26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:52:58.57 ID:+eTeNEs7O
6.
彼女というムードメーカーが入社し、職場の雰囲気は確実に良くなった。
男というのはなんとも単純だ。彼女の手前、良いところを見せたいのか以前よりもやる気を出すようになった。
また、彼女を通した新しい繋がりも生まれ、コミュニケーションも活発になった。
雇ったことで良いことはいくつも起こった。
しかし、もちろん良いことのみ、というわけにもいかなかった。
とりわけ顕著に面倒な、と思ってしまった事件は、彼女本人の口から相談を受けた。それは確か、秋口を過ぎた涼やかな日のことだったか。
「……ねー親方、今日って親方と上がり時間一緒だよね?」
昼休憩中、コンビニ弁当をつつく自分の元へ来た彼女に問われた。
確かそうだったはずだ。
「ちょーっとそーだんしたいことあるんだけどー。夜、時間いーかなー?」
普段は屈託無く笑う彼女。そのときは、困ったような苦笑いだった。
部下の悩みを聞くのも仕事のうちだ。構わないと二もなく返した。
相談したいなんてことを彼女に言われたのは初めてだった。やめたい、とでも言い出すのでは。それは困るなと思った。
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