【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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571:名無しNIPPER[saga]
2019/01/22(火) 09:52:17.85 ID:Y9f1kPfa0
ある篝火に、またも男の意識は目覚めた。
だが意識は酷くおぼろげで、己の目的や、己が何者であるかも、男は既に失っている。
この地が何処であるかも、何故このような苦しみに喘ぐのかも、何故剣を持ち、ろくに見えぬ眼を動かしているのかも。
次に死ねば、苦しみとは何かすらも男は失うだろう。



ガッ!


篝火を守る火防女は、再生途中の盗賊が握る、石の大剣を踏みつけた。


真鍮鎧の騎士「これで二十八回目…」

真鍮鎧の騎士「もう恐れるな。また死ぬ時間が来ただけだ」

シュパン!!


そして蒼紫色の魔力を纏う細剣を振るい、真鍮鎧の騎士は神の敵の首を再び撥ねた。
ローガンから敵対者についての忠告を受け、そして実際に一度、強大な闇の顕現を王城に感じた彼女は、疑わしきを斬り殺す修羅と化している。
不死のために篝火を守る者である前に、暗月の騎士であるがゆえに。


真鍮鎧の騎士「既に半ば灰だな。あと二度ほど斬られれば、貴公も篝火に休めよう」


崩れ去った遺灰を篝火に寄せ、自らも篝火に当たりながら、真鍮鎧の騎士は火を見つめた。
幾年も過ぎ去った日々と変わらずに。



ドガガァーーン!!

真鍮鎧の騎士「!」



その静とした空間に、神と不死と異邦人を抱えたオーンスタインが降り立った。
降り階段を全て飛び越えた跳躍は風を起こし、盗賊の遺灰を散らした。
一団を降ろす竜狩りに、真鍮鎧の火防女は困惑の声を漏らす。


真鍮鎧の騎士「オーンスタイン様……それにグウィンドリン様までも…」

真鍮鎧の騎士「…やはり、闇が現れたのですか?」

オーンスタイン「左様。我らに仕えし法官こそが、深き闇の者だったのだ」

オーンスタイン「その闇はコブラが制したが、闇の手の者に襲われ、スモウが斃れた。継承も許されなかった」

真鍮鎧の騎士「………」


しかし真鍮鎧の火防女は、驚愕を言葉にはしなかった。
グウィンドリンに仕える身として、暗に主を責めるような行いも慎むべきと、心に決めていたからである。
たとえ言葉に込められた思いに、主への疑いや責めなどが、一片たりとも含まれていなかったとしても。


真鍮鎧の騎士(スモウ様のソウルを継承なされなかったとは……さぞ無念でありましょうに…)

オーンスタイン「昇降機は既に破壊し、白霧も張った。彼奴らが試行の果てに断崖を登ろうとも、霧を潜れば我と矛を交える」

オーンスタイン「易々とは通れまい。下賤の輩に、恐れながらも王より賜った王城を貸すなど、癪ではあるが」

真鍮鎧の騎士「それでは、ヨルシカ様とプリシラ様は…」

グウィンドリン「案ずるな。あれらは王より、絵画での隠遁を命ぜられている。忌み者の人形が失われている今、我らよりも安寧にあろう」




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