656:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:10:05.02 ID:MyFwRwDO
「私、年齢詐称してるらしいから。本当は三十路過ぎらしいよ」
「らしいって何よ、らしいって」
「懐メロ歌ってたら男子に言われた。
657:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:11:48.56 ID:MyFwRwDO
「……しいなりんごの?」
「違う、もっと古い」
658:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:14:50.82 ID:MyFwRwDO
適当に言葉を返しつつも視線は携帯電話から逸らさず、文字列を形成していく私の隣で、友人は足をぷらぷらと揺らしながら、目の前の池を見つめる。
しばらくそのまま微動だにしなかったが、人差し指を動かしながら、ひーふーみー…と、公園の池に棲んでいる鯉を数えだした。
またその数え方が今時ではなく、もしかしたら本当に年齢詐称しているのかも、と疑ってしまう。
だが私は、ひーふーみー以上の数え方がわからないので、その先を言える友人がちょっとすごいと思った。
659:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:15:35.76 ID:MyFwRwDO
「――ねぇ、公園の鯉減った?」
「さぁ……気のせいじゃないの?」
携帯の画面に映る『ログインしますか?』という文字を押す。
660:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:15:58.45 ID:MyFwRwDO
「いや、絶対減ったよ。赤が六匹黒が七匹だったのに、赤が四匹になってる」
「岩陰に隠れてるんじゃないの?」
掲示板をチェックする。
661:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:16:24.09 ID:MyFwRwDO
「岩陰に? ……あー、一匹隠れてた。あと一匹足りない」
「………」
ブログを覗く。
662:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:19:00.81 ID:MyFwRwDO
663:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:20:47.38 ID:MyFwRwDO
私は携帯から目を離した。
「―――やっと顔上げた」
「え」
664:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:21:21.85 ID:MyFwRwDO
友人が笑う。
紺のセーラー服の襟と赤いスカーフと、真っ黒な髪が風でひらひらと踊っていた。
「たまには顔をあげて周りを見ないと。
―――本当の世界は、もっとずっと広いんだから」
665:名無しさん[sage]
2010/03/25(木) 21:22:54.93 ID:MyFwRwDO
友人は立ち上がり、背伸びをしながら振り返った。
「ね、明日か明後日デートしようよ」
「デート……って、ただ遊びに行くだけでしょ」
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