雀明華「スタンド・バイ・ミー」
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17:名無しNIPPER[sage]
2017/06/14(水) 11:43:27.32 ID:ZDD1pdCd0

「礼には及びませんよ。こちらこそ、貴重な体験を聞かせていただきました」

優雅に一礼するハオ。まさしく英国紳士のようです

「それじゃ、ワタクシはこれで失敬するアルヨ」

そう言って荷物を担ぎ、彼は出口へと向かいますが

「……と、そうだ。お礼にいい物をあげるアルヨ」

踵を返して再びこちらにやってきました

彼はカウンターの前に着くと、カバンから緩衝材に包まれた品を取り出します

カウンターに起き緩衝材を剥がすと、中から一体の日本人形が現れました

「これは私がかつて日本人から貰った人形で、〔紫蓮人形(しれんにんぎょう)〕と言う名前アルネ」

夜を湛えた墨色の髪に、赤色や黄色の蓮華模様が刺繍された紫色の着物を着た、眼が覚めるような美しさの人形です

カウンターの上に置かれたシレンちゃんは、可憐な美貌を振りまき、まるで舞台の主役のように佇んでいます

「これをあなたにあげるネ!」

アルアルさんはシレンちゃんをハオに差し出します

「……いりません」

にべもなく拒否するハオ。項垂れる男性。心なしかシレンちゃんも残念そうな顔をしています

これほど可愛らしい人形をくれると言っているのに断ったら、もったいないオバケがでちゃいます。そしてシレンちゃんに憑依して真夜中に日本人形がやってくるのです。怖いです

「ミョンファ、欲しいんですか?」

シレンちゃんを物欲しげに見つめていたのがバレました

しかし誇り高きフランス淑女として、他人への贈り物を横取りするわけにはいきません

「じゃあそっちのオジョーチャンにあげるアルヨ。ワタクシの話を聞いてくれたお礼ネ」

なんと

これが曲がる角にはぼた餅というやつですか

「可愛がってあげて欲しいアルネ」

そう言って今度こそ、古道具屋から出ていきました

どうでもいいけどハオはオネーサンで、私はオジョーチャンですか。私の方が歳下に見えますかそうですかそうですか

「ところでハオ。名推理でしたけど、ホームズ作品とか好きなんですか?」

堂に入った名推理をするハオは、アンティーク物を置くこの古道具屋の雰囲気と相まって、まるで中世イギリスの名探偵のようでした

「いえ、ホームズにはそこまで興味はありません」

ハオは鉄扇を広げます



「私が好きなのはーーーーーー諸葛亮です」



そう言って鉄扇を羽毛扇のように携えました






ちなみに辻垣内邸に帰り玄関を開けると、サトハが仁王立ちしていました

私はシレンちゃんと共に正座してひたすらサトハにお説教されたのでした


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