310:名無しNIPPER[saga]
2016/07/13(水) 22:34:59.02 ID:EEZv3dvio
  
  教室に戻ると、主を失った優の机に、何かの文字がマジックのような物で黒々と記され 
 ていた。 
  
  『モモ◆ihoZdFEQao(笑)』 
311:名無しNIPPER[saga]
2016/07/13(水) 22:35:34.97 ID:EEZv3dvio
  
  まるで夢遊病者のように歩いていた俺は、自分がどうやって電車に乗ったのか、どうや 
 ってどんな経路で歩いたのか全く記憶になかったけれども、気づいたら俺はいつの間にか 
 優の自宅の前に立っていたのだった。相変わらず優の自宅には人の気配がなかった。俺は 
 試しにチャイムを鳴らしてみたけれども、家の中からは何の返事も返ってこなかった。俺 
312:名無しNIPPER[sage]
2016/07/13(水) 22:36:25.43 ID:EEZv3dvio
  
 短いですが次回から視点が変わるので、今日は切りのいいここまで 
 また、投下します 
313:名無しNIPPER[sage]
2016/07/13(水) 22:38:32.74 ID:5pQtLZeso
 おっつー 
 面白いぜ 
314:名無しNIPPER[sage]
2016/07/14(木) 09:06:35.84 ID:hwjcmVjYO
 おつんつん 
315:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:40:11.22 ID:HbILN8rbo
  
  私たち三人はお互いのことを知りすぎるくらいに知っている。麻人と麻衣ちゃんの兄妹 
 は、幼い頃から両親が仕事で留守がちな家庭で、二人きりで寄り添うようにして毎日を過 
 ごしていた。その頃から隣の家で暮らしていた私は、自分が一人っ子だったこともあって、 
 仲の良い隣の兄妹のことを妙にうらやましく思っていたものだった。もちろん、よく考え 
316:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:41:00.19 ID:HbILN8rbo
  
  私は、告白された麻人からそのことを相談されていたので、麻人とその子が付き合い出 
 したことには別段驚くことはなかったけど、むしろ大変だったのは麻衣ちゃんの方だった。 
 麻衣ちゃんがブラコンなことはよく知っていたけど、その後の麻衣ちゃんの行動によって、 
 彼女がここまで麻人のことを慕っていることを、私は改めて思い知らされた。 
317:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:41:54.63 ID:HbILN8rbo
  
 「そんなことないって」 
  
  クラスの友だちや生徒会の役員の人たちから「有希って池山君と付き合ってるでし 
 ょ?」と聞かれるたびに、私は赤くなってそれを否定した。 
318:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:42:39.17 ID:HbILN8rbo
  
  私は肝心な事実を、うちの学校内では麻人と私が付き合っているのではないかという 
 噂が流れていることを麻衣ちゃんには話さなかったのだ。嘘を言っているわけではない、 
 ただ曖昧なことだけを話さなかっただけ。 
  
319:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:44:11.40 ID:HbILN8rbo
  
  かといって麻衣ちゃんが私と麻人に過保護に守られて、わがままな女の子に育ってしま 
 ったというわけではなかった。麻衣ちゃんの気持ちを第一に考えようとする私たちに対し 
 て、麻衣ちゃんの方もいつだって遠慮気味に振る舞っていた。麻衣ちゃんが、大好きな麻 
 人の気持ちを優先しようとすることは、この兄妹の関係からその行動は理解できたけど、 
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