33: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/08/29(土) 20:30:44.11 ID:tNq3pxyB0
  
  
  
 魔神「この傷の代償は大きいと思え。 
    …不意を突こうとするとは、名が傷つくぞ」 
  
 戦士「相手が貴様なら何も言われまい。 
    …魔物もいずれ蹴散らされるだろう。 
    妻の仇、ここで討たせてもらう」 
  
  
 夜風が運んできたのだろうか。 
 気付けば、燃える町に照らされた空は、飴色の雲に覆われている。 
  
 遠雷が鳴り響く。それが合図。 
  
  
 魔神「ゆくぞ!凌ぐがいい!!」 
  
 戦士「うおおおおおお!!!!」 
  
  
 大剣は疾さを増し、嵐のように襲いかかる。 
 風の精霊の加護はまだ健在らしい。 
 加護がなければ、大剣の風圧だけで身体の自由が効かないかもしれない。 
 デーモンが清廉な武人である事は間違いない。 
 魔法を使わないというのなら、好きにすればいい。 
 武器による攻防のみなら、未だ少しの勝機がある事は、先ほどの剣戟の間に理解できた。 
  
  
 兵長「戦士!!手助けを…っ!?」 
  
  
 デーモンの背にはまだ多くの魔物たちが控えている。 
 兵たちは魔物たちに足止めされ、こちらまで辿り着けない。 
 …遠雷の音が近付いてくる。 
 嵐が来るのだろうか。 
  
  
 兵長「殲滅を優先しろ!戦士、持ちこたえてくれ!!」 
  
 魔神「く、ははははは!!!どうした!? 
    動きが落ちているぞ!! 
    助けが来る前に力尽きてしまうのか!?」 
  
  
 数分の剣戟。 
 デーモンにはまだまだ余力が残っているようだが、もう体力の限界が近い。 
 斧槍を握る手から、一合ごとに力が抜けていく。 
  
  
  
  
  
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