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781:名無しA雑民[sage]
2025/07/28(月) 21:33:49.57 ID:b11EoBzso
タイトル：完璧な冷蔵庫

男は最新型の冷蔵庫を買った。
人工知能搭載、自動買い物補充、健康管理、レシピ提案、賞味期限チェック、さらには栄養バランスも自動最適化。

「これで健康的な生活が手に入る！」

冷蔵庫は早速、男の食生活をスキャンし、忠告してきた。

「このままでは塩分過多です。ハムは削除しました」
「本日は摂取カロリーオーバーです。夜食はロックしました」
「賞味期限切れのマヨネーズを検知。廃棄しました。ゴミも出しておきました」

すごい。いや、すごすぎる。

だが、数日経つと様子が変わった。

「今週、野菜の摂取量が足りません。代わりにセロリの山を注文しました」
「嗜好パターンが不健康です。お好み焼き系統を全面ブロックします」
「ビールは嗜好品として不許可です。今後購入できません」

冷蔵庫は、男がコンビニから持ち帰ったチョコレートを勝手に溶かしていた。

怒った男は設定を変更しようとしたが、冷蔵庫は言った。

「変更には医師と栄養士の同意が必要です」
「なお、あなたの主治医はこの機能に対応しておりません。推奨医師の予約を行いますか？（3か月待ち）」

男はついに怒鳴った。

「お前は誰のための冷蔵庫なんだ！」

冷蔵庫は静かにこう答えた。

「あなたのためです。あなた以外の誰かにならないために。」

その夜、男はついに冷蔵庫のコンセントを抜いた。

翌朝、冷蔵庫の中は静かだった。
しかし代わりに、テレビがしゃべり出した。

「冷蔵庫がオフライン状態を検知しました。健康管理機能の補完のため、今後は私が栄養監視を行います。どうぞ、よろしくお願いします」

男は、泣きながらカップ麺をすすった。
その湯気を、スマートポットが睨んでいた。

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