7: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:04:20.47 ID:bk9mFZZ70
突然のことで、まったく声を出せなかった。
何度かその場で呼吸をして、平静を繕うのが限界だった。
「……」
「え、あの……人違い、でしたか?」
なにも答えようとしない俺の様子を見て、彼女の声が不安に揺れる。
「……いや、多分、人違いじゃないと思う」
やっとのことで言葉を返す。
「お前のことも、覚えてるし」
そうして彼女の名前を口にする。
たしかめるように。
すると彼女の緊張した顔がぱっと華やいだ。それから、こくこくと頷いた。
彼女の喜びようといったら、その場でぴょんぴょんと飛び跳ねてしまいかねないほどだった。
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