17: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/02/25(木) 00:15:46.34 ID:RJx23RzYo
  
 ミュウツーは息を飲み、吐き出しかけた言葉を飲み込んだ。 
  
 ヨノワールの言葉がじわじわと頭に忍び込んでくる。 
  
  
 何も言い返せなかった。 
  
 肯定も、否定も、茶化すことも、異論を唱えることさえもできない。 
  
 できることといえば、ただ喉の奥で呻き、押し黙るだけだ。 
  
  
 その沈黙を会話の終わりと解釈したらしい。 
  
 ヨノワールは小さく唸り、慌てて申し訳なさそうに身を縮めた。 
  
  
 ヨノワール「ご、ごめんなさい、ねたい と、いってたのに」 
  
 ミュウツー『あ、いや……』 
  
 ヨノワール「わたしも かえります」 
  
  
 人間じみた軽い会釈を残し、ヨノワールは音もなく姿を消した。 
  
 上の空で応じた……と思う。 
  
  
 ひょっとすると、別れの挨拶も口にしていたかもしれない。 
  
 だが、それもはっきりとは憶えていない。 
  
  
 あの不思議な響きの声が、頭の中をぐるぐるとまわっている。 
  
  
  
 ――ともだち 
  
 ――あなたも 
  
  
  
 ――あなたも ひとつの 
  
  
  
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