12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:16:27.25 ID:+jykf0ly0
テンポよく次々と話題が飛び出す彼女は、話していて飽きることがない。これも一種の話術、才能なのかな、なんてふうに感心した。自分にはないものだ。
お互いの手にあるものがなくなった時点で、彼女とは別れるのが普段のならいだ。その時は二人ともコーヒーしか買っていなかったから、飲み干した時点でその場を後にした。
コンビニ前のゴミ箱は誰が何を捨てたのかえらくパンパンで、缶を押し込むのに少し苦労した。
敷地の駐車場から出て二、三、歩いたあたりで、強い風がひょうと吹き抜けていった。
「うひゃあー、さむーっ!」
風が吹くと参るな、なんてことを笑って言い合った。
彼女はオリーブ色の暖かそうなモッズコートを羽織っていたが、その下は薄っぺらな黒いミニのワンピースだった。
そんな薄着じゃそれは寒いだろう。
言うと、
「オシャレはガマンだーって、エライ人も言ってたし!」
鼻を赤くし、自分の肩を抱きながら笑っていた。
無理だけはするなよ、と忠告しておいた。体調を崩されたらかなわない。
「ヘーキだよん、アタシ身体強いから! ……あ、今おバカは風邪引かないよなー、とか思ったっしょ!」
この問いには肩をすくめるだけで応えた。
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