30:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:56:50.51 ID:+eTeNEs7O
さて、どう言ったものか。
彼女がその誰かの想いを受け入れるにせよ拒むにせよ、なんらかの遺恨は残りそうだ。
ともかく是か非か。どうするつもりなのかと聞いた。
「んー……好きは好き、だよ? でも、そーゆー相手には見たことないし。だから、やっぱりさー?」
断りたい、ということだった。
そうか。
小さく息を飲み、すっかり存在を忘れそうになっていた缶コーヒーに一度口をつけた。
なら、断ればいい。
「えっ……でもさ、絶対、断ったら傷つくっしょ?」
ああ、勿論それはそうだろう。経験豊富だなんて口が裂けても言えないが、想いが届かなければ誰だって傷つく。自分とて傷ついた経験もある。
「……それは、やっぱ。かわいそーじゃね?」
言いたいことはわかる。
可哀想だな。
でも、だったら、自分の気持ちをおして受け入れるのか。
「……」
目を泳がせて、彼女は黙って俯いた。
何よりそれが一番失礼な話だ、と自分の考えを伝えた。
気持ちが届いていないのに、ただの一方通行に過ぎないのに。可哀想だからと情けをかけられて、嬉しく思う男なんていない。同情で付き合われるなんて、自分ならそんなのは真っ平御免だよ。
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