■■「私が、佐久間まゆ、ですか?」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 01:06:37.52 ID:Oy6YgigW0
◇◇◇

 声をきっかけに、違和感は広がっていきました。

『まゆは、お料理が得意でした』
 そう、『佐久間まゆ』はお料理が出来ました。
『でも、今はフライパンを持つこともできません』
 実態のないまゆには、それが出来ません。
「そうだね」
『それでも、まゆはまゆなのでしょうか?』
 疑問に答えてくれる人は居ません。

 問いかける度に、あの人は悲しい目をします。
 その度に、まゆの演算回路はエラーを吐き出します。

 どうしてでしょう?
 これは、何なんでしょう……
 考えて、すぐに答えは出ました。

 まゆは、あの人に笑ってほしい。
 だって、『佐久間まゆ』は恋をしていたから。好きな人が安らかでいて欲しいから。

 そして、好きな人を愛し、愛されていたいから。

 じゃあ、まゆはどうすればいいのでしょうか?
 これも、すぐに答えは出ました。
 『佐久間まゆ』になること。振り向いてくれるような素敵な人になることで、あの人の心を取り戻したい。


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