■■「私が、佐久間まゆ、ですか?」
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 01:13:10.58 ID:Oy6YgigW0
◇◇◇

 まゆのライブは、廃墟となったドームで行うことに決めました。用意は、あの人が全部してくれるそうです。

 ライブの日、まゆは生まれて初めてあの人の家から出ました。今まで電子の海で外の世界とつながったことはあるけれど、直接出たのは初めてです。
 目の前に入ってきたのは、まゆの想像を超える世界でした。
 枯草と立ち枯れた木、そして、朽ちた建物が建つだけの荒野。空には鳥は飛ばず、汚染された空気を通して僅かに降り注ぐ陽光は少し寂しい。
「これでも、昔はマシだったんだけどね」
 あの人は、悲しそうに言いました。

 やがて、まゆたちは廃墟となったドームへと入ります。もう、所有者もいない廃墟だそうです。
 天井は崩れ去り、客席も残っていない。ステージのディスプレイにはヒビが入っています。
 そん中で、あの人は一人、準備を進めます。
「手伝いましょうか?」
「いや、これは自分の仕事だ」
 そうは言いますけど、とても辛そうです。
 本来は、あの家――シェルターから出ることすら人間には負担になるそうです。
 でも、あの人は弱音を吐きません。まゆは……それに甘えてしまいます。


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