275: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/10/05(月) 03:31:04.83 ID:D2uU4S3W0
夜の王城が騒がしい。
近衛騎士団が出撃し、文官たちは急な雑務に追われている。
どれだけ壮麗に飾り立てようと、騎士団は殺しが生業だ。
王城に詰めた、250の騎兵たち。
一体何人を殺すのか知らないが、その数だけ愁嘆場があり、
その数だけ様々な人生が幕を閉じる。
犠牲も産むだろう。
しかし騎士団は確実な戦果を挙げるに違いない。
彼らはそのために技を磨き、鍛え上げ、
それが正義だと信ずるからこそ、敵を見つけ力を放つ。
250の物語は、みなそういった物語だ。
そこに世俗的なヒューマニズムは必要ない。
軍とはそういうものだ。
個ではなく群としてラベリングされた人生たち。
彼らはそれぞれ名を持つが、
使命と誇りは時として名以上の価値を持つ。
憲兵「全く、なんの騒ぎだ」
兵士「魔研に襲撃だそうです。
魔法執行部隊だとか。
ま、すぐに片がつくでしょう」
憲兵「襲撃?
大体、なぜ執行部だとわかるんだ」
兵士「大規模な魔法行使を感知したそうです。
組織だった動きで瞬く間に制圧されたそうで。
情況証拠に過ぎませんがね」
憲兵「…見事な手並みだ。
なんの研究をしていたかは知らんが、
上はお冠だろうな」
兵士「まぁしかし、魔法の王国も、それだけの精鋭を失います。
痛み分けでしょうな」
憲兵「痛み分け………?」
兵士「違いますか?」
憲兵「………いや。
確かに痛み分けだ。
どうやったって、痛み分けがいいところだ」
兵士「戦争になれば、勝利するのは我々です。
悪あがきといったところでしょうか」
憲兵「……………」
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