488: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/31(金) 01:32:59.02 ID:RMLcSQ8bO
  
 シエルは、すぐには応じなかった。 
 たった少しであろう間を何倍にも長く感じながら、私は彼女の答えを待つ。 
  
 「……ずるいです、本当に」 
  
 如何様にも感情を読み取れるような、そんな呟き。 
 目元を拭い、面を上げたシエルの顔つきは一見して、いつもの無表情でいた。 
  
 「……君が戦力に数えられる内は、私も普段通りでいます」 
 「ですが……そうでないと判断した時、次はありません」 
  
 「足手まといにならないように、踏ん張らないとね」 
  
 「……無理もさせませんから」 
  
 勝利を収めたのは、情だった。 
 だけど、素直に喜べるはずもない。 
 それには、彼女を共犯者に仕立てた、という点も当然あるんだけど。 
  
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