82: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/09/01(火) 00:55:43.75 ID:RkvSB8Q60
  
 そこまで言いかけて、ロミオがハッと我に返る。 
 おずおずと相手の様子を見やった後、 
  
 「……わりぃ、言い過ぎた」 
  
 気まずそうな表情を作りながら、足早に部屋を出て行った。 
 対する私はそんな彼を見送ることも出来ず、ただその場に立ち尽くしていた。 
  
 ロミオが私達に羨望を持っていると仮定しておきながら、 
 彼が私個人に対し、あそこまで強烈な敵意を抱いていた事を想定できていなかった、というのもある。 
  
 "俺だって、俺にだって居場所があるはずだったんだ……!それを、お前が――" 
  
 思えばそれは、私が早期に"血の力"に目覚め、シエルを導いた時点から、ロミオが感じていたことなのかもしれない。 
 1年前からジュリウスの影に隠れ、やっと後輩が出来たかと思えば、次々と後から追い抜かれていく。 
 その流れを作り出した元凶に頼ってみても、自分には"血の力"の兆候すら表れない。 
 全てではないにせよ、私に怒りの矛先が向くのは当然の帰結であるように思えた。 
  
 でも、私が受けた衝撃の本質はそこじゃない。 
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