、もしもその残った人達が君にひどい事をしたというなら、もしも犯罪者だったら、僕は捕まえないといけない」

だが、少女の代わりというわけでもないが。
少女の復讐対象が犯罪を犯しているのなら、捕まえて裁きを受けさせる必要がある。
復讐を代わりに果たすわけではないが、これが彼女に与えられる温情だ。

「だから、もう良いんだ。これ以上背負う必要はないよ」

出血で、これ以上は危険だ。マコトはそのまま少女をおぶる形になるだろう。
そしてそのまま病院へ連れて行って、治療を受けさせる事となる。

「きっとその怪我じゃ、どうせしばらくは入院生活だ。その間警察が来て色々と聞かれると思うけど、ちゃんと正直に答えないと駄目だよ。僕も行くからさ」

こっちも、正直女の子一人背負うのですらきつい。折れそうだ。
それでも、これで救えれば良い。荒んだ心を救えさえすれば。
あぁ、そういえば、忘れていた事があった。

「そういえば、名前、言ってなかったね。僕は早川マコト。君の名前は?」
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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愛海「満足決闘」雪美「…いちご味」 @ 2016/01/27(水) 23:24:20.99 ID:4bg0pVUDO
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リゼ「ラブライバー処刑法案だと!?」 @ 2016/01/27(水) 22:47:13.16 ID:zbb406G70
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ことり「>>2がないと眠れないよぉ〜!」 @ 2016/01/27(水) 22:46:54.19 ID:d8DmP3L+0
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梨沙「ダイレクトマーケティング」あずき「大作戦!」 @ 2016/01/27(水) 22:05:45.58 ID:zPWY0LPD0
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