172:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:38:12.02 ID:q8J8eS9oo
  
 「変じゃないよ。僕は、生徒会とかの役員でもないし、運動部のキャプテンでもないけ 
 ど」 
  
  僕はむきになって話し続けた。 
173:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:39:13.81 ID:q8J8eS9oo
  
 「それで、先輩。まだ質問に答えてくれてないですよ」 
  
  優は僕を上目遣いに眺めながら、話を蒸し返した。 
  
174:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:40:16.56 ID:q8J8eS9oo
  
  その頃、僕と彼女は校内でお昼を共にしたり、放課後の図書館で一緒に勉強したりして 
 いたけれど、僕と彼女がはっきりと恋人同士になったというわけではなかった。上級生の 
 男と下級生の女がいつも一緒にいたのだから、あいつら付き合ってるという噂はあったら 
 しいけど、僕自身ははきり彼女に告白したわけでもないし、優だって僕のことが好きなん 
175:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:41:05.41 ID:q8J8eS9oo
  
 「僕は、君のために」 
  
 「あたしのために? 先輩もあたしの話ばかり聞かされて飽きちゃったんでしょ」 
  
176:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:41:34.68 ID:q8J8eS9oo
  
  でも、いつまでたってもその関係は変化せず、僕は常に聞き役だった。彼女の話を聞く 
 のが嫌になったわけではないけど、延々と話しを聞かされるだけで、逆に僕のことを何も 
 聞こうとしない彼女の態度に、僕はだんだんと不安になってきたのだった。 
  
177:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:42:03.26 ID:q8J8eS9oo
  
  これでは、あんまりだ。僕の気持ちも副会長の気持ちも救われない。だらだらと続く優 
 の自分語りは、今では僕にとって意味のないお経の詠唱のように意味を失っていた。 
  
  この時の僕は、本心からいらいらしていた。これが彼女以外の相手だったら、僕の本心 
178:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:42:56.44 ID:q8J8eS9oo
  
  僕は狼狽した。優の僕への無関心とか副会長への冷淡な態度とか、いろいろ僕が抱いて 
 いた不満なんか、彼女の涙を見た瞬間にどうでもよくなってしまって、このまま彼女に振 
 られたくないという焦りだけが僕の脳裏を占めていった。 
  
179:名無しNIPPER[sage]
2016/03/27(日) 22:43:38.81 ID:q8J8eS9oo
  
 今日は以上です 
 また投下します 
180:名無しNIPPER[saga]
2016/04/07(木) 23:04:31.41 ID:HnyAwiIMo
  
  副会長との一件で僕は危うく優を失いそうになったのだけど、結果としてみればこの出 
 来事のせいで、彼女は僕に対して初めて好きと言ってくれたのだった。この後の僕たちの 
 交際は、しばらくは順調そのものだった。 
  
181:名無しNIPPER[saga]
2016/04/07(木) 23:05:06.86 ID:HnyAwiIMo
  
  私立高校に入学しようと僕は決心した。今の彼女の成績を考えると、彼女が上位の公立 
 高校に合格するのは厳しいだろう。可能性から考えれば順当に私立高校に入学する確率の 
 方が高いはずだ。もちろん、三年生になった優が受験に集中すれば、もともと地頭のいい 
 彼女のことだから上位校に合格するくらいの偏差値になっても不思議ではない。でも、優 
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