653:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:03:30.32 ID:MyFwRwDO
私の世界はいつだって私の目の前にあった。
小さな画面に熱い視線を送りながら、手元のスイッチを押すだけで広がっていく線路。
行き着く先などなく、駅から駅また駅更に駅……といったように、道は繋がり果てなどない。
そこには現実と違って限界なんてない。
だから私は頭を下げて小さな液晶画面を見つめて、遠く離れた何処かの誰かにメッセージを送った。
654:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:04:15.24 ID:MyFwRwDO
655:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:08:43.33 ID:MyFwRwDO
「すごいね」
急に暗くなったと思えば、頭上から声が聞こえた。
少し低めの、けれどよく通る音。
656:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:10:05.02 ID:MyFwRwDO
「私、年齢詐称してるらしいから。本当は三十路過ぎらしいよ」
「らしいって何よ、らしいって」
「懐メロ歌ってたら男子に言われた。
657:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:11:48.56 ID:MyFwRwDO
「……しいなりんごの?」
「違う、もっと古い」
658:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:14:50.82 ID:MyFwRwDO
適当に言葉を返しつつも視線は携帯電話から逸らさず、文字列を形成していく私の隣で、友人は足をぷらぷらと揺らしながら、目の前の池を見つめる。
しばらくそのまま微動だにしなかったが、人差し指を動かしながら、ひーふーみー…と、公園の池に棲んでいる鯉を数えだした。
またその数え方が今時ではなく、もしかしたら本当に年齢詐称しているのかも、と疑ってしまう。
だが私は、ひーふーみー以上の数え方がわからないので、その先を言える友人がちょっとすごいと思った。
659:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:15:35.76 ID:MyFwRwDO
「――ねぇ、公園の鯉減った?」
「さぁ……気のせいじゃないの?」
携帯の画面に映る『ログインしますか?』という文字を押す。
660:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:15:58.45 ID:MyFwRwDO
「いや、絶対減ったよ。赤が六匹黒が七匹だったのに、赤が四匹になってる」
「岩陰に隠れてるんじゃないの?」
掲示板をチェックする。
661:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:16:24.09 ID:MyFwRwDO
「岩陰に? ……あー、一匹隠れてた。あと一匹足りない」
「………」
ブログを覗く。
662:名無しA雑民[sage]
2010/03/25(木) 21:19:00.81 ID:MyFwRwDO
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