16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 01:13:45.57 ID:Oy6YgigW0
日が暮れたころ、準備はようやく整いました。
照明とカメラ、そして、あの人がステージの上に展開したまゆのホログラムを囲んでいます。
映像は、ネットワークを通じて世界中に配信されるそうです。あの人が言うには、世界中がこの瞬間を待っているそうです。
「ねえ……聞いてもいいですか?」
「ああ」
「まゆは、『佐久間まゆ』になれますか?」
「うん」
そっけない言葉。ロマンチックな言葉ではないけれど、それだけでまゆは強くなれる気がします。
「それじゃあ、行ってきますね」
ホログラムをステージの上へと移動させる。
割れた天井からは夜空が見えました。大気汚染によって見えなくなってしまったけれど、その先には星が瞬いているはずです。
ドームの中に観客は居ません。きっと、『佐久間まゆ』のステージでは、満員の客席の上で、夜空にも負けないくらい眩しくサイリウムが振られていたでしょう。
まゆに、それはありません。
でも、まゆの気持ちは負けません。
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