女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
1- 20
22:名無しNIPPER[sage]
2017/08/13(日) 22:47:25.98 ID:/6Xwlc9Z0
 それから世間話が続いた。あれはほんとはこうするべきだ、こっちにすればもっとよくなるのに。博識だねとかいい考えだ、とか、時々僕を褒めるようなことを照は言った。だが一度違和感を感じると……それがますます確信的になっていく。

「照さん。もうやめませんか」

 照は人のいい笑顔のままだ。スキンヘッドにもかかわらず、威圧感というものが全くない。細められた目のパーツ、頬のあたりのえくぼ。それがこんな印象を生むのだろうか。
以下略 AAS



23:名無しNIPPER[sage]
2017/08/13(日) 22:48:39.39 ID:/6Xwlc9Z0
「なんでですか?」
「作戦会議が必要なのさ」
「作戦会議ですか」

 話す気はなさそうだった。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[sage]
2017/08/13(日) 22:49:20.10 ID:/6Xwlc9Z0
続く


25:名無しNIPPER[sage]
2017/08/14(月) 11:41:34.43 ID:aXAX7a4Ao



26:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:24:51.07 ID:7t/DizBJ0
ずっと考え事をしている。
 結局、何事もなく僕は帰された。尾行の気配すらなかった。明日にでも革命派がどうたらこうたら言っている場所に行けば、レジスタンスに入ることになるだろう。きっとあちらから僕を見つけられるはずだ。

「……」

以下略 AAS



27:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:26:00.41 ID:7t/DizBJ0
トントン、と扉が叩かれる。「どうぞ」という言葉の後に開かれる。入ってきたのは、父だった。
 父は老けた容姿をしていた。母が病で死んで以来、白髪が増えた。きっと男手一つで息子を育てるのはさぞ苦労しただろう。だが代わりに、父と僕の関係は良好だった。

「裕樹、悩みごとか」
「……」
以下略 AAS



28:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:26:36.53 ID:7t/DizBJ0
「あのな、裕樹。聞いて欲しいことがあるんだ」

 背筋がざわつく。やめろ、と叫びたい。

「お前は優しすぎるから、自分を責めているかもしれない」
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:27:12.70 ID:7t/DizBJ0
――歯を食いしばった。
 誰も、何も悪くない。能力の欠如による失敗は社会では咎められる。結果がすべてだからだ。だがせめて、身近な人だけはそれを咎めないであげよう。だってそこにいる自分は最後の見方なんだから。
 だから、僕は耐えなければならない。それが正しいと、誰よりも、僕自身が信じているから。

「どうだっていいよ」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:27:44.82 ID:7t/DizBJ0
「やめなさい」
「迷惑はかけない。法に穴が開いているんだ。とれあえず、被害を被るのは彼女の家族と、実行する僕だ。父さんは大丈夫だから」
「そういうことじゃないんだ」
「無理っていうわけ?」

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:28:10.36 ID:7t/DizBJ0
「結局、意味なんて自分で決めるしかないんだ。心の奥底では、誰だって気づいてる。神様は意味があって人を生んだんじゃない。理不尽な現象が存在するのがその証拠だ。迷路の話、覚えてるか?」
「うん」

 頷いて答える。
 以前、父にこの世はまるで、『出口のない迷路のようだ』という話をされたことがある。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[sage]
2017/08/15(火) 22:29:02.77 ID:7t/DizBJ0
「そっか」
「ああ、本当にすまない」
「……ありがとう」

 きっと。きっと、僕が決心をしていなかったら、この言葉は決定打にはなりえなかった。
以下略 AAS



187Res/253.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice