一ノ瀬志希「美優お姉ちゃんのアロマを売ろうよ♪」三船美優「えっ」
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4: ◆Freege5emM[saga]
2017/05/30(火) 00:43:44.94 ID:IrBVRxNKo



晴れた日の昼過ぎ、346プロ事務所併設のカフェテラスに懐かしい人影を見つけると、
あたしは背中から忍び寄って後ろ髪のニオイを嗅いだ。

「美優お姉ちゃーん♪」
「ふぁっ――し、志希ちゃん!?」

美優お姉ちゃんは、いつもはクラリセージやイランイランみたいに、
フェミニンで甘いアロマを愛用している……けど、今日はなんだか事情が違う。
いろんなアロマがごちゃごちゃと混じってる。



「いやー。いつもに増して寂しげな背中だったから、ついがばーっと」
「寂しげ……って、余計なお世話ですっ」

あたしの軽口を聞いて、美優お姉ちゃんはツンと顔をそらしてしまった。
すると、美優お姉ちゃんの向かいの椅子に誰かが座ってて、口をあんぐり開けてるのが見えた。



「あ、いたんだプロデューサー」
「……美優さんと志希って、いつのまにそんな親しくなった……んですか?」
「あたしは、いいニオイがするヒトには初対面でもがばーっと行くけど」
「志希はともかく、美優さんがあしらい慣れてるなぁ、と思って」

美優お姉ちゃんはあたしを振り払うのを早々に諦めたのか、
あたしの腕を巻きつけられたままプロデューサーの方へ顔を戻した。



「志希ちゃんと私は、従姉妹なんです。岩手にいた頃は家が近所で、よく顔を合わせていました」
「問題児だったあたしの世話を押し付けられていたともゆー。美優お姉ちゃん昔から流されやすいし」
「……コーヒーぐらいならおごってあげるから、せめて椅子に座りなさい」
「はーい、美優お姉ちゃん♪」

あたしは美優お姉ちゃんのうなじと髪をたっぷり名残惜しんでから、
美優お姉ちゃんとプロデューサーのいる卓に近くの椅子を持ってきて座った。



「で、美優お姉ちゃんはナニがお悩みなの?」
「う……いや、その……」
「あたしにはお見通し。サンダルウッド、フランキンセンス、ベルガモット、ティトリー、まだほかにも……
 どんだけ一気に濫用してるの。美優お姉ちゃんともあろうものがそんな様だから、
 それだけで相当参ってるんだなぁって分かっちゃうの」

美優お姉ちゃんの顔を見る限り、あたしの推察はだいたい当たっていたようだった。



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