13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:17:07.03 ID:+jykf0ly0
帰り道を足早に進む途中、ふと思い立って仕事には慣れたか、と尋ねた。
「バッチリ! いーい人ばっかだしー、みんな優しーし! 仕事はやさしくないけどっ」
それはよかった。ほっと息をついた。
彼女と別れてから、ほっとした自分をなんだか気恥ずかしく思った。
生き方を、仕事を決めるのは自分自身だ。選んだ職に骨を埋めるのも、別の何かを求めて彷徨うのもその人の自由。深く干渉するな、ほっといてやれ。
その持論を変えるつもりはない。
なのに、彼女のセリフからやめたいという意図の取れる言葉がなかったことに安心した。
どうも、彼女がいなくなることを嫌がっているように思えて。
自宅のアパート、その自室前で立ち止まる。
頬をかいた。かいた頬が赤いのは、きっと寒さのせいだろう。
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