87:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:21:12.34 ID:FHyQmHZuO
  
 彼は微笑みながら、天を指差した。 
  
  
 「目が慣れてから、ゆっくり見上げてごらん」 
  
 「……んっ。あれは、たいよう?」 
  
 「そう、小さな小さな太陽だ。あれは、魔女のお姉さんが運んでくれたんだ」 
  
 「灰色の怪物達は光に弱い。あれが、君達を守ってくれたんだよ」 
  
  
 あの光球は、花屋の家族がオークの襲撃を受ける間際、魔女によって打ち出された。 
  
 この街の真上に定着したのは、兄妹がオークによって命を奪われる寸前のことである。 
  
 二人は俯き抱き締め合っていた為に、それに気付くことはなかった。 
  
 ただ、光球によってオークは怯んたものの、振り下ろされる棍棒の勢いが失われることはなかった。 
  
 怯んだ一瞬の間に、勇者が割って入ったのである。 
  
 あの光球がなければ、二人を助け出すことは出来なかっただろう。 
  
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