1: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/19(水) 23:54:12.17 ID:s3/ioAYy0
大石泉は廊下を歩いていた。
その足取りは重く、夏の気温にうんざりといった面持ちだった。
346プロダクションアイドル部門、第6芸能科。
彼女はそこに所属しているアイドルだった。
彼女の行き先は当然第6芸能科の事務所???
???ではなく、同じ第6芸能科に所属するアイドル、池袋晶葉のラボだった。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/20(木) 00:09:21.06 ID:ObWljyeqO
346プロダクションには、様々な経歴のアイドルが所属している。
元テレビアナウンサー、元婦警、元走り屋、財閥のお嬢様…。
その中でも、池袋晶葉を含む数名は特殊だった。
アイドル以前の経歴を評価された彼女たちは、プロダクション内に専用の部屋をあてがわれ、各々自分の研究に没頭することを許可されていた。
3: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/20(木) 00:17:59.80 ID:ObWljyeqO
傍若無人な言動、自由奔放な振る舞い。
天才の天才たりえる所以であるのかもしれないその常識の無さを、大石泉は忌み嫌っていた。
能力の高さへの嫉妬だと誰かが言った。確かにそうかもしれない。
だがそれが彼女ら天才の非常識の免罪符にされるのはやはり納得が行かなかった。
4: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/20(木) 00:36:49.05 ID:x3jWhne2O
「…晶葉」
泉が声をかけると、晶葉は少女はそちらを振り向き、いつもの調子で「やぁ」と挨拶を交わした。
「ノックが聞こえて誰かと思えば泉か。どうした、またプロデューサーの呼び出しか?」
5: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/20(木) 00:49:25.34 ID:x3jWhne2O
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
「…2人で、ユニット?」
6: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/20(木) 01:05:35.68 ID:x3jWhne2O
「ま、待って…!」
「ん?どうした泉、何か問題でもあるか?」
「えっと…その…」
言葉に詰まる。なんと言えばいいのか、泉本人も自分の胸の内を把握しきれずにいた。
7: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/20(木) 01:06:18.37 ID:x3jWhne2O
今晩はここまで
少し長くなる予定ですが、良ければお付き合いください
8:名無しNIPPER[sage]
2017/07/20(木) 06:21:02.58 ID:knQxff2To
楽しみ
9:名無しNIPPER[sage]
2017/07/20(木) 08:13:50.18 ID:xXqzQiO0o
おつおつ
期待
10: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 00:20:29.32 ID:Vug6c5l3O
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
それから1週間が経った、土曜日の午後。
11: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 00:35:03.67 ID:Vug6c5l3O
「よし…さて、行こうか」
「…ちょっと遅いよ、今からじゃ遅刻するかも」
「何、急げば間に合う。待たせて悪かったな」
「…………」
12: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 00:48:34.46 ID:Vug6c5l3O
池袋晶葉は熱中する。
大石泉はそのことを元から知ってはいた。だが、殊更意識したのはユニットを組むことが知らされてからのこの1週間だ。
ユニットとしての初レッスンの日、晶葉はレッスン場に時間通りに来なかった。
すぐに来るだろう、と高を括っていたが、結局晶葉がレッスン場を訪れたのはその1時間後だった。
13: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 01:02:14.53 ID:Vug6c5l3O
「どうした、大石。動きが悪いぞ、体調でも悪いのか」
「…えっ…あ、いえ、大丈夫です…」
レッスン中、トレーナーから注意を受けた。
泉自身、集中できていないことは分かっていた。
14: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 01:21:13.69 ID:Vug6c5l3O
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
「この資料を、晶葉に?」
15: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 01:33:35.03 ID:Vug6c5l3O
エレベーターが降りて行くにつれて、呼応するように泉の気持ちも重くなっていった。
ここ2週間で、エレベーターで下に向かうと言う行為に苦手意識を持ち始めた泉は、事務所から自宅に帰る際は階段を下る程になっていた。
エレベーターを使うと、ここに行かなければならない気がしてきて。
泉は、返事が返って来ないと分かっていてもその扉をノックした。答えはやはり沈黙。
16: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/21(金) 01:35:10.79 ID:Vug6c5l3O
今回はここまで、また次回よろしくお願いします
>>4 3行目、訂正です
晶葉は少女は
↓
17:名無しNIPPER[sage]
2017/07/21(金) 07:28:24.04 ID:bGv6iNmRo
モバマス知らんが、スレタイが大泉洋に見えてびっくりした
18:名無しNIPPER[sage]
2017/07/21(金) 10:04:56.84 ID:oq7nbyelO
自分も大泉洋に見えた。
仲間がいて良かったぁ
19:名無しNIPPER[sage]
2017/07/21(金) 13:43:43.90 ID:TARQxCC80
大石泉すき
20: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/23(日) 02:14:22.53 ID:IIsdW/5vO
「こっち見てよ!!」
思い切り地団駄を踏み、そう叫んだ。
晶葉は目を丸くして振り返る。
21: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/23(日) 02:20:49.23 ID:IIsdW/5vO
「天才だから許されるなんて思わないで!常識を持って!!時間を守るってそんなに難しい!?天才なら時計くらい読めるでしょ!?」
泉がここまで取り乱す姿を見るのは初めてで、晶葉はただ聞くことしか出来なかった。
「才能を言い訳に使わないで!努力なんてしなくていいから、凄いことなんてしなくていいから普通にしてよ!!そんなこと、誰にだって出来るでしょ!!!」
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