72:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:40:06.86 ID:BvIwdhTr0
 ミスドの個室で、法子は凄絶な笑みを浮かべていた。 
  
 大阪で行われる舞踏会には参加できなかった。 
  
 ドーナツをちょっぴり我慢して、過酷なレッスンをこなし、 
73:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:41:07.33 ID:BvIwdhTr0
 法子のトレイには、禁断の果実達が揃い踏みしている。 
  
 フレンチクルーラー。 
  
 ハニーチュロ。 
74:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:41:45.39 ID:BvIwdhTr0
 法子はシュシュを外した。 
  
 赤みがかった栗色の髪が広がり、空調の風によって揺らめいた。 
  
 店内の照明によって、その髪と、彼女の肌がつらつらと輝き、 
75:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:42:39.04 ID:BvIwdhTr0
 面倒なセオリー、食べ合わせや順番はこの際無視。 
  
 思うがまま獣のように、がぶりと、噛みちぎる。 
  
 フレンチクルーラーのカロリーは170。 
76:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:43:09.10 ID:BvIwdhTr0
 極めて濃厚、されど前のめりでない。 
  
 法子はあっという間に2つのフレンチクルーラーを平らげてしまった。 
  
 しかし、彼女が次のドーナツに狙いをさだめる前に携帯が鳴った。 
77:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:43:50.34 ID:BvIwdhTr0
 『法子か』 
  
 「…私の携帯ですから」 
  
 『ははっ、そうだな。 
78:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:44:23.15 ID:BvIwdhTr0
 美城プロダクション、レッスンルーム。 
  
 そこでは三村かな子と大原みちるが談笑していた。 
  
 話題は都内にできた、新しい喫茶店。 
79:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:44:59.78 ID:BvIwdhTr0
 「ドーナツも美味しいみたいだから、法子ちゃんも誘って…」 
  
 かな子がそう言いかけた時、 
  
 レッスンルームのドアがひどく悲しい音を立てた。 
80:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:45:26.89 ID:BvIwdhTr0
 「あげます」 
  
 彼女はミスドの箱を、両腕で大事そうに抱えている。 
  
 「あげるって…?」 
81:名無しNIPPER
2017/07/19(水) 12:45:56.49 ID:BvIwdhTr0
 かな子とみちるがドーナツを手に入れたのは、一時間後。 
  
 2人がかりで法子からドーナツ箱を引き剥がした直後、彼女は床に崩れ落ちた。 
  
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