美玲「To give you」ありす「Answer」
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7: ◆S6NKsUHavA[saga]
2017/05/30(火) 23:51:14.95 ID:McTk8PE80
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「うーん……もっとクールに……大人っぽい感じ……」

 ソファに座ってタブレットにダウンロードしたファッション雑誌のページをめくりながら、橘ありすはブツブツと独り言を呟いた。今をときめくクールアイドルを特集したページには、同じ事務所の渋谷凛や速水奏もピックアップされている。彼女の理想を体現するかのようなその姿に尊敬とも嫉妬ともつかない熱視線を注ぎながら、ありすは掲載されているインタビューまで含めて隅々まで目をこらした。
 特集の最後のページまで読み終え、反芻するようにまばたきすると、彼女は深いため息をつく。

「やっぱり年齢が追いつかないと難しい……」
「早く年を取ってもロクな事ないゾ☆」
「……!! 心さん、いつの間に……」

 突然背後から現れた声に驚いて振り向くと、そこには以前仕事で知り合ってからちょくちょく遊びに来るようになった佐藤心が笑顔で立っていた。

「ちゃんと呼んだんだぞ☆ でも、熱心に読書してるから、邪魔したら悪いかなって思って、気付くまで待っててあげたんだぞ、感謝しろ♪」
「待ててないじゃないですか……」

 ツッコミにぺろっと舌を出す心に、ありすは深いため息をつく。彼女のおちゃらけた態度は一種の処世術のようなモノで、いちいち気にしていては振り回されるだけだ、とありすには分かっていた。実際、心は仕事に関しては真摯だし、自分の役割を心得て立ち回るときのピリッとした存在感は尊敬の念を抱くに十分でもある。
 が、それはそれとして、苦手意識が払拭されるわけでは無いことも、ありすは諦めと共に認めざるを得なかった。

「おいおい。ため息をつくと、幸せが逃げるゾ☆」

 そう言ってウインクする心に、今度はわざとらしいため息をついてありすが言う。

「それって迷信ですよ。ため息をつくと、ストレスで優位になった交感神経の代わりに副交感神経が活発化されて、リラックス効果を産む事が最近の研究で分かってます」
「へ〜そうなんだ〜☆ ……って今、しれっと、はぁとの事をストレスって言った?」
「言ってませんよ、佐藤さん」
「距離感遠っ! もっと親しみを込めてぇ、は・ぁ・とって呼べよ☆」
「結構です、スト……佐藤さん」
「いま結構明確にストレスって言おうとしたよね!?」

 頬を膨らませて行われる心の抗議をしれっと受け流しつつ、ありすは呆れたように三度目のため息をついてタブレットをスリープモードにした。

「ところで、心さん。私に何か用があって来たんじゃないんですか?」

 そう言って話を促すと、心は思い出したようにぽんと手を打って答えた。

「あ、そうそう、漫才やってる場合じゃ無かったゾ☆」
「自覚はあったんですね」
「いちいちスウィーティじゃないな☆ えっと、ありすちゃんにお客さんだぞ♪」
「橘です」
「そこツッコミいる!?」

 軽快なツッコミを披露しながらも、心は部屋の外に待っていた二人を呼び入れる。ありすがソファから立ち上がって出迎える中、入ってきたのはどちらもありすと直接面識は無いが、見覚えのある人物だった。一人は、ホラー系アイドルとして人気を集め、ありすにとっては先輩にあたるアイドル、白坂小梅。そしてもう一人は。




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