9:名無しNIPPER[sage]
2017/06/12(月) 20:22:34.24 ID:jwmoGbo20
木製の古い扉を開けると、カランカランと心地の良い音がします
「いらっしゃいませ……って、ミョンファでしたか」
古時計やダイヤル式の電話機やコケシが並ぶ棚の奥、店のカウンターの内側には、ハオが椅子に座って店番をしていました
何やら難しそうな中国の本を読んでいたようで、退屈そうにしています
「お邪魔でしたか?」
「いえ。誰もこないから退屈でした」
パタン。と本を閉じるハオ。繁盛はしていないのにアルバイトを雇う余裕はあるみたいです。もしくはこの古道具屋には毎日のように借金取りか地上げ屋が来るので、用心棒としてハオを雇ったという可能性もあります。黒尽くめにサングラスの屈強な男達を、さながらカンフー映画のようにハオがばったばったとのしているのでしょうか
などとぷかぷかした妄想を浮かべている間に、ハオがカウンターの内側から一冊の手帳を取り出しました
「これは?」
茶色い革製の、無骨で重厚な手帳。なにやらおどろおどろしい不気味な雰囲気が漂っています
「これはーーとある殺人事件を調査した際の記録らしいんです」
ハオはいたずらっ子のような笑みを浮かべて答えます
殺人事件とは何やら不穏な話です
「けれど、結局その事件の真相はわからないままで、誰かこの謎を解いてくだい。と締めくくられているんですよ」
未解決の殺人事件を記した手帳ーー不謹慎ですが、凄く面白そうです
この手帳を読み、安楽椅子探偵のように真相を解いてみるのもまた一興
私は手帳を開きます
『私は、ある殺人事件の真相を追っている。私の妻を殺した犯人に、罪を償わせるために』
なるほど、どうやら本物のようです
続きを読んでみましょう
『色々捜査した結果、犯人と思われし男が一人だけ候補に挙がった。妻をストーキングしていた「跡尾 憑流(あとお つける)」という男だ』
……?犯人はすでにわかっているのですか
『しかし、彼には犯行時刻に鉄壁のアリバイがある。それを崩さねばアイツを犯人だと告発することができない。警察も動いてくれない』
なるほど。アリバイ崩しですか
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