324:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:38:08.84 ID:rPhbjypgo
  
  私はその頃は夕也とはたいして親しい仲ではなかった。一年の頃はクラスも違っていた 
 し、麻人の親友ということで顔見知りではあったけど、別に二人で親しく話したこともな 
 い。二年になり、私は麻人と夕也と同じクラスになったけど、それでも夕也とはそんなに 
 親しい間柄ではなかった。 
325:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:38:41.30 ID:rPhbjypgo
  
  麻衣ちゃんには日ごろから本当に頼れることができる相手としては、麻人しかいない。 
 前からそう思っていたのだけど、いつも二人で登校している一年間の間で、私はそのこと 
 を忘れ、麻人からの好意や行動を期待するようになっていたのだ。それが、再び麻衣ちゃ 
 んと登校するようになると、その気持ちが深刻なまでに私の胸中によみがえったのだ。何 
326:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:39:21.87 ID:rPhbjypgo
  
  ロミオとジュリエット。たがいに愛しながら事情があって結ばれない二人。夕也と私の 
 様子を気にしている麻人に対して、私はときおり麻人を見つめて密かに微笑んだ。それく 
 らいのコミュニケーションは許されるだろう。私の視線に顔を赤くして目をそらして、麻 
 衣ちゃんの言葉に応える麻人を見るくらいは。でも、それ以上のことは、この当時の私に 
327:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:39:57.82 ID:rPhbjypgo
  
 「おはよう」 
  
  私は麻人に声をかけた。麻人は夢から覚めたように私の方を見た。 
  
328:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:40:26.97 ID:rPhbjypgo
  
 「麻人」 
  
 「あいつはもう学校になんて来れるわけねえだろ・・・・・・ちくしょう」 
  
329:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:42:26.44 ID:rPhbjypgo
  
  麻衣ちゃんが、先輩が部長を務めるパソコン部でいったい何をしたいのか、私には全く 
 わからなかった。先輩は学園祭間近の生徒会を放り出してまで麻衣ちゃんの面倒をみてい 
 るようだった。それについては私と一緒に学園祭の準備をしてくれている生徒会の副会長 
 が、ある時私に吐き捨てるように言った言葉が気にはなっていた。 
330:名無しNIPPER[saga]
2016/07/31(日) 23:43:16.65 ID:rPhbjypgo
  
  麻人は私に悪いとは言ったけど、やはりそれ以上は何も食べようとはしなかった。そし 
 てもう私もそれ以上麻人に何も言う気はなくなっていた。というか私自身にさえ食欲のか 
 けらも残っていなかった。結局、私たちは残りの昼闇の時間を黙ったまま過ごしたのだっ 
 た。 
331:名無しNIPPER[sage]
2016/07/31(日) 23:43:55.73 ID:rPhbjypgo
  
 今日は以上です 
 また投下します 
332:名無しNIPPER[sage]
2016/08/01(月) 21:19:14.97 ID:2y0TK7Ec0
 おつんつん 
333:名無しNIPPER[saga]
2016/08/11(木) 23:44:24.22 ID:VfUpLYzMo
  
  麻人と別れて生徒会室に向った私は、いつぞや会長に告白された階段の前で足を止めた。 
 人の気配と低い話し声に私は気がついた。 
  
  思わず姿を隠すように身を潜めて、私はその会話に聞き入った。 
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