514: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/06/23(金) 00:39:44.54 ID:QNuQC3ofO
  
 「……さ、さっきぶりだね、先輩」 
  
 辛うじて答えてみせた彼女は、私以上に動揺を表出させている。 
 気取られない内に警戒を解き、私はエリナを手助けすることにした。 
515: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/07/19(水) 23:51:57.42 ID:gYu/n8WbO
  
 結ばれたエリナの口元が、引きを強める。 
 両拳は胸の前で握りしめられ、やや前傾の姿勢から放たれる眼光は鈍らない。 
  
 「そんなに身構えなくてもいいんじゃない……?」 
516: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/07/19(水) 23:53:47.76 ID:gYu/n8WbO
  
 「身内のクーデター、山積みの問題、具体的な解決法もわからない」 
 「人を避けてる……というか、余裕はなくなっちゃってるかもね」 
  
 嘘で騙す必要はない。 
517: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/08/18(金) 23:39:55.39 ID:/vmRGLB1O
  
 「……だよね、ごめん」 
 「何か力になれるかも……って、余計なお世話だった」 
  
 無力そうに俯く彼女の内心を大きく占めているのは、折り合いをつけられない自身の感情への憂慮だろうか。 
518: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/08/22(火) 00:29:51.96 ID:wa85cL3gO
  
 「それにね、私……迷ってはいないから」 
  
 私を見つめる失意に、動きがあった。 
  
519: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/08/22(火) 00:33:10.88 ID:wa85cL3gO
  
 「……ううん、――」 
  
 「いや、ダメね!先輩に言われるまでもなく!!」 
  
520: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/08/22(火) 00:34:14.97 ID:wa85cL3gO
  
 まだ、腰を落ち着けるには早い。 
 引っ掻き回された身体と意識を引き戻し、周囲に気取られないよう、歩を進めていく。 
  
 雪崩れ込む一瞬に呑まれなければ、思考もままならなくなるということはほぼない。 
521: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/08/22(火) 00:35:09.82 ID:wa85cL3gO
 少しキリのいいところで 
 もう2年なんですね… 
522:名無しNIPPER[sage]
2017/09/01(金) 08:10:05.54 ID:mECjIJ7X0
 おつおつ 
 毎回更新楽しみにしてるから頑張ってくれ 
523: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/09/08(金) 00:55:47.48 ID:MKc7Tba+O
 >>522 
 こんな死に体スレにありがたい… 
 もうこの投下ペースはどうしようもないけど、オチまでは決めてあるので気長に待っていただきたい 
524: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/09/08(金) 00:57:14.80 ID:MKc7Tba+O
 ◇ 
  
  薄暗闇に潜む、影があった。 
 それは私の部屋から、さほど時間もかからない場所にいて。 
 開いた扉から挿し込まれる光にも、僅かに身じろぎするのみだった。 
525: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/10/10(火) 07:17:27.93 ID:IpBGZWjRO
  
 「……別に、隠れてたわけじゃないんだ」 
  
 ナナが視線を落とし、呟くように言葉を漏らす。 
  
526: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/10/26(木) 07:17:46.30 ID:Wq6n4tJTO
  
 そう、思っていたんだけど。 
  
 「……逆に聞きたいんだけど、怒ってないと思う?」 
  
527: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/11/24(金) 00:22:25.23 ID:ad+Cylr0O
  
 「……質問を変えるね」 
 「ナナはこの部屋に来て、何がわかると思ったの?」 
  
 ジュリウスに纏わる事柄。 
528: ◆6QfWz14LJM[sage]
2018/01/02(火) 01:49:09.05 ID:m52AqS8y0
 わかんないまま年越しちゃった 
 すいません三が日中には何とか… 
529: ◆6QfWz14LJM[saga]
2018/01/14(日) 22:36:33.10 ID:lzinQoP/O
  
 ナナの抱える悩みは、シエルが打ち明けてくれたそれと似ていた。 
  
 けれども、彼女の戸惑いの多くは、制御しきれない自身の感情に割かれている。 
 アラガミのみにぶつけていた激情を、人に向ける経験もなければ、それを得る必要もなかったのだ。 
530: ◆6QfWz14LJM[saga]
2018/01/14(日) 22:44:30.74 ID:lzinQoP/O
  
 ――不意に、耳鳴りが広がった。 
 刺すように、押し込むように、染み渡るように。 
 瞬く間に言葉と意識を奪い取った音響は、ナナが異変を察知するのに十分な時間を与えてしまった。 
  
531: ◆6QfWz14LJM[saga]
2018/01/14(日) 22:45:55.26 ID:lzinQoP/O
 三が日とは何だったのか 
 言う事が大体覆ってる気もしますが、流石に年内には終わらせたいですね… 
532: ◆6QfWz14LJM[sagesaga]
2018/03/19(月) 00:56:06.22 ID:RlXjclRlO
  
 「あの時は隠すことが皆の、……私のためだって、そう思ってた」 
  
 「……それで?今度は私のために嘘をついてたの?」 
  
533: ◆6QfWz14LJM[sagesaga]
2018/04/16(月) 01:00:02.80 ID:xihyqYjvO
  
 それでも、その安堵に含まれていたのは保身だけじゃなかった。 
  
 「……そうかもしれないけど、そうじゃないかも」 
  
534: ◆6QfWz14LJM[sagesaga]
2018/07/05(木) 00:47:02.35 ID:zmXq3hRDO
  
 もう片方はどうだか知らないけれど。 
  
 「……でも、結局自分の気持ちに振り回されっぱなしで」 
  
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