778: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:13:07.19 ID:ymR8HEsBO
十階へと降りる途中で中野と出くわした。中野は手摺に右手を軽く置いた姿勢で背中を向けていた。背後から聞こえてきた足音に慌てている気配を感じられず、ついさっきオフィスから逃げたしてきた社員たちの避難誘導をしたばかりの中野はその足音が永井のものだろうと振り返るまえから察していた。
中野「なにしてたんだよ、永井?」
永井「この眼で確かめたいことがあった」
永井はすれ違いざま、中野に顔を向けて言った。
永井「やっぱり、佐藤さんがいない」
中野「戦いたがりじゃなかったのかよ」
永井「ああ。あの人が後方支援なんてありえない。(永井はドアを開けて十階廊下へと進んだ)つまり、本当にこの戦いに参加してないんだ」
中野「あの手下たちを捕まえるだけでもダメージなんじゃねーの?」
永井「次なんかないんだ。ここで全滅させないと」
十階にはまだまばらに人がいた。家族へ電話する者や互いに無事を確認しあう者、避難か待機か言い争っている者の横を通り過ぎながら、永井はなぜ佐藤が今回の暗殺に参加しなかったのか考えた。
中野「なあ、おれまで着替える必要あったか?」
中野がふとした調子で尋ねた。
永井「ガキがうろついてたら目立つだろ。バレちゃだめなんだ、とくに奴には」
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