一ノ瀬志希「美優お姉ちゃんのアロマを売ろうよ♪」三船美優「えっ」
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5: ◆Freege5emM[saga]
2017/05/30(火) 00:44:17.01 ID:IrBVRxNKo

「――ふーん、美優お姉ちゃんプロデュースのアロマ、ねぇ」

話を聞いてみると、プロデューサーが美優お姉ちゃんに精油メーカーとのタイアップの仕事をとってきて、
それで三船美優モデルのアロマを売り出すので、どんな香りにしようか考えているところらしい。

「それで考えてみたんだけど、なかなかまとまらなくて……」
「まぁ、三船美優モデルのアロマと言われてもねぇ」
「……な、なんだよ」

あたしが露骨に馬鹿にした目線を投げると、さすがのプロデューサーも気づいたらしく、
きまり悪そうな目で見返してきた。



「プロデューサー。アロマを香水かナニかと勘違いしてない?」
「……そういえば、アロマと香水って何が違うんだっけ」
「はぁ」

あたしは美優お姉ちゃんにおごってもらったカプチーノでいったん舌を潤した。

「あのねプロデューサー、アロマセラピーって意味わかる? therapy(療法)だよ?
 香水や洋服みたいに個性・ファッションとして使うものじゃなくて、カラダの状態に合わせて使うものなの」

例えば生理不順ならクラリセージ、むくみ解消ならグレープフルーツ……みたいに、
アロマセラピーではエッセンシャルオイルを、カラダの不調や体質によって使い分ける。
前に美優お姉ちゃんから聞いた話では、本場フランスだと医療行為として保険まで下りるんだと。



「……で、なんとなく読めてきたけど一応聞こうか。
 なんで美優お姉ちゃんは――あ、プロデューサーもだ――こんな妙なニオイさせてるの?」
「妙って……そんなにか?」
「絵でたとえるなら、アクション・ペインティングみたいな感じかな」

プロデューサーは今更になって頭を抱えた。

「……イメージがまとまらないなら、実際に調合しながら考えたらどうか、となって……」

だいたい分かった。
今この二人が疲れた顔でカフェテラスにいるのは、どこか室内でアロマを調合してて、
それで消耗したから外の空気を吸いにやってきたんだろう。



「ダメだよ美優お姉ちゃん、プロデューサーみたいなシロート相手に主導権渡しちゃあ」

鼻は、ちょっと使うだけですぐに疲れてしまう。アロマも、感じているよりずっと体力を消耗させる。
だから調香師やアロマセラピストは、ブレンドするときはまずニオイの記憶に頼る。最初から実物は使わない。

これを美優お姉ちゃんが知らないわけない……から、
プロデューサーのシロート考えでこの有様になっちゃったんだろう。

「……でも、せっかくプロデューサーさんがとってきてくださったお仕事だし……」

まぁ、美優お姉ちゃんがせっかくのお仕事を無下にしたくない、という気持ちも分かる。



美優お姉ちゃんの顔を眺めていると、あたしの打算がひらめきを起こした。

「美優お姉ちゃんの香りを、香料で再現して出せばいいんじゃない?」




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