20: ◆yZNKissmP6NG[saga]
2016/03/15(火) 00:44:24.11 ID:V+INWURXo
チャイムの音が遠い。
呆然と立ち尽くす私を、急ぎ足の生徒が追い抜いていく。
なにこれ、ドッキリ?
騙されたでしょーって、穂乃果あたりがネタばらしの看板でも持ってくるの?
じゃあさ、早くしなさいよ。
悪趣味だってば、こんなの。
ねえ。誰か教えてよ。
服の袖でぐしぐしと目元をこすって、すがるように視線を上げる。
さっきのチャイムは予鈴だったようで、本鈴に間に合うべく多くの生徒が昇降口に殺到している。
にこ「……あ」
その人ごみを見て、気づく。
にこ「うそ、でしょ……」
三年生が抜けた、三月中旬の音ノ木坂学院。
にこ「そんな……」
そこにいる生徒は皆、赤か緑のリボンを結んでいた。
まるで――私が二年生だった、一年前のあの頃のように。
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