7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 01:04:55.19 ID:Oy6YgigW0
◇◇◇
まゆが生まれた部屋には、ガラス張りの大きな窓がありました。
そこから見えるのは、小さなお庭と海。残念ながら、芝生は枯れていてあまり見栄えは良くないけれど、よせてはかえす波は見えていて飽きません。
「まゆは、海を見るのが好きかい?」
そうしていると、時折あの人が声をかけてくれます。
『はい。プロデューサーさんは、嫌いですか?』
「まゆ、私はプロデューサーじゃないよ」
『あ、ごめんなさい』
いけない。つい癖でプロデューサーと言ってしまう。あの人……まゆが生まれて初めて見た人は、プロデューサーと呼ぶと悲しそうな顔でそうやって否定します。
どうしてか分からない。だけど、悲しい顔は見たくない。だから、まゆはプロデューサーと呼ばないようにしています。
海の果てから日が昇り、灰色の空と海を照らしてまた沈む。
あの人なんともないお話をしながら、そうして日々を過ごしていく。
時々、あの人は端末から過去の情報を探して、まゆに教えてくれます。
まゆがどういう存在だったか。まゆがどんな世界で生きていたのか。
それを聞いているだけで、まゆは満足でした。
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