319:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:44:11.40 ID:HbILN8rbo
  
  かといって麻衣ちゃんが私と麻人に過保護に守られて、わがままな女の子に育ってしま 
 ったというわけではなかった。麻衣ちゃんの気持ちを第一に考えようとする私たちに対し 
 て、麻衣ちゃんの方もいつだって遠慮気味に振る舞っていた。麻衣ちゃんが、大好きな麻 
 人の気持ちを優先しようとすることは、この兄妹の関係からその行動は理解できたけど、 
320:名無しNIPPER[saga]
2016/07/18(月) 23:44:49.08 ID:HbILN8rbo
  
  麻人のことが気になっているせいで、自分に都合よく彼の行動を解釈しているんだ。私 
 はそう考えて有頂天になる心を引き締めた。麻人の一番は、恋愛感情はないとしても麻衣 
 ちゃんだ。麻人と私は共に手を携えて麻衣ちゃんを守ってきた戦友に過ぎない。私は無理 
 にそう考えようとしたけど、そう思って済ませるには、麻人ののその視線には粘着性があ 
321:名無しNIPPER[sage]
2016/07/18(月) 23:46:39.57 ID:HbILN8rbo
  
 今日は以上です 
 また投下します 
322:名無しNIPPER[sage]
2016/07/19(火) 04:24:42.09 ID:Lc9LgGP9o
 おつ 
323:名無しNIPPER[sage]
2016/07/22(金) 23:37:22.25 ID:5nHKj/rn0
 おつん 
324:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:38:08.84 ID:rPhbjypgo
  
  私はその頃は夕也とはたいして親しい仲ではなかった。一年の頃はクラスも違っていた 
 し、麻人の親友ということで顔見知りではあったけど、別に二人で親しく話したこともな 
 い。二年になり、私は麻人と夕也と同じクラスになったけど、それでも夕也とはそんなに 
 親しい間柄ではなかった。 
325:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:38:41.30 ID:rPhbjypgo
  
  麻衣ちゃんには日ごろから本当に頼れることができる相手としては、麻人しかいない。 
 前からそう思っていたのだけど、いつも二人で登校している一年間の間で、私はそのこと 
 を忘れ、麻人からの好意や行動を期待するようになっていたのだ。それが、再び麻衣ちゃ 
 んと登校するようになると、その気持ちが深刻なまでに私の胸中によみがえったのだ。何 
326:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:39:21.87 ID:rPhbjypgo
  
  ロミオとジュリエット。たがいに愛しながら事情があって結ばれない二人。夕也と私の 
 様子を気にしている麻人に対して、私はときおり麻人を見つめて密かに微笑んだ。それく 
 らいのコミュニケーションは許されるだろう。私の視線に顔を赤くして目をそらして、麻 
 衣ちゃんの言葉に応える麻人を見るくらいは。でも、それ以上のことは、この当時の私に 
327:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:39:57.82 ID:rPhbjypgo
  
 「おはよう」 
  
  私は麻人に声をかけた。麻人は夢から覚めたように私の方を見た。 
  
328:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:40:26.97 ID:rPhbjypgo
  
 「麻人」 
  
 「あいつはもう学校になんて来れるわけねえだろ・・・・・・ちくしょう」 
  
329:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:42:26.44 ID:rPhbjypgo
  
  麻衣ちゃんが、先輩が部長を務めるパソコン部でいったい何をしたいのか、私には全く 
 わからなかった。先輩は学園祭間近の生徒会を放り出してまで麻衣ちゃんの面倒をみてい 
 るようだった。それについては私と一緒に学園祭の準備をしてくれている生徒会の副会長 
 が、ある時私に吐き捨てるように言った言葉が気にはなっていた。 
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