新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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707: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/11/04(日) 20:59:17.26 ID:jiMS7eDVO

 フォージ安全ビルの地下駐車場に国産のセダンと黒のSUVが縦列に連なってすべるように進入してきた。先頭のSUVが柱近くのスペースに停車すると、黒服たちは一斉に下車し、各々の装備を詰め込んだバッグやケースを担ぎ上げた。

 SUVの反対側にセダンが停まった。下村の運転するセダンはカーリングの石のようにゆるやかでスムーズな停車を見せ、なかに乗っている人間にすこしの振動も伝えなかった。


中野「よっしゃ、行こうぜ」


 シートベルトを外し中野がドアの把手に手をかけた。ふと横をむくと永井はシートの背もたれに沈みこんだままの姿勢でいた。前方の席にいる下村と戸崎もほぼ同じタイミングでドアを開けたので、ガコッというロックの外れるときの解錠音がふたつ連なった。
 


中野「永井? なんだよ、また弱音か?」

永井「……」


 永井はよびかけにまっまく無反応だった。完全に気の抜けた表情をしていて、なにも考えてないのか、それとも逆に深く思索している最中なのかわからない。

 昨夜、移動する車内で永井はため息をついた。永井は窓の外に流れゆく風景を、正確には闇に顔を向けていた。いかにも憂鬱そうに。いよいよ佐藤と戦うというときにそんな態度だったから、中野はどうにも不満だった。

 急に永井が思いついたことでもあったかのように身体を起こすと、ドアを開けてそそくさと車から出ていった。中野はすこし奇妙に思いつつ、あとを追った。

 フォージ安全社長甲斐敬一が車からおりた一同を待ち受けていた。



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