18: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/02/25(木) 00:18:29.39 ID:RJx23RzYo
  
  
 どれほど時間が過ぎただろうか。 
  
  
 夜はさらに更け、森は静かに息をしていた。 
  
 遠いさざめきと風に揺れる葉の音が聞こえる。 
  
 どれも、いつも聞こえている音ばかりだ。 
  
  
 ミュウツー(ああ……) 
  
 ミュウツー(……やっとひとりになれた) 
  
  
 自分に延々絡んでこようとする、騒々しい連中が消えただけだ。 
  
 静かになって、ようやくほっとするひとときのはずなのだ。 
  
  
 ミュウツー(ひとりになってしまった) 
  
 ミュウツー(なんだか……静かだ) 
  
  
 頭の中にぽっかりと、無為な空間が生まれたような頼りなさを感じた。 
  
 もたれかかれる倒木や岩が急になくなってしまったような。 
  
 そんな心持ちだ。 
  
  
 ミュウツーはそれでもゆっくり、重々しく立ち上がる。 
  
 少なくとも今は、自分の足だけで立たなければならない。 
  
  
 ミュウツー(眠い) 
  
 ミュウツー(だが、もうひと仕事だな) 
  
  
 そう自分に言い聞かせ、ひとつ大きく深呼吸する。 
  
 臓器や骨がむりやり拡げられて、胸が痛い。 
  
 吸い込んだ空気は、ここへ来た当時より湿っぽく感じられた。 
  
 これはこれで、悪くない。 
  
  
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