86:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:16:56.19 ID:FHyQmHZuO
  
 二人が落ち着いたのを見計らい、声を掛ける。 
  
 その言葉に反応し、先に顔を上げたのは、少女の方だった。 
  
 今更ではあるが、異変に気付いたようである。 
  
  
 「ねえ、なんで、こんなに明るいの?」 
  
  
 月夜にしても眩しすぎた。 
  
 そして、何故かは分からないが、灰色の怪物達が一様に悶え苦しんでいるのだ。 
  
 少女は眩い光に目を細めながら、彼に訊ねる。そこで初めて彼の顔を見た。 
  
 あの日に見た優しい笑顔が、目の前にある。 
  
 抱き締められて少しは落ち着いたものの、少女には拭い難い恐怖が残っていた。 
  
 それは当然のことなのだが、彼の顔を見たことで、一先ずは安堵したようだ。 
  
 それは、傍らで目を擦る少年も同じだった。 
  
 潤んだ瞳には、僅かながら光が戻っていた。 
  
674Res/446.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20