五年と少しの歳月に
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15: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:13:15.41 ID:bk9mFZZ70
 これまで境内に足を踏み入れたことはなかったが、神社の前を通ったことはあった。
 奥行きがないため、割とせせこましい印象を受けたことがある。その中を人がごった返していた。

 「すごいな、これみんな初詣なのか」

 「ね、すごいね」

 明かりの代わりとしてだろうか、あちらこちらで薪が焼べられていて、ときおり火花を散らしては一心に燃え続けている。
 それに手をかざせばじわりと暖かくて、舞い上がる火花は空へと昇っていく。

 まるで意思を持ったなにかが星になろうとしているかのようで、しかし広大な天幕を前にしてあえなくそれらは黒に呑まれてゆく。
 世界の果てには、その向こう側にはなにもない。

 神酒を一献頂いて、紙のコップに一杯、熱々の甘酒を受け取る。気のよさそうな年寄りがおめでとうと声をかけてくる。


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