文香「文学少女は純情だと思っていましたか?」
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4:名無しNIPPER[saga]
2017/06/22(木) 19:02:16.51 ID:gkofDq5s0


「…………」

「…………」

 今、彼女は何て言った……?
 僕の聞き間違いでなければ、ヤりたいって……
 いや待て落ち着け僕、聞き間違いに決まってるじゃないか。
 こんな清楚で大人びたおそらく文学少女が唐突に独り言でそんな事を言うはずがない。

 おそらくアレだ、早く課題やっちゃいたいな、とかそんな意味に決まってる。
 それか槍対剣はどっちが強いか、とか考えていたに違いない。
 嫌だなぁ、自分の心が汚れてると変な聞き間違いしちゃって。

「……き…聞こえて…しまってたでしょうか……?」

「え?な、何のことですか?あ、えっと……」

 おいバカ僕、もう少しまともな返し方があっただろ。
 初対面で心の汚れた変な人なんて印象を持たれるなんて最悪なスタートじゃないか。
 落ち着け、まだ慌てるな。
 巻き返せる、カッコイイは作れる。

「あ、その……特に何か聞いてた訳じゃないんですけど……さっきの文学倫理のレポートの資料探しですか?」

「いえ……それで、その…本当に何も聞いていませんか……?」

 頼む、深追いしないでくれ。
 僕をかっこいいままで居させてくれ。
 こっから他愛のない話して、名前を教え合って今日は終わろうじゃないか。

「私が……ヤりたい、と言っていたのを……」

 ……何故改めて言い直した。
 信じたくなかったじゃないか。
 君みたいな綺麗で純情っぽい文学少女の口からそんな言葉が出てくるのを。

「ふぅ……どうやら、聞こえてしまっていた様ですね。でしたら、バレてしまった様なら仕方ありません……」

 何が仕方ないだ、自分で言ったんじゃないか。
 おっけー分かった、僕が悪かったからこのやり取りはなかったことにしよう。

「この後、少し時間はありませんか……?少し、お茶でも……」

「え、あ、喜んで」

 ここで舞い上がって即答してしまうあたり、男とは悲しい生き物である。
 こうして僕と彼女のよろしくはない、僕からしたらあまり喜ばしくもない関係は始まった。






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