五年と少しの歳月に
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12: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:09:42.09 ID:bk9mFZZ70
 「もしかして、お前も初詣に?」

 「え、うん。そうだよ」

 「じゃあ、よかったら一緒に行かないか」

 気が付けば、そう言っていた。

 彼女が驚いたような表情になる。まるでそんなことを言われるなんて考えもしなかったとでもいうように。
 それから、短くない間があった。


 「……いいの?」

 「構わないって。俺もひとりだったから」

 ふたり、連れ立って歩く。沈み切った空にはひとつとして星が浮かんでおらず、大きな暗い天幕の中にいるようだった。
 まるで世界の中にもうひとつ小さな世界があって、その中にたったふたりだけ閉じ込められているような。


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