新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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8: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/03(火) 00:11:09.53 ID:5kzXp0UHO

これでなにもかも終わった、と美波は思った。人生は続いていくけれど、それはこれまでの十一年間と連続したものではない。凧は糸が途切れ、地面に落ちてしまった。糸の短くなった凧をもう一度空にあげるには、よほど良い風が吹くのを待つか、自分から糸を結びなおさなければならない。前者を選べば、待っているあいだの時間を周囲の人びとをよそに、ひとりで膝を抱えて耐えなければならない。後者の場合は、凧をふたたび風に乗せても、糸が途切れたという事実はずっと残る。

ベッドの上には窓があった。その窓は閉められていたが、そこから通りを行く子供たちの声が聞こえてきた。近くの公園で遊んでいた子供たちが、それぞれの家に帰っていく時間だった。太陽は西に傾きはじめ、だんだんと水平に近づいていく陽光の線が、これから空の下の方を赤色に染め上げていく。空の上の方はといえば、対照的に濃い藍色から闇に染まっていくだろう。

圭と慧理子も、家の近くの公園にいるはずだった。ふたりはそこで話し合いが終わるのを待っている。両親と姉のあいだに漂う不穏な空気を察して、圭は落ち着かない様子で不安がる慧理子を外に連れ出したのだった。もしかしたら、圭の友達である海斗もそこにいるのかもしれなかった。




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