一ノ瀬志希「美優お姉ちゃんのアロマを売ろうよ♪」三船美優「えっ」
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6: ◆Freege5emM[saga]
2017/05/30(火) 00:46:27.62 ID:IrBVRxNKo

あたしの提案に、美優お姉ちゃんはすぐ反応した。

「……志希ちゃん、もはやアロマとか関係なくなってるよね?」
「だって、美優お姉ちゃんはいいニオイするじゃない♪
 あたしも、できればいつだって美優お姉ちゃんのニオイを嗅いでいたいと前から思ってるんだよ」

どうしてだか知らないけど、美優お姉ちゃんのニオイは昔から包容力があった。
あたしは美優お姉ちゃんのニオイを嗅いでる間は落ち着いてたし、
今でも仁奈ちゃんあたりがそばにくっついてるのは、きっとそのせい。



「ねー、プロデューサーもいいと思うよねー?」

プロデューサーは絶対に賛同するだろう、とあたしは予想していた。

「……志希、できるのか?」

なぜならこの間、美優お姉ちゃんが仁奈ちゃんを膝枕して寝かしつけている時、
美優お姉ちゃんが立てないのをいいことにハスハスし放題していたあたしを、
プロデューサーが血涙を流してうらやましそうに見ていたからだ。

「できる。あたしなら、ほかの誰よりも美優お姉ちゃんのアコールをうまく作れる」

なぜなら、あたしは世界で一番美優お姉ちゃんのニオイを知ってる調香師だから。



「……でも、それはアロマじゃないでしょう」

なおも美優お姉ちゃんは難色を示す。
美優お姉ちゃんは真面目にアロマをやってるから、抵抗があるようだ。

「確かに、これはアロマじゃなくて香水だよね」

アロマセラピーは植物の香りを使った民間療法が由来だからか、
天然植物由来の精油だけを使い、化学的に合成された人工香料は使わない。

逆に近現代の香水は、よく人工香料を使う。
安くて品質が安定してるし、香りを楽しむためには『毒にも薬にもならない』ほうがいいんだ。



「ただ、そもそもお仕事をとってきたプロデューサーがイメージしているのは、
 アロマセラピーに使う精油じゃなくて、香水の仲間のアロマオイルだと思うけど」
「うっ……そ、そうかも……」

とってきた仕事からして、おそらくプロデューサーは精油とアロマオイルの区別がついていない。

アロマセラピーをやる人が使うのは天然素材の精油が基本。
対してアロマオイルは単なる『匂いつきの油』。
天然素材以外が混じった(つまりアロマセラピーではフツー使わない)雑貨や化粧品扱いのシロモノが日本じゃ大半だ。

美優お姉ちゃんも、このプロデューサーの勘違いに気づいてるんだろうけど、
たぶん気づく前に「うん」って言っちゃって、それに流されてるんだろうなぁ。

こんな調子じゃ、この仕事がうまく行くはずがない。
あたしが一肌脱がなきゃ。



「明日、この志希ちゃんが作った『美優お姉ちゃん』のニオイを持ってきてあげる。それで決めて」



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