72:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 01:01:39.80 ID:tRPk/B7zO
  
 彼の家族は身を寄せ合った。 
  
 祈りはしなかった。ただ、待っていた。 
  
 少女の両親は我が子を抱き締め、魔術師が陣が起動することを待っている。 
  
 一方、少女とその兄である少年は、たった一人の男を待っていた。 
  
  
 「おにいちゃん、ゆうしゃは来てくれるかな……」 
  
 「ああ。きっと、きっと勇者さんは来てくれる」 
  
  
 召喚士から街を救い、神聖術師から魔術師を救い、北部を救った男。 
  
 勇者ならば、きっと来てくれるはず。 
  
 二人は勇者を信じて待った。 
  
 何の根拠もないが、勇者を想うだけで、気持ちを強く持てる気がした。 
  
674Res/446.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20