31:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:57:53.65 ID:+eTeNEs7O
結局はお前の気持ち次第だ。
良いなら良い、駄目なら駄目。それを真摯に応えるのが正しい在り方なんじゃないか。
お人好しな子だ。
人の気持ちを慮って、いつだって気遣っていい方へと向かわせようとする。だけど、今この話に限ってはそれは発揮すべきじゃないと思う。それはきっと、双方のためにならないから。
そんなようなことを噛み砕いて伝えた。
まあ、これはあくまで持論でしかない。もしかしたらもっと上手いやり方があるのかもしれないが、と付け加えた。
彼女はゆっくりと言葉を選んでいるようだった。
「……親方がさ、一番傷つかない、フラれ方? ……どんなん系?」
すっぱり断られるのが一番楽だ。
即答した。
切り口は鮮やかな方が痛みを感じないものだし、癒えるのも早いから。それはきっと心も体も同じだ。
「そっか。……ね、親方」
見上げる目と視線が合う。その瞳は揺れているようだった。
「これでさ……やめたりとか、しないかな?」
そんなことまでを気にして。
まったく、どこまで人の好い。ここまでくると呆れてしまう。
その問いに、確かなことは言えない。確実に居づらくはなる。その居たたまれなさに耐えきれなくて、やめてしまう可能性はあるかもしれない。
しかし、たぶん平気だ、と伝えた。そんなヤワで繊細な奴はウチにはいないと、わざとらしく鼻で笑いながら。
「……そっかな」
きっと、そうだ。大丈夫だろう。
いい意味で適当なあの連中が、女にフラれたからと仕事を辞めるイメージがつかない。
完全には納得していないようだった。それも当然。あくまで希望的観測で述べただけで、確かなことなんて何も言っていないのだから。
それでも、
「聞いてくれてありがと、親方!」
と言って笑った彼女の方は、おそらくもう大丈夫だと思えた。あとは。
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